高度にフッ素化されたノルボルナン構造を有する含フッ素化合物、含フッ 素重合体、および製造方法
技術分野
[0001] 本発明は、高度にフッ素化されたノルボルナン構造を有する新規化合物、該化合 物から得られる含フッ素重合体、およびそれらの製造方法に関する。
背景技術
[0002] 重合性の含フッ素化合物は、透明性、撥水撥油性、耐熱性、離型性、耐薬品性等 の物性に優れた含フッ素重合体を製造するための単量体として有用である。たとえ ば、ポリフルォロアルキル基を有する(メタ)アタリレート(ただし、本明細書において( メタ)アタリレートとは、アタリレートとメタタリレートの総称である。)は、防汚剤、撥水撥 油剤、離型剤等として用いられる含フッ素重合体を製造するための単量体として有用 である。
[0003] 前記含フッ素重合体の物性を改善するために、種々の重合性の含フッ素化合物が 報告されている。たとえば、非環式ペルフルォロアルキル基部分と CH =CC1C (0)
2
o—部分とがノルボルナン構造を介して連結した、下記化合物が報告されている (特 許文献 1参照。)。
[0005] 特許文献 1 :特開 2005— 272741号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0006] しかし、高度にフッ素化されたノルボルナン構造を有する重合性の含フッ素化合物 、および製造方法は知られていない。また該含フッ素化合物から得られる重合体も知 られておらず、重合体の物性も知られていない。
本発明の目的は、新規な重合性のポリフルォロノルボルナン誘導体とその製造方 法、重合性のポリフルォロノルボルナン誘導体を重合させた新規な重合体、および 該含フッ素化合物の製造に有用な中間体を提供することにある。
課題を解決するための手段
[0007] 本発明は、上記の目的を達成すべく鋭意研究を進めた結果なされたものであり、以 下の要旨を有するものである。
[0008] [1] 下式(1)で表される化合物。
[0009] [化 2]
[0010] ただし、式中の記号は下記の意味を示す。
ZA、 ZB、 ZC、 ZDおよび ZE:それぞれ独立に、 CH (— OC (0) CT=CH )―、— C
2
F (-CH OC (0) CT=CH )—または一 CRARB であり、 ZA〜ZEの少なくとも 1つ
2 2
は CH (— OC (0) CT=CH ) または CF (— CH OC (0) CT=CH )—であり
2 2 2
、かつ、 ZA〜ZEの少なくとも 1つは— CRARB である(ただし、 RAおよび RBは、それ ぞれ独立に、フッ素原子、炭素数 1〜16のペルフルォロアルキル基または炭素数 1 〜16のエーテル性酸素原子を含むペルフルォロアルキル基。 Tは、水素原子、フッ 素原子、炭素数 1〜3のアルキル基または炭素数 1〜3のフルォロアルキル基。 ) o
WAおよび WB:それぞれ独立に、フッ素原子、炭素数 1〜16のペルフルォロアルキ ル基または炭素数 1〜 16のエーテル性酸素原子を含むペルフルォロアルキル基。 n: 0、 1または 2。
[0011] [2] 下式(1 A— 1)で表される化合物。
[0013] ただし、式中の記号は下記の意味を示す。
Zr-CHC-OC^CT^CH )—または— CF(— CH OC^CT^CH )— (
2 2 2 ただし、 T1は、水素原子、フッ素原子、メチル基またはトリフルォロメチル基。 )o w1および w2:それぞれ独立に、フッ素原子またはトリフルォロメチル基。
R3および R4:それぞれ独立に、フッ素原子または炭素数 1 16のペルフ ルォロアルキル基。
[0014] [3] 下式で表される化合物力 選ばれる 、ずれかの化合物。
[0016] ただし、 T1は、水素原子、フッ素原子、メチル基またはトリフルォロメチル基を示す。
[0017] [4] 下式(2)で表される化合物と式 CH =CTC(0)Jで表される化合物とを反応さ
2
せることを特徴とする下式(1)で表される化合物の製造方法。
[0018] [化 5]
(2) (1)
[0019] ただし、式中の記号は下記の意味を示す。
YA YB YC YDおよび YE:それぞれ独立に、—CH(— OH) CF (— CH O
H) または CRARB であり、丫八〜丫15の少なくとも1っはーじ11(ー011)—または
CF (— CH OH)—であり、かつ、 YA〜YEの少なくとも 1つは式
ZA、 ZB、 ZC、 ZDおよび ZE:それぞれ独立に、 CH(— 0C(0)CT=CH )―、— C
2
F(-CH 0C(0)CT=CH )—または一 CRARB であり、 ZA〜ZEの少なくとも 1つ
2 2
は CH (— OC(0)CT=CH ) または CF (— CH OC(0)CT=CH ) であり
2 2 2
、かつ、 zA〜zEの少なくとも 1つは一 CRARB—。
ただし、 γΑは zAに、 γΒは zBに、 Ycは zcに、 Ydは zDに、 γΕは zE〖こ、それぞれ対応 し、 ZA〜ZEが— CH(— OC(0)CT=CH )—である場合の YA〜YEは— CH(— OH
2
)—であり、 ZA〜ZEが— CF(— CH OC(0)CT=CH )—である場合の YA〜YEは
2 2
— CF(— CH OH)—であり、 ZA〜ZEが— CRARB である場合の YA〜YEは式— CR
2
ARB を示す。 RAおよび RBはそれぞれ独立に、フッ素原子、炭素数 1〜16のペルフ ルォロアルキル基または炭素数 1〜16のエーテル性酸素原子を含むペルフルォロ アルキル基を示す。 Tは、水素原子、フッ素原子、炭素数 1〜3のアルキル基または 炭素数 1〜3のフルォロアルキル基を示す。
WAおよび WB:それぞれ独立に、フッ素原子、炭素数 1〜16のペルフルォロアルキ ル基または炭素数 1〜 16のエーテル性酸素原子を含むペルフルォロアルキル基。
J:ハロゲン原子。
n:0、 1または 2。
[0020] [5] 式(1)で表される化合物を重合させて得られた重合体。
[6] 分子量が、 1 X 103〜1 X 107である [5]に記載の重合体。
[0021] [7] 下式 (2)で表される化合物。
[0022] [化 6]
(2)
[0023] ただし、式中の記号は下記の意味を示す。
YA、 YB、 YC、 YDおよび YE:それぞれ独立に、—CH(— OH) CF (— CH O
H) または CRARB であり、丫八〜丫15の少なくとも1っはーじ11 (ー011)—または -CF (-CH OH)一であり、かつ、 YA〜YEの少なくとも 1つは CRARB (ただし、
2
RAおよび RBはそれぞれ独立に、フッ素原子、炭素数 1〜16のペルフルォロアルキル 基または炭素数 1〜16のエーテル性酸素原子を含むペルフルォロアルキル基。 )。
WAおよび WB:それぞれ独立に、フッ素原子、炭素数 1〜16のペルフルォロアルキ ル基または炭素数 1〜 16のエーテル性酸素原子を含むペルフルォロアルキル基。 n: 0、 1または 2。
[0024] [8] 下式(2A— 1)で表される化合物。
[0025] [化 7]
[0026] ただし、式中の記号は下記の意味を示す。
Y:— CH (— OH) または CF (— CH OH)—。
2
R2、 R3および R4:それぞれ独立に、フッ素原子または炭素数 1〜16のペルフ ルォロアルキル基。
w1および w2:それぞれ独立に、フッ素原子またはトリフルォロメチル基。
[0027] [9] 下式で表される化合物力 選ばれるいずれかの化合物。
[0029] [10] 下式(3)で表される化合物を還元反応することを特徴とする下式(2)で表さ れる化合物の製造方法。
[0030] [化 9]
[0031] ただし、式中の記号は下記の意味を示す。
XA、 XB、 XC、 XDおよび XE:それぞれ独立に、 C(O)―、— CF(— C(O)G)—ま たは CRARB—であり、 XA〜XEの少なくとも 1つは C(O) または CF(— C(O)
G)一であり、かつ、 XA〜XEの少なくとも 1つは CRARB—。
YA、 YB、 YC、 YDおよび YE:それぞれ独立に、 CH(— OH)—、— CF(— CH O
2
H)一、または CRARB—であり、 YA〜YEの少なくともlっはーCH(— OH) または -CF(-CH OH)一であり、かつ、 YA〜YEの少なくとも 1つは CRARB—。
2
ただし、 XAは YAに、 ΧΒは ΥΒに、 XEは YEに、 XDは YDに、 XEは YEに、それぞれ対応 する基であって、 YA〜Y — CH(— OH) である場合の XA〜XDは C(O) で あり、 YA〜Y S— CF(— CH OH)一である場合の XA〜XDは CF(— C(0)G)—
2
であり、 YA〜YEがー CRARB である場合の XA〜XDは CRARB—。 RAおよび RBは 、それぞれ独立に、フッ素原子、炭素数 1〜16のペルフルォロアルキル基または炭 素数 1〜16のエーテル性酸素原子を含むペルフルォロアルキル基。 Gはハロゲン原 子または炭素数 1〜10のアルコキシ基。
WAおよび WB:それぞれ独立に、フッ素原子、炭素数 1〜16のペルフルォロアルキ ル基または炭素数 1〜 16のエーテル性酸素原子を含むペルフルォロアルキル基。 n:0、 1または 2。
[0032] [11] 下式(3)で表される化合物。
[0034] ただし、式中の記号は下記の意味を示す。
XA、 XB、 XC、 XDおよび XE:それぞれ独立に、 C(O)―、— CF(— C(O)G)—ま たは CRARB—であり、 XA〜XEの少なくとも 1つは C(O) または CF(— C(O) G)—であり、かつ、 XA〜XEの少なくとも 1つは— CRARB—である(ただし、 Gは、ハロ ゲン原子または炭素数 1〜10のアルコキシ基。 RAおよび RBは、それぞれ独立に、フ ッ素原子、炭素数 1〜16のペルフルォロアルキル基または炭素数 1〜16のエーテル 性酸素原子を含むペルフルォロアルキル基。 )o
WAおよび WB:それぞれ独立に、フッ素原子、炭素数 1〜16のペルフルォロアルキ ル基または炭素数 1〜 16のエーテル性酸素原子を含むペルフルォロアルキル基。
n:0、 1または 2。
[0035] [12] 下式(3A— 1)で表される化合物。
[0036] [化 11]
[0037] ただし、式中の記号は下記の意味を示す。
X:— C(O)—、— CF(— C(O)F)—または— CF(— C(0)OCH )―。
3
R2、 R3および R4:それぞれ独立に、フッ素原子または炭素数 1〜16のペルフ ルォロアルキル基。
w1および w2:それぞれ独立に、フッ素原子またはトリフルォロメチル基。
[0038] [13] 下式で表される化合物力 選ばれるいずれかの化合物。
[0039] [化 12]
発明の効果
[0040] 本発明によれば、新規な重合性のポリフルォロノルボルナン誘導体が提供される。
また該ポリフルォロノルボルナン誘導体を重合させることにより、耐熱性、離型性、耐 薬品性、透明性、耐光性、撥水撥油性、低屈折率性等に優れた重合体が得られる。 特に動的撥水撥油性に優れた含フッ素重合体が得られる。また、本発明によれば、 該ポリフルォロノルボルナン誘導体の製造中間体および他の用途に有用な、新規な アルコール化合物および新規なカルボニル化合物が提供される。 発明を実施するための最良の形態
[0041] 本明細書においては、式(1)で表される化合物をィ匕合物(1)と記す。式— CH (― OC (0) CT=CH )一で表される基は、 i^ — CH (— OC (0) CT=CH )一と記す
2 2 ことがある。他の式で表される化合物および基についても、同様に記す。また、基中 の記号の意味は、特に記載しない限り前記の意味と同じ意味を示す。
[0042] また、本発明における化合物が、不斉炭素原子を有する場合、該炭素原子の立体 配置は、特に限定されない。本発明における橋かけ環式ィ匕合物の主環上の不斉中 心の立体配置は、 endoであってもよぐ exoであってもよい。本発明の橋かけ環式化 合物の主橋上の炭素原子が不斉中心を形成する場合、不斉中心の立体配置は、 sy nであってもよぐ antiであってもよい。
[0043] 本発明は、新規な下記化合物(1)を提供する。
[0044] [化 13]
(1)
Z
A〜Z
Eは、 -CH(-OC(0)CT=CH )一、 -CF(-CH OC(0)CT=CH )
2 2 2
—および— CRARB—力 選ばれる 2価の連結基である。また、 ZA〜ZEから選ばれる 1 〜4つの基は— CH(— OC(0)CT=CH )—または— CF(— CH OC(0)CT=C
2 2
H )—であり、残余の ZA〜ZE力も選ばれる 1〜4つの基は— CRARB—である。また、
2
zA〜zEは独立の基であり、同一であっても異なっていてもよい。たとえば、 zA〜zEの
2以上が— CH(— OC(0)CT=CH )—である場合においても、該— CH(— OC(
2
0)CT=CH )—は、同一の基であっても異なる基であってもよい。
2
また式中に ZEが 2以上存在する場合 (たとえば、 nが 1または 2である場合)、 ZEはそ れぞれ同一であっても異なって 、てもよく、同一であるのが好まし 、。
[0045] Tは、水素原子、フッ素原子、メチル基またはトリフルォロメチル基であるのが好まし い。 Tは、水素原子またはメチル基が特に好ましぐメチル基がとりわけ好ましい。
RAおよび RBは、それぞれ独立に、フッ素原子または炭素数 1〜16のペルフルォロ アルキル基であるのが好ましい。炭素数 1〜16のペルフルォロアルキル基としては、 炭素数 1〜6の直鎖のペルフルォロアルキル基が好ましぐ特にトリフルォロメチル基 が好ましい。さらに、 RAおよび RBの両方がフッ素原子である、両方が炭素数 1〜16の ペルフルォロアルキル基である、または、一方がフッ素原子であり他方が炭素数 1〜 16のペルフルォロアルキル基であるのが特に好ましい。すなわち、—CRARB—は、 -CF―、— C(RF) —または— CFRF—であるのが好ましい。ただし、 RFは炭素数 1
2 2
〜16のペルフルォロアルキル基を示す(以下同様。)。
[0046] ZA〜ZEとしては、 1または 2つが一 CH(— OC(0)CT=CH )—および一 CF(— C
2
H OC(0)CT=CH )—から選ばれる基であり、残余の 3または 4つが— CRARB—
2 2
であるのが好ましぐ 1つが一 CH(— OC(0)CT二 CH )—または一 CF(— CH OC
2 2
(0)CT=CH )一であり、残余の 4つが CRARB—であるのが特に好ましい。
2
さらに、 zA〜zEとしては、次の態様が好ましい。
ZAがー CH (— OC(0)CT=CH ) または CF (— CH OC(0)CT=CH )
2 2 2 であり、 ZB〜ZEが一 CRARB である。; ZAと ZBが一 CH(— OC(0)CT=CH )—ま
2 たは— CF(— CH OC(0)CT=CH )—であり、 Ζ。〜ΖΕとが— CRARB である。; Z
2 2
Aと Zcがー CH (— OC(0)CT=CH ) または CF (— CH OC(0)CT=CH )
であり、かつ Z , Zu、および Z""が CRA 一である。
ZA〜ZEとしては、 ZAが一 CH (— OC (0) CT=CH )—または一 CF (— CH OC (
A^ B
0) CT=CH )一であり、かつ Z〜Zがー CR R であるのが特に好ましい
[0047] 特に が CRA 一である場合には、 は、 CF—または一 C (R ) —であるの が好ましぐ -CF または C (CF ) 一であるのが特に好ましい。
2 3 2
wAおよび wBは、それぞれがフッ素原子であるか、一方がフッ素原子であり他方が トリフルォロメチル基であるのが好まし 、。
[0048] nは []で囲まれた構造単位の繰り返し数を示す。 nが 0である場合の化合物(1)は 下記化合物(1A)であり、 nが 1である場合の化合物(1)は下記化合物(1B)であり、 nが 2である場合の化合物(1)は下記化合物(1C)である。
nは、 0であるのが好ましい。すなわち、本発明の化合物(1)としては、下記化合物( 1A)が好ましい。
[0049] [化 14]
OA) (1 B) (1C)
[0050] 化合物(1)の主環上の不斉中心の立体配置は、特に限定されず、 endoであっても よぐ exoであってもよい。化合物(1)の主橋上の炭素原子 (式 ZEで表される基中の 炭素原子。)が不斉中心を形成する場合、不斉中心の立体配置は、特に限定されず 、 synであってもよぐ antiであってもよい。
[0051] さらに、化合物(1A)は、下記化合物(1A— 1)、下記化合物(1A— 2)または下記 化合物(1 A— 3)であるのが好ましぐ下記化合物(1 A— 1)であるのが特に好ましい
[0053] Zは、— CH (— OC CO) ^1:^! )—であってもよぐ— CF (— CH OC ^ CT1
2 2
=CH )—であってもよい。また、化合物(1A— 2)または化合物(1A— 3)中の 2つの
2
Zは、同一であってもよぐ異なっていてもよい。
R1および R2が、それぞれ式中に 2個以上存在する場合、それらは同一であっても 異なっていてもよく、同一であるのが好ましい。 R1および R2は、それぞれがフッ素原 子であるか、それぞれがトリフルォロメチル基であるのが好まし!/、。
R3および R4は、それぞれがフッ素原子であるか、一方がフッ素原子であり他方がフ ッ素原子であるか炭素数 1 16のペルフルォロアルキル基であるのが好ましい。
W1および W2は、それぞれがフッ素原子であるか、一方がフッ素原子であり他方がト リフルォロメチル基であるのが好まし 、。
T1は、水素原子またはメチル基であるのが好まし!/、。
[0054] 化合物(1)の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
[0055] [化 16]
[0056] 化合物(1)は、下記化合物(2)と式 CH =CTC (O) Jで表される化合物とを反応さ
2
せることにより製造できる。なお、化合物(2)に関しては後述する。
[0057] [化 17]
[0058] Jは、塩素原子または臭素原子であるのが好ましい。
式 CH =CTC(0)Jで表される化合物の具体例としては、 CH =CHC(0)C1、C
2 2
H =CHC(0)Brゝ CH =C(CH )C(0)C1、 CH =C(CH )C(0)Brゝ CH =CF
2 2 3 2 3 2
C(0)C1、 CH =CFC(0)Brゝ CH =C(CF )C(0)C1、および CH =C(CF )C(
2 2 3 2 3
O) Br等が挙げられる。
[0059] 化合物(1)の製造においては、 1分子中に CH(— OH)—と CF(— CH OH)
2 一とが合計 k個存在する化合物(2)、の 1モルに対して、式 CH =CTC(0)Jで表さ
2
れる化合物を lk〜2kモル反応させるのが好ましい。ただし、 kは l〜(4+n)の整数 を示す (以下同様。)。
[0060] 前記反応における反応条件 (反応温度、反応圧力、反応時間等。 )は、特に限定さ れず、エステルイ匕反応において知られる公知の方法および条件にしたがうのが好ま しい。
[0061] 化合物(1)は、 -CH(-OC(0)CT=CH )—または— CF(— CH OC(0)CT=
2 2
CH ) を有し、かつ、高度にフッ素化されたノルボルナン構造を有する重合性ィ匕合
2
物である。よって、化合物(1)を重合させることにより重合体を製造できる。
[0062] さらに本発明は、化合物(1)を重合させて得られた重合体を提供する。本発明の重 合体は、化合物(1)のみを単重合させて得られた単重合体であってもよぐ化合物(1 )と、化合物(1)と共重合しうる他の単量体 (以下、他の単量体ともいう。)とを共重合さ せて得られた共重合体であってもよい。後者の場合、本発明の重合体は、全繰り返し 単位に対して、化合物(1)の繰り返し単位を 0. 1-99.9モル%含み、かつ他の単
量体の繰り返し単位を 0. 1-99. 9モル%含むのが好ましい。さらに、共重合体は、 化合物(1)の繰り返し単位を 50〜99. 9モル%以上含むのが好ましぐかつ、他の単 量体の繰り返し単位を 0. 1〜 50モル%未満含むのが好まし!/、。
[0063] 他の単量体は、特に限定されず、(メタ)アタリレート類、不飽和カルボン酸アミド類、 スチレン類、ビュルシラン類、ォレフィン類、フルォロォレフイン類、クロロォレフイン類 、ビュルエステル類、ビュルエーテル類、(メタ)アクリル酸、アクリロニトリルが挙げら れる。
[0064] (メタ)アタリレート類の具体例としては、メチル (メタ)アタリレート、ェチル (メタ)アタリ レート、ブチル (メタ)アタリレート、 2—ェチルへキシル (メタ)アタリレート、イソォクチ ル (メタ)アタリレート、イソノ-ル (メタ)アタリレート,デシル (メタ)アタリレート、ォクタデ シル (メタ)アタリレート、ジェチルアミノエチル (メタ)アタリレート、 2—ヒドロキシェチル (メタ)アタリレート、 2—ヒドロキシプロピル (メタ)アタリレート等の非環式アルキル (メタ )アタリレート; 1―ァダマンチル (メタ)アタリレート、 3 -ヒドロキシル一 1 -ァダマンチ ル (メタ)アタリレート、 2—メチル—2—ァダマンチル (メタ)アタリレート、 2—ェチルー 2 -ァダマンチル (メタ)アタリレート、 2—プロピル - 2-ァダマンチル (メタ)アタリレー ト、 2 ブチル 2 ァダマンチル (メタ)アタリレート、 2—ォキソテトラヒドロフラン一 3 —ィル (メタ)アタリレート、グリシジル (メタ)アタリレート、ベンジル (メタ)アタリレート、 等の環式アルキル (メタ)アタリレートが挙げられる。
[0065] 不飽和カルボン酸アミド類の具体例としては、アクリルアミド、ィタコン酸ジアミド、 a ェチルアクリルアミド、クロトン酸アミド、フマル酸ジアミド、マレイン酸ジアミド、 N- ブトキシメチルアクリルアミド、 N—メチロールアクリルアミドが挙げられる。
スチレン類の具体例としては、スチレン、 α—メチルスチレン、クロロスチレン、ヒドロ キシスチレンが挙げられる。
[0066] ビュルシラン類の具体例としては、ビュルメチルジメトキシシラン、ビュルメチルジェ トキシシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシ シラン、ビュルトリクロロシランが挙げられる。
[0067] ォレフィン類の具体例としては、エチレン、プロピレン、イソブチレンが挙げられる。
フルォロォレフイン類の具体例としては、フッ化ビュル,フッ化ビ-リデン,テトラフル
ォロエチレン,へキサフルォロプロピレン等の非環状フルォロモノエン;ペルフルォロ
(2, 2 ジメチルー 1, 3 ジォキノール),ペルフルォロ(2—メチレン 1, 3 ジォ キソラン)等の環状フルォロモノエン; CF =CFOCF CF CF = CF、 CF =CFOC
2 2 2 2 2
F CF(CF )CF = CF、 CF =CFOCF(CF )CF CF = CF、 CF =CFCF C(C
2 3 2 2 3 2 2 2 2
F ) (OH)CH CH = CH、 CF =CFCH CH(C(CF ) OH)CH CH = CH等の
3 2 2 2 2 3 2 2 2 フルォロジェンが挙げられる。
クロロォレフイン類の具体例としては、塩化ビニル、塩化ビ-リデン、クロ口プレンが 挙げられる。
[0068] ビュルエステル類の具体例としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビュルが挙げられ る。
ビュルエーテル類の具体例としては、 2—ヒドロキシビュルエーテル、アミノエチルビ -ルエーテルが挙げられる。
[0069] 化合物(1)の重合は、重合開始剤の存在下に行うのが好ましい。重合開始剤の具 体例としては、(C H C(O)O-)
6 5 2、 (C F C(O)O-)
6 5 2、 (C F C(O)O-)
3 7 2、 ((CH
) CC(O)O-)、 ((CH ) CHC(O)O-)、 ((CH ) C(0)C(0)0—)、 ((CH
3 3 2 3 2 2 3 3 2 3
) C(O)O-)、 ((CH ) CHOC(O)O-)、 ((CH ) CC H OC(O)O-)等の
3 2 3 2 2 3 3 6 10 2 有機過酸化物、ァゾビスイソプチ口-トリル等のァゾィ匕合物、および無機過酸化物等 が挙げられる。
化合物(1)の重合における重合条件 (重合温度、重合圧力等。)は、特に限定され ない。重合温度は 0〜200°Cが好ましい。重合圧力は大気圧〜 lOMPa (ゲージ圧) が好ましい。
[0070] 本発明の重合体の重量平均分子量は、 1 X 103〜1 X 107が好ましぐ 1 X 103〜1
X105がより好ましい。
[0071] 本発明の重合体は、透明性、撥水撥油性、耐熱性、離型性、耐薬品性、特に動的 撥水性に優れた重合体である。本発明の重合体は、防汚剤、撥水撥油剤、離型剤、 光ファイバ一材料、ペリクル材料、レンズ材料、ディスプレイの表面保護膜材料として 有用である。
[0072] さらに、本発明の重合体の好ましい態様としては、化合物(1)のみを単重合させる
ことよって得られた、化合物(1)の繰り返し単位のみからなる重量平均分子量が 100 0〜50000の重合体が挙げられる。本明細書における繰り返し単位とは、化合物(1) 等の重合性ィ匕合物の重合により形成された単位をいう。
[0073] 化合物(1)の製造中間体である下記化合物(2)は、ヒドロキシ基またはヒドロキシメ チル基と、高度にフッ素化されたノルボルナン構造とを有する新規ィ匕合物である。化 合物(2)は化合物(1)の製造中間体としてだけでなぐ YA〜YE中の水酸基の反応性 を利用して、種々の誘導体に変換できる。変換されたィ匕合物は、いずれも高度にフッ 素化されたノルボルナン構造を有することから、該構造に由来する、撥水撥油性等の 性能を発揮しうる。すなわち、本発明は、新規な下記化合物(2)を提供する。
[0074] [化 18]
[0075] YA、 YB、 Ye、 YDおよび ΥΊま、前記の意味を示し、好まし 、態様としては、つぎのも のが挙げられる。
ΥΑがー CH (— OH) または CF (— CH OH)一であり、力つ YBと Yeと YDと YEと
2
が CRARB -である。; YAと YBが CH (— ΟΗ) -または CF (— CH ΟΗ) -であ
2
り、かつ Yeと YDと ΥΕとが— CRARB である。; YAと Yeが— CH (— OH)—または— C F (-CH OH)一であり、かつ YBと YDと YEとが CRARB である。
2
さらに、 YAがー CH (— OH) または CF (— CH OH)一であり、かつ YBと YCと Y
2
Dと YEとが— CRARB—であるのが特に好ま 、。
[0076] ここで、 RAおよび RBは、前記の意味を示し、同一であっても異なってもよ 、。 RAおよ び RBは、それぞれ独立に、フッ素原子または炭素数 1〜16のペルフルォロアルキル 基であるのが好ましぐそれぞれがフッ素原子である力、それぞれが炭素数 1〜16の ペルフルォロアルキル基である力、一方がフッ素原子であり他方が炭素数 1〜16の ペルフルォロアルキル基であるのが特に好ましい。すなわち、—CRARB—は、—CF
―、 一 C (RF) —または一 CFRF—であるのが好ましい。
2
[0077] ZEが一 CRARB である場合には、 ZEは、 CF—または一 C (RF) —であるのが好
2 2
ましぐ -CF—または一 C (CF ) —であるのが特に好ましい。
2 3 2
wAおよび wBは、それぞれ独立であり、同一であっても異なっていてもよい。 wAが
、分子中に 2個以上存在する場合、それらは互いに同一であっても異なっていてもよ い。 wBにおいても同様である。 wAおよび wBは、それぞれがフッ素原子である力 一 方がフッ素原子であり他方がトリフルォロメチル基であるのが好ましい。
[0078] nの意味は前記と同様であり、 nは 0であるのが好ましい。 nが 0である場合の化合物
(2)は下記化合物(2A)であり、 nが である場合の化合物(2)は下記化合物(2B)で あり、 nが 2である場合の化合物(2)は下記化合物(2C)である。
[0079] [化 19]
(2A) (2B) (2C)
[0080] 化合物(2)の主環上の不斉中心の立体配置は、特に限定されず、 endoであっても よぐ exoであってもよい。化合物(2)の主橋上の炭素原子 (式 YEで表される基中の 炭素原子。)が不斉中心を形成する場合、不斉中心の立体配置は、特に限定されず 、 synであってもよぐ antiであってもよい。
[0081] 化合物(2)は、下記化合物(2A— 1)、下記化合物(2A— 2)または下記化合物(2 A— 3)であるのが好ましぐ下記化合物(2A— 1)であるのが特に好ましい。
[0082] [化 20]
[0083] Yは、 -CH (-OH)—または— CF (— CH OH)—である。化合物(2A— 2)また
2
は化合物(2A— 2)中の 2つの Yは、同一であってもよぐ異なっていてもよい。
R1および R2は、それぞれがフッ素原子であるか、それぞれがトリフルォロメチル基 であるのが好ましい。
R3および R4は、それぞれがフッ素原子であるか、一方がフッ素原子であり他方がフ ッ素原子であるか炭素数 1 16のペルフルォロアルキル基であるのが好ましい。
W1および W2は、それぞれがフッ素原子であるか、一方がフッ素原子であり他方がト リフルォロメチル基であるのが好まし 、。
[0084] 化合物(2)の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
[0085] [化 21]
[0086] 化合物(2)は、下記化合物(3)を還元反応することにより製造できる。化合物(3)の 詳細に関しては後に説明する。
[0087] [化 22]
[0088] 化合物(3)の還元反応は、化合物(3)と還元剤との反応により行うのが好ましい。還 元剤は、特に限定されず、 NaBH B Hのテトラヒドロフラン溶液、 ( (CH ) CHCH
4 2 6 3 2
) A1Hのへキサン溶液または LiAlHが好ましい。
2 2 4
還元反応は、 1分子中に— C (O)—と— CF (— C (O) G)—とが合計 k個存在する
化合物(3)の 1モルに対して、還元剤の lk〜2kモルを反応させて行うのが好ましい。 還元反応における反応条件 (反応温度、反応圧力、反応時間等。)は、特に限定さ れない。たとえば、ァシルフルオリド(一 COF)をエステル化によりメチルエステル(一 COOCH )等にした後、 NaBHの還元によりアルコール(一 CH OH)とする特開平
3 4 2
10— 72568公報の段落 0021等に記載される方法にしたがって実施するのが好まし い。
[0089] 化合物(3)は、 C (O) または CF (— C (0) G)—と、高度にフッ素化されたノ ルポルナン構造とを有する新規化合物である。化合物(3)は化合物(2)の製造中間 体等として有用である。すなわち、本発明は、新規な下記化合物(3)を提供する。
[0090] [化 23]
[0091] XA、 X Xe、 XDおよび ΧΊま、前記の意味を示し、つぎの態様が好ま 、。すなわち 、 ΧΑが一 C (O)—または一 CF (— C (O) G)—であり、かつ XBと XCと XDと XEとが一 CR ARB—である。;XAと XBが— C (O)—または— CF (— C (O) G)—であり、かつ Xcと XD と XEとが一 CRARB—である。;XAと Xcが一 C (O)—または一 CF (— C (O) G)—であ り、かつ XBと XDと XEとが— CRARB—である。さらに、 XAが— C (O)—または— CF (― C (O) G)—であり、かつ XBと Xeと XDと XEとが— CRARB—であるのが特に好ましい。
[0092] Gは、フッ素原子または炭素数 1〜10のアルコキシ基であるのが好ましぐフッ素原 子またはメトキシ基であるのが特に好ま U、。
[0093] RAおよび RBは、それぞれ独立に、フッ素原子または炭素数 1〜16のペルフルォロ アルキル基であるのが好ましぐそれぞれがフッ素原子である力 それぞれが炭素数 1〜 16のペルフルォロアルキル基である力 一方がフッ素原子であり他方が炭素数 1 〜16のペルフルォロアルキル基であるのが特に好ましい。すなわち、—CRARB—は 、 -CF ―、— C (RF) —または— CFRF—であるのが好ましい。ただし、 RFは炭素数
1〜 16のペルフルォロアルキル基を示す。
[0094] ZEが一 CRARB—である場合には、 ZEは、 CF—または一 C (RF) —であるのが好
2 2
ましぐ -CF—または一 C (CF ) —であるのが特に好ましい。
2 3 2
wAおよび wBは、それぞれがフッ素原子であるか、一方がフッ素原子であり他方が トリフルォロメチル基であるのが好まし 、。
[0095] nは前記と同じ意味を示す。 nは、 0であるのが好ましい。 nが 0である場合の化合物
(3)は下記化合物(3A)であり、 nが 1である場合の化合物(3)は下記化合物(3B)で あり、 nが 2である場合の化合物(3)は下記化合物(3C)である。
[0096] [化 24]
(3A) (3B) (3C)
[0097] 化合物(3)の主環上の不斉中心の立体配置は、特に限定されず、 endoであっても よぐ exoであってもよい。化合物(3)の主橋上の炭素原子 (式 XEで表される基中の 炭素原子。)が不斉中心を形成する場合、不斉中心の立体配置は、特に限定されず 、 synであってもよぐ antiであってもよい。
[0098] 化合物(3)は、下記化合物(3A— 1)、下記化合物(3A— 2)または下記化合物(3 A— 3)であるのが好ましぐ下記化合物(3A— 1)であるのが特に好ましい。
[0099] [化 25]
(3A-1) A (3A-3)
Xは、 C (O)―、— CF (— C (O) F)—または— CF (— C (0) OCH )—である。ィ匕
3
合物(3A- 2)または化合物(3A-3)中の 2つの Xは、同一であってもよぐ異なってい
てもよい。
R1および R2は、それぞれがフッ素原子であるか、それぞれがトリフルォロメチル基 であるのが好ましい。
R3および R4は、それぞれがフッ素原子であるか、一方がフッ素原子であり他方がフ ッ素原子であるか炭素数 1〜16のペルフルォロアルキル基であるのが好ましい。
W1および W2は、それぞれがフッ素原子であるか、一方がフッ素原子であり他方がト リフルォロメチル基であるのが好まし 、。
[0101] 化合物(3)の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
[0102] [化 26]
[0103] 化合物(3)は、下記化合物(6)と式 Rf—C (0) Fで表される化合物をエステルイ匕反 応して下記化合物(5)を得て、つぎに化合物(5)をフッ素化反応して下記化合物 (4) を得て、つぎに化合物 (4)をアルカリ金属フッ化物の存在下に熱分解反応させること により製造できる。また、化合物 (4)と炭素数 1〜10のアル力ノールとを反応させるこ とにより製造できる。
[0105] ただし、式中の記号は下記の意味を示す。
XFA、 XFB、 XFC、 XFDおよび XFE:— CF (— OC (O) Rf)
2
—または— b―。ただし、 xFAは xAに、 xFBは χΒに、 xFCは xeに、 xFDは xDに、
7Eは にそれぞれ対応する基であって、 に対応する基は一
であり、— に対応する基は -であ
A^B
り、 b -に対応する基は " -である
xHA、 d、 xH xHDおよび χΗΕ:
ΗΑ-,-,ΗΒ ■FA FB
R ) または CR R ただし、 xHAは に、 χ"ΰは に、 X ^は しに、 X は X こ、 Χ"¾Χ にそれぞれ対応する基であって、 CF (— OC (O)Rt) に対応 する基は— CH (— OC )Rf)—であり、 CF(— CF OC )Rf) に対応する基
、HAn HB は CH (— CH OC (O)Rt)—であり、—CRHARHB—に対応する基は CR"AR である。また、 と 間には炭素原子—炭素原子 重結合が形成されていても よい
XLA、 X 、 xLCおよび xLDおよび xLE: CH (— OH) CH (— CH OH) また
2 は一 CRHARHB ただし、 ΧίΑは XHAに、 X"3は X™に、 は XHeに、 X"3は XHDに、 XLEは XHEにそれぞれ対応する基であって、 CH (— OC )Rf) に対応する基は CH (— OH)一であり、 CH (— CH OC (O) Rf) に対応する基は CH (— CH
2
OH)—であり、 CRHARHB—に対応する基は— CRHARHB である。また、 X と
2
Dの炭素原子 炭素原子結合は、 重結合であってもよい。
[0106] WHAおよび WHB:水素原子、炭素数 1〜16のアルキル基または炭素数 1〜16のェ 一テル性酸素原子を含むアルキル基。ただし、 wHAは WAに、 W™は WBに対応する 基であって、フッ素原子に対応する基は水素原子であり、炭素数 1〜16のペルフル
ォロアルキル基に対応する基は炭素数 1〜16のアルキル基であり、炭素数 1〜16の エーテル性酸素原子を含むペルフルォロアルキル基に対応する基は炭素数 1〜16 のエーテル性酸素原子を含むアルキル基である。
[0107] RHAおよび RHB:水素原子、炭素数 1〜16のアルキル基または炭素数 1〜16のエー テル性酸素原子を含むアルキル基。ただし、 RHAは RAに、 R™は RBに、 RHeは に、 RHDは RDに、 REDは REにそれぞれ対応する基であって、フッ素原子に対応する基は 水素原子であり、炭素数 1〜16のペルフルォロアルキル基に対応する基は炭素数 1 〜16のアルキル基であり、炭素数 1〜16のエーテル性酸素原子を含むペルフルォ 口アルキル基に対応する基は炭素数 1〜16のエーテル性酸素原子を含むアルキル 基である。
Rf:炭素数 1〜20のペルフルォロアルキル基または炭素数 1〜20のエーテル性酸 素原子を含むペルフルォロアルキル基。
[0108] 化合物(6)の具体例としては、下記化合物が挙げられる。化合物(6)は公知の化合 物または公知の手法によって得られる化合物である。
[0109] [化 28]
[0110] 式 Rf— C(0)Fで表される化合物の具体例としては、 CF C(0)F、 (CF ) CFC(0
3 3 2
)F、 F(CF ) OCF(CF )C(0)F、 F(CF ) OCF(CF )CF OCF(CF )C(0)Fが
2 3 3 2 3 3 2 3 挙げられる。
[0111] 化合物(5)の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
[0113] 化合物 (4)の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
[0114] [化 30]
[0115] 化合物(6)と式 Rf— C (0) Fで表される化合物のエステルイ匕反応、化合物(5)のフ ッ素化反応、および化合物 (4)の熱分解反応におけるそれぞれの反応条件は、国際 公開第 00Z56694号パンフレット、国際公開第 02Z18314号パンフレット等に記 載の反応条件にしたがうのが好ましい。
本発明によれば、新規な重合性化合物と重合体が提供される。本発明の重合体は 高度にフッ素化されたノルボルナン構造が側鎖にぶらさがった構造を有することから 、優れた撥水撥油性、耐熱性、離型性、耐薬品性、透明性、耐久耐光性、低屈折率 性を示す。本発明により提供される重合体は、特に動的撥水撥油性に、とりわけ動的 撥水性に優れ、水に対する接触角が 80度以上、転落角が 20度以下である優れた性 質を有する重合体となる。本発明の重合体は、これらの性能を要求される種々の用 途に有用に用いられる。
実施例
[0116] 実施 ί列にぉ 、ては、 1, 1, 2—トリクロロー 1, 2, 2—トリフノレオ口エタンを R113と、 ジクロロペンタフルォロプロパンを R225と、テトラヒドロフランを THFと、テトラメチルシ ランを TMSと、記す。 R225は、 CF CF CHC1と CF C1CF CHFC1との混合品を
3 2 2 2 2
用いた。
[0117] [例 1]化合物(31)の製造例
下式で表される製造ルートにしたがって、下記化合物(61)から化合物(31)を製造 した。ただし、式 Rn— COFで表される化合物とは、 F (CF ) OCF (CF ) CF OCF (
2 3
CF ) C (0) Fである。
[0118] [化 31]
(41)
[0ll9] 窒素ガス雰囲気下のフラスコに、化合物(61) (15g)とクロ口ホルム(lOOg)および NaF (7. 02g)を入れ、フラスコ内を氷冷撹拌しながら式 Rn— COFで表される化合 物(79g)を滴下した。さらにフラスコ内を撹拌した後、フラスコ内容物の不溶固形物を 加圧ろ過により除去した。フラスコ内容物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(103g)を 入れた。生成した 2層分離液の有機層を回収した。回収した有機層を濃縮して化合 物(51) (74g)を得た。
[0120] つぎに、ガス出口に NaFペレット充填層を設置したオートクレーブ(ニッケル製、内 容積 500mL)に、 R113 (313g)を加え、 25°Cでオートクレーブ内を撹拌しながら、 オートクレープに、窒素ガスを 1時間吹き込み、さらに窒素ガスで 20%体積に希釈し たフッ素ガス(以下、 20%フッ素ガスと記す。)を吹き込んだ。
そのまま 20%フッ素ガスを吹き込みつつ、 0. IMPa (ゲージ圧)の圧力下にて、ォ 一トクレーブに化合物(51) (67g)を R113 (299g)に溶解させた溶液を導入した。導
入終了後、オートクレープに窒素ガスを吹き込んだ後に、オートクレープ内容物を回 収濃縮して化合物 (41)を得た。
[0121] つづいて、窒素ガス雰囲気下のフラスコに、化合物(41) (80g)と粉末状 KF(0.7g
)を入れ、フラスコ内温を 80〜120°Cに昇温しながら、フラスコを 6時間加熱した。フラ スコ内容物を、コールドトラップを用いた蒸留法と再結晶法を用いて精製して白色固 体状の化合物(31) (38g)を得た。
[0122] 化合物(31)の NMRデータを以下に示す。
19F-NMR(282.7MHzゝ溶媒: CDC1、基準: CFC1 ) δ (ppm):— 116.8 (IF
3 3
), -118.2 (IF), -122.9 (IF), —123.3 (IF), —125.4(1F), —127.3(1 F), -130.6 (IF), -134.6 (IF), —219.4 (IF), —227.5(1F)。
[0123] [例 2]化合物(21)の製造例
窒素ガス雰囲気下の丸底フラスコ(内容積 lOOmL)に、 NaBH (1. lg)と THF(3
4
Og)を入れた。フラスコを氷冷撹拌しながら、フラスコに化合物(31)を 22質量%含む R225溶液 (48g)を 1.5時間かけて滴下した。滴下終了後、フラスコ内をさらに 30分 撹拌した。さらにフラスコ内温を 25°Cに保ったままフラスコ内を 12時間撹拌した。つ ぎにフラスコ内容液を、 0. ImolZLの塩酸水溶液(150mL)で中和し、さらに水洗し た後に、蒸留精製して下記化合物 (21)を得た。
[0125] 化合物(21)の NMRデータを以下に示す。
'H-NMROOO.4MHZ、溶媒: CDCl、基準: TMS) δ (ppm) :4.89〜4.57(
3
2Η)0
19F-NMR(282.7ΜΗζゝ溶媒: CDCl、基準: CFC1 ) δ (ppm):— 105.0(1F
3 3
), -119.7 (IF), -124.0(1F), —124.3 (IF), —125.7(1F), —126.8(1 F), -133.2(2F), -216.6 (IF), —223.5(1F)。
[0126] [例 3]化合物(11)の製造例
フラスコに、化合物(21) (2.2g)、 THF(10g)、 N—-トロソフエ-ルヒドロキシアミ ンのアルミニウム塩(2mg)およびトリェチルァミン(1.2g)を入れた。フラスコを氷冷し 、撹拌しながら、フラスコに、式 CH =C(CH )C(0)C1(1.2g)で表される化合物の
2 3
THF(7.3g)溶液をゆっくり滴下した。滴下終了後、 2時間フラスコ内を撹拌した後 に、炭酸水素ナトリウム水溶液(30mL)を入れた。
[0127] フラスコ内溶液を R225で抽出して得られた抽出液を、無水硫酸ナトリウムで乾燥し た後に濃縮して濃縮液を得た。濃縮液をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製して
、下記化合物(11) (2.7g)を得た。
[0129] 化合物(11)の NMRデータを以下に示す。
— NMR(300.4MHz、溶媒: CDC1、基準: TMS) δ (ppm) :6.31 (1Η), 5
3
.88 (1H), 5.84 (1H), 2.01(3H)。
19F-NMR(282.7MHzゝ溶媒: CDC1、基準: CFC1 ) δ (ppm):— 104.6 (IF
3 3
), -120.5 (IF), -122.4(1F), —124.2(1F), —124.6 (IF), —126.5(1 F), -132.7〜― 132.8(2F), —214.8 (IF), —223.2(1F)。
[0130] [例 4]化合物(32M)の製造例
下式で表される製造ルートにしたがって、下記化合物 (62)から化合物(32M)を製 造した。ただし、式 Ri2— C(0)Fで表される化合物とは、式 F(CF ) OCF(CF )C(
2 3 3
O) Fで表される化合物を示す。
[0132] 窒素ガス雰囲気下のフラスコに、化合物(62) (26g)と R225 (100g)を入れた。氷 冷下、フラスコ内を撹拌しながら式 Ri2-C (O) F (91g)で表される化合物を滴下した 。さらにフラスコ内を撹拌した後、濃縮、ろ過して化合物(52) (88g)を得た。
[0133] ガス出口に NaFペレット充填層を設置したオートクレーブ(ニッケル製、内容積 500 mL)に R113 (326g)をカ卩えた。 25°Cにてオートクレーブ内を撹拌しながら、オートク レーブに、窒素ガスを 1時間吹き込んだ。さらに 20%フッ素ガスを吹き込んだ。
そのまま 20%フッ素ガスを吹き込みつつ、 0. IMPa (ゲージ圧)の圧力下にて、ォ 一トクレーブに化合物(52) (75g)を R113 (346g)に溶解させた溶液を導入した。導 入終了後、オートクレープに窒素ガスを吹き込んだ後に、オートクレープ内容物を回 収、濃縮して化合物 (42)を得た。
[0134] 氷冷下、化合物(42) (106g)を R225 (100mL)に溶解させて得られた溶液にメタ ノール (20g)を滴下した。滴下終了後、溶液温度 25°Cにて、 12時間溶液を撹拌した 。溶液力も R225と F (CF ) OCF (CF ) COOCHを留去して化合物(32M) (42g)
2 3 3 3
を得た。
[0135] 化合物(32M)の NMRデータを以下に示す。
'H -NMR OOO. 4MHZ、溶媒: CDCl、基準: TMS) δ (ppm) : 3. 97 (3H)。
3
19
F-NMR(282. 7MHzゝ溶媒: CDCl、基準: CFC1 ) δ (ppm):— 116. 4〜
3 3
- 132. 2 (8F)、 - 174. 3 (IF) ,—219. 1 (1F)、—227. 0 (1F)。
[0136] [例 5]化合物(32F)の製造例
フラスコ上部に取り付けられた単蒸留装置を備えたフラスコに、例 4と同様の方法で 得られた化合物 (42) (lOOg)と粉末状 KF (1. 7g)とを入れた。フラスコ内温を 80°C にして、フラスコ内を撹拌するとフラスコ内容液の還流が観察された。単蒸留装置に
よりフラスコ内の F (CF ) OCF (CF ) COFを留出させつつ、そのままフラスコ内を 5
2 3 3
時間撹拌した。単蒸留装置への留出が停止した後にフラスコを徐冷してから、フラス コに R225および R113を入れた。つぎにフラスコ内溶液中の KFを加圧ろ過により除 去して得られた反応生成物を分析した結果、下記化合物(32F)の生成を確認した。 1 9F— NMRから算出した収率は 96%であった。
[0137] 化合物(32F)の NMRデータを以下に示す。
19F-NMR(282. 7MHzゝ溶媒: CDC1、基準: CFC1 ) δ (ppm): + 39. 3〜+
3 3
35. 6 (1F)、 - 117. 5〜― 132. 0 (8F)、—178. 8 (IF) ,—218. 0〜― 226. 2 ( 2F)。
[0139] [例 6]化合物(22)の製造例
氷冷された、化合物(32M) (42g)を THF (lOOmL)に溶解させて得られた溶液に 、((CH ) CHCH ) A1Hを 79質量%含むへキサン溶液(20g)を滴下した。滴下終
3 2 2 2
了後、 25°Cにて、溶液を 12時間撹拌した後に、溶液を 0. 2molZL塩酸水溶液(15
OmL)で中和して、反応粗液を得た。
[0140] 反応粗液を R225で抽出して得られた抽出液の低沸点成分を留去して、白色固体 状の反応生成物(31g)を得た。反応生成物をへキサン中で再結晶して、針状結晶( 無色)の下記化合物(22)を得た。
[0142] 化合物(22)の NMRデータを以下に示す。
'H -NMR OOO. 4MHZ、溶媒: CDCl、基準: TMS) δ (ppm) : 4. 20 (2Η, dd
3
, J = 24. 9 and 6. 6Hz) , 2. 15 (1H, m)。
F-NMR(282.7MHzゝ溶媒: CDC1、基準: CFC1 ) δ (ppm):— 119.3 (IF
3 3
), -121.3 (IF), -123.5 (IF), —123.6 (IF), —124.6 (IF), —125.0(1 F), -128.7(1F), -131.6 (IF), —183.2 (IF), —220.2 (IF), —227. 1 (1F)。
[0143] [例 7]化合物(12)の製造例
フラスコに、化合物(22) (16.3g)、 tert—ブチルメチルエーテル(82mL)、ハイド ロキノン(5mg)およびトリェチルァミン(8. lg)を入れた。フラスコ内を氷冷撹拌しな がら、フラスコに CH =C(CH )C(0)C1(8.4g)を滴下した。滴下終了後、さらにフ
2 3
ラスコ内を 17時間撹拌した後に、フラスコに純水(50mL)を入れた。フラスコ内に析 出していた塩を溶解させ、 2層分離液を得た。
[0144] フラスコ内容物の上層(tert—ブチルメチルエーテル層)を回収し、回収液を無水 硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して、濃縮液を得た。濃縮液をシリカゲルカラムクロマト グラフィで精製して、下記化合物(12) (14g)を得た。
[0146] 化合物(12)の NMRデータを以下に示す。
'H-NMROOO.4MHZ、溶媒: CDCl、基準: TMS) δ (ppm):
3
6.20 (1H), 5.70 (1H), 4.75 (2H), 1.98(3H)。
19F-NMR(282.7MHzゝ溶媒: CDCl、基準: CFC1 ) δ (ppm):— 118.6 (IF
3 3
), -120.6 (IF), -123.8(2F), —124.5 (IF), —124.9 (IF), —128.6(1 F), -131.4(1F), -179.1(1F), —219.8 (IF), —227.0(1F)。
[0147] [例 8]化合物(11)の重合例
耐圧反応器(内容積 30mL)に、化合物(11) (3. Og)と R225(ll.3g)を入れ、さ らに R225によって 50質量%に希釈されたジイソプロピルパーォキシカーボネート(1 .5g)を入れた。反応器内を凍結脱気した後に、反応器内温を 40°Cにして、 18時間 の重合反応を行った。重合反応後、反応器内容液をメタノール中に滴下して生成し
た固形物を回収し、該固形分を 90°Cにて 15時間真空乾燥した。その結果、化合物( 11)の重合により形成された重合体 (2. 2g) (以下、重合体(11)という。)を得た。重 合体の生成は、内溶液の NMR測定において、化合物(11)がほとんど測定できない こと、および、生成物の IRにおいてメタクリロイル基に基づく吸収が認められないこと により確認できる。重合体(11)は、 25°Cにて白色固体状の重合体であった。
[0148] R225 (99体積0 /0)とへキサフルォロプロパノール(1体積0 /0)からなる混合溶媒を移 動相、ポリメチルメタタリレートを内部標準とするゲルパーミエーシヨンクロマトグラフィ 一法によって重合体(11)の分子量を測定した。重合体(11)の数平均分子量は 460 0であり、重量平均分子量は 8800であった。また、重合体(11)の水に対する接触角 は 107度であり、転落角は 9度であった。
接触角、転落角の測定は、次の方法で行った。すなわち、重合体(11)を 1, 3—ビ ス(トリフルォロメチル)ベンゼンに溶解させた溶液を調製した。該溶液をフィルターに 通した後にろ過して、 1, 3 (トリフルォロメチル)ベンゼンの総質量に対して重合体(1 1)を 4質量%含む溶液を得た。つぎに、該溶液をシリコン基板の表面にスピンコーテ イング法(回転条件: 2000回 Z秒にて 30秒間)行うことにより塗布した。さらに、溶媒 の沸点以上に基板を加熱することにより溶媒を除去して、シリコン基板表面に重合体 (11)の膜を形成させた。つぎに該膜の上に 25°Cの水滴(2 L)を置き、基板を水平 に保持した状態で、膜に対する水滴の接触角を測定した。また、膜の上に 25°Cの水 滴(50 L)を置き、基板を傾斜させて、水滴が転落する寸前の基板の傾斜角を測定 し、その値を転落角とした。これらの測定は、接触角計 (協和界面科学社製、商品名 DropMaster700)を用いて行った。
[0149] [例 9]化合物(12)の重合例
耐圧反応器(内容積 30mL)に、化合物(12) (2. Og)と R225 (10. 7g)を入れ、さ らに R225によって 50質量%に希釈されたジイソプロピルパーォキシカーボネート(1 . 3g)とイソプロピルアルコール (0. 35g)を入れた。反応器内を凍結脱気した後に、 反応器内温を 40°Cにて 18時間、重合反応を行った。重合反応後に、反応器内容液 をメタノール中に滴下して生成した固形物を回収し、該固形分を 90°Cで 15時間真空 乾燥した。その結果、化合物(12)の重合により形成された重合体(1. 2g) (以下、重
合体(12)という。)を得た。重合体(12)は、 25°Cにて白色固体状の重合体であった
[0150] 例 8と同様の方法で重合体(12)の分子量を測定した結果、重合体(12)の数平均 分子量は 4300であり、重量平均分子量は 8800であった。また重合体(12)の水に 対する接触角は 106度であり、転落角は 11度であった。
産業上の利用可能性
[0151] 本発明によれば、高度にフッ素化されたノルボルナン構造を有する新規な含フッ素 化合物が提供される。本発明のフッ素化されたノルボルナン構造を有する重合性ィ匕 合物を重合させて得られた重合体は、撥水撥油性、耐熱性、離型性、耐薬品性、透 明性、耐久耐光性、低屈折率性に優れ、特に動的撥水撥油性に優れた重合体であ る。本発明の重合体は、防汚剤、撥水撥油剤、離型剤、光ファイバ一材料、ペリクル 材料、レンズ材料、ディスプレイ表面保護膜等として有用である。 なお、 2006年 7月 11日に出願された日本特許出願 2006— 190484号の明細書 、特許請求の範囲及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示とし て、取り入れるものである。