明 細 書
インクジェット記録用紙
技術分野
[0001] 本発明は、インクジェット記録用紙に関する。
背景技術
[0002] インクジェット記録方式はフルカラー化が容易なことや印字騒音が少な!/、事などか ら、印字性能の急速な向上に伴い、多方面に利用されている。又、インクジェット記録 方式は、装置がコンパクトで低価格であることから家庭やオフィスでのカラー印刷機と して普及してきている。インクジェット記録方式は、ノズル力 紙などの記録用紙に向 けてインク液滴を噴射させ、画像形成させるものであり、記録用紙とプリンタ一とが直 接接触しな!ゾンインパクト式の印字方式である。
インクジェット記録方式は、例えば、文書作成ソフトで作成した文書の記録、デジタ ル写真などのデジタル画像の記録、銀塩写真や本などの美麗な印刷体をスキャナで 取り込んだ後の記録 (複製)などへ利用される。そして、これらの各用途にそれぞれ適 した構成のインクジェット記録用紙が提案されている。例えば、単なる文書記録には、 原紙にコートしない普通紙タイプの記録用紙が用いられる。又、銀塩写真に匹敵する 解像度と色再現性が必要な場合は、厚い塗工層をインク受容層として原紙上に設け た塗工タイプが用いられ、特に光沢が要求される場合は上記塗工層をキャストコート 法で作製したキャストタイプの記録用紙が用いられる(例えば、特許文献 1, 2参照)。
[0003] キャストコート法は、顔料と結着剤とを主成分とする塗工液を基紙上に塗工してイン ク受容層となる塗工層を設け、湿潤して可塑状態にある塗工層をキャストドラム等の 鏡面仕上げ面に押し当て、光沢仕上げする方法である。キャストコート法は、(1)塗 ェ層が湿潤状態にある間に鏡面仕上げした加熱ドラムに圧着して乾燥するウエットキ ヤスト法 (直接法)、 (2)湿潤状態の塗工層を一旦 (半)乾燥した後に再湿潤液により 膨潤可塑化させ、鏡面仕上げした加熱ドラムに圧着し乾燥するリウエツトキャスト法( 再湿潤法)、(3)湿潤状態の塗工層を凝固処理によりゲル状態にして、鏡面仕上げし た加熱ドラムに圧着し乾燥するゲルイ匕キャスト法 (凝固法)、の 3種類に一般に分ける
ことができる。
[0004] ところで、紙の不透明度を上げるために様々な填料が用いられて 、るが、なかでも 酸化チタンは少量の添加で高 、不透明度と白色度を得られるため好適である(例え ば、特許文献 3、 4参照)。また、嵩比重 0.3g/cm3以下の無定形シリカ(ホワイトカーボ ン、含水ケィ酸)またはシリケ一トを填料に用いた嵩高の印刷用紙が開示されている( 例えば、特許文献 5参照)。特に、近年では紙資源節約や軽量化の点から低密度紙( 嵩高紙)が用いられることが多くなつてきており、不透明度を高くする填料が要望され ている。
[0005] 一方、インクジェット記録用のインクは、安定した液滴を形成させるためインク中に 多量の溶媒を含む。そのため、良好な画質を得るには、記録用紙力 Sインク液滴を速 やかに吸収する必要がある。特に、近年、プリンターの高速ィ匕ゃ多色インクの採用な どにより、インクジェット記録用紙にはより高いインク吸収性が求められている。そこで 、支持体上に、上記したインク受容層を設けた記録用紙が上巿されている。インク受 容層は、インクを吸収する顔料、顔料を支持体上に結合させる結着剤、インクをイン ク受容層に固着するためのインク定着剤、各種助剤から一般に構成される。インク受 容層用顔料としては、インク吸収性、透明性に優れた合成非晶質シリカが一般的に 使用されているが、印字品質や作業性を向上させるベぐ種々の特性 (粒径、吸油量 等)を有するシリカが顔料として提案されている (例えば、非特許文献 1参照)。
[0006] 例えば、上記非特許文献 1には、平均粒径 3〜6 μ m程度、吸油量 250cm3Zl00
8以上のシリカ(同文献の 123)、平均粒径2〜15 111、吸油量 180mlZl00g以上 のシリカ(同文献の pl46)が好適であることが記載されている。
又、吸油量 300ml以上の合成非晶質シリカと、平均粒径 0. 5〜0. 7 mでかつ粒 径 2 μ m以下の粒子の割合が 95%以上の重質炭酸カルシウムとを含有するインク受 容層を設けたインクジェット記録用紙が開示されている (例えば、特許文献 6参照)。
[0007] し力しながら、近年のプリンターにおける色再現性の発達にともない、より多くのイン クを吸収できるインクジェット記録用紙が望まれている。このようなこと力 、支持体とィ ンク受容層との間にアンダー層を設けることが提案されている。例えば、インク受容層 の下層にシリカを顔料として含むアンダー層を設ける技術や、アンダー層顔料として
シリカと重質炭酸カルシウム微粒子の混合物を用いる技術が提案されて 、る (特許文 献 7, 8参照)
[0008] 特許文献 1 :特開昭 62— 95285号公報
特許文献 2:特開平 5— 59694号各公報
特許文献 3 :特開 2004— 18336号公報
特許文献 4:特開 2002— 29739号公報
特許文献 5:特開平 10— 226982号公報
特許文献 6:特開 2003 - 170656号公報
特許文献 7:特開 2003 - 260862号公報
特許文献 8:特開 2003 - 285543号公報
非特許文献 1:「インクジェット記録におけるインク'メディア 'プリンターの開発技術」、 第 1刷、発行人 高薄 一弘、株式会社技術情報協会、 2000年 8月 28日、 pl23、 p 146
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0009] しかし、紙の不透明性を向上させるために用いる酸ィ匕チタン自体は比較的硬い填 料であるうえ、酸ィ匕チタンを用いた紙は密度が高くなる傾向にあるため、ギロチンなど で断裁加工する際に、断裁刃の負担が大きぐ刃の欠けが生じたり、断裁音が非常 に大きくなつたりするという問題がある。又、ホワイトカーボンのような比重の低い物質 を填料として用いると、紙の剛度およびサイズ度を低下させるとともに、炭酸カルシゥ ムなどと比較して不透明度が低くなる。
[0010] 又、上記特許文献 7記載の技術を用い、インク受容層の下層にアンダー層を設ける 場合、顔料であるシリカのインク吸収性は高いものの、アンダー層用塗工液中でシリ 力が結着剤を吸着するため (結着剤要求量が多く)、有効な結着剤量が不足してアン ダ一層強度が低下するという問題がある。又、層強度を確保するため結着剤の配合 量を多くすると、インク吸収性が低下する。一方、吸油量が低いシリカを用いた場合、 結着剤要求量は低くなるが、インク吸収性に劣る。
また、特許文献 8記載の技術の場合、アンダー層強度は高くなるが、炭酸カルシゥ
ムの吸収特性が低 、ためインク吸収性に劣る。
なお、アンダー層強度が低いと、製造過程でロール状の記録用紙 (紙)を巻き取る 際、アンダー層やその上のインク受容層が欠落して紙と紙の間に巻き込まれる等の 不具合が生じる。この場合、紙表面にくぼみなどの凹凸が生じ、美観を損ねることが あり、高平滑なキャスト紙において特に顕著である。
[0011] 従って本発明は、不透明性及び断裁加工適性に優れ、又はインク吸収性およびァ ンダ一層強度の高いインクジェット記録用紙を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0012] 本発明者等は上記課題を解決すべく検討を行った結果、特定の紙中填料を用いる ことにより、不透明性及び断裁加工適性を向上できることを見いだした。
従って、本発明の上記目的は、基紙上に、顔料と結着剤とを含有するインク受容層 を設けたインクジェット記録用紙であって、前記基紙中に、軽質炭酸カルシウム粒子 の表面をシリカで被覆した軽質炭酸カルシウム—シリカ複合粒子カゝらなる填料が含 有されていることを特徴とするインクジェット記録用紙によって達成された。
[0013] 又、発明者等は上記課題を解決すべく検討を行った結果、アンダー層に特定の顔 料を用いることにより、インク吸収性に優れ、アンダー層強度を向上できることを見い だした。これは、上記顔料により、顔料の吸収特性のバランスが良好となり、結着剤を あまり吸着することなくインク吸収性が向上されるためと考えられる。
従って、本発明の上記目的は、支持体の少なくとも一方の面に、顔料及び結着剤 を含有するアンダー層を設け、該アンダー層の表面にインク受容層を設けたインクジ エツト記録用紙であって、前記アンダー層の顔料が軽質炭酸カルシウム粒子の表面 をシリカで被覆した軽質炭酸カルシウム シリカ複合粒子を含有することを特徴とす るインクジェット記録用紙によって達成された。
[0014] 前記軽質炭酸カルシウム シリカ複合粒子における、軽質炭酸カルシウム Zシリカ の固形分質量比(CaCO /SiO )が 25Z75〜75Z25であることが好ましい。前記
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軽質炭酸カルシウム シリカ複合粒子を基紙に含有させる場合、その平均粒子径が
1〜30 mであることが好ましい。又、前記軽質炭酸カルシウム—シリカ複合粒子に おいて、前記軽質炭酸カルシウム粒子は、紡錘状の一次粒子が凝集して二次粒子
を形成して 、るロゼッタ型カルサイト系軽質炭酸カルシウムであることが好ま 、。前 記インク受容層の最表面は、該インク受容層用塗料を塗布してなる塗工層の表面が 湿潤状態にある間に、該塗工層を加熱した鏡面に圧接した後、乾燥して設けられるこ とが好ましい。
発明の効果
[0015] 本発明によれば、不透明性及び断裁加工適性に優れ、又はインク吸収性およびァ ンダ一層強度の高いインクジェット記録用紙が得られる。
発明を実施するための最良の形態
[0016] 以下本発明の実施形態について説明する。
[0017] 1.第 1の発明(基紙中に軽質炭酸カルシウム シリカ複合粒子を填料として含有す る)に係る実施形態
本発明の第 1の発明に係る実施形態のインクジェット記録用紙は、基紙上にインク 受容層を設け、基紙中に填料として以下の軽質炭酸カルシウム シリカ複合粒子を 含有する。
[0018] 〈基紙〉
本実施形態に使用される基紙はパルプ繊維と填料とを主成分とする。
(1)パルプ
基紙に用いるパルプの種類と配合量は特に限定されない。例えば、クラフトパルプ (
KP)等の化学パルプ、ストーングランドパルプ (SGP)、加圧ストーングランドパルプ (PG P)、リファイナーグランドパルプ (RGP)、ケミグランドパルプ (CGP)、サーモグランドパル プ (TGP)、砕木パルプ (GP)、サーモメカ-カルパルプ (TMP)、ケミサーモメ力-カルパ ルプ (CTMP)、リファイナーメカ-カルパルプ (RMP)等の機械パルプ (MP)、更に、脱墨 パルプ (DIP)等の古紙パルプから 1種あるいは 2種以上を適宜選択し、配合して使用 することができる。
[0019] (2)填料 (軽質炭酸カルシウム シリカ複合粒子)
填料としては、軽質炭酸カルシウム粒子の表面をシリカで被覆した軽質炭酸カルシ ゥム—シリカ複合粒子を用いる。該複合粒子は、紙中填料の全量又は一部として使 用される。軽質炭酸カルシウム—シリカ複合粒子は、例えば粒径 0.9〜9 /ζ πι程度の
軽質炭酸カルシウムの表面に、一次粒子径が 20〜60nm程度のシリカ(SiO )粒子が
2 結合したものである。又、軽質炭酸カルシウムは、例えば石灰石を焼成し、化学反応 により合成することができるがこれに限られない。
[0020] 軽質炭酸カルシウム (CaCO )の結晶の形態(同質異像)は、カルサイト、ァラゴナ
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イトのいずれでもよい。上記軽質炭酸カルシウムの形状も、針状、柱状、紡錘状、球 状、立方体状、ロゼッタ (rosette)型のいずれでもよい。なお、ロゼッタ型とは、紡錘状 の軽質炭酸カルシウム一次粒子が毬栗状に凝集した形状を指し、他の形態のものに 比べて比表面積と吸油性が高くなる。特に、ロゼッタ型のカルサイト系軽質炭酸カル シゥムを用いると、基紙に内添した場合に嵩高で不透明度の改善効果に優れた軽質 炭酸カルシウム シリカ複合粒子が得られるので、好ましい。なお、軽質炭酸カルシ ゥムは粉砕処理を施して使用しても良 、。
[0021] 図 1は、液中に分散した状態の軽質炭酸カルシウム(ロゼッタ型カルサイト系)の形 態の一例を示す SEM (電子顕微鏡)像であり、図 2は、液中に分散した状態の軽質炭 酸カルシウム シリカ複合粒子の形態の一例を示す SEM像である。図 2によれば、 軽質炭酸カルシウムの表面に実質的に球状のシリカ粒子が結合 (析出)していること がわかる。又、図 2の例では、 3個の複合粒子が存在している。なお、この複合粒子は 、抄紙後、単体又は複数個凝集した状態でノ ルプ繊維の表面に付着している。
[0022] 上記した軽質炭酸カルシウム一シリカ複合粒子を紙中填料として用いることにより、 吸油量が高くなり、紙の不透明度を向上させることができる。又、軽質炭酸カルシウム シリカ複合粒子はチタンに比べて硬度が低ぐ得られた用紙の断裁時に刃を磨耗 させることが少ない。
[0023] 軽質炭酸カルシウム一シリカ複合粒子は、紙中に含有されていることが必要であり 、好ましくは紙中填料率として 1〜25質量 %含有されているのがよい。紙中填料率が 1 質量 %未満であるとインクジェット記録用紙の不透明度が向上せず、 25質量 %を超える と紙力が低下し、抄造時に断紙が発生したり加工時に紙粉が発生しやすくなる。紙 中填料率は、より好ましくは 3〜25質量%とし、最も好ましくは 5〜25質量%とする。なお 、紙中填料率 ίお IS P P8251に規定する灰分試験方法(525°C燃焼法)により測 定することができる。
[0024] 軽質炭酸カルシウム—シリカ複合粒子における、軽質炭酸カルシウム Zシリカの固 形分質量比(CaCO /SiO )が 25Z75〜75Z25であることが好ましい。上記比が
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25Z75未満の場合、シリカの特性が全体に発現するため、不透明性が低下し、記 録画像の裏抜けが発生しやすくなる。一方、上記比が 75Z25を越えると、軽質炭酸 カルシウムの特性が大きく発現するため、嵩高性が低下して支持体の透気性も低下 しゃすくなる。固形分質量比は、例えば軽質炭酸カルシウム—シリカ複合粒子を蛍 光 X線分析し、 Ca及び Siを定量することで、求めることができる。
[0025] 又、軽質炭酸カルシウム シリカ複合粒子の平均粒子径力 〜 30 μ mであることが 好ましい。該複合粒子の平均粒子径が 1 μ m未満であると、抄造時の填料の歩留が 低下することがある。一方、平均粒子径が 30 mを超えると、紙強度が低下したり、 紙中での填料分布が不均一になり、地合が悪ィ匕する場合がある。より好ましい平均 粒径は 3〜20 μ mであり、さらに好ましい範囲は 3〜10 μ mである。
又、軽質炭酸カルシウム—シリカ複合粒子の吸油量が 70〜300mlZl00gである ことが好ましい。該複合粒子の吸油量が 70mlZl00g未満であると、インク受容層の 塗工量が少ない場合にインク吸収性が悪くなり、インクジェット記録画像に、にじみ等 の問題が発生しやすくなる。一方、吸油量が 300mlZl00gを超えると、抄造時に他 の添加薬品を過度に吸収してしまい、その薬品の効果を減じる場合がある。より好ま しい吸油量は 100〜200mlZl00gである。
又、軽質炭酸カルシウム―シリカ複合粒子 BET比表面積が 5〜 110m2/gであるこ とが好ましい。該複合粒子の BET比表面積が 5m2/g未満であると、該複合粒子の 光散乱効果が少なくなるため、光の散乱が減少し、不透明度が下がる傾向にある。 一方、 BET比表面積が 110m2Zgを超えると抄造時に他の添加薬品を過度に吸収 してしまい、その薬品の効果を減じる場合がある。より好ましい BET比表面積は 10〜 50m2Zgである。
[0026] なお、軽質炭酸カルシウム シリカ複合粒子は内部に軽質炭酸カルシウムを含ん でいるため、酸性抄紙で抄造すると、粒子内部の軽質炭酸カルシウムが分解または 溶解する可能性がある。従って、本発明においては、中性抄紙又はアルカリ性抄紙 で抄造することが好ましい。
[0027] (3)軽質炭酸カルシウム シリカ複合粒子のその他の効果
さらに、軽質炭酸カルシウム シリカ複合粒子を填料に用いると、低密度紙 (嵩高 紙)が得られ易いという効果がある。特に、キャストコート法でインクジェット記録用紙 を製造する場合に、本発明が有効である。つまり、キャストコート法は、いずれも塗工 層をキャストドラムに押し付けて光沢面を得る必要から、塗工層の乾燥は基紙のキヤ ストロールと接しない面からのみ進行する。従って、キャストコート法は乾燥速度が遅 ぐ生産性が低くなる力 通気性の高い基紙を用いることで生産性を向上できる。そし て、本実施形態によれば、基紙の密度が低下する(嵩高になる)ので、結果として基 紙の通気性を高くすることができる。基紙の密度として、嵩高率を 3%以上とすること が好ましい。嵩高率が高い程、キャスト操業性が向上するが、嵩高率が高くなりすぎ ると紙強度が低下し、基紙製造時に断紙が発生する傾向がある。このため、嵩高率 は 20%以下とすることが好ましい。なお、嵩高率は、塗工前の基紙の紙厚と坪量から 密度を測定し、式
嵩高率 =(1—填料を添加した基紙の密度/填料無添加の基紙の密度) X 100 に従い算出する。
[0028] (4)軽質炭酸カルシウム シリカ複合粒子の製造方法
上記軽質炭酸カルシウム—シリカ複合粒子は、例えば軽質炭酸カルシウムとアル力 リ性の珪酸金属塩水溶液とを混合した液に、その煮沸温度以下の温度で鉱酸を添 加し液の pHを 7〜9として得られる。なお、このような製法によれば、軽質炭酸カルシ ゥムの表面がシリカで被覆された複合粒子になると考えられる。
上記製造方法は、具体的には、まず、上記軽質炭酸カルシウムを水中に分散する 。水への分散量は、後述するケィ酸添加の影響も考慮して固形分で 1〜20質量%と するのが好ましい。分散量が 1質量%未満であると 1バッチ当たりの生産量が少なぐ 生産性が低くなり、 20質量%を超えると分散性が低下し、また軽質炭酸カルシウム量 との反応に用いるケィ酸アルカリの濃度が高くなつて反応時の粘度が上昇し、操業性 力 S低下することがある。
次に、このスラリーに珪酸のアルカリ溶液 (アルカリは、例えばナトリウム、カリウム)を 加える。珪酸とアルカリのモル比は限定されないが、 3号珪酸(SiO /Na 0= (3〜
3. 4) Zl程度)が一般に入手しやすぐ好適に利用できる。軽質炭酸カルシウムと、 珪酸のアルカリ溶液との仕込質量比を調整することにより、目的とする軽質炭酸カル シゥム—シリカ複合粒子の固形分質量比 (CaCO /SiO )を調整できる。
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[0029] 次に、これらの混合物をアジテータ、ホモミキサー、ミキサー等で攪拌、分散する。
軽質炭酸カルシウムが過度に凝集せずに適宜分散すればよぐ分散時間やアジテ ーシヨンの強さ等は制限されない。
次に、鉱酸で中和反応させる。鉱酸は何でもよぐ例えば硫酸、塩酸等の安価に入 手できるものでょ 、。又鉱酸に硫酸バンドや硫酸マグネシウムのような酸性金属塩を 含んでもょ ヽ。鉱酸 (または鉱酸に上記酸性金属塩水溶液を含んだ酸)の添加は、 上記混合物の煮沸点以下の温度で行!、、軽質炭酸カルシウム粒子の表面に珪酸分 を析出させて非晶質珪酸を形成被覆させ、軽質炭酸カルシウム シリカ複合粒子を 得る。この中和反応は pH = 7〜9で終了させることが重要で、 pH7未満では軽質炭 酸カルシウムの分解を生じ、 pH9を超えると珪酸分の析出が充分に行われず、未反 応の珪酸分が残りロスを生じるため、好ましくない。
なお、酸濃度が低いと液全体の量が増えるため、酸濃度は 0. 05N以上であるのが よい。但し、酸濃度が高くなると、酸の添カ卩により液中に pHの低い部分が生じて軽質 炭酸カルシウムを分解するので、酸の添カ卩口でホモミキサー等を用いて強攪拌を行 う必要がある。又、酸添カ卩は数回に分けて行ってもよい。
[0030] このようにして、軽質炭酸カルシウム粒子表面をシリカが被覆した懸濁液が得られる 。この懸濁液をそのまま抄紙工程等に使用しても良いが、生産が小規模の場合には 、ろ紙ゃメンブランフィルタ等のろ過設備を用いて、又、中規模以上の場合にはベル トフィルタやドラムフィルタ等を用いたろ過、若しくは遠心分離機を用いた遠心分離を 用いて固液分離を行 、、中和反応で生成した副生成物である塩をなるベく取り除 、 たほうが好ましい。この塩が残存していると、抄紙工程において難溶性の金属塩 (例 えば、硫酸カルシウム)に変化し、スケーリングの原因となるおそれがある。さらに、固 液分離を行ったケーキ(通常、固形分濃度 10〜50%)を、水またはエタノールにより 再分散後、再び固液分離してさらに余分なケィ酸や塩を取り除いても良い。
[0031] さらに、振動篩やスクリーンを用いて、得られた軽質炭酸カルシウム シリカ複合粒
子のうち粗粒物(例えば、 100 μ m以上)を適宜除去する。
軽質炭酸カルシウム シリカ複合粒子の平均粒子径の調整は、中和反応時の熟成 中の強攪拌や粉砕、又は、中和反応終了後のもの、若しくは反応終了後の固液分離 したものを湿式粉砕機を用いて粉砕することで行うことができる。これらの方法を組み 合わせてもよい。なお、熟成とは、中和の際に添加する酸の添加を一時中断し、攪拌 のみを施して放置することを 、う。
[0032] (5)その他の填料
填料としては、軽質炭酸カルシウム—シリカ複合粒子の他に、嵩高性、不透明度、 サイズ性等が損なわれない範囲内で、他の無機填料、有機填料を併用することも可 能である。例えば、中性抄紙やアルカリ性抄紙で通常使用されている填料であれば 何ら制限はなく使用することができる。例として炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、水酸 化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、クレー、焼成 カオリン、デラミカオリン、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ等の無 機填料や、尿素 ホルマリン榭脂、ポリスチレン榭脂、フ ノール榭脂等有機物の微 粒子カゝら選ばれる 1種類以上が挙げられる。
紙中の全填料 (軽質炭酸カルシウム シリカ複合粒子のみ、又はこれと他の填料と の合計)の紙中の含有率は固形分で 1〜40質量%であるのが好ましぐ 3〜40質量%が より好ましぐ 5〜40質量%が更に好ましい。含有率が 40質量 %を超えると、紙力低下 による断紙が多くなり、操業性の低下や印刷時の紙粉発生量が多くなることがある。
[0033] (6)基紙の製造
上記したパルプと填料とを混合し、さらに必要に応じて紙力向上剤、歩留向上剤、 湿潤紙力増強剤、染料、蛍光増白剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコント ロール剤、サイズ性付与剤などの製紙用補助薬品を加え、抄紙して基紙を製造する o中性抄紙又はアルカリ性抄紙の場合、アルキルケテンダイマー (AKD)系サイズ剤、 ァルケ-ル無水コハク酸 (ASA)系サイズ剤、中性ロジン系サイズ剤等の公知の内添 中性サイズ剤を用いることができる。但し、中性ロジンサイズ剤に比べ、 AKD、 ASAの 方が低密度の基紙を得られるので好ましい。これらのサイズ剤の含有量は、パルプ 絶乾質量に対して 0.05〜5質量%が好ましぐ 0.1〜1質量%がより好ましい。
[0034] 基紙の抄造に用いる抄紙機は、長網抄紙機、オントップツインワイヤー抄紙機、ギ ヤップフォーマーなどの公知の装置を用いることができる。
[0035] 抄紙の後、表面強度向上や耐水性付与、その他インク着肉性改良などを目的とし て、基紙に表面塗工を行っても良い。塗工装置について制限はない。表面塗工に用 いる表面処理剤の種類についても特に制限はないが、例えば、生澱粉、酸化澱粉、 エステル化澱粉、カチオン化澱粉、酵素変性澱粉、アルデヒド化澱粉、ヒドロキシェ チル化澱粉などの変性澱粉;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシェチルセル口 ース、メチルセルロースなどのセルロース誘導体;ポリビュルアルコール、カルボキシ ル変性ポリビュルアルコールなどの変性アルコール;スチレンブタジエン共重合体、 ポリ酢酸ビニル、塩ィ匕ビ二ルー酢酸ビュル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩ィ匕ビユリ デン、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルアミドなどを単独または併用することができ る。さらに、上記表面処理剤に対し、スチレンアクリル酸、スチレンマレイン酸、ォレフ イン系化合物、カチオン性サイズ剤などの表面サイズ剤を添加したものを塗工するこ とがでさる。
[0036] キャレンダー処理は通常の操業範囲内の線圧で行うことができる力 低密度の紙を 製造する観点力もは、紙の平滑性を維持できる範囲でなるべく低線圧とするか、また はソフトキャレンダーを用いる方が好まし 、。
[0037] 〈インク受容層〉
インク受容層は、顔料と結着剤とを含有する。
(1)顔料
顔料は公知の顔料から適宜選択することが出来る。具体例としては、シリカ(コロイ ダルシリカを含む)、アルミナ(コロイダルアルミナを含む)、水酸化アルミニウム、カオ リン、タルク、炭酸カルシウム、二酸化チタン、クレー、酸ィ匕亜鉛等が挙げられ、これら は単独または複数混合して用いることができる。このうちアルミナは、水酸化アルミ- ゥムを焼成すること等によって得られるアルミニウムの酸ィ匕物であり、例えば α—アル ミナ、 j8—ァノレミナ、 γ—アルミナ等を挙げるることができる力 γ—アルミナを用いる とインク受容層の光沢がより一層向上するので好ましい。アルミナの粒子径ゃ BET比 表面積は必要に応じて適宜選択することができるが、平均粒子径 (レーザー回折法
で測定)が 1. 0〜4. 0 mのアルミナを用いると、インク受容層の光沢性が向上する ので好ましく、特に 1. 5〜3. 3 /z mのァノレミナを用!/、ること力好まし!/、。
[0038] (2)結着剤
結着剤としては、皮膜を形成することができる高分子化合物であれば 、ずれのもの でもよい。具体的には、完全酸ィ匕又は部分酸ィ匕ポリビュルアルコール;カルボン酸変 性ポリビュルアルコール;シリル変性ポリビュルアルコール、 ;ァセトァセチル基変性 ポリビュルアルコール;ポリビュルァセタール榭脂;酸化澱粉、エステル化澱粉等の 澱粉類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシェチルセルロース等のセルロース誘 導体;ポリビュルピロリドン;カゼイン;ゼラチン;大豆タンパク;スチレン一アクリル榭脂 及びその誘導体;スチレン ブタジエンラテックス、アクリルェマルジヨン、酢酸ビュル ェマルジヨン、塩化ビュルェマルジヨン、ウレタンェマルジヨン、尿素ェマルジヨン、ァ ルキッドェマルジヨン及びこれらの誘導体;等を単独又は複数併用することができる。 特に、ポリビュルアルコール (変性物を含む)を用いると、インク受容層の透明度が向 上するとともに、銀塩写真並の光沢感を付与できるので好ましい。
[0039] 結着剤の配合量は、必要な層強度が得られる限り特に限定されるものではないが、 顔料 100質量部に対して 5質量部〜 30質量部であることが好ましぐ 20質量部以下 であることがより好ましい。配合量が 5質量部未満であるとインク受容層の強度が低下 しゃすぐ 30質量部を超えるとインク受容層のインク吸収性が低下しやすくなる。また
、結着剤中にポリビュルアルコールを配合する場合、配合量が少ないと白紙光沢 (ィ ンクジェット印字前の記録層の光沢)が向上しない傾向にあるため、結着剤中のポリ ビュルアルコールの割合を 30質量%以上とすることが好ましぐより好ましくは 50質 量%以上とする。
[0040] (3)インク受容層の形成
インク受容層は、インク受容層用塗工液を塗布して形成することができる。塗布方 法としては、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、ブラッシュコー ター、キスコーター、スクイズコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ノ ーコータ 一、グラビアコーター、キャストコ一ター等の公知の塗工機を用いた塗工方法の中か ら適宜選択することができる力 特に高い光沢を有するインクジェット記録用紙を得ら
れる点からキャストコート法 (キャストコ一ターによる塗工)が好ましい。
[0041] くインク受容層の形成方法 (キャストコート法) >
高 、光沢を有するインクジェット記録用紙を得られると 、う点から、 V、わゆるキャスト コート法によりインク受容層を形成することが好ましい。このキャストコート法は、インク 受容層用塗料を塗布した塗工層の表面が湿潤状態にある間に、該塗工層を加熱し た鏡面に圧接した後、乾燥して行う。
キャストコート法は、(1)塗工層が (塗工されたまま)湿潤状態にある間に鏡面仕上 げした加熱ドラムに圧着 (圧接)して乾燥するウエットキャスト法 (直接法)、 (2)湿潤状 態の塗工層を一旦 (半)乾燥した後に再湿潤液により膨潤可塑化 (湿潤)させ、鏡面 仕上げした加熱ドラムに圧着し乾燥するリウエツトキヤスト法 (再湿潤法)、 (3)湿潤状 態の塗工層を凝固液等の凝固処理によりゲル状態にして、鏡面仕上げした加熱ドラ ムに圧着し乾燥するゲルイ匕キャスト法 (凝固法)、の 3種類に一般に分けることができ る。
V、ずれの方法にお 、ても、湿潤状態 (ゲル状態も湿潤状態に含む)の塗工層に鏡 面 (例えば、加熱した鏡面ドラムや平板鏡面等の金属鏡面)を押し付ける点では同様 である。
本発明にお ヽては上記した 、ずれの方法を用いることもできる力 高 、光沢を得ら れるという点からは凝固法力 生産性を向上するという点からは再湿潤法が好ましい
[0042] 凝固法キャストコート法の場合は、インク受容層用塗工液を塗工した塗工層が湿潤 状態にあるうちに、これに結着剤を凝固(あるいは架橋)する作用を持つ処理液を塗 布し、その後加熱した鏡面に塗工層を圧着し、光沢を付与する。例えば、塗工層の 結着剤としてポリビュルアルコールを用いた場合には、ポリビュルアルコールを凝固 させる作用を持つ化合物を含有する水溶液であればいずれのものも使用することが できるが、特に、ホウ酸とホウ酸塩とを含有する処理液が好ましい。ホウ酸とホウ酸塩 とを混合して用いることにより、適度な固さの凝固状態を得ることが容易となり、良好な 光沢感を有するインクジェット記録用紙を得ることができる。又、結着剤としてカゼイン を用いた場合はカゼインを凝固させる作用を有する化合物を含有する水溶液を、処
理液として用いることができる。
[0043] 再湿潤法キャストコート法の場合は、インク受容層用塗工液を塗工した塗工層を乾 燥し、塗工層の結着剤を可塑化する作用を持つ処理液 (可塑化処理液)を該塗工層 に塗布し、その後加熱した鏡面に塗工層を圧着し、光沢を付与する。この方法の場 合、処理液を塗布する際にインク受容層が乾燥状態であるため、鏡面ドラム表面を写 し取ることが難しぐ表面に微小な凹凸が多ぐ光沢感は若干落ちる傾向にあるが、 他の方法に比較して塗工速度を速くすることが可能になるため、生産性が向上する。
[0044] また、上記処理液 (凝固液や可塑化処理液)には、必要に応じて顔料分散剤、保水 剤、増粘剤、消泡剤、防腐剤、着色剤、耐水化剤、湿潤剤、蛍光染料、紫外線吸収 剤、カチオン性高分子電解質等を適宜添加することができる。処理液を塗布する方 法としてはロール、スプレー、カーテン方式等があげられる力 特に限定されない。
[0045] 2.第 2の発明(アンダー層中に軽質炭酸カルシウム—シリカ複合粒子を含有する)に 係る実施形態
本発明の第 2の発明に係る実施形態のインクジェット記録用紙は、支持体上にアン ダ一層、インク受容層をこの順に設けて構成されている。
[0046] く支持体〉
支持体としては、公知のものを適宜選択して使用することができる力 特に紙 (塗工 紙、未塗工紙等)を基紙として用いることが好ま 、。
支持体としては、第 1の発明に係る実施形態で用いたのと同一のパルプ、助剤を用 いるので、同一部分について説明を省略する。填料としては、従来公知の無機填料 、有機填料を併用することも可能である。中性抄紙やアルカリ性抄紙で通常使用され て 、る填料であれば何ら制限はなく使用することができる。例として炭酸マグネシウム 、炭酸バリウム、水酸ィ匕アルミニウム、水酸ィ匕カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸 化亜鉛、クレー、焼成カオリン、デラミカオリン、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、 非晶質シリカ等の無機填料や、尿素 ホルマリン榭脂、ポリスチレン榭脂、フ ノール 榭脂等有機物の微粒子力 選ばれる 1種類以上が挙げられる。また、第 1の発明に 係る軽質炭酸カルシウム シリカ複合粒子を使用しても良 ヽ。支持体の製造方法や 抄紙後の表面塗工、表面処理についても第 1の発明に係る実施形態と同様であるの
で説明を省略する。
[0047] 〈アンダー層〉
アンダー層は、基紙とインク受容層の間に存在し、インク受容層の均一な塗工とィ ンク吸収を補助する。アンダー層は顔料と結着剤とを含有し、顔料は軽質炭酸カル シゥム シリカ複合粒子を含有する。
[顔料]
顔料としては、第 1の発明に係る実施形態で用いたのと同一の軽質炭酸カルシウム —シリカ複合粒子を用いるので、同一部分について説明を省略する。軽質炭酸カル シゥムの結晶の形態(同質異像)についても同様である。
[0048] 特に、ロゼッタ型のカルサイト系軽質炭酸カルシウム力 得られた軽質炭酸カルシ ゥムーシリカ複合粒子は吸収特性が良好となり、これをアンダー層の顔料として用 ヽ ると、インクジェット記録用紙のインク吸収性が向上するので、好ましい。上記ロゼッタ 型の軽質炭酸カルシウムカゝら得られる軽質炭酸カルシウム—シリカ複合粒子は、核と なる軽質炭酸カルシウム粒子が毬栗状であるため、複合粒子内の空隙が多くなり、ィ ンク吸収性が向上すると考えられる。
[0049] 上記した軽質炭酸カルシウム一シリカ複合粒子を顔料として用いることにより、イン ク吸収性及びアンダー層強度を向上させる理由は明らかではないが、以下のように 考えられる。すなわち、軽質炭酸カルシウム—シリカ複合粒子は、軽質炭酸カルシゥ ムの表面にシリカの一次粒子が付着しているため、同一粒径の炭酸カルシウムに比 ベて吸油量が多ぐ多量のインクを顔料中に吸収することができる。特に、核となる軽 質炭酸カルシウムが二次粒子を形成して ヽる場合は、炭酸カルシウムの一次粒子間 に空間が形成される結果、吸油量がさらに多くなる。
また、上記複合粒子の場合、軽質炭酸カルシウムの周りにシリカが配置されることか ら、同一粒子径の単独のシリカと比較して比表面積力 、さぐ顔料が結着剤を吸着す る割合が少なくなるので (結着剤要求量が少なくなるので)、有効な結着剤量が確保 され、アンダー層強度が高くなると考えられる。また、顔料の比表面積力 、さくなると、 これを含む塗料の安定性も高くなる。
[0050] 軽質炭酸カルシウム—シリカ複合粒子は、シリカの特性と軽質炭酸カルシウムの特
性とを兼ね備えたものと考えられ、これらの配合割合を調整することによりインク吸収 性、印字濃度、又は鮮ゃ力さ等を適切に調整できるという利点がある。ここで、鮮やか さは、画像がきれいに印字される指標であり、印字濃度と、画像再現性や画像のムラ の有無とを総合した評価である。このようなことから、軽質炭酸カルシウム シリカ複 合粒子における、軽質炭酸カルシウム Zシリカの固形分質量比(CaCO /SiO )が
3 2
25Z75〜75Z25であることが好ましい。上記比が 25/75未満の場合、シリカの特 性が全体に発現し、吸着特性が高すぎて結着剤を吸着する等の理由から、アンダー 層強度が低下しやすくなる。一方、上記比が 75Z25を越えると、軽質炭酸カルシゥ ムの特性が大きく発現し、吸着特性が低下してインク吸収性や印字濃度が低下し易 くなる。固形分質量比は、例えば軽質炭酸カルシウム—シリカ複合粒子を蛍光 X線分 祈し、 Ca及び Siを定量することで、求めることができる。
[0051] 又、軽質炭酸カルシウム シリカ複合粒子の吸油量が 100〜250mlZl00gであ ることが好ましい。該複合粒子の吸油量が lOOmlZlOOg未満であると、インク吸収 性が低下し、 250mlZl00gを超えるとアンダー層強度が低下する場合がある。より 好ましい吸油量は 120〜200mlZl00gであり、さらに好ましい範囲は 140〜180ml ZlOOgである。
吸油量 ίお IS K5101に準じて測定することができる。
[0052] 又、軽質炭酸カルシウム シリカ複合粒子の BET比表面積が 5〜150m2Zgであ ることが好ま U、。該複合粒子の BET比表面積が 5m2Zg未満であるとインク吸収性 が低下し、 150m2Zgを超えるとアンダー層強度が低下するとともに塗工液の粘度が 上昇して操業性が低下する場合がある。より好ましい BET比表面積は 10〜: LOOm2 Zgであり、さらに好ましい範囲は 20〜50m2Zgである。
BET比表面積は窒素吸着法で測定できる。
[0053] 又、軽質炭酸カルシウム シリカ複合粒子の平均粒子径が 1〜10 μ mであることが 好ましい。該複合粒子の平均粒子径が 1 μ m未満であると、複合粒子内の空隙が減 少してインク吸収性が低下する。一方、平均粒子径が 10 mを超えると、アンダー層 の平滑性が損なわれ、インク受容層を均一に設けることが難しくなる場合がある。より 好ましい平均粒径は 2〜9 μ mであり、さらに好ましい範囲は 3〜8 μ mである。
平均粒子径は、レーザー法粒度測定機 (例えば、マルバーン社製の商品名:マスタ 一サイザ一 s型)を用いて測定することができる。
[0054] [軽質炭酸カルシウム シリカ複合粒子のその他の効果]
さらに、軽質炭酸カルシウム シリカ複合粒子をアンダー層の顔料に用いると、記 録用紙の透気性が高くなるという効果がある。特に、キャストコート法でインクジェット 記録用紙を製造する場合に、本発明が有効である。つまり、キャストコート法は、いず れも塗工層をキャストドラムに押し付けて光沢面を得る必要から、塗工層の乾燥は支 持体のキャストロールと接しない面からのみ進行する。従って、キャストコート法は乾 燥速度が遅ぐ生産性が低くなるが、アンダー層の通気性が高くなることで生産性を 向上できる。
この理由は,上記したように、軽質炭酸カルシウム シリカ複合粒子が空隙を含ん でいるためと考えられる。アンダー層の透気性を高くするためには、該複合粒子の平 均粒子径を 1 m以上とすることが好ましい。又、上記したロゼッタ型の軽質炭酸カル シゥムは毬栗状のために空隙が多ぐアンダー層の透気性を向上させる効果が大き い。
アンダー層を設けた支持体の透気性としては、 300秒以下であることが好ましぐよ り好ましくは 100秒未満とする。
[0055] [軽質炭酸カルシウム シリカ複合粒子の製造方法]
上記複合粒子の製造方法は、第 1の発明に係る実施形態における製造方法と同一 であるので説明を省略する。
[0056] [その他の顔料]
アンダー層の顔料として、軽質炭酸カルシウム—シリカ複合粒子の他に、本発明の 効果が損なわれない範囲内で必要に応じ、無機顔料、有機顔料を併用することも可 能である。これらは、通常、塗工紙で使用されている顔料であれば何ら制限なく使用 することができる。例えば、合成シリカ、アルミナ及びアルミナ水和物(アルミナゾル、 コロイダルアルミナ、擬ベーマイト等)、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭酸マ グネシゥム、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カル シゥム、二酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム
等の無機顔料;尿素 ホルマリン榭脂、ポリスチレン榭脂、フエノール榭脂等の有機 顔料;カゝら選ばれる 1種類以上を併用することができる。軽質炭酸カルシウム シリカ 複合粒子と他の顔料を併用する場合は軽質炭酸カルシウム シリカ複合粒子が全 顔料中に 60質量%以上含まれて 、ることが好まし 、。
[0057] [結着剤]
アンダー層の結着剤としては、第 1の発明に係る実施形態におけるインク受容層用 の結着剤と同一のものを用いることができるので、説明を省略する。なお、ポリビュル アルコール (変性物を含む)を用いると、アンダー層の透明度が向上し、この層に留ま つたインクの発色性が向上するので好ましい。
アンダー層中の結着剤の配合量は、必要な層強度が得られる限り特に限定されな いが、顔料 100質量部に対して 3〜70質量部であることが好ましぐ 10〜50重量部 であることがより好ましい。結着剤の配合量が少ないとアンダー層の強度が低下しや すぐ配合量が多いとインク吸収性が低下しやすい。
[0058] [その他助剤]
染料インクの定着性の改善、および定着した染料インクを耐水化するため、アンダ 一層にカチオン性高分子化合物を含有させることができる。
上記カチオン性高分子化合物としては、一級ァミン、二級ァミン、三級ァミン、四級 アンモ-ゥム塩及び環状ァミン、又は、これらの塩を単量体とした高分子化合物が挙 げられる。具体例としては、ビ-ルイミン、アルキルァミン、アルキレンァミン、ビュルァ ミン、ァリルァミン、脂環式ァミン、ェピハロヒドリン、ジアルキルアミノエチルメタクリレ ート、ジアルキルアミノアルキルアタリレート、ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド、 ジァリルジメチルアンモ -ゥム塩、アクリルアミド、アミドアミン、アミジン等を単量体と するカチオン性高分子化合物である、いわゆる、ポリエチレンイミン系榭脂、ポリアミン 系榭脂、ポリアミド系榭脂、ポリアミドェピクロルヒドリン系榭脂、ポリアミンェピクロルヒ ドリン系榭脂、ポリアミドポリアミンェピクロルヒドリン系榭脂、ポリジァリルアミン系榭脂 、ジシアンジアミド縮合物等が挙げられる。又、これらのカチオン性高分子化合物を 2 種以上併用することが出来る。
[0059] 特に、染料インクと顔料インクのいずれを用いても印字品質に優れ、とりわけ印字濃
度や耐水性が高くなる、ジアルキル (アルキレン)アミンェピノ、ロヒドリン、及びジァリル ジメチルアンモ -ゥム塩の縮合体 (ホモポリマー)、共重合体、並びにこれらの誘導体 が好ましい。そして、ジアルキル (アルキレン)アミンェピノ、ロヒドリンの重合体 (ホモポ リマー)、共重合体、及び誘導体は低分子量でもインク受容層のインク吸収性を阻害 しにくいので、最も好ましい。
そのほか、アンダー層に、必要に応じ顔料分散剤、流動性改善剤、保水剤、増粘 剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、表面性改質剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔 料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、 PH調整剤、柔軟 剤など、各種の助剤を添加することもできる。
[0060] く塗工方法〉
次に、支持体にアンダー層を設ける方法について説明する。
アンダー層は、支持体の片面あるいは両面に 1層以上の層として形成することがで きる。また複数層のアンダー層を設ける場合は、本発明に規定する範囲内で塗工液 の成分が異なっても良い。又、例えばスライドダイコーター等で塗料を複数回層状に 重ねて支持体上に塗工後乾燥することもできる。通常、塗料を複数回塗工した場合、 塗工層間に境界面が存在し、その境界面は例えばインク受容層の断面を電子顕微 鏡や光学顕微鏡で観察したり、ガス吸着法や水銀ポロシメーターによる細孔径分布 を測定することで識別することが可能である。アンダー層の塗工量は 3〜30gZm2で あることが好ましぐ更に好ましくは 5〜20gZm2である。 3gZm2未満である場合は 支持体を充分に覆うことができず、塗工ムラが発生したりする。 30gZm2を越える場 合、塗工層強度が低下してアンダー層剥落の原因となることがある。
[0061] なお、実際は、所定の塗料を塗布する場合に、これを一度で塗った場合と、二度塗 つた場合とでは、塗工後の紙の物性が異なる場合がある。又、この場合において、上 記したように、顕微鏡観察等により二度塗りした場合の塗工層界面は簡単に観察で きる。
そして、一度塗りと二度塗りした場合では、バインダーマイグレーション等が原因で 塗工紙の物性が異なる場合があるので、要求特性等に応じて塗工回数を決定すれ ばよい。
また、所定の塗工量を一度に塗布するためにはコーターの乾燥負荷が大きくなり、 設備の影響を受けるので、小さなコーターの場合は、二度塗りせざるを得なくなること がある。
[0062] アンダー層を塗工する装置としては、各種ブレードコーター、ロールコーター、エア ナイフ: ~"タ' ~"、ノ ■ ~" Π ' ~"タ' ~"、 r ~"卜 ~" /Vn' ~"タ' ~" ij ~~テ、ノュ ~"タ' ~" 夕イ^1 ~~タ 一、ショートドウエルコ一ター、グラビアコーター、フレキソグラビアコーター、スプレー コーター、サイズプレスなどの各種装置をオンマシンまたはオフマシンで使用すること ができる。
また、アンダー層を塗工する前または塗工後にマシンカレンダー、スーパーカレン ダー、ソフトカレンダ一等のカレンダー装置で表面処理することも可能である。
[0063] 〈インク受容層〉
インク受容層は、顔料及び Z又は結着剤を含有し、インク中の着色成分を保持する 。インク受理層における、顔料、結着剤、第 1の発明に係る実施形態におけるインク 受容層用の顔料と同一のものを用いることができるので、説明を省略する。また必要 に応じてアンダー層と同様の各種助剤を添加することができる。
[0064] [インク受容層の塗工量]
インク受容層の塗工量は、アンダー層の表面を覆い、かつ充分なインク吸収性が得 られる範囲で任意に調整することができるが、記録濃度及びインク吸収性を両立させ る観点から、片面当たり、固形分換算で 3〜30g/m2であることが好ましい。さらに好 ましい範囲は 5〜20g/m2である。塗工量が 3g/m2未満であると、アンダー層を充 分に被覆できず塗工ムラを生じることがあり、 30g/m2を超えると、後述するキャスト 法の場合に、塗工層の鏡面ドラム力もの剥離性が低下して鏡面ドラムに塗工層が付 着することがある。
[0065] [インク受容層の形成方法]
インク受容層は、インク受容層用塗工液を塗布して形成することができる。塗布方 法としては、第 1の発明に係る実施形態におけるインク受容層の塗布方法と同一の 方法を用いることができるので、説明を省略する。
[0066] [インク受容層の形成方法 (キャストコート法) ]
銀塩写真並の高 、光沢を有するインクジェット記録用紙を得られると 、う点から、 Vヽ わゆるキャストコート法によりインク受容層を形成することが好まし 、。このキャストコ一 ト法は、インク受容層用塗料を塗布した塗工層の表面が湿潤状態にある間に、該塗 工層を加熱した鏡面に圧接した後、乾燥して行う。ここで、本発明においては、アン ダ一層が軽質炭酸カルシウム シリカ複合粒子を含有するので、層に適度な空隙が 形成され、インク受容層用塗工液をキャストドラムに押し当てて乾燥させる際、塗工液 から蒸発した蒸気が抜けやすくなるので、乾燥しやすぐキャストドラムの曇りや塗工 層がキャストドラムに付着するといつたトラブルが少なくなる。
[0067] なお、キャストコート法は、直接法、再湿潤法、凝固法の 3種類に一般に分けること ができる力 これらは既に第 1の発明に係る実施形態において説明したのと同一であ るので、説明を省略する。
本発明にお ヽては上記した 、ずれの方法を用いることもできる力 高 、光沢を得ら れるという点からは凝固法力 生産性を向上するという点からは再湿潤法が好ましい
[0068] また、処理液 (凝固液や可塑化処理液)には、必要に応じて顔料分散剤、保水剤、 増粘剤、消泡剤、防腐剤、着色剤、耐水化剤、湿潤剤、蛍光染料、紫外線吸収剤、 カチオン性高分子電解質等を適宜添加することができる。処理液を塗布する方法と してはロール、スプレー、カーテン方式等があげられるが、特に限定されない。
[0069] 〈その他の層〉
本発明においては、インク受容層の上に、光沢度や摩擦係数の調整などを目的と して、有機微粒子、無機微粒子、又は高分子化合物等を含む塗工層から成るオーバ 一コート層を設けることもできる。また、必要に応じて、インク受容層を設けた面とは反 対側の支持体上に、筆記性、帯電防止性、防汚性、滑り性等を付与するためのバッ ク層を設けることも可能である。
[0070] く実施例〉
以下に、実施例によって本発明を更に具体的に説明する力 本発明は以下の実施 例に限定されるものではない。又、以下の「部」、「%」は特に断りがない限り「質量部」 、「質量%」を表す。
[0071] く第 1の発明(基紙に複合粒子を内添する場合)に係る実施例〉
(軽質炭酸カルシウム シリカ複合粒子の製造)
1)軽質炭酸カルシウム シリカ複合粒子 A
反応容器(12L)中で、市販のロゼッタ型軽質炭酸カルシウム(アルパカ一 5970 : S peciality Minerals Inc.製、平均粒子径 3. 0 m、吸油量 150mlZlOOg) 603gを水 に分散し、これに珪酸ナトリウム溶液 (SiO濃度 18. OwtZwt%
2 、 Na O濃度 6. lwt
2
/wt%) 3, 400gを加えた後、水を加え、全量を 12Lとした。この混合スラリーをラボ 用アジテータで充分に攪拌しながら加熱し、 85°Cとした。このスラリーに、 10%硫酸 溶液をロータリーポンプにより添加し、この際、硫酸添加部分が充分に攪拌されるよう ラボ用アジテータの攪拌羽根直下に添加した。添加した硫酸が充分に分散される上 記条件下、硫酸添加終了後のスラリーの最終 pHが 8. 0となり、全硫酸添加時間が 2 40分となるよう、温度一定、一定速度で硫酸を添加した。得られたスラリーを 100メッ シュ篩にかけて粗粒分を分離した後、 No. 2のろ紙を用いて吸引ろ過した。さらに、 ろ過物が固形分で 10質量%となるよう水に再分散し、軽質炭酸カルシウム Zシリカの 質量比が 50Z50の軽質炭酸カルシウム—シリカ複合粒子 Aを得た。この複合粒子 の吸油量は 160mlZl00g、 BET比表面積は 28m2Zg、平均粒子径は 6. 1 μ mで あった。なお、吸油量等の測定には、上記吸引ろ過後のサンプルを、ろ過物が固形 分で 10質量%となるようエタノールに再分散した後、ろ過し、 105°Cで乾燥した粉体 サンプルを用いた。
[0072] 2)軽質炭酸カルシウム シリカ複合粒子 B
上記ロゼッタ型軽質炭酸カルシウムの分散量を 1407gとしたこと以外は、上記軽質 炭酸カルシウム—シリカ複合粒子 Aの製造とまったく同様にして、軽質炭酸カルシゥ ム Zシリカの質量比が 70Z30、吸油量が 150mlZl00g、 BET比表面積が 26m2Z g、平均粒子径が 4. 6 mの軽質炭酸カルシウム—シリカ複合粒子 Bを得た。
実施例 1
[0073] (基紙の製造)
濾水度 370ml c ' s'fの LBKP100部からなるパルプスラリーに対し、軽質炭酸力 ルシゥムーシリカ複合粒子 Aを填料として紙中填料率が 7%となるように加え、抄紙機
で抄紙した。抄紙の際、デンプンを片面当り固形分で 2. 5gZm2になるようにして両 面に塗布して、坪量 65gZm2の基紙を得た。
[0074] (アンダー層の形成)
この基紙の片面に、ブレードコーターを用いて塗工液 Aを塗工量 15g/m2となるよ うに塗工してアンダー層を設けた。
塗工液 A:顔料としてシリカ(ファインシール X—37B :株式会社トクャマ製) 100部、 結着剤として SBラテックス (LX438C:住友化学工業株式会社製) 5部及びポリビ- ルアルコール (PVA117:株式会社クラレ製) 20部、サイズ剤(ポリマロン 360:荒川 化学工業株式会社) 5部を配合して、固形分濃度 20%の塗工液を調製した。
[0075] (インク受容層の形成)
次いで、塗工液 Aの塗工面にロールコーターで塗工液 Bを 10g/m2塗工し、塗工 層が湿潤状態にあるうちに、凝固液 Cを用いて凝固させ、次に、プレスロールを介し て、加熱された鏡面仕上げ面に、塗工層を圧着して鏡面を写し取り、乾燥して坪量 9 OgZm2のインクジェット記録用紙を得た。
塗工液 B:顔料として高純度アルミナ (UA5605:昭和電工株式会社製、平均粒子 径 2. 8 m)を 100部配合し、結着剤として、重合度 500の完全ケンィ匕ポリビュルァ ルコール(PVA105 :株式会社クラレ製、酸化度 98. 5) 15部を配合し、消泡剤 0. 2 部を配合して濃度 30%の塗工液を調整した。
凝固液 C : 硼砂 2%、ホウ酸 2% (硼砂 Zホウ酸の質量比 = 1Z1、 Na B O
2 4 7およ ひ BO換算で計算)、離型剤 (FL— 48C :東邦化学工業株式会社製) 0. 2%を配
3 3
合して凝固液を調整した。
実施例 2
[0076] 基紙の填料として、軽質炭酸カルシウム—シリカ複合粒子 Aに代えて軽質炭酸カル シゥム シリカ複合粒子 Bを紙中填料率が 7%となるよう配合したこと以外は、実施例 1と全く同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
実施例 3
[0077] インク受容層用塗工液として、塗工液 Bのかわりに以下の塗工液 B1を用いて、エア 一ナイフコーターで塗工量 12gZm2となるよう塗工した後、凝固液 Cによる凝固及び
キャストコート処理を行わずにそのまま乾燥したこと以外は、実施例 1と全く同様にし てインクジェット記録用紙を得た。
塗工液 B1:顔料としてシリカ(二ップジエル AY— 603:東ソー ·シリカ株式会社製) 7 0部及びシリカ(ミズカシル P— 50:水澤化学工業株式会社製) 30部、結着剤として、 ポリビュルアルコール(PVA— 117:株式会社クラレ製) 35部及びエチレン酢酸ビ- ル共重合体ラテックス(リカボンド BE— 7000 :中央理ィ匕工業株式会社製) 25部、力 チオン性サイズ剤 (ポリマロン 360:荒〗 11化学工業株式会社製) 2部、染料定着剤 (P AS-H- 10L :日東紡績株式会社製) 5部、消泡剤及び希釈水等を適宜配合し、固 形分濃度 18%の塗工液を調整した。
[0078] [比較例 1]
基紙の填料として、軽質炭酸カルシウム—シリカ複合粒子 Aに代えて、ロゼッタ型軽 質炭酸カルシウム (アルパカ一 5970、 Speciality Minerals Inc.社製)を複合化せずその まま、紙中填料率が 7%となるように配合したこと以外は、実施例 1と全く同様にしてィ ンクジェット記録用紙を得た。
[0079] [比較例 2]
基紙の填料として、軽質炭酸カルシウム—シリカ複合粒子 Aに代えて、紡錘状軽質 炭酸カルシウム (TP121、奥多摩工業株式会社製)を複合ィ匕せずそのまま紙中填料率 力 S7%となるよう配合したこと以外は、実施例 1と全く同様にしてインクジェット記録用 紙を得た。なお、 TP121は紡錘状の一次粒子からなり、一次粒子は凝集せず二次粒 子を形成しない。
[0080] [比較例 3]
基紙の填料として、軽質炭酸カルシウム—シリカ複合粒子 Aに代えて、ホワイトカー ボン (TIXOLEX17、 Rhdia Silica Korea社製)を複合化せずそのまま、紙中填料率が 7 %となるよう配合したこと以外は、実施例 1と全く同様にしてインクジェット記録用紙を 得た。
[0081] [比較例 4]
基紙の填料として、軽質炭酸カルシウム—シリカ複合粒子 Aに代えて、ホワイトカー ボン (TIXOLEX17、 Rhdia Silica Korea社製)と巿販ロゼッタ型軽質炭酸カルシウム (ァ
ルバカー 5970、 Speciality Minerals Inc.社製)とを 50 : 50で混合したもの(複合化せず) を紙中填料率の合計が 7%となるよう配合したこと以外は、実施例 1と全く同様にして インクジェット記録用紙を得た。なお、上記混合填料の平均粒子径は 3.8 m、吸油 量は 137ml/100gであった。
[0082] [比較例 5]
基紙の填料として、軽質炭酸カルシウム—シリカ複合粒子 Aに代えて、酸化チタン( FA- 50:古河機械金属株式会社製)を紙中填料率が 2%となるよう配合したこと以 外は、実施例 1と全く同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
[0083] [比較例 6]
基紙に填料を配合しな力 たこと以外は、実施例 1と全く同様にしてインクジェット記 録用紙を得た。
[0084] [比較例 7]
基紙の填料として、軽質炭酸カルシウム—シリカ複合粒子 Aに代えて、酸化チタン( FA- 50:古河機械金属株式会社製)を紙中填料率が 2%となるよう配合したこと以 外は、実施例 3と全く同様にしてインクジヱット記録用紙を得た。
[0085] 基紙に配合した各填料の物性値、各実施例及び比較例のインクジェット記録用紙 について、以下の方法で評価を行った。
1)各填料の物性値
(1— 1)紙中の填料の含有率: JIS P8251に従い、未塗工の各基紙を 525°Cで焼 成し灰分量を測定し、この値を含有率 (固形分換算)とした。
(1— 2)吸油量: JIS K5101の方法によった。
(1 - 3)平均粒子径:分散剤(へキサメタリン酸ソーダ 0. 2質量%)を添加した純水に 、各填料のスラリーを滴下混合して均一分散体とし、レーザー法粒度測定機 (マルバ 一ン社製 型番:マスターサイザ一 S型)により粒度測定し、平均粒子径を求めた。 (1—4)軽質炭酸カルシウム Zシリカの固形分質量比 (CaCO /SiO ):軽質炭酸力
3 2
ルシゥム—シリカ複合粒子を蛍光 X線で分析し、 Ca及び Siを定量することで、求めた [0086] 2)各インクジェット記録用紙の評価
(2— 1)基紙の白色度:未塗工の基紙について、 JIS P8148に準じて、色差計 (村上 色彩研究所製)により測定した。
(2— 2)基紙の不透明度:未塗工の基紙について、 JIS P8138に準じて、色差計 (村 上色彩研究所製)により測定した。不透明度が概ね 83%以上であると、不透明度が 良好であるといえる。
(2— 3)基紙の嵩高率:未塗工の基紙について、紙厚と坪量から密度を測定し、下記 式
嵩高率 = (1 (填料添加品の密度/填料無添加品の密度)) X 100
に従い算出した。嵩高率が概ね 4%以上であると、嵩高であるといえる。
[0087] (2— 4)断裁適性
i)ギロチン断裁時の刃の磨耗性
インクジェット記録用紙を 200枚重ね、インク受容層面の反対面側からギロチンカツ ターで用紙の別の場所を 10回断裁したのち、刃の欠け具合を目視で評価した。
〇:欠けが全く無い
わずかに欠けが見られる
X:複数の場所に欠けが見られる
iO断裁音
インクジェット記録用紙を 200枚重ね、インク受容層面の反対面側からギロチンカツ ターで断裁した時の音の大きさを評価した。
〇:音が小さ!/ヽ (通常の断裁作業時程度)
△:音がやや大きい
X:音が大きぐ断裁時に振動がある
[0088] (2— 5)裏抜け
染料インクを用いたインクジェットプリンター(PM— 950C:セイコーエプソン株式会 社製の商品名)により、インク受容層上に黒インクで所定パターンを記録し、インク受 容層と反対面側からインク受容層側の印字画像の透け具合を観察した。裏抜けの評 価は用紙の不透明度を示す。裏抜けが〇であれば、不透明度が優れているといえる
〇:画像が反対面から見えな 、
△:画像が反対面からやや透けて見える
X:画像が反対面からはっきり透けて見える
(2— 6)キャスト操業性
塗工液 B (又は B1)を塗工し、凝固液 Cを塗布した際、キャストドラムに塗工層が付 着して汚れな!/、範囲での塗工速度の最大値を評価した。キャスト操業性が〇であれ ば、キャスト操業性が優れているといえる。
〇:塗工速度が 25mZ分以上
△:塗工速度が 20mZ分以上 25mZ分未満
X:塗工速度が 20mZ分未満
得られた結果を表 1、 2に示す。
[表 1]
原紙中の填料
インク 基紙中の (軽質炭酸カルシウム 平均粒子径 吸油量 BET比表面積
種類 含有率 (%) 受容層
/シリカ)の質量比 ( m) (ml/100g) (m2/g)
軽質炭酸カルシウム
実施例 1 一 7 50/50 6.1 160 28 キャストコート シリカ複合粒子 A
軽質炭酸カルシウム
実施例 2 7 70/30 4.6 150 26 キャストコート —シリカ複合粒子 B
軽質炭酸カルシウム
実施例 3 一 7 50/50 6.1 160 28 マット シリカ複合粒子 A
比較例 1 ロセ'ツタ型炭酸カルシウム 7 - 3.0 121 12 キャストコート 比較例 2 紡錘状炭酸カルシウム 7 - 1.2 50 5 キャストコ一卜 比較例 3 ホヮ仆カーホ'ン 7 - 8.2 152 52 キャストコ一卜 ホヮ仆力-ホ'ンと炭酸カルシウム
比較例 4 7 50/50 3.8 137 23 キャストコ一卜 の混合物
比較例 5 二酸化チタン 2 - 0.6 24 8 キャストコ一ト 比較例 6 ― 一 - - - - キャストコート 比較例 7 二酸化チタン 2 一 0.6 24 8 マット
[表 2]
表 1、 2から明らかなように、各実施例の場合、不透明度及び断裁適性のいずれも 優れていた。又、各実施例の場合、基紙の嵩高率が高ぐキャスト操業性にも優れて
いた。
[0091] 一方、軽質炭酸カルシウムのみを填料に用いた比較例 1、 2の場合、いずれも不透 明度が劣化したとともに、嵩高性が低ぐキャスト操業性も低下した。ホワイトカーボン を填料に用いた比較例 3の場合、不透明度が劣化した。軽質炭酸カルシウムとホワイ トカーボンの混合物を填料に用いた比較例 4の場合、不透明度が劣化したとともに、 嵩高性が低ぐキャスト操業性も低下した。二酸ィ匕チタンを填料に用いた比較例 5, 7 の場合、断裁適性が劣化したとともに、嵩高性が低ぐキャスト操業性も低下した。填 料を配合しな力つた比較例 6の場合、不透明度が大幅に劣化した。
[0092] 以上のように軽質炭酸カルシウム シリカ複合粒子を填料として使用することで、不 透明度及び断裁適性に優れたインクジェット記録用紙を得ることができる。
[0093] く第 2の発明(アンダー層に複合粒子を含有する場合)に係る実施例〉
(軽質炭酸カルシウム シリカ複合粒子の製造)
1)軽質炭酸カルシウム シリカ複合粒子 C
反応容器(12L)中で、市販のロゼッタ型軽質炭酸カルシウム(アルパカ一 5970、 S peciality Minerals Inc.社製、平均粒子径 3. 0 m、 BET比表面積: 12m2Zg、吸油 量 120mlZl00g) 262gを水に分散し、これに珪酸ナトリウム溶液 (SiO濃度 18. Ow
2
tZwt%、 Na O濃度 6. lwt/wt%) 3, 400gを加えた後、水を加え、全量を 12Lとし
2
た。この混合スラリーをラボ用アジテータで充分に攪拌しながら加熱し、 85°Cとした。 このスラリーに、 10%硫酸溶液をロータリーポンプにより添加し、この際、硫酸添加部 分が充分に攪拌されるようラボ用アジテータの攪拌羽根直下に添加した。添加した硫 酸が充分に分散される上記条件下、硫酸添加終了後のスラリーの最終 pHが 8. 0と なり、全硫酸添加時間が 240分となるよう、温度一定、一定速度で硫酸を添加した。 得られたスラリーを 100メッシュ篩にかけて粗粒分を分離した後、 No. 2のろ紙を用い て吸引ろ過し、軽質炭酸カルシウム Zシリカの質量比が 30Z70の軽質炭酸カルシゥ ム—シリカ複合粒子 Cを得た。この複合粒子の吸油量は 180ml/100g、 BET比表 面積は 30m2Zg、平均粒子径は 7. 3 μ mであった。
[0094] 2)軽質炭酸カルシウム シリカ複合粒子 Dの製造
上記ロゼッタ型軽質炭酸カルシウムの分散量を 612gとしたこと以外は、上記軽質
炭酸カルシウム シリカ複合粒子 Cの製造とまったく同様にして、軽質炭酸カルシゥ ム Zシリカの質量比が 50Z50、吸油量が 160mlZl00g、 BET比表面積が 28m2Z g、平均粒子径が 4. 4 mの軽質炭酸カルシウム—シリカ複合粒子 Dを得た。
[0095] 3)軽質炭酸カルシウム シリカ複合粒子 Eの製造
上記ロゼッタ型軽質炭酸カルシウムの分散量を 1436gとしたこと以外は、上記軽質 炭酸カルシウム シリカ複合粒子 Cの製造とまったく同様にして、軽質炭酸カルシゥ ム Zシリカの質量比が 70Z30、吸油量が 140mlZl00g、 BET比表面積が 26m2Z g、平均粒子径が 3. 6 mの軽質炭酸カルシウム—シリカ複合粒子 Eを得た。
実施例 4
[0096] (支持体の製造)
濾水度 350ml c ' s'fの広葉樹晒クラフトパルプ(L BKP) 100部からなるパルプ に、酸ィ匕チタン 4部、カチオン澱粉 (ケイト 304L :日本ェヌエスシー株式会社) 0. 4部 、硫酸アルミニウム 1. 0部、合成サイズ剤 0. 1部、及び歩留向上剤 0. 02部を添加し てノルプスラリーを得た。このスラリー力 抄紙機を用いて抄紙し、サイズプレス装置 によって片面当りの乾燥塗工量が 1. 5gZm2となるようにデンプンを両面に含浸し、 支持体を得た。
[0097] (アンダー層の形成)
この支持体の片面に、ブレードコーターを用いて塗工液 Dを塗工量 lOgZm2となる ように塗工してアンダー層を設け、坪量 180gZm2の塗工紙を得た。
塗工液 D:顔料として軽質炭酸カルシウム―シリカ複合粒子 C 100部、結着剤として ポリビュルアルコール(PVA117:株式会社クラレ製) 30部及びエチレン酢酸ビュル ェマルジヨン (BE7000 :中央理ィ匕工業株式会社製) 5部、カチオン性榭脂(ポリアミン アンモニアェピクロロヒドリン、分子量 10万) 5部、サイズ剤(ポリマロン 360 :荒川化学 工業株式会社製) 2部、消泡剤 0. 5部力もなる塗工液 (固形分 : 23%)を調製した。
[0098] (インク受容層の形成)
次いで、塗工液 Dの塗工面にロールコーターで塗工液 Eを 20gZm2塗工し、塗工層 が湿潤状態にあるうちに、凝固液 Fを用いて凝固させ、次に、プレスロールを介して、 表面温度が 100°Cの鏡面仕上げ面に塗工層を圧着して鏡面を写し取り、乾燥して坪
量 200g/m2のインクジヱット記録用紙を得た。
塗工液 E:顔料としてシリカ(ファインシール X— 37 :株式会社トクャマ製) 100部、結 着剤として SBラテックス (LX438C:住友化学工業株式会社製) 5部及びポリビュル アルコール (PVA117:株式会社クラレ社製) 24部、サイズ剤(ポリマロン 360:荒川 化学工業株式会社製) 5部配合して濃度 20%の水性塗工液 Eを調製した。
凝固液 F: 硼砂 2%、ホウ酸 2% (硼砂 Zホウ酸の質量比 = 1Z1、 Na B O
2 4 7および
H BO換算で計算)、離型剤 (FL— 48C :東邦化学工業株式会社製) 0. 2%を配合
3 3
して凝固液を調整した。
実施例 5
[0099] 塗工液 Dの顔料として、軽質炭酸カルシウム シリカ複合粒子 Cに代えて軽質炭酸 カルシウム一シリカ複合粒子 Dを 100部配合したこと以外は、実施例 4と全く同様にし てインクジェット記録用紙を得た。
実施例 6
[0100] アンダー層用塗工液 Dの顔料として、軽質炭酸カルシウム シリカ複合粒子 Cに代 えて軽質炭酸カルシウム—シリカ複合粒子 Eを 100部配合したこと以外は、実施例 4 と全く同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
実施例 7
[0101] インク受容層用塗工液として、塗工液 Eの代わりに以下の塗工液 E1を用い、又、凝 固液 Fの代わりに凝固液 F1を用いたこと以外は、実施例 4と全く同様にしてインクジェ ット記録用紙を得た。
塗工液 E1:顔料としてシリカ(ファインシール X— 37 :株式会社トクャマ製) 100部、 結着剤として水性ウレタン榭脂 (HUX— 980:旭電化工業株式会社製) 30部及び力 ゼイン (ALACID lactic casein) 10部、離型剤(ノプコート SYC :サンノプコ株式 会社製) 5部を配合して濃度 30%の水性塗工液 E1を調製した。
凝固液 F1: 蟻酸カルシウム (朝日化学工業株式会社製) 5%、染料定着剤 (ダイフィ ックス YK— 50:大和化学株式会社製) 1%を配合して凝固液を調整した。
[0102] [比較例 8]
アンダー層用塗工液 Dの顔料として、軽質炭酸カルシウム—シリカ複合粒子 Cに代
えて、シリカ(AY— 603 :東ソ一 ·シリカ株式会社製 吸油量が 290mlZlOOg、 BET 比表面積 300m2/g、平均粒子径 6. 5 m)を 100部配合したこと以外は、実施例 4 と全く同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
[0103] [比較例 9]
アンダー層用塗工液 Dの顔料として、軽質炭酸カルシウム—シリカ複合粒子 Cに代 えて、ロゼッタ型軽質炭酸カルシウム(アルパカ一 5970、 Speciality Minerals Inc.社 製、吸油量 120mlZl00g、 BET比表面積 12m2Zg、平均粒子径 3. O /z m)を 100 部配合したこと以外は、実施例 4と全く同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
[0104] [比較例 10]
アンダー層用塗工液 Dの顔料として、軽質炭酸カルシウム—シリカ複合粒子 Cに代 えて、シリカ(AY— 603) 50部、及びロゼッタ型軽質炭酸カルシウム(アルパカ一 59 70) 50部を配合したこと以外は、実施例 4と全く同様にしてインクジェット記録用紙を 得た。
[0105] アンダー層の顔料の物性値、並びに各実施例及び比較例のインクジェット記録用 紙について、以下の方法で評価を行った。
1)アンダー層の顔料の物性値
(1— 1)軽質炭酸カルシウム Zシリカの固形分質量比 (CaCO /SiO ):軽質炭酸力
3 2
ルシゥム—シリカ複合粒子を蛍光 X線で分析し、 Ca及び Siを定量することで、求めた
(1 - 2)平均粒子径:分散剤(へキサメタリン酸ソーダ 0. 2質量%)を添加した純水に 、各顔料のスラリーを滴下混合して均一分散体とし、レーザー法粒度測定機 (マルバ 一ン社製 型番:マスターサイザ一 S型)により粒度測定し、平均粒子径を求めた。 (1— 3)吸油量: JIS K5101の方法によった。
(1 -4) BET比表面積:容量法による自動比表面積測定装置 (Micromeritics社製 ジエミ- 2360型)を用い、窒素吸着量により求めた。なお、試料がスラリーである場合 は、これをエタノール中に固形分 10%になるよう分散し、 105°Cにて乾燥した後、 BE T比表面積を測定した。
[0106] 2)各インクジェット記録用紙の評価
以下の各項目について、評価が〇、◎であれば実用上問題なく使用できる。
(2— 1)アンダー層強度
インク受容層を設けずにアンダー層のみ基紙上に設けた試料について、アンダー 層表面に幅 18mmのセロテープ (登録商標、透明粘着テープ)を貼付し、該テープ の一端をデジタルフォースゲージで挟持し、テープをアンダー層表面から剥がすとき にデジタルフォースゲージで読み取った最大の値を以下の測定値とした。テープを 剥がすことによりアンダー層の塗工層強度を測定することができる。なお、以下の「紙 剥け」とはアンダー層ではなく基紙力も剥離する場合を示し、最も剥離強度が低 、部 分が基紙である場合を示す。この場合、基紙繊維がテープへ付着することを目視で 確認できる。紙剥けが生じた場合とは、アンダー層と基紙との界面の強度が低い場合 を示し、塗工層の剥離やキャスト塗工性が劣化して ヽることを表す。
◎:測定値が lOOOgf (9.81N)以上である、紙剥けがな!、。
〇:測定値が 700gf (6.86N)以上で、紙剥けがな!、。
△:測定値が 500gf (4.90N)以上 700gf (6.86N)未満である。もしくはそれ以上で 紙剥けがある。
X:測定値が 500gf (4.90N)未満である。
(2— 2)インク吸収性 (ブリーデイング)
染料インクを用いたインクジェットプリンター(PM— 950C:エプソン株式会社製の 商品名)を用い、表計算ソフト『エタセル』で赤と緑のベタ画像を記録用紙上に記録し 、赤と緑の混色べた部の境界で滲みを目視で評価した。
◎:色の境界部が明瞭に分かれて!/、るもの
〇:色の境界部で、若干滲みがあるもののうち滲みが小さ!/、もの
△:色の境界部で、若干滲みがあるもののうち、滲みの程度が比較的大きいもの
X:色の境界部で、滲みが非常に大きいもの
(2— 3)鮮やかさ
染料インクを用いたインクジェットプリンター(PM— 950C:エプソン株式会社製の 商品名)を用いて所定のパターンを記録用紙に印字し、画像部の鮮やかさを目視で 評価した。鮮やかさは、画像がきれいに印字される指標であり、印字濃度と、画像再
現性や画像のムラの有無とを総合した評価であり、ここでは、印字画像を目視判定し て以下の評価を行った。
◎:非常に鮮やか
〇:鮮やか
若干鮮やかさが劣る
X:鮮やかに見えない
[0108] (2— 4)透気性
インク受容層を形成する前の記録用紙 (支持体の片面にアンダー層のみ形成)に ついて、紙パルプ技術協会 Ci. TAPPI) NO. 5に準じて透気性を測定した。
◎:測定値が 100s未満である。
〇:測定値が 100s以上 300s未満である。
△:測定値が 300s以上 600s未満である。
X:測定値が 600s以上である。
[0109] (2— 5)キャスト層外観
インク受容層をキャスト法で形成後のインク受容層(キャスト層)表面を目視観察した
〇:欠落したアンダー層が原因となる凹凸は見られな 、。
X:欠落したアンダー層が原因となる凹凸がある。
(2— 6)キャスト操業性
インク受容層をキャスト処理する際の、上記鏡面仕上げ面 (キャストドラム表面)の 汚れを目視で評価した
〇:表面の汚れが無いもの
△:表面が僅か曇る
X:表面に塗工層(インク受容層)の一部が付着している
得られた結果を表 3、 4に示す。
[0110] [表 3]
アンダー層 の顔料
(軽質炭酸カルシウム 平均粒子径 吸油量 BET比表面積 種類
/シリカ)の質量比 ( i m) (ml/100g) (m2/g) 実施例 4 軽質炭酸カルシウム 30/70 7.3 180 30 一シリカ複合粒子 C
実施例 5 軽質炭酸カルシウム 50/50 4.4 160 28 一シリカ複合粒子 D
軽質炭酸カルシウム
実施例 6 70/30 3.6 140 26 一シリカ複合粒子 E
軽質炭酸カルシウム
実施例 7 30/70 7.3 180 30
—シリカ複合粒子 C
比較例 8 シリカ ― 6.5 290 300 比較例 9 ロセ'ッタ型軽質炭酸カルシウム ― 3.0 120 12
シリカ + れぞれ それぞれ それぞれ 比較例 10 ― そ
ロセ'ッタ型軽質炭酸カルシウム 6.5,3.0 290,120 300,12
[0111] 表 3、 4から明らかなように、各実施例の場合、アンダー層強度及びインク吸収性の いずれも優れていた。又、各実施例の場合、透気性が高ぐキャスト適性 (キャスト層 の外観、操業性)にも優れていた。さらに、各実施例の場合、記録画像の鮮やかさに も優れていた。
[0112] 一方、アンダー層の顔料としてシリカのみを用いた比較例 8の場合、アンダー層強 度が劣化したとともに、透気性が低下してキャスト適性 (キャスト層の外観、操業性)も 低下した。この理由は、シリカの吸油量が多すぎて結着剤を吸着し、有効な結着剤
量が減少したためと考えられる。
又、アンダー層の顔料として軽質炭酸カルシウムのみを用いた比較例 9の場合、ィ ンク吸収性が劣化したとともに、記録画像の鮮ゃ力さも低下した。この理由は、炭酸 カルシウムのみでは吸油量が少ないためと考えられる。
アンダー層の顔料としてシリカと軽質炭酸カルシウムの混合物を用 、た比較例 10 の場合も、インク吸収性が劣化した。これより、シリカと軽質炭酸カルシウムを単に混 合するだけでは、インク吸収性を向上できないことが判明した。
[0113] 以上のように軽質炭酸カルシウム シリカ複合粒子をアンダー層の顔料に使用す ることで、アンダー層強度及びインク吸収性に優れたインクジェット記録用紙を得るこ とがでさる。
図面の簡単な説明
[0114] [図 1]液中に分散した状態の軽質炭酸カルシウム (ロゼッタ型カルサイト系)の形態の 一例を示す図である。
[図 2]液中に分散した状態の軽質炭酸カルシウム シリカ複合粒子の形態の一例を 示す図である。