細菌 DNAを特異的に認識する受容体夕ンパク質 技術分野
本発明は、 非メチル化 C p G配列を有する細菌 DN Aを特異的に認識 する受容体タンパク質、 該受容体夕ンパク質の遺伝子及びそれらの利用 に関する。 明 田
背景技術 .
トール (T o 1 1 ) 遺伝子は、 ショウジヨウバエの胚発生中の背腹軸 の決定 (Cell 52, 269-279, 1988、 Annu. Rev. Cell Dev. Biol.12, 393-416, 1996)、 また成体における抗真菌性免疫応答に必要であることが知られ ている (Cell 86, 973-983, 1996)。 かかる T o 1 1は、 細胞外領域に口 イシンリッチリピート (L RR) を有する I型膜貫通受容体であり、 こ の細胞質内領域は、 哺乳類ィン夕一ロイキン一 1受容体 ( I L— 1 R) の細胞質内領域と相同性が高いことが明らかとなっている( Nature 351, 355-356, 1991、 Amm. Rev. Cell Dev. Biol.12, 393-416, 1996、 J. Leukoc. Biol.63, 650-657, 1998)。
近年、 T o l l様受容体 (T L R) と呼ばれる T ο 1 1の哺乳類のホ モログが同定され、 TL R 2や TL R 4など現在までに 6つのファミリ —が報告されてレ る (Nature 388, 394-397, 1997、 Pro Natl. Acad. Sci. USA 95, 588-593, 1998、 Blood 91, 4020-4027, 1998、 Gene 231, 59-65, 1999)。 この TL Rファミリ一は、 上記 I L— 1 Rと同様にアダプター タンパク質である My D 8 8を介し、 I L一 1 R結合キナーゼ ( I R A K) をリクルートし、 TRAF 6を活性化し、 下流の NF— κ Βを活性
ィ匕することが、失口られている (J. Exp. Med. 187, 2097-2101, 1998, Mol. Cell 2, 253-258, 1998、 I雇 unity 11, 115-122, 1999)。 また、 哺乳類に おける T L Rファミリーの役割は、 細菌の共通構造を認識するパターン ゼ、識受谷体 (P R R : pattern recognition receptor; として、 先天白勺な 免疫認識に関わっているとも考えられている (Cell 91, 295-298, 1997)。 上記 P R Rにより認識される病原体会合分子パターン (P AMP : patnogen-associated molecular pattern) の一つ よ、 ク フム陰' f生 ¾の外 膜の主成分であるリポ多糖(L P S) であって (Cell 91, 295-298, 1997). かかる L P Sが宿主細胞を刺激して宿主細胞に TN F , I L - 1及び I L一 6等の各種炎症性サイ トカインを産生させること(Adv. Immunol. 28, 293-450, 1979、 Annu. Rev. Immunol.13, 437-457, 1995) や、 L P S結合タンパク質 (L B P : LPS-bindingprotein) により捕獲された L P Sが細胞表面上の C D 1 4 に引き渡されることが知られている (Science 249, 1431-1433, 1990、 Annu. Rev. Immunol. 13, 437-457, 1995)。 本発明者らは、 T L R 4のノックアウトマウスを作製し、 T L R 4ノックァゥトウスが上記グラム陰性菌の外膜の主成分である L P S に不応答性であること (J. Immunol.162, 3749-3752, 1999 ) や、 T L R 2ノックアウトマウスを作製し、 TL R 2ノックアウトマウスのマク 口ファージがグラム陽性菌細胞壁やその構成成分であるべプチドグリ力 ンに対する反応性が低下すること (Immunity, 11, 443-451, 1999 ) を 報告している。
他方、 細菌 DNA (バクテリア由来 D NA) や非メチル化 C p G配列 を含むオリゴヌクレオチドが、 マウス及びヒトの免疫細胞を刺激するこ t (Trends Microbiol. 4, 73-76, 1996、 Trends Microbiol. 6, 496-500, 1998)や、 I L一 1 2及び I F Nァの放出に支配される Tヘルパー 1細 胞(T h 1 )様炎症性応答を剌激すること(EMBO J.18, 6973-6982, 1999、
J. Immunol. 161, 3042-3049, 1998、 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96, 9305-9310, 1999)力、ら、 C p G配列を含むオリゴヌクレオチドは、 癌、 アレルギ一及び伝染病のワクチンを含むワクチン戦略のアジュバントと しての使用可能性が提唱されている(Adv. Immunol. 73, 329-368, 1999、 Curr. Opin. Immunol. 12, 35-43, 2000、 Immunit 11, 123-129, 1999)。 このように臨床実用において効果が期待されるにも関わらず、 非メチル 化 C p G配列を含む細菌 D N Aが免疫細胞を活性化する分子メカニズム はよくわかっていない。
上記のように、 メチル化されていない C p Gモチーフを含有するバク テリア由来 D N Aは免疫細胞を非常に活性化し、 T h lの応答を誘導す るが、その分子レベルでの活動はあまり理解されていない。本発明の課題 は、 細菌 D N Aの非メチル化 C p G配列を含むオリゴヌクレオチドの分 子レベルでの作用を明らかにすることができる、 非メチル化 C p G配列 を有する細菌 D N Aを特異的に認識する T L Rフアミリーのメンバ一受 容体タンパク質 T L R 9や、 それをコードする D N Aや、 細菌性伝染病 に対する宿主免疫細胞の応答性を調べる上で有用な実験モデル動物を提 供することにある。
細菌の共通構造を認識するパターン認識受容体として、 先天的な免疫 認識に関わっている哺乳類における T L Rファミリ一は、 現在までに 6 つのメンバ一 (T L R 1— 6 ) が公表されており(Nature 388, 394-397, 1997、 Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95, 588-593, 1998、 Gene 231, 59-65, 1999)、 T L R 7及び T L R 8の新たな 2つのメンバーが GenBankに登 録されている(登録番号 A F 2 4 0 4 6 7及び A F 2 4 6 9 7 1 )。 また、 T L R 9についても完全長 c D N Aが見い出され GenBankに登録され ている(登録番号 A F 2 4 5 7 0 4 )が、 その機能については知られてい なかった。
本発明者らは、 非メチル化 C p G配列を有する細菌 DN Aを特異的に 認識する T L Rフアミリーのメンバ一受容体夕ンパク質をコードする D NAを、 B L A S Tサーチによりスクリーニングし、 既に同定されてい る各種 TL Rと高い相似性を有する多くのシークェンス ·タグ(E S T) クロ一ンをスクリーニングし、 これらの遺伝子フラグメントをプローブ にして、マウス ·マクロファージ c DNAライブラリーから完全な長さを 有する c DN Aを単離し、これを用いてヒト c DNAも単離した。次に、 これら c D N Aの塩基配列を解析し、 この TL Rファミリ一に L RR及 び T I R領域などの保存領域が存在する T L R 9であることを確認した t そこで、この TL R 9ノックァゥトマウスを作製し、 TL R 9が細菌 D N Aの非メチル化 C p G配列を含むオリゴヌクレオチドの受容体夕ンパク 質であることを明らかにし、 本発明を完成するに至った。 発明の開示
すなわち本発明は、 非メチル化 C p G配列を有する細菌 DN Aを特異 的に認識する受容体タンパク質をコードする DNA (請求項 1 ) や、 非 メチル化 C p G配列を有する細菌 DNAを特異的に認識する受容体タン パク質が、以下の(a)又は(b)のタンパク質であることを特徴とする請求 項 1記載の DN A(a)配列番号 2に示されるアミノ酸配列からなるタン パク質(b)配列番号 2に示されるアミノ酸配列において、 1若しくは数 個のアミノ酸が欠失、 置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、 かつ非メチル化 C p G配列を有する細菌 DN Aに対して反応性を有する タンパク質 (請求項 2) や、 配列番号 1に示される塩基配列又はその相 補的配列並びにこれらの配列の一部または全部を含むことを特徴とする 請求項 1記載の DNA (請求項 3) や、 請求項 3記載の遺伝子を構成す る DNAとストリンジェントな条件下でハイブリダィズすることを特徴
とする請求項 1記載の DN A (請求項 4) や、 非メチル化 C p G配列を 有する細菌 D N Aを特異的に認識する受容体タンパク質が、 以下の(a) 又は(b)のタンパク質であることを特徴とする請求項 1記載の D N A (a)配列番号 4に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質(b)配列番 号 4に示されるアミノ酸配列において、 1若しくは数個のアミノ酸が欠 失、 置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、 かつ非メチル化 C P G配列を有する細菌 DN Aに対して反応性を有するタンパク質 (請求 項 5) や、 配列番号 3に示される塩基配列又はその相補的配列並びにこ れらの配列の一部または全部を含むことを特徴とする請求項 1記載の D NA (請求項 6) や、 請求項 6記載の遺伝子を構成する DNAとストリ ンジェン卜な条件下でハイプリダイズすることを特徴とする請求項 1記 載の DNA (請求項 7) に関する。
また本発明は、 非メチル化 C p G配列を有する細菌 DN Aを特異的に 認識する受容体タンパク質 (請求項 8 ) や、 配列番号 2に示されるアミ ノ酸配列からなることを特徴とする請求項 8記載のタンパク質 (請求項 9) や、 配列番号 2に示されるアミノ酸配列において、 1若しくは数個 のアミノ酸が欠失、 置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなること を特徴とする請求項 8記載のタンパク質 (請求項 1 0) や、 配列番号 4 に示されるアミノ酸配列からなることを特徴とする請求項 8記載のタン パク質 (請求項 1 1 ) や、 配列番号 4に示されるアミノ酸配列において、 1若しくは数個のアミノ酸が欠失、 置換若しくは付加されたアミノ酸配 列からなることを特徴とする請求項 8記載のタンパク質 (請求項 1 2) に関する。
また本発明は、 請求項 8〜 1 2のいずれか記載のタンパク質と、 マー カータンパク質及び Z又はべプチドタグとを結合させた融合タンパク質 (請求項 1 3) や、 請求項 8〜 1 2のいずれか記載のタンパク質と特異
的に結合する抗体 (請求項 1 4 ) や、 抗体がモノクローナル抗体である ことを特徴とする請求項 1 4記載の抗体 (請求項 1 5 ) や、 請求項 8〜 1 2のいずれか記載のタンパク質を発現することができる発現系を含ん でなる宿主細胞 (請求項 1 6 ) に関する。
また本発明は、 非メチル化 C p G配列を有する細菌 D N Aを特異的に 認識する受容体夕ンパク質をコードする遺伝子が過剰発現することを特 徴とする非ヒト動物 (請求項 1 7 ) や、 非メチル化 C p G配列を有する 細菌 D N Aを特異的に認識する受容体夕ンパク質をコードする遺伝子機 能が染色体上で欠損したことを特徴とする非ヒト動物(請求項 1 8 )や、 非メチル化 C p G配列を有する細菌 D N Aに対して不反応性であること を特徴とする請求項 1 8記載の非ヒト動物 (請求項 1 9 ) や、 齧歯目動 物が、 マウスであることを特徴とする請求項 1 7〜 1 9のいずれか記載 の非ヒト動物 (請求項 2 0 ) に関する。
また本発明は、 非メチル化 C p G配列を有する細菌 D N Aを特異的に 認識する受容体夕ンパク質をコードする遺伝子機能が染色体上で欠損し た細胞に、 請求項 1〜 7のいずれか記載の D N Aを導入することを特徴 とする非メチル化 C p G配列を有する細菌 D N Aに対して反応性を有す るタンパク質を発現する細胞の調製方法 (請求項 2 1 ) や、 請求項 2 1 記載の非メチル化 C p G配列を有する細菌 D N Aを特異的に認識する受 容体夕ンパク質を発現する細胞の調製方法により得られることを特徴と する非メチル化 C p G配列を有する細菌 D N Aを特異的に認識する受容 体タンパク質を発現する細胞 (請求項 2 2 ) に関する。
また本発明は、 被検物質の存在下、 非メチル化 C p G配列を有する細 菌 D N Aを特異的に認識する受容体夕ンパク質を発現している細胞をィ ンビトロで培養し、 T L R 9活性を測定 ·評価することを特徴とする非 メチル化 C p G配列を有する細菌 D N Aを特異的に認識する受容体夕ン
パク質のァゴニスト又はアンタゴニス卜のスクリ一二ング方法 (請求項
2 3 ) や、 非メチル化 C p G配列を有する細菌 D N Aを特異的に認識す る受容体タンパク質をコードする遺伝子機能が染色体上で欠損した非ヒ ト動物に被検物質を投与し、 該非ヒト動物から得られるマクロファージ 又は脾臓細胞の T L R 9活性を測定 ·評価することを特徴とする非メチ ル化 C p G配列を有する細菌 D N Aを特異的に認識する受容体タンパク 質のァゴニスト又はアン夕ゴニストのスクリ一ニング方法(請求項 2 4 ) や、 非メチル化 C p G配列を有する細菌 D N Aを特異的に認識する受容 体夕ンパク質をコードする遺伝子が過剰発現した非ヒト動物に被検物質 を投与し、 該非ヒト動物から得られるマクロファージ又は脾臓細胞の T L R 9活性を測定 ·評価することを特徴とする非メチル化 C p G配列を 有する細菌 D N Aを特異的に認識する受容体夕ンパク質のァゴニスト又 はアンタゴニストのスクリーニング方法 (請求項 2 5 ) や、 非ヒト動物 が、 マウスであることを特徴とする請求項 2 4又は 2 5記載の非メチル 化 C p G配列を有する細菌 D N Aに対して反応性を有するタンパク質の ァゴニスト又はアンタゴニストのスクリーニング方法 (請求項 2 6 ) に 関する。
また本発明は、 請求項 2 3〜 2 6のいずれか記載の非メチル化 C p G 配列を有する細菌 D N Aを特異的に認識する受容体タンパク質のァゴニ スト又はアンタゴニス卜のスクリーニング方法により得られる非メチル 化 C p G配列を有する細菌 D N Aを特異的に認識する受容体タンパク質 のァゴニスト又はアンタゴニスト (請求項 2 7 ) や、 非メチル化 C p G 配列を有する細菌 D N Aを特異的に認識する受容体夕ンパク質の全部又 はその一部を有効成分として含有する医薬組成物 (請求項 2 8 ) や、 請 求項 2 7記載のァゴニスト又はアンタゴニストを有効成分として含有す る医薬組成物 (請求項 2 9 ) や、 検体中の非メチル化 C p G配列を有す
る細菌 DN Aを特異的に認識する受容体夕ンパク質をコードする DNA と、 請求項 3記載の DN Aとの塩基配列を比較することができる、 請求 項 3記載の DN Aを含むことを特徴とする非メチル化 C p G配列を有す る細菌 D N Aを特異的に認識する受容体タンパク質をコ一ドする D N A 配列の欠失、 置換及び/又は付加に関連する疾病の診断キッ ト (請求項 3 0 ) に関する。 図面の簡単な説明
第 1図は、 本発明の T L R 9ノックァゥトマウスと野生型マウスの遺 伝子地図を示す図である。
第 2図は、 本発明の T L R 9ノックァゥトマウスのサザンブロッ ト分 析の結果を示す図である。
第 3図は、 本発明の T L R 9ノックァゥトマウスの脾臓細胞における ノーザンブロッ ト分析の結果を示す図である。
第 4図は、 本発明の TL R 9ノックアウトマウスと野生型マウスのァ ミノ酸配列の比較結果を示す図である。
第 5図は、 本発明の TL R 9ノックァゥトマウス及び野生型マウスに おける C p G ODN、 P GN又は L P S誘導による TNF «、 I L一 6又は I L 1 2の産生量の結果を示す図である。
第 6図は、 本発明の TL R 9ノックアウトマウス及び野生型マウスに おける C p G ODN又は L P S誘導による細胞増殖応答の結果を示す 図である。
第 7図は、 本発明の T L R 9ノックァゥトマウス及び野生型マウスに おける C p G ODN又は L P S誘導による I L— 1 2の産生量の結果 を示す図である。
第 8図は、 本発明の TL R 9ノックァゥトマウス及び野生型マウスに
おける C p G ODN又は L P S誘導による CD 4 0、 C D 8 0、 CD 8 6及び MH Cクラス IIの発現量の結果を示す図である。
第 9図は、 本発明の TL R 9ノックァゥトマウス及び野生型マウスに おける C p G OD N又は L P S誘導による N F - κ Βの活性化の結果 を示す図である。
第 1 0図は、 本発明の T L R 9ノックァゥトマウス及び野生型マウス における C p G ODN又は L P S誘導による J NKの活性化の結果を 示す図である。
第 1 1図は、 本発明の T L R 9ノックアウトマウス及び野生型マウス における C p G ODN又は L P S誘導による I R AKの活性化の結果 を示す図である。 発明を実施するための最良の形態
本発明における非メチル化 C p G配列を有する細菌 DNAとしては、 T細胞、 B細胞、 抗原提示細胞等の免疫細胞を活性化し、 免疫応答を誘 導することができる、 メチル化されていない C p Gモチーフを有するォ リゴデォキシヌクレオチド (ODN) 等のバクテリアに由来する DNA であればどのようなものでもよく、 ェセリシァ · コリ、 クレブシエラ ニュ一モニエ、 シュ一ドモナス ' ァエルギノサ、 サルモネラ ' チフィム リウム、 セラチア · マルセッセンス、 フレクスナー赤痢菌、 ビブリオ - コレレエ、 サルモネラ · ミネソタ、 ボルフイロモナス · ジンジバリス、 スタフィロコッカス · ァゥレウス、 コリネバクテリゥム · ジフテリア、 ノカルジァ · コエリア力、 ストレプトコッカス · ニューモニァなどのバ クテリア由来の DN Aを具体的に挙げることができる。
かかる非メチル化 C p G配列を有する細菌 D N Aを特異的に認識する 受容体夕ンパク質としては、 非メチル化 C p G配列を有する細菌 DN A
を特異的に認識することができるタンパク質であれば特に制限されるも のではなく、 例えば、 配列表の配列番号 2で示されるヒト由来の T L R 9や、 配列番号 2で示されるアミノ酸配列において、 1若しくは数個の アミノ酸が欠失、 置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、 かつ 上記非メチル化 C p G配列を有する細菌 DN Aを特異的に認識すること ができるタンパク質や、 これらの組換えタンパク質を具体的に挙げるこ とができる。 かかる非メチル化 C p G配列を有する細菌 DN Aを特異的 に認識する受容体夕ンパク質は、 その DN A配列情報等に基づき公知の 方法で調製することができる。
また、 本発明の非メチル化 C p G配列を有する細菌 D N Aを特異的に 認識する受容体タンパク質をコードする DN Aとしては、 配列表の配列 番号 2で示されるヒ卜由来の TL R 9をコードする DNA、 例えば配列 番号 1で示されるものや、配列番号 2で示されるアミノ酸配列において、 1若しくは数個のアミノ酸が欠失、 置換若しくは付加されたアミノ酸配 列からなり、 かつ上記非メチル化 C p G配列を有する細菌 DN Aを特異 的に認識することができるタンパク質をコ一ドする DNAや、 これら D N Aとストリンジェントな条件下でハイプリダイズし、 かつ上記非メチ ル化 C p G配列を有する細菌 D N Aを特異的に認識することができる夕 ンパク質をコ一ドする DN Aも包含され、 これらはその D N A配列情報 等に基づき、 例えばマウス由来の T L R 9においてはマウス R AW 2 6 4. 7 c DNAライブラリーや 1 2 9ZS v Jマウス遺伝子ライブラリ 一などから公知の方法により調製することができる。
また、 配列番号 1に示される塩基配列又はその相補的配列並びにこれ らの配列の一部又は全部をプローブとして、 マウス由来の DNAライブ ラリーに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイゼーシヨンを 行ない、該プロ一ブにハィブリダイズする DNAを単離することにより、
受容体タンパク質 T L R 9と同効な目的とする免疫誘導非メチル化 C p G配列を有する細菌 DN Aを特異的に認識する受容体夕ンパク質をコー ドする DNAを得ることもできる。 かかる DN Aを取得するためのハイ ブリダィゼーシヨンの条件としては、 例えば、 42 °Cでのハイブリダィ ゼ一ション、 及び 1 X S S C、 0. 1 %の S D Sを含む緩衝液による 4 2 °Cでの洗浄処理を挙げることができ、 6 5 °Cでのハイブリダィゼ一シ ヨン、 及び 0. 1 X S S C, 0. 1 %の S D Sを含む緩衝液による 6 5 °C での洗浄処理をより好ましく挙げることができる。 なお、 ハイブリダィ ゼーシヨンのストリンジエンシーに影響を与える要素としては、 上記温 度条件以外に種々の要素があり、 当業者であれば、 種々の要素を適宜組 み合わせて、 上記例示したハイプリダイゼ一ションのストリンジェンシ —と同等のストリンジエンシーを実現することが可能である。
本発明の融合タンパク質とは、 マウス、 ヒト等の非メチル化 C p G配 列を有する細菌 DN Aを特異的に認識する受容体夕ンパク質に、 マーカ —タンパク質及び/又はペプチドタグを結合させたものをいい、 マ一力 一タンパク質としては、 従来知られているマーカ一タンパク質であれば どのようなものでもよく、 例えば、 アル力リフォスファタ一ゼ、 抗体の F c領域、 HR P、 GF Pなどを具体的に挙げることができ、 また本発 明におけるべプチドタグとしては、 My cタグ、 H i sタグ、 F LAG タグ、 G S Tタグなどの従来知られているペプチドタグを具体的に例示 することができる。 かかる融合タンパク質は、 常法により作製すること ができ、 N i — NT Aと H i sタグの親和性を利用した非メチル化 C p G配列を有する細菌 DNAを特異的に認識する受容体夕ンパク質の精製 や、 非メチル化 C p G配列を有する細菌 DN Aを特異的に認識する受容 体タンパク質の検出や、 非メチル化 C p G配列を有する細菌 DNAを特 異的に認識する受容体夕ンパク質に対する抗体の定量や、 その他当該分
野の研究用試薬としても有用である。
本発明の非メチル化 C G配列を有する細菌 D N Aを特異的に認識す る受容体タンパク質に特異的に結合する抗体としては、 モノクローナル 抗体、 ポリクローナル抗体、 キメラ抗体、 一本鎖抗体、 ヒト化抗体等の 免疫特異的な抗体を具体的に挙げることができ、 これらは上記非メチル 化 C p G配列を有する細菌 D N Aを特異的に認識する受容体タンパク質 を抗原として用いて常法により作製することができるが、'その中でもモ ノクローナル抗体がその特異性の点でより好ましい。 かかるモノクロ一 ナル抗体等の非メチル化 C p G配列を有する細菌 D N Aを特異的に認識 する受容体タンパク質に特異的に結合する抗体は、 例えば、 T L R 9の 変異又は欠失に起因する疾病の診断や T L R 9の制御分子機構を明らか にする上で有用である。
非メチル化 C p G配列を有する細菌 D N Aを特異的に認識する受容体 タンパク質に対する抗体は、 慣用のプロトコールを用いて、 動物 (好ま しくはヒ卜以外) に該非メチル化 C p G配列を有する細菌 D N Aを特異 的に認識する受容体夕ンパク質若しくはェピトープを含む断片、 又は該 夕ンパク質を膜表面に発現した細胞を投与することにより産生され、 例 えばモノクローナル抗体の調製には、 連続細胞系の培養物により産生さ れる抗体をもたらす、 ハイプリ ド一マ法 (Nature 256, 495-497, 1975)、 トリオ一マ法、 ヒト B細胞ハイプリ ドーマ法(Immunology Today 4, 72, 1983) 及び E B V—ハイブリ ドーマ法 (MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY, pp.77-96, Alan R.Liss, Inc., 1985) など任 意の方法を用いることができる。 以下に非メチル化 C p G配列を有する 細菌 D N Aを特異的に認識する受容体夕ンパク質として、 マウス由来の T L R 9を例に挙げてマウス由来の T L R 9に対して特異的に結合する モノクローナル抗体、 すなわち抗 m T L R 9モノクローナル抗体の作製
方法を説明する。
上記抗 mT L R 9モノク口一ナル抗体は、 抗 mT L R 9モノクロ一ナ ル抗体産生ハイプリ ドーマをインビポ又はインビトロで常法により培養 することにより生産することができる。例えば、 インビポ系においては、 齧歯動物、好ましくはマウス又はラッ トの腹腔内で培養することにより、 またインビトロ系においては、 動物細胞培養用培地で培養することによ り得ることができる。 インビトロ系でハイプリ ドーマを培養するための 培地としては、 ストレプトマイシンやべニシリン等の抗生物質を含む R P M I 1 6 4 0又は MEM等の細胞培養培地を例示することができる。 抗 mT L R 9モノクローナル抗体産生ハイプリ ドーマは、 例えば、 マ ウス等から得られた受容体タンパク質 T L R 9を用いて BAL BZcマ ウスを免役し、 免疫されたマウスの脾臓細胞とマウス N S— 1細胞 (A T C C T I B— 1 8) とを、 常法により細胞融合させ、 免疫蛍光染色 パターンによりスクリ一ニングすることにより、 抗 mT L R 9モノクロ ーナル抗体産生ハイプリ ドーマを作出することができる。 また、 かかる モノクローナル抗体の分離 · 精製方法としては、 夕ンパク質の精製に一 般的に用いられる方法であればどのような方法でもよく、 ァフィ二ティ 一クロマトグラフィ一等の液体クロマトグラフィ一を具体的に例示する ことができる。
また、 本発明の上記非メチル化 C p G配列を有する細菌 DN Aを特異 的に認識する受容体夕ンパク質に対する一本鎖抗体をつくるためには、 一本鎖抗体の調製法 (米国特許第 4,946,778号) を適用することができ る。 また、 ヒト化抗体を発現させるために、 トランスジエニックマウス 又は他の哺乳動物等を利用したり、 上記抗体を用いて、 その非メチル化 C p G配列を有する細菌 DNAを特異的に認識する受容体タンパク質を 発現するクローンを単離 · 同定したり、 ァフィ二ティーク口マトグラフ
ィ一でそのポリペプチドを精製することもできる。 非メチル化 C p G配 列を有する細菌 DN Aを特異的に認識する受容体夕ンパク質に対する抗 体は、 非メチル化 C p G配列を有する細菌 DN Aを特異的に認識する受 容体夕ンパク質の分子機構を明らかにする上で有用である。
また上記抗 mTL R 9モノクローナル抗体等の抗体に、 例えば、 F I T C (フルォレセインイソシァネート) 又はテトラメチルローダミンィ ソシァネート等の蛍光物質や、 125 I、 32 P、 35 S又は3 H等のラジオ アイソトープや、 アルカリホスファタ一ゼ、 ペルォキシダーゼ、 /3—ガ ラク トシダ一ゼ又はフィコエリ トリン等の酵素で標識したものや、 ダリ —ン蛍光タンパク質 (GF P) 等の蛍光発光タンパク質などを融合させ た融合夕ンパク質を用いることによって、 上記非メチル化 C p G配列を 有する細菌 DN Aを特異的に認識する受容体夕ンパク質の機能解析を行 うことができる。 また免疫学的測定方法としては、 R I A法、 E L I S A法、 蛍光抗体法、 プラーク法、 スポッ ト法、 血球凝集反応法、 ォクタ ロニー法等の方法を挙げることができる。
本発明はまた、 上記非メチル化 C p G配列を有する細菌 DN Aを特異 的に認識する受容体夕ンパク質を発現することができる発現系を含んで なる宿主細胞に関する。 かかる非メチル化 C p G配列を有する細菌 D N Aを特異的に認識する受容体タンパク質をコードする遺伝子の宿主細胞 への導入は、 Davis ら(BASIC METHODS IN MOLECULAR BIOLOGY, 1986) 及び Sambrookら (MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL, 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989) などの多くの標準的な実験室マニュアルに 記載される方法、 例えば、 リン酸カルシウムトランスフエクシヨン、 D E A E—デキストラン媒介トランスフエクシヨン、 トランスべクシヨン (transvection), マイクロインジェクション、 カチオン性脂質媒介トラン
スフエクシヨン、 エレクト口ポレーシヨン、 形質導入、 スクレープロー ティング (scrape loading)、 弾丸 入 (ballistic introduction), 感染等に より行うことができる。 そして、 宿主細胞としては、 大腸菌、 ストレブ トミセス、 枯草菌、 ストレプトコッカス、 スタフイロコッカス等の細菌 原核細胞や、 酵母、 ァスペルギルス等の真菌細胞や、 ドロソフイラ S 2、 スポドプテラ S f 9等の昆虫細胞や、 L細胞、 C H O細胞、 C O S細胞、 H e L a細胞、 C 1 2 7細胞、 B A L B Z c 3 T 3細胞 (ジヒドロ葉酸 レダクタ一ゼゃチミジンキナーゼなどを欠損した変異株を含む)、 B H K 2 1細胞、 H E K 2 9 3細胞、 B o w e sメラノーマ細胞、 卵母細胞等 の動植物細胞などを挙げることができる。
また、 発現系としては、 上記非メチル化 C p G配列を有する細菌 D N Aを特異的に認識する受容体夕ンパク質を宿主細胞内で発現させること ができる発現系であればどのようなものでもよく、 染色体、 ェピソ一ム 及びウィルスに由来する発現系、 例えば、 細菌プラスミ ド由来、 酵母プ ラスミ ド由来、 S V 4 0のようなパポバウィルス、 ワクシニアウィルス、 アデノウイルス、 鶏痘ウィルス、 仮性狂犬病ウィルス、 レトロウイルス 由来のベクター、 バクテリオファージ由来、 トランスポゾン由来及びこ れらの組合せに由来するベクター、 例えば、 コスミ ドゃファージミ ドの ようなプラスミ ドとバクテリオファージの遺伝的要素に由来するものを 挙げることができる。 これら発現系は、 発現を起こさせるだけでなく、 発現を調節する制御配列を含んでいてもよい。
上記発現系を含んでなる宿主細胞やかかる細胞の細胞膜、 またかかる 細胞を培養して得られる非メチル化 C p G配列を有する細菌 D N Aを特 異的に認識する受容体タンパク質は、 後述するように本発明のスクリー エング方法に用いることができる。例えば、 細胞膜を得る方法としては、 F. Pieti'i-Ro腿 1 (Eur. J. Biochem., 247, 1174-1179, 1997) らの方法な
5
どを用いることができ、 また、 かかる非メチル化 C p G配列を有する細 菌 D N Aを特異的に認識する受容体夕ンパク質を細胞培養物から回収し 精製するには、 硫酸アンモニゥムまたはエタノール沈殿、 酸抽出、 ァニ オンまたはカチオン交換クロマトグラフィ一、 ホスホセルロースクロマ トグラフィー、 疎水性相互作用クロマトグラフィー、 ァフィ二ティ一ク 口マトグラフィ一、 ハイ ドロキシァパタイ トクロマトグラフィーおよび レクチンクロマトグラフィーを含めた公知の方法、 好ましくは、 高速液 体クロマトグラフィーが用いられる。 特に、 ァフィ二ティークロマトグ ラフィ一に用いるカラムとしては、 例えば、 抗 T L R 9モノクローナル 抗体等の抗非メチル化 C p G配列を有する細菌 D N Aを特異的に認識す る受容体タンパク質抗体を結合させたカラムや、 上記 T L R 9等の非メ チル化 C p G配列を有する細菌 D N Aを特異的に認識する受容体タンパ ク質に通常のぺプチドタグを付加した場合は、 このべプチドタグに親和 性のある物質を結合したカラムを用いることにより、 これらの非メチル 化 C p G配列を有する細菌 D N Aを特異的に認識する受容体タンパク質 を得ることができる。
本発明において、 上記非メチル化 C p G配列を有する細菌 D N Aを特 異的に認識する受容体タンパク質をコードする遺伝子が過剰発現する非 ヒト動物とは、 野生型非ヒト動物に比べてかかる非メチル化 C p G配列 を有する細菌 D N Aを特異的に認識する受容体夕ンパク質を大量に産生 する非ヒト動物をいい、 また、 非メチル化 C p G配列を有する細菌 D N Aを特異的に認識する受容体夕ンパク質をコードする遺伝子機能が染色 体上で欠損した非ヒト動物とは、 染色体上の非メチル化 C p G配列を有 する細菌 D N Aを特異的に認識する受容体夕ンパク質をコ一ドする遺伝 子の一部若しくは全部が破壊 ·欠損 ·置換等の遺伝子変異により不活性 化され、 非メチル化 C p G配列を有する細菌 D N Aを特異的に認識する
6
受容体夕ンパク質を発現する機能を失なつた非ヒト動物をいう。そして、 本発明における非ヒト動物としては、 ゥサギや、 マウス、 ラット等の齧 歯目動物などの非ヒト動物を具体的に挙げることができるが、 これらに 限定されるものではない。
また、 本発明において非メチル化 C p G配列を有する細菌 D N Aに対 して不反応性とは、 細菌 D N Aによる刺激に対する生体又は生体を構成 する細胞、 組織若しくは器官の反応性が低下しているか、 あるいはほぼ 失われていることを意味する。 したがって、 本発明において非メチル化 C p G配列を有する細菌 D N Aに対して不反応性の非ヒト動物とは、 細 菌 D N Aによる刺激に対して、 生体又は生体を構成する細胞、 組織若し くは器官の反応性が低下しているか、あるいはほぼ失われているマウス、 ラッ ト、 ゥサギ等のヒト以外の動物をいう。 また、 細菌 D N Aによる剌 激としては、 細菌 D N Aを生体に投与するインビポでの刺激や、 生体か ら分離された細胞に細菌 D N Aを接触させるィンビトロでの刺激等を挙 げることができ、 具体的には、 T L R 9ノックアウトマウス等の T L R 9遺伝子機能が染色体上で欠損した非ヒト動物を挙げることができる。 ところで、 メンデルの法則に従い出生してくるホモ接合体非ヒト動物 には、 非メチル化 C p G配列を有する細菌 D N Aを特異的に認識する受 容体夕ンパク質欠損型又は過剰発現型とその同腹の野生型とが含まれ、 これらホモ接合体非ヒト動物における欠損型又は過剰発現型とその同腹 の野生型を同時に用いることによって個体レベルで正確な比較実験をす ることができることから、 野生型の非ヒト動物、 すなわち非メチル化 C P G配列を有する細菌 D N Aを特異的に認識する受容体タンパク質をコ ―ドする遺伝子機能が染色体上で欠損又は過剰発現する非ヒト動物と同 種の動物、 さらには同腹の動物を、 例えば下記に記載する本発明のスク リーニングに際して併用することが好ましい。 かかる非メチル化 C p G
配列を有する細菌 DN Aを特異的に認識する受容体夕ンパク質をコード する遺伝子機能が染色体上で欠損又は過剰発現する非ヒト動物の作製方 法を、 非メチル化 C p G配列を有する細菌 DNAを特異的に認識する受 容体夕ンパク質のノックアウトマウスやトランスジエニックマウスを例 にとつて以下説明する。
例えば、 TL R 9等の非メチル化 C p G配列を有する細菌 DNAを特 異的に認識する受容体タンパク質をコードする遺伝子機能が染色体上で 欠損したマウス、 すなわち非メチル化 C p G配列を有する細菌 DN Aを 特異的に認識する受容体タンパク質ノックアウトマウスは、 マウス遺伝 子ライブラリーから P C R等の方法により得られた遺伝子断片を用いて. 上記非メチル化 C p G配列を有する細菌 DN Aを特異的に認識する受容 体タンパク質をコ一ドする遺伝子をスクリ一ニングし、 スクリーニング された非メチル化 C p G配列を有する細菌 DN Aを特異的に認識する受 容体夕ンパク質をコ一ドする遺伝子をウィルスベクタ一等を用いてサブ クローンし、 DN Aシ一ケンシングにより特定する。 このクローンの非 メチル化 C p G配列を有する細菌 DNAを特異的に認識する受容体タン パク質をコ一ドする遺伝子の全部又は一部を p MC 1ネオ遺伝子カセッ ト等に置換し、 3 ' 末端側にジフテリアトキシン Aフラグメント (DT 一 A) 遺伝子や単純へルぺスウィルスのチミジンキナーゼ (H S V— t k) 遺伝子等の遺伝子を導入することによって、 ターゲッ トベクタ一を 作製する。
この作製された夕一ゲティングベクターを線状化し、 エレクトロボレ ーシヨン (電気穿孔) 法等によって E S細胞に導入し、 相同的組換えを 行い、 その相同的組換え体の中から、 G 4 1 8やガンシクロビア (GA N C)等の抗生物質により相同的組換えを起こした E S細胞を選択する。 また、 この選択された E S細胞が目的とする組換え体かどうかをサザン
プロッ ト法等により確認することが好ましい。 その確認された E S細胞 のクローンをマウスの胚盤胞中にマイクロインジェクションし、 かかる 胚盤胞を仮親のマウスに戻し、 キメラマウスを作製する。 このキメラマ ウスを野生型のマウスとィンタークロスさせると、 ヘテロ接合体マウス を得ることができ、 また、 このへテロ接合体マウスをインタークロスさ せることによって、 本発明の非メチル化 C p G配列を有する細菌 D N A を特異的に認識する受容体タンパク質ノックァゥトマウスを作製するこ とができる。 また、 非メチル化 C p G配列を有する細菌 DNAを特異的 に認識する受容体夕ンパク質ノックァゥトマウスが生起しているかどう かを確認する方法としては、 例えば、 上記の方法により得られたマウス から R N Aを単離してノーザンプロット法等により調べたり、 またこの マウスの発現をウエスタンブロッ ト法等により調べる方法がある。
また、 作出された T L R 9ノックァゥトマウスが非メチル化 C p G配 列を有する細菌 DNAに対して不応答性であることは、 例えば、 C p G 〇DNを TL R 9ノックアウトマウスのマクロファージ、 単核細胞、 樹 状細胞などの免疫細胞にインビトロ又はインビポで接触せしめ、 かかる 細胞における TN F— α、 I L _ 6、 I L一 1 2、 I FN—ァ等の産生 量や、 脾臓 B細胞の増殖応答や、 脾臓 B細胞表面での CD 40、 CD 8 0、 CD 8 6、 MHCクラス II等の抗原の発現量や、 N F— κ B、 J N K、 I RAK等の Τ L R 9のシグナル伝達経路における分子の活性化を 測定することにより確認することができる。 そして、 本発明の TL R 9 ノックアウトマウスは、 非メチル化 C p G配列を有する細菌 D N A等の 作用機序の解明や細菌感染に対するワクチン開発に有用なモデルとする ことができる。
非メチル化 C p G配列を有する細菌 D N Aを特異的に認識する受容体 タンパク質のトランスジエニックマウスは、 TL R 9等の非メチル化 C
9
p G配列を有する細菌 DN Aを特異的に認識する受容体夕ンパク質をコ ードする c DN Aにチキン ]3—ァクチン、マウスニューロフィラメント、 S V 4 0等のプロモーター、 及びラビッ ト)3—グロビン、 S V 4 0等の ポリ A又はィントロンを融合させて導入遺伝子を構築し、 該導入遺伝子 をマウス受精卵の前核にマイクロインジェクションし、 得られた卵細胞 を培養した後、 仮親のマウスの輸卵管に移植し、 その後被移植動物を飼 育し、 産まれた仔マウスから前記 c DN Aを有する仔マウスを選択する ことによりかかるトランスジエニックマウスを創製することができる。 また、 c DNAを有する仔マウスの選択は、 マウスの尻尾等より粗 DN Aを抽出し、 導入した非メチル化 C p G配列を有する細菌 DNAを特異 的に認識する受容体夕ンパク質をコードする遺伝子をプローブとするド ッ トハイプリダイゼ一ション法や、 特異的プライマーを用いた P C R法 等により行うことができる。
また、 本発明の非メチル化 C p G配列を有する細菌 DN Aを特異的に 認識する受容体夕ンパク質をコ一ドする D N Aの全部あるいは一部を用 いると、 非メチル化 C p G配列を有する細菌 D N Aを特異的に認識する 受容体夕ンパク質の欠失又は異常に起因する疾病等の遺伝子治療に有効 な細胞を調製することができる。 本発明におけるこれら細胞の調製方法 としては、 非メチル化 C p G配列を有する細菌 DNAを特異的に認識す る受容体タンパク質をコードする遺伝子機能が染色体上で欠損した細胞 に、 上記本発明の DN Aの全部あるいは一部をトランスフエクシヨン等 により導入し、 非メチル化 C p G配列を有する細菌 DNAを特異的に認 識する受容体夕ンパク質を発現する細胞を得る方法を挙げることができ、 特に、 かかる非メチル化 C p G配列を有する細菌 DN Aを特異的に認識 する受容体タンパク質を発現する細胞としては、 上記 DNA等が染色体 にィンテグレイ トされ、 スティブルに TL R 9活性を示す細胞を用いる
ことが好ましい。
そしてまた、 上記非メチル化 C p G配列を有する細菌 DN Aを特異的 に認識する受容体タンパク質をコードする D NA、 非メチル化 C p G配 列を有する細菌 DN Aを特異的に認識する受容体夕ンパク質とマーカー 夕ンパク質及び Z又はべプチドタグとを結合させた融合非メチル化 C p G配列を有する細菌 DN Aを特異的に認識する受容体タンパク質に対す る抗体、 非メチル化 C p G配列を有する細菌 DN Aを特異的に認識する 受容体夕ンパク質を発現することができる発現系を含んでなる宿主細胞. 非メチル化 C p G配列を有する細菌 DN Aを特異的に認識する受容体夕 ンパク質をコードする遺伝子が過剰発現する非ヒト動物、 非メチル化 C p G配列を有する細菌 DN Aを特異的に認識する受容体夕ンパク質をコ ―ドする遺伝子機能が染色体上で欠損した非ヒト動物、 非メチル化 C p G配列を有する細菌 DN Aを特異的に認識する受容体夕ンパク質を発現 する細胞等を用いると、 本発明の非メチル化 C p G配列を有する細菌 D N Aを特異的に認識する受容体夕ンパク質のァゴニスト又はアン夕ゴニ ストや、 非メチル化 C p G配列を有する細菌 DN Aに対する反応性の抑 制物質又は促進物質をスクリーニングすることができる。 これらのスク リーニングにより得られたものは、 細菌感染症に対する抑制物質又は促 進物質や、 アレルギー性疾患若しくは癌に対する抑制剤、 予防剤又は治 療薬や、 遺伝子治療等において副作用を抑制剤又は阻害剤や、 TL R 9 活性の欠失又は異常に起因する疾病等の診断 ·治療に有用な物質である 可能性がある。
上記 TL R 9活性とは、 非メチル化 C p G配列を有する細菌 DNAと 特異的に反応し、 細胞内にシグナルを伝達する機能をいい、 シグナル伝 達機能としては、 TNF— ひ、 I L— 6、 I L一 1 2、 I FN— ァ等の サイ ト力インを産生する機能や、 亜硝酸イオンを産生する機能や、 細胞
を増殖する機能や、 細胞表面において C D 40、 CD 8 0、 CD 8 6、 MH Cクラス II等の抗原を発現する機能や、 NF— κ Β、 J NK、 I R AK等の T L R 9のシグナル伝達経路における分子を活性化させる機能 などを具体的に例示することができるが、 これらに限定されるものでは ない。
本発明の非メチル化 C p G配列を有する細菌 DN Aを特異的に認識す る受容体タンパク質のァゴニスト又はアンタゴニストのスクリーニング 方法としては、 被検物質の存在下、 マクロファージ、 脾臓細胞又は樹状 細胞などの免疫細胞、 非メチル化 C p G配列を有する細菌 DN Aを特異 的に認識する受容体タンパク質を発現している細胞、 非メチル化 C p G 配列を有する細菌 DN Aを特異的に認識する受容体タンパク質を発現す る細胞等の非メチル化 C p G配列を有する細菌 DN Aに対して反応性を 有するタンパク質を発現している細胞をインビトロで培養し、 TL R 9 活性を測定 ·評価する方法や、 野生型非ヒト動物、 非メチル化 C p G配 列を有する細菌 DN Aを特異的に認識する受容体タンパク質をコードす る遺伝子機能が染色体上で欠損した非ヒト動物、 又は、 非メチル化 C p G配列を有する細菌 D N Aを特異的に認識する受容体タンパク質をコー ドする遺伝子が過剰発現した非ヒト動物に被検物質を投与し、 該非ヒト 動物から得られるマクロファージ、 脾臓細胞、 又は樹状細胞などの免疫 細胞の TL R 9活性を測定 ·評価する方法等を具体的に挙げることがで さる。
また、 マクロファージ活性又は脾臓細胞活性の程度を測定 ·評価する に際し、 対照として野生型非ヒト動物、 特に同腹の野生型非ヒト動物の 測定値と比較 ·評価することが個体差によるバラツキをなくすることが できるので好ましい。 このことは、 以下に示す非メチル化 C p G配列を 有する細菌 DN Aに対する反応性の抑制物質又は促進物質のスクリー二
ングにおいても同様である。
また、 非メチル化 C p G配列を有する細菌 D N Aに対する反応性の抑 制物質又は促進物質のスクリ一ニング方法としては、 被検物質と非メチ ル化 C p G配列を有する細菌 D N Aとの存在下、 非メチル化 C p G配列 を有する細菌 D N Aに対して反応性を有するタンパク質、 又は該タンパ ク質を発現している細胞膜をインビトロでインキュベーションし、 該夕 ンパク質との反応性を測定 ·評価する方法や、 非メチル化 C p G配列を 有する細菌 D N Aに対して反応性を有するタンパク質をコードする遺伝 子機能が染色体上で欠損した非ヒト動物から得られるマクロファージ又 は脾臓細胞と被検物質とをあらかじめインビトロで接触せしめた後、 該 マクロファージ又は脾臓細胞を非メチル化 C p G配列を有する細菌 D N Aの存在下で培養し、 該マクロファージ若しくは脾臓細胞のマクロファ ージ活性又は脾臓細胞活性の程度を測定 ·評価する方法や、 非メチル化 C p G配列を有する細菌 D N Aに対して反応性を有するタンパク質をコ ―ドする遺伝子機能が染色体上で欠損した非ヒト動物から得られるマク 口ファ一ジ又は脾臓細胞と非メチル化 C p G配列を有する細菌 D N Aと をあらかじめィンビ,トロで接触せしめた後、 該マクロファージ又は脾臓 細胞を被検物質の存在下で培養し、 該マクロファージ若しくは脾臓細胞 のマクロファージ活性又は脾臓細胞活性の程度を測定'評価する方法や、 非メチル化 C p G配列を有する細菌 D N Aに対して反応性を有するタン パク質をコードする遺伝子機能が染色体上で欠損した非ヒト動物にあら かじめ被検物質を投与した後、 該非ヒト動物から得られるマクロファー ジ又は脾臓細胞を非メチル化 C p G配列を有する細菌 D N Aの存在下で 培養し、 該マクロファージ若しくは脾臓細胞のマクロファージ活性又は 脾臓細胞活性の程度を測定 ·評価する方法や、 非メチル化 C p G配列を 有する細菌 D N Aに対して反応性を有するタンパク質をコードする遺伝
子機能が染色体上で欠損した非ヒト動物にあらかじめ被検物質を投与し た後、 該非ヒト動物を細菌により感染させ、 該非ヒト動物から得られる マクロファージ若しくは脾臓細胞のマクロファージ活性又は脾臓細胞活 性の程度を測定 ·評価する方法や、 非メチル化 C p G配列を有する細菌 DN Aに対して反応性を有するタンパク質をコードする遺伝子機能が染 色体上で欠損した非ヒト動物をあらかじめ細菌により感染させた後、 該 非ヒト動物から得られるマクロファージ又は脾臓細胞を被検物質の存在 下で培養し、 該マクロファージ若しくは脾臓細胞のマクロファージ活性 又は脾臓細胞活性の程度を測定 ·評価する方法や、 非メチル化 C p G配 列を有する細菌 D N Aに対して反応性を有するタンパク質をコードする 遺伝子機能が染色体上で欠損した非ヒト動物をあらかじめ細菌により感 染させた後、 該非ヒト動物に被検物質を投与し、 該非ヒト動物から得ら れるマクロファージ若しくは脾臓細胞のマクロファージ活性又は脾臓細 胞活性の程度を測定 ·評価する方法や、 非メチル化 C p G配列を有する 細菌 DN Aに対して反応性を有するタンパク質をコードする遺伝子機能 が染色体上で欠損した非ヒト動物にあらかじめ被検物質を投与した後、 該非ヒト動物を細菌により感染させ、 該非ヒト動物におけるマクロファ ージ活性又は脾臓細胞活性の程度を測定 ·評価する方法や、 非メチル化 C p G配列を有する細菌 D N Aに対して反応性を有するタンパク質をコ ―ドする遺伝子機能が染色体上で欠損した非ヒト動物をあらかじめ細菌 により感染させた後、 該非ヒト動物に被検物質を投与し、 該非ヒト動物 におけるマクロファージ活性又は脾臓細胞活性の程度を測定 ·評価する 方法などを具体的に挙げることができる。 また、 これらのスクリーニン グ方法に用いる非メチル化 C p G配列を有する細菌 DNAとしては、 C p G OD N (T C C -AT G-AC G-TT C - C T G-ATG- C T : 配列番号 5 ) を用いることが好ましいが、 これに限定されるのもで
はない。
本発明はまた、 検体中の非メチル化 C p G配列を有する細菌 D N Aを 特異的に認識する受容体タンパク質をコ一ドする D N A配列を、 本発明 の非メチル化 C p G配列を有する細菌 D N Aを特異的に認識する受容体 タンパク質をコードする D N A配列と比較することからなる、 非メチル 化 C p G配列を有する細菌 D N Aを特異的に認識する受容体夕ンパク質 の活性又は発現と関連する疾病の診断に用いられる診断キットに関する, 非メチル化 C p G配列を有する細菌 D N Aを特異的に認識する受容体夕 ンパク質をコードする D N Aの変異型の検出は、 遺伝子に変異がある個 体を D N Aレベルで見い出すことにより行うことができ、 非メチル化 C p G配列を有する細菌 D N Aを特異的に認識する受容体夕ンパク質の過 少発現、 過剰発現又は変異発現により生ずる疾病の診断に有効である。 かかる検出に用いられる検体としては、 被験者の細胞、 例えば血液、 尿、 唾液、 組織等の生検から得ることができるゲノム D N Aや、 R N A又は c D N Aを具体的に挙げることができるがこれらに限定されるものでは なく、 かかる検体を使用する場合、 P C R等により増幅したものを用い ることもできる。 そして、 塩基配列の欠失や挿入変異は、 正常な遺伝子 型と比較したときの増幅産物のサイズの変化により検出でき、 また点突 然変異は増幅 D N Aを標識非メチル化 C p G配列を有する細菌 D N Aを 特異的に認識する受容体タンパク質をコードする遺伝子とハイブリダィ ズさせることで同定することができる。 このように、 非メチル化 C p G 配列を有する細菌 D N Aを特異的に認識する受容体夕ンパク質をコード する遺伝子の変異を検出することで、 非メチル化 C p G配列を有する細 菌 D N Aを特異的に認識する受容体夕ンパク質の活性又は発現と関連す る疾病の診断又は判定をすることができる。
本発明はまた、 非メチル化 C p G配列を有する細菌 D N Aを特異的に
認識する受容体タンパク質をコードする DN A又は RN Aのアンチセン ス鎖の全部又は一部からなる非メチル化 C p G配列を有する細菌 DN A を特異的に認識する受容体夕ンパク質の活性又は発現と関連する疾患の 診断用プローブ、 及び当該プローブ及び/又は本発明の非メチル化 C p G配列を有する細菌 DN Aを特異的に認識する受容体夕ンパク質に特異 的に結合する抗体を含有してなる非メチル化 C p G配列を有する細菌 D N Aを特異的に認識する受容体夕ンパク質の活性又は発現と関連する疾 患の診断キッ トに関する。 前記診断用プローブとしては、 非メチル化 C P G配列を有する細菌 DN Aを特異的に認識する受容体タンパク質をコ —ドする DNA (c DNA) 又は RNA (c RNA) のアンチセンス鎖 の全部又は一部であり、 プローブとして成立する程度の長さ (少なくと も 2 0ベース以上)を有するものであれば特に制限されるものではない。 かかるプローブ及び/又は本発明の非メチル化 C p G配列を有する細菌 DN Aを特異的に認識する受容体タンパク質に特異的に結合する坊体を 細菌感染症等のような症状の疾患の診断薬の有効成分とするためには、 プロ一ブが分解されないような適当なバッファー類や滅菌水に溶解する ことが好ましい。また、 これらの診断薬を用いた、免疫染色法(Dev. Biol. 170, 207-222, 1995、 J. Neurobiol.29, 1-17, 1996) や、 In situ ノ Wブ リダィゼーション法 (j Neurobiol. 29, 1-17, 1996) や、 in situ PGR 法等の方法により細菌感染症等のような症状の疾患を診断することもで さる。
本発明の医薬組成物としては、 TL R 9等の非メチル化 C p G配列を 有する細菌 DN Aを特異的に認識する受容体タンパク質の全部又はその 一部や、 上記受容体タンパク質のァゴニストやアンタゴニストを含むも のであれば、 どのようなものでもよい。 具体的には、 細菌感染症に対す るワクチンや、 癌に対するワクチンや、 気管支喘息をはじめとするァレ
ルギー疾患の治療薬や、 アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いた治療 や遺伝子治療において障害となる C p Gモチーフの存在による副作用の 克服剤 ·抑制剤 · 阻害剤などを挙げることができる。
前記のように、 本発明の非メチル化 C p G配列を有する細菌 D N Aを 特異的に認識する受容体タンパク質をコードする DNA配列の欠失、 置 換及び/又は付加に関連する疾病の診断キッ トとしては、 TL R 9をコ ードする DNAを含むものであればどのようなものでもよく、 かかる T L R 9をコードする D N Aと検体中の非メチル化 C p G配列を有する細 菌 DNAを特異的に認識する受容体タンパク質をコードする DNAとの 塩基配列を比較することにより、 非メチル化 C p G配列を有する細菌 D N Aを特異的に認識する受容体タンパク質をコ一ドする D N A配列の欠 失、 置換及び/又は付加に関連する疾病、 例えば、 癌、 アレルギ一、 伝 染病等の診断が可能となる。
以下に、 実施例を挙げてこの発明を更に具体的に説明するが、 この発 明の技術的範囲はこれら実施例により限定されるものではない。
実施例 1 (TL R 9のクロ一ニング)
ヒト T L R 4の D N A配列情報を用いて、 GenBank をサーチした結 果、 相同性がきわめて高いマウス E S T (登録番号 A A 2 7 3 7 3 1 ; マウス) を見い出した。 このマウス E S Tの P C R増幅産物をプローブ として、 マウス RAW2 64. 7 c D N Aライブラリ一をスクリ一ニン グし、完全な TL R 9オープンリ一ディングフレームを含む配列番号 3 に示される完全長の c DNAクローンを単離した。このマウス TL R 9 の DN A配列情報を用いて GenBank をサーチし、 高い相同性を有する ヒトゲノム配列を見い出した。 このヒトゲノム配列に基づいて、 c DN A端部を増幅し、 U 9 3 7細胞 (J. Immunol.163, 5039-5048, 1999) か ら、 配列番号 1に示される塩基配列を有する完全長のヒト TL R 9の c
DNAを単離した。
実施例 2 (TL R 9ノックアウトマウスの作製)
1 2 9ZS V Jマウス遺伝子ライブラリ一 (ストラタジーン社製) か ら T L R 9ゲノム D N Aを単離し、 pBluescriptll SK(+)ベクタ一 (スト ラタジーン社製) 中でサブクローンし、 制限酵素マッピング及び DN A 配列決定により特定した。 夕一ゲッティングベクターは、 L RR (ロイ シンリッチリピ一ト) 領域の一部分をコードする 1. O k bのフラグメ ントを、 ネオマイシン耐性遺伝子カセッ ト (pMCl-neo; ストラ夕ジ一 ン社製) に置換し、 負の選択マ一カーとして単純へルぺスウィルスチミ ジンキナーゼ (H S V— TK) を挿入することにより構築した (図 1 )。 この夕ーゲッティングベクターを線状化し、 胎生 1 4. 1 日目の胚幹細 胞 (E S細胞) にエレクトポレーシヨンし、 G 4 1 8及びガンシクロビ ァに抵抗性を示す 2 9 2個のクローンを選択し、 P C R法及びサザンブ ロッ ト法により 1 4個のクロ一ンをスクリーニングした。
突然変異 TL R 9対立遺伝子を含有していた 3個の標的 E Sクローン を、 C 5 7 B L/ 6マウスの胚盤胞中にマイクロインジェクションしキ メラマウスを作製した。 この雄のキメラマウスを C 5 7 B LZ6雌マウ スと交配させ、 ヘテロ接合体 F 1マウスを作製し、 かかるヘテロ接合体 F 1マウスをインタ一クロスすることによってホモ接合体マウス (TL R 9ノックアウトマウス : TL R 9— ) を得た (図 2)。 なお、 ホモ接 合体マウスの確認は、 マウスの尾から抽出した各ゲノム DN Aを S c a Iでダイジェストし、 図 1に示すプローブを用いたサザンブロッ ト法に より行った。 本発明の TL R 9ノックアウトマウス (TL R 9— /— ) は メンデルの法則に従い作製することができ、 1 2週目までは顕著な異常 を示さなかった。
突然変異により TL R 9遺伝子の不活性化が生起していることを確認
するため、 野生型マウス ( + Z + )及び T L R 9ノックアウトマウス (一 /-) の脾臓細胞から抽出した全 RNA ( 1 0 g) を電気泳動にかけ ナイロン膜に移して、 [32 P] で標識した TL R 9の C—末端フラグメ ント若しくは N—末端フラグメント、 又は 0—ァクチン (/3— a c t i n) に特異的な c DNAを用いてノーザンブロッ ト分析を行った (図 3 ), これらの結果から、 T L R 9 mR N Aの N—末端フラグメントは T L R 9ノックアウトマウスの脾臓細胞からは検出されなかった。 また、 C _ 末端フラグメントをプロ一ブとした場合、 変異マウス由来の T 1 r 9の 転写は野生型マウス由来のものとほぼ同じサイズのものが検出されたが. 生産量においては少ないことがわかった。 そこで、 変異マウスから得ら れた脾臓細胞の mR N Aを用いて R T— P C R法を行い、 得られた生成 物の配列分析を行った。 この結果、 転写された T 1 r 9遺伝子には n e o遺伝子が含まれており、この n e oの挿入によって、 TL R 9の N—末 端部位にストップコ ドンが出現し、変異マウスにおいて機能的な T L R 9タンパク質が発現しないことがわかった (図 4)。 なお、 TL R 9ノッ クアウトマウスのリンパ細胞をフローサイ トメトリーで測定した結果、 異常成分は見られなかった。
実施例 3 (腹腔マクロファージの調製)
野生型マウス (w i 1 d - t y p e ) 及び T L R 9ノックアウトマウ ス (TL R 9—ノ—) のそれぞれの腹腔内に 4 %のチォグリコール酸培地 (D I F CO社製) を 2m lずつ注入し、 3日後に各マウスの腹腔内か ら腹膜滲出細胞を単離し、 これらの細胞を 1 0 %のゥシ胎仔血清 (G I B C O社製) を添加した R P M I 1 6 40培地 (G I B C〇社製) 中で 3 7 °Cにて 2時間培養し、 氷温のハンクス緩衝液 (Hank's buffered salt solution: H B S S ; G I B C O社製) で洗浄することにより非付着細 胞を取り除き、 付着細胞を腹膜マクロファージとして以下の実験に使用
した。
実施例 4 TL R 9ノックァゥトマウスの非メチル化 C p G配列を有す る細菌 D N Aに対する応答性)
最近、 C p G ODN (oligodeoxynucleotide) の応答性は、 TL R を介するシグナル伝達経路の中のアダプタータンパク質である My D 8 8に依存していることが明らかになった。この M y D 8 8ノックアウト マウスは C p G 〇D Nに対して応答しないが、 TL R 2ノックアウト マウスや TL R 4ノックァゥトマウスは正常に C p G ODNに対して 応答する。これらのことは、 C p G ODNが TL R 2及び T L R 4以外 の TL Rによって認識されることを示している。そこで、 TL R 9ノック アウトマウスの C p G ODNに対する応答性を調べてみた。まず、腹腔 マクロファージにおける炎症性サイ トカインの産生量を以下のように測 定した。
実施例 3により調製した各腹膜マクロファージを I N F T ( 3 0 u n i t /m 1 ) の存在下又は非存在下において、 図 5に示された各種濃度 の C p G ODN ( 0. 1又は 1. 0 M ; TIB MOLBIOL社製; T C C— ATG - AC G— TTC— CTG— ATG - CT)、 P GN ( 1 0 n g/m 1 ; Sigma and Fluka ¾ ; スタフイロコッカス · ァゥレウス由 来)、 L P S ( 1. 0 a g/m 1 ; Sigma 社製; サルモネラ · ミネソタ R e _ 5 9 5由来) といつしょに 24時間培養した。 培養後、 培養上清 中の TNF o!、 1 1^ _ 6及び 1 _ 1 2 p 4 0の各濃度を E L I S A 法により測定した。 この結果を図 5に示す。 これらの結果から、 野生型 マウス (W i I d— t y p e ) のマクロファージは C p G ODNに応 答して TNF o!、 I L— 6及び I L一 1 2を産生し、 さらに I F N T及 び C p G ODNで刺激すると、 TNF o!、 I L _ 6及び I L一 1 2の 産生量が増加することがわかった。 しかし、 TL R 9ノックアウトマウ
ス (TL R 9 -Z— ) 由来のマクロファ一ジは、 I FNァの存在下でさえ、 C p G ODNに対する応答において検出可能なレベルの炎症性サイ ト 力インを産生していなかった。 また、 野生型マウス及び T L R 9ノック アウトマウス由来のマクロファージは、 L P S又は P GNに対する応答 により TNF «、 I L _ 6及び I L— 1 2をほぼ同程度産生することが わかった (図 5 )。 なお、 それぞれの実験結果は n= 3の平均値を示す。 図中の N. D. は検出できなかったことを示す。 ' また、 C p G OD N又は L P Sに対する野生型マウス (W i I d— t y p e ) 及び T L R 9ノックアウトマウス (TL R 9— κ— ) の脾臓細 胞の応答性について調べてみた。 それぞれのマウスの脾臓細胞 ( 1 X 1 05) を単離し、 図 6に示す各種濃度の C p G ODN又は L P Sによ り 9 6ゥエルプレート内で培養して脾臓細胞を刺激した。 培養から 4 0 時間後に l ^ C i の [3H] —チミジン (デュポント社製) を添加して 更に 8時間培養し、 [3H] の摂取量を jSシンチレーシヨンカウン夕一 (パッカード社製) で測定した (図 6)。 この結果から、 野生型マウスの 脾臓細胞では、 C p G ODNや L P Sの投与量に依存して細胞増殖反 応を促進していたが、 T L R 9ノックアウトマウスの脾臓細胞では、 い かなる濃度の C p G 〇D N剌激においても C p G ODNによる細胞 増殖反応は見られなかった。 また、 C p G ODNに応答して、 野生型 マウス由来の B細胞表面の主要組織適合遺伝子複合体 (MHC) クラス IIの発現が増加した。 しかし、 T L R 9ノックアウトマウス由来の B細 胞では C p G ODNに誘導された MHCクラス II の発現の増加は見 られなかった。 以上のことから、 TL R 9ノックアウトマウスのマクロ ファージゃ B細胞は、 C p G ODNに対する応答性を特異的に欠如し ていることがわかった。
次に、 C p G ODNを含有するバクテリア由来 DN Aは樹状細胞を
潜在的に刺激し、 T h 1細胞の発達をサポートすることが知られている
(EMBO J.18, 6973-6982, 1999、 J. Immunol.161, 3042-3049, 1998、 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96, 9305-9310, 1999)。 そこで C p G OD N誘導サイ トカインの産生と、 骨髄由来の樹状細胞の表面分子のアツプ レギユレ一ションを分析した。 野生型マウス (W i l d— t y p e) 又 は T L R 9ノックアウトマウス (TL R 9— の骨髄細胞を、 1 0 η g / m 1 のマウス顆粒球マク ロ フ ァージー コ ロニー刺激因子 (Peprotech社製) を含む 1 0 %のゥシ胎仔血清を添加した R P M I 1 64 0培地で培養し (J. Exp. Med.176, 1693-1702, 1992)、 培養後 6日 目に未成熟の樹状細胞を回収し、 0. 1 Mの C p G ODN又は 0. 1 n g/m 1 の L P Sの存在下若しくは非存在下において、 1 0 %のゥ シ胎仔血清を添加した R PM I 1 64 0培地中で 2 日間培養した。 培養 後、 上清中の I L _ 1 2 p 4 0の濃度を E L I S A法で測定した (図 7)。 この結果から、 野生型マウス由来の樹状細胞は C p G ODNに応 答して I L— 1 2を産生したが、 TL R 9ノックアウトマウス由来の榭 状細胞においては、 C p G OD Nは I L— 1 2の産生を誘導しなかつ た。
上記 1 0 n g / 1 のマウス顆粒球マク口ファ一ジ―コロニー剌激因 子 (Peprotech社製) を含む 1 0 %のゥシ胎仔血清を添加した R P M I 1 6 4 0培地で培養し、 6日目に回収された樹状細胞を、 CD 4 0、 C D 8 0、 C D 8 6及び MHCクラス IIに対する、 それぞれのピオチン化 抗体により染色し、 フィコエリ トリン (p h y c o e r y t h r i n : P E ; ファーミンジェン社製) で標識したストレブトアビジンで発展さ せ、 これらの細胞をセルクェストソフトウェア (べク トンディツキンソ ン社製) により蛍光活性化セルソー夕一キヤリバ一 (FACS Calibur) で 分析した (図 8)。 この結果から、 C p G ODNで刺激すると、 野生型
マウス由来の樹状細胞表面においては、 CD 40、 CD 8 0、 CD 8 6 及び MH Cクラス IIの発現を促進していたが、 TL R 9ノックアウトマ ウス由来の榭状細胞表面では、 C p G 〇D Nに対する応答によりこれ らの分子の発現を促進しなかった (図 8)。 L P Sによる刺激では、 野生 型マウス由来の樹状細胞も T L R 9ノックァゥトマウス由来の樹状細胞 も同様の応答がみられた。 以上の結果から、 TL R 9は C p G OD N の細胞応答に不可欠な受容体であることがわかった。
実施例 5 (TL R 9ノックアウトマウス由来のマクロファージの C p G 〇DNに対する応答による NF— / c B、 J NK及び I RAKの活性化) TL Rのシグナルは、 アダプタ一分子である My D 8 8を介してセリ ン /トレオニンキナーゼである I R AKを活性化し、 次いで MAPキナ —ゼ及び N F— κ Bを活性化することが知られている (Inmmnity 11, 115-122, 1999)。 そこで C p G ODNが、 かかる細胞内シグナル伝達 分子を活性化するかどうかを調べてみた。 実施例 3により調製した野生 型マウス及び T L R 9ノックアウトマウスの腹腔マクロファージ ( I X 1 06 cells) を、 1. O Mの C p G ODN又は 1. O gZm l の サルモネラ · ミネソタ R e— 5 9 5の L P Sで図 9に示された時間刺激 し、 各マウスのマクロファ一ジから核蛋白質を抽出し、 NF— κ Βの D Ν Α結合部位を含む特異的プローブといつしょにインキュベートし、 電 気泳動を行い、 ォ一トラジオグラフィーにより視覚化した (図 9 )。
この結果から、 C p G ODNで刺激すると、 野生型マウス由来のマ ク口ファージでは N F― κ Bの D N A結合活性が増加するのに対し、 T L R 9ノックアウトマウス由来のマクロファージでは N F— κ Βの DN A結合活性は増加しなかった。 TL R 9ノックァゥトマウス由来のマク 口ファ一ジを L P Sで刺激したものは、 野生型マウス由来のマクロファ —ジを L P Sで刺激したものと同様の N F— κ Bの活性化が見られた。
以上の結果から、 C p G ODNの誘導による N F— κ Bの活性が T L R 9ノックアウトマウス由来のマクロファージにおいて特異的に欠損し ていることがわかる。 なお、 図中の矢印は N F— κ Bと特異的プロ一ブ との複合物の位置を示し、 矢頭は特異的プローブのみの位置を示してい る。
上記と同様に図 1 0又は図 1 1で示された時間、 C p G 〇DN又は L P Sで刺激した野生型マウス及び T L R 9ノックアウトマウスのマク 口ファージを、 溶解緩衝液 (最終濃度で 1. 0 %のトリ トン X— 1 0 0、 1 3 7 mMの N a C 1 、 O mMのトリス一 H C 1 、 5 mMの EDTA、 1 0 %のグリセ口一ル、 1 m Mの P M S F、 2 0 g / 1 のァプロチ ニン、 2 0 g Zm 1 のロイぺプチン、 1 mMの N a 3 V O 4及び 1 0 m Mの ]3—グリセロリン酸を含有する緩衝液; p H 8. 0 ) 中にて溶解し、 この細胞溶解物を抗 J NK抗体 (サン夕クルス社製) 又は抗 I RAK抗 体(林原生化学研究所株式会社製)で免疫沈降して、文献(Immunity 11, 115-122, 1999) 記載のように、 インビトロキナーゼアツセィを行い、 G S T— c 一 J u n溶解蛋白質 (G S T— C — J u n) を基質とした J N K活性及び I R AKの活性を測定した (図 1 0 , 1 1における上段; G S T- c - J u n, Au t o)。
また、 上記細胞溶解物を、 S D S—ポリアクリルアミ ドゲル電気泳動 により分離させ、ニトロセルロース膜に移し、 この膜を抗 J NK抗体(サ ンタクルス社製) 又は抗 I RAK抗体 (Transduction Laboratories 社 製) でブロッ トして、 ェンハンスド · ケミルミネッセンス装置 (デュポ ント社製) を使用して視覚化した (図 1 0 , 1 1における下段; WB)。 以上の結果から、 C p G O D Nは野生型マウス由来のマクロファージ の J NK及び I R AKを活性化するが、 T L R 9ノックアウトマウス由 来のマクロファージでは全く活性化しないことがわかった (図 1 0, 1
1 )。 したがって、 C p G OD Nを介する情報伝達は T L R 9に依存し ていることがわかった。 · 産業上の利用可能性
メチル化されていない C p Gモチーフを含有するバクテリア由来 DN Aは免疫細胞を非常に活性化し、 Th 1の応答を誘導するが、 そのパク テリア由来 DNAを認識する受容体は知られていなかった。 本発明によ り、 細菌 D N Aの非メチル化 C p G配列を含むオリゴヌクレオチドの受 容体が明らかとなったことから、 非メチル化 C p G配列を有する細菌 D N Aを特異的に認識する T L Rフアミリーのメンバー受容体夕ンパク質 TL R 9や、 それをコードする遺伝子 DN A等は、 細菌性疾病等の診断 や、 治療に用いることができ、 また T L R 9ノックアウト動物を用いる と、 バクテリア由来 D N Aの分子レベルにおける作用機作を明らかにす ることが可能となる。