明 細 書
セルロースエステルフィルムの製造方法、セルロースエステルフィルム、偏 光板及び液晶表示装置
技術分野
[0001] 本発明はセルロースエステルフィルムの製造方法、該セルロースエステルフィルム の製
造方法カゝら得られるセルロースエステルフィルム、それを用いた偏光板及び液晶表 示装置
に関する。
背景技術
[0002] セルロースエステルフィルムは、その高い透明性'低複屈折性'偏光子との易接着 性な
どから、写真用ネガフィルムの支持体や、液晶ディスプレイに用いられる偏光子を保 ¾ ~
るフィルムなどに用いられてきた。
[0003] 液晶ディスプレイは、その奥行きの薄さ、軽さから近年大幅に生産量が増大してお り、
需要が高くなつている。また液晶ディスプレイを用いたテレビは、薄く軽いという特徴 を
生かして、ブラウン菅を用いたテレビでは達成されな力つたような大型のテレビが生 産さ
れるようになっており、それに伴って液晶ディスプレイを構成する偏光子、偏光子保 護フィルムも大型化が求められて 、る。
[0004] し力しながら、偏光子を大型化していくと、温度や湿度などといった環境変動により 影響を受けやすくなるため、偏光子の端部などが劣化してディスプレイの黒表示が明 るくなり、コントラストが低下するといつた問題が起きやすくなることが新たな課題とな つている。このような偏光子の劣化は、偏光子保護フィルムの収縮や寸法変化が原
因であるといわれており、セルロースエステルフィルムの寸法安定性の改良が求めら れている。
[0005] これらのセルロースエステルフィルムは、これまで専ら溶液流延法によって製造され て
きた。溶液流延法とは、セルロースエステルを溶媒に溶解した溶液を流延してフィル ム形
状を得た後、溶媒を蒸発 ·乾燥させてフィルムを得ると!ヽつた製膜方法である。
[0006] このような製膜方法では、溶媒乾燥時にフィルムの収縮が発生するので、表面の平 面性を保っためにテンションをかけながら乾燥する必要がある。その結果、若干なが ら内部応力が残留してしまい、長期間の経時では収縮が発生する原因となっている
[0007] またさらに、溶液流延法は多量の有機溶媒を必要とし、環境負荷が大きいことも課 題となっていた。セルロースエステルフィルムは、その溶解性から、環境負荷の大き V、ハロゲン系溶媒を用 、て製膜されて 、るため、特に溶剤使用量の削減が求められ ているため、溶液留延製膜によってセルロースエステルフィルムを増産することは困 難となってきている。
[0008] そこで近年銀塩写真用(特許文献 1)あるいは偏光子保護フィルム用(特許文献 2) に
セルロースエステルを溶融製膜する試みが行われて 、るが、セルロースエステルは 溶融時
の粘度が非常に高い高分子であり、かつガラス転移温度も高い高分子であるため、 セノレ口
ースエステルを溶融してダイス力 押出して冷却ドラムまたは冷却ベルト上にキャステ ィ
ングされてもレべリングし難ぐ押出し後に短時間で固化するため、得られるフィルム の
平面性、輝点異物が低 、と 、つた課題を有して 、ることが判明した。
[0009] セルロースエステル等の有機高分子の溶融粘度 ·ガラス転移温度を低下させるた
めに、
可塑剤を添加することが有効であることが知られている。
[0010] 特許文献 1、 2では、トリフエ-ルホスフェートやフエ-レンビスジフエ-ルホスフエー ト等のリン酸系の可塑剤を用いて 、る。
[0011] しかし本発明の発明者らが検討した結果、これらのリン酸系の可塑剤は、吸湿や加 熱に
よってリン酸エステルが分解してリン酸が発生し、発生したリン酸がセルロースエステ ル
を劣化させてフィルムを着色させるといった問題を有していることが判明した。さらに、 セルロースエステルは溶融時の熱によって劣化が起こり、着色が発生する。このため
、例えば、溶融温度を下げるなど、できるだけセルロースエステルの劣化が抑える溶 融条件にしたいものの、セルロースエステルと可塑剤との混合性が劣化し、平面性が 劣化することが判明した。
特許文献 1:特表平 6 - 501040号公報
特許文献 2:特開 2000— 352620号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0012] 本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、製膜時に溶媒を使 用しない溶融流延によって製造され、輝点異物が少なぐ平面性に優れ、着色が少 なぐ寸法安定性に優れたセルロースエステルフィルムの製造方法、セルロースエス テルフィルム、偏光板及び液晶表示装置を提供することにある。
課題を解決するための手段
[0013] 本発明の上記目的は、下記構成により達成された。
[0014] 1.下記一般式(1)で表される有機酸と多価アルコールが縮合した、分配係数力^〜 7. 5であるエステル化合物と、セルロースエステルとを含有する形成材料を溶融流延 法によりフィルム状とすることを特徴とするセルロースエステルフィルムの製造方法。
[0016] (式中、 R〜Rは水素原子またはアルキル基、シクロアルキル基、ァリール基、ァラ
1 5
ルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、ァリールォキシ基、ァラルキルォキシ 基、ァシル基、カルボ-ルォキシ基、ォキシカルボ-ル基、ォキシカルボ-ルォキシ 基を表し、これらはさらに置換基を有していて良い。 Lは連結基を表し、置換または無 置換のアルキレン基、酸素原子、または直接結合を表す。 )
2.前記一般式(1)で表される有機酸の連結基 Lが直接結合であることを特徴とす る前記 1に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
[0017] 3.前記多価アルコール力 2〜4の水酸基を有することを特徴とする前記 1または 2 に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
[0018] 4.前記一般式(1)で表される有機酸と多価アルコールとが縮合したエステルイ匕合 物の分子量が、 300〜1500であることを特徴とする前記 1〜3のいずれ力 1項に記 載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
[0019] 5.前記一般式(1)で表される有機酸の R又は R又は Rの少なくとも 1つにアルコ
1 2 5
キシ基、ァシル基、ォキシカルボ-ル基、カルボ-ルォキシ基、ォキシカルボ-ルォ キシ基を有することを特徴とする前記 1〜4のいずれか 1項に記載のセルロースエス テルフィルムの製造方法。
[0020] 6.前記形成材料が、脂肪族ポリエステル及び脂肪族一芳香族コポリエステルから 選ばれる少なくとも 1種のポリエステルを含有することを特徴とする前記 1〜5のいず れカ 1項に記載のセル口ースエステルフィルムの製造方法。
[0021] 7.前記脂肪族ポリエステルが、下記反復単位 (a)または反復単位 (b)力も選ばれ る少なくとも 1種の反復単位を有することを特徴とする前記 5に記載のセルロースエス テルフィルムの製造方法。
[0022] 反復単位 (a)
[0023] [化 2]
Rio O
OCH(CH2)m—— C -
[0024] (式中、 mは 0〜10の整数であり、 R は水素原子、 C〜C の無置換アルキル基、
10 1 12
C〜C のァリール基及び C〜Cのアルコキシ基力 選ばれる少なくとも 1個の置換
6 10 1 4
基で置換された C〜C のアルキル基、 C〜C の無置換シクロアルキル基、 C〜C
1 12 5 10 6 10 のァリール基及び C〜Cのアルコキシ基力 選ばれる少なくとも 1個の置換基で置換
1 4
された C〜C のシクロアルキル基、力も選ばれる少なくとも 1種の基である。 )
5 10
反復単位 (b)
[0026] (式中、 Rは
8 C〜
2 C の無置換アルキレン基、 のァリ
12 C〜 ール基及び
6 C 10 C〜じの
1 4 アルキル基及び c〜
1 Cのアルコキシ基力 選ばれる少なくとも 1個の置換基で置換 4
された c〜c のアルキレン基、 c〜c の無置換ォキシアルキレン基、 c〜c のァ
2 12 2 12 6 10 リール基及び c〜Cのアルコキシ基力も選ばれる少なくとも 1個の置換基で置換され
1 4
たォキシアルキレン基、 C〜C の無置換シクロアルキレン基、及び C〜C のァリー
5 10 6 10 ル基及び c〜 のアルコキシ基か
1 C ら選ばれる少なくとも 1個の置換基で置換された 4 C
〜C のシクロアルキレン基、力 選ばれる少なくとも 1種の基であり、 Rは C〜C の
5 10 9 2 12 無置換アルキレン基、 c〜c のァリール基、 c〜cのアルキル基及び
6 10 1 4 c〜
1 cのァ 4 ルコキシ基から選ばれる少なくとも 1個の置換基で置換された C〜C のアルキレン
2 12
基、 c〜c の無置換ォキシアルキレン基、 c〜c のァリール基及び c〜cのアル
2 12 6 10 1 4 コキシ基力も選ばれる少なくとも 1個の置換基で置換された c〜 のォキシアルキレ
2 c 12
ン基、 c〜 アルキレン基、及び、 c のァリール基及び
5 c の無置換シクロ
10 c〜
6 10 c〜
1 c のアルコキシ基から選ばれる少なくとも 1個の置換基で置換された C〜C のシクロ
アルキレン基、力 選ばれる少なくとも 1種の基である。 )
8.前記脂肪族ポリエステルが (i)ヒドロキシ酸、そのエステル形成性誘導体、(ii)ジ カルボン酸、その誘導体及び (iii)ジオールカゝら選ばれる少なくとも 1種のポリエステル 形成物から調製されることを特徴とする前記 6または 7に記載のセルロースエステルフ イルムの製造方法。
[0027] 9.前記脂肪族一芳香族コポリエステルが、下記反復単位 (C)で表される反復単位 を有することを特徴とする前 oc=記 6に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
[0028] 反復単位 (c)
[0029] [化 4]
II
十 0(R4>— O-C— (Rg)—
及び 十 0(R7)— O— C— (R6)—
[0030] (式中、 R及び Rはそれぞれ C〜C の無置換アルキレン基、 C〜C のァリール
4 7 2 12 6 10
基 C〜Cのアルキル基、及び C〜Cのアルコキシ基力 選ばれる少なくと 1個の置
1 4 1 4
換基で置換された C〜C のアルキレン基、 C〜C の無置換ォキシアルキレン基、
2 12 2 12
C〜C のァリール基及び C〜Cのアルコキシ基力 選ばれる少なくと 1個の置換基
6 10 1 4
で置換された C〜C のォキシアルキレン基、 C〜C の無置換シクロアルキレン基、
2 12 5 10
及び、 C〜C のァリール基及び C〜Cのアルコキシ基から選ばれる少なくとも 1個
6 10 1 4
の置換基で置換された C〜C のシクロアルキレン基力 選ばれる少なくとも 1種の基
5 10
であり、 Rはじ〜C の無置換アルキレン基、 C〜C のァリール基、 C〜Cのアルキ
5 1 12 6 10 1 4 ル基及び c〜Cのアルコキシ基力 選ばれる少なくとも 1個の置換基で置換された C
1 4
〜c のアルキレン基、 c〜c の無置換ォキシアルキレン基、 c〜c のァリール基
2 12 2 12 6 10
及び C〜Cのアルコキシ基力 選ばれる少なくとも 1個の置換基で置換された C〜
1 4 2
C のォキシアルキレン基、 c〜c の無置換シクロアルキレン基、及び、 c〜c のァ
リール基及び c〜
1 Cのアルコキシ基力 選ばれる少なくとも 1個の置換基で置換され 4
た C〜C のシクロアルキレン基、力 選ばれる少なくとも 1種の基であり、 Rは C〜C
5 10 6 6 の無置換ァリーレン基、及び、 c〜cのアルキル基及び c〜cのアルコキシ基か
10 1 4 1 4
ら選ばれる少なくとも 1個の置換基で置換された c〜
6 c のァリーレン基、力 選ばれ 10
る少なくとも 1種の基である。 )
10.前記脂肪族一芳香族コポリエステルが(i)ジカルボン酸、その誘導体及び ii)ジ オールカゝら選ばれる少なくとも 1種のポリエステル形成化合物カゝら調製されることを特 徴とする前記 6または 9に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
[0031] 11.前記形成材料が酸化防止剤を少なくとも 1種含有することを特徴とする前記 1
〜 10の!、ずれか 1項に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
[0032] 12.前記酸ィ匕防止剤として、ヒンダードフエノール系酸ィ匕防止剤を少なくとも 1種、 またはリン系酸ィ匕防止剤を少なくとも 1種含有することを特徴とする前記 11に記載の セルロースエステルフィルムの製造方法。
[0033] 13.前記リン系酸ィ匕防止剤がホスホナイト系であることを特徴とする前記 12に記載 のセルロースエステルフィルムの製造方法。
[0034] 14.前記酸化防止剤として、耐熱加工安定剤を少なくとも 1種含有することを特徴と する前記 11に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
[0035] 15.前記耐熱加工安定剤が、下記一般式 (E)または、下記一般式 (F)で表される 化合物であることを特徴とする前記 14に記載のセルロースエステルフィルムの製造 方法。
[0036] [化 5]
[0037] (式中、 R1は水素原子または炭素数 1〜10のアルキル基を表し、 および Rま、そ
れぞれ独立して炭素数 1〜8のアルキル基を表す。 )
[0038] [化 6] 般
[0039] (式中、 R 〜R はおのおの互いに独立して水素原子または置換基を表し、 R は水
12 15 16 素
原子または置換基を表し、 nは 1または 2を表す。 nが 1であるとき、 R は置換基を表
11
し、 nが 2であるとき、 R は 2価の連結基を表す。 )
11
16.酸ィ匕防止剤として、ヒンダードフエノール系酸ィ匕防止剤を少なくとも 1種と、リン 系酸化防止剤を少なくとも 1種と、耐熱加工安定剤を少なくとも 1種とを含有すること を特徴とする前記 11に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
[0040] 17.前記酸ィヒ防止剤がフエノール部及びヒンダードアミン部を有する酸ィヒ防止剤で あることを特徴とする前記 11に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
[0041] 18.前記フエノール部及びヒンダードアミン部を分子中に有する化合物が下記一般 式 (I)で表されるヒドロキシベンジルマロン酸エステル誘導体又はその酸付加塩であ ることを特徴とする前記 11に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
[0043] (式中、 nは 1または 2を表し、 Ra、 Rb及び Rdは炭素数 1〜6のアルキル基を表し、 Rc
は炭素数 1〜9のアルキル基を表し、 Reは水素原子または炭素原子 1〜5のアルキ ル基を表し、 Rfは水素原子または炭素原子 1〜5のアルキル基を表す。但し、 Re及 び Rfは相互に交換可能であり、 Xは O 基または NR—基 (該基中、 Rは水素原 子、アルキル Rは水素原子、—O—、炭素原子 1〜 12のアルキ
1
ル基、炭素原子 3または 4のアルケニル基を表し、または Rが A— CO 基を表し、伹
1
し Aは炭素原子 1〜 12のアルキル基を表す。
[0044] Rが下記一般式 (II)
2
[0045] [化 8]
[0046] (式中、 R及び Rはそれぞれ炭素原子 1〜9のアルキル基を表し、 Rは水素原子また
6 7 8
はメチル基を表す。 )
で表されるヒドロキシベンジル基を表し、 Rは nが 1のとき、炭素原子 1〜20の無置換
3
のアルキル基、 COOR 基、 OCOR 又は P (0) (OR )基 (該基中、 R は炭
12 13 14 2 12 素原子、 1〜18のアルキル基又は下記一般式 (III)
[0047] [化 9]
(式中、 R、 Ra、 Rb、 Rc、 Rd、 Re及び Rfは前記一般式 (I)のそれらと同義である。 )
1
で表される基を表し、 R は無置換の炭素数 1〜4のアルキル基又は水酸基で置換さ
13
れてもよいフエ二ル基を表し、 R は炭素数 1〜8のアルキル基を表す。)
で表される基で置換されている炭素数 1〜 10のアルキル基を表し、更に、 Rは炭素
3 数 3〜 18のァルケ-ル基、炭素数 7〜 19のァラルキル基、フエ-ル基を表す。
[0049] また Rは OCOR 基 (該基中、 R は炭素数 1〜12のアルキル基、各々炭素数 1
3 16 16
〜4の 2個のアルキル基又は水酸基で置換されていてもよいフエ二ル基を表す。)、 NHCOR (R は炭素数 1〜12のアルキル基を表す。)で表される基を表し、更に
16 16
Rは nが 2のとき、結合手又は炭素数 1〜20のアルキレン基を表す。 )
3
19.前記 1〜 18の!、ずれ力 1項に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法 によって製造されることを特徴とするセルロースエステルフィルム。
[0050] 20.前記 19に記載のセルロースエステルフィルムを有することを特徴とする偏光板
[0051] 21.前記 20に記載の偏光板を用いることを特徴とする液晶表示装置。
発明の効果
[0052] 本発明によるセルロースエステルフィルムの製造方法、セルロースエステルフィルム 、偏光板及び液晶表示装置は、製膜時に溶媒を使用しない溶融流延によって製造 され、輝点異物が少なぐ平面性に優れ、着色が少なぐ寸法安定性に優れた効果 を有する。
図面の簡単な説明
[0053] [図 1]本発明に係るセルロースエステルフィルムの製造方法を実施する装置の 1つの 実施形態を示す概略フローシートである。
[図 2]図 1の製造装置の要部拡大フローシートである。
[図 3]図 3 (a)は流延ダイの要部の外観図、図 3 (b)は流延ダイの要部の断面図である [図 4]挟圧回転体の第 1実施形態の断面図である。
[図 5]挟圧回転体の第 2実施形態の回転軸に垂直な平面での断面図である。
[図 6]挟圧回転体の第 2実施形態の回転軸を含む平面での断面図である。
発明を実施するための最良の形態
[0054] 以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する力 本発明はこ れらに限定されるものではない。
[0055] 本発明は、セルロース榭脂を熱溶融することによって製膜する方法を究明するため になされたもので、我々は、鋭意検討の結果、前記一般式(1)で表される有機酸と多 価アルコールが縮合した、分配係数が 1〜7. 5であるエステル化合物と、セルロース エステルとを含有する形成材料を溶融流延法によりフィルム状とするセルロースエス テルフィルムにより、輝点異物、着色が改良できることを見出した。さらに、驚くべきこ とに、上記フィルム形成材料と溶融流延法との組み合わせによりフィルムの平面性が よぐ寸法安定性に優れたセルロースエステルフィルムが得られることを見出し、本発 明を完成させるに至ったものである。尚、前記一般式(1)で表される有機酸と多価ァ ルコールが縮合した、分配係数が 1〜7. 5であるエステルイ匕合物は、本発明のセル ロースエステルフィルム中において可塑剤として使用されるものである。
[0056] <有機酸と多価アルコ一ルが縮合したエステル化合物 >
前記一般式(1)において、 R
1〜Rは水素原子またはシクロアルキル基、ァラルキル 5
基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、ァリールォキシ基、ァラルキルォキシ基、ァシ ル基、カルボニルォキシ基、ォキシカルボニル基、ォキシカルボ二ルォキシ基を表し 、これらはさらに置換基を有していて良い。 Lは 2価の連結基を表し、置換または無置 換のアルキレン基、酸素原子、または直接結合を表す。
[0057] R
1〜Rで表されるシクロアルキル基としては、同様に炭素数 3
5 〜8のシクロアルキル 基が好ましぐ具体的にはシクロプロピル、シクロペンチル、シクロへキシル等の基で ある。これらの基は置換されていてもよぐ好ましい置換基としては、ハロゲン原子、例 えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等、ヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシ 基、シクロアルコキシ基、ァラルキル基(このフエ-ル基にはアルキル基またはハロゲ ン原子等によってさらに置換されていてもよい)、ビュル基、ァリル基等のァルケ-ル 基、フエ-ル基(このフエ-ル基にはアルキル基またはハロゲン原子等によってさらに 置換されていてもよい)、フエノキシ基(このフエ-ル基にはアルキル基またはハロゲン 原子等によってさらに置換されていてもよい)、ァセチル基、プロピオニル基等の炭素 数 2〜8のァシル基、またァセチルォキシ基、プロピオ-ルォキシ基等の炭素数 2〜8 の無置換のカルボ-ルォキシ基等が挙げられる。
[0058] R〜Rで表されるァラルキル基としては、ベンジル基、フエネチル基、 Ύ フエニル
プロピル基等の基を表し、また、これらの基は置換されていてもよぐ好ましい置換基 としては、前記のシクロアルキル基に置換してもよい基を同様に挙げることができる。
[0059] R〜Rで表されるアルコキシ基としては、炭素数 1〜8のアルコキシ基が挙げられ、
1 5
具体的には、メトキシ、エトキシ、 n—プロポキシ、 n—ブトキシ、 n—ォクチルォキシ、 イソプロポキシ、イソブトキシ、 2—ェチルへキシルォキシ、もしくは t—ブトキシ等の各 アルコキシ基である。また、これらの基は置換されていてもよぐ好ましい置換基として は、ハロゲン原子、例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等、ヒドロキシル基、ァ ルコキシ基、シクロアルコキシ基、ァラルキル基(このフエ-ル基にはアルキル基また はハロゲン原子等を置換していてもよい)、ァルケ-ル基、フエ-ル基(このフエ-ル 基にはアルキル基またはハロゲン原子等によってさらに置換されていてもよい)、ァリ ールォキシ基(例えばフエノキシ基(このフエ-ル基にはアルキル基またはハロゲン原 子等によってさらに置換されていてもよい))、ァセチル基、プロピオニル基等のァシ ル基が、またァセチルォキシ基、プロピオ-ルォキシ基等の炭素数 2〜8の無置換の ァシルォキシ基、またベンゾィルォキシ基等のァリールカルボ-ルォキシ基が挙げら れる。
[0060] R〜Rで表されるシクロアルコキシ基としては、無置換のシクロアルコキシ基として
1 5
は炭素数 1〜8のシクロアルコキシ基が挙げられ、具体的には、シクロプロピルォキシ 、シクロペンチルォキシ、シクロへキシルォキシ等の基が挙げられる。また、これらの 基は置換されていてもよぐ好ましい置換基としては、前記のシクロアルキル基に置換 してもょ 、基を同様に挙げることができる。
[0061] R〜Rで表されるァリールォキシ基としては、フエノキシ基が挙げられる力 このフエ
1 5
-ル基にはアルキル基またはハロゲン原子等前記シクロアルキル基に置換してもよ
V、基として挙げられた置換基で置換されて 、てもよ 、。
[0062] R〜Rで表されるァラルキルォキシ基としては、ベンジルォキシ基、フエネチルォキ
1 5
シ基等が挙げられ、これらの置換基は更に置換されていてもよぐ好ましい置換基と しては、前記のシクロアルキル基に置換してもよ 、基を同様に挙げることができる。
[0063] R〜Rで表されるァシル基としては、ァセチル基、プロピオニル基等の炭素数 2〜
1 5
8の無置換のァシル基が挙げられ (ァシル基の炭化水素基としては、アルキル、アル
ケニル、アルキ-ル基を含む。)、これらの置換基は更に置換されていてもよぐ好ま し 、置換基としては、前記のシクロアルキル基に置換してもよ 、基を同様に挙げるこ とがでさる。
[0064] R〜Rで表されるカルボ-ルォキシ基としては、ァセチルォキシ基、プロピオ-ル
1 5
ォキシ基等の炭素数 2〜8の無置換のァシルォキシ基 (ァシル基の炭化水素基として は、アルキル、ァルケ-ル、アルキ-ル基を含む。)、またベンゾィルォキシ基等のァ リールカルボ-ルォキシ基が挙げられる力 これらの基は更に前記シクロアルキル基 に置換してもよ 、基と同様の基により置換されて 、てもよ 、。
[0065] R〜Rで表されるォキシカルボ-ル基としては、メトキシカルボ-ル基、エトキシカ
1 5
ルボニル基、プロピルォキシカルボ-ル基等のアルコキシカルボ-ル基、またフエノ キシカルボ-ル基等のァリールォキシカルボ-ル基を表す。これらの置換基は更に 置換されていてもよぐ好ましい置換基としては、前記のシクロアルキル基に置換して もよ 、基を同様に挙げることができる。
[0066] また、 R〜Rで表されるォキシカルボ-ルォキシ基としては、メトキシカルボ-ルォ
1 5
キシ基等の炭素数 1〜8のアルコキシカルボ二ルォキシ基を表し、これらの置換基は 更に置換されていてもよぐ好ましい置換基としては、前記のシクロアルキル基に置換 してもょ 、基を同様に挙げることができる。
[0067] また、 Lで表される連結基としては、置換または無置換のアルキレン基、酸素原子、 または直接結合を表すを表すが、アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プ ロピレン基等の基であり、これらの基は、更に前記の R〜Rで表される基に置換して
1 5
もよ 、基としてあげられた基で置換されて 、てもよ!、。
[0068] 中でも、 Lで表される連結基として特に好ましいのは直接結合であり芳香族カルボ ン酸である。
[0069] またこれら本発明にお ヽて可塑剤となるエステルイ匕合物を構成する、前記一般式( 1)で表される有機酸としては、 R〜Rが水素原子、または、少なくとも 1つの R〜R
1 5 1 5 に前記アルコキシ基、ァシル基、ォキシカルボ-ル基、カルボ-ルォキシ基、ォキシ カルボ-ルォキシ基を有するものが好ましい。さらに、好ましくは R〜Rの少なくとも 2
1 5
つ、さらに好ましくは R〜Rの少なくとも 3つ力 前記アルコキシ基、ァシル基、ォキシ
カルボ-ル基、カルボ-ルォキシ基、ォキシカルボ-ルォキシ基を有するものが好ま しい。 R又は R又は Rの少なくとも 1つに前記アルコキシ基、ァシル基、ォキシカル
1 2 5
ボニル基、カルボ-ルォキシ基、ォキシカルボ-ルォキシ基を有することが好ましい。
[0070] なお本発明においては 2価以上の多価アルコールの水酸基を置換する有機酸は 単一種であっても複数種であってもよ!/、。
[0071] 本発明において、前記一般式(1)で表される有機酸と反応して多価アルコールェ ステルイ匕合物を形成する 2価以上の多価アルコールィ匕合物としては、好ましくは 2〜 20価の脂肪族多価アルコールであり、本発明おいて 2価以上の多価アルコールは 下記の一般式(2)で表されるものが好ま U、。
[0072] 一般式(2) R' 一(OH) m
式中、!^ は m価の有機基、 mは 2以上の正の整数、 OH基はアルコール性水酸基 を表す。特に好ましいのは、 mとしては 2〜4の範囲である多価アルコールである。
[0073] 好ましい多価アルコールの例としては、例えば以下のようなものを挙げることが出来 る力 本発明はこれらに限定されるものではない。アド-トール、ァラビトール、 1, 2, 4—ブタントリオール、 1, 2, 3—へキサントリオール、 1, 2, 6—へキサントリオール、 グリセリン、ジグリセリン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、 トリペンタエリスリトール、ガラクチトー
ル、グルコース、セロビオース、イノシトール、マンニトール、 3—メチノレペンタン一 1, 3, 5—トリオ一ノレ、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロール ェタン、キシリトール等を挙げることが出来る。特に、グリセリン、トリメチロールェタン、 トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが好ましい。
[0074] 一般式(1)で表される有機酸と多価アルコールのエステルは、公知の方法により合 成できる。実施例に代表的合成例を示したが、前記一般式(1)で表される有機酸と、 多価
アルコールを例えば、酸の存在下縮合させエステルイ匕する方法、また、有機酸を予 め酸ク
口ライド或いは酸無水物としておき、多価アルコールと反応させる方法、有機酸のフエ
ルエステルと多価アルコールを反応させる方法等があり、 目的とするエステルイ匕合物 によ
り、適宜、収率のよい方法を選択することが好ましい。
[0075] この様にして得られる多価アルコールエステルの分子量は特に制限はないが、 30 0〜
1500であること力 S好ましく、 400〜1000であることが更に好ましい。分子量が 大き 、方が揮発し難くなるため好ま 、。
[0076] 添カ卩量は、セルロールエステルに対して、 0. 1〜30質量部することが好ましぐより 好ましくは 1〜25質量部、さらに好ましくは 5〜20質量部である。
[0077] 一般式(1)で表される有機酸と多価アルコールが縮合したエステルイ匕合物は、分 配係数が 1〜7. 5である化合物である。本発明における分配係数は、オタタノール' 水分配係数(logP値)のことをさし、 Crippen' s fragmentation法(J. Chem. Inf. Comput. Sci. , 27, 21 (1987) . )により求めた値である。 logP値力 7. 5を超える 化合物は、セルロースエステルとの相溶性が悪いため、溶融時に混合が不十分とな り、輝点異物が発生しやすぐまた形成後のフィルムも白濁や粉吹きを生じやすい。 また、 logP値が 1よりも小さ 、ィ匕合物は親水性が高 、ためにセルロースエステルフィ ルムの耐水性を悪化させる場合がある。 logP値としてさらに好ましい範囲は 4. 0〜6 . 5であり、特に好ましい範囲は 5. 0〜6. 3である。
[0078] ォクタノール ·水分配係数 (logP値)の測定は、 JIS日本工業規格 Z7260 - 107 (2000)に記載のフラスコ浸とう法により実施することができる。また、オタ タノール'水分配係数 (logP値)は実測に代わって、計算化学的手法あるいは経験的 方法により見積もることも可能である。計算方法としては、 Crippen' s fra gmentation法 (J. Chem. Inf. Comput. Sci. , 27, 21
(1987) . )、 Viswanadhan' sfragmentation法 (J. C
hem. Inf. Comput. Sci. , 29, 163 (1989) . Broto
' s fragmentation法 (Eur. J. Med. Chem. — Chim. T
heor. , 19, 71 (1984) . )など力 ^好ましく用!ヽられる力 Crippen
' s fragmentation法 (J. Chem. Inf. Comput. Sci.
, 27, 21 (1987) . )がより好ましい。ある化合物の logPの値が測定方法あ るいは計算方法により異なる場合に、該化合物が本発明の範囲内であるかどうかは、
Cr
ippen' s fragmentation法により判断することが好まし!/ヽ。
[0079] 本明細書に記載の logPの値は、化合物の構造式より、 Cambridge Sof
t社製、 Chem Draw Ultra ver. 0. 1の CS ChemPropに
より Crippen' s fragmentation: J. Chem. Inf. Com
put. Sci. , 27, 21 (1987) .にもとづいて計算を行って求めたものであ
る。
[0080] 以下に、本発明に係わるエステル化合の具体的化合物を例示するが、本発明はこ れらに限定されるものではない。なお、構造式に併記した値は、分配係数の値と分子 量を表す。
[0081] [化 10]
[0082] [化 11]
/ O0/-0SAV 069v:/fcl£ s/J3£900z
§ε00
0S06.
s9800
[9ΐ^ ] [ 800]
SZ.l Z€/900idf/X3d zz 0617690/Ζ.00Σ OAV
86800
489 446.49 logP 7.63 logP6.16
<脂肪族ポリエステル >
本発明において有用な脂肪族ポリエステルの 1つのタイプは、好ましくは前記反復 位
(a)及び (b)力も選ばれる少なくとも 1種の反復単位を含む:
前記反復単位(a)において、 mは 0〜 10の整数であり、 R は水素原子、 C 〜C の
10 1 12 無置換アルキル基、 c 〜c のァリール基及び c 〜cのアルコキシ基力 選ばれる
6 10 1 4
少なくとも 1個の置換基で置換された C 〜C のアルキル基、 C 〜C の無置換シクロ
1 12 5 10
アルキル基、 c 〜c のァリール基及び c 〜cのアルコキシ基力 選ばれる少なくと
6 10 1 4
も 1個の置換基で置換された C 〜C のシクロアルキル基、力 選ばれる少なくとも 1
5 10
種の基である。
[0092] もう一つのタイプの反復単位は、前記反復単位 (b)で構成されて 、るポリヒドロキシ アルカノエートである。
[0093] 反復単位(b)において、 Rは C 〜C の無置換アルキレン基、 C 〜C のァリール
8 2 12 6 10
基、 C 〜Cのアルキル基及び C 〜Cのアルコキシ基から選ばれる少なくとも 1個の
1 4 1 4
置換基で置換された C 〜C のアルキレン基、 C 〜C の無置換ォキシアルキレン基
2 12 2 12
、 C 〜C のァリール基及び C 〜Cのアルコキシ基力 選ばれる少なくとも 1個の置
6 10 1 4
換基で置換されたォキシアルキレン基、 C 〜C の無置換シクロアルキレン基、及び
5 10
C 〜C のァリール基及び C 〜Cのアルコキシ基力 選ばれる少なくとも 1個の置換
6 10 1 4
基で置換された C 〜C のシクロアルキレン基、力 選ばれる少なくとも 1種の基であ
5 10
り、 Rは C 〜C の無置換アルキレン基、 C 〜C のァリール基及び C 〜Cのァルコ
9 2 12 6 10 1 4 キシ基力 選ばれる少なくとも 1個の置換基で置換された C 〜C のアルキレン基、 C
2 12 2
〜c の無置換ォキシアルキレン基、 c 〜c のァリール基、 c 〜cのアルキル基及
12 6 10 1 4
び C 〜Cのアルコキシ基から選ばれる少なくとも 1個の置換基で置換された C 〜C
1 4 2 12 のォキシアルキレン基、 c 〜c の無置換シクロアルキレン基、及び、 c 〜c のァリ
5 10 6 10 ール基及び C 〜Cのアルコキシ基から選ばれる少なくとも 1個の置換基で置換され
1 4
た C 〜C のシクロアルキレン基、力 選ばれる少なくとも 1種の基である。
5 10
[0094] 本発明にお ヽては、前記脂肪族ポリエステルが、 (i)ヒドロキシ酸、そのエステル形 成性誘導体、 (ii)ジカルボン酸、その誘導体又は (iii)ジオール力 選ばれる少なくと も 1種のポリエステル形成物力も調製されることも好ま 、。
[0095] ヒドロキシ酸としては、例えば、 4 (ヒドロキシメチル)シクロへキサン一カルボキシ ル酸、ヒドロキシトリメチル酢酸、 6—ヒドロキシ一力プロン酸、グリコール酸、乳酸
、そのエステル形成誘導体及びその組合せから成るグループの中から選択され、ジ カノレボ
キシル酸としては、例えばマロン酸、スクシン酸、ダルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸
、ァゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、 2, 2—ジメチルダルタル酸、スベリン酸、 1 , 3 シクロペンタンジカルボキシル酸、 1, 4ーシクロへキサンジカルボキシル酸、 1 , 3 シクロへキサンジカルボキシル酸、ジグリコール酸、ィタコン酸、マレイン酸、 2 , 5—ノルボルナネジカルボキシル酸、そのエステル形成誘導体及びその組合せとい つた
ジ酸から成る群の中から選択され、ジオールとしては、例えばエチレングリコール、プ 口
ピレンダリコール、 1, 3 プロパンジオール、 2, 2 ジメチルー 1, 3 プロパンジ オール、 1, 3 ブタンジオール、 1, 4 ブタンジオール、 1, 5 ペンタンジオール 、 1, 6 へキサンジオール、 2, 2, 4 トリメチル—1, 6 へキサンジオール、チ オジェタノール、 1, 3 シクロへキサンジメタノール、 1, 4ーシクロへキサンージメ タノール、 2, 2, 4, 4ーテトラメチルー 1, 3 シクロブタンージオール、ジェチレ ングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレンダリコール及びその組合せから 成るグループの中から選択される。
[0096] 好ましい脂肪族ポリエステルの具体例としては、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒド ロキシブチレートとポリヒドロキシバレレートの共重合体、ポリ(グルタル酸へキサメチ レン)、ポリ(アジピン酸へキサメチレン)、ポリ(セバシン酸エチレン)、ポリ(グル タル酸テトラメチレン)、ポリ(アジピン酸テトラメチレン)、ポリ(セバシン酸テトラ メチレン)、ポリ(グルタル酸エチレン)、ポリ(コハク酸エチレン)、ポリ(コハク酸 テトラメチレン)又はポリ(アジピン酸エチレン)が含まれる。
[0097] <脂肪族一芳香族コポリエステル >
本発明において有用な脂肪族一芳香族コポリエステルは、ランダム共重合体であり 、好
ましくは、前記反復単位 (c)で表される反復単位である。
[0098] 反復単位(c)にお!/、て、 R及び Rはそれぞれ C〜C の無置換アルキレン基、 C
〜c のァリール基、 c〜cのアルキル基及び c〜cのアルコキシから選ばれる少
10 1 4 1 4
なくと 1個の置換基で置換された C〜C のアルキレン基、 C〜C の無置換ォキシァ
2 12 2 12
ルキレン基、 c〜C のァリール基及び C〜Cのアルコキシから選ばれる少なくと
6 10 1 4 1個 の置換基で置換された C〜C のォキシアルキレン基、 C〜C の無置換シクロアル
2 12 5 10
キレン基、及び、 c〜
6 c のァリール基及び
10 c〜
1 cのアルコキシ基から選ばれる少な 4
くとも 1個の置換基で置換された C〜C のシクロアルキレン力 選ばれる少なくとも
5 10 1 種の基であり、 Rは C〜C の無置換アルキレン基、 C〜C のァリール基、 C〜C
5 1 12 6 10 1 4 のアルキル基及び C〜Cのアルコキシ基力 選ばれる少なくとも
1 4 1個の置換基で置 換された c〜c のアルキレン基、 c〜 の無置換ォキシアルキレン
2 c 基、
12 c〜
6 c の
2 12 10 ァリール基及び c〜Cのアルコキシ基力 選ばれる少なくとも 1個の置換基で置換さ
1 4
れた C〜C のォキシアルキレン基、 C〜C の無置換シクロアルキレン基、及び、 C
2 12 5 10 6
〜C のァリール基及び C〜Cのアルコキシ基から選ばれる少なくとも 1個の置換基
10 1 4
で置換された c〜C のシクロアルキレン基、力 選ばれる少なくとも
5 10 1種の基であり、
Rは C〜C の無置換ァリーレン基、及び、 C〜Cのアルキル基及び C〜Cのアル
6 6 10 1 4 1 4 コキシ基力も選ばれる少なくとも 1個の置換基で置換された c〜 のァリーレン基、
6 c 10
力 選ばれる少なくとも 1種の基である。
[0099] 前記一般式 4で表される脂肪族一芳香族コポリエステルは、ジカルボン酸又はその 誘導
体とジオールの任意のポリエステル形成組合せ力 調製される。
[0100] 上記ジカルボン酸としては、例えばマロン酸、スクシン酸、グルタル酸、アジピン酸、 ピメリン酸、ァゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、 2, 2—ジメチルダルタル酸、スべ リン酸、 1, 3—シクロペンタンジカルボキシル酸、 1—4ーシクロへキサンジカルボキ シル酸、 1, 3—シクロへキサンジカルボキシル酸、ジグリコール酸、ィタコン酸、マレ イン酸、 2, 5—ノルボルナネジカルボキシル酸、 1, 4ーテレフタル酸、 1, 3—テレ フタル酸、フタル酸、 2, 6—ナフトイン酸、 1, 5—ナフトイン酸及びそのエステル形 成誘導体及びそれらの組合せといったピロ酸から成る群の中から選択され、上記ジ オール
はとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール
、 1, 3 プロパンジオール、 2, 2 ジメチルー 1, 3 プロパンジオール、 1, 3— ブタンジオール、 1, 4 ブタンジオール、 1, 5 ペンタンジオール、 1, 6 へキサ ンジオール、 2, 2, 4 トリメチルー 1, 6 へキサンジオール、チォジエタノール、 1, 3 シクロへキサンジメタノール、 1, 4ーシクロへキサンジメタノール、 2, 2, 4, 4ーテトラメチルー 1, 3 シクロブタンジオール、トリエチレングリコール、テト ラエチレングリコール、及びその組合せから成る群の中から選択される。
[0101] 好ましい化合物は、以下のモル%で以下のジオール及びジ酸(又はそのポリエステ ル形
成誘導体)カゝら調製されるものである:
(1)グルタル酸(30〜65%);ジグリコール酸(0〜10モル0 /0);テレフタル 酸(25〜60%) ; 1, 4 ブタンジオール(100モル0 /0)。
[0102] (2)コハク酸(30〜85%);ジグリコール酸(0〜10%);テレフタル酸(5
〜60%) ; 1, 4 ブタンジオール(100モル0 /0)。
[0103] (3)アジピン酸(30〜65%);ジグリコール酸(0〜 10%);テレフタル酸(
25〜60%) ; 1, 4 ブタンジオール(100モル0 /0)。
[0104] (4)コハク酸(30〜95%);テレフタル酸(5〜60%);エチレングリコール
(70〜100モル%);ジエチレングリコール(0〜30モル0 /0)。
(5)コハク酸(30〜100%);ジグリコール酸(0〜70%);エチレングリコール(30〜1
00%) ; 1, 4 ブタンジオール(0〜70モル0 /0)。
[0105] 炭素数の平均が 2〜3. 5であるジオールと、炭層数の平均が 4〜5. 5であるジカル ボン酸を含有する脂肪族ポリエステル、脂肪族一芳香族コポリエステルが好ま ヽ。
[0106] 尚、本発明において、本発明のポリエステルィ匕合物、ポリエステル化合物の添カロ量 は、セルロールエステルに対して、 0. 1〜30質量部、好ましくは 1〜25質量部、より 好
ましくは 5〜20質量部である。
[0107] 本発明に係わる可塑剤である前記一般式(1)で表される有機酸と多価アルコール 力もなるエステルイ匕合物は、セルロースエステルに対する相溶性が高ぐ高添加率で
添加することができる特徴があるため、他の可塑剤や添加剤を併用してもブリードア ゥトを発生することがなぐ必要に応じて他種の可塑剤や添加剤を容易に併用するこ とがでさる。
[0108] 併用できるその他の可塑剤としては、脂肪族カルボン酸 多価アルコール系可塑 剤、特開 2003— 12823公報段落 30〜33に記載されているような、無置換の芳香 族カルボン酸またはシクロアルキルカルボン酸 多価アルコールエステル系可塑剤 、あるいはジォクチルアジペート、ジシクロへキシルアジペート、ジフエニルサクシネー ト、ジ 2 ナフチル一 1, 4 シクロへキサンジカルボキシレート、トリシクロへキシルトリ 力ルバレート、テトラ 3 メチルフエ-ルテトラヒドロフラン 2, 3, 4, 5—テトラカルボ キシレート、テトラプチルー 1, 2, 3, 4ーシクロペンタンテトラカルボキシレート、トリフ ェ-ルー 1, 3, 5 シクロへキシルトリカルボキシレート、トリフエ-ルベンゼン 1, 3, 5—テトラカルボキシレート、フタル酸系可塑剤(例えばジェチルフタレート、ジメトキ シェチルフタレート、ジメチルフタレート、ジォクチルフタレート、ジブチルフタレート、 ジ 2—ェチルへキシルフタレート、ジォクチルフタレート、ジシクロへキシルフタレ一 ト、ジシクロへキシルテレフタレート、メチルフタリルメチルダリコレート、ェチルフタリル ェチルダリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチノレフタリノレブチノレグリ コレート等)、クェン酸系可塑剤(タエン酸ァセチルトリメチル、クェン酸ァセチルトリエ チル、タエン酸ァセチルトリブチル等)等の多価カルボン酸エステル系可塑剤、トリフ ェ-ルホスフェート、ビフエ-ルジフエ-ルホスフェート、ブチレンビス(ジェチノレホスフ エート;)、エチレンビス(ジフエ二ノレホスフェート;)、フエ-レンビス(ジブチノレホスフエー ト)、フエ-レンビス(ジフヱ-ルホスフェート)(旭電化製アデカスタブ PFR)、フエ-レ ンビス(ジキシレニルホスフェート)(旭電化製アデカスタブ FP500)、ビスフエノール A ジフヱ-ルホスフェート(旭電化製アデカスタブ FP600)等のリン酸エステル系可塑 剤、ポリマー可塑剤、炭水化物エステル系可塑剤などが挙げられる。
[0109] 炭水化物エステル系可塑剤について説明する。炭水化物とは、糖類カ^ラノースま たはフラノース(6員環または 5員環)の形態で存在する単糖類、二糖類または三糖 類を意味する。炭水化物の非限定的例としては、グルコース、サッカロース、ラタトー ス、セロビオース、マンノース、キシロース、リボース、ガラクトース、ァラビノース、フル
クトース、ソルボース、セロトリオース及びラフイノース等が挙げられる。炭水化物エス テルとは、炭水化物の水酸基とカルボン酸が脱水縮合してエステルイ匕合物を形成し たものを指し、詳しくは、炭水化物の脂肪族カルボン酸エステル、或いは芳香族カル ボン酸エステルを意味する。脂肪族カルボン酸として、例えば酢酸、プロピオン酸等 を挙げることができ、芳香族カルボン酸として、例えば安息香酸、トルィル酸、了ニス 酸等を挙げることができる。炭水化物は、その種類に応じた水酸基の数を有するが、 水酸基の一部とカルボン酸が反応してエステル化合物を形成しても、水酸基の全部 とカルボン酸が反応してエステルイ匕合物を形成してもよい。本発明においては、水酸 基の全部とカルボン酸が反応してエステルイ匕合物を形成するのが好ましい。
[0110] 炭水化物エステル系可塑剤として、具体的には、グルコースペンタアセテート、ダル コースペンタプロピオネート、グルコースペンタブチレート、サッカロースォクタァセテ ート、サッカロースォクタべンゾエート等を好ましく挙げることができ、この内、サッカロ ースォクタアセテートがより好まし!/、。
[0111] また、ポリマー可塑剤として、例えば、脂肪族炭化水素系ポリマー、脂環式炭化水 素系ポリマー、ポリアクリル酸ェチル、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチルとメタ クリル酸 2—ヒドロキシェチルとの共重合体、アクリル酸とメタクリル酸メチルとメタタリ ル酸ー 2—ヒドロキシェチルとの共重合体等のアクリル系ポリマー、ポリビュルイソブ チルエーテル、ポリ N—ビュルピロリドン等のビュル系ポリマー、ポリスチレン、ポリ 4 —ヒドロキシスチレン等のスチレン系ポリマー、ポリエチレンォキシド、ポリプロピレンォ キシド等のポリエーテノレ、ポリアミド、ポリウレタン、ポリウレァ等が挙げられる。
[0112] し力しリン酸系可塑剤はセルロースエステルの溶融製膜に使用すると着色が発生し やすいため、フタル酸エステル系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、クェン 酸エステル系可塑剤、炭水化物エステル系可塑剤、アクリル酸ポリマー可塑剤を使 用することが好ましい。
[0113] (セルロースエステル)
次に、本発明に用いられるセルロースエステルについて、詳述する。
[0114] 本発明のセルロースエステルフィルムは、溶融流延法により製造される。溶融流延 法は
フィルム製造時の有機溶媒使用量を、大幅に少なくすることが出来るため、従来の有 機溶
媒を多量に使用する溶液流延法に比較して、環境適性が大幅に向上したフィルムが 得られ
る。
[0115] 本発明における溶融流延とは、実質的に溶媒を用いずにセルロースエステルを流 動性を
示す温度まで加熱溶融しこれを用いて製膜する方法であり、例えば流動性のセル口 ースェ
ステルをダイスカゝら押し出して製膜する方法である。なお溶融セルロースエステルを 調製
する過程の一部で溶媒を使用してもよいが、フィルム状に成形を行う溶融製膜プロセ スに
お!ヽては溶媒を用いずに成形加工する。
[0116] 光学フィルムを構成するセルロースエステルとしては、溶融製膜可能なセルロース エス
テルであれば特に限定はされないが、本発明に係るセルロースエステルは、脂肪酸 ァシル基、置換もしくは無置換の芳香族ァシル基の中から少なくともいずれかの構造 を含む、セルロースの前記単独または混合酸エステルであることが好ま 、。
[0117] 芳香族ァシル基において、芳香族環がベンゼン環であるとき、ベンゼン環の置換基 の例
としてハロゲン原子、シァ入アルキル基、アルコキシ基、ァリール基、ァリールォキシ 基、ァシル基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、ウレイド基、ァラルキル基、 -ト 口、アルコキシカルボ-ル基、ァリールォキシカルボ-ル基、ァラルキルォキシカルボ ル基、力ルバモイル基、スルファモイル基、ァシルォキシ基、ァルケ-ル基、アルキ- ル
基、アルキルスルホ-ル基、ァリールスルホ-ル基、アルキルォキシスルホ -ル基、ァ
y
一ルォキシスルホ -ル基、アルキルスルホ -ルォキシ基及びァリールォキシスルホ- ル基
S— R NH— CO— OR PH— R P (— R) PH— O— R P
2
(一 R) (— O— R) -P (-O-R) -PH ( = 0) -R-P ( = 0) (一 R)
2 2
PH ( = 0)— O— R P ( = 0) (— R) (— O— R) P ( = 0) (— O—
R) O— PH ( = 0)— R O— P ( = 0) (— R) — O— PH ( = 0)— O—
2 2
R、 一 O— P ( = 0) (— R) (— O— R)、 一 O— P ( = 0) (-O-R) 、 一 NH
2
一 PH ( = 0)— R、 一 NH— P ( = 0) (— R) (— O— R)、 一 NH— P ( = 0) (
-O-R) SiH— R -SiH (-R) Si (— R) O— SiH—
2 2 2 3 2
R -O-SiH (-R)及び— O— Si (— R) が含まれる。上記 Rは脂肪族基、芳
2 3
香族基またはへテロ環基である。置換基の数は、 1個〜五個であることが好ましぐ 1 個
〜4個であることがより好ましぐ 1個〜 3個であることが更に好ましぐ 1個または二 個であることが最も好ましい。置換基としては、ハロゲン原子、シァ入アルキル基、ァ ルコキシ基、ァリール基、ァリールォキシ基、ァシル基、カルボンアミド基、スルホンァ ミド基及びウレイド基が好ましぐハロゲン原子、シァ入アルキル基、アルコキシ基、 ァリールォキシ基、ァシル基及びカルボンアミド基がより好ましぐハロゲン原子、シァ 入アルキル基、アルコキシ基及びァリールォキシ基が更に好ましぐハロゲン原子、 ァ
ルキル基及びアルコキシ基が最も好まし 、。
上記ハロゲン原子には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が含ま れる。
上記アルキル基は、環状構造或いは分岐を有していてもよい。アルキル基の炭素数 は、 1
〜20であることが好ましぐ 1〜12であることがより好ましぐ 1〜6であることが 更に好ましぐ 1〜4であることが最も好ましい。アルキル基の例には、メチル、ェチル
、プロピル、イソプロピル、ブチノレ、 tーブチノレ、へキシル、シクロへキシル、ォクチノレ
及び 2—ェチルへキシルが含まれる。上記アルコキシ基は、環状構造或いは分岐を 有して
いてもよい。アルコキシ基の炭素数は、 1〜20であることが好ましぐ 1〜12である ことがより好ましぐ 1〜6であることが更に好ましぐ 1〜4であることが最も好まし い。アルコキシ基は、更に別のアルコキシ基で置換されていてもよい。アルコキシ基 の例
には、メトキシ、エトキシ、 2—メトキシエトキシ、 2—メトキシー 2—エトキシェトキ シ、ブチルォキシ、へキシルォキシ及びォクチルォキシが含まれる。
[0119] 上記ァリール基の炭素数は、 6〜20であることが好ましぐ 6〜12であることが更 に好ましい。ァリール基の例には、フエニル及びナフチルが含まれる。上記ァリール ォキ
シ基の炭素数は、 6〜20であることが好ましぐ 6〜12であることが更に好ましい。 ァリールォキシ基の例には、フエノキシ及びナフトキシが含まれる。上記ァシル基の 数は、 1〜20であることが好ましぐ 1〜12であることが更に好ましい。ァシル基の 例には、ホルミル、ァセチル及びベンゾィルが含まれる。上記カルボンアミド基の炭素 数
は、 1〜20であることが好ましぐ 1〜12であることが更に好ましい。カルボンアミ ド基の例には、ァセトアミド及びべンズアミドが含まれる。上記スルホンアミド基の炭素 数は、 1〜20であることが好ましぐ 1〜12であることが更に好ましい。スルホンァ ミド基の例には、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド及び p—トルエンスル ホンアミドが含まれる。上記ウレイド基の炭素数は、 1〜20であることが好ましぐ 1 〜12であることが更に好ましい。ウレイド基の例には、(無置換)ウレイドが含まれる
[0120] 上記ァラルキル基の炭素数は、 7〜20であることが好ましぐ 7〜 12であることが 更に好ましい。ァラルキル基の例には、ベンジル、フエネチル及びナフチルメチルが 含ま
れる。上記アルコキシカルボ-ル基の炭素数は、 1〜20であることが好ましぐ 2〜1
2であることが更に好ましい。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニル が
含まれる。上記ァリールォキシカルボ-ル基の炭素数は、 7〜20であることが好ましく 、 7〜12であることが更に好ましい。ァリールォキシカルボ-ル基の例には、フエノキ シカルボ-ルが含まれる。上記ァラルキルォキシカルボ-ル基の炭素数は、 8〜20 であ
ることが好ましぐ 8〜 12であることが更に好ましい。ァラルキルォキシカルボ-ル基 の例には、ベンジルォキシカルボ-ルが含まれる。上記力ルバモイル基の炭素数は
20であることが好ましぐ 1〜12であることが更に好ましい。力ルバモイル基の例に は、(無置換)力ルバモイル及び N—メチルカルバモイルが含まれる。上記スルファモ ィ
ル基の炭素数は、 20以下であることが好ましぐ 12以下であることが更に好ましい。 スルファモイル基の例には、(無置換)スルファモイル及び N—メチルスルファモイル が
含まれる。上記ァシルォキシ基の炭素数は、 1〜20であることが好ましぐ 2〜12で あることが更に好ましい。ァシルォキシ基の例には、ァセトキシ及びベンゾィルォキシ が
含まれる。
上記ァルケ-ル基の炭素数は、 2〜20であることが好ましぐ 2〜12であることが 更に好ましい。アルケニル基の例には、ビュル、ァリル及びイソプロべ-ルが含まれる 上記アルキ-ル基の炭素数は、 2〜20であることが好ましぐ 2〜 12であることが更 に好ましい。アルキニル基の例には、チェ-ルが含まれる。上記アルキルスルホニル 基の
炭素数は、 1〜20であることが好ましぐ 1〜12であることが更に好ましい。上記ァ リールスルホ-ル基の炭素数は、 6〜20であることが好ましぐ 6〜12であることが 更に好ましい。上記アルキルォキシスルホ -ル基の炭素数は、 1〜20であることが好
ま
しぐ 1〜12であることが更に好ましい。上記ァリールォキシスルホ -ル基の炭素数は 、 6〜20であることが好ましぐ 6〜12であることが更に好ましい。上記アルキルス ルホ-ルォキシ基の炭素数は、 1〜20であることが好ましぐ 1〜12であることが更 に好ましい。上記ァリールォキシスルホ -ル基の炭素数は、 6〜20であることが好ま し
く、 6〜 12であることが更に好ましい。
[0122] 本発明に係るセルロースエステルにおいて、セルロースの水酸基部分の水素原子 が脂肪
族ァシル基との脂肪酸エステルであるとき、脂肪族ァシル基は炭素数が 2〜20で、 具体
的にはァセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ビバロイル、へキ サノィル、オタタノィル、ラウロイノレ、ステアロイル等が挙げられる。
[0123] 本発明において前記脂肪族ァシル基とは、更に置換基を有するものも包含する意 味であ
り、置換基としては上述の芳香族ァシル基において、芳香族環がベンゼン環であると さ、
ベンゼン環の置換基として例示したものが挙げられる。
[0124] また、上記セルロースエステルのエステルイ匕された置換基が芳香環であるとき、芳 香族
環に置換する置換基 Xの数は 0または 1〜5個であり、好ましくは 1〜3個で、特に好ま しいのは 1または 2個である。更に芳香族環に置換する置換基の数が 2個以上の時、 互い
に同じでも異なっていてもよいが、また、互いに連結して縮合多環化合物(例えば、 ナフ
タレン、インデン、インダン、フエナントレン、キノリン、イソキノリン、クロメン、ク ロマン、フタラジン、アタリジン、インドール、インドリンなど)を形成してもよい。
[0125] 上記セルロースエステルにおいて置換もしくは無置換の脂肪族ァシル基、置換もし
くは
無置換の芳香族ァシル基の少なくともいずれか 1種選択された構造を有する構造を 有する
ことが本発明に係るセルロースエステルに用いる構造として用いられ、これらは、セル ースの単独または混合酸エステルでもよく、 2種以上のセルロースエステルを混合し て用
いてもよい。
[0126] 本発明に係るセルロースエステルとしては、セルロースアセテート、セルロースプロ ピ
ォネート、セノレロースブチレート、セノレロースアセテートプロピオネート、セノレロースァ セテートブチレート、セノレロースアセテートフタレート及びセノレロースフタレートから選 ばれる少なくとも 1種であることが好まし ヽ。中でも混合脂肪酸エステルであるセル口 ースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートが好ましぐセルロー スアセテートプロピオネートが特に好まし 、。
[0127] なお溶液流延製膜で一般に用いられて 、るセルロースエステルであるトリァセチル セルロースについては、溶融温度よりも分解温度の方が高いセルロースエステルで あるため、溶融製膜には用いることは困難である。
[0128] 混合脂肪酸エステルの置換度として、更に好ましいセルロースアセテートプロピオ ネー
トゃセルロースアセテートブチレートの低級脂肪酸エステルは炭素数 2〜4のァシル 基を
置換基として有し、ァセチル基の置換度を Xとし、プロピオニル基またはブチリル基の 置
換度を Yとした時、下記式 (I)及び式 (II)を同時に満たすセルロースエステルを含む セルロース榭脂である。
[0129] 式(I) 2. 5≤X+Y≤2. 9
式(Π) 0. 1≤Χ≤2. 5
この内特にセルロースアセテートプロピオネートが好ましく用いられ、中でも 1. 2≤ X≤2. 1であり、 0. 1≤Y≤1. 4であることが好ましい。上記ァシル基で置換されてい な 、部分は通常水酸基として存在して 、るのものである。これらは公知の方法で合成 することができる。
[0130] ァセチル基、プロピオ-ル基、ブチル基などのァシル基の置換度は、 ASTM— D8
1796に準じて測定することができる。
[0131] 更に、本発明で用いられるセルロースエステルは、重量平均分子量 MwZ数平均 分子量
Mn比が 1. 5〜5. 5のものが好ましく用いられ、特に好ましくは 1. 7〜5. 0であ り、更に好ましくは 2. 0〜3. 0である。
[0132] セルロースエステルの平均分子量及び分子量分布は、高速液体クロマトグラフィー を用いて公知の方法で測定することが出来る。これを用いて数平均分子量、重量平 均分子量を算出する。
〔GPC測定条件〕
溶媒 :テトヒドロフラン
装置 : HLC— 8220 (東ソー (株)製)
カラム : TSKgel SuperHM— M (東ソ一(株)製)
カラム温度: 40°C
試料温度 :0. 1質量%
注入量 : 10 1
校正曲線 :標準ポリスチレン: PS— 1 (Polymer Laboratorie
s社製) Mw= 2, 560, 000〜580までの 9サンプルによる校正曲線を使用した このようなセルロースエステルは、例えばセルロースの水酸基を無水酢酸、無水プ ロピ
オン酸及び Z又は無水酪酸を用いて常法によりァセチル基、プロピオニル基及び Z または
ブチル基を上記範囲内に置換することで得られる。このようなセルロースエステルの
合成
方法は、特に限定はないが、例えば、特開平 10— 45804号あるいは特表平 6— 50 1040号に記載の方法を参考にして合成することができる。
[0133] また、その他 (酢酸等)残留酸を含めたトータル残留酸量は lOOOppm以下が好ま しい。
[0134] また、工業的にはセルロースエステルは硫酸を触媒として合成されている力 この 硫酸
は完全には除去されておらず、残留する硫酸が溶融製膜時に各種の分解反応を引 き起こし
、得られるセルロースエステルフィルムの品質に影響を与えるため、本発明に用いら れる
セルロースエステル中の残留硫酸含有量は、硫黄元素換算で 0. l〜40ppmの範囲 で
ある。これらは塩の形で含有していると考えられる。残留硫酸含有量が 40ppmを超え ると熱溶融時のダイリップ部の付着物が増加するため好ましくない。また、熱延伸時 や熱
延伸後でのスリツティングの際に破断しやすくなるため好ましくな 、。少な 、方が好ま し
いが、 0. 1未満とするにはセルロース榭脂の洗浄工程の負担が大きくなりすぎるため 好
ましくないだけでなぐ逆に破断しやすくなることがあり好ましくない。これは洗浄回数 が増えることが榭脂に影響を与えて 、るの力もしれな!、がよく分力つて!/、な!/、。さらに 0
. l〜30ppmの範囲が好ましい。残留硫酸含有量は、同様に ASTM— D817— 9 6により測定することができる。
[0135] 本発明で用いられるセルロースエステルの原料セルロースは、木材パルプでも綿花 リン
ターでもよぐ木材パルプは針葉樹でも広葉樹でもよいが、針葉樹の方がより好まし
い。
製膜の際の剥離性の点力 は綿花リンターが好ましく用いられる。これらから作られ たセ
ルロースエステルは適宜混合して、或 、は単独で使用することができる。
[0136] 例えば、綿花リンター由来セルロースエステル:木材パルプ (針葉樹)由来セルロー ス
エステル:木材パルプ(広葉樹)由来セルロースエステルの比率が 100: 0: 0、 90 :10:0、 85:15:0、 50:50:0、 20:80:0、 10:90:0、 0:
100:0、 0:0:100、 80:10:10、 85:0:15、 40:30:30で
用!/、ることができる。
[0137] <酸化防止剤 >
セルロースエステルフィルム中に酸ィ匕防止剤を配合することにより、透明性、耐熱性 等
を低下させることなぐ成型時の熱や酸化劣化等による成形体の着色や強度低下を 防止で
きる。
[0138] 本発明にお 、て有用な酸ィ匕防止剤としては、フィルム成形材料の劣化を抑制する 化合物であれば制限なく用いることができるが、中でも有用な酸ィ匕防止剤としては、 フエノール系酸ィ匕防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤、リン系酸化防止剤、ィォゥ系 酸化防止剤、耐熱加工安定剤、酸素スカベンジャー、前記一般式 (I)で表されるフエ ノール部及びヒンダードアミン部を分子中に有する酸ィ匕防止剤、特公平 8— 27508 号公報記載の 3, 4—ジヒドロー 2H—1—べンゾピラン系化合物、 3, 3' —スピロジク ロマン系化合物、 1, 1ースピロインダン系化合物、モルホリン、チオモルホリン、チォ モルホリンォキシド、チオモルホリンジォキシド、ピぺラジン骨格を部分構造に有する 化合物、特開平 3— 174150号公報記載のジアルコキシベンゼン系化合物等の酸素 スカベンジャー等が挙げられる。
[0139] これらの中でも、特にフエノール系酸ィ匕防止剤、耐熱加工安定剤、リン系酸化防止 剤が好ましい。
[0140] 本発明にお 、て、前記一般式 (I)で表されるフエノール部及びヒンダードアミン部を 分子中に有する酸ィ匕防止剤を用いることが好ま 、。
[0141] 一般式(I)において、 nは 1または 2を表し、 Ra、 Rb及び Rdは炭素数 1〜6のアルキ ル基を表し、 Rcは炭素数 1〜9のアルキル基を表し、 Reは水素原子または炭素原子 1〜5のアルキル基を表し、 Rfは水素原子または炭素原子 1〜5のアルキル基を表し 、但し Re及び Rfは相互に交換可能であり、 Xは—O または—NR 基(基中、 Rは 水素原子、アルキル基を表す。)を表し、 Rは水素原子、—O—、炭素原子 1〜 12の
1
アルキル基、炭素原子 3または 4のアルケニル基を表し、または Rが A— CO 基を
1
表し、但し Aは炭素原子 1〜 12のアルキル基を表し、 Rは前記一般式 (II)であり、 (
2
一般式(II)において、 R及び Rは互いに独立して炭素原子 1〜9のアルキル基を表
6 7
し、そして Rは水素原子またはメチル基を表す。)で表されるヒドロキシベンジル基を
8
表し、 Rは nが 1のとき、炭素原子 1〜20の非置換アルキル基、または— COOR 、
3 12
-OCOR または— P (0) (OR ) ( (基中、 R は炭素原子 1〜18のアルキル基、ま
13 14 2 12
た ίま前記一般式(ΙΠ)であり、(一般式(ΙΠ)【こお!/ヽて、中、 R、 Ra、 Rb、 Rc、 Rd、 Re
1
及び Rfは一般式 2)のそれらと同義である。)で表される基を表し、 R は非置換もしく
13
は炭素数 1〜4のアルキル基または水酸基で置換されてもょ 、フエ二ル基を表し、そ して R は炭素数 1〜8のアルキル基を表す。)で表される基の 1個以上で置換される
14
炭素数 1〜10のアルキル基を表し、そして Rは更に炭素数 3〜18のアルケニル基、
3
炭素数 7〜 19のァラルキル基、フエ二ル基を表し、または Rは— OCOR ( (基中、 R
3 16 1 は炭素数 1〜12のアルキル基、各々炭素数 1〜4のアルキル基 2個及び水酸基で
6
置換されていてもよいフエ二ル基を表す。)、 NHCOR (R は炭素数 1〜12のァ
16 16
ルキル基を表す。)で表される基を表し、そして更に加えるに Rは nが 2のとき、直接
3
結合、炭素数 1〜20のアルキレン基を表す。 )
前記一般式 (I)において、 Ra、 Rb及び Rdは炭素数 1〜6の直鎖または分岐アル キル基、例えば、メチル、ェチル、プロピル、ブチル、イソブチル、イソペンチルまたは n—へキシル基である。 Rcは炭素数 1〜9の直鎖または分岐アルキル基、例えば、メ チ
ル、ェチル、プロピル、ブチル、イソブチル、イソペンチル、 n—へキシル、 2—ェチル
へキシル、 n—ノ-ルまたはイソノ-ル基である。 Re及び Rfは炭素数 5までのアルキ ル基で、但し Reは好ましくは Rbより炭素数を 1少なく含み、そして Re及び Rfの位 置は交換可能である。
[0142] 好まし!/、Ra、 Rb、 Rc及び Rdはメチル基であり、 Re及び Rfは水素原子である
。炭素数 1〜12のアルキル基である R、 R 及び Aは第一アルキル基、例えば、メチ
1 16
ル、ェチル、 n—プロピル、 n—ブチル、 n—へキシル、 n—ォクチル、 n—デシルもしく は n—ドデシル基である。
[0143] ァルケ-ル基である R及び R は、例えば、ァリル、メタクリルもしくはブテュルでもよ
1 16
い。 Rが A— CO 基を表す場合は、該基は Aの意味による力 カルボン酸基、例
1
えば、ァセチル、プロピオニル、ブチリル、力プロ-ル、カプリロイル、ラウロイルであ る。前記一般式(2)での定義に従って、 Rはパラーもしくはメターヒドロキシベンジ
2
ル基である。ベンジル基にある R及び Rは炭素数 1〜9の直鎖または分岐アルキル
6 7
基で
あり、例えば、メチル、ェチル、イソプロピル、第三ブチル、 1, 1, 3, 3—テトラメ チルブチルもしくは第三ノニル基である。 R及び Rは、好ましくは炭素数 1〜4のアル
6 7
キル基、特にメチルもしくは第三ブチル基である。
[0144] nの値にとって、 Rは
3 一価若しくは二価有機基である。炭素数 1〜20のアルキル基 である Rは、例えば、上記 Rで与えたアルキル基の一つであり、そしてまた分岐アル
3 1
キ
ル基、例えば、イソプロピル、イソペンチル、 2—ェチルブチル、 2—ェチルへキシル も
しくはイソノ-ル基、またはより高級アルキル基、例えば、 n—へキサデシル、 n—オタ タデシルもしくは n エイコシル基を表す。
[0145] 置換された、または中断されたアルキル基として、 Rは、例えば、以下の基の一つ
3
で
ある: 2—フエノキシェチル、 2—べンゾィルォキシェチル、 2— p トリルォキシプロ ピル、シクロへキシルォキシメチル、 2, 3 ジ(フエノキシ)プロピル、 2 フエ-ル チォェチル、 2- (4 第三ブチルフエ-ルチオ)ェチル、 2 ァセチルェチル、 2—ィ
ソブチリルェチル、 2- (ドデシルカルポ-ル)ェチル、 2—シァノエチル、シァノメチ ル、 3—シァノプロピル、メトキシカルボニルメチル、ドデシルォキシカルボニルメチル 、 2 エトキシカルボニルェチル、 1, 2 ジ(メトキシカルボニル)プロピル、 2, 3 ージ(エトキシカルボ-ル)ェチル、 2—(ブチルァミノカルボ-ル)ェチル、 2—(シ クロへキシルカルボ-ル)ェチル、 2—(第三ブチルォキシカルボ-ル)ェチル、 2— ( ォクタデシルォキシカルボ-ル)プロピル、 4 (プロポキシカルボ-ル)ブチル、 2— ァセトキシェチル、 1, 2—ジァセトキシェチル、 2— (イソオタタノィルォキシ)プロ ピル、 2—(ォクタデカノィルォキシ)ェチル、 2—(シクロペンチルカルボ-ルォキシ )ェチル、 3—ベンゾィルォキシプロピル、 2- (p 第三ブチルベンゾィルォキシ)ェ チル、 2 サリチロイルォキシェチル、 2—(3, 5 ジ—第三ブチルー 4ーヒドロキシ ベンゾィルォキシ)ェチル、 2 フエ-ルァセチルォキシェチル、 2—(3, 5 ジー第 三ブチノレ 4 ヒドロキシフエニルプロピオニルォキシ)プロピノレ、ジェチノレホスホノメ チル、 2—ジメチルホスホノエチル、 2—(ジォクチルホスホノ)ェチル、ジフエニルホ スホノメチル、 3— (ジァリルホスホノ)プロピル、メトキシメチル、 2 ブトキシェチ ル、 2—ォクタデシルォキシェチル、イソプロポキシメチル、 3 ブチルチオプロピル、 2—ドデシルチオェチル、 2—(イソへキシルスルフィエル)ェチル、 2—ォクタデシル スルホニルェチル、 2 ェチルスルホニルプロピル、 2—(2, 2, 6, 6—テトラメチ ルビペリジンー4ーィルォキシカルボニル)ェチル、 2—(1, 2, 2, 6, 6 ペンタ メチルビペリジンー4 ィルァミノカルボニル)ェチル、 2—(2, 2, 6, 6—テトラ メチルビペリジンー4ーィルォキシカルボ-ル)ー2 (メトキシカルボ-ル)へキシル または 2, 2 ビス(2, 2, 6, 6—テトラメチルピペリジンー4ーィルォキシカルボ 二ノレ)へキシル。
[0146] ァルケ-ル基である Rは、例えば、ァリル、メタクリル、 2 ブテン 1 ィル、 3
3
一へキセン— 1 ィル、ゥンデセ-ルまたはォレイル基である。
[0147] ァラルキル基である Rは、例えば、ベンジル、 2 フエ-ルプロピル、 β ナフチル
3
メチル、 4 メチルベンジル、 4 第三ブチルベンジルもしくは 4ーメチルナフチルー 1 メチル基である。
[0148] OCOR もしくは NHCOR である Rは、例えば、ァセトキシ、プロピオキシ、ブ
チロキシ、オタタノイロキシ、ドデカノイロキシ、ベンゾィルォキシ、 3, 5—ジ一第三ブ チルー 4ーヒドロキシベンゾィルォキシ、ァセトアミ入ブチリルァミノもしくはデカノィル アミノ基である。
[0149] nが 2の場合、 Rは直接結合を表すか、または二価の有機基である。そのような基
3
はアルキレン、例えば、メチレン、エチレンもしくは炭素数 20までのポリメチレン基で あ
る。
[0150] 化合物は、式中 Raないし Rdがメチル基であり、そして Re及び Rfが水素原子であ る力、または Ra及び Rcはェチル基であり、 Rb、 Rd及び Reはメチル基であり、そ して Rfが水素原子であるものである。
[0151] そしてまた好ましくは、式中 Xは酸素または NH基であり、 Rが水素原子、 O—、
1
炭素数 1〜4のアルキル、ァリル、プロパルギル、ァセチル、アタリロイルもしくはクロ トノィル基を表し、 Rが下記一般式 (Ila)及び (lib)において、 R及び Rは各々独立し
2 6 7
て炭素数 1〜4のアルキル基を表し、 Rは水素原子またはメチル基を表し、 Rは
8 3 nが 1の場合、炭素数 1〜18の非置換アルキル基、または— COOR 、— OCOR ま
12 13 たは P (0) (OR ) (基中、 R は炭素原子 1〜4のアルキル基、または前記一般式
14 2 12
(III)を表し、 R はフエ二ル基を表し、 R は炭素原子 1〜4のアルキル基を表す。)で
13 14
表される基の 1つもしくは 2つで置換されて 、る炭素数 1〜4のアルキル基、炭素数 3 〜6のァルケ-ル基、フエ-ル基、炭素数 7〜 15のァラルキル基、または OCOR
16
(基中、 R は炭素数 1〜12のアルキル基、フエ-ル基、 3, 5 ジ—第三ブチルー 4
16
—ヒドロキシフエニル基または 2— (3, 5 ジ—第三ブチル—4 ヒドロキシフエニル) ェチル基)で表される基、 NHCOR (R は炭素数 1〜12のアルキル基を表す。)
16 16
で表される基を表すか、または nが 2の場合、直接結合、炭素数 1〜12のアルキル基 を表す一般式 (I)で表される化合物である。
[0152] [化 20]
[0153] 特に好ましくは、前記一般式 (I)中、 nが 1もしくは 2であり、 Ra、 Rb、 Rc及
び Rdがメチル基であり、そして Re及び Rfが水素原子であり、 Xが酸素原子であり、 そして Rは水素原子、 O—、炭素数 1〜4のアルキル基、ァリル基またはァセチル
1
基
を表し、 Rは、前記一般式 (Ila)、 (lib)において、 Rが第三ブチル基を表し、 R
2 6
はメチル基もしくは第三ブチル基を表し、 Rは水素原子またはメチル基を表すヒドロ
7 8
キ
シベンジル基であり、そして Rは COOR (基中、 R は炭素数 1〜4のアルキル
3 12 12
基または下記一般式 (Ilia)で表される基を表す。)で表される基の 1つまたは 2つで 置換される力、または— P (O) (OR ) (基中、 R は炭素数 1〜4のアルキル基
14 2 14
)で表される基で置換される炭素数 1〜18のアルキル基、またはァリル、ベンジル、フ ヱ-ル、炭素数 1〜8のアルキレンもしくはキシリレンをあらわすような化合物である。
[0154] 本発明はまた多くてもピぺリジン基と当量で酸を添加して形成される、前記一般式 ( I
)で表される化合物は塩をも含む。そのような酸は、無機酸、例えば、硫酸、塩酸、リ ン
酸、有機カルボン酸、例えば、ギ酸、酢酸、シユウ酸、マレイン酸、安息香酸、または サ
リチル酸、有機スルホン酸、例えば、 m—もしくは p トルエンスルホン酸、メタンスル ホン酸または有機リン含有酸、例えば、ジフエ-ルリン酸、ジフエ-ルホスフィン酸で あ
る。
[0155] [化 21]
[0156] 以下、前記一般式 (I)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限 定されるものではない。
[0157] [化 22]
[0159] [化 24]
化合物 13 化合物 14
[0161] [化 26]
[0162] [化 27]
[0163] [化 28]
[0164] [化 29]
[0165] [化 30]
[0166] 本発明の前記一般式 (I)で表される化合物の合成は、下記に示すようにマロン酸低 級
アルキルエステル、例えば、ジェチルマロネートを(IV)で表される 4ーピベリジノール 、または 4 アミノビペリジンと反応させて、相当するビスピペリジニルマロン酸誘導体 (V)へ変換することから始まる。なお Rの導入は、 N アルキル化または N ァシル
1
化の一般的方法、例えば、アルキルノヽライド、ァルケ-ルノヽライドまたはカルボン酸ク 口ライドを好ましくは塩基 1モル量以下の存在下で反応させる方法で行われ得る。
[0167] [化 31]
[0168] 次にヒドロキシベンジル基 Rの導入は、 R— S— CS— N (R) (Rは炭素数 1〜
2 2 2
5のアルキル基、または窒素原子と共に両方の Rはモルホリン、ピロリジンまたはピぺ y
ジン環を表す。 )で表されるヒドロキシベンジルジチォカルバメートと反応させて行う。 力かるジチォ力ルバメートはフエノールをホルムアデヒド、二硫化炭素及び第二級アミ ン
と反応させることで得られる。
[0169] ヒドロキシベンジル基 Rの他の導入は、ヒドロキシベンジルァミン R— N (R) と
2 2 2 反応させること力もなる。力かるアミンはフエノールを所謂マン-ッヒ反応でホルムアル デヒド及び第二級ァミンと反応させることによって得られる。
[0170] Xが酸素原子である場合、 Rは最初にアルカリ金属、アルカリアルコラート、アル力
2
リアミドもしくはアルカリ水素化物、または同様な塩基性アルカリィ匕合物の 1当量と反
応
させて、エステル(IV)をアルカリ化合物(V)へ変換し、続いてヒドロキシベンジルハ ロゲン化物 (R— Hal、 Hal: Cl、 Brもしくは I) 1モルと常法により反応さ
2
せるマロン酸エステル合成の方法で導入される。
[0171] 上記 3つの方法の!/ヽずれかで下記 (VI)で表されるヒドロキシベンジルマロン酸誘導 体を製造し、該誘導体へ Rが続いて導入される。
3
[0172] [化 32]
[0173] Rの導入は最初に (VI)をそのアルカリィ匕合物へ変換し、該化合物をハロゲン化合
3
物
R Halもしくは R Halと反応させることによるマロン酸エステルの C アルキル
3 3 2
化の従来法で行う。
[0174] 合成例:化合物 31の合成
ブチルマロン酸一ビス(1, 2, 2, 6, 6 ペンタメチルー 4ーピベリジ-ル)エス テル、 23. 3g (0. 05モル)及び N— (3, 5 ジ—第三ブチル—4—ヒドロキシ ベンジル)ジメチルァミン、 13. 2g (0. 05モル)を、トルエン 200ml中に溶 解する。リチウムアミド 0. 25gを添加した後、混合物を 4時間還流する。冷後、 1% 酢酸 1. 5mlで中和し、有機相を繰り返し水洗する。 Na SOで乾燥後、減圧下で溶
2 4
液を濃縮する。その結果、化合物 31が得られる。融点: 140°C。
[0175] 他の例示化合物も同様にして得られる。
[0176] 一般式 (I)で表される化合物のセルロースエステルに対する添加量は添加する化
合物
1種あたり、セルロースエステル 100質量部に対して、通常 0. 001〜10. 0質量 部、好ましくは 0. 01〜5. 0質量部、更に好ましくは 0. 1〜3. 0質量部である。
[0177] (ヒンダードフエノール系酸ィ匕防止剤)
本発明にお 、て好ま 、ヒンダードフエノール系酸ィ匕防止剤は、フエノール化合物 の水酸基に対してオルト位置にかさ高い分岐アルキルを有する構造である。
[0178] ヒンダードフエノール系酸ィ匕防止剤は既知の化合物であり、例えば、米国特許第 4 , 839, 405号明細書の第 12〜14欄に記載されているものなどの、 2, 6 ジアルキ ルフエノール誘導体が好ましい。このような化合物には、以下の一般式 (A)のものが 含まれる。
[0179] [化 33]
[0180] 上式中、 R、 R及び Rは、更に置換されている力、または置換されていないアルキ
1 2 3
ル置換基を表す。
[0181] ヒンダードフエノール系化合物の具体例には、 n—ォクタデシル 3—(3, 5 ジー t —ブチルー 4—ヒドロキシフエ-ル)一プロピオネート、 n—ォクタデシル 3— (3, 5— ジ一 t—ブチル 4—ヒドロキシフエ-ル)一アセテート、 n—ォクタデシル 3, 5—ジ一 t ブチル 4—ヒドロキシベンゾエート、 n—へキシル 3, 5—ジ一 t—ブチル 4—ヒ ドロキシフエ-ルペンゾエート、 n—ドデシル 3, 5—ジ tーブチルー 4ーヒドロキシフ ェ-ルベンゾエート、ネオードデシル 3— (3, 5—ジ tーブチルー 4ーヒドロキシフエ -ル)プロピオネート、ドデシル (3, 5—ジ— t ブチル—4—ヒドロキシフエ-ル)プ 口ピオネート、ェチルひ一(4ーヒドロキシ 3, 5—ジー t ブチルフエ-ル)イソブチ レート、ォクタデシル α—(4ーヒドロキシ 3, 5—ジー t ブチルフエ-ル)イソブチレ ート、ォクタデシル α— (4—ヒドロキシ一 3, 5—ジ一 t—ブチル 4—ヒドロキシフエ-
ル)プロピオネート、 2 (n—ォクチルチオ)ェチル 3, 5 ジ—tーブチルー 4ーヒドロ キシ一べンゾエート、 2- (n—ォクチルチオ)ェチル 3,
5—ジ— t—ブチル—4—ヒドロキシ—フエ-ルアセテート、 2- (n—ォクタデシルチ ォ)ェチル 3, 5 ジ— t—ブチル—4 ヒドロキシフエ-ルアセテート、 2— (n—ォ クタデシルチオ)ェチル 3, 5—ジ—tーブチルー 4ーヒドロキシ一べンゾエート、 2- ( 2 ヒドロキシェチルチオ)ェチル 3 , 5 ジー t ブチル 4 ヒドロキシベンゾェ ート、ジェチルダリコールビス一 (3, 5—ジ一 t—ブチル 4—ヒドロキシ一フエ-ル )プロピオネート、 2 (n—ォクタデシルチオ)ェチル 3—(3, 5 ジー t—ブチル —4—ヒドロキシフエ-ル)プロピオネート、ステアルアミド N, N ビス一 [エチレン 3— (3, 5—ジ—tーブチルー 4ーヒドロキシフエ-ル)プロピオネート]、 n—ブチ ルイミノ N, N ビス一 [エチレン 3— (3, 5—ジ一 t—ブチノレ一 4—ヒドロキシフエ -ル)プロピオネート]、 2—(2—ステアロイルォキシェチルチオ)ェチル 3, 5 ジ —tーブチルー 4ーヒドロキシベンゾエート、 2- (2—ステアロイルォキシェチルチオ )ェチル 7—( 3—メチル 5— t ブチル 4 ヒドロキシフエ-ル)ヘプタノエート 、 1, 2 プロピレングリコールビス一 [3— (3, 5 ジ一 t—ブチル 4 ヒドロキ シフエ-ル)プロピオネート]、エチレングリコールビス一 [3— (3, 5—ジ一 t—ブ チルー 4ーヒドロキシフエ-ル)プロピオネート]、ネオペンチルグリコールビス [3 (3, 5—ジ—tーブチルー 4ーヒドロキシフエ-ル)プロピオネート]、エチレング リコールビス— (3, 5—ジ— t—ブチル—4—ヒドロキシフエ-ルアセテート)、グリ セリン一 1—n—ォクタデカノエートー 2, 3 ビス一(3, 5 ジ一 t—ブチル 4— ヒドロキシフエ-ルアセテート)、ペンタエリトリトール—テトラキス— [3— (3' ,
5' —ジ一 t—ブチルー^ —ヒドロキシフエ-ル)プロピオネート]、 1, 1, 1—ト リメチロールェタン一トリス一 [3— (3, 5—ジ一 t—ブチル 4—ヒドロキシフエ- ル)プロピオネート]、ソルビトールへキサ— [3— (3, 5—ジ— t—ブチル—4—ヒ ドロキシフエ-ル)プロピオネート]、 2 ヒドロキシェチル 7— (3—メチル 5— t ーブチルー 4ーヒドロキシフエ-ル)プロピオネート、 2—ステアロイルォキシェチル 7 — (3—メチル 5— t—ブチル 4 ヒドロキシフエ-ル)ヘプタノエート、 1, 6— n—へキサンジォーノレ一ビス [ , 5' —ジ一 t ブチノレ一 4—ヒドロキシフエ-ノレ
)プロピオネート]、ペンタエリトリトール一テトラキス(3, 5—ジ一 t—ブチル 4 —ヒドロキシヒドロシンナメート)が含まれる。上記タイプのヒンダードフエノール系酸 化防止剤化合物は、例えば、 Ciba Specialty Chemicalsから、
"Irganoxl076"及び" IrganoxlOlO"という商品名で市販されて
いる。
[0182] (リン系酸化防止剤)
本発明で用いられるリン系酸ィ匕防止剤としては、下記一般式 (C— 1)、 (C— 2)、 (C 3)、 (C 4)、 (C 5)で表される部分構造を分子内に有する化合物が好ましい。
[0183] 特に好ましくは、一般式 (C 2)で表される部分構造を分子内に有する化合物であ る。
[0185] 式中、 Ph及び P は 2価の置換基を表し、好ましくはフヱ-レン基を表し、該フエ
1 1
二レン基の水素原子はフヱ-ル基、炭素数 1〜8のアルキル基、炭素数 5〜8のシクロ アルキル基、炭素数 6〜 12のアルキルシクロアルキル基または炭素数 7〜 12のァラ ルキル基で置換されていてもよい。 Ph及び PI は互いに同一でもよぐ異なっても
1 1
よい。 Xは単結合、硫黄原子または CHR—基を表す。 Rは水素原子、炭素数 1〜
6 6
8のアルキル基または炭素数 5〜8のシクロアルキル基を表す。また、これらは下記一 般式 (C 2)の Ph及び Ph' で表される置換基と同義の置換基により置換されても
2 2
よい。
[0186] [化 35]
一般式 (C— 2)
式中、 Ph及び P は水素原子又は置換基を表す。置換基としては、ハロゲン原
2 2
子 (例えばフッ素原子、塩素原子等)、アルキル基 (例えばメチル基、ェチル基、イソ プロピル基、ヒドロキシェチル基、メトキシメチル基、トリフルォロメチル基、 t ブチル 基等)、シクロアルキル基 (例えばシクロペンチル基、シクロへキシル基等)、ァラルキ ル基 (例えばべンジル基、 2—フエネチル基等)、ァリール基 (例えばフエ-ル基、ナ フチル基、 P トリル基、 p クロロフヱニル基等)、アルコキシ基 (例えばメトキシ基、 エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等)、ァリールォキシ基 (例えばフエノキシ基 等)、シァノ基、ァシルァミノ基 (例えばァセチルァミノ基、プロピオ-ルァミノ基等)、 アルキルチオ基 (例えばメチルチオ基、ェチルチオ基、プチルチオ基等)、ァリール チォ基 (例えばフエ-ルチオ基等)、スルホ -ルァミノ基 (例えばメタンスルホ-ルアミ ノ基、ベンゼンスルホニルァミノ基等)、ウレイド基 (例えば 3—メチルウレイド基、 3, 3 ージメチルウレイド基、 1, 3 ジメチルウレイド基等)、スルファモイルァミノ基 (ジメチ ルスルファモイルァミノ基等)、力ルバモイル基(例えばメチルカルバモイル基、ェチ ルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基等)、スルファモイル基(例えばェチルス ルファモイル基、ジメチルスルファモイル基等)、アルコキシカルボ-ル基(例えばメト キシカルボ-ル基、エトキシカルボ-ル基等)、ァリールォキシカルボ-ル基(例えば フエノキシカルボ-ル基等)、スルホ -ル基(例えばメタンスルホ-ル基、ブタンスルホ
-ル基、フエ-ルスルホ -ル基等)、ァシル基(例えばァセチル基、プロパノィル基、 プチロイル基等)、アミノ基 (メチルァミノ基、ェチルァミノ基、ジメチルァミノ基等)、シ ァノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、ニトロソ基、アミンォキシド基 (例えばピリジン一ォキシ ド基)、イミド基 (例えばフタルイミド基等)、ジスルフイド基 (例えばベンゼンジスルフィ ド基、ベンゾチアゾリルー 2—ジスルフイド基等)、カルボキシル基、スルホ基、ヘテロ 環基 (例えば、ピロール基、ピロリジル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、 ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基、ベンズォキサゾリル基等)等が挙げらる。
これらの置換基は更に置換されてもょ 、。より好ましくは、 Ph及び P はフ -ル
2 2
基またはビフヱ-ル基を表し、該フヱ-ル基またはビフヱニル基の水素原子は炭素数
1〜8のアルキル基、炭素数 5〜8のシクロアルキル基、炭素数 6〜 12のアルキルシク 口アルキル基または炭素数 7〜 12のァラルキル基で置換されていてもよい。 Ph及び
2
Ph' は互いに同一でもよぐ異なってもよい。また、これらは前記 Ph及び P で
2 2 2 表される置換基と同義の置換基により置換されてもよい。
[0188] [化 36] 一般式 (C—3)
o—
I
o—
[0189] 式中、 Phは水素原子または置換基を表す。置換基としては前記 Ph及び Ph' で
3 2 2 表される置換基と同義である。より好ましくは、 Phはフエ-ル基またはビフエ二ル基を
3
表し、該フエニル基またはビフエ-ル基の水素原子は炭素数 1〜8のアルキル基、炭 素数 5〜8のシクロアルキル基、炭素数 6〜 12のアルキルシクロアルキル基または炭 素数 7〜 12のァラルキル基で置換されていてもよい。また、これらは前記 Ph及び Ph
2
' で表される置換基と同義の置換基により置換されてもよい。
2
[0190] [化 37]
[0191] 式中、 Phは水素原子または置換基を表す。置換基としては前記 Ph及び で
4 2 2 表される置換基と同義である。より好ましくは、 Phは炭素数 1〜20のアルキル基また
4
はフエ二ル基を表し、該アルキル基またはフエ二ル基は前記 Ph及び で表され
2 2 る置換基と同義の置換基により置換されてもよい。
[0193] 式中、 Ph
5、Ph' 及び Ph" は水素原子または置換基を表す。置換基としては前 5 5
記 Ph及び PI で表される置換基と同義である。より好ましくは、 Ph、 Ph' 及び P
2 2 5 5
W は炭素数 1〜20のアルキル基またはフエ-ル基を表し、該アルキル基またはフ
5
ェニル基は前記 Ph及び Ph' で表される置換基と同義の置換基により置換されても
2 2
よい。
[0194] リン系化合物の具体例としては、トリフエ-ルホスフアイト、ジフエ-ルイソデシルホス ファイト、フエ-ルジイソデシルホスフアイト、トリス(ノ -ルフエ-ル)ホスファイト、トリス( ジノ-ルフエ-ル)ホスファイト、トリス(2, 4 ジ一 t—ブチルフエ-ル)ホスファイト、 1 0— (3, 5 ジ一 t—ブチル 4 ヒドロキシベンジル) 9, 10 ジヒドロ一 9—ォキ サ一 10 ホスファフェナントレン一 10—オキサイド、 6— [3— (3— t—ブチル 4 ヒ ドロキシ 5 メチルフエ-ル)プロポキシ ] 2, 4, 8, 10—テトラー tーブチルジベン ズ [d, f] [l . 3. 2]ジォキサホスフエピン、トリデシルホスファイト等のモノホスファイト 系化合物; 4, 4' ーブチリデンービス(3—メチルー 6— t ブチルフエ-ルージートリ デシルホスフアイト)、 4, Α' —イソプロピリデン—ビス(フエ-ル―ジ—アルキル(C1 2〜C15)ホスファイト)等のジホスファイト系化合物;トリフエ-ルホスホナイト、テトラキ ス(2, 4 ジ— tert—ブチルフエ-ル) [1, 1—ビフエ-ル]— 4, 4' —ジィルビスホ スホナイト、テトラキス(2, 4 ジ tert ブチルー 5 メチルフエ-ル) [1, 1ービフエ -ル]—4, 4' —ジィルビスホスホナイト等のホスホナイト系化合物;トリフエ-ルホス フィナイト、 2, 6 ジメチルフエ-ルジフエ-ルホスフイナイト等のホスフィナイト系化 合物;トリフエ-ルホスフィン、トリス(2, 6 ジメトキシフエ-ル)ホスフィン等のホスフィ ン系化合物;等が挙げられる。
[0195] 上記タイプのリン系化合物は、例えば、住友ィ匕学工業株式会社から、 "Sumilizer GP"、旭電化工業株式会社から ADK STAB PEP— 24G"、 "ADK STAB PE P— 36"及び,, ADK STAB 3010"、チノく'スペシャルティ一'ケミカルズ株式会社
力 " IRGAFOS P— EPQ"、堺化学工業株式会社から" GSY—P101"とい 名で市販されている。
また、下記の化合物などが挙げられる。
[0196] [化 39]
[0197] (ィォゥ系化合物)
本発明においては、酸ィ匕防止剤の一つとして、下記一般式 (D)で表されるィォゥ系 化合物も用いることができる。
[0198] [化 40]
—般式 (DJ
[0199] 一般式 (D)において、 R及び R は水素原子または置換基を表す。置換基として
31 32
は置換基としては前記 Ph及び PI で表される置換基と同義である。これらの置換
2 2
基は同様の置換基によってさらに置換されて 、てもよ 、。
[0200] ィォゥ系化合物の具体例としては、ジラウリル 3, 3 チォジプロピオネート、ジミリス チル 3, 3' —チォジプロピピオネート、ジステアリル 3, 3—チォジプロピオネート、ラ ゥリルステアリル 3, 3—チォジプロピオネート、ペンタエリスリトールーテトラキス(j8— ラウリル チォープロピオネート)、 3, 9 ビス(2 ドデシルチオェチル) 2, 4, 8,
10 テトラオキサスピロ [5, 5]ゥンデカン等が挙げられる。
[0201] 上記タイプのィォゥ系化合物は、例えば、住友ィ匕学工業株式会社から、 "Sumilize r TPL— R"及び" Sumilizer TP— D"という商品名で市販されている。
[0202] (耐熱加工安定剤)
本発明において、耐熱加工安定剤を用いることが好ましぐ特に、下記一般式 (E) または下記一般式 (F)で表される化合物を用いる事が好ま 、。
[0204] 一般式 (E)において、 R1は水素原子または炭素数 1〜10のアルキル基を表し、 お よび R3は、それぞれ独立して炭素数 1〜8のアルキル基を表す。〕
一般式 (E)中、 R1は水素原子または炭素数 1〜10のアルキル基を表し、好ましくは 水素原子または炭素数 1〜4のアルキル基であり、特に好ましくは水素原子またはメ チル基である。
[0205] R2および R3は、それぞれ独立して炭素数 1〜8のアルキル基を表し、直鎖でも、分 岐構造または環構造を有してもよい。 R2および R3は、好ましくは 4級炭素を含む「* -C (CH ) —R'」で表される構造(*は芳香環への連結部位を表し、 R'は炭素数 1
〜5のアルキル基を表す。)である。 R2は、より好ましくは tert—ブチル基、 tert—アミ ル基または tert—ォクチル基である。 R3は、より好ましくは tert—ブチル基、 tert—ァ ミル基である。
[0206] 前記一般式(E)で表される化合物として、「Sumilizer GM」「Sumilizer GSJ t ヽ う商品名で、住友ィ匕学工業 (株)から市販されている。
[0207] 以下に上記炭素ラジカル捕捉剤の具体例 (E— 1〜E— 18)を例示するが、本発明 は
これらに限定されるものではない。
[0208] [化 42]
前記一般式 (F)において、 R 〜R はおのおの互いに独立して水素原子または置
12 15
換基を表す。 R 〜R で表される置換基は、特に制限はないが、例えば、アルキル基
12 15
(例えば、メチル基、ェチル基、プロピル基、イソプロピル基、 t ブチル基、ペンチル 基、へキシル基、ォクチル基、ドデシル基、トリフルォロメチル基等)、シクロアルキル 基 (例えば、シクロペンチル基、シクロへキシル基等)、ァリール基 (例えば、フエニル 基、ナフチル基等)、ァシルァミノ基 (例えば、ァセチルァミノ基、ベンゾィルアミノ基等 )、アルキルチオ基 (例えば、メチルチオ基、ェチルチオ基等)、ァリールチオ基 (例え ば、フエ-ルチオ基、ナフチルチオ基等)、ァルケ-ル基 (例えば、ビニル基、 2—プ 口ぺ-ル基、 3 ブテュル基、 1ーメチルー 3 プロぺ-ル基、 3 ペンテ-ル基、 1 ーメチルー 3—ブテュル基、 4一へキセ -ル基、シクロへキセ -ル基等)、ハロゲン原 子 (例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子等)、アルキニル基 (例えば 、プロパルギル基等)、複素環基 (例えば、ピリジル基、チアゾリル基、ォキサゾリル基 、イミダゾリル基等)、アルキルスルホ -ル基(例えば、メチルスルホ -ル基、ェチルス ルホ -ル基等)、ァリールスルホ -ル基(例えば、フエ-ルスルホ-ル基、ナフチルス ルホ -ル基等)、アルキルスルフィエル基(例えば、メチルスルフィエル基等)、ァリー ルスルフィ -ル基(例えば、フエ-ルスルフィ -ル基等)、ホスホノ基、ァシル基(例え ば、ァセチル基、ビバロイル基、ベンゾィル基等)、力ルバモイル基 (例えば、アミノカ ルボニル基、メチルァミノカルボ-ル基、ジメチルァミノカルボ-ル基、ブチルァミノ力 ルポ-ル基、シクロへキシルァミノカルボ-ル基、フエ-ルァミノカルボ-ル基、 2—ピ リジルァミノカルボ-ル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホ -ル基、メチル アミノスルホ -ル基、ジメチルアミノスルホ -ル基、ブチルアミノスルホ -ル基、へキシ
ルアミノスルホ -ル基、シクロへキシルアミノスルホ -ル基、ォクチルアミノスルホ -ル 基、ドデシルアミノスルホ-ル基、フエ-ルアミノスルホ -ル基、ナフチルアミノスルホ
-ル基、 2—ピリジルアミノスルホ -ル基等)、スルホンアミド基 (例えば、メタンスルホ ンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基等)、シァノ基、アルコキシ基 (例えば、メトキシ 基、エトキシ基、プロポキシ基等)、ァリールォキシ基 (例えば、フエノキシ基、ナフチ ルォキシ基等)、複素環ォキシ基、シロキシ基、ァシルォキシ基 (例えば、ァセチルォ キシ基、ベンゾィルォキシ基等)、スルホン酸基、スルホン酸の塩、ァミノカルボ-ル ォキシ基、アミノ基 (例えば、アミノ基、ェチルァミノ基、ジメチルァミノ基、プチルァミノ 基、シクロペンチルァミノ基、 2—ェチルへキシルァミノ基、ドデシルァミノ基等)、ァ- リノ基 (例えば、フエ-ルァミノ基、クロ口フエ-ルァミノ基、トルイジノ基、ァ-シジノ基 、ナフチルァミノ基、 2—ピリジルァミノ基等)、イミド基、ウレイド基 (例えば、メチ ルゥレイド基、ェチルウレイド基、ペンチルゥレイド基、シクロへキシルウレイド基、ォ クチルゥレイド基、ドデシルウレイド基、フエ-ルゥレイド基、ナフチルウレイド基、 2 —ピリジルアミノウレイド基等)、アルコキシカルボニルァミノ基 (例えば、メトキシカ ルポ-ルァミノ基、フエノキシカルボ-ルァミノ基等)、アルコキシカルボ-ル基(例え ば、メトキシカルボ-ル基、エトキシカルボ-ル基、フエノキシカルボ-ル等)、ァリー ルォキシカルボ-ル基 (例えば、フエノキシカルボニル基等)、複素環チォ基、チォゥ レ
イド基、カルボキシル基、カルボン酸の塩、ヒドロキシル基、メルカプト基、ニトロ基等 の各基が挙げられる。これらの置換基は同様の置換基によってさらに置換されていて ち
い。
[0214] 前記一般式 (F)において、 R 〜R は水素原子またはアルキル基が好ましい。
12 15
[0215] 前記一般式 (F)において、 R は水素原子または置換基を表し、 R で表される置換
16 16
基は、 R 〜R が表す置換基と同様な基を挙げることができる。
12 15
[0216] 前記一般式 (F)において、 R は水素原子が好ましい。
16
[0217] 前記一般式 (F)において、 nは 1または 2を表す。
[0218] 前記一般式 (F)において、 nが 1であるとき R は置換基を表し、 nが 2であるとき
R は 2価の連結基を表す。
11
[0219] R が置換基を表すとき、置換基としては、 R 〜R が表す置換基と同様な基を挙げ
11 12 15
ることができる。 R は 2価の連結基を表すとき、 2価の連結基として例えば、置換基を
11
有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいァリーレン基、酸素原子、窒素原子 、硫黄原子、あるいはこれらの連結基の組み合わせを挙げることができる。
[0220] 前記一般式 (F)において、 nは 1力 子ましく、その時の R は置換または無置換のフ
11
ェニル基が好ましぐアルキル基、ァシルォキシ基が置換したフエニル基が好ましい。
[0221] 次に、本発明における前記一般式 (F)で表される化合物の具体例を示すが、本発 明は
以下の具体例によって限定されるものではない。
[0222] [化 47]
[0225] [化 50]
[0228] [化 53]
[0229] (ヒンダードアミン光安定剤)
ヒンダードアミン光安定剤は、 N原子近傍に力さ高い有機基 (例えば、かさ高い分岐 ァ
ルキル基)を有する構造である。これは既知の化合物であり、例えば、米国特許第 4, 6
19, 956号明細書の第 5〜11欄及び米国特許第 4, 839, 405号明細書の第 3 〜5欄に記載されているように、 2, 2, 6, 6—テトラアルキルピぺリジン化合物、ま たはそれらの酸付加塩もしくはそれらと金属化合物との錯体が含まれる。このような化 物には、以下の一般式 (G)のものが含まれる。
[0230] [化 54]
[0231] 一般式 (G)にお 、て、 R及び Rは、 Hまたは置換基である。ヒンダードアミン光安定
1 2
剤の具体例には、 4ーヒドロキシ 2, 2, 6, 6—テトラメチルピペリジン、 1ーァ リル一 4 ヒドロキシ一 2, 2, 6, 6—テトラメチルピペリジン、 1—ベンジル一 4— ヒドロキシー 2, 2, 6, 6—テトラメチルピペリジン、 1 (4— tーブチルー 2 ブ テニル)ー4ーヒドロキシ 2, 2, 6, 6—テトラメチルピペリジン、 4ーステアロイ ルォキシー 2, 2, 6, 6—テトラメチルピペリジン、 1ーェチルー 4 サリチロイルォ
キシー 2, 2, 6, 6—テトラメチルピペリジン、 4ーメタクリロイルォキシー 1, 2, 2, 6, 6 ペンタメチルピペリジン、 1, 2, 2, 6, 6 ペンタメチルピペリジン— 4—ィル— j8 (3, 5—ジ— t—ブチル—4—ヒドロキシフエ-ル)—プロピオネート、 1一べンジルー 2, 2, 6, 6—テトラメチルー 4ーピベリジ-ルマレイネート(mal einate)、(ジ 2, 2, 6, 6—テトラメチルピペリジンー4 ィル)一アジべ
ート、(ジー 2, 2, 6, 6—テトラメチルピペリジン 4 ィル) セバケート、(ジ - 1, 2, 3, 6—テトラメチルー 2, 6 ジェチルーピペリジンー4 ィル) セバケ ート、(ジー1ーァリル 2, 2, 6, 6—テトラメチルーピペリジンー4 ィル)ーフ タレート、 1 ァセチルー 2, 2, 6, 6—テトラメチルピペリジンー4ーィルーァセテ ート、トリメリト酸一トリ一(2, 2, 6, 6—テトラメチルピペリジン一 4—ィル)ェ ステル、 1—アタリロイルー 4一べンジルォキシ 2, 2, 6, 6—テトラメチルピペリ ジン、ジブチルーマロン酸ージ一(1, 2, 2, 6, 6 ペンタメチルーピペリジン 4 ィル) エステル、ジベンジルーマロン酸ージ一(1, 2, 3, 6—テトラメチルー 2 , 6 ジェチルーピペリジンー4一ィル)一エステル、ジメチルービス一(2, 2, 6, 6—テトラメチルピペリジン一 4—ォキシ)一シラン,トリス一(1—プロピル一 2, 2 , 6, 6—テトラメチルピペリジン一 4—ィル)一ホスフィット、トリス一(1—プロピ ルー 2, 2, 6, 6—テトラメチルピペリジン一 4—ィル)一ホスフェート, N, N' - ビス一(2, 2, 6, 6—テトラメチルピペリジンー4 ィル)一へキサメチレン 1, 6 ジァミン、 N, N' —ビス一(2, 2, 6, 6—テトラメチルピペリジン一 4—ィル )—へキサメチレン一 1, 6 ジァセトアミド、 1—ァセチルー 4— (N シクロへキシ ルァセトアミド) 2, 2, 6, 6—テトラメチルーピペリジン、 4一べンジルアミノー 2, 2, 6, 6—テ卜ラメチルピぺジジン、 N, Ν' —ビス—(2, 2, 6, 6—テ卜ラ メチルビペリジン— 4—ィル)—Ν, N' —ジブチル—アジパミド、 Ν, N' —ビス—( 2, 2, 6, 6—テトラメチルピペリジン一 4—ィル) Ν, N' —ジシクロへキシル一 (2 ヒドロキシプロピレン)、 Ν, N' —ビス一(2, 2, 6, 6—テトラメチルピぺ リジン一 4—ィル) ρ キシリレン一ジァミン、 4— (ビス一 2 ヒドロキシェチル) —ァミノ— 1, 2, 2, 6, 6 ペンタメチルピペリジン、 4—メタクリルアミド— 1, 2, 2, 6, 6 ペンタメチルピペリジン、 α—シァノー βーメチルー β [Ν- (2,
2, 6, 6—テトラメチルピペリジンー4ーィル)] アミノーアクリル酸メチルエステ ル。
[0232] 好ましいヒンダードアミン光安定剤の例には、以下の HALS— 1及び HALS— 2が 含まれる。
[0233] [化 55]
[0234] 酸ィ匕防止剤は、前述のセルロースエステル同様に、製造時力も持ち越される、ある いは
保存中に発生する残留酸、無機塩、有機低分子等の不純物を除去することが好まし ぐより好ましくは純度 99%以上である。残留酸及び水としては、 0. 01〜: LOOppmで あることが好ましぐセルロースエステルを溶融製膜する上で、熱劣化を抑制でき、製 膜安定性、フィルムの光学物性、機械物性が向上する。
[0235] 酸ィ匕防止剤は、それぞれ 1種あるいは 2種以上組み合わせて用いることができ、そ の配合量は本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択されるが、セルロースエステ ル 100質量部に対して、通常 0. 001〜10. 0質量部、好ましくは 0. 01〜5. 0質量 部、さらに好ましくは、 0. 1〜3. 0質量部である。
[0236] 酸化防止剤の添加量が少なすぎると溶融時に安定化作用が低いために、効果が 得られず、また添カ卩量が少なすぎるとセルロースエステルへの相溶性の観点カゝらフィ ルムとしての透明性の低下を引き起こし、またフィルムが脆くなることがあるため好まし くない。
[0237] これら酸化防止剤の部分構造が、ポリマーの一部、或いは規則的にポリマーへぺ ンダントされていてもよぐ可塑剤、酸掃去剤、紫外線吸収剤等の添加剤の分子構造 の一部に導入されて 、てもよ 、。
[0238] (酸掃去剤)
酸掃去剤とは製造時カゝら持ち込まれるセルロースエステル中に残留する酸 (プロト ン酸
)をトラップする役割を担う剤である。また、セルロースエステルを溶融するとポリマー 中の水分と熱により側鎖の加水分解が促進し、 CAPならば酢酸やプロピオン酸が生 成す
る。これらの酸は、セルロースエステルの分解を促進するため、酸掃去剤を使用する のが
好ましい。酸と化学的に結合できればよぐエポキシ、 3級ァミン、エーテル構造等を 有
する化合物が挙げられる力 これに限定されるものでない。
[0239] 具体的には、米国特許第 4, 137, 201号明細書に記載されている酸掃去剤として のエポキシ化合物を含んでなるのが好まし 、。このような酸掃去剤としてのエポキシ 化合
物は当該技術分野において既知であり、種々のポリグリコールのジグリシジルエーテ ル、
特にポリグリコール 1モル当たりに約 8〜40モルのエチレンォキシドなどの縮合によつ て誘導されるポリグリコール、グリセロールのジグリシジルエーテルなど、金属ェポキ シ
化合物(例えば、塩ィ匕ビュルポリマー組成物において、及び塩ィ匕ビ二ルポリマー組成 物と
共に、従来力も利用されているもの)、エポキシィ匕エーテル縮合生成物、ビスフエノー ル
Aのジグリシジルエーテル(即ち、 4, 4' ージヒドロキシジフエ-ルジメチルメタン) 、エポキシィ匕不飽和脂肪酸エステル (特に、 2〜22この炭素原子の脂肪酸の 4〜2個
程
度の炭素原子のアルキルのエステル(例えば、ブチルエポキシステアレート)など)、 及
び種々のエポキシ化長鎖脂肪酸トリグリセリドなど (例えば、エポキシ化大豆油などの 組
成物によって代表され、例示され得る、エポキシ化植物油及び他の不飽和天然油(こ れら
は時としてエポキシィ匕天然グリセリドまたは不飽和脂肪酸と称され、これらの脂肪酸は 般に 12〜22個の炭素原子を含有している))が含まれる。特に好ましいのは、市販の エポキシ基含有エポキシド榭脂化合物 EPON 815c、及び一般式 (H)の他のェ ポキシィ匕エーテルオリゴマー縮合生成物である。
[0240] [化 56] ocl
H 一般式 (H)
[0241] 上式中、 nは 0〜12である。用いることができる更に可能な酸掃去剤としては、特開 平 5— 194788号公報の段落番号 87〜105に記載されているものが含まれる。
[0242] (紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤としては、偏光子や表示装置の紫外線に対する劣化防止の観点か ら、波長
370nm以下の紫外線の吸収能に優れており、且つ液晶表示性の観点から、波長 40 0
nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。例えば、ォキシベンゾフエノン系
化合
物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフエノン系化 物、シァノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等を挙げることができるが、 ベ
ンゾフエノン系化合物や着色の少な 、ベンゾトリアゾール系化合物が好まし 、。また、 特
開平 10— 182621号公報、同 8— 337574号公報記載の紫外線吸収剤、特開平 6 - 148430号公報、特開平 2003 - 113317号公報記載の高分子紫外線吸収剤 を用いてもよい。
有用なベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例として、 2— (2' —ヒドロキシ一 5' —メチルフエ-ル)ベンゾトリアゾール、 2— (2' —ヒドロキシ一 3' , 5' —ジ —tert ブチルフエ-ル)ベンゾトリアゾール、 2—(2' —ヒドロキシ—3' —t ert—ブチル 5' —メチルフエ-ル)ベンゾトリアゾール、 2— (2' —ヒドロキシ —3' , 5' —ジ— tert—ブチルフエ二ル)— 5 クロ口べンゾトリアゾール、 2—
{2' —ヒドロキシ一 3' —(3 " , 5 <6" —テトラヒドロフタルイミドメチ ル) 5' —メチルフエ-ル)ベンゾトリァゾール、 2, 2—メチレンビス(4— (1, 1, 3, 3—テトラメチルブチル)—6— (2H ベンゾトリアゾール—2—ィル)フエ ノール)、 2— (2' —ヒドロキシ一 3' — tert—ブチル 5' —メチルフエ-ル) —5 クロ口べンゾトリァゾール、 2— (2H ベンゾトリアゾール 2—ィル) 6— (直鎖及び側鎖ドデシル)ー4 メチルフエノール、ォクチルー 3—〔3—tert—ブ チル 4 ヒドロキシ 5 (クロ口 2H ベンゾトリアゾール - 2 ィル)フエ-ル 〕プロピオネートと 2 ェチルへキシル 3—〔 3— tert ブチル 4 ヒドロキシ — 5— (5 クロ口一 2H ベンゾトリアゾール - 2 ィル)フエ-ル〕プロピオネート の混合物、 2— (2H ベンゾトリアゾール—2—ィル)—4, 6 ビス (1—メチル—1— フエ-ルェチル)フエノール、 2— (2' —ヒドロキシ一 3' — (1—メチル 1—フエ-ル ェチル)ー5' —(1, 1, 3, 3, ーテトラメチルブチル) フエ-ル)ベンゾトリアゾール 等を挙げることができるが、これらに限定されない。
[0244] また、市販品として、チヌビン (TINUVIN) 109、チヌビン (TINUVIN
) 171、チヌビン(TINUVIN) 360、チヌビン(TINUVIN) 900、チヌビン(TINUVI N) 928 (いずれもチバ—スペシャルティ—ケミカルズ社製)、 LA31 (旭電化社製)、 S umisorb250 (住友化学工業社製)などが挙げられる。
[0245] ベンゾフエノン系化合物の具体例として、 2, 4—ジヒドロキシベンゾフエノン、 2, 2' ージヒドロキシー 4ーメトキシベンゾフエノン、 2 ヒドロキシー 4ーメトキシー 5 —スノレホベンゾフエノン、ビス(2 メトキシ 4 ヒドロキシ 5 ベンゾィルフエ- ルメタン)等を挙げることができる力 これらに限定されるものではない。
[0246] 本発明においては、紫外線吸収剤は 0. 1〜20質量%添加することが好ましぐ更 に
0. 5〜: L0質量%添加することが好ましぐ更に 1〜5質量%添加することが好ましい 。これらは 2種以上を併用してもよい。
[0247] (マット剤)
本発明のセルロースエステルフィルムには、滑り性を付与するためにマット剤等の 微粒
子を添加することができ、微粒子としては、無機化合物の微粒子または有機化合物 の微粒
子が挙げられる。マット剤はできるだけ微粒子のものが好ましぐ微粒子としては、例 え
ば、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸ィ匕アルミニウム、酸ィ匕ジルコニウム、炭酸カルシ ゥ
ム、カオリン、タルク、焼成ケィ酸カルシウム、水和ケィ酸カルシウム、ケィ酸アルミ- ゥム、ケィ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の無機微粒子や架橋高分子微粒子を 挙げ
ることができる。中でも、二酸化ケイ素がフィルムのヘイズを低くできるので好ましい。 ニ酸ィ匕ケィ素のような微粒子は有機物により表面処理されている場合が多いが、この よう
なものはフィルムのヘイズを低下できるため好まし 、。
[0248] 表面処理で好ま 、有機物としては、ハロシラン類、アルコキシシラン類、シラザン、 シロキサンなどが挙げられる。微粒子の平均粒径が大きい方が滑り性効果は大きぐ 反対
に平均粒径の小さい方は透明性に優れる。また、微粒子の二次粒子の平均粒径は 0 . 05
〜1. O /z mの範囲である。好ましい微粒子の二次粒子の平均粒径は 5〜50nmが好 ま
しぐ更に好ましくは 7〜14nmである。これらの微粒子はセルロースエステルフィル ム中では、セルロースエステルフィルム表面に 0. 01〜1. O /z mの凹凸を生成させる 為に好ましく用いられる。微粒子のセルロースエステル中の含有量はセルロースエス テノレ
に対して 0. 005-0. 3質量%が好ましい。
[0249] 二酸化ケイ素の微粒子としては、 日本ァエロジル (株)製のァエロジル (AEROSI L) 200、 200V、 300、 R972、 R972V、 R974、 R202、 R812
、 0X50、 TT600、 NAX50等、 日本触媒 (株)製の KE— P10、 KE— P30、 KE— P 100、 KE— P150等を挙げ、ること力 Sでき、好ましくはァエロジノレ 200V、 R972、 R972 V、 R974、 R202、 R812、 NAX50、 KE— P30、 KE— P100である。これらの微粒 子は 2種以上併用してもよい。 2種以上併用する場合、任意の割合で混合して使用 することができる。この場合、平均粒径や材質の異なる微粒子、例えば、ァエロジル 2 00Vと R972Vを質量比で 0. 1 : 99. 9〜99. 9 : 0. 1の範囲で使用できる。
[0250] 上記マット剤として用いられるフィルム中の微粒子の存在は、別の目的としてフィル ム
の強度向上のために用いることもできる。また、フィルム中の上記微粒子の存在は、 本発
明の光学フィルムを構成するセルロースエステル自身の配向性を向上することも可能 であ
る。
[0251] (リタ一デーシヨン制御剤)
本発明の光学フィルムにお 、て配向膜を形成して液晶層を設け、光学フィルムと液 晶層
由来のリタ一デーシヨンを複合ィ匕して光学補償能を付与して、液晶表示品質の向上 のため
にこのような偏光板力卩ェを行ってもよい。リタ一デーシヨンを調節するために添加する 化
合物は、欧州特許第 911, 656A2号明細書に記載されているような、二つ以上の芳 香族環を有する芳香族化合物をリタ一デーシヨン制御剤として使用することもできる。 ま
た 2種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。該芳香族化合物の芳香族環には、 芳香族
炭化水素環に加えて、芳香族性へテロ環を含む。芳香族性へテロ環であることが特 に好ま
しぐ芳香族性へテロ環は一般に不飽和へテロ環である。中でも 1, 3, 5—トリァジン 環が特に好ましい。
[0252] 《溶融流延法》
本発明のセルロースエステルフィルムは、前述のように溶融流延によって製造する ことが特徴である。溶液流延法にぉ 、て用いられる溶媒 (例えば塩化メチレン等)を 用いずに、加熱溶融する溶融流延による成形法は、更に詳細には、溶融押出成形 法、プレス成形法、インフレーション法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法等 に分類できる。これらの中で、機械的強度及び表面精度等に優れる偏光板保護フィ ルムを得るためには、溶融押し出し法が優れて!/ヽる。
[0253] 以下、溶融押し出し法を例にとり、本発明のセルロースエステルフィルムの製造方 法について説明する。
[0254] 図 1は、本発明に係るセルロースエステルフィルムの製造方法を実施する装置の全 体構成を示す概略フローシートであり、図 2は、流延ダイカゝら冷却ロール部分の拡大 図である。
[0255] 図 1と図 2において、本発明によるセルロースエステルフィルムの製造方法は、セル
ロース榭脂、本発明のエステルイ匕合物、添加剤等のフィルム材料を混合した後、押 出し機 1を用いて、流延ダイ 4力 第 1冷却ロール 5上に溶融押し出し、第 1冷却ロー ル 5に外接させるとともに、更に、第 2冷却ロール 7、第 3冷却ロール 8の合計 3本の冷 却ロールに順に外接させて、冷却固化してフィルム 10とする。次いで、剥離ロール 9 によって剥離したフィルム 10を、次 、で延伸装置 12によりフィルムの両端部を把持し て幅方向に延伸した後、卷取り装置 16により巻き取る。また、平面性を矯正するため に溶融フィルムを第 1冷却ロール 5表面に挟圧するタツチロール 6が設けられている。 このタツチロール 6は表面が弾性を有し、第 1冷却ロール 5との間で-ップを形成して いる。タツチロール 6についての詳細は後述する。
[0256] 本発明によるセルロースエステルフィルムの製造方法にぉ 、て、溶融押し出しの条 件は、他のポリエステル等の熱可塑性榭脂に用いられる条件と同様にして行うことが できる。材料は予め乾燥させておくことが好ましい。真空または減圧乾燥機や除湿熱 風乾燥機等で水分を lOOOppm以下、好ましくは 200ppm以下に乾燥させることが 望ましい。
[0257] 例えば、熱風や真空または減圧下で乾燥したセルロースエステル系榭脂を押出し 機 1を用いて、押し出し温度 200〜300°C程度で溶融し、リーフディスクタイプのフィ ルター 2等で濾過し、異物を除去する。
[0258] 供給ホッパー(図示略)から押出し機 1へ導入する際は、真空下または減圧下ゃ不 活性ガス雰囲気下にして、酸ィ匕分解等を防止することが好ましい。
[0259] 可塑剤等の添加剤を予め混合しない場合は、それらを押出し機の途中で練り込ん でもよい。均一に添加するために、スタチックミキサー 3等の混合装置を用いることが 好ましい。
[0260] 本発明にお!/、て、セルロースエステル系榭脂と、本発明のエステル化合物、その他 必要により添加される安定化剤等の添加剤は、溶融する前に混合しておくことが好ま しぐセルロースエステル系榭脂と本発明のエステルイ匕合物、添加剤を加熱前に混 合することが更に好ましい。混合は、混合機等により行ってもよぐまた、前記したよう にセルロース樹脂調製過程において混合してもよい。混合機を使用する場合は、 V 型混合機、円錐スクリュー型混合機、水平円筒型混合機等、ヘンシェルミキサー、リ
ボンミキサ一一般的な混合機を用いることができる。
[0261] 上記のようにフィルム構成材料を混合した後に、その混合物を押出し機 1を用いて 直接溶融して製膜するようにしてもよいが、一旦、フィルム構成材料をペレツトイ匕した 後、該ペレットを押出し機 1で溶融して製膜するようにしてもよい。また、フィルム構成 材料が、融点の異なる複数の材料を含む場合には、融点の低い材料のみが溶融す る温度で一旦、いわゆるおこし状の半溶融物を作製し、半溶融物を押出し機 1に投 入して製膜することも可能である。フィルム構成材料に熱分解しやす ヽ材料が含まれ る場合には、溶融回数を減らす目的で、ペレットを作製せずに直接製膜する方法や 、上記のようなおこし状の半溶融物を作って力 製膜する方法が好ま 、。
[0262] フィルム構成材料が溶融されるときの揮発成分の含有量は 1質量%以下、好ましく は 0
. 5質量%以下、好ましくは 0. 2質量%以下、更に好ましくは 0. 1質量%以下のもの であることが望ましい。本発明においては、示差熱重量測定装置 (セイコー電子工業 社製
TGZDTA200)を用いて、 30°Cから 350°Cまでの加熱減量を求め、その量を揮 発成分の含有量とする。
[0263] 押出し機 1は、市場で入手可能な種々の押出し機を使用可能であるが、溶融混練 押出し機が好ましぐ単軸押出し機でも 2軸押出し機でもよい。フィルム構成材料から ペレットを作製せずに、直接製膜を行う場合、適当な混練度が必要であるため 2軸押 出し機を用いることが好ましいが、単軸押出し機でも、スクリューの形状をマドック型、 ュニメルト型、ダルメージ等の混練型のスクリューに変更することにより、適度の混練 が得られるので、使用可能である。フィルム構成材料として、ー且、ペレットやおこし 状の半溶融物を使用する場合は、単軸押出し機でも 2軸押出し機でも使用可能であ る。
[0264] 押出し機 1内及び押し出した後の冷却工程は、窒素ガス等の不活性ガスで置換す る力、或いは減圧することにより、酸素の濃度を下げることが好ましい。
[0265] 押出し機 1内のフィルム構成材料の溶融温度は、フィルム構成材料の粘度や吐出 量、製造するシートの厚み等によって好ましい条件が異なる力 一般的には、フィル
ムのガラス転移温度 Tgに対して、 Tg以上、 Tg+ 130°C以下、好ましくは Tg+ 10°C 以上、 Tg+ 120°C以下である。押し出し時の溶融粘度は、 10〜: LOOOOOボイズ、好 ましくは 100〜10000ボイズである。また、押出し機 1内でのフィルム構成材料の滞 留時間は短い方が好ましぐ 5分以内、好ましくは 3分以内、より好ましくは 2分以内で ある。滞留時間は、押出し機 1の種類、押し出す条件にも左右されるが、材料の供給 量や LZD、スクリュー回転数、スクリューの溝の深さ等を調整することにより短縮する ことが可能である。
[0266] 押出し機 1のスクリューの形状や回転数等は、フィルム構成材料の粘度や吐出量等 により適宜選択される。本発明において押出し機 1でのせん断速度は、 1/秒〜 100 ooZ秒、好ましくは 5Z秒〜 loooZ秒、より好ましくは 10Z秒〜 looZ秒である。
[0267] 本発明に使用できる押出し機 1としては、一般的にプラスチック成形機として入手可 能である。
[0268] 押出し機 1から押し出されたフィルム構成材料は、流延ダイ 4に送られ、流延ダイ 4 のスリットからフィルム状に押し出される。流延ダイ 4はシートやフィルムを製造するた めに用いられるものであれば特に限定はされない。流延ダイ 4の材質としては、ハー ドクロム、炭化クロム、窒化クロム、炭化チタン、炭窒化チタン、窒化チタン、超鋼、セ ラミック (タングステンカーバイド、酸化アルミ、酸ィ匕クロム)等を溶射もしくはメツキし、 表面カ卩ェとしてパフ、 # 1000番手以降の砲石を用いるラッピング、 # 1000番手以 上のダイヤモンド砲石を用 、る平面切削(切削方向は榭脂の流れ方向に垂直な方向 )、電解研磨、電解複合研磨等の加工を施したもの等が挙げられる。流延ダイ 4のリツ プ部の好ましい材質は、流延ダイ 4と同様である。またリップ部の表面精度は 0. 5S以 下が好ましぐ 0. 2S以下がより好ましい。
[0269] この流延ダイ 4のスリットは、そのギャップが調整可能なように構成されて 、る。これ を図 3に示す。流延ダイ 4のスリット 32を形成する一対のリップのうち、一方は剛性の 低い変形しやすいフレキシブルリップ 33であり、他方は固定リップ 34である。そして、 多数のヒートボルト 35が流延ダイ 4の幅方向すなわちスリット 32の長さ方向に一定ピ ツチで配列されている。各ヒートボルト 5には、埋め込み電気ヒータ 37と冷却媒体通 路とを具えたブロック 36が設けられ、各ヒートボルト 35が各ブロック 36を縦に貫通して
いる。ヒートボルト 35の基部はダイ本体 31に固定され、先端はフレキシブルリップ 33 の外面に当接している。そしてブロック 36を常時空冷しながら、埋め込み電気ヒータ 37の入力を増減してブロック 36の温度を上下させ、これによりヒートボルト 35を熱伸 縮させて、フレキシブルリップ 33を変位させてフィルムの厚さを調整する。ダイ後流の 所要箇所に厚さ計を設け、これによつて検出されたウェブ厚さ情報を制御装置にフィ ードバックし、この厚さ情報を制御装置で設定厚み情報と比較し、同装置から来る補 正制御量の信号によってヒートボルトの発熱体の電力またはオン率を制御するように することもできる。ヒートボルトは、好ましくは、長さ 20〜40cm、直径 7〜14mmを有 し、複数、例えば数十本のヒートボルトが、好ましくはピッチ 20〜40mmで配列されて いる。ヒートボルトの代わりに、手動で軸方向に前後動させることによりスリットギャップ を調節するボルトを主体とするギャップ調節部材を設けてもょ 、。ギャップ調節部材 によって調節されたスリットギャップは、通常 200〜1000 μ m、好ましくは 300〜800 μ m、より好ましくは 400〜600 μ mである。
[0270] 第 1〜第 3冷却ロールは、肉厚が 20〜30mm程度のシームレスな鋼管製で、表面 が鏡面に仕上げられている。その内部には、冷却液を流す配管が配置されており、 配管を流れる冷却液によってロール上のフィルム力 熱を吸収できるように構成され ている。この第 1乃至第 3冷却ロールの内、第 1冷却ロール 5が本発明の回転支持体 に相当する。
[0271] 一方、第 1冷却ロール 5に当接するタツチロール 6は、表面が弾性を有し、第 1冷却 ロール 5への押圧力によって第 1冷却ロール 5の表面に沿って変形し、第 1ロール 5と の間に-ップを形成する。すなわち、タツチロール 6が本発明の挟圧回転体に相当す る。
[0272] 図 4に、タツチロール 6の一実施形態(以下、タツチロール A)の概略断面を示す。図 に示すように、タツチロール Aは、可撓性の金属スリーブ 41の内部に弾性ローラ 42を 配したものである。
[0273] 金属スリーブ 41は厚さ 0. 3mmのステンレス製であり、可撓性を有する。金属スリー ブ 41が薄過ぎると強度が不足し、逆に厚過ぎると弾性が不足する。これらのこと力 、 金属スリーブ 41の厚さとしては、 0. 1〜1. 5mmが好ましい。弾性ローラ 42は、軸受
を介して回転自在な金属製の内筒 43の表面にゴム 44を設けてロール状としたもの である。そして、タツチロール Aが第 1冷却ロール 5に向けて押圧されると、弾性ローラ 42が金属スリーブ 41を第 1冷却ロール 5に押しつけ、金属スリープ 41及び弾性ロー ラ 42は第 1冷却ロール 5の形状になじんだ形状に対応しつつ変形し、第 1冷却ロー ルとの間に-ップを形成する。金属スリーブ 41の内部で弾性ローラ 42との間に形成 される空間には、冷却水 45が流される。
[0274] 図 5、図 6は挟圧回転体の別の実施形態であるタツチロール Bを示している。タツチ ロール Bは、可撓性を有する、シームレスなステンレス鋼管製 (厚さ 4mm)の外筒 51 と、この外筒 51の内側に同一軸心状に配置された高剛性の金属内筒 52とから概略 構成されている。外筒 51と内筒 52との間の空間 53には、冷却液 54が流される。詳し くは、タツチロール Bは、両端の回転軸 55a、 55bに外筒支持フランジ 56a、 56bが取 付けられ、これら両外筒支持フランジ 56a、 56bの外周部間に薄肉金属外筒 51が取 付けられている。また、一方の回転軸 55aの軸心部に形成されて流体戻り通路 57を 形成する流体排出孔 58内に、流体供給管 59が同一軸心状に配設され、この流体供 給管 59が薄肉金属外筒 51内の軸心部に配置された流体軸筒 60に接続固定されて いる。この流体軸筒 60の両端部に内筒支持フランジ 61a、 61bがそれぞれ取り付け られ、これら内筒支持フランジ 61a、 61bの外周部間から他端側外筒支持フランジ 56 bにわたつて約 15〜20mm程度の肉厚を有する金属内筒 52が取付けられている。 そしてこの金属内筒 52と薄肉金属外筒 51との間に、例えば 10mm程度の冷却液の 流送空間 53が形成され、また金属内筒 52に両端部近傍には、流送空間 53と内筒 支持フランジ 61a、 61b外側の中間通路 62a、 62bとを連通する流出口 52a及び流入 口 52bがそれぞれ形成されて!、る。
[0275] また、外筒 51は、ゴム弾性に近い柔軟性と可撓性、復元性をもたせるために、弾性 力学の薄肉円筒理論が適用できる範囲内で薄肉化が図られている。この薄肉円筒 理論で評価される可撓性は、肉厚 tZロール半径 rで表されており、 tZrが小さいほど 可撓性が高まる。このタツチロール Bでは tZr≤0. 03の場合に可撓性が最適の条件 となる。通常、一般的に使用されているタツチロールは、ロール径 R= 200〜500mm (ロール半径 r=RZ2)、ロール有効幅1^ = 500〜1600111111で、 r/L< 1で横長の形
状である。そして図 6に示すように、例えばロール径 R= 300mm、ロール有効幅 L=
1200mmの場合、肉厚 tの適正範囲は 150 X 0. 03=4. 5mm以下である力 溶融 シート幅を 1300mmに対して平均線圧を 98NZcmで挟圧する場合、同一形状のゴ ムロールと比較して、外筒 51の肉厚を 3mmとすることで相当ばね定数も等しぐ外筒
51と冷却ロールとの-ップのロール回転方向の-ップ幅 kも約 9mmで、このゴムロー ルの-ップ幅約 12mmとほぼ近 、値を示し、同じような条件下で挟圧できることが分 力る。なお、この-ップ幅 kにおけるたわみ量は 0. 05〜0. 1mm程度である。
[0276] ここで、 tZr≤0. 03とした力 一般的なロール径 R= 200〜500mmの場合では、 特に 2mm≤t≤5mmの範囲とすると、可撓性も十分に得られ、また機械加工による 薄肉ィヒも容易に実施でき、極めて実用的な範囲となる。肉厚が 2mm以下ではカロェ 時の弾性変形で高精度な加工ができな 、。
[0277] この 2mm≤t≤ 5mmの換算値は、一般的なロール径に対して 0. 008≤t/r≤0.
05となる力 実用にあたっては tZr^O. 03の条件下でロール径に比例して肉厚も 大きくするとよい。例えばロール径: R= 200では t = 2〜3mm、ロール径: R= 500で は t = 4〜 5mmの範囲で選択する。
[0278] このタツチロール A、 Bは不図示の付勢手段により第 1冷却ロールに向けて付勢さ れる。その付勢手段の付勢力を F、 -ップにおけるフィルムの、第 1冷却ロール 5の回 転軸に沿った方向の幅 Wを除した値 FZW (線圧)は、 9. 8〜147NZcmに設定さ れる。本実施の形態によれば、タツチロール A、 Bと第 1冷却ロール 5との間に-ップ が形成され、当該二ップをフィルムが通過する間に平面性を矯正すればよい。従って 、タツチロールが剛体で構成され、第 1冷却ロールとの間に-ップが形成されない場 合と比べて、小さい線圧で長時間かけてフィルムを挟圧するので、平面性をより確実 に矯正することができる。すなわち、線圧が 9. 8NZcmよりも小さいと、ダイラインを 十分に解消することができなくなる。逆に、線圧が 147NZcmよりも大きいと、フィル ムが-ップを通過しにくくなり、フィルムの厚さにかえってムラができてしまう。
[0279] また、タツチロール A、 Bの表面を金属で構成することにより、タツチロールの表面が ゴムである場合よりもタツチロール A、 Bの表面を平滑にすることができるので、平滑 性の高いフィルムを得ることができる。なお、弾性ローラ 42の弾性体 44の材質として
は、エチレンプロピレンゴム、ネオプレンゴム、シリコンゴム等を用いることができる。
[0280] さて、タツチロール 6によってダイラインを良好に解消するためには、タツチロール 6 力 Sフィルムを挟圧するときのフィルムの粘度が適切な範囲であることが重要となる。ま た、セルロースエステルは温度による粘度の変化が比較的大きいことが知られている 。従って、タツチロール 6がセルロースエステルフィルムを挟圧するときの粘度を適切 な範囲に設定するためには、タツチロール 6がセルロースエステルフィルムを挟圧す るときのフィルムの温度を適切な範囲に設定することが重要となる。そして本発明者 は、セルロースエステルフィルムのガラス転移温度を Tgとしたとき、フィルムがタツチロ ール 6に挟圧される直前のフィルムの温度 Tを、 Tg<T<Tg+ 110°Cを満たすように 設定すればょ ヽことを見出した。フィルム温度 Tが Tgよりも低 ヽとフィルムの粘度が高 過ぎて、ダイラインを矯正できなくなる。逆に、フィルムの温度 Tが Tg+ 110°Cよりも高 いと、フィルム表面とロールが均一に接着せず、やはりダイラインを矯正することがで きない。好ましくは丁8+ 10で<丁<丁8 + 90で、更に好ましくは丁8 + 20で<丁<丁8 + 70°Cである。タツチロール 6がセルロースエステルフィルムを挟圧するときのフィル ムの温度を適切な範囲に設定するには、流延ダイ 4から押し出された溶融物が第 1冷 却ロール 5に接触する位置 P1から第 1冷却ロール 5とタツチロール 6との-ップの、第 1冷却ロール 5の回転方向に沿った長さ Lを調整すればょ 、。
[0281] 本発明において、第 1ロール 5、第 2ロール 6に好ましい材質は、炭素鋼、ステンレス 鋼、榭脂、等が挙げられる。また、表面精度は高くすることが好ましく表面粗さとして 0 . 3S以下、より好ましくは 0. 01S以下とする。
[0282] 本発明においては、流延ダイ 4の開口部(リップ)から第 1ロール 5までの部分を 70k
Pa以下に減圧させること力 上記、ダイラインの矯正効果が高く好ましい。好ましくは 減圧は 50〜70kPaである。流延ダイ 4の開口部(リップ)から第 1ロール 5までの部分 の圧力を 70kPa以下に保つ方法としては、特に制限はないが、流延ダイ 4からロール 周辺を耐圧部材で覆い、減圧する等の方法がある。このとき、吸引装置は、装置自体 が昇華物の付着場所にならないようヒーターで加熱する等の処置を施すことが好まし い。本発明では、吸引圧が小さ過ぎると昇華物を効果的に吸引できないため、適当 な吸引圧とする必要がある。
[0283] 本発明にお 、て、 Tダイ 4から溶融状態のフィルム状のセルロースエステル系榭脂 を、第 1ロール (第 1冷却ロール) 5、第 2冷却ロール 7、及び第 3冷却ロール 8に順次 密着させて搬送しながら冷却固化させ、未延伸のセルロースエステル系榭脂フィルム 10を得る。
[0284] 図 1に示す本発明の実施形態では、第 3冷却ロール 8から剥離ロール 9によって剥 離した冷却固化された未延伸のフィルム 10は、ダンサーロール (フィルム張力調整口 ール) 11を経て延伸機 12に導き、そこでフィルム 10を横方向(幅方向)に延伸する。 この延伸により、フィルム中の分子が配向される。
[0285] フィルムを幅方向に延伸する方法は、公知のテンター等を好ましく用いることができ る。特に延伸方向を幅方向とすることで、偏光フィルムとの積層がロール形態で実施 できるので好ましい。幅方向に延伸することで、セルロースエステル系榭脂フィルムか らなるセルロースエステルフィルムの遅相軸は幅方向になる。
[0286] 一方、偏光フィルムの透過軸も、通常、幅方向である。偏光フィルムの透過軸と光 学フィルムの遅相軸とが平行になるように積層した偏光板を液晶表示装置に組み込 むことで、液晶表示装置の表示コントラストを高くすることができるとともに、良好な視 野角が得られる。
[0287] フィルム構成材料のガラス転移温度 Tgはフィルムを構成する材料種及び構成する 材料の比率を異ならしめることにより制御できる。セルロースエステルフィルムとして位 相差フィルムを作製する場合、 Tgは 120°C以上、好ましくは 135°C以上とすることが 好ましい。液晶表示装置においては、画像の表示状態において、装置自身の温度 上昇、例えば光源由来の温度上昇によってフィルムの温度環境が変化する。このとき フィルムの使用環境温度よりもフィルムの Tgが低いと、延伸によってフィルム内部に 固定された分子の配向状態に由来するリタ一デーシヨン値及びフィルムとしての寸法 形状に大きな変化を与えることとなる。フィルムの Tgが高過ぎると、フィルム構成材料 をフィルム化するとき温度が高くなるために加熱するエネルギー消費が高くなり、また フィルム化するときの材料自身の分解、それによる着色が生じることがあり、従って、 T gは 250°C以下が好ましい。
[0288] また延伸工程には公知の熱固定条件、冷却、緩和処理を行ってもよぐ 目的とする
光学フィルムに要求される特性を有するように適宜調整すればよ!、。
[0289] セルロースエステルフィルムの膜厚変動は、 ± 3%、更に ± 1%の範囲とすることが 好ましい。以上のような目的において、互いに直交する 2軸方向に延伸する方法は 有効であり、互いに直交する 2軸方向の延伸倍率は、それぞれ最終的には流延方向 に 1. 0〜2. 0倍、幅方向に 1. 01-2. 5倍の範囲とすることが好ましぐ流延方向に 1. 01〜: L 5倍、幅方向に 1. 05〜2. 0倍に範囲で行うこと力好まし!/、。
[0290] 延伸後、フィルムの端部をスリツター 13により製品となる幅にスリットして裁ち落とし た後、エンボスリング 14及びバックロール 15よりなるナールカ卩ェ装置によりナールカ口 ェ (ェンボッシンダカ卩ェ)をフィルム両端部に施し、卷取り機 16によって巻き取ること により、セルロースエステルフィルム (元巻き) F中の貼り付きや、すり傷の発生を防止 する。ナールカ卩ェの方法は、凸凹のパターンを側面に有する金属リングを加熱やカロ 圧により加工することができる。なお、フィルム両端部のクリップの把持部分は通常、 変形しており、フィルム製品として使用できないので、切除されて、原料として再利用 される。
[0291] 本発明のセルロースエステルフィルム製造に際し、延伸の前及び Zまたは後で帯 電防止層、ハードコート層、反射防止層、易滑性層、易接着層、防眩層、バリアー層 、光学補償層等の機能性層を塗設してもよい。特に帯電防止層、ハードコート層、反 射防止層、易接着層、防眩層及び光学補償層から選ばれる少なくとも 1層を設けるこ とが好ましい。この際、コロナ放電処理、プラズマ処理、薬液処理等の各種表面処理 を必要に応じて施すことができる。
[0292] 前述の可塑剤、紫外線吸収剤、マット剤等の添加物濃度が異なるセルロース榭脂 を含む
組成物を共押出しして、積層構造のセルロースエステルフィルムを作製することもで さる
。例えば、スキン層 Zコア層 Zスキン層といった構成のセルロースエステルフィルムを 作
ることができる。例えば、マット剤はスキン層に多ぐまたはスキン層のみに入れること ができる。可塑剤、紫外線吸収剤はスキン層よりもコア層に多く入れることができ、コ
ァ
層のみに入れてもよい。また、コア層とスキン層で可塑剤、紫外線吸収剤の種類を変 更す
ることもでき、例えば、スキン層に低揮発性の可塑剤及び Zまたは紫外線吸収剤を 含ませ
、コア層に可塑性に優れた可塑剤、或いは紫外線吸収性に優れた紫外線吸収剤を 添加する
こともできる。スキン層とコア層の Tgが異なっていてもよぐスキン層の Tgよりコア 層の Tgが低いことが好ましい。また、溶融流延時のセルロースエステルを含む溶融 物の
粘度もスキン層とコア層で異なっていてもよぐスキン層の粘度 >コア層の粘度でも、 n
ァ層の粘度≥スキン層の粘度でもよい。
[0293] 本発明に係るセルロースエステルフィルムの膜の厚さは、使用目的によって異なる 力 仕上がりフィルムとして、 10〜500 m力 S好ましい。特に、下限は 20 m以上、 好ましくは 35 μ m以上である。上限は 150 μ m以下、好ましくは 120 μ m以下である
。特に好ましい範囲は 25〜90 mである。
[0294] 本発明のセルロースエステルフィルムは、寸度安定性が 23°C55%RHに 24時間 放置したフィルムの寸法を基準としたとき、 80°C90%RHにおける寸法の変動値が
± 1. 0%未満であることが好ましぐ更に好ましくは 0. 5%未満であり、特に好ましく は 0. 1%未満である。
[0295] 本発明のセルロースエステルフィルムの遅相軸または進相軸がフィルム面内に存 在し、製膜方向とのなす角を 0 1とすると 0 1は 1° 以上 + 1° 以下であることが好 ましぐ -0. 5° 以上 + 0. 5° 以下であることがより好ましい。この 0 1は配向角とし て定義でき、 0 1の測定は、自動複屈折計 KOBRA— 21ADH (王子計測機器)を用 いて行うことができる。
[0296] θ 1が各々上記関係を満たすことは、表示画像において高い輝度を得ること、光漏 れを
抑制または防止することに寄与でき、カラー液晶表示装置においては忠実な色再現 を得る
ことに寄与できる。
[0297] 《偏光板》
本発明に係るセルロースエステルフィルムを偏光板保護フィルムとして用いる場合、 偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。本発 明のセルロースエステルフィルムの裏面側をアルカリ鹼化処理し、処理したセルロー スエステルフィルムを、ヨウ素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光膜の少なくとも一 方の面に、完全酸ィ匕型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせることが好ま しい。もう一方の面にも本発明のセルロースエステルフィルムを用いても、別の偏光 板保護フィルムを用いてもよい。本発明のセルロースエステルフィルムに対して、もう 一方の面に用いられる偏光板保護フィルムは市販のセルロースエステルフィルムを 用いることが出来る。例えば、市販のセルロースエステルフィルムとして、 KC8UX2 Mゝ KC4UX、 KC5UX、 KC4UYゝ KC8UYゝ KC12URゝ KC8UCR— 3、 KC8U CR— 4、 KC4FR— 1、 KC8UY— HA、 KC8UX— RHA (以上、コニカミノノレタォプ ト (株)製)等が好ましく用いられる。或いは更にディスコチック液晶、棒状液晶、コレス テリック液晶などの液晶化合物を配向させて形成した光学異方層を有している光学 補償フィルムを兼ねる偏光板保護フィルムを用いることも好ましい。例えば、特開 200 3— 98348記載の方法で光学異方性層を形成することが出来る。本発明のセルロー スエステルフィルムと組み合わせて使用することによって、平面性に優れ、安定した 視野角拡大効果を有する偏光板を得ることが出来る。或いは、セルロースエステルフ イルム以外の環状ォレフィン榭脂、アクリル榭脂、ポリエステル、ポリカーボネート等の フィルムをもう一方の面の偏光板保護フィルムとして用いてもょ 、。
[0298] 上記アルカリ処理の代わりに特開平 6— 94915号公報、同 6— 118232号公報に 記載されて!ヽるような易接着加工を施して偏光板加工を行ってもょ ヽ。
[0299] 偏光板の主たる構成要素である偏光膜とは、一定方向の偏波面の光だけを通す素 子であり、現在知られている代表的な偏光膜は、ポリビニルアルコール系偏光フィル ムで、これはポリビュルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料
を染色させたものがある。偏光膜は、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一 軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で 耐久性処理を行ったものが用いられている。偏光膜の膜厚は5〜40 111、好ましくは 5〜30 mであり、特に好ましくは 5〜20 mである。該偏光膜の面上に、本発明の セルロースエステルフィルムの片面を貼り合わせて偏光板を形成する。好ましくは完 全酸ィ匕ポリビニルアルコール等を主成分とする水系の接着剤によって貼り合わせる。
[0300] 偏光膜は一軸方向(通常は長手方向)に延伸されているため、偏光板を高温高湿 の環境下に置くと延伸方向(通常は長手方向)は縮み、延伸と垂直方向(通常は幅 方向)には伸びる。偏光板保護用フィルムの膜厚が薄くなるほど偏光板の伸縮率は 大きくなり、特に偏光膜の延伸方向の収縮量が大きい。通常、偏光膜の延伸方向は 偏光板保護用フィルムの流延方向(MD方向)と貼り合わせるため、偏光板保護用フ イルムを薄膜ィ匕する場合は、特に流延方向の伸縮率を抑えることが重要である。本発 明のセルロースエステルフィルムは寸法安定に優れる為、このような偏光板保護フィ ルムとして好適に使用される。
[0301] 即ち 60°C、 90%RHの条件での耐久性試験によっても波打ち状のむらが増加する ことはなぐ裏面側に光学補償フィルムを有する偏光板であっても、耐久性試験後に 視野角特性が変動することなく良好な視認性を提供することが出来る。
[0302] 偏光板は偏光子及びその両面を保護する保護フィルムで構成されており、更に該 偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構 成することが出来る。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製 品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィ ルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面 の反対面側に用いられる。また、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層を力 バーする目的で用いられ、偏光板を液晶セルへ貼合する面側に用いられる。
[0303] 《液晶表示装置》
本発明のセルロースエステルフィルムを用いた偏光板を液晶表示装置に用いること によって、種々の視認性に優れた本発明の液晶表示装置を作製することができる。 本発明の偏光板は、 STN、 TN、 OCB、 HAN、 VA(MVA、 PVA)、 IPSなどの各
種駆動方式の液晶表示装置に用いることができる。好ましくは VA(MVA, PVA)型 液晶表示装置である。特に画面が 30型以上の大画面の液晶表示装置であっても、 環境変動が少なぐ画面周辺部の光漏れが低減された液晶表示装置を得ることがで きる。特に、本発明のセルロースエステルフィルムを用いて製造された偏光板、液晶 表示装置の群では、光漏れが発生する頻度を低減することができる。また色ムラや波 打ちムラが少なぐ長時間の鑑賞でも目が疲れないという効果があった。
実施例
[0304] 以下に本発明を実施するための最良形態について詳細に説明する力 本発明はこ れらに
限定されるものではない。尚、以下の「部」は、「質量部」を表す。
[0305] まず、用いる素材にっ 、て記載する。
[0306] (合成例 1)セルロースエステル C 1の合成
特表平 6— 501040号公報の例 Bを参考にして合成した。
[0307] 以下のような混合液 A〜Eを作製した。
[0308] A:プロピオン酸:濃硫酸 = 5 : 3 (質量比)
B:酢酸:純水 = 3 : 1 (質量比)
C :酢酸:純水 = 1 : 1 (質量比)
D:酢酸:純水:炭酸マグネシウム = 12 : 11 : 1 (質量比)
E :純水 14. 6kg中〖こ、炭酸カリウム 0. 5モル、クェン酸 1. 0モルを溶解した 水溶 液
機械式撹拌機を備えた反応容器に、綿花カゝら精製したセルロース 100質量部、酢 酸 317質量部、プロピオン酸 67質量部を添加し、 55°Cで 30分間攪拌した。反応容 器の
温度を 30°Cに低下させた後、溶液 Aを 2. 3質量部添加し、 30分間攪拌した。反応 容
器の温度を 20°Cに冷却した後、無水酢酸 100質量部および無水プロピオン酸 25 0
質量部を添加し、 1時間攪拌した。反応容器の温度を 10°Cに昇温した後、溶液 Aを 4
5質量部添加し、 60°Cに昇温して 3時間攪拌した。さらに溶液 Bを 533質量部添加し 、 17時間攪拌した。さらに溶液 Cを 333質量部、溶液 Dを 730質量部添加し、 15 分間攪拌した。不溶物をろ過した後、溶液を攪拌しながら、沈殿物の生成が終了す るまで
水を添加した後、生成した白色沈殿をろ過した。得られた白色固体は、洗浄液が中 性にな
るまで純水で洗浄した。この湿潤生成物に、溶液 Eを 1. 8質量部添加し、次いで真 空下
70°Cで 3時間乾燥し、セル口ースアセテートプロピオネートを得た。
[0309] 得られたセルロースアセテートプロピオネートの置換度を ASTM— D817— 96に 基づいて算出すると、ァセチル基による置換度が 1. 9、プロピオニル基による置換度 が
0. 7であった。また下記の条件で GPCを測定したところ、重量平均分子量は 20万で めつに。
〔GPC測定条件〕
溶媒 :テトヒドロフラン
装置 : HLC— 8220 (東ソー (株)製)
カラム : TSKgel SuperHM— M (東ソ一(株)製)
カラム温度: 40°C
試料温度 :0. 1質量%
注入量 : 10 1
流量 : 0. 6mレ mm
校正曲線 :標準ポリスチレン: PS— 1 (Polymer Laboratorie
s社製) Mw= 2, 560, 000〜580までの 9サンプルによる校正曲線を使用した。
[0310] (合成例 2)実施例の化合物 エステル化合物例 1 7の合成
76質量部のトリメチレングリコールと、 535質量部のサリチル酸フエ-ルと、 1質 量部の炭酸カリウムを混合し、 1. 33 X 104Pa下 155°Cで 3時間加熱し、 188
質量部のフエノールが留去した。反応容器を常圧に戻した後に 100°Cまで冷却し、 0
5質量部の濃硫酸、 225質量部の無水酢酸を添加し、 100°Cで 1時間攪拌した。反 応
終了後、 1000質量部のトルエンを添加して氷冷すると、白色の結晶が生成した。生 成
した白色結晶をろ過し、純水で 2度洗浄した後、真空下 30°Cで減圧乾燥を行い、白 色結
晶を 224質量部(収率 56%)得た。なおこの化合物の分子量は 400である。
[0311] (合成例 3)実施例の化合物(エステルイ匕合物例 1 40)の合成
180質量部のフタル酸モノメチル、トルエン 180質量部、 1質量部のジメチルホル ムアミド、 130質量部の塩ィ匕チォ-ルを混合し、 60°Cで 30分間攪拌した。反応終了 後に冷却し、淡黄色の液体を得た。
[0312] 31質量部のグリセリンと、 101質量部のトリェチルァミンと、 200質量部の酢酸
ェチルの溶液に対し、上記の反応で得た淡黄色の液体を室温下で 30分かけて滴下 し、そ
のまま 1時間攪拌を続けた。生成した白色沈殿をろ過した後、純水を加えて洗浄した 後、
有機相を分取して有機溶媒を減圧留去し、 116質量部 (収率 60%)の白色結晶を得 た
。なおこの化合物の分子量は 579である。
[0313] (合成例 4)実施例の化合物(エステルイ匕合物例 1 45)の合成
80°Cに保持した 45質量部の 2 ェチル 2 ヒドロキシメチル—1, 3 プロパン ジオール、 190質量部のピリジンおよび 450質量部の酢酸ェチルの混合溶液を攪拌 し
ながら、 330質量部のァセチルサリシ口イルク口ライドを 30分間かけて滴下し、さら に 3時間攪拌した。反応終了後室温まで冷却して沈殿物を炉別した後、酢酸ェチル · 純水
を加えて洗浄し、有機相を分取して酢酸ェチルを減圧留去し、 目的の化合物を得た 。なお
この化合物の分子量は 606である。
[0314] (合成例 5)エステル実施例の化合物 (ィ匕合物例 1 47)の合成
80°Cに保持した 45質量部の 2 ェチル 2 ヒドロキシメチル—1, 3 プロパン ジオール、 190質量部のピリジンおよび 450質量部の酢酸ェチルの混合溶液を攪拌 し
ながら、 290質量部の 2—メトキシベンゾイルク口ライドを 30分間かけて滴下し、さ らに 3時間攪拌した。反応終了後室温まで冷却して沈殿物を炉別した後、酢酸ェチ ノレ'純
水を加えて洗浄し、有機相を分取して酢酸ェチルを減圧留去し、 目的の化合物を得 た。な
おこの化合物の分子量は 537である。
[0315] (合成例 6)実施例のエステルイ匕合物(1 化合物例 60)の合成
136質量部のペンタエリスリトールと、 1070質量部のサリチル酸フエ-ルと、 2 質量部の炭酸カリウムを混合し、 1. 333 X 10— 2MPa下 155°Cで 3時間加熱し、 375質量部のフエノールが留去した。反応容器を常圧に戻した後に 100°Cまで冷却 し
、 1質量部の濃硫酸、 450質量部の無水酢酸を添加し、 100°Cで 1時間攪拌した。反 応終了後、 2000質量部のトルエンを添加して氷冷すると、白色の結晶が生成した。 生
成した白色結晶をろ過し、純水で 2度洗浄した後、真空下 30°Cで減圧乾燥を行い、 白色
結晶を 667質量部(収率 85%)得た。なおこの化合物の分子量は 785である。
[0316] (合成例 7)実施例のエステル化合物 (化合物例 1 81)の合成
合成例 4において、ァセチルサリシ口イルク口ライドの変わりに 3, 4, 5—トリメト キシベンゾイルク口ライド 390質量部に変更し、 目的の化合物を得た。なおこの化合 物
の分子量は 717である。
[0317] (合成例 8)実施例のエステル化合物 (化合物例 1 83)
100°Cに保持した 45質量部のトリメチロールプロパン、 101質量部のトリェチルアミ ンの混合溶液を攪拌しながら、 71質量部の塩ィ匕ベンゾィルを 30分間かけて滴下し、 さらに 1時間攪拌した。反応終了後室温まで冷却して沈殿物を炉別した後、酢酸ェ チル ·純水を加えて洗浄し、有機相を分取して酢酸ェチルを減圧留去し、 目的の化 合物を得た。なおこの化合物の分子量は 446である。
[0318] (合成例 9)実施例のエステル化合物 (化合物例 1 87)
30質量部のグリセリンと 101質量部のトリェチルァミンと 2000質量部の酢酸ェチル の混合溶液に対し、 157質量部のクロ口蟻酸フ -ルを室温下で 30分間かけて滴下 し、さらに 1時間攪拌した。反応終了後室温まで冷却して沈殿物を炉別した後、酢酸 ェチル '純水を加えて洗浄し、有機相を分取して酢酸ェチルを減圧留去し、 目的の 化合物を得た。なおこの化合物の分子量は 452である。
[0319] (合成例 10)実施例のエステル化合物 (化合物例 1 88)
45質量部の 2 ェチル 2 ヒドロキシメチル—1, 3 プロパン
ジオールと 101質量部のトリェチルァミンと 2000質量部の酢酸ェチルの混合溶液に 対し、 157質量部のクロ口蟻酸フエ-ルを室温下で 30分間かけて滴下し、さらに 1時 間攪拌した。反応終了後室温まで冷却して沈殿物を炉別した後、酢酸ェチル,純水 を加えて洗浄し、有機相を分取して酢酸ェチルを減圧留去し、 目的の化合物を得た 。なおこの化合物の分子量は 494である。
[0320] (合成例 11)実施例のエステル化合物 (化合物例 1 89)
30質量部のエチレングリコールと 101質量部のトリェチルァミンと 2000質量部の酢 酸ェチルの混合溶液に対し、 270質量部の 3, 5 ジァセトキシベンゾイルク口ライド を室温下で 30分間かけて滴下し、さらに 1時間攪拌した。反応終了後室温まで冷却 して沈殿物を炉別した後、酢酸ェチル ·純水を加えて洗浄し、有機相を分取して酢酸 ェチルを減圧留去し、 目的の化合物を得た。なおこの化合物の分子量は 502である
[0321] (合成例 12)実施例のポリエステルィ匕合物 (ィ匕合物 A1)の合成
冷却凝縮器を装着した反応器に、 236質量部のエチレングリコール、 683質量部 の
1, 4ブチレングリコール、 1180質量部のコハク酸、 0. 03質量部のテトラブチル チタネートを投入し、 140°Cで 2時間、 220°Cで 2時間、冷却凝縮器を外して 220 °Cで更に 20時間、脱水縮合反応を行って、酸数平均分子量 2000の脂肪族ポリエス ル化合物 A1を得た。これに使用したジオールの炭素数平均は 3. 33、ジカルボン酸 の
炭素数平均は 4であった。
[0322] (合成例 13)実施例のポリエステルィ匕合物 (ィ匕合物 A2)の合成
冷却凝縮器を装着した反応器に、 699質量部のエチレングリコール、 1180質量部 のコハク酸、 0. 03質量部のテトラブチルチタネートを投入し、合成例 1と同様の操作 を行い、数平均分子量 2000の脂肪族ポリエステルィ匕合物 A2を得た。これに使用し た
ジオールの炭素数平均は 2、ジカルボン酸の炭素数平均は 4であつた。
[0323] (合成例 14)実施例のポリエステルィ匕合物 (ィ匕合物 A3)の合成
冷却凝縮器を装着した反応器に、 702質量部のエチレングリコール、 885質量部 の
コハク酸、 365質量部のアジピン酸、 0. 03質量部のテトラブチルチタネートを投入 し、合成例 1と同様の操作を行い、数平均分子量 2000の脂肪族ポリエステル化合物 A
3を得た。これに使用したジオールの炭素数平均は 2、ジカルボン酸の炭素数平均は 4.
5であった。
[0324] (合成例 15)実施例のポリエステルィ匕合物 (ィ匕合物 A4)の合成
冷却凝縮器を装着した反応器に、 631質量部のエチレングリコール、 101質量部 の
1, 4ーブチレングリコール、 1062質量部のコハク酸、 146質量部のアジピン酸、
0. 03質量部のテトラブチルチタネートを投入し、合成例 1と同様の操作を行い、数平 均分子量 2000の脂肪族ポリエステルィ匕合物 A4を得た。これに使用したジオールの 素数平均は 2. 2、ジカルボン酸の炭素数平均は 4. 2であった。
[0325] (合成例 16)実施例のポリエステルィ匕合物 (ィ匕合物 A5)の合成
冷却凝縮器を装着した反応器に、 226質量部のエチレングリコール、 656質量部 の
1, 4ーブチレングリコール、 1180質量部のコハク酸、 0. 03質量部のテトラプチ ルチタネートを投入し、合成例 1と同様の操作を行い、数平均分子量 4000の脂肪族 ポ
リエステルイ匕合物 A5を得た。これに使用したジオールの炭素数平均は 3. 33、ジカ ル
ボン酸の炭素数平均は 4であった。
[0326] (合成例 17)実施例のポリエステルィ匕合物 (ィ匕合物 A6)の合成
冷却凝縮器を装着した反応器に、 249質量部のエチレングリコール、 721質量部 の
1, 4ーブチレングリコール、 1180質量部のコハク酸、 0. 03質量部のテトラプチ ルチタネートを投入し、合成例 1と同様の操作を行い、数平均分子量 1200の脂肪族 ポ
リエステルイ匕合物 A6を得た。これに使用したジオールの炭素数平均は 3. 33、ジカ ル
ボン酸の炭素数平均は 4であった。
[0327] (合成例 18)実施例のポリエステルィ匕合物 (ィ匕合物 A7)の合成
冷却凝縮器を装着した反応器に、 648質量部のエチレングリコール、 58質量部の ジ
エチレングリコール、 1121質量部のコハク酸、 83質量部のテレフタル酸、 0. 03 質量部のテトラブチルチタネートを投入し、合成例 1と同様の操作を行い、数平均分
1500の脂肪族 芳香族コポリエステル化合物 7を得た。これに使用したジオールの 素数平均は 2. 1、ジカルボン酸の炭素数平均は 4であった。
[0328] 実施例 1
100質量部のセルロースエステル C 1を、空気中、常圧下で 130°C2時間乾燥し 、室温まで冷却した。このセルロースエステル榭脂に、本発明のエステルイ匕合物 1— 89を 15質量部、およびポリエスエルィ匕合物 A7を 5質量部、および酸化防止剤であ る化合物 1を 1質量部を添加し、 2軸式押し出し機を用いて 230°Cで溶融混合しペレ ットイ匕した。このペレットを、窒素雰囲気下、溶融温度 250°Cにて溶融して T型ダイか ら押し出し、図 1の流延ダイ 4から第 1冷却ロール 5上に押し出し、第 1冷却ロール 5と タツチロール 6との間にフィルムを挟圧して成形した。流延ダイ 4から押し出された榭 脂が第 1冷却ロール 5に接触する位置 P1から第 1冷却ロール 5とタツチロール 6との- ップの第 1冷却ロール 5回転方向上流端の位置 P2までの、第 1冷却ローラ 5の周面に 沿った長さ Lを 20mmに設定した。タツチロール 6の第 1冷却ロール 5に対する線圧は 14. 7N/cmとした。
[0329] なお、フィルムは、厚さ力 0 mとなるように、押出し量及び引き取り速度を調整し、 仕上がりのフィルム幅は 1800mm幅とし、卷長は 3200mとした。また、フィルム両端 に幅 10mm、高さ 5 μ mのナーリング力卩ェを施した。巻き取り張力 220NZm、テーパ 一 40%で卷芯に巻き取り、本発明居の試料 1—1を作製した。
[0330] 次に、エステル化合物、ポリエステル化合物、添加剤である酸ィ匕防止剤、酸掃去剤 を表 1に記載の化合物、添加量とした以外は、全く同様な方法で本発明試料 1 2〜 1 25、比較試料 1 - 20〜: L— 30を作製した。
[0331] また、下記のドープ組成物を作製し、溶媒による溶液流延製膜法で光学フィルム作 製を行 、、比較のセルロースエステルフィルム 1 31を作製した。
セノレロースエステノレ C 100咅
メチレンクロライド 400咅
エタノーノレ 75部
エステル化合物: 1—45 15部
化合物 1 1部
上記組成物を密閉容器に投入し、加圧下で 80°Cに保温し撹伴しながら完全に溶 解してドープ組成物を得た。
[0333] 上記ドープ組成物を濾過し、冷却して 33°Cに保ちステンレスバンド上に均一に流 延し、剥離が可能になるまで溶媒を蒸発させたところで、ステンレスバンドから剥離し 、多数のロールで搬送させながら乾燥させ、両端部に高さ 10 mのナーリングを設 けて卷き取り、膜厚 80 πι、幅 1. 8m、長さ 3200mの比較のセルロースエステルフィ ルム試料 1 31を得た。
[0334] 実施例 1で用いた素材は以下の通りである。
[0335] また、 PFRは旭電化工業 (株)より購入した。 IrganoxlOlOはチバスペシャルティケ ミカルズ (株)、 LA— 52及び LA— 63Pは旭電化工業 (株)、 Sumilizer GPは住友 化学社 (株)より購入した。
[0336] [表 1]
ェステ ポリエステル
添加剤 1
試料 化合物 化合物
備 考
No . 添加量 分配 添加量 添加量
種類 種類 繊
(質量部) 係数 (質量部) (質量部) 1 1 89 15 1.81 A 7 5 化合物 1 1 本発明 2 1― 7 15 2.74 A 1 5 化合物 10 1 本発明 - 3 1一 41 15 3.81 A 7 5 化合物 1 1 本発明 - 4 1 -40 15 4.51 A 3 5 化合物 1 1 木発明 ― 5 1 -45 15 4.92 A 2 5 化合物 1 1 本発明 - 6 1 45 15 4.92 一 ― 化合物 1 1 本発明 - 7 1 -47 15 5.79 A 4 5 化合物 15 1 本発明 - 8 1 47 15 5.79 A 5 5 化合物 30 1 本発明 - 9 1 - 60 15 5.16 A 6 5 化合物 1 1 本発明 一 10 1 -81 15 5.03 A 7 5 化合物 1 1 本発明 一 11 1—81 15 5.03 A 2 5 化合物 1 1 本発明 - 12 1一 81 15 5.03 - ― 化合物 1 1 本発明 —13 1一 81 15 5.03 A 7 5 化合物 1 0.5 本発明 14 1 81 15 5.03 A 7 5 化合物 1 0.5 本発明 —15 1一 81 15 5.03 A 2 5 化合物 1 0.5 本発明 - 16 1—81 15 5.03 A 7 5 LA— 52 0.5 本発明 一 17 1 81 15 5.03 A 7 5 LA- 52 0.5 本発明 - 18 1 -81 15 5.03 A 2 5 LA- 52 0.5 本発明 - 19 1 -81 15 5.03 A 2 5 LA - 63P 0.5 本発明 20 1 81 15 5.03 A 2 5 化合物 1 0.5 本発明 —21 1一 81 15 5.03 A 2 5 化合物 1 0.5 本発明 22 1一 83 15 6.16 A 7 5 化合物 1 1 本発明 一 23 1—88 15 7.22 A 7 5 化合物 1 1 本発明
1 24 1—45 15 4.92 A 2 5 比較化合物 2 1 本発明
1—25 1 -45 15 4.92 A 2 5 比較化合物 2 0.5 本発明
1 - 26比較化合物 1 15 7.63 - ― 比較化合物 2 1 比 較
1 - 27比較化合物 1 15 7.63 A 2 5 化合物 1 0.5 比 較
1 28比較化合物 3 15 0.9 A 7 5 化合物 1 1 比 較
1—29比較化合物 4 15 9.16 A 7 5 化合物 1 1 比 較
1 30 P F R 15 9.15 A 2 5 比較化合物 2 0.5 比 較
添加剤 2 添加剤 3 添加剤 4 試料
添加量 添加量 添加量 備 考
No. 種類 種類 種類
(質量部) (質量部) (質量部)
1- 1 本発明
1-2 本発明
1 - 3 ― 本発明
1 -4 木発明
1 - 5 - - ― 本発明
1 -6 ― ― 本発明
1 -7 ― - 本発明
1 -8 本発明
1 -9 本発明
1一 10 本発明
1 11 一 本発明
1 -12 ― 本発明
1 -13 Irganox 1010 0.5 本発明
1 -14 Irganox 1010 0.5 Sumi 1 izer GP 3 本発明
1—15 Irganox 1010 0.5 Suniilizer GP 3 ― 本発明
1 -16 Irganox 1010 0.5 本発明
1 -17 Irganox 1010 0.5 Sumilizer GP 3 本発明
1 -18 Irganox 1010 0.5 Sumi 1 izer GP 3 本発明
1 -19 Irganox 1010 0.5 Sumil izer GP 3 本発明
1 -20 Irganox 1010 0.5 Sumi 1 izer GP 3 EPON 815C 3 本発明
1—21 Irganox 1010 0.5 Sumil izer GP 3 一般式 (H) 3 本発明
1—22 ― - ― 本発明
1一 23 ― ― 本発明
1 -24 ― - ― 本発明
1 -25 Irganox 1010 0.5 Sumil izer GP 3 ― 本発明
1 -26 ― - 比 較
1 27 Irganox 1010 0.5 Sumil izer GP 3 ― 比 較
1 -28 ― 比 較
1 -29 比 較
1—30 Irganox 1010 0.5 Sumil izer GP 3 比 較
[0338] (比較化合物 1の合成)
合成例 4において、ァセチルサリシ口イルク口ライドの代わりに、 p—トルオイルクロ ライドに変更する以外は、同様の操作を行い比較ィ匕合物 1を得た。この化合物の分 子量は
、 489である。
[0339] (比較化合物 3の合成)
30質量部のエチレングリコールと 101質量部のトリェチルァミンと 2000質量部の酢 酸ェチルの混合溶液に対し、 270質量部の 3, 4—ジァセトアミドベンゾイルク口ライド を室温下で 30分間かけて滴下し、さらに 1時間攪拌した。反応終了後室温まで冷却 して沈殿物を炉別した後、酢酸ェチル ·純水を加えて洗浄し、有機相を分取して酢酸 ェチルを減圧留去し、 目的の化合物を得た。なおこの化合物の分子量は 499である
[0340] (比較化合物 4の合成)
45質量部のトリメチロールプロパンと 101質量部のトリェチルァミンと 2000質量部の 酢酸ェチルの混合溶液に対し、 210質量部のクロ口ナフトェ酸を室温下で 30分間か けて滴下し、さらに 1時間攪拌した。反応終了後室温まで冷却して沈殿物を炉別した 後、酢酸ェチル ·純水を加えて洗浄し、有機相を分取して酢酸ェチルを減圧留去し、 目的の化合物を得た。なおこの化合物の分子量は 597である。
[0342] [化 58]
一 slο
[0343] 得られたフィルムについて、下記の評価を実施し、結果を表 3に示す。
[0344] (黄色度 (YI)測定)
日立ノ、ィテクノロジーズ社製分光光度計 U— 3310を用いて、得られたセルロース 工
ステルフィルムの吸収スペクトルを測定し、三刺激値 χ、 γ、 Ζを算出した。この三刺激
値 X、 Y、 Ζから、 JIS— K7103に基づいて黄色度 ΥΙを算出し、次の基準でラン ク付けした。
[0345] 8未満
0 : 0. 8〜1. 0
△ : 1. 0〜1. 3未満
X : l. 3以上
(輝点異物)
直交状態 (クロスニコル)に 2枚の偏光板を配置して透過光を遮断し、 2枚の偏光板 の
間に各試料を置く。偏光板はガラス製保護板のものを使用した。片側から光を照射し 、反
対側から光学顕微鏡(50倍)で lcm2当たりの直径 0. 01mm以上の輝点の数を力 ゥントした。
[0346] 次の基準でランク付けした。
[0347] (§) : 0〜30個
〇:31〜60個
△ : 61〜90個
X : 91個以上
(平面性評価)
溶融製膜を開始して 1時間が経過した時点でのサンプルを採取し、長さ 100cm X 幅
40cmのサンプルを切り取った。
[0348] 平坦な机の上に黒紙を貼り、その上に上記の試料フィルムを置き、斜め上方に配置 した
3本の蛍光灯をフィルムに映して蛍光灯の曲がり具合で平面性を評価し、次の基準 でラン
ク付けした。
[0349] ◎:蛍光灯が 3本とも真っ直ぐに見える。
[0350] 〇:蛍光灯が若干曲がったように見えるところがある。
[0351] △:蛍光灯が曲がって見える。
[0352] X:蛍光灯が大きく畝って見える。
[0353] (寸法安定性)
寸法安定性は熱収縮率で表す。フィルムの流延方向および流延方向と直角方向よ り、 120mm幅 X 30mm長さの試験片を各 3枚採取する。試験片の両端に 6πιπι φの 穴をパンチで 100mm間隔に開ける。これを 23± 3°C、相対温度 65 ± 5%の室内で 3時間以上調湿する。自動ピンゲージ (新東科学 (株)製)を用いてパンチ間隔の原 寸 (L1)を最小目盛り ZlOOOmmまで測定する。次に試験片を 80°C90%RHの恒 温高湿器に 300時間吊し、 23± 3°C、相対湿度 65 ± 5%の室内で 3時間以上調湿し た後、自動ピンゲージで湿熱処理後のパンチ間隔の寸法 (L2)を測定する。そして、 以下の式により湿熱処理による収縮率を算出する。
熱収縮率 = I (L1 -L2/L1) I X 100
評価は、熱収縮率が 0. 5%未満を◎、 0. 5〜0. 8%を〇、 0. 8%〜1. 0%を△、 1.
0%を超えるを Xとした。
[0354] [表 3]
試料 No. Y I 輝点異物 平面性 寸法安定性 備 考
1一 1 〇 〇 〇 〇 本発明
1-2 〇 ◎ ◎ 〇 本発明
1-3 〇 ◎ ◎ 〇 本発明
1 -4 〇 ◎ ◎ 〇 本発明
1一 5 〇 ◎ ◎ 〇 本発明
1-6 〇 〇 〇 〇 本発明
1-7 〇 ◎ ◎ 〇 本発明
1-8 〇 ◎ ◎ 〇 本発明
1一 9 〇 ◎ ◎ 〇 本発明
1一 10 〇 ◎ ◎ 〇 本発明
1一 11 〇 ◎ ◎ 〇 本発明
1一 12 〇 〇 〇 〇 本発明
〇 ◎ ◎ 〇 本発明
◎ ◎ 本発明
◎ ◎ ◎ 本発明
1一 16 〇 ◎ 〇 本発明
1一 17 ◎ ◎ 〇 本発明
◎ ◎ ◎ 〇 木発明
◎ ◎ 〇 本発明
1 -20 ◎ ◎ 〇 本発明
1 -21 ◎ ◎ ◎ 〇 本発明
1 -22 〇 〇 ◎ 〇 本発明
1 -23 〇 〇 〇 〇 本発明
〇 〇 Δ △ 本発明
1一 25 〇 〇 〇 Δ 本発明
1一 26 X X X X 比 較
1一 27 Λ X X X 比 較
1一 28 X X X X 比 較
1 -29 X X X X 比 較
X X X X 比 較
1 -31 〇 〇 〇 X 比 較
[0355] 以上の様に、本発明試料 1—;!〜 1— 25は、比較試料 1—26〜: 1—31と比較して YIが低くて、輝点異物故障が少なぐ平面性に優れ、更に寸法安定性に優れている ことが明ら力となった。
[0356] 〔偏光板の作製〕
厚さ 120 mのポリビュルアルコールフィルムを沃素 1質量部、沃化カリウム 2質量 部、ホウ酸 4質量部を含む水溶液に浸漬し、 50°Cで 4倍に延伸し偏光子を作製した。
[0357] 本発明試料 1— 1〜1— 25、比較試料 1— 26〜1— 31を、 40°Cの 2. 5M水酸 化ナトリウム水溶液で 60秒間アルカリ処理し、更に水洗乾燥して表面をアルカリ処理 し
た。
[0358] 前記偏光子の両面に、本発明試料 1 1〜1 25、比較試料 1 26〜1 31のァ ルカリ処理面を、完全鹼ィ匕型ポリビュルアルコール 5%水溶液を接着剤として両面か ら貼
合し、保護フィルムが形成された本発明偏光板 1—1〜1— 25、比較試料 1— 26〜1 —31を作製した。本発明偏光板 1— 1〜1— 25、比較試料 1— 26〜1— 31と比較 して光学的、物理的に優れ、良好な偏光度を有する偏光板であった。
[0359] 〔液晶表示装置としての評価〕
15型 TFT型カラー液晶ディスプレイ LA— 1529HM (NEC製)の偏光板を剥 がし、上記で作製した各々の偏光板を液晶セルのサイズに合わせて断裁した。液晶 セルを
挟むようにして、前記作製した偏光板 2枚を偏光板の偏光軸がもとと変わらな ヽように 互
いに直交するように貼り付け、 15型 TFT型カラー液晶ディスプレイを作製し、セル口 ースエステルフィルムの偏光板としての特性を評価したところ、本発明偏光板 1 - 1〜
—25は、比較偏光板 1—26〜1— 31と比較してはコントラストも高ぐ優れた表示 性を示した。これにより、液晶ディスプレイなどの画像表示装置用の偏光板として優 れて
いることが確認された。
[0360] 実施例 2
表 4に示すセルロースエステル種、表 5に記載の添加剤種、添加剤量を変更する以 外は、実施例 1と同様な方法でセルロースエステルフィルムを作製し、本発明の試料 2— 1〜2— 22、比較試料 2— 23〜2— 25とした。実施例 1と同様に、 YI、輝点異物、 平面性、寸法安定性の評価を行った。結果を表 6に示す。
[0361] [表 4]
[0362] [表 5]
〔〕〔6303
試料 No. Y I 輝点異物 平面性 寸法安定性 備 考
2 - 1 〇 ◎ ◎ 〇 本発明
2— 2 ◎ ◎ 〇 〇 本発明
2-3 〇 ◎ ◎ ◎ 本発明
2 -4 ◎ ◎ ◎ ◎ 本発明
2-5 〇 © ◎ ◎ 本発明
2-6 〇 ◎ ◎ ◎ 本発明
2-7 〇 ◎ ◎ 本発明
2 -8 ◎ ◎ ◎ 本発明
2 -9 ◎ ◎ ◎ 〇 本発明
2—10 ◎ ◎ 〇 本発明
2—11 ◎ ◎ ◎ 〇 本発明
2 -12 ◎ ◎ ◎ ◎ 本発明
2 -13 ◎ ◎ ◎ ◎ 本発明
2 -14 ◎ ◎ ◎ ◎ 本発明
2 -15 ◎ 〇 〇 本発明
2一 16 ◎ ◎ ◎ ◎ 本発明
2—17 ◎ ◎ ◎ 本発明
2一 18 ◎ ◎ ◎ ◎ 本発明
2一 19 ◎ ◎ ◎ 本発明
2一 20 ◎ 〇 〇 〇 本発明
2—21 ◎ ◎ 〇 ◎ 本発明
2 -22 ◎ ◎ 〇 ◎ 本発明
2—23 Δ X X X 比 較
2 -24 X X X X 比 較
2 -25 X X X X 比 較
[0364] 上表から、本発明試料 2—:!〜 2— 22は、比較試料 2— 23〜2— 25と比較して 実施例 1を再現し、 YIが低くて、輝点異物故障が少なぐ平面性に優れ、更に寸法安 定性に優れて 、ることが明らかとなつた。
[0365] 更に、実施例 1と同様にして偏光板を作製し、液晶表示装置としての評価を行った
[0366] 本発明の試料 2— ;!〜 2— 22を用いた偏光板を装着した液晶表示装置は、コントラ ストも高ぐ優れた表示性を示した。これにより、液晶ディスプレイなどの画像表示装 置用の偏光板として優れて ヽることが確認された。