WO2024071367A1

WO2024071367A1 - 有用物質効果増強用組成物

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Publication number: WO2024071367A1
Application number: PCT/JP2023/035582
Authority: WO
Inventors: 隆之浅田; 博瑛山根; 増俊野尻
Original assignee: Kaneka Corp
Current assignee: Kaneka Corp
Priority date: 2022-09-30
Filing date: 2023-09-29
Publication date: 2024-04-04
Anticipated expiration: 2025-03-30
Also published as: JPWO2024071367A1; US20250221409A1; EP4595755A1

Abstract

有用物質と併用することにより、該有用物質を効率よく植物に吸収させ、その効果を増強させることが可能な組成物を提供する。　ペプチド型バイオサーファクタント及び糖型バイオサーファクタントから選択される少なくとも１種のバイオサーファクタントと、リン脂質とを含む、植物における有用物質効果増強用組成物を、有用物質とは別に、又は有用物質と混合して植物に施用する。

Description

有用物質効果増強用組成物

　本開示は、有用物質効果増強用組成物に関する。

　植物の生育に関与する有用成分を植物に施用する方法として、有用成分を含む組成物を葉面に散布する方法が広く使用されている。葉面以外の施用には、例えば、土壌、水又は種子への施用も知られるが、葉面への散布は、地上部にて、素早く有用成分が吸収されるという利点を有する。葉面散布の場合、有用成分は、葉表面の膜を通過することを要するが、有用成分の膜透過性が必ずしも高いとは限らない。そこで、有用成分の膜透過性を高めるための試みがなされてきた。

　特許文献１には、灰色かび病、菌核病、うどんこ病等に効果がある薬剤として知られるプルマイシンと、界面活性能力を有する物質として知られるサーファクチン類を有効成分として含有する農園芸用殺菌組成物が開示されている。プルマイシンをサーファクチンと同時に使用することで、プルマイシンの各種病原菌防除効果が増強されたことが報告されている。

　非特許文献１では、細菌の細胞膜を通過できない殺菌化合物について、バイオサーファクタントの１つであるラムノリピッドをベースとしたリポソームを生成し、これを該殺菌化合物と組み合わせて使用することで、細菌の増殖を有意に阻害できたことが報告されている。

国際公開第２０１８／０２９７７５号

B. C. P. Sanches, et al., Int. J. Nanomedicine (2021) 16, pp. 925-939

　本開示は、有用物質と併用することにより、該有用物質を効率よく植物に吸収させ、その効果を増強させることが可能な組成物を提供することを目的とする。

　本明細書では以下の１以上の発明を開示する。
［１］ペプチド型バイオサーファクタント及び糖型バイオサーファクタントから選択される少なくとも１種のバイオサーファクタントと、リン脂質とを含む、植物における有用物質効果増強用組成物。
［２］前記バイオサーファクタントが、前記組成物１００質量％中に０．００１～０．１質量％含まれる、［１］に記載の有用物質効果増強用組成物。
［３］前記リン脂質が、前記組成物１００質量％中に０．０００５～０．１質量％含まれる、［１］又は［２］に記載の有用物質効果増強用組成物。
［４］前記バイオサーファクタント及び前記リン脂質の含有量が、質量比で１：０．０１～１：５である、［１］～［３］のいずれかに記載の有用物質効果増強用組成物。
［５］有用物質が、有機化合物であり、除草剤、植物生長調整剤、機能性肥料成分、殺菌剤、殺虫剤からなる群より選択される、少なくとも１種の物質である、［１］～［４］のいずれかに記載の有用物質効果増強用組成物。
［６］前記有用物質が、グルタチオンである、［５］に記載の有用物質効果増強用組成物。
［７］有用物質をさらに含む、［１］～［６］のいずれかに記載の有用物質効果増強用組成物。
［８］前記バイオサーファクタントが、サーファクチン、ラムノリピッド、ソホロリピッド、及びそれらの塩から選択される少なくとも１種のバイオサーファクタントである、［１］～［７］のいずれかに記載の有用物質効果増強用組成物。
［９］葉面散布に使用される、［１］～［８］のいずれかに記載の有用物質効果増強用組成物。
［１０］希釈又は混合により、［１］～［８］のいずれかに記載の有用物質効果増強用組成物を調製するための、有用物質効果増強用組成物の前駆体組成物。
［１１］前記バイオサーファクタントが、前駆体組成物中１００質量％中に０．５～５０質量％含まれる、［１０］に記載の前駆体組成物。
［１２］前記リン脂質が、前駆体組成物中１００質量％中に０．０５～５０質量％含まれる、［１０］又は［１１］に記載の前駆体組成物。
　本明細書は本願の優先権の基礎となる日本国特許出願番号2022-158075号の開示内容を包含する。

　本開示の有用物質効果増強用組成物は、有用物質と併用することにより、該有用物質を効率よく植物に吸収させ、その効果を増強させることが可能である。

試験例１－１の各試験液を塗布した葉におけるＧＳＳＧの吸収率を示す。図中に示す濃度は、界面活性剤の濃度を示す。図中のアルファベットａ～ｆは、異なるアルファベットを付した群間で有意差があったことを示す（Ｔｕｒｋｅｙ検定：ｐ＜０．０５）。試験例１－２の各試験液を塗布した葉におけるＧＳＳＧの吸収率を示す。図中のアルファベットａ～ｄは、異なるアルファベットを付した群間で有意差があったことを示す（Ｔｕｒｋｅｙ検定：ｐ＜０．０５）。試験例１－３の各試験液を塗布した葉におけるＧＳＳＧの吸収率を示す。図中のアルファベットａ～ｄは、異なるアルファベットを付した群間で有意差があったことを示す（Ｔｕｒｋｅｙ検定：ｐ＜０．０５）。試験例２－１の各試験液を散布した葉のＳＰＡＤ値を示す。試験例２－２の各試験液を散布した葉のＳＰＡＤ値減少割合を示す。ＰＱのみを散布した葉のＳＰＡＤ値を１００として、各試験液を散布した葉のＳＰＡＤ値の減少割合を示す。

　以下、本発明を詳細に説明する。
１．有用物質効果増強用組成物
　本開示の第１の実施形態は、有用物質効果増強用組成物であり、ペプチド型バイオサーファクタント及び糖型バイオサーファクタントから選択される少なくとも１種のバイオサーファクタントと、リン脂質とを含む、ことを特徴とする。
　本実施形態の有用物質増強用組成物（以下、「本実施形態の組成物」とも称する）は、上記の通り、バイオサーファクタントとリン脂質とを含むことで、有用物質と共に植物と施用した場合に、バイオサーファクタント又はリン脂質をそれぞれ単独で施用するよりも、有用物質の効果が高く増強される。そのため、本実施形態の組成物は、より少量の有用物質で所望の効果を発揮させることが可能であり、有用物質の使用による環境負荷をさらに低減させることが可能である。

＜植物＞
　本開示において、「植物」は特に限定されないが、好ましくは作物植物である。作物植物としては、トウモロコシ（corn、maize）、コムギ、オオムギ、ライムギ、オートムギ、イネ、ダイズ、カノーラ（セイヨウアブラナ）、綿、ヒマワリ、サトウダイコン、ジャガイモ、タバコ、ブロッコリー、レタス、キャベツ、ホウレンソウ、コマツナ、カリフラワー、ココナッツ、トマト、キュウリ、ナス、メロン、カボチャ、オクラ、ピーマン、スイカ、ニンジン、ダイコン、タマネギ、ネギ、果樹、花卉類、芝、牧草等が例示できる。

＜バイオサーファクタント＞
　本実施形態の組成物は、バイオサーファクタントを含む。バイオサーファクタントとしては、ペプチド型バイオサーファクタント及び糖型バイオサーファクタントから選択される少なくとも１種のバイオサーファクタントが挙げられる。本実施形態の組成物は、バイオサーファクタントを１種単独で含んでいても、２種以上で含んでいてもよい。本実施形態の組成物は、バイオサーファクタントを含むため、植物に与えることで、有用物質の吸収を促進し、これにより、植物における有用物質の効果を増強することができる。なお、バイオサーファクタントとしては、Wickerhamomyces anomalus酵母に由来しないバイオサーファクタントを用いることが臭気、食品衛生の観点から好ましい。

　ペプチド型バイオサーファクタントとしては、ペプチド構造を有し、かつ界面活性能を有するものであれば特に限定されないが、例えば、リポペプチドバイオサーファクタントが挙げられる。リポペプチドバイオサーファクタントは、疎水性基と、親水性部分を含むペプチドを有し、界面活性作用を示すものであり、微生物が生産するものをいう。リポペプチドバイオサーファクタントとしては、例えば、サーファクチン、アルスロファクチン、イチュリン、フェンジシン、セラウェッチン、ライケシン、ビスコシン、及びそれらの塩を挙げることができる。

　ペプチド型バイオサーファクタントとしては、サーファクチン及びそれらの塩から選択される少なくとも１種のペプチド型バイオサーファクタントが好ましく、サーファクチン、及びその塩から選択される少なくとも１種のペプチド型バイオサーファクタントがより好ましい。サーファクチン及びサーファクチンの塩は、以下の一般式（１）で表すことができる。サーファクチン及びサーファクチンの塩としては、１種を用いても２種以上を用いてもよい。

［式（１）中、Ｘは、ロイシン、イソロイシンおよびバリンから選択されるアミノ酸の残基を示し、Ｒは炭素数９～１８のアルキル基を示し、Ｍ^＋はそれぞれ独立に、水素イオン（Ｈ⁺）、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン又はピリジニウムイオンを示す。］

　なお、Ｍ^＋が水素イオンである場合とは、ＣＯ_２ ^‐（Ｍ^＋）が、ヒドロキシル基（ＣＯＯＨ基）であることを意味する。二つのＭ^＋が水素イオンである場合が、サーファクチンであり、少なくとも一方のＭ^＋がアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン又はピリジニウムイオンである場合が、サーファクチンの塩を意味する。サーファクチンの一般式を以下の一般式（１’）に示す。

［式（１’）中、Ｘ及びＲは、式（１）と同義である］

　Ｘは、ロイシン、イソロイシンおよびバリンから選択されるアミノ酸の残基であるが、Ｌ体のアミノ酸の残基であっても、Ｄ体のアミノ酸の残基であってもよく、Ｌ体のアミノ酸の残基が好ましい。

　Ｒは炭素数９～１８のアルキル基であり、炭素数９以上、１８以下の直鎖状または分枝鎖状の一価飽和炭化水素基である。炭素数９～１８のアルキル基としては、例えば、ｎ－ノニル基、６－メチルオクチル基、７－メチルオクチル基、ｎ－デシル基、８－メチルノニル基、ｎ－ウンデシル基、９－メチルデシル基、ｎ－ドデシル基、１０－メチルウンデシル基、ｎ－トリデシル基、１１－メチルドデシル基、ｎ－テトラデシル基、ｎ－ペンタデシル基、ｎ－ヘキサデシル基、ｎ－ヘプタデシル基、ｎ－オクタデシル基などが挙げられ、１０－メチルウンデシル基が好ましい。

　Ｍ^＋はそれぞれ独立に、水素イオン（Ｈ⁺）、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン又はピリジニウムイオンである。アルカリ金属イオンは特に限定されないが、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等を表す。アンモニウムイオンとしては、特に限定されないが、例えばＮ（Ｒ^１）_４ ⁺で表されるアンモニウムイオンが挙げられる。Ｒ^１はそれぞれ独立に、水素、又は有機基を示す。アンモニウムイオンとしては、Ｒ^１が全て有機基である、第四級アンモニウムイオンが好ましい態様の一つである。有機基としては、アルキル基、アラルキル基、アリール基等が挙げられる。具体的には、アルキル基としては、メチル、エチル、ｎ－プロピル、イソプロピル、ｎ－ブチル、ｔ－ブチル等の炭素数１～１０のアルキル基が挙げられ、アラルキル基としては、ベンジル、メチルベンジル、フェニルエチル等の炭素数７～１２のアラルキル基が挙げられ、アリール基としては、フェニル、トルイル、キシリル等の炭素数６～１５のアリール基が挙げられる。アンモニウムイオンとしては、例えば、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン等が挙げられる。ピリジニウムイオンとしては、特に制限されない。ピリジニウムイオンとしては、ピリジン環を構成する炭素原子に結合する水素原子が、有機基で置換されていてもよい。また、ピリジニウムイオンとしては、ピリジン環を構成するＮ^＋に結合するのは、例えば、水素又は有機基であればよい。なお、ピリジニウムイオンが有する有機基としては、Ｒ^１の説明で挙げた有機基を適宜用いることができる。

　一般式（１）中に存在する２つのＭ^＋は、互いに同一でもよく、異なっていてもよい。一般式（１）中に存在する２つのＭ^＋としては、例えば一部のＭ^＋が水素イオンであり、一部のＭ^＋がアルカリ金属イオンであることが好ましい態様の一つである。アルカリ金属イオンとしては特に限定されないが、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンなどとすることができる。なお、一般式（１）中に存在する２つのＭ^＋が、二種以上のイオンである場合には、ある一分子（塩）に着目した場合には、２つのＭ^＋が同種のイオンであってもよい。Ｍ^＋が二種のイオンである場合には、あるイオンＡと、あるイオンＢとの比（モル比）は、例えば、１：１０～１０：１であり、好ましくは１：５～５：１であり、より好ましくは１：３～３：１である。一般式（１）中に存在する２つのＭ^＋の一部が水素イオンであり、一部がナトリウムイオン（Ｎａ^＋）であることは好ましい態様の一つである。

　サーファクチン又はサーファクチンの塩等のペプチド型バイオサーファクタントは、公知の方法に従って、微生物、例えば枯草菌（Bacillus subtilis)に属する菌株を培養し、その培養液から分離することにより入手することができ、精製品を使用してもよく、未精製、例えば培養液、をそのまま使用することもできる。また、分子構造が同一であれば、化学合成法によって得られるものでも同様に使用することができる。また、市販品を使用することもできる。

　糖型バイオサーファクタントとしては、糖脂質の構造を有し、かつ、界面活性能を有するものであれば、特に限定されないが、例えば、ラムノリピッド、ソホロリピッド、マンノシルエリスリトールリピッド、セロビオースリピッド、トレハロースリピッド、サクシノイルトレハロースリピッド、グルコースリピッド、ポリオールリピッド、オリゴ糖脂肪酸エステル、及びそれらの塩等が挙げられる。

　糖型バイオサーファクタントとしては、ラムノリピッド、ソホロリピッド及びそれらの塩から選択される少なくとも１種の糖型バイオサーファクタントが好ましく、ラムノリピッド、ソホロリピッド、及びそれらの塩から選択される少なくとも１種の糖型バイオサーファクタントがより好ましい。

　糖型バイオサーファクタントは、公知の方法に従って、入手することができる。また、市販品を使用することもできる。

　前記バイオサーファクタントとしては、サーファクチン、ラムノリピッド、ソホロリピッド、及びそれらの塩から選択される少なくとも１種のバイオサーファクタントが特に好ましい態様として挙げられる。

＜リン脂質＞
　本実施液体の組成物は、リン脂質を含む。リン脂質としては、例えばレシチンを挙げることができる。レシチンはホスファチジルコリンの別名であり、天然レシチンと合成レシチンに大別できる。天然レシチンは、ホスファチジルコリンを高含有する天然由来のリン脂質を指し、例えば、卵黄由来のものは「卵黄レシチン」、大豆由来のものは「大豆レシチン」と称される。一方、合成レシチンとしては、ジミリストイルホスファチジルコリン（ＤＭＰＣ）、ジパルミトイルホスファチジルコリン（ＤＰＰＣ）等が知られる。本明細書において、「レシチン」は、天然レシチン、合成レシチンのいずれも包含する。

　レシチン以外のリン脂質としては、ホスファチジン酸、ビスホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルメチルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ジホスファチジルグリセロール等のグリセロリン脂質；スフィンゴシン、セラミド、スフィンゴミエリン、セレブロシド等のスフィンゴリン脂質；水素添加大豆リン脂質、水素添加卵黄レシチン等の水添レシチンが挙げられる。

　リン脂質としては、ホスファチジルコリン、水添レシチン、ホスファチジン酸、ビスホスファチジン酸、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルメチルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ジホスファチジルグリセロール、およびスフィンゴミエリンから選択される１以上のリン脂質を好適に使用できる。

＜農業的に許容される担体＞
　本実施形態の組成物は、農業的に許容される担体を含む。本開示において農業的に許容される担体としては、前述のバイオサーファクタントを保持することができる担体であればよく、液体担体又は固体担体とすることができる。固体担体としては、水和性物質固体が挙げられる。固体担体は粉末又は顆粒の形態とすることができる。

　農業的に許容される担体は、好ましくは水、有機溶媒等の液体担体である。ここで担体としての水は、純水に限らず水溶液、水系懸濁液、水系のゲル又は水系のスラリーであってよく粘性を有するものであってもよい。同様に、有機溶媒は、純粋な有機溶媒に限らず、有機溶媒をベースとする溶液、懸濁液、ゲル又はスラリーであってよく粘性を有するものであってもよい。有機溶媒としては、メチルエーテル、エチルエーテル、プロピルエーテル、ブチルエーテルが例示できる。

　農業的に許容される担体は、好ましくは、水、水中に水和性物質が溶解した水溶液等の液体担体、又は、水に溶解できる水和性物質を含む固体担体である。水和性物質としてはポリビニルピロリドン、アルキレンオキシドのランダム及びブロックコポリマー、ビニルアセテート／ビニルピロリドンコポリマー、アルキル化ビニルピロリドンコポリマー、ポリプロピレングリコール及びポリエチレングリコールを含むポリアルキレングリコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ゼラチン、寒天、アラビアガム、カラヤガム、トラガカントガム、グアーガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、ガッチガム、カラギーナン、アルギン酸塩、カゼイン、デキストラン、ペクチン、キチン、２－ヒドロキシエチルデンプン、２－アミノエチルデンプン、２－ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩、硫酸セルロース、ポリアクリルアミド、無水マレイン共重合体のアルカリ金属塩、ポリ（メタ）アクリル酸塩のアルカリ金属塩等が例示できる。

＜添加剤＞
　本実施形態の組成物は、上述のバイオサーファクタント、リン脂質、及び農業的に許容される担体以外の成分を、必要に応じて添加剤として含んでいてもよい。本実施形態の組成物は、添加剤を１種含んでいても、２種以上含んでいてもよい。添加剤としては、保湿剤、着色剤、消泡剤、ＵＶ保護剤、凍結防止剤、保存剤、生物学的制御剤もしくは殺生物剤、乳化剤、増量剤、捕捉剤、可塑剤、流動剤、融合助剤、ろう、及び／又は充填剤（例として、粘土、タルク、ガラス繊維、セルロース、微粉化木材等）が挙げられるが、これらに限定されるものではない。

＜有用物質＞
　本実施形態の組成物は、有用物質と共に、又は有用物質を含んで植物に施用される。本開示において、「有用物質」は、植物の生育に対して、直接的に又は間接的に、所望の作用を有し得る、水以外の物質を指し、好ましくは、有機化合物を指す。有用物質は、本実施形態の組成物とは別に、例えば他の組成物に含まれた状態で植物に施用されてもよく（第１態様）、使用直前に前駆体組成物（後述）と混合されて植物に施用されてもよい（第２態様）。あるいは、本実施形態の組成物に最初から有用物質が含まれていてもよい（第３態様）。前記第２態様及び第３態様において、有用物質は、植物の生育に影響を及ぼす有効量で含まれることが好ましい。有用物質としては、除草剤、植物生長調整剤、機能性肥料成分（バイオスティミュラント）、殺菌剤、殺虫剤等を使用することができる。本実施形態の組成物は、これらの有用物質、特に有機化合物と共に（又はこれを含んで）使用されることで、有用物質の植物への吸収を促進することができ、有用物質の効果を増大させることができる。

　除草剤としては、特に限定されないが、例えば、フェノキシ系酸除草剤（２，４－ＰＡ剤、ＭＣＰＡ剤、ＭＣＰＢ剤、ＭＣＰＰ剤、トリクロピル剤、クロメプロップ剤、ナプロアニリド剤、シハロホップブチル剤、フルアジホップ剤、キザロホップエチル剤、フルアジホップＰ剤）、カーバメート系除草剤（ＩＰＣ剤、フェンメディファム剤、デスメディファム剤、ベンチオカーブ剤、オリソベンカープ剤、エスプロカルブ剤、モリネート剤、ジメピペレート剤、ピリブチカルブ剤）、酸アミド系除草剤（ＤＣＰＡ剤、アラクロール剤、ブタクロール剤、プレチラクロール剤、メトラクロール剤、ジメチルナミド剤、テニルクロール剤、ブロモブチド剤、エトベンザニド剤、ジフルフェニカン剤、メフェナセット剤、ナプロパミド剤、カフェンストロール剤、プロピザミド剤、イソキサベン剤、アシュラム剤）、尿素系除草剤（ＤＣＭＵ剤、リニュロン剤、シデュロン剤、ダイムロン剤、メチルダイムロン剤、クミルロン剤、カルブチレート剤、イソウロン剤、テブチウロン剤）、スルホニウム尿素系除草剤（ベンスルフロンメチル剤、エトキシスルフロン剤、ピラスルフロンエチル剤、アジムスルフロン剤、ハロスルフロンメチル剤、フラザスルフロン剤、シノスルフロン剤、ニコスルフロン剤、リムスルフロン剤、チフェンスルフロンメチル剤、イマゾスルフロン剤、メトスルフロンメチル剤、シクロスルファムロン剤、フロラスラム剤、トリフロキシスルフロンナトリウム塩剤）、ピリミジルオキシ安息香酸系除草剤（ピリミノバックメチル剤、ビスピリバックナトリウム塩剤）、トリアジン系除草剤（ＣＡＴ剤、アトラジン剤、シメトリン剤、アメトリン剤、プロメトリン剤、ジメタメトリン剤、シアナジン剤、トリアジフラム剤、メトリブジン剤、メトミトロン剤）、ダイアノジン系除草剤（ターバシル剤、フロマシル剤、レナシル剤、ＰＡＣ剤、ベンタゾン剤、タゾメット剤）、ダイアゾール系除草剤（ピラゾレート剤、ピラゾキシフェン剤、ベンゾフェナップ剤）、ビピリジウム系除草剤（パラコート、ジクワット剤）、ジニトロアニリン系除草剤（トリフルラリン剤、ベスロジン剤、プロジアミン剤、ペンディメタリン剤、オリザリン剤）、芳香族カルボン酸系除草剤（ＭＤＢＡ剤、イマザピル剤、イマザキン剤、イマザキンアンモニウム塩剤、ジチオピル剤、ＴＣＴＰ剤、イマザモックスアンモニウム塩剤）、脂肪酸系除草剤（ＤＰＡ剤、テトラピオン剤）、有機リン系除草剤（アミプロホスメチル剤、ブタミホス剤、ＳＡＰ剤、アニロホス剤）、アミノ酸系除草剤（グリホサート剤、ビアラホス剤、グルホシネート剤）、その他（アイオキシニル剤、ビフェノックス剤、ＤＢＮ剤、ＤＣＢＮ剤、セトキシジム剤、クレトジム剤、テプラロキシジム剤、ＡＣＮ剤、クロルフタリム剤、フルミオキサジン剤、シンメチリン剤、カルフェトラゾンエチル剤、エンドタール二ナトリウム塩剤、ベンフレセート剤、ペントキサゾン剤、ピラフルフェンエチル剤、カーバム剤、オキサジクロメホン剤、インダノファン剤、フェントラザミド剤、ベンゾビシクロン剤、ブタフェナシル剤、アザフェニジン剤、ピリフタリド剤、フルチアセットメチル剤、オキサジアルギル剤、オキサジアゾン剤、デシルアルコール剤）等を使用することができる。除草剤は、通常、農耕地等における不要な植物の生育を抑制するために使用され、本実施形態の組成物と共に（又は組成物に含まれて）施用されることで、より少量で該植物の生育を抑えることが可能となる。これにより、除草剤が土壌に残存することによる、土壌汚染や、作物の生育をも抑制してしまうリスクを低減することができる。

　植物生長調整剤としては、特に限定されないが、例えば、エチレン剤、オーキシン剤（インドール酪酸剤、エチクロゼート剤、クロキシホナック剤、ジクロルプロップ剤、１－ナフチルアセトアミド剤、４－ＣＰＡ剤）、オーキシン拮抗剤（マレイン酸ヒドラジド剤）、サイトカイニン剤（ベンジルアミノプリン剤、ホルフロルフェニュロン剤）、ジベレリン剤、矮化剤（イナベンフィド剤、ウリコナゾールＰ剤、クロルメコート剤、パクロブトラゾール剤、フルルプリミドール剤、メピコートクロリド剤、プロヘキサジオンカルシウム塩剤、トリネキサパックエチル剤、ダミノジッド剤、イマザピル剤）、その他（イソプロチオラン剤、オキシン硫酸塩剤、シアナミド剤、コリン剤、デシルアルコール剤、ピペロニルブトキシド剤、ベンディメタリン剤、ＭＣＰＡ剤、ＭＣＰＢ剤、ＮＡＣ剤、キノキサリン系・ＤＥＰ剤、ピラフルフェンエチル剤、プロヒドロジャスモン剤、アブシジン酸剤、クロレラ抽出物剤、シイタケ菌糸体抽出物剤）等を使用することができる。植物生長調節剤は、通常、農作物等の栽培において、収穫量の増加等を目的として使用される。本実施形態の組成物と共に（又は組成物に含まれて）施用されることで、より少量で所望の効果を得ることが可能となる。

　本開示において、「機能性肥料」とは、「バイオスティミュラント」と分類されるものも包含し、非生物的ストレスに対する抵抗性を高め、結果的に増収や品質改善を実現しようとするものを指す。より具体的には、活性酸素を抑制する、植物の光合成能を向上させる、開花・着果を促進させる、蒸散を制御する、浸透圧を調節する、根圏環境を改善する、根量を増加する、活着を促進する等の植物の生育に影響する機能を有する成分を含む肥料を指し、機能性肥料成分とは、該機能を有する成分を指す。機能性肥料成分としては、ペプチド（例えば、グルタチオン類（酸化型グルタチオン、還元型グルタチオン）、大豆ペプチド）、アミノ酸（例えば、５－アミノレブリン酸、グリシンベタイン、メチオニン）、糖類（オリゴ糖（例えば、ラフィノース）、トレハロース、多糖類（例えば、アルギン酸））、海藻抽出物、腐植物質、有機酸、核酸、植物抽出物、微生物代謝物等を使用することができる。機能性肥料は、通常、農作物等の栽培において、収穫量の増加等を目的として使用される。本実施形態の組成物と共に（又は組成物に含まれて）施用されることで、より少量で所望の効果を得ることが可能となる。

　殺菌剤としては、特に限定されないが、例えば、銅殺菌剤（有機銅剤、ノニルフェノールスルホン酸銅剤、ＤＢＥＤＣ剤）、有機硫黄殺菌剤（ジネブ剤、マンネブ剤、マンゼブ剤、アンバム剤、ポリカーバメート剤、プロピネブ剤、ジラム剤、チウラム剤、チアジアジン剤）、有機リン系殺菌剤（ＩＢＰ剤、ＥＤＤＰ剤、トリフロホスメチル剤、ホセチル剤）、有機塩素剤（ＴＰＮ剤）、メラニン生合成阻害剤（フサライド剤、トリシクラゾール剤、ピロキロン剤、カルプロパミド剤）、ベンゾイミダゾール系殺菌剤（チオファネートメチル剤、ベノミル剤、チアベンゾール剤）、ジカルボキシイミド系殺菌剤（イプロジオン剤、プロシミドン剤）、酸アミド系殺菌剤（メプロニル剤、フルトラニル剤、フラメトピル剤、チフルザミド剤、メタラキシル剤、オキサジキシル剤、フェンヘキサミド剤、フェノキサニル剤）、ステロール生合成阻害剤（トリアジメホン剤、ビテルタノール剤、ミクロブタニル剤、ヘキサコナゾール剤、テブコナゾール剤、プロピコナゾール剤、ジフェノコナゾール剤、イプコナゾール剤、イミベンコナゾール剤、シプロコナゾール剤、トリフルミゾール剤、プロクロラズ剤、ペフラゾエート剤、フェナリモル剤、ピリフェノックス剤、トリホリン剤、テトラコナゾール剤、オキスポコナゾールフマル酸塩剤、フェンブコナゾール剤、シメコナゾール剤）、メトキシアクリレート系殺菌剤（アゾキシストロビン剤、クレソキシムメチル剤、メトミノストロビン剤、トリフロキシストロビン剤、ファモキサドン剤）、アニリノピリミジン系殺菌剤（メパニピリム剤、シプロジニル剤、ピリメタニル剤）、合成抗細菌剤（テクロフタラム剤、オキソリニック酸剤）、土壌殺菌剤（フルスルファミド剤、ヒドロキシイソキサゾール剤、エクロメゾール剤、ダゾメット剤、クロロネブ剤、メタスルホカルブ剤、メチルイソチオシアネート剤、Ｄ－Ｄ剤、臭化メチル、クロルピクリン剤、カーバム剤、カーバムナトリウム塩剤）、抗生物質殺菌剤（ストレプトマイシン剤、オキシテトラサイクリン剤、ブラストサイジンＳ剤、カスガマイシン剤、ポリオキシン剤、バリダマイシン剤、ミルディオマイシン剤）、天然殺菌剤（マシン油剤、なたね油剤）、プロベナゾール剤、イソプロチオラン剤、フェリムゾン剤、ジクロメジン剤、ペンシクロン剤、フルオルイミド剤、キャプタン剤、スルフェン酸系剤、ジチアノン剤、キノキサリン系剤、ジフルメトリム剤、フルジオキソニル剤、ベンチアゾール剤、アシベンゾラルＳメチル剤、トリアジン剤、フルアジナム剤、ジエトフェンカルブ剤、シモキサニル剤、イミノクタジン酢酸塩剤、イミノクラジンアルベシル酸塩剤、プロパモカルブ塩酸塩剤、ジメトモルフ剤、ジクロシメット剤、ファモキサドン剤、シアゾファミド剤、シフルフェナミド剤、チアジニル剤等を使用する事ができる。殺菌剤は、農作物等の病原菌への感染予防の目的で使用される。本実施形態の組成物と共に（又は組成物に含まれて）施用されることで、より少量で所望の効果を得ることが可能となる。

　殺虫剤としては、有機リン系殺虫剤（ＣＹＡＰ剤、ＭＰＰ剤、ＭＥＰ剤、ＥＣＰ剤、ピリミホスメチル剤、ダイアノジン剤、キナルホス剤、イソキサチオン剤、ピリダフェンチオン剤、クロルピリホスメチル剤、クロルピリホス剤、マラソン剤、ＰＡＰ剤、ジメトエート剤、エチルチオメトン剤、ホサロン剤、ＰＭＰ剤、ＤＭＰＴ剤、プロチオホス剤、スルプロホス剤、プロフェノホス剤、ピラクロホス剤、ＤＤＶＰ剤、モノクロトホス剤、ＢＲＰ剤、ＣＶＭＰ剤、ジメチルビンホス剤、ＣＶＰ剤、プロパホス剤、アセフェート剤、イソフェンホス剤、ＤＥＰ剤、ＥＰＮ剤、エチオン剤）、カーバメート系殺虫剤（ＮＡＣ剤、ＭＩＰＣ剤、ＢＰＭＣ剤、ＰＨＣ剤、ＸＭＣ剤、エチオフェンカルブ剤、カルボスルファン剤、ベンフラカルブ剤、フラチオカルブ剤、メソミル剤、オキサミル剤、チオジカルブ剤、アラニカルブ剤）、ピレスロイド系殺虫剤（アレスリン剤、レスメトリン剤、ペルメトリン剤、シペルメトリン剤、シフルトリン剤、シハロトリン剤、トラロメトリン剤、フェンプロパトリン剤、ビフェントリン剤、フェンバレレート剤、エスフェンバレレート剤、フルシトリネート剤、フルバリネート剤、アクリナトリン剤、シクロプロトリン剤、エトフェンプロックス剤、シラフルオフェン剤、テフルトリン剤）、ネライストキシン系殺虫剤（カルタップ剤、チオシクラム剤、ベンスルタップ剤）、ネオニコチノイド系殺虫剤（イミダクロプリド剤、アセタミプリド剤、ニテンピラム剤、チアクロプリド剤、チアメトキサム剤、ジノテフラン剤、クロチアニジン剤）、昆虫成長制御剤（ブプロフェジン剤、イソプロチオラン剤、ジフルベンズロン剤、チフルベンズロン剤、ヘキサフルムロン剤、ルフェヌロン剤、フルフェノクスロン剤、クロルフルアズロン剤、テブフェノジド剤、クロマフェノジド剤、シロマジン剤、メトキシフェノジド剤、ピリプロキシフェン剤）、天然殺虫剤（防虫菊剤、デリス剤、硫酸ニコチン剤、マシン油剤、なたね油剤、デンプン剤、脂肪酸グリセリド剤、ケイソウ土剤）、殺ダニ剤（ケルセン剤、フェニゾブロモレート剤、テトラジホン剤、ＢＰＰＳ剤、キノキサリン系剤、アミトラズ剤、フェノチオカルブ剤、ヘキシチアゾクス剤、酸化フェンブタスズ剤、ジエノクロル剤、フェンピロキシメート剤、テブフェンピラド剤、フルアジナム剤、ピリダベン剤、ピリミジフェ剤、クロフェンデジン剤、エトキサゾール剤、ハルフェンプロックス剤、ミルベメクチン剤、ビアラホス剤、アセキノシル剤、ビフェナゼート剤、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル剤、フルアクリピリム剤、スピロフクロフェン）、殺線虫剤（Ｄ－Ｄ剤、ＤＣＩＰ剤、メチルイソチオシアネート剤、ダゾメット剤、ベノミル剤、ホスチアゼート剤、オキサミル剤、ピラクロホス剤、カーバム剤、カーバムナトリウム塩剤、カズサホス剤）、マツノザイセンチュウ防除剤（ピネン油剤、カーバム剤、カーバムナトリウム塩剤、ＭＥＰ剤、ＭＰＰ剤、ピリダフェンチオン剤、プロチオホス剤、マラソン剤、ＮＡＣ剤、アセタミプリド剤、チアクロプリド剤、メスルフェンホス剤、酒石酸モランテル剤、塩酸レバミゾール剤、ネマデクチン剤、エマメクチン安息香酸、ミルベメクチン剤）、ナメクジ防除剤（メタアルデヒド剤）、ベンゾエピン剤、フィブロニル剤、クロルフェナビル剤、ジアフェンチウロン剤、ピメトロジン剤、エマメクチン安息香酸、オレイン酸ナトリウム剤、ＤＢＥＤＣ剤、インドキサカルブ剤、トルフェンピラド剤等を使用する事ができる。殺虫剤は、農作物等の害虫被害の予防を目的で使用される。本実施形態の組成物と共に（又は組成物に含まれて）施用されることで、より少量で所望の効果を得ることが可能となる。

＜有用物質効果増強用組成物＞
　本実施形態の有用物質効果増強用組成物は、上述のようにペプチド型バイオサーファクタント及び糖型バイオサーファクタントから選択される少なくとも１種のバイオサーファクタントと、リン脂質とを含む。

　本実施形態の組成物は、前記バイオサーファクタントを、前記組成物１００質量％中０．００１～０．１質量％、特に、０．００５～０．０５質量％含むことが好ましい。本実施形態の組成物は、濃縮液、粉末等の組成物（「前駆体組成物」とも称する、詳細は後述する）の状態で運搬、保管され、植物への施用時に、水又は希釈液による希釈や、有用成分を含む組成物等との混合により、前記バイオサーファクタントの含有量が、上記範囲になるように調整されることで生成されてもよい。この場合の前記濃縮液、粉末中の前記バイオサーファクタントの含有量は、その希釈倍率、混合比率等に合わせて適宜設定することができる。

　本実施形態の組成物は、前記リン脂質を、前記組成物１００質量％中０．０００５～０．１質量％、特に、０．００１～０．０５質量％含むことが好ましい。本実施形態の組成物は、前駆体組成物の状態で運搬、保管され、植物への施用時に、水又は希釈液による希釈や、有用成分を含む組成物等との混合により、前記リン脂質の含有量が、上記範囲になるように調整されることで生成されてもよい。この場合の前記濃縮液、粉末中の前記リン脂質の含有量は、その希釈倍率、混合比率等に合わせて適宜設定することができる。

　本実施形態の組成物において、前記バイオサーファクタントと前記リン脂質とを、質量比で１：０．０１～１：５、特に１：０．１～１：２．０で含むことが好ましい。

　本実施形態の組成物は、必要に応じて、農業的に許容される担体が含まれていてもよい。また、本実施形態の組成物は、必要に応じて、他の添加物が含まれていてもよい。本実施形態の組成物は、必要に応じて、前記有用物質が含まれていてもよい。

　本実施形態の組成物の製造方法としては、特に制限はないが、例えば農業的に許容される担体として液体担体が使用される場合には、液体担体に、バイオサーファクタント、リン脂質、及び任意に用いられる添加剤を添加し、均一になるまで攪拌する方法が挙げられる。あるいは、液体担体に、バイオサーファクタント、リン脂質、及び任意に用いられる添加剤に加えて、さらに有用物質を添加し、均一になるまで攪拌する方法が挙げられる。

　本実施形態の組成物は、通常は植物に対して施用され、例えば植物の葉、根、種子、苗、果実等に対して用いられる。本実施形態の組成物は、植物の葉に散布されることが好ましい態様の一つである。なお、「植物の葉に散布する」とは、少なくとも葉に散布することを意味し、茎葉に散布してもよく、更に花、果実等に一部が散布されてもよい。

２．有用物質効果増強用組成物の植物への施用方法
　本開示の第２の実施形態は、第１の実施形態の組成物の植物への施用方法（以下、「本実施形態の方法」とも称する）である。本実施形態における各用語の定義は、特に矛盾のない限り、第１の実施形態に記載の定義と同様である。

　本実施形態の方法において、有用物質効果増強用組成物は、主に以下の態様で植物に施用される。
　第１態様：有用物質を含まない有用物質効果増強用組成物を施用する。有用物質若しくは有用物質を含む組成物を、有用物質効果増強用組成物とは別に同植物に施用する。
　第２態様：有用物質を含む有用物質効果増強用組成物を施用する。有用物質は、施用直前に有用物質効果増強用組成物の前駆体組成物と混合される。
　第３態様：有用物質を含む有用物質効果増強用組成物を施用する。有用物質は、施用直前に有用物質効果増強用組成物の前駆体組成物に含まれ、希釈により有用物質効果増強用組成物が調製される。

＜第１態様＞
　本実施形態の第１態様は、有用物質を含まない有用物質効果増強用組成物（以下、「組成物１Ａ」とも称する）を、有用物質とは別に植物に施用する。有用物質は、例えば、組成物１Ａとは別の組成物（以下、「組成物１Ｂ」とも称する）に含まれ、組成物１Ａと組成物１Ｂは、別々に植物に施用される。組成物１Ａと組成物１Ｂは、同時に施用されてもよく、異なる時期に施用されてもよい。異なる時期に施用される場合、組成物１Ａは、組成物１Ｂより先に施用してもよく、組成物１Ｂの後に施用してもよく、また、組成物１Ｂの施用の前後に分けて施用してもよい。組成物１Ａ及び１Ｂの少なくとも一方は、植物に施用する直前に高濃度組成物の希釈により調製されてもよい。

　組成物１Ａは、植物の地上部、特に葉に散布することが好ましい。植物の地上部に散布する場合には、植物の栽培面積１０ａあたり、バイオサーファクタントが好ましくは２．５～１００ｇ、より好ましくは５～５０ｇとなる量で、組成物１Ａを散布することが好ましい。また、植物の栽培面積１０ａあたり、リン脂質が好ましくは０．２５～２００ｇ、より好ましくは１．２５～５０ｇとなる量で、組成物１Ａを散布することが好ましい。

　組成部１Ｂは、組成物１Ａと同じ部位に付与されることが好ましい。より具体的には、組成物１Ｂは、植物の地上部、特に葉に散布することが好ましい。植物の地上部に散布する場合、組成物１Ｂの散布量は、含まれる有用物質が有効量で葉に付与される量とすることが好ましい。

　葉面散布の場合、組成物１Ａ及び組成物１Ｂの散布のタイミングは、有用物質の種類や散布目的に応じて適宜変更することができる。

＜第２態様＞
　本実施形態の第２態様は、有用物質を含まない有用物質効果増強用組成物の前駆体組成物（以下、「組成物２Ａ」とも称する）を、植物に施用する直前に有用物質と混合して、有用物質効果増強用組成物（以下、「組成物２Ｃ」とも称する）を調製する。ここで、混合する有用物質は、有用物質単独の形態であってもよく、有用物質を含む組成物（以下、「組成物２Ｂ」とも称する）の形態であってもよい。組成物２Ａ及び２Ｂの少なくとも一方は、混合する直前に、高濃度組成物の希釈により調製されてもよい。

　組成物２Ｃは、植物の地上部、特に葉に散布することが好ましい。植物の地上部に散布する場合には、植物の栽培面積１０ａあたり、バイオサーファクタントが好ましくは２．５～１００ｇ、より好ましくは５～５０ｇとなる量で、組成物２Ｃを散布することが好ましい。また、植物の栽培面積１０ａあたり、リン脂質が好ましくは０．２５～２００ｇ、より好ましくは１．２５～５０ｇとなる量で、組成物２Ｃを散布することが好ましい。さらに、組成物２Ｃは、含まれる有用物質が有効量で植物に付与されるように散布することが好ましい。組成物２Ａ及び２Ｂは、バイオサーファクタント、リン脂質及び有用物質の植物への付与量が、同時に上記の範囲内とできるように混合することが好ましい。

　葉面散布の場合、組成物２Ｃの散布のタイミングは、有用物質の種類や散布目的に応じて適宜変更することができる。

＜第３態様＞
　本実施形態の第３態様は、有用物質を含む有用物質効果増強用組成物（以下、「組成物３」とも称する）を植物に施用する。組成物３の少なくとも一方は、混合する直前に、高濃度組成物の希釈により調製されてもよい。

　組成物３は、植物の地上部、特に葉に散布することが好ましい。植物の地上部に散布する場合には、植物の栽培面積１０ａあたり、バイオサーファクタントが好ましくは２．５～１００ｇ、より好ましくは５～５０ｇとなる量で、組成物３を散布することが好ましい。また、植物の栽培面積１０ａあたり、リン脂質が好ましくは０．２５～２００ｇ、より好ましくは１．２５～５０ｇとなる量で、組成物３を散布することが好ましい。さらに、組成物３は、含まれる有用物質が有効量で植物に付与されるように散布することが好ましい。

　葉面散布の場合、組成物３の散布のタイミングは、有用物質の種類や散布目的に応じて適宜変更することができる。

３．有用物質効果増強用組成物の前駆体組成物
　本開示の第３の実施形態は、希釈又は混合により、上述の第１の実施形態の組成物を調製するための、前駆体組成物である。本実施形態における各用語の定義は、特に矛盾のない限り、第１の実施形態に記載の定義と同様である。

　前駆体組成物から調製される有用物質効果増強用組成物は、上述の有用物質を含んでいても、含んでいなくてもよい。前駆体組成物は、以下の６種の組成物に大別される。
　組成物ａ：バイオサーファクタントを有用物質効果増強用組成物の１０～５００００倍の濃度で含む組成物；
　組成物ｂ：リン脂質を有用物質効果増強用組成物の１０～５００００倍の濃度で含む組成物；
　組成物ｃ：バイオサーファクタントとリン脂質とを、それぞれ有用物質効果増強用組成物の１０～５００００倍の濃度で含む組成物；
　組成物ｄ：バイオサーファクタントと有用物質を、それぞれ有用物質効果増強用組成物の１０～５００００倍の濃度で含む組成物；
　組成物ｅ：リン脂質と有用物質とを、有用物質効果増強用組成物の１０～５００００倍の濃度で含む組成物；
　組成物ｆ：バイオサーファクタントとリン脂質と有用物質を、それぞれ有用物質効果増強用組成物の１０～５００００倍の濃度で含む組成物。

　本実施形態の前駆体組成物は、前駆体組成物の状態で保管、運搬等がなされ、使用時に希釈又は混合され、有用物質効果増強用組成物として調製された後に、植物に施用される。ある態様においては、上記組成物ａ、リン脂質及び有用物質が混合・希釈されることにより、有用物質効果増強用組成物が調製される。あるいは、組成物ａ、組成物ｂ及び有用物質が混合・希釈されることにより、有用物質効果増強用組成物が調製される。あるいは、組成物ａ及び組成物ｅが混合・希釈されることにより、有用物質効果増強用組成物が調製される。あるいは、組成物ｂ、バイオサーファクタント及び有用物質が混合・希釈されることにより、有用物質効果増強用組成物が調製される。あるいは、組成物ｂ及び組成物ｄが混合・希釈されることにより、有用物質効果増強用組成物が調製される。あるいは、組成物ｄ及びリン脂質が混合・希釈されることにより、有用物質効果増強用組成物が調製される。あるいは、組成物ｅ及びバイオサーファクタントが混合・希釈されることにより、有用物質効果増強用組成物が調製される。あるいは、組成物ｆが希釈されることにより、有用物質効果増強用組成物が調製される。好ましくは、組成物ｆが希釈されることにより、有用物質を含む有用物質効果増強用組成物が調製される。

　別の態様においては、上記組成物ａ及びリン脂質が混合・希釈されることにより、有用物質効果増強用組成物が調製される。あるいは、組成物ａ及び組成物ｂが混合・希釈されることにより、有用物質効果増強用組成物が調製される。あるいは、組成物ｂ及びバイオサーファクタントが混合・希釈されることにより、有用物質効果増強用組成物が調製される。あるいは、組成物ｃが希釈されることにより、有用物質効果増強用組成物が調製される。好ましくは、組成物ｃが希釈されることにより、有用物質を含まない有用物質効果増強用組成物が調製される。前駆体組成物の態様は、使用する有用物質の種類や、施用対象の植物の状態等に応じて適宜選択することが可能である。

　本実施形態において、「希釈」は、上述の液体担体（例えば、水）等からなる希釈液を用いて行われる。ここでいう希釈液には、植物の生育に関与する物質（ただし、水を除く）は実質的に含まれない。

　前駆体組成物にバイオサーファクタントが含まれる場合、バイオサーファクタントは、前駆体組成物１００質量％中に、５０質量％以下で含まれることが好ましく、３０質量％以下で含まれることがより好ましい。この場合、バイオサーファクタントは、前駆体組成物１００質量％中に、０．５質量％以上で含まれることが好ましく、１．０質量％以上で含まれることがより好ましい。前駆体組成物にリン脂質が含まれる場合、前駆体組成物１００質量％中に、５０質量％以下で含まれることが好ましく、３０質量％以下で含まれることがより好ましい。この場合、リン脂質は、前駆体組成物１００質量％中に、０．０５質量％以上で含まれることが好ましく、０．１質量％以上で含まれることがより好ましい。前駆体組成物に農業的に許容される担体（好ましくは液体担体、より好ましくは水）が含まれる場合、該担体の含有量は、前記前駆体組成物１００質量％中に、２０質量％以上であることが好ましく、４０質量％以上であることがより好ましい。

　以下、実施例を挙げて本実施形態を説明するが、本開示はこれらの例によって限定されるものではない。

　なお、本実施例において「サーファクチン」又は「ＳＦ」とは、サーファクチンＮａ（製品名カネカ・サーファクチン、カネカ製）を指す。「ＧＳＳＧ」は、グルタチオンジスルフィド（酸化型グルタチオン）を意味する。「ＤＭＰＣ」はジミリストイルホスファチジルコリンを意味する。「レシチン」とは、大豆レシチン（ナカライテスク株式会社製）を指す。「ソホロリピッド」は、Journal of Oleo Science, 60, (5) pp. 267-273 (2011)の記載を参照して調製したものを指す。「ラムノリピッド」は、ＡＧＡＥ　Ｔｅｃｈｎｏｌｏｇｉｅｓ社製を指す。「展着剤」は、合成界面活性剤を主成分とする展着剤である、アプローチＢＩ（丸和バイオケミカル株式会社製）を指す。「ＰＱ」とは、パラコートジクロリド標準品（富士フィルム和光純薬株式会社製）を指す。市販のパラコートには展着剤が含まれるが、本実施例では除草剤成分（ＰＱ）のみを使用した。

［実験例１］ＧＳＳＧ（酸化型グルタチオン）吸収促進
［実験例１－１］
　２５穴セルトレイに培土をつめ、コマツナ（品種：春のセンバツ）種子を３粒／セル播種した。ガラス温室内で栽培し、発芽後に１株/セルになるよう間引きした。播種２２日後、コマツナ葉の５葉目に表１に示す濃度の成分を含む、各試験液を２０μＬ塗布した。各試験液は、各成分を水で溶解して調製した。リン脂質（ＤＭＰＣ）を加える場合は、まず、リン脂質を水で溶解した後、所定濃度となるようにバイオサーファクタントを加えた。

　試験液を塗布した２４時間後に葉を採取し、１５ｍＬ遠心チューブ内に入れて５ｍＬの水を加えて葉表面を洗い流した。洗液を回収し、高速液体クロマトグラフィー（ＨＰＬＣ）でグルタチオン含有量を測定した。

　各試験液を塗布した葉におけるＧＳＳＧの吸収率を図１に示す。図中に示す濃度は、界面活性剤の濃度を示す。また、図中のアルファベットａ～ｆは、異なるアルファベットを付した群間で有意差があったこと、具体的には、Ｔｕｒｋｅｙ検定でｐ＜０．０５であったことを示す。

　図１に示すように、ＧＳＳＧのみを含む溶液がほとんど葉に吸収されなかったのに対して、バイオサーファクタントをＧＳＳＧとともに塗布した葉において、ＧＳＳＧの吸収が向上していた。また、各バイオサーファクタントとＤＭＰＣとを添加して塗布することによって、ＧＳＳＧの吸収率が有意に向上し、展着剤と同等以上のＧＳＳＧ吸収促進効果を奏することが確認された。特に、サーファクチンとＤＭＰＣとを添加した試験液を使用することによって、ＧＳＳＧの吸収率が顕著に向上し、既存の展着剤を使用するよりも、有意に高い吸収率を示すことが確認された。

［実験例１－２］
　リン脂質としてＤＭＰＣに代えてレシチンを使用して、実験例１－１と同様にしてサーファクチンのＧＳＳＧ吸収促進効果を確認した。２５穴セルトレイに培土をつめ、コマツナ（品種：春のセンバツ）種子を３粒／セル播種した。ガラス温室内で栽培し、発芽後に１株/セルになるよう間引きした。播種２１日後、コマツナ葉の５葉目に表２に示す濃度の成分を含む、各試験液を２０μＬ塗布した。各試験液は、各成分を水で溶解して調製した。レシチンを加える場合は、まず、レシチンを水で溶解した後、所定濃度となるようにサーファクチン又は展着剤を加えた。

　各試験液を塗布した葉におけるＧＳＳＧの吸収率を図２に示す。図中のアルファベットａ～ｄは、異なるアルファベットを付した群間で有意差があったこと、具体的には、Ｔｕｒｋｅｙ検定でｐ＜０．０５であったことを示す。

　図２に示すように、ＧＳＳＧのみを含む溶液がほとんど葉に吸収されなかったのに対して、サーファクチン、レシチン又は展着剤をＧＳＳＧとともに塗布した葉において、ＧＳＳＧの吸収が向上していた。特に、サーファクチンとレシチンとを添加して塗布することで、それぞれを単独で塗布するよりもＧＳＳＧの吸収率が有意に向上することが確認された。一方、展着剤とレシチンとを同時に添加しても、展着剤を単独で添加した場合と比較して吸収率に差異が見られないことが確認された。

［実験例１－３］
　サーファクチンのＧＳＳＧ吸収促進効果にレシチン濃度が与える影響を調査した。２５穴セルトレイに培土をつめ、コマツナ（品種：春のセンバツ）種子を３粒／セル播種した。ガラス温室内で栽培し、発芽後に１株/セルになるよう間引きした。播種２１日後、コマツナ葉の５葉目に表３に示す濃度の成分を含む、各試験液を２０μＬ塗布した。各試験液は、各成分を水で溶解して調製した。レシチンを加える場合は、まず、レシチンを水で溶解した後、所定濃度となるようにサーファクチンを加えた。

　各試験液を塗布した葉におけるＧＳＳＧの吸収率を図３に示す。また、図中のアルファベットａ～ｄは、異なるアルファベットを付した群間で有意差があったこと、具体的には、Ｔｕｒｋｅｙ検定でｐ＜０．０５であったことを示す。

　図３に示すように、サーファクチンと、サーファクチンに対して０．１～２．０倍量のレシチンを添加した例において、いずれもサーファクチン単独よりもＧＳＳＧ吸収率が有意に高くなることが確認された。

［実験例２］除草剤効果促進
［実験例２－１］
　９ｃｍポリポットに培土をつめ、ダイズ（品種：フクユタカ）種子を３粒／ポットで播種した。ガラス温室内で栽培し、発芽後に１株／ポットに間引きした。播種３週間後、表４に示す各試験液を葉面散布した。各試験液は、各成分を水で溶解して調製した。各試験液の散布３日後に、葉緑素計（製品名ＳＰＡＤ－５０２Ｐｌｕｓ、コミカミノルタ株式会社製）を用いて葉のＳＰＡＤ（Soil and Plant Analyzer Development）値を測定した。ＳＰＡＤ値は、植物の葉緑素量を示す指標として使用される値である。

　各試験液を散布した葉のＳＰＡＤ値を図４に示す。図４に示すように、ＰＱのみを散布した葉のＳＰＡＤ値は、対照のＳＰＡＤ値とほとんど差異は見られなかったが、サーファクチンとともに散布することで、ＳＰＡＤ値の低下がみられた。また、サーファクチンとレシチンとを添加することで、さらにＳＰＡＤ値を低下できる、すなわち、植物の光合成能を低下できることが確認された。これにより、サーファクチンとレシチンとを使用することで、ＰＱの除草効果を増強できることが示された。

［実験例２－２］
　９ｃｍポリポットに培土をつめ、ダイズ（品種：フクユタカ）種子を３粒／ポットで播種した。ガラス温室内で栽培し、発芽後に１株／ポットに間引きした。播種３週間後、表５に示す各試験液を葉面散布した。各試験液は、各成分を水で溶解して調製した。レシチンを加える場合は、まず、レシチンを水で溶解した後、所定濃度となるようにバイオサーファクタントを加えた。各試験液の散布３日後に、葉緑体計を用いて葉のＳＰＡＤ値を測定した。

　図５は、ＰＱのみを散布した葉のＳＰＡＤ値を１００として、各試験液を散布した葉のＳＰＡＤ値の減少割合を示す。図５に示す通り、レシチン、バイオサーファクタントをそれぞれ単独で散布した例と比較して、バイオサーファクタントとレシチンとを散布した例において、ＳＰＡＤ値が顕著に減少していることが確認された。これにより、各種バイオサーファクタントとレシチンとを使用することで、ＰＱの除草効果を増強できることが示された。

　本明細書中に記載した数値範囲の上限値及び／又は下限値は、それぞれ任意に組み合わせて好ましい範囲を規定することができる。例えば、数値範囲の上限値及び下限値を任意に組み合わせて好ましい範囲を規定することができ、数値範囲の上限値同士を任意に組み合わせて好ましい範囲を規定することができ、また、数値範囲の下限値同士を任意に組み合わせて好ましい範囲を規定することができる。また、本願において、記号「～」を用いて表される数値範囲は、記号「～」の前後に記載される数値のそれぞれを下限値及び上限値として含む。

　以上、本実施形態を詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲における設計変更があっても、それらは本開示に含まれるものである。
　本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願はそのまま引用により本明細書に組み入れられるものとする。

Claims

　ペプチド型バイオサーファクタント及び糖型バイオサーファクタントから選択される少なくとも１種のバイオサーファクタントと、リン脂質とを含む、植物における有用物質効果増強用組成物。
　前記バイオサーファクタントが、前記組成物１００質量％中に０．００１～０．１質量％含まれる、請求項１に記載の有用物質効果増強用組成物。
　前記リン脂質が、前記組成物１００質量％中に０．０００５～０．１質量％含まれる、請求項１に記載の有用物質効果増強用組成物。
　前記バイオサーファクタント及び前記リン脂質の含有量が、質量比で１：０．０１～１：５である、請求項１に記載の有用物質効果増強用組成物。
　有用物質が、有機化合物であり、除草剤、植物生長調整剤、機能性肥料成分、殺菌剤、殺虫剤からなる群より選択される、少なくとも１種の物質である、請求項１に記載の有用物質効果増強用組成物。
　前記有用物質が、グルタチオンである、請求項５に記載の有用物質効果増強用組成物。
　有用物質をさらに含む、請求項１に記載の有用物質効果増強用組成物。
　前記バイオサーファクタントが、サーファクチン、ラムノリピッド、ソホロリピッド、及びそれらの塩から選択される少なくとも１種のバイオサーファクタントである、請求項１に記載の有用物質効果増強用組成物。
　葉面散布に使用される、請求項１に記載の有用物質効果増強用組成物。
　希釈又は混合により、請求項１～８のいずれか１項に記載の有用物質効果増強用組成物を調製するための、有用物質効果増強用組成物の前駆体組成物。
　前記バイオサーファクタントが、前駆体組成物中１００質量％中に０．５～５０質量％含まれる、請求項１０に記載の前駆体組成物。
　前記リン脂質が、前駆体組成物中１００質量％中に０．０５～５０質量％含まれる、請求項１０に記載の前駆体組成物。