WO1995020330A1 - Smoking article - Google Patents

Description

明 細 喫煙物品 技術分野

本発明は、 喫煙物品に係り、 特には、 香味成分の保持安定 性に優れ、 不快な味 · 臭いを発生せず、 しかも燃焼によ り容 易に香味成分を放散する香味発生材を含有する喫煙物品に閭 する。

背景技術

たばこは、 主に葉たばこの乾燥物を喫煙素材と して、 これ を燃焼させることによ り ヒ 卜の味覚 · 嗅覚を通じて香味を味 わう喫煙物品の代表的なものであり、 その香味を改善する目 的で、 従来から香味成分を含んだ香味発生が使用されてきた しかしながら、 従来の香味発生材は、 香味成分の保持安定 性に乏しく 、 従って、 従来の香味発生材を含有する喫煙物品 は長期間保存すると香味成分が揮散してしまうばかりでなく 喫煙味中安定して香味を味わう ことができない傾向にある。 また、 香味発生材は、 燃焼等によ り不快な味 · 臭を発生させ ないこと も必要である。

従って、 本発明の目的は、 香味成分の保持安定性に優れ、 不快な味 · 臭いを発生せす、 しかも燃焼により容易に香味成 分を放散する香味発生材を含有する喫煙物品を提供すること にある。 発明の開示

上記目的を達成するために、 本発明では、 香味発生材にお いて、 香味成分を保持する保持体として熱不可逆的にゲル化 した熱不可逆凝固性グルカンを使用している。 未ゲル化グル カン （通常、 水中分散体の形態にある） に香味成分を予め添 加しておき、 しかる後その混合物を加熱によるグルカンのゲ ル化に供する。 かく して、 香味成分は、 ゲル化したグルカン の三次元網目構造の内部に取り込まれ、 強固に固定される。 このようにグルカンの熱不可逆性ゲルを香味成分の保持体と して有する本発明の香味発生材は、 香味成分を通常の保存条 件下で強固に固定 · 保持し、 燃焼によ り容易に充分な香味成 分をすぐに放散する （すなわち、 燃焼によ り初めて充分量の 香味成分を放散する ： 香味成分の発生） 。 そして、 この香味 発生材は、 燃焼により不快な味 · 臭いを発生することがない。 本発明の喫煙物品は、 この香味発生材を、 場合に応じてたば こ刻および Zまたはたばこ代替刻とともに包含する燃焼喫煙 素材を有する。

図面の簡単な説明

図 1 は、 本発明の一実施例に係る喫煙物品の概略断面図 ： および

図 2は、 本発明の喫煙物品の官能評価を対照物品のそれと ともに示すグラフ図。

発明を実施するための最良の形態

本発明者らは、 通常の保存条件下での香味成分の保持安定 性に優れるが、 燃焼によ り容易に充分量の香味成分を放散し、 しかも燃焼によ り不快な味 · 臭いを発生させることがない非 たばこ香味発生材を開発すべく 鋭意研究した結果、 カー ドラ ン等 /? 一 1 , 3 —グルカンのような熱不可逆凝固性グルカン の熱不可逆性ゲルを香味成分の保持体とすることによ り所期 の目的が達成できることを見い出した。 さ らに研究した結果、 グルカンを加熱によりゲル化させる前に香味成分をグルカン に配合すると、 グルカンをゲル化させた後にこれに香味成分 を添加するより も、 香味成分の保持性が高くなり、 燃焼によ る香味成分の放散持続性が桎めて高く なることがわかった。 すなわち、 ゲル化前にグルカンに香味成分を配合し、 しかる 後グルカンをゲル化させると、 香味成分はグルカン分子の三 次元網目構造の内部に取り込まれ、 強固に固定 · 保持される。 これに対し、 ゲル化後のグルカンに香味成分を添加すると、 香味成分は、 グルカンゲルの細孔に物理的に吸着されている だけであり、 燃焼による香味成分の放散の持続性は低い。

本発明で使用されるグルカンは、 それ自体既知である。 例 えば、 本発明において最も好ま しく使用されるカードランは、 約 4 0 0 ないし 5 0 0個の D—グルコース分子が 1 — 3位で

—グルコシ ド結合した直鎮の — 1 , 3 —グルカンであり、 水不溶性であり、 ほとんどの有機溶媒に不溶であるという性 質を有する。 しかも、 グルカンは人体に安全である （例えば、 日本国特開平 1 — 2 8 9 4 5 7号には、 カードラン等の； 3— 1 , 3—グルカンを水溶性高分子物質と混合して可食性フィ ルムを製造することが開示されている） 。 グルカンは、 通常、 粉末の形態で市販されている。 β — 1 , 3—グルカンは、 その水中分散液をゲル化臨界温 度 （例えば、 カー ドランにあっては 8 0 °C以上の温度） に加 熱すると、 ゲル化し、 このゲルは、 これを再び加熱しても溶 融することがない （熱不可逆性ゲル） 。 '

本発明者らは、 このような 一 1， 3 —グルカン等熱不可 逆性グルカンの熱不可逆性ゲルが香味成分を強固に固定 · 保 持するが、 燃焼により香味成分を容易に放散するとと もに、 燃焼によ り不快な剌激、 辛み、 繊維臭等香味を阻害する物質 を発生しないことを見い出した。

本発明の香味発生材に使用される香味成分は、 以下述べる 熱不可逆凝固性グルカンの水中分散体を調製する際の温度で 液体または固体 （すなわち、 非ガス状） であることが好まし く 、 味覚 · 嗅覚を通じてヒ 卜の嗜好を満足させる香味成分で あれば特に制限されない。 親水性、 疎水性のいずれの香味成 分をも用いることができる。 その例を挙げると、 親水性香味 成分と しては、 菜たばこ抽出エキス、 天然植物性香料 （例え ば、 リコ リス、 セン 卜ジョンズブレッ ド、 スモモエキス、 ピ 一チェキス等） 、 酸類 （例えば、 リンゴ酸、 酒石酸、 クェン 酸等） 、 糖類 （例えば、 グルコース、 フルク トース、 異性化 糖等） 、 ニコチン塩 （例えば、 クェン酸ニコチン等） があり、 疎水性香味成分と しては、 たばこ粉末、 メンソール、 ココア 類 （パウダー、 エキス等） 、 エステル類 （例えば、 酢酸イソ ァミル、 酢酸リナリル、 ブロピオン酸イ ソァミル、 酪酸リナ リル等） 、 天然精油類 （植物性と して、 例えば、 パニラエキ ス、 スペアミ ン ト、 ペパーミン ト、 カシア、 ジャスミ ン等 ： 動物性と して、 例えば、 ムスク、 アンバー、 シベッ ト、 カス ト リウム等） 、 単体香料 （例えば、 ァネ トール、 リモネン、 リナロール、 オイ ゲノール等） がある。 これら香味成分は、 単独で、 または 2種以上を組み合わせて用いることができる。

本発明の香味発生材中の香味成分の濃度は、 香味発生材を 燃焼したときに、 味覚 · 嗅覚を通じてヒ トの嗜好を満足させ るに充分な濃度であればよ く 、 その濃度は、 任意に調節する ことができる。 よ り具体的には、 香味成分は、 最終香味発生 材中に、 桎微量ないし 2 0重量％、 好ま しくは 5 ないし 1 0 重量％の割合で存在する。

さて、 本発明の香味発生材を製造するためには、 ます、 通 常粉末の形態にあるグルカンを水中で高速撹拌して分散体

(グルカンスラリー） を得る。 この分散体の調製は、 2 0な いし 3 0 °Cの温度下で、 ミ キサーでの撹拌によ り行う ことが 好ましい。 これにより グルカンの安定な水中分散体が得られ る。 カー ドラン等のグルカンは、 水中に分散させる量が多い と、 スラ リーの粘度が高く なり、 取り扱いやすいスラ リーを 形成することが困難となる。 特にシー ト状香味発生材を調製 する場合には、 カードランは、 水中分散体中、 1 ないし 2 0 重量％の濃度にあることが好ま しく 、 3ないし 5重量％の濃 度にあることが最も好ま しい。

こう して得られたグルカンの水中分散体に所望の香味成分 を所望の割合で添加し、 混合する。 その際、 香味成分が、 疎 水性である場合は、 疎水性香味成分を、 その溶媒としての油 性溶媒 （例えば、 植物性油脂または飽和脂肪酸 ト リグリセリ ド） に、 好ましく は、 食品添加物として知られている乳化剤 (例えば、 グリセリン脂肪酸エステル、 シ ョ糖脂肪酸エステ ル、 ソルビ夕ン脂肪酸エステル、 プロピレングリコール脂肪 酸エステル、 レシチン） と ともに溶解して、 予め溶解物を調 製しておき、 これをグルカン水中分散体に混合し、 上記と同 様に高速撹拌して分散、 乳化を行うことが好ま しい。 上記疎 水性香味成分の油性溶媒と しては、 ほとんどの疎水性香味成 分を良好に溶解でき、 不飽和脂肪酸を含まないので酸化安定 性が極めて高く 、 低粘度であるので取り扱いが容易である中 鎖飽和脂肪酸ト リ グリセリ ド （M C T ) を用いることが特に 好ましい。 また、 乳化剤は、 これを使用することによ り、 香 味成分が均一に分散 · 保持された、 好ま しいエマルジョンが 形成される。

上記溶解物を調製する際、 親水性香味成分をも配合しても よい。 疎水性香味成分は、 上記油性溶媒に溶解された後、 高 速撹拌によ り微細なェマルジヨンとして安定化される。 また、 親水性香味成分は、 高粘度のグルカン分散液中に均一に分散 され、 安定化される。

香味成分を含有するグルカン水中分散液には、 得られるシ 一卜に柔軟性を付与して支持体からの剥離を容易にするため に、 多価アルコール （例えば、 グリセリン、 プロピレングリ コール等） 、 および Zまたは糖類 （例えば、 単糖類と して、 グルコース、 フルク 卜ース等： 二糖類と して、 マルトース、 サッカロース、 ラク トース等 ； 多糖類と して、 セルロース、 デンプン等、 酸化誘導体と して、 アル ドン酸、 ゥロン酸等） を含む柔軟性付与剌を添加することも好ま しい。 多価アルコ ールと糖類は、 その使用量の比率を調節することによって、 得られるシートの柔軟性を調節することができる。

こう して得られた香味成分その他の成分を含有するグルカ ン水中分散体を、 必要に応じて減圧下での消泡処理を施した 後、 適当な支持体 （例えば、 ステンレス鋼製ベル ト） 上に薄 膜シー ト状にキャスティ ングする。 これをグルカンが熱不可 逆的にゲル化する温度 （例えば、 力一 ドランにあっては、 8

0 てないし 1 4 0 °Cの温度） で加熱乾燥する。 これによ り、 水分が例えば 1 0 %まで除去されると ともに、 グルカンは香 味成分を強固に固定 · 保持した状態で熱不可逆性ゲルとなり、 本発明の香味発生材が得られる。 このゲル化は、 加熱のみに よって行われ、 ゲル化剤は使用されない。 上に述べたように、 本発明では、 グルカンは、 水中分散体と して加熱ゲル化に供 される。 グルカンをアルカリ水溶液と して用いた場合に比べ、 水中分散体として用いると、 香味成分の香味に悪影喾を及ぼ すことがない。

こう して得られる香味成分を保持したグルカンゲルからな る本発明の香味発生材は、 容易に支持体から剥離でき る。 な お、 必要に応じて、 剥離に際し.、 グルカンゲルを加湿 · 調和 してもよい。

こう して得られる本発明の香味発生材は、 通常の保存条件 下 （例えば、 2 2て、 相対温度 6 0 % ) では香味成分をほと んど放散しないが、 燃焼によりすぐさま香味成分を放散する という優れた性質を有し、 また加熱によ り不快な味 · 臭いを 発生することがない。 本発明の香味発生材は、 水に不溶であ り、 ほとんどの有機溶媒にも不溶であると ともに、 安全であ る。

最終香味発生材中における各成分の量は、 以下の通りであ ることが好ましい。

グルカン、 特にカー ドランは、 2ないし 7 0重量％、 好ま しくは 1 0ないし 4 0重量％である。 グルカンが 7 0重量％ を超えると、 得られるゲルの柔軟性が低下し、 2重量％未満 であるとゲルの形成が不完全となる傾向にある。

油性溶媒は、 3 0重量％以下、 好ま しく は 5 ないし 1 5重 量％である。 3 0重量％を超えると、 油性溶媒がグルカンゲ ル内に包含されないようになり、 グルカンゲルの外にリーク する。

乳化剤は、 3 0重量％以下、 好ましく は 5ないし 1 5重量 %である。 3 0重量％を超えると、 油性溶媒と同様、 乳化剤 がゲル内に包含されないようになり、 グルカンゲルの外にリ ークする。 したがって、 油性溶媒と乳化剤とは、 合計で 3 0 重量％を超えないことが好ましく 、 また、 油性溶媒と乳化剤 との比は、 2 ： 1 が最適である。

多価アルコールおよび糖類は、 合計で、 5 0重量％以下、 好ましく は 1 0ないし 3 0重量％ (香味成分をも兼ねる糖類 は、 この範囲内で使用することができる） である。

本発明の香味発生材は、 これを裁刻あるいは粉砕し、 場合 に応じてたばこ刻および Zまたはたばこ代替刻とプレン ドし て燃焼喫煙素材と し、 燃焼による喫煙物品またはシガレッ ト を作ることができ る。

あるいは、 好ま しく は、 上記裁刻しまたは粉末化した本発 明の香味発生材を通常のシートたばこ原料に練り込んでシー 卜状に成形したものを裁刻しまたはハンマーミルで粉砕し、 これ単独であるいは他の香味成分 （例えば、 たばこ刻） と組 み合わせて香味発生媒体を構成することもでき る。 本発明の 香味発生材が含められた圧延シー トたばこ原料の典型的な組 成は、 たばこ粉末（またはセルロース、あるいは ドロマイ ト） を 1 0 0重量部と して、 補強材 （例えば、 たばこ繊維、 パル ブ） 5〜 2 0重量部、 パイ ンダー （例えば、 カルボキシメチ ルセルロース） 1〜 1 5重量部、 本発明の香味発生材 1〜4 0重量部 （好ま しくは、 5〜2 0重量部） 、 および必要量の 水からなり、 任意的に保湿剌 （例えば、 グリセリン） 、 耐水 化剤 （例えば、 グリオキサール） 等を適量含んでいてもよい。 本発明の香味発生材は、 スラリーシー トたばこ等他のシー ト たばこにも練り込むことができる。

本発明の喫煙物品には、 フィ ル夕一を付すことができる。 燃焼喫煙素材中の本発明の香味発生材の量は、 喫煙物品を 喫煙したとき、 本発明の香味発生材から放散される香味が支 配的となる量であってもよいし、 他の要素からの不快な味 - 臭をマスクするに十分な量であってもよい。

図 1 は、 通常のシガレッ 卜の形状を有する本発明の喫煙物 品の一例を示す。 図示のシガレッ ト 1 0は、 上記燃焼喫煙素 材からなるカラム部 1 2、 およびその一端に取り付けられた、 繊維質素材からなるフィル夕一部 1 4 を有し、 全体が、 卷紙 1 6で被包されている。 いうまでもなく 、 カラム部 1 2の先 端に着火し、 燃焼喫煙素材 1 4を燃焼させ、 フィ ル夕一部 1

4で吸煙し、 燃焼喫煙素材 1 4からの香味を味わう。

本発明のシガレッ トは、 本発明の香味発生材の特性により 燃焼によ りすぐに香味成分が放散され、 香味を味わう ことが できる。

実施例 1

M C T 4 gにメンソール 2 g と レシチン 2 gを溶解し、 メ ンソール混合液を調製した。 一方、 温度 2 5て、 撹拌回転速 度 3 0 0 0 Ρ Ρ Π1の条件下で、 水 2 8 8 gにカー ドラン粉末 1 2 gを分散させ、 これにメンソール混合液を添加し、 5分 間撹拌し、 乳化させた。 この乳化分散物にココア 8 g、 ソル ビ トール 6 g (全組成に対して 1 5重量％ ) およびグリセリ ン 6 g (全組成に対して 1 5重量％) を同条件下で添加 · 撹 拌し、 カー ドランスラ リーを得た。 このスラリーをステンレ ス鋼製ベル ト上に 0. 5 ないし 1 . 0 m mの膜厚となるよう にシー ト状にキャスティ ングし、 1 1 0 °Cで乾燥した。 この 乾燥によ り、 カー ドランは熱不可逆的にゲル化し、 メンソ一 ルはその内部に保持固定された。 さらに、 このカードランシ 一卜をベル トから剥離し、 本発明の香味発生材シートを得た。 このシー トの厚さは、 0 . 1ないし 0 . 2 m mであった。

上記香味発生材シー トを温度 2 2て、 相対湿度 6 0 %の条 件下で 2 0 日間保存し、 メンソール濃度の測定および官能評 価を行った。 なお、 メンソール濃度はガスクロマ トグラフィ 一によ り測定した。 その結果、 メンソールは、 2 0日間経過 後で 9 5 %以上の割合でシート中に残存しており、 官能評価 も保存前と同等であった。

この香味発生材シー トをたばこ刻状に裁刻し、 パフたばこ 刻と重量比 7 ： 3でブレン ドし、 ロッ ド状にたばこ卷紙で卷 上げてシガレツ トを作製し、 喫煙した。 その結果、 喫煙する とすぐにメンソール等の香味成分の香りが発生し、 1 0回の パフ回数を通して均一 · 安定な香りが持続した。 また、 燃焼 時にカー ドランを主体とするシー ト素材に由来する剌激、 辛 味、 繊維臭等、 メンソールなどの香味を阻害する物質の発生 は認められなかった。

実施例 2

実施例 1 の温度 · 撹拌条件下で、 水 2 8 8 gにカー ドラン 粉末 1 2 gを分散させ、 これに親水性香味成分であるリコリ ス 0 . 5 gを添加し、 分散させた。 この分散物にココア 8 g 、 ソルビ トール 6 gおよびグリセリ ン 6 gを同条件下で添加 · 撹拌し、 力一ドランスラリーを得た。 このスラリーを用いて 実施例 1 と同様にして、 リ コリスを内部に保持 · 固定した本 発明の香味発生材シー トを得た。

この香味発生材シー トを実施例 1 と同様に一部はシー ト状 で 2 0 日間保存し、 も う一部はシガレツ 卜に卷上げ、 喫煙し、 それぞれ官能評価を行った。

その結果、 シー トは、 2 0日間保存後でも官能評価は保存 前と同等であった。 また、 シガレッ トは、 喫煙するとすぐに リ コリス等の香味成分の香りが発生し、 1 0回のパフ回数を 通して均一 ， 安定な香りが持続した。 また、 燃焼時にカード ランを主体とするシー ト素材に由来する剌激、 辛味、 繊維臭 等、 リコ リスなどの香味を阻害する物質の発生は認められな かった。

実施例 3 '

M C T 4 に疎水性香味成分であるスペアミ ン 卜オイル 0 . l gとレシチン 2 gを溶解し、 スペアミ ン トオイル混合液を 調製した。 一方、 実施例 1 の温度 ， 撹拌条件下で、 水 2 8 8 gにカー ドラン粉末 1 2 gを分散させ、 これにスペアミ ン ト 混合液を添加し、 5分間撹拌し、 乳化させた。 この乳化分散 物にココア 8 g、 ソルビ トール 6 gおよびグリセリン 6 gを 同条件下で添加 · 撹拌し、 カー ドランスラ リーを得た。 この スラリーを用いて実施例 1 と同様にして、 スペアミン トオイ ルを内部に保持 · 固定した本発明の香味発生材シー卜を得た。

この香味発生材シー トを実施例 1 と同様に一部はシー ト状 で 2 0 曰間保存し、 もう一部はシガレッ トに卷上げ、 喫煙し、 それぞれ官能評価を行った。

その結果、 シー トは、 2 0日間保存後でも官能評価は保存 前と同等であった。 また、 シガレッ トは、 喫煙するとすぐに スペアミ ン トオイル等の香味成分の香りが発生し、 1 0 回の パフ回数を通して均一 · 安定な香りが持続した。 また、 燃焼 時にカー ドランを主体とするシー ト素材に由来する刺激、 辛 味、 繊維臭等、 スペアミ ン トオイルなどの香味を阻害する物 質の発生は認められなかった。

実施例 4

実施例 3 と同様にしてスペアミ ントオイル混合液を調製し た。 一方、 実施例 1の温度 · 撹拌条件下で、 水 2 8 8 gに力 一ドラン粉末 1 2 gを分散させ、 これにスペアミ ン 卜混合液 を添加し、 5分間撹拌し、 乳化させ、 カー ドランスラ リーを 得た。 このスラ リーを撹拌しながら徐々に加熱し水分を除去 した後、 1 1 0 °cまで温度を上げてゲル化させた。 カー ドラ ンは熱不可逆的にゲル化し、 スペアミ ン 卜オイルをその内部 に保持 · 固定した。 このゲルを真空乾燥し、 ハンマーミルで 粉砕して本発明の粉末状香味発生材を得た。

対照と して、 実施例 1 の温度 · 撹拌条件下で水 2 8 8 gに カードラン 1 2 gを分散させ、 撹拌しながら加熱し、 水分を 除去した後、 1 1 0てまで温度を上げゲル化させた。 さ らに、 実施例 3 と同様に調製したスペアミン 卜オイル混合液を添加 し、 真空乾燥し、 ハンマーミルで粉砕して粉末状香味発生材 を得た。

これら粉末状香味発生材を用いて実施例 1 と同様にシガレ ッ トを作製し、 喫煙した。 その結果、 本発明の香味発生材を 用いたシガレッ トは、 喫煙するとすぐにスペアミ ン トオイル の香りが発生し、 1 0 回のパフ回数を通してほぼ均一 · 安定 な香りが持続した （図 2の線 a ) 。 また、 燃焼時にカー ドラ ンを主体とするシート素材に由来する剌激、 辛味、 繊維臭等、 スペアミ ン トオイルの香味を疎外する物質の発生は認められ なかった。 しかし、 対照の香味発生材を用いたシガレツ トは、 スペアミ ン トオイ ルの香りが喫煙 4パフ目から急激に低下し、 5パフ目以降では香りは官能上感じられなく なった （図 2の b ) 。 実施例 5

実施例 3 と同様にスペアミン ト混合液を調製した。 一方、 実例 1 の温度 · 撹拌条件下で、 水 2 8 8 gにカー ドラン粉末 1 2 g を分散させ、 これにスペアミン ト混合液およびリコリ ス 0 . 5 gを添加し、 5分間撹拌し、 乳化させた。 この乳化 分散物にココア 8 g、 ソルビトール 6 gおよびグリセリン 6 gを同条件下で添加 · 撹拌し、 力一ドランスラ リーを得た。 このスラ リーを用いて実施例 1 と同様にしてスペアミ ン 卜と リコリスを内部に保持 · 固定した本発明の香味発生材シート を得た。

この香味発生材シー トを実施例 1 と同様に一部はシー ト状 で 2 0 曰間保存し、 もう一部はシガレツ 卜に卷上げ、 喫煙し、 それぞれ官能評価を行った。

その結果、 シー トは、 2 0日間保存後でも官能評価は保存 前と同等であった。 また、 シガレッ トは、 喫煙するとすぐに スペアミ ン トオイル、 リコ リス等の香味成分の香りが発生し、 1 0回のパフ回数を通して均一 · 安定な香りが持続した。 ま た、 燃焼時にカー ドランを主体とするシー ト素材に由来する 剌激、 辛味、 繊維臭等、 スペアミ ン トオイル、 リコリスなど の香味を阻害する物質の発生は認められなかった。 実施例 6

実施例 1 と同様にメンソール混合液を調製した。 実施例 1 の溫度 · 撹拌条件下で、 水 2 8 8 gにカー ドラン粉末 1 2 g を分散させ、 これにメンソール混合液を添加し、 5分間撹拌 し、 乳化、 分散させた。 この乳化分散物にソルビ トール 4 g

(全組成に対して 1 0重量％ ) およびグリセリ ン 8 g (全組 成に対して 2 0重量 °/₀ ) を添加し、 さ らにココア粉末 8 gを 添加し、 同条件で撹拌してカー ドランスラ リーを得た。 この スラリーを用いて、 実施例 1 と同様にして本発明の香味発生 材シー トを得た。

ソルビ ト一ルの量を 8 g (全組成に対して 2 0重量％ ) に、 およびグリセリンの量を 4 g (全組成に対して 1 0重量％) に変えた以外は、 上記と同様にして本発明の香味発生材シー トを得た。

これらシート と実施例 1 で得られたシー トを柔軟性につい て比較したところ、 ソルビ トール Zグリセリン重量比が、 1 0ノ 2 0の場合には、 シー トの柔軟性が増加し、 弾力性のあ る柔らかいシ一 トが得られ、 その比が 2 0 Z 1 0の場合には、 シートの柔軟性が低下し、 硬いシートが得られた。 これらシ ― 卜について種々検討した結果、 ソルビ トールノグリセリン 重量比が、 1 5 Z 1 5の場合に、 剥離しやすく 、 最適の柔軟 性を有するシー トが得られることが判明した。

実施例 Ί

実施例 3で得た香味発生材シー トを裁刻して細片と した。 一方、 たばこ製造工場でたばこの製造中に発生した細粉と ウイノ ヮく ずの混合物 8 . 5 k gを粉碎機を通して粉末とし、 これに補強材と してパルプ 1 . 5 k g と、 結合剤としてカル ボキシメチルセルロース 1 k gを添加し、 充分に混合して粉 末混合物を調製した。 この混合物に上記香味発生材シー トの 細片 1 . 5 k g、 保湿剤と してプロピレングリ コールとコー ンシロップの混合物 1 k gおよび水 3 k g を添加し、 充分に 混合して均一な温澗体を調製した。 これを、 それぞれ内部に 8 0 °Cの溫水を循環させた一対の成形ロ ラー間に投下し、 薄膜状に成形した。 この薄膜を ドクターナイフでローラーか ら順次剥離し、 ローラー直下を走行する金網コンベアで乾燥 室および調和室まで搬送し、 水分 1 5 %のシー ト状たばこ材 を得た。

このシー ト状たばこ材を、 実施例 1 と同様に一部はシート 状で 2 0 日間保存し、 もう一部はシガレッ トに卷上げ、 喫煙 し、 それぞれ官能評価を行った。

その結果、 シー トは、 2 0日間保存後でも官能評価は保存 前と同等であった。 また、 シガレッ トは、 喫煙するとすぐに スペアミ ン トオイル等の香味成分の香りが発生し、 1 0回の パフ回数を通して均一 ， 安定な香りが持続した。 また、 燃焼 時にカー ドランを主体とするシー ト素材に由来する剌激、 辛 味、 繊維臭等、 スペアミ ン トオイルなどの香味を阻害する物 質の発生は認められなかった。

以上述べたように、 本発明によれば、 香味成分の保持安定 性に優れ、 不快な味 · 臭いを発生せず、 しかも燃焼によ り容 易に香味成分を放散する香味発生材を含有する喫煙物品が提 供される。 本発明の香味発生材は、 簡単な操作からなる製造 方法によ り容易に製造することができる。 また、 本発明の香 味発生材を含有する喫煙物品またはシガレッ トは、 それぞれ 加熱および燃焼により香味発生材中の香味成分がすぐに放散 され、 味覚 · 嗅覚を通じて嗜好を満足させることができる

Claims

請求の範囲

1 . 未ゲル化熱不可逆凝固性グルカンに香味成分を配合した 混合物を加熱ゲル化することによって得られ、 熱不可逆的に ゲル化した熱不可逆凝固性グルカンよ りなる香味成分保持体、 および該保持体に保持された香味成分を包含する香味発生材 であって燃焼によ り初めて充分な香味成分を放散する香味発 生材を包含する燃焼喫煙素材を有する喫煙物品。

2 . グルカンが、 β — i , 3 —グルカンである請求項 1 記載 の喫煙物品。

3 . グルカンが、 カー ドランである請求項 1記載の喫煙物品。

4 . 燃焼喫煙素材が、 たばこ刻および Zまたはたばこ代替刻 をさらに含有する請求項 1 記載の喫煙物品。

5 . 香味成分が親水性香味成分である請求項 1 記載の喫煙物 on。

6 . 香味成分が疎水性香味成分を包含し、 香味発生材が該疎 水性香味成分の油性溶媒を含有する請求項 1記載の喫煙物品。

7 . 油性溶媒が中鎖飽和脂肪酸 卜 リグリセリ ドである請求項 6記載の喫煙物品。

8 . 香味発生材が、 乳化剤を含有する請求項 6記載の喫煙物 on。

9 . 香味成分が、 親水性香味成分をも包含する請求項 6記載 の喫煙物品。

1 0 . 香味発生材が、 多価アルコールまたは糖類を包含する 柔軟性付与剤を含有する請求項 1 記載の喫煙物品。

1 1 . ゲル化がゲル化剌の不存在下に行われている請求項 1 記載の喫煙物品。

1 2 . 三次元網目構造を有するよ うに熱不可逆的にゲル化し たグルカンよりなる香味成分保持体、 および該ゲル化グルカ ンの網目構造内部に固定 · 保持された香味成分を包含する香 味発生材を含有する燃焼喫煙素材を有する喫煙物品。

1 3 . 燃焼喫煙素材が、 口ッ ドの形態にある請求項 1 2記載 の喫煙物品。

1 . 燃焼喫煙素材が、 たばこ刻をさ らに含有する請求項 1 2記載の喫煙物品。

1 5 . 三次元網目構造を有するように熱不可逆的にゲル化し たグルカンよりなる香味成分保持体および該ゲル化グルカン の網目構造内部に固定 · 保持された香味成分を包含する香味 発生材をシートたばこ原料中に含ませてなる燃焼喫煙素材を 有する喫煙物品。

1 6 . 燃焼喫煙素材が、 ロッ ドの形態にある請求項 1 5記載 の喫煙物品。

1 7 . 燃焼喫煙素材が、 たばこ刻をさ らに含有する請求項 1 6記載の喫煙物品。