明 細 書
動脈硬化症の予防及び Z又は治療のための医薬
技術分野
[oooi] 本発明は、動脈硬化症及びその関連疾患の予防及び Z又は治療のための医薬に 関する。より詳細には、レチノイド X受容体 (RXR)活性化作用を有する物質とペルォ キシゾーム増殖因子活性化受容体 γ (PPAR y )活性化作用を有する物質とを有効 成分として含む動脈硬化症及びその関連疾患の予防及び Z又は治療のための医薬 に関する。
背景技術
[0002] 感染症治療の成果により寿命が飛躍的に延びた現代において、人間の死亡原因と して、動脈硬化症に起因すると考えられる心疾患及び脳血管疾患が癌に次いで多く なっている。し力しながら、動脈硬化症はマルチプルリスクファクター症候群と呼ばれ るほどその発症要因は多岐にわたり、その予防及び治療を困難にしている。そこで、 危険因子の一つである血漿中の脂質、特にコレステロールに着目し、動脈硬化症の 予防及び Z又は治療を目的として、血漿コレステロール低下剤である 3-ヒドロキシ -3-メチルダリタリルコェンザィム A還元酵素阻害剤(HMG-CoA還元酵素阻害剤)の 一種であるプラバスタチンの単独使用、又はリポタンパク低下剤であるコレスチラミン との併用が試みられている力 その効果はいずれも十分とは言えない(Biochimica et Biophisica Acta, Vol.960, No. 3, p.294— 302(1988) ;及び Atherosclerosis, Vol.83, No.l, p.69- 80(1990)参照)。
[0003] PPAR y活性ィ匕作用を有する物質であるトログリタゾン又はロジグリタゾンの単独使 用、或いは PPAR y活性化作用を有する物質と HMG-CoA還元酵素阻害剤との併用 が動脈硬化症に有効であるとの報告があるが、その効果も十分かつ明白ではない( 国際公開第 94Z19347号パンフレット;欧州特許出願公開第 0753298号明細書;及び Diabetes, Obesity and Metabolism, Vol.5, No.l, p.45- 50(2003)参照)。
また、 PPAR γ活性化作用を有する物質は、パイロットスタディにおいて、動脈硬化 症と成因を共にする非アルコール性脂肪肝 (NASH)に対しても有効であるとの報告
がなされて!/ヽるが、大規模試験におけるその効果及び安全性にっ 、ては未だ確認さ れて ヽな ヽ (Current Treatment Options in Gastroenterology, Vol.り, No.6, p.455- 463(2003)の abstract参照)。
[0004] さらに、 PPAR y活性化作用を有する物質は、現在、インスリン抵抗性改善剤として 臨床使用されているが、ロジグリタゾン及びピオグリタゾンに関して、浮腫、貧血、過 食による体重増力!]、急激な水分貯留による心不全の発症及び増悪などの副作用が 知られている。また、トログリタゾンに関しては、臨床治験の段階では予想し得なかつ たものの当該医薬との因果関係を否定し得ない重篤な肝毒性のため、 2000年 3月に 発売中止を余儀なくされている(Annals of Internal Medicine, Vol.133, No.9, p.751(2000)参照)。
[0005] 一方、 RXR活性化作用を有する物質として、 4-[5H-2,3- (2,5-ジメチル -2,5-へキサ ノ) -5-メチルジベンゾ [b,e][l ,4]ジァゼピン- 11-ィル]安息香酸や 4-[1 ,3-ジヒドロ - 7,8-(2,5-ジメチル- 2,5-へキサノ)-2-ォキソ-21"[-1,4-べンゾジァゼピン-5-ィル]安息 香酸などのべンゾジァゼピン誘導体が知られている。これらの化合物は、それ自体は レチノイド作用を有しな 、か、あるいはそのレチノイド作用が微弱であるにもかかわら ず、レチノイン酸などのレチノイドの作用を顕著に増強することから、ビタミン A欠乏症 、上皮組織の角化症、リウマチ、遅延性アレルギー、骨疾患、白血病やある種の癌、 糖尿病及びその合併症、血管性疾患及び心肥大症の予防及び Z又は治療に有用 であることが示唆されている(欧州特許出願公開第 0906907号明細書;欧州特許出願 公開第 1036565号明細書;欧州特許出願公開第 1500401号明細書;及び Journal of Medicinal Chemistry, Vol.40, No.26, p.4222- 4234(1997)参照)。また、別の RXR活性 化作用を有する物質として複素環カルボン酸誘導体が知られており、糖尿病及びそ の合併症に有用であることが示唆されている(欧州特許出願公開第 1180520号明細 書;及び Chemical and Pharmaceutical Bulletin, Vol.48, No.10, p.1504- 1513(2000)参 照)。し力しながら、上記各物質が、 PPAR y活性ィ匕作用を有する物質、例えば、トロ グリタゾン、ロジグリタゾンなどのチアゾリン誘導体との併用によりそれら薬理効果を相 乗的に増強させ、動脈硬化症及びその関連疾患の予防及び Z又は治療に極めて有 効であることは示唆な 、し教示されて ヽな 、。
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0006] 本発明の課題は、副作用の少ない安全でかつ高い臨床効果を有する動脈硬化症 及びその関連疾患の予防及び Z又は治療のための医薬を提供することにある。 課題を解決するための手段
[0007] 本発明者らは、 PPAR及びその標的遺伝子産物である肝臓 X受容体 (LXR)が、共 に RXRとへテロダイマーを形成して機能することに着目し、 RXR活性化作用を有する 物質と PPAR y活性化作用を有する物質とを併用することにより、副作用の少ない安 全でかつ高い臨床効果を有する動脈硬化症及びその関連疾患の予防及び Z又は 治療のための医薬を開発できるのではないかと考え鋭意検討を行った。その結果、 RXR活性化作用を有するベンゾジァゼピン誘導体又は複素環カルボン酸誘導体と PPAR y活性化作用を有する物質を併用することにより、それぞれを単独で使用した 場合と比較して、抗動脈硬化作用、例えば、 ATPバインディングカセット 'サブファミリ 一 Α·メンバー l (ABCAl)の発現誘導を介した泡沫細胞 (foam cell)形成抑制、マトリ ックスメタ口プロテアーゼ -9 (MMP-9)分泌抑制などが相乗的に増強することを見出し 、本発明を完成した。
[0008] すなわち、本発明により、
(1) RXR活性化作用を有する物質と PPAR y活性化作用を有する物質とを有効成分と して含む動脈硬化症及びその関連疾患の予防及び Z又は治療のための医薬が提 供される。
[0009] 上記発明の好ましい態様によれば、
(2) RXR活性化作用を有する物質が、下記一般式 (I) :
[化 1]
又は下記一般式 (II)
[化 2]
[上記各式中、 R1は水素原子又は C アルキル基を示し; R2及び R3はそれぞれ独立
1-6
に水素原子又は C アルキル基を示すか、あるいは R2及び R3が一緒になつてそれら
1-6
が結合するフエニル環上の炭素原子とともにじ アルキル基を有することもある 5又は
1-4
6員環を形成してもよく; R4は水素原子、 C アルキル基、 C アルコキシ基、水酸基、
1-6 1-6
ニトロ基、又はハロゲン原子を示し; R5は水素原子、 C アルキル基、又はァリール置
1-6
換 C アルキル基を示し; R6は水素原子又は C アルキル基を示し; Xは- NR7-、
1-6 1-6
-NO-, - 0-、 - CHR7-、 -S -、 -SO-,又は- SO - (式中、 R7は水素原子、 C アルキル
2 1-6 基、又はァリール置換 C アルキル基を示す)を示し; Yはフエ-レン基又はピリジンジ
1-6
ィル基を示す]で表される化合物及び生理学的に許容されるその塩、並びにそれら の水和物及び溶媒和物からなる群から選ばれる物質である上記の医薬;
(3) RXR活性化作用を有する物質が、下記一般式 (III):
[化 3]
(式中、 R11は水素原子、 C アルキル基、 C ァルケ-ル基、又はァシル基を示し; R12
1-6 1-6
及び R13はそれぞれ独立に水素原子又は C アルキル基を示すか、あるいは隣り合う
1-6
R12及び R13が一緒になつてそれらが結合するベンゼン環上の炭素原子とともに置換 基を有することもある芳香族 5〜7員環又は非芳香族 5〜7員環を形成してもよく; R14は 水素原子、ヒドロキシル基、 C アルコキシル基、 C アルキル基、ニトロ基、又はハロ
1-6 1-6
ゲン原子を示し、; HArは 1個から 3個のへテロ原子を含み置換基を有することもある 5 員環又は 6員環のへテロアリールジィル基を示し、 R15は水素原子又は C アルキル
1-6 基を示す)で表される化合物及び生理学的に許容されるその塩、並びにそれらの水
和物及び溶媒和物からなる群力 選ばれる物質である上記の医薬;
[0011] (4) RXR活性化作用を有する物質が、 4-[2,3-(2,5-ジメチル -2,5-へキサノ)ジベンゾ [b,f][l,4]チアゼピン- 11-ィル]安息香酸(HX630)、 4-[2,3-(2,5-ジメチル- 2,5-へキサ ノ)ジベンゾ [b,e]ァゼピン- 11-ィル]安息香酸(HX640)、又は 2-[N-シクロプロピルメチ ル- N- (5,6,7,8-テトラヒドロ- 5,5,8,8-テトラメチルナフタレン- 2-ィル)ァミノ]ピリミジン -5-カルボン酸(PA024)である上記の医薬;
[0012] (5) PPAR γ活性化作用を有する物質が、インスリン抵抗性改善剤である上記の医薬
(6) PPAR y活性化作用を有する物質が、チアゾリジンジオン誘導体である上記の医 薬;
(7) PPAR y活性化作用を有する物質が、トログリタゾン又はロジグリタゾンである上記 の医薬;
(8) RXR活性化作用を有する物質が、上記一般式 (1)、 (II)又は (III)で表される化合 物及び生理学的に許容されるその塩、並びにそれらの水和物及び溶媒和物からな る群カゝら選ばれる物質であり、 PPAR y活性化作用を有する物質が、インスリン抵抗 性改善剤である上記の医薬;
(9) RXR活性化作用を有する物質が、上記一般式 (1)、(II)又は (III)で表される化合 物及び生理学的に許容されるその塩、並びにそれらの水和物及び溶媒和物からな る群力も選ばれる物質であり、 PPAR y活性化作用を有する物質が、チアゾリジンジ オン誘導体である上記の医薬;
(10) RXR活性化作用を有する物質が、上記一般式 (1)、(II)又は (III)で表される化合 物及び生理学的に許容されるその塩、並びにそれらの水和物及び溶媒和物からな る群力 選ばれる物質であり、 PPAR y活性化作用を有する物質が、トログリタゾン又 はロジグリタゾンである上記の医薬;
[0013] (11) RXR活性化作用を有する物質が、 4-[2,3-(2,5-ジメチル -2,5-へキサノ)ジベンゾ [b,f][l,4]チアゼピン- 11-ィル]安息香酸(HX630)、 4-[2,3-(2,5-ジメチル- 2,5-へキサ ノ)ジベンゾ [b,e]ァゼピン- 11-ィル]安息香酸(HX640)、又は 2-[N-シクロプロピルメチ ル- N- (5,6,7,8-テトラヒドロ- 5,5,8,8-テトラメチルナフタレン- 2-ィル)ァミノ]ピリミジン
-5-カルボン酸 (PA024)であり、 PPAR y活性化作用を有する物質が、インスリン抵抗 性改善剤である上記の医薬;
(12) RXR活性化作用を有する物質が、 4-[2,3-(2,5-ジメチル -2,5-へキサノ)ジベンゾ [b,f][l,4]チアゼピン- 11-ィル]安息香酸(HX630)、 4-[2,3-(2,5-ジメチル- 2,5-へキサ ノ)ジベンゾ [b,e]ァゼピン- 11-ィル]安息香酸(HX640)、又は 2-[N-シクロプロピルメチ ル- N- (5,6,7,8-テトラヒドロ- 5,5,8,8-テトラメチルナフタレン- 2-ィル)ァミノ]ピリミジン - 5-カルボン酸(PA024)であり、 PPAR y活性化作用を有する物質が、チアゾリジンジ オン誘導体である上記の医薬;
[0014] (13) RXR活性化作用を有する物質が、 4-[2,3-(2,5-ジメチル -2,5-へキサノ)ジベンゾ [b,f][l,4]チアゼピン- 11-ィル]安息香酸(HX630)、 4-[2,3-(2,5-ジメチル- 2,5-へキサ ノ)ジベンゾ [b,e]ァゼピン- 11-ィル]安息香酸(HX640)、又は 2-[N-シクロプロピルメチ ル- N- (5,6,7,8-テトラヒドロ- 5,5,8,8-テトラメチルナフタレン- 2-ィル)ァミノ]ピリミジン - 5-カルボン酸(PA024)であり、 PPAR y活性化作用を有する物質が、トログリタゾン 又は口ジグリタゾンである上記の医薬;
(14) ABCA1遺伝子及び Z又は ABCA1タンパクの発現増加作用を有する上記の医 薬;
(15)泡沫細胞 (Foam cell)の形成抑制作用を有する上記の医薬;
(16)マクロファージにおける LPL遺伝子の発現抑制作用を有する上記の医薬;
(17)脂肪細胞における LPL遺伝子の発現増加作用を有する上記の医薬;
(18) MMP-9の分泌抑制作用を有する上記の医薬;
(19)動脈硬化症の関連疾患が、虚血性心疾患、脳梗塞、下肢閉塞性動脈硬化症、 腎硬化症、又は腎不全である上記の医薬が提供される。
[0015] 本発明の別の観点カゝらは、 RXR活性ィ匕作用を有する物質と PPAR y活性ィ匕作用を 有する物質とを有効成分として含む動脈硬化症及びその関連疾患の予防剤及び Z 又は治療剤;合剤の形態の上記予防及び Z又は治療剤;動脈硬化症及びその関連 疾患の予防及び Z又は治療方法であって、 RXR活性化作用を有する物質及び PPAR γ活性化作用を有する物質の治療及び Ζ又は予防のための有効量を同時に または時間を変えてヒトを含む哺乳動物に投与する工程を含む方法;並びに、上記
医薬の製造のための RXR活性化作用を有する物質及び PPAR γ活性化作用を有す る物質の使用が提供される。
発明の効果
[0016] RXR活性化作用を有する物質と PPAR γ活性化作用を有する物質とを有効成分とし て含む医薬は、それぞれの物質を単独使用した場合と比較して相乗的に薬理効果 を増強させることから、動脈硬化症及びその関連疾患の予防及び Ζ又は治療に有 用である。
図面の簡単な説明
[0017] [図 1]マクロファージにおける ABCA1遺伝子発現増強効果を示した写真である。
[図 2]マクロファージにおける ABCA1タンパク発現増強効果を抗 ABCA1抗体を用い た免疫染色 (Χ400)により示した写真である。被験薬物無添加の結果を示す。
[図 3]マクロファージにおける ABCA1タンパク発現増強効果を抗 ABCA1抗体を用い た免疫染色(Χ400)により示した写真である。 ΡΑ024 5 Μ及び rosiglitazone 5 M 添加の結果を示す。
[図 4]マクロファージにおける ABCA1タンパク発現増強効果を抗 ABCA1抗体を用い た免疫染色(X400)により示した写真である。 PA024 10 M及び rosiglitazone 10 μ Μ添加の結果を示す。
[図 5]マクロファージにおける ABCA1タンパク発現増強効果を抗 ABCA1抗体を用い た免疫染色(Χ400)により示した写真である。 ΡΑ024 20 μ Μ及び rosiglitazone 20 μ Μ添加の結果を示す。
[図 6]マクロファージにおける Foam cell形成抑制効果をマクロファージにおける酸ィ匕 LDL処理後の細胞内脂質量に対する効果 (Oil Red 0染色; X400)として示した写真 である。被験薬物無添加の結果を示す。
[図 7]マクロファージにおける Foam cell形成抑制効果をマクロファージにおける酸ィ匕 LDL処理後の細胞内脂質量に対する効果 (Oil Red 0染色; X400)として示した写真 である。 PA024 5 M及び rosiglitazone 5 μ Μ添加の結果を示す。
[図 8]マクロファージにおける Foam cell形成抑制効果をマクロファージにおける酸ィ匕 LDL処理後の細胞内脂質量に対する効果 (Oil Red 0染色; X400)として示した写真
である。 PA024 10 μ Μ及び rosiglitazone 10 μ M添加の結果を示す。
[図 9]マクロファージにおける Foam cell形成抑制効果をマクロファージにおける酸ィ匕 LDL処理後の細胞内脂質量に対する効果 (Oil Red O染色; X400)として示した写真 である。 PA024 20 μ Μ及び rosiglitazone 20 μ Μ添加の結果を示す。
[図 10]マクロファージにおける LPL遺伝子に対する効果を示した写真である。
[図 11]脂肪細胞における LPL遺伝子に対する効果を示した写真である。 PPAR y活 性化作用を有する物質としてロジグリタゾンを用いた場合の結果を示す。
[図 12]脂肪細胞における LPL遺伝子に対する効果を示した写真である。 PPAR y活 性化作用を有する物質としてトログリタゾンを用いた場合の結果を示す。
発明を実施するための最良の形態
[0018] 本発明の医薬は、 RXR活性化作用を有する物質と PPAR y活性化作用を有する物 質とを有効成分として含むことを特徴として!、る。
RXR活性ィ匕作用を有する物質は、サブタイプ特異的(例えば、 RXR aを選択的に活 性化する物質)又は非特異的な物質のいずれでもよぐさらには RXR活性化作用以 外の薬理作用を併せ持つ物質であってもよい。 RXR活性化作用を有する物質として は、例えば、一般式 (I)又は (II)で表されるベンゾジァゼピン誘導体、及び一般式 (III
)で表される複素環カルボン酸誘導体を挙げることができるがこれらに限定されること はない。
[0019] 一般式 (I)又は (II)で表されるベンゾジァゼピン誘導体は、欧州特許出願公開第 0906907号明細書;欧州特許出願公開第 1036565号明細書;欧州特許出願公開第 1500401号明細書;及び Journal of Medicinal Chemistry, Vol.40, No.26,
p.4222-4234(1997)に記載されている。本発明の理解のために欧州特許出願公開第 0906907号明細書;欧州特許出願公開第 1036565号明細書;欧州特許出願公開第 1500401号明細書;及び Journal of Medicinal Chemistry, Vol.40, No.26,
p.4222-4234(1997)の開示の全てを参照として本明細書の開示に含める。一般式 (I) 又は(II)で表されるベンゾジァゼピン誘導体は、欧州特許出願公開第 0906907号明 細書及び Journal of Medicinal Chemistry, Vol.40, No.26, p.4222— 4234(1997)に記載 された方法、又はそれに準じた方法により合成することができる。一般式 (I)又は (II)
で表されるベンゾジァゼピン誘導体における各官能基の好ま 、例、及び一般式 (I) 又は(II)で表されるベンゾジァゼピン誘導体として好ま 、化合物は上記各公知文 献に記載されている。
[0020] 一般式 (I)又は(II)で表されるベンゾジァゼピン誘導体としては、好ましくは、一般 式 (I)において、 R1が水素原子であり; R4が水素原子であり; Xが- NR7-、 - 0-、 -CHR7 -、又は- S- (式中、 R7は水素原子又はメチル基を示す)であり; Yが 1,4-フエ-レン基 で表される化合物及び生理学的に許容されるその塩、並びにそれらの水和物及び 溶媒和物からなる群力も選ばれる物質を挙げることができる。さらに好ましくは、 4-[5H-2,3-(2,5-ジメチル- 2,5-へキサノ )-5-メチルジベンゾ [b,e][l,4]ジァゼピン- 11- ィル]安息香酸(HX600)、 4-[5H- 2,3-ジイソプロピル- 5-メチルジベンゾ [b,e][l,4]ジァ ゼピン- 11 -ィル]安息香酸(HX610)、 4-[2 , 3-(2 , 5-ジメチル -2 , 5-へキサノ)ジベンゾ [b,f][l,4]ォキサゼピン- 11-ィル]安息香酸(HX620)、 4-[2,3-(2,5-ジメチル- 2,5-へキ サノ)ジベンゾ [b,f][l,4]チアゼピン- 11-ィル]安息香酸(HX630)、 4-[2,3-(2,5-ジメチ ル- 2,5-へキサノ)ジべンゾ[1) ]ァゼピン-11-ィル]安息香酸(1"0 640)、又は
4-[2,3-(2,5-ジメチル- 2,5-へキサノ )-5-メチルジベンゾ [b,e]ァゼピン- 11-ィル]安息 香酸(HX641)である。特に好ましくは HX630又は HX640であり、最も好ましくは HX630である。
[0021] 一般式 (III)で表される複素環カルボン酸誘導体は欧州特許出願公開第 1180520 号明細書;及び Chemical and Pharmaceutical Bulletin, Vol.48, No.10,
p.1504-1513(2000)に記載されている。本発明の理解のために欧州特許出願公開第 1180520号明細書;及び Chemical and Pharmaceutical Bulletin, Vol.48, No.10, P.1504-1513(2000)の開示の全てを参照として本明細書の開示に含める。一般式(III )で表される複素環カルボン酸誘導体は、欧州特許出願公開第 1180520号明細書に 記載されている一般式 (I)で表される化合物に対応している。ここで、一般式 (III)の R u、 R
12、 R
13、 R
14、 R
15、及び HArは、欧州特許出願公開第 1180520号明細書に記載さ れている一般式(I)の 、 R
2、
R
5、及び HArにそれぞれ対応している。一般式( III)で表される複素環カルボン酸誘導体は、欧州特許出願公開第 1180520号明細書 ;及び Chemical and Pharmaceutical Bulletin, Vol.48, No.10, p.1504— 1513(2000)に記
載された方法、又はそれに準じた方法により合成することができる。一般式 (III)で表 される複素環カルボン酸誘導体における各官能基の好ま 、例、及び一般式 (III)で 表される複素環カルボン酸誘導体として好ましいィ匕合物は上記各公知文献に記載さ れている。一般式 (III)で表される複素環カルボン酸誘導体としては、好ましくは、 2-[N-シクロプロピルメチル-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-5,5,8,8-テトラメチルナフタレン -2-ィル)ァミノ]ピリミジン- 5-カルボン酸(PA024)を用いることができる。
[0022] 以下、 RXR活性化作用を有する物質が記載された公知文献を例示するが、 RXR活 性ィ匕作用を有する物質はこれらの文献に記載された物質に限定されることはない。 '安息香酸誘導体: Chemical and Pharmaceutical Bulletin, Vol.48, No.10, p.1504-1513(2000).
尚、上記安息香酸誘導体としては、好ましくは、 4-[N-シクロプロピルメチル
-N- (5,6,7,8-テトラヒドロ- 3,5,5, 8,8-ペンタメチルナフタレン- 2-ィル)ァミノ]安息香酸(
DA124)を用いることができる。
'ベンゾジァゼピン誘導体:国際公開第 02Z055525号パンフレット
•9- cis-レチノイン酸及びその誘導体: Journal of Medicinal Chemistry, Vol.37, No.3, p.408— 414(1994).
•Targretin (LGD1069)及び LG100268を含むカルボン酸誘導体: Journal of Medicinal Chemistry, Vol.37, No.18, p.2930— 2941(1994) ; Journal of Medicinal Chemistry, Vol.38, No.16, p.3146— 3155(1995) ;及び Journal of Medicinal Chemistry, Vol.42, No.4, p.742-750(1999).
[0023] ' LG100567を含むトリェン誘導体: Journal of Medicinal Chemistry, Vol.39, No.14, p.2659- 2663(1996).
•LG101506を含むトリェン誘導体: Journal of Medicinal Chemistry, Vol.46, No.13, p.2683- 2696(2003) ;及び Journal of Medicinal Chemistry, Vol.46, No.19,
P.4087- 4103(2003).
•トリェン誘導体:国際公開第 95Z04036号パンフレット
•ER- 35794を含むテトラヒドロキノリン誘導体: Journal of Medicinal Chemistry, Vol.41, No.17, p.3245— 3252(1998).
•AGN194204を含む 2,4—ペンタジェン酸誘導体: Journal of Medicinal Chemistry, Vol.44, No.14, p.2298- 2303(2001).
•スルフイド誘導体: Journal of Medicinal Chemistry, Vol.39, No.18,
p.3556- 3563(1996).
'芳香族複素環力ノレボン酸誘導体: Journal of Medicinal Chemistry, Vol.38, No.15, P.2820- 2829(1995).
•力ルボン酸誘導体: Journal of Medicinal Chemistry, Vol.38, No.17,
p.3368— 3383(1995).
本発明の理解のために上記各公知文献の開示の全てを参照として本明細書の開 示に含める。
RXR活性化作用を有する物質としては、上記に例示した物質からなる群から選ばれ る 1種又は 2種以上の物質を用いることができる。
[0024] PPAR γ活性化作用を有する物質としては、例えば、インスリン抵抗性改善剤、非ス テロイド系抗炎症薬(NSAID)、ロイコトリェン D4アンタゴ-スト(LTD4アンタゴ-スト)な どを挙げることができるがこれらに限定されることはない。
PPAR y活性ィ匕作用を有するインスリン抵抗性改善剤は、 PPAR yを選択的に活性 化する物質であっても、 PPAR y活性ィ匕作用以外の作用を併せ持つ物質 (例えば、 PPAR a / yデュアルァゴ-スト)であってもよ ヽ。 PPAR γ活性化作用を有するインス リン抵抗性改善剤としては、例えば、チアゾリジンジオン誘導体、ォキサゾリジンジォ ン誘導体、イソキサゾリジンジオン誘導体、チロシン誘導体、 Ν-ベンジルグリシン誘導 体、 3-フ -ル -2-アルコキシプロパン酸誘導体、フエノキシ酢酸誘導体、インドール 酢酸誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ォキシイミノアルカン酸誘導体などを挙げ ることができるがこれらに限定されることはない。
[0025] 上記チアゾリジンジオン誘導体は、(2 ,4-ジォキソチアゾリジン- 5-ィル)メチル基又は (2,4-ジォキソチアゾリジン- 5-イリデン)メチル基を部分構造として有していることが好 ましい。そのようなチアゾリジンジオン誘導体としては、例えば、トログリタゾン (CS-045 )、口ジグリタゾン(BRL49653)、ピオグリタゾン(AD-4833)、シグリタゾン (ADD-3878) 、エングリタゾン(CP- 68722)、ダルグリタゾン(CP- 86325)、 CS- 011 (Rivoglitazone)、
DRF— 2189、 DRF— 2593 (NN— 2344; Balaglitazone)、 MCC— 555、 NC— 2100、 DN— 108、 T-174 (LY282449)、 KRP-297 (MK-767)、 Ro205-2349 (BM13.1258)などを挙げるこ とがでさる。
[0026] 上記ォキサゾリジンジオン誘導体としては、例えば、 5-[3-[4-[2-(2-フリル) -5-メチ ル- 4-ォキサゾリルメトキシ] -3-メトキシフエ-ル]プロピル]- 2,4-ォキサゾリジンジオン を挙げることができる。
上記イソキサゾリジンジオン誘導体としては、例えば、 JTT-501 (Reglitazar)を挙げる ことができる。
上記チロシン誘導体としては、例えば、 GI2662570 (Farglitazar) , GW1929, GW7845などを挙げることができる。
上記 N-ベンジルグリシン誘導体としては、例えば、 BMS-298585 (Muraglitazar)を挙 げることができる。
上記 3-フエ-ル- 2-アルコキシプロパン誘導体としては、例えば、 DRF-2725 ( NN-622 ;Ragaglitazar)、 AZ-242 (AR-H039242 ;Tesaglitazar)、 SB213068 (SB236636 ;)、 SB219994などを挙げることができる。
上記フエノキシ酢酸誘導体としては、例えば、 LY465608を挙げることができる。 上記インドール酢酸誘導体としては、例えば、 GW0207、 L-805645などを挙げること ができる。
上記べンズイミダゾール誘導体としては、例えば、 FK-614を挙げることができる。 上記ォキシイミノアルカン酸誘導体としては、例えば、 TAK-559を挙げることができ る。
[0027] PPAR γ活性ィ匕作用を有するインスリン抵抗性改善剤としては、トログリタゾン、ロジ グリタゾン、ピオグリタゾン、シグリタゾン、エングリタゾン、ダルグリタゾン、 CS_011、 DRF- 2189、 DRF- 2593、 MCC- 555、 NC- 2100、 DN- 108、 T- 174、 KRP- 297、 Ro205-2349などのチアゾリジンジオン誘導体が好ましく、トログリタゾン及びロジグリタ ゾンが特に好ましい。尚、インスリン抵抗性改善剤であるロジグリタゾン、ピオダリタゾ ン、シグリタゾン、エングリタゾンなどのチアゾリジンジオン誘導体が PPAR yを活性ィ匕 することは、 The Journal of Biological Chemistry, Vol.270, No.22,
p.12953-12956(1995)に記載されている。
[0028] 以下、 PPAR γ活性ィ匕作用を有するインスリン抵抗性改善剤が記載された公知文献 を例示するが、 PPAR y活性ィ匕作用を有するインスリン抵抗性改善剤はこれらの文献 に記載された物質に限定されることはない。
<チアゾリジンジオン誘導体 >
.トログリタゾン: journal of Medicinal Chemistry, Vol.32, No.2, p.421— 428(1989).
•ロジグリタゾン: journal of Medicinal Chemistry, Vol.37, No.23, p.3977- 3985(1994). •ピオグリタゾン: Chemical and Pharmaceutical Bulletin, Vol.39, No.6,
p.1440-1445(1991).
•シグリタゾン: Chemical and Pharmaceutical Bulletin, Vol.30, No.10,
P.3580- 3600(1982).
•エングリタゾン: journal of Medicinal Chemistry, Vol.34, No.l, p.319— 325(1991). •ダルグリタゾン: Journal of Medicinal Chemistry, Vol.35, No.10, p.1853- 1864(1992).
• CS-011 (5-[[4-[(6-メトキシ -1-メチル -1H-ベンズイミダゾール -2-ィル)メトキシ]フエ -ル]メチル ]-2,4-チアゾリジンジオン):欧州特許出願公開第 0745600号明細書 •DRF-2189 : Journal of Medicinal Chemistry, Vol.41, No.10, p.1619— 1630(1998).
[0029] · DRF-2593 (5-[[4-[(3,4-ジヒドロ- 3-メチル - 4-ォキソ - 2-キナゾリ-ル)メトキシ]フエ- ル]メチル ]-2,4-チアゾリジンジオン):国際公開第 97Z41097号パンフレット •MCC-555:欧州特許出願公開第 0604983号明細書;及び The Journal of Biological Chemistry, Vol.273, No.49, p.32679- 32684(1998).
•NC- 2100 :欧州特許出願公開第 0787725号明細書;及び Diabetes, Vol.49, No.5, p.759-767(2000).
•DN- 108 :国際公開第 97Z32863号パンフレット;及び Arzneimittd- Forschung, Vol.48, No.6, p.651— 657(1998).
•T— 174 : Chemical and Pharmaceutical Bulletin, Vol.45, No.12, p.1984— 1993(1997).
• KRP-297: Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters, Vol.9, No.4,
p.533- 538(1999) ;及び Diabetes, Vol.47, No.12, p.1841- 1847(1998).
• Ro205-2349 (5-[[4-[2-(5-メチル - 2-フエ-ルォキサゾール -4-ィル)エトキシ]ベンゾ
[b]チォフェン- 7-ィル]メチル ]-2,4-チアゾリジンジオン):米国特許第 5599826号明細 書;米国特許第 6258832号明細書;及び British Journal of Pharmacology, Vol.128, No.6, p.1141— 1148(1999).
[0030] <ォキサゾリジンジオン誘導体 >
•5-[3-[4-[2-(2-フリル) -5-メチル - 4-ォキサゾリルメトキシ] -3-メトキシフエ-ル]プロピ ル]- 2,4-ォキサゾリジンジオン: Journal of Medicinal Chemistry, Vol.45, No.7, p.1518-1534(2002).
<イソキサゾリジンジオン誘導体 >
•JTT-501 : Journal of Medicinal Chemistry, Vol.41, No.l l, p.1927- 1933(1998) ;及び British Journal of Pharmacology, Vol.130, No.3, p.495— 504(2000).
<チ口シン誘導体 >
• GI2662570 ((2S)- [(2-ベンゾィルフエ-ル)ァミノ]- 3- [4- [2- (5-メチル - 2-フエ-ルォ キサゾール -4-ィル)エトキシ]フエ-ル]プロパン酸); GW1929 ((2S)-[(2-ベンゾィルフ ェ -ル)ァミノ]- 3- [4- [2- (メチルビリジン- 2-ィルァミノ)エトキシ]フエ-ル]プロパン酸); 及び GW7845 ((S)-2-[l-カルボキシ- 2-[4-[2-(5-メチル - 2-フエ-ルォキサゾール- 4- ィル)エトキシ]フエ-ル]ェチルァミノ]安息香酸メチル): Journal of Medicinal
Chemistry, Vol.41, No.25, p.5020— 5036(1998); Journal of Medicinal Chemistry, Vol.41, No.25, p.5037— 5054(1998);及び Journal of Medicinal Chemistry, Vol.41, No.25, p.5055- 5069(1998).
< N-ベンジルグリシン誘導体 >
•BMS-298585 (N-[(4-メトキシフエノキシ)カルボ-ル]- N-[[4-[2-(5-メチル - 2-フエ- ルォキサゾール -4-ィル)エトキシ]フエ-ル]メチル]グリシン):国際公開第 01/21602 号ノ ンフレット
[0031] < 3-フエ-ル- 2-アルコキシプロパン誘導体 >
•DRF-2725 : Journal of Medicinal Chemistry, Vol.44, No.16, p.2675— 2678(2001). •AZ- 242 :国際公開第 99Z62871号パンフレット;及び Journal of Lipid Research, Vol.43, No.l l, p.1855-1863(2002).
•SB213068 (SB236636)及び SB219994 : Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters,
Vol.6, No.17, p.2121 -2126(1996) ; Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters, Vol.6, No.17, p.2127— 2130(1996) ;及び The Journal of Pharmacology and
Experimental Therapeutics, Vol.284, No.2, p.751— 759(1998).
<フエノキシ酢酸誘導体 >
•LY465608 : Journal of Medicinal Chemistry, Vol.44, No.13, p.2061— 2064(2001) ;及 び Diabetes, Vol.51, No.4, p.1083- 1087(2002).
[0032] <インドール酢酸誘導体 >
• GW0207: Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters, Vol.9, No.23,
p.3329- 3334(1999).
•L-805645 (2- [2-(4-フエノキシ -2-プロピルフエノキシ)ェチル]インドール- 5-酢酸): 国際公開第 98/27974号パンフレット; The Journal of Biological Chemistry, Vol.276, No.41, p.38297- 38306(2001) ;及び Endocrinology, Vol.143, No.3,
p.998— 1007(2002).
<ベンズイミダゾール誘導体 >
•FK-614 :欧州特許出願公開第 0882718号明細書;及び European Journal of Pharmacology, Vol.494, No.2- 3, p.273- 281(2004).
<ォキシイミノアルカン酸誘導体 >
•TAK-559 : Chemical and Pharmaceutical Bulletin, Vol.51, No.2, p.138— 151(2003). 本発明の理解のために上記各公知文献の開示の全てを参照により本明細書の開 示に含める。
[0033] PPAR γ活性化作用を有する非ステロイド系抗炎症薬は、 PPAR γを選択的に活性 化する物質であっても、 PPAR γ活性ィ匕作用以外の作用を併せ持つ物質であっても よい。 PPAR γ活性ィ匕作用を有する非ステロイド系抗炎症薬としては、例えば、インド メタシン、ジクロフエナック、ォキサプロジン、ザルトプロフェン、イブプロフェン、ナプロ キセン、フエノプロフェン、フルフエナミン酸などを挙げることができるがこれらに限定 されることはない。尚、非ステロイド系抗炎症薬であるインドメタシン、ジクロフエナック 、ォキサプロジン、ザルトプロフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、フエノプロフェン 及びフルフエナミン酸が PPAR γを活性化することは、 The Journal of Pharmacology
and Experimental Therapeutics, Vol.302, No.l, p.18-25(2002); Biochemical Pharmacology, Vol.62, No.12, p.1587—1595(2001) ;及び The Journal of Biological Chemistry, Vol.272, No.6, p.3406- 3410(1997)に記載されている。また、インドメタシ ン、ジクロフエナック、ォキサプロジン、ザルトプロフェン、イブプロフェン、ナプロキセ ン、フエノプロフェン及びフルフエナミン酸は、いずれも既に上巿された医薬である。
[0034] PPAR y活性ィ匕作用を有する LTD4アンタゴニストは、 PPAR yを選択的に活性ィ匕す る物質であっても、 PPAR γ活性ィ匕作用以外の作用を併せ持つ物質であってもよい。 PPAR γ活性化作用を有する LTD4アンタゴ-ストとしては、例えば、 ΟΝΟ-1078 ( Pranlukast)ゝ FK011、 LY171883、 ICI- 204219 (Zafirlukast)、 MK- 571、 MK-476 ( Montelukast)、 ZD3523、 RG12553、 Ro24- 5913 (Cinalukast)などを挙げることができる がこれらに限定されることはない。尚、 LTD4アンタゴ-ストである ONO-1078、 FK011 及び LY171883力 PPAR yを活性化することは、 Journal of Pharmacological Sciences, Vol.93, No.3, p.347- 355(2003) ;及び Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, Vol.91, No.15, p.7355— 7359(1994)に記載 されている。
PPAR γ活性ィ匕作用を有する物質としては、上記に例示した物質力もなる群力 選 ばれる 1種又は 2種以上の物質を用いることができる。
[0035] 本発明の医薬の有効成分としては、一般式 (1)、(II)又は (III)で表される遊離形態 の化合物のほか、生理学的に許容されるそれらの酸付加塩又は塩基付加塩を用い てもよい。生理学的に許容される酸付加塩としては、塩酸塩若しくは臭化水素酸塩な どの鉱酸塩、又は Ρ-トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、シユウ酸塩、若しく は酒石酸塩などの有機酸塩を挙げることができる。生理学的に許容される塩基付カロ 塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、若しくはカルシウム塩などの金 属塩、アンモニア塩、又はトリェチルァミン塩若しくはエタノールアミン塩などの有機 アミン塩などを用いることができる。また、グリシン塩、アルギニン塩、リジン塩、若しく はグルタミン酸塩などのアミノ酸塩を用いてもよい。一般式 (1)、(II)又は (III)で表され る化合物以外の RXR活性化作用を有する物質、及び PPAR γ活性化作用を有する物 質についても同様である。
[0036] 本発明の医薬の有効成分としては、一般式 (1)、(II)又は (III)で表される遊離形態 の化合物又は塩の形態の化合物の任意の水和物又は溶媒和物を用いてもよ!、。溶 媒和物を形成する有機溶媒の種類は特に限定されないが、例えば、エタノール、ェ 一テル又はテトラヒドロフランなどを挙げることができる。一般式 (1)、(II)又は(III)で 表される化合物以外の RXR活性化作用を有する物質、及び PPAR y活性化作用を有 する物質にっ 、ても同様である。
[0037] 一般式 (1)、(II)又は (III)で表される化合物は、置換基の種類により 1個又は 2個以 上の不斉炭素を有する場合があるが、このような不斉炭素に基づく任意の光学異性 体、光学異性体の任意の混合物、ラセミ体、 2個以上の不斉炭素に基づくジァステレ ォ異性体、ジァステレオ異性体の任意の混合物などは、いずれも本発明の医薬の有 効成分として利用することができる。また、 2重結合を有する化合物については、純粋 な形態の幾何異性体又は幾何異性体の任意の混合物であってもよい。一般式 (1)、 ( II)又は(ΠΙ)で表される化合物以外の RXR活性化作用を有する物質、及び PPAR γ活 性ィ匕作用を有する物質についても同様である。
[0038] 本発明の医薬の適用対象となる動脈硬化症の成因は特に限定されない。例えば、 糖尿病、肥満、高脂血症及びその成因となる甲状腺機能低下症やネフローゼ症候 群;並びに広義の意味で動脈硬化症と成因を共にする非アルコール性脂肪肝など はいずれも本発明の適用対象である。
本発明の医薬の適用対象となる動脈硬化症関連疾患としては、例えば、心筋梗塞 や狭心症などの虚血性心疾患;大動脈瘤や大動脈解離;脳血栓症や脳塞栓症など の脳梗塞;間歇性跛行や壊疽の原因となる下肢閉塞性動脈硬化症;並びに腎硬化 症とそれによる腎不全などを挙げることができる。
[0039] また、本発明の医薬は、 PPAR γの活性ィ匕により派生する適用疾患、即ち、ある種 の癌 (食道癌、前立腺癌、乳癌、大腸癌、脾臓癌、非機能性線種、ホルモン分泌性 下垂体腫瘍等)の治療;上記癌の浸潤及び転移の予防;リウマチ、急性又は潰瘍性 大腸炎、クローン病などの炎症性疾患の予防及び Ζ又は治療にも有用であり、現在 使われて 、る薬が奏効しな 、非機能性腺腫及びホルモン分泌性下垂体腫瘍の予防 及び Ζ又は治療に特に有用である。
[0040] 上記 PPAR γと同様〖こ、 RXRとへテロダイマーを形成して機能する核内受容体には 、 PPAR a、 PPAR δ (PPAR β NUC1又は FAARという場合もある)、 LXRゝフアルネソ イド X受容体 (FXR)などがあり、これら核内受容体の活性化がァテローム性動脈硬化 症などの動脈硬化症及びその関連疾患の予防及び Z又は治療に有用であることが 知られている。従って、 RXR活性化作用を有する物質と上記の核内受容体を活性ィ匕 する物質とを併用することで、動脈硬化症及びその関連疾患の予防及び Z又は治 療のための薬理効果が相乗的に増強されることが期待される。以上の理由から、 RXR活性ィ匕作用を有する物質と、 RXRとへテロダイマーを形成して機能する核内受 容体を活性化する物質とを有効成分として含む動脈硬化症及びその関連疾患の予 防及び/又は治療のための医薬も本発明に包含される。そのような医薬として、例え ば、 RXR活性化作用を有する物質と PPAR a活性化作用を有する物質とを有効成分 として含む動脈硬化症及びその関連疾患の予防及び Z又は治療のための医薬; RXR活性化作用を有する物質と PPAR δ活性化作用を有する物質とを有効成分とし て含む動脈硬化症及びその関連疾患の予防及び Ζ又は治療のための医薬; RXR活 性化作用を有する物質と LXR活性化作用を有する物質とを有効成分として含む動脈 硬化症及びその関連疾患の予防及び Ζ又は治療のための医薬; RXR活性ィ匕作用を 有する物質と FXR活性化作用を有する物質とを有効成分として含む動脈硬化症及び その関連疾患の予防及び Ζ又は治療のための医薬を挙げることができる。
[0041] 上記の核内受容体を活性化する物質は、サブタイプ特異的(例えば、 LXR aを選 択的に活性ィ匕する物質)又は非特異的な物質のいずれでもよぐさらにはその他の 薬理作用を併せ持つ物質であってもよい。
PPAR α活性化作用を有する物質しては、例えば、 Wyl4643、 GW9578などのカル ボン酸誘導体;フエノフイブレート、クロフイブレート、ベザフイブレート、 GW2331など のフイブレート系化合物を挙げることができる。
PPAR δ活性化作用を有する物質しては、例えば、 GW501516、 L-165041などのフ エノキシ酢酸誘導体を挙げることができる。
LXR活性化作用を有する物質しては、例えば、 22(R)_ヒドロキシコレステロール、 24(S),25-エポキシコレステロールなどのォキシステロール誘導体; T0901317などのス
ルホンアミド誘導体; GW3965などのフエ-ル酢酸誘導体を挙げることができる。
FXR活性化作用を有する物質しては、例えば、ケノデォキシコール酸、デォキシコ ール酸、リソコール酸、 6 α -ェチル-ケノデォキシコール酸などの胆汁酸; GW4064な どの安息香酸誘導体を挙げることができる。
上記の核内受容体を活性化すること及び Ζ又は上記の核内受容体を活性化する 作用を有する物質が、動脈硬化症及びその関連疾患の予防及び Ζ又は治療に有 用であることが示唆されて 、る公知文献を以下に示す。
•PPAR a: Current Opinion in Pharmacology, Vol.3, No.2, p.186— 191(2003) ; Nature Medicine, Vol.7, No.l, p.53- 58(2001) ;及び The Journal of Biological Chemistry, Vol.277, No.50, p.48051- 48057(2002).
•PPAR S: Current Opinion in Pharmacology, Vol.3, No.2, p.186— 191(2003) ;及び Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, Vol.98, No.9, p.5306— 5311(2001).
•LXR: Science, Vol.289, No.5484, p.1524-1529(2000) ; Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, Vol.97, No.22,
p.12097-12102(2000); Current Opinion in Pharmacology, Vol.3, No.2,
p.192-197(2003); Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, Vol.99, No.18, p.11896— 11901(2002) ; Proceedings of the National Academy of Sciences of the United btates of America, Vol.98, No.2, P.507- 512(2001) ; Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, Vol.99, No.l l, p.7604- 7609(2002) ;及び Journal of Medicinal Chemistry, Vol.45, No.10, p.1963— 1966(2002).
•FXR: Science, Vol.289, No.5484, p.l524-1529(2000) ; Arteriosclerosis,
Thrombosis, and Vascular Biology, Vol.21, No.6, p.887— 898(2001) ; Cell, Vol.102, No.6, p.731—744(2000) ; Journal of Medicinal Chemistry, Vol.43, No.16,
p.297ト 2974(2000) ;及び Journal of Medicinal Chemistry, Vol.45, No.17, p.3569— 3572(2002).
本発明の理解のために上記各公知文献の開示の全てを参照により本明細書の開
示に含める。
[0043] 本発明の医薬は、有効成分である上記の物質それ自体を投与してもよいが、好まし くは、当業者に周知の方法によって製造可能な経口用ある 、は非経口用の医薬組 成物として投与することが好ましい。経口投与に適する医薬組成物としては、例えば 、錠剤、カプセル剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、液剤、及びシロップ剤などを挙げること ができ、非経口投与に適する医薬組成物としては、例えば、注射剤、点滴剤、坐剤、 吸入剤、点眼剤、点鼻剤、軟膏剤、クリーム剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤、及び貼 付剤などを挙げることができる。上記の医薬組成物は、薬理学的、製剤学的に許容し 得る添加物を加えて製造することができる。薬理学的、製剤学的に許容し得る添カロ 物の例としては、例えば、賦形剤、崩壊剤ないし崩壊補助剤、結合剤、滑沢剤、コー ティング剤、色素、希釈剤、基剤、溶解剤ないし溶解補助剤、等張化剤、 pH調節剤、 安定化剤、噴射剤、及び粘着剤などを挙げることができる。尚、本発明の医薬の有効 成分である上記の物質の中で、既に臨床にぉ 、て使用されて 、るものにつ 、ては、 市販の製剤をそのまま用いることもできる。
[0044] 本発明の医薬の投与量は特に限定されず、あらゆる投与方法において適宜の投 与量が容易に選択できる。例えば、経口投与の場合、成人一日あたり 0.01〜1000mg 程度の範囲で用いることができるが、患者の年齢や体重、症状、合併症の有無若しく はその症状、又は治療若しくは予防の目的などに応じて適宜増減することが望ましい
[0045] 本発明の医薬の投与方法は特に限定されず、有効成分である RXR活性化作用を 有する物質と PPAR y活性化作用を有する物質とを別々に製剤化して個別に投与し てもよい。この場合、有効成分である上記の各物質は同時に投与してもよいし、別々 に投与してもよぐさらには経時的に投与してもよい。あるいは、有効成分である上記 の各物質を単一の製剤 (いわゆる合剤)に製剤化して同時に投与してもよい。有効成 分である RXR活性化作用を有する物質及び Z又は PPAR γ活性化作用を有する物 質として 2種以上の物質が用いられる場合、全ての物質を別々に製剤化して個別に 投与してもよぐ任意の組み合わせごとに製剤化して個別に投与してもよい。この場 合、有効成分である上記の各物質は同時に投与してもよいし、別々に投与してもよく
、さらには経時的に投与してもよい。また、有効成分である上記の各物質を単一の製 剤 (いわゆる合剤)に製剤化して同時に投与してもよい。
実施例
[0046] 以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の 実施例の範囲に限定されることはない。実施例中で用いられる化合物の略称とその 正式名称は下記のとおりである。
•PA024: 2-[N-シクロプロピルメチル -N- (5,6,7,8-テトラヒドロ- 5,5,8,8-テトラメチルナ フタレン- 2-ィル)ァミノ]ピリミジン- 5-カルボン酸
•HX630: 4- [2,3- (2,5-ジメチル- 2,5-へキサノ)ジベンゾ [b,f][l, 4]チアゼピン- 11-ィル] 安息香酸
•HX640: 4-[2,3-(2,5-ジメチル- 2,5-へキサノ)ジべンゾ[1) ]ァゼピン-11-ィル]安息 香酸
•DA124: 4一 [N -シクロプロピノレメチノレー N - (5, 6,7,8 -テ卜ラヒドロー 3, 5,5,8,8 -ペンタメチノレ ナフタレン- 2-ィル)ァミノ]安息香酸
•HX531: 4- [5H- 2,3- (2,5-ジメチル- 2,5-へキサノ )-5-メチル -8-二トロジベンゾ [b,e] [1 ,4]ジァゼピン- 11-ィル]安息香酸
[0047] 例 1:マクロファージにおける ABCA1の発現増加作用
ァテローム性動脈硬化において、ァテロームの主体を成す foam cellの形成を阻止 することは動脈硬化の予防及び治療に重要な意味を持つと考えられる。そこで、コレ ステロール排出ポンプである ABCA1の発現に対する本発明の医薬の効果を調べた 急性単球性白血病細胞株 THP-1 (大日本製薬)を、 ΙΟΟηΜの PMA (Sigma)で 24時 間処理してマクロファージに分ィ匕させた。次いで、 RXR活性化作用を有する物質であ る PA024及び PPAR y活性ィ匕作用を有する物質であるロジグリタゾンを添カ卩した。添 カロ後 14時間で total RNAを調製(TRIzol Reagent; Invitrogen)し、 RT- PCR(94°C lmin , 60°C 45sec, 72°C lmin, X30 cycles)により ABCA1遺伝子の発現を確認した。また ABCA1抗体(NOVUS)を用いた免疫染色(ダコ ENVISIONキット; DAKO)により ABCA1タンパクの発現も確認した。
[0048] 結果を第 1図に示す。図中、各 laneは、以下の各条件における結果を示す。
•Lane M: λ DNA/HindIII
•Lane 1 and 8 :被験薬物無添加(PMA : ΙΟΟηΜ)
•Lane 2 and 9: rosiglitazone 1 μ M添カロ
•Lane 3 and 10 : rosiglitazone 5 μ M添カロ
•Lane 4 and 11: rosiglitazone 10 μ M添カ卩
•Lane 5 and 12 : rosiglitazone 20 μ M添カロ
•Lane 6 and 13 : PA024 1 μ M及び rosiglitazone 1 μ M添カロ
•Lane 7 and 14 : PA024 5 M及び rosiglitazone 5 μ M添カロ
•Lane Μ' : X174/HaeIII
第 2図〜第 5図は、マクロファージにおける ABCA1タンパク発現増強効果を示した 写真であり、抗 ABCA1抗体を用いた免疫染色 (X400)の結果を示す。各図は、以下 の各条件における結果を示す。
•第 2図:被験薬物無添カロ
•第 3図: PA024 5 ^ Μ及び rosiglitazone 5 μ Μ添カロ
•第 4図: ΡΑ024 10 及び rosiglitazone 10 μ Μ添カロ
•第 5図: ΡΑ024 20 及び rosiglitazone 20 μ Μ添カロ
[0049] 第 1図〜第 5図に示した結果から、 RXR活性化作用を有する物質である ΡΑ024と
PPAR y活性ィ匕作用を有する物質であるロジグリタゾンとを併用した場合、それぞれを 単独で使用した場合と比較して、 ABCA1遺伝子(口ジグリタゾン単独使用時の 5〜10 倍発現の増強が見られる。)及び ABCA1タンパクの発現は顕著に増加することが明ら カゝとなった。
[0050] 例 2 :マクロファージにおける Foam cell形成抑制効果
THP-1細胞を上記と同様の方法でマクロファージに分ィ匕させた後、酸化 LDL ( INTRACEl^ lOO /z g/ml)を添カ卩し、 34時間後に RXR活性ィ匕作用を有する物質である PA024及び PPAR y活性ィ匕作用を有する物質であるロジグリタゾンを添カ卩した。添カロ 14時間後に酸化 LDL及び被験物質を除去し、新たに Apolipoprotein A-I (Sigma; 10 μ g/ml)を添加した。添加 8時間後に Oil Red O染色して、本発明の医薬の細胞内脂
質量に対する効果を調べた。第 6図〜第 9図は薬剤添加及び無添加時のマクロファ ージの形態を示した写真である。これらの図には、マクロファージにおける Foam cell 形成抑制効果の指標として、マクロファージにおける酸化 LDL処理後の細胞内脂質 量に対する効果 (Oil Red O染色; X400)を示した。各図は、以下の各条件における 結果を示す。
•第 6図:被験薬物無添カロ
•第 7図: PA024 5 ^ Μ及び rosiglitazone 5 μ Μ添カロ
•第 8図: ΡΑ024 10 及び rosiglitazone 10 μ Μ添カロ
•第 9図: ΡΑ024 20 及び rosiglitazone 20 μ Μ添カロ
[0051] 第 6図〜第 9図に示した結果から、 RXR活性化作用を有する物質である ΡΑ024と PPAR y活性ィ匕作用を有する物質であるロジグリタゾンとを併用した場合、酸化 LDL 処理によるマクロファージの細胞内脂質量の増加を顕著に抑制することが明ら力とな つた o
また、例 1及び例 2の結果から、 RXR活性ィ匕作用を有する物質と PPAR y活性ィ匕作 用を有する物質とを有効成分として含む医薬は、コレステロール排出ポンプである ABCA1タンパクの発現誘導を介してァテロームの主体を成す foam cellの形成を阻害 し、動脈硬化の発症を抑制する可能性を有することが明らかとなった。
[0052] 例 3:マクロファージにおける LPL遺伝子発現抑制効果の増強
リポプロテインリパーゼ (LPL)の動脈硬化における役割は、マクロファージと末梢組 織で異なり、それぞれ pro- atherogenic及び anti- atherogenicに機能すると言われて!/ヽ る。そこで LPL遺伝子発現に対する本発明の医薬の効果を調べた。
THP-1細胞を上記と同様の方法でマクロファージに分ィ匕させた後、 RXR活性に影 響を与える物質(PA024、 HX630、 HX640、 DA124若しくは HX531)、及び PPAR y活 性ィ匕作用を有する物質であるトログリタゾンを添加した。添加後 14時間で total RNAを 調製し、 RT- PCR(94°C lmin, 55°C 45sec, 72°C lmin, X30 cycles)により遺伝子増 幅した後、 LPL遺伝子の発現を確認した。
[0053] 第 10図はマクロファージにおける LPL遺伝子に対する効果を示した図である。図中 、各 laneは、以下の各条件における結果を示す。
•Lane M : λ DNA/Hindlll
•Lane M': X174/HaeIII
•Lane 1 and 8:troglitazone無添カ卩(PMA: ΙΟΟηΜ)
•Lane 2 and 9: troglitazone 10 μ M添カ卩
•Lane 3 and 10:PA02410 及び troglitazone 10 μ M添カロ
•Lane 4 and 11 :HX630 lO^M及び troglitazone 10 μ M添カロ
•Lane 5 and 12:HX64010 μΜ及び troglitazone 10 μ M添カロ
•Lane 6 and 13:DA12410/ M及び troglitazone 10/ M添カ卩
•Lane 7 and 14:HX531 10 及び troglitazone 10 μ M添カロ
[0054] 第 10図に示した結果から、マクロファージにおいて RXR活性ィ匕作用を有する物質 は、いずれも PPARy活性化作用を有する物質であるトログリタゾンと併用した場合、 トログリタゾンを単独で使用した場合と比較して、 LPL遺伝子の発現を顕著に抑制す ることが明らかとなった。
[0055] 例 4:脂肪細胞における LPL遺伝子発現増加作用
脂肪肉腫細胞株である SW872(ATCC)に RXR活性に影響を与える物質 (PA024、 HX630、 HX640、 DA124若しくは HX531)、及び PPARy活性ィ匕作用を有する物質(口 ジグリタゾン若しくはトログリタゾン)を添加した。添加後 14時間で total RNAを調製し、 RT-PCR(94°C lmin, 55°C 45sec, 72°C lmin, X30 cycles)により遺伝子増幅した後、 LPL遺伝子の発現を確認した。
第 11図及び第 12図には、脂肪細胞における LPL遺伝子に対する効果を示した。 第 11図には PPAR 活性ィ匕作用を有する物質としてロジグリタゾンを用いた場合の結 果を示す。図中、各 laneは、以下の各条件における結果を示す。
•Lane M: λ DNA/HindIII
•Lane 1 and 8:被験薬物無添加(PMA: 100nM)
•Lane 2 and 9: rosiglitazone 10 μ M添加
•Lane 3 and 10:PA02410 及び rosiglitazone 10 μ M添カロ
•Lane 4 and 11 :HX630 lO^M及び rosiglitazone 10 μ M添カロ
•Lane 5 and 12:HX64010 μΜ及び rosiglitazone 10 μ M添カロ
•Lane 6 and 13:DA124 lO^M及び rosiglitazone 10 μ M添カロ
•Lane 7 and 14:HX531 lO^M及び rosiglitazone 10 μ M添カロ
•Lane Μ': X174/HaeIII
[0056] 第 12図は、 PPAR γ活性ィ匕作用を有する物質としてトログリタゾンを用いた場合の結 果を示す。図中、各 laneは、以下の各条件における結果を示す。
•Lane M: λ DNA/HindIII
•Lane 1 and 8:被験薬物無添加(PMA: 100nM)
•Lane 2 and 9: troglitazone 10 μ M添カロ
•Lane 3 and 10:PA024 ΙΟ^Μ及び troglitazone 10 μ M添カロ
•Lane 4 and 11 :HX630 lO^M及び troglitazone 10 μ M添カロ
•Lane 5 and 12:HX640 lO^M及び troglitazone 10 μ M添カロ
•Lane 6 and 13:DA124 lO^M及び troglitazone 10 μ M添カロ
•Lane 7 and 14:HX531 lO^M及び troglitazone 10 μ M添カロ
•Lane Μ': X174/HaeIII
[0057] 第 11図及び第 12図に示した結果から、脂肪細胞では、 PPARy活性ィ匕作用を有 するロジグリタゾン又はトログリタゾンを単独で使用した場合には、 LPL遺伝子の発現 が殆ど検出されな 、のに対し、 RXR活性ィ匕作用を有する物質と併用した場合には、 LPL遺伝子の発現が顕著に増加することが明らかとなった。
また、例 3及び例 4の結果から、 RXR活性ィ匕作用を有する物質と PPAR γ活性ィ匕作 用を有する物質とを有効成分として含む医薬は、マクロファージ及び脂肪細胞のい ずれにおいても Antト atherogenicに LPL遺伝子の発現を調節する可能性を有するこ とが明ら力となった。
[0058] 例 5:マクロファージにおける MMP-9分泌抑制効果の増強
プラーク破裂の誘発に関与する起炎物質、マトリックスメタ口プロテアーゼ -9 ( MMP-9)の分泌に対する本発明の医薬の抑制効果を調べた。
THP-1細胞を上記と同様の方法でマクロファージに分ィ匕させた後、 RXR活性ィ匕作 用を有する物質 (HX630若しくは PA024)及び Z又は PPAR y活性化作用を有する物 質であるトログリタゾンを添カ卩した。 30分後、 LPS (Sigma ;1 g/ml)を添カ卩し、 24時間
後の培養上清を回収した。回収した培養上清を用いて ELISA (Amersham Biosciences)により分泌された MMP_9を定量した。各被験薬物添加時の MMP-9分泌 抑制率 (%)を下記式に従って算出した。
[各被験薬物添加時の MMP-9分泌抑制率 ] = [(被験薬物無添加時の MMP-9濃度) (各被験薬物添加時の MMP-9濃度)] ÷ (被験薬物無添加時の MMP-9濃度) X 100 表 1には HX630とトログリタゾンとの併用による MMP-9分泌抑制効果の増強作用を 示し、表 2には PA024とトログリタゾンとの併用による MMP-9分泌抑制効果の増強作 用を示す。
[0059] [表 1]
[0061] 表 1及び表 2に示した結果から、マクロファージにおいて、 RXR活性化作用を有する 物質である HX630又は PA024と PPAR y活性ィ匕作用を有する物質であるトログリタゾン とを併用した場合、 HX630、 PA024及びトログリタゾンをそれぞれ単独で使用した場合 と比較して、 MMP-9の分泌を顕著に抑制することが明ら力となった。
例 5の結果から、 RXR活性化作用を有する物質と PPAR γ活性化作用を有する物質 とを有効成分として含む医薬は、それぞれを単独で使用する場合と比較して、相乗 的な ΜΜΡ-9分泌抑制効果を示し、心血管イベントを誘発するプラーク破裂を遅延又 は抑止させる可能性を有することが明らかとなった。
産業上の利用可能性
[0062] RXR活性化作用を有する物質と PPAR γ活性化作用を有する物質とを有効成分とし て含む医薬は、それぞれの物質を単独使用した場合と比較して相乗的に薬理効果 を増強させることから、動脈硬化症及びその関連疾患の予防及び Ζ又は治療に有 用である。