JPWO2014010743A1 - パッシベーション層形成用組成物、パッシベーション層付半導体基板及びその製造方法、太陽電池素子及びその製造方法、並びに太陽電池 - Google Patents
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Abstract
本発明のパッシベーション層形成用組成物は、下記一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物と、チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド及びシリコンアルコキシドからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルコキシド化合物と、を含む。下記一般式(I)中、R1はそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を表す;nは0〜3の整数を表す;X2及びX3はそれぞれ独立して酸素原子又はメチレン基を表す;R2、R3及びR4はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。
Description
本発明は、パッシベーション層形成用組成物、パッシベーション層付半導体基板及びその製造方法、太陽電池素子及びその製造方法、並びに太陽電池に関する。
従来のシリコン太陽電池素子の製造工程について説明する。
まず、光閉じ込め効果を促して高効率化を図るよう、受光面側にテクスチャー構造を形成したp型シリコン基板を準備し、続いてオキシ塩化リン(POCl3)、窒素及び酸素の混合ガス雰囲気において800℃〜900℃で数十分の処理を行って一様にn型拡散層を形成する。
この従来の方法では、混合ガスを用いてリンの拡散を行うため、受光面である表面のみならず、側面及び裏面にもn型拡散層が形成される。そのため、側面に形成されたn型拡散層を除去するためのサイドエッチングを行っている。また、裏面に形成されたn型拡散層はp+型拡散層へ変換する必要がある。このため、裏面全体にアルミニウム粉末及びバインダを含むアルミニウムペーストを塗布し、これを熱処理(焼成)してアルミニウム電極を形成することで、n型拡散層をp+型拡散層にするのと同時に、オーミックコンタクトを得ている。
まず、光閉じ込め効果を促して高効率化を図るよう、受光面側にテクスチャー構造を形成したp型シリコン基板を準備し、続いてオキシ塩化リン(POCl3)、窒素及び酸素の混合ガス雰囲気において800℃〜900℃で数十分の処理を行って一様にn型拡散層を形成する。
この従来の方法では、混合ガスを用いてリンの拡散を行うため、受光面である表面のみならず、側面及び裏面にもn型拡散層が形成される。そのため、側面に形成されたn型拡散層を除去するためのサイドエッチングを行っている。また、裏面に形成されたn型拡散層はp+型拡散層へ変換する必要がある。このため、裏面全体にアルミニウム粉末及びバインダを含むアルミニウムペーストを塗布し、これを熱処理(焼成)してアルミニウム電極を形成することで、n型拡散層をp+型拡散層にするのと同時に、オーミックコンタクトを得ている。
しかしながら、アルミニウムペーストから形成されるアルミニウム電極は導電率が低い。そのためシート抵抗を下げるために、通常裏面全面に形成したアルミニウム電極は熱処理(焼成)後において10μm〜20μmほどの厚みを有していなければならない。更に、シリコンとアルミニウムとでは熱膨張率が大きく異なることから、アルミニウム電極が形成されたシリコン基板において、熱処理(焼成)及び冷却の過程で、シリコン基板中に大きな内部応力が発生し、結晶粒界へのダメージ、結晶欠陥の増長及び反りの原因となる。
この問題を解決するために、アルミニウムペーストの塗布量を減らし、裏面電極層の厚さを薄くする方法がある。しかしながら、アルミニウムペーストの塗布量を減らすと、p型シリコン半導体基板の表面から内部に拡散するアルミニウムの量が不十分となる。その結果、所望のBSF(Back Surface Field)効果(p+型拡散層の存在により生成キャリアの収集効率が向上する効果)を達成することができないため、太陽電池の特性が低下するという問題が生じる。
上記に関連して、アルミニウムペーストをシリコン基板表面の一部に付与して部分的にp+型拡散層とアルミニウム電極とを形成するポイントコンタクトの手法が提案されている(例えば、特許第3107287号公報参照)。
このような受光面とは反対側(以下、「裏面側」ともいう)にポイントコンタクト構造を有する太陽電池の場合、アルミニウム電極以外の部分の表面において、少数キャリアの再結合速度を抑制する必要がある。そのための裏面側用のパッシベーション層(以下、単に「パッシベーション層」ともいう)として、SiO2膜等が提案されている(例えば、特開2004−6565号公報参照)。このような酸化膜を形成することによるパッシベーション効果としては、シリコン基板の裏面表層部におけるケイ素原子の未結合手を終端させ、再結合の原因となる表面準位密度を低減させる効果がある。
このような受光面とは反対側(以下、「裏面側」ともいう)にポイントコンタクト構造を有する太陽電池の場合、アルミニウム電極以外の部分の表面において、少数キャリアの再結合速度を抑制する必要がある。そのための裏面側用のパッシベーション層(以下、単に「パッシベーション層」ともいう)として、SiO2膜等が提案されている(例えば、特開2004−6565号公報参照)。このような酸化膜を形成することによるパッシベーション効果としては、シリコン基板の裏面表層部におけるケイ素原子の未結合手を終端させ、再結合の原因となる表面準位密度を低減させる効果がある。
また、少数キャリアの再結合を抑制する別の方法として、パッシベーション層内の固定電荷が発生する電界によって少数キャリア密度を低減する方法がある。このようなパッシベーション効果は一般に電界効果と呼ばれ、負の固定電荷を有する材料として酸化アルミニウム(Al2O3)膜等が提案されている(例えば、特許第4767110号公報参照)。
このようなパッシベーション層は、一般的にはALD(Atomic Layer Deposition)法又はCVD(Chemical Vapor Deposition)法等の方法で形成される(例えば、Journal of Applied Physics、104(2008)、113703−1〜113703−7.を参照)。また半導体基板上に酸化アルミニウム膜を形成する簡便な手法として、ゾルゲル法による手法が提案されている(例えば、Thin Solid Films、517(2009)、6327〜6330.、及びChinese Physics Letters、26(2009)、088102−1〜088102−4.を参照)。
このようなパッシベーション層は、一般的にはALD(Atomic Layer Deposition)法又はCVD(Chemical Vapor Deposition)法等の方法で形成される(例えば、Journal of Applied Physics、104(2008)、113703−1〜113703−7.を参照)。また半導体基板上に酸化アルミニウム膜を形成する簡便な手法として、ゾルゲル法による手法が提案されている(例えば、Thin Solid Films、517(2009)、6327〜6330.、及びChinese Physics Letters、26(2009)、088102−1〜088102−4.を参照)。
一方、シリコン基板の受光面側に屈折率が大きく、パッシベーション効果も大きな層を形成すると、光閉じ込め効果の向上と少数キャリアの再結合速度を抑制することが可能となり、太陽電池の発電効率を上げることができる。例えばチタン等の金属とアルミニウムとを複合させた酸化膜をゾルゲル法で形成して、膜の屈折率を大きくする手法が提案されている(例えば、Japanese Journal of Applied Physics、45(2006)、5894〜5901.を参照)。
Journal of Applied Physics、104(2008)、113703−1〜113703−7.に記載の手法は、蒸着等の複雑な製造工程を含むため、生産性を向上させることが困難な場合があった。また、Thin Solid Films、517(2009)、6327〜6330.、及びChinese Physics Letters、26(2009)、088102−1〜088102−4.に記載の手法に用いるパッシベーション層形成用組成物では、経時的にゲル化等の不具合が発生してしまい保存安定性が充分とは言い難い。更に、Japanese Journal of Applied Physics、45(2006)、5894〜5901.に記載の手法によるパッシベーション層は屈折率が充分に大きいとは言い難く、酸化チタン由来の光触媒作用の懸念があり、太陽電池素子の封止樹脂にダメージを与える可能性があった。
本発明は、以上の従来の問題点に鑑みなされたものであり、屈折率が充分に大きいパッシベーション層を簡便な手法で所望の形状に形成することが可能で、保存安定性に優れるパッシベーション層形成用組成物を提供することを課題とする。また、本発明は該パッシベーション層形成用組成物を用いて得られ、屈折率が充分に大きいパッシベーション層を有するパッシベーション層付半導体基板及びその製造方法、太陽電池素子及びその製造方法、並びに太陽電池を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 下記一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物と、チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド及びシリコンアルコキシドからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルコキシド化合物と、を含むパッシベーション層形成用組成物。
<1> 下記一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物と、チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド及びシリコンアルコキシドからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルコキシド化合物と、を含むパッシベーション層形成用組成物。
[一般式(I)中、R1はそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を表す。nは0〜3の整数を表す。X2及びX3はそれぞれ独立して酸素原子又はメチレン基を表す。R2、R3及びR4はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す]
<2> 更にニオブアルコキシドを含む<1>に記載のパッシベーション層形成用組成物。
<3> 前記ニオブアルコキシドが、ニオブエトキシド、ニオブイソプロポキシド、ニオブn−プロポキシド、ニオブn−ブトキシド及びニオブフェノキシドからなる群より選ばれる少なくとも1種である<2>に記載のパッシベーション層形成用組成物。
<4> 前記アルコキシド化合物が少なくとも前記チタンアルコキシドを含み、前記チタンアルコキシドが、チタンメトキシド、チタンエトキシド、チタンイソプロポキシド、チタンn−プロポキシド、チタンn−ブトキシド、チタンt−ブトキシド、チタンイソブトキシド、チタン(ジイソプロポキシド)ビス(アセチルアセトナート)及びチタン(テトラキス(2−エチル−1−ヘキサノラート)からなる群より選ばれる少なくとも1種である<1>〜<3>のいずれか1つに記載のパッシベーション層形成用組成物。
<5> 前記アルコキシド化合物が少なくとも前記ジルコニウムアルコキシドを含み、前記ジルコニウムアルコキシドが、ジルコニウムエトキシド、ジルコニウムイソプロポキシド、ジルコニウムn−プロポキシド、ジルコニウムn−ブトキシド、ジルコニウムt−ブトキシド、ジルコニウムアセチルアセトン、ジルコニウムトリフルオロアセチルアセトナート及びジルコニウムヘキサフルオロアセチルアセトナートからなる群より選ばれる少なくとも1種である<1>〜<4>のいずれか1つに記載のパッシベーション層形成用組成物。
<6> 前記アルコキシド化合物が少なくとも前記シリコンアルコキシドを含み、前記シリコンアルコキシドが、下記一般式(II)で表されるシリコンアルコキシドである<1>〜<5>のいずれか1つに記載のパッシベーション層形成用組成物。
(R5O)(4−m)SiR6 m (II)
[一般式(II)中、R5及びR6はそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を表す。mは0〜3の整数を表す。]
(R5O)(4−m)SiR6 m (II)
[一般式(II)中、R5及びR6はそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を表す。mは0〜3の整数を表す。]
<7> 更に樹脂を含む<1>〜<6>のいずれか1つに記載のパッシベーション層形成用組成物。
<8> 更に下記一般式(III)で表される化合物を含む<1>〜<7>のいずれか1つに記載のパッシベーション層形成用組成物。
<9> 半導体基板と、前記半導体基板上の全面又は一部に設けられる<1>〜<8>のいずれか1つに記載のパッシベーション層形成用組成物の熱処理物であるパッシベーション層と、を有するパッシベーション層付半導体基板。
<10> 半導体基板上の全面又は一部に、<1>〜<8>のいずれか1つに記載のパッシベーション層形成用組成物を付与して組成物層を形成する工程と、前記組成物層を熱処理して、パッシベーション層を形成する工程と、を有するパッシベーション層付半導体基板の製造方法。
<11> p型層及びn型層がpn接合されてなる半導体基板と、前記半導体基板上の全面又は一部に設けられる<1>〜<8>のいずれか1つに記載のパッシベーション層形成用組成物の熱処理物であるパッシベーション層と、前記半導体基板の前記p型層及びn型層からなる群より選択される1以上の層上に配置される電極と、を有する太陽電池素子。
<12> p型層及びn型層が接合されてなるpn接合を有し、前記p型層及び前記n型層からなる群より選択される1以上の層上に電極を有する半導体基板の、前記電極を有する面の少なくとも一部に、<1>〜<8>のいずれか1つに記載のパッシベーション層形成用組成物を付与して組成物層を形成する工程と、
前記組成物層を熱処理して、パッシベーション層を形成する工程と、
を有する太陽電池素子の製造方法。
前記組成物層を熱処理して、パッシベーション層を形成する工程と、
を有する太陽電池素子の製造方法。
<13>に記載の太陽電池素子と、
前記太陽電池素子の電極上に配置される配線材料と、
を有する太陽電池。
前記太陽電池素子の電極上に配置される配線材料と、
を有する太陽電池。
本発明によれば、屈折率が充分に大きいパッシベーション層を簡便な手法で所望の形状に形成することが可能で、保存安定性に優れるパッシベーション層形成用組成物を提供することができる。また本発明によれば該パッシベーション層形成用組成物を用いて得られ、屈折率が充分に大きいパッシベーション層を有するパッシベーション層付半導体基板及びその製造方法、太陽電池素子及びその製造方法、並びに太陽電池を提供することができる。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、本用語に含まれる。また「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。更に組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。また、本明細書において「層」との語は、平面図として観察したときに、全面に形成されている形状の構成に加え、一部に形成されている形状の構成も包含される。
<パッシベーション層形成用組成物>
本発明のパッシベーション層形成用組成物は、下記一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物(以下、「特定の有機アルミニウム化合物」ともいう)と、チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド及びシリコンアルコキシドからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルコキシド化合物(以下、「特定のアルコキシド化合物」ともいう)と、を含む。前記パッシベーション層形成用組成物は必要に応じてその他の成分を更に含んでいてもよい。パッシベーション層形成用組成物が特定の有機アルミニウム化合物と特定のアルコキシド化合物とを含むことで、屈折率が充分に大きいパッシベーション層を簡便な手法で所望の形状に形成することが可能である。また該パッシベーション層形成用組成物は保存安定性に優れる。
本発明のパッシベーション層形成用組成物は、下記一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物(以下、「特定の有機アルミニウム化合物」ともいう)と、チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド及びシリコンアルコキシドからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルコキシド化合物(以下、「特定のアルコキシド化合物」ともいう)と、を含む。前記パッシベーション層形成用組成物は必要に応じてその他の成分を更に含んでいてもよい。パッシベーション層形成用組成物が特定の有機アルミニウム化合物と特定のアルコキシド化合物とを含むことで、屈折率が充分に大きいパッシベーション層を簡便な手法で所望の形状に形成することが可能である。また該パッシベーション層形成用組成物は保存安定性に優れる。
一般式(I)中、R1はそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を表す。nは0〜3の整数を表す。X2及びX3はそれぞれ独立して酸素原子又はメチレン基を表す。R2、R3及びR4はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。ここでR1、R2、R3、R4、X2及びX3のいずれかが複数存在する場合、複数存在する同一の記号で表される基は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
特定の有機アルミニウム化合物と特定のアルコキシド化合物とを含むパッシベーション層形成用組成物を、半導体基板に付与して所望の形状の組成物層を形成し、これを熱処理(焼成)することで、優れたパッシベーション効果を有し、充分に大きい屈折率を有するパッシベーション層を所望の形状に形成することができる。本発明の手法は、蒸着装置等を必要としない簡便で生産性の高い方法である。更にマスク処理等の煩雑な工程を要することなく、所望の形状にパッシベーション層を形成できる。また前記パッシベーション層形成用組成物は特定の有機アルミニウム化合物と特定のアルコキシド化合物とを含むことで、経時的にゲル化等の不具合が発生することが抑制されて保存安定性に優れる。
本明細書において、半導体基板のパッシベーション効果は、パッシベーション層が形成された半導体基板内の少数キャリアの実効ライフタイムを、WT−2000PVN(日本セミラボ株式会社)等の装置を用いて、反射マイクロ波導電減衰法によって測定することで評価することができる。
ここで、実効ライフタイムτは、半導体基板内部のバルクライフタイムτbと、半導体基板表面の表面ライフタイムτsとによって下記式(A)のように表される。半導体基板表面の表面準位密度が小さい場合にはτsが長くなる結果、実効ライフタイムτが長くなる。また、半導体基板内部のダングリングボンド等の欠陥が少なくなっても、バルクライフタイムτbが長くなって実効ライフタイムτが長くなる。すなわち、実効ライフタイムτの測定によってパッシベーション層と半導体基板との界面特性、及び、ダングリングボンド等の半導体基板の内部特性を評価することができる。
1/τ=1/τb+1/τs (A)
尚、実効ライフタイムが長いほど少数キャリアの再結合速度が遅いことを示す。また実効ライフタイムが長い半導体基板を用いて太陽電池素子を構成することで、変換効率が向上する。
(特定の有機アルミニウム化合物)
前記パッシベーション層形成用組成物は前記一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物(以下、「特定の有機アルミニウム化合物」ともいう)の少なくとも1種を含む。前記有機アルミニウム化合物は、アルミニウムアルコキシド、アルミニウムキレート等と呼ばれる化合物を包含し、アルミニウムアルコキシド構造に加えてアルミニウムキレート構造を有していることが好ましい。また、Nippon Seramikkusu Kyokai Gakujitsu Ronbunshi、97(1989)369−399にも記載されているように、特定の有機アルミニウム化合物は熱処理(焼成)により酸化アルミニウム(Al2O3)となる。
前記パッシベーション層形成用組成物は前記一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物(以下、「特定の有機アルミニウム化合物」ともいう)の少なくとも1種を含む。前記有機アルミニウム化合物は、アルミニウムアルコキシド、アルミニウムキレート等と呼ばれる化合物を包含し、アルミニウムアルコキシド構造に加えてアルミニウムキレート構造を有していることが好ましい。また、Nippon Seramikkusu Kyokai Gakujitsu Ronbunshi、97(1989)369−399にも記載されているように、特定の有機アルミニウム化合物は熱処理(焼成)により酸化アルミニウム(Al2O3)となる。
パッシベーション層形成用組成物が一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物を含有することで、優れたパッシベーション効果を有するパッシベーション層を形成できる理由について、発明者らは以下のように考えている。
特定の有機アルミニウム化合物と特定のアルコキシド化合物とを含有するパッシベーション層形成組成物を熱処理(焼成)することにより形成される酸化アルミニウムはアモルファス状態となりやすいため、4配位酸化アルミニウム層が半導体基板との界面付近に形成されやすく、4配位酸化アルミニウムに起因する大きな負の固定電荷を有することができると考えられる。この大きな負の固定電荷が半導体基板の界面近辺で電界を発生することで少数キャリアの濃度を低下させることができ、結果的に界面でのキャリア再結合速度が抑制されるため、優れたパッシベーション効果を有するパッシベーション層を形成することができると考えられる。更に有機アルミニウム化合物に加えて特定のアルコキシド化合物を含むことで、形成されるパッシベーション層の屈折率が大きくなると考えられる。
特定の有機アルミニウム化合物と特定のアルコキシド化合物とを含有するパッシベーション層形成組成物を熱処理(焼成)することにより形成される酸化アルミニウムはアモルファス状態となりやすいため、4配位酸化アルミニウム層が半導体基板との界面付近に形成されやすく、4配位酸化アルミニウムに起因する大きな負の固定電荷を有することができると考えられる。この大きな負の固定電荷が半導体基板の界面近辺で電界を発生することで少数キャリアの濃度を低下させることができ、結果的に界面でのキャリア再結合速度が抑制されるため、優れたパッシベーション効果を有するパッシベーション層を形成することができると考えられる。更に有機アルミニウム化合物に加えて特定のアルコキシド化合物を含むことで、形成されるパッシベーション層の屈折率が大きくなると考えられる。
ここで、半導体基板表面上で負の固定電荷の原因種である4配位酸化アルミニウム層の状態は半導体基板の断面を走査型透過電子顕微鏡(STEM、Scanning Transmission electron Microscope)による電子エネルギー損失分光法(EELS、Electron Energy Loss Spectroscopy)の分析で結合様式を調べることにより確認できる。4配位酸化アルミニウムは二酸化ケイ素(SiO2)の中心がケイ素からアルミニウムに同形置換した構造と考えられ、ゼオライト及び粘土のように二酸化ケイ素と酸化アルミニウムの界面で負の電荷源として形成される。
なお、形成された酸化アルミニウム層の状態はX線回折スペクトル(XRD、X−ray diffraction)を測定することにより確認できる。例えば、XRDが特定の反射パターンを示さないことでアモルファス構造であることが確認できる。また、酸化アルミニウムが有する負の固定電荷は、CV法(Capacitance Voltage measurement)で評価することが可能である。ただし、本発明のパッシベーション層形成用組成物から形成された酸化アルミニウムの熱処理層について、CV法から得られるその表面準位密度は、ALD法又はCVD法で形成される酸化アルミニウム層の場合と比べ、大きな値となる場合がある。しかし本発明のパッシベーション層形成用組成物から形成されたパッシベーション層は、電界効果が大きく少数キャリアの濃度が低下して表面ライフタイムτsが大きくなる。そのため、表面準位密度は相対的に問題にはならない。
一般式(I)において、R1はそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を表し、炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましい。R1で表されるアルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。R1で表されるアルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基等を挙げることができる。中でもR1で表されるアルキル基は、保存安定性とパッシベーション効果の観点から、炭素数1〜8の無置換のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜4の無置換のアルキル基であることがより好ましい。
一般式(I)において、nは0〜3の整数を表わす。nは保存安定性の観点から、1〜3の整数であることが好ましく、1又は3であることがより好ましい。またX2及びX3はそれぞれ独立して酸素原子又はメチレン基を表す。保存安定性の観点から、X2及びX3の少なくとも一方は酸素原子であることが好ましい。
一般式(I)におけるR2、R3及びR4はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。R2、R3及びR4で表されるアルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。R2、R3及びR4で表されるアルキル基は、置換基を有していても、無置換であってもよく、無置換であることが好ましい。R2、R3及びR4で表されるアルキル基としては、炭素数1〜8のアルキル基であり、炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましい。R2、R3又はR4で表されるアルキル基としては、炭素数1〜8のアルキル基であり、炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基等を挙げることができる。
中でも保存安定性とパッシベーション効果の観点から、一般式(I)におけるR2及びR3はそれぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜8の無置換のアルキル基であることが好ましく、水素原子又は炭素数1〜4の無置換のアルキル基であることがより好ましい。
また一般式(I)におけるR4は、保存安定性及びパッシベーション効果の観点から、水素原子又は炭素数1〜8の無置換のアルキル基であることが好ましく、水素原子又は炭素数1〜4の無置換のアルキル基であることがより好ましい。
一般式(I)におけるR2、R3及びR4はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。R2、R3及びR4で表されるアルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。R2、R3及びR4で表されるアルキル基は、置換基を有していても、無置換であってもよく、無置換であることが好ましい。R2、R3及びR4で表されるアルキル基としては、炭素数1〜8のアルキル基であり、炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましい。R2、R3又はR4で表されるアルキル基としては、炭素数1〜8のアルキル基であり、炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基等を挙げることができる。
中でも保存安定性とパッシベーション効果の観点から、一般式(I)におけるR2及びR3はそれぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜8の無置換のアルキル基であることが好ましく、水素原子又は炭素数1〜4の無置換のアルキル基であることがより好ましい。
また一般式(I)におけるR4は、保存安定性及びパッシベーション効果の観点から、水素原子又は炭素数1〜8の無置換のアルキル基であることが好ましく、水素原子又は炭素数1〜4の無置換のアルキル基であることがより好ましい。
一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物は、保存安定性の観点から、nが1〜3であり、R4がそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である化合物であることが好ましい。
一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物は、保存安定性及びパッシベーション効果の観点から、nが0であり、R1がそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基である化合物、並びにnが1〜3の整数であり、R1がそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基であり、X2及びX3の少なくとも一方が酸素原子であり、R2及びR3がそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、R4がそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
より好ましくは、一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物は、nが0であり、R1がそれぞれ独立して炭素数1〜4の無置換のアルキル基である化合物、並びにnが1〜3の整数であり、R1がそれぞれ独立して炭素数1〜4の無置換のアルキル基であり、X2及びX3の少なくとも一方が酸素原子であり、前記酸素原子に結合するR2又はR3が炭素数1〜4のアルキル基であり、X2又はX3がメチレン基の場合、前記メチレン基に結合するR2又はR3が水素原子であり、R4が水素原子である化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
より好ましくは、一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物は、nが0であり、R1がそれぞれ独立して炭素数1〜4の無置換のアルキル基である化合物、並びにnが1〜3の整数であり、R1がそれぞれ独立して炭素数1〜4の無置換のアルキル基であり、X2及びX3の少なくとも一方が酸素原子であり、前記酸素原子に結合するR2又はR3が炭素数1〜4のアルキル基であり、X2又はX3がメチレン基の場合、前記メチレン基に結合するR2又はR3が水素原子であり、R4が水素原子である化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
一般式(I)においてnが0である特定の有機アルミニウム化合物(アルミニウムトリアルコキシド)として具体的には、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリsec−ブトキシアルミニウム、モノsec-ブトキシ−ジイソプロポキシアルミニウム、トリt−ブトキシアルミニウム、トリn−ブトキシアルミニウム等を挙げることができる。
また一般式(I)で表され、nが1〜3の整数である特定の有機アルミニウム化合物として具体的には、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート、アルミニウムメチルアセトアセテートジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)等を挙げることができる。
また一般式(I)においてnが1〜3の整数である特定の有機アルミニウム化合物は、調製したものを用いても、市販品を用いてもよい。市販品としては例えば、川研ファインケミカル株式会社の商品名、ALCH、ALCH−50F、ALCH−75、ALCH-TR、ALCH−TR−20、アルミキレートM、アルミキレートD、アルキミレートA(W)等を挙げることができる。
また一般式(I)においてnが1〜3の整数である特定の有機アルミニウム化合物は、前記アルミニウムトリアルコキシドと、前記2つのカルボニル基を有する特定構造の化合物とを混合することで調製することができる。また市販されているアルミニウムキレート化合物を用いてもよい。
前記アルミニウムトリアルコキシドと、2つのカルボニル基を有する特定構造の化合物とを混合すると、アルミニウムトリアルコキシドのアルコキシド基の少なくとも一部が特定構造の化合物と置換して、アルミニウムキレート構造を形成する。このとき必要に応じて、溶媒が存在してもよく、また加熱処理、触媒の添加等を行ってもよい。アルミニウムアルコキシド構造の少なくとも一部がアルミニウムキレート構造に置換されることで、特定の有機アルミニウム化合物の加水分解及び重合反応に対する安定性が向上し、パッシベーション層形成用組成物の保存安定性がより向上する。また、後述するニオブアルコキシド、チタンアルコキシド、ジルコニアアルコキシド及びシリコンアルコキシドと反応性が近いものほど、緻密で光触媒作用が小さく、屈折率が大きい複合酸化物を生成しやすくなる。
前記アルミニウムトリアルコキシドと、2つのカルボニル基を有する特定構造の化合物とを混合すると、アルミニウムトリアルコキシドのアルコキシド基の少なくとも一部が特定構造の化合物と置換して、アルミニウムキレート構造を形成する。このとき必要に応じて、溶媒が存在してもよく、また加熱処理、触媒の添加等を行ってもよい。アルミニウムアルコキシド構造の少なくとも一部がアルミニウムキレート構造に置換されることで、特定の有機アルミニウム化合物の加水分解及び重合反応に対する安定性が向上し、パッシベーション層形成用組成物の保存安定性がより向上する。また、後述するニオブアルコキシド、チタンアルコキシド、ジルコニアアルコキシド及びシリコンアルコキシドと反応性が近いものほど、緻密で光触媒作用が小さく、屈折率が大きい複合酸化物を生成しやすくなる。
前記2つのカルボニル基を有する特定構造の化合物としては、反応性と保存安定性の観点から、β―ジケトン化合物、β―ケトエステル化合物及びマロン酸ジエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。前記2つのカルボニル基を有する特定構造の化合物として具体的には、アセチルアセトン、3−メチル−2,4−ペンタンジオン、2,3−ペンタンジオン、3−エチル−2,4−ペンタンジオン、3−ブチル−2,4−ペンタンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオン、6−メチル−2,4−ヘプタンジオン等のβ―ジケトン化合物;アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸プロピル、アセト酢酸イソブチル、アセト酢酸ブチル、アセト酢酸t−ブチル、アセト酢酸ペンチル、アセト酢酸イソペンチル、アセト酢酸ヘキシル、アセト酢酸n−オクチル、アセト酢酸ヘプチル、アセト酢酸3−ペンチル、2−アセチルヘプタン酸エチル、2−ブチルアセト酢酸エチル、4,4−ジメチル−3−オキソ吉草酸エチル、4−メチル−3−オキソ吉草酸エチル、2−エチルアセト酢酸エチル、ヘキシルアセト酢酸エチル、4−メチル−3−オキソ吉草酸メチル、アセト酢酸イソプロピル、3−オキソヘキサン酸エチル、3−オキソ吉草酸エチル、3−オキソ吉草酸メチル、3−オキソヘキサン酸メチル、2−メチルアセト酢酸エチル、3−オキソヘプタン酸エチル、3−オキソヘプタン酸メチル、4,4−ジメチル−3−オキソ吉草酸メチル等のβ―ケトエステル化合物;マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジプロピル、マロン酸ジイソプロピル、マロン酸ジブチル、マロン酸ジ−t−ブチル、マロン酸ジヘキシル、マロン酸t−ブチルエチル、メチルマロン酸ジエチル、エチルマロン酸ジエチル、イソプロピルマロン酸ジエチル、ブチルマロン酸ジエチル、sec−ブチルマロン酸ジエチル、イソブチルマロン酸ジエチル、1−メチルブチルマロン酸ジエチル等のマロン酸ジエステルなどを挙げることができる。
前記特定の有機アルミニウム化合物がアルミニウムキレート構造を有する場合、アルミニウムキレート構造の数は1〜3であれば特に制限されない。中でも、保存安定性の観点から、アルミニウムキレート構造の数は1又は3であることが好ましく、溶解度の観点から、1であることがより好ましい。アルミニウムキレート構造の数は、例えば前記アルミニウムトリアルコキシドと、アルミニウムとキレートを形成し得る化合物とを混合する比率を適宜調整することで制御することができる。また市販のアルミニウムキレート化合物から所望の構造を有する化合物を適宜選択してもよい。
一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物のうち、パッシベーション効果及び必要に応じて添加される溶剤との相溶性の観点から、具体的にはアルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート及びトリイソプロポキシアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましく、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレートを用いることがより好ましい。
前記特定の有機アルミニウム化合物におけるアルミニウムキレート構造の存在は、通常用いられる分析方法で確認することができる。例えば、赤外分光スペクトル、核磁気共鳴スペクトル、融点等を用いて確認することができる。
前記パッシベーション層形成用組成物に含まれる前記特定の有機アルミニウム化合物の含有率は、必要に応じて適宜選択することができる。有機アルミニウム化合物の含有率は、保存安定性とパッシベーション効果の観点から、パッシベーション層形成用組成物中に1質量%〜70質量%とすることができ、3質量%〜60質量%であることが好ましく、5質量%〜50質量%であることがより好ましく、10質量%〜30質量%であることが更に好ましい。
有機アルミニウム化合物は、液状であっても固体であってもよく、特に制限はない。パッシベーション効果と保存安定性の観点から、常温(25℃)での安定性、及び溶媒を用いる場合には溶媒への溶解性又は分散性が良好な特定の有機アルミニウム化合物を用いることが好ましい。このような特定の有機アルミニウム化合物を用いるで、形成されるパッシベーション層の均質性がより向上し、所望のパッシベーション効果を安定的に得ることができる傾向にある。
有機アルミニウム化合物は、液状であっても固体であってもよく、特に制限はない。パッシベーション効果と保存安定性の観点から、常温(25℃)での安定性、及び溶媒を用いる場合には溶媒への溶解性又は分散性が良好な特定の有機アルミニウム化合物を用いることが好ましい。このような特定の有機アルミニウム化合物を用いるで、形成されるパッシベーション層の均質性がより向上し、所望のパッシベーション効果を安定的に得ることができる傾向にある。
(特定のアルコキシド化合物)
本発明のパッシベーション層形成用組成物は、特定の有機アルミニウム化合物に加えて、チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド及びシリコンアルコキシドからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルコキシド化合物(以下、「特定アルコキシド化合物」ともいう)を含有する。特定アルコキシド化合物から選択される少なくとも1種を含有することで、有機アルミニウム化合物とともに屈折率の大きな複合酸化物を生成することが可能になり、更にパッシベーション効果もより向上させることができる。
本発明のパッシベーション層形成用組成物を熱処理(焼成)することで形成されるパッシベーション層は、有機アルミニウム化合物のみから形成されるパッシベーション層に比べて屈折率が大きくなる。例えば、屈折率が大きいパッシベーション層が受光面上に形成された太陽電池素子は、光の利用効率がより向上するため、発電効率が向上する。パッシベーション層形成用組成物から形成されるパッシベーション層の屈折率は、1.4以上であることが好ましく、1.6以上であることがより好ましく、1.6〜2.5であること更に好ましい。
本発明のパッシベーション層形成用組成物は、特定の有機アルミニウム化合物に加えて、チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド及びシリコンアルコキシドからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルコキシド化合物(以下、「特定アルコキシド化合物」ともいう)を含有する。特定アルコキシド化合物から選択される少なくとも1種を含有することで、有機アルミニウム化合物とともに屈折率の大きな複合酸化物を生成することが可能になり、更にパッシベーション効果もより向上させることができる。
本発明のパッシベーション層形成用組成物を熱処理(焼成)することで形成されるパッシベーション層は、有機アルミニウム化合物のみから形成されるパッシベーション層に比べて屈折率が大きくなる。例えば、屈折率が大きいパッシベーション層が受光面上に形成された太陽電池素子は、光の利用効率がより向上するため、発電効率が向上する。パッシベーション層形成用組成物から形成されるパッシベーション層の屈折率は、1.4以上であることが好ましく、1.6以上であることがより好ましく、1.6〜2.5であること更に好ましい。
チタンアルコキシドとしては特に制限はなく、通常用いられるチタンアルコキシドから適宜選択して用いることができる。中でもチタンアルコキシドは、形成されるパッシべーション層と接触する樹脂等を分解しにくいという観点から、一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物と反応して複合化し、より緻密な複合酸化物を与えるものが好ましい。チタンアルコキシドとして具体的には、チタンメトキシド、チタンエトキシド、チタンイソプロポキシド、チタンn−プロポキシド、チタンn−ブトキシド、チタンt−ブトキシド、チタンイソブトキシド、チタン(ジイソプロポキシド)ビス(アセチルアセトナート) 、チタンテトラキス(2−エチル−1−ヘキサノラート)等を挙げることができる。一般に、チタンアルコキシドを熱処理(焼成)して得られる酸化チタンは屈折率が大きいことが知られている。しかし酸化チタン自体をパッシベーション層形成用組成物に添加して用いた場合には、酸化チタンが有する光触媒作用により、太陽光等の下で、パッシベーション層と接触する樹脂等を分解してしまう可能性がある。一方、パッシベーション層形成用組成物にチタンアルコキシドを適用する場合には、チタンアルコキシドが有機アルミニウム化合物と共に複合酸化物を形成し、光触媒作用が抑制されると共に屈折率の大きいパッシベーション層を形成することができる。
ジルコニウムアルコキシドとしては、一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物と反応して複合酸化物を与えるものであれば特に制限はない。ジルコニウムアルコキシとして具体的には、ジルコニウムエトキシド、ジルコニウムイソプロポキシド、ジルコニウムn−プロポキシド、ジルコニウムn−ブトキシド、ジルコニウムt−ブトキシド、ジルコニウムアセチルアセトン、ジルコニウムトリフルオロアセチルアセトナート、ジルコニウムヘキサフルオロアセチルアセトナート等を挙げることができる。一般にジルコニウムアルコキシドを熱処理(焼成)して得られる酸化ジルコニウムは屈折率が大きいことで知られている。しかし酸化ジルコニウム自体をパッシベーション層形成用組成物に添加して用いた場合には、酸化ジルコニウムが有する光触媒作用により、太陽光等の下で、パッシベーション層と接触する樹脂等を分解してしまう可能性がある。一方、パッシベーション層形成用組成物にジルコニウムアルコキシドを適用する場合には、ジルコニウムアルコキシドが有機アルミニウム化合物と共に複合酸化物を形成し、光触媒作用が抑制されると共に屈折率の大きいパッシベーション層を形成することができる。
シリコンアルコキシドについて説明する。一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物を含有するパッシベーション層形成組成物を熱処理(焼成)することにより形成される酸化アルミニウムはアモルファス状態となりやすく、部分的に4配位酸化アルミニウムが生成される。4配位酸化アルミニウムが生成すると負の固定電荷が得られる。ここでパッシベーション層形成組成物にシリコンアルコキシドが含まれると熱処理(焼成)により4配位酸化シリコンが併せて生成する。4配位酸化シリコンは同形置換によって中心原子がシリコンからアルミニウムに置き換わることが知られている。従って4配位酸化シリコンが酸化アルミニウム層中に形成されると、結果的に負の固定電荷を有する4配位の酸化アルミニウムが生成しやすくなる。シリコンアルコキシドを熱処理(焼成)して得られる酸化シリコン自体の屈折率は酸化アルミニウムより小さいものの、複合化によって負の固定電荷源となる4配位の酸化アルミニウムが生成しやすくなるため、屈折率を大きく落とさない程度にシリコンアルコキシドを使用することで、より優れたパッシベーション効果が得られることになる。
シリコンアルコキシドとしては、一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物、チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド又は必要に応じて含まれるニオブアルコキシドと反応して複合酸化物を与えるものであれば特に制限はない。中でもシリコンアルコキシドは、下記一般式(II)で表される化合物であることが好ましい。
(R5O)(4−m)SiR6 m (II)
式中、R5及びR6はそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を表す。nは0〜3の整数を表す。ここでR5及びR6のいずれかが複数存在する場合、複数存在するR5又はR6はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
(R5O)(4−m)SiR6 m (II)
式中、R5及びR6はそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を表す。nは0〜3の整数を表す。ここでR5及びR6のいずれかが複数存在する場合、複数存在するR5又はR6はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
シリコンアルコキシドとして具体的には、シリコンテトラメトキシド、シリコンテトラエトキシド、シリコンテトラプロポキシド等を挙げることができる。
チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド及びシリコンアルコキシドからなる群より選ばれるアルコキシド化合物の中では、有機アルミニウム化合物との反応性、生成する複合酸化物の屈折率及びパッシベーション効果の観点から、チタンアルコキシド及びジルコニウムアルコキシドからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましく、チタンイソプロポキシド、ジルコニウムエトキシド及びジルコニウムイソプロポキシドからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることがより好ましく、チタンイソプロポキシド及びジルコニウムエトキシドからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが更に好ましい。
チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド及びシリコンアルコキシドからなる群より選ばれる特定アルコキシド化合物の含有率は、その総量がパッシベーション層形成用組成物中0.5質量%〜65質量%であることが好ましく、1質量%〜65質量%であることがより好ましく、2質量%〜60質量%であることが更に好ましい。
また一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物の含有量に対する前記特定アルコキシド化合物の含有量の比(特定アルコキシド化合物/一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物)は、生成する複合酸化物の屈折率及びパッシベーション効果の観点から、0.01〜1000であることが好ましく、0.05〜500であることがより好ましく0.1〜100であることが更に好ましい。
また一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物の含有量に対する前記特定アルコキシド化合物の含有量の比(特定アルコキシド化合物/一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物)は、生成する複合酸化物の屈折率及びパッシベーション効果の観点から、0.01〜1000であることが好ましく、0.05〜500であることがより好ましく0.1〜100であることが更に好ましい。
(ニオブアルコキシド)
パッシベーション層形成用組成物は、ニオブアルコキシドの少なくとも1種を含有してもよい。ニオブアルコキシドを熱処理(焼成)して得られる酸化ニオブは屈折率が大きいことで知られているため、ニオブアルコキシドを更に含むパッシベーション層形成用組成物を熱処理(焼成)することにより、屈折率がより大きいパッシベーション層を得ることができる。
ニオブアルコキシドとしては、一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物と反応して複合酸化物を与えるものであれば特に制限はない。ニオブアルコキシドとして具体的には、ニオブエトキシド、ニオブイソプロポキシド、ニオブn−プロポキシド、ニオブn−ブトキシド、ニオブフェノキシド等を挙げることができる。
パッシベーション層形成用組成物は、ニオブアルコキシドの少なくとも1種を含有してもよい。ニオブアルコキシドを熱処理(焼成)して得られる酸化ニオブは屈折率が大きいことで知られているため、ニオブアルコキシドを更に含むパッシベーション層形成用組成物を熱処理(焼成)することにより、屈折率がより大きいパッシベーション層を得ることができる。
ニオブアルコキシドとしては、一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物と反応して複合酸化物を与えるものであれば特に制限はない。ニオブアルコキシドとして具体的には、ニオブエトキシド、ニオブイソプロポキシド、ニオブn−プロポキシド、ニオブn−ブトキシド、ニオブフェノキシド等を挙げることができる。
パッシベーション層形成用組成物がニオブアルコキシドを含有する場合、その含有率は、パッシベーション層形成用組成物の総質量中に、0.2質量%〜50質量%であることが好ましく、0.5質量%〜48質量%であることがより好ましく、1質量%〜46質量%であることが更に好ましい。
またパッシベーション層形成用組成物がニオブアルコキシドを含有する場合、一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物の含有量に対するニオブアルコキシドの含有量の比(ニオブアルコキシド/一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物)は、生成する複合酸化物の屈折率及びパッシベーション効果の観点から、0.01〜1000であることが好ましく、0.05〜500であることがより好ましく、0.1〜100であることが更に好ましい。
更にパッシベーション層形成用組成物がニオブアルコキシドを含有する場合、また一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物の含有量に対する特定アルコキシド化合物及びニオブアルコキシドの総含有量の比は、生成する複合酸化物の屈折率及びパッシベーション効果の観点から、0.01〜1000であることが好ましく、0.05〜500であることがより好ましく、0.1〜100であることが更に好ましい。
またパッシベーション層形成用組成物がニオブアルコキシドを含有する場合、一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物の含有量に対するニオブアルコキシドの含有量の比(ニオブアルコキシド/一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物)は、生成する複合酸化物の屈折率及びパッシベーション効果の観点から、0.01〜1000であることが好ましく、0.05〜500であることがより好ましく、0.1〜100であることが更に好ましい。
更にパッシベーション層形成用組成物がニオブアルコキシドを含有する場合、また一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物の含有量に対する特定アルコキシド化合物及びニオブアルコキシドの総含有量の比は、生成する複合酸化物の屈折率及びパッシベーション効果の観点から、0.01〜1000であることが好ましく、0.05〜500であることがより好ましく、0.1〜100であることが更に好ましい。
パッシベーション層形成用組成物において、一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物、特定アルコキシド化合物及び必要に応じて含まれるニオブアルコキシドの総含有率は、パッシベーション層形成用組成物の総質量中に1質量%〜70質量%であることが好ましく、3質量%〜60質量%であることがより好ましく、5質量%〜50質量%であることが更に好ましい。
(樹脂)
パッシベーション層形成用組成物は、樹脂の少なくとも1種を更に含有してもよい。樹脂を含むことで、前記パッシベーション層形成用組成物が半導体基板上に付与されて形成される組成物層の形状安定性がより向上し、パッシベーション層を前記組成物層が形成された領域に、所望の形状で選択的に形成することができる。
パッシベーション層形成用組成物は、樹脂の少なくとも1種を更に含有してもよい。樹脂を含むことで、前記パッシベーション層形成用組成物が半導体基板上に付与されて形成される組成物層の形状安定性がより向上し、パッシベーション層を前記組成物層が形成された領域に、所望の形状で選択的に形成することができる。
樹脂の種類は特に制限されない。樹脂は、パッシベーション層形成用組成物を半導体基板上に付与する際に、良好なパターン形成ができる範囲に粘度調整が可能な樹脂であることが好ましい。樹脂として具体的には、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド類、ポリビニルアミド類、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド類、ポリスルホン酸、ポリアクリルアミドアルキルスルホン酸、セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース等のセルロースエーテルなどのセルロース誘導体、ゼラチン及びゼラチン誘導体、澱粉及び澱粉誘導体、アルギン酸ナトリウム及びアルギン酸ナトリウム誘導体、キサンタン及びキサンタン誘導体、グアーガム及びグアーガム誘導体、スクレログルカン及びスクレログルカン誘導体、トラガカント及びトラガカント誘導体、デキストリン及びデキストリン誘導体、(メタ)アクリル酸樹脂、(メタ)アクリル酸エステル樹脂(例えば、アルキル(メタ)アクリレート樹脂、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート樹脂等)、ブタジエン樹脂、スチレン樹脂、シロキサン樹脂、これらの共重合体などを挙げることができる。これら樹脂は1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
これらの樹脂のなかでも、保存安定性とパターン形成性の観点から、酸性及び塩基性の官能基を有さない中性樹脂を用いることが好ましく、含有量が少量の場合においても容易に粘度及びチキソ性を調節できる観点から、セルロース誘導体を用いることがより好ましい。
またこれら樹脂の分子量は特に制限されず、パッシベーション層形成用組成物としての所望の粘度を鑑みて適宜調整することが好ましい。前記樹脂の重量平均分子量は、保存安定性とパターン形成性の観点から、1,000〜10,000,000であることが好ましく、3,000〜5,000,000であることがより好ましい。なお、樹脂の重量平均分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて測定される分子量分布から標準ポリスチレンの検量線を使用して換算して求められる。
またこれら樹脂の分子量は特に制限されず、パッシベーション層形成用組成物としての所望の粘度を鑑みて適宜調整することが好ましい。前記樹脂の重量平均分子量は、保存安定性とパターン形成性の観点から、1,000〜10,000,000であることが好ましく、3,000〜5,000,000であることがより好ましい。なお、樹脂の重量平均分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて測定される分子量分布から標準ポリスチレンの検量線を使用して換算して求められる。
パッシベーション層形成用組成物が樹脂を含有する場合、樹脂のパッシベーション層形成用組成物中の含有率は、必要に応じて適宜選択することができる。樹脂の含有率は、例えばパッシベーション層形成用組成物の総質量中に0.1質量%〜30質量%であることが好ましい。パターン形成をより容易にするようなチキソ性を発現させる観点から、前記含有率は1質量%〜25質量%であることがより好ましく、1.5質量%〜20質量%であることがより好ましく、1.5質量%〜10質量%であることが更に好ましい。
パッシベーション層形成用組成物が樹脂を含有する場合、前記パッシベーション層形成用組成物における前記有機アルミニウム化合物と前記樹脂の含有比率は、必要に応じて適宜選択することができる。中でも、パターン形成性と保存安定性の観点から、有機アルミニウム化合物に対する樹脂の含有比率(樹脂/有機アルミニウム化合物)は、0.001〜1000であることが好ましく、0.01〜100であることがより好ましく、0.1〜1であることが更に好ましい。
(高沸点材料)
パッシベーション層形成用組成物には、樹脂と共に又は樹脂に替わる材料として、高沸点材料を用いてもよい。高沸点材料は、加熱時に容易に気化して脱脂処理する必要のない化合物であることが好ましい。また高沸点材料は特に、印刷塗布後に印刷形状が維持できる高粘度の高沸点材料であることが好ましい。これらを満たす材料として、例えば一般式(III)で表わされるイソボルニルシクロヘキサノールが挙げられる。
パッシベーション層形成用組成物には、樹脂と共に又は樹脂に替わる材料として、高沸点材料を用いてもよい。高沸点材料は、加熱時に容易に気化して脱脂処理する必要のない化合物であることが好ましい。また高沸点材料は特に、印刷塗布後に印刷形状が維持できる高粘度の高沸点材料であることが好ましい。これらを満たす材料として、例えば一般式(III)で表わされるイソボルニルシクロヘキサノールが挙げられる。
この一般式(III)で表わされるイソボルニルシクロヘキサノールは「テルソルブ MTPH」(日本テルペン化学株式会社、商品名)として商業的に入手可能である。イソボルニルシクロヘキサノールは沸点が308℃〜318℃と高く、また組成物層から除去する際には、樹脂のように熱処理(焼成)による脱脂処理を行うまでもなく、加熱により気化させることによって消失させることができる。このため、パッシベーション層形成用組成物を半導体基板上に塗布した後の乾燥工程で、組成物中に必要に応じて含まれる溶剤とイソボルニルシクロヘキサノールの大部分を取り除くことができ、熱処理(焼成)後の黒色残渣を抑制することができる。
パッシベーション層形成用組成物が高沸点材料を含有する場合、高沸点材料の含有率は、パッシベーション層形成用組成物の総質量中に0.5質量%〜85質量%であることが好ましく、1質量%〜80質量%であることがより好ましく、2質量%〜80質量%であることが特に好ましい。
(溶媒)
前記パッシベーション層形成用組成物は溶媒を含んでいてもよい。パッシベーション層形成用組成物が溶媒を含有することで、粘度の調整がより容易になり、付与性がより向上すると共により均一なパッシベーション層を形成することができる傾向にある。前記溶媒としては特に制限されず、必要に応じて適宜選択することができる。中でも一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物及び特定アルコキシド化合物を溶解して均一な溶液を与えることができる溶媒が好ましく、有機溶剤の少なくとも1種を含むことがより好ましい。
溶媒として具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン等のケトン系溶剤;ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチル−n−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、テトラエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラプロピレングリコールジエチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチルエチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、テトラプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル等のエーテル系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸ジエチレングリコールメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリエチレングリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸イソアミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、エチレングリコールメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のエステル系溶剤;アセトニトリル、N−メチルピロリジノン、N−エチルピロリジノン、N−プロピルピロリジノン、N−ブチルピロリジノン、N−ヘキシルピロリジノン、N−シクロヘキシルピロリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤;塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、オクタン、エチルベンゼン、2−エチルヘキサン酸、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等の疎水性有機溶剤;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、イソペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等のアルコール系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールモノエーテル系溶剤;α−テルピネン、α−テルピネオール、ミルセン、アロオシメン、リモネン、ジペンテン、α−ピネン、β−ピネン、ターピネオール、カルボン、オシメン、フェランドレン等のテルペン系溶剤;水などが挙げられる。これらは1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
前記パッシベーション層形成用組成物は溶媒を含んでいてもよい。パッシベーション層形成用組成物が溶媒を含有することで、粘度の調整がより容易になり、付与性がより向上すると共により均一なパッシベーション層を形成することができる傾向にある。前記溶媒としては特に制限されず、必要に応じて適宜選択することができる。中でも一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物及び特定アルコキシド化合物を溶解して均一な溶液を与えることができる溶媒が好ましく、有機溶剤の少なくとも1種を含むことがより好ましい。
溶媒として具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン等のケトン系溶剤;ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチル−n−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラエチレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、テトラエチレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラプロピレングリコールジエチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチルエチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル、テトラプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチル−n−ヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル等のエーテル系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸ジエチレングリコールメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリエチレングリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸イソアミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、エチレングリコールメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のエステル系溶剤;アセトニトリル、N−メチルピロリジノン、N−エチルピロリジノン、N−プロピルピロリジノン、N−ブチルピロリジノン、N−ヘキシルピロリジノン、N−シクロヘキシルピロリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤;塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、オクタン、エチルベンゼン、2−エチルヘキサン酸、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等の疎水性有機溶剤;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、イソペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等のアルコール系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールモノエーテル系溶剤;α−テルピネン、α−テルピネオール、ミルセン、アロオシメン、リモネン、ジペンテン、α−ピネン、β−ピネン、ターピネオール、カルボン、オシメン、フェランドレン等のテルペン系溶剤;水などが挙げられる。これらは1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
中でも前記溶媒は、半導体基板への付与性及びパターン形成性の観点から、テルペン系溶剤、エステル系溶剤及びアルコール系溶剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、テルペン系溶剤からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましい。
パッシベーション層形成用組成物が溶媒を含む場合、溶媒の含有率は、付与性、パターン形成性、及び保存安定性を考慮して決定される。例えば溶媒の含有率は、組成物の付与性とパターン形成性の観点から、パッシベーション層形成用組成物の総質量中に5質量%〜98質量%であることが好ましく、10質量%〜95質量%であることがより好ましい。
パッシベーション層形成用組成物が溶媒を含む場合、溶媒の含有率は、付与性、パターン形成性、及び保存安定性を考慮して決定される。例えば溶媒の含有率は、組成物の付与性とパターン形成性の観点から、パッシベーション層形成用組成物の総質量中に5質量%〜98質量%であることが好ましく、10質量%〜95質量%であることがより好ましい。
(その他添加剤)
前記パッシベーション層形成用組成物は、酸性化合物又は塩基性化合物を含有してもよい。パッシベーション層形成用組成物が酸性化合物又は塩基性化合物を含有する場合、保存安定性の観点から、酸性化合物又は塩基性化合物の含有率が、パッシベーション層形成用組成物中にそれぞれ1質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましい。
酸性化合物としては、ブレンステッド酸及びルイス酸を挙げることができる。具体的には塩酸、硝酸等の無機酸、酢酸等の有機酸などを挙げることができる。また塩基性化合物としては、ブレンステッド塩基及びルイス塩基を挙げることができる。具体的にはアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物等の無機塩基、トリアルキルアミン、ピリジン等の有機塩基などを挙げることができる。
前記パッシベーション層形成用組成物は、酸性化合物又は塩基性化合物を含有してもよい。パッシベーション層形成用組成物が酸性化合物又は塩基性化合物を含有する場合、保存安定性の観点から、酸性化合物又は塩基性化合物の含有率が、パッシベーション層形成用組成物中にそれぞれ1質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましい。
酸性化合物としては、ブレンステッド酸及びルイス酸を挙げることができる。具体的には塩酸、硝酸等の無機酸、酢酸等の有機酸などを挙げることができる。また塩基性化合物としては、ブレンステッド塩基及びルイス塩基を挙げることができる。具体的にはアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物等の無機塩基、トリアルキルアミン、ピリジン等の有機塩基などを挙げることができる。
(物性値)
パッシベーション層形成用組成物の粘度は特に制限されず、半導体基板への付与方法等に応じて適宜選択することができる。例えば、パッシベーション層形成用組成物の粘度は0.01Pa・s〜10000Pa・sとすることができる。中でもパターン形成性の観点から、パッシベーション層形成用組成物の粘度は0.1Pa・s〜1000Pa・sであることが好ましい。なお、前記粘度は回転式せん断粘度計を用いて、25℃、せん断速度1.0s−1で測定される。
パッシベーション層形成用組成物の粘度は特に制限されず、半導体基板への付与方法等に応じて適宜選択することができる。例えば、パッシベーション層形成用組成物の粘度は0.01Pa・s〜10000Pa・sとすることができる。中でもパターン形成性の観点から、パッシベーション層形成用組成物の粘度は0.1Pa・s〜1000Pa・sであることが好ましい。なお、前記粘度は回転式せん断粘度計を用いて、25℃、せん断速度1.0s−1で測定される。
またパッシベーション層形成用組成物のせん断粘度は特に制限されず、パッシベーション層形成用組成物がチキソ性を有していることが好ましい。特にパッシベーション層形成用組成物が樹脂を含む場合、パターン形成性の観点から、せん断速度1.0s−1におけるせん断粘度η1をせん断速度10s−1におけるせん断粘度η2で除して算出されるチキソ比(η1/η2)が1.05〜100であることが好ましく、1.1〜50であることがより好ましい。なお、せん断粘度は、コーンプレート(直径50mm、コーン角1°)を装着した回転式のせん断粘度計を用いて、温度25℃で測定される。
一方、パッシベーション層形成用組成物が樹脂の代わりに高沸点材料を含む場合、パターン形成性の観点から、せん断速度1.0s−1におけるせん断粘度η1をせん断速度1000s−1におけるせん断粘度η3で除して算出されるチキソ比(η1/η3)が1.05〜100であることが好ましく、1.1〜50であることがより好ましい。
一方、パッシベーション層形成用組成物が樹脂の代わりに高沸点材料を含む場合、パターン形成性の観点から、せん断速度1.0s−1におけるせん断粘度η1をせん断速度1000s−1におけるせん断粘度η3で除して算出されるチキソ比(η1/η3)が1.05〜100であることが好ましく、1.1〜50であることがより好ましい。
(パッシベーション層形成用組成物の製造方法)
前記パッシベーション層形成用組成物の製造方法には特に制限はない。例えば、一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物と、特定アルコキシド化合物と、必要に応じて含まれる樹脂、溶媒等とを、通常用いられる混合方法で混合することで製造することができる。また樹脂を溶媒に溶解した後、これと一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物及び特定アルコキシド化合物を混合することで製造してもよい。
更に一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物は、アルミニウムアルコキシドと、アルミニウムとキレートを形成可能な化合物とを混合して調製してもよい。その際、必要に応じて溶媒を用いてもよく、加熱処理を行ってもよい。このようにして調製した一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物及び特定アルコキシド化合物と、樹脂又は樹脂を含む溶液とを混合してパッシベーション層形成用組成物を製造してもよい。
なお、前記パッシベーション層形成用組成物中に含まれる成分、及び各成分の含有量は、示差熱−熱重量同時測定(TG/DTA)等の熱分析、核磁気共鳴(NMR)、赤外分光法(IR)等のスペクトル分析、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)等のクロマトグラフ分析などを用いて確認することができる。
前記パッシベーション層形成用組成物の製造方法には特に制限はない。例えば、一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物と、特定アルコキシド化合物と、必要に応じて含まれる樹脂、溶媒等とを、通常用いられる混合方法で混合することで製造することができる。また樹脂を溶媒に溶解した後、これと一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物及び特定アルコキシド化合物を混合することで製造してもよい。
更に一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物は、アルミニウムアルコキシドと、アルミニウムとキレートを形成可能な化合物とを混合して調製してもよい。その際、必要に応じて溶媒を用いてもよく、加熱処理を行ってもよい。このようにして調製した一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物及び特定アルコキシド化合物と、樹脂又は樹脂を含む溶液とを混合してパッシベーション層形成用組成物を製造してもよい。
なお、前記パッシベーション層形成用組成物中に含まれる成分、及び各成分の含有量は、示差熱−熱重量同時測定(TG/DTA)等の熱分析、核磁気共鳴(NMR)、赤外分光法(IR)等のスペクトル分析、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)等のクロマトグラフ分析などを用いて確認することができる。
<パッシベーション層付半導体基板>
本発明のパッシベーション層付半導体基板は、半導体基板と、前記半導体基板上の全面又は一部に設けられる本発明のパッシベーション層形成用組成物の熱処理物(焼成物)であるパッシベーション層とを有する。前記パッシベーション層付半導体基板は、前記パッシベーション層形成用組成物の熱処理物層(焼成物層)であるパッシベーション層を有することで優れたパッシベーション効果を示す。
本発明のパッシベーション層付半導体基板は、半導体基板と、前記半導体基板上の全面又は一部に設けられる本発明のパッシベーション層形成用組成物の熱処理物(焼成物)であるパッシベーション層とを有する。前記パッシベーション層付半導体基板は、前記パッシベーション層形成用組成物の熱処理物層(焼成物層)であるパッシベーション層を有することで優れたパッシベーション効果を示す。
半導体基板は特に制限されず、目的に応じて通常用いられるものから適宜選択することができる。半導体基板としては、シリコン、ゲルマニウム等にp型不純物又はn型不純物をドープ(拡散)したものが挙げられる。中でもシリコン基板であることが好ましい。また半導体基板は、p型半導体基板であっても、n型半導体基板であってもよい。中でもパッシベーション効果の観点から、パッシベーション層が形成される面がp型層である半導体基板であることが好ましい。前記半導体基板上のp型層は、p型半導体基板に由来するp型層であっても、p型拡散層又はp+型拡散層として、n型半導体基板又はp型半導体基板上に形成されたものであってもよい。
また前記半導体基板の厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、半導体基板の厚みは、50μm〜1000μmとすることができ、75μm〜750μmであることが好ましい。
また前記半導体基板の厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、半導体基板の厚みは、50μm〜1000μmとすることができ、75μm〜750μmであることが好ましい。
前記半導体基板上に形成されるパッシベーション層の平均厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、パッシベーション層の平均厚みは5nm〜50μmであることが好ましく、10nm〜30μmであることが好ましく、15nm〜20μmであることが更に好ましい。パッシベーション層の平均厚みは、干渉式膜厚計等で測定することができる。
前記パッシベーション層付半導体基板は、太陽電池素子、発光ダイオード素子等に適用することができる。例えば、太陽電池素子に適用することで変換効率に優れた太陽電池素子を得ることができる。前記パッシベーション層付半導体基板を太陽電池素子に適用する場合、パッシべーション層は太陽電池素子の受光面側に設けられることが好ましい。
<パッシベーション層付半導体基板の製造方法>
本発明のパッシベーション層付半導体基板の製造方法は、半導体基板上の全面又は一部に、本発明のパッシベーション層形成用組成物を付与して組成物層を形成する工程と、前記組成物層を熱処理(焼成)してパッシベーション層を形成する工程とを有する。前記製造方法は必要に応じてその他の工程を更に含んでいてもよい。
前記パッシベーション層形成用組成物を用いることで、優れたパッシベーション効果と大きな屈折率を有するパッシベーション層を所望の形状に、簡便な方法で形成することができる。
本発明のパッシベーション層付半導体基板の製造方法は、半導体基板上の全面又は一部に、本発明のパッシベーション層形成用組成物を付与して組成物層を形成する工程と、前記組成物層を熱処理(焼成)してパッシベーション層を形成する工程とを有する。前記製造方法は必要に応じてその他の工程を更に含んでいてもよい。
前記パッシベーション層形成用組成物を用いることで、優れたパッシベーション効果と大きな屈折率を有するパッシベーション層を所望の形状に、簡便な方法で形成することができる。
前記パッシベーション層付半導体基板の製造方法は、前記組成物層を形成する工程の前に、半導体基板上にアルカリ水溶液を付与する工程を更に有することが好ましい。すなわち、半導体基板上に前記パッシベーション層形成用組成物を付与する前に、半導体基板の表面をアルカリ水溶液で洗浄することが好ましい。アルカリ水溶液で洗浄することで、半導体基板表面に存在する有機物、パーティクル等を除去することができ、パッシベーション効果がより向上する。アルカリ水溶液による洗浄の方法としては、一般的に知られているRCA洗浄等を例示することができる。例えばアンモニア水−過酸化水素水の混合溶液に半導体基板を浸し、60℃〜80℃で処理することで、有機物及びパーティクルを除去及び洗浄することできる。洗浄時間は、10秒〜10分間であることが好ましく、30秒〜5分間であることが更に好ましい。
RCA洗浄では、まずウェーハを希フッ酸水溶液(HF)の中に入れ、表面の薄いSi酸化膜を溶かすと共に、その上に付着していた多くの異物も同時に取り去る。更に、上記のようにアンモニア水(NH4OH)−過酸化水素(H2O2)の混合溶液で、有機物及びパーティクルを取り、次いで塩酸(HC1)及び過酸化水素(H2O2)で、金属類を取る。そして、最後は超純水で仕上げてもよい。
半導体基板上に、前記パッシベーション層形成用組成物を付与して組成物層を形成する方法には特に制限はない。例えば、公知の塗布方法等を用いて、半導体基板上に前記パッシベーション層形成用組成物を付与する方法を挙げることができる。具体的には、浸漬法、印刷法、スピン法、刷毛塗り、スプレー法、ドクターブレード法、ロールコーター法、インクジェット法等を挙げることができる。これらの中でもパターン形成性の観点から、各種の印刷法、インクジェット法等が好ましい。
前記パッシベーション層形成用組成物の付与量は、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、形成されるパッシベーション層の厚みが、後述する所望の厚みとなるように適宜調整することができる。
パッシベーション層形成用組成物によって形成された組成物層を熱処理(焼成)して、前記組成物層に由来する熱処理物層(焼成物層)を形成することで、半導体基板上にパッシベーション層を形成することができる。
組成物層の熱処理(焼成)条件は、組成物層に含まれる一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物及び特定アルコキシド化合物をその熱処理物(焼成物)である酸化アルミニウム(Al2O3)及び複合酸化物に変換可能であれば特に制限されない。中でも特定の結晶構造を持たないアモルファス状のAl2O3を含む層を形成可能な熱処理(焼成)条件であることが好ましい。パッシベーション層がアモルファス状のAl2O3を含む層で構成されることで、パッシベーション層により効果的に負電荷を持たせることができ、より優れたパッシベーション効果を得ることができる。具体的に、熱処理(焼成)温度は400℃〜900℃が好ましく、450℃〜800℃がより好ましい。また熱処理(焼成)時間は熱処理(焼成)温度等に応じて適宜選択できる。例えば、0.1時間〜10時間とすることができ、0.2時間〜5時間であることが好ましい。
組成物層の熱処理(焼成)条件は、組成物層に含まれる一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物及び特定アルコキシド化合物をその熱処理物(焼成物)である酸化アルミニウム(Al2O3)及び複合酸化物に変換可能であれば特に制限されない。中でも特定の結晶構造を持たないアモルファス状のAl2O3を含む層を形成可能な熱処理(焼成)条件であることが好ましい。パッシベーション層がアモルファス状のAl2O3を含む層で構成されることで、パッシベーション層により効果的に負電荷を持たせることができ、より優れたパッシベーション効果を得ることができる。具体的に、熱処理(焼成)温度は400℃〜900℃が好ましく、450℃〜800℃がより好ましい。また熱処理(焼成)時間は熱処理(焼成)温度等に応じて適宜選択できる。例えば、0.1時間〜10時間とすることができ、0.2時間〜5時間であることが好ましい。
前記パッシベーション層付半導体基板の製造方法によって製造されるパッシベーション層の厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択できる。例えばパッシベーション層の平均厚みは、5nm〜50μmであることが好ましく、10nm〜30μmであることが好ましく、15nm〜20μmであることが更に好ましい。
尚、形成されたパッシベーション層の平均厚みは、触針式段差・表面形状測定装置(例えば、Ambios社)、干渉式膜厚計(例えば、フィルメトリック社)等を用いて常法により、3点の厚みを測定し、その算術平均値として算出される。
尚、形成されたパッシベーション層の平均厚みは、触針式段差・表面形状測定装置(例えば、Ambios社)、干渉式膜厚計(例えば、フィルメトリック社)等を用いて常法により、3点の厚みを測定し、その算術平均値として算出される。
前記パッシベーション層付半導体基板の製造方法は、パッシベーション層形成用組成物を付与した後、かつ熱処理(焼成)によってパッシベーション層を形成する工程の前に、パッシベーション層形成用組成物からなる組成物層を乾燥処理する工程を更に有していてもよい。組成物層を乾燥処理する工程を有することで、より均一なパッシベーション効果を有するパッシベーション層を形成することができる。
組成物層を乾燥処理する工程は、パッシベーション層形成用組成物に含まれることがある溶媒の少なくとも一部を除去することができれば、特に制限されない。乾燥処理は例えば30℃〜250℃で1分間〜60分間の加熱処理とすることができ、40℃〜220℃で3分間〜40分間の加熱処理であることが好ましい。また乾燥処理は、常圧下で行なっても減圧下で行なってもよい。
パッシベーション層形成用組成物が樹脂を含む場合、前記パッシベーション層付半導体基板の製造方法は、パッシベーション層形成用組成物を付与した後、かつ熱処理(焼成)によってパッシベーション層を形成する工程の前に、パッシベーション層形成用組成物からなる組成物層を脱脂処理する工程を更に有していてもよい。組成物層を脱脂処理する工程を有することで、より均一な半導体基板パッシベーション効果を有するパッシベーション層を形成することができる。
組成物層を脱脂処理する工程は、パッシベーション層形成用組成物に含まれることがある樹脂の少なくとも一部を除去することができれば、特に制限されない。脱脂処理は例えば250℃〜400℃で3分間〜120分間の加熱処理とすることができ、300℃〜450℃で10分間〜60分間の加熱処理であることが好ましい。また脱脂処理は、酸素存在下で行うことが好ましく、大気中で行なうことがより好ましい。
<太陽電池素子>
本発明の太陽電池素子は、p型層及びn型層がpn接合されてなる半導体基板と、前記半導体基板上の全面又は一部に設けられる本発明のパッシベーション層形成用組成物の熱処理物(焼成物)であるパッシベーション層と、前記半導体基板の前記p型層及びn型層からなる群より選択される1以上の層上に配置される電極とを有する。前記太陽電池素子は、必要に応じてその他の構成要素を更に有していてもよい。
前記太陽電池素子は、本発明のパッシベーション層形成用組成物から形成されたパッシベーション層を有することで、変換効率に優れる。
本発明の太陽電池素子は、p型層及びn型層がpn接合されてなる半導体基板と、前記半導体基板上の全面又は一部に設けられる本発明のパッシベーション層形成用組成物の熱処理物(焼成物)であるパッシベーション層と、前記半導体基板の前記p型層及びn型層からなる群より選択される1以上の層上に配置される電極とを有する。前記太陽電池素子は、必要に応じてその他の構成要素を更に有していてもよい。
前記太陽電池素子は、本発明のパッシベーション層形成用組成物から形成されたパッシベーション層を有することで、変換効率に優れる。
パッシベーション層形成用組成物を付与する半導体基板としては特に制限されず、目的に応じて通常用いられるものから適宜選択することができる。半導体基板としては、パッシベーション層付半導体基板で説明したものを使用することができ、好適に使用できるものも同様である。前記パッシベーション層が設けられる半導体基板の面は、p型層であっても、n型層であってもよい。中でも変換効率の観点からp型層であることが好ましい。前記半導体基板上のp型層は、p型半導体基板に由来するp型層であっても、p型拡散層又はp+型拡散層として、n型半導体基板又はp型半導体基板上に形成されたものであってもよい。また前記パッシベーション層が設けられる半導体基板の面は、太陽電池素子における受光面であることが好ましい。
前記半導体基板の厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば50μm〜1000μmとすることができ、75μm〜750μmであることが好ましい
また前記半導体基板上に形成されたパッシベーション層の厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えばパッシベーション層の平均厚みは、5nm〜50μmであることが好ましく、10nm〜30μmであることが好ましく、15nm〜20μmであることが更に好ましい。
前記太陽電池素子の形状、大きさ等に制限はない。例えば、一辺が125mm〜156mmの正方形であることが好ましい。
また前記半導体基板上に形成されたパッシベーション層の厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えばパッシベーション層の平均厚みは、5nm〜50μmであることが好ましく、10nm〜30μmであることが好ましく、15nm〜20μmであることが更に好ましい。
前記太陽電池素子の形状、大きさ等に制限はない。例えば、一辺が125mm〜156mmの正方形であることが好ましい。
<太陽電池素子の製造方法>
本発明の太陽電池素子の製造方法は、p型層及びn型層が接合されてなるpn接合を有し、p型層及びn型層からなる群より選択される1以上の層上に電極を有する半導体基板の、前記電極を有する面の少なくとも一部に、本発明のパッシベーション層形成用組成物を付与して組成物層を形成する工程と、前記組成物層を熱処理(焼成)して、パッシベーション層を形成する工程とを有する。前記太陽電池素子の製造方法は、必要に応じてその他の工程を更に有していてもよい。
本発明の太陽電池素子の製造方法は、p型層及びn型層が接合されてなるpn接合を有し、p型層及びn型層からなる群より選択される1以上の層上に電極を有する半導体基板の、前記電極を有する面の少なくとも一部に、本発明のパッシベーション層形成用組成物を付与して組成物層を形成する工程と、前記組成物層を熱処理(焼成)して、パッシベーション層を形成する工程とを有する。前記太陽電池素子の製造方法は、必要に応じてその他の工程を更に有していてもよい。
前記パッシベーション層形成用組成物を用いることで、優れたパッシベーション効果を有し、屈折率の大きいパッシベーション層を備え、変換効率に優れる太陽電池素子を簡便な方法で製造することができる。更に電極が形成された半導体基板上に、所望の形状となるようにパッシベーション層を形成することができ、太陽電池素子の生産性に優れる。
p型層及びn型層の少なくとも一方の層上に電極が配置されたpn接合を有する半導体基板は、通常用いられる方法で製造することができる。例えば半導体基板の所望の領域に、銀ペースト、アルミニウムペースト等の電極形成用ペーストを付与し、必要に応じて熱処理(焼成)することで製造することができる。
前記パッシベーション層が設けられる半導体基板の面は、p型層であっても、n型層であってもよい。中でも変換効率の観点からp型層であることが好ましい。
前記パッシベーション層形成用組成物を用いてパッシベーション層を形成する方法の詳細は、既述のパッシベーション層付半導体基板の製造方法と同様であり、好ましい態様も同様である。
前記半導体基板上に形成されるパッシベーション層の厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えばパッシベーション層の平均厚みは、5nm〜50μmであることが好ましく、10nm〜30μmであることが好ましく、15nm〜20μmであることが更に好ましい。
前記パッシベーション層形成用組成物を用いてパッシベーション層を形成する方法の詳細は、既述のパッシベーション層付半導体基板の製造方法と同様であり、好ましい態様も同様である。
前記半導体基板上に形成されるパッシベーション層の厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えばパッシベーション層の平均厚みは、5nm〜50μmであることが好ましく、10nm〜30μmであることが好ましく、15nm〜20μmであることが更に好ましい。
次に図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1(a)〜図1(d)は、本実施形態にかかるパッシベーション層を有する太陽電池素子の製造方法の一例を模式的に示す工程図を断面図として示したものである。但し、この工程図は本発明をなんら制限するものではない。
図1(a)〜図1(d)は、本実施形態にかかるパッシベーション層を有する太陽電池素子の製造方法の一例を模式的に示す工程図を断面図として示したものである。但し、この工程図は本発明をなんら制限するものではない。
図1(a)に示すように、p型半導体基板1には、表面近傍にn+型拡散層2が形成され、最表面に反射防止膜3が形成されている。反射防止膜3としては、窒化ケイ素膜、酸化チタン膜等が挙げられる。反射防止膜3とp型半導体基板1との間に酸化ケイ素等の表面保護膜(図示せず)が更に存在していてもよい。また、本発明にかかるパッシベーション層は屈折率が大きいため、反射防止膜3とp型半導体基板1との間に形成することが好ましい(図示せず)。図1(a)〜図1(d)では図示しないが、パッシベーション層を受光面側に有する太陽電池素子の製造方法については、図3を用いて後述する。
次いで図1(b)に示すように、p型半導体基板1の裏面の一部の領域にアルミニウム電極ペースト等の裏面電極5を形成する材料を塗布した後に熱処理(焼成)して、裏面電極5を形成し、かつp型半導体基板1中にアルミニウム原子を拡散させてp+型拡散層4を形成する。
次いで図1(c)に示すように、p型半導体基板1の受光面側に電極形成用ペーストを塗布した後に熱処理(焼成)して受光面電極7を形成する。電極形成用ペーストとしてファイヤースルー性を有するガラス粉末を含むものを用いることで、図1(c)に示すように反射防止膜3を貫通して、n+型拡散層2の上に、受光面電極7を形成してオーミックコンタクトを得ることができる。
なお、図1(a)〜図1(d)では図1(b)及び図1(c)を別個の工程として図示しているが、図1(b)及び図1(c)の工程を合わせて、1つの工程としてもよい。具体的には、上記図1(b)において、裏面の一部の領域にアルミニウム電極ペースト等の裏面電極5を形成する材料を塗布した後、裏面電極5を形成するための熱処理(焼成)を行う前に、受光面側に電極形成用ペーストを塗布し、そして、この段階で熱処理(焼成)を行ってもよい。この方法の場合には、1回の熱処理により裏面と受光面の電極が形成され、工程が簡略化される。
そして、図1(d)に示すように、裏面電極5が形成された領域以外の裏面のp型層上に、パッシベーション層形成用組成物を付与して組成物層を形成する。付与は例えばスクリーン印刷等の方法により行うことができる。p型層上に形成された組成物層を熱処理(焼成)してパッシベーション層6を形成する。裏面のp型層上に、前記パッシベーション層形成用組成物から形成されたパッシベーション層6を形成することで、発電効率に優れた太陽電池素子を製造することができる。
図1(a)〜図1(d)に示す製造工程を含む製造方法で製造される太陽電池素子では、アルミニウム等から形成される裏面電極をポイントコンタクト構造とすることができ、基板の反り等を低減することができる。更に前記パッシベーション層形成用組成物を用いることで、特定の位置(具体的には、電極形成された領域以外のp型層上)にのみ優れた生産性でパッシベーション層を形成することができる。
また図1(d)では、半導体基板1の裏面部分にのみパッシベーション層を形成する方法を示したが、半導体基板1の裏面側に加えて、側面にもパッシベーション層形成用組成物を付与し、これを熱処理(焼成)することで半導体基板1の側面(エッジ)にパッシベーション層6を更に形成してもよい(図示せず)。これにより、発電効率により優れた太陽電池素子を製造することができる。
更にまた、裏面部分にパッシベーション層を形成せず、側面のみに本発明のパッシベーション層形成用組成物を付与し、熱処理(焼成)してパッシベーション層を形成してもよい。本発明のパッシベーション層形成用組成物は、側面のような結晶欠陥が多い箇所に使用すると、その効果が特に大きい。
更にまた、裏面部分にパッシベーション層を形成せず、側面のみに本発明のパッシベーション層形成用組成物を付与し、熱処理(焼成)してパッシベーション層を形成してもよい。本発明のパッシベーション層形成用組成物は、側面のような結晶欠陥が多い箇所に使用すると、その効果が特に大きい。
図1(a)〜図1(d)では電極形成後にパッシベーション層を形成する態様について説明したが、パッシベーション層形成後に、更にアルミニウム等の電極を蒸着等によって所望の領域に形成してもよい。
図2(a)〜図2(e)は、本発明の一実施形態にかかるパッシベーション層を有する太陽電池素子の製造方法の別の一例を模式的に示す工程図を断面図として示したものである。具体的には、図2(a)〜図2(e)はアルミニウム電極ペースト又は熱拡散処理によりp+型拡散層を形成可能なp型拡散層形成用組成物を用いてp+型拡散層を形成後、アルミニウム電極ペーストの熱処理物又はp+型拡散層形成用組成物の熱処理物を除去する工程を含む工程図を断面図として説明するものである。ここでp型拡散層形成用組成物としては例えば、アクセプタ元素含有物質とガラス成分とを含む組成物を挙げることができる。
図2(a)に示すように、p型半導体基板1には、表面近傍にn+型拡散層2が形成され、表面に反射防止膜3が形成されている。反射防止膜3としては、窒化ケイ素膜、酸化チタン膜等が挙げられる。
次いで図2(b)に示すように、裏面の一部の領域にp+型拡散層形成用組成物を付与した後に熱処理して、p+型拡散層4を形成する。p+型拡散層4上にはp+型拡散層形成用組成物の熱処理物8が形成されている。
ここでp型拡散層形成用組成物に代えて、アルミニウム電極ペーストを用いてもよい。アルミニウム電極ペーストを用いた場合には、p+型拡散層4上にはアルミニウム電極8が形成される。
ここでp型拡散層形成用組成物に代えて、アルミニウム電極ペーストを用いてもよい。アルミニウム電極ペーストを用いた場合には、p+型拡散層4上にはアルミニウム電極8が形成される。
次いで図2(c)に示すように、p+型拡散層4上に形成されたp型拡散層形成用組成物の熱処理物8又はアルミニウム電極8をエッチング等の手法により除去する。
次いで図2(d)に示すように、半導体基板1の受光面(表面)及び裏面の一部の領域に選択的に電極形成用ペーストを塗布した後に熱処理して、受光面(表面)に受光面電極7を、裏面に裏面電極5をそれぞれ形成する。受光面側に塗布する電極形成用ペーストとしてファイヤースルー性を有するガラス粉末を含むものを用いることで、図2(c)に示すように反射防止膜3を貫通して、n+型拡散層2の上に、受光面電極7が形成されてオーミックコンタクトを得ることができる。
また裏面電極が形成される領域にはすでにp+型拡散層4が形成されているため、裏面電極5を形成する電極形成用ペーストには、アルミニウム電極ペーストに限定されず、銀電極ペースト等のより低抵抗な電極を形成可能な電極用ペーストを用いることもできる。これにより、更に発電効率を高めることも可能になる。
また裏面電極が形成される領域にはすでにp+型拡散層4が形成されているため、裏面電極5を形成する電極形成用ペーストには、アルミニウム電極ペーストに限定されず、銀電極ペースト等のより低抵抗な電極を形成可能な電極用ペーストを用いることもできる。これにより、更に発電効率を高めることも可能になる。
そして、図2(e)に示すように、裏面電極5が形成された領域以外の裏面のp型層上に、パッシベーション層形成用組成物を付与して組成物層を形成する。付与は例えばスクリーン印刷等の方法により行うことができる。p型層上に形成された組成物層を熱処理(焼成)してパッシベーション層6を形成する。裏面のp型層上に、本発明のパッシベーション層形成用組成物から形成されたパッシベーション層6を形成することで、発電効率に優れた太陽電池素子を製造することができる。
また図2(e)では半導体基板1の裏面部分にのみパッシベーション層を形成する方法を示したが、p型半導体基板1の裏面側に加えて、側面にもパッシベーション層形成用材料を付与し、熱処理(焼成)することでp型半導体基板1の側面(エッジ)にパッシベーション層を更に形成してもよい(図示せず)。これにより、発電効率が更に優れた太陽電池素子を製造することができる。
更にまた、裏面部分にパッシベーション層を形成せず、半導体基板の側面のみに本発明のパッシベーション層形成用組成物を付与し、これを熱処理(焼成)してパッシベーション層を形成してもよい。本発明のパッシベーション層形成用組成物は、側面のような結晶欠陥が多い箇所に使用すると、その効果が特に大きい。
更にまた、裏面部分にパッシベーション層を形成せず、半導体基板の側面のみに本発明のパッシベーション層形成用組成物を付与し、これを熱処理(焼成)してパッシベーション層を形成してもよい。本発明のパッシベーション層形成用組成物は、側面のような結晶欠陥が多い箇所に使用すると、その効果が特に大きい。
図2(a)〜図2(e)では電極形成後にパッシベーション層を形成する態様について説明したが、パッシベーション層形成後に、更にアルミ等の電極を蒸着等によって所望の領域に形成してもよい。
上述した実施形態では、受光面にn+型拡散層が形成されたp型半導体基板を用いた場合について説明を行ったが、受光面にp+型拡散層が形成されたn型半導体基板を用いた場合にも同様にして、太陽電池素子を製造することができる。尚、その場合は裏面側にn+型拡散層を形成することとなる。
更にパッシベーション層形成用組成物は、図3に示すような裏面側のみに電極が配置された裏面電極型太陽電池素子の受光面側又は裏面側のパッシベーション層6を形成することにも使用できる。
図3に概略断面図を示すように、p型半導体基板1の受光面側には、表面近傍にn+型拡散層2が形成され、その表面にパッシベーション層6及び反射防止膜3が形成されている。反射防止膜3としては、窒化ケイ素膜、酸化チタン膜等が知られている。またパッシベーション層6は、本発明のパッシベーション層形成用組成物を付与し、これを熱処理(焼成)して形成される。本発明にかかるパッシベーション層は良好な屈折率を示すため、受光面側に設けられることで、発電効率を上げることができると考えられる。
図3に概略断面図を示すように、p型半導体基板1の受光面側には、表面近傍にn+型拡散層2が形成され、その表面にパッシベーション層6及び反射防止膜3が形成されている。反射防止膜3としては、窒化ケイ素膜、酸化チタン膜等が知られている。またパッシベーション層6は、本発明のパッシベーション層形成用組成物を付与し、これを熱処理(焼成)して形成される。本発明にかかるパッシベーション層は良好な屈折率を示すため、受光面側に設けられることで、発電効率を上げることができると考えられる。
p型半導体基板1の裏面側には、p+型拡散層4及びn+型拡散層2上にそれぞれ裏面電極5が設けられ、更に裏面の電極が形成されていない領域にはパッシベーション層6が設けられている。
p+型拡散層4は、上述のようにp型拡散層形成用組成物又はアルミニウム電極ペーストを所望の領域に塗布した後に熱処理することで形成することができる。またn+型拡散層2は、例えば熱拡散処理によりn+型拡散層を形成可能なn型拡散層形成用組成物を所望の領域に塗布した後に熱処理することで形成することができる。
ここでn型拡散層形成用組成物としては例えば、ドナー元素含有物質とガラス成分とを含む組成物を挙げることができる。
p+型拡散層4は、上述のようにp型拡散層形成用組成物又はアルミニウム電極ペーストを所望の領域に塗布した後に熱処理することで形成することができる。またn+型拡散層2は、例えば熱拡散処理によりn+型拡散層を形成可能なn型拡散層形成用組成物を所望の領域に塗布した後に熱処理することで形成することができる。
ここでn型拡散層形成用組成物としては例えば、ドナー元素含有物質とガラス成分とを含む組成物を挙げることができる。
p+型拡散層4及びn+型拡散層2上にそれぞれ設けられる裏面電極5は、銀電極ペースト等の通常用いられる電極形成用ペーストを用いて形成することができる。
また、p+型拡散層4上に設けられる裏面電極5は、アルミニウム電極ペーストを用いてp+型拡散層4と共に形成されるアルミニウム電極であってもよい。
裏面に設けられるパッシベーション層6は、パッシベーション層形成用組成物を裏面電極5が設けられていない領域に付与し、これを熱処理(焼成)することで形成することができる。
またパッシベーション層6は半導体基板1の裏面のみならず、更に側面にも形成してよい(図示せず)。
また、p+型拡散層4上に設けられる裏面電極5は、アルミニウム電極ペーストを用いてp+型拡散層4と共に形成されるアルミニウム電極であってもよい。
裏面に設けられるパッシベーション層6は、パッシベーション層形成用組成物を裏面電極5が設けられていない領域に付与し、これを熱処理(焼成)することで形成することができる。
またパッシベーション層6は半導体基板1の裏面のみならず、更に側面にも形成してよい(図示せず)。
図3に示すような裏面電極型太陽電池素子においては、受光面側に電極がないため発電効率に優れる。更に裏面の電極が形成されていない領域にパッシベーション層が形成されているため、更に変換効率に優れる。
上記では半導体基板としてp型半導体基板を用いた例を示したが、n型半導体基板を用いた場合も、上記に準じて変換効率に優れる太陽電池素子を製造することができる。太陽電池素子の形状や大きさに制限はないが、一般的な一辺が125mm〜156mmの正方形であることが好ましい。
<太陽電池>
太陽電池は、本発明の太陽電池素子と、前記太陽電池素子の電極上に配置される配線材料とを有する。太陽電池は更に必要に応じて、タブ線等の配線材料を介して複数の太陽電池素子が連結され、更に封止材で封止されていてもよい。
前記配線材料及び封止材としては特に制限されず、当業界で通常用いられているものから適宜選択することができる。
前記太陽電池の大きさに制限はない。太陽電池の大きさは0.5m2〜3m2であることが好ましい。
太陽電池は、本発明の太陽電池素子と、前記太陽電池素子の電極上に配置される配線材料とを有する。太陽電池は更に必要に応じて、タブ線等の配線材料を介して複数の太陽電池素子が連結され、更に封止材で封止されていてもよい。
前記配線材料及び封止材としては特に制限されず、当業界で通常用いられているものから適宜選択することができる。
前記太陽電池の大きさに制限はない。太陽電池の大きさは0.5m2〜3m2であることが好ましい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「%」は質量基準である。
<実施例1>
(パッシベーション層形成用組成物1の調製)
エチルセルロース(日進化成株式会社、商品名:ETHOCEL200cps)を5.00g、及びテルピネオール(日本テルペン化学株式会社)を95.02g混合し、150℃で1時間攪拌してエチルセルロース溶液を調製した。
次に、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート(川研ファインケミカル株式会社、商品名:ALCH)を15.1g、ニオブエトキシド(和光純薬工業株式会社)を5.1g、チタンテトライソプロポキシド(和光純薬工業株式会社)を5.0g、前記エチルセルロース溶液を35.2g、及びテルピネオール(日本テルペン化学株式会社)を30.2g混合して、パッシベーション層形成用組成物1を調製した。
(パッシベーション層形成用組成物1の調製)
エチルセルロース(日進化成株式会社、商品名:ETHOCEL200cps)を5.00g、及びテルピネオール(日本テルペン化学株式会社)を95.02g混合し、150℃で1時間攪拌してエチルセルロース溶液を調製した。
次に、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート(川研ファインケミカル株式会社、商品名:ALCH)を15.1g、ニオブエトキシド(和光純薬工業株式会社)を5.1g、チタンテトライソプロポキシド(和光純薬工業株式会社)を5.0g、前記エチルセルロース溶液を35.2g、及びテルピネオール(日本テルペン化学株式会社)を30.2g混合して、パッシベーション層形成用組成物1を調製した。
(パッシベーション層の形成)
半導体基板として、表面がミラー形状の単結晶型p型シリコン基板(株式会社SUMCO製、50mm角、厚さ:625μm)を用いた。シリコン基板をRCA洗浄液(関東化学株式会社、商品名:Frontier Cleaner−A01)を用いて70℃にて5分間、浸漬洗浄し、前処理を行った。
その後、上記で得られたパッシベーション層形成用組成物1を前処理したシリコン基板上に、スクリーン印刷法を用いて、乾燥後の膜厚が5μmとなるように全面に付与し、150℃で5分間乾燥処理した。次いで700℃で10分間熱処理(焼成)した後、室温で放冷して評価用基板を作製した。
半導体基板として、表面がミラー形状の単結晶型p型シリコン基板(株式会社SUMCO製、50mm角、厚さ:625μm)を用いた。シリコン基板をRCA洗浄液(関東化学株式会社、商品名:Frontier Cleaner−A01)を用いて70℃にて5分間、浸漬洗浄し、前処理を行った。
その後、上記で得られたパッシベーション層形成用組成物1を前処理したシリコン基板上に、スクリーン印刷法を用いて、乾燥後の膜厚が5μmとなるように全面に付与し、150℃で5分間乾燥処理した。次いで700℃で10分間熱処理(焼成)した後、室温で放冷して評価用基板を作製した。
<評価>
上記で得られたパッシベーション層形成用組成物及びこれを用いて作製した評価用基板について以下のような評価を行った、評価結果を表1に示した。
上記で得られたパッシベーション層形成用組成物及びこれを用いて作製した評価用基板について以下のような評価を行った、評価結果を表1に示した。
(チキソ比の評価)
上記で調製したパッシベーション層形成用組成物1のせん断粘度を、調製直後(12時間以内)に、回転式せん断粘度計(AntonPaar社、商品名:MCR301)に、コーンプレート(直径50mm、コーン角1°)を装着し、温度25℃で、せん断速度1.0s−1及び10s−1の条件でそれぞれ測定した。
せん断速度が1.0s−1の条件でのせん断粘度(η1)は44.0Pa・s、せん断速度が10s−1の条件でのせん断粘度(η2)は35.0Pa・sとなった。せん断粘度が1.0s−1と10s−1の場合でのチキソ比(η1/η2)は1.3となった。
上記で調製したパッシベーション層形成用組成物1のせん断粘度を、調製直後(12時間以内)に、回転式せん断粘度計(AntonPaar社、商品名:MCR301)に、コーンプレート(直径50mm、コーン角1°)を装着し、温度25℃で、せん断速度1.0s−1及び10s−1の条件でそれぞれ測定した。
せん断速度が1.0s−1の条件でのせん断粘度(η1)は44.0Pa・s、せん断速度が10s−1の条件でのせん断粘度(η2)は35.0Pa・sとなった。せん断粘度が1.0s−1と10s−1の場合でのチキソ比(η1/η2)は1.3となった。
(保存安定性の評価)
上記で調製したパッシベーション層形成用組成物1のせん断粘度を、調製直後(12時間以内)及び25℃で30日間保存した後にそれぞれ測定した。せん断粘度の測定は、MCR301(商品名、AntonPaar社)に、コーンプレート(直径50mm、コーン角1°)を装着し、温度25℃で、せん断速度1.0s−1で行った。
調製直後の25℃におけるせん断粘度(η0)は44.0Pa・s、25℃で30日間保存した後の25℃におけるせん断粘度(η30)は44.6Pa・sであった。
25℃で30日間保存した後のせん断粘度の変化率を下式(B)により算出し、下記評価基準に従って保存安定性について評価した。
せん断粘度の変化率(%)=(η30−η0)/(η0)×100 (B)
[評価基準]
A:せん断粘度の変化率が10%未満であった。
B:せん断粘度の変化率が10%以上30%未満であった。
C:せん断粘度の変化率が30%以上であった。
評価がA又はBであれば、パッシベーション層形成用組成物として良好である。
上記で調製したパッシベーション層形成用組成物1のせん断粘度を、調製直後(12時間以内)及び25℃で30日間保存した後にそれぞれ測定した。せん断粘度の測定は、MCR301(商品名、AntonPaar社)に、コーンプレート(直径50mm、コーン角1°)を装着し、温度25℃で、せん断速度1.0s−1で行った。
調製直後の25℃におけるせん断粘度(η0)は44.0Pa・s、25℃で30日間保存した後の25℃におけるせん断粘度(η30)は44.6Pa・sであった。
25℃で30日間保存した後のせん断粘度の変化率を下式(B)により算出し、下記評価基準に従って保存安定性について評価した。
せん断粘度の変化率(%)=(η30−η0)/(η0)×100 (B)
[評価基準]
A:せん断粘度の変化率が10%未満であった。
B:せん断粘度の変化率が10%以上30%未満であった。
C:せん断粘度の変化率が30%以上であった。
評価がA又はBであれば、パッシベーション層形成用組成物として良好である。
(実効ライフタイムの測定)
上記で得られた評価用基板の実効ライフタイム(μs)を、ライフタイム測定装置(日本セミラボ株式会社、商品名:WT−2000PVN)を用いて、室温(25℃)で反射マイクロ波光電導減衰法により測定した。得られた評価用基板のパッシベーション層形成用組成物1を付与した領域の実効ライフタイムは、300μsであった。
上記で得られた評価用基板の実効ライフタイム(μs)を、ライフタイム測定装置(日本セミラボ株式会社、商品名:WT−2000PVN)を用いて、室温(25℃)で反射マイクロ波光電導減衰法により測定した。得られた評価用基板のパッシベーション層形成用組成物1を付与した領域の実効ライフタイムは、300μsであった。
(パッシベーション層の厚みと屈折率の測定)
上記で得られた評価用基板上のパッシベーション層の平均厚み及び屈折率を干渉式膜厚計(フィルメトリックス株式会社、F20膜厚測定システム)を用いて測定した。パッシベーション層の厚みは220nmであり、屈折率は1.71となった。
上記で得られた評価用基板上のパッシベーション層の平均厚み及び屈折率を干渉式膜厚計(フィルメトリックス株式会社、F20膜厚測定システム)を用いて測定した。パッシベーション層の厚みは220nmであり、屈折率は1.71となった。
<実施例2>
(パッシベーション層形成用組成物2の調製)
アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレートを14.9g、チタンテトライソプロポキシドを9.8g、上記エチルセルロース溶液を35.1g、及びテルピネオールを29.7g混合して、パッシベーション層形成用組成物2を調製した。
パッシベーション層形成用組成物2を用いたこと以外は実施例1と同様に評価を行ない、結果を表1に示した。
(パッシベーション層形成用組成物2の調製)
アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレートを14.9g、チタンテトライソプロポキシドを9.8g、上記エチルセルロース溶液を35.1g、及びテルピネオールを29.7g混合して、パッシベーション層形成用組成物2を調製した。
パッシベーション層形成用組成物2を用いたこと以外は実施例1と同様に評価を行ない、結果を表1に示した。
<実施例3>
(パッシベーション層形成用組成物3の調製)
アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレートを15.0g、ジルコニウムエトキシド(和光純薬工業株式会社)を10.2g、上記エチルセルロース溶液を35.1g、及びテルピネオールを30.4g混合して、パッシベーション層形成用組成物3を調製した。
パッシベーション層形成用組成物3を用いたこと以外は実施例1と同様に評価を行ない、結果を表1に示した。
(パッシベーション層形成用組成物3の調製)
アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレートを15.0g、ジルコニウムエトキシド(和光純薬工業株式会社)を10.2g、上記エチルセルロース溶液を35.1g、及びテルピネオールを30.4g混合して、パッシベーション層形成用組成物3を調製した。
パッシベーション層形成用組成物3を用いたこと以外は実施例1と同様に評価を行ない、結果を表1に示した。
<実施例4>
(パッシベーション層形成用組成物4の調製)
アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレートを15.2g、ニオブエトキシドを10.0g、チタンエトキシドを5.1g、オルトケイ酸テトラエチル(和光純薬工業株式会社)4.8g、上記エチルセルロース溶液を34.7g、及びテルピネオールを30.3g混合して、パッシベーション層形成用組成物4を調製した。
パッシベーション層形成用組成物4を用いたこと以外は実施例1と同様に評価を行ない、結果を表1に示した。
(パッシベーション層形成用組成物4の調製)
アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレートを15.2g、ニオブエトキシドを10.0g、チタンエトキシドを5.1g、オルトケイ酸テトラエチル(和光純薬工業株式会社)4.8g、上記エチルセルロース溶液を34.7g、及びテルピネオールを30.3g混合して、パッシベーション層形成用組成物4を調製した。
パッシベーション層形成用組成物4を用いたこと以外は実施例1と同様に評価を行ない、結果を表1に示した。
<実施例5>
(パッシベーション層形成用組成物5の調製)
アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレートを14.9g、チタンエトキシドを15.2g、オルトケイ酸テトラエチル5.2g、上記エチルセルロース溶液を34.8g、及びテルピネオールを30.6g混合して、パッシベーション層形成用組成物5を調製した。
パッシベーション層形成用組成物5を用いたこと以外は実施例1と同様に評価を行ない、結果を表1に示した。
(パッシベーション層形成用組成物5の調製)
アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレートを14.9g、チタンエトキシドを15.2g、オルトケイ酸テトラエチル5.2g、上記エチルセルロース溶液を34.8g、及びテルピネオールを30.6g混合して、パッシベーション層形成用組成物5を調製した。
パッシベーション層形成用組成物5を用いたこと以外は実施例1と同様に評価を行ない、結果を表1に示した。
<実施例6>
(パッシベーション層形成用組成物6の調製)
アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレートを15.0g、ジルコニウムエトキシドを15.1g、オルトケイ酸テトラエチル5.1g、上記エチルセルロース溶液を35.3g、及びテルピネオールを29.6g混合して、パッシベーション層形成用組成物6を調製した。
パッシベーション層形成用組成物6を用いたこと以外は実施例1と同様に評価を行ない、結果を表1に示した。
(パッシベーション層形成用組成物6の調製)
アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレートを15.0g、ジルコニウムエトキシドを15.1g、オルトケイ酸テトラエチル5.1g、上記エチルセルロース溶液を35.3g、及びテルピネオールを29.6g混合して、パッシベーション層形成用組成物6を調製した。
パッシベーション層形成用組成物6を用いたこと以外は実施例1と同様に評価を行ない、結果を表1に示した。
<実施例7>
(パッシベーション層形成用組成物7の調製)
アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレートを15.1g、ニオブエトキシドを5.0g、チタンイソプロポキシドを5.0g、イソボルニルシクロヘキサノール(日本テルペン化学株式会社、商品名:テルソルブMTPH)を35.2g、及びテルピネオールを14.9g混合して、パッシベーション層形成用組成物7を調製した。
パッシベーション層形成用組成物7を用いたこと以外は実施例1と同様に評価を行ない、結果を表1に示した。なお、チキソ比は、せん断速度が1.0s−1の場合のせん断粘度(η1)とせん断速度1000s−1の場合せん断粘度(η3)との比(η1/η3)として算出した。
(パッシベーション層形成用組成物7の調製)
アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレートを15.1g、ニオブエトキシドを5.0g、チタンイソプロポキシドを5.0g、イソボルニルシクロヘキサノール(日本テルペン化学株式会社、商品名:テルソルブMTPH)を35.2g、及びテルピネオールを14.9g混合して、パッシベーション層形成用組成物7を調製した。
パッシベーション層形成用組成物7を用いたこと以外は実施例1と同様に評価を行ない、結果を表1に示した。なお、チキソ比は、せん断速度が1.0s−1の場合のせん断粘度(η1)とせん断速度1000s−1の場合せん断粘度(η3)との比(η1/η3)として算出した。
<実施例8>
(パッシベーション層形成用組成物8の調製)
アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレートを15.2g、チタンイソプロポキシドを10.2g、イソボルニルシクロヘキサノールを34.8g、及びテルピネオールを15.2g混合して、パッシベーション層形成用組成物8を調製した。
パッシベーション層形成用組成物8を用いたこと以外は実施例1と同様に評価を行ない、結果を表1に示した。なお、チキソ比は、せん断速度が1.0s−1の場合のせん断粘度(η1)とせん断速度1000s−1の場合せん断粘度(η3)との比(η1/η3)として算出した。
(パッシベーション層形成用組成物8の調製)
アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレートを15.2g、チタンイソプロポキシドを10.2g、イソボルニルシクロヘキサノールを34.8g、及びテルピネオールを15.2g混合して、パッシベーション層形成用組成物8を調製した。
パッシベーション層形成用組成物8を用いたこと以外は実施例1と同様に評価を行ない、結果を表1に示した。なお、チキソ比は、せん断速度が1.0s−1の場合のせん断粘度(η1)とせん断速度1000s−1の場合せん断粘度(η3)との比(η1/η3)として算出した。
<実施例9>
(パッシベーション層形成用組成物9の調製)
アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレートを14.8g、ジルコニウムエトキシドを9.8g、イソボルニルシクロヘキサノールを35.5g、及びテルピネオールを15.2g混合して、パッシベーション層形成用組成物9を調製した。
パッシベーション層形成用組成物9を用いたこと以外は実施例1と同様に評価を行ない、結果を表1に示した。なお、チキソ比は、せん断速度が1.0s−1の場合のせん断粘度(η1)とせん断速度1000s−1の場合せん断粘度(η3)との比(η1/η3)として算出した。
(パッシベーション層形成用組成物9の調製)
アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレートを14.8g、ジルコニウムエトキシドを9.8g、イソボルニルシクロヘキサノールを35.5g、及びテルピネオールを15.2g混合して、パッシベーション層形成用組成物9を調製した。
パッシベーション層形成用組成物9を用いたこと以外は実施例1と同様に評価を行ない、結果を表1に示した。なお、チキソ比は、せん断速度が1.0s−1の場合のせん断粘度(η1)とせん断速度1000s−1の場合せん断粘度(η3)との比(η1/η3)として算出した。
<比較例1>
(パッシベーション層形成用組成物10の調製)
アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレートを15.0g、上記エチルセルロース溶液を35.0g、及びテルピネオールを30.2g混合して、パッシベーション層形成用組成物10を調製した。
パッシベーション層形成用組成物10を用いたこと以外は実施例1と同様に評価を行ない、結果を表1に示した。
(パッシベーション層形成用組成物10の調製)
アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレートを15.0g、上記エチルセルロース溶液を35.0g、及びテルピネオールを30.2g混合して、パッシベーション層形成用組成物10を調製した。
パッシベーション層形成用組成物10を用いたこと以外は実施例1と同様に評価を行ない、結果を表1に示した。
<比較例2>
(パッシベーション層形成用組成物11の調製)
アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレートを15.1g、イソボルニルシクロヘキサノールを34.9g、及びテルピネオールを15.2g混合して、パッシベーション層形成用組成物11を調製した。
パッシベーション層形成用組成物11を用いたこと以外は実施例1と同様に評価を行ない、結果を表1に示した。なお、チキソ比は、せん断速度が1.0s−1の場合のせん断粘度(η1)とせん断速度1000s−1の場合せん断粘度(η3)との比(η1/η3)として算出した。
(パッシベーション層形成用組成物11の調製)
アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレートを15.1g、イソボルニルシクロヘキサノールを34.9g、及びテルピネオールを15.2g混合して、パッシベーション層形成用組成物11を調製した。
パッシベーション層形成用組成物11を用いたこと以外は実施例1と同様に評価を行ない、結果を表1に示した。なお、チキソ比は、せん断速度が1.0s−1の場合のせん断粘度(η1)とせん断速度1000s−1の場合せん断粘度(η3)との比(η1/η3)として算出した。
以上から、本発明のパッシベーション層形成用組成物を用いることで優れたパッシベーション効果を有し、屈折率が大きいパッシベーション層を形成できることが分かる。また本発明のパッシベーション層形成用組成物は保存安定性に優れることが分かる。更に本発明のパッシベーション層形成用組成物を用いることで、簡便な工程で所望の形状にパッシベーション層を形成できることがわかる。
なお、日本出願2012−156472及び日本出願2012−218389の開示はその全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
<4> 前記アルコキシド化合物が少なくとも前記チタンアルコキシドを含み、前記チタンアルコキシドが、チタンメトキシド、チタンエトキシド、チタンイソプロポキシド、チタンn−プロポキシド、チタンn−ブトキシド、チタンt−ブトキシド、チタンイソブトキシド、チタン(ジイソプロポキシド)ビス(アセチルアセトナート)及びチタンテトラキス(2−エチル−1−ヘキサノラート)からなる群より選ばれる少なくとも1種である<1>〜<3>のいずれか1つに記載のパッシベーション層形成用組成物。
<13> <11>に記載の太陽電池素子と、
前記太陽電池素子の電極上に配置される配線材料と、
を有する太陽電池。
前記太陽電池素子の電極上に配置される配線材料と、
を有する太陽電池。
(特定の有機アルミニウム化合物)
前記パッシベーション層形成用組成物は前記一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物(以下、「特定の有機アルミニウム化合物」ともいう)の少なくとも1種を含む。前記有機アルミニウム化合物は、アルミニウムアルコキシド、アルミニウムキレート等と呼ばれる化合物を包含し、アルミニウムアルコキシド構造に加えてアルミニウムキレート構造を有していることが好ましい。また、Nippon Seramikkusu Kyokai Gakujutsu Ronbunshi、97(1989)369−399にも記載されているように、特定の有機アルミニウム化合物は熱処理(焼成)により酸化アルミニウム(Al2O3)となる。
前記パッシベーション層形成用組成物は前記一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物(以下、「特定の有機アルミニウム化合物」ともいう)の少なくとも1種を含む。前記有機アルミニウム化合物は、アルミニウムアルコキシド、アルミニウムキレート等と呼ばれる化合物を包含し、アルミニウムアルコキシド構造に加えてアルミニウムキレート構造を有していることが好ましい。また、Nippon Seramikkusu Kyokai Gakujutsu Ronbunshi、97(1989)369−399にも記載されているように、特定の有機アルミニウム化合物は熱処理(焼成)により酸化アルミニウム(Al2O3)となる。
また一般式(I)においてnが1〜3の整数である特定の有機アルミニウム化合物は、調製したものを用いても、市販品を用いてもよい。市販品としては例えば、川研ファインケミカル株式会社の商品名、ALCH、ALCH−50F、ALCH−75、ALCH-TR、ALCH−TR−20、アルミキレートM、アルミキレートD、アルミキレートA(W)等を挙げることができる。
また一般式(I)においてnが1〜3の整数である特定の有機アルミニウム化合物は、前記アルミニウムトリアルコキシドと、前記2つのカルボニル基を有する特定構造の化合物とを混合することで調製することができる。また市販されているアルミニウムキレート化合物を用いてもよい。
前記アルミニウムトリアルコキシドと、2つのカルボニル基を有する特定構造の化合物とを混合すると、アルミニウムトリアルコキシドのアルコキシド基の少なくとも一部が特定構造の化合物と置換して、アルミニウムキレート構造を形成する。このとき必要に応じて、溶媒が存在してもよく、また加熱処理、触媒の添加等を行ってもよい。アルミニウムアルコキシド構造の少なくとも一部がアルミニウムキレート構造に置換されることで、特定の有機アルミニウム化合物の加水分解及び重合反応に対する安定性が向上し、パッシベーション層形成用組成物の保存安定性がより向上する。また、後述するニオブアルコキシド、チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド及びシリコンアルコキシドと反応性が近いものほど、緻密で光触媒作用が小さく、屈折率が大きい複合酸化物を生成しやすくなる。
前記アルミニウムトリアルコキシドと、2つのカルボニル基を有する特定構造の化合物とを混合すると、アルミニウムトリアルコキシドのアルコキシド基の少なくとも一部が特定構造の化合物と置換して、アルミニウムキレート構造を形成する。このとき必要に応じて、溶媒が存在してもよく、また加熱処理、触媒の添加等を行ってもよい。アルミニウムアルコキシド構造の少なくとも一部がアルミニウムキレート構造に置換されることで、特定の有機アルミニウム化合物の加水分解及び重合反応に対する安定性が向上し、パッシベーション層形成用組成物の保存安定性がより向上する。また、後述するニオブアルコキシド、チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド及びシリコンアルコキシドと反応性が近いものほど、緻密で光触媒作用が小さく、屈折率が大きい複合酸化物を生成しやすくなる。
ジルコニウムアルコキシドとしては、一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物と反応して複合酸化物を与えるものであれば特に制限はない。ジルコニウムアルコキシドとして具体的には、ジルコニウムエトキシド、ジルコニウムイソプロポキシド、ジルコニウムn−プロポキシド、ジルコニウムn−ブトキシド、ジルコニウムt−ブトキシド、ジルコニウムアセチルアセトン、ジルコニウムトリフルオロアセチルアセトナート、ジルコニウムヘキサフルオロアセチルアセトナート等を挙げることができる。一般にジルコニウムアルコキシドを熱処理(焼成)して得られる酸化ジルコニウムは屈折率が大きいことで知られている。しかし酸化ジルコニウム自体をパッシベーション層形成用組成物に添加して用いた場合には、酸化ジルコニウムが有する光触媒作用により、太陽光等の下で、パッシベーション層と接触する樹脂等を分解してしまう可能性がある。一方、パッシベーション層形成用組成物にジルコニウムアルコキシドを適用する場合には、ジルコニウムアルコキシドが有機アルミニウム化合物と共に複合酸化物を形成し、光触媒作用が抑制されると共に屈折率の大きいパッシベーション層を形成することができる。
前記半導体基板上に形成されるパッシベーション層の平均厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、パッシベーション層の平均厚みは5nm〜50μmであることが好ましく、10nm〜30μmであることがより好ましく、15nm〜20μmであることが更に好ましい。パッシベーション層の平均厚みは、干渉式膜厚計等で測定することができる。
半導体基板上に、前記パッシベーション層形成用組成物を付与して組成物層を形成する方法には特に制限はない。例えば、公知の塗布方法等を用いて、半導体基板上に前記パッシベーション層形成用組成物を付与する方法を挙げることができる。具体的には、浸漬法、印刷法、スピンコート法、刷毛塗り、スプレー法、ドクターブレード法、ロールコート法、インクジェット法等を挙げることができる。これらの中でもパターン形成性の観点から、各種の印刷法、インクジェット法等が好ましい。
前記パッシベーション層付半導体基板の製造方法によって製造されるパッシベーション層の厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択できる。例えばパッシベーション層の平均厚みは、5nm〜50μmであることが好ましく、10nm〜30μmであることが好ましく、15nm〜20μmであることが更に好ましい。
尚、形成されたパッシベーション層の平均厚みは、触針式段差・表面形状測定装置(例えば、Ambios社)、干渉式膜厚計(例えば、フィルメトリクス株式会社)等を用いて常法により、3点の厚みを測定し、その算術平均値として算出される。
尚、形成されたパッシベーション層の平均厚みは、触針式段差・表面形状測定装置(例えば、Ambios社)、干渉式膜厚計(例えば、フィルメトリクス株式会社)等を用いて常法により、3点の厚みを測定し、その算術平均値として算出される。
前記半導体基板の厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば50μm〜1000μmとすることができ、75μm〜750μmであることが好ましい。
また前記半導体基板上に形成されたパッシベーション層の厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えばパッシベーション層の平均厚みは、5nm〜50μmであることが好ましく、10nm〜30μmであることが好ましく、15nm〜20μmであることが更に好ましい。
前記太陽電池素子の形状、大きさ等に制限はない。例えば、一辺が125mm〜156mmの正方形であることが好ましい。
また前記半導体基板上に形成されたパッシベーション層の厚みは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えばパッシベーション層の平均厚みは、5nm〜50μmであることが好ましく、10nm〜30μmであることが好ましく、15nm〜20μmであることが更に好ましい。
前記太陽電池素子の形状、大きさ等に制限はない。例えば、一辺が125mm〜156mmの正方形であることが好ましい。
(パッシベーション層の厚みと屈折率の測定)
上記で得られた評価用基板上のパッシベーション層の平均厚み及び屈折率を干渉式膜厚計(フィルメトリクス株式会社、F20膜厚測定システム)を用いて測定した。パッシベーション層の厚みは220nmであり、屈折率は1.71となった。
上記で得られた評価用基板上のパッシベーション層の平均厚み及び屈折率を干渉式膜厚計(フィルメトリクス株式会社、F20膜厚測定システム)を用いて測定した。パッシベーション層の厚みは220nmであり、屈折率は1.71となった。
Claims (13)
- 下記一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物と、
チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド及びシリコンアルコキシドからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルコキシド化合物と、
を含むパッシベーション層形成用組成物。
[一般式(I)中、R1はそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を表す。nは0〜3の整数を表す。X2及びX3はそれぞれ独立して酸素原子又はメチレン基を表す。R2、R3及びR4はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す] - 更にニオブアルコキシドを含む請求項1に記載のパッシベーション層形成用組成物。
- 前記ニオブアルコキシドが、ニオブエトキシド、ニオブイソプロポキシド、ニオブn−プロポキシド、ニオブn−ブトキシド及びニオブフェノキシドからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項2に記載のパッシベーション層形成用組成物。
- 前記アルコキシド化合物が少なくとも前記チタンアルコキシドを含み、前記チタンアルコキシドが、チタンメトキシド、チタンエトキシド、チタンイソプロポキシド、チタンn−プロポキシド、チタンn−ブトキシド、チタンt−ブトキシド、チタンイソブトキシド、チタン(ジイソプロポキシド)ビス(アセチルアセトナート)及びチタン(テトラキス(2−エチル−1−ヘキサノラート)からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のパッシベーション層形成用組成物。
- 前記アルコキシド化合物が少なくとも前記ジルコニウムアルコキシドを含み、前記ジルコニウムアルコキシドが、ジルコニウムエトキシド、ジルコニウムイソプロポキシド、ジルコニウムn−プロポキシド、ジルコニウムn−ブトキシド、ジルコニウムt−ブトキシド、ジルコニウムアセチルアセトン、ジルコニウムトリフルオロアセチルアセトナート及びジルコニウムヘキサフルオロアセチルアセトナートからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のパッシベーション層形成用組成物。
- 前記アルコキシド化合物が少なくとも前記シリコンアルコキシドを含み、前記シリコンアルコキシドが、下記一般式(II)で表されるシリコンアルコキシドである請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のパッシベーション層形成用組成物。
(R5O)(4−m)SiR6 m (II)
[一般式(II)中、R5及びR6はそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を表す。mは0〜3の整数を表す。] - 更に樹脂を含む請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のパッシベーション層形成用組成物。
- 更に下記一般式(III)で表される化合物を含む請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のパッシベーション層形成用組成物。
- 半導体基板と、前記半導体基板上の全面又は一部に設けられる請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のパッシベーション層形成用組成物の熱処理物であるパッシベーション層と、を有するパッシベーション層付半導体基板。
- 半導体基板上の全面又は一部に、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のパッシベーション層形成用組成物を付与して組成物層を形成する工程と、
前記組成物層を熱処理して、パッシベーション層を形成する工程と、
を有するパッシベーション層付半導体基板の製造方法。 - p型層及びn型層がpn接合されてなる半導体基板と、
前記半導体基板上の全面又は一部に設けられる請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のパッシベーション層形成用組成物の熱処理物であるパッシベーション層と、
前記半導体基板の前記p型層及びn型層からなる群より選択される1以上の層上に配置される電極と、
を有する太陽電池素子。 - p型層及びn型層が接合されてなるpn接合を有し、前記p型層及び前記n型層からなる群より選択される1以上の層上に電極を有する半導体基板の、前記電極を有する面の少なくとも一部に、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のパッシベーション層形成用組成物を付与して組成物層を形成する工程と、
前記組成物層を熱処理して、パッシベーション層を形成する工程と、
を有する太陽電池素子の製造方法。 - 請求項11に記載の太陽電池素子と、
前記太陽電池素子の電極上に配置される配線材料と、
を有する太陽電池。
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