以下、本発明の一実施の形態(以下、「実施の形態」という。)について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
<微細パタン形成用フィルムの概要>
まず、本実施の形態に係る微細パタン形成用フィルムの概要について説明する。
本発明の熱ナノインプリント方法又は熱ナノインプリント装置を使用した熱ナノインプリント方法においては、以下に説明する微細パタン形成用フィルムを使用する。これにより、低温且つ低圧での熱ナノインプリントを精度高く実施することができる。
本発明に係る微細パタン形成用フィルムは、一方の表面に凹凸構造が形成されたカバーフィルムの凹凸構造上に、第2のマスク層及び第1のマスク層が成膜されたフィルムである。図1は、本実施の形態に係る微細パタン形成用フィルムを示す断面模式図である。図1に示すように、微細パタン形成用フィルム1は、カバーフィルム2の表面上に樹脂層3が設けられている。樹脂層3のカバーフィルム2に接する面とは反対側の面に凹凸構造3aが形成されている。以下の説明で単にカバーフィルム2という場合には凹凸構造3aが形成された樹脂層3も含む。第2のマスク層4は、凹凸構造3aの凹部内部に充填されている。また、第1のマスク層5は、第2のマスク層4及び凹凸構造3aを覆うように成膜されている。この第1のマスク層5の上には保護層が設けられてもよい。
なお、後で説明する熱ナノインプリント装置に付帯される貼合部において、被処理体に貼合する面は、第1のマスク層5の表面である。また、剥離部において剥離されるフィルムは、カバーフィルム2であり、被処理体上に第1のマスク層5及び第2のマスク層4よりなる凹凸構造が転写される。
図2A〜図2C及び図3A〜図3Fは、本実施の形態に係る微細パタン形成用フィルムを使用し、被処理体に対し微細パタンを形成する方法を説明するための工程図である。図2Aに示すように、カバーフィルム10は、その主面上に凹凸構造11が形成されている。凹凸構造11は、複数の凹部11aと凸部11bで構成されている。カバーフィルム10は、例えば、フィルム状又はシート状の成形体である。
まず、図2Bに示すように、カバーフィルム10の凹凸構造11の凹部11aの内部に、後述の第1のマスク層をパターニングするための第2のマスク層12を充填する。第2のマスク層12は、例えば、ゾルゲル材料からなる。ここで、カバーフィルム10、及び第2のマスク層12を備えた積層体を、第1の微細パタン形成用フィルムI、又は単に第1の積層体Iと呼ぶ。
次に、図2Cに示すように、第1の積層体Iの第2のマスク層12を含む凹凸構造11の上に、第1のマスク層13を形成する。この第1のマスク層13は、後述する被処理体のパターニングに用いられる。第1のマスク層13は、例えば、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂からなる。
更に、図2Cに示すように、第1のマスク層13の上側には、保護層14を設けることができる。保護層14は、第1のマスク層13を保護するものであり、必須ではない。ここで、カバーフィルム10、第2のマスク層12及び第1のマスク層13からなる積層体を、第2の微細パタン形成用フィルムII、又は、単に第2の積層体IIと呼ぶ。この第2の積層体IIは、第1のマスク層13を被処理体に貼合させることにより、被処理体のパターニングに用いることができる。
次に、図3Aに示すような被処理体20を用意する。被処理体20は、例えば、平板状の無機基板であり、サファイア基板、SiC(炭化ケイ素)基板、Si(シリコン)基板、スピネル基板、又は、窒化物半導体基板である。まず、図3Bに示すように、被処理体20の主面上に、第2の積層体IIの第1のマスク層13の露出面を、被処理体20の主面に対面させて貼合する。この結果、第2の積層体II及び被処理体20で構成される第3の積層体IIIが得られる。貼合は例えば、ラミネーションであり、特に熱ラミネーションが好適である。本操作を、後で説明する熱ナノインプリント装置の貼合部にて行う。
次に、図3Cに示すように、カバーフィルム10を、第1のマスク層13及び第2のマスク層12から剥離する。この結果、被処理体20、第1のマスク層13及び第2のマスク層12からなる中間体21が得られる。本操作を、後で説明する熱ナノインプリント装置の剥離部にて行う。
また、第2の積層体IIは、後述する送出しローラにより巻き出され、後述する巻き取りローラにより巻き取られる。即ち、送出しローラよりも、第2の積層体IIの流れ方向後段において上記貼合が行われると共に、貼合よりも更に流れ方向後段且つ巻き取りローラよりも前段において上記剥離が行われる。
更に、上記貼合と剥離の間において、被処理体は第2の積層体IIの搬送に伴い移動することができる。換言すれば第2の積層体IIが被処理体のキャリアとしての機能を果たす。
なお、上述した貼合と剥離の間において、第2の積層体IIに対してエネルギー線を照射して第1のマスク層13を硬化又は固化させてもよい。また、貼合及び押圧時に加える熱により、第1のマスク層13を硬化又は固化させてもよい。また、第2の積層体IIに対してエネルギー線を照射して第1のマスク層13を硬化又は固化させた後に、第3の積層体IIIを加熱することで、第1のマスク層13の安定性を向上させてもよい。更に、剥離後のエネルギー線照射或いは加熱処理により、第1のマスク層13を硬化又は固化させてもよい。これらの操作は、貼合と剥離と、の間により行われるため、貼合時に加わる圧力が解放された状態にて行われる。特に、貼合を行い続いてエネルギー線を照射する工程においては、エネルギー線照射時に貼合時の圧力が解放されている。
得られた中間体21は、上記説明した回収部により回収され、一時保管され、或いは直ぐに以下に説明する工程へ、と回される。
回収部により回収された中間体21は、熱ナノインプリント装置とは異なる別の装置へと搬送される。そして、第2のマスク層12をマスクとして、第1のマスク層13を、例えば酸素アッシングにより、図3Dに示すようにパターニングする。この結果、第1のマスク層13及び第2のマスク層12により構成された高いアスペクト比を有する微細マスクパタン16aが設けられた微細マスク構造体16を得る。更に、パターニングされた第1のマスク層13をマスクとして、被処理体20に、例えば、反応性イオンエッチングを施して、図3Eに示すように、被処理体20の主面に微細パタン22を形成する。最後に、図3Fに示すように、被処理体20の主面に残った第1のマスク層13を除去して、微細パタン22を有する被処理体20を得る。
本実施の形態では、図2A〜図2Cに示すカバーフィルム10から第2の積層体IIを得るところまでを一つのライン(以下、第1のラインという)で行う。それ以降の、図3A〜図3Fまでを別のライン(以下、第2のラインという)で行う。より好ましい態様においては、第1のラインと、第2のラインとは、別の施設で行われる。このため、第2の積層体IIは、第2の積層体IIを巻物状(ロール状)にして梱包され、保管又は運搬される。
本発明の更に好ましい対応においては、第1のラインは、第2の積層体IIのサプライヤーのラインであり、第2のラインは、第2の積層体IIのユーザのラインである。このように、サプライヤーにおいて第2の積層体IIを予め量産し、ユーザに提供することで、以下のような利点がある。
(1)第2の積層体IIを構成するカバーフィルム10の凹凸構造11の精度を反映させ、被処理体20に微細加工を行うことができる。具体的には、第2の積層体IIを構成するカバーフィルム10の凹凸構造11の精度を第2のマスク層12が担保することとなる。更に、第1のマスク層13の膜厚精度を第2の積層体IIにおいて担保することが可能となるため、被処理体20上に転写形成された第1のマスク層13の膜厚分布精度を高く保つことが可能となる。即ち、第2の積層体IIを使用することで、被処理体20面内に第2のマスク層12及び第1のマスク層13を、第1のマスク層13の膜厚分布精度高く、且つ凹凸構造11の転写精度高く転写形成することが可能となる。このため、第2のマスク層12を使用し第1のマスク層13を微細加工することで、被処理体20面内にカバーフィルム10のパタン精度(凹凸構造11の配列精度)を反映させ、且つ、膜厚分布精度高く第2のマスク層12及び第1のマスク層13から構成される高いアスペクト比を有する微細マスクパタン16aが設けられた微細マスク構造体16を形成することが可能となる。精度の高い微細マスク構造体16を使用することで、被処理体20を精度高く加工することが可能となり、被処理体20面内にカバーフィルム10の微細パタン精度(凹凸構造11の配列精度)を反映させた微細パタン22を作製することができる。
(2)微細パタンの精度を第2の積層体IIにて担保することが可能となるため、煩雑なプロセスや装置を使用することなく、被処理体20を加工するのに好適な施設において被処理体20を微細加工することができる。
(3)微細パタンの精度を第2の積層体IIにて担保することが可能となるため、加工された被処理体20を使用してデバイスを製造するのに最適な場所において第2の積層体IIを使用することができる。即ち、安定的な機能を有すデバイスを製造できる。
上述したように、第1のラインを第2の積層体IIのサプライヤーのラインに、第2のラインを第2の積層体IIのユーザのラインにすることで、被処理体20の加工に最適な、そして、加工された被処理体20を使用しデバイスを製造するのに最適な環境にて第2の積層体IIを使用することができる。このため、被処理体20の加工及びデバイス組み立てのスループットを向上させることができる。更に、第2の積層体IIはカバーフィルム10とカバーフィルム10の凹凸構造11上に設けられた機能層(第2のマスク層12及び第1のマスク層13)から構成される。即ち、被処理体20の加工精度を支配する第1のマスク層13及び第2のマスク層12の配置精度を、第2の積層体IIのカバーフィルム10の凹凸構造11の精度にて担保すると共に、第1のマスク層13の膜厚精度を第2の積層体IIとして担保することが可能となる。以上より、第1のラインを第2の積層体IIのサプライヤーのラインに、第2のラインを第2の積層体IIのユーザのラインにすることで、加工された被処理体20を使用しデバイスを製造するのに最適な環境にて、第2の積層体IIを使用し精度高く被処理体20を加工し使用することができる。
上述したように、第2の積層体IIは、主に第1のマスク層13及び第2のマスク層12の微細パタンの精度、そして第1のマスク層13の膜厚精度を担保することにより、被処理体20に微細パタン22を、被処理体20の面内において精度高く設けることができる。ここで、第2の積層体IIの第1のマスク層13を被処理体20に貼合する際に、第2の積層体IIが撓んだり、また、エアーボイドが発生した場合、被処理体20に設けられる微細パタン22の面内精度が大きく低下する。更に、第2の積層体II/被処理体20からなる積層体から、カバーフィルム10を剥離する際に、第1のマスク層13及び第2のマスク層12の微細パタンに過度な応力が加わる場合や、第2の積層体IIが捩れる場合、第1のマスク層13の凝集破壊、第1のマスク層13と被処理体20と、の界面剥離、第1のマスク層13及び第2のマスク層12とカバーフィルム10の離型不良といった問題が生じる。
本発明の熱ナノインプリント装置を使用することで、微細パタン形成用フィルムを好適に使用することができる。これにより、低温且つ低圧での熱ナノインプリントが実施可能となる。
<マスクパタン転写工程>
次に、微細パタン形成用フィルムを使用する各工程について説明する。被処理体20上に微細パタン22を形成する方法は、マスクパタン転写工程とエッチング工程とに分けられる。
図4及び図5は、本実施の形態に係る微細パタン形成用フィルムを使用し、被処理体に対し微細パタンを形成する方法を説明するための工程図である。マスクパタン転写工程は、図4A及び図4B並びに図5B〜図5Cで示される。
マスクパタン転写工程は、少なくとも押圧工程、エネルギー線照射工程及び離型工程をこの順に含み、且つ、押圧工程とエネルギー線照射工程とはそれぞれ独立で行うことを特徴とする。ここで、押圧工程は、本実施の形態に係る熱ナノインプリント装置の貼合部で実施される。また、離型工程は、本実施の形態に係る熱ナノインプリント装置の剥離手段及び固定手段により行われる。
図4Aに示す第2の積層体IIは、支持基材10a及び樹脂層10bで構成されるカバーフィルム10と、カバーフィルム10の樹脂層10bに形成された凹凸構造11の内部に充填された第2のマスク層12と、第2のマスク層12を含む凹凸構造11の上に設けられた第1のマスク層13とで構成されている。第2の積層体IIの第1のマスク層13の表面には保護層14が設けられている場合、まず、第2の積層体IIから保護層14を外して、図4Bに示すように、第1のマスク層13の表面を露出させる。
(押圧工程)
押圧工程において、図5Aに示すように、第2の積層体IIを第1のマスク層13を介して被処理体20に対して押圧して、第2の積層体II及び被処理体20を貼り合わせて接着し、第3の積層体IIIを得る。このとき、第2の積層体II及び被処理体20は、加熱しながら押圧されることにより密着される。第2の積層体IIに関しては、被処理体20と第1のマスク層13との接着を目的として行う。
第1のマスク層13として熱圧着可能な樹脂を選択した場合には、第1のマスク層13の流動性を上昇させるために、押圧時に加熱を行うことが好ましい。この加熱は、少なくとも被処理体20面側から行うことが好ましく、加熱温度は60℃〜200℃が好ましい。
(弾性体)
図6は、本実施の形態に係る微細パタン形成用フィルムに弾性体を設けた例を示す模式断面図である。図6に示すように、第1のマスク層13と被処理体20とを、カバーフィルム10の凹凸構造11に起因する膜厚ムラなく貼合するために、第2の積層体IIにおけるカバーフィルム10側(図6A参照)、又は被処理体20側(図6B参照)のいずれかに弾性体50を設けてもよい。弾性体50を設けることにより、被処理体20の表面の凹凸及びうねりに第2の積層体IIがならう結果、膜厚ムラのない貼合が可能となる。なお、弾性体50は、図6Cに示すように、第2の積層体IIにおけるカバーフィルム10側及び被処理体20側の両方に設けてもよい。
弾性体50としては、弾性体50を表面に備えるロールを使用することが好ましい。弾性体50を表面に備えるロールを使用することで、第2の積層体IIを被処理体20にロールツーロールで連続貼合することができる。この弾性体50は、本実施の形態に係る熱ナノインプリント装置における貼合部に相当する。
(低Tg弾性体)
弾性体50としては、ガラス転移温度Tgが100度以下である弾性体であることが好ましく、公知市販のゴム板や樹脂板、フィルム等を使用することができるが、特に、60℃以下であることで、弾性変形の程度が大きくなることから、押圧が効果的となり、より低温且つ低圧にて精度高く熱ナノインプリントをおこなうことができる。最も好ましくは、同様の観点から30度以下である。更に、該ガラス転移温度が30度以下であることで、本実施の形態に係る熱ナノインプリント装置の貼合部の後で説明する線幅を満たすことが容易となると共に、熱ナノインプリントの熱分布及び押圧力分布をより良好にできるため好ましい。同様の観点から、該ガラス転移温度は、0℃以下であることが好ましく、−20℃以下であることが最も好ましい。このような低Tg弾性体としては、例えば、シリコーンゴム、ニトリルゴム、フッ素ゴム、ポリイソプレン(天然ゴム)、ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン6、ナイロン66、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリメタクリル酸メチル、及びポリスチレンが挙げられる。ヤング率(縦弾性率)は、1Mpa以上100Mpa以下であると、第1のマスク層13の膜厚を小さく、且つ、均質にできるため好ましく、4Mpa以上50Mpa以下であるとより好ましい。また、同様の効果から、弾性体50の厚さは、0.5mm以上10cm以下であると好ましく、1mm以上8cm以上がより好ましく、最も好ましくは5mm以上10cm以下である。
また、圧縮空気や圧縮ガス等を弾性体50として採用することもできる。特に圧縮空気や圧縮ガスを使用する場合は、図6Aに示すように、第2の積層体IIにおけるカバーフィルム10側から加圧することが好ましい。
(貼合)
貼合時の環境雰囲気の巻き込みは、第2のマスク層12及び第1のマスク層13の被処理体20に転写付与される割合(転写率)を減少させる。このため、被処理体20の用途に応じた問題が発生する。例えば、被処理体をLED用の基板として使用する場合、貼合時の酸素(空気中の酸素)のミクロな巻き込み(ナノメートルから数十マイクロメートルスケールの環境雰囲気の巻き込み)は、LEDの半導体結晶層の欠陥を導き、LEDの発光特性を悪化させたり、リーク電流を増加させる場合がある。また、貼合時のマクロな巻き込み(数十マイクロメートルからミリメートルスケールの気泡)は、大きな欠陥となり、高効率なLEDを製造する際の収率の低下を招く。そのため、第1のマスク層13を被処理体20に貼合する際には、以下の(1)〜(4)に示すいずれかの手法、又は、これらの複合手法を採用することが好ましい。
(1)低酸素雰囲気下で貼合を行う。酸素濃度を低下させておくことにより、第1のマスク層13と被処理体20との界面に環境雰囲気を巻き込んだ場合であっても、第1のマスク層13の硬化性を良好に保つことができるため、転写精度を向上させることができる。低酸素雰囲気は、真空(減圧)、N2ガスやArガスに代表されるガスの導入、ペンタフルオロプロパンや二酸化炭素に代表される圧縮性ガスの導入等で作製可能である。特に、真空(減圧)環境を採用することで、貼合性を改良することができる。
図7は、本実施の形態に係る微細パタン形成用フィルムと被処理体との貼合に関する断面模式図である。なお、図7A〜図7Cでは、便宜上、第1の積層体Iと第2の積層体IIと、を同一の模式図として表現するために、第1の積層体Iの凹凸構造11の表面の凹凸は省略してフラットな形状として示している。図7A〜図7Cに示す第2の積層体IIにおいては、被処理体20と貼り合わされる面側に、第1のマスク層13が設けられ、第1のマスク層13が被処理体20に接触するようになっている。
(2)図7Aに示すように、第2の積層体IIを、その一方の端部から他方の端部に向かって被処理体20に接触させ、接触面積を徐々に増加させる方法が挙げられる。この場合、平行平板型の貼合に比べ、環境雰囲気の逃げ道が作られるため、環境雰囲気の抱き込みが減少する。
(3)図7Bに示すように、第2の積層体IIの中央付近を下に凸の形状に変形させ、その状態で第2の積層体IIを被処理体20に接触させ、続いて、変形を元に戻していく手法が挙げられる。この場合、平行平板型の貼合に比べ、環境雰囲気の逃げ道が作られるため、環境雰囲気の抱き込みが減少する。
(4)図7C示すように、第2の積層体IIを湾曲させると共に、第2の積層体IIを、その一方の端部から他方の端部に向かって弾性体50に接触させ、ラミネートの要領で貼合する手法が挙げられる。この場合、平行平板型の貼合に比べ、環境雰囲気の逃げ道が作られるため、環境雰囲気の抱き込みが減少する。特に、第2の積層体IIのカバーフィルムがフレキシブルモールドの場合に有効である。弾性体50を表面に備えるロールを使用して第2の積層体IIを湾曲させて、第2の積層体IIの一方の端部から他方の端部に向かって被処理体20に接触させることで、第2の積層体IIを被処理体20にロールツーロールで連続貼合することができる。
(エネルギー線照射工程)
エネルギー線照射工程において、図5Bに示すように、第2の積層体IIと被処理体20とが接着された積層体IIIに対して、貼合時の圧力を開放した状態でエネルギー線を照射して第1のマスク層13を硬化する。これにより、第1のマスク層13を従来のように押圧しながら硬化させる必要がなくなるので、押圧工程とエネルギー線照射工程とを独立して行うことができ、後述の凹凸構造体40の製造における工程管理が容易となる。
また、エネルギー線照射工程は、第2のマスク層12及び第1のマスク層13の安定性を向上させると共に、第2のマスク層12と第1のマスク層13の界面密着力を大幅に向上させることを目的とする。更に、第2の積層体IIの場合は、更に、第1のマスク層13と被処理体20を接着することも目的とする。
エネルギー線照射は、第2のマスク層12と第1のマスク層13の界面に化学反応に基づく化学結合を生じる場合に有効である。エネルギー線の種類は、第2のマスク層12及び第1のマスク層13の組成により適宜選択できるため、特に限定されないが、例えば、X線、UV、IR等が挙げられる。また、エネルギー線は第2の積層体II側と被処理体20側の、少なくとも一方から照射することが好ましい。特に、第2の積層体IIの少なくとも一部或いは被処理体20がエネルギー線吸収体である場合は、エネルギー線を透過する媒体側から、エネルギー線を照射することが好ましい。
エネルギー線照射時の積算光量は500〜5000mJ/cm2であることが好ましく、800〜2500mJ/cm2であることがより好ましい。また、異なる発光波長域を有するエネルギー線源を2つ以上選択してもよい。
なお、第2の積層体IIを被処理体20に押圧した後、圧力開放した状態でエネルギー線照射工程を行うことで、第1のマスク層13の膜厚を厚くすることが可能となるため、後述するエッチング工程を経ることで、被処理体20にアスペクト比の高いマスクを転写することが可能となる。
(離型工程)
離型工程において、図5B及び図5Cに示すように、第3の積層体IIIにおいて、被処理体20に接着された第2の積層体IIのうち、カバーフィルム10を取り除く。この結果、被処理体20、第1のマスク層13及び第2のマスク層12からなる中間体21が得られる。
第2の積層体IIによって被処理体20上にマスクパタンを転写する際に、第1のマスク層13の残膜厚が薄いと、剥離時の応力が残膜部に見かけ上集中するため、第2のマスク層12が第1のマスク層13から剥離する等の離型不良を生じる場合がある。このような離型不良に対しては、第2のマスク層12及び第1のマスク層13の組成最適化のほか、離型の方法によっても対応可能であり、例えば、以下の(5)〜(8)に示すいずれかの手法、又は、これらの複合手法を採用することが好ましい。
(5)熱膨張率の差を利用する手法が挙げられる。第2の積層体IIの凹凸構造11と第1のマスク層13との熱膨張率差を利用することで、離型時に加わる応力を低減することが可能である。凹凸構造11の素材と、第1のマスク層13の組成により熱膨張率差を生み出す環境雰囲気は異なるため、特に限定されないが、例えば、冷却水、冷媒、液体窒素等により冷却した状態での離型や、40℃〜200℃程度の温度で加温した状態での離型が挙げられる。特に、加温剥離は、凹凸構造11の表面にフッ素成分が存在する場合に有効となる。
図8は、本実施の形態に係る微細パタン形成用フィルムと被処理体上に転写された第1のマスク層との離型に関する断面模式図である。なお、図8A〜図8Cでは、便宜上、第1の積層体Iと第2の積層体IIと、を同一の模式図として表現するために、第1の積層体Iの凹凸構造11の表面の凹凸は省略してフラットな形状として示している。図8A〜図8Cに示す第1の積層体Iにおいては、被処理体20と貼り合わされた面側に凹凸構造11が形成されている。また、図8A〜図8Cでは、被処理体20の表面に転写された第1のマスク層13及び第2のマスク層12が設けられるが、省略してフラットな形状としている。
(6)図8Aに示すように、第2の積層体IIの一方の端部から剥離を開始し他方の端部に向かって剥離してゆき、被処理体20との接触面積を徐々に減少させる方法が挙げられる。この場合、平行平板型の離型に比べ、第2のマスク層12及び第1のマスク層13の界面への力が減少するため、離型性が向上する。
(7)図8Bに示すように、第2の積層体IIの中央付近を下に凸の形状に変形させ、その状態で第2の積層体IIを被処理体20からの離型を開始し、徐々に変形程度を増加させていく手法が挙げられる。この場合、平行平板型の離型に比べ、第2のマスク層12及び第1のマスク層13の界面への力が減少するため、離型性が向上する。
(8)図8Cに示すように、第2の積層体IIを湾曲させると共に、第2の積層体IIを、その一方の端部から剥離を開始して、他方の端部に向かって被処理体20から剥離する手法が挙げられる。この場合、平行平板型の離型に比べ、第2のマスク層12及び第1のマスク層13の界面への力が減少するため、離型性が向上する。特に、第2の積層体IIのカバーフィルムがフレキシブルモールドの場合に有効である。弾性体50を表面に備えるロールを使用して第2の積層体IIを湾曲させて、第2の積層体IIを、その一方の端部から剥離を開始して、他方の端部に向かって被処理体20から剥離することで、第2の積層体IIを被処理体20にロールツーロールで連続剥離することができる。
以上のように、本実施の形態に係るマスクパタン転写工程によって、第2の積層体IIを用いて被処理体20へ凹凸構造を転写し、図5Dに示すように、被処理体20の表面上に第1のマスク層13及び第2のマスク層12が設けられた微細マスク構造体16が得られる。この際、被処理体20上に第1のマスク層13を厚く形成することが可能となり、後述するエッチング工程を経ることで、被処理体20上に高アスペクト比のマスクパタンを形成することが可能となる。なお、微細マスク構造体16の被処理体と第2のマスク層12及び第1のマスク層13と、の関係は追って詳述する。
更に、マスクパタン転写工程におけるエネルギー線照射工程と離型工程との間に、加熱工程を加えることが好ましい。即ち、マスクパタン転写工程は、押圧工程、エネルギー線照射工程、加熱工程及び離型工程をこの順に経る構成としてもよい。
(加熱工程)
エネルギー線照射後に加熱工程を加えることで、第2のマスク層12及び第1のマスク層13の組成にもよるが、第2のマスク層12及び第1のマスク層13の安定性が向上し、離型工程時の転写不良、特に第1のマスク層13の凝集破壊を減少させる効果が得られる。加熱温度は、概ね40℃〜200℃の範囲で、第2のマスク層12及び第1のマスク層13のガラス転移温度Tgよりも低い温度が好ましい。また、加熱時間は概ね5秒分〜60分であると好ましく、転写精度を向上させ、且つ工業製を高める観点から、5秒〜3分であることが最も好ましい。なお、加熱工程は低酸素雰囲気下で行ってもよい。
加熱工程後は、カバーフィルム10/第1のマスク層13/被処理体20からなる積層体が好ましくは5℃〜80℃になるまで、更に好ましくは18℃〜30℃になるまで冷却した後に離型工程に移ることが好ましい。なお、冷却方法については、積層体が前記の温度範囲内に冷却されれば、特に限定しない。
更に、マスクパタン転写工程における離型工程の後に、後処理工程を加えてもよい。即ち、マスクパタン転写工程は、押圧工程、エネルギー線照射工程、離型工程及び後処理工程をこの順に経る構成としてもよく、また、押圧工程、エネルギー線照射工程、加熱工程、離型工程及び後処理工程をこの順に経る構成としてもよい。
(後処理工程)
後処理工程は、図5Dに示す微細マスク構造体16の第2のマスク層12側と被処理体20側の両方又はいずれか一方から、エネルギー線を照射して行う。また、後処理工程は、微細マスク構造体16に対して、加熱とエネルギー線照射との両方、或いは、いずれか一方を行うことによって行う。
エネルギー線を照射することにより、第2のマスク層12と第1のマスク層13との両方又はいずれか一方に含まれる未反応成分の反応を促進させることができ、第2のマスク層12及び第1のマスク層13の安定性が向上し、第2のマスク層12の残膜処理工程、第1のマスク層13のエッチング工程及び被処理体20のエッチング工程を良好に行えるため好ましい。エネルギー線としては、X線、UV、IR等が挙げられる。また、エネルギー線は、微細マスク構造体16に対して、第2のマスク層12側及び被処理体20側の少なくとも一方から照射することが好ましい。特に、第2のマスク層12側から照射することが好ましい。
<エッチング工程>
中間体21は、第2の積層体IIを被処理体20に貼り合わせた後に、カバーフィルム10を剥離することで製造される第2のマスク層12/第1のマスク層13/被処理体20から成る積層体であり、その製造方法の詳細はマスクパタン転写工程において既に説明した通りである。ここで、中間体21に対して、図5Dに示すようにエッチングを行うことで、微細マスク構造体16を製造できる。更に、微細マスク構造体16に対して図5E及び図5Fに示すようにエッチングを行うことで、被処理体20上に微細パタン22を形成し、凹凸構造体40を得ることができる。
中間体21を微細マスク構造体16へと加工する方法は、第2のマスク層12をマスクとした第1のマスク層13のエッチングである。これにより、第1のマスク層13及び第2のマスク層12により構成された高いアスペクト比を有する微細マスクパタン16aが設けられた微細マスク構造体16を得る。
エッチング条件は、例えば、第1のマスク層13を化学反応的にエッチングする観点から、O2ガス及びH2ガスを選択することができる。イオン入射成分の増加による縦方向エッチングレート向上という観点から、Arガス及びXeガスを選択することができる。エッチングに用いるガスは、O2ガス、H2ガス、及びArガスの少なくとも1種を含む混合ガスを使用する。特に、O2のみを使用することが好ましい。エッチング時の圧力は、反応性エッチングに寄与するイオン入射エネルギーを高め、エッチング異方性をより向上させることができるため、0.1〜5Paであることが好ましく、0.1〜1Paであると、より好ましい。また、O2ガス又はH2ガスとArガス又はXeガスとの混合ガス比率は、化学反応性のエッチング成分とイオン入射成分とが適量であるときに異方性が向上する。このため、ガスの層流量を100sccmとした場合、ガス流量の比率は99sccm:1sccm〜50sccm:50sccmが好ましく、95sccm:5sccm〜60sccm:40sccmがより好ましく、90sccm:10sccm〜70sccm:30sccmがなお好ましい。ガスの総流量が変化した場合、上記の流量の比率に準じた混合ガスとなる。エッチングはプラズマエッチングであることが好ましい。例えば、容量結合型RIE、誘導結合型RIE、誘導結合型RIE、又はイオン引き込みバイアスを用いるRIEを用いて行う。例えば、O2ガスのみ、又はO2ガスとArを流用の比率90sccm:10sccm〜70sccm:30sccmの間で混合したガスを用い、処理圧力を0.1〜1Paの範囲に設定し、且つ容量結合型RIE又は、イオン引き込み電圧を用いるRIEを用いるエッチング方法等が挙げられる。エッチングに用いる混合ガスの総流量が変化した場合、上記の流量の比率に準じた混合ガスとなる
更に、パターニングされた第1のマスク層13をマスクとして、被処理体20に、例えば、反応性イオンエッチングを施して、図5Eに示すように、被処理体20の主面に微細パタン22を形成する。最後に、図5Fに示すように、被処理体20の主面に残った第1のマスク層13を除去して、微細パタン22を有する被処理体20、即ち、凹凸構造体40を得る。
ここで、反応性イオンエッチングは被処理体20の種類により適宜設計できるが、例えば、塩素系ガスを用いたエッチングが挙げられる。塩素ガスとしては、BCl3ガスのみ、又はBCl3ガス及びCl2ガスの混合ガスを用いることができる。これらのガスにとArガス又はXeガスを更に添加してもよい。エッチングレートを向上させるために、混合ガスのガス流量の比率99sccm:1sccm〜50sccm:50sccmが好ましく、99sccm:1sccm〜70sccm:30sccmがより好ましく、99sccm:1sccm〜90sccm:10sccmが更に好ましい。エッチングはプラズマエッチングであることが好ましい。例えば、容量結合型RIE、誘導結合型RIE、誘導結合型RIE、又はイオン引き込み電圧を用いるRIEを用いて行う。例えば、CHF3ガスのみ、又はCF4及びC4F8をガス流量の比率90sccm:10sccm〜60sccm:40sccmの間で混合したガスを用い、処理圧力を0.1〜5Paの範囲で設定し、且つ、容量結合型RIE又は、イオン引き込み電圧を用いるRIEを用いるエッチング方法等が挙げられる。また、例えば、塩素系ガスを用いる場合はBCl3ガスのみ、又はBCl3とCl2、もしくはArをガス流量の比率95sccm:5sccm〜85sccm:15sccmの間で混合したガスを用い、処理圧力を0.1〜10Paの範囲で設定し、且つ、容量結合型RIE、誘導結合型RIE、又は、イオン引き込み電圧を用いるRIEを用いるエッチング方法等が挙げられる。更に、例えば、塩素系ガスを用いる場合はBCl3ガスのみ、又はBCl3ガス及びCl2ガスもしくはArガスをガス流量の比率95sccm:5sccm〜70sccm:30sccmの間で混合したガスを用い、処理圧力を0.1Pa〜10Paの範囲で設定し、且つ、容量結合型RIE、誘導結合型RIE、又は、イオン引き込み電圧を用いるRIEを用いるエッチング方法等が挙げられる。
<中間体>
微細パタン22を精度高く製造するためには、微細マスク構造体16の第2のマスク層12及び第1のマスク層13の精度を反映させたエッチング工程を経る必要がある。即ち、精度の高い微細マスク構造体16が必要である。精度の高い微細マスク構造体16は、中間体21の第2のマスク層12及び第1のマスク層13の精度を反映させたエッチングにより製造できる。ここで、中間体21の第2のマスク層12及び第1のマスク層13の精度は、第2の積層体IIのカバーフィルム10の凹凸構造11の精度、第2のマスク層12の配置精度、そして第1のマスク層13の膜厚精度により担保される。即ち、高精度な微細パタン22を製造するためには、中間体21に対して行われるエッチング工程での不良を減少させる必要がある。
エッチング工程における精度は、第2のマスク層12及び第1のマスク層13の配置関係、そして後述する第2のマスク層12及び第1のマスク層13の組成により決定されるが、エッチング工程中に、第2のマスク層12表面に異物のある場合、これらの精度を担保するメカニズムは破綻する。即ち、エッチング工程中の中間体21の表面(第2のマスク層12の表面)の異物を減少させる必要がある。
このような異物は、中間体21を、エッチング工程まで搬送する過程及びエッチング工程中に生じる可能性がある。ここで、異物発生の期待値は、前者の中間体21の搬送に寄る部分が高いことが確認された。特に、環境雰囲気から飛散、付着する異物は環境クリーン度の制御や静電気の除去等の対策を行うことで大幅に低下することがわかった。しかしながら、これらの対策のみでは異物を限りなく0に近づけることはできなかった。
ここで、異物の発生要因を探索したところ、中間体21の端部より発生することが確認された。即ち、被処理体20の端部も含めた全面に第2のマスク層12及び第1のマスク層13が転写付与された場合、中間体21を搬送した際に、中間体21の外縁部に位置する第2のマスク層12及び第1のマスク層13が部分的に破損し、破損した第2のマスク層12及び第1のマスク層13が飛散し、中間体21の第2のマスク層12面上に付着することで、異物として確認されることがわかった。
以上の観点から、中間体21のより好ましい状態は、被処理体の少なくともその外縁部の一部に露出部を含む状態である。即ち、被処理体20の外縁部の一点Aから外縁部の他の一点Bに向けて線分ABを引いた場合に、少なくとも点Aは被処理体20に設けられ、点Aから点Bの方向であって線分AB中に第2のマスク層12上に位置する点Cが設けられる状態である。換言すれば、被処理体20は、外縁部の一部に第1のマスク層13及び第2のマスク層12がなく、その表面が露出した露出部を有し、該露出部よりも被処理体のより内側に第2のマスク層12及び第1のマスク層13が配置される。このような構成により、微細マスク構造体16を搬送する際の、微細マスク構造体16の端部より生じる第2のマスク層12及び第1のマスク層13からなる異物を抑制できるため、微細パタン22の精度を向上させることができる。同様の観点から、被処理体の外縁部に設けられる露出部の平均長さは、1μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましい。なお、平均長さは、該露出部に対して、10点の計測を行い、10点の相加平均値として算出される。なお、上限値は被処理体20の大きさと、微細パタン22の設けられた被処理体20の用途から計算される歩留りや収率から決定されるため、特に限定されないが、概ね8mm以下であることが好ましく、5mm以下であることがより好ましく、1mm以下であることが最も好ましい。また、被処理体20は、外縁部の一部に第1のマスク層13及び第2のマスク層12がなく、その表面が露出した露出部を有し、該露出部よりも被処理体20のより内側に第1のマスク層13のみが配置され、更に内側に第2のマスク層12及び第1のマスク層13が配置される構成を含むことで、中間体21の搬送時における第2のマスク層12及び第1のマスク層13の破損をより効果的に抑制できる。なお、最も好ましくは、被処理体20は、(A)外縁部の一部に第1のマスク層13及び第2のマスク層12がなく、その表面が露出した露出部を有し、(B)該露出部より被処理体20のより内側に第1のマスク層13のみが配置され、(C)更に内側に第2のマスク層12及び第1のマスク層13が配置されると共に、(B)の第1のマスク層13は被処理体20の外縁部側から(C)の第2のマスク層12及び第1のマスク層13側へとその膜厚が増加するような構成を含むことである。
後で説明する第3の実施の形態に係る熱ナノインプリント装置600を使用し、被処理体の外縁部に設けられる露出部の平均長さの影響を調査した。まず、第1の積層体Iを準備し、スピンコート法により被処理体である4インチφのサファイア基板上に光硬化性樹脂を成膜した。その後、第1の積層体Iを、第3の実施の形態に係る熱ナノインプリント装置を使用して貼り合わせた。続いて、UV光を照射し、第1の積層体Iのカバーフィルムを剥離した。本製法にて得られた中間体を中間体(1)と記載する。一方で、第2の積層体IIを準備し、熱ナノインプリント装置600を使用して被処理体である4インチφのサファイア基板に貼り合わせ、その後、UV光を照射して、最後にカバーフィルムを剥離した。本製法にて作られた中間体(2)と記載する。中間体(1)及び中間体(2)の、被処理体の外縁部に設けられた露出部の平均長さを測定したところ、中間体(1)が500nm以下であり、中間体(2)は1.2μmであった。なお、観察は光学顕微鏡とレーザー顕微鏡を併用し行った。これは、中間体(1)の場合、第1の積層体Iを使用する、換言すれば液状の第2のマスク層を使用するため、被処理体20の端部まで良好に第2のマスク層が流動したためである。露出部の平均長さが500nm以下の中間体(1)と、露出部の平均長さが1.2μmの中間体(2)をドライエッチング装置まで搬送し、ドライエッチング装置内に取り付け、その後処理をせずに取出した。取出した中間体(1)及び中間体(2)に対して、発生したパーティクル数をカウントしたところ、中間体(1)は中間体(2)の5倍のパーティクルが発生していた。以上から、被処理体の外縁部に設けられる露出部の平均長さが0超であることで、パーティクルの発生を抑制できることがわかる。好ましくは、1μm以上である。更に、上記中間体(1)及び中間体(2)に対してドライエッチング処理を2回行い、被処理体20を加工した。ドライエッチングは、まず、酸素ガスを使用したプラズマエッチングを、圧力1Pa、電力300Wの条件にて行った。これにより、第2のマスク層12をエッチングマスクとして第1のマスク層13を加工し、微細マスク構造体16を得た。次に、反応性イオンエッチング装置(RIE−101iPH、サムコ株式会社製)を使用した反応性イオンエッチング(ICP−RIE)を、BCl3ガス及び塩素ガスの混合ガスを使用して行った。条件は、ICP:150W、BIAS:50W、圧力0.2Paとした。これにより、第1のマスク層13をエッチングマスクとして被処理体20を加工し、被処理体20上に微細パタン22を形成し、即ち凹凸構造体40を得た。凹凸構造体40に対して光学顕微鏡観察を行い、微細パタン22のマクロな欠陥率を測定した。なお欠陥率は、中間体(1)及び中間体(2)をそれぞれ5枚ずつ作製し、観察を行い、平均値として算出した。中間体(1)を使用した場合は、4インチφあたりに29.6点の欠陥が観察されたが、一方で中間体(2)を使用した場合は、4インチφあたり6.1点の欠陥が観察されたのみであった。このように、被処理体20の外縁部に設けられる露出部の平均長さが0超であることで、パーティクルの発生を抑制でき、これにより凹凸構造体40の欠陥率を大きく低減できることがわかる。
更に、第2の積層体IIを使用し別の検討を行った。ガラス転移温度(Tg)が20℃以下のシリコーンゴムを回転体102の表面材質として選定し、貼合時の圧力を0.01MPa,0.03MPa,0.05MPa,そして0.1MPaと変化させ、中間体(3)を作製した。検討した圧力範囲の中においては、中間体(3)を作製する際の貼合時の圧力が高くなるにつれ、被処理体である4インチφのサファイア基板の外縁部に設けられる露出部の平均長さは大きくなった。これは、貼合時の温度を105℃に設定したことから、熱膨張と貼合圧に起因した第1のマスク層13の残留応力が影響したものと推定される。具体的には、貼合圧力の順番に、被処理体20の外縁部に設けられた露出部の平均長さは、1.5μm、1.7μm、2.0μm及び3.2μmであった。得られた中間体(3)をドライエッチング装置まで搬送し、ドライエッチング装置内に取り付け、その後処理をせずに取出した。取出した中間体(3)に対して、発生したパーティクル数をカウントしたところ、既に説明した中間体(1)のパーティクル数を基準とすると、パーティクル数は、1/6、1/7.5、1/9、及び1/13であった。なお、上記検討により得られた中間体(3)においては、被処理体20の外縁部に設けられた露出部は、被処理体20の外縁部全てにではなく、被処理体20の外縁部の約半周〜2/3周に設けられていた。また、被処理体20の外縁部から第2のマスク層側に向けて該露出部を原子間力顕微鏡により走査観察したところ、(A)露出部があり、(B)続いて第1のマスク層13があり、(C)最後に第2のマスク層12が設けられる構成であった。さらに(B)第1のマスク層13は、露出部から被処理体20の内側へと向けて、その膜厚が徐々に大きくなり、第2のマスク層12が設けられた段階で膜厚は飽和していた。また、中間体(1)及び中間体(2)と同様に、ドライエッチング処理を2回行い凹凸構造体40を作製し、光学顕微鏡観察から微細パタン22のマクロな欠陥率を測定した。なお、欠陥数は中間体(3)をそれぞれ5枚作製し、その平均値として算出した。欠陥数は、露出部の平均長さが大きくなるに従い、4インチφあたり5.2点、4.0点、2.9点、及び1.9点と減少することが確認された。
なお、上記検討においては、4インチφのサファイア基板を被処理体として使用した場合を記載したが、上記被処理体の露出部の与えるパーティクルへの効果の傾向は、2インチφのサファイア基板又は6インチφのサファイア基板を使用した場合にも、同様に観察された。
なお、上記中間体21は、既に説明した第2の積層体IIの使用方法及び以下に説明する本実施の形態に係る熱ナノインプリント装置により製造することができる。特に、本実施の形態に係る熱ナノインプリント装置の貼合部の以下に説明する線幅を満たすことで、被処理体20の露出部の制御性が向上するため好ましい。この線幅は、既に説明したように、貼合部における弾性体のガラス転移温度Tgを満たすことで容易に実現できる。
更に、上記説明した中間体21をより制御性高く製造するために、中間体21を製造した後の第2の積層体IIにおいて、中間体21を製造するのに使用した箇所、換言すれば第2のマスク層12及び第1のマスク層13の除去された部分に対する水滴の接触角Aと、第2の積層体IIの第1のマスク層13面に対する水滴の接触角Bと、の差(A−B)は、5度以上であることが好ましい。この場合、カバーフィルム10の凹凸構造11から第1のマスク層13と被処理体20と、の界面に向けてせん断力を加えることができるため、中間体21の被処理体20の露出部の制御性が高くなる。同様の効果から、該接触角の差(A−B)は、10度以上であることが好ましく、30度以上であることがより好ましく、60度以上であることが最も好ましい。
<熱ナノインプリント装置>
次に本実施の形態に係る熱ナノインプリント装置について説明する。なお、微細パタン形成用フィルムの詳細については、追って説明する。
本実施の形態に係る熱ナノインプリント装置は、熱ナノインプリント法に用いられる。熱ナノインプリント法とは、凹凸構造が表面に形成されたモールド、特にナノスケールの凹凸構造を具備するモールドを、被処理体に熱を加えながら貼り合わせ、押圧することで、被処理体の表面(以下、被処理面ともいう)に凹凸構造を転写する転写方法である。
本実施の形態に係る熱ナノインプリント装置は、微細パタン形成用フィルムのナノスケールの第1のマスク層の表面を、被処理体の一方の表面に対向させた状態で前記微細パタン形成用フィルム及び前記被処理体を貼り合わせる貼合部を具備し、前記貼合部は、前記微細パタン形成用フィルム又は前記被処理体に対して実質的に線として接触する回転体を備えた、前記微細パタン形成用フィルム又は前記被処理体に対して実質的に線として押圧力を加える押圧部を含み、前記回転体は、少なくともその表層が、ガラス転移温度Tgが100℃以下の弾性体で構成されていることを特徴とする。
この構成により、押圧部が備えた回転体は、微細パタン形成用フィルム又は被処理体に対して実質的に線として接触し、面ではなく線として押圧力を加えるため、押圧力を小さくできる。また、回転体が回転しながら微細パタン形成用フィルム又は被処理体を押圧するので、第1のマスク層の押圧による流動を促進できると共に、外気の巻き込みを抑制できるので、転写精度が向上する。更に、回転体の少なくとも表層が、ガラス転移温度が100℃以下の弾性体で構成されているため、熱ナノインプリントに使用する温度を低下させると共に、押圧力の均等性を向上できる。この結果、低温且つ低圧で、精度の高い熱ナノインプリントを実施でき、装置の過大化を抑制しながら、被処理体の大きさを容易に大きくできる。
また、本実施の形態に係る熱ナノインプリント装置においては、前記回転体は、断面略真円形の貼合用ローラであることが好ましい。
また、本実施の形態に係る熱ナノインプリント装置においては、前記貼合部で貼り合わされた前記微細パタン形成用フィルム及び前記被処理体から前記カバーフィルムを離型し、表面に前記第1のマスク層及び前記第2のマスク層が転写された前記被処理体を得る剥離部を更に具備することが好ましい。
次に、本実施の形態に係る熱ナノインプリント装置について、図1に示す微細パタン形成用フィルムIを用い、被処理体として平板状の無機基板、サファイア基板、シリコン基板、窒化物半導体基板又はシリコンカーバイド基板を用いた場合を例に挙げて説明する。
(貼合部)
まず、熱ナノインプリント装置の貼合部においては、微細パタン形成用フィルムの、第1のマスク層が形成された表面(以下、第1のマスク層面ともいう)が、被処理体の被処理面に対向させた状態で、微細パタン形成用フィルム及び被処理体が貼り合わされる。この貼合部は、微細パタン形成用フィルム又は被処理体に対して実質的に線として接触する回転体を備えた、微細パタン形成用フィルム及び被処理体に対して実質的に線として押圧力を加える押圧部を具備している。
(押圧部)
押圧部が備えた回転体は、例えば、微細パタン形成用フィルムの、被処理体が貼り合わされた面、即ち、第1のマスク層面とは反対側の面に接するように配置することができる。また、回転体は、被処理体の、微細パタン形成用フィルムが貼り合わされた面、即ち、被処理面とは反対側の面に接するように配置しても良い。
押圧部が備えた回転体は、回転しながら微細パタン形成用フィルムに押圧力を加えるので、被処理体の一端部から他端部に向かって連続的に接触して、微細パタン形成用フィルムを被処理体に押圧できる。この結果、微細パタン形成用フィルムを被処理体に貼り合わせ、即ち、熱ナノインプリントをすることができる。
(回転体)
次に、本実施の形態に係る押圧部についてより詳細に説明する。押圧部が備えた回転体は、少なくともその表層が、ガラス転移温度(以下、Tgともいう)が100℃以下の弾性体、即ち低Tg弾性体で構成される。このような構成により、熱ナノインプリント法に必要な温度を減少させると共に、圧力を小さくできるため、装置の過大化を抑制することができる。なお、押圧部においては、回転体は、断面略真円形の貼合用ローラであることが好ましい。断面略真円形の貼合用ローラであることにより、貼合用ローラの外周に対する角部が実質的になくなることから、低Tg弾性体の弾性変形の均等性が向上し、これに伴い熱ナノインプリント法に必要な温度の均等性を向上させ、且つ圧力を均等に加えることが可能となるため、上記効果を効果的に発現できる。
弾性体のガラス転移温度Tgは、60℃以下が好ましく、30℃以下がより好ましい。Tgが60℃以下であることで、弾性変形の程度が大きくなることから、実質的に線としての押圧が効果的となり、より低温且つ低圧で精度高く熱ナノインプリントを行うことができる。更に、Tgが30度以下であることで、押圧部の後で説明する線幅を満たすことが容易となると共に、熱ナノインプリントの熱分布及び押圧力分布をより良好にできるため好ましい。特に、Tgが0℃以下であることで、第1のマスク層に対する極度な応力集中を抑制できることから、第1のマスク層と第2のマスク層と、の界面の密着性を高めることができるため、貼合性のみならず、剥離に伴う転写性も大きく向上する。同様の観点から、最も好ましくは、−20℃以下であることである。
このようなTgを満たす低Tg弾性体としては、例えば、シリコーンゴム、ニトリルゴム、フッ素ゴム、ポリイソプレン(天然ゴム)、ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン6、ナイロン66、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリメタクリル酸メチル、及び、ポリスチレンが挙げられる。
ここで回転体の少なくともその表層が、上述のような低Tg弾性体により構成されるとは、以下の2つの場合を包含する。図9は、本実施の形態に係る回転体の一例を示す断面模式図である。一つは、回転体の最表層が、低Tg弾性体により構成される場合である。図9Aに示す回転体30は、非弾性体からなる芯部31の外周に設けられた最表層32が低Tg弾性体により構成されている。図9Bに示す回転体33は、非弾性体からなる芯部34の外周に設けられた表層35が低Tg弾性体により構成され、表層35の外周に設けられた最表層36が低弾性体により構成されている。この場合、表層35は、上述の低Tg弾性体で構成され、最外層を構成する非弾性体の厚みよりも厚い。なお、低弾性体とは、本明細書における弾性体よりもTgが高く、且つTgの絶対値が30℃以上の弾性体である。
特に、図9Aに示すように、回転体30の最表層32が、低Tg弾性体により構成されることが好ましい。この場合、最表層32よりも内側の層構成は限定されず、他の弾性体、金属、金属酸化物等で構成される層や芯部31を適宜配置することができる。
また、図9Aに示す回転体30の最表層32の表面に、帯電防止処理や接着防止処理等を行ってもよい。
回転体30、33は、少なくともその表層が、低Tg弾性体により構成されることで、熱ナノインプリントに使用する温度を低下させると共に、押圧力の均等性を向上できる。即ち、低温且つ低圧において、精度の高い熱ナノインプリントを実施できる。更に、装置の過大化を抑制しながら、被処理体の大きさを容易に大きくできる。
特に、低温且つ低圧にて、詳細は後で説明するように、実質的に線として、即ち線幅をもって押圧することが可能となる。このため、第2のマスク層に対する熱の均等性が向上すると共に、貼合における極度な応力集中を抑制できることから、第2のマスク層と第1のマスク層と、の界面精度を高く保つことができる。これにより、微細パタン形成用フィルム及び被処理体からなる積層体(第3の積層体III)から、カバーフィルムを剥離する際の、転写性が向上する。よって、低温且つ低圧において、精度の高い熱ナノインプリントを実施できる。更に、装置の過大化を抑制しながら、被処理体の大きさを容易に大きくできる。
また、回転体は、少なくともその表層が低Tg弾性体にて構成され、弾性変形を起こすことができる。この弾性変形により、押圧力を小さくできる。また、低温にて熱ナノインプリントを行った場合であっても、微細パタン形成用フィルムと被処理体との界面層の流動性を促進することができることから、転写精度が向上すると共に、過大な加圧手段、過大な加熱手段そして過大な冷却手段を必要としない。
また、回転体は、例えば、回転軸の周りに円筒形のロールを取り付けたものでもよい。また、後述するように、回転軸自体が加熱手段であってもよい。また、回転軸の周りに加熱手段が配置され、加熱機構の周りに円筒形のロールを取り付けたものであってもよい。
本実施の形態で回転体に用いられる低Tg弾性体の材質は、そのTgが100℃以下であれば特に限定されず、例えば、公知市販のゴムや樹脂等を使用でき、例えば、シリコーンゴム、ニトリルゴム、フッ素ゴム、ポリイソプレン(天然ゴム)、ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン6、ナイロン66、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリメタクリル酸メチル及びポリスチレンが挙げられる。ヤング率(縦弾性率)としては、1Mpa以上100Mpa以下であると、第1のマスク層及び第2のマスク層界面の変形を抑制しながら回転体の弾性変形を容易に誘発できるため、上記説明した低温且つ低圧における熱ナノインプリントの効果が高まる。同様の観点から、4Mpa以上50Mpa以下であるとより好ましい。また、同様の効果から、低Tg弾性体の厚さは、0.1mm以上10cm以下であると好ましく0.5mm以上8cm以下がより好ましく、最も好ましくは3mm以上1cm以下である。
上述のような回転体を備えた押圧部は、回転体を回転させながら微細パタン形成用フィルム又は被処理体に接触させる回転手段と、回転体を微細パタン形成用フィルム及び被処理体に押し付ける加圧手段と、を備えることができる。これらの手段により、微細パタン形成用フィルムを被処理体に押圧する際に実質的に面ではなく線として押圧力を加えることができる。
(回転手段)
次に、押圧部の回転手段について説明する。押圧部を備えた貼合部は、微細パタン形成用フィルムと被処理体とを貼り合わせ、押圧する。貼合部における微細パタン形成用フィルムと被処理体との貼合は、微細パタン形成用フィルムの搬送と同時に行われても、微細パタン形成用フィルムの搬送が停止した状態にて行われてもよい。
まず、微細パタン形成用フィルムの搬送と同時に行われる場合、押圧部が備える回転手段は、微細パタン形成用フィルムの搬送に伴って同期して回転体を受動的に回転させるものであることが、熱ナノインプリント精度を向上するため好ましい。この場合、回転手段は、フリーローラのように、微細パタン形成用フィルムの搬送に伴って受動的に回転体を回転させるものや、微細パタン形成用フィルムの搬送速度に同期するように、回転体の回転数を制御しながら受動的に回転させるものを採用できる。
一方、微細パタン形成用フィルムの搬送が停止した状態にて微細パタン形成用フィルムと被処理体とを貼合する場合、回転体は回転軸を中心に回転すると共に、被処理体の主面に平行な面内において、微細パタン形成用フィルムの流れ方向又はその反対の方向に移動することが好ましい。図10は、本実施の形態に係る熱ナノインプリント装置における押圧部を示す説明図である。この場合、図10に示すように、被処理体20の主面に平行な面内において、被処理体20の被処理面位置(St)と、回転体30の被処理面位置(St)に最も近い点(A)を通り、且つ、被処理体20の主面に平行な面(Sl)と、の距離(X)は、−(マイナス)微細パタン形成用フィルムの厚み(T)以上、好ましくは0μm以上であると、貼合精度が向上すると共に、弾性変形を利用し、低温且つ低圧における熱ナノインプリント精度が向上するため好ましい。距離Xは、0μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましく、10μm以上であることが最も好ましい。一方、上限値は、被処理体20の厚みである。なお、図10中の矢印は、回転体30の移動方向を示す。なお、上記距離(X)は、被処理面位置(St)を基準面とした場合に、被処理面位置(St)よりも被処理体20の該位置(St)よりも反対側の面方向を正(+)としている。即ち、距離Xが負(マイナス)とは、被処理面位置(St)を基準とした時に、被処理体20の厚み方向に被処理体よりも離れる方向のことである。換言すれば、距離Xが負(マイナス)の場合、微細パタン形成用フィルムを通紙しない状態においては、回転体30を被処理面(St)に平行な面内にて移動させた場合、回転体30と被処理体20と、は接触しない。
(加圧手段)
次に、押圧部の加圧手段について説明する。上述の通り、距離(X)が−(マイナス)微細パタン形成用フィルム1の厚み(T)以上であることにより、距離X及び回転体の表層の材質により決定される圧力(以下、第1の圧力)を加えることができるため、特段加圧手段は設けなくてもよい。しかし、この場合であっても、押圧力の均等性をいっそう向上させるために、後で説明する加圧手段を設けることが好ましい。
押圧部には、回転体を微細パタン形成用フィルム又は被処理体に向かって押し付ける加圧手段を設けることができる。この加圧手段により微細パタン形成用フィルム及び被処理体に加えられる圧力(以下、第2の圧力という)は、回転体の弾性変形により分散され、均等な圧力となる。このため、熱の均等性及び圧力の均等性が向上することから、微細パタン形成用フィルムと被処理体との界面の力及び熱の均等性が向上する。特に、加圧手段を設けた場合、上記説明したように圧力の均等性を向上できる。このため、圧力の絶対値を小さくすることができる。これにより、第1のマスク層と第2のマスク層と、の界面の精度を好適に保つことができるため、カバーフィルムを剥離して図5Cに示す中間体21を得る際の、転写精度並びに被処理体の加工精度を向上させることができる。また、微細パタン形成用フィルムと被処理体との間に混入する空気(エアーボイド)を、タクトを損なうことなく減少させることができる。上記第1の圧力及び第2の圧力を合わせた、押圧部による押圧力は、0.01MPa〜5Mpaが好ましく、0.03MPa〜2Mpaがより好ましい。
(線圧)
次に、上述のような押圧部により、微細パタン形成用フィルムを被処理体に押圧する際に実質的に線として押圧力が加えられるメカニズムについて説明する。
図11は、本実施の形態に係る熱ナノインプリント装置に係る貼合部が具備する押圧部を示す斜視模式図である。図11においては、押圧部100において、微細パタン形成用フィルム101の流れ方向MDに対して垂直な垂直方向TD、即ち微細パタン形成用フィルム101の幅方向に沿って回転体102が延設されている。言い換えれば、回転体102の長軸方向103は、微細パタン形成用フィルム101の幅方向、即ち垂直方向TDに対して平行か又は実質的に平行になっている。この結果、回転体102の周面は、微細パタン形成用フィルム101に対して実質的に線として接触する。即ち、実質的に線として押圧力を加えることができる。この線とは、回転体102の一方の端面でその中心Oを通る垂線Z−aと回転体102の周面との交点Aと、他方の端面でその中心Oを通る垂線Z−bと回転体102の周面との交点Bとを結ぶ線ABであり、後で説明する線幅を有す。これを実質的に線という。このため、微細パタン形成用フィルム101と被処理体104が貼合される際に、回転体102により面ではなく線で圧力がかけられる。
なお、図11に示す押圧部100においては、回転体102は、断面略真円形の貼合用ローラであり、円筒状又は円柱状のいずれであっても良い。
次に、「線幅」について、図12を参照して説明する。図12は、本実施の形態に係る熱ナノインプリント装置における押圧部を示す側面模式図である。弾性変形を起こした回転体102を横方向から見たとき、略真円状の端面の一部分が平らになる。この平らに変形した部分は、回転体102の長軸方向に沿って連続し、面を形成する。この平らに変形した部分を底辺とみる。この底辺の端と端面の円の中心Oとを結ぶ2つの線分がなす角度をΘとし、且つ、円の半径をdとした場合、平らに変形した部分の長さ、即ち線幅は2d sin (Θ/2)で表わされる。微細パタン形成用フィルム101と被処理体104と、を貼合精度高く貼合すると共に、上記説明した効果を発現し精度高く熱ナノインプリントを行う際の角度Θは、1°以上60°以下であると好ましい。このため、本明細書における線圧とは、線幅が、角度Θが60°以下である場合を含む。言い換えれば、数学上の線だけではなく、上記の条件を満たす幅をもった線で圧力をかける場合も含まれる。本実施の形態では、線で圧力がかけられる場合に加えて、このように一定の線幅で圧力がかけられる場合も含めて「実質的に線で圧力をかける」と定義する。上記効果をいっそう発揮する観点から、角度Θは3度以上45度以下であると好ましく、5度以上30度以下であることがより好ましい。
本実施の形態に係る熱ナノインプリント装置は、上記説明した回転体により、微細パタン形成用フィルムと被処理体とを押圧し、低温且つ低圧にて熱ナノインプリントを行うことができる。ここで、微細パタン形成用フィルムを被処理体に押圧する際の、被処理体のその面内方向に対して垂直方向の振動を抑制し、押圧時の圧力の均等性を向上させるために、被処理体の被処理面とは反対側の面上に被処理体保持部を設けることが好ましい。
被処理体保持部は、被処理体の被処理面に接触しないものであれば、特に限定されない。特に、被処理体の被処理面位置より、微細パタン形成用フィルム側に突出する部位(段差)高さが、被処理体の厚みの5分の1以下であると、貼合精度が向上するため好ましい。最も好ましくは、突出部位のない状態である。例えば、減圧チャックは、被処理体の被処理面の反対側の面をチャック面の接触により保持できると共に、減圧を開放することで自在に被処理体を離脱させることができるため、好ましい。また、被処理体保持部は、貼合時の気泡の抱き込みの観点から、被処理体と微細パタン形成用フィルムが接触しない位置で被処理体を保持することが好ましい。
被処理体保持部により、被処理体は固定保持され、固定保持された被処理体の被処理面に対して、微細パタン形成用フィルムの第1のマスク層が、上記説明した押圧部により貼合される。ここで、後で説明する貼合プロセスを経ることで、微細パタン形成用フィルムの被処理体に対する面内の貼り合わせ精度をより向上させることができる。まず、被処理体保持部により被処理体の被処理面と、は反対側の面を固定する。例えば、減圧固定を採用できる。次に、押圧部の回転体により、被処理体の一端部から、微細パタン形成用フィルムの貼合を開始する。その後、押圧分だけ回転体は、回転しながら被処理体の他端部へと、向かい、微細パタン形成用フィルムの貼合が行われる。ここで、回転体が被処理体の他端部を通過しきる前に、被処理体の固定を開放する。例えば、被処理体保持部による保持が、減圧チャックである場合、減圧を開放する。この状態で、押圧部の回転体は、回転しながら被処理体の他端部を通過する。これにより、被処理体の端部も含めた面内に渡り、微細パタン形成用フィルムを貼合することができる。
(押圧加熱部)
また、本実施の形態に係る熱ナノインプリント装置においては、回転体及び被処理体保持部の少なくとも一方に押圧加熱部を付帯することが好ましい。ここで、押圧加熱部は、微細パタン形成用フィルム及び被処理体を押圧部に貼合し、押圧する際に、微細パタン形成用フィルムと被処理体との界面を加熱する目的にて導入する。押圧加熱部を設けることで、微細パタン形成用フィルムと被処理体との界面の温度が向上するため、第1のマスク層の流動性が促進され、熱ナノインプリント精度が向上する。
押圧加熱部は、回転体及び被処理体保持部の少なくとも一方に付帯される。このため、双方に付帯されてもよい。押圧加熱部が被処理体保持部に付帯される場合、被処理体保持部は、被処理体を固定すると共に、被処理体を加熱可能である。
回転体に押圧加熱部が付帯される場合、回転体の表層に設けられる低Tg弾性体よりも内側に、押圧加熱部を配置することが好ましい。即ち、回転体は、回転軸、押圧加熱部及び低Tg弾性体より構成されてもよい。ここで、押圧加熱部と回転軸とが同一であってもよく、また、例えば、押圧加熱部と低Tg弾性体との間に、熱伝導性接着剤等を配置することもできる。図13は、本実施の形態に係る熱ナノインプリント装置において押圧加熱部を付帯した回転体を示す断面模式図である。図13Aに示す回転体41は、押圧加熱部42の外周に、低Tg弾性体43が設けられている。図13Bに示す回転体44は、回転軸45の外周に押圧加熱部46が設けられ、更にその外周に低Tg弾性体47が設けられている。
いずれの場合においても、回転体41、44の表層に設けられる低Tg弾性体43、47を、押圧加熱部42、46により加熱できる。この加熱により、低Tg弾性体43、47の表面の温度が上昇するため、微細パタン形成用フィルム101を被処理体104に押圧する際、微細パタン形成用フィルム101の柔軟性、特に第1のマスク層の流動性が向上し、押圧精度が向上する。ここで、低Tg弾性体43、47により微細パタン形成用フィルム101と被処理体104とを貼り合わせる際の熱分布が良好になることから、押圧加熱部42、46の加熱温度を低く保つことができる。
押圧加熱部の加熱温度は、回転体102の表面の温度が、0℃以上250℃以下の範囲になるように加熱できると好ましく、40℃以上150℃以下になるように加熱できることがより好ましく、60℃以上130℃以下の範囲に加熱できることが最も好ましい。特に、本実施の形態に係る熱ナノインプリント装置を使用した熱ナノインプリント方法においては、回転体の表面の温度(Ts)が、微細パタン形成用フィルム101のカバーフィルムの融点(Tmc)未満の範囲であることが好ましい。このような、微細パタン形成用フィルム101のカバーフィルムの融点(Tmc)未満の温度(Ts)を有す回転体を使用した場合であっても、上記説明したTgを有す低Tg弾性体の弾性変形を良好に利用できることから、熱ナノインプリント精度を向上できる。即ち、過大な加熱手段を必要としない。これに伴い、過大な冷却手段を必要としない、コンパクトな装置となる。特に,微細パタン形成用フィルム101を被処理体104に押圧する際の、微細パタン形成用フィルム101の過剰な変形を抑制し、熱ナノインプリント精度を向上させる観点から、加熱温度は、回転体の表面の温度(Ts)が、0.9Tmc以下の範囲になるように加熱できることが好ましく、0.6Tmc以下の範囲になるように加熱することがより好ましく、0.5Tmc以下の範囲になるように加熱することが最も好ましい。なお、カバーフィルムの材料と凹凸構造の材料と、が異なる場合、カバーフィルムの材料に対する融点と凹凸構造の融点に対する融点のより低い方の融点が、上記融点(Tmc)である。
次に、本実施の形態に係る熱ナノインプリント装置についてより詳細に説明する。
<第1の実施の形態>
図14は、第1の実施の形態に係る熱ナノインプリント装置を示す模式図である。熱ナノインプリント装置200は、長尺の微細パタン形成用フィルム101が巻き回された送出しローラ202を具備する。送出しローラ202は、微細パタン形成用フィルム101を所定の速度で送出する。この送出しローラ202と対になって、送出された微細パタン形成用フィルム101を巻き取る巻き取りローラ203が設けられている。巻き取りローラ203の回転数と送出しローラ202の回転数とは微細パタン形成用フィルム101の送り出し速度と巻き取り速度と、が同期するように制御されてもよいが、微細パタン形成用フィルム101のテンションを制御するために、ダンサーローラー、トルクモータ又はテンションコントローラ等を用いることができるため、微細パタン形成用フィルム101の搬送機構は採用するテンション制御方式に応じて適宜設計することができる。なお、送出しローラ202及び巻き取りローラ203にはそれぞれ駆動部を連結することができる。
送出しローラ202よりも流れ方向MDの更に後段には、貼合部201が設けられている。貼合部201は、回転体102を備えた押圧部100を備えている。回転体102については、既に説明した通りである。第1の実施の形態においては、回転体102の表層をシリコーンゴムとした。なお、シリコーンゴムとしてはそのガラス転移温度Tgが20℃以下のものを採用した。また、貼合雰囲気を除電する除電機(不図示)を別途設置した。
この回転体102は、微細パタン形成用フィルム101の幅方向に亘って延設されている。回転体102の断面形状は略真円形である。回転体102の、微細パタン形成用フィルム101の幅方向の長さは、微細パタン形成用フィルム101を貼合する被処理体104の大きさよりも大きければ特に限定されない。例えば、2インチ強、4インチ強、6インチ強、或いは8インチ強である。また、微細パタン形成用フィルム101の幅方向に複数の被処理体104を配置し、同時に微細パタン形成用フィルム101を被処理体104に貼合するために、回転体102は微細パタン形成用フィルム101の幅方向全体に亘って延設されると好ましい。第1の実施の形態においては、微細パタン形成用フィルム101の幅として、2.1インチ、4.5インチ、及び6.5インチの3種類を実施した。これらの微細パタン形成用フィルム101のいずれに対しも、回転体102の幅方向の長さは300mmとした。
回転体102による、微細パタン形成用フィルム101と被処理体104との貼合は、微細パタン形成用フィルム101の搬送と同時に行われても、微細パタン形成用フィルム101の搬送が停止した状態にて行われてもよい。第1の実施の形態においては、微細パタン形成用フィルム101が静止した状態で貼合を行った。
微細パタン形成用フィルム101の被処理体104への押圧が、微細パタン形成用フィルム101の搬送と同時に行われる場合、回転体102は、微細パタン形成用フィルム101の搬送に支障をきたさぬように回転することが好ましい。このため、回転体102の回転手段は、微細パタン形成用フィルム101の搬送に伴い受動的に回転体102を回転させるものであっても、能動的に回転させるものであってもよい。特に、微細パタン形成用フィルム101の搬送に伴って受動的に回転することが貼合精度を向上するため、好ましい。この場合、回転体102の回転手段には、フリーローラのように受動的に回転体102を回転させるものや、微細パタン形成用フィルム101の搬送速度に同期するように、回転体102の回転数を制御しながら受動的に回転させるものを採用できる。
一方、微細パタン形成用フィルム101の搬送が停止した状態にて微細パタン形成用フィルム101と被処理体104とを貼合する場合、回転体102は回転軸を中心に回転すると共に、被処理体104の主面に平行な面内において、微細パタン形成用フィルム101の流れ方向MDとは反対の方向又は微細パタン形成用フィルム101の流れ方向MDに平行な方向に移動することが好ましい。
この場合、既に説明した距離(X)の範囲を満たすことで、貼合精度を向上させることができる。第1の実施の形態においては、距離(X)はマイナス30μm、マイナス20μm、マイナス10μm、0μm、10μm、30μm及び100μmの範囲でおこなった。なお、カバーフィルムの露出する面から第1のマスク層の表面までの距離である微細パタン形成用フィルム101の厚みは、104μmのものを使用した。
更に、回転体102により、微細パタン形成用フィルム101と被処理体104とを押圧する際の押圧力は、距離Xが−微細パタン形成用フィルム101の厚み以上である場合、特別に加圧手段を設けなくとも圧力を加えることができる。しかしながら、押圧力を均等に加える観点から、別途、加圧手段204を設けることが好ましい。加圧手段204を設けることで、微細パタン形成用フィルム101と被処理体140との間に混入する空気(エアーボイド)を、タクトを損なうことなく減少させるという観点から、回転体102に加圧手段を設けることが好ましい。この貼合のための押圧力は、0.01MPa〜5Mpaが好ましく、0.03MPa〜2Mpaがより好ましい。
第1の実施の形態に係る熱ナノインプリント装置200の貼合部201においては、上記説明した押圧部100の回転体102により、微細パタン形成用フィルム101と被処理体104とを押圧し、低温且つ低圧にて熱ナノインプリントを行うことができる。ここで、微細パタン形成用フィルム101を被処理体104に押圧する際、被処理体104のその面内方向に対して垂直方向の振動を抑制し、押圧時の圧力の均等性を向上させるために、被処理体104の微細パタン形成用フィルム101と接する面とは反対側の面上に被処理体保持部205を設けることが好ましい。
被処理体保持部205の保持機構は、被処理体104の被処理面に接触しないものであれば、特に限定されない。被処理体保持部205は、既に説明した機構を採用できる。また、被処理体104を保持する方法は、既に説明した通り、被処理体104と微細パタン形成用フィルム101が接触しない位置で被処理体104を保持することが好ましい。なお、第1の実施の形態においては、減圧(吸引)チャックを採用した。
また、第1の実施の形態に係る熱ナノインプリント装置200においては、回転体102及び被処理体保持部205の少なくとも一方に、上述の押圧加熱部を付帯することが好ましい。ここで、押圧加熱部は、微細パタン形成用フィルム101及び被処理体104を回転体102で押圧する際、微細パタン形成用フィルム101と被処理体104との界面を加熱する目的にて導入する。押圧加熱部を設けることで、微細パタン形成用フィルム101と被処理体104との界面の温度が向上するため、熱ナノインプリント精度が向上する。なお、第1の実施の形態においては、回転体102及び被処理体保持部205の双方に押圧加熱部を設け、回転体102の表面を90℃〜130℃にて加熱し、被処理体保持部205の表面を80℃〜150℃の範囲にて加熱し実施した。
貼合部201よりも流れ方向MD後段であって、巻き取りローラ203よりも前段には、剥離部206が設けられている。なお、巻き取りローラ203と回転体102との間には、後述するエネルギー線照射部等を併設するのに充分な間隔を設けると好ましい。剥離部206は、微細パタン形成用フィルム101と被処理体104からなる積層体207から、カバーフィルムを剥離できれば特に限定されない。即ち、積層体207において、被処理体104は固定されその主面に対して垂直方向の移動をほぼ起こらないと共に、カバーフィルムが被処理体104より引き離される。特に、剥離部206が、微細パタン形成用フィルム101の流れを利用して剥離できるものであれば、微細パタン形成用フィルム101の捩れをより抑制すると共に、転写精度を向上できる。更に、微細パタン形成用フィルム101とある被処理体104(A)との押圧と、微細パタン形成用フィルム101の別の被処理体104(B)からの剥離と、を同時に行うことができるため、装置の過大化を抑制しながら、タクトを向上させることができる。更に、剥離部206において、微細パタン形成用フィルム101の流れ方向が変化することで、カバーフィルムを剥離することが好ましく、後述するような剥離用ローラや剥離用エッジを利用できる。
なお、積層体207は、図3B及び図5Aに示す第3の積層体IIIに相当する。積層体207を構成する被処理体104は、微細パタン形成用フィルム101に貼り合わされ、一体となっている。
剥離部206における剥離力は、少なくとも被処理体104の被処理面に対して垂直で、且つ、微細パタン形成用フィルム101の流れ方向MDの成分を含む。例えば、積層体207の被処理体104の露出する面を保持して固定し、微細パタン形成用フィルム101の流れ方向MDがローラ又はエッジにより変化することで、転写精度高くカバーフィルムを剥離することができる。
(剥離部)
図15は、第1の実施の形態に係る熱ナノインプリント装置における剥離部によるカバーフィルムの剥離を示す模式図である。図15A及び図15Bは、微細パタン形成用フィルム101/被処理体104からなる積層体207が搬送されると共に、微細パタン形成用フィルム101の流れ方向MDが変化することで、カバーフィルムが被処理体104より剥離される場合を示している。被処理体104は、図中矢印Aで示す方向に移動する。
図15Aにおいては、微細パタン形成用フィルム101の流れ方向MDが、曲率半径が0超の曲率を有す剥離用エッジ301により変化している。一方、図15Bにおいては、微細パタン形成用フィルム101の流れ方向MDが、円筒状の剥離用ローラ302により変化している。いずれの場合においても、被処理体104の被処理面とは反対の面(以下、露出面ともいう)を固定手段により保持し、被処理体104を固定することが、微細パタン形成用フィルム101のカバーフィルムの剥離時に被処理体104の物理的な安定性が向上するため、好ましい。
図16は、第1の実施の形態に係る熱ナノインプリント装置における剥離部による微細パタン形成用フィルムの剥離を示す模式図である。図16A及び図16Bでは、積層体207は静止しており、移動用ロール401及び剥離用ロール402からなる剥離部206が、被処理体104の被処理面に平行且つ微細パタン形成用フィルム101の流れ方向MDに平行な方向に移動することで、カバーフィルムが剥離される場合を示している。より具体的には、移動用ロール401が、図中矢印Bで示すように、微細パタン形成用フィルム101の流れ方向MDとは反対側に移動する。この移動に伴い、剥離用ロール402も微細パタン形成用フィルム101の流れ方向MDとは反対側へと移動し、カバーフィルムが剥離される。
剥離部206における微細パタン形成用フィルム101の方向変化について更に詳細に説明する。図17は、第1の実施の形態に係る熱ナノインプリント装置における剥離部での微細パタン形成用フィルム101の方向変化について説明するための説明図である。図17に示すように、剥離部206を通過前の微細パタン形成用フィルム101の流れ方向MD−1の作る面と、剥離部206を通過した後の微細パタン形成用フィルム101(カバーフィルム)の流れ方向MD−2の作る面と、のなす角θ1を、剥離方向の変化量として定義することができる。この角度θ1は剥離角である。剥離角θ1は、15度以上170度以下であることが好ましい。15度以上であることにより、第1のマスク層とカバーフィルムと、の界面に加わる剥離応力を小さくできるため、熱ナノインプリント法により得られる中間体21への負荷(剥離応力)が低減されるため、転写精度が向上する。一方、170度以下であることにより、微細パタン形成用フィルム101の搬送に係る負荷が低下するため、搬送精度が向上する。同様の理由から、剥離角θ1は、30度以上160度以下であることがより好ましく、60度以上160度以下であることが最も好ましい。なお、剥離角θ1が90度以上であることで、装置の過大化を抑制することができる。よりコンパクトな装置を設計する観点から、剥離角θ1は、100度以上であることが好ましく、110度以上であることがより好ましく、125度以上であることが最も好ましい。なお、剥離部206を通過前の微細パタン形成用フィルム101の流れ方向MD−1の作る面は、微細パタン形成用フィルム101の剥離前の被処理体104の被処理面と略平行である。
ここで、被処理体104の露出面を脱着自在に固定できる固定手段を更に設けることで、剥離部206による剥離時の、被処理体104の物理的バランスが良好となるため、微細パタン形成用フィルム101の捩れや熱ナノインプリントにより得られる凹凸構造の欠損をより抑制することができる。固定手段は、例えば、減圧チャック、静電チャック、外周縁部を把持するもの、又は、当業者に周知のカセット支持方式のものである。なお、第1の実施の形態においては減圧(吸引)チャックを採用すると共に、静電気を抑制する目的で、除電機(不図示)を剥離部206の周辺に取り付けた。
上記説明した回転体102を備えた押圧部100により、微細パタン形成用フィルム101と被処理体104と押圧され、微細パタン形成用フィルム101/被処理体104からなる積層体207が得られる。また、押圧部100を備えた貼合部201と剥離部206とは、微細パタン形成用フィルム101の流れ方向MDに沿って、互いに離間して配置されている。即ち、積層体207を剥離部206まで搬送し、剥離部206において積層体207から微細パタン形成用フィルム101のカバーフィルムを剥離する。ここで、積層体207の搬送は、積層体207の被処理体104の露出面を保持し、搬送する被処理体搬送手段を別途設けることでも実現できるが、装置の過大化を抑制する観点から、微細パタン形成用フィルム101の流れを利用して搬送する、換言すれば微細パタン形成用フィルム101を被処理体104のキャリアフィルムとして機能させることが好ましい。
一般的にはワーク(被処理体104)とキャリア(微細パタン形成用フィルム101)とは別々の移動機構により移動及び搬送されるが、本実施の形態に関しては、ワークはキャリアの搬送により移動することができる。即ち、ワークとキャリアとが一体化した状態を経ることができる。これにより、ワークの搬送機構を別途設ける必要がなくなることから、装置のコンパクト設計が可能となると共に、貼合部201から剥離部206までの間に、任意の構成要素、例えばエネルギー線照射部を容易に組み込むことができる。
即ち、図14においては、微細パタン形成用フィルム101の、回転体102が設けられた側の面とは反対側の面、即ち第1のマスク層面上に、被処理体104が配置され、微細パタン形成用フィルム101の搬送に伴い、被処理体104も移動する。また、微細パタン形成用フィルム101を裏表が逆(第1のマスク層面が下向き)の状態で搬送するとき、微細パタン形成用フィルム101の上側に回転体102を配置し、微細パタン形成用フィルム101の下側、即ち、第1のマスク層面上に被処理体104を配置し、微細パタン形成用フィルム101と被処理体104とを押圧する。この場合、微細パタン形成用フィルム101と貼合された被処理体104は、宙吊りの状態にて微細パタン形成用フィルム101の搬送に伴い、移動することができる。
微細パタン形成用フィルム101の表面上に保護層が設けられている場合、貼合部201にて微細パタン形成用フィルム101と被処理体104とを貼合する前に保護層を取り除く必要がある。この場合、送出しローラ202よりも微細パタン形成用フィルム101の流れ方向MDの後段に、微細パタン形成用フィルム101から保護層(図4中14)を剥離する保護層剥離ローラ部が設けられる。保護層剥離ローラには、保護層剥離ローラよりも保護層の流れ方向の後段に、保護層を巻き取って回収する保護層巻き取りローラが併設される。保護層剥離ローラは、駆動部を具備しないフリーローラとして設けても、駆動部を付帯したローラであっても、微細パタン形成用フィルム101より保護層を剥離可能であれば特に限定されない。一方、保護層巻き取りローラは、微細パタン形成用フィルム101より剥離された保護層を巻き取り回収する役割を担うため、駆動部を付帯することが好ましい。駆動部により回転する保護層巻き取りローラの回転数は、保護層の捩れや微細パタン形成用フィルム101の捩れ、蛇行等を抑制するように、フィルムテンションの観点から適宜設計することができる。また、保護層剥離ローラは、回転体102に近い位置に設けられると、保護層を剥離し露出した表面の異物の付着を抑制し、この結果、微細パタン形成用フィルム101と被処理体104との貼合精度が向上するため、好ましい。
上記説明した貼合部201における微細パタン形成用フィルムの被処理体104への貼合に際し、微細パタン形成用フィルム101の被処理体104への貼合精度をより向上させる観点から、除電機を設けることができる。除電機を設けることで、微細パタン形成用フィルム101の第1のマスク層面上、又は被処理体104の被処理面上に付着するパーティクルを抑制できることから、第1のマスク層に対するパーティクル由来の応力集中を抑制でき、これにより転写精度を向上させることができる。
次に、貼合部201と剥離部206との間に設けられる任意の他の構成要素について説明する。
(エネルギー線照射部)
貼合部201と剥離部206との間に、エネルギー線照射部を設けることができる。エネルギー線照射部においては、貼合部201で得られた積層体207に対してエネルギー線を照射する。このため、エネルギー線照射部は、微細パタン形成用フィルム101に向かってエネルギーを照射しても、被処理体104に向かってエネルギーを照射しても、その両方であっても良い。特に少なくとも被処理体104に向かってエネルギーを照射することで、微細パタン形成用フィルム101と被処理体104との界面強度を向上できるため、好ましい。
エネルギー線照射部は、微細パタン形成用フィルム101の幅方向に対して微細パタン形成用フィルム101のフィルム幅の少なくとも50%以上の長さの領域、及び、その流れ方向の一部の領域に対してエネルギー線を照射することができる。特に、エネルギー線照射部は、微細パタン形成用フィルム101の幅方向に対して微細パタン形成用フィルム101のフィルム幅の少なくとも75%以上の長さの領域に対しエネルギー線を照射できると、生産性が向上すると共に、環境対応性が向上するため好ましい。より好ましくは、85%以上である。また、環境対応性及び過大な設備化を抑制する観点から、150%以下が好ましく、110%以下であるとより好ましい。
ここで、微細パタン形成用フィルム101の幅方向の長さをW、被処理体の幅方向の長さをw、エネルギー線照射部の幅方向の照射長さをWeと置いたとき、w/W<1であることが前提であり、それぞれの長さの関係が、w/W<We/W≦1.5であることが、環境対応性及び過大な設備を抑制する観点から好ましく、w/W<We/W≦1.1であることがより好ましい。
エネルギー線は、微細パタン形成用フィルム101を構成する材質により適宜選定できるため、特に限定されないが、UV−LED光源、メタルハライド光源、高圧水銀灯光源等を採用できる。また、エネルギー線を照射し始めてから照射し終えるまでの積算光量は、500mJ/cm2〜5000mJ/cm2の範囲であると、熱ナノインプリントの転写精度が向上するため好ましい。より好ましくは、800mJ/cm2〜2500mJ/cm2である。更に、後で説明する連続的貼合である場合、エネルギー線照射機構は、微細パタン形成用フィルム101の流れ方向に複数台設けてもよい。この場合、全てのエネルギー線照射機構のエネルギー線源を同ようにしてもよく、また、エネルギー線スペクトルの異なるエネルギー線照射機構を設けることもできる。また、後で説明する断続的貼合である場合、エネルギー線の照射範囲は、被処理体の100%以上であることが好ましく、エネルギー線の照射範囲内での照度分布を考慮すると、150%以上であることがより好ましい。
(積層体加熱部)
剥離部206よりも微細パタン形成用フィルム101の流れ方向MD前段であり、且つ、エネルギー線照射よりも流れ方向MD後段には、積層体207を加熱する積層体加熱部を設けることができる。積層体加熱部を設けることで、微細パタン形成用フィルム101と被処理体104との界面強度を向上させることができるため、熱ナノインプリント精度が向上する。積層体加熱部による加熱温度は、微細パタン形成用フィルム101の特性に応じて適宜選定できるため、特に限定されないが、微細パタン形成用フィルム101の融点(Tmc)未満であると、装置の過大化を抑制できると共に、熱ナノインプリント精度が向上するため好ましい。特に、被処理体104の加熱温度が、30℃〜200℃の範囲になるように加熱できると好ましく、60℃〜130℃であるとより好ましい。加熱温度は、微細パタン形成用フィルム101の搬送の観点から、概ね、Tmcの0.6倍以下であると好ましい。このように加熱条件下で積層体207の加熱が行われる。
(冷却部)
更に、剥離部206よりも微細パタン形成用フィルム101の流れ方向MDの前段であり、且つ、積層体加熱部よりも流れ方向MDの後段に、積層体207を冷却する冷却部を設けることができる。冷却部を設けることで、カバーフィルムを剥離する際の、剥離性を向上させることができる。ここで、第1の実施の形態に係る熱ナノインプリント装置200においては、冷却部が微細パタン形成用フィルム101の流れ方向MDに対して、貼合部201と離間して設けられる。更に、第1の実施の形態では、上述のような回転体102を採用していることから、熱ナノインプリントに必要な温度を低く保っている。このため、冷却部の過大化を抑制できる。冷却部は、積層体207に対して空気を吹き付ける程度でよい。冷却部は、少なくとも被処理体104の温度が120℃以下になるように冷却すると、剥離性を向上できるため、好ましい。微細パタン形成用フィルム101の特性に応じて最適な被処理体104の冷却後の温度は決定されるが、概ね、5℃以上60℃以下が好ましく、18℃以上30℃以下がより好ましい。
次に、貼合部201よりも流れ方向MD前段に設けられる任意の他の構成要素について説明する。
(搬送部)
貼合部201よりも流れ方向MD前段に、搬送部を設けることができる。ここで、搬送部は、格納された被処理体104を取り出し、貼合部201の回転体102の位置まで被処理体104を搬送する。搬送部は、貼合時の被処理体104の被処理体保持部として機能させることもできる。ここで、搬送部における被処理体104の固定は、被処理体104の露出面を脱着自在に固定できる固定手段により行われることが好ましい。固定手段は、例えば、減圧チャック、静電チャック、外周縁部を把持するもの、又は当業者に周知のカセット支持方式のものである。
(前処理部)
搬送部よりも流れ方向MDの前段側には、前処理部を設けることができる。前処理部では、被処理体の主面、即ち被処理面を前処理することができる。前処理部としては、例えば、UV−O3処理機構、エキシマ処理機構、酸素アッシング機構、シランカップリング材膜成膜機構及び樹脂層成膜機構が挙げられる。特に、UV−O3処理機構又はエキシマ処理機構を採用することで、過大な設備化を抑制できる。
次に、剥離部よりも流れ方向MDの後段に設けられる任意の構成要素について説明する。
(回収部)
剥離部よりも流れ方向MDの後段には、回収部を設けることができる。回収部は、剥離部上において微細パタン形成用フィルム101の剥離された被処理体104を回収する。この回収部は、微細パタン形成用フィルム101の剥離された被処理体104を保持しつつ、次の処理のための装置や一時的な保管装置まで搬送する。回収部による被処理体104の保持は、被処理体104の外周縁部を把持することや、被処理体104の微細パタン形成用フィルム101が貼り合わせされていた面とは反対側の面、即ち露出面を支持することにより実現できる。また、回収部として、当業者に周知のカセット支持方式を採用することもできる。
(エネルギー線照射部、加熱部、冷却部)
剥離部206よりも微細パタン形成用フィルム101の流れ方向MDの後段であり、且つ、回収部により前段にエネルギー線照射部を設けることができる。エネルギー線照射部により微細パタン形成用フィルム101が剥離され、表面に凹凸構造が転写された被処理体104、即ち図5C示す微細マスク構造体16に相当するものに、エネルギー線を照射することで、被処理体104を安定化することが可能となり、次の処理のおける適用度や保存安定性が向上する。なお、エネルギー線照射部の代わりに加熱部を設けても同様の効果を得ることができる。なお、加熱部を設けた場合、加熱部よりも微細パタン形成用フィルム101の流れ方向MDの後段で且つ回収部よりも前段に冷却部を設けることができる。また、剥離部よりも微細パタン形成用フィルム101の流れ方向MDの後段であり、回収部よりも前段に、エネルギー線照射部、加熱部、冷却部の順に設けることもできる。
なお、上記第1の実施の形態においては、微細パタン形成用フィルム101の第1のマスク層表面と直接接するローラは、その表面を鏡面仕上げしたローラを使用した。
<第2の実施の形態>
図18は、第2の実施の形態に係る熱ナノインプリント装置を示す模式図である。以下の説明では、第1の実施の形態で説明したものと同じ構成の部材については、同一の符号を付し、説明を省略する。
第2の実施の形態に係る熱ナノインプリント装置300においては、第1の実施の形態と異なり、カット部501を備えている。
(カット部)
図18に示すように、貼合部201よりも流れ方向MDの後段であって、巻き取りローラ203よりも前段には、カット部501が設けられている。なお、回転体102とカット部501との間、又は、巻き取りローラ203とカット部501との間は、エネルギー線照射部等の任意の構成要素を併設するのに充分な間隔を設けることが好ましい。
カット部501は、微細パタン形成用フィルム101の貼合された被処理体104、即ち積層体207に対して、被処理体104の外周よりも外側に位置する微細パタン形成用フィルム101を完全に又は部分的に裁断する。図19は、第2の実施の形態に係る熱ナノインプリント装置おけるカット部による裁断位置を示す平面模式図である。図19に示すように、微細パタン形成用フィルム101/被処理体104からなる積層体207に対し、被処理体104の外周より外側をカット部501により裁断する。図19中の一点破線により、裁断位置502を示す。
ここで、裁断は、微細パタン形成用フィルム101と積層体207とが完全に分離するように、被処理体104より外側に設定した裁断位置502で微細パタン形成用フィルム101を完全に切り抜いてもよい。また、微細パタン形成用フィルム101と積層体207とが分離しないように、裁断位置502で微細パタン形成用フィルム101を部分的に裁断してもよい。例えば、図19に示す裁断位置502の外側の微細パタン形成用フィルム101aと、裁断位置502の内側の、積層体207を構成する微細パタン形成用フィルム101bとが、部分的につながるように裁断することができる。例えば、ミシン目状に裁断する方法や、裁断位置502の外側の微細パタン形成用フィルム101aと内側の微細パタン形成用フィルム101bとが、1か所以上でつながったまま残し、それ以外を裁断する方法を採用できる。
裁断後の微細パタン形成用フィルム101の搬送精度の観点から、図19に示す微細パタン形成用フィルム101の幅方向の裁断幅(I)と微細パタン形成用フィルム101の幅(W)とは、I<Wの関係を満たすことが好ましく、I≦0.99Wを満たすことがより好ましく、I≦0.95Wを満たすことが最も好ましい。
図19においては、カット部501による裁断形状を円形にて模式的に描いているが、裁断形状は、n角形(n≧3)又は角の丸まったn角形(n≧3)を採用できる。なお、nが限りなく大きくなった場合が円形である。特に、裁断性とカット部501を通過した後の微細パタン形成用フィルム101の搬送精度の観点から、微細パタン形成用フィルム101の流れ方向MDに対して平行な線を中心とした線対称な裁断形状であることが好ましい。
カット部501は、少なくとも、微細パタン形成用フィルム101を切断する裁断刃部501aと、積層体207を支持する支持部501bと、から構成される。裁断刃部501aは、積層体207の被処理体104の上方に位置し、微細パタン形成用フィルム101の流れ方向MDに垂直な方向(上下方向)に沿って移動する。また、支持部501bは、積層体207を微細パタン形成用フィルム101の下方から支え、特に、積層体207が微細パタン形成用フィルム101の流れ方向MDに垂直な方向に振動することを抑制する。裁断刃部501aが、支持部501bで支持された積層体207に向かって移動し、裁断が行われる。
貼合部201を経て得られた積層体207はカット部501まで搬送され裁断が行われる。ここで、カット部501により微細パタン形成用フィルム101を裁断位置502で完全に裁断した場合、裁断位置502の外側の微細パタン形成用フィルム101aと、裁断された積層体207を構成する微細パタン形成用フィルム101bとつながっていないため、別に設けられる搬送部(不図示)により、積層体207を搬送する必要がある。
一方で、カット部501により裁断位置502で部分的に裁断した場合、裁断位置502の外側の微細パタン形成用フィルム101aと、裁断された積層体207を構成する微細パタン形成用フィルム101bとは部分的につながっている。この微細パタン形成用フィルム101aと微細パタン形成用フィルム101bとがつながっている部分を接続部と呼ぶ。この接続部が残っているため、裁断された微細パタン形成用フィルム101aの搬送に伴い、積層体207も移動する。なお、第2の実施の形態においては、接続部を設けた場合は、接続部の幅は2mm以下として、接続部の点数は4点と2点の2種類を実施した。
ここで、貼合部201からカット部501までの間、積層体207の搬送は、積層体207の被処理体を固定する固定手段を別途設けることでも実現することができる。しかし、装置の過大化を抑制する観点から、微細パタン形成用フィルム101の流れを利用して搬送する、換言すれば第1の実施の形態にて説明したように、微細パタン形成用フィルム101を被処理体のキャリアとして機能させることが好ましい。
第1の実施の形態と同様に、第2の実施の形態に係る熱ナノインプリント装置300においても、貼合部201とカット部501との間に、エネルギー照射部、積層体加熱部及び冷却部を組み込むことができる。また、貼合部201よりも流れ方向MDの前段には、搬送部及び前処理部を組み込むことができる。
(分離部)
更に、第2の実施の形態に係る熱ナノインプリント装置300においては、第1の実施の形態における剥離部206に代わって分離部を設けることができる。
カット部501により積層体207の微細パタン形成用フィルム101を、裁断位置502で部分的に裁断した場合、積層体207が切り出された微細パタン形成用フィルム101aと積層体207の微細パタン形成用フィルム101bと間には接続部あり、部分的につながっているので、微細パタン形成用フィルム101の搬送に伴い、積層体207も移動する。即ち、図18に示すように、カット部501よりも微細パタン形成用フィルム101の流れ方向MDの後段に分離部503を設けることで、微細パタン形成用フィルム101aと、積層体207と、を分離することができる。
分離部503は、微細パタン形成用フィルム101aと、積層体207とを分離できれば特に限定されない。即ち、分離部503において、積層体207は、垂直方向の移動をほぼ固定されると共に、微細パタン形成用フィルム101aから、積層体207が分離される。特に、搬送される微細パタン形成用フィルム101aの流れを利用して分離できる分離部503であれば、微細パタン形成用フィルム101aの捩れをより抑制すると共に、積層体207の微細パタン形成用フィルム101bと被処理体104との界面への集中応力を抑制できる。更に、貼合部201での微細パタン形成用フィルム101とある被処理体104(A)との押圧と、分離部503での微細パタン形成用フィルム101の別の被処理体104(B)との分離と、を同時に行うことができるため、装置の過大化を抑制しながら、タクトを向上させることができる。
更に、分離部503において、微細パタン形成用フィルム101aの流れ方向MDが変化することで、積層体207を分離することが好ましく、後述するような分離用ローラや分離用エッジを利用できる。例えば、積層体207の被処理体104の露出面を保持(固定)し、微細パタン形成用フィルム101aの流れ方向MDが分離用エッジ又は分離用ローラにより変化することで、積層体207を、精度高く分離することができる。
分離部503は、具体的には、第1の実施の形態で図15及び図16を参照して説明した剥離部206と同様の構成であって良い。
分離部503における部分的に裁断された微細パタン形成用フィルム101の方向変化は、第1の実施の形態において図17を用いて説明した剥離角θ1を、分離角θ1と読み替えることで定義することができる。即ち、図17に示すように、分離部503を通過前の微細パタン形成用フィルム101の流れ方向(MD−1)の作る面と、分離部503を通過した後の微細パタン形成用フィルム101の流れ方向(MD−2)の作る面とのなす角θ1を分離方向の変化量として定義する。この角度θ1は分離角である。分離角θ1は、15度以上170度以下であることが好ましい。15度以上であることにより、積層体207の微細パタン形成用フィルム101と被処理体104との界面に加わる分離応力を小さくできるため、熱ナノインプリント法の転写精度が向上する。一方170度以下であることにより、微細パタン形成用フィルム101の搬送に係る負荷が低下するため、搬送精度が向上する。同様の理由から、分離角θ1は、30度以上160度以下であることがより好ましく、60度以上160度以下であることが最も好ましい。なお、分離角θ1が90度以上であることで、装置の過大化を抑制することができる。よりコンパクトな装置を設計する観点から、分離角θ1は、100度以上であることが好ましく、110度以上であることがより好ましく、125度以上であることが最も好ましい。なお、分離通過前の微細パタン形成用フィルム101の流れ方向(MD−1)の作る面は、剥離前の被処理体104の被処理面と略平行である。
カット部501或いは分離部503よりも流れ方向MDの後段には、第1の実施の形態と同様に、回収部を設けることができる。更に、回収部よりも流れ方向MDの後段には、第1の実施の形態と同様に、エネルギー線照射部、加熱部及び冷却部を設けることができる。
<第3の実施の形態>
以下、第3の実施の形態に係る熱ナノインプリント装置について図面を参照して詳細に説明する。第3の実施の形態に係る熱ナノインプリント装置は、第1の実施の形態に係る熱ナノインプリント装置200と同様に剥離部206を有するものである。上記実施の形態と同様の構成の部材については、同一の番号を付して説明を省略する。
図20は、第3の実施の形態に係る熱ナノインプリント装置を示す模式図である。第3の実施の形態に係る熱ナノインプリント装置600は、長尺の微細パタン形成用フィルム101が巻き回された送出しローラ202を具備する。送出しローラ202は、微細パタン形成用フィルム101を所定の速度で送出する。この送出しローラ202と対になって、送出された微細パタン形成用フィルム101を巻き取る巻き取りローラ203が設けられている。
なお、上記第2の実施の形態においては、第1の実施の形態と同様に、微細パタン形成用フィルム101の第1のマスク層表面と直接接するローラは、その表面を鏡面仕上げしたローラを使用した。
(保護層の剥離)
微細パタン形成用フィルム101上に保護層601が設けられる場合、送出しローラ202よりも微細パタン形成用フィルム101の流れ方向MDの後段には、微細パタン形成用フィルム101から保護層601を剥離する保護層剥離ローラ部602が設けられる。送出しローラ202の近傍にダンサーローラを設置した場合は、保護層剥離ローラ部602は、ダンサーローラよりも微細パタン形成用フィルム101の流れ方向MDの後段に設けられる。保護層剥離ローラ部602には、保護層601の流れ方向の後段に、保護層601を巻き取って回収する保護層巻き取りローラ603が併設されている。保護層剥離ローラ部602は、駆動部を具備しないフリーローラであっても、駆動部を付帯したローラであっても、微細パタン形成用フィルム101より保護層601を剥離可能であれば特に限定されない。一方、保護層巻き取りローラ603は、微細パタン形成用フィルム101より剥離された保護層601を巻き取り回収する役割を担うため、駆動部を付帯することが好ましい。駆動部により回転する保護層巻き取りローラ603は、送出しローラ202から送出される微細パタン形成用フィルム101の速度と同期してもよく、微細パタン形成用フィルム101の撓みや蛇行といった搬送不良を抑制するために、微細パタン形成用フィルム101のテンション制御を、保護層巻き取りローラ603の駆動にトルクモータを使用することや、保護層巻き取りローラ603と保護層剥離ローラ部602との間にダンサーローラを設置することができる。トルクモータや、ダンサーローラを設けることで、保護層601に一定のテンションをかけることができる。また、保護層剥離ローラ部602は、貼合部201の回転体102に近い位置に設けられると、保護層601を剥離し露出した微細パタン形成用フィルム101の表面の異物の付着を抑制し、その結果、微細パタン形成用フィルム101と被処理体104の表面との貼合精度が向上するため、好ましい。
図20に示すように、微細パタン形成用フィルム101上に保護層601がある場合は、保護層剥離ローラ部602よりも流れ方向MDの更に後段に、被処理体保持部205が設けられる。微細パタン形成用フィルム101が保護層601を具備しない場合は送出しローラ202よりも流れ方向MDの更に後段に、被処理体保持部205を設置できる。
ここで、被処理体保持部205により保持された被処理体104の被処理面と、回転体102よりも流れ方向MDの前段における微細パタン形成用フィルム101の第1のマスク層面とは、傾きを有することが好ましい。より具体的には、図21を用いて説明する。図21は、第3の実施の形態に係る熱ナノインプリント装置における貼合部での微細パタン形成用フィルムと被処理体との関係を示す模式図である。図21に示すように、微細パタン形成用フィルム101は、送出しローラ202から送り出される。送出しローラ202よりも後段には、ガイドローラ701、ダンサーローラ702、ガイドローラ703が配置されている。微細パタン形成用フィルム101は、ガイドローラ703により流れ方向MDが変えられる。更に、ガイドローラ703よりも後段に位置する回転体102により流れ方向MDが変えられる。即ち、ガイドローラ703と回転体102との間では、微細パタン形成用フィルム101と被処理体104とは互いに非平行な状態になっている。このような状態を作ることで、回転体102を使用し、微細パタン形成用フィルム101と被処理体104を貼合する際の気泡の巻き込みを抑制することが可能となる。ここで、ガイドローラ703と回転体102との間では、被処理体104の被処理面に平行な面内において、微細パタン形成用フィルム101の第1のマスク層面と、被処理体104の被処理面とがなす角度θ2は、0度超80度以下であると、貼合性が向上するため好ましい。より好ましくは0.1度以上60度以下であり、0.2度以上30度以下であることが最も好ましい。
(断続的貼合、連続的貼合)
回転体102により、微細パタン形成用フィルム101の第1のマスク層面と被処理体104の被処理面とが貼合及び押圧される際、微細パタン形成用フィルム101の搬送は停止する。微細パタン形成用フィルム101の搬送が停止し、回転体102が流れ方向MDとは反対方向に且つ被処理体104の被処理面と平行な面内で移動する。これにより、被処理体保持部205により固定された被処理体104と微細パタン形成用フィルム101とが貼合される。その後、微細パタン形成用フィルム101の搬送が再開する。ここで、微細パタン形成用フィルム101の搬送の再開と略同時、又は、再開前に、被処理体保持部205から被処理体104は脱着される。即ち、微細パタン形成用フィルム101の搬送再開により、被処理体104は微細パタン形成用フィルム101により搬送されるようになる。続いて、微細パタン形成用フィルム101上の被処理体104が、回転体102の初期位置を通過した後に、回転体102が初期位置に戻る。
又は、貼合後、回転体102が初期位置に戻り、その後、微細パタン形成用フィルム101の搬送が再開する。ここで、微細パタン形成用フィルム101の搬送の再開と略同時、又は、再開前に、被処理体保持部205から被処理体104は脱着される。即ち、微細パタン形成用フィルム101の搬送再開により、被処理体104は微細パタン形成用フィルム101により搬送されるようになる。
上記説明したように、微細パタン形成用フィルム101の搬送の再開前に、被処理体保持部205から被処理体104が脱着されることで、被処理体104の端部も含めた面内に対する微細パタン形成用フィルム101の貼合精度が向上するため、好ましい。より具体的には、まず、被処理体保持部205により被処理体104の被処理面とは反対側の面を固定する。例えば、減圧固定を採用できる。次に、押圧部100の回転体102により、被処理体104の一端部から、微細パタン形成用フィルム101の貼合を開始する。その後、押圧分だけ回転体102は、回転しながら被処理体104の他端部へと向かい、微細パタン形成用フィルム101の貼合が行われる。ここで、回転体102が被処理体104の他端部を通過しきる前に、被処理体の固定を開放する。例えば、被処理体保持部205による保持が、減圧チャックである場合、減圧を開放する。この状態で、回転体102は、回転しながら被処理体104の他端部を通過する。これにより、被処理体104の端部も含めた面内に渡り、微細パタン形成用フィルム101を貼合することができる。
上記説明したような断続的な貼合を、以下、断続的貼合という。なお、微細パタン形成用フィルム101の被処理体104に対する貼合及び押圧は、上述した断続的貼合だけでなく、連続的貼合にて行うこともできる。連続的貼合とは、微細パタン形成用フィルム101の搬送が、各工程で停止せず、微細パタン形成用フィルム101の被処理体104への貼合が、連続的に行われる場合をいう。連続的貼合は、回転体102の位置が固定され、又は、移動し、被処理体保持部205が微細パタン形成用フィルム101の流れ方向MDに移動することで行われる。
断続的貼合又は連続的貼合のいずれの場合であっても、回転体102は回転軸を中心に回転することが好ましい。この場合、回転体102と、被処理体104との関係は、既に図10を参照して説明した距離Xの範囲を満たすことが好ましい。
回転体102は、被処理体104の被処理面に対して平行に移動し、微細パタン形成用フィルム101と被処理体104が貼合及び押圧される。微細パタン形成用フィルム101の被処理体104への貼合が断続的貼合の場合、被処理体保持部205が静止した状態で、回転体102が微細パタン形成用フィルム101の流れ方向MDに平行で且つ逆方向に移動する。この際、被処理体104の被処理面と微細パタン形成用フィルム101とが回転体102により貼合及び押圧される。その後、被処理体104は被処理体保持部205から離脱し、微細パタン形成用フィルム101と一体となって搬送される。即ち、微細パタン形成用フィルム101は、被処理体104のキャリアとして機能する。続いて、微細パタン形成用フィルム101上の被処理体104が回転体102の初期位置を通過した後に、回転体102が初期位置に戻る。
また、微細パタン形成用フィルム101の被処理体104への貼合が連続的貼合の場合は、回転体102は固定されるか、又は、微細パタン形成用フィルム101の流れ方向MDとは逆方向に移動する。前者の場合、被処理体保持部205の移動速度は、微細パタン形成用フィルム101の搬送速度と同期し、微細パタン形成用フィルム101の搬送速度が貼合・押圧速度となる。一方、後者の場合、微細パタン形成用フィルム101の搬送速度と、回転体102の移動速度と、の相対速度差が微細パタン形成用フィルム101の貼合・押圧速度となり、微細パタン形成用フィルム101の搬送速度より該貼合・押圧速度を上げることができる。また、微細パタン形成用フィルム101の被処理体104への貼合が連続的貼合の場合、後述する剥離部206での剥離速度は、微細パタン形成用フィルム101の搬送速度と同一となるため、貼合・押圧速度が剥離速度よりも高速であることが必要な場合に有効である。
回転体102上では、微細パタン形成用フィルム101と被処理体104の被処理面とが対面した状態で且つ互いに接触した状態となる。この状態で、回転体102が移動することにより、微細パタン形成用フィルム101及び被処理体104が、回転体102と被処理体保持部205との間に挟まれて圧力がかかった状態となる。この結果、微細パタン形成用フィルム101及び被処理体104は貼合・押圧される。
回転体102の加圧手段としては、図20に示す加圧手段204のように、回転体102を下方から微細パタン形成用フィルム101に向かって押圧するものであっても、被処理体保持部205によって被処理体104及び微細パタン形成用フィルム101を上方から回転体102に向かって押圧するものであっても、それらの両方であっても良い。
更に、回転体102と被処理体保持部205の少なくとも一方には、押圧加熱部(不図示)が付帯されている。
また、回転体102により微細パタン形成用フィルム101と被処理体104とを押圧する際、図12を参照して説明した角度Θは、1度以上60度以下であると、低温且つ低圧での熱ナノインプリント精度が向上するため好ましい。第3の実施の形態においては、角度Θは、1度以上10度以下に設定している。
更に、回転体102には、微細パタン形成用フィルム101の搬送に支障をきたさない程度で、回転体102の回転摩擦を低減する回転補助部(不図示)を連結しても良い。回転補助部は、例えば、回転体102の回転軸に連結された軸受けである。
貼合部201よりも流れ方向MDの後段であって、巻き取りローラ203よりも前段には、後述するエネルギー線照射部を併設するのに充分な間隔をおいて、剥離部206が設けられている。剥離部206は、剥離用ローラ604を備えている。剥離用ローラ604は、微細パタン形成用フィルム101の幅方向全体に亘って延設されている。また、剥離用ローラ604の断面形状は、略真円形である。剥離用ローラ604の、微細パタン形成用フィルム101の幅方向の長さは、微細パタン形成用フィルム101を剥離する積層体207の大きさ、即ち被処理体104の大きさよりも大きければ特に限定されない。特に、微細パタン形成用フィルム101の幅方向に複数の被処理体104を配置し、同時に微細パタン形成用フィルム101を積層体207より剥離するために、剥離用ローラ604は微細パタン形成用フィルム101の幅方向全体に亘って延設されると好ましい。更に、剥離用ローラ604の微細パタン形成用フィルム101の幅方向に対する長さは、貼合部201の微細パタン形成用フィルム101の幅方向に対する長さ以上であると好ましい。特に、過大な設備化を抑制する観点から、剥離用ローラ604の微細パタン形成用フィルム101の幅方向に対する長さと、貼合部201の微細パタン形成用フィルム101の幅方向に対する長さは、略同等であるとより好ましい。
また、剥離用ローラ604は、微細パタン形成用フィルム101の搬送に伴って受動的に回転することが剥離の精度を向上するため好ましい。剥離用ローラ604の回転機構には、フリーローラによる回転機構や、微細パタン形成用フィルム101の搬送に同期、即ち、送出しローラ202又は巻き取りローラ203が駆動部による回転に同期した回転機構を採用することができる。
また、剥離用ローラ604は、例えば、回転軸の周りに円筒形のロールを取り付けたものであり、このロールの表面の材質は特に限定されないが、樹脂やゴム等の弾性体であることが、剥離の精度を向上できる点で好ましい。
また、剥離用ローラ604には、被処理体104を固定する固定手段605が併設されている。固定手段605は、被処理体104の被処理面とは反対側の露出面を保持するようになっている。
剥離部206において、図17を参照して説明したように、剥離角θ1は、15度以上170度以下であることで、熱ナノインプリント法により得られる凹凸構造への負荷(剥離応力)が低減され、微細パタン形成用フィルム101の搬送に係る負荷が低下するため、好ましい。第3の実施の形態においては、剥離角θ1を95度以上150度以下の範囲で設定している。
回転体102及び剥離部206の間には、エネルギー線照射部610が設けられている。エネルギー線照射部610は、被処理体104側に設けられ、被処理体104に向かってエネルギー線が照射される。
ここで、エネルギー線は、微細パタン形成用フィルム101を構成する材質により適宜選定できるため、特に限定されないが、第3の実施の形態においては、UV−LED光源を選定し、エネルギー線を照射し始めてから照射し終えるまでの積算光量を、800mJ/cm2〜2000mJ/cm2の範囲としている。
送出しローラ202よりも流れ方向MDの前段側には、前処理部(不図示)を設けることができる。前処理部では、被処理体保持部で保持される被処理体104の被処理面を前処理することができる。
一方、剥離部206よりも流れ方向MDの後段には、上記説明した回収部(不図示)を設けることができる。第3の実施の形態においては、固定手段605が回収部を兼ねるようにしている。即ち、剥離部206において微細パタン形成用フィルム101を被処理体104より剥離する際、被処理体104の露出面を固定手段605により固定し、カバーフィルムを剥離した後に、固定手段605により被処理体104を保持し、固定手段605を移動させることで被処理体104を回収する。
更に、剥離部206よりも微細パタン形成用フィルム101の流れ方向MDの前段であり、且つ、エネルギー線照射部610よりも後段に、積層体加熱部611を設けた。積層体加熱部611を設けることで、微細パタン形成用フィルム101と被処理体104との界面を安定化することが可能となる。積層体加熱部611による加熱温度は、既に説明したように被処理体104の温度が、30℃〜200℃の範囲になるように加熱できると好ましい。第3の実施の形態においては、被処理体104の温度が80℃以上130℃以下の範囲になるように加熱温度を設定している。
更に、剥離部206よりも微細パタン形成用フィルム101の流れ方向MDの前段であり、且つ、積層体加熱部611よりも後段に、冷却部612を設けた。冷却部612を設けることで、微細パタン形成用フィルム101の剥離性を向上させることができる。冷却部612では、既に説明したように、被処理体104の温度が120℃以下になるように冷却すると、剥離性を向上できるため好ましい。第3の実施の形態においては、該温度が30℃以下になるまで、風を吹き付けることで冷却している。
なお、剥離部206よりも微細パタン形成用フィルム101の流れ方向MDの後段であり、且つ、回収部により前段に、図示しない他のエネルギー線照射部を設けることができる。他のエネルギー線照射部により、被処理体104の表面に熱ナノインプリントにより転写された凹凸構造を安定化することが可能となり、転写以降の処理における凹凸構造の適用度や保存安定性が向上する。なお、他のエネルギー線照射部の代わりに他の加熱部を設けても同様の効果を得ることができる。
図22は、第3の実施の形態に係る熱ナノインプリント装置の変形例を示す模式図である。図22に示すように、第3の実施の形態に係る熱ナノインプリント装置600は、剥離用ローラ604の代わりに、剥離用エッジ620を備えていても良い。
図23は、第3の実施の形態に係る熱ナノインプリント装置の変形例を示す模式図である。図23は、図20に示す第3の実施の形態に係る熱ナノインプリント装置600を、微細パタン形成用フィルム101の第1のマスク層面を下方に向け、被処理体104を、微細パタン形成用フィルム101に対して下方から対面させ、貼り合わせるような構成に変更したものを示している。
図24は、第3の実施の形態に係る熱ナノインプリント装置の変形例を示す模式図である。図24に示すように、図22に示す第3の実施の形態に係る熱ナノインプリント装置600を、微細パタン形成用フィルム101の第1のマスク層面を下方に向け、被処理体104を、微細パタン形成用フィルム101に対して下方から対面させ、貼り合わせるような構成に変更したものを示している。
図25は、第3の実施の形態に係る熱ナノインプリント装置の変形例を示す模式図である。図25に示すように、第3の実施の形態に係る熱ナノインプリント装置600は、剥離用ローラ604の代わりに、移動用ローラ631及び剥離用ローラ632を備えていても良い。
移動用ローラ631及び剥離用ローラ632による微細パタン形成用フィルム101の剥離は、図16A及び図16Bを参照して説明した通りである。
図26は、第3の実施の形態に係る熱ナノインプリント装置の変形例を示す模式図である。図26に示すように、図25に示す第3の実施の形態に係る熱ナノインプリント装置600を、微細パタン形成用フィルム101の第1のマスク層面を下方に向け、被処理体104を、微細パタン形成用フィルム101に対して下方から対面させ、貼り合わせるような構成に変更したものを示している。
第3の実施の形態においても、第1の実施の形態及び第2の実施の形態と同様に、微細パタン形成用フィルムの第1のマスク層表面が直接触れるロールは、その表面を鏡面仕上げしたロールであることが好ましい。また、貼合部には、静電気を抑制するために除電機を設けることができる。同様に、剥離部206にも除電機を設けることができる。
(熱ナノインプリント方法)
以上のような構成からなる第3の実施の形態に係る熱ナノインプリント装置600を用いた熱ナノインプリント方法について説明する。
まず、送出しローラ202から微細パタン形成用フィルム101を搬出し、巻き取りローラ203で巻き取ることにより、保護層剥離ローラ部602、貼合部201の順で微細パタン形成用フィルム101を搬送する。
保護層601を、保護層剥離ローラ部602において微細パタン形成用フィルム101から剥離し、保護層巻き取りローラ603に巻き取り、回収する。
一方、被処理体104を、格納庫(不図示)から取り出す。被処理体104は、前処理部(不図示)により被処理体104の被処理面上に前処理を行ってもよい。第3の実施の形態においては、UV−O3処理、エアーブロー及び除電処理を順次行う。
次に、被処理体104は、被処理体保持部205により保持する。第3の実施の形態においては、減圧吸着により保持している。次に、被処理体104は被処理体保持部205により回転体102の手前に搬送される。第3の実施の形態においては、被処理体保持部205は、減圧吸着手段205aを備え、この減圧吸着手段205aを上方に向けた状態で被処理体保持部205の上に被処理体104を配置し、吸着固定する。続いて、被処理体保持部205が移動及び上下反対になるように回転することで、回転体102の手前まで被処理体104を搬送し、静止する。このとき、被処理体104の被処理面と、微細パタン形成用フィルム101とが、接触せずに傾きを有して対向した状態となる。
その後、回転体102が微細パタン形成用フィルム101の流れ方向MDとは逆方向に移動するか、又は、微細パタン形成用フィルム101が搬送されている状態で被処理体保持部205が微細パタン形成用フィルム101の搬送速度と同じ速度で移動する。これにより、被処理体保持部205と回転体102により、被処理体104と微細パタン形成用フィルム101が挟まれる。
次いで、微細パタン形成用フィルム101は、回転体102による押圧力を受けて、被処理体104に対して押圧される。このとき、微細パタン形成用フィルム101の表面と、被処理体104の表面とが互いに対面した状態になっている。第3の実施の形態においては、回転体102により微細パタン形成用フィルム101と被処理体104とを押圧する際、図12を参照して説明した角度Θは、1度以上10度以下に設定している。
このとき、被処理体104を、押圧加熱部により加熱される。第3の実施の形態においては、被処理体保持部205及び回転体102の双方に押圧加熱部を付帯させ、この押圧加熱部により被処理体保持部205の被処理体104と接する面及び回転体102の表面の温度を、60度〜130度の範囲にて加熱している。
ここでは、押圧加熱部により加熱された被処理体104に、回転体102にて実質的に線としての圧力を加えながら微細パタン形成用フィルム101と被処理体104とを貼合及び押圧することで、低温且つ低圧にて熱ナノインプリントを良好に行うことができる。
この結果、貼合部201における回転体102による貼合及び押圧により、微細パタン形成用フィルム101/被処理体104から構成される積層体207が得られる。
貼合及び押圧が完了すると、被処理体保持部205は、被処理体104を解放し、微細パタン形成用フィルム101の搬送により、積層体207がエネルギー線照射部610に移動する。
次に、積層体207を、微細パタン形成用フィルム101の搬送により、エネルギー線照射部610の照射領域まで搬送し、エネルギー線を照射する。エネルギー線の照射は、断続的貼合の場合、エネルギー線照射部610の照射領域下で微細パタン形成用フィルム101が静止することで行われる。一方、連続的貼合の場合、微細パタン形成用フィルム101を搬送することで、積層体207にエネルギー線が照射される。
第3の実施の形態においては、エネルギー線は、被処理体104に向かって照射される。また、光源として365nmの中心波長を有するUV−LED光源を選定し、積算光量が800mJ/cm2〜2000mJ/cm2になるように設定している。
続いて、微細パタン形成用フィルム101を搬送することで、積層体207を、微細パタン形成用フィルム101の流れ方向MDの後段に向かって、積層体加熱部611へと搬送する。積層体加熱部611では、第3の実施の形態においては、被処理体104の温度が80℃以上130℃以下の範囲になるように設定している。
また、第3の実施の形態においては、積層体207を一対の平板(不図示)で挟み、各平板を共に加熱することで、積層体207の加熱を行っている。
続いて、微細パタン形成用フィルム101を搬送することで、積層体207を、微細パタン形成用フィルム101の流れ方向MDの後段に向かって冷却部612へと搬送する。第3の実施の形態においては、積層体207の温度が30℃以下になるまで、風をふきつけることで冷却している。
更に、微細パタン形成用フィルム101を搬送することで、積層体207を、微細パタン形成用フィルム101の流れ方向MDの後段に向って、剥離部206まで搬送する。この剥離部206より、積層体207からカバーフィルムを剥離する。
断続的貼合の場合、図25及び図26を用いて説明した、剥離部206が移動用ローラ631及び剥離用ローラ632を備えた熱ナノインプリント装置600を利用する。即ち、積層体207の被処理体104の露出面を固定手段605により吸着保持し、積層体207と微細パタン形成用フィルム101とが静止した状態で、移動用ローラ631が、図中矢印Bで示すように、微細パタン形成用フィルム101の送り方向MDとは逆方向に移動することで、剥離用ローラ632も同様に移動し、積層体207からカバーフィルムが剥離される。その後、微細パタン形成用フィルム101は、巻き取りローラ203で巻き取られる。
一方、連続的貼合の場合、例えば、図23及び図24を用いて説明した、剥離部206が剥離用エッジ620を備えている熱ナノインプリント装置600を利用する。即ち、積層体207の被処理体104の露出面を固定手段605で吸着保持し、微細パタン形成用フィルム101と搬送速度と同じ速度で且つ微細パタン形成用フィルム101の送り方向MDに平行な方向に固定手段605を移動する。一方、微細パタン形成用フィルム101は剥離用エッジ620で流れ方向MDが変化する。これにより、積層体207において、被処理体104が微細パタン形成用フィルム101から剥離される。被処理体104は、固定手段605により保持されたままで回収部621まで移動する。一方、微細パタン形成用フィルム101は、巻き取りローラ203で巻き取られる。
このようにして、剥離部206において、積層体207からカバーフィルムが剥離され、熱ナノインプリントにより転写付与された凹凸構造付きの被処理体104、即ち、図5Cに示す中間体21が得られる。
なお、第3の実施の形態においては、断続的貼合の場合、剥離部206の直前まで微細パタン形成用フィルム101の搬送により移動した積層体207は、微細パタン形成用フィルム101の搬送停止に伴い静止する。続いて、固定手段605が被処理体104の直上まで移動し、続いて被処理体104に向かって下降して、被処理体104を減圧固定している。
最後に、第1のマスク層及び第2のマスク層付きの被処理体104を回収部により回収する。図20、図23、図25及び図26に示す熱ナノインプリント装置600においては、固定手段605を回収部として併用している。
以上、第3の実施の形態について説明したが、各構成要素の配置は、直線的な配置の他に、円形状に配置することで、装置の過大化を抑制することができる。
<第4の実施の形態>
以下、第4の実施の形態に係る熱ナノインプリント装置について図面を参照して詳細に説明する。図27は、第4の実施の形態に係る熱ナノインプリント装置を示す模式図である。上述の実施の形態と同じ構成からなる部材については同一の番号を付し、説明を省略する。
第4の実施の形態に係る熱ナノインプリント装置800は、図18を用いて説明したカット部501を備えていることを特徴とする。
熱ナノインプリント装置800は、長尺の微細パタン形成用フィルム101が巻き回された送出しローラ202を具備する。送出しローラ202は、微細パタン形成用フィルム101を所定の速度で送出する。この送出しローラ202と対になって、送出された微細パタン形成用フィルム101を巻き取る巻き取りローラ203が設けられる。巻き取りローラ203の微細パタン形成用フィルム101の巻き取り機構は、第2の実施の形態にて説明した通りである。
微細パタン形成用フィルム101に保護層601が設けられる場合、送出しローラ202よりも微細パタン形成用フィルム101の流れ方向MDの後段に、上述の実施の形態にて説明したのと同様に、保護層剥離ローラ部602及び保護層巻き取りローラ603を設けることができる。
保護層剥離ローラ部602よりも流れ方向MDの更に後段には、貼合部201が設けられている。貼合部201は、上述した第3の実施の形態と同様に、回転体102及び加圧手段204を含む押圧部100を備えている。また、保護層剥離ローラ部602及び貼合部201の間には、被処理体保持部205が設置されている。被処理体保持部205の保持機構は、上述した第3の実施の形態にて説明したのと同様の機構を採用できる。
ここで、貼合部201よりも流れ方向MDの前段において、被処理体保持部205により保持された被処理体104の被処理面と微細パタン形成用フィルム101とは、上述した第3の実施の形態にて説明したのと同様に傾きを有することが好ましい。
回転体102による微細パタン形成用フィルム101の凹凸構造面と被処理体104の被処理面との貼合及び押圧は、断続的貼合或いは連続的貼合によらず、上述した第3の実施の形態にて説明したのと同様に行うことができる。
また、回転体102と被処理体保持部205の少なくとも一方に、押圧加熱部(不図示)を、第3の実施の形態と同様に設けることができる。第4の実施の形態においても、第3の実施の形態と同様に、回転体102及び被処理体保持部205の両方に押圧加熱部を設けている。
また、被処理体104を、格納庫(不図示)から取り出し、前処理部(不図示)により被処理体104の被処理面に前処理を行ってもよい。第4の実施の形態においては、エキシマ処理、エアーブロー及び除電処理を順次行っている。
回転体102よりも流れ方向MDの後段であって、巻き取りローラ203よりも前段には、カット部501が設けられている。なお、回転体102とカット部501との間、又は、巻き取りローラ203とカット部501との間は、後述するエネルギー線照射部等を併設するのに充分な間隔を設けると好ましい。
ここで、回転体102からカット部501までの間において、微細パタン形成用フィルム101/被処理体104よりなる積層体207の搬送は、積層体207の被処理体104の露出面を固定する固定手段を別途設けることでも実現することができる。しかし、第3の実施の形態と同様に、装置の過大化を抑制する観点から、微細パタン形成用フィルム101の流れを利用して搬送する、換言すれば微細パタン形成用フィルム101を被処理体104のキャリアとして機能させることが好ましい。
カット部501は、既に説明したように、微細パタン形成用フィルム101の貼合された被処理体104に対して、被処理体104の外周よりも外側に位置する微細パタン形成用フィルム101を完全に又は部分的に切断する。第4の実施の形態においては、部分的に裁断する形式を採用している。より具体的には、第4の実施の形態においては、カット部501は、微細パタン形成用フィルム101を切断する裁断刃部501aと、積層体207を支持する支持部501bと、から構成されている。裁断刃部501aには、被処理体104よりも大きく、且つ、外周形状が被処理体104と略相似形状の裁断刃504を使用している。裁断刃504に点対称に4か所の刃の無い部分を設けている。即ち、カット部501により裁断された微細パタン形成用フィルム101は、裁断位置の外側(図19中101a)と内側(図19中101b)との間に、被処理体104を中心に点対称に4か所の部分的な接続部を残して裁断される。また、既に説明した通り、微細パタン形成用フィルム101の搬送精度の観点から、第4の実施の形態においては、微細パタン形成用フィルム101の幅方向の裁断幅(I)は、微細パタン形成用フィルム101の幅(W)に対して、0.8W〜0.99Wの間になるように設定する。
カット部501は、更に、例えばスポンジで構成される略円柱状の弾性体505を備えている。弾性体505の厚みは裁断刃504よりも大きい。また、弾性体505には、円形に溝部505aが設けられている。この溝部505a内に裁断刃504がその全体を収容可能に埋没して取り付けられている。これにより、弾性体505が外部から圧力を受けて圧縮されると、裁断刃504の刃先が外部に突出するようになっている。カット部501は図示しない駆動手段により昇降可能になっている。
また、微細パタン形成用フィルム101を挟んで、裁断刃部501aの反対側には、積層体207を被処理体104側から支持する金属製の支持台506が設けられている。支持台506は、例えば固定されている。上述の裁断刃部501aの弾性体505及び支持台506により、支持部501bが構成され、積層体207の上下の面を挟持する。より具体的には、微細パタン形成用フィルム101を裁断するときに、カット部501が下降し、支持台506は固定される。このため、積層体207を上下から挟み込むことができる。更にカット部501の下降により、弾性体505の弾性変形が生じ、裁断刃部501aが微細パタン形成用フィルム101に押し込まれる。即ち、カット部501の下降により、弾性体505に圧力が加わり、弾性体505が圧縮され、裁断刃504が突出する。この結果、微細パタン形成用フィルム101が裁断される。
上述したように、カット部501により、積層体207の微細パタン形成用フィルム101を部分的に裁断する。即ち、図19に示すように、被処理体104上の微細パタン形成用フィルム101aと、被処理体104上の微細パタン形成用フィルム101bとは、接続点を有す。このため、微細パタン形成用フィルム101の流れ方向MDの更に後段への積層体207の搬送は、微細パタン形成用フィルム101の搬送により行うことができる。
カット部501よりも微細パタン形成用フィルム101の流れ方向MDの前段に、エネルギー線照射部を設けることができる。エネルギー線照射部については、既にした通りである。第4の実施の形態においては、エネルギー線は、被処理体104に向かって照射している。また、光源として365nmの中心波長を有すUV−LED光源を選定し、積算光量が800mJ/cm2〜2000mJ/cm2になるように設定している。
カット部501よりも微細パタン形成用フィルム101の流れ方向MDの後段には、分離部503を設けることができる。分離部503を設けることにおり、部分的に裁断された微細パタン形成用フィルム101b/被処理体104からなる積層体207を、微細パタン形成用フィルム101aより完全に分離し、積層体207を連続的に得ることができる。
分離部503は、既に第2の実施の形態において説明した通りの構成である。第4の実施の形態においては、積層体207の被処理体104の露出面を保持(固定)し、部分的に裁断された微細パタン形成用フィルム101aの流れ方向MDが、剥離用ローラ503aにより変化することで、微細パタン形成用フィルム101aから積層体207を分離する。
第4の実施の形態においては、図17を参照し説明した分離角θ1は、95度以上170度以下の範囲に設定している。
また、分離部503においては、被処理体104の露出面を脱着自在に固定できる固定手段を更に設けることで、上記分離部503による分離時の積層体207の物理的バランスが良好となるため、微細パタン形成用フィルム101aの捩れや熱ナノインプリントにより得られる凹凸構造の欠損をより抑制できる。固定手段は、減圧チャック、静電チャック、外周縁部を把持する方式、又は当業者に周知のカセット支持方式を採用できる。
分離部503よりも流れ方向MDの後段には、回収部(不図示)を設けることができる。回収部は、積層体207を回収する。この回収部は、積層体207を保持しつつ、次の処理のための装置や一時的な保管装置まで搬送する。回収部による積層体207の保持は、被処理体104の露出面又は微細パタン形成用フィルム101の露出面を支持することにより実現できる。第4の実施の形態においては、分離部503において使用した固定手段を回収手段として併用している。即ち、分離部503においては、固定手段801が被処理体104の表面を固定し、積層体207が分離される。続いて、固定手段801の吸着固定を維持した状態で、固定手段801が移動し、積層体207を回収する。
更に、第4の実施の形態においては、図28及び図29に示すように、分離部503よりも微細パタン形成用フィルム101の流れ方向MDの後段に更に、更に他の構成要素を付加することができる。
図28は、第4の実施の形態に係る熱ナノインプリント装置の変形例を示す模式図である。図28に示すように、熱ナノインプリント装置800は、分離部503で微細パタン形成用フィルム101aより分離された積層体207を搬送する搬送部810を備えている。搬送部810は、一対のコンベアロール811、812に、コンベアベルト813を架け渡したコンベアである。
搬送部810のコンベア終端付近には剥離部814が設けられている。剥離部814は、固定手段815による積層体207を構成する被処理体104の露出面の吸着固定と、コンベアロール812上でのコンベアベルト813の曲率(以下、コンベア終端の曲率という)と、を利用して、被処理体104から微細パタン形成用フィルム101bを剥離する。
このようにコンベア終端の曲率を利用する場合、搬送部810による積層体207の搬送速度に同期した速度で、固定手段815が被処理体104を保持しながら積層体207の流れ方向に平行に移動すると共に、微細パタン形成用フィルム101bはコンベアベルト813により保持される。そして、固定手段815/被処理体104/微細パタン形成用フィルム101b/コンベアベルト813からなる積層体がコンベア終端の曲率に侵入し、剥離が行われる。これにより、微細パタン形成用フィルム101bの剥離性が良好となる。ここで、固定手段815を複数設け、且つ、全ての固定手段815が同一の動作を繰り返し行うことが、量産の観点より好ましい。
図28に示すように、剥離部814よりも前段には、搬送部810に沿って、エネルギー線照射部820、加熱部821及び冷却部822を設けることができる。
加熱部821では、第4の実施の形態においては、被処理体104の加熱温度を90℃以上140℃以下の範囲に設定する。また、加熱部821では、積層体207を一対の平板で挟み、それぞれの平板を共に加熱することで、加熱を行う。
また、冷却部822では、第4の実施の形態においては、積層体207の温度が30℃以下になるまで、風を吹き付けることで冷却している。
剥離部814で微細パタン形成用フィルム101bが剥離された被処理体104は、別途設けられた回収部(不図示)により回収される。回収部の機構は既に説明した通りである。
図29は、第4の実施の形態に係る熱ナノインプリント装置の変形例を示す模式図である。図29に示すように、熱ナノインプリント装置900は、分離部503で微細パタン形成用フィルム101aより分離された積層体207を保持したまま搬送する、複数の可動式の固定手段831で構成される搬送部830を備えている。なお、図29に示す熱ナノインプリント装置900は、図18に示す第2の実施の形態と同様に、微細パタン形成用フィルム101の凹凸構造面が上側を向き、被処理体104の被処理面が下側を向いた状態で処理されるような構成になっている。
搬送部830による積層体207の搬送経路上には、エネルギー線照射部820、加熱部821及び冷却部822が順次設けられている。
搬送部830の終端には、剥離部832が設けられている。この剥離部832により、被処理体104の露出面を固定手段831により保持し、静止した状態で、微細パタン形成用フィルム101bを保持し、微細パタン形成用フィルム101bを被処理体104の面内方向への移動が加わるように剥離する。剥離部832としては、既に説明した剥離部206と同様のものを採用できる。
第4の実施の形態においても、第1〜第3の実施の形態と同様に、微細パタン形成用フィルムの第1のマスク層表面が直接触れるロールは、その表面を鏡面仕上げしたロールであることが好ましい。また、貼合部201には、静電気を抑制するために除電気を設けることができる。同様に、剥離部832にも除電機を設けることができる。
以上、第4の実施の形態について説明したが、各構成要素の配置は、直線的な配置の他に、円形状に配置することで、装置の過大化を抑制することができる。
<第5の実施形態>
以下、第5の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。図30は、第5の実施の形態に係る熱ナノインプリント装置を示す模式図である。第3の実施の形態と同じ構成からなる部材については同一の番号を付し、説明を省略する。
第5の実施の形態に係る熱ナノインプリント装置1000は、長尺の微細パタン形成用フィルム101が巻き回された送出しローラ202を具備する。送出しローラ202は、微細パタン形成用フィルム101を所定の速度で送出する。この送出しローラ202と対になって、送出された微細パタン形成用フィルム101を巻き取る巻き取りローラ203が設けられている。
微細パタン形成用フィルム101に保護層601が設けられている場合、送出しローラ202よりも微細パタン形成用フィルム101の流れ方向MDの後段に、保護層剥離ローラ部602及び保護層巻き取りローラ603を設けることができる。
保護層剥離ローラ部602よりも流れ方向MDの更に後段には、貼合部201が設けられている。貼合部201において、回転体102には、微細パタン形成用フィルム101の搬送に支障をきたさない程度で回転体102の回転摩擦を低減する回転補助部1009を連結することができる。回転補助部1009は、例えば、回転体102の回転軸に連結された軸受けである。この回転補助部1009はなくても構わない。
また、貼合部201と被処理体保持部205の少なくとも一方に押圧加熱部を設けることができる。第5の実施の形態においては両方に押圧加熱部(不図示)を設けている。
貼合部201は、図30に示すように、送出しローラ202よりも高い位置に配置されている。これにより、微細パタン形成用フィルム101の流れ方向MDが、斜め上方方向より水平方向に方向転換される。つまり、貼合部201は、ガイドローラとしても機能している。
貼合部201よりも流れ方向MDの後段であって、巻き取りローラ203よりも前段には、後述するエネルギー線照射部1002を併設するのに充分な間隔をおいて、剥離用ローラ604が設けられている。
剥離用ローラ604には、微細パタン形成用フィルム101の搬送に支障をきたさない程度で剥離用ローラ604の回転摩擦を低減する回転補助部1001を連結することができる。
剥離用ローラ604は、図30に示すように、巻き取りローラ203よりも高い位置に配置されている。これにより、微細パタン形成用フィルム101の流れ方向MDが、水平方向から斜め下方に方向転換される。つまり、剥離用ローラ604は、ガイドローラとしても機能している。
このように、貼合部201及び剥離用ローラ604の間では、微細パタン形成用フィルム101が略水平状態で搬送される。
貼合部201及び剥離用ローラ604の間であって、微細パタン形成用フィルム101の被処理体104とは反対側には、エネルギー線照射部1002が設けられている。
熱ナノインプリント装置1000においては、微細パタン形成用フィルム101の被処理体104への貼合面が鉛直方向上側を向いている。そして、貼合部201、エネルギー線照射部1002及び剥離用ローラ604は、微細パタン形成用フィルム101の下側、即ち、被処理体104とは反対側に配置されている。
また、第5の実施の形態に係る熱ナノインプリント装置1000は、被処理体搬入部1003を具備している。この被処理体搬入部1003は、前処理部1004に被処理体104を搬入し、その表面を、第1の実施の形態と同様に前処理する。被処理体104を支持する必要があるため、被処理体104の外周縁部を把持するものが好ましいが、これに限定されるものではない。
また、第5の実施の形態に係る熱ナノインプリント装置1000は、被処理体搬入部1003から被処理体104を受け取る被処理体保持部205を具備する。この被処理体保持部205は、受け取った被処理体104を貼合部201の上方まで移動し、微細パタン形成用フィルム101に、前処理された面を下側にして載置する。
被処理体保持部205では、減圧チャック(不図示)により被処理体104を着脱可能に固定される。被処理体保持部205としては、減圧チャックの他に、静電チャック等を挙げることができる。また、被処理体104の外周縁部を把持するものや、当業者に周知のカセット支持方式を採用したものであってもよい。
また、第5の実施の形態に係る熱ナノインプリント装置1000は、カバーフィルムを剥離することで得られる被処理体、即ち中間体1005を回収する回収部1006を具備する。回収部1006では、減圧チャック(不図示)により中間体を着脱可能に固定される。固定手段としては、減圧チャックの他に、静電チャック等を挙げることができる。また、中間体1005の外周縁部を把持するものや、当業者に周知のカセット支持方式を採用したものであってもよい。
この第5の実施の形態に係る熱ナノインプリント装置1000においては、被処理体104は、微細パタン形成用フィルム101によりその流れ方向MDに沿って、回転体102、エネルギー線照射部1002、及び剥離用ローラ604の上を順次搬送され、貼合、エネルギー線照射及び剥離の各処理が施される。
まず、回転体102の上では、微細パタン形成用フィルム101と、被処理体104の被処理面とが対面し且つ互いに接触した状態で搬送される。そして、回転体102には、微細パタン形成用フィルム101を被処理体104の前処理面に向かって押圧する加圧手段204が設けられており、加圧手段204による押圧力が微細パタン形成用フィルム101及び被処理体104に対して加えられる。この際、押圧加熱部により被処理体104は所定温度に加温されるため、被処理体104との密着性が発現する。この結果、微細パタン形成用フィルム101及び被処理体104の貼合及び押圧が実質的に線として行われ、微細パタン形成用フィルム101/被処理体104から構成される積層体207が得られる。
この際に、被処理体保持部205は、被処理体104を支持している。このように、第5の実施の形態に係る熱ナノインプリント装置1000では、回転体102、被処理体保持部205、押圧加熱部、及び、加圧手段204により貼合部201を構成している。この貼合部201によって、微細パタン形成用フィルム101及び被処理体104に実質的に線で圧力をかけることにより、これらの貼合を実現している。
なお、微細パタン形成用フィルム101と被処理体104の貼合・押圧条件、方法、被処理体保持部205の機構は、第1の実施の形態に記載した通りである。
なお、被処理体保持部205に支持されている被処理体104は、被処理体104が全て貼合部201を通過し終えた後、或いは通過しきる直前に、その支持を解放する。即ち、被処理体104の一主面が全て微細パタン形成用フィルム101と貼合された後、或いはその直前に、被処理体保持部205の被処理体104の保持は解放され、微細パタン形成用フィルム101/被処理体104からなる積層体207のみが、微細パタン形成用フィルム101の流れにより移動し、エネルギー線照射部1002の方へと搬送される。
エネルギー線照射部1002よりも流方向MDの後段には、加熱部1007及び冷却部1008が順次配置されている。更に、剥離用ローラ604より流れ方向MD後段であり、且つ、回収部1006より前段に、エネルギー線照射部1010を設けることができる。エネルギー線照射部1010より中間体にエネルギー線を照射することで、第1のマスク層を安定化することが可能となり、図示しない次の処理のおける適用度や保存安定性が向上する。なお、エネルギー線照射部1010の代わりに加熱部を設けても同様の効果を得ることができる。
一方、第5の実施の形態に係る熱ナノインプリント装置1000においては、中間体1005は、減圧チャック(不図示)により回収部1006に固定され、その状態にて、剥離用ローラ604上において、微細パタン形成用フィルム101から中間体1005が剥離される。このように、第5の実施の形態に係る熱ナノインプリント装置1000では、剥離用ローラ604及び回収部1006で剥離部が構成されている。剥離部については、第1の実施の形態〜第4の実施の形態に記載した通りである。
次に、上述の第5の実施の形態に係る熱ナノインプリント装置1000を用いた熱ナノインプリント転写について説明する。図31A〜図31C、及び、図32A〜図32Cは、第5の実施の形態に係る転写方法における熱ナノインプリント装置の動作を示す模式図である。
図31Aに示すように、送出しローラ202から微細パタン形成用フィルム101を搬出し、巻き取りローラ203で巻き取ることにより、保護層剥離ローラ部602、回転体102、剥離用ローラ604の順で微細パタン形成用フィルム101を搬送する。次に、保護層601を、保護層剥離ローラ部602において微細パタン形成用フィルム101から剥離し、保護層巻き取りローラ603に巻き取り、回収する。
被処理体104を、格納する図示しない格納庫から、図31Aに示すように、被処理体搬入部1003により前処理部1004に搬入する。被処理体搬入部1003は、被処理体104の前処理面側から接近し、被処理体104の外周縁部を把持する。
次いで、図31Bに示すように、被処理体104を、被処理体搬入部1003から、被処理体保持部205へ引き渡す。この際に、被処理体搬入部1003は、180度回転して、被処理体104の前処理面とは反対側を被処理体保持部205方向に向け、これに当接させる。この状態で、減圧チャック(不図示)が被処理体104を被処理体保持部205に固定する。
次に、微細パタン形成用フィルム101の搬送と共に、図31Cに示すように、被処理体104を、微細パタン形成用フィルム101の上まで搬送する。次いで、被処理体104は、貼合部201の上まで移動していく。被処理体保持部205に含まれる押圧加熱部により被処理体104は加熱され、貼合部201の上で、微細パタン形成用フィルム101と被処理体104を当接すると共に、加圧手段204による押圧力を受けて、被処理体104と微細パタン形成用フィルム101は貼合され、微細パタン形成用フィルム101/被処理体104から構成される積層体207が得られる。その後、被処理体保持部205の減圧チャックは解放され、被処理体保持部205は被処理体104から離れる。なお、微細パタン形成用フィルム101と被処理体104との貼合及び押圧は、上記説明したように連続的貼合であっても、断続的貼合であってもよい。
押圧加熱部による加熱条件は、既に説明した範囲を適用できる。
次に、図32Aに示すように、微細パタン形成用フィルム101と貼合された状態の被処理体104を、微細パタン形成用フィルム101の搬送に伴い、エネルギー線照射部1002の照射領域まで搬送し、エネルギー線を照射する。エネルギー線の照射は、既に説明した条件を採用できる。
また、図30においては、エネルギー線照射部1002は、微細パタン形成用フィルム101の被処理体104とは反対側に設けられているが、第5の実施形態においては、微細パタン形成用フィルム101の被処理体側に設けることもできる。
続いて、図32Bに示すように、微細パタン形成用フィルム101の搬送と共に、積層体207を、微細パタン形成用フィルム101の流れ方向MD後段に向かって、加熱部1007へと搬送する。加熱部1007では、積層体207を加熱することで、微細パタン形成用フィルム101の第1のマスク層の安定性が向上し、微細パタン形成用フィルム101と被処理体104との界面の安定性を向上することが可能となり、これに伴い、後の微細パタン形成用フィルム101の剥離性を向上させることができる。なお、加熱部1007の機構及び条件は既に説明した範囲を採用できる。
続いて、微細パタン形成用フィルム101の搬送と共に、積層体207を、微細パタン形成用フィルム101の流れ方向MD後段に向かって、冷却部1008へと搬送する。冷却部1008を設けることで、微細パタン形成用フィルム101を剥離する際の剥離性を向上させることができる。冷却部1008の機構及び条件は既に説明した範囲を採用できる。
更に、図32Bに示すように、積層体207を、微細パタン形成用フィルム101の搬送と共に、微細パタン形成用フィルム101の流れ方向MD後段に向って、剥離用ローラ604の上まで搬送する。ここで、剥離用ローラ604上に被処理体104が到達する前に、被処理体104の露出する面は、回収部1006により支持される。回収部1006により支持された被処理体104は、剥離用ローラ604の周面上において、積層体207から微細パタン形成用フィルム101のカバーフィルムを剥離する。剥離された微細パタン形成用フィルム101は、巻き取りローラ203により巻き取られる。この結果、その表面に凹凸構造付きの被処理体、即ち中間体1005が得られる。最後に、図32Cに示すように中間体1005を回収部1006により回収する。
以上説明したように第5の実施の形態に係る熱ナノインプリント装置1000及びそれを用いた転写方法によれば、上述の第3の実施の形態と同等の効果が得られる。更に、第5の実施の形態に係る熱ナノインプリント装置1000によれば、被処理体104を貼合部201、エネルギー線照射部1002、剥離用ローラ604へと順次搬送する手段として、微細パタン形成用フィルム101を利用することにより、中間体1005を連続的に得ることができる。また、第5の実施の形態に係る熱ナノインプリント装置1000を使用することにより、エネルギー線照射部1002の配置自由度が向上する。
<エッチング工程>
以上第1の実施の形態から第5の実施の形態にて説明したマスクパタン転写工程を経た後、図3Cに示す、第2のマスク層12/第1のマスク層13/被処理体20からなる中間体21に対して、エッチング工程を施して凹凸構造体を形成する。この時、既に説明した、所定の露出部を被処理体20の外縁部に含む中間体21を使用することで、微細マスク構造体16の欠陥率を低減でき、これに伴い凹凸構造体40の欠陥率を低減できる。所定の露出部を被処理体20の外縁部に含む中間体21は、第1の実施の形態から第5の実施の形態にて説明したマスクパタン転写工程を経ることで、特に、表層に低Tg弾性体を具備する回転体102を使用することで、制御性高く製造できる。エッチング工程は、第1のマスク層エッチング工程、被処理体エッチング工程の順で構成される。エッチング条件は、材料により種々設計できるが、例えば、次のようなエッチング方法が挙げられる。
(第1のマスク層エッチング)
第1のマスク層エッチングは、第2のマスク層をエッチングマスクとして機能させた、第1のマスク層のエッチングであり、ドライエッチングを使用することができる。第1のマスク層13のエッチングに用いるガスは、O2ガス、H2ガス、及びArガスの少なくとも1種を含む混合ガスを使用する。特に、O2のみを使用することが好ましい。第1のマスク層13を化学反応的にエッチングする観点から、エッチングに用いるガスとして、O2ガス及びH2ガスを選択することができる。また、イオン入射成分の増加による縦方向エッチングレート向上という観点から、エッチングに用いるガスとして、Arガス及びXeガスを選択することができる。
エッチング時の圧力は、反応性エッチングに寄与するイオン入射エネルギーを高め、エッチング異方性をより向上させることができるため、0.1〜5Paであることが好ましく、0.1〜1Paであるとより好ましい。
また、O2ガスと、H2ガス、Arガス、或いはXeガスの混合ガス比率は、化学反応性のエッチング成分とイオン入射成分が適量であるときに、異方性が向上するため、99sccm:1sccm〜50sccm:50sccmが好ましく、95sccm:5sccm〜60sccm:40sccmがより好ましく、90sccm:10sccm〜70sccm:30sccmがなお好ましい。
第1のマスク層エッチングはプラズマエッチングであると、第1のマスク層の加工精度が向上するため好ましい。プラズマエッチングは、容量結合型RIE、誘導結合型RIE或いはイオン引き込みバイアスを用いるRIEを用いて行う。例えば、酸素ガスのみ、或いは酸素ガスとアルゴンガスを90sccm:10sccm〜70sccm:30sccmの間で混合したガスを用いて、処理圧力を0.1〜1Paの範囲に設定し、且つ、容量結合型RIE、誘導結合型RIE、或いは、イオン引き込み電圧を用いるRIEを用いるエッチング方法等が挙げられる。
図2Bに示す微細パタン形成用フィルムIにおいては、第2のマスク層12中に含まれる蒸気圧の低い成分(例えば、Ti,Zr,Ta等を金属元素として有するゾルゲル材料)が、第1のマスク層13をエッチングする際に、第1のマスク層13の側壁を保護する役割を果たし、その結果、厚みのある第1のマスク層13を容易にエッチング可能になる。
第2のマスク層12をマスクとして第1のマスク層13をエッチングすることにより、第1のマスク層13のエッチングレートに比べて第2のマスク層12のエッチングレートの方が小さいため、第1のマスク層13に残膜厚分布があったとしても、エッチング工程において第1のマスク層13の残膜厚分布が吸収されて、第1のマスク層13で構成されるマスクの高さを揃えることが可能となる。
(被処理体エッチング工程)
被処理体エッチング工程は、第1のマスク層13をエッチングマスクとして被処理体20をエッチングする工程であり、ウェットエッチングとドライエッチングのいずれも採用できる。特に、被処理体20の加工自由度を大きくする点から、ドライエッチングを採用することが好ましい。ドライエッチング時の第1のマスク層13のエッチングマスク耐性を向上させる観点から、塩素系ガスやフロン素系ガスを用いたエッチングを行うことができる。塩素系ガスに、酸素ガス、アルゴンガス或いは酸素ガスとアルゴンガスの混合ガスを添加してもよい。
フロン系ガスとしては、例えば、CxHzFyの一般式にて記載可能なガスのうち、x=1〜4、y=1〜8、且つ、z=0〜3のガスを使用できる。この様なガスは単体にて使用しても、複数混合して使用してもよい。
また、フロン系ガス(CxHzFy:x=1〜4、y=1〜8、z=0〜3の範囲の整数)のCとFの比率(y/x)の異なるフロン系ガス2種を混合し、被処理体20のエッチング側壁を保護するフロロカーボン膜の堆積量を増減させることで、テーパー形状の角度を作り分けることができる。被処理体20のマスク形状を、ドライエッチングにより、より精密に制御する場合、F/C≧3のフロンガスと、F/C<3のフロンガスの流量の比率を、95sccm:5sccm〜60sccm:40sccmとすることが好ましく、70sccm:30sccm〜60sccm:40sccmであると、より好ましい。例えば、CF4、CHF3、C2F6、C3F8、C4F6、C4F8、CH2F2及びCH3Fが挙げられる。更に、被処理体20のエッチングレートを向上させるため、フロン系ガスに、Arガス、O2ガス及びXeガスからなる群より選ばれる少なくとも1以上のガスを、ガス流量全体の50%以下混合したガスを使用することもできる。フロン系ガスとArガスの混合ガスと、O2ガス或いはXeガスと、の混合ガスは、反応性エッチング成分とイオン入射成分が適量である場合に、被処理体20のエッチングレートが向上するという観点から、ガス流量の比率99sccm:1sccm〜50sccm:50sccmが好ましく、より好ましくは、95sccm:5sccm〜60sccm:40sccm、更に好ましくは、90sccm:10sccm〜70sccm:30sccmである。また、以下に説明する塩素系ガスと混合し使用することもできる。
塩素系ガスとしては、例えば、Cl2、BCl3、CCl4、PCl3、SiCl4、HCl、CCl2F2及びCCl3Fが挙げられる。更に、難エッチング被処理体のエッチングレートを向上させるため、塩素系ガスに酸素ガス、アルゴンガス或いは酸素ガスとアルゴンガスの混合ガスを添加してもよい。塩素系ガスとArガスとの混合ガスと、O2ガス或いはXeガスと、の混合ガスは、反応性エッチング成分とイオン入射成分が適量である場合に、被処理体20のエッチングレートが向上するという観点から、ガス流量の比率99sccm:1sccm〜50sccm:50sccmが好ましく、より好ましくは、99sccm:1sccm〜80sccm:20sccm、更に好ましくは、99sccm:1sccm〜90sccm:10sccmである。
エッチング時の圧力は反応性エッチングに寄与するイオン入射エネルギーが大きくなり、被処理体20のエッチングレートが向上するため、0.1〜20Paであることが好ましく、0.1〜10Paであることがより好ましい。
プラズマエッチングは容量結合型RIE、誘導結合型RIE、或いはイオン引き込み電圧を用いるRIEを用いて行う。例えば、フロン系ガスを用いる場合はCHF3ガスのみ、或いはCF4とC4F8をガス流量の比率90sccm:10sccm〜60sccm:40sccmの間で混合したガスを用い、処理圧力を0.1〜5Paの範囲で設定し、且つ、容量結合型RIE、誘導結合型RIE、或いは、イオン引き込み電圧を用いるRIEを用いるエッチング方法等が挙げられる。また、例えば、塩素系ガスを用いる場合はBCl3ガスのみ、或いはBCl3とCl2、若しくはArをガス流量の比率95sccm:5sccm〜85sccm:15sccmの間で混合したガスを用い、処理圧力を0.1〜10Paの範囲で設定し、且つ、容量結合型RIE、誘導結合型RIE、或いは、イオン引き込み電圧を用いるRIEを用いるエッチング方法等が挙げられる。
(微細パタン形成用フィルムの製造方法)
次に、本発明の実施の形態に係る微細パタン形成用フィルムの製造方法について説明する。
図33は、本実施の形態に係る微細パタン形成用フィルムの製造方法の各工程を示す断面模式図である。以下の工程(1−1)〜(1−6)を順に行うことで、第2のマスク層を具備した第1の積層体Iを製造できる。なお、以下の工程は、ロールツーロールで行うことが好ましい。
工程(1−1):支持基材110上に硬化性樹脂組成物111を塗布する工程(樹脂を塗工する工程、図33A参照)。
工程(1−2):塗布した硬化性樹脂組成物111を、離型処理を施したマスターモールド112に押圧する工程(樹脂を鋳型に押圧する工程、図33B参照)。
工程(1−3):支持基材110側から光照射を行い、硬化性樹脂組成物111を光ラジカル重合させ硬化物層113を得る工程(樹脂を光硬化させる工程、図33C参照)。
工程(1−4):硬化物層113をマスターモールド112から剥離し、マスターモールド112のパタン形状の反転形状を具備した凹凸構造を得る工程(硬化物層113を鋳型から剥離する工程、カバーフィルムAを得る工程、図33D参照)。
工程(1−5):硬化物層113の凹凸構造上に、希釈した第2のマスク層材料114を塗工する工程(図33E参照)。
工程(1−6):溶剤を乾燥除去し、第2のマスク層を具備した第1の積層体Iを得る工程(図33F参照)。
上述の工程(1−1)〜(1−6)を経ることで、支持基材110及び硬化物層113からなるカバーフィルムAと、第2のマスク層12と、で構成された第1の積層体Iが得られる。
工程(1−5)において、特に、後で説明するlcv=0とするためには、次の(1)〜(4)に示す全ての条件を満たすことが必要である。(1)希釈溶剤がアルコール、エーテル、ケトン等の水系溶剤であること。(2)カバーフィルムAの開口率が45%以上、好ましくは55%以上、最も好ましくは65%以上であること。(3)カバーフィルムAの凹凸構造表面の水に対する接触角CAがCA≧80°、好ましくはCA≧90°、更に好ましくはCA≧95°であり、且つ、(4)カバーフィルムAのEs/Ebの値が1<Es/Eb≦30000であること。
なお、図33において、マスターモールド112は平板状に示されているが、円筒状のロールであると好ましい。円筒状の表面に微細構造が具備されたロールをマスターモールド112として使用することで、第1の積層体Iを連続プロセスで製造することが可能となる。即ち、第1の積層体Iを長尺状のフィルム、例えば、幅300mm長さ200mや幅500mm長さ500mの成形物として製造できる。
図34は、本実施の形態に係る微細パタン形成用フィルムの製造方法の各工程を示す断面模式図である。工程(1−4)で得られたカバーフィルムAを鋳型として、図34に示すようにカバーフィルムBを作製し、このカバーフィルムBを使用して上記工程(1−4)以降を行ってもよい。
工程(2−1):支持基材115上に硬化性樹脂組成物116を塗布する工程(樹脂を塗布する工程、図34A参照)。
工程(2−2):塗布した硬化性樹脂組成物116をカバーフィルムAに押圧する工程(樹脂を鋳型に押圧する工程、図34B参照)。
工程(2−3):カバーフィルムAの支持基材110側と、もう一方の支持基材115側の両方、又はいずれか一方から光照射を行い、硬化性樹脂組成物111を光ラジカル重合させ硬化物層117を得る工程(樹脂を光硬化させる工程、図34C参照)。
工程(2−4):硬化物層117をカバーフィルムAから剥離し、マスターモールド112のパタン形状と同様の形状を具備した凹凸構造を得る工程(硬化物から鋳型を剥離する工程、カバーフィルムBを得る工程、図34D参照)。
工程(1−1),(2−1)における塗工方法としては、ローラーコート法、グラビアコート法、バーコート法、ダイコート法、噴霧コート法、エアーナイフコート法、フローコート法、カーテンコート法等が挙げられる。
工程(1−6)の後に、カバーフィルムを被せ(合わせ)、巻き取る工程を加えてもよい。また、工程(1−6)の後に、光照射を行い、第2のマスク層12中に含まれる硬化性部位を、部分的に光重合させてもよい。
第2のマスク層12にゾルゲル材料を含む場合、工程(1−6)は、溶剤乾燥のほか、ゾルゲル材料の縮合も兼ねている。また、ゾルゲル材料を第2のマスク層12に含む場合、巻き取った後に養生する工程を加えてもよい。養生は、室温〜120℃の間で行うことが好ましい。特に、室温〜105℃であると好ましい。
工程(1−1)〜(1−4)で作製されるカバーフィルムAの凹凸構造中に、塗工改善構造を含んでもよい。塗工改善構造は、所望のマスクを作製するための基本構造を挟みこむように配置されており、塗工改善構造のピッチは、基本構造よりも大きいことが好ましい。特に、塗工改善構造中のピッチが、基本構造側から、フィルム端部へと、徐々に大きくなることが好ましい。
後で説明するlcc及びlcvを満たす構造を形成するには、次に示す構造及び無機材料を用いることが好ましい。
図35は、本実施の形態に係る微細パタン形成用フィルムにおけるピラー形状の凹凸構造を示す断面模式図である。第1の積層体Iの凹凸構造11がピラー形状の場合、1つの凸部11bの頂部を形成する面における、最長の線分の長さ(lx)がサブミクロンスケールであると、希釈塗工した第2のマスク層材料が、系のエネルギーを減少させるように、効率的に凹部11a内部へと充填される結果、後で説明するlcvを小さくできるため好ましい。特に、最長の線分の長さが、500nm以下であると、上記効果をよりいっそう発揮できるため好ましく、より好ましくは、300nm以下、最も好ましくは、150nm以下である。なお、1つの凸部11bの頂部を形成する面とは、各凸部11bの頂部位置を通る面と、1つの凸部11bの頂部とが交わる面を意味する。
図35Aに示すように、凸部11bは、底部の面積の方が頂部の面積より大きい構造、即ち、凸部11bが傾斜を持つ構造であると、上記効果をより発揮できるため好ましい。更に、図35Bに示すように、凸部11bの頂部と傾斜部とは、連続的に滑らかにつながっていると、上記効果をよりいっそう発揮できるため好ましい。
図36は、本実施の形態に係る微細パタン形成用フィルムにおけるホール形状の凹凸構造を示す上面図である。第1の積層体Iの凹凸構造11がホール形状の場合、1つのホール(A)と、ホール(A)に最近接するホール(B)において、ホール(A)の開口淵部と、ホール(B)の開口淵部をつなぐ、最短の線分(ly)の長さがサブミクロンスケールであると、希釈塗工した第2のマスク層材料が、系のエネルギーを減少させるように、効率的に凹部11a内部へと充填される結果、後で説明するlcvを小さくできるため好ましい。特に、最短の線分の長さが、500nm以下であると、上記効果をよりいっそう発揮できるため好ましく、より好ましくは、400nm以下、最も好ましくは、300nm以下である。その中でも、最短の線分の長さは、150nm以下であると好ましく、更に好ましくは100nm以下、最も好ましくは0nmである。なお、最短の線分の長さが0nmとは、ホール(A)とホール(B)との開口淵部の一部が重なり合う状態を意味している。
更に、ピッチP及びピッチSはともに上記効果をより発揮するために、1200nm以下であることが好ましく、800nm以下であることがより好ましく、500nm以下であることが最も好ましい。また、転写性の観点からピッチは200nm以上であると好ましい。凹凸構造11上へ第2のマスク層12を塗工し、凹部11a内部へと第2のマスク層12を充填する際に、開口率が45%以上であると、ピッチ200nmから800nmの範囲内にある場合には、第2のマスク層12は凹凸構造11を認識することができ、凹部11a内部に形成される第2のマスク層12の仮想液滴の曲率半径を極大化するように、構造内部へと濡れ広がるため、好ましい。仮想液滴とは、凹凸構造11の凹部11a内部に存在すると仮定した、第2のマスク層12の液滴を意味する。更に、開口率が65%以上であると、上記効果に加え、凹凸構造11の凸部11b上から凹部11a内部方向へのポテンシャルが働き凹部11a内へ液滴が充填された後に、凸上へと第2のマスク層12の液滴が移動することを回避できるため、より好ましい。また、上記効果をよりいっそう発揮するために、開口率は、70%以上が望ましい。より好ましくは、開口率は、75%以上であり、80%以上であると更に好ましい。
また、ホール開口部の面積が、ホール底部の面積よりも大きいと、上記効果をより発揮できるため好ましい。更に、開口淵と凹部11aの側面とは、連続的に滑らかにつながっていると、上記効果をよりいっそう発揮できるため好ましい。
第2のマスク層12を構成する無機材料中に、希釈塗工後の溶剤揮発過程において様態が変化する材料を含むと、材料自体の面積を小さくするというドライビングフォースも同時に働くため、より効果的に無機材料が凹部11a内部へと充填される結果、lcvを小さくできるため好ましい。様態の変化とは、例えば、発熱反応や、粘度の大きくなる変化が挙げられる。例えば、ゾルゲル材料を含むと、溶剤揮発過程で、空気中の水蒸気と反応し、ゾルゲル材料が重縮合する。これにより、ゾルゲル材料のエネルギーが不安定化するため、溶剤乾燥に伴い低下する溶剤液面(溶剤と空気界面)から遠ざかろうとするドライビングフォースが働き、結果、ゾルゲル材料が良好に凹内部へと充填され、後で説明するlcvが小さくなる。
図37は、本実施の形態に係る微細パタン形成用フィルムの製造方法の各工程を示す断面模式図である。上記工程(1−1)〜(1−6)に続いて、工程(1−7)及び工程(1−8)を行うことで第2の積層体IIを作製することができる。なお、以下の工程は、ロールツーロールで行うことが好ましい。
工程(1−7):第1の積層体I(カバーフィルムB/第2のマスク層12からなる積層体)上に、希釈した第1のマスク層材料120を塗工する工程(図37A参照)。
工程(1−8):溶剤を乾燥除去し、第1のマスク層13を形成し、第2の積層体IIを得る工程(図37B参照)。
上述の工程(1−7)〜(1−8)を経ることで、支持基材110及び硬化物層113からなるカバーフィルムBと、第2のマスク層12と、第1のマスク層13と、で構成された第2の積層体IIが得られる。
工程(1−7)における塗工方法としては、ローラーコート法、バーコート法、ダイコート法、噴霧コート法、エアーナイフコート法、フローコート法、カーテンコート法、グラビアコート法等が挙げられる。また、第1のマスク層材料は、溶剤希釈し使用し、その後、乾燥工程を経てもよい。更に、工程(1−8)の後に、カバーフィルムを被せ(合わせ)、巻き取る工程を加えてもよい。
第2の積層体IIにおいて、第2のマスク層12と第1のマスク層13との界面形状は、平らでも湾曲していてもよい。湾曲している形状としては、第2のマスク層12が第1のマスク層13側に凸状に膨らんでいる形状や、第1のマスク層13が第2のマスク層12側に凸状に膨らんでいる形状等が挙げられる。また、第1のマスク層13側から第2のマスク層12側への凸状の膨らみを1つと、第2のマスク層12側から第1のマスク層13側への凸状の膨らみを2つ有する構造等も挙げられる。
上述のようにして製造された第2の積層体IIを使用することで、被処理体20上にアスペクト比の高い微細マスクパタン16aを形成できる。これにより、被処理体20の表面に微細パタン22を形成できる。第2の積層体IIを使用した中間体21、微細マスク構造体16、微細パタン22の製造方法は、第1の実施の形態〜第5の実施の形態を含め既に説明した通りである。
<微細パタン形成用フィルムの詳細>
次に、本実施の形態に係る熱ナノインプリント装置に好適に使用される微細パタン形成用フィルムについて詳細に説明する。微細パタン形成用フィルムは、ナノスケールの凹凸構造の設けられたカバーフィルムと、凹凸構造の凹部内部に設けられた第2のマスク層と、凹凸構造及び第2のマスク層を覆うように設けられた第1のマスク層と、を具備する。
図38は、本実施の形態に係る微細パタン形成用フィルムを示す模式断面図である。微細パタン形成用フィルム1100は、一主面上にナノスケールの凹凸構造1102が形成されたカバーフィルム1101の凹凸構造1102の凹部内部に第2のマスク層1103が設けられ、第2のマスク層1103及び凹凸構造1102を覆うように第1のマスク層1104が設けられた長尺のフィルム状体であれば特に限定されない。例えば、以下に記載する微細パタン形成用フィルム1100を使用することができる。
なお、上述した微細パタン形成用フィルム101と、の対応関係は以下の通りである。回転体102により被処理体104に貼合される面は、第1のマスク層1104の表面である。また、剥離部206において剥離されるのは、凹凸構造1102を有するカバーフィルム1110であり、被処理体104上に第1のマスク層1104及び第2のマスク層1103よりなる凹凸構造が転写される。
カバーフィルム1101が具備するナノスケールの凹凸構造1102は、特定方向に延在する単数(例えば、ライン状)又は複数(例えば、ドット状)の凸部1102aが、特定方向に直交する方向に沿って、互いに所定のナノスケールの間隔を隔てて設けられている。凸部1102aは、微細パタン形成用フィルム1100の厚み方向に沿った断面視(直交方向に垂直な断面でみたとき)において、凹凸構造1102の主面に対して垂直な方向に突出している。凸部1102a間には、凹部1102bが形成されている。この凸部1102a及び凹部1102bで凹凸構造1102を構成している。微細パタン形成用フィルム1100における凹凸構造1102の形状は、特に限定されないが、複数の柵状体が配列したラインアンドスペース構造、複数のドット(凸部、突起)状構造が配列したドット構造、複数のホール(凹部)状構造が配列したホール構造等が挙げられる。ドット構造やホール構造は例えば、円錐、円柱、四角錐、四角柱、二重リング状、多重リング状等の構造が挙げられる。
被処理体をエッチングする際の第1のマスク層1104のエッチングマスクとしての性能を考慮すると、凹凸構造1102は、ホール形状であることが好ましい。また、ホール形状であることは、第2のマスク層1103を、凹凸構造1102の凹凸構造面上に直接塗工する際の塗工性や、凹凸構造1102の耐久性(物理的破壊に対する耐性)の観点からも、好ましい。
ここで、「ピラー形状」とは、「柱状体(錐状態)が複数配置された形状」であり、「ホール形状」とは、「柱状(錐状)の穴が複数形成された形状」である。また、凹凸構造1102において、凸部1102a同士の距離が50nm以上5000nm以下であり、凸部1102aの高さが10nm以上2000nm以下であることが好ましい。用途にもよるが、凸部1102a同士の隣接距離(凸部1102aの頂点同士の間隔)が小さく、凸部1102aの高さ(凹部1102bの底から凸部1102aの頂点までの高さ)が大きいことが好ましい。ここで、凸部1102aとは、凹凸構造1102の平均高さより高い部位をいい、凹部1102bとは、凹凸構造1102の平均高さより低い部位をいうものとする。
また、図39に示すように、面内において直交する第1方向D1と第2方向D2に対し、第1方向D1にピッチPで凸部1102a(又は凹部1102b)が配列し、且つ、第2方向D2にピッチSで凸部1102a(又は凹部1102b)が配列し、更に、第2方向D2に列をなす凸部1102a(又は凹部1102b)の第1方向D1の位相差αの規則性が低い、周期性と非周期性を併せ持つ配列であってもよい。ピッチP及びピッチSは、想定する用途に応じて適宜設計することができるため、ピッチPとピッチSが等しく、且つ、位相差αの規則性が高くてもよい。
また、図39においては、凸部1102a(又は凹部1102b)が重なりを持たず独立した状態で描かれているが、第1方向D1及び第2方向D2の少なくともいずれか一方に配列する凸部1102a(又は凹部1102b)が重なっていてもよい。なお、位相差αとは、隣り合う列(第1方向D1)において最近接する凸部11bの中心を通る線分(第2方向D2)の距離をいう。より具体的には、例えば、図39に示すように、第1方向D1に列をなす、第(N)列のある凸部1102a(又は凹部1102b)中心を通る第2方向D2の線分と、凸部1102a(又は凹部1102b)から最も近い距離にある、第(N+1)列のある凸部1102a(又は凹部1102b)の中心を通る第2方向の線分との距離を意味する。
例えば、LEDのサファイア基板やGaN基板、或いはSi基板表面の加工を行う場合、被処理体20(図3A参照)としてサファイア基板やGaN基板、或いはSi基板を選定し、凹凸構造1102の凹凸構造形状は、ピッチが50nm〜1000nm、高さが50nm〜1000nmである、ナノスケールで正規配列をなし、且つ、マイクロスケールの大きな周期性を有するホール形状であることが好ましい。
凹凸構造1102の形状がホール形状の場合、1つのホール(A)と、ホール(A)に最近接するホール(B)において、ホール(A)の開口淵部と、ホール(B)の開口淵部をつなぐ、最短の線分の長さがサブミクロンスケールであると、第2のマスク層1103の配置精度が向上するため好ましい。特に、最短の線分の長さが、500nm以下であると、上記効果をよりいっそう発揮できるため好ましく、より好ましくは、400nm以下、最も好ましくは、300nm以下である。その中でも、最短の線分の長さは、150nm以下であると好ましく、更に好ましくは100nm以下、最も好ましくは0nmである。なお、最短の線分の長さが0nmとは、ホール(A)とホール(B)との開口淵部の一部が重なり合う状態を意味している。
また、後述する凹凸構造1102の凹部1102bの内部への第2のマスク層1103の配置性を高める観点から、凹凸構造1102の開口率は45%以上であると好ましく、開口率が50%以上であると好ましく、開口率が55%以上であるとより好ましく、開口率が65%以上であると、より好ましい。開口率は、70%以上が望ましい。より好ましくは、開口率は、75%以上であり、80%以上であると更に好ましい。
また、ホール開口部の面積が、ホール底部の面積よりも大きいと、上記効果をより発揮できるため好ましい。更に、開口淵と凹部側面とは、連続的に滑らかにつながっていると、上記効果をよりいっそう発揮できるため好ましい。
なお、凹凸構造1102と平行な面内において、凹凸構造1102上の単位面積(Sc)下に含まれる、凹部の面積(Sh)の比率が開口率である。例えば、開口径(φ)が430nm、x軸方向のピッチが398nm、y軸方向のピッチが460nm、高さ(h)が460nmの円柱状凹部が六方最密充填配列で並んだ凹凸構造1102の場合、Sh/Scは0.79(79%)となる。同様に、例えば開口径(φ)が180nm、x軸方向のピッチが173nm、y軸方向のピッチが200nm、高さ(h)が200nmの円柱状凹部が六方最密充填配列で並んだ凹凸構造1102に対しては、(Sh/Sc)は0.73(73%)となる。同様に、例えば、開口径(φ)が680nm、x軸方向のピッチが606nm、y軸方向のピッチが700nm、高さ(h)が700nmの円柱状凹部が六方最密充填配列で並んだ凹凸構造1102に対しては、(Sh/Sc)は0.86(86%)となる。
また、凹凸構造1102の高さ或いは深さ(h)と、凹部開口幅或いは凸部底部径(φ)との比率(h/φ)で示されるアスペクト比は、0.1以上3.0以下の範囲が好ましい。アスペクト比は、転写精度の観点から0.1以上の範囲が好ましく、0.5以上がより好ましい。また、アスペクト比は、第2のマスク層1103の転写精度の観点から2.5以下であることが好ましい。
微細パタン形成用フィルム1100は、カバーフィルム1101上に凹凸構造1102を別途設けているが、カバーフィルム1101の一主面上にナノスケールの凹凸構造1102が設けられれば特に限定されず、カバーフィルム1101を直接加工して凹凸構造を形成したものでもよい。しかし、熱ナノインプリント装置により、凹凸構造付きの被処理体を連続的に効率的に得るという観点から、カバーフィルム1101上に別途凹凸構造1102を設けたものが好ましい。なお、以下の説明においては、カバーフィルム1101上に凹凸構造1102を別途設けた場合、カバーフィルム1101を支持基材と表現する。
支持基材上に別途設けられる凹凸構造1102の材料は特に限定されないが、連続的且つ均質なナノスケールの凹凸構造1102を具備したカバーフィルム1101を製造するという観点から、シリコーンに代表されるポリジメチルシロキサン(PDMS)からなる樹脂又はフッ素含有樹脂で構成されているか、凹凸構造1102上に離型層が形成されていれば特に限定されないが、フッ素含有樹脂で構成されることがより好ましい。フッ素含有樹脂は、フッ素元素を含有しており、且つ、水に対する接触角が90度より大きければ特に限定されない。ただし、第2のマスク層1103を被処理体に転写する際の転写精度の観点から、水に対する接触角は95度以上がより好ましく、100度以上がなお好ましい。光硬化性樹脂及び光重合開始材を含むことが好ましい。特に、光硬化性樹脂、光重合開始材及びフッ素系添加材で構成されることが好ましい。フッ素系添加材としては特に限定されず、耐摩耗性、耐傷付き、指紋付着防止、防汚性、レベリング性や撥水撥油性等の表面改質剤等を使用できるが、フッ素系添加材分子中に光重合性基を具備することが好ましい。
カバーフィルム1101に用いられる支持基材としては、屈曲性を有す材料が好ましく、例えば、薄膜ガラス、薄膜セラミック、薄膜金属等の薄膜無機材料、及び、プラスチック等の有機材料を問わず使用できる。特に、屈曲性を有し連続生産性に優れたシート、フィルム、薄膜、織物、不織布等を含むことが特に好ましい。屈曲性を有する材質としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィン樹脂(COP)、架橋ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂等の非晶性熱可塑性樹脂や、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂等の結晶性熱可塑性樹脂や、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系等の紫外線(UV)硬化性樹脂や熱硬化性樹脂が挙げられる。また、紫外線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂と、ガラス等の無機基板、上記熱可塑性樹脂、トリアセテート樹脂とを組み合わせるか、又は単独で用いて支持基材を構成することもできる。特に、貼合性の向上、且つ、連続的に被処理体20を加工する点で、支持基材はフィルム(リール状)であることが好ましい。
カバーフィルム1101の支持基材と凹凸構造1102との接着性を向上させるため、凹凸構造1102を設けるカバーフィルム1101の一主面上に、凹凸構造1102との化学結合や、浸透等の物理的結合のための易接着コーティング、プライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理、UV/オゾン処理、高エネルギー線照射処理、表面粗化処理、多孔質化処理等を施してもよい。
(フッ素系添加材)
光重合性基を同一分子内に具備するフッ素系添加材としては、フッ素含有(メタ)アクリレートとして、下記化学式(1)で示されるフッ素含有ウレタン(メタ)アクリレートが挙げられ、下記化学式(1)に示される添加材を使用することにより、後述するEs/Ebを満たすことが可能となるため好ましい。このようなウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、ダイキン工業社製の「オプツールDAC(商標)」を用いることができる。
また、凹凸構造1102の表面部のフッ素濃度(Es)は、カバーフィルム1101上に形成された凹凸構造1102を構成する樹脂層中の平均フッ素濃度(Eb)より大きくすることが好ましい。この場合には、凹凸構造1102表面は自由エネルギーの低さゆえに第1のマスク層1104との離型性に優れ、且つ、ナノメートルサイズの凹凸形状を繰り返し樹脂/樹脂転写できる離型性に優れると共に、ベースフィルム付近では自由エネルギーを高く保つことで、接着性を向上することができる。
更に、凹凸構造1102を構成する樹脂中の平均フッ素元素濃度(Eb)と凹凸構造1102の表面部のフッ素元素濃度(Es)との比(Es/Eb)は、1<Es/Eb≦30000を満たすことで、上記効果をより発揮するためより好ましい。特に、(Es/Eb)は、3≦Es/Eb≦1500、10≦Es/Eb≦100の範囲となるにしたがって、より離型性が向上するため好ましい。
なお、上記する最も広い範囲(1<Es/Eb≦30000)の中にあって、20≦Es/Eb≦200の範囲であれば、凹凸構造1102の表面部のフッ素元素濃度(Es)が、凹凸構造1102中の平均フッ素濃度(Eb)より十分高くなり、樹脂表面の自由エネルギーが効果的に減少するので、第1のマスク層樹脂や、後述する第2のマスク層1103との離型性が向上する。
また、(Es/Eb)は、26≦Es/Eb≦189の範囲であれば、凹凸構造1102の表面の自由エネルギーをより低くすることができ、繰り返し転写性が良好になるため好ましい。更に、(Es/Eb)は、30≦Es/Eb≦160の範囲であれば、凹凸構造表面の自由エネルギーを減少させると共に、樹脂の強度を維持することができ、繰り返し転写性がより向上するため好ましく、31≦Es/Eb≦155であればより好ましい。(Es/Eb)は、46≦Es/Eb≦155であれば、上記効果をよりいっそう発現できるため好ましい。
なお、凹凸構造1102の表面側領域とは、例えば、凹凸構造1102の露出する表面から、カバーフィルム1101の反対の面側に向かって、略1〜10%厚み方向に侵入した部分、又は厚み方向に2nm〜20nm侵入した部分を意味する。
上述したEsは、XPS法により定量できる。XPS法のX線の浸入長は数nmと浅いため、Es値を定量する上で適している。他の解析手法として、透過型電子顕微鏡を使ったエネルギー分散型X線分光法(TEM−EDX)を用いて、(Es/Eb)を算出することもできる。
一方、上述したEbは、仕込み量から計算することができる。又は、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)で測定することができる。例えば、凹凸構造1102を物理的に剥離してガスクロマトグラフ質量分析にかけることで、平均フッ素元素濃度を同定することができる。一方、凹凸構造1102を物理的に剥離した切片を、フラスコ燃焼法にて分解し、続いてイオンクロマトグラフ分析にかけることでも、樹脂中の平均フッ素元素濃度(Eb)を同定することができる。
凹凸構造を構成する材料については後述する。
微細パタン形成用フィルム1100は、上述したカバーフィルム1101の凹凸構造1102の凹部1102bの内部に、凹凸構造1102を構成する材料とは異なる材料により形成される第2のマスク層1103が配置され、更に、凹凸構造1102及び第2のマスク層1103を覆うように第1のマスク層1104が設けられる。このような第2のマスク層1103により、被処理体104に凹凸構造を転写形成した後に、転写形成された凹凸構造(第2のマスク層1103及び第1のマスク層1104から構成される凹凸構造)をマスクとして被処理体104を加工する際の、加工精度や容易性が向上する。また、被処理体104上に設けられる凹凸構造の凸部上部の物性と凸部下部の物性を異にすることが可能となり、光学デバイスへの光取り出し用被処理体や、センシング用途用被処理体等に適用することが可能となる。
次に、微細パタン形成用フィルム1100の第2のマスク層1103及び第1のマスク層1104の配置説明するために使用する用語について説明する。
図40における位置(S)は、凹凸構造1102の凸部1102aの頂部の位置を意味する。なお、凹凸構造1102の高さにバラつきがある場合には、位置(S)は、各凸部1102aの頂部位置の面内平均の位置を意味する。平均数としては、10点以上が好ましい。
図40における位置(Scc)は、凹凸構造1102の凹部1102bの内部に形成された第2のマスク層1103の表面(図38に示す第2のマスク層1103と第1のマスク層1104との界面位置)の位置を意味する。凹部1102bの内部の第2のマスク層1103aの表面の位置にバラつきがある場合には、位置(Scc)は、凹部1102bの第2のマスク層1103aの表面位置の面内平均の位置を意味する。平均数としては、10点以上が好ましい。
また、凹部1102b内部の第2のマスク層1103の表面が曲面を形成する場合であって、この曲面が下に凸の曲面を形成する場合には、第2のマスク層1103の厚みが最も薄い場所をもって位置(Scc)とする。即ち、第2のマスク層1103が凹部1102bの内面壁に部分付着している場合であっても、第2のマスク層1103の最も低いところをもって位置(Scc)とする。また、この曲面が上に凸の曲面を形成する場合には、第2のマスク層1103の厚みが最も厚い場所をもって位置(Scc)とする。
図40における位置(Scv)は、凹凸構造1102の凸部1102aの頂部に形成された第2のマスク層の頂面位置(図38に示す第2のマスク層1103と第1のマスク層1104との界面位置)を意味する。第2のマスク層1103bの頂面位置にバラつきがある場合には、位置(Scv)は、凸部1102a上の第2のマスク層1103bの頂面位置の面内平均の位置を意味する。平均数としては、10点以上が好ましい。
図40における距離lccは、位置(S)と位置(Scc)との距離を意味する。即ち、凹凸構造1102の面内における複数の凸部1102aの凹凸構造1102の高さhから、凹部1102b内の第2のマスク層1103aの厚さを減じた値を意味する。したがって、面内において位置(S)や位置(Scc)にばらつきがある場合には、凹凸構造1102の高さhの平均値と第2のマスク層1103aの厚さの平均値の両方、又はいずれか一方を用いる。この距離lccは、マスクパタンを被処理体20に転写した後に、マスクパタンを加工し、高アスペクト比のマスクパタン(微細マスクパタン)16aを得るという観点から、lcc<1.0hを満たす範囲にあるのが好ましい。
第2のマスク層1103の耐ドライエッチング性及び転写の容易性の観点から、lcc≦0.9hが望ましい。より好ましくは、lcc≦0.7hであり、更に好ましくは、lcc≦0.6hである。
一方、面内におけるlccのバラつきを小さくするという観点から、lccは、0<lccを満たす範囲にあるのが好ましく、0.02h≦lccがなお好ましい。更に好ましくは、0.05h≦lccであり、特に0.1h≦lccが好ましい。
このような第2のマスク層1103のlccの範囲を満たすことにより、微細パタン形成用フィルム1100を被処理体に貼り合わせる際の押圧力を低くすることができるため、押圧工程とエネルギー線照射工程とを、独立に行うことができる。
図40における距離lcvは、位置(S)と位置(Scv)との距離を意味する。即ち、凹凸構造1102の凸部1102a上の面内における第2のマスク層1103bの厚さを意味する。したがって、面内において位置(S)や位置(Scv)にばらつきがある場合には、第2のマスク層1103bの厚さの平均値を用いる。ドライエッチングによる第2のマスク層1103bの幅減少の観点から、lcvは、lcv≦0.05hであることが好ましい。なお、lcv≦0.02hであれば、ドライエッチングによるlcvの膜厚を持つ第2のマスク層1103bを除去するのがいっそう容易であるため好ましく、lcv≦0.01hであるとより好ましい。ドライエッチングによるlcvの膜厚を持つ第2のマスク層を除去する必要がないことから、lcv=0であることが最も好ましい。
凹凸構造付きの被処理体の表面に形成されるのは、第2のマスク層1103/第1のマスク層1104であり、そのため、被処理体上には、凹凸構造を具備した第2のマスク層1103及び第1のマスク層1104が形成されることになる。なお、第2のマスク層1103を構成する材料は、Ti,Si,Zr,及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含むと好ましく、また、光重合性基を具備する分子と金属アルコキシドに代表されるゾルゲル材料を含むと好ましい。例えば、TiやZrを金属種に持つ金属アルコキシドと光重合性基を具備するシランカップリング材、及び光重合開始材等で構成されると好ましい。
凹凸構造1102の凸部頂部位置(S)と第1のマスク層1104の露出する面(或いは保護層と接触する面)との距離(lor)は、凹凸構造1102のピッチ(P)と、0.05≦lor/P≦5の関係を満たす。上述したように、ピッチは50nm〜1000nmであると好ましいため、凹凸構造1102の凸部頂部位置(S)と第1のマスク層1104の露出する面(或いは保護層と接触する面)との距離(lor)は、2.5nm以上5000nmであると好ましい。特に、本実施の形態に係る熱ナノインプリント装置により、距離(lor)が、5nm以上1000nm以下といった薄い状態においても、被処理体104上に容易に貼合することが可能となり、第2のマスク層1103及び第1のマスク層1104を転写することが可能となる。特に、貼合精度、貼合速度、剥離精度、剥離速度を向上させる観点から、上記説明した装置仕様の他に、前記距離(lor)が5nm以上1000nm以下であると好ましく、10nm以上800nm以下であるとより好ましい。また、上記最も広い範囲(2.5nm以上5000nm)の中において、凹凸構造1102の凸部1102aの頂部上に配置される第2のマスク層1103bの微細パタン形成用フィルム1100の貼合性への影響の観点から、lcv<lor≦1500nmの範囲であることが好ましく、lcv+100nm≦lor≦1000nmの範囲であることがより好ましく、更に好ましくはlcv+150nm≦lor≦1000nmの範囲である。ドライエッチング時の物理的安定性の観点から、第1のマスク層1104の厚さは、lcv+200nm≦lor≦700nmの範囲であることが最も好ましい。特に、lcv=0においては、接着(貼合)性及び、被処理体への加工性が向上するため、好ましい。この場合、lcv=0における第1のマスク層1104(lor)の厚さは、位置(S)と第1のマスク層1104の露出する表面位置(Sb)との距離となる。
ドライエッチングによる、第2のマスク層1103のエッチングレート(Vm1)と、第1のマスク層1104のエッチングレート(Vo1)との比率(Vo1/Vm1)は、第2のマスク層1103をマスクとして第1のマスク層1104をエッチングする際の加工精度に影響を与える。Vo1/Vm1>1は、第2のマスク層1103が第1のマスク層1104よりもエッチングされにくいことを意味するため、大きいほど好ましい。第2のマスク層1103の塗工性の観点から、Vo1/Vm1≦150であることがこの好ましく、Vo1/Vm1≦100がより好ましい。耐エッチング性の観点から、3≦Vo1/Vm1であることが好ましく、10≦Vo1/Vm1であることがより好ましく、15≦Vo1/Vm1であることが、なお好ましい。
上記範囲を満たすことにより、第2のマスク層1103をマスクとして、厚みのある第1のマスク層1104を容易にドライエッチングによって微細加工することができる。また、第1のマスク層1104に膜厚分布があったとしても、第1のマスク層1104のエッチングレートに比べて第2のマスク層1103のエッチングレートの方が小さいため、第1のマスク層1104の膜厚分布を吸収することが可能となる。これにより、ドライエッチング微細加工された第2のマスク層1103及び第1のマスク層1104からなる、アスペクト比の高いマスクパタン(微細マスクパタン)16aを、被処理体20上に形成することができる。このような、アスペクト比の高いマスク(第2のマスク層1103及び第1のマスク層1104)を用いることで、被処理体20を容易にドライエッチング加工することができる。
一方、第1のマスク層1104のエッチング時のエッチング異方性(横方向のエッチングレート(Vo//)と、縦方向のエッチングレート(Vo⊥)との比率(Vo⊥/Vo//)は、Vo⊥/Vo//>1が好ましく、より大きいほど好ましい。第1のマスク層1104のエッチングレートと、被処理体20のエッチングレートの比率にもよるが、Vo⊥/Vo//≧2であることが好ましく、Vo⊥/Vo//≧3.5であることがより好ましく、Vo⊥/Vo//≧10であることがなお好ましい。なお、縦方向とは、第1のマスク層1104の膜厚方向を意味し、横方向とは、第1のマスク層1104の面方向を意味する。
ピッチがサブミクロン以下の領域においては、被処理体20を容易にドライエッチングするためには、第1のマスク層1104の幅を大きく保つ必要がある。上記範囲を満たすことにより、ドライエッチング後の第1のマスク層1104の幅(幹の太さ)を大きく保つことができるため、好ましい。
ドライエッチングによる、被処理体20のエッチングレート(Vi2)と、第1のマスク層1104のエッチングレート(Vo2)との比率(Vo2/Vi2)は、小さいほど好ましい。Vo2/Vi2<1であれば、第1のマスク層1104のエッチングレートの方が、被処理体20のエッチングレートよりも小さいため、被処理体20を容易に加工することができる。第1のマスク層1104の塗工性及び、エッチング精度の観点から、Vo2/Vi2≦3であることが好ましく、Vo2/Vi2≦2.5であるとより好ましい。Vo2/Vi2≦2であれば、第1のマスク層1104を薄くできるためより好ましい。Vo2/Vi2<1であれば、最も好ましい。
第1のマスク層1104を構成する第1のマスク層1104は、被処理体104との密着性の観点から、反応性希釈材及び重合開始材を含むと好ましく、特に、バインダー樹脂、反応性希釈材及び重合開始材を含むとより好ましい。特に、少なくとも側鎖にベンゼン骨格を有する部位を含むバインダー樹脂、(メタ)アクリレート、及び光重合開始材を含むと好ましい。
また、被処理体104の材質は、用途により適宜選択でき、特に限定されない。例えば、合成石英や溶融石英に代表される石英、無アルカリガラス、低アルカリガラス、ソーダライムガラスに代表されるガラス、シリコンウェハ、ニッケル板、サファイア、ダイヤモンド、SiC基板、マイカ基板、半導体基板(窒化物半導体基板等)、ZnO、及び、ITOが挙げられる。柔軟性のある微細パタン形成用フィルムを選定した場合、曲率を持つ外形を有す被処理体20(例えば、レンズ形状、円筒形状、円柱形状又は球形状)を選定することもできる。例えば、LEDの内部量子効率及び光取り出し効率を改善する場合は、サファイアやSiが挙げられる。また、光取り出し効率改善を目的とし、GaNに代表される窒化物半導体を選択することもできる。また、反射防止機能(透過率増加機能)を付与する目的で、公知市販のガラスを選択することもできる。
また、被処理体20の形状は、平板状又はレンズ状であるが、貼合精度、貼合速度を向上さる観点から平板状であることが好ましい。平板状被処理体としては例えば、2インチφサファイアウェハ、4インチφサファイアウェハ、6インチφサファイアウェハ等が挙げられる。
凹凸構造1102を構成する材料のうち、光重合可能なラジカル重合系の樹脂としては、非フッ素含有の(メタ)アクリレート、フッ素含有(メタ)アクリレート及び光重合開始剤の混合物である硬化性樹脂組成物を用いることが好ましい。この硬化性樹脂組成物を用いることで、表面自由エネルギーの低い疎水性界面等に該組成物を接触させた状態で上記組成物を硬化させると、凹凸構造1102の表面部のフッ素元素濃度(Es)を、凹凸構造1102を構成する樹脂中の平均フッ素元素濃度(Eb)より大きくでき、更には樹脂中の平均フッ素元素濃度(Eb)をより小さくするように調整することができる。
(A)(メタ)アクリレート
(メタ)アクリレートとしては、後述する(B)フッ素含有(メタ)アクリレート以外の重合性モノマーであれば制限はないが、アクリロイル基又はメタクリロイル基を有するモノマー、ビニル基を有するモノマー、アリル基を有するモノマーが好ましく、アクリロイル基又はメタクリロイル基を有するモノマーがより好ましい。そして、それらは非フッ素含有のモノマーであることが好ましい。なお、(メタ)アクリレートはアクリレート又はメタアクリレートを意味する。
また、重合性モノマーとしては、重合性基を複数具備した多官能性モノマーであることが好ましく、重合性基の数は、重合性に優れることから1〜4の整数が好ましい。また、2種類以上の重合性モノマーを混合して用いる場合、重合性基の平均数は1〜3が好ましい。単一モノマーを使用する場合は、重合反応後の架橋点を増やし、硬化物の物理的安定性(強度、耐熱性等)を得るため、重合性基の数が3以上のモノマーであることが好ましい。また、重合性基の数が1又は2であるモノマーの場合、重合性数の異なるモノマーと併用して使用することが好ましい。
(メタ)アクリレートモノマーの具体例としては、下記の化合物が挙げられる。アクリロイル基又はメタクリロイル基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、芳香族系の(メタ)アクリレート[フェノキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレート等。]、炭化水素系の(メタ)アクリレート[ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、アリルアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタアエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等。]、エーテル性酸素原子を含む炭化水素系の(メタ)アクリレート[エトキシエチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、テトラヒドロフルフリールアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリオキシエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート等。]、官能基を含む炭化水素系の(メタ)アクリレート[2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N−ビニルピロリドン、ジメチルアミノエチルメタクリレート等。]、シリコーン系のアクリレート等。他には、EO変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ECH変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、PO変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、EO変性リン酸トリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリル化イソシアヌレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、EO変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ECH変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、アリロキシポリエチレングリコールアクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ECH変性ヘキサヒドロフタル酸ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性ネオペンチルグリコールジアクリレート、PO変性ネオペンチルグリコールジアクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコール、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ECH変性プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ECH変性フタル酸ジ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、シリコーンジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエステル(ジ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、EO変性トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルエチレン尿素、ジビニルプロピレン尿素、2−エチル−2−ブチルプロパンジオールアクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、アクリル酸ダイマー、ベンジル(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、EO変性クレゾール(メタ)アクリレート、エトキシ化フェニル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールベンゾエート(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、ECH変性フェノキシアクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、EO変性コハク酸(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、EO変性トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、トリドデシル(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジ及びトリアクリレート、ε―カプロラクトン変性トリス(アクロキシエチル)イソシアヌレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート等が挙げられる。アリル基を有するモノマーとしては、p−イソプロペニルフェノール、ビニル基を有するモノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、ビニルカルバゾール等が挙げられる。なお、EO変性とはエチレンオキシド変性をECH変性とはエピクロロヒドリン変性を、PO変性とはプロピレンオキシド変性を意味する。
(B)フッ素含有(メタ)アクリレート
フッ素含有(メタ)アクリレートとしては、ポリフルオロアルキレン鎖及び/又はペルフルオロ(ポリオキシアルキレン)鎖と、重合性基とを有することが好ましく、直鎖状ペルフルオロアルキレン基、又は炭素原子−炭素原子間にエーテル性酸素原子が挿入され且つトリフルオロメチル基を側鎖に有するペルフルオロオキシアルキレン基が更に好ましい。また、トリフルオロメチル基を分子側鎖又は分子構造末端に有する直鎖状のポリフルオロアルキレン鎖及び/又は直鎖状のペルフルオロ(ポリオキシアルキレン)鎖が特に好ましい。
ポリフルオロアルキレン鎖は、炭素数2〜炭素数24のポリフルオロアルキレン基が好ましい。また、ポリフルオロアルキレン基は、官能基を有していてもよい。
ペルフルオロ(ポリオキシアルキレン)鎖は、(CF2CF2O)単位、(CF2CF(CF3)O)単位、(CF2CF2CF2O)単位及び(CF2O)単位からなる群から選ばれた1種以上のペルフルオロ(オキシアルキレン)単位からなることが好ましく、(CF2CF2O)単位、(CF2CF(CF3)O)単位、又は(CF2CF2CF2O)単位からなることがより好ましい。ペルフルオロ(ポリオキシアルキレン)鎖は、含フッ素重合体の物性(耐熱性、耐酸性等)が優れることから、(CF2CF2O)単位からなることが特に好ましい。ペルフルオロ(オキシアルキレン)単位の数は、含フッ素重合体の離型性と硬度が高いことから、2〜200の整数が好ましく、2〜50の整数がより好ましい。
重合性基としては、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、エポキシ基、ジオキタセン基、シアノ基、イソシアネート基又は式−(CH2)aSi(M1)3−b(M2)bで表される加水分解性シリル基が好ましく、アクリロイル基又はメタクリロイル基がより好ましい。ここで、M1は加水分解反応により水酸基に変換される置換基である。このような置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシロキシ基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、塩素原子が好ましい。アルコキシ基としては、メトキシ基又はエトキシ基が好ましく、メトキシ基がより好ましい。M1としては、アルコキシ基が好ましく、メトキシ基がより好ましい。M2は、1価の炭化水素基である。M2としては、アルキル基、1以上のアリール基で置換されたアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基等が挙げられ、アルキル基又はアルケニル基が好ましい。M2がアルキル基である場合、炭素数1〜炭素数4のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。M2がアルケニル基である場合、炭素数2〜炭素数4のアルケニル基が好ましく、ビニル基又はアリル基がより好ましい。aは1〜3の整数であり、3が好ましい。bは0又は1〜3の整数であり、0が好ましい。加水分解性シリル基としては、(CH3O)3SiCH2−、(CH3CH2O)3SiCH2−、(CH3O)3Si(CH2)3−又は(CH3CH2O)3Si(CH2)3−が好ましい。
重合性基の数は、重合性に優れることから1〜4の整数が好ましく、1〜3の整数がより好ましい。2種以上の化合物を用いる場合、重合性基の平均数は1〜3が好ましい。
フッ素含有(メタ)アクリレートは、官能基を有すると透明基板との密着性に優れる。官能基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、エステル結合を有する官能基、アミド結合を有する官能基、水酸基、アミノ基、シアノ基、ウレタン基、イソシアネート基、イソシアヌル酸誘導体を有する官能基等が挙げられる。特に、カルボキシル基、ウレタン基、イソシアヌル酸誘導体を有する官能基の少なくとも1つの官能基を含むことが好ましい。なお、イソシアヌル酸誘導体には、イソシアヌル酸骨格を有するもので、窒素原子に結合する少なくとも1つの水素原子が他の基で置換されている構造のものが包含される。フッ素含有(メタ)アクリレートとしては、フルオロ(メタ)アクリレート、フルオロジエン等を用いることができる。フッ素含有(メタ)アクリレートの具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
フルオロ(メタ)アクリレートとしては、CH2=CHCOO(CH2)2(CF2)10F、CH2=CHCOO(CH2)2(CF2)8F、CH2=CHCOO(CH2)2(CF2)6F、CH2=C(CH3)COO(CH2)2(CF2)10F、CH2=C(CH3)COO(CH2)2(CF2)8F、CH2=C(CH3)COO(CH2)2(CF2)6F、CH2=CHCOOCH2(CF2)6F、CH2=C(CH3)COOCH2(CF2)6F、CH2=CHCOOCH2(CF2)7F、CH2=C(CH3)COOCH2(CF2)7F、CH2=CHCOOCH2CF2CF2H、CH2=CHCOOCH2(CF2CF2)2H、CH2=CHCOOCH2(CF2CF2)4H、CH2=C(CH3)COOCH2(CF2CF2)H、CH2=C(CH3)COOCH2(CF2CF2)2H、CH2=C(CH3)COOCH2(CF2CF2)4H、CH2=CHCOOCH2CF2OCF2CF2OCF3、CH2=CHCOOCH2CF2O(CF2CF2O)3CF3、CH2=C(CH3)COOCH2CF2OCF2CF2OCF3、CH2=C(CH3)COOCH2CF2O(CF2CF2O)3CF3、CH2=CHCOOCH2CF(CF3)OCF2CF(CF3)O(CF2)3F、CH2=CHCOOCH2CF(CF3)O(CF2CF(CF3)O)2(CF2)3F、CH2=C(CH3)COOCH2CF(CF3)OCF2CF(CF3)O(CF2)3F、CH2=C(CH3)COOCH2CF(CF3)O(CF2CF(CF3)O)2(CF2)3F、CH2=CFCOOCH2CH(OH)CH2(CF2)6CF(CF3)2、CH2=CFCOOCH2CH(CH2OH)CH2(CF2)6CF(CF3)2、CH2=CFCOOCH2CH(OH)CH2(CF2)10F、CH2=CFCOOCH2CH(OH)CH2(CF2)10F、CH2=CHCOOCH2CH2(CF2CF2)3CH2CH2OCOCH=CH2、CH2=C(CH3)COOCH2CH2(CF2CF2)3CH2CH2OCOC(CH3)=CH2、CH2=CHCOOCH2CyFCH2OCOCH=CH2、CH2=C(CH3)COOCH2CyFCH2OCOC(CH3)=CH2等のフルオロ(メタ)アクリレートが挙げられる(但し、CyFはペルフルオロ(1,4−シクロへキシレン基)を示す。)。
フルオロジエンとしては、CF2=CFCF2CF=CF2、CF2=CFOCF2CF=CF2、CF2=CFOCF2CF2CF=CF2、CF2=CFOCF(CF3)CF2CF=CF2、CF2=CFOCF2CF(CF3)CF=CF2、CF2=CFOCF2OCF=CF2、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF=CF2、CF2=CFCF2C(OH)(CF3)CH2CH=CH2、CF2=CFCF2C(OH)(CF3)CH=CH2、CF2=CFCF2C(CF3)(OCH2OCH3)CH2CH=CH2、CF2=CFCH2C(C(CF3)2OH)(CF3)CH2CH=CH2等のフルオロジエンが挙げられる。
(フッ素含有(メタ)アクリレート)
なお、本発明で用いるフッ素含有(メタ)アクリレートは、上記化学式(1)で示されるフッ素含有ウレタン(メタ)アクリレートであると、樹脂中の平均フッ素元素濃度(Eb)を低くした状態で、効果的に凹凸構造表面部のフッ素元素濃度(Es)を高くでき、被処理体への接着性と離型性をいっそう効果的に発現できるため、より好ましい。このようなウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、ダイキン工業社製の「オプツールDAC」を用いることができる。
フッ素含有(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、耐摩耗性、耐傷付き、指紋付着防止、防汚性、レベリング性や撥水撥油性等の表面改質剤との併用もできる。例えば、ネオス社製「フタージェント」(例えば、Mシリーズ:フタージェント251、フタージェント215M、フタージェント250、FTX−245M、FTX−290M;Sシリーズ:FTX−207S、FTX−211S、FTX−220S、FTX−230S;Fシリーズ:FTX−209F、FTX−213F、フタージェント222F、FTX−233F、フタージェント245F;Gシリーズ:フタージェント208G、FTX−218G、FTX−230G、FTS−240G;オリゴマーシリーズ:フタージェント730FM、フタージェント730LM;フタージェントPシリーズ:フタージェント710FL、FTX−710HL、等)、DIC社製「メガファック」(例えば、F−114、F−410、F−493、F−494、F−443、F−444、F−445、F−470、F−471、F−474、F−475、F−477、F−479、F−480SF、F−482、F−483、F−489、F−172D、F−178K、F−178RM、MCF−350SF、等)、ダイキン社製「オプツールTM」(例えば、DSX、DAC、AES)、「エフトーンTM」(例えば、AT−100)、「ゼッフルTM」(例えば、GH−701)、「ユニダインTM」、「ダイフリーTM」、「オプトエースTM」、住友スリーエム社製「ノベックEGC−1720」、フロロテクノロジー社製「フロロサーフ」、等が挙げられる。
フッ素含有(メタ)アクリレートは、分子量Mwが50〜50000であることが好ましく、相溶性の観点から分子量Mwが50〜5000であることが好ましく、分子量Mwが100〜5000であることがより好ましい。相溶性の低い高分子量を使用する際は希釈溶剤を使用しても良い。希釈溶剤としては、単一溶剤の沸点が40℃〜180℃の溶剤が好ましく、60℃〜180℃がより好ましく、60℃〜140℃が更に好ましい。希釈剤は2種類以上使用もよい。
溶剤含量は、少なくとも硬化性樹脂組成物中で分散する量であればよく、硬化性組成物100重量部に対して0重量部超〜50重量部が好ましい。乾燥後の残存溶剤量を限りなく除去することを配慮すると、溶剤含量は0重量部超〜10重量部がより好ましい。
特に、レベリング性を向上させるために溶剤を含有する場合は、(メタ)アクリレート100重量部に対して、溶剤含量が0.1重量部以上40重量部以下であれば好ましい。溶剤含量が0.5重量部以上20重量部以下であれば、光重合性混合物の硬化性を維持できるためより好ましく、1重量部以上15重量部以下であれば、更に好ましい。光重合性混合物の膜厚を薄くするために溶剤を含有する場合は、(メタ)アクリレート100重量部に対して、溶剤含量が300重量部以上10000重量部以下であれば、塗工後の乾燥工程での溶液安定性を維持できるため好ましく、300重量部以上1000重量部以下であればより好ましい。
(C)光重合開始剤
光重合開始剤は、光によりラジカル反応又はイオン反応を引き起こすものであり、ラジカル反応を引き起こす光重合開始剤が好ましい。光重合開始剤としては、下記の光重合開始剤が挙げられる。
アセトフェノン系の光重合開始剤:アセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、クロロアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2’−フェニルアセトフェノン、2−アミノアセトフェノン、ジアルキルアミノアセトフェノン等。ベンゾイン系の光重合開始剤:ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール等。ベンゾフェノン系の光重合開始剤:ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、メチル−o−ベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシプロピルベンゾフェノン、アクリルベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、ペルフルオロベンゾフェノン等。チオキサントン系の光重合開始剤:チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ジメチルチオキサントン等。アントラキノン系の光重合開始剤:2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン。ケタール系の光重合開始剤:アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール。その他の光重合開始剤:α−アシルオキシムエステル、ベンジル−(o−エトキシカルボニル)−α−モノオキシム、アシルホスフィンオキサイド、グリオキシエステル、3−ケトクマリン、2−エチルアンスラキノン、カンファーキノン、テトラメチルチウラムスルフィド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペルオキシド、ジアルキルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシピバレート等。フッ素原子を有する光重合開始剤:ペルフルオロtert−ブチルペルオキシド、ペルフルオロベンゾイルペルオキシド等、の公知慣用の光重合開始剤を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
光重合性混合物は、光増感剤を含んでいてもよい。光増感剤の具体例としては、n−ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、アリルチオ尿素、s−ベンジスイソチウロニウム−p−トルエンスルフィネート、トリエチルアミン、ジエチルアミノエチルメタクリレート、トリエチレンテトラミン、4,4’−ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等のアミン類のような公知慣用の光増感剤の1種或いは2種以上と組み合わせて用いることができる。
市販されている開始剤の例としては、BASFジャパン(株)製の「Irgacure(登録商標)」(例えば、Irgacure651、184、500、2959、127、754、907、369、379、379EG、819、1800、784、O26E01、O26E02)や「Darocur(登録商標)」(例えば、Darocur1173、MBF、TPO、4265)等が挙げられる。
光重合開始剤は、1種のみを単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。2種類以上併用する場合には、フッ素含有(メタ)アクリレートの分散性ならびに光重合性混合物の凹凸構造表面部及び内部の硬化性の観点から選択するとよい。例えば、αヒドロキシケトン系光重合開始剤とαアミノケトン系光重合開始剤とを併用することが挙げられる。また、2種類併用する場合の組み合わせとしては、例えば、BASFジャパン(株)製の「Irgacure」同士、「Irgacure」と「Darocur」の組み合わせとして、Darocur1173とIrgacure819、Irgacure379とIrgacure127、Irgacure819とIrgacure127、Irgacure250とIrgacure127、Irgacure184とIrgacure369、Irgacure184とIrgacure379EG、Irgacure184とIrgacure907、Irgacure127とIrgacure379EG、Irgacure819とIrgacure184、DarocurTPOとIrgacure184等が挙げられる。
(第2のマスク層)
第2のマスク層1103の材料については、溶剤に希釈可能な、無機前駆体、無機縮合体、金属酸化物フィラー、金属酸化物微粒子等を使用できる。第2のマスク層1103は、微細パタン形成用フィルム1100を使用して、マスクを形成したい被処理体20にマスクを転写する際の転写精度の観点から、光重合可能な光重合性基と熱重合可能な重合性基の両方、又はいずれか一方を含むと特に好ましい。また、第2のマスク層1103は、耐ドライエッチング性の観点から、金属元素を含むことが好ましい。更に、第2のマスク層1103は、金属酸化物微粒子を含むことにより、被処理体20をドライエッチングする際の加工が、より容易になるため好ましい。
希釈溶剤としては、特に限定されないが、単一溶剤の沸点が40℃〜200℃の溶剤が好ましく、60℃〜180℃がより好ましく、60℃〜160℃が更に好ましい。希釈剤は2種類以上を使用してもよい。
また、溶剤希釈した無機材料の濃度は、単位面積上に塗工された塗膜の固形分量が、単位面積上(又は単位面積下)に存在する凹凸構造1102の空隙(凹部1102b)の体積以下となる濃度であれば、特に限定されない。
第2のマスク層1103に含まれる光重合性基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、アクリル基、メタクリル基、ビニル基、エポキシ基、アリル基、オキセタニル基等が挙げられる。
また、第2のマスク層1103に含まれる金属元素としては、チタン(Ti),ジルコニウム(Zr),クロム(Cr),亜鉛(Zn),スズ(Sn),ホウ素(B),インジウム(In),アルミニウム(Al),シリコン(Si)からなる群から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。特に、チタン(Ti),ジルコニウム(Zr),クロム(Cr),シリコン(Si)であることが好ましい。
第2のマスク層1103を形成する材料は、ゾルゲル材料を含むことが好ましい。ゾルゲル材料を含むことで、耐ドライエッチング性の良好な第2のマスク層1103を、凹凸構造1102の内部(凹部1102b)への充填が容易になるばかりでなく、第1のマスク層1104をドライエッチングする際の、縦方向のドライエッチングレート(Vr⊥)と、横方向のドライエッチングレート(Vr//)との比率(Vr⊥/Vr//)を大きくすることができる。ゾルゲル材料としては、単一の金属種を持つ金属アルコキシドのみを用いても、異なる金属種を持つ金属アルコキシドを併用してもよいが、金属種M1(ただし、M1は、Ti,Zr,Zn,Sn,B,In及びAlからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素)を持つ金属アルコキシドと、金属種Siを持つ金属アルコキシドとの、少なくとも2種類の金属アルコキシドを含有することが好ましい。又は、無機材料として、これらのゾルゲル材料と、公知の光重合性樹脂とのハイブリッドも使用できる。
無機材料は、ドライエッチング時の物理的破壊を抑制する観点から、縮合と光重合の両方、或いはいずれか一方による硬化後の相分離が小さいことが好ましい。ここで、相分離は、透過型電子顕微鏡(TEM)のコントラストで確認することが可能である。第2のマスク層1103の転写性の観点から、TEMのコントラストより、相分離サイズが20nm以下であることが好ましい。物理的耐久性及び、耐ドライエッチング性の観点から、相分離サイズは15nm以下であることが好ましく、10nm以下であると、より好ましい。なお、相分離を抑制する観点から、ゾルゲル材料中に、光重合性基を具備するシランカップリング剤を含むことが好ましい。
また、第2のマスク層1103としての耐ドライエッチング性の観点から、ゾルゲル材料は、金属種の異なる、少なくとも2種類の金属アルコキシドを含むことが好ましい。金属種の異なる2種類の金属アルコキシドの、金属種の組み合わせとしては、例えば、SiとTi,SiとZr,SiとTa等が挙げられる。耐ドライエッチング性の観点から、Siを金属種に持つ金属アルコキシドのモル濃度(CSi)と、Si以外の金属種M1を持つ金属アルコキシド(CM1)との比率CM1/CSiは、0.2〜15であることが好ましい。塗工乾燥時の安定性の観点から、CM1/CSiは0.5〜15であることが好ましい。物理的強度の観点から、CM1/CSiは5〜8であることがより好ましい。
第2のマスク層1103は、第2のマスク層1103の転写精度と耐ドライエッチング性の観点から、無機のセグメントと有機のセグメントを含むハイブリッドであることが好ましい。ハイブリッドとしては、例えば、無機微粒子と、光重合(或いは熱重合)可能な樹脂の組み合わせや、無機前駆体と光重合(或いは熱重合)可能な樹脂、や、有機ポリマーと無機セグメントが共有結合にて結合した分子、等が挙げられる。無機前駆体としてゾルゲル材料を使用する場合は、シランカップリング剤を含むゾルゲル材料の他に、光重合可能な樹脂を含むことを意味する。ハイブリッドの場合、例えば、金属アルコキシド、光重合性基を具備したシランカップリング材、ラジカル重合系樹脂等を混合することができる。より転写精度を高めるために、これらにシリコーンを添加してもよい。また、ドライエッチング耐性を向上させるために、ゾルゲル材料部分は、あらかじめ予備縮合を行ってもよい。シランカップリング剤を含む金属アルコキシドと、光重合性樹脂の混合比率は、耐ドライエッチング性と転写精度の観点から、3:7〜7:3の範囲が好ましい。より好ましくは、3.5:6.5〜6.5:3.5の範囲である。ハイブリッドに使用する樹脂は、光重合可能であれば、ラジカル重合系でも、カチオン重合系でも特に限定されない。
第2のマスク層1103を構成する光重合可能なラジカル重合系の樹脂としては、上記に挙げた凹凸構造を構成する光重合可能なラジカル重合系の樹脂から、フッ素含有(メタ)アクリレートを除いたものを用いることが好ましい。
第2のマスク層1103を構成する光重合可能なカチオン重合系の樹脂は、少なくともカチオン硬化性モノマーと、光酸発生剤とを含む組成物を意味する。カチオン硬化性樹脂組成物におけるカチオン硬化性モノマーとは、カチオン重合開始剤の存在下で、例えば、UV照射や加熱等の硬化処理を行うことにより硬化物が得られる化合物である。カチオン硬化性モノマーとしては、エポキシ化合物、オキセタン化合物、及びビニルエーテル化合物が挙げられ、エポキシ化合物としては、脂環式エポキシ化合物、及びグリシジルエーテルが挙げられる。これらの中でも脂環式エポキシ化合物は、重合開始速度が向上し、オキセタン化合物は重合率の向上効果があるので、使用することが好ましく、グリシジルエーテルはカチオン硬化性樹脂組成物の粘度を低下させ、塗工性に効果があるので使用することが好ましい。より好ましくは、脂環式エポキシ化合物とオキセタン化合物とを併用することであり、更に好ましくは脂環式エポキシ化合物とオキセタン化合物との重量比率が99:1〜51:49の範囲で併用することである。
カチオン硬化性モノマーの具体例としては、以下のものが挙げられる。脂環式エポキシ化合物としては、例えば、3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボン酸−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボン酸−3,4−エポキシ−6’−シクロヘキシルメチル、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが挙げられる。
グリシジルエーテルとしては、例えば、ビスフェノールAグリシジルエーテル、ビスフェノールFグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート、3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルエチルジエトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
オキセタン化合物としては、例えば、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、3−エチル−3アリルオキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−{[3−(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン等が挙げられる。
ビニルエーテルとしては、2−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、2−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル等が挙げられる。
光酸発生剤は、光照射により光酸を発生すれば、特に限定されるものではない。例えば、スルホニウム塩、ヨードニウム塩といった芳香族オニウム塩が挙げられる。光酸発生剤としては、例えば、スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンジルトリフェニルホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンジルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンゾイントシレート、アデカオプトマーsp−170(ADEKA社製)、アデカオプトマーsp−172(ADEKA社製)、WPAG−145(和光純薬工業社製)、WPAG−170(和光純薬工業社製)、WPAG−199(和光純薬工業社製)、WPAG−281(和光純薬工業社製)、WPAG−336(和光純薬工業社製)、WPAG−367(和光純薬工業社製)、CPI−100P(サンアプロ社製)、CPI−101A(サンアプロ社製)、CPI−200K(サンアプロ社製)、CPI−210S(サンアプロ社製)、DTS−102(みどり化学社製)、TPS−TF(東洋合成工業社製)、及び、DTBPI−PFBS(東洋合成工業社製)が挙げられる。
希釈した無機材料を、凹凸構造の凹凸構造面上に直接塗工した際の濡れ性が悪い場合は、無機材料に界面活性剤やレベリング材を添加してもよい。これらは、公知市販のものを使用することができるが、同一分子内に光重合性基を具備していることが好ましい。添加濃度は、塗工性の観点から、無機材料100重量部に対して、40重量部以上が好ましく、60重量部以上が、より好ましい。一方で、耐ドライエッチング耐性の観点から、500重量部以下であることが好ましく、300重量部以下であると、より好ましく、150重量部以下であると、なお好ましい。
一方、無機材料と第1のマスク層1104との転写精度を向上させる観点から、界面活性剤やレベリング材を添加する場合は、これらの添加濃度は、無機材料100重量部に対して、20重量部以下であることが好ましく、15重量部以下であると、より好ましく、10重量部以下であると、なお好ましい。これらの界面活性剤やレベリング材は、特に、カルボキシル基、ウレタン基、イソシアヌル酸誘導体を有する官能基の、少なくとも1つの官能基を含むことが、相溶性の観点から好ましい。なお、イソシアヌル酸誘導体には、イソシアヌル酸骨格を有するもので、窒素原子に結合する少なくとも1つの水素原子が他の基で置換されている構造のものが包含される。これらを満たすものとして、例えば、ダイキン工業社製のオプツールDACが挙げられる。添加剤は、溶剤に溶かした状態で、マスク剤と混合することが好ましい。
(第1のマスク層)
微細パタン形成用フィルム1100を、第1のマスク層1104を介して加工対象である被処理体20へと貼合して接着した後に、第1のマスク層1104を硬化させ、その後カバーフィルムを剥離することでも、容易に第2のマスク層1103を被処理体20上へと転写することができる。ここで、微細パタン形成用フィルム1を用いる場合に使用する第1のマスク層1104と、微細パタン形成用フィルムの第1のマスク層1104は同様の特性を満たし、同様の材料から構成される。
第1のマスク層1104は、上述した選択比を満たせば特に限定されない。特に、エネルギー線の照射により硬化すると好ましい。第1のマスク層1104を構成する材料として、上記に挙げた凹凸構造を構成する光重合可能なラジカル重合系の樹脂から、フッ素含有(メタ)アクリレートを除いたものや、上記に挙げた第2のマスク層1103を構成する光重合可能なカチオン重合系の樹脂、その他公知である市販の光重合性或いは熱重合性樹脂や、部分的に架橋し、熱圧着が可能な樹脂を使用することができる。
第2のマスク層1103と、第1のマスク層1104とは、化学的に結合することが、転写精度の観点から好ましい。そのため、第2のマスク層1103が光重合性基を含む場合は、第1のマスク層1104も光重合性基を含み、第2のマスク層1103が熱重合性基を含む場合は、第1のマスク層1104も熱重合性基を含むことが好ましい。また、第2のマスク層1103中の、ゾルゲル材料との縮合により、化学結合を生成するために、第1のマスク層1104にゾルゲル材料を含んでもよい。光重合方式としては、ラジカル系とカチオン系が存在するが、硬化速度とドライエッチング耐性の観点から、ラジカル系のみ、或いは、ラジカル系とカチオン系のハイブリッド系が好ましい。ハイブリッドの場合、ラジカル重合系樹脂とカチオン重合系樹脂を、重量比率で、3:7〜7:3で混合することが好ましく、3.5:6.5〜6.5:3.5であるとより、好ましい。
ドライエッチング時の、第1のマスク層1104の物理的安定性と、ハンドリングの観点から、硬化後の第1のマスク層1104のガラス転移温度Tgは、30℃〜300℃であることが好ましく、600℃〜250℃であるとより好ましい。
第1のマスク層1104と被処理体20、及び、第1のマスク層1104と第2のマスク層1103、の密着性の観点から、第1のマスク層1104の比重法による収縮率は、5%以下であると好ましい。
また、微細パタン形成用フィルム1100における凹凸構造1102、第2のマスク層1103及び第1のマスク層1104から成る積層体を使用して、被処理体20へと微細パタン形成用フィルムを貼合する際のハンドリングの観点から、第1のマスク層1104は、熱圧着可能な樹脂であると好ましい。この場合、該積層体を作製し、カバーフィルム1101を合わせて巻き取り回収することができる。このロールを繰り出し、所望の被処理体20へと熱圧着により容易に貼合することができる。このような使用方法は、微細パタン形成用フィルム1100を用いることで、ナノインプリント(転写)の転写材の充填や剥離といったノウハウを排除でき、また、特殊な装置を必要としないことを意味する。
熱圧着できる樹脂としては、200℃以下で圧着可能な樹脂が好ましく、150℃以下で圧着可能であるとより好ましい。熱圧着可能な樹脂を、凹凸構造1102及び第2のマスク層1103上に積層し、凹凸構造1102、第2のマスク層1103及び第1のマスク層1104で構成される積層体とすることが挙げられる。熱圧着可能な樹脂としては、第2のマスク層1103との接着性の観点から、感光性樹脂を含むとより好ましい。特にバインダーポリマー、光重合性モノマー、光重合性開始剤を含むことが好ましい。熱圧着及び転写精度の観点から、バインダーポリマーと光重合性モノマーとの比は、9:1〜1:9が好ましく、より好ましくは7:3〜3:7、最も好ましくは6:4〜4:6である。また、耐ドライエッチング性の観点から、バインダーポリマーは化学式(4)に示す部位を含むことが好ましい。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状等については、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。