自己乳化型製剤処方の設計方法. 技術分野
本発明は、 難水溶性薬物の自.己乳化型製剤の処方を設計する方法に関し、 詳しくは、 自己乳化型製剤の最適処方を高速でスクリーニングすることを可 能とする、 自己乳化型製剤処方の設計方法に関する。
明
背景技術 .
医薬品の開発においては多数の候捕化田合物を薬理実験により評価検討し、 薬効活性成分 (以下 「薬物」 という) を選定する。 これらの薬物の中には難 水溶性であるものも少なくない。 特に近年では、 薬理作用に基づいたハイス ループットスクリ一ユングやコンビナトリァルケミス トリ一によつて有望な 薬物を選択するが、 これらは難水溶性である場合が多い (Lipinski, C. A., 2000, J. Pharmacol. Toxicol. Methods 44, 235- 249:非特許文献 1 ) 0 琴 水溶性化合物では吸収性の低下や個体差における吸収性のバラツキが見られ る。 従って、 難水溶性化合物の経口剤の開発においてはその吸収性の向上や、 バラ'ツキの低減が重要な課題となる。
これらの吸収性の課題を解決する製剤技術として、 薬物、 油、 親水性界面 活性剤、 親油性界面活性剤、 吸収促進剤、 補助溶媒等から構成される自己乳 化型ドラックデリバリーシステム (Self- Emulsifying Drug Delivery
System, 以下 「S E D D S」 という) が知られている。 S E D D Sは、 上記 構成要素を水が含まれない状態で均一に混合し、 溶解または分散して調製し た製剤である。 S E D D Sは、 投与後は消化管内で水分に溶解、 分散して微 細なェマルジヨンを形成することで、 難水溶性薬物の吸収性を向上し、 個体 差による吸収性のパラツキを改善する。
S E D D S処方の設計において、 薬物、 油、 親水性界面活性剤、 親油性界面 活性剤、 吸収促進剤、 補助溶媒等の各構成要素の種類と比率により、 ェマル
ジョンの生成状態、 安定性が非連続的に変化するため理論的に設計する手法 は知られていない。 このため、 良好で安定レたェマルジヨンを形成する処方 を見出すためには各構成要素の種類と比率をさまざまに変えた処方を多数作 成し試行錯誤によりスクリ一二ングを行う必要があった。
また、 S E D D S処方の主要な構成成分である油、 親水性界面活性剤、 親 油性界面活性剤は、 一般に、 常温で粘稠な液体、 或いは、 半固形又は固形で ある。 このため、 少量の検討用処方の調製は手作業で行わざるを得なかった 力 その場合でも計量、 混合操作は著しく困難であり、 スループットに問題 があった。 また、 医薬品の開発早期においては、 処方検討に使用できる薬物 量に限りがあるという問題があった。 そのため、 使用する各構成要素の種類 を経験的に限定し、 限られた処方数で評価していた。 また、 種類を絞らない 場合は、 検討する処方が飛躍的に多くなり、 検討期間の長期化、 人的労力や 使用薬物量の増大などが問題となっている。
従って、 少ない薬物量で、 迅速で且つ効率的な S E D D Sの処方スクリー ユングの実現が求められている。
化学、 生化学分野では少量で多種類の試料を自動化された調製分析測定シ ステムで大量高速処理するハイスノレープットな L A S (Laboratory
Aunt omat ion System)技術が普及している。 L A Sでは自動イ されたピぺッ トとマイクロプレートとで試料を取り扱うことにより、 多検体を少量かつ迅 速に処理することを可能にしている。 この技術を S E D D Sの処方スクリー ユングに応用することにより、 多数の処方を少量の化合物量で迅速にスクリ 一ユングするハイスループットフォーミュレーションスクリーユング (High
Throughput Formulation Screening) が可能であると考えられた。
しかしながら、 S E D D Sの構成成分である油、 親水性界面活性剤、 親油 性界面活性剤などは、 一般に、 常温で粘稠な液体、 或いは、 半固体状又は固 体状であるためにピぺットによる分注およぴその後の混和が難しく、 H T F S化することはできなかった。
一方、 難水溶性化合物を可溶化するために界面活性剤を用いた最適処方を 調製評価する技術として、 静注製剤用 H T F Sシステムが知られている (TO
01/09391:特許文献 1 ; W0 02/43765:特許文献 2 ) 。 S E D D Sにおいて は、 ェマルジヨンの状態を正しく評価するためには、 水に分散する前に処方 内の添加物が均一に混合されていることが必須である。 しかしながら、 上述 の技術では界面活性剤を水で希釈し、 水溶液として混合しているため、 仮に、 この技術を S E E D Sに応用する場合、 界面活性剤が油に十分に吸着せず、 ェマルジョンが形成しにくくなり、 処方本来の性能を正しく評価できないと いう問題があった。 また、 混合後、 水を蒸発させる必要があり、 水の乾燥速 度が遅いために調製の迅速性が損なわれるという問題もあった。
ェマルジョ.ンの物性を表す指標に粒径や、 物理的安定性であるェマルジョ ンの分離等がある。 粒子径を測定する方法として、 動的光散乱法 (以下 「D L S」 という) が知られている。 しかしながら、 D L Sはスループットが低 いため、 コスト性や迅速性に問題があった。 また、 粒子径を反映するパラメ ータとして濁度計により濁度を評価する方法も知られているが、 スループッ トが低いため、 コス ト性や迅速性に問題があった (非特許文献 2: Nazzal, S. , et al., 2002, Int. J. Pharm. 235, 247-265) 。 ェマルジヨンの分離 においては、 外観を目視で観察する必要がある (非特許文献 3: Kawakami. , K., et al. , 2002, J. Controlled Release 81, 65 - 74) 力 観察者間での 判定のバラツキがあることに加え、 そのスループットは低く、 .コス ト性ゃ迅 速性に問題があった。
上記状況に鑑みて、 粘稠性液状、 半固形状又は固形状の成分を含有する S E D D S処方を、 低コ トで迅速に調製し評価する H T F Sシステムの開発 が望まれていた。
発明の開示
本発明者は、 上記課題を達成するため鋭意検討を進め、 多数の S E D D S 処方の評価検討において、 少量の試料の分注、 混合、 測定を連続して高速で 行うことができるシステムを開発した。 ずなわち、 本発明は、 以下に示す自 己乳化型製剤処方の設計方法を提供する。
( 1 ) 難水溶性薬物の自己乳化型製剤の処方を設計する方法において (a ) 難水溶性薬物および常温で粘稠性液状、 或いは、 半固形状又は固形状である
該製剤の構成成分を希釈溶媒で溶解して該構成成分を含有する希釈溶液をそ れぞれ調製する工程;及び (b) 該製剤の構成成分で常温において分注装置 で分注可能な構成成分を使用する場合は、 希釈溶媒で溶解することなく、 或 いは、 溶解して当該分注可能な構成成分を含有する希釈溶液を調製し、 それ らの構成成分の種類及び混合量がそれぞれ異なって添加されるように複数の 試験容器に分注して複数の被験混合物を調製する工程を含む方法。 -
(2) ざらに、 (c) 得られた複数の被験混合物から前記希釈溶媒を除去す る工程; (d) 得られた複数の被験混合物に水又は試験液を添加する工程; 及び、 (e) このようにして得られた複数の被験混合物から形成されるエマ ルジョンの性状を評価する工程を含む、 上記 (1) に記載の方法。
(3) 前記希釈溶媒が、 アルコール類である、 上記 (1) 又は (2) に記載 の方法。
(4) 前記希釈溶媒が、 炭素数 2〜 5のアルコールである、 上記 (3) に記 載の方法。
(5) 前記希釈溶媒が、 エタノール、 n-プロパノール、 イソプロパノール又 はこれらの混合物である、 上記 (4) に記載の方法。
(6) 前記被験混合物から形成されるェマルジヨンの性状評価工程 (e) 力 そのェマルジヨンの粒子径を濁度測定によって評価する工程を含む、 上記
(2) 〜 (5) のいずれかに記載の方法。
(7) 前記被験混合物から形成されるェマルジヨンの性状評価工程 (e) 力 そのェマルジヨンの分離安定性を保存処理前後における濁度の変化を測定す ることによって評価する工程を含む、 上記 (2) 〜 (6) のいずれかに記載 の方法。 , ,
(8) 前記被験混合物から形成されるェマルジヨンの性状評価工程 (e) .が、 そのェマルジヨンの分離安定性を遠心分離処理前後における濁度の変化を測 定することによって評価する工程を含む、 上記 (2) 〜 (7) のいずれかに 記載の方法。
( 9 ) 前記被験混合物から形成されるェマルジヨンの性状評価工程による評 価結果に基づいて、 最適な自己乳化型製剤の処方を決定する工程を含む、 上 記 (2 ) 〜 (8 ) のいずれかに記載の方法。
さらに、 本発明は、 下記ェマルジヨンの評価方法をも提供する。
( 1 0 ) ェマルジヨンの粒子径を濁度測定によって評価する工程を含む、 ェ マルジョンの性状を評価する方法。
( 1 1 ) ェマルジヨンの分離安定性を保存処理前後における濁度の変化を測 定することによって評価する工程を含む、 ェマルジヨンの性状を評価する方 法。
( 1 2 ) ェマルジヨンの分離安定性を遠心分離処理前後における濁度の変化 を測定することによつて評価する工程を含む、 ェマルジョンの性状を評価す る方法。
S E D D Sの処方設計においては、 ェマルジヨンの生成状態、 安定性が非 連続的に変化するため多数の処方を作成、 評価するといつた試行錯誤による スクリーニングが求められるが、 本発明によれば、 このような処方設計を、 L A S (Laboratory Auntomation System) の簡便性や迅速性を活用した H T F S (High Throughput Formulation Screening) 力可能となる。 した力 s つて、 本発明の好適な態様によれば、 少量の薬物使用量で、 低コス ト且つ迅 速に、 多処方の製剤を調製し、 評価する方法を提供することができる。 また、 本発明のェマルジヨン評価方法によれば、 従来の評価方法より、 迅速かつ的 確に評価することができるという利点がある。 図面の簡単な説明
図 1は、 得られた試料の濁度の測定結果を示す。
図 2は、 得られた試料における、 遠心分離後の濁度変化の測定結果を示す。 図 3は、 得られた試料における、 25°C、 48 時間保存後の濁度変化を示す。 発明を実施するための最良の形態
• まず、 本発明は、 難水溶性薬物の自己乳化型製剤の処方を設計する方法に おいて、 (a ) 難水溶性薬物および常温で粘稠性液状、 或いは、 半固形状又 は固形状である該製剤の構成成分を希釈溶媒で溶解して該構成成分を含有す る希釈溶液をそれぞれ調製する工程;及び (b ) 該製剤の構成成分で常温に おいて分注装置で分注可能な構成成分を使用する場合は、 希釈溶媒で溶解す .ることなく、 或いは、 溶解して当該分注可能な構成成分を含有する希釈溶液 を調製し、 それらの構成成分の種類及び混合量がそれぞれ異なつて添加され るように複数の試験容器に分注して複数の被験混合物を調製する工程を含む 方法を提供する。 本発明の好ましい態様は、 さらに、 (c ) 得られた複数の 被験混合物から前記希釈溶媒を除去する工程; (d ) 得られた複数の被験混 合物に水を添加する工程;及び、 (e ) このようにして得られた複数の被験 混合物から形成されるェマルジヨンの性状を評価する工程を含む。
本明細書中、 「自己乳化型製剤」 とは、 難水溶性薬物、 油、 親水性界面活 性剤、 親油性界面活性剤、 吸収促進剤、 捕助溶媒等から構成される自己乳化 型ドラックデジ リーシステム (Self-Emulsifying Drug Delivery System S E D D S ) のことをいう (Gursoy, N. R. , et al., 2004, Biomedicine & pharmacotherapy 58, 173- 182等参照) 。 本発明の方法は、 上記(a ) 〜
( e ) の一連の工程を自動化することが可能なので、 従来法に比較して高速 かつ的確に、 自己乳化型製剤の処方を最適化できるとう利点を有する。
以下、 本発明の各工程を説明する。
1 . 希釈溶液調製工程 (a )
希釈溶液調製工程 (a ) においては、 常温で粘稠性液状、.或いは、 半固形 状又は固形状である構成成分を希釈溶媒で溶解して該構成成分を含有する希 釈溶液を調製する。 ここでいう、 「常温で粘稠性液状、 或いは、 半固形状又 は固形状である構成成分」 とは、 自己乳化型製剤に添加される構成成分であ つて、 希釈溶媒による希釈なしにはヒ。ペットなどの分注装置 (器具) によづ て分注できないような物質をいう。 また、 「常温において分注装置で分注可 能な構成成分」 とは、 自己乳化型製剤に添加される構成成分であって、 希釈 溶媒で特に希釈しなくとも分注装置で分注できるような物質をいう。
自己乳化型製剤に添加される構成成分としては、 例えば、 難水溶性薬物 (活性成分) 、 油、 親油性界面活 剤、 親水性界面活性剤、 吸収促進剤、 補 助溶媒等が挙げられる。 本発明においては、 S E D D Sの主要構成成分であ る、 活性成分、 油、 親油性界面活性剤及び親水性界面活性剤のいずれかー以 上が、 常温で粘稠性液状、 或いは、 半固形状又は固形状である場合に、 その ような成分を低級アルコール等の希釈溶媒で希釈することにより、 分注操作 を可能にし、 ひいては自動化を可能としているのである。 したがって、 希釈 溶媒によって希釈する成分は、 上記成分の一つに限定されることはなく、 二 以上であっても、 全ての構成成分であってもよい。 また、 本明細書中、 「希 釈」 とは、 使用する分注装置 (器具) などによって分注できる程度に溶解し、 あるいは、 粘度を低下させることをいう。 したがって、 ピペットなどによつ て分注可能であれば、 それらの構成成分が完全に希釈溶媒中に溶解している 必要はない。 希釈溶液を調製する際に、 必要に応じて、 希釈する成分及ぴ Z 又は希釈溶媒を加熱することもできる。
本発明において用いられる 「希釈溶媒」 は、 粘稠性液状、 半固形状又は固 形状である成分 (S E D D S成分) を、 分注可能な程度に可溶化できるもの であれば特に限定されない。 そのような希釈溶媒としては、 例えば、 アルコ ール類 (エタノール、 n—プロノ ノール、 イソプロパノール、 ペンジノレアルコ ール) 、 ジメチルスルホキシド、 N,N_ジメチルァセトアミ ド、 テトラヒ ドロ フラン、 ジォキサン、 ジクロロメタン、 クロ口ホルム及ぴこれらの混合物な どが挙げられる。 好ましい希釈.溶媒は、 油と界面活性剤の混和を妨げずに、 水を溶媒として用いたときに見られるェマルジヨン形成不良という問題を起 こさないような溶媒である。
このような性状を考慮すると、 希釈溶媒としては、 水よりも極性が小さい 低級アルコールが好ましい。 ここで、 「低級アルコール」 とは、 直鎖または 分岐鎖の炭素数 2〜 5のアルコールをいい、 例えば、 メタノール、 エタノー ル、 n-プロパノール、 イソプロパノール、 n -ブタノール、 2 -ブタノール、 2—メチル一 1—プロパノール、 2—メチル一 2—プロパノールなどが例示 される。 これらの低級アルコール中で、 より好ましい溶媒はメタノール、 ェ
タノール、 n-プロパノール、 イソプロパノール及ぴこれらの混合物である。 これらは S E D D Sで用いる添加剤の溶解性に優れているばかりでなく、 低 沸点であり、 調製後の溶媒除去に優れている。 また、 希釈溶媒は必要に応じ て乾燥除去するが、 低級アルコールは、 水に比較して、 容易かつ迅速に乾燥 除去できるという利点もある。
なお、 本発明においては、 通常、 低級アルコール等の希釈溶媒は蒸発除去 するが、 わずかに残留する場合がある。 従って、 スクリーニングの結果、 低 級アルコールが残留した処方を選択してしまう可能性がある。 しかしながら、 仮に残留した希釈溶媒が必要な要素であると判断された場合であっても、 ェ タノールが希釈溶媒として用いられていれば、 実際の製剤中に安全性の高い 添加剤として容易に組み込むことができるため、 開発上、 大きな問題になる 可能性は低い。 従って、 希釈溶媒として、 c2— c5の低級アルコールの中で、 特に、 エタノールを用いることが好ましい。
なお、 上記希釈溶媒の添加量は、 対象となる構成成分をピペットなどで分 注可能な程度に希釈できる限り.特に制限されることはない。 希釈溶媒は、 例 えば、 対象構成成分が 5〜 8 0 w/w%、 より具体的には 2 5〜 6 0 w/w%の濃 度となるように添加される。
2 . 油及ぴ界面活性剤の混合工程 (b )
次いで、 工程 (b ) においては、 前記希釈溶液に含まれる構成成分と、 そ の構成成分以外の成分を、 それらの成分の種類及び混合量がそれぞれ異なつ て添加されるように複骛の試験容器に分注して複数の被験混合物を調製する。 前述の通り、 S E D D Sの処方には、 通常、 油 (O) 、 親水性界面活性剤 ( S ) 、 親油性界面活性剤 (C o S ) 、 必要に応じて、 任意に吸収促進剤、 補助溶媒などが添加される。
ここで用いられる油 (脂質) としては、 特に限定されないが、 例えば、 脂 肪酸エステル、 具体的には、 モノ力プリン酸プロピレングリコール (NIKK0L Sefsol-218、 日光ケミカルズ株式会社、 以下 「Sefsol- 218」 という) 、 ジカ プリン酸プロピレングリコール (NIKKOL Sefsol- 228、 日光ケミカルズ株式 会社、 以下 「Sefsol- 228」 という) 、 トリァセチン、 オリブ油、 ゴマ油、 ダ
ィズ油、 トウモロコシ油、 ナタネ油、 ヒマシ油、 ヤシ油、'ユーカリ油などの 油脂; Miglyol 812; トリカプリリン、 トリラウリンなどのトリグリセリ ド;テトラグリセリンポリリシノレート、 へキサグリセリンポリ リシノレー ト、 縮合ポリリシノレート、 テトラグリセリン混合脂肪酸エステルなどのポ リグリセリン脂肪酸エステルなどを挙げることができる。 これら油の中で、 例えば、 「Sefsol- 218」 「Sefsol- 228」 や Miglyol 812、 或いは、 トリカプ リ リン、 トリラウリンなどのトリグリセリ ドは、 特に希釈溶媒で希釈するこ となく分注可能な物質として挙げることができる。
ここで用いられる親水性界面活性剤 (H L B値 (hydrophile-lipophile balance)が 9. 0以上) としては、 特に限定されないが、 例えば、 ポリオキシ エチレンラウリルエーテル (ラウレス 2; BL_2、 ラウレス 4. 2; BL- 4. 2、 ラ ゥレス 9 ; BL - 9) 、 モノヤシ油脂肪酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン (NIKKOL TL- 10、 日光ケミカルズ株式会社、 以下 「Polysorbate 20」 とい う) 、 Polysorbate 40、 Polysorbate 80、 Labrasol コノヽク酸 D- α -卜コフ エリルポリエチレングリコール 1000 (Vitamin E TPGS NF、 EASTMAN
Chemical 社、 以下 「TPGS NF」 という) 、 ラウロイルポリオキシエチレング リセリン (Gelucire 44/14、 Gattefosse社) 、 ポリオキシエチレン硬化ヒ マシ油 40 (HC0-40) 、 ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 60 (HC0-60) 、 モ ノラゥリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、 モノパルミチン酸ポリオキシ エチレンソノレビタン、 モノォレイン酸ポリオキシエチレンソノレビタンなどを 例示することができる。
ここで用いられる親油性界面活性剤 (H L B値が 0〜9. 0 未満) としては、 特に限定されないが、 例えば、 モノォレイン酸ソルビタン (NIKKOL SO - 10V、 日光ケミカルズ株式会社、 以下 「S0 - 10」 という) 、 モノ力プリル酸プロピ レングリコール (CAPRY0L 90、 Gattefosse社、 以下 「Capryol 90」 とレヽ う) 、 モノラウリン酸プロピレングリコール (LAUR0GLYC0L 90、 Gattefosse 社、 以下 「Lauroglycol 90」 という) 、 ラウリン酸プロピレングリコール
(LAUR0GLYC0L FCC、 Gattefosse社、 以下 「 uroglycol FCC」 という) 、 ポリオキシエチレン (3) ヒマシ油 (NIKKOL C0- 3、 日光ケミカルズ株式会社、
以下 「C0 - 3」 という) 、 ポリオキシエチレン (10) ヒマシ油 (NIKKOL CO - 10、 日光ケミカルズ株式会社、 以下 「C0- 10」 とレ、う) 、 ペンタォレイン酸デカ グリセリル (NIKKOL Decaglyn 5- 0V、 日光ケミカルズ株式会社、 以下 「Decaglyn 5-0」 という) 、 モノォレイン酸ジグリセリル (NIKKOL DGM0 - CV、 日光ケミカルズ株式会社、 以下 I DGM0- C」 という) 、 ジォレイン酸へキサグ リセリル (PULUROL 0LEIQUE 497、 Gattefosse社、 以下 「Pulurol oleique 497」 という) 、 ォレイン酸ポリオキシエチレングリセリン (6) (LABRAFIL M 1944· CS、 Gattefosse社、 以下 「Labrafi 1—1944」 という) 、 リノレン酸 ポリオキシエチレングリセリン (6) (LABRAFIL M 2125 CS、 Gattefosse 社、 以下 「Labrafil 2125」 とレヽう) 等を例示することができる。
S E D D S処方を調製する場合は、 上記構成成分以外に、 例えば、 サリチ ル酸ナトリゥム、 デォキシコール酸ナトリゥム、 ミリスチン酸ナトリゥム、 ドデシル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤、 ェタノール、 プロピレングリコー ノレ、 ポリエチレングリコーノレ、 ジエチレントリアミン 5酢酸、 ジエタノーノレ ァミン、 トリエタノールァミン、 エチレンジァミン、 モノエタノールァミン、 N,N-ジメチルァセトアミ ド等の捕助溶媒などを配合することができる。 補助 溶媒として、 例えば、 プロピレングリコールやポリエチレングリコールなど 'を使用するときは、 希釈溶媒で希釈するのが好ましい。
本発明で用いることができる他の油、 界面活性剤、 添加剤は、 公知の文献、 参考書などを参照することができる (第十三改正日本薬局方; 日本薬局方外 医薬品規格 1997 ; 医薬品添加物規格 1998 ; 食品添加物公定書第七版; 化粧 品原料基準新訂版; 化粧品種別配合成分規格; 医薬部外品原料規格; United States Pharmacopeia 24; British Pharmacopeia 2000; European
Pharmacopeia 2000; National Formulary 19等参照) 。
上記 S E D D S処方の構成成分のうち、 分注のために希釈溶媒によって希 釈が必要な成分については、 上記工程 (a ) の方法に基づいて希釈溶液を調 製し、 分注装置 (器具) によって複数の試験容器に分注する。 S E D D S処 方の他の構成成分で希釈せずに分注可能なものはそのまま、 あるいは必要に 応じて希釈溶媒で希釈してから、 分注装置 (器具) によって複数の試験容器
W に分注する。 各成分の分注の順番は、 SEDDS処方の調製が可能であれば 特に限定されないが、 通常は、 (1) 活性成分、 (2) 油、 (3) 親水性界 面活性剤、 (4) 親油性界面活性剤、 の順で各試験容器に分注する。 分注装 置 (器具) としては、 ピペット、 LASのピペット等が挙げられる。 ここで 用いられる試験容器としては、 試験管、 複数の被験物質を収容することがで きるプレート (例えば、 96ゥエルプレート、 384ゥエルプレート) など が挙げられる。 本発明においては、 好ましくは、 市販の LASを用いること が可能で、 例えば、 GENESIS Workstation 200 (TECA 社製) 、 MultiPROBE II plus (Perkin Elmer社製) 等を用いることができる。 このような LAS を用いることにより、 少量の試料で、 同時に多処方の分注を自動的に行うこ とが可能となる。 なお、 各成分が同種の希釈溶媒 (例えば、 低級アルコー ル) で希釈されている場合は、 それら分注された複数の成分をより容易に混 和することができる。 また、 LASによれば、 低容量の分注が可能なため、 それに伴い、 使用する薬物量も少量で抑えることができる。
上記各構成成分は、 適当な異なる比率となるように調整して各試験容器に 分注する。 そのような比率として、 例えば、 S : C o S = 1 0 : 0〜6 : 4.
(S+C o S) : Q= 1 0 : 0〜6 : 4などの範囲などを選定することがで きる。 これらの 分を添加した後は、 適当な手段で適当な時間撹拌する (例 えば、 500〜2000rpmで 20秒〜 1分) 。 なお、 本発明によれば、 上記のよう にして調製される各構成成分を含有する含有希釈溶液などを含む、 SEDD S処方用スクリ一ニングキットを提供することもできる。
3. 希釈溶媒を除去する工程 (c) :
本発明の方法においては、 通常、 工程 (a) で加えられた希釈溶媒は除去 される。 このような希釈溶媒の除去は、 特に限定されないが、 通常は、 減圧 下で乾燥することによって行われる。 希釈溶媒としてエタノールを使用する 場合は、 例えば、 室温〜 40°Cで、 減圧下、 4〜1 0時間 (例えば 1晚) 程 度乾燥することによって!^去が可能である。 このようにして、 希釈溶媒を各 試験容器に収容された各被験混合物から除去することによって、 複数のエマ ルジョン製剤の候補処方を調製することができる。 このようにして得られた
ェマルジヨン製剤の候補処方は、 次工程において、 自己乳化型製剤として適 当な処方であるか評価されることになる。
4 . 水を添加する工程 (d ) :
自己乳化型製剤は、 上述したように、 上記構成要素が、 水を含まない状態 で均一に混合、 溶解または分散された製剤であり、 投与後は消化管内で水、 胃液、 これらの混合物などに溶解、 分散して微細なェマルジヨンを形成する ように設計されている。.したがって、 上記のようにして調製されたェマルジ ヨン製剤の候補処方が適当なものであるか評価するために、 まず、 水又は試 験液を^加してェマルジヨンを形成する。 ここで、 「試験液」 は、 S E E D Sの自己乳化し得る液体のことを意味し、 例えば、 人工胃液 (例えば、 第 14改正日本薬局法記載の試験液第一液 (J P 1 ) 、 第二液 (J P 2) 等) 、 人工胃液を水で希釈した液などが用いられる。 水又は試験液の添加量は、 各 成分の種類,量に応じて適宜変更されるが、 例えば、 各試験容器に、 被験混 合物に対し、 5〜 2 0倍量の水又は試験液を添加する。 水又は試験液を添加 後、 通常、 ェマルジヨンを形成するために撹拌する。 撹拌は、 これに限定さ れないが、 例えば、 500〜2000rpmで 20秒〜 1分程度実施する。
5 . 得られたェマルジヨン製剤処方の評価工程 (e ) :
次いで、 本発明においては、 上記のようにして形成されたェマルジヨンの 性状を評価する。 ェマルジヨンの物性を表す指標に粒径や、 物理的安定性で あるェマルジヨンの分離等があるので、 通常は、 これらの性状を評価する。 そのような性状を評価する方法としては、 従来公知の方法を用いることがで きる。 例えば、 粒子径を測定する方法として、 動的光散乱法 (以下 「D L S」 という) を用いることができる。 また、 粒子径を反映するパラメータと して濁度計により濁度を評価する方法も用いることができる。
しかしながら、 本発明者は、 S E D D Sにより形成されるェマルジヨンの 粒子径を、 マイクロプレート用吸光度計を用いた濁度の測定により迅速に評 価できることを見出した。 また、 本発明者は、 S E D D Sの分離安定性を、 濁度の変化により評価できることを見出した。
したがって、 本発明の好ましい態様においては、 ェマルジヨンの評価方法 として、
(e-1) 濁度測定によって、 そのェマルジヨンの粒子径を評価する方法; (e-2) 保存処理前後における濁度の変化を測定することにより、 そのェ マルジヨンの分離安定性を評価する方法;及び Z又は
(e-3) 遠心分離処理前後における濁度の変化を測定することにより、 そ のェマルジヨンの分離安定性を評価する方法を用いることができる。
本発明のさらなる好ましい態様によれば、 (e— 1) 〜 (e— 3) のニ以 上の評価方法を組合わせて評価を実施し、 その結果に基づいて、 最適な製剤 処方を決定する。
以下、 (e— 1) 〜 (e— 3) の評価方法を説明する。
e- 1 :濁度測定による粒子径の評価方法
一般的に、 S EDD S水溶液の外観は、 ェマルジヨンの粒子径に基づいて 変化することが知られており、 その外観の状態は、 大きく 3つの状態に分類 できる。 すなわち、 (1) 約 150nm以下のェマルジョンが形成されることに よる、 外観が澄明な状態 (マイクロエマルジヨン、 以下 「ΜΕ」'という ; 200 μ 1/ゥエルで濁度が 0.3未満) 、 (2) ェマルジヨンが MEよりも大き くなることにより、 あるいは、 その大きくなつたェマルジヨンと MEが混在 して形成されることにより、 外観が透明ではあるが白みを帯びる状態 (ホヮ イトマイクロエマルジヨン、 以下 「WME」 という ; 200 μ 1/ゥエルで濁度 が 0.3〜1) 、 (3) Ιμπιオーダーのェマルジヨンが形成されるととによる 外観が不透明な白濁した状態 (マクロエマルジヨン、 以下 「Ma c E」 とい う ; 200μ1/ゥェルで濁度が 1を超える) となる。 上述のように、 ェマルジ ヨンは粒子径によって、 外観が大きく変化するため、 濁度を測定することに より、 容易に粒子径を評価することができる。 また、 マイクロプレート用吸 光度計 (例えば、 SpectraMax 190、 Molecular device株式会社) を用いる ことにより、 低容量の試料で測定できるので、 低コスト且つ迅速な評価が可 能となる。 従って、 このような本発明の粒子径評価法によれば、 少量の薬物
使用量で、 低コス ト且つ迅速に、 多処方の S E D D Sの粒子径を評価するこ- とができる。
e— 2及び e— 3 :濁度の変化による分離安定性の評価方法
本発明の濁度の変化による分離安定性の評価方法においては、 ェマルジョ ンの保存処理前後における濁度の変化、 あるいは、 ェマルジヨンの遠心分離 処理前後における濁度の変化を測定することにより、 そのェマルジヨンの分 離安定性を評価する。 例えば、 上記のようにして調製されたェマルジヨンを、 1 °C以上 40°C以下の条件で 6時間以上 72時間以下で保存し、 その前後の濁 度の変化を評価することで、 S E D D Sの分離の有無を評価することが可能 となる。
また、 より厳しい条件かつ短時間で評価するために調製されたェマルジョ ンの遠心分離処理を行うこともできる。 この場合は、 例えば、 1,500〜
2, OOOrpmの条件で遠心分離を行いその前後で濁度の変化を測定する。 この 場合は、 経時的なェマルジヨン同士の凝集により粒子経が増大するが、 遠心 分離処理により、 経が增大した粒子を分離させ、 これを濁度により的確、 迅 速に評価できる。 また、 分離した状態として、 (1 ) クリーム層と透明層に 分離するケース、 (2 ) 透明層と透明層に分離するケースがあるが、 このよ うな分離も濁度により評価することができる。 また、 場合によっては薬物の 析出や、 処方成分同士の配合変化に伴う不溶物の発生も検出することができ る。 上述のょゔに、 濁度は低容量の試料で、 低コスト且つ迅速に評価できる という利点がある。
以上の工程 (a ) 〜 (e ) を組合わせた本発明の方法によれば、 ェマルジ ヨンの生成状態、 安定性が非連続的に変化するため多数の処方を作成、 評価 する試行錯誤によりスクリ一二ングする必要がある S E D D Sの処方設計に おいて、 L A Sを用いて、 その簡便性、 迅速性を著しく向上させる H T F S を完成させ、 少量の薬物使用量で、 低コス ト且つ迅速に、 多処方の分離安定 性を評価することができる。 実施例及び比較例
以下、 本発明の実施例を示してミ 本発明をさらに具体的に説明するが、 本 発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、 本発明の技術的思想を逸 脱しない範囲での種々の変更が可能である。 比較例 1 :希釈溶媒を用いなかった場合の試料調製
S E D D S処方を調製するための界面活性剤として、 ポリオキシエチレン (40)硬化ヒマシ油 (NIKKOL HC0- 40 (医薬用) 、 日光ケミカルズ株式会社、 以下 「HC0 - 40」 という) を、 油として、 中鎖脂肪酸グリセリ ド (0D0 - C、 日 清オイリオグループ株式会社、 以下 「MCT」 という) を使用した。 処方は表
1に 載した。 表 1
成分 容積( )
HCO-40 300
MCT 150
水 2400
計 2850
HC0-40は、 加熱融解しても、 粘稠であるため、 ピペットによる分注がで きなかった。 そこで、 加熱融解した後、 300 /i Lに相当する重量を測り.とつ た。 そこに MCT 150 μ ίを分注した後、 撹拌した。 HC0- 40が粘稠であるため 均一に混和することが困難であった。 そこで、 スパーテルで混和した。 最後 に 2400 μ ίの水を加え、 試料 1とした。 比較例 2 :希釈溶媒に水を用いた場合の試料調製
HC0-40を加熱融解した後、 水に 50 w/w。/。となるように溶解した。 しかし、 この溶液はゲル化し、 極度に粘稠な状態になったため、 -分注することは出来 なかった。
そこで、 ピペットにより分注できたと仮定して、 バイアルに直接 HC0 - 40 300 i Lに相当する重量を測りとつた。 そこに、 水を 300 μ ί分注した後、 攪
拌した。 続いて、 ΜσΓ150 μ ίを分注したが、 HC0-40水溶液はゲル化していた ため、 均一に攪拌することは困難であった。
そこで、 スパーテルで強制的に撹拌し、 その後、 真空乾燥機にて 12時間乾 燥させ、 そこに 2400 /i Lの水を加え、 試料 2とした。 実施例 1 :希釈溶媒にェタノールを用いた場合の試料調製
HC0-40を加熱融解した後、 ェタノールに 50 w/w%となるように溶解した。 . これを 600 (HC0— 40として 300 L) と、 MCT150 μ Lとをピペットを用い てバイアル瓶に分注した。 均一化のため撹拌した。 その後、 真空乾燥機にて 12時間乾燥させ、 そこに 2400 / Lの水を加え、 試料 3とした。
(試験例 1 ) 希釈溶媒が及ぼす試料調製の煩雑性への影響評価
比較例 1で記載したように、.希釈溶媒を用いない場合は、 ピぺットによる 分注ができなかった。 また、 希釈溶媒に水を用いた比較例 2の場合でも、 HC0-40のピぺットによる分注は困難であった。 また、 比較例 1、 2では、
HC0 - 40と MCTとを均一に混和することが難しかった。 しかしながら、 本発 · 明例 1で記載したように、 希釈溶媒にエタノールを用いた場合は、 HC0 - 40 のピペットによる分注が可能であり、 容易且つ迅速に分注できた。 また、 MCTとも容易に且つ迅速に混和していた。
(試験例 2) ェマルジョンに及ぼす希釈溶媒の影響評価 ( 1 )
比較例 1、 比較例 2、 本発明 1の試料 1〜 3の外観を目視で観測した。 また、 同 3試料をマイクロプレートに 200 に分注し、 吸光度計 (SpectraMax 190、 Molecular device株式会社) にて 650 nmでの濁度を測定した。 希釈 溶媒を用いていない試料 1をコントロールとした。 結果を表 2 Aに示した。
表 2 A
試料 1 試料 2 試料 3
外濁タ 透明 白色透明 透明
観度ィ ME- 丽 E ME
プ 0. 04 0. 23 0. 02
表中、 M E (マイクロエマルジヨン) は、 約 lOOnm以下のェマルジヨンが 形成されることによる外観が澄明な状態を示す。 MWE (ホワイトマイクロ ェマルジヨン) は、 ェマルジョンが M Eよりも大きくなることにより、 ある いは、 その大きくなったェマルジョンと M Eが混在して形成されることによ り、 外観が透明ではあるが白みを帯びる状態を示す。 また、 M a c E (マク ロェマルジヨン) は、 1 μ ιηオーダーのェマルジヨンが形成されることによ る、 外観が不透明な白濁した状態を示す。
希釈溶媒に水を用いた試料 2の外観は、 希釈溶媒を用いていない試料 1 (透明、 M E ) に比べると、 透明ではあるものの白色化しており、 WM Eと なっていた。 ところが、 希釈溶媒にエタノールを用いた試料 3は、 試料 1と 同様に、 透明且つ M Eであった。 また、 試料 2の濁度 (0. 23) は、 試料 1 (0. 04) と大きくことなつており、 粒子径が大きくなつていることが示唆さ れたが、 試料 3 (0. 02) では、 試料 1とほぼ同等の濁度であった。 従って、 ェマルジヨンの本来の物性を正しく反映できる希釈溶媒は、 水よりもェタノ ールの方が好ましいことがわかった。 比較例 3
試料 2と同様に、 希釈溶媒として水を用い、 乾燥処理は行わない試料を以 下のように調製した。 すなわち、 HC0-40を加熱融解した後、 バイアルに直 接 HC0 - 40 300 しに相当する重量を測りとつた。 そこに、 水を 300. L分注 した後、 攪拌した。 続いて、 MCT150 JU L を分注し、 スパーテルにて混和させ、 そこに 2400 AZ Lの水を加え、 試料 4とした。
実施例 2
試料 3と同様に、 希釈溶媒としてエタノールを用い、 乾燥処理は行わない 試料を、 以下のように調製した。 HC0 - 40を加熱融解した後、 エタノールに 50 w/w%となるように溶解した。 これを 600 μ ΐ (HC0- 40 として 300 L) と、 MCT150 / Lとをピペットを用いてパイアル瓶に分注した。 均一化のため撹拌 した。 そこに 2400 μ ίの水を加え、 試料 5とした。 試験例 3:残留溶媒が及ぼす希釈溶媒の影響評価
残留溶媒の影響を顕著化するために、 乾燥処理を行ない試料 4と 5を調製し た。 比較例 1、 比較例 3、 本発明 2の試料 1、 4、 5の外観を目視で観測した。 また、 同 3試料をマイクロプレートに 200 μ ίに分注し、 吸.光度計
(SpectraMax 190、 Molecular device株式会社) にて 650 nmでの濁度を測 定した。 希釈溶媒を用いていない試料 1をコントロールとした。 結果を表 2 Bに示した。 表 2 B 料 1 試料 4 試料 5 ,
外観 透明 白濁 透明
タイプ ME MacE ME
濁度 0. 05 2. 32 0. 02
n=3 水を用いた場合は、 外観が白濁化し、 M a c Eを形成し、 濁度も 2. 32 と、 試料 1とは大きく異なるェマルジヨンを形成していた。 一方、 エタノールを 用いた場合は、 試料 1と同様に、 外観は透明で、 M Eを形成し、 濁度も 0. 05と、 ほぼ試料 1と同様であった。 従って、 ェマルジヨンの本来の物性 を正しく反映できる希釈溶媒は、 水よりもエタノールの方が好ましいことが わかった。 実施例 3 :分注精度
エタノールで 50w/w%に希釈した界面活性剤を用い、 L A S (GENESIS Workstation 200、 TECAN社) における分注精度を評価した。 分注体積の設 定値を 200 Lとした。 '
界面活性剤としては、 ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル (NIKK0L BL- 2、 日光ケミカルズ株式会社、 以下 「BL - 2」 という) ; ポリオキシェチ レン(4. 2)ラウリルエーテル (NIKKOL BL-4. 2、 日光ケミカルズ株式会社、 以 下 「BL- 4. 2」 とレ、う) ; ポリオキシエチレン(9)ラウリルエーテル (NIKKOL BL - 9EX、 日光ケミカルズ株式会社、 以下 「BL-9」 という) ; モノパルミチ ン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン (NIKKOL TP- 10V、 日光ケミカルズ 株式会社、 以下 「Polysorbate 40J という) ; モノォレイン酸ポリオキシ エチレン(20)ソルビタン (NIKKOL TO- 10MV、 日光ケミカルズ株式会社、 以下 rPolysorbate 80J とレヽう) ; 力プリル酸 . 力プリン酸ポリオキシェチレ ン(8)グリセリン (LABMS0L、 Gattefosse社、 以下 「Labrasol」 という) ; HC0 - 40、 ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 (NIKKOL HC0 - 6ひ (医薬用) 日光ケミカルズ株式会社、 以下 「HC0 - 60」 という) を用いた。
分注された界面活性剤溶液の重量と密度から、 分注した体積を算出し、 そ の結果を表 3に示した。 表 3
界面活性剤 RSD
BL-2 0.0046
BL-4.2 0.0153
BL-9 0.0257
Pofysorbate 40 0.0034
Pofysorbate 80 0.0189
Labrasol 0.0072
HCO-40 0.0029
n=3
表 3から明らかなように、 いずれの溶液においても、 RSD (相対標準偏 差) が 0.03以下を示しており、 精度よく分注できることがわかった。 従つ て、 エタノールを希釈溶媒として用いることにより、 種々の界面活性剤を、 ピぺットで分注できるようになった。 実施例 4 : HTF Sの実施
下記に示す油と界面活性剤を、 LAS (GENESIS Workstation 200、 TECA 社) を用いて、 96ゥヱルプレートに分注した。 界面活性剤は 50v/v%のエタ ノール溶液として用いた。
親水性界面活性剤 (以下 「S」 という) と、 親油性界面活性剤 (以下 「CoS」 という) とを、 S:CoS=10:0、 9:1、 8:2、 7:3、 6:4の割合で混和した。 混和 された界面活性剤に、 油 (以下 「0」 という) を、 (S+CoS) :0=10:0、 9:1、 8:2、 7:3、 6:4の割合で混和した (HC0- 60は、 5:5、 4:6、 3:7、 2:8、 1:9ま で調製した) 。 油と界面活性剤は、 SEDDSとして合計 50 になるよ うに分注した。 モデル化合物として、 二ルバジピン (金剛薬品株式会社、 以 下 「Nil」 という) を用いた。
薬物は、 粉末として直接分注することができないため、 mg/mLのェタノ ール溶液に調製し、 N i 1が lmLの SEDDS中に、 4 mg/mLとなるように添加 'した。 薬物、 油、 親水性界面活性剤、 親油性界面活性剤の混和物を、 均一化 するため、 攪拌した。 その後、 一晩 (12時間以上) 真空乾燥し、 希釈溶媒 のエタノールを蒸発させた。 乾燥後の混合物に蒸留水 450 /iLを加え、 攪拌 したものを試料とした。
(使用した油)
油として、 モノ力プリン酸プロピレングリコール (NIKKOL Sefsol- 218、 日光ケミカルズ株式会社、 以下 「Sefsol- 218」 という) を用いた。
(使用した親水性界面活性剤) '
親水性界面活性剤として、 BL- 2、 BL - 4.2、 BL - 9、 モノヤシ油脂肪酸ポリ ォキシエチレン(20)ソルビタン (NIKKOL TL- 10、'日光ケミカルズ株式会社、 以下 「Polysorbate 20」 という) 、 Polysorbate 40、 Polysorbate 80、
Labrasol, コハク酸 D- α -トュフエリルポリエチレングリコール 1000
(Vitamin E TPGS NF、 'EASTMAN Chemical 社、 以下 「TPGS NF」 という) 、 ラウ口イノレポジ才キシエチレングリセリン (Gelucire 44/14、 Gattefosse 社) 、 HC0- 40、 HC0- 60を用いた。
(使用した親油性界面活性剤)
親油性界面活性剤として、 モノォレイン酸ソルビタン (NIKKOL SO - 10V、 日光ケミカルズ株式会社、 以下 「S0 - 10」 という) 、 モノ力プリル酸プロピ レングリコール (CAPRY0L 90、 Gattefosse社、 以下 「Capryol 90」 とい う) 、 モノラウリン酸プロピレングリコール (LAUR0GLYC0L 90、 Gattefosse 社、 以下 「Lauroglycol 90」 という) 、 ラウリン酸プロピレングリコール
(LAUR0GLYC0L FCC、 Gattefosse社、 以下 「Lauroglycol FCC」 という) 、 ポリオキシエチレン (3) ヒマシ油 (NIKKOL C0- 3、 日光ケミカルズ株式会社、 以下 「C0-3」 という) 、 ポリオキシエチレン (10) ヒマシ油 (NIKKOL C0- 10、 日光ケミカルズ株式会社、 以下 co-ioj という) 、 ペンタォレイン酸デカ グリセリル (NIKKOL Decaglyn 5_0V、 日光ケミカルズ株式会社、 以下
「Decaglyn 5-0」 とレ、う) 、 モノォレイン酸ジグリセリル (NIKKOL DGM0 - CV、 日光ケミカルズ株式会社、 以下 「DGM0- C」 という) 、 ジォレイン酸へキサグ リセリル' (PULUROL OLEIQUE 497、 Gattefosse社、 以下 「Pulurol oleique 497」 という) 、 ォレイン酸ポリオキシエチレングリセリン (6) (LABRAFIL M 1944 CS、 Gattefosse社、 以下 「Labrafil 1944」 とレ、う) 、 リノレン酸 ポリオキシエチレングリセリン (6) (LABRAFIL M 2125 CS、 Gattefosse 社、 以下 「Labrafil 2125」 という) を用いた。
( S E D D Sの濁度の測定)
試料をマイクロプレートに 200 分注し、 粒子径によるタイプ判別のた め、 咴光度計 (SpectraMax 190、 Molecular device株式会社) にて 650 nm での濁度を測定した。 その結果を図 1に示した。 濁度が低い処方は、-ェマル ジョンの粒子径が小さいことを意味している。 濁度が 0. 3以下の処方が M E
(遠心分離後の濁度変化の測定)
次いで、 上記のプレートを、 遠心分離機 (LC- 120、 トミー精ェ株式会社) を 用い 500 gで 10分間、 遠心分離を行い、 その前後で濁度 (650 nm) の変化 を求めた。 結果を図 2に示した。 濁度の変化ほ、 S E D D Sの油相と水相へ の分離、 薬物の析出などの物理的な変化により生じる。 物理的安定性が良好 なものとして、 濁度の変化が- 0.:!〜 0. 1の処方を選択した。
(25°C、 48時間保存後の濁度変化)
上記と同様に、 試料 200 ii Lを分注した 96ゥヱルプレートを、 25°Cにて 48 時間保存し、 その前後で濁度 (650 nm) の変化を測定した。 結果を図 3に示 した。 物理的安定性が良好なものとして、 濁度の変化が- 0.:!〜 0. 1の処方を 選択した。
以上の H T F Sの結果から、 MEで、 遠心分離において物理的安定性が良好 で、 更に、 25°Cにおいても物理的安定性が良好な処方として、 以下の表 4に 示す処方を設計することができた。 表 4
S CoS S:CoS (S+CoS):0
Polysorbate 20 Labrafil 1944 9:1 8:2
Polysorbate 40 Capryol 90 9:1 9:1
Polysorbate 80 GO - 10 9:1 9:1
し abrasol SO- 10 9:1 9:1
HCO-40 CO-3 6:4 6:4
HCO-60 DGMO-C 7:3 5:5
BL-9 CO-10 6:4 9:1 産業上の利用可能性
本発明によれば、 難溶性の活性成分などを含有する S E D D S処方を、 低 コストで迅速に調製し評価する H T F Sシステムを提供することができる。 したがって、 本発明によれば、 最適な S E D D S処方を迅速に開発すること ができるという利点を有する。