明 細 書
油圧式無段変速装置及び動力伝達装置 技術分野
本発明は、 産業機械や車両等、 各種の産業分野で広く利用可能な油圧式無段変 速装置及び動力伝達装置に関するものである。 背景技術
従来、 複数のプランジャの往復動によって作動油を吐出, 吸入する第 1油圧装 置と、 複数のプランジャの当接によって出力回転を得る出力回転部を有する第 2 油圧装置とを備える油圧式無段変速装置が知られている。 このような油圧式無段 変速装置の第 1及び第 2油圧装置は、 シリンダブ口ックを共有し、 同シリンダブ ロックはその軸線の周りで回転する。 また、 シリンダブロックには、 第 1油圧装置における複数の第 1プランジャが 収納される複数の第 1プランジャ室と、 第 2油圧装置における複数の第 2プラン ジャが収納される複数の第 2ブランジャ室と、 第 1及び第 2プランジャ室の間で 作動油を循環させるための油圧閉回路とが設けられている。 そして、 シリンダブ ロックに設けられた複数の分配弁の往復動によって、 前記第 1及び第 2プランジ ャ室間で作動油が循環する。 このような油圧式無段変速装置において、 従来、 前記各分配弁に軸線方向の往 復動を付与するために、 各分配弁をシリンダブロックの軸線と平行に配置して、 分配弁の先端を斜板に当接させていた。 上記した従来技術においては、 各分配弁の先端を斜板に当接させることによつ て、 各分配弁がシリンダプロックの軸,線周りに一周する間に、 その分配弁が軸方 向に往復動する。 し力 し、 このような構成の場合、 各分配弁を斜板に向かって押 し付けるため、 パネ等の押圧手段が必要であった。
さらに、 図 2 1に示すように、 従来の無断変速装置において、 シリンダブ口ッ ク 3 1 1には油圧閉回路を構成する複数のプランジャ孔 3 1 2、 及ぴ弁孔 3 1 3 が設けられている。 そして、 プランジャ孔 3 1 2及び弁孔 3 1 3には、 油圧閉回 路内において作動油に所定の流通動作を行わせるためのプランジャ 3 14及ぴ切 替弁 3 1 5がそれぞれ配されている。 前記プランジャ孔 3 1 2と弁孔 3 1 3はシ リンダブロック 3 1 1の軸線の回りに配置されており、 油路 3 1 7を介して互い に連通されている。 また、 シリンダブロック 3 1 1の軸線の回りに環状に形成さ れた第 1及び第 2油室 3 1 8、 3 1 9がシリンダブロック 3 1 1の軸方向に並設 されており、 シリンダブロック 3 1 1に設けられた全ての弁孔 3 1 3に連通して いる。 前記切替弁 3 1 5は弁孔 3 1 3の径と略同径に形成された第 1〜第 3ランド部 3 1 6 a〜 3 1 6 cを備えており、 スプール型に形成されている。 そして、 切替 弁 3 1 5が弁孔 3 1 3内で往復移動することにより、 弁孔 3 1 3を介して、 油路 3 1 7 (プランジャ孔 3 1 2) と第 1又は第 2油室 3 1 8、 3 1 9の何れかに作 動油が流れるように流通路が切換えられる。 従来の装置では、 切替弁 3 1 5が往復移動することで、 作動油の流通路を切換 えているため、 前記切替弁 3 1 5の往復移動中に、 油路 3 1 7と弁孔 3 1 3 (即 ち第 1及ぴ第 2油室 3 1 8, 3 1 9) との間で作動油の授受が行われない位置が 存在する。 このときの切替弁 3 1 5の位置をシール位置という。 そして、 切替弁 3 1 5がシール位置に配置されたとき、 図 2 1に示すように、 切替弁 3 1 5の第 2ランド部 3 1 6 bにて油路 3 1 7と弁孔 3 1 3の合流部であるポート 3 20が 閉鎖されていた。 この結果、 油路 3 1 7と弁孔 3 1 3 (第 1及ぴ第 2油室 3 1 8, 3 1 9) との間の作動油の授受は行われない。 しかし、 このように切替弁 3 1 5がシール位置に配置される際に、 単に第 2ラ ンド部 3 1 6 bでポート 320を閉鎖するだけの構成とした場合、 第 2ランド部
3 1 6 bは、 油路 3 1 7に溜まる作動油によってその外周面の一部に集中的に圧 力を受ける。 この結果、 切替弁 3 1 5の弁孔 3 1 3内での往復動がスムーズに行 われないおそれがある。 そこで、 図 2 2に示すように、 ポート 3 2 0に対応した弁孔 3 1 3の部位を拡 径して拡径部 3 2 1を形成し、 シール位置に切替弁 3 1 5が配置される際におい て、 前記拡径部 3 2 1と第 2ランド部 3 1 6 bが相対するように構成することが 考えられる。 このようにすれば、 油路 3 1 7と弁孔 3 1 3 (第 1及び第 2油室 3 1 8, 3 1 9 ) との間の作動油の授受が停止された際でも、 前記第 2ランド部 3 1 6 bの周面に亘つて作動油が溜まるようになる。 この結果、 油路 3 1 7に溜ま る作動油によって第 2ランド部 3 1 6 bの外周面の一部に集中的に圧力を受ける ことなく、 切替弁 3 1 5の往復動はスムーズに行われる。 し力 しながら、 前記拡径部 3 2 1は、 弁孔 3 1 3の長手方向の中間に位置する ポート 3 2 0に対応した部位に形成されている。 このため、 シリンダプロック 3 1 1の製造工程において、 弁孔 3 1 3の拡径部 3 2 1を形成する際に以下のよう な不具合が生じる。 即ち、 通常、 弁孔 3 1 3は、 まずドリル等により所定径の孔 を穿設し、 その後、 拡径部 3 2 1を切削加工することで形成される。 このとき、 前記拡径部 3 2 1を形成するために、 例えば細い L字状の工具を用いて、 弁孔 3 1 3の開口から前記工具を挿入し、 切削加工しなければならない。 このため、 拡 径部 3 2 1を形成するために非常に煩雑な作業が求められ、 加工工程数が増えて しまうという問題があった。
本発明は上記した事情に鑑みてなされたものであり、 その目的は、 各分配弁を 往復動させるための構造をシンプルにでき、 しかも、 弁孔を簡便に形成すること ができる油圧式無段変速装置及び動力伝達装置を提供することにある。 発明の開示
上記の課題を解決するため、 本発明の実施態様による油圧式無段変速装置は、 第 1ブランジャ及びブランジャ当接部を備え、 同当接部によつて第:
を作動させる可変容量形の第 1油圧装置と、 第 2プランジャを備え、 第 2プラン ジャとの当接により回転する出力回転部を設けた第 2油圧装置とを有する。 シリ ンダブ口ックは軸心周りに回転可能に構成され、 第 1及ぴ第 2プランジャをそれ ぞれ収納する第 1プランジャ孔及び第 2プランジャ孔が設けられている。 油圧閉 回路は第 1及び第 2ブランジャ孔を接続し、 第 1及ぴ第 2ブランジャ孔の間で作 動油を循環させる。 分配弁は油圧閉回路内の作動油の循環を制御する。 弁孔はそ の分配弁を収納するために前記シリンダブ口ックに形成されている。 軸は前記シ リンダプロックを貫通し、 当該軸とシリンダブロックとが同期回転し、 かつ、 前 記出力回転部が前記軸の周りに回転可能に支持されている。 前記弁孔と第 1及ぴ 第 2プランジャ孔とを接続する油路がシリンダブ口ックに形成され、 その油路は 前記弁孔が第 1及び第 2プランジャ孔のそれぞれに合流する合流部を備えている。 分配弁は、 作動油のプランジャ孔への流入又は作動油のプランジャ孔からの流出 を停止する際に、 前記合流部の両側に位置するランド部分と、 前記合流部に相対 する軸部分とを有し、 前記ランド部分の断面積は弁孔の断面積とほぼ等しく設定 され、 かつ前記軸部分の断面積は弁孔の断面積よりも小さく設定されている。 この無段変速装置によれば、 分配弁が作動油の流れを停止するとき、 その軸部 分において均等に油圧を受けることができ、 分配弁の往復動をスムーズに行うこ とが可能になる。 また、 分配弁の周囲においてシリンダブロックに油溝を形成す る場合に比べて、 加工工数を低減することができる。 実施態様の無段変速装置において、 第 2油圧装置の第 2ブランジャ孔内におけ る作動油の圧力を解放するための手段を更に備えることが望ましい。 この場合、 無段変速装置に対する動力の入力を遮断することなく、 出力回転部に対する動力 伝達を停止することができる。 実施態様の無段変速装置において、 前記油圧閉回路は第 1油室及び第 2油室を 備え、 前記シリンダブ口ックが軸心周りに 1回転する間に、 第 1ブランジャ孔が 第 1油室と連通する区間及び第 2油室と連通する区間がそれぞれ設定され、 出力
回転部がシリンダブ口ックに対して軸心周りに 1回転する間に第 2ブランジャ孔 が第 1油室と連通する区間及び第 2油室と連通する区間がそれぞれ設定され、 第 1油圧装置の行程容積が第 2油圧装置の行程容積を上回る範囲を有し、 第 1及ぴ 第 2油室の内、 前記出力回転部が正方向へ回転する時に低圧側となる油室に油抜 き手段を設け、 出力回転部が逆方向へ回転するときに前記油抜き手段をシーノレす るためのシール手段を設けることが望ましい。 この場合、 第 1油圧装置の行程容積が第 2油圧装置の行程容積を上回る範囲を 有すれば、 本変速機のみにより、 出力回転部の正回転から逆回転まで、 広い範囲 の出力を得ることができる。 また、 第 1及び第 2油室の内、 前記出力回転部が正 方向へ回転する時に低圧側となる油室に油抜き手段を設ければ、 出力回転部が停 止する中立状態を容易に実現することができ、 出力回転部の正回転時には、 作動 油の漏れを未然に防止できる。 さらに、 出力回転部が逆方向へ回転するときに前 記油抜き手段をシールするためのシール手段を設ければ、 出力回転部の逆回転時 にも作動油の漏れを未然に防止できる。 実施態様の油圧式無段変速装置において、 前記拘束手段を前記シリンダブ口ッ クの軸心に沿って変位させるための変位手段を備え、 かつ、 第 1油圧装置の最大 行程容積が第 2油圧装置の最大行程容積よりも大きく設定されていることが望ま しい。 この場合、 第 2油圧装置の最大行程容積を小さく設定することができる。 その結果、 第 1及ぴ第 2油圧装置の容積差に基づいて、 本変速機のみにより、 出 力回転部の正回転から逆回転まで、 広い範囲の出力を得ることができる。 さらに、 第 1及び第 2油圧装置の容積差を僅かに設定した場合には、 第 1及び第 2油圧装 置において同一構成のプランジャを使用することが可能になる。 実施態様の油圧式無段変速装置において、 前記拘束手段は前記シリンダブ口ッ クの軸線方向に沿った異なる二位置のいずれかにおいて保持されるようにするこ とが望ましい。 この場合、 拘束手段がいずれかの位置に保持されているときに、 第 1及び第 2油圧装置間に容積差を生じさせることができ、 よって、 本変速機の
みにより、 出力回転部の正回転から逆回転まで、 広い範囲の出力を得ることがで きる。 本発明の実施態様の無段変速装置と、 軸に対する動力の入力を制御する第 1制 御手段と、 出力回転部による回転力の出力を制御する第 2制御手段とによって動 力伝達装置を構成することも可能である。 前記第 1制御手段は、 動力を発生するための原動機と、 その原動機の動力を前 記軸に選択的に伝達するためのクラツチ機構とを備え、 前記第 2制御手段は出力 軸を有するシフト装置を備え、 そのシフト装置は前記出力回転部の回転力を前記 出力軸に選択的に伝達し、 かつ出力回転部の回転方向を正方向又は逆方向に変更 することが望ましい。 図面の簡単な説明
図 1は本発明を具体化した第 1実施形態の無段変速装置の断面図。
図 2は図 1の 2— 2線断面図。
図 3は図 1の 3— 3線断面図。
図 4は図 1の装置の部分拡大断面図。
図 5は図 1の装置の別の部分の拡大断面図。
図 6 ( a ) はリテーナ (往復動付与部材) の正面図、 図 6 ( b ) はリテーナ及 ぴ切替弁の要部拡大図、 図 6 ( c ) はリテーナ及ぴ切替弁の変形例を示す要部拡 大図。
図 7は第 1切替弁及ぴ第 2切替弁によりポートが開口されるタイミングを示す 説明図。
図 8は無段変速装置を含む動力伝達装置の概念図。
図 9は第 1実施形態の無段変速装置の作用を示す概念図。
図 1 0は同じく無段変速装置の作用を示す概念図。
図 1 1はシフタ一の平面図。
図 1 2は行程容積と出力回転数との関係を表した特性図。
図 1 3は第 2実施形態における無段変速装置の断面図。
図 1 4は図 1 3の無段変速装置の部分拡大断面図。
図 1 5は図 1 3の無段変速装置の別の部分の拡大断面図
図 1 6 ( a ) は第 2実施形態の変形例における往復動付与部材 (リテーナ) を 示す正面図、 図 1 6 ( b ) は同じく要部拡大図。
図 1 7は第 2'実施形態の変形例における無段変速装置の要部拡大図。
図 1 8は同じく動力伝達装置の要部概念図。
図 1 9は本発明を具体化した第 3実施形態の無段変速装置の断面図。
図 2 0は要部断面図。
図 2 1は従来の油圧装置を示す要部断面図。
図 2 2は従来の別の油圧装置を示す要部断面図。
図 2 3は本発明を具体化した第 4実施形態の無段変速装置の平断面図。
図 2 4は無段変速装置のシリンダブ口ックの横断面図。
図 2 5は図 2 4の 2 5— 2 5 ,線断面図。
図 2 6は要部断面図。
図 2 7は要部断面図。
図 2 8は要部断面図。
図 2 9は第 4実施形態の無段変速装置の概念図。
図 3 0は無段変速装置の作用を示す概念図。
図 3 1は無段変速装置の作用を示す概念図。
図 3 2は行程容積と出力回転数との関係を表した特性図。
図 3 3は第 5実施形態の無段変速装置の平断面図。
図 3 4は要部断面図。
図 3 5は第 5実施形態の無段変速装置の概念図。
図 3 6は無段変速装置の作用を示す概念図。
図 3 7は無段変速装置の作用を示す概念図。
図 3 8は行程容積と出力回転数との関係を表した特性図。
図 3 9はポートが開口するタイミングを示す説明図。
図 4 0は第 6実施形態の無段変速装置の平断面図。
図 4 1は要部断面図。
図 4 2は無段変速装置の動作状態を示す断面図。
図 4 3は第 6実施形態の無段変速装置の概念図。
図 4 4は無段変速装置の作用を示す概念図。
図 4 5は無段変速装置の作用を示す概念図。
図 4 6は行程容積と出力回転数との関係を表した特性図。
図 4 7は第 7実施形態の無段変速装置の平断面図。
図 4 8は第 1油圧装置の横断面図。
図 4 9は無段変速装置の動作状態を示す横断面図。
図 5 0は無段変速装置の動作状態を示す横断面図。
図 5 1は第 2油圧装置の横断面図。
図 5 2は第 8実施形態の無段変速機の要部断面図。
図 5 3は無段変速装置の要部断面図。
図 5 4は無段変速装置の動作状態を示す概念図。
図 5 5は行程容積と出力回転数とを表した特' 図。
図 5 6は第第 9及び 1 1実施形態の無段変速装置における行程容積と出力回転 数とを表した特个生図。
図 5 7は第 1 0実施形態における無段変速装置のシフターを示す図。
図 5 8は第 1 0実施形態における無段変速装置の行程容積と出力回転数との関 係を表した特性図。 発明を実施するための最良の形態
第 1実施形態
以下、 本発明を作業用車両の走行のために使用される油圧式無段変速装置 (以 下、 無段変速装置という) 2 0と、 同無段変速装置 2 0を含む動力伝達装置に具 体化した第 1の実施形態を、 図 1〜図 1 2に従って説明する。 図 1及ぴ図 3に示すように無段変速装置 2 0は、 作業用車両のパワーュュット のケース 2 6内に収納されている。 無段変速装置 2 0は、 第 1油圧装置 1 0 0と
第 2油圧装置 2 0 0とを備え、 第 1油圧装置 1 0 0と第 2油圧装置 2 0 0との間 に油圧閉回路 C (図 9及び図 1 0参照) が形成されている。 図 8は無段変速装置 2 0を含む動力伝達装置を示す概念図である。 無段変速装 置 2 0の入力軸 2 1は、 エンジン 2 2のクランク軸にクラッチ機構 3 0 0を介し て連結されている。 無段変速装置 2 0の出力側におけるヨーク 2 3には、 ギヤシ フト装置 1 5 0 ( C S T) が連結されている。 ギヤシフト装置 1 5 0は、 同図に示すように、 ヨーク 2 3の突出端に出力ギヤ 2 4を備え、 図示しない終減速装置に駆動トルクを伝達するため、 出力軸 1 5 5 に連結された前進クラッチ 1 5 2、 及び後進クラッチ 1 5 3を備えている。 前進クラッチ 1 5 2の駆動側クラッチプレートは、 出力ギヤ 2 4に嚙合された ギヤ 1 5 1を備えている。 そして、 図 1 1に示すシフトレバー 1 4 6の操作によ り、 前進クラッチ 1 5 2が連結状態に切り替えられると、 ヨーク 2 3、 出力ギヤ 2 4、 ギヤ 1 5 1、 前進クラッチ 1 5 2、 出力軸 1 5 5を介して、 図示しない終 減速装置に駆動トルクが伝達される。 又、 出力ギヤ 2 4には歯車列が連結されている。 その歯車列は、 アイドラギヤ 1 5 6、 そのアイドラギヤ 1 5 6と共通の軸を有するアイドラギヤ 1 5 7、 及び、 中間ギヤ 1 5 9を介して後進クラッチ 1 5 3の駆動側クラツチプレートに連結さ れたギヤ 1 6 0からなる。 そして、 クラッチ機構 3 0 0の切断後におけるシフト レバー 1 4 6の操作により、 後進クラッチ 1 5 3が連結状態に切り替えられると、 前記歯車列、 出力軸 1 5 5を介して、 図示しない終減速装置に駆動トルクが伝達 される。 この実施形態では、 ギヤシフト装置 1 5 0が正逆回転切替装置に相当す る。 また、 本実施形態では、 前記エンジン 2 2が原動機、 クラッチ機構 3 0 0が 断接手段、 ギヤシフト装置 1 3 8が正逆回転切替装置にそれぞれ相当する。 図 1に示す無段変速装置 2 0のケース 2 6は、 円筒状の筒部材 2 7を備えてい
る。 筒部材 2 7の両端開口を塞ぐため、 ボルト揷通孔 2 8, 2 9 (図 1参照) を 介し、 図示しないボルトにて、 一対の側壁部材 3 0, 3 1が筒部材 2 7に一体に 連結されている。 無段変速装置 2 0の入力軸 2 1において、 入力端は、 第 1側壁部材 3 0に対し て軸受部 3 2を介して回転自在に支持されている。 又、 第 2側壁部材 3 1には、 出力回転部としてのヨーク 2 3力 軸受部 3 3を介して回動自在に支持されてい る。 そして、 入力軸 2 1の出力端は、 ヨーク 2 3と同軸上に位置するようにョー ク 2 3を貫通し、 ヨーク 2 3に対して一対の軸受 2 3 a及びシール 2 3 bを介し て回動自在に支持されている。 ヨーク 2 3から突出した入力軸 2 1の端部は P T O軸(Power Take Off shaft)とされている。 図 4に示すように第 1側壁部材 3 0の中央において、 内外両側面には、 一対の 軸受収納孔 3 4 , 3 5が同軸上に配置されるように並設されている。 外側及び内 側軸受収鈉孔 3 4, 3 5の間には、 両軸受収鈉孔 3 4, 3 5よりも縮径した貫通 孔 3 6が形成されている。 そして、 貫通孔 3 6にはスリーブ 3 7が回転自在に配 置され、 又、 両軸受収納孔 3 4、 3 5には貫通孔 3 6を挟んで対称状に円錐コロ 軸受 3 8, 3 9がそれぞれ嵌合固定されている。 そして、 入力軸 2 1は両円錐コ ロ軸受 3 8 , 3 9を介して支持されている。 又、 外側軸受収納孔 3 4の開口は、 第 1側壁部材 3 0にボルト付けされたカバー 1 5にて覆われている。 図 4に示す ようにカバー 1 5の貫通孔 1 5 aにはシール部材 1 6を介して入力軸 2 1が挿通 されている。 円錐コロ軸受 3 8の外輪 3 8 aは、 外側軸受収納孔 3 4にシム 5 0を介して当 接している。 又、 内側円錐コロ軸受 3 9の外輪 3 9 aは、 内側軸受収納孔 3 5の 奥側の段部に当接固定されている。 そして、 内側軸受収納孔 3 4内において、 入 力軸 2 1の入力端側外周にはナツト 4 0が螺合されている。 ナット 4 0の螺合に より、 外側円錐コロ軸受 3 8の内輪 3 8 bは、 スリーブ 3 7を介して、 内側円錐 コロ軸受 3 9の内輪 3 9 bを押圧し、 さらに、 入力軸 2 1に嵌合したスリーブ 4
1を押圧する。 スリーブ 4 1はシリンダブロック 4 2を押圧する。 そして、 シリ ンダブロック 4 2は、 入力軸 2 1外周に突設した係止部 4 6に当接される。 よつ て、 シリンダブ口ック 4 2は入力端側のみからナツト 4 0を螺合するのみで軸方 向に固定することができる。 又、 外輪 3 8 aと第 1側壁部材 3 0との間に介在す るシム 5 0の枚数や厚みを加減することで、 軸受 3 8, 3 9の各々の内輪と外輪 との密着度合いを調整することができる。 円錐コロ軸受 3 8, 3 9及ぴスリーブ
3 7により、 軸受部 3 2が構成されている。 第 1油圧装置 1 0◦は、 前記入力軸 2 1、 シリンダブ口ック 4 2、 プランジャ
4 3、 及び前記プランジャ 4 3に対して当接する斜板面 4 4を含むクレイドル 4 5を含んでいる。 前記クレイドル 4 5には、 入力軸 2 1が貫通されている。 図 3に示すように、 前記クレイ ドル 4 5はシリンダブ口ック 4 2の軸心 Oと直 交するトラニオン軸線 T Rを中心として、 ケース 2 6に対して傾動自在に支持さ れている。 すなわち、 前記クレイ ドル 4 5の斜板面 4 4を含む仮想平面が軸心 O と直交する位置に配置された時に、 斜板面 4 4は直立するため、 その位置を直立 位置とする。 そして、 この直立位置を基準にして、 クレイ ドル 4 5は図 3に示す ように反時計回り方向に最大に傾いた角度位置 (第 1の位置) と、 直立位置を基 準にして時計回り方向に最大に傾いた角度位置 (第 2の位置) との間で、 傾動可 能である。 本実施形態では、 斜板面 4 4が直立位置に配置されたときを基準に、 図 3にお いて、 時計回り方向を正方向とし、 反時計回り方向を負方向とする。 そして、 本 実施形態では図 1 2に示すヨーク 2 3の出力回転数 Noutが Ninに等しい時を境 界として、 Nout > Nin の時にはクレイドル 4 5が負側に傾動し、 Nout < N inの時に、 正側に傾動する。 シリンダプロック 4 2は、 入力軸 2 1に対してスプライン 2 1 a結合により一 体に連結されている。 シリンダブロック 4 2は、 略円柱状をなし、 その両端部は、
中央部よりも縮径されている。 シリンダブロック 4 2において、 前記中央部には、 図 2に示すように、 その回 転中心 (軸心 O) の周りに複数の第 1プランジャ孔 4 7が環状に配列され、 軸心 Oと平行に延設されている。 図 3に示すように、 各第 1プランジャ孔 4 7は、 シ リンダブ口ック 4 2の中央段部においてクレイドル 4 5側に開口している。 各第 1プランジャ孔 4 7には、 第 1プランジャ 4 3が摺動自在に配置されている。 第 1プランジャ孔 4 7が第 1プランジャ室に相当する。 第 1プランジャ 4 3の先端 には、 鋼球 4 8が転動自在に嵌合されており、 第 1プランジャ 4 3は鋼球 4 8及 ぴ同鋼球 4 8を取着したシユー 4 9を介して斜板面 4 4に当接されている。 傾斜 状態の斜板面 4 4はシリンダブ口ック 4 2の回転に伴って第 1プランジャ 4 3を 往復動させ、 作動油の吸入及び吐出行程を繰り返す。 一方、 第 2油圧装置 2 0 0は、 前記シリンダブロック 4 2に搢動自在に配置さ れた複数の第 2プランジャ 5 8、 及び前記第 2プランジャ 5 8に対して当接する 回転斜面 5 1をもつ筒状のヨーク 2 3を備えている。 図 1, 図 3に示すように、 第 2側壁部材 3 1には、 軸受収納孔 5 2、 及び同軸 受収納孔 5 2よりも小径の貫通孔 5 3が互いに同軸となるようにそれぞれ形成さ れている。 そして、 軸受収納孔 5 2には円錐コロ軸受 5 4が嵌合されている。 又、 筒部材 2 7の出力端部内周面には、 玉軸受 5 5が固定されている。 ヨーク 2 3は、 大径部と小径部を備えており、 大径部が玉軸受 5 5に、 小径部が円錐コロ軸受 5 4に嵌合されることにより、 第 2側壁部材 3 1に回動自在に支持されている。 又、 ヨーク 2 3の小径部は、 貫通孔 5 3内に止着されたシール部材 5 6を介して第 2 側壁部材 3 1から外部に突出されている。 回転斜面 5 1は、 ヨーク 2 3において、 シリンダブ口ック 4 2側の端面に形成 されており、 回転斜面 5 1を含む仮想平面が軸心 Oに対して一定角度傾斜してい る。
前記シリンダブロック 4 2の中央部には、 図 2に示すように、 その回転中心の 周りに第 1プランジャ孔 4 7と同数の第 2プランジャ孔 5 7が環状に配列され、 軸心 Oと平行に延設されている。 第 2プランジャ孔 5 7は第 2プランジャ室に相 当する。 第 2プランジャ孔 5 7のピッチ円は前記第 1プランジャ孔 4 7のピッチ 円と同心であり、 かつ、 同径とされている。 又、 各第 2プランジャ孔 5 7は互い に隣接する第 1プランジャ孔 4 7の間に位置するように、 シリンダブ口ック 4 2 の周方向において、 第 1プランジャ孔 4 7とは互いに 1 Z 2ピッチずつずらして 配置されている。 第 2プランジャ孔 5 7はシリンダブロック 4 2の中央段部において、 前記ョー ク 2 3側に開口している。 各第 2プランジャ孔 5 7には、 第 2プランジャ 5 8が 摺動自在に配置され、 その先端には、 鋼球 5 9が転動自在に嵌合されている。 第 2プランジャ 5 8は鋼球 5 9及び同鋼球 5 9を取着したシユー 6 0を介して回転 斜面 5 1に当接されている。 前記回転斜面 5 1とシリンダプロック 4 2との相対 回転に伴って第 2プランジャ 5 8が往復動して作動油の吸入及び吐出行程を繰り 返す。 本実施形態では、 第 1油圧装置 1 0 0の最大行程容積 VPmax は、 第 2油 圧装置 2 0 0の最大行程容積 VMmaxと同じになるように設定されている。 次に、 前記第 1油圧装置 1 0 0と第 2油圧装置 2 0 0との間に形成されている 油圧閉回路 Cについて説明する。 ·
シリンダブロック 4 2の内周面には、 ともに環状の第 1油室 6 1及び第 2油室 6 2がシリンダブロック 4 2の軸方向に沿って並設されている。 なお、 説明の便 宜上、 第 1油室 6 1を油室 A、 第 2油室 6 2を油室 Bということがある。 シリンダブ口ック 4 2には第 1油室 6 1及び第 2油室 6 2を共に連通するとと もに、 第 1プランジャ孔 4 7と同数の第 1弁孔 6 3力 シリンダブロック 4 2の 軸心 Oと平行に延設されている。 又、 シリンダプロック 4 2には前記第 1油室 6 1及び第 2油室 6 2を共に連通するとともに、 第 2プランジャ孔 5 7と同数の第
2弁孔 6 4力 シリンダブロック 4 2の軸心〇と平行に延設されている。 そして、 前記第 1弁孔 6 3及ぴ第 2弁孔 6 4はそれぞれ、 シリンダブ口ック 4 2の軸心 O の回りに環状に配置されている。 第 1弁孔 6 3のピッチ円は第 2弁孔 6 4のピッチ円と同心であり、 かつ同径と されている。 又、 両弁孔 6 3, 6 4は、 プランジャ孔 4 7、 5 7よりも内方に位 置するように、 弁孔 6 3, 6 4のピッチ円の直径はプランジャ孔 4 7、 5 7のピ ツチ円の直径よりも小さく設定されている。 又、 図 2に示すように各第 1弁孔 6 3は隣接する一対の第 2弁孔 6 4の間に位置するように、 シリンダブ口ック 4 2 の周方向において、 第 2弁孔 6 4とは互いに 1 Z 2ピッチずつずらして配置され ている。 そして、 図 1に示すように、 第 1弁孔 6 3と第 2弁孔 6 4は、 軸心 Oを 挟んで相対して位置している。 又、 各第 1弁孔 6 3と各プランジャ孔 4 7の軸心、 及ぴ各第 2弁孔 6 4と各第 2プランジャ孔 5 7の軸心は、 図 2に示すように軸心 Oから径方向に延びる直線上に位置するように配置されている。 図 1に示すように、 油路 6 5は、 第 1プランジャ孔 4 7の底部と、 第 1弁孔 6 3の第 1油室 6 1及び第 2油室 6 2との間の部位間を連通するように形成されて いる。 油路 6 5は、 図 1及ぴ図 5に示すように、 シリンダブ口ック 4 2の外周側 から内方へ向けて斜状にされている。 各第 1弁孔 6 3は、 第 1油室 6 1と第 2油 室 6 2との間において、 各第 1弁孔 6 3を油路 6 5を介して対応するプランジャ 孔 4 7に連通させるためのポート Uを備えている。 各第 1弁孔 6 3には、 スプール型の第 1切替弁 6 6が摺動自在に配置されてい る。 第 1切替弁 6 6が分配弁に相当する。 第 1切替弁 6 6は第 1弁孔 6 3内に配 置されているため、 第 1切替弁 6 6はシリンダブロック 4 2の軸心 Oと平行に配 置されている。 図 1及ぴ図 4に示すように、 円錐コロ軸受 3 9の外輪 3 9 aの外周面には円筒 状のホルダ 6 8が固定されている。 同ホルダ 6 8の内周面において、 軸心 O方向
の中央部は縮径された縮径部 6 8 bとされている。 同縮径部 6 8 bには、 玉軸受 6 9を介して往復動付与部材としてのリテーナ 7 0が回動自在に支持されている。 リテーナ 7 0は、 図 6 ( a ) に示すように、 円筒状の筒部 7 1と、 その筒部 7 1 のシリンダブロック 4 2側の端部に形成されたフランジ 7 2とから構成されてい る。 前記玉軸受 6 9により、 リテーナ 7 0はシリンダブロック 4 2に対して同期 回転可能になっている。 また、 リテーナ 7 0は、 図 4に示すようにその軸心が玉軸受 6 9により軸心 O に対して斜交するように配置され、 その状態で、 入力軸 2 1がリテーナ 7 0に回 動可能に揷通されている。 従って、 フランジ 7 2のシリンダブ口ック 4 2に対向 する面 (以下、 フランジ表面という) は、 軸心 Oに対して斜交している。 図 6 ( b ) に示すようにリテーナ 7 0のフランジ 7 2には、 複数の係止溝 7 3 がその軸心を中心にして等角度毎に外周から軸心に向かって切り込み形成されて いる。 各係止溝 7 3には、 図 6 ( b ) に示すように第 1切替弁 6 6に設けられた くびれ部 6 6 bが係入されている。 前記くびれ部 6 6 bは、 長手方向両側にテー パ面 6 6 dを介して隣接した大径部 6 6 cよりも小径とされている。 前記テーパ 面 6 6 dは第 1切替弁 6 6の軸心に向かうほど、 相対する他のテーパ面 6 6 dと の間の間隔が短くなるように形成されている。 そして、 フランジ 7 2の両側面は 前記テーパ面 6 6 dに対して線接触するように配置されている。 従って、 第 1切替弁 6 6は軸心 Oと斜交するフランジ表面を備えたリテーナ 7 0と係合することにより、 シリンダブロック 4 2の軸方向に沿って往復動し、 図 7に示すような変位を実現する。 前記第 1切替弁 6 6は、 図 7に示すように、 長尺状の軸部 1 6 6 dと、 同軸部 1 6 6 d上において所定距離ずつ離間して形成された第 1〜第 3ランド部 1 6 6 a〜l 6 6 cとを備えている。 第 1〜第 3ランド部 1 6 6 a〜l 6 6 cは第 1弁 孔 6 3の径と略同径に形成されており、 軸部 1 6 6 dは第 1弁孔 6 3の径より小
径に形成されている。 従って、 前記各ランド部 1 6 6 a〜l 6 6 cの断面積は、 第 1弁孔 6 3の断面積と略同じになっており、 前記軸部 1 6 6 dの断面積は、 第 1弁孔 6 3の断面積よりも小さくなつている。 前記くぴれ部 6 6 bは、 図 7には 示されていないが、 第 1ランド部 1 6 6 aの先端に形成されている。 前記リテーナ 7 0のフランジ 7 2は、 図 7に示すように、 第 1切替弁 6 6を、 ポート閉鎖位置 n 0を中心として、 ポート Uと第 2油室 6 2とを連通させる第 1 開口位置 n 1と、 ポート Uと第 1油室 6 1とを連通させる第 2開口位置 n 2との 間で往復移動させる。 ここで、 説明の都合上、 シリンダブロック 4 2の軸心 Oの 周りの回転に関し、 0度〜 1 8 0度の範囲を領域 Hとし、 1 8 0度〜 3 6 0 ( 0 ) 度の範囲を領域 Iとする。 領域 Hとは、 ポート Uと第 2油室 6 2が連通する区間を全て含む領域のことで あり、 領域 Iとは、 ポート Uと第 1油室 6 1が連通する区間を全て含む領域のこ とである。 前記斜板面 4 4が直立位置から負の最大傾動角度位置へと変位した場合、 図 1 2に示すように、 第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pは、 0から VMmaxへと変 化する。 それに応じて、 入力軸 2 1の入力回転数が N in のとき出力回転数 Nout は、 Ninから 2 Nin の範囲の速度になるように、 本実施形態では第 1油圧装置 1 0 0側の作動油の吐出量が設定されている。 なお、 図 1 2において、 縦軸は第 1油圧装置 1 0 0又は第 2油圧装置 2 0 0の 1回転当たり行程容積を示し、 横軸はヨーク 2 3 (出力回転部) の出力回転数 N out を示している。 同図において、 実線は、 第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V P の変ィヒを示し、 一点鎖線は第 2油圧装置 2 0 0の行程容積 VMの変化を示してい る。 第 1油圧装置 1 0 0の行程容積とは、 シリンダブロック 4 2が 1回転する間に、
各第 1プランジャ 4 3と各第 1プランジャ孔 4 7で形成されるプランジャ空間が、 第 1油室 6 1及ぴ第 2油室 6 2との間で授受する作動油量のことである。 第 2油 圧装置 2 0 0の行程容積とは、 ヨーク 2 3 (出力回転部) がシリンダブ口ック 4 2に対して 1回転する間に、 各第 2プランジャ 5 8と各第 2プランジャ孔 5 7で 形成されるプランジャ空間が、 第 1油室 6 1及び第 2油室 6 2との間で授受する 作動油量のことである。 また、 本実施形態において、 図 3に示すように、 斜板面 4 4が負側へ傾動した 状態では、 シリンダプロック 4 2の軸心 Oの周りの回転角 0 〜 : 1 8 0度の範囲で、 作動油がポート Uを介して第 1プランジャ孔 4 7へ吸入され、 かつ、 1 8 0 〜 3 6 0 ( 0 ) 度の範囲で、 作動油がポート Uを介して第 1プランジャ孔 4 7から吐 出される。 一方、 斜板面 4 4が正側へ傾動した状態では、 シリンダブ口ック 4 2 の軸心 O周りの回転角 0 〜 1 8 0度の範囲で、 作動油がポート Uを介して第 1プ ランジャ孔 4 7から吐出され、 かつ、 1 8 0 〜 3 6 0 ( 0 ) 度の範囲で、 作動油 がポート Uを介して第 1プランジャ孔 4 7へ吸入される。 このように、 作動油を 吐出する油室及ぴ吸入する油室は、 シリンダブ口ック 4 2の軸心 O周りの回転角 に対応した領域 H, Iによつて決まる。 図 1及ぴ図 3に示すように、 油路 7 5は、 第 2プランジャ孔 5 7の底部と、 第 2弁孔 6 4の第 1油室 6 1及び第 2油室 6 2との間の部位間を連通するように形 成されている。 油路 7 5は、 図 1及び図 3に示すように、 シリンダブロック 4 2 の外周側から内方へ向けて斜状にされている。 各第 2弁孔 6 4には、 第 1油室 6 1と第 2油室 6 2との間において、 対応する 第 2プランジャ孔 5 7に連通する油路 7 5のポート Wが形成されている。 各第 2 弁孔 6 4には、 スプール型の第 2切替弁 7 6が前記第 2プランジャ 5 8に対して 平行となるように摺動自在に配置されている。 第 2切替弁 7 6が分配弁に相当す る。
図 1及び図 5に示すように、 ヨーク 2 3のシリンダブ口ック 4 2側端面の中央 部には、 収納孔 7 8が形成されている。 同収納孔 7 8内には、 入力軸 2 1を内挿 した筒状の支持部材 8 1が設けられている。 同支持部材 8 1は、 ヨーク 2 3の収 納孔 7 8の底部に対して複数のピン 8 2を介して一体に連結されている。 支持部 材 8 1の内周には、 往復動付与部材としての第 2リテーナ 8 3が玉軸受 8 4を介 して回動自在に連結されている。 前記玉軸受 8 4により、 第 2リテーナ 8 3はシ リンダブ口ック 4 2に対して同期回転可能になっている。 第 2リテーナ 8 3は、 前記第 1リテーナ 7 0と同一の構成である筒部、 フラン ジ、 係止溝を備えているため、 それらの構成については、 同一符号を付してその 説明を省略する (図 6 ( a ) 参照)。 第 2リテーナ 8 3は、 図 5に示すように、 その軸心が玉軸受 8 4により軸心 O に対して斜交するように配置され、 その第 2リテーナ 8 3を入力軸 2 1が回動可 能に貫通している。 第 2リテ一ナ 8 3のフランジ 7 2のシリンダプロック 4 2に 対向する面 (以下、 フランジ表面という) は、 軸心 Oに対して斜交している。 第 2リテーナ 8 3の係止溝 7 3には、 図 6 ( b ) に示すように第 2切替弁 7 6 に設けられたくびれ部 7 6 bが係入されている。 前記くぴれ部 7 6 bは、 長手方 向両側にテーパ面 7 6 dを介して隣接した一対の大径部 7 6 cよりも小径とされ ている。 前記テーパ面 7 6 dは第 2切替弁 7 6の軸心に向かうほど、 相対する他 のテーパ面 7 6 dとの間の間隔が狭くなるように形成されている。 そして、 フラ ンジ 7 2の両側面は前記テーパ面 7 6 dに対して線接触するように配置されてい る。 第 2切替弁 7 6は、 軸心 Oと斜交するフランジ表面を備えた第 2リテーナ 8 3 と係合することで、 図 7に示すような変位を実現する。 なお、 図 7において、 第 1リテーナ 7 0のフランジ 7 2と、 第 2リテ一ナ 8 3のフランジ 7 2との相対位 置は、 両リテーナ 7 0 , 8 3が回転自在にされているため変化するが、 説明の便
宜上、 1つにまとめて図示している。 ここで、 説明の都合上、 ヨーク 2 3 (出力回転部) のシリンダプロック 4 2に 対する軸心 O周りの相対回転角が 0度〜 1 8 0度の範囲を領域 Jとし、 1 8 0度 〜3 6 0 ( 0 ) 度の範囲を領域 Kとする。 領域 Jとはポート Wと第 1油室 6 1が連通する区間を全て含む領域のことであ り、 領域 Kとはポート Wと第 2油室 6 2が連通する区間を全て含む領域のことで ある。 また、 本実施形態では、 図 3に示すように、 斜板面 4 4が負側へ傾動した場合、 ヨーク 2 3 (出力回転部) のシリンダブ口ック 4 2に対する軸心 O周りの相対回 転角 0〜1 8 0度の範囲で、 作動油がポート Wを介して第 2プランジャ孔 5 7へ 吸入され、 1 8 0〜 3 6 0 ( 0 ) 度の範囲で、 作動油がポート Wを介して第 2プ ランジャ孔 5 7から吐出される。 斜板面 4 4が正側へ傾動した場合、 ヨーク 2 3 (出力回転部) のシリンダブ口ック 4 2に対する軸心 O周りの相対回転角 0〜 1 8 0度の範囲で、 作動油がポート Wを介して第 2プランジャ孔 5 7から吐出され、 1 8 0〜3 6 0 ( 0 ) 度の範囲で作動油がポート Wを介して第 2プランジャ孔 5 7へ吸入される。 作動油の吐出する油室及ぴ吸入する油室は、 ヨーク 2 3 (出力 回転部) のシリンダブ口ック 4 2に対する軸心 O周りの相対回転角に対応した領 域:)", Kによって決まる。 前記第 1プランジャ孔 4 7、 第 2プランジャ孔 5 7、 第 1油室 6 1、 第 2油室 6 2、 第 1弁孔 6 3、 第 2弁孔 6 4、 油路 6 5、 油路 7 5、 ポート U及びポート Wとにより、 油圧閉回路 Cが構成されている。 図 1, 図 3に示すように、 前記油圧閉回路 Cに作動油をチャージするために、 入力軸 2 1内には軸心 Oに沿って軸孔 9 9が穿設されている。 軸孔 9 9はスリー ブ 3 7に対応する部位において、 半径方向に延びる導入油路 9 9 aを有している。
同導入油路 9 9 aはスリーブ 3 7に半径方向に穿設された油路 3 7 a及ぴ外周面 に形成された周溝 3 7 bに連通されている。 第 1側壁部材 3 0には周溝 3 7 bに 連通する油路 3 0 aが設けられ、 油路 3 0 a内には図示しないチャージポンプか ら作動油が圧送される。 また、 前記軸孔 9 9において、 入力軸 2 1の出力端側の 開口部には栓体 1 2 1がその螺入量を調節自在に螺合されている。 一方、 入力軸 2 1には、 第 1油室 6 1及び第 2油室 6 2を軸孔 9 9に連通させ るためのチャージ弁 9 0 (逆止弁) がそれぞれ配置されている。 同チャージ弁 9 0は油圧閉回路 C内の油圧が軸孔 9 9内のチャージ圧に達するまで開放され、 軸 孔 9 9内の作動油を油圧閉回路 Cに供給する。 又、 チャージ弁 9 0は作動油が軸 孔 9 9へ逆流することを防止する。 ここで、 上記のように構成された無段変速装置 2 0 (第 1及ぴ第 2油圧装置 1 0 0, 2 0 0 ) における第 1及ぴ第 2切替弁 6 6 , 7 6の往復動作について説明 する。 シリンダブロック 4 2の回転に伴い、 各切替弁 6 6 , 7 6は、 対応するリテー ナ 7 0, 8 3との係合により軸心 O方向に沿って往復動する。 このとき、 各リテ ーナ 7 0 , 8 3はシリンダブロック 4 2と共に回転し、 斜板面 4 4又はヨーク 2 3の回転斜面 5 1に対して相対回転する。 リテーナ 7 0, 8 3のフランジ表面が シリンダブ口ック 4 2側へ進出すると、 各切替弁 6 6, 7 6の基端部が対応する 弁孔 6 3 , 6 4の底部 6 3 a, 6 4 aに接近する。 このとき、 リテーナ 7 0 , 8 3のフランジ表面が、 切替弁 6 6, 7 6のシリンダブ口ック 4 2側のテーパ面 6 6 d, 7 6 dを押圧する。 フランジ表面はテーパ面 6 6 d , 7 6 dに対して線接 触しているため、 点接触の場合と比べて耐久性が向上する。 一方、 シリンダブ口ック 4 2の回転により、 Vテーナ 7 0 , 8 3のフランジ表 面がシリンダブ口ック 4 2から離間すると、 各切替弁 6 6, 7 6の基端部が対応 する弁孔 6 3, 6 4の底部 6 3 a , 6 4 aから離間する。 このとき、 リテーナ 7
0 , 8 3のフランジ裏面が、 各切替弁 6 6, 7 6におけるシリンダブロック 4 2 とは反対側のテーパ面 6 6 d , 7 6 dを押圧する。 このときも、 フランジ裏面は テーパ面 6 6 d, 7 6 dに対して線接触しているため、 点接触の場合と比べて軽 減される。 本実施形態では、 従来と異なり、 切替弁 6 6 , 7 6の先端部を、 斜板に当接さ せるのではなく、 切替弁 6 6, 7 6のくびれ部 6 6 b , 7 6 bとリテーナ 7 0, 8 3の係止溝 7 3の係合により、 切替弁の往復動を実現させている。 従って、 バ ネ等によって切替弁 6 6, 7 6を斜板側へ押し付ける必要がなくなる。 さて、 次に、 上記のように構成された無段変速装置 2 0のクレイドル 4 5の傾 動に伴う作用を説明する。 なお、 エンジン 2 2のクランク軸から入力軸 2 1に付 与される入力回転数 Ninは説明の便宜上、 一定のものとして説明する。
(出力回転数 Nout が Ninの場合)
図 1 1に示すシフトレバー 1 4 6を操作して、 クレイドル 4 5を介して斜板面 4 4を直立位置に位置させる。 この状態においては、 エンジン 2 2の駆動力により入力軸 2 1を介してシリン ダブロック 4 2が正方向へ回転数 N in で回転する。 以後、 入力軸 2 1と逆向き にギヤ 1 4 2又は出力軸 1 5 5が回転する時を出力軸の正回転という。 斜板面 4 4は入力軸 2 1の軸心 Oに対して直立位置の中立状態にある。 第 1油圧装置 1 0 0のプランジャ 4 3は斜板面 4 4によっては往復動されず、 従って、 この状態で は油圧閉回路 C内を作動油が循環することはない。 このため、 第 2油圧装置 2 0 0側においては各プランジャ 5 8の突出端がストローク運動ができない状態でシ ユー 6 0を介して回転斜面 5 1に当接係合する。 そのため、 シリンダブロック 4 2と回転斜面 5 1とは直結状態となり、 一体に回転する。 よって、 入力軸 2 1と 出力軸 1 5 5とが直結状態となる。 回転斜面 5 1に付与された正方向の回転は、 ヨーク 2 3、 連結状態のクラッチ 1 5 2、 ギヤ 2 4、 ギヤ 1 5 1を介して終減速
装置へ伝達される。 前記斜板面 4 4が直立位置に位置している場合には、 図 1 2に示すように第 1 油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pは 0となり、 出力回転数 Nout (ヨーク 2 3の回 転数) は入力回転数 N inと等しくなる。
(出力回転数 Nout が Ninと 2 Ninの間の場合)
シフトレパー 1 4 6の操作により、 クレイ ドル 4 5の斜板面 4 4を負側に傾動 させ、 負の最大傾動角度位置と直立位置との間に配置させる。 負の最大傾動角度 位置とは、 第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pの絶対値が第 2油圧装置 2 0 0の 行程容積 VMの絶対値 ( = VMmax) と等しい位置である。 この場合、 エンジン 2 2の駆動力により入力軸 2 1を介してシリンダブロック
4 2が N inで回転する。 すると、 第 1油圧装置 1 0 0は、 シリンダブ口ック 4 2の軸心 O周りの回転角 0〜1 8 0度の範囲で、 作動油をポート Uを介してプラ ンジャ孔 4 7へ吸入し、 1 8 0〜3 6 0 ( 0 ) 度の範囲で、 作動油をポート Uを 介してプランジャ孔 4 7から吐出する。 作動油を吐出及び吸入する油室は、 シリ ンダプロック 4 2の軸心 O周りの回転角に対応した領域 H, Iによって決まる。 尚、 第 1油圧装置が吐出, 吸入する作動油量は、 斜板面 4 4の負側への傾動角 が大きくなるにつれて、 増加する。 このとき、 第 2油圧装置 2 0 0は、 ヨーク 2 3 (出力回転部) のシリンダブ口ック 4 2に対する軸心 O周りの相対回転角 0〜 1 8 0度の範囲で、 作動油をポ ト Wを介して第 2プランジャ孔 5 7へ吸入し、 1 8 0〜3 6 0 ( 0 ) 度の範囲で、 作動油をポート Wを介して第 2プランジャ孔
5 7から吐出する。 作動油を吐出及ぴ吸入する油室は、 ヨーク 2 3 (出力回転 部) のシリンダブ口ック 4 2に対する軸心 O周りの相対回転角に対応した領域 J , Kによって決まる。 この結果、 シリンダブロック 4 2が入力軸 2 1を介して駆動される回転数 Nin
と、 プランジャ 5 8の回転斜面 5 1への突出押圧作用による正方向の回転数との 合成 (和) により、 回転斜面 5 1は回転される。 回転斜面 5 1に付与される正方 向の回転は、 ヨーク 2 3、 連結状態のクラッチ 1 5 2、 ギヤ 2 4、 ギヤ 1 5 1を 介して終減速装置へ正方向の回転として伝達され、 増速作用を行う。 斜板面 4 4が直立位置から負の最大傾動角度位置側へと変位すると、 図 1 2に おいて第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pは◦から VMmaxへと増加し、 それに 応じて出力回転数 Nout は Ninから 2 Ninへと増速する。 なお、 出力回転数 N out が Nin から 2 Nin に変化するときの第 2油圧装置 2 0 0の行程容積 VMは VMmax のままである。 この状態における作動油の流れ及ぴ各部の回転の様子を、 図 1 0に示す。 油圧閉回路 Cにおける矢印は作動油の流れを示し、 回転数 Nin, Nout に付された矢印は、 該当する部材の回転方向を示す。
(出力回転数 Nout がゼロと Ninの間の場合)
シフトレバー 1 4 6を操作し、 クレイドル 4 5の斜板面 4 4を E側に傾動させ て、 直立位置から正の傾動角度位置に配置する。 なお、 正の傾動角度位置のうち、 所定の正の傾動角度位置とは、 第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pの絶対値が第 2油圧装置 2 0 0の行程容積 VMの絶対値と等しくなるまでの位置である。 この場合、 斜板面 4 4が正方向へ傾動するため、 エンジン 2 2の駆動力により 入力軸 2 1を介してシリンダブロック 4 2が回転すると、 第 1油圧装置 1 0 0は、 シリンダブ口ック 4 2の軸心 O周りの回転角 0〜 1 8 0度の範囲で、 作動油を、 ポート Uを介してプランジャ孔 4 7から吐出し、 1 8 0〜3 6 0 ( 0 ) 度の範囲 で、 作動油を、 ポート Uを介してプランジャ孔 4 7へ吸入する。 作動油を吐出及 ぴ吸入する油室は、 シリンダブ口ック 4 2の軸心 O周りの回転角に対応した領域 H, Iによって決まる。 第 1油圧装置 1 0 0が吐出, 吸入する作動油量は、 斜板面 4 4の正側への傾動 角が大きくなるにつれて、 増加する。 このとき、 第 2油圧装置 2 0 0は、 ヨーク
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伝達が遮断されると、 入力回転 Niix がゼロになり、 よって、 ヨーク 2 3も停止 して、 出力回転数 N o u tがゼロになる。
(出力回転数 Nout がゼロ未満の場合)
クラッチ機構 3 0 0によって動力伝達を遮断した状態で、 シフトレバー 1 4 6 を後進域側へシフトすると、 このシフトレバー 1 4 6の操作に応動して、 ギヤシ フト装置 1 5 0の第 1クラッチ 1 5 2が遮断状態に切り替えられ、 第 2クラッチ 1 5 3が接続状態に切り替えられる。 このとき、 エンジン 2 2の回転が無段変速 装置 2 0に伝わらなくなるため、 プランジャ 5 8の回転斜面 5 1に対する押圧作 用がなくなり、 ヨーク 2 3は第 2油圧装置 2 0 0からフリーとなる。 このため、 第 2クラッチ 1 5 3の接続、 すなわち後進時の切換えを容易に行うことができる。 そして、 シフトレバー 1 4 6を後進域側へシフトし終えた後は、 クラツチ機構 3 0 0を再び接続状態にする。 尚、 前進側へ戻す時も足踏み式のクラッチペダルを 踏み込み、 クラッチ機構 3 0 0を切断状態にする。 このとき、 同じ理由で前進時 の切換えを容易に行うことができる。
(出力回転数 Nout がゼロと一 Ninの間の場合)
第 2クラッチ 1 5 3による後進接続が行われた後は、 図 9に示すように出力回 転数 Nout に対する、 第 1油圧装置 1 0 0及ぴ第 2油圧装置 2 0 0の最大行程容 積の変化の状態は、 前進 (正転) の場合、 すなわち、 「出力回転数 Nout がゼロ と Nin の間の場合」 と同じである。 従って、 詳細な説明を省略する。 なお、 こ の場合、 回転 面 5 1に付与される回転は、 ヨーク 2 3、 第 2クラッチ 1 5 3、 ギヤ 2 4、 アイドラギヤ 1 5 6、 アイドラギヤ 1 5 7、 ギヤ 1 5 9、 ギヤ 1 6 0 を介して終減速装置へ伝達される。
(出力回転数 Nout がー Ninと一 2 Ninの間の場合)
この場合も、 第 1油圧装置 1 0 0と第 2油圧装置 2 0 0の作用は 「出力回転数 Nout が Ninと 2 Ninの間の場合」 (図 1 0参照) と同じであるため、 説明を省 略する。 このとき、 回転斜面 5 1に付与される回転は、 ヨーク 2 3、 第 2クラッ
チ 1 5 3、 ギヤ 2 4、 アイドラギヤ 1 5 6、 アイドラギヤ 1 5 7、 ギヤ 1 5 9及 びギヤ 1 6 0を介して終減速装置へ伝達される。 上記実施形態によれば、 以下のような効果を得ることができる。
( 1 ) 上記実施形態では、 リテーナ 7 0 , 8 3が切替弁 6 6, 7 6を保持し、 シ リンダブロック 4 2の回転に伴って、 フランジ表面又はフランジ裏面がテーパ面 6 6 d , 7 6 dを押圧することで、 切替弁 6 6, 7 6の往復動を可能とした。 従来、 前記切替弁 6 6, 7 6の先端側に、 その軸心をシリンダブ口ック 4 2の 軸心 Oに対して一定角度傾斜させた玉軸受を有する装置が知られており、 同玉軸 受の内輪の側面 (斜板に相当) 力 切替弁 6 6, 7 6を往復動させるためのカム 面として使用されていた。 また、 切替弁 6 6, 7 6の基端側に位置する弁孔 6 3 , 6 4の底部 6 3 a, 6 4 aには、 パネが設けられるとともに、 チャージポンプか らの作動油が満たされていた。 そして、 前記パネの付勢力及び作動油の油圧によ り切替弁 6 6 , 7 6を玉軸受側へ常に付勢していた。 そして、 玉軸受の内輪の側 面に、 切替弁 6 6, 7 6が当接した状態で、 シリンダブ口ック 4 2と共に玉軸受 力 前記軸心 Oの周りを回転することで、 前記切替弁 6 6, 7 6に往復動が付与 されるようになっていた。 し力 し、 これは、 切替弁 6 6, 7 6を往復動させるために、 バネゃ油路等を設 けなくてはならず、 構造が複雑になると共に、 コスト高に繋がってしまっていた。 それに対し、 本実施形態の構成によれば、 切替弁 6 6, 7 6を斜板に押し付け るためのバネを設ける必要がない。 また、 チャージポンプからの作動油を弁孔 6 3 , 6 4の底部 6 3 a , 6 4 aに満たす必要がないため、 そのための油路等を設 ける必要がない。 従って、 切替弁 6 6 , 7 6の往復動構造をシンプルにできる。 また、 部品点数の低減により、 製造コストの低減に寄与できる。
( 2 ) 上記実施形態では、 フランジ 7 2の係止溝 7 3と係合するくびれ部 6 6
b, 7 6 bの長手方向両側にテーパ面 6 6 dを形成し、 フランジ 7 2の両側面を テーパ面 6 6 dに対して線接触するように配置した。 このため、 例えばフランジ
7 2と切替弁 6 6, 7 6とを点接触させる場合と比較して、 切替弁 6 6 , 7 6の 往復動の際に、 当接箇所の負荷を軽減でき、 耐久性を向上できる。
( 3 ) 上記実施形態では、 をエンジン 2 2によって、 無段変速装置 2 0の入力 軸 2 1及ぴシリンダブ口ック 4 2が回転され、 入力軸 2 1をエンジン 2 2とは反 対側に延出し、 延出された入力軸 2 1の外周にヨーク 2 3 (出力回転部) を設け、 ヨーク 2 3の回転を出力軸 1 5 5に伝達するギヤシフト装置 1 5 0 (正逆回転切 替装置) を設け、 さらにエンジン 2 2と入力軸 2 1との間にクラッチ機構 3 0 0
(断接手段) を設けて、 動力伝達装置を構成した。 このため、 無段変速装置 2 0 と同様の効果を動力伝達装置においても得ることができる。
(4 ) 上記第実施形態では、 出力側に延出された入力軸 2 1とヨーク 2 3の双 方から出力回転を得ることができる。 また、 ヨーク 2 3の回転を、 クレイドル 4 5及ぴギヤシフト装置 1 5 0により、 正逆方向でかつ広範囲の駆動トルクを、 終 減速装置に対して伝達できる。
( 5 ) 上記実施形態では、 クラッチ機構 3 0 0を切断状態に切り替えることに より、 同ヨーク 2 3に掛かるトルクを解放でき、 ヨーク 2 3の回転を正方向から 逆方向にあるいは逆方向から正方向に切り換える動作を容易に行うことができる。 第 2実施形態
次に、 本発明の第 2実施形態を図 1 3〜図 1 5に基づいて説明する。
尚、 第 2実施形態においては、 第 1実施形態の構成と同一構成又は相当する構 成については、 同一番号を付しその説明を省略する。 本実施形態は、 弁作動部材 1 7 0, 1 8 3を始めとして、 切替弁 6 6, 7 6に 往復動を付与するための構成において、 前記第 1実施形態と異なる。
図 1 3及び図 1 5に示すように、 第 1弁孔 6 3の底部 6 3 aにはコイルスプリ ング 6 7が配置され、 第 1切替弁 6 6は、 そのコイルスプリング 6 7により、 第 1プランジャ 4 3がシリンダブロック 4 2から突出する方向と同方向に付勢され ている。 また、 図 1 4に示すように第 1切替弁 6 6におけるシリンダブロック 4 2から突出した先端部 (以下、 当接端 6 6 aという) は、 略円錐形状に形成され ている。 図 1 4に示すように、 円錐コロ軸受 3 9の外輪 3 9 aの外周面に固定されたホ ルダ 6 8は円筒状に形成され、 その内周面におけるシリンダプロック 4 2側の収 容部 6 8 aにはニードルベアリング 1 1 0を介じて弁作動部材 1 7 0が回動自在 に支持されている。 このニードルベアリング 1 1 0により、 弁作動部材 1 7 0は シリンダブロック 4 2に対して同期回転可能になっている。 ここで、 弁作動部材 1 Ί 0について詳しく説明すると、 弁作動部材 1 7 0は円 筒状に形成されており、 その略中央部に貫通孔 1 7 0 aが形成されている。 弁作 動部材 1 7 0はその軸線 Xがシリンダブ口ック 4 2の軸心 Oに対して、 平行に所 定距離 eだけオフセットされて配置されている。 貫通孔 1 7 0 aには入力軸 2 1 が揷通されている。 なお、 軸心 Oがシリンダブロック軸線に相当する。 前記弁作動部材 1 7 0のシリンダプロック 4 2側には力ム部 1 7 1が貫通孔 1 7 0 aに連通して形成されている。 前記カム部 1 7 1の内周面は、 シリンダブ口 ック 4 2に向かって拡径するように形成された円錐面とされている。 また、 前記 カム部 1 7 1を含む弁作動部材 1 7 0は、 同弁作動部材 1 7 0の軸線 Xに対して、 同軸線 Xに沿った断面で見た場合、 線対称に形成されている。 前記カム部 1 7 1 の内周面 (円錐面) が斜面に相当する。 前記第 1切替弁 6 6の円錐形状の当接端 6 6 aは、 前記カム部 1 7 1の内周面 に対して線接触するように形成され、 前記カム部 1 7 1の円錐面に当接している。 従って、 前記コイルスプリング 6 7の付勢力及ぴ後述するチャージポンプ (図示
しない) による作動油の油圧が第 1切替弁 6 6に付与されることにより、 第 1切 替弁 6 6は、 弁作動部材 1 7 0に当接及ぴ保持された状態でシリンダブ口ック 4 2と同期して回転す'る。 また、 前記弁作動部材 1 7 0の軸線 Xが、 シリンダブ口 ック 4 2の軸心 Oに対してオフセットしていることにより、 シリンダブ口ック 4 2が軸心 Oの周りに一回転する間に、 第 1切替弁 6 6は、 カム部 1 7 1に沿って 軸心 O方向に距離 D 1だけ往復移動し、 図 7に示すような変位を実現する。 従って、 シリンダブロック 4 2の回転に伴って、 第 1切替弁 6 6はポート閉鎖 位置 η θを基準として、 ポート U (油路 6 5 ) と第 2油室 6 2を連通させる第 1 開口位置 n lと、 ポート U (油路 6 5 ) と第 1油室 6 1を連通させる第 2開口位 置 n 2との間を、 軸心 O方向に沿って往復動する (図 7参照)。 なお、 前記距離 D 1は、 図 7において、 第 2開口位置 n 2と第 1開口位置 n 1間の距離に相当す る。 一方、 図 1 3及び図 1 4に示すように、 第 2切替弁 7 6は、 第 2弁孔 6 4の底 部 6 4 aに配置されたコイルスプリング 7 7により、 第 2プランジャ 5 8がシリ ンダブロック 4 2から突出する方向と同方向に付勢されている。 また、 図 1 5に 示すように第 2切替弁 7 6におけるシリンダブ口ック 4 2から突出した先端部 (以下、 当接端 7 6 aという) は、 略円錐形状に形成されている。 図 1 5に示すようにヨーク 2 3のシリンダブロック 4 2側の端面の中央部に形 成された収納孔 7 8内には、 円筒状のホルダ 9 3が固定されている。 ホルダ 9 3 の内周面には、 シリンダブ口ック 4 2に向かって拡径された拡径部 9 3 aが形成 されており、 同拡径部 9 3 aには、 ニードルベアリング 9 4を介して弁作動部材 1 8 3が回動自在に支持されている。 このニードルベアリング 9 4により、 弁作 動部材 1 8 3はシリンダブロック 4 2に対して同期回転可能になっている。 また、 ホルダ 9 3のシリンダプロック 4 2と反対側には縮径部 9 3 bが形成さ れており、 同縮径部 9 3 bには、 支持部材 9 5が回動可能に挿入されている。 同
支持部材 9 5には入力軸 2 1が揷通され、 同入力軸 2 1に対して支持部材 9 5は 固定されている。 また、 前記弁作動部材 1 8 3は、 シム 9 6を介して前記支持部 材 9 5に保持されている。 弁作動部材 1 8 3は円筒状に形成されており、 その略中央部に貫通孔 1 8 3 a が形成されている。 弁作動部材 1 8 3は、 その軸線 Yがシリンダプロック 4 2
(入力軸 2 1 ) の軸心 Oに対して、 平行に所定距離 f だけオフセットされて配置 されている。 貫通孔 1 8 3 aには入力軸 2 1が揷通されている。 なお、 第 1油圧 装置 1 0 0におけるオフセット量 (所定距離) eと、 第 2油圧装置 2 0 0におけ るオフセット量 (所定距離) f は同一に設定されている。 前記弁作動部材 1 8 3のシリンダブロック 4 2側には貫通孔 1 8 3 aに連通す るカム部 1 8 4が形成されており、 そのカム部 1 8 4の内周面は、 シリンダプロ ック 4 2側に拡径するように形成された円錐面とされている。 また、 カム部 1 8 4を含む弁作動部材 1 8 3は、 同弁作動部材 1 8 3の軸線 Yに対して、 同軸線 Y に沿った断面で見た場合、 線対称に形成されている。 前記カム部 1 8 4の内周面 (円錐面) が斜面に相当する。 そして、 前記第 2切替弁 7 6の円錐形状の当接端 7 6 aは、 前記カム部 1 8 4 に対して線接触するように形成され、 前記カム部 1 8 4に当接されている。 この 結果、 前記コイルスプリング 7 7の付勢力及ぴ後述するチャージポンプ (図示し ない) による作動油の油圧が第 2切替弁 7 6に付与されることにより、 第 2切替 弁 7 6は、 弁作動部材 1 8 3に当接した状態でシリンダブ口ック 4 2と同期して 回転する。 また、 前記弁作動部材 1 8 3の軸線 Yがシリンダブロック 4 2軸心 O に対してオフセットしていることにより、 シリンダブロック 4 2が軸心 O周りに —周する間に、 第 2切替弁 7 6は、 カム部 1 8 4により、 軸心 O方向に距離 D 2 だけ往復移動し、 図 7に示すような変位を実現する。 なお、 第 1切替弁 6 6にお ける往復移動距離 D 1と第 2切替弁 7 6における往復移動距離 D 2は等しく設定 されている。
なお、 図 1 3において、 弁作動部材 1 70におけるカム部 1 7 1の円錐面と、 弁作動部材 1 8 3におけるカム部 1 84の円錐面との相対位置は弁作動部材 1 7 0, 1 83が回転自在にされているため変化するが、 説明の便宜上、 1つにまと めて示している。 図 1 3〜図 1 5に示すように、 入力軸 2 1において、 第 1弁孔 6 3に相対した 位置には半径方向に延びるとともに軸孔 9 9に連通する油路 9 7が形成されてい る。 シリンダブロック 42の内周面には、 第 1及ぴ第 2弁孔 6 3, 64の底部 6 3 a, 64 aにそれぞれ揷通する周溝 98が形成されており、 同周溝 98は油路 9 7に連通されている。 この結果、 コイルスプリング 6 7, 77が配置された第 1及ぴ第 2弁孔 6 3, 64の底部 6 3 a, 64 aには、 軸孔 99、 油路 9 7、 周 溝 98を介してチャージポンプから作動油が満たされる。 本実施形態では、 弁作 動部材 1 70, 1 8 3がそれぞれ往復動付与部材に相当する。 次に、 上記のように構成された無段変速装置 20 (第 1及び第 2油圧装置 1 0 0, 200) における第 1及ぴ第 2切替弁 66, 76の作用を説明する。 まず、 弁孔 6 3, 64における底部 6 3 a, 64 a内の油圧と、 同底部 6 3 a, 64 aにおけるコイルスプリング 6 7, 7 7の付勢力との協働にて、 各切替弁 6 6, 76は常に弁作動部材 1 70, 1 8 3におけるカム部 1 7 1, 1 84側へ押 圧され、 対応するカム部に当接した状態に保持される。 そして、 シリンダプロック 42の回転に伴い、 切替弁 6 6, 7 6が軸心 Oに沿 つて往復動する。 このとき、 弁作動部材 1 70, 1 8 3はシリンダブロック 42 に対して同期回転し、 斜板面 44又はヨーク 23 (回転斜面 5 1) に対して相対 回転する。 そして、 切替弁 6 6, 7 6の基端部が弁孔 6 3, 64の底部 6 3 a, 64 aに接近する場合、 カム部 1 7 1の円錐面において当接端 6 6 a, 76 aと 当接する部位は、 シリンダブ口ック 42側へ移動し、 切替弁 66, 76の当接端
66 a, 76 aをシリンダプロック 42側へ押圧する。 すると、 切替弁 66, 7 6によりコイルスプリング 67, 77は自身の付勢力に抗して収縮されるととも に、 弁孔 63, 64の底部 63 a, 64 a内の作動油は周溝 98へ排出される。 一方、 切替弁 66, 76の基端部が弁孔 63, 64の底部 63 a, 64 aから 離間する場合、 カム部 171, 1 84の円錐面において当接端 66 a, 76 aと 当接する部位は、 シリンダプロック 42とは反対側へ移動する。 このとき、 コィ ルスプリング 67, 77の弾性力と、 弁孔 63, 64の底咅 3 a, 64 a内の 作動油の油圧とが切替弁 66, 76に作用する。 すると、 第 1及び第 2切替弁 6 6, 76はその当接端 66 a, 76 aがカム部 1 7 1, 1 84に当接したまま、 シリンダプロック 4 ¾から突出するように移動する。 このように、 切替弁 66, 76の当接端 66 a, 76 aは、 斜板に当接ではな く、 テーパ状に形成されたカム部 171, 184に当接され、 それにより、 切替 弁 66, 76の往復動を実現させている。 そして、 弁作動部材 1 70, 1 83 (カム部 171, 184) は自身の軸線 X, Yに対して線対称の断面形状を有し ているので、 シリンダプロック 42の軸心 Oに関して重量バランスを良好に維持 することができる。 従って、 本実施形態によれば、 前記第 1実施形態における (3) 〜 (5) に記 載の効果に加えて、 以下のような効果を得ることができる。
(1) 上記実施形態では、 シリンダブロック 42に対して同期回転する弁作動 部材 1 70, 183のシリンダプロック 42側に力ム部 1 71, 18 を設け、 その内周面を円錐状に形成した。 そして、 弁作動部材 170, 183の軸線 X, Yをシリンダプロック 42の軸心 Oに対して所定距離 e , f だけオフセットさせ た。 この結果、 シリンダプロック 42が回転することで、 切替弁 66, 76に往 復動が付与される。
従って、 前述した従来装置と異なり、 切替弁 66, 76を玉軸受ではなく、 軸 線 X, Yに対して断面が線対称に形成された円錐状のカム部 1 71, 184に当
接させたので、 切替弁 66, 76が往復動する際に、 軸心 Oに沿ったパランス修 正が容易である。 なお、 上記各実施形態は以下のように変更して具体化してもよい。
第 1実施形態では、 フランジ 72の係止溝 73と係合するくびれ部 66 b, 7 6 bの長手方向両側にはテーパ面 66 d, 76 dを形成したが、 図 6 (c) に示 すように、 前記テーパ面を省略してもよい。 このようにした場合、 各フランジ 7 2は、 切替弁 66, 76の大径部 66 c, 76 cに対して点接触する。 第 1実施形態のリテーナ 70及び切替弁 66, 76に代えて、 リテーナ及ぴ切 替弁を図 16 (a), (b) に示すような構成にしてもよい。 即ち、 図 16 (a) に示すように、 リテーナ 70, 83は、 円筒状の筒部 71と、 筒部 71のシリン ダブ口ック 42側の端部周縁に亘つて等角度をおいて張出形成された複数の係合 突起 1 72とから構成されている。 図 1 6 (b) に示すように、 各係合突起 1 7 2は L字状に形成されている。 そして、 リテーナ 70, 83は、 玉軸受 69, 84を介し、 その軸心が軸心 O に対して斜交するように配置されている。 このため、 各係合突起 1 72のシリン ダブロック 42に対向する面を含む仮想平面は、 軸心 Oに対して斜交する。 一方、 各切替弁 66, 76には係合孔 1 76が形成され、 前記各係合突起 1 7 2が挿入されている。 前記係合孔 1 Ί 6の両開口部はテーパ面 176 aとされて おり、 係合突起 1 72の両側面は前記テーパ面 176 aに対して線接触するよう になっている。 このようにしても、 第 2実施形態と同様の作用効果が得られる。 図 16 (b) は第 2油圧装置 200側のリテーナ 83を図示しているが、 第 1油 圧装置 100側のリテーナ 70も同様の構成である。 第 1実施形態のリテーナ 70, 83を図 17に示すような構成にしてもよい。 即ち、 リテーナ 70, 83のフランジ 72と切替弁 66, 76の先端部をピアノ
線 1 73等の曲げ方向に弾性を有する部材で連結する。 このようにしても、 フラ ンジ 7 2のフランジ表面がシリンダブ口ック 42に向かって移動またはシリンダ ブロック 42から離間するように移動する際に、 ピアノ線 1 7 3を介して、 切替 弁 66, 7 6に往復動を付与できる。 なお、 図 1 7は第 2油圧装置 200側のリ テーナ 8 3を図示しているが、 第 1油圧装置 1 00側のリテーナ 70も同様の構 成である。 第 1及び第 2実施形態のギヤシフト装置の構成を、 図 1 8に示すギヤシフト装 置 (CST) 1 38の構成に変えてもよレヽ。
ギヤシフト装置 1 38は、 第 1クラッチ 1 3 9及ぴ第 2クラッチ 1 40を備え ている。 第 1クラッチ 1 3 9においては、 ヨーク 2 3に連結された駆動側クラッ チプレートに対して従動クラッチプレートが連結されると、 従動クラッチプレー トに連結されたギヤ 14 1力 ギヤ 142を介して、 図示しない終減速装置に駆 動トルクを伝達する。 又、 第 2クラッチ 1 40においては、 ヨーク 2 3に連結さ れた駆動側クラッチプレートに対して従動クラッチプレートが連結されると、 ギ ャ 1 43が、 アイドラギヤ 1 44、 1 45、 及びアイドラギヤ 145に嚙合され たギヤ 142を介して、 図示しない終減速装置に駆動トルクを伝達する。 ギヤシフト装置 1 3 8はシフトレバー 1 46 (図 1 1参照) に連係されており、 このシフトレバー 146の操作に基づいて、 前進時には第 1クラッチ 1 3 9が接 続状態に切り替えられ、 後進時には、 第 2クラッチ 140が接続状態に切り替え られる。 第 1及ぴ第 2実施形態において、 第 1油圧装置 1 00又は第 2油圧装置 200 を、 プランジャ 4 3, 5 8が軸線方向に往復動するアキシャル型に代えて、 プラ ンジャが軸線の径方向に往復動するラジアル型にしてもよい。 第 2実施形態において、 弁作動部材 1 7 0, 1 8 3のカム部 1 7 1, 1 84の 内周面を半球面状に形成してもよい。 また、 カム部の形状は円錐面や半球面でな
くても、 断面放物線状の面や他の形状でもよい。 第 2実施形態では、 カム部 1 7 1 , 1 8 4の内周面を円錐状に形成したが、 弁 作動部材 1 7 0, 1 8 3の外周面を円錐状に突出させ、 その外周面に切替弁 6 6 , 7 6を当接させるようにしてもよい。 このようにした場合、 前記弁作動部材 1 7 0, 1 8 3の外周面が斜面に相当する。 第 3実施形態
次に、 本発明を具体化した無断変速装置の第 3実施形態を、 第 1実施形態との 相違点を中心に図 1 9から図 2 2に従って詳細に説明する。 尚、 第 1実施形態と 同一の部材については、 同一の符号を使用し、 その詳細な説明を省略する。 さて、 図 1 9に示すように、 各第 1弁孔 6 3には、 前記第 1実施形態と同様に、 第 1油室 6 1と第 2油室 6 2との間において、 対応するプランジャ孔 4 7に連通 する油路 6 5のポート Uが形成されている。 また、 第 1弁孔 6 3は、 その奥部に 至るまで、 第 1油室 6 1及ぴ第 2油室 6 1, 6 2に相当する部位を除いて、 一定 の内径を有し、 従来 (図 2 2参照) と異なり、 ポート Uに対応する部位に拡径部 は形成されていない。 前記ポート Uが合流部に相当する。 第 1切替弁 6 6は、 第 1開口位置 n 1と第 2開口位置 n 2と間の往復移動によ り、 作動油の流通路を切換える。 そして、 この往復移動中に、 第 1切替弁 6 6が ポート閉鎖位置 η θに配された際には、 油路 6 5と第 1弁孔 6 3 (即ち、 第 1油. 室 6 1又は第 2油室 6 2 ) との間での作動油の授受が行われない。 第 1切替弁 6 6がポート閉鎖位置 n 0に配された際には、 図 1 9及ぴ図 7に示すように、 軸部 1 6 6 dがポート Uに相対し、 第 2ランド部 1 6 6 bが第 1油室 6 1を直接閉鎖 し、 さらに第 3ランド部 1 6 6 cが第 2油室 6 2を直接閉鎖する。 従って、 上記した構成により、 従来 (図 2 1及び図 2 2参照) と異なり、 ラン ド部 1 6 6 a〜 1 6 6 cをポート Uの相対位置に配することなく、 ポート Uの閉
鎖を可能にしている。 軸部 1 6 6 dの断面積は、 第 1弁孔 6 3の断面積よりも小 さいため、 第 2ランド部 1 6 6 bと第 3ランド部 1 6 6 c間に溜まる作動油は、 軸部 1 6 6 dの全周面に亘つて位置する。 この結果、 従来 (図 2 1参照) と異な り、 油路 6 5に溜まる作動油によって、 第 1切替弁 6 6の周面の一部に集中的に 圧力を受けることなく、 第 1切替弁 6 6の往復動はスムーズに行われる。 また、 ポート Uに相対する軸部 1 6 6 dの両側に位置する第 2ランド部 1 6 6 bと第 3 ランド部 1 6 6 cの断面積は、 第 1弁孔 6 3の断面積と略同じにされているため、 第 1及び第 2油室 6 1, 6 2に作動油が流れることは勿論ない。 ポート閉鎖位置 n 0がシール位置に相当する。 ' 前記実施形態と同様に、 図 7に示す領域 Hにおいては、 ポート Uと第 2油室 6 2とを連通するように、 第 1切替弁 6 6がポート閉鎖位置 n 0と第 1開口位置 n 1間を移動する。 この領域 Hにおいては、 各油室 6 1 , 6 2に対して第 1切替弁 6 6は以下のように作用する。 即ち、 第 1切替弁 6 6の中間部位の第 2ランド部 1 6 6 bが第 1油室 6 1を閉鎖し、 ポート U (油路 6 5 ) と第 1油室 6 1とを不 通状態にする。 一方、 第 1切替弁 6 6の先端側の第 3ランド部 1 6 6 cが第 1弁 孔 6 3の奥部に移動し、 ポート U (油路 6 5 ) と第 2油室 6 2とを連通させる。 また、 図 7に示す領域 Iにおいては、 ポート Uと第 1油室 6 1とを連通するよ うに、 第 1切替弁 6 6がポート閉鎖位置 n 0と第 2開口位置 n 2間を移動する。 この領域 Iにおいては、 各油室 6 1, 6 2に対して第 1切替弁 6 6は以下のよう に作用する。 即ち、 第 1切替弁 6 6の先端側の第 3ランド部 1 6 6 cが第 2油室 6 2を閉鎖し、 ポート U (油路 6 5 ) と第 2油室 6 2とを不通状態にする。 一方、 第 1切替弁 6 6の中間部位の第 2ランド部 1 6 6 bが第 1弁孔 6 3の開口側に移 動し、 ポート U (油路 6 5 ) と第 1油室 6 1とを連通させる。 図 2 0に示すように、 各第 2弁孔 6 4には、 第 1油室 6 1と第 2油室 6 2との 間において、 対応するプランジャ孔 5 7に連通する油路 7 5のポート Wが形成さ れている。 また、 第 2弁孔 6 4は、 その奥部に至るまで、 第 1油室 6 1及ぴ第 2
油室 6 1 , 6 2に相当する部位を除いて、 一定の内径を有し、 従来 (図 2 2参 照) と異なり、 ポート Wに対応する部位に拡径部は形成されていなレ、。 前記ポー ト Wが合流部に相当する。 各第 2弁孔 6 4には、 スプール型の第 2切替弁 7 6が前記プランジャ 5 8に対 して平行となるように摺動自在に配置されている。 第 2切替弁 7 6は分配弁に相 当する。 第 2切替弁 7 6は、 軸部 1 7 6 dと第 4〜第 6ランド部 1 7 6 a〜l 7
6 cとから構成されている。 なお、 第 2切替弁 7 6の構成は、 第 1切替弁 6 6と 同じであり、 第 2切替弁 7 6の第 4〜第 6ランド部 1 7 6 a〜 1 7 6 c, 軸部 1
7 6 dが第 1切替弁 6 6の第 1〜第 3ランド部 1 6 6 a〜 1 6 6 c, 軸部 1 6 6 dに相当する。 図 7に示すように、 第 2切替弁 7 6は、 ポート閉鎖位置 m Oを中心として、 第 2弁孔 6 4を介してポート W (油路 7 5 ) と第 1油室 6 1とを連通させる第 3開 口位置 m lと、 ポート W (油路 7 5 ) と第 2油室 6 2とを連通させる第 4開口位 置 m 2と間で往復移動される。 第 2切替弁 7 6は、 第 3開口位置 m 1と第 4開口位置 m 2間の往復移動により、 作動油の流通路を切換える。 そして、 この往復移動中に、 第 2切替弁 7 6がポー ト閉鎖位置 m 0に配された際には、 図 2 0及ぴ図 7に示すように、 軸部 1 7 6 d がポート Wに相対し、 第 5ランド部 1 7 6 bが第 2油室 6 2を直接閉鎖し、 さら に第 6ランド部 1 7 6 cが第 1油室 6 1を直接閉鎖する。 従って、 上記した構成により、 従来 (図 2 1及び図 2 2参照) と異なりランド 部をポート Wの相対位置に配することなく、 ポート Wの閉鎖を可能にしている。 また、 このとき、 第 2弁孔 6 4と第 2切替弁 7 6の断面積の差異に基づく、 作用 効果は、 既に説明した第 1切替弁 6 6場合と同じであるため、 その説明を省略す る。 なお、 ポート閉鎖位置 m Oがシール位置に相当する。
図 7に示す領域 Jにおいては、 ポート Wと第 1油室 61とを連通するように、 第 2切替弁 76がポート閉鎖位置 mOと第 3開口位置 mlとの間を移動する。 こ の領域 Jにおいては各油室 61, 62に対して第 2切替弁 76は以下のように作 用する。 即ち、 第 2切替弁 76の中間部位の第 5ラン bが第 2油室 62を閉鎖し、 ポート W (油路 75) と第 2油室 62とを不通状態にする。 一方、 第 2切替弁 7 6の先端側の第 6ランド部 1 76 cが第 2切替弁 76の奥部側に移動し、 ポート Wと第 1油室 61とを連通させる。 領域 Kにおいては、 ポート Wと第 2油室 62とが連通するように、 第 2切替弁 76がポート閉鎖位置 m 0と第 4開口位置 m 2との間を移動する。 この領域 Kに おいては、 各油室 61, 62に対して第 2切替弁 76は以下のように作用する。 即ち、 第 2切替弁 76の先端側の第 6ランド部 1 76 cが第 1油室 61を閉鎖し、 ポート W (油路 75) と第 1油室 61とを不通状態にする。 一方、 第 2切替弁 7 6の中間部位の第 5ランド部 1 76 bが第 2切替弁 76の開口側に移動し、 ポー ト W (油路 75) と第 2油室 62とを連通させる。 従って、 上記実施形態によれば、 以下のような効果を得ることができる。
( 1 ) 上記実施形態では、 切替弁 66、 76がポート閉鎖位置 n 0, m 0に配 置された時、 弁孔 63, 64より小径の軸部 166 d, 176 dをポート U, W に相対させ、 弁孔 63, 64と略同径の第 2及び第 3ランド部 166 b, 1 66 c (第 5及び第 6ランド部 1 76 b, 1 76 c) にて、 第 1及び第 2油室 61,
62を閉鎖させた。 そして、 油路 65と各油室 61, 62 (弁孔 63, 64) と の間での作動油の授受を停止可能とした。 従って、 ポート閉鎖位置 n 0, mOで は、 作動油は軸部 166 d, 176 dの全周に亘つて溜まるため、 切替弁 66、
76の往復移動をスムーズにできる。
(2) また、 スムーズな切替弁 66、 76の往復移動を実現するために、 従来 (図 22参照) と異なり、 弁孔 63, 64におけるポート U, Wに相対する部位 に拡径部を形成する必要がなくなり、 弁孔 63, 64の加工工程を減らすこと力 S
できる t 第 4実施形態
次に、 本発明を具体化した第 4実施形態を、 前記第 1実施形態との相違点を中 心に、 図 2 3〜図 4 6を参照して詳細に説明する。 本実施形態では、 第 1油圧装置 1 0 0の最大行程容積 VPmax は、 第 2油圧装 置 2 0 0の最大行程容積 VMma X の 1 . 7倍となるように設定されている。 具体 的には、 本実施形態では、 第 1油圧装置 1 0 0の斜板面 4 4の最大傾動角が第 2 油圧装置 2 0 0の回転斜面 5 1の傾斜角よりも大きくなるように設定することに より、 前記最大行程容積の差を得るようにしている。 第 1油圧装置 1 0 0と第 2 油圧装置 2 0 0の最大行程容積に差を持たせることにより、 第 1油圧装置 1 0 0 の行程容積 V Pが第 2油圧装置 2 0 0の行程容積 VMを上回る範囲を有する構成 とされている。 前記斜板面 4 4が直立位置から負の傾動角度位置へと変位した場合、 図 3 2に おいて、 このときの第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pは、 0から VPmax と変 化し、 それに応じて入力軸 2 1の入力回転数が N in のとき出力回転数 N out (出力ギヤ 2 4の回転数) は Nin から 2 . 7 Nin の範囲の速度が得られるよう に本実施形態ではその第 1油圧装置 1 0 0側の作動油の吐出量が設定されている。 図 2 8に示すようにヨーク 2 3のシリンダブロック 4 2側の端面の中央部には 収納孔 7 8が形成されている。 収納孔 7 8内において、 入力軸 2 1の外周には筒 状のホルダ 7 9がー体に固定されている。 ホルダ 7 9には玉軸受 8 0を介して筒 状の支持部材 8 1がヨーク 2 3の収納孔 7 8の底部に対して複数のピン 8 2を介 して一体に連結され、 シリンダブ口ック 4 2に相対回転自在に取付けられている。 支持部材 8 1の内周には、 リテーナ 8 3が玉軸受 8 4を介して回動自在に連結さ れている。
図 2 6に示すように、 第 1油室 6 1、 及ぴ第 2油室 6 2に対応してシリンダブ ロック 4 2の外周よりの位置には、 一対の弁収納孔 8 5、 8 6力 軸心 Oと平行 に配置されている。 両弁収納孔 8 5 , 8 6の底部は、 弁収納孔 8 5よりも縮径さ れた貫通孔 8 7により互いに連通されている。 又、 両弁収納孔 8 5, 8 6には、 シリンダブ口ック 4 2の中央部の段部面において、 外部に開放された開口 8 8、 8 9が形成されている。 両弁収納孔 8 5, 8 6には、 一対のチャージ弁 (逆止 弁) 9 0、 9 1が配置されている。 チャージ弁 9 0 , 9 1は同一構成のため、 チャージ弁 9 0の構成について説明 し、 チャージ弁 9 1の同一構成については同一符号を付してその説明を省略する。 チャージ弁 9 0のケース体 1 9 2は、 円筒状に形成されている。 ケース体 1 9 2の周壁には、 内外を連通する連通孔 1 9 2 aが形成されている。 ケース体 1 9 2において、 一端側の開口部は栓体 1 9 3にて閉塞され、 他端側の開口部は鋼球 からなる弁体 1 9 4の弁座 1 9 5が形成されている。 前記弁体 1 9 4と栓体 1 9 3間には、 コイルスプリング 1 9 6が収納され、 コイルスプリング 1 9 6により 弁体 1 9 4は弁座 1 9 5を閉鎖している。 又、 各チャージ弁 9 0 , 9 1のケース体 1 9 2は、 弁収納孔 8 5, 8 6に対し てその長さ方向 (軸心 Oと平行な方向) に摺動自在に配置されている。 弁収納孔
8 5, 8 6の開口 8 8 , 8 9の内周面には C状をなすパネ係止リング 8 8 a , 8
9 aが固定されている。 パネ係止リング 8 8 a , 8 9 aと各チャージ弁 9 0, 9 1との間にはコイルスプリング 1 9 7, 1 9 8が介装されており、 各チャージ弁 9 0, 9 1を弁収納孔 8 5 , 8 6の底部側へ付勢するようにされている。 コイル スプリング 1 9 7, 1 9 8の付勢力については後記する。 第 1油室 6 1と弁収納孔 8 5の間、 第 2油室 6 2と弁収納孔 8 6との間には、 連通油路 6 1 a , 6 2 aが形成されている。 前記油圧閉回路 Cに作動油をチヤ一 ジするために、 入力軸 2 1内には軸心 Oに沿って軸孔 9 9が穿設されている。 軸
孔 9 9はスリーブ 3 7に対応する部位において、 半径方向に導入油路 9 9 aを有 している (図 2 5参照)。 同導入油路 9 9 aはスリーブ 3 7に半径方向に穿設さ れた油路 3 7 a及ぴ外周面に形成された周溝 3 7 bに連通されている。 側壁部材 3 0には周溝 3 7 bに連通する油路 3 0 aが設けられ、 油路 3 0 a内には図示し ないチヤ一ジポンプから作動油が圧送される。 図 2 6に示すように入力軸 2 1及ぴシリンダブロック 4 2において、 貫通孔 8 7と相対する部分には軸孔 9 9に連通する分岐路 9 9 b , 4 2 aが形成されてい る。 軸孔 9 9内に圧送された作動油は分岐路 9 9 b、 4 2 a、 貫通孔 8 7及ぴチ ヤージ弁 9 0, 9 1を介して前記油圧閉回路 Cを満たす。 すなわち、 チャージ弁 9 0 , 9 1の弁体 1 9 4は油圧閉回路 Cの圧力が軸孔 9 9内のチャージ圧に達す るまで開口して、 軸孔 9 9内の作動油を油圧閉回路 Cに供給する。 又、 同チヤ一 ジ弁 9 0, 9 1は作動油が軸孔 9 9へ逆流するのを防止する。 なお、 コイルスプリング 1 9 7, 1 9 8の付勢力は、 作動油の所定のチャージ 圧によりコイルスプリング 1 9 7 , 1 9 8の付勢力に抗して連通孔 9 2 aが連通 油路 6 1 a , 6 2 aと連通する位置までケース体 1 9 2が移動可能になるように 設定されている。 図 2 6のチャージ弁 9 0側においては、 チャージ弁 9 0力 作動油の所定のチ ヤージ圧によりコイルスプリング 1 9 6の付勢力に抗して連通孔 9 2 aが連通油 路 6 1 a, 6 2 aと連通する位置まで位置した状態を示している。 同図において、 矢印 は、 軸孔 9 9から、 分岐路 9 9 b , 4 2 a、 貫通孔 8 7、 弁収納孔 8 5、 連通孔 9 2 a、 連通油路 6 1 aを通過する作動油の流れを示している。 又、 チャージ圧が下がった場合には、 コイルスプリング 1 9 7 , 1 9 8の付勢 力により、 チャージ弁 9 0 , 9 1のケース体 1 9 2は弁収納孔 8 5, 8 6の底部 に当接される。 このときには、 連通油路 6 l a , 6 2 aが弁収納孔 8 5, 8 6の 開口 8 8, 8 9を介してシリンダブロック 4 2の外部と連通され、 油圧閉回路 C
内の作動油が同外部に解放される。 すなわち、 油圧閉回路 cがシリンダブロック
4 2の外部に直接解放される。 図 2 6のチャージ弁 9 1側においては、 作動油が所定のチャージ圧より下がつ た際、 コイルスプリング 1 9 8の付勢力によりチャージ弁 9 1のケース体 1 9 2 は弁収納孔 8 6の底部に当接され、 連通油路 6 2 aが弁収納孔 8 6の開口 8 9を 介して外部と連通された状態を示している。 同図において、 矢印 ;3は、 第 2油室 6 2から連通油路 6 2 a、 弁収納孔 8 6、 開口 8 9を介してシリンダブロック 4 2外部へ流れる作動油の移動軌跡を示している。 なお、 図 2 6においては、 説明の便宜上、 チャージ弁 9 0側においては連通孔 9 2 aが連通油路 6 1 aに連通した状態を示し、 チャージ弁 9 1側の連通油路 6 2 aが弁収納孔 8 6の開口 8 9と連通した状態を示しているが、 同時にこのよう な状態になることはない。 次に、 油抜き部 1 1 0について説明する。
図 2 6に示すように入力軸 2 1において、 第 1油室 6 1及び第 2油室 6 2と相 対する周面には、 周溝 2 1 c, 2 1 dが形成されている。 図 2 8に示すように入 力軸 2 1には油抜き部 1 1 0が形成されている。 油抜き部 1 1 0は、 入力軸 2 1 の外周面において、 軸方向に延ぴ、 前記周溝 2 1 dに連通する溝部 1 1 1と、 同 溝部 1 1 1の端から入力軸 2 1の径方向に穿設されるとともに軸孔 9 9に連通し た油通路 1 1 2とを備えている。 軸孔 9 9は、 図 2 8に示すように導入油路 9 9 a及ぴ分岐路 9 9 bに連通する小径部 1 1 3、 小径部 1 1 3に隣接した中径部 1 1 4、 中径部 1 1 4に隣接するとともに、 入力軸 2 1の出力端端面に開口する大 径部 1 1 5とを備えている。 各部 1 1 3〜1 1 5は同軸となるように形成されて いる。 油抜き部 1 1 0の油通路 1 1 2の内端は絞り部 1 1 2 aを介して軸孔 9 9の中 径部 1 1 4に連通されている。 移動部材 1 1 6は中径部 1 1 4と大径部 1 1 5内
に摺動自在に収納されている。 移動部材 1 1 6はスプール弁状に形成されている。 移動部材 1 1 6は中径部 1 14に摺動自在に嵌合された第 1ランド 1 1 7と、 大 径部 1 1 5に摺動自在に嵌合された第 2ランド 1 1 8と、 第 1ランド 1 1 '7と第 2ランド 1 1 8とを連結するとともに両ランドょりも小径の連結部 1 1 9を備え ている。 第 1ランド 1 1 7の軸長は中径部 1 14の軸方向長さよりも短くされている。 そして、 第 1ランド 1 1 7が小径部 1 1 3と中径部 1 14間の係止段部 1 1 4 a に係止した際には、 第 1ランド 1 1 7は油通路 1 1 2の絞り部 1 1 2 a側開口端 部を開放する (図 2 8参照)。 連結部 1 1 9と第 1ランド 1 1 7には、 軸方向に 延出された孔 1 20が形成され、 その一端は連結部 1 1 9の周面に開口され、 他 端は第 1ランド 1 1 7の小径部 1 1 3側端面に開口されている。 この結果、 第 1ランド 1 1 7が小径部 1 1 3と中径部 1 14間の係止段部 1 1 4 aに係止した際には、 第 2油室 6 2の作動油は、 周溝 2 1 d、 油抜き部 1 1 0 (溝部 1 1 1、 油通路 1 1 2、 絞り部 1 1 2 a ) を介して軸孔 9 9の中径部 1 1 4に流れる。 そして、 中径部 1 14に流れた作動油は、 孔 1 20を介して軸孔 9 9の小径部 1 1 3へ流れるようにされている。 なお、 絞り部 1 1 2 aがあるため に、 小径部 1 1 3へ流れ出す作動油の量は制限されて少量とされている。 又、 第 1ランド 1 1 7が入力軸 2 1の出力端側へ移動した際、 油通路 1 1 2の 絞り部 1 1 2 a側の開口部を閉塞する。 又、 第 2ランド 1 1 8は反連結部側 (す なわち、 入力軸 2 1の出力端側) に行くほど徐々に小径となるテーパ面を備えた 略円錐台形のテーパ部 1 1 8 aと、 テーパ部 1 1 8 aの先端に設けられ、 大径部 1 1 5と摺接自在に形成されたパネ係止部 1 1 8 bとを備えている。 図 2 3に示すように、 軸孔 9 9の大径部 1 1 5において、 入力軸 2 1の出力端 側の開口部には栓体 1 2 1が螺入量を調節自在に螺合されている。 又、 栓体 1 2 1の軸心に沿って、 移動部材 1 1 6のためのストッパ部材 1 22が螺入量を調節
自在に螺合されている。 移動部材 1 1 6のストツパ部材 1 2 2の内端は大径部 1 1 5内をその軸心方向に沿って延出されている。 栓体 1 2 1と第 2ランド 1 1 8 のバネ係止部 1 1 8 bとの間にはコイルスプリング 1 2 4が介装されている。 通 常のチャージ圧時には、 コイルスプリング 1 2 4の付勢力により、 移動部材 1 1 6を係止段部 1 1 4 aに係止させている。 又、 栓体 1 2 1の螺入量を調節するこ とにより、 コイルスプリング 1 2 4の付勢力の調整が可能とされている。 又、 コイルスプリング 1 2 4の付勢力よりも大きなチャージ圧を得るために、 図示しないチャージポンプを駆動して軸孔 9 9内の作動油を加圧すると、 移動部 材 1 1 6は、 コイルスプリング 1 2 4の付勢力に抗して入力軸 2 1の出力端側に 移動可能である。 この移動により、 移動部材 1 1 6は、 油通路 1 1 2の絞り部 1 1 2 a側開口端部を閉塞可能とされている。 そして、 移動部材 1 1 6のストツパ 部材 1 2 2によって、 移動部材 1 1 6は、 出力端側に移動する際の最大移動量が 制限されている。 さて、 次に、 上記のように構成された無段変速装置 2 0の作用を説明する。 なお、 以下、 本実施形態をはじめ、 他の実施形態においても、 説明の便宜上、 エンジン 2 2のクランク軸から入力軸 2 1に付与される入力回転数 Nin は一定 のものとして説明する。 又、 本実施形態では、 移動部材 1 1 6がコイルスプリング 1 2 4の付勢力によ り、 移動部材 1 1 6が通常は、 係止段部 1 1 4 aに係止されているため、 油抜き 部 1 1 0、 孔 1 2 0を介して、 少量の作動油が第 2油室 6 2 (すなわち、 油圧閉 回路 C) から軸孔 9 9の小径部 1 1 3へ流れ出すことが許容されている。
(出力回転数 Nout が Ninの場合)
図示しないシフトレバーを操作して、 クレイドル 4 5を介して斜板面 4 4を直 立位置に位置させる。
この状態においては、 エンジン 2 2の駆動力により入力軸 2 1を介してシリン
ダブロック 4 2が Ninで回転する。 以後、 Nin と同一向きの回転を正方向の回 転という。 斜板面 4 4は入力軸 2 1の軸心 Oに対して直立位置の中立状態にある。 第 1油圧装置 1 0 0のプランジャ 4 3は斜板面 4 4によっては往復動されず、 従って、 この状態では油圧閉回路 C内を作動油が循環しない。 このため、 第 2油 圧装置 2 0 0側においては各プランジャ 5 8の突出端がストローク運動ができな い状態でシユー 6 0を介して回転斜面 5 1に当接係合するため、 シリンダプロッ ク 4 2と回転斜面 5 1とは直結状態となり、 一体回転する。 すなわち、 この状態 は、 入力軸 2 1と出力ギヤ 2 4とが直結状態となる。 この回転斜面 5 1に付与さ れた正方向への回転は、 ヨーク 2 3、 出力ギヤ 2 4、 入力ギヤ 1 5 1を介して終 減速装置へ伝達される。 図 2 9は、 このときの状態の模式図である。 図 2 9〜図 3 1において、 Nin、 Noutに付された矢印は該当する部材の回転方向を示している。
前記斜板面 4 4が直立位置に位置している場合には、 図 3 2に示すように第 1 油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pは 0となり、 出力回転数 Nout (出力ギヤ 2 4の 回転数) は入力回転数 N inとなる。
(出力回転数 Nout が Ninと 2 Ninの間の場合)
図示しないシフトレバーを操作して、 クレイドル 4 5を介して斜板面 4 4を図 2 5で示すように負側に傾動して所定の負の傾動角度位置と直立位置との間の領 域に位置させる。 この所定の負の傾動角度位置とは、 第 1油圧装置 1 0 0の行程 容積 V Pの絶対値が第 2油圧装置 2 0 0の行程容積 VMの絶対値 ( = VMmax) と 等しくなるまでの位置である。 この場合、 エンジン 2 2の駆動力により入力軸 2 1を介してシリンダブロック 4 2が Nin で回転する。 すると、 第 1油圧装置 1 0 0は、 シリンダプロック 4 2の軸心 O周りの回転角 0 ° 〜 1 8 0 ° の範囲で、 作動油がポート Uを介してプ ランジャ孔 4 7へ吸入し、 1 8 0 ° 〜 3 6 0 ° ( 0 ° ) の範囲で、 作動油をポー
ト Uを介してプランジャ孔 4 7から吐出する。 吐出する油室及び吸入する油室は、 シリンダブロック 4 2の軸心 O周りの回転角に対応した領域 H, Iによって決ま る。 なお、 第 1油圧装置 1 0 0が吐出、 吸入する作動油量は、 斜板面 4 4の負側へ の傾動角が大きくなるにつれて、 増加する。 この時、 第 2油圧装置 2 0 0は、 ョ ーク 2 3 (出力回転部) のシリンダプロック 4 2に対する軸心 O周りの相対回転 角 0 ° 〜1 8 0 ° の範囲で、 作動油をポート Wを介してプランジャ孔 5 7へ吸入 し、 1 8 0 ° 〜 3 6 0 ° ( 0 ° ) の範囲で、 作動油をポート Wを介してプランジ ャ孔 5 7から吐出する。 吐出する油室及ぴ吸入する油室は、 ヨーク 2 3 (出力回 転部) のシリンダブ口ック 4 2に対する軸心〇周りの相対回転角に対応した領域 J, Kによって決まる。 この結果、 シリンダブ口ック 4 2が入力軸 2 1を介して駆動される回転数 Nin と、 プランジャ 5 8の回転斜面 5 1への突出押圧作用による正方向の回転数との 合成 (和) により、 回転斜面 5 1は回転される。 この回転斜面 5 1に付与される 正方向の回転は、 ヨーク 2 3、 出力ギヤ 2 4、 入力ギヤ 1 5 1を介して終減速装 置へ正方向の回転として伝達され、 増速作用を行う。 このとき、 斜板面 4 4が直立位置から所定の負の傾動角度位置側へと変位する と、 図 3 2において第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pは 0から VMmaxへと增 加し、 それに応じて出力回転数 Nout は Ninから 2 Ninへと増速する。 なお、 出力回転数 Nout が Nin から 2 Nin に変化するときの第 2油圧装置 2 0 0の行程容積 VMは VMmax のままである。 又、 本実施形態では VPmax = 1 . 7 VMmaxとしている。 この状態における作動油の流れ及ぴ回転の様子は、 図 2 9に示している。
この状態では前記と同様に油抜き部 1 1 0等を介して、 少量の作動油が第 2油
室 6 2 (すなわち、 油圧閉回路 C ) から軸孔 9 9の小径部 1 1 3へ流れ出して若 干のロスが生ずる。 し力、し、 作動油の流れ出す量は少量であり、 かつ、 第 2油室 6 2 (油室 B ) 側は、 第 1油室 6 1 (油室 A) 側より低圧であり、 ヨーク 2 3を 増速のために押圧するプランジャ 5 8の作動効率を低下させないため、 問題はな レ、。
(出力回転数 Nout が 2 N inを越える場合)
前述したときよりも、 さらに前進高速に設定することを望む場合、 クレイドル 4 5を介して斜板面 4 4を負の最大傾動角度位置側に位置させる。
このとき、 第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pは、 第 2油圧装置 2 0 0の行程 容積 VM ( = VMraax) よりも大きくなる範囲 (VMmaxく V P≤ 1 . 7 VMmax) に 入る。 この結果、 第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pに対して第 2油圧装置 2 0 0の 行程容積 VMが相対的に小さくなるので、 第 2油圧装置 2 0 0では、 これを補う ため第 2油圧装置 2 0 0のプランジャ 5 8の往復速度が早くなる。 このため、 プ ランジャ 5 8の回転斜面 5 1への突出押圧作用によって正方向の回転数が増大し、 その増大した回転数と、 シリンダプロック 4 2の正方向の回転数との和により、 ヨーク 2 3、 出力ギヤ 2 4が正方向への出力回転数が 2 N in のときよりも増速 回転される。 又、 回転斜面 5 1に付与された回転トルクは、 ヨーク 2 3、 出力ギヤ 2 4、 入 力ギヤ 1 5 1を介して終減速装置へ伝達される。 又、 斜板面 4 4を負の最大傾 動角度に位置させた場合、 図 3 2において第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pは VP max= 1 . 7 VMmax であり、 一方、 第 2油圧装置 2 0 0の行程容積は VMmax で一定である。 その結果、 VPmax = 1 . 7 VM max であるため、 それに応じて 出力回転数 Nout は 2 N inから 2 . 7 N inへと増速する。 この状態における作動油の流れ及び回転の様子は、 図 2 9に示している。
又、 この状態では前記と同様に油抜き部 1 1 0等を介して、 少量の作動油が第 2油室 6 2 (すなわち、 油圧閉回路 C) から軸孔 9 9の小径部 1 1 3へ流れ出し て若干のロスが生ずる。 し力 し、 作動油の流れ出す量は少量であり、 かつ、 第 2 油室 6 2 (油室 B ) 側は、 第 1油室 6 1 (油室 A) 側より低圧であり、 ヨーク 2 3を増速のために押圧するプランジャ 5 8の作動効率を低下させないため、 問題 はない。
(出力回転数 Nout がゼロと Ninの間の場合)
図示しないシフトレバーを操作して、 クレイドル 4 5を介して斜板面 4 4を正 側に傾動して直立位置から正の傾動角度位置の領域に位置させる。 なお、 正の傾 動角度位置のうち、 所定の正の傾動角度位置とは、 第 1油圧装置 1 0 0の行程容 積 V Pの絶対値が第 2油圧装置 2 0 0の行程容積 VMの絶対値と等しくなるまで の位置である。 この場合、 斜板面 4 4が正方向へ傾動するため、 エンジン 2 2の駆動力により 入力軸 2 1を介してシリンダブ口ック 4 2が回転すると、 第 1油圧装置 1 0 0は、 シリンダブ口ック 4 2の軸心 O周りの回転角 0 ° 〜 1 8 0 ° の範囲で、 作動油を ポート Uを介してプランジャ孔 4 7から吐出し、 1 8 0。 〜3 6 0 ° ( 0 ° ) の 範囲で作動油をポート Uを介してプランジャ孔 4 7へ吸入する。 吐出する油室及 ぴ吸入する油室は、 シリンダブ口ック 4 2の軸心 O周りの回転角に対応した領域 H, Iによって決まる。 なお、 第 1油圧装置 1 0 0が吐出、 吸入する作動油量は、 斜板面 4 4の正側へ の傾動角が大きくなるにつれて増加する。 この時、 第 2油圧装置 2 0 0は、 ョー ク 2 3 (出力回転部) のシリンダブ口ック 4 2に対する軸心 O周りの相対回転角 0 ° 〜1 8 0 ° の範囲で、 作動油をポート Wを介してプランジャ孔 5 7から吐出 し、 1 8 0 ° 〜3 6 0 ° ( 0 ° ) の範囲で、 作動油をポート Wを介してプランジ ャ孔 5 7へ吸入する。 吐出する油室及び吸入する油室は、 ヨーク 2 3 (出力回転 部) のシリンダブ口ック 4 2に対する軸心 O周りの相対回転角に対応した領域 J ,
Kによって決まる。 この結果、 ブランジャ 5 8の回転斜面 5 1への突出押圧作用により、 前記 「出 力回転数 Nout が Ninと 2 Ninの間及び 2 Ninを越える場合」 とは逆方向の回 転を与える。 従って、 前記逆方向の回転数と、 シリンダブロック 4 2の正方向の 回転数との合成 (和) により、 ヨーク 2 3、 出力ギヤ 2 4が回転される。 このと きの回転数の和は、 逆方向の回転数分減少した正方向の回転数となるため、 出力 回転数 Nout は 「出力回転数 Nout が Ninの場合」 に比較して小さくなる。 本実施形態では、 このとき、 斜板面 4 4が直立位置から正の最大傾動角度位置 側へと変位すると、 図 3 2において第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pは 0から - VMmax (前記 「一」 はポート Uから第 2油室 6 2に吐出される場合を意味し ている。 以下、 同じ) 側へと増加し、 それに応じて出力回転数 Nout は Ninか ら 0 へと減速する。 なお、 このときの出力回転数 Nout が Nin から 0に変化するときの第 2油圧 装置 2 0 0の 1回転当たりの行程容積 VMは一 VM max である。 (前記 「―」 は 第 2油室 6 2からポート Wへ吸入される場合を意味している。) この状態では前 記と同様に油抜き部 1 1 0等を介して、 少量の作動油が第 2油室 6 2 (すなわち、 油圧閉回路 C) から軸孔 9 9の小径部 1 1 3へ流れ出して若干のロスが生ずる。 し力 し、 作動油の流れ出す量は少量であり、 かつ、 第 2油室 6 2 (油室 B ) 側は、 第 1油室 6 1 (油室 A) 側より低圧であり、 ヨーク 2 3を減速のために押圧する プランジャ 5 8の作動効率を低下させないため、 問題はない。 図 3 0は、 このときの状態の模式図である。 第 1油室 6 1 (油室 A) 側は、 第 2油室 6 2 (油室 B ) 側よりも高圧側となっており、 油圧閉回路 Cでは、 図に示 す矢印で示すような作動油の流れとなっている。
(出力回転数 Nout が 0の場合)
次に、 図示しないシフトレバーを操作し、 クレイドル 4 5を介して斜板面 4 4 を前記所定の正の傾動角度位置のうち、 第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pの'絶 対値が第 2油圧装置 2 0 0の行程容積 VMの絶対値と等しくなる位置に位置させ る。 この場合、 本実施形態では第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pは一 VMmax と なる。 この結果、 前記逆方向の回転数と、 シリンダブロック 4 2が入力軸 2 1を 介して駆動される回転数 Nin とが釣り合い、 すなわち、 回転数の和は 0 (出力 回転数 Nout は 0 ) となり、 出力ギヤ 2 4は停止する。 この状態で、 さらにクレイドル 4 5を介して斜板面 4 4を前記所定の正の傾動 角度位置からさらに正側に傾動させると、 第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pの 絶対値は、 第 2油圧装置 2 0 0の行程容積 VM (= VMmax) の絶対値よりも大き くなる範囲に入る。 このため、 第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pの絶対値に対して第 2油圧装置 2 0 0の行程容積 VMの絶対値が相対的に小さくなるので、 本来ならば第 2油圧 装置 2 0 0では、 これを補うため第 2油圧装置 2 0 0のプランジャ 5 8の往復速 度が早くなるはずである。 し力 し、 この時第 2油室 6 2は、 第 1油室 6 1側に比して高圧側となり、 第 2 油室 6 2 (すなわち、 油圧閉回路 C) 力 ら作動油が油抜き部 1 1 0等を介して軸 孔 9 9の小径部 1 1 3へ高圧の作動油が流れ出す。 シリンダブ口ック 4 2が 1回 転する際の油圧閉回路 Cから流れ出す最大ロス量を Lとしたとき、
第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pの絶対値と第 2油圧装置 2 0 0の行程容積 VMの絶対値との差 ( I V P I— I VM I ) が、
I V P I - I VM I ≤L
を満足している間は、 結果として、 I V P I と I VM | +ロス量とが釣り合うた め、 第 2油圧装置 2 0 0では、 引き続き、 前記逆方向の回転数と、 シリンダプロ
ック 4 2が入力軸 2 1を介して駆動される回転数 N in とが釣り合い、 すなわち, 回転数の和はゼロ (出力回転数 Nout はゼロ) となり、 出力ギヤ 2 4は停止し た状態 (中立) を保持する。 図 3 2において、 Δ 1は I V P f - I VM I力 ゼロから Lとなるまでの間の 両装置の行程容積差を示している。
(出力回転数 Nout がゼロ未満の場合)
さらに、 クレイ ドル 4 5を介して斜板面 4 4を前記所定の正の傾動角度位置か ら正側に傾動させ、 第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pの絶対値と第 2油圧装置 2 0 0の行程容積 VMの絶対値との差 ( I V P I— I VM I ) 力
I V P I - I VM I > L となるようにする。 すると、 第 1油圧装置 1 0 0の 行程容積 V Pの絶対値に対して第 2油圧装置 2 0 0の行程容積 VMの絶対値と口 ス量の和がさらに相対的に小さくなるので、 第 2油圧装置 2 0 0では、 これをネ詹 うため第 2油圧装置 2 0 0のプランジャ 5 8の往復速度が早くなる。 なお、 このとき、 本実施形態では、 移動部材 1 1 6は軸心 Oに沿った方向には 移動せず、 油通路 1 1 2の絞り咅 I 1 2 a側開口端部を閉塞しないものとする。 このため、 プランジャ 5 8の回転斜面 5 1への突出押圧作用によって逆方向の 回転数が増大し、 その増大した逆方向の回転数と、 シリンダブ口ック 4 2の正方 向の回転数との合成 (和) により、 ヨーク 2 3、 出力ギヤ 2 4が入力回転とは逆 回転される。 又、 逆方向の回転トルクは、 ヨーク 2 3、 出力ギヤ 2 4、 入力ギヤ 1 5 1を介して終減速装置へ伝達される。 又、 斜板面 4 4を正の最大傾動角度位置側に位置させた場合、 図 3 2において 第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pは— VPmax=— 1 · 7 VMmax であり、 一方、 第 2油圧装置 2 0 0の行程容積は一 VMmax で一定である。 し力 し、 上記のよう に、 本実施形態では、 このとき、 移動部材 1 1 6は軸心〇に沿った方向には移動 せず、 油通路 1 1 2の絞り部 1 1 2 a側開口端部を閉塞しないものとしてレヽる。
このため、 油抜き部 1 1 0からの作動油のロス量分の回転量は減少したものと なるが、 一 VPmax =— 1 . 7 VM max であるため、 それに応じて出力回転数 N out は 0から減速する。 又、 それに応じて出力回転数 Nout はゼロから後進方向 に増速する。 図 3 2においては、 「シール無」 と付された実線上において、 Nout が変化す る。 又、 図 3 1は、 このときの状態を示す模式図である。 第 2油室 6 2 (油室 B ) 側は、 第 1油室 6 1 (油室 A) 側よりも高圧側となっており、 油圧閉回路 C では、 図に示す矢印で示すような作動油の流れとなっている。 第 4実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
( 1 ) 第 4実施形態の無段変速装置 2 0 (油圧式無段変速装置) は、 第 1油 圧装置 1 0 0として、 プランジャ 4 3を備え、 軸心 Oの周りで回動不能としたク レイドル 4 5の斜板面 4 4 (当接部) によって同プランジャ 4 3の突出入を行う ようにした。 又、 第 2油圧装置 2 0 0として、 プランジャ 5 8を備え、 同プラン ジャ 5 8の突出入によって入力回転に対して相対又は同期回転のいずれかを行う ヨーク 2 3 (出力回転部) を設けた。 そして、 第 1油圧装置 1 0 0と第 2油圧装 置 2 0 0双方のプランジャ 4 3 , 5 8を収納するシリンダブロック 4 2を共有し、 シリンダブ口ック 4 2を入力回転と同期回転する構成とした。 さらに、 第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pが第 2油圧装置 2 0 0の行程容積 VMを上回る範囲を有する構成とし、 第 1油圧装置 1 0 0と第 2油圧装置 2 0 0 とを連通する油路 (油圧閉回路 C ) のうち、 ヨーク 2 3が入力回転に対して正回 転するときの低圧油路側となる第 2油室 6 2に油抜き部 1 1 0を設けた。 この結果、 第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pが、 第 2油圧装置 2 0 0の行程 容積 VMmax と等しくなるときから、 油抜き部 1 1 0の油逃し量 (油圧閉回路 C から流れ出すロス量) にて対応できる範囲では、 出力回転数 Nout はゼロとなつ
て、 中立を実現できる。 従って、 油逃し量の分だけ、 中立を行える範囲に幅を持 たせることができる。 第 4実施形態の変形例
次に、 第 4実施形態の変形例を図 2 3乃至図 3 2を参照して説明する。
本実施形態の構成は、 第 4実施形態の構成と同一であるが、 移動部材 1 1 6の 作用が一部異なっている。 従って、 第 4実施形態の構成に使用した構成について は同一符号を付して説明する。 また、 第 4実施形態の変形例では、 出力回転数 N out がゼロ未満の場合の作用のみが第 4実施形態と異なるので、 その点について 以下に説明する。 なお、 説明の便宜上、 第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pの絶対値と第 2油圧 装置 2 0 0の行程容積 VMの絶対値との差 ( I V P I _ I VM I ) 、
I V P I - I VM I ≤L
を満足しており、 第 2油圧装置 2 0 0では、 引き続き、 前記逆方向の回転数と、 シリンダプロック 4 2が入力軸 2 1を介して駆動される回転数 Nin とが釣り合 つている状態から説明をする。 すなわち、 回転数の和はゼロ (出力回転数 Nout はゼロ) となり、 出力ギヤ 2 4は停止した状態 (中立) を保持している状態とする。
この状態においては、 i V P I — I VM I = Lのときには、 第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pは、 図 3 2の a点の位置に位置している。 この状態で、 コイルスプリング 1 2 4の付勢力よりも大きなチャージ圧を得る ために、 図示しないチャージポンプを駆動して軸孔 9 9内の作動油を加圧する。 すると、 移動部材 1 1 6がコイルスプリング 1 2 4の付勢力に抗して入力軸 2 1 の出力端側に移動し、 油通路 1 1 2の絞り部 1 1 2 a側開口端部を閉塞する。 この結果、 第 2油室 6 2 (すなわち、 油圧閉回路 C ) から作動油が油抜き部 1
1 0等を介して軸孔 9 9の小径部 1 1 3へ流出するのが停止する。 このため、 今 まで、 ロスしていた作動油の分まで、 第 2油圧装置 2 0 0のプランジャ 5 8を押 圧する作動油量が増加する。 従って、 第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pの絶対値に対して第 2油圧装置 2 0 0の行程容積 VMの絶対値がさらに相対的に小さくなるので、 第 2油圧装置 2 0 0では、 これを補うため第 2油圧装置 2 0 0のプランジャ 5 8の往復速度が早 くなる。 このため、 プランジャ 5 8の回転斜面 5 1への突出押圧作用によって逆方向の 回転数が増大し、 その増大した逆方向の回転数と、 シリンダブ口ック 4 2の正方 向の回転数との合成 (和) により、 ヨーク 2 3、 出力ギヤ 2 4が逆方向へ回転さ れる。 又、 逆方向の回転トルクは、 ヨーク 2 3、 出力ギヤ 2 4、 入力ギヤ 1 5 1 を介して終減速装置へ伝達される。 このとき、 図 3 2においては、 出力回転数 N outは a点から b点に移動する。 この後、 クレイドル 4 5を介して斜板面 4 4を、 正の最大傾動角度位置側に位 置させた場合、 図 3 2において第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pは一 VPmax = - 1 . 7 VM max であるため、 それに応じて出力回転数 Nout は移動した b点 から逆向きの回転が加速する。 図 3 2においては、 「シール有」 と付された実線 上において、 Noutが変化する。 この変形例によれば以下のような効果を得ることができる。
( 1 ) 第 4実施形態の変形例においては、 ヨーク 2 3 (出力回転部) が入力回 転とは逆回転するときに、 油抜き部 1 1 0の絞り部 1 1 2 a側開口端部を閉塞す る移動部材 1 1 6 (シールする機構) を設けた。 この結果、 ヨーク 2 3 (出力回転部) が入力回転と逆回転する際には、 作動油 が油抜き部 1 1 0を介して漏れなくなる、 すなわち、 油圧閉回路 Cから作動油が
漏れなくなるため、 ヨーク 2 3が入力回転と逆転するときの効率が改善する。 第 5実施形態
次に、 第 5実施形態を図 3 3〜図 3 9を参照して説明する。 なお、 第 4実施形 態の構成と同一の構成については、 第 4実施形態と同一構成又は相当する構成に ついては同一符号を付す。 第 4実施形態の図面も参照されたレ、。 第 4実施形態における第 2油圧装置 2 0 0が固定容量形の差動油圧装置として 構成した代わりに、 本実施形態では、 行程容積可変形の差動油圧装置としたこと が第 4実施形態と異なっている。 以下、 この異なる構成を中心にして説明する。 第 2油圧装置 2 0 0において、 第 4実施形態では、 支持部材 8 1はヨーク 2 3 に対して固定されたピン 8 2に対して軸方向に固定されていた。 それに対して、 本実施形態では、 支持部材 8 1は、 ピン 8 2に対して軸心 Oに沿って摺動自在に 嵌合されている。 さらに、 支持部材 8 1に対して玉軸受 8 0を介して連結されて いたホルダ 7 9は、 入力軸 2 1の外周に対して軸心 Oに沿って摺動自在に、 かつ、 ピン 1 2 8によって入力軸 2 1と一体回転するように嵌合されている。 又、 入力 軸 2 1外周面において、 ホルダ 7 9が位置する部位よりも出力端側には、 係止リ ング 1 2 5が固定されており、 ホルダ 7 9が出力端側への移動時に、 係止リング 1 2 5により、 係止可能にされている。 このため、 リテーナ 8 3は、 軸心 Oに対して斜交するようにして支持部材 8 1、 玉軸受 8 0 , 8 4、 ホルダ 7 9とともに一体に軸心 Oに沿って移動可能とされて いる。 係止部 4 6とホルダ 7 9との間には、 入力軸 2 1の外周面に卷装された付勢手 段としてのコイルスプリング 1 2 6が配置され、 コイルスプリング 1 2 6の付勢 力により、 ホルダ 7 9は入力軸 2 1の出力端側に常時付勢されている。
入力軸 2 1において、 係止リング 1 2 5に係止したホルダ 7 9に対応した位置 には、 ピン孔 1 2 7が径方向に延びるように形成され、 軸孔 9 9の大径部 1 1 5 と連通されている。 ピン孔 1 2 7内には、 作動ピン 1 2 8が入力軸 2 1の径方向 に摺動自在に配置されている。 図 3 4に示すように、 前記移動部材 1 1 6、 作動ピン 1 2 8、 ホルダ 7 9、 玉 軸受 8 0、 支持部材 8 1、 及ぴ玉軸受 8 4にて変位機構 Dが構成されている。 前 記変位機構 Dは入力軸 2 1に近接するように設けられ、 ヨーク 2 3の内周側空間 (収納孔 7 8 ) 内に配置されている。 ホルダ 7 9の内周面において、 ピン孔 1 2 7に対応した部位には、 テーパ溝 1 2 9がホルダ 7 9の長さ方向に!:つて設けられている。 テーパ溝 1 2 9の底面は 係止リング 1 2 5側 (すなわち、 入力軸 2 1の出力端側) に接近するほどホルダ 7 9の軸心 (入力軸 2 1の軸心 Oと一致する) から離間するようにホルダ 7 9の 軸心に対して斜めに形成されている。 すなわち、 テーパ溝 1 2 9は、 移動部材 1 1 6のテーパ部 1 1 8 aとは逆方向に斜状とされるとともに、 その底面の勾配が、 テーパ部 1 1 8 aの勾配よりも急になるようにされている。 そのため、 前記移動 部材 1 1 6が変位する量、 すなわち第 1変位量と、 リテーナ 8 3が変位する量、 すなわち第 2変位量とを比較すると、 第 1変位量の方が大きく設定されている。 なお、 ここでいう勾配が急とは、 そのテーパ部分を軸心 O方向に沿って移動した 際に、 軸心 Oから離間する程度が大きいことをいう。 前記作動ピン 1 2 8は、 その内端が移動部材 1 1 6のテーパ部 1 1 8 aに当接 されるとともに、 外端がホルダ 7 9のテーパ溝 1 2 9の底面に当接されている。 ホルダ 7 9が係止リング 1 2 5に当接している状態では、 作動ピン 1 2 8はテー ペ溝 1 2 9の底面の近位端側に当接されている。 そして、 作動ピン 1 2 8が入力 軸 2 1の軸心 Oを中心とした放射方向に移動した際には、 テーパ溝 1 2 9の底面 を介してホルダ 7 9をコイルスプリング 1 2 6の付勢力に抗して入力軸 2 1の入 力端側に移動させ、 テーパ溝 1 2 9の底面の遠位端側に当接可能とされている。
テーパ溝 1 2 9の近位端側から遠位端側までの作動ピン 1 2 8の押圧位置の移動 により、 リテーナ 8 3のフランジ 7 2に係合された第 2切替弁 7 6の変位端が入 力軸 2 1の入力端側に変位するようにされている。 第 2切替弁 7 6の変位端の変位により、 すなわち、 図 7 , 3 9で示すようにョ ーク 2 3 (出力回転部) がシリンダブロック 4 2に対して 1回転する間の領域 J, Kの割合が変化することにより、 図 3 8において第 2油圧装置 2 0 0の最大行程 容積の絶対値は VM max から 0 . 6 VM maxへと変化するように、 ポート Wの開 閉タイミングが変えられるように設定されている。
第 5実施形態において、 図 3 9に示す領域 Jとはポート Wと第 1油室 6 1が連 通する区間を全て含む領域のことであり、 領域 Kとはポート Wと第 2油室 6 2が 連通する区間を全て含む領域のことである。 なお、 以下、 作動ピン 1 2 8がテーパ溝 1 2 9の底面の近位端側に当接した際 の第 2切替弁 7 6の変位位置を第 1変位位置 R 1といい、 遠位端側に当接した際 の第 2切替弁 7 6の変位位置を第 2変位位置 R 2という (図 7参照)。 従って、 第 2切替弁 7 6は、 図 7の第 1変位位置 R 1又は第 2変位位置 R 2で示す線上に 沿って作動する。 又、 本実施形態では、 第 1油圧装置 1 0 0の最大行程容積 VPmax は、 第 2油 圧装置 2 0 0の最大行程容積 VMmax より若干大きくなるように設定されている。 その差を Δ 2で表す。 具体的には、 本実施形態では、 第 1油圧装置 1 0 0のブラ ンジャ孔 4 7の内径が、 第 2油圧装置 2 0 0のプランジャ孔 5 7の内径と略同一 径にし、 かつ、 プランジャ 4 3、 5 8の径が略同一となるようにされており、 力 つ、 プランジャ 4 3, 5 8のストローク量が最大行程容積において、 差を有する ように、 斜板面 4 4の最大傾動角が回転斜面 5 1の傾斜角よりも若干大きくなる ように設定されている。 他の構成は、 第 1実施形態と同様に構成されているため、 その説明を省略する。
本実施形態の無段変速装置 2 0の作用の説明に当たり、 エンジン 2 2のクラン ク軸から入力軸 2 1に付与される入力回転数 N inは一定のものとする。
(出力回転数 Nout が Ninの場合)
図示しないシフトレバーを操作して、 クレイ ドル 4 5を介して斜板面 4 4を直 立位置に位置させる。 この状態においては、 第 4実施形態と同じ理由から、 シリ ンダブロック 4 2と回転斜面 5 1とは直結状態となり、 一体回転する。 すなわち、 この状態は、 入力軸 2 1と出力ギヤ 2 4とが直結状態となる。 この回転斜面 5 1 に付与された正方向への回転は、 ヨーク 2 3、 出力ギヤ 2 4、 入力ギヤ 1 5 1を 介して終減速装置へ伝達される。 前記斜板面 4 4が直立位置に位置している場合には、 図 3 8に示すように第 1 油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pは 0となり、 出力回転数 Nout (出力ギヤ 2 4の 回転数) は入力回転数 Ninとなる。
(出力回転数 Nout が Ninと 2 Ninの間の場合)
図示しないシフトレバーを操作して、 クレイ ドル 4 5を介して斜板面 4 4を第 4実施形態と同様に負側に傾動して所定の負の傾動角度位置と直立位置との間の 領域に位置させる。 この所定の負の傾動角度位置とは、 第 1油圧装置 1 0 0の行 程容積 V Pの絶対値が第 2油圧装置 2 0 0の行程容積 VMの絶対値 (= VMmax) と等しくなるまでの位置である。 この場合においても、 第 4実施形態と同じ理由により、 シリンダブロック 4 2 が入力軸 2 1を介して駆動される回転数 N in と、 プランジャ 5 8の回転斜面 5 1への突出押圧作用による正方向の回転数との合成 (和) により、 回転斜面 5 1 は回転される。 この回転斜面 5 1に付与される正方向の回転は、 ヨーク 2 3、 出 力ギヤ 2 4、 入力ギヤ 1 5 1を介して終減速装置へ正方向の回転として伝達され、 増速作用を行う。
このとき、 斜板面 4 4が直立位置から所定の負の傾動角度位置側へと変位する と、 図 3 8において第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pは 0から VMmax へと増 加し、 それに応じて出力回転数 Nout は Ninから 2 Ninへと増速する。 なお、 出力回転数 Nout が Ninから 2 N in に変化するときの第 2油圧装置 2 0 0の行程容積 VMは VMmax のままである。 又、 本実施形態では VPmax V Mmax としている。 又、 この状態の作動油の流れ及ぴ回転の様子は、 図 3 5に示 している。 この状態では前記と同様に油抜き部 1 1 0等を介して、 少量の作動油が第 2油 室 6 2 (すなわち、 油圧閉回路 C ) から軸孔 9 9の小径部 1 1 3へ流れ出して若 干のロスが生ずる。 し力 し、 作動油の流れ出す量は少量であり、 かつ、 第 2油室 6 2 (油室 B ) 側は、 第 1油室 6 1 (油室 A) 側より低圧であり、 ヨーク 2 3を 増速のために押圧するプランジャ 5 8の作動効率を低下させないため、 問題はな レ、。
(出力回転数 Nout が 2 Ninを越える場合)
斜板面 4 4を負の最大傾動角度位置に配置した状態で、 コイルスプリング 1 2 4の付勢力よりも大きなチャージ圧を得るために、 図示しないチャージポンプを 駆動して軸孔 9 9内の作動油を加圧する。 すると、 移動部材 1 1 6がコイルスプ リング 1 2 4の付勢力に抗して入力軸 2 1の出力端側に移動し、 油通路 1 1 2の 絞り部 1 1 2 a側開口端部を閉塞する。 又、 移動部材 1 1 6の入力軸 2 1の出力端側への移動により、 作動ピン 1 2 8 がテーパ部 1 1 8 aにて押圧されて、 入力軸 2 1の軸心 Oから放射方向に移動す る。 作動ピン 1 2 8は、 ホルダ 7 9のテーパ溝 1 2 9の底面の近位端側を押圧点 の開始位置として、 この押圧点を徐々に遠位端側に向けて変位しながら、 斜状の テーパ溝 1 2 9を押し続ける。 このため、 ホルダ 7 9は作動ピン 1 2 8の押圧に より、 コイルスプリング 1 2 6の付勢力に抗して入力軸 2 1の入力端側に移動す
る。 この結果、 作動ピン 1 2 8がテーパ溝 1 2 9の底面の遠位端側に当接すると、 第 2切替弁 7 6の変位端は、 第 1変位位置 R 1から第 2変位位置 R 2までのいず れかの位置に移動する。 すると、 ポート Wと第 2油室 6 2に連通する区間が狭くなり、 ポート Wと第 1 油室 6 1に連通される区間が広くなる。 すなわち、 2 Nin を越えると領域 Jは、 図 3 9に示すように広くなり、 領域 Kは狭くなる。 この結果、 第 1油圧装置 1 0 0の行程容積の VP max に対して第 2油圧装置 2 0 0の行程容積が相対的に小さくなるので、 第 2油圧装置 2 0 0では、 これを補 うため第 2油圧装置 2 0 0のプランジャ 5 8の往復速度が早くなる。 このため、 プランジャ 5 8の回転斜面 5 1への突出押圧作用によって正方向の回転数が増大 し、 その増大した正方向の回転数と、 シリンダブロック 4 2の正方向の回転数と の和により、 ヨーク 2 3、 出力ギヤ 2 4が正方向への出力回転数が 2 Nin のと きよりも増速回転される。 又、 正方向の回転トルクは、 ヨーク 2 3、 出力ギヤ 2 4、 入力ギヤ 1 5 1を介して終減速装置へ伝達される。 又、 斜板面 4 4を負の最大傾動角度位置側に位置させた場合、 図 3 8において 第 1油圧装置 1 0 0の最大行程容積 VPmax は、 第 2油圧装置 2 0 0の最大行程 容積 VMmax よりも若干大きく、 両者の差は Δ 2で表されている。 なお、 図 3 8 では、 Δ 2の部分は、 説明の便宜上、 拡大して図示している。 又、 一方、 第 2油圧装置 2 0 0の行程容積は第 2切替弁 7 6が第 2変位位置 R 2のときには 0 . 6 VMmax としている。 その結果、 それに応じて出力回転数 N out は 2 Ninから略 2 . 7 Ninへと増速する。 この状態の作動油の流れ及び回 転の様子は、 図 3 5に示している。 なお、 本実施形態では、 この状態では油抜き 部 1 1 0は、 閉塞されている。
(出力回転数 Nout が 0と Ninの間の場合)
出力回転数 Nout が 0と N in の間の状態においては、 移動部材 1 1 6がコィ ルスプリング 1 2 4の付勢力により、 移動部材 1 1 6を常に係止段部 1 1 4 aに 係止されているため、 油抜き部 1 1 0、 孔 1 2 0を介して、 少量の作動油が第 2 油室 6 2 (すなわち、 油圧閉回路 C ) から軸孔 9 9の小径部 1 1 3へ流れ出すこ とが許容されている。 すなわち、 第 2切替弁 7 6の変位端は、 第 1変位位置 R 1 に位置する。 図示しないシフトレバーを操作して、 クレイドル 4 5を介して斜板面 4 4を正 側に傾動して直立位置から正の傾動角度位置の領域に位置させる。 なお、 正の傾 動角度位置のうち、 所定の正の傾動角度位置とは、 第 1油圧装置 1 0 0の行程容 積 V Pの絶対値が第 2油圧装置 2 0 0の行程容積 VMの絶対値と等しくなるまで の位置である。 この場合、 第 4実施形態と同じ理由により、 プランジャ 5 8の回転斜面 5 1 へ の突出押圧作用により、 前記 「出力回転数 Nout が Nin と 2 Nin の間及ぴ 2 N in を越える場合」 とは逆方向の回転を与える。 従って、 前記逆方向の回転数と、 シリンダブロック 4 2の正方向の回転数との合成 (和) により、 ヨーク 2 3、 出 力ギヤ 2 4が回転される。 このときの回転数の和は、 逆方向の回転数分減少した 正方向の回転数となるため、 出力回転数 Nout は 「出力回転数 Nout が N in の 場合」 に比較して小さくなる。 本実施形態では、 のとき、 斜板面 4 4が直立位置から正の最大傾動角度位置 側へと変位すると、 図 3 8において第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pは 0から 一 VMmax側へと増加し、 それに応じて出力回転数 Nout は N in から 0 へと減 速する。 なお、 このときの出力回転数 Nout が Nin からゼロに変化するときの第 2油 圧装置 2 0 0の 1回転当たりの行程容積 VMは一 VM max である。 この状態では 前記と同様に油抜き部 1 1 0等を介して、 少量の作動油が第 2油室 6 2 (すなわ
ち、 油圧閉回路 C ) 力 ら軸孔 9 9の小径部 1 1 3へ流れ出して若干のロスが生ず る。 しかし、 作動油の流れ出す量は少量であり、 かつ、 第 2油室 6 2 (油室 B ) 側は、 第 1油室 6 1 (油室 A) 側より低圧であり、 ヨーク 2 3を増速のために押 圧するプランジャ 5 8の作動効率を低下させないため、 問題はない。 図 3 6は、 このときの状態の模式図である。 第 1油室 6 1 (油室 A) 側は、 第 2油室 6 2 (油室 B ) 側よりも高圧側となっており、 油圧閉回路 Cでは、 図に示す矢印で示 すような作動油の流れとなっている。
(出力回転数 Nout がゼロの場合)
次に、 図示しないシフトレパーを操作し、 クレイドル 4 5を介して斜板面 4 4 を前記所定の正の傾動角度位置のうち、 第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pの絶 対値が第 2油圧装置 2 0 0の行程容積 VMの絶対値と等しくなる位置に位置させ る。 この場合、 本実施形態では第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pは一 VMmax と なる。 この結果、 一 V P ー VM max であるので前記逆方向の回転数と、 シリン ダブロック 4 2が入力軸 2 1を介して駆動される回転数 Nin とが釣り合い、 す なわち、 回転数の和はゼロ (出力回転数 Nout ほゼロ) となり、 出力ギヤ 2 4は 停止する。 この状態で、 さらにクレイドル 4 5を介して斜板面 4 4を前記所定の正の傾動 角度位置からさらに正側に傾動させると、 第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pの 絶対値は、 第 2油圧装置 2 0 0の行程容積 VM ( = VMma x) の絶対値よりも大 きくなる範囲に入る。 このため、 第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pの絶対値に対して第 2油圧装置 2 0 0の行程容積 VMの絶対値が相対的に小さくなるので、 本来ならば第 2油圧 装置 2 0 0では、 これを補うため第 2油圧装置 2 0 0のプランジャ 5 8の往復速 度が早くなるはずである。
しかし、 この時、 第 2油室 6 2は、 第 1油室 6 1側に比して高圧側となり、 第 2油室 6 2 (すなわち、 油圧閉回路 C) 力 ら作動油が油抜き部 1 1 0等を介して 軸孔 9 9の小径部 1 1 3へ高圧の作動油が流れ出す。 シリンダプロック 4 2が 1 回転する際の油圧閉回路 Cから流れ出す最大ロス量を Lとしたとき、 第 1油圧装 置 1 0◦の行程容積 V Pの絶対値と第 2油圧装置 2 0 0の行程容積 VMの絶対値 との差 ( I V P I— i VM I ) 力
I V P I — I VM I ≤L (= Δ 2 )
を満足している間は、 I V P I と I VM I +ロス量とが釣り合うため、 第 2油圧 装置 2 0 0では、 引き続き、 前記逆方向の回転数と、 シリンダプロック 4 2が入 力軸 2 1を介して駆動される回転数 N in とが釣り合い、 すなわち、 回転数の和 は 0 (出力回転数 Nout は 0 ) となり、 出力ギヤ 2 4は停止した状態 (中立) を保持する。 図 3 8において、 Δ 2は I V P I— I VM I力 0から Lとなるま での間の両装置の行程容積差を示している。
(出力回転数 Nout が 0未満の場合)
さらに、 斜板面 4 4を正の最大傾動角度位置に配置した状態で、 コイルスプリ ング 1 2 4の付勢力よりも大きなチャージ圧を得るために、 図示しないチャージ ポンプを駆動して軸孔 9 9内の作動油を加圧する。 すると、 移動部材 1 1 6がコ ィルスプリング 1 2 4の付勢力に抗して入力軸 2 1の出力端側に移動し、 油通路 1 1 2の絞り部 1 1 2 a側開口端部を閉塞する。 又、 移動部材 1 1 6の入力軸 2 1の出力端側への移動により、 作動ピン 1 2 8 がテーパ部 1 1 8 aにて押圧されて、 入力軸 2 1の軸心 Oから放射方向に移動す る。 作動ピン 1 2 8は、 ホルダ 7 9のテーパ溝 1 2 9の底面の近位端側を押圧点 の開始位置として、 この押圧点を徐々に遠位端側に向けて変位しながら、 斜状の テーパ溝 1 2 9を押し続ける。 このため、 ホルダ 7 9は作動ピン 1 2 8の押圧に より、 コイルスプリング 1 2 6の付勢力に抗して入力軸 2 1の入力端側に移動す る。 この結果、 作動ピン 1 2 8がテーパ溝 1 2 9の底面の遠位端側に当接すると、
第 2切替弁 7 6の変位端は、 第 1変位位置 R 1から第 2変位位置 R 2までのいず れかの位置に移動する。 すると、 図 3 9に示すようにポート Wと第 2油室 6 2に連通する区間が狭くな り、 ポート Wと第 1油室 6 1に連通される区間が広くなる。 すなわち、 出力回転 数 Noutがゼロより小さくなると領域 Jは、 広くなり、 領域 Kは狭くなる。 この結果、 第 1油圧装置 1 0 0の行程容積の VP max に対して第 2油圧装置 2 0 0の行程容積が相対的に小さくなり、 第 2油圧装置 2 0 0では、 これを捕うた め第 2油圧装置 2 0 0のプランジャ 5 8の往復速度が早くなる。 このため、 プラ ンジャ 5 8の回転斜面 5 1への突出押圧作用によって逆方向の回転数が増大し、 その増大した逆方向の回転数と、 シリンダブ口ック 4 2の正方向の回転数との和 により、 ヨーク 2 3、 出力ギヤ 2 4が逆方向への出力回転数がゼロのときよりも 増速回転される (図 3 8参照)。 又、 前記移動部材 1 1 6が入力軸 2 1の出力端側に移動し、 油通路 1 1 2の絞 り部 1 1 2 a側開口端部を閉塞したことにより、 第 2油室 6 2 (すなわち、 油圧 閉回路 C) 力 ら作動油が油抜き部 1 1 0等を介して軸孔 9 9の小径部 1 1 3へ流 出するのが停止する。 このため、 今まで、 ロスしていた作動油の分まで、 第 2油 圧装置 2 0 0のブランジャ 5 8を押圧する作動油量が増加する。 従って、 第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pの絶対値に対して第 2油圧装置 2 0 0の行程容積 VMの絶対値がさらに相対的に小さくなるので、 第 2油圧装置 2 0 0では、 これを補うため第 2油圧装置 2 0 0のプランジャ 5 8の往復速度が早 くなる。 このため、 プランジャ 5 8の回転斜面 5 1への突出押圧作用によって逆方向の 回転数が増大し、 その増大した逆方向の回転数と、 シリンダブ口ック 4 2の正方 向の回転数との合成 (和) により、 ヨーク 2 3、 出力ギヤ 2 4が逆方向へ回転さ
れる 又、 逆方向の回転トルクは、 ヨーク 2 3、 出力ギヤ 2 4、 入力ギヤ 1 5 1を介 して終減速装置へ伝達される。 このとき、 図 3 8においては、 出力回転数 Nout は c点 (c点では出力回転数 Nout がゼロであって、 行程容積は一VPmax) から d点に移動する。 又、 クレイドル 4 5を介して斜板面 4 4を正の最大傾動角度位置側に位置させ た場合、 図 3 8において第 1油圧装置 1 0 0の最大行程容積 VPmax の絶対値は、 若干の差はあるものの VPmax VMmax であり、 一方、 第 2油圧装置 2 0 0の行 程容積の絶対値は 0 . 6 VMmax となる。 従って、 それに応じて出力回転数 Nout は 0から減速するがそれに応じて出力回転数 Nout は移動した d点から逆向きの 回転が加速する。 すなわち、 図 3 8では、 移動した d点からさらに左方へ向かう ように出力回転数 Nout は後進方向に増速する。 図 3 8に示すように 「シール有」 と付された実線上において、 Nout が変化す る。 又、 逆方向の回転トルクは、 ヨーク 2 3、 出力ギヤ 2 4、 入力ギヤ 1 5 1を 介して終減速装置へ伝達される。 図 3 7は、 このときの状態の模式図である。 第 2油室 6 2 (油室 B ) 側は、 第 1油室 6 1 (油室 A) 側よりも高圧側となってお り、 油圧閉回路 Cでは、 図に示す矢印で示すような作動油の流れとなっている。 本実施の形態によれば以下のような効果を得ることができる。
( 1 ) 第 5実施形態の無段変速装置 2 0 (油圧式無段変速装置) では、 第 1油 圧装置 1 0 0の最大行程容積 VPmax が第 2油圧装置 2 0 0の最大行程容積 V Mmax を上回る範囲を有し、 第 1油圧装置 1 0 0と第 2油圧装置 2 0 0とを連通 する油路 (油圧閉回路 C) のうち、 ヨーク 2 3が入力回転と正回転するときの低 圧油路側となる第 2油室 6 2に油抜き部 1 1 0を設けた。 この結果、 第 4実施形態と同様に第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pが、 第 2
油圧装置 2 0 0の行程容積 VMmax と等しくなるときから、 油抜き部 1 1 0の油 逃し量 (油圧閉回路 Cから流れ出すロス量 L ) にて対応できる範囲では、 出力回 転数 Nout は 0となって、 中立を実現できる。 従って、 油逃し量の分だけ、 中立 を行える範囲に幅を持たせることができる。
( 2 ) 又、 第 5実施形態によれば、 第 1油圧装置の最大行程容積 VPmax と第 2油圧装置 2 0 0の最大行程容積 VMmax の容積差を微小差とした。 すなわち、 斜板面 4 4の最大傾動角と回転斜面 5 1の傾斜角との差を微小とすることでブラ ンジャ 4 3、 5 8のストローク量を微小差としたので、 プランジャを第 1油圧装 置 1 0 0と第 2油圧装置 2 0 0との両方にそれぞれ共通のプランジャを用意でき るため、 部品が両装置に兼用できる。 又、 ストローク量は微小差であるため、 シ リンダブロック 4 2をコンパクトにすることができる。
なお、 本明細書において、 微小差とは、 油逃し量の分だけ、 中立を行える範囲 に幅を持たせることができる程度のものをいう。
( 3 ) 第 5実施形態では、 前記第 2切替弁 7 6を往復動させるリテーナ 8 3を設 け、 同リテーナ 8 3を軸心 Oに沿って変位させるための変位機構 Dを設けた。 変 位機構 Dにてリテーナ 8 3をシリンダブロック 4 2側へ押圧移動させることで、 第 2切替弁 7 6を第 1変位位置 R 1から第 2変位位置 R 2まで変位させるように した。 そして、 第 2切替弁 7 6をプランジャ 4 3, 5 8よりも軸心 O側 (内方 側) に配置した。 そのため、 無段変速装置 2 0の変位機構 Dをヨーク 2 3の内周 に配置することができる。 ところで、 分配弁すなわち切替弁が第 1 , 第 2プランジャよりも外方側におい てシリンダプロックの外周縁近傍に位置している油圧式無段変速装置は、 従来か ら知られている。 このような従来の油圧式無段変速装置では、 分配弁を変位させ るための変位機構が第 1 , 第 2ブランジャよりも外側にまで延在するように配置 され、 その結果、 装置自体が大型化するという問題があった。 それに対し、 無段 変速装置 2 0は従来の油圧式無段変速装置と比べてコンパクトにできる。
( 4 ) 本第 5実施形態では、 変位機構 Dに働く作動油の油圧によってリテーナ 8 3を押圧移動させるようにした。 従って、 特別なリンク機構などを設けることな く、 作動油の油圧によって第 2切替弁 7 6を軸心 Oに沿って変位させることがで き、 変位機構 Dをシンプルにできる。
( 5 ) 本実施形態では、 移動部材 1 1 6のテーパ部 1 1 8 aにおける勾配を、 ホ ルダ 7 9のテーパ溝 1 2 9における勾配より緩やかに形成した。 そのため、 作動 油の油圧にて移動部材 1 1 6を押圧した時、 その移動部材 1 1 6の変位量よりも リテーナ 8 3の変位量が小さくなる。 よって、 リテーナ 8 3の変位量を微小にす ることができる。 この結果、 第 2切替弁 7 6の移動量の調整を、 作動油の油圧を 駆動源として使用しても、 正確かつ容易に行うことができる。 第 6実施形態
次に、 第 6実施形態を図 4 0〜図 4 6を参照して説明する。 なお、 第 4実施形 態と異なる構成を中心に説明する。 従って、 第 4実施形態の構成に使用した構成 については同一符号を付して説明する。 第 6実施形態では、 各プランジャ孔 5 7の底部には、 シリンダブ口ック 4 2の 中央部外周面に開口する小孔 1 3 0が形成され、 シリンダプロック 4 2の中央部 外周には筒状のカバー部材 1 3 1が軸方向に沿って摺動自在に嵌合されているこ とが第 4実施形態と異なっている。 ' 詳説すると、 シリンダプロック 4 2の中央部外周面において、 軸方向の一端に は突条 1 3 2が形成され、 他端には係止リング 1 3 3が固定されている。 そして、 カバー部材 1 3 1と係止リング 1 3 3との間において、 シリンダブ口ック 4 2の 中央部外周にはコイルスプリング 1 3 4が巻装されており、 カバー部材 1 3 1を 突条 1 3 2に係止するように付勢されている。 カバー部材 1 3 1が突条 1 3 2に 係止されている際には、 小孔 1 3 0はカバー部材 1 3 1により閉塞されるととも
に、 カバー部材 1 3 1が入力軸 2 1の出力端側に移動された際には、 小孔 1 3 0 は外部に開放可能にされている。 カバー部材 1 3 1の外周面には周回するフランジ 1 3 5が突設されている。 作 動部材 1 3 6は、 ケース 2 6の筒部材 2 7に設けられた操作孔 2 7 aを介してケ ース 2 6内に挿入されている。 作動部材 1 3 6は、 先端に自身の軸心の周りに回 転自在なコロ 1 3 7が設けられており、 コロ 1 3 7を介して力パー部材 1 3 1の フランジ 1 3 5に当接されている。 そして、 図示しないァクチユエータ (例えば ソレノイド) 等により、 コイルスプリング 1 3 4の付勢力に抗しながらフランジ 1 3 5を介してカバー部材 1 3 1を入力軸 2 1の出力端側に駆動するようにされ ている。 前記ァクチユエータは、 シフトレバー 1 4 6が後進域側へシフト操作さ れた際に、 図示しない制御装置からの制御信号により、 所定時間作動して、 作動 部材 1 3 6により力パー部材 1 3 1を入力軸 2 1の出力端側に駆動し、 所定時間 経過後は、 制御信号を消失してその駆動を解除するようにされている。 カバー部材 1 3 1、 作動部材 1 3 6、 コイルスプリング 1 3 4等により、 油拔 き機構 Mが構成されている。
又、 第 6実施形態では、 前記実施形態と同様に、 第 1油圧装置 1 0 0の最大行 程容積 VPmax は、 第 2油圧装置 2 0 0の最大行程容積 VMmax よりも若干大きく 設定され、 両者間には差 Δ 2が存在している。 具体的には、 本実施形態では、 第 1油圧装置 1 0 0のプランジャ孔 4 7の内径が、 第 2油圧装置 2 0 0のプランジ ャ孔 5 7の内径と略同一径にし、 かつ、 プランジャ 4 3、 5 8の径が略同一とな るようにされており、 かつ、 プランジャ 4 3のストローク量が, プランジャ 5 8 のストローク量よりも大きくなるようにして最大行程容積において、 差を有する ように、 斜板面 4 4の最大傾動角が回転斜面 5 1の傾斜角よりも若干大きくなる ように設定されている。 又、 本実施形態では、 出力ギヤ 2 4は省略され、 その代わりに出力回転部とし てのヨーク 2 3には、 図 8に示す実施形態と同様のギヤシフト装置 1 5 0 ( C S
T) が接続されている。
次に、 本実施形態の無段変速装置 2 0の作用を説明する。
なお、 第 6実施形態では、 出力回転数 Nout は、 出力軸 1 5 5の回転数のことを いう。
(出力回転数 Nout が Ninの場合)
油抜き機構 Mを構成するカバー部材 1 3 1が突条 1 3 2に係止されており、 小 孔 1 3 0はカバー部材 1 3 1により閉塞されているものとする。 図 1 1に示すシフトレバー 1 4 6を操作して、 クレイ ドル 4 5を介して斜板面 4 4を直立位置に位置させる。
この状態においては、 第 4実施形態と同じ理由から、 シリンダブロック 4 2と 回転斜面 5 1とは直結状態となり、 一体回転する。 すなわち、 この状態は、 入力 軸 2 1と出力ギヤ 1 4 2とが直結状態となる。 この回転斜面 5 1に付与された回 転は、 ヨーク 2 3、 連結された第 1クラッチ 1 5 2、 ギヤ 2 4、 ギヤ 1 5 1を介 して終減速装置へ伝達される。 又、 図 4 3に示すギヤシフト装置 1 5 0が接続さ れる場合には、 N in と逆向きに出力軸 1 5 5が回転する時を、 正方向の回転と レヽう。 前記斜板面 4 4が直立位置に位置している場合には、 図 4 6に示すように第 1 油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pは 0となり、 出力回転数 Nout (出力軸 1 5 5の 回転数) は入力回転数 Ninと等しくなる。
(出力回転数 Nout が Ninと 2 Ninの間の場合)
シフトレパー 1 4 6を操作して、 クレイ ドル 4 5を介して斜板面 4 4を第 4実 施形態と同様に負側に傾動して所定の負の傾動角度位置と直立位置との間の領域 に位置させる。 この所定の負の傾動角度位置とは、 第 1油圧装置 1 0 0の行程容 積 V Pの絶対値が第 2油圧装置 2 0 0の行程容積 VMの絶対値 (= VMmax) と等 しくなるまでの位置である。
この場合においても、 第 4実施形態と同じ理由により、 シリンダブロック 4 2 が入力軸 2 1を介して駆動される回転数 N in と、 プランジャ 5 8の回転斜面 5 1への突出押圧作用による正方向の回転数との合成 (和) により、 回転斜面 5 1 は回転される。 この回転斜面 5 1に付与される正方向の回転は、 ヨーク 2 3、 連 結された第 1クラッチ 1 5 2、 ギヤ 2 4、 ギヤ 1 5 1を介して終減速装置へ正方 向の回転として伝達され、 増速作用を行う。 このとき、 斜板面 4 4が直立位置から所定の負の傾動角度位置側へと変位する と、 図 4 6において第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pは 0から VMraax へと增 カロし、 それに応じて出力回転数 Nout は Ninから 2 Ninへと増速する。 なお、 出力回転数 Nout が Nin から 2 Nin に変化するときの第 2油圧装置 2 0 0の行程容積 VMは VMmax のままである。 又、 この状態の作動油の流れ及ぴ 回転の様子は、 図 4 5に示している。 この状態では前記と同様に油抜き部 1 1 0等を介して、 少量の作動油が第 2油 室 6 2 (すなわち、 油圧閉回路 C ) から軸孔 9 9の小径部 1 1 3へ流れ出して若 干のロスが生ずる。 しかし、 作動油の流れ出す量は少量であり、 かつ、 第 2油室 6 2 (油室 B ) 側は、 第 1油室 6 1 (油室 A) 側より低圧であり、 ヨーク 2 3を 増速のために押圧するプランジャ 5 8の作動効率を低下させないため、 問題はな い。
(出力回転数 Nout が◦と Ninの間の場合)
シフトレバー 1 4 6を操作して、 クレイドル 4 5を介して斜板面 4 4を正側に 傾動して直立位置から正の傾動角度位置に位置させる。 なお、 正の傾動角度位置 のうち、 所定の正の傾動角度位置とは、 第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pの絶 対値が第.2油圧装置 2 0 0の行程容積 VMの絶対値と等しくなるまでの位置であ る。
この場合、 第 4実施形態と同じ理由により、 プランジャ 5 8の回転斜面 5 1へ の突出押圧作用により、 前記 「出力回転数 Nout が Nin と 2 Nin の間及び 2 N in を越える場合」 とは逆方向の回転を与える。 従って、 前記逆方向の回転数と、 シリンダブロック 4 2の正方向の回転数との合成 (和) 力 ヨーク 2 3、 連結さ れた第 1クラッチ 1 5 2、 ギヤ 2 4、 ギヤ 1 5 1を介して終減速装置へ伝達され る。 このときの回転数の和は、 逆方向の回転数分減少した正方向の回転数となるた め、 出力回転数 Nout は 「出力回転数 Nout が Nin の場合」 に比較して小さく なる。 本実施形態では、 このとき、 斜板面 4 4が直立位置から正の最大傾動角度位置 側へと変位すると、 図 4 6において第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pはゼロか らー VMmax側へと増加し、 それに応じて出力回転数 Nout は Ninからゼロへと 減速する。 なお、 このときの出力回転数 Nout が N in からゼロに変化するときの第 2油 圧装置 2 0 0の 1回転当たりの行程容積 VMは一 VM max である。 この状態では 前記と同様に油抜き部 1 1◦等を介して、 少量の作動油が第 2油室 6 2 (すなわ ち、 油圧閉回路 C ) から軸孔 9 9の小径部 1 1 3へ流れ出して若干のロスが生ず る。 しかし、 作動油の流れ出す量は少量であり、 かつ、 第 2油室 6 2 (油室 B ) 側は、 第 1油室 6 1 (油室 A) 側より低圧であり、 ヨーク 2 3を増速のために押 圧するプランジャ 5 8の作動効率を低下させないため、 問題はない。 図 4 4は、 このときの状態の模式図である。 第 1油室 6 1 (油室 A) 側は、 第 2油室 6 2 (油室 B ) 側よりも高圧側となっており、 油圧閉回路 Cでは、 図に示 す矢印で示すような作動油の流れとなっている。
(出力回転数 Nout がゼロの場合)
次に、 シフトレバー 1 4 '6を操作し、 クレイドル 4 5を介して斜板面 4 4を前 記所定の正の傾動角度位置のうち、 第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pの絶対値 が第 2油圧装置 2 0 0の行程容積 VMの絶対値と等しくなる位置に位置させる。 この場合、 本実施形態では第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pは一 VMmax と なる。 この結果、 一 V P 一 VM max であるので、 前記逆方向の回転数と、 シリ ンダブロック 4 2が入力軸 2 1を介して駆動される回転数 N in とが釣り合い、 すなわち、 回転数の和はゼロ (出力回転数 Nout はゼロ) となり、 出力ギヤ 2 4 は停止する。 この状態で、 さらにクレイ ドル 4 5を介して斜板面 4 4を前記所定の正の傾動 角度位置からさらに正側に傾動させると、 第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pの 絶対値は、 第 2油圧装置 2 0 0の行程容積 VM ( = VMraax) の絶対値よりも大き くなる範囲に入る。 このため、 第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pの絶対値に対して第 2油圧装置 2 0 0の行程容積 VMの絶対値が相対的に小さくなるので、 本来ならば第 2油圧 装置 2 0 0では、 これを補うため第 2油圧装置 2 0 0のプランジャ 5 8の往復速 度が早くなるはずである。 し力、し、 この時、 第 2油室 6 2は、 第 1油室 6 1側に比して高圧側となり、 第 2油室 6 2 (すなわち、 油圧閉回路 C) 力 ら作動油が油抜き部 1 1 0等を介して 軸孔 9 9の小径部 1 1 3へ高圧の作動油が流れ出すため、 作動油の流れ出す量は 多くなる。 シリンダブロック 4 2が 1回転する際の油圧閉回路 Cから流れ出す最 大口ス量を Lとしたとき、
第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pの絶対値と第 2油圧装置 2 0 0の行程容積 VMの絶対値との差 ( I V P I— I VM I ) 力
I V P I - I VM I ≤L (二 Δ 2 )
を満足している間は、 結果として、 I V P I と I VM | +ロス量が釣り合うため、
第 2油圧装置 2 0 0では、 引き続き、 前記逆方向の回転数と、 シリンダブロック 4 2が入力軸 2 1を介して駆動される回転数 Nin とが釣り合い、 すなわち、 回 転数の和はゼ口 (出力回転数 Nout はゼロ) となり、 出力ギヤ 2 4は停止した 状態 (中立) を保持する。 図 4 6において、 Δ 2は I V P I— I VM I力 ゼロから Lとなるまでの間の 両装置の行程容積差を示している。 なお、 図 4 6では、 Δ 2の部分は、 説明の便 宜上、 拡大して図示している。
(出力回転数 Nout がゼロ未満の場合)
さらに、 この状態で、 シフトレパー 1 4 6を後進域側へシフ トすると、 このシ フトレバー 1 4 6の操作に応動して、 図示しないァクチユエータ (ソレノイド) は、 所定時間作動して、 作動部材 1 3 6をカバー部材 1 3 1を入力軸 2 1の出力 端側に駆動する。 この結果、 カバー部材 1 3 1の移動により、 小孔 1 3 0が外部に開放されるた め、 第 2油圧装置 2 0 0のプランジャ孔 5 7に係る作動油の油圧が解放される。 又、 この油圧が解放されると、 プランジャ 5 8の回転斜面 5 1に対する押圧作用 がなくなり、 ヨーク 2 3は第 2油圧装置 2 0 0からフリーとなる。 このため、 ギ ヤシフト装置 1 5 0の第 1クラッチ 1 5 2が切り離すことができるようになるの で、 シフトレバー 1 4 6の操作と連動して第 2クラッチ 1 5 3が接続される。 前 進側へ戻す時も同じ理由で、 プランジャ孔 5 7の作動油の油圧を解放する。 前記所定時間経過後は、 そのァクチユエータの駆動が解除されるため、 コイル スプリング 1 3 4の付勢力により、 カバー部材 1 3 1は、 突条 1 3 2に係止され るまで移動し、 小孔 1 3 0を再ぴ閉塞する。 この結果、 プランジャ孔 5 7には作 動油の油圧が働きプランジャ 5 8が回転斜面 5 1に対して押圧を開始する。
(出力回転数 Nout が 0と一Ninの間の場合)
第 2クラッチ 1 4 0による後進接続が行われた後は、 図 4 6に示すように出力 回転数 Nout と、 第 1油圧装置 1 0 0の行程容積の変化状態は、 前進 (正転) の 場合と同じであり、 (出力回転数 Nout が 0と Nin の間の場合) の説明と同じた め説明を省略する。 図 4 4は作動油の流れ及び回転方向を示している。
(出力回転数 Nout がー Ninと一 2 Ninの間の場合) .
この場合も、 第 1油圧装置 1 0 0と第 2油圧装置 2 0 0の作用は (出力回転数 Nout が Nin と 2 Nin の間の場合) と同じであるため、 説明を省略する。 図 4 5は作動油の流れ及び回転方向を示している。 第 6実施形態によれば、 以下のような効果を得ることができる。
( 1 ) 第 6実施形態では、 ヨーク 2 3 (出力回転部) の回転方向が切り替わる (正から逆及び逆から正) 際に、 第 2油圧装置 2 0 0のプランジャ 5 8に印加す る油圧を解放するために作動する油抜き機構 Mを設けた。 この結果、 ヨーク 2 3の回転方向が切り替わる際のトルクが解放でき、 正逆回 転切り替えを容易に行うことができる。 特に、 本実施形態では、 プランジャ孔 5 7をシリンダブ口ック 4 2外部に直接解放するようにしたため、 上記効果を容易 に実現することができる。
( 2 ) 第 6実施形態では、 無段変速装置 2 0を、 エンジン 2 2 (原動機) から の入力回転を得る入力軸 2 1を備える構成とするとともに、 同入力軸 2 1を原動 機とは反対側に延出して出力軸として構成した。 そして、 延出された入力軸 2 1 外周にヨーク 2 3 (出力回転部) を設け、 ヨーク 2 3の動力伝達を行うとともに 正逆回転切替可能なギヤシフト装置 1 5 0 (正逆回転切替装置) を設けて、 動力 伝達装置とした。 この結果、 動力伝達装置として、 上記 ( 1 ) の作用効果を奏することができる。
第 7実施形態
次に、 第 7実施形態について説明する。
第 7実施形態は、 シリンダブ口ック 4 2を第 1油圧装置及び第 2油圧装置が共 有するとともに、 プランジャ 4 3、 5 8をラジアルに配置した (以下、 ラジアノレ 型という) 油圧装置 2 0に具体ィ匕したものである。 以下、 図 4 7〜図 5 1を参照して説明する。
図 4 7はラジアル型の油圧式無段変速装置を示している。 なお、 前記実施形態 の構成と同一構成又は相当する構成については、 同一符号を付してその説明を省 略し、 異なるところを中心にして説明する。 シリンダブ口ック 4 2には、 入力軸 2 1の入力側端部がケース 2 6の内周面に 対して軸受 1 6 1を介して回動自在に支持されるとともに出力側端部が出力回転 部としての出力回転筒 2 3 Aの内周面に対して軸受 1 6 2を介して相対回動自在 に連結されている。 又、 出力回転筒 2 3 Aは、 軸受 1 8 0を介して側壁部材 3 1 に対して回動自在に支持されている。 なお、 出力回転筒 2 3 Aは、 他の実施形態 のヨーク 2 3に相当する機能を有する。 ラジアル型の第 1油圧装置 1 0 0では、 複数のプランジャ 4 3がシリンダプロ ック 4 2に対して軸心 Oを中心に放射方向へ突出入自在に配置されている。
リング状部材 1 6 5は、 外周面が横断面 (軸心 Oに直交する方向に切断したと きの断面) 円形に形成され、 ケース 2 6の内周面に対して自身の軸心の周りで摺 接した状態で回動自在に嵌合されている。 すなわち、 前記リング状部材 1 6 5の 外周面 1 6 5 sの軸心 (中心) は、 ケース 2 6に嵌合した内周面の軸心 Sと同軸 上に配置されている。 リング状部材 1 6 5の内周面 1 6 5 rは、 横断面円形に形成され、 その軸心 R (中心) が外周面の軸心 (中心) に対して偏心して配置されている。 すなわち、 軸心 Rは、 軸心 Sに対して偏心して配置されている。
前記リング状部材 1 6 5は当接部に相当する。
そして、 図 4 8に示すように、 リング状部材 1 6 5は内周面軸心 Rが軸心 Oと —致する位置 (以下、 中立位置という) を含む所定範囲を回動可能とされている。 すなわち、 リング状部材 1 6 5は中立位置を基準にして、 図 4 9に示すように時 計回り方向に所定角度回動した位置 (以下、 本実施形態ではこの位置を第 1の位 置という) と、 図 5 0に示すように反時計回り方向に所定角度回動した位置 (以 下、 第 7実施形態ではこの位置を第 2の位置という) の間を回動可能にされてい る。 なお、 入力軸 2 1の回転は図 4 8において反時計回り方向に回転するものと する。 リング状部材 1 6 5は連結軸 1 7 7を介してケース 2 6に内装した油圧装 置 1 7 8の駆動により、 第 1の位置、 第 2の位置間を往復移動する。 第 7実施形態では、 リング状部材 1 6 5が中立位置に位置したときを基準に、 時計回り方向へ回転した際の位置を負側の回転位置とし (図 4 9参照)、 反時計 回り方向の回転を正側の回転位置という (図 5 0参照)。 そして、 第 7実施形態では出力回転数 Nout = Nin を境に、 Nout〉Nin の時 に負側の回転位置に移動し、 Noutく Nin の時に、 正側の回転位置に移動する。 なお、 出力回転数とは、 出力回転筒 2 3 Aの回転数である。 なお、 図 4 9は、 リング状部材 1 6 5が第 1の位置に位置したとき、 すなわち 負側の回転位置の最大回転位置に位置する状態を示している。 又、 図 5 0はリン グ状部材 1 6 5が第 2の位置に位置したとき、 すなわち正側の回転位置の最大回 転位置に位置する状態を示している。 シリンダブ口ック 4 2において、 リング状部材 1 6 5に相対する部分には、 そ の回転中心 (軸心 O) を中心として複数のプランジャ孔 4 7が放射状にかつ互い に等角度間隔で配置されている。 同プランジャ孔 4 7は、 シリンダブロック 4 2 の外周面において開口が形成されている。 各プランジャ孔 4 7には、
4 3が前記開口から突出入するように摺動自在に配置されている。 正側の回転位置または負側の回転位置に位置するリング状部材 1 6 5はシリン ダブ口ック 4 2の回転に伴ってプランジャ 4 3を往復作動させ、 吸入、 吐出行程 の作用を付与する。 この結果、 本実施形態での第 1油圧装置 1 0 0では、 例えば、 第 4実施形態乃至第 6実施形態の斜板面 4 4が正、 負方向に傾動した場合と、 同
4 3を突出入作動させる構成となる。 ラジアル型の第 2油圧装置 2 0 0は、 シリンダブロック 4 2、 シリンダブ口ッ ク 4 2に摺動自在に配置された複数のプランジャ 5 8、 及び前記プランジャ 5 8 に対して当接する摺接部材 1 8 1を備えた出力回転筒 2 3 Aとを含む。 複数のプ ランジャ 5 8はシリンダブロック 4 2に対して軸心 Oを中心に放射方向へ突出入 自在に配置されている。 摺接部材 1 8 1は図 3 4に示すように内外周面が同軸と なるように円形リング状に形成され、 出力回転筒 2 3 A内端の内周面に対して嵌 合固定されている。 摺接部材 1 8 1の内周面は、 横断面円形に形成され、 その中 心は出力回転筒 2 3 Aに嵌合した内周面の中心 Qに一致するように配置されてい る。 従って、 摺接部材 1 8 1はその軸心 (中心 Q ) が入力軸 2 1の軸心 Oとは所定 のオフセット量 Δ aをもって偏心するように配置されており、 出力回転筒 2 3 A が回転する際には、 軸心 Oの周りを中心 Qが円を描いて移動する。 シリンダブ口ック 4 2において、 摺接部材 1 8 1に相対する部分には、 その回 転中心 (軸心 O) を中心として複数のプランジャ孔 5 7が放射状にかつ互いに等 角度間隔で配置されている。 同プランジャ孔 5 7は、 シリンダブロック 4 2の外 周面において開口が形成されている。 各プランジャ孔 5 7には、 プランジャ 5 8 が前記開口から突出入するように摺動自在に配置されている。 前記摺接部材 1 8 1とシリンダブ口ック 4 2との相対回転時、 ブランジャ 5 8
と摺接部材 1 8 1との当接により 5 8が往復作動して吸入、 吐出行 程を繰り返す。 又、 第 7実施形態では、 第 5実施形態と同様に第 1油圧装置 1 0 0の最大行程 容積 VPmax は、 第 2油圧装置 2 0 0の最大行程容積 VMmax よりも若干大きく、 両者間に差 Δ 2が設定されている。 具体的には、 第 1油圧装置 1 0 0のプランジ ャ孔 4 7の内径が、 第 2油圧装置 2 0 0のプランジャ孔 5 7の内径と略同一径に し、 かつ、 プランジャ 4 3、 5 8の径が略同一となるようにされており、 かつ、 プランジャ 4 3, 5 8のストローク量が最大行程容積において、 差を有するよう に、 リング状部材 1 6 5の最大回転位置を設定している。 又、 第 7実施形態では、 第 1切替弁 6 6は、 第 1弁孔 6 3の底部に配置したコ ィルスプリング 1 7 5により、 軸受としての玉軸受 6 9の内輪に対して押圧した 状態で当接されている。 玉軸受 6 9はその軸心が第 4実施形態と同様に軸心 Oに 対して斜交するようにして配置されている。 第 2切替弁 7 6は、 第 2弁孔 6 4の 底部に配置したコイルスプリング 1 8 6により、 軸受としての玉軸受 8 4の内輪 に対して押圧した状態で当接されている。 玉軸受 8 4はその軸心が軸心 Oに対して斜交するようにして配置されている。 又、 本実施形態では、 支持部材 8 1は、 出力回転筒 2 3 Aの内周面に軸心 Oと 平行に形成されたガイド溝 2 3 cに沿って摺動自在に係合されている。 さらに、 支持部材 8 1に対して玉軸受 8 0を介して連結されたホルダ 7 9は、 入力軸 2 1 の外周に対して軸心 Oに沿つて搢動自在に嵌合されている。 又、 シリンダプロック 4 2とホルダ 7 9間には、 入力軸 2 1の外周面に卷装さ れた付勢手段としてのコイルスプリング 1 2 6が配置され、 コイルスプリング 1 2 6の付勢力により、 ホルダ 7 9は入力軸 2 1の出力端側に常時付勢されている c コイルスプリング 1 2 6の付勢力は、 入力軸 2 1の回転によって作動ピン 1 2 8 に放射方向へ向かう遠心力が加わっても、 ホルダ 7 9が入力軸 2 1の入力端側へ
移動しない程度の強さに設定されている。
上記のように構成された無段変速装置 2 0の作用を、 図 7, 図 3 5〜図 3 9を 利用して説明する。 なお、 説明の便宜上、 エンジン 2 2のクランク軸から入力軸 2 1に付与される入力回転数 Ninは一定のものとして説明する。
(出力回転数 Nout が Ninの場合)
図示しないシフトレバーを操作して、 油圧装置 1 7 8を介して作動させてリン グ状部材 1 6 5を中立位置に位置させる。 この状態においては、 第 5実施形態と 同じ理由から、 シリンダブロック 4 2と摺接部材 1 8 1 (出力回転筒 2 3 A) と は直結状態となり、 一体回転する。
前記リング状部材 1 6 5が中立位置に位置している場合には、 図 3 8に示すよ うに第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pは 0となり、 出力回転数 Nout (出力ギ ャ 2 4の回転数) は入力回転数 Ninとなる。
(出力回転数 Nout が Ninと 2 Ninの間の場合)
図示しないシフトレバーを操作して、 油圧装置 1 7 8を介してリング状部材 1 6 5を回転させ、 中立位置と第 1の位置の間の負側の回転位置の領域に位置させ る。 この場合においても、 第 5実施形態と同じ理由により、 シリンダブロック 4 2 が入力軸 2 1を介して駆動される回転数 Nin と、 プランジャ 5 8の摺接部材 1 8 1への突出押圧作用による正方向の回転数との合成 (和) により、 摺接部材 1 8 1 (出力回転筒 2 3 A) は回転される。 この摺接部材 1 8 1に付与される正方 向の回転は、 出力回転筒 2 3 A、 出力ギヤ 2 4等を介して終減速装置へ正方向の 回転として伝達され、 増速作用を行う。 このとき、 リング状部材 1 6 5が中立位置から負側の回転位置へと変位すると、
図 3 8において、 第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pは 0から VMmax へと増加 し、 それに応じて出力回転数 Nout は Ninから 2 Ninへと増速する。 なお、 出力回転数 Nout が Ninから 2 Nin に変化するときの第 2油圧装置 2 0 0の行程容積 VMは VMmax のままである。 又、 本実施形態では VPmax V Mmax としている。 又、 この状態の作動油の流れ及ぴ回転の様子は、 図 3 5に示 している。 この状態では第 5実施形態と同様に油抜き部 1 1 0等を介して、 少量の作動油 が第 2油室 6 2 (すなわち、 油圧閉回路 C ) から軸孔 9 9の小径部 1 1 3へ流れ 出して若干のロスが生ずる。 し力 し、 作動油の流れ出す量は少量であり、 かつ、 第 2油室 6 2 (油室 B ) 側は、 第 1油室 6 1 (油室 A) 側より低圧であり、 出力 回転筒 2 3 Aを増速のために押圧するプランジャ 5 8の作動効率を低下させない ため、 問題はない。
(出力回転数 Nout が 2 Ninを越える場合)
リング状部材 1 6 5を第 1の位置に位置させた状態で、 コイルスプリング 1 2 4の付勢力よりも大きなチャージ圧を得るために、 図示しないチャージポンプを 駆動して軸孔 9 9内の作動油を加圧する。 すると、 移動部材 1 1 6がコイルスプリング 1 2 4の付勢力に抗して入力軸 2 1の出力端側に移動し、 油通路 1 1 2の絞り部 1 1 2 a側開口端部を閉塞する。 又、 移動部材 1 1 6の入力軸 2 1の出力端側への移動により、 作動ピン 1 2 8 がテーパ部 1 1 8 aにて押圧されて、 入力軸 2 1の軸心 Oから放射方向に移動す る。 作動ピン 1 2 8は、 ホルダ 7 9のテーパ溝 1 2 9の底面の近位端側を押圧点 の開始位置として、 この押圧点を徐々に遠位端側に向けて変位しながら、 斜状の テーパ溝 1 2 9を押し続ける。
このため、 ホルダ 7 9は作動ピン 1 2 8の押圧により、 コイルスプリング 1 2 6の付勢力に抗して入力軸 2 1の入力端側に移動する。 この結果、 作動ピン 1 2 8がテーパ溝 1 2 9の底面の遠位端側に当接すると、 第 2切替弁 7 6の変位端は、 第 1変位位置 R 1から第 2変位位置 R 2までのいずれかの位置に移動する。 すると、 ポート "と第 2油室 6 2に連通する区間が狭くなり、 ポート Wと第 1 油室 6 1に連通される区間が広くなる。 すなわち、 2 Nin を越えると領域 Jは、 図 3 9に示すように広くなり、 領域 Kは狭くなる。 この結果、 第 5実施形態と同様の理由により、 第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 の VP max に対して第 2油圧装置 2 0 0の行程容積が相対的に小さくなるので、 第 2油圧装置 2 0 0では、 これを捕うため第 2油圧装置 2 0 0のプランジャ 5 8 の往復速度が早くなる。 このため、 プランジャ 5 8の摺接部材 1 8 1への突出押圧作用によって正方向 の回転数が増大し、 その増大した正方向の回転数と、 シリンダブロック 4 2の正 方向の回転数との和により、 出力回転筒 2 3 A、 出力ギヤ 2 4が正方向への出力 回転数が 2 N inのときよりも増速回転される。 又、 リング状部材 1 6 5を第 1の位置に位置させた場合、 図 3 8において第 1 油圧装置 1 0 0の最大行程容積 VPmax は、 第 2油圧装置 2 0 0の最大行程容積 VMraaxよりも若干大きく、 両者間には差厶 2が存在している。 又、 一方、 第 2油圧装置 2 0 0の行程容積は第 2切替弁 7 6が第 2変位位置 R 2のときには 0 . 6 VMmax としている。 その結果、 それに応じて出力回転数 N out は 2 Ninから略 2 . 7 Ninへと増速する。 図 3 5はこの状態の作動油の流 れ及ぴ回転の様子を示している。 なお、 本実施形態では、 この状態では油抜き部 1 1◦は、 閉塞されている。
(出力回転数 Nout がゼロと Ninの間の場合)
この状態においては、 コイルスプリング 1 2 4の付勢力により、 移動部材 1 1 6が常に係止段部 1 1 4 aに係止されているため、 油抜き部 1 1 0、 孔 1 2 0を 介して、 少量の作動油が第 2油室 6 2 (すなわち、 油圧閉回路 C) から軸孔 9 9 の小径部 1 1 3へ流れ出すことが許容されている。 すなわち、 第 2切替弁 7 6の 変位端は、 第 1変位位置 R 1に位置する。 図示しないシフトレバーを操作して、 油圧装置 1 7 8を介して作動させてリン グ状部材 1 6 5を中立位置から正側の回転位置の領域に位置させる。
この場合、 第 5実施形態と同じ理由により、 プランジャ 5 8の摺接部材 1 8 1 への突出押圧作用により、 前記 「出力回転数 Nout が Nin と 2 Nin の間及び 2 Nin を越える場合」 とは逆方向の回転を与える。 従って、 前記逆方向の回転数 と、 シリンダブロック 4 2の正方向の回転数との合成 (和) により、 出力回転筒 2 3 A、 出力ギヤ 2 4が回転される。 このときの回転数の和は、 逆方向の回転数 分減少した正方向の回転数となるため、 出力回転数 Nout は 「出力回転数 Nout が Ninの場合」 に比較して小さくなる。 本実施形態では、 このとき、 リング状部材 1 6 5が中立位置から第 2の位置へ と変位すると、 図 3 8において第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pはゼ口から一 VMmax側へと増加し、 それに応じて出力回転数 Nout は N in からゼロ へと減 速する。 なお、 このときの出力回転数 Nout が N in からゼロに変化するときの第 2油 圧装置 2 0 0の 1回転当たりの行程容積 VMは _ VM maxである。
この状態では前記と同様に油抜き部 1 1 0等を介して、 少量の作動油が第 2油 室 6 2 (すなわち、 油圧閉回路 C) から軸孔 9 9の小径部 1 1 3へ流れ出して若 千のロスが生ずる。 し力 し、 作動油の流れ出す量は少量であり、 かつ、 第 2油室 6 2 (油室 B ) 側は、 第 1油室 6 1 (油室 A) 側より低圧であり、 出力回転筒 2 3 Aを減速のために押圧するプランジャ 5 8の作動効率を低下させないため、 問
題はない。 図 3 6は、 このときの状態の模式図である。 (出力回転数 Nout がゼロの場合)
次に、 図示しないシフトレバーを操作し、 油圧装置 1 7 8を介してリング状部 材 1 6 5を回転させ、 リング状部材 1 6 5を第 2の位置に位置させる。 この場合、 本実施形態では第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pは一 VMmax と なる。 この結果、 一V P 一 VM max であるので前記逆方向の回転数と、 シリン ダブロック 4 2が入力軸 2 1を介して駆動される回転数 Nin とが釣り合い、 す なわち、 回転数の和はゼロ (出力回転数 Nout はゼロ) となり、 出力ギヤ 2 4は 停止する。 この状態で、 さらに油圧装置 1 7 8を介してリング状部材 1 6 5を回転させ、 第 2の位置からさらに正側に回動させると、 第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V P の絶対値は、 第 2油圧装置 2 0 0の行程容積 VM ( = VMmax) の絶対値よりも大 きくなる範囲に入る。 このため、 第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pの絶対値に対して第 2油圧装置 2 0 0の行程容積 VMの絶対値が相対的に小さくなるので、 本来ならば第 2油圧 装置 2 0 0では、 これを補うため第 2油圧装置 2 0 0のプランジャ 5 8の往復速 度が早くなるはずである。 し力 し、 この時第 2油室 6 2は、 第 1油室 6 1側に比して高圧側となり、 第 2 油室 6 2 (すなわち、 油圧閉回路 C ) 力 ^作動油が油抜き部 1 1 0等を介して軸 孔 9 9の小径部 1 1 3へ高圧の作動油が流れ出す。 シリンダブロック 4 2が 1回転する際の油圧閉回路 Cから流れ出す最大ロス量 を Lとすると、 第 5実施形態と同様に、
第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pの絶対値と第 2油圧装置 2 0 0の行程容積
VMの絶対値との差 ( I V P I— I VM I ) 力
I V P I - I VM I ≤L (= Δ 2 )
を満足している間は、 I V P i と I VM | +ロス量が釣り合うため、 第 2油圧装 置 2 0 0では、 引き続き、 前記逆方向の回転数と、 シリンダブロック 4 2が入力 軸 2 1を介して駆動される回転数 N in とが釣り合い、 すなわち、 回転数の和は ゼロ (出力回転数 N out はゼロ) となり、 出力ギヤ 2 4は停止した状態 (中 立) を保持する。 図 3 8において、 Δ 2は I V P I— I VM Iが、 ゼロから と なるまでの間の両装置の行程容積差を示している。
(出力回転数 Nout がゼロ未満の場合)
さらに、 この状態で、 コイルスプリング 1 2 4の付勢力よりも大きなチャージ 圧を得るために、 図示しないチャージポンプを駆動して軸孔 9 9内の作動油を加 圧する。 すると、 移動部材 1 1 6がコイルスプリング 1 2 4の付勢力に抗して入 力軸 2 1の出力端側に移動し、 油通路 1 1 2の絞り部 1 1 2 a側開口端部を閉塞 する。 又、 移動部材 1 1 6の入力軸 2 1の出力端側への移動により、 作動ピン 1 2 8 がテーパ部 1 1 8 aにて押圧されて、 入力軸 2 1の軸心 Oから放射方向に移動す る。 作動ピン 1 2 8は、 ホルダ Ί 9のテーパ溝 1 2 9の底面の近位端側を押圧点 の開始位置として、 この押圧点を徐々に遠位端側に向けて変位しながら、 斜状の テーパ溝 1 2 9を押し続ける。 このため、 ホルダ 7 9は作動ピン 1 2 8の押圧に より、 コイルスプリング 1 2 6の付勢力に抗して入力軸 2 1の入力端側に移動す る。 この結果、 作動ピン 1 2 8がテーパ溝 1 2 9の底面の遠位端側に当接すると、 第 2切替弁 7 6の変位端は、 第 1変位位置 R 1力 ら第 2変位位置 R 2までのいず れかの位置に移動する。 すると、 図 3 9に示すようにポート Wと第 2油室 6 2に連通する区間が狭くな り、 ポート Wと第 1油室 6 1に連通される区間が広くなる。 すなわち、 出力回転 数 Noutがゼロより小さくなると領域 Jは、 広くなり、 領域 Kは狭くなる。
この結果、 第 1油圧装置 1 0 0の行程容積の VP max に対して第 2油圧装置 2 0 0の行程容積が相対的に小ざくなり、 第 2油圧装置 2 0 0では、 これを補うた め第 2油圧装置 2 0 0のプランジャ 5 8の往復速度が早くなる。 このため、 ブラ ンジャ 5 8の回転斜面 5 1への突出押圧作用によって逆方向の回転数が増大し、 その増大した逆方向の回転数と、 シリンダブロック 4 2の正方向の回転数との和 により、 出力回転筒 2 3 A、 出力ギヤ 2 4が逆方向への出力回転数がゼロのとき よりも増速回転される (図 3 8参照)。 又、 前記移動部材 1 1 6が入力軸 2 1の出力端側に移動し、 油通路 1 1 2の絞 り部 1 1 2 a側開口端部を閉塞したことにより、 第 2油室 6 2 (すなわち、 油圧 閉回路 C ) 力、ら作動油が油抜き部 1 1 0等を介して軸孔 9 9の小径部 1 1 3 へ流 出するのが停止する。 このため、 今まで、 ロスしていた作動油の分まで、 第 2油 圧装置 2 0 0のプランジャ 5 8を押圧する作用が高まる。 従って、 第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pの絶対値に対して第 2油圧装置 2 0 0の行程容積 VMの絶対値がさらに相対的に小さくなるので、 第 2油圧装置 2 0 0では、 これを補うため第 2油圧装置 2 0 0のプランジャ 5 8の往復速度が早 くなる。 このため、 プランジャ 5 8の摺接部材 1 8 1への突出押圧作用によって逆方向 の回転数が増大し、 その増大した逆方向の回転数と、 シリンダブロック 4 2の正 方向の回転数との合成 (和) により、 出力回転筒 2 3 A、 出力ギヤ 2 4が逆方向 へ回転される。 又、 逆方向の回転トルクは、 出力回転筒 2 3 A、 出力ギヤ 2 4等 を介して終減速装置へ伝達される。 このとき、 図 3 8においては、 第 5実施形態と同様に出力回転数 Nout は c点 から d点に移動する。 尚、 c点は出力回転数 Nout がゼロであって、 行程容積は - VPmaxの値の点である。
又、 油圧装置 1 7 8を介してリング状部材 1 6 5を第 2の位置に位置させた場 合、 図 3 8において第 1油圧装置 1 0 0の最大行程容積 VPmax の絶対値は、 若 干の差はあるものの VPmax VMraax であり、 一方、 第 2油圧装置 2 0 0の行程 容積の絶対値は 0 . 6 VMmax となる。 従って、 それに応じて出力回転数 Nout はゼロから減速するが、 それに応じて出力回転数 Nout は移動した d点から逆向 きの回転が加速する。 すなわち、 移動した d点から出力回転数 Nout は後進方向 に増速する。 図 3 8に示すように 「シール有」 と付された実線上において、 Nout が変化す る。 又、 図 3 7は、 このときの状態の模式図である。 第 2油室 6 2 (油室 B ) 側 は、 第 1油室 6 1 (油室 A) 側よりも高圧側となっており、 油圧閉回路 Cでは、 図に示す矢印で示すような作動油の流れとなっている。 第 7実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
( 1 ) 第 7実施形態の無段変速装置 2 0 (油圧式無段変速装置) は、 第 1油圧 装置 1 0 0として、 プランジャ 4 3を備え、 リング状部材 1 6 5 (当接部) によ つて同プランジャ 4 3の突出入を行うようにした。 又、 第 2油圧装置 2 0 0とし て、 プランジャ 5 8を備え、 同プランジャ 5 8の当接によって入力回転に対して 相対又は同期回転のいずれかを行う出力回転筒 2 3 A (出力回転部) を設けた。 そして、 第 1油圧装置 1 0 0と第 2油圧装置 2 0 0双方のプランジャ 4 3 , 5 8 を収納するシリンダブ口ック 4 2を共有し、 シリンダブ口ック 4 2を入力回転と 同期回転する構成とした。 さらに、 第 1油圧装置 1 0 0の最大行程容積 VPmax が第 2油圧装置 2 0 0の 最大行程容積 VMmax を上回る範囲を有する構成とし、 第 1油圧装置 1 0 0と第 2油圧装置 2 0 0とを連通する油路 (油圧閉回路 C ) のうち、 出力回転筒 2 3 A が入力回転と正回転するときの低圧油路側となる第 2油室 6 2に油抜き部 1 1 0 を設けた。
この結果、 第 5実施形態と同様に第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pが、 第 2 油圧装置 2 0 0の行程容積 VMmax と等しくなるときから、 油抜き部 1 1 0の油 逃し量 (油圧閉回路 Cから流れ出すロス量 L ) にて対応できる範囲では、 出力回 転数 Nout はゼロとなって、 中立を実現できる。 従って、 油逃し量の分だけ、 中 立を行える範囲に幅を持たせることができる。
( 2 ) 又、 第 7実施形態によれば、 第 5実施形態の (2 ) と同様の効果を奏す る。
( 3 ) 第 7実施形態では、 前記第 2切替弁 7 6を往復動させる玉軸受 8 4 (分配 弁を往復動させる部材) を設け、 同玉軸受 8 4を軸心 Oに沿って変位させるため の変位機構 Dを設けた。 変位機構 Dは前記移動部材 1 1 6、 作動ピン 1 2 8、 ホ ノレダ 7 9、 玉軸受 8 0、 及び、 支持部材 8 1にて構成されている。 その変位機構 Dにて玉軸受 8 4を通常位置からシリンダプロック 4 2側へ押圧移動させること で、 第 2切替弁 7 6を第 1変位位置 R 1から第 2変位位置 R 2に変位させるよう にした。 そして、 第 2切替弁 7 6をプランジャ 4 3 , 5 8よりも軸心 O側に配置 したため、 無段変速装置 2 0の変位機構 Dを出力回転筒 2 3 A (出力回転部) の 内周側空間内に配置することができる。 なお、 本発明の実施形態は、 前記各実施形態に限定されるものではなく、 下記 のように実施してもよい。 第 6実施形態において、 油抜き機構 Mを省略して、 その代わりに、 図 2 6に示 す、 チャージ弁 9 0を油抜き機構 Mとしてもよい。 すなわち、 (出力回転数 Nout がゼロ未満の場合) において、 シフトレバー 1 4 6を後進域側へシフトすると、 このシフトレノ ー 1 4 6の操作に応動して、 チャージポンプのチャージ圧をコィ ルスプリング 1 9 7, 1 9 8の付勢力よりも低減する。 すると、 図 2 6に示すよ うに、 チャージ弁 9 0, 9 1が弁収納孔 8 5, 8 6の内底部に押圧係止される
(図 2 6においては、 チャージ弁 9 1のみ、 移動したことを図示している。)。 す ると、 第 1油室 6 1、 第 2油室 6 2の作動油が弁収納孔 8 5, 8 6の開口 8 8, 8 9を介して外部に放出される。 この油圧が解放されると、 プランジャ孔 5 7の作動油の油圧が解放されるため、 ブランジャ 4 3の斜板面 4 4に対する押圧作用、 及ぴプランジャ 5 8の回転斜面 5 1に対する押圧作用がなくなる。 特に、 ヨーク 2 3は第 2油圧装置 2 0 0から フリーとなる。 このためギヤシフト装置 1 5 0の第 1クラッチ 1 5 2が切り離す ことができるようになるので、 シフトレバー 1 4 6の操作と連動して、 第 2クラ ツチ 1 5 3が接続される。 前進側へ戻すときも同じ理由でプランジャ孔 5 7の作 動油の油圧を解放する。 前記所定時間経過後は、 図示しないチャージポンプにてチヤ一ジ圧を元に復帰 させると、 チャージ弁 9 0, 9 1は、 開口 8 8 , 8 9を閉塞する。 この結果、 プ ランジャ孔 4 7, 5 7には作動油の油圧が働き、 プランジャ 4 3及ぴプランジャ 5 8がそれぞれ斜板面 4 4及ぴ回転斜面 5 1に対して押圧を開始する。 このよう にしても、 第 6実施形態と同様の作用効果を奏することができる。 第 5実施形態及び第 7実施形態の変形例として、 下記のようにしてもよい。 第 5実施形態及び第 7実施形態では、 出力回転数 Nout がゼロ未満のときは、 油抜き部 1 1 0を閉塞するようにしたが、 移動部材 1 1 6の第 1ランド 1 1 7を 省略したり、 図 3 4の二点鎖線で示すように連結部 1 1 9を長くしてその代わり に第 1ランド 1 1 7の軸方向長さを短くして、 出力回転数 Nout が 0未満のとき は、 油抜き部 1 1 0を閉塞しないよう構成すること。 この場合、 出力回転数 N out が 0未満のときは、 油抜き部 1 1 0からの作動油が抜けるため、 出力回転数 Noutは、 第 3実施形態よりも効率は悪くなるがこれでもよい。 すなわち、 この場合は、 油抜き部 1 1 0からの作動油のロス量分の回転量は減 少したものとなるが、 図 3 8に示すように c点から e点 ( e点は、 出力回転数 N
out が _ 0 . 7 Nin よりも大きい値であって、 行程容積は— VPmax の値の点で ある。) に移行し、 出力回転数 Nout は 0から減速する (0 から後進方向に増速 する)。 図 3 8においては、 「シール無」 と付された実線上において Nout が変化 する。 第 7実施形態の構成中、 ホルダ 7 9を入力軸 2 1に固定して、 コイルスプリン グ 1 2 6、 ピン孔 1 2 7、 作動ピン 1 2 8、 テーパ溝 1 2 9を省略してもよレヽ。 そして、 第 1油圧装置 1 0 0の最大行程容積 VPmax を、 第 2油圧装置 2 0 0の 最大行程容積 VMmax よりも明らかに大きくしてもよい。 例えば、 第 4実施形態 と同様に 1 . 7倍となるように設定してもよい。 第 1油圧装置 1 0 0と第 2油圧 装置 2 0 0の最大行程容積に差を持たせることにより、 第 1油圧装置 1 0 0の行 程容積 V Pが第 2油圧装置 2 0 0の行程容積 VMを上回る範囲を有する構成とな る。 こうすると、 ラジアル型の油圧式無無段変速装置において、 第 4実施形態と 同様の効果を奏することができる。 第 8実施形態
次に、 第 8実施形態を図 5 2乃至図 5 5を参照して説明する。
図 5 2から図 5 4に示すように、 本実施形態の装置は、 図 4 0等に示す第 6実 施形態における力パー部材 1 3 1、 作動部材 1 3 6、 コイルスプリング 1 3 4力 らなる油抜き機構 Mに加え、 図 3 3等に示す第 5実施形態における移動部材 1 1 6、 作動ピン 1 2 8、 ホルダ 7 9、 玉軸受 8 0、 支持部材 8 1、 及び玉軸受 8 4 かならる変位機構 Dを備えたものである。 従って、 本実施形態における構成の詳 細な構成の説明については、 重複を避けるため省略する。 また、 図 4 6及ぴ図 5 5を比較すれば明らかなように、 本実施形態の装置の作 用については、 出力回転数 Noutが 2 Ninを越える場合において、 前記第 6実施 形態 (図 4 6参照) と異なっている。 その相違点について以下に説明する。
(出力回転数 Nout が 2 Ninを越える場合)
斜板面 4 4を負の最大傾動角度位置に位置させた状態で、 図示しないチャージ ポンプを駆動して軸孔 9 9内の作動油を加圧する。 すると、 移動部材 1 1 6がコ ィルスプリング 1 2 4の付勢力に抗して入力軸 2 1の出力端側に移動し、 油通路 1 1 2の絞り部 1 1 2 a側開口端部を閉塞する。 又、 移動部材 1 1 6の入力軸 2 1の出力端側への移動により、 作動ピン 1 2 8 がテーパ部 1 1 8 aにて押圧されて、 入力軸 2 1の軸心 Oから放射方向に移動す る。 作動ピン 1 2 8は、 ホルダ 7 9のテーパ溝 1 2 9の底面の近位端側を押圧点 の開始位置として、 この押圧点を徐々に遠位端側に向けて変位しながら、 斜状の テーパ溝 1 2 9を押し続ける。 このため、 ホルダ 7 9は作動ピン 1 2 8の押圧に より、 コイルスプリング 1 2 6の付勢力に抗して入力軸 2 1の入力端側に移動す る。 この結果、 作動ピン 1 2 8がテーパ溝 1 2 9の底面の遠位端側に当接すると、 第 2切替弁 7 6の変位端は、 第 1変位位置 R 1から第 2変位位置 R 2までのいず れかの位置に移動する。 すると、 ポート Wと第 2油室 6 2に連通する区間が狭くなり、 ポート Wと第 1 油室 6 1に連通される区間が広くなる。 すなわち、 2 Nin を越えると領域 Jは、 図 3 9に示すように広くなり、 領域 Kは狭くなる。 この結果、 第 1油圧装置 1 0 0の行程容積の VPmax に対して第 2油圧装置 2 0 0の行程容積が相対的に小さくなるので、 第 2油圧装置 2 0 0では、 これを捕 うため第 2油圧装置 2 0 0のプランジャ 5 8の往復速度が早くなる。 このため、 プランジャ 5 8の回転斜面 5 1への突出押圧作用によって正方向の回転数が増大 し、 その増大した正方向の回転数と、 シリンダブロック 4 2の正方向の回転数と の和により、 ギヤ 1 4 2における正方向への出力回転数が 2 N in のときよりも 増速回転される。 正方向の回転トルクは、 ヨーク 2 3、 連結された第 1クラッチ 1 3 9、 ギヤ 1 4 1、 ギヤ 1 4 2を介して終減速装置へ伝達される。 又、 斜板面 4 4を負の最大傾動角度位置側に位置させた場合、 図 5 5において
第 1油圧装置 1 0 0の最大行程容積 VPmax は、 第 2油圧装置 2 0 0の最大行程 容積 VMmax とは、 略等しい (VPmax^ VMmax) 、 厳密にいうと、 若干 VPmax の方が大きく、 差 Δ 1が存在している。 なお、 図 5 5では、 Δ 1の部分は、 説明 の便宜上、 拡大して示している。 一方、 第 2油圧装置 2 0 0の行程容積は第 2切替弁 7 6が第 2変位位置 R 2の ときには 0 . 6 VMmax としている。 その結果、 それに応じて出力回転数 Nout は 2 Ninから略 2 . 7 Ninへと増速する。 この状態の作動油の流れ及ぴ回転の 様子は、 第 5実施形態の図 3 5を参照されたレ、。 油抜き部 1 1 0は閉塞されてい る。 本実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
( 1 ) 本実施形態では、 ヨーク 2 3 (出力回転部) の回転方向が切り替わる際 に、 第 2油圧装置 2 0 0のプランジャ 5 8に印加する油圧を解放するために作動 する油抜き機構 Mを設けた。 この結果、 ヨーク 2 3の回転方向が切り替わる際のトルクが解放でき、 正逆回 転切り替えを容易に行うことができる。 特に、 本実施形態では、 プランジャ孔 5 7をシリンダブ口ック 4 2外部に直接解放するようにしたため、 上記効果を容易 に実現することができる。
( 2 ) 本実施形態では、 無段変速装置 2 0を、 エンジン 2 2 (原動機) 力 らの 入力回転を得る入力軸 2 1を備える構成とするとともに、 同入力軸 2 1を反原動 機側に延出して出力軸として構成した。 そして、 延出された入力軸 2 1外周にョ ーク 2 3 (出力回転部) を設け、 ヨーク 2 3の動力伝達を行うとともに正逆回転 切替可能なギヤシフト装置 1 3 8 (正逆回転切替装置) を設けて、 動力伝達装置 とした。 この結果、 動力伝達装置として、 上記 (1 ) の作用効果を奏することが できる。
第 9実施形態
次に、 第 9実施形態を図 5 6に従って説明する。
本実施形態の構成は、 図 3 3及ぴ図 3 4に示す第 5実施形態の構成と同一であ るが、 出力回転数 Nout の制御方式が第 5実施形態と異なるので、 その点につい て説明する。 以下の説明において、 作動ピン 1 2 8がテーパ溝 1 2 9の底面の近位端^側に当 接した際のリテーナ 8 3の位置を第 1作用位置という。 また、 作動ピン 1 2 8が テーパ溝 1 2 9の底面の遠位端側に当接した際のリテーナ 8 3の位置を第 2作用 位置という。 尚、 リテーナ 8 3は切替弁 7 6の拘束手段として機能する。 リテーナ 8 3が第 1作用位置に位置した際の第 2切替弁 7 6の変位位置を第 1 変位位置 R 1といい、 リテーナ 8 3が第 2作用位置に位置した際の第 2切替弁 7 6の変位位置を第 2変位位置 R 2という (図 7参照)。 従って、 第 2切替弁 7 6 は、 第 1変位位置 R 1又は第 2変位位置 R 2で示す線上に沿って作動する。 第 2切替弁 7 6の変位端の変位によって、 図 7及び 3 9に示すように一周期に おける領域 J, Kの割合が変化することにより、 図 5 6において第 2油圧装置 2 0 0の最大行程容積の絶対値は VMraax から 0 . 6 VMmax へと変化するように、 ポート Wの開閉タイミングが変えられるように設定されている。 さて、 上記のように構成された無段変速装置 2 0の作用を説明する。
なお、 以下、 本実施形態をはじめ、 他の実施形態においても、 説明の便宜上、 エンジン 2 2のクランク軸から入力軸 2 1に付与される入力回転数 N in は一定 のものとして説明する。
(出力回転数 Nout が N inの場合)
図示しないシフトレパーを操作して、 クレイドル 4 5を介して斜板面 4 4を直 立位置に位置させる。
この状態においては、 エンジン 2 2の駆動力により入力軸 2 1を介してシリン ダブロック 4 2が Nin で回転する。 以後、 Nin と同一向きの回転を正方向の回 転とレヽう。 #斗板面 4 4は入力軸 2 1の軸心 Oに対して直立位置の中立状態にある。 第 1油圧装置 1 0 0のプランジャ 4 3は斜板面 4 4によっては往復動されず、 従 つて、 この状態では油圧閉回路 C内を作動油が循環しない。 このため、 第 2油圧 装置 2 0 0側においては各プランジャ 5 8の突出端がストローク運動ができない 状態でシユー 6 0を介して回転斜面 5 1に当接係合するため、 シリンダブ口ック 4 2と回転斜面 5 1とは直結状態となり、 一体回転する。 すなわち、 この状態は、 入力軸 2 1と出力ギヤ 2 4とが直結状態となる。 この 回転/斜面 5 1に付与された正方向への回転は、 ヨーク 2 3、 出力ギヤ 2 4、 入力 ギヤ 2 5を介して終減速装置へ伝達される。 前記斜板面 4 4が直立位置に位置している場合には、 図 5 6に示すように第 1 油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pは 0となり、 出力回転数 Nout (出力ギヤ 2 4の 回転数) は入力回転数 N inに等しくなる。
(出力回転数 Nout が Ninを越える場合)
まず始めに、 斜板面 4 4を直立位置に位置させた状態、 即ち、 油圧閉回路 C内 の作動油が循環していない状態で、 図示しないチャージポンプを駆動して軸孔 9 9内の作動油を加圧する。 すると、 移動部材 1 1 6がコイルスプリング 1 2 4の 付勢力に抗して入力軸 2 1の出力端側に移動し、 油通路 1 1 2の絞り部 1 1 2 a 側開口端部を閉塞する。 又、 移動部材 1 1 6の入力軸 2 1の出力端側への移動により、 作動ピン 1 2 8 がテーパ部 1 1 8 aにて押圧されて、 入力軸 2 1の軸心〇から放射方向に移動す る。 作動ピン 1 2 8は、 ホルダ 7 9のテーパ溝 1 2 9の底面の近位端から遠位端 に変位する。 このため、 ホルダ 7 9は作動ピン 1 2 8の押圧により、 コイルスプ
リング 1 2 6の付勢力に抗して入力軸 2 1の入力端側に移動する。 この結果、 作 動ピン 1 2 8がテーパ溝 1 2 9の底面の遠位端に当接すると、 リテーナ 8 3は第 1作用位置から第 2作用位置に移動し、 第 2切替弁 7 6の変位端は第 1変位位置 R 1から第 2変位位置 R 2の位置に切替わる。 すると、 ポート Wと第 2油室 6 2との連通区間が狭くなり、 ポート Wと第 1油 室 6 1との連通区間が広くなる。 すなわち、 Nin を越える際に領域 Jは、 図 3 9に示すように広くなり、 領域 Kは狭くなる。 この結果、 図 3 9に示すように、 プランジャ孔 5 7からポート Wを通って第 2油室 6 2へ流出する一行程あたりの 作動油量は、 第 1油室 6 1からポート Wを通ってプランジャ孔 5 7へ流入する一 行程あたりの作動油量より少なくなる。 従って、 第 2油圧装置 2 0 0の第 2油室 6 2と連通する行程容積は 0 . 6 VMmaxとなる。 図示しないシフトレバーを操作して、 クレイ ドル 4 5を介して斜板面 4 4を負 側に傾動して所定の負の傾動角度位置と直立位置との間の領域に位置させる。 こ の所定の負の傾動角度位置とは、 第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pの絶対値が 第 2油圧装置 2 0 0の行程容積 VMの絶対値 (= 0 . 6 VMraax) と等しくなるま での位置である。 この場合、 エンジン 2 2の駆動力により入力軸 2 1を介してシリンダブ口ック 4 2が Nin で回転する。 すると、 第 1油圧装置 1 0 0は、 シリンダブロック 4 2の軸心 O周りの回転角 0 ° 〜 1 8 0 ° の範囲で、 作動油をポート Uを介してプ ランジャ孔 4 7へ吸入し、 1 8 0 ° 〜 3 6 0 ° ( 0 ° ) の範囲で、 作動油をポー ト Uを介してプランジャ孔 4 7から吐出する。 吐出する油室及び吸入する油室は、 シリンダプロック 4 2の軸心 O周りの回転角に対応した領域 H, Iによって決ま る。 尚、 第 1油圧装置 1 0 0が吐出, 吸入する作動油量は、 斜板面 4 4の負側へ の傾動角が大きくなるにつれて、 増加する。 この時、 第 2油圧装置 2 0 0は、 ョ ーク 2 3 (出力回転部) のシリンダブ口ック 4 2に対する軸心 O周りの相対回転 角 0 ° 〜 1 8 0 ° の範囲で、 作動油をポート Wを介してプランジャ孔 5 7へ吸入
し、 1 8 0 ° 〜3 6 0 ° ( 0 ° ) の範囲で、 作動油をポート Wを介してプランジ ャ孔 5 7から吐出する。 吐出する油室及ぴ吸入する油室は、 ヨーク 2 3 (出力回 転部) のシリンダブ口ック 4 2に対する軸心〇周りの相対回転角に対応した領域 J , Kによって決まる。 この結果、 シリンダブ口ック 4 2が入力軸 2 1を介して駆動される回転数 Nin と、 プランジャ 5 8の回転斜面 5 1への突出押圧作用による正方向の回転数との 合成 (和) により、 回転斜面 5 1は回転される。 この回転斜面 5 1に付与される 正方向の回転は、 ヨーク 2 3、 出力ギヤ 2 4、 入力ギヤ 2 5を介して終減速装置 へ正方向の回転として伝達され、 増速作用を行う。 このとき、 斜板面 4 4が直立位置から所定の負の傾動角度位置側へと変位する と、 図 5 6において第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pは 0から VMmaxへと増 加し、 それに応じて出力回転数 Nout は Ninから 2 . 7 Ninへと増速する。 なお、 出力回転数 Nout が Nin から 2 . 7 Nin に変化するときの第 2油圧装 置 2 0 0の行程容積 VMは 0 . 6 VMmax のままである。 この状態の作動油の流 れ及ぴ回転の様子は、 図 3 5に示されており、 この状態では油抜き部 1 1 0は、 閉塞されている。 逆に、 Nout 力 S 「Nout > Nin」 から 「Nout く Nin」 に変化する時は、 第 2 切替弁 7 6の変位端は、 第 2変位位置 R 2力 ら第 1変位位置 R 1へ切替られて、 第 2油圧装置 2 0 0の行程容積 VMは 0 . 6 VMmaxから一 VMmaxになる。
(出力回転数 Nout が 0と Ninの間の場合)
この状態においては、 移動部材 1 1 6がコイルスプリング 1 2 4の付勢力によ り、 移動部材 1 1 6が常に係止段部 1 1 4 aに係止されているため、 油抜き部 1 1 0、 孔 1 2 0を介して、 少量の作動油が第 2油室 6 2 (すなわち、 油圧閉回路 C) から軸孔 9 9の小径部 1 1 3へ流れ出すことが許容されている。 すなわち、
第 2切替弁 7 6の変位端は、 第 1変位位置 R 1に位置する。 図示しないシフトレバーを操作して、 クレイドル 4 5を介して斜板面 4 4を正 側に傾動して直立位置から正の傾動角度位置の領域に位置させる。 なお、 正の傾 動角度位置のうち、 所定の正の傾動角度位置とは、 第 1油圧装置 1 0 0の行程容 積 V Pの絶対値が第 2油圧装置 2 0 0の行程容積 VMの絶対値と等しくなるまで の位置である。 この場合、 斜板面 4 4が正方向へ傾動するため、 エンジン 2 2の駆動力により 入力軸 2 1を介してシリンダブロック 4 2が回転する。 すると、 第 1油圧装置 1 0 0は、 シリンダブロック 4 2の軸心 O周りの回転角 0 ° 〜 1 8 0 ° の範囲で、 作動油をポート Uを介してプランジャ孔 4 7から吐出し、 1 8 0 ° 〜 3 6 0 °
( 0 ° ) の範囲で、 作動油をポート Uを介してプランジャ孔 4 7へ吸入する。 作 動油を吐出する油室及び吸入する油室は、 シリンダブ口ック 4 2の軸心 O周りの 回転角に対応した領域 H, Iによって決まる。 尚、 第 1油圧装置 1 0 0が吐出, 吸入する作動油量は、 斜板面 4 4の正側への傾動角が大きくなるにつれて、 増加 する。 この時、 第 2油圧装置 2 0 0は、 ヨーク 2 3 (出力回転部) のシリンダブ ロック 4 2に対する軸心 O周りの相対回転角 0 ° 〜 1 8 0 ° の範囲で、 作動油を ポート Wを介してプランジャ孔 5 7から吐出し、 1 8 0 ° 〜 3 6 0 ° ( 0 ° ) の 範囲で、 作動油をポート Wを介してプランジャ孔 5 7へ吸入する。 作動油を吐出 する油室及び吸入する油室は、 ヨーク 2 3 (出力回転部) のシリンダブロック 4 2に対する軸心 O周りの相対回転角に対応した領域 J , Kによって決まる。 この結果、 プランジャ 5 8の回転斜面 5 1への突出押圧作用により、 前記 「出 力回転数 Nout が Ninと 2 Ninの間及ぴ 2 Ninを越える場合」 とは逆方向の回 転がヨーク 2 3に与えられる。 従って、 前記逆方向の回転数と、 シリンダブロッ ク 4 2の正方向の回転数との合成 (和) により、 ヨーク 2 3、 出力ギヤ 2 4が回 転される。 このときの回転数の和は、 逆方向の回転数分減少した正方向の回転数 となるため、 出力回転数 Nout は 「出力回転数 Nout が Nin の場合」 に比較し
て小さくなる。 本実施形態では、 このとき、 斜板面 4 4が直立位置から所定の正の傾動角度位 置側へと変位すると、 図 5 6において第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pは 0力 らー VMmax (前記 「一」 はポート Uから第 2油室 6 2に吐出される場合を意味し ている。) 側へと増加し、 それに応じて出力回転数 Nout は Nin から 0へと減速 する。 なお、 出力回転数 Nout が Nin から 0に変化するときの第 2油圧装置 2 0 0 の 1回転当たりの行程容積 VMは一 VMmax である。 (前記 「一」 は第 2油室 6 2 からポート Wへ吸入される場合を意味している。) 図 3 6は、 このときの状態の模式図である。 第 1油室 6 1 (油室 A) 側は、 第 2油室 6 2 (油室 B ) 側よりも高圧側となっており、 油圧閉回路 Cでは、 図に示 す矢印で示すような作動油の流れとなっている。
(出力回転数 Nout が 0の場合)
次に、 図示しないシフトレバーを操作し、 クレイドル 4 5を介して斜板面 4 4 を前記所定の正の傾動角度位置のうち、 第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pの絶 対値が第 2油圧装置 2 0 0の行程容積 VMの絶対値と等しくなる位置に位置させ る。 この場合、 本実施形態では第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pは一 VMmax と なる。 この結果、 前記逆方向の回転数と、 シリンダプロック 4 2が入力軸 2 1を 介して駆動される回転数 Nin とが釣り合い、 すなわち、 回転数の和は 0 (出力 回転数 Nout は 0 ) となり、 出力ギヤ 2 4は停止する。 この状態で、 さらにクレイドル 4 5を介して斜板面 4 4を前記所定の正の傾動 角度位置からさらに正側に傾動させると、 第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pの
絶対値は、 第 2油圧装置 2 0 0の行程容積 VM ( = VMmax) の絶対値よりも大き くなる範囲に入る。 このため、 第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pの絶対値に対して第 2油圧装置 2 0 0の行程容積 VMの絶対値が相対的に小さくなるので、 本来ならば第 2油圧 装置 2 0 0では、 これを補うため第 2油圧装置 2 0 0のプランジャ 5 8の往復速 度が早くなるはずである。 ' し力 し、 この時、 第 2油室 6 2は、 第 1油室 6 1側に比して高圧側となり、 第 2油室 6 2 (すなわち、 油圧閉回路 C) 力 ら作動油が油抜き部 1 1 0等を介して 軸孔 9 9の小径部 1 1 3へ高圧の作動油が流れ出す。 シリンダプロック 4 2が 1 回転する際の油圧閉回路 Cから流れ出す最大ロス量を Lとしたとき、
第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pの絶対値と第 2油圧装置 2 0 0の行程容積 VMの絶対値との差 ( I V P I— 1 VM I ) 1S
I V P I - I VM I ≤L (= Δ 1 )
を満足している間は、 I V P I と I VM | +ロス量が釣り合うため、 第 2油圧装 置 2 0 0では、 引き続き、 前記逆方向の回転数と、 シリンダブロック 4 2が入力 軸 2 1を介して駆動される回転数 Nin とが釣り合い、 すなわち、 回転数の和は 0 (出力回転数 Nout は 0 ) となり、 出力ギヤ 2 4は停止した状態 (中立) を保 持する。 図 5 6において、 Δ 1は I V P 1— I VM ί力 0から Lとなるまでの間の両 装置の行程容積差を示している。 なお、 図 5 6では、 Δ 1の部分は説明の便宜上 拡大して図示している。
(出力回転数 Nout が 0未満の場合)
まず始めに、 出力回転数 Nout が 0の状態のままで斜板面 4 4を正の最大傾動 角度位置から、 第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pがー 0 . 6 VMmax となる位 置 (以下、 特定位置という) に変位させる処理を行う。 この処理を行う際には、
前記斜板面 4 4を正の最大傾動角度位置から前記特定位置へ変位させることと同 時に、 第 2油圧装置 2 0 0の行程容積 VMを一 VMmax から一 0 . 6 VMmax に変 更することで出力回転数 Nout を 0の状態のままとさせる。 前記第 2油圧装置 2 0 0の行程容積 VMを— VMmax から— 0 . 6 VMmax に変 更する際には、 前記 「出力回転数 Nout が N in を越える場合」 の際において述 ベたように、 図示しないチャージポンプを駆動して軸孔 9 9内に作動油を加圧す ることで第 2切替弁 7 6を第 1変位位置 R 1力ゝら第 2変位位置 R 2に移動させる。 この際、 リテーナ 8 3は第 1作用位置から第 2作用位置に移動される。 また、 こ の状態では油抜き部 1 1 0は閉塞される。 従って、 図 3 9に示すようにポート Wと第 2油室 6 2に連通する区間が狭くな り、 ポート Wと第 1油室 6 1に連通される区間が広くなる。 この結果、 第 2油圧 装置 2 0 0の行程容積は一 0 . 6 VMmaxとなる。 そして、 出力回転数 Nout を 0未満にする際には以下に示すようにする。
図示しないシフトレバーを操作して、 クレイ ドル 4 5を介して斜板面 4 4を正 側に傾動して特定位置から正の傾動角度位置の領域に位置させる。 この場合、 斜板面 4 4が正方向へ傾動するため、 エンジン 2 2の駆動力により 入力軸 2 1を介してシリンダブロック 4 2が回転する。 すると、 第 1油圧装置 1 0 0は、 シリンダブ口ック 4 2の軸心 O周りの回転角 0 ° 〜 1 8 0 ° の範囲で、 作動油をポート Uを介してプランジャ孔 4 7から吐出し、 1 8 0 ° 〜3 6 0 °
( 0 ° ) の範囲で、 作動油をポート Uを介してプランジャ孔 4 7へ吸入する。 吐 出する油室及ぴ吸入する油室は、 シリンダブ口ック 4 2の軸心 O周りの回転角に 対応した領域 H, Iによって決まる。 尚、 第 1油圧装置 1 0 0が吐出, 吸入する 作動油量は、 斜板面 4 4の正側への傾動角が大きくなるにつれて、 増加する。 こ の時、 第 2油圧装置 2 0 0は、 ヨーク 2 3 (出力回転部) のシリンダブロック 4 2に対する軸心 O周りの相対回転角 0 ° 〜1 8 0 ° の範囲で、 作動油をポート W
を介してプランジャ孔 5 7から吐出し、 1 8 0 ° 〜3 6 0 ° ( 0 ° ) の範囲で、 作動油をポート Wを介してプランジャ孔 5 7へ吸入する。 吐出する油室及ぴ吸入 する油室は、 ヨーク 2 3 (出力回転部) のシリンダプロック 4 2に対する軸心 O 周りの相対回転角に対応した領域 J, Kによって決まる。 また、 第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pは、 第 2油圧装置 2 0 0の行程容積 VM (= 0 . 6 VMmax) よりも大きくなる範囲 (0 . 6 VMmaxく V P≤ VMmax) に入っている。 そのため、 第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pに対して第 2油圧 装置 2 0 0の行程容積 VMが相対的に小さくなるので、 第 2油圧装置 2 0 0では、 これを補うため第 2油圧装置 2 0 0のプランジャ 5 8の往復速度が早くなる。 この結果、 ブランジャ 5 8の回転斜面 5 1への突出押圧作用により、 前記 「出 力回転数 Nout が Nin と 2 Ninの間及ぴ 2 N inを越える場合」 とは逆方向の回 転がヨーク 2 3に与えられる。 従って、 この逆方向の回転数により、 ヨーク 2 3、 出力ギヤ 2 4が回転される。 このときの回転数は、 出力回転数 Nout が 0のとき に比較して小さくなる。 本実施形態では、 このとき、 斜板面 4 4が特定位置から正の傾動角度位置側へ と変位すると、 図 5 6において第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pは 0から一 V Mmax (前記 「一」 はポート Uから第 2油室 6 2に吐出される場合を意味してい る。) 側へと増加し、 それに応じて出力回転数 Nout は 0から略一 0 . 7 Nin へ と減速する。 なお、 出力回転数 Nout が 0から略— 0 . 7 Nin に変化するときの第 2油圧 装置 2 0◦の 1回転当たりの行程容積 VMは一 0 . 6 VMmax である。 (前記 「一」 は第 2油室 6 2からポート Wへ吸入される場合を意味している。)
このとき、 斜板面 4 4が特定位置から正の傾動角度位置側へと変位すると、 図 1 2において第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pは一 0 . 6 VPmax から一 V Pmaxへと増加し、 それに応じて出力回転数 Nout は 0から略一0 . 7 Ninへと
増速する。 図 3 7は、 このときの状態の模式図である。 第 1油室 6 1 (油室 A) 側は、 第 2油室 6 2 (油室 B ) 側よりも低圧側となっており、 油圧閉回路 Cでは、 図に示 す矢印で示すような作動油の流れとなっている。 本実施形態によれば、 以下のような効果を得ることができる。
( 1 ) 前記変位機構 Dによるリテーナ 8 3の軸線方向の固定位置は第 2油圧装 置 2 0 0の行程容積 VMが VMmax (- VMmax) となる第 1作用位置と、 同行程容 積 VMが 0 . 6 VMmax (_ 0 . 6 VMmax) となる第 2作用位置とした。 前記リテ ーナ 8 3が第 1作用位置及び第 2作用位置の保持状態時に、 第 1油圧装置 1 0 0 の斜板面 4 4 (クレイドル 4 5 ) が変位可能に構成した。 一方、 従来の油圧式無段変速装置では、 可変容量形油圧装置の作動油の吐出量 を変更することで、 ◦から中速までの間で出力回転が変更される。 さらに、 従来 の油圧式無段変速装置は、 可変容量形油圧装置の作動油の吐出量を最大に保った ままで、 差動油圧装置のプランジャ孔内に流入する作動油のタイミングを変更す ることで、 中速から高速の間で出力回転が変更される。 ところ力 従来の油圧式 無段変速装置では、 差動油圧装置のプランジャ孔内に流入する作動油のタイミン グを変更するための機構は、 出力回転部とともに回転するため、 プランジャ孔内 への作動油の流入タイミングを微妙に変えることが難しい。
この結果、 出力回転数の中速から高速めで間の制御が難しくなつていた。 それに比べ、 本実施形態の無段変速装置 2 0は、 前記リテーナ 8 3が第 1作用 位置にあるとき、 又は、 第 2作用位置にあるときに、 第 1油圧装置 1 0 0の斜板 面 4 4 (クレイドル 4 5 ) を変位させるだけで、 無段変速装置 2 0は出力回転数 Nout の速度制御を、 逆回転から高速正回転までの全回転速度範囲 (本実施形態 では略一 0 . 7 Nin〜2 . 7 Ninの範囲) に亘つて容易に行うことができる。
そのため、 図示しないチャージポンプを駆動して軸孔 9 9内に作動油を圧送し、 リテーナ 8 3を第 1作用位置から第 2作用位置へ徐々に移動させることで出力回 転数 Nout の変更を行う場合と比べて、 正確に出力回転数 Nout の制御を行うこ とができる。
( 2 ) 本実施形態の無段変速装置 2 0は、 油圧閉回路 C内の作動油の流れが停止 している際に、 リテーナ 8 3を第 1作用位置、 第 2作用位置のいずれの位置へ変 位させてもヨーク 2 3の回転速度を維持するように構成した。 従って、 図 5 6に 示すように、 出力回転数 Nout が Nin の際に、 出力回転数 Nout を Ninから 2 . 7 N inへと増加させるための準備であるリテーナ 8 3の第 1作用位置から第 2 作用位置へ移動を、 出力回転数 Nout を N in に保ったままで行うことができる。
( 3 ) 本実施形態の無段変速装置 2 0は、 リテーナ 8 3の固定位置を第 1作用 位置、 第 2作用位置の二つの位置とし、 リテーナ 8 3が第 2作用位置に配置され た場合には、 リテーナ 8 3が第 1作用位置に配置された時よりもヨーク 2 3の回 転速度が速くなるように構成した。 また、 前記リテーナ 8 3が第 1作用位置にあ るときには、 行程容積 VMが VMmax (- VMmax) となり、 同リテーナ 8 3が第 2 作用位置にあるときには、 行程容積 VMが 0 . 6 VMmax (—0 . 6 VMmax) とな るようにした。 そして、 リテーナ 8 3の第 1作用位置から第 2作用位置への変位 に連動して、 クレイドル 4 5の斜板面 4 4を変位可能に構成した。 従って、 出力回転数 Nout が 0のとき、 前記斜板面 4 4を正の最大傾動角度位 置から特定位置へ変位させることに合わせて、 第 2油圧装置 2 0 0の行程容積 V Mを一 VMmax から一0 . 6 VMmax に変更することで、 出力回転数 Nout を 0の ままとすることができる。 第 1 0実施形態
次に、 第 1 0実施形態を図 5 7及び図 5 8を参照して説明する。
図 5 5及び図 5 8を比較すれば明らかなように、 本実施形態の装置の作用につ
いては、 出力回転数 Nout が 2 Nin を越える場合において、 前記第 8実施形態 (図 5 5参照) と異なっている。 その相違点について以下に説明する。
(出力回転数 Nout が Ninの場合)
油抜き機構 Mを構成するカバー部材 1 3 1が突条 1 3 2に係止されており、 小 孔 1 3 0はカバー部材 1 3 1により閉塞されているものとする。 図 5 7に示すシフトレバー 1 4 6を操作し、 クレイドル 4 5を介して斜板面 4 4を直立位置に配置させる。 この状態においては、 前述したように、 シリンダブ ロック 4 2と回転斜面 5 1とは直結状態となり、 一体に回転する。 すなわち、 こ の状態は、 入力軸 2 1と出力ギヤ 1 4 2とが直結状態となる。 回転斜面 5 1に付 与された回転は、 ヨーク 2 3、 連結状態の第 1クラッチ 1 3 9、 ギヤ 1 4 1、 ギ ャ 1 4 2を介して終減速装置へ伝達される。 尚、 本実施形態においては、 N in と逆向きにギヤ 1 4 2が回転する時を、 正方向の回転という。 前記斜板面 4 4が直立位置に配置されている場合には、 図 2 1に示すように第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pは 0となり、 出力回転数 Nout (出力ギヤ 2 4 の回転数) は入力回転数 Ninと等しくなる。
(出力回転数 Nout が Ninを越える場合)
この場合、 シリンダブロック 4 2が入力軸 2 1を介して駆動される回転数 Nin と、 プランジャ 5 8の回転斜面 5 1への突出押圧作用による正方向の回転数との 合成 (和) により、 回転斜面 5 1は回転される。 この回転斜面 5 1に付与される 正方向の回転は、 ヨーク 2 3、 連結状態の第 1クラッチ 1 3 9、 ギヤ 1 4 1、 ギ ャ 1 4 2を介して終減速装置へ正方向の回転として伝達され、 増速作用を行う。 このとき、 斜板面 4 4が直立位置から所定の負の傾動角度位置側へと変位する と、 図 5 8において第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pは 0から VMraaxへと增 加し、 それに応じて出力回転数 Nout は Ninから 2 . 7 Ninへと増速する。
なお、 出力回転数 Nout が Ninから 2 . 7 Nin に変化するときの第 2油圧装 置 2 0 0の行程容積 VMは 0 . 6 VMmax のままである。 又、 この状態の作動油 の流れ及ぴ回転の様子は、 図 3 5を参照されたい。 この状態では油抜き部 1 1 0 は閉塞されている。 従って、 本実施形態によれば、 前記第 9実施形態の効果に加え、 ヨーク 2 3の 回転方向が切り替わる際に、 第 2油圧装置 2 0 0のプランジャ 5 8に印加する油 圧を解放するために作動する油抜き機構 Mを設けられているため、 正逆回転切り 替えを容易に行うことができる。 特に、 本実施形態では、 プランジャ孔 5 7をシ リンダプロック 4 2外部に直接解放するようにしたため、 上記効果を容易に実現 することができる。 第 1 1実施形態
本実施形態は、 図 4 7から図 5 1に示す第 7実施形態のラジアル型油圧式無段 変速装置において、 図 5 6に示す態様で出力回転数 Nout を制御することを意図 したものである。 従って、 図 4 7〜5 1を参照しながら、 その制御方式について 以下に説明する。
(出力回転数 Nout が Ninの場合)
図示しないシフトレバーを操作して、 油圧装置 1 7 8を介してリング状部材 1 6 5を図 5 0に示す中立位置に位置させる。 この状態においては、 第 7実施形態 と同じ理由力、ら、 シリンダブロック 4 2と摺接部材 1 8 1 (出力回転筒 2 3 A) とは直結状態となり、 一体に回転する。 前記リング状部材 1 6 5が中立位置に位置している場合には、 図 5 6に示すよ うに第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pは 0となり、 出力回転数 Nout (出力ギ ャ 2 4の回転数) は入力回転数 Ninとなる。
(出力回転数 Nout が Ninを越える場合)
まず始めに、 リング状部材 1 6 5を中立位置に位置させた状態、 即ち、 油圧閉 回路 C内の作動油が循環していない状態で、 図示しないチャージポンプを駆動し て軸孔 9 9内の作動油を加圧する。 すると、 移動部材 1 1 6がコイルスプリング 1 2 4の付勢力に抗して入力軸 2 1の出力端側に移動し、 油通路 1 1 2の絞り部 1 1 2 a側開口端部を閉塞する。 又、 移動部材 1 1 6の入力軸 2 1の出力端側への移動により、 作動ピン 1 2 8 がテーパ部 1丄 8 aにて押圧されて、 入力軸 2 1の軸心 Oから放射方向に移動す る。 作動ピン 1 2 8は、 ホルダ 7 9のテーパ溝 1 2 9の底面の近位端を押圧点の 開始位置として、 遠位端に変位する。 このため、 ホルダ 7 9は作動ピン 1 2 8の押圧により、 コイルスプリング 1 2 6の付勢力に抗して入力軸 2 1の入力端側に移動する。 この結果、 作動ピン 1 2 8がテーパ溝 1 2 9の底面の遠位端に当接すると、 軸受 8 4は第 1作用位置から 第 2作用位置に移動し、 第 2切替弁 7 6の変位端は第 1変位位置 R 1から第 2変 位位置 R 2の位置に切替わる。 すると、 ポート Wと第 2油室 6 2に連通する区間が狭くなり、 ポート Wと第 1 油室 6 1に連通される区間が広くなる。 すなわち、 N in を越える際に領域 Jは 広くなり、 領域 Kは狭くなる。 この結果、 プランジャ孔 5 7からポート Wを通つ て第 2油室 6 2へ流出する一行程あたりの作動油量は、 第 1油室 6 1からポート Wを通つてプランジャ孔 5 7へ流入する一行程あたりの作動油量より少なくなる。 従って、 第 2油圧装置 2 0 0の第 2油室 6 2と連通する行程容積は 0 . 6 VMraax となる。 図示しないシフトレバーを操作して、 油圧装置 1 7 8を介してリング状部材 1 6 5を回転させ、 中立位置と第 1の位置の間の負側の回転位置の領域に位置させ る。 この場合においても、 シリンダブロック 4 2が入力軸 2 1を介して駆動され
る回転数 N in と、 プランジャ 5 8の摺接部材 1 8 1への突出押圧作用による正 方向の回転数との合成 (和) により、 摺接部材 1 8 1 (出力回転筒 2 3 A) は回 転される。 この摺接部材 1 8 1に付与される正方向の回転は、 出力回転筒 2 3 A、 出力ギヤ 2 4等を介して終減速装置へ正方向の回転として伝達され、 増速作用を 行う。 このとき、 リング状部材 1 6 5が中立位置から負側の回転位置へと変位すると、 図 5 6において、 第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pは 0から VMmax へと増加 し、 それに応じて出力回転数 Nout は Nin から 2 . 7 Ninへと增速する。 なお、 出力回転数 Nout が Ninから 2 . 7 Nin に変化するときの第 2油圧装置 2 0 0 の行程容積 VMは 0 . 6 VMmax のままである。 又、 この状態の作動油の流れ及 び回転の様子は、 図 1 6を参照されたい。 この状態では油抜き部 1 1 0は閉塞さ れている。 逆に、 Nout が Nout > Nin から Nout < Nin に変化する時は、 第 2切替弁 7 6の変位端は、 第 2変位位置 R 2から第 1変位位置 R 1へ切替られて、 第 2油 圧装置 2 0 0の行程容積は 0 . 6 VMmaxから— VMmaxになる。
(出力回転数 Nout が 0と Ninの間の場合)
この状態においては、 移動部材 1 1 6がコイルスプリング 1 2 4の付勢力によ り、 常に係止段部 1 1 4 aに係止されているため、 油抜き部 1 1 0、 孔 1 2 0を 介して、 少量の作動油が第 2油室 6 2 (すなわち、 油圧閉回路 C ) から軸孔 9 9 の小径部 1 1 3へ流れ出すことが許容されている。 すなわち、 第 2切替弁 7 6の 変位端は、 第 1変位位置 R 1に位置する。 図示しないシフトレバーを操作し、 リング状部材 1 6 5を中立位置から正側の 回転位置の領域に位置させる。 この場合、 プランジャ 5 8の摺接部材 1 8 1への 突出押圧作用により、 前記 「出力回転数 Nout が Nin と 2 Nin の間及ぴ 2 Nin を越える場合」 とは逆方向の回転を与える。 従って、 前記逆方向の回転数と、 シ
リンダプロック 4 2の正方向の回転数との合成 (和) により、 出力回転筒 2 3 A、 出力ギヤ 2 4が回転される。 このときの回転数の和は、 逆方向の回転数分減少した正方向の回転数となるた め、 出力回転数 Nout は 「出力回転数 Nout が N in の場合」 に比較して小さく なる。 本実施形態では、 このとき、 リング状部材 1 6 5が図 4 8の中立位置から図 5 0の第 2の位置へと変位すると、 図 5 6において第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pは 0から一VMmax側へと増加し、 それに応じて出力回転数 Nout は Nin か ら 0へと減速する。 なお、 出力回転数 Nout が N in から 0に変化するときの第 2油圧装置 2 0 0 の 1回転当たりの行程容積 VMは一 VMmax である。 この状態では前記と同様に 油抜き部 1 1 0等を介して、 少量の作動油が第 2油室 6 2 (すなわち、 油圧閉回 路 C) から軸孔 9 9の小径部 1 1 3へ流れ出して若干のロスが生ずる。 しかし、 作動油の流れ出す量は少量であり、 かつ、 第 2油室 6 2 (油室 B ) 側は、 第 1油 室 6 1 (油室 A) 側より低圧であり、 出力回転筒 2 3 Aを増速のために押圧する プランジャ 5 8の作動効率を低下させないため、 問題はない。 図 3 6は、 このと きの状態の模式図である。
(出力回転数 Nout が 0の場合)
次に、 図示しないシフトレバーを操作し、 油圧装置 1 7 8を介してリング状部 材 1 6 5を回転させ、 リング状部材 1 6 5を第 2の位置に位置させる。 この場合、 本実施形態では第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pは一 VMmax と なる。 この結果、 一 V P 一 VMmax であるので前記逆方向の回転数と、 シリン ダブロック 4 2が入力軸 2 1を介して駆動される回転数 Nin とが釣り合い、 す なわち、 回転数の和は 0 (出力回転数 Nout は 0 ) となり、 出力ギヤ 2 4は停止
する。 この状態で、 さらに油圧装置 1 7 8を介してリング状部材 1 6 5を回転させ、 第 2の位置からさらに正側に回動させると、 第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V P の絶対値は、 第 2油圧装置 2 0 0の行程容積 VM (^ VMmax) の絶対値よりも大 きくなる範囲に入る。 このため、 第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pの絶対値に対して第 2油圧装置 2 0 0の行程容積 VMの絶対値が相対的に小さくなるので、 本来ならば第 2油圧 装置 2 0 0では、 これを補うため第 2油圧装置 2 0 0のプランジャ 5 8の往復速 度が早くなるはずである。 し力 し、 この時、 第 2油室 6 2は、 第 1油室 6 1側に比して高圧側となり、 第 2油室 6 2 (すなわち、 油圧閉回路 C ) 力 作動油が油抜き部 1 1 0等を介して 軸孔 9 9の小径部 1 1 3へ高圧の作動油が流れ出す。 シリンダブ口ック 4 2が 1回転する際の油圧閉回路 Cから流れ出す最大ロス量 を Lとすると、 第 1実施形態と同様に、
第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pの絶対値と第 2油圧装置 2 0 0の行程容積 VMの絶対値との差 ( I V P I _ I VM I ) 、
I V P I - I VM I ≤L (= Δ 1 )
を満足している間は、 I V P I と I VM I +ロス量が釣り合うため、 第 2油圧装 置 2 0 0では、 引き続き、 前記逆方向の回転数と、 シリンダブロック 4 2が入力 軸 2 1を介して駆動される回転数 Nin とが釣り合い、 すなわち、 回転数の和は 0 (出力回転数 Nout は 0 ) となり、 出力ギヤ 2 4は停止した状態 (中立) を保 持する。 図 5 6において、 Δ 1は I V P I— I VM I力 0から Lとなるまでの 間の両装置の行程容積差を示している。
(出力回転数 Nout が◦未満の場合)
まず始めに、 出力回転数 Nout が 0の状態のままでリング状部材 1 6 5を第 2 の位置から第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pがー 0 . 6 VMmax となる位置 (以下、 特定位置という) に変位させる処理を行う。 この処理を行う際には、 前 記リング状部材 1 6 5を第 2の位置から前記特定位置へ変位させることと同時に、 第 2油圧装置 2 0 0の行程容積 VMを一 VMmax から一 0 . 6 VMmax に変更する ことで出力回転数 Nout を 0の状態のままとさせる。 前記第 2油圧装置 2 0 0の行程容積 VMを一 VMmax から一 0 . 6 VMmax に変 更する際には、 前記 「出力回転数 Nout が N in を越える場合」 の際において述 ベたように、 図示しないチャージポンプを駆動して軸孔 9 9内に作動油を加圧す ることで第 2切替弁 7 6を第 1変位位置 R 1力 ら第 2変位位置 R 2に移動させる。 なお、 この際リテーナ 8 3は第 1作用位置から第 2作用位置に移動される。 また、 この状態では油抜き部 1 1 0は閉塞される。 従って、 ポート Wと第 2油室 6 2に連通する区間が狭くなり、 ポート Wと第 1 油室 6 1に連通される区間が広くなる。 この結果、 第 2油圧装置 2 0 0の第 2油 室 6 2と連通する行程容積は 0 . 6 VMmaxとなる。 そして、 出力回転数 Nout を 0未満にする際には以下に示すようにする。
図示しないシフトレバーを操作して、 油圧装置 1 7 8を介して作動させてリン グ状部材 1 6 5を特定位置から正側の回転位置の領域に位置させる。 また、 第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pは、 第 2油圧装置 2 0 0の行程容積 VM (= 0 . 6 VMmax) よりも大きくなる範囲 (0 . 6 VMmaxく V P VMmax) に入っている。 この結果、 第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pに対して第 2油圧装置 2 0 0の 行程容積 VMが相対的に小さくなるので、 第 2油圧装置 2 0 0では、 これを補う ため第 2油圧装置 2 0 0のプランジャ 5 8の往復速度が早くなる。
この場合、 前記第 9実施形態と同じ理由により、 プランジャ 5 8の摺接部材 1 8 1への突出押圧作用により、 前記 「出力回転数 Nout が Nin と 2 Nin の間及 び 2 Nin を越える場合」 とは逆方向の回転を与える。 従って、 前記逆方向の回 転数により、 出力回転筒 2 3 A、 出力ギヤ 2 4が回転される。 このときの回転数 は、 出力回転数 Nout が 0のときに比較して小さくなる。 リング状部材 1 6 5が特定位置から第 2の位置側へと変位すると、 図 5 6にお いて第 1油圧装置 1 0 0の行程容積 V Pは一 0 . 6 VPmax からー VPmaxへと増 加し、 それに応じて出力回転数 Nout は 0から略一 0 . 7 N inへと減速する。 図 3 7を参照されたい。 第 1 1実施形態によれば前記第 9実施形態と同様の効果を得ることができる。