明 細 書
含フッ素重合性単量体及びそれを用いた高分子化合物
技術分野
[0001] 本発明は、新規な含フッ素重合性単量体およびそれを用いた新規な高分子化合物 に関する。
発明の背景
[0002] 高度の耐熱性を有する有機高分子の代表としてポリアミドやポリイミドが開発され、電 子デバイス分野、自動車や航空宇宙用途などのエンジニアリングプラスチック分野、 燃料電池分野、医療材料分野、光学材料分野などにおいて大きな市場を形成して いる。それらの中心は、ナイロン、ケプラーなどに代表されるポリアミド、耐熱高分子の 代名詞とも言えるポリアミド酸やポリイミド、それらの複合体であるポリアミドイミド、さら にポリべンズォキサゾール、ポリべンズチアゾール、ポリべンズイミダゾールなどの多 種多様な高分子が数多ぐ実用化されている。特に最近では鉛フリーのハンダ工程 に耐える材料としてポリイミドが改めて注目されて 、る。
[0003] これらの耐熱性高分子の多くは 2官能、 3官能の反応性基を分子内に有した単量 体を複数種用いて、重付加、重縮合などの反応を連鎖的に起こすことで高分子化さ れている。
[0004] 重合における単量体の組み合わせは、ポリアミドの場合、ジァミン型単量体を、ジカ ルボン酸、酸クロリドまたはエステルなどのジカルボン酸誘導体と縮合させる方法、ポ リアミド酸又はポリイミドの場合はジァミンと酸二無水物の重付カ卩による方法などが知 られている。一般に使用されているジァミンとしては、脂肪族ジァミン、脂環式ジァミン 、芳香族ジァミンが報告されているが、重合性や耐熱性の観点力もは、ベンゼン環単 環、ビフヱニル型、または複数のベンゼン環が直接または間接に結合した多環構造 を支持骨格とし、その分子内に複数のァミンが含まれたァ-リン系単量体が好適に 採用されている。一方、ポリべンゾォキサゾール、ポリべンズチアゾールの場合には、 ベンゼン環のオルト位にァミンとヒドロキシ基、ァミンとチオール基を有した単量体が 使用されている。
[0005] ァミンおよびそれ以外の官能基を同時に分子内に持たせる目的としては次のように 説明される。すなわち、重合部位としてはジァミンを用い、同時に分子内縮合環化用 の官能基として、ヒドロキシ基、チオール基を用い、さらにまたこれらのアルカリ可溶性 基などの感光性機能性基として、フエノール性の酸性基を持たせた設計を行って ヽ る。し力しながら複数種の官能基をジァミンとともに含有させる試みは限られた前述の ような組み合わせしか報告されて 、な 、。
[0006] 一方、フッ素系化合物は、フッ素の持つ撥水性、撥油性、低吸水性、耐熱性、耐候 性、耐腐食性、透明性、感光性、低屈折率性、低誘電性などの特徴から先端材料分 野を中心としてポリオレフインや縮合性高分子などの幅広い材料分野で開発または 実用化されている。縮合性高分子分野では、ジァミン単量体中にフッ素を導入する 試みがなされ、ベンゼン環の水素をフッ素原子やトリフルォロメチル基に置換したジ アミン単量体、 2つの芳香環の間にへキサフルォロイソプロべ-ル基を導入したジァ ミン単量体、さらにはベンゼン環を水素還元した含フッ素ジァミン単量体などが報告 されている。また、へキサフルォロイソプロぺニル基を中心原子団とし、その両サイド に芳香族ヒドロキシァミンを有したビスヒドロキシァミン単量体も実用化されて 、る。こ の場合、ポリベンゾォキサゾールゃヒドロキシ基含有ポリイミドとして応用されて 、る。
[0007] 例えば、非特許文献 1には、含フッ素ポリべンゾァゾール類として説明されて 、る。
一方、最近になってフッ素系化合物の紫外線領域、特に、真空紫外波長域での透 明性を応用したフォトレジスト材料など活発な研究開発が行われている。フッ素を導 入することで各使用波長での透明性を実現しつつ、基板への密着性、高いガラス転 移点、フルォロカルビノール基の酸性による感光性、アルカリ現像性などを実現させ ようとする試みである。特に、フルォロカルビノールの中でもへキサフルォロイソプロピ ル基がその溶解挙動、非膨潤性、高コントラストなどから注目され数多くの研究開発 が行われている。
[0008] フォトレジストの開発例からも推察されるように酸性アルコールであるへキサフルォロ イソプロピル基は少な 、膨潤性を維持したまま、すみやかで均一なアルカリ可溶性を 発現し得る可能性を有しているが、同様なコンセプトを利用した耐熱性高分子、すな わちへキサフルォロイソプロピル基を酸性アルコールとして含有した耐熱性高分子の
開発例はほとんど報告されて 、な 、。また一般的な酸性基としてはカルボキシル基を 挙げることができる力 ァミンとの反応性の高さから同一分子内にカルボキシル基を 有したアミンを安定に存在させることは難し 、とされて 、る。
非特許文献 1:日本ポリイミド研究会編「最新ポリイミドー基礎と応用一」 P426 発明の概要
[0009] 本発明の目的は、含フッ素材料としての表面特性 (撥水性、撥油性等)、耐性 (耐熱 性、耐候性、耐腐食性等)、その他の特性 (透明性、低屈折率性、低誘電性等)とァ ルカリ可溶性、感光性、有機溶媒溶解性などを併せ持つ重合可能な新規な高分子 材料用単量体を見出し、かつそれを用いて得られる新規な高分子化合物を提供する ことである。
[0010] 本発明者らは、前記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、酸素等の原 子団を中心として、その両端にァ-リン骨格を有し、そのァ-リン上の少なくとも 1つの 水素原子がへキサフルォロイソプロピル基に置換した新規なァ-リン系化合物、及び それを用いて得られる新規な高分子化合物を見出した。
[0011] またァミンのオルト位にへキサフルォロイソプロピル基を有した特定の単量体の場 合、環化反応を伴い、低誘電性、耐熱性、耐溶剤性などの多くの特徴を有する新規 な高分子化合物となることを見出し、本発明を完成した。
[0012] 本発明に依れば、式 [1]
で表される含フッ素重合性単量体 (式中、 Aは、単結合、酸素原子、硫黄原子、 CO、 CH、 SO、 SO C (CH )、 NHCO、 C (CF )、フエ-ル、又は脂環を表し、 aと bは
それぞれ独立に 0〜2の整数を表し、 l≤a+b≤4である。)が提供される。
[0013] さらに、本発明に依れば、前記含フッ素重合性単量体 (ジァ-リン)由来の高分子化 合物が提供される。
詳細な説明
[0014] 上記のとおり、本発明に依れば、ジァミンとへキサフルォロイソプロピル基を同時に 含有させることで、フルォロカルビノール性酸性基を有した新規なジァ-リン型含フッ 素重合性単量体及びそれを用いた新規な高分子化合物を提供できる。
[0015] 本発明の含フッ素重合性単量体は、分子内に複数の重合性ァミンを有し、かつ同 時にへキサフルォロイソプロピル基を有することで、撥水性、撥油性、低吸水性、耐 熱性、耐候性、耐腐食性、透明性、感光性、低屈折率性、低誘電性などを発現でき る有効な重合性単量体として使用することができ、先端高分子材料分野に供すること が可能である。し力もへキサフルォロイソプロピル基はアルカリ可溶性を有する酸性 基であり、低誘電性、高溶解性、高コントラストなどを有した電子デバイス用感光性絶 縁膜として使用することも可能にする。
[0016] 式 [1]で表される上記の含フッ素重合性単量体は、以下の式 [2]又は式 [3]で表さ れる含フッ素重合性単量体 (式 [2]及び [3]中、 Aの定義は式 [1]と同じ。)であって ちょい。
[化 2]
[化 3]
Α-ζ ΝΗ2 [ 3 ]
本発明で使用できる式 [1]の重合性単量体を具体的に例示するならば、次の式 [4 ]、式 [5]、式 [11a]ゝ式 [l ib]ゝ式 [11c]および式 [12]〜[24]などが挙げられるが 、これらに限定されない。
[化 4]
以下に、式 [1]の代表例の一つとしての式 [4]
[化 5]
で表される単量体である、 3, 3'—ビス(1—ヒドロキシ— 1—トリフルォロメチル— 2, 2 , 2—トリフルォロェチル)—4, 4'—ォキシジァ-リンの合成方法を説明する。
[0019] この単量体は、 4, 4' ォキシジァ-リンとへキサフルォロアセトンもしくはへキサフ ルォロアセトン · 3水和物を反応させることによって得られる。
[0020] へキサフルォロアセトンを使用する場合、反応は、原料である 4, 4' ォキシジァ- リンの中へへキサフルォロアセトンを導入することによって行われる。へキサフルォロ アセトンの沸点が低 ヽ( 28°C)こと力 、へキサフルォロアセトンの反応系外への流 出を防ぐための装置 (冷却装置もしくは密封反応器)を使用することが好ましぐ装置 としては密封反応器が特に好ま ヽ。
[0021] また、へキサフルォロアセトン · 3水和物を使用する場合、反応は、原料である 4, 4' ォキシジァ-リンとへキサフルォロアセトン · 3水和物を同時に混合することによって 開始することができる。また、へキサフルォロアセトン · 3水和物の沸点が比較的高い( 105°C)ことから、へキサフルォロアセトン (沸点:― 28°C)と比較して取扱!/、が容易で ある。この場合、反応装置としては、密封容器を使用することもできる力 通常の還流 冷却管に上水(室温)を通じる程度でも十分にへキサフルォロアセトン' 3水和物の反 応系外への流出を防ぐことができる。
[0022] また、へキサフルォロアセトンはへキサフルォロアセトン · 3水和物に比較して反応 性が高ぐ反応条件によってはへキサフルォロアセトンがァ-リン骨格上のアミノ基と 反応して、式 [25]〜[28]
[化 6]
】
[0023] このように、取扱いの容易さ、装置の簡便さ、そして生成物選択性の高さの観点か ら、 3, 3'—ビス(1—ヒドロキシ一 1—トリフルォロメチル一 2, 2, 2 トリフルォロェチ ル)—4, 4'—ォキシジァ-リンの製造に当たっては、へキサフルォロアセトン · 3水和 物を使用することが特に好ましい。
[0024] 本反応に使用するへキサフルォロアセトンもしくはへキサフルォロアセトン · 3水和 物の量は、 4, 4' ォキシジァニリンに対して、 2当量〜 10当量が好ましぐさらに好 ましくは 2. 5当量〜 5当量である。これ以上使用しても反応は問題なく進行するが、 経済性の面力 好ましくな 、。
[0025] 本反応は、通常、室温〜 180°Cの温度範囲で行われる力 50°C〜150°Cが好まし ぐ 90°C〜130°Cが特に好ましい。室温より低い場合は反応が進行し難いので好ま しくなく、 180°C以上の温度では副反応が進行するので好ましくな!/、。
[0026] 本反応は、触媒を使用しなくても行うことができるが、酸触媒を使用することで反応 を促進させることができる。使用される酸触媒としては、塩ィ匕アルミニウム、塩化鉄 (III )、フッ化硼素等のルイス酸、ベンゼンスルホン酸、カンファースルホン酸(CSA)、メ タンスルホン酸、 p -トルエンスルホン酸(pTsOH)、 p -トルエンスルホン酸(pTsOH ) '一水和物、ピリジ-ゥム p—トルエンスルホン酸(PPTS)などの有機スルホン酸が 好ましいが、これらの中でも、塩化アルミニウム、塩化鉄(ΠΙ)、メタンスルホン酸、 p— トルエンスルホン酸 (pTsOH) ·—水和物が特に好ましい。使用される触媒の量は、 4 , 4'—ォキシジァ-リン 1モルに対して、 1モル%〜50モル0 /0が好ましぐ 3モル0 /0力
ら 40モル%が特に好ましい。これ以上使用しても反応は問題なく進行するが、経済 性の面から好ましくない。
[0027] 本反応は溶媒を使用せずに行うことができるが、溶媒を使用することもできる。使用 される溶媒としては、反応に関与しないものなら特に制限は無いが、キシレン、トルェ ン、ベンゼン、ァ-ソール、ジフエ-ルエーテル、ニトロベンゼン、ベンゾ-トリル等の 芳香族炭化水素類または水が好ましい。使用する溶媒の量には特に制限が無いが 、多量に使用することは容積あたりの収量が減少するので好ましくない。
[0028] 本反応を密封反応器 (オートクレープ)を使用して行う場合には、へキサフルォロア セトンとへキサフルォロアセトン · 3水和物のいずれか用いるかによつて様態が異なる 。へキサフノレオ口アセトンを用いる場合には最初に 4, 4'—ォキシジァ-リンと、必要 に応じて触媒および Zまたは溶媒を反応器内に仕込む。次いで、反応器内圧が 0. 5MPaを越えないように、温度を上げつつ、へキサフルォロアセトンを逐次導入して いくことが好ましい。
[0029] へキサフノレオ口アセトン · 3水和物を用いる場合には、最初に 4, 4' ォキシジァ- リンと必要量のへキサフルォロアセトン · 3水和物を仕込むことが可能であり、さらに必 要に応じて触媒および Zまたは溶媒を反応器内に仕込んで反応を行うことができる。
[0030] 本反応の反応時間に特別な制限はないが、温度や、用いる触媒の量等に依存して 最適の反応時間は異なる。従って、ガスクロマトグラフィー等、汎用の分析手段により 、反応の進行状況を測定しつつ反応を実施し、原料が十分消費されたことを確認し た後、本工程を終了することが好ましい。 反応終了後、抽出、蒸留、晶析等の通常 の手段により、 3, 3'—ビス(1—ヒドロキシ一 1—トリフルォロメチル一 2, 2, 2 トリフ ルォロェチル) 4, 4'—ォキシジァニリンを得ることができる。また、必要によりカラム クロマトグラフィーあるいは再結晶等により精製することもできる。
[0031] 次に、式 [1]の代表例の一つとしての式 [5]
[化 7]
[ 5】 で表される単量体である、 3— (1—ヒドロキシ一 1—トリフルォロメチル一 2, 2, 2 トリ フルォロェチル)—4, 4'—ォキシジァ-リンの合成方法を説明する。
[0032] この単量体を合成するに当たっては、使用するへキサフルォロアセトンもしくはへキ サフルォロアセトン · 3水和物の量を減ずる以外は全て上述した 3, 3' ビス( 1 ヒド 口キシ— 1—トリフルォロメチル— 2, 2, 2 トリフルォロェチル)—4, 4'—ォキシジァ 二リンの合成方法に準じて行うことができる。
[0033] 具体的に、本単量体の合成時に使用するへキサフルォロアセトンもしくはへキサフ ルォロアセトン · 3水和物の量は、 4, 4' ォキシジァ-リンに対して、 1当量〜 5当量 が好ましぐさらに好ましくは 1. 5当量〜 3当量である。これ以上使用しても反応は問 題なく進行するが、経済性の面力 好ましくない。
[0034] このように、使用するへキサフルォロアセトンもしくはへキサフルォロアセトン · 3水和 物の量を制御することにより、 4, 4' ォキシジァ-リン骨格上へ導入するへキサフル ォロイソプロピル基の数を制御することができる。
[0035] その他の式 [1]で表される含フッ素重合性単量体を製造するにあたっても、上述し た、 3, 3'—ビス(1—ヒドロキシ一 1—トリフルォロメチル一 2, 2, 2 トリフルォロェチ ル)—4, 4'—ォキシジァ-リンの合成方法に準拠して行うことができる。
[0036] 次に、本発明による含フッ素重合性単量体の使用方法例を説明する。本発明の含 フッ素重合性単量体は、ジァ-リンであり、へキサフルォロイソプロピル基を一つ以上 有する化合物であり、少なくとも分子内に 3つ以上の官能基を同時に有している。高 分子を製造する場合、これらの 3つ以上の官能基を有効に利用することになるが、具 体的にはジァニンを使用することが好ましい。
[0037] 本発明の含フッ素重合性単量体であるジァニンの相手方としてジカルボン酸単量 体を使用でき、生成する高分子としてポリアミド榭脂が合成される。この場合、ジカル ボン酸はもとより、その誘導体、例えば、ジカルボン酸ジノヽライド (ハロゲンは、塩素、
臭素、フッ素、ヨウ素)、ジカルボン酸モノエステル、ジカルボン酸ジエステルを用いる ことができる。
[0038] 本発明の含フッ素重合性単量体の相手となる重合性単量体を例示するならば、式
[29]で示されるジカルボン酸およびそのエステル誘導体および式 [30]で示されるジ カルボン酸ノヽライドが挙げられる。
[化 8]
0 0
RO-C-B-C-OR [ 29 ]
0 0
X—C-B-C— X [ 30】
[0039] ここで、 Rはそれぞれ独立に水素、またはメチル、ェチル、プロピル、イソプロピル、ブ チル基等のアルキル基、ベンジル基などであり、 Bは脂環、芳香環、アルキレン基か ら選ばれた一種以上を含有した 2価の有機基であり、フッ素、塩素、酸素、硫黄、窒 素などを含有してもよぐさらには水素の一部がアルキル基、フルォロアルキル基、力 ルボキシル基、ヒドロキシ基、シァノ基などで置換されてもよい。また、 Xはハロゲン原 子 (塩素、フッ素、臭素、ヨウ素)を表す。
[0040] 本発明で使用できるジカルボン酸をジカルボン酸の形で例示すると、例えばシユウ 酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、ァゼライン 酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、 3, 3'—ジカルボキシルジフエニルエーテル、 3, 4'ージカルボキシルジフエニルエーテ ル、 4, 4'ージカルボキシルジフエニルエーテル、 3, 3'ージカルボキシルジフエニル メタン、 3, 4'ージカルボキシルジフエニルメタン、 4, 4'ージカルボキシルジフエニル メタン、 3, 3'ージカルボキシルジフエニルジフルォロメタン、 3, 4'ージカルボキシル ジフエニルジフルォロメタン、 4, 4'ージカルボキシルジフエニルジフルォロメタン、 3, 3'ージカルボキシルジフエニルスルホン、 3, 4'ージカルボキシルジフエニルスルホ ン、 4, 4,一ジカルボキシルジフエニルスルホン、 3, 3,一ジカルボキシルジフエニル スルフイド、 3, 4'ージカルボキシルジフエ-ルスルフイド、 4, 4'ージカルボキシルジ フエ-ルスルフイド、 3, 3,ージカルボキシルジフエ-ルケトン、 3, 4'—ジカルボキシ
ルジフエ二ルケトン、 4, 4'ージカルボキシルジフエ二ルケトン、 2, 2 ビス(3 カル ボキシフエ-ル)プロパン、 2, 2 ビス(3, 4, ジカルボキシフエ-ル)プロパン、 2, 2 ビス(4—カルボキシフエ-ル)プロパン、 2, 2 ビス(3—カルボキシフエ-ル)へ キサフルォロプロパン、 2, 2 ビス(3, 4'—ジカルボキシフエニル)へキサフルォロプ 口パン、 2, 2 ビス(4—カルボキシフエ-ル)へキサフルォロプロパン、 1, 3 ビス(3 —カルボキシフエノキシ)ベンゼン、 1, 4 ビス(3—カルボキシフエノキシ)ベンゼン、 1, 4 ビス(4—カルボキシフエノキシ)ベンゼン、 3, 3,一(1, 4 フエ-レンビス(1 ーメチルェチリデン))ビス安息香酸、 3, 4,一(1, 4 フエ-レンビス(1ーメチルェチ リデン))ビス安息香酸、 4, 4, - (1, 4 フエ-レンビス(1—メチルェチリデン))ビス 安息香酸、 2, 2 ビス(4— (3—カルボキシフエノキシ)フエ-ル)プロパン、 2, 2 ビ ス(4— (4 カルボキシフエノキシ)フエ-ル)プロパン、 2, 2 ビス(4— (3 カルボ キシフエノキシ)フエ-ル)へキサフルォロプロパン、 2, 2 ビス(4一(4 カルボキシ フエノキシ)フエ-ル)へキサフルォロプロパン、ビス(4一(3—カルボキシフエノキシ) フエ-ル)スルフイド、ビス(4一(4 カルボキシフエノキシ)フエ-ル)スルフイド、ビス( 4— (3—カルボキシフエノキシ)フエ-ル)スルホン、ビス(4— (4—カルボキシフエノキ シ)フエ-ル)スルホン、 5—(パーフルォロノネ-ルォキシ)イソフタル酸、 4 (パーフ ルォロノネ-ルォキシ)フタル酸、 2 (パーフルォロノネ-ルォキシ)テレフタル酸、 4 ーメトキシ 5—(パーフルォロノネ-ルォキシ)イソフタル酸などのパーフルォロノネ -ルォキシ基含有のジカルボン酸、 5—(パーフルォ口へキセ -ルォキシ)イソフタル 酸、 4 (パーフルォ口へキセ -ルォキシ)フタル酸、 2 (パーフルォ口へキセ -ルォ キシ)テレフタル酸、 4ーメトキシー5—(パーフルォ口へキセ -ルォキシ)イソフタル酸 などのパーフルォ口へキセ -ルォキシ基含有のジカルボン酸、等の芳香族ジカルボ ン酸が例示できる。
式 [1]〜 [5]のいずれかで表される単量体を用いて重合することによって、式 [6] [化 9]
で表される高分子化合物(式中、 A、 aおよび bは式 [1]と同じ。 Bは脂環、芳香環、ァ ルキレン基力 選ばれた一種以上を含有した 2価の有機基であり、フッ素、塩素、酸 素、硫黄、窒素などを含有してもよぐさらには水素の一部がアルキル基、フルォロア ルキル基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、又はシァノ基で置換されてもよい。 nは重 合度を表す。)が得られる。
[0042] 重合反応の一例として、例えば、本発明の式 [1]で示される含フッ素重合性単量体 と上記のジカルボン酸単量体 (式 [29]又は式 [30])を反応させると、式 [6]で示され る高分子化合物 (ポリアミド榭脂)が得られる。
[0043] この重合反応の方法、条件にっ 、ては特に制限されな 、。例えば、前記ジァミン成 分と前記ジカルボン酸のアミド形成性誘導体を 150°C以上で相互に溶解 (溶融)させ て無溶媒で反応させる方法、また有機溶媒中高温 (好ましくは 150°C以上)で反応さ せる方法、 - 20〜80°Cの温度で有機溶媒中にて反応する方法があげられる。
[0044] 使用できる有機溶媒としては原料の両成分が溶解すれば特に限定されないが、 N , N—ジメチルホルムアミド、 N, N—ジメチルァセトアミド、 N—メチルホルムアミド、へ キサメチルリン酸トリアミド、 N—メチル—2—ピロリドン等のアミド系溶媒、ベンゼン、ァ -ソール、ジフエ-ルエーテル、ニトロベンゼン、ベンゾ-トリル等の芳香族系溶媒、 クロロホノレム、ジクロロメタン、 1, 2—ジクロロエタン、 1, 1, 2, 2—テトラクロロェタン等 のハロゲン系溶媒、 Ί—ブチ口ラタトン、 γ—バレロラタトン、 δ—バレロラタトン、 γ - 力プロラタトン、 ε—力プロラタトン、 α—メチル一 γ—ブチ口ラタトン等のラタトン類な どを例示することができる。このような有機溶媒とともに、酸受容体、例えば、ピリジン 、トリェチルァミンなどを共存させて反応を行うことが効果的である。特に上記のアミド 系溶媒を用いるとこれらの溶媒自身が酸受容体となり高重合度のポリアミド榭脂を得
ることがでさる。
本発明の含フッ素重合性単量体は、他のジァミン、ジヒドロキシァミンなどと併用し た共重合体とすることも可能である。併用できるジァミンィ匕合物としては、 3, 5—ジァ ミノベン:/トリフノレ才リド、 2, 5—ジァミノベン:/トリフノレ才リド、 3, 3 ,—ヒ、、ストリフノレ才ロ メチルー 4, 4'—ジアミノビフエニル、 3, 3,一ビストリフルォロメチル一 5, 5 '—ジアミ ノビフエ-ル、ビス(トリフルォロメチル) 4, 4,ージアミノジフエ-ル、ビス(フッ素化 アルキル) 4, 4'ージアミノジフエニル、ジクロロー 4, 4'ージアミノジフエニル、ジブ 口モー 4, 4,ージアミノジフエ-ル、ビス(フッ素化アルコキシ)—4, 4,ージアミノジフ ェニル、ジフエ二ルー 4, 4'ージアミノジフエニル、 4, 4' ビス(4 アミノテトラフルォ ロフエノキシ)テトラフルォロベンゼン、 4, 4' ビス(4 アミノテトラフルオロフエノキシ )ォクタフルォロビフエ-ル、 4, 4,一ビナフチルァミン、 o—、 m―、 p フエ-レンジ ァミン、 2, 4 ジァミノトルエン、 2, 5 ジァミノトルエン、 2, 4 ジアミノキシレン、 2, 4ージアミノジュレン、ジメチルー 4, 4'ージアミノジフエニル、ジアルキル 4, 4'ージ アミノジフエニル、ジメトキシー 4, 4'ージアミノジフエニル、ジエトキシー 4, 4'ージアミ ノジフエニル、 4, 4'ージアミノジフエニルメタン、 4, 4'ージアミノジフエニルエーテル 、 3, 4,ージアミノジフエ-ルエーテル、 4, 4'ージアミノジフエ-ルスルフォン、 3, 3, —ジアミノジフエニルスルフォン、 4, 4'—ジァミノべンゾフエノン、 3, 3 '—ジァミノべ ンゾフエノン、 1, 3 ビス(3 アミノフエノキシ)ベンゼン、 1, 3 ビス(4 アミノフエノ キシ)ベンゼン、 1, 4 ビス(4 アミノフエノキシ)ベンゼン、 4, 4,一ビス(4 アミノフ エノキシ)ビフエ-ル、ビス(4— (3—アミノフエノキシ)フエ-ル)スルフォン、ビス(4— ( 4 アミノフエノキシ)フエ-ル)スルフォン、 2, 2 ビス(4— (4 アミノフエノキシ)フエ -ル)プロパン、 2, 2 ビス(4— (4 アミノフエノキシ)フエニル)へキサフルォロプロ パン、 2, 2 ビス(4— (3—アミノフエノキシ)フエ-ル)プロパン、 2, 2 ビス(4— (3 —アミノフエノキシ)フエ-ル)へキサフルォロプロパン、 2, 2 ビス(4— (4 アミノー 2 トリフルォロメチルフエノキシ)フエ-ル)へキサフルォロプロパン、 2, 2 ビス(4 — (3—ァミノ 5—トリフルォロメチルフエノキシ)フエ-ル)へキサフルォロプロパン、 2, 2 ビス(4 ァミノフエ-ル)へキサフルォロプロパン、 2, 2 ビス(3 ァミノフエ -ル)へキサフルォロプロパン、 2, 2 ビス(3 アミノー 4 ヒドロキシフエ-ル)へキ
サフルォロプロパン、 2, 2 ビス(3 アミノー 4 メチルフエ-ル)へキサフルォロプ 口パン、 4, 4'—ビス(4—アミノフエノキシ)ォクタフルォロビフエ-ル、 4, 4'—ジァミノ ベンズァ -リド等が例示できる。これらを 2種以上併用することもできる。
[0046] 本発明の含フッ素重合性単量体は、へキサフルォロプロピル基を保護して、酸によ り脱離する保護基 (酸不安定基)を導入することも可能である。使用できる酸不安定 基の例としては、光酸発生剤や加水分解などの効果で脱離が起きる基であれば制限 なく使用できる。具体的な例を挙げるとするならば、 tert ブトキシカルボニル基、 ter tーァミルォキシカルボ-ル基、メトキシカルボ-ル基、エトキシカルボ-ル基等のァ ルキコキシカルボ-ル基、メトキシメチル基、エトキシェチル基、ブトキシェチル基、シ クロへキシルォキシェチル基、ベンジルォキシェチル基等のァセタール基、トリメチル シリル基、ェチルジメチルシリル基、メチルジェチルシリル基、トリェチルシリル基のシ リル基、ァセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ヘプタノィル基、へキサノィル基、 バレリル基、ビバロイル基等のァシル基等を挙げることができる。
[0047] 酸脱離基を導入することにより、本発明の含フッ素重合性単量体を用いて重合した 高分子化合物をレジスト材料として使用することが可能である。すなわち、分子内の へキサフルォロイソプロパノール基を酸不安定性の保護基で保護した後に光酸発生 剤と混合してレジストイ匕し、これを露光することによって酸不安定基がはずれ、へキサ フルォロプロパノール基が生成し、その結果アルカリ現像可能となるので、ポジ型の レジストや感光性材料として有用である。
[0048] また、本発明の含フッ素重合性単量体は、他の官能基を付与して使用することも可 能である。例えば、不飽和結合を付与することにより架橋部位を導入できる。例えば、 本発明の含フッ素重合性単量体と無水マレイン酸を反応させると、ビスマレイミドィ匕し て二重結合を導入することができる。この化合物は架橋剤として有用である。
[0049] 本発明の式 [6]で表される高分子化合物を環化 (環化縮合)させることにより、式 [7 ]または式 [8]
[化 10]
で表される高分子化合物 (式中、 A、 Bおよび nは一般式 [6]と同じ)にすることができ る。式 [6]で表される高分子化合物は、例えば、式 [2]又は [3]で表される単量体を 用いた重合によって得ることができる。
[0050] 環化反応は、特に制限はないが、環化は、熱、酸触媒など脱水条件を促進する種 々の方法で行うことができる。
[0051] 環化させた場合、耐熱性の向上、溶解性変化、屈折率や誘電率の低下、撥水撥油 性の発現など、大きな物性面の変化を伴う榭脂変性を行うことができる。特に本発明 の式 [7]または [8]で表される含フッ素高分子化合物は、分子内に環状構造を有す ることから耐熱性がさらに向上する。
[0052] さらに本発明の含フッ素重合性単量体であるジァ-リンの相手方としてテトラカルボ ン酸系の誘導体、例えば、式 [31]
[化 11]
(式中、 R1は脂環、芳香環、アルキレン基力 選ばれた一種以上を含有した 4価の有 機基であり、フッ素、塩素、酸素、硫黄、窒素などを含有してもよぐさらには水素の一 部がアルキル基、フルォロアルキル基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、シァノ基で置
換されてもょ 、。 )で表されるテトラカルボン酸二無水物単量体を用いることができる。 この場合のテトラカルボン酸二無水物単量体は一般にポリアミド酸、又はポリイミド原 料として使用されている構造であれば特に制限なく使用できる。
[0053] 力かるテトラカルボン酸二無水物としては、その構造は特に限定されないが、例えば 、ベンゼンテトラカルボン酸二無水物(ピロメリット酸-無水物; PMDA)、トリフルォロ メチルベンゼンテトラカルボン酸二無水物、ビストリフルォロメチルベンゼンテトラカル ボン酸二無水物、ジフルォロベンゼンテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラ力 ルボン酸二無水化物、ビフエ-ルテトラカルボン酸二無水物、ターフェ-ルテトラカル ボン酸二無水物、へキサフルォロイソプロピリデンジフタル酸ニ無水物、ォキシジフタ ル酸-無水物、ビシクロ(2, 2, 2)オタトー 7—ェンー 2, 3, 5, 6—テトラカルボン酸 二無水物、 2, 2—ビス(3, 4—ジカルボキシフエ-ル)フエキサフルォロプロパン酸二 無水物(6FDA)、 2, 3, 4, 5—チォフエンテトラカルボン酸二無水化物、 2, 5, 6, 2 ≡, 5≡, 6≡— へキサフルオロー 3, 3,, 4, 4,ービフエニルテトラカルボン 酸二無水化物、ビス(3, 4—ジカルボキシフヱ-ル)スルフォン酸二無水化物、 3, 4, 9, 10—ペリレンテトラカルボン酸二無水化物等を挙げることができる力 ピロメリット 酸、 6FDAが特に好ましい。これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよ いし、 2種以上混合して用いてもよい。本発明において、上記テトラカルボン酸二無 水物とァミン成分との使用割合は、テトラカルボン酸二無水物 1モルに対して 0. 9〜1 . 1モノレ用!ヽられ、好ましく ίま 0. 95〜: L 05モノレ、更【こ好ましく ίま 0. 98〜: L . 03モノレ 用いられる。この範囲を外れると、モル比のバランスがくずれ、特性が低下するため 好ましくない。
[0054] 本発明に依れば、式 [1]で表される単量体を用いて合成される新規高分子化合物と して、式 [9]
[化 12]
で表される高分子化合物 (式中、 A、 aおよび bは式 [1]と同じ。 R
1は脂環、芳香環、ァ ルキレン基力 選ばれた一種以上を含有した 4価の有機基であり、フッ素、塩素、酸 素、硫黄、窒素などを含有してもよぐさらには水素の一部がアルキル基、フルォロア ルキル基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、シァノ基で置換されてもよい。 nは重合度 を表す。)が提供される。
[0055] 重合反応の一例として、例えば、本発明の式 [1]で示される含フッ素重合性単量体と 上記のテトラカルボン酸二無水物を反応させると、式 [9]で示される高分子化合物( ポリアミド酸)が得られる。
[0056] 重合反応の方法、条件にっ 、ては、ジカルボン酸類との反応と同様な重合方法、 重合条件を適応することができる。使用できる溶媒も原料の両成分が溶解すれば特 に限定されず、ジカルボン酸類との反応と同様な溶媒を用いることができるが、 N, N ージメチルホルムアミド、 N, N—ジメチルァセトアミド、 N—メチルホルムアミド、へキ サメチルリン酸トリアミド、 N—メチル—2—ピロリドン等のアミド系溶媒、ベンゼン、了二 ノール、ジフエ-ルエーテル、ニトロベンゼン、ベンゾ-トリル等の芳香族系溶媒、クロ ロホノレム、ジクロロメタン、 1, 2—ジクロロエタン、 1, 1, 2, 2—テトラクロロェタン等の ハロゲン系溶媒、 Ί—ブチ口ラタトン、 γ—バレロラタトン、 δ—バレロラタトン、 γ—力 プロラタトン、 ε—力プロラタトン、 α—メチル一 γ—ブチ口ラタトン等のラタトン類など を例示することができる。このような有機溶媒とともに、酸受容体、例えば、ピリジン、ト リエチルァミンなどを共存させて反応を行うことも同様に効果的である。
[0057] また、ジカルボン酸類との反応と同様に他のジァミン、ジヒドロキシァミンなどと併用 した共重合体とすることも可能である。併用できるジァミンィ匕合物としては前記のジァ ミンを用いることができ、 2種以上を併用できることも同様である。
本発明に依れば、式 [9]で表される高分子化合物を環化縮合することによって得ら れる新規高分子化合物として、式 [10]
[化 13]
で表される高分子化合物 (式中、 A、 aおよび bは式 [1]と同じ。 R
1は脂環、芳香環、ァ ルキレン基力 選ばれた一種以上を含有した 4価の有機基であり、フッ素、塩素、酸 素、硫黄、又は窒素などを含有してもよぐさらには水素の一部がアルキル基、フルォ 口アルキル基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、シァノ基で置換されてもよい。 nは重合 度を表す。)が提供される。
[0059] 例えば、前述した式 [9]で表されるポリアミド酸は加熱または脱水試薬によってイミド 化反応を行うことにより式 [10]で表される含フッ素脂環式ポリイミドとすることができる 。加熱イミド化を行う場合、 80〜400°Cの温度で処理可能である力 特に 150〜350 °Cの温度範囲が好ましい。イミドィ匕温度が 150°C以下の場合はイミドィ匕率が低いため ポリイミド膜の膜強度が損なわれるため好ましぐ 350°C以上の場合は塗膜が着色し たり脆くなるので問題がある。また熱処理に代えて無水酢酸などの脱水試薬と反応さ せて化学的に行うこともできる。
[0060] 本発明の含フッ素重合体は有機溶媒に溶解したワニス状態、または粉末状態、フィ ルム状態、固体状態で使用に供することが可能である。その際、得られた重合体中 には必要に応じて酸ィ匕安定剤、フィラー、シランカップリング剤、感光剤、光重合開始 剤および増感剤等の添加物が混合されて 、ても差し支えな 、。ワニスで使用する場 合は、ガラス、シリコンウェハー、金属、金属酸化物、セラミックス、榭脂などの基材上 にスピンコート、スプレーコート、フローコート、含浸コート、ハケ塗りなど通常用いられ る方法で塗布することがでさる。
なお、式 [6]〜式 [10]における n (重合度)とは、重合の程度に依存する繰り返し単 位の数(正の整数)を意味し、 5〜: LOOOO力 子ましく、 10〜1000がさらに好ましい。 また、本発明の重合体は、重合度に一定の幅のある重合体の混合物であるが、重合 体重量平均分子量で ヽうと、概ね 1000〜5000000力 子ましく、 2000〜200000の 範囲が特に好ましい。重合度、分子量は、後述の重合方法の条件を適宜調節するこ とによって、所望の値に設定することができる。
[実施例]
次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例 に限定されるものではない。
実施例 1
[0061] 3, 3'—ビス(1—ヒドロキシ一 1—トリフルォロメチル一 2, 2, 2 トリフルォロェチル)
4, 4' ォキシジァ-リン (式 [4])の製造
100mlのガラス製密封容器(オートクレーブ)内に 4、 4' ォキシジァ-リン 5. 00 g (25. Ommol)、 p トルエンスルホン酸一水和物 237mg (l. 25mmol、 5mol %)、およびキシレン 15mlを仕込み、系内を窒素雰囲気にした。次いで昇温を開始 し、反応液の内温を 120°Cとした後、へキサフルォロアセトンを 12. 4g (74. 9mmol 、 3当量)導入した。内温 120°Cにて 23時間反応後、反応液を冷却した。
[0062] 反応液をガスクロマトグラフィー(GC)で分析したところ、目的化合物である 3, 3' - ビス(1—ヒドロキシ— 1—トリフルォロメチル— 2, 2, 2 トリフルォロェチル)—4, 4' —ォキシジァ-リンが 39. 8%、 3— (1—ヒドロキシ一 1—トリフルォロメチル一 2, 2, 2 トリフルォロェチル) 4, 4,—ォキシジァ-リンが 5. 4%、へキサフルォロアセトン と 4, 4' ォキシジァ-リンのァミン部が反応することにより生じた種々のィミン体が合 計 53. 0%であった。反応液に水 50mlを添加後、攪拌した。この混合液を濾過後、 水にて洗浄、減圧乾燥した。 目的化合物である 3, 3 '—ビス(1ーヒドロキシー1 トリ フルォロメチルー 2, 2, 2 トリフルォロェチル)—4, 4' ォキシジァニリンを 4. 30g (収率 33%、純度 80. 7%)得た。
実施例 2
[0063] 3, 3'—ビス(1—ヒドロキシ一 1—トリフルォロメチル一 2, 2, 2 トリフルォロェチル
)ー4, 4' ォキシジァニリン (式 [4])の製造
200mlの四つ口ナスフラスコ内に 4、 4'—ォキシジァ-リン 25. 0g (125mmol)、 p—トルエンスルホン酸 '一水和物 4. 75g (25. Ommol、 20mol%)、およびへキサ フルォロアセトン ·三水和物 82. 5g (375mmol、 3当量)を仕込み、系内を窒素雰囲 気にした。次いで昇温を開始し、反応液の内温を 105°Cとした。 23時間、および 46 時間攪拌後、 P—トルエンスルホン酸 '一水和物 2. 37g (12. 5mmol、 10mol%)、 へキサフルォロアセトン ·三水和物 27. 5g (125mmol、 1当量)をそれぞれカ卩えた。 合計 53時間攪拌後、反応液を冷却した。
[0064] 反応液をガスクロマトグラフィー(GC)で分析したところ、目的化合物である 3, 3' - ビス(1—ヒドロキシ— 1—トリフルォロメチル— 2, 2, 2 トリフルォロェチル)—4, 4' —ォキシジァ-リンが 60. 1%、 3— (1—ヒドロキシ一 1—トリフルォロメチル一 2, 2, 2 トリフルォロェチル) 4, 4'—ォキシジァ-リンが 25. 0%、へキサフルォロアセト ンと 4, 4'—ォキシジァ-リンのァミン部が反応することにより生じた種々のィミン体が 合計 14. 4%であった。反応液に水 100mlを添加後、酢酸ェチル 100mlにて抽出し た。次いで有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液 50mlで洗浄した。有機層を硫酸 マグネシウムで乾燥した後、濾過、溶媒留去を行い、粗 3, 3' ビス(1ーヒドロキシー 1—トリフルォロメチル— 2, 2, 2 トリフルォロェチル)—4, 4'—ォキシジァ-リンを 112g (純度 50. 7%)得た。この粗体をトルエン中で再結晶することにより、目的とす る 3, 3'—ビス(1—ヒドロキシ一 1—トリフルォロメチル一 2, 2, 2 トリフルォロェチル ) -4, 4 ォキシジァ-リンを 41. Og (収率 62%、純度 95. 7%)得た。
実施例 3
[0065] 3, 3'—ビス(1—ヒドロキシ一 1—トリフルォロメチル一 2, 2, 2 トリフルォロェチル )ー4, 4' ォキシジァニリン (式 [4])の製造
100mlのガラス製密封容器(オートクレーブ)内に 4、 4' ォキシジァ-リン 6. 30 g (31. 5mmol)、 p トルエンスルホン酸一水和物 598mg (3. 15mmol、 lOmol %)、およびへキサフルォロアセトン '三水和物 27. 7g (126mmol、 3当量)を仕込み 、系内を窒素雰囲気にした。次いで昇温を開始し、反応液の内温を 120°Cとした。 2 2時間攪拌後、反応液を冷却した。
[0066] 反応液をガスクロマトグラフィー(GC)で分析したところ、 目的化合物である 3, 3' - ビス(1—ヒドロキシ— 1—トリフルォロメチル— 2, 2, 2 トリフルォロェチル)—4, 4' —ォキシジァ-リンが 59. 0%、 3— (1—ヒドロキシ一 1—トリフルォロメチル一 2, 2, 2 トリフルォロェチル) 4, 4'—ォキシジァ-リンが 9. 3%、へキサフルォロアセトン と 4, 4' ォキシジァ-リンのァミン部が反応することにより生じた種々のィミン体が合 計 28. 8%であった。反応液にトルエン 50mlを加え、過熱溶解した。 冷却後、析出 した固体を濾過、減圧乾燥した。粗 3, 3'—ビス(1—ヒドロキシ— 1—トリフルォロメチ ル— 2, 2, 2 トリフルォロェチル)—4, 4'—ォキシジァ-リンを 15. 2g (収率 91%、 純度 88. 2%)得た。この粗体をトルエン中で再結晶することにより、 目的とする 3, 3' —ビス(1—ヒドロキシ— 1—トリフルォロメチル— 2, 2, 2 トリフルォロェチル)—4, 4 ォキシジァ-リンを 12. Og (収率 72%、純度 94. 5%)得た。
[0067] [3, 3'—ビス(1—ヒドロキシ一 1—トリフルォロメチル一 2, 2, 2 トリフルォロェチ ノレ)ー4, 4,一才キシジァニリンの物'性]
薄紫色粉末。融点 143. 5- 144. 0°Co — NMR (基準物質: TMS、溶媒: CD
3
CN) σ (ppm) : 7. 02 (dd, 2H, J = 2. 7、 8. 0Hz) , 7. 03 (s, 2H) , 7. 11 (dd, 2 H, J= l. 2、 8. 0Hz)。 19F— NMR (基準物質: CC1 F、溶媒: CD CN) σ (ppm):
3 3
- 74. 7 (s, 12F)。
実施例 4
[0068] 3- (1—ヒドロキシ一 1—トリフルォロメチル一 2, 2, 2 トリフルォロェチル) 4, 4 ォキシジァニリン (式 [5])の製造
100mlのガラス製密封容器(オートクレーブ)内に 4、 4' ォキシジァ-リン 5. 00g (25. Ommol)、塩化アルミニウム 133mg (0. 999mmol、 4mol%)、およびキシレ ン 15mlを仕込み、系内を窒素雰囲気にした。次いで昇温を開始し、反応液の内温を 120°Cとした後、へキサフルォロアセトンを 12. 4g (74. 9mmol、 3当量)導入した。 内温 120°Cにて 6時間反応した。
[0069] 反応液をガスクロマトグラフィー(GC)で分析したところ、 目的化合物である 3— (1 ーヒドロキシ 1 トリフルォロメチルー 2, 2, 2 トリフルォロェチル) 4, 4'ーォキ シジァ二リンが 43. 5%、3, 3'—ビス(1—ヒドロキシ一 1—トリフルォロメチル一 2, 2,
2 トリフルォロェチル) 4, 4'—ォキシジァ-リンが 2. 9%、へキサフルォロアセト ンと 4, 4'—ォキシジァ-リンのァミン部が反応することにより生じた種々のィミン体が 合計 46. 6%であった。
実施例 5
[0070] 3- (1—ヒドロキシ一 1—トリフルォロメチル一 2, 2, 2 トリフルォロェチル) 4, 4 ォキシジァニリン (式 [5])の製造
100mlのガラス製密封容器(オートクレーブ)内に 4、 4' ォキシジァ-リン 30. 0 g (150mmol)、 p トルエンスルホン酸一水和物 5. 70g (3. OOmmol、 20mol% )、およびへキサフルォロアセトン '三水和物 66. Og (300mmol、 2当量)を仕込み、 系内を窒素雰囲気にした。次いで昇温を開始し、反応液の内温を 110°Cとした。 22 時間攪拌後、反応液を冷却した。
[0071] 反応液をガスクロマトグラフィー(GC)で分析したところ、目的化合物である 3— (1 ーヒドロキシ 1 トリフルォロメチルー 2, 2, 2 トリフルォロェチル) 4, 4'ーォキ シジァ二リンが 56. 2%、3, 3'—ビス(1—ヒドロキシ一 1—トリフルォロメチル一 2, 2, 2 トリフルォロェチル) 4, 4'—ォキシジァ-リンが 22. 4%、へキサフルォロアセ トンと 4, 4'—ォキシジァ-リンのァミン部が反応することにより生じたィミン体が 9. 1 %、および 4、 4' ォキシジァ-リンが 12. 2%であった。反応液にトルエン 50mlお よび水 50mlをカ卩えた。
[0072] 冷却後、析出した固体を濾過、減圧乾燥した。粗 3— (1—ヒドロキシ— 1—トリフル ォロメチル— 2, 2, 2 トリフルォロェチル)—4, 4'—ォキシジァ-リンを 56. 5g (純 度 57. 4%)得た。この粗体をトルエン中で再結晶することにより、目的とする 3—(1 ーヒドロキシ 1 トリフルォロメチルー 2, 2, 2 トリフルォロェチル) 4, 4'ーォキ シジァ-リンを 23. 2g (収率 42%、純度 71. 0%)得た。
[0073] [3— (1—ヒドロキシ一 1—トリフルォロメチル一 2, 2, 2 トリフルォロェチル) 4, 4'一才キシジァニリンの物'性]
薄紫色粉末。融点 129. 0- 129. 5°C0 — NMR (基準物質: TMS、溶媒: CD
3
CN) σ (ppm) : 6. 65 (m, 2H) , 6. 79 (m, 2H) , 6. 93 (dd, 1H, J = 2. 9, 8. 8H z) , 7. 04 (m, 1H) , 7. 09 (d, 1H, J = 8. 8Hz)。 19F— NMR (基準物質: CC1 F、
溶媒: CD CN) σ (ppm) :— 74. 8 (s, 6F)。
3
実施例 6
[0074] 実施例 3で合成した 3, 3'—ビス(1—ヒドロキシ— 1—トリフルォロメチル— 2, 2, 2 トリフルォロェチル) 4, 4'—ォキシジァ-リンを用いて、次に示すジカルボン酸 クロリドの化合物(a)と重合反応を行った。
化合物 (a)
[0075] 重合は十分に乾燥した攪拌機付き密閉 100mlガラス製 3つ口フラスコ中に、ジメチル ァセトアミドを 40g、ピリジンを 10g、 3, 3'—ビス(1—ヒドロキシ一 1—トリフルォロメチ ル— 2, 2, 2 トリフルォロェチル)—4, 4'—ォキシジァ-リンを 0. 01モル(5. 32g )仕込み、均一になるように窒素を吹き込みながら攪拌し、そこに化合物 (a)であるテ レフタル酸クロリドを 0. 01モル(2. 02g)仕込み、 5時間攪拌しながら重合を進行さ せた。次いで、大量のメタノール中に再沈させ単離した。単離した高分子 (A)を γ - プチ口ラタトンに溶解させ、高分子 (Α)の γ—プチ口ラタトン溶液を得た。(高分子 (Α )の重量平均分子量(Mw) : 9600)
[化 15]
[0076] 実施例 6の化合物(a)の代わりにジカルボン酸ジクロリドとして化合物 (b)およびィ匕 合物(c)を用いて、同様の条件下で 3, 3 '—ビス(1ーヒドロキシ 1 トリフルォロメチ
ルー 2, 2, 2 トリフルォロェチル) 4, 4 ォキシジァ-リンとそれぞれ重合させた [化 16]
化合物 0>)
化合物 (c) 実施例 6と同様な後処理を行って単離後、 γ—プチ口ラタトンに溶解し、それぞれ 高分子 (Β)および (C)の γ プチ口ラタトン溶液を得た。(高分子 (Β)の重量平均分 子量(Mw) : 10200、高分子(C)の重量平均分子量(Mw) : 10000)
[化 17]
実施例 8
[0078] 実施例 6および実施例 7で合成した高分子 (A)、 (B)、 (C)の γ—プチ口ラタトン溶 液をガラス基板上に展開し、 120°Cで 2時間乾燥したところ、どの場合も透明なフィル ムを得た。
[0079] 次!、で、得られた高分子 (A)のフィルム(40ミクロン厚み)を 280°Cで 2時間熱処理 を行ったところ、次に示す高分子(D)に閉環し、フィルムを得た。得られたフィルムの
熱分解温度を測定したところ 400°Cでも安定に保持した。また 1kHzの誘電率は 2. 2 と低い値を示した。
[化 18]
実施例 3で合成した 3, 3'—ビス(1—ヒドロキシ— 1—トリフルォロメチル— 2, 2, 2 トリフルォロェチル) 4, 4'—ォキシジァ-リンを用いて、次に示すテトラカルボン 酸無水物化合物(d)、 (e)、 (f)との重合反応を行った。
化合物 W) 化合物 ( 化合物 (f)
[0081] 重合は十分に乾燥した攪拌機付き密閉 100mlガラス製 3つ口フラスコ中に、メチル イソブチルケトンを 30g 3, 3 '—ビス(1—ヒドロキシ— 1—トリフルォロメチル— 2, 2, 2 トリフルォロェチル)—4, 4'—ォキシジァ-リンを 0. 01モル(5. 32g)仕込み、 均一になるように窒素を吹き込みながら攪拌し、そこに化合物 (d)、 (e)、 (f)である 3 種の酸二無水物を 0. 01モル仕込み、 5時間攪拌しながら重合を進行させた。次い で、大量のメタノール中に再沈させ単離した。単離した高分子 (E)、 (F)、 (G)を γ— プチ口ラタトンにそれぞれ溶解させ、 3種の高分子溶液を得た。(高分子 (Ε)の重量 平均分子量(Mw) : 10500、高分子(F)の重量平均分子量(Mw) : 9900、高分子( G)の重量平均分子量(Mw) 10000)
[0082] これらの高分子溶液をシリコンウェハー上に塗布したところ、均一で透明なフィルム が生成した。
[化 20]
高分子 (G)
実施例 10
実施例 9で得られた高分子 (E)、 (F)、 (G)を固形分 10%になるように γ—プチ口 ラタトン溶液を調製し、無水酢酸とピリジンを添加し、 50°Cで 2時間、攪拌混合し、化 学反応によるイミドィ匕処理を行った。得られた高分子溶液をメタノールに再沈処理し、 清浄なメタノールで 3回繰り返し攪拌洗浄を行ったのち、室温で真空乾燥した。得ら れた高分子固体は、イミド環化が確認されたものの、ジメチルァセトアミドに可溶であ り、可溶性ポリイミドで (H)、 (1)、 COあることがわ力つた。次いで (H)、 (1)、 COを 12 %の固形分になるようにそれぞれジメチルァセトアミド溶液を調製し、シリコンウェハ 一上にスピンコートしたところ、含フッ素高分子膜が得られた。 一方、高分子 (Ε)、 (
F)、(G)のフィルムを 350°Cで 1時間熱処理を行ったところ、同様な脱水反応を起こ し、やはりポリイミド (H)、(1)、 ωが生成していた。
次いで、高分子 (H)、(1)、 COの熱分解温度を DSC (示差熱操作熱量計)にて測定 したところ、 5%重量減少温度として、それぞれ、 450°C、 445°C、 430°Cと高い耐熱 性を示し、さらに 1MHzでの誘電率を LCRメーターを用いて測定したところ、それぞ れ 2. 9、 2. 7、 2. 6と低!ヽ値を示した。