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JP2008276990A - 燃料電池用電極および燃料電池 - Google Patents

燃料電池用電極および燃料電池 Download PDF

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JP2008276990A
JP2008276990A JP2007116170A JP2007116170A JP2008276990A JP 2008276990 A JP2008276990 A JP 2008276990A JP 2007116170 A JP2007116170 A JP 2007116170A JP 2007116170 A JP2007116170 A JP 2007116170A JP 2008276990 A JP2008276990 A JP 2008276990A
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Hideo Ota
英男 太田
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Abstract

【課題】出力性能に優れる燃料電池用電極及び燃料電池を提供する。
【解決手段】拡散層と、前記拡散層に積層され、触媒及び繊維状プロトン伝導体を含む触媒層とを具備することを特徴とする燃料電池用電極。そして,前記繊維状プロトン伝導体は、高分子電解質を紡績したものである。また,前記繊維状プロトン伝導体は、表面が高分子電解質で被覆された繊維である。更に,燃料極と、酸化剤極と、前記燃料極及び前記酸化剤極の間に配置される電解質膜7とを具備する燃料電池であって、前記燃料極及び前記酸化剤極のうちの少なくとも一方の電極に上記の燃料電池用電極を用いる燃料電池。
【選択図】図2

Description

本発明は、燃料電池用電極と、この燃料電池用電極を用いた燃料電池に関する。
近年、電子技術の進歩により、電子機器の小型化、高性能化、ポータブル化が進んでおり、携帯用電子機器においては、使用される電池の高エネルギー密度化への要求が高まっている。そのため、軽量で小型でありながら高容量の二次電池が要求されている。
このような状況のもと、小型の燃料電池が注目を集めている。特に、メタノールを燃料として用いた直接メタノール型燃料電池(DMFC:direct methanol fuel cell)は、エネルギー密度の高いメタノールを燃料として使用し、メタノールから電極触媒上で直接電流を取り出すことができるため、有機燃料を改質して水素を作り出すための改質器が不要で小型化が可能であり、出力密度が高いので、携帯機器用の電源として有望視されている。
DMFCでは、燃料極においてメタノールが酸化分解され、二酸化炭素、プロトンおよび電子が生成される。一方、空気極のような酸化剤極では、空気から得られる酸素と、電解質膜を経て燃料極から供給されるプロトン、および燃料極から外部回路を通じて供給される電子によって水が生成される。また、この外部回路を通る電子によって電力が供給される。
燃料極と酸化剤極の間に、スルホン酸基を有するフッ素系高分子などからなるプロトン伝導性の電解質膜を介在させたものが、燃料電池において膜電極接合体として用いられている。また、燃料極および酸化剤極は、それぞれ、拡散層および触媒層から形成されている。例えば、燃料極にメタノールおよび水からなる混合燃料が、酸化剤極に酸化剤ガス(空気や酸素ガス)が供給されると、それぞれの触媒層において化学式(1)および化学式(2)で示す触媒反応が生じる。
燃料極:CH3OH+H2O→CO2+6H++6e- (1)
酸化剤極:6H++(3/2)O2+6e-→3H2O (2)
このように、燃料極触媒層で発生したプロトンは電解質膜へ、電子は一方の燃料極拡散層へ移動し、酸化剤極触媒層では酸化剤極拡散層から供給される電子と電解質膜から供給されるプロトンと酸素とを反応させることで、電極間に電流を流す。
電極と電解質膜との密着性を改善するため、燃料極及び酸化剤極のうち少なくとも一方の電極の内部にイオン交換基を持つ高分子電解質(例えばNafion(登録商標)などの過フッ化イオン交換粉末)を含有させることが行われている(例えば特許文献1)。
しかしながら、特許文献1に記載の燃料電池は、出力性能に課題を有する。すなわち、イオン交換基を持つ高分子電解質は、分子量が大きいために一分子の長さが長いものの、その長さは触媒層厚から比べると数桁小さい値である。このため、触媒層に高分子電解質を均一に分散させたとしても、高分子電解質同士がつながっておらず、高分子電解質が途中で途切れている箇所が存在する。その結果、触媒反応により発生したプロトンの移動が十分になされなくなるため、触媒反応の進行が阻害されて触媒利用率が低下し、高い出力を得られない。
特開平4−132168号公報
本発明は、出力性能に優れる燃料電池用電極及び燃料電池を提供することを目的とする。
本発明に係る燃料電池用電極は、拡散層と、前記拡散層に積層され、触媒及び繊維状プロトン伝導体を含む触媒層とを具備することを特徴とする。
本発明に係る燃料電池は、燃料極と、酸化剤極と、前記燃料極及び前記酸化剤極の間に配置される電解質膜とを具備する燃料電池であって、前記燃料極及び前記酸化剤極のうちの少なくとも一方の電極に、拡散層と、前記拡散層に積層され、触媒及び繊維状プロトン伝導体を含む触媒層とを具備した燃料電池用電極を用いることを特徴とする。
本発明によれば、出力性能に優れる燃料電池用電極及び燃料電池を提供することができる。
本発明は、繊維状のプロトン伝導体を触媒層中に混合することで、長距離のプロトン伝導が可能になり、電極における触媒利用率が向上され、インピーダンスが小さくなって出力性能が向上されることを見出したことに基づくものである。
本発明は、燃料極及び酸化剤極のうち少なくとも一方の電極に適用することが可能であるが、燃料極に用いることで、より大きな効果が期待できる。
燃料極触媒層あるいは酸化剤極触媒層が積層される拡散層には、例えば、導電性材料で形成された多孔質体を使用することができる。多孔質体には、貫通孔が存在していることが望ましい。燃料極拡散層は、燃料極触媒層で生成された電子を効率よく外部へ伝達する機能と、液体状あるいは気体状の燃料を燃料極触媒層へ供給する機能とを有する。一方、酸化剤極拡散層は、外部から供給される電子を効率よく酸化剤極へ伝達する機能と、酸化剤ガスを酸化剤極触媒層へ供給する機能とを有する。
拡散層に使用される材料としては、電子伝導を有する材料であれば特に限定されずに使用することができ、例えばカーボンなどの炭素材料の他に、金属や、すず酸化物、チタン酸化物などの導電性を有する金属酸化物などが挙げられる。ただし、一般にプロトン伝導性を持つ材料は強酸性材料であるため、特に金属材料を拡散層に使用する時には耐酸性の高い材料を選択することが望ましい。
多孔質体としては、例えばカーボンファイバーなどで形成されるカーボンクロスやカーボンペーパーなどのように、導電性繊維をシート状に加工したものを使用することが好ましく、例えば繊維径1μm程度以上のカーボンファイバーで作られた気孔率50%以上のカーボンペーパーあるいはカーボンクロスを使用することができる。また、多孔質体としては焼結体を使用することも可能であり、金属材料あるいは金属酸化物を焼結したものを使用しても良い。
燃料極触媒層及び酸化剤極触媒層は、それぞれ、電極用触媒粒子と、プロトン伝導材料とを含む。プロトン伝導材料は、電極用触媒粒子と電極外部(燃料電池に使用した時の電解質膜)との間のプロトン伝導性パスとして機能する。
燃料極及び酸化剤極のうち少なくとも一方に、繊維状のプロトン伝導体(以下、プロトン伝導体繊維と称す)が使用される。一方の電極にプロトン伝導体繊維を使用した場合、他方の電極にもプロトン伝導体繊維を使用しても良いし、プロトン伝導体繊維の代わりに非繊維状のプロトン伝導体を使用することも可能である。プロトン伝導体繊維には、高分子電解質を紡績したものか、表面が高分子電解質で被覆された繊維を使用することが可能である。プロトン伝導体繊維は、平均繊維長が最大繊維径の5倍以上である繊維形状を有することが望ましい。このような繊維形状を持たないプロトン伝導体を非繊維状のプロトン伝導体として使用することが好ましい。
繊維状と非繊維状のプロトン伝導体を用いる触媒層の形成方法を説明する。触媒に、プロトン伝導体繊維と、プロトン伝導体の溶液と、水と、メトキシプロパノールとを添加してペーストを調製する。得られたペーストを、コーターやスプレーによって拡散層に塗布し、乾燥させることにより拡散層に触媒層を形成する。乾燥工程では、プロトン伝導体溶液中の溶媒が揮発するため、残った固形分が非繊維状のプロトン伝導体となる。プロトン伝導体溶液の多くは、触媒の表面に付着するため、非繊維状のプロトン伝導体の大部分は触媒の表面に付着している。なお、溶媒が揮発するときの体積変化で触媒層にひび割れが発生することが問題となっており、厚塗りでは特にひび割れが顕著である。そこで少しずつ多層に分けて形成することが求められており、スプレーで少しずつ塗ると同時に溶媒を乾燥させる方法もある。
プロトン伝導材料には、繊維状と非繊維状の混合物を使用することが望ましい。非繊維状のプロトン伝導体は、前述したようにその多くが触媒の表面に付着しているが、他の非繊維状プロトン伝導体から孤立しているものが多い。プロトン伝導体繊維は、非繊維状プロトン伝導体間のプロトン移動を橋渡しする役割をし、非繊維状プロトン伝導体間のプロトン移動をプロトン伝導体繊維を介して行うことができるため、触媒層におけるプロトン拡散を促進することができる。よって、出力性能の大幅な改善が期待できる。混合による十分な効果を得るために、プロトン伝導材料中のプロトン伝導体繊維の混合比率を20重量%以上、40重量%以下にすることが望ましい。
プロトン伝導体繊維は、触媒層中を電解質膜と対向する面に対して垂直に配向していることが好ましい。また、プロトン伝導体繊維は、非繊維状のプロトン伝導体との接着性が高く、界面でのプロトン伝導性も良好であることが好ましい。
プロトン伝導体繊維の形状としては、平均繊維長が1μm〜100μm程度、平均繊維径が5nm〜500nm、のものを使用することが望ましい。平均繊維長が1μmよりも短いとプロトン伝導体繊維に付着できる電極触媒やプロトン伝導体バインダーの量が少なくなり、燃料電池の起電力が小さくなる恐れがある。また、プロトン伝導体繊維と電解質膜との距離が大きくなり、カーボン表面に担持される触媒粒子と電解質膜との間のプロトン伝導パスが長くなるおそれもある。平均繊維長100μmを超えるプロトン伝導体繊維は高密度に拡散層表面に生成させることが困難になり、触媒層中の電極用触媒粒子の比率が低下する可能性がある。一方、平均繊維径が500nmより太くなるとプロトン伝導体繊維の比表面積が小さくなり、カーボン担持触媒や非繊維状のプロトン伝導体との接触比率が低下する恐れがある。また、平均繊維径が5nmよりも細くなると、プロトン伝導性が低下したり、切断しやすくなったりする。
プロトン伝導体繊維の繊維長及び繊維径の測定方法を以下に説明する。まず、電極にエポキシ樹脂を流し込んで埋め、エポキシ樹脂を硬化させる。次いで、この電極をマイクロトームを用いダイヤモンドカッターにより薄く切断する。透過電子顕微鏡(TEM)にて観察を行うと、プロトン伝導体とエポキシ樹脂の差がわからないために、プロトン伝導体のH+イオンをAg+イオンと置換を行う。画像からプロトン伝導体の長さと径を測定して繊維であるかを判断することが出来る。
プロトン伝導性のある高分子電解質としては、例えば(A)主鎖が脂肪族炭化水素からなる高分子にスルホン酸基および/またはホスホン酸基を導入した高分子電解質、(B)主鎖が、フッ素で置換された脂肪族炭化水素からなる高分子にスルホン酸基および/またはホスホン酸基を導入した高分子電解質、(C)主鎖が芳香環を有する高分子にスルホン酸基および/またはホスホン酸基を導入した高分子電解質、(D)主鎖に実質的に炭素原子を含まないポリシロキサン、ポリフォスファゼンなどの高分子に、スルホン酸基および/またはホスホン酸基を導入した高分子電解質、(E)(A)〜(D)のスルホン酸基および/またはホスホン酸基導入前の高分子を構成する繰り返し単位から選ばれるいずれか2種以上の繰り返し単位からなる共重合体にスルホン酸基および/またはホスホン酸基を導入した高分子電解質等が挙げられる。ここに「高分子にスルホン酸基および/またはホスホン酸基を導入した」とは、「高分子骨格にスルホン酸基および/またはホスホン酸基を化学結合を介して導入した」ことを意味する。中でも、化学的安定性の観点からは、(B)が好ましい。また、耐熱性の観点からは、(C)であることが好ましい。
上記(A)の高分子電解質としては、例えば、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリ(α−メチルスチレン)スルホン酸、等が挙げられる。
上記(B)の高分子電解質としては、例えば、パーフルオロカーボンスルホン酸、ホスホン酸基を有するパーフルオロアルキルポリマー、ポリトリフルオロスチレンスルホン酸、ポリトリフルオロスチレンホスホン酸等が挙げられ、Nafion(デュポン社の登録商標)等のパーフルオロカーボンスルホン酸が好ましい。
上記(C)の高分子電解質としては、主鎖が酸素原子等のヘテロ原子で中断されているものであってもよく、例えば、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ(アリーレン・エーテル)、ポリフォスファゼン、ポリイミド、ポリ(4-フェノキシベンゾイル-1,4-フェニレン)、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニルキノキサレン等の単独重合体のそれぞれにスルホン酸基が導入されたもの、アリールスルホン化ポリベンズイミダゾール、アルキルスルホン化ポリベンズイミダゾール、アルキルホスホン化ポリベンズイミダゾール、ホスホン化ポリ(フェニレンエーテル)等が挙げられる。
上記(D)の高分子電解質としては例えば、スルホン酸、ホスホン酸基を有するポリシロキサン等が挙げられる。
上記(E)の高分子電解質としては、ランダム共重合体にスルホン酸基および/またはホスホン酸基が導入されたものでも、交互共重合体にスルホン酸基および/またはホスホン酸基が導入されたものでも、ブロック共重合体にスルホン酸基および/またはホスホン酸基が導入されたものでもよい。ランダム共重合体にスルホン酸基が導入されたものとしては、例えば、スルホン化ポリエーテルスルホン-ジヒドロキシビフェニル共重合体が挙げられる。ブロック共重合体にスルホン酸基および/またはホスホン酸基が導入されたものとしては、全てのブロックの主鎖が脂肪族炭化水素で構成されるブロック共重合体、例えばスチレン-(エチレン-ブチレン)-スチレントリブロック共重合体にスルホン酸基および/またはホスホン酸基を導入したもの等であってもよいが、少なくとも一つのブロックがその主鎖に芳香環を有するブロック共重合体であることが耐熱性が高く好ましい。またスルホン酸基および/またはホスホン酸基を持つブロックとスルホン酸基および/またはホスホン酸基を実質的に持たないブロックとをそれぞれ一つ以上有するブロック共重合体が伝導性に優れるためより好ましい。
上記の高分子電解質を紡績により繊維形状とするか、あるいは繊維の表面を高分子電解質で被覆しても良い。繊維としては、綿、羊毛、セルロースなどの天然繊維でもよく、ポリエステル、ナイロン、アクリル、レーヨンなどの化学繊維を用いてもよい。紡績により形成する方が、表面だけでなく内部にもプロトンが拡散するため、好ましい。また、非繊維状のプロトン伝導体も上記の高分子電解質から形成することができる。
触媒層中におけるプロトン伝導材料(非繊維状プロトン伝導体およびプロトン伝導体繊維の合計)の比率は、5重量%〜60重量%の範囲内であることが好ましい。プロトン伝導体の比率が5重量%よりも少ないと、触媒層中のプロトン伝導体の比率が少なくなる恐れがある。一方、プロトン伝導体の比率が60重量%よりも多いと、触媒層中の気孔率が低下し、電気導電性が下がり、電極用触媒粒子の使用効率が低下する可能性がある。
燃料極触媒層および酸化剤極触媒層に含有される触媒としては、例えば、白金族元素であるPt、Ru、Rh、Ir、Os、Pdなどの単体金属、これらの白金族元素を含有する合金などを挙げることができる。具体的には、燃料極触媒として、メタノールや一酸化炭素に対して強い耐性を有するPt−RuやPt−Moなどの合金を、酸化剤極触媒として、白金やPt−Niなどの合金を用いることが好ましいが、これらに限定されるものではない。また、活性炭や黒鉛などの粒子状または繊維状のカーボンのような導電性担持体に、前記した触媒の微粒子を担持したカーボン担持触媒を使用してもよい。導電性担持体は、触媒粒子とプロトン伝導材料との間の電子伝導パスとして機能する。
燃料極拡散層、燃料極触媒層、電解質膜、空気極触媒層、空気極拡散層を重ね合わせて加熱プレスし、膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly )を完成させる。
このように構成されるMEAは、燃料電池に設置され、燃料供給と空気供給により電力を発現する。燃料電池は、その形態から、液体燃料と酸化剤の供給をポンプなどの補器を用いて行うアクティブ型燃料電池、液体燃料の気化成分を燃料極に供給するパッシブ型(内部気化型)燃料電池、セミパッシブ型の燃料電池などが挙げられる。アクティブ型燃料電池では、メタノール水溶液からなる燃料について、その量が一定になるようにポンプで調整しながらMEAの燃料極へ供給する一方、酸化剤極に対しても空気をポンプで供給する方式が採られる。パッシブ型燃料電池では、MEAの燃料極に気化したメタノールを自然供給で送り、一方酸化剤極に対しても外部の空気を自然供給することで、ポンプなどの余計な機器を装備しない方式が採られる。セミパッシブ型の燃料電池は、燃料収容部から膜電極接合体に供給された燃料は発電反応に使用され、その後に循環して燃料収容部に戻されることはない。セミパッシブ型の燃料電池は、燃料を循環しないことから、アクティブ方式とは異なるものであり、装置の小型化等を損なうものではない。また、セミパッシブ型の燃料電池は、燃料の供給にポンプを使用しており、内部気化型のような純パッシブ方式とも異なる。なお、このセミパッシブ型の燃料電池では、燃料収容部から膜電極接合体への燃料供給が行われる構成であればポンプに代えて燃料遮断バルブを配置する構成とすることも可能である。この場合には、燃料遮断バルブは、流路による液体燃料の供給を制御するために設けられる。本発明の実施形態のMEAはそのいずれにも用いることができ、その使用を制限するものではない。
液体燃料としては、メタノール水溶液、または純メタノールを使用した直接メタノール型が用いられるが、これらに限られるものではない。例えば、例えばエタノール水溶液や純エタノールなどのエタノール燃料、ジメチルエーテル、ギ酸、もしくはその他の液体燃料であってもよい。いずれにしても、燃料電池に応じた液体燃料が収容される。
パッシブ型燃料電池の一例を図1〜図2に示す。図1に示すように、膜電極接合体(MEA)は、酸化剤極触媒層1及び酸化剤極ガス拡散層2からなる酸化剤極(例えば空気極)3と、燃料極触媒層4及び燃料極ガス拡散層5からなる燃料極6と、酸化剤極触媒層1と燃料極触媒層4の間に配置されるプロトン伝導性の電解質膜7とを備えるものである。
酸化剤極触媒層1は酸化剤極ガス拡散層2に積層され、かつ燃料極触媒層4は燃料極ガス拡散層5に積層されている。酸化剤極ガス拡散層2は酸化剤極触媒層1に酸化剤ガスを均一に供給する役割を担うものであるが、酸化剤極触媒層1の集電体も兼ねている。一方、燃料極ガス拡散層5は燃料極触媒層4に燃料蒸気を均一に供給する役割を果たすと同時に、燃料極触媒層4の集電体も兼ねている。酸化剤極導電層8a及び燃料極導電層8bは、それぞれ、酸化剤極ガス拡散層2及び燃料極ガス拡散層5と接している。酸化剤極導電層8a及び燃料極導電層8bには、例えば、金などの金属材料からなる多孔質層(例えばメッシュ)をそれぞれ使用することが出来る。
図2に示すように、燃料極触媒層4は、表面に触媒粒子9を担持した導電性担持体10からなる触媒11と、プロトン伝導体繊維12と、非繊維状のプロトン伝導体13とを含む。プロトン伝導体繊維12は、触媒層4中を電解質膜7と対向する面に対して垂直に配向している。触媒11の表面の大部分は、非繊維状のプロトン伝導体13で被覆されている。非繊維状のプロトン伝導体13の分布は、途中で途切れており、不連続であるものの、複数の非繊維状プロトン伝導体13が同じプロトン伝導体繊維12に接しているため、非繊維状プロトン伝導体13間のプロトン移動がプロトン伝導体繊維12を介してなされる。その結果、触媒11による反応が促進され、触媒11の利用率が向上されるため、燃料電池の出力性能を改善することが可能となる。
また、図1に示すように、矩形枠状の酸化剤極シール材14は、酸化剤極導電層8aとプロトン伝導性電解質膜7との間に位置すると共に、酸化剤極3の周囲を囲んでいる。一方、矩形枠状の燃料極シール材15は、燃料極導電層8bとプロトン伝導性電解質膜7との間に位置すると共に、燃料極6の周囲を囲んでいる。酸化剤極シール材14及び燃料極シール材15は、膜電極接合体からの燃料漏れ及び酸化剤漏れを防止するためのオーリングである。
膜電極接合体の下方には、燃料貯蔵部としての液体燃料タンク16が配置されている。液体燃料タンク16内には、液体燃料17が収容されている。液体燃料には、例えば、液体のメタノール、メタノール水溶液が使用される。メタノール水溶液の濃度は50モル%を超える高濃度にすることが望ましい。また、純メタノールの純度は、95重量%以上100重量%以下にすることが望ましい。なお、液体燃料は必ずしもメタノール燃料に限られるものではなく、例えばエタノール水溶液や純エタノール等のエタノール燃料、プロパノール水溶液や純プロパノール等のプロパノール燃料、グリコール水溶液や純グリコール等のグリコール燃料、ジメチルエーテル、ギ酸、もしくはその他の液体燃料であってもよい。いずれにしても、燃料電池に応じた液体燃料が収容される。
液体燃料タンク16と燃料極6との間には、気液分離層18が配置されている。気液分離層18は、燃料極触媒層4に、液体燃料を気化させた気化燃料を供給するためのものである。気液分離層18には、例えば、液体燃料の気化成分のみを透過させて、液体燃料は透過できない気液分離膜を使用することができる。気液分離膜には、例えば、メタノール透過性を有する撥水性膜を使用することができる。メタノール透過性を有する撥水性膜としては、例えば、シリコーンシート、ポリエチレン多孔膜、ポリプロピレン多孔膜、ポリエチレン−ポリプロピレン多孔膜、ポリテトラフルオロエチレン多孔膜等を挙げることができる。
気液分離層18と燃料極導電層8bの間には、フレーム19が配置されている。フレーム19で囲まれた空間は、燃料極への気化燃料の供給量を調整するための気化燃料収容室20として機能する。
一方、膜電極接合体の酸化剤極導電層8aには、フレーム21が積層されている。フレーム21上には、酸化剤極触媒層1において生成した水の蒸散を抑止する保湿板22が積層されている。保湿板22は、酸化剤極で生成した水を燃料極に供給するための水供給手段として機能する。保湿板22は、酸化剤極からの水分の蒸発を抑制する。このため、発電反応の進行に伴って酸化剤極触媒層1中の水分保持量が増加し、酸化剤極触媒層1の水分保持量が燃料極触媒層4の水分保持量よりも多い状態が作り出される。その結果、浸透圧現象が促進されるため、酸化剤極触媒層1に生成した水が電解質膜7を通過して燃料極触媒層4に供給される。
酸化剤である空気を取り入れるための空気導入口23が複数個形成されたカバー24は、保湿板22の上に積層されている。カバー24は、膜電極接合体を含むスタックを加圧してその密着性を高める役割も果たしているため、例えば、SUS304、炭素鋼、ステンレス鋼、合金鋼、チタン合金、ニッケル合金のような金属から形成される。
保湿板22は、メタノールに対して不活性で、耐溶解性、酸素透過性及び透湿性を有する絶縁材料から形成されていることが望ましい。このような絶縁材料としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンを挙げることができる。
保湿板22は、JIS P−8117−1998で規定される透気度が50秒/100cm3以下であることが望ましい。これは、透気度が50秒/100cm3を超えると、空気導入口23から酸化剤極への空気拡散が阻害されて高出力を得られない恐れがあるからである。透気度のさらに好ましい範囲は、10秒/100cm3以下である。
保湿板22は、JIS L−1099−1993 A−1法で規定される透湿度が6000g/m224h以下であることが望ましい。なお、上記透湿度の値は、JIS L−1099−1993 A−1法の測定方法で示されている通り、40±2℃の温度の値である。透湿度が6000g/m224hを超えると、酸化剤極からの水分蒸発量が多くなり、酸化剤極から燃料極への水拡散を促進する効果を十分に得られない恐れがあるからである。また、透湿度を500g/m224h未満にすると、過剰量の水が燃料極へ供給されて高出力を得られない恐れがあることから、透湿度は、500〜6000g/m224hの範囲にすることが望ましい。透湿度のさらに好ましい範囲は、1000〜4000g/m224hである。
以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
(実施例1)
MEAを、以下に示すようにして作製した。白金−ルテニウム(Pt−Ru)合金微粒子を担持したカーボン粒子にパーフルオロカーボンスルホン酸溶液、パーフルオロカーボンスルホン酸繊維(プロトン伝導体繊維)と水およびメトキシプロパノールを添加して得られたペーストを、ガス拡散層に塗布し、乾燥させることにより燃料極を形成した。乾燥の際にパーフルオロカーボンスルホン酸溶液の溶媒が揮発するため、残った固形分が非繊維状プロトン伝導体として機能する。
触媒担持カーボン粒子とプロトン伝導材料(非繊維状プロトン伝導体およびプロトン伝導体繊維の合計)の割合は重量比で50:50である。一方、プロトン伝導材料中のプロトン伝導体繊維の重量割合は表1に示したとおりである。プロトン伝導体繊維は、平均繊維長が50μm、平均繊維径が200nmであり、平均繊維長が最大繊維径の250倍に相当した。
同様にして、白金微粒子を担持したカーボン粒子にパーフルオロカーボンスルホン酸溶液、パーフルオロカーボンスルホン酸繊維(プロトン伝導体繊維)と水およびメトキシプロパノールを添加して得られたペーストを、ガス拡散層に塗布し、乾燥させることにより空気極を形成した。乾燥の際にパーフルオロカーボンスルホン酸溶液の溶媒が揮発するため、残った固形分が非繊維状プロトン伝導体として機能する。
触媒担持カーボン粒子とプロトン伝導材料(非繊維状プロトン伝導体およびプロトン伝導体繊維の合計)の割合は重量比で50:50である。一方、プロトン伝導材料中のプロトン伝導体繊維の重量割合は表1に示したとおりである。プロトン伝導体繊維は、平均繊維長が50μm、平均繊維径が200nmであり、平均繊維長が最大繊維径の250倍に相当した。
電極面積は、空気極、燃料極ともに12cm2とした。
プロトン伝導性電解質膜としてのナフィオン膜の上下から空気極および燃料極と重ね合わせて加熱プレスし、MEAを作製した。
次いで、こうして作製されたMEAを用いて、パッシブ型燃料電池を作製した。そして、この燃料電池の液体燃料タンクに純メタノールを10ml注入し、1kHz交流インピーダンスを測定した後、温度25℃、相対湿度50%の環境の下、電流値を変化させて単位面積あたりの最大出力を測定した。これらの測定結果を表1に示す。
(実施例2)
白金微粒子を担持したカーボン粒子にパーフルオロカーボンスルホン酸溶液と水およびメトキシプロパノールを添加して得られたペーストを、ガス拡散層に塗布し空気極を形成した。得られた空気極は、プロトン伝導材料として非繊維状プロトン伝導体のみを含むものであった。触媒担持カーボン粒子と非繊維状プロトン伝導体の割合は重量比で50:50である。
得られた空気極を用いること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にしてパッシブ型燃料電池を作製し、1kHz交流インピーダンスと最大出力の測定を行った。
(実施例3)
燃料極及び空気極におけるプロトン伝導材料中のプロトン伝導体繊維の割合を下記表1に示すように変更すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にしてパッシブ型燃料電池を作製し、1kHz交流インピーダンスと最大出力の測定を行った。
(実施例4)
燃料極及び空気極におけるプロトン伝導材料中のプロトン伝導体繊維の割合を下記表1に示すように変更すると共に、実施例2の空気極を使用すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にしてパッシブ型燃料電池を作製し、1kHz交流インピーダンスと最大出力の測定を行った。
(実施例5)
燃料極及び空気極におけるプロトン伝導材料中のプロトン伝導体繊維の割合を下記表1に示すように変更すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にしてパッシブ型燃料電池を作製し、1kHz交流インピーダンスと最大出力の測定を行った。
(実施例6〜12)
燃料極及び空気極で使用するプロトン伝導体繊維の種類とプロトン伝導材料中のプロトン伝導体繊維の割合とを下記表1に示すように変更すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にしてパッシブ型燃料電池を作製し、1kHz交流インピーダンスと最大出力の測定を行った。
(比較例)
プロトン伝導材料としてパーフルオロスルホン酸溶液のみを用いる以外は、実施例と同様にして電極・MEAを作成し、インピーダンスおよび出力測定を行った。結果を表1に示す。
Figure 2008276990
表1から明らかな通りに、少なくとも燃料極にプロトン伝導体繊維を用いる実施例1〜12の燃料電池は、プロトン伝導体繊維を使用しない比較例の燃料電池に比して、交流インピーダンスが低く、最大出力が大きいことがわかる。また、実施例3,6〜10の比較により、プロトン伝導体繊維を構成する電解質としてパーフルオロカーボンスルホン酸を用いる実施例3において最も優れた出力性能を得られることが理解できる。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。また、アクティブ型燃料電池及びセミパッシブ型の燃料電池においても、上記した説明と同様の作用効果が得られる。MEAへ供給される液体燃料の蒸気においても、全て液体燃料の蒸気を供給してもよいが、一部が液体状態で供給される場合であっても本発明を適用することができる。
本発明の実施形態に係る燃料電池を示す断面図。 図1の燃料電池に用いられる燃料極触媒層の拡大模式図。
符号の説明
1…酸化剤極触媒層、2…酸化剤極拡散層、3…酸化剤極、4…燃料極触媒層、5…燃料極拡散層、6…燃料極、7…電解質膜、8a…酸化剤極導電層、8b…燃料極導電層、14,15…シール材、16…液体燃料タンク、17…液体燃料、18…気液分離層、19,21…フレーム、22…保湿層、23…酸化剤導入口、24…カバー。

Claims (4)

  1. 拡散層と、前記拡散層に積層され、触媒及び繊維状プロトン伝導体を含む触媒層とを具備することを特徴とする燃料電池用電極。
  2. 前記繊維状プロトン伝導体は、高分子電解質を紡績したものであることを特徴とする請求項1記載の燃料電池用電極。
  3. 前記繊維状プロトン伝導体は、表面が高分子電解質で被覆された繊維であることを特徴とする請求項1記載の燃料電池用電極。
  4. 燃料極と、酸化剤極と、前記燃料極及び前記酸化剤極の間に配置される電解質膜とを具備する燃料電池であって、前記燃料極及び前記酸化剤極のうちの少なくとも一方の電極に請求項1〜3いずれか1項記載の燃料電池用電極を用いることを特徴とする燃料電池。
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