明 細 書
積層体製造方法及び積層体
技術分野
[0001] 本発明は、積層体製造方法及び積層体に関する。
背景技術
[0002] ポリアミド系榭脂からなるポリアミド層とフッ素榭脂からなるフッ素榭脂層とを含む積層 体は、耐燃料透過性に優れる点で、自動車の燃料チューブに好適であることから注 目されている。自動車の排出規制は強化されつつあるが、近時、排出規制強化は、 例えばガソリンスタンドの地下埋設チューブや海底油田からの石油の移送等にも適 用拡大されていく傾向にある。また、フッ素榭脂単層チューブコストダウンの観点や、 ナイロンチューブの性能アップの観点から、ポリアミド層とフッ素榭脂層とを含む積層 体は多様な用途に使用され始めている。
[0003] ところで、ポリアミド層と該ポリアミド層に接するフッ素榭脂層とを含む積層体を製造す るにあたって、ポリアミド層やフッ素榭脂層は押出成形により形成されるのが一般的 である。
このような押出成形としては、例えば、 2つ以上の層を形成することとなる溶融榭脂を 同時共押出法によりダイに供給して積層体を形成する同時共押出成形、チューブ状 、シート状等の既成形体上に溶融榭脂を押し出して新たな層を積層する押出ラミネ ーシヨン等がある。
[0004] 同時共押出法による積層体の製造方法としては、例えば、ポリアミドとフッ素榭脂とを 同時多層共押出法により積層する方法が知られている (例えば、特許文献 1参照。 ) 。押出成形の実際の手順は、目的とする積層体の形状に応じて異なるが、ポリアミド 層と該ポリアミド層に接するフッ素榭脂層とを含む積層体を製造するにあたって、次 のような不具合が生じて 、る。
[0005] 例えば、同時共押出法によるチューブ押出成形においては、一般に、チューブダイ から押し出した積層チューブを、その外壁がサイジングプレート上に接して移送する ように引き取りながら冷却する。このサイジングにより、積層チューブの外壁は表面平
滑に矯正することができる力 内壁には、押出むらにも見える厚みむら由来の凹凸が 生じる問題があった。
[0006] ダイ力も押し出した後に行うサイジングは、チューブ押出成形のほかに、例えば断面 形状を L字形、コの字形等の異形にする異形押出成形においても用いられることが あるが、その場合においても、得られた積層異形押出成形体のうち、サイジング治具 に接触させな力つた面に厚みむら由来の凹凸が生じる問題があった。
[0007] 同時共押出法によるシート押出成形においては、通常、ダイ力も押し出した積層シー トを卷き取る。ダイ力も新たに押し出した積層シートのうち、既に巻き取ったシートロー ルに接するシート面は、該ロールとの接触により表面平滑に矯正される力 反対側の シート面には厚みむら由来の凹凸が生じる問題があった。
[0008] また、押出ラミネーシヨンにおいては、新たに溶融榭脂を押し出し形成した層のうち、 既成形体に接する面は、既成形体上に押し出すことにより表面平滑化されるものと考 えられるが、ポリアミド層と該ポリアミド層に接するフッ素榭脂層とを含む積層体を製造 するにあたって、既成形体に接する面の反対側の面が厚みむら由来の凹凸を生じる 問題があった。
[0009] 一方、例えばフッ素榭脂とポリアミドとの多層共押出において、ポリアミドに添加剤を 添加してもよ 、と 、うことが記載されて 、るが、ポリアミドの成形性の改良と 、う観点で の記載はなぐ更に、接着強度への悪影響を及ぼさずに成形性を改良するといつた 観点での添加剤の検討は今までされていな力つた (例えば、特許文献 2参照。 )0
[0010] しかしながら、排出規制強化等や用途拡大に応じてフッ素榭脂と積層される材料の 選択の幅が広くなつた場合であっても、できれば既存の押出成形装置が使用可能な ように、材料の成形性を向上することが工業上重要である。更に、積層体の厚みむら の解消と層間密着性の改良は、耐燃料透過性の点でも望まし 、。
特許文献 1:国際公開第 01Z70485号パンフレット (請求の範囲 1)
特許文献 2:国際公開第 01Z58685号パンフレット
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0011] 本発明の目的は、上記現状に鑑み、ポリアミド系重縮合体の成形性を向上させ、層
間密着性に優れた積層体を製造する方法の提供と、層間密着性に優れた積層体の 提供にある。
課題を解決するための手段
[0012] 本発明は、ポリアミド系重縮合体層 (1)と、上記ポリアミド系重縮合体層 (1)に接する フッ素榭脂層(2)とを含む積層体を製造する積層体製造方法であって、ポリアミド系 重縮合体と融点が 170°C以上であるフッ素榭脂(Q)とからなるポリアミド系重縮合体 組成物を、押出成形に供することにより、上記ポリアミド系重縮合体層(1)を形成する 押出成形工程を含むことを特徴とする積層体製造方法である。
[0013] 本発明は、融点が 200°C以上であるポリアミド系重縮合体力もなるポリアミド系重縮合 体層 (la)と、フッ素榭脂層(2)とを含む積層体であって、上記ポリアミド系重縮合体 層(la)と上記フッ素榭脂層(2)との間の接着強度が 20NZcm以上であることを特 徴とする積層体である。
以下に本発明を詳細に説明する。
[0014] 本発明の積層体製造方法は、ポリアミド系重縮合体層 (1)と、上記ポリアミド系重縮 合体層 (1)に接するフッ素樹脂層(2)とを含む積層体 (以下、「フッ素樹脂層含有積 層体」と称することがある。)を製造するものである。
[0015] 上記ポリアミド系重縮合体層 (1)は、ポリアミド系重縮合体と、融点が 170°C以上であ るフッ素榭脂 (Q)とからなるポリアミド系重縮合体組成物を後述する押出成形に供す ることにより形成したものである。
[0016] 上記ポリアミド系重縮合体は、主鎖中にアミド結合〔一 NH— C ( = 0)—〕を有するポ リマーからなるものである。
上記ポリアミド系重縮合体としては、分子内のアミド結合が脂肪族構造又は脂環族構 造と結合しているポリマー力もなるいわゆるナイロン榭脂、又は、分子内のアミド結合 が芳香族構造と結合して 、るポリマーからなる 、わゆるァラミド榭脂の 、ずれであつ てもよい。
[0017] 上記ナイロン榭脂としては特に限定されず、例えば、ナイロン 6、ナイロン 66、ナイ口 ン 11、ナイロン 12、ナイロン 610、ナイロン 612、ナイロン 6,66、ナイロン 66,12、 ナイロン 46、 MXD6ナイロン、メタキシリレンジァミン Zアジピン酸共重合体等のポリ
マーカもなるものが挙げられ、これらの中から 2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[0018] 上記ァラミド榭脂としては特に限定されず、例えば、ポリパラフエ二レンテレフタラミド、 ポリメタフエ-レンイソフタラミド等が挙げられる。
上記ポリアミド系重縮合体は、また、繰り返し単位としてアミド結合を有しない構造が 分子の一部にブロック共重合又はグラフト共重合されている高分子力 なるものであ つてもよい。このようなポリアミド系重縮合体としては、例えば、ナイロン 6Zポリエステ ル共重合体、ナイロン 6Zポリエーテル共重合体、ナイロン 12Zポリエステル共重合 体、ナイロン 12Zポリエーテル共重合体等のポリアミド系コポリマー力もなるもの等が 挙げられる。
[0019] 上記ポリアミド系コポリマーは、ナイロンオリゴマーとポリエステルオリゴマーがエステ ル結合を介してブロック共重合することにより得られたもの、又は、ナイロンオリゴマー とポリエーテルオリゴマーとがエーテル結合を介してブロック共重合することにより得 られたものである。
上記ポリエステルオリゴマーとしては、例えば、ポリ力プロラタトン、ポリエチレンアジべ ート等が挙げられ、上記ポリエーテルオリゴマーとしては、例えば、ポリエチレングリコ ール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
上記ポリアミド系コポリマーとしては、ナイロン 6Zポリテトラメチレングリコール共重合 体、ナイロン 12Zポリテトラメチレングリコール共重合体が好ましい。
[0020] 上記ポリアミド系重縮合体としては、ポリアミド系重縮合体力 なる層が薄層でも充分 な機械的強度が得られることから、なかでも、ナイロン 6、ナイロン 66、ナイロン 46、ナ ィロン 11、ナイロン 12、ナイロン 610、ナイロン 612、ナイロン 6,66、ナイロン 66,1 2、ナイロン 6Zポリエステル共重合体、ナイロン 6Zポリエーテル共重合体、ナイロン 12Zポリエステル共重合体、ナイロン 12Zポリエーテル共重合体等が挙げられ、こ れらの中から 2種以上を組み合わせて用いてもょ 、。
[0021] 上記ポリアミド系重縮合体としては、融点が 200°C以上であるものが好ましぐ例えば 、ナイロン 6、ナイロン 66、ナイロン 46、ナイロン 610、ナイロン 612、ナイロン 6,66 等が挙げられる。
[0022] 上記フッ素榭脂 (Q)は、融点が 170°C以上であるフッ素榭脂である。
上記フッ素榭脂は、融点が 170°C以上であるので、後述する押出成形時の加工温度 、即ち、ポリアミド系重縮合体が溶融している温度において、加工助剤として作用す ることがでさる。
上記フッ素榭脂 (Q)を用いることにより、ポリアミド系重縮合体のうち本来成形性に劣 る種類であっても、その成形性を向上することができる。このように本発明の作用を効 果的に発揮し得る点で、上記フッ素榭脂(Q)の融点は、 200°C以上であることが好ま しぐ 240°C以上であることがより好ましい。上記範囲内であれば、 330°C以下である ことが好ましい。
[0023] 上記フッ素榭脂 (Q)は、含フッ素重合体力もなるものである。
上記含フッ素重合体は、重合体の主鎖を構成する炭素原子の全部又は一部にフッ 素原子が結合して 、る重合体である。
上記含フッ素重合体としては、例えば、テトラフルォロエチレン〔TFE〕、へキサフルォ 口プロピレン〔HFP〕、パーフルォロ(アルキルビュルエーテル)〔PAVE〕等のパーフ ルォロ単量体を 1種又は 2種以上用いて重合することにより得られる重合体等が挙げ られる。
[0024] 上記パーフルォロ単量体は、主鎖が炭素原子及びフッ素原子並びに場合により酸 素原子から構成されている単量体であって、主鎖の炭素原子に水素原子が結合して いないものであり、 TFE、 HFP等のパーフルォロビニル単量体;パーフルォロ(プロ ピルビュルエーテル)〔PPVE〕等の PAVE単量体を含むものである。上記酸素原子 は、通常、エーテル酸素である。
[0025] 上記含フッ素重合体としては、分子構造の点からは、例えば、ポリテトラフルォロェチ レン〔PTFE〕、 TFEZHFP共重合体〔FEP〕、 TFEZPAVE共重合体〔PFA〕等の パーフルォロポリマーが挙げられる。ここで、上記パーフルォロポリマーは、単量体成 分として上記パーフルォロ単量体のみを用いて重合させることにより得られる重合体 である。即ち、上記含フッ素重合体は、繰り返し単位が上記パーフルォロ単量体のみ 力 なるものであり、末端に開始剤や連鎖移動剤等に由来する構造単位が存在する ものも含む。上記 PTFEは、重量平均分子量が通常 1, 000, 000以下、好ましくは 1 00, 000以下のものである低分子量 PTFE、及び、例えば特開平 4— 154842号公
報、特開平 5— 279579号公報等に記載されているようなコア ·シェル構造を有する P TFEを含むものである。
[0026] 上記含フッ素重合体としては、上記共重合体に必須の(コ)モノマーとともに、該必須 の(コ)モノマー以外の任意コモノマーの 1種又は 2種以上を少量共重合させて得ら れるものであってもよい。上記任意コモノマーとしては特に限定されず、例えば、ェチ レン〔Et〕、プロピレン〔Pr〕等のフッ素を含まないビュル単量体;クロ口トリフルォロェ チレン〔CTFE〕等のクロ口フルォロビニル単量体;ビ-リデンフルオライド〔VdF〕、フ ッ化ビュル、トリフルォロエチレン等の上記パーフルォロ単量体以外のその他の含フ ッ素ビ二ル単量体;水酸基、カルボニル基等の官能基を有する単量体、環状の構造 を有する単量体等が挙げられる。上記環状の構造としては特に限定されず、例えば 、環状ァセタール構造等の環状エーテル構造等が挙げられ、好ましくは環状エーテ ル構造を構成する少なくとも 2個の炭素原子が上記含フッ素重合体の主鎖の一部と なっているものである。
[0027] 上記少量を共重合させる任意コモノマーは、得られる含フッ素重合体の 5質量%以 下であることが好ましぐ 1質量%以下であることがより好ましぐ 0. 5質量%以下であ ることが更に好ましい。 5質量%を超えると、目的とする共重合体の性質が得られない 場合がある。
[0028] 上記含フッ素重合体は、ポリアミド系重縮合体との反応性を有する極性官能基を主 鎖末端及び Z又は側鎖に有するものであってもよい。
上記ポリアミド系重縮合体との反応性を有する極性官能基としては特に限定されず、 例えば、カルボ二ル基を有する基等が挙げられる。上記カルボ二ル基を有する基とし ては、カルボ-ル基、カーボネート基、ノヽロホルミル基、ホルミル基、カルボキシル基 、エステル結合、酸無水物 [― c(=o)o— c(=o)―]、イソシァネート基等が挙げ られる。また、アミド [ C ( = 0)—NH ]、イミド [ C ( = 0)—NH— C ( = 0)—]、 ウレタン結合 [ NH— C ( = 0) 0— ]、ゥレア [ NH— C ( = 0)— NH ]等は、 C ( = 0) を有するものである力 これらは、カルボ-ル基、カーボネート基等の先に 例示のものと異なり反応性に乏しぐ上記ポリアミド系重縮合体をなす結晶性高分子 が有する基と基本的に反応し得な 、ものである。
上記カーボネート基は、一般に OC ( = o) o で表される結合を有する基であり、 — OC ( = 0) 0— R基 (Rは有機基又は VII族原子を示し、有機基としては、例えば C 〜C アルキル基であり、特に C 〜C アルキル基、エーテル結合を有する C 〜C
1 20 1 10 2 20 アルキル基等を示す。)で表されるものである。上記カーボネート基としては、例えば OC ( = 0) OCH 、 一 OC ( = 0) OC H 、 一 OC ( = 0) OC H 、 一 OC ( = 0)
3 3 7 8 17
OCH CH CH OCH CH等が好ましく挙げられる。
2 2 2 2 3
上記ハロホルミル基は、 COY (Yは VII族原子を示す。)で表されるものであり、 - COF、 一COC1等が挙げられる。
[0029] 上記含フッ素重合体は、上記ポリアミド系重縮合体との反応性を有する極性官能基 を実質的に有しな 、ものであることがより好ま 、。
本明細書において、上記極性官能基を実質的に有しないとは、主鎖末端及び Z又 は側鎖に上記極性官能基を若干有する場合であってもその極性官能基として機能 を果たさな 、程度であり、上記ポリアミド系重縮合体との反応に関与しな 、程度であ ることをいう。
上記含フッ素重合体が炭素原子 100万個当り有し得る上記極性官能基数は、 50個 以下が好ましぐ 30個以下がより好ましぐ 10個以下が更に好ましい。
上記含フッ素重合体が有する上記極性官能基の数は、例えば米国特許 5132368 号明細書記載の方法等により求めることができる。
[0030] 上記含フッ素重合体は、極性官能基を実質的に有しないことにより、例えば押出成 形機や射出成形機の金型、ダイ表面、ノズル、スクリュー表面、バレル内壁等におい て上記ポリアミド系重縮合体との摩擦を減じ、潤滑性を妨げないので、溶融時の圧力 やトルクの減少及びこれらの変動の低減を可能にし、ポリアミド系重縮合体組成物の 成形性を向上させる結果、押出成形における成形性をも向上させることができる。
[0031] 上記含フッ素重合体は、単量体成分を通常の重合方法、例えば乳化重合、懸濁重 合、溶液重合、塊状重合、気相重合等の各方法を用いて重合することにより合成す ることがでさる。
[0032] 上記含フッ素重合体が上記極性官能基を実質的に有しないものとするため、公知の 連鎖移動剤を好適に用いることができるほか、乳化重合による場合は、上記極性官
能基を鎖末端に有する重合体がまず得られるが、この重合体に例えば水蒸気処理、 フッ素ガス〔F〕処理、アンモニア処理等の処理を施して鎖末端を安定化することによ
2
り、— CF、 -CONH、 -CF H等に変換し、上記極性官能基をなくすことができる
3 2 2
。なお、懸濁重合による場合は、これらの処理を施すことなぐ上記極性官能基を実 質的に有しな 、重合体を得ることができる。
[0033] 上記フッ素榭脂 (Q)としては、上述のパーフルォロポリマーが好ましぐ溶融成形可 能なフッ素榭脂である上記パーフルォロポリマーがより好ましぐ FEP及び PFAが更 に好ましい。
上記フッ素榭脂 (Q)は、後述するフッ素榭脂 (P)と同じ種類であってもよいし、異なる 種類であってもよい。
上記フッ素榭脂(Q)は、 1種又は 2種以上を用いることができる。
[0034] 上記フッ素榭脂 (Q)の融点としては、成形機中にぉ ヽて、ポリアミド系重縮合体が溶 融する温度において、上記含フッ素榭脂 (Q)が溶融していることが好ましい点から、 上記ポリアミド系重縮合体の加工温度以下の温度、例えば、 320°C以下であることが 好ましぐ用いる上記ポリアミド系重縮合体の融点以下の温度、例えば、 265°C以下 であることがより好ましい。
上記ポリアミド系重縮合体組成物にぉ ヽて、上記ポリアミド系重縮合体と上記フッ素 榭脂(Q)との組合せとしては特に限定されないが、融点が 200°C以上であるポリアミ ド系重縮合体と、融点が 200°C以上であるフッ素榭脂 (Q)との組合せが好ましぐこ のような組合せとしては、ナイロン 6、ナイロン 66、ナイロン 610、ナイロン 612、ナイ口 ン 6Z66及びナイロン 66Z12よりなる群力も選ばれる少なくとも 1種と、 FEP及び Z 又は PFAとの組合せが好ましぐナイロン 6、ナイロン 66及びナイロン 612よりなる群 力も選ばれる少なくとも 1種と FEPとの組合せがより好ましい。
[0035] 上記ポリアミド系重縮合体組成物は、上記フッ素榭脂 (Q)が、上記ポリアミド系重縮 合体及び上記フッ素榭脂 (Q)の合計の 0. 005〜2質量%であることが好ま 、。 上記フッ素榭脂(Q)の添加量は、 0. 005質量%未満であると、所望の加工助剤とし ての効果が得られないことがあり、 2質量%を超えると、得られるポリアミド系重縮合体 層(1)が不透明となったり白濁する場合があるほか、添加量に見合う効果がそれほど
得られず不経済となる。
上記フッ素榭脂 (Q)の添加量は、好ましい下限が 0. 01質量%、より好ましい下限が 0. 1質量%であり、好ましい上限が 1. 0質量%、より好ましい上限が 0. 7質量%であ る。
[0036] 上記ポリアミド系重縮合体組成物は、上記フッ素榭脂 (Q)及び上記ポリアミド系重縮 合体とともに、必要に応じて、その他の成分を配合したものであってもよい。
上記その他の成分としては特に限定されず、例えば、チタン酸カリウム等のウイスカ、 ガラス繊維、アスベスト繊維、炭素繊維、その他の高強度繊維、ガラス粉末等の補強 材;ミネラル、フレーク等の安定剤;シリコーンオイル、二硫化モリブデン等の潤滑剤; 顔料;カーボンブラック等の導電剤;ゴム等の耐衝撃性向上剤;可塑剤;その他の添 加剤等を用いることができる。
[0037] 上記ポリアミド系重縮合体組成物を調製する方法としては特に限定されず、例えば、 従来公知の方法を用いることができ、例えば、上記フッ素榭脂(Q)及び上記ポリアミ ド系重縮合体を上述の質量比となるように適切な割合で配合し、所望により上記その 他の成分を添加して混合し、必要に応じて加熱下で混合物を溶融混練することによ り調製する方法等が挙げられる。
[0038] 上記その他の成分は、上記フッ素榭脂 (Q)及び上記ポリアミド系重縮合体を配合す るとき〖こ添加してもよいし、この配合に先立ち、上記フッ素榭脂(Q)及び Z又は上記 ポリアミド系重縮合体に予め添加して混合してぉ 、てもよ 、。
[0039] 上記フッ素榭脂 (Q)及び上記ポリアミド系重縮合体は、上記ポリアミド系重縮合体組 成物を用いて押出成形を行う時に上述の範囲内の質量比となって 、ればよ 、。従つ て、上記配合としては特に限定されず、例えば、上記フッ素榭脂(Q)及び上記ポリア ミド系重縮合体が初めから上記範囲内の質量比となるように配合する方法、又は、ま ず上記フッ素榭脂 (Q)の含有率が上記範囲内の質量比よりも高くなるように上記フッ 素榭脂(Q)及び上記ポリアミド系重縮合体並びに必要に応じて用いられる上記その 他の成分を加えて混合して組成物(1)を調製したのち、上記ポリアミド系重縮合体の 上記フッ素榭脂 (Q)に対する比が上記範囲内となるように押出成形の前又は押出成 形時に上記ポリアミド系重縮合体を上記組成物(1)に追加して組成物(2)を調製す
るように段階的に配合する方法等が挙げられる。
後者の段階的に配合する方法において、上記組成物(1)はコンセントレート又はマス ターバッチと称されることがある。上記組成物(1)における上記フッ素榭脂(Q)は、上 記ポリアミド系重縮合体の質量と上記フッ素榭脂 (Q)の質量との合計の 0. 005質量 %を超え、かつ、 40質量%以下であることが好ましぐより好ましい下限は 1質量%で あり、更に好ましい下限は 2質量%であり、より好ましい上限は 20質量%である。
[0040] 上記組成物(2)は、プレミックスと称されることがある。
上記組成物(2)は、上述の組成物(1) (この組成物(1)を構成するポリアミド系重縮 合体を、以下、「ポリアミド系重縮合体 (A)」ということがある。)と、追加するポリアミド 系重縮合体 (この追加するポリアミド系重縮合体を、以下、「ポリアミド系重縮合体 (B) 」ということがある。)とから構成されるものであり、好ましくは、フッ素榭脂 (Q)が、上記 フッ素榭脂 (Q)、上記ポリアミド系重縮合体 (A)及び上記ポリアミド系重縮合体 (B) の合計の 0. 005〜2質量0 /0であるものである。
[0041] 上記ポリアミド系重縮合体及び上記フッ素榭脂 (Q)は、それぞれ、粉末、顆粒、ペレ ット等であってよいが、フッ素榭脂(Q)をポリアミド系重縮合体組成物の表面に効率 的に満遍なく存在させるために、上記ポリアミド系重縮合体はペレットの形態にて押 出成形に供給することが好ましぐ上記フッ素榭脂(Q)はペレット又は粉末の形態に て押出成形に供給することが好ましい。
[0042] 上記フッ素榭脂層含有積層体は、上述のポリアミド系重縮合体層 (1)に加え、更にフ ッ素榭脂層(2)をも含むものである。
上記フッ素榭脂層(2)は、フッ素榭脂 (P)力もなるフッ素榭脂層である。上記フッ素榭 脂層(2)は、フッ素榭脂 (P)力もなるフッ素榭脂 (P)組成物を後述の押出成形に供す ること〖こより形成することができる。
[0043] 上記フッ素榭脂 (P)としては特に限定されず、例えば、上述のフッ素榭脂 (Q)につい て例示したものに加え、上記パーフルォロポリマー以外のフルォロポリマー(以下、「 非パーフルォロポリマー」ということがある。)であってもよい。上記非パーフルォロポリ マーとしては、例えば、エチレン Zテトラフルォロエチレン共重合体 [ETFE]、ェチレ ン Zテトラフルォロエチレン Zへキサフルォロプロピレン共重合体 [EFEP]、フッ化ビ
ユリデン Zテトラフルォロエチレン Zへキサフルォロプロピレン共重合体〔THV〕、ポ リクロロトリフルォロエチレン [PCTFE]、エチレン Zポリクロ口トリフルォロエチレン [E CTFE]、ポリフッ化ビュル [PVF]、ポリフッ化ビ-リデン [PVDF]が挙げられる。上 記フッ素榭脂(P)としては、融点が 120°C以上であるものが好ましぐ融点が 160°C 以上であるものがより好ましい。
[0044] 上記フッ素榭脂 (P)としては、フッ素榭脂層(2)を押出成形として後述の (A)共押出 成形により形成するか、又は、(B)押出ラミネーシヨンにおいて既成形体上に新たに 押し出して形成する場合、これらの形成方法に用いることができる FEP、 PFA等の溶 融加工性フッ素榭脂がより好ましい。
上記フッ素榭脂 (P)としては、層間接着性が向上する点で、上述の極性官能基を炭 素原子 100万個当り 3〜: LOOO個の割合で有するものであることが好ましい。 3個未満 であると、ポリアミド系重縮合体層(1)との層間接着力が不充分になる場合がある。ま た 1000個を越えると、接着する際、接着性官能基の化学変化によって接着界面に 出現するガスの発生が悪影響を及ぼし、上記ポリアミド系重縮合体層 (1)との接着力 を低下させる場合がある。上記接着性官能基の数として、炭素原子 100万個当り、よ り好ましい下限は 10個であり、より好ましい上限は 500個である。
[0045] 上記フッ素榭脂 (P)組成物は、フッ素榭脂(P)のみからなるものであってもよ!/、し、必 要に応じて、フッ素榭脂 (Q)、又は、該フッ素榭脂 (Q)を含有してなるポリアミド系重 縮合体組成物に関して上述した添加剤類をも含むものであってもよ ヽ。本明細書に ぉ 、て、上記フッ素榭脂 (P)のみ力もなるものも便宜上「フッ素榭脂(P)組成物」に含 むものとする。
上記フッ素榭脂 (P)組成物は、必要に応じ、フッ素榭脂 (P)組成物の構成成分を所 望により予めドライブレンドした後、例えば、従来公知の溶融混練によって形成するこ とがでさる。
[0046] 本発明の積層体製造方法は、上述のポリアミド系重縮合体と融点が 170°C以上であ るフッ素榭脂 (Q)とからなるポリアミド系重縮合体組成物を、押出成形に供することに より、上記ポリアミド系重縮合体層(1)を形成する押出成形工程を含むものである。
[0047] 本明細書において、「押出成形」は、通常一般に押出成形と観念されるものであれば
よぐ例えば、(A) 2以上の層を形成することとなる榭脂又は榭脂組成物を共押出装 置中の複数の押出機に各層分ごとに投入して溶融させダイに供給して積層体を形 成する共押出成形、(B)積層体中の層となる既成形体上に溶融榭脂を押し出して新 たな層を積層する押出ラミネーシヨン等が挙げられる。
[0048] 本発明において、上記ポリアミド系重縮合体層 (1)と上記フッ素榭脂層(2)とを接触 させて形成するための押出成形としては、本発明の効果を充分に発揮する点で、上 記 (A)共押出成形が好ま 、。上記 (A)共押出成形の方法としては特に限定されず 、例えば、国際公開第 01Z70485号パンフレット記載の方法等を用いることができる
[0049] 本発明の積層体製造方法において、成形機に関する各種条件としては特に限定さ れず、従来公知の条件にて行うことができる。
例えば、上記 (A)共押出成形を行う場合、ダイ温度及びポリアミド系重縮合体組成物 を溶融するためのシリンダ温度は、通常、用いるポリアミド系重縮合体組成物の融点 以上、上記含フッ素榭脂 (Q)の分解温度と上記ポリアミド系重縮合体の分解温度の うち低い方の温度未満の温度であり、好ましくは 180°C以上、 320°C未満であり、より 好ましくは、 200°C以上、 290°C未満である。
[0050] 本発明の積層体製造方法は、フッ素榭脂 (Q)を含むポリアミド系重縮合体組成物を 押出成形に供することにより、フッ素榭脂層(2)に接するポリアミド系重縮合体層 (1) を形成するものであるので、上記押出成形において良好な吐出安定性をもって積層 体を作製することができ、得られた積層体には厚みむらを生じず、し力もポリアミド系 重縮合体層 (1)とフッ素榭脂層(2)とが良好に接着した積層体を得ることができる。 押出成形における吐出安定性に優れ、積層体に厚みむらを生じない機構としては明 確ではないが、押出成形において、溶融したポリアミド系重縮合体とフッ素榭脂 (Q) とが共存することにより、押出機のシリンダー、スクリーン、ダイ等の表面上にて滑性 が発揮され、ダイからの押出物にも表面平滑さが反映されることによるものと考えられ る。
[0051] 上記押出成形工程により作製した積層体は、例えばチューブ押出成形、異形押出成 形等の場合、引き続いて、寸法や形状を規制しながら積層体を冷却するサイジング
工程を行うことが多 、が、サイジングプレート等のサイジング治具に接触させた面が 表面平滑に矯正されることの影響を受けずに、サイジング治具に接触させな力つた面 において厚みむら由来の凹凸を生じず、また、サイジング治具上での滑性、引張り性 に優れ、工業上好ましい。
[0052] 上記押出成形工程により作製した積層体は、また、シート押出成形の場合、引き続き シート巻き取りを行うが、ダイ力も新たに押し出した積層シートのうち、既に巻き取った シートロールに接するシート面が該ロールとの接触により表面平滑に矯正されること の影響を受けずに、反対側のシート面に厚みむら由来の凹凸を生じない。
[0053] 上記押出成形工程により作製した積層体は、また、押出ラミネーシヨンにより得たもの である場合、新たに溶融榭脂を押し出して形成した層のうち、既成形体に接する面が 該既成形体上に押し出すことにより表面平滑化されることの影響を受けずに、その反 対側の面に厚みむら由来の凹凸を生じない。
[0054] 従来、フッ素榭脂 (Q)を含むことなくポリアミド系重縮合体を押出成形に供した場合、 押出成形により作製した積層体は厚みむらを生じており、一旦厚みむらが生じると、 のちにサイジング工程やシート巻き取りにお ヽて引張り力をカ卩えても厚みむらが残存 し、また、サイジング治具上での滑性に劣り、生産性の低下を招いていた力 これは、 押出機内における溶融ポリアミド系重縮合体の滑性が劣っていたことによるものと考 えられる。
[0055] 本発明の積層体製造方法において、上記押出成形工程により作製した積層体は、 厚みむらを生じないことに加え、層間密着性に優れている。上記押出成形工程により 作製した積層体が層間密着性に優れて!/、る機構としては明確ではな 、が、フッ素榭 脂 (Q)がポリアミド系重縮合体層 (1)の表面上にブリードアウトし、隣接するフッ素榭 脂層(2)との密着性に寄与していると推察される。
本発明においては、フッ素榭脂 (P)及びフッ素榭脂 (Q)として、両方ともパーフルォ 口ポリマー、又は、両方とも非パーフルォロポリマーとする場合のみならず、一方をパ 一フルォロポリマー、他方を非パーフルォロポリマーとする場合であっても、ポリアミド 系重縮合体層 (1)とフッ素榭脂層(2)との層間密着性に優れている。
[0056] 上記フッ素榭脂層含有積層体は、ポリアミド系重縮合体層 (1)とフッ素榭脂層(2)と
を含むものであれば、更に、 1層又は 2層以上のその他の層をも含むものであっても よい。
上記「その他の層」としては、特に限定されず、例えば、フッ素榭脂 (R)力もなるフッ 素榭脂層、非フッ素化又は低フッ素化熱可塑性ポリマー力 なる非フッ素化又は低 フッ素化層等が挙げられる。
[0057] 上記その他の層を構成するフッ素榭脂 (R)としては特に限定されず、例えば、上述し たフッ素榭脂 (Q)やフッ素榭脂 (P)に関して説明したものが挙げられる。
上記その他の層を構成するフッ素榭脂 (R)は、フッ素榭脂層(2)を構成するフッ素榭 脂(P)と種類が同一であってもよ 、し、異なって!/、てもよ!/、。
[0058] 本明細書において、上記「非フッ素化又は低フッ素化熱可塑性ポリマー」は、 C F 結合の数が、ポリマーを構成している C H結合の数の 3%未満である熱可塑性ポリ マーである。
上記非フッ素化又は低フッ素化熱可塑性ポリマーとしては、例えば非フッ素化又は 低フッ素化熱可塑性榭脂、非フッ素化又は低フッ素化熱可塑性エラストマ一等が挙 げられる。
上記非フッ素化又は低フッ素化熱可塑性榭脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン 等のポリオレフイン榭脂;ポリエチレンテレフタレート [PET]、ポリブチレンテレフタレ ート [PBT]等のポリエステル榭脂;ポリカーボネート榭脂;ポリ塩ィ匕ビュル榭脂等が挙 げられ、これらの変性榭脂及び Z又はこれらの 2種類以上の混合物であってもよ 、。
[0059] 上記非フッ素化又は低フッ素化熱可塑性エラストマ一は、常温でゴム弾性を有し、高 温では可塑ィ匕されて所望の形状に成形加工が可能なものである。
上記非フッ素化又は低フッ素化熱可塑性エラストマ一は、後述のポリアミド系重縮合 体との接着性が優れている点から、スチレン/ブタジエン系エラストマ一、ポリオレフ イン系エラストマ一、ポリエステル系エラストマ一、ポリウレタン系エラストマ一、ポリ塩 化ビュル系エラストマ一及びポリアミド系エラストマ一よりなる群力も選ばれる少なくと も 1種であることが好ましい。
[0060] 上記フッ素榭脂 (R)及び Z又は上記非フッ素化又は低フッ素化熱可塑性ポリマーは 、本発明の目的を損なわない範囲で、充填剤、可塑剤、耐衝撃材、顔料、無機物等
の添加剤や上記非フッ素化又は低フッ素化熱可塑性ポリマー以外のその他の榭脂 やゴムとともに添加するものであってもよい。特に、カーボンブラック、アセチレンブラ ック等の導電性材料をともに添加すると、得られるフッ素榭脂層含有積層体が燃料チ ユーブゃ燃料ホース等に用いられる場合、静電荷蓄積防止に有利である。
[0061] 本発明におけるフッ素榭脂層含有積層体は、該積層体を構成する層のうち少なくと も 1層が必要に応じて導電性のものであってもよい。本発明でいう「導電性」とは、例 えば、ガソリンのような引火性の流体が榭脂のような絶縁体と継続的に接触した場合 に静電荷が蓄積して引火する可能性があるが、この静電荷が蓄積しない程度の電気 特性を有することをいい、例えば、 SAE J 2260では表面抵抗が 106ΩΖ口以下で あると定められている。
本発明におけるフッ素榭脂層含有積層体を構成する何れかの層を導電性のものと する場合の上記導電性材料の配合割合は、上記層を構成するポリマー及び必要に 応じて配合されるその他の成分の合計の 20質量%以下であることが好ましぐ 15質 量%以下がより好ましい。下限は、上記した表面抵抗値を付与することができる量で あればよい。
[0062] 本発明において、フッ素榭脂層含有積層体がポリアミド系重縮合体層(1)及びフッ素 榭脂層(2)以外に 1又は 2以上のその他の層をも含むものである場合であっても、ポ リアミド系重縮合体層(1)を押出成形により形成することを含むものであれば、フッ素 榭脂層含有積層体を製造するための積層方法としては特に限定されず、例えば、(i )上記 (A)共押出成形のみを用い、ポリアミド系重縮合体層(1)、フッ素榭脂層(2)及 び上記その他の層とを同時共押出成形する方法、 (ii)上記 (B)押出ラミネーシヨンを 繰り返すことにより 1層ずつ積層していく逐次押出成形法、(iii)上記 (A)共押出成形 と上記 (B)押出ラミネーシヨンとを組み合わせて積層する方法等が挙げられる。
上記 (iii)の組合せとしては特に限定されず、例えば、単層成形体上又は押出成形 により作製した 2層以上の積層体上に上記 (A)共押出成形により溶融した 2以上の 層を上記 (B)押出ラミネーシヨンにより積層させる方法等が挙げられる。
[0063] 上記フッ素榭脂層含有積層体は、ポリアミド系重縮合体層 (1)の厚さが 0. 5〜50m mであることが好ましい。なお、フッ素榭脂層(2)の厚さは、ポリアミド系重縮合体層(
1)の厚さの 3分の 1以下であることが好ましく、 5分の 1以下であることがより好ましく、 10分の 1以下であることが更に好ましい。フッ素榭脂層(2)の厚さは、上記範囲内で あれば、ポリアミド系重縮合体層(1)の厚さの 40分の 1以上であってもよい。
上記フッ素榭脂層含有積層体が上記その他の層として非フッ素化又は低フッ素化熱 可塑性ポリマーからなる非フッ素化又は低フッ素化層を有する場合、特に限定されな いが、透明性の観点からは、上記非フッ素化又は低フッ素化層の厚みが 0. 5mm未 満であることが好ましい。上記非フッ素化又は低フッ素化層の厚みは、例えば 0. 03 mm程度であっても、耐薬品性、バリア性、耐バクテリア性等を呈することができる。
[0064] 上記フッ素榭脂層含有積層体は、フィルム形状、シート形状、チューブ形状、ホース 形状、ボトル形状、タンク形状等の各種形状とすることができる。上記フィルム形状、 シート形状、チューブ形状及びホース形状は、蛇腹 (corrugated)形状又は渦巻き( convoluted)形状であってもよ 、。
なかでも、上記フッ素榭脂層含有積層体は、多層成形品として、ホース又はチューブ とすることが好ましい。
[0065] 上記フッ素榭脂層含有積層体は、融点が 200°C以上であるポリアミド系重縮合体か らなるポリアミド系重縮合体層 (la)と、上述のフッ素榭脂層(2)とを含む積層体であ つてもよい。
上記ポリアミド系重縮合体層(la)を構成するポリアミド系重縮合体は、上述のポリアミ ド系重縮合体層(1)を構成するポリアミド系重縮合体のうち、融点が 200°C以上であ るものである。
[0066] 上記フッ素榭脂層含有積層体は、上記ポリアミド系重縮合体層 (la)と上記フッ素榭 脂層(2)との間の接着強度が 20NZcm以上であるものが好ましぐ 30NZcm以上 であるものがより好ましい。
本明細書において、上記接着強度は、長さ 5cm、幅 lcmのテストピースを積層体か ら切り取り、テンシロン万能試験機を用いて、 25mmZ分の速度で 180° 剥離試験 を行い、伸び量 引張強度グラフにおける極大 5点平均として求めたものである。
[0067] 上記フッ素榭脂層含有積層体は、本発明の積層体製造方法により得られるものなの で層間密着性に優れており、例えば、以下の各種用途に用いることができる。上記フ
ッ素榭脂層含有積層体は、また、厚みむらがない等、外観に優れている点でも、以下 の各種用途において商品価値を高めることができる。
チューブ 'ホース類:自動車燃料用チューブ、自動車燃料用ホース、ガソリンスタンド 用地下埋設チューブ、石油掘削用ホース、ガス掘削用ホース、天然ガスライン用ホー ス、ガスチューブ、ガスホース、薬液チューブ、薬液ホース、水道用ホース、排水用ホ ース、ブレーキホース、油圧ホース、気圧ホース、空気圧縮用ホース等。
フィルム、シート類:ダイヤフラムポンプのダイヤフラムや各種パッキン等の高度の耐 薬品性が要求される摺動部材、ベルトコンベア等。
タンク類:自動車のラジエータータンク、薬液ボトル、薬液タンク、バッグ、薬品容器、 ガソリンタンク等。
その他:キャブレターのフランジガスケット、燃料ポンプの oリング等の各種自動車用 シール、化学薬品用ポンプや流量計のシール等の化学関係シール、油圧機器のシ ール等の各種機械関係シール、ギア、自動車ボンネットケーブル、自動車用ケープ ル等。
[0068] 上記フッ素榭脂層含有積層体を、燃料チューブ、薬液チューブ等のチューブ 'ホー ス類として使用する場合、フッ素榭脂層(2)を内層とし、ポリアミド系重縮合体層 (1) を中間層とし、上述した非フッ素化又は低フッ素化熱可塑性ポリマー力 なる非フッ 素化又は低フッ素化層及び Z又はフッ素榭脂 (R)力もなるフッ素榭脂層を外層とす ることが好ましい。上記フッ素榭脂層含有積層体は、チューブ 'ホース類として使用す る場合、 ETFE又は EFEPを内層とし、ナイロン 66又はナイロン 6を中間層とし、 FEP 、 ETFE又は EFEPを外層とする積層体、 ETFE、 EFEP又はフッ化ビ-リデン共重 合体を内層とし、ナイロン 66又はナイロン 6を中間層とし、ポリエチレンを外層とする 積層体等であることが好まし 、。 発明の効果
[0069] 本発明の積層体製造方法は、上記構成よりなるものであるので、ポリアミド系重縮合 体の成形性を向上させ、層間密着性に優れた積層体を製造することができる。上記 積層体製造方法により得られる積層体は、層間密着性に優れているので、燃料チュ ーブ、薬液チューブ等として好適に使用することができる。
発明を実施するための最良の形態
[0070] 以下に合成例、実施例及び比較例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発 明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
[0071] 各種パラメーターの測定は以下のとおりに行った。
(1)含フッ素重合体の組成の測定
19F— NMR分析により測定した。
(2)フッ素榭脂の融点 (Tm)の測定
セイコー型示差走査熱量計 [DSC]装置を用い、 10°CZ分の速度で昇温したときの 融解ピークを記録し、極大値に対応する温度を融点 (Tm)とした。
[0072] (3)多層チューブ内外面の外観
得られた多層チューブを、断面形状が半円形になるように切断し、多層チューブの内 面の表面を、目視又は 50倍の実体顕微鏡を用いて観察し、表面の荒れ、発泡等の 発生状況を以下の基準に従って判定した。
〇:外観の不具合が全く見られな!/、。
△:全表面積の 10%未満に何らかの不具合が発生して 、る。
X:全表面積の 10%以上に何らかの不具合が発生して 、る。
[0073] (4)積層体 (多層チューブ)の接着強度の測定
長さ 5cm、幅 lcmのテストピースをチューブ力も切り取り、テンシロン万能試験機にて 、 25mmZ分の速度で 180° 剥離試験を行い、伸び量—引っ張り強度グラフにおけ る極大 5点平均を層間の接着強度として求めた。
[0074] (5)官能基測定法
含フッ素重合体の白色粉末又は溶融押出して得られたペレットの切断片を室温にて 圧縮成形し、厚さ 0. 05〜0. 2mmのフィルムを作成した。このフィルムの赤外吸収ス ベクトル分析において、カーボネート基 [ OC ( = 0) 0— ]のカルボ-ル基が帰属す るピークが 1809cm_ 1 ( v )の吸収波長に現れるので、その V ピークの吸光度 c=o c=o
を測定した。下記式(1)によって主鎖炭素数 106個当たりのカーボネート基の個数( N)を算出した。
N = 500AW/ ε df (1)
A:カーボネート基 [ OC( = 0)0— ]中の v ピークの吸光度
c=o
ε:カーボネート基 [ OC( = 0)0— ]中の ν ピークのモル吸光度係数 (1· cm—1 c=o
•mol_1)。モデル化合物から ε =170とした。
W:モノマー組成から計算される単量体の平均分子量
d:フィルムの密度 (gZcm3)
f:フィルムの厚さ(mm)
なお、赤外吸収スペクトル分析は、 Perkin— Elmer FTIR^ぺクトロメーター 1760 X(パーキンエルマ一社製)を用いて 40回スキャンして行った。得られた IR ^ベクトル を Perkin— Elmer Spectrum for Ver. 1.4Cを用いて自動でベースラインを 判定し、 1809cm_1のピークの吸光度を測定した。また、フィルムの厚さはマイクロメ 一ターにて測定した。
[0075] (6)カルボキシル基の個数の測定
上記(5)と同様にして得られたフィルムの赤外スペクトル分析において、カルボキシ ル基 [ C ( = O) OH]のカルボ-ル基が帰属するピークが 1764cm_1 ( v )の吸 c=o 収波長に現れるので、その V ピークの吸光度を測定した。カルボキシル基中の V c=o
ピークのモル吸光度係数 (l'cm_1'mo厂1)をモデル化合物により ε =530とした c=o
以外は、上記式(1)を用いて上述の(5)カーボネート基の個数の測定と同様にして力 ルポキシル基の個数を測定した。
[0076] 合成例 1 フッ素榭脂 F— Aの合成
オートクレープに蒸留水 380Lを投入し、充分に窒素置換を行った後、 1—フルォロ —1, 1—ジクロロエタン 230kg及びパーフルォロ(1, 1, 5 トリハイド口一 1—ペンテ ン) 0. 9kgを仕込み、系内を 35°C、攪拌速度 200rpmに保った。その後、テトラフル ォロエチレンを 0. 8MPaまで圧入し、更に引き続いてエチレンを 1. OMPaまで圧入 した後、ジ一 n—プロピルパーォキシジカーボネート 1. 6kgを投入して重合を開始し た。重合の進行と共に系内圧力が低下するので、テトラフルォロエチレン Zエチレン = 57. 8/42. 2モル%の混合ガスを連続して供給し、系内圧力を 1. OMPaに保つ た。そして、パーフルォロ(1, 1, 5 トリハイド口一 1—ペンテン)を合計量 7. Okgとな るように連続して仕込み、 24時間、攪拌を継続した。そして、放圧して大気圧に戻し
た後、反応生成物を水洗、乾燥して 260kgのフッ素榭脂 F— Aを粉末として得た。得 られたフッ素榭脂 F— Aの分析結果を表 1に示した。
[0077] 合成例 2 フッ素榭脂 F— Bの合成
オートクレープに蒸留水 380Lを投入し、充分に窒素置換を行った後、 1—フルォロ - 1, 1ージクロ口エタン 75kg、へキサフルォロプロピレン 155kg及びパーフルォロ( 1, 1, 5—トリハイド口— 1—ペンテン) 0. 5kgを仕込み、系内を 35°C、攪拌速度 200 rpmに保った。その後、テトラフルォロエチレンを 0. 7MPaまで圧入し、更に引き続 いてエチレンを 1. OMPaまで圧入した後、ジー n—プロピルパーォキシジカーボネー ト 2. 4kgを投入して重合を開始した。重合の進行と共に系内圧力が低下するので、 テトラフルォロエチレン Zエチレン Zへキサフルォロプロピレン =46Z43. 5/9. 5 モル%の混合ガスを連続して供給し、系内圧力を 1. OMPaに保った。そして、パー フルォロ(1, 1, 5—トリハイド口— 1—ペンテン)を合計量 1. 5kgとなるように連続して 仕込み、 20時間、攪拌を継続した。そして、放圧して大気圧に戻した後、反応生成 物を水洗、乾燥して 205kgのフッ素榭脂 F— Bを粉末として得た。得られたフッ素榭 脂 F— Bの分析結果を表 1に示した。
[0078] 合成例 3 フッ素榭脂 F—Cの合成
オートクレープに蒸留水 400Lを投入し、充分に窒素置換を行った後、パーフルォロ シクロブタン 320kg、へキサフルォロプロピレン 80kg、テトラフルォロエチレン 19kg 及びフッ化ビ-リデン 6kgを仕込み、系内を 35°C、攪拌速度 180rpmに保った。その 後、ジ— n—プロピルパーォキシジカーボネート 5kgを投入して重合を開始した。重 合の進行と共に系内圧力が低下するので、テトラフルォロエチレン Zフッ化ビ -リデ ン Zへキサフルォロプロピレン = 50Z40Z10モル0 /0の混合ガスを連続して供給し、 系内圧力を一定に保った。攪拌を 30時間継続した後、放圧して大気圧に戻し、反応 生成物を水洗、乾燥して 195kgのフッ素榭脂 F— Cを粉末として得た。得られたフッ 素榭脂 F— Cの分析結果を表 1に示した。
[0079] 合成例 4 フッ素榭脂 F— Dの合成
オートクレープに蒸留水 25kgを投入し、充分に窒素置換を行った後、パーフルォロ シクロブタン 50kg及びパーフルォロメチルビ-ルエーテル 10kgを仕込み、系内を 3
5°C、攪拌速度を 215rpmに保った。その後、テトラフルォロエチレンを 0. 78MPaま で圧入し、その後にジ— n—プロピルパーォキシジカーボネート 150kgを投入して重 合を開始した。重合の進行と共に系内圧力が低下するので、パーフルォロシクロブタ ン/テトラフルォロエチレン/パーフルォロメチルビ-ルエーテル = 10/76. 6/1 3. 4モル%の混合ガスを連続して供給し、系内圧力を 0. 78MPaに保って 30時間 攪拌を継続した。そして、放圧して大気圧に戻した後、反応生成物を水洗、乾燥して 30kgのフッ素榭脂 F - Dを粉末として得た。得られたフッ素榭脂 F - Dの分析結果を ¾klに した。
[0080] 合成例 5 フッ素榭脂 F— Eの合成
4Lの容積を有する攪拌機付きガラスライニングオートクレープに脱気済みの純水 1. 3kgを仕込み、窒素置換した後、真空状態にして、液状へキサフルォロプロピレンモ ノマー 1. 3kgを仕込んで攪拌しながら重合槽の温度を 25°Cに設定し、オートクレー ブ内雰囲気は 0. 65MPaまで昇圧された。次いでテトラフルォロエチレンをカ卩ぇ 0. 8 6MPaまで昇圧し、連鎖移動剤としてメタノール 10gを添カ卩した。次いで、パーフルォ 口へキサンで約 8重量%に希釈したジ- ( ω -ヒドロデカフルォロヘプタノィル)バーオ キサイド (DHP) O. 03kgを仕込むと、反応は直ちに始まった。反応中、テトラフルォ 口エチレンを 0. 3kg追加仕込みし、オートクレーブ内の圧力を 0. 86MPa〖こ保った。 また、 DHPを反応開始から 30分毎に、それぞれ 0. 03kg追加した。反応を合計 6時 間行った後、未反応のテトラフルォロエチレン及びへキサフルォロプロピレンを放出 し、粒状粉末を得た。この粉末に、純水を加え、攪拌洗浄後、オートクレープから取り 出した。 150°Cで 48時間乾燥後、フッ素榭脂 F— Eを粉末として 0. 4kg得た。得られ たフッ素榭脂 F—Eの分析結果を表 1に示した。
[0081] なお、表 1中、 TFEはテトラフルォロエチレンを、 Etはエチレンを、 HFPはへキサフル ォロプロピレンを、 VdFはフッ化ビ-リデンを、 PMVEは、パーフルォロメチルビ-ル エーテルを、 HF— Peはパーフルォロ(1, 1, 5 トリハイドロー 1 ペンテン)を、それ ぞれ表す。
[0082] [表 1]
官能基数
単量体組成(モル ·½〉
(個/ 1 X 106個主鎖炭素) 合成例 フッ素樹脂 融点 (ac)
カーボ フルォロ
TFE Et HFP VdF PMVE HF-Pe
ネート基 ホルミル基
1 F-A 57.0 41.8 ― ― ― 1.2 38 2 253
2 F-B 46.2 43.8 9.5 ― ― 0.5 255 5 194
3 F- C 51 .3 ― 9.8 38.9 ― ― 31 1 3 169
4 F— D 84.5 ― ― ― 15.5 ― 330 3 210
5 F-E 88.3 - 1 1.7 - - - 検出されず 検出されず 250
マルチマ-ホールドダイを装着した 2種 2層の共押出装置を用いて、外層がポリアミド 系重縮合体から形成されてなる層、内層がフッ素榭脂から形成されてなる層となるよ うに、外層、内層用の押出機に表 2に示したポリアミド系重縮合体及びフッ素榭脂を それぞれ供給し、 11mmのサイジングダィを介して外径 l lmm、内径 9mm、各層の 厚み構成が、ポリアミド系重縮合体層 0. 8mm、フッ素榭脂層 0. 2mmの多層チュー ブをチューブ引取速度 6mZ分にて連続して成形した。チューブ押出成形の前に、 ポリアミド系重縮合体に対し加工助剤としてフッ素榭脂 F—Eを表 2に示す添加量 (ポ リアミド系重縮合体とフッ素榭脂 F—Eとの合計質量に占める割合 (質量%) )にてドラ ィブレンドした。成形条件及び得られた多層チューブの評価結果を表 2に示した。
[0084] 実施例 2〜7及び比較例 1〜4
実施例 2〜7については表 2に、比較例 1〜4については表 3にそれぞれ示した榭脂 及び成形条件を用いたこと以外は実施例 1と同様にして多層チューブを成形した。
[0085] 成形条件及び得られた多層チューブの評価結果を実施例 2〜7については表 2に、 比較例 1〜4につ ヽては表 3にそれぞれ示した。
なお、表 2及び表 3において、 PA— Aは、 Zytel Nylon66 ETE8073NC010A( DuPont社製)、 PA— Bは、 Zytel Nylon6 7335F (DuPont社製)、 PA— Cは、 Zytel Nylon612 158L (DuPont社製)を表す。
[0086] [表 2]
1 2 3 4 5 6 7 ポリアミド系重縮合体 (外層) PA-A PA-A PA- B PA— C PA-A PA— A PA-A 加工助剤 (フッ素樹脂 F-E)添加量 (質量 %) 0.3 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 フッ素樹脂 (内層) F-A F-A F— A F-A F— B F- C F- D シリンダ 外層 275 275 260 260 275 275 275 温度 (°c) 内層 280 280 280 280 260 240 260 ダイ温度 (°c) 280 280 280 280 280 280 280 チューブ内面の外観 〇 〇 〇 O 〇 〇 〇 接着強度(NZcm) 38 40 38 36 剥離できず剥離できず 20
比較例
1 2 3 4 ポリアミド系重縮合体 (外層) PA-A PA- B PA-C 加工助剤 (フッ素樹脂 F-E)添加量 (貧量 %) 0 0 0 0
フッ素樹脂 (内層) F-A F—A F-A F-A シリンダ 外層 275 290 260 260 温度(°c) 内層 280 280 280 280 ダイ温度(°c) 280 290 280 280 チューブ内面の外観 X X X 厶 接着強度(NZcm) 18 1 6 1 8 1 8
[0088] 表 2及び表 3の結果からわ力るように、フッ素榭脂 F—E (力卩ェ助剤)の添カ卩量がポリア ミド系重縮合体とフッ素榭脂 F— Eとの合計の 0. 3質量%(実施例 1)又は 0. 5質量 % (実施例 2〜7)である各多層チューブは、多層チューブ内面の外観及び接着強度 が良好であった。これに対し、フッ素榭脂 F—Eを添加せずにポリアミド系重縮合体層 を形成した比較例 1〜4の各多層チューブは、接着強度及び多層チューブ内面の外 観 、ずれにお 、ても劣って 、た。 >
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産業上の利用可能性
[0089] 本発明の積層体製造方法は、上記構成よりなるものであるので、ポリアミド系重縮合 体の成形性を向上させ、層間密着性に優れた積層体を製造することができる。上記 積層体製造方法により得られた積層体は、層間密着性に優れているので、燃料チュ ーブ、薬液チューブ等として好適に使用することができる。