WO2016051999A1

WO2016051999A1 - 薬液貯蔵具および薬液投与装置

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Publication number: WO2016051999A1
Application number: PCT/JP2015/073673
Authority: WO
Inventors: 内山　城司
Original assignee: Terumo Corp
Current assignee: Terumo Corp
Priority date: 2014-09-29
Filing date: 2015-08-24
Publication date: 2016-04-07
Anticipated expiration: 2017-03-29

Abstract

　一端側が閉塞され他端側を開口端とした貯蔵筒と、前記貯蔵筒に連通して設けられた送液ポートと、前記貯蔵筒の開口端から挿入された挿入端が当該貯蔵筒の内壁に液密に密着した状態で当該貯蔵筒内において摺動可能な押し子と、前記送液ポートを介して前記貯蔵筒内に薬液を充填する際に、前記押し子に係合させて用いられる手動充填用部材とを有し、前記押し子は、前記挿入端から前記貯蔵筒の外部に延設された延設端に、前記手動充填用部材が自在に係合される係合部を有し、前記手動充填用部材は、前記押し子の係合部に係合された状態で、当該手動充填用部材を介して前記押し子の移動を操作するための摘み部を有する薬液貯蔵具。

Description

薬液貯蔵具および薬液投与装置

　本発明は、薬液貯蔵具および薬液投与装置に関し、例えばインスリンポンプのような携帯型の薬液貯蔵具および薬液投与装置に関する。

　近年、皮下注射や静脈内注射などによって、患者の体内に薬液を持続的に投与する治療法が行われている。例えば、糖尿病患者に対する治療法として、患者の体内に微量のインスリンを持続的に注入する治療が実施されている。この治療法では、患者に対して薬液（インスリン）を一日中持続的に投与するために、患者の身体又は衣服に固定して持ち運び可能な携帯型の薬液投与装置（いわゆるインスリンポンプ）が用いられている。

　従来の薬液投与装置として、例えば、下記特許文献１に記載されている注入媒体送達デバイスがある。このデバイスは、円筒状キャニスターとして構成された貯蔵容器と、貯蔵容器の内部において移動して貯蔵容器の内部の流体含有部分の容積を変えるピストンプランジャとを備えている。貯蔵容器は、中空針を刺し通すことができる隔壁を備えており、ピストンプランジャによって加えられる力に応じて、貯蔵容器内の注入媒体が中空針から放出される構成である。

　また上述したような一般的な薬液投与装置は、使用者の手元に届く際、貯蔵筒内に薬液が予め充填されていない。そのため、薬液投与装置を使用する際、使用者は、別途薬液が貯蔵された薬液容器（例えば、バイアル）から貯蔵筒内へ薬液を移送し、貯蔵筒内に薬液を充填する作業を行う必要がある。そこで、薬液投与装置の貯蔵容器内に薬液を充填するための充填器として、例えば下記特許文献２に記載されている流体移送デバイスが提案されている。

特表２０１０－５０１２８３号公報特表２０１２－５２５８６８号公報

　しかしながら、上述した充填器（流体移送デバイス）は、薬液投与装置とは別体のものである。このため、薬液投与装置の使用者が充填器を置き忘れた場合には、薬液投与装置の貯蔵容器に薬液を充填することができない。

　そこで本発明は、手動によって薬液の充填を行うことが可能な薬液貯蔵具を提供すること、およびこの薬液貯蔵具を備えた薬液投与装置を提供することを目的とする。

　以上のような目的を達成するための本発明の薬液貯蔵具は、一端側が閉塞され他端側を開口端とした貯蔵筒と、前記貯蔵筒に連通して設けられた送液ポートと、前記貯蔵筒の開口端から挿入された挿入端が当該貯蔵筒の内壁に液密に密着した状態で当該貯蔵筒内において摺動可能な押し子と、前記送液ポートを介して前記貯蔵筒内に薬液を充填する際に、前記押し子に係合させて用いられる手動充填用部材とを有し、前記押し子は、前記挿入端から前記貯蔵筒の外部に延設された延設端に、前記手動充填用部材が自在に係合される係合部を有し、前記手動充填用部材は、前記押し子の係合部に係合された状態で、当該手動充填用部材を介して前記押し子の移動を操作するための摘み部を有する。

　また本発明の薬液投与装置は、薬液が充填される薬液貯蔵部と、当該薬液貯蔵部からの薬液の投与を制御する駆動部とを有する薬液投与装置であって、薬液貯蔵部は、前記貯蔵筒、前記送液ポート、および前記押し子を有する。

　以上のような構成の薬液貯蔵具によれば、手動による薬液の充填を行うことが可能である。

実施形態に係る薬液貯蔵具の全体構成を説明するための分解斜視図である。実施形態に係る薬液貯蔵具の要部平面図である。実施形態に係る薬液貯蔵具の要部斜視図である。薬液貯蔵具における押し子と手動充填用部材との係合を説明するための斜視図である。薬液貯蔵具における押し子に対する駆動部の連結を説明するための斜視図である。薬液貯蔵具におけるアダプタの構成を説明するための平面図である。手動充填用部材を用いた薬液の手動充填の動作を説明する図（その１）である。手動充填用部材を用いた薬液の手動充填の動作を説明する図（その２）である。手動充填用部材を用いた薬液の手動充填の動作を説明する図（その３）である。手動充填用部材を用いた薬液の手動充填の動作を説明する図（その４）である。実施形態に係る薬液投与装置の全体構成を示す分解斜視図である。実施形態に係る薬液投与装置の要部平面図である。変形実施の例を説明するための要部平面図を示す。

　以下、本発明を適用した実施の形態を、薬液貯蔵具、この薬液貯蔵具を用いた薬液投与装置の順に、図面に基づいて詳細に説明する。尚、本発明の薬液貯蔵具は、ごく微量の薬液の貯蔵に好適に用いられるものであり、またこれを用いた薬液投与装置は、パッチ式のインスリンポンプやチューブ式のインスリンポンプ、さらにその他の携帯型の薬液投与装置のように、患者の体内に持続的に薬液投与を行うための携帯型の薬液投与装置に広く適用されるものである。

≪薬液貯蔵具≫
　図１は、実施形態に係る薬液貯蔵具１の全体構成を説明するための分解斜視図である。また図２は実施形態に係る薬液貯蔵具１の要部平面図である。これらの図に示す薬液貯蔵具１は、貯蔵具本体２、貯蔵具本体２と組み合わせて用いられる手動充填用部材３，３’およびアダプタ４を有している。このうち貯蔵具本体２は、筐体２１、筐体２１内に収納された薬液貯蔵容器１０および駆動部２３を備えている。

　以下、貯蔵具本体２を構成する各要素、手動充填用部材３，３’、およびアダプタ４の順に、これらの構成要素の詳細を説明する。

＜筐体２１（貯蔵具本体２）＞
　筐体２１は、平箱形状の一主面側を大きく開口した凹状の収納部２１ａを有する。さらにこの筐体２１は、平箱形状の他主面側の角部を開口した小容量の凹状の裏面収納部２１ｂを有し、裏面収納部２１ｂの底面は収納部２１ａ側に凸となっている。これらの収納部２１ａと裏面収納部２１ｂとは、収納部２１ａと裏面収納部２１ｂとを隔てる壁面に設けた開口２１ｃにおいて連通している。

　また収納部２１ａには、以降に説明する駆動部２３における平歯車２３ａの回転軸を支持するための軸受２１ｄ、および駆動部２３における送りネジ２３ｂを支持するための軸受２１ｅが設けられている。

＜薬液貯蔵容器１０（貯蔵具本体２）＞
　薬液貯蔵容器１０は、一方が閉じられた筒状の貯蔵筒１１、貯蔵筒１１に設けられた送液ポートとしての排出ポート１３および充填ポート１５、さらには貯蔵筒１１の内部に一端側が収容された押し子１７を有している。この薬液貯蔵容器１０は、筐体２１の収納部２１ａ内に、排出ポート１３を裏面収納部２１ｂ側に向けた状態で収納されている。薬液貯蔵容器１０における各構成要素の詳細は次のようである。

［貯蔵筒１１］
　貯蔵筒１１は、筒状体１１ａと、その一端側を閉塞する状態で設けられた錐形の頭部１１ｂとを有し、筒状体１１ａの他端側を開口端１１ｃとして構成されている。

　筒状体１１ａは、寸胴であって、筒状の延設方向（すなわち軸方向）に一定の口径が保たれていれば良く、図示したような円筒形の他、楕円筒形、あるいは角筒形であってもよい。

　錐形の頭部１１ｂは、筒状体１１ａの外側、すなわち筒状体１１ａの軸方向の一端側に凸となる状態で設けられている。このような頭部１１ｂは、筒状体１１ａの口径（開口形状）に一致する底面を有する錐形であって、筒状体１１ａが円筒形であれば円錐形、筒状体１１ａが楕円筒形であれば楕円錐形となっている。また頭部１１ｂの内周側の口径は、筒状体１１ａの口径に一致する底面から、錐形の頂部に向かって狭くなっている。また錐形の頭部１１ｂにおける頂部は、一例として錐形の底面の中心線上に位置している。しかしながら、貯蔵筒１１内に収容された押し子１７が、貯蔵筒１１内において回動せずにこの貯蔵筒１１の軸方向に沿って移動するものである場合、頭部１１ｂにおける錐形の頂部は、錐形の底面の中心線上から外れた位置であってもよい。

　開口端１１ｃは、以降に説明する押し子１７の貯蔵筒１１内においての摺動を妨げることのない形状を有していればよい。このため開口端１１ｃの開口形状は、筒状体１１ａの口径（開口形状）と一致している必要はない。

　以上のような構成の貯蔵筒１１は、薬液貯蔵容器１０内への薬液充填の際には、錐形の頭部１１ｂを上方に向けた状態で配置される。

［排出ポート１３］
　排出ポート１３は、例えば頭部１１ｂにおける錐形の頂部において、貯蔵筒１１内に連通して設けられている。この排出ポート１３は、管形状のものであって、薬液貯蔵容器１０内に薬液を充填する際に薬液貯蔵容器１０内のガスを排気する一方、薬液貯蔵容器１０内に充填された薬液を投与する際に薬液貯蔵容器１０内の薬液を流出させるための流路となる。

　このような管形状の排出ポート１３は、この薬液貯蔵容器１０が設置される薬液投与装置内のレイアウトに応じた方向に延設されればよい。このため、薬液投与装置を小型化する観点からは、排出ポート１３は、筒状体１１ａの軸に対して垂直な方向に延設することにより、貯蔵筒１１をコンパクト化することが好ましい。

　しかしながら以降に説明するように、薬液貯蔵容器１０内への薬液充填の際には、貯蔵筒１１は、錐形の頭部１１ｂを上方に向けた状態で配置される。このため、薬液貯蔵容器１０内への薬液充填の際に、貯蔵筒１１内のガスを上昇させて排出ポート１３から排気する観点からは、排出ポート１３は、筒状体１１ａに対して鈍角に配置されることが好ましい。すなわち、頭部１１ｂを上方向に向けて貯蔵筒１１を配置した場合に、排出ポート１３は、頭部１１ｂにおける錐形の頂部から水平方向よりも上側に向かって延設されていることが好ましい。また同様の観点から、排出ポート１３は、貯蔵筒１１における筒状体１１ａの軸に対して、軸方向を平行にして設けられることが最も好ましい。これにより、上述した薬液充填時に、頭部１１ｂにおける錐形の頂点にまで上昇したガスが、排出ポート１３に停滞することなく排出される。

　またこの排出ポート１３には、管形状の内部に密閉部材が内設されていることとする。この密閉部材は、例えばゴム製のパッキンであり、中空管Ｐ１が穿刺されるものである。この中空管Ｐ１は、薬液貯蔵容器１０内に薬液を充填する際には薬液貯蔵容器１０内のガスを吸引する吸引機構が接続されるものであり、また薬液貯蔵容器１０内に充填された薬液を投与する際には投与ポートが接続されるものである。

［充填ポート１５］
　充填ポート１５は、排出ポート１３よりも貯蔵筒１１の開口端１１ｃ側において貯蔵筒１１内に連通して設けられている。この充填ポート１５は、管形状のものであって、薬液貯蔵容器１０内に薬液を充填する際に、薬液容器から薬液を流入させるための流路となる。

　このような充填ポート１５は、その内壁の少なくとも一部が、貯蔵筒１１における筒状体１１ａの内壁から連続して設けられている。充填ポート１５と筒状体１１ａの内壁同士が連続した部分においては、充填ポート１５の内壁と筒状体１１ａの内壁との間に錐形の頭部１１ｂの内壁が介在せず、充填ポート１５の内壁と筒状体１１ａの内壁とが直接接続された状態となっている。

　このような一例としては、図示したように、充填ポート１５が、錐形の頭部１１ｂ側における筒状体１１ａの端部から延設された状態が示される。この状態において、充填ポート１５は、その周壁の一部が貯蔵筒１１における筒状体１１ａから延設され、錐形の頭部１１ｂにおいて貯蔵筒１１内に連通している。このような構成であれば、貯蔵筒１１と押し子１７とで構成される容積空間を極微小とした場合であっても、この極微小な容積空間に対して充填ポート１５を連通させることができる。

　また貯蔵筒１１に対する充填ポート１５の連通位置は、図示した構成に限定されることはなく、貯蔵筒１１の筒状体１１ａの周壁を充填ポート１５の連通位置としてもよい。

　ただし、充填ポート１５の内壁と筒状体１１ａの内壁とが連続した部分は、充填ポート１５の内壁が筒状体１１ａの内側に凸となることのないような連続性を有し、これらの内壁同士が面一であることが好ましい。

　以上のような充填ポート１５は、この薬液貯蔵容器１０が設置される装置内のレイアウトに応じた方向に延設されればよい。さらに貯蔵筒１１を錐形の頭部１１ｂ側から見た場合においての排出ポート１３の延設方向に対する充填ポート１５の位置も、この薬液貯蔵容器１０が設置される装置内のレイアウトに応じた位置であればよい。

　またこの充填ポート１５には、管形状の内部に密閉部材が内設されていることとする。この密閉部材は、例えばゴム製のパッキンであり、薬液貯蔵容器１０内に薬液を充填する際に、薬液容器に連通する送液管Ｐ２が穿刺されるものである。

［押し子１７］
　押し子１７は、貯蔵筒１１の開口端１１ｃから貯蔵筒１１の内部に陥入されたものである。この押し子１７は、貯蔵筒１１内に収容された挿入端が、貯蔵筒１１の内壁に液密に密着した状態で貯蔵筒１１内において摺動可能なガスケット１７ａとして構成されている。ガスケット１７ａは、例えば貯蔵筒１１の頭部１１ｂに嵌合する形状を有する。すなわちガスケット１７ａの形状は、貯蔵筒１１における錐形の頭部１１ｂの内壁を転写した形状となっている。これにより、この薬液貯蔵容器１０は、薬液貯蔵容器１０内に充填された薬液が無駄なく排出ポート１３から排出される構成となっている。

　また、押し子１７は、挿入端であるガスケット１７ａから貯蔵筒１１の外部に延設されたシャフト１７ｂを有する。図２に示すように、本実施形態におけるシャフト１７ｂは、以降に説明する駆動部２３の送りネジ２３ｂを挟んで配置された１対で構成され、これらの１対のシャフト１７ｂがガスケット１７ａから延設されている。

　これら１対のシャフト１７ｂにおいて、ガスケット１７ａから延設された延設端、すなわち押し子１７の延設端には、以降に説明する手動充填用部材３，３’が自在に係合される係合部１７ｃ、および駆動部２３との連結部１７ｄが形成されている。

　このうち係合部１７ｃは、例えば孔状に形成されており、図３および図４に示すように、シャフト１７ｂの延設方向に対して垂直な方向から、以降に説明する手動充填用部材３，３’の脚部３０３が陥入される孔状に形成されている。係合部１７ｃの孔形状は、例えば、図示したように、押し子１７の移動方向となる貯蔵筒１１の延設方向に対して垂直な方向に開放された形状である。しかしながら、係合部１７ｃは、円周が閉じた孔状であってもよい。

　このような係合部１７ｃは、貯蔵筒１１の延設方向への手動充填用部材３，３’による押し子１７の移動を容易とするため、送りネジ２３ｂを挟んで配置された１対のシャフト１７ｂの両方に設けられている。また係合部１７ｃは、脚部３０３の陥入方向に向けてある程度の深さｄ（図１参照）を有することが好ましい。だたしここでは、連結部１７ｄを配置する都合上、１対のシャフト１７ｂに設けた各係合部１７ｃは、深さｄの方向に２分割された構成となっている。

　また図３に示すように、連結部１７ｄは、１対のシャフト１７ｂの延設端において、深さ方向に２分割された孔状の係合部１７ｃの間に設けられ、１対の連結部１７ｄが送りネジ２３ｂを挟んで配置された状態となっている。

　連結部１７ｄは、係合部１７ｃに対して独立した状態で、送りネジ２３ｂ側に撓む板バネとして押し子１７に沿って延設されている。また連結部１７ｄにおいて、押し子１７に沿って延設された板バネの先端は、送りネジ２３ｂと逆側に凸となったかぎ針形状に形成されている。かぎ針形状において、押し子１７に沿って延設された方向の先端部分（頂部）は、送りネジ２３ｂ側に位置している。

　以上のような押し子１７は、筐体２１に収納された状態において、貯蔵筒１１に対する回動が規制される構成となっている。

　またここでの図示は省略したが、この押し子１７には、次に説明するように駆動部２３の連結用部材２３ｃが連結部１７ｄに対して連結された状態において、押し子１７に対する連結用部材２３ｃの移動を規制するストッパ部が設けられていることとする。

＜駆動部２３（貯蔵具本体２）＞
　図１および図２に示すように、駆動部２３は、押し子１７の延設端側に設けられている。この駆動部２３は、平歯車２３ａと、平歯車２３ａの軸に立設された送りネジ２３ｂと、送りネジ２３ｂに螺合された連結用部材２３ｃとを備え、筐体２１の収納部２１ａに対して固定された状態で収納されている。

　平歯車２３ａは、その回転軸が、筐体２１の収納部２１ａに固定された軸受２１ｄに対して支持された状態で配置されている。

　また送りネジ２３ｂは、一端が平歯車２３ａの回転軸に立設された状態で固定され、他端が筐体２１の収納部２１ａに固定された軸受２１ｅに支持された状態で、シャフト１７ｂに対して平行に設けられている。

　連結用部材２３ｃは、図２および図３に示すように、板状のものであって、板状の主面間を貫通する送りネジ２３ｂに対して螺合されている。このような連結用部材２３ｃは、送りネジ２３ｂにおける平歯車２３ａ側に近い位置に設けられている。また連結用部材２３ｃは、送りネジ２３ｂに螺合する位置を挟んで２つの連結孔２３ｄが形成されたものである。これらの連結孔２３ｄは、先に説明した押し子１７における連結部１７ｄの先端部分が挿入される形状であって、かつ連結部１７ｄにおけるかぎ針形状の先端よりも、やや送りネジ２３ｂ側に中心位置が設けられている。

　以上のような連結用部材２３ｃは、筐体２１に収納された状態において、貯蔵筒１１に対する回動が規制される構成となっている。

　これにより、平歯車２３ａの回転によって送りネジ２３ｂが回転すると、送りネジ２３ｂに螺合された連結用部材２３ｃは回転せずに送りネジ２３ｂに沿った方向に移動する。この際、連結用部材２３ｃを貯蔵筒１１側に移動させると、連結用部材２３ｃが押し子１７の延設端に達したところで、押し子１７の連結部１７ｄにおけるかぎ針形状の先端が、連結用部材２３ｃの連結孔２３ｄ内に挿入される。この際、連結用部材２３ｃの連結孔２３ｄは、押し子１７の連結部１７ｄにおけるかぎ針形状の先端よりも、やや送りネジ２３ｂ側に近く設けられている。このため、板バネ状の連結部１７ｄは、連結孔２３ｄの配置に倣って送りネジ２３ｂ側に撓み、連結用部材２３ｃは、さらに送りネジ２３ｂに沿った方向に移動する。

　ここで、押し子１７の連結部１７ｄにおけるかぎ針形状は、送りネジ２３ｂと逆側に凸となっている。このため、図５に示すように、さらに連結用部材２３ｃが移動して、押し子１７の連結部１７ｄにおけるかぎ針形状を通過したところで、板バネとして構成された連結部１７ｄの撓みが開放され、連結部１７ｄにおけるかぎ針形状の凸部分が連結用部材２３ｃの連結孔２３ｄよりも外側に突出し、連結用部材２３ｃが押し子１７に連結される。この連結状態においては、押し子１７に設けられたストッパ部（図示省略）により、押し子１７に対する連結用部材２３ｃの移動が規制される。これにより、押し子１７と、連結用部材２３ｃを備えた駆動部２３とが、連結された状態となる。

＜手動充填用部材３，３’＞
　図１、図３、および図４には、２種類の手動充填用部材３および手動充填用部材３’を図示した。薬液貯蔵具１は、これらの手動充填用部材３および手動充填用部材３’のうちの何れか１種類を備えていれば良い。

　このうち手動充填用部材３は、板状の摘み部３０１に、２本の脚部３０３を設けた構成である。

　摘み部３０１は、人の指で容易に摘むことができる大きさの板状部分として構成されている。

　また２本の脚部３０３は、摘み部３０１の板面と平行に同一方向に延設されている。これらの脚部３０３は、先に説明した押し子１７における孔状の係合部１７ｃに対して挿入される部分であって、送りネジ２３ｂを挟んで配置された２つの係合部１７ｃに一致する間隔で設けられていることとする。脚部３０３の高さｈは、孔状の係合部１７ｃの深さｄとほぼ同じ大きさであることとする。

　一方、手動充填用部材３’は、ストッパ３０５を有するところが特徴的である。このようなストッパ付きの手動充填用部材３’は、例えば板状の本体部３００の一方の端部に摘み部３０１’が設けられ、他方の端部に脚部３０３が設けられ、摘み部３０１’と脚部３０３との間にストッパ３０５が設けられた構成である。

　このうち摘み部３０１’は、手動充填用部材３’の操作を容易とするために、板状の本体部３００の一方の端部に、フランジ状に設けられたものであり、板状の本体部３００の板面に対して他の板状部材を垂直に固定した構成である。

　また脚部３０３は、本体部３００の他方の端部において、本体部３００の板面に対して垂直に設けられている。この脚部３０３は、手動充填用部材３のものと同様であってよい。すなわち脚部３０３は、先に説明した押し子１７における孔状の係合部１７ｃに対して挿入される部分であって、送りネジ２３ｂを挟んで配置された２つの係合部１７ｃに一致させた間隔で設けられていることとする。脚部３０３の高さｈは、孔状の係合部１７ｃの深さｄとほぼ同じ大きさであることとする。

　またストッパ３０５は、手動充填用部材３’の操作による押し子１７の移動を規制するための部分であって、２本の脚部３０３と所定の間隔ｗを保って設けられている。ここでは例えば、脚部３０３と摘み部３０１’との間に、２本のストッパ３０５が、２本の脚部３０３に対して平行に設けられていることとする。

　このようなストッパ３０５は、筐体２１の内壁、または筐体２１に固定された部材に当接することによって、手動充填用部材３’の操作による貯蔵筒１１の外側への押し子１７の移動を規制するものである。一例として、図４に示すように、ストッパ付きの手動充填用部材３’は、押し子１７に係合させた状態で、押し子１７を貯蔵筒１１から引き出す操作において、ストッパ３０５が駆動部２３の連結用部材２３ｃに当接される。これによって、貯蔵筒１１内の容積を、設定された値にすることが可能となっている。

　図１に示したように、このような手動充填用部材３’において、脚部３０３とストッパ３０５との間隔ｗは、薬液貯蔵容器１０内への薬液の充填量が多いほど小さく、充填量が少ないほど大きい。例えば、最大容量２ｍｌの薬液貯蔵容器１０に対して、２ｍｌの薬液を充填する場合においての脚部３０３とストッパ３０５との間隔ｗよりも、１ｍｌの薬液を充填する場合においての脚部３０３と図中破線に示すストッパ３０５との間隔ｗの方が、大きい値に設定される。

＜アダプタ４＞
　図１に示すように、アダプタ４は、筐体２１に装着されるものであり、筐体２１に装着された状態において筐体２１内に収納された薬液貯蔵容器１０に接続される。このアダプタ４は、薬液貯蔵容器１０の排出ポート１３および充填ポート１５が配置される側の筐体２１の周壁に装着されるアダプタ本体４０１を有する。

　図６には、薬液貯蔵容器１０とアダプタ４との接続状態を説明するための図であって、筐体の図示を省略した平面図を示す。図１および図６に示すように、アダプタ本体４０１からは、筐体２１の周壁を両側から挟持するための固定部材４０３が延設され、筐体２１に装着されたアダプタ４の固定を確実にしている。またアダプタ本体４０１には、薬液容器Ｓを接続するための接続部４０５が設けられている。

　ここで薬液容器Ｓは、開口部分がゴム栓で密閉されたバイアル瓶である。接続部４０５は、このような薬液容器Ｓにおいてゴム栓で密閉された開口部分を外周側から保持する。またこの接続部４０５は、筐体２１に収納された薬液貯蔵容器１０の充填ポート１５に対して一端が挿入された送液管Ｐ２を保持している。また接続部４０５は、送液管Ｐ２と平行に通気管Ｐ３を保持している。通気管Ｐ３の一端は、大気解放された状態となっている。そして、接続部４０５に対して薬液容器Ｓを保持させた状態において、送液管Ｐ２の他端および通気管Ｐ３の他端が、薬液容器Ｓのゴム栓を貫通して薬液容器Ｓの内部に挿入された状態となる。

　さらにアダプタ本体４０１には、接続ポート４０７が設けられている。接続ポート４０７は、薬液貯蔵容器１０の排出ポート１３から延設された中空管Ｐ１を、ここでの図示を省略した吸引型の充填器に接続するためのものである。この接続ポート４０７の経路上には、液体を通過させずに気体のみを通過させる通気フィルタ４０９が設けられた構成となっている。

　このようなアダプタ４は、薬液貯蔵具１に対して充填器を用いた薬液充填を行うためのものであり、接続ポート４０７に対して吸引型の充填器が接続される。このような充填器を用いた薬液充填を行う場合、薬液容器Ｓを接続する前に、薬液Ｌの充填量に合わせて貯蔵筒１１内から押し子１７を引き出しておく。次いで、アダプタ４の接続部４０５に対して薬液容器Ｓを保持させ、貯蔵筒１１の頭部１１ｂを上方に向けた状態で、接続ポート４０７に接続した吸引型の充填器によって、貯蔵筒１１内の空気を吸引する。これにより、貯蔵筒１１内が陰圧となり、送液管Ｐ２から貯蔵筒１１内に薬液Ｌが送液される。この際、貯蔵筒１１内の空気は、貯蔵筒１１の頭部に上昇して中空管Ｐ１から排気される構成である。

＜薬液貯蔵具１における薬液の手動充填＞
　図７～図１０は、以上のような構成の薬液貯蔵具１への薬液の手動充填を説明する模式図である。ここでは、例えば薬液貯蔵具１の使用者が充填器を置き忘れるなどの事情により、上述した充填器による薬液充填を実施できない場合において、手動による充填を行う手順を説明する。以下、図４，図７～図１０に従い、図６を参照しつつ、薬液貯蔵具１における薬液の手動充填の動作を、手動充填用部材３を用いた場合を例示して説明する。

　先ず図４を用いて説明したように、薬液貯蔵具１の使用者は、貯蔵具本体２に対してアダプタ４を装着する。次いで、薬液貯蔵容器１０における押し子１７の係合部１７ｃに手動充填用部材３の脚部３０３を挿入して係合させる。

　この状態で、図７に示すように、手動充填用部材３の摘み部３０１を摘まんで、手動充填用部材３を操作し、貯蔵筒１１の最深部にまで押し子１７を押し込む。これにより、貯蔵筒１１内の空気が、排出ポート１３に接続された中空管Ｐ１を介して接続ポート４０７から排出され、また充填ポート１５に接続された送液管Ｐ２から排出される（図６参照）。

　次いで、図８に示すように、アダプタ４の接続部４０５に対して薬液容器Ｓを保持させる。

　その後、図９に示すように、薬液容器Ｓを鉛直方向の上方に向けた状態とし、手動充填用部材３の摘み部３０１を摘まんで、手動充填用部材３を所定位置にまで引き下ろす。尚、図１に示したストッパ付きの手動充填用部材３'を用いた場合であれば、手動充填用部材３’のストッパ３０５が筐体に対して固定された連結用部材２３ｃに当接するまで、手動充填用部材３’を引き下ろす。

　以上により、押し子１７が貯蔵筒１１の内部から引き出され、送液管Ｐ２を介して薬液容器Ｓから貯蔵筒１１内に薬液Ｌが充填される。この際、貯蔵筒１１内の空気は、貯蔵筒１１の頭部に上昇して中空管Ｐ１を介して接続ポート４０７から排気される。また、薬液容器Ｓ内には、通気管Ｐ３から外部の空気が取り込まれ、薬液容器Ｓが大気圧に維持される（図６参照）。

　以上の後、貯蔵具本体２から薬液容器Ｓおよびアダプタ４を取り外す。この状態においては、貯蔵筒１１の充填ポート１５は、密閉部材によって密閉された状態となるため、貯蔵筒１１の内部の圧力は平衡状態にたもたれ、薬液Ｌが中空管Ｐ１から漏れ出すことはない。

　次いで、図１０に示すように、貯蔵筒１１における頭部１１ｂを鉛直方向の上部に向けた状態で貯蔵具本体２を配置する。この状態で、押し子１７に係合させた手動充填用部材３を操作して押し子１７を貯蔵筒１１内に押し込み、貯蔵筒１１内の気泡を排出ポート１３から中空管Ｐ１を介して排出させる。中空管Ｐ１内が薬液Ｌで満たされて排気が終了したところで、手動充填用部材３を取り外し、手動充填作業を終了する。

＜薬液貯蔵具１の効果＞
　以上説明した構成の薬液貯蔵具１は、手動充填用部材３，３’を備え、押し子１７の端部に手動充填用部材３，３’を係合させるための係合部１７ｃを形成した構成である。これにより、充填器の接続を目的として筐体２１内に押し子１７と貯蔵筒１１とが収納された構成であっても、手動充填用部材３，３’を用いて押し子１７を操作することが可能である。したがって、手元に充填器が無い場合も、手動で薬液の充填を行うことができる。

≪薬液投与装置≫
　図１１は、実施形態に係る薬液投与装置５の全体構成を示す分解斜視図である。また、図１２は、実施形態に係る薬液投与装置５の要部平面図である。以下、これらの図に基づいて、薬液投与装置５の構成を説明する。尚、薬液投与装置５の説明においては、図１～図１０を用いて説明した構成要素と同一のものに同一の符号を付し、重複する説明は省略する。

　これらの図１０および図１１に示す薬液投与装置５は、図１～１０を用いて説明した薬液貯蔵具１の貯蔵具本体２を薬液貯蔵部として備えたものであり、例えばインスリンポンプとして用いられる。このような薬液投与装置５は、貯蔵具本体２を用いて構成されたディスポ部２０、ディスポ部２０に対して組み合わせて用いられるリユース部３０およびクレードル４０を有する。以下、薬液投与装置５の詳細な構成を、ディスポ部２０、リユース部３０、およびクレードル４０の順に説明する。

＜ディスポ部２０＞
　ディスポ部２０は、先に説明した貯蔵具本体２を用いて構成された薬液貯蔵部であり、筐体２１の内部に、薬液貯蔵容器１０および駆動部２３と共に、さらに電池ボックス２５を収納したものである。筐体２１、薬液貯蔵容器１０、および駆動部２３は、先に説明した構成と同様のものであり、電池ボックス２５が追加されている。

［電池ボックス２５］
　電池ボックス２５は、以降に説明するモータ３３の電源となる電池を収納するものであって、モータ３３と電池とを接続するための電極を備えている。この電池ボックス２５は、筐体２１の収納部２１ａに対して固定された状態で収納されている。尚、この電池ボックス２５は、リユース部３０の構成要素として設けられてもよい。

＜リユース部３０＞
　リユース部３０は、ディスポ部２０の筐体２１に対する蓋体３１と、この蓋体３１の内部に収納されたモータ３３、および歯車部３５を備えている。

［蓋体３１］
　蓋体３１は、ディスポ部２０の筐体２１において収納部２１ａ側を覆って閉塞する構成のものであり、筐体２１に向かう主面側に、上述したモータ３３および歯車部３５が固定される構成となっている。

［モータ３３］
　モータ３３は、電池によって駆動されるものであり、回動する回転軸を有する。このモータ３３は、例えばパルス駆動されるステッピングモータであることとする。このモータ３３は、ディスポ部２０の筐体２１を蓋体３１で閉塞した状態において、ディスポ部２０の筐体２１に収納された電池ボックス２５の電極に接続される構成となっている。このようなモータ３３は、薬液貯蔵容器１０からの薬液Ｌの投与を制御する駆動部を構成する。

［歯車部３５］
　歯車部３５は、モータ３３の駆動によって連動して回転する複数段の歯車で構成されている。また図１２に示すように、歯車部３５を構成する複数段の歯車のうち、初段の歯車３５ａは、モータ３３の回転軸に対して同軸上に固定されている。さらに、蓋体３１をディスポ部２０の筐体２１に被せてディスポ部２０とリユース部３０とを組み合わせた状態においては、歯車部３５を構成する複数段の歯車のうち、最終段の歯車３５ｂは、ディスポ部２０の駆動部２３を構成する平歯車２３ａに対してかみ合わせて設けられる。

　これにより、モータ３３によって歯車部３５の各歯車が回転すると、ディスポ部２０の送りネジ２３ｂが回転し、薬液貯蔵容器１０の押し子１７が送りネジ２３ｂに沿った方向に移動する構成となっている。このような歯車部３５は、蓋体３１に対して固定されている。また歯車部３５は、薬液貯蔵容器１０からの薬液Ｌの投与を制御する駆動部を構成する。

＜クレードル４０＞
　クレードル４０は、本体部４１と、この本体部４１に設けられたカテーテルポート４３と、投与ポート４５とを備えている。

［本体部４１］
　本体部４１は、ディスポ部２０の筐体２１に対して、リユース部３０の蓋体３１と逆側から着脱自在に装着される。また本体部４１において、ディスポ部２０に向かう面とは逆側の面は、皮膚に対する貼合せ面となっている。

［カテーテルポート４３］
　カテーテルポート４３は、本体部４１においてディスポ部２０側に向けられる面であって、ディスポ部２０の筐体２１の裏面収納部２１ｂと重ね合わせられる位置に設けられている。このカテーテルポート４３は、次に説明する投与ポート４５を保持するための部分であり、カテーテルポート４３が設けられた部分において、本体部４１には、ここでは図示されない貫通孔が設けられている。

［投与ポート４５］
　投与ポート４５は、注射針４５ａを保持するものであって、カテーテルポート４３に嵌合させた状態で配置される。投与ポート４５をカテーテルポート４３に嵌合させた状態においては、投与ポート４５に保持された注射針４５ａが、クレードル４０の本体部４１に設けた貫通孔からディスポ部２０とは逆側に突出する。

　またクレードル４０に対してディスポ部２０を装着した状態において、カテーテルポート４３に嵌合された投与ポート４５は、ディスポ部２０における筐体２１の裏面収納部２１ｂに収納される。さらにこの状態において、投与ポート４５は、収納部２１ａと裏面収納部２１ｂとを連通する開口２１ｃを介して、薬液貯蔵容器１０の排出ポート１３から引き出された中空管Ｐ１に接続された状態となり、保持した注射針４５ａと中空管Ｐ１とを連通させる。

　尚、この投与ポート４５は、中空管Ｐ１に対して接続自在であり、薬液貯蔵容器１０内への薬液充填の際には、中空管Ｐ１に対して投与ポート４５に換えて通気フィルタを介して吸引機構が接続される構成となる。

［薬液投与装置５による薬液投与の手順］
　以上のように構成された薬液投与装置５による薬液投与は、次のように行う。先ず、図７～図１０を用いて説明した手動充填、または吸引型の充填器を用いた充填により、薬液貯蔵容器１０に所定量の薬液Ｌを充填しておく。この状態においては、駆動部２３と薬液貯蔵容器１０の押し子１７とは連結されていない。

　次に、モータ３３および歯車部３５が収納されたリユース部３０の蓋体３１を、ディスポ部２０の筐体２１に被せることで、ディスポ部２０とリユース部３０とを組み合わせる。

　またクレードル４０を、薬液の投与部位に貼り付ける。この際、クレードル４０に設けたカテーテルポート４３が投与部位に一致するようにして、クレードル４０の貼り付けを行う。次いで、カテーテルポート４３に対して投与ポート４５を嵌合させることにより、投与ポート４５に保持された注射針４５ａを投与部位に対して穿刺する。

　その後、薬液の投与部位に貼り付けられたクレードル４０に対して、リユース部３０と組み合わされたディスポ部２０を装着する。これにより、ディスポ部２０における筐体２１の裏面収納部２１ｂ内に投与ポート４５を収納し、さらにディスポ部２０の筐体２１における収納部２１ａと裏面収納部２１ｂとの連通部分において、投与ポート４５と中空管Ｐ１とを接続させる。

　以上のようにして薬液の投与部位に対して、薬液投与装置５を装着させたところで、ここでの図示を省略したコントローラからの無線遠隔操作により、モータ３３を駆動させる。これにより、ディスポ部２０の駆動部２３を構成する平歯車２３ａが回動する。これにより、連結用部材２３ｃは、回転せずに送りネジ２３ｂに沿って貯蔵筒１１側に移動し、押し子１７の連結部１７ｄ（図５参照）におけるかぎ針形状を通過して押し子１７に連結される。

　その後、さらにモータ３３を駆動させることにより、連結用部材２３ｃと連結された押し子１７が、送りネジ２３ｂに沿って貯蔵筒１１側に移動する。そして、薬液貯蔵容器１０に充填された薬液Ｌが、排出ポート１３および中空管Ｐ１を介して注射針４５ａから投与部位に投与される。押し子１７が、貯蔵筒１１の最深部にまで押し込まれたところで、薬液Ｌの投与が終了する。

［薬液投与装置５の効果］
　以上説明した薬液投与装置５は、先に説明した実施形態の薬液貯蔵具１における貯蔵具本体２と共に、この貯蔵具本体２に設けられた薬液貯蔵容器１０の押し子１７を駆動する駆動部を備えたものである。これにより、充填器の接続を目的として筐体２１内に押し子１７と貯蔵筒１１とが収納された構成でありながらも、手動で充填された薬液Ｌの投与が可能である。

≪薬液貯蔵具および薬液投与装置の他の例≫
　図１３は、他の実施形態に係る薬液貯蔵具を説明するための要部平面図である。この図を用いて説明する薬液貯蔵具が、先に図１～図６を用いて説明した薬液貯蔵具と異なるところは、押し子１７’に設けた連結部１７ｄ’をハーフナットとして構成したところにある。またこれにより、駆動部２３’の構成も変更となっているが、それ以外の構成要素は図１～図６を用いて説明した薬液貯蔵具と同様であり、同様の構成要素には同一の符号を付して、重複する説明は省略する。尚、図１３Ａは、薬液貯蔵容器１０を示した平面図であり、図１３Ｂは薬液貯蔵容器１０に駆動部２３’を組み合わせた平面図である。

　すなわち押し子１７’において、駆動部２３’を連結するための連結部１７ｄ’は、駆動部２３’の送りネジ２３ｂに螺合するハーフナットとして構成されている。この連結部１７ｄ’は、ここでの図示を省略した筐体内に貯蔵筒１１と共に収納された状態の押し子１７’に対して、駆動部２３’の送りネジ２３ｂが嵌合される構成となっている。

　また、駆動部２３’は、平歯車２３ａと送りネジ２３ｂとを有しており、送りネジ２３ｂ自体が連結部１７ｄ’に連結される連結用部材となる。したがって、別体として連結用部材を設ける必要はない。この場合、駆動部２３’は、薬液貯蔵具の構成要素とする必要はなく、この駆動部２３’を駆動させるためのモータ３３および歯車部３５と共に、薬液投与装置のリユース部の構成要素として良い。

　このような連結部１７ｄ’を有する薬液貯蔵具は、先に図１～図６を用いて説明した薬液貯蔵具と同様の動作により、薬液の手動充填を行うことができ、同様の効果を得ることができる。ただし、図１、図３、および図４を用いて説明したストッパ付きの手動充填用部材３’を用いた手動充填を行う場合、筐体内に駆動部２３’が配置されないため、手動充填用部材３’のストッパ３０５は筐体の内壁に当接することにより、押し子１７の移動を規制する。

　尚、本発明は上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、薬液貯蔵具が、吸引型の充填器によって薬液充填を行うものに限定されることはない。また貯蔵筒は、排出ポートと充填ポートとの両方を備えた構成としたが、１つの送液ポートのみを備え、この送液ポートから薬液を充填する構成であってもよい。

　１…薬液貯蔵具、２…貯蔵具本体（薬液貯蔵部）、３，３’…手動充填用部材、５…薬液投与装置、１１…貯蔵筒、１１ｃ…開口端、１３…排出ポート（送液ポート）、１５…充填ポート（送液ポート）、１７…押し子、１７ａ…ガスケット（挿入端）、１７ｃ…係合部（延設端）、１７ｄ，１７ｄ’…連結部（延設端）、２１…筐体、２３…駆動部、３３…モータ(駆動部）、３５…歯車部(駆動部）、３０１，３０１’…摘み部、３０５…ストッパ部

Claims

　一端側が閉塞され他端側を開口端とした貯蔵筒と、
　前記貯蔵筒に連通して設けられた送液ポートと、
　前記貯蔵筒の開口端から挿入された挿入端が当該貯蔵筒の内壁に液密に密着した状態で当該貯蔵筒内において摺動可能な押し子と、
　前記送液ポートを介して前記貯蔵筒内に薬液を充填する際に、前記押し子に係合させて用いられる手動充填用部材とを有し、
　前記押し子は、前記挿入端から前記貯蔵筒の外部に延設された延設端に、前記手動充填用部材が自在に係合される係合部を有し、
　前記手動充填用部材は、前記押し子の係合部に係合された状態で、当該手動充填用部材を介して前記押し子の移動を操作するための摘み部を有する
　薬液貯蔵具。
　前記手動充填用部材は、前記押し子の係合部に対して係合された状態において、前記貯蔵筒内からの前記押し子の引き出し量を規制するストッパ部を有する
　請求項１記載の薬液貯蔵具。
　前記押し子の延設端には、前記貯蔵筒内の薬液を前記送液ポートから排出して投与する際に、前記押し子を移動させるための駆動部が連結される連結部が設けられた
　請求項１記載の薬液貯蔵具。
　前記貯蔵筒および前記押し子が収納された筐体を有する
　請求項１～３の何れかに記載の薬液貯蔵具。
　前記筐体には、当該筐体内に収納された前記貯蔵筒内に薬液を充填するための充填器が装着される
　請求項４記載の薬液貯蔵具。
　薬液が充填される薬液貯蔵部と、当該薬液貯蔵部からの薬液の投与を制御する駆動部とを有する薬液投与装置であって、
　前記薬液貯蔵部は、
　一端側を開口端とし他端側を閉塞端とした貯蔵筒と、
　前記貯蔵筒に連通して設けられた送液ポートと、
　前記貯蔵筒の開口端から挿入された挿入端が当該貯蔵筒の内壁に液密に密着した状態で当該貯蔵筒内において摺動可能な押し子とを有し、
　前記押し子は、前記挿入端から前記貯蔵筒の外部に延設された延設端に、手動充填用部材が自在に係合される係合部を有する
　薬液投与装置。
　前記押し子の延設端には、前記貯蔵筒内の薬液を前記送液ポートから排出して投与する際に、前記駆動部が連結される連結部が設けられ、
　前記駆動部は、その駆動によって前記連結部に連結される
　請求項６記載の薬液投与装置。