明 細 書
抗微生物剤
技術分野
[0001] 本発明は、安全性が高ぐ微生物 (例えば、住家、店舗、工場、倉庫、病院などの 各種建築物内、車両、船舶、航空機などの各種運輸体内、繊維、皮革、塗料、接着 剤、プラスチック、金属加工油などの化学製品、医薬品、農薬などの生理活性製品、 化粧品、食品などで繁殖可能な微生物)に対して高い阻害活性を有する抗微生物 剤に関する。
背景技術
[0002] 近年、建造物の気密化に伴って、建築物内が微生物の繁殖に適した高湿度環境 下になりやすい。例えば、細菌などの繁殖は、病原菌として人体に悪影響を及ぼすこ とがある。また、カビなどの微生物は、住居内の美観を汚染するだけでなぐその胞子 などはアレルギー性気管支炎や喘息の原因物質となるものもある。さらに、カビなど の微生物は、ダニなどの栄養源にもなるため、間接的にアトピー性皮膚炎を誘発する 原因ともなる。また、酵母などの微生物でも、例えば、ロードトルラ (Rhodotorula)属に 属する酵母などは、浴室などを赤黒く汚染する。また、ユーロチウム (Eurotium)属に 属するカビ類などの微生物は、空中や乾燥食品中に生育可能であり、乾燥環境下で も生育可能である。
[0003] さらに、微生物は極めて広範囲に生息し、種々の物品を劣化させる。微生物による 物品の生物的劣化は、前記建造物や各種輸送機 (車両、船舶、航空機など)の構成 部材に限らず、種々の物品、例えば、天然製品 (皮革など)、化学製品 (合成繊維、 合成皮革、プラスチック、塗料、接着剤、金属加工油など)、金属 (鉄、アルミニウムな ど)製品、生理活性製品(医薬品、農薬など)、食品、化粧品などにも生じる。
[0004] このような微生物による建造物や物品の浸食を防ぐため、種々の化合物を有効成 分として含む殺菌剤などの抗微生物剤などが用いられているが、これらの抗微生物 剤では、人畜に対する高い安全性と、微生物に対する高い防除性とを両立できない
[0005] 特開 2003— 252708号公報 (特許文献 1)には、有効成分として、力ワイン、ヤンゴ ニン、メチスチシンなどの化合物を含む木材保存剤が開示され、前記木材保存剤は 、木材害虫による木材加害、木材腐朽菌による木材腐朽、木材汚染菌による木材汚 染の防止に有用であることが記載されている。また、この文献には、 7, 8—ジヒドロカヮ インが、力ワインや 5, 6—デヒドロ力ワインなどとともに例示されている。さらに、この文 献の実施例では、 4種の木材汚染菌 [ァスペルギルス ·-ガー(Aspergillus niger)、ぺ -シリウム ·フニクロスム(Penicillium foniculosum)、ォウレォバシディウム ·プルランス ( Aureobasidiumu pullulans)、及びグリオクラティゥム.ビレンス (Gliocladium virens) ]の 混合胞子に対して、高濃度の 7, 8—ジヒドロ力ワイン (50000 gZml)を適用し、適用 後 3日目までに菌の繁殖が見られな力つたことが記載されている。
[0006] また、特許第 3306054号公報 (特許文献 2)には、有効成分としてカヮ種 (Piper methysticum)に属する植物又はその処理物の滲出物又はその処理物を含有すること を特徴とする木材の防黴用木材保存剤が開示されている。この文献の実施例では、 特許文献 1に記載の上記 4種の木材汚染菌の混合胞子に対して、カヮ(Piper methysticum)の地上茎の高濃度アセトン又はメタノール抽出物(125000 μ g/ml)を 適用すると、試験体の側面のみにカビの発育を認めたことが記載されている。
[0007] さらに、特開 2003— 267802号公報(特許文献 3)には、カヮ種 (Piper
methysticum)に属する植物の葉又はその処理物を有効成分として含有する木材の 防黴剤である木材保存剤が開示されている。この文献の実施例でも、特許文献 1〖こ 記載の上記 4種類の木材汚染菌の混合胞子に対して、カヮ(Piper methysticum)の葉 の高濃度アセトン抽出物(125000 μ g/ml)を適用すると、試験体の側面のみにカビ の発育を認めたことが記載されて 、る。
[0008] しかし、細菌類、酵母類及び特定のカビ類に対してさらに有効な防除方法は見い だされていない。
特許文献 1:特開 2003— 252708号公報 (特許請求の範囲、段落番号 [0003]) 特許文献 2:特許第 3306054号公報 (特許請求の範囲、段落番号 [0032]— [0036]) 特許文献 3:特開 2003— 267802号公報 (特許請求の範囲、段落番号 [0031]—
[0037])
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0009] 従って、本発明の目的は、安全性が高いとともに、特定の微生物に対して高い防除 性を有する抗微生物剤及びそれを用いた微生物の防除方法を提供することにある。
[0010] 本発明の他の目的は、気密性の高い住環境において用いても、人畜への悪影響 カ いだけでなぐ住環境を汚染する微生物を有効に防除できる抗微生物剤及びそ れを用いた微生物の防除方法を提供することにある。
[0011] 本発明のさらに他の目的は、簡便かつ高い効率で微生物を防除できる抗微生物剤 及びそれを用いた微生物の防除方法を提供することにある。
課題を解決するための手段
[0012] 本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、 7, 8—ジヒドロ力ワイン 力 特定の微生物に対して強い阻害活性を有することを見いだし、本発明を完成し た。
[0013] すなわち、本発明では、以下の抗微生物剤を開示する。
[0014] (A) 7, 8—ジヒドロ力ワインを有効成分として含有し、下記(1)一 (3)力もなる群から 選ばれた少なくとも一種の微生物を防除又は予防するための抗微生物剤。
[0015] (1)細菌類、
(2)酵母類、
(3)アルテルナリア (Alternaria)属、クラドスポリゥム (Cladosporium)属、フザリウム( Fusarium)属、及びユーロチウム(Eurotium)属から選択された少なくとも一種の属に 属するカビ類
また、本発明では、以下の抗微生物剤についても開示する。
[0016] (B)細菌類が、バシラス (Bacillus)属、ェシエリキア (Escherichia)属、及びシユードモ ナス (Pseudomonas)属カも選択された少なくとも一種である前記 (A)記載の抗微生物 剤。
[0017] (C)酵母類が、サッカロミセス (Saccharomyces)属及びロードトルラ (Rhodotorula)属 から選択された少なくとも一種である前記 (A)記載の抗微生物剤。
[0018] (D)カビ類が、クラドスポリゥム ·クラドスポリオイデス (Cladosporium cladosporioides)
、ユーロチウム.トノフィルム(Eurotium tonophilum)、アルテルナリア'エスピー(
Alternaria sp.)及びフザリウム'エスピー(Fusarium sp.)から選択された少なくとも一 種である前記 (A)記載の抗微生物剤。
[0019] (E)カヮ種 (Piper methysticum)に属する植物又はその処理物の有機溶媒抽出物 に含まれる 7, 8—ジヒドロ力ワインを含有する前記 (A)記載の抗微生物剤。
[0020] (F)カヮ種(Piper methysticum)に属する植物又はその処理物の脱脂処理物を、ァ ルコール類、エステル類、及びケトン類カゝら選択された少なくとも一種の抽出溶媒で 抽出した抽出物に含まれる 7, 8—ジヒドロ力ワインを含有する前記 (A)記載の抗微生 物剤。
[0021] さらにまた、本発明は、以下の微生物を防除又は予防する方法も包含する。
[0022] (G)前記 (A)記載の抗微生物剤を、微生物が生育又は繁殖可能な被処理物 (又 は被処理域)に適用して、微生物を防除又は予防する方法。
[0023] (H)抗微生物剤を、微生物の生育又は繁殖域に適用する前記 (G)記載の方法。
発明の効果
[0024] 本発明の抗微生物剤は、天然の植物中に存在する 7, 8—ジヒドロ力ワインを含有す るので、安全性が高いとともに、特定の微生物に対する高い防除性を有する。また、 気密性の高い住環境において用いても、人畜への悪影響がないだけでなぐ住環境 を汚染する微生物を有効に防除できる。さらに、本発明では、簡便で効率よく微生物 を防除又は予防できる。
発明の詳細な説明
[0025] [抗微生物剤]
抗微生物剤は、 7, 8—ジヒドロ力ワインを有効成分として含有し、(1)細菌類、(2)酵 母類、及び(3)アルテルナリア (Alternaria)属、クラドスポリゥム (Cladosporium)属、 フザリウム(Fusarium)属、ユーロチウム(Eurotium)属などに属するカビ類などの微生 物を有効に防除又は予防できる。
[0026] (7, 8—ジヒドロ力ワイン)
7, 8—ジヒドロ力ワインを多く含む植物としては、カヮ種(Piper methysticum)に属す る植物などが挙げられる。カヮ種(Piper methysticum)に属する植物は、ニューギ-ァ
力 ポリネシア諸島などで生育し、カヮ種(Piper methysticum)の他に、その野生種( Piper wichmannii)などが含まれる。カヮ種(Piper methysticum)に属する植物は、高さ 2— 3mの大形の草本であり、ポリネシア諸島などでは、その生根を砕いて絞った汁 や、乾燥根を粉砕して水でもみだした汁を嗜好品として飲む風習がある。カヮ(Piper methysticum)は、地域により、力ヴァ、力ワカヮ、力ヴァカヴァ、ヤンゴナ、シャカオなど と呼ばれる場合がある。
[0027] 7, 8—ジヒドロ力ワインは、カヮ種(Piper methysticum)に属する植物の地上部及び 地下部のいずれにも存在する。例えば、地上部としては、茎部(幹、枝、榭皮、茎など )、葉部 (葉、葉柄など)、花部 (花、包葉、力 片、花柄など)、種子部 (果実、種子、 仮種皮、果皮など)などが例示でき、地下部としては、根部 (根、根皮など)、根茎部( 根茎又は地下茎など)などが例示できる。これらの部位は、単独で又は二種以上組 み合わせて使用できる。これらの部位のうち、 7, 8—ジヒドロ力ワインは、地上部(例え ば、茎部など)により多く存在する。
[0028] また、 7, 8—ジヒドロ力ワインは、水に対する溶解度が低!、ため、水では効率的に抽 出できない。そのため、 7, 8—ジヒドロ力ワインは、カヮ種(Piper methysticum)に属す る植物又はその処理物力 有機溶媒により抽出して得ることが多い。
[0029] 前記処理物としては、例えば、細断物、乾燥物、粉砕物、抽出物、滲出物などが例 示できる。前記処理物は、植物体に対して、細断、乾燥、粉砕、抽出、滲出 (植物体 力もの滲出物の採取を含む)などの処理を施すことにより得ることができ、これらの処 理 (乾燥、細断、粉砕、抽出、及び滲出)は、単独で又は二種以上組み合わせて使 用できる。なお、滲出物は、植物生体力もの滲出物だけでなぐ裁断、乾燥、粉砕ェ 程などにおいて分離、滲出した物質も含まれる。
[0030] 植物体又はその処理物の抽出溶媒としては、例えば、アルコール類 (例えば、メタノ ール、エタノール、 n—プロパノール、 i プロパノール、 n—ブタノール、 iーブタノール、 s ec—ブタノール、 tーブタノール、 n—ォクタノール、 2—ブチルォクタノール、ラウリルァ ルコール、シクロへキサノールなどの一価アルコール類;グリセリン、エチレングリコー ル、プロピレングリコールなどの二価乃至多価アルコール類など);エーテル類 [例え ば、鎖状エーテル(例えば、ェチルエーテル、プロピルエーテル、イソプロピルエーテ
ル、ジメトキシェタンなど)、環状エーテル (例えば、ジォキサン、テトラヒドロフランなど )、モノ又はジアルキレングリコールモノアルキルエーテル(例えば、エチレングリコー ルモノメチルエーテル、エチレングリコールモノェチルエーテルなどのセロソルブ類、 ジエチレングリコールモノェチルエーテルなどのカルビトール類など)など];ケトン類( 例えば、アセトン、メチルェチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロへキサノンなど );エステル類(例えば、酢酸ェチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル類;アジピン酸 ジへキシル、アジピン酸ジォクチル、アジピン酸ジイソノ-ル(DINA)、アジピン酸ジ デシルなどのアジピン酸エステル類;クェン酸ァセチルトリエチル、タエン酸ァセチル トリブチルなどのクェン酸エステル類;ラウリル酸 n ブチルなど);ハロゲン化炭化水 素類(例えば、四塩化炭素、クロロホノレム、ジクロロメタン、 1 , 2—ジクロロェタンなど)、 脂肪族炭化水素類 (例えば、へキサン、オクタンなど);脂環式炭化水素類 (例えば、 シクロへキサン、シクロヘプタンなど)、芳香族炭化水素類 (例えば、ベンゼン、トルェ ン、キシレンなど);-トリル類(例えば、ァセトニトリル、ベンゾ-トリルなど);カルボン 酸類 (ギ酸、酢酸など);非プロトン性極性溶媒 (例えば、 N, N—ジメチルホルムアミド 、 N, N—ジメチルァセトアミド、ジメチルスルホキシド、ピリジンなど)などが挙げられる 。これらの溶媒は一種でまたは二種以上混合して用いることができる。
[0031] さらに、 7, 8—ジヒドロ力ワインは、カヮ種(Piper methysticum)に属する植物又はそ の処理物を、脱脂処理し、その脱脂処理物を抽出してもよい。脱脂処理することによ り、不純物を除去でき、高純度の 7, 8—ジヒドロ力ワインを抽出できる。脱脂処理に用 いる溶媒としては、前記例示の脂肪族炭化水素類、脂環式炭化水素類などが例示 できる。これらの脱脂処理溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。 これらの脱脂処理溶媒のうち、脂肪族炭化水素類 (例えば、へキサン)が好ましい。
[0032] 抽出溶媒のうち、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、 i プロパノールな どの炭素数 1一 4程度の一価アルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコー ルなどの二価アルコール類)、エステル類(例えば、酢酸ェチル、酢酸ブチルなど)、 ケトン類(例えば、アセトン、メチルェチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロへキ サノンなど)などが好ましぐ特に、メタノール、エタノール、 i プロパノール、プロピレ ングリコール、アセトンなどが好ましい。
[0033] 前記脱脂処理に用いる溶媒の使用量は、被抽出植物 100重量部に対して、 200— 10000重量部、好まし <は 300— 5000重量部、さらに好まし <は 500— 2000重量 部程度である。また、抽出溶媒の使用量は、抽出効率および抽出操作を損わない範 囲であればよぐ例えば、被抽出植物 100重量部に対して、 100— 10000重量部、 好ましくは 200— 5000重量部、さらに好ましくは 300— 2000重量部程度である。脱 脂処理温度及び抽出温度は、例えば、 0— 150°C、好ましくは室温 (例えば、 15— 2 5°C)一 120°C程度である。
[0034] 抗微生物剤に含まれる 7, 8—ジヒドロ力ワインは、純品でもよぐ混合物であってもよ い。例えば、 7, 8—ジヒドロ力ワインの純品は、文献公知の方法により合成できる( Acta Chemica Scandinavica B 30, 7: 613 - 678, 1976; Planta Med., 64: 504, 1998)。 7, 8—ジヒドロ力ワインは、 7, 8—ジヒドロ力ワインを多く含む植物体からの抽出液を利 用するのが好ましい。
[0035] 本発明で用いる抗微生物剤は、 7, 8—ジヒドロ力ワインを含む限り、その製剤形態は 特に制限されず、前記製剤形態として、例えば、溶液剤、水和剤、水溶剤、懸濁剤、 分散剤、乳剤、油剤、ローション、塗布剤、噴霧剤、エアゾール剤などの液剤;ペース ト剤、クリームなどの半固形剤;粉剤、粒剤、マイクロカプセル剤、マイクロスフェア、フ ロアブル剤、発泡剤、固化剤 (粉剤及び Z又は粒剤などを圧縮することにより得られ る圧縮固化剤、流動性を有する製剤を冷却又は凝固剤などにより固化した固化剤な ど)などの固形剤などが挙げられる。これらの製剤形態は、使用目的や適用部位に応 じて適宜選択できる。これらの製剤は、慣用の方法で製造できる。
[0036] 前記液剤、半固形剤は、例えば、前記抽出物または滲出物を適当な液体希釈剤 又は担体を用いて希釈等することにより製造できる。なお、水和剤の場合には、さら に固体希釈剤又は担体を用いてもよい。また、エアゾール剤の場合には、液化ガス( フッ化炭化水素、炭化水素類、液ィ匕石油ガス、ジメチルエーテルなど)、圧縮ガス (窒 素ガス、二酸ィ匕炭素などの不活性ガスなど)などの噴射剤を適宜用いて製造できる。
[0037] 前記液体希釈剤又は担体としては、例えば、前記例示の抽出溶媒以外に、水、可 塑剤(例えば、ジー 2—ェチルへキシルアジペートなどのエステル系可塑剤など);ケロ センなどの石油系溶剤;ェチルナフタレン、フエ-ルキシリルェタンなどの芳香族炭
化水素; 2—ェチルへキシルフェ-ルホスフェートなどのリン酸エステルなども使用でき る。これらの液体希釈剤や担体は、一種で又は二種以上混合して使用できる。前記 固体希釈剤又は担体としては、例えば、ケイソゥ土、雲母、粘土、カオリン、タルク、石 英粉末、ベントナイトなどが挙げられる。これらの固体希釈剤又は担体も、単独でまた は二種以上の混合物として用いることができる。
[0038] 前記固形剤は、例えば、前記抽出物または滲出物を適当な固体希釈剤又は担体 で希釈したり造粒することにより製造できる。固体希釈剤又は担体としては、前記例 示の固体希釈剤以外に、滑石粉、ロウ石粉などのタルク類、微粉末クレイなどのタレ ィ類ゃ炭酸カルシウムなどの鉱物性粉末;硫黄粉末;尿素粉末;木粉、澱粉などの植 物性粉末;金属石鹼 (脂肪酸石鹼など);住居用製剤や、農薬又は園芸用製剤など に繁用される各種担体などが挙げられる。これらの固形希釈剤や担体は、増量材とし て使用される場合も多い。固形希釈剤や担体も、一種で又は二種以上混合して使用 できる。
[0039] これらの剤形のうち、微生物による汚染箇所又は被処理部に対して効率よく適用す るため、液剤又は半固形剤が好ましぐ特に液剤 (例えば、塗布剤、噴霧剤、エアゾ ール剤など)が好ましい。なお、噴霧剤又はエアゾール剤では、噴射される液剤は、 霧状であってもよぐ泡状であってもよいが、汚染箇所に対する付着性の高さから、泡 状であるのが好ましい。
[0040] また、抗微生物剤は、製剤の種類に応じて、必要により種々の添加剤、例えば、酸 化防止剤や紫外線吸収剤などの安定化剤;結合剤;被膜形成能を有する榭脂;乳化 剤、分散剤、展着剤、湿潤剤、浸透剤;増粘剤;流動助剤;固結防止剤;凝集剤;紫 外線散乱剤;水分除去剤;着色剤などを含んで 、てもよ 、。
[0041] 酸化防止剤としては、例えば、 4, 4' ーチォビス 6— tーブチルー 3—メチルフエノー ル、ブチル化ヒドロキシァ-ソール(2 tーブチルー 4ーメトキシフエノールと 3 tーブチ ルー 4ーメトキシフエノールの混合物)、 p—才クチルフエノール、モノ(またはジまたはトリ )— ( 0;—メチルベンジル)フエノール、 2, 6—ジー tーブチルー p タレゾール(BHT)、ぺ ンタエリスリチルテトラキス [3— (3, 5—ジー tーブチルー 4ーヒドロキシフエ-ル) ]プロピオ ネートなどのフエノール系酸化防止剤; N, N' —ジ— 2—ナフチルー p フエ-レンジァ
ミンなどのアミン系酸化防止剤、 2, 5—ジ (tーァミル)ヒドロキノリンなどのヒドロキノリン 系酸化防止剤;ジラウリルチォジプロピオネートなどの硫黄系酸ィ匕防止剤;トリフエ- ルホスフアイトなどのリン系酸ィ匕防止剤などが例示できる。
[0042] 紫外線吸収剤としては、例えば、 2— (2' —ヒドロキシー 5' メチルフエニル)ベンゾ トリァゾール、 2— (2' —ヒドロキシー 4' n オタトキシフエ-ル)ベンゾトリアゾールな どのべンゾトリアゾール系化合物; 2—ヒドロキシー 4ーメトキシベンゾフエノン、 2—ヒドロ キシー 4 n オタトキシベンゾフエノンなどのべンゾフエノン系化合物;サリチル酸フエ -ル、 p— t ブチルフエ-ルサリシレートなどのサリチル酸系化合物; 2—ェチルへキシ ル 2 シァノ—3, 3—ジフエ-ルアタリレート、 2 エトキシー 2' —ェチルシユウ酸ビスァ ユリド、コハク酸ジメチルー 1— (2—ヒドロキシェチル) 4ーヒドロキシー 2, 2, 6, 6—テトラ メチルビペリジン重縮合物などが挙げられる。
[0043] 結合剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、メチルセルロー ス、ェチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、デキストリン、アルファ化デンプン 、ポリビュルアルコール、ポリビュルピロリドン、リグ-ンスルホン酸ナトリウム、リグニン スルホン酸カリウムなどが例示できる。
[0044] 被膜形成能を有する榭脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリ ォレフィン、ポリ酢酸ビュル、ポリビュルアルコール、アクリル榭脂、ポリ塩化ビュル、 スチレン系榭脂、フッ素榭脂、塩素化ポリオレフイン、アルキド榭脂、ポリアミド、ポリエ ステルなどの熱可塑性榭脂;フエノール榭脂、ユリア榭脂、メラミン榭脂、フラン榭脂、 不飽和ポリエステル榭脂、エポキシ榭脂などの熱硬化性榭脂などが例示できる。
[0045] 乳化剤、分散剤、展着剤、湿潤剤、浸透剤としては、ァ-オン系界面活性剤、ノ- オン系界面活性剤などの慣用の界面活性剤が使用できる。ァ-オン系界面活性剤 には、例えば、金属石鹼類、硫酸アルキルナトリウムなどの硫酸エステル塩、アルキ ルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフ タレンスルホン酸ナトリウム [例えば、竹本油脂 (株)製、商品名-ユーカルゲン BX— C ]などのアルキルナフタレンスルホン酸塩、 2—スルホコハク酸ジアルキルナトリウム [例 えば、第一工業製薬 (株)製、商品名ネオコール SW-C]などの 2—スルホコハク酸ジ アルキル塩、ポリカルボン酸型界面活性剤 [例えば、山陽ィ匕成 (株)製、商品名トキサ
ノン GR— 30]、 α—才レフインスルホン酸塩、ポリオキシエチレンジスチレン化フエ-ル エーテルサルフェートアンモ-ゥム塩 [例えば、第一工業製薬 (株)製、商品名デイク スゾール 60Α]、リグ-ンスルホン酸ナトリウム、リグ-ンスルホン酸カリウムなどが例示 できる。ノ-オン系界面活性剤には、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、 ポリオキシエチレンアルキルァリールエーテル [例えば、第一工業製薬 (株)製、商品 名イノゲン'ィーェ一一 142 (ΕΑ— 142) ]、ポリオキシエチレンァリールエーテル、脂 肪酸多価アルコールエステル、脂肪酸多価アルコールポリオキシエチレン、ショ糖脂 肪酸エステル、酸ィ匕エチレンと酸ィ匕プロピレンとのブロック共重合体 [例えば、山陽ィ匕 成 (株)製、商品名ニューポール ΡΕ— 64]などが例示できる。
[0046] 増粘剤には、例えば、ポリビュルアルコール、キサンタンガム、ポリアクリル酸とその 塩などが例示できる。流動助剤としては、 ΡΑΡ助剤(例えば、イソプロピルリン酸)、ヮ ッタス、ワセリン、ポリエチレン、脂肪酸金属塩、パラフィン、シリコーンオイルなどの有 機滑剤、タルクなどの無機滑剤が例示できる。固結防止剤としては、例えば、ホワイト カーボン、硅藻土、ステアリン酸マグネシウム、酸ィ匕アルミニウム、二酸化チタンなど が挙げられる。凝集剤としては、例えば、流動パラフィン、エチレングリコール、ジェチ レンダリコール、トリエチレングリコール、イソプチレン重合体 [例えば、出光石油化学 (株)製、商品名 IPソルベント- 2835]などが挙げられる。紫外線散乱剤としては、二 酸ィ匕チタンなどが例示できる。水分除去剤としては、無水石膏、シリカゲル粉末など の乾燥剤などが挙げられる。着色剤には、例えば、有機又は無機顔料や染料が含ま れる。
[0047] さらに、本発明の抗微生物剤は、公知又は慣用の抗微生物作用(抗菌、防腐、また は防カビ作用)を有する化合物などを含んで 、てもよ 、。
[0048] 前記抗微生物作用を有する化合物としては、例えば、 3 プロモー 2, 3 ジョードー 2 プロぺ-ルェチルカーボネート、 3—ョードー 2 プロピ-ルブチルカーバメート、 2, 3 , 3—トリヨ一ドアリノレアノレコーノレ、パラクロロフエニノレー 3—ョードプロパノレギノレホノレマー ルなどの有機ョード系化合物; 2— (4 チアゾリル)ベンズイミダゾール、 2—チオシァノ メチルチオべンゾチアゾールなどのベンズイミダゾールおよびべンゾチアゾール系化 合物; 1— (2—(2' , 4' —ジクロ口フエ-ル)— 1, 3—ジォキソラン 2 ィルメチル)—1
H-l, 2, 4—トリァゾール、 1— (2— (2' , 4' —ジクロ口フエ-ル)—4—プロピル— 1, 3 —ジォキソラン一 2 ィルメチル) 1H—1, 2, 4 トリァゾール、 α— (2— (4—クロ口フエ -ル)ェチル)— α (1, 1—ジメチルェチル)— 1H— 1, 2, 4—トリァゾールー 1 エタノ ールなどのトリァゾール系化合物;ジンク—ビス—(2—ピリジンーチオール 1一才キシド )フタル酸亜鉛などの有機亜鉛類;安息香酸、安息香酸ナトリウム、パラォキシ安息香 酸エステル類 (パラベン類、例えば、メチルパラベン、パラォキシ安息香酸 η—ブチル など)などの安息香酸類; 4 イソプロピルトロボロン(ヒノキチオール)、ホウ砂などの天 然化合物、ジデシルジメチルアンモ -ゥムクロライドなどが挙げられる。上記化合物に カロえて、抗微生物作用を有する化合物 (例えば、防腐防カビ剤)としては、下記式 (I) で表される化合物も挙げられる。
[0049] [化 1]
(式中、 R1および R2は、同一または異なって、 C アルキル基又は C ァルケ-ル
1-18 2-18
基を示し、 R3および R4は、同一又は異なって水素原子、ヒドロキシル基、アミノ基、 C アルキル基または C アルコキシ基を示し、 R5は C アルキレン基、 C ァルケ-
1-6 1-6 2-18 3-18 レン基、フエ-レン基、又はキシリレン基を示し、前記 R1— R5は C アルキル基、 C
1-6 1-6 アルコキシ基、 c アルコキシ カルボ-ル基又はハロゲンで置換されていてもよぐ
1-6
Υ1ま、 -NHCO-, -CONH-, -NHCS-,— COO— COS― O—また ίま一 S—を 、 Υ2ίま、 -CONH-, -NHCO-, -CSNH-,— OOC SOC Ο また ίま S— を示し、 Ζ—はァ-オンを示す。)で表される。
[0050] 上記ハロゲンとしては、塩素、フッ素、臭素、ヨウ素などが例示でき、 Ζ—で示されるァ ユオンとしては、たとえば、ハロゲンイオン(例えば、 Cl Br―、 Γなど)、硝酸イオン (N O―)などの無機ァ-オンや、例えば、酢酸イオン(CH COO— )、プロピオン酸イオン(
3 3
C H COO—)などの有機酸ァ-オンが挙げられる。これらのァ-オンのうち、無機ァ-
オンが好ましい。
このようなビス四級アンモニゥム塩ィ匕合物は、以下に示す具体的な化合物に準じて 公知の方法により製造することができ、その具体例としては、例えば、 N, N'—へキサ メチレンビス(4一力ルバモイルー 1—デシルピリジ -ゥムブロマイド)(ダイマー 38、ィヌ イネ土製)、 N, Nしへキサメチレンビス(4-力ルバモイルー 1-デシルピリジ-ゥムァセ テート)(ダイマー 38A、ィヌィ社製)、 4, 4' (テトラメチレンジカルボ-ルジァミノ)ビ ス(1 デシルピリジ -ゥムブロマイド)(ダイマー 136、ィヌィ社製)、 4, 4,一 (テトラメチ レンジカルボ-ルジァミノ)ビス(1 デシルピリジ -ゥムアセテート)(ダイマー 136A、 ィヌィ社製)、 1, 4ーテトラメチレンビス(4一力ルバモイルー 1—へキサデシルピリジ-ゥ ムブロマイド)、 1, 6—へキサメチレンビス(3—力ルバモイルー 1—ドデシルピリジ -ゥム ブロマイド)、 1, 6 オタタメチレンビス(3—力ルバモイルー 1ーテトラデシルピリジ -ゥム ブロマイド)、 3, 3,一( 1 , 3—トリメチレンジカルボ-ルジァミノ)ビス ( 1—ドデシルピリジ -ゥムブロマイド)、 4, 4,(p—キシリルジチォ)ビス(1一才クチルピリジ -ゥムアイオダ イド)、 3, 3,— (m—キシリルジチォ)ビス( 1ーテトラデシルピリジ -ゥムブロマイド)、 N, N, - (p—フエ-レン)ビス(4一力ルバモイルー 1一才クチルピリジ -ゥムブロマイド)、 N, N, - (m フエ-レン)ビス(3—力ルバモイルー 1—ドデシルピリジ -ゥムブロマイド)、 4, 4, - (p—フタルアミド)ビス ( 1ーォクチルピリジ -ゥムブロマイド)、 3, 3,一 (m フタルァ ミド)ビス( 1一才クタデシルピリジ-ゥムドデシルピリジ -ゥムブロマイド)、 4, 4,一( 1 , 8 オタタメチレンジォキシ)ビス ( 1—ドデシルピリジ -ゥムブロマイド)、 3, 3,—( 1 , 6— へキサメチレンジォキシ)ビス( 1一へキサドデシルピリジ -ゥムブロマイド)、 4, 4,一( 1 , 6—へキサメチレンジォキシジカルボ-ル)ビス( 1一才クチルピリジ -ゥムブロマイド) 、 3, 3,一( 1 , 6—テトラメチレンジォキシジカルボ-ル)ビス( 1—ドデシルピリジ -ゥム ブロマイド)、 4, 4 '一( 1 , 4ーテトラメチレンジカルボ-ルジォキシ)ビス( 1一才クチルビ リジ -ゥムブロマイド)、 3, 3,一 (p フタロイルジォキシ)ビス( 1 デシルピリジ-ゥムク 口ライド)、 4, 4 '一( 1 , 8 オタタメチレンジカルボ-ルジチォキシ)ビス ( 1ーォクタデシ ルピリジ -ゥムブロマイド)、 3, 3,一 (m フタロイルジチォキシ)ビス ( 1—デシルピリジ -ゥムアイオダイド)などが挙げられる。これらの化合物のうち、ダイマー 38、ダイマー 38A、ダイマー 136、ダイマー 136Aなどが好ましく用いられる。
[0052] 上記式 (I)の化合物の詳細については、特開 2003— 252708号公報を参照できる
[0053] これらの抗微生物作用を有する化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使 用できる。これらの抗微生物作用を有する化合物のうち、式 (I)の化合物が好ましぐ 特に、式 (I)の化合物とその他の化合物とを組み合わせると、優れた抗微生物活性( 抗菌、防腐、または防カビ効果)を発揮する。
[0054] 7, 8—ジヒドロ力ワインの含有量は、抗微生物剤の剤形や適用方法に応じて適宜選 択することができ、特に制限されない。例えば、 7, 8-ジヒドロ力ワインの濃度は、抗微 生物剤中、例えば、 0. 01— 80重量%、好ましくは 0. 05— 50重量%、さらに好まし くは 0. 1— 30重量%程度であってもよい。なお、エアゾール剤の場合、容器に充填 される充填物中の 7, 8—ジヒドロ力ワインの濃度は、例えば 0. 01— 50重量%、好まし くは 0. 05— 20重量0 /0、さらに好ましくは 0. 1— 10重量0 /0程度であってもよい。
[0055] 本発明の抗微生物剤は、細菌類や酵母類だけでなぐ特定の力ビ類を有効に防除 又は予防できる。細菌類としては、例えば、バシラス ·サチリス(Bacillus subtilis ;枯草 菌)などのバシラス (Bacillus)属に属する細菌類、ェシエリキア.コリ(Escherichia coli ; 大腸菌)などのェシエリキア (Escherichia)属に属する細菌類、シユードモナス'ァエル =Τノーザ (Pseudomonas aeruginosa;緑fe Jなどのシユードモナス (Pseudomonas)属 に属する細菌類などが例示できる。
[0056] 酵母類としては、例えば、サッカロミセス'セレビシァ(Saccharomyces cerevisiae ;パ ン酵母)などのサッカロミセス (Saccharomyces)属に属する酵母類、ロードトルラ 'ルブ ラ(Rhodotorula rubra)などのロードトルラ (Rhodotorula)属に属する酵母類などが例示 できる。
[0057] カビ類としては、例えば、アルテルナリア'エスピー(Alternaria sp.)などのアルテル ナリア (Alternaria)属に属するカビ類、クラドスポリゥム'クラドスポリオイデス
(Cladosporium cladosporioides)などのクラドスポリゥム (Cladosporium)属に属するカビ 類、フザリウム'エスピー(Fusarium sp.)などのフザリウム(Fusarium)属に属するカビ 類、及びユーロチウム 'トノフィルム (Eurotium tonophilum)などのユーロチウム( Eurotium)属に属する種のカビ類などが例示できる。
[0058] これらの微生物は、住居内を美観的に汚染するだけでなぐ胞子などを含む菌体は 、病原菌として、又はアレルギー性気管支炎や喘息の原因物質として、人体などに 悪影響をおよぼすこともある。
[0059] さらに、これらの微生物は、生物由来物質 (例えば、綿、麻などの植物由来物質、 羊毛、皮革などの動物由来物質)だけでなぐさまざまな物質に対して生育又は繁殖 可能である。このような物質としては、例えば、塗料や接着剤、プラスチック部材など の榭脂類;天然ゴム、合成ゴムなどのゴム類;合成繊維やその布類 (織布、不織布な ど);鉄類、アルミニウム類、ステンレス類などの金属類;コンクリート類、陶器類、ガラ ス類などのセラミックス類などが挙げられる。なお、微生物は、これらの物質そのもの を栄養源として生育してもよぐこれらの物質への付着栄養物 (例えば、食品類、人間 や動物などの排泄物などの生物由来物)を栄養源として生育することができる。
[0060] 例えば、具体的には、綿や麻には、シユードモナス (Pseudomonas)属などの細菌類 、クラドスポリゥム (Cladosporium)属ゃフザリウム(Fusarium)属などのカビ類が繁殖し やすい。羊毛には、バシラス (Bacillus)属などの細菌類、アルテルナリア (Alternaria)属 ゃフザリウム(Fusarium)属などのカビ類が繁殖しやすい。皮革には、バシラス
(Bacillus)属などの細菌類、ユーロチウム(Eurotium)属などのカビ類が繁殖しやす!/、
[0061] また、塗料や接着剤、プラスチック部材などの榭脂類には、クラドスポリゥム
(Cladosporium)属、ァノレテノレナリア (Alternaria)属ゃユーロチウム(Eurotium)属などの カビ類が繁殖しやすい。ゴム類には、アルテルナリア (Alternaria)属などのカビ類が繁 殖しゃすい。合成繊維には、クラドスポリゥム (Cladosporium)属、アルテルナリア
(Alternaria)属、ユーロチウム(Eurotium)属などのカビ類が繁殖しやすい。アルミ-ゥ ム類には、シユードモナス (Pseudomonas)属などの細菌類や、クラドスポリゥム
(Cladosporium)属などのカビ類が繁殖しやすい。コンクリート類には、ロードトルラ (Rhodotorula)属などの酵母類やクラドスポリゥム (Cladosporium)属、アルテルナリア (Alternaria)属などのカビ類が繁殖しやすい。ガラス類には、ユーロチウム(Eurotium) 属などのカビ類が繁殖しやす!/、。
[0062] さらにまた、これらの材質への付着栄養物には、バシラス (Bacillus)属、ェシエリキア
(Escherichia)属、シユードモナス (Pseudomonas)属などの細菌類;サッカロミセス
(Saccharomyces)属、ロードトルラ (Rhodotorula)属などの酵母類;及びアルテルナリア (Alternaria)属、クラドスポリゥム (Cladosporium)属、フザリウム (Fusarium)属、ユーロチ ゥム(Eurotium)属などのカビ類が繁殖しやす!/、。
[0063] 本発明では、上記の各種物質に生育又は繁殖する微生物を適切に防除又は予防 できるため、住居内の微生物による汚染を有効に防止できるだけでなぐ微生物の生 育又は繁殖に由来して生じるさまざまな疾病をも有効に防止できる。さらには、前記 榭脂などの物質の劣化、脆化や、このような物質を構成部品 (又は部材)とする各種 製品 (例えば、電気製品など)などの劣化を有効に防止できる。
[0064] [抗微生物剤を用いた微生物の防除又は予防方法]
本発明の微生物の防除又は予防方法では、前記抗微生物剤を、微生物が生育又 は繁殖可能な被処理物 (又は被処理部)に適用して、微生物を有効に防除又は予防 することができる。また、本発明の抗微生物剤は、家庭用途及び工業用途のいずれ に対しても、有用に適用できる。
[0065] 被処理物(又は被処理部)は、微生物の生育又は繁殖可能箇所 (又は、微生物の 増殖可能箇所)である限り、特に制限されないが、通常、微生物の生育又は繁殖域( 又は生育又は繁殖部)であることが多い。また、前記抗微生物剤を、皮膚 (例えば、 手足の皮膚)などに適用してもよい。
[0066] 例えば、被処理部は、微生物の種類に応じ、乾燥状態であっても、湿潤状態であつ てもよい。例えば、被処理部としては、(i)非湿潤環境下 (又は乾燥環境下)に存在す る物品、部位又は部材、 GO湿潤環境下に晒される物品、部位又は部材、又は (m)水 分と接触可能な物品、部位又は部材などが挙げられる。
[0067] なお、湿潤環境とは、例えば、 70— 100%RH、好ましくは 80— 100%RH、さらに 好ましくは 90— 100%RH、特に好ましくは 95— 100%RH程度などの高湿度に晒さ れる環境であればよい。また、被処理部が湿潤環境下に晒される頻度 (又は程度)、 又は水分と接触する頻度 (又は程度)は、恒常的又は定期的である必要はなぐ断続 的又は不規則であってもよい。さらに、水分との接触は、水の使用による接触だけで なぐ結露又は水滴との接触も含まれる。
[0068] 具体的には、 (i)非湿潤環境下 (又は乾燥環境下)に存在する物品、部位又は部材 としては、食品類、紙類 (書籍など)、布類 [カーテン、カバー類 (ソファーカバー、テ 一ブルクロスなど)、巾類又はタオル類など]、敷物類 (カーペット類、マット類など)、 服飾類、靴類、寝具類、内装材 [壁紙 (榭脂製品も含む)、フローリング、パネル、畳、 ノ ッキン、フィルタなど]、外装材 [土木材、建材 (壁材、床材、天井材、 目地、タイル 類、窓、サッシ、換気扇、ダ外など)、配管類など]、家具類 (タンス類、棚類、テープ ル類、イス類、くず入れなど)、各種機器 [電子機器、電気器具、精密機器 (カメラ、望 遠鏡、双眼鏡など)など]、各種運輸体 (車両、航空機、船舶、ロケットなど)又はその 構成部材、工芸品、土壌、植物などが例示できる。
[0069] GO湿潤環境下に晒される物品、部位又は部材としては、上記 (i)の物品、部位又は 部材のうち、湿潤環境下に晒されるものに加え、水回り部材 (例えば、蛇口、シンク( 又は流し台)、浴槽、便器、洗面台、排水孔部材など)、各種水回り用品 [例えば、浴 室用品(例えば、洗面器、風呂のふた、シャワーカーテン、バスラック、ソープディッシ ュ、ソープボトル、シャンプー又はコンディショナーディスペンサー、たわし、風呂用玩 具、排水孔パッキン、ゴミ用フィルタなど);台所用品(三角コーナー、スポンジ、水切 りバット、まな板、箸、ふきん類、洗い桶、排水孔パッキン、ゴミ用フィルタなど);食器 類 (陶器類、ガラス類など);洗面所用品 (歯ブラシ、コップ、コップ立て、ソープデイツ シュ、ソープボトルなど);便所用品(ぺーパ—ホルダー、トイレタリー(マット、スリッパ、 便座カバーなど)、補助便座、おまる、ステップ台、トイレブラシ、ブラシケース、サ-タ リーケース、ソープディッシュ、ソープボトルなど)など]などが例示できる。
[0070] (m)水分と接触可能な部位又は部材としては、水分と接触可能である限り特に制限 されず、例えば、各種家庭用又は工業用機器が挙げられ、例えば、エアコン又は空 調システム (フィルタ一部など)、電気歯ブラシ (ブラシ部、ブラシ差し替え部など)、冷 蔵庫 (冷蔵室、野菜室、冷凍室など);洗濯機 (特に全自動洗濯機)の内蓋部又はそ の周辺、脱水槽もしくは洗濯槽内部又はその裏側など)、加湿器 (タンク部など)など が例示できる。
[0071] 抗微生物剤の適用方法としては、被処理物(又は被処理部)に適用できる限り特に 制限されず、種々の態様が挙げられる。例えば、抗微生物剤は、被処理物 (又は被
処理部)に対して、浸漬、塗布、噴霧、散布、注入、混和などの方法により適用しても よい。さらに、抗微生物剤は、合成樹脂シート、水溶性フィルム、紙、布などのシート 状基材に、塗布、含浸、混練などにより保持させてシート剤を調製し、このシート剤を 前記被処理物(又は被処理部)などに載置したり貼付することによって適用してもよい 。これらの態様のうち、被処理物(又は被処理部)に対して効率よく適用するためには 、抗微生物剤を、浸漬、塗布、噴霧などするのが好ましい。例えば、抗微生物剤は、 液剤を直接又は適宜希釈して浸漬することにより、適用してもよぐ液剤又は半固形 剤を塗布することにより適用してもよい。さらに、液剤を霧状又は泡状に噴霧すること により適用してもよい。
[0072] 抗微生物剤の被処理物(又は被処理部)に対する適用量は、被処理物(又は被処 理部)の表面積 lm2に対して、例えば 1一 500g、好ましくは 2— 250g、さらに好ましく は 3— 200g程度であってもよい。また、 7, 8—ジヒドロ力ワインの被処理物(又は被処 理部)に対する適用量は、被処理物(又は被処理部)での濃度として、例えば 30— 3 0000 μ g/m 好ましくは 50— 15000 g/ml、さらに好ましくは 80— 10000 g Zml程度であってもよい。
産業上の利用可能性
[0073] 本発明の抗微生物剤は、人畜に対して安全性が高ぐ環境に対して悪影響がない にもかかわらず、高い防除性を有するため、微生物の生息又は繁殖物や領域 (例え ば、天然製品、化学製品、セラミックス製品、金属製品、食品、化粧品、生理活性製 品や、これらの製品の構成部材ゃ構成要素など)などに対する抗微生物剤として使 用できる。また、各種気密性の高い建築物(例えば、集合住宅などの住宅、店舗、ェ 場、倉庫、病院など)や各種運輸体 (例えば、車両、船舶、航空機など)において、除 菌剤、殺菌剤などとして好適である。
実施例
[0074] 以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実 施例によって限定されるものではない。
[0075] 実施例 1一 9
なお、実施例で用いた試験菌を以下に示す。
[0076] Ba:バシラス ·サチリス(Bacillus subtilis)
Es :ェシエリキア'コリ(Escherichia coli)
Ps:ンユートモナス ·ノ'エルキノーザ (Pseudomonas aeruginosa)
Rh:ロードトノレラ 'ノレブラ (Rhodotorula rubra )
Sa:サッカロミセス ·セレビシァ (Saccharomyces cerevisiae)
A1:アルテルナリア'エスピー(Alternaria sp.)
CI:クラドスポリゥム ·クラドスポリオイデス (Cladosporium cladosporioides)
Fu:フザリウム 'エスピー(Fusarium sp.)
Eu:ユーロチウム ·トノフィルム(Eurotium tonophilum)
所定量の 7, 8—ジヒドロ力ワインを添カ卩したグルコース寒天培地に、ユーロチウム.ト ノフィルム(Eurotium tonophilum)以外の上記の試験菌を植菌し、細菌類については 33°Cで 18時間、カビ類及び酵母類にいては 28°Cで 3日間培養した。また、ユーロチ ゥム 'トノフィルム(Eurotium tonophilum)は、前記グルコース寒天培地に代わり、ポテ トデキストロース(3. 9g)、 NaCl (5g)、グノレコース(10g)を水 100mlで溶解して調整 した寒天培地を用いて、 28°Cで 3曰間培養した。所定量の倍数希釈法により、最小 発育阻止濃度 [MIC ( μ g/ml) ]を求めた。結果を表 1に示す。
[0077] [表 1] 表 1
表 1から明らかなように、実施例では、顕著に微生物の生育が阻害された。
[0078] 実施例 10 18
カヮ茎 100gを 800mlのアセトンで 60°Cで還流下、抽出した。この抽出液を減圧下
に濃縮乾固して、エキスを得た。 HPLCで測定した結果、このエキス中の 7, 8—ジヒド ロカワインの濃度は、 19. 2重量0 /。であった。このエキスを所定量添カ卩したグルコース 寒天培地に、上記の試験菌を植菌し、細菌類については 33°Cで 18時間、力ビ類及 び酵母類については 28°Cで 3日間培養した。倍数希釈法により、最小発育阻止濃 度 [MIC ( μ g/ml) ]を求めた。結果を表 2に示す。
[0079] [表 2] 表 2
表 2から明らかなように、実施例では、顕著に微生物の生育が阻害された。
[0080] 製剤例 1
エタノール 97重量部に 7, 8—ジヒドロ力ワイン 3重量部を溶解し、液剤を調製した。
[0081] 製剤例 2
7, 8—ジヒドロ力ワイン 2重量部と、ワセリン 5重量部と、ナロアクティー N100 (三洋化 成工業 (株)製) 5重量部と、プロピレングリコール 10重量部と、エタノール 11重量部 と、増粘剤 (カルボキシビ二ルポリマーの 1%水溶液) 20重量部と、水 37重量部とを 混合し、乳剤を調製した。
[0082] 製剤例 3
ォスモリン DA-50 (カチオン界面活性剤型抗菌剤、三洋化成工業 (株)製) 15重量 部と、 7, 8—ジヒドロ力ワイン 1重量部と、プロピレングリコール 10重量部と、エタノール 50重量部と、水 24重量部とを混合し、噴霧可能な液剤を調製した。
[0083] 製剤例 4
エタノール 96. 0重量部と、 7, 8—ジヒドロ力ワイン 3. 0重量部と、ヒノキチオール 0.
5重量部と、ノ ベン 0. 5重量部とを混合し、噴霧可能な液剤を調製した。
[0084] 製剤例 5
脂肪酸石鹼 (粉末) 98重量部と、 7, 8 -ジヒドロ力ワイン 2重量部とを混合し、圧縮固 化して固形剤(固形石鹼)を調製した。
[0085] 実施例 19
家庭で使用しているプラスチック製まな板を 3枚集め、まな板を水で洗浄後、 3分画 した。濡れたままの状態で、第 1の試験体は製剤例 1を噴霧し、第 2の試験体はェタノ 一ルを噴霧し、第 3の試験体は何ら処理しな力つた。全ての試験体を室温高湿度雰 囲気下 (相対湿度 90%)に 3日間放置した。フードスタンプで菌を採取し、予めシャ ーレに固めておいた PDA倍地上にスタンプを押した。その結果、 3日後には無処理 では菌が激しく繁殖し、エタノール消毒部分では少し繁殖し、製剤例 1による処理部 分は菌がほぼ生育しない状態となり持続的な抗菌効果が確認できた。
[0086] 実施例 20
タイル (約 10cm角) 4枚、 5mmの隙間(目地)をあけて十字状板の上に乗せ、コー キング剤で固め、試験体を調製した。同様にして合計 3つの試験体を調製した。これ らの試験体に、高湿度下 (相対湿度 95%以上)で、アルテルナリア ·エスピー( Alternana sp.)、クフドスホリウム'クフドスホリオィァス (Claaosporium cladosponoidesノ 及びフザリウム 'エスピー(Fusarium sp.)の 3種混合菌を噴霧し、カビを繁殖させた。 カビが繁殖した第 1の試験体をブラシで水洗いした後、製剤例 1を塗布した。対照とし て、第 2の試験体については、製剤例 1の液剤に代えてエタノールを用いる以外、上 記試験体 1と同様に処理した。第 3の試験体は洗浄だけを行った。また、各試験体を 風乾しエタノールを除去した後、 3種混合菌を噴霧し、カビが発生した条件と同一の 条件下に設置した。そして、 2週間後、製剤例 1で処理した第 1の試験体ではカビの 発生は認められな力つた力 他の 2つの試験体ではカビの発生が認められた。
[0087] また、上記と同様の方法により、試験体を調製し、カビを繁殖させ、カビが繁殖した 試験体を水洗した。得られた試験体 (第 4の試験体)に、製剤例 1の液剤に代えて、 製剤例 4の液剤を噴霧する以外は、上記第 1の試験体と同様に操作を行ったところ、 2週間後にカビの発生は認められな力つた。
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