明 細 書 樹脂被覆金属板およびその製造方法 技術分野
本発明は、 樹脂被覆金属板及びその製造方法、 並びにこの樹脂被覆金属板を用 いたコンデンサ外装用容器に関する。 背景技術
従来、 アルミニウム板等の金属板の表面に、 熱可塑性樹脂製の被覆膜で被覆し た樹脂被覆金属板は、 耐蝕性、 電気絶縁性および意匠性などに優れており、 種々 の分野で使用されている。 例えば、 アルミニウム電解コンデンサーは、 アルミ二 ゥム板を絞り加工した円筒状の容器に電解液を含浸させたコンデンサー素子を収 納し、 容器の開口部をゴムなどで封じ、 更に外周面に電気絶縁および内容表示を 目的と して、 塩化ビニル系樹脂またはォレフィ ン系樹脂などの熱収縮性チューブ によつて被覆されている。
近年、 電子部品の小型化が図られ、 アルミニウム電解コンデンサーも同様に小 型化の傾向にあり、 さらに表面実装用のリ一ド線をなく したチップ型電解コンデ ンサ一の開発が進められている。 このようなアルミニウム電解コンデンサーでは、 外装容器が小さ くなるため熱収縮性チューブによる被覆が極めて困難となり、 外 装容器に収納したコンデンサ一素子が外装容器の内面と接触し、 絶縁性が達成さ れないという欠点があった。
上記欠点を排除する目的で、 アルミ二ゥム板等の金属板の表面を絶縁樹脂によ つて被覆した樹脂被覆板とし、 この樹脂被覆板を絞り加工、 しごき加工などによ つて外装容器またはキヤップとし、 熱収縮性チューブによる被覆工程を省略し、 同時に絶縁性を達成する技術が提案されている (例えば、 特開平 1 — 1 7 5 2 2 2号公報、 実開平 3 - 7 9 9 7 4号公報などを参照) 。
アルミニゥム板の表面を絶縁樹脂によって被覆して樹脂被覆板とする技術とし ては、 アルミニウム板の表面にエポキシ系樹脂、 塩化ビニル系樹脂またはポリエ ステル系樹脂などを塗布する方法と、 アルミニゥム板の表面に樹脂フイルムを積 層する方法がある。
しかしながら、 これら従来から知られている手法によって被覆膜を形成した樹 脂被覆金属板は、 絞り加工、 しごき加工などの二次加工工程で、 アルミニウム板 と被覆膜の界面が剥離するという欠点があった。
そこで、 この発明は、 密着性 (接着性または接着強度) に優れ、 絞り加工やし ごき加工を行なっても、 アルミニゥム板と熱可塑性樹脂製被覆膜との界面に層間 剥離、 熱可塑性樹脂製被覆膜の破損、 クラックなどが発生せず、 経時的に層間剥 離も生じ難く、 さらに、 効率的に製造できる樹脂被覆金属板を提供することを目 的とする。 発明の開示
上記課題を解決するために、 この発明は金属板の表面に化成処理薄膜を形成し、 この化成処理薄膜の表面にシランカツプリ ング剤の薄膜を形成し、 その薄膜の表 面に熱可塑性樹脂製の被覆膜を形成することにより、 上記課題を解決したのであ る。
化成処理薄膜を設けるので、 金属板の耐食性を向上させ、 また、 金属板と熱可 塑性樹脂製被覆膜との密着性を向上させることができる。
さらに、 シランカップリ ング剤の薄膜を介在させるので、 シランカップリ ング 剤の有機官能基が熱可塑性樹脂と反応して強固に結合し、 金属板や化成処理薄膜 と熱可塑性樹脂製被覆膜の界面は、 シラン力ップリ ング剤を介して強固に結合さ れる。 このため、 金属板と熱可塑性樹脂製被覆膜との間の眉間剥離、 熱可塑性樹 脂製被覆膜の破損等を防止できる。
以下、 この発明を詳細に説明する。
この発明にかかる樹脂被覆金属板は、 金属板の表面に化成処理薄膜を形成し、 この化成処理薄膜の表面にシランカップリ ング剤の薄膜 (以下、 「シランカップ リ ング剤薄膜」 と称する。 ) を形成し、 その薄膜の表面に熱可塑性樹脂製の被覆 膜 (以下、 「熱可塑性樹脂製被覆膜」 と称する。 ) を形成したものである。
上記金属板とは、 鉄、 各種ステンレス、 銅、 銅合金、 アルミニウム、 アルミ二 ゥム合金、 錫合金、 鋼板、 ニッケル、 亜鉛等の各種金属からなる板をいう。 この 中でも、 アルミニウム板がより好ましい。
上記アルミニウム板を構成するアルミニウムとは、 純 A 1及び A 1合金を意味 する。 具体的には、 純 A 1、 J I S A 1 0 5 0、 A 1 1 0 0、 A 1 2 0
0等の J I S 1 0 0 0系合金、 J I S A 3 0 0 3、 A 3 0 04等の A l — Mn系の J I S 3 0 0 0系合金、 A l— M g系の J I S 5 0 0 0系合金な どがあげられるが、 アルミニウムはこれら例示したものに限定されるものではな い。
上記アルミニウム板の厚みは、 0. l mm〜 0. 5 mmがよく、 0. 2〜 0. 5 mmの範囲が好ま しい。
上記化成処理薄膜は、 金属板の耐食性及び密着性を向上させるものである。 ァ ルミニゥム薄板に化成処理薄膜としては、
(a) リ ン酸クロメート化成処理によって得られる リ ン酸クロノメート化成処理 薄膜、
(b) 有機熱可塑性樹脂製被覆膜とクロムとよ り構成される薄膜、
( c ) 化成処理によってジルコニウムを含む化成処理薄膜、
(d) 化成処理によってチタニウムを含む化成処理薄膜、 及び、
( e ) 陽極酸化処理によって得られる陽極酸化処理薄膜
等があげられる。
上記化成処理薄膜の厚みは、 特に限定されないが、 1〜 3 0 0 0 A ( 0. 1〜 3 0 0 nm) がよい。 化成処理薄膜の厚みが 5 0 A ( 5 n m) 未満だと、 樹脂被 覆金属板を絞り加工する際に、 被覆樹脂が剥離する等、 加工性が劣る場合があり、 3 0 0 0 A ( 3 0 0 n m) を超えると薄膜の形成が困難となる場合がある。
また、 化成処理薄膜が陽極酸化処理薄膜の場合は、 5 0 0~ 2 0 0 0 0 A ( 0 , 0 5 ~ 2 m) の範囲が好ま しく、 1 0 0 0〜 2 0 0 0 0 A ( 0. l〜 2 m) の範囲がよ り好ましい。 その他の薄膜の場合は、 5 0〜 3 0 0 0 A ( 5〜 3 0 0 nm) の範囲が好ま しい。 陽極酸化被膜の厚さが 0. 0 5 m未満であると密着 性を向上させることができない場合があり、 一方、 2 を超えると長時間の酸 化処理が必要で生産性が劣る場合がある。 この陽極酸化被膜の厚さは、 処理条件、 特に通電条件と通電時間を調節することによって、 上記範囲の厚さとすることが できる。
上記陽極酸化処理薄膜としては、 少なく とも リ ン酸を含む電解質で処理された アルマイ ト処理薄膜であればよく、 例えば、 電解液としてリ ン酸を用いる リ ン酸 アルマイ ト処理薄膜、 電解液としてリ ン酸及び硫酸を用いるアルマイ ト処理薄膜、 電解液としてリ ン酸及びシユウ酸を用いるアルマイ ト処理薄膜、 及び電解液と し
てリン酸及びクロム酸を用いるアルマイ ト処理薄膜等があげられる。 この中でも、 リ ン酸アルマイ ト処理によるのが好ま しい。
また、 上記以外に、 リ ン酸アルマイ ト形成後、 シランカップリ ング添加浴中に て電解処理した後にフィ ルムラミネートする方法、 リ ン酸アルマイ ト形成後、 ェ ポキシェマルジョ ン浴中にて電解処理した後にフィルムラミネートする方法、 リ ン酸アルマイ ト形成後、 シランカップリ ング剤とエポキシェマルジョン混合浴中 にて電解処理した後にフ ィルムラ ミネートする方法、 上記の各電解処理後、 シラ ンカヅプリ ング処理又はエポキシェマルジョ ンコートをした後にフィルムラ ミネ ートする方法も採用できる。
アルミニウム板の表面に陽極酸化被膜を形成すると、 アルミニウム板と熱可塑 性樹脂製の被覆樹脂フィ ルム界面との密着性 (接着性または接着強度) を向上さ せることができる。
ところで、 金属表面の処理としてほ、 化成処理薄膜を形成させる以外に、 単層 めっき、 複層めっきまたは合金めつきを施したり、 浸漬クロム酸処理、 リ ン酸ク ロム酸処理を施す方法があげられる。 また、 電解クロム酸処理を施すことによ り、 上記金属板の表面にクロム水和酸化物からなる単層皮膜や、 金属クロム層 (下 層) とクロム水和酸化物層 (上層) からなる二層皮膜を形成することができ、 単 層皮膜を形成する場合にはクロム量を 3〜 3 O m g Z m 2程度とするのが好ま し く、 二層皮膜を形成する場合には下層のクロム量を 2〜 2 0 0 m g / m 2、 上層 のクロム量を 5〜 3 O m g / m 2程度とするのが好ましい。
上記のシランカツプリ ング剤薄膜は、 シランカツプリ ング剤を上記金属板又は 化成処理薄膜上に塗布し、 乾燥することによ り形成される。 この薄膜は、 金属板 と熱可塑性樹脂製被覆膜との接着力を向上させるように機能する。
上記シランカツプリ ング剤とは、 その分子中に 2個以上の異なった反応基を有 する有機ケィ素化合物をいう。 2個の反応基のうちの一方は、 ガラス、 金属など の無機材料と化学結合する反応基であり、 他方は各種合成樹脂などの有機材料と 化学結合する反応基である。 無機材料である金属板又は化成処理薄膜と結合する 反応基は、 特に限定されないが、 例えばメ トキシ基、 エトキシ基、 シラノール基 等があげられる。 一方、 有機系材料と化学結合する反応基としては、 エポキシ基、 アミノ基、 ビニル基、 メタク リル基、 メルカブト基などをあげることができる。 代表的なシランカップリ ング剤と しては、 ァ一グリ シ ドキシプロビルト リエトキ
シシラン、 ァ一ァミノプロピルト リエトキシシラン、 3—メタク リ ロキシプロピ ルト リメ トキシシラン等をあげることができる。
アルミニウム板とシラン力ヅプリング剤は、 A 1— 0— S iの結合を形成して 強固に結合し、 また、 熱可塑性樹脂とシランカップリ ング剤とは、 シランカップ リ ング剤の有機官能基が熱可塑性樹脂と反応して強固に結合する。 このため、 ァ ルミニゥム板と熱可塑性樹脂製被覆膜の界面は、 シランカップリ ング剤を介して 強固に結合される。
. 使用できる上記シランカヅプリ ング剤の例としては、 ビニルト リメ トキシシラ ン、 クロ口プロビルト リメ トキシシラン、 3 —グリシ ドキシプロピルト リメ トキ シシラン、 3—メタク リ ロキシプロビルト リメ トキシシラン、 3 —ァミノプロピ ルト リエトキシシラン、 N— 2 —アミノエチル一 3 —ァミノプロピルト リメ トキ シシラン、 3 —メルカプトプロピルト リメ トキシシラン、 3— ( N —スチリルメ チルー 2—ァミノェチルァミノ) プロピルト リメ トキシシラン塩酸塩、 ウレイ ド ァミノプロピルヱ トキシシランなどがあげられる。
シランカップリ ング剤薄膜の層は、 金属板又は化成処理薄膜の上に、 シラン力 ヅプリ ング剤を 0 . 0 1 〜 1 0 0 O m g / m 2塗布して形成するのが好ま しく、 0 . 5〜 5 0 0 m g / m 2塗布して形成するのがよ り好ましい。 シランカ ヅプリ ング剤の塗布量が 0 . 0 1 m g / m 2未満であると、 界面の密着性 (接着性) が 十分とならない場合があ り、 1 0 0 0 m g / m 2を超えると接着強度が飽和に達 し、 接着強度の増加が塗布量に比例せず、 また、 シランカップリ ング剤が凝集し 易くなり、 均一に塗布するのが困難となる場合がある。
金属板又は陽極酸化被膜の上にシランカツプリ ング剤を塗布するには、 その表 面の濡れ性を高めるため、 シランカツプリ ング剤をアルコールや水などによって 希釈して均一に溶解または分散させ、 表面張力を下げて均一に塗布するのが好ま しい。 また、 表面張力を低下させる方法として、 有機溶剤や界面活性剤等の有機 化合物を添加する方法があげられる。
上記シランカツプリ ング剤を水溶液として金属板又は化成処理薄膜の表面に塗 布する場合、 そのシランカップリ ング剤水溶液の濃度は、 特に限定されないが、 水 1 0 0重量部に対して上記シランカヅプリ ング剤を 0 . 0 1〜 1 0重量部の割 合で含有させるのが好ま しい。 このシランカップリ ング剤が 0 . 0 1重量部よ り 少ないと上記した接着機能を十分に果たし得ない場合がある。 一方、 1 0重量部
を超えるとシランカツプリ ング剤が凝集し易くなり、 同様に接着機能を十分に果 たし得ない場合がある。
また、 金属板又は化成処理薄膜の表面に塗布した際の接触角が 5 5 ° 以下とな るように、 シランカップリ ング剤水溶液を調整するのが好ましい。 この接触角の 大きさは、 金属板ーシランカツプリ ング剤水溶液間の表面張力によって定ま り、 この表面張力は、 シランカツプリ ング剤水溶液に添加される有機溶剤や界面活性 剤の種類、 添加量によって容易に調整することができる。 上記有機溶剤と しては、 ェタノ一ル、 イソプロパノールなどをあげることができ、 上記界面活性剤として は、 ァニオン界面活性剤、 カチオン界面活性剤、 両性界面活性剤、 非イオン界面 活性剤などをあげることができる。 これら有機溶剤や界面活性剤は、 シランカツ プリ ング剤水溶液の安定性を阻害しない種類を適宜選択し、 適切な添加量で添加 される。
上記接触角が 5 5 ° より も大きいと、 金属板—シランカップリ ング剤水溶液間 の表面張力が大きくなって金属板の表面に均一な塗膜が形成されにく く、 上記し た接着機能を十分に果たし得ない場合が生じる。
上記シランカツプリ ング剤水溶液には、 上記有機溶剤や界面活性剤のほかに、 接触角が 5 5 ° 以下を維持する種類および量の増粘剤や防腐剤などを添加するこ どもできる。 なお、 上記接触角を測定する方法は、 金属板の表面に付着させたシ ランカツプリ ング剤水溶液の液滴の接触角を各種測定機器で測定する、 いわゆる 液滴法によるものとする。
上記シランカツプリ ング剤水溶液を金属板の表面に塗布する方法としては、 通 常用いられている方法、 例えば、 ディ ップ法、 スプレー法、 ロールコート法、 グ ラビアロール法、 リバースロール法、 エアーナイフ法、 キスロール法、 スプレー コート法、 バーコート法、 デイ ツビング法、 グラビア口一ル法、 リバースロール 法、 エア一ナイ フコート法等を採用することができる。
上記シランカップリ ング剤には、 粘度調整剤、 消泡剤、 顔料 , 染料などの着色 剤、 安定剤、 溶解性を調整するための溶剤など、 有機 · 無機系各種添加剤を添加 することもできる。
塗布した後は、 溶媒等を揮発、 飛散させて乾燥させるのが好ましい。 乾燥させ る際には、 5 0 °C / s以下の昇温速度で昇温するのが好ま しい。 5 0 °C / s を超 える昇温速度で昇温する と、 塗布されたシランカツプリ ング剤水溶液が変性しや
すく、 シランカツプリ ング剤水溶液によって形成された塗膜の接着機能が低下す る場合がある。 なお、 昇温は、 室温から 1 5 0 °Cまでの範囲を 5〜 5 0 °C/ sの 昇温速度とするのが特に好ましい。
上記シランカップリ ング剤水溶液の塗布、 乾燥によって形成される塗膜は、 そ の表面を X線光電子分光法 (以下、 「E S CA法」 という) により測定した際の S i元素量が 5〜 1 5原子%であるのが好ま しい。 この S i元素量が 5原子%よ り低いと、 シランカップリング剤水溶液の接着機能が十分に得られないので好ま しくない。 また、 上記 S i元素量が 1 5原子%を超えても、 シランカツプリ ング 剤水溶液の接着機能はそれ以上向上することがない。
なお、 E S CA法とは、 電子分光法による固体表面分析法であって、 金属、 セ ラミ ック、 無機化合物、 高分子材料などの固体試料の表面に高真空下で軟質 X線 を照射し、 この固体試料の表面から放出される光電子を静電型エネルギー分析器 により検知して、 この固体試料の表面における元素の種類、 酸化状態、 結合状態 などの分析を行う方法である。 この E S C A法の測定条件は、 通常の測定条件を 制限なく用いることができ、 例えば、 X線源と しては MgK 、 A 1 Kひなどを 採用するこ とができ、 出力を 1 5 k v x 3 3 mA、 真空度を 5 x 1 0— 8 T o r rなどと設定することができる。
上記シランカツプリ ング剤の層の上には、 熱可塑性樹脂製の被覆膜が形成され る。 この熱可塑性樹脂製被覆膜は、 樹脂被覆金属板の電気絶縁性、 耐薬品性など を向上させ、 識別用表示の印刷面とされる。
この熱可塑性樹脂製被覆膜としては、 熱可塑性樹脂からなるフィルムがあげら れる。 上記熱可塑性樹脂としては、 ポリエステル系樹脂又はポリアミ ド系樹脂が あげられる。 上記ポリエステル系樹脂としては、 ポリエチレンテレフタレート、 ポリブチレンテレフタレ一ト、 ポリ一 1 , 4—シクロへキサジメチレンテレフタ レート、 これらの共重合ポリエステルなどのポリエステル系樹脂、 上記各ポリエ ステル系樹脂と、 ポリ 'ェチレンゃポリ プロピレンなどのポリオレフィ ン系樹脂、 エチレン一酢酸ビニル共重合体、 エチレン一ビニルアルコール共重合体、 ェチレ ンとァク リル酸誘導体等との共重合体、 及びこれらのポリエステル系樹脂の混合 物などがあげられる。
上記ポリアミ ド系樹脂としては、 ポリアミ ド 6、 ポリアミ ド 1 1、 ポリアミ ド 1 2、 ポリアミ ド 6 6、 ポリアミ ド 6 1 0、 ポリアミ ド 6 1 2、 ポリアミ ド 46 -
これらの共重合ポリアミ ド、 混合ポリアミ ド、 メタキシリ レンジァミンとアジピ ン酸の重縮合反応で生成する構造単位を 9 0モル%以上を含有するポリメタキシ リ レンアジパミ ド等の芳香族ポリアミ ド、 非晶性ポリアミ ド、 ポリアミ ド系エラ ス トマー、 耐衝撃性ポリアミ ドこれらポリアミ ド系樹脂の混合物などがあげられ る。
これらの中でも、 耐熱性、 特にハンダリ フロ一工程における耐熱性の観点から、 融点が 1 8 0 °C以上のポリアミ ド系樹脂ゃポリエステル系樹脂は、 樹脂積層板か らコンデンサ一外装用容器を製造する際に好適に用いることができる。
上記熱可塑陸樹脂製被覆膜の成形方法は特に制限されるものではなく、 コ一ト ハンガーダイ、 T —ダイ、 I 一ダイ、 インフレ一シヨンダイなどを使用しての押 出成形法、 カレンダー成形法など、 従来から知られている方法によって製造する ことができる。 この熱可塑陸樹脂製被覆膜は未延伸でも、 二軸延伸されていても よい。
また、 熱可塑性樹脂製被覆膜は、 上記の製膜したものを用いて、 シランカップ リ ング剤薄膜上に積層してもよく、 また、 熱可塑性樹脂を、 Tダイ、 I ダイなど の口金を装備した押出機によ り薄膜状に押し出しながらシランカツプリ ング剤薄 膜上に積層してもよい。
熱可塑性樹脂には、 製膜する前に、 必要に応じて各種の樹脂添加剤を配合する ことができる。 樹脂添加剤と しては、 染料、 顔料などの着色剤、 滑剤、 ブロッキ ング防止剤、 熱安定剤、 帯電防止剤、 光安定剤、 防鲭剤、 紫外線吸収剤、 耐衝撃 改良剤、 酸化防止剤、 帯電防止剤等があげられる。 これら樹脂添加剤は、 熱可塑 性樹脂製被覆膜に悪影響を与えない範囲で配合することができる。 さらに、 密着 性を向上させる目的でコロナ処理、 火炎処理などの表面処理を施すことができる ( 熱可塑性樹脂製被覆膜の厚さは、 5〜 2 0 0 mがよく、 5 ~ 1 0 0 z mが好 ましく、 1 0 At m ~ 5 0 mの範囲がより好ま しい。 被覆膜の厚さ 5 z m未満で あると、 ピンホールが生じ易く、 アルミニウム板の耐蝕性、 電気絶縁性などを向 上させることができにく くなる場合があり、 また、 熱可塑性樹脂製被覆膜を金属 板に積層するのが著しく困難となる場合がある。 一方、 2 0 0 z mを超えると、 厚くなり過ぎて絞り加工やしごき加工の際にクラックなどが発生し易くなるばか りでなく、 経済的にも好ましくない。
上記シランカツプリ ング剤薄膜上に熱可塑性樹脂製被覆膜を形成、 すなわち積
層する方法としては、 連続法やパッチ法があげられる。
上記連続法とは、 まず、 上記金属板又は化成処理薄膜上に上記シランカツプリ ング剤を塗布する。 次いで、 2 5 0〜 3 5 0 °Cの温度に加熱してシランカツプリ ング剤を分散している液体成分を飛散させる。 そして、 直ちに、 熱可塑性樹脂を Tダイ、 Iダイなどの口金を装備した押出機により薄膜状に押し出しながら積層 したり、 既に製膜した熱可塑性樹脂製被覆膜を、 熱可塑性樹脂の融点以下に加熱 したニップロール等によって加圧積層する。 そして、 積層した後は、 直ちに空冷 又は水冷によつて冷却する方法である。
この場合、 積層する際の温度が 2 5 0 °Cより低いと、 アルミニウム板と熱可塑 性樹脂製の被覆膜との密着性が十分でない場合があり、 3 5 0 °Cより高いと被覆 膜の熱劣化が進み、 絞り加工やしごき加工の際に被覆膜が破損したり、 クラック などが発生し易くなる場合がある。
一方、 上記パッチ法とは、 シランカップリ ング剤薄膜を形成した金属板を融点 〜 3 5 0 ° (:、 好ましくは 2 0 0 ~ 3 5 0 °Cに加熱し、 次に、 熱可塑性樹脂を Tダ ィ、 Iダイなどの口金を装備した押出機によ り薄膜状に押し出しながら積層した り、 既に製膜した熱可塑性樹脂製被覆膜を、 熱可塑性樹脂の融点以下に加熱した ニヅプロ一ル等によって加圧積層する。 そして、 積層した後は、 直ちに空冷まは た水冷によって冷却する方法である。
この場合、 熱可塑性樹脂の融点より低い場合には、 熱可塑陸熱可塑性樹脂製被 覆膜が十分に密着せず、 樹脂被覆金属板を加工した際に、 この熱可塑性樹脂製被 覆膜が剥離する場合があり、 また、 樹脂被覆金属板の熱可塑性樹脂製被覆膜が硬 くなりすぎで成形性が悪くなる場合がある。 一方、 3 5 0 °Cより高くすると、 樹 脂被覆金属板の金属が柔らかくなりすぎてその強度が著しく低下し、 凹みなどが 生じ易くなる場合があり、 また、 熱可塑性樹脂製被覆膜が劣化する場合がある。 なお、 上記の融点とは、 示差走査熱量計 (D S C ) により 1 0 °C /分で昇温させ たときの結晶融解温度のピ一ク温度をいう。
この発明に係る樹脂被覆金属板は、 その樹脂被覆金属板を構成する熱可塑性樹 脂製被覆膜の外表面から測定したピツカ一ス硬度が 2 5〜 6 0の範囲にあるこ と が好ま しい。 アルミニゥム薄板の樹脂被覆面のビヅカース硬度が 2 5未満である と、 樹脂被覆金属板が柔らかくなりすぎて成形性が悪くなる場合があり、 一方、 ビッカース硬度が 6 0を超えると、 この場合も樹脂被覆金属板が硬くな りすぎる
場合がある。 なお、 上記 「ピツカ一ス硬度」 とは、 J I S Z 2 2 4 4 「ビヅ カース硬さ試験一試験方法」 に準拠して測定した硬度をいう。
次に、 この発明に係る樹脂被覆金属板の製造法を具体的に数例示す。
第 1例としては、 アルミニウム板の表面に厚さ 0 . 0 5 ~ 2〃mの陽極酸化被 膜を形成し、 この陽極酸化被膜の上にシラン力ヅプリ ング剤を 0 . 5〜 5 0 0 m g / m 2の割合で塗布し、 さらにこのシランカップリ ング剤の薄膜上に厚さが 5 - 2 0 0 mの熱可塑性樹脂製の被覆膜を、 2 5 0 ~ 3 5 0 °Cの温度範囲で溶融 被覆して樹脂被覆金属板を製造する方法があげられる。
また、 第 2例としては、 厚さ 0 . l m m ~ 0 . 5 m mのアルミニウム板の片面 に化成処理薄膜を形成し、 ついで、 この薄膜の上にシランカップリ ング剤を 0 . 0 1〜 1 0 0 0 m g / m 2塗布して薄膜を形成し、 さらに、 この化成処理薄膜及 びシランカツプリ ング剤の薄膜を積層したアルミニゥム板を 2 0 0〜 3 5 0 °Cの 温度範囲で加熱し、 上記シランカツプリ ング剤の薄膜の上方から厚さが 5 ~ 2 0 0 m zの熱可塑性樹脂フィルムを被覆 · 圧着し、 熱可塑性樹脂製の被覆膜面のビ ッカース硬度が 2 5〜 6 0の範囲である樹脂被覆金属板の製造する方法があげら れる。
さらに、 第 3例として、 水 1 0 0重量部に対してシランカップリ ング剤を 0 . 0 1〜 1 0重量部の割合で配合し、 金属板の表面に塗布した際の接触角が 5 5 ° 以下とされたシランカツプリ ング剤水溶液を金属板の表面に塗布し、 5 0 °C / s 以下の昇温速度で乾燥させて塗膜を形成し、 この塗膜を熱可塑性樹脂の融点から 3 5 0 °Cの温度範囲で加熱し、 この塗膜の表面に熱可塑性樹脂製被覆膜を積層し て樹脂被覆金属板を製造する方法があげられる。
この発明に係る樹脂被覆金属板をしごき加工法によって加工した場合、 熱可塑 性樹脂製被覆膜に亀裂が発生し難く、 かつ、 熱可塑性樹脂製被覆膜が金属板から 容易に剥離することがないので、 この樹皡被覆金属板は、 曲げ加工法、 絞り加工 法、 しごき加工法などの複数の二次加工を経て製造される容器の材料と して好適 に使用することができる。 また、 この樹脂被覆金属板は、 各種加工法による加工 後に加熱しても熱可塑性樹脂製被覆膜が金属板から容易に剥離することがないの で、 この樹脂被覆金属板を用いて製造した容器は加熱に耐え得る。
また、 上記樹脂被覆金属板は、 絞り加工などのプレル加工性に優れ、 アルミ二 ゥム電解コンデンサー外装用容器の製造として好適に使用できる。 また、 樹脂被
覆面のビッカース硬度が 2 5 ~ 6 0の範囲にされている場合は、 プレス加工時に 容器同士が接触し合っても、 製品容器同士が接触し合っても、 容器の天面部や側 面部に凹みなどが生じ難くなるとともに、 耐圧性が向上し、 しかも容器の天面部 に、 美麗な識別用の印刷表示を施すことができる。
さらに、 上記樹脂被覆金属板はは、 建造物の壁面材、 仕切板材、 意匠材、 各種 缶製造用の材料のほか、 特に、 コンデンサ一外装用容器の材料として好適に使用 することができる。 なお、 このコンデンサ一外装用容器を製造する際には、 ハン ダリ フロー工程を経る必要があるので、 耐熱性に優れた熱可塑性熱可塑性樹脂製 被覆膜が積層された樹脂被覆金属板を用いるのが好ましく、 また、 熱可塑性熱可 塑性樹脂製被覆膜が外側となるように加工するのが好ましい。 上記コンデンサ一 外装用容器としては、 電解コンデンサー用外装容器、 電解コンデンサーキャップ 等があげられる。 実施例
以下、 本発明を試験例に基づいて更に詳細に説明するが、 本発明はその趣旨を 超えない限り、 以下の記載例に限定されるものではない。 なお、 以下に記載の試 験例で得られた樹脂被覆金属板は、 次に記載の方法によって評価したものである < ( 1 ) 絞り加工性 : 試験例で得られた樹脂被覆金属板を、 ランス順送り絞り機に 送り、 熱可塑性樹脂の被覆膜を容器外側面とし、 l O mm 0 x 2 O mmの円筒容 器 (しごき率 2 0 %) を 1 0 0個製造し、 アルミニウム板表面と被覆膜の界面を 目視観察し、 界面に層間剥離が認められなかったものを良品と し、 良品率 (%) または 「〇」 と して表示した。
( 2 ) かしめ加工性 : 1 0 mm ø X 2 0 mmの円筒容器を 1 0 0個製造し、 1 0 0 r p mで回転させながら、 厚さが 3 mmの円板状のかしめごま (側面は R = l , 5 mmの半円状) を押し当てて、 直径が 7. 5 mm (直径変化率 = 2 5 %) にな るようにかしめ加工を行い、 アルミニゥム板表面と被覆膜の界面を目視観察し、 界面に層間剥離が認められなかったものを良品とし、 良品率 (%) または 「〇」 として表示した。
( 3 ) 経時変化 : 上記 ( 2 ) のかしめ加工性の評価試験を行った 1 0 0個の容器 を、 常温で 1 0 日間放置した後、 再度アルミニウム板表面と被覆膜の界面を目視 観察し、 界面に層間剥離が認められなかったものを良品と し、 良品率 (%) とし
て表示した。
[実験例 1 ]
(試験例 1 ~ 5 )
<樹脂被覆金属板の製造 >
厚さが 0 . 3 mmのアルミニウム板 (J I S A 1 0 5 0 H 2 2 ) の両面 に、 2 0 %リ ン酸溶液により陽極酸化処理を施し、 表 1 に示した厚さのリ ン酸ァ ルマイ ト処理被膜を形成した。 次いで、 この陽極酸化被膜に表一 1 に示したシラ ンカヅプリ ング剤を 5 O m g/m2の割合で塗布し、 この塗布面を 2 8 0 °Cに加 熱した。 加熱した塗布面に、 別途製造した厚さが 1 5〃mのポリアミ ド 6 (融点 2 2 3 °C ) のフィルムを重ね、 一対の加圧ロールによって加圧して積層し、 樹脂 被覆金属板を得た。 得ちれた樹脂被覆金属板につき、 上記項目の評価試験を行つ た。 評価試験結果を、 表 1 に示す。
(試験例 6〜 7 )
試験例 1 に記載の例において、 2 0 %リ ン酸溶液による陽極酸化処理に代えて リン酸クロメー ト処理 (クロム量 1 O m g/m2、 試験例 6 ) 、 またはシユウ酸 アルマイ ト処理 (試験例 7 ) をおこないそれぞれの被膜を形成した。 得られた樹 脂被覆金属板につき、 上記項目の評価試験を行った。 評価試験結果を、 表 1 に示 す。
[* 1] カップリング剤の略号は、 次の意味である。
*アミノシラン = 3—ァミノプロピルトリエトキシシラン
氺グリシドキシ =3—グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
*ジアミノシラン =N— 2—アミノエチル一 3—ァミノプロビルトリメトキシシラン
(結東)
表 1から、 次のことが明らかとなる。
( 1 ) 陽極酸化被膜としてリ ン酸アルマイ ト処理被膜であって、 厚さが 0. 0 5 ~ 2 / mの被膜を形成したものは、 絞り加工性、 かしめ加工性に優れ、 各工程で 界面に層間剥離が認められず、 経時変化.(劣化) も認められない (試験例 2、 試 験例 4、 試験例 5参照) 。
(2 ) これに対して、 リ ン酸アルマイ ト処理被膜を形成しても厚さが 0. l m 未満の被膜を形成したもの (試験例 1参照) は、 かしめ加工工程で界面に層間剥 離が認められ、 著しい経時変化が認められる。 しかしながら、 それなりの絞り加 ェは可能である。
( 3 ) また、 おなじ陽極酸化被膜であっても リ ン酸クロメート処理被膜を形成し たものは、 絞り加工は問題ないものの、 かしめ加工性に劣 り、 著しい経時変化
(劣化) が認められる (試験例 6参照) 。
(4) さらに、 おなじ陽極酸化被膜であってもシユウ酸アルマイ ト処理被膜を形 成したものは、 かしめ加工性、 経時変化ともに著しく劣る (試験例 7参照) 。
( 5 ) リ ン酸アルマイ ト処理被膜を形成しても、 これにシランカップリ ング剤を 塗布しなかったものは、 かしめ加工性に劣り、 著しい経時変化 (劣化) が認めら れる (試験例 3参照) 。
(試験例 8〜: L 2 )
厚さが 0. 3 mのアルミニウム板 (J I S A 1 0 5 0 H 2 2 ) の両面に、 2 0 %リ ン酸溶液により陽極酸化処理を施し、 厚さが 0. 6 zmのリ ン酸アルマ イ ト処理被膜を形成した。 この被膜の上に、 表 2に示した官能基を有するシラン カップリ ング剤を 2 0 m g/m2塗布し、 この塗布面を 2 8 0 °Cに加熱した。 加 熱した塗布面に、 別途製造した厚さが 1 5〃mのポリアミ ド 6 (融点 2 2 3 °C) のフィルムを重ね、 一対の加圧ロールによって加圧して積層し、 樹脂被覆金属板 を得た。 得られた樹脂被覆金属板につき、 上記項目の評価試験を行った。 評価試 験結果を、 表 2に示す。
表 2
[*2] それそれの活性基を有するカップリング剤は、 次の意味である。
*アミノ基 = 3—ァミノプロピルトリエトキシシラン
*ジァミニ基 =N— 2—アミノエチル一 3—ァミノプロピルトリメトキシシラン
*グリシドキシ基 =3—グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
*メタクリロキシ基 =3—メタクリロキシプロビルトリメトキシシラン
*ゥレイド基 =ウレイドアミノブ口ピルトリエトキシシラン
(結果)
表 2から、 次のことが明らかとなる。
( 1 ) シランカップリ ング剤を塗布したものは、 絞り加工性、 かしめ加工性に優 れ、 各工程で界面に層間剥離が認められず、 経時変化 (劣化) も認められない
(試験例 8〜 1 2参照) 。
(試験例 1 3〜 : 1 5 )
厚さが 0. 3 mmのアルミニウム板 (J I S A 1 0 5 0 H 2 2) の両面に、 2 0 %リ ン酸溶液により陽極酸化処理を施し、 厚さが 0. 5 mのリン酸アルマ ィ ト処理被膜を形成した。 この被膜の上に、 ゥレイ ド基をもつシランカップリ ン グ剤を 2 0 mg/m2塗布し、 この塗布面を 2 5 0 °Cに加熱した。 加熱した塗布 面に、 表 3に示した樹脂で別途製造した厚さが 1 5 mのフィルムを重ね、 一対 の加圧ロールによって加圧して積層し、 樹脂被覆金属板を得た。 この得られた樹 脂被覆金属板につき、 上記項目の評価試験を行った。 評価試験結果を、 表 3に示 す。
表 3
(結果)
表 3から、 次のことが明らかとなる。
( 1 ) アルミニウム板の被覆膜がポリエステル系樹脂、 ポリアミ ド系樹脂の場合 は、 絞り加工性、 かしめ加工性に優れ、 各工程で界面に層間剥離が認められず、 経時変化 (劣化) も認められない (試験例 1 3、 試験例 1 4参照) 。
( 2 ) これに対して、 被覆膜がポリプロピレンの場合には、 絞り加工の工程で界 面に層間剥離が認められ、 絞り加工性に劣る (試験例 1 5参照) 。
(試験例 1 6〜 : 1 9 )
陽極酸化処理法を下記の方法と した以外は、 試験例 1 3の方法に従って樹脂被 覆金属板を得た。 この得られた樹脂被覆金属板につき、 上記項目の評価試験を行 つた。 評価試験結果を、 表 5に示す。
(陽極酸化処理方法)
陽極酸処理条件は表 4に示す電解質番号 1 ~ 4の方法に従って行った。
なお、 電解質番号 4で使用される有機酸は、 ジカルボン酸 (マレイン酸、 マロ ン酸) 、 芳香族スルホン酸 (スルホサリチル酸、 スルホフ夕一ル酸) 、 カルボン 酸スルホネート (スルホマレイ ン酸) 、 スルホン酸ァミン. (スルファミ ン酸) 等 から選ばれる。
また、 その処理条件は、 リ ン酸濃度 : 0. l ~ 5 0 0 g/l、 硫酸 ' シユウ 酸 ' クロム酸 ' 上記有機酸のいずれかの濃度 : 0. l〜5 0 0 gZl、 電圧 : 1 〜 : L 0 0 vA C、 :! 〜 l O O vD Cの単独又は重畳、 時間 : :! 〜 6 0分、 薄膜 厚 : 5 0 A~ 5 0〃m、 リ ン酸ァニオン含有率 : :!〜 5 0 0 0 p pmの範囲内と した。
表 4
さらに、 その伴の条件として下記に示す条件を用いた。
• その他の条件番号 1 : リ ン酸アルマイ ト形成後、 シランカップリ ング添加浴中 にて交流電解若しくは直流電解 (基材がマイナス極) した後、 フ ィ ルムラ ミネ一 トする。
' その他の条件番号 2 : リ ン酸アルマイ ト形成後、 エポキシェマルジヨ ン浴中に て交流電解若しくは直流電解 (基材がマイナス極) した後、 フィルムラ ミネート する。
. その他の条件番号 3 : リ ン酸アルマイ ト形成後、 シランカヅプリ ング剤とェポ キシェマルジョ ン混合浴中にて交流電解若しくは直流電解 (基材がマイナス極) した後、 フィルムラ ミネートする。
. その他の条件番号 4 : 上記のその他の条件番号 1 ~ 3 までの電解処理後、 シラ ンカヅプリ ング処理又はエポキシェマルジョンコートをした後に、 フィルムラ ミ ネートする。
表 5
[実験例 2 ]
次に、 別の評価に基づく試験例を示す。 以下に示す試験例 2 0 ~ 3 3で用いた
評価方法を示す。
(a) ピツカ一ス硬度 : 調製した樹脂被覆金属板のアルミニウム薄板の樹脂被覆 面について、 J I S Z 2 2 4 4 「ビヅカース硬さ試験一試験方法」 に準拠してビ ッカース硬度を測定した。 なお、 硬度測定の際の荷重は、 0 . 9 8 0 7 Nとした (
( ) 加工性 : 調製した樹脂被覆金属板を用い、 ランス順送り絞り機によって 7 段の絞り加工を行ない、 樹脂被覆層を容器外側面として l O mm 0 x 2 O mm高 さの円筒容器 (しごき率 2 0 %) を作成し、 層間の剥離状態を目視観察した。 層 間剥離が全く認められなかったものを 「〇」 、 眉間剥離が認められたものを
「X」 と表示した。
( c ) 凹み性 : 上記 1 0 m ø X 2 0 mm高さの円筒容器に、 コンデンサ一用素子 を充填して封口用ゴムを入れてかしめ加工した試料容器を作成した。 この試料容 器 1 0 0個を 2 0 0 mm X 2 0 0 m m X 2 0 0 mmの紙製容器に入れて、 1 0 c m/秒の振動速度で縦の振動を 1時間加えた。 1時間後に試料容器を取り出し、 天面部の外観を観察した。 この時に、 試料容器の底部、 側壁部に凹みが認められ たものを 「X」 、 凹みが認められなかったものを 「〇」 と表示した。
(d) 総合評価 : 上記 (a) ~ ( c ) の総ての評価項目において合格品質のもの を 「〇」 、 一評価項目でも不合格のものを 「 X」 と判定した。
[試験例 2 0 ]
厚さが 0 . 3 mmのアルミニウム ( J I S A 1 1 0 0 ) 板の表面を、 5 0 °Cとした 1 0 %水酸化ナト リ ウム水溶液で 3 0秒間エッチングした後、 1 0 % 硝酸水溶液で中和処理を行ない、 1 0秒間水洗した。 ついで、 このアルミニウム 板の片面に、 リ ン酸クロメート化成処理薄膜 ( C r = 2 0 m g/m2) を形成し た。 この化成処理薄膜の上に、 カヅプリング剤としてのァ一ァミノプロピルト リ エ トキシシランを S O m gZm 2 塗布して乾燥した後に、 アルミニウム板を 2 1 0 °Cの温度に加熱し、 カツプリ ング剤を塗布した面に、 厚さが 1 5 mのポリ アミ ド 6 フィルムを圧着し、 ポリアミ ド樹脂被覆金属板を得た。 得られたポリア ミ ド樹脂被覆金属板につき、 上記評価方法で評価した結果を、 表 6 に示した。
[試験例 2 1 ]
試験例 2 0に記載の例において、 化成処理薄膜をシユウ酸アルマイ ト化成処理 によって形成した厚さが 1 0 0 0 Aの薄膜に代え、 カツプリ ング剤をァーグリシ ドキシプロビルト リ エ トキシシランに代え、 アルミニウム板の温度を 2 5 0 °Cに
それそれ代えたほかは、 同例におけると同様の手順でポリアミ ド樹脂被覆金属板 を得た。 得られたポリアミ ド樹脂被覆金属板につき、 上記評価方法で評価した結 果を、 表 6に示した。
[試験例 2 2 ]
試験例 2 1 に記載の例において、 化成処理薄膜をリ ン酸アルマイ ト化成処理に よって形成した薄膜に代えたほかは、 同例におけると同様の手順でポリアミ ド樹 脂被覆金属板を得た。 得られたポリアミ ド樹脂被覆金属板につき、 上記評価方法 で評価した結果を、 表 6 に示した。
[試験例 2 3 ]
試験例 2 1 に記載の例において、 化成処理薄膜をリ ン酸クロメ一ト処理によつ て形成した薄膜に代えたほかは、 同例におけると同様の手順でポリアミ ド樹脂被 覆金属板を得た。 得られたポリアミ ド樹脂被覆金属板につき、 上記評価方法で評 価した結果を、 表 6 に示した。
[試験例 2 4 ]
試験例 2 3 に記載の例において、 カ ヅプリ ング剤を y—ァミノプロビルト リ エ トキシシランに代えたほかは、 同例におけると同様の手順でポリアミ ド樹脂被覆 金属板を得た。 得られたポリアミ ド樹脂被覆金属板につき、 上記評価方法で評価 した結果を、 表 6に示した。
[試験例 2 5 ]
試験例 2 0に記載の例において、 カップリ ング剤を塗布しなかったほかは、 同 例におけると同様の手順でポリアミ ド樹脂被覆金属板を得た。 得られたポリァミ ド樹脂被覆金属板につき、 上記評価方法で評価した結果を、 表 7に示した。
[試験例 2 6 ]
試験例 2 0に記載の例において、 カップリ ング剤をァ一メタク リ ロキシプロピ ルト リメ トキシシランに代え、 アルミニウム板の温度を 3 8 0 °Cにそれそれ代え たほかは、 同例における と同様の手順でポリアミ ド樹脂被覆金属板を得た。 得ら れたポリアミ ド樹脂被覆金属板につき、 上記評価方法で評価した結果を、 表 7 に した
[試験例 2 7 ]
試験例 2 3 に記載の例において、 アルミニウム板の温度を 3 8 0 °Cに代えたほ かは、 同例におけると同様の手順でポリアミ ド樹脂被覆金属板を得た。 得られた
ポリアミ ド樹脂被覆金属板につき、 上記評価方法で評価した結果を、 表 7 に示し た。
[試験例 2 8 ]
試験例 2 4 に記載の例において、 アルミニウム板の温度を 2 0 0 °Cに代えたほ かは、 同例における と同様の手順でポリアミ ド樹脂被覆金属板を得た。 得られた ポリア ミ ド樹脂被覆金属板につき、 上記評価方法で評価した結果を、 表 7 に示し た。
表 6
[ 注] シランカップリング剤は、 次のとおりである。 以下の表でも同じ意味である。
エポキシシラン系: ァ一グリシドキシプロピルトリエトキシシラン
アミノシラン系 : y—ァミノプロピルトリエトキシシラン
アクリルシラン系: 3—メタクリロキシプロビルトリメトキシシラン 表 7
(結果)
表 6および表 7 よ り、 次のことが明らかとなる。
( 1 ) アルミニウム薄板の表面に化成処理薄膜を設け、 この上にシラン系カヅプ リング剤の層を設け、 アルミニゥム薄板の温度を 2 0 0 ~ 3 5 0 °Cの範囲に加熱 して樹脂フィルムを被覆 · 圧着し、 アルミニウム薄板の樹脂被覆面の硬度がビカ —ス硬度で 2 5〜 6 0の範囲にある樹脂被覆金属板は、 アルミニウム薄板と被覆 フィルムとの密着性に優れてプレス加工する際に被覆フィルムが剥離せず、 容器 同士が接触しあっても、 壁面に凹みが生じ難い (試験例 2 0 ~ 2 4参照) 。
( 2 ) これに対して、 アルミニウム薄板の表面に化成処理薄膜を設けてもシラン 系カヅプリ ング剤の層を設けず、 樹脂フィルムを被覆 ·圧着したものは、 プレス 加工時に被覆フィルムが剥離する (試験例 2 5参照) 。
( 3 ) また、 アルミニウム薄板の表面に化成処理薄膜を設け、 この上にシラン系 カップリ ング剤の層を設けても、 アルミニウム薄板の温度を 3 5 0 °Cよ り も高く して被覆 · 圧着したものは、 樹脂被覆金属板の表面硬度がビカース硬度で 2 5 よ り小さ くなり、 容器同士が接触しあう と壁面に凹みが生じ易い (試験例 2 6〜 2 7参照) 。
( 4 ) さらに、 アルミニウム薄板の表面に化成処理薄膜、 およびシラン系カップ リング剤の層を設け、 この上にアルミニゥム薄板の温度を 2 0 0 °Cで被覆 ' 圧着 しても、 樹脂被覆金属板の樹脂被覆面の硬度がビッカース硬度で 6 0を超えるも のは、 プレス加工の際に基体のアルミニウム薄板が破損してしまう (試験例 2 8 参照) 。
[試験例 2 9 ]
試験例 2 0に記載の例において、 カヅプリ ング剤の塗布量を 1 0 0 m g / m 2 に代え、 アルミニウム板の温度を 2 9 0 °Cに代えたほかは、 同例におけると同様 の手順でポリアミ ド樹脂被覆金属板を得た。 得られたポリアミ ド樹脂被覆金属板 にっき、 上記評価方法で評価した結果を、 表 8に示した。
[試験例 3 0 ]
試験例 2 3に記載の例において、 カヅプリ ング剤の塗布量を 5 0 0 m g / m 2 に代え、 アルミニウム板の温度を 2 9 0 °Cに代えたほかは、 同例におけると同様 の手順でポリアミ ド樹脂被覆金属板を得た。 得られたポリアミ ド樹脂被覆金属板 にっき、 上記評価方法で評価した結果を、 表 8に示した。
[試験例 3 1 ]
試験例 3 0に記載の例において、 カツプリ ング剤の塗布量を 1 0 0 0 m gZm 2に代えたほかは、 同例におけると同様の手順でポリアミ ド樹脂被覆金属板を得 た。 得られたポリアミ ド樹脂被覆金属板につき、 上記評価方法で評価した結果を、 表 8に示した。
[試験例 3 2 ]
試験例 2 9に記載の例において、 カヅプリ ング剤の塗布量を 0. 0 0 5 mg/ m2に代えたほかは、 同例におけると同様の手順でポリアミ ド樹脂被覆金属板を 得た。 得られたポリアミ ド樹脂被覆金属板につき、 上記評価方法で評価した結果 を、 表 8に示した。
[試験例 3 3 ]
試験例 3 1に記載の例において、 カツプリ ング剤の塗布量を 1 3 0 0 m g/m 2に代えたほかは、 同例におけると同様の手順でポリアミ ド樹脂被覆金属板を得 た。 得られたポリアミ ド樹脂被覆金属板につき、 上記評価方法で評価した結果を- 表 8に示した。
表 8
(結果)
表 8よ り、 次のことが明らかとなる。
( 1 ) アルミニウム薄板の表面に薄膜を設け、 この上にシラン系カップリ ング剤 の層を設け、 この際のシラン系カップリ ング剤の塗布量を 0. 0 1〜 1 0 0 0 m g/m2の範囲と したものは、 プレス加工性に優れ、 容器同士が接触しあっても、 壁面に凹みが生じ難い (試験例 2 9〜 3 1参照) 。
( 2 ) これに対して、 シラン系カップリ ング剤の塗布量が 0. 0 0 5 m g/m2
と少ない場合は、 アルミニウム薄板と被覆フィルムとの密着性に劣り、 プレス加 ェ時に被覆フィルムが剥離した (試験例 3 2参照) 。
( 3 ) また、 シ ン系カップリ ング剤の塗布量を 1 3 0 0 m g/m2と多く した 場合は、 カップリ ング剤液の安定性が悪く、 アルミニウム薄板の表面に均一に塗 布することができなかった (試験例 3 3参照) 。
[実験例 3 ] ;
次に、 別の評価に基づく試験例を示す。 以下に示す試験例 3 4〜 5 2で用いた 評価方法を示す。 なお、 シランカップリ ング剤水溶液の評価方法は、 次の ( 1 ) 及び ( 2 ) 記載の方法によったものである。 また、 樹脂積層板の評価方法は、 次 の ( 3 ) 乃至 ( 6 ) 記載の方法によったものである。
( 1 ) 接触角の測定 : 気温 2 3 °C、 湿度 5 0 %の条件下で、 準備した金属板の表 面にシランカップリ ング剤水溶液を必要量滴下し、 接触角計 (協和界面科学社製、 商品名 : CA— A) を用いてその接触角を測定する。
( 2 ) ぬれ性の評価 : 準備した金属板を A 4サイズに切断し、 この表面にシラン カヅプリ ング剤水溶液をバーコ一夕一を用いて 1 0 g/m2塗布し、 塗膜の状態 を目視観察する。 観察結果は、 はじきがなく均一な塗膜が形成されたものを〇、 はじいて塗膜が斑点状になったものを Xと判定した。
( 3 ) S i元素量の測定 : 樹脂積層板を調製する工程において、 シランカツプリ ング剤水溶液を金属板の表面に塗布して乾燥させて塗膜を形成した後、 E S C A 法 (X線源 : M g K a、 出力 : 1 5 k v X 3 3 mA、 真空度 : 5 x 1 0— 8 T o r r ) によって、 上記塗膜の表面の S i元素量 (原子%) を測定する。
(4) 加工性の評価 : 樹脂積層板を、 ランス順送り絞り機によって 7段絞り加工 して、 熱可塑性樹脂薄膜を積層した面が容器外側面となるように、 直径 1 0 mm で高さ 2 0 mmの円筒容器を調製し、 金属板から熱可塑性樹脂薄膜が剥離してい るか否かを目視観察する。 観察結果は、 剥離が全く認められないものを〇、 剥離 が認められたものを Xと判定した。
( 5 ) 加工後密着性の評価 : 上記の加工性の評価用に調製した円筒容器を、 2 7 0 °Cの熱風乾燥炉内に入れて 1分間放置し、 その後、 この円筒容器を熱風乾燥炉 からと り出し、 容器外側面に積層された熱可塑性樹脂薄膜が剥離しているか否か を目視観察する。 観察結果は、 剥離が全く認められないものを〇、 剥離が認めら れたものを Xと判定した。
( 6 ) 総合評価 : 上記加工性 ·加工後密着性の双方が〇と判定されたものを総合 評価でも〇と判定し、 これら双方が Xと判定されたもの、 および、 いずれか一方 が Xと判定されたものを総合評価では Xと判定した。
〔試験例 3 4〜 4 5 ]
<シランカヅプリ ング剤水溶液の調製 >
水 1 0 0 gに、 シランカツプリ ング剤と非ィオン系界面活性剤 (有効成分 : ポ リオキシエチレンアルキルエーテル、 曇点 : 42. 1 °C) とを、 それぞれ表 9に 示した量配合して、 4種類のシランカップリ ング剤水溶液を調製した。 表 9
<金属板の準備 >
厚さ 0. 3 mmのステンレス板 (S U S 4 3 0— 2 B) 、 厚さ 0. 3 mmのリ ン酸クロメ一ト酸処理を施したアルミ二ゥム板 (合金番号 : A 1 1 0 0 P H 2 4、 クロム水和酸化物内のクロム量 : 2 0 mg/m2) 、 及び、 厚さ 0. 3 mm の電解ク口ム酸処理鋼板 (下層の金属クロム量 : 1 0 0 m g/m2、 上層のクロ ム水和酸化物内のクロム量日 1 8 mg/m2) の 3種類の金属板を準備した。 <シランカップリ ング剤水溶液の評価 >
表 9に示した 4種類のシランカツプリ ング剤水溶液を、 上記 3種類の金属板の 表面にそれそれ滴下し、 前記した ( 1 ) の測定を行った。 さらに、 表 9に示した 4種類のシランカヅプリ ング剤水溶液を、 上記 3種類の金属板の表面にそれそれ 塗布し、 前記した ( 2) の評価試験を行った。 これらの結果を表 1 0に示す。
表 1 0
表 9および表 1 0から、 次のことが明らかとなる。
(ィ) 上記 3種類の金属板の表面に 4種類のシランカツプリ ング剤水溶液を滴下 して接触角を測定した結果、 いずれの金属板においても, シランカップリ ング剤 水溶液 I ないしシランカップリ ング剤水溶液 I I I の接触角は 5 5 ° 以下であつ た (試験例 3 4 〜 3 6、 試験例 3 8 ~ 4 0、 試験例 4 2 ~ 4 4参照) 。 これに対 し、 シランカツプリ ング剤水溶液 I Vの接触角は 5 5 ° より大きかった (試験例
3 7 、 4 1 、 4 5参照) 。 これは、 シランカップリ ング剤水溶液 I V中の非ィォ ン系界面活性剤の量が不足しているためである。
(口) また、 上記 3種類の金属板の表面に 4種類のシランカップリ ング剤水溶液 を塗布してぬれ性を評価した結果、 シラン力ッブリ ング剤水溶液 Iないしシラン カツプリ ング剤水溶液 I I I を塗布した金属板の表面にはいずれも均一な塗膜が 形成され、 ぬれ性が良好だった (試験例 3 4 〜 3 6、 試験例 3 8 〜 4 0、 試験例
4 2 - 4 4参照) 。 これに対し、 シランカツプリ ング剤水溶液 I Vを塗布した金 属板の表面にはいずれも均一な塗膜が形成されず (塗膜が斑点状になり、 ぬれ性 が劣っていた (試験例 3 7 、 4 1 、 4 5参照) 。 これは、 シランカヅプリ ング剤 水溶液 I Vの接触角が 5 5 ° より大きいためである。
[試験例 4 6 ]
アルミニウム板 (試験例 3 8で準備したものと同種) を長尺帯状と して連続的 に移送し、 このアルミニウム板の表面に、 水 1 0 0 gにシランカップリ ング剤 (ァ—ァミ ノ プロ ピル ト リ ヱ トキシシラ ン) 0 . l gと非イオン系界面活性剤
(試験例 3 4で使用したものと同種) 0. 4 gとを配合して、 上記アルミニゥム 板の表面に塗布した際の接触角を 5 0 ° に調整したシランカツプリ ング剤水溶液
1 0 g/m2を塗布し、 昇温速度 5 °C/ sで乾燥させて塗膜を形成し、 次いで、 この塗膜を 2 5 0 °Cで加熱し、 この塗膜の表面に、 融点が 2 2 0 °Cで厚さが 2 0 mのボリアミ ド 6薄膜を積層して、 樹脂積層板を調製した。 この樹脂積層板を 調製する工程において、 前記 ( 3 ) の測定を行い、 得られた樹脂積層板について、 前記 ( 4) ないし ( 6 ) の評価試験を行った。 これらの結果を表 1 1に示す。
〔試験例 4 7〜 5 2 ]
試験例 4 6に記載の例において、 シランカップリ ング剤の種類および配合量、 シランカップリ ング剤水溶液塗布後の乾燥の際の昇温速度 (塗膜の加熱温度、 熱 可塑性樹脂薄膜の種類を、 それぞれ表 1 1に記載したものに変更したほかは、 同 例におけると同種の手法で樹脂積層板を調製した。 これらの樹脂積層板を調製す る工程において、 同例におけると同様に測定を行い、 得られた樹脂積層板につい て、 同例におけると同様に評価試験を行った。 これらの結果を表 1 1に示す。
シランかソフ。リンク、、剤 難の 加工性 試 昇温速度 熱可塑性 Si量
の種類 加熱温度 総 "tl 験 樹脂被覆 加工後
配合量 評価 例 (°C/s) (°C) 膜の種類
(g/ (原子 ¾) 密着性
水 100g)
ァ-アミノフ。口ヒ。ル
o
46 (実施例) トリエトキシシラン 5 250 ホ。リアミト、、 6 7.34 〇
0.1 〇 ァ-ァミノフ°0ヒ°ル
o
47 (細例) トリエトキシシラン 20 330 ホ。リアミ 6 10.52 〇
2.0 〇 ァ- リ外、、キシフ。ロヒ。ル o
48 (実施例) トリエトキシシラン 5 280 PET 9.15 〇
0.1 〇 ァ-ァミノ 7°ロヒ。ル
験 o
49 (比較例) トリエトキシシラン 40 250 ホ°リアミ 6 4.10 X 例
3 0.009 X
ァ-ァミノフ°11ヒ°ル
ο
50 (比較例) トリエトキシシラン 53 280 ホ。リアミド 6 4.14 X
0.5 X
ァ-ァミノ ΓΠヒ。ル
X
51 (比較例) トリエトキシシラン 5 200 ホ。リァミト、、 6 12.12 X
3.0 不実施 ァ-アミノフ。 Πヒ。) 1/ X
52 (比較例) トリエトキシシラン 45 380 PET 8.35 X
1.0 X 表 1 0及び表 1 1 から、 次のことが明らかとなる。
(ハ) シランカップリ ング剤の配合量、 シランカップリ ング剤水溶液の接触角、 シランカツプリ ング剤水溶液塗布後の乾燥の際の昇温速度、 塗膜の加熱温度のい ずれの条件をも特定の範囲内として調製した樹脂積層板は、 塗膜の表面の S i元 素量が 5〜 1 5原子%の範囲内となり、 かつ、 加工性および加工後密着性に優れ ていた (試験例 4 6 ~ 4 8参照) 。
(二) シランカップリ ング剤の配合量が 0 . 0 1重量部以下であるシラン力ヅプ リ ング剤水溶液を用いて調製した樹脂積層板は、 塗膜の表面の S i元素量が 5原 子%よ り低くなり、 かつ、 加工後密着性に劣っていた (試験例 4 9参照) 。
(ホ) シランカツプリ ング剤水溶液塗布後の乾燥の際の昇温速度を 5 0 °C / s よ り大きく して調製した樹脂積層板は、 塗膜の表面の S i元素量が 5原子%より低 くなり、 かつ、 加工後密着性に劣っていた (試験例 5 0参照) 。
(へ) 塗膜の加熱温度を熱可塑性樹脂の融点 ( 2 2 0 °C ) より低く して調製した 樹脂積層板は、 ボリアミ ド 6薄膜が加工時に剥離するなど加工性に劣っていた。
なお、 この場合、 加工後密着性の評価は不可能であるため実施していない (試験 例 5 1参照) 。
( 卜) 塗膜の加熱温度を 3 5 0 °Cより高く して調製した樹脂積層板は、 加工時に ポリエチレンテレフタレート薄膜に亀裂が発生するなど加工性に劣り、 また、 加 ェ後密着性にも劣っていた。 (試験例 5 2参照) 。 産業上の利用可能性
本発明は、 以上詳細に説明したとおりであ り、 次のような特別に有利な効果を 奏し、 その産業上の利用価値は極めて大である。
( 1 ) 本発明に係る樹脂被覆金属板が、 陽極酸化被膜として厚さが 0 . 0 5〜 2 mのリ ン酸アルマイ ト処理被膜を形成している場合、 アルミ二ゥム板表面と ¾ 覆膜の界面の密着性 (接着性または接着強度) に優れ、 絞り加工やしごき加工を 行なっても熱可塑性樹脂製被覆膜の破損、 クラックなどが発生せず、 経時的に劣 化し難く層間剥離も生じ難い。
( 2 ) 本発明に係る樹脂被覆金属板が、 リン酸アルマイ ト処理被膜と樹脂被膜の 間にシランカツプリ ング剤を介在させている場合、 アルミニウム板表面と被覆膜 の界面の密着性 (接着性または接着強度) に優れ、 絞り加工やしごき加工を行な つても熱可塑性樹脂製被覆膜の破損、 クラックなどが発生せず、 経時的に劣化し 難く層間剥離も生じ難い。
( 3 ) 本発明に係る製造方法によれば、 特開平 1 一 6 6 0 3 0号公報、 特開平 2 - 1 6 0 4 3号公報に記載の方法のように、 絞り加工やしごき加工を行なった後 に、 熱可塑性樹脂製被覆膜を加熱して再溶融させる必要がなく、 アルミニウム板 表面と被覆膜の界面の密着性 (接着性または接着強度) に優れた樹脂被覆金属板 を、 効率良く製造することができる。
( 4 ) 本発明に係る樹脂被覆金属板の製造方法によれば、 絞り加工などのプレス 加工性に優れ、 加工時に被覆フィルムが剥離し難い、 樹脂被覆金属板が得られる,
( 5 ) 本発明に係る樹脂被覆金属板の製造方法によれば、 基体のアルミニウム薄 板の片面が樹脂フィルムによって被覆されているので、 容易に美麗な識別用の印 刷表示を施すことができる。
( 6 ) 本発明に係る樹脂被覆金属板の製造方法によれば、 アルミニウム薄板の樹 脂被覆面の硬度をビカース硬度で 2 5〜 6 0の範囲とするので、 プレス加工性に
優れ、 しかも加工して得られる容器同士が接触しあっても、 壁面に凹みが生じ難 い。
( 7 ) 本発明に係るアルミニウム電解コンデンサー用外装容器は、 従来のように 熱収縮性チューブで被覆する工程が不要で、 製造工程が簡単である。
( 8 ) 本発明の樹脂被覆金属板が、 金属板の表面に特定のシランカップリ ング剤 水溶液を塗布して特定の昇温速度で乾燥させて塗膜を形成し、 この塗膜を特定の 温度で加熱して熱可塑性樹脂薄膜を積層して調製される場合、 この樹脂被覆金属 板をしごき加工法によって加工した際に、 熱可塑性樹脂薄膜に亀裂が発生し難く、 かつ、 熱可塑性樹脂薄膜が金属板から容易に剥離することがない。
( 9 ) 本発明に係る樹脂被覆金属板が、 金属板の表面に特定のシランカップリ ン グ剤水溶液を塗布して特定の昇温速度で乾燥させて塗膜を形成し、 この塗膜を特 定の温度で加熱して熱可塑陸樹脂薄膜を積層して調製される場合、 この樹脂被覆 金属板に、 各種加工法による加工後に加熱処理を施しても、 熱可塑性樹脂薄膜が 金属板から容易に剥離することがない。
( 1 0 ) 本発明に係る樹脂被覆金属板が、 金属板の表面に形成された塗膜を、 熱 可塑性樹脂薄膜の融点から 3 5 0 °Cの温度範囲で加熱して熱可塑性樹脂薄膜を積 層して調製される場合、 金属板の強度が低下することがなく、 かつ、 熱可塑性樹 脂薄膜が劣化することがない。
( 1 1 ) 本発明に係る樹脂被覆金属板が、 金属板の表面に形成された塗膜を、 熱 可塑性樹脂薄膜の融点から 3 5 0 °Cの温度範囲で加熱して熱可塑性樹脂薄膜を積 層して調製される場合、 従来の高温の加熱処理の際に生じていた経済的不利益が 解消される。
( 1 2 ) 本発明に係る樹脂被覆金属板の製造方法によれば、 上記各効果を奏する 樹脂被覆金属板を製造することができる。
( 1 3 ) 本発明に係るコンデンサ一外装用容器は、 上記樹脂被覆金属板が絞り加 工法またはしごき加工法によって調製されてなるので、 製品化された後に加熱処 理が施された場合でも、 このコンデンサ一外装用容器を構成する熱可塑性樹脂薄 膜が金属板から剥離することがなく、 商品価値が高い。