明 細 書
ノルボルネン系開環重合体水素化物、樹脂組成物および成形体 技術分野
[0001] 本発明は、近年の情報分野、食品分野、医療分野、土木分野等において要求され る、水蒸気バリア性、耐熱性、耐油性、機械的特性、加工性等に優れるノルボルネン 系開環重合体水素化物、このものに酸化防止剤を添加してなる樹脂組成物、及び前 記ノルボルネン系開環重合体水素化物又は樹脂組成物を成形してなる成形体に関 する。
背景技術
[0002] ノルボルネン系開環重合体水素化物は、透明性に優れ、低複屈折性を有すること から、光学レンズや光学シート用の樹脂材料としての利用が提案されている(特許文 献 1 , 2)。また、このものは溶融時の流動性に優れ、溶出性ゃ耐薬品性にも優れてい るため、包装用フィルム、医療容器をはじめとして、光学用途以外の種々の樹脂材料 としても有用であることも提案されている(特許文献 3, 4)。しかし、ノルボルネン系開 環重合体水素化物の多くは非晶性であることから、その用途によっては、防湿性、耐 皮脂性、耐溶剤性等が不十分であり、物性のさらなる改善が望まれていた。
[0003] 一方、結晶性を有する(すなわち、融点を有する)ノルボルネン系開環重合体水素 化物としては、特許文献 5〜7に記載された、 3環体以上のカレボルネン系単量体の 繰り返し単位を含有する結晶性のノルボルネン系開環重合体水素化物が知られてい る。これらの文献に記載のノルボルネン系開環重合体水素化物から得られる樹脂フィ ルム又はシートは、透明性、耐熱性及び耐薬品性に優れ、機械的強度にも優れるも のである。しかし、これら結晶性のカレボルネン系開環重合体水素化物は、溶剤に対 する溶解性に乏しぐ開環重合体を水素化した後において、溶剤から析出し、触媒 残渣の除去等のポリマー精製が十分に行えない場合があった。また、当該カレボル ネン系開環重合体水素化物を使用して成形したフィルムの透湿度は十分に要求を 満たすものではなかった。
[0004] また、非特許文献 1 , 2には、ある種の結晶性を有するノルボルネン系単量体の開
環重合体水素化物が開示されている。しかし、これらの文献には、その重合体の重 合体物性について具体的には記載されていない。また、具体的に開示された重合体 のうち、分子量が大きぐ分子量分布が狭い重合体は、フィルム成形する際において フィルム厚みを制御することが困難であった。また、分子量が小さい重合体は、成形 フィルムの引っ張り破断伸びが小さぐフィルムにした際の機械的特性に問題があつ た。さらに、水素添加率が必ずしも十分でないため、この重合体を成形して得られる 成形体に焼けが生じ易い等の問題もあった。
[0005] 半導体チップや液晶表示デバイス等の電子部品分野では、高集積化に伴い、それ らの製造工程における微粒子、水分、有機物質等の汚染物質の混入による品質低 下が大きな問題となっている。そのため、これらの部品の製造に用いられるシリコンゥ ェハ基板や液晶表示基板などの精密基板の保管や搬送は、上記汚染物質を可能な 限り低減させた環境下で行う必要がある。そこで、これらの精密基板を、内部が高度 に清浄された密閉容器 (半導体製造用ウェハーキャリア)に収納し、外部環境から隔 離した状態で保管や搬送する方法が用いられて!/、る。
[0006] また、容器に収納される精密基板に微粒子などの汚染物質が付着することを防止 するため、容器内部にクリーンエアや不活性ガスの封入が行われていた力 近年、低 汚染性の要求が一層強まり、そのためにさらに内部を真空又は減圧状態にする方法 が提案されている。内部を減圧又は真空状態にした容器は、気密性が高ぐ耐圧性 があることに加えて、容器自体から水分や有機物等の汚染物質が揮散しないことが 要求される。
[0007] これらの要求を満たす容器として、金属製の容器や、耐薬品性、低吸水性等に優 れる、ポリプロピレン(PP)、ポリテトラフルォロエチレン(PTFE)、ペルフロォロアルコ キシフッ素樹脂 (PFA)等の熱可塑性樹脂を用いた容器が知られている。
[0008] しかし、金属製の容器は重ぐ内部の精密基板が観察できず、製造コストも高い。ま た、 PPは不透明であり、寸法精度、耐熱性に劣るという欠点がある。 PTFEは不透明 で寸法精度に劣る上、射出成形ができないため量産が困難であり、価格的に問題が ある。また、 PFAは透明性が不十分で、寸法精度に劣り、合成が困難であり大量生 産には適さず、価格的にも問題があった。
[0009] これらの問題を解決する成形材料として、近年、射出成形が可能であり、耐熱性、 耐湿性、耐薬品性、透明性などに優れた熱可塑性カレボルネン系樹脂が注目されて いる。
[0010] 例えば、特許文献 8には、環状ォレフィン樹脂の成形体である熱可塑性樹脂製容 器が提案されている。そこには、環状ォレフィン樹脂として、樹脂中に低分子成分、 触媒残渣、金属等の不純物が少なぐ透明性が高いことから、ノルボルネン類の開環 重合体水素化物が好ましレ、旨記載されてレ、る。
[0011] また、特許文献 9には、その接触面が 18. 6kgf/cm2の荷重橈み温度で 70°C以 上の熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂で形成された半導体製造用物品が提案され ている。さらに、特許文献 10には、熱可塑性樹脂を成形してなる、特定の性質を有 する構成部品を 1つ以上有する精密基板用容器が提案されている。そこには、熱可 塑性樹脂として、ノルボルネン系単量体の開環重合体水素化物等が好まし!/、旨記載 されている。
[0012] しかしながら、これらの文献記載の熱可塑性樹脂を用いる成形材料を用いて半導 体製造用ウェハーキャリアを成形した場合、成形体から放出される有機物により該キ ャリアに収容される半導体ウェハーの表面が汚染される場合があった。また、ウェハ 一を出し入れする操作において、キャリアとウェハーとが接触してキャリアから樹脂粉 (異物)が生じ、ウェハーを汚染する場合があり、問題となっていた。
[0013] 従来、医療品や食料品包装の分野においては、輸液バッグ、血液バッグ、薬品用 ボトル、分析用セル、医療用テストチューブ等の医療用包装体や、味噌、醤油、マョ ネーズ等の食料品用包装体が広く用いられている。これらの包装体には、透明性、 耐薬品性、耐衝撃性、繰り返し可滅菌性、水蒸気バリア性等が要求される。そして、 このような要求を満足するべぐこれまでにも、透明性ゃ耐薬品性に優れる熱可塑性 ノルボルネン系樹脂等の合成樹脂を用いる、医療用 ·食料品用包装体力 Sいくつか提 案されている。
[0014] 例えば、特許文献 11には、壁面が材質の異なる少なくとも 2層を含む多層からなる 容器であって、そのうちの少なくとも 1層が熱可塑性飽和ノルボルネン系ポリマーから なることを特徴とする医療用又は食料包装用容器が提案されている。
[0015] また、特許文献 12には、熱可塑性ノルボルネン系樹脂からなる成形品の表面に、 ポリ酢酸ビュルの部分ケン化物からなるガスバリア樹脂層を積層してなる成形品が開 示されている。
[0016] しかし、これらの文献に記載された熱可塑性ノルボルネン系樹脂は!/、ずれも非晶性 であり、医療用包装体として用いる場合には耐衝撃性ゃ耐油性が不十分な場合があ つた。また、特許文献 11に記載の医療用又は食料用包装容器は水蒸気バリア性に 劣り、特許文献 12に記載された成形品は、熱可塑性ノルボルネン系樹脂の水蒸気 ノ リア性が劣るため、高温 ·高湿度環境下においてはガスバリア樹脂層が水分により 変質し、酸素バリア性が低下するという問題があった。
[0017] 一方、特許文献 13には、融点を有するノルボルネン系開環重合体、又は、該開環 重合体中の炭素 炭素二重結合を水素化して得られた、融点を有するノルボルネン 系開環重合体水素化物を成形してなるフィルム及びシートが提案されている。
[0018] しかし、この文献に具体的に開示された融点を有するジシクロペンタジェンの開環 重合体の水素化物は、融点が 270°C以上と非常に高いため成形し難ぐまた、得ら れる成形体は、水蒸気バリア性、耐衝撃性等の機械的特性に劣る場合があった。
[0019] 従来、プレス 'スルー'パッケージ (PTP)等のブリスター成形体は、樹脂シート(ブリ スター成形用シート)を得た後、該樹脂シートを真空成形、圧空成形等の熱成形法に より成形して製造されて!/、る。
[0020] このようなブリスター成形体には、優れた成形性、防湿性 (水蒸気バリア性)、耐衝 撃性、耐油性等が要求される。そして、このような要求を満足するべぐこれまでにも、 熱可塑性ノルボルネン系樹脂等の合成樹脂からなるプリスター成形体がいくつか提 案されている。
[0021] 例えば、特許文献 14には、熱可塑性ノルボルネン系樹脂からなるシートに設けられ た収納ポケットに被包装物を収納した後、該シートのポケット開口部を他のシートで 閉塞して被包装物を包装したプレス 'スルー'パッケージ (PTP)が開示されている。
[0022] また、特許文献 15には、シクロペンタジェン (若しくはその誘導体)とノルボルナジ ェン (若しくはその誘導体)とのディールズ 'アルダー付加反応物と、不飽和単量体と の共重合体であって、熱変形温度が 100°C以下の非晶性ポリオレフイン (A)からなる
樹脂層の少なくとも片面に、ポリプロピレン (B)からなる樹脂層を積層してなることを 特徴とする高防湿薬品包装用多層シートが開示されている。
[0023] しかし、これらの文献に記載された熱可塑性ノルボルネン系樹脂は!/、ずれも非晶性 であり、ブリスター成形体として用いる場合には、機械的強度、耐熱性、耐油性等が 不十分な場合があった。また、特許文献 14に記載の PTPは、使用時の皮脂付着に より白化する場合があり、特許文献 15に記載された高防湿薬品包装用多層シートに は、水蒸気バリア性に劣るという問題があった。
[0024] この問題を改善すベぐ特許文献 16には、融点を有するノルボルネン系開環重合 体、又は、該開環重合体中の炭素 炭素二重結合を水素化して得られた、融点を有 するノルボルネン系開環重合体水素化物を成形してなるフィルム及びシートが提案さ れている。
[0025] しかし、この文献に具体的に開示された融点を有するジシクロペンタジェンの開環 重合体の水素化物は、融点が 270°C以上と非常に高いため成形し難ぐまた、得ら れる成形体は、水蒸気バリア性、機械的特性に劣る場合があった。
[0026] 他方、特許文献 17には、融点を有するカレボルネン系重合体をブロー成形してな るブロー成形品が開示されている。特許文献 17に記載の「融点を有するノルボルネ ン系重合体」は、結晶性ポリマーである。特許文献 17には、融点を有するノルボルネ ン系重合体として、広範なノルボルネン単量体開環重合体水素化物が例示されてレヽ る力 具体的に示されているのは、ジシクロペンタジェンの開環重合体水素化物であ る。このジシクロペンタジェン開環重合体水素化物は、融点 Tmが 200〜400°Cの高 融点ポリマーである。
[0027] そのため、特許文献 17の各実施例では、ブロー成形に際し、二軸押出機のバレノレ 温度を 290〜300°C、ダイ温度を 320°Cに設定して、ジシクロペンタジェン開環重合 体水素化物を溶融押出して溶融ノ リソンを作製している。このような高温での成形は 、成形機に対する負荷が大きいことに加えて、樹脂焼け (樹脂の変色)が発生しやす いという問題があった。しかも、得られたブロー成形容器は、耐熱性、耐油性、耐薬 品性などに優れるものの、水蒸気バリア性は必ずしも十分ではない。しかも、ジシクロ ペンタジェン開環重合体水素化物は、有機溶媒に対して難溶性であるため、精製が
困難であり、触媒に由来する金属の溶出問題がある。
[0028] 前記非特許文献 1には、トランス含量が 80%で、重量平均分子量 Mwが 2, 000, 0
00であり、非晶性のポリノルボルネンを水素添加することにより、融点が 141°Cの結 晶性熱可塑性高分子量物の得られたことが報告されている。
[0029] また、非特許文献 2には、水素添加したポリノルボルネン/ポリエチリデンノルボル ネン (hPN/hPEN)ブロック共重合体の結晶構造と融点が報告されて!/、る。
[0030] しかし、非特許文献 1及び 2に記載のノルボルネン単量体開環重合体水素化物は、 数平均分子量 Mnが大きぐ分子量分布 Mw/Mnが狭いため、ブロー成形すると、 ブロー成形容器の厚みを精密に制御することが困難である。実際、非特許文献 1及 び 2には、それらの水素化物をブロー成形容器に成形することについて記載されて いない。
[0031] 特許文献 1 : :特開昭 60 - - 26024号公幸
特許文献 2 : :特開平 9 263627号公報
特許文献 3 : :特開 2000 — 313090号公報
特許文献 4 : :特開 2003 — 183361号公報
特許文献 5 : :特開 2000 — 201826号公報
特許文献 6 : :特開 2000 — 393316号公報
特許文献 7 : :特開 2006 — 52333号公幸
特許文献 8 : :特開平 11 - - 74337号公幸
特許文献 9 : :特開 2002 — 217279号公報
特許文献 10 :WO2003/021665号ノ ンフレット
特許文献 11 :特開平 4 276253号公報
特許文献 12:特開 2002— 127315号公報
特許文献 13:特開 2002— 194067号公報
特許文献 14 :特開平 6— 278706号公報
特許文献 15:特開平 7— 178884号公報
特許文献 16:特開 2002— 194067号公報
特許文献 17:特開 2002— 249554号公報
非特許文献 1 : Polymer International, 1994年,第 34巻, 49— 57頁 非特許文献 2 : Macromolecules, 2004年,第 37巻, 7278— 7284頁
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0032] 本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、 下記(a)〜(g)に示すとおりである。
(a)近年の情報分野、食品分野、医療分野、土木分野等における、水蒸気バリア性、 耐熱性、耐油性、機械的特性、加工性等のより優れた性能の要求を満たす樹脂材 料となり得るノルボルネン系開環重合体水素化物、及びこのノルボルネン系開環重 合体水素化物を含有する樹脂組成物を提供すること。
(b)前記ノルボルネン系開環重合体水素化物又は樹脂組成物を成形して得られる、 樹脂フィルム又はシートを提供すること。
(c)電子部品処理用器材として有用な、前記ノルボルネン系開環重合体水素化物又 は樹脂組成物を成形して得られる成形体を提供すること。
[0033] (d)防湿性 (水蒸気バリア性)、耐衝撃性等の機械的特性、及び耐油性に優れ、また 、ガスバリア性樹脂を含有する層を少なくとも 1層有する場合は高温 ·高湿度環境下 にお!/、てもガスバリア性に優れる多層体、及びこの多層体を二次加工して得られる包 装体を提供すること。
(e)水蒸気バリア性、機械的特性、耐油性、柔軟性、成形性、特に高温時の水蒸気 ノ リア性に優れる医療包装体を提供すること。
(f)水蒸気バリア性、耐油性、加工性、特に高温時の水蒸気バリア性に優れるブリス ター成形用シート、及び該シートを成形して得られるブリスター成形体を提供すること
(g)水蒸気バリア性、耐熱性、耐油性、機械的強度、加工性等に優れて、曇価 (ヘイ ズ)も小さい、ノルボルネン系開環重合体水素化物を含有する層を含む単層又は多 層のブロー成形容器を提供すること。
[0034] 上記課題を解決すベぐ本発明は第 1に、下記(1)〜(7)のノルボルネン系開環重 合体水素化物、樹脂組成物、樹脂フィルム、及びシートを提供する。
(1) 2—カレボルネンを開環重合して得られる開環重合体の主鎖炭素 炭素二重結 合の 80%以上を水素化することにより得られるノルボルネン系開環重合体水素化物 であって、ゲル'パーミエーシヨン'クロマトグラフィー(GPC)による重量平均分子量( Mw)力 50, 000—200, 000、分子量分布(Mw/Mn)が 1. 5—10. 0、融点が 11 0〜145°Cであることを特徴とするノルボルネン系開環重合体水素化物。
[0035] (2) 2 カレボルネンと置換基含有ノルボルネン系単量体とを開環共重合して得られ る開環共重合体の、炭素 炭素二重結合の 80%以上を水素化することにより得られ るノルボルネン系開環重合体水素化物であって、 2 ノルボルネン由来の繰り返し単 位 (A)の全繰り返し単位に対する存在割合が 90〜99重量%、置換基含有ノルボル ネン系モノマー由来の繰り返し単位 (B)の全繰り返し単位に対する存在割合が 1〜 1 0重量%であり、かつ、融点が 110〜; 145°Cであることを特徴とするノルボルネン系開 環重合体水素化物。
(3)ゲル'パーミエーシヨン'クロマトグラフィー(GPC)による重量平均分子量(Mw) 力 000-200, 000である(2)に記載のノルボルネン系開環重合体水素化物。
(4)ゲル'パーミエーシヨン.クロマトグラフィー(GPC)による重量平均分子量(Mw)と 数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が 1. 5—10. 0である(2)に記載のノルボルネ ン系開環重合体水素化物。
(5)前記(1)又は(2)に記載のノルボルネン系開環重合体水素化物を含有する樹脂 組成物。
(6)さらに、前記ノルボルネン系開環重合体水素化物 100重量部に対し、 0. 01〜1 重量部の酸化防止剤を含有する(5)に記載の樹脂組成物。
(7)前記(1)若しくは(2)に記載のノルボルネン系開環重合体水素化物、又は前記( 5)に記載の樹脂組成物を成形して得られる樹脂フィルム又はシート。
[0036] 本発明は第 2に、(8)〜(; 12)の成形材料及び成形体を提供する。
(8) 2 ノルボルネン、又は 2 ノルボルネン及び置換基含有ノルボルネン系単量体 からなる単量体混合物を開環重合して得られる開環重合体の、炭素 炭素二重結 合の 80%以上を水素化することにより得られるノルボルネン系開環重合体水素化物 であって、 2—ノルボルネン由来の繰り返し単位(A)の全繰り返し単位に対する存在
割合が 90〜; 100重量%、置換基含有ノルボルネン系単量体由来の繰り返し単位 (B )の全繰り返し単位に対する存在割合が 0〜; 10重量%であり、融点が 110〜; 145°C の範囲であるノルボルネン系開環重合体水素化物を含有し、かつ、 80°Cで 60分間 加熱した際の有機物放出量が lppm以下であることを特徴とする成形材料。
(9)遷移金属の含有量が lppm以下のものである(8)に記載の成形材料。
(10)前記(8)に記載の成形材料を成形して得られる成形体。
(11)電子部品処理用器材である(10)に記載の成形体。
(12)半導体製造用ウェハーキャリアである(11)に記載の成形体。
[0037] 本発明は第 3に、下記(13)〜(; 17)の多層体及び包装体を提供する。
(13) 2層以上の樹脂層を有する多層体であって、その内の少なくとも 1層が、 2 ノ ルポルネン又は 2—ノルボルネン及び置換基含有ノルボルネン系単量体からなる単 量体混合物を開環重合して得られる開環重合体の、炭素 炭素二重結合の 80%以 上を水素化することにより得られるノルボルネン系開環重合体水素化物であって、 2 —ノルボルネン由来の繰り返し単位 (A)の全繰り返し単位に対する存在割合が 90〜 100重量%、置換基含有ノルボルネン系単量体由来の繰り返し単位(B)の全繰り返 し単位に対する存在割合が 0〜; 10重量%であり、かつ、融点が 110〜; 145°Cの範囲 であるノルボルネン系開環重合体水素化物を含有する層であることを特徴とする多 層体。
(14)少なくとも 1層がガスノ リア性樹脂を含有する層である(13)に記載の多層体。
(15)前記ガスバリア性樹脂力 エチレン ビュルアルコール共重合体である(13)に 記載の多層体。
(16)少なくとも 1層が、ポリオレフイン系樹脂、ポリアミド樹脂、及びポリエステル樹脂 力、らなる群から選ばれる少なくとも一種を含有する層である(13)に記載の多層体。
(17)前記(13)に記載の多層体を二次加工して得られる包装体。
[0038] 本発明は第 4に、下記(18)〜(21)の医療包装体を提供する。
(18)樹脂層を少なくとも一層有する医療包装体であって、前記樹脂層が、 2 カレ ボルネン又は 2—ノルボルネン及び置換基含有ノルボルネン系単量体からなる単量 体混合物を開環重合して得られる開環重合体の、炭素 炭素二重結合の 80%以上
を水素化することにより得られるノルボルネン系開環重合体水素化物であって、 2—ノ ルポルネン由来の繰り返し単位 (A)の全繰り返し単位に対する存在割合が 90〜10 0重量%、置換基含有ノルボルネン系単量体由来の繰り返し単位 (B)の全繰り返し 単位に対する存在割合が 0〜; 10重量%であり、かつ、融点が 110〜; 145°Cの範囲で あるノルボルネン系開環重合体水素化物を含有する層であることを特徴とする医療 包装体。
(19)少なくとも一層のポリオレフイン系樹脂層をさらに有する(18)に記載の医療包 装体。
(20)前記ポリオレフイン系樹脂層力 S、ポリエチレン樹脂層であることを特徴とする(19 )に記載の医療包装体。
(21)輸液バッグである(18)に記載の医療包装体。
[0039] 本発明は第 5に、下記(22)〜(25)のブリスター成形用シート及びプリスター成形 体を提供する。
(22)樹脂層を少なくとも一層有するブリスター成形用シートであって、前記樹脂層が 、 2—ノルボルネン、又は 2—ノルボルネン及び置換基含有ノルボルネン系単量体を 開環重合して得られる開環重合体の炭素 炭素二重結合の 80%以上を水素化す ることにより得られるノルボルネン系開環重合体水素化物であって、 2—ノルボルネン 由来の繰り返し単位 (A)の全繰り返し単位に対する存在割合が 90〜; 100重量%、 置換基含有ノルボルネン系単量体由来の繰り返し単位 (B)の全繰り返し単位に対す る存在割合が 0〜; 10重量%であり、かつ、融点が 110〜; 145°Cの範囲であるノルボ ルネン系開環重合体水素化物を含有する層であることを特徴とするプリスター成形 用シート。
(23)少なくとも一層のポリオレフイン系樹脂を含有する層をさらに有する多層体であ る(22)に記載のブリスター成形用シート。
(24)前記ポリオレフイン系樹脂が、ポリプロピレンである(23)に記載のブリスター成 形用シート。
(25)前記(22)に記載のブリスター成形用シートを成形してなるプリスター成形体。
[0040] 本発明は第 6に、下記(26)のブロー成形容器を提供する。
(26)樹脂層を少なくとも一層有するブロー成形容器であって、前記樹脂層が、 2 ノ ノレボルネン、又は 2—ノルボルネン及び置換基含有ノルボルネン系単量体を開環重 合して得られる開環重合体の炭素 炭素二重結合の 80%以上を水素化することに より得られるノルボルネン系開環重合体水素化物であって、 2 ノルボルネン由来の 繰り返し単位 (A)の全繰り返し単位に対する存在割合が 90〜; 100重量%、置換基 含有ノルボルネン系単量体由来の繰り返し単位(B)の全繰り返し単位に対する存在 割合が 0〜; 10重量%であり、かつ、融点が 110〜; 145°Cの範囲であるノルボルネン 系開環重合体水素化物を含有する層であることを特徴とするブロー成形容器。 発明の効果
[0041] 本発明によれば、近年の情報分野、食品分野、医療分野、土木分野等における、 水蒸気バリア性、耐熱性、耐油性、機械的特性、加工性等のより優れた性能の要求 を満たす樹脂材料となり得る、カレボルネン系開環重合体水素化物、このノルボルネ ン系開環重合体水素化物を含有する樹脂組成物、及びこの樹脂組成物を成形して 得られる樹脂フィルム又はシートが提供される。
本発明によれば、耐熱性に優れ、有機物放出性が低ぐ成形体にしたときに摩擦に よる異物の発生が少な!/、成形材料、及びこの成形材料を成形して得られる成形体が 提供される。
[0042] 本発明の多層体及び包装体は、水蒸気バリア性、耐衝撃性等の機械的特性、及 び耐油性に優れ、また、ガスバリア性樹脂を含有する層を少なくとも 1層有する場合 は高温 ·高湿度環境下にお!/、てもガスバリア性に優れる。
本発明の医療包装体は、水蒸気バリア性、機械的特性、耐油性、柔軟性、成形性
、特に、高温時の水蒸気バリア性に優れている。
[0043] 本発明のブリスター成形用シート及びプリスター成形体は、水蒸気バリア性、耐油 性、加工性、特に高温時の水蒸気バリア性に優れている。
本発明によれば、ノルボルネン系開環重合体水素化物を含有する層を含む単層又 は多層のブロー成形容器であって、水蒸気バリア性、耐熱性、耐油性、機械的強度
、加工性等に優れて、曇価 (ヘイズ)も小さいブロー成形容器が提供される。
図面の簡単な説明
[0044] [図 1]本発明に係る半導体製造用ウェハーキャリアの一例の斜視図である。
発明を実施するための最良の形態
[0045] 以下、本発明を詳細に説明する。
1)ノルボルネン系開環重合体水素化物
本発明のノルボルネン系開環重合体水素化物は、下記 (I)及び (II)の!/、ずれかに 示すものである。
[0046] (I) 2 ノルボルネンを開環重合して得られる開環重合体の主鎖炭素 炭素二重結 合の 80%以上を水素化することにより得られるノルボルネン系開環重合体水素化物 (2—ノルボルネン開環重合体水素化物)であって、ゲル'パーミエーシヨン'クロマト グラフィー(GPC)による重量平均分子量(Mw)が 50, 000— 200, 000であり、分子 量分布(Mw/Mn)が 1. 5〜; 10で、かつ、融点が 110〜; 145°Cであることを特徴とす るノルボルネン系開環重合体水素化物(以下、「ノルボルネン系開環重合体水素化 物 (1)」ということがある。)。
[0047] (II) 2 ノルボルネンと置換基含有ノルボルネン系単量体とを開環共重合して得られ る開環共重合体の、炭素 炭素二重結合の 80%以上を水素化することにより得られ るノルボルネン系開環重合体水素化物であって、 2 ノルボルネン由来の繰り返し単 位 (A)の全繰り返し単位に対する存在割合が 90〜99重量%、置換基含有ノルボル ネン系モノマー由来の繰り返し単位 (B)の全繰り返し単位に対する存在割合が 1〜 1 0重量%であり、かつ、融点が 110〜; 145°Cであることを特徴とするノルボルネン系開 環重合体水素化物(以下、「ノルボルネン系開環重合体水素化物(Π)」とレ、うことがあ ノ
[0048] 本発明のノルボルネン系開環重合体水素化物(II)中の、 2 ノルボルネン由来の 繰り返し単位 (A)の全繰り返し単位に対する存在割合は、 90〜99重量%、好ましく は、 95〜99重量%、より好ましくは、 97〜99重量%である。また、置換基含有ノルボ ルネン系単量体由来の繰り返し単位 (B)の全繰り返し単位に対する存在割合は、 1 〜; 10重量%、好ましくは 1〜5重量%、より好ましくは 1〜3重量%である。
[0049] 繰り返し単位 (A)と繰り返し単位(B)の存在割合がこのような範囲にあると、ノルボ ルネン系開環共重合体水素化物の溶剤への溶解性が良好であるためポリマーの生
産性に優れ、ポリマーの精製も容易である。また、得られる成形体の機械的特性、透 明性、耐熱性や水蒸気バリア性が良好となる。さらに、有機物放出量が少なぐ摩擦 等により樹脂粉 (異物)が発生し難!/、ため好まし!/、。
[0050] 繰り返し単位 (B)の存在割合が多すぎると、成形体の耐熱性や水蒸気バリア性が 悪化するおそれがある。また、有機物放出量が増加するおそれがあり、得られる成形 体は摩擦により異物が発生し易くなる傾向がある。
繰り返し単位 (B)の存在割合が少なすぎると、当該重合体水素化物の溶剤への溶 解性が悪化し、ポリマーの生産性の悪化やポリマーの精製が困難になるおそれがあ り、また、成形体の機械的特性が低下するおそれがある。また、得られる成形体は摩 擦により異物が発生し易くなる傾向がある。
[0051] 本発明に用いる 2—ノルボルネンは公知化合物である。このものは、例えば、シクロ ペンタジェンとエチレンとを反応させることにより得ることができる。ただし、工業的に 入手できる 2—ノルボルネンは通常不純物を含有している。
[0052] 不純物としては、例えば、シクロペンタジェン、ノルボルナン、メチルノルボルネン、 ジメチルジシクロペンタジェンなどが挙げられる。これらの中でも、メチルノルボルネン 、ジメチルシクロペンタジェンなどは、 2—ノルボルネンと開環共重合可能な単量体成 分である。
[0053] 2—ノルボルネン中の不純物は通常、 1重量%未満、好ましくは、 0. 8重量%未満 、より好ましくは、 0. 5重量%未満である。この範囲にあると、得られるノルボルネン系 開環重合体水素化物の耐熱性が高く維持され好ましい。
[0054] 前記のように、用いる 2—ノルボルネン中には、 2—ノルボルネンと開環共重合可能 な他の単量体を含む場合があるので、本発明のノルボルネン系開環重合体水素化 物(I)においても、少量の 2—ノルボルネンと開環共重合可能な他の単量体単位を含 有する開環共重合体を含む。 2—ノルボルネンと開環共重合可能な他の単量体単位 の含有量は、全重合体中、通常、 1重量%未満、好ましくは、 0. 8重量%未満、より 好ましくは、 0. 5重量%未満である。
[0055] 本発明に用いる置換基含有ノルボルネン系単量体は、分子内にノルボルネン骨格 を有する化合物である(ただし、 2—ノルボルネンを除く)。本発明に用いる「置換基含
有ノルボルネン系単量体」には、置換基を有する 2—ノルボルネン誘導体のほ力、、縮 合した環を有するノルボルネン化合物も含まれる。
[0056] 置換基含有ノルボルネン系単量体としては、分子内にノルボルネン環と縮合する環 を有しないノルボルネン系単量体、及び 3環以上の多環式ノルボルネン系単量体等 が挙げられる。
[0057] 前記分子内にノルボルネン環と縮合する環を有しな!/ゾルボルネン系単量体の具 体例としては、 5—メチルノルボルネン、 5—ェチルノルボルネン、 5—ブチルノルボル ネン、 5—へキシノレノノレボノレネン、 5—デシノレノノレボノレネン、 5—シクロへキシノレノノレポ ノレネン、 5—シクロペンチルノルボルネン等のアルキル基を有するノルボルネン類; 5 ーェチリデンノルボルネン、 5—ビュルノルボルネン、 5—プロぺニルノルボルネン、 5 ーシクロへキセニルノルボルネン、 5—シクロペンテュルノルボルネン等のアルケニル 基を有するノルボルネン類; 5—フエニルノルボルネン等の芳香環を有するノルボル ネン類; 5—メトキシカルボニルノルボルネン、 5—エトキシカルボニルノルボルネン、 5 ーメチルー 5—メトキシカルボニルノルボルネン、 5—メチルー 5—エトキシカルボニル ノルボルネン、ノルボルネニルー 2—メチルプロビオネイト、ノルボルネニルー 2—メチ ノレネン、 5, 5—ジ(ヒドロキシメチノレ)ノルボルネン、 5—ヒドロキシ i—プロピルノルボ ノレネン、 5, 6—ジカルボキシノルボルネン、 5—メトキシカルボ二ルー 6—カルボキシ ノルボルネン、等の酸素原子を含む極性基を有するノルボルネン類; 5—シァノカレ ボルネン等の窒素原子を含む極性基を有するノルボルネン類;等が挙げられる。
[0058] 3環以上の多環式ノルボルネン系単量体とは、分子内にノルボルネン環と、該カレ ボルネン環と縮合している 1つ以上の環とを有するノルボルネン系単量体である。そ の具体例としては、下記に示す式(2)又は式(3)で示される単量体が挙げられる。
[0059] [化 1]
[0060] (式中、 R
1及び R
2はそれぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;置換基を有していて もよ!/、炭素数 1〜20の炭化水素基;又はケィ素原子、酸素原子もしくは窒素原子を 含む置換基;を表し、互いに結合して環を形成していてもよい。 は置換基を有して V、てもよ!/、炭素数 1〜20の二価の炭化水素基である。 )
[0061] [化 2]
[0062] (式中、 R4〜R7はそれぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;置換基を有していても ょレ、炭素数 1〜20の炭化水素基;又はケィ素原子、酸素原子もしくは窒素原子を含 む置換基;を表し、 R4と R6は互いに結合して環を形成していてもよい。 mは 1又は 2で ある。 )
[0063] 式(2)で示される単量体としては、具体的には、ジシクロペンタジェン、メチルジシク 口ペンタジェン、ジメチルジシクロペンタジェン、トリシクロ [5· 2. 1. 02' 6]デカ一 8— ェン等を挙げること力 Sできる。また、テトラシクロ [9· 2. 1. 02' 10. 03' 8]テトラデカ一 3, 5, 7, 12 テトラェン(1 , 4 メタノー 1 , 4, 4a, 9a テトラヒドロー 9H フノレ才レン ともいう)、テトラシクロ [10· 2. 1. 02' 11. 04' 9]ペンタデカー 4, 6, 8, 13 テトラェン (1 , 4 メタノー 1 , 4, 4a, 9, 9a, 10 へキサヒドロアントラセンともいう)、等の芳香 環を有するノルボルネン誘導体も挙げることができる。
[0064] 式(3)で示される単量体としては、 mが 1であるテトラシクロドデセン類、 mが 2である へキサシクロへプタデセン類が挙げられる。
[0065] テトラシクロドデセン類の具体例としては、テトラシクロドデセン、 8 メチルテトラシク
、 8—シクロペンチルテトラシクロドデセン等の無置換又はアルキル基を有するテトラ セン、 8—ビュルテトラシクロドデセン、 8—プロぺニルテトラシクロドデセン、 8—シクロ へキセニルテトラシクロドデセン、 8—シクロペンテ二ルテトラシクロドデセン等の環外 に二重結合を有するテトラシクロドデセン類; 8—フエ二ルテトラシクロドデセン等の芳 香環を有するテトラシクロドデセン類; 8—メトキシカルボ二ルテトラシクロドデセン、 8
ボン酸、テトラシクロドデセン 8, 9—ジカルボン酸無水物等の酸素原子を含む置換 ンー 8, 9—ジカルボン酸イミド等の窒素原子を含む置換基を有するテトラシクロドデ セン類; 8—クロロテトラシクロドデセン等のハロゲン原子を含む置換基を有するテトラ シクロドデセン類; 8—トリメトキシシリルテトラシクロドデセン等のケィ素原子を含む置 換基を有するテトラシクロドデセン類等が挙げられる。
へキサシクロへプタデセン類の具体例としては、へキサシクロへプタデセン、 12—メ チノレへキサシクロへプタデセン、 12—ェチノレへキサシクロへプタデセン、 12—シクロ へキシノレへキサシクロへプタデセン、 12—シクロペンチノレへキサシクロへプタデセン 等の無置換又はアルキル基を有するへキサシクロへプタデセン類; 12—メチリデンへ キサシクロへプタデセン、 12—ェチリデンへキサシクロへプタデセン、 12—ビニノレへ キサシクロへプタデセン、 12—プロぺニノレへキサシクロへプタデセン、 12—シクロへ キセニノレへキサシクロへプタデセン、 12—シクロペンテニノレへキサシクロヘプタデセ ン等の環外に二重結合を有するへキサシクロへプタデセン類; 12—フエニルへキサ シクロへプタデセン等の芳香環を有するへキサシクロへプタデセン類; 12—メトキシ カルボニルへキサシクロへプタデセン、 12—メチルー 12—メトキシカルボニルへキサ シクロへプタデセン、 12—ヒドロキシメチルへキサシクロへプタデセン、 12—カルボキ シへキサシクロへプタデセン、へキサシクロへプタデセン 12, 13 ジカノレボン酸、へ キサシクロへプタデセン 12, 13 ジカルボン酸無水物等の酸素原子を含む置換基 を有するへキサシクロへプタデセン類; 12—シァノへキサシクロへプタデセン、へキ
サシクロへプタデセン 12, 13 ジカルボン酸イミド等の窒素原子を含む置換基を有 するへキサシクロへプタデセン類; 12—クロ口へキサシクロへプタデセン等のハロゲン 原子を含む置換基を有するへキサシクロへプタデセン類 ; 12 -トリメトキシシリルへキ サシクロへプタデセン等のケィ素原子を含む置換基を有するへキサシクロヘプタデセ ン類等が挙げられる。これらのノルボルネン系単量体は一種単独で、あるいは二種 以上を組み合わせて用いることができる。
[0067] ノルボルネン系開環重合体水素化物(II)を得る場合においては、上記した 2 ノル ボルネン及び置換基含有ノルボルネン系単量体と開環共重合可能なその他の単量 体を組み合わせて用いることもできる。
[0068] 2 ノルボルネン及び置換基含有ノルボルネン系単量体と開環共重合可能なその 他の単量体としては、シクロへキセン、シクロヘプテン、シクロオタテン等のモノ環状ォ レフイン類及びその誘導体;シクロへキサジェン、シクロへブタジエン等の環状ジェン 及びその誘導体;等が挙げられる。
[0069] (開環重合)
2 ノルボルネンの開環重合、又は 2—ノルボルネンと置換基含有ノルボルネン系 単量体との開環共重合は、無溶媒又は適当な溶媒中で、メタセシス重合触媒の存在 下に実施することができる。
[0070] 用いるメタセシス重合触媒としては、例えば、特公昭 41— 20111号公報、特開昭 4 6— 14910号公報、特公昭 57— 17883号公報、特公昭 57— 61044号公報、特開 昭 54— 86600号公報、特開昭 58— 127728号公報、特開平 1— 240517号公報 等に記載された、本質的に (a)遷移金属化合物触媒成分と (b)金属化合物助触媒 成分からなる一般のメタセシス重合触媒;シュロック型重合触媒 (特開平 7— 179575 号公報、 Schrock et al. , J. Am. Chem. Soc. , 1990年,第 112巻, 3875頁 〜等)や、グラブス型重合触媒(Fu et al. , J. Am. Chem. Soc. , 1993年,第 1 15巻, 9856頁〜; Nguyen et al. , J. Am. Chem. Soc. , 1992年,第 114巻, 3974頁〜; Grubbs et al. , W098/21214号パンフレット等)等のリビング開環 メタセシス触媒;等が挙げられる。
[0071] これらの中でも、得られる重合体の分子量分布を考慮すると、 ( α )遷移金属化合
物触媒成分と、 ( /3 )金属化合物助触媒成分力もなるメタセシス重合触媒が好ましい
〇
[0072] 前記(《)遷移金属化合物触媒成分は、周期律表第 3〜; 11族の遷移金属の化合 物である。例えば、これらの遷移金属のハロゲン化物、ォキシハロゲン化物、アルコキ シハロゲン化物、アルコキシド、カルボン酸塩、 (ォキシ)ァセチルァセトネート、カル ボニル錯体、ァセトニトリル錯体、ヒドリド錯体、これらの誘導体、これら又はこれらの 誘導体の P (C H ) 等の錯化剤による錯化物が挙げられる。
6 5 5
[0073] 具体例としては、 TiCl 、 TiBr 、 VOC1 、 WBr、 WC1 、 WOC1 、 MoCl 、 MoOCl
4 4 3 3 6 4 5
、 WO 、 H WO等が挙げられる。なかでも、重合活性等の点から、 W、 Mo、 Ti、又
4 2 2 4
は Vの化合物が好ましぐ特にこれらのハロゲン化物、ォキシハロゲン化物、又はアル コキシハロゲン化物が好ましレ、。
[0074] 前記(/3 )金属化合物助触媒成分は、周期律表第 1〜2族、及び第 12〜; 14族金属 の化合物で少なくとも一つの金属元素 炭素結合、又は金属元素一水素結合を有 するものである。例えば、 Al、 Sn、 Li、 Na、 Mg、 Zn、 Cd、 B等の有機化合物等が挙 げられる。
[0075] 具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジェチルアルミ ニゥムモノクロリド、メチルアルミニウムセスキク口リド、ェチルアルミニウムジクロリド等 の有機アルミニウム化合物;テトラメチルスズ、ジェチルジメチルスズ、テトラプチルス ズ、テトラフヱニルスズ等の有機スズ化合物; n ブチルリチウム等の有機リチウム化 合物; n ペンチルナトリウム等の有機ナトリウム化合物;メチルマグネシウムィォジド 等の有機マグネシウム化合物;ジェチル亜鉛等の有機亜鉛化合物;ジェチルカドミゥ ム等の有機カドミウム化合物;トリメチルホウ素等の有機ホウ素化合物;等が挙げられ る。これらの中で、第 13族金属の化合物が好ましぐ特に A1の有機化合物が好まし い。
[0076] また、前記( α )成分、( 0 )成分の他に第三成分を加えて、メタセシス重合活性を高 めること力 Sできる。用いる第三成分としては、脂肪族第三級ァミン、芳香族第三級アミ ン、分子状酸素、アルコール、エーテル、過酸化物、カルボン酸、酸無水物、酸クロリ ド、エステル、ケトン、含窒素化合物、含ハロゲン化合物、その他のルイス酸等が挙げ
られる。
[0077] これらの成分の配合比は、( α )成分:( /3 )成分が金属元素のモル比で、通常、 1: ;!〜 1:100、好ましくは 1:2〜; 1:10の範囲である。また、(α)成分:第三成分がモル 比で、通常、 1:0. 005〜; 1:50、好ましくは;!:;!〜 1:10の範囲である。
[0078] また、重合触媒の使用割合は、(重合触媒中の遷移金属): (全単量体)のモル比で 、通常、 1:100—1:2, 000, 000、好まし <は 1:1, 000—1:20, 000、より好まし < は 1:5, 000〜; 1:8, 000である。触媒量が多すぎると重合反応後の触媒除去が困 難となり、分子量分布が広がるおそれがあり、少なすぎると十分な重合活性が得られ ない。
[0079] 開環重合は無溶媒で行うこともできるが、適当な溶媒中で行うことが好ましい。また 用いる有機溶媒としては、重合体及び重合体水素化物が所定の条件で溶解もしく は分散し、かつ、重合及び水素化反応に影響しないものであれば特に限定されない 力 工業的に汎用されている溶媒が好ましい。
[0080] このような有機溶媒としては、例えば、ペンタン、へキサン、ヘプタン等の脂肪族炭 化水素;シクロペンタン、シクロへキサン、メチノレシクロへキサン、ジメチノレシクロへキ サン、トリメチノレシクロへキサン、ェチノレシクロへキサン、ジェチノレシクロへキサン、デ カヒドロナフタレン、ビシクロヘプタン、トリシクロデカン、へキサヒドロインデンシクロへ キサン、シクロオクタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香 族炭化水素;ジクロロメタン、クロ口ホルム、 1, 2—ジクロロェタン等のハロゲン系脂肪 族炭化水素;クロ口ベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン系芳香族炭化水素;ニト ロメタン、ニトロベンゼン、ァセトニトリル等の含窒素炭化水素;ジェチルエーテル、テ トラヒドロフラン等のエーテル類等の溶媒を使用することができる。これらの有機溶媒 は、それぞれ単独で、あるいは 2種以上を組み合わせて使用することができる。
[0081] これらの中でも、工業的に汎用されている芳香族炭化水素や脂肪族炭化水素、脂 環族炭化水素又はエーテル類が好ましレ、。
[0082] 重合を有機溶媒中で行う場合には、溶液中の、 2—ノルボルネン又は 2—ノルボル ネン及び置換基含有ノルボルネン系単量体からなるモノマー混合物の濃度は、 1〜5
0重量%が好ましぐ 2〜45重量%がより好ましぐ 3〜40重量%が特に好ましい。 2 ノルボルネン又はモノマー混合物の濃度が 1重量%より小さいと生産性が低くなる おそれがあり、 50重量%より大きいと重合後の溶液粘度が高すぎて、その後の水素 化反応が困難となるおそれがある。
[0083] 開環重合においては、反応系に分子量調節剤を添加することが好ましい。分子量 調節剤を添加することで、得られる開環重合体の分子量を調整することができる。
[0084] 用いる分子量調節剤としては特に限定されず、従来公知のものが使用できる。
例えば、 1—ブテン、 1—ペンテン、 1—へキセン、 1—オタテン等の α ォレフィン 類;スチレン、ビュルトルエン等のスチレン類;ェチルビュルエーテル、イソブチルビ ニルエーテル、ァリルグリシジルエーテル等のエーテル類;ァリルクロライド等のハロ ゲン含有ビュル化合物;グリシジルメタタリレート等酸素含有ビュル化合物;アクリルァ ミド等の窒素含有ビュル化合物; 1 , 4 ペンタジェン、 1 , 4一へキサジェン、 1 , 5— へキサジェン、 1 , 6 へブタジエン、 2 メチルー 1 , 4 ペンタジェン、 2, 5 ジメチ ルー 1 , 5 へキサジェン等の非共役ジェン、又は 1 , 3 ブタジエン、 2 メチルー 1 へキサジェン等の共役ジェン等を挙げることができる。これらの中で、分子量調節の し易さ力も、 α ォレフィン類が好ましい。
[0085] 分子量調節剤の添加量は、所望の分子量を持つ重合体を得るに足る量であれば よぐ(分子量調節剤): (全単量体)のモル比で、通常、 1 : 50〜; 1 : 1 , 000, 000、好 ましく (ま 1 : 100〜; 1 : 5, 000、より好ましく (ま 1 : 300〜; 1 : 3, 000である。
[0086] 重合反応は、 2 ノルボルネン又は 2 ノルボルネン及び置換基含有ノルボルネン 系単量体からなるモノマー混合物と重合触媒を混合することにより開始される。 重合反応を行う温度は、特に限定されないが、通常、— 20〜 + 100°C、好ましくは 10〜80°C、さらに好ましくは 30〜60°Cである。重合反応の温度が低すぎると反応速 度が低下し、高すぎると副反応により、分子量分布が広がるおそれがある。
重合時間は、特に限定されないが、通常、 1分間から 100時間である。 圧力条件も特に限定されないが、通常、 0〜; IMPaの加圧下で重合を行う。
[0087] 反応終了後においては、通常の後処理操作により、 目的とする 2 ノルボルネン開
環重合体又は 2—ノルボルネン開環共重合体(以下、これらをまとめて、「ノルボルネ ン系開環重合体」ということがある。)を単離すること力 Sできる。
[0088] 得られたノルボルネン系開環重合体は、次の水素化反応工程へ供される。
また後述するように、開環重合又は開環共重合を行った反応溶液に水素化触媒を 添加して、ノルボルネン系開環重合体を単離することなぐ連続的に水素化反応を行 うことあでさる。
[0089] (水素化反応)
ノルボルネン系開環重合体の水素化反応は、ノルボルネン系開環重合体の主鎖に 存在する炭素 炭素二重結合に水素添加する反応である。この水素化反応は、 2— ノルボルネン開環(共)重合体の不活性溶媒溶液に水素化触媒を添加し、反応系内 に水素を供給して行う。
[0090] 用いる水素化触媒としては、ォレフィン化合物の水素化に際して一般に使用されて いるものであれば、均一系触媒、不均一系触媒のいずれも使用することができる。得 られる重合体中の残留金属の除去等を考慮すると、不均一系触媒が好ましい。
[0091] 均一系触媒としては、例えば、酢酸コバルト/トリェチルアルミニウム、ニッケルァセ チルァセトナート/トリイソブチルアルミニウム、チタノセンジクロリド/ n ブチルリチ ゥム、ジルコノセンジクロリド/ sec ブチルリチウム、テトラブトキシチタネート/ジメチ ルマグネシウム等の組み合わせ等の遷移金属化合物とアルカリ金属化合物の組み 合わせからなる触媒系;ジクロロビス(トリフエニルホスフィン)パラジウム、クロロヒドリド カルボニルトリス(トリフエニルホスフィン)ルテニウム、クロロトリス(トリフエニルホスフィ ン)ロジウム等の貴金属錯体触媒;等が挙げられる。
[0092] 不均一系触媒としては、例えば、ニッケル/シリカ、ニッケル/ケイソゥ土、ニッケル /アルミナ、パラジウム/カーボン、パラジウム/シリカ、パラジウム/ケイソゥ土、パ ラジウム/アルミナ等の、ニッケル、ノ ラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、又はこ れらの金属をカーボン、シリカ、ケイソゥ土、アルミナ、酸化チタン等の担体に担持さ せた固体触媒系が挙げられる。
[0093] 触媒の使用量は、ノルボルネン系開環重合体 100重量部に対し、通常 0. 05〜10 重量部である。
[0094] 水素化反応に用いる不活性有機溶媒としては、前述した 2—ノルボルネンの開環 重合又は 2—ノルボルネン及び置換基含有ノルボルネン系単量体の開環共重合に おいて用いることができる有機溶媒として例示したものと同様のものが挙げられる。
[0095] 水素化反応の温度は、使用する水素化触媒系によって適する条件範囲が異なるが 、通常、— 20。C〜 + 300。C、好まし <は 0。C〜 + 250。C、より好まし <は 100。C〜200 °Cである。水素化反応の温度が低すぎると反応速度が遅くなるおそれがあり、高すぎ ると副反応が起こる可能性がある。
[0096] 水素化反応終了後は、反応溶液から水素化触媒等を濾別し、濾別後の重合体溶 液から溶媒等の揮発成分を除去することにより、 目的とする本発明のノルボルネン系 開環重合体水素化物 (I)又は (Π)を得ること力 sできる。
[0097] 本発明のノルボルネン系開環重合体水素化物(I)及び (II)は有機溶媒に対する溶 解性に優れるので、ノルボルネン系開環重合体を水素化した後において、触媒残渣 の除去等のポリマー精製を十分に行うことができる。
[0098] 濾別後の重合体溶液から溶媒等の揮発成分を除去する方法としては、凝固法や直 接乾燥法等公知の方法を採用することができる。
[0099] 凝固法は、重合体溶液を重合体の貧溶媒と混合することにより、重合体を析出させ る方法である。用いる貧溶媒としては、エチルアルコール、 n—プロピルアルコール、 イソプロピルアルコール等のアルコール類;アセトン、メチルェチルケトン等のケトン類 ;酢酸ェチル、酢酸ブチル等のエステル類;等の極性溶媒が挙げられる。
[0100] 凝固して得られた粒子状の成分は、たとえば真空中又は窒素中若しくは空気中で 加熱して乾燥させて粒子状にする力、、さらに必要に応じて溶融押出機から押し出して ペレット状にすることができる。
[0101] 直接乾燥法は、重合体溶液を減圧下加熱して溶媒を除去する方法である。この方 法には、遠心薄膜連続蒸発乾燥機、搔面熱交換型連続反応器型乾燥機、高粘度リ ァクタ装置等の公知の装置を用いて行うことができる。真空度や温度はその装置によ つて適宜選択され、限定されない。
[0102] 得られたノルボルネン系開環重合体水素化物(I)及び (II) (以下、これらをまとめて 、「本発明の開環重合体水素化物」ということがある。)は、重合体水素化物中の主鎖
二重結合の水素添加率が 80%以上、好ましくは 90%以上、より好ましくは 95%以上 、さらに好ましくは 99%以上、特に好ましくは 99. 9%以上である。上記の範囲にある と、成形する際に樹脂焼けが起こり難ぐ特にフィルム成形する際には、ダイラインの 発生を抑制することができ、好ましい。
[0103] 本発明の開環重合体水素化物の水素添加率は、溶媒に重クロ口ホルムを用い、 :H — NMRにより測定して求めることができる。
[0104] 本発明のノルボルネン系開環重合体水素化物(I)は、その重量平均分子量 (Mw)
1S 1 , 2, 4—トリクロ口ベンゼンを溶離液とするゲル'パーミエーシヨン'クロマトグラフ ィー(GPC こよる標準ポリスチレン換算で、 50, 000—200, 000、好ましく (ま、 70, 000—180, 000、より好まし <は、 80, 000—150, 000である。
[0105] また、本発明のノルボルネン系開環重合体水素化物(II)は、その重量平均分子量
(Mw)が、 1 , 2, 4—トリクロ口ベンゼンを溶離液とするゲル'パーミエーシヨン'クロマ トグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算で、好ましくは 50, 000—200, 000 、より好まし <は 70, 000—180, 000、特に好まし <は、 80, 000—150, 000である
〇
[0106] Mwがこの範囲にあると、開環重合体水素化物の溶剤への溶解性が良好であるた めポリマーの生産性に優れ、ポリマーの精製も容易であり、かつ、成形も容易であり、 成形体の機械的特性や耐熱性が良好となる。すなわち、 Mwが高すぎると、溶液粘 度が高くなりすぎ、ろ過性が低下するため、生産性が悪化するおそれがある。また、 当該樹脂をフィルム成形する際には、フィルムの膜厚精度を高めるため樹脂温度を 高くする必要が生じ、樹脂焼けに起因するダイラインが発生するおそれがある。一方 、 Mwが低すぎると、成形品の機械的特性や耐熱性が低下するおそれや、当該重合 体水素化物が結晶性であるため、溶液に溶解し難くなり、ポリマーの生産性の悪化 やポリマーの精製が困難になるおそれがある。
[0107] 開環重合体水素化物の Mwがこの範囲にあると、ブリスター成形性に優れ、かつ、 該成形体の強度にも優れるため好ましい。 Mwが高すぎると、ブリスター成形性が悪 化し、ブリスター成形が困難となったり、成形体が偏肉する等の不具合が発生するお それがある。一方、 Mwが低すぎると、ブリスター成形体の機械的強度が低下するお
それがある。
[0108] 本発明のノルボルネン系開環重合体水素化物(I)の分子量分布(Mw/Mn)の上 限は、 10. 0であり、好ましくは 9. 0、より好ましくは、 8. 5、さらに好ましくは 8. 0であ る。 (Mw/Mn)の下限 (ま、 1. 5であり、好ましく (ま 2· 0、より好ましく (ま、 2. 5である。
[0109] 本発明のノルボルネン系開環重合体水素化物(II)の分子量分布(Mw/Mn)の 上限は、特に限定されないが、好ましくは 10. 0、より好ましくは 9. 0、さらに好ましく は、 8. 5、またさらに好ましくは 8. 0である。 (Mw/Mn)の下限は、特に限定されな いが、好ましくは 1 · 5、より好ましくは 2. 0、さらに好ましくは 2. 5である。
[0110] Mw/Mnがこの範囲にあると、ノルボルネン系開環重合体水素化物をブリスター 成形体とする際の成形性に優れ、かつ、該成形体の強度や耐熱性にも優れるため好 ましい。 Mw/Mnが狭すぎると、開環重合体水素化物の温度に対する溶融粘度が 敏感に変化し易くなるため、フィルム、シート等の成形品の加工性が悪化するおそれ 力 る。また、ブリスター成形した際に、成形体が偏肉する等の不具合が発生するお それがある。一方、 Mw/Mnが広すぎると、成形体の機械的強度の低下や、耐熱性 が低下するおそれがある。
なお、 Mnは 1 , 2, 4—トリクロ口ベンゼンを溶離液とするゲル'パーミエーシヨン'クロ マトグラフィー(GPC)により標準ポリスチレン換算として測定した数平均分子量であ る
[0111] 本発明の開環重合体水素化物は、結晶性である、即ち融点(以下、「1¾1」ということ がある)を有する。本発明の開環重合体水素化物の融点は、 110〜; 145°C、好ましく
(ま 120〜; 145°C、より好ましく (ま、 130°C〜; 145°Cである。
[0112] 上記の範囲にあると、成形品の耐熱性に優れ好適である。特に、融点が 130〜; 14
5°Cの範囲においては、医療用成形品や食品用成形品において行われるスチーム 滅菌にも耐えうるため好ましい。
開環重合体水素化物の融点は、公知の示差走査熱量分析計を用いて、 JIS K71
21に基づく方法により測定することができる。
[0113] なお、開環重合体水素化物の融点は、ノルボルネン系開環重合体水素化物の分 子量、分子量分布、異性化率、 2—ノルボルネンと置換基含有ノルボルネン系単量
体との共重合比率等により変化する。
[0114] 本発明の開環重合体水素化物は、融点を有する重合体、すなわち結晶構造を形 成する重合体であるので、ブリスター成形体内部に結晶部を形成し、これと非晶部と が相俟って成形品の引張り破断伸び等の機械的特性が向上する。それでいて、しか も結晶が大きくないので透明性の良さをも与えるものである。
[0115] 本発明の開環重合体水素化物の異性化率は、通常 0〜40%、好ましくは 0〜20% 、より好ましくは 1〜; 10%、さらに好ましくは、;!〜 5%である。異性化率が高すぎると、 該重合体の耐熱性が低下するおそれがある。一方、異性化率が低すぎると、該重合 体の溶液への溶解性が悪くなり、ポリマーの生産性の悪化やポリマーの精製が困難 になるおそれがあり、また、得られた成形体の透明性が低下するおそれがある。
[0116] 本発明の開環重合体水素化物の異性化率は、溶媒に重クロ口ホルムを用い、 13C — NMRにより測定した 33. Oppmピーク積分値/ (31. 8ppmピーク積分値 + 33. 0 ppmピーク積分値) X 100力も算出すること力 Sできる。
ちなみに、 31. 8ppmピークは、開環重合体水素化物中の 2—カレボルネンの繰り 返し単位のシス体由来のもの、 33. Oppmピークは、開環重合体水素化物中の 2—ノ ルボルネンの繰り返し単位のトランス体由来のものである。
[0117] 異性化率を上記範囲にするためには、ノルボルネン系開環重合体の水素化反応 において、反応温度を、好ましくは 100〜200°C、より好ましくは 120〜; 170°C、さら に好ましくは 130〜160°Cとし、かつ、使用する水素化触媒量を、 2—ノルボルネン開 環(共)重合体 100重量部に対し、好ましくは 0.;!〜 5重量部、より好ましくは 0.;!〜 1 重量部とする。水素化反応の反応温度及び水素化触媒量がこのような範囲にあると 、水素化反応速度と得られるポリマーの耐熱性のバランスに優れ、好適である。
[0118] 以上のような特性を有する本発明の開環重合体水素化物は、近年の情報分野、食 品分野、医療分野、土木分野等における、水蒸気バリア性、耐熱性、耐油性、機械 的特性、加工性等のより優れた性能の要求を満たす樹脂材料として好適である。
[0119] 2)樹脂組成物
本発明の樹脂組成物は、本発明の開環重合体水素化物及び酸化防止剤を含有 する。
酸化防止剤の配合量は、開環重合体水素化物 100重量部に対し、 0. 01〜;!重量 部、好ましくは、 0. 05-0. 5重量部である。酸化防止剤の添加量が少なすぎると、 成形品にやけが生じるおそれがある。一方、添加量が多すぎると、成形品が白濁した り、成形品から酸化防止剤が溶出するおそれがある。
[0120] 用いる酸化防止剤としては、特に制限されないが、その分子量が 700以上であるも のが好ましい。酸化防止剤の分子量が低すぎると、成形品から酸化防止剤が溶出す るおそれがある。
[0121] 用いる酸化防止剤の具体例としては、ォクタデシノレー3—(3, 5 ジー t ブチル
4ーヒドロキシフエニル)プロピオネート、テトラキス〔メチレン 3—(3' , 5'—ジー t ーブチルー 4'ーヒドロキシフエ二ノレ)プロピオネート〕メタン、ペンタエリスリチルーテト ラキス〔3—(3, 5—ジ一ターシャリーブチルー 4ーヒドロキシフエニル)プロピオネート 〕等のフエノール系酸化防止剤;トリフエニルホスファイト、トリス(シクロへキシルフェニ ノレ)ホスファイト、 9, 10 ジヒドロー 9 ォキサ 10 ホスファフェナントレン等リン系 酸化防止剤;ジミリスチル 3, 3, 一チォジプロピオネート、ジステアリル 3, 3,ーチォ ジプロピオネート、ラウリノレステアリノレー 3, 3' チォジプロピオネート、ペンタエリスリ トールーテトラキス( ( ラウリルーチォプロピオネート)等のィォゥ系酸化防止剤;等 が挙げられる。これらの酸化防止剤は 1種単独で、あるいは 2種以上を組み合わせて 用いること力 Sできる。これらの中でも、フエノール系酸化防止剤が好ましい。
[0122] 本発明の樹脂組成物には、本発明の開環重合体水素化物、及び酸化防止剤に加 えて、本発明の目的を阻害しない範囲で、合成樹脂に一般的に用いられる各種配合 剤を添加してもよい。
[0123] 力、かる配合剤としては、ゴム質重合体、その他の樹脂、紫外線吸収剤、耐候安定剤 、帯電防止剤、スリップ剤、防曇剤、染料、顔料、着色剤、天然油、合成油、可塑剤、 有機又は無機の充填剤、抗菌剤、消臭剤、脱臭剤等が挙げられる。
[0124] ゴム質重合体は、ガラス転移温度が 40°C以下の重合体である。ゴム質重合体には ゴムや熱可塑性エラストマ一が含まれる。ブロック共重合体のごとくガラス転移温度が 2点以上ある場合は、最も低レ、ガラス転移温度が 40°C以下であればゴム質重合体と して用いること力 Sできる。ゴム質重合体のムーニー粘度(ML1 +4, 100°C)は、使用
目的に応じて適宜選択される力 S、通常、 5〜300である。
[0125] ゴム質重合体としては、例えば、エチレン α—ォレフイン系ゴム;エチレン α— ォレフィン ポリェン共重合体ゴム;エチレン メチルメタタリレート、エチレンーブチ ルアタリレート等のエチレンと不飽和カルボン酸エステルとの共重合体;エチレン 酢 酸ビュル共重合体等のエチレンと脂肪酸ビュルとの共重合体;アクリル酸ェチル、ァ クリル酸ブチル、アクリル酸へキシル、アクリル酸 2—ェチルへキシル、アクリル酸ラウ リル等のアクリル酸アルキルエステルの重合体;ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチ レンとブタジエン又はイソプレンとのランダム共重合体、アクリロニトリル ブタジエン 共重合体、ブタジエン イソプレン共重合体、ブタジエン (メタ)アクリル酸アルキル エステル共重合体、ブタジエン (メタ)アクリル酸アルキルエステル アクリロニトリル 共重合体、ブタジエン—(メタ)アクリル酸アルキルエステル—アクリロニトリル—スチレ ン共重合体等のジェン系ゴム;ブチレン イソプレン共重合体;スチレン ブタジエン ブロック共重合体、水素化スチレン ブタジエンブロック共重合体、水素化スチレン ブタジエンランダム共重合体、スチレン イソプレンブロック共重合体、水素化スチ レン イソプレンブロック共重合体等の芳香族ビュル一共役ジェン系ブロック共重合 体、低結晶性ポリブタジエン樹脂、エチレン プロピレンエラストマ一、スチレングラフ トエチレン プロピレンエラストマ一、熱可塑性ポリエステノレエラストマ一、エチレン系 アイオノマー樹脂等が挙げられる。
[0126] ゴム質重合体の量は、使用目的に応じて適宜選択される。耐衝撃性や柔軟性が要 求される場合にはゴム質重合体の量は、開環重合体水素化物 100重量部に対して、 通常 0. 0;!〜 100重量部、好ましくは 0. ;!〜 70重量部、より好ましくは 1〜50重量部 の範囲である。
[0127] その他の樹脂としては、例えば、非晶性ノルボルネン系開環重合体、非晶性ノルポ ルネン系開環重合体水素化物、非晶性ノルボルネン系付加型重合体、結晶性カレ ボルネン系開環重合体、本発明の開環重合体水素化物以外の結晶性ノルボルネン 系開環重合体水素化物、結晶性ノルボルネン系付型加重合体、低密度ポリエチレン 、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、エチレン ェチルアタリレート共重合体、エチレン 酢酸ビュル共重合体、ポリプロピレン、ポ
リスチレン、水素化ポリスチレン、ポリメチルメタタリレート、ポリ塩化ビュル、ポリ塩化ビ ユリデン、ポリフエ二レンスルフイド、ポリフエ二レンエーテル、ポリアミド、ポリエステル 、ポリカーボネート、セルローストリアセテート、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアリ レート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等が挙げられる。
[0128] これらのその他の樹脂は、それぞれ単独で、あるいは 2種以上を組み合わせて用い ること力 Sでき、その配合割合は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択すること ができる。
[0129] 紫外線吸収剤及び耐候安定剤としては、例えば、 2, 2, 6, 6 テトラメチルー 4 ピペリジルベンゾエート、ビス(2, 2, 6, 6 テトラメチルー 4ーピペリジル)セバケート 、ビス(1 , 2, 2, 6, 6 ペンタメチル一 4 ピペリジル) 2— (3, 5 ジ一 t ブチル 4ーヒドロキシベンジル)ー2— n ブチルマロネート、 4一〔3—(3, 5 ジ—tーブ チルー 4ーヒドロキシフエ二ノレ)プロピオニルォキシ〕 1 {2—〔3—(3, 5 ジー t— ブチルー 4ーヒドロキシフエ二ノレ)プロピオニルォキシ〕ェチノレ 2, 2, 6, 6 テトラメ チルピペリジン等のヒンダードアミン系化合物; 2—(2 ヒドロキシ 5 メチルフエ二 ノレ)ベンゾトリァゾール、 2—(3— t ブチルー 2 ヒドロキシー5 メチルフエニル) 5 クロ口べンゾトリァゾール、 2—(3, 5 ジ tーブチルー 2 ヒドロキシフエニル) —5 クロ口べンゾトリァゾール、 2— (3, 5 ジ一 t アミノレ一 2 ヒドロキシフエニル) ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系化合物; 2, 4 ジ一 t ブチルフエニル 3, 5—ジー tーブチルー 4ーヒドロキシベンゾエート、へキサデシルー 3, 5—ジー t ーブチルー 4ーヒドロキシベンゾエート等のべゾエート系化合物等が挙げられる。 これらの紫外線吸収剤及び耐候安定剤は、それぞれ単独で、あるいは 2種以上組 み合わせて用いることができる。
[0130] 紫外線吸収剤及び耐候安定剤の量は、本発明の開環重合体水素化物 100重量 部に対して通常 0. 00;!〜 5重量部、好ましくは 0. 0;!〜 2重量部の範囲である。
[0131] 帯電防止剤としては、ステアリルアルコール、ベへニルアルコール等の長鎖アルキ ルアルコール;アルキルスルホン酸ナトリウム塩及び/又はアルキルスルホン酸ホス ホニゥム塩;ステアリン酸のグリセリンエステノレ等の月旨月方酸エステノレ;ヒドロキシァミン系 化合物;無定形炭素、酸化スズ粉、アンチモン含有酸化スズ粉等を例示することがで
きる。帯電防止剤の量は、本発明の開環重合体水素化物 100重量部に対して、通常 0. 00;!〜 5重量部の範囲である。
[0132] 本発明の樹脂組成物を調製する方法としては、例えば、本発明の開環重合体水素 化物を、酸化防止剤及び必要に応じて他の配合剤と共に、例えば二軸混練機等に より、 200〜400°C程度の温度にて溶融混練した後、ペレット状物や顆粒状物、粉末 状物とする方法が挙げられる。
[0133] 以上のようにして得られる本発明の樹脂組成物は加工性に優れる。本発明の開環 重合体水素化物又は樹脂組成物を、公知の Tダイ式フィルム溶融押出成形機を使 用して Tダイ成形を行い、単層フィルムを製膜した際の、膜厚変動は、通常 ΙΟ πι以 下、好ましくは 7 m以下であり、かつ、連続製膜時にダイラインが長時間発生するこ とが無ぐダイラインが発生するまでの時間は通常 10時間以上、好ましくは 15時間以 上である。
[0134] ここで、「ダイライン」とは、ダイの特定の位置に対応する成形物の位置に樹脂の押 出方向に沿って連続的に発生する肉眼で観察可能な縞を意味する。具体的には、 成形物における表面凹凸の高さが約 0· 3 H m〜; 100 m (これ以下の凹凸では肉眼 での観察不可能)である成形物に形成される縞をいう。
[0135] 3)樹脂フィルム又はシート
本発明の樹脂フィルム又はシート(以下、「本発明の樹脂フィルム等」ということがあ る)は、本発明の開環重合体水素化物又は樹脂組成物を成形して得られるものであ
[0136] 本発明の開環重合体水素化物又は樹脂組成物を成形する方法に制限はなぐ加 熱溶融成形法、溶液流延法のレ、ずれも用いること力 Sできる。
加熱溶融成形法は、上記の成形用材料を、重合体の Tm以上で、熱分解温度未満 の温度に加熱して流動状態にしてフィルム及びシートに成形する方法である。
加熱溶融成形法には、押出成形法、カレンダー成形法、圧縮成形法、インフレーシ ヨン成形法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法等がある。
また、押出成形法、カレンダー成形法、インフレーション成形法等により製膜した後 に、延伸成形法を行ってもよい。
[0137] 加熱溶融成形法における加熱、加圧条件としては、成形機、開環重合体水素化物 の特性等により適宜選択すればよぐ温度は、通常、 Tm〜 (Tm+ 100°C)、好ましく は(Tm+ 20°C)〜(Tm+ 50°C)である。
成形時の圧力は、通常、 0. 5〜; 100MPa、好ましくは l〜50MPaである。 加圧時間は、通常数秒から数十分程度である。
[0138] 本発明の開環重合体水素化物は Tmが比較的高ぐ耐熱性が高いが、 200-400 °Cの間で著しく低粘度になって流動性となる特徴を有している。
この理由は明確ではな!/、が、結晶性を有するため液晶状態になり急激に粘度が下 力 ¾ものと考えられる。そのため本発明の開環重合体水素化物は溶融温度の高い樹 脂であるにも拘らず、良く流動するので短時間でフィルム及びシートに成形すること ができる。
[0139] 一方、溶液流延法は、本発明の樹脂組成物を有機溶媒に溶解して、このものを平 面上又はロール上にキャスティングして、溶媒を加熱により除去してフィルム及びシ ートを成形する方法である。
[0140] 用いる溶媒としては、 2—ノルボルネンの開環重合反応又は 2—ノルボルネンと置 換基含有ノルボルネン系単量体とを開環共重合反応及びノルボルネン系開環重合 体の水素化反応の溶媒として例示したものと同様のものが挙げられる。
[0141] 溶液流延法は、溶媒を揮散する温度が成形温度となり、その温度は溶媒の種類に より適宜設定される。
[0142] また、成形後、成形品の結晶性をより強く現出するために、成形品をァニール処理 しても良い。
[0143] 本発明の樹脂フィルム等の厚みは特に限定されないが、通常、 1 in力、ら 20mm、 好ましくは 5 μ mから 5mm、より好ましくは 10 μ mから 2mmである。フィルムとシート の区別に格別な規定はなぐ厚みによって区別することもあるが、用途や業種におけ る慣習により呼称が変わるのが実状である。
[0144] 本発明にお!/、て、フィルム等の成形に供する開環重合体水素化物は、融点を有す る重合体、すなわち結晶構造を形成する重合体であるので、フィルム及びシートの成 形体内部に結晶部を形成し、これと非晶部とが相俟って成形品の引張り破断伸び等
の機械的特性が向上し、それでいて、結晶が大きくないので透明性にも優れている。
[0145] フィルム及びシートの機械的強度や水蒸気バリア性を増大すベぐ結晶化度を高め るために延伸を施しても良い。延伸とは、成形されたフィルム及びシートを、続いて 1
. ;!〜 10倍程度伸張して塑性変形を与えることである。この塑性変形は、内部の摩擦 で、結晶鎖は勿論、非晶鎖も引き伸ばして配向させる効果を有する。
[0146] 本発明の樹脂フィルム等においては、開環重合体水素化物を含有する層と、その 他の重合体を含有する層とを有する積層体であってもよい。
[0147] その他の重合体としては、ゴム質重合体又はその他の樹脂が挙げられ、それらの 具体例は、いずれも本発明の開環重合体水素化物に配合して使用できるものとして 前記したものと同様である。
[0148] 積層する層の数は、通常、 2層又は 3層である力 更に多層の積層体とすることがで きる。 3層以上の多層における重合体種による層の配置順序は、 目的や用途により決 めること力 Sでさる。
[0149] また、同種の重合体の層を他の重合体の層を隔てて配置してもよぐ例えば、開環 重合体水素化物層を含有する 2つの層の間にポリスチレンを含む層を挟む 3層の積 層体や、さらにその一方の外側に水素化スチレン イソプレンブロック共重合体を含 む層が積層された 4層の積層体等が可能である。
[0150] 積層方法としては、層と層の間に接着剤を塗布して貼り合わせる方法、単層もしく は複数層のフィルム又はシートを熱もしくは高周波により融点以上に加熱して融着す る方法、開環重合体水素化物又はその他の重合体のフィルム又はシートの表面に、 その他の重合体又は開環重合体水素化物を分散もしくは溶解させた有機溶媒を塗 布して乾燥させる方法等がある。
また、押出機で開環重合体水素化物とその他の重合体とを共押出して積層体を製 造することあでさる。
[0151] 本発明の樹脂フィルム等は、水蒸気バリア性、耐熱性、耐油性に優れ、かつ、引張 り破断伸び等の機械的特性に優れる。また、熱分解温度が高いので、加工温度範囲 が広い利点を有する。
[0152] 本発明の樹脂フィルム等は機械的特性に優れる。本発明の樹脂フィルム等の ISO
527に基づいて測定される引張り破断伸びは、通常 25%以上、好ましくは 30%以 上である。
[0153] 本発明の樹脂フィルム等は水蒸気バリアー性に優れる。本発明の厚さ 100 mの 樹脂フィルム又はシートの、 JIS K7129 (A法)に基づいて測定される透湿度〔g/ ( m2 ' 24h)〕は、通常 0· 5〔g/ (m2 ' 24h)〕以下、好ましくは 0. 4〔g/ (m2 ' 24h)〕以 下である。
[0154] また、本発明の樹脂フィルム等は耐油性に優れる。本発明の樹脂組成物を熱プレ ス成形して 10mm X 100mm X lmm試験片とし、該試験片の表面にサラダ油を塗 布後、長径 200mm、短径 80mmの楕円形面を有する高さ 10mmの楕円柱を同形 に 4分割した大きさのアルミ製治具の曲面に該試験片を一時間固定した場合であつ ても、試験片にはクラックが発生することがない。
[0155] これらの特徴を有する本発明の樹脂フィルム等は、食品分野、医療分野、ディスプ レイ分野、エネルギー分野、光学分野、電気電子分野、通信分野、自動車分野、民 生分野、土木建築分野等の多岐の用途で利用することができる。
[0156] なかでも、食品分野、医療分野、エネルギー分野、ディスプレイ分野等の用途に適 している。
食品分野としては、ハム、ソーセージ、レトルト食品、冷凍食品等の加工食品、乾燥 食品、特定保険食品、米飯、菓子、食肉、ラップフィルム、シュリンクフィルム等の食 品包装袋、ブリスター 'パッケージ用フィルム等として使用できる。
[0157] 医療分野では、薬栓、輸液用バッグ、点滴用バッグ、プレス 'スルー'パッケージ (P TP)用フィルム、ブリスター 'パッケージ用フィルム等で使用できる。
エネルギー分野では太陽光発電システム周辺部材、燃料電池周辺部材、アルコー ノレ含有燃料系統部材及びそれらの包装フィルム等として使用できる。
ディスプレイ分野では、ノ リア一フィルム、位相差フィルム、偏光フィルム、光拡散シ ート、集光シート等として使用できる。
[0158] 4)成形材料及び成形体
本発明の成形材料は、 2—ノルボルネン、又は 2—ノルボルネン及び置換基含有ノ ルボルネン系単量体からなる単量体混合物を開環重合して得られる開環重合体の、
炭素 炭素二重結合の 80%以上を水素化することにより得られるノルボルネン系開 環重合体水素化物であって、 2—ノルボルネン由来の繰り返し単位 (A)の全繰り返し 単位に対する存在割合が 90〜; 100重量%、置換基含有ノルボルネン系単量体由来 の繰り返し単位(B)の全繰り返し単位に対する存在割合が 0〜; 10重量%であり、融 点が 110〜; 145°Cの範囲であるノルボルネン系開環重合体水素化物を含有し、かつ 、 80°Cで 60分間加熱した際の有機物放出量が lppm以下であることを特徴とする。
[0159] すなわち、本発明の成形材料で用いることができるノルボルネン系開環重合体水 素化物は、 2—ノルボルネンを開環重合して得られる開環重合体の主鎖炭素 炭素 二重結合の 80%以上を水素化することにより得られるノルボルネン系開環重合体水 素化物(2—ノルボルネン開環重合体水素化物)を用いる場合に、そのゲル'パーミ エーシヨン'クロマトグラフィー(GPC)による重量平均分子量 (Mw)や、分子量分布( Mw/Mn)力 S、特に限定されるものではないこと以外は、前述した本発明のノルボル ネン系開環重合体水素化物と同様のものである。また、前述した本発明のノルボルネ ン系開環重合体水素化物として好ましいもの力 本発明の成形材料で好ましく用い られるノルボルネン系開環重合体水素化物である。
[0160] 本発明の成形材料で用いるノルボルネン系開環重合体水素化物を得るために用 いられる単量体混合物の組成は、 2 ノルボルネンカ S、通常、 90〜; 100重量%、好ま しくは 95〜99重量%、より好ましくは 97〜99重量%であり、置換基含有ノルボルネ ン系単量体は、通常、 0〜; 10重量%、好ましくは 1〜5重量%、より好ましくは 1〜3重 量%である。
[0161] また、本発明の成形材料で用いる開環重合体水素化物の 2—ノルボルネン由来の 繰り返し単位 (A)の全繰り返し単位に対する存在割合は、 90〜; 100重量%、好まし くは 95〜99重量%、より好ましくは 97〜99重量%であり、置換基含有ノルボルネン 系単量体由来の繰り返し単位 (B)の全繰り返し単位に対する存在割合は、 0〜; 10重 量%、好ましくは 1〜5重量%、より好ましくは 1〜3重量%である。
[0162] 繰り返し単位 (B)の存在割合が上記範囲であると、耐熱性に優れ、有機物放出量 が少なぐ得られる成形体は摩擦等により樹脂粉 (異物)が発生し難いため好ましい。 繰り返し単位 (B)の存在割合が多すぎると、耐熱性が悪化したり、有機物放出量が
増加するおそれがあり、得られる成形体は摩擦により異物が発生し易くなる傾向があ る。また、繰り返し単位 (B)の存在割合が少なすぎると、得られる成形体は摩擦により 異物が発生し易くなる傾向がある。
[0163] 本発明の成形材料は、上記開環重合体水素化物の一種又は二種以上を含有する ものである力 S、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で酸化防止剤(安定 剤)、紫外線吸収剤、耐候安定剤、帯電防止剤、熱可塑性樹脂や軟質重合体等の その他の重合体、滑剤等の配合剤を含有して!/、てもよ!/、。
[0164] 本発明の成形材料中のカレボルネン系開環重合体水素化物の割合は、通常、 50 重量%以上、好ましくは 70重量%以上、より好ましくは 90重量%以上である。この範 囲にあるとノルボルネン系開環重合体水素化物の有する耐熱性、有機物低放出性 等の特性が損なわれず好まし!/、。
[0165] 酸化防止剤を配合すると機械的強度が低下しにくい成形体を得ることができる。
酸化防止剤としては、特に制限はなぐ例えば、フエノール系酸化防止剤、リン系酸 化防止剤、ィォゥ系酸化防止剤、ラ外ン系酸化防止剤が挙げられる。
[0166] フエノール系酸化防止剤としては、従来公知のものが使用できる。例えば、 2 -t- ブチルー 6—(3— t ブチルー 2 ヒドロキシー5 メチルベンジル)ー4 メチルフエ ニルアタリレート、 2, 4—ジ一第 3ァミル一 6— (1— (3, 5—ジ一第 3ァミル一 2—ヒド ロキシフエニル)ェチル)フエニルアタリレート等の特開昭 63— 179953号公報ゃ特 開平 1— 168643号公報に記載されるアタリレート系フエノール化合物;
[0167] 2, 6 ジー tーブチルー 4 メチルフエノール、 2, 6 ジー tーブチルー 4 ェチル フエノール、ォクタデシルー 3—(3, 5—ジ tーブチルー 4ーヒドロキシフエ二ノレ)プロ ピオネート、 2, 2' メチレン ビス(4ーメチルー 6— t ブチルフエノール)、 4, 4' ブチリデン一ビス(6— t ブチルー m—タレゾール)、 4, 4'ーチォビス(3—メチルー 6— t ブチルフエノール)、ビス(3 シクロへキシル 2 ヒドロキシ一 5 メチルフエ 二ノレ)メタン、 3, 9 ビス(2— (3— (3— t ブチル 4 ヒドロキシ一 5—メチルフエ ニル)プロピオニルォキシ) 1 , 1ージメチルェチル) 2, 4, 8, 10 テトラオキサス ピロ〔5, 5〕ゥンデカン、 1 , 1 , 3 トリス(2 メチル 4 ヒドロキシ一 5— t ブチルフ ェニノレ)ブタン、 1 , 3, 5 トリメチノレー 2, 4, 6 トリス(3, 5 ジ tーブチノレー 4ーヒ
ドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス(メチレンー3—(3', 5'—ジ tーブチルー 4' ーヒドロキシフエニルプロピオネート)メタン〔すなわち、ペンタエリスリメチルーテトラキ ス(3— (3, 5—ジ tーブチルー 4ーヒドロキシフエニルプロピオネート)〕、トリエチレ ングリコールビス( 3—( 3— t ブチル 4ーヒドロキシ 5—メチルフエ二ノレ)プロピオ ネート)、トコフエノール等のアルキル置換フエノール系化合物;
[0168] 6—(4ーヒドロキシ 3, 5 ジ tーブチルァニリノ) 2, 4 ビスォクチルチオ 1 , 3, 5 トリァジン、 6— (4 ヒドロキシ一 3, 5 ジメチルァニリノ)一 2, 4 ビスオタ チルチオ 1 , 3, 5—トリアジン、 6—(4ーヒドロキシー3—メチルー 5— t ブチルァ 二リノ) 2, 4 ビスォクチルチオ 1 , 3, 5 トリァジン、 2 ォクチルチオ 4, 6 - ビス—(3, 5—ジ— t ブチル—4—ォキシァニリノ)— 1 , 3, 5—トリァジン等のトリア ジン基含有フエノール系化合物;等が挙げられる。
[0169] リン系酸化防止剤としては、従来公知のものが使用できる。例えば、トリフエニルホス ノユルフェ二ノレ)ホスファイト、トリス(ジノユルフェ二ノレ)ホスファイト、トリス(2, 4 ジ一 t ブチルフエニル)ホスファイト、トリス(2— t ブチル 4ーメチルフェニル)ホスファ イト、トリス(シクロへキシルフェニノレ)ホスファイト、 2, 2 メチレンビス(4, 6 ジ一 t— ブチルフエ二ノレ)ォクチルホスファイト、 9, 10 ジヒドロ一 9 ォキサ 10 ホスファ フエナントレン一 10—オキサイド、 10 (3, 5—ジ一 t ブチル 4—ヒドロキシベン ジル) 9 , 10 ジヒドロ一 9 ォキサ一 10 ホスファフェナントレン 10 ォキサイ ド、 10 デシロキシ 9, 10 ジヒドロー 9 ォキサ 10 ホスファフェナントレン等 のモノホスファイト系化合物;
[0170] 4, 4'ーブチリデンービス(3 メチルー 6— t ブチルフエ二ルージートリデシルホス ファイト)、 4, 4'—イソプロピリデン一ビス(フエ二ル一ジ一アルキル(C12〜C15)ホ スフアイト)、 4, 4 '—イソプロピリデン一ビス(ジフエニルモノアルキル(C12〜C15)ホ スフアイト)、 1 , 1 , 3 トリス(2 メチル 4 ジ一トリデシルホスファイト一 5— t ブ チルフエ二ノレ)ブタン、テトラキス(2, 4 ジ一 t ブチルフエ二ル)一 4, 4'—ビフエ二 レンジホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(イソデシルホスフアイト)、 サイクリックネオペンタンテトライルビス(ノユルフェニルホスファイト)、サイクリックネオ
ペンタンテトライルビス(2, 4 ジ一 t ブチルフエニルホスファイト)、サイクリックネオ ペンタンテトライルビス(2, 4 ジメチルフエニルホスファイト)、サイクリックネオペンタ ンテトライルビス(2, 6 ジ一 t ブチルフエニルホスファイト)等のジホスファイト系化 合物等が挙げられる。
[0171] ィォゥ系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリノレ 3, 3 チォジプロピオネート、ジミ リスチル 3, 3'—チォジプロピオネート、ジステアリル 3, 3—チォジプロピオネート、ラ ゥリルステアリル 3, 3—チォジプロピオネート、ペンタエリスリトールーテトラキスー( 13 ラウリルチオ プロピオネート)、 3, 9 ビス(2 ドデシルチオェチル) 2, 4, 8, 10 テトラオキサスピロ〔5, 5〕ゥンデカン等が挙げられる。
[0172] ラタトン系酸化防止剤としては、ラタトン構造を含む化合物ものであれば特に限定は されないが、芳香族系のラタトン化合物が好ましぐベンゾフラノン骨格を有するもの がより好ましく、ァリ一ル基を置換基としてフラン環の側鎖に有する 3—ァリールベン ゾフランー2 オンがさらに好ましい。その具体例としては、 5, 7 ジ一第三ブチル - 3- (3、 4ージーメチルフエニル) 3H べンゾフランー2 オンが挙げられる。
[0173] これらの中でも、本発明に用いる酸化防止剤としては、アルキル置換フエノール系 酸化防止剤が特に好ましい。また、成形時の揮発を防止するため、 20°Cにおける蒸 気圧が 10— 6Pa以下のものが望ましい。
[0174] 酸化防止剤は 1種単独で、あるいは 2種以上を組み合わせて用いることができる。
酸化防止剤の配合量は、本発明の効果を妨げない範囲において適宜決定すれば よいが、開環重合体水素化物 100重量部に対して、通常、 0. 00;!〜 5重量部、好ま しくは 0. 01〜;!重量部の範囲である。
[0175] 紫外線吸収剤及び耐候安定剤としては、例えば、 2, 2, 6, 6 テトラメチルー 4 ピペリジルベンゾエート、ビス(2, 2, 6, 6 テトラメチルー 4ーピペリジル)セバケート 、ビス(1 , 2, 2, 6, 6 ペンタメチル一 4 ピペリジル) 2— (3, 5 ジ一 t ブチル 4ーヒドロキシベンジル)ー2— n ブチルマロネート、 4一〔3—(3, 5 ジ—tーブ チルー 4ーヒドロキシフエ二ノレ)プロピオニルォキシ〕 1 {2—〔3—(3, 5 ジー t— ブチルー 4ーヒドロキシフエ二ノレ)プロピオニルォキシ〕ェチノレ 2, 2, 6, 6 テトラメ チルピペリジン等のヒンダードアミン系化合物; 2—(2 ヒドロキシ 5 メチルフエ二
ノレ)ベンゾトリァゾール、 2—(3— t ブチルー 2 ヒドロキシー5 メチルフエニル) 5 クロ口べンゾトリァゾール、 2—(3, 5 ジ tーブチルー 2 ヒドロキシフエニル) —5 クロ口べンゾトリァゾール、 2— (3, 5 ジ一 t アミノレ一 2 ヒドロキシフエニル) ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系化合物; 2, 4 ジ一 t ブチルフエニル 3, 5—ジー tーブチルー 4ーヒドロキシベンゾエート、へキサデシルー 3, 5—ジー t ーブチルー 4ーヒドロキシベンゾエート等のべゾエート系化合物等が挙げられる。これ らの紫外線吸収剤及び耐候安定剤は、それぞれ単独で、あるいは 2種以上組み合 わせて用いることができる。
[0176] 紫外線吸収剤及び耐候安定剤の配合量は、開環重合体水素化物 100重量部に 対して通常、 0. 00;!〜 5重量部、好ましくは、 0. 0;!〜 2重量部の範囲である。
[0177] 帯電防止剤は帯電防止効果を付与するために添加される。
帯電防止剤としては、ステアリルアルコール、ベへニルアルコール等の長鎖アルキ ルアルコール;アルキルスルホン酸ナトリウム塩及び/又はアルキルスルホン酸ホス ホニゥム塩;ステアリン酸のグリセリンエステノレ等の月旨月方酸エステノレ;ヒドロキシァミン系 化合物;無定形炭素、酸化スズ粉、アンチモン含有酸化スズ粉等が挙げられる。 帯電防止剤の配合量は、開環重合体水素化物 100重量部に対して、通常、 0.001 〜50重量部の範囲である。
[0178] 熱可塑性樹脂や軟質重合体等のその他の重合体は、機械特性及び成形加工性 の向上を目的として添加される。
[0179] 熱可塑性樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状 低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテ ン等のポリオレフイン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポ リエステル;ナイロン 6、ナイロン 6, 6等のポリアミド;エチレン ェチルアタリレート 共重合体、エチレン 酢酸ビュル共重合体、ポリスチレン、ポリフエ二レンスルフイド、 ポリフエ二レンエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート等が挙げられる。
[0180] 軟質重合体としては、特に限定されず、少なくとも 1つのガラス転移温度 (Tg)が 40 °C以下の重合体であればよい。例えば、スチレン ブタジエンブロック共重合体、ス チレン ブタジエン スチレンブロック共重合体、スチレン イソプレンブロック共重
合体、スチレン イソプレン スチレンブロック共重合体、スチレン ブタジエンラン ダム共重合体等の、芳香族ビュルモノマーと共役ジェン系モノマーのランダム又はブ ロック共重合体及びその水素添加物;ポリイソプレンゴム;エチレン プロピレン共重 合体、エチレン α—ォレフイン共重合体、プロピレン α—ォレフイン共重合体等 のポリオレフインゴム、エチレン プロピレン ジェン共重合体、 α—ォレフインージ ェン共重合体、ジェン共重合体、イソブチレン イソプレン共重合体、イソブチレン ジェン共重合体等のジェン系共重合体;ノルボルネン系単量体とエチレン又は α— ォレフィンの共重合体、ノルボルネン系単量体とエチレン α—ォレフインの 3元共重 合体、ノルボルネン系単量体の開環重合体等のノルボルネン系ゴム質重合体;等が 挙げられる。
[0181] 滑剤は、成形性の改良等を目的として使用される。
滑剤としては、多価アルコールの部分エステル、多価アルコールのフルエステル( 多価アルコールのアルコール性水酸基の 95%以上がエステル化されたもの)、高級 飽和アルコール、多価アルコールの部分エーテル等が挙げられる。これらの中でも、 多価アルコールのフルエステルが好ましぐ多価アルコールと ΟΗ基含有高級飽和脂 肪酸とのフルエステル、及び高級飽和アルコールが特に好ましい。更に、成形時の 揮発を防止するため、 20°Cにおける蒸気圧が 10— 6Pa以下のものが望ましい。
[0182] 滑剤の配合量は、使用目的に応じて適宜選択すればよいが、開環重合体水素化 物 100重量部に対して、通常、 0.001〜; 10重量部、好ましくは 0. 0;!〜 5重量部であ
[0183] 本発明の成形材料は、上記に例示したもののほか、光安定剤、近赤外線吸収剤、 染料や顔料等の着色剤、滑剤、可塑剤、アンチブロッキング剤、蛍光増白剤、防臭 剤、有機又は無機フィラー充填剤、架橋剤、加硫剤、ワックス等の他の配合剤を更に 含有していてもよい。
これらの他の配合剤の配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択され
[0184] 本発明の成形材料が樹脂組成物である場合、樹脂組成物を調製する方法としては 、特に制約はないが、開環重合体水素化物と配合剤を、単軸押出機、 2軸押出機、
ロール、バンバリ一ミキサー等の混練機によって溶融混合する方法が挙げられる。
[0185] 本発明の成形材料は、 80°Cで 60分間加熱した際の有機物放出量力 ppm以下、 好まし <は 150ppb以下、より好まし <は 50ppb以下、さらに好まし <は 20ppb以下、 特に好ましくは lOppb以下のものである。この範囲にあると、得られる成形体からの有 機物放出のおそれがない。特に、成形体が半導体製造用ウェハーキャリアである場 合に、放出された有機物によりウェハーが汚染されず好ましい。
[0186] 前記有機物放出量は、例えば、クリーンルーム(クラス 1000)内において、成形材 料 5gを多量の超純水で洗浄後、表面に吸着していた水分や有機物を完全に除去し たガラス製の試料容器に入れ、その試料容器を温度 80°Cで 60分間加熱し、試料容 器から出てきた気体を熱脱着ガスクロマトグラフィー質量分析計 (例えば、 TDS— GC -MS,アジレント'テクノロジ一社製)により測定すること力 Sできる。
[0187] 80°Cで 60分間加熱した際の有機物放出量が lppm以下である成形材料を得るに は、濾別後の開環重合体水素化物溶液から溶媒等の揮発成分を極力除去すればよ い。
[0188] 溶媒等の揮発成分を除去する方法としては、凝固法や直接乾燥法等公知の方法 が挙げられる。
[0189] 凝固法は、重合体溶液を重合体の貧溶媒と混合することにより、重合体を析出させ 、凝固分を固液分離することにより溶媒を除去する方法である。
[0190] 用いる貧溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、 n—プロピルアルコ 一ノレ、イソプロピルアルコール等のアルコール類;アセトン、メチルェチルケトン等の ケトン類;酢酸ェチル、酢酸ブチル等のエステル類;等の極性溶媒が挙げられる。
[0191] 凝固分を固液分離して得られた小塊状の重合体 (クラム)は、加熱して乾燥させてさ らに溶媒を除去することが好ましい。
[0192] 直接乾燥法は、重合体溶液を減圧下加熱して溶媒を除去する方法である。この方 法には、遠心薄膜連続蒸発乾燥機等の薄膜乾燥機、搔面熱交換型連続反応器型 乾燥機、高粘度リアクタ装置等の公知の装置を用いて行うことができる。真空度や温 度はその装置によって適宜選択され、限定されない。
[0193] 凝固法や直接乾燥法により溶媒を除去した後、さらに減圧下で加熱して乾燥するこ
とが好ましい。その際の圧力は、通常 lOkPa以下、好ましくは 3kPa以下である。加熱 温度は、通常 200°C以上、好ましくは 220°C以上、より好ましくは 240°C以上である。 このような条件で乾燥すると重合体中に未反応単量体や溶媒がほとんど残らないの で、成形体から揮散する有機物が少なくなる。
[0194] 本発明の成形材料は、遷移金属の含有量が lppm以下であるものが好ましい。遷 移金属の含有量が lppmであると、得られる成形体からの金属溶出のおそれがない 。特に、本発明の成形体が半導体製造用ウェハーキャリアである場合、酸やアルカリ で洗浄した際にも金属が溶出することが少なぐ溶出金属によるウェハーが汚染され ることがないので好ましい。
[0195] なお、遷移金属種は特に限定されないが、重合触媒、水素化触媒、環境異物、製 造設備から混入するものであり、主に使用した重合触媒、水素化触媒に由来するも のである。
[0196] 成形材料における遷移金属の含有量は、誘導結合プラズマ発光分光分析装置 (例 えば、 IRISAdvntage/SSEA、 日本ジャーレル.アッシュ社製)により測定すること ができる。
[0197] 遷移金属の含有量力 Slppm以下の成形材料を得る方法としては、例えば、前記開 環重合体を水素化する際に水素化触媒として不均一系触媒を用いて水素化反応を 行い、反応後に反応溶液を濾過する方法;前記開環重合体水素化物の溶液、又は これに配合剤を添加して得られる樹脂組成物の溶液(以下、「樹脂溶液」とレ、うことが ある)を、吸着剤で処理して金属原子を吸着する方法;樹脂溶液を酸性水と純水で交 互に繰り返し洗浄する方法;などが挙げられる。これらの中でも、不均一系触媒を用 V、て水素化反応を行い、反応後に反応溶液を濾過する方法が好まし!/、。
[0198] 不均一系触媒を用いて水素化反応を行い、反応後に反応溶液を濾過する方法とし ては、不均一系触媒を用いて水素化反応を行った後の反応溶液を、(i)電荷的捕捉 機能を有する濾過フィルターで濾過する方法、(ii)口径が 0. 5 111以下、好ましくは 0. 3 m以下の機械的濾過フィルターで少なくとも 2回濾過する方法などが挙げられ
[0199] これらの中でも、(i)の方法が、微細異物の除去能が高ぐ 目開きによる機械的濾過
フィルターによる濾過では通過する微細異物を取り除け、濾過後の再凝集による異 物の再生成などが防止できるので好適である。
[0200] 電荷的捕捉機能を有する濾過フィルタ一は、電気的に荷電異物を捕捉除去するフ ィルターである。電荷的捕捉機能を有するフィルタ一としては、濾材に電荷を付与し たもの、例えば、ゼータ電位を制御したゼータ電位濾過フィルターが挙げられる。
[0201] ゼータ電位濾過フィルタ一としては、濾材に陽電荷変性剤を付与したフィルターな どが挙げられる。
[0202] 陽電荷変性剤としては、例えば、特表平 4 504379号公報などに記載されている セルロース繊維/シリカ/陽電荷変性剤 (ポリアミンェピクロロヒドリン樹脂、脂肪族ポ リアミンなど)や、メラミンホルムアルデヒド陽イオンコロイド、無機陽イオンコロイドシリ 力、などが挙げられる。
また、陽電荷変性材を付与した濾過フィルタ一として、市販品、例えば、キュノ社の 商標「ゼータプラス」で販売されて!/、るものを使用してもょレ、。
[0203] さらに、処理能力を高めるために、電荷的捕捉機能を有する濾過フィルターでの濾 過に、機械的濾過フィルターでの濾過を組み合わせて行うのが好ましい。濾過は、処 理効率の観点から、通常、機械的濾過フィルターによる濾過、次いで電荷的捕捉機 能を有する濾過フィルターによる濾過の順で行うのが好ましい。
[0204] 機械的濾過フィルタ一としては、溶媒によって悪影響を受けないものであれば特に 限定されず、例えば、ポリプロピレン製、ポリエチレン製、 PTFE製などの繊維製フィ ルター又はメンブランフィルター;セルロース製の繊維製フィルター;ガラス繊維製フィ ルター;ケイソゥ土などの無機物製フィルター;金属繊維製フィルター;などが挙げら れる。
[0205] 機械的濾過フィルターの孔径は、格別制限はないが、通常 10 m以下、好ましくは
5 111以下、より好ましくは 1 m以下である。これらの機械的濾過フィルタ一は、それ ぞれ単独で、あるレ、は 2種以上を組み合わせて用いることができる。
[0206] 本発明の成形材料は耐熱性にも優れる。本発明の成形材料が耐熱性に優れること は、例えば、得られる半導体製造用ウェハーキャリアを温度 105°Cで 30分間放置し、 変形の有無を目視で調べることで確認すること力できる。この試験で変形は確認され
ない。
[0207] 本発明の成形材料は、通常、成形時に取り扱いやすいようにペレットと呼ばれる米 粒程度の大きさに加工されて使用に供される。
[0208] 本発明の成形体は、本発明の成形材料を成形して得られるものである。
本発明の成形体は、その形状や大きさなどに特に制約はない。また、本発明の成 形体には、その一部が本発明の成形材料から成形されたものも含まれる。
[0209] 本発明の成形体は、本発明の成形材料を用いて、従来公知の成形法により製造す ること力 Sできる。用いる成形法としては、例えば、射出成形法、カレンダー成形法、ィ ンフレーシヨン成形法、押出ブロー成形法、射出ブロー成形法、多層ブロー成形法、 コネクションブロー成形法、二重壁ブロー成形法、延伸ブロー成形法、真空成形法、 回転成形法、プレス成形法、溶融押出成形法等が挙げられる。これらの中でも、量産 性の観点から、射出成形法が好ましい。
[0210] 射出成形法としては、本発明の成形材料を従来公知の射出成形機を用いて射出 成形する方法を用いることができる。
成形時の樹脂の温度(シリンダー温度)は、通常、(Tm+ 5°C)〜(Tm+ 200°C)、 好ましくは (Tm+ 20°C)〜(Tm+ 150°C)である。
[0211] 本発明の成形材料のシリンダー滞留時間は通常 1時間以内、好ましくは 30分以内
、好ましくは 10分以内である。このような条件で射出成形した場合に樹脂の熱分解( 劣化)が少なぐ低分子量有機物の生成が抑制される。
なお、成形材料を調製して力も成形に供するまでに所定期間を要することがある場 合には、調製後の成形材料を、例えば、ステンレス製の容器等に入れ窒素シールし て保管しておくことが好ましレ、。
[0212] 以上のようにして得られる本発明の成形体は、摩擦等により樹脂粉などの異物が発 生し難いものである。
成形体から異物が発生し難いことは、例えば、次のようにして確認すること力 Sできる 。先ず、クリーンルーム内(クラス 1000)において、ポリプロピレン製のウェハーシッパ 一に梱包された状態で購入した 8インチの新品のベアシリコンウェハーを 4. 5重量% のフッ化水素酸溶液に 25°Cで 1分間浸漬し、薄い酸化シリコン皮膜を取り除く。次に
、 98%濃硫酸と 30%過酸化水素水溶液の混合液 [50 : 1 (容積比)]に 110°Cで 10 分間浸漬し、次いで濃硫酸に 65°Cで 10分間浸漬して有機物を取り除く。次いで、多 量の超純水で洗浄し酸を流したあと、遠心分離機により水分を完全に振り飛ばし乾 燥させた後のウェハー上の異物数を異物計測装置(例えば、サーフスキャン SP1、 K LA— Tencor社製)を用いて計測する。次いで、成形したウェハーキャリアに前記ゥ ェハーを 50回出し入れした後、ウェハー上の異物数を再び計測し、異物数が増加し ている力、をみる。この試験における異物の増加量は、通常、 250個以下、好ましくは 2 30個以下、より好ましくは 200個以下である。
[0213] 本発明の成形体は、耐熱性に優れ、有機物放出性が低ぐ摩擦による異物の発生 が少ないことから、電子用処理用器材として好適に用いることができる。より具体的に は、(A) IC、 LSIなどの半導体やハイブリッド IC、液晶表示素子、発光ダイオードなど の電子部品と接触する器材、(B)ウェハー、液晶基板、これらに透明電極層や保護 層などを積層したものなどの製造中間体と接触する器材、及び (C)電子部品の製造 工程にお!/、て製造中間体の処理に用いる薬液や超純水などの処理液と接触する器 材等が挙げられる。
[0214] (A)電子部品と接触する器材、及び (B)電子部品の製造中間体と接触する器材と しては、例えば、タンク、トレイ、キャリア、ケース、シッパー等の処理用、及び移送用 容器;キャリアテープ、セパレーシヨン'フィルム等の保護材;などが挙げられる。 (C) 処理液と接触する器材としては、例えば、パイプ、チューブ、バルブ、流量計、フィノレ ター、ポンプ等などの配管類;サンプリング容器、ボトル、アンプル、バッグなどの液用 容器類;などが挙げられる。
[0215] これらの中でも、半導体製造用ウェハーキャリアであるのが特に好ましぐ本発明の 半導体製造用ウェハーキャリアは、ウェハーの保管中や運搬中にウェハー表面に傷 が付き難く、また異物が付着し難くいため、高精度の電子部品等を得ることができる。
[0216] また、本発明の成形体は、 CD、 CD-ROM,レーザーディスク、デジタル'ビデオ' ディスクなどの光ディスク、光カード、光テープなどの光学記録媒体;光学レンズ、プリ ズム、ビームスプリツター、レンズプリズム、光学ミラー、光ファイバ一、 LED封止材、 液晶表示用基板、液晶表示用フィルム、液晶表示用導光板、光学フィルム、食品用
包装容器、医療用包装容器などとしても使用することができる。
[0217] 本発明の半導体製造用ウェハーキャリア(以下、「キャリア」ということがある)は、ゥェ ハー同士が接触することなく保持、出し入れが可能であり、キャリアに収納したまま、 ウェハーの加熱処理や薬品等への浸漬処理が可能になっている必要がある。すなわ ち、ウェハーの面同士が平行な形で互いに接触することなく収納でき、面に平行な方 向に一枚ずつ接触することなく出し入れ可能になって!/、る。
[0218] 具体的には、ウェハーと空間が交互に層状に何層も積み重なった状態でウェハー を収納でき、ウェハーが取り出し方向以外には動かないように枠組みされており、そ の枠組みに溝や突起などが設けられた構造を有する。さらに、加熱処理や薬品等へ の浸漬処理が効率的に、またできるだけ均一にできるように、ウェハーの取り出し方 向以外の方向力もも、ウェハーの間の空間に液体等の流入口を有する。
[0219] 例えば、特開平 2— 63112号、特開平 2— 143545号、特開平 2— 161745号、特 開平 3 95954号等に記載されたもの、図 1に示すもの、 SEMI規格のなかに規定さ れたキャリア等が挙げられる。
[0220] 5)多層体
本発明の多層体は、 2層以上の樹脂層を有する多層体であって、その内の少なくと も 1層が、 2—ノルボルネン又は 2—ノルボルネン及び置換基含有ノルボルネン系単 量体からなる単量体混合物を開環重合して得られる開環重合体の、炭素 炭素二 重結合の 80%以上を水素化することにより得られるノルボルネン系開環重合体水素 化物であって、 2—ノルボルネン由来の繰り返し単位(A)の全繰り返し単位に対する 存在割合が 90〜; 100重量%、置換基含有ノルボルネン系単量体由来の繰り返し単 位(B)の全繰り返し単位に対する存在割合が 0〜; 10重量%であり、かつ、融点が 11 0〜145°Cの範囲であるノルボルネン系開環重合体水素化物を含有する層であるこ とを特徴とする。
[0221] すなわち、本発明の多層体で用いることができるノルボルネン系開環重合体水素 化物は、 2—ノルボルネンを開環重合して得られる開環重合体の主鎖炭素 炭素二 重結合の 80%以上を水素化することにより得られるノルボルネン系開環重合体水素 化物(2—ノルボルネン開環重合体水素化物)を用いる場合に、そのゲル'パーミエ
ーシヨン ·クロマトグラフィー(GPC)による重量平均分子量(Mw)や、分子量分布(M w/Mn)が、特に限定されるものではないこと以外は、前述した本発明のノルボルネ ン系開環重合体水素化物と同様のものである。また、前述した本発明のノルボルネン 系開環重合体水素化物として好ましいもの力 本発明の多層体で好ましく用いられる ノルボルネン系開環重合体水素化物である。
[0222] 本発明の多層体で用いるノルボルネン系開環重合体水素化物を得るために用いら れる単量体混合物の組成は、 2 ノルボルネン力 通常、 90〜; 100重量%、好ましく は 95〜99重量%、より好ましくは 97〜99重量%であり、置換基含有ノルボルネン系 単量体は、通常、 0〜; 10重量%、好ましくは 1〜5重量%、より好ましくは 1〜3重量% である。
[0223] また、本発明の多層体で用いる開環重合体水素化物の 2—ノルボルネン由来の繰 り返し単位 (A)の全繰り返し単位に対する存在割合は、 90〜; 100重量%、好ましくは 95〜99重量%、より好ましくは 97〜99重量%であり、置換基含有ノルボルネン系単 量体由来の繰り返し単位 (B)の全繰り返し単位に対する存在割合は、 0〜; 10重量% 、好ましくは 1〜5重量%、より好ましくは 1〜3重量%である。
[0224] 本発明の多層体で用いるノルボルネン系開環重合体水素化物には、 目的に応じて 配合剤を添加することができる。用いる配合剤としては、酸化防止剤、ゴム質重合体 、その他の樹脂、紫外線吸収剤、耐候安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、防曇剤、染 料、顔料、着色剤、天然油、合成油、可塑剤、有機又は無機の充填剤、抗菌剤、消 臭剤、脱臭剤等が挙げられる。
[0225] 酸化防止剤としては、その分子量が 700以上であるものが好ましい。酸化防止剤の 分子量が低すぎると、成形品から酸化防止剤が溶出するおそれがある。
[0226] 酸化防止剤の具体例としては、ォクタデシルー 3—(3, 5 ジ tーブチルー 4ーヒ ドロキシフエニル)プロピオネート、テトラキス〔メチレンー3—(3 ' , 5'—ジ tーブチ ノレ 4'ーヒドロキシフエ二ノレ)プロピオネート〕メタン、ペンタエリスリチルーテトラキス〔 3—(3, 5—ジ tert ブチルー 4ーヒドロキシフエ二ノレ)プロピオネート〕等のフエノ ール系酸化防止剤;トリフエニルホスファイト、トリス(シクロへキシルフェニル)ホスファ イト、 9, 10 ジヒドロー 9 ォキサ 10 ホスファフェナントレン等リン系酸化防止剤
;ジミリスチル 3, 3' チォジプロピオネート、ジステアリル 3, 3' チォジプロピオ ネート、ラウリルステアリル 3, 3, 一チォジプロピオネート、ペンタエリスリトールーテ トラキス( ( ラウリルーチォプロピオネート)等のィォゥ系酸化防止剤;等が挙げられ る。これらの酸化防止剤は 1種単独で、あるいは 2種以上を組み合わせて用いること ができる。これらの中でも、フエノール系酸化防止剤が好ましい。
[0227] 酸化防止剤の配合量は、ノルボルネン系開環重合体水素化物 100重量部に対し、 通常、 0. 0;!〜 1重量部、好ましくは、 0. 05-0. 5重量部である。酸化防止剤の添 加量が少なすぎると、成形品にやけが生じるおそれがある。一方、添加量が多すぎる と、成形品が白濁したり、成形品から酸化防止剤が溶出するおそれがある。
[0228] ゴム質重合体は、ガラス転移温度が 40°C以下の重合体である。ゴム質重合体には ゴムや熱可塑性エラストマ一が含まれる。ブロック共重合体のごとくガラス転移温度が 2点以上ある場合は、最も低レ、ガラス転移温度が 40°C以下であればゴム質重合体と して用いること力 Sできる。ゴム質重合体のムーニー粘度(ML1 +4 , 100°C)は、使用 目的に応じて適宜選択される力 S、通常、 5〜300である。
[0229] ゴム質重合体としては、例えば、エチレン α—ォレフイン系ゴム;エチレン α— ォレフィン ポリェン共重合体ゴム;エチレン メチルメタタリレート、エチレンーブチ ルアタリレート等のエチレンと不飽和カルボン酸エステルとの共重合体;エチレン 酢 酸ビュル共重合体等のエチレンと脂肪酸ビュルとの共重合体;アクリル酸ェチル、ァ クリル酸ブチル、アクリル酸へキシル、アクリル酸 2—ェチルへキシル、アクリル酸ラウ リル等のアクリル酸アルキルエステルの重合体;ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチ レンとブタジエン又はイソプレンとのランダム共重合体、アクリロニトリル ブタジエン 共重合体、ブタジエン イソプレン共重合体、ブタジエン (メタ)アクリル酸アルキル エステル共重合体、ブタジエン (メタ)アクリル酸アルキルエステル アクリロニトリル 共重合体、ブタジエン—(メタ)アクリル酸アルキルエステル—アクリロニトリル—スチレ ン共重合体等のジェン系ゴム;ブチレン イソプレン共重合体;スチレン ブタジエン ブロック共重合体、水素化スチレン ブタジエンブロック共重合体、水素化スチレン ブタジエンランダム共重合体、スチレン イソプレンブロック共重合体、水素化スチ レン イソプレンブロック共重合体等の芳香族ビュル一共役ジェン系ブロック共重合
体、低結晶性ポリブタジエン樹脂、エチレン プロピレンエラストマ一、スチレングラフ トエチレン プロピレンエラストマ一、熱可塑性ポリエステノレエラストマ一、エチレン系 アイオノマー樹脂等が挙げられる。
[0230] ゴム質重合体の配合量は、使用目的に応じて適宜選択される。耐衝撃性や柔軟性 が要求される場合にはゴム質重合体の量は、ノルボルネン系開環重合体水素化物 1 00重量部に対して、通常、 0. 0;!〜 100重量部、好ましくは、 0. ;!〜 70重量部、より 好ましくは、;!〜 50重量部の範囲である。
[0231] その他の樹脂としては、例えば、非晶性ノルボルネン系開環重合体、非晶性ノルポ ルネン系開環重合体水素化物、結晶性ノルボルネン系付型加重合体、非晶性カレ ボルネン系付加型重合体、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度 ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、エチレン ェチルアタリレート共重合体、ェチ レン 酢酸ビュル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、水素化ポリスチレン、ポリ メチルメタタリレート、ポリ塩化ビュル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフエ二レンスルフイド、 ポリフエ二レンエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、セルローストリア セテート、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルス ルホン等が挙げられる。これらのその他の樹脂は、それぞれ単独で、あるいは 2種以 上を組み合わせて用いることができ、その配合割合は、本発明の目的を損なわない 範囲で適宜選択することができる。
[0232] 紫外線吸収剤及び耐候安定剤としては、例えば、 2, 2, 6, 6 テトラメチルー 4 ピペリジルベンゾエート、ビス(2, 2, 6, 6 テトラメチルー 4ーピペリジル)セバケート 、ビス(1 , 2, 2, 6, 6 ペンタメチル一 4 ピペリジル) 2— (3, 5 ジ一 t ブチル 4ーヒドロキシベンジル)ー2— n ブチルマロネート、 4一〔3—(3, 5 ジ—tーブ チルー 4ーヒドロキシフエ二ノレ)プロピオニルォキシ〕 1 {2—〔3—(3, 5 ジー t— ブチルー 4ーヒドロキシフエ二ノレ)プロピオニルォキシ〕ェチノレ 2, 2, 6, 6 テトラメ チルピペリジン等のヒンダードアミン系化合物; 2—(2 ヒドロキシ 5 メチルフエ二 ノレ)ベンゾトリァゾール、 2—(3— t ブチルー 2 ヒドロキシー5 メチルフエニル) 5 クロ口べンゾトリァゾール、 2—(3, 5 ジ tーブチルー 2 ヒドロキシフエニル) —5 クロ口べンゾトリァゾール、 2— (3, 5 ジ一 t アミノレ一 2 ヒドロキシフエニル)
ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系化合物; 2, 4 ジ一 t ブチルフエニル 3, 5—ジー tーブチルー 4ーヒドロキシベンゾエート、へキサデシルー 3, 5—ジー t ーブチルー 4ーヒドロキシベンゾエート等のべゾエート系化合物等が挙げられる。これ らの紫外線吸収剤及び耐候安定剤は、それぞれ単独で、あるいは 2種以上組み合 わせて用いることができる。紫外線吸収剤及び耐候安定剤の量は、ノルボルネン系 開環重合体水素化物 100重量部に対して通常、 0. 00;!〜 5重量部、好ましくは、 0. 0;!〜 2重量部の範囲である。
[0233] 帯電防止剤としては、ステアリルアルコール、ベへニルアルコール等の長鎖アルキ ルアルコール;アルキルスルホン酸ナトリウム塩及び/又はアルキルスルホン酸ホス ホニゥム塩;ステアリン酸のグリセリンエステノレ等の月旨月方酸エステノレ;ヒドロキシァミン系 化合物;無定形炭素、酸化スズ粉、アンチモン含有酸化スズ粉等を例示することがで きる。帯電防止剤の量は、ノルボルネン系開環重合体水素化物 100重量部に対して 、通常、 0. 00;!〜 5重量部の範囲である。
[0234] 本発明の多層体は 2層以上の樹脂層を有し、その内の少なくとも 1層が、本発明の 開環重合体水素化物を含有する層であるものであれば、その他の層(以下「合成樹 脂層」ということがある)は、特に制限されない。
[0235] 本発明の多層体のカレボルネン系開環重合体水素化物を含有する層中の力レポ ルネン系開環重合体水素化物の割合は、通常、 50〜; 100重量%、好ましくは 70〜1 00重量0 /0、さらに好ましくは、 90〜100重量0 /0である。この範囲にあると、ノルボルネ ン系開環重合体水素化物が有する水蒸気ノ リア性などの特性が損なわれず好まし い。
[0236] 前記ノルボルネン系開環重合体水素化物を含有する層の厚みは特に限定されな い力 通常、 Ι— ΘΟΟ , ΐη,好ましくは10〜400〃111、さらに好ましくは 20〜200〃 m の範囲である。この範囲にあると、ノルボルネン系開環重合体水素化物が有する水 蒸気バリア性などの特性が損なわれず好ましい。
[0237] 本発明の多層体においては、本発明の多層体を医療用又は食料用包装材料とし て用いる場合には、前記合成樹脂層が少なくとも 1層のガスバリア性樹脂を含有する 層であることが好ましい。
前記合成樹脂層として、ガスバリア性樹脂を含有する層を用いることにより、水蒸気 ノ リア性に優れるとともに、ガスバリア性にも優れる多層体を得ることができる。
[0238] 本発明に用いるガスノ リア性樹脂としては、内容物の劣化や組成変化を引き起こす ガスとしては主として酸素が問題となるので、酸素透過度が小さいものが好ましい。
[0239] ガスバリア性樹脂としては、 20 ,1 m厚のガスバリア性樹脂フィルムとして、温度 23°C 、湿度 0%RHの条件下で、酸素透過度が、 100cm3'm— 2' day— ^ atm— 1以下であ ることが好ましぐ 50cm3'm_2' day— ^ atnT1以下であることがより好ましぐ 10cm3 · m - day ' atm 1以下 C、めることカ らに十ましく、 1cm 'm - day ' atm 1以下 であることが特に好ましい。
[0240] ガスバリア性樹脂としては、具体的には、包装材料等の分野で汎用の樹脂が使用 できる。例えば、エチレン ビュルアルコール共重合体(EVOH)、塩化ビニリデン系 ポリマー(PVDC)、ポリエチレン イソフタレート系コポリマー等のバリア性ポリエステ ル、 MXD6ナイロン(m—キシリレンアジバミド)、バリア性ナイロン(非晶性ナイロン)、 ポリアクリロニトリル、液晶ポリエステル、全芳香族ナイロン(ァラミド)、ポリ酢酸ビュル 又はその加水分解物(PVA)等が効果的な例として挙げられる。また、 PVDCコート 2 軸延伸ポリエチレンテレフタレート、 PVDCコート 2軸延伸ポリプロピレン、 PVDCコー ト 2軸延伸ポリビュルアルコール等の透明な多層フィルム、蒸着フィルム等も挙げられ これらの中でも、エチレン—ビュルアルコール共重合体(EVOH)は、特にガスバリ ァ性に優れるため好ましい。
[0241] 本発明の多層体においては、前記合成樹脂層として、ガスバリア性樹脂を含有す る層に代えて、あるいはガスノ リア性樹脂を含有する層とともに、ノルボルネン系開環 重合体水素化物層単独では不十分な曲げ強度や、耐屈曲性、引張り強度を補うた めに少なくとも 1層の第 2の合成樹脂層を含んでいてもよい。
[0242] 前記第 2の合成樹脂層を構成する樹脂材料としては、医療用又は食品包装用に用 いられている樹脂材料であれば特に限定されない。例えば、ポリオレフイン系樹脂、 ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリメチルメタタリレート等のアクリル樹脂、ポリカー ボネート、アイオノマー樹脂、ポリスチレン、 ABS樹脂、熱可塑性エラストマ一、ェチ
レン一力ルボン酸エステル共重合体、エチレン 酢酸ビュル共重合体、ポリスルホン 、ポリ塩化ビュル、フッ素樹脂等の各種合成樹脂を挙げることができる。これらの中で も、本発明においては、ポリオレフイン系樹脂、ポリアミド樹脂、及びポリエステル樹脂 力もなる群から選ばれる少なくとも一種が好ましい。
[0243] ポリオレフイン系樹脂としては、直鎖状、又は分岐鎖状のエチレン α—ォレフイン 共重合体、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、 超高分子量ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂;ホモポリプロピレン、エチレンープ ロピレンランダム共重合体、エチレン プロピレンブロック共重合体、エチレン プロ ピレン 1ーブテン共重合体等のポリプロピレン系樹脂;エチレン プロピレン共重 合体、ポリメチルペンテン、ポリブテン、ポリメチルブテン、ポリメチルへキセン等から なる群で示されるポリオレフイン系樹脂;特許公開公報 2001— 143323号記載の脂 環式構造含有重合体等の非晶性ポリオレフイン系樹脂;等が挙げられる。
[0244] ポリアミド樹脂としては、ナイロン 6、ナイロン 66、ナイロン 610、ナイロン 6Τ等が挙 げられる、
ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート
、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。
[0245] これらの合成樹脂層は、各樹脂の単層又は 2種以上の多層体として用いられ、使 用目的に応じて、合成樹脂の種類や層構成は、適宜使い分けることができる。
[0246] これらの中でも、前記第 2の合成樹脂層が、ポリオレフイン系樹脂を含有する層であ ること力 Sより好ましく、ポリエチレン又はポリプロピレンを含有する層であること力 低溶 出性、耐薬品性、耐油性にも優れることから、さらに好ましぐポリプロピレンを含有す る層であること力 前記特性に加え、耐熱性、透明性にも優れるため、特に好ましい。
[0247] 本発明の多層体においては、ガスバリア性付与ゃ耐候(光)性付与のために透明 蒸着フィルムと組み合わせることもできる。
[0248] また、アルミニウム箔等の金属箔、アルミニウム蒸着フィルム、金属箔と合成樹脂フ イルムとのラミネートフィルム、顔料を練り込んだ合成樹脂フィルム等の遮光性を有す る層(遮光層)を設けることができる。
[0249] 本発明の多層体において、その多層構成の具体例としては、次のような構成を挙
げること力 Sできる。ただし、カレボルネン系開環重合体水素化物を含有する層を NB 層、その他の樹脂層を合成樹脂層と略記する。
[0250] (1) NB層/合成樹脂層
(2) NB層/合成樹脂層/ NB層
(3) 合成樹脂層/ NB層/合成樹脂層
(4) NB層/合成樹脂層/合成樹脂層/ NB層
(5) NB層/合成樹脂層/ NB層/合成樹脂層
(6) NB層/合成樹脂層/ NB層/合成樹脂層/ NB層
(7) 合成樹脂層/合成樹脂層/ NB層/合成樹脂層/合成樹脂層
(8) 合成樹脂層/ NB層/合成樹脂層/ NB層/合成樹脂層
(9) NB層/合成樹脂層/遮光層
(10) NB層/合成樹脂層/遮光層/合成樹脂層
(11) NB層/遮光層
[0251] 本発明の多層体は、上記のものに限定されず、これらの多層を含み、さらに多層の 構成等、使用目的に応じて所望の多層構成を採用することができる。
[0252] 例えば、本発明の多層体にガスバリア性樹脂を含有する層を設ける場合、ガスバリ ァ性能を保っため該樹脂層が水分と接しないことが必要となることがある。そのため、 ガスノ リア性樹脂を含有する層を有する本発明の多層体からなる包装体において、 包装体外部からの水分や酸素の透過を防止したい場合には、外部と接する側にノル ボルネン系開環重合体水素化物を含有する層を設けることが好ましい。また、該包装 体の内容物として水溶液など入れる際には、該多層体の内容物と接する側にノルボ ルネン系開環重合体水素化物を含有する層を設けることが好ましい。
[0253] 本発明の多層体においては、各層間に必要に応じて、層間接着剤からなる接着剤 層を配置することができる。
[0254] 層間接着剤としては、フィルムの特性を損なわないものであれば、特に制約されな い。例えば、接着性ゴム、接着性熱可塑性樹脂、接着性熱可塑性エラストマ一、ェポ キシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂接着剤、ポリビュルエー テル、アクリル樹脂、酢酸ビュル一エチレン共重合体等の熱可塑性樹脂接着剤、ポリ
アミド樹脂系ホットメルト接着剤、二トリルゴム等のゴム系接着剤等が挙げられる。これ らの中でも、ウレタン系接着剤、接着性ォレフイン重合体が好ましい。
[0255] 本発明の多層体においては、合成樹脂層に、本発明の開環重合体水素化物に用 V、ることができる配合剤を含有させてもょレ、。
[0256] 本発明の多層体を得る方法としては、本発明の開環重合体水素化物、又は前記開 環重合体水素化物及び配合剤を含有する樹脂組成物と、合成樹脂層に用いる樹脂 、又は前記合成樹脂層に用いる樹脂及び配合剤を含有する樹脂組成物とを公知の 成形法により成形することにより得ることカでさる。
[0257] 本発明の多層体を形成する方法としては、特に限定されないが、例えば、共押出 T ダイ法、共押出インフレーション法、共押出ラミネーシヨン法等の共押出による成形方 法、ドライラミネーシヨン等のフィルムラミネーシヨン成形方法、及び基材樹脂フィルム に対して樹脂溶液をコーティングするようなコーティング成形方法、カレンダ成形法、 熱プレス成形法、射出成形法の公知の方法が挙げられる。
成形条件は、使用する樹脂の種類に応じて適宜選択すればよい。
[0258] 本発明の多層体の形状は特に制限されないが、包装材料として用いる場合には、 通常はフィルム状又はシート状であるが、チューブ状になっていてもよい。
[0259] 本発明の多層体は、通常は無延伸のものである力 必要に応じて延伸加工が施さ れたものであってもよ!/、。
延伸は、ロール方式、テンター方式、及びチューブ方式のいずれの方式で行なうこ ともできる。延伸条件は、使用する樹脂の種類に応じて適宜選択すればよい。
[0260] 以上のようにして得られる本発明の多層体の厚みは、通常、 5〜; 1000 m、好まし くは20〜500〃111、さらに好ましくは 30〜300〃111の範囲である。多層体の厚さが、 上記上限厚さを超えると多層体の柔軟性がなくなり、逆に上記下限厚さを下回ると多 層体の強度が低下し、破れやすくなる傾向がある。
[0261] 本発明の多層体には印刷加工を施すことができる。
印刷加工の方法は特に限定されず公知の方法を使用すればよぐ例えば、凸版印 刷、凹版印刷、平板印刷が挙げられる。印刷に適用される印刷インキの種類は、前 記印刷の方法により適宜最適なものを選択して使用すればよいが、例えば、凸版ィ
ンキ、フレキソインキ、ドライ才フセットインキ、グラビアインキ、グラビアオフセットインキ 、オフセットインキ、スクリーンインキが挙げられる。
[0262] また、インクの密着性を高める目的で、印刷インキを使用する前に印刷される層に 対し予め表面処理を施しておくことが好ましい。表面処理としては、コロナ放電処理、 プラズマ放電処理、火炎処理、エンボス加工処理、サンドマット加工処理、梨地加工 処理等が挙げられる。
[0263] 本発明の多層体は耐衝撃性に優れる。耐衝撃性は、厚さ 50 mの多層体を 2枚を 重ね合わせ、四方をヒートシールして作られた 20cm角の食塩水入りの袋を 3m上空 から垂直落下させ、落下後の袋のクラックの有無を目視で観察し、クラックの発生力 S ほとんど認められな!/、ことで確認できる。
[0264] 本発明の多層体は水蒸気バリア性に優れる。本発明の厚さ 50 の多層体の透 湿度は、通常3 (§/ (1112 ' 241 ) )以下、好ましくは 2. 5 (g/ (m2 ' 24h) )以下である。
[0265] 水蒸気バリア性は、例えば、 JIS K7129 (A法)に基づいて温度: 50°C、湿度: 90
%RHの条件下の透湿度を透湿度テスター(LYSSY社製: L80- 5000型)を使用 して測定することにより評価することカでさる。
[0266] 本発明のガスバリア性樹脂を含有する層を少なくとも 1層有する多層体はガスバリア 性に優れる。本発明のガスバリア性樹脂を含有する層を少なくとも 1層有する厚さ 50 inの多層体の酸素透過度は、通常 0. 5cm3 'm— 2 ' day— ^ atm— 1以下、好ましくは
0. 35cm 'm - day ' atm "下(、める。
[0267] 本発明のガスバリア性樹脂を含有する層を少なくとも 1層有する多層体は、特に高 温多湿環境 (沸騰水中に 30分間放置)下に置いた後であっても、酸素透過度はほと んど低下しない。
[0268] 多層体のガスバリア性は、例えば、本発明の多層体からなる袋状の包装体を沸騰 したお湯中に 30分間浸漬し(ボイル)、ボイル前後の多層体のガスバリア性を、 JIS K7126 (B法)に基づ!/、て温度: 23°C、湿度: 0%RHの条件下の酸素透過度を酸素 透過度テスター(LYSSY社製: OPT— 5000型)で測定することにより評価すること ができる。
[0269] 本発明の多層体は耐油性に優れる。耐油性は、フィルムを 5cm角にカットし、サラ
ダ油(日清オイリオグループ社製)に 30秒間浸したのち、 40°Cに加温されたオーブン に入れ、フィルムの外観が変化するまでの時間を測定することによって評価できる。 本発明の多層体の耐油性は、フィルムが白化するまでの日数で、通常、 4日後、好ま しくは 5日後、さらに好ましくは 6日後である。
[0270] 本発明の多層体は、食品分野、医療分野、ディスプレイ分野、エネルギー分野、ェ 業分野のほか、玩具、生活雑貨等の包装材料等に適している。特に後述するように、 本発明の多層体を二次加工することにより、所望の形状、大きさを有する包装体とす ること力 Sでさる。
[0271] 本発明の多層体は、水蒸気バリア性、耐衝撃性が良好であり、特に、湯滅菌、レト ルト、ホットフィル、スチーム滅菌等に使用される用途に好適である。また、ガスバリア 性樹脂を含有する層を少なくとも 1層有する多層体である場合には、高温 ·高湿下に おけるガスバリア性の変化が少ない。例えば、輸液バッグ、 PTP (プレススルーパッケ ージ)、シリンジ等の医療関連の容器又は包装袋用のフィルム;加熱滅菌の必要なレ トルトパック、ゼリー、プリン容器、ハム、ソーセージ、冷凍食品等の加工食品、乾燥食 品、特定保険食品、米飯、菓子、食肉等の容器及びこれに用いる蓋、ホットフィル用 容器等の食品容器又は包装袋用のフィルム及びプリスターパック;電気電子部品、 半導体部品、プリント配線板等の精密部品包装容器又は包装袋用のフィルム及びブ リスターパック;食品、薬品、及び器具、文具、ノート等雑貨類の保存'運搬用の熱収 縮性包装材用のフィルム及びプリスターパック;キャップ、栓等の開封防止用シール 包装材料用のフィルム及びプリスターパック;ボトル、容器等の熱収縮性ラベル材料 用フィルム、太陽光発電システム周辺部材、燃料電池周辺部材、アルコール含有燃 料系統部材及びそれらの包装フィルム及びブリスターパック等が挙げられる。
[0272] 6)包装体
本発明の包装体は、本発明の多層体を二次加工することにより得られるものである 二次加工する方法は、特に制約されない。例えば、プレス成形、真空成形、圧空成 形、ヒートシール、溶着等が挙げられる。
[0273] ヒートシールの形態は、多層体の最内層を折り重ねるか、又は、その 2枚を重ね合
わせて、さらにその外周の周辺端部を、例えば側面シール型、 2方シール型、 3方シ ール型、 4方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型、ひだ付きシール型、 平底シール型、角底シール型等のヒートシール形態等により、シールする方法が挙 げられる。
[0274] ヒートシールする方法としては、特に限定されるものではなぐ公知の方法が挙げら れる。例えば、バーシール法、回転ロールシール法、ベルトシール法、インパルスシ ール法、高周波シール法、超音波シール法等である。本発明の包装体には、ワンピ ースタイプ、ツーピースタイプ等の注入口や、開閉用ジッパー等を取り付けることもで きる。
ポケットを成形するためのプリスター成形法としては、加熱圧空成形、ドラム式真空 成形、プラグ型成形、ピン成形、プレヒーター圧空成形、プレヒーター 'プラグアシスト 圧空成形等、適宜の方法を採用できる。このプリスター成形によって形成されるボケ ット形状は、円柱状、ドーム状、楕円ドーム状等、収容する物の形状や大きさに合わ せた適宜のものとすること力 Sできる。
[0275] 本発明の包装体は、水蒸気バリア性、耐衝撃性等の機械的特性、及び耐油性に優 れ、また、ガスバリア性樹脂を含有する層を少なくとも 1層有する場合は高温 *高湿度 環境下においてもガスバリア性に優れている。したがって、医療用包装容器、食料包 装容器等に好適である。
[0276] 7)医療包装体
本発明の医療包装体は、樹脂層を少なくとも一層有する医療包装体であって、前 記樹脂層が、 2—ノルボルネン又は 2—ノルボルネン及び置換基含有ノルボルネン系 単量体からなる単量体混合物を開環重合して得られる開環重合体の、炭素 炭素 二重結合の 80%以上を水素化することにより得られるノルボルネン系開環重合体水 素化物であって、 2—ノルボルネン由来の繰り返し単位(A)の全繰り返し単位に対す る存在割合が 90〜; 100重量%、置換基含有ノルボルネン系単量体由来の繰り返し 単位(B)の全繰り返し単位に対する存在割合が 0〜; 10重量%であり、かつ、融点が 1 10〜145°Cの範囲であるノルボルネン系開環重合体水素化物を含有する層である ことを特徴とする。
[0277] すなわち、本発明の医療包装体で用いることができるノルボルネン系開環重合体 水素化物は、 2—ノルボルネンを開環重合して得られる開環重合体の主鎖炭素 炭 素二重結合の 80%以上を水素化することにより得られるノルボルネン系開環重合体 水素化物(2—ノルボルネン開環重合体水素化物)を用いる場合に、そのゲル'パー ミエーシヨン'クロマトグラフィー(GPC)による重量平均分子量 (Mw)や、分子量分布 (Mw/Mn)力 S、特に限定されるものではないこと以外は、前述した本発明のノルボル ネン系開環重合体水素化物と同様のものである。また、前述した本発明のノルボルネ ン系開環重合体水素化物として好ましいもの力 本発明の医療包装体で好ましく用 いられるノルボルネン系開環重合体水素化物である。
[0278] 本発明の医療包装体で用いるノルボルネン系開環重合体水素化物を得るために 用いられる単量体混合物の組成は、 2 ノルボルネンカ S、通常、 90〜100重量。 /0、 好ましくは 95〜99重量%、より好ましくは 97〜99重量%であり、置換基含有ノルボ ルネン系単量体は、通常、 0〜; 10重量%、好ましくは 1〜5重量%、より好ましくは 1 〜3重量%である。
[0279] また、本発明の医療包装体で用いる開環重合体水素化物の 2—ノルボルネン由来 の繰り返し単位 (A)の全繰り返し単位に対する存在割合は、 90〜; 100重量%、好ま しくは 95〜99重量%、より好ましくは 97〜99重量%であり、置換基含有ノルボルネ ン系単量体由来の繰り返し単位 (B)の全繰り返し単位に対する存在割合は、 0〜10 重量%、好ましくは 1〜5重量%、より好ましくは 1〜3重量%である。
[0280] 本発明の医療包装体で用いるノルボルネン系開環重合体水素化物には、 目的に 応じて配合剤を添加することができる。用いる配合剤としては、酸化防止剤、ゴム質 重合体、その他の樹脂、紫外線吸収剤、耐候安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、防曇 剤、染料、顔料、着色剤、天然油、合成油、可塑剤、有機又は無機の充填剤、抗菌 剤、消臭剤、脱臭剤等が挙げられる。本発明の医療包装体で用いる配合剤の具体 例としては、本発明の多層体で用いる配合剤と同様のものが挙げられ、また、本発明 の医療包装体で好ましく用いられる配合剤としては、本発明の多層体で好ましく用い られる配合剤と同様のものが挙げられる。
[0281] 本発明の医療包装体は、本発明の開環重合体水素化物を含有する樹脂層のみか
らなるものであっても、少なくとも 1層の前記カレボルネン系開環重合体水素化物を 含有する樹脂層以外に、少なくとも 1層のその他の樹脂を含有する合成樹脂層をさら に有する多層体であってもよレ、。
[0282] 本発明の医療包装体が多層体である場合には、耐油性、柔軟性、耐衝撃性、耐熱 性などが向上することから好ましい。
[0283] 本発明の医療包装体の、本発明の開環重合体水素化物を含有する樹脂層中の該 開環重合体水素化物の割合は、通常、 50〜; 100重量%、好ましくは 70〜; 100重量 %、さらに好ましくは 90〜; 100重量%である。この範囲にあると、本発明の開環重合 体水素化物が有する水蒸気バリア性などの特性が損なわれず好ましい。
[0284] 前記開環重合体水素化物を含有する樹脂層の厚みは特に限定されないが、通常 、 1— 500 , πι,好ましくは 10〜; 150〃 m、さらに好ましくは 20〜; 100〃 mの範囲で ある。この範囲にあると、本発明の開環重合体水素化物が有する水蒸気バリア性など の特性が損なわれず好ましレ、。
[0285] その他の樹脂としては、医療用に用いられている樹脂材料であれば特に限定され ないが、例えば、ポリオレフイン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレ フタレート、ポリメチルメタタリレート、ポリカーボネート、アイオノマー樹脂、ポリスチレ ン、 ABS樹脂、熱可塑性エラストマ一、ナイロン、エチレン 酢酸ビュル共重合体、 エチレン—ビュルアルコール共重合体(EVOH)、ナイロン、ポリスルホン、等の各種 合成樹脂を挙げることができる。
これらの中で、ポリオレフイン系樹脂は、本発明の医療包装体の機械的特性、耐油 性などを向上させることができ好ましい。
[0286] ポリオレフイン系樹脂としては、直鎖状又は分岐鎖状の高密度ポリエチレン、低密 度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂;直鎖状又は分 岐鎖状の高密度ポリプロピレン、低密度ポリプロピレンなどのポリプロピレン系樹脂; エチレン プロピレン共重合体、ポリメチルペンテン、ポリブテン、ポリメチルブテン、 ポリメチルへキセン等からなる群で示されるポリオレフイン系結晶性樹脂;等が挙げら れる。
[0287] これらの中でも、多層化する合成樹脂層がポリエチレンを含有する層であると、低
溶出性、耐油性、耐薬品性、にも優れ、さらに低密度ポリエチレン (JIS K6922に基 づいて測定した密度は 0. 88-0. 94g/cm3。)は上記の特性に加え、透明性にも 優れることから好ましい。
[0288] また、多層化する層がエチレン ビュルアルコール共重合体、ナイロンなどのガス ノ リア性樹脂である場合には、ガスバリア性が良好となり好ましい。
[0289] また、本発明の医療包装体においては、本発明の開環重合体水素化物を含有す る樹脂層と、その他の樹脂を含有する合成樹脂層に加えて、アルミニウム箔等の金 属箔、アルミニウム蒸着フィルム、金属箔と合成樹脂フィルムとのラミネートフィルム、 顔料を練り込んだ合成樹脂フィルムなどの遮光性を有する層(遮光層)を設けること ができる。
[0290] 本発明の医療包装体が多層体である場合、その層構成としては、前記ノルボルネ ン系開環重合体水素化物を含有する樹脂層と、その他の樹脂を含有する合成樹脂 層を少なくとも含むものであれば特に限定されない。具体例としては、次のような構成 を挙げることができる。ただし、本発明の開環重合体水素化物を含有する樹脂層を「 NB層」、その他の樹脂を含有する合成樹脂層を「合成樹脂層」と略記する。
[0291] (1) NB層/合成樹脂層
(2) NB層/合成樹脂層/ NB層
(3) 合成樹脂層/ NB層/合成樹脂層
(4) NB層/合成樹脂層/合成樹脂層/ NB層
(5) NB層/合成樹脂層/ NB層/合成樹脂層
(6) NB層/合成樹脂層/ NB層/合成樹脂層/ NB層
(7) 合成樹脂層/合成樹脂層/ NB層/合成樹脂層/合成樹脂層
(8) 合成樹脂層/ NB層/合成樹脂層/ NB層/合成樹脂層
(9) NB層/合成樹脂層/遮光層
(10) NB層/合成樹脂層/遮光層/合成樹脂層
(11) NB層/遮光層
[0292] これらの多層を含むさらに多層の構成など、使用目的に応じて所望の多層構成を 採用すること力でさる。
[0293] また、本発明の医療包装体においては、各層間に必要に応じて接着剤層を配置す ること力 Sでさる。
層間接着剤としては、本発明の多層体において用いることができるものとして例示 したのと同様のものが挙げられる。
[0294] 本発明の医療包装体においては、その他の樹脂を含有する合成樹脂層に、ノルボ ルネン系開環重合体水素化物に用いることができる配合剤を含有させてもよい。
[0295] 本発明の医療包装体は、本発明の医療包装体が単層からなるものである場合には 、本発明の開環重合体水素化物、又は前記開環重合体水素化物及び配合剤を含 有する樹脂組成物(以下、「樹脂組成物(1)」と略すことがある。)を、公知の成形法に より成形することにより得ることカでさる。
[0296] 前記樹脂組成物(1)を調製する方法としては、例えば、前記開環重合体水素化物 、及び配合剤と、例えば二軸混練機等により、 200〜400°C程度の温度にて溶融混 練した後、ペレット状物や顆粒状物、粉末状物とする方法が挙げられる。
[0297] 前記開環重合体水素化物又は樹脂組成物(1)を成形する方法に制限はなぐ Tダ ィ法、インフレーション法、ラミネーシヨン法等の成形方法;ドライラミネーシヨン等のフ イルムラミネーシヨン成形方法;熱プレス成形法;射出成形法;などの公知の成形方法 を適宜利用することができる。成形条件は、使用する樹脂の種類に応じて適宜選択 すればよい。
[0298] また、本発明の医療包装体が多層体である場合には、前記開環重合体水素化物、 若しくは樹脂組成物(1)、及びその他の樹脂、若しくはその他の樹脂及び他の配合 剤を含有する樹脂組成物(以下、「樹脂組成物(2)」ということがある。)を、公知の成 形法により成形することにより得ることカでさる。
前記樹脂組成物(2)は、前記樹脂組成物(1)を調製する方法と同様にして、調製 すること力 Sでさる。
[0299] また、本発明においては、成形後において、成形品の結晶性をより強く現出するた めに、成形体をァニール処理することもできる。
[0300] また、医療包装体の機械的特性や水蒸気バリア性を増大すベぐ結晶化度を高め るために延伸を施しても良い。延伸とは、成形されたフィルム又はシートを、続いて 1.
;!〜 10倍程度伸張して塑性変形を与えることである。この塑性変形は、内部の摩擦 で、結晶鎖は勿論、非晶鎖も引き伸ばして配向させる効果を有する。
[0301] 本発明の医療包装体は、通常はフィルム状又はシート状になっている力 チューブ 状になっていてもよい。この中でも、インフレーション法によれば、チューブ状(筒状) の製膜となり、底シールをカットするだけで袋になることから工程が簡便になり好まし い。また、インフレーション成形する際には、高速(8m/分以上)で押し出す場合に、 剪断力によりフィルムにメルトフラクチャ一が発生しないよう、ダイリップのクリアランス を 2. 5mm以上にすることが望ましい。
[0302] この場合、成形温度はダイ温度で 180〜210°Cが望ましい。ダイ温度が 210°C以 上の条件で成形を行うと、焼けやフィッシュアイが発生し易ぐまた、溶融粘度が低下 して製膜が困難になる。スクリューの圧縮比は 3. 0以下が望ましい。圧縮比がそれ以 上になると自己発熱が大きくなり、成形が困難になる。
[0303] 以上のようにして得られる本発明の医療包装体の厚みは特に限定されないが、通 常、 100〜500〃111、好ましくは150〜350〃111、さらに好ましくは 200〜300〃 mの 範囲である。包装体の厚さが、上記上限厚さを超えるとフィルムの柔軟性がなくなり、 逆に上記下限厚さを下回ると包装体の強度が低下し、破れやすくなる。
[0304] 本発明の医療包装体は、前記開環重合体水素化物、若しくは樹脂組成物(1)、又 は前記開環重合体水素化物、若しくは樹脂組成物(1)、及びその他の樹脂、若しく は樹脂組成物(2)をフィルム又はシート状に成形した後、二次加工を施すことにより 得られるものであってもよレ、。
[0305] 二次加工としては、特に制限はないが、プレス成形、真空成形、圧空成形、ヒートシ ール、溶着などが挙げられる。なかでも、ヒートシールが好ましい。
[0306] ヒートシールの形態は、多層フィルム又は多層シートの最内層を折り重ねる力、、又 は、その 2枚を重ね合わせて、さらにその外周の周辺端部を、例えば側面シール型、 2方シール型、 3方シール型、 4方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型、 ひだ付きシール型、平底シール型、角底シール型などのヒートシール形態などにより 、シールする方法が挙げられる。
[0307] ヒートシールする方法としては、特に限定されるものではなぐ公知の方法が挙げら
れる。例えば、バーシール法、回転ロールシール法、ベルトシール法、インパルスシ ール法、高周波シール法、超音波シール法などである。本発明の包装体には、ワン ピースタイプ、ツーピースタイプなどの注入口や、開閉用ジッパーなどを取り付けるこ ともできる。
[0308] 以上のようにして得られる本発明の医療包装体は、膜厚ムラが少ないものである。
膜厚ムラが大きぐ厚みのばらつき(偏肉)があると、巻き取り原反に硬い膨れた部分( コブ)が発生し、印刷性やヒートシール時に問題が発生するおそれがある。
[0309] 本発明の医療包装体の膜厚ムラは、例えば、シートの流れ方向と垂直方向(TD方 向)に 4cm間隔で 5点印を付け、各点からシートの流れ方向(MD方向)に 20cm間 隔で 20点、計 100個の測定を行うことにより評価することができる。前記測定結果より 算出される標準偏差の値が小さいほどシートの膜厚ムラが無く良好であることを示す 。本発明の医療包装体においては、厚さ 250 mのシートの前記標準偏差が 10 m以下であり好ましい。
[0310] 以上のようにして得られる本発明の医療包装体は水蒸気バリア性に優れる。本発 明の医療包装体の厚さ 250 a mでの、 JIS K7129 (A法)に基づいた 50°C X 90% RHでの透湿度は、通常2 (§/ (1112 ' 241 ) )以下、好ましくは 1 · 5 (g/ (m2' 24h) )以 下、より好ましく l (g/ (m2' 24h) )以下である。この範囲にあると、医療包装体中の 薬剤への水分の混入が抑えられ、薬剤の品質が劣化するのを防止でき、好ましい。
[0311] 本発明の医療包装体は弾性率に優れる。本発明の医療包装体の形状 1B形、厚さ 250 111の試験片での、 ISO 527に基づいた引張速度 200mm/分の条件でォー トグラフ(AGS— 5kNH、島津製作所製)により測定した弾性率力 500MPa以下が 好ましい。弾性率が 500MPa以下であると、柔軟性に優れ、医療包装体を輸液バッ グとして使用した際に、均一な流量で薬液を運ぶことができる。一方、弾性率が 500 MPaより大きいと、輸液バッグが硬くなり、均一な流量で薬液を運ぶことが困難となる
[0312] 本発明の医療包装体は耐油性に優れる。本発明の医療包装体の耐油性の評価値
(未処理のヘイズ/サラダ油付着後のヘイズ)が 0. 8以上であると、油類に対して耐 性があり、油類が付着しても、外観不良、性能不良が起こり難くなり、好ましい。
[0313] 本発明の医療包装体は機械的特性に優れる。本発明の医療包装体の形状 1B形、 厚さ 250 mの試験片での、 ISO 527に基づいた引張速度 200mm/分の条件で オートグラフ (AGS— 5kNH、島津製作所製)により測定した表面のクラック発生時の ひずみは、通常 20%以上、好ましくは、 25%以上、さらに好ましくは 30%以上である 。この範囲にあると、医療包装体に、割れ、破れ等が生じ難くなり、好ましい。
[0314] 本発明の医療包装体の具体例としては、例えば、輸液バッグ、 PTP (プレス'スルー •パッケージ)などの医療関連の容器、又は、シリンジなどの包装袋用のフィルム若し くはシートなどが挙げられる。特に、輸液バッグに好ましく用いられる。
[0315] 8)ブリスター成形用シート
本発明のブリスター成形用シートは、樹脂層を少なくとも一層有するブリスター成形 用シートであって、前記樹脂層が、 2—ノルボルネン、又は 2—ノルボルネン及び置換 基含有ノルボルネン系単量体を開環重合して得られる開環重合体の炭素 炭素二 重結合の 80%以上を水素化することにより得られるノルボルネン系開環重合体水素 化物であって、 2—ノルボルネン由来の繰り返し単位(A)の全繰り返し単位に対する 存在割合が 90〜; 100重量%、置換基含有ノルボルネン系単量体由来の繰り返し単 位(B)の全繰り返し単位に対する存在割合が 0〜; 10重量%であり、かつ、融点が 11 0〜145°Cの範囲であるノルボルネン系開環重合体水素化物を含有する層であるこ とを特徴とする。
[0316] すなわち、本発明のブリスター成形用シートで用いることができるノルボルネン系開 環重合体水素化物は、 2—ノルボルネンを開環重合して得られる開環重合体の主鎖 炭素 炭素二重結合の 80%以上を水素化することにより得られるノルボルネン系開 環重合体水素化物(2—ノルボルネン開環重合体水素化物)を用いる場合に、その ゲル.パーミエーシヨン.クロマトグラフィー(GPC)による重量平均分子量(Mw)や、 分子量分布(Mw/Mn)が、特に限定されるものではないこと以外は、前述した本発 明のノルボルネン系開環重合体水素化物と同様のものである。また、前述した本発 明のノルボルネン系開環重合体水素化物として好ましいもの力 S、本発明のブリスター 成形用シートで好ましく用いられるノルボルネン系開環重合体水素化物である。
[0317] 本発明のブリスター成形用シートで用いるノルボルネン系開環重合体水素化物を
得るために用いられる単量体混合物の組成は、 2—ノルボルネンカ S、通常、 90〜; 10 0重量%、好ましくは 95〜99重量%、より好ましくは 97〜99重量%であり、置換基含 有ノルボルネン系単量体は、通常、 0〜; 10重量%、好ましくは 1〜5重量%、より好ま しくは;!〜 3重量%である。
[0318] また、本発明のブリスター成形用シートで用いる開環重合体水素化物の 2—ノルボ ルネン由来の繰り返し単位 (A)の全繰り返し単位に対する存在割合は、 90〜; 100重 量%、好ましくは 95〜99重量%、より好ましくは 97〜99重量%であり、置換基含有 ノルボルネン系単量体由来の繰り返し単位(B)の全繰り返し単位に対する存在割合 は、 0〜; 10重量%、好ましくは 1〜5重量%、より好ましくは 1〜3重量%である。
[0319] 本発明のブリスター成形用シートで用いるノルボルネン系開環重合体水素化物に は、 目的に応じて配合剤を添加することができる。用いる配合剤としては、酸化防止 剤、ゴム質重合体、その他の樹脂、紫外線吸収剤、耐候安定剤、帯電防止剤、スリツ プ剤、防曇剤、染料、顔料、着色剤、天然油、合成油、可塑剤、有機又は無機の充 填剤、抗菌剤、消臭剤、脱臭剤等が挙げられる。本発明のブリスター成形用シートで 用いる配合剤の具体例としては、本発明の多層体で用いる配合剤と同様のものが挙 げられ、また、本発明のブリスター成形用シートで好ましく用いられる配合剤としては 、本発明の多層体で好ましく用いられる配合剤と同様のものが挙げられる。
[0320] 本発明のブリスター成形用シートは、本発明の開環重合体水素化物を含有する樹脂 層を少なくとも一層有する。本発明のブリスター成形用シートは、前記開環重合体水 素化物を含有する層のみからなるものであっても、その他の樹脂を含有する合成樹 脂層を、さらに少なくとも一層有する多層体であってもよい。
[0321] 本発明のブリスター成形用シートの、本発明の開環重合体水素化物を含有する層 中の開環重合体水素化物の割合は、通常、 50〜; 100重量%、好ましくは 70〜; 100 重量%、さらに好ましくは、 90〜; 100重量%である。この範囲にあると、本発明の開 環重合体水素化物が有する水蒸気バリア性などの特性が損なわれず好ましい。
[0322] 本発明の開環重合体水素化物を含有する層の厚みは特に限定されないが、通常 、 5〜; 1000〃 m、好ましくは5〜500〃111、より好ましくは 10〜300〃 m、さらに好まし くは 20〜200 111の範囲である。この範囲にあると、本発明の開環重合体水素化物
が有する水蒸気バリア性などの特性が損なわれず好ましい。
[0323] その他の樹脂としては、食品用、医療、産業部材等の包装用に用いられている樹 脂材料であれば特に限定されない。例えば、ポリオレフイン系樹脂、ポリエチレンテレ フタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチルメタタリレート、ポリカーボネート、ァ ィオノマー樹脂、ポリスチレン、 ABS樹脂、熱可塑性エラストマ一、ナイロン、エチレン 一力ルボン酸エステル共重合体、エチレン一力ルボン酸共重合体、エチレン 酢酸 ビュル共重合体、エチレン ビュルアルコール共重合体(EVOH)、ナイロン、ポリス ノレホン、ポリ塩化ビュル、ポリ塩化ビニリデン、フッ素樹脂等の各種合成樹脂が挙げ られる。
[0324] これらの合成樹脂層は、各樹脂の単層又は 2種以上の多層体として用いられ、使 用目的に応じて、合成樹脂の種類や層構成は、適宜使い分けることができる。
[0325] 本発明のブリスター成形用シートにおいては、多層体になっていること力 機械的 特性、耐油性、ブリスター成形性等が向上することから好ましい。なかでも、その他の 樹脂を含有する合成樹脂層が、ポリオレフイン系樹脂層、又はエチレン ビュルアル コール共重合体、ナイロン、及びポリ塩化ビニリデン等のガスバリア性樹脂を含有す る層であることが好ましい。
[0326] ポリオレフイン系樹脂としては、直鎖状、又は分岐鎖状のエチレン α—ォレフイン 共重合体、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、 超高分子量ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂;ホモポリプロピレン、エチレンープ ロピレンランダム共重合体、エチレン プロピレンブロック共重合体、エチレン プロ ピレン 1ーブテン共重合体等のポリプロピレン系樹脂;エチレン プロピレン共重 合体、ポリメチルペンテン、ポリブテン、ポリメチルブテン、ポリメチルへキセン等から なる群で示されるポリオレフイン系結晶性樹脂;特開 2001— 143323号公報に記載 された、ノルボルネン系重合体、単環の環状ォレフィン系重合体、環状共役ジェン系 重合体、ビュル脂環式炭化水素系重合体、及びこれらの水素化物等の脂環式構造 含有重合体樹脂;等が挙げられる。
[0327] これらの中でも、前記合成樹脂層がポリエチレン、ポリプロピレンを含有する層であ ること力 低溶出性、耐薬品性、耐油性にも優れることから好ましぐさらにポリプロピ
レンであること力 上記特性に加え、耐熱性、透明性にも優れるため特に好ましい。
[0328] また、その他の樹脂を含有する合成樹脂層がガスバリア性樹脂を含有する層である 場合には、ガスバリア性が良好となり好ましい。
[0329] 本発明のブリスター成形用シートにおいては、ガスノ リア性付与ゃ耐候(光)性付与 のために透明蒸着フィルムと組み合わせることもできる。
[0330] また、本発明のブリスター成形用シートにおいては、アルミニウム箔等の金属箔、ァ ノレミニゥム蒸着フィルム、金属箔と合成樹脂フィルムとのラミネートフィルム、顔料を練 り込んだ合成樹脂フィルム等の遮光性を有する層(遮光層)を設けることもできる。
[0331] 本発明のブリスター成形用シートにおいては、前記合成樹脂層や遮光層が、 2種以 上の層をラミネートしたものであってもよレヽ
[0332] 本発明のブリスター成形用シートにおいては、使用目的に応じて所望の多層構成 を採用すること力できる。本発明のブリスター成形用シートが多層体である場合、その 多層構成としては、本発明の開環重合体水素化物の層と他の材質の層を含むもの であれば特に限定されないが、具体例としては、次のような層構成を挙げることがで きる。ただし、本発明の開環重合体水素化物を含む樹脂層を「NB層」、その他の樹 脂を含む合成樹脂層を「合成樹脂層」と略記する。
[0333] (1) NB層/合成樹脂層
(2) NB層/合成樹脂層/ NB層
(3) 合成樹脂層/ NB層/合成樹脂層
(4) NB層/合成樹脂層/合成樹脂層/ NB層
(5) NB層/合成樹脂層/ NB層/合成樹脂層
(6) NB層/合成樹脂層/ NB層/合成樹脂層/ NB層
(7) 合成樹脂層/合成樹脂層/ NB層/合成樹脂層/合成樹脂層
(8) 合成樹脂層/ NB層/合成樹脂層/ NB層/合成樹脂層
(9) NB層/合成樹脂層/遮光層
(10) NB層/合成樹脂層/遮光層/合成樹脂層
(11) NB層/遮光層
[0334] また、本発明のブリスター成形用シートにおいては、各層間に必要に応じて接着剤
層を配置することができる。
[0335] 接着剤層を構成する層間接着剤の具体例としては、接着性ゴム、接着性熱可塑性 樹脂、接着性熱可塑性エラストマ一、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等 の熱硬化性樹脂接着剤、ポリビュルエーテル、アクリル樹脂、酢酸ビュル エチレン 共重合体等の熱可塑性樹脂接着剤、ポリアミド樹脂系ホットメルト接着剤、二トリルゴ ム等のゴム系接着剤等が挙げられる。フィルムの特性を損なわなレ、範囲で制限はな いが、ウレタン系接着剤、接着性ォレフイン重合体が好ましい。
[0336] また、本発明のブリスター成形用シートにおいては、合成樹脂層に、ノルボルネン 系開環重合体水素化物に用いることができる配合剤を含有させてもよい。
[0337] 本発明のブリスター成形用シートを得る方法としては、 Tダイ法、インフレーション法
、共押出 Tダイ法、共押出インフレーション法、共押出ラミネーシヨン法等による成形 方法、ドライラミネーシヨン等のフィルムラミネーシヨン成形方法、及び基材樹脂フィル ムに対して樹脂溶液をコーティングするようなコーティング成形方法、カレンダ成形、 熱プレス成形、射出成形等の公知の方法を適宜利用することができる。
成形条件は、使用する樹脂の種類に応じて適宜選択すればよい。
[0338] 本発明のブリスター成形用シートは、通常は無延伸のものであるが、必要に応じて 延伸加工が施されたものであってもよい。延伸加工を行うことで、結晶化度を高め、 機械的強度や水蒸気バリア性を高めることができる。
[0339] 延伸は、ロール方式、テンター方式、及びチューブ方式のいずれの方式で行なうこ ともできる。延伸条件は、使用するシートに応じて適宜選択され、通常 1. ;!〜 10倍程 度延伸する。
[0340] 以上のようにして得られる本発明のブリスター成形用シートの厚みは、通常、 5〜; 10 OO ^ m,好ましくは10〜500〃111、より好ましくは 30〜400〃 m、さらに好ましくは 40 〜300 111の範囲である。ブリスター成形用シートの厚さが、上記上限厚さを超えると シートの柔軟性がなくなり、逆に上記下限厚さを下回るとシートの強度が低下し、割 れやすくなるおそれがある。
[0341] 本発明のブリスター成形用シートには、所望により印刷加工を施すことが出来る。
印刷加工の方法は特に限定されず、公知の方法を使用すればよぐ例えば、凸版
印刷、凹版印刷、平板印刷が挙げられる。印刷に適用される印刷インキの種類は、 前記印刷の方法により適宜最適なものを選択して使用すればよいが、例えば、凸版 インキ、フレキソインキ、ドライ才フセットインキ、グラビアインキ、グラビア才フセットイン キ、オフセットインキ、スクリーンインキが挙げられる。
[0342] また、インクの密着性を高める目的で、印刷インキを使用する前に印刷される層に 対し予め表面処理を施しておくことが好ましい。表面処理としては、コロナ放電処理、 プラズマ放電処理、火炎処理、エンボス加工処理、サンドマット加工処理、梨地加工 処理等が挙げられる。
[0343] 本発明のブリスター成形用シートは、食品分野、医療分野、ディスプレイ分野、エネ ルギ一分野、工業分野のほか、玩具、生活雑貨等に適している。ブリスター成形時の 偏肉が少なぐ機械的強度に優れ、特に環境変化に伴う水蒸気バリア性の変化が少 ないので、自然環境化で長期保存するブリスターパックに好適である。例えば、プレ ススルーパッケージ (PTP)、シリンジ、等の医療関連、食品用、電気電子部品、半導 体部品、プリント配線板等の精密部品、太陽光発電システム周辺部材、燃料電池周 辺部材、アルコール含有燃料系統部材及びそれらの容器又はプリスターパックに適 している。
[0344] 9)ブリスター成形体
本発明のブリスター成形体は、本発明のブリスター成形用シートを成形してなる。 具体的には、本発明のブリスター成形用シートを、公知の成形法により成形して、 商品を収納する 1個又は複数の凹部(ポケット)を有するプラスチックシートを回分式 に又は連続的に成形し (ブリスター成形)、必要に応じて、次に加熱して上下又は左 右の端縁の少なくとも 2方又は 3方を折り返し加工し (シート加工)、凹部を閉塞するよ うに紙等の基材、いわゆる台紙を揷入するための各折り返し部を形成することにより ブリスター成形体を得ることができる。
[0345] 前記ポケットを成形するためのプリスター成形法としては、特に限定されない。例え ば、(i)本発明のブリスター成形用シートを加熱軟化後、高圧のエアーが供給される ようになつている孔を有する下型と、ポケット形状の凹部を有する上型に挟み、エアー を供給してポケットを形成する「平板式圧空成形法」、 (ii)本発明のブリスター成形用
シートを加熱軟化後、ポケット形状の凹部を有するドラムの該凹部を真空引きしてポ ケットを成形する「ドラム真空成形法」、(iii)ポケット形状を有する凹凸金型を用いて 加熱軟化した、本発明のブリスター成形用シートを圧着する「プラグ成形法」、(iv)前 記 ωの圧空成形の際に、凸形状のプラグを上昇及び降下させて成形を補助する「プ ラグアシスト圧空成形法」等が挙げられる。
成形条件は、使用するブリスター成形用シートに応じて適宜選択される。
[0346] ブリスター成形後のシート加工する方法は特に制限はないが、ヒートシール、溶着 等が挙げられる。
[0347] ヒートシールする方法としては、特に限定されるものではなぐ公知の方法が採用で きる。例えば、バーシール法、回転ロールシール法、ベルトシール法、インパルスシ ール法、高周波シール法、超音波シール法等が挙げられる。
本発明のブリスター成形体には、ワンピースタイプ、ツーピースタイプ等の注入口や 、開閉用ジッパー等を取り付けることもできる。
[0348] 以上のようにして得られる本発明のブリスター成形体は水蒸気バリア性に優れる。
本発明の厚さ 250 mのブリスター用成形シートの 50°C X 90%RHでの透湿度は、 通常 0· 5 (§/ (1112 ' 241 ) )以下、好ましくは0. 4 (g/ (m2' 24h) )以下、より好ましく 0 . 3 (g/ (m2' 24h) )以下である。水蒸気バリア性が悪いと、例えばブリスター成形シ ートを薬剤を包装する PTPに用いた場合、 PTP内の薬剤に水分が混入し、薬剤の品 質が劣化するおそれがある。
[0349] 本発明のブリスター成形体は耐油性に優れる。本発明のブリスター成形体の耐油 性は、ブリスター成形体の凸側(突出側)にサラダ油(日清オイリオグループ株式会社 )を塗布し、 40°Cに加温されたオーブンに入れ、ブリスター成形体の外観が変化する までの時間を測定したとき、通常、 4日後、好ましくは 5日後、さらに好ましくは 6日後、 特に好ましくは 8日後である。
[0350] 本発明のブリスター用成形シートは、ブリスター成形性に優れる。本発明のプリスタ 一用成形シートのブリスター成形性(ポケット部の凹み)は、無作為に 10枚の PTP (ポ ケット数:縦 5個、横 2個、合計 10個)を選び、 PTPの円柱状部分 100個を目視で観 察し、円柱状部分の底面が内側に凹んでいる、もしくは、円柱状部分の膨らみが不
良である個数を数えたとき、通常、 10個以内、好ましくは 5個以内、さらに好ましくは 1 個以内、特に好ましくは 0個である。
[0351] ちなみに、ブリスター成形体を PTPとして加工した場合に、ブリスター成形体のボケ ット部に偏肉が生じていると、ポケット部の円柱上部分の底面が内側に凹んだり、もし くは、円柱部分のふくらみ不良が起き易ぐこの不良箇所を評価することで、ブリスタ 一成形性を評価することができる。
[0352] 本発明のブリスター成形体の具体例としては、例えば、プレススルーパッケージ(P TP)、シリンジ、等の医療関連、食品用、電気電子部品、半導体部品、プリント配線 板等の精密部品、太陽光発電システム周辺部材、燃料電池周辺部材、アルコール 含有燃料系統部材及びそれらの容器又はプリスターパックが挙げられる。
[0353] 樹脂組成物を調製する方法としては、例えば、ノルボルネン単量体開環重合体水 素添加
物を、酸化防止剤及び必要に応じて他の配合剤と共に、例えば、二軸混練機等によ り、 2
00〜400°C程度の温度にて溶融混練した後、ペレット、顆粒、粉末とする方法が挙 げ
られる。
[0354] 10)ブロー成形容器
樹脂層を少なくとも一層有するブロー成形容器であって、前記樹脂層が、 2—カレ ボルネン、又は 2—ノルボルネン及び置換基含有ノルボルネン系単量体を開環重合 して得られる開環重合体の炭素 炭素二重結合の 80%以上を水素化することにより 得られるノルボルネン系開環重合体水素化物であって、 2 ノルボルネン由来の繰り 返し単位 (A)の全繰り返し単位に対する存在割合が 90〜; 100重量%、置換基含有 ノルボルネン系単量体由来の繰り返し単位(B)の全繰り返し単位に対する存在割合 力 SO〜; 10重量%であり、かつ、融点が 110〜; 145°Cの範囲であるノルボルネン系開 環重合体水素化物を含有する層であることを特徴とする。
[0355] すなわち、本発明のブロー成形容器で用いることができるノルボルネン系開環重合 体水素化物は、 2—ノルボルネンを開環重合して得られる開環重合体の主鎖炭素
炭素二重結合の 80%以上を水素化することにより得られるノルボルネン系開環重合 体水素化物(2—ノルボルネン開環重合体水素化物)を用いる場合に、そのゲル'パ 一ミエーシヨン'クロマトグラフィー (GPC)による重量平均分子量(Mw)や、分子量分 布(Mw/Mn)が、特に限定されるものではないこと以外は、前述した本発明のノルボ ルネン系開環重合体水素化物と同様のものである。また、前述した本発明のノルボ ルネン系開環重合体水素化物として好ましいものが、本発明のブロー成形容器で好 ましく用いられるノルボルネン系開環重合体水素化物である。
[0356] 本発明のブロー成形容器で用いるノルボルネン系開環重合体水素化物を得るため に用いられる単量体混合物の組成は、 2—ノルボルネン力 通常、 90〜100重量。 /0 、好ましくは 95〜99重量%、より好ましくは 97〜99重量%であり、置換基含有ノルボ ルネン系単量体は、通常、 0〜; 10重量%、好ましくは 1〜5重量%、より好ましくは 1 〜3重量%である。
[0357] また、本発明のブロー成形容器で用いる開環重合体水素化物の 2—ノルボルネン 由来の繰り返し単位 (A)の全繰り返し単位に対する存在割合は、 90〜; 100重量%、 好ましくは 95〜99重量%、より好ましくは 97〜99重量%であり、置換基含有ノルボ ルネン系単量体由来の繰り返し単位 (B)の全繰り返し単位に対する存在割合は、 0 〜; 10重量%、好ましくは 1〜5重量%、より好ましくは 1〜3重量%である。
[0358] 本発明のブロー成形容器で用いるノルボルネン系開環重合体水素化物には、 目 的に応じて配合剤を添加することができる。用いる配合剤としては、酸化防止剤、ゴ ム質重合体、その他の樹脂、紫外線吸収剤、耐候安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、 防曇剤、染料、顔料、着色剤、天然油、合成油、可塑剤、有機又は無機の充填剤、 抗菌剤、消臭剤、脱臭剤等が挙げられる。本発明のブロー成形容器で用いる配合剤 の具体例としては、本発明の多層体で用いる配合剤と同様のものが挙げられ、また、 本発明のブロー成形容器で好ましく用いられる配合剤としては、本発明の多層体で 好ましく用いられる配合剤と同様のものが挙げられる。
[0359] 本発明のブロー成形容器は、ノルボルネン系開環重合体水素化物を単独で、ある いはその他の熱可塑性樹脂と共にブロー成形して得られる単層又は多層のブロー 成形容器である。
[0360] ブロー成形法としては、例えば、ダイレクトブロー成形、インジェクションブロー成形 、延伸ブロー成形、多層ブロー成形など、一般に熱可塑性樹脂のブロー成形に適用 されている方法を採用すること力 Sできる。これらの中でも、単層又は多層の延伸ブロ 一成形法が好ましい。そこで、以下延伸ブロー成形を中心に説明する。
[0361] 延伸ブロー成形では、ノルボルネン系開環重合体水素化物又は該ノルボルネン系 開環重合体水素化物とその他の熱可塑性樹脂とを射出して有底のプリフォームを作 製し、次いで、該プリフォームの温度を調整した後、 2軸延伸ブロー成形して単層又 は多層のブロー成形容器を作製する。
[0362] プリフォーム成形時のシリンダー温度は、好ましくは 120〜350°C、より好ましくは 1 50〜300°C、特に好ましくは 160〜250°Cの範囲である。シリンダー温度が前記範 囲内であると、熱分解を抑制しつつ適度の溶融流動性が得られ、歪の少ないブロー 成形容器を得ることができる。
[0363] プリフォーム成形時の圧力は、通常 0. 5〜; !OOMPa、好ましくは;!〜 50MPaの範 囲である。加圧時間は、通常、数秒から数十分程度が好ましい。
[0364] 本発明において、射出成形型で成形されたプリフォームを射出成形型力 剥離さ せる際の剥離時の射出成形型温度としては、(融点 Tm— 150°C)〜 (Tm— 10°C)の 範囲であると好ましい。剥離時の射出成形型温度がこの範囲であると、プリフォーム の形状安定性の点で好ましレ、。
[0365] 本発明にお!/、て、プリフォームの温度調整(温調)に加熱ポットなどの加熱手段を利 用する場合、その設定温度は、好ましくは 80〜400°C、より好ましくは 100〜300°C 、特に好ましくは 120〜200°Cの範囲である。温調時の設定温度が低すぎると、プリ フォームを再加熱するのに充分機能せず、高すぎると、プリフォームやブロー成形容 器の表面に黄変や焼け異物が発生するため好ましくない。
[0366] 加熱ポットなどの加熱手段とプリフォームとの間隔は、特に限定されないが、好まし くは;!〜 50mm、より好ましくは 2〜25mm、特に好ましくは 3〜; 10mmの範囲である。 加熱手段とプリフォームとの間隔がこの範囲にあると、加熱手段とプリフォームとが接 触するおそれが少なぐかつ、プリフォームの加熱が均一となるので好ましい。
[0367] ブロー成形時のブロー金型温度は、用いる開環重合体水素化物の種類により適宜
選択されるが、該開環重合体水素化物の融点を Tmとした場合に、好ましくは (Tm— 150°C)〜(Tm— 10°C)、より好ましくは(Tm— 130°C)〜(Tm— 10°C)の範囲であ る。ブロー金型温度がこの範囲にあると、残留応力が低減し、長期保存においても、 容器の寸法が安定する。プリフォーム 1個当りに使用される圧縮空気又は圧縮窒素 の圧力(ブロー圧)は、通常 0·;!〜 5MPa、好ましくは 0. 3〜3MPa、より好ましくは 0 . 5〜; IMPaである。
[0368] これらのブロー成形条件は、ノルボルネン系開環重合体水素化物と他の熱可塑性 樹脂との多層ブロー成形を行う場合には、他の熱可塑性樹脂のブロー成形条件を考 慮して調節することが好まし!/ヽ。
[0369] 多層プリフォームの製造工程では、複数台の射出シリンダーを有する成形機を用い て、単一のプリフォーム金型キヤビティ内に、一回の型締め動作で、 1つのゲートを通 して溶融した各樹脂を、逐次成形法又は同時成形法により共射出する。
[0370] 逐次成形法では、溶融した各樹脂の射出タイミングをずらして、連続的かつ交互に 射出することにより、先に射出した樹脂を内外層に、後から射出した樹脂を中間層に 形成した多層プリフォームを作製する。同時成形法では、溶融した各樹脂の射出シリ ンダ一からの射出タイミングをずらして、先ず第 1の樹脂を射出し、途中から第 2の樹 脂を射出して、両樹脂を同時かつ連続的に射出することにより、第 1の樹脂を内外層 に、第 2の樹脂を中間層に形成した多層プリフォームを作製する。
[0371] 本発明のブロー成形容器は、延伸ブロー成形容器であることが好ましい。延伸プロ 一成形工程では、単層又は多層のプリフォームを延伸可能な温度に調整した後、ブ ロー成形用金型キヤビティ内に挿入し、空気などの加圧流体を吹き込んで延伸プロ 一成形を fiう。
延伸ブロー成形は、ホットパリソン方式又はコールドパリソン方式のいずれかの方式 により fiうことカでさる。
[0372] 延伸ブロー成形における縦方向の延伸倍率 yは、プリフォーム首下 (延伸される部 分)の長さに対するブロー成形容器の首下 (延伸された部分)の長さの比率であり、 横方向の延伸倍率 Xとは、プリフォームの横方向の最大径に対する、容器の横方向 の最大径の比率である。ここで、最大径とは、プリフォーム及びブロー成形容器の断
面が円形である場合には、最大の直径であり、断面が多角形又は楕円形である場合 には、最大の相当直径である。
[0373] 縦方向の延伸倍率 yは、好ましくは 1. 1 -25,より好ましくは 1. 2- 15,さらに好ま しくは 1. 5〜; 10、特に好ましくは 1. 8〜8である。横方向の延伸倍率 Xは、好ましくは 1. ;!〜 25、より好まし <は 1. 2〜; 15、より好まし <は 1. 5〜; 10、特に好まし <は 1. 7〜 5である。縦方向の延伸倍率 y及び横方向の延伸倍率 Xが上記範囲にあると、透明性 に優れ、落下試験でも割れが生じ難レ、延伸ブロー成形容器が得られるため好ましレ、
〇
[0374] ブロー成形容器の肉厚は、通常 0. l ~30mm,好ましくは 0. 3〜15mm、より好ま しくは 0. 5〜; 10mmである。ブロー成形容器の大きさは、横幅、縦幅、及び長さがそ れぞれ、通常 10〜2000mm、好ましくは 50〜2000mmである力 S、シートブロー成形 にお!/ヽて (ま、横幅力 通常 10〜2000mm、好まし < (ま 50〜; 1000mmに対して、縦 幅が、通常 0. ;!〜 100mm、好ましくは 0. 5〜50mmの扁平状のものである。
[0375] 本発明のブロー成形容器における、ノルボルネン系開環重合体水素化物を含有す る層中のノルボルネン系開環重合体水素化物の割合は、通常、 50〜; 100重量%、 好ましくは 70〜100重量。 /0、さらに好ましくは、 90〜100重量。 /0である。この範囲に あると、ノルボルネン系開環重合体水素化物が有する水蒸気バリア性などの特性が 損なわれず好ましい。
[0376] 本発明のブロー成形容器における、ノルボルネン系開環重合体水素化物を含有す る層の厚さ (ま、通常 0. 005〜30mm、好ましく (ま 0. 01〜; 10mm、より好ましく (ま 0. 0 5〜5mmである。この範囲にあると、ノルボルネン系開環重合体水素化物を含有す る層が有する水蒸気バリア性などの特性が損なわれず好ましい。
[0377] ブロー成形容器の形状としては、円柱状、角柱状、球状等が挙げられるが、衝撃強 度等の観点から円柱状及び角柱状が好ましい。ブロー成形容器は、開口部から底部 にかけての裾広がり形状であっても、高さ方向の中央部が膨らんだ形状などであって もよい。またブロー成形体の底部の形状については特に制限されず、平面状であつ ても内側に向かって窪みのある形状であってもよい。
[0378] 本発明のブロー成形容器は、意匠性を向上させるため、ブロー成形容器の表面又
は一部に絵柄デザイン等を塗装、印刷などにより加飾してもよい。ブロー成形容器と 印刷層との接着性を向上させるため、ブロー成形容器に表面処理を施してもよぐそ の具体例としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、フレーム処理、樹脂塗 布、ホットスタンプ等が挙げられる。
[0379] ブロー成形容器の結晶化を促進するために、ブロー成形容器をァニール処理する ことが好ましい。
[0380] 本発明で用いるノルボルネン系開環重合体水素化物は、融点を有する結晶性のポ リマーであるので、ブロー成形容器を構成するポリマー内部に結晶部を形成し、これ と非晶部とが相俟って成形容器に大きな機械的強度を与えることができ、それで!/、て 、結晶化度が大きくないので、良好な透明性も発揮することができる。
[0381] 本発明のブロー成形容器は、ノルボルネン系開環重合体水素化物を含有する樹脂 層と、その他の熱可塑性樹脂層とを有する多層のブロー成形容器とすることができる 。その他の熱可塑性樹脂層を構成する樹脂材料としては、食品用や医療用に用いら れている樹脂材料を好適に用いることができる。
[0382] 他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフ イン樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどの熱可塑性ポリ エステル樹脂;ポリ塩化ビニリデン、エチレン ビュルアルコール共重合体(EVOH) 、ポリビュルアルコール、ポリアミドなどのガスバリア性樹脂;ポリメチルメタタリレート、 ポリカーボネート、アイオノマー樹脂、ポリスチレン、 ABS樹脂、熱可塑性エラストマ 一、エチレン 酢酸ビュル共重合体、ポリスルホン等の各種合成樹脂を挙げることが できる。
[0383] ポリオレフイン樹脂としては、直鎖状又は分岐鎖状の高密度ポリエチレン、低密度ポ リエチレン、超高分子量ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂;直鎖状又は分岐鎖 状の高密度ポリプロピレン、低密度ポリプロピレンなどのポリプロピレン系樹脂;ェチレ ンープロピレン共重合体、ポリメチルペンテン、ポリブテン、ポリメチルブテン、ポリメチ ルへキセン等からなる群で示されるポリオレフイン系結晶性樹脂が挙げられる。
[0384] ブロー成形容器が多層の場合には、他の熱可塑性樹脂層によって、柔軟性、耐衝 撃性、耐熱性、ガスバリア性などが向上することから好ましい。中でも、相手の層がェ
チレン ビュルアルコール共重合体、ナイロンなどのガスノ リア性樹脂である場合に は、ガスバリア性が良好となり好ましい。ノルボルネン系開環重合体水素化物を含有 する層及び他の熱可塑性樹脂層は、それぞれ 1層又は 2層以上配置されていてもよ い。
[0385] 多層構成は、ノルボルネン系開環重合体水素化物を含有する層と他の熱可塑性樹 脂層を含むものであれば特に限定されないが、具体例としては、次のような構成を挙 げること力 Sできる。ただし、本発明の開環重合体水素化物を含有する層を「NB層」、 その他の熱可塑性樹脂層を「合成樹脂層」と略記する。
[0386] (1) NB層/合成樹脂層
(2) NB層/合成樹脂層/ NB層
(3)合成樹脂層/ NB層/合成樹脂層
(4) NB層/合成樹脂層/合成樹脂層/ NB層
(5) NB層/合成樹脂層/ NB層/合成樹脂層
(6) NB層/合成樹脂層/ NB層/合成樹脂層/ NB層
(7)合成樹脂層/合成樹脂層/ NB層/合成樹脂層/合成樹脂層
(8)合成樹脂層/ NB層/合成樹脂層/ NB層/合成樹脂層
[0387] ただし、上記層構成は、好ましい例示であって、本発明の多層ブロー成形容器は、 これらのものに限定されない。また、各層間に必要に応じて接着剤層を配置すること ができる。
[0388] 本発明のブロー成形容器には、アルミニウム箔等の金属箔、アルミニウム蒸着フィ ルム、金属箔と合成樹脂フィルムとのラミネートフィルム、顔料を練り込んだ合成樹脂 フィルムなどの遮光性を有する層(遮光層)を設けることができる。これらの遮光層の 中でも、アルミニウム箔ゃアルミニウム蒸着フィルムなどは、遮光性のみならず、防湿 性、耐油性、非吸水性などを有しており、本発明のブロー成形容器に、薬剤等の内 容物の長期保存性などの特性を付与することができる。これらの遮光層は、共射出が できない場合、ラミネート加工などによりブロー成形容器に付加することができる。そ の具体的な層構成としては、例えば、
(1) NB層/合成樹脂層/遮光層
(2) NB層/合成樹脂層/遮光層/合成樹脂層
(3) NB層/遮光層
などが挙げられる。
[0389] さらに、これらの多層を含むさらに多層の構成など、使用目的に応じて所望の多層 構成を採用することができる。
[0390] 多層ブロー成形容器の製造方法は、特に限定されないが、多層共押出ブロー成形 、共射出延伸ブロー成形が一般的である。さらに、得られたブロー成形容器の表面 に、樹脂フィルムに接着剤を塗布して貼り付ける方法、樹脂フィルムを熱もしくは高周 波により融点以上に加熱して融着する方法、樹脂を溶解させた有機溶剤を塗布して 乾燥させる方法などにより、ブロー成形後に多層化してもよい。
[0391] 本発明のブロー成形容器は、水蒸気バリア性、耐熱性、透明性、耐油性に優れる 上、機械的強度が大きい。本発明のブロー成形容器は、ノルボルネン系開環重合体 水素化物の熱分解温度が高!/、ので、加工温度範囲が広!/、と!/、う利点を有する。
[0392] 本発明のブロー成形容器は、水蒸気バリアー性に優れる。本発明のブロー成形容 器の胴部(側面部)の JIS K 7129に基づぃて測定される透湿度(§/ (1112 ' 241 ) ) は、厚さ lmm換算値で、通常 0. 045 (g/ (m2 ' 24h) )以下、好ましくは 0. 035 (g/ (m2 ' 24h) )以下であり、 0. 03 (g/ (m2 ' 24h) )以下にまで低くすることもできる。
[0393] 本発明のブロー成形容器は、耐油性に優れる。本発明のブロー成形容器 (厚み 1 mm)のノルマルヘプタン含浸試験における浸漬 10分後のブロー成形容器表面は、 白濁することがない。
[0394] 本発明のブロー成形容器は、透明性に優れている。本発明のブロー成形容器 (厚 み lmm)のヘイズは、通常 40%以下、好ましくは 30%以下、より好ましくは 20%以 下である。
[0395] これらの特徴を有する本発明のブロー成形容器は、食品分野、医療分野、化粧品 分野、エネルギー分野、光学分野、電気電子分野、通信分野、 自動車分野、民生分 野、玩具、理化学器具、土木建築分野等の多岐の用途分野で利用することができる 。これらの中でも、本発明のブロー成形容器は、食品分野、医療分野、化粧品分野、 エネルギー分野等の用途に適してレ、る。
実施例
[0396] 以下、本発明について、実施例及び比較例を挙げて、より具体的に説明する。ただ し本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。以下の実施例及び比 較例において、「部」又は「%」は、特に断りがない限り、重量基準である。
[0397] 以下の実施例及び比較例において、各種物性の測定法は次のとおりである。
(A)重合体物性
(1)開環重合体の重量平均分子量 (Mw)及び数平均分子量 (Mn)は、トルエンを溶 離液とするゲル'パーミエーシヨン'クロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン 換算値として測定した。
[0398] 測定装置として、 GPC— 8020シリーズ(DP8020、 SD8022、 AS8020、 CO802
0、 RI8020、東ソ一社製)を用いた。
標準ポリスチレンとしては、標準ポリスチレン(Mw力 500、 2630、 10200、 3790
0、 96400、 427000、 1090000、 5480000の計 8点、東ソ一社製)を用いた。
[0399] サンプルは、サンプル濃度 lmg/mlになるように、測定試料をトルエンに溶解後、 カートリッジフィルター(ポリテトラフルォロエチレン製、孔径 0· 5 m)でろ過して調製 した。
[0400] 測定は、カラムに、 TSKgel GMHHR'H (東ソ一社製)を 2本直列に繋いで用い 、流速 1 · Oml/min,サンプノレ注入量 100 ml、カラム温度 40°Cの条件で行った。
[0401] (2)開環重合体水素化物の重量平均分子量 (Mw)及び数平均分子量 (Mn)は、 1 , 2, 4 トリクロ口ベンゼンを溶離液とするゲル'パーミエーシヨン'クロマトグラフィー(G PC)による標準ポリスチレン換算値として測定した。
[0402] 測定装置として、 HLC8121GPC/HT (東ソ一社製)を用いた。
標準ポリスチレンとして、標準ポリスチレン(Mw力 988、 2580、 5910、 9010、 18 000、 37700、 95900、 186000、 351000、 889000、 1050000、 2770000、 51 10000、 7790000、 20000000の計 16点、東ソ一社製)を用いた。
[0403] サンプルは、サンプル濃度 lmg/mlになるように、 140°Cにて測定試料を 1 , 2, 4
トリクロ口ベンゼンに加熱溶解させて調製した。
[0404] 測定は、カラムに、 TSKgel GMHHR.H (20) HT (東ソ一社製)を 3本直列に繋
いで用い、流速 1 · Oml/min,サンプノレ注入量 300 ml、カラム温度 140°Cの条件 で fiつた。
[0405] (3)開環重合体水素化物の水素添加率は、溶媒に重クロ口ホルムを用い、 :H-NM
Rにより測定して求めた。
[0406] (4)異性化率は、溶媒に重クロ口ホルムを用い、 13C— NMRにより測定した 33. Opp mピーク積分値/ (31. 8ppmピーク積分値 + 33. Oppmピーク積分値) X 100から 算出して求めた。
31. 8ppmピークは、該重合体中の 2—ノルボルネンの繰り返し単位のシス体由来の もの、 33. Oppmピークは、該重合体中の 2—ノルボルネンの繰り返し単位のトランス 体由来のものである。
[0407] (5)融点は、示差走査熱量分析計 (DSC6220SII、ナノテクノロジ一社製)を用いて 、 JIS K7121に基づき、試料を融点より 30°C以上に加熱した後、冷却速度— 10°C /分で室温まで冷却し、その後、昇温速度 10°C/分で測定した。
[0408] (6)ガラス転移温度は、示差走査熱量分析計 (DSC6220SII、ナノテクノロジ一社製 )を用いて、 JIS K6911に基づ!/、て測定した。
[0409] (B)チューブシート物性
(1)シートの厚みは、マイクロゲージを用いて測定した。
(2)シートの膜厚ムラは、シートの流れ方向と垂直方向(TD方向)に 4cm間隔で 5点 印を付け、各点からシートの流れ方向(MD方向)に 20cm間隔で 20点、計 100個の 測定を行い、この結果より標準偏差を計算した。標準偏差の値が小さいほどシートの 膜厚ムラが無く良好であることを示す。
(3)シートの水蒸気バリア性は、 JIS K7129 (A法)に基づいて温度: 50°C、湿度: 9 0%RHの条件下の透湿度を透湿度テスター(LYSSY社製: L80— 5000型)で測定 した。透湿度(g/ (m2 · 24h) )が小さレ、と水蒸気バリア性が良好であることを示す。
[0410] (4)シートの弾性率は、 ISO 527に基づき、得られたチューブシートから作成した形 状 1B形の試験片を、引張速度 200mm/分の条件でオートグラフ(AGS— 5kNH、 島津製作所製)により測定した。ただし、試験片は、試験片の長手方向がチューブシ ートの TD方向となるように作製した。
(5)シートの機械的特性評価は、 ISO 527に基づき、得られたチューブシートから 作成した形状 1B形の試験片を用いて、引張速度 200mm/分の条件でオートグラフ (AGS— 5kNH、島津製作所製)により表面のクラック発生時のひずみを測定するこ とにより行った。ただし、試験片は、試験片の長手方向がチューブシートの TD方向と なるように作成した。
(6)シートの耐油性は、チューブシートから得られたフィルムをサラダ油に 1時間浸し 、処理前後のヘイズ値を JIS— K7136に基づ!/、てヘイズメーター(日本電色社製: N DH 200A)を用いて測定することにより評価した。具体的には、未処理シートのへ ィズ値を処理後シートのヘイズ値で割ることにより求めた。値が小さいと処理によりへ ィズが悪化している、すなわち耐油性に劣ることを表す。
[0411] (C)ブリスター成形体物性
(1)フィルムの厚みは、マイクロゲージを用いて測定した。
(2)水蒸気バリア性は、 JIS K7129 (A法)に基づいて、温度 40°C、湿度 90%RH、 及び温度 50°C、湿度 90%RHの条件下の透湿度を、透湿度テスター(LYSSY社製 : L80— 5000型)を用!/、て測定することによつて評価した。透湿度(g/ (m2.24h) ) が小さいと水蒸気バリア性が良好であることを示す。
(3)耐油性は、ブリスター成形体の凸側(突出側)にサラダ油(日清オイリオグループ 株式会社)を塗布し、 40°Cに加温されたオーブンに入れ、ブリスター成形体の外観 が変化するまでの時間を測定することによって評価した。ブリスター成形体の外観が 変化するまでの時間が長いほど耐油性に優れることを意味する。
[0412] (4)ブリスター成形性は、無作為に 10枚の PTP (ポケット数:縦 5個、横 2個、合計 10 個)を選び、 PTPの円柱状部分 100個を目視で観察し、円柱状部分の底面が内側 に凹んでいる、もしくは、円柱状部分の膨らみが不良である個数を数えることによって 評価した。円柱状部分の膨らみが不良である個数が少な!/、ほどブリスター成形性に 優れることを意味する。
ちなみに、ブリスター成形体を PTPとして加工した場合に、ブリスター成形体のポケッ ト部に偏肉が生じていると、ポケット部の円柱上部分の底面が内側に凹んだり、もしく は、円柱部分のふくらみ不良が起き易ぐこの不良箇所を評価することで、ブリスター
成形性を評価することができる。
[0413] (D)多層体物性
(1)フィルムの厚みは、マイクロゲージを用いて測定した。
(2)耐衝撃性は、四方をヒートシールして作られた 20cm角の食塩水入りの袋(n= l 00)を 3m上空から垂直落下させ、落下後の袋のクラックの有無を目視で観察し、クラ ックが発生した袋を数えることにより評価した。クラックが発生した袋の数が少ないもの ほど耐衝撃性に優れることを意味する。
(3)水蒸気バリア性は、 JIS K7129 (A法)に基づいて温度: 50°C、湿度: 90%RH の条件下の透湿度を透湿度テスター(LYSSY社製: L80— 5000型)で測定すること により評価した。透湿度(g' (m2' 24h) )が小さいと水蒸気バリア性が良好であること を示す。
[0414] (4)耐油性は、フィルム 5cm角にカットし、サラダ油(日清オイリオグループ株式会社) に 30秒浸し、 40°Cに加温されたオーブンに入れ、フィルムの外観が変化するまでの 時間を測定することによって評価した。フィルムの外観が変化するまでの時間が長い ほど耐油性に優れることを意味する。
(5)ガスバリア性は、フィルムを沸騰したお湯で 30分間ボイルし、ボイル前後の多層 体のガスバリア性を、 JIS K7126 (B法)に基づいて温度: 23。C、湿度: 0%RHの条 件下の酸素透過度を酸素透過度テスター(LYSSY社製: OPT— 5000型)で測定 することにより評価した。酸素透過度(cm3'm 2 ' day— ^ atm 1)が小さいとガスバリ ァ性が良好であることを示す。
[0415] (E)ブロー成形容器物性
(1)ブロー成形性については、超音波厚み計(KARL DEUTSCH社製)を用いて 、端子をブロー成形容器の側面に当てて胴部の厚さ tを求めることにより評価した。具 体的に、ブロー成形容器を水平面に置いて、水平面から 10mmの高さの位置から、 容器最右側から 5mmの容器側の位置の壁面を 5mm間隔で 100箇所厚さ測定し、 その標準偏差(σ )を算出した。
(2)水蒸気バリア性評価試験は、 JIS Κ 7129 (Α法)に基づいて、温度 40°C、相対 湿度 90%RHの条件下で、透湿度テスター(L80— 5000型、 LYSSY社製)を用い
て透湿度を測定することにより行った。透湿度(g/ (m2 · 24h) )が小さ!/、と水蒸気バリ ァ性が良好であることを示す。ブロー成形容器から得た板状試料の水蒸気バリア性 の評価試験を行った。
[0416] (3)ブロー成形容器の落下強度は、ブロー成形容器の全容量の 90%に相当する水 を充填し、地面から容器底面までの距離 lmの高さから容器底面がコンクリートの地 面に当たるように落下させ、落下後の容器の状態を観察することにより評価した。 30 個の容器中、割れや漏れがない容器を数えた。
(4)耐油性の評価試験として、ノルマルヘプタン含浸試験を行った。 3Lガラスビーカ 一にノルマルヘプタン (和光純薬社製)を 2. 5L添加した。測定試料容器を前記ガラ スビーカー内のノルマルヘプタン中に浸漬した。浸漬 10分後の、測定試料容器表面 の白化状態及び破裂の有無を観察した。
(5)ヘイズ(%)は、ブロー成形容器を切り出して厚さ lmmのサンプルを作製し、ヘイ ズメータ(NDH2000、 日本電色工業社製)を用いて測定した。
[0417] (F)成形材料物性
(1)有機物放出量は、クリーンルーム(クラス 1000)内において、成形材料 5gを多量 の超純水で洗浄後、表面に吸着して!/、た水分や有機物を完全に除去したガラス製 の試料容器に入れ、その試料容器を温度 80°Cで 60分間加熱し、試料容器から出て きた気体を熱脱着ガスクロマトグラフィー質量分析計 (TDS— GC— MS、アジレント' テクノロジ一社製)により測定した。
(2)容器の耐熱性は、成形したウェハーキャリアを温度 105°Cで 30分間放置し、変 形の有無を目視で確認した。変形していない場合を〇、変形している場合を Xとして 評価した。
(3)遷移金属含有量は、成形材料を誘導結合プラズマ発光分光分析装置 (IRISAd vntage/SSEA, 日本ジャーレル 'アッシュ社製)により測定して求めた。
[0418] (4)異物増加量は、先ず、クリーンルーム内(クラス 1000)において、ポリプロピレン 製のウェハーシッパーに梱包された状態で購入した 8インチの新品のベアシリコンゥ ェハーを 4. 5重量%のフッ化水素酸溶液に 25°Cで 1分間浸漬し、薄い酸化シリコン 皮膜を取り除き、次いで、 98%濃硫酸と 30%過酸化水素水溶液の混合液 [50 : 1 (
容積比) ]に 110°Cで 10分間浸漬した。次!/、で濃硫酸に 65°Cで 10分間浸漬して有 機物を取り除き、さらに多量の超純水で洗浄し酸を流したあと、遠心分離機により水 分を完全に振り飛ばし乾燥させた後のウェハー上の異物数を異物計測装置(サーフ スキャン SP1、 KLA—Tencor社製)を用いて計測した。次いで、成形したウェハーキ ャリアに前記ウェハーを 50回出し入れした後、ウェハー上の異物数を再び計測し、先 の異物数との差をとり評価した。
[0419] [実施例 1]
(開環重合)
窒素雰囲気下、脱水したシクロへキサン 500重量部に、 1一へキセン 0. 55重量部 、ジイソプロピルエーテル 0. 30重量部、トリイソブチルアルミニウム 0. 20重量部、ィ ソブチルアルコール 0. 075重量部を室温で反応器に入れ混合した後、 55°Cに保ち ながら、 2—ノルボルネン 250重量部、及び六塩化タングステンの 1. 0重量%トルェ ン溶液 15重量部を 2時間かけて連続的に添加し、重合した。得られた開環重合体(1 )の重量平均分子量(Mw)は、 83, 000、分子量分布(Mw/Mn)は 1. 8であった。
[0420] (水素化反応)
上記で得た開環重合体(1)を含む重合反応液を耐圧の水素化反応器に移送し、 そこへ、珪藻土担持ニッケノレ触媒 (T8400、ニッケノレ担持率 58重量0 /0、 日産ズード へミー社製) 0. 5重量部を加え、 160°C、水素圧 4. 5MPaで 6時間反応させた。この 溶液を、珪藻土をろ過助剤としてステンレス製金網を備えた濾過器によりろ過し、触 媒を除去した。
得られた反応溶液をイソプロピルアルコール 3000重量部中に撹拌下に注いで水 素化物を沈殿させ、濾取した。さらに、アセトン 500重量部で洗浄した後、 0. 13 X 10 3Pa以下、 100°Cに設定した減圧乾燥器中で 48時間乾燥し、開環重合体水素化物( 1)を 190重量部得た。
[0421] (重合体物性)
得られた開環重合体水素化物(1)の水素添加率は 99. 9%、重量平均分子量 (M w)は、 82, 200、分子量分布(Mw/Mn)は 2. 9、異性化率は 5%、融点は 140°C であった。
[0422] (樹脂組成物の調製)
開環重合体水素化物(1) 100重量部に酸化防止剤(テトラキス〔メチレン 3— (3' , 5,ージ tert ブチルー 4'ーヒドロキシフエ二ノレ)プロピオネート〕メタン、ィルガノ ックス 1010、チバガイギ一社製、以下、「酸化防止剤 A」という。 ) 0. 1重量部を加え、 2軸混練機 (TEM35、東芝機械社製)で混練し、ペレット化した。
[0423] (樹脂シートの作製)
このペレットを、片面を鏡面加工した厚さ Imm X長さ 200mm X幅 100mmの金型 を用いて、真空加熱プレス装置(井元製作所社製)にて、プレス圧 8MPa、型温度 15 0°Cで 5分の条件でプレス後、冷却速度 0. 5°C/分で室温まで冷却して樹脂シート( 1)を作製した。
[0424] [実施例 2]
(水素化反応)
実施例 1と同様にして得られた開環重合体(1)を含む重合反応液を耐圧の水素化 反応器に移送し、そこへ、珪藻土担持ニッケル触媒 (T8400、ニッケル担持率 58重 量%、 日産ズードへミー社製) 1. 0重量部を加え、 165°C、水素圧 4. 5MPaで 6時間 反応させた。この溶液を、珪藻土をろ過助剤としてステンレス製金網をそなえたろ過 器によりろ過し、触媒を除去した。得られた反応溶液をイソプロピルアルコール 3000 重量部中に撹拌下に注いで水素化物を沈殿させ、濾取した。さらに、アセトン 500重 量部で洗浄した後、 0. 13 X 103Pa以下、 100°Cに設定した減圧乾燥器中で 48時 間乾燥し、開環重合体水素化物(2) 190重量部を得た。
[0425] (重合体物性)
得られた開環重合体水素化物(2)の水素添加率は 99. 9%、重量平均分子量 (M w)は、 82, 000、分子量分布(Mw/Mn)は 2. 8、異性化率は 15%、融点は 134 °Cであった。
[0426] (樹脂組成物の調製)
開環重合体水素化物(2) 100重量部に、酸化防止剤 AO. 1重量部を加え、 2軸混 練機 (TEM35、東芝機械社製)で混練し、ペレット化した樹脂組成物を得た。
[0427] (樹脂シートの作製)
このペレットを、片面を鏡面加工した厚さ Imm X長さ 200mm X幅 100mmの金型 を用いて、真空加熱プレス装置(井元製作所社製)にて、プレス圧 8MPa、型温度 14 5°Cで 5分の条件でプレス後、冷却速度 0. 5°C/分で室温まで冷却して樹脂シート(
2)を作製した。
[0428] [実施例 3]
(水素化反応)
実施例 1と同様にして得られた開環重合体(1)を含む重合反応液を耐圧の水素化 反応器に移送し、そこへ、珪藻土担持ニッケル触媒 (T8400、ニッケル担持率 58重 量%、 日産ズードへミー社製) 4重量部を加え、 180°C、水素圧 4. 5MPaで 6時間反 応させた。この溶液を、珪藻土をろ過助剤としてステンレス製金網をそなえた濾過器 によりろ過し、触媒を除去した。得られた反応溶液をイソプロピルアルコール 3000重 量部中に撹拌下に注いで水素化物を沈殿させ、濾取した。さらに、アセトン 500重量 部で洗浄した後、 0. 13 X 103Pa以下、 100°Cに設定した減圧乾燥器中で 48時間 乾燥して、開環重合体水素化物(3)を 190重量部得た。
[0429] (重合体物性)
得られた開環重合体水素化物(3)の水素添加率は 99. 9%、重量平均分子量 (M w)は、 81 , 600、分子量分布(Mw/Mn)は 2. 8、異性化率は 35%、融点は 125 °Cであった。
[0430] (樹脂組成物の調製)
開環重合体水素化物(3) 100重量部に、酸化防止剤 AO. 1重量部を加え、 2軸混 練機 (TEM35、東芝機械社製)で混練し、ペレット化した樹脂組成物を得た。
[0431] (樹脂シートの作製)
このペレットを、片面を鏡面加工した厚さ Imm X長さ 200mm X幅 100mmの金型 を用いて、真空加熱プレス装置(井元製作所社製)にて、プレス圧 8MPa、型温度 13 5°Cで 5分の条件でプレス後、冷却速度 0. 5°C/分で室温まで冷却して樹脂シート(
3)を作製した。
[0432] [実施例 4]
(開環重合)
実施例 1において、 1一へキセン 0. 20重量部、ジイソプロピルエーテル 0. 40重量 卜リイソフチノレ 7 "ノレミニ ム 0· イソフチノレ 7 "ノレ 一ノレ 0· 10重!: 、六 塩化タングステン 1. 0重量%トルエン溶液 20重量部にした以外は実施例 1と同様に 操作を行って、開環重合体 (2)を含む反応溶液を得た。得られた開環重合体 (2)の 重量平均分子量(Mw)は、 153, 000、分子量分布(Mw/Mn)は 3. 0であった。
[0433] (水素化反応)
上記で得た開環重合体(2)を含む反応溶液を耐圧の水素化反応器に移送し、そこ へ、珪藻土担持ニッケル触媒 (T8400、ニッケル担持率 58重量%、 日産ズードへミ 一社製) 2重量部を加え、 160°C、水素圧 4. 5MPaで 6時間反応させた。この溶液を 、珪藻土をろ過助剤としてステンレス製金網をそなえたろ過器によりろ過し、触媒を除 去した。得られた反応溶液をイソプロピルアルコール 3000重量部中に撹拌下に注い で水素化物を沈殿させ、濾取した。さらに、アセトン 500重量部で洗浄した後、 0. 13 X 103Pa以下、 100°Cに設定した減圧乾燥器中で 48時間乾燥して、開環重合体水 素化物(4)を 190重量部得た。
[0434] (重合体物性)
得られた開環重合体水素化物(4)の水素添加率は 99. 9%、重量平均分子量 (M w)は、 150, 500、分子量分布(Mw/Mn)は 4. 0、異性化率は 9%、融点は 136 °Cであった。
[0435] (樹脂組成物の調製)
開環重合体水素化物(4) 100重量部に、酸化防止剤 AO. 1重量部を加え、 2軸混 練機 (TEM35、東芝機械社製)で混練し、ペレット化した樹脂組成物を得た。
[0436] (樹脂シートの作製)
このペレットを、片面を鏡面加工した厚さ Imm X長さ 200mm X幅 100mmの金型 を用いて、真空加熱プレス装置(井元製作所社製)にて、プレス圧 8MPa、型温度 15 0°Cで 5分の条件でプレス後、冷却速度 0. 5°C/分で室温まで冷却して樹脂シート( 4)を作製した。
[0437] [実施例 5]
(開環重合)
実施例 1において、 1一へキセン 0. 10重量部、ジイソプロピルエーテル 0. 40重量 卜リイソフチノレ 7 "ノレミニ ム 0· イソフチノレ 7 "ノレ 一ノレ 0· 10重!: 、六 塩化タングステンの 1. 0重量%トルエン溶液 20重量部にした以外は、実施例 1と同 様に操作して開環重合体(3)を含む反応溶液を得た。
得られた開環重合体(3)の重量平均分子量 (Mw)は、 189, 500、分子量分布(M w/Mn)は 3· 3であった。
[0438] (水素化反応)
上記で得た開環重合体(3)を含む反応溶液を耐圧の水素化反応器に移送し、そこ へ、珪藻土担持ニッケル触媒 (T8400、ニッケル担持率 58重量%、 日産ズードへミ 一社製) 1重量部を加え、 160°C、水素圧 4. 5MPaで 6時間反応させた。この溶液を 、珪藻土をろ過助剤としてステンレス製金網を備えたろ過器により濾過し、触媒を除 去した。得られた反応溶液をイソプロピルアルコール 3000重量部中に撹拌下に注い で水素化物を沈殿させ、濾取した。さらに、アセトン 500重量部で洗浄した後、 0. 13 X 103Pa以下、 100°Cに設定した減圧乾燥器中で 48時間乾燥して、開環重合体水 素化物(5)を 190重量部得た。
[0439] (重合体物性)
得られた開環重合体水素化物(5)の水素添加率は 99. 9%、重量平均分子量 (M w)は、 185, 000、分子量分布(Mw/Mn)は 4. 4、異性化率は 10%、融点は 136 °Cであった。
[0440] (樹脂組成物の調製)
開環重合体水素化物(5) 100重量部に、酸化防止剤 AO. 1重量部を加え、 2軸混 練機 (TEM35、東芝機械社製)で混練し、ペレット化した樹脂組成物を得た。
[0441] (樹脂シートの作製)
このペレットを、片面を鏡面加工した厚さ Imm X長さ 200mm X幅 100mmの金型 を用いて、真空加熱プレス装置(井元製作所社製)にて、プレス圧 8MPa、型温度 15 0°Cで 5分の条件でプレス後、冷却速度 0. 5°C/分で室温まで冷却して、樹脂シート (5)を作製した。
[0442] [比較例 1]
(開環重合)
実施例 1において、 1一へキセンを 1. 3重量部にした以外は、実施例 1と同様に重 合し開環重合体 (4)を含む反応溶液を得た。得られた開環重合体 (4)の重量平均分 子量(Mw)は 39, 800、分子量分布(Mw/Mn)は 1 · 7であった。
[0443] (水素化反応)
上記で得た開環重合体 (4)を含む反応溶液を耐圧の水素化反応器に移送し、そこ へ、珪藻土担持ニッケル触媒 (T8400、ニッケル担持率 58重量%、 日産ズードへミ 一社製) 0. 5重量部を加え、 160°C、水素圧 4. 5MPaで 6時間反応させた。この溶 液を、珪藻土をろ過助剤としてステンレス製金網を備えたろ過器によりろ過し、触媒を 除去した。得られた反応溶液をイソプロピルアルコール 3000重量部中に撹拌下に 注いで水素化物を沈殿させ、濾取した。さらに、アセトン 500重量部で洗浄した後、 0 . 13 X 103Pa以下、 100°Cに設定した減圧乾燥器中で 48時間乾燥し、開環重合体 水素化物(6)を 190重量部得た。
[0444] (重合体物性)
得られた開環重合体水素化物(6)の水素添加率は 99. 9%、重量平均分子量 (M w)は、 38, 200、分子量分布(Mw/Mn)は 2. 6、異性化率は 6%、融点は 142°C であった。
[0445] (樹脂組成物の調製)
開環重合体水素化物(6) 100重量部に、酸化防止剤 AO. 1重量部を加え、 2軸混 練機 (TEM35、東芝機械社製)で混練し、ペレット化した樹脂組成物を得た。
[0446] (樹脂シートの作製)
このペレットを、片面を鏡面加工した厚さ Imm X長さ 200mm X幅 100mmの金型 を用いて、真空加熱プレス装置(井元製作所社製)にて、プレス圧 8MPa、型温度 15 0°Cで 5分の条件でプレス後、冷却速度 0. 5°C/分で室温まで冷却して、樹脂シート (6)を作製した。
[0447] [比較例 2]
(開環重合)
窒素雰囲気下、攪拌機付きオートクレープに、タングステン (フエ二ルイミド)テトラタ
ロリド '·ジェチルエーテル 1 · 1重量部とシクロへキサン 18. 5重量部を添加した。さら にジェチルアルミニウムエトキシド 0. 87重量部をへキサン 9. 26重量部に溶解した 溶液を添加して、室温にて 30分攪拌した。得られた混合物に、ジシクロペンタジェン 139重量部、 1一へキセン 0. 33重量部を添加し、 50°Cで 3時間重合反応を行うこと により、開環重合体(5)を含む反応溶液を得た
得られた開環重合体(5)の重量平均分子量 (Mw)は、 78, 000、分子量分布(M w/Mn)は 3· 5であった。
[0448] (水素化反応)
上記で得られた重合溶液に、ビス(トリシクロへキシルホスフィン)ベンジリジンルテニ ゥム(IV)ジクロリド 0. 87重量部及びェチルビュルエーテル 20. 4重量部をシクロへ キサン 650重量部に溶解した水素化触媒溶液を添加し、水素圧 1. 0MPa、 160°C で 20時間水素化反応を行なった。反応溶液を大量のイソプロパノールに注!/、でポリ マーを完全に析出させ、濾取した。さらに、アセトン 500重量部で洗浄した後、 0. 13 X 103Pa以下、 100°Cに設定した減圧乾燥器中で 48時間乾燥し、開環重合体水素 化物(7)を 130重量部得た。
得られた開環重合体水素化物(7)は、 GPCの溶剤に溶解せず、分子量の測定は できなかった。また、融点は 273°Cであった。
[0449] (樹脂組成物の調製)
開環重合体水素化物(7) 100重量部に、酸化防止剤 AO. 1重量部を加え、 2軸混 練機 (TEM35、東芝機械社製)で混練し、ペレット化した樹脂組成物を得た。
[0450] (樹脂シートの作製)
このペレットを、片面を鏡面加工した厚さ Imm X長さ 200mm X幅 100mmの金型 を用いて、真空加熱プレス装置(井元製作所製)にて、プレス圧 8MPa、型温度 280 °Cで 5分の条件でプレス後、冷却速度 0. 5°C/分で室温まで冷却して、樹脂シート( 7)を作製した。
[0451] [参考例 1]
(開環重合)
窒素雰囲気下、攪拌機付きオートクレープに、 70重量%ノルボルネン/トルエン溶
液 37. 5重量部と 1一へキセン 0. 052重量部、シクロへキサン 49. 3重量部を加えて 攪拌した。続いて、 2, 6—ジイソプロピルフエニルイミドネオフイリデンモリブデニゥム( VI)ビス(tert—ブトキシド)0. 023重量部、及びトリメチルフォスフィン 0. 016重量部 を 8. 6重量部のトルエンに溶解した溶液を加えて、 30°Cにて 1時間反応させた。この 反応混合物にベンズアルデヒド 0. 40重量部添加し、開環重合体(6)を含む反応溶 液を得た。
得られた開環重合体(6)の重量平均分子量 (Mw)は、 65, 000、分子量分布(M w/Mn)は 1 · 1であった。
[0452] (水素化反応)
上記で得た開環重合体(6)を含む反応溶液を耐圧の水素化反応器に移送し、そこ へ、触媒として Pd/CaCO (Pd量: 5wt%、 Strem社製) 5. 25重量部を加え、 100
3
°C、水素圧 3. 5MPaで 48時間反応させた。この溶液を、珪藻土をろ過助剤としてス テンレス製金網をそなえた濾過器により濾過し、触媒を除去した。得られた反応溶液 をイソプロピルアルコール 3000重量部中に撹拌下に注いで水素化物を沈殿させ、 濾取した。さらに、アセトン 500重量部で洗浄した後、 0. 13 X 103Pa以下、 100°Cに 設定した減圧乾燥器中で 48時間乾燥して、開環重合体水素化物(8)を 190重量部 得た。
[0453] (重合体物性)
得られた開環重合体水素化物(8)の水素添加率は 99. 75%、重量平均分子量( Mw)は、 64, 200、分子量分布(Mw/Mn)は 1. 3、異性化率は 0%、融点は 143 °Cであった。
[0454] (樹脂組成物の調製)
開環重合体水素化物(8) 100重量部に、酸化防止剤 AO. 1重量部を加え、 2軸混 練機 (TEM35、東芝機械社製)で混練し、ペレット化した樹脂組成物を得た。
[0455] (樹脂シートの作製)
このペレットを、片面を鏡面加工した厚さ Imm X長さ 200mm X幅 100mmの金型 を用いて、真空加熱プレス装置(井元製作所製)にて、プレス圧 8MPa、型温度 150 °Cで 5分の条件でプレス後、冷却速度 0. 5°C/分で室温まで冷却して、樹脂シート(
8)を作製した。
[0456] [比較例 3]
(開環重合及び水素化反応)
実施例 1において、 2—ノルボルネンの代わりに、メチルテトラシクロドデセン(MTD ) 200重量部及びジシクロペンタジェン(DCP) 50重量部を用い、 1一へキセンを 0. 70重量部とした以外は実施例 1と同様にして、重合を行った。
得られた開環重合体(7)の重量平均分子量 (Mw)は、 56, 000、分子量分布(M w/Mn)は 2· 0であった。
その後、実施例 3と同様にして、水素化反応を行い、開環重合体水素化物(9)を得 た。
[0457] (重合体物性)
得られた開環重合体水素化物(9)の水素添加率は 99. 9%、重量平均分子量 (M w)は、 55, 000、分子量分布(Mw/Mn)は 3. 1、ガラス転移温度は 140°Cであり、 融点は観察されなかった。
[0458] (樹脂組成物の調製)
開環重合体水素化物(9) 100重量部に、酸化防止剤 AO. 1重量部を加え、 2軸混 練機 (TEM35、東芝機械社製)で混練し、ペレット化した樹脂組成物を得た。
[0459] (樹脂シートの作製)
このペレットを、片面を鏡面加工した厚さ Imm X長さ 200mm X幅 100mmの金型 を用いて、真空加熱プレス装置(井元製作所社製)にて、プレス圧 8MPa、型温度 22 0°Cで 5分の条件でプレス後、冷却速度 0. 5°C/分で室温まで冷却して、樹脂シート (9)を作製した。
[0460] [比較例 4]
(開環重合及び水素化反応)
実施例 5において、 1一へキセンを 0. 06重量部とした以外は、実施例 5と同様に重 合を行った。
得られた開環重合体(8)の重量平均分子量 (Mw)は、 310, 000、分子量分布(M w/Mn)は 3. 2であった。その後、実施例 1と同様に水素化反応を行い、開環重合
体水素化物(10)を得た。
[0461] (重合体物性)
得られた開環重合体水素化物(10)の水素添加率は 99. 0%、重量平均分子量( Mw)は、 300, 200、分子量分布(Mw/Mn)は 4. 5、異性化率は 6%、融点は 14 0°Cであった。
[0462] (樹脂組成物の調製)
開環重合体水素化物(10) 100重量部に、酸化防止剤 AO. 1重量部を加え、 2軸 混練機 (TEM35、東芝機械社製)で混練し、ペレット化した樹脂組成物を得た。
[0463] (樹脂シートの作製)
このペレットを、片面を鏡面加工した厚さ Imm X長さ 200mm X幅 100mmの金型 を用いて、真空加熱プレス装置(井元製作所社製)にて、プレス圧 8MPa、型温度 15 0°Cで 5分の条件でプレス後、冷却速度 0. 5°C/分で室温まで冷却して、樹脂シート (10)を作製した。
[0464] (溶解性評価試験 (c Hex溶解性) )
上記で得た開環重合体水素化物(1)〜(; 10)を用いてシクロへキサンに対する溶解 性を評価した。溶解性は、開環重合体水素化物の濃度 20%の 70°Cシクロへキサン 溶液を調製し、冷却時にポリマーが析出する温度を目視観察で判断した。評価結果 を第 2表に示す。
[0465] (加工性評価試験(1) )
上記で得た開環重合体水素化物(1)〜(; 10)を用いて加工性を評価した。加工性 は、スクリュー径 20mm φ、圧縮比 2. 5又は 3· 1、 L/D = 30のスクリューを備えた ハンガーマニュホールドタイプの Tダイ式フィルム溶融押出成形機(据置型、 GSIタレ ォス社製)を使用し、以下の条件で、開環重合体水素化物(1)〜(; 10)のペレット状 樹脂を、下記の成形条件による Tダイ成形を行い、単層フィルム(C1) (層厚 lOO ^ m )を製膜し、膜厚測定により評価した。評価結果を第 2表に示す。
[0466] 具体的には、マイクロゲージを用いて MD方向 2. 5m間隔で 100箇所膜厚測定し、 標準偏差(σ )を算出した。
[0467] <成形条件 >
ダイリップ: 0. 8mm
溶融樹脂温度:樹脂の Tm + 40°C (融点を持たな!/、樹脂は、 Tg+100°C)
Tダイの幅: 300mm
Tダイ温度:樹脂の Tm+ 50°C (融点を持たな!/、樹脂は、 Tg+110°C)
冷却ロール:樹脂の Tm— 20°C (融点を持たな!/、樹脂は、 Tg- 15°C)
キャストロール:樹脂の Tm— 10°C (融点を持たな!/、樹脂は、 Tg- 5°C)
シート引き取り速度: 2. 5m/分
スクリュー圧縮比:融点をもたない樹脂は圧縮比 2. 5のスクリューを使用し、それ以外 は圧縮比 3· 1のスクリューを使用した。
[0468] (加工性評価試験(2) )
加工性評価試験(1)と同様の押出成形機を用いて、ダイ部の樹脂圧力が平均 3M Paとなるように、条件設定し、単層フィルム(C1) (層厚 100 m)を連続 8時間製膜 する際の膜厚変動及びダイラインが発生するまでの時間(ダイライン発生時間)にて 評価した。
[0469] 加工条件は、溶融樹脂温度、 Tダイ温度以外は加工性評価試験(1)と同様とし、開 環重合体水素化物(1)〜(; 10)を加工する際の溶融樹脂温度、 Tダイ温度は、下記 第 1表のように設定した。
[0470] [表 1]
第 1 表
開環重合 溶融樹脂温度 Tダイ温度
体水素化物 (°C ) (°C )
1 180 190
2 175 185
3 165 175
4 200 210
5 210 220
6 170 180
7 310 320
8 180 190
9 250 260
10 260 270
[0471] 具体的には、製膜を開始してから 1時間毎にマイクロゲージを用いて MD方向 2. 5 m間隔で 10箇所 (合計 80箇所)の膜厚測定し、標準偏差を算出した。ダイラインは目 視にて判断し、製膜開始力ものダイラインが発生するまでの所要時間で評価した。
[0472] (引張り破断伸びの測定)
上記で得た樹脂シート(1)〜(; 10)のそれぞれの引っ張り破断伸びの測定を行った 。引っ張り破断伸びは、 ISO 527に基づき、引張速度 200mm/分の条件でオート グラフ (AGS - 5kNH、島津製作所社製)により測定した。
測定結果を第 2表に示す。
[0473] (水蒸気バリア性の評価試験)
上記で得た樹脂シート(1)〜(; 10)のそれぞれの透湿度を測定した。透湿度は、 JIS K7129 (A法)に基づ!/、て温度: 40°C、湿度: 90%RHの条件下の透湿度を透湿 度テスター(L80— 5000型、 LYSSY社製)で測定した。測定結果を第 2表に示す。 透湿度(透湿度〔g/ (m2 · 24h)〕 )が小さ!/、と水蒸気バリア性が良好であることを示す
[0474] (耐油性の評価試験)
上記で得た樹脂シート(1)〜(; 10)のそれぞれにつ!/、て、耐油性評価試験を行った 。耐油性は、サラダ油(日清オイリオグループ社製)に対する限界応力で評価した。 熱プレス成形した 10mm X 100mm X lmm試験片の表面にサラダ油を塗布後、長 径 200mm、短径 80mmの楕円形面を有する高さ 10mmの楕円柱を同形に 4分割し た大きさのアルミ製治具の曲面に該試験片を一時間固定し、試験片に発生したクラッ クの有無を調査した。試験片の固定位置は全て一定とした。また、クラックが発生した 試験片については、治具固定時に低曲率側の試験片端部を原点とし、クラック発生 位置を測定した。調査結果及び測定結果を第 2表に示す。
[0475] [表 2]
第 2 表
[0476] 第 2表より、実施例;!〜 5の開環重合体水素化物(1)〜(5)は、シクロへキサン (c Hex)に対する溶解性及び加工性に優れていた。また、実施例 1 5の樹脂シート(1 )〜(5)は、引張り破断伸びが 25%以上であり、機械的特性に優れていた。また、そ の透湿度は 0. 31〔g/ (m2 ' 24h)〕以下であって、水蒸気バリアー性に優れていた。 さらに、実施例 1 5の樹脂シート(1) (5)は耐油性にも優れていた。
一方、比較例 1 2、及び参考例 1の開環重合体水素化物(6)、 (7)及び(8)は、実 施例の開環重合体水素化物に比して、シクロへキサンに対する溶解性に劣っていた また、比較例 1 2 4、及び参考例 1の開環重合体水素化物(6)、 (7)、 (8)、 (10) は、実施例の開環重合体水素化物に比して、加工性が劣っていた。
比較例 1 2 4、及び参考例 1の樹脂シート(6)、 (7)、 (8)、 (10)は、引張り破断伸 びが 25%以下であり、実施例の樹脂シートに比して、機械的特性が同等か劣ってい た。また、比較例 2 3の樹脂シート(7)、 (9)の透湿度は 0· 78〔g/ (m2 ' 24h)〕以上 であって、実施例の樹脂シートに比して水蒸気バリアー性に劣っていた。さらに、比 較例 1 3の樹脂シート(6)、 (9)は、耐油性に劣るものであった。
[0477] 以上のことから、実施例;!〜 5の開環重合体水素化物及び樹脂シートは、近年の情 報分野、食品分野、医療分野、土木分野等において要求される、水蒸気バリア性、 耐熱性、耐油性、機械的特性、透明性、加工性の全ての面で優れているといえる。
[0478] [実施例 6]
(開環共重合)
窒素雰囲気下、脱水したシクロへキサン 500重量部に、 1 キセン 0. 40重量部 、ジイソプロピルエーテル 0. 31重量部、トリイソブチルアルミニウム 0. 20重量部、ィ ソブチルアルコール 0. 08重量部を室温で反応器に入れ混合した後、 55°Cに保ちな がら、 2 ノルボルネン 245重量部、メチルノルボルネン 5重量部及び六塩化タングス テン 1. 0重量%トルエン溶液 15重量部を 2時間かけて連続的に添加して、重合反応 を行った。重合転化率は、ほぼ 100%であった。
得られた開環重合体(9)の重量平均分子量 (Mw)は、 103, 000、分子量分布(M w/Mn)は 1 · 9であった。
[0479] (水素化反応)
上記で得た重合反応液を耐圧の水素化反応器に移送し、そこへ、珪藻土担持ニッ ケル触媒 (T8400、ニッケル担持率 58重量%、 日産ズードへミー社製) 0. 5重量部 を加え、 160°C、水素圧 4. 5MPaで 6時間反応させた。この溶液を、珪藻土をろ過助 剤としてステンレス製金網をそなえたろ過器によりろ過し、触媒を除去した。得られた 反応溶液をイソプロピルアルコール 3000重量部中に撹拌下に注いで水素化物を沈 殿させ、濾取した。さらに、アセトン 500重量部で洗浄した後、 0. 13 X 103Pa以下、 1 00°Cに設定した減圧乾燥器中で 48時間乾燥し、開環重合体水素化物(11)を 190 重量部得た。
[0480] (重合体物性)
得られた開環重合体水素化物(11)の水素添加率は 99. 9%、重量平均分子量( Mw)は、 100, 000、分子量分布(Mw/Mn)は 2. 9、異性化率は 8%、融点は 13 6°Cであった。
[0481] (樹脂組成物の調製)
開環重合体水素化物(11) 100重量部に、酸化防止剤(テトラキス〔メチレン— 3— ( 3, , 5,ージ tert ブチルー 4'ーヒドロキシフエ二ノレ)プロピオネート〕メタン、ィルガ ノックス 1010、チバガイギ一社製、以下、「酸化防止剤 A」という。 ) 0. 1重量部を加え 、 2軸混練機 (TEM35、東芝機械社製)で混練し、ペレット化した樹脂組成物を得た
〇
[0482] (樹脂シートの作製)
このペレットを、片面を鏡面加工した厚さ Imm X長さ 200mm X幅 100mmの金型 を用いて、真空加熱プレス装置(井元製作所社製)にて、プレス圧 8MPa、型温度 15
0°Cで 5分の条件でプレス後、冷却速度 0. 5°C/分で室温まで冷却し厚み 300 111 の樹脂シート(11)を作製した。
[0483] [実施例 7]
(開環共重合)
実施例 6において、モノマーを 2 ノルボルネン 240重量部、メチルノルボルネン 10 重量部とし、 1一へキセン 0. 55重量部とした以外は実施例 6と同様に重合を行なつ
た。重合転化率は、ほぼ 100%であった。得られた開環重合体(10)の重量平均分 子量(Mw)は、 81 , 500、分子量分布(Mw/Mn)は 1. 8であった。
[0484] (水素化反応)
上記で得た重合反応液を耐圧の水素化反応器に移送し、そこへ、珪藻土担持ニッ ケル触媒 (T8400、ニッケル担持率 58重量%、 日産ズードへミー社製) 0. 5重量部 を加え、 160°C、水素圧 4. 5MPaで 6時間反応させた。この溶液を、珪藻土をろ過助 剤としてステンレス製金網をそなえたろ過器によりろ過し、触媒を除去した。得られた 反応溶液をイソプロピルアルコール 3000重量部中に撹拌下に注いで水素化物を沈 殿させ、濾取した。さらに、アセトン 500重量部で洗浄した後、 0. 13 X 103Pa以下、 1 00°Cに設定した減圧乾燥器中で 48時間乾燥して、開環重合体水素化物(12)を 19 0重量部得た。
[0485] (重合体物性)
得られた開環重合体水素化物(12)の水素添加率は 99. 9%、重量平均分子量( Mw)は、 80, 000、分子量分布(Mw/Mn)は 2. 9、異性化率は 8%、融点は 133 °Cであった。
[0486] (樹脂組成物の調製)
開環重合体水素化物(12) 100重量部に、酸化防止剤 AO. 1重量部を加え、 2軸 混練機 (TEM35、東芝機械社製)で混練し、ペレット化した樹脂組成物を得た。
[0487] (樹脂シートの作製)
このペレットを、片面を鏡面加工した厚さ Imm X長さ 200mm X幅 100mmの金型 を用いて、真空加熱プレス装置(井元製作所社製)にて、プレス圧 8MPa、型温度 15 0°Cで 5分の条件でプレス後、冷却速度 0. 5°C/分で室温まで冷却し厚み 300 111 の樹脂シート(12)を作製した。
[0488] [実施例 8]
(開環共重合)
窒素雰囲気下、攪拌機付きオートクレーブに、 70重量%の 2—ノルボルネンのトル ェン溶液 37. 1重量部、ジシクロペンタジェン 0. 26重量部、 1一へキセン 0. 020重 量部、及びシクロへキサン 49. 3重量部を加えて攪拌した。続いて、ビス(トリシクロへ
キシルフォスフィン)ベンジリジンルテニウム(IV)ジクロリド 0· 023重量部を 8. 6重量 部のトルエンに溶解した溶液を加えて、 60°Cにて 30分間反応させた。重合転化率は 、ほぼ 100%であった。
得られた開環重合体(11)の重量平均分子量 (Mw)は、 165, 000、分子量分布( Mw/Mn)は 1 · 3であった。
[0489] (水素化反応)
上記で得た重合溶液にェチルビュルエーテル 0. 020重量部を加えて攪拌した後 、水素圧力 1. 0MPa、 150°Cで 20時間水素化反応を行なった。その後、室温まで 冷却し、活性炭粉末 0. 5重量部をシクロへキサン 10重量部に懸濁させた溶液を添 加し、水素圧力 1. 0MPa、 150°Cで 2時間反応させた。次いで、反応液を孔径 0. 2 a mのフィルターでろ過し、活性炭粉末を除去した。反応溶液を大量のイソプロパノ ールに注いでポリマーを完全に析出させ、濾取した。さらに、アセトンで洗浄した後、 0. 13 X 103Pa以下、 100°Cに設定した減圧乾燥器中で 48時間乾燥して、開環重 合体水素化物(13)を得た。
[0490] (重合体物性)
得られた開環重合体水素化物(13)の水素添加率は 99. 9%、重量平均分子量( Mw)は、 160, 000、分子量分布(Mw/Mn)は 1. 8、異性化率は 0%、融点は 13 9°Cであった。
[0491] (樹脂組成物の調製)
開環重合体水素化物(13) 100重量部に、酸化防止剤 AO. 1重量部を加え、 2軸 混練機で混練し、ペレット化した樹脂組成物を得た。
[0492] (樹脂シートの作製)
このペレットを、片面を鏡面加工した厚さ Imm X長さ 200mm X幅 100mmの金型 を用いて、真空加熱プレス装置(井元製作所社製)にて、プレス圧 8MPa、型温度 15 0°Cで 5分の条件でプレス後、冷却速度 0. 5°C/分で室温まで冷却し厚み 300 111 の樹脂シート(13)を作製した。
[0493] [実施例 9]
(開環共重合 ·水素化反応)
実施例 6において、モノマーを 2—ノルボルネン 227. 5重量部、メチルノルボルネン 22. 5重量部とし、 1一へキセン 0. 4重量部、ジイソプロピルエーテル 0. 40重量部、 トリイソブチルアルミニウム 0. 27重量部、イソブチルアルコール 0. 10重量部、六塩 化タングステン 1. 0重量%トルエン溶液 20重量部とした以外は実施例 6と同様にして 、重合を行った。重合転化率は、ほぼ 100%であった。
得られた開環重合体(12)の重量平均分子量 (Mw)は、 101 , 000、分子量分布( Mw/Mn)は 2· 8であった。
その後、実施例 6と同様にして、水素化反応を行い、開環重合体水素化物(14)を 得た。
[0494] (重合体物性)
得られた開環重合体水素化物(14)の水素添加率は 99. 9%、重量平均分子量( Mw)は、 98, 800、分子量分布(Mw/Mn)は 3. 8、異性化率は 7%、融点は 114 °Cであった。
[0495] (樹脂組成物の調製)
開環重合体水素化物(14) 100重量部に、酸化防止剤 AO. 1重量部を加え、 2軸 混練機 (TEM35、東芝機械社製)で混練し、ペレット化した樹脂組成物を得た。
[0496] (樹脂シートの作製)
このペレットを、片面を鏡面加工した厚さ Imm X長さ 200mm X幅 100mmの金型 を用いて、真空加熱プレス装置(井元製作所社製)にて、プレス圧 8MPa、型温度 14 5°Cで 5分の条件でプレス後、冷却速度 0. 5°C/分で室温まで冷却し厚み 300 111 の樹脂シート(14)を作製した。
[0497] [実施例 10]
(開環共重合 ·水素化反応)
実施例 6において、モノマーを 2—ノルボルネン 240重量部、ジシクロペンタジェン 10重量部とし、 1一へキセン 0. 55重量部、ジイソプロピルエーテル 0. 40重量部、ト リイソブチノレアノレミニゥム 0. 27重量部、イソブチルアルコール 0. 10重量部、六塩化 タングステン 1. 0重量%トルエン溶液 20重量部とした以外は実施例 6と同様にして、 重合を行った。重合転化率は、ほぼ 100%であった。
得られた開環重合体(13)の重量平均分子量 (Mw)は、 83, 000、分子量分布(M w/Mn)は 2· 7であった。
その後、実施例 6と同様にして、水素化反応を行い、開環重合体水素化物(15)を 190重量部得た。
[0498] (重合体物性)
得られた開環重合体水素化物(15)の水素添加率は 99. 9%、重量平均分子量( Mw)は、 81 , 300、分子量分布(Mw/Mn)は 3. 8、異性化率は 9%、融点は 134 °Cであった。
[0499] (樹脂組成物の調製)
開環重合体水素化物(15) 100重量部に、酸化防止剤 AO. 1重量部を加え、 2軸 混練機 (TEM35、東芝機械社製)で混練し、ペレット化した樹脂組成物を得た。
[0500] (樹脂シートの作製)
このペレットを、片面を鏡面加工した厚さ Imm X長さ 200mm X幅 100mmの金型 を用いて、真空加熱プレス装置(井元製作所社製)にて、プレス圧 8MPa、型温度 14 5°Cで 5分の条件でプレス後、冷却速度 0. 5°C/分で室温まで冷却し厚み 300 111 の樹脂シート(15)を作製した。
[0501] [実施例 11]
実施例 6において、モノマーを 2—ノルボルネン 240重量部、ジシクロペンタジェン 10重量部とし、 1一へキセン 0. 15重量部、ジイソプロピルエーテル 0. 40重量部、ト リイソブチノレアノレミニゥム 0. 27重量部、イソブチルアルコール 0. 10重量部、六塩化 タングステン 1. 0重量%トルエン溶液 20重量部とした以外は実施例 6と同様にして、 重合を行った。重合転化率は、ほぼ 100%であった。
得られた開環重合体(14)の重量平均分子量 (Mw)は、 140, 000、分子量分布( Mw/Mn)は 7· 1であった。
その後、実施例 6と同様にして、水素化反応を行い、開環重合体水素化物(16)を 190重量部得た。
[0502] (重合体物性)
得られた開環重合体水素化物(16)の水素添加率は 99. 9%、重量平均分子量(
Mw)は、 137, 000、分子量分布(Mw/Mn)は 7. 8、異性化率は 9%、融点は 13
4°Cであった。
[0503] (樹脂組成物の調製)
開環重合体水素化物(16) 100重量部に、酸化防止剤 AO. 1重量部を加え、 2軸 混練機 (TEM35、東芝機械社製)で混練し、ペレット化した樹脂組成物を得た。
[0504] (樹脂シートの作製)
このペレットを、片面を鏡面加工した厚さ Imm X長さ 200mm X幅 100mmの金型 を用いて、真空加熱プレス装置(井元製作所社製)にて、プレス圧 8MPa、型温度 14
5°Cで 5分の条件でプレス後、冷却速度 0. 5°C/分で室温まで冷却し厚み 300 111 の樹脂シート(16)を作製した。
[0505] [比較例 5]
(開環共重合 ·水素化反応)
実施例 8において、 2—ノルボルネンの代わりに、メチルテトラシクロドデセン(MTD
) 200重量部及びジシクロペンタジェン(DCP) 50重量部を用い、 1一へキセン 0. 40 重量部とした以外は実施例 8と同様にして、重合を行った。重合転化率は、ほぼ 100
%であった。
得られた開環重合体(15)の重量平均分子量 (Mw)は、 56, 000、分子量分布(M w/Mn)は 3· 7であった。
その後、珪藻土担持ニッケル触媒を 3重量部とした以外は実施例 6と同様にして、 水素化反応を行い、開環重合体水素化物(17)を得た。
[0506] (重合体物性)
得られた開環重合体水素化物(17)の水素添加率は 99. 9%、重量平均分子量( Mw)は、 55, 000、分子量分布(Mw/Mn)は 2. 9、ガラス転移温度は 140°Cであ り、融点は観察されな力、つた。
[0507] (樹脂組成物の調製)
開環重合体水素化物(17) 100重量部に、酸化防止剤 AO. 1重量部を加え、 2軸 混練機 (TEM35、東芝機械製)で混練し、ペレット化した。
[0508] (樹脂シートの作製)
このペレットを、片面を鏡面加工した厚さ Imm X長さ 200mm X幅 100mmの金型 を用いて、真空加熱プレス装置(井元製作所社製)にて、プレス圧 8MPa、型温度 22 0°Cで 5分の条件でプレス後、冷却速度 0. 5°C/分で室温まで冷却し厚み 300 111 の樹脂シート(17)を作製した。
[0509] [比較例 6]
(開環共重合 ·水素化反応)
実施例 6において、モノマーを 2—ノルボルネン 222. 5重量部、テトラシクロドデセ ン 27. 5重量部とし、 1一へキセン 0. 07重量部、ジイソプロピノレエーテノレ 0. 4重量部 、トリイソブチルアルミニウム 0. 27重量部、イソブチルアルコール 0. 10重量部、六塩 化タングステンの 1. 0重量%トルエン溶液 20重量部とした以外は実施例 6と同様に して、重合を行った。重合転化率は、ほぼ 100%であった。
得られた開環重合体(16)の重量平均分子量 (Mw)は、 319, 500、分子量分布( Mw/Mn)は 3. 4であった。
その後、珪藻土担持ニッケル触媒を 3重量部とした以外は実施例 6と同様にして、 水素化反応を行い、開環重合体水素化物(18)を得た。
[0510] (重合体物性)
得られた開環重合体水素化(18)の水素添加率は 99. 0%、重量平均分子量 (Mw )は、 315, 000、分子量分布(Mw/Mn)は 4. 9、異性化率は 9%、融点は 100°C であった。
[0511] (樹脂組成物の調製)
開環重合体水素化物(18) 100重量部に、酸化防止剤 AO. 1重量部を加え、 2軸 混練機 (TEM35、東芝機械社製)で混練し、ペレット化した樹脂組成物を得た。
[0512] (樹脂シートの作製)
このペレットを、片面を鏡面加工した厚さ Imm X長さ 200mm X幅 100mmの金型 を用いて、真空加熱プレス装置(井元製作所社製)プレス圧 8MPa、型温度 135°Cで 5分の条件でプレス後、冷却速度 0. 5°C/分で室温まで冷却し厚み 300 mの樹脂 シート(18)を作製した。
[0513] [参考例 2]
参考例 1で得た開環重合体水素化物(8) 100重量部に、酸化防止剤 AO. 1重量部 を加え、 2軸混練機 (TEM35、東芝機械社製)で混練し、ペレット化した樹脂組成物 を得た。
[0514] (樹脂シートの作製)
このペレットを、片面を鏡面加工した厚さ Imm X長さ 200mm X幅 100mmの金型 を用いて、真空加熱プレス装置(井元製作所社製)にて、プレス圧 8MPa、型温度 15 0°Cで 5分の条件でプレス後、冷却速度 0. 5°C/分で室温まで冷却し厚み 300 111 樹脂シート(19)を作製した。
[0515] [比較例 7]
比較例 2で得た開環重合体水素化物(7) 100重量部に、酸化防止剤 AO. 1重量部 を加え、 2軸混練機 (TEM35、東芝機械社製)で混練し、ペレット化した樹脂組成物 を得た。
[0516] (樹脂シートの作製)
このペレットを、片面を鏡面加工した厚さ Imm X長さ 200mm X幅 100mmの金型 を用いて、真空加熱プレス装置(井元製作所社製)にて、プレス圧 8MPa、型温度 28 0°Cで 5分の条件でプレス後、冷却速度 0. 5°C/分で室温まで冷却して、樹脂シート (20)を作製した。
[0517] (溶解性評価試験 (c Hex溶解性) )
上記で得た開環重合体水素化物(11)〜(; 18)、 (8)、 (7)を用いてシクロへキサンに 対する溶解性を評価した。溶解性は、開環重合体水素化物の濃度 20%の 70°Cシク 口へキサン溶液を調製し、冷却時にポリマーが析出する温度を目視観察で判断した
。評価結果を第 3表に示す。
[0518] (加工性評価試験(1) )
上記で得た開環重合体水素化物(11)〜(; 18)、 (8)、 (7)を用いて加工性を評価し た。カロェ十生は、スクリュー径 20mm φ、圧縮匕 2. 5又は 3. 1、 L/D = 30のスクリュー を備えたハンガーマニュホールドタイプの Tダイ式フィルム溶融押出成形機(据置型 、 GSIクレオス社製)を使用し、以下の条件で、開環重合体水素化物(11)〜(; 18)、 ( 8)、 (7)のペレット状樹脂を、下記の成形条件による Tダイ成形を行い、単層フィルム
(CI) (層厚 100 ^ m)を製膜し、膜厚測定により評価した。評価結果を第 4表に示す
[0519] 具体的には、マイクロゲージを用いて MD方向 2. 5m間隔で 100箇所膜厚測定し、 標準偏差(σ )を算出した。
[0520] <成形条件〉
ダイリップ: 0. 8mm
溶融樹脂温度:樹脂の Tm + 40°C (融点を持たな!/、樹脂は、 Tg+100°C)
Tダイの幅: 300mm
Tダイ温度:樹脂の Tm+ 50°C (融点を持たな!/、樹脂は、 Tg+110°C)
冷却ロール:樹脂の Tm— 20°C (融点を持たな!/、樹脂は、 Tg- 15°C)
キャストロール:樹脂の Tm— 10°C (融点を持たな!/、樹脂は、 Tg- 5°C)
シート引き取り速度: 2. 5m/分
スクリュー圧縮比:融点をもたない樹脂は圧縮比 2. 5のスクリューを使用し、それ以外 は圧縮比 3· 1のスクリューを使用した。
[0521] (加工性評価試験 (2) )
加工性評価試験(1)と同様の押出成形機を用いて、ダイ部の樹脂圧力が平均 3M Paとなるように、条件設定し、単層フィルム(C1) (層厚 100 m)を連続 8時間製膜 する際の膜厚変動及びダイラインが発生するまでの時間(ダイライン発生時間)にて 評価した。
[0522] 加工条件は、溶融樹脂温度、 Tダイ温度以外は加工性評価試験(1)と同様とし、開 環重合体水素化物(11)〜(18)、(8)、(7)を加工する際の溶融樹脂温度、 Tダイ温 度は、下記第 3表のように設定した。
[0523] [表 3]
開環(共)重合体 溶融樹脂 Τダイ温度
11 170 180
12 170 180
13 190 200
14 155 165
15 175 185
16 190 200
17 240 250
18 235 245
8 175 185
7 315 325
[0524] 具体的には、製膜開始後から 1時間毎にマイクロゲージを用いて MD方向 2.5m間 隔で 10箇所 (合計 80箇所)の膜厚測定し、標準偏差を算出した。ダイラインは目視 にて判断し、製膜開始力ものダイラインが発生するまでの所要時間で評価した。
[0525] ちなみに、「ダイライン」とは、ダイの特定の位置に対応する成形物の位置に樹脂の 押出方向に沿って連続的に発生する肉眼で観察可能な縞を意味する。具体的には 、成形物における表面凹凸の高さが約 0· 3 111〜; lOO^ m (これ以下の凹凸では肉 眼での観察不可能)である成形物に形成される縞をいう。
[0526] (引張り破断伸びの測定)
上記で得た樹脂シート(11)〜(20)のそれぞれの引っ張り破断伸びの測定を行つ た。引っ張り破断伸びは、 ISO 527に基づき、引張速度 200mm/分の条件でォー トグラフ (AGS— 5kNH、島津製作所社製)により測定した。
測定結果を第 4表に示す。
[0527] (水蒸気バリア性の評価試験)
上記で得た樹脂シート(11)〜(20)のそれぞれの透湿度を測定した。透湿度は、 JI S K7129 (A法)に基づ!/、て温度: 40°C、湿度: 90%RHの条件下の透湿度を透湿 度テスター(L80— 5000型、 LYSSY社製)で測定した。測定結果を第 4表に示す。 透湿度(透湿度、〔g/ (m2-24h)〕 )が小さレ、と水蒸気バリア性が良好であることを示 す。
[0528] (耐油性の評価試験)
上記で得た樹脂シート(11)〜(20)のそれぞれにつ!/、て、耐油性評価試験を行つ た。耐油性は、サラダ油(日清オイリオグループ社製)に対する限界応力で評価した。 熱プレス成形した 10mm X 100mm X lmm試験片の表面にサラダ油を塗布後、長 径 200mm、短径 80mmの楕円形面を有する高さ 10mmの楕円柱を同形に 4分割し た大きさのアルミ製治具の曲面に該試験片を一時間固定し、試験片に発生したクラッ クの有無を調査した。試験片の固定位置は全て一定とした。また、クラックが発生した 試験片については、治具固定時に低曲率側の試験片端部を原点とし、クラック発生 位置を測定した。調査結果及び測定結果を第 4表に示す。
[0529] (ヘイズの測定)
上記で得た樹脂シート(11)〜(20)のそれぞれにつ!/、て、ヘイズの測定を行った。 ヘイズは厚さ 300 mのサンプルを作製し、ヘイズメータ(NDH2000、 日本電色ェ 業社製)を用いて測定した。
測定結果を第 4表に示す。
[0530] [表 4]
第 4 表
[0531] 第 4表より、実施例 6〜; 11の開環重合体水素化物(11)〜(; 16)、及び比較例 6、参 考例 2の開環重合体水素化物(18)、(8)は優れた溶解性を示した。一方、比較例 7 の開環重合体水素化物(7)は溶解性が劣って!/、た。
[0532] 実施例 6〜; 11の開環重合体水素化物(11)〜(; 16)、及び比較例 5の開環重合体 水素化物(17)は、比較例 6、 7、参考例 2の開環重合体水素化物(18)、(8)、(7)に 比して加工性に優れて!/、た。
[0533] 実施例 6〜; 11の樹脂シート( 11 )〜(; 16 )は引張破断伸びが 30 %以上であり、機械 特性に優れていた。一方、比較例 6、 7、参考例 2の樹脂シート(18)〜(20)は引張 破断伸びが 25 %以下であり、機械的特性に劣つて!/、た。
[0534] 実施例 6〜; 11の樹脂シート(11)〜(; 16)、及び参考例 2の樹脂シート(19)の透湿 度は 0. 40〔g/ (m2 ' 24h)〕以内であり、水蒸気バリアー性に優れていた。一方、比 較例 5、 6、 7の樹脂シート(17)、(18)、 (20)の透湿度は 0. 78〔g/ (m2 ' 24h)〕以 上であり、水蒸気バリアー性に劣っていた。
[0535] 実施例 6〜; 11の樹脂シート(11)〜(; 16)、及び比較例 5、 6、 7の樹脂シート(17)、
(18)、(20)のヘイズは 30. 1 %以下であった。一方、参考例 2の樹脂シート(19)の ヘイズは 41 · 0%であり、透明十生に劣っていた。
[0536] また、実施例 6〜; 11の樹脂シート(1 1)〜(; 16)、及び比較例 6、 7、参考例 2の樹脂 シート(18)〜(20)は耐油性に優れていた。一方、比較例 5の樹脂シート(17)は耐 油十生に劣っていた。
[0537] 以上のことから、実施例 6〜; 11の開環重合体水素化物及び樹脂シートは、近年の 情報分野、食品分野、医療分野、土木分野等において要求される、水蒸気バリア性 、耐熱性、耐油性、機械的特性、透明性、加工性の全ての面で優れているといえる。
[0538] [実施例 12]
実施例 1で得た開環重合体水素化物(1) 100重量部に酸化防止剤(チバガイギー 社製;ィルガノックス 1010、テトラキス〔メチレン 3—(3,, 5,ージ tert ブチル 4 'ーヒドロキシフエニル)プロピオネート〕メタン) 0. 1重量部を加え、 2軸混練機(TE M35、東芝機械社製)で混練し、ペレット化した樹脂組成物を得た。
[0539] (チューブシートの作製)
このペレットを、インフレーション機(住友重機械モダン社製)を用いて、リップクリア ランス 2· 5mm、引き出し速度 8m/分、ダイス温度 190°Cの成形条件で、肉厚 250 μ mのチューブシート(Α)を作製した。
[0540] [実施例 13]
実施例 6で得た開環重合体水素化物(11) 100重量部に酸化防止剤(チバガイギ 一社製;ィルガノックス 1010、テトラキス〔メチレン 3—(3,, 5,ージー tert ブチル 4 'ーヒドロキシフエニル)プロピオネート〕メタン) 0. 1重量部を加え、 2軸混練機(T EM35、東芝機械社製)で混練し、ペレット化した樹脂組成物を得た。
[0541] (チューブシートの作製)
このペレットと、低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製;ノバテック SF720:密度 0. 928g/cm3)を用い、インフレーション機(住友重機械モダン株式会社製)を用い て、リップクリアランス 2· 5mm、引き出し速度 8m/分、ダイス温度 190°Cの成形条件 で、開環重合体水素化物(11)層(厚さ 30 m)、低密度ポリエチレン層(厚さ 220 m)で構成された総肉厚 250 μ mのチューブシート(Β)を作製した。
[0542] [実施例 14]
実施例 9で得た開環重合体水素化物(14) 100重量部に酸化防止剤(チバガイギ 一社製;ィルガノックス 1010、テトラキス〔メチレン 3—(3,, 5,ージー tert ブチル 4 'ーヒドロキシフエニル)プロピオネート〕メタン) 0. 1重量部を加え、 2軸混練機(T EM35、東芝機械社製)で混練し、ペレット化した樹脂組成物を得た。
[0543] (チューブシートの作製)
このペレットと、低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製;ノバテック SF720:密度 0. 928g/cm3)を用い、インフレーション機(住友重機械モダン社製)を用いて、リツ プクリアランス 2. 5mm、引き出し速度 8m/分、ダイス温度 190°Cの成形条件で、開 環重合体水素化物(14)層(厚さ 30 a m)、低密度ポリエチレン層(厚さ 220 μ m)で 構成された総肉厚 250 μ mのチューブシート(C)を作製した。
[0544] [実施例 15]
実施例 5で得た開環重合体水素化物(5) 100重量部に酸化防止剤(チバガイギー 社製;ィルガノックス 1010、テトラキス〔メチレン 3—(3,, 5,ージ tert ブチル
4 'ーヒドロキシフエニル)プロピオネート〕メタン) 0· 1重量部を加え、 2軸混練機(ΤΕ Μ35、東芝機械社製)で混練し、ペレット化した樹脂組成物を得た。
[0545] (チューブシートの作製)
このペレットと、低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製;ノバテック SF720:密度 0. 928g/cm3)を用い、インフレーション機(住友重機械モダン株式会社製)を用い て、リップクリアランス 2· 5mm、引き出し速度 8m/分、ダイス温度 190°Cの成形条件 で、開環重合体水素化物(5)層(厚さ 30 a m)、低密度ポリエチレン層(厚さ 220 μ m )で構成された総肉厚 250 μ mのチューブシート(D)を作製した。
[0546] [実施例 16]
実施例 3で得た開環重合体水素化物(3) 100重量部に酸化防止剤(チバガイギー 社製;ィルガノックス 1010、テトラキス〔メチレン 3—(3,, 5,ージ tert ブチル 4 'ーヒドロキシフエニル)プロピオネート〕メタン) 0. 1重量部を加え、 2軸混練機(TE M35、東芝機械社製)で混練し、ペレット化した樹脂組成物を得た。
[0547] (チューブシートの作製)
このペレットと、低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製;ノバテック SF720:密度 0. 928g/cm3)を用い、インフレーション機(住友重機械モダン株式会社製)を用い て、リップクリアランス 2· 5mm、引き出し速度 8m/分、ダイス温度 190°Cの成形条件 で、開環重合体水素化物(3)層(厚さ 30 a m)、低密度ポリエチレン層(厚さ 220 μ m )で構成された総肉厚 250 μ mのチューブシート(E)を作製した。
[0548] [実施例 17]
実施例 10で得た開環重合体水素化物(15) 100重量部に酸化防止剤(チバガイギ 一社製;ィルガノックス 1010、テトラキス〔メチレン 3—(3,, 5,ージー tert ブチル 4 'ーヒドロキシフエニル)プロピオネート〕メタン) 0. 1重量部を加え、 2軸混練機(T EM35、東芝機械社製)で混練し、ペレット化した樹脂組成物を得た。
[0549] (チューブシートの作製)
この開環重合体水素化物(15)のペレットをインフレーション機(住友重機械モダン 社製)を用いて、リップクリアランス 2· 5mm、引き出し速度 8m/分、ダイス温度 190 °Cの成形条件で、開環重合体水素化物(15)層(厚さ 250 a m)からなるチューブシ
一 HF)を作製した。
[0550] [実施例 18]
(チューブシートの作製)
開環重合体水素化物(15)のペレットと、低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社 製;ノバテック SF720 :密度 0. 928g/cm3)を用い、インフレーション機(住友重機械 モダン社製)を用いて、リップクリアランス 2· 5mm、引き出し速度 8m/分、ダイス温 度 190°Cの成形条件で、開環重合体水素化物(15)層(厚さ 30 ^ 111)、低密度ポリヱ チレン層(厚さ 220 μ m)で構成された総肉厚 250 μ mのチューブシート(G)を作製 した。
[0551] [実施例 19]
(チューブシートの作製)
開環重合体水素化物(1)のペレットと、低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製 ;ノバテック SF720 :密度 0· 928g/cm3)を用い、インフレーション機(住友重機械モ ダン株式会社製)を用いて、リップクリアランス 2. 5mm、引き出し速度 8m/分、ダイ ス温度 190°Cの成形条件で、低密度ポリエチレン層(厚さ 110 m) /開環重合体水 素化物(1)層(厚さ 30 m) /低密度ポリエチレン層(厚さ 110 m)の 3層からなる 総肉厚 250 μ mのチューブシート(Η)を作製した。
[0552] [実施例 20]
参考例 1で得た開環重合体水素化物(8) 100重量部に酸化防止剤(チバガイギー 社製;ィルガノックス 1010、テトラキス〔メチレン 3—(3,, 5,ージ tert ブチル 4 'ーヒドロキシフエニル)プロピオネート〕メタン) 0. 1重量部を加え、 2軸混練機(TE M35、東芝機械社製)で混練し、ペレット化した。
[0553] (チューブシートの作製)
開環重合体水素化物(8)のペレットと、低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製 ;ノバテック SF720 :密度 0· 928g/cm3)を用い、インフレーション機(住友重機械モ ダン社製)を用いて、リップクリアランス 2· 5mm、引き出し速度 8m/分、ダイス温度 1 90°Cの成形条件で、開環重合体水素化物(8)層(厚さ 30 11 m)、低密度ポリエチレ ン層(厚さ 220 μ m)で構成された総肉厚 250 μ mのチューブシート(I)を作製した。
[0554] [比較例 8]
比較例 6で得た開環重合体水素化物(18) 100重量部に酸化防止剤(チバガイギ 一社製;ィルガノックス 1010、テトラキス〔メチレン 3—(3 5,ージー tert ブチル 4 'ーヒドロキシフエニル)プロピオネート〕メタン) 0. 1重量部を加え、 2軸混練機(T EM35、東芝機械社製)で混練し、ペレット化した樹脂組成物を得た。
[0555] (チューブシートの作製)
この開環重合体水素化物(17)のペレットと、低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン 社製;ノバテック SF720 :密度 0. 928g/cm3)を用い、インフレーション機(住友重機 械モダン社製)を用いて、リップクリアランス 2· 5mm、引き出し速度 8m/分、ダイス 温度 190°Cの成形条件で、開環重合体水素化物(17)層(厚さ 30 ^ 111)、低密度ポリ エチレン層(厚さ 220 μ m)で構成された総肉厚 250 μ mのチューブシート (J)を作製 した。
[0556] [比較例 9]
比較例 5で得た開環重合体水素化物(17) 100重量部に酸化防止剤(チバガイギ 一社製;ィルガノックス 1010、テトラキス〔メチレン 3—(3 5,ージー tert ブチル 4 'ーヒドロキシフエニル)プロピオネート〕メタン) 0. 1重量部を加え、 2軸混練機(T EM35、東芝機械社製)で混練し、ペレット化した樹脂組成物を得た。
[0557] (チューブシートの作製)
この開環重合体水素化物(17)のペレットと、低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン 社製;ノバテック SF720 :密度 0. 928g/cm3)を用い、インフレーション機(住友重機 械モダン社製)を用いて、リップクリアランス 2· 5mm、引き出し速度 8m/分、ダイス 温度 260°Cの成形条件で、開環重合体水素化物(16)層(厚さ 30 ^ 111、低密度ポリ エチレン層(厚さ 220 μ m)で構成された総肉厚 250 μ mのチューブシート(Κ)を作
; ^^し/
[0558] [比較例 10]
比較例 2で得た開環重合体水素化物(7) 100重量部に酸化防止剤(チバガイギー 社製;ィルガノックス 1010、テトラキス〔メチレン 3—(3 5,ージ tert ブチル 4 'ーヒドロキシフエニル)プロピオネート〕メタン) 0. 1重量部を加え、 2軸混練機(TE
M35、東芝機械社製)で混練し、ペレット化した。
[0559] (チューブシートの作製)
このペレットと、低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製;ノバテック SF720:密度 0. 928g/cm3)を用い、インフレーション機(住友重機械モダン株式会社製)を用い て、リップクリアランス 2· 5mm、引き出し速度 8m/分、ダイス温度 285°Cの成形条件 で、開環重合体水素化物(7)層(厚さ 30 a m)、低密度ポリエチレン層(厚さ 220 μ m )で構成された総肉厚 250 μ mのチューブシート(Uを作製した。
[0560] [比較例 11 ]
(チューブシートの作製)
低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製;ノバテック SF720 :密度 0. 928g/cm 3)を用い、インフレーション機 (住友重機械モダン株式会社製)用いて、リップタリァラ ンス 2. 5mm、引き出し速度 8m/分、ダイス温度 190°Cの成形条件で低密度ポリエ チレンの総肉厚 250 a mのチューブシート(M)を作製した。
[0561] 実施例 12〜20、比較例 8〜; 11で用いた開環重合体水素化物の番号、組成、 Mw , Mw/Mn、水素添加率(%)、異性化率(%)、融点、及びチューブシートの層構成 をまとめて第 5表に示す。
[0562] [表 5]
第 5 表
*)PE =ポリエチレン
[0563] 上記で作製したチューブシート (A)〜(M)を用いて、膜厚ムラ測定、透湿度 40°C 測定、透湿度 50°C測定、弾性率測定、クラック発生時のひずみ測定、サラダ油付着 によるヘイズ変化を評価した。ちなみに、膜厚ムラ測定、透湿度 40°C測定、透湿度 5 0°C測定、サラダ油付着によるヘイズ変化の評価には、チューブシートの側面を切り 開いた、厚さ 250 mのシートを用いて評価を行い、弾性率測定、クラック発生ひず み測定には、 IS0527に基づいたダンベル形試験片 1B形、厚さ 250 111のシートを 用いて評価を行った。評価結果を第 6表に示す。
[0564] [表 6]
第 6 表
[0565] 第 6表より、実施例 12〜20、比較例 8及び比較例 11のチューブシート(A)〜(I)、 ( J)、 (M)は、厚み標準偏差の値が小さぐ厚みムラの少ないものであった。一方、比 較例 9、 10のチューブシート (K)、 (Uは、厚み標準偏差の値が相対的に大きぐ相 対的に厚みムラが大きいものであった。
実施例 12〜20のチューブシート (Α)〜(Ι)は、水蒸気バリア性、特に高温時(50°C )における水蒸気バリア性に優れていた。一方、比較例 8〜; 11のチューブシート (J) 〜(M)は、特に高温時(50°C)における水蒸気バリア性に劣っていた。
[0566] 実施例 12〜20のチューブシート(A)〜(I)、及び比較例 8、 11のチューブシート (J ) , (M)は、その弾性率が 420MPa以下であり、柔軟性に優れていた。一方、比較例 9、 10のチューブシート(K)、 (Uは、その弾性率が 680MPa以上であって、柔軟性 に劣っていた。
実施例 13、 14、 16〜; 18のチューブシート(B)、 (C)、(E)〜(G)は、そのクラック発 生ひずみが 30%以上で機械的特性が特に優れていた。また、実施例 12〜20のチ ユーブシート(A)〜(I)は、比較例 8、 9、 11のチューブシートと同様に、そのクラック 発生ひずみが 24%以上で機械的特性に優れていた。一方、比較例 10のチューブシ 一 HUは、そのクラック発生ひずみが 17%であり、機械的特性に劣っていた。
[0567] また、実施例 12〜20のチューブシート(A)〜(I)は、比較例 8、 10、 11のチューブ シート ω、(u、(M)と同様にそのサラダ油付着によるヘイズ変化が少なぐ耐油性 にも優れていた。一方、比較例 9のチューブシート (K)は、サラダ油付着によるヘイズ 変化が大きぐ耐油性に劣っていた。
実施例 12〜20のチューブシートは、水蒸気バリア性、機械的特性、耐油性、柔軟 性、成形性、特に高温時の水蒸気バリア性に優れることから、輸液バッグの包装体と して好適である。
[0568] [ペレット製造例 1]
実施例 1で得た開環重合体水素化物(1) 100重量部に、酸化防止剤(チバガイギ 一社製;ィルガノックス 1010、テトラキス〔メチレン- 3- (3,, 5,一ジ一 tert—ブチル一 4'—ヒドロキシフエニル)プロピオネート〕メタン、以下「酸化防止剤 A」と略記する) 0· 1重量部を加え、 2軸混練機 (TEM35B、東芝機械社製)を用いて混練し、ペレット
化してペレット (A)を得た。
[0569] [ペレット製造例 2]
実施例 6で得た開環重合体水素化物(11) 100重量部に、酸化防止剤 A 0. 1重 量部を加え、 2軸混練機 (TEM35B、東芝機械社製)で混練し、ペレット化してペレツ HB)を得た。
[0570] [ペレット製造例 3]
実施例 7で得た開環重合体水素化物(12) 100重量部に酸化防止剤 A 0. 1重量 部を加え、 2軸混練機 (TEM35B、東芝機械社製)で混練し、ペレット化してペレット
(C)を得た。
[0571] [ペレット製造例 4]
実施例 9で得た開環重合体水素化物(14) 100重量部に酸化防止剤 A 0. 1重量 部を加え、 2軸混練機 (TEM35B、東芝機械社製)で混練し、ペレット化してペレット
(D)を得た。
[0572] [ペレット製造例 5]
実施例 8で得た開環重合体水素化物(13) 100重量部に酸化防止剤 A 0. 1重量 部を加え、 2軸混練機で混練し、ペレット化してペレット(E)を得た。
[0573] [ペレット製造例 6]
実施例 10で得た開環重合体水素化物(15) 100重量部に酸化防止剤 A 0. 1重 量部を加え、 2軸混練機 (TEM35B、東芝機械社製)で混練し、ペレット化してペレツ HF)を得た。
[0574] [ペレット製造例 7]
参考例 1で得た開環重合体水素化物(8) 100重量部に酸化防止剤 A 0. 1重量部 を加え、 2軸混練機 (TEM35B、東芝機械製)で混練し、ペレット化してペレット(G) を得た。
[0575] [ペレット製造例 8]
(開環重合及び水素化反応)
ペレット製造例 1において、 2—ノルボルネンの代わりに、メチルテトラシクロドデセン (以降「MTD」と略すことがある。)200重量部及びジシクロペンタジェン 50重量部を
用い、 1—へキセンを 0. 40重量部とした以外はペレット製造例 1と同様にして、重合 を行った。重合転化率は、ほぼ 100%であった。得られた開環重合体(17)の重量平 均分子量(Mw)は、 56, 000、分子量分布(Mw/Mn)は 2. 0であった。その後、ぺ レット製造例 3と同様にして、水素化反応を行い、開環重合体水素化物(19)を得た。
[0576] (重合体物性)
得られた開環重合体水素化物(19)の水素添加率は 99. 9%、重量平均分子量(
Mw)は、 55, 000、分子量分布(Mw/Mn)は 3. 1、ガラス転移温度は 140°Cであ り、融点は観察されなかった。
[0577] (樹脂組成物の調製)
開環重合体水素化物(19) 100重量部に酸化防止剤 A 0. 1重量部を加え、 2軸 混練機 (TEM35B、東芝機械製)で混練し、ペレット化してペレット(H)を得た。
[0578] [ペレット製造例 9]
(開環重合 ·水素化反応)
比較例 6で得た開環重合体水素化物(18) 100重量部に酸化防止剤 A 0. 1重量 部を加え、 2軸混練機 (TEM35B、東芝機械社製)で混練し、ペレット化してペレット
(I)を得た。
[0579] [ペレット製造例 10]
比較例 2で得た開環重合体水素化物(7) 100重量部に酸化防止剤 A 0. 1重量部 を加え、 2軸混練機 (TEM35B、東芝機械製)で混練し、ペレット化してペレット (J)を 得た。
[0580] [実施例 21]
(シート成形)
ペレット(A)を、スクリュー径 20mm φ、圧縮比 3· 1、 L/D = 30のスクリューを備え たハンガーマニュホールドタイプの Tダイ式フィルム溶融押出成形機(据置型、 GSIク レオス社製)を使用して以下の条件で Tダイ成形を行い、単層シート (A) (厚み 250 μ m)を得た。
単層シート (A)を構成する開環重合体水素化物の、種類、組成、 Mw、 Mw/Mn 、水素添加率(%)、異性化率(%)、及び融点(°C)を第 7表にまとめて示す。
[0581] (成形条件)
ダイリップ : 0. 8mm、
溶融樹脂温度 :180°C、
Tダイの幅 : 300mm,
冷却ロール :120°C
キャストロール: 130°C
[0582] 上記で得た単層シート(A)を薬品包装械(FBP— M2、 CKD社製)を用いて 130 °Cでブリスター成形を行い、単層フィルム(A)に錠剤(8mm φ X最大厚 4mm )を収 容する円柱状部分(ポケット:直径 9mm X高さ 5mm )合計 10個を縦 5個、横 2個、中 心間隔 15mmの配列で形成した加ェシート( 1 )を得た。
得られた加工シート(1)の耐油性を評価した。評価結果を第 8表に示す。
[0583] 更に内容物を充填せず、加工シート(1)のポケットの凹部側(非突出側)の面と、 P TP用アルミ箔(日本製箔社製)(厚み 20 m)の接着層面とを重ね合わせ、 210°Cで ヒートシ一ノレ、 175°Cでスリツターを入れた後、幅 37mm、長さ 94mm、コーナー 5m mRに打ち抜いて PTP (l) (ポケット数:縦 5個、横 2個、合計 10個)を得た。得られた PTP (l)のポケットのブリスター成形性を評価した。評価結果を第 8表に示す。
また、用いた単層シート (A)の水蒸気バリア性も第 8表に併せて示す。
[0584] [実施例 22]
(シート成形)
ペレット(B)を、スクリュー径 20mm φ、圧縮比 3· 1、 L/D = 30のスクリューを備え たハンガーマニュホールドタイプの Tダイ式フィルム溶融押出成形機(据置型、 GSIク レオス社製)を使用して以下の条件で Tダイ成形を行い、単層シート(B) (厚み 250 μ m)を得た。
単層シート (B)を構成する開環重合体水素化物の、種類、組成、 Mw、 Mw/Mn、 水素添加率(%)、異性化率(%)、及び融点(°C)を第 7表にまとめて示す。
[0585] (成形条件)
ダイリップ : 0. 8mm、
溶融樹脂温度 :180°C、
Tダイの幅 : 300mm,
冷却ロール :120°C
キャストロール: 130°C
[0586] 単層シート (A)を単層シート(B)に変更した以外は、実施例 21と同様にして加工シ ート(2)、 PTP (2)を得た。用いた単層シート(Β)の水蒸気バリア性、得られた加工シ ート(2)の耐油性、及び ΡΤΡ (2)のポケットのブリスター成形性を評価した。測定結果 を第 8表に示す。
また、用いた単層シート(Β)の水蒸気バリア性も第 8表に併せて示す。
[0587] [実施例 23]
(シート成形)
ペレット(C)を、スクリュー径 20mm φ、圧縮比 3· 1、 L/D = 30のスクリューを備え たハンガーマニュホールドタイプの Tダイ式フィルム溶融押出成形機(据置型、 GSIク レオス社製)を使用して以下の条件で Tダイ成形を行い、単層シート(C1) (厚み 250 m)、単層シート(C2) (厚み 215 m)、及び、単層シート(C3) (厚み 180 m)を 得た。
単層シート(C1)を構成する開環重合体水素化物の、種類、組成、 Mw、 Mw/M n、水素添加率(%)、異性化率(%)、及び融点(°C)を第 7表にまとめて示す。
[0588] (成形条件)
ダイリップ : 0. 8mm、
溶融樹脂温度 :180°C、
Tダイの幅 : 300mm,
冷却ロール :120°C
キャストロール: 130°C
[0589] 単層シート (A)の代わりに単層シート(C1)を用い、ブリスター成形温度を 120°Cの条 件にした以外は実施例 21と同様にして加工シート(3)を得た。得られた加工シート( 3)は実施例 21と同様に PTP成形を行い、 PTP (3)を得た。得られた ΡΤΡ (3)の耐油 性、及び ΡΤΡ (3)のポケットのブリスター成形性を評価した。評価結果を第 8表に示 す。
また、用いた単層シート(CI)の水蒸気バリア性も第 8表に併せて示す。
[0590] [実施例 24]
(シート成形)
ペレット(D)を、スクリュー径 20mm φ、圧縮比 3· 1、 L/D = 30のスクリューを備え たハンガーマニュホールドタイプの Tダイ式フィルム溶融押出成形機(据置型、 GSIク レオス社製)を使用して以下の条件で Tダイ成形を行い、単層シート(D) (厚み 250 μ m)を得た。
単層シート (D)を構成する開環重合体水素化物の、種類、組成、 Mw、 Mw/Mn 、水素添加率(%)、異性化率(%)、及び融点(°C)を第 7表にまとめて示す。
[0591] (成形条件)
ダイリップ : 0. 8mm、
溶融樹脂温度 :170°C、
Tダイの幅 : 300mm,
冷却ロール :100°C
キャストロール: 110°C
[0592] 単層シート (A)の代わりに単層シート(D)を用い、ブリスター成形温度を 105°Cの 条件にした以外は実施例 21と同様にして加工シート(4)を得た。得られた加工シート (4)は実施例 21と同様に PTP成形を行い、 PTP (4)を得た。得られた ΡΤΡ (4)の耐 油性、及び ΡΤΡ (4)のポケットのブリスター成形性を評価した。評価結果を第 8表に 示す。
また、用いた単層シート(D)の水蒸気バリア性も第 8表に併せて示す。
[0593] [実施例 25]
(シート成形)
ペレット(Ε)を、スクリュー径 20mm φ、圧縮比 3· 1、 L/D = 30のスクリューを備え たハンガーマニュホールドタイプの Tダイ式フィルム溶融押出成形機(据置型、 GSIク レオス社製)を使用して以下の条件で Tダイ成形を行い、単層シート(E) (厚み 250 μ m)を得た。
単層シート (E)を構成する開環重合体水素化物の、種類、組成、 Mw、 Mw/Mn
、水素添加率(%)、異性化率(%)、及び融点(°C)を第 7表にまとめて示す。
[0594] (成形条件)
ダイリップ : 0. 8mm、
溶融樹脂温度 :180°C、
Tダイの幅 : 300mm,
冷却ロール :120°C
キャストロール: 130°C
[0595] 単層シート (A)を単層シート(E)に変更した以外は、実施例 21と同様にして加工シ ート(5)を得た。単層シート(E)の水蒸気バリア性、得られた加工シート(5)、 PTP (5 )の耐油性、及び PTP (5)のポケットのブリスター成形性を評価した。評価結果を第 8 kに小 。
また、用いた単層シート(E)の水蒸気バリア性も第 8表に併せて示す。
[0596] [実施例 26]
(シート成形)
ペレット(F)を、スクリュー径 20mm φ、圧縮比 3· 1、 L/D = 30のスクリューを備え たハンガーマニュホールドタイプの Tダイ式フィルム溶融押出成形機(据置型、 GSIク レオス社製)を使用して以下の条件で Tダイ成形を行い、単層シート(F) (厚み 250 m)を得た。
単層シート (F)を構成する開環重合体水素化物の、種類、組成、 Mw、 Mw/Mn、 水素添加率(%)、異性化率(%)、及び融点(°C)を第 7表にまとめて示す。
[0597] (成形条件)
ダイリップ : 0. 8mm、
溶融樹脂温度 :180°C、
Tダイの幅 : 300mm,
冷却ロール :120°C
キャストロール: 130°C
[0598] 単層シート (A)を単層シート(F)に変更した以外は、実施例 21と同様にして加工シ ート(6)を得た。得られた加工シート(6)を実施例 21と同様に PTP成形を行い、 PTP
(6)を得た。単層シート (F)の水蒸気バリア性、得られた加工シート(6)の耐油性、及 び PTP (6)のポケットのブリスター加工性を評価した。評価結果を第 8表に示す。 また、用いた単層シート(F)の水蒸気ノ リア性も第 8表に併せて示す。
[0599] [実施例 27]
(シート成形)
ペレット(G)を、スクリュー径 20mm φ、圧縮比 3· 1、 L/D = 30のスクリューを備え たハンガーマニュホールドタイプの Tダイ式フィルム溶融押出成形機(据置型、 GSIク レオス社製)を使用して以下の条件で Tダイ成形を行い、単層シート(G) (厚さ 250 m)を得た。
単層シート (G)を構成する開環重合体水素化物の、種類、組成、 Mw、 Mw/Mn 、水素添加率(%)、異性化率(%)、及び融点(°C)を第 7表にまとめて示す。
[0600] (成形条件)
ダイリップ : 0. 8mm、
溶融樹脂温度 :180°C、
Tダイの幅 : 300mm,
冷却ロール :120°C
キャストロール: 130°C
[0601] 単層シート (A)の代わりに単層シート (G)を用いた以外は実施例 21と同様にして 加工シート(7)、 PTP (7)を得た。単層シート(G)の水蒸気バリア性、得られた加工シ ート(7)、及び PTP (7)のポケットのブリスター成形性を評価した。評価結果を第 8表 に示す。
また、用いた単層シート(G)の水蒸気バリア性も第 8表に併せて示す。
[0602] [実施例 28]
単層シート(C2)の片面にウレタン系接着剤を介して、無延伸ポリプロピレンフィル ム(パイレンフィルム CT、東洋紡社製、厚み 30 m)を貝占り付け、温度 70°Cにおいて 接着させて多層シート(1) (総厚み 25011 m)を得た。
[0603] 単層シート (A)を多層シート(1)に変更した以外は実施例 21と同様にして加工シ ート(8)を得た。得られた加工シート(8)を実施例 21と同様に PTP成形を行い、 PTP
(8)を得た。ただし、 PTP (8)の凸側に前記無延伸ポリプロピレンフィルムの層がくる ように成形した。得られた加工シート(8)の耐油性、及び PTP (8)のポケットのブリスタ 一成形性を評価した。評価結果を第 9表に示す。
また、多層シート(1)の水蒸気バリア性も第 9表に併せて示す。
[0604] [実施例 29]
ペレット(C)と融点 126°C、密度 0· 937g/cm3の直鎖状低密度ポリエチレン(ュメ リツ卜 4040F、宇部興産社製)を、スクリュー径 20mm φ、圧縮比 3· 1、 L/D = 30の スクリューを備えたハンガーマニュホールドタイプの Tダイ式フィルム溶融押出成形機 (据置型、 GSIクレオス社製)を使用して以下の条件で 2層 Tダイ成形を行い、ペレット (C) /直鎖状低密度ポリエチレン多層シート(総厚み: 215 m、各層の厚み:ペレツ ト(C) /直鎖状低密度ポリエチレン = 165/50 a m)を得た。
[0605] (成形条件)
ダイリップ :0. 8mm、
(ペレット (C) )溶融樹脂温度 :180°C、
(直鎖状低密度ポリエチレン)溶融樹脂温度: 180°C、
Tダイの幅 : 300mm,
冷却ロール :110°C
キャストローノレ : 120°C
[0606] 得られたペレット(C) /直鎖状低密度ポリエチレン多層シートのペレット(C)面にゥ レタン系接着剤を介して、無延伸ナイロンフィルム(レイフアン NO、東レフイルム加工 社製、厚み 30 πι)を貼り付け、温度 70°Cにおいて接着させて多層シート(2) (総厚 み 250〃111)を得た。
[0607] 単層シート (A)を多層シート(2)に変更した以外は実施例 21と同様にして加工シ ート(9)を得た。得られた加工シート(9)を実施例 21と同様に PTP成形を行い、 PTP
(9)を得た。ただし、 PTP (9)の凸側に前記無延伸ナイロンフィルムの層力 Sくるように 成形した。得られた加工シート(9)の耐油性、及び PTP (9)のポケットのブリスター成 形性を評価した。評価結果を第 9表に示す。
また、多層シート(2)の水蒸気バリア性も第 9表に併せて示す。
[0608] [実施例 30]
単層シート(C3)の両面にウレタン系接着剤を介して、無延伸ポリプロピレンフィル ム(パイレンフィルム CT、東洋紡社製、厚み 30 m)を貝占り付け、温度 70°Cにおいて 接着させて多層シート(3) (総厚み 250 a m)を得た。
[0609] 単層シート (A)を多層シート(3)に変更した以外は実施例 21と同様にして加工シ ート(10)を得た。得られた加工シート(10)を実施例 21と同様に PTP成形を行い、 P TP (10)を得た。多層シート(3)の水蒸気ノ リア性、得られた加工シート(10)の耐油 性、及び PTP (10)のポケットのブリスター成形性を評価した。評価結果を第 9表に示 す。
また、多層シート(3)の水蒸気バリア性も第 9表に併せて示す。
[0610] [比較例 12]
(シート成形)
ペレット(H)を、スクリュー径 20mm φ、圧縮比 2· 5、 L/D = 30のスクリューを備え たハンガーマニュホールドタイプの Tダイ式フィルム溶融押出成形機(据置型、 GSIク レオス社製)を使用して以下の条件で Tダイ成形を行い、単層シート(HI) (厚み 250 m)、及び単層シート(H2) (厚み 180 m)を得た。
単層シート (HI)を構成する開環重合体水素化物の、種類、組成、 Mw、 Mw/M n、水素添加率(%)、異性化率(%)、及び融点(°C)を第 7表にまとめて示す。
[0611] (成形条件)
ダイリップ : 0. 8mm、
溶融樹脂温度 :230°C、
Tダイの幅 : 300mm,
冷却ロール :85°C
キャストロール: 95°C
[0612] 単層シート (A)の代わりに単層シート(HI)を用い、ブリスター成形温度を 110°Cの 条件にした以外は実施例 21と同様にして加工シート(11)を得た。得られた加工シー ト(11)は実施例 21と同様に PTP成形を行い、 PTP (l l)を得た。得られた PTP (l l) の耐油性、及び PTP (11)のポケットのブリスター成形性を評価した。評価結果を第 8
表に示す。
また、単層シート(HI)の水蒸気バリア性も第 8表に併せて示す。
[0613] [比較例 13]
(シート成形)
ペレット(I)を、スクリュー径 20mm φ、圧縮比 3· 1、 L/D = 30のスクリューを備え たハンガーマニュホールドタイプの Tダイ式フィルム溶融押出成形機(据置型、 GSIク レオス社製)を使用して以下の条件で Tダイ成形を行い、単層シート(I) (厚さ 250 m)を得た。
単層シート (I)を構成する開環重合体水素化物の、種類、組成、 Mw、 Mw/Mn、 水素添加率(%)、異性化率(%)、及び融点(°C)を第 7表にまとめて示す。
[0614] (成形条件)
ダイリップ : 0. 8mm、
溶融樹脂温度 :150°C、
Tダイの幅 : 300mm,
冷却ロール :80°C
キャストロール: 90°C
[0615] 単層シート (A)の代わりに単層シート(I)を用い、ブリスター成形温度を 95°Cの条 件にした以外は実施例 21と同様にして加工シート(12)を得た。得られた加工シート (12)は実施例 21と同様に PTP成形を行!/、、 PTP (12)を得た。
得られた加工シート(12)の耐油性及び PTP (12)のポケットのブリスター成形性を 評価した。評価結果を第 8表に示す。
また、単層シート (I)の水蒸気バリア性の測定結果を第 8表に併せて示す。
[0616] [比較例 14]
(シート成形)
ペレット (J)を、スクリュー径 20mm φ、圧縮比 3· 1、 L/D = 30のスクリューを備え たハンガーマニュホールドタイプの Tダイ式フィルム溶融押出成形機(据置型、 GSIク レオス社製)を使用して以下の条件で Tダイ成形を行い、単層シート (J) (厚さ 250 m)を得た。
単層シート (J)を構成する開環重合体水素化物の、種類、組成、 Mw、 Mw/Mn、 水素添加率(%)、異性化率(%)、及び融点(°C)を第 7表にまとめて示す。
[0617] (成形条件)
ダイリップ :0.8mm、
溶融樹脂温度 :310°C、
Tダイの幅 : 300mm,
冷却ロール :220°C
キャストロール: 230°C
[0618] 単層シート (A)の代わりに単層シート (J)を用い、ブリスター成形温度を成形機の設 定上限付近の 260°Cの条件にした以外は実施例 21と同様にして加工シートを作成 したが、ポケット部が凹まず、加工シートは得られな力、つた。
単層シート (J)の水蒸気バリア性の測定結果を第 8表に示す。
[0619] [比較例 15]
単層シート (Α)の代わりに単層シート (Η2)を用いた以外は実施例 21と同様にして 多層シート (4)、加工シート(13)、 ΡΤΡ (13)を得た。
得られた加工シート(13)の耐油性及び ΡΤΡ (13)のポケットのブリスター成形性を 評価した。評価結果を第 9表に示す。
また、多層シート (4)の水蒸気バリア性の測定結果を第 9表に併せて示す。
[0620] [表 7]
第 7 表
開環重合体水素化物
単層
シート 水素添加率 異性化率 融点 番号 組成 M w M w/M n
(%) (%) (¾) 実施例 21 A 1 NB 100 82200 2.9 99.9 5 140 実施例 22 B 11 NB扉 =98/2 100000 2.9 99.9 8 136 実施例 23 C 1 12 NB扉 =96/4 80000 2.9 99.9 8 133 実施例 24 D 14 NB/ NB = 91/9 98800 3.8 99.9 7 114 実施例 25 E 13 NB/DCP = 99/1 160000 1.8 99.9 0 139 実施例 26 F 15 NB/DCP = 96/4 81300 3.8 99.9 9 134 実施例 27 G 8 NB 100 64200 1.3 99.75 0 143 比較例 12 H 1 19 DCP 100 53000 3.6 99.9 - - 比較例 13 I 17 NB/TCD=89/11 315000 4.9 99.0 9 100 比較例 14 J 7 DCP 100 一 - 一 273
舊〔聖
第 8 表
*) P P=ポリプロピレン、 P E=ポリエチレン、 N y ==ナイロン
[0623] 第 8、 9表より、実施例 2;!〜 27、及び実施例 28〜30のブリスター用成形シート(単 層シート (A)〜(G)、及び多層シート(1)〜(3) )は、温度 40°C、湿度 90%RHの条 件下での透湿度が 0. 21〔g/ (m2 ' 24h)〕以下であり、また、温度 50°C、湿度 90%R Hの条件下での透湿度が 0. 36〔g/ (m2 ' 24h)〕以下であり、水蒸気バリア性、特に 高温時の水蒸気バリア性に優れていた。一方、比較例 12〜; 15のブリスター成形用シ ート(単層シート(HI)〜(J)、及び多層シート(4) )は、温度 40°C、湿度 90%RHの 条件下での透湿度が 0. 31 -0. 45g/ (m2.24h)であり、また、温度 50°C、湿度 90 %RHの条件下での透湿度が 0. 64- 1. 0g/ (m2 ' 24h)であり、水蒸気バリア性、 特に高温時の水蒸気バリア性に劣っていた。
[0624] また、実施例 2;!〜 27、及び実施例 28〜30の PTP (1)〜(; 10)、比較例 12、 15の PTP (11)、 (13)のポケットつぶれは 100個中 10個以下であり、ブリスター成形性に 優れていた。一方、比較例 13の ΡΤΡ (12)のポケットつぶれは 100個中 83個であり、 ブリスター成形性に劣ってレ、た。
[0625] さらに、実施例 2;!〜 27、及び実施例 28〜30の加工シート(1)〜(; 10)、比較例 2 の加工シート(12)の耐油性は、白化が起こるまでの時間が 4日後以降であり、耐油 性に優れていた。一方、比較例 12の加工シート(11)の耐油性は、白化が起こるまで の時間が 1時間以内であり、耐油性に劣つて!/、た。
一方、単層シート (J)にいたつては、融点が非常に高ぐブリスター成形することがで きなかった。
以上より、本発明のブリスター用成形シート、及びプリスター成形体は、水蒸気バリ ァ性、特に高温時の水蒸気バリア性に優れ、ブリスター成形性に優れ、かつ耐油性 に優れるものである。
[0626] [フィルム製造例 1]
ペレット製造例 1で得たペレット(Α)を、スクリュー径 20mm φ、圧縮比 3· 1、 L/D = 30のスクリューを備えたハンガーマニュホールドタイプの Τダイ式フィルム溶融押 出成形機 (据置型、 GSIクレオス社製)を使用して以下の条件で Τダイ成形を行い、 単層フィルム(Α) (厚み 30 μ m)を得た。
[0627] (成形条件)
ダイリップ :0. 8mm、
溶融樹脂温度 :180°C、
Tダイの幅 : 300mm,
冷却ロール :120°C
キャストロール: 130°C
[0628] [フィルム製造例 2]
ペレット製造例 2で得たペレット(B)を、スクリュー径 20mm φ、圧縮比 3. 1、 L/D = 30のスクリューを備えたハンガーマニュホールドタイプの Tダイ式フィルム溶融押 出成形機 (据置型、 GSIクレオス製)を使用して以下の条件で Tダイ成形を行い、単 層フィルム(B) (厚み 30 m)を得た。
[0629] (成形条件)
ダイリップ : 0. 8mm、
溶融樹脂温度 :180°C、
Tダイの幅 : 300mm,
冷却ロール :120°C
キャストロール: 130°C
[0630] [フィルム製造例 3]
ペレット製造例 3で得たペレット(C)を、スクリュー径 20mm φ、圧縮比 3. 1、 L/D = 30のスクリューを備えたハンガーマニュホールドタイプの Tダイ式フィルム溶融押 出成形機 (据置型、 GSIクレオス社製)を使用して以下の条件で Tダイ成形を行い、 単層フィルム(C) (厚み 30 H m)を得た。
[0631] (成形条件)
ダイリップ : 0. 8mm,
溶融樹脂温度 :180°C、
Tダイの幅 : 300mm,
冷却ロール :120°C
キャストロール: 130°C
[0632] [フィルム製造例 4]
ペレット製造例 4で得たペレット(D)を、スクリュー径 20mm φ、圧縮比 3· 1、 L/D = 30のスクリューを備えたハンガーマニュホールドタイプの Τダイ式フィルム溶融押 出成形機 (据置型、 GSIクレオス社製)を使用して以下の条件で Τダイ成形を行い、 単層フィルム(D) (厚み 30 μ m)を得た。
[0633] (成形条件)
ダイリップ : 0. 8mm、
溶融樹脂温度 :170°C、
Tダイの幅 : 300mm,
冷却ロール :100°C
キャストロール: 110°C
[0634] [フィルム製造例 5]
ペレット製造例 5で得たペレット(E)を、スクリュー径 20mm φ、圧縮比 3. 1、 L/D = 30のスクリューを備えたハンガーマニュホールドタイプの Tダイ式フィルム溶融押 出成形機 (据置型、 GSIクレオス社製)を使用して以下の条件で Tダイ成形を行い、 単層フィルム(E) (厚み 30 μ m)を得た。
[0635] (成形条件)
ダイリップ : 0. 8mm、
溶融樹脂温度 :180°C、
Tダイの幅 : 300mm,
冷却ロール :120°C
キャストロール: 130°C
[0636] [フィルム製造例 6]
ペレット製造例 6で得たペレット(F)を、スクリュー径 20mm 、圧縮比 3. 1、 L/D = 30のスクリューを備えたハンガーマニュホールドタイプの Tダイ式フィルム溶融押 出成形機 (据置型、 GSIクレオス社製)を使用して以下の条件で Tダイ成形を行い、 単層フィルム(F) (厚み 30 μ m)を得た。
[0637] (成形条件)
ダイリップ : 0. 8mm、
溶融樹脂温度 :180°C、
Tダイの幅 : 300mm,
冷却ロール :120°C
キャストロール: 130°C
[0638] [フィルム製造例 7]
ペレット製造例 7で得たペレット(G)を、スクリュー径 20mm φ、圧縮比 3· 1、 L/D = 30のスクリューを備えたハンガーマニュホールドタイプの Τダイ式フィルム溶融押 出成形機 (据置型、 GSIクレオス社製)を使用して以下の条件で Τダイ成形を行い、 単層フィルム(G1) (厚さ 30 μ m)、単層フィルム(G2) (厚さ 50 μ m)を得た。
[0639] (成形条件)
ダイリップ : 0. 8mm、
溶融樹脂温度 :180°C、
Tダイの幅 : 300mm,
冷却ロール :120°C
キャストロール: 130°C
[0640] [フィルム製造例 8]
比較例 3で得られた開環重合体水素化物(9) 100重量部に酸化防止剤 A 0. 1重 量部を加え、 2軸混練機 (TEM35B、東芝機械製)で混練し、ペレット化してペレット (K)を得た。
[0641] (フィルム成形)
ペレット(K)を、スクリュー径 20mm φ、圧縮比 2· 5、 L/D = 30のスクリューを備え たハンガーマニュホールドタイプの Tダイ式フィルム溶融押出成形機(据置型、 GSIク レオス社製)を使用して以下の条件で Tダイ成形を行い、単層フィルム(H) (厚み 30 μ m)を得た。
[0642] (成形条件)
ダイリップ : 0. 8mm、
溶融樹脂温度 :250°C、
Tダイの幅 : 300mm,
冷却ロール :125°C
キャストローノレ: 135°C
[0643] [フィルム製造例 9]
ペレット製造例 9で得たペレット(I)を、スクリュー径 20mm φ、圧縮比 3. 1、 L/D = 30のスクリューを備えたハンガーマニュホールドタイプの Tダイ式フィルム溶融押 出成形機 (据置型、 GSIクレオス社製)を使用して以下の条件で Tダイ成形を行い、 単層フィルム(I) (厚さ 30 μ m)を得た。
[0644] (成形条件)
ダイリップ : 0. 8mm、
溶融樹脂温度 :150°C、
Tダイの幅 : 300mm,
冷却ロール :80°C
キャストロール: 90°C
[0645] [フィルム製造例 10]
ペレット製造例 10で得たペレット (J)を、スクリュー径 20mm φ、圧縮比 3. 1、 L/D = 30のスクリューを備えたハンガーマニュホールドタイプの Tダイ式フィルム溶融押 出成形機 (据置型、 GSIクレオス社製)を使用して以下の条件で Tダイ成形を行い、 単層フィルム (J) (厚さ 30 111)を得た。ペレット (J)を成形するには高温とする必要が あり、得られた単層フィルムは樹脂焼けに起因する着色が見られた。
[0646] (成形条件)
ダイリップ : 0. 8mm、
溶融樹脂温度 :310°C、
Tダイの幅 : 300mm,
冷却ロール :220°C
キャストロール: 230°C
[0647] フィルム製造例 1〜; 10で得た単層フィルム (A)〜 (J)の製造に用いた開環重合体 水素化物の重量平均分子量、分子量分布、融点、異性化率を第 10表にまとめた。
[0648] [表 10]
第 10 表
[0649] [実施例 31]
エチレン 32%のエチレン一ビュルアルコール共重合体フィルム(エバール?、クラレ 社製、厚み 15 πι)の片面にウレタン系接着剤(タケネート/タケラック、三井武田ケ ミカル社製)を介して単層フィルム (Α)を貼り付け、温度 70°Cにお!/、て接着させて多 層フィルム(1) (総厚み 50 111)を得た。得られた多層フィルム(1)の水蒸気バリア性
、耐油性試験を評価した。結果を第 11表に示す。
[0650] 得られた多層フィルム(1)を 20cm角の正方形にカットし、カットした多層フィルム(1
)を 2枚用い、それぞれのエチレン ビュルアルコール共重合体フィルム層同士を向 い合せに重ね、ホットメルト接着剤(ァロンメルト PPET、東亞合成社製)を接着層とし てヒートシールテスター(TP— 701— B、テスター産業社製)を用いて 190°C、 0. 2M
Pa、 2秒の条件で三辺をヒートシールして袋(1)を作製した。
[0651] 袋(1)に 5%の食塩水を 70ml入れ、開口している一辺を上記条件でヒートシールし
、食塩水パック(1)を得た。得られた食塩水パック(1)に割れ、びび、シール不足等 の不良はなかった。得られた食塩水パック(1)の耐衝撃性の評価を行った。結果を第
11表に示す。
[0652] [実施例 32]
単層フィルム (A)の代わりに単層フィルム(B)を用いた以外は実施例 31と同様にし て多層フィルム(2)、袋(2)、食塩水パック(2)を得た。得られた食塩水パック(2)に 割れ、びび、シール不足等の不良はなかった。
得られた多層フィルム(2)の水蒸気ノ リア性、耐油性試験、及び食塩水パック(2) の耐衝撃性の評価を行った。結果を第 11表に示す。
[0653] [実施例 33]
単層フィルム (A)の代わりに単層フィルム(C)を用いた以外は実施例 31と同様にし て多層フィルム(3)、袋(3)、食塩水パック(3)を得た。得られた食塩水パック(3)に 割れ、びび、シール不足等の不良はなかった。
得られた多層フィルム(3)の水蒸気ノ リア性、耐油性試験、及び食塩水パック(3) の耐衝撃性の評価を行った。結果を第 11表に示す。
[0654] [実施例 34]
単層フィルム (A)の代わりに単層フィルム(D)を用いた以外は実施例 31と同様にし て多層フィルム(4)、袋 (4)、食塩水パック (4)を得た。得られた食塩水パック (4)に 割れ、びび、シール不足等の不良はなかった。
得られた多層フィルム(4)の水蒸気バリア性、耐油性試験、及び食塩水パック (4) の耐衝撃性の評価を行った。結果を第 11表に示す。
[0655] [実施例 35]
単層フィルム (A)の代わりに単層フィルム(E)を用いた以外は実施例 35と同様にし て多層フィルム(5)、袋(5)、食塩水パック(5)を得た。得られた食塩水パック(5)に 割れ、びび、シール不足等の不良はなかった。
得られた多層フィルム(5)の水蒸気ノ リア性、耐油性試験、及び食塩水パック(5) の耐衝撃性の評価を行った。結果を第 11表に示す。
[0656] [実施例 36]
単層フィルム (A)の代わりに単層フィルム(F)を用いた以外は実施例 31と同様にし て多層フィルム(6)、袋(6)、食塩水パック(6)を得た。得られた食塩水パック(6)に 割れ、びび、シール不足等の不良はなかった。
得られた多層フィルム(6)の水蒸気ノ リア性、耐油性試験、及び食塩水パック(6) の耐衝撃性の評価を行った。結果を第 11表に示す。
[0657] [実施例 37]
ペレット(C)と、融点 126°C、密度 0· 937g/cm3の直鎖状低密度ポリエチレン (ュ メリット 4040F、宇き興産社製)を、スクリュー径 20mm φ、圧縮匕 3· 1、 L/D = 30 のスクリューを備えたハンガーマニュホールドタイプの Tダイ式フィルム溶融押出成形 機 (据置型、 GSIクレオス社製)を使用して以下の条件で 2層 Τダイ成形を行い、多層 フィルム(7) (総厚み: 50 m、各層の厚み:ペレット(C) /直鎖状低密度ポリエチレ ン = 30/20 a m)を得た。
[0658] (成形条件)
ダイリップ :0. 8mm
(ペレット (C) )溶融樹脂温度 :180°C
(直鎖状低密度ポリエチレン)溶融樹脂温度: 180°C
Tダイの幅 : 300mm
冷却ロール :110°C
キャストローノレ : 120°C
[0659] 得られた多層フィルム(7)の水蒸気バリア性、耐油性試験を評価した。結果を第 11 kに小 。
得られた多層フィルム(7)を 20cm角の正方形にカットし、カットした多層フィルム(7 )を 2枚用い、それぞれの直鎖状低密度ポリエチレン層同士を向い合せに重ね、ヒー トシ一ルテスター(TP— 701— B、テスター産業社製)を用いて 190°C、 0. 2MPa、 2 秒の条件で三辺をヒートシールして袋(7)を作製した。
[0660] 袋(7)に 5%の食塩水を 70ml入れ、開口している一辺を上記条件でヒートシールし 、食塩水パック(7)を得た。得られた食塩水パック(7)に割れ、びび、シール不足等 の不良はなかった。得られた食塩水パック(7)の耐衝撃性の評価を行った。結果を第 11表に示す。
[0661] [実施例 38]
上記で得た単層フィルム(C)の片面にウレタン系接着剤(タケネート/タケラック、 三井武田ケミカル社製)を介して、二軸延伸ナイロンフィルム (ノヽーデンフィルム、東 洋紡社製、厚み 15 m)を貼り付け、温度 70°Cにおいて接着させて多層フィルム(8 ) (総厚み 50 111)を得た。得られた多層フィルム(8)の水蒸気バリア性、耐油性試験 を評価した。結果を第 11表に示す。
[0662] 得られた多層フィルム(8)を 20cm角の正方形にカットし、カットした多層フィルム(8 )を 2枚用い、それぞれのペレット(C)層同士を向い合せに重ね、ヒートシールテスタ 一(TP— 701— B、テスター産業社製)を用いて 190°C、 0. 2MPa、 2秒の条件で三 辺をヒートシールして袋(8)を作製した。
[0663] 袋(8)に 5%の食塩水を 70ml入れ、開口している一辺を上記条件でヒートシールし 、食塩水パック(8)を得た。得られた食塩水パック(8)に割れ、びび、シール不足等 の不良はなかった。得られた食塩水パック(8)の耐衝撃性の評価を行った。結果を第 11表に示す。
[0664] [実施例 39]
単層フィルム(C)の代わりに単層フィルム(G1)を用いた以外は実施例 38と同様に して多層フィルム(9)、袋(9)、食塩水パック(9)を得た。得られた食塩水パック(9)に 割れ、びび、シール不足等の不良はなかった。
得られた多層フィルム(9)の水蒸気ノ リア性、耐油性試験、及び食塩水パック(9) の耐衝撃性の評価を行った。結果を第 11表に示す。
[0665] [比較例 16]
単層フィルム (A)の代わりに単層フィルム(H)を用いた以外は実施例 31と同様にし て多層フィルム(10)、袋(10)、食塩水パック(10)を得た。得られた食塩水パック(1
0)に割れ、びび、シール不足等の不良はなかった。
得られた多層フィルム(10)の水蒸気ノ リア性、耐油性試験、及び食塩水パック(10 )の耐衝撃性の評価を行った。結果を第 11表に示す。
[0666] [比較例 17]
単層フィルム (A)の代わりに単層フィルム(I)を用いた以外は実施例 31と同様にし て多層フィルム( 11 )、袋( 11 )、食塩水パック(11)を得た。得られた食塩水パック( 1
1)に割れ、びび、シール不足等の不良はなかった。
得られた多層フィルム(11)の水蒸気ノ リア性、耐油性試験、及び食塩水パック(12 )の耐衝撃性の評価を行った。結果を第 11表に示す。
[0667] [比較例 18]
単層フィルム (A)の代わりに単層フィルム (J)を用いた以外は実施例 31と同様にし て多層フィルム(12)を得た。袋(12)、食塩水パック(12)を得た。得られた食塩水パ ック(12)に割れ、びび、シール不足等の不良はなかった。
得られた多層フィルム(12)の水蒸気ノ リア性、耐油性試験の評価を行った。結果 を第 11表に示す。
[0668] [比較例 19]
多層フィルム(1)の代わりに単層フィルム(G2)を用いた以外は実施例 31と同様に して袋(13)、食塩水パック(13)を得た。得られた食塩水パック(13)に割れ、びび、 シール不足等の不良はなかった。
得られた単層フィルム(G2)の水蒸気ノ リア性、耐油性試験、及び食塩水パック(1
3)の耐衝撃性の評価を行った。結果を第 11表に示す。
[0669] なお、第 11表中、略号は以下の意味を表す。
「EV」:エチレン'ビュルアルコール共重合体フィルムの層
「AD」:ウレタン系接着剤層
A〜F、 Gl、 G2、 H〜K :ノルボルネン系開環重合体水素化物の層
[LPE]:直鎖状低密度ポリエチレンの層
「NY」:ニ軸延伸ナイロンフィルムの層
[0670] [表 11]
第 11表より、実施例 3;! 39の多層フィルム (多層体)、及び比較例 19の単層フィル ムは、優れた水蒸気バリア性を有していた。一方、比較例 16〜: 18の多層フィルムは 水蒸気バリア性に劣って 、た。
また、実施例 3;! 39の多層フィルム、及び比較例 17 18の多層フィルム、比較例 19の単層フィルムは、耐油性に優れていた。一方、比較例 16の多層フィルムは耐油 十生に劣っていた。
さらには、実施例 3;!〜 39の食塩水パック (包装体)は優れた耐衝撃性を有していた 。一方、比較例 16〜; 19の食塩水パックは耐衝撃性に劣っていた。
[0672] [実施例 40]
上記で得た多層フィルム(1)を A4サイズに 2枚カットし、エチレン—ビュルアルコー ル共重合体フィルム層同士を向い合せに重ね、ホットメルト接着剤(ァロンメルト PPE T、東亞合成社製)を接着層としてヒートシールテスター(TP— 701— Β、テスター産 業社製)を用いて 190°C、 0. 2MPa、 2秒の条件で四辺をヒートシールして袋を作成 した。得られた袋を沸騰したお湯で 30分ボイルした後、中央部の 15cm角をカットし、 ボイルフィルム(1)を得た。
得られた多層フィルム(1)とボイルフィルム(1)のガスバリア性を評価した。結果を第 12表に示す。
[0673] [実施例 41]
多層フィルム(1)の代わりに多層フィルム(3)を用いた以外は実施例 40と同様にし て、ボイルフィルム(2)を得た。
多層フィルム(3)とボイルフィルム(2)のガスバリア性を評価した。結果を第 12表に 示す。
[0674] [実施例 42]
多層フィルム(1)の代わりに多層フィルム(6)を用いた以外は実施例 40と同様にし て、ボイルフィルム(3)を得た。
多層フィルム(6)とボイルフィルム(3)のガスバリア性を評価した。結果を第 12表に 示す。
[0675] [比較例 20]
多層フィルム(1)の代わりに多層フィルム(10)を用いた以外は実施例 40と同様に して、ボイルフィルム(4)を得た。
多層フィルム(10)とボイルフィルム(4)のガスバリア性を評価した。結果を第 12表 に示す。
[0676] [比較例 21]
多層フィルム(1)の代わりに多層フィルム(11)を用いた以外は実施例 40と同様に
して、ボイルフィルム(5)を得た。
多層フィルム(11)とボイルフィルム(5)のガスバリア性を評価した。結果を第 12表 に示す。
[0677] [比較例 22]
多層フィルム(1)の代わりに、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(パイレンフィルム OT 、東洋紡社製、厚み 30 m)を用いた以外は実施例 40と同様にして多層フィルム(1 3)、ボイルフィルム(6)を得た。
得られた多層フィルム(13)とボイルフィルム(6)のガスバリア性を評価した。結果を 第 12表に示す。
[0678] [表 12] 第 1 2 表
[0679] 第 12表より、実施例 40〜42のガスバリア性樹脂層を有する多層フィルムは、ボイル 前及びボイル後において、優れたガスバリア性を有していた。一方、比較例 20〜22 のガスバリア性樹脂層を有する多層フィルムは、ボイル前にお!/、ては優れたガスバリ ァ性を有していたが、ボイル後においては、ガスバリア性が劣るものとなっていた。
[0680] [実施例 43]
実施例 1で得られた開環重合体水素化物(1) 100重量部に、酸化防止剤(チパガ ィギ一社製;ィルガノックス 1010、テトラキス〔メチレン- 3- (3,, 5,一ジ一 tert—ブチ ルー 4'ーヒドロキシフエニル)プロピオネート〕メタン) 0. 1重量部を加え、 2軸混練機( TEM35、東芝機械社製)で混練し、ペレット化し、樹脂組成物 (A2)を得た。
[0681] (ブロー成形容器の成形)
上記ペレットを、延伸ブロー成形機(日精エーエスビー機械社製)を用いて、先ず、 シリンダー温度 200°C、射出金型温度 60°Cで射出成形してプリフォームを作製し、 次いで、プリフォームの加熱ポット温度 100°C、ブロー圧 0. 5MPa、ブロー金型温度 60°Cでブロー成形して、縦方向の延伸倍率 yが 2. 3倍、横方向の延伸倍率 Xが 2. 1 倍、縦 60mm X横 60mm X高さ 180mm、厚み lmmの単層の延伸ブロー成形容器 (A3)を作製した。
[0682] ブロー成形容器の底部から高さ 60mmの側面部の点を中心点として、左右 25mm 幅、上下 50mm幅となるように、ブロー成形容器 (A3)力も胴部を切断し、横 50mm X高さ 100mm X厚さ lmmの板 (A4)を得た。得られた板 (A4)の水蒸気バリア性と ヘイズを測定した。結果を第 13表、第 14表に示す。
[0683] [実施例 44]
実施例 10で得られた開環重合体水素化物(15) 100重量部に、酸化防止剤(チバ ガイギ一社製;ィルガノックス 1010、テトラキス〔メチレン一 3— (3 ' , 5 '—ジ一 tert - ブチルー 4 'ーヒドロキシフエニル)プロピオネート〕メタン) 0. 1重量部を加え、 2軸混 練機 (TEM35、東芝機械社製)で混練し、ペレット化し、樹脂組成物(B2)を得た。
[0684] (ブロー成形容器の成形)
このペレットを、延伸ブロー成形機(日精エーエスビー機械社製)を用いて、先ず、 シリンダー温度 200°C、射出金型温度 60°Cで射出成形してプリフォームを作製し、 次いで、プリフォームの加熱ポット温度 100°C、ブロー圧 0. 5MPa、ブロー金型温度 60°Cでブロー成形して、縦方向の延伸倍率 yが 2. 3倍、横方向の延伸倍率 Xが 2. 1 倍、縦 60mm X横 60mm X高さ 180mm、厚み lmmの単層の延伸ブロー成形容器 (B3)を作製した。
[0685] ブロー成形容器の底部から高さ 60mmの側面部の点を中心点として、左右 25mm 幅、上下 50mm幅となるように、ブロー成形容器 (B3)力も胴部を切断し、横 50mm X高さ 100mm X厚さ lmmの板(B4)を得た。得られた板(B4)の水蒸気バリア性と ヘイズを測定した。結果を第 13表、第 14表に示す。
[0686] [実施例 45]
実施例 5で得られた開環重合体水素化物(5) 100重量部に、酸化防止剤(チパガ ィギ一社製;ィルガノックス 1010、テトラキス〔メチレン一 3— (3 ' , 5 '—ジ一 tert -ブ チルー 4 'ーヒドロキシフエニル)プロピオネート〕メタン) 0. 1重量部を加え、 2軸混練 機 (TEM35、東芝機械社製)で混練し、ペレット化し、樹脂組成物(C2)を得た。
[0687] (ブロー成形容器の成形)
このペレットを、延伸ブロー成形機(日精エーエスビー機械社製)を用いて、シリンダ 一温度 210°C、射出金型温度 60°Cで射出成形し、加熱ポット温度 100°C、ブロー圧 lMPa、ブロー金型温度 60°Cでブロー成形し、縦方向の延伸倍率 (y) 2. 3倍、横方 向の延伸倍率(X) 2. 1倍、縦 60mm X横 60mm X高さ 180mm (厚さ lmm)のブロ 一成形容器 (C3)を作成した。
[0688] ブロー成形容器の底部から高さ 60mmの側面部の点を中心点として、左右 25mm 幅、上下 50mm幅となるように、ブロー成形容器(C3)力も側面部を切断し、横 50m m X高さ lOOmm X厚さ lmmの板(C4)を得た。得られた板(C4)の水蒸気バリア性 とヘイズを測定した。結果を第 13表、第 14表に示す。
[0689] [実施例 46]
参考例 1で得られた開環重合体水素化物(8) 100重量部に、酸化防止剤(チパガ ィギ一社製;ィルガノックス 1010、テトラキス〔メチレン- 3- (3,, 5,一ジ一 tert—ブチ ルー 4 'ーヒドロキシフエニル)プロピオネート〕メタン) 0. 1重量部を加え、 2軸混練機( TEM35、東芝機械製)で混練し、ペレット化し、樹脂組成物(D2)を得た。
[0690] (ブロー成形容器の成形)
このペレットを、延伸ブロー成形機(日精エーエスビー機械社製)を用いて、先ず、 シリンダー温度 200°C、射出金型温度 60°Cで射出成形してプリフォームを作製し、 次いで、プリフォームの加熱ポット温度 100°C、ブロー圧 0. 5MPa、ブロー金型温度 60°Cでブロー成形し、縦方向の延伸倍率 yが 2. 3倍、横方向の延伸倍率 Xが 2. 1倍 、縦 60mm X横 60mm X高さ 180mm、厚み lmmの単層の延伸ブロー成形容器( D3)を作製した。
[0691] ブロー成形容器の底部から高さ 60mmの側面部の点を中心点として、左右 25mm 幅、上下 50mm幅となるように、ブロー成形容器 (D3)力も胴部を切断し、横 50mm
X高さ 100mm X厚さ lmmの板(D4)を得た。得られた板(D4)の水蒸気バリア性と ヘイズを測定した。結果を第 13表、第 14表に示す。
[0692] [実施例 47]
実施例 6で得られた開環重合体水素化物(11) 100重量部に、酸化防止剤(チバ ガイギ一社製;ィルガノックス 1010、テトラキス〔メチレン一 3— (3' , 5'—ジ一 tert - ブチルー 4'ーヒドロキシフエニル)プロピオネート〕メタン) 0. 1重量部を加え、 2軸混 練機 (TEM35、東芝機械社製)で混練し、ペレット化し、樹脂組成物(E2)を得た。
[0693] (ブロー成形容器の成形)
このペレットを、延伸ブロー成形機(日精エーエスビー機械社製)を用いて、先ず、 シリンダー温度 200°C、射出金型温度 60°Cで射出成形してプリフォームを作製し、 次いで、プリフォームの加熱ポット温度 100°C、ブロー圧 0. 5MPa、ブロー金型温度 60°Cでブロー成形して、縦方向の延伸倍率 yが 2. 3倍、横方向の延伸倍率 Xが 2. 1 倍、縦 60mm X横 60mm X高さ 180mm、厚み lmmの単層の延伸ブロー成形容器 (E3)を作製した。
[0694] ブロー成形容器の底部から高さ 60mmの側面部の点を中心点として、左右 25mm 幅、上下 50mm幅となるように、ブロー成形容器 (E3)力も胴部を切断し、横 50mm X高さ 100mm X厚さ lmmの板(E4)を得た。得られた板(E4)の水蒸気バリア性と ヘイズを測定した。結果を第 13表及び第 14表に示す。
[0695] [実施例 48]
(ブロー成形容器の成形)
実施例 47で得られたペレット状の樹脂組成物(E2)とポリエチレンテレフタレート (P ET:三菱エンジニアリングプラスチックス社製:商品名ノバペット)から共射出成形して PET/樹脂組成物(E2) /PETの層構成を有する多層プリフォームを作製し、次!/、 で、多層延伸ブロー成形機(日精エーエスビー機械社製)を用いて延伸ブロー成形 して、層構成が外層/内層/外層 = PET/樹脂組成物(E2) /PET 縦 60mmX 横 60mm X高さ 180mm (外層/内層/外層 = 300 μ m/600 μ m/100 μ m)で ある多層の延伸ブロー成形容器 (F3)を作製した。プリフォーム作製時の PETの射出 温度は、 290°Cとした。
[0696] ブロー成形容器の底部から高さ 60mmの側面部の点を中心点として、左右 25mm 幅、上下 50mm幅となるように、ブロー成形容器 (F3)から側面部を切断し、横 50m m X高さ 100mm X厚さ lmmの板(F4)を得た。得られた板(F4)の水蒸気バリア性 とヘイズを測定した。結果を第 13表及び第 14表に示す。
[0697] [実施例 49]
(ブロー成形容器の成形)
多層ブロー成形機 (タハラ社製)を用いて、実施例 5で得られたペレット状の樹脂組 成物(E2)とエチレン 32%のエチレン—ビュルアルコール共重合体(EVOH:エバー ル?、クラレ社製)と接着層にマレイン酸変性ォレフィン系重合体 (モディック、三菱化 学社製)から、層構成が最外層/接着層/ガスバリア層/接着層/最内層 =樹脂 組成物(E2) /接着剤/ EVOH/接着剤/樹脂組成物(E2)で、縦 60mm X横 60 mm X高さ 180mm (最外層/接着層/ガスバリア層/接着層/最内層 = 500 ^ 111 /20 a m/60 a m/20 μ m/400 μ m)となる多層の延伸ブロー成形容器(G3)を 作製した。
[0698] 延伸ブロー成形容器の底部から高さ 60mmの側面部の点を中心点として、左右 25 mm幅、上下 50mm幅となるように、ブロー成形容器 (G3)力も胴部を切断し、横 50 mm X高さ 100mm X厚さ lmmの板(G4)を得た。得られた板(G4)の水蒸気バリア 性とヘイズを測定した。結果を第 13表及び第 14表に示す。
[0699] [比較例 23]
窒素雰囲気下、攪拌機付きオートクレーブに、 70重量%の 2—ノルボルネンのトル ェン溶液 33. 4重量部、ジシクロペンタジェン 2. 86重量部と 1一へキセン 0. 020重 量部、シクロへキサン 49. 3部を加えて攪拌した。続いてビス(トリシクロへキシルホス フィン)ベンジリジンルテニウム(IV)ジクロリド 0· 023重量部を 8. 6重量部のトルエン に溶解した溶液を加えて、 60°Cにて 30分間反応させた。重合転化率は、ほぼ 100 %であった。得られた開環重合体(25)の重量平均分子量 Mwは、 81 , 000で、分子 量分布 Mw/Mnは、 3. 6であった。
[0700] (水素化反応)
上記で得た重合溶液にェチルビュルエーテル 0. 020重量部を加えて攪拌した後
、水素圧力 1. 0MPa、 150°Cで 20時間水素化反応を行なった。その後、室温まで 冷却させ、活性炭粉末 0. 5重量部をシクロへキサン 10重量部に懸濁させた溶液を 添加し、水素圧力 1. 0MPa、 150°Cで 2時間反応させた。次いで、反応液を孔径 0. 2 111のフィルターでろ過し、活性炭粉末を除去した。反応溶液を大量のイソプロパノ ールに注いでポリマーを完全に析出させ、ろ別して回収した。さらに、アセトンで洗浄 した後、 0. 13 X 103Pa以下、 100°Cに設定した減圧乾燥器中で 48時間乾燥し、開 環重合体水素化物(20)を得た。
[0701] (重合体物性)
得られた開環重合体水素化物(20)の水素添加率は 99. 9%、重量平均分子量 M wは 85, 000、分子量分布 Mw/Mnは 3. 9、異性化率は 0%、融点は 101°Cであつ た。
[0702] (樹脂組成物の調製)
開環重合体水素化物(20) 100重量部に、酸化防止剤(チバガイギ一社製;ィルガ ノックス 1010、テトラキス〔メチレン一 3— (3,, 5,一ジ一 tert—ブチノレ一 4,ーヒドロキ シフエニル)プロピオネート〕メタン) 0. 1重量部を加え、 2軸混練機で混練し、ペレット 化し、樹脂組成物 (H2)を得た。
[0703] (ブロー成形容器の成形)
このペレットを、延伸ブロー成形機(日精エーエスビー機械社製)を用いて、先ず、 シリンダー温度 200°C、射出金型温度 60°Cで射出成形してプリフォームを作製し、 次いで、プリフォームの加熱ポット温度 100°C、ブロー圧 0. 5MPa、ブロー金型温度 60°Cでブロー成形し、縦方向の延伸倍率 yが 2. 3倍、横方向の延伸倍率 Xが 2. 1倍 、縦 60mm X横 60mm X高さ 180mm、厚み lmmの単層の延伸ブロー成形容器( H3)を作製した。
[0704] ブロー成形容器の底部から高さ 60mmの側面部の点を中心点として、左右 25mm 幅、上下 50mm幅となるように、ブロー成形容器 (H3)力も胴部を切断し、横 50mm X高さ 100mm X厚さ lmmの板(H4)を得た。得られた板(H4)の水蒸気バリア性と ヘイズを測定した。結果を第 13表、第 14表に示す。
[0705] [比較例 24]
比較例 3で得られた開環重合体水素化物(9) 100重量部に、酸化防止剤(チパガ ィギ一社製;ィルガノックス 1010、テトラキス〔メチレン- 3- (3,, 5,一ジ一 tert—ブチ ルー 4 'ーヒドロキシフエニル)プロピオネート〕メタン) 0. 1重量部を加え、 2軸混練機( TEM35、東芝機械社製)で混練し、ペレット化し、樹脂組成物(12)を得た。
[0706] (ブロー成形容器の成形)
このペレットを、延伸ブロー成形機(日精エーエスビー機械社製)を用いて、先ず、 シリンダー温度 300°C、射出金型温度 120°Cで射出成形してプリフォームを作製し、 次いで、プリフォームの加熱ポット温度 250°C、ブロー圧 0. 5MPa、ブロー金型温度 120°Cでブロー成形し、縦方向の延伸倍率 yが 2. 3倍、横方向の延伸倍率 Xが 2. 1 倍、縦 60mm X横 60mm X高さ 180mm、厚み lmmの単層の延伸ブロー成形容器 (13)を作製した。
[0707] ブロー成形容器の底部から高さ 60mmの側面部の点を中心点として、左右 25mm 幅、上下 50mm幅となるように、ブロー成形容器 (13)力も側面部を切断し、横 50mm X高さ 100mm X厚さ lmmの板(14)を得た。得られた板(14)の水蒸気バリア性とへ ィズを測定した。結果を第 13表及び第 14表に示す。
[0708] [比較例 25]
比較例 5で得られた開環重合体水素化物(16) 100重量部に、酸化防止剤(チバ ガイギ一社製;ィルガノックス 1010、テトラキス〔メチレン一 3— (3 ' , 5 '—ジ一 tert - ブチルー 4 'ーヒドロキシフエニル)プロピオネート〕メタン) 0. 1重量部を加え、 2軸混 練機 (TEM35、東芝機械製)で混練し、ペレット化し、樹脂組成物 (J2)を得た。
[0709] このペレットを、延伸ブロー成形機(日精エーエスビー機械社製)を用いて、先ず、 シリンダー温度 200°C、射出金型温度 60°Cで射出成形してプリフォームを作製し、 次いで、プリフォームの加熱ポット温度 100°C、ブロー圧 0. 5MPa、ブロー金型温度 60°Cでブロー成形し、縦方向の延伸倍率 yが 2. 3倍、横方向の延伸倍率 Xが 2. 1倍 、縦 60mm X横 60mm X高さ 180mm、厚み lmmの単層の延伸ブロー成形容器 (J 3)を作製した。
[0710] ブロー成形容器の底部から高さ 60mmの側面部の点を中心点として、左右 25mm 幅、上下 50mm幅となるように、ブロー成形容器 (J3)力も胴部を切断し、横 50mm X
高さ 100mm X厚さ lmmの板 (J4)を得た。得られた板 t!4)の水蒸気バリア性とヘイ ズを測定した。結果を第 13表及び第 14表に示す。
[表 13]
第 14 表
[0713] 第 13表及び第 14表より、実施例 43 49の延伸ブロー成形容器の透湿度は、 0. 0 45g/(m2'24h)以内であり、水蒸気バリアー性に優れていた。
比較例 26の延伸ブロー成形容器の透湿度は 0.050g/(m2'24h)であり、水蒸気 ノ リア性が少し劣っていた。
一方、比較例 23及び 25の延伸ブロー成形容器の透湿度は 0.080g/(m2-24h) を超えており、水蒸気バリアー性に劣っていた。
[0714] 実施例 44 45、及び 47 49の延伸ブロー成形容器、並びに比較例 23の延伸ブ 成形容器は、 lmの高さから 30個の容器を落下しても容器に割れや漏れが観察 されず、落下強度に優れていた。
一方、比較例 24の延伸ブロー成形容器は、落下強度が劣っていた。
[0715] 実施例 43〜45、及び 47〜49の延伸ブロー成形容器、並びに比較例 23及び 25 の延伸ブロー成形容器は、ブロー成形性に優れて!/、た。
実施例 43、 44、及び 46〜49の延伸ブロー成形容器、並びに比較例 23、 24の延 伸ブロー成形容器は、耐油性が顕著に優れていた。比較例 25の延伸ブロー成形容 器は、耐油性に劣っていた。
[0716] 実施例 43〜49の延伸ブロー成形容器は、ヘイズが 20%以下で透明性に優れて おり、特に実施例 48の多層の延伸ブロー成形容器は、ヘイズが 10%以下で透明性 が非常に優れていた。比較例 24の延伸ブロー成形容器は、ヘイズが 50%以上であ り、透明性に劣っていた。
[0717] 以上のことから、実施例 43〜49のブロー成形容器は、近年の情報分野、食品分野
、医療分野、土木分野等において要求される、水蒸気バリア性、機械的強度、加工 性、耐油性、透明性の全ての面で優れているといえる。
[0718] [実施例 50]
実施例 1と同様にして得られた開環重合体水素化物( 1 )の無色透明な溶液に、重 合体固形分 100部当り、酸化防止剤 AO. 1重量部を加え、溶解させた。
[0719] この溶液を金属ファイバー製フィルター(孔径 0. 5 m、ニチダイ社製)にて濾過し た後、ろ液を「ゼータプラスフィルター 30S」(孔径 0. キュノ社製)で濾過し
、さらに、金属ファイバー製フィルター(孔径 0· 2 111、ニチダイ社製)で濾過して異 物を除去した。得られたろ液を予備加熱装置で 200°Cに加熱し、圧力 3MPaで薄膜 乾燥機(日立製作所社製)に連続的に供給した。薄膜乾燥機の運転条件は、圧力 1 3. 4kPa下、内部の濃縮された重合体溶液の温度を 240°Cとした(第一段階乾燥)。
[0720] 次に、濃縮された溶液を、薄膜乾燥機から連続的に導出し、さらに同型の薄膜乾燥 機に温度 240°Cを保ったまま、圧力 1. 5MPaで供給した。運転条件は、圧力 0. 7kP a、温度 240°Cとした (第二段階乾燥)。
[0721] 溶融状態の重合体を、薄膜乾燥機から連続的に導出し、クラス 100のクリーンルー ム内でダイから押し出し、水冷後、ペレタイザ一(OSP— 2、長田製作所社製)でカツ ティングして成形材料 (A)のペレットを得た。
[0722] 得られた成形材料 (A)の有機物放出量、遷移金属含有量を測定した。それらの結
果を第 15表に示す。
[0723] (ウェハーキャリアの作製)
成形材料 (A)を、射出成形機 (ファナック社製)を用いて、シリンダー温度 240°C、 金型温度 120°C、射出速度 50cm3/s、射出圧 1. 47 X 108Pa、保圧 9. 8 X 107Pa 、背圧 6· 9 X 106Paの条件で成形して、図 1に示す 8インチのウェハーキャリア(A)を 作製した。
[0724] 得られたウェハーキャリア (A)の異物増加量、及び耐熱性を評価した。その結果を 第 15表に示す。
[0725] [実施例 51]
実施例 10と同様にして得られた開環重合体水素化物(15)を含む溶液を得た。得 られた開環重合体水素化物(15)の溶液を用い、実施例 50と同様にして成形材料( B)を得た。
得られた成形材料 (B)の有機物放出量、遷移金属含有量を測定した。その結果を 第 15表に示す。
[0726] (ウェハーキャリアの成形)
実施例 50において、成形材料 (A)に代えて成形材料 (B)を用いた以外は、実施 例 50と同様にしてウェハーキャリア(B)を作製した。
得られたウェハーキャリア (B)の異物増加量、及び耐熱性を評価した。その結果を 第 15表に示す。
[0727] [実施例 52]
実施例 6と同様にして開環重合体水素化物(11)を含む溶液を得た。得られた開環 重合体水素化物(11)の溶液を用い、実施例 50と同様にして成形材料 (C)を得た。
[0728] 得られた成形材料 (C)の有機物放出量、遷移金属含有量を測定した。その結果を 第 15表に示す。
[0729] (ウェハーキャリアの成形)
実施例 50において、成形材料 (A)に代えて成形材料 (C)を用いた以外は、実施 例 50と同様にしてウェハーキャリア(C)を作製した。
得られたウェハーキャリア(C)の異物増加量、及び耐熱性を評価した。その結果を
第 15表に示す。
[0730] [比較例 26]
比較例 23と同様にして得られた開環重合体水素化物(20)を含む溶液に、重合体 100重量部当り酸化防止剤 (A) 0. 5重量部を加えた。その後、実施例 50と同様にし て成形材料 (D)を得た。
[0731] 得られた樹脂組成物 (D)の有機物放出量、遷移金属含有量を測定した。その結果 を第 15表に示す。
[0732] (ウェハーキャリアの成形)
実施例 50において、成形材料 (A)に代えて成形材料 (D)を用い、シリンダー温度 を 210°C、金型を温度 80°Cとした以外は、実施例 50と同様にしてウェハーキャリア( D)を作製した。
得られたウェハーキャリア (D)の異物増加量、及び耐熱性を評価した。その結果を 第 15表に示す。
[0733] [比較例 27]
(開環共重合及び水素化反応)
比較例 23において、 2—ノルボルネンの代わりに、 6—メチルー 1 , 4 : 5, 8—ジメタ ノー 1 , 4, 4a, 5, 6, 7, 8, 8a—ォクタヒドロナフタレン(以下「MDO」と略すことがあ る)、 1一へキセン 0. 40重量部とした以外は比較例 23と同様にして重合反応、及び 水素化反応を行い、開環重合体水素化物(21)を得た。
[0734] (重合体物性)
得られた開環重合体水素化物(21)の水素添加率は 99. 9%、重量平均分子量( Mw)は 70, 000、分子量分布(Mw/Mn)は 2. 5、ガラス転移温度は 140°Cであり 、融点は観察されなかった。
[0735] (樹脂組成物の調製)
得られた開環重合体水素化物(21)の溶液を用いて、実施例 50において、第一段 階乾燥における薄膜乾燥機の運転温度を 260°C、第二段階乾燥における薄膜乾燥 機の運転温度を 270°Cにした以外は、実施例 50と同様にして成形材料 (E)を得た。
[0736] 得られた成形材料 (E)の有機物放出量、遷移金属含有量を測定した。その結果を
第 15表に示す。
[0737] (ウェハーキャリアの成形)
実施例 50において、成形材料 (A)に代えて成形材料 (E)を用い、シリンダー温度 を 300°C、金型温度 130°Cとした以外は、実施例 50と同様にしてウェハーキャリア(E )を作製した。
得られたウェハーキャリア (E)の異物増加量、及び耐熱性を評価した。その結果を 第 15表に示す。
[0738] [表 15]
第 15 表
[0739] 第 15表から、実施例 50 52のウェハーキャリアは、耐熱性に優れ、比較例 26, 27 のウェハーキャリアに比べ、有機物放出量が少なぐ異物増加量も少なかった。一方 、比較例 26のウェハーキャリアは、耐熱性に劣っており、比較例 27のウェハーキヤリ ァは、特に異物増加量が多かった。
産業上の利用可能性
[0740] 本発明の開環重合体水素化物及び樹脂組成物は、近年の情報分野、食品分野、 医療分野、土木分野等において要求される、水蒸気バリア性、耐熱性、耐油性、機 械的特性、透明性、加工性の全ての面で優れる成形体の樹脂材料として有用である 本発明の成形体は、耐熱性に優れ、有機物放出性が低ぐ摩擦による異物の発生 が少ないことから、電子用処理用器材として好適に用いることができる。
本発明の樹脂フィルム又はシートは、水蒸気バリア性、耐熱性、耐油性、機械的特 性、透明性、加工性の全ての面で優れるため、情報分野、食品分野、医療分野、土 木分野等において用いられるフィルム又はシートとして有用である。
[0741] 本発明の多層体は、食品分野、医療分野、ディスプレイ分野、エネルギー分野、ェ 業分野のほか、玩具、生活雑貨等の包装材料等に適している。また、本発明の多層 体を二次加工することにより、所望の形状、大きさを有する包装体とすることができる 本発明の医療包装体は、水蒸気バリア性、耐衝撃性が良好であり、輸液バッグ、 P TP (プレススルーパッケージ) シリンジ等の医療関連の容器等として有用である。
[0742] 本発明のブリスター成形体は、例えば、プレススルーパッケージ(PTP)、シリンジ、等 の医療関連、食品用、電気電子部品、半導体部品、プリント配線板等の精密部品、 太陽光発電システム周辺部材、燃料電池周辺部材、アルコール含有燃料系統部材 及びそれらの容器又はプリスターパック等として有用である。
本発明のブロー成形容器は、これらの諸特性を備えているため、近年の情報分野 、食品分野、医療分野、土木分野等における各種容器として好適に利用することが できる。