明 細 書
筋力向上剤
技術分野
[0001 ] 本発明は、 筋力向上効果又は運動効果向上効果等を発揮する医薬品又は飲 食品等に関する。
背景技術
[0002] 一般的に、 筋力等の運動能力の向上には、 運動トレーニングとバランスの 良い栄養補給が重要と考えられている。 最近では、 運動愛好者やアスリート において、 より効率的に筋力向上を図るため、 単にトレーニングを行うだけ でなく、 サプリメント等の栄養補給を併用する試みがなされている (特許文 献 1 ) 。
[0003] —方、 肥満軽減を目指す人においては、 無理なダイエツ卜によって栄養成 分の体内補給が不足し、 骨格筋の減少および筋力が衰退することが問題視さ れている。 また、 一般人にとっても筋力を向上させることは慢性疲労の軽減 や健康増進が図れることから望ましい。
[0004] したがって、 運動能力向上を目指す運動愛好者やアスリートだけでなく、 慢性疲労軽減肥満軽減等を目指す人、 その他一般人においても、 安全で且つ 効率的な筋力を向上させる方法が望まれている。
[0005] かかる観点から、 筋力向上効果や筋疲労抑制効果を有する成分の探索が行 われ、 例えば、 アルギニン等の組成物 (特許文献 2 ) 、 重合体果実ポリフエ ノール (特許文献 3 ) 、 オル二チン (非特許文献 1 ) 等に筋力向上作用が報 告されている。
[0006] —方、 緑茶等に含まれているカ亍キン類には、 コレステロール上昇抑制作 用 (特許文献 4 ) 、 血糖上昇阻害作用 (特許文献 5 ) 、 持久力向上作用 (特 許文献 6 ) 、 筋ジストロフィー抑制作用 (非特許文献 2 ) 等、 生理的な有益 性があると報告されている。 しかしながら、 カテキン類の筋力向上作用や筋 疲労抑制作用についてはこれまで全く知られていない。
特許文献 1 :特開 2002 _ 06521 2号公報
特許文献 2:特開 2004 _ 25651 3号公報
特許文献 3:国際公開第 2005 074962号パンフレツ ト
特許文献 4:特開昭 60— 1 5661 4号公報
特許文献 5:特開平 4 _ 25391 8号公報
特許文献 6:特開 2005 _ 89384号公報
非特許文献 1 : E I a m R P e t a I , J S p o r t s Me d &
P h y s F i t n e s s, 52— 6, 1 989
非特許文献 2: Do r c h i e s OM e t a I , A J P-C e I I P h y s i o l , 61 6-25, 2006
発明の開示
[0007] 本願発明は、 以下の発明に係るものである。
(1 ) 力テキン類を有効成分とする筋力向上剤、 筋疲労抑制剤、 運動効果 向上剤、 又は眼疲労予防 改善剤。
(2) 力テキン類を含有する筋力向上用、 筋疲労抑制用、 運動効果向上用 又は眼疲労予防 改善用飲食品。
(3) 筋力向上剤、 筋疲労抑制剤、 運動効果向上剤又は眼疲労予防 改善 剤としてのカ亍キン類の使用。
(4) 筋力向上剤、 筋疲労抑制剤、 運動効果向上剤又は眼疲労予防 改 善剤の製造のための、 カ亍キン類の使用。
(5) カ亍キン類を有効量投与することを特徴とする筋力向上方法、 筋疲 労抑制方法、 運動効果向上方法又は眼疲労予防 改善方法。
図面の簡単な説明
[0008] [図 1]カテキン類摂取によるマウスの筋力向上。
[図 2]単離筋の疲労耐性に及ぼすカテキン類縁体の影響比較。
発明の詳細な説明
[0009] 本発明は、 優れた筋力向上作用、 筋疲労抑制作用等を有し、 安全性が高い 医薬品又は飲食品等を提供することに関する。
[0010] 本発明者は、 カテキン類の生理作用について検討を行ったところ、 意外に も、 カテキン類が優れた筋力向上作用、 運動効果向上作用、 筋疲労抑制作用 等を有することを見出した。
[001 1 ] 本発明の筋力向上剤、 運動効果向上剤、 筋疲労抑制剤又は眼疲労予防 改 善剤は、 食経験が豊富なカ亍キン類を有効成分とすることから安全性が高い 。 従ってこれらを用いれば、 副作用を殆ど起こすことなく筋力向上、 運動効 果向上、 筋疲労抑制、 眼疲労予防 改善を図ることができる。
[0012] 本発明におけるカ亍キン類とは、 カ亍キン、 力テキンガレート、 ガロカ亍 キン及びガロカテキンガレート等の非ェピ体力亍キン類並びに、 ェピカテキ ン、 ェピガロカ亍キン、 ェピカテキンガレート及びェピガロカ亍キンガレー ト等のェピ体力亍キン類の総称であり、 これらの一種以上を含有するのが好 ましい。 特に、 力テキンガレート、 ガロカ亍キン、 ガロカテキンガレート、 ェピカテキン、 ェピガロカテキン、 ェピカテキンガレート又はェピガロカテ キンガレートを含有するものが好ましく、 ェピカテキンガレート、 ガロカテ キンガレート又はェピガロカテキンガレートを含有するものがより好ましい 。 また、 カテキン類は、 非重合体であるのが好ましい。
[0013] 本発明に使用するカテキン類は、 一般的には茶葉から直接抽出すること、 又はその茶抽出物を濃縮若しくは精製することにより得ることができるが、 他の原料由来のもの、 カラム精製品及び化学合成品でもあってもよい。
[0014] 当該茶抽出は、 C a m e l I i a属、 例えば C . s i n e n s i s , C . a s s a m i c a、 またはそれらの雑種から得られる茶葉から製茶された茶 葉から、 水又は熱水やこれらに抽出助剤を添加し、 攪拌抽出など従来の方法 により行うことができる。 また、 煮沸脱気や窒素ガスなどの不活性ガスを通 気して溶存酸素を除去しつつ、 いわゆる非酸化的雰囲気下で抽出する方法を 併用してもよい。
当該製茶された茶葉には、 (1 ) 煎茶、 番茶、 玉露、 てん茶、 釜煎り茶な どの緑茶類; (2 ) 総称して烏龍茶と呼ばれる鉄観音、 色種、 黄金桂、 武夷 岩茶などの半発酵茶; (3 ) 紅茶と呼ばれるダージリン、 ゥバ、 キーマンな
どの発酵茶が含まれる。
抽出助剤としては、 ァスコルビン酸ナトリウムなどの有機酸、 又はこれら 有機酸塩類が挙げられる。
[0015] 当該茶抽出物の濃縮は、 上記抽出物を濃縮することにより行うことができ
、 当該茶抽出物の精製は、 溶剤やカラムを用いて精製することにより行うこ とができる。 茶抽出物の濃縮物や精製物の形態としては、 固体、 水溶液、 ス ラリー状等種々のものが挙げられる。
例えば、 当該茶抽出物は、 特開昭 59— 21 9384号、 特開平 4_20 589号、 特開平 5— 260907号、 特開平 5— 306279号等に詳細 に例示されている方法で調製することができる。 また、 市販品を用いること もでき、 斯かる市販品としては、 三井農林 (株) 「ポリフエノン」 、 (株) 伊藤園 「テアフラン」 、 太陽化学 (株) 「サンフヱノン」 、 サントリー (株 ) 「サンウーロン」 等が挙げられる。
[0016] 当該茶抽出物中のカテキン類は、 非重合体で存在し、 かつ液に溶解してい るもの又は茶の微細粉末の懸濁物に吸着若しくは包含された固形状のものと して存在する。
また、 当該抽出物中のカテキン類の含有量は、 1 0~1 00質量%、 好ま しくは 30~95質量0 /0、 特に好ましくは 40~ 80%である。 また、 当該 抽出物に含まれる総ポリフエノール中のカテキン類の含有率は、 製造直後で カテキン量が 1 0質量0 /0以上で、 好ましくは 20質量0 /0以上である。
また、 筋力向上や筋疲労抑制等をより効率よくするため、 ガロカテキン、 ェピガロカ亍キン、 力テキンガレート、 ェピカテキンガレート、 ガロカテキ ンガレート及びェピガロカ亍キンガレー卜から選ばれる 1種又は 2種以上の ものの含有率が当該抽出物中に含まれるカ亍キン類総量の 40%以上である のが好ましく、 60%以上であるのがより好ましく、 80%以上であるのが 特に好ましい。
[0017] また、 茶葉中のカ亍キン類の大部分はェピ体力亍キン類として存在してお り、 このェピ体力亍キン類を用いて熱や酸やアル力リ等の処理により立体異
性体である非ェピ体に変化させることができる。 従って、 非ェピ体力テキン 類を使用する場合には、 緑茶類、 半発酵茶類又は発酵茶類からの抽出液や茶 抽出液の濃縮物を水溶液にして、 例えば 4 0 ~ 1 4 0 °C、 0 . 1分〜 1 2 0 時間加熱処理して得ることができる。 また非ェピカ亍キン類含有量の高い茶 抽出液の濃縮物を使用してもよい。 それらは単独又は併用してもよい。 後記実施例に示されるように、 カ亍キン類は、 マウスにおいて筋力向上作 用を有し、 運動と併用した場合に筋力向上作用をより增強させ、 また筋疲労 抑制作用を有するため、 筋力向上剤、 運動効果向上剤、 又は筋疲労抑制剤と して使用することができ、 また斯様に筋力を向上させ、 筋肉疲労を抑制する ことから眼の筋肉疲労 (眼疲労) の軽減にも作用しうるため、 眼疲労予防 改善剤として使用することができる。 また、 カ亍キン類は、 筋力向上剤、 運 動効果向上剤、 筋疲労抑制剤又は眼疲労予防 改善剤 (以下、 筋力向上剤等 とする。 ) を製造するために使用することができる。 当該筋力向上剤等は、 運動トレーニング時の筋力向上、 またはダイエツト時における筋力の維持■ 向上、 筋疲労抑制、 眼疲労予防 改善等の効果を発揮する、 ヒト若しくは動 物用の飲食品又は医薬品として有用である。 また、 飲食品として使用する場 合は、 筋力維持■向上、 運動効果向上、 筋疲労抑制、 眼疲労予防 改善等の 生理機能をコンセプトとする飲食品、 機能性食品、 病者用食品、 特定保健用 食品に応用できる。
なお、 運動効果向上とは、 運動による筋力の向上を増強し、 運動の効果を より有効に発揮せしめることをいう。
また、 筋疲労とは、 持続的な筋収縮により筋出力 (張力) と弛緩速度が低 下した状態と定義され、 すなわち筋疲労抑制とは、 筋疲労による張力低下を 抑制することをいう。
また、 眼疲労とは、 テレビやパソコンの長時間使用等により眼を酷使した 際、 ピント調節に働く毛様体筋に筋肉疲労と緊張が生じ、 一過性の近視状態 (視界がぼやける) 、 眼がチカチカする、 まぶしい、 眼が重い等の症状が起 きることをいい、 一般に眼の疲れを感じる状態をいう。
[0019] 本発明の筋力向上剤等を医薬品として使用する場合は、 例えば、 錠剤、 顆 粒剤等の経口用固形製剤や、 内服液剤、 シロップ剤等の経口用液体製剤とす ることができる。
なお、 経口用固形製剤を調製する場合には、 カ亍キン類に賦形剤、 必要に 応じて結合剤、 崩壊剤、 滑沢剤、 着色剤、 矯味剤、 矯臭剤等を加えた後、 常 法により錠剤、 被覆錠剤、 顆粒剤、 散剤、 カプセル剤等を製造することがで きる。 また、 経口用液体製剤を調製する場合は、 矯味剤、 緩衝剤、 安定化剤 、 矯味剤等を加えて常法により内服液剤、 シロップ剤、 エリキシル剤等を製 造することができる。
[0020] また、 本発明の筋力向上剤等を飲食品として使用する場合には、 例えば、 各種飲料、 ゼリー状食品、 各種スナック類、 焼菓子、 揚菓子、 ケーキ類、 チ ョコレート、 ガム、 飴、 スープ類、 麵類、 米飯類等あらゆる食品形態とする ことができる。 このうち飲料の形態が好ましく、 例えば、 烏龍茶、 緑茶や紅 茶等の茶系飲料、 ソフトドリンクである炭酸飲料、 果実エキス入り飲料、 野 菜エキス入りジュースゃニァウォーター、 スポーツドリンク、 ァイソトニッ ク飲料、 ダイエット飲料等の非茶系飲料とすることができ、 これらは容器に 詰めた容器詰飲料の形態とするのが好ましい。 尚、 茶系飲料とは、 茶本来の 風味や香りがあるものを茶系飲料とし、 非茶系飲料とは、 茶系飲料以外のも のを意味する。 また、 製剤を飲料として使用する場合には、 製剤の代わりに 茶抽出物を用いてもよく、 例えば水の他、 炭酸水、 一般に抽出された茶類抽 出液等により溶解又は希釈して用いてもよい。
[0021 ] 容器詰飲料として使用する場合には、 例えば、 特許公報 3 7 4 2 0 9 4号 、 公報記載の非茶系容器詰飲料、 特開 2 0 0 2— 2 7 2 3 7 3号公報記載の 茶系容器詰飲料等が挙げられる。
以下にその一例を示す。
[0022] A ) 非茶系容器詰飲料
次の成分 (A ) 〜 (D ) カ亍キン類を含有し、 p H 2〜6の容器詰飲料 ( A ) 非重合体カ亍キン類 0 . 0 1〜 1 . 0重量0 /0、
(B) 甘味料 0. 0001 ~1 5重量%、
(C) ナトリウムイオン 0. 001 ~0. 5重量0 /o、
(D) カリウムイオン 0. 001 ~0. 2重量0 /o
[0023] ここで、 甘味料 (B) としては、 人工甘味料、 炭水化物類、 グリセロール 類が用いられる。 人工甘味料としては、 アスパルテーム、 サッカリン、 シク ラメート、 アセスルフエーム一 K、 L—ァスパルチル _ L—フエ二ルァラ二 ン低級アルキルエステル甘味料、 L—ァスパルチル一D—ァラニンアミ ド、 L—ァスパルチル一D—セリンアミ ド、 L—ァスパルチル一ヒドロキシメチ ルアルカンアミ ド甘味料、 L—ァスパルチル _ 1—ヒドロキシェチルアルカ ンアミ ド甘味料、 スクラロース、 ソーマチンなどの高甘度甘味料、 エリスリ I ^一ル、 キシリ I ^一ル、 トレハロースなどの糖アルコール、 グリチルリチン 、 合成アルコキシ芳香族化合物等が挙げられる。 また、 ス亍ビノシド及び他 の天然源の甘味料も使用できる。
[0024] 炭水化物系甘味料としては、 可溶性炭水化物が用いられる。 可溶性炭水化 物には、 甘味料とエネルギー源との役割がある。 炭水化物には、 単糖、 オリ ゴ糖、 複合多糖又はそれらの混合物が含まれる。 オリゴ糖としては、 これら 2種の単糖を体内で生成する炭水化物 (即ち、 スクロース、 マルトデキスト リン、 コーンシロップ、 高フルク! ^一スコーンシロップ) が挙げられる。 こ のオリゴ糖の重要なタイプは二糖であり、 ショ糖又はテンサイ糖として知ら れるスクロースが好ましい。 複合多糖としては、 マルトデキストリンが挙げ られる。
好ましい炭水化物系甘味料としては、 必要なカロリーを供給できるエネル ギ一源を与えるフルクトース及びグルコースの混合物、 あるいは消化管で加 水分解されてグルコース及びフルクトースを形成する炭水化物、 例えばスク ロースが挙げられる。
炭水化物の総量には、 フルーツジュース又は茶抽出物中に天然で存在する ものだけでなく、 添加された炭水化物も含む。 炭水化物誘導体、 多価アルコ ール、 例えばグリセロール類、 人工甘味料類も、 甘味源を供給して、 それが
容易に吸収されて体全体に分布されるようにエネルギーを供給する目的で、 上記飲料に用いることができる。
[0025] ナトリウムイオン (C) としては、 ナトリウム塩化物、 炭酸ナトリウム、 炭酸水素ナトリウム、 クェン酸ナトリウム、 リン酸ナトリウム、 リン酸水素 ナトリゥム、 酒石酸ナトリゥム、 安息香酸ナトリゥム等及びそれらの混合物 のような容易に入手しうるナトリウム塩を配合してもよいし、 加えられた果 汁又は茶の成分由来のものでもよい。
[0026] カリウムイオン (D) としては、 カリウム塩化物、 炭酸カリウム、 硫酸力 リウム、 酢酸カリウム、 炭酸水素カリウム、 クェン酸カリウム、 リン酸カリ ゥム、 リン酸水素力リゥム、 酒石酸力リゥム、 ソルビン酸力リゥム等又はそ れらの混合物のような力リウム塩を配合してもよいし、 加えられた果汁又は 茶の成分由来のものでもよい。
[0027] ナトリウムイオン及びカリウムイオンに加えて、 上記飲料には 0. 001 ~0. 5重量0 /o、 好ましくは 0. 002~0. 4重量0 /o、 特に好ましくは 0 . 003-0. 3重量%の塩化物イオンを含有させてもよい。 塩化物イオン 成分は塩化ナトリゥ厶又は塩化力リゥ厶のような塩の形で配合できる。 カル シゥ厶、 マグネシウム、 亜鉛、 鉄のような他の微量イオンを加えてもよい。 これらのイオンも塩として配合してもよい。 存在するイオンの総レベルには 、 加えられたイオン添加量と共に、 飲料中に天然で存在する量を含む。
[0028] 上記容器詰飲料は、 苦渋味抑制剤を配合すると飲用しゃすくなり好ましい 。 用いる苦渋味抑制剤としては、 サイクロデキストリンが好ましい。 サイク ロデキストリンとしては、 一、 β―、 Τ—サイクロデキストリン及び分岐 一、 β―、 r_サイクロデキストリンが使用できる。 サイクロデキストリ ンは飲料中に 0. 005〜0. 5重量0 /o、 好ましくは、 0. 01〜0. 3重 量%含有するのがよい。
また、 上記容器詰飲料には、 茶由来の成分にあわせて、 処方上添加して良 い成分として、 酸化防止剤、 香料、 各種エステル類、 有機酸類、 有機酸塩類 、 無機酸類、 無機酸塩類、 無機塩類、 色素類、 乳化剤、 保存料、 調味料、 甘
味料、 酸味料、 ガム、 乳化剤、 油、 ビタミン、 アミノ酸、 果汁エキス類、 野 菜エキス類、 花蜜エキス類、 P H調整剤、 品質安定剤などの添加剤を単独、 あるいは併用して配合しても良い。
上記飲料には、 嗜好性を高めるために香料や果汁を配合することができる 。 一般に果汁のことをフルーツジュース、 香料のことをフレーバーと呼んで いる。 天然又は合成香料や果汁が使用できる。 これらはフルーツジュース、 フルーツフレーバー、 植物フレーバー又はそれらの混合物から選択できる。 特に、 フルーツジュースと一緒に茶フレーバー、 好ましくは緑茶又は紅茶フ レーバーの組合せが好ましい味を有している。 好ましい果汁はリンゴ、 ナシ 、 レモン、 ライム、 マンダリン、 グレープフルーツ、 クランベリー、 オレン ジ、 ストロベリー、 ブドウ、 キウイ、 パイナップル、 パッションフルーツ、 マンゴ、 グアバ、 ラズベリー及びチェリーである。 シトラスジュース、 特に グレープフルーツ、 オレンジ、 レモン、 ライム、 マンダリンと、 マンゴ、 パ ッシヨンフルーツ及びグアバのジュース、 又はそれらの混合物が好ましい。 好ましい天然フレーバーはジャスミン、 力ミツレ、 バラ、 ペパーミント、 サ ンザシ、 キク、 ヒシ、 サトウキビ、 レイシ、 タケノコ等である。
果汁は上記飲料中に 0 . 0 0 1 ~ 2 0重量0 /o、 特に 0 . 0 0 2 ~ 1 0重量 %含有させるのが好ましい。 フルーツフレーバー、 植物フレーバー、 茶フレ 一バー及びそれらの混合物が香料として使用できる。 特に好ましい香料はォ レンジフレーバー、 レモンフレーバー、 ライムフレーバー及びグレープフル ーッフレーバーを含めたシトラスフレーバーである。 他のフルーツフレーバ 一は、 リンゴフレーバー、 ブドウフレーバー、 ラズベリーフレーバー、 クラ ンベリーフレーバー、 チヱリーフレーバー、 パイナップルフレーバー等が使 用できる。 これらのフレーバーはフルーツジュース及び香油のような天然物 でも、 又は合成物でもよい。 香料には、 様々なフレーバーのブレンド、 例え ばレモン及びライムフレーバー、 シトラスフレーバーと選択されたスパイス (典型的コーラソフトドリンクフレーバー) 等を含めることができる。 親油 性の濃縮物又は抽出物の香料としては、 合成香味エステル類、 アルコール類
、 アルデヒド類、 テルペン類、 セスキテルペン類等を配合できる。 このよう な香料は本発明飲料中に 0. 000 1 ~ 5重量%、 特に 0. 00 1 ~ 3重量 %含有するのが好ましい。
[0030] 更に、 上記飲料には酸味料を含有させることができる。 酸味料は本発明飲 料の p Hを 2〜 6に維持するために用いられる。 酸はそれらの非解離形で、 あるいはそれらのナトリウム塩、 カリウム塩として用いてもよい。 好ましい 酸としては、 クェン酸、 リンゴ酸、 フマル酸、 アジピン酸、 グルコン酸、 酒 石酸、 ァスコルビン酸、 酢酸、 リン酸又はそれらの混合物を含めた食用有機 酸及び無機酸が挙げられる。 特に好ましい酸はクェン酸及びリンゴ酸である 。 これらの酸味料は飲料成分を安定化させる酸化防止剤としても役立つ。 こ れ以外の酸化防止剤の例には、 ァスコルビン酸、 植物抽出エキスなどが挙げ られる。
[0031] 上記飲料には、 更に、 ビタミンを含有させることができる。 好ましいビタ ミンとしては、 ビタミン A、 ビタミン C及びビタミン Eが挙げられる。 ビタ ミン D及びビタミン Bのような他のビタミンも用いることができる。 ミネラ ルも本発明の飲料に用いることができる。 好ましいミネラルはカルシウム、 クロム、 銅、 フッ素、 ヨウ素、 鉄、 マグネシウム、 マンガン、 リン、 セレン 、 ケィ素、 モリブデン及び亜鉛である。 特に好ましいミネラルはマグネシゥ 厶、 リン及び鉄である。
[0032] B) 茶系容器詰飲料
以下の非重合体成分 (A) 及び (B) :
(A) 非ェピ体力亍キン類
(B) ェピ体力亍キン類
のカ亍キン類を含有し、 それらの含有量が容器詰めされた飲料 500 m L当 し」、
(ィ) (A) + (B) =50〜2500mg
(口) (A) = 5〜 225 Om g
(ハ) (A) (B) =0. 1〜9. 0
である茶系容器詰飲料。
[0033] 上記飲料においては、 カテキン類の含有量の 30~98重量%、 好ましく は 40~90重量%が、 ェピガロカテキンガレート、 ガロカテキンガレート 、 ェピガロカ亍キン、 ガロカ亍キンから選ばれたものであると、 飲料として の呈味が更に優れ、 後を引くような収斂性もなく好ましい。 ここでェピガ口 力テキンガレー ト、 ガロカテキンガレー ト、 ェピガロカ亍キン、 ガロカテキ ンは 1種以上含有するが、 通常は全て含有される。
[0034] 上記飲料においては、 非ェピ体力亍キン類 エピ体力亍キン類は、 飲料の 色調の長期安定性を図るため、 好ましくは 0. 1〜9. 0力《、 より好ましく は 0. 5〜9. 0力 更に好ましくは 0. 67〜9. 0力《、 特に好ましくは 1. 0〜9. 0が望ましい。
飲料の p Hは、 25°Cで 3〜7、 好ましくは 4〜 7、 特に 5〜 7とするの 力 味及びカテキン類の化学的安定性の点で好ましい。
[0035] 上記容器詰飲料には、 茶由来の成分にあわせて、 処方上添加して良い成分 として、 酸化防止剤、 香料、 各種エステル類、 有機酸類、 有機酸塩類、 無機 酸類、 無機酸塩類、 無機塩類、 色素類、 乳化剤、 保存料、 調味料、 甘味料、 酸味料、 果汁エキス類、 野菜エキス類、 花蜜エキス類、 p H調整剤、 品質安 定剤などの添加剤を単独、 あるいは併用して配合しても良い。
例えば甘味料としては、 砂糖、 ぶどう糖、 果糖、 異性化液糖、 グリチルリ チン、 ステビア、 ァスパラテーム、 フラクトオリゴ糖、 ガラクトオリゴ糖、 その他のオリゴ糖としてシクロデキストリンが挙げられる。 シクロデキスト リンとしては、 一、 β―、 Τ—シクロデキストリン及び、 分岐 一、 β- 、 Τ—シクロデキストリンが使用できる。
酸味料としては、 天然成分から抽出した果汁類のほか、 クェン酸、 酒石酸 、 リンゴ酸、 乳酸、 フマル酸、 リン酸が挙げられる。
無機酸類、 無機酸塩類としてはリン酸、 リン酸ニナトリゥム、 メタリン酸 ナトリウム、 ポリリン酸ナトリウムなどが、 有機酸類、 有機酸塩類としては クェン酸、 コハク酸、 ィタコン酸、 リンゴ酸、 クェン酸ナトリウムなどが挙
げられる。
[0036] 尚、 容器詰飲料において、 使用される容器は、 一般の飲料と同様にポリエ チレンテレフタレートを主成分とする成形容器 (いわゆる P ETボトル) 、 金属缶、 金属箔ゃプラスチックフィルムと複合された紙容器、 瓶などの通常 の形態で提供することができる。 ここでいう容器詰飲料とは希釈せずに飲用 できるものをいう。
また容器詰飲料は、 例えば、 金属缶のように容器に充填後、 加熱殺菌でき る場合にあっては食品衛生法に定められた殺菌条件で製造される。 P ETボ トル、 紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、 あらかじめ上 記と同等の殺菌条件、 例えばプレート式熱交換器などで高温短時間殺菌後、 一定の温度迄冷却して容器に充填する等の方法が採用される。 また無菌下で 、 充填された容器に別の成分を配合して充填してもよい。 更に、 酸性下で加 熱殺菌後、 無菌下で p Hを中性に戻すことや、 中性下で加熱殺菌後、 無菌下 で P Hを酸性に戻すなどの操作も可能である。
[0037] 本発明の筋力向上剤等におけるカテキン類の配合量は、 その使用形態によ り異なるが、 食品やペットフード等の場合、 通常 0. 01 ~5質量%、 更に 0. 05~5質量0 /0、 特に 0. 1 ~ 1質量0 /0とするのが好ましい。 上記以外 の医薬品、 例えば錠剤、 顆粒剤、 カプセル剤等の経口用固形製剤、 内服液剤 、 シロップ剤等の経口用液体製剤等の場合は、 通常 0. 01 ~95質量%、 更に 5~95質量%、 特に 1 0~ 95質量%とするのが好ましい。
[0038] 本発明の筋力向上剤等の投与量 (有効摂取量) は、 運動の強弱によって異 なる力 カ亍キン類として、 一日当り 1 00〜3000mgZ60 k g体重 とするのが好ましく、 特に 250〜2000mgZ60 k g体重、 更に 25 0〜1 000mgZ60 k g体重とするのが好ましい。
投与期間は、 運動の強弱によって異なるが、 3〜5日以上が好ましく、 1 〜 2週間以上がより好ましく、 3〜 8週間以上が特に好ましい。
[0039] 以下、 本発明を更に詳しく説明するため、 本発明剤につき行った試験例を
挙げ、 次いで本発明の筋力向上剤等の調製例を実施例として挙げる。
[0040] 試験例 1 筋力向上効果 (カテキン類のマウス筋力向上作用)
試験には、 総力テキン含量 8 1 o/oの緑茶抽出物を用いた。 カテキン組成を 表 1に示す。
カ亍キンの測定
カ亍キン剤を水で溶解後、 フィルター (0. 8 ;U m) で濾過した試料をォ クタデシル基導入液体クロマトパックドカラムカラム L_カラム TM O DS (直径 4. 6mmx 25 Omm:財団法人 化学物質評価研究機構製) 、 カラム温度 35°Cでグラジエンド法により 280 nmで各化合物を検出し た。 このときのグラジエンドの移動相は、 A液 0. 1 mo I ZL酢酸一水溶 液、 B液 0. 1 mo I ZL酢酸一ァセトニトリル溶液を用いた。
[0041] 1]
雄性 Ba I bZcマウス (6週齢) を 1週間予備飼育し、 体重を基準に 4 群 (対照群、 カテキン群、 運動群、 運動 +カテキン群) に群分けした (各群 n = 5) 。 その後、 各群のマウスに、 表 2に示す配合で調製した飼料を給餌
して 8週間飼育した。
[0043] ほ 2]
[0044] 8週間の飼育期間中、 運動群のマウスには、 20mZm i n、 30分間の トレッドミル走行運動を週に 3回課した。 なお、 運動 +カ亍キン群のマウス には、 カ亍キン食を給餌すると共に、 週 3回のトレッドミル走行運動を課し た。 また、 対照群及びカ亍キン群のマウスには、 トレッドミル走行運動を課 さなかった。
[0045] 摘出筋における筋力測定
8週間飼育後、 マウスを解剖に供した。 マウスよりひらめ筋を摘出、 37 °Cのクレプス溶液中 (通気条件: 95%_酸素, 5 %_二酸化炭素) で、 ト ランスデューサー (WP I : FORT 1 00) に固定した。 その後、 電気刺 激 (0. 2ms e c;、 40H z) を施し最大筋力を測定した。
ひらめ筋筋力の測定結果を図 1に示す。
[0046] 図 1の結果より、 通常の飼育下でも力テキン類を摂取することで筋力が高 値を示し、 力テキン類は筋力の向上に有効であることがわかる。 運動のみで も筋力は向上したが、 運動にカテキン類の摂取を組み合わせることにより、 更に筋力が増加した。
これより、 カテキン類は、 運動の筋力向上効果を高める作用を有しており 、 運動効果をより有効に発揮せしめる運動効果向上剤として有用であると言 える。 そして、 カテキン類の摂取に運動を組み合わせることにより、 更に筋 力向上及び運動効果向上を高めることができると言える。
[0047] 試験例 2 単離筋電気刺激実験
マウスを、 試験例 1におけるコントロール群のマウスと同様に飼育後、 解 剖し、 マウスひらめ筋を単離した。
単離したマウスひらめ筋を、 37°Cのクレプス溶液中 (通気条件: 95% —酸素, 5%_二酸化炭素) で、 トランスデューサー (WP I : FORT 1 00) に固定した。 本単離筋の筋力に及ぼす影響を解析するため、 クレプス 溶液にカ亍キン類縁体 8種 (カ亍キン、 ェピカ亍キン、 ガロカ亍キン、 ェピ ガロカ亍キン、 力テキンガレート、 ェピカテキンガレート、 ガロカテキンガ レート、 ェピガロカテキンガレート) を、 それぞれ 50〃 Mで溶解した。 そ の後、 3分間平衡化し、 電気刺激 (330msZ2秒) を施した。 刺激周波 数は、 40H zとした。 図 2に、 電気刺激開始時の筋力を "1 " とした際の 、 刺激 1分後の筋力を疲労指数として示す。 コントロール群は、 カ亍キン類 縁体 8種添加のクレプス溶液に代えて無添加のクレプス液行った。
[0048] 図 2に示すように、 カテキン 8種の各群はコントロール群と比較して電気 刺激による筋力低下を抑制した。 また、 各類縁体間で筋疲労耐性に及ぼす効 果を比較すると、 カテキンが最も筋疲労耐性が低く、 一方、 特に、 ェピカテ キンガレート、 ガロカテキンガレート、 ェピガロカテキンガレートが筋疲労 耐性を向上させることが明らかとなった。
[0049] 製造例 1 ~ 6、 比較例 1 ~ 6
表 3及び表 4に示す成分を混合し、 イオン交換水でメスアップし、 調合液 を調製した。 食品衛生法に基づく殺菌工程、 並びにホットパック充填を行い 、 容器詰飲料とした。 後、 筋力向上 運動効果向上用非茶系容器詰飲料を製 造した。
[0050]
ほ 3]
[0051] [表 4]
[0052] 緑茶抽出物 A
緑茶抽出物の濃縮物としてポリフエノン HG (東京フードテクノ社製) 1
00 gを常温、 250 r p m攪拌条件下の 95 %ェタノール水溶液 490. 9 g中に懸濁させ、 活性炭クラレコール G LC (クラレケミカル社製) 20 gと酸性白土ミズ力エース #600 (水澤化学社製) 35 gを投入後、 約 1 0分間攪拌を続けた。 そして 40%エタノール水溶液 409. 1 gを 1 0分 間かけて滴下したのち、 室温のまま約 30分間の攪拌処理を続けた。 その後 、 2号濾紙で活性炭及び沈殿物を濾過したのちに 0. 2jumメンブランフィ ルターによって再濾過を行った。 最後にイオン交換水 200 gを濾過液に添 加して、 40°C、 0. 0272 k cm2でエタノールを留去し製品を得た 処理後の非重合体カ亍キン類は 22質量%含有。
[0053] 緑茶抽出物 B
緑茶抽出物の濃縮物であり、 非重合体カ亍キン類含有量 33. 70質量% 、 ガレート体率 50. 7質量%である。
[0054] 緑茶抽出物 C
緑茶抽出物の濃縮物であり、 非重合体カテキン類含有量 81. 40質量% 、 ガレート体率 60. 5質量0 /0である。
[0055] 製造例 7-1 0
表 5に示す成分を混合して、 所定の処理を行い、 筋力向上 運動効果向上 用茶系容器詰飲料を製造した。
[0056]
5]
(g)
* 1 烏龍茶葉 33 gを 85 に加熱保持したイオン交換水 1 に加えて、 8分間 抽出し、 次いで熱交換器で冷却しながらネルろ布でろ過したもの。
*2 茶抽出物の濃縮物
A カテキン類含有量 33%、 非ェピ体含有量 4% (三井農林 (株) 製) B カテキン類含有量 33%、 非ェピ体含有矗 14%
C カテキン類含有量 30%、 非ェピ体含有量 3% (三井農林 (株) 製)
カテキン類含有量 30%、 非ェピ体含有量 14%
*3 製造例 7、 8はクェン酸ノリン酸ニナトリウム、 製造例 9はクェン酸、 製造 例 10は炭酸水素ナトリゥムで調製した。
*4 1 0秒 (殺菌工程前に脱気ラインを通る)
[0057] 製造例 7~1 0は、 いずれ経時の透明性の変化もみられず、 色調も安定し ており優れたものであった。
[0058] 製造例 1 1〜"! 3
製造例 1 1〜1 3は、 クリーンベンチ内で、 表 6に記載の茶葉 1 00 gを 温度 80°Cの蒸留水 1 000 gで 1 0分間抽出し、 ろ過した茶抽出液を調製 した。 次に、 下記組成の飲料を混合し、 脱気後、 1 39°Cで 1 0秒間加熱処 理後、 5 OOm Lぺットボトルに充填して筋力向上 運動効果向上用茶系容
器詰飲料を製造した。
[0059] [表 6]
(g:
* 1 茶抽出物の濃縮物
C カテキン類含有量 30%、 非ヱピ体含有量 3% (三井農林 (株) 製) D カテキン類含有量 30%、 非ェピ体含有量 14%
*2 pHは、 炭酸水素ナトリウムで調整した。
[0060] 製造例 1 1〜 1 3は、 保存時の色調の安定性や透明性の変化がほとんどな い容器詰飲料であった。 飲んだときの喉ごしも良く、 嗜好性の高い飲料であ つた。