明 細 書
セルロースエステルフィルムの製造方法、セルロースエステルフィルム、偏 光板及び液晶表示装置
技術分野
[0001] 本発明はセルロースエステルフィルムの製造方法、セルロースエステルフィルム、そ れを用いた偏光板及び液晶表示装置に関する。
背景技術
[0002] セルロースエステルフィルムは、その高い透明性'低複屈折性'偏光子との易接着 性などから、写真用ネガフィルムの支持体や、液晶ディスプレイに用いられる偏光子 を保護するフィルムなどに用レ、られてきた。
[0003] 液晶ディスプレイは、その奥行きの薄さ、軽さから近年大幅に生産量が増大してお り、需要が高くなつている。また液晶ディスプレイを用いたテレビは、薄く軽いという特 徴を生力して、ブラウン菅を用いたテレビでは達成されなかったような大型のテレビが 生産されるようになっており、それに伴って液晶ディスプレイを構成する偏光子、偏光 子保護フィルムも需要が増大してきてレ、る。
[0004] これらのセルロースエステルフィルムは、これまで専ら溶液流延法によって製造され てきた。溶液流延法とは、セルロースエステルを溶媒に溶解した溶液を流延してフィ ルム形状を得た後、溶媒を蒸発 ·乾燥させてフィルムを得るといった製膜方法である 。溶液流延法で製膜したフィルムは平面性が高ぐムラのない高画質な液晶ディスプ レイを得ること力 Sできる。
[0005] しかし溶液流延法は多量の有機溶媒を必要とし、環境負荷が大きいことも課題とな つていた。セルロースエステルフィルムは、その溶解性から、環境負荷の大きいハロ ゲン系溶媒を用いて製膜されているため、特に溶剤使用量の削減が求められている ため、溶液留延製膜によってセルロースエステルフィルムを増産することは困難とな つてきている。
[0006] そこで近年銀塩写真用(特許文献 1)あるいは偏光子保護フィルム用(特許文献 2) にセルロースエステルを溶融製膜する試みが行われてレ、る力 セルロースエステノレ
は溶融時の粘度が非常に高い高分子であり、かつガラス転移温度も高い高分子であ るため、セルロースエステルを溶融してダイスから押出して冷却ドラムまたは冷却ベル ト上にキャスティングされてもレべリングし難 押出し後に短時間で固化するため、 得られるフィルムの平面性が溶液流延フィルムよりも低いといった課題を有しているこ とが判明した。
[0007] セルロースエステル等の有機高分子の溶融粘度.ガラス転移温度を低下させるた めに、可塑剤を添加することが有効であることが知られている。
[0008] 特許文献 1、 2では、トリフエニルホスフェートやフエ二レンビスジフエニルホスフエー ト等のリン酸系の可塑剤を用いている。
[0009] し力 本発明の発明者らが検討した結果、これらのリン酸系の可塑剤は、吸湿や加 熱によってリン酸エステルが分解してリン酸が発生し、発生したリン酸がセルロースェ ステルを劣化させてフィルムを着色させるといった問題を有していることが判明した。
[0010] また、溶液流延する際の可塑剤として、特許文献 3、 4、 5においてエチレングリコー ル系の可塑剤、あるいは 3価以上のアルコールとカルボン酸エステルである多価アル コールエステルが開示されている。
[0011] これらの可塑剤は、化学的安定性が高ぐかつ、加水分解されてもセルロースエス テルの劣化を引き起こすような強酸を発生させないため、セルロースエステルには好 ましいィ匕合物である力 アルキルエステル系がほとんどであり、透湿度の低減効果が 不十分である。十分な透湿度を得るために、可塑剤を増量することが考えられるが、 可塑剤を単純に増量するだけではセルロースエステルフィルム表面への析出、透明 性の低下などの新たな課題が発生した。
[0012] トリフエニルホスフェートまたはアジピン酸ジォクチルといった低分子量の可塑剤は 、溶融製膜時の揮発によるダイ付着汚れが起こり平面性が劣化する問題があり、揮 発性の低い可塑剤が必要とされる。
[0013] 揮発性の低い可塑剤として、特許文献 6〜9では、ポリエステル系、ポリウレタン系 の可塑剤が提案されているが、これまで提案されているものは、セルロースエステノレ との相溶性が悪ぐ透明性の低いフィルムになってしまう問題があった。
[0014] 前記特許文献 1では、溶融製膜したセルロースエステルフィルムを得るために、 2〜
4倍程度の延伸を行っている力 セルロースエステルは延伸しにくい高分子であり、 通常では、同公報に記載されているように、室温では 20〜40%程度し力延伸するこ とが出来ず、高温下でも 2〜4倍のような高倍率延伸を生産性良く行うことは困難であ つた。
特許文献 1 :特表平 6— 501040号公報
特許文献 2:特開 2000— 352620号公報
特許文献 3:特開平 11 - 246704号公報
特許文献 4 :特開 2000— 63560号公報
特許文献 5:特開平 11 124445号公報
特許文献 6:特開 2002— 22956号公幸艮
特許文献 7:特開 2002— 267846号公報
特許文献 8 :特開 2004— 175971号公報
特許文献 9 :特開 2004— 175972号公報
発明の開示
[0015] 本発明の目的は、製膜時に溶媒を使用しない溶融流延によって製造され、フィルム の平面性、透湿度、ブリードアウトが改良され、着色が少ない、更には、馬の背故障 等の卷き取り不良の発生しがたく延伸しやすいセルロースエステルフィルムの製造方 法、セルロースエステルフィルム、該セルロースエステルフィルムを用いた偏光板及 び該偏光板を用いた液晶表示装置を提供することにある。
[0016] 上記目的を達成するための本発明の態様の一つは、下記 A〜Cを含有するフィノレ ム形成材料を加熱溶融し、溶融流延法によって製造することを特徴とするセルロース エステルフィルムの製造方法にある。 A:セルロース樹脂、 B :下記一般式(1)で表さ れる有機酸と多価アルコールが縮合したエステル化合物、 C:脂肪族ポリエステルま たは、脂肪族一芳香族コポリエステル。
図面の簡単な説明
[0017] [図 1]本発明に係るセルロースエステルフィルムの製造方法を実施する装置の 1つの 実施形態を示す概略フローシートである。
[図 2]図 1の製造装置の要部拡大フローシートである。
[図 3]図 3 (a)は流延ダイの要部の外観図、図 3 (b)は流延ダイの要部の断面図である [図 4]挟圧回転体の第 1実施形態の断面図である。
[図 5]挟圧回転体の第 2実施形態の回転軸に垂直な平面での断面図である。
[図 6]挟圧回転体の第 2実施形態の回転軸を含む平面での断面図である。
[図 7]液晶表示装置の構成図の概略を示す分解斜視図である。
[図 8]セルロースエステルフィルム原反の保管の状態を示す図である。
発明を実施するための最良の形態
[0018] 本発明の上記目的は以下の構成により達成される。
[0019] 1.下記 A〜Cを含有するフィルム形成材料を加熱溶融し、溶融流延法によって製 造することを特徴とするセルロースエステルフィルムの製造方法。
[0020] A:セルロース樹脂
B:下記一般式(1)で表される有機酸と多価アルコールが縮合したエステル化合物 C :脂肪族ポリエステルまたは、脂肪族—芳香族コポリエステル
[0021] [化 1]
[0022] (式中、 R〜Rは水素原子またはアルキル基、シクロアルキル基、ァリール基、ァラ
1 5
ルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、ァリールォキシ基、ァラルキルォキシ 基、アシノレ基、カルボニルォキシ基、ォキシカルボニル基、ォキシカルボニルォキシ 基を表し、これらはさらに置換基を有していて良い。 Lは連結基を表し、置換または無 置換のアルキレン基、酸素原子、または結合手を表す。 )
2.前記 Cが脂肪族ポリエステルと、脂肪族一芳香族コポリエステルの両方を含有 することを特徴とする前記 1に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
[0023] 3.前記脂肪族ポリエステルが、下記反復単位(a)及び下記反復単位 (b)から選ば
れる少なくとも 1種の反復単位を有することを特徴とする前記 1または 2に記載のセル ロースエステルフィルムの製造方法。
[0024] [化 2] 反復単位 (a)
Rio O
I II
寸 O— CH(CH2)m— C-
[0025] (式中、 mは 0〜: 10の整数であり、 R は水素原子、 C〜C の無置換アルキル基、
10 1 12
C〜C のァリール基及び C〜Cのアルコキシ基から選ばれる少なくとも 1個の置換
6 10 1 4
基で置換された c〜c のアルキル基、 c〜c の無置換シクロアルキル基、 c〜c
1 12 5 10 6 10 のァリール基及び C〜Cのアルコキシ基から選ばれる少なくとも 1個の置換基で置換
1 4
された。〜C のシクロアルキル基、力 選ばれる少なくとも 1種の基である。 )
5 10
[0026] [化 3] 反復単位 (b)
0 0
II II
十 O— R8— 0— C— R9— C -
[0027] (式中、 Rはじ〜C の無置換アルキレン基、 C〜C のァリール基及び C〜Cの
8 2 12 6 10 1 4 アルコキシ基から選ばれる少なくとも 1個の置換基で置換された c〜c のアルキレン
12
基、 c〜c の無置換ォキシアルキレン基、 c〜c のァリール基及び c〜cのアル
2 12 6 10 1 4 コキシ基から選ばれる少なくとも 1個の置換基で置換されたォキシアルキレン基、 C
5
〜c の無置換シクロアルキレン基、及び c〜c のァリール基及び c〜cのアルコ
10 6 10 1 4 キシ基から選ばれる少なくとも 1個の置換基で置換された c〜c のシクロアルキレン
5 10
基、力 選ばれる少なくとも 1種の基であり、 Rは C〜C の無置換アルキレン基、 C
9 2 12 6
〜C のァリール基及び C〜Cのアルコキシ基から選ばれる少なくとも 1個の置換基
10 1 4
で置換された C〜C のアルキレン基、 C〜C の無置換ォキシアルキレン基、 C〜
2 12 2 12 6
C のァリール基及び C〜Cのアルコキシ基から選ばれる少なくとも 1個の置換基で
置換された c〜c のォキシアルキレン基、 c〜c の無置換シクロアルキレン基、及
2 12 5 10
び、 C〜C のァリール基及び C〜Cのアルコキシ基力 選ばれる少なくとも 1個の
6 10 1 4
置換基で置換された C〜C のシクロアルキレン基、力 選ばれる少なくとも 1種の基
5 10
である。 )
4.前記脂肪族ポリエステルが(i)ヒドロキシ酸、そのエステル形成性誘導体、(ii)ジ カルボン酸、その誘導体又は(m)ジオールから選ばれる少なくとも 1種のポリエステル 形成物から調製されることを特徴とする前記 1〜3のいずれ力 1項に記載のセルロー スエステルフィルムの製造方法。
[0028] 5.前記脂肪族一芳香族コポリエステルが、下記反復単位(c)で示される反復単位 を有することを特徴とする前記 1〜4のいずれか 1項に記載のセルロースエステルフィ ルムの製造方法。
[0030] (式中、 R及び Rはそれぞれ C〜C の無置換アルキレン基、 C〜C のァリール
4 7 2 12 6 10
基及び C〜Cのアルコキシから選ばれる少なくと 1個の置換基で置換された c〜c
1 4 12 のアルキレン基、 C〜C の無置換ォキシアルキレン基、 C〜C のァリール基及び C
2 12 6 10
〜Cのアルコキシから選ばれる少なくと 1個の置換基で置換された c〜c のォキシ
1 4 12 アルキレン基、 c〜c の無置換シクロアルキレン基、及び、 c〜c のァリール基及
5 10 6 10
び C〜Cのアルコキシ基から選ばれる少なくとも 1個の置換基で置換された C〜c
1 4 5 10 のシクロアルキレンから選ばれる少なくとも 1種の基であり、 Rは c〜c の無置換ァ
5 1 12
ルキレン基、 c〜c のァリール基及び c〜cのアルコキシ基から選ばれる少なくと
6 10 1 4
も 1個の置換基で置換された c〜c のアルキレン基、 c〜c の無置換ォキシアル
キレン基、 C〜C のァリール基及び C〜Cのアルコキシ基力 選ばれる少なくとも
6 10 1 4 1 個の置換基で置換された c〜c のォキシアルキレン基、
12 c〜
5 c の無置換シクロア 10
ルキレン基、及び、 c〜c のァリール基及び c〜cのアルコキシ基から選ばれる少
6 10 1 4
なくとも 1個の置換基で置換された c〜
5 c のシクロアルキレン基、力 選ばれる少な 10
くとも 1種の基であり、 Rは C〜C の無置換ァリーレン基、及び、 C〜Cのアルキル
6 6 10 1 4 基及び C〜Cのアルコキシ基から選ばれる少なくとも 1個の置換基で置換された C
1 4 6
〜C のァリーレン基、力 選ばれる少なくとも 1種の基である。 )
10
6.前記脂肪族一芳香族コポリエステルが(i)ジカルボン酸、その誘導体及び (ii)ジ オールから選ばれる少なくとも 1種のポリエステル形成化合物から調製されることを特 徴とする前記 1〜5のいずれ力 1項に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法
[0031] 7.前記多価アルコール力 S、 2〜4個の水酸基を有する化合物であることを特徴とす る前記 1〜6のいずれ力 1項に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
[0032] 8.前記一般式(1)で表される有機酸と多価アルコールが縮合したエステル化合物 の R〜Rの少なくとも 1つが、アルコキシ基、ァシル基、ォキシカルボニル基、カルボ
1 5
ニルォキシ基及びォキシカルボニルォキシ基から選ばれる少なくとも 1種の基を有す る有機酸を含有することを特徴とする前記 1〜7のいずれ力 1項に記載のセルロース エステルフィルムの製造方法。
[0033] 9.前記フィルム形成材料が、少なくとも 1種の酸化防止剤を含有することを特徴と する前記 1〜8のいずれ力 1項に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
[0034] 10.前記フィルム形成材料がヒンダードフエノール系酸化防止剤を少なくとも 1種及 びリン系酸化防止剤を少なくとも 1種含有することを特徴とする前記 9に記載のセル口 ースエステルフィルムの製造方法。
[0035] 11.前記フィルム形成材料が、更に、一般式(2)で表される化合物を少なくとも 1種 含有することを特徴とする前記 10項に記載のセルロースエステルフィルムの製造方 法。
[0036] [化 5]
[0037] 〔式中、 X及び Yは N_R (Rは水素原子または置換基を表す)、酸素原子、または硫 黄原子を表し、 Xと Yは同じでも異なってもよレ、。 Rは置換基を表し、 R及び Rは水
1 2 3 素原子または置換基を表し、 Rと Rは一緒になつて 2重結合している置換基を表して
2 3
もよい。 mは 0〜4の整数を表し、 mが 2以上のとき、複数の Rは同じでも異なってもよ
1
レ、。 R、 Rおよび Rの少なくとも 1つは、重合性基を部分構造として有する基でもよい
1 3
]
12.前記一般式(2)で表される化合物の Xと Yが、酸素原子である事を特徴とする、 前記 11に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
[0038] 13.前記フィルム形成材料が紫外線吸収モノマーから合成される紫外線吸収性共 重合ポリマーを含有することを特徴とする前記 1〜: 12のいずれ力 1項に記載のセル口 ースエステルフィルムの製造方法。
[0039] 14.前記フィルム形成材料が青色染料を少なくとも 1種含有することを特徴とする前 記:!〜 13のレ、ずれ力 1項に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
[0040] 15.前記 1〜14のいずれ力 1項に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法 により製造されたことを特徴とするセルロースエステルフィルム。
[0041] 16.前記 15に記載のセルロースエステルフィルムを有することを特徴とする偏光板
[0042] 17.前記 16に記載の偏光板を用いることを特徴とする液晶表示装置。
[0043] 即ち、本発明は、セルロース樹脂を熱溶融することによって製膜する方法を究明す るためになされたもので、本発明者らは、鋭意検討の結果、少なくとも 1種類の有機 酸と多価アルコールが縮合したエステル系化合物と少なくとも 1種類の脂肪族ポリエ ステルまたは、脂肪族—芳香族コポリエステル及びセルロース樹脂を含むフィルム形
成材料を加熱溶融することにより、平面性、透湿度、ブリードアウト、着色が改良でき ることを見出した。さらに、驚くべきことに、上記フィルム形成材料は、溶融粘度が低 いためフィルムの延伸性が良ぐ生産性の高いセルロースエステルが得られることを 見出し、本発明を完成させるに至った。
[0044] 本発明によるセルロースエステルフィルムの製造方法、セルロースエステルフィルム 、該セルロースエステルフィルムを用いた偏光板及び該偏光板を用いた液晶表示装 置は、製膜時に溶媒を使用しない溶融流延によって製造され、フィルムの平面性、透 湿度、ブリードアウトが改良され、着色が少なぐ優れた効果を有する。更には、馬の 背故障等の巻き取り不良が発生しがたいという優れた効果を奏する。
[0045] 以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する力 S、本発明は これらに限定されるものではない。
[0046] <有機酸と多価アルコールが縮合したエステル化合物の説明 >
前記一般式(1)において、 R 〜Rは水素原子またはアルキル基、シクロアルキル
1 5
基、ァリール基、ァラルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、ァリールォキシ基 、ァラルキルォキシ基、アシノレ基、カルボニルォキシ基、ォキシカルボニル基、ォキシ カルボ二ルォキシ基を表し、これらはさらに置換基を有していて良い。 Lは 2価の連結 基を表し、置換または無置換のアルキレン基、酸素原子、または結合手を表す。
[0047] R 〜Rで表されるアルキル基としては、例えば、メチノレ、ェチル、プロピル、 2—ェ
1 5
チルへキシル、ォクチル、ドデシル、ォクタデシル等の各基が挙げられる力 セル口 ースエステルは比較的親水性の高分子であるため、あまり高級な脂肪族基が置換基 として導入されているとセルロースエステルとの相溶性が低下することがあるため、好 ましくは炭素数 1〜8のアルキル基が好ましい。また、これらの基は置換されていても よ 好ましい置換基としては、ハロゲン原子、例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素 原子等、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、フエニル基(このフエ二 ル基はアルキル基またはハロゲン原子等によってさらに置換されていてもよレ、)、ァリ ールォキシ基(例えばフエノキシ基(このフエニル基にはアルキル基またはハロゲン原 子等によってさらに置換されていてもよい))、ァセチル基、プロピオニル基等の炭素 数 2〜8のァシル基、またァセチルォキシ基、プロピオニルォキシ基等の炭素数 2〜8
の無置換のカルボニルォキシ基等が挙げられる。
[0048] R〜Rで表されるシクロアルキル基としては、同様に炭素数 3〜8のシクロアルキル
1 5
基が好ましぐ具体的にはシクロプロピル、シクロペンチル、シクロへキシル等の基で ある。これらの基は置換されていてもよぐ好ましい置換基としては、ハロゲン原子、例 えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等、ヒドロキシノレ基、アルキル基、アルコキシ 基、シクロアルコキシ基、ァラルキル基(このフエニル基にはアルキル基またはハロゲ ン原子等によってさらに置換されていてもよい)、ビュル基、ァリル基等のアルケニル 基、フエニル基(このフエニル基にはアルキル基またはハロゲン原子等によってさらに 置換されていてもよレ、)、フエノキシ基(このフエニル基にはアルキル基またはハロゲン 原子等によってさらに置換されていてもよい)、ァセチル基、プロピオニル基等の炭素 数 2〜8のァシル基、またァセチルォキシ基、プロピオニルォキシ基等の炭素数 2〜8 の無置換のカルボニルォキシ基等が挙げられる。
[0049] R〜Rで表されるァリール基としては、フエニル、ナフチル等の基があり、また、これ
1 5
らの基は置換されていてもよぐ好ましい置換基としては、前記のシクロアルキル基に 置換してもよレヽ基を同様に挙げることができる。
[0050] R〜Rで表されるァラルキル基としては、ベンジル基、フエネチル基、 γ —フエニル
1 5
プロピル基等の基を表し、また、これらの基は置換されていてもよぐ好ましい置換基 としては、前記のシクロアルキル基に置換してもよレ、基を同様に挙げることができる。
[0051] R〜Rで表されるアルコキシ基としては、炭素数 1〜8のアルコキシ基が挙げられ、
1 5
具体的には、メトキシ、エトキシ、 n—プロポキシ、 n—ブトキシ、 n—ォクチルォキシ、 イソプロポキシ、イソブトキシ、 2—ェチルへキシルォキシ、もしくは t—ブトキシ等の各 アルコキシ基である。また、これらの基は置換されていてもよぐ好ましい置換基として は、ハロゲン原子、例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等、ヒドロキシル基、了 ルコキシ基、シクロアルコキシ基、ァラルキル基(このフエニル基にはアルキル基また はハロゲン原子等を置換していてもよい)、アルケニル基、フエニル基(このフエ二ノレ 基にはアルキル基またはハロゲン原子等によってさらに置換されていてもよい)、ァリ ールォキシ基(例えばフエノキシ基(このフエニル基にはアルキル基またはハロゲン原 子等によってさらに置換されていてもょレ、))、ァセチル基、プロピオニル基等のァシ
ル基が、またァセチルォキシ基、プロピオニルォキシ基等の炭素数 2〜8の無置換の ァシルォキシ基、またベンゾィルォキシ基等のァリールカルボニルォキシ基が挙げら れる。
[0052] R〜Rで表されるシクロアルコキシ基としては、無置換のシクロアルコキシ基として
1 5
は炭素数 1〜8のシクロアルコキシ基が挙げられ、具体的には、シクロプロピルォキシ 、シクロペンチルォキシ、シクロへキシルォキシ等の基が挙げられる。また、これらの 基は置換されていてもよ 好ましい置換基としては、前記のシクロアルキル基に置換 してもょレ、基を同様に挙げることができる。
[0053] R〜Rで表されるァリールォキシ基としては、フエノキシ基が挙げられる力 S、このフエ
1 5
ニル基にはアルキル基またはハロゲン原子等前記シクロアルキル基に置換してもよ レ、基として挙げられた置換基で置換されてレ、てもよレ、。
[0054] R〜Rで表されるァラルキルォキシ基としては、ベンジルォキシ基、フエネチルォキ
1 5
シ基等が挙げられ、これらの置換基は更に置換されていてもよぐ好ましい置換基と しては、前記のシクロアルキル基に置換してもよレ、基を同様に挙げることができる。
[0055] R〜Rで表されるァシル基としては、ァセチル基、プロピオニル基等の炭素数 2〜
1 5
8の無置換のァシル基が挙げられ(ァシル基の炭化水素基としては、アルキル、アル ケニル、アルキニル基を含む。)、これらの置換基は更に置換されていてもよぐ好ま しい置換基としては、前記のシクロアルキル基に置換してもよい基を同様に挙げるこ とがでさる。
[0056] R〜Rで表されるカルボニルォキシ基としては、ァセチルォキシ基、プロピオニル
1 5
ォキシ基等の炭素数 2〜8の無置換のアシノレオキシ基(アシノレ基の炭化水素基として は、アルキル、アルケニル、アルキニル基を含む。)、またベンゾィルォキシ基等のァ リールカルボニルォキシ基が挙げられる力 これらの基は更に前記シクロアルキル基 に置換してもよい基と同様の基により置換されていてもよい。
[0057] R〜Rで表されるォキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカ
1 5
ルボニル基、プロピルォキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、またフエノ キシカルボニル基等のァリールォキシカルボ二ル基を表す。これらの置換基は更に 置換されていてもよぐ好ましい置換基としては、前記のシクロアルキル基に置換して
もよレ、基を同様に挙げることができる。
[0058] また、 R〜Rで表されるォキシカルボニルォキシ基としては、メトキシカルボニルォ
1 5
キシ基等の炭素数 1〜8のアルコキシカルボ二ルォキシ基を表し、これらの置換基は 更に置換されていてもよ 好ましい置換基としては、前記のシクロアルキル基に置換 してもょレ、基を同様に挙げることができる。
[0059] R〜Rのうちのいずれか同士で互いに連結し、環構造を形成していても良い。
1 5
[0060] また、 Lで表される連結基としては、置換または無置換のアルキレン基、酸素原子、 または直接結合を表すを表すが、アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プ ロピレン基等の基であり、これらの基は、更に前記の R〜Rで表される基に置換して
1 5
もよレ、基としてあげられた基で置換されてレ、てもよレ、。
[0061] 中でも、 Lで表される連結基として特に好ましいのは直接結合であり芳香族カルボ ン酸である。
[0062] またこれら本発明におレ、て可塑剤となるエステルイ匕合物を構成する、前記一般式( 1)で表される有機酸としては、 R〜Rが水素原子を有するものが好ましぐさらに好
1 5
ましくは、 R〜Rの少なくとも 1つが前記アルコキシ基、ァシル基、ォキシカルボニル
1 5
基、カルボニルォキシ基、ォキシカルボ二ルォキシ基を有するものが好ましい。
[0063] さらに、好ましくは R〜Rの少なくとも 2つ、さらに好ましくは R〜Rの少なくとも 3つ
1 5 1 5
力 前記アルコキシ基、ァシル基、ォキシカルボニル基、カルボニルォキシ基、ォキ シカルボ二ルォキシ基を有するものが好ましレ、。
[0064] なお本発明においては多価アルコールの水酸基を置換する有機酸は単一種であ つても複数種であってもよい。多価アルコールの水酸基を置換する有機酸が複数種 の場合には無置換の芳香族カルボン酸や脂肪族カルボン酸、脂環式カルボン酸が 含まれていても良いが、前記一般式(1)で表される有機酸によって、多価アルコール の水酸基の半分以上が置換されてレ、る多価アルコールエステル化合物が好ましレ、。 また多価アルコール中の〇H基は、全てエステル化してもよいし、一部を〇H基のまま で残してもよいが、多価アルコールの水酸機の半分以上は有機酸によって置換され ていることが好ましい。
[0065] 本発明において、前記一般式(1)で表される有機酸と反応して多価アルコールェ
ステル化合物を形成する多価アルコール化合物としては、好ましくは 2〜20価の脂 肪族多価アルコールであり、本発明おいて多価アルコールは下記の一般式(IV)で 表されるものが好ましい。
[0066] 一般式(IV) R' - (OH) m
式中、 R 'は m価の有機基、 mは 2以上の正の整数、 OH基はアルコール性水酸基 を表す。特に好ましいのは、 mが 2〜4の範囲である多価アルコールである。
[0067] 好ましい多価アルコールの例としては、例えば以下のようなものを挙げることが出来 る力 S、本発明はこれらに限定されるものではなレ、。アド二トール、ァラビトール、ェチレ ングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコー ル、 1, 2 プロパンジオール、 1, 3 プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリ プロピレングリコール、 1 , 2—ブタンジオール、 1, 3—ブタンジオール、 1 , 4 ブタン ジオール、ジブチレングリコール、 1, 2, 4—ブタントリオール、 1 , 5 ペンタンジォー ル、 2—メチルー 2, 4 ペンタンジオール、 2, 2, 4 トリメチルペンタン 1 , 3 ジ オール、 1, 6 へキサンジオール、 1, 2, 3 へキサントリオール、 1 , 2, 6 へキサ ントリオール、グリセリン、ジグリセリン、エリスリトーノレ、ペンタエリスリトール、ジペンタ エリスリトーノレ、トリペンタエリスリトール、ガラクチトール、グルコース、セロビオース、ィ ノシトール、マンニトール、 3—メチルペンタン 1, 3, 5—トリオ一ノレ、ピナコール、ソ ルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールェタン、キシリトール等を挙げること が出来る。特に、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロ ールェタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが好ましレ、。
[0068] 一般式(1)で表される有機酸と多価アルコールのエステルは、公知の方法により合 成できる。実施例に代表的合成例を示したが、前記一般式(1)で表される有機酸と、 多価アルコールを例えば、酸の存在下縮合させエステル化する方法、また、有機酸 を予め酸クロライド或いは酸無水物としておき、多価アルコールと反応させる方法、有 機酸のフエニルエステルと多価アルコールを反応させる方法等があり、 目的とするェ ステルイ匕合物により、適宜、収率のよい方法を選択することが好ましい。
[0069] この様にして得られる多価アルコールエステルの分子量は特に制限はなレ、が、 30 0〜: 1500であること力 S好ましく、 500〜1000であることが更に好ましレ、。分子量が大
きい方が揮発し難くなるため好ましぐ透湿性、セルロースエステルとの相溶性の点で は小さい方が好ましい。
[0070] 以下に、本発明に係わる多価アルコールエステルの具体的化合物を例示する。
[0071] [化 6]
[2Z00]
91-
SM76TC/900Zdf/X3d 8δεε滅 ooz OAV
S1-1-6ie/900ldf/X3<I 難 00Ζ OAV
[Οΐ^] [9Ζ00]
6 L
SM76TC/900Zdf/X3d 8S££t0/L00Z OAV
[0077] [化 12]
〕 30078
[0079] [化 14]
[0080] [化 15]
[9ΐ^1 ] [Ϊ800]
£^^6li:/9003<If/I3d
[0082] [化 17]
[8ΐ^1 ] [8800]
SM76TC/900Zdf/X3d 8δεε滅 οοζ OA
[0084] 〈脂肪族ポリエステル〉
本発明において有用な脂肪族ポリエステルの 1つのタイプは、好ましくは前記反復 単位(a)及び (b)から選ばれる少なくとも 1種の反復単位を含む:
前記反復単位(a)において、 mは 0〜: 10の整数であり、 R は水素原子、 C〜C の
10 1 12 無置換アルキル基、 C〜C のァリール基及び C〜Cのアルコキシ基から選ばれる
6 10 1 4
少なくとも 1個の置換基で置換された C〜C のアルキル基、 c〜c の無置換シクロ
1 12 5 10
アルキル基、 c〜c のァリール基及び c〜cのアルコキシ基から選ばれる少なくと
6 10 1 4
も 1個の置換基で置換された C〜C のシクロアルキル基、力 選ばれる少なくとも 1
5 10
種の基である。
[0085] もう一つのタイプの反復単位は、前記反復単位 (b)で構成されているポリヒドロキシ アルカノエートである。
[0086] 反復単位(b)において、 Rはじ〜C の無置換アルキレン基、 C〜C のァリーノレ
8 2 12 6 10
基及び C〜Cのアルコキシ基から選ばれる少なくとも 1個の置換基で置換された C
1 4 2
〜c のアルキレン基、 c〜c の無置換ォキシアルキレン基、 c〜c のァリール基
12 12 6 10 及び C〜Cのアルコキシ基から選ばれる少なくとも 1個の置換基で置換されたォキシ
1 4
アルキレン基、 c〜c の無置換シクロアルキレン基、及び c〜c のァリール基及び
5 10 6 10
C〜Cのアルコキシ基から選ばれる少なくとも 1個の置換基で置換された C〜C の
1 4 5 10 シクロアルキレン基、力 選ばれる少なくとも 1種の基であり、 Rは C〜C の無置換ァ
9 2 12 ルキレン基、 c〜c のァリール基及び c〜cのアルコキシ基から選ばれる少なくと
6 10 1 4
も 1個の置換基で置換された c〜c のアルキレン基、
12 c〜c の無置換ォキシアル
12
キレン基、 C〜C のァリール基及び C〜Cのアルコキシ基から選ばれる少なくとも
6 10 1 4 1 個の置換基で置換された c〜c のォキシアルキレン基、
12 c〜
5 c の無置換シクロア 10
ルキレン基、及び、 c〜 ァリール基及び
6 c の
10 c〜
1 cのアルコキシ基から選ばれる少 4
なくとも 1個の置換基で置換された c〜
5 c のシクロアルキレン基、力 選ばれる少な 10
くとも 1種の基である。
[0087] Rが C〜Cの置換又は無置換のアルキレン基、 C〜Cの置換又は無置換のォキ
8 2 6 4 8
シアルキレン基、又は C〜C の置換又は無置換のシクロアルキレン基であることが
5 10
好ましぐ Rが C〜C の置換又は無置換のアルキレン基、 Cの置換又は無置換の
9 2 10 2
ォキシアルキレン基又は C〜
5 c の置換又は無置換のシクロアルキレン基であること 10
が好ましい。
[0088] 本発明においては、前記脂肪族ポリエステル力 (i)ヒドロキシ酸、そのエステル形 成性誘導体、(ii)ジカルボン酸、その誘導体又は (m)ジオールから選ばれる少なくと も 1種のポリエステル形成物から調製されることも好ましい。
[0089] ヒドロキシ酸としては、例えば、 4 (ヒドロキシメチル)シクロへキサン一カルボキシ ル酸、ヒドロキシトリメチル酢酸、 6—ヒドロキシ一カプロン酸、グリコーノレ酸、乳酸、そ のエステル形成誘導体及びその組合せから成るグループの中から選択され、ジカル ボキシル酸としては、例えばマロン酸、スクシン酸、ダルタル酸、アジピン酸、ピメリン 酸、ァゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、 2, 2—ジメチルダルタル酸、スベリン酸、 1 , 3—シクロペンタンジカルボキシル酸、 1, 4—シクロへキサンジカルボキシル酸、 1, 3—シクロへキサンジカルボキシル酸、ジグリコール酸、ィタコン酸、マレイン酸、 2, 5 —ノルボルナネジカルボキシル酸、そのエステル形成誘導体及びその組合せといつ たジ酸から成る群の中から選択され、ジオールとしては、例えばエチレングリコール、 プロピレングリコール、 1, 3_プロパンジオール、 2, 2—ジメチル _1, 3_プロパン ジオール、 1, 3 _ブタンジオール、 1, 4 _ブタンジオール、 1, 5 _ペンタンジオール 、 1, 6—へキサンジオール、 2, 2, 4ートリメチノレー 1, 6—へキサンジオール、チォジ エタノール、 1, 3—シクロへキサンジメタノール、 1, 4—シクロへキサン一ジメタノール 、 2, 2, 4, 4—テトラメチルー 1, 3—シクロブタンージオール、ジエチレングリコール、
トリエチレングリコール、テトラエチレンダリコール及びその組合せ力 成るグループ の中から選択される。
[0090] 好ましい脂肪族ポリエステルの具体例としては、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロ キシブチレートとポリヒドロキシバレレートの共重合体、ポリ(グルタル酸へキサメチレン )、ポリ(アジピン酸へキサメチレン)、ポリ(セバシン酸エチレン)、ポリ(ダルタル酸テト ラメチレン)、ポリ(アジピン酸テトラメチレン)、ポリ(セバシン酸テトラメチレン)、ポリ(グ ルタル酸エチレン)、ポリ(コハク酸エチレン)、ポリ(コハク酸テトラメチレン)又はポリ( アジピン酸エチレン)が含まれる。
[0091] 〈脂肪族 芳香族コポリエステル〉
本発明において有用な脂肪族一芳香族コポリエステルは、ランダム共重合体であり 、好ましくは、前記反復単位(c)で表される反復単位である。
[0092] 反復単位(c)におレ、て、 R及び Rはそれぞれ C〜C の無置換アルキレン基、 C
4 7 2 12 6
〜C のァリール基及び C〜Cのアルコキシから選ばれる少なくと 1個の置換基で置
10 1 4
換された c〜c のアルキレン基、 c の無置換ォキシアルキレン基、 c〜c の
2 12 c〜
2 12 6 10 ァリール基及び C〜Cのアルコキシから選ばれる少なくと 1個の置換基で置換された
1 4
c〜c のォキシアルキレン基、 c〜c の無置換シクロアルキレン基、及び、 c〜c
2 12 5 10 6 1 のァリール基及び C〜Cのアルコキシ基から選ばれる少なくとも 1個の置換基で置
0 1 4
換された C〜C のシクロアルキレンから選ばれる少なくとも 1種の基であり、 Rは C
5 10 5 1
〜c の無置換アルキレン基、 c〜c のァリール基及び c〜cのアルコキシ基から
12 6 10 1 4
選ばれる少なくとも 1個の置換基で置換された c〜c のアルキレン基、 c〜c の無
2 12 2 12 置換ォキシアルキレン基、 c〜c のァリール基及び c〜cのアルコキシ基から選ば
6 10 1 4
れる少なくとも 1個の置換基で置換された c〜c のォキシアルキレン基、 c〜c の
12 5 10 無置換シクロアルキレン基、及び、 c〜c のァリール基及び c〜cのアルコキシ基
6 10 1 4
力 選ばれる少なくとも 1個の置換基で置換された c〜c のシクロアルキレン基、
5 10
ら選ばれる少なくとも 1種の基であり、 Rはじ〜C の無置換ァリーレン基、及び、 C
6 6 10 1
〜Cのアルキル基及び C〜Cのアルコキシ基から選ばれる少なくとも 1個の置換基
4 1 4
で置換された C〜C のァリーレン基、力 選ばれる少なくとも 1種の基である。
6 10
[0093] 前記反復単位(c)で表される脂肪族一芳香族コポリエステルは、ジカルボン酸又は
その誘導体とジオールの任意のポリエステル形成組合せから調製される。
[0094] 上記ジカルボン酸としては、例えばマロン酸、スクシン酸、グルタル酸、アジピン酸、 ピメリン酸、ァゼライン酸、セバシン酸、フマノレ酸、 2, 2—ジメチルダルタル酸、スベリ ン酸、 1 , 3—シクロペンタンジカルボキシル酸、 1—4—シクロへキサンジカルボキシ ル酸、 1, 3—シクロへキサンジカルボキシル酸、ジグリコール酸、ィタコン酸、マレイン 酸、 2, 5 _ノルボルナネジカルボキシル酸、 1 , 4—テレフタル酸、 1 , 3—テレフタノレ 酸、フタル酸、 2, 6 _ナフトイン酸、 1 , 5 _ナフトイン酸及びそのエステル形成誘導 体及びそれらの組合せとレ、つたピロ酸から成る群の中から選択され、上記ジオール はとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール 、 1 , 3 プロパンジオール、 2, 2 ジメチルー 1 , 3 プロパンジオール、 1 , 3 ブタ ンジオール、 1 , 4 ブタンジオール、 1 , 5—ペンタンジオール、 1 , 6—へキサンジォ ール、 2, 2, 4—トリメチノレー 1 , 6 へキサンジオール、チォジエタノール、 1 , 3 シ クロへキサンジメタノール、 1 , 4ーシクロへキサンジメタノール、 2, 2, 4, 4—テトラメ チルー 1 , 3—シクロブタンジオール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコー ル、及びその組合せから成る群の中から選択される。
[0095] 反復単位(c)において、 R及び Rは、 C〜Cの置換又は無置換のアルキレン基
4 7 2 8
又は C〜Cの置換又は無置換のォキシアルキレンから選ばれる少なくとも 1種の基
2 8
であり、 Rは、 C〜Cの置換又は無置換アルキレン基、又は C〜C の置換又は無
5 2 8 2 4
置換のォキシアルキレン基から選ばれる少なくとも 1種の基から選択され、 Rは C〜
6 6
C の置換又は無置換のァリ一レン基から選択される基であることが好ましい。さらに
10
好ましい脂肪族—芳香族コポリエステルは、 R及び R 、 C2〜C4の置換又は無置
4 7
換のアルキレン基であり、 Rは、 C〜Cの置換又は無置換のアルキレン基、又は、 C
5 2 6
の置換又は無置換のォキシアルキレン基から選ばれる少なくとも 1種の基であり、 R
2 6 が 1 , 4—ジ置換 Cァリーレン基である。
6
[0096] 好ましい化合物は、以下のモル%で以下のジオール及びジ酸(又はそのポリエステ ル形成誘導体)から調製されるものである:
(1)グルタル酸(30〜65%);ジグリコール酸(0〜10モル0 /0);テレフタル酸(25〜 60%) ; 1 , 4—ブタンジオール(100モル0 /0)。
[0097] (2)コハク酸(30〜85%);ジグリコール酸(0〜: 10%);テレフタル酸(5〜60%); 1
, 4_ブタンジオール(100モル0 /0)。
[0098] (3)アジピン酸(30〜65%);ジグリコール酸(0〜10%);テレフタル酸(25〜60%
) ; 1, 4_ブタンジオール(100モル0 /0)。
[0099] (4)コハク酸(30〜95%);テレフタル酸(5〜60%);エチレングリコーノレ(70〜100 モノレ0 /。);ジエチレングリコーノレ(0〜30モノレ0 /0)。
(5)コハク酸(30〜100%);ジグリコール酸(0〜70%);エチレングリコール(30〜1 00%) ; 1, 4 ブタンジオール(0〜70モル0 /0)。
[0100] 炭素数の平均が 2〜3. 5であるジオールと、炭層数の平均が 4〜5. 5であるジカノレ ボン酸を含有する脂肪族ポリエステル、脂肪族一芳香族コポリエステルが好ましい。 本発明においては、本発明の効果を損なわない程度に、従来公知の可塑剤を併用 することもできる。例えば、ジォクチルアジペート、ジシクロへキシルアジペート、ジフ ェニルサクシネート、ジ 2—ナフチノレー 1 , 4ーシクロへキサンジカルボキシレート、トリ シクロへキシルトリ力ルバレート、テトラ 3 メチルフエニルテトラヒドロフラン 2, 3, 4 , 5—テトラカルボキシレート、テトラプチルー 1, 2, 3, 4—シクロペンタンテトラカルボ キシレート、トリフエニノレー 1 , 3, 5—シクロへキシルトリカルボキシレート、トリフエニル ベンゼン 1 , 3, 5—テトラカルボキシレート、フタル酸系可塑斉 lj (例えばジェチルフ タレート、ジメトキシェチルフタレート、ジメチルフタレート、ジォクチルフタレート、ジブ チルフタレート、ジ一 2—ェチルへキシルフタレート、ジォクチルフタレート、ジシクロ へキシノレフタレート、ジシクロへキシノレテレフタレート、メチノレフタリノレメチノレグリコレー フタリルブチルダリコレート等)、クェン酸系可塑剤(タエン酸ァセチルトリメチル、タエ ン酸ァセチルトリエチル、タエン酸ァセチルトリブチル等)等の多価カルボン酸エステ ル系可塑剤、炭水化物エステル系可塑剤などが挙げられる。
[0101] 炭水化物エステル系可塑剤について説明する。炭水化物とは、糖類がピラノースま たはフラノース(6員環または 5員環)の形態で存在する単糖類、二糖類または三糖 類を意味する。炭水化物の非限定的例としては、グノレコース、サッカロース、ラタトー ス、セロビオース、マンノース、キシロース、リボース、ガラクトース、ァラビノース、フル
クトース、ソルボース、セロトリオース及びラフイノース等が挙げられる。炭水化物エス テルとは、炭水化物の水酸基とカルボン酸が脱水縮合してエステルイヒ合物を形成し たものを指し、詳しくは、炭水化物の脂肪族カルボン酸エステル、或いは芳香族カル ボン酸エステルを意味する。脂肪族カルボン酸として、例えば酢酸、プロピオン酸等 を挙げることができ、芳香族カルボン酸として、例えば安息香酸、トルィル酸、ァニス 酸等を挙げることができる。炭水化物は、その種類に応じた水酸基の数を有するが、 水酸基の一部とカルボン酸が反応してエステルイヒ合物を形成しても、水酸基の全部 とカルボン酸が反応してエステル化合物を形成してもよい。本発明においては、水酸 基の全部とカルボン酸が反応してエステルイ匕合物を形成するのが好ましい。
[0102] 炭水化物エステル系可塑剤として、具体的には、グノレコースペンタアセテート、グノレ コースペンタプロピオネート、グノレコースペンタブチレート、サッカロースォクタァセテ ート、サッカロースォクタべンゾエート等を好ましく挙げることができ、この内、サッカロ ースォクタアセテートがより好ましレ、。
[0103] また、ポリマー可塑剤として、例えば、脂肪族炭化水素系ポリマー、脂環式炭化水 素系ポリマー、ポリアクリル酸ェチル、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチルとメタ クリル酸 2 ヒドロキシェチルとの共重合体(例えば、共重合比 1 : 99〜99 : 1の間 の任意の比率)等のアクリル系ポリマー、ポリビニルイソブチルエーテル、ポリ N ビ ニルピロリドン等のビュル系ポリマー、ポリスチレン、ポリ 4—ヒドロキシスチレン等のス チレン系ポリマー、ポリエチレンォキシド、ポリプロピレンォキシド等のポリエーテル、 ポリアミド、ポリウレタン、ポリウレァ等が挙げられる。
[0104] 本発明のセルロースエステルフィルムは、前記 Bで表される化合物(前記一般式(1 )で表される有機酸と多価アルコールが縮合したエステル化合物)と前記 Cで表され る化合物 (脂肪族ポリエステルまたは、脂肪族-芳香族コポリエステル)の合計の添 加量力 セルロースエステルに対して、 1〜25質量部含有することが好ましい。 1質 量部よりも少ないと平面性改善の効果が認められず、 25質量部よりも多いと、ブリー ドアウトが発生しやすくなる。前記 Bで表される化合物と前記 Cで表される化合物の比 率は、 5 : 95〜95 : 5好ましレヽ。より好ましくは、 70 : 30〜30 : 70カ 子ましレヽ。前記 Bで 表される化合物の比率が 95%を超えると、フィルムの着色が劣化し、前記 Cで表され
る化合物が 95%を超えると、得られたフィルムが脆くなりやすい。従来公知の可塑剤 を併用する場合は、前記 Bで表される化合物と前記 Cで表される化合物の合計量に 対して、 20%以下にすることが好ましぐさらに可塑剤添カ卩量の合計がセルロースェ ステルに対して、 1〜25質量部にすることが好ましい。
[0105] 〈酸化防止剤の説明〉
本発明のセルロースエステルフィルムは、酸化防止剤を含有することが好ましレ、。セ ルロースエステルフィルム中に酸化防止剤を配合することにより、透明性、耐熱性等 を低下させることなぐ成型時の熱や酸化劣化等による成形体の着色や強度低下を 防止できる。
[0106] また、本発明におレ、て、セルロースエステルの貧溶媒による懸濁洗浄時に酸化防 止剤存在下で洗浄することも好ましい。使用される酸化防止剤は、セルロースエステ ルに発生したラジカルを不活性化する、あるいはセルロースエステルに発生したラジ カルに酸素が付加したことが起因のセルロースエステルの劣化を抑制する化合物で あれば制限なく用いることができる。
[0107] セルロースエステルの懸濁洗浄に使用する酸化防止剤は、洗浄後セルロースエス テノレ中に残存してレヽてもよレヽ。残存量 ίま 0. 01〜2000ppm力 Sよく、より好ましく ίま 0· 05〜: !OOOppmである。さらに好ましくは 0. 1〜: !OOppmである。本発明において有 用な酸化防止剤としては、フィルム成形材料の劣化を抑制する化合物であれば制限 なく用いることができる力 中でも有用な酸化防止剤としては、フエノール系化合物、 ヒンダードアミン系化合物、リン系化合物、ィォゥ系化合物、耐熱加工安定剤、酸素 スカベンジャー等が挙げられ、これらの中でも、特にフエノール系化合物、ヒンダード アミン系化合物、リン系化合物が好ましい。
酸化防止剤としては、ヒンダードフエノール系酸化防止剤を少なくとも 1種とリン系酸 化防止剤を少なくとも 1種含有することが更に好ましぐヒンダードフエノール系酸化 防止剤とリン系酸化防止剤に加え、一般式 (2)で表される化合物を有することが特に 好ましい。
[0108] 本発明で好ましく用いられる酸化防止剤について以下に例示するが、これに限られ ず通常用いられる酸化防止剤を適宜用いることができる。
[0109] (ヒンダードフエノール系酸化防止剤)
本発明におけるヒンダードフエノール系酸化防止剤は、フヱノール化合物の水酸基 に対してオルト位置にかさ高い分岐アルキルを有する構造である。
[0110] ヒンダードフエノール系酸化防止剤は既知の化合物であり、例えば、米国特許第 4
, 839, 405号明糸田書の第 12〜: 14tf に記載されてレヽるものなどの、 2, 6—ジァノレキ ルフヱノール誘導体が好ましレ、。このような化合物には、以下の一般式 (A)のものが 含まれる。
[0111] [化 19]
[0112] 上式中、 Rl、 R2及び R3は、更に置換されている力 \または置換されていないアル キル置換基を表す。
[0113] ヒンダードフエノール化合物の具体例には、 n—ォクタデシル 3 _ (3, 5—ジ _t—ブ チル _4—ヒドロキシフエニル)一プロピオネート、 n—ォクタデシル 3_ (3, 5 _ジ一 t —ブチル _4—ヒドロキシフエニル)一アセテート、 n—ォクタデシル 3, 5_ジ一 t—ブ チル _4—ヒドロキシベンゾエート、 n—へキシル 3, 5—ジ _t_ブチル _4—ヒドロキ シフエニルベンゾエート、 n—ドデシル 3, 5 _ジ一 t—ブチノレ _4—ヒドロキシフヱニル ベンゾエート、ネオ—ドデシノレ 3 _ , 5_ジ— t—ブチノレ _4—ヒドロキシフエ二ノレ) プロピオネート、ドデシノレ /3 (3, 5—ジ _t_ブチル _4—ヒドロキシフエニル)プロピ ォネート、ェチノレひ一(4—ヒドロキシ一 3, 5—ジ _t—ブチノレフエ二ノレ)イソブチレー ト、ォクタデシル α—(4ーヒドロキシ 3, 5—ジー t ブチルフエニル)イソブチレート 、ォクタデシル α— (4—ヒドロキシ一 3, 5—ジ一 t ブチル 4—ヒドロキシフエニル) プロピオネート、 2—(n—ォクチルチオ)ェチル 3, 5 ジ tーブチルー 4ーヒドロキ シ一べンゾエート、 2—(n—ォクチルチオ)ェチル 3, 5 ジ tーブチルー 4ーヒドロ キシ一フエニルアセテート、 2—(n—ォクタデシルチオ)ェチル 3, 5 ジー t ブチル
_4—ヒドロキシフエニルアセテート、 2_ (n—ォクタデシルチオ)ェチル 3, 5_ジ一 t —ブチル _4—ヒドロキシ一ベンゾエート、 2- (2—ヒドロキシェチルチオ)ェチル 3, 5—ジ _t_ブチル _4—ヒドロキシベンゾエート、ジェチルダリコールビス _ (3, 5- ジ _t_ブチル _4—ヒドロキシ一フエニル)プロピオネート、 2- (n—ォクタデシルチ ォ)ェチル 3_(3, 5—ジ _t_ブチル _4—ヒドロキシフエニル)プロピオネート、ステ ァノレアミド N, N ビス一 [エチレン 3_(3, 5_ジ一 t—ブチノレ _4—ヒドロキシフエ二 ル)プロピオネート]、 n—ブチルイミノ N, N ビス一 [エチレン 3_(3, 5_ジ一 t—ブ チルー 4ーヒドロキシフエニル)プロピオネート]、 2—(2 ステアロイルォキシェチル チォ)ェチル 3, 5 ジ tーブチルー 4ーヒドロキシベンゾエート、 2—(2—ステアロイ ルォキシェチルチオ)ェチル 7—( 3—メチル 5— t ブチル 4ーヒドロキシフエ二 ル)ヘプタノエート、 1, 2 プロピレングリコールビス一 [3— (3, 5 ジ一 t ブチノレ一 4ーヒドロキシフエ二ノレ)プロピオネート]、エチレングリコールビス [3—(3, 5—ジー tーブチルー 4ーヒドロキシフエニル)プロピオネート]、ネオペンチルグリコールビス [3- (3, 5—ジ tーブチルー 4ーヒドロキシフエニル)プロピオネート]、エチレングリ コールビス一(3, 5—ジ一 t ブチル 4—ヒドロキシフエニルアセテート)、グリセリン —1—n—ォクタデカノエートー 2, 3 ビス一(3, 5 ジ一 t ブチル 4 ヒドロキシ フエニルアセテート)、ペンタエリトリトール—テトラキス— [3— (3' , 5' —ジ— t ブ チルー 一ヒドロキシフエニル)プロピオネート]、 1, 1, 1_トリメチロールエタン一ト リス _[3_(3, 5—ジ _t_ブチル _4—ヒドロキシフエニル)プロピオネート]、ソルビ トールへキサ一 [3— (3, 5—ジ _t_ブチル _4—ヒドロキシフエニル)プロピオネート ]、 2—ヒドロキシェチル 7_(3_メチル _5_t_ブチル _4—ヒドロキシフエニル)プ 口ピオネート、 2—ステアロイルォキシェチル 7 _ (3 メチノレ一 5_t_ブチル _4—ヒ ドロキシフエニル)ヘプタノエート、 1, 6_n—へキサンジオール一ビス [ (3' , 5' - ジ _t_ブチル _4—ヒドロキシフヱニル)プロピオネート]、ペンタエリトリトール一テト ラキス(3, 5—ジ _t_ブチル _4—ヒドロキシヒドロシンナメート)が含まれる。上記タ イブのヒンダードフエノール系酸化防止剤化合物は、例えば、 Ciba Specialty Ch emicalsから、 "Irganoxl076"及び" IrganoxlOlO"とレ、う商品名で市販されている
(ヒンダードアミン系化合物)
本発明においては、酸化防止剤の一つとして、下記一般式 (B)で表されるヒンダ一 ドアミン系化合物も用いる事ができる。
[0114] [化 20]
[0115] 一般式 (B)において、 R〜R は水素原子または置換基を表す。置換基としては
21 27
特に制限はないが、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子等)、アルキル基( 例えばメチル基、ェチル基、イソプロピル基、ヒドロキシェチル基、メトキシメチノレ基、ト リフルォロメチル基、 t ブチル基等)、シクロアルキル基(例えばシクロペンチル基、 シクロへキシル基等)、ァラルキル基(例えばべンジノレ基、 2—フエネチル基等)、ァリ ール基(例えばフエ二ル基、ナフチル基、 ρ トリル基、 p クロロフヱニル基等)、アル コキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等)、ァリール ォキシ基(例えばフエノキシ基等)、シァノ基、アシノレアミノ基(例えばァセチルァミノ基 、プロピオニルァミノ基等)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ基、ェチルチオ基、 ブチルチオ基等)、ァリールチオ基(例えばフエ二ルチオ基等)、スルホニルァミノ基( 例えばメタンスルホニルァミノ基、ベンゼンスルホニルァミノ基等)、ウレイド基(例えば 3—メチルウレイド基、 3, 3—ジメチルウレイド基、 1 , 3—ジメチルウレイド基等)、スル ファモイルァミノ基(ジメチルスルファモイルァミノ基等)、力ルバモイル基(例えばメチ ノレ力ルバモイル基、ェチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基等)、スルファモ ィル基(例えばェチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基等)、アルコキシ力 ルボニル基(例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)、ァリールォキシ カルボニル基(例えばフエノキシカルボニル基等)、スルホニル基(例えばメタンスル ホニノレ基、ブタンスルホニル基、フエニルスルホニル基等)、ァシル基(例えばァセチ ル基、プロパノィル基、プチロイル基等)、アミノ基 (メチルァミノ基、ェチルァミノ基、ジ
メチルァミノ基等)、シァノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、ニトロソ基、アミンォキシド基 (例 えばピリジン—ォキシド基)、イミド基 (例えばフタルイミド基等)、ジスルフイド基 (例え ばベンゼンジスルフイド基、ベンゾチアゾリノレ一 2 _ジスルフイド基等)、カルボキシル 基、スルホ基、ヘテロ環基(例えば、ピロール基、ピロリジノレ基、ピラゾリル基、イミダゾ リノレ基、ピリジル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基、ベンズォキサゾリノレ 基等)等が挙げらる。これらの置換基はさらに置換されてもよい。 R は水素原子、メチ ル基、 R は水素原子、 R 、R 、R 、R はメチル基が好ましい。
[0116] ヒンダードアミン系化合物の具体例としては、ビス(2, 2, 6, 6 テトラメチルー 4 ピペリジル)セバケート、ビス(2, 2, 6, 6 テトラメチルー 4ーピペリジル)スクシネート 、ビス(1 , 2, 2, 6, 6 ペンタメチル一 4 ピペリジル)セバケート、ビス(N—オタトキ シ一 2, 2, 6, 6 テトラメチル一 4—ピペリジル)セバケート、ビス(N ベンジルォキ シ一 2, 2, 6, 6 テトラメチル一 4—ピペリジル)セバケート、ビス(N シクロへキシル ォキシ 2, 2, 6, 6 テトラメチルー 4ーピペリジル)セバケート、ビス(1, 2, 2, 6, 6 —ペンタメチル一 4 ピペリジル) 2— (3, 5 ジ一 t ブチル 4 ヒドロキシベンジ ル)一 2 ブチルマロネート、ビス(1—ァクロィル一 2, 2, 6, 6 テトラメチル一 4 ピ ペリジル) 2, 2 ビス(3, 5 ジ tーブチルー 4ーヒドロキシベンジル)ー2 ブチル マロネート、ビス(1, 2, 2, 6, 6 ペンタメチルー 4ーピペリジル)デカンジォエート、 2 , 2, 6, 6—テトラメチル _4—ピペリジルメタタリレート、 4_ [3— (3, 5_ジ一 t—ブ チル _4—ヒドロキシフエニル)プロピオニルォキシ] _ 1 _ [2— (3- (3, 5—ジ _t_ ブチル _4—ヒドロキシフエニル)プロピオニルォキシ)ェチル ] _ 2, 2, 6, 6—テトラメ チルピペリジン、 2_メチル _ 2_ (2, 2, 6, 6—テトラメチル _4—ピペリジル)ァミノ -N- (2, 2, 6, 6—テトラメチル _4—ピペリジル)プロピオンアミド、テトラキス(2, 2 , 6, 6—テトラメチル _4—ピペリジル) 1, 2, 3, 4_ブタンテトラカルボキシレート、テ トラキス(1, 2, 2, 6, 6 _ペンタメチノレ _4—ピペリジノレ) 1, 2, 3, 4_ブタンテトラ力 ルポキシレート等が挙げられる。
[0117] また、高分子タイプの化合物でもよぐ具体例としては、 N, Nr , N/r , N/r ' —テ トラキス _ [4, 6 _ビス一〔ブチル一(N_メチル _ 2, 2, 6, 6—テトラメチルピペリジ ン— 4—ィル)ァミノ〕—トリァジン— 2—ィル]—4, 7—ジァザデカン— 1 , 10—ジアミ
ン、ジブチルァミンと 1, 3, 5_トリアジン一 N, N' —ビス(2, 2, 6, 6—テトラメチル 一 4ーピペリジノレ)一 1 , 6 _へキサメチレンジァミンと N— (2, 2, 6, 6—テトラメチル _4—ピペリジル)ブチルァミンとの重縮合物、ジブチルァミンと 1, 3, 5_トリアジンと N, Nr —ビス(2, 2, 6, 6—テトラメチル _4—ピペリジル)ブチルァミンとの重縮合 物、ポリ〔{ (1 , 1, 3, 3—テトラメチルブチル)ァミノ一 1 , 3, 5 _トリアジン一2, 4—ジ ィル } { (2, 2, 6, 6—テトラメチル _4—ピペリジル)イミノ}へキサメチレン { (2, 2, 6, 6—テトラメチル一 4—ピペリジル)ィミノ }〕、 1, 6—へキサンジァミン一N, N' —ビス (2, 2, 6, 6 テトラメチノレー 4ーピペリジノレ)とモノレフオリンー 2, 4, 6 トリクロロー 1 , 3, 5 トリァジンとの重縮合物、ポリ [ (6 モルフオリノー s—トリアジンー 2, 4 ジィ ル)〔(2, 2, 6, 6, —テトラメチルー 4ーピペリジル)ィミノ〕一へキサメチレン〔(2, 2, 6 , 6—テトラメチル一 4—ピペリジル)ィミノ〕]等の、ピぺリジン環がトリァジン骨格を介 して複数結合した高分子量 HALS ;コハク酸ジメチルと 4 ヒドロキシ一 2, 2, 6, 6— テトラメチルー 1ーピペリジンエタノールとの重合物、 1 , 2, 3, 4—ブタンテトラカルボ ン酸と 1, 2, 2, 6, 6 ペンタメチノレー 4ーピペリジノーノレと 3, 9 ビス(2 ヒドロキシ —1, 1ージメチルェチル) 2, 4, 8, 10—テトラオキサスピロ [5, 5]ゥンデカンとの 混合エステル化物等の、ピぺリジン環がエステル結合を介して結合した化合物等が 挙げられる力 これらに限定されるものではない。
[0118] これらの中でも、ジブチノレアミンと 1 , 3, 5—トリアジンと N, Nr —ビス(2, 2, 6, 6
—テトラメチル _4—ピペリジル)ブチルァミンとの重縮合物、ポリ〔{ (1 , 1 , 3, 3—テト ラメチルブチル)ァミノ一 1 , 3, 5 _トリアジン一2, 4_ジィル } { (2, 2, 6, 6—テトラメ チル _4—ピペリジル)イミノ}へキサメチレン { (2, 2, 6, 6—テトラメチル _4—ピペリ ジル)イミノ}〕、コハク酸ジメチルと 4—ヒドロキシ _ 2, 2, 6, 6—テトラメチル _ 1—ピ ペリジンエタノールとの重合物等で、数平均分子量(Mn)が 2, 000〜5, 000のもの が好ましい。
[0119] 上記タイプのヒンダードァミン化合物は、例えば、 Ciba Specialty Chemicalsか ら、 "Tinuvinl44"及び" Tinuvin770"、旭電化工業株式会社から" ADK STAB LA— 52"という商品名で市販されている。
[0120] (リン系酸化防止剤)
本発明で用レ、られるリン系酸化防止剤としては、下記一般式 (C_ l)、 (C_ 2)、 (C _ 3)、(C_4)、 (C_ 5)で表される部分構造を分子内に有する化合物が好ましい。
[化 21]
ΡΧΡΙΙ
~»式〖G— 1》
[0122] 式中、 Ph及び Pl^ は 2価の置換基を表し、好ましくはフエ二レン基を表し、該フエ
1 1
二レン基の水素原子はフヱニル基、炭素数 1〜8のアルキル基、炭素数 5〜8のシクロ アルキル基、炭素数 6〜 12のアルキルシクロアルキル基または炭素数 7〜 12のァラ ルキル基で置換されていてもよレ、。 Ph及び P は互いに同一でもよぐ異なっても
1 1
よい。 Xは単結合、硫黄原子または— CHR—基を表す。 Rは水素原子、炭素数 1
6 6 〜
8のアルキル基または炭素数 5〜8のシクロアルキル基を表す。また、これらは前記一 般式 (B)の R〜R で表される置換基と同義の置換基により置換されてもよい。
21 27
[0123] [化 22]
[0124] 式中、 Ph及び Pl^ は水素原子又は置換基を表す。置換基としては、ハロゲン原
2 2
子(例えばフッ素原子、塩素原子等)、アルキル基 (例えばメチル基、ェチル基、イソ プロピル基、ヒドロキシェチル基、メトキシメチノレ基、トリフルォロメチル基、 tーブチノレ 基等)、シクロアルキル基(例えばシクロペンチル基、シクロへキシノレ基等)、ァラルキ ル基(例えばべンジル基、 2—フエネチル基等)、ァリール基(例えばフエニル基、ナ フチル基、 p—トリル基、 p—クロ口フエニル基等)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、 エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等)、ァリー/レオキシ基(例えばフエノキシ基 等)、シァノ基、アシノレアミノ基(例えばァセチルァミノ基、プロピオニルァミノ基等)、
アルキルチオ基(例えばメチルチオ基、ェチルチオ基、ブチルチオ基等)、ァリール チォ基(例えばフエ二ルチオ基等) スルホニルァミノ基(例えばメタンスルホニルアミ ノ基、ベンゼンスルホニルァミノ基等)、ウレイド基(例えば 3 _メチルウレイド基、 3 3 —ジメチルウレイド基、 1 3—ジメチルウレイド基等)、スルファモイルァミノ基(ジメチ ルスルファモイルァミノ基等)、力ルバモイル基(例えばメチルカルバモイル基、ェチ ノレ力ルバモイル基、ジメチルカルバモイル基等)、スルファモイル基(例えばェチルス ルファモイル基、ジメチルスルファモイル基等)、アルコキシカルボニル基(例えばメト キシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)、ァリールォキシカルボニル基(例えば フエノキシカルボニル基等)、スルホニル基(例えばメタンスルホニル基、ブタンスルホ ニル基、フエニルスルホニル基等)、ァシル基(例えばァセチル基、プロパノィル基、 プチロイル基等)、アミノ基 (メチルァミノ基、ェチルァミノ基、ジメチルァミノ基等)、シ ァノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、ニトロソ基、アミンォキシド基(例えばピリジン ォキシ ド基)、イミド基(例えばフタルイミド基等)、ジスルフイド基(例えばベンゼンジスルフィ ド基、ベンゾチアゾリルー 2—ジスルフイド基等)、カルボキシル基、スルホ基、ヘテロ 環基(例えば、ピロール基、ピロリジノレ基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ピリジノレ基、 ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基、ベンズォキサゾリル基等)等が挙げらる。 これらの置換基は更に置換されてもよレ、。より好ましくは、 Ph及び Ph^ はフエニル
2 2 基またはビフヱ二ル基を表し、該フヱニル基またはビフヱニル基の水素原子は炭素数 :! 8のアルキル基、炭素数 5 8のシクロアルキル基、炭素数 6 12のアルキルシク 口アルキル基または炭素数 7〜: 12のァラルキル基で置換されていてもよレ、。 Ph及び
2
P は互いに同一でもよぐ異なってもよレ、。また、これらは前記 Ph及び P で
2 2 2 表される置換基と同義の置換基により置換されてもよい。
[0125] [化 23]
[0126] 式中、 Phは水素原子または置換基を表す。置換基としては前記 Ph及び Pl^ で
表される置換基と同義である。より好ましくは、 Phはフエニル基またはビフヱ二ル基を 表し、該フヱニル基またはビフヱニル基の水素原子は炭素数 1〜8のアルキル基、炭 素数 5〜8のシクロアルキル基、炭素数 6〜 12のアルキルシクロアルキル基または炭 素数 7〜: 12のァラルキル基で置換されていてもよレ、。また、これらは前記 Ph及び Ph
' で表される置換基と同義の置換基により置換されてもよい。
[0127] [化 24]
[0128] 式中、 Phは水素原子または置換基を表す。置換基としては前記 Ph及び Pl^ で 表される置換基と同義である。より好ましくは、 Phは炭素数 1〜20のアルキル基また はフエ二ル基を表し、該アルキル基またはフエ二ル基は前記 Ph及び P で表され る置換基と同義の置換基により置換されてもょレ、。
[0129] [化 25]
[0130] 式中、 Ph P 及び Ph〃 は水素原子または置換基を表す。置換基としては前 記 Ph及び P で表される置換基と同義である。より好ましくは、 Ph、 Ph' 及び P " は炭素数 1〜 20のアルキル基またはフエ二ル基を表し、該アルキル基またはフ ェニル基は前記 Ph及び P で表される置換基と同義の置換基により置換されても よい。
[0131] リン系化合物の具体例としては、トリフエニルホスファイト、ジフエニルイソデシルホス ファイト、フエニルジイソデシルホスフアイト、トリス(ノニルフエニル)ホスファイト、トリス( ジノエルフエ二ノレ)ホスファイト、トリス(2, 4—ジ一 t—ブチルフエニル)ホスファイト、 1
0— (3, 5—ジ一 t—ブチル一4—ヒドロキシベンジル)一9, 10—ジヒドロ一 9—ォキ サ一10—ホスファフェナントレン一 10—オキサイド、 6 _ [3 _ (3 _t—ブチノレ _4—ヒ ドロキシ一 5 _メチルフエニル)プロポキシ ] _ 2, 4, 8, 10—テトラ _t—ブチルジベン ズ [d, f] [ l . 3. 2]ジォキサホスフヱピン、トリデシルホスファイト等のモノホスファイト 系化合物; 4, 4' —ブチリデン—ビス(3—メチル _ 6 _t_ブチルフエニル—ジ—トリ デシルホスフアイト)、 4, 一イソプロピリデン一ビス(フエ二ノレ一ジ一アルキノレ(C1 2〜C15)ホスファイト)等のジホスファイト系化合物;トリフエニルホスホナイト、テトラキ ス(2, 4—ジ一 tert ブチルフエニル) [1 , 1—ビフエ二ル]— 4, ' —ジィルビスホ スホナイト、テトラキス(2, 4—ジー tert ブチルー 5—メチルフエニル) [ 1 , 1ービフエ 二ノレ] 4, 4' —ジィルビスホスホナイト等のホスホナイト系化合物;トリフエニルホス フィナイト、 2, 6 ジメチルフエニルジフエニルホスフイナイト等のホスフィナイト系化 合物;トリフエニルホスフィン、トリス(2, 6 ジメトキシフエ二ノレ)ホスフィン等のホスフィ ン系化合物;等が挙げられる。
[0132] 上記タイプのリン系化合物は、例えば、住友化学工業株式会社から、 "Sumilizer GP"、旭電化工業株式会社から ADK STAB PEP— 24G"、 "ADK STAB PE P— 36"及び" ADK STAB 3010"、チノく'スペシャルティー'ケミカルズ株式会社 力ら" IRGAFOS P— EPQ"、エーピーアイコーポレーション株式会社から" GSY— P101"という商品名で市販されている。
[0133] (ィォゥ系化合物)
本発明においては、酸化防止剤の一つとして、下記一般式 (D)で表されるィォゥ系 化合物も用いる事ができる。
[0134] [化 26]
[0135] 一般式 (D)において、 R 及び R は水素原子または置換基を表す。置換基として
31 32
は置換基としては前記 Ph及び P で表される置換基と同義である。これらの置換
2 2
基は同様の置換基によってさらに置換されていてもよい。
[0136] ィォゥ系化合物の具体例としては、ジラウリル 3, 3 _チォジプロピオネート、ジミリス チノレ 3, 3; —チォジプロピピオネート、ジステアリル 3, 3 _チォジプロピオネート、ラ ゥリルステアリル 3, 3_チォジプロピオネート、ペンタエリスリトール一テトラキス(/3 _ ラウリル—チォ—プロピオネート)、 3, 9 _ビス(2—ドデシルチオェチル)_ 2, 4, 8, 10—テトラオキサスピロ [5, 5]ゥンデカン等が挙げられる。
[0137] 上記タイプのィォゥ系化合物は、例えば、住友化学工業株式会社から、 "Sumilize r TPL—R"及び" Sumilizer TP— D"とレ、う商品名で市販されている。
[0138] 耐熱加工安定剤としては、例えば、 2—t ブチノレー 6—(3— t ブチルー 2 ヒド 口キシ一 5—メチルベンジル) 4—メチルフエニルアタリレート、 2— [1— (2—ヒドロ キシ—3, 5—ジ—t—ペンチルフエニル)ェチル ]—4, 6—ジ—t—ペンチルフエニル アタリレート等が挙げられる。上記タイプの耐熱加工安定剤は、住友化学工業株式会 社から、" Sumilizer GM"及び" Sumilizer GS"という商品名で市販されている。
[0139] 一般式 (A)、(B)、 (C—:!)〜(C— 5)、(D)で表される化合物、および耐熱加工安 定剤は、セルロースエステルに対して、 0· 1〜: 10質量0 /0添加することが好ましぐ更 に 0. 2〜5質量%添加することが好ましぐさらに 0. 2〜2質量%添加することが好ま しい。これらは、 2種類以上を併用しても良い。
[0140] さらに、下記一般式(2)で表される化合物を添加することが好ましい。
[0141] [化 27] 般式 (2)
[0142] 前記一般式(2)において、 Rは置換基を表す。 Rで表される置換基は、特に制限は ないが前記 Ph及び で表される置換基と同義である。これらの置換基は同様の 置換基によってさらに置換されてレ、てもよレ、。
[0143] 前記一般式(2)において、 Rで表される置換基としては、アルキル基、ァリール基
が好ましい。アルキル基がより好ましぐ t_ブチル基、 t—アミル基、 1, 1 , 3, 3—テトラ メチルブチル基、タミル基などの 3級アルキル基が特に好ましい。
[0144] 一般式(2)において、 mは 0〜4の整数を表し、 mが 2以上のとき、複数の Rは同じ
1 であっても異なっていてもよレ、。 mは 1または 2が好ましい。
[0145] —般式(2)において、 R及び Rは水素原子または置換基を表す。 R及び Rで表さ
2 3 2 3 れる置換基としては特に制限はないが、例えば、前記 Ph及び P で表される置換
2 2
基と同義である。これらの置換基は同様の置換基によってさらに置換されてレ、てもよ レ、。 R及び Rが表す置換基としては、アルキル基、ァリール基が好ましぐァリール基
2 3
力 り好ましレ、。さらに、アルキル、ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシル基が置 換したァリール基が好ましい。
[0146] 一般式(2)において、 Rと Rの一方が水素原子、他方が置換基を表すことが好まし
2 3
ぐ一方が水素原子、他方がアルキル基またはァリール基を表すことがより好ましぐ 一方が水素原子、他方がァリール基を表すことが特に好ましい。 Rと R表は一緒に
2 3
なって二重結合によって結合される置換基を表してもよい。
一般式(2)において、 X及び Yは N— R (Rは水素原子または置換基を表す)、酸素 原子または硫黄原子を表し、 Xと Yは同じであっても異なっていてもよい。 Xおよび Y は、酸素原子が好ましぐ Xと Yが同時に酸素原子になることが更に好ましい。 Rで表 される置換基としては、上記前記 Ph及び で表される置換基と同義である。これ
2 2
らの置換基は同様の置換基によってさらに置換されていてもよい。
[0147] 一般式(2)において、 R〜Rの少なくとも 1つは、重合性基を部分構造として有す
1 3
る基であ レ、。
[0148] 本発明でいう重合性基とは、不飽和エチレン系重合性基、二官能系重縮合性基又 は二官能系重付加性基を意味するが、好ましくは不飽和エチレン系重合性基である 。不飽和エチレン系重合性基の具体例としては、ビュル基、ァリル基、アタリロイル基 、メタクリロイル基、スチリル基、アクリルアミド基、メタクリノレアミド基、シアン化ビュル基 、 2—シァノアクリルォキシ基、 1 , 2 _エポキシ基、ビュルべンジル基、ビュルエーテ ル基などが挙げられる。また、重合性基を部分構造として有するとは、上記重合性基 が直接、もしくは 2価以上の連結基によって結合していることを意味し、 2価以上の連
結基とは、例えば、アルキレン基(例えば、メチレン、 1 , 2 _エチレン、 1, 3 _プロピレ ン、 1 , 4—ブチレン、シクロへキサン一 1 , 4 _ジィルなど)、アルケニレン基(例えば、 ェテン一 1, 2 _ジィノレ、ブタジエン一 1 , 4_ジィルなど)、アルキニレン基(例えば、 ェチン一 1 , 2—ジィノレ、ブタン一 1 , 3—ジイン _ 1, 4 _ジィルなど)、少なくとも一つ の芳香族基を含む化合物から誘導される連結基 (例えば、置換もしくは無置換のベ ンゼン、縮合多環炭化水素、芳香族複素環、芳香族炭化水素環集合、芳香族複素 環集合など)、ヘテロ原子連結基 (酸素、硫黄、窒素、ケィ素、リン原子など)が挙げら れるカ S、好ましくは、アルキレン基、及び/または、ヘテロ原子で連結する基である。 これらの連結基は更に組み合わせて複合基を形成してもよレ、。
[0149] 重合性基としては、不飽和エチレン系重合性基が好ましぐその中でも、例えば、ァ クリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基がより好ましぐアタリロイル基、メタタリロイ ル基が特に好ましい。さらに、 R〜Rの少なくとも 1つが、重合性基を部分構造として
1 3
有する基を有する化合物力 誘導される高分子化合物であることが好ましい。本発明 の一般式(2)で表される化合物力 誘導される高分子化合物 (ポリマーとも称する)に ついて説明する。
[0150] 本発明に係る高分子化合物を、それが本発明の一般式 (2)で表される化合物から 誘導される反応によって分類した場合、付加重合体、開環重合体、重付加体、重縮 合体、付加縮合体等を挙げることができるが、本発明においては、付加重合体、開環 重合体が好ましぐ付加重合体がより好ましい。本発明においては、付加重合体は、 ビニル重合体、ジェン重合体が挙げられる力 この中でビニル重合体が好ましい。
[0151] 本発明に係る高分子化合物をその形状によって分類した場合、一次元高分子、二 次元高分子、三次元高分子と分類できるが、本発明においては、一次元高分子、二 次元高分子が好ましぐ一次元高分子がより好ましい。
[0152] 本発明に係る前記一般式(2)で表される化合物から誘導される高分子化合物が重 合体を表すとき、前記一般式(2)で表される化合物のみの単重合体であっても、他の 重合性化合物との共重合体であってもよい。また、本発明に係る高分子化合物は、 単重合体、共重合体のレ、ずれの場合も該重合体中に少なくとも 2個の前記一般式 (2 )で表される化合物単位を有する化合物である。本発明においては共重合体が好ま
しい。
[0153] 共重合可能な他の重合性化合物としては、例えば、スチレン誘導体 (例えば、スチ レン、 ひ一メチルスチレン、 o—メチルスチレン、 m—メチルスチレン、 p—メチルスチレ ン、ビュルナフタレンなど)、アクリル酸エステル誘導体(例えば、アクリル酸メチル、ァ クリル酸ェチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸 i—ブチル、アタリ ル酸 t—ブチル、アクリル酸ォクチル、アクリル酸シクロへキシル、アクリル酸ベンジノレ など)、メタクリル酸エステル誘導体(例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ェチル、 メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸 iーブチル、メタクリル酸 tーブ チル、メタクリル酸ォクチル、メタクリル酸シクロへキシル、メタクリル酸べンジル等)、ァ ルキルビニルエーテル(例えば、メチルビニルエーテル、ェチルビニルエーテル、ブ チルビニルエーテルなど)、アルキルビュルエステル(例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニ ル、酪酸ビニル、力プロン酸ビニル、ステアリン酸ビエルなど)、クロトン酸、マレイン酸 、フマル酸、ィタコン酸、アクリロニトリル、メタタリロニトリル、塩化ビュル、塩化ビニリデ ン、アクリルアミド、メタクリルアミドなどの不飽和化合物が挙げられる。好ましくは、ァ クリル酸メチル、メタクリル酸メチル、酢酸ビュルである。
[0154] 共重合可能な更に他の重合性化合物として、親水性のエチレン性不飽和化合物 が挙げられる。親水性のエチレン性不飽和化合物としては、親水性で分子中に重合 可能な不飽和二重結合を有するもので有れば特に制限されず、例えば、アクリル酸 或いはメタクリル酸等の不飽和カルボン酸、若しくはヒドロキシノレ基又はエーテル結 合を有する、アクリル酸若しくはメタクリル酸エステル (例えば、メタクリノレ酸 2—ヒドロキ シェチル、メタクリル酸 2—ヒドロキシプロピル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、ァク リル酸 2—ヒドロキシェチル、アクリル酸 2—ヒドロキシプロピル、 2, 3—ジヒドロキシ一 2_メチルプロピルメタタリレート、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸 2_エト キシェチル、アクリル酸ジエチレングリコールエトキシレート、アクリル酸 3—メトキシブ チノレなど)、アタリノレアミド、 N, N—ジメチル (メタ)アクリルアミド等の(N—置換)(メタ) アタリノレアミド、 N—ビュルピロリドン、 N—ビュルォキサゾリドン等が挙げられる。
[0155] 親水性のエチレン性不飽和化合物としては、水酸基若しくはカルボキシル基を分 子内に有する(メタ)アタリレートが好ましぐメタクリル酸 2—ヒドロキシェチル、メタタリ
ル酸 2—ヒドロキシプロピル、アクリル酸 2—ヒドロキシェチル、アクリル酸 2—ヒドロキシ プロピルが特に好ましい。
[0156] 更に、前記一般式 (2)で表される化合物は、重合性基を有する種々の機能性化合 物と共重合させてもよぐ例えば、特開 2003— 113317号公報等に記載の重合性基 を有する紫外線吸収能を有する化合物と共重合させても良い。
[0157] これらの重合性化合物は、 1種、または 2種以上併用して前記一般式(2)で表され る化合物と共重合させることができる。
[0158] 本発明において、前記一般式(2)で表される化合物から誘導される高分子化合物 が共重合体を表すとき、 3成分からなる共重合体が好ましぐ該共重合体中には前記 一般式 (2)で表される化合物以外の共重合成分として、親水性のエチレン性不飽和 化合物を少なくとも 1種含有することが好ましい。共重合体中の親水性のエチレン性 不飽和化合物の含有量は、 5〜30質量%であることが好ましぐ 10〜20質量%ある ことがより好ましい。
[0159] 前記一般式(2)で表される化合物から誘導される高分子化合物を得るための重合 方法は、特に問わないが、従来公知の方法を広く採用することができ、例えば、ラジ カル重合、ァニオン重合、カチオン重合などが挙げられる。ラジカル重合法の開始剤 としては、例えば、ァゾ化合物、過酸化物等が挙げられ、ァゾビスイソプチロニトリル( AIBN)、ァゾビスイソブチル酸ジエステル誘導体、過酸化べンゾィル、過酸化水素 などが挙げられる。重合溶媒は特に問わないが、例えば、トルエン、クロ口ベンゼン等 の芳香族炭化水素系溶媒、ジクロロェタン、クロ口ホルムなどのハロゲン化炭化水素 系溶媒、テトラヒドロフラン、ジォキサン等のエーテル系溶媒、ジメチノレホノレムアミド等 のアミド系溶媒、メタノール等のアルコール系溶媒、酢酸メチル、酢酸ェチル等のェ ステル系溶媒、アセトン、シクロへキサノン、メチルェチルケトンなどのケトン系溶媒、 水溶媒等が挙げられる。溶媒の選択により、均一系で重合する溶液重合、生成した ポリマーが沈澱する沈澱重合、ミセル状態で重合する乳化重合、懸濁状態で重合す る懸濁重合、或いは場合によっては塊状重合を行うこともできる。
[0160] 前記一般式 (2)で表される化合物、これと共重合可能な重合性化合物の使用割合 は、得られる高分子化合物と他の樹脂との相溶性、光学フィルムの透明性や機械的
強度に対する影響を考慮して適宜選択される。
[0161] 本発明においては、前記一般式(2)で表される化合物から誘導される高分子化合 物中の前記一般式(2)で表される化合物の含有量が 1〜70質量%であることが好ま しぐより好ましくは、 5〜60質量%である。本発明の高分子化合物における前記一 般式 (2)で表される化合物の含有量が 1質量%未満の場合、所望の性能を満たそう とした場合に多量の本発明の高分子化合物を使用しなければならず、ヘイズの上昇 或いは析出などにより透明性が低下し、フィルム強度を低下させる要因となる。一方、 本発明の高分子化合物における前記一般式 (2)で表される化合物の含有量が 70質 量%を超えた場合、他の高分子化合物との相溶性が低下するため、透明な光学フィ ルムを得ることができない。また、溶媒に対する溶解度が低くなり、フィルム作製の際 の作業性、生産性が劣る。
[0162] 本発明においては、前記一般式(2)で表される化合物から誘導される高分子化合 物の重量平均分子量は、通常 500以上 100000以下である力 1000以上 50000 以下であることが好ましぐ 3000以上 30000以下であること力 Sより好ましく、 5000以 上 15000以下であることが特に好ましい。
[0163] 高分子化合物の重量平均分子量は、ゲルパーミエーシヨンクロマトグラフィーを用 いて、以下の測定条件で行う。
[0164] 溶媒 :テトヒドロフラン
装置 : HLC_ 8220 (東ソー (株)製)
カラム : TSKgel SuperHM_M (東ソ一(株)製)
カラム温度: 40°C
試料温度 :0. 1質量%
注入量 :10 μ 1
流量 : 0. 6ml/min
校正曲線 :標準ポリスチレン: PS _ 1 (Polymer Laboratories社製) Mw= 2, 5 60, 000〜580迄の 9サンプルによる校正曲線を使用した。
[0165] 前記一般式(2)で表される化合物の添加量は、セルロースエステルに対して 0. 01 〜: 10質量%添加することが好ましぐ更に 0·:!〜 5質量%添加することが好ましぐ更
に 0. 2〜2質量%添加することが好ましい。本発明に係る高分子化合物の添加量は 、該高分子化合物中における前記一般式 (2)で表される化合物の質量に換算して、 セルロースエステルに対して 0. 01〜: 10質量%添加することが好ましぐ更に 0.:!〜 5質量%添カ卩することが好ましぐ更に 0. 2〜2質量%添カ卩することが好ましい。これ らは 2種以上を併用してもよい。
[0166] 次に、本発明における前記一般式(2)で表される化合物、一般式(2)で表される化 合物から誘導される高分子化合物の具体例を示すが、本発明は以下の具体例によ つて限定されるものではない。
[0167] [化 28]
SM76TC/900Zdf/X3d 8δεε滅 οοζ OA
[0171] [化 32]
99
^tt6U/900Zdr/lDd 8S££滅 00Z OAV
[0174] [化 35]
[0175] [化 36]
[0176] [化 37]
19
SM76TC/900Zdf/X3d 8δεε滅 οοζ OA
富〕〔〕
[0180] [化 41]
[0181] [化 42]
[0182] 以下に、一般式(2)で表される化合物から誘導される高分子化合物の具体例を示 す。
[0183] [表 1]
(酸掃去剤)
酸掃去剤とは製造時から持ち込まれるセルロースエステル中に残留する酸(プロト ン酸)をトラップする役割を担う剤である。また、セルロースエステルを溶融するとポリ
マー中の水分と熱により側鎖の加水分解が促進し、 CAPならば酢酸やプロピオン酸 が生成する。酸と化学的に結合できればよぐエポキシ、 3級ァミン、エーテル構造等 を有する化合物が挙げられるが、これに限定されるものでない。
[0185] 具体的には、米国特許第 4, 137, 201号明細書に記載されている酸掃去剤として のエポキシ化合物を含んでなるのが好ましレ、。このような酸掃去剤としてのエポキシ 化合物は当該技術分野において既知であり、種々のポリグリコールのジグリシジルェ 一テル、特にポリグリコール 1モル当たりに約 8〜40モルのエチレンォキシドなどの縮 合によって誘導されるポリグリコール、グリセロールのジグリシジルエーテルなど、金 属エポキシ化合物(例えば、塩化ビュルポリマー組成物において、及び塩化ビニル ポリマー組成物と共に、従来から利用されているもの)、エポキシ化エーテル縮合生 成物、ビスフエノール Aのジグリシジルエーテル(即ち、 4, Α' ージヒドロキシジフエ二 ルジメチルメタン)、エポキシ化不飽和脂肪酸エステル(特に、 2〜22この炭素原子の 脂肪酸の 4〜2個程度の炭素原子のアルキルのエステル(例えば、ブチルエポキシス テアレート)など)、及び種々のエポキシィ匕長鎖脂肪酸トリグリセリドなど(例えば、ェポ キシ化大豆油などの組成物によって代表され、例示され得る、エポキシ化植物油及 び他の不飽和天然油(これらは時としてエポキシ化天然グリセリドまたは不飽和脂肪 酸と称され、これらの脂肪酸は一般に 12〜22個の炭素原子を含有している))が含ま れる。特に好ましいのは、市販のエポキシ基含有エポキシド樹脂化合物 ΕΡΟΝ 8 15c,及び一般式(7)の他のエポキシ化エーテルオリゴマー縮合生成物である。
[0186] [化 43] 一般式 (7)
[0187] 上式中、 nは 0〜: 12である。用いることができる更に可能な酸掃去剤としては、特開
平 5— 194788号公報の段落番号 87〜: 105に記載されているものが含まれる。
[0188] 〈紫外線吸収剤〉
本発明のセルロースエステルには、屋外で使用する際に液晶や偏光板の劣化防 止をするために、紫外線吸収剤を添加することができる。
[0189] 紫外線吸収剤は、波長 370nm以下の紫外線を吸収する性能に優れ、かつ波長 4 OOnm以上の可視光の吸収が可及的に少ないものが好ましく用いられる。特に波長 370nmでの透過率が 10%以下である必要があり、好ましくは 5%以下、より好ましく は 2%以下である。本発明において使用しえる紫外線吸収剤としては、例えば、ォキ シベンゾフヱノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合 物、ベンゾフエノン系化合物、シァノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物な どをあげることができる力 着色の少ないベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。
[0190] 本発明においては、揮発性の低い紫外線吸収剤が好ましい。
[0191] ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例として、 2—(2' —ヒドロキシ 5' — メチルフエニル)ベンゾトリアゾール、 2— (2' —ヒドロキシ一 3 , 5 —ジ一 tert— ブチルフエニル)ベンゾトリアゾール、 2—(2' —ヒドロキシ 3' —tert ブチルー 5 ' —メチルフエニル)ベンゾトリアゾール、 2— (2' —ヒドロキシ一 3 , 5' —ジ一 ter t ブチルフエ二ル)一 5 クロ口べンゾトリアゾール、 2— (2' —ヒドロキシ一 3' — ( 3" , A" , 5 , ら" —テトラヒドロフタノレイミドメチノレ)_ 5' —メチノレフエ二ノレ)ベンゾ トリァゾール、 2, 2—メチレンビス(4— (1, 1, 3, 3—テトラメチルブチル)_6_(2H —ベンゾトリアゾール一2—ィル)フエノール)、 2— (2' —ヒドロキシ一 3' —tert— ブチル一5' —メチルフヱニル) _5_クロ口べンゾトリアゾール、 2_ (2' —ヒドロキ シ— 3^ —tert—ブチル _ (2—ォクチルォキシカルボニルェチル)—フエニル )—5—クロ口べンゾトリアゾール、 2— (2' —ヒドロキシ一 3' — (1—メチル一 1—フ ヱ二ルェチル)— 5' _(1, 1, 3, 3, —テトラメチルブチル)—フエニル)ベンゾトリア ゾール、 2_ (2H—ベンゾトリアゾール _2_ィル) -6- (直鎖及び側鎖ドデシル) - 4_メチルフエノール、ォクチル _3_〔3_tert_ブチル _4—ヒドロキシ一 5_ (クロ 口一2H—ベンゾトリアゾール _2—ィノレ)フエ二ノレ〕プロピオネートと 2_ェチルへキシ ル一 3—〔3— tert ブチル 4 ヒドロキシ一 5— (5 クロ口一 2H ベンゾトリァゾ
ール _ 2 _ィル)フエニル〕プロピオネートの混合物等を挙げることができる力 これら に限定されない。
[0192] また、市販品として、チヌビン (TINUVIN) 109、チヌビン (TINUVIN) 171、チヌ ビン(TINUVIN) 900、チヌビン(TINUVIN) 928、チヌビン(TINUVIN) 360 (レヽ ずれもチバティーケミカルズ社製)、 LA31 (旭電化社製)、 RUVA- 100 (大塚化学 製)が挙げられる。
[0193] ベンゾフエノン系化合物の具体例として、 2, 4—ジヒドロキシベンゾフエノン、 2, 2'
ージヒドロキシー4ーメトキシベンゾフエノン、 2 ヒドロキシー4ーメトキシ 5 スノレホ ベンゾフエノン、ビス(2—メトキシ一 4—ヒドロキシ一 5—ベンゾィルフエニルメタン)等 を挙げることができる力 S、これらに限定されるものではない。
[0194] 本発明においては、上記モノマーの紫外線吸収剤より析出などが起こりにくい高分 子紫外線吸収剤を含有させることがこのましい。本発明に有用な高分子紫外線吸収 剤としては、特開平 6— 148430号公報に記載されている高分子紫外線吸収剤や、 特開 2003— 113317号号公報に記載されている紫外線吸収性モノマーから合成さ れる紫外線吸収性共重合体ポリマーを含有していることが好ましい。
[0195] 本発明に用いることができる市販品としての紫外線吸収剤モノマーとして、 1一(2
—ベンゾトリァゾール) 2 ヒドロキシ一 5— (2 ビニルォキシカルボニルェチル) ベンゼン、大塚化学社製の反応型紫外線吸収剤 RUVA—93の 1 _ (2—ベンゾトリ ァゾール) _ 2—ヒドロキシ一 5 _ (2 メタクリロイルォキシェチル)ベンゼンまたはこ の類似品がある。これらを単独または共重合したポリマーまたはコポリマーも好ましく 用いられる力 これらに限定されない。
[0196] セルロースフィルムへの本発明に用いられる紫外線吸収剤及び紫外線吸収性ポリ マーの添加方法は、フィルム中に含有させてもよいし、フィルム上に塗布しても良レ、。 本発明に用いられる紫外線吸収剤及び紫外線吸収性ポリマーの添加量は、化合物 の種類、使用条件により一様ではないが、紫外線吸収剤の場合、フィルム lm2当たり 0. 2〜3. 0g力好ましく、 0. 4〜2. 0gカ更に好ましく、 0. 5〜: 1. 5gカ特に好ましレヽ。 紫外線吸収性ポリマーの場合には、フィルム lm2当たり 0. 6〜9. 0gが好ましぐ 1. 2 〜6. 0g力 S更に好ましく、 1. 5〜3. 0g力 S特に好ましレ、0
[0197] 〈青色染料の説明〉
青色染料は、具体的な波長としては、 450〜700nmに吸収を持つ物が好ましぐ 5 50〜700nm力さらに好ましレ、。この波長範囲が黄色味を低減させ、かつ高い透明 性を維持できる。青色染料として、アントラキノン系染料、アントラセン系染料、ァゾ染 料、トリフエニルメタン染料、キノンィミン染料などの青色染料を使用することができる
[0198] 特に好ましいのは、アントラキノン系染料、アントラセン系染料である。
[0199] 特開 2004— 347679号に記載の染料が好ましく用いられる。
[0200] 特に好ましい具体的な化合物は、(S— 15) 1 メチルアミノー 4 パラートリルァミノ アントラキノン、 (S— 16) N, N' ビス一(2, 6 ジェチルー 4ーメチルーフエ二 ノレ) 9, 10—ジヒドローアントラセン 1 , 4ジァミンである。
[0201] 〈セルロースエステル樹脂(以下、単にセルロース樹脂ともいう)〉
本発明に係るセルロースエステル樹脂は、脂肪酸ァシル基、置換もしくは無置換の 芳香族アシノレ基の中から少なくともいずれかの構造を含む、セルロースの前記単独 または混合酸エステルである。
[0202] 本発明のセルロース樹脂は、セルロースの 2位、 3位、 6位の水酸基と脂肪族カルボ ン酸もしくは芳香族カルボン酸がエステル結合したセルロースエステルであることが 好ましい。
[0203] セルロースの水酸基部分の水素原子が脂肪族アシノレ基との脂肪酸エステルである とき、脂肪族アシノレ基は炭素原子数が 2〜20で具体的にはァセチル、プロピオニル 、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ビバロイル、へキサノィル、オタタノィル、ラウロイ ノレ、ステアロイル等が挙げられる。
[0204] 本発明において前記脂肪族ァシル基とはさらに置換基を有するものも包含する意 味であり、置換基としては上述の芳香族ァシル基において、芳香族環がベンゼン環 であるとき、ベンゼン環の置換基として例示したものが挙げられる。
[0205] また、上記セルロース樹脂のエステルイ匕された置換基が芳香環であるとき、芳香族 環に置換する置換基の数は 0または 1〜5個であり、好ましくは:!〜 3個で、特に好まし いのは 1または 2個である。さらに、芳香族環に置換する置換基の数が 2個以上の時
、互いに同じでも異なっていてもよいが、また、互いに連結して縮合多環化合物(例 えばナフタレン、インデン、インダン、フエナントレン、キノリン、イソキノリン、クロメン、 クロマン、フタラジン、アタリジン、インドール、インドリン等)を形成してもよい。
[0206] 芳香族アシノレ基にぉレ、て、芳香族環がベンゼン環であるとき、ベンゼン環の置換基 の例としてハロゲン原子、シァノ、アルキル基、アルコキシ基、ァリール基、ァリールォ キシ基、ァシル基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、ウレイド基、ァラルキル基、二 トロ、アルコキシカルボニル基、ァリールォキシカルボニル基、ァラルキルォキシカル ボニル基、力ルバモイル基、スルファモイル基、ァシルォキシ基、アルケニル基、アル キニル基、アルキルスルホニル基、ァリールスルホニル基、アルキルォキシスルホニ ル基、ァリールォキシスルホニル基、アルキルスルホニルォキシ基及びァリールォキ シスルホニル基、 S— R — NH— CO—〇R — PH— R — P (— R) — PH— O R -P (-R) (一 O— R)、 -P (-O-R) -PH ( = 0) R— P ( =〇)(一 R) 一 PH ( =〇)一 O— R、一 P ( = 0) (-R) (一 O— R)、一 P ( = 0) (—〇一 R) 、一 O—
PH ( =〇)一 R、一〇一 P ( = 0) (-R) 一〇一 PH ( = 0)—〇一 R、一〇一 P ( = 0) (
-R) (一〇 R)、 -0-P ( = 0) (-O-R) NH— PH ( = 0)— R NH— P (
=〇) (-R) (一〇一R)、 -NH-P ( = 0) (-O-R) -SiH R SiH (—R)
2 2 2 -Si (-R) -O- SiH— R O— SiH (— R)及び 〇一 Si (— R) が含まれる
。上記 Rは脂肪族基、芳香族基またはへテロ環基である。置換基の数は、:!〜 5個で あることが好ましぐ:!〜 4個であることがより好ましぐ:!〜 3個であることがさらに好まし く、 1個または 2個であることが最も好ましい。置換基としては、ハロゲン原子、シァ入 アルキル基、アルコキシ基、ァリーノレ基、ァリールォキシ基、ァシル基、カルボンアミド 基、スルホンアミド基及びウレイド基が好ましぐハロゲン原子、シァノ、アルキル基、 アルコキシ基、ァリールォキシ基、ァシル基及びカルボンアミド基がより好ましぐハロ ゲン原子、シァ入アルキル基、アルコキシ基及びァリールォキシ基がさらに好ましく 、ハロゲン原子、アルキル基及びアルコキシ基が最も好ましい。
[0207] 上記ハロゲン原子には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が含ま れる。上記アルキル基は、環状構造あるいは分岐を有していてもよレ、。アルキル基の 炭素原子数は、:!〜 20であることが好ましぐ 1〜: 12であることがより好ましぐ:!〜 6で
あることがさらに好まし :!〜 4であることが最も好ましい。アルキル基の例には、メチ ノレ、ェチノレ、プロピノレ、イソプロピノレ、ブチノレ、 t—ブチノレ、へキシノレ、シクロへキシノレ 、ォクチル及び 2 _ェチルへキシノレが含まれる。上記アルコキシ基は、環状構造ある いは分岐を有していてもよレ、。アルコキシ基の炭素原子数は、 1〜20であることが好 ましぐ 1〜: 12であることがより好ましぐ:!〜 6であることがさらに好ましぐ:!〜 4である ことが最も好ましい。アルコキシ基は、さらに別のアルコキシ基で置換されていてもよ レ、。アルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、 2—メトキシェトキシ、 2—メトキシ _ 2 エトキシエトキシ、ブチルォキシ、へキシルォキシ及びォクチルォキシが含まれる。
[0208] 上記ァリール基の炭素原子数は、 6〜20であること力 S好ましく、 6〜: 12であること力 S さらに好ましい。ァリール基の例には、フエニル及びナフチルが含まれる。上記ァリー ルォキシ基の炭素原子数は、 6〜20であることが好ましぐ 6〜: 12であることがさらに 好ましい。ァリールォキシ基の例には、フエノキシ及びナフトキシが含まれる。上記ァ シル基の炭素原子数は、:!〜 20であることが好ましぐ:!〜 12であることがさらに好ま しレ、。ァシル基の例には、ホルミル、ァセチル及びベンゾィルが含まれる。上記カル ボンアミド基の炭素原子数は、 1〜20であることが好ましぐ 1〜: 12であることがさらに 好ましい。カルボンアミド基の例には、ァセトアミド及びべンズアミドが含まれる。上記 スルホンアミド基の炭素原子数は、 1〜20であることが好ましぐ 1〜: 12であることがさ らに好ましレヽ。スルホンアミド基の例には、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミ ド及び P—トルエンスルホンアミドが含まれる。上記ウレイド基の炭素原子数は、:!〜 2 0であることが好ましぐ 1〜: 12であることがさらに好ましい。ウレイド基の例には、(無 置換)ウレイドが含まれる。
[0209] 上記ァラルキル基の炭素原子数は、 7〜20であること力好ましく、 7〜: 12であること 力 Sさらに好ましレ、。ァラルキル基の例には、ベンジル、フエネチル及びナフチルメチ ルが含まれる。上記アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、 1〜 20であることが好 ましぐ 2〜: 12であることがさらに好ましレ、。アルコキシカルボニル基の例には、メトキ シカルボニルが含まれる。上記ァリールォキシカルボニル基の炭素原子数は、 7〜2 0であることが好ましぐ 7〜: 12であることがさらに好ましレ、。ァリールォキシカルボ二 ル基の例には、フエノキシカルボエルが含まれる。上記ァラルキルォキシカルボニル
基の炭素原子数は、 8〜20であることが好まし 8〜: 12であることがさらに好ましい。 ァラルキルォキシカルボニル基の例には、ベンジルォキシカルボニルが含まれる。上 記力ルバモイル基の炭素原子数は、:!〜 20であることが好ましぐ 1〜: 12であることが さらに好ましレ、。力ルバモイル基の例には、(無置換)力ルバモイル及び N—メチルカ ルバモイルが含まれる。上記スルファモイル基の炭素原子数は、 20以下であることが 好ましぐ 12以下であることがさらに好ましい。スルファモイル基の例には、(無置換) スルファモイル及び N—メチルスルファモイルが含まれる。上記ァシルォキシ基の炭 素原子数は、:!〜 20であることが好ましぐ 2〜: 12であることがさらに好ましい。ァシル ォキシ基の例には、ァセトキシ及びベンゾィルォキシが含まれる。
[0210] 上記アルケニル基の炭素原子数は、 2〜20であることが好ましぐ 2〜: 12であること 力 Sさらに好ましレ、。アルケニル基の例には、ビニル、ァリル及びイソプロぺニルが含ま れる。上記アルキニル基の炭素原子数は、 2〜 20であることが好ましぐ 2〜: 12である ことがさらに好ましレ、。アルキニル基の例には、チェニルが含まれる。上記アルキルス ルホニル基の炭素原子数は、:!〜 20であることが好ましぐ 1〜: 12であることがさらに 好ましい。上記ァリールスルホニル基の炭素原子数は、 6〜20であることが好ましぐ 6〜: 12であることがさらに好ましレ、。上記アルキルォキシスルホニル基の炭素原子数 は、:!〜 20であることが好ましぐ 1〜: 12であることがさらに好ましい。上記ァリールォ キシスルホニル基の炭素原子数は、 6〜20であること力 S好ましく、 6〜: 12であること力 S さらに好ましレ、。上記アルキルスルホニルォキシ基の炭素原子数は、 1〜20であるこ と力 S好ましく、 1〜: 12であることがさらに好ましレ、。上記ァリールォキシスルホニル基の 炭素原子数は、 6〜20であることが好ましぐ 6〜: 12であることがさらに好ましい。
[0211] 本発明に係るセルロースエステル樹脂において、セルロースの水酸基部分の水素 原子が脂肪族ァシル基との脂肪酸エステルであるとき、脂肪族ァシル基は炭素数が 2〜20で、具体的にはァセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピ バロィル、へキサノィル、オタタノィル、ラウロイノレ、ステアロイル等が挙げられる。
[0212] 本発明において前記脂肪族ァシル基とは、更に置換基を有するものも包含する意 味であり、置換基としては上述の芳香族ァシル基において、芳香族環がベンゼン環 であるとき、ベンゼン環の置換基として例示したものが挙げられる。
[0213] また、上記セルロースエステル樹脂のエステルイ匕された置換基が芳香環であるとき 、芳香族環に置換する置換基 Xの数は 0または 1〜5個であり、好ましくは 1〜3個で、 特に好ましいのは 1または 2個である。更に芳香族環に置換する置換基の数が 2個以 上の時、互いに同じでも異なっていてもよいが、また、互いに連結して縮合多環化合 物(例えば、ナフタレン、インデン、インダン、フエナントレン、キノリン、イソキノリン、ク ロメン、クロマン、フタラジン、アタリジン、インドーノレ、インドリンなど)を形成してもよい
[0214] 本発明で用いられるセルロース樹脂は、セルロースアセテート、セルロースプロピオ ネート、セ/レロースブチレート、セノレロースアセテートプロピオネート、セノレロースァセ テートブチレート、セルロースアセテートフタレート、及びセルロースフタレートから選 ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
[0215] これらの中で特に好ましいセルロース樹脂は、セルロースアセテート、セルロースプ 口ピオネート、セノレロースブチレート、セノレロースアセテートプロピオネートゃセノレロー スアセテートプチレートが挙げられる。
[0216] 本発明に用いられるセルロース樹脂のァシル基の総置換度は 2. 4〜2. 9が好まし い。 2. 4未満では経時や環境条件によって位相差が変動しやすくなり、 2. 9を超える と熱延伸によって破断しやすくなる。好ましくは、ァセチル基置換度が 0〜2. 4で、炭 素数 3以上のァシル基の置換度の合計が 0. 5〜2. 9、さらに好ましくはァセチル基 の置換度が 1. 2〜2. 1、炭素数 3以上のァシル基の置換度の合計が 0. 6〜: 1. 4で あることが好ましい。より好ましくは炭素数 3〜22のァシル基が上記の置換度の範囲 であり、特に好ましくは炭素数 3〜22のアシノレ基として炭素数 3のプロピオニル基もし くは炭素数 4のプチリル基であり、これらが上記範囲であることである。
[0217] このようなセルロース樹脂は、例えば、セルロースの水酸基を無水酢酸、無水プロピ オン酸及び Zまたは無水酪酸を用いて常法によりァセチル基、プロピオニル基及び Zまたはブチル基を上記の範囲内に置換することで得られる。このようなセルロース エステルの合成方法は、特に限定はないが、例えば、特開平 10— 45804号あるい は特表平 6— 501040号に記載の方法を参考にして合成することができる。
[0218] ァセチル基、プロピオニル基、ブチル基等のァシル基の置換度は、 ASTM— D81
7— 96に準じて測定することができる。
[0219] 本発明で用いられるセルロース樹脂は、重量平均分子量 MwZ数平均分子量 Mn 比が、 1. 0〜5. 5のものが用いられ、特に好ましくは 1. 4〜5. 0であり、更に好ましく は 2. 0〜3. 0である。また、 Mwは 10万〜 50万、中でも 12万〜 25万のものが好まし く用いられる。
[0220] セルロース樹脂の平均分子量、分子量分布は、前述のゲルパーミエーシヨンクロマ トグラフィーを用いて公知の方法で測定することができる。
[0221] 本発明で用いられるセルロース樹脂の原料セルロースは、木材パルプでも綿花リン ターでもよぐ木材パルプは針葉樹でも広葉樹でもよいが、針葉樹の方がより好まし レ、。製膜の際の剥離性の点からは綿花リンターが好ましく用いられる。これら力 作ら れたセルロース樹脂は適宜混合して、あるいは単独で使用することができる。特に置 換度が異なるセルロース樹脂を混合して用いることが好ましい。
[0222] (マット剤)
本発明のセルロースエステルフィルムには、滑り性を付与するためにマット剤等の 微粒子を添加することができ、微粒子としては、無機化合物の微粒子または有機化 合物の微粒子が挙げられる。マット剤はできるだけ微粒子のものが好ましぐ微粒子と しては、例えば、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム 、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、焼成ケィ酸カルシウム、水和ケィ酸カルシウム、 ケィ酸アルミニウム、ケィ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の無機微粒子や架橋高 分子微粒子を挙げることができる。中でも、二酸化ケイ素がフィルムのヘイズを低くで きるので好ましい。二酸化ケイ素のような微粒子は有機物により表面処理されている 場合が多いが、このようなものはフィルムのヘイズを低下できるため好ましい。
[0223] 表面処理で好ましレ、有機物としては、ハロシラン類、アルコキシシラン類、シラザン、 シロキサンなどが挙げられる。微粒子の平均粒径が大きい方が滑り性効果は大きぐ 反対に平均粒径の小さい方は透明性に優れる。また、微粒子の一次粒子の平均粒 径は 0. 01〜: 1. O x mの範囲である。好ましい微粒子の一次粒子の平均粒径は 5〜 50nmカ好ましく、更に好ましくは 7〜14nmである。これらの微粒子はセルロースェ ステルフィルム中では、セルロースエステルフィルム表面に 0. 01〜1. O x mの凹凸
を生成させる為に好ましく用いられる。微粒子のセルロースエステル中の含有量はセ ノレロースエステノレに対して 0. 001〜5質量0 /0カ好ましく、より好ましく fま、 0. 005〜1 質量%であり、さらに好ましくは 0. 01-0. 5質量%である。
[0224] 二酸化ケイ素の微粒子としては、 日本ァエロジル(株)製のァエロジル (AEROSIL ) 200、 200V、 300、 R972、 R972V、 R974、 R202、 R812、〇X50、 TT600等、 NAX50等、 日本触媒(株)製の KE_P10、 KE_P30、 KE— P100、 KE— P150 等を挙げ、ること力 Sでき、好ましくはァエロジノレ 200V、 R972、 R972V、 R974、 R202 、 R812、 NAX50、 KE— P30、 KE— P100である。これらの微粒子は 2種以上併用 してもよい。 2種以上併用する場合、任意の割合で混合して使用することができる。こ の場合、平均粒径や材質の異なる微粒子、例えば、ァエロジル 200Vと R972Vを質 量比で 0. 1 : 99. 9〜99. 9 : 0. 1の範囲で使用できる。
[0225] 上記マット剤として用いられるフィルム中の微粒子の存在は、別の目的としてフィノレ ムの強度向上のために用いることもできる。また、フィルム中の上記微粒子の存在は 、本発明の光学フィルムを構成するセルロースエステル自身の配向性を向上すること も可能である。
[0226] (リタ一デーシヨン制御剤)
本発明の光学フィルムにおレヽて配向膜を形成して液晶層を設け、光学フィルムと液 晶層由来のリタ一デーシヨンを複合化して光学補償能を付与して、液晶表示品質の 向上のためにこのような偏光板加工を行ってもよい。リタ一デーシヨンを調節するため に添加する化合物は、欧州特許第 911 , 656A2号明細書に記載されているような、 二つ以上の芳香族環を有する芳香族化合物をリタ一デーシヨン制御剤として使用す ることもできる。また 2種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。該芳香族化合物 の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性へテロ環を含む。芳香族 性へテロ環であることが特に好ましぐ芳香族性へテロ環は一般に不飽和へテロ環で ある。中でも 1 , 3, 5 _トリァジン環が特に好ましい。
[0227] (高分子材料)
本発明の光学フィルムはセルロースエステル以外の高分子材料やオリゴマーを適 宜選択して混合してもよレ、。前述の高分子材料やオリゴマーはセルロースエステルと
相溶性に優れるものが好ましぐフィルムにしたときの透過率が 80%以上、更に好ま しくは 90%以上、更に好ましくは 92%以上であることが好ましレ、。セルロースエステ ル以外の高分子材料やオリゴマーの少なくとも 1種以上を混合する目的は、加熱溶 融時の粘度制御やフィルム加工後のフィルム物性を向上するために行う意味を含ん でいる。この場合は、上述のその他添加剤として含むことができる。
[0228] 《溶融流延法》
本発明のセルロースエステルフィルムは、前述のように溶融流延によって製造する ことが好ましい。溶液流延法において用いられる溶媒 (例えば塩化メチレン等)を用 いずに、加熱溶融する溶融流延による成形法は、更に詳細には、溶融押出成形法、 プレス成形法、インフレーション法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法等に分 類できる。これらの中で、機械的強度及び表面精度等に優れる偏光板保護フィルム を得るためには、溶融押し出し法が優れてレ、る。
[0229] 以下、溶融押し出し法を例にとり、本発明のセルロースエステルフィルムの製造方 法について説明する。
[0230] 図 1は、本発明に係るセルロースエステルフィルムの製造方法を実施する装置の全 体構成を示す概略フローシートであり、図 2は、流延ダイから冷却ロール部分の拡大 図である。
[0231] 図 1と図 2において、本発明によるセルロースエステルフィルムの製造方法は、セル ロース樹脂等のフィルム材料を混合した後、押出し機 1を用いて、流延ダイ 4から第 1 冷却ロール 5上に溶融押し出し、第 1冷却ロール 5に外接させるとともに、更に、第 2 冷却ロール 7、第 3冷却ロール 8の合計 3本の冷却ロールに順に外接させて、冷却固 化してフィルム 10とする。次いで、剥離ロール 9によって剥離したフィルム 10を、次い で延伸装置 12によりフィルムの両端部を把持して幅方向に延伸した後、卷取り装置 1 6により卷き取る。また、平面性を矯正するために溶融フィルムを第 1冷却ロール 5表 面に挟圧するタツチロール 6が設けられている。このタツチロール 6は表面が弾性を有 し、第 1冷却ロール 5との間で二ップを形成している。タツチロール 6についての詳細 は後述する。
[0232] 本発明によるセルロースエステルフィルムの製造方法にぉレ、て、溶融押し出しの条
件は、他のポリエステル等の熱可塑性樹脂に用いられる条件と同様にして行うことが できる。材料は予め乾燥させておくことが好ましい。真空または減圧乾燥機や除湿熱 風乾燥機等で水分を lOOOppm以下、好ましくは 200ppm以下に乾燥させることが 望ましい。
[0233] 例えば、熱風や真空または減圧下で乾燥したセルロースエステル系樹脂を押出し 機 1を用いて、押し出し温度 200〜300°C程度で溶融し、リーフディスクタイプのフィ ルター 2等で濾過し、異物を除去する。
[0234] 供給ホッパー(図示略)から押出し機 1へ導入する際は、真空下または減圧下ゃ不 活性ガス雰囲気下にして、酸化分解等を防止することが好ましい。
[0235] 可塑剤等の添加剤を予め混合しない場合は、それらを押出し機の途中で練り込ん でもよい。均一に添加するために、スタチックミキサー 3等の混合装置を用いることが 好ましい。
[0236] 本発明において、セルロースエステル系樹脂と、その他必要により添加される安定 化剤等の添加剤は、溶融する前に混合しておくことが好ましぐセルロースエステノレ 系樹脂と添加剤を加熱前に混合することが更に好ましい。混合は、混合機等により行 つてもよく、また、前記したようにセルロース樹脂調製過程において混合してもよい。 混合機を使用する場合は、 V型混合機、円錐スクリュー型混合機、水平円筒型混合 機等、ヘンシェルミキサー、リボンミキサ一一般的な混合機を用いることができる。
[0237] 上記のようにフィルム構成材料を混合した後に、その混合物を押出し機 1を用いて 直接溶融して製膜するようにしてもよいが、一旦、フィルム構成材料をペレット化した 後、該ペレットを押出し機 1で溶融して製膜するようにしてもよい。また、フィルム構成 材料が、融点の異なる複数の材料を含む場合には、融点の低い材料のみが溶融す る温度で一旦、いわゆるおこし状の半溶融物を作製し、半溶融物を押出し機 1に投 入して製膜することも可能である。フィルム構成材料に熱分解しやすレ、材料が含まれ る場合には、溶融回数を減らす目的で、ペレットを作製せずに直接製膜する方法や 、上記のようなおこし状の半溶融物を作ってから製膜する方法が好ましい。
[0238] 押出し機 1は、市場で入手可能な種々の押出し機を使用可能であるが、溶融混練 押出し機が好ましぐ単軸押出し機でも 2軸押出し機でもよい。フィルム構成材料から
ペレットを作製せずに、直接製膜を行う場合、適当な混練度が必要であるため 2軸押 出し機を用いることが好ましいが、単軸押出し機でも、スクリューの形状をマドック型、 ュニメルト型、ダルメージ等の混練型のスクリューに変更することにより、適度の混練 が得られるので、使用可能である。フィルム構成材料として、ー且、ペレットやおこし 状の半溶融物を使用する場合は、単軸押出し機でも 2軸押出し機でも使用可能であ る。
[0239] 押出し機 1内及び押し出した後の冷却工程は、窒素ガス等の不活性ガスで置換す る力、或いは減圧することにより、酸素の濃度を下げることが好ましい。
[0240] 押出し機 1内のフィルム構成材料の溶融温度は、フィルム構成材料の粘度や吐出 量、製造するシートの厚み等によって好ましい条件が異なる力 一般的には、フィノレ ムのガラス転移温度 Tgに対して、 Tg以上、 Tg+ 100°C以下、好ましくは Tg+ 10°C 以上、 Tg + 90°C以下である。押し出し時の溶融粘度は、 10〜: 100000ボイズ、好ま しくは 100〜10000ボイズである。また、押出し機 1内でのフィルム構成材料の滞留 時間は短い方が好ましぐ 5分以内、好ましくは 3分以内、より好ましくは 2分以内であ る。滞留時間は、押出し機 1の種類、押し出す条件にも左右されるが、材料の供給量 や L/D、スクリュー回転数、スクリューの溝の深さ等を調整することにより短縮するこ とが可能である。
[0241] 押出し機 1のスクリューの形状や回転数等は、フィルム構成材料の粘度や吐出量等 により適宜選択される。本発明において押出し機 1でのせん断速度は、 1/秒〜 100 00Z秒、好ましくは 5Z秒〜 1000Z秒、より好ましくは 10/秒〜 100/秒である。
[0242] 本発明に使用できる押出し機 1としては、一般的にプラスチック成形機として入手可 能である。
[0243] 押出し機 1から押し出されたフィルム構成材料は、流延ダイ 4に送られ、流延ダイ 4 のスリットからフィルム状に押し出される。流延ダイ 4はシートやフィルムを製造するた めに用いられるものであれば特に限定はされなレ、。流延ダイ 4の材質としては、ハー ドクロム、炭化クロム、窒化クロム、炭化チタン、炭窒化チタン、窒化チタン、超鋼、セ ラミック (タングステンカーバイド、酸化アルミ、酸化クロム)等を溶射もしくはメツキし、 表面加工としてバフ、 # 1000番手以降の砥石を用いるラッピング、 # 1000番手以
上のダイヤモンド砥石を用いる平面切削(切削方向は樹脂の流れ方向に垂直な方向 )、電解研磨、電解複合研磨等の加工を施したもの等が挙げられる。流延ダイ 4のリツ プ部の好ましい材質は、流延ダイ 4と同様である。またリップ部の表面精度は 0. 5S以 下が好ましぐ 0. 2S以下がより好ましい。
[0244] この流延ダイ 4のスリットは、そのギャップが調整可能なように構成されている。これ を図 3に示す。流延ダイ 4のスリット 32を形成する一対のリップのうち、一方は剛性の 低い変形しやすいフレキシブルリップ 33であり、他方は固定リップ 34である。そして、 多数のヒートボルト 35が流延ダイ 4の幅方向すなわちスリット 32の長さ方向に一定ピ ツチで配列されている。各ヒートボルト 5には、埋め込み電気ヒータ 37と冷却媒体通 路とを具えたブロック 36が設けられ、各ヒートボルト 35が各ブロック 36を縦に貫通して いる。ヒートボルト 35の基部はダイ本体 31に固定され、先端はフレキシブルリップ 33 の外面に当接している。そしてブロック 36を常時空冷しながら、坦め込み電気ヒータ 37の入力を増減してブロック 36の温度を上下させ、これによりヒートボノレト 35を熱伸 縮させて、フレキシブルリップ 33を変位させてフィルムの厚さを調整する。ダイ後流の 所要箇所に厚さ計を設け、これによつて検出されたウェブ厚さ情報を制御装置にフィ ードバックし、この厚さ情報を制御装置で設定厚み情報と比較し、同装置力も来る補 正制御量の信号によってヒートボルトの発熱体の電力またはオン率を制御するように することもできる。ヒートボノレトは、好ましくは、長さ 20〜40cm、直径 7〜: 14mmを有 し、複数、例えば数十本のヒートボルトが、好ましくはピッチ 20〜40mmで配列されて いる。ヒートボルトの代わりに、手動で軸方向に前後動させることによりスリットギャップ を調節するボルトを主体とするギャップ調節部材を設けてもょレ、。ギャップ調節部材 によって調節されたスリットギャップは、通常 200〜1000 z m、好ましくは 300〜800 μ m、より好ましくは 400〜600 μ mである。
[0245] 第 1〜第 3冷却ロールは、肉厚が 20〜30mm程度のシームレスな鋼管製で、表面 が鏡面に仕上げられている。その内部には、冷却液を流す配管が配置されており、 配管を流れる冷却液によってロール上のフィルムから熱を吸収できるように構成され ている。この第 1乃至第 3冷却ロールの内、第 1冷却ロール 5が本発明の回転支持体 に相当する。
[0246] 一方、第 1冷却ロール 5に当接するタツチロール 6は、表面が弾性を有し、第 1冷却 ロール 5への押圧力によって第 1冷却ロール 5の表面に沿って変形し、第 1ローノレ 5と の間に二ップを形成する。すなわち、タツチロール 6が本発明の挟圧回転体に相当す る。
[0247] 図 4に、タツチロール 6の一実施形態(以下、タツチロール A)の概略断面を示す。図 に示すように、タツチローノレ Aは、可撓性の金属スリーブ 41の内部に弾性ローラ 42を 配したものである。
[0248] 金属スリーブ 41は厚さ 0. 3mmのステンレス製であり、可撓性を有する。金属スリー ブ 41が薄過ぎると強度が不足し、逆に厚過ぎると弾性が不足する。これらのこと力 、 金属スリーブ 41の厚さとしては、 0. 1〜: 1. 5mmが好ましい。弾性ローラ 42は、軸受 を介して回転自在な金属製の内筒 43の表面にゴム 44を設けてロール状としたもの である。そして、タツチロール Aが第 1冷却ロール 5に向けて押圧されると、弾性ローラ 42が金属スリーブ 41を第 1冷却ロール 5に押しつけ、金属スリープ 41及び弾性ロー ラ 42は第 1冷却ロール 5の形状になじんだ形状に対応しつつ変形し、第 1冷却ロー ルとの間にエップを形成する。金属スリーブ 41の内部で弾性ローラ 42との間に形成 される空間には、冷却水 45が流される。
[0249] 図 5、図 6は挟圧回転体の別の実施形態であるタツチロール Bを示している。タツチ ロール Bは、可撓性を有する、シームレスなステンレス鋼管製 (厚さ 4mm)の外筒 51 と、この外筒 51の内側に同一軸心状に配置された高剛性の金属内筒 52とから概略 構成されている。外筒 51と内筒 52との間の空間 53には、冷却液 54が流される。詳し くは、タツチロール Bは、両端の回転軸 55a、 55bに外筒支持フランジ 56a、 56b力取 付けられ、これら両外筒支持フランジ 56a、 56bの外周部間に薄肉金属外筒 51が取 付けられている。また、一方の回転軸 55aの軸心部に形成されて流体戻り通路 57を 形成する流体排出孔 58内に、流体供給管 59が同一軸心状に配設され、この流体供 給管 59が薄肉金属外筒 51内の軸心部に配置された流体軸筒 60に接続固定されて いる。この流体軸筒 60の両端部に内筒支持フランジ 61a、 61bがそれぞれ取り付け られ、これら内筒支持フランジ 61a、 61bの外周部間から他端側外筒支持フランジ 56 bにわたつて約 15〜20mm程度の肉厚を有する金属内筒 52が取付けられている。
そしてこの金属内筒 52と薄肉金属外筒 51との間に、例えば 10mm程度の冷却液の 流送空間 53が形成され、また金属内筒 52に両端部近傍には、流送空間 53と内筒 支持フランジ 61a、 61b外側の中間通路 62a、 62bとを連通する流出口 52a及び流入 口 52bがそれぞれ形成されている。
[0250] また、外筒 51は、ゴム弾性に近い柔軟性と可撓性、復元性をもたせるために、弾性 力学の薄肉円筒理論が適用できる範囲内で薄肉化が図られている。この薄肉円筒 理論で評価される可撓性は、肉厚 tZロール半径 rで表されており、 tZrが小さいほど 可撓性が高まる。このタツチロール Bでは t/r≤0. 03の場合に可撓性が最適の条件 となる。通常、一般的に使用されているタツチロールは、ロール径 R= 200〜500mm (ロール半径 r=R/2)、ローノレ有効幅 L = 500〜1600mmで、 r/L< lで横長の形 状である。そして図 6に示すように、例えばロール径 R= 300mm、ロール有効幅 L = 1200mmの場合、肉厚 tの適正範囲は 150 X 0. 03 = 4. 5mm以下である力 溶融 シート幅を 1300mmに対して平均線圧を 98N/cmで挟圧する場合、同一形状のゴ ムロールと比較して、外筒 51の肉厚を 3mmとすることで相当ばね定数も等しぐ外筒 51と冷却ロールとのエップのロール回転方向の二ップ幅 kも約 9mmで、このゴムロー ルのニップ幅約 12mmとほぼ近い値を示し、同じような条件下で挟圧できることが分 かる。なお、この二ップ幅 kにおけるたわみ量は 0. 05〜0. 1mm程度である。
[0251] ここで、 t/r≤0. 03とした力 一般的なロール径 R= 200〜500mmの場合では、 特に 2mm≤t≤5mmの範囲とすると、可撓性も十分に得られ、また機械加工による 薄肉化も容易に実施でき、極めて実用的な範囲となる。肉厚が 2mm以下では加工 時の弾性変形で高精度な加工ができない。
[0252] この 2mm≤t≤5mmの換算値は、一般的なロール径に対して 0. 008≤t/r≤0.
05となる力 実用にあたっては t/r 0. 03の条件下でロール径に比例して肉厚も 大きくするとよレヽ。例えばロール径: R= 200では t = 2〜3mm、ロール径: R= 500で は t = 4〜 5mmの範囲で選択する。
[0253] このタツチロール A、 Bは不図示の付勢手段により第 1冷却ロールに向けて付勢さ れる。その付勢手段の付勢力を F、ニップにおけるフィルムの、第 1冷却ロール 5の回 転軸に沿った方向の幅 Wを除した値 F/W (線圧)は、 9. 8〜: 147N/cmに設定さ
れる。本実施の形態によれば、タツチロール A、 Bと第 1冷却ロール 5との間にニップ が形成され、当該二ップをフィルムが通過する間に平面性を矯正すればよい。従って 、タツチロールが剛体で構成され、第 1冷却ロールとの間に二ップが形成されない場 合と比べて、小さい線圧で長時間かけてフィルムを挟圧するので、平面性をより確実 に矯正することができる。すなわち、線圧が 9. 8NZcmよりも小さいと、ダイラインを 十分に解消することができなくなる。逆に、線圧が 147N/cmよりも大きいと、フィノレ ムがニップを通過しにくくなり、フィルムの厚さにかえってムラができてしまう。
[0254] また、タツチロール A、 Bの表面を金属で構成することにより、タツチロールの表面が ゴムである場合よりもタツチロール A、 Bの表面を平滑にすることができるので、平滑 性の高いフィルムを得ることができる。なお、弾性ローラ 42の弾性体 44の材質として は、エチレンプロピレンゴム、ネオプレンゴム、シリコンゴム等を用いることができる。
[0255] さて、タツチロール 6によってダイラインを良好に解消するためには、タツチロール 6 力 Sフィルムを挟圧するときのフィルムの粘度が適切な範囲であることが重要となる。ま た、セルロースエステルは温度による粘度の変化が比較的大きいことが知られている 。従って、タツチロール 6がセルロースエステルフィルムを挟圧するときの粘度を適切 な範囲に設定するためには、タツチロール 6がセルロースフィルムを挟圧するときのフ イルムの温度を適切な範囲に設定することが重要となる。そして本発明者は、セル口 ースエステルフィルムのガラス転移温度を Tgとしたとき、フィルムがタツチロール 6に 挟圧される直前のフィルムの温度 Tを、 Tgく T<Tg+ 110°Cを満たすように設定す ればよいことを見出した。フィルム温度 T力 Tgよりも低いとフィルムの粘度が高過ぎて 、ダイラインを矯正できなくなる。逆に、フィルムの温度 Tが Tg+ 110°Cよりも高いと、 フィルム表面とロールが均一に接着せず、やはりダイラインを矯正することができない 。好ましくは丁§ + 10。〇<丁2<丁§ + 90。〇、更に好ましくは丁§ + 20。〇<丁2<丁§ + 7 0°Cである。タツチロール 6がセルロースエステルフィルムを挟圧するときのフィルムの 温度を適切な範囲に設定するには、流延ダイ 4から押し出された溶融物が第 1冷却口 ール 5に接触する位置 P1から第 1冷却ロール 5とタツチロール 6とのエップの、第 1冷 去口ロール 5の回転方向に沿った長さ Lを調整すればよい。
[0256] 本発明において、第 1ロール 5、第 2ロール 6に好ましい材質は、炭素鋼、ステンレス
鋼、樹脂、等が挙げられる。また、表面精度は高くすることが好ましく表面粗さとして 0 . 3S以下、より好ましくは 0. 01S以下とする。
[0257] 本発明においては、流延ダイ 4の開口部(リップ)から第 1ロール 5までの部分を 70k Pa以下に減圧させることにより、上記、ダイラインの矯正効果がより大きく発現するこ とを発見した。好ましくは減圧は 50〜70kPaである。流延ダイ 4の開口部(リップ)から 第 1ロール 5までの部分の圧力を 70kPa以下に保つ方法としては、特に制限はない 力 流延ダイ 4からロール周辺を耐圧部材で覆レ、、減圧する等の方法がある。このと き、吸引装置は、装置自体が昇華物の付着場所にならないようヒーターで加熱する 等の処置を施すことが好ましい。本発明では、吸引圧が小さ過ぎると昇華物を効果的 に吸引できないため、適当な吸引圧とする必要がある。
[0258] 本発明において、 Tダイ 4力 溶融状態のフィルム状のセルロースエステル系樹脂 を、第 1ロール (第 1冷却ロール) 5、第 2冷却ロール 7、及び第 3冷却ロール 8に順次 密着させて搬送しながら冷却固化させ、未延伸のセルロースエステル系樹脂フィルム 10を得る。
[0259] 図 1に示す本発明の実施形態では、第 3冷却ロール 8から剥離ロール 9によって剥 離した冷却固化された未延伸のフィルム 10は、ダンサーロール(フィルム張力調整口 ール) 11を経て延伸機 12に導き、そこでフィルム 10を横方向(幅方向)に延伸する。 この延伸により、フィルム中の分子が配向される。
[0260] フィルムを幅方向に延伸する方法は、公知のテンター等を好ましく用いることができ る。特に延伸方向を幅方向とすることで、偏光フィルムとの積層がロール形態で実施 できるので好ましレ、。幅方向に延伸することで、セルロースエステル系樹脂フィルムか らなるセルロースエステルフィルムの遅相軸は幅方向になる。
[0261] 一方、偏光フィルムの透過軸も、通常、幅方向である。偏光フィルムの透過軸と光 学フィルムの遅相軸とが平行になるように積層した偏光板を液晶表示装置に組み込 むことで、液晶表示装置の表示コントラストを高くすることができるとともに、良好な視 野角が得られるのである。
[0262] フィルム構成材料のガラス転移温度 Tgはフィルムを構成する材料種及び構成する 材料の比率を異ならしめることにより制御できる。セルロースエステルフィルムとして位
相差フィルムを作製する場合、 Tgは 120°C以上、好ましくは 135°C以上とすることが 好ましい。液晶表示装置においては、画像の表示状態において、装置自身の温度 上昇、例えば光源由来の温度上昇によってフィルムの温度環境が変化する。このとき フィルムの使用環境温度よりもフィルムの Tgが低いと、延伸によってフィルム内部に 固定された分子の配向状態に由来するリタ一デーシヨン値及びフィルムとしての寸法 形状に大きな変化を与えることとなる。フィルムの Tgが高過ぎると、フィルム構成材料 をフィルム化するとき温度が高くなるために加熱するエネルギー消費が高くなり、また フィルム化するときの材料自身の分解、それによる着色が生じることがあり、従って、 T gは 250°C以下が好ましい。
[0263] また延伸工程には公知の熱固定条件、冷却、緩和処理を行ってもよぐ 目的とする 光学フィルムに要求される特性を有するように適宜調整すればょレ、。
[0264] 位相フィルムの物性と液晶表示装置の視野角拡大のための位相フィルムの機能付 与するために、上記延伸工程、熱固定処理は適宜選択して行われている。このような 延伸工程、熱固定処理を含む場合、加熱加圧工程は、それらの延伸工程、熱固定 処理の前に行うようにする。
[0265] セルロースエステルフィルムとして位相差フィルムを製造し、更に偏光板保護フィル ムの機能を複合させる場合、屈折率制御を行う必要が生じるが、その屈折率制御は 延伸操作により行うことが可能であり、また延伸操作が好ましい方法である。以下、そ の延伸方法について説明する。
[0266] 位相差フィルムの延伸工程において、セルロース樹脂の 1方向に 1. 0〜2. 0倍及 びフィルム面内にそれと直交する方向に 1. 01 -2. 5倍延伸することで、必要とされ るリタ一デーシヨン Ro及び Rtを制御することができる。ここで、 Roとは面内リターデー シヨンを示し、 Rtとは厚み方向リタ一デーシヨンを示す。
[0267] リタ一デーシヨン Ro、 Rtは下記式により求められる。
[0268] 式(i) Ro= (nx-ny) X d
式(ii) Rt= ( (nx + ny) /2-nz) X d
(式中、 nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率、 nyはフィルム面内の進相軸方向 の屈折率、 nzはフィルムの厚み方向の屈折率(屈折率は 23°C、 55%RHの環境下、
波長 590nmで測定)、 dはフィルムの厚さ(nm)を表す。)
光学フィルムの屈折率は、アッベ屈折率計 (4T)を用いて、フィルムの厚さは市販の マイクロメーターを用いて、リタ一デーシヨン値は、 自動複屈折計 KOBRA— 21AD H (王子計測機器 (株)製)等を用いて、各々測定することが出来る。
[0269] 延伸は、例えばフィルムの長手方向及びそれとフィルム面内で直交する方向、即ち 幅方向に対して、逐次または同時に行うことができる。このとき少なくとも 1方向に対し ての延伸倍率が小さ過ぎると十分な位相差が得られず、大き過ぎると延伸が困難とな りフィルム破断が発生してしまう場合がある。
[0270] 例えば溶融流延方向に延伸した場合、幅方向の収縮が大き過ぎると、 nzの値が大 きくなり過ぎてしまう。この場合、フィルムの幅収縮を抑制、或いは幅方向にも延伸す ることで改善できる。幅方向に延伸する場合、幅方向で屈折率に分布が生じることが ある。この分布は、テンター法を用いた場合に現れることがあり、フィルムを幅方向に 延伸したことで、フィルム中央部に収縮力が発生し、端部は固定されていることにより 生じる現象で、いわゆるボーイング現象と呼ばれるものと考えられる。この場合でも、 流延方向に延伸することで、ボーイング現象を抑制でき、幅方向の位相差の分布を 少なくできる。
[0271] 互いに直行する 2軸方向に延伸することにより、得られるフィルムの膜厚変動が減 少できる。位相差フィルムの膜厚変動が大き過ぎると位相差のムラとなり、液晶ディス プレイに用いたとき着色等のムラが問題となることがある。
[0272] セルロースエステルフィルムの膜厚変動は、 ± 3%、更に ± 1 %の範囲とすることが 好ましレ、。以上のような目的において、互いに直交する 2軸方向に延伸する方法は 有効であり、互いに直交する 2軸方向の延伸倍率は、それぞれ最終的には流延方向 に 1. 0〜2. 0倍、幅方向に 1. 01-2. 5倍の範囲とすることが好ましぐ流延方向に 1. 01〜: 1. 5倍、幅方向に 1. 05〜2. 0倍に範囲で行うことが必要とされるリターデ ーシヨン値を得るためにより好ましい。
[0273] 長手方向に偏光子の吸収軸が存在する場合、幅方向に偏光子の透過軸が一致す ることになる。長尺状の偏光板を得るためには、位相差フィルムは、幅方向に遅相軸 を得るように延伸することが好ましレ、。
[0274] 応力に対して、正の複屈折を得るセルロースエステルを用いる場合、上述の構成か ら、幅方向に延伸することで、位相差フィルムの遅相軸が幅方向に付与することがで きる。この場合、表示品質の向上のためには、位相差フィルムの遅相軸力 幅方向に あるほうが好まし 目的とするリタ一デーシヨン値を得るためには、
式、 (幅方向の延伸倍率) > (流延方向の延伸倍率)
の条件を満たすことが必要である。
[0275] 延伸後、フィルムの端部をスリツター 13により製品となる幅にスリットして裁ち落とし た後、エンボスリング 14及びバックロール 15よりなるナールカ卩ェ装置によりナール加 ェ(ェンボッシンダカ卩ェ)をフィルム両端部に施し、卷取り機 16によって卷き取ること により、セルロースエステルフィルム(元卷き) F中の貼り付きや、すり傷の発生を防止 する。ナール加工の方法は、凸凹のパターンを側面に有する金属リングを加熱やカロ 圧により加工することができる。なお、フィルム両端部のクリップの把持部分は通常、 変形しており、フィルム製品として使用できないので、切除されて、原料として再利用 される。
[0276] 次に、フィルムの卷取り工程は、円筒形卷きフィルムの外周面とこれの直前の移動 式搬送ロールの外周面との間の最短距離を一定に保持しながらフィルムを卷取り口 一ルに卷き取るものである。かつ卷取りロールの手前には、フィルムの表面電位を除 去または低減する除電ブロア等の手段が設けられている。
[0277] 本発明に係る光学フィルムの製造に係わる卷き取り機は一般的に使用されているも のでよぐ定テンション法、定トルク法、テーパーテンション法、内部応力一定のプロ グラムテンションコントロール法等の卷き取り方法で卷き取ることができる。なお、偏光 板保護フィルムの卷取り時の初期卷取り張力が 90. 2〜300. 8N/mであるのが好 ましい。
[0278] 本発明の方法におけるフィルムの卷き取り工程では、温度 20〜30°C、湿度 20〜6 0%RHの環境条件にて、フィルムを卷き取ることが好ましレ、。このように、フィルムの 卷き取り工程での温度及び湿度を規定することにより、厚み方向リタデーシヨン (Rt) の湿度変化の耐性が向上する。
[0279] 卷き取り工程における温度が 20°C未満であれば、シヮが発生し、フィルム卷品質劣
化のため実用に耐えないので、好ましくない。フィルムの卷き取り工程における温度 が 30°Cを超えると、やはりシヮが発生し、フィルム卷品質劣化のため実用に耐えない ので、好ましくない。
[0280] また、フィルムの卷き取り工程における湿度が 20%RH未満であれば、帯電しやす く、フィルム卷品質劣化のため実用に耐えないので、好ましくない。フィルムの卷き取 り工程における湿度が 60%RHを超えると、卷品質、貼り付き故障、搬送性が劣化す るので、好ましくない。
[0281] セルロースエステルフィルムをロール状に卷き取る際の、卷きコアとしては、円筒上 のコアであれは、どのような材質のものであってもよいが、好ましくは中空プラスチック コアであり、プラスチック材料としては加熱処理温度にも耐える耐熱性プラスチックで あればどのようなものであってもよぐフエノール樹脂、キシレン樹脂、メラミン樹脂、ポ リエステル樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。またガラス繊維等の充填材に より強化した熱硬化性樹脂が好ましい。例えば、中空プラスチックコア: FRP製の外 径 6インチ(以下、インチは 2· 54cmを表す。)、内径 5インチの卷きコアが用いられる
[0282] これらの卷きコアへの卷き数は、 100卷き以上であることが好ましぐ 500卷き以上 であることが更に好ましぐ卷き厚は 5cm以上であることが好ましぐフィルム基材の幅 は 80cm以上であることが好ましぐ lm以上であることが特に好ましい。
[0283] 本発明に係るセルロースエステルフィルムの膜の厚さは、使用目的によって異なる 力 仕上がりフィルムとして、 10〜500 111カ 子ましレ、。特に、下限は 20 z m以上、 好ましくは 35 z m以上である。上限は 150 x m以下、好ましくは 120 μ m以下である 。特に好ましい範囲は 25〜90 x mである。位相差フィルムが偏光板保護フィルムを 兼ねる場合、フィルムが厚いと、偏光板加工後の偏光板が厚くなり過ぎ、ノート型パソ コンゃモパイル型電子機器に用いる液晶表示においては、特に薄型軽量の目的に 適さなレ、。一方、フィルムが薄いと、位相差フィルムとしてのリタ一デーシヨンの発現が 困難となり、加えてフィルムの透湿性が高くなり、偏光子を湿度から保護する能力が 低下してしまうために好ましくない。
[0284] 位相差フィルムの遅相軸または進相軸がフィルム面内に存在し、製膜方向とのなす
角度を θ 1とすると、 θ 1は一:!〜 + 1° 、好ましくは _0. 5〜+ 0. 5° となるようにす る。
[0285] この θ 1は配向角として定義でき、 θ 1の測定は、自動複屈折計 KOBRA—21AD
Η (王子計測機器社製)を用いて行うことができる。
[0286] θ 1が各々上記関係を満たすことは、表示画像において高い輝度を得ること、光漏 れを抑制または防止することに寄与し、カラー液晶表示装置においては忠実な色再 現に寄与する。
[0287] 位相差フィルムがマルチドメインィ匕された VAモードに用いられるとき、位相差フィル ムの配置は、位相差フィルムの進相軸が Θ 1として上記領域に配置することで、表示 画質の向上に寄与し、偏光板及び液晶表示装置として MVAモードとしたとき、例え ば図 7に示す構成をとることができる。
[0288] 図 7におレヽて、 21a、 21biま保護フイノレム、 22a、 22b ίま位申目差フイノレム、 25a、 25b は偏光子、 23a、 23bはフィルムの遅相軸方向、 24a、 24bは偏光子の透過軸方向、 26a、 26bは偏光板、 27は液晶セル、 29は液晶表示装置を示している。
[0289] セルロースエステルフィルムの面内方向のリタ一デーシヨン Ro分布は、 5%以下に 調整することが好ましぐより好ましくは 2%以下であり、特に好ましくは、 1. 5%以下 である。また、フィルムの厚み方向のリタ一デーシヨン Rt分布を 10%以下に調整する ことが好ましいが、更に好ましくは、 2%以下であり、特に好ましくは、 1. 5%以下であ る。
[0290] 位相差フィルムにおいて、リタ一デーシヨン値の分布変動が小さい方が好ましぐ液 晶表示装置に位相差フィルムを含む偏光板を用いるとき、該リターデーシヨン分布変 動が小さいことが色ムラ等を防止する観点で好ましい。
[0291] 位相差フィルムを、 VAモードまたは TNモードの液晶セルの表示品質の向上に適 したリタ一デーシヨン値を有するように調整し、特に VAモードとして上記のマルチドメ インに分割して MVAモードに好ましく用いられるようにするには、面内リターデーショ ン Roを 30nmよりも大きく、 95nm以下に、かつ厚み方向リタ一デーシヨン Rtを 70nm よりも大きぐ 400nm以下の値に調整することが求められる。
[0292] 上記の面内リタ一デーシヨン Roは、 2枚の偏光板がクロスニコルに配置され、偏光
板の間に液晶セルが配置された、例えば図 7に示す構成であるときに、表示面の法 線方向から観察するときを基準にしてクロスニコル状態にあるとき、表示面の法線から 斜めに観察したとき、偏光板のクロスニコル状態からのずれが生じ、これが要因となる 光漏れを、主に補償する。厚さ方向のリタ一デーシヨンは、上記 TNモードや VAモー ド、特に MVAモードにおいて液晶セルが黒表示状態であるときに、同様に斜めから 見たときに認められる液晶セルの複屈折を主に補償するために寄与する。
[0293] 図 7に示すように、液晶表示装置において、液晶セルの上下に偏光板が二枚配置 された構成である場合、図中の 22a及び 22bは、厚み方向リタ一デーシヨン Rtの配分 を選択することができ、上記範囲を満たしかつ厚み方向リタ一デーシヨン Rtの両者の 合計値が 140nmよりも大きくかつ 500nm以下にすることが好ましい。このとき 22a及 び 22bの面内リタ一デーシヨン Ro、厚み方向リタ一デーシヨン Rtが両者同じであるこ とが、工業的な偏光板の生産性向上において好ましい。特に好ましくは面内リターデ ーシヨン Roが 35nmよりも大きくかつ 65nm以下であり、かつ厚み方向リターデーショ ン Rtが 90nmよりも大きく 180nm以下で、図 7の構成で MVAモードの液晶セルに適 用することである。
[0294] 液晶表示装置において、一方の偏光板に例えば市販の偏光板保護フィルムとして 面内リタ一デーシヨン Ro = 0〜4nm及び厚み方向リタ一デーシヨン Rt = 20〜50nm で厚さ 35〜85 μ mの TACフィルムが、例えば図 7の 22bの位置で使用されている場 合、他方の偏光板に配置される偏光フィルム、例えば、図 7の 22aに配置する位相差 フイノレムは、面内リタ一デーシヨン Roが 30nmよりも大きく 95nm以下であり、かつ厚 み方向リタ一デーシヨン Rtが 140nmよりも大きく 400nm以下であるものを使用するよ うにする。表示品質が向上し、かつフィルムの生産面からも好ましい。
[0295] 《偏光板》
本発明に係るセルロースエステルフィルムを偏光板保護フィルムとして用いる場合、 偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。本発 明のセルロースエステルフィルムの裏面側をアルカリ鹼化処理し、処理したセルロー スエステルフィルムを、ヨウ素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光膜の少なくとも一 方の面に、完全鹼化型ポリビュルアルコール水溶液を用いて貼り合わせることが好ま
しレ、。もう一方の面にも本発明のセルロースエステルフィルムを用いても、別の偏光 板保護フィルムを用いてもよレ、。本発明のセルロースエステルフィルムに対して、もう 一方の面に用いられる偏光板保護フィルムは市販のセルロースエステルフィルムを 用いることが出来る。例えば、市販のセルロースエステルフィルムとして、 KC8UX2 M、 KC4UX、 KC5UX、 KC4UY、 KC8UY、 KC12UR、 KC8UCR— 3、 KC8U CR— 4、 KC4FR— 1、 KC8UY— HA、 KC8UX— RHA (以上、コニカミノルタォプ ト (株)製)等が好ましく用レ、られる。或いは更にディスコチック液晶、棒状液晶、コレス テリック液晶などの液晶化合物を配向させて形成した光学異方層を有している光学 補償フィルムを兼ねる偏光板保護フィルムを用いることも好ましい。例えば、特開 200 3— 98348記載の方法で光学異方性層を形成することが出来る。本発明のセルロー スエステルフィルムと組み合わせて使用することによって、平面性に優れ、安定した 視野角拡大効果を有する偏光板を得ることが出来る。或いは、セルロースエステルフ イルム以外の環状ォレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート等の フィルムをもう一方の面の偏光板保護フィルムとして用いてもよい。
[0296] 上記アルカリ処理の代わりに特開平 6— 94915号公報、同 6— 118232号公報に 記載されているような易接着加工を施して偏光板加工を行ってもよい。
[0297] 偏光板の主たる構成要素である偏光膜とは、一定方向の偏波面の光だけを通す素 子であり、現在知られている代表的な偏光膜は、ポリビュルアルコール系偏光フィル ムで、これはポリビュルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料 を染色させたものがある。偏光膜は、ポリビュルアルコール水溶液を製膜し、これを一 軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で 耐久性処理を行ったものが用いられている。偏光膜の膜厚は 5〜40 x m、好ましくは 5〜30 x mであり、特に好ましくは 5〜20 z mである。該偏光膜の面上に、本発明の セルロースエステルフィルムの片面を貼り合わせて偏光板を形成する。好ましくは完 全鹼化ポリビュルアルコール等を主成分とする水系の接着剤によって貼り合わせる。
[0298] 偏光膜は一軸方向(通常は長手方向)に延伸されているため、偏光板を高温高湿 の環境下に置くと延伸方向(通常は長手方向)は縮み、延伸と垂直方向(通常は幅 方向)には伸びる。偏光板保護用フィルムの膜厚が薄くなるほど偏光板の伸縮率は
大きくなり、特に偏光膜の延伸方向の収縮量が大きい。通常、偏光膜の延伸方向は 偏光板保護用フィルムの流延方向(MD方向)と貼り合わせるため、偏光板保護用フ イルムを薄膜化する場合は、特に流延方向の伸縮率を抑えることが重要である。本発 明のセルロースエステルフィルムは極めて寸法安定に優れる為、このような偏光板保 護フィルムとして好適に使用される。
[0299] 即ち 60°C、 90%RHの条件での耐久性試験によっても波打ち状のむらが増加する ことはな 裏面側に光学補償フィルムを有する偏光板であっても、耐久性試験後に 視野角特性が変動することなく良好な視認性を提供することが出来る。
[0300] 偏光板は偏光子及びその両面を保護する保護フィルムで構成されており、更に該 偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構 成することが出来る。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製 品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィ ルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面 の反対面側に用いられる。また、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層を力 バーする目的で用いられ、偏光板を液晶セルへ貼合する面側に用いられる。
[0301] 《液晶表示装置》
本発明のセルロースエステルフィルムを用いた偏光板保護フィルム(位相差フィル ムを兼ねる場合も含む)を含む偏光板は、通常の偏光板と比較して高い表示品質を 発現させることができ、特にマルチドメイン型の液晶表示装置、より好ましくは複屈折 モードによってマルチドメイン型の液晶表示装置への使用に適してレ、る。
[0302] 本発明の偏光板は、 MVA (Multi_domein Vertical Alignment)モード、 PV A (Patterned Vertical Alignment)モ1 ~ト、 CPA (Continuous Pinwneel A lignment)モード、〇CB (Optical Compensated Bend)モード等に用いることが でき、特定の液晶モード、偏光板の配置に限定されるものではない。
[0303] 液晶表示装置はカラー化及び動画表示用の装置としても応用されつつあり、本発 明により表示品質が改良され、コントラストの改善や偏光板の耐性が向上したことによ り、疲れにくく忠実な動画像表示が可能となる。
[0304] 位相差フィルムを含む偏光板を少なくとも含む液晶表示装置においては、本発明
のセルロースエステルフィルムを用いた偏光板保護フィルムを含む偏光板を、液晶セ ルに対して、一枚配置するか、或いは液晶セルの両側に二枚配置する。このとき偏 光板に含まれる偏光板保護フィルム側が液晶表示装置の液晶セルに面するように用 レ、ることで表示品質の向上に寄与できる。図 7においては 22a及び 22bのフィルムが 液晶表示装置の液晶セルに面することになる。
[0305] このような構成において、本発明のセルロースエステルフィルムを用いた偏光板保 護フィルムは、液晶セルを光学的に補償することができる。本発明の偏光板を液晶表 示装置に用いる場合は、液晶表示装置の偏光板の内の少なくとも一つの偏光板を、 本発明の偏光板とすればよい。本発明の偏光板を用いることで、表示品質が向上し 、視野角特性に優れた液晶表示装置が提供できる。
[0306] 本発明の偏光板において、偏光子からみて本発明のセルロースエステルフィルム を用いた偏光板保護フィルムとは反対側の面には、セルロース誘導体の偏光板保護 フィルムが用いられ、汎用の TACフィルム等を用いることができる。液晶セルから遠 い側に位置する偏光板保護フィルムは、表示装置の品質を向上する上で、他の機能 性層を配置することも可能である。
[0307] 例えば、反射防止、防眩、耐キズ、ゴミ付着防止、輝度向上のためにディスプレイと しての公知の機能層を構成物として含むフィルムや、または本発明の偏光板表面に 貼付してもよいがこれらに限定されるものではない。
[0308] 一般に位相差フィルムでは、上述のリタ一デーシヨン Roまたは Rtの変動が少ないこ とが安定した光学特性を得るために求められている。特に複屈折モードの液晶表示 装置は、これらの変動が画像のムラを引き起こす原因となることがある。
[0309] 本発明に従い溶融流延製膜法により製造される長尺状セルロースエステルフィノレ ムは、セルロースエステルを主体として構成されるため、セルロースエステル固有のケ ンィ匕を活用してアルカリ処理工程を活用することができる。これは、偏光子を構成す る樹脂がポリビュルアルコールであるとき、従来の偏光板保護フィルムと同様に完全 ケンィ匕ポリビュルアルコール水溶液を用いて偏光板保護フィルムと貼合することがで きる。このために本発明は、従来の偏光板加工方法が適用できる点で優れており、特 に長尺状であるロール偏光板が得られる点で優れている。
[0310] 本発明により得られる製造的効果は、特に 100m以上の長尺の卷物においてより 顕著となり、 1500m, 2500m, 5000mとより長尺化する程、偏光板製造の製造的効 果を得る。
[0311] 例えば、セルロースエステルフィルム製造において、ロール長さは、生産性と運搬 十生を考慮すると、 10〜5000m、好ましくは 50〜4500mであり、このときのフイノレムの 幅は、偏光子の幅や製造ラインに適した幅を選択することができる。 0. 5〜4. 0m、 好ましくは 0. 6〜3. Omの幅でフィルムを製造してロール状に卷き取り、偏光板加工 に供してもよぐまた、 目的の倍幅以上のフィルムを製造してロールに卷き取った後、 断裁して目的の幅のロールを得て、このようなロールを偏光板加工に用いるようにし てもよい。
[0312] 偏光板保護フィルム製造に際し、延伸の前及び/または後で帯電防止層、ハード コート層、易滑性層、接着層、防眩層、バリアー層等の機能性層を塗設してもよい。こ の際、コロナ放電処理、プラズマ処理、薬液処理等の各種表面処理を必要に応じて 施すことができる。
[0313] 製膜工程において、カットされたフィルム両端のクリップ把持部分は、粉碎処理され た後、或いは必要に応じて造粒処理を行った後、同じ品種のフィルム用原料としてま たは異なる品種のフィルム用原料として再利用してもよい。
[0314] 前述の可塑剤、紫外線吸収剤、マット剤等の添加物濃度が異なるセルロースエス テルを含む組成物を共押し出しして、積層構造のセルロースエステルフィルムを作製 することもできる。例えば、スキン層 Zコア層 Zスキン層といった構成のセルロースェ ステルフィルムを作ることができる。例えば、マット剤は、スキン層に多く、またはスキン 層のみに入れることができる。可塑剤、紫外線吸収剤はスキン層よりもコア層に多く入 れることができ、コア層のみに入れてもよい。また、コア層とスキン層で可塑剤、紫外 線吸収剤の種類を変更することもでき、例えば、スキン層に低揮発性の可塑剤及び Zまたは紫外線吸収剤を含ませ、コア層に可塑性に優れた可塑剤、或いは紫外線 吸収性に優れた紫外線吸収剤を添加することもできる。スキン層とコア層のガラス転 移温度が異なっていてもよ スキン層のガラス転移温度よりコア層のガラス転移温度 が低いことが好ましい。このとき、スキンとコアの両者のガラス転移温度を測定し、これ
らの体積分率より算出した平均値を上記ガラス転移温度 Tgと定義して同様に扱うこと もできる。また、溶融流延時のセルロースエステルを含む溶融物の粘度もスキン層と コア層で異なっていてもよぐスキン層の粘度〉コア層の粘度でも、コア層の粘度≥ス キン層の粘度でもよい。
[0315] 本発明に係るセルロースエステルフィルムは、寸度安定性が、 23°C、 55。/0RHに 2 4時間放置したフィルムの寸法を基準としたとき、 80°C、 90%RHにおける寸法の変 動値が ± 2. 0%未満であり、好ましくは 1. 0%未満であり、更に好ましくは 0. 5%未 満である。
[0316] 本発明に係るセルロースエステルフィルムを位相差フィルムとして偏光板保護フィ ルムに用いる際に、位相差フィルム自身が上記の範囲内の変動であると、偏光板とし てのリタ一デーシヨンの絶対値と配向角が当初の設定がずれないために、表示品質 の向上能の減少或いは表示品質の劣化を引き起こすことがないため好ましい。
[0317] 以下に本発明を実施するための最良形態について詳細に説明するが、本発明はこ れらに限定されるものではない。尚、以下の「部」は、「質量部」を表す。
[0318] まず、用いる素材について記載する。
[0319] (合成例 1 )セル口ースエステル樹脂 1の合成
特表平 6— 501040号公報の例 Bを参考にして合成した。
[0320] 以下のような混合液 A〜Eを作製した。
[0321] A:プロピオン酸:濃硫酸 = 5 : 3 (質量比)
B:酢酸:純水 = 3 : 1 (質量比)
C :酢酸:純水 = 1 : 1 (質量比)
D:酢酸:純水:炭酸マグネシウム = 12 : 11 : 1 (質量比)
E :純水 14. 6kg中に、炭酸カリウム 0. 5モノレ、クェン酸 1. 0モルを溶解した水溶液 機械式撹拌機を備えた反応容器に、綿花から精製したセルロース 100質量部、酢 酸 317質量部、プロピオン酸 67質量部を添加し、 55°Cで 30分間攪拌した。反応容 器の温度を 30°Cに低下させた後、溶液 Aを 2. 3質量部添加し、 30分間攪拌した。反 応容器の温度を— 20°Cに冷却した後、無水酢酸 100質量部および無水プロピオン 酸 250質量部を添加し、 1時間攪拌した。反応容器の温度を 10°Cに昇温した後、溶
液 Aを 4. 5質量部添加し、 60°Cに昇温して 3時間攪拌した。さらに溶液 Bを 533質量 部添加し、 17時間攪拌した。さらに溶液 Cを 333質量部、溶液 Dを 730質量部添加し 、 15分間攪拌した。不溶物をろ過した後、溶液を攪拌しながら、沈殿物の生成が終 了するまで水を添加した後、生成した白色沈殿をろ過した。得られた白色固体は、洗 浄液が中性になるまで純水で洗浄した。この湿潤生成物に、溶液 Eを 1. 8質量部添 加し、次いで真空下 70°Cで 3時間乾燥し、セルロースアセテートプロピオネートを得 た。
[0322] 得られたセルロースアセテートプロピオネートの置換度を ASTM— D817— 96に 基づいて算出すると、ァセチル基による置換度が 1. 9、プロピオニル基による置換度 が 0. 7であった。また下記の条件で GPCを測定したところ、重量平均分子量は 20万 であった。
[0323] 〔GPC測定条件〕
溶媒 :テトヒドロフラン
装置 : HLC— 8220 (東ソー (株)製)
カラム : TSKgel SuperHM— M (東ソ一(株)製)
カラム温度: 40°C
試料温度 :0. 1質量%
注入量 :10 μ 1
流量 : 0. 6ml/min
校正曲線 :標準ポリスチレン: PS— I (Polymer Laboratorie
s社製) Mw= 2, 560, 000〜580までの 9サンプルによる校正曲線を使用した
(合成例 2)比較例の化合物 ペンタエリスリトールテトラビバレート (PETP)の合成 特許文献 5において PL2として実施例に用いられている、ペンタエリスリトールテトラ ビバレートを合成した。
[0324] 34質量咅 Bのペンタエリスリトーノレと、 101質量咅 Bのトリェチノレ了ミンと、 2000質量咅 B の酢酸ェチルの溶液に対し、 121質量部の塩化ビバロイルを室温下で 30分かけて 滴下し、そのまま 1時間攪拌を続けた。生成した白色沈殿をろ過した後、純水を加え て洗浄し、有機相を分取したのち有機溶媒を減圧留去して 89質量部(収率 75%)の
白色結晶を得た。なおこの化合物の分子量は 473である。
[0325] (合成例 3)実施例の化合物(B— 7)の合成
76質量部のトリメチレングリコーノレと、 535質量部のサリチノレ酸フエ二ノレと、 1質量部 の炭酸カリウムを混合し、 1. 33 X 104Pa下 155°Cで 3時間加熱し、 188質量部のフ ェノールが留去した。反応容器を常圧に戻した後に 100°Cまで冷却し、 0. 5質量部 の濃硫酸、 225質量部の無水酢酸を添加し、 100°Cで 1時間攪拌した。反応終了後 、 1000質量部のトルエンを添カ卩して氷冷すると、白色の結晶が生成した。生成した 白色結晶をろ過し、純水で 2度洗浄した後、真空下 30°Cで減圧乾燥を行い、白色結 晶を 224質量部(収率 56%)得た。なおこの化合物の分子量は 400である。
[0326] (合成例 4)実施例の化合物(B— 10)の合成
Chem. Abstr. 72号 123088f頁を参考にして合成した。
[0327] 100°Cに保持した 148質量部の無水フタル酸、 101質量部のトリェチルァミンの混 合溶液を攪拌しながら、 45質量部の 1、 4—ブタンジオールを 30分間かけて滴下し、 さらに 30分間攪拌したのち、 190質量部の塩ィ匕ベンジルを 30分間かけて添カ卩し、 1 50°Cに昇温後 3時間攪拌した。反応終了後室温まで冷却して沈殿物を炉別した後、 酢酸ェチル '純水を加えて洗浄した後、有機相を分取して酢酸ェチルを留去し、 51 0質量部(収率 90%)の淡黄色の液体を得た。なおこの化合物の分子量は 567であ る。
[0328] (合成例 5)実施例の化合物(B— 42)の合成
180質量部のフタル酸モノメチル、トルエン 180質量部、 1質量部のジメチルホルム アミド、 130質量部の塩ィ匕チォニルを混合し、 60°Cで 30分間攪拌した。反応終了後 に冷却し、淡黄色の液体を得た。
[0329] 31質量部のグリセリンと、 101質量部のトリェチノレアミンと、 200質量部の酢酸ェチ ルの溶液に対し、上記の反応で得た淡黄色の液体を室温下で 30分かけて滴下し、 そのまま 1時間攪拌を続けた。生成した白色沈殿をろ過した後、純水を加えて洗浄し た後、有機相を分取して有機溶媒を減圧留去し、 116質量部(収率 60%)の白色結 晶を得た。なおこの化合物の分子量は 579である。
[0330] (合成例 6)実施例の化合物(B-47)の合成
80°Cに保持した 45質量部の 2_ェチル _ 2—ヒドロキシメチル _ 1 , 3_プロパンジ オール、 190質量部のピリジンおよび 450質量部の酢酸ェチルの混合溶液を攪拌し ながら、 330質量部のァセチルサリシ口イルク口ライドを 30分間かけて滴下し、さらに 3時間攪拌した。反応終了後室温まで冷却して沈殿物を炉別した後、酢酸ェチル- 純水を加えて洗浄し、有機相を分取して酢酸ェチルを減圧留去し、 目的の化合物を 得た。なおこの化合物の分子量は 606である。
[0331] (合成例 7)実施例の化合物(B— 49)の合成
80°Cに保持した 45質量部の 2—ェチルー 2—ヒドロキシメチルー 1 , 3—プロパンジ オール、 190質量部のピリジンおよび 450質量部の酢酸ェチルの混合溶液を攪拌し ながら、 290質量部の o—トルオイルクロライドを 30分間かけて滴下し、さらに 3時間 攪拌した。反応終了後室温まで冷却して沈殿物を炉別した後、酢酸ェチル '純水を 加えて洗浄し、有機相を分取して酢酸ェチルを減圧留去し、 目的の化合物を得た。 なおこの化合物の分子量は 537である。
[0332] (合成例 8)実施例の化合物(B— 62)の合成
136質量咅 Bのペンタエリスリトーノレと、 1070質量咅 Bのサリチノレ酸フエ二ノレと、 2質量 部の炭酸カリウムを混合し、 1. 333 X 10— 2MPa下 155。Cで 3時間カロ熱し、 375質量 部のフエノールが留去した。反応容器を常圧に戻した後に 100°Cまで冷却し、 1質量 部の濃硫酸、 450質量部の無水酢酸を添加し、 100°Cで 1時間攪拌した。反応終了 後、 2000質量部のトルエンを添カ卩して氷冷すると、白色の結晶が生成した。生成し た白色結晶をろ過し、純水で 2度洗浄した後、真空下 30°Cで減圧乾燥を行い、白色 結晶を 667質量部(収率 85%)得た。なおこの化合物の分子量は 785である。
[0333] (合成例 9)実施例の化合物(B— 99)の合成
100°Cに保持した 45質量部のトリメチロールプロパン、 101質量部のトリェチルアミ ンの混合溶液を攪拌しながら、 71質量部の塩化ベンゾィルを 30分間かけて滴下し、 さらに 30分間攪拌した。反応終了後室温まで冷却して沈殿物を炉別した後、酢酸ェ チル'純水を加えて洗浄し、有機相を分取して酢酸ェチルを減圧留去し、 126質量 部(収率 85%)の白色の結晶を得た。なおこの化合物の分子量は 446である。
[0334] (合成例 10)実施例の化合物 (B— 101)の合成
合成例 7におレ、て、 o―トルオイルクロライドの変わりに m—トルオイルクロライドに変 更し、 目的の化合物を得た。なおこの化合物の分子量は 537である。
[0335] (合成例 11)実施例の化合物(B— 102)の合成
合成例 7におレ、て、 o―トルオイルクロライドの変わりに p -トルオイルクロライドに変 更し、 目的の化合物を得た。なおこの化合物の分子量は 537である。
[0336] (合成例 12)実施例の化合物(B— 103)の合成
合成例 7において、 o _トルオイルクロライドの変わりに 3, 4, 5—トリメトキシベンゾィ ルクロライド 390質量部に変更し、 目的の化合物を得た。なおこの化合物の分子量は 717である。
[0337] (合成例 13)実施例の化合物(B— 104)の合成
合成例 6において、ァセチルサリシ口イルク口ライドの変わりにテレフタリックァシドモ ノメチルエステルに変更し、 目的の化合物を得た。なおこの化合物の分子量は 621 である。
[0338] (合成例 14)実施例の化合物(B— 105)の合成
10°Cに保持した 37質量部のグリセリン、 111質量部のピリジン、 500質量部のトノレエ ンの混合溶液を攪拌しながら、 277質量部の 3, 4, 5—トリメトキシベンゾイルク口ライ ドをトルエン 500質量部に溶解した溶液を 30分間かけて滴下し、その後、 110°Cまで 加熱して、 5時間攪拌した。反応終了後、室温まで冷却して沈殿物を炉別した後、 1 モル ZL HC1水溶液を加えて洗浄し、更に 1 % Na C〇水溶液を加えて洗浄した 後、有機相を分取してトルエンを減圧留去した後、精製を行い 224質量部(収率 83 %)の白色結晶を得た。なお、この化合物の分子量は 675である。
[0339] (合成例 15)実施例の化合物(B— 106)の合成
80°Cに保持した 45質量部のペンタエリスリトール、 190質量部のピリジンおよび 45 0質量部の酢酸ェチルの混合溶液を攪拌しながら、 310質量部の 3, 4, 5—トリメトキ シベンゾイルク口ライドを 30分間かけて滴下し、さらに 3時間攪拌した。反応終了後室 温まで冷却して沈殿物を炉別した後、酢酸ェチル ·純水をカ卩えて洗浄し、有機相を 分取して酢酸ェチルを減圧留去し、 目的の化合物を得た。なおこの化合物の分子量 は 913である。
[0340] (合成例 16)実施例の化合物(C一 1)の合成
冷却凝縮器を装着した反応器に、 236質量部のエチレングリコール、 683質量部 の 1 , 4ブチレングリコール、 1180質量部のコハク酸、 0. 03質量部のテトラブチルチ タネートを投入し、 140°Cで 2時間、 220°Cで 2時間、冷却凝縮器を外して 220°Cで 更に 20時間、脱水縮合反応を行って、酸数平均分子量 2000の脂肪族ポリエステル 化合物 C_ lを得た。これに使用したジオールの炭素数平均は 3. 33、ジカルボン酸 の炭素数平均は 4であった。
[0341] (合成例 15)実施例の化合物(C 2)の合成
冷却凝縮器を装着した反応器に、 699質量部のエチレングリコール、 1180質量部 のコハク酸、 0. 03質量部のテトラブチルチタネートを投入し、合成例 1と同様の操作 を行い、数平均分子量 2000の脂肪族ポリエステルイ匕合物 C— 2を得た。これに使用 したジオールの炭素数平均は 2、ジカルボン酸の炭素数平均は 4であった。
[0342] (合成例 17)実施例の化合物(C 3)の合成
冷却凝縮器を装着した反応器に、 702質量部のエチレングリコール、 885質量部 のコハク酸、 365質量部のアジピン酸、 0. 03質量部のテトラブチルチタネートを投入 し、合成例 1と同様の操作を行い、数平均分子量 2000の脂肪族ポリエステル化合物 C 3を得た。これに使用したジオールの炭素数平均は 2、ジカルボン酸の炭素数平 均は 4. 5であった。
[0343] (合成例 18)実施例の化合物(C一 4)の合成
冷却凝縮器を装着した反応器に、 631質量部のエチレングリコール、 101質量部 の 1 , 4—ブチレングリコール、 1062質量部のコハク酸、 146質量部のアジピン酸、 0 . 03質量部のテトラブチルチタネートを投入し、合成例 1と同様の操作を行レ、、数平 均分子量 2000の脂肪族ポリエステルイ匕合物 C— 4を得た。これに使用したジオール の炭素数平均は 2. 2、ジカルボン酸の炭素数平均は 4. 2であった。
[0344] (合成例 19)実施例の化合物(C一 5)の合成
冷却凝縮器を装着した反応器に、 226質量部のエチレングリコール、 656質量部 の 1 , 4—ブチレングリコール、 1180質量部のコハク酸、 0. 03質量部のテトラブチル チタネートを投入し、合成例 1と同様の操作を行い、数平均分子量 4000の脂肪族ポ
リエステル化合物 C_ 5を得た。これに使用したジオールの炭素数平均は 3. 33、ジ カルボン酸の炭素数平均は 4であった。
[0345] (合成例 20)実施例の化合物(C一 6)の合成
冷却凝縮器を装着した反応器に、 249質量部のエチレングリコール、 721質量部 の 1 , 4—ブチレングリコール、 1180質量部のコハク酸、 0. 03質量部のテトラブチル チタネートを投入し、合成例 1と同様の操作を行い、数平均分子量 1200の脂肪族ポ リエステル化合物 C_ 6を得た。これに使用したジオールの炭素数平均は 3. 33、ジ カルボン酸の炭素数平均は 4であった。
[0346] (合成例 21)実施例の化合物(C 7)の合成
冷却凝縮器を装着した反応器に、 648質量部のエチレングリコール、 58質量部の ジエチレングリコール、 1121質量部のコハク酸、 83質量部のテレフタル酸、 0. 03質 量部のテトラブチルチタネートを投入し、合成例 1と同様の操作を行い、数平均分子 量 1500の脂肪族—芳香族コポリエステルイ匕合物 C— 7を得た。これに使用したジォ ールの炭素数平均は 2. 1、ジカルボン酸の炭素数平均は 4であった。
[0347] 上記化合物 C C 7は、表 2に示されるような上記反復単位(c)中の R R
4 5
R Rを有する。
6 7
[0348] [表 2]
反復単位 (cWの置換基
数平均 化合物 R4及び ジオールの ジカルボン酸の
寸 Rs Re 分子量 又は R7 平均炭素数 平均炭素数
-C2H4-
C一 1 n 3.33 4 - 2000 -C4Ha-
C一 2 -C2H4- 2 -C2H4- 4 - 2000
-C2H4-
C- 3 -C2H4- 2 4.5 2000
-C4H8-
-C2H4- -C2H4-
2.2 4.2 ― 2000 -C4H8- -C4H8-
C一 5 3.33 -C2H4- 4 - 4000
-C2H4-
C- 6 3.33 -C2H4- 4 - 1200
C一 7 2.1 一 C2H4— 4 フエニレン基 1500
[0349] (合成例 23)実施例の化合物(ィヒ合物 P— 1、 P— 2)の合成
特開 2006— 64803に記載の合成法に従って、高分子紫外線吸収剤 P— 1、 P— 2 を合成した。なお、 P—1は 2 (2' —ヒドロキシ一 5' —t—ブチル一フエ二ル)一 5— カルボン酸 _ (2—メタクリロイルォキシ)ェチルエステル一 2H—ベンゾトリアゾールを 表し、 P— 2は 2(2' —ヒドロキシ一5' _t_ブチル一フエニル) _5_カルボン酸一 (2—メタクリロイルォキシ)ェチルエステル一 2H—ベンゾトリアゾール:メタクリル酸メ チル:メタクリル酸ヒドロキシェチル =40: 50: 10 (数平均分子量: 4500)である化合 物を表す。 P— 1の構造式を以下に示す。
[0350] [化 44]
[0351] 以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれ らに限定されるものではない。
[0352] 実施例 1
100質量部のセルロースエステル樹脂 1を、空気中、常圧下で 130°C2時間乾燥し 、室温まで冷却した。このセルロースエステル樹脂に、本発明の化合物である B— 99 を 5質量部および化合物 C—1を 5質量部、および IrganoxlOlOを 0. 5質量部及び GSY—P101を 0. 25質量部を添加し、 2軸式押し出し機を用いて 230°Cで溶融混 合しペレット化した。このペレットを、窒素雰囲気下、溶融温度 250°Cにて溶融して T 型ダイから押し出し、流延ダイ 4から第 1冷却ロール 5上に押し出し、第 1冷却ロール 5 とタツチロール 6との間にフィルムを挟圧して成形した。流延ダイ 4から押し出された樹 脂が第 1冷却ロール 5に接触する位置 P1から第 1冷却ロール 5とタツチロール 6との二 ップの第 1冷却ロール 5回転方向上流端の位置 P2までの、第 1冷却ローラ 5の周面に 沿った長さ Lを 20mmに設定した。その後、タツチロール 6を第 1冷却ロール 5から離 間させ、第 1冷却ロール 5とタツチロール 6との二ップに挟圧される直前の溶融部の温 度 Tを測定した。本実施例において、第 1冷却ロール 5とタツチロール 6とのエップに 挟圧される直前の溶融部の温度 Tは、ニップ上流端 P2よりもさらに lmm上流側の位 置で、温度計 (安立計器株式会社製 HA—200E)により測定した。本実施例では測 定の結果、温度 Tは 141 °Cであった。タツチロール 6の第 1冷却ロール 5に対する線 圧は 14. 7N/cmとした。
なお、フィルムは、厚さが 80 / mとなるように、押出し量及び引き取り速度を調整し、 仕上がりのフィルム幅は 1800mm幅とし、卷長は 3200mとした。また、フィルム両端 に幅 10mm、高さ 5 μ ΐηのナーリング加工を施した。卷き取り張力 220N/m、テーパ 一 40%で卷芯に卷き取った。
卷芯の大きさは、内径 152mm、外径 180mm、長さ 1. 92mの物を用いた。この卷芯 母材として、エポキシ樹脂をガラス繊維、カーボン樹脂に含浸させたプリプレダ樹脂 を用いた。卷芯表面にはエポキシ導電性樹脂をコーティングし、表面を研磨して、表 面粗さ Raは 0. 3ミクロンに仕上げた。このフィルム原反試料を本発明のセルロースェ
ステルフィルム 1― 1とする。
[0353] 次に、添加する化合物、酸化防止剤を表 3および表 4に記載の化合物、添加量とし た以外は、全く同様な方法で本発明試料1 _ 2〜1 _ 17、比較試料 1—18〜 1— 24 を作製した。
[0354] TPPはトリフエニルホスフェートの略であり、アルドリッチ力も購入した。また、 FP50 0は旭電化より購入した。 IrganoxlOlOはチノく'スペシャルティ一'ケミカルズ (株)、 GSY— P101はエーピーアイコーポレーション(株)より購入した。得られたフィルムに ついて、下記の評価を実施した。
FP500 ΤΡΡ
[0356] [化 46]
[zm [8seo]
SM76TC/900Zdf/X3d 8S££滅 OOZ OAV
0359
剤止量部質部 (量)
roganx- 丽- T 61-- o O O o o 人 0T0T I應 o
OOdiQ
rnogax 1
IlOlO rganox
比lOl IO PETP ; rganox
[0360] 《透湿度測定》
JIS— Z— 0208に記載の方法に従レ、、透湿度を測定した。なお測定時の条件は 40
°C90%RHである。試料 1— 20の値を 100とする相対値で示した。値が小さいほど、 透湿度が低く好ましい。
[0361] 《ブリードアウト性評価》
試料を 80°C90%RHの環境下で 2週間放置したのち、 23°C55%RHで調湿した 後にフィルムに対し、ウェスによる拭き取りテストと、マジックにじみテストを行った。フィ ルム表面をウェスで拭いて拭き後ができるものは X、フィルムにマジックで記入して、 にじみが発生するものは X、双方とも見られないものは〇とした。どちらかが若干発 生している場合は△とした。
[0362] 《黄色度 (YI)測定》
日立ハイテクノロジーズ社製分光光度計 U— 3310を用いて、得られたセルロース エステルフィルムの吸収スペクトルを測定し、三刺激値 X、 Υ、 Ζを算出した。この三刺 激値 X、 Υ、 Ζから、 JIS— K7103に基づいて黄色度 YIを算出し、次の基準でランク 付けした。
[0363] © : 0. 8未満
0 : 0. 8〜: 1. 0
△ : 1. 0〜: 1. 3未満
X : 1. 3以上
《平面性評価》
溶融製膜を開始して 1時間が経過した時点でのサンプルを採取し、長さ 100cm X 幅 40cmのサンプルを切り取った。
[0364] 平坦な机の上に黒紙を貼り、その上に上記の試料フィルムを置き、斜め上方に配置 した 3本の蛍光灯をフィルムに映して蛍光灯の曲がり具合で平面性を評価し、次の基 準でランク付けした。
[0365] ◎:蛍光灯が 3本とも真っ直ぐに見える。
[0366] 〇:蛍光灯が若干曲がったように見えるところがある。
[0367] △:蛍光灯が曲がって見える。
[0368] X:蛍光灯が大きく畝って見える。
[0369] 《延伸性の評価》
10cm X 10cmに切断したフィルム試料を 10枚用意し、 2軸延伸を行った。まず、 2
0%MD (製膜時の流延方向)延伸を行い、次いで 20%TD (製膜時の流延方向に直 交する方向)延伸を行った。 (最終延伸倍率は 44% = 1. 44倍)延伸温度は 120°C、
延伸速度は 100%毎分で行った。
このような延伸操作を 10枚のフィルムについて行レ、、破断せずに 2軸延伸できたフ イルムの枚数を評価した。
[0371] ◎ : 10枚とも延伸できた。
[0372] 〇: 8枚以上延伸できた。
[0373] △ : 5枚以上延伸できた。
[0374] X : 5枚未満しか延伸できなかった。
[0375] 以上の結果を表 5に示す。
[0376] [表 5]
以上の様に、本発明の試料 1— 1〜1— 17は、比較試料 1— 18〜1— 24と比較し て透湿度、ブリードアウト、 YI、平面性、延伸性がよぐ光学的に優れていることが明
らかとなつた。
[0378] 上記、実施例 1で使用したセルロースエステル樹脂 1を、下記のセルロースエステ ル樹脂 CA_ 2〜CA_4に変更して、同様の実験を行ったところ、表 5に記載の結果 と同様の結果が得られた。
[0379] CA_ 2 :セルロースアセテートプロピオネート(ァセチル基置換度 1. 4、プロピオ二 ル基置換度 1. 3、分子量 Mw= 22万、 Mw/Mn= 2. 5)
CA_ 3 :セルロースアセテートプロピオネート(ァセチル基置換度 1. 3、プロピオ二 ル基置換度 1. 2、分子量 Mw= 18万、 Mw/Mn= 3. 0)
CA— 4 :セルロースアセテートプロピオネート(ァセチル基置換度 1. 7、プロピオ二 ル基置換度 1. 0、分子量 Mw= 21万、 Mw/Mn= 2. 9)
続いて、本発明の試料 1 1の酸化防止剤の種類および添加量、一般式(2)であら わされる化合物の種類および添加量を下記の表 6および表 7のように変更した以外 は同様にして、本発明試料 1 - 25〜1— 49を作成した。
[0380] 得られた本発明試料 1—25〜 1—49を下記のように評価した。
[0381] (卷始めシヮ)
卷芯に原反フィルムを巻き取る作業を行い、卷始めでシヮが発生した場合は卷芯 から原反フィルムを取り外して、再度卷き取る作業を行った。この時の再度卷き取る 回数をカウントした。この作業を 10回行い平均値を求め、下記レベルにランク分けを 行った。
[0382] A: l回未満
B : l回以上 3回未満
C : 3回以上 5回未満
D : 5回以上
(馬の背故障、卷芯転写)
卷き取ったフィルム原反試料をポリエチレンシートで 2重に包み、図 8の a)、 b)、 c) に示すような保存方法で、 28°C、 55%RHの条件下で 30日間保存した。その後、箱 力も取り出し、ポリエチレンシートを開け、フィルム原反試料表面に点灯している蛍光 灯の管を反射させて映し、その歪みあるいは細かい乱れを観察し、馬の背故障を下
記レベルにランク分けした。なお、図 8において 110は卷芯本体、 117は支え板、 11 8は架台、 120はセルロースエステルフィルム原反を表す。
[0383] A:蛍光灯が真つすぐに見える
B :蛍光灯が部分的に曲がって見える
C :蛍光灯がまだらに映って見える
また、保存後のフィルム原反試料を巻き返して、卷芯部分より何 mまで、 50 x m以 上の点状の変形、または幅手方向の帯状の変形がはっきり見える卷芯転写が発生し てレ、る長さを測定し、下記レベルにランク分けを行った。
[0384] A:卷芯部分より 15m未満
B:卷芯部分より 15〜30m未満
C :卷芯部分より 30〜50m未満
D :卷芯部分より 50m以上
[0385] [表 6]
〔〕〔〕^70386
f 5
になった。
[0388] 〔偏光板の作製〕
厚さ 120 μ mのポリビュルアルコールフィルムを沃素 1質量部、沃化カリウム 2質量 部、ホウ酸 4質量部を含む水溶液に浸漬し、 50°Cで 4倍に延伸し偏光子を作製した。
[0389] 本発明試料 1 _:!〜 1 _ 17、比較試料 1 _ 18〜:! _ 24を、 40°Cの 2. 5M水酸化ナ トリウム水溶液で 60秒間アルカリ処理し、更に水洗乾燥して表面をアルカリ処理した
[0390] 前記偏光子の両面に、本発明試料 1— 1〜1— 17、比較試料 1— 18〜1— 24のァ ルカリ処理面を、完全鹼化型ポリビュルアルコール 5 %水溶液を接着剤として両面か ら貼合し、保護フィルムが形成された本発明偏光板 1 1 17、比較試料 1 18 〜1— 24を作製した。本発明偏光板 1—1〜: 1— 17、比較試料 1— 18〜1— 24と比 較して光学的、物理的に優れ、良好な偏光度を有する偏光板であった。
[0391] 〔液晶表示装置としての評価〕
15型 TFT型カラー液晶ディスプレイ LA— 1529HM (NEC製)の偏光板を剥がし 、上記で作製した各々の偏光板を液晶セルのサイズに合わせて断裁した。液晶セル を挟むようにして、前記作製した偏光板 2枚を偏光板の偏光軸力 Sもとと変わらないよう に互いに直交するように貼り付け、 15型 TFT型カラー液晶ディスプレイを作製し、セ ルロースエステルフィルムの偏光板としての特性を評価したところ、本発明偏光板 1
— 1〜1— 17は、比較偏光板 1—18〜 1— 24と比較してはコントラストも高 優れた 表示性を示した。これにより、液晶ディスプレイなどの画像表示装置用の偏光板とし て優れてレ、ることが確認された。
[0392] 実施例 2
実施例 1と同様にして、表 8に記載の添加剤種、添加剤量でセルロースエステルフ イルムを作製し、本発明の試料 2_:!〜 2— 8、比較試料 2_ 9〜2_ 11とした。実施 例 1と同様に、透湿度、ブリードアウト、 YI、平面性、延伸性の評価を行った。
[0393] 結果を表 9に示す。なお、透湿度は 2— 10の値を 100とする相対値で示した。値が 小さレ、ほど、透湿度が低く好ましい。
試料 No. 透湿度 プリ一ドアゥト Y I 平面性 延伸性 備考
2- 1 87 〇 〇 ◎ 〇 本発明
2 - 2 75 〇 〇 ◎ 本発明
2-3 75 〇 ◎ ◎ 〇 本発明
2-4 80 〇 ◎ 〇 本発明
2- 5 78 〇 〇 ◎ ◎ 本発明
2-6 87 〇 〇 ◎ ◎ 本発明
2-7 72 〇 ◎ ◎ ◎ 本発明
2-8 72 〇 ◎ ◎ ◎ 本発明
2-9 90 X Δ X X 比較例
2 -10 100 X △ X X 比較例
2-11 110 Δ Δ △ △ 比較例
[0396] 本発明の試料 2_:!〜 2— 8は、比較試料 2_9〜2_11と比較して透湿度、ブリー ドアウト、 YI、平面性、延伸性がよぐ光学的に優れていることが明らかとなった。さら に、実施例 1と同様な方法で、偏光板を作製し、液晶表示装置装置としての評価を行 つた。
[0397] 本発明の試料を用いて作製した液晶表示装置は、比較試料に比べ、コントラストも 高ぐ優れた表示性を示した。これにより、液晶ディスプレイなどの画像表示装置用の 偏光板として優れてレ、ることが確認された。
産業上の利用可能性
[0398] 本発明によるセルロースエステルフィルムの製造方法、セルロースエステルフィルム 、該セルロースエステルフィルムを用いた偏光板及び該偏光板を用いた液晶表示装 置は、製膜時に溶媒を使用しない溶融流延によって製造され、フィルムの平面性、透 湿度、ブリードアウトが改良され、着色が少な 優れた効果を有する。