明 細 書
環状ォレフィン系樹脂組成物および該樹脂組成物カゝら得られる基板 技術分野
[0001] 本発明は、誘電特性、低吸水性、耐熱性等に優れる基板の材料、特に高周波回路 用基板の材料として好適な環状ォレフィン系榭脂組成物および該榭脂組成物から得 られる基板に関する。
背景技術
[0002] 近年、情報'通信機器分野では、伝送情報の高容量化、高スピード処理のための 高周波化が進んでいる。これまで GHzを超えるような高周波信号は、レーダーゃ衛 星通信など限られた用途で用いられてきたが、最近では携帯電話や無線 LANなど きわめて身近に用いられるようになつてきた。また、コンピュータや通信機器の高速化 •高機能化にともない、これらの機器間の情報伝送に用いられる信号も飛躍的に高 周波化している。従来、プリント配線基板用材料としては、主にエポキシ榭脂ゃフエノ ール榭脂が用いられてきた。し力しこれらの榭脂は、高周波領域における誘電特性 が悪ぐ伝送ロスが大きいなどの理由で高周波回路に用いることができない。
[0003] またセラミック 'アルミナなどの無機系基板材料は一般に誘電正接が低いが、取扱 い性、入手性、コストなどの観点から、有機系材料への置き換えが進みつつある。こ のような現状から、 GHz領域で使用可能な電気特性 (高周波伝送特性、低誘電特性 )に優れる基板材料の開発が強く要望され、ポリフエ-レンエーテル榭脂ゃビスマレ イミドトリアジン榭脂などが開発 ·実用化されてきた。(非特許文献 1および特許文献 1 参照)。しかし信号の高周波化は数 GHzを超えてさらに数十 GHzへと進み、これらの 新規材料ですら対応できな 、領域に達しようとして 、る。
[0004] 一方、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフインは、誘電率'誘電正接等の誘 電特性の面で非常に優れる力 単独では耐熱性に劣るため、ハンダ付け作業など 2 00°Cを超える温度が力かる電気回路製造工程に耐えることができな 、。これを改善 するため、環状ォレフィンを共重合させ、優れた誘電特性を保持したまま耐熱性を向 上させた材料が開発された (特許文献 2参照)。しかし、最近でははんだの鉛フリー化
によるはんだ付け温度の上昇などで、 260°C以上の温度に対する耐熱性が望まれる ようになってきている。
[0005] また、基板材料として、耐熱性に優れ、はんだの鉛フリー化によるはんだ付け温度 にも耐性を有するポリイミド榭脂が用いられている。し力しながら、ポリイミド榭脂は吸 水率が比較的高ぐはんだリフロー等の加熱により基板に含まれた水分の圧力で層 間剥離や、微少なクラックが発生することがあった。そのため、 260°C以上の温度に 対する耐熱性とともに、低吸水性が望まれるようになって 、る。
[0006] また、金属との接着性に劣るフッ素系材料ゃォレフイン系材料では、金属の表面粗 度を大きくしアンカー効果 (くいこみ)によって接着性を保持させるのが一般的である 。しかし、高周波電流には金属導体の表皮部分のみを流れようとする表皮効果という 性質があるため、表面粗度が大きいと抵抗が大きくなり信号伝播の劣化原因となって しまう。信号の高周波化に伴い、金属導体も表面が平滑なものが用いられるようにな つてきたため、これらの材料は高い誘電特性を持ちながらも、高周波材料としては使 用することができな力つた。接着性を改良する方法として、不飽和カルボン酸または その誘導体でグラフト変性されたポリ 4—メチル一 1 ペンテンカもなる榭脂を強化繊 維に含浸させた強化プラスチック層を用いる方法が開示されている (特許文献 3参照 )。しかし、この技術においては、導体と接している榭脂層表面は、融点 235°C程度 のポリ 4ーメチルー 1 ペンテンであるので、鉛フリーはんだでのはんだづけに対応 できる耐熱性を有して 、なかった。
[0007] こうした状況の中、誘電特性、低吸水性、耐熱性等に優れる基板の材料、特に、高 周波回路用基板の材料として好適な環状ォレフィン系榭脂組成物およびそれを用い てなる基板の開発が待ち望まれていた。
非特許文献 1 :高周波用高分子材料、株式会社シーエムシー、 1999年発行 特許文献 1 :特開昭 50— 1322099号公報
特許文献 2:特開昭 62— 29191号公報
特許文献 3 :特開平 1— 81390号公報
発明の開示
[0008] 本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しょうとするものであって、誘電
特性、低吸水性、耐熱性等に優れる基板の材料として好適に用いることの可能な環 状ォレフイン系榭脂組成物および該榭脂組成物から得られる基板を提供することを 目的としている。特に、高周波信号の伝送に対応する高周波回路用基板の材料とし て好適に用いることのできる新規な環状ォレフィン系榭脂組成物および該榭脂組成 物から得られる基板を提供することを目的として!/、る。
[0009] 本発明は、下記 [1]乃至 [10]に記載の環状ォレフィン系榭脂組成物、下記 [11] 乃至 [12]に記載の基板を提供する。
[0010] [1]
(A)ガラス転移温度が 60〜200°Cの環状ォレフィン系重合体 5〜95重量部、およ び
(B)ォレフィン系化合物、ジェンィ匕合物、および芳香族ビニル系炭化水素化合物 力 なる群力 選択される少なくとも 2種以上の単量体を重合してなり、ガラス転移温 度が 0°C以下である軟質共重合体 5〜95重量部、
の合計 100重量部に対して、
(D)ラジカル開始剤 0. 01〜5重量部、および
(E)ラジカル重合性の官能基を分子内に 2個以上有する多官能化合物 0〜5重量 部
を含んでなる環状ォレフィン系榭脂組成物。
[0011] [2]
(A)ガラス転移温度が 60〜200°Cの環状ォレフィン系重合体 35〜85重量部、
(B)ォレフィン系化合物、ジェンィ匕合物、および芳香族ビニル系炭化水素化合物 力 なる群力 選択される少なくとも 2種以上の単量体を重合してなり、ガラス転移温 度が 0°C以下である軟質共重合体 10〜60重量部、および
(C)変性ポリオレフイン 5〜55重量部
の合計 100重量部に対して、
(D)ラジカル開始剤 0. 01〜5重量部、および
(E)ラジカル重合性の官能基を分子内に 2個以上有する多官能化合物 0〜5重量 部
を含んでなる、環状ォレフィン系榭脂組成物。
[0012] [3]
(D)ラジカル開始剤が、有機過酸ィ匕物である、前記 [1]に記載の環状ォレフィン系 榭脂組成物。
[0013] [4]
(A)環状ォレフィン系重合体が、下記一般式(1)
(化 1)
(但し、式中、 X, yは共重合比を示し、 0Zl00≤yZx≤95Z5を満たす実数である 。 X, yはモル基準である。
nは置換基 Qの置換数を示し、 0≤n≤2の整数である。
R1は、炭素原子数 2〜20の炭化水素基よりなる群力も選ばれる 2+n価の基であり 、複数存在する R1は同一でも異なっていてもよい。
R2は、水素原子、又は、炭素と水素とからなる炭素原子数 1〜10の炭化水素基より なる群力 選ばれる 1価の基であり、複数存在する R2は同一でも異なっていてもよい
R3は、炭素原子数 2〜10の炭化水素基よりなる群力も選ばれる 4価の基であり、複 数存在する R3は同一でも異なって 、てもよ 、。
Qは、 COOR4 (R4は、水素原子、又は、炭素と水素とからなる炭素原子数 1〜10の 炭化水素基よりなる群から選ばれる 1価の基である。)で表され、複数存在する Qは同 一でも異なっていてもよい。 )
で表される一種又は二種以上の構造を有する環状ォレフィン系重合体である、前 記 [ 1]または [2]に記載の環状ォレフィン系榭脂組成物。
[0014] [5]
(A)環状ォレフィン系重合体が、環状ォレフィンの開環重合体またはその水素添加 物である、前記 [1]または [2]に記載の環状ォレフィン系榭脂組成物。
[0015] [6]
前記 (A)および (B)成分に対して、前記 (D)および (E)成分を反応させて得られる 、前記 [1]に記載の環状ォレフィン系榭脂組成物。
[0016] [7]
(A)環状ォレフィン系重合体が、下記一般式 (2)
(化 2)
(式中、 R1は、炭素原子数 2〜20の炭化水素基よりなる群から選ばれる 2+n価の基 であり、複数存在する R1は同一でも異なっていてもよい。
R2は、水素、又は炭素原子数 1〜5の炭化水素基よりなる群力 選ばれる 1価の基 であり、複数存在する R2は同一でも異なって 、てもよ 、。
X, yは共重合比を示し、 5/95≤yZx≤ 95/5を満たす実数である。 x, yはモル 基準である。 )
で表される一種又は二種以上の構造を有する環状ォレフィン系重合体である、前 記 [2]に記載の環状ォレフィン系榭脂組成物。
[0017] [8]
(A)環状ォレフィン系重合体が、エチレンと、テトラシクロ [4. 4. 0. I2' 5. I7' 10] - 3 ードデセンとの共重合体である、前記 [2]に記載の環状ォレフィン系榭脂組成物。
[0018] [9]
前記 (A)、 (B)および (C)成分に対して、前記 (D)および (E)を反応させて得られ る、前記 [2]に記載の環状ォレフィン系榭脂組成物。
[0019] [10]
前記 (A)、(B)、(C)、 (D)および (E)成分の合計量 100重量部に対し、さらに (F) 無機フィラーを 0〜600重量部含む、前記 [2]に記載の環状ォレフィン系榭脂組成物
[0020] [11」
前記 [ 1]乃至 [ 10]の ヽずれかに記載の環状ォレフィン系榭脂組成物を成形して得 られる基板。
[0021] [12]
前記 [11]に記載の基板力 なる高周波回路用基板。
[0022] 本発明の環状ォレフィン系榭脂組成物によれば、誘電特性、低吸水性、耐熱性等 に優れる基板を提供することができる。この基板は、高周波領域における誘電特性に 特に優れ、高周波回路用基板として好適に使用することができる。
発明を実施するための最良の形態
[0023] 本発明の環状ォレフィン系榭脂組成物を、第 1の実施形態、第 2の実施形態により 説明する。
[0024] [第 1の実施形態]
第 1の実施形態に係る環状ォレフィン系榭脂組成物は、
(A)ガラス転移温度が 60〜200°Cの環状ォレフィン系重合体 5〜95重量部、およ び
(B)ォレフィン系化合物、ジェンィ匕合物、および芳香族ビニル系炭化水素化合物 力 なる群力 選択される少なくとも 2種以上の単量体を重合してなり、ガラス転移温 度が 0°C以下である軟質共重合体 5〜95重量部、
の合計 100重量部に対して、
(D)ラジカル開始剤 0. 01〜5重量部、および
(E)ラジカル重合性の官能基を分子内に 2個以上有する多官能化合物 0〜5重量 部を含んでなる。
[0025] このような環状ォレフィン系榭脂組成物によれば、誘電特性、低吸水性、耐熱性等 に優れる基板を提供することができる。この基板は、高周波領域における誘電特性に 特に優れ、高周波回路用基板として好適に使用することができる。このように、本発
明の環状ォレフィン系榭脂組成物は、基板形成用途に好適に用いることができる。 以下、各成分について説明する。
< (A)環状ォレフィン系重合体 >
環状ォレフィン系重合体 (A)は、後述するガラス転移温度を有すれば特に限定さ れるものではないが、具体的には、下記一般式(1)
(化 3)
(但し、式中、 X, yは共重合比を示し、 0Zl00≤yZx≤95Z5を満たす実数である 。 X, yはモル基準である。
nは置換基 Qの置換数を示し、 0≤n≤2の整数である。
R1は、炭素原子数 2〜20の炭化水素基よりなる群力も選ばれる 2+n価の基であり 、複数存在する R1は同一でも異なっていてもよい。
R2は、水素原子、又は、炭素と水素とからなる炭素原子数 1〜10の炭化水素基より なる群力 選ばれる 1価の基であり、複数存在する R2は同一でも異なっていてもよい
R3は、炭素原子数 2〜10の炭化水素基よりなる群力も選ばれる 4価の基であり、複 数存在する R3は同一でも異なって 、てもよ 、。
Qは、 COOR4 (R4は、水素原子、又は、炭素と水素とからなる炭素原子数 1〜10の 炭化水素基よりなる群から選ばれる 1価の基である。)で表され、複数存在する Qは同 一でも異なっていてもよい。 )
で表される一種又は二種以上の構造を有する環状ォレフィン系重合体を用いること ができる。
一般式(1)中の各記号については、次のような好ましい条件を挙げることができ、こ れらの条件は必要に応じ組み合わせて用いられる。
は、構造中に少なくとも 1箇所の環構造を持つ基である。
[2]R3は、この R1を含む構造単位の例示 (n=0の場合)として、例示構造 (a) , (b) , (c) ;
(化 4)
(式中、 R1は、炭素原子数 2〜20の炭化水素基よりなる群から選ばれる 2+n価の基 である。)である。
[3]nが 0である。
[4]yZxが、それぞれモル基準で、 5/95≤y/x≤95/5,さらに好ましくは 20Z8 0≤yZx≤65Z35を満たす実数である。
[5]R2は、水素原子または—CHであり、複数存在する R2は、同一でも異なっていて
3
ちょい。
[6]Qが、 COOHまたは、 COOCH基である。
3
環状ォレフィン系重合体 (A)として、好ましくは、下記一般式(2)で表される一種ま たは二種以上の構造からなり、上記のような好ま 、条件を必要に応じ組み合わせ て用いられる。
(化 5)
前記一般式(2)中の各記号については、次のような最も好ましい条件をさらに挙げ ることができ、これらの条件は必要に応じ組み合わせて用いられる。
基が、一般式 (3) ;
(式中、 pは、 0乃至 2の整数である。)で表される二価の基である。さらに、好ましくは
、前記一般式(3)において pが 1である二価の基である。
[2]R2は、水素原子である。
[0030] これらの中でも、これらを組み合わせた態様として、環状ォレフィン系重合体が、ェ チレンと、テトラシクロ [4. 4. 0. I2'5. 1"°]— 3—ドデセン(以下、 TDと略す)とのラン ダム付加重合によって得られる重合体であることが好ましい。
[0031] 環状ォレフィン系重合体 (A)が環状ォレフィンの開環重合体である場合には、上記 一般式(1)中の各記号については、次のような好ましい条件を挙げることができ、こ れらの条件は必要に応じ組み合わせて用いられる。
[ R1は、構造中に少なくとも 1箇所の環構造を持つ基である。
[2]R3は、この R1を含む構造単位の例示 (n=0の場合)として、少なくとも上記例示 構造 (b)を含む。
[3]nが 0である。
[4]y/xが、それぞれモル基準で、 0/100≤y/x≤80/20,さらに好ましくは OZ 100≤yZx≤ 50Z50を満たす実数である。
[5]R2は、水素原子または—CHであり、複数存在する R2は、同一でも異なっていて
3
ちょい。
[6]Qは、 COOR4 (R4は、水素原子、又は、炭素と水素とからなる炭素原子数 1〜: L0 の炭化水素基よりなる群から選ばれる 1価の基である。)で表され、複数存在する Qは 同一でも異なって 、てもよ 、。
[0032] 環状ォレフィン系重合体 (A)である環状ォレフィンの開環重合体として、好ましくは
、下記一般式 (4)で表される一種または二種以上の構造からなり、上記のような好ま L ヽ条件を必要に応じ組み合わせて用いられる。
(化 7)
[0033] なお、 X回繰り返される単量体由来の構成単位同士が結合する場合は、これらの構 成単位同士は二重結合を介して結合する。
[0034] 前記一般式 (4)中の各記号については、次のような最も好ましい条件をさらに挙げ ることができ、これらの条件は必要に応じ組み合わせて用いられる。
[ R1基は、下記例示のいずれかである。
[2]R2基は、水素原子である。
(化 8)
[0035] なお上記例示において、 1または 2の番号が附された炭素原子は、一般式 (4)にお ける炭素原子に結合する炭素原子を示している。また、これらの例示構造の一部に、 アルキリデン基を有していてもよい。このようなアルキリデン基は、通常は炭素原子数 2〜20のアルキリデン基であり、このようなアルキリデン基の具体的な例としては、ェ チリデン基、プロピリデン基およびイソプロピリデン基を挙げることができる。
[0036] これらの中でも、これらを組み合わせた態様として、環状ォレフィンの開環重合体が 、トリシクロ [4. 3. 0. I2' 5]デカ一 3, 7—ジェン(ジシクロペンタジェン: DCPD)の開
環重合によって得られる重合体であることが好ましい。
[0037] 環状ォレフィン系重合体 (A)力 環状ォレフィンの開環重合体の水素添加物である 場合には、上記開環重合体の二重結合の一部または全部を飽和させることにより水 素添加物を得ることができる。
[0038] 本発明にお ヽて、環状ォレフィン榭脂組成物が、環状ォレフィン系重合体 (A)とし て環状ォレフィンの開環重合体またはその水素添加物を含むことにより、環状ォレフ イン榭脂組成物カゝら得られる基板は、環状ォレフィンの共重合体を含む場合に比べ て、靱性に優れる。そのため、プリント配線基板やパッケージ基板に用いることができ 、フレキシブル基板の中でも高周波回路用基板として好適に使用することができる。
[0039] (重合のタイプ)
環状ォレフィン系重合体の重合のタイプは本発明において全く制限されるものでは なぐランダム共重合、ブロック共重合、交互共重合、開環重合等の公知の様々な重 合タイプを適用することができる。
[0040] (主鎖の一部として用いることのできるその他の構造)
また本発明で用いられる環状ォレフィン系重合体は、本発明の榭脂組成物力ゝら得 られる基板の良好な物性を損なわな 、範囲で、必要に応じて他の共重合可能なモノ マーカ 誘導される繰り返し構造単位を有していてもよい。その共重合比は限定され ないが、好ましくは 20モル%以下、さらに好ましくは 10モル%以下である。上記数値 以下であると、耐熱性を損なうことなぐ耐熱性に優れた基板を得ることができる。また 、共重合の種類は限定されないが、ランダムコポリマーであることが好ましい。
[0041] (重合体の分子量)
環状ォレフィン系重合体の分子量は限定されるものではないが、分子量の代替指 標として極限粘度 [ r? ]を用いた場合、 135°Cのデカリン中で測定される極限粘度 [ 7? ]力 0. 03〜: LOdlZg、さらに好ましくは 0. 05〜5dlZgであり、最も好ましくは 0. 10 〜2dlZgである。
[0042] この範囲より極限粘度が高い場合、成形性が悪くなり、また、この範囲より極限粘度 が低い場合、成形物は脆くなる。つまり極限粘度が上記範囲内にあれば、これらのバ ランスに優れる。
[0043] (ガラス転移温度)
環状ォレフィン系重合体のガラス転移温度は 60°C〜200°Cの範囲のものが用いら れる。中でも、 100°C〜200°Cの範囲のものが好ましい。ガラス転移温度が下限値以 上であれば、製品(基板)の使用環境が高温となる状況下においても信頼性に優れ た基板を提供することができる。ガラス転移温度が上限値以下であれば、溶融成形 性に優れる。つまり、上記範囲のガラス転移温度を有する環状ォレフィン系重合体を 用いることにより、これらの特性のバランスに優れる。
[0044] (環状ォレフィン系重合体 (A)の製造方法)
環状ォレフィン系重合体 (A)の製造方法を、ランダム共重合体、開環重合体、開環 重合体の水素添加物の製造方法により説明する。
[0045] (ランダム共重合体の製造方法)
環状ォレフィン系重合体がエチレンと環状ォレフィンとのランダム共重合体の場合 は、エチレンと後述する式 [I]または [II]で表される環状ォレフィンとを用いて特開平 7— 145213号公報に開示された製造方法により製造することができる。これらのうち でも、この共重合を炭化水素系溶媒中で行い、触媒として該炭化水素系溶媒に可溶 性のバナジウム化合物及び有機アルミニウム化合物から形成される触媒を用いてェ チレンと環状ォレフィンとのランダム共重合体を製造することが好ましい。
[0046] また、この共重合反応では固体状第 4族メタ口セン系触媒を用いることもできる。ここ で固体状第 4族メタ口セン系触媒とは、シクロペンタジェニル骨格を有する配位子を 含む遷移金属化合物と、有機アルミニウムォキシ化合物と、必要により配合される有 機アルミニウム化合物とからなる触媒である。
[0047] ここで 4族の遷移金属としては、ジルコニウム、チタン又はハフニウムであり、これら の遷移金属は少なくとも 1個のシクロペンタジェニル骨格を含む配位子を有して 、る 。ここで、シクロペンタジェ-ル骨格を含む配位子の例としてはアルキル基が置換し ていてもよいシクロペンタジェ -ル基又はインデュル基、テトラヒドロインデュル基、フ ロォレニル基を挙げることができる。これらの基は、アルキレン基など他の基を介して 結合していてもよい。また、シクロペンタジェ-ル骨格を含む配位子以外の配位子は 、アルキル基、シクロアルキル基、ァリール基、ァラルキル基等である。
[0048] さらに有機アルミニウムォキシィ匕合物及び有機アルミニウム化合物は、通常ォレフィ ン系榭脂の製造に使用されるものを用いることができる。このような固体状第 4族メタ 口セン系触媒については、例えば特開昭 61— 221206号、特開昭 64— 106号及び 特開平 2— 173112号公報等に記載されて 、る。
[0049] 環状ォレフィン単量体とともに用いることができる他の単量体としては、例えば、 1 - ブテン、 1—ペンテン、 1—へキセン、 1—オタテン、 1—ブテン、 2—ペンテン、 1, 4— へキサジェン、シクロペンテンなどが挙げられる。これらの他の単量体を用いることに より、環状ォレフィン系重合体の分子量や物性を調節することができる。
[0050] 以下、下記式 [I]または [II]で示される環状ォレフィン単量体について説明する。
(化 9)
(化 10)
上記式 [I]中、 nは 0または 1であり、 mは 0または正の整数であり、 qは 0または 1であ る。なお qが 1の場合には、 Raおよび Rbは、それぞれ独立に、下記の原子または炭化
水素基であり、 qが 0の場合には、それぞれの結合手が結合して 5員環を形成する。
[0052] !^〜!^ならびに Raおよび Rbは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または 炭化水素基である。ここでハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子または ヨウ素原子である。
[0053] また炭化水素基としては、それぞれ独立に、通常炭素原子数 1〜20のアルキル基 、炭素原子数 3〜 15のシクロアルキル基、芳香族炭化水素基が挙げられる。より具体 的には、アルキル基としては、メチル基、ェチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミ ル基、へキシル基、ォクチル基、デシル基、ドデシル基およびォクタデシル基が挙げ られ、シクロアルキル基としては、シクロへキシル基が挙げられ、芳香族炭化水素基と しては、フ -ル基、ナフチル基などが挙げられる。これらの炭化水素基は、ハロゲン 原子で置換されて 、てもよ 、。
[0054] さらに上記式 [I]において、 R15〜R18がそれぞれ結合して (互いに共同して)単環ま たは多環を形成していてもよぐし力もこのようにして形成された単環または多環は二 重結合を有して 、てもよ 、。ここで形成される単環または多環の具体例を下記に示 す。
(化 11)
[0055] なお上記例示において、 1または 2の番号が附された炭素原子は、式 [I]において 、それぞれ R15 (R16)または R17 (R18)が結合している炭素原子を示している。また R15と R16とで、または R17と R18とでアルキリデン基を形成していてもよい。このようなアルキリ デン基は、通常は炭素原子数 2〜20のアルキリデン基であり、このようなアルキリデン 基の具体的な例としては、ェチリデン基、プロピリデン基およびイソプロピリデン基を 挙げることができる。
[0056] 上記式 [II]中、 pおよび qは 0または正の整数であり、 mおよび nは 0、 1または 2であ る。また は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基またはァ ルコキシ基である。
[0057] ハロゲン原子は、上記式 [I]におけるハロゲン原子と同じ意味である。また炭化水素 基としては、それぞれ独立に炭素原子数 1〜20のアルキル基、炭素原子数 1〜20の ハロゲンィ匕アルキル基、炭素原子数 3〜 15のシクロアルキル基または芳香族炭化水 素基が挙げられる。より具体的には、アルキル基としては、メチル基、ェチル基、プロ ピル基、イソプロピル基、アミル基、へキシル基、ォクチル基、デシル基、ドデシル基 およびォクタデシル基が挙げられ、シクロアルキル基としては、シクロへキシル基が挙 げられ、芳香族炭化水素基としては、ァリール基およびァラルキル基、具体的には、 フエ-ル基、トリル基、ナフチル基、ベンジル基およびフエ-ルェチル基などが挙げら れる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基およびプロポキシ基などを挙げる ことができる。これらの炭化水素基およびアルコキシ基は、フッ素原子、塩素原子、臭 素原子またはヨウ素原子で置換されて 、てもよ 、。
[0058] ここで、 R9および R1Qが結合して 、る炭素原子と、 R13が結合して 、る炭素原子また は R11が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数 1〜3のアルキレン基 を介して結合して 、てもよ 、。すなわち上記二個の炭素原子がアルキレン基を介して 結合している場合には、 R9および R13で示される基力 または R1Qおよび R11で示され る基が互いに共同して、メチレン基 (-CH -)、エチレン基 (-CH CH -)
2 2 2
またはプロピレン基(-CH CH CH -)のうちのいずれかのアルキレン基を形成してい
2 2 2
る。さらに、 n=m=0のとき、 R15と R12または R15と R19とは互いに結合して単環または 多環の芳香族環を形成して 、てもよ ヽ。この場合の単環または多環の芳香族環とし て、例えば下記のような n = m = 0のとき R15と R12がさらに芳香族環を形成して 、る基 が挙げられる。
[0059] ここで qは式 [II]における qと同じ意味である。
[0060] 上記のような式 [I]または [II]で示される環状ォレフィン単量体を、より具体的に下 記に例示する。
[0061] 一例として、
(化 13)
で示されるビシクロ [2. 2. 1] 2 ヘプテン(別名ノルボルネン。上記式中、 1〜7の 数字は炭素の位置番号を示す。)および該化合物に、炭化水素基が置換した誘導 体が挙げられる。
[0062] この炭化水素基としては、たとえば、 5—メチル、 5, 6 ジメチル、 1ーメチル、 5 - ェチル、 5— n—ブチル、 5—イソブチル、 7—メチル、 5—フエ-ル、 5—メチル—5— フエ-ル、 5—ベンジル、 5—トリル、 5— (ェチルフエ-ル)、 5— (イソプロピルフエ- ル)、 5— (ビフエ-ル)、 5 ( j8—ナフチル)、 5—( α—ナフチル)、 5— (アントラセ -ル)、 5, 6—ジフエ-ルなどを例示することができる。
[0063] さらに他の誘導体として、
シクロペンタジェン-ァセナフチレン付カロ物、
1, 4—メタノ一 1, 4, 4a, 9a—テトラヒドロフルオレン、
1, 4—メタノー 1, 4, 4a, 5, 10, 10a—へキサヒドロアントラセンなどのビシクロ [2. 2
. 1]—2—ヘプテン誘導体などを例示することができる。
[0064] この他、トリシクロ [4. 3. 0. I2'5]— 3 デセン、 2—メチルトリシクロ [4. 3. 0. I2'5] —3 デセン、 5—メチルトリシクロ [4. 3. 0. I2'5]— 3 デセンなどのトリシクロ [4. 3 . 0. I2'5]— 3—デセン誘導体、
トリシクロ [4. 3. 0. I2' 5]デカ一 3, 7 ジェン、
卜リシクロ [4. 4. 0. I2'5]— 3 ゥンデセン、 10—メチル卜リシクロ [4. 4. 0. I2'5]— 3— ゥンデセンなどのトリシクロ [4. 4. 0. I2'5]— 3 ゥンデセン誘導体、
(化 14)
で示されるテトラシクロ [4. 4. 0. I2'5. 1"°]— 3 ドデセン(単にテトラシクロドデセン ともいう。上記式中、 1〜 12の数字は炭素の位置番号を示す。)およびこれに、炭化 水素基が置換した誘導体が挙げられる。
[0065] この炭化水素基としては、たとえば、 8—メチル、 8 ェチル、 8 プロピル、 8 ブ チル、 8—イソブチル、 8 へキシル、 8 シクロへキシル、 8—ステアリル、 5, 10-ジメ チノレ、 2, 10 ジメチノレ、 8, 9 ジメチノレ、 8 ェチノレ一 9—メチノレ、 11, 12 ジメチ ル、 2, 7, 9 トリメチル、 2, 7 ジメチル— 9 ェチル、 9—イソブチル—2, 7 ジメ チル、 9, 11, 12 トリメチル、 9 ェチル—11, 12 ジメチル、 9—イソブチル -11, 12 ジメチル、 5, 8, 9, 10—テトラメチル、 8 ェチリデン、 8 ェチリデン— 9—メ チル、 8—ェチリデン— 9—ェチル、 8—ェチリデン— 9—イソプロピル、 8—ェチリデ ン— 9—ブチル、 8— n—プロピリデン、 8— n—プロピリデン— 9—メチル、 8— n—プ 口ピリデンー9ーェチル、 8—n—プロピリデンー9 イソプロピル、 8—n—プロピリデ ン 9ーブチル、 8—イソプロピリデン、 8—イソプロピリデン 9ーメチル、 8—イソプロ ピリデンー9ーェチル、 8—イソプロピリデン 9 イソプロピル、 8—イソプロピリデン —9—ブチノレ、 8—クロ口、 8—ブロモ、 8—フノレオ口、 8, 9—ジクロロ、 8—フエ-ノレ、 8 —メチルー 8—フエ-ル、 8—ベンジル、 8—トリル、 8— (ェチルフエ-ル)、 8— (イソ
プロピルフエ-ル)、 8, 9—ジフエ-ル、 8— (ビフエ-ル)、8— ( β 一ナフチル)、 8— ( a 一ナフチル)、 8—(アントラセニル)、 5, 6—ジフエ-ルなどを例示することができ る。
[0066] さらに他の誘導体として、ァセナフチレンとシクロペンタジェンとの付加物などが挙 げられる。
[0067] また、ペンタシクロ [6. 5. 1. I3'6. 02'7. 09'13]— 4—ペンタデセン、およびその誘導 体、
ペンタシクロ [7. 4. 0. I2'5. I9'12. 08'13]— 3—ペンタデセン、およびその誘導体、 ペンタシクロ [6. 5. 1. I3'6. 02'7. 09'13 ] -4, 10—ペンタデカジエンなどのペンタ ペンタシクロ [8. 4. 0. I2'5. I9'12. 08'13]— 3—へキサデセン、およびその誘導体、 ペンタシクロ [6. 6. 1. I3'6. 02'7. 09'14 ]ー4一へキサデセン、およびその誘導体、 へキサシクロ [6. 6. 1. I3'6. I10'13. 02'7. 09'14]— 4—ヘプタデセン、およびその誘導 体、
ヘプタシクロ [8. 7. 0. I2'9. I4'7. I I1'17. O3'8. 012'16]— 5—エイコセン、およびその 誘導体、
ヘプタシクロ [8. 8. 0. I2'9. I" I11'18. O3'8. 012'17]— 5—ヘンエイコセン、およびそ の誘導体、
ォクタシクロ [8. 8. 0. I2'9. I" I11'18. I13'16. O3'8. 012'17 ]一 5—ドコセン、およびそ の誘導体、
ノナシクロ [10. 9. 1. I4'7. I13'20. I15'18. 02'10. O3'8. O12'21. 0"'19]— 5—ペンタコセン 、およびその誘導体、
ノナシクロ [10. 10. 1. I5'8. I14'21. l16'19. o2'11. O4'9. 013'22. 015'2°]— 6—へキサコセ ン、およびその誘導体などが挙げられる。
[0068] なお一般式 [I]または [II]で示される環状ォレフィン単量体の具体例を上記に示し たが、これら化合物のより具体的な構造例としては、特開平 7— 145213号当初明細 書の段落番号 [0032]〜 [0054]に示された環状ォレフィン単量体の構造例を挙げ ることができる。本発明で用いられる環状ォレフィン系榭脂は、上記環状ォレフィン単
量体力 導かれる単位を 2種以上含有して 、てもよ 、。
[0069] 上記のような一般式 [I]または [II]で示される環状ォレフィン単量体は、シクロペンタ ジェンと対応する構造を有するォレフィン類とを、ディールス ·アルダー反応させるこ とによって製造することができる。また重合に使用する環状ォレフィン単量体の純度 は高い方が好ましい。通常 99%以上、好ましくは 99. 6%以上、更に好ましくは 99. 9%以上である。
[0070] (開環重合体の製造方法)
環状ォレフィン系重合体が開環重合体の場合は、例えば、上述する式 [I]で表され る環状ォレフィン単量体を開環重合触媒の存在下に、重合又は共重合させること〖こ より製造することができる。
[0071] 式 [I]で表される環状ォレフィン単量体としては、トリシクロ [4. 3. 0. I2' 5]デカ一 3 , 7—ジェンを用いることが好ましい。
[0072] 環状ォレフィン単量体とともに用いることができる他の単量体としては、例えば、 1 - ブテン、 1—ペンテン、 1—へキセン、 1—オタテン、 1—ブテン、 2—ペンテン、 1, 4— へキサジェン、シクロペンテンなどが挙げられる。これらの他の単量体を用いることに より、環状ォレフィン系重合体の分子量や物性を調節することができる。
[0073] 開環重合触媒としては、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、インジウム又 は白金など力 選ばれる金属のハロゲンィ匕物、硝酸塩又はァセチルアセトン化合物 と、還元剤とからなる触媒、あるいは、チタン、ノ《ラジウム、ジルコニウム又はモリブテ ンなど力 選ばれる金属のハロゲンィ匕物又はァセチルアセトンィ匕合物と、有機アルミ -ゥム化合物とからなる触媒を用いることができる。
[0074] 本発明において、開環重合体は、溶媒を用いなくても製造することができるが、通 常、不活性有機溶媒中で製造することが好ましい。有機溶媒の具体例としては、ベン ゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素; n—ペンタン、へキサン、ヘプタンな どの脂肪族炭化水素;シクロへキサンなどの脂環族炭化水素;メチレンジクロリド、ジ クロノレエタン、ジクロノレエチレン、テトラクロノレエタン、クロノレベンゼン、ジクロノレべンゼ ン、トリクロルベンゼンなどのハロゲンィ匕炭化水素;等が挙げられる。
[0075] (開環重合体の水素添加物)
開環重合体の水素添加物を製造するには、通常の方法により、上記の開環重合体 の炭素 炭素間の二重結合の少なくとも一部を水素添加することにより行われる。開 環重合体を水素添加処理する方法は特に限定されるものではなぐ有機溶媒中にお いて、水素添加触媒の存在下に、開環重合体を水素添加処理することで行うことが できる。
[0076] 水素添加反応は、常法に従って、水素添加触媒の存在下に溶液状態の開環重合 体を含む榭脂組成物を水素と接触させて行うことができる。水素添加触媒としては、 均一系触媒ゃ不均一系触媒を使用することができる。不均一系触媒は、高温高圧に することで高活性となり、短時間で水添することができ、さらに除去が容易であるなど の生産効率に優れる。
[0077] 不均一系触媒としては、例えば、ニッケル、ルテニウム、レニウム、白金、パラジウム およびロジウム力 なる群より選ばれる金属を担体に担持してなる触媒が挙げられる 。担体は格別限定されることはなぐ従来力 水素添加触媒金属の担持に用いられ て 、るアルミナ、珪藻土などの吸着剤を用いることができる。
[0078] ニッケルの担持量は、 20〜80重量%、好ましくは 30〜60重量%である。パラジゥ ム、白金の担持量は、 0. 1〜: L0重量%、好ましくは 2〜7重量%である。形状は、粉 末、固体など特に限定なぐ使用する装置等に合わせて用いれば良い。
[0079] 本発明にお 、て水素化反応は任意の反応容器を用いることができるが、連続運転 性の点で固定床式反応器を用いるのが好ましい。固定床式反応器としては、(a)充 填塔または棚段塔式反応器、(b)固定触媒反応器、および (c)金網または薄層触媒 反応器などが挙げられる。
[0080] 充填塔または棚段塔式反応器 (a)では、触媒粒子を充填した塔中で、溶液状態の 開環重合体を含む榭脂組成物と水素ガスとが十字流接触、向流接触または並流接 触する。
[0081] 固定触媒反応器 (b)は、等温層式、断熱層式、多段断熱層式、自己熱交換式、外 部熱交換式などに分けられるが、本発明の水素化反応にはいずれのタイプも使用で きる。固定触媒反応器 (b)の代表的な例としては、 J. H. Garyおよび G. E. Handwerk :ペトロリウム 'リファイユング 'テクノロジ一'アンド'ェコノミクス(1975) p74に記載され
るようなタイプの反応器、すなわち、底部にセラミックボールが充填され、その上の反 応器中心部に触媒粒子が充填され、反応器の頂端から溶液状態の開環重合体を含 む榭脂組成物とガスとの混合物が供給され、反応器の下端力 反応生成物が排出さ れるように構成された反応器が挙げられる。
[0082] 金網または薄層触媒反応器 (c)は、触媒として数枚〜数十枚の金網または粒状触 媒を薄層として装着した反応器である。溶液状態の開環重合体を含む榭脂組成物の 流し方によってラジアルフロー式とパラレルフロー式とに区分される力 V、ずれの方 式であってもよい。
[0083] 本発明における水素添加方法にお!ヽて、溶液状態の開環重合体を含む榭脂組成 物を、固定床を通過させるとき、該榭脂組成物が触媒粒子表面を膜状に流れるように することが好ま Uヽ。溶液状態の開環重合体を含む榭脂組成物と水素ガスの流れ方 向は、並流でも向流でもよいが、操作条件の変更が容易である点で並流方式が好ま しい。
[0084] 本発明における水素添加方法において、用いる反応器は、水素化触媒を充填した 固定層が装着された反応器を用いる。この反応器は、該反応器内に溶液状態の開 環重合体を含む榭脂組成物を充填し、該榭脂組成物に触媒充填固定層を浸潰した 状態で水素を吹き込むように構成されている。通常、反応はバッチ式で行われる。代 表的な反応器の例は、ジャーナル ·ォブ ·ケミカル ·エンジニアリング ·ォブ ·ジャパン、 27卷、 3号(1994) p310に記載されるような反応器、すなわち、回転軸に装着された フレームに触媒粒子を充填したステンレス製円筒状網製バスケットが固定層として取 り付けられ、さらに撹拌機を備えた反応器である。この反応器内に溶液状態の開環 重合体を含む榭脂組成物を充填し、該榭脂組成物に触媒充填バスケットが浸潰した 状態で、触媒充填バスケットを回転軸の周りに回転せしめ、かつ該榭脂組成物を攪 拌しつつ、反応器下部に水素ガスを圧入する。また、別の例は、固定層として二重円 筒状網製バスケットの二重円筒内に触媒を充填したケージを反応器内壁と若干の隙 間をあけて配置し、かつ二重円筒の中心の回転軸に攪拌翼を取り付けた反応器も使 用される。
[0085] 本発明における水素添加方法において、水素添加方法に供される開環重合体を
含む榭脂組成物は、有機溶媒に開環重合体等が溶解した溶液である。この榭脂組 成物は溶液状態で反応器に供給され、開環重合体等が水素添加処理される。開環 重合体を含む榭脂組成物は、開環重合体を製造した後の反応溶液として得られ、有 機溶媒を特に添加する必要はないが、以下の有機溶媒を添加することもできる。その ような有機溶媒としては、触媒に不活性なものであれば格別な限定はないが、生成 する水素添加物の溶解性に優れて 、ることから、通常は炭化水素系溶媒が用いられ る。炭化水素系溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類; n-ペンタン、へキサンなどの脂肪族炭化水素類;シクロへキサン、メチルシクロへキサ ン、デカリン、ビシクロノナンなどの脂環族炭化水素類;などを挙げることができ、これ らの中でも、環状の脂環族炭化水素類が好ましい。これらの有機溶媒は、それぞれ 単独で、あるいは 2種以上を組み合わせて用いることができる。通常は、重合反応溶 媒と同じでよい。
[0086] 水素添加反応は、常法に従って行うことができる力 水素添加触媒の種類や反応 温度によって水素添加率が変わり、芳香族環の残存率も変化させることができ、上記 の水素添加触媒を用いた場合、芳香族環の不飽和結合をある程度以上残存させる ためには、反応温度を低くしたり、水素圧力を下げたり、反応時間を短くするなどの制 御を行えばよい。
[0087] 開環重合体を水素添加する際の操作温度は、 0〜150°Cである。好ましくは、 60〜
130°C、更に好ましくは 80〜120°Cである。
[0088] また圧力は、 l〜50kgZcm2、好ましくは l〜30kgZcm2、更に好ましくは l〜20k g/cm2である。また反応時間は使用する水素添加触媒にもよるが、 1時間以下、好ま しくは 30分以下である。
[0089] 水添反応における LHSVは通常 1〜10、好ましくは 3〜5である。ここで LHSVとは 滞留時間の逆数のことであり、環状ォレフィン単量体を炭化水素系溶媒中で重合し て得られる未反応の環状ォレフィン系単量体を含む環状ォレフィン系榭脂組成物 (A )のフィード流量を触媒充填体積で割って算出することができる。
[0090] 固定床反応器カゝら排出された、水素添加された開環重合体を含む榭脂組成物は、 フラッシュセパレーターのようなセパレーターに導入され、該榭脂糸且成物と未反応水
素とを分離する。分離された水素は水素化反応器に循環させることができる。
[0091] < (B)軟質共重合体 >
本発明に用いられる軟質共重合体 (B)は、ォレフィン系化合物、ジェンィ匕合物、お よび芳香族ビニル系炭化水素化合物力 なる群力 選択される少なくとも 2種以上の 単量体を重合してなる。これらォレフィン系化合物、ジェンィ匕合物、および芳香族ビ ニル系炭化水素化合物は、各々複数の化合物力もなるものである。つまり、軟質共 重合体 )は、複数のォレフィン系化合物、複数のジェン化合物、および複数の芳 香族ビニル系炭化水素化合物力 なる群力 選択される少なくとも 2種以上の単量体 を重合して得られる。この軟質共重合体 (B)のガラス転移温度は、 0°C以下である。
[0092] このような軟質共重合体 (B)を含む榭脂組成物を用いることにより、耐熱性に優れ た基板を製造することができる。
[0093] 軟質共重合体 (B)としては、好ましくは下記の重合体 (i)、 (ii)、 (iii)および (iv)から なる群力 選択される少なくとも 1種以上の軟質共重合体を用 、ることができる。
(i)エチレンと、他の α—ォレフインと、下記一般式 (III)で表わされる環状ォレフィンと から形成され、ガラス転移温度 (Tg)が 0°C以下である環状ォレフィン系ランダム共重 合体。
(ii)少なくとも 2種の a—ォレフインカも形成され、ガラス転移温度 (Tg)が 0°C以下の 非晶性ないし低結晶性の OC一才レフイン系重合体。
(iii)少なくとも 2種の exーォレフインと、少なくとも 1種の非共役ジェンと力 形成され、 ガラス転移温度 (Tg)が 0°C以下の aーォレフイン'ジェン系共重合体。
(iv) 0°C以下のガラス転移温度 (Tg)を有する芳香族ビニル系炭化水素 ·共役ジェン ランダムもしくはブロック共重合体、またはその水素化物。
(化 15)
(式中、 I^〜R12は水素原子、炭化水素基またはハロゲン原子であって、それぞれ同 一でも異なっていてもよい。また R9と R1G、または R11と R12とは一体ィ匕して 2価の炭化 水素基を形成してもよぐ R9または R1C>と R11または R12とは互いに環を形成していても よい。 nは 0または正の整数であって、 R5〜R8が複数回繰り返される場合には、これら はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。 )
[0094] ( (i)環状ォレフィン系ランダム共重合体)
(B)軟質共重合体である (i)環状ォレフィン系ランダム共重合体 (以下、単に「 (i)共 重合体」ともいう)は、エチレン、他の (Xーォレフインおよび前記環状ォレフィン由来の 構造単位を含む共重合体である。本発明においては、これらの単量体の他に、本発 明の目的を損なわない範囲で必要に応じて他の共重合可能な不飽和単量体を用い てもよい。前記他の α ォレフィンとして、たとえばプロピレン、 1—ブテン、 4 メチル — 1—ペンテン、 1—へキセン、 1—オタテン、 1—デセン、 1—ドデセン、 1—テトラデ セン、 1一へキサデセン、 1ーォクタデセン、 1 エイコセンなどの炭素原子数 3〜20 の aーォレフインなどを例示することができる。これら由来の構造単位は、(B)軟質共 重合体である (i)共重合体中に 1種または 2種以上含まれて 、てもよ 、。
[0095] (i)環状ォレフィン系ランダム共重合体において、エチレンに由来する構造単位 (a 1)は 40〜98モル0 /0、好ましくは 50〜90モル0 /0の範囲、他の α—ォレフインに由来 する構造単位 (bl)は 2〜50モル0 /0、好ましくは 5〜40モル0 /0の範囲、環状ォレフィ ンに由来する構造単位(cl)は 2〜20モル0 /0、好ましくは 2〜15モル%の範囲が適 当である。エチレンに由来する構造単位 (al)、他の α—ォレフィンに由来する構造 単位 (bl)および環状ォレフィン成分に由来する構造単位 (cl)はランダムに配列し、
実質的に線状の環状ォレフィン系ランダム共重合体を形成して 、る。(B)軟質共重 合体である (i)共重合体が実質的に線状であり、ゲル状架橋構造を有していないこと は、同共重合体が 135°Cのデカリン中に完全に溶解することによって確認することが できる。
[0096] (i)共重合体としては、ガラス転移温度 (Tg)が 0°C以下、好ましくは 10°C以下、さ らに好ましくは— 20°C以下の範囲にあるものを使用する。
[0097] また (i)共重合体としては、 135°Cのデカリン中で測定した極限粘度〔 7?〕が 0. 01 〜10dlZg、好ましくは 0. 08〜7dlZgの範囲のものを使用するのが好ましい。
[0098] (B)軟質共重合体である (i)共重合体としては、上記範囲の物性を有する共重合体 のみを用いてもよいが、全体の物性値が上記範囲に含まれていれば、上記範囲外の 物性を有する共重合体が一部含まれて ヽてもよ ヽ。
[0099] なお、 (A)環状ォレフィン系重合体および (B)軟質共重合体である (i)共重合体は 、特開昭 60— 168708号公報、特開昭 61— 120816号公報、特開昭 61— 115912 号公報、特開昭 61— 115916号公報、特開昭 61— 271308号公報、特開昭 61— 2 72216号公報、特開昭 62— 252406号公報、特開昭 62— 252407号公報などに おいて本出願人が提案した方法に従い適宜条件を選択することにより製造すること ができる。
[0100] ( (ii)非晶性な 、し低結晶性の ex一才レフイン系重合体)
(B)軟質共重合体である上記 (ii)非晶性ないし低結晶性の oc一才レフイン系重合 体 (以下、単に「(ii)重合体」ともいう)は、少なくとも 2種の α—ォレフインカ 形成され 、ガラス転移温度 (Tg)が 0°C以下、好ましくは— 10°C以下、さらに好ましくは— 20°C 以下の範囲にある非晶性ないし低結晶性の α—才レフイン系重合体である。具体的 には、(a2)エチレン · α—ォレフイン共重合体、(b2)プロピレン · α—ォレフイン共重 合体などが用いられる。
[0101] (a2)エチレン' aーォレフイン共重合体を構成する α—ォレフインとしては、通常炭 素原子数 3〜20の α ォレフィン、たとえばプロピレン、 1—ブテン、 1—ペンテン、 1 一へキセン、 4ーメチルー 1ーぺテン、 1—オタテン、 1ーデセンまたはこれらの混合物 などを例示することができる。このうち特に炭素原子数 3〜10の α ォレフィンが好ま
しい。
[0102] また (b2)プロピレン' aーォレフイン共重合体を構成する aーォレフインとしては、 通常炭素原子数 4〜20の α—ォレフィン、たとえば 1ーブテン、 1 ペンテン、 1一へ キセン、 4ーメチルー 1 ペンテン、 1—オタテン、 1ーデセンまたはこれらの混合物な どを例示することができる。このうち特に炭素原子数 4〜10の α ォレフィンが好まし い。
[0103] 上記のような(a2)エチレン' a 'ォレフイン共重合体においては、エチレンと α—ォ レフインとのモル基準における比(エチレン/ α—ォレフイン)は、 α—ォレフインの種 類によっても異なる力 一般に 30Ζ70〜95Ζ5であることが好まし!/、。
[0104] 上記のような(b2)プロピレン' α—ォレフイン共重合体においては、プロピレンと α —ォレフインとのモル基準における比(プロピレン Z —ォレフイン)は、 α—ォレフィ ンの種類によっても異なる力 一般に 30Ζ70〜95Ζ5であることが好まし!/、。
[0105] ( (iii) aーォレフイン'ジェン系共重合体)
(B)軟質共重合体である上記 (m) a一才レフイン'ジェン系共重合体 (以下、単に「 (iii)共重合体」ともいう)は、少なくとも 2種の aーォレフインと、少なくとも 1種の非共 役ジェンとから形成され、ガラス転移温度 (Tg)が 0°C以下、好ましくは—10°C以下、 さらに好ましくは— 20°C以下の範囲にある共重合体である。具体的には、(a3)ェチ レン' α—ォレフイン'ジェン共重合体ゴム、 (b3)プロピレン' α—ォレフイン'ジェン 共重合体ゴムなどが用いられる。
[0106] (a3)エチレン' atーォレフイン'ジェン共重合体ゴムを構成する atーォレフインとし ては、通常炭素原子数 3〜20の ex—ォレフイン、たとえばプロピレン、 1—ブテン、 1 ペンテン、 1一へキセン、 4ーメチルー 1 ペンテン、 1—オタテン、 1ーデセンまた はこれらの混合物などを例示することができる。このうち特に炭素原子数 3〜: L0の a ーォレフインが好ましい。
[0107] また、(b3)プロピレン' aーォレフイン'ジェン共重合体ゴムを構成する aーォレフ インとしては、通常炭素原子数 4〜20の α—ォレフィン、たとえば 1ーブテン、 1ーぺ ンテン、 1一へキセン、 4ーメチルー 1 ペンテン、 1—オタテン、 1ーデセンまたはこ れらの混合物などを例示することができる。このうち特に炭素原子数 4〜: L0の α—ォ
レフインが好ましい。
[0108] また、(a3)エチレン' atーォレフイン'ジェン共重合体ゴムおよび(b3)プロピレン' a ォレフイン'ジェン共重合体ゴムを形成する際に用いられるジェン化合物として は、 1 ,4—へキサジェン、 1 ,6—ォクタジェン、 2—メチル 1 ,5 へキサジェン、 6—メ チル 1 ,5 へブタジエン、 7 メチル - 1 ,6 -ォクタジェンのような鎖状非共役ジェ ン;シクロへキサジェン、ジシクロペンタジェン;メチルテトラヒドロインデン、 5—ビュル ノルボルネン、 5 ェチリデンー2 ノルボルネン、 5—メチレンー2 ノルボルネン、 5 —イソプロピリデン 2 ノルボルネン、 6 -クロロメチル - 5 イソプロべ-ル 2 ノ ルボルネンのような環状非共役ジェン; 2, 3 ジイソプロピリデン 5 ノルボルネン; 2 ェチリデンー3 イソプロピリデンー5 ノルボルネン; 2—プロべ-ルー 2, 2 ノ ルボルナジェンなどを例示することができる。
[0109] 上記のような(a3)エチレン' atーォレフイン'ジェン共重合体ゴムにおいては、ェチ レンと α—ォレフインとのモル基準における比(エチレン/ αーォレフイン)は、 α— ォレフィンの種類によっても異なる力 一般に 30Ζ70〜95Ζ5であることが好まし!/ヽ
[0110] またこの共重合体ゴム(a3)におけるジェンィ匕合物由来の構造単位の含有量は 1〜
20モル0 /0、好ましくは 2〜15モル0 /0であることが望ましい。
[0111] 上記のような(b3)プロピレン' α—ォレフイン'ジェン共重合体ゴムにおいては、プ ロピレンと (X—ォレフインとのモル基準における比(プロピレン Z a—ォレフイン)は、 a—ォレフインの種類によっても異なるが、一般に 30/70〜95/5であることが好ま しい。
[0112] また、この共重合体ゴム (b3)におけるジェンィ匕合物由来の構造単位の含有量は 1
〜20モル0 /0、好ましくは 2〜15モル0 /0であることが望ましい。
[0113] ( (iv)芳香族ビュル系炭化水素 ·共役ジェンランダムもしくはブロック共重合体、ま たはその水素化物)
(B)軟質共重合体である上記 (iv)芳香族ビニル系炭化水素 ·共役ジェンランダムも しくはブロック共重合体、またはその水素化物(以下、単に「(iv)共重合体またはその 水素化物」ともいう)は、ガラス転移温度 (Tg)が 0°C以下、好ましくは— 10°C以下、さ
らに好ましくは 20°C以下の範囲にある。具体的には、(a4)スチレン 'ブタジエンブ ロック共重合体ゴム、 (b4)スチレン 'ブタジエン 'スチレンブロック共重合体ゴム、 (c4 )スチレン 'イソプレンブロック共重合体ゴム、 (d4)スチレン 'イソプレン'スチレンブロ ック共重合体ゴム、(e4)水素添加スチレン 'ブタジエン 'スチレンブロック共重合体ゴ ム、 (f4)水素添加スチレン 'イソプレン'スチレンブロック共重合体ゴム、 (g4)スチレン •ブタジエンランダム共重合体ゴムなどが用いられる。
[0114] これらの共重合体ゴムにおいては、一般に芳香族ビニル系炭化水素化合物と共役 ジェンィ匕合物とのモル基準における比 (芳香族ビニル系炭化水素 Z共役ジェン)は 一般に 10Z90〜70Z30であることが好ましい。
[0115] (e4)水素添加スチレン 'ブタジエン 'スチレンブロック共重合体ゴムは、上記のスチ レン 'ブタジエン 'スチレンブロック共重合体ゴム (b4)中に残存する二重結合の一部 または全部を水素化した共重合体ゴムである。
[0116] (f4)水素添加スチレン 'イソプレン'スチレンブロック共重合体ゴムは、上記のスチレ ン 'イソプレン'スチレンブロック共重合体ゴム(d4)中に残存する二重結合の一部ま たは全部を水素化した共重合体ゴムである。
[0117] 上記のような (B)軟質共重合体である(i)〜 (iv)重合体としては、 135°Cデカリン中 で測定した極限粘度〔 r?〕が 0. 01〜: L0dl/g、好ましくは 0. 08〜7dl/gの範囲、また X 線回析法により測定した結晶化度が 0〜10%、好ましくは 0〜7%、特に好ましくは 0 〜5%の範囲にあるものを使用するのが好ましい。上記のような(B)軟質共重合体で ある (i)〜 (iv)重合体は 1種単独で、または 2種以上組み合わせて用いることができる
[0118] また軟質共重合体 (B)は市場力 容易に入手可能であり、例えば、商品名;タフマ 一、三井 EPT (三井ィ匕学株式会社製)、商品名;カーネル (三菱ィ匕学株式会社製)、 商品名;ェクセレン (住友ィ匕学株式会社製)、商品名;エンゲージ (ダウケミカル社製、 )、商品名; JSRCFSR株式会社製)等を好適に使用することができる。
[0119] < (D)ラジカル開始剤 >
(D)ラジカル開始剤として、本実施形態においては有機過酸ィ匕物を用いることが好 ましい。有機過酸化物としては、メチルェチルケトンパーォキシド、シクロへキサノンパ
ーォキシド等のケトンパーォキシド類;
1,1 -ビス (t ブチノレパーォキシ)シクロへキサン、 2,2-ビス(tーブチノレパーォキシ )オクタン等のパーォキシケタール類; t ブチルヒドロパーォキシド、タメンヒドロパー ォキシド、 2,5 ジメチルへキサン 2,5 ジヒドロキシパーォキシド、 1,1, 3,3—テトラメ チルブチルヒドロパーォキシド等のヒドロバーオキシド類;
ジー t ブチノレパーォキシド、 2,5-ジメチノレ 2 ,5 ジ(t ブチルパーォキシ)へキ サン、 2,5 ジメチル 2,5 ジ(t ブチルパーォキシ)へキシン 3等のジアルキル バーオキシド類;
ラウロイルパーォキシド、ベンゾィルパーォキシド等のジァシルバーォキシド類; t ブチルパーォキシアセテート、 t ブチルパーォキシベンゾエート、 2,5 ジメチ ルー 2,5 ジ(ベンゾィルパーォキシ)へキサン等のパーォキシエステル類等を挙げ ることがでさる。
[0120] 本実施形態の環状ォレフィン系榭脂組成物は、上述の (A)環状ォレフィン系重合 体と、(B)軟質共重合体と、(D)ラジカル開始剤とを含んでなる。具体的には、 (A) 成分、および (B)成分からなる組成物に対して、 (D)成分を配合して反応させた反応 生成物からなる。好ましくはさらに後述する (E)ラジカル重合性の官能基を分子内に 2個以上有する多官能化合物を含んでなる。つまり、本発明では、これらの (A)、 (B) および (D)成分と共に (E)成分を併用した反応生成物力もなる方が、より耐熱性に優 れた架橋された榭脂組成物となり、高周波回路用基板に適している。
[0121] < (E)ラジカル重合性の官能基を分子内に 2個以上有する多官能化合物〉
(E)ラジカル重合性の官能基を分子内に 2個以上有する多官能化合物(以下、単 に「(E)多官能化合物」とも 、う)としては、たとえばジビュルベンゼン、アクリル酸ビ- ル、メタクリル酸ビュル、トリアリールイソシァヌレート、ジァリールフタレート、エチレン ジメタタリレート、トリメチロールプロパントリメタタリレートなどを挙げることができる。
[0122] <その他の成分 >
本実施形態において、環状ォレフィン系榭脂組成物には、上記の (A)、(B)、 (D) および (E)成分の他に必要に応じて、以下の成分を配合してもよ 、。
[0123] 具体的には、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキン
グ剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス、有機または無機の充填 剤などを挙げることができる。その配合割合は適宜量である。
[0124] 任意成分として配合される安定剤として具体的には、たとえばテトラキス〔メチレン 3 (3,5—ジ一 t—ブチル 4—ヒドロキシフエ-ル)プロピオネート〕メタン、 j8— (3,5— ジ—tーブチルー 4ーヒドロキシフエ-ル)プロピオン酸アルキルエステル、 2,2' —ォ キザミドビス〔ェチル— 3 (3,5—ジ— t—ブチル— 4—ヒドロキシフエ-ル)プロピオネー ト等のフエノール系酸ィ匕防止剤;
ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、 12 ヒドロキシステアリン酸カルシウム 等の脂肪酸金属塩;
グリセリンモノステアレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンジステアレート、ベン タエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリト ールトリステアレート等の多価アルコール脂肪酸エステルなどをあげることができる。 これらは単独で配合してもよいし、組合せて配合してもよい。たとえばテトラキス〔メチ レン一 3 (3,5—ジ一 t—ブチル 4—ヒドロキシフエ-ル)プロピオネート〕メタンとステ アリン酸亜鉛およびグリセリンモノステアレートとの組合せなどを例示することができる
[0125] 有機または無機の充填剤としては、シリカ、ケィ藻土、アルミナ、酸化チタン、酸ィ匕 マグネシウム、軽石粉、軽石バルーン、水酸ィ匕アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩 基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、 亜硫酸カルシウム、タルク、クレー、マイ力、アスベスト、ガラス繊維、ガラスフレーク、 ガラスビーズ、ケィ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、グラフアイト、アルミ- ゥム粉、硫化モリブデン、ボロン繊維、炭化ケィ素繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピ レン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などを例示することができる。
[0126] <環状ォレフイン系榭脂組成物 >
[0127] 本実施形態の環状ォレフィン系榭脂組成物は、上記のように (A)、 (B)および (D) 成分、または (A)、(B)、(D)および (E)成分の反応生成物からなる。反応生成物を 得るための各原料の割合は (A)成分 5〜95重量部に対して (B)成分 5〜95重量部 の割合 (合計 100重量部)で用いられる。好ましくは (A)成分 10〜90重量部に(B)
成分 10〜90重量部の割合 (合計量 100重量部)、さらに好ましくは (A)成分 20〜80 重量部に(B)成分 20〜80重量部の割合 (合計量 100重量部)、特に好ましくは (A) 成分 30〜70重量部に (B)成分 30〜70重量部の割合 (合計量 100重量部)で用い ることが望ましい。
[0128] また、(A)および (B)成分の合計 100重量部に対して、(D)成分は、 0. 01〜5重 量部、好ましくは 0. 05〜3重量部の範囲である。さらに、(E)成分を併用する場合、 (
A)および (B)成分の合計量 100重量部に対して (E)成分は、 0〜5重量部、好ましく は 0. 01〜3重量部の割合である。各成分を上記範囲で含んでなる環状ォレフィン榭 脂組成物を用いることにより、剛性、低吸水性、硬度などに優れ、し力も耐熱性に優 れた基板を得ることができる。この基板は、誘電特性に優れるため、高周波回路用基 板に好適に用いることができる。
[0129] 本実施形態の環状ォレフィン系榭脂組成物は、(A)成分、(B)成分および (D)成 分を、前記割合で (D)成分が分解する温度で反応させるか、または (A)成分、 (B) 成分、(D)成分および (E)成分を、前記割合で (D)成分が分解する温度で反応させ ること〖こより製造できる。反応に際しては各原料を同時に混合して反応させることもで きるが、(A)成分および (B)成分を混合した後、(D)成分、または (D)成分および (E )成分を混合して反応させる方法が好ましい。この場合他の添加剤などは (A)、 (B) 成分と同時に混合しても、(D)成分、または (D)成分および (E)成分と同時に混合し てもよい。
[0130] また (D)、 (E)成分は、 (A)、 (B)成分と充分混合された状態で反応させるのが好ま しい。
(A)成分および (B)成分を混合するには、(A)成分および (B)成分を別個に製造 し、(A)成分と (B)成分とを押出機などでブレンドする方法、または (A)成分および(
B)成分を適当な溶媒、たとえばヘプタン、へキサン、デカン、シクロへキサンのような 飽和炭化水素;トルエン、ベンゼン、キシレンのような芳香族炭化水素などに充分溶 解して行う溶液ブレンド法、さらには (A)成分および (B)成分を別個の重合器で合成 して得られるポリマーを別の容器でブレンドする方法などを採用することができる。
[0131] こうして得られた (A)成分および (B)成分の混合物に、そのまま引続いて (D)成分
、または(D)および (E)成分を加えてブレンドし、 (D)成分が分解する温度で反応さ せる。反応を (D)ラジカル開始剤である有機過酸ィ匕物が分解する温度で行うことによ り、耐熱性および成形性に優れた架橋された環状ォレフィン系榭脂組成物を調製す ることがでさる。
[0132] 反応は原料の混合物が溶解した状態の下で行うこともできるし、または原料の混合 物を溶媒に溶解させた溶液状態で行うこともできる。
[0133] 溶融状態で反応を行う場合はミキシングロール、バンバリ一ミキサー、押出機、ニー ダ、連続ミキサーなどの混練装置を用いて、原料の混合物を溶解混練して反応させ る。反応は (D)ラジカル開始剤である有機過酸ィ匕物の 1分半減期の温度以上、即ち 半減期が 1分間となる温度以上、通常 150〜300°C、好ましくは 170〜240°Cで、通 常 10秒〜 30分間、好ましくは 3分〜 10分間行うことができる。
[0134] 溶液状態で反応を行う場合に使用する溶媒としては前記溶媒ブレンド法で用いた 溶媒と同様の溶媒が使用できる。反応は (D)ラジカル開始剤である有機過酸ィ匕物の 1分半減期の温度以上、通常 50°C〜300°Cで、通常 10秒〜 2時間で行うことができ る。
[0135] 上記の反応では(D)ラジカル開始剤である有機過酸ィ匕物が分解してラジカル反応 が起こり、(A)成分および (B)成分が部分的に架橋した結果、耐熱性に優れた反応 生成物が得られるものと推定される。そしてラジカル重合性ィ匕合物である (E)成分が 存在する場合は、さらに架橋しやすくなり、強度的にも優れた反応生成物が得られる 。上記のようにして得られた反応生成物をそのまま、または溶媒を蒸留などの方法に より除去することにより、架橋された耐熱性環状ォレフィン系榭脂組成物が得られる。
[0136] <基板 >
本実施形態の環状ォレフィン系榭脂組成物をシートまたはフィルムに成形すること により、プリント配線基板やパッケージ基板として用いることができる。本実施形態の 環状ォレフィン系榭脂組成物から得られる基板は、誘電率や誘電正接に優れるため 、プリント配線基板のうちでも、高周波回路用基板に好適に用いることができる。榭脂 組成物をシートまたはフィルムに成形する方法は射出成形、押出成形、プレス成形、 キャスティングなど各種公知の方法が適用可能である。
[0137] また、本発明の榭脂組成物を用いて本発明の高周波回路用基板を形成する方法 に特別な制限は無い。例えば、榭脂組成物からシートを形成するか、または榭脂組 成物のシートをガラスクロス等の基材を中心に張り合わせて得ることができる。必要に 応じてそれらのシートやコア材などを金属箔とともに多重に積層して積層板としてもよ い。また他の公知のコア材、フィルム、プリプレダ、金属箔などとともに定法に従って 積層一体ィ匕して得ても良い。例えば、より具体的には、この榭脂組成物のシート 1枚 または複数枚を用い、さらに電解銅箔などの金属箔を重ねた構成とし、成形圧力 1〜 15MPaZcm2で一定時間加熱圧縮することにより、金属箔との接着性に優れ、かつ 耐熱性、誘電特性に優れた高周波回路用積層板を製造することができる。この加圧 圧縮の温度は、金属箔とシートの組み合わせなどによる力 シートの熱融着性を利用 できるので、積層圧締温度はシートのガラス転移温度以上で、 130〜300°Cの範囲 にするのが好ましい。また圧締はシート同士、シートと金属箔などの接合および積層 板の厚み調整のために行うので、圧縮条件は必要に応じて選択することができる。
[0138] 導体金属としては、銅、アルミニウム、ニッケル、金、銀、ステンレス等の金属を用い ることができる。導体層の形成方法としては、該金属類を熱融着させる方法以外にも 、接着剤を用いて張り合わせる方法、もしくはスパッタリング、蒸着、めっき等の方法 で積層して形成する方法で作成することができる。本発明の高周波回路用積層板を 形成する際の榭脂組成物層と導体層の接着に用いることのできる接着剤としては、 エポキシ、ポリイミド等の公知の耐熱性接着剤を使用することができる力 絶縁層の 誘電特性に影響を及ぼさない為に、本発明の榭脂組成物の層厚 Z接着剤の層厚の 比が 2以上であることが好ましぐ 3以上がより好ましい。回路の形成は種々の公知の リソグラフィ一法、例えばエッチング法などで行うことができる。積層板の態様としては 、片面板、両面板のいずれでもよぐ積層数にも制限はないが、 2層〜 30層程度に積 層するのが好ましい。
[0139] [第 2の実施形態]
第 2の実施形態に係る環状ォレフィン系榭脂組成物は、
(A)環状ォレフィン系重合体 35〜85重量部、
(B)軟質共重合体 10〜60重量部、および
(C)変性ポリオレフイン 5〜55重量部
の合計 100重量部に対して、
(D)ラジカル開始剤 0. 01〜5重量部、および
(E)多官能化合物 0〜5重量部、を含んでなる。
[0140] このような環状ォレフィン系榭脂組成物によれば、誘電特性、低吸水性、耐熱性等 に優れる基板を提供することができる。この基板は、高周波領域における誘電特性に 特に優れ、高周波回路用基板として好適に使用することができる。このように、本発 明の環状ォレフィン系榭脂組成物は、基板形成用途に好適に用いることができる。
[0141] さらに、本実施形態の環状ォレフィン系榭脂組成物は、変性ポリオレフイン (C)を含 んでいるため、該組成物から得られる基板は、金属箔等の導電性材料との接着性に 優れる。
[0142] 一方、環状ォレフィン系重合体を無水マレイン酸等で変性処理することで、銅箔等 の導電性材料との接着性を改良することもできる。しかしながら、所定の接着強度を 得るためには変性量を多くする必要がある。このような変性された環状ォレフィン系重 合体を含む榭脂組成物からフィルム等を成形すると、フィルムに黄変が生じたり、耐 熱性が低下するなどの問題がある。
[0143] これに対し、本実施形態の環状ォレフィン系榭脂組成物のように、環状ォレフィン 系重合体と変性ポリオレフインを含む榭脂組成物であれば、該榭脂組成物を成形し て得られるフィルムに黄変が生じることがなぐかつ耐熱性にも優れる。さらに、導電 性材料との接着性をも改良することができる。
[0144] 以下、本実施形態の環状ォレフィン系榭脂組成物に用いられる各成分について説 明する。
なお、環状ォレフィン系重合体 (A)、軟質共重合体 (B)、多官能化合物 (E)として は、第 1の実施形態と同様の化合物を用いることができる。以下、変性ポリオレフイン( C)、ラジカル開始剤 (D)等について説明する。
[0145] く (C)変性ポリオレフイン >
変性ポリオレフイン (C)としては、極性基を有するポリオレフインであれば特に制限 無く用いることができる。本発明で用いられるポリオレフインは、高圧法または低圧法
の何れかによる 1種またはそれ以上のモノォレフィンを重合して得られる結晶性また は非晶性の高分子量固体生成物からなる。このような榭脂は商業的に入手できる。
[0146] 上記ポリオレフインの適当な原料ォレフィンとしては、具体例には、エチレン、プロピ レン、 1—ブテン、 1—ペンテン、 1—へキセン、 2—メチル 1—プロペン、 3—メチル 1 ペンテン、 4ーメチルー 1 ペンテン、 5—メチルー 1一へキセン、 1—オタテン 、 1ーデセンおよびこれらのォレフィンを 2種以上混合した混合ォレフィンが挙げられ る。重合様式はランダム型でもブロック型でも、榭脂状物が得られればどのような重合 様式を採用しても差支えない。
[0147] 本発明の変性ポリオレフインとしては極性モノマーとォレフィンとのブロック共重合体 やポリオレフインに極性モノマーをグラフト共重合したグラフト変性重合体も用いること ができるが特にグラフト変性重合体が好適に用いられる。グラフト変性重合体に用い られる原料ポリオレフインは上記のポリオレフインならばいずれも用いることができるが 特に、エチレン系重合体が好適に用いられる。
[0148] グラフト変性エチレン系重合体の原料として用いられるエチレン系重合体としては エチレン' aーォレフイン共重合体が好ましい。グラフト変性エチレン系重合体の原 料として用いられるエチレン' α—ォレフイン共重合体は、エチレンと炭素原子数 3〜 10の α—ォレフインとの共重合体が好ましい。この炭素原子数 3〜10の α—ォレフィ ンとしては、具体的に、プロピレン、 1—ブテン、 1—ペンテン、 1—へキセン、 3—メチ ルー 1ーブテン、 3—メチルー 1 ペンテン、 3 ェチルー 1 ペンテン、 4ーメチルー 1 ペンテン、 4ーメチルー 1一へキセン、 4, 4 ジメチルー 1 ペンテン、 4ーェチ ルー 1—へキセン、 1—オタテン、 3 ェチル 1—へキセン、 1—オタテン、 1—デセ ンなどが挙げられる。これらは単独でも 2種以上でもよい。これらのうち、プロピレン、 1 ーブテン、 1一へキセン、 1—オタテンのうちの少なくとも 1種以上が特に好ましい。
[0149] エチレン系共重合体中の各構成単位の含量は、エチレン力も誘導される構成単位 の含量が通常 75〜95モル%であり、好ましくは 80〜95モル%であり、炭素原子数 3 〜: L0の a—ォレフインカも選ばれる少なくとも 1つの化合物力も誘導される構成単位 の含量が通常 5〜25モル0 /0であり、 5〜20モル0 /0であることが好ましい。
[0150] グラフト変性に用いられるエチレン' aーォレフイン共重合体は、好ましくは以下の
ような物性を有している。すなわち、
(i)密度力 s855〜910kgZm3、好ましくは、 857〜890kgZm3であり、
(ii) 190°C、 2. 16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が 0. 1〜: LOOgZlO分 、好ましくは、 0. l〜20gZlO分の範囲にあり、
(iii) GPC法により評価される分子量分布の指数 (MwZMn)が 1. 5〜3. 5、好ましく は 1. 5〜3. 0、より好ましくは 1. 8〜2. 5の範囲にあり、
(iv) 13C— NMRスペクトルおよび下記式から求められる B値が 0. 9〜1. 5、好ましく は 1. 0〜1. 2である;
[0151] :^g= [POE]Z(2 * [PE] [PO] )
(式中、 [PE]は共重合体中のエチレンから誘導される構成単位の含有モル分率で あり、 [PO]は共重合体中の α—ォレフィン力 誘導される構成単位の含有モル分率 であり、 [ΡΟΕ]は共重合体中の全ダイアド(dyad)連鎖に対するエチレン · α—ォレ フィン連鎖数の割合である。 ) ο
[0152] その他、グラフト変性エチレン系重合体の原料として用いられるエチレン · aーォレ フィン共重合体は (A)成分に用いられるエチレン' a—ォレフイン共重合体で記載し たのものと同じ特徴を有するものが好適に用いられる力 共重合体のコモノマー種、 密度、分子量等は (A)成分と同じでも異なって!/ヽてもよ!/ヽ。
[0153] 本発明に係るグラフト変性エチレン系重合体は上記エチレン系共重合体を少なくと も 1種の極性基を有するビニル化合物でグラフト変性することで得られる。極性基を 有するビュル化合物としては、極性基として酸、酸無水物、エステル、アルコール、ェ ポキシ、エーテル等の酸素含有基を有するビニル化合物、イソシァネート、アミド等の 窒素含有基を有するビュル化合物、ビュルシラン等のケィ素含有基を有するビュル 化合物等が挙げられる。
[0154] この中でも酸素含有基を有するビニルイ匕合物が好ましぐ不飽和エポキシ単量体、 不飽和カルボン酸およびその誘導体等が好ましい。
[0155] 不飽和エポキシ単量体としては不飽和グリシジルエーテル、不飽和グリシジルエス テル (例えばグリシジルメタタリレート)等が挙げられる。
[0156] 不飽和カルボン酸の例としてはアクリル酸、マレイン酸、フマール酸、テトラヒドロフ
タル酸、ィタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸およびナジック酸™ (ェン ドシスービシクロ [2, 2, 1]ヘプトー 5 ェン 2, 3 ジカルボン酸)などが挙げられ る。
[0157] また不飽和カルボン酸の誘導体としては、たとえば上記不飽和カルボン酸の酸ハラ イド化合物、アミドィ匕合物、イミドィ匕合物、酸無水物、およびエステルイ匕合物などを挙 げることができる。具体的には塩ィ匕マレニル、マレイミド、無水マレイン酸、無水シトラ コン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、グリシジルマレエートなどが挙げ られる。
[0158] これらの中では、不飽和ジカルボン酸またはその酸無水物が好適であり、特にマレ イン酸、ナジック酸™またはこれらの酸無水物が好適である。なお、上記未変性のェ チレン系共重合体にグラフトされる不飽和カルボン酸またはその誘導体のグラフト位 置に特に限定はなぐこのグラフト変性エチレン系重合体を構成するエチレン系重合 体の任意の炭素原子に不飽和カルボン酸またはその誘導体が結合して 、ればよ 、
[0159] 上記のようなグラフト変性エチレン系重合体は、従来公知の種々の方法、例えば次 のような方法を用いて調製することができる。
( 1)上記未変性エチレン系重合体を押出機等で溶融させて不飽和カルボン酸等を 添加してグラフト共重合させる方法。
(2)上記未変性エチレン系重合体を溶媒に溶解させて不飽和カルボン酸等を添加し てグラフト共重合させる方法。
[0160] いずれの方法も、上記不飽和カルボン酸等のグラフトモノマーを効率よくグラフト共 重合させるためにラジカル開始剤の存在下でグラフト反応を行うのが好ま 、。
[0161] 上記ラジカル開始剤として有機ペルォキシド、ァゾィ匕合物などが使用される。このよ うなラジカル開始剤としては、具体的には、ベンゾィルペルォキシド、ジクロルべンゾ ィルペルォキシド、ジクミルペルォキシドなどの有機ペルォキシド;ァゾビスイソブチル 二トリル、ジメチルァゾイソブチレート等のァゾ化合物などが挙げられる。これらの中で は、ジクミルペルォキシド、ジー tert ブチルペルォキシド、 2, 5 ジメチルー 2, 5— ジ(tert ブチルペルォキシ)へキシン一 3、 2, 5 ジメチルー 2, 5 ジ(tert ブチ
ルペルォキシ)へキサン、 1, 4 ビス (tert ブチルペルォキシイソプロピル)ベンゼ ンなどのジアルキルペルォキシドが好ましく用いられる。
[0162] これらのラジカル開始剤は、未変性エチレン系重合体 100重量部に対して、通常 は 0. 001〜1重量部、好ましくは 0. 003〜0. 5重量部、さらに好ましくは 0. 05〜0. 3重量部の量で用いられる。
[0163] 上記のようなラジカル開始剤を用いたグラフト反応あるいはラジカル開始剤を使用 しないで行うグラフト反応における反応温度は、通常 60〜350°C、好ましくは 150〜 300°Cの範囲に設定される。
変性ポリオレフイン (C)は巿場力 容易に入手が可能であり、例えば、商品名;アド マー (三井化学株式会社製)、商品名;モディック (三菱化学株式会社製)、商品名; アドテックス (日本ポリエチレン株式会社製)、商品名; Bynel (DuPont社製)、商品 名; Plexar (Equistar社製)、商品名;Orevac (Arkema社製)、商品名;ユーメッタス (三洋化成工業株式会社製)等を好適に使用することができる。
[0164] <ラジカル開始剤 (D) >
(D)ラジカル開始剤は前記 (C)変性ポリオレフインの製造に記載されたラジカル開 始剤と同様のものを用いることができる。
[0165] 本実施形態の環状ォレフィン系榭脂組成物は、上述の (A)環状ォレフィン系重合 体と、(B)軟質共重合体と、(C)変性ポリオレフインと、(D)ラジカル開始剤とを含ん でなる。具体的には、(A)成分、(B)成分、(C)成分および (D)成分を併用した反応 生成物からなる。また、本発明では、好ましくは、前述の (E)ラジカル重合性の官能 基を分子内に 2個以上有する多官能化合物を含んでなる。つまり、本発明では、これ らの (A)、(B)、(C)および (D)成分と共に (E)成分を併用した反応生成物力もなる 方が、より耐熱性に優れた架橋された榭脂組成物となり、高周波回路用基板に適し ている。
[0166] く(F)無機フィラー >
本実施形態の環状ォレフィン系榭脂組成物は、必要に応じて、(F)無機フィラーを 含んでいてもよい。 (F)無機フイラ一としてはシリカ、ケィ藻土、アルミナ、酸化チタン 、酸化マグネシウム、軽石粉、軽石バルーン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシゥ
ム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バ リウム、亜硫酸カルシウム、タルク、クレー、マイ力、アスベスト、ガラス繊維、ガラスフレ ーク、ガラスビーズ、ケィ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、グラフアイト、ァ ルミ-ゥム粉、硫化モリブデン、ボロン繊維、炭化ケィ素繊維、炭素繊維などが用いら れる。
[0167] 無機フィラーの平均粒径は 0. 01〜: LOOO μ mが好ましぐより好ましくは 0. 05〜5 00 m、さらに好ましくは 0. 1〜: LOO /z mである。無機フィラーが上記範囲内であれ ば混合性が良好で、本発明の効果の一つでもある耐熱性が充分得られ好ましい。無 機フイラ一の形状としては、球状フィラーと破砕状、フレーク状、棒状、板状、鱗片状 等の非球状フィラーのいずれでも使用することができるが、榭脂への充填性の点で 球状が好ましい。
[0168] <その他の成分 >
本実施形態において、環状ォレフィン系榭脂組成物には、上記の (A)、(B)、 (C) および (D)成分、または (A)、(B)、(C)、(D)および (E)成分、または (A)、(B)、 ( C)、(D)、(E)および (F)成分の他に必要に応じて、以下の成分を配合してもよい。
[0169] 具体的には、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキン グ剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス、有機または無機の充填 剤などを挙げることができる。その配合割合は適宜量である。
[0170] 任意成分として配合される安定剤として具体的には、たとえばテトラキス〔メチレン 3 (3,5—ジ一 t—ブチル 4—ヒドロキシフエ-ル)プロピオネート〕メタン、 j8— (3,5— ジ—tーブチルー 4ーヒドロキシフエ-ル)プロピオン酸アルキルエステル、 2,2' —ォ キザミドビス〔ェチル— 3 (3,5—ジ— t—ブチル— 4—ヒドロキシフエ-ル)プロピオネー ト等のフエノール系酸ィ匕防止剤;
ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、 12 ヒドロキシステアリン酸カルシウム 等の脂肪酸金属塩;
グリセリンモノステアレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンジステアレート、ベン タエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリト ールトリステアレート等の多価アルコール脂肪酸エステルなどをあげることができる。
これらは単独で配合してもよいし、組合せて配合してもよい。たとえばテトラキス〔メチ レン一 3 (3,5—ジ一 t—ブチル 4—ヒドロキシフエ-ル)プロピオネート〕メタンとステ アリン酸亜鉛およびグリセリンモノステアレートとの組合せなどを例示することができる
[0171] <環状ォレフイン系榭脂組成物 >
本実施形態の環状ォレフィン系榭脂組成物は、上記のように (A)、(B)、(C)およ び (D)成分、または (A)、(B)、(C)、(D)および (E)成分の反応生成物からなる。反 応生成物を得るための各原料の割合は (A)成分が 35〜85重量部、(B)成分が 10 〜60重量部、(C)成分が 5〜55重量部の割合((A) (B) (C)の合計 100重量部)で 用いられる。好ましくは (A)成分 40〜80重量部、(B)成分 10〜50重量部、(C)成分 10〜50重量部の割合((A) (B) (C)の合計量 100重量部)、特に好ましくは (A)成 分 40〜80重量部、(B)成分 10〜30重量部、(C)成分 10〜30重量部の割合((A) (B) (C)の合計量 100重量部)で用いることが望ま 、。
[0172] また、(A)、(B)および (C)成分の合計 100重量部に対して、(D)成分は、 0. 01〜 5重量部、好ましくは 0. 05〜3重量部の範囲である。さらに、(E)成分を併用する場 合は、(A)、(B)および (C)成分の合計量 100重量部に対して (E)成分は、 0〜5重 量部、好ましくは 0. 01〜3重量部の割合である。各原料の割合を上記範囲で含んで なる環状ォレフィン榭脂組成物を用いることにより、剛性、低吸水性、硬度などに優れ 、しかも耐熱性や、導電性材料との接着性に優れた基板を得ることができる。この基 板は、誘電特性に優れるため、高周波回路用基板に好適に用いることができる。
[0173] 本発明の架橋された耐熱性環状ォレフィン系榭脂組成物カゝらなる高周波回路用基 板には、(A)、(B)、(C)および (D)成分、または (A)、(B)、(C)、(D)および (E)成 分の反応生成物の他に、必要に応じて (F)無機フィラーを含む。(F)無機フィラーを 含む場合、(A)、(B)、(C)、(D)および (E)成分の合計量 100重量部に対して、 0 〜600重量部、好ましくは 50〜500重量部、より好ましくは 100〜400重量部の量で 含む。
[0174] 本実施形態の環状ォレフィン系榭脂組成物は、(A)成分、(B)成分、(C)成分およ び (D)成分を、前記割合で (D)成分が分解する温度で反応させるか、または (A)成
分、(B)成分、(C)成分、(D)成分および (E)成分を、前記割合で (D)成分が分解 する温度で反応させるか、または (A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、(E)成 分および (F)成分を、前記割合で (D)成分が分解する温度で反応させることにより製 造できる。反応に際しては各原料を同時に混合して反応させることもできるが、 (A) 成分、(B)成分および (C)成分を混合した後、(D)成分、または (D)成分および (E) 成分を混合して反応させる方法が好ましい。この場合他の添加剤などは (A)成分、 ( B)成分、(C)成分と同時に混合しても、(D)成分、または (D)成分および (E)成分と 同時に混合してもよい。
[0175] また (D)、 (E)成分は、(A)、 (B)、 (C)成分に混合した際、(D)、(E)成分も充分 混合された状態で反応させるのが好まし ヽ。
[0176] (A)成分、(B)成分および (C)成分を混合するには、(A)成分、(B)成分および (C )成分を別個に製造し、(A)成分、(B)成分と (C)成分とを押出機などでブレンドする 方法、または (A)成分、(B)成分および (C)成分を適当な溶媒、たとえばヘプタン、 へキサン、デカン、シクロへキサンのような飽和炭化水素;トルエン、ベンゼン、キシレ ンのような芳香族炭化水素などに充分溶解して行う溶液ブレンド法、さらには (A)成 分、(B)成分および (C)成分を別個の重合器で合成して得られるポリマーを別の容 器でブレンドする方法などを採用することができる。
[0177] こうして得られた (A)成分、(B)成分および (C)成分の混合物に、そのまま引続い て(D)成分、または (D)および (E)成分を加えてブレンドし、(D)成分が分解する温 度で反応させる。反応を (D)ラジカル開始剤が分解する温度で行うことにより、耐熱 性および成形性に優れた架橋された耐熱性環状ォレフィン系榭脂組成物を調製す ることがでさる。
[0178] 反応は原料の混合物が溶解した状態の下で行うこともできるし、または原料の混合 物を溶媒に溶解した溶液状態で行うこともできる。
[0179] 溶融状態で反応を行う場合はミキシングロール、バンバリ一ミキサー、押出機、ニー ダ、連続ミキサーなどの混練装置を用いて、原料の混合物を溶融混練して反応させ る。反応は(D)ラジカル開始剤の 1分半減期の温度以上、通常 150〜300°C、好まし くは 170〜270°Cで、通常 10秒〜 30分間、好ましくは 1分〜 10分間行うことができる
[0180] 溶液状態で反応を行う場合に使用する溶媒としては前記溶媒ブレンド法で用いた 溶媒と同様の溶媒が使用できる。反応は (D)ラジカル開始剤の 1分半減期の温度以 上、通常 50°C〜300°Cで、通常 10秒〜 2時間で行うことができる。
[0181] 上記の反応では (D)ラジカル開始剤が分解してラジカル反応が起こり、(A)成分お よび (B)成分が部分的に架橋した結果、耐熱性に優れた反応生成物が得られるもの と推定される。そしてラジカル重合性ィ匕合物である (E)成分が存在する場合は、さら に架橋しやすくなり、強度的にも優れた反応生成物が得られる。上記のようにして得 られた反応生成物をそのまま、または溶媒を蒸留などの方法により除去することにより 、架橋された耐熱性環状ォレフィン系榭脂組成物が得られる。
[0182] <基板 >
本実施形態の環状ォレフィン系榭脂組成物をシートまたはフィルムに成形すること により、プリント配線基板やパッケージ基板として用いることができる。本実施形態の 環状ォレフィン系榭脂組成物から得られる基板は、誘電率や誘電正接に優れるため 、プリント配線基板のうちでも、高周波回路用基板に好適に用いることができる。榭脂 組成物をシートまたはフィルムに成形する方法は射出成形、押出成形、プレス成形、 キャスティングなど各種公知の方法が適用可能である。
[0183] また、本発明の榭脂組成物を用いて本発明の高周波回路用基板を形成する方法 に特別な制限は無い。例えば、榭脂組成物からシートを形成するか、または榭脂組 成物のシートをガラスクロス等の基材を中心に張り合わせて得ることができる。必要に 応じてそれらのシートやコア材などを金属箔とともに多重に積層して積層板としてもよ い。また他の公知のコア材、フィルム、プリプレダ、金属箔などとともに定法に従って 積層一体ィ匕して得ても良い。例えば、より具体的には、この榭脂組成物のシート 1枚 または複数枚を用い、さらに電解銅箔などの金属箔を重ねた構成とし、成形圧力 1〜 15MPaZcm2で一定時間加熱圧縮することにより、金属箔との接着性に優れ、かつ 耐熱性、誘電特性に優れた高周波回路用積層板を製造することができる。この加圧 圧縮の温度は、金属箔とシートの組み合わせなどによる力 シートの熱融着性を利用 できるので、積層圧締温度はシートのガラス転移温度以上で、 130〜300°Cの範囲
にするのが好ましい。また圧締はシート同士、シートと金属箔などの接合および積層 板の厚み調整のために行うので、圧縮条件は必要に応じて選択することができる。
[0184] 導体金属としては、銅、アルミニウム、ニッケル、金、銀、ステンレス等の金属を用い ることができる。導体層の形成方法としては、該金属類を熱融着させる方法以外にも 、接着剤を用いて張り合わせる方法、もしくはスパッタリング、蒸着、めっき等の方法 で積層して形成する方法で作成することができる。本発明の高周波回路用積層板を 形成する際の榭脂組成物層と導体層の接着に用いることのできる接着剤としては、 エポキシ、ポリイミド等の公知の耐熱性接着剤を使用することができる力 絶縁層の 誘電特性に影響を及ぼさない為に、本発明の榭脂組成物の層厚 Z接着剤の層厚の 比が 2以上が好ましぐ 3以上がより好ましい。回路の形成は種々の公知のリソグラフ ィ一法、例えばエッチング法などで行うことができる。積層板の態様としては、片面板 、両面板のいずれでもよぐ積層数にも制限はないが、 2層〜 30層程度に積層する のが好ましい。
[0185] [実施例]
本発明を以下に実施例を用いてより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例 によって何ら制限されるものではない。本発明において、各物性は以下の方法で測 定された。
[0186] <実施例 A>
(誘電率および誘電正接)
空洞共振器法により、 25°Cで 12GHzにおける誘電率( ε )および誘電正接 (tan δ ) を測定した。誘電特性としては、 εは 2. 5以下、 tan δは 0. 001以下、 ε X tan δ が 1. 53Ε— 03以下であれば実用上問題ないと判断した。
[0187] (吸水率)
JIS Κ7209の方法〖こ準拠して、 40mm X 20mm X厚み 2mmの試験片を用いて、 2 3°C、 48時間、蒸留水に浸潰した。浸漬前後での試験片の重量変化を測定すること により、吸水率を算出した。吸水率は、 0. 1%未満であれば実用上問題ないと判断し た。
[0188] (リフロー耐熱性)
JIS C6481の方法に準拠して、 10mm X 30mm X厚み lmmの試験片に表面およ び裏面に銅箔をプレス成形により張り合わせ、一部銅箔除去面 (試験片の側面)のあ る銅張積層板試験片を作成し、これを 105°C、 75分間の前処理の後、沸騰水中に 1 時間浸して調湿した。赤外線及び熱風併用型リフロー半田装置(日本アントム工業 株式会社製 SOLS YS - 2001R)を用いて、昇温 60秒→175°C保持 90秒→昇温 5 0秒→260°C保持 30秒→冷却の温度プロファイルでリフロー工程を行!、、試験片外 観形状の変化の有無を評価した。
評価基準は、試験片の変形、試験片の榭脂成分が流れる度合いについて以下のと おりである。
[0189] 変形
目視で判断し、レベル 4以上で実用上問題ないと判断した。
[0190] 基準
レベル 5 :変形が全く無い。
レベル 4:変形が微小である。
レベル 3 :変形が有る。
レベル 2 :変形が有り、表面の凹凸が少し斑模様的に認められる。銅箔の剥離も少し 認められる。
レベル 1 :変形が顕著に大きぐ表面の凹凸も大きく認められる。銅箔の剥離も認めら れる。
[0191] 榭脂流れ
銅箔除去面 (試験片の側面)からの榭脂成分の流れ出る度合!、を目視で判断した。 レベル 4以上で実用上問題な 、と判断した。
[0192] 基準
レベル 5:榭脂が全く流れ出て 、な!/、。
レベル 4:榭脂が極わずか流れ出て 、る。
レベル 3:榭脂が流れ出て 、る。
レベル 2:銅箔除去面 (試験片の側面)から樹脂が流れ出ており、一部発泡して膨張 している。
レベル 1 :銅箔除去面 (試験片の側面)から樹脂が流れ出ており、一部発泡して膨張 しており、銅箔の剥離も認められる。
[0193] (引張伸び)
ASTM D638に準拠して、試験速度 50mmZ分で引張り伸びを測定した。
[0194] [実施例 a— 1]
ガラス転移温度が 145°C、 MFRが 7gZlO分(260°C、 2. 16kg)の(A)エチレン' テトラシクロドデセン共重合体 (共重合比(モル基準):エチレン Zテトラシクロドデセン = 60Z40)を 50重量0 /0、 MFR力 O. 4gZlO分(230。C、 2. 16kg)、エチレン含量 8 Omol%、密度: 867kgZm3の(B)エチレン 'プロピレン共重合体を 50重量0 /0混合し た後、二軸押出機 (池貝鉄工株式会社製 PCM-45)を使用して、シリンダー温度 25 0°C、ダイス温度 250°C、スクリュー回転数 lOOrpmで溶融混合し、ペレタイザ一にて ペレツトイ匕を行った。得られたペレット((A) + (B) ) 100重量部に対して、(D)成分と して有機過酸ィ匕物 (パーへキシン 25B :日本油脂株式会社製)を 0. 1重量部、(E)成 分としてジビュルベンゼンを 0. 1重量部添加して、充分混合した。この混合物を前記 の二軸押出機を使用して、シリンダー温度 250°C、ダイス温度 250°C、スクリュー回転 数 80rpmで溶融反応を行った。最終的に、ペレタイザ一でペレツトイ匕した。
[0195] 得られたペレットを用いて、誘電特性およびリフロー耐熱性評価用に厚み lmmの シートをプレス成形により、吸水率評価用に厚み 2mmのシートを射出成形により調 製した。得られたシートを用いて誘電特性、吸水率、リフロー耐熱性、引張伸びを評 価した。その結果を表 1に示す。
[0196] [実施例 a— 2]
前記 (A)エチレン'テトラシクロドデセン共重合体 70重量%と前記 (B)エチレン'プ ロピレン共重合体 30重量%を使用し、さらに (A) + (B) 100重量部に対して、(D)成 分として有機過酸ィ匕物 (パーへキシン 25B :日本油脂株式会社製)を 0. 2重量部、 ( E)成分としてジビュルベンゼンを 0. 2重量部を使用した以外は、実施例 a— 1と同様 にして成形を行った。得られたシートを用いて誘電特性、吸水率、リフロー耐熱性を 評価した。その結果を表 1に示す。
[0197] [実施例 a— 3]
ガラス転移温度 115°C、 MFRが 22gZlO分(260°C、 2. 16kg)の(A)エチレン' テトラシクロドデセン共重合体 (共重合比(モル基準):エチレン Zテトラシクロドデセン = 70,30) 50重量0 /0、 MFR力^). 5gZlO分(190。C、 2. 16kg)、密度 885kgZm 3の(B)エチレン'ブテン共重合体を 50重量%使用した以外は、実施例 a— 1と同様 にして成形を行った。得られたシートを用いて誘電特性、吸水率、リフロー耐熱性、 引張伸びを評価した。その結果を表 1に示す。
[0198] [実施例 a— 4]
(A)エチレン'テトラシクロドデセン共重合体に代えて、ガラス転移温度 105°C、 MF R力 20gZlO分(280°C、 2. 16kg)の(A)ジシクロペンタジェンの開環重合体の水 素添加物(ゼォノア 1020R(日本ゼオン株式会社製) ) 50重量%を使用した以外は、 実施例 a— 1と同様にして成形を行った。得られたシートを用いて誘電特性、吸水率、 リフロー耐熱性、引張伸びを評価した。その結果を表 1に示す。
[0199] [比較例 a— 1]
共重合体成分として、ガラス転移温度 145°C、 MFRが 7gZlO分(260°C、 2. 16k g)である前記 (A)エチレン'テトラシクロドデセン共重合体 100重量%のみを使用し、 (B)、(D)および (E)は使用しない以外は、実施例 a— 1と同様にして成形を行った。 得られたシートを用いて誘電特性、吸水率、リフロー耐熱性を評価した。その結果を 表 1に示す。
[0200] [比較例 a— 2]
共重合体成分として、ガラス転移温度 145°C、 MFRが 7gZlO分(260°C、 2. 16k g)である前記 (A)エチレン'テトラシクロドデセン共重合体 100重量%のみを使用し、 (B)は使用しない以外は、実施例 a— 1と同様にして成形を行った。得られたシートを 用いて誘電特性、吸水率、リフロー耐熱性を評価した。その結果を表 1に示す。
[0202] 実施例 a— l〜a— 4の環状ォレフィン系榭脂組成物は、誘電特性、吸水率、リフロ 一耐熱性のいずれにおいても優れていることが認められた。一方、比較例 a— l〜a 2は、軟質重合体を用いていないため、実施例 a— l〜a 4と比較してリフロー耐 熱性が劣る傾向が認められた。
[0203] 実施例 a— 1で得られたペレットを用いて、 50mm φの単軸押出機装備の Τ—ダイ 成形機にて、シリンダー温度および金型温度 260°Cで、幅 600mm、厚さ 40 μ mの 榭脂フィルムを作製した。
[0204] 次 、で、該榭脂フィルムと Eガラスクロスとを、最外層が榭脂フィルムとなるように交 互に積層することで積層体を得た。
[0205] 該積層体において、 Eガラスクロスを 2枚使用した場合は、厚み 90 mの Eガラスク ロスを用いた。中心に配する榭脂フィルムカゝらなる層は、厚さ 40 mの榭脂フィルム を 4枚重ね、その他の榭脂フィルムからなる層は、厚さ 40 mの榭脂フィルムを 8枚 重ねて形成した。また、 Eガラスクロスを 8枚使用した場合は、厚さ 60 mの Eガラスク ロスを用いた。榭脂フィルムカゝらなる層は、厚さ 40 mの榭脂フィルムを 10枚重ねて 形成した。
[0206] 次 、で、上記で得られた積層体の最外層(榭脂フィルム層)の両側に、金属箔とし て厚さ 100 mの銅箔を、マット面が榭脂フィルム層になるように重ねた。次に、離型 フィルムとしてポリイミド製フィルムを重ねた後、 2枚のステンレス製金属板の間に挟み 、ミニテストプレス (株式会社東洋精機製)を用いて、温度 300°C、圧力 3MPaで 12 分間熱プレスした。これにより、厚さ約 0. 8mmの両面銅張の積層板を得た。
[0207] そして、得られた両面銅張積層板力も切り出した試験片を用いて、 JIS C6481に 準拠して温度 260°Cではんだ耐熱性の試験を行った。その結果、両面銅張積層板 は変形することなく、はんだ耐熱性は良好であった。
[0208] <実施例 B>
実施例 Bにおいて、実施例 Aと同様の方法により、「誘電率および誘電正接」、「吸 水率」、「リフロー耐熱性」、「引張伸び」、を測定した。さらに、実施例 Bにおいては、 以下の方法により「接着性」を測定した。
[0209] (接着性)
JIS C6481の方法に準拠して、 25mm X 75mm X厚み lmmの試験片に表面お よび裏面に銅箔をプレス成形により張り合わせ、一部銅箔除去面 (試験片の側面)の ある銅張積層板試験片を作成し、これを用いて、銅箔の引き剥がし強度を評価した。 銅箔の引き剥がし強度としては、 0. 8kNZm以上あれば、実用上問題ないと判断し た。
[0210] [実施例 b— 1]
ガラス転移温度が 145°C、 MFRが 7gZlO分(260°C、 2. 16kg)の(A)エチレン' テトラシクロドデセン共重合体 (共重合比(モル基準):エチレン Zテトラシクロドデセン = 60Z40)を 50重量0 /0、 MFR力 O. 4gZlO分(230。C、 2. 16kg)、エチレン含量 8 Omol%、密度: 867kgZm3の(B)エチレン 'プロピレン共重合体を 25重量%、 MFR が 2. 6gZlO分(温度: 190°C、荷重 2. 16kg)、密度 880kgZm3の(C)変性ポリオ レフイン (無水マレイン酸変性エチレン'プロピレン共重合体)を 25重量0 /0混合した後 、二軸押出機 (池貝鉄工株式会社製 PCM— 45)を使用して、シリンダー温度 250°C、 ダイス温度 250°C、スクリュー回転数 lOOrpmで溶融混合し、ペレタイザ一にてペレツ ト化を行った。得られたペレット((A) + (B) + (C) ) 100重量部に対して、(D)成分と して有機過酸ィ匕物 (パーへキシン 25B :日本油脂株式会社製)を 0. 1重量部、(E)成 分としてジビュルベンゼンを 0. 1重量部添加して、充分混合した。この混合物を前記 の二軸押出機を使用して、シリンダー温度 250°C、ダイス温度 250°C、スクリュー回転 数 80rpmで溶融反応を行った。最終的に、ペレタイザ一でペレツトイ匕した。
[0211] 得られたペレットを用いて、誘電特性、リフロー耐熱性および銅箔引き剥がし強度 評価用に厚み lmmのシートをプレス成形により、吸水率評価用に厚み 2mmのシー トを射出成形により調製した。得られたシートを用いて誘電特性、吸水率、リフロー耐 熱性、接着性、引張伸びを評価した。その結果を表 2に示す。
[0212] [実施例 b— 2]
前記 (A)エチレン'テトラシクロドデセン共重合体 70重量%、 MFRが 0. 5gZlO分 (温度 190°C、荷重 2. 16kg)、密度 885kgZm3、エチレン含量 90mol%の(B)ェチ レン'ブテン共重合体 15重量0 /0、 MFRが 3. OgZlO分、密度 893kgZm3の(C)変 性ポリオレフイン (無水マレイン酸変性エチレン ·ブテン共重合体) 15重量%を使用し
、さらに((A) + (B) + (C) ) 100重量部に対して、(D)成分として有機過酸化物 (パ 一へキシン 25B :日本油脂株式会社製)を 0. 1重量部、(E)成分としてジビニルベン ゼンを 0. 1重量部使用した以外は、実施例 b—1と同様にして成形を行った。得られ たシートを用いて誘電特性、吸水率、リフロー耐熱性、接着性を評価した。その結果 を表 2に示す。
[0213] [実施例 b— 3]
前記 (A)エチレン'テトラシクロドデセン共重合体 50重量%と前記 (B)エチレン'プ ロピレン共重合体 25重量%と、実施例 b— 1と同様の(C)変性ポリオレフイン 25重量 %とを使用し、さらに((A) + (B) + (C) ) 100重量部に対して、(D)成分として有機 過酸ィ匕物 (パーへキシン 25B :日本油脂株式会社製)を 0. 1重量部、(E)成分として ジビュルベンゼンを 0. 1重量部使用して実施例 b—1と同様にペレツトイ匕した。さらに 、得られたペレット 100重量部に対して、(F)導電性無機フィラーを 400重量部使用 してラボプラストミル装置で、温度 250°C、スクリュー回転数 50rpmで溶融混練を行つ た以外は、実施例 1と同様にして成形を行った。得られたシートを用いて誘電特性、 吸水率、リフロー耐熱性、接着性を評価した。その結果を表 2に示す。
[0214] [実施例 b— 4]
前記 (A)エチレン'テトラシクロドデセン共重合体に代えて、ガラス転移温度 105°C 、 MFR力 20gZlO分(280°C、 2. 16kg)の(A)ジシクロペンタジェンの開環重合体 の水素添加物(ゼォノア 1020R (製品名、 日本ゼオン株式会社製) ) 50重量%を使 用した以外は、実施例 b— 1と同様にして成形を行った。得られたシートを用いて誘 電特性、吸水率、リフロー耐熱性、接着性、引張伸びを評価した。その結果を表 2〖こ 示す。
[0215] [実施例 b— 5]
ガラス転移温度 145°C、 MFRが 7gZlO分(260°C、 2. 16kg)の前記(A)ェチレ ン 'テトラシクロドデセン共重合体 50重量%と前記 (B)エチレン 'プロピレン共重合体 50重量%、さら〖こ((A) + (B) ) 100重量部に対して、(D)成分として有機過酸化物( パーへキシン 25B :日本油脂株式会社製)を 0. 1重量部、(E)成分としてジビュルべ ンゼンを 0. 1重量部使用し、(C)変性ポリオレフインは使用しない以外は、実施例 b
—1と同様にして成形を行った。得られたシートを用いて誘電特性、吸水率、リフロー 耐熱性、接着性を評価した。その結果を表 2に示す。
[0216] [実施例 b— 6]
ガラス転移温度 145°C、 MFRが 7gZlO分(260°C、 2. 16kg)の前記(A)ェチレ ン 'テトラシクロドデセン共重合体 80重量%と、前記 (B)エチレン 'プロピレン共重合 体 20重量%、さら〖こ((A) + (B) ) 100重量部に対して、(D)成分として有機過酸ィ匕 物 (パーへキシン 25B :日本油脂株式会社製)を 0. 1重量部、(E)成分としてジビ- ルベンゼンを 0. 05重量部使用し、(C)変性ポリオレフインは使用しない以外は、実 施例 b—1と同様にして成形を行った。得られたシートを用いて誘電特性、吸水率、リ フロー耐熱性、接着性を評価した。その結果を表 2に示す。
[0217] [実施例 b— 7]
ガラス転移温度 145°C、 MFRが 7gZlO分(260°C、 2. 16kg)の前記(A)ェチレ ン 'テトラシクロドデセン共重合体 40重量%と、前記 (B)エチレン 'プロピレン共重合 体 60重量%、さら〖こ((A) + (B) ) 100重量部に対して、(D)成分として有機過酸ィ匕 物 (パーへキシン 25B :日本油脂株式会社製)を 0. 1重量部、(E)成分としてジビ- ルベンゼンを 0. 1重量部使用し、(C)変性ポリオレフインは使用しない以外は、実施 例 b— 1と同様にして成形を行った。得られたシートを用いて誘電特性、吸水率、リフ ロー耐熱性、接着性を評価した。その結果を表2に示す。
[0218] (表 2)
表 2
[0219] 実施例 b— l〜b— 7の環状ォレフィン系榭脂組成物は、誘電特性、吸水率、リフロ 一耐熱性のいずれにおいても優れていることが認められた。さらに、(C)変性ポリオレ フィンを含有している実施例 b— l〜b— 4の環状ォレフィン系榭脂組成物は、接着性 にも優れることが認められた。
[0220] 実施例 b— 5において、実施例 b— l〜b— 4と同等の接着性が得られるように、ェチ レン'テトラシクロドデセン共重合体 (A)をマレイン酸変性したところ、榭脂組成物から 得られたシートに黄変が生じ、さらに耐熱性が低下した。
[0221] また、実施例 b— 1で得られたペレットを用いて、実施例 Aと同様にして、榭脂フィル ムを作製し、該榭脂フィルムと Eガラスクロスとから積層体を得た。
[0222] 実施例 Aと同様にして得られた両面銅張積層板から切り出した試験片を用いて、 JI S C6481に準拠して温度 260°Cではんだ耐熱性の試験を行った。その結果、両面 銅張積層板は変形することなぐはんだ耐熱性は良好であった。
産業上の利用可能性
[0223] 本発明の環状ォレフィン系榭脂組成物によれば、誘電特性、低吸水性、耐熱性等 に優れる基板を提供することができる。この基板は、高周波領域における誘電特性に 特に優れ、高周波信号の伝送等に好適な高周波回路用基板として使用することがで きる。