明 細 書
アレルギー抑制剤
技術分野
[0001] 本発明は、クリシンを含むアレルギー抑制剤に関する。本発明の剤は、飲料を含む 食品、又は医薬品の形態とすることができる。
背景技術
[0002] アレルギーの介在して!/、る疾患は数多 、。主なものとしては、花粉症、アレルギー 性鼻炎、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、じんましん、膠原病、過敏性肺臓炎、免疫 不全などがある。 日本人の 1/3が何らかのアレルギー症状に悩んでいるとも言われ、 効果的な治療方法が切望されて!、る。
[0003] 近年、アレルギー症状の改善に役立つとされる天然物由来の有効成分を含む食品 等が続々と登場してきている。例えば、特定の乳酸菌を使ったヨーグルト、ペパーミン トに含まれるミントポリフエノールを配合した飲料、トマトの果皮に含まれるポリフエノー ル、ナリンゲニンカルコンを配合した錠剤タイプの健康食品やドリンク剤などである。 天然物由来の有効成分は、合成薬に比較して自然で安心感がある点で、 日常的に 利用する際に抵抗が少なぐまた、繰り返し摂取することによって、不快な症状を対処 的に和らげるのみならずアレルギー体質自体を改善する効果が期待できるなどの理 由から、注目を集めている。
[0004] 天然物由来のフラボノイドやポリフエノールの抗アレルギー効果に関しては、いくつ かの報告がある。
[0005] 特許文献 1は、摘果作業が行われる時期に採取される未熟果実由来のポリフエノー ル混合物を開示する。この果実ポリフエノール混合物は、単純ポリフエノールイ匕合物 としてカフェ一酸誘導体、 P-タマル酸誘導体、フラバン- 3-オール類 (カテキン類)、フ ラボノール類 (ケルセチン配糖体類)、ジヒドロカルコン類 (フロレチン配糖体類)など、ま た高分子ポリフエノールイ匕合物として縮合型タンニン類などによりその組成の大部分 が占められており、よって、酸化防止剤、血圧降下剤、抗変異原性作用剤、アレルギ 一抑制剤、抗ぅ触剤、消臭剤として有効であるとされている。
[0006] 特許文献 2は、茶葉由来のテアフラビンモノガレー 1 A、テアフラビンモノガレート B及 びテアフラビンジガレートの中力 選ばれた少なくとも 1種の物質を有効成分として含 むヒアル口-ダーゼ活性阻害剤を開示する。ヒアル口-ダーゼは起炎症剤としての作 用を有し、また抗炎症剤ゃ抗アレルギー剤により活性が阻害されることから、これらの 有効成分によりヒアル口-ダーゼ活性を阻害して、各種炎症やアレルギーを軽減でき るとされている。同様に茶葉由来の物質に関するものとして、特許文献 3は、茶葉の 水系溶剤抽出物のポリフエノール画分力 分離'採取された 3-0-メチルガロイルェピ ガロカテキン及び Z又は 4-0-メチルガロイルェピガロカテキンを有効成分として含有 する抗アレルギー剤を開示する。これらのカテキン類は、 I型及び IV型アレルギー反 応を抑制するとされている。また、特許文献 4は、茶葉を水系溶剤で抽出して得られる ポリフエノール画分から分離、採取することができるストリクチュン及びそのメチルイ匕誘 導体の中力 選ばれた少なくとも 1種のポリフ ノールを有効成分として含有すること を特徴とする抗アレルギー剤を開示する。この有効成分は、 IgE産生抑制効果を指標 にスクリ一-ングを行うことにより見 、だされたものである。
[0007] さらに、特許文献 5は、ァカメガシヮの果皮の抽出成分であるフロログルシノール誘 導体を含む、抗アレルギー剤及び抗炎症剤を開示する。この有効成分は、ヒスタミン 遊離抑制効果及びプロスタグランジン E2産生抑制効果があるとされている。
[0008] 特許文献 6は、シソ科植物力 抽出された抽出物が TNF産生を特異的に抑制すると の知見をもとに、シソ科植物の有機溶剤による抽出物を配合したことを特徴とする抗 アレルギー化粧料組成物を開示する。この組成物は、免疫機能抑制作用、 I型疾患 モデルに対する抗アレルギー効果及びアトピー性皮膚炎に対して効果を奏するとさ れている。同様に、シソ由来の物質に関するものとして、特許文献 7は、シソ沸騰水抽 出物から得られ、肥満細胞脱顆粒阻害活性を有し、糖及びアミノ酸を構成要素として 含む分子量 13,500、比旋光度 [ α ] (0.25、 Η〇)=-0.4、褐色の物質であることを特徴と
D 2
する抗アレルギー物質を開示する。さらに特許文献 8は、シソ種子のアルコール抽出 物由来の、ァピゲニン、クリソエリオール、ルテオリン及びロスマリン酸力 選ばれる 1 種又は 2種以上を含むヒスタミン遊離抑制剤を開示する。このヒスタミン遊離抑制剤は 、 I型アレルギーの発症過程において、感作細胞力 ヒスタミンを遊離させにくくするこ
とから、アレルギー性疾患を効果的に治療及び予防することができるとされて 、る。
[0009] ァピゲニン、ルテオリンは、他の植物にも見 、だされて 、る。特許文献 9は、有効成 分として、ルテオリン、ァピゲニン及びァピゲニン- 7-0 -ダルコシドよりなる群より選ば れる少なくとも 1種の化合物を含有するッリフネソゥの花弁の抽出エキスを含有する抗 アレルギー組成物を開示する。この組成物は、アトピー性皮膚疾患、花粉症、食物ァ レルギ一、じんましん等の炎症性及びアレルギー性の皮膚疾患等における激 、痒 みを抑制する効果があるとされている。また、ここでは有効成分力 肥満細胞からのヒ スタミン遊離剤による痒みの惹起に対して顕著な抑制効果を示したことから、有効成 分の抗痒み作用のメカニズムの一つは脱顆粒抑制であると考察されている。
[0010] 一方、ハチミツやプロポリスに含まれるフラボノイドに関する報告がいくつかある。ハ チミッは、 P-ヒドロキシ安息香酸、 P-タマル酸、シス, トランス-アブシス酸、桂皮酸、ピ ノバンクシン、ピノセンブリン及びクリシン等を含んでおり、また抗酸化作用等を有す ることが報告されている (例えば、非特許文献 1〜4参照)。また、クリシンに関しては、 アンドロステンジオンやテストステロン等をエストロゲンに変換するァロマターゼの働き を抑える作用があることが分かっており、ホルモンバランスを改善するためのサプリメ ントとして市販されている。
[0011] しかしながら、ハチミツは、アレルギーとの関連ではハチミツアレルギーに関する研 究が中心であり、症状の改善を指向する研究としては、ハチミツと蜜ろうとォリーブ油 との混合物が局所投与した際にアトピー性皮膚炎及び尋常性乾癬に有用であつたと の報告 (非特許文献 5)が認められるにずぎず、又はハチミツの特定の成分に抗アレル ギー作用が認められたとの報告はない。
特許文献 1 :特開平 7-285876号公報 (特許第 3521155号公報)又は特開 2002-47196 号公報
特許文献 2:特許第 3242997号公報
特許文献 3:特開 2000-159670号公報
特許文献 4:特開 2002-12545
特許文献 5:特開 2003-73265
特許文献 6:特開平 6-293652号公報
特許文献 7:特開平 9-20672号公報 (特許第 3071669号公報)
特許文献 8:特開平 2000-86510号公報
特許文献 9:特開 2001-278796号公報
非特許文献 l : Nele Gheldof et al: J. Agric. Food Chem. 2002, 50, 5870-5877 非特許文献 2 : Jed W. Fahey et al: J. Agric. Food Chem. 2002, 50, 7472-7476 非特許文献 3 : Lihu Yao et al: J. Agric. Food Chem. 2004, 52, 210-214
非特許文献 4 : Jed W. Fahey et al: J. Agric. Food Chem. 2004, 52, 7472-7476 非特許文献 5 : AFWaili NS.: Complement Ther Med. 2003 Dec; 11(4): 226-34 発明の概要
[0012] 本発明者は、食品成分の生体調節機能に関する研究を行ってきた。そしてハチミツ に抗アレルギー作用があるとの知見を得、更に詳細な研究を行った結果、抗アレル ギー剤として有効な成分タリシンを特定し、本発明を完成するに至った。
図面の簡単な説明
[0013] [図 1]図 1は、 IgE重鎖胚型転写( ε GT)に対するクリシンの抑制効果を示す。ヒト成熟 B 細胞株 DND39細胞に IL-4(25 U/ml)及び各濃度のクリシンを添カ卩し、 48時間培養し た。細胞から mRNAを回収して cDNAを合成し、 RT-PCRで増幅した産物をァガロース ゲル電気泳動により分離し、膜に転写して ε GTを検出した。 GAPDH (ダリセルアルデ ヒド -3-リン酸脱水素酵素)をコントロールとした。各濃度、コントロールとも、右側のブ ロットは 1/10量についてのものである。
[図 2]図 2は、 STAT6のリン酸ィ匕に対するクリシンの抑制効果を示す。 DND39細胞を IL -4 (100 U/ml)及び各濃度のクリシンで処理した後、細胞を溶解した。細胞溶解物を 抗 STAT6抗体を用いて免疫沈降し、免疫沈降物を 8% SDS-PAGEに供し、ニトロセル ロース膜に転写してリン酸化 STAT6を検出した。
[図 3]図 3は、高親和性 IgE受容体 (Fc ε RI)発現のクリシンによる低下を示す。抗ヒト Fc( RI抗体 (CRA1)を用いて、ヒト好塩基球様細胞株 KU812細胞表面上の Fc ε RI発現量 をフローサイトメトリーにより解析した。 DMSOのみを添加して培養したものと、クリシン を添加して培養したものとを比較した。 Fc ε RI強発現細胞の割合を %で表示した。
[図 4]図 4は、高親和性 IgE受容体 (Fc ε RI)を構成するタンパク質の発現に対するタリ
シンの抑制効果を示す。 Fc ε RIひ、 γ鎖のそれぞれのタンパク質発現を、クリシンを 添加して培養した細胞を回収して溶解し、抗体を用いて免疫沈降し、免疫沈降物を S DS-PAGE後、ブロッテイングすることにより検出した。 j8 -ァクチンをコントロールとした
[図 5]図 5は、高親和性 IgE受容体 (Fc ε RI)構成タンパク質の mRNA転写に対するタリ シンの抑制効果を示す。タンパク質発現量 Fc ε RI a及び γ鎖の mRNA発現は、 RT- PCR及び特異的プローブを用いたサザンノヽイブリダィゼーシヨンにより検出した。 G3P DH (ダリセルアルデヒド- 3-リン酸脱水素酵素)をコントロールとした。
[図 6]図 6は、クリシンの経口投与 STAT6のリン酸ィ匕抑制効果を示す。クリシンを連続 的に経口投与したマウスの脾臓から回収した脾臓リンパ球を、 LPS又は LPS + IL-4(5 00 U/mL)で刺激し、抗 STAT6抗体を用いた免疫沈降及び immunoblot法によりリン 酸化 STAT6を検出した。
[図 7]図 7は、ヒト抹消血好塩基球の Fc ε RI構成鎖の mRNA発現レベルに対するクリシ ンの影響を示す。ドナーの静脈から採取した末梢血好塩基球(1 X 106 cells/mL)を、 25 Mクリシン又はジメチルスルフォキシド (DMSO)を添カ卩した培地で 24時間培養後、 RNAを抽出し、 Fc ε RI α、 γ鎖の mRNA発現レベルを RT- PCR法により検討した。
[図 8]図 8は、ヒト好塩基球のヒスタミン放出に及ぼすクリシンの影響を示す。ヒト好塩 基球細胞株 KU812細胞(5 X 105 cells/mL)を 25 μ Μクリシン添加 1 mM CaCl含有 T
2 yrode bufferでインキュベート後、 A23187で刺激した。細胞外に放出されたヒスタミン、 及び細胞内ヒスタミン蓄積量を測定し、ヒスタミン放出率を求め、クリシンを添加しない コントロールの系と比較した。
発明の開示
[0014] 本発明は、クリシンを含有する、アレルギー抑制剤、特に I型アレルギーの抑制剤を 提供する。
[0015] クリシン (5, 7-ジヒドロキシフラボン)は、以下の構造を有する。
[0016] [化 1]
[0017] 本発明に用いるクリシンは、ハチミツ、ニンジン種子、ある種の榭木等のクリシンを含 有する天然物から調製することができる。
[0018] 本明細書で「アレルギー」というときは、特別な場合を除き、本発明の分野における 通常の意味で用いている。すなわち、本明細書でいう「アレルギー」は、特別な場合 を除き、免疫反応に基づく生体に対する全身的又は局所的な傷害と定義することが できる。これには、血中抗体による液性免疫反応に基づくアレルギー(1、 II、 III型ァレ ルギ一)と感作リンパ球による細胞性免疫に基づくアレルギー(IV型アレルギー)とを 含む。「アレルギー」又は「アレルギー疾患」には、アトピー性皮膚炎、花粉症、アレル ギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、気管支喘息、じんましん、膠原病、過敏性肺臓 炎、アナフィラキシー、食物アレルギー、薬物アレルギー、ダニアレルギー、金属ァレ ルギ一、動物アレルギーが含まれる。
[0019] アレルギー疾患が発症する機序は、液性免疫反応では、(1)アレルゲンと免疫担当 細胞 (抗原提示細胞)との接触、(2)抗原提示細胞、 T、 Β細胞協調作用によるサイト力 イン等を介した抗体産生、(3)抗原 ·抗体反応によるエフェクター細胞の活性化、(4)ェ フエクタ一細胞からのヒスタミン等のケミカルメディエーター、サイト力イン等の放出、(5 )臓器でのアレルギー反応の出現、の順に進む。また、細胞性免疫反応では、(1)抗 原による Τ細胞の感作、(2)感作 Τ細胞と抗原との結合、(3)感作 Τ細胞からのサイトカイ ン、ケモカインの産生、それらによる他の細胞の活性ィ匕とさらなるサイト力インの産生、 (4)臓器でのアレルギー反応の出現、の順に進む。いずれの段階を調節するかにか かわらず、クリシンをアレルギーの抑制用途に用いている限り、本発明のクリシンを含 むアレルギー抑制剤の範囲に含まれる。
[0020] 本発明者の詳細な検討によると、クリシンにより、液性免疫反応に基づくアレルギー
反応の初期的な段階、具体的には、クリシンにより、少なくとも、 IL-4誘導性 IgE重鎖 胚型転写段階、 STAT6リン酸ィ匕段階、細胞表面上の高親和性 IgE受容体発現段階、 高親和性 IgE受容体を構成する a鎖又は γ鎖発現段階、高親和性 IgE受容体の転写 段階が調節されうることがわ力つた。したがって、本発明のアレルギー抑制剤は、特 に液性免疫反応に基づくアレルギー(1、 II、 III型アレルギー)に対して、とりわけ I型ァ レルギ一に対して有効に用いうる。さらに、クリシンは、ヒスタミン放出抑制阻害剤の有 効成分として用いうるほか、上述のいずれかの段階を調節することが効果的な様々な 疾患又は状態の処置のためにも有効に用いうる。
[0021] したがって、本発明はまた、以下のものを提供する:
1)クリシンを含むヒスタミン放出阻害剤;
2)クリシンを含む糸且成物であって、 IgE産生に関連する疾患又は状態を処置するため の(より詳細には、 IL-4誘導性 IgE重鎖胚型転写に関連する疾患又は状態を処置す るための、そして STAT6リン酸ィ匕に関連する疾患又は状態を処置するための)組成物
3)クリシンを含む組成物であって、高親和性 IgE受容体に関連する疾患又は状態を 処置するための(より詳細には、細胞表面上の高親和性 IgE受容体に関連する疾患 又は状態を処置するための、高親和性 IgE受容体を構成する oc鎖又は γ鎖に関連 する疾患又は状態を処置するための、そして高親和性 IgE受容体の転写に関連する 疾患又は状態を処置するための)糸且成物;及び
4)クリシンを含む糸且成物であって、 IL-4の過剰産生に関連する疾患又は状態を処置 するための組成物。
[0022] 本明細書において、本発明の剤又は組成物に関し、アレルギーを「抑制(する)」と いうとき、及びある疾患又は状態を「処置 (する)」というときは、そのアレルギー又はそ の疾患若しくは状態 (以下、単に「アレルギー等」という。)を予防若しくは治療するこ と、アレルギー等を軽度に抑えること、又はアレルギー等の進行を抑えることを意味 する。「抑制」及び「処置」には、症状を抑える対処的治療と、過敏性の低減又は体質 改善などの根本的な治療とが含まれ、また即時的な治療と長期的な予防及び Z又は 治療とが含まれ、さらにアレルギー等が現れた後にそれ以降の新たな関連症状を予
防することが含まれる。
[0023] 本発明の剤又は組成物は、アレルギー等を抑制又は処置するため、対象者、疾患 等の状態、目的等に応じて適宜用いうる。クリシンの IgE産生抑制作用により、本発明 の剤又は組成物には、アレルギー等の予防効果と長期的な治療効果とを期待しうる から、このような目的で用いる場合は、本発明の剤又は組成物を、アレルギー等の発 症前又は低 、時期に、継続的に用いることが好ま 、であろう。
[0024] そして、 IgEには高親和性 IgE受容体の発現を増大 *維持させる働きがあることから、 I gEレベルの低下は高親和性 IgE受容体発現レベルの抑制に寄与しうる。高親和性 Ig E受容体発現の抑制作用により、本発明の剤又は組成物には、即時的なアレルギー 抑制効果と長期的なアレルギー予防効果を期待しうる。即時的なアレルギー抑制効 果を目的とする場合には、本発明の剤又は組成物は、アレルギー等の発症時又はそ の後に用いることができる。この場合、本発明の剤又は組成物は、それ以降の新たな アレルギー等の発症を防ぐ作用を発揮しうる。長期的な予防効果を目的とする場合 には、本発明の剤又は組成物を、アレルギー等の発症前又は低い時期に、継続的 に用いることができる。継続的に用いることにより、対象者において常に高親和性 IgE 受容体の発現を低レベルに維持することができ、対象者のアレルゲンに対する感受 性を低下させることが期待できる。
[0025] 本明細書で本発明の剤又は組成物の用い方に関し、「継続的」というときは、一定 期間 (例えば、数日間、数週間、数ケ月間、数年間)に複数回用いることを指し、連続 する日に用いる場合のほか、特定の間隔毎に又は不特定の間隔で不連続的に用い る場合をも含む。クリシンは、本発明者の検討によれば、不連続に低用量で用いる場 合であっても、 IL-4誘導性の STAT6リン酸ィ匕に対する抑制効果を発揮しうる(実施例 3参照)。
[0026] 本明細書で!/、う「剤」又は「組成物」は、医薬の形態とすることができる。クリシンは、 上述したように、不連続に低用量で用いる場合であっても、 IL-4誘導性の STAT6リン 酸ィ匕に対する阻害効果を発揮しうるものであるから、本発明の剤又は組成物は、比 較的自由に摂取することができる。したがって、本発明の剤又は組成物は、医薬以外 の形態 (例えば、食品又は飲料等)とすることができる。
[0027] 本発明の剤又は糸且成物には、その具体的な用途 (例えば、予防のため、アレルゲ ンに対する過敏性改善のため、体質改善のため、長期的な治療のため、等。あるい は、ヒスタミン放出阻害のため、 IgE産生抑制のため、 IL-4誘導性 IgE重鎖胚型転写を 抑制するため、 STAT6リン酸ィ匕を抑制するため、高親和性 IgE受容体発現を抑制する ため、細胞表面上の高親和性 IgE受容体の発現を抑制するため、高親和性 IgE受容 体を構成する ex鎖又は γ鎖の発現を抑制するため、高親和性 IgE受容体の転写を抑 制するため、等)、及び Z又はその具体的な用い方 (例えば、量、回数、継続的に使 用すべき旨、期間、等。)を表示することができる。
[0028] 本発明の剤又は組成物が医薬品である場合、有効成分であるクリシンの量は、目 的、症状、対象者の年齢、体重等に応じて適宜とすることができるが、例えば、 1日あ たり約 0.001〜1000mg/kg、好ましくは約 0.01〜100mg/kg、 1回〜数回に分割して投 与することができるように、製剤化することができる。
[0029] 本発明者の検討によると、抗アレルギー剤としては、クリシンの 1.68g/日(成人男性 平均体重 60kgの場合)以上の経口摂取で効果があることが示された。このような観点 力もは、本発明の剤又は組成物は、一日当たり約 1.68g以上のクリシンの経口投与又 は摂取を可能とする剤又は組成物とするとよい。具体的には、一日当たりの経口投 与量又は摂取量中に、 1.68g以上のクリシンを含む、剤又は組成物とすることができ、 また一日当たりの経口投与量又は摂取量中に、 28mg/kg以上のクリシンを含む、剤 又は組成物とすることができる。より具体的には、一日 3回投与する抗アレルギー経口 製剤としては、 1回分の投与量当たり 560mg以上のクリシンを含むものとすることができ る。また、一日 3個程度の摂取を推奨する抗アレルギー機能を有する食品 (飲料も含 む)としては、 560mg以上のクリシンを含む食品とすることができる。
[0030] 投与経路、剤形も適宜設計することができ、例えば、全身的な投与のため、又は局 所投与のために製剤化することができ、内服剤、外用剤、固形剤、液状製剤、散剤、 顆粒剤、カプセル剤、錠剤、軟膏剤、硬膏剤、ハツプ剤、ローション剤、リニメント剤、 又は坐剤とすることができる。また、除放化製剤、放出制御型製剤とすることもできる 。製剤は、従来の方法にしたがって行うことができ、医薬として許容できる種々の添カロ 物、例えば、附形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、コーティング剤、懸濁化剤、乳化剤
、安定剤、保存剤、緩衝剤を用いることができる。
[0031] 本発明の剤又は組成物は、医療用具、医療品部外品の形態とすることができる。ま た、軟膏、化粧水、ローション、石けん、シャンプー、ウエットティッシュ等に添カ卩し、使 用することができる。
[0032] 本発明の剤又は組成物は、化粧品、食品又は飲料の形態とすることができる。有効 成分であるクリシンの量は、医薬品である場合に準じて適宜とすることができる。本発 明のアレルギー抑制剤を配合された食品又は飲料は、栄養機能食品、特定保健用 食品、健康食品、栄養補助食品、インスタント食品、冷凍食品、ドリンク剤等とすること ができ、カプセルに封入し、若しくは打錠し、又は菓子類、麵類、スープ類、調味料( マヨネーズ、味噌、醤油、ドレッシング、ソース等)、その他発酵食品、缶詰、動物性食 品 (ハム'ソーセージ等)、乳製品 (ヨーグルト等)、漬け物類、清涼飲料、炭酸飲料、果 汁飲料、乳飲料、乳酸飲料、スポーツドリンク等の形態とすることができる。
[0033] 本発明は、また、以下のものを提供する。
5)アレルギー抑制剤、ヒスタミン放出阻害剤、 IgE産生に関連する疾患若しくは状態 を処置するための組成物、高親和性 IgE受容体に関連する疾患若しくは状態を処置 するための組成物、又は IL-4の過剰産生に関連する疾患若しくは状態を処置するた めの組成物の製造における、クリシンの使用;並びに
6)アレルギーに関連する疾患若しくは状態、ヒスタミン放出に関連する疾患若しくは 状態、 IgE産生に関連する疾患若しくは状態、高親和性 IgE受容体に関連する疾患若 しくは状態、又は IL-4の過剰産生に関連する疾患若しくは状態を処置するための方 法であって、そのような処置を必要とする哺乳動物に対して、処置上有効量のクリシ ンを投与することを含む、前記方法。
[0034] 本発明の好ましい実施態様では、クリシンはァピゲニンと組み合わせて用いられる 。すなわち、本発明は、クリシン及びァピゲニンを含む、医薬又は食品用組成物を提 供する。
[0035] ァピゲニンは以下の構造を有する。
[0036] [化 2]
[0037] 本発明者の詳細な検討によると、ある量のクリシンは KU812細胞の Fc ε RI発現を 抑制しないが、ァピゲニンの Fc ε RI発現抑制作用を増強させた。また、モル比で、ク リシン:ァピゲニンが 1 : 5であるとき、併用により相乗的な Fc ε RI発現抑制効果がみら れた (実施例 8参照)。
[0038] なお、本明細書においては、有効成分としてクリシン及びァピゲニンを用いた発明 について説明してきたが、本発明は、それらの誘導体 (例えば、メチル化体、配糖体 、グルクロン酸包合体、硫酸包合体)〖こも適用可能であろう。したがって、そのようなも のを本発明と同様の目的で利用した場合も、本発明の範囲に含まれると理解される べきである。
実施例
[0039] <実施例 1: IgE産生に対する抑制 (IgE重鎖胚型転写( ε GT)の抑制、及び STAT6の リン酸ィ匕の抑制)〉
1 · 目的
われわれの体は免疫反応により体外力 侵入する異物の攻撃力 守られているが 、時として免疫反応はわれわれの体に対して傷害的に作用する。このような免疫機能 に基づく傷害反応はアレルギーと呼ばれる力 近年のアレルギー患者数の増加及び 症状の重篤化が著しい。国民の約 1Z3は花粉症、アレルギー性鼻炎、気管支喘息、 アトピー性皮膚炎など、なんらかの形でアレルギー疾患に罹患して 、ると 、われるほ どである。生体内で起こる免疫反応には、抗体が関与する液性免疫と抗体が関与し ない細胞性免疫があり、 I型力 III型アレルギー反応は前者に、 IV型アレルギー反応 は後者に属する。花粉アレルギーなどの環境アレルギーは I型アレルギーにより発症
するが、食物アレルギーでは I型アレルギーに加え、 II型及び IV型アレルギーの関与 が疑われている。アレルゲンが生体内に侵入すると、アレルゲン特異的抗体の産生 が誘導されるが、 I型アレルギーの発症には特に IgE型の抗体が重要な役割を果たす 。 B細胞により産生された IgEはマスト細胞や好塩基球の細胞膜上に存在する高親和 性 IgE受容体に結合する。そこに、アレルゲン物質が再び侵入してマスト細胞や好塩 基球上の IgEを架橋すると、ヒスタミン等のメディエーターが放出され、アレルギーの 発症に至る。
[0040] そこで、アレルギー発症に関与する IgE型抗体、 IgE受容体の二つにターゲットを定 め、これらの産生や発現に対するクリシンの効果を検討した。
[0041] IgEは免疫グロブリンの一種であり、即時型アレルギーの発症の鍵となる生体分子 である。健常人血清中の IgEの産生 (300ng/ml)は、同じ免疫グロブリンである IgG(15m g/ml)と比較するとごくわずかであるが、アレルギー患者では過剰な産生が観察され、 IgEの過剰産生は花粉症や食物アレルギーをはじめとする様々なアレルギー性疾患 の発症原因の一つとされている。アレルゲンへの感作により産生された IgEは、肥満 細胞や好塩基球の表面に存在する高親和性の IgEレセプターに結合する力 この状 態のもとに再び侵入したアレルゲンがこの IgEに結合すると IgEが架橋されてレセプタ 一が凝集し、細胞内へカルシウムが動員され、細胞膜を介した情報伝達機構が作動 し、細胞が活性化されて脱顆粒を起こし、ヒスタミン、好酸球遊走因子及び好中球遊 走因子などの薬理学的活性物質が遊離される。これと同時に細胞膜のァラキドン酸 カスケードも活性ィ匕され、ロイコトリェンゃプロスタグランジン、トロンボキサンなどの脂 質メディエーターやインターロイキンなどのサイト力インが産生分泌され、これらにより 即時型アレルギーが引き起こされる。このようにアレルギー発症において非常に重要 な役割を演じる IgE産生を阻害することは、アレルギーの予防や治療の観点にお!、て 非常に有効である。抗体は重鎖の違いから IgM、 IgD、 IgG、 IgE、 IgAの 5種類が存在 する。重鎖定常領域は免疫グロブリンの生物学的活性 (細胞への結合や補体結合能 )を発現するための重要な領域である。成熟 B細胞にまで分ィ匕した直後の B細胞は Ig M型の免疫グロブリン分子を産生している。その後、サイト力インに応答可能な状態 へと活性化された B細胞は、サイト力インの刺激に応じて重鎖の可変領域の配列を変
ィ匕させることなぐ他のクラスの重鎖定常領域に遺伝子を組み換える。この現象はクラ ススィッチと呼ばれ、 IgE型抗体もこの組み換えによってはじめて産生される。 IgEクラ ススィッチでは DNAの組み換えに先立ち、 IgE重鎖定常領域 (C ε )の上流に存在する I領域力 定常領域に至る一次転写物が転写され、スプライシングにより I領域と C ε 力 なる germline転写物( ε GT)が産生される。その後、 IgM重鎖定常領域の S領域 (C μ )≥0 εの S領域の間の DNA配列は染色体から除かれ、可変領域のすぐ上流に引き 寄せられて可変領域のプロモーターから成熟型の C ε転写が起こる。タンパク質に翻 訳されることのない ε GT発現の役割として、この転写により組み換えの標的となる定 常領域付近の染色体構造が開かれ、組み換えが容易になることが考えられている。 I gE産生に必須である ε GTの発現は、 IL-4によって誘導される。このサイト力インは B 細胞の膜表面上に発現するそれぞれの受容体に結合し、その受容体を架橋すること により受容体の細胞質側に結合する JAKキナーゼが相互リン酸化され活性化する。 活性ィ匕された JAKは受容体をチロシンリン酸ィ匕し、そこへ転写因子 STAT6がこのチロ シンリン酸化残基に結合する。受容体に会合した STAT6は JAKによりリン酸ィ匕され、リ ン酸化 STAT6はホモ二量体を形成し、核内に移行して germline C εのプロモーター 領域に結合し、 ε GT発現が誘導される。
[0042] 以上のように、 ε GT発現を阻害することは IgE産生の根本的な抑制につながる。ヒト 成熟 B細胞株 DND39は IL-4の刺激により ε GTを発現することが知られている。そこで 、 DND39細胞を IL-4及びクリシン存在下で培養し、 ε GT発現に対するクリシンの効 果を検討した。
[0043] 2.材料及び方法:
クリシン:
クリシンは Sigma Chemical Co.(St. Louis, MO)より購入した。クリシンは dimethyl sulf oxide (DMSO)に溶解し、エタノールで 10% DMSOとなるように希釈した。
[0044] 細朐及び細朐焙着:
ヒト成熟 B細胞株 DND39は 5% FBS (Intergen)添加 RPMI 1640培地 (Nissui)にて、 37 °C、水蒸気飽和した 5% CO条件下で継代、維持した。 RPMI 1640培地は、 100 U/m
2
Lペニシリン(Meiji Seika)、 100 mg/mLストレプトマイシン (Meiji Seika)、 12.5 mM Na
HCO (Wako)、 10 mM HEPES(Wako)を添カロしたものを用いた。
3
[0045] IgE重鎖胚型転写物( ε GT)の検出:
DND39細胞を 2 X 105 cells/mLに調整し、 IL-4 (25 U/mL)及び各濃度のクリシン存 在下で 48時間培養した。 1 X 107 cellsを超えない細胞培養液を 15 mLポリプロピレン 製の遠心管に回収し、 300 X gで遠心、上清除去し、 PBSにて一度洗浄した。遠心、 上清除去した細胞は RNaseによる RNAの分解を極力抑えるため、次の操作まで氷中 で保管した。この細胞に TrizoKlnvitrogen, Carlxbad, CA)を 1 mL加え、ピぺッティン グにより塊が見えなくなるまで良く懸濁し、懸濁液を 1.5 mLチューブに移して、このチ ユーブを 5分間静置した。 200 /z Lのクロ口ホルム (和光純薬)をカ卩えて強く攪拌し、室温 で 3分間静置したのちに 12.000 X g、 15分間遠心した。上層 450 Lを別の 1.5 mLチ ユーブに移し、 500 Lのイソプロパノ -ル (和光純薬)をカ卩えて強く攪拌した後、室温 で 10分間静置した。 12.000 X gで 10分間遠心した後、チューブを傾けて上清を除去 し、 1 mLの 75%エタノールをカ卩えて強く攪拌後、 12.000 x gで 5分間遠心して上清を除 いた。回収した total RNAは DEPC水 10 Lに溶解し、 100倍希釈したものを分光光度 計 Ultrospec3000(Pharmacia Biotech, Piscataway, NJ)を用いて RNA濃度を測定した。
[0046] 600 μ Lチューブに 10 μ g RNAゝ 0.5 μ gオリゴ dT ゝ 20 pmol ε GT reverse primer(5'
20
- gAC gCT gAA ggT TTT gTT gTC g- 3')を総容量 13.8 Lとなるように添カ卩して 70 °Cで 10分間保温した後、 10分間冷却した。 10 mM dNTP(Amersham)を 2 μ 5 x buff erを 4 L、 Rnase inhibitor(TAKARA)を 0.1 μ L及び 25 kU MMLV-逆転写酵素 (Amers ham)を 0.1 μ L、上記の 600 μ Lチューブに添カ卩して、 37°Cで 1時間保温した後、 5分間 煮沸して酵素を失活させた。合成した cDNAは- 20°Cで保存した。 GAPDH (ダリセルァ ルデヒド -3-リン酸脱水素酵素)をコントロールとして、同様の操作を行った。
[0047] PCRは 10 μ L容量で 0.5 Uの Taq DNA polymerase(Fermentas)を用いて行った。
[0048] PCR反応液中に含まれる試薬は以下通りである。
10 X PCR buffer (1 μ L)ゝ
25 mM MgCl (1 μ L)、
2
2.5 mM dNTPs (0.8 μ L)、
Taq DNA polymerase (0.1 μ L)、
20 μ Μ sense primer (0.5 μ L)、
20 μ Μ anti-sense primer (0.5 μ L)、
上記で調製した cDNA (1 μ L)、
dH O (5.1 ;z L)。
2
[0049] また、 PCRに使用したプライマーの配列は下記の通りである。
ε GT— F: 5し Agg CTC CAC TgC CCg gCA Cag AAA T— 3'、
ε GT- R: 5し Acg gAg gTg gCA TTg gAg ggA Atg T- 3'、
G3PDH-F: 5'- gCT Cag ACA CCA Tgg ggA Agg T- 3'、
G3PDH-R: 5'-gTg gTg Cag gAg gCA TTg CTg A- 3'。
[0050] サーマルサイクラ一 (Whtman Bometra GmbH, Germany)を用いて 94°Cで 2分の初期 変性を行った後、 94°Cで 1分間の変性、 60°Cで 1分間のァニール、 72°Cで 1分間の 伸長反応を ε GTでは 20サイクル、 G3PDHでは 13サイクル行うことにより cDNAを増幅 した。増幅した PCR産物は 1.5%ァガロースゲル電気泳動により分離し (各濃度、コント ロールとも、 1/10量についても同様の操作を行った。 ),アルカリ変性したのち、キヤピ ラリープロット法により Hybond- N+膜 (Amersham)に転写した。転写した膜はランダム バッファー (組成: 5 X SSC (SSC; 0.3M Sodium citrate, 3M NaCl, pH7.0)3 M NaCl、 3 33mM C H O Na · 2Η 0、 0.1% SDSゝ 5% (w/v) Dextran sulfate sodium salt)を用いて
6 5 7 3 2
2時間、 60 °Cにてプレハイプリし、その後同バッファー 5 mLに対し、事前にオリゴラ ベリング法により調製した ε GT- P(l/40)、及び GAPDH- Ρを 3 Lづっ添カ卩し、同じく 60 °Cにてー晚インキュベートした。ハイブリダィゼ-シヨンが終了した膜を取り出し、以 下の試薬を加え、超純水で total lOOmLとなるように調製した洗浄液を用いて下記に 示す順序で洗浄した。
1回目; 20 X SSC (5mL)+10% SDS (lmL): 30min: 60°C、
2回目; 20 x SSC (2mL)+10% SDS (lmL): 30min: 60。C、
3回目; 20 x SSC (lmL)+10% SDS (lmL): 60min: 60°C。
[0051] 洗浄が終了したら、膜を bufferA (組成: 100 mM Tris- HC1 pH 9.5、 300 mM NaClで リンスし、抗体ブロック用ブロッキング試薬 (Amersham #1059304)を 1 x bufferAで 10倍 希釈したものを 3 mLカ卩え、室温で 2時間振とうし、ブロッキングを行った。その後、 0.5
% BSA-bufferAで 5000倍に希釈したアルカリフォスファターゼ標識抗フルォレセイン 抗体 5 mLを加え、同じく室温で 1時間振とうして抗体と反応させた。抗体反応終了後 、膜を室温で 0.67% Tween-bufferAで 20分間ずつ 3回振とう洗浄し、最後に bufferAに て軽く洗浄した。この膜をビニールシートにはさみ、 CDP-Starを膜 1枚あたり 200 L ずつまんべんなくふりかけて、 1分間室温で放置したのちにイメージアナライザ一にて ε GTの検出を行った。
[0052] リン酸化 STAT6の検出:
DND39細胞を 2 X 106 cells/mLとなるように調整し、 IL-4 (100 U/ml)及び各濃度の クリシンを添加し、 30分間処理して細胞を溶解した。細胞溶解物を抗 STAT6抗体を 用いて免疫沈降し、免疫沈降物を 8% SDS-PAGEに供し、ニトロセルロース膜にブロッ ト後、抗チロシンリン酸ィ匕抗体(PY20)にてリン酸化 STAT6検出した。
[0053] 3.結 :
結果を図 1及び図 2に示した。クリシンは濃度依存的に ε GTの発現を抑制し、また S TAT6のリン酸化を抑制した。クリシンは ε GT発現を STAT6のリン酸化レベルで阻害 することにより、 IgEの産生を根本的に抑制することが分力 た。
[0054] <実施例 2:ヒト高親和性 IgE受容体 (Fc ε RI)発現の抑制 >
1 · 目的:
アレルゲンが生体内に侵入すると、アレルゲン特異的抗体の産生が誘導される力 即時型アレルギーの発症には特に IgE型の抗体が重要な役割を果たす。 B細胞によ り産生された IgEは肥満細胞及び好塩基球の細胞膜上に存在する高親和性 IgE受容 体に結合する。そこに、アレルゲン物質が再び侵入して肥満細胞上の IgEを架橋する と、ヒスタミンやロイコトリェン等のメディエーターが放出され、アレルギーの発症に至 る。
[0055] Fc ε RIは、 IgEの関与するアレルギー反応開始段階において鍵となる分子であり、 抗原/抗体複合体を介して Fc ε RIを発現している肥満細胞や好塩基球を活性ィ匕する シグナルを駆動する。 Fc ε RIの活性ィ匕は Fc ε RIの凝集によって惹起される。すなわ ち Fc ε RIに結合した IgEが多価抗原などによって架橋され、 Fc ε RIが凝集することに よってシグナル伝達機構が作動することになるが、凝集が可能になるためには、多価
抗原によって架橋可能な距離の範囲内に複数の Fc ε RIが存在する必要がある。つ まり、 Fc ε RIの数によって細胞のアレルゲンに対する感受性が決まってくる。実際に アレルギー性鼻炎患者の鼻粘膜肥満細胞などでは、 Fc ε RIの発現が亢進している。
[0056] Fc ε RI発現を抑制することは、 IgE/Fc ε RI複合体により惹起される脱顆粒反応を抑 制することにつながり、後に生じるアレルギー炎症等を軽減することが期待できる。ヒト 好塩基球細胞株として知られる KU812細胞は、炎症物質ヒスタミン産生細胞であり、 細胞表面上に高親和性 IgE受容体 Fc ε RIを発現している。そこで、この KU812細胞を 用い、クリシンの Fc ε RI発現に対する効果を検討した。
[0057] 2.材料及び方法:
細胞及び細胞焙着:
細胞の培養には RPMI 1640(Nissui, Japan)培地に、 100 U/mLペニシリン (Meiji Phar maceutical Company, To yo, Japan)、 lOOmg/mLストレフ。トマインン (Meiji Pharmaceuti calし ompany)、 12.5mM NaHCO (Wako Pure Chemical Industries, Osaka, Japan). 10
3
mM HEPES(Wako Pure Chemical Industries)を添カ卩したものを基本培地として使用し た。 Fetal bovine serum(FBS)は Bio Source Internationaはり購入し、基本培地に 5 - 1 0%となるように添カ卩して用 、た。本実験に用 ヽたヒト好塩基球様細胞株 KU812は Japa n Collection of Research Bioresources(JCRB)より分譲されたもので、 5 - 10% FBS添 加 RPMI 1640培地で 37(C、 5%炭酸ガス加湿下で継代、維持した。
[0058] クリシン:
クリシン (Sigma)は dimethyl sulfoxide (DMSO)に溶解し、エタノールで 10% DMSOとな るように希釈した。
[0059] 細胞表面上 Fc ε RI発現量の解析:
KU812細胞 (1 X 106 cells/mL)を、 DMSOに溶解したクリシンを添カ卩した RPMI 1640 培地で 0 - 24時間培養した。 DMSOのみを添カ卩して培養した系をコントロールとした。 培養後、細胞を回収し、抗ヒト Fc ε RI α鎖マウスモノクローナル抗体 CRA-l(Kyokuto Pharmaceutical)を 10 μ g/mLとなるように添カ卩した 5% FBS- PBS中で 4(C、 40 - 60分間 インキュベートした。ネガティブコントロールとしてマウスコントロール IgG2b抗体 (DAK 0)を 10 g/mLで用いた。その後、氷冷 PBSで一度洗浄し、抗マウス IgG2b FITC標識
抗体 (Protos Immunoresearch)を 10 g/mLとなるよう添カ卩した 5% FBS- PBS中で 4(C、 4 0 - 60分間インキュベートした。インキュベート後、 PBSで洗浄し、 PBSで再懸濁した細 胞懸濁液をフローサイトメトリー解析に共した。フローサイトメトリー解析には FACSCali bur(Becton Dickinson, Sunnyvale, CA)を使用した。なお、二次抗体反応以降は遮光 条件で行い、解析まで氷上で保存した。
[0060] Fc ε RIを構成するタンパク質の発現レベルの検討:
KU812細胞 (1 X 106 cells/mL)を、クリシンを添カ卩した RPMI 1640培地で 6時間無血 清培養を行った。培養後、細胞を一度 PBSで洗浄後、 Lysis buffer (組成 : 50mM Tris- HCl pH 7.5 、 1% Triton X— 100、 150mM NaCl、 ImM EDTA, 50mM NaF 、 30m M Na P O、 ImMPMSFゝ 2 μ g/mL aprotininゝ ImM pervanadate)をカ卩え、 4(Cで 30分
4 2 7
間振とうして溶解した。その後、 12,000 X g、 4(Cで 10分間遠心し不溶物を沈殿させ、 上清を回収してタンパク定量を行いそれぞれのサンプルのタンパク濃度が等濃度と なるように Lysis bufferで希釈し、細胞溶解サンプルとした。
[0061] Protein A bepharose beads(Amersham Pharmacia Biotech)を終濃度 1 μ g/mLとなる ように CRA-1抗体を添カ卩した Lysis buffer(50mM Tris- HCl pH 7.5, 150mM NaCl, 1% Triton X— 100, ImM EDTA, 50mM NaF, 30mM Na P O , ImM PMSF, 2 μ g/mL apro
4 2 7
tinin)で 2 - 4時間、 4(Cで振とうして CRA-1抗体を吸着させた。回収後、 Lysis bufferで 3回洗浄した後、細胞溶解サンプルを加えて 4(Cで一晩振とうして免疫沈降を行った 。免疫沈降後、 Protein A Sepharose beadsを回収し、 Lysis buffer及び PBSで 3回ずつ 洗净 ? Tつた。洗净後、 Protein A Sepharose beadsに Sodium doaecyl sulfate- polyacr ylamide gel electrophoresis (SDS— PAGE) sample buffer(0.057 M Tris— HCl pH 6.8, 1. 8% (w/v) SDS, 0.65 M β -merchaptoethanol, 9.1% glycerol, 0.02% bromophenol blue) を 20 - Lカ卩えて、ボルテックスで 10分間攪拌して免疫沈降物を溶離し、 95(Cで 5 分間熱変性を行った。また、 Fc ε Rl y鎖の検出に使用したサンプルは、細胞溶解物 と Sodium dodecyl sulfate- polyacrylamide gel electrophoresis (SD¾-PA E) sample bu fferが 1 : 1となるように調製し、 95(Cで 5分間熱変性を行った。 Fc ε RI a鎖については 10% polyacrylamide gelに免疫沈降サンプルを、 Fc ε Rl y鎖については 15% polyacryl amide gelに細胞溶解サンプルをアプライして、 SDS-PAGEを行った。
[0062] SDS-PAGE後、 gelは 100 V( a鎖については 60分間、 γ鎖については 30分間)でェ レクトロブロッテイングを行い、タンパク質を-トロセルロース膜に転写した。この膜を 終濃度が 2%となるようにスキムミルクを添カ卩した 0.05% Tween 20-TBS(TTBS)で振とう させ、室温で 30 - 60分間ブロッキング反応を行った。 TTBSで洗浄後、 0.05 μ g/mL C RA- 1及び抗 Fc ε RI γ鎖抗体 (Upstate biotechnology)をカ卩えて 4(Cでー晚反応させ た。 TTBSで洗浄後、 HRP標識抗マウス IgG抗体及び HRP標識抗ラッ HgG抗体を 1000 0倍希釈して加えて室温で 1時間反応させた。抗体を希釈する際は全てブロッキング で使用した 2%スキムミルク- TTBSを用いた。 TTBSで洗浄後、高感度 ECL(ECL Advan ce Western Blotting Detection Kit)を用いて発色反応を行い、ポラロイドフィルムに感 光させて検出を行った。なお、 j8 -ァクチンをコントロールとした。
[0063] mRNA転写レベルの枪討:
クリシンを添カ卩した RPMI 1640培地で KU812細胞 (1 x 106 cells/mL)を 6時間無血清 培養した。培養後、細胞を一度 PBSで洗浄後、 1 X 107個の細胞に対し ImLの TrizoKln vitrogen)をカ卩えて速やかに懸濁して完全に溶解させた。室温で 5分間静置後、 0.2mL の Chloroformを添加して激しく転倒攪拌した。室温で 3分間静置後、 12,000 x g、 4(C で 15分間遠心後、上清を 450 /z L回収し 0.5mLの 2-Propanolを添カ卩して激しく転倒攪 拌し、室温で 10分間静置した。 12,000 X g、 4(Cで 10分間遠心後、上清を除去し、 ImL の 75% Ethanolで沈殿をリンスした。 12,000 x g、 4(Cで 5分間遠心後、上清をできる限 り除去し、沈殿した RNAを 10 - Lの DEPC水に溶解させた。水で 50倍希釈した全 RNA濃度を 260nmの波長を用いて測定し、全てのサンプルの全 RNA濃度が 10 g〖こ なるように 0.1%ジェチルピロカーボネート (DEPC)水 (Sigma)で希釈を行った。
[0064] Complementary DNA(cDNA)合成は 10 μ gの全 RNAに対し、 0.5 μ g/ μ Lの (dT) プ
20 ライマーを 1.0 Lカ卩え、 70(Cで 10分間インキュベートした後直ちに氷冷しァユーリン グ反応を行った。次に 10mM dNTPを 2.0 μ L、 RNase inhibitor (Takara)を 0.1 L、 M MLV-逆転写酵素 (Amersham Pharmacia Biotech)を 0.1 μ L、 MMLV-逆転写酵素に 添付された 5 X bufferを 4.0 μ L加え、 DEPC水で全量が 20 μ Lとなるようにした。この混 合液を 37(C、 1時間インキュベートし cDNAを合成した。合成した cDNAを铸型に Fc ε RI α、 γ鎖及びダリセルアルデヒド 3-リン酸脱水素酵素 (G3PDH)特異的プライマー
を用いて PCRを行った。それぞれのセンス並びにアンチセンスプライマーの配列は以 下のとおりである。
ヒト Fe e RI α鎖センスプライマー: 5'— CTTAGGATGTGGGTTCAGAAGT— 3'、 アンチセンスプライマー: 5'— GACAGTGGAGAATACAAATGTCA— 3'。
ヒト Fe e RI γ鎖センスプライマー: 5'— TAGGGCCAGCTGGTGTTAATGGCA— 3'、 アンチセンスプライマー: 5'— GATGATTCCAGCAGTGGTCTTGCT— 3'。
ヒト G3PDHセンスプライマー: 5'— GCTCAGACACCATGGGGAAGGT— 3'、
アンチセンスプライマー: 5'— GTGGTGCAGGAGGCATTGCTGA— 3'。
[0065] PCRの反応液は cDNA 1 μ L、 2mM dNTP 0.8 μ L、 MgCl 0.6 μ 20 μ Uセンスプ
2
ライマー 0.5 L、 20 Mアンチセンスプライマー 0.5 μ Lゝ Taq DNA polymerase (Fer mentas)0.1 μ L、 Taq DNA polymeraseに添付された 10 x Taq bufferを 1 μ Lカ卩え、蒸留 水で全量 10 μ Lとし、この混合液を PCRに供した。 PCR反応は GeneAmp PCR System 2400(Parkin-Elmer)を用いて行った。 PCRは初期変性を 94(Cで 2分間行った後、 95(C で 1分間、 60(Cで 1分間、 72(Cで 1分間を 1サイクルとして 13- 15サイクルで増幅させた 。 PCR産物を 1%ァガロースゲルで電気泳動を行い、 Southern blot法により増幅 DNA の検出を行った。
[0066] まず、電気泳動を行ったゲルを 9% NaClを含む 0.5 N NaOH溶液中で室温 1時間振 とうさせた後、 0.4 N NaOHを用い 5時間以上キヤビラリーブロッテイングにより DNAを H ybond- N+メンブレンにブロットした。ブロット後のメンブレンは 2 x Saline sodium citrate (SSC; 0.3 M Sodium citrate, 3 M NaCl, pH7.0)で洗浄した。 Fc ε RI α、 y鎖及び G 3PDHのプローブはランダムラベリング法により作製した。まず、 RT-PCRにより増幅さ れた目的とする DNAのサブクローニングを行い、 DNAシーケンサ一により塩基配列を 解析し、サブクローユングした DNAがそれぞれ Fc ε RI α、 γ鎖及び G3PDHに特異的 であることを確認した。次に、これら DNAを铸型としてそれぞれに特異的なプライマー で PCRを行った後、その増幅産物の標識は Gene Images random labeling moduleを 用い添付のプロトコルに従って行った。 PCR産物をブロットしたメンブレンは Gene Ima ges random labeling moduleに添付されてあるプレハイブリダィゼーシヨン緩衝液に浸 し、 60°Cで 60分間振とうした後、プレハイブリダィゼーシヨン緩衝液で 1000倍希釈した
プローブ溶液に交換し、 60°Cでー晚インキュベーションした。その後、メンブレンを 0.1 % SDS-1 X SSC中で 60°C、 20分間、 0.1% SDS- 0.4 x SSC中で 60°C、 20分間、 0.1% SD S-0.2 X SSC中で 60°C、 20分間の順に振とう洗浄を行った。 CDP-Star検出モジュール キット (Amersham Pharmacia Biotech)添付の buffer Aでメンブレンを 1回洗净後、キット 添付のブロッキング溶液中でメンブレンを室温で 1時間振とうした。キット添付のアル カリホスファターゼ標識抗フルォレセイン抗体を 0.5% Bovine serum albumin (Roche D iagnistics Gmbh, Mannheim, Germany)含有 buffer Aで 5000培希釈し、この抗体溶液 にメンブレンを浸して室温で 60分間振とうを行った。 0.3% Tween 20含有 buffer Aで 15 分間の洗浄を 3回行った後、さらに buffer Aで 1回洗浄した。キット添付のアルカリホス ファターゼ基質である CDP-Starをメンブレンに滴下して発色を行った後、ポラロイドフ イルムに感光させて検出を行った。
[0067] 3. ¾:
結果を図 3〜5に示した。クリシンは Fc ε RIの発現を mRNAレベルで抑制した。 Fc ε RI発現を抑制することから、クリシンは、 IgE/Fc ε RI複合体により惹起される脱顆粒反 応を抑制し、後に生じるアレルギー炎症等を軽減しうることが分力つた。
[0068] <実施例 3 :クリシンの摂食実験 >
サンプル:
0.4 mg/mLのクリシンを 200 μ Lずつ、又はコントロールとして 1% DMSO 1% EtOHを 2 00 Lずつを、各群 (n=8)に、次項の投与スケジュールにしたがって投与した。
[0069] 投与スケジュール:
1週間予備摂食 (MF食)させた 5週齢の C57BL/6N雄マウスに、 2週間にわたり、 2日 に 1回サンプルを投与した。(計 7回投与。合計投与量は、一匹あたり 0.56mg(28mg/kg )。)
IL- 4 答件の枪討:
屠殺後のマウスの脾臓から回収した脾臓リンパ球を 2 X 107 cells/mLに調整し、リポ 多糖(lipopolysaccharide, LPS) (25 μ g/mL)又は LPS + IL- 4(500 U/mL)にて 30分間 刺激した。その後細胞を溶解し、抗 STAT6抗体を用いた免疫沈降及び immunoblot 法によりリン酸化 STAT6を検出することで、 IL-4に対する応答性を検討した。
[0070] 結果:
結果を図 6に示した。クリシンを投与した系では、コントロールに比較し、 LPS + IL-4 刺激による STAT6のリン酸ィ匕を抑制した。
[0071] く実施例 4 :ヒト末梢血好塩基球の Fc ε RI mRNA発現に及ぼすクリシンの影響 >
L施
ドナーの前腕肘部より静脈採血を行い、 Lymphocyte Separation Medium (ICN Biom edical Inc.)により末梢血リンパ球を、 Percoll (Amersham Biosciences)密度勾配遠心 法により末梢血好塩基球を分離精製した。好塩基球(1 X 106 cells/mL)を、 25 Mタリ シン若しくは溶媒であるジメチルスルフォキシド (DMSO)を添カ卩した 5% FCS-RPMI 164 0培地で 24時間培養後、 RNAを抽出し、 Fc ε RI α、 γ鎖の mRNA発現レベルを、実 施例 1と同様に、 RT- PCR法により検討した。
[0072] 2. ¾ :
結果を図 7に示した。クリシンは、いずれのドナーにおいても、末梢血好塩基球の Fc ε RI a及び γ鎖の mRNA発現レベルを減少させた力 特に、 Fc ε RI α鎖の発現を強 力に低下させた。ヒト末梢血細胞に対してもクリシンが高親和性 IgE受容体 Fc ε RIの 発現を強力に抑制することが分力つた。
[0073] く実施例 5 :ヒト好塩基球のヒスタミン放出に及ぼすクリシンの影響 >
1 - 去:
ヒト好塩基球細胞株 KU812細胞(5 X 105 cells/mL)を 25 μ Μクリシン添加 1 mM Ca CI含有 Tyrode buffer (137 mM NaCl、 2.7 mM KC1、 1.8 mM CaCl、 1.1 mM MgCl、 1
2 2 2
1.9 mM NaHCO、 0.4 mM NaH PO、 pH 7.4)で 37°C、 20分間インキュベートし、さら
3 2 4
に 5 μ M A23187 (Sigma Chemical Co.)をカ卩えて 37°C、 20分間インキュベートした。ィ ンキュベート後、氷中に 5分間静置して反応を停止させ、上清 1 mLを回収した。また、 細胞内ヒスタミン蓄積量を測定するサンプルについては、細胞を 300 X gで 5分間遠心 した後超音波破砕を約 1分間行い、 12,000 X gで 5分間遠心後上清を 1 mL回収した。 次に、アルカリ条件下でヒスタミンを o-Phtaldehyde (Wako)により蛍光化して定量を行 うため、部分抽出を行った。サンプル 1 mL、 Tyrode buffer 1 mL、 NaCl 0.75-0.78 gそ して 5 N NaOH 0.5 mLを混合して攪拌した。さらに、 5 mLの n- Butanol: Chloroform =
3: 2の混合液 (v/v)をカ卩えてボルテックスミキサーで攪拌後、 300 X gで 5分間遠心し た。次に上層を 4 mL採取し、 0.1 N HC1 1.5 mLと n- Heputan 2 mLをカ卩えてボルテック スミキサーで攪拌後、 300 X gで 5分間遠心した。 1 N NaOH 0.15 mLに下層 1 mL添カロ し、 0.2% OPA (Methanolに溶解して調製) 0.1 mLを加えて蛍光化学反応を開始した。 室温で 5分間反応させた後、 0.5 N H SO 0.14 mLを加えて反応を停止させた。蛍光
2 4
強度は蛍光光度計 RF-1500を用いて励起波長 360 nm、蛍光波長 450 nmで測定を行 つた o
[0074] 2.結果:
結果を図 8に示した。
[0075] クリシンは、 A23187によって誘導されるヒスタミン放出を有意に低下させた。抗原刺 激によって誘導される炎症物質ヒスタミンの放出をクリシンが阻害することが分力つた
[0076] <実施例 6:卵白アルブミン (OVA)で抗原感作したマウスの血中抗体量に及ぼすク リシン摂食の影響 >
1 - 去:
8週齢 BALB/c雄マウスを AIN- 93M摂食群(Control群)と 0.025%クリシン添加 AIN- 9 3M摂食群に分け、 3週間各食餌を与えた後、両群とも AIN-93M食を 2週間摂食させ た。 1匹あたり 5 g/dayとなるように摂食させ、自由飲水で飼育した。
[0077] OVA感作は、 100 μ g OVA/水酸化アルミニウムゲルを各食餌摂食開始 1週間後と
2週間後の計 2回にわたりマウス腹腔に注入した。
[0078] 35日目に採血し、血清総 IgM、 IgG、 IgA、 IgEレベルを ELISAにて測定した。
[0079] 抗体量測定の ELISAの使用した試薬は以下の通りである。ブロッキングには 1% bovi ne serum albumin (Roche)含有 PBS (BSA-PBS)を用いた。固相抗体には、 F(ab')2 go at anti-mouse
(Zymed Laboratries, Incj、 F(ab')2 rabbit anti-mouse I gM抗体 (Zymed Laboratries, Inc.)、 rabbit anti-mouse IgA (Zymed Laboratries, Inc.) を用いた。二次抗体には、 HRP標識 F(ab')2 goat anti-mouse IgG(H(L)抗体(Zymed L aboratries, Inc.)、 HRP標識 rabbit anti-mouse IgM抗体 (Zymed Laboratries, Inc.)、 H RP標識 goat anti-mouse IgA抗体(Zymed Laboratries, Inc.)を用いた。発色基質に
用いた 2,2'— Anizo—bis(3—ethylbenzothiazoline— 6— sulfonic acid) diammonium salt (AB TS)は和光純薬より購入し、シユウ酸は Nacalai tesque (Kyoto, Japan)より購入した。
[0080] 方法は、固相抗体溶液(1000倍に 50 mM炭酸緩衝液で希釈)をィムノプレートに 10 0 μ L/wellで分注し、 4°Cでー晚静置した。 0.1% polyoxyethylene sorbitan monolaurat e (Nacalai tesque)含有 PBS (TPBS)で 3回洗浄後、 BSA-PBSを 300 μ L/wellで分注し 、 37°Cで 2時間インキュベートした。 TPBSで 3回洗浄後、サンプル及びスタンダード溶 液を BSA-PBSで適宜希釈し、 50 μ L/wellで添加後 4°C、ー晚静置した。 TPBSで 3回 洗浄後、二次抗体希釈液 (2000倍に BSA-PBSで希釈)を 100 L/wellで分注し 37°C 、 1時間インキュベートした。 TPBSで 3回洗浄後、発色基質溶液を 100 L/wellで分 注し、発色を行い、 1.5%シユウ酸溶液を 100 μ L/well分注して反応を停止させ、 415- 490 nmで吸光度を測定した。発色基質液には 0.006% H 0添加 0.2 Mクェン酸緩衝
2 2
液 (pH 4.0)、脱イオン水、 10.94 mM ABTS溶液の 10: 9: 1混合液を使用した。
[0081] IgEにつレ、ては、マウス IgE測定キット (森永生化学研究所)に添付された取扱説明 書通りに行った.吸光度の測定には、 Immuno Mini NJ-2300 (日本インターメッド株式 会社)を用いた。
[0082] 2.結 :
結果を下表に示した。
[0083] [表 1] 表 1 .卵白アルブミン (0VA) で抗原感作したマウスの血中抗体量に 及ぼすクリシン摂食の影響 lg Control Chrvsin
IgM (mg/mL) 5.2 ± 0.2 5.4 ± 0.2
IgG (mg/mL) 27.7土 2.4 23.5 ± 3.0
IgA (mg/mL) 0.6 ± 0.1 0.6 ± 0.0
IgE (ng/mL) 87.5 ± 6.9 68.2 ± 4.2 *
[0084] 摂食終了時点における血中 IgM、 IgG、 IgAレベルについてはクリシン摂食による影 響はみられなかった。これに対し、血中 IgEレベルについては、 Control群に比べてク リシン群で有意に低下しており、クリシン摂食は OVA感作による血中 IgEレベルの増 加を抑制させることが示された。
[0085] <実施例 7 :血中サイト力インレベルに及ぼすクリシン摂食の影響 >
L施
実施例 6と同様に採血を行い、血清中の 32種類(6Ckine, CTACK, Eotaxin, G-CSF , GM-CSF, IL-2, IL-3, IL- 4, IL- 5, IL- 6, IL- 9, IL- 10, IL— 12, IL- 12p70, IL— 13, Iし- 17, IFN- y , KC, Leptin, MCP- 1, MCP- 5, MIP- 1 a , MIP- 2, MIP- 3 β , RANTES, S CF, sTNFRI, TARC, TIMP— 1, TNF- a , Tpo, VEGF)を Ray Bio™ Mouse Cytokine A rray (Ray Biotech, In )を用いて検出した。
[0086] なお、略字の意味は、次のとおりである: CTACK, cutaneous T-ceU- attracting che mokine; G-CSF, granulocyte colony-stimulating factor; GM-CSF, granulocyte— macr ophage colony-stimulating factor; IFN, interferon; KC, CXC ligand 1; MCP, monocy te chemoattractant protein; MIP, macrophage inflammatory protein; RANTES, regul ated upon activation normal T cell expressed and secreted; Sし F, stem cell factor; s TNFR, soluble tumor necrosis factor receptor; TARC, thymus and activation— regula ted chemokine; TIMP— 1, tissue inhibitor of metalloprotease; TNF, tumor necrosis fa ctor; Tpo, thrombopoietin; VEGF, vascular endothelial growth factor。
[0087] 2.結果:
結果を下表に示した。なお、表中の数値は非摂食群の値を 1とした場合の相対値で ある。
[0088] [表 2]
表 2.卵白アルブミン (OVA) で抗原感作したマウスの血中サ
ィトカインレベルに及ぼすクリシン摂食の影響
Cytokines Chrysin
G-CSF 2.43
GM-CSF 1.68
IL-4 0
し eptin 1.25
MCP-1 0.49
TNF-α 2.17
[0089] 32種類のサイト力インの中で、 26種類のサイト力インレベルには変動が見られなかつ た。これに対し、 IL-4レベルはクリシン摂食によって顕著に低下していた (検出限界以 下)。一方、 G- CSFや GM- CSF、 leptin、 TNF- αの血中レベルは増大傾向を示した。
[0090] <実施例 8:高親和性 IgE受容体 (Fc ε RI)細胞表面発現に対するクリシンとァピゲ ニンの共存効果 >
L施
KU812細胞(5 X 105 cells/mL)を、クリシン(0, 1 , 5, 10 M)及びァピゲニン (Aldri ch Chem. Co. (St. Louis, MO)から購入) (0, 1, 5, 10 M)を添カ卩した 5%ゥシ胎児血 清含有 RPMI 1640培地で 24時間培養を行った。培養後、フローサイトメトリー解析に より細胞表面 Fc ε RI発現レベルを測定した (実験方法は 0047参照)。
[0091] 2.結果:
結果を下表に示した。
[0092] [表 3]
高親和性 I gE受容体 (FcsR I ) 発現に対する
クリシンとァピゲニンの共存効果
Chrisinと Apigeninの組合せ FceRI発現抑制率(%)
.. 0.0
Apigenin 1 μΜ 5.0
Apigenin 5 μΜ 17.1
Apiaenin 10 μΜ 36.1
Chrisin 1 μΜ 0.0
Chrisin 1 μΜ + Apigenin 1 μΜ 5.4
Chrisin 1 μΜ + Apigenin 5 μΜ 26.0
Chrisin 1 μΜ + Apigenin 10 μΜ 40.8
Chrisin 5 μΜ 11.5
Chrisin 5 μΜ + Apigenin 1 μ 13.9
Chrisin 5 μΜ + Apigenin 5 μΜ 31.4
Chrisin 5 μΜ + Apigenin 10 μΜ 51.4
Chrisin 10 μΜ 19.8
Chrisin 10 μΜ + Apigenin 1 μ 22.2
Chrisin 10 μΜ + Apigenin 5 μΜ 39.8
Chrisin 10 μΜ + Apigenin 10 μΜ 58.0
1 μ Μクリシンは KU812細胞の Fc ε RI発現を抑制しないが、ァピゲニンの Fc ε RI発 現抑制作用を増強させた。特に、 1 Mクリシン (抑制率 0%)と 5 ァピゲニン (抑 制率 17.1%)の共培養(1 μ Μクリシン + 5 Μァピゲニン)において相乗的な Fc ε RI発現抑制効果 (抑制率 26%)がみられた。