明 細 書
補酵素の安定化方法およびその組成物
技術分野
[0001] 本発明はリン酸ィ匕補酵素の安定ィ匕方法であって、少なくともリン酸ィ匕補酵素の脱リ ン酸化反応を抑制する物質、及びリン酸化補酵素を共存させることを特徴とする安定 化方法、保存方法、あるいは安定化組成物に関する。本発明は、臨床診断、食品検 查、生体成分検査等の分野において用いられる。
背景技術
[0002] これまで補酵素は、生化学臨床検査測定試薬に頻繁に用いられてきた。補酵素と して酸化型あるいは還元型のニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADHある!/、は NAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPHあるいは NADP)が用い られてきたが、これら補酵素は安定性に難点があった。補酵素は検査試薬に含まれ る微量の酵素により酸化型補酵素である NADや NADPへ変化する力、あるいは、 ADP リボースとそれ以外に分解してしまい、結果として酵素が利用できる構造体が変化し 、補酵素の総量が減少することにより、検査試薬の感度を低下させる問題点があった (非特許文献 1)。これを解決するために、補酵素を冷凍あるいは冷蔵などのなるベく 低い温度条件下に保存し、補酵素を含む試薬を凍結乾燥するか、あるいは溶液状 態での安定化剤としてアミン塩基や水酸化ナトリウム、キレート剤、アジ化物、ホウ酸、 アルカリ金属、アンモ-ゥムビカーボネートバッファー、活性酸素除去物質などを用 V、ることが知られて 、る。これらの方法は 、ずれも上述のごとく分解することを避ける ことで、感度低下を回避しょうという意図のもとに考え出されたものである (特許文献 1 、特許文献 2)。
[0003] また、補酵素は免疫学的な臨床検査測定試薬にも利用されている。例えば、酵素 免疫測定法にぉ 、て、リン酸ィ匕補酵素である NADPまたは NADPHを基質にアルカリ フォスファターゼ (ALP)標識抗体を検出する方法として補酵素サイクリング法が知ら れている(特許文献 3)。 NADPまたは NADPH、アルコールデヒドロゲナーゼ、ジァフォ ラーゼ、アルコール、及びテトラゾリゥム塩力 なる酵素サイクリング試薬を用いて検
出する方法が良く知られ、例えば、 ALPの基質に NADPを用いた場合、 ALPにより NA DPから NADが生じ、生じた NADがアルコールデヒドロゲナーゼとアルコールにより NA DHへと変化し、次いで、 NADHはジァフオラーゼとテトラゾリゥム塩により再び NADへ 戻り、再び NADから NADHへと反応が進む。このように NADと NADHとの間でサイクル する反応を通じて、テトラゾリゥム塩から生じるフオルマザン色素が反応液中に蓄積し 、この色素量を測定することで、 ALP活性を測定することができる。
これら試薬においても補酵素の安定性に問題を抱えており、生化学検査薬同様、 試薬を長期間保存するために、補酵素を冷凍あるいは冷蔵などのなるベく低い温度 条件下に保存し、補酵素を凍結乾燥状態で保存させてきた。また、緩衝液の種類を 選択することで安定化させる試みも行われてきた。
[0004] 一方、近年、インフルエンザ抗原検査薬をはじめとする、診療所やベッドサイドにて その場で検査結果を得ることができる簡易検査が普及してきた。これらポイントォブケ ァ (POC)検査薬において、冷蔵以下の保存が必要な場合は、冷蔵庫や冷凍庫など の特別な設備必要であり、保存できるスペースにも限界があるため、大量の試薬を安 価に購入して保存できな 、欠点があったことから、室温保存の試薬が望まれて 、た。 しかし、これらの POC検査薬において、室温保存可能な、補酵素を用いた検査薬を 実用化するために、従来の冷蔵保存よりもさらに過酷な条件下での長期の保存安定 性が求められ、上述のごとぐただでさえ冷蔵保存で補酵素を安定化させるのが困難 であったのをさらに過酷な条件下で安定化させなければならず、この分野での補酵 素を用いた検査薬の実用化は極めて困難であった。
また、検査薬の分野においては、微量の対象物質を測定するために、測定の高感 度化が望まれている。 ALPは、酵素免疫測定法で汎用される標識酵素としてよく知ら れているため、高感度に ALPを検出する手法が望まれている。また、高感度化させる 技術は、微量を測定する目的にとどまらず、検体の微量化あるいは測定の短時間化 のために有効であり、この分野にぉ 、て最も望まれて 、る技術である。
[0005] 特許文献 1:特許第 3470099号公報
特許文献 2:特開 2001—61498号公報
特許文献 3:特開平 6 - 303996号公報
非特許文献 1 :蛋白質 ·酵素の基礎実験法、南江堂、 426頁
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0006] 本発明は、リン酸化補酵素を、特に室温付近で長期間安定化させる方法を提供す ることを目的とするものである。
課題を解決するための手段
[0007] 本発明者等は、上記課題を解決するために特に以下の観点に留意しながら鋭意 研究を重ねた結果、室温にて長期間安定に保存可能な補酵素の安定化方法を見出 し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。補酵素を用いた ALP活性測定法に おいて、長期間安定に再現良く測定する試薬を実用化することは極めて困難である ことから、特に、高感度化された補酵素サイクリング法を用い、室温での長期間保存 可能な ALP活性測定試薬を実用化するためには、保存時間とともに増大する非特異 的発色を低減化させる補酵素の安定ィ匕技術が必要であり、従来知られている安定ィ匕 技術では限界があると考え、新規な安定ィ匕方法を見出すことが重要と考えて研究し た。
[0008] すなわち本願発明は、リン酸ィ匕補酵素の安定ィ匕方法であって、少なくともリン酸ィ匕 補酵素の脱リン酸化反応を抑制する物質、及びリン酸化補酵素を共存させることを特 徴とする安定ィ匕方法に関するものであり、
(1)リン酸ィ匕補酵素の安定ィ匕方法であって、少なくともリン酸ィ匕補酵素の脱リン酸 化反応を抑制する物質、及びリン酸化補酵素を共存させることを特徴とする安定ィ匕 方法、
(2)乾燥状態でのリン酸ィ匕補酵素の安定ィ匕方法であって、少なくともリン酸ィ匕補 酵素の脱リン酸化反応を抑制する物質、及びリン酸化補酵素を溶液中に共存させた 後に、該溶液を乾燥させることを特徴とする安定化方法、
(3)脱リン酸化反応を抑制する物質が、糖類及び Z又は糖アルコールであること を特徴とする前記(1)又は(2)記載の安定化方法、
(4)脱リン酸化反応を抑制する物質が、グルコースを構成成分として含有する多 糖類であることを特徴とする前記(1)又は(2)記載の安定化方法、
(5)脱リン酸化反応を抑制する物質が、グルコースを構成成分として含有する 2糖 類であることを特徴とする前記 (4)記載の安定化方法、
(6)脱リン酸ィ匕反応を抑制する物質力 ラタトース、トレハロース、マルトース、スク ロース力 なる群より選ばれた 1種又は 2種以上の組み合わせであることを特徴とする 前記(5)記載の安定化方法、
(7)乾燥させる方法が風乾であることを特徴とする上記 (2)記載の安定化方法、
(8)リン酸化補酵素が、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸 (NADP)であ ることを特徴とする前記(1)〜(7)記載の安定化方法、
(9)リン酸ィ匕補酵素の安定ィ匕組成物であって、少なくともリン酸ィ匕補酵素の脱リン 酸化反応を抑制する物質、及びリン酸化補酵素を含有することを特徴とする安定ィ匕 組成物、
(10)乾燥されたリン酸ィ匕補酵素の安定ィ匕組成物であって、少なくともリン酸ィ匕補 酵素の脱リン酸化反応を抑制する物質、及びリン酸化補酵素を含有することを特徴と する乾燥された安定ィ匕組成物、
(11)脱リン酸ィ匕反応を抑制する物質が、糖類及び Z又は糖アルコールであるこ とを特徴とする前記(9)又は(10)記載の安定化組成物、
(12)脱リン酸化反応を抑制する物質が、グルコースを構成成分として含有する多 糖類であることを特徴とする前記(9)又は(10)記載の安定化組成物、
(13)脱リン酸化反応を抑制する物質が、グルコースを構成成分として含有する 2 糖類であることを特徴とする前記(12)記載の安定化組成物、
(14)脱リン酸ィ匕反応を抑制する物質力 ラタトース、トレハロース、マルトース、ス クロース力 なる群より選ばれた 1種又は 2種以上の組み合わせであることを特徴とす る前記(13)記載の安定化組成物、
(15)リン酸ィ匕補酵素力 ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸 (NADP)であ ることを特徴とする前記(9)〜(14)記載の安定化組成物、
(16)リン酸ィ匕補酵素を長期間安定ィ匕するための、脱リン酸化反応を抑制する物 質の使用、
( 17)少なくともリン酸化補酵素の脱リン酸化反応を抑制するための、ダルコースを
構成成分として含有する多糖類の使用、
(18)少なくともリン酸ィ匕補酵素の脱リン酸ィ匕反応を抑制する物質を用いた、リン 酸化補酵素の長期安定な保存方法、
に関する。
また、
(19)リン酸化補酵素、少なくともリン酸化補酵素の脱リン酸化反応を抑制する物 質を共存させることを特徴とする酵素サイクリング用のリン酸化補酵素の安定化方法
(20)リン酸化補酵素、少なくともリン酸化補酵素の脱リン酸化反応を抑制する物 質のみを共存させることを特徴とする酵素サイクリング用のリン酸ィ匕補酵素の安定ィ匕 方法、
(21)酵素サイクリング用のリン酸ィ匕補酵素の安定ィ匕方法が、 32°C、 3ヶ月後のリン 酸化補酵素が 70%以上残存し、且つ、残存リン酸化補酵素中の脱リン酸化補酵素割 合が 1%未満となる安定化方法である上記(19)又は(20)に記載の安定化方法、
(22)酵素サイクリング用のリン酸ィ匕補酵素の安定ィ匕方法が、 32°C、 6ヶ月後のリン 酸化補酵素が 70%以上残存し、且つ、残存リン酸化補酵素中の脱リン酸化補酵素割 合が 1%未満となる安定化方法である上記(19)又は(20)に記載の安定化方法、
(23)酵素サイクリング用のリン酸ィ匕補酵素の安定ィ匕方法が、 32°C、 1年後のリン 酸化補酵素が 70%以上残存し、且つ、残存リン酸化補酵素中の脱リン酸化補酵素割 合が 1%未満となる安定化方法である上記(19)又は(20)に記載の安定化方法、
(24)リン酸化補酵素が、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸類である 上記(19)〜(23)のいずれか 1つに記載の安定ィ匕方法、
(25)ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸類力 ニコチンアミドアデニンジ ヌクレオチドリン酸及び Z又はチォニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸である 上記(24)に記載の安定化方法、
(26)ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸及び Z又はチォニコチンアミドア デニンジヌクレオチドリン酸力 ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸である上 記(25)に記載の安定化方法、
(27)ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸及び Z又はチォニコチンアミドア デニンジヌクレオチドリン酸力 チォニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸であ る上記(25)に記載の安定化方法、
(28)少なくともリン酸ィ匕補酵素の脱リン酸ィ匕反応を抑制する物質が、グルコース を構成成分として含有する多糖類である上記(19)〜(27)のいずれか 1つに記載の 安定化方法、
(29)グルコースを構成成分として含有する多糖類力 グルコースを構成成分とし て含有する 2糖類である上記(28)に記載の安定化方法、
(30)グルコースを構成成分として含有する 2糖類力 マルトース、スクロース、ラタ トース、及びトレハロース力 なる群より選ばれる 1種または 2種以上の組み合わせで ある上記(29)に記載の安定化方法、
(31)グルコースを構成成分として含有する 2糖類力 マルトース、トレハロース、及 びラタトースカ なる群より選ばれる 1種または 2種以上の組み合わせである上記(30 )に記載の安定化方法、
(32)グルコースを構成成分として含有する 2糖類力 マルトース及び/又はラクト ースである上記(30)に記載の安定化方法、
(33)グルコースを構成成分として含有する 2糖類力 ラタトース及び Z又はトレハ ロースである上記(30)に記載の安定化方法、
(34)グルコースを構成成分として含有する 2糖類力 マルトース及び Z又はトレ ハロースである上記(30)に記載の安定化方法、
(35)グルコースを構成成分として含有する 2糖類力 ラタトース及び/又はスクロ ースである上記(30)に記載の安定化方法、
(36)グルコースを構成成分として含有する 2糖類力 マルトース及び/又はスクロ ースである上記(30)に記載の安定化方法、
(37)グルコースを構成成分として含有する 2糖類力 ラタトースである上記(30) に記載の安定化方法、
(38)グルコースを構成成分として含有する 2糖類力 マルトースである上記(30) に記載の安定化方法、
(39)グルコースを構成成分として含有する 2糖類力 スクロースである上記(30) に記載の安定化方法、
(40)グルコースを構成成分として含有する 2糖類力 トレハトースである上記(30 )に記載の安定化方法、
(41)上記(9)〜(15)に記載の安定ィ匕組成物を用いるアルカリフォスファターゼ 活性測定法、
(42)酵素標識試薬が抗体または抗原が固定化された膜を透過した後に、酵素基 質が自動的に添加されるように送液装置を設けたフロースルー型の簡易免疫測定装 置。
(43)送液装置が水溶性フィルターを用いることを特徴とする上記 (42)に記載の 簡易免疫測定装置、
(44)送液装置がサイフォンを用いることを特徴とする上記 (42)〜 (43)に記載の 簡易免疫測定装置、
(45)酵素基質が上記(9)〜(15)に記載の安定化組成物を含有する溶液である ことを特徴とする上記 (42)〜 (44)に記載の簡易免疫測定装置、
(46)酵素標識試薬が抗体または抗原が固定化された膜を透過した後と、酵素基 質が自動的に添加される前に洗浄液を添加しな ヽことを特徴とする上記 (42)〜 (45 )に記載の簡易免疫測定装置、
(47)微生物のリボソーム蛋白質に対する抗体を用いることを特徴とする上記 (41 )記載のアルカリフォスファターゼ活性測定法を利用した酵素免疫測定法、
(48)微生物がマイコプラズマ-ユーモ -ァ、へモフィルスインフルエンザ、ストレ プトコッカスニューモニァ、クラミジァニューモニァ、クラミジァトラコマーテイスレジオネ ラニューモフイラより選ばれる 1種以上である上記 (47)に記載の酵素免疫測定法、
(49)リボソームタンパク力L7ZL12である上記 (47)〜 (48)に記載の酵素免疫 測定法、
(50)微生物のリボソーム蛋白質に対する抗体を用いることを特徴とする上記 (42 )から (46)に記載の簡易免疫測定装置、
(51)微生物がマイコプラズマ-ユーモ -ァ、へモフィルスインフルエンザ、ストレ
プトコッカスニューモニァ、クラミジァニューモニァ、クラミジァトラコマーテイスレジオネ ラニューモフイラより選ばれる 1種以上である上記、上記 (48)記載の酵素免疫測定 法を利用した、(50)に記載の簡易免疫測定装置、
(52)リボソームタンパクカ^ 7ZL12である、上記 (49)記載の酵素免疫測定法を 利用した、上記(50)〜(51)記載の酵素免疫測定法、
(53)上記(1)〜(8)にお 、て、さらにクェン酸塩を共存させることを特徴とする安 定化方法、
(54)クェン酸塩力 クェン酸ナトリウムである上記(53)に記載の安定化方法、
(55)上記(9)〜(15)において、さらにクェン酸塩を共存させることを特徴とする 安定化組成物、
(56)クェン酸塩が、クェン酸ナトリウムである上記(55)に記載の安定化組成物、
(57)上記(16)、又は(17)において、さらにクェン酸塩の使用、
(58)クェン酸塩が、クェン酸ナトリウムである上記(57)に記載の使用、
(59)上記(18)において、さらにクェン酸塩を用いる、リン酸化補酵素の長期安 定な保存方法、
(60)上記(19)〜 (40)において、さらにクェン酸塩を共存させることを特徴とする 安定化方法、
(61)クェン酸塩が、クェン酸ナトリウムである上記(60)に記載の安定化方法、
(62)上記(55)又は(56)に記載の安定ィ匕組成物を用いるアルカリフォスファタ一 ゼ活性測定法、
(63)酵素基質が、上記(55)又は(56)に記載の安定化組成物を含有する溶液 であることを特徴とする上記 (42)〜 (44)に記載の簡易免疫測定装置、
(64)酵素標識試薬が抗体または抗原が固定化された膜を透過した後と、酵素基 質が自動的に添加される前に洗浄液を添加しないことを特徴とする上記(63)に記載 の簡易免疫測定装置、
(65)微生物のリボソーム蛋白質に対する抗体を用いることを特徴とする上記(62 )記載のアルカリフォスファターゼ活性測定法を利用した酵素免疫測定法、
(66)微生物がマイコプラズマ-ユーモ -ァ、へモフィルスインフルエンザ、ストレ
プトコッカスニューモニァ、クラミジァニューモニァ、クラミジァトラコマーテイスレジオネ ラニューモフイラより選ばれる 1種以上である上記(65)に記載の酵素免疫測定法、
(67)リボソームタンパク力L7ZL12である上記(66)又は(67)に記載の酵素免 疫測定法、
(68)微生物のリボソーム蛋白質に対する抗体を用いることを特徴とする上記(63 )又は(64)に記載の簡易免疫測定装置、
(69)微生物がマイコプラズマ-ユーモ -ァ、へモフィルスインフルエンザ、ストレ プトコッカスニューモニァ、クラミジァニューモニァ、クラミジァトラコマーテイスレジオネ ラニューモフイラより選ばれる 1種以上である上記(68)に記載の簡易免疫測定装置、
(70)リボソームタンパク力L7ZL12である上記(50)〜(51)に記載の酵素免疫 測定法、
に関する。
また、
(71)少なくともリン酸化補酵素の脱リン酸化反応を抑制する物質、及びリン酸ィ匕 補酵素のみを共存させることを特徴とする上記(1)に記載の安定ィ匕方法、
(72)少なくともリン酸化補酵素の脱リン酸化反応を抑制する物質、及びリン酸ィ匕 補酵素のみを共存させることを特徴とする上記(2)に記載の安定化方法、
(73)脱リン酸化反応を抑制する物質が、糖類及び Z又は糖アルコールであるこ とを特徴とする前記(71)又は(72)に記載の安定化方法、
(74)脱リン酸化反応を抑制する物質が、グルコースを構成成分として含有する多 糖類であることを特徴とする前記(71)又は(72)に記載の安定化方法、
(75)脱リン酸化反応を抑制する物質が、グルコースを構成成分として含有する 2 糖類であることを特徴とする前記(74)に記載の安定化方法、
(76)脱リン酸ィ匕反応を抑制する物質力 ラタトース、トレハロース、マルトース、ス クロース力 なる群より選ばれた 1種又は 2種以上の組み合わせであることを特徴とす る前記(75)記載の安定化方法、
(77)乾燥させる方法が風乾であることを特徴とする(72)記載の安定化方法、
(78)リン酸化補酵素力 ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸 (NADP)であ
ることを特徴とする前記(71)から(77)記載の安定化方法、
(79)少なくともリン酸化補酵素の脱リン酸化反応を抑制する物質、及びリン酸ィ匕 補酵素のみを含有することを特徴とする上記(9)記載の安定化組成物、
(80)少なくともリン酸化補酵素の脱リン酸化反応を抑制する物質、及びリン酸ィ匕 補酵素をのみ含有することを特徴とする上記(10)記載の安定化組成物、
(81)脱リン酸ィ匕反応を抑制する物質が、糖類及び Z又は糖アルコールであるこ とを特徴とする前記(79)又は(80)記載の安定化組成物、
(82)脱リン酸化反応を抑制する物質が、グルコースを構成成分として含有する多 糖類であることを特徴とする前記(79)又は(80)記載の安定化組成物、
(83)脱リン酸化反応を抑制する物質が、グルコースを構成成分として含有する 2 糖類であることを特徴とする前記(82)記載の安定化組成物、
(84)脱リン酸ィ匕反応を抑制する物質力 ラタトース、トレハロース、マルトース、ス クロース力 なる群より選ばれた 1種又は 2種以上の組み合わせであることを特徴とす る前記(83)記載の安定化組成物、
(85)リン酸化補酵素力 ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸 (NADP)であ ることを特徴とする前記(79)〜(84)記載の安定化組成物、
(86)上記(79)〜(85)記載の安定ィ匕組成物を用いるアルカリフォスファターゼ活 性測定法、
(87)酵素基質が上記(79)〜(85)記載の安定化組成物を含有する溶液である ことを特徴とする上記 (42)〜 (44)記載の簡易免疫想定装置、
(88)上記(71)〜(78)にお 、て、さらにクェン酸塩のみを共存させることと特徴と する安定化方法、
(89)クェン酸塩が、クェン酸ナトリウムである上記(88)に記載の安定化方法、
(90)上記(79)〜(85)にお 、て、さらにクェン酸塩のみを共存させることと特徴と する安定化組成物、
(91)クェン酸塩が、クェン酸ナトリウムである上記(90)に記載の安定化組成物、
(92)リン酸ィ匕補酵素を長期間安定ィ匕するための、脱リン酸化反応を抑制する物 質、及びクェン酸のみの使用、
(93)少なくともリン酸ィ匕補酵素の脱リン酸ィ匕反応を抑制するための、グルコースを 構成成分として含有する多糖類、及びクェン酸のみの使用、
(94)クェン酸塩力 クェン酸ナトリウムである上記(92)又は(93)に記載の使用、
(95)少なくともリン酸ィ匕補酵素の脱リン酸ィ匕反応を抑制する物質のみを用いた、 リン酸化補酵素の長期安定な保存方法、
(96)少なくともリン酸化補酵素の脱リン酸化反応を抑制する物質、及びクェン酸 塩のみを用いた、リン酸化補酵素の長期安定な保存方法、
に関する。
発明の効果
[0009] 本発明の安定化方法は、例えば、 ALP活性測定用等として用いた場合、室温で補 酵素を長期間安定化させる効果を示す。従って、 POC検査薬等において補酵素を 用いた検査薬を実用化するのに非常に有効である。
図面の簡単な説明
[0010] [図 1]本発明の、酵素標識試薬が抗体または抗原が固定化された膜を透過した後に
、酵素基質が自動的に添加されるように送液装置を設けたフロースルー型の簡易免 疫測定装置の図である。
[図 2]本発明の、酵素標識試薬が抗体または抗原が固定化された膜を透過した後に 、酵素基質が自動的に添加されるようにサイフォン式の送液装置を設けたフロースル 一型の簡易免疫測定装置の図である。
発明を実施するための最良の形態
[0011] 以下、本願発明について具体的に説明する。
[0012] 本願発明におけるリン酸ィ匕補酵素としては、例えば、 NADP,チォ NADP、ァセチル NADP,デァミノ NADP、デアミド NADP、力 なる群より選ばれる 1種または 2種以上の 補酵素の組み合わせが好適な例として挙げられる。より好ましくは NADPまたは NADP Hが良ぐ特に好ましくは NADPが挙げられる。補酵素の純度は高ければ高いほど良 い。高純度であれば市販品をそのまま用いても良いが、必要に応じて、市販の補酵 素粉末を適当な溶媒に溶解させ、カラム精製などにて精製したものを用いてもよい。 留意すべき不純物としてはリン酸化されて 、な 、補酵素等が挙げられる。本願発明
における安定ィ匕対象であるリン酸ィ匕補酵素の量に対して、不純物である該リン酸化さ れていない補酵素の量が 1%以下が好ましぐ 0.5%以下が更に好ましぐ 0.1%以下が特 に好ましい。
[0013] 本願発明における脱リン酸化反応を抑制する物質としては、少なくとも上記リン酸化 補酵素の構造中に存在するリボースの 2位に結合したリン酸基が解離するのを抑制 する作用を有する物質であれば何ら限定されな!ヽが、その他の作用を併せ持って 、 てもよい。その他の作用としては、例えば、リボース部分と塩基部分の結合が分解さ れることを抑制する作用等が挙げられる。具体的な物質としては、糖類及び Z又は糖 アルコール等が好適な例として挙げられ、特に糖類が好まし 、。
[0014] 糖類としては、多糖類が好ましぐ例えば、その構造内にグルコースを含有する多 糖類が特に好ましい。具体例としては、スクロース、トレハロース、ラタトース、マルトー ス、 a—サイクロデキストリン、 j8—サイクロデキストリン、 γ—サイクロデキストリン、メ チル一 13—サイクロデキストリン、ヒドロキシプロピルサイクロデキストリン、マルトデキ ストリン、マノレトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトへキサォ一 ス、マノレトヘプタオース、イソマノレトース、イソマノレトトリオースイソマノレトテトラオース、 イソマルトペンタオース、イソマルトへキサオース、ノ ノース、イソパノース、ソホロース 、ソホロトリオース、ソホロテトラオース、ソホロペンタオース、ソホロへキサオース、コー ジビオース、ラミナリビオース、ラミナリトリオース、ラミナリテトラオース、ラミナリペンタ オース、 -ゲロース、 -ゲロトリオース、セロビオース、セロトリオース、セロテトラオース 、セロペンタオース、セ口へキサオース、セ口へプタオース、ゲンチオビオース、ゲン チォトリオース、ゲンチォテトラオース、ゲンチォペンタオース、ゲンチォへキサォ一 ス、ネオトレハロース、イソトレハロース、ビシァノース、イソプリメべロース、サンブビォ ース、プリメべロース、リコテトラオース、ソラビオース、メリビオース、マンニノトリオース 、ベルバスコテトラオース、リコビオース、リコトリオース、ェピセロビオース、ッラノース 、マノレツロース、イソケストース、ェノレロース、ケストース、プランテオース、プランテオ テトラオース、ラフイノース、スタキオース、ベルバスコース、アジユゴース、リクノース、 シラビオース、ネオヘスペリドース、ノレチノース、カコトリオース、ソラトリオース、フコシ ドラタトース、ジフコラタトース、スト口ファントビオース、スト口ファントトリオース、ジギラ
ニドビオース、ジギラニドトリオース、ォドロトリオース、トレハロサミン、ラクト Nトリオース II、ゲンチアノース、ネオケストース、メレチトース、ネオビフノレコース、ニストース、ビフ ルコース、リコリシン、ェピゲンチオビオース、イソリクノース、ゥンベリフエロース、セサ モース、ラタトー N—テトラオース、ラタトー N—ネオテトラオース、セロビォゥロン酸、 Nァセチルノイラミノラタトース I、 N—ァセチルノイラミノラタトース II、ジ一 N—ァセチ ルノイラミノラタトース、ラクトペンタサッカライド a、ラクトペンタサッカライド b、ラクトペン タサッカライド c、ダルコシルマン二トール、ジダルコシルマンニトール、ガラタトフラノシ ルーダルコシルーガラクトフラノシルーガラタトシルーリビトール、アミロース、グリコー ゲン、グルカン、スクレ口タン、デキストラン、二ゲラン、プスッラン、プルラン、ラミナラ ン、リナケン、ィヌリン、ノ クテリア表面多糖抗原等が挙げられる。
更に好ましくはその構造内にグルコースを含有する 2糖類が挙げられ、最適にはラ クトース、トレハロース、マルトース、スクロース力 なる群より選ばれる 1種又は 2種以 上の組み合わせが好ましい。特に、ラタトースが好ましい。また、別の態様としてはトレ ノ、ロースが好ましい場合もある。さらに別の態様としてはマルトースが好ましい場合も あり、スクロースが好ましい態様もある。組み合わせ例では、ラタトースまたはトレハロ ースと、それ以外の構造内にグルコースを含有する 2糖類との組み合わせが良ぐ例 えば、ラタトースに、トレハロース、マルトース、スクロースから選ばれる 1種又は 2種以 上を組み合わせた糖を添加する力、あるいは、トレハロースに、ラタトース、マルトース 、スクロース力 選ばれる 1種又は 2種以上を組み合わせた糖を添加するのが良い。 組み合わせる場合の比率は所望の効果を発揮すれば特に限定されな 、が、簡便さ の観点からは、片方を 1としてもう一方を重量、体積量、或いはモル量の 1〜: LOOから 選ばれる整数倍用いることが好ましぐ 1〜10から選ばれる整数倍用いることがより好 ましぐ 1〜5から選ばれる整数倍用いることがさらに好ましぐ 1〜3から選ばれる整数 倍用いることが特に好ましぐ 1倍或いは 2倍が大変に好ましぐ 1倍(=同量)が最も 好ましい。
保存する際の脱リン酸化反応を抑制する物質の濃度範囲は特に規定されず、上限 値としては飽和溶解濃度以下であれば何でも良い。下限値としては、 0.1%以上が好 ましぐ 0.5%以上がさらに好ましぐ 1%以上が特に好ましい。
[0016] 本発明におけるリン酸ィ匕補酵素の安定化としては、保存期間中にリン酸ィ匕補酵素 が高い純度を維持する状態を意味する。具体的には、保存期間中にアルカリフォス ファターゼ基質として必要十分な量が含まれ、かつ、ノ ックグラウンドの上昇が低く抑 えられるようにリン酸化補酵素が高い純度で維持する状態を意味する。より具体的に は、例えば、リン酸化補酵素の量が 70%以上であり、かつ、保存開始時のリン酸化補 酵素の量に対してリン酸化されていない補酵素の増加割合が 1%以下の状態が長期 間維持することが挙げられ、リン酸化補酵素の量が 80%以上であり、かつ、保存開始 時のリン酸ィ匕補酵素の量に対してリン酸化されていない補酵素の増加割合が 1%以下 の状態が長期間維持することがさらに好ましい態様として挙げられる。該長期間とし ては、 3ヶ月以上、 6ヶ月以上、又は 12ヶ月以上が好ましい期間として挙げられ、中で も 6ヶ月以上が特に好ましい期間として挙げられる。
[0017] 本発明のリン酸化補酵素の安定化方法は、少なくともリン酸化補酵素と脱リン酸ィ匕 反応を抑制する物質を共存させることに特徴がある。リン酸化補酵素と脱リン酸化反 応を抑制する物質の共存時の割合としては、リン酸化補酵素が所望の保存条件で充 分に安定化され、かつ、所望の検体測定条件でリン酸化補酵素の働きを阻害しない 割合であれば特に規定はされないが、例えば、リン酸化補酵素 1分子に対して、脱リ ン酸ィ匕反応を抑制する物質力 分子力 0. 001分子の比率が良ぐ好ましくは 106 分子から 0. 001分子の比率が良ぐ最適には 106分子力も 0. 002分子の比率が良 い。
[0018] また、添加剤として適当な緩衝液を用いる安定ィ匕方法が挙げられる。該緩衝液に、 リン酸ィ匕補酵素を適当濃度添加すると良ぐその濃度範囲は特に規定されるもので はないが、下限値としては、 O.lmM以上が好ましぐ 0.5mM以上がより好ましぐ ImM 以上が特に好ましい。また上限値としては、 1M以下が好ましぐ 500mM以下がより好 ましぐ 200mM以下が特に好ましい。緩衝液は特に規定されず、何を用いても良いが 、例えば、シユウ酸緩衝液、エチレンジァミン 4酢酸緩衝液、マレイン酸緩衝液、ァス パラギン酸緩衝液、リン酸緩衝液、ァスパラギン緩衝液、グリシン緩衝液、ピノレビン酸 緩衝液、ピロリン酸緩衝液、マロン酸緩衝液、フタル酸緩衝液、フマル酸緩衝液、酒 石酸緩衝液、クェン酸緩衝液、フランカルボン酸緩衝液、 βーァラニン緩衝液、 β:
ι8 '―ジメチルダルタル酸緩衝液、ギ酸緩衝液、乳酸緩衝液、 γ—ァミノ酪酸緩衝液 、ノ レビツール酸緩衝液、安息香酸緩衝液、コハク酸緩衝液、 ε —アミノカプロン酸 緩衝液、酢酸緩衝液、プロピオン酸緩衝液、リンゴ酸緩衝液、ピリジン緩衝液、ヒスチ ジン緩衝液、力コジル酸緩衝液、炭酸緩衝液、ヒドロキシイミダゾール緩衝液、グリセ ロールリン酸緩衝液、エチレンジァミン緩衝液、イミダゾール緩衝液、ヒ酸緩衝液、 2,4 ,6 コリジン緩衝液、 1一、 2—、又は 4—メチルイミダゾール緩衝液、 Ν—ェチルモル ホリン緩衝液、ベロナール緩衝液、バルピタール緩衝液、 2,4 ジメチルイミダゾール 緩衝液、モルホリン緩衝液、 Ν—ェチルモルホリン緩衝液、 2 アミノー 2—メチル—1 , 3 プロパンジオール緩衝液、 2 ァミノ 2 ェチル 1 ,3 プロパンジオール緩衝 液、ジエタノールァミン緩衝液、 4—アミノビリジン緩衝液、セリン緩衝液、ホウ酸緩衝 液、アンモニア緩衝液、エタノールァミン緩衝液、エフェドリン緩衝液、ヒドロキシプロリ ン緩衝液、 2 ァミノ一 2—メチル 1—プロパノール緩衝液、ロイシン緩衝液、トリメチ ル緩衝液、 —ァラニン緩衝液、 n—プロピルアルコール緩衝液、メチルァミン緩衝 液、ェチルァミン緩衝液、 n—ブチルァミン緩衝液、トリエチルァミン緩衝液、ジメチル ァミン緩衝液、へキサメチレンジァミン緩衝液、ピぺリジン緩衝液、 p トルエンスルホ ン酸緩衝液、トリス緩衝液、グリシルグリシン緩衝液、 GTA緩衝液、また、 Good緩衝 液として、 MES緩衝液、 Bis— Tris緩衝液、 AD A緩衝液、 PIPES緩衝液、 ACES 緩衝液、 MOPSO緩衝液、 BES緩衝液、 MOPS緩衝液、 TES緩衝液、 HEPES緩 衝液、 DIPSO緩衝液、 TAPSO緩衝液、 POPSO緩衝液、 HEPPSO緩衝液、 EPP S緩衝液、 Tricine緩衝液、 Bicine緩衝液、 TAPS緩衝液、 CHES緩衝液、 CAPS O緩衝液、 CAPS緩衝液等が挙げられ、好ましくはクェン酸緩衝液、ジエタノールァ ミン緩衝液、トリス緩衝液、グリシン緩衝液、酢酸緩衝液、炭酸緩衝液、イミダゾール 緩衝液、 1一、 2—、又は 4—メチルイミダゾール緩衝液、ベロナール緩衝液、ノ ルビタ ール緩衝液、 2,4-ジメチルイミダゾール緩衝液、 2 アミノー 2 ェチル 1 , 3 プロ パンジオール緩衝液、ホウ酸緩衝液、トリェチルァミン緩衝液、ジメチルァミン緩衝液 、 Good緩衝液殻選ばれる、 1種または 2種以上の組み合わせが良ぐ最適には、ク ェン酸緩衝液、またはジエタノールァミン緩衝液が好ましい。緩衝液の pHは還元型 のリン酸化補酵素の場合、中性力 アルカリが良ぐ好ましくは pH7から 12が良ぐ最
適には pH7.5から 11が良い。また、酸化型のリン酸化補酵素の場合は中性から酸性 が良ぐ好ましくは pH2から pH7.5が良ぐ最適には pH3から 7が良い。
[0019] 本発明の安定化方法に、さらに一般的な保存性を向上させる目的でアジィ匕ナトリウ ムゃプロクリンなどの防腐剤を添加する方法も好適な方法として挙げられる。これら溶 液を乾燥させることにより、乾燥した保存用組成物を得る方法が挙げられる。
本発明のリン酸化補酵素の安定化組成物としては、前記の安定化方法に従って、 少なくともリン酸化補酵素の脱リン酸化反応を抑制する物質、及びリン酸化補酵素を 含有する組成物とした調製したものであればよい。該組成物に、さらに前記緩衝液、 前記防腐剤等を含有させた組成物も好ま ヽ。該組成物は液状であっても乾燥状で あってもよいが、乾燥状が好ましい。乾燥状組成物は、乾燥品を混合して得てもよい 力 一度溶液状に調製した後、これを乾燥させたものが好ましい。乾燥方法は特に規 定されるものではないが、例えば凍結乾燥、風乾、加熱乾燥、減圧乾燥等が挙げら れ、好ましくは凍結乾燥、風乾が挙げられ、特に好ましくは風乾が挙げられる。乾燥 時の温度はリン酸化補酵素が分解しない条件下であれば特に規定されず、 -80°C から 100°Cであれば良ぐ好ましくは— 50°C力も 80°Cが良ぐ最適には、 50°Cから 70 °Cが良い。また、乾燥時間は、乾燥条件に応じて、水分の乾燥度合いを指標として 適宜設定すればよい。水分の乾燥度合いの指標としては、その含水量が低ければ 低いほど良いが、好ましくは 10%以下であるのが良ぐさらに好ましくは 5%以下が良ぐ 最適には 3%以下が良ぐ 1%以下が大変に好ましい。
[0020] 本発明の安定化組成物の保存温度は目的に応じて設定すれば特に規定されるも のではないが、上限温度としては、 50°C以下が好ましぐ 40°C以下がより好ましぐ 37 °C以下がさらに好ましぐ 32°C以下が特に好ましぐ 30°C以下が最も好ましい。下限 温度としては、特別な規定は不要であるが、実用上の観点からは— 20°C以上が好ま しぐ 10°C以上がより好ましぐ 0°C以上がさらに好ましぐ 4°C以上が特に好ましぐ 10°C以上が最も好ましい。本願発明の安定ィ匕方法の特徴としては、常温、例えば、 20°C以上 40°C以下、 4°C以上 37°C以下、 10°C以上 32°C以下の範囲で安定に保存 できる点に特徴がある。
[0021] このように常温にて長期保存可能な補酵素を用いることで初めて、同様に常温にて
長期保存可能な高感度な ALP活性測定法を提供することが可能となる。 ALP活性測 定法としては、例えば、緩衝液中に溶解した、 12 αハイドロキシステロイドデヒドロゲ ナーゼ、ジァフオラーゼ、コール酸、ニトロブルーテトラゾリゥムを含む反応液にて、乾 燥状態で保存させてぉ 、た NADPを再溶解させて、その反応液に測定した 、ALPを 添加し、一定時間室温もしくは 37°Cでインキュベートする。溶液中に増加する色素量 を、単位時間あたりの増加量や、蓄積した絶対量を分光光度計で測定したり、 目視 にて判定すると良い。このような ALP活性測定の利用法としては、前述のごとぐあら ゆる検査分野において、検出試薬ゃ該検出試薬を含んでなる検出キット等で汎用で きる。ほんの一例として挙げるならば、室温保存可能な大腸菌 0157の検出試薬等 が挙げられる。さらにはキットとしては、試薬として室温保存可能な、 0157遺伝子プ ローブ固定化プレート、検体抽出液、ジゴキシゲニン標識核酸、抗ジゴキシゲン ALP 標識抗体、洗浄液、 ALP検出用 NADP乾燥品、 ALP検出用酵素乾燥品、 ALP検出試 薬溶解液カゝらなるキットが挙げられる。
方法を簡単に述べると、大腸菌 Ol 57遺伝子を検出するためのプローブ核酸をプ ラスチックプレートに予め固定ィ匕しておいた 0157遺伝子プローブ固定ィ匕プレートに 、サンプルである大腸菌 0157から核酸を検体抽出液にて得、これをプレートへ分注 して一定時間室温か 37°Cでインキュベートする。プレートを洗浄液で、洗浄し、次に 大腸菌 0157遺伝子に相補的な配列でかつプレート固相上のプローブとは異なる領 域の、ジゴキシゲニン標識核酸を添加し、一定時間室温か 37°Cでインキュベートする 。プレートを洗浄し、抗ジゴキシゲン ALP標識抗体を添加し、室温か 37°Cで一定時間 インキュベートする。プレート洗浄後、固相上に形成した抗ジゴキシゲン ALP標識抗 体ージゴキシゲニン 核酸複合体を検出するために、 12 αハイドロキシステロイドデ ヒドロゲナーゼ、ジァフオラーゼ、コール酸、ニトロブルーテトラゾリゥムを含む ALP検 出用酵素乾燥品と、 ALP検出用 NADP乾燥品を ALP検出試薬溶解液にて再溶解さ せた ALP検出用反応液を一定量プレートに添加し、室温か 37°Cで一定時間インキュ ペートする。プレート上で発色したフオルマザン色素の量をプレートリーダーなどの光 学機器で読み取るか、 目視で判定し、サンプル中の大腸菌 0157の存在を確認する 。存在する場合は 0157遺伝子に裏付けられた ALP活性により強度に発色し、逆に
存在しない場合は、発色はしないか、極めて小さなものとなる。
[0023] さらには、リン酸ィ匕補酵素を長期安定ィ匕するために脱リン酸ィ匕反応を抑制する物質 を使用すること、少なくともリン酸化補酵素の脱リン酸化反応を抑制するためにダルコ ースを構成成分として含有する多糖類を使用すること、及び少なくともリン酸化補酵 素の脱リン酸ィ匕反応を抑制する物質を用いた、リン酸化補酵素の長期安定な保存方 法も本発明の範囲内である。
[0024] このように安定化された本発明の補酵素を、酵素サイクリング法を用いた簡易型免 疫測定装置に適用でき、該簡易型免疫測定装置も本発明の範囲内である。簡易型 免疫測定装置の原理としてはィムノクロマト法やフロースルー法が挙げられるがフロ 一スルー法が好ましい。簡易型免疫測定装置としては、例えばフロースルー法を例 に取ると予め測定対象となる物質と結合能力を持つ抗体などを膜上に固定ィ匕し、そ の膜を吸水能力のある材料の上に載せておき、測定対象物質を膜上に捕捉するた めに、例えば、測定対象物との結合能を持つ別の酵素標識抗体と測定対象物質を 予め反応させてぉ ヽた液を膜上に滴下して抗原抗体反応を行わせるか、あるいは、 測定対象物質を含有する溶液滴下し、続いて、液が吸水されて膜状の液が実質的 になくなつた後、酵素標識抗体液を滴下して行う。次に、液が膜状カゝら実質的になく なった後、洗浄操作として洗浄液の滴下を行い、さらに同様に膜上の洗浄液がなくな つた後、酵素基質溶液を添加する。膜上に形成された複合体に含まれる酵素と酵素 基質が反応し、膜上に色素の形成を確認するのが一般的である。
このとき、膜上に酵素標識抗体を含む複合体を効率よく形成させるために、酵素標 識抗体液が膜との接触時間は長いほど良ぐ一方洗浄液や酵素基質液は操作性の 観点から、より短い時間にて膜を透過するのが望ましい。そのため、測定対象物質、 酵素標識抗体は一定の時間をおいて添加し、洗浄液、酵素基質液等は余り時間を おかずに順に添加する方法が普通で、この方法は操作性の観点から問題があった。
[0025] 本発明にお 、ては、このように時間間隔を置!、た複数の操作を改善する方法として 、簡易型免疫測定装置へ複数の液を実質的に同時に添加し、装置内部に組み込ま れた自動送液装置によって膜上へ順に液が添加されるようにするものである。特に、 酵素標識抗体と酵素基質液が膜上で混合されると、測定対象物質の存在の有無に
関わらずに発色し、非特異的なバックグラウンドになることから、これを避けるために、 両者の接触を極力避けるようにする自動送液装置を組み込んだ簡易型免疫測定装 置を発明したものである。酵素標識抗体液と酵素基質液を同時に装置へ添加すると 、酵素標識抗体液が最初に一定時間かけて膜を透過し、実質的に透過が終了した 後で酵素基質液が添加されるように時間差を設ける自動送液装置であり、時間差を 設けることができれば何でも用いることができるが、例えば、酵素基質液が添加され たとき、膜に液が到達する前に水溶性フィルターなどで液を遮蔽しておき、水溶性フ ィルターが溶解する一定時間の後酵素基質液が膜へ添加される方法がある。
[0026] 水溶性フィルターとは、酵素基質液が水溶性フィルターを溶解させて一定時間は 液が流れず、ある時点で流れ出すもので、実質的に酵素反応に影響を及ぼさなけれ ば何でも用いることができ、例えば、水溶性の性質を持つフィルム状のフィルターが 良い。
水溶性の性質を持つフィルム状のものとしてはポリビュルアルコール膜、プルラン膜 、ヒドロキシプロピルセルロース膜などが挙げられ、好ましくはポリビュルアルコール膜 が良い。これら水溶性フィルターを筒状の酵素基質溶液添加槽下部に設け、酵素基 質溶液が添加されると、水溶性フィルターを溶解させながら、一定時間は液が流れず 、その後に液が流れ出す。液の流れない時間は 10秒から 10分の間が良ぐ好ましく は 30秒から 5分の間が望ましい。
[0027] また、本発明における自動送液装置にはサイフォンを用いる方法が挙げられる。本 発明におけるサイフォンとは、酵素基質溶液添加槽下部に開口部を持つ管であって 、管は開口部から上方へ伸び、後再び下方へ降り、管のもう一方の開口部が確認窓 へ通ずる部位にある構造を有し、酵素基質溶液添加槽下部と上端との間に酵素基 質液の流速調整用フィルターを備えたものであれば良 ヽ。サイフォン構造をもつ酵素 基質溶液添加槽に酵素基質液を添加すると、流速調整用フィルターによって液が酵 素基質溶液添加槽下部へ徐々に貯留され、貯留量が増大するに従いその液面の高 さに合わせて、管に液が満たされる。やがて管の最も高い位置よりも貯留した液の水 面が高くなると、貯留していた液が管を通って一気に確認窓へと流れる。従って、酵 素基質溶液添加槽へ酵素基質溶液が添加されると、一定時間は液が流れず、その
後に一気に液が流れ出す。流速調整用フィルタ一は、酵素基質を酵素基質溶液添 加槽へ添加した後で添加槽下部へ緩和に流れ出すものであれば何でも使うことがで き、濾紙に水溶性物質を乾燥させたものが望ましい。濾紙の材質は水溶性物質が再 溶解した後に液が透過する能力があれば何でも用いることができ、例えば、紙、ガラ ス、ポリエステル、ポリスチレン、ナイロンが挙げられる力 好ましくは紙またはガラスが 良い。水溶性物質としては、糖、タンパク質、合成ポリマーなどが挙げられ、糖として は、デキストラン、プルラン、寒天などの高分子多糖、やスクロース、ラタトース、マルト ース等の 2糖類やグルコースやガラクトースなどの単糖類が挙げられ、好ましくは高分 子多糖が好ましぐより好ましくはデキストランが好ましい。タンパク質としては、アルブ ミンやグロブリンなどが挙げられ、合成ポリマーとしては、ポリエチレングリコール、ポリ ビュルピロリドン、ポリビュルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げら れる。液の流速は水溶性物質の乾燥時の濃度で適宜調整すると良ぐ液の流れない 時間は 10秒から 10分の間が良ぐ好ましくは 30秒から 5分の間が望ま U、。
これらを用いることで、酵素基質液が確認窓へ添加される前に洗浄液を同様に添 加することも簡単であるが、必ずしも必要ではなぐ測定対象物質が存在しないときに 認められるバックグラウンドと必要とされる感度に合わせて設定すると良いが、操作性 やコストの面力も洗浄液を添カ卩しな 、で用いるのが好ま U、。
[0028] 更に具体的に説明すると、例えばインフルエンザに感染した患者に対して、鼻腔よ り綿棒などにてぬぐい液を採取し、その綿棒に付着したインフルエンザ抗原を、イン フルェンザ抗原抽出液を兼ねた界面活性剤、適当な緩衝液および塩類などが含ま れたアルカリフォスファターゼ標識抗インフルエンザ抗体液に浮遊させ、インフルェン ザ抗原浮遊液を得る。
インフルエンザ抗原浮遊液を簡易型免疫測定装置の確認窓へ適当量滴下し、間を 置かずに酵素サイクリング反応液を酵素基質溶液添加槽へ添加し、数分後に確認 窓にて抗原の有無を色素の沈着にて目視判定するだけでよぐインフルエンザ抗原 浮遊液と酵素サイクリング反応液の添加以後、特別の操作が無くとも判定できる。
[0029] また、インフルエンザとは別に微生物の検出として WO00Z06603号公報に記載 される、微生物のリボソーム蛋白質に対する抗体と酵素サイクリング法を組み合わせ
て用いることにより、特異性と検出感度に優れた、簡易型免疫測定方法もまた提供で きる。リボソーム蛋白質としては L7ZL12を用いるのが良い。特に高い特異性と高い 結合力が要求されるマイコプラズマ-ユーモ -ァ、へモフィルスインフルエンザ、スト レプトコッカスニューモニァ、クラミジァニューモニァ、クラミジァトラコマーテイス、レジ ォネラニューモフイラにおいて有効であり、マイコプラズマ-ユーモ-ァあるいはレジ ォネラニューモフイラが好ましぐさらに好ましくはマイコプラズマニューモニァに対す る抗体を用 、るのが好まし 、。
実施例
[0030] 以下に、実施例、比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら の例によってなんら制限されるものではない。
[実施例 1]
[0031] (1)補酵素の保存
5%ラタトースを含有する 20mMのクェン酸ナトリウム緩衝液 (pH6.5)中に、補酵素とし て NADP (オリエンタル酵母社製)を 1.25mMとなるように溶解させて調製した溶液を調 製した。またコントロールとして、 20mMのクェン酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)中に、 NA DPを 1.25mMとなるように溶解させて調製した溶液を調製し、合計 5種類の溶液を調 製した。この溶液をマイクロチューブ中にて 20 1ずつ分注し、 30°C湿度 15%の条件下 で 5時間乾燥させた。乾燥後、マイクロチューブごと、乾燥剤を入れたアルミ袋にて、 4 。C、 25°C、 32°C、 37°C、 42°Cにて保存した。
[0032] (2)バックグラウンドの測定
酵素サイクリング反応液として、 lOOmMジエタノールァミン一 HCl (pH9. 5)、0.0125 %ニトロブルーテトラゾリゥム、 ImMコール酸、 50mM塩化ナトリウム、 ImM塩化マグネ シゥム、 Bacillus megaterium由来ジァフオラーゼ(旭化成ファーマ株式会社製) 6.6U/ mlを含む溶液を調製した。この溶液 lmlを NADPが乾燥保存されて 、たマイクロチュ ーブに添加し、 NADPを攪拌して再溶解させた。再溶解させた NADPを含むサイクリン グ反応液 500 1を試験管中にて 37°C3分間加温し、 10mM PIPES (pH8.5)に溶解した 1777.6U/mlの Bacillus sphaericus由来 12 αハイドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ( 旭化成ファーマ株式会社製)を 5 μ 1添加して 37°C5分間反応させた。 0.5%のドデシル
硫酸ナトリウム溶液を 250 1添加して反応を停止させ、反応液を 550nmの吸光度を測 し 7こ。
[0033] (3)アルカリフォスファターゼ活性の測定
(2)にて再溶解させた NADPを含むサイクリング反応液 500 1を試験管中にて 37°C 3分間カロ温し、 10mM PIPES (pH8.5)に溶解した 1777.6U/mlの Bacillus sphaericus由 来 12 aノ、イドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ (旭化成ファーマ株式会社製)を 5 μ 1 と 50mU/mlの小牛小腸由来のアルカリフォスファターゼ(ロシュ社製) 5 μ 1を同時に添 加して 37°C5分間反応させた。 0.5%のドデシル硫酸ナトリウム溶液を 250 1添カ卩して反 応を停止させ、反応液の 550nmの吸光度を測定した。得られた測定値カゝらそれぞれ の実験条件で得られた (2)でのバックグランドの値を差し引き、アルカリフォスファタ ーゼ反応によって得られた活性値とした。
[0034] (4) NADP量の測定
乾燥させて保存した NADPに、 10mMの PIPES (pH8) lmlを添カ卩して再溶解させ、こ のうちの一部をとり蒸留水にて 10倍希釈した。(2)で調製した酵素サイクリング反応 液に小牛小腸由来のアルカリフォスファターゼを 8U/mlとなるように調製した溶液 lml に、先に調製しておいた希釈した NADPの再溶解液 20 1を添加し 37°C5分間反応さ せた。 0.5%のドデシル硫酸ナトリウム溶液を 250 1添加して反応を停止させ、反応液 を 550nmの吸光度を測定し、 NADPの保存開始時の測定値を 100%として、残存%を計 昇した。
[0035] その結果、表 1—1および表 1—2に示すようにラタトースの添カ卩によって、 3ヶ月保 存後のバックグラウンドが実験コントロールに比べて低減でき、かつ ALP活性を測定 できた。また、表 1—3に示すように NADPの残存量も実験コントロールに比べて保持 されていた。
[0036] [表 1-1] バ、 グ^ 7 腐开 翻 3ヶ月
Abs 550nm 4°C 25°C 32°C 37°C 42°C
0.067 0.071 0.081 0.122 0.224 0.259 トロ一ル 0.067 0.183 0.386 ひ 608 1.233 1.956
[0037] [表 1-2]
[0038] [表 1-3]
[0039] [実施例 2]
実施例 1記載の 5%ラタトースの代わりに 10%トレハロース、 10%マルトース、 10%スクロ ースをそれぞれ含有する 20mMのクェン酸ナトリウム緩衝液 (pH6.5)中に、補酵素とし て NADP (オリエンタル酵母社製)を 1.25mMとなるように溶解させて調製した溶液 3種 を調製し、同様に実験した。
[0040] その結果、表 2— 1力 表 2— 3に示すように、 10%トレハロース、 10%マルトース、 10% スクロースのいずれの条件も実験コントロールに比較して良好な安定性を示した。
[0041] [表 2-1]
[0042] [表 2- 2]
[0043] [表 2-3]
NADP量 保存開始直後保存期間 3ヶ月
残存% 4°C 25°C 32 °C 37 °C 42°C
10%卜レノヽ□—ス 1 00 96 105 97 75 60
10%マル) ^一ス 1 00 97 102 97 74 68
10¾スクロース 100 97 89 72 67 46 実験コントロール 100 91 88 76 43 31
[0044] [実施例 3]
実施例 1記載の 5%ラタトースの代わりに、 0.1%、 1%、 5%、 10%、 30%、 60%の濃度で調製 したトレハロースをそれぞれ含有する 20mMのクェン酸ナトリウム緩衝液 (pH6.5)中に 、補酵素として NADP (オリエンタル酵母社製)を 1.25mMとなるように溶解させて調製 した溶液 6種を調製し、同様に実験した。
その結果、表 3— 1力 表 3— 3〖こ示すよう〖こ、トレハロースの濃度が 0.1%力 60%の 間において、実験コントロールと比較して良好な安定性が得られた。
[0045] [表 3-1]
[0046] [表 3- 2]
[0047] [表 3-3]
NADPm 保存開始直後保存期間 3ヶ月
残存% 4°C 25°C 32°C 37°C 42°C
0.1 %トレハロ一ス 100 102 102 83 66 40
1 トレハ口一ス 100 100 103 89 69 58
5%トレハロ一ス 100 99 95 101 69 57
10%トレハロ一ス 100 96 105 97 75 60
30%トレハロ一ス 100 101 100 98 81 64
60%トレハロ一ス 100 96 99 98 79 66 実験コントロール 100 91 88 76 43 31
[0048] [実施例 4]
実施例 1記載の 5%ラタトースの代わりに、 0.1%、 0.5%、 1%、 5%、 15%の濃度で調製した ラタトースをそれぞれ含有する 20mMのクェン酸ナトリウム緩衝液 (pH6.5)中に、補酵 素として NADP (オリエンタル酵母社製)を 1.25mMとなるように溶解させて調製した溶 液 5種を調製し、同様に実験した。
その結果、表 4—1から表 4— 3に示すように、ラタトースの濃度力 0.1%から 15%の 間において、実験コントロールと比較して良好な安定性が得られた。
[0049] [表 4-1]
[0050] [表 4- 2]
[0051] [表 4-3]
NADP量 保存開始直後保存期間 3ヶ月
残存% 4°C 25°C 32°C 37。C 42°C
0.1 %ラクト一ス 100 95 95 95 77 33
0.5%ラク! ス 100 96 95 93 88 45
1 ¾ラク! ^一ス 100 98 103 99 92 58
5%ラク! ス 100 99 100 100 91 63
15%ラク卜一ス 100 101 100 96 97 71 実験コント口一ル 100 91 88 76 43 31
[0052] [実施例 5]
実施例 1記載の 5%ラタトースの代わりに、条件 1 : 10%ラタトースと 20%トレハロース、条 件 2 : 10%ラタトースと 20%マルトース、条件 3 : 20%トレハロースと 20%マルトース、条件 4 : 10%ラタトースと 20%トレハロースと 20%マルトース、をそれぞれ含有する 20mMのクェン 酸ナトリウム緩衝液 (PH6.5)中に、補酵素として NADP (オリエンタル酵母社製)を 1.25 mMとなるように溶解させて調製した溶液 4種を調製し、同様に実験した。
その結果、表 5—1から表 5— 3に示すように、いずれの組み合わせ条件においても 、実験コントロールと比較して良好な安定性が得られた。
[0053] [表 5-1]
[0055] [表 5-3]
保存開始直後保存期間 3ヶ月
4°C 25。C 32°C 37°C 42。C 条件 1 100 99 101 92 84 45 条件ΐ Φ σ 2 100 98 98 95 86 50 条件 3 100 99 100 97 88 45 条件 4 100 100 101 101 90 59 実験コント口一ル 100 91 88 76 43 31
[0056] [実施例 6]
実施例 1記載の 5%ラタトース、実施例 2記載の 10トレハロースをそれぞれ含有する 20mMのクェン酸ナトリウム緩衝液(pH6. 5)中に、補酵素として NADP (オリエンタル 酵母社製)を 1.25mMとなるように溶解させて調製した溶液を 2種調製し、この溶液を チューブ中にて 20 1ずつ分注し、 30°C湿度 15%の条件下で 5時間乾燥させた。乾 燥後、マイクロチューブごと、乾燥剤を入れたアルミ袋にて、 4°C、 25°C、 35°Cにて 6ケ 月間保管した後のバックグラウンド、 ALP活性、及び NADP残存量を測定した。
その結果、表 6—1から表 6— 3に示すように、 5%ラタトース、 10%トレハロースとも にいずれの条件も実験コントロールに比較して良好な安定性を示した。
[0057] [表 6-1]
[0059] [表 6- 3]
N A D P量 臍開始直後 保存期間 6ヶ月
残存% 4。C 25。C 3 2°C
5 %ラクト一ス 1 00 1 02 91 77
1 0%トレハロース 1 00 1 05 95 95 実験コント口一ル 1 00 99 92 65
[0060] [実施例 7]
抗 A型インフルエンザウイルスモノクロナル抗体(Fitzgerald社製) 2種類のうち 1種 類を 25mm X 30mmの-トロセルロース膜(ワットマン社製)に 2mg/mlの抗 体溶液 1 μ 1をスポットし、 42°C30分乾燥させた。乾燥させたニトロセルロース膜を吸 水パッド上にのせ、スポット部が蓋に予め開口させておいた確認窓と一致するように 上蓋をした。図 1に示すポリビュルアルコールを材質とした水溶性フィルター KC40 ( アイセロ化学社製)を酵素基質溶液添加槽の下部に取り付け、酵素基質注入口を簡 易免疫測定装置の上蓋開口部に取り付け簡易免疫測定装置を作成した。
抗 A型インフルエンザウイルスモノクロナル抗体の別の 1種類 0.15mgを市販のアル カリフォスファターゼ標識キットにて標識し、抗 A型インフルエンザウイルス酵素標識 抗体を得た。この標識抗体を、 2%BSAを含む Tris— HC1緩衝液 (pH7.5)にて 4000 倍希釈し、酵素標識抗体希釈液を調製した。
A型インフルエンザウイルス抗原 H3N2型 0.75mg/ml (HyTest社製)を 0.2%BSA 、 0.1%TritonX— 100を含有する PBSにて 0.1 μ g/mlとなるように希釈し、この 50 Lを綿棒に染み込ませて模擬的な検体とした。実験対照として希釈液 50 Lを染み 込ませた綿棒を用いた。
[0061] インフルエンザ抗原が染み込んだ綿棒を酵素標識抗体希釈液 0.2mLに入れ、良く 攪拌した後、先に作成した簡易免疫測定装置の確認窓へ全量を添加した。間を置か ず、実施例 1の酵素サイクリング反応液 500 Lを酵素基質溶液添加槽へ添加した。 添加 10分後、ニトロセルロースメンブラン上に青い色素の有無を目視にて確認した。 結果
目視判定
H3N2抗原添カ卩 +
実験対照
以上のとおり、インフルエンザ抗原を添加した場合にのみ陽性と判定され、図 1に示 す簡易免疫測定装置を用いて簡便に検査できることが実証された。
[0062] [実施例 8]
実施例 6に従!、、抗 A型インフルエンザウイルスモノクロナル抗体を-トロセルロー スメンブランへ固定ィ匕し上蓋をした。酵素基質溶液添加槽として、図 2に示すサイフォ ン構造の上流部に、 40%スクロース溶液を染み込ませて乾燥させた濾紙を取り付け、 酵素基質注入口を簡易免疫測定装置の上蓋開口部に取り付け簡易免疫測定装置 を作成した。以後の操作を実施例 6と同様に行い、ニトロセルロースメンブラン上に青 V、色素の有無を目視にて確認した。
結果
目視判定
H3N2抗原添カ卩 +
実験対照
以上のとおり、インフルエンザ抗原を添加した場合にのみ陽性と判定され、図 2に示 す簡易免疫測定装置を用いて簡便に検査できることが実証された。 産業上の利用可能性
[0063] 本発明は、リン酸化補酵素を特に室温付近で安定化させる方法を提供し、臨床診 断、食品検査、生体成分検査等の分野において好適に用いることができる。