JP5832402B2 - 絶縁膜、固定子コイル及びガス絶縁開閉装置 - Google Patents
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Description
他方、特許文献2は、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂及び充填材(顔料)を含む粉体塗料を用いて、フッ素樹脂とポリエステル樹脂とが相溶化せずに層分離する塗膜を形成する方法を提案している。
すなわち、本発明は、粉体塗料から形成される粉体塗膜である内層と、前記内層上に設けられ且つ前記粉体塗料よりも速く硬化する塗料から形成される塗膜である外層とを有する絶縁膜であって、前記外層を形成する前記塗料が、ビニル化合物を含む光硬化性塗料であることを特徴とする絶縁膜である。
また、本発明は、粉体塗料から形成される粉体塗膜である内層と、前記内層上に設けられ且つ前記粉体塗料よりも速く硬化する塗料から形成される塗膜である外層とを有する絶縁膜であって、前記外層を形成する前記塗料が、ジエチルアミノプロピルアミン、イソフォロンアミン及びm−キシレンアミンからなる群から選択される少なくとも1種のアミン化合物を含む熱硬化性塗料であることを特徴とする絶縁膜である。
以下、本発明の絶縁膜及びその形成方法の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
図1は、本実施の形態の絶縁膜の断面図である。図1において、本実施の形態の絶縁膜は、被塗装物1上に形成されており、粉体塗料から形成される粉体塗膜である内層2と、内層2上に設けられ且つ粉体塗料よりも速く硬化する塗料から形成される塗膜である外層3とを有する。
内層2に用いられる粉体塗料としては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。ここで、本明細書において「粉体塗料」とは、常温(25℃)で粉末状態の塗料を意味する。
基体樹脂としては、常温(25℃)で固体状態であれば特に限定されず、一般にエポキシ樹脂である。エポキシ樹脂の例としては、特に限定されないが、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ブロム化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ブロム化ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ブロム化ビスフェノールAD型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂;ブロム化脂環式エポキシ樹脂などの脂環式エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ブロム化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ブロム化クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独又は2種以上を混合して用いることができる。
カルボン酸無水物の配合量は、基体樹脂の特定の官能基(例えば、エポキシ樹脂のエポキシ基)に対するカルボキシル基の当量比が、一般に0.3以上1.5以下、好ましくは0.5以上1.2以下となるような量である。当該当量比が0.3より小さいと耐熱性が低下し、当該当量比が1.5より大きいとポットライフが短くなる傾向にある。
アミド化合物の配合量は、基体樹脂の特定の官能基(例えば、エポキシ樹脂のエポキシ基)に対するアミド基の当量比が、一般に0.2以上2.0以下、好ましくは0.3以上1.5以下となるような量である。当該当量比が0.2より小さいと耐熱性が低下し、当該当量比が2.0より大きいとポットライフが短くなる傾向にある。
フェノール化合物の配合量は、基体樹脂の特定の官能基(例えば、エポキシ樹脂のエポキシ基)に対する水酸基の当量比が、一般に0.2以上2.0以下、好ましくは0.3以上1.5以下となるような量である。当該当量比が0.2より小さいと耐熱性が低下し、当該当量比が2.0より大きいとポットライフが短くなる傾向にある。
イミダゾール化合物の配合量は、基体樹脂100重量部に対して一般に0.01質量部以上10質量部以下、好ましくは0.05質量部以上5質量部以下である。当該配合量が0.01質量部より少ないと硬化が不十分となり、当該配合量が10質量部より多いとポットライフが短くなる傾向にある。
外層3に用いられる好ましい塗料は、熱硬化性塗料又は光硬化性塗料である。
外層3に用いられる好ましい熱硬化性塗料はアミン化合物を含む。
アミン化合物としては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。アミン化合物の例としては、鎖状脂肪族アミン、環状脂肪族アミン及び芳香族アミンが挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
環状脂肪族アミンの例としては、N−アミノエチルピペラジン(N−AEP)、テミロン C−260、Araldit HY−964、メンセンジアミン(MDA)、イソフオロンジアミン(IPDA)、S Cure 211、S Cure 212、ワンダミン HM、1.3 BACなどが挙げられる。
芳香族アミンの例としては、m−キシレンジアミン(m−XDA)、ショーアミンX、アミンブラック、ショーアミンブラック、ショーアミンN、ショーアミンN1001、ショーアミンN1010、メタフェニレンジアミン(MPDA)、ジアミノジフェニルメタン(DDM)、ジアミノジフェニルスルフォン(DDS)などが挙げられる。
上記の各種アミン化合物の中でも、ジエチルアミノプロピルアミン、イソフオロンアミン、m−キシレンアミンが好ましい。
熱硬化性塗料が液体状である場合、この熱硬化性塗料もまた、基体樹脂、硬化剤及び充填材をさらに含むことができる。この熱硬化性塗料に用いられる基体樹脂としては、熱硬化性塗料を液体状とするために、常温(25℃)で液体状態の基体樹脂を用いればよい。
常温で液体状態の基体樹脂の重量平均分子量は、使用する基体樹脂の種類によって異なるため、一義的に定義することはできない。そのため、基体樹脂の重量平均分子量は、常温(25℃)で液体状態となるような範囲であれば特に限定されない。
また、この液体状の熱硬化性塗料に用いられる硬化剤及び充填材としては、内層2に用いられる粉体塗料で用いられるものと同じものを用いることができる。
熱硬化性塗料は、上記の成分を用い、公知の方法により製造することができる。例えば、粉体状の熱硬化性塗料を調製する場合、まず、ミキサーやブレンダーなどの公知の混合装置を用いて上記の成分を乾式混合した後、ニーダーなどを用いて溶融混練して冷却する。その後、混練物を、機械式又は気流式の粉砕機を用いて粉砕すればよい。また、液体状の熱硬化性塗料を調製する場合、ミキサーやブレンダーなどの公知の混合装置などを用いて記の成分を混合すればよい。
また、光硬化性塗料の硬化波長としては、特に限定されないが、作業性の観点から、400nm以下の波長であることが好ましい。
光硬化性塗料における上記の各成分の配合割合は、特に限定されず、使用する成分に応じて適宜調整すればよい。
光硬化性塗料は、上記の成分を用い、熱硬化性塗料の場合と同様に公知の方法により製造することができる。
また、光硬化性塗料として市販されているものを用いてもよい。
塗装方法としては、特に限定されず、公知の塗装方法を用いることができる。例えば、粉体塗料については、静電塗装方法、流動浸漬法、静電流動浸漬法などの方法を用いることができる。また、液体塗料については、刷毛塗り、スプレー塗装、浸漬塗装などの方法を用いることができる。
外層3を形成するための塗料の塗装もまた、1回のみ行って単層としてもよいが、複数回行って多層としてもよい。この塗料を塗装する場合もまた、塗料の固着性の観点から、被塗装物1を加熱することが好ましい。
上記の各塗装におけるその他の条件(例えば、塗装時間など)については、所望とする膜厚や、使用する塗装装置、塗料の種類に応じて適宜調整すればよく、特に限定されない。
形成される絶縁膜の厚さは、特に限定されないが、好ましくは1mm以上、より好ましくは1.2mm以上5mm以下である。また、形成された絶縁膜に存在するボイドなどの欠陥は、一般に5個/mm2以下である。
(実施例1)
エポキシ樹脂A(常温で固体のビスフェノールA型エポキシ樹脂、重量平均分子量1150)100質量部、エポキシ樹脂B(常温で固体のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、重量平均分子量1400)30質量部、硬化剤A(ジシアンジアミド)7質量部、硬化剤B(イミダゾール)3質量部、及び充填材(アルミナ)15質量部を、ミキサーを用いて乾式混合した後、2軸ニーダーを用いて溶融混練した。次に、得られた混練物を冷却して固化した後、粉砕機を用いて粉砕し、分級機を用いて分級することによって、平均粒径が40μmの粉体塗料Aを得た。この粉体塗料Aの硬化開始温度は120℃であった。
他方、ジエチルアミノプロピルアミン10質量部をさらに配合したこと以外は、上記と同様の成分及び方法を用いて平均粒径が40μmの粉体塗料Bを得た。この粉体塗料Bの硬化開始温度は80℃であった。
次に、上記の粉体塗料Bを、塗装した粉体塗料Aの表面に、上記と同様の条件で静電塗装を行った。
次に、塗膜を100℃で15分加熱した後、180℃で30分間さらに加熱することによって、粉体塗料Aから形成される内層と、粉体塗料Bから形成される外層とを有する絶縁膜を得た。
次に、絶縁膜を形成した円柱状の導体を、接地した同心円状の金属容器内に配置し、容器内にSF6ガスを充填した。その後、導体に高電圧を印加し、絶縁膜表面の絶縁破壊電界を測定した。その結果、絶縁膜表面の絶縁破壊電界は、絶縁膜を形成していない導体の絶縁破壊電界の1.7倍であった。
絶縁破壊電界の測定後、レーザー顕微鏡及び超音波顕微鏡を用いて絶縁膜中のボイドの最大径及び存在確率を測定した。その結果、ボイドの最大径は50μmと小さく、ボイドの存在確率は1個/mm2と少なかった。
粉体塗料Bにおいてジエチルアミノプロピルアミン10質量部の代わりにイソフォロンアミン10質量部を配合したこと以外は同様にして、平均粒径が40μmの粉体塗料Cを得た。この粉体塗料Cの硬化開始温度は70℃であった。
次に、粉体塗料Aを用いて内層、粉体塗料Cを用いて外層を実施例1と同様の条件で形成することによって絶縁膜を得た。
得られた絶縁膜は、加熱時に塗料の垂れが生じなかった。また、絶縁膜の膜厚について、10cm四方で測定した平均膜厚と、最大又は最小膜厚との差は20%以内であり、均一性が高い絶縁膜であることを確認した。
また、絶縁膜表面の絶縁破壊電界を上記と同様にして測定した結果、絶縁膜表面の絶縁破壊電界は、絶縁膜を形成していない導体の絶縁破壊電界の1.8倍であった。
さらに、絶縁破壊電界の測定後、上記と同様にして絶縁膜中のボイドの最大径及び存在確率を測定した結果、ボイドの最大径は45μmと小さく、ボイドの存在確率は1個/mm2と少なかった。
粉体塗料Bにおいてジエチルアミノプロピルアミン10質量部の代わりにm−キシレンアミン15質量部を配合したこと以外は同様にして、平均粒径が40μmの粉体塗料Dを得た。この粉体塗料Dの硬化開始温度は60℃であった。
次に、粉体塗料Aを用いて内層、粉体塗料Dを用いて外層を実施例1と同様の条件で形成することによって絶縁膜を得た。
得られた絶縁膜は、加熱時に塗料の垂れが生じなかった。また、絶縁膜の膜厚について、10cm四方で測定した平均膜厚と、最大又は最小膜厚との差は20%以内であり、均一性が高い絶縁膜であることを確認した。
また、絶縁膜表面の絶縁破壊電界を上記と同様にして測定した結果、絶縁膜表面の絶縁破壊電界は、絶縁膜を形成していない導体の絶縁破壊電界の1.7倍であった。
さらに、絶縁破壊電界の測定後、上記と同様にして絶縁膜中のボイドの最大径及び存在確率を測定した結果、ボイドの最大径は35μmと小さく、ボイドの存在確率は1個/mm2と少なかった。
エポキシ樹脂C(常温で固体のビスフェノールA型エポキシ樹脂、重量平均分子量1500)100質量部、エポキシ樹脂D(常温で固体のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、重量平均分子量1600)30質量部、硬化剤A(ジシアンジアミド)7質量部、硬化剤B(イミダゾール)3質量部、及び充填材(アルミナ)15質量部を、ミキサーを用いて乾式混合した後、2軸ニーダーを用いて溶融混練した。次に、得られた混練物を冷却して固化した後、粉砕機を用いて粉砕し、分級機を用いて分級することによって、平均粒径が45μmの粉体塗料Eを得た。この粉体塗料Eの硬化開始温度は120℃であった。
他方、エポキシ樹脂E(常温で液体のビスフェノールA型エポキシ樹脂、重量平均分子量250)100質量部、硬化剤B(イミダゾール)10質量部、及びジエチルアミノプロピルアミン10質量部を混合撹拌することによって液体塗料Aを得た。この液体塗料Aの硬化開始温度は70℃であった。
次に、上記の液体塗料Aを、塗装した粉体塗料Eの表面にスプレー塗装した。
次に、塗膜を100℃で15分加熱した後、180℃で30分間さらに加熱することによって、粉体塗料Eから形成される内層と、液体塗料Aから形成される外層とを有する絶縁膜を得た。
また、絶縁膜表面の絶縁破壊電界を上記と同様にして測定した結果、絶縁膜表面の絶縁破壊電界は、絶縁膜を形成していない導体の絶縁破壊電界の1.7倍であった。
さらに、絶縁破壊電界の測定後、上記と同様にして絶縁膜中のボイドの最大径及び存在確率を測定した結果、ボイドの最大径は40μmと小さく、ボイドの存在確率は1個/mm2と少なかった。
ジエチルアミノプロピルアミン50質量部をメチルエチルケトン(MEK)100質量部に加えて溶解することによって液体塗料Bを得た。
次に、粉体塗料Eを用いて内層、液体塗料Bを用いて外層を実施例4と同様の条件で形成することによって絶縁膜を得た。
得られた絶縁膜は、加熱時に塗料の垂れが生じなかった。また、絶縁膜の膜厚について、10cm四方で測定した平均膜厚と、最大又は最小膜厚との差は20%以内であり、均一性が高い絶縁膜であることを確認した。
また、絶縁膜表面の絶縁破壊電界を上記と同様にして測定した結果、絶縁膜表面の絶縁破壊電界は、絶縁膜を形成していない導体の絶縁破壊電界の1.7倍であった。
さらに、絶縁破壊電界の測定後、上記と同様にして絶縁膜中のボイドの最大径及び存在確率を測定した結果、ボイドの最大径は40μmと小さく、ボイドの存在確率は1個/mm2と少なかった。
粉体塗料Aにおいて、充填材(アルミナ)を除くと共に、ジエチルアミノプロピルアミン10質量部を配合したこと以外は同様にして粉体塗料を得た。この粉体塗料30質量部をメチルエチルケトン(MEK)70質量部に加えて溶解することによって液体塗料Cを得た。この液体塗料Cの硬化開始温度は80℃であった。
次に、流動浸漬法を用い、粉体塗料Aを被塗装物(円柱状の導体、長さ1000mm×直径50mm)の表面に塗装した。このとき、被塗装物を120℃に加熱し、被塗装物を120rpmの速度で回転させつつ塗装を行った。
次に、上記の液体塗料Cを、塗装した粉体塗料Aの表面にスプレー塗装した。
次に、塗膜を100℃で15分加熱した後、180℃で30分間さらに加熱することによって、粉体塗料Aから形成される内層と、液体塗料Cから形成される外層とを有する絶縁膜を得た。
また、絶縁膜表面の絶縁破壊電界を上記と同様にして測定した結果、絶縁膜表面の絶縁破壊電界は、絶縁膜を形成していない導体の絶縁破壊電界の1.7倍であった。
さらに、絶縁破壊電界の測定後、上記と同様にして絶縁膜中のボイドの最大径及び存在確率を測定した結果、ボイドの最大径は55μmと小さく、ボイドの存在確率は1個/mm2と少なかった。
外層を形成する塗料として、UV硬化型アクリル粉体塗料(TRIAB株式会社製)を用いた。
まず、静電塗装方法を用い、粉体塗料Aを被塗装物(円柱状の導体、長さ1000mm×直径50mm)の表面に塗装した。このとき、被塗装物を120℃に加熱し、被塗装物を100rpmの速度で回転させつつ80kVの印加電圧で静電塗装を行った。
次に、UV硬化型アクリル粉体塗料を、塗装した粉体塗料Aの表面に、上記と同様の条件で静電塗装を行った。
次に、365nmの波長を有するUVを3000mJ/cm2の照射量で照射し、UV硬化型アクリル粉体塗料を硬化させ後、160℃で30分間に加熱することによって、粉体塗料Aから形成される内層と、UV硬化型アクリル粉体塗料から形成される外層とを有する絶縁膜を得た。
また、絶縁膜表面の絶縁破壊電界を上記と同様にして測定した結果、絶縁膜表面の絶縁破壊電界は、絶縁膜を形成していない導体の絶縁破壊電界の1.9倍であった。
さらに、絶縁破壊電界の測定後、上記と同様にして絶縁膜中のボイドの最大径及び存在確率を測定した結果、ボイドの最大径は50μmと小さく、ボイドの存在確率は1個/mm2と少なかった。
エポキシ樹脂F(常温で固体のビスフェノールA型エポキシ樹脂、重量平均分子量1400)100質量部、エポキシ樹脂G(常温で固体のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、重量平均分子量1200)20質量部、硬化剤A(ジシアンジアミド)7質量部、硬化剤B(イミダゾール)3質量部、及び充填材(炭酸カルシウム)15質量部を、ミキサーを用いて乾式混合した後、2軸ニーダーを用いて溶融混練した。次に、得られた混練物を冷却して固化した後、粉砕機を用いて粉砕し、分級機を用いて分級することによって、平均粒径が50μmの粉体塗料Fを得た。この粉体塗料Fの硬化開始温度は105℃であった。
他方、エポキシ樹脂H(常温で液体のビスフェノールA型エポキシ樹脂、重量平均分子量300)100質量部、硬化剤B(イミダゾール)10質量部、及びジエチルアミノプロピルアミン10質量部を混合撹拌することによって液体塗料Dを得た。この液体塗料Dの硬化開始温度は70℃であった。また、液体塗料Dの降伏値は400Paであり、重力によって液体塗料にかかる応力は360Paであった。ここで、降伏値はレオメータを用いて測定した。また、重力による応力は計算値である。
次に、上記の液体塗料Dを、塗装した粉体塗料Fの表面にスプレー塗装した。
次に、塗膜を80℃で15分加熱した後、180℃で30分間さらに加熱することによって、粉体塗料Fから形成される内層と、液体塗料Dから形成される外層とを有する絶縁膜を得た。
また、絶縁膜表面の絶縁破壊電界を上記と同様にして測定した結果、絶縁膜表面の絶縁破壊電界は、絶縁膜を形成していない導体の絶縁破壊電界の1.8倍であった。
さらに、絶縁破壊電界の測定後、上記と同様にして絶縁膜中のボイドの最大径及び存在確率を測定した結果、ボイドの最大径は40μmと小さく、ボイドの存在確率は1個/mm2と少なかった。
まず、静電塗装方法を用い、粉体塗料Aを被塗装物(円柱状の導体、長さ1000mm×直径50mm)の表面に塗装した。このとき、被塗装物を120℃に加熱し、被塗装物を100rpmの速度で回転させつつ80kVの印加電圧で静電塗装を行った。
次に、粉体塗料Aを、塗装した粉体塗料Aの表面に、上記と同様の条件で静電塗装を再度行った。ここで粉体塗料Aの降伏値は400Paであり、重力によって粉体塗料にかかる応力は450Paであった。
次に、塗膜を100℃で15分加熱した後、180℃で30分間さらに加熱することによって、粉体塗料Aから形成される内層と、粉体塗料Aから形成される外層とを有する絶縁膜を得た。
また、絶縁膜表面の絶縁破壊電界を上記と同様にして測定した結果、絶縁膜表面の絶縁破壊電界は、絶縁膜を形成していない導体の絶縁破壊電界の1.1倍であった。
粉体塗料Aにおいて、硬化剤A(ジシアンジアミド)を除いたこと以外は同様にして粉体塗料Gを得た。この粉体塗料Gの硬化開始温度は160℃であった。
次に、静電流動浸漬法を用い、上記の粉体塗料Gを被塗装物(円柱状の導体、長さ1000mm×直径50mm)の表面に塗装した。このとき、被塗装物を120℃に加熱し、被塗装物を80rpmの速度で回転させつつ40kVの印加電圧で静電塗装を行った。
次に、塗膜を180℃で30分加熱することによって、粉体塗料Gから形成される絶縁膜を得た。
また、絶縁膜表面の絶縁破壊電界を上記と同様にして測定した結果、絶縁膜表面の絶縁破壊電界は、絶縁膜を形成していない導体の絶縁破壊電界の1.1倍であった。
Claims (8)
- 粉体塗料から形成される粉体塗膜である内層と、前記内層上に設けられ且つ前記粉体塗料よりも速く硬化する塗料から形成される塗膜である外層とを有する絶縁膜であって、
前記外層を形成する前記塗料が、ビニル化合物を含む光硬化性塗料であることを特徴とする絶縁膜。 - 粉体塗料から形成される粉体塗膜である内層と、前記内層上に設けられ且つ前記粉体塗料よりも速く硬化する塗料から形成される塗膜である外層とを有する絶縁膜であって、
前記外層を形成する前記塗料が、ジエチルアミノプロピルアミン、イソフォロンアミン及びm−キシレンアミンからなる群から選択される少なくとも1種のアミン化合物を含む熱硬化性塗料であることを特徴とする絶縁膜。 - 前記内層を形成する前記粉体塗料は、エポキシ樹脂、硬化剤及び充填材を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の絶縁膜。
- 前記硬化剤は、カルボン酸無水物、アミド化合物、フェノール化合物及びイミダゾール化合物からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項3に記載の絶縁膜。
- 前記外層を形成する前記塗料は、前記内層を形成する前記粉体塗料に含まれる前記硬化剤と同じ硬化剤をさらに含むことを特徴とする請求項3又は4に記載の絶縁膜。
- 前記外層を形成する前記塗料は、重力による応力よりも大きい降伏値を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の絶縁膜。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の絶縁膜を表面に有することを特徴とする固定子コイル。
- 請求項7に記載の固定子コイルを有することを特徴とするガス絶縁開閉装置。
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