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JP5832402B2 - 絶縁膜、固定子コイル及びガス絶縁開閉装置 - Google Patents

絶縁膜、固定子コイル及びガス絶縁開閉装置 Download PDF

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Description

本発明は、絶縁膜及びその形成方法、固定子コイル、並びにガス絶縁開閉装置に関する。
ガス絶縁開閉装置、高電圧装置、回転機(小型、中型、大型)などの装置においては、各種部材の絶縁を行うために、各種部材の表面に絶縁膜が形成される。例えば、ガス絶縁開閉装置においては、密閉金属容器の内部に固定子コイル(導体)が配設され、六フッ化硫黄ガス(SF6)が絶縁媒体として一般に用いられているが、その絶縁耐力を向上させるために、固定子コイルの表面に絶縁膜が形成される。この絶縁膜は、一般に、エポキシ樹脂を含む粉体塗料を、流動浸漬法、静電塗装法などの粉体塗装方法によって塗装することによって形成される。しかしながら、粉体塗装方法は、薄い絶縁膜の形成には適しているものの、厚い絶縁膜の形成には適していない。例えば、粉体塗装方法は、絶縁膜が厚くなるにつれて粉体塗料が溶融し難くなる結果、粉体塗料が溶融して被塗装物に固着する前に粉体塗料が脱落するため、厚膜化が困難である。仮に粉体塗料の脱落が生じないとしても、粉体塗料が十分に溶融しないため、絶縁膜中にボイドなどの欠陥が生じ易い。
厚い塗膜を形成する方法として、特許文献1は、被塗装物の表面を、塗膜の厚さに必要な高さの枠体で囲繞し、枠体内の被塗装物上に粉体塗料を充填して溶融させる方法を提案している。
他方、特許文献2は、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂及び充填材(顔料)を含む粉体塗料を用いて、フッ素樹脂とポリエステル樹脂とが相溶化せずに層分離する塗膜を形成する方法を提案している。
特開平2−160082号公報 特開2011−12119号公報
しかしながら、特許文献1の方法は、被塗装物の表面に対応する枠体を設ける必要があると共に、被塗装物が平面以外の形状(例えば、円筒状など)を有する場合、図2に示すように、加熱した際に溶融した粉体塗料の垂れが生じ、均一な塗膜を形成することができない。また、特許文献2の方法は、層分離した2つの層の熱膨張係数が異なるため、2つの層の間が剥離し易い上、塗膜中に充填材が均一に分散しない。
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、塗料の垂れを生じることなく形成することができる均一で厚い絶縁膜及びその形成方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記のような問題を解決すべく鋭意研究した結果、粉体塗料を塗装した後、その表面に粉体塗料よりも早く硬化する特定の塗料を塗装して硬化させることにより、粉体塗料の垂れを防止し、絶縁膜の均一化及び厚膜化の両立を達成し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、粉体塗料から形成される粉体塗膜である内層と、前記内層上に設けられ且つ前記粉体塗料よりも速く硬化する塗料から形成される塗膜である外層とを有する絶縁膜であって、前記外層を形成する前記塗料が、ビニル化合物を含む光硬化性塗料であることを特徴とする絶縁膜である。
また、本発明は、粉体塗料から形成される粉体塗膜である内層と、前記内層上に設けられ且つ前記粉体塗料よりも速く硬化する塗料から形成される塗膜である外層とを有する絶縁膜であって、前記外層を形成する前記塗料が、ジエチルアミノプロピルアミン、イソフォロンアミン及びm−キシレンアミンからなる群から選択される少なくとも1種のアミン化合物を含む熱硬化性塗料であることを特徴とする絶縁膜である。
本発明によれば、塗料の垂れを生じることなく形成することができる均一で厚い絶縁膜及びその形成方法を提供することができる。
実施の形態1の絶縁膜の断面図である。 従来の粉体塗装方法により形成される塗膜の側面図である。
実施の形態1.
以下、本発明の絶縁膜及びその形成方法の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
図1は、本実施の形態の絶縁膜の断面図である。図1において、本実施の形態の絶縁膜は、被塗装物1上に形成されており、粉体塗料から形成される粉体塗膜である内層2と、内層2上に設けられ且つ粉体塗料よりも速く硬化する塗料から形成される塗膜である外層3とを有する。
内層2に用いられる粉体塗料としては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。ここで、本明細書において「粉体塗料」とは、常温(25℃)で粉末状態の塗料を意味する。
内層2に用いられる好ましい粉体塗料は、基体樹脂、硬化剤及び充填材を含む。
基体樹脂としては、常温(25℃)で固体状態であれば特に限定されず、一般にエポキシ樹脂である。エポキシ樹脂の例としては、特に限定されないが、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ブロム化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ブロム化ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ブロム化ビスフェノールAD型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂;ブロム化脂環式エポキシ樹脂などの脂環式エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ブロム化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ブロム化クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独又は2種以上を混合して用いることができる。
基体樹脂の重量平均分子量は、使用する基体樹脂の種類によって異なるため、一義的に定義することができない。基体樹脂の重量平均分子量は、常温(25℃)で固体状態となるような範囲であればよい。ここで、本明細書において「重量平均分子量」とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められた値を意味する。
硬化剤としては、特に限定されず、使用する基体樹脂に応じて適宜選択すればよい。硬化剤の例としては、カルボン酸無水物、アミド化合物、フェノール化合物、イミダゾール化合物が挙げられる。これらの硬化剤は、単独又は2種以上を混合して用いることができる。
カルボン酸無水物の例としては、フタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコール無水トリメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸無水物などの芳香族カルボン酸無水物;アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの脂肪族カルボン酸の無水物;テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、ナジック酸無水物、クロレンド酸無水物、ハイミック酸無水物などの脂環式カルボン酸無水物が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を混合して用いることができる。
カルボン酸無水物の配合量は、基体樹脂の特定の官能基(例えば、エポキシ樹脂のエポキシ基)に対するカルボキシル基の当量比が、一般に0.3以上1.5以下、好ましくは0.5以上1.2以下となるような量である。当該当量比が0.3より小さいと耐熱性が低下し、当該当量比が1.5より大きいとポットライフが短くなる傾向にある。
アミド化合物の例としては、ジシアンジアミドなどが挙げられる。
アミド化合物の配合量は、基体樹脂の特定の官能基(例えば、エポキシ樹脂のエポキシ基)に対するアミド基の当量比が、一般に0.2以上2.0以下、好ましくは0.3以上1.5以下となるような量である。当該当量比が0.2より小さいと耐熱性が低下し、当該当量比が2.0より大きいとポットライフが短くなる傾向にある。
フェノール化合物の例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4’−ビフェニルフェノール、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリレン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェノール)、トリスヒドロキシフェニルメタン、ピロガロール、ジイソプロピリデン骨格を有するフェノール類、1,1−ジ−4−ヒドロキシフェニルフルオレンなどのフルオレン骨格を有するフェノール類、フェノール化ポリブタジエンなどのポリフェノール化合物、各種ノボラック樹脂及びこれらのフェノール化合物のハロゲン化物などが挙げられる。これらは、単独又は2種以上を混合して用いることができる。ここで、各種ノボラック樹脂の例としては、フェノール、クレゾール類、エチルフェノール類、ブチルフェノール類、オクチルフェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ナフトール類などの各種フェノールを原料とするノボラック樹脂、キシリレン骨格含有フェノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン骨格含有フェノールノボラック樹脂、フルオレン骨格含有フェノールノボラック樹脂などが挙げられる。
フェノール化合物の配合量は、基体樹脂の特定の官能基(例えば、エポキシ樹脂のエポキシ基)に対する水酸基の当量比が、一般に0.2以上2.0以下、好ましくは0.3以上1.5以下となるような量である。当該当量比が0.2より小さいと耐熱性が低下し、当該当量比が2.0より大きいとポットライフが短くなる傾向にある。
イミダゾール化合物の例としては、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジ アミノ−6(2’−ウンデシルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−エチル,4−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸の2:3付加物、2−フェニルイミダゾール・イソシアヌル酸付加物、2−フェニル−3,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−ヒドロキシメチル−5−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニル−3,5−ジシアノエトキシメチルイミダゾールなどが挙げられる。これらは、単独又は2種以上を混合して用いることができる。
イミダゾール化合物の配合量は、基体樹脂100重量部に対して一般に0.01質量部以上10質量部以下、好ましくは0.05質量部以上5質量部以下である。当該配合量が0.01質量部より少ないと硬化が不十分となり、当該配合量が10質量部より多いとポットライフが短くなる傾向にある。
充填材としては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。充填材の例としては、アルミナ、炭酸カルシウム、シリカなどの無機充填材;ポリアミド樹脂などの有機充填材が挙げられる。特に、無機充填材を配合すれば、塗膜の線膨張係数が被塗装物1の線膨張係数に近くなり、塗膜と被塗装物1との接着性を向上させることができる。また、有機充填材を配合すれば、塗膜の応力緩和を高めることができ、塗膜と被塗装物1との接着性を向上させることができる。
粉体塗料は、上記の成分に加えて、着色剤、カップリング剤、レベリング剤、潤滑剤及び応力緩和剤などの追加成分を必要に応じて含むことができる。これらの成分は、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。また、これらの成分の配合量は、本発明の効果を阻害しない範囲であれば特に限定されない。
粉体塗料は、上記の成分を用い、公知の方法により製造することができる。例えば、まず、ミキサーやブレンダーなどの混合装置を用いて上記の成分を乾式混合した後、ニーダーなどを用いて溶融混練して冷却する。その後、混練物を、機械式又は気流式の粉砕機を用いて粉砕した後、分級機を用いて分級することによって、特定のサイズの粉体塗料を得ることができる。
このようにして製造される粉体塗料の平均粒径は、形成する粉体塗膜(内層2)の厚さの0.05倍以上1.5倍以下であることが好ましく、一般には30μm以上100μm以下である。ここで、本明細書における「平均粒径」とは、目開きの異なるいくつかの篩を用い、その目開きを通過する割合を測定した値、又はレーザー回折式測定装置を用いて測定した値を意味する。なお、平均粒径が篩を用いて測定される場合、積算値50%の粒度のときの値を平均粒径とする。粉体塗料の平均粒径が、形成する粉体塗膜の厚さの0.05倍未満であると、粉体塗膜を形成するのに時間がかかりすぎることがある。一方、粉体塗料の平均粒径が、形成する粉体塗膜の厚さの1.5倍を超えると、被塗装物1から粉体塗料が脱落してしまうことがある。
外層3に用いられる塗料としては、内層2に用いられる粉体塗料よりも速く硬化する塗料であれば特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。また、外層3に用いられる塗料の形態は、特に限定されず、粉体状、液体状又はこれらの組み合わせとすることができる。
外層3に用いられる好ましい塗料は、熱硬化性塗料又は光硬化性塗料である。
外層3に用いられる熱硬化性塗料としては、内層2に用いられる粉体塗料よりも速く硬化する成分を含むものであれば特に限定されない。
外層3に用いられる好ましい熱硬化性塗料はアミン化合物を含む。
アミン化合物としては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。アミン化合物の例としては、鎖状脂肪族アミン、環状脂肪族アミン及び芳香族アミンが挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
鎖状脂肪族アミンの例としては、ジエチレントリアミン(DTA)、トリエチレンテトラミン(TTA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、ジプロプレンジアミン(DPDA)、ジエチルアミノプロピルアミン(DEAPA)、AMINE 248などが挙げられる。
環状脂肪族アミンの例としては、N−アミノエチルピペラジン(N−AEP)、テミロン C−260、Araldit HY−964、メンセンジアミン(MDA)、イソフオロンジアミン(IPDA)、S Cure 211、S Cure 212、ワンダミン HM、1.3 BACなどが挙げられる。
芳香族アミンの例としては、m−キシレンジアミン(m−XDA)、ショーアミンX、アミンブラック、ショーアミンブラック、ショーアミンN、ショーアミンN1001、ショーアミンN1010、メタフェニレンジアミン(MPDA)、ジアミノジフェニルメタン(DDM)、ジアミノジフェニルスルフォン(DDS)などが挙げられる。
上記の各種アミン化合物の中でも、ジエチルアミノプロピルアミン、イソフオロンアミン、m−キシレンアミンが好ましい。
熱硬化性塗料が粉体状である場合、熱硬化性塗料は、基体樹脂、硬化剤及び充填材をさらに含むことができる。この粉体状の熱硬化性塗料に用いられる基体樹脂、硬化剤及び充填材としては、内層2に用いられる粉体塗料で用いられるものと同じものを用いることができる。
熱硬化性塗料が液体状である場合、この熱硬化性塗料もまた、基体樹脂、硬化剤及び充填材をさらに含むことができる。この熱硬化性塗料に用いられる基体樹脂としては、熱硬化性塗料を液体状とするために、常温(25℃)で液体状態の基体樹脂を用いればよい。
常温(25℃)で液体状態の基体樹脂としては、特に限定されず、一般にエポキシ樹脂である。エポキシ樹脂の例としては、特に限定されないが、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ブロム化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ブロム化ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ブロム化ビスフェノールAD型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂;脂環式エポキシ樹脂やブロム化脂環式エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ブロム化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ブロム化クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、単独又は2種以上を混合して用いることができる。
常温で液体状態の基体樹脂の重量平均分子量は、使用する基体樹脂の種類によって異なるため、一義的に定義することはできない。そのため、基体樹脂の重量平均分子量は、常温(25℃)で液体状態となるような範囲であれば特に限定されない。
また、この液体状の熱硬化性塗料に用いられる硬化剤及び充填材としては、内層2に用いられる粉体塗料で用いられるものと同じものを用いることができる。
基体樹脂、硬化剤及び充填材を含む熱硬化性塗料を用いる場合、アミン化合物の配合割合は、基体樹脂の特定の官能基(例えば、エポキシ樹脂のエポキシ基)に対するアミン基の当量比が、一般に0.2以上2.0以下、好ましくは0.3以上1.5以下となるような量である。当該当量比が0.2より小さいと耐熱性が低下し、当該当量比が2.0より大きいとポットライフが短くなる傾向にある。
熱硬化性塗料は、上記の成分に加えて、反応性希釈剤、硬化触媒、充填材、着色剤、カップリング剤、レベリング剤、潤滑剤、応力緩和剤などを必要に応じて含有することができる。
熱硬化性塗料は、上記の成分を用い、公知の方法により製造することができる。例えば、粉体状の熱硬化性塗料を調製する場合、まず、ミキサーやブレンダーなどの公知の混合装置を用いて上記の成分を乾式混合した後、ニーダーなどを用いて溶融混練して冷却する。その後、混練物を、機械式又は気流式の粉砕機を用いて粉砕すればよい。また、液体状の熱硬化性塗料を調製する場合、ミキサーやブレンダーなどの公知の混合装置などを用いて記の成分を混合すればよい。
或いは、液体状の熱硬化性塗料として、アミン化合物を有機溶剤に溶解したものを用いてもよい。有機溶剤としては、揮発性が高い溶剤であれば特に限定されず、メチルエチルケトン、アセトン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトンなどを用いることができる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。この場合、熱硬化性塗料におけるアミン化合物の配合量は、一般に20質量%以上80質量%以下、好ましくは30質量%以上70質量%以下、より好ましくは40質量%以上60質量%以下である。また、この熱硬化性塗料は、本発明の効果を阻害しない範囲において、公知の添加剤を含むことができる。
外層3に用いられる熱硬化性塗料の硬化温度は、内層2に用いられる粉体塗料の硬化温度よりも10℃以上低いことが好ましく、20℃以上低いことがより好ましい。当該硬化温度の差が10度未満であると、加熱硬化を行う際に、内層2を形成するために塗装した粉体塗料の垂れが生じ、均一な絶縁膜が得られないことがある。
外層3に用いられる光硬化性塗料としては、光硬化性化合物を含むものであれば特に限定されず、例えば、ラジカル重合性二重結合を1つ以上有するビニル化合物を含むものであればよい。
また、光硬化性塗料の硬化波長としては、特に限定されないが、作業性の観点から、400nm以下の波長であることが好ましい。
ビニル化合物の例としては、アクリル酸又はメタクリル酸のエステル(例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−又は第三ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、エチレンジアクリレート、ネオペンチルジアクリレート、トリメチロールプロパントリスアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ペンタエリトリトールトリスアクリレート)、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−置換(メタ)−アクリルアミド、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルアクリレート、コハク酸ビニル)、ビニルエーテル、スチレン、アルキルスチレン、ハロゲノスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アリル化合物(例えば、ジアリルフタレート、ジアリルマレエート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフエート)などが挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
光硬化性塗料は、必要に応じて、光重合開始剤、有機溶剤、各種添加剤(安定剤、充填材、顔料など)をさらに含むことができる。
光硬化性塗料における上記の各成分の配合割合は、特に限定されず、使用する成分に応じて適宜調整すればよい。
光硬化性塗料は、上記の成分を用い、熱硬化性塗料の場合と同様に公知の方法により製造することができる。
また、光硬化性塗料として市販されているものを用いてもよい。
本実施の形態の絶縁膜は、被塗装物1の表面に、内層2を形成するための粉体塗料を塗装した後、その表面に、外層3を形成するための塗料を塗装して硬化することにより形成することができる。
塗装方法としては、特に限定されず、公知の塗装方法を用いることができる。例えば、粉体塗料については、静電塗装方法、流動浸漬法、静電流動浸漬法などの方法を用いることができる。また、液体塗料については、刷毛塗り、スプレー塗装、浸漬塗装などの方法を用いることができる。
内層2を形成するための粉体塗料の塗装は、1回のみ行って単層としてもよいが、複数回行って多層としてもよい。この粉体塗料の塗装の際、粉体塗料を溶融して被塗装物1に固着させる観点から、被塗装物1を加熱することが好ましい。被塗装物1の加熱温度は、特に限定されず、使用する粉体塗料の種類に応じて適宜設定すればよい。一般に、当該加熱温度は100℃以上240℃以下である。
外層3を形成するための塗料の塗装もまた、1回のみ行って単層としてもよいが、複数回行って多層としてもよい。この塗料を塗装する場合もまた、塗料の固着性の観点から、被塗装物1を加熱することが好ましい。
上記の各塗装におけるその他の条件(例えば、塗装時間など)については、所望とする膜厚や、使用する塗装装置、塗料の種類に応じて適宜調整すればよく、特に限定されない。
外層3を形成するための塗料は、その降伏値が重力による応力よりも小さいと、塗料の垂れが生じてしまうことがある。そのため、この塗料の垂れを抑制する観点から、外層3を形成するための塗料は、重力による応力よりも大きい降伏値を有することが好ましい。
外層3を形成するための塗料として熱硬化性塗料を用いた場合、各塗料の塗装後、加熱処理を行うことで各塗膜を十分に硬化させる。この時の加熱条件については、特に限定されず、使用する塗料の種類に応じて適宜設定すればよい。一般に、加熱温度は100℃以上240℃以下、加熱時間は10分以上3時間以内である。
外層3を形成するための塗料として光硬化性塗料を用いた場合、光硬化性塗料の塗装後、光照射することによって光硬化性塗料を先に硬化させる。その後、加熱処理を行うことで内層2を形成するための粉体塗料を十分に硬化させる。光照射及び加熱の条件については、特に限定されず、使用する光硬化性塗料の種類に応じて適宜設定すればよい。一般に、照射光の波長は、400nm以下である。また、加熱温度は100℃以上240℃以下、加熱時間は10分以上3時間以内である。
上記のようにして形成される絶縁膜は、外層3を形成するための塗料が、内層2を形成するための粉体塗料よりも先に硬化するため、内層2を形成するための粉体塗料が溶融して垂れることを外層3によって防止し、絶縁膜の均一化及び厚膜化が可能になる。
形成される絶縁膜の厚さは、特に限定されないが、好ましくは1mm以上、より好ましくは1.2mm以上5mm以下である。また、形成された絶縁膜に存在するボイドなどの欠陥は、一般に5個/mm以下である。
内層2を形成するための粉体塗料を塗装する被塗装物1としては、特に限定されず、例えば、鋼材、アルミ材などの金属材、ガラス、コンクリート、特殊樹脂などが挙げられる。また、被塗装物1の形状としては、特に限定されず、円柱形、直方体などの各種形状であることができる。特に、この方法によれば、塗料の垂れが生じ易い複雑な三次元形状の被塗装物1に対しても、塗料の垂れを生じることなく均一で厚い絶縁膜を形成することができる。被塗装物1が複雑な三次元形状を有している場合、上記の各塗装及び加熱処理の際に、被塗装物1の回転、反転などを行うことで、塗料にかかる重力を均一化させ、塗料の垂れを防止する効果が高まる。
本実施の形態の絶縁膜は、均一で厚く、絶縁性に優れているため、ガス絶縁開閉装置、高電圧装置、回転機(小型、中型、大型)などの装置における各種部材の絶縁を行う絶縁膜として使用することができる。特に、この絶縁膜は、六フッ化硫黄ガス(SF6)を絶縁媒体として用いるガス絶縁開閉装置の固定子コイルの表面に形成するのに最適である。
以下、実施例により本発明の詳細を説明するが、これらによって本発明が限定されるものではない。
(実施例1)
エポキシ樹脂A(常温で固体のビスフェノールA型エポキシ樹脂、重量平均分子量1150)100質量部、エポキシ樹脂B(常温で固体のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、重量平均分子量1400)30質量部、硬化剤A(ジシアンジアミド)7質量部、硬化剤B(イミダゾール)3質量部、及び充填材(アルミナ)15質量部を、ミキサーを用いて乾式混合した後、2軸ニーダーを用いて溶融混練した。次に、得られた混練物を冷却して固化した後、粉砕機を用いて粉砕し、分級機を用いて分級することによって、平均粒径が40μmの粉体塗料Aを得た。この粉体塗料Aの硬化開始温度は120℃であった。
他方、ジエチルアミノプロピルアミン10質量部をさらに配合したこと以外は、上記と同様の成分及び方法を用いて平均粒径が40μmの粉体塗料Bを得た。この粉体塗料Bの硬化開始温度は80℃であった。
次に、静電塗装方法を用い、上記の粉体塗料Aを被塗装物(円柱状の導体、長さ1000mm×直径50mm)の表面に塗装した。このとき、被塗装物を120℃に加熱し、被塗装物を100rpmの速度で回転させつつ80kVの印加電圧で静電塗装を行った。
次に、上記の粉体塗料Bを、塗装した粉体塗料Aの表面に、上記と同様の条件で静電塗装を行った。
次に、塗膜を100℃で15分加熱した後、180℃で30分間さらに加熱することによって、粉体塗料Aから形成される内層と、粉体塗料Bから形成される外層とを有する絶縁膜を得た。
得られた絶縁膜は、加熱時に塗料の垂れが生じなかった。また、絶縁膜の膜厚について、10cm四方で測定した平均膜厚と、最大又は最小膜厚との差は20%以内であり、均一性が高い絶縁膜であることを確認した。
次に、絶縁膜を形成した円柱状の導体を、接地した同心円状の金属容器内に配置し、容器内にSF6ガスを充填した。その後、導体に高電圧を印加し、絶縁膜表面の絶縁破壊電界を測定した。その結果、絶縁膜表面の絶縁破壊電界は、絶縁膜を形成していない導体の絶縁破壊電界の1.7倍であった。
絶縁破壊電界の測定後、レーザー顕微鏡及び超音波顕微鏡を用いて絶縁膜中のボイドの最大径及び存在確率を測定した。その結果、ボイドの最大径は50μmと小さく、ボイドの存在確率は1個/mmと少なかった。
(実施例2)
粉体塗料Bにおいてジエチルアミノプロピルアミン10質量部の代わりにイソフォロンアミン10質量部を配合したこと以外は同様にして、平均粒径が40μmの粉体塗料Cを得た。この粉体塗料Cの硬化開始温度は70℃であった。
次に、粉体塗料Aを用いて内層、粉体塗料Cを用いて外層を実施例1と同様の条件で形成することによって絶縁膜を得た。
得られた絶縁膜は、加熱時に塗料の垂れが生じなかった。また、絶縁膜の膜厚について、10cm四方で測定した平均膜厚と、最大又は最小膜厚との差は20%以内であり、均一性が高い絶縁膜であることを確認した。
また、絶縁膜表面の絶縁破壊電界を上記と同様にして測定した結果、絶縁膜表面の絶縁破壊電界は、絶縁膜を形成していない導体の絶縁破壊電界の1.8倍であった。
さらに、絶縁破壊電界の測定後、上記と同様にして絶縁膜中のボイドの最大径及び存在確率を測定した結果、ボイドの最大径は45μmと小さく、ボイドの存在確率は1個/mmと少なかった。
(実施例3)
粉体塗料Bにおいてジエチルアミノプロピルアミン10質量部の代わりにm−キシレンアミン15質量部を配合したこと以外は同様にして、平均粒径が40μmの粉体塗料Dを得た。この粉体塗料Dの硬化開始温度は60℃であった。
次に、粉体塗料Aを用いて内層、粉体塗料Dを用いて外層を実施例1と同様の条件で形成することによって絶縁膜を得た。
得られた絶縁膜は、加熱時に塗料の垂れが生じなかった。また、絶縁膜の膜厚について、10cm四方で測定した平均膜厚と、最大又は最小膜厚との差は20%以内であり、均一性が高い絶縁膜であることを確認した。
また、絶縁膜表面の絶縁破壊電界を上記と同様にして測定した結果、絶縁膜表面の絶縁破壊電界は、絶縁膜を形成していない導体の絶縁破壊電界の1.7倍であった。
さらに、絶縁破壊電界の測定後、上記と同様にして絶縁膜中のボイドの最大径及び存在確率を測定した結果、ボイドの最大径は35μmと小さく、ボイドの存在確率は1個/mmと少なかった。
(実施例4)
エポキシ樹脂C(常温で固体のビスフェノールA型エポキシ樹脂、重量平均分子量1500)100質量部、エポキシ樹脂D(常温で固体のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、重量平均分子量1600)30質量部、硬化剤A(ジシアンジアミド)7質量部、硬化剤B(イミダゾール)3質量部、及び充填材(アルミナ)15質量部を、ミキサーを用いて乾式混合した後、2軸ニーダーを用いて溶融混練した。次に、得られた混練物を冷却して固化した後、粉砕機を用いて粉砕し、分級機を用いて分級することによって、平均粒径が45μmの粉体塗料Eを得た。この粉体塗料Eの硬化開始温度は120℃であった。
他方、エポキシ樹脂E(常温で液体のビスフェノールA型エポキシ樹脂、重量平均分子量250)100質量部、硬化剤B(イミダゾール)10質量部、及びジエチルアミノプロピルアミン10質量部を混合撹拌することによって液体塗料Aを得た。この液体塗料Aの硬化開始温度は70℃であった。
次に、静電流動浸漬法を用い、上記の粉体塗料Eを被塗装物(円柱状の導体、長さ1000mm×直径50mm)の表面に塗装した。このとき、被塗装物を120℃に加熱し、被塗装物を80rpmの速度で回転させつつ40kVの印加電圧で静電塗装を行った。
次に、上記の液体塗料Aを、塗装した粉体塗料Eの表面にスプレー塗装した。
次に、塗膜を100℃で15分加熱した後、180℃で30分間さらに加熱することによって、粉体塗料Eから形成される内層と、液体塗料Aから形成される外層とを有する絶縁膜を得た。
得られた絶縁膜は、加熱時に塗料の垂れが生じなかった。また、絶縁膜の膜厚について、10cm四方で測定した平均膜厚と、最大又は最小膜厚との差は20%以内であり、均一性が高い絶縁膜であることを確認した。
また、絶縁膜表面の絶縁破壊電界を上記と同様にして測定した結果、絶縁膜表面の絶縁破壊電界は、絶縁膜を形成していない導体の絶縁破壊電界の1.7倍であった。
さらに、絶縁破壊電界の測定後、上記と同様にして絶縁膜中のボイドの最大径及び存在確率を測定した結果、ボイドの最大径は40μmと小さく、ボイドの存在確率は1個/mmと少なかった。
(実施例5)
ジエチルアミノプロピルアミン50質量部をメチルエチルケトン(MEK)100質量部に加えて溶解することによって液体塗料Bを得た。
次に、粉体塗料Eを用いて内層、液体塗料Bを用いて外層を実施例4と同様の条件で形成することによって絶縁膜を得た。
得られた絶縁膜は、加熱時に塗料の垂れが生じなかった。また、絶縁膜の膜厚について、10cm四方で測定した平均膜厚と、最大又は最小膜厚との差は20%以内であり、均一性が高い絶縁膜であることを確認した。
また、絶縁膜表面の絶縁破壊電界を上記と同様にして測定した結果、絶縁膜表面の絶縁破壊電界は、絶縁膜を形成していない導体の絶縁破壊電界の1.7倍であった。
さらに、絶縁破壊電界の測定後、上記と同様にして絶縁膜中のボイドの最大径及び存在確率を測定した結果、ボイドの最大径は40μmと小さく、ボイドの存在確率は1個/mmと少なかった。
(実施例6)
粉体塗料Aにおいて、充填材(アルミナ)を除くと共に、ジエチルアミノプロピルアミン10質量部を配合したこと以外は同様にして粉体塗料を得た。この粉体塗料30質量部をメチルエチルケトン(MEK)70質量部に加えて溶解することによって液体塗料Cを得た。この液体塗料Cの硬化開始温度は80℃であった。
次に、流動浸漬法を用い、粉体塗料Aを被塗装物(円柱状の導体、長さ1000mm×直径50mm)の表面に塗装した。このとき、被塗装物を120℃に加熱し、被塗装物を120rpmの速度で回転させつつ塗装を行った。
次に、上記の液体塗料Cを、塗装した粉体塗料Aの表面にスプレー塗装した。
次に、塗膜を100℃で15分加熱した後、180℃で30分間さらに加熱することによって、粉体塗料Aから形成される内層と、液体塗料Cから形成される外層とを有する絶縁膜を得た。
得られた絶縁膜は、加熱時に塗料の垂れが生じなかった。また、絶縁膜の膜厚について、10cm四方で測定した平均膜厚と、最大又は最小膜厚との差は20%以内であり、均一性が高い絶縁膜であることを確認した。
また、絶縁膜表面の絶縁破壊電界を上記と同様にして測定した結果、絶縁膜表面の絶縁破壊電界は、絶縁膜を形成していない導体の絶縁破壊電界の1.7倍であった。
さらに、絶縁破壊電界の測定後、上記と同様にして絶縁膜中のボイドの最大径及び存在確率を測定した結果、ボイドの最大径は55μmと小さく、ボイドの存在確率は1個/mmと少なかった。
(実施例7)
外層を形成する塗料として、UV硬化型アクリル粉体塗料(TRIAB株式会社製)を用いた。
まず、静電塗装方法を用い、粉体塗料Aを被塗装物(円柱状の導体、長さ1000mm×直径50mm)の表面に塗装した。このとき、被塗装物を120℃に加熱し、被塗装物を100rpmの速度で回転させつつ80kVの印加電圧で静電塗装を行った。
次に、UV硬化型アクリル粉体塗料を、塗装した粉体塗料Aの表面に、上記と同様の条件で静電塗装を行った。
次に、365nmの波長を有するUVを3000mJ/cmの照射量で照射し、UV硬化型アクリル粉体塗料を硬化させ後、160℃で30分間に加熱することによって、粉体塗料Aから形成される内層と、UV硬化型アクリル粉体塗料から形成される外層とを有する絶縁膜を得た。
得られた絶縁膜は、加熱時に塗料の垂れが生じなかった。また、絶縁膜の膜厚について、10cm四方で測定した平均膜厚と、最大又は最小膜厚との差は20%以内であり、均一性が高い絶縁膜であることを確認した。
また、絶縁膜表面の絶縁破壊電界を上記と同様にして測定した結果、絶縁膜表面の絶縁破壊電界は、絶縁膜を形成していない導体の絶縁破壊電界の1.9倍であった。
さらに、絶縁破壊電界の測定後、上記と同様にして絶縁膜中のボイドの最大径及び存在確率を測定した結果、ボイドの最大径は50μmと小さく、ボイドの存在確率は1個/mmと少なかった。
(実施例8)
エポキシ樹脂F(常温で固体のビスフェノールA型エポキシ樹脂、重量平均分子量1400)100質量部、エポキシ樹脂G(常温で固体のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、重量平均分子量1200)20質量部、硬化剤A(ジシアンジアミド)7質量部、硬化剤B(イミダゾール)3質量部、及び充填材(炭酸カルシウム)15質量部を、ミキサーを用いて乾式混合した後、2軸ニーダーを用いて溶融混練した。次に、得られた混練物を冷却して固化した後、粉砕機を用いて粉砕し、分級機を用いて分級することによって、平均粒径が50μmの粉体塗料Fを得た。この粉体塗料Fの硬化開始温度は105℃であった。
他方、エポキシ樹脂H(常温で液体のビスフェノールA型エポキシ樹脂、重量平均分子量300)100質量部、硬化剤B(イミダゾール)10質量部、及びジエチルアミノプロピルアミン10質量部を混合撹拌することによって液体塗料Dを得た。この液体塗料Dの硬化開始温度は70℃であった。また、液体塗料Dの降伏値は400Paであり、重力によって液体塗料にかかる応力は360Paであった。ここで、降伏値はレオメータを用いて測定した。また、重力による応力は計算値である。
まず、静電流動浸漬法を用い、上記の粉体塗料Fを被塗装物(円柱状の導体、長さ1000mm×直径50mm)の表面に塗装した。このとき、被塗装物を120℃に加熱し、被塗装物を120rpmの速度で回転させつつ40kVの印加電圧で静電塗装を行った。
次に、上記の液体塗料Dを、塗装した粉体塗料Fの表面にスプレー塗装した。
次に、塗膜を80℃で15分加熱した後、180℃で30分間さらに加熱することによって、粉体塗料Fから形成される内層と、液体塗料Dから形成される外層とを有する絶縁膜を得た。
得られた絶縁膜は、加熱時に塗料の垂れが生じなかった。また、絶縁膜の膜厚について、10cm四方で測定した平均膜厚と、最大又は最小膜厚との差は20%以内であり、均一性が高い絶縁膜であることを確認した。
また、絶縁膜表面の絶縁破壊電界を上記と同様にして測定した結果、絶縁膜表面の絶縁破壊電界は、絶縁膜を形成していない導体の絶縁破壊電界の1.8倍であった。
さらに、絶縁破壊電界の測定後、上記と同様にして絶縁膜中のボイドの最大径及び存在確率を測定した結果、ボイドの最大径は40μmと小さく、ボイドの存在確率は1個/mmと少なかった。
(比較例1)
まず、静電塗装方法を用い、粉体塗料Aを被塗装物(円柱状の導体、長さ1000mm×直径50mm)の表面に塗装した。このとき、被塗装物を120℃に加熱し、被塗装物を100rpmの速度で回転させつつ80kVの印加電圧で静電塗装を行った。
次に、粉体塗料Aを、塗装した粉体塗料Aの表面に、上記と同様の条件で静電塗装を再度行った。ここで粉体塗料Aの降伏値は400Paであり、重力によって粉体塗料にかかる応力は450Paであった。
次に、塗膜を100℃で15分加熱した後、180℃で30分間さらに加熱することによって、粉体塗料Aから形成される内層と、粉体塗料Aから形成される外層とを有する絶縁膜を得た。
得られた絶縁膜は、加熱時に塗料の垂れが生じた。また、絶縁膜の膜厚について、10cm四方で測定した平均膜厚と、最大又は最小膜厚との差が240%と高くなり、絶縁膜の均一性が低下した。
また、絶縁膜表面の絶縁破壊電界を上記と同様にして測定した結果、絶縁膜表面の絶縁破壊電界は、絶縁膜を形成していない導体の絶縁破壊電界の1.1倍であった。
(比較例2)
粉体塗料Aにおいて、硬化剤A(ジシアンジアミド)を除いたこと以外は同様にして粉体塗料Gを得た。この粉体塗料Gの硬化開始温度は160℃であった。
次に、静電流動浸漬法を用い、上記の粉体塗料Gを被塗装物(円柱状の導体、長さ1000mm×直径50mm)の表面に塗装した。このとき、被塗装物を120℃に加熱し、被塗装物を80rpmの速度で回転させつつ40kVの印加電圧で静電塗装を行った。
次に、塗膜を180℃で30分加熱することによって、粉体塗料Gから形成される絶縁膜を得た。
得られた絶縁膜は、加熱時に塗料の垂れが生じた。また、絶縁膜の膜厚について、10cm四方で測定した平均膜厚と、最大又は最小膜厚との差が240%と高くなり、絶縁膜の均一性が低下した。
また、絶縁膜表面の絶縁破壊電界を上記と同様にして測定した結果、絶縁膜表面の絶縁破壊電界は、絶縁膜を形成していない導体の絶縁破壊電界の1.1倍であった。
以上の結果からわかるように、本発明によれば、粉体塗料を塗装した後、その表面に粉体塗料よりも早く硬化する塗料を塗装して硬化させることにより、塗料の垂れを生じることなく形成することができる均一で厚い絶縁膜及びその形成方法を提供することができる
1 被塗装物、2 内層、3 外層。

Claims (8)

  1. 粉体塗料から形成される粉体塗膜である内層と、前記内層上に設けられ且つ前記粉体塗料よりも速く硬化する塗料から形成される塗膜である外層とを有する絶縁膜であって、
    前記外層を形成する前記塗料が、ビニル化合物を含む光硬化性塗料であることを特徴とする絶縁膜。
  2. 粉体塗料から形成される粉体塗膜である内層と、前記内層上に設けられ且つ前記粉体塗料よりも速く硬化する塗料から形成される塗膜である外層とを有する絶縁膜であって、
    前記外層を形成する前記塗料が、ジエチルアミノプロピルアミン、イソフォロンアミン及びm−キシレンアミンからなる群から選択される少なくとも1種のアミン化合物を含む熱硬化性塗料であることを特徴とする絶縁膜。
  3. 前記内層を形成する前記粉体塗料は、エポキシ樹脂、硬化剤及び充填材を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の絶縁膜。
  4. 前記硬化剤は、カルボン酸無水物、アミド化合物、フェノール化合物及びイミダゾール化合物からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項に記載の絶縁膜。
  5. 前記外層を形成する前記塗料は、前記内層を形成する前記粉体塗料に含まれる前記硬化剤と同じ硬化剤をさらに含むことを特徴とする請求項又はに記載の絶縁膜。
  6. 前記外層を形成する前記塗料は、重力による応力よりも大きい降伏値を有することを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の絶縁膜。
  7. 請求項1〜のいずれか一項に記載の絶縁膜を表面に有することを特徴とする固定子コイル。
  8. 請求項に記載の固定子コイルを有することを特徴とするガス絶縁開閉装置。
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