明 細 書
対物光学系、光ピックアップ装置、及び光ディスクドライブ:
技術分野
[0001] 本発明は、対物光学系、光ピックアップ装置、及び光ディスクドライブ装置に関する 背景技術
[0002] 以前より、青紫色レーザ光源を使用することで記録密度を高めた高密度光ディスク 、 DVD (赤色レーザ光源を使用)、及び CD (赤外レーザ光源を使用)に対して互換 性を有する光ピックアップ装置及びこのような光ピックアップ装置に用いられる光学素 子が知られている(例えば、特許文献:!〜 3を参照)。
特許文献 1 :特開 2004— 079146号公報
特許文献 2:特開 2002— 298422号公報
特許文献 3 :特開 2003— 207714号公報
[0003] 特許文献 1の数値実施例 7には、対物レンズの表面上に、青紫色レーザ光束では 2 次回折光を発生させ、赤色レーザ光束と赤外レーザ光束では 1次回折光を発生させ るような回折構造を設けて、この回折構造の作用により、高密度光ディスクと DVDの 保護層厚みの差による球面収差を補正し、更に、 CDに対する情報の記録 Z再生時 には発散光束を対物レンズに入射させることで、高密度光ディスクと CDの保護層厚 さの違いによる球面収差を補正する対物レンズが開示されている。
[0004] この対物レンズでは、何れの波長領域においても回折効率を高く確保できるものの 、 CDに対する情報の記録/再生時において、赤外レーザ光束の発散度合いが強く なりすぎて、対物レンズがトラッキングした際のコマ収差発生が大きくなりすぎるため、 CDに対して良好な記録/再生特性が得られない、とレ、う課題がある。
[0005] また、特許文献 2の数値実施例 3には、対物レンズの表面上に、青紫色レーザ光束 では 3次回折光を発生させ、赤色レーザ光束と赤外レーザ光束では 2次回折光を発 生させるような回折構造を設けて、高密度光ディスクと DVDと CDの保護層厚さの違 いによる球面収差を補正した対物レンズが開示されている。
[0006] この対物レンズでは、回折構造の作用により、高密度光ディスクと DVDの保護層厚 みの差による球面収差、更には、高密度光ディスクと CDの保護層厚さの違いによる 球面収差が補正可能であるものの、青紫色レーザ光束の 3次回折光の回折効率と、 赤外レーザ光束の 2次回折光の回折効率が 70%程度と低いため、光ディスクに対す る記録/再生速度の高速化に対応出来ない、光検出器での検出信号の S/N比が 低いため良好な記録/再生特性が得られない、レーザ光源に印加する電圧が高くな るためレーザ光源の寿命が短くなる、とレ、う課題がある。
[0007] 特許文献 1に記載の対物レンズにおいて、回折構造により高密度光ディスクと CD の保護層厚みの差による球面収差を補正できない理由、或いは、特許文献 2に記載 の対物レンズにおいて、青紫波長領域の 3次回折光の回折効率と、赤外波長領域の 2次回折光の回折効率が低くなつてしまう理由として、高密度光ディスクに使用する 青紫色レーザ光源の波長に対して、 CDに使用する赤外レーザ光源の波長が略 2倍 であるために、回折構造により発生する回折光の青紫色レーザ光束と赤外レーザ光 束とに対する球面収差補正効果と、回折光の回折効率が互いにトレードオフの関係 にあることが挙げられる。
[0008] 即ち、青紫色レーザ光束の回折光の回折効率と、赤外レーザ光束の回折光の回 折効率を共に高く確保した場合に相当する特許文献 1の数値実施例 7の対物レンズ では、青紫色レーザ光束の回折光の回折角と赤外レーザ光束の回折光の回折角と が略一致してしまうので、回折構造により高密度光ディスクと CDの保護層厚さの違い による球面収差を補正できないことになる。
[0009] 一方、青紫色レーザ光束の回折光の回折角と赤外レーザ光束の回折光の回折角 とに差を持たせた場合に相当する特許文献 2の数値実施例 3の対物レンズでは、青 紫色レーザ光束の回折光の回折効率と赤外レーザ光束の回折効率とが共に低くな つてしまうことになる。
[0010] 尚、特許文献 1及び 2に記載されている回折構造だけでなぐ特許文献 3に記載さ れているような位相補正器 (本明細書中では、光路差付与構造という)を使用する技 術においても、回折構造と同じように、光路差付与構造による青紫色レーザ光束と赤 外レーザ光束とに対する球面収差補正効果と、光路差付与構造の透過率は、互い
にトレードオフの関係にある。
発明の開示
[0011] 本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、回折構造を含む位相構造の 作用により、高密度光ディスクと DVDと CDとの保護層厚みの差による球面収差、或 レ、は、高密度光ディスクと DVDと CDとの使用波長の差による球面収差を良好に補 正すること力 Sできるとともに、 400nm近傍の青紫色波長領域と、 650nm近傍の赤色 波長領域と、 780nm近傍の赤外波長領域との何れの波長領域においても高い光利 用効率が得ることができる対物光学系、この対物光学系を使用した光ピックアップ装 置、及び、この光ピックアップ装置を搭載した光ディスクドライブ装置を提供することを 目的とする。
[0012] 項 1記載の構成は、第 1光源から射出される第 1波長; I の第 1光束を用いて厚さ t
1 1 の保護層を有する第 1光ディスクに対して情報の記録及び Z又は再生を行い、第 2 光源から射出される第 2波長; I ( > λ )の第 2光束を用いて厚さ t (≥t )の保護層
2 1 2 1
を有する第 2光ディスクに対して情報の記録及び Z又は再生を行い、第 3光源から射 出される第 3波長 λ ( > λ )の第 3光束を用いて厚さ t ( >t )の保護層を有する第 3
3 2 3 2
光ディスクに対して情報の記録及び/又は再生を行う光ピックアップ装置に用いられ る対物光学系であって、前記対物光学系は、第 1収差補正素子と、第 2収差補正素 子と、該第 1収差補正素子及び該第 2収差補正素子を通過した前記第 1光束乃至前 記第 3光束を、それぞれ、前記第 1光ディスク乃至前記第 3光ディスクの情報記録面 上に集光させるための対物レンズとから構成され、前記第 1収差補正素子は、 d線に おけるアッベ数 V 1が以下の(1)式を満たす材料から形成される第 1位相構造を有 d
し、前記第 2収差補正素子は、 d線におけるアッベ数 V 2が以下の(2)式を満たす材 d
料から形成される第 2位相構造を有する。
[0013] 40≤ V 1≤80 (1)
d
20≤ V 2く 40 (2)
d
(1)式及び (2)式を満たすようなアッベ数を有する材料により第 1位相構造と第 2位 相構造を構成すると、従来技術では困難であった、青紫色レーザ光束と赤色レーザ 光束と赤外レーザ光束の何れの波長の光束に対しても高い透過率を維持しながら、
高密度光ディスクと DVDと CDとの間の相互互換を実現出来る。
[0014] (1)式の下限を超えて第 1位相構造のアッベ数が小さくなると、第 3波長 λ 3に対す る第 1位相構造の透過率は高くなるが、第 2波長 λ 2に対する第 1位相構造の透過率 が低くなるため好ましくなレ、。一方、アッベ数が(1)式の上限を超えて大きい材料は 製造が困難になるため現実的ではない。
[0015] また、 (2)式の上限を超えて第 1位相構造のアッベ数が大きくなると、第 2波長 λ 2 に対する第 2位相構造の透過率は高くなるが、第 3波長 λ 3に対する第 2位相構造の 透過率が低くなるため好ましくなレ、。一方、アッベ数が(2)式の下限を超えて小さレ、 材料は製造が困難になるため現実的ではない。
[0016] 尚、本明細書においては、 ΝΑ0. 85の対物レンズを使用し保護層厚さが 0. lmm であるブルーレイディスクや、 NA0. 65乃至 0. 67の対物レンズを使用し保護層厚さ が 0. 6mmである HD DVDの如き、青紫色レーザ光源を使用する光ディスクを総称 して「高密度光ディスク」といい、「HD」で略記する。上述したブルーレイディスク HD DVD以外にも、光磁気ディスクや、情報記録面上に数〜数十 nm程度の厚さの保 護膜を有する光ディスクや、保護層或いは保護膜の厚さがゼロの光ディスクも高密度 光ディスクに含むものとする。
[0017] また、本明細書においては、 DVD (デジタルバーサタイルディスク)とは、 DVD— R 〇M、 DVD -Video, DVD-Audio, DVD -RAM, DVD-R, DVD_RW、 DV D + R、 DVD + RW等の DVD系列の光ディスクの総称であり、 CD (コンパクトデイス ク)とは、 CD-ROM, CD -Audio, CD-Video, CD-R, CD— RW等の CD系 列の光ディスクの総称である。
[0018] また、本明細書にぉレ、て、「対物レンズ」とは、光ピックアップ装置にぉレ、て光デイス クに対向する位置に配置され、光源力 射出された光束を、光ディスクの情報記録面 上に集光する機能を有する集光レンズを指す。
[0019] 更に、本明細書において、「対物光学系」とは、上述の集光レンズと、この集光レン ズと一体となってァクチユエータによりトラッキング及びフォーカシングを行う第 1収差 補正素子及び第 2収差補正素子とから構成される光学系を指す。
[0020] また、本明細書において、「位相構造」とは、光軸方向の段差を複数有し、入射光
束に対して光路差 (位相差)を付加する構造の総称である。この段差により入射光束 に付加される光路差は、入射光束の波長の整数倍であっても良いし、入射光束の波 長の非整数倍であっても良い。このような位相構造の具体的な例としては、上記の段 差が光軸垂直方向に周期的な間隔をもって配置された回折構造や、上記の段差が 光軸垂直方向に非周期的な間隔をもって配置された光路差付与構造 (位相差付与 構造ともいう)である。
[0021] 位相構造は図 7 (a)乃至 12 (b)に概略的に示すように様々な断面形状をとり得る。
図 7 (a)、 7 (b)は鋸歯状である場合であり、図 8 (a)、 8 (b)は全ての段差が同じ方向 とされた階段状である場合であり、図 9 (a)、 9 (b)は段差の方向が途中で反対となる 階段状である場合である。図 10 (a)、 10 (b)は断面形状が複数のレベル面 12を含む 階段状とされたパターン 11を同心円状に配列し、所定のレベル面の個数(図 10 (a) 、 10 (b)では 5レベル面)毎に、そのレベル面数に対応した段数分(図 10 (a)、 10 (b )では 4段)の高さだけ段をシフトさせた場合である。
[0022] 図 7 (a)、 7 (b)では各鋸歯の向きが同一である場合を示し、図 10 (a)、 10 (b)では 断面形状が階段状とされた各パターンの向きが同一である場合を示したが、図 11 (a )、 11 (b)や図 12 (a)、 12 (b)のように、位相反転部分 PRや、位相反転部分 PRよりも 光軸に近い側にある鋸歯とは向きが反対の鋸歯や、位相反転部分 PRよりも光軸に 近い側にあるパターンとは向きが反対のパターンを含む場合もある。なお、図 7 (a)乃 至 12 (b)は、各構造を平面上に形成した場合を示した場合であるが、各構造は球面 上或いは非球面上に形成しても良い。また、 010 (a) , 10 (b)や 12 (a)、 12 (b)では 、所定のレベル面数を 5としている力 これに限られるものではない。
図面の簡単な説明
[0023] [図 1]光ピックアップ装置の構成を示す要部平面図である。
[図 2]対物レンズユニットの構成の一例を示す側面図である。
[図 3]対物レンズユニットの構成の一例を示す側面図である。
[図 4]対物レンズユニットの構成の一例を示す側面図である。
[図 5]対物レンズユニットの構成の一例を示す側面図である。
[図 6]対物レンズユニットの構成の一例を示す側面図である。
[図 7]位相構造の構成の一例を示す断面図(a)、 (b)である。
[図 8]位相構造の構成の一例を示す断面図(a)、 (b)である。
[図 9]位相構造の構成の一例を示す断面図(a)、 (b)である。
[図 10]位相構造の構成の一例を示す断面図(a)、 (b)である。
[図 11]位相構造の構成の一例を示す断面図(a)、 (b)である。
[図 12]位相構造の構成の一例を示す断面図(a)、 (b)である。
[図 13]対物レンズユニットの構成の一例を示す側面図である。
発明を実施するための最良の形態
[0024] 以下、本発明の好ましい形態を説明する。
[0025] 項 2記載の構成は、項 1に記載の対物光学系において、前記第 1収差補正素子が 有する前記第 1位相構造は、 d線における屈折率 n 1が以下の(3)式を満たす樹脂 d
から形成され、前記第 2収差補正素子が有する前記第 2位相構造は、 d線における屈 折率 n 2が以下の(4)式を満たす樹脂から形成される。
d
[0026] 1. 48≤n 1く 1 · 57 (3)
d
1. 57≤n 2≤1. 65 (4)
d
一般的に、光学素子用の樹脂は、 d線(587. 6nm)における屈折率 nが 1. 48乃至 d
1. 65の間に分布しており、 nが高くなる程分散が大きくなる(アッベ数が小さくなる) d
傾向がある。従って、項 2に記載の構成のように、第 1位相構造と第 2位相構造をとも に樹脂製とする場合は、(3)式及び (4)式を満たすような nを有する材料により構成 d
することで、項 1と同様の作用効果を達成できる。
[0027] 項 3記載の構成は、項 1又は 2に記載の対物光学系において、前記第 1位相構造 は、前記 と前記 tの差に起因する球面収差、又は前記第 1波長 λ と前記第 2波長
1 2 1
λ の差に起因する球面収差を補正する。
2
[0028] 項 3にあるように、第 1収差補正素子に形成した(1)式又は(3)式を満たす材料から 構成される第 1位相構造により、高密度光ディスクと DVDとの相互互換を取ることに より、青紫色レーザ光束と赤色レーザ光束の両方の光束に対して高い透過率を維持 しながら、 tと tの差に起因する球面収差、又は第 1波長 λ と第 2波長 λ の差に起
1 2 1 2 因する球面収差を補正することが可能となる。
[0029] 尚、第 1位相構造を、回折構造としても良いし光路差付与構造としても良い。
[0030] 項 4記載の構成は、項 3に記載の対物光学系において、前記第 1位相構造は、前 記第 1光束及び前記第 3光束を回折せず、前記第 2光束を回折する回折構造である
[0031] 特に、第 1位相構造を項 4にあるような第 2光束のみを選択的に回折する回折構造 とすることで、第 2光束に対する収差を独立に制御することが可能となり、高密度光デ イスクと DVDの両方に対して良好な集光特性が得られる。
[0032] 項 5記載の構成は、項 4に記載の対物光学系において、前記第 1位相構造は、光 軸を含む断面形状が階段状とされたパターンが同心円上に配列された構造であって 、所定のレベル面の個数 A毎に、そのレベル面数に対応した段数分の高さだけ段を シフトさせた構造である。
[0033] 具体的には、項 5にあるような構成とすることで、項 4にあるような回折特性を第 1位 相構造に持たせることが可能となる。
[0034] また、第 1光源として設計波長からずれた光源を使用する場合には、各パターンを 構成する各々の段差により付加される光路差は、波長の整数倍から僅かにずれるた め、 1つのパターン内では局所的な球面収差が発生することになる力 レベル面数に 対応した段数分の高さだけ段がシフトされた部分で、局所的な球面収差を持つ波面 が途切れることになるので、巨視的な波面は平坦となる。このように、第 1位相構造を レベル面数に対応した段数分の高さだけ段をシフトさせた構造とすることで第 1光源 の発振波長の個体差に対する公差を緩和できる。
[0035] なお、本明細書においては、これ以降、第 1光束乃至第 3光束のうち、 1つの光束を 選択的に回折させる特性を有する回折構造を、「波長選択回折構造」とよぶ。
[0036] 項 6記載の構成は、項 5に記載の対物光学系において、前記所定のレベル面の個 数 Aは、 4、 5、 6の何れかであって、前記階段の 1つの段差により生じる光路差は前 記第 1波長 I の 2倍である。
1
[0037] より具体的には、項 6に記載のような構成とすることで、項 4にあるような回折特性を 第 1位相構造に持たせることが可能になるとともに、 3つの光束に対して高い透過率 が確保できる。 3つの光束に透過率を最も高く確保するためには、所定のレベル面の
個数 Aを 5とするのが好ましい。
[0038] ここで、第 1光束及び第 3光束を回折せず、第 2光束を選択的に回折させる波長選 択回折構造 (第 1位相構造)について、回折光発生の原理を説明する。以下の説明 では、第 1波長 λ を高密度光ディスク HDの記録'再生波長である 405nmとし、第 2 波長 I を DVDの記録'再生波長である 655nmとし、第 3波長 λ を CDの記録-再
2 3 生波長である 785nmとする。ここで、第 1位相構造は以下の(8)式〜(13)式を満た す必要がある。
[0039] Ll = A l - (n ~ 1) / λ (8)
φ (Ml) =ΙΝΤ (Α·Μ1) - (Α·Μ1) (11)
-0. 4< φ (Μ1) < 0. 4 (12)
Ll = 2 (13)
Α=4、 5、 6の何れか (14)
ΙΝΤ (Χ) :Χに最も近い整数
但し、
Δ 1:第 1位相構造の前記各パターンを構成する各段差の光軸方向の深さ η :第 1波長; 1 1に対する第 1位相構造を形成する材料の屈折率
11
η :第 2波長 λ 2に対する第 1位相構造を形成する材料の屈折率
12
η :第 3波長; 1 3に対する第 1位相構造を形成する材料の屈折率
13
A:第 1位相構造の各パターン内に形成されたレベル面の個数
Ll、 Ml、 N1はそれぞれ、第 1位相構造の各パターン内に形成された各段差によ り第 1光束、第 2光束、及び第 3光束に対して付加される波長単位の光路差である。 L 1を 2とする場合には、段差 Δ 1により第 1光束に対して付加される光路差 L1は、第 1 波長; I の 2倍となるため、隣接するレベル面同士を通過する第 1光束の波面は丁度
1
2波長分だけずれてつながる。従って、第 1光束は、第 1位相構造により回折作用をう けることなく、 100%の透過率でもってそのまま透過する。また、第 1位相構造を d線 におけるアッベ数 V 1が上述の(1)式を満たす材料から形成する場合には、段差 Δ
1により第 3光束に対して付加される光路差 Nlは、第 3波長; I の 1倍に極めて近くな
3
るので、 P 接するレベル面同士を通過する第 3光束の波面は 1波長分だけずれてつ ながる。従って、第 3光束も、第 1位相構造により回折作用をうけることなぐほぼ 100 %の透過率でもってそのまま透過する。一方、段差 Δ 1により第 2光束に対して付カロ される光路差 Mlは、第 2波長; I の約 1. 2倍になるので、隣接するレベル面同士を
2
通過する第 2光束の波面は 1. 2波長分だけずれることになるが、光学的に等位相と なる 1波長分の波面のずれを除いた実質的な波面のずれは 0. 2波長である。ここで 、各パターンを 5つのレベル面により構成すると、各パターンの両端での波面のずれ は約 1波長( = 0. 2波長 X 5)になるため、第 2光束は約 87%の高い回折効率でもつ て 1次方向に回折する(1次回折)。上記の(12)式は、第 2光束の 1次回折光の回折 効率を高めるための条件式であり、(12)式を満足するように、各パターン内に形成さ れたレベル面の個数 Aを決定することで第 2光束の 1次回折光の回折効率を十分に 確保することが可能となる。第 1位相構造を d線におけるアッベ数 V 1が上述の(1)
d
式を満たす材料から形成する場合には、 A=4、 5、 6の何れでも(12)式を満たすこと が可能であるが、(12)式の値が 0に最も近いのは A= 5の場合であり、この時に第 2 光束の 1次回折光の回折効率は最も高くなる。
[0040] 尚、上記の波長選択回折構造において、第 2光束の回折光の回折効率は、波長選 択回折構造が形成される材料の d線におけるアッベ数 V 1にのみに依存し、 d線に
d
おける屈折率 n 1には依存しなレ、。従って、屈折率 n 1に関しては比較的自由度があ
d d
るが、屈折率 n 1の値が小さくなるほど各段差の光軸方向の深さ dlが深くなり、階段
d
形状を精度良く製造することが困難になるため、同じアッベ数 V 1を有する材料が複
d
数ある場合には、 n 1が最も大きい材料を選択するのが好ましい。
d
[0041] 項 7記載の構成は、項 3に記載の対物光学系において、前記第 1位相構造は、前 記第 1光束が入射した場合にはひ 1次の回折光を発生し、前記第 2光束が入射した 場合には /3 1 ( 1 < ひ 1)次の回折光を発生し、前記第 3光束が入射した場合には Ύ 1 ( Ύ 1≤ β 1)次の回折光を発生する回折構造である。
[0042] 第 1位相構造により、高密度光ディスクと DVDとの相互互換を取るためには、項 4 に記載の回折特性の他に、項 7にあるような回折特性を第 1位相構造に持たせても
良い。このような回折特性を持たせることにより、 3つの光束に対して高い透過率を確 保出来る。尚、このような回折特性を有する回折構造は、光軸を含む断面形状が鋸 歯型或いは階段型となる。光軸を含む断面形状が鋸歯型となる場合は、第 1位相構 造が形成された光学面の屈折パワーと第 1位相構造の回折パワーの絶対値が互い に異なる場合であり、光軸を含む断面形状が階段型となる場合は、第 1位相構造が 形成された光学面の屈折パワーと第 1位相構造の回折パワーの符号が互いに逆で、 かつ絶対値が互いに同じ場合である。
[0043] 項 8記載の構成は、項 7に記載の対物光学系において、前記回折次数 α 1は偶数 である。
[0044] 特に、第 3光束の透過率を第 1位相構造で確保するためには、第 1光束の回折次 数 ct 1を偶数とすることが好ましい。具体的には、各波長の光束の回折次数の組合 せとして、 l, β ΐ , γ 1) = (2, 1, 1)、(8, 5, 4)の何れかの組合せを使用するの が好ましぐこれにより t ttの差に起因する球面収差、又は第 1波長え と第 2波長え
1 2 1
の差に起因する球面収差を良好に補正することが可能となる。尚、回折次数の組合
2
せとして(《1, β ΐ , γ 1) = (2, 1, 1)の組合せを使用する場合には第 1位相構造の 製造波長え を λ ΐより短い波長とするのが好ましぐ(α ΐ , 13 1 , γ 1) = (8, 5, 4)の
Β
組合せを使用する場合には第 1位相構造の製造波長 λ をえ 1より長い波長とするの
Β
が好ましい。これにより各波長の光束の回折効率を高く確保できる。
[0045] 項 9記載の構成は、項 1乃至 8の何れか一項に記載の対物光学系において、前記 第 2位相構造は、前記 と前記 tの差に起因する球面収差、又は前記第 1波長; I と
1 3 1 前記第 2波長; I の差に起因する球面収差を補正する。
2
[0046] 項 9にあるように、第 2収差補正素子に形成した(2)式又は (4)式を満たす材料から 構成される第 2位相構造により、高密度光ディスクと CDとの相互互換を取ることにより 、青紫色レーザ光束と赤外レーザ光束の両方の光束に対して高い透過率を維持し ながら、 tと tの差に起因する球面収差、又は前記第 1波長 λ と前記第 2波長; I の
1 3 1 2 差に起因する球面収差を補正することが可能となる。
[0047] 尚、第 2位相構造を、回折構造としても良いし光路差付与構造としても良い。
[0048] 項 10記載の構成は、項 9に記載の対物光学系において、前記第 2位相構造は、前
記第 1光束及び前記第 2光束を回折せず、前記第 3光束を回折する回折構造である
[0049] 特に、第 2位相構造を項 10にあるような第 3光束のみを選択的に回折する回折構 造とすることで、第 3光束に対する収差を独立に制御することが可能となり、高密度光 ディスクと CDの両方に対して良好な集光特性が得られる。
[0050] 項 11記載の構成は、項 10に記載の対物光学系において、前記第 2位相構造は、 光軸を含む断面形状が階段状とされたパターンが同心円上に配列された構造であ つて、所定のレベル面の個数 B毎に、そのレベル面数に対応した段数分の高さだけ 段をシフトさせた構造である。
[0051] 具体的には、項 11にあるような構成とすることで、項 10にあるような回折特性を第 2 位相構造に持たせることが可能となる。
[0052] また、第 2位相構造をレベル面数に対応した段数分の高さだけ段をシフトさせた構 造とすることで、項 5記載の構成と同様に、第 1光源の発振波長の個体差に対する公 差を緩和できる。
[0053] 項 12記載の構成は、項 11に記載の対物光学系において、前記所定のレベル面の 個数 Bは、 3、 4の何れかであって、前記階段の 1つの段差により生じる光路差は前記 第 1波長え の 7倍である。
1
[0054] より具体的には、項 12に記載のような構成とすることで、項 10にあるような回折特性 を第 2位相構造に持たせることが可能になるとともに、 3つの光束に対して高い透過 率が確保できる。 3つの光束に対する透過率を最も高く確保するためには、第 2位相 構造を d線におけるアッベ数 V 2が 25< v 2 < 40を満たす材料から形成する場合 d d
には、所定のレベル面の個数 Bを 3とし、第 2位相構造を d線におけるアッベ数 V 2が a
20≤ V 2≤ 25を満たす材料から形成する場合には、所定のレベル面の個数 Bを 4と d
するのが好ましい。
[0055] ここで、第 1光束及び第 2光束を回折せず、第 3光束を選択的に回折させる波長選 択回折構造 (第 2位相構造)について、回折光発生の原理を説明する。以下の説明 では、第 1波長 λ を高密度光ディスク HDの記録'再生波長である 405nmとし、第 2 波長え を DVDの記録'再生波長である 655nmとし、第 3波長 λ を CDの記録 '再
生波長である 785nmとする。ここで、第 1位相構造は以下の(15)式〜(21)式を満 たす必要がある。
L2= Δ2· (n -1)/ λ (15)
21 1
Μ2= Δ2· (η '-Ι)/ λ (16)
22 2
Ν2= Δ2· (η -1)/ λ (17)
23 3
φ (Ν2) =ΙΝΤ(Β·Ν2) - (Β·Ν2) (18)
-0.4< φ (Ν2)<0.4 (19)
L2 = 7 (20)
Β = 3、4の何れか (21)
ΙΝΤ(Χ) :Χに最も近い整数
但し、
Δ 2:第 2位相構造の前記各パターンを構成する各段差の光軸方向の深さ η :第 1波長え 1に対する第 2位相構造が形成された材料の屈折率
21
η :第 2波長え 2に対する第 2位相構造が形成された材料の屈折率
22
η :第 3波長え 3に対する第 2位相構造が形成された材料の屈折率
23
Β:第 2位相構造の各パターン内に形成されたレベル面の個数
L2、 M2、 N2はそれぞれ、第 2位相構造の各パターン内に形成された各段差により 第 1光束、第 2光束、及び第 3光束に対して付加される波長単位の光路差である。 L2 を 7とする場合には、段差 Δ 2により第 1光束に対して付加される光路差 L2は、第 1波 長 I の 7倍となるため、隣接するレベル面同士を通過する第 1光束の波面は丁度 7
1
波長分だけずれてつながる。従って、第 1光束は、第 1位相構造により回折作用をう けることなく、 100%の透過率でもってそのまま透過する。また、第 2位相構造を d線 におけるアッベ数 V 2が上述の(2)式を満たす材料から形成する場合には、段差 Δ d
2により第 2光束に対して付加される光路差 M2は、第 2波長; I の 4倍に極めて近くな
2
るので、 P接するレベル面同士を通過する第 2光束の波面は 4波長分だけずれてつ ながる。従って、第 2光束も、第 2位相構造により回折作用をうけることなぐほぼ 100 %の透過率でもってそのまま透過する。一方、段差 Δ 2により第 3光束に対して付カロ される光路差 N2は、第 3波長え の約 3. 3倍になるので、隣接するレベル面同士を
通過する第 3光束の波面は 3. 3波長分だけずれることになるが、光学的に等位相と なる 3波長分の波面のずれを除いた実質的な波面のずれは 0. 3波長である。ここで 、各パターンを 3つ、又は 4つのレベル面により構成すると、各パターンの両端での波 面のずれは約 1波長( = 0. 3波長 X 3、又は、 = 0. 3波長 X 4)になるため、第 3光束 は 70〜80%の高い回折効率でもって 1次方向に回折する(1次回折)。上記の(19) 式は、第 3光束の回折光の回折効率を高めるための条件式であり、(19)式を満足す るように、各パターン内に形成されたレベル面の個数 Bを決定することで第 3光束の 1 次回折光の回折効率を十分に確保することが可能となる。第 2位相構造を d線におけ るアッベ数 V 2が 25 < v 2 < 40を満たす材料から形成する場合には、(12)式の値
d d
力 SOに最も近いのは B = 3の場合であり、第 2位相構造を d線におけるアッベ数 V 2が
d
20≤ V 2≤ 25を満たす材料から形成する場合には、(12)式の値が 0に最も近いの d
は B =4の場合であり、この時に第 3光束の 1次回折光の回折効率は最も高くなる。
[0057] 尚、上記の波長選択回折構造において、第 3光束の 1次回折光の回折効率は、波 長選択回折構造が形成される材料の d線におけるアッベ数 V 2にのみに依存し、 d d
線における屈折率 n 2には依存しない。従って、屈折率 n 2に関しては比較的自由
d d
度があるが、屈折率 n 2の値が小さくなるほど各段差の光軸方向の深さ d2が深くなり
d
、階段形状を精度良く製造することが困難になるため、同じアッベ数 V 2を有する材
d
料が複数ある場合には、 n 2が最も大きい材料を選択するのが好ましい。
d
[0058] 項 13記載の構成は、項 9に記載の対物光学系において、前記第 2位相構造は、前 記第 1光束が入射した場合にはひ 2次の回折光を発生し、前記第 2光束が入射した 場合には /3 2 ( 2 < ひ 2)次の回折光を発生し、前記第 3光束が入射した場合には Ύ 2 ( Ύ 2≤ β 2)次の回折光を発生する回折構造である。
[0059] 第 2位相構造により、高密度光ディスクと CDとの相互互換を取るためには、項 10に 記載の回折特性の他に、項 13にあるような回折特性を第 2位相構造に持たせても良 レ、。このような回折特性を持たせることにより、 3つの光束に対して高い透過率を確保 出来る。尚、このような回折特性を有する回折構造は、光軸を含む断面形状が鋸歯 型或いは階段型となる。
[0060] 項 14記載の構成は、項 13に記載の対物光学系において、前記回折次数 α 2は奇
数である。
[0061] 特に、第 3光束の透過率を第 2位相構造で確保するためには、第 1光束の回折次 数ひ 2を奇数とすることが好ましい。具体的には、各波長の光束の回折次数の組合 せとして、(ひ 2, β 2, γ 2) = (5, 3, 2)、(7, 4, 3)、(9, 5, 4)の何れ力の糸且合せを 使用するのが好ましぐこれにより t ttの差に起因する球面収差を補正することが可
1 3
能となる。更に、第 3光ディスクに対して情報の記録 ·再生を行う際の対物光学系の 倍率を一 0. 2から 0の範囲内とすると、より良好に tと tの差に起因する球面収差を
1 3
ネ甫正すること力 sできる。
[0062] 尚、上記の組合せの回折次数を各波長の光束に対して利用する場合には、第 2位 相構造の製造波長 λ をえ 1より短い波長とすると各波長の光束の回折効率を高く確
Β
保できる。
[0063] 紫色レーザ光束 (第 1光束)の回折次数を奇数とすることで青紫色レーザ光束の回 折角と赤外レーザ光束の回折角とに差を持たせた場合に相当する特許文献 2の数 値実施例 3の対物レンズでは、 d線におけるアッベ数が 55程度の比較的低分散の材 料を使用しているため、両波長の光束の回折効率がともに低いが、本発明による対 物光学系では、第 2位相構造の材料として (2)式を満たすような高分散性を有する材 料を使用しているので、紫色レーザ光束 (第 1光束)の回折次数を奇数として場合で も両波長の光束の回折効率をともに高く確保できる。
[0064] 項 15記載の構成は、項 1乃至 14の何れか一項に記載の対物光学系において、前 記第 1収差補正素子と前記第 2収差補正素子は、互いに接合されて成る。
[0065] 項 16記載の構成は、項 1乃至 14の何れか一項に記載の対物光学系において、前 記第 1収差補正素子と前記第 2収差補正素子は、互いに離間されて成る。
[0066] 項 17記載の構成は、項 1乃至 16の何れか一項に記載の対物光学系において、少 なくとも前記第 1収差補正素子と前記第 2収差補正素子の何れか一方は、第 3位相 構造を有する。
[0067] 項 17に記載のように第 3位相構造を前記第 1収差補正素子及び前記第 2収差補正 素子の何れかの光学面に形成することで、対物光学系のそれぞれの光束に対する 集光特性をより良好なものにすることができる。この第 3位相構造は回折構造であつ
ても良いし、光路差付与構造であっても良い。また、第 3位相構造により補正する収 差は、例えば、第 1波長 λ 1の微小変化に伴う色収差であっても良いし、温度変化に 伴う対物レンズの屈折率変化により発生する球面収差であっても良い。
[0068] また、光ピックアップ装置では、対物光学系からの反射光による影響で、光検出器 によるフォーカス信号やトラッキング信号の検出が不安定になる場合がある。
[0069] このような不具合を回避するためには、本発明における対物光学系において、最も レーザ光源側にある光学面上に、第 1乃至第 3位相構造のうち、何れかの位相構造 が形成されてレ、るのが好ましレ、。
[0070] これにより、最もレーザ光源側にある光学面による反射光は、回折作用を受けるた め、光軸とは所定の角度を持った方向に回折していく。この結果、反射光が光検出 器の受光面に入射することを防ぐことができ、安定した検出特性が得られる。
[0071] 項 18記載の構成は、項 17に記載の対物光学系において、前記第 3位相構造は、 前記第 1波長 λ が ± 5nm以内で波長変化した際に前記対物光学系で発生する近
1
軸像点位置の移動を抑制する機能を有する。
[0072] 項 18記載の構成によれば、第 3位相構造に第 1波長 λ ± 5nmの波長領域での近 軸像点位置の移動を抑制する機能を持たせることで、再生から記録に切り替える際 の第 1光源の出力の変化に伴って瞬時的に波長変化 (モードホップ)が起きた場合で も、集光スポットが大きくならず、常に良好な集光状態を維持することが可能となる。
[0073] 項 19記載の構成は、項 17又は 18に記載の対物光学系において、前記第 3位相構 造は、前記第 1波長 λ が ± 5nm以内で波長変化した際に前記対物光学系で発生 する球面収差の変化を抑制する機能を有する。
[0074] 項 19記載の構成によれば、第 3位相構造に第 1波長 λ ± 5nmの波長領域での球 面収差の変化を抑制する機能を持たせることで、第 1光源の発振波長の個体差に対 する公差を緩和することが可能となり、第 1光源の選別が不要となるので、光ピックァ ップ装置の低コスト化を達成できる。
[0075] 項 20記載の構成は、項 17乃至 19の何れか一項に記載の対物光学系において、 前記第 3位相構造は、前記対物光学系の屈折率変化に起因する球面収差の変化を 抑制する機能を有する。
[0076] 周知のように、屈折率変化に伴う球面収差の増大は対物レンズの NAの 4乗に比例 して大きくなるため、対物レンズを温度変化に伴う屈折率変化が大きい樹脂製とする 場合は力かる球面収差の増大に対する対策が必須となる。また、 NAO. 85の対物レ ンズでは、樹脂と比べて温度変化に伴う屈折率変化が小さいガラス製であっても、温 度変化に伴う球面収差の増大が無視できない場合がある。項 20記載の構成によれ ば、力かる温度変化に伴う球面収差の増大を第 3位相構造により補正することで、使 用可能な温度範囲の広い対物光学系を提供することが可能となる。
[0077] 項 21記載の構成は、項 17乃至 20の何れか一項に記載の対物光学系において、 前記第 3位相構造は、前記第 1収差補正素子と前記第 2収差補正素子のうち、何れ か一方に形成される。
[0078] 項 22記載の構成は、項 21に記載の対物光学系において、前記第 3位相構造は、 前記第 1収差補正素子に形成され、前記第 1光束に対して、前記第 1波長 λ の 10
1 倍の光路差を付加させめる。
[0079] 項 22に記載のように、第 3位相構造を第 1収差補正素子に形成し、この第 3位相構 造により第 1光束に対して付加される光路差が、第 1波長え の 10倍となるように設計
1
しておくと、第 2光束に対して付加される光路差が第 2波長 λ の略 6倍、第 3光束に
2
対して付加される光路差が第 3波長え の略 5倍となるため、何れの光束の回折光の
3
透過率を十分高く確保することが可能である。
項 23記載の構成は、項 1乃至 22の何れか一項に記載の対物光学系において、前記 第 1位相構造と前記第 2位相構造は、ともに樹脂から形成される。
[0080] 収差補正素子の材料としては、あらゆる光学ガラスや光学樹脂が適用可能である 、微細な構造である位相構造を形状誤差少なく形成するためには、溶融状態での 粘性が小さい材料、つまり樹脂が適している。また樹脂は、ガラスに比べて低コストで 軽量である。特に、収差補正素子に樹脂を用いて軽量化すれば、光ディスクの記録 Ζ再生時における光ピックアップ装置のフォーカス、トラッキング制御を行う駆動力が 少なくてすむ。
[0081] 尚、第 1位相構造と第 2位相構造をともに樹脂から形成する場合には、第 1位相構 造を日本ゼオン社製のゼォネックス(登録商標)や三井化学社製のアベル (登録商
標)等に代表される環状ポレオレフイン系樹脂から形成するのが好ましぐ第 2位相構 造を紫外線硬化樹脂や熱硬化性樹脂、或いは大阪ガスケミカル社製の OKP4等に 代表されるフルオレン系ポリエステル樹脂を使用するのが好ましい。
[0082] 項 24記載の構成は、項 1乃至 23の何れか一項に記載の対物光学系において、前 記第 1位相構造と前記第 2位相構造のうち、何れか一方は紫外線硬化性樹脂、又は 熱硬化性樹脂から形成される。
[0083] 第 2位相構造を、樹脂基板やガラス基板上に形成した樹脂層の表面上にして所謂 ハイブリッド構造の第 2収差補正素子を作製する場合に、その材料としては、項 24に 記載のような紫外線硬化樹脂、又は熱硬化性樹脂が製造上適している。
[0084] また、位相構造その表面上に形成した収差補正素子を作製する方法として、フォト リソグラフィとエッチングのプロセスを繰り返して、樹脂基板上やガラス基板上に直接 位相構造を形成する方法を用いてもょレ、が、位相構造を形成したモールド (金型)を 作製して、そのモールドのレプリカとして表面に位相構造が形成された収差補正素 子を得る、所謂モールド成形が大量生産には適している。尚、位相構造が形成され たモールドを作製する方法としては、フォトリソグラフィとエッチングのプロセスを繰り 返して回折構造を形成する方法でもよいし、精密旋盤により回折構造を機械加工す る方法でもよい。
[0085] 項 25記載の構成は、項 24に記載の対物光学系において、前記第 1位相構造と前 記第 2位相構造のうち、紫外線硬化性樹脂、又は熱硬化性樹脂から形成される位相 構造は、前記第 2位相構造である。
[0086] 紫外線硬化性樹脂、又は熱硬化性樹脂は、その製造過程において d線におけるァ ッべ数 V を制御し最適なアッベ数 V を得るのが比較適容易である。従って、アッベ
d d
数 v の許容幅が小さい第 2位相構造を紫外線硬化性樹脂、又は熱硬化性樹脂から d
形成するのが好ましい。
[0087] 項 26記載の構成は、項 24又は 25に記載の対物光学系において、前記第 1位相構 造と前記第 2位相構造のうち、紫外線硬化性樹脂、又は熱硬化性樹脂から形成され る位相構造はガラス基板上に形成される。
[0088] 紫外線硬化性樹脂、又は熱硬化性樹脂は、ガラス基板との接着性に比較的優れる
。従がつて、第 1位相構造と第 2位相構造のうち、紫外線硬化性樹脂、又は熱硬化性 樹脂から形成される位相構造をガラス基板上に形成することで、金型と位相構造とを 離型する際の、位相構造の変形等を抑制することができ、形状誤差による収差発生 や回折効率低下が小さくなる。
[0089] 項 27記載の構成は、項 1乃至 26の何れか一項に記載の対物光学系において、前 記対物レンズは、前記 tと前記第 1波長 λ との組合せに対して球面収差補正が最適 化される。
[0090] 対物レンズは、第 1波長 λ と第 1光ディスクの保護層の厚さ tlに対して球面収差補 正が最小となるように、その非球面形状が決定されているのが好ましい。本構成にお いては、第 1波長 λ の集光性能は対物レンズによって決まる。従って、項 27のように 、第 1波長え と第 1保護層の厚さ tlに対して球面収差補正が最小となるように、対物
1
レンズの非球面形状を決定しておくことで、最も厳しい波面精度が要求される第 1光 束の集光性能を出しやすくなる。ここで、「対物レンズは、前記 tlと前記第 1波長え と の組み合わせに対して球面収差補正が最適化された」とは、対物レンズと第 1光ディ スクの保護層を介して第 1光束を集光させた場合の波面収差が 0. 05 λ RMS以下 であることをいうものとする。
[0091] 項 28記載の構成は、項 1乃至 27の何れか一項に記載の対物光学系において、以 下の(5)式乃至(7)式を満たす。
[0092] 380nm< λ < 420nm (5)
1. 5< λ / λ < 1. 7 (6)
2 1
1. 8< λ / λ < 2. 1 (7)
3 1
項 29記載の構成は、項 4乃至 6の何れか一項に記載の対物光学系において、前 記第 1位相構造は、前記第 2光束を発散させる作用を有する。
[0093] 第 1位相構造により、第 2光束を発散させることにより、第 2光ディスクに対して記録
Ζ再生を行う際の作動距離を十分に確保することが可能となる。
[0094] 項 30記載の構成は、項 10乃至 12の何れか一項に記載の対物光学系において、 前記第 2位相構造は、前記第 3光束を発散させる作用を有する。
[0095] 第 2位相構造により、第 3光束を発散させることにより、第 3光ディスクに対して記録
z再生を行う際の作動距離を十分に確保することが可能となる。
[0096] 尚、項 29及び 30記載の構成において、第 1位相構造 (又は、第 2位相構造)により 第 2光束 (又は、第 3光束)を発散させるとは、これら位相構造により入射光束に対し て付加される光路差を後述の [光路差関数]で表した場合に、回折次数 M、 2次の回 折面係数 Bにより— 2 ·Μ· Βで定義される回折構造の近軸パワーの符号が負である
2 2
ことと同義である。
[0097] 項 31記載の構成は、項 7又は 8に記載の対物光学系において、前記第 1位相構造 は、前記第 1波長 λ 1が ± 5nm以内で波長変化した際に前記対物光学系で発生す る近軸像点位置の移動を抑制する機能を有する。
[0098] 光軸を含む断面形状が鋸歯型或いは階段型となる回折構造では、 t の差に起
1 2 因する球面収差、又は第 1波長 λ と第 2波長 λ の差に起因する球面収差を補正す
1 2
る機能のほかに、第 1波長え ± 5nmの波長領域での近軸像点位置の移動を抑制
1
する機能も持たせることが可能である。項 31記載の構成によれば、再生から記録に 切り替える際の第 1光源の出力の変化に伴ってモードホップが起きた場合でも、集光 スポットが大きくならず、常に良好な集光状態を維持することが可能となる。
[0099] 項 32記載の構成は、項 1乃至 31の何れか一項に記載の対物光学系において、前 記第 1収差補正素子と前記第 2収差補正素子の少なくとも一方は、前記第 1波長 λ に対して負の近軸パワーを有する。
[0100] 項 32記載のように、前記第 1収差補正素子及び前記第 2収差補正素子の少なくと も一方の第 1波長 λ に対する近軸パワー(回折パワーと屈折パワーとの合成パワー)
1
を負とすると、光ディスクに対する記録/再生時の作動距離を大きく確保することが 可能となる。この場合、対物レンズの設計倍率は負であることが好ましぐ更には、第 1波長え と第 1光ディスクの保護層の厚さ tiに対して球面収差補正が最小となるよう
1
に、その非球面形状が決定されているのがより好ましい。
[0101] 項 33記載の構成は、項 1乃至 32の何れか一項に記載の対物光学系において、前 記第 1光束乃至前記第 3光束は全て前記第 1収差補正素子及び前記第 2収差補正 素子に対して平行光束の状態で入射する。
[0102] 項 33に記載の構成によれば、対物光学系がトラッキング駆動した場合でも物点位
置が変化しないので、いずれの波長の光束に対しても良好なトラッキング特性が得ら れる。
[0103] 項 34記載の構成は、項 1に記載の対物光学系において、前記第 1収差補正素子 は、 d線におけるアッベ数 V 1が(1)式を満たすとともに第 1位相構造を有し、前記第 d
2収差補正素子は、 d線におけるアッベ数 V 2が(2)式を満たすとともに第 2位相構 d
造を有する。
[0104] 項 35記載の構成は、項 2に記載の対物光学系において、前記第 1収差補正素子 は、 d線における屈折率 n 1が(3)式を満たすとともに第 1位相構造を有し、前記第 2 d
収差補正素子は、 d線における屈折率 n 2が (4)式を満たすとともに第 2位相構造を d
有する。
[0105] 項 36記載の構成は、項 1乃至 35の何れか一項に記載の対物光学系において、前 記第 1収差補正素子は前記第 1波長 λ に対して正の近軸パワーを有し、前記第 2収 差補正素子は前記第 1波長 λ に対して負の近軸パワーを有する。
[0106] 項 36記載の構成によれば、正レンズである第 1収差補正素子と負レンズである第 2 収差補正素子の分散の差を利用して、第 1波長 λ ± 5nmの波長領域での近軸像 点位置の移動を抑制することができるので、再生から記録に切り替える際の第 1光源 の出力の変化に伴ってモードホップが起きた場合でも、集光スポットが大きくならず、 常に良好な集光状態を維持することが可能となる。
[0107] 項 37記載の構成は、項 36記載の対物光学系において、前記第 1収差補正素子と 前記第 2収差補正素子は互いに接合されて成り、前記第 1収差補正素子と前記第 2 収差補正素子の接合面は、前記第 2収差補正素子側に凸の形状を有することを特 長とする。
[0108] より良好に第 1波長; I ± 5nmの波長領域での近軸像点位置の移動を抑制するた
1
めには、項 37に記載のように、第 1収差補正素子と第 2収差補正素子を互いに接合 する構成とするのが好ましレヽ。
[0109] 項 38記載の構成は、項 24記載の対物光学系において、前記第 1位相構造と前記 第 2位相構造のうち、紫外線硬化性樹脂、又は熱硬化性樹脂から形成された位相構 造の表面には、非加熱反射防止コートが形成されてレ、る。
[0110] 項 38記載の構成によれば、耐熱性が比較的低レ、紫外線硬化性樹脂や熱硬化性 樹脂から形成された位相構造の表面に反射防止コートを形成することが可能となる ので、第 1収差補正素子及び前記第 2収差補正素子の透過率を向上させることが可 能となる。
[0111] 項 39記載の構成は、項 23記載の対物光学系において、前記第 1位相構造は、環 状ポレオレフイン系樹脂から形成され、前記第 2位相構造は、フルオレン系ポリエステ ル樹脂から形成されている。
[0112] 項 39記載の構成によると、環状ポレオレフイン系樹脂から形成することで第 1位相 構造に対して低分散性を与えることができ、フルオレン系ポリエステル樹脂から形成 することで第 2位相構造に対して高分散性を与えることができるので、何れの波長の 光束に対しても高い透過率(回折効率)を確保することが可能となる。尚、環状ポレオ レフイン系樹脂として日本ゼオン社製のゼォネックス (登録商標)や三井化学社製の ァペル (登録商標)等を使用し、フルオレン系ポリエステル樹脂として大阪ガスケミカ ル社製の OKP4等を使用するのが好ましぐこれにより金型を用いた成形法によりそ れぞれの位相構造を製造することが可能となるので量産に適している。
[0113] 項 40記載の構成は、項 4乃至 6の何れか一項に記載の対物光学系において、前 記第 1位相構造が形成された光学面は、光軸を含む第 1中央領域と、該第 1中央領 域を囲む第 1周辺領域とに分割され、前記第 1位相構造は、前記第 1中央領域に形 成される。
[0114] 項 40に記載の構成によれば、第 1中央領域を第 2光ディスクに対して情報の記録 Z再生を行うのに必要な開口数 (NA )内に相当する領域とすることで、 tと tの差に
2 1 2 起因する球面収差、又は第 1波長; I と第 2波長 λ の差に起因する球面収差を ΝΑ
1 2 2 内(第 1中央領域)だけで補正し、 ΝΑより外側の領域(第 1周辺領域)では力かる球
2
面収差が補正されないようにすることが可能となる。これにより、 ΝΑより外側の領域
2
を通過する第 2波長 λ の光束をスポット形成に寄与しないフレア成分とすることがで
2
きるので、本発明による対物光学系に対して、第 2波長 λ の光束に対応した開口制
2
限機能を持たせることが可能となる。
[0115] 項 41記載の構成は、項 40に記載の対物光学系において、前記第 1周辺領域の少
なくとも一部には、この部分を通過する前記第 2光束の集光位置を制御するための 第 4位相構造が形成され、該第 4位相構造は、前記第 1光束及び前記第 3光束を回 折せず、前記第 2光束を回折する回折構造である。
[0116] 項 41に記載の構成によれば、第 1中央領域に形成した第 1位相構造の第 2波長 λ に対する回折パワーと、第 1周辺領域に形成した第 4位相構造の第 2波長 λ に対
2 2 する回折パワーを異ならしめることにより、第 4位相構造を通過する第 2光束が集光す る位置や球面収差量を任意に制御することができる。このとき、光検出器による第 2 光束のフォーカスエラー信号の検出特性が最良となるように第 4位相構造を設計する ことで、第 2光ディスクに対する情報の記録/再生時の対物光学系のフォーカシング 特性を向上させることが可能となる。
[0117] 尚、必ずしも、第 1周辺領域内全体で第 2光束の集光位置や球面収差量を制御す る必要はなぐ第 4位相構造が第 2周辺領域に形成されていないとした場合に、フォ 一カスエラー信号の検出特性に悪影響を及ぼす部分のみで第 2光束の集光位置や 球面収差量を制御すればよい。そのため、必ずしも、第 4位相構造を第 1周辺領域全 体に形成する必要はなぐこれにより、第 4位相構造が形成される範囲が不必要に広 くならずにすむので、第 1光束や第 3光束の透過率を向上させることが可能となる。
[0118] 項 42記載の構成は、項 10乃至 12の何れか一項に記載の対物光学系において、 前記第 2位相構造が形成された光学面は、光軸を含む第 2中央領域と、該第 2中央 領域を囲む第 2周辺領域とに分割され、前記第 2位相構造は、前記第 2中央領域に 形成される。
[0119] 項 42に記載の構成によれば、第 2中央領域を第 3光ディスクに対して情報の記録 Ζ再生を行うのに必要な開口数 (ΝΑ )内に相当する領域とすることで、 tと tの差に
3 1 3 起因する球面収差を NA内(第 2中央領域)だけで補正し、 NAより外側の領域 (第
3 3
2周辺領域)ではかかる球面収差が補正されないようにすることが可能となる。これに より、 NAより外側の領域を通過する第 3波長 λ の光束をスポット形成に寄与しない
3 3
フレア成分とすることができるので、本発明による対物光学系に対して、第 3波長; I
3 の光束に対応した開口制限機能を持たせることが可能となる。
[0120] 項 43記載の構成は、項 42に記載の対物光学系において、前記第 2周辺領域の少
なくとも一部には、この部分を通過する前記第 3光束の集光位置を制御するための 第 5位相構造が形成され、該第 5位相構造は、前記第 1光束及び前記第 2光束を回 折せず、前記第 3光束を回折する回折構造である。
[0121] 項 43に記載の構成によれば、項 41に記載の構成と同様に、第 5位相構造を通過 する第 3光束が集光する位置や球面収差量を任意に制御することができるので第 3 光ディスクに対する情報の記録 Z再生時の対物光学系のフォーカシング特性を向上 させることが可能となる。
[0122] 項 44記載の構成は、項 1乃至 43の何れか一項に記載の対物光学系において、前 記第 1波長え に対するバックフォーカス fBと前記第 2波長 λ に対するバックフォー
1 1 2
カス fBとの差と、前記第 1波長え に対するバックフォーカス fBと前記第 2波長 λ に
2 1 1 3 対するバックフォーカス fBとの差が何れも 0, 2mm以下である。
3
[0123] 項 44に記載の構成によれば、第 1光ディスク乃至第 3光ディスクに対する情報の記 録*再生時における作動距離の差が小さくなるので、対物光学系のフォーカシング用 のァクチユエータのストロークが小さくてすみ、ァクチユエータの小型化が実現できる 。尚、ここでいう「第 i波長 λに対するバックフォーカス fB」とは、第 i光ディスクの情報 記録面上に第 i光束が合焦した際の、対物光学系と第 i光ディスクとの光軸上の間隔 のことを指す。
[0124] 項 45記載の構成は、項 11又は 12に記載の対物光学系において、前記第 2位相構 造の前記パターンの最小幅 Λ の前記第 1波長 λ に対する比 Λ / λ 力 S25以上で
Μ 1 M l
ある。
[0125] 項 45に記載の構成によれば、第 1波長; I に対して第 2位相構造の前記パターンの
1
最小幅 Λ が十分に大きく確保されるので、第 1波長; I の回折効率のベクトル計算
M 1
値が高くなるとともに、第 2位相構造の形状誤差による回折効率低下が小さくなる。
[0126] 項 46記載の構成は、項 1乃至 45の何れか一項に記載の対物光学系において、前 記第 1位相構造は、前記第 1収差補正素子の表面に形成され、前記第 2位相構造は
、前記第 2収差補正素子の表面に形成されている。
[0127] 項 46記載の構成によると、第 1位相構造と第 2位相構造はともに空気との界面に形 成されることになるので、第 1収差補正素子を透過した第 1光束の波面と、第 2収差補
正素子を透過した第 1光束の波面は、それぞれ透過率が高い状態となる。従って、 第 1光束用の干渉計により、それぞれの収差補正素子の波面収差評価を行うことが 可能であるので、それぞれの収差補正素子を製造する際の性能出しが容易になる。
[0128] 項 47記載の構成は、項 5に記載の対物光学系において、前記第 1位相構造と前記 第 2位相構造は、何れも平面上に形成される。
[0129] 項 48記載の構成は、項 11に記載の対物光学系において、前記第 1位相構造と前 記第 2位相構造は、何れも平面上に形成される。
[0130] 項 47および 48記載の構成によると、第 1位相構造や第 2位相構造の製造が容易に なる。
[0131] 項 49記載の構成は、項 1乃至 48の何れか一項に記載の対物光学系において、前 記第 1収差補正素子及び前記第 2収差補正素子と、前記対物レンズとは、相対的な 位置関係が普遍となるように保持部材により保持されている。
[0132] 項 49記載の構成によると、対物光学系がトラッキングした場合でも第 1収差補正素 子及び第 2収差補正素子と対物レンズの光軸がずれることがなレ、ので、コマ収差の 発生がなく良好なトラッキング特性が得られる。
[0133] 項 50記載の構成は、第 1光ディスクに対して情報の記録及び/又は再生を行うた めに第 1波長 λ の第 1光束を射出する第 1光源と、第 2光ディスクに対して情報の記
1
録及び Ζ又は再生を行うために第 2波長 λ ( > λ )の第 2光束を射出する第 2光源
2 1
と、第 3光ディスクに対して情報の記録及び Ζ又は再生を行うために第 3波長; I ( >
3 λ )の第 3光束を射出する第 3光源と、請求の範囲第 1乃至 49項に記載の対物光学
2
系と、を備え、
前記第 1光束を用いて厚さ tの保護層を有する第 1光ディスクに対して情報の記録 及び Z又は再生を行い、前記第 2光束を用いて厚さ t (≥t )の保護層を有する第 2
2 1
光ディスクに対して情報の記録及び/又は再生を行レ、、前記第 3光束を用いて厚さ t ( >t )の保護層を有する第 3光ディスクに対して情報の記録及び/又は再生を行う
3 2
光ピックアップ装置である。
[0134] 項 50によれば、項 1乃至 49のいずれか一項と同様の効果を有する光ピックアップ 装置を得られる。
[0135] 項 51記載の構成は、項 50に記載の光ピックアップ装置、及び前記光ピックアップ 装置を前記光情報記録媒体の半径方向に移動させる移動装置を搭載した光デイス クドライブ装置である。
[0136] 項 51によれば、項 50と同様の効果を有する光ディスクドライブ装置を得られる。
[第 1の実施の形態]
以下、本発明の第 1の実施の形態について図面を用いて説明する。まず、図 1を用 レ、て本発明の対物光学系及びこの対物光学系を用いた光ピックアップ装置について 説明する。
[0137] 図 1は、高密度光ディスク HDと DVDと CDとの何れに対しても適切に情報の記録 /再生を行える光ピックアップ装置 PUの構成を概略的に示す図である。 HDの光学 的仕様は、第 1波長 λ =408nm、保護層 PL1の厚さ t =0. lmm、開口数 NA = 0. 85であり、 DVDの光学的仕様は、第 2波長 λ = 658nm、保護層 PL2の厚さ t
2 2
=0. 6mm、開口数 NA =0. 65であり、 CDの光学的仕様は、第 3波長 λ = 785η
2 3 m、保護層 PL3の厚さ t = 1. 2mm、開口数 NA =0. 50である。但し、波長、保護
3 3
層の厚さ、及び開口数の組合せはこれに限られない。
[0138] 光ピックアップ装置 PUは、 HDに対して情報の記録/再生を行う場合に発光され 4 05nmの青紫色レーザ光束 (第 1光束)を射出する青紫色半導体レーザ LD1、 DVD に対して情報の記録/再生を行う場合に発光され 655nmの赤色レーザ光束(第 2光 束)を射出する第 1の発光点 EP1と、 CDに対して情報の記録/再生を行う場合に発 光され 785nmの赤外レーザ光束 (第 3光束)を射出する第 2の発光点 EP2とを一つ のチップ上に形成した DVD/CD用レーザ光源ユニット LU、 HDZDVD/CD共 用の光検出器 PD、第 1収差補正素子 Ll、第 2収差補正素子 L2と、第 1収差補正素 子 L1及び第 2収差補正素子 L2を透過したレーザ光束を情報記録面 RL1、 RL2、 R L3上に集光させる機能を有する両面が非球面とされた対物レンズ OLとから構成さ れた対物レンズユニット〇U (対物光学系)、 2軸ァクチユエータ AC1、 1軸ァクチユエ ータ AC2、近軸における屈折力が負である第 1レンズ EXP1と近軸における屈折力 が正である第 2レンズ EXP2と力 構成されたエキスパンダーレンズ EXP、第 1偏光ビ 一ムスプリッタ BS1、第 2偏光ビームスプリッタ BS2、第 1コリメートレンズ C〇L1、第 2
コリメートレンズ C〇L2、第 3コリメートレンズ C〇L3、情報記録面 RL1、 RL2及び RL 3からの反射光束に対して非点収差を付カ卩するためのセンサーレンズ SENと力 構 成されている。尚、 HD用の光源として、上述の青紫色半導体レーザ LD1の他に青 紫色 SHGレーザを使用することもできる。
[0139] 光ピックアップ装置 PUにおいて、 HDに対して情報の記録 Z再生を行う場合には、 図 1におレ、て実線でその光線経路を描レ、たように、まず青紫色半導体レーザ LD1を 発光させる。青紫色半導体レーザ LD1から射出された発散光束は、第 1コリメ一トレ ンズ COL1により平行光束に変換された後、第 1偏光ビームスプリッタ BS1により反射 され、第 2偏光ビームスプリッタ BS2を通過し、第 1レンズ EXP1、第 2レンズ EXP2を 透過することにより拡径された後、図示しない絞り STOにより光束径が規制され、対 物レンズユニット OUによって HDの保護層 PL1を介して情報記録面 RL1上に形成さ れるスポットとなる。対物レンズユニット OUは、その周辺に配置された 2軸ァクチユエ ータ AC1によってフォーカシングゃトラッキングを行う。
[0140] 情報記録面 RL1で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物レンズュニッ ト OU、第 2レンズ EXP2、第 1レンズ EXP1、第 2偏光ビームスプリッタ BS2、第 1偏光 ビームスプリッタ BS1を透過した後、第 3コリメートレンズ COL3を通過する際に収斂 光束となり、センサーレンズ SENにより非点収差が付加され、光検出器 PDの受光面 上に収束する。そして、光検出器 PDの出力信号を用いて HDに記録された情報を読 み取ること力 Sできる。
[0141] また、光ピックアップ装置 PUにおいて、 DVDに対して情報の記録 Z再生を行う場 合には、発光点 EP1を発光させる。発光点 EP1から射出された発散光束は、図 1に おいて破線でその光線経路を描いたように、第 2コリメートレンズ COL2により平行光 束に変換された後、第 2偏光ビームスプリッタ BS2により反射され、第 1レンズ EXP1、 第 2レンズ EXP2を透過することにより拡径され、対物レンズユニット OUによって DV Dの保護層 PL2を介して情報記録面 RL2上に形成されるスポットとなる。対物レンズ ユニット OUは、その周辺に配置された 2軸ァクチユエータ AC1によってフォーカシン グゃトラッキングを行う。
[0142] 情報記録面 RL2で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物レンズュニッ
ト OU、第 2レンズ EXP2、第 1レンズ EXP1、第 2偏光ビームスプリッタ BS2、第 1偏光 ビームスプリッタ BS1を透過した後、第 3コリメートレンズ COL3を通過する際に収斂 光束となり、センサーレンズ SENにより非点収差が付加され、光検出器 PDの受光面 上に収束する。そして、光検出器 PDの出力信号を用いて DVDに記録された情報を 読み取ること力 Sできる。
[0143] また、光ピックアップ装置 PUにおいて、 CDに対して情報の記録 Z再生を行う場合 には、第 1レンズ EXP1と第 2レンズ EXP2の間隔が HDに対する情報の記録/再生 時によりも狭くなるように、 1軸ァクチユエータ AC2により光軸方向に第 1レンズ EXP1 を駆動させた後、発光点 EP2を発光させる。発光点 EP2から射出された発散光束は 、図 1において一点鎖線でその光線経路を描いたように、第 2コリメートレンズ COL2 により緩い発散光束に変換された後、第 2偏光ビームスプリッタ BS2により反射され、 第 1レンズ EXP1、第 2レンズ EXP2を透過することにより拡径されるとともに発散光束 に変換され、対物レンズユニット OUによって CDの保護層 PL3を介して情報記録面 RL3上に形成されるスポットとなる。対物レンズユニット OUは、その周辺に配置され た 2軸ァクチユエータ AC1によってフォーカシングゃトラッキングを行う。
[0144] 情報記録面 RL2で情報ピットにより変調された反射光束は、再び対物レンズュニッ ト OU、第 2レンズ EXP2、第 1レンズ EXP1、第 2偏光ビームスプリッタ BS2、第 1偏光 ビームスプリッタ BS1を透過した後、第 3コリメートレンズ COL3を通過する際に収斂 光束となり、センサーレンズ SENにより非点収差が付加され、光検出器 PDの受光面 上に収束する。そして、光検出器 PDの出力信号を用いて CDに記録された情報を読 み取ること力 Sできる。
[0145] 本実施形態における対物レンズユニット OUは、図 2に概略的に示すように、それぞ れ樹脂製の第 1位相構造 PS1と樹脂製の第 2位相構造 PS2を有し、互いに接合され た第 1収差補正素子 L1及び樹脂製の第 2収差補正素子 L2と、第 1波長 λ と HDの 保護層 PL1の厚さ tとに対して球面収差が最小となるようにその非球面形状が設計
1
されたガラス製の対物レンズ〇Lが、鏡枠 Bを介して同軸で一体化された構成を有す る。具体的には、円筒状の鏡枠 Bの一端に第 1収差補正素子 L1と第 2収差補正素子 L2とを接合した状態で嵌合固定し、他端に対物レンズ OLを嵌合固定して、これらを
光軸 Xに沿って同軸に一体化した構成となっている。
[0146] なお、第 1収差補正素子 L1と第 2収差補正素子 L2の製造方法としては、第 1収差 補正素子 L1と第 2収差補正素子 L2をモールド成形で製造し、その後、互いの収差 補正素子を接合する方法であっても良いし、あるいは、モールド成形で製造した何れ か一方の収差補正素子上に、紫外線硬化性樹脂を塗布し、この紫外線硬化性樹脂 の表面に位相構造が形成されたモールドを押し当て、紫外線を照射することにより位 相構造を転写する方法であっても良レ、。紫外線硬化性樹脂の代わりに熱硬化性樹 脂をしても良い。
[0147] また、本実施の形態では、第 1位相構造 PS1と第 2位相構造 PS2をともに樹脂製と したが、何れか一方の収差補正素子をガラス製とし、もう一方を樹脂製としても良い。 ガラス製の位相構造を有する収差補正素子の製造方法としては、モールド成形であ つても良いし、フォトリソグラフィとエッチングのプロセスを繰り返して回折構造を形成 する方法であっても良い。ガラス製の位相構造を有する収差補正素子をモールド成 形により製造する場合には、モールドの寿命を延ばし、回折構造の転写性を向上さ せるために、溶融状態での粘性が小さぐ且つ、ガラス転移点 Tgが 450°C以下のガ ラスを使用するのが好ましい。このようがガラスとしては、例えば、株式会社住田光学 ガラス製の「K— PG325」や「K— PG375」がある。なお、樹脂製の位相構造を有す る収差補正素子とガラス製の位相構造を有する収差補正素子を接合する方法として は、樹脂製の位相構造を有する収差補正素子をモールド成形で製造し、その後、ガ ラス製の位相構造を有する収差補正素子と接合する方法であっても良いし、ガラス製 の位相構造を有する収差補正素子上に紫外線硬化性樹脂を塗布し、この紫外線硬 化性樹脂の表面に位相構造が形成されたモールドを押し当て、紫外線を照射するこ とにより位相構造を転写する方法であっても良い。紫外線硬化性樹脂の代わりに熱 硬化'性樹脂をしても良い。
[0148] また、本実施の形態では、対物レンズ OLをガラス製とした力 これに限らず、樹脂 製としても良い。この場合に対物レンズ〇Lに使用する樹脂として、ポレオレフイン系 の樹脂が好ましい。
[0149] また、対物レンズ OLに使用する材料として、母体となる樹脂中に平均粒子直径が 3
Onm以下の無機粒子を分散させた材料を使用しても良レ、。母体となる樹脂の温度変 化に伴う屈折率変化率の符号とは逆符号の屈折率変化率をもつ無機粒子を混成す ることで、樹脂の成形性を有しながら、温度変化に伴う屈折率変化率の絶対値が小さ レヽ材料を得ることができるので、対物レンズ〇Lの温度変化に伴う球面収差変化を小 さいものとすることが可能となる。
[0150] また、第 1位相構造は、 d線におけるアッベ数 V 1 = 56. 4、 d線における屈折率 n d d
1 = 1. 509140であり、第 2位木目構造は、 ώ線におけるアッベ数 V 2 = 22. 8、 ώ線に d
おける屈折率 n 2 = 1. 638000である。
d
[0151] また、第 1収差補正素子 L1の光源側の光学面には第 1位相構造 PS1が形成され ており、第 2収差補正素子 L2の光ディスク側の光学面には第 2位相構造 PS2が形成 されている。
[0152] 第 1位相構造 PS1は第 1光束及び第 3光束を回折せず、第 2光束を回折するもので あり、光軸を含む断面形状が階段状とされたパターンが同心円上に配列された構造 であって、所定のレベル面(本実施の形態では 5レベル面)の個数毎に、そのレベル 面数に対応した段数分の高さだけ段をシフトさせた構造 (本実施の形態においては 4 段シフトさせた構造)となっている。
[0153] 階段構造の各段差 Δ 1は、 Δ 1 = 2 · λ / (η— 1) = 1 · 557 μ mを満たす高さに
1 1
設定されている。ここで、 nは波長; I (本実施の形態では I =408nm)における第
1 1 1
1収差補正素子 L1の屈折率である。
[0154] 段差 Δ 1により第 1光束に付加される光路差 L1は 2 X λ であるので、第 1光束は第
1
1位相構造 PS1により何ら作用を受けずにそのまま透過する。
[0155] また、段差 Δ 1により第 3光束に付加される光路差 N1は 1 X λ (本実施の形態では
3
λ = 785nm)であるので、第 3光束も第 1位相構造 PS1により何ら作用を受けずに
3
そのまま透過する。
[0156] 一方、段差 Δ 1により第 2光束に付加される光路差 Mlは 1. 20 X λ (本実施の形
2
態では λ = 658nm)であり、段差 Δ 1の前後のレベル面を通過する第 2光束の位相
2
差 (光学的に等位相となる 2 πの整数倍分を差し引いた位相差)は 2 π X O. 20となる 。 1つの鋸歯は 5分割されているため、鋸歯 1つ分ではちょうど第 2光束の位相差は 5
Χ 2 π X O. 20 = 2 πとなり、 1次回折光力発生する。
[0157] このように、第 1位相構造 PS1は第 2光束のみを選択的に回折させることにより、 Η Dの保護層厚さと DVDの保護層厚さの違いによる球面収差を補正する。
[0158] 尚、第 1位相構造 PS1で発生する第 1光束の 0次回折光 (透過光)の回折効率は 1 00%、第 2光束の 1次回折光の回折効率は 87. 5%、第 3光束の 0次回折光(透過光 )の回折効率は 100%であり、何れの光束に対しても高い回折効率を得ている。
[0159] 第 2位相構造 PS2は第 1光束及び第 2光束を回折せず、第 3光束を回折するもので あり、光軸を含む断面形状が階段状とされたパターンが同心円上に配列された構造 であって、所定のレベル面(本実施の形態では 4レベル面)の個数毎に、そのレベル 面数に対応した段数分の高さだけ段をシフトさせた構造 (本実施の形態においては 3 段シフトさせた構造)となっている。
[0160] 階段構造の各段差 Δ 2は、 Δ 2 = 7 · λ / (η 1) =4· 144 μ mを満たす高さに
1 1
設定されている。ここで、 nは波長え における第 2収差補正素子の屈折率である。
1 1
[0161] 段差 Δ 2により第 1光束に付加される光路差 L2は 7 Xえ であるので、第 1光束は第
1
2位相構造 PS2により何ら作用を受けずにそのまま透過する。
[0162] また、段差 Δ 2により第 2光束に付加される光路差 M2は 3· 97 X λ =4 Χ λ であ
2 2 るので、第 2光束も第 2位相構造 PS2によりほとんど作用を受けずにそのまま透過す る。
[0163] 一方、段差 Δ 2によりにより第 3光束に付加される光路差 Ν2は 3. 28 X λ = 3. 25
3
X λ であり、段差 Δ 2の前後のレベル面を通過する第 3光束の位相差 (光学的に等
3
位相となる 2 πの整数倍分を差し引いた位相差)は 2 π Χ 0. 25となる。 1つの鋸歯は 4分割されているため、鋸歯 1つ分ではちょうど第 3光束の位相差は 4 X 2 π Χ 0. 25 = 2 πとなり、 1次回折光が発生する。
[0164] このように、第 2位相構造 PS2は第 3光束のみを選択的に回折させることにより、 Η Dの保護層厚さと CDの保護層厚さの違いによる球面収差を補正する。
[0165] 尚、第 2位相構造 PS1で発生する第 1光束の 0次回折光 (透過光)の回折効率は 1 00%、第 2光束の 0次回折光(透過光)の回折効率は 94. 8%、第 3光束の 1次回折 光の回折効率は 78. 2%であり、何れの光束に対しても高い回折効率を得ている。
[0166] 以上説明したように、第 1収差補正素子 L1を(1)式又は(3)式を満たす材料力 構 成し、第 1位相構造 PS1により、 HDと DVDとの相互互換を取ることにより、青紫色レ 一ザ光束と赤色レーザ光束の両方の光束に対して高い透過率を確保することが可 能となり、更に、第 2収差補正素子 L2を(2)式又は (4)式を満たす材料から構成し、 第 2位相構造 PS2により、 HDと CDとの相互互換を取ることにより、青紫色レーザ光 束と赤外レーザ光束の両方の光束に対して高い透過率を確保することが可能となる
[0167] また、第 1位相構造 PS1は、 DVDの開口数 NA2内にのみ形成されているので、 N A2より外側の領域を通過する光束は DVDの情報記録面 RL2上でフレア成分となり 、 DVDに対する開口制限が自動的に行われる構成となっている。
[0168] また、第 2位相構造 PS2は、 CDの開口数 NA3内にのみ形成されているので、 NA 3より外側の領域を通過する光束は CDの情報記録面 RL3上でフレア成分となり、 C Dに対する開口制限が自動的に行われる構成となっている。
[0169] なお、ビームエキスパンダー EXPの負レンズ EXP1を 1軸ァクチユエータ UACによ り光軸方向に駆動させることで、 HDの情報記録面 RL1上に形成されたスポットの球 面収差を補正できる。負レンズ EXP1の位置調整により補正する球面収差の発生原 因は、例えば、第 1光源 LD1の製造誤差による波長ばらつき、温度変化に伴う対物 レンズ系の屈折率変化や屈折率分布、 2層ディスク、 4層ディスク等の多層ディスクの 情報記録層間のフォーカスジャンプ、高密度光ディスクの保護層の製造誤差による 厚みばらつきや厚み分布、等である。
[0170] なお、負レンズ EXP1の代わりに、第 1コリメートレンズ COL1を光軸方向に駆動さ せる構成としても、 HDの情報記録面 RL1上に形成されたスポットの球面収差を補正 できる。
[0171] また、本実施の形態においては、第 1の発光点 EP1と第 2の発光点 EP2とを一つの チップ上に形成した DVD/CD用レーザ光源ユニット LUを用いることとした力 これ に限らず、更に HD用の波長 408nmのレーザ光束を射出する発光点も同一のチッ プ上に形成した HD/DVDZCD用レーザ光源ユニットを用いても良レ、。あるいは、 青紫色半導体レーザと赤色半導体レーザと赤外半導体レーザの 3つのレーザ光源を
1つの筐体内に納めた HD/DVDZCD用レーザ光源ユニットを用いても良い。
[0172] また、本実施の形態においては、光源と光検出器 PDとを別体に配置する構成とし たが、これに限らず、光源と光検出器とを集積化したレーザ光源モジュールを用いて も良い。
[0173] また、本実施形態においては、互いに接合された第 1収差補正素子 L1及び第 2収 差補正素子 L2と、対物レンズ〇Lとを鏡枠 Bを介して一体化した力 互いに接合され た第 1収差補正素子 L1及び第 2収差補正素子 L2と、対物レンズ〇Lを一体化する場 合には、第 1収差補正素子 L1及び第 2収差補正素子 L2と、物レンズ OLとの、互い の相対的な位置関係が不変となるように保持されていればよぐ上述のように鏡枠 B を介する方法以外に、互いに接合された第 1収差補正素子 L1及び第 2収差補正素 子 L2と、対物レンズ OLとのそれぞれのフランジ部同士を嵌合固定する方法であって ちょい。
[0174] また、 HDの情報記録面 RL1上に形成されたスポットの球面収差を補正する方法と して、上述のようにレンズを光軸方向に駆動させる方法以外に、液晶を利用した位相 制御素子を用いても良い。かかる位相制御素子により球面収差を補正する方法は公 知であるので、ここでは詳細な説明は割愛する。
[0175] なお、球面収差補正時のトラッキング駆動で発生するコマ収差を抑制するためには 、対物レンズユニット OUと位相制御素子とを一体化する構成とするのが好ましい。
[0176] このように互いに接合された第 1収差補正素子 L1及び第 2収差補正素子 L2と、対 物レンズ OLとの、互いの相対的な位置関係が不変となるように保持されていることで 、フォーカシングゃトラッキングの際の収差の発生を抑制でき、良好なフォーカシング 特性、或いはトラッキング特性を得ることができる。
[第 2の実施の形態]
以下、本発明の第 2の実施の形態について図面を用いて説明するが、上記第 1の 実施の形態と同一の構成となる箇所については説明を省略する。
[0177] 本実施の形態は、対物レンズユニット OUにおいて、第 1収差補正素子 L1と第 2収 差補正素子 L2とを離間して構成した点に特徴を有する。
[0178] 本実施形態における対物レンズユニット OUは、図 3に概略的に示すように、樹脂製
の第 1位相構造 PS1を有する第 1収差補正素子 LIと、樹脂製の第 2位相構造 PS2を 有する第 2収差補正素子 L2と、第 1波長 λ と HDの保護層 PL1の厚さ tとに対して
1 1
球面収差が最小となるようにその非球面形状が設計されたガラス製の対物レンズ OL 力 鏡枠 Bを介して同軸で一体化された構成を有する。具体的には、円筒状の鏡枠 Bの一端に第 1収差補正素子 L1と第 2収差補正素子 L2とを互いに離間させた状態 で嵌合固定し、他端に対物レンズ OLを嵌合固定して、これらを光軸 Xに沿って同軸 に一体化した構成となっている。
[0179] 第 1位相構造は、 d線におけるアッベ数 V 1 = 56. 4、 d線における屈折率 n 1 = 1 d d
. 509140であり、第 2位相構造は、 d線におけるアッベ数 V 2 = 27. 0、 d線におけ d
る屈折率 n 2 = 1. 607000である。
d
[0180] また、第 1収差補正素子 L1の光源側の光学面には第 1位相構造 PS1が形成され ており、第 2収差補正素子 L2の光ディスク側の光学面には第 2位相構造 PS2が形成 されている。
[0181] 第 1位相構造 PS1は第 1光束及び第 3光束を回折せず、第 2光束を回折するもので あり、光軸を含む断面形状が階段状とされたパターンが同心円上に配列された構造 であって、所定のレベル面(本実施の形態では 5レベル面)の個数毎に、そのレベル 面数に対応した段数分の高さだけ段をシフトさせた構造 (本実施の形態においては 4 段シフトさせた構造)とを有し、階段構造の各段差 Δ 1は、 Δ ΐ = 2 · λ / (η _ 1) = 1. 544 z mを満たす高さに設定されている。ここで、 nは波長 λ (本実施の形態で
1 1
はえ =405nm)における第 1収差補正素子 L1の屈折率である。
[0182] 第 1位相構造 PS1により第 1光束に付加される光路差 L1は 2 X λ であるので、第 1 光束は第 1位相構造 PS1により何ら作用を受けずにそのまま透過する。
[0183] また、段差 Δ 1により第 3光束に付加される光路差 N1は 0. 99 X λ = 1 Χ λ (本実
3 3 施の形態では I = 785nm)であるので、第 3光束も第 1位相構造 PS1により何ら作
3
用を受けずにそのまま透過する。
[0184] 一方、段差 Δ 1により第 2光束に付加される光路差 Mlは 1. 19 X λ = 1. 20 Χ λ
2 2
(本実施の形態では I =655nm)であり、段差 Δ 1の前後のレベル面を通過する第
2
2光束の位相差 (光学的に等位相となる 2 πの整数倍分を差し引いた位相差)は 2 π
X O. 20となる。 1つの鋸歯は 5分割されているため、鋸歯 1つ分ではちょうど第 2光束 の位相差は 5 Χ 2 π Χ 0. 20 = 2 πとなり、 1次回折光が発生する。
[0185] このように、第 1位相構造 PS 1は第 2光束のみを選択的に回折させることにより、 Η Dの保護層厚さと DVDの保護層厚さの違いによる球面収差を補正する。
[0186] 尚、第 1位相構造 PS1で発生する第 1光束の 0次回折光 (透過光)の回折効率は 1 00%、第 2光束の 1次回折光の回折効率は 87. 3%、第 3光束の 0次回折光(透過光 )の回折効率は 99. 2%であり、何れの光束に対しても高い回折効率を得ている。
[0187] 第 2位相構造 PS2は第 1光束乃至第 3光束を回折するものであり、光軸を含む断面 形状が階段状となっている。
[0188] 階段構造の各段差 Δ 2は、 Δ 1 = 7 · λ / (η λ 1) =4. 302 μ ΐηを満たす高さ
Β Β
に設定されている。ここで、 ηえ は波長え (本実施の形態ではえ =400nm)にお
B B B
ける第 1収差補正素子 L1の屈折率 (本実施の形態では nえ = 1. 650875)である。
B
[0189] 第 2位相構造 PS2を通過することで、第 1光束の 7次回折光、第 2光束の 4次回折 光、第 3光束の 3次回折光が発生する。
[0190] 第 2位相構造 PS2を通過する際に第 1光束に付加される光路差は 6. 89 Xえ = 7
1
X λ であり、第 1光束の 7次回折光が最大の回折効率を有する。
1
[0191] また、第 2位相構造 PS2を通過する際に第 2光束に付加される光路差は 3. 94 Χ λ
^4 Χ λ であり、第 2光束の 4次回折光が最大の回折効率を有する。
2 2
[0192] また、第 2位相構造 PS2を通過する際に第 3光束に付加される光路差は 3. 25 Χ λ
^ 3 Χ λ であり、第 3光束の 3次回折光が最大の回折効率を有する。
3 3
[0193] これにより、 HDの保護層厚さと CDの保護層厚さの違いによる球面収差を補正する ようになつている。
[0194] 尚、第 2位相構造 PS2で発生する第 1光束の 7次回折光の回折効率は 96. 0%、 第 2光束の 4次回折光の回折効率は 99. 0%、第 3光束の 3次回折光の回折効率は 81. 2%であり、何れの光束に対しても高い回折効率を得ている。
[0195] また、第 2位相構造 PS2の第 1波長に対する近軸回折パワーと、第 2収差補正素子 L2の光源側の光学面の第 1波長に対する近軸屈折パワーを逆符号とし、かつその 絶対値を同じとすることで、第 2収差補正素子 L2の光源側の光学面を通過する第 1
光束の光束径が変わらなレ、ようにしてレ、る。
[第 3の実施の形態]
以下、本発明の第 3の実施の形態について図面を用いて説明するが、上記第 1の 実施の形態と同一の構成となる箇所については説明を省略する。
[0196] 本実施の形態は、対物レンズユニット OUにおいて、第 1収差補正素子 L1と第 2収 差補正素子 L2とを離間して構成し、更に、第 3位相構造 PS3を第 1収差補正素子 L 1の光ディスク側の光学面に設けた点に特徴を有する。
[0197] 本実施形態における対物レンズユニット OUは、図 4に概略的に示すように、樹脂製 の第 1位相構造 PS1を有する第 1収差補正素子 L1と、樹脂製の第 2位相構造 PS2を 有する第 2収差補正素子 L2と、第 1波長 λ と HDの保護層 PL1の厚さ tとに対して
1 1 球面収差が最小となるようにその非球面形状が設計されたガラス製の対物レンズ OL 力 鏡枠 Bを介して同軸で一体化された構成を有する。具体的には、円筒状の鏡枠 Bの一端に第 1収差補正素子 L1と第 2収差補正素子 L2とを接合した状態で嵌合固 定し、他端に対物レンズ OLを嵌合固定して、これらを光軸 Xに沿って同軸に一体化 した構成となっている。
[0198] また、第 1位相構造は、 d線におけるアッベ数 V 1 = 56. 4、 d線における屈折率 n d d
1 = 1. 509140であり、第 2位相構造は、 d線におけるアッベ数 V 2 = 27. 0、 d線に d
おける屈折率 n 2 = 1. 607000である。
d
[0199] また、第 1収差補正素子 L1の光源側の光学面には第 1位相構造 PS1が形成され ており、第 2収差補正素子 L2の光ディスク側の光学面には第 2位相構造 PS2が形成 されており、第 1収差補正素子 L1の光ディスク側の光学面には第 3位相構造 PS3が 形成されている。
[0200] 第 1位相構造 PS1は第 1光束及び第 3光束を回折せず、第 2光束を回折するもので あり、光軸を含む断面形状が階段状とされたパターンが同心円上に配列された構造 であって、所定のレベル面(本実施の形態では 5レベル面)の個数毎に、そのレベル 面数に対応した段数分の高さだけ段をシフトさせた構造 (本実施の形態においては 4 段シフトさせた構造)となっている。
[0201] 第 1位相構造 PS1は第 1光束及び第 3光束を回折せず、第 2光束を回折するもので
あり、光軸を含む断面形状が階段状とされたパターンが同心円上に配列された構造 であって、所定のレベル面(本実施の形態では 5レベル面)の個数毎に、そのレベル 面数に対応した段数分の高さだけ段をシフトさせた構造 (本実施の形態においては 4 段シフトさせた構造)とを有し、階段構造の各段差 Δ1は、 Δΐ = 2·λ /(η _1)= 1.544 zmを満たす高さに設定されている。ここで、 nは波長 λ (本実施の形態で
1 1
はえ =405nm)における第 1収差補正素子 L1の屈折率である。
[0202] 第 1位相構造 PS1により第 1光束に付加される光路差 L1は 2X λ であるので、第 1 光束は第 1位相構造 PS1により何ら作用を受けずにそのまま透過する。
[0203] また、段差 Δ1により第 3光束に付加される光路差 N1は 0.99 Xえ =1 1 (本実
3 3 施の形態ではえ =785nm)であるので、第 3光束も第 1位相構造 PS1により何ら作
3
用を受けずにそのまま透過する。
[0204] —方、段差 Δ1により第 2光束に付加される光路差 Mlは 1.19 Xえ =1.20X λ
2 2
(本実施の形態ではえ =655nm)であり、段差 Δ 1の前後のレベル面を通過する第
2
2光束の位相差 (光学的に等位相となる 2 πの整数倍分を差し引いた位相差)は 2 π Χ0. 20となる。 1つの鋸歯は 5分割されているため、鋸歯 1つ分ではちょうど第 2光束 の位相差は 5Χ2π Χ0. 20 = 2 πとなり、 1次回折光が発生する。
[0205] このように、第 1位相構造 PS1は第 2光束のみを選択的に回折させることにより、 Η Dの保護層厚さと DVDの保護層厚さの違いによる球面収差を補正する。
[0206] 尚、第 1位相構造 PS1で発生する第 1光束の 0次回折光 (透過光)の回折効率は 1 00%、第 2光束の 1次回折光の回折効率は 87.3%、第 3光束の 0次回折光(透過光 )の回折効率は 99.2%であり、何れの光束に対しても高い回折効率を得ている。
[0207] 第 2位相構造 PS2は第 1光束及び第 2光束を回折せず、第 3光束を回折するもので あり、光軸を含む断面形状が階段状とされたパターンが同心円上に配列された構造 であって、所定のレベル面(本実施の形態では 3レベル面)の個数毎に、そのレベル 面数に対応した段数分の高さだけ段をシフトさせた構造 (本実施の形態においては 2 段シフトさせた構造)となっている。
[0208] 階段構造の各段差 Δ2は、 Δ2 = 7· λ /(n _1)=4.371 zmを満たす高さに
1 1
設定されている。ここで、 nは波長え における第 2収差補正素子の屈折率である。
[0209] 段差 Δ 2により第 1光束に付加される光路差 L2は 7 X λ であるので、第 1光束は第
1
2位相構造 PS2により何ら作用を受けずにそのまま透過する。
[0210] また、段差 Δ 2により第 2光束に付加される光路差 Μ2は 4. 01 X λ =4 Χ λ であ
2 2 るので、第 2光束も第 2位相構造 PS2によりほとんど作用を受けずにそのまま透過す る。
[0211] 一方、段差 Δ 2によりにより第 3光束に付加される光路差 Ν2は 3. 30 Χ λ = 3. 33
3
X λ であり、段差 Δ 2の前後のレベル面を通過する第 3光束の位相差 (光学的に等
3
位相となる 2 πの整数倍分を差し引いた位相差)は 2 π Χ 0. 33となる。 1つの鋸歯は
3分割されているため、鋸歯 1つ分ではちょうど第 3光束の位相差は 3 Χ 2 π Χ 0. 33
= 2 πとなり、 1次回折光が発生する。
[0212] このように、第 2位相構造 PS2は第 3光束のみを選択的に回折させることにより、 Η
Dの保護層厚さと CDの保護層厚さの違いによる球面収差を補正する。
[0213] 尚、第 2位相構造 PS1で発生する第 1光束の 0次回折光 (透過光)の回折効率は 1
00%、第 2光束の 0次回折光(透過光)の回折効率は 99. 8%、第 3光束の 1次回折 光の回折効率は 66. 6%であり、何れの光束に対しても高い回折効率を得ている。
[0214] 第 3位相構造 PS3は第 1光束乃至第 3光束を回折するものであり、光軸を含む断面 形状が階段状となっている。この第 3位相構造 PS3は、第 1波長え の微小変化に伴
1
う近軸像点位置の移動と、球面収差の変化を抑制するための構造である。
[0215] 階段構造の各段差 Δ 3は、 Δ 1 = 10 · λ / (η - 1) = 7. 719 z mを満たす高さに
1 1
設定されている。
[0216] 第 3位相構造 PS3を通過することで、第 1光束の 10次回折光、第 2光束の 6次回折 光、第 3光束の 5次回折光が発生する。
[0217] 第 3位相構造 PS3を通過する際に第 1光束に付加される光路差は 10. 0 X λ であ
1 り、第 1光束の 10次回折光が最大の回折効率を有する。
[0218] また、第 3位相構造 PS3を通過する際に第 2光束に付加される光路差は 5. 97 Χ λ
^ 6 Χ λ であり、第 2光束の 6次回折光が最大の回折効率を有する。
2 2
[0219] また、第 3位相構造 PS3を通過する際に第 3光束に付加される光路差は 4. 95 Χ λ
5 Χ λ であり、第 3光束の 5次回折光が最大の回折効率を有する。
[0220] 尚、第 3位相構造 PS3で発生する第 1光束の 10次回折光の回折効率は 100%、第 2光束の 6次回折光の回折効率は 99. 7%、第 3光束の 5次回折光の回折効率は 99 . 1%であり、何れの光束に対しても高い回折効率を得ている。
[0221] また、第 3位相構造 PS3の第 1波長に対する近軸回折パワーと、第 1収差補正素子 L1の光ディスク側の光学面の第 1波長に対する近軸屈折パワーを逆符号とし、かつ その絶対値を同じとすることで、第 1収差補正素子 L1の光ディスク側の光学面を通 過する第 1光束の光束径が変わらなレ、ようにしてレ、る。
[0222] [第 4の実施の形態]
以下、本発明の第 4の実施の形態について図面を用いて説明するが、上記第 1の 実施の形態と同一の構成となる箇所については説明を省略する。
[0223] 本実施の形態は、対物レンズユニット OUにおいて、第 1収差補正素子 L1と第 2収 差補正素子 L2とを離間して構成し、ガラス基板 GL上に紫外線硬化性樹脂製の第 2 位相構造 PS2を形成することで第 2収差補正素子 L2を構成し、さらに、第 1収差補 正素子 L1の第 1波長え に対する近軸パワーを負とした点に特徴を有する。
1
[0224] 本実施形態における対物レンズユニット OUは、図 5に概略的に示すように、樹脂製 の第 1位相構造 PS1を有する第 1収差補正素子 L1と、ガラス基板 GL上に樹脂製の 第 2位相構造 PS2が形成された構成を有する第 2収差補正素子 L2と、第 1波長え と HDの保護層 PL1の厚さ tとに対して球面収差が最小となるようにその非球面形状が
1
設計されたガラス製の対物レンズ〇Lが、鏡枠 Bを介して同軸で一体化された構成を 有する。具体的には、円筒状の鏡枠 Bの一端に第 1収差補正素子 L1と第 2収差補正 素子 L2とを接合した状態で嵌合固定し、他端に対物レンズ〇Lを嵌合固定して、これ らを光軸 Xに沿って同軸に一体化した構成となっている。
[0225] また、第 1位相構造は、 d線におけるアッベ数 V 1 = 56. 4、 d線における屈折率 n d d
1 = 1. 509140であり、第 2位木目構造は、 ώ線におけるアッベ数 V 2 = 23. 0、 ώ線に d
おける屈折率 n 2 = 1. 60000である。
d
[0226] 第 1位相構造 PS1は第 1光束及び第 3光束を回折せず、第 2光束を回折するもので あり、光軸を含む断面形状が階段状とされたパターンが同心円上に配列された構造 であって、所定のレベル面(本実施の形態では 5レベル面)の個数毎に、そのレベル
面数に対応した段数分の高さだけ段をシフトさせた構造 (本実施の形態においては 4 段シフトさせた構造)となっている。
[0227] 第 1位相構造 PS1は第 1光束及び第 3光束を回折せず、第 2光束を回折するもので あり、光軸を含む断面形状が階段状とされたパターンが同心円上に配列された構造 であって、所定のレベル面(本実施の形態では 5レベル面)の個数毎に、そのレベル 面数に対応した段数分の高さだけ段をシフトさせた構造 (本実施の形態においては 4 段シフトさせた構造)とを有し、階段構造の各段差 Δ 1は、 Δ ΐ = 2 · λ / (η _ 1) = 1. 557 /i mを満たす高さに設定されている。ここで、 nは波長 λ (本実施の形態で
1 1
はえ =408nm)における第 1収差補正素子 L1の屈折率である。
[0228] 第 1位相構造 PS1により第 1光束に付加される光路差 L1は 2 X λ であるので、第 1 光束は第 1位相構造 PS1により何ら作用を受けずにそのまま透過する。
[0229] また、段差 Δ 1により第 3光束に付加される光路差 N1は 1 X λ (本実施の形態では
3
λ = 785nm)であるので、第 3光束も第 1位相構造 PS1により何ら作用を受けずに
3
そのまま透過する。
[0230] 一方、段差 Δ 1により第 2光束に付加される光路差 Mlは 1. 20 Xえ (本実施の形
2
態では λ = 658nm)であり、段差 Δ 1の前後のレベル面を通過する第 2光束の位相
2
差 (光学的に等位相となる 2 πの整数倍分を差し引いた位相差)は 2 π Χ 0. 20となる 。 1つの鋸歯は 5分割されているため、鋸歯 1つ分ではちょうど第 2光束の位相差は 5 Χ 2 π Χ 0. 20 = 2 πとなり、 1次回折光力発生する。
[0231] このように、第 1位相構造 PS1は第 2光束のみを選択的に回折させることにより、 Η Dの保護層厚さと DVDの保護層厚さの違いによる球面収差を補正する。
[0232] 尚、第 1位相構造 PS1で発生する第 1光束の 0次回折光 (透過光)の回折効率は 1 00%、第 2光束の 1次回折光の回折効率は 87. 5%、第 3光束の 0次回折光(透過光 )の回折効率は 100%であり、何れの光束に対しても高い回折効率を得ている。
[0233] 第 2位相構造 PS2は第 1光束及び第 2光束を回折せず、第 3光束を回折するもので あり、光軸を含む断面形状が階段状とされたパターンが同心円上に配列された構造 であって、所定のレベル面(本実施の形態では 3レベル面)の個数毎に、そのレベル 面数に対応した段数分の高さだけ段をシフトさせた構造 (本実施の形態においては 2
段シフトさせた構造)となっている。
[0234] 階段構造の各段差 Δ 2は、 Δ 2 = 7 · λ / (η _ 1) =4. 410 z mを満たす高さに
1 1
設定されている。ここで、 nは波長; I における第 2収差補正素子の屈折率である。
1 1
[0235] 段差 Δ 2により第 1光束に付加される光路差 L2は 7 X λ であるので、第 1光束は第
1
2位相構造 PS2により何ら作用を受けずにそのまま透過する。
[0236] また、段差 Δ 2により第 2光束に付加される光路差 Μ2は 3. 97 Χ λ =4 Χ λ であ
2 2 るので、第 2光束も第 2位相構造 PS2によりほとんど作用を受けずにそのまま透過す る。
[0237] 一方、段差 Δ 2によりにより第 3光束に付加される光路差 Ν2は 3. 28 Xえ = 3. 25
3
X λ であり、段差 Δ 2の前後のレベル面を通過する第 3光束の位相差 (光学的に等
3
位相となる 2 πの整数倍分を差し引いた位相差)は 2 π Χ 0. 25となる。 1つの鋸歯は 4分割されているため、鋸歯 1つ分ではちょうど第 3光束の位相差は 4 X 2 π Χ 0. 25 = 2 πとなり、 1次回折光が発生する。
[0238] このように、第 2位相構造 PS2は第 3光束のみを選択的に回折させることにより、 Η Dの保護層厚さと CDの保護層厚さの違いによる球面収差を補正する。
[0239] 尚、第 2位相構造 PS1で発生する第 1光束の 0次回折光 (透過光)の回折効率は 1 00%、第 2光束の 0次回折光(透過光)の回折効率は 95. 8%、第 3光束の 1次回折 光の回折効率は 77. 5%であり、何れの光束に対しても高い回折効率を得ている。
[0240] また、本実施の形態の対物光学系 OUは、第 1収差補正素子 L1の第 1波長; I に
1 対する近軸パワーを負となっており、対物レンズ OLに対して各波長の光束が発散光 束の状態で入射する構成を有する。これにより保護層が厚い CDに対する記録 Z再 生時の作動距離を十分に確保している。尚、対物レンズ〇Lの設計倍率は負とされて おり、この設計倍率は対物レンズ OLに入射する第 1光束の発散度に相当している。
[0241] [第 5の実施の形態]
以下、本発明の第 5の実施の形態について図面を用いて説明するが、上記第 1の 実施の形態と同一の構成となる箇所については説明を省略する。
[0242] 本実施の形態は、保護層 PL1の厚さ t =0. 6mm、開口数 NA =0. 67の規格の
1 1
高密度光ディスク HD (例えば、 HD DVD)と DVDと CDとに対して互換性を有する
対物レンズユニット OUであり、第 1収差補正素子 L1と第 2収差補正素子 L2とを接合 して構成し、第 1位相構造 PS1を断面形状が鋸歯形状である回折構造とした点に特 徴を有する。
[0243] 本実施形態における対物レンズユニット OUは、図 6に概略的に示すように、それぞ れ樹脂製の第 1位相構造 PS1と樹脂製の第 2位相構造 SP2を有する、互いに接合さ れた第 1収差補正素子 L1及び第 2収差補正素子 L2と、樹脂製の対物レンズ OLが、 それぞれのフランジ部同士 FL1、 FL2を嵌合固定することで同軸で一体化された構 成を有する。
[0244] 第 1位相構造 PS1は第 1光束乃至第 3光束を回折するものであり、光軸を含む断面 形状が鋸歯状となっている。この第 1位相構造 PS1は、第 1波長え と第 2波長 λ の
1 2 差に起因する球面収差と、第 1波長 λ の微小変化に伴う近軸像点位置の移動を補 正するための構造である。
[0245] 第 1位相構造 PS1の各段差 Δ 1は、 Δ 1 = 8 · λ / (η 1) = 7. 042 x mを満たす 高さに設定されており(本実施の形態ではえ =407nm)、第 1位相構造 PS1を通過
1
することで、第 1光束の 8次回折光、第 2光束の 5次回折光、第 3光束の 4次回折光が 発生する。
[0246] 第 1位相構造 PS1を通過する際に第 1光束に付加される光路差は 8. 0 X λ であり
1
、第 1光束の 8次回折光が最大の回折効率を有し、第 1位相構造 PS1を通過する際 に第 2光束に付加される光路差は 4. 81 X λ = 5 Χ λ (本実施の形態では I = 65
2 2 2
5nm)であり、第 2光束の 5次回折光が最大の回折効率を有し、第 1位相構造 PS1を 通過する際に第 3光束に付加される光路差は 3. 99 X λ =4 Χ λ (本実施の形態
3 3
では λ = 785nm)であり、第 3光束の 4次回折光が最大の回折効率を有する。
3
[0247] 尚、第 1位相構造 PS1で発生する第 1光束の 8次回折光の回折効率は 100%、第 2 光束の 5次回折光の回折効率は 89. 1 %、第 3光束の 4次回折光の回折効率は 100 %であり、何れの光束に対しても高い回折効率を得ている。
[0248] 第 2位相構造 PS2は第 1光束及び第 2光束を回折せず、第 3光束を回折するもので あり、光軸を含む断面形状が階段状とされたパターンが同心円上に配列された構造 であって、所定のレベル面(本実施の形態では 4レベル面)の個数毎に、そのレベル
面数に対応した段数分の高さだけ段をシフトさせた構造 (本実施の形態においては 3 段シフトさせた構造)となっている。
[0249] 階段構造の各段差 Δ 2は、 Δ 2 = 7 · λ / (n _ 1) =4. 396 z mを満たす高さに
1 1
設定されている。ここで、 nは波長; I における第 2収差補正素子の屈折率である。
1 1
[0250] 段差 Δ 2により第 1光束に付加される光路差 L2は 7 X λ であるので、第 1光束は第
1
2位相構造 PS2により何ら作用を受けずにそのまま透過する。
[0251] また、段差 Δ 2により第 2光束に付加される光路差 Μ2は 3. 98 X λ = 4 Χ λ であ
2 2 るので、第 2光束も第 2位相構造 PS2によりほとんど作用を受けずにそのまま透過す る。
[0252] —方、段差 Δ 2によりにより第 3光束に付加される光路差 Ν2は 3. 27 Χ λ = 3. 25
3
X λ であり、段差 Δ 2の前後のレベル面を通過する第 3光束の位相差 (光学的に等
2
位相となる 2 πの整数倍分を差し引いた位相差)は 2 π Χ 0. 25となる。 1つの鋸歯は
4分割されているため、鋸歯 1つ分ではちょうど第 3光束の位相差は 4 X 2 π Χ 0. 25
= 2 πとなり、 1次回折光が発生する。
[0253] このように、第 2位相構造 PS2は第 3光束のみを選択的に回折させることにより、 Η
Dの保護層厚さと CDの保護層厚さの違いによる球面収差を補正する。
[0254] 尚、第 2位相構造 PS1で発生する第 1光束の 0次回折光 (透過光)の回折効率は 1
00%、第 2光束の 0次回折光(透過光)の回折効率は 97. 5%、第 3光束の 1次回折 光の回折効率は 79. 6%であり、何れの光束に対しても高い回折効率を得ている。
[第 6の実施の形態]
以下、本発明の第 6の実施の形態について図面を用いて説明するが、上記第 1の 実施の形態と同一の構成となる箇所については説明を省略する。
[0255] 本実施の形態は、対物レンズユニット OUにおいて、第 1収差補正素子 L1と第 2収 差補正素子 L2とを接合して構成し、その接合面を第 2収差補正素子 L2側に凸形状 とし、更に、第 2収差補正素子 L2の光源側の光学面の周辺領域 PA (第 2周辺領域) に第 5位相構造 PS5を形成した点に特徴を有する。
[0256] 本実施形態における対物レンズユニット OUは、図 13に概略的に示すように、樹脂 製の第 1位相構造 PS1を有する第 1収差補正素子 L1と、樹脂製の第 2位相構造を有
する第 2収差補正素子 L2と、第 1波長 λ と HDの保護層 PL1の厚さ tとに対して球
1 1
面収差が最小となるようにその非球面形状が設計されたガラス製の対物レンズ OLが 、鏡枠 Bを介して同軸で一体化された構成を有する。具体的には、円筒状の鏡枠 B の一端に第 1収差補正素子 L1と第 2収差補正素子 L2とを接合した状態で嵌合固定 し、他端に対物レンズ〇Lを嵌合固定して、これらを光軸 Xに沿って同軸に一体化し た構成となっている。
[0257] また、第 1位相構造は、 d線におけるアッベ数 V 1 = 56、 d線における屈折率 n 1 = d d
1. 550000であり、第 2位相構造は、 d線におけるアッベ数 V 2 = 23. 0、 d線におけ d
る屈折率 n 2 = 1. 630000である。
d
[0258] また、第 1収差補正素子 L1の光ディスク側の光学面には第 1位相構造 PS1が形成 されており、第 2収差補正素子 L2の光源側の光学面の中央領域 CA (第 2中央領域) には第 2位相構造 PS2が形成されており、中央領域 CAを囲む周辺領域 PA (第 2周 辺領域)には第 5位相構造 PS5が形成されている。
[0259] 第 1位相構造 PS1は第 1光束及び第 3光束を回折せず、第 2光束を回折するもので あり、光軸を含む断面形状が階段状とされたパターンが同心円上に配列された構造 であって、所定のレベル面(本実施の形態では 5レベル面)の個数毎に、そのレベル 面数に対応した段数分の高さだけ段をシフトさせた構造 (本実施の形態においては 4 段シフトさせた構造)となっている。
[0260] 第 1位相構造 PS1は第 1光束及び第 3光束を回折せず、第 2光束を回折するもので あり、光軸を含む断面形状が階段状とされたパターンが同心円上に配列された構造 であって、所定のレベル面(本実施の形態では 5レベル面)の個数毎に、そのレベル 面数に対応した段数分の高さだけ段をシフトさせた構造 (本実施の形態においては 4 段シフトさせた構造)とを有し、階段構造の各段差 Δ 1は、 Δ ΐ = 2 · λ / (η _ 1) = 1. 429を満たす高さに設定されている。ここで、 ηは波長 λ (本実施の形態では λ =405nm)における第 1収差補正素子 L1の屈折率である。
[0261] 第 1位相構造 PS1により第 1光束に付加される光路差 L1は 2 X λ であるので、第 1 光束は第 1位相構造 PS1により何ら作用を受けずにそのまま透過する。
[0262] また、段差 Δ 1により第 3光束に付加される光路差 N1は 0. 99 Xえ = 1 1 (本実
施の形態では I = 785nm)であるので、第 3光束も第 1位相構造 PS1により何ら作
3
用を受けずにそのまま透過する。
[0263] 一方、段差 Δ 1により第 2光束に付加される光路差 Mlは 1. 19 X λ = 1. 20 Χ λ
2 2
(本実施の形態では I =655nm)であり、段差 Δ 1の前後のレベル面を通過する第
2
2光束の位相差 (光学的に等位相となる 2 πの整数倍分を差し引いた位相差)は 2 π Χ 0. 20となる。 1つの鋸歯は 5分割されているため、鋸歯 1つ分ではちょうど第 2光束 の位相差は 5 Χ 2 π Χ 0. 20 = 2 πとなり、 1次回折光が発生する。
[0264] このように、第 1位相構造 PS1は第 2光束のみを選択的に回折させることにより、 Η Dの保護層厚さと DVDの保護層厚さの違レ、による球面収差を補正する。
[0265] 尚、第 1位相構造 PS1で発生する第 1光束の 0次回折光 (透過光)の回折効率は 1 00%、第 2光束の 1次回折光の回折効率は 87. 3%、第 3光束の 0次回折光(透過光 )の回折効率は 99. 1%であり、何れの光束に対しても高い回折効率を得ている。
[0266] 第 2位相構造 PS2は第 1光束及び第 2光束を回折せず、第 3光束を回折するもので あり、光軸を含む断面形状が階段状とされたパターンが同心円上に配列された構造 であって、所定のレベル面(本実施の形態では 4レベル面)の個数毎に、そのレベル 面数に対応した段数分の高さだけ段をシフトさせた構造 (本実施の形態においては 3 段シフトさせた構造)となっている。
[0267] 階段構造の各段差 Δ 2は、 Δ 2 = 7 · λ / (n _ 1) =4. 159 z mを満たす高さに
1 1
設定されている。ここで、 nは波長; I における第 2収差補正素子の屈折率である。
1 1
[0268] 段差 Δ 2により第 1光束に付加される光路差 L2は 7 X λ であるので、第 1光束は第
1
2位相構造 PS2により何ら作用を受けずにそのまま透過する。
[0269] また、段差 Δ 2により第 2光束に付加される光路差 Μ2は 3. 95 Χ λ =4 Χ λ であ
2 2 るので、第 2光束も第 2位相構造 PS2によりほとんど作用を受けずにそのまま透過す る。
[0270] 一方、段差 Δ 2によりにより第 3光束に付加される光路差 Ν2は 3. 25 X λ であり、
3 段差 Δ 2の前後のレベル面を通過する第 3光束の位相差 (光学的に等位相となる 2 πの整数倍分を差し引いた位相差)は 2 π Χ 0. 25となる。 1つの鋸歯は 4分割されて いるため、鋸歯 1つ分ではちょうど第 3光束の位相差は 4 X 2 π Χ 0. 25 = 2 πとなり、
1次回折光が発生する。
[0271] このように、第 2位相構造 PS2は第 3光束のみを選択的に回折させることにより、 H Dの保護層厚さと CDの保護層厚さの違いによる球面収差を補正する。
[0272] 尚、第 2位相構造 PS1で発生する第 1光束の 0次回折光 (透過光)の回折効率は 1 00%、第 2光束の 0次回折光(透過光)の回折効率は 88. 8%、第 3光束の 1次回折 光の回折効率は 81. 0%であり、何れの光束に対しても高い回折効率を得ている。
[0273] 第 2収差補正素子 L2の光源側の光学面の中央領域 CAは、開口数 NA3内に相当 する領域であり、周辺領域 PAは開口数 NA3より外側に相当する領域であって、周 辺領域 PAには、この領域を通過する第 3光束の集光位置を制御するための構造で ある第 5位相構造 PS5が形成されている。第 5位相構造 PS5は第 1光束及び第 2光 束を回折せず、第 3光束を回折するものであり、光軸を含む断面形状が階段状とされ たパターンが同心円上に配列された構造であって、所定のレベル面 (本実施の形態 では 4レベル面)の個数毎に、そのレベル面数に対応した段数分の高さだけ段をシフ トさせた構造 (本実施の形態においては 3段シフトさせた構造)となっている。第 5位 相構造 PS5による回折光発生の原理は第 2位相構造 PS2と同じであるのでここでは 詳細な説明は割愛する。
[0274] 第 5位相構造 PS5が形成されていない場合、周辺領域 PAを通過する第 3光束は 大きな球面収差を有するフレア成分となるが、このフレア成分は第 2位相構造 PS2に より形成される集光スポット上に重なるように集光するため、第 3光束に対するフォー カス引き込み動作に悪影響を及ぼす虞がある。第 4位相構造 PS4は、周辺領域 PA を通過する第 3光束をアンダー側 (集光位置が対物レンズユニット〇Uに近づく方向) に集光するフレア成分にさせる機能を有しており、これにより第 3光束に対して良好な フォーカス引き込み動作特性を得ることが可能となる。
[0275] また、第 1収差補正素子 L1と第 2収差補正素子 L2の接合面を第 2収差補正素子 L 2側に凸形状としたことで、第 1波長; I ± 5nmの波長領域での近軸像点位置の移動
1
を抑制しているので、再生から記録に切り替える際の第 1光源の出力の変化に伴つ てモードホップが起きた場合でも、集光スポットが大きくならず、常に良好な集光状態 を維持することが可能となる。
実 s施例
[0276] 次に、図 2に示した対物レンズユニット〇Uの具体的な数値実施例(実施例 1)を例 示する。
[0277] 樹脂製の第 1位 Is相構造 PS1を有する第 1収差補正素子 L1と樹脂製の第 2位相構 造を有する第 2収差補正素子 L2は互いに接合された構成を有し、対物レンズ OLは 、第 1波長え と HDの保護層 PL1の厚さ tとに対して球面収差が最小となるようにそ の非球面形状が設計されたガラスレンズ (HOYA社製 LAC130)であるが、樹脂レン ズとしても良レ、。
[0278] 本実施例のレンズデータを表 1 1 1 2に示す。本数値実施例では、第 1位相構 造 PS1及び第 2位相構造 PS2により入射光束に付加される光路差を光路差関数で 表している。
[0279] [表 1-1]
[0280] [表 1-2]
【回折面係数】
[0281] 尚、本実施例を含めて、後述する実施例 2乃至実施例 4、実施例 7、実施例 8にお ける、 HDの開口数 NAは 0· 85であり、 DVDの開口数 NAは 0· 65であり、 CDの
1 2
開口数 NAは 0. 51である。
3
[0282] 本実施例においては、第 1収差補正素子 L1の近軸屈折パワーを負とし、対物レン ズ OLに対して発散光束が入射する構成とすることで、保護層が厚い DVDや CDに 対する作動距離を十分に確保している。本実施例のような負'正構成の対物光学系 は、焦点距離が小さくなつた場合でも、 DVDや CDに対する作動距離の確保という点 で有利である。従って、本実施例の対物光学系は、スリムタイプの光ピックアップ装置 に最適である。
[0283] 表 1 _ 1 1 _ 2において、! " (111111)は曲率半径、 d (mm)はレンズ間隔、 n n
408 658 n は、それぞれ、第 1波長; I ( = 408nm)、第 2波長; I ( = 658nm)、第 3波長; I
785 1 2 3
( = 785nm)に対するレンズの屈折率、 v は d線のレンズのアッベ数、 M M
d HD DVD
M は、それぞれ、 HDに対する記録/再生に使用する回折光の回折次数、 DVD
CD
に対する記録 Z再生に使用する回折光の回折次数、 CDに対する記録/再生に使 用する回折光の回折次数である。また、 10のべき乗数 (例えば 2. 5 X 10— 3)を、 E ( 例えば 2. 5E— 3)を用いて表すものとする。
[0284] 第 1収差補正素子 L1の光源側の光学面(第 1面)、対物レンズ〇Lの光源側の光学 面(第 4面)、光ディスク側の光学面(第 5面)はそれぞれ非球面形状であり、この非球 面は、次の非球面形状式に表中の係数を代入した数式で表される。
[非球面表現式]
z= (y2/R)/[l+^{l-(K + l) (y/R)2}]+A y4+A y6 + A y8+A y10+A
4 6 8 10 1 y 十 A v 十 A y 十 A y 十 A v
2 14 16 18 20
但し、
z:非球面形状 (非球面の面頂点に接する平面から光軸に沿った方向の距離) y:光軸からの距離
R:曲率半径
K:コーニック係数
Α , Α , Α , Α , Α , A , Α , A , Α :非球面係数
4 6 8 10 12 14 16 18 20
また、第 1位相構造 PS1及び第 2位相構造 PS2は、各位相構造により入射光束に 付加される光路差で表される。かかる光路差は、次の光路差関数を表す式に表中の 係数を代入した光路差関数 Φ (mm)で表される。
[光路差関数]
φ =ΜΧ λ/λ X (B y2 + B y4 + B y6 + B v8 + B y10)
B 2 4 6 8 10
但し、
Φ:光路差関数
λ:回折構造に入射する光束の波長
λ :製造波長
Β
Μ:光ディスクに対する記録/再生に使用する回折光の回折次数
y:光軸からの距離
B , B , B , B , B :回折面係数
2 4 6 8 10
尚、本明細書においては、光軸から離れる方向に回折させる回折構造の近軸パヮ 一を負(第 1位相構造 PS1及び第 2位相構造 PS2に対して平行光束の状態で入射 する光束が発散していく方向)とし、光軸に近づく方向に回折させる回折構造の近軸 パワーを正(第 1位相構造 PS1及び第 2位相構造 PS2に対して平行光束の状態で入 射する光束が収束してレ、く方向)としてレ、る。
次に、図 3に示した対物レンズユニット〇Uの具体的な数値実施例(実施例 2)を例 示する。
[0286] 樹脂製の第 1位相構造 PS1を有する第 1収差補正素子 LIと樹脂製の第 2位相構 造を有する第 2収差補正素子 L2互いに離間して配置された構成を有し、対物レンズ 〇Lは、第 1波長; I と HDの保護層 PL1の厚さ tとに対して球面収差が最小となるよ うにその非球面形状が設計されたガラスレンズ (HOYA社製 BACD5)であるが、プ
[0287] 本実施例のレンズデータを表 2- ― 2_ 2に示す。
[0288] [表 2-1]
[0289] [表 2-2]
【回折面係数】
[0290] 表 2— 1、 2— 2において、 r (mm)は曲率半径、 d (mm)はレンズ間隔、 n 、 n 、
405 655 n は、それぞれ、第 1波長; I ( = 405nm)、第 2波長; I ( = 655nm)、第 3波長; I
785 1 2 3
( = 785nm)に対するレンズの屈折率、 v は d線のレンズのアッベ数、 M 、 M 、
d HD DVD
M は、それぞれ、 HDに対する記録/再生に使用する回折光の回折次数、 DVD
CD
に対する記録 Z再生に使用する回折光の回折次数、 CDに対する記録 Z再生に使 用する回折光の回折次数である。
[0291] 第 2収差補正素子 L2の光源側の光学面(第 3面)、対物レンズ〇Lの光源側の光学 面(第 5面)、光ディスク側の光学面(第 6面)はそれぞれ非球面形状であり、この非球 面は、上記非球面形状式に表中の係数を代入した数式で表される。
[0292] また、第 1位相構造 PS1及び第 2位相構造 PS2は、各位相構造により入射光束に 付加される光路差で表される。かかる光路差は、上記光路差関数を表す式に表 2— 1、 2— 2中の係数を代入した光路差関数 φ (mm)で表される。
[0293] 次に、図 4に示した対物レンズユニット OUの具体的な数値実施例(実施例 3)を例 示する。
[0294] 樹脂製の第 1位相構造 PS1を有する第 1収差補正素子 L1と樹脂製の第 2位相構 造を有する第 2収差補正素子 L2は互いに離間して配置された構成を有し、対物レン ズ OLは、第 1波長え 1と HDの保護層 PL1の厚さ tとに対して球面収差が最小となる
1
ようにその非球面形状が設計されたガラスレンズ (HOYA社製 BACD5)であるが、 樹脂レンズとしても良い。
[0295] 本実施例のレンズデータを表 3— 1、 3— 2に示す。
[0296] [sf£_表. 3- 1]
[0297] [表 3-2]
【回折面係数】
[0298] 表 3— 1 3— 2において、! は曲率半径、 d (mm)はレンズ間隔、 n n
405 655 n は、それぞれ、第 1波長; I ( = 405nm)、第 2波長; I ( = 655nm)、第 3波長; I
785 1 2 3
( = 785nm)に対するレンズの屈折率、 v は d線のレンズのアッベ数、 M M
d HD DVD
M は、それぞれ、 HDに対する記録/再生に使用する回折光の回折次数、 DVD
CD
に対する記録/再生に使用する回折光の回折次数、 CDに対する記録/再生に使 用する回折光の回折次数である。
[0299] 第 1収差補正素子 LIの光ディスク側の光学面(第 2面)、対物レンズ OLの光源側 の光学面 (第 5面)、光ディスク側の光学面 (第 6面)はそれぞれ非球面形状であり、こ の非球面は、上記非球面形状式に表中の係数を代入した数式で表される。
[0300] また、第 1位相構造 PS1乃至第 3位相構造 PS3は、各位相構造により入射光束に 付加される光路差で表される。かかる光路差は、上記光路差関数を表す式に表 3— 1、 3 _ 2中の係数を代入した光路差関数 φ (mm)で表される。
[0301] 次に、図 5に示した対物レンズユニット〇Uの具体的な数値実施例(実施例 4)を例 示する。
[0302] 樹脂製の第 1位相構造 PS1を有する第 1収差補正素子 L1と樹脂製の第 2位相構 造を有する第 2収差補正素子 L2は互いに離間して配置された構成を有し、対物レン ズ OLは、第 1波長え と HDの保護層 PL1の厚さ tとに対して球面収差が最小となる
1 1
ようにその非球面形状が設計されたガラスレンズ (HOYA社製 BACD5)であるが、 樹脂レンズとしても良い。
[0303] 本実施例においては、第 1収差補正素子 L1の近軸屈折パワーを負とし、対物レン ズ OLに対して発散光束が入射する構成とすることで、保護層が厚い DVDや CDに 対する作動距離を十分に確保している。本実施例のような負'正構成の対物光学系 は、焦点距離が小さくなつた場合でも、 DVDや CDに対する作動距離の確保という点 で有利である。従って、本実施例の対物光学系は、スリムタイプの光ピックアップ装置 に最適である。
[0304] 本実施例のレンズデータを表 4一 1、 4一 2に示す。
[表 4-2]
【回折面係数】
表 4— 1 4— 2において、 r (mm)は曲率半径、 d (mm)はレンズ間隔、 n n
408 658 n は、それぞれ、第 1波長; I ( = 408nm)、第 2波長; I ( = 658nm)、第 3波長; I
785 1 2
( = 785nm)に対するレンズの屈折率、 v は d線のレンズのアッベ数、 M M d HD DVD
M は、それぞれ、 HDに対する記録/再生に使用する回折光の回折次数、 DVD に対する記録/再生に使用する回折光の回折次数、 CDに対する記録/再生に使 用する回折光の回折次数である。
[0308] 第 1収差補正素子 LIの光源側の光学面(第 4面)、対物レンズ〇Lの光源側の光学 面(第 6面)、光ディスク側の光学面(第 7面)はそれぞれ非球面形状であり、この非球 面は、上記非球面形状式に表中の係数を代入した数式で表される。
[0309] また、第 1位相構造 PS1及び第 2位相構造 PS2は、各位相構造により入射光束に 付加される光路差で表される。かかる光路差は、上記光路差関数を表す式に表 4一 1 4_ 2中の係数を代入した光路差関数 φ (mm)で表される。
[0310] 次に、図 6に示した対物レンズユニット〇Uの具体的な数値実施例(実施例 5)を例 示する。
[0311] 樹脂製の第 1位相構造 PS1を有する第 1収差補正素子 L1と樹脂製の第 2位相構 造 PS2を有する第 2収差補正素子 L2は互いに接合された構成を有し、対物レンズ O Lは樹脂レンズである。
尚、本実施例を含めて、後述する実施例 6における、 HDの開口数 NAは 0. 67であ り、 DVDの開口数 NAは 0. 65であり、 CDの開口数 NAは 0· 51である。
2 3
[0312] 本実施例のレンズデータを表 5— 1 5— 2に示す。
[0313] [表 5-1]
[0315] 表 5— 1 5— 2において、 r (mm)は曲率半径、 d (mm)はレンズ間隔、 n n
407 655 n は、それぞれ、第 1波長え ( = 407nm)、第 2波長え ( = 655nm)、第 3波長え
785 1 2 3
( = 785nm)に対するレンズの屈折率、 v は d線のレンズのアッベ数、 M M
d HD DVD
M は、それぞれ、 HDに対する記録/再生に使用する回折光の回折次数、 DVD
CD
に対する記録/再生に使用する回折光の回折次数、 CDに対する記録/再生に使 用する回折光の回折次数である。
[0316] 対物レンズ OLの光源側の光学面(第 4面)、光ディスク側の光学面(第 5面)はそれ ぞれ非球面形状であり、この非球面は、上記非球面形状式に表中の係数を代入した 数式で表される。
[0317] また、第 1位相構造 PS1及び第 2位相構造 PS2は、各位相構造により入射光束に 付加される光路差で表される。かかる光路差は、上記光路差関数を表す式に表 5— 1 5 _ 2中の係数を代入した光路差関数 φ (mm)で表される。
[0318] 次に、図 6に示した対物レンズユニット〇Uの変形例である数値実施例(実施例 6) を例示する。本実施例の対物レンズユニット OUは、図 6に示した対物レンズユニット 〇Uの第 1位相構造 PS1で発生する各波長の光束の回折光の回折次数を、第 1光 束に対しては 2次回折光、第 2光束に対しては 1次回折光、第 3光束に対しては 1次 回折光、とした点に特徴を有する。
[0319] 樹脂製の第 1位相構造 PS1を有する第 1収差補正素子 L1と樹脂製の第 2位相構 造を有する第 2収差補正素子 L2は互いに接合された構成を有し、対物レンズ OLは 樹脂レンズである。
[0320] 本実施例のレンズデータを表 6— 1 6— 2に示す。
[0322] [表 6-2]
【回折面係数】
[0323] 表6— 1 6— 2にぉぃて、 111111)は曲率半径、(1(111111)はレンズ間隔、11 n
407 655 n は、それぞれ、第 1波長え ( = 407nm)、第 2波長え ( = 655nm)、第 3波長 λ
785 1 2
( = 785nm)に対するレンズの屈折率、 v は d線のレンズのアッベ数、 M M
d HD DVD
M は、それぞれ、 HDに対する記録/再生に使用する回折光の回折次数、 DVD
CD
に対する記録/再生に使用する回折光の回折次数、 CDに対する記録 Z再生に使 用する回折光の回折次数である。
[0324] 対物レンズ〇Lの光源側の光学面(第 4面)、光ディスク側の光学面(第 5面)はそれ ぞれ非球面形状であり、この非球面は、上記非球面形状式に表中の係数を代入した 数式で表される。
[0325] また、第 1位相構造 PS1及び第 2位相構造 PS2は、各位相構造により入射光束に 付加される光路差で表される。かかる光路差は、上記光路差関数を表す式に表 6— 1、 6 _ 2中の係数を代入した光路差関数 φ (mm)で表される。
[0326] 次に、図 13に示した対物レンズユニット〇Uの変形例である数値実施例(実施例 7) を例示する。本実施例の対物レンズユニット OUは、図 3に示した対物レンズユニット OUの第 2収差補正素子 L2の光束入射面と光束射出面とを入れ替えて、第 1収差補 正素子 L1と第 2収差補正素子 L2とを接合させた構成を有する。また、第 2位相構造 PS2を通過することで、第 1光束の 5次回折光、第 2光束の 3次回折光、第 3光束の 2 次回折光が発生する。
[0327] 第 1位相構造 PS1と第 2位相構造 PS2はともに樹脂製であり、対物レンズ OLは、第 1波長え と HDの保護層 PL1の厚さ tとに対して球面収差が最小となるようにその非
1 1
球面形状が設計されたガラスレンズ (HOYA社製 BACD5)であるが、プラスチックレ ンズとしても良い。
[0328] 本実施例のレンズデータを表 7— 1、 7— 2に示す。
[0329] [表 7-1]
[0330] [表 7-2]
【回折面係数】
[0331] 表 7— 1 7— 2において、 r (mm)は曲率半径、 d (mm)はレンズ間隔、 n n
405 655 n は、それぞれ、第 1波長え ( = 405nm)、第 2波長え ( = 655nm)、第 3波長え
( = 785nm)に対するレンズの屈折率、 v は d線のレンズのアッベ数、 M
HD DVD
M は、それぞれ、 HDに対する記録/再生に使用する回折光の回折次数、 DVD
に対する記録 Z再生に使用する回折光の回折次数、 CDに対する記録/再生に使 用する回折光の回折次数である。
[0332] 第 2収差補正素子 L2の光ディスク側の光学面(第 3面)、対物レンズ OLの光源側 の光学面 (第 4面)、光ディスク側の光学面 (第 5面)はそれぞれ非球面形状であり、こ の非球面は、上記非球面形状式に表中の係数を代入した数式で表される。
[0333] また、第 1位相構造 PS1及び第 2位相構造 PS2は、各位相構造により入射光束に 付加される光路差で表される。かかる光路差は、上記光路差関数を表す式に表 7—
1、 7— 2中の係数を代入した光路差関数 φ (mm)で表される。
[0334] 次に、図 13に示した対物レンズユニット OUの具体的な数値実施例(実施例 8)を例 示する。
[0335] 樹脂製の第 1位相構造 PS1を有する第 1収差補正素子 L1と樹脂製の第 2位相構 造を有する第 2収差補正素子 L2は互いに接合された構成を有し、対物レンズ OLは 、第 1波長え と HDの保護層 PL1の厚さ tとに対して球面収差が最小となるようにそ
1 1
の非球面形状が設計されたガラスレンズ (HOYA社製 LAC130)であるが、樹脂レン ズとしても良レ、。
[0336] 本実施例のレンズデータを表 8— 1、 8— 2に示す。
[0337] [表 8-1]
【i§】
[0338] [表 8- 2]
[0339] 表 8 - · 8— 2において、 r (mm)は曲率半径、 d (mm)はレンズ間隔、 n n
n は、それぞれ、第 1波長え ( = 405nm)、第 2波長え ( = 655nm)、第 3波長え
785 1 2 3
( = 785nm)に対するレンズの屈折率、 v は d線のレンズのアッベ数、 M M 、 d HD DVD
M は、それぞれ、 HDに対する記録/再生に使用する回折光の回折次数、 DVD
CD
に対する記録 Z再生に使用する回折光の回折次数、 CDに対する記録/再生に使 用する回折光の回折次数である。
[0340] 対物レンズ〇Lの光源側の光学面(第 4面)、光ディスク側の光学面(第 5面)はそれ ぞれ非球面形状であり、この非球面は、上記非球面形状式に表中の係数を代入した 数式で表される。
[0341] また、第 1位相構造 PS1、第 2位相構造 PS2、及び第 4位相構造 PS4は、各位相構
造により入射光束に付加される光路差で表される。かかる光路差は、上記光路差関 数を表す式に表 7中の係数を代入した光路差関数 φ (mm)で表される。
[0342] 尚、第 2収差補正素子 L2の光源側の光学面(第 1面)において、中央領域 CA (第 2 位相構造 PS2が形成された範囲)は φ 2. 33mm内の領域であり、周辺領域 PA (第 5位相構造 PS5が形成された範囲)は φ 2. 33mmより外側の領域である。
[0343] 表 9に上記各実施例における数値データの一覧を示す。なお、表中の λは HD、 D
VD、 CDの設計波長(nm)、 fは HD、 DVD, CDの対物レンズユニット全系の焦点 距離(mm)、 NAは HD、 DVD, CDの開口数、 STOは HDの入射瞳径(mm)を示 す。
[0344] [表 9]
産業上の利用可能性
本発明によれば、回折構造を含む位相構造の作用により、高密度光ディスクと DV
Dと CDとの保護層厚みの差による球面収差、或いは、高密度光ディスクと DVDと C Dとの使用波長の差による球面収差を良好に補正することができるとともに、 400nm 近傍の青紫色波長領域と、 650nm近傍の赤色波長領域と、 780nm近傍の赤外波 長領域との何れの波長領域においても高い光利用効率が得ることができる対物光学 系、この対物光学系を使用した光ピックアップ装置、及び、この光ピックアップ装置を 搭載した光ディスクドライブ装置を得られる。