WO2004105844A1 - 吸入式投薬器 - Google Patents

Abstract

吸入時に薬粉が舌等に付着することを防止し、味覚による不快感を解消すると共に、規定量の薬粉を効率よく投与できるようにする。長尺のマウスピース１６は、口１９にくわえるくわえ部位１６Ｃの長さ寸法Ｌを約８０ｍｍに設定している。従って、くわえ部位１６Ｃを口１９にくわえたときには、その先端を口腔２２の奥まで挿入することができるから、舌２４の甘味感覚部２４Ａ、塩味感覚部２４Ｂ、酸味感覚部２４Ｃ、苦味感覚部２４Ｄを越えた位置で薬粉を流出させることができる。これにより、患者は薬粉の苦味、酸味、甘味等の感覚を感じることなく、快適に薬粉を吸入することができる。また、長尺のマウスピース１６のくわえ部位１６Ｃで舌２４を押さえることにより、舌等に薬粉が付着することを防止できる。

Description

明 細 書

吸入式投薬器

技術分野

本発明は、 例えば、 患者の息の吸込みによって粉体状の薬品 （薬粉） を 肺等に投与するのに用いて好適な吸入式投薬器に関する。

背景技術

一般に、 喘息患者の肺等に薬品を投与する方法と しては、 専用の投薬器 を用い、 薬粉収容室に充填された粉体状の薬品 （以下、 薬粉という） を吸 入する方法が知られている。

また、 吸入式投薬器は、 薬粉を収容する薬粉収容室と、 該薬粉収容室内 の薬粉を吸入するときに口にくわえるマウスピースとを備え、該マウスピ 一ス内は薬粉を流出する吸入口となって先端に開口している。 ここで、 マ ウスピースは、 口にくわえたときにその先端が前歯を越える程度、 即ち、 口にくわえる部分の長さ寸法は、例えば 1 5〜 2 5 m m程度に設定されて いる （例えば、 特開平 7— 3 1 3 5 9 9号公報参照。 ） 。

そして、従来技術による吸入式投薬器を用いて薬粉を吸入する場合には、 薬粉収容室に薬粉を充填し、マウスピースを口にくわえて吸入口から息を 吸込む。 これにより、 薬粉収容室に外気を流入させ、 この空気流によって 薬粉収容室内の薬粉を吸入口側に供給し、吸入口から流出させることによ り肺等に投与する。

ところで、 上述した従来技術による吸入式投薬器では、 マウスピースは 口にくわえたときに前歯を越える程度の長さ寸法（例えば 1 5〜 2 5 m m 程度）に設定されているから、吸入口から流出する薬粉は舌に付着し易い。 このため、 投薬時に薬粉の苦味、 酸味、 甘味等を不快に感じてしまい、 快 適に薬粉を投入することができないという問題がある。

また、吸入口から流出した薬粉が舌、口腔内面等に付着することにより、 薬粉収容室に充填した規定量の薬粉を肺等の患部に投与することができ なくなるという問題がある。 発明の開示

本発明は、 上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、 本発明の目 的は、 吸入した薬粉が舌等に付着するのを防止することにより、 味覚によ る不快感を解消すると共に、規定量の薬粉を効率よく投与することができ るようにした吸入式投薬器を提供することにある。

上述した課題を解決するために請求項 1の発明は、薬粉収容室内の薬粉 を吸入するときに口にくわえるマウスピースは、口にくわえる部分の長さ 寸法を、 3 0〜 8 0 m mの範囲に設定する構成としている。

このように構成したことにより、マウスピースを口にくわえたときには、 その先端を口腔の奥まで挿入することができるから、例えば舌の味覚器を 越えた位置で薬粉を流出させることができる。 これにより、 薬粉を吸入し たときに苦味、 酸味、 甘味等の味覚を感じる.ことなく、 快適に薬粉を吸入 することができる。

また、 マウスピースは、 障害物となる舌を押さえて薬粉を気道に向けて 直接的に流出させることができるから、 舌、 口腔内面等に薬粉が付着する のを防止でき、規定量の薬粉を気管支等の患部まで効率よく投与すること ができる。

マウスピースは、 吸入する薬粉が甘味のある薬粉の場合には、 口にくわ える部分の長さ寸法を、 4 0〜 8 0 m mの範囲に設定することが好ましい。 これにより、 マウスピースは、 甘味を感じる舌の先端側を越えた位置で薬 粉を流出させることができるから、 甘味を感じることなく、 快適に薬粉を 吸入することができる。

また、 マウスピースは、 吸入する薬粉が酸味のある薬粉の場合には、 口 にくわえる部分の長さ寸法を、 5 0〜 8 0 m mの範囲に設定することが好 ましい。 これにより、 マウスピースは、 酸味を感じる舌の側縁部を越えた 位置で薬粉を流出させることができるから、 酸味を感じることなく、 快適 に薬粉を吸入することができる。

さらに、 マウスピースは、 吸入する薬粉が苦味のある薬粉の場合には、 口にくわえる部分の長さ寸法を、 6 0〜 8 0 m mの範囲に設定することが 好ましい。 これにより、 マウスピースは、 苦味を感じる舌の奥部を越えた 位置で薬粉を流出させることができるから、 苦味を感じることなく、 快適 に薬粉を吸入することができる。マウスピースの吸入口が甘味の味覚器近 傍から口腔の奥部までの範囲に配置されるように設定したことにより、甘 味を感じる舌の先端側を越えた位置で薬粉を流出させることができるか ら、 甘味を感じることなく、 快適に薬粉を吸入することができる。

また、マウスピースの吸入口が酸味の味覚器近傍から口腔の奥部までの 範囲に配置されるように設定することにより、酸味を感じる舌の側縁部を 越えた位置で薬粉を流出させることができるから、酸味を感じることなく、 快適に薬粉を吸入することができる。

さらに、マウスピースの吸入口が苦味の味覚器近傍から口腔の奥部まで の範囲に配置されるように設定することにより、苦味を感じる舌の奥部を 越えた位置で薬粉を流出させることができるから、苦味を感じることなく、 快適に薬粉を吸入することができる。

本癸明によれば、 マウスピースを口にくわえたときに、 その先端を口腔 の奥まで揷入することができるため、例えば舌の味覚器を越えた位置で薬 粉を流出させることができる。 これにより、 薬粉を吸入したときに苦味、 酸味、 甘味等の味覚を感じることなく、 快適に薬粉を吸入することができ る。 このマウスピースは、 障害物となる舌を押さえて薬粉を気道に向けて 直接的に流出させることができるため、 舌、 口腔内面等に薬粉が付着する のを防止でき、規定量の薬粉を気管支等の患部まで効率よく投与すること ができる。

また、 本発明では、 マウスピースが、 吸入する薬粉が甘味のある薬粉の 場合に、 口にくわえる部分の長さ寸法を、 4 0〜 8 0 m mの範囲に設定す ることにより、 マウスピースは、 甘味を感じる舌の先端側を越えた位置で 薬粉を流出させることができ、 甘味を感じることなく、 快適に薬粉を吸入 することができる。

さらに、 本発明では、 マウスピースが、 吸入する薬粉が酸味のある薬粉 の場合に、 口にくわえる部分の長さ寸法を、 5 0〜 8 0 m mの範囲に設定 することにより、 マウスピースで、 酸味を感じる舌の側縁部を越えた位置 で薬粉を流出させることができ、 酸味を感じることなく、快適に薬粉を吸 入することができる。

また、 本発明では、 マウスピースが、 吸入する薬粉が苦味のある薬粉の 場合に、 口にくわえる部分の長さ寸法を、 6 0〜 8 O m mの範囲に設定す ることにより、 マウスピースで、 苦味を感じる舌の奥部を越えた位置で薬 粉を流出させることができ、 苦味を感じることなく、 快適に薬粉を吸入す ることができる。

さらに、本発明では、 マウスピースの吸入口が甘味の味覚器近傍から口 腔の奥部までの範囲に配置されるように設定したことにより、甘味を感じ る舌の先端側を越えた位置で薬粉を流出させることができるから、甘味を 感じることなく、 快適に薬粉を吸入することができる。

また、本発明では、 マウスピースの吸入口が酸味の味覚器近傍から口腔 の奥部までの範囲に配置されるように設定したことによ り、酸味を感じる 舌の側縁部を越えた位置で薬粉を流出させることができるから、酸味を感 じることなく、 快適に薬粉を吸入することができる。

さらに、 本発明では、 マウスピースの吸入口が苦味の味覚器近傍から口 腔の奥部までの範囲に配置されるように設定したことにより、苦味を感じ る舌の奥部を越えた位置で薬粉を流出させることができるから、苦味を感 じることなく、 快適に薬粉を吸入することができる。 図面の簡単な説明

図 1は、本発明の実施の形態による長尺マウスピースを取付けた吸入式 投薬器を示す縦断面図である。

図 2は、 カプセルホルダを取外した投薬器本体の右側面図である。

図 3は、 カプセルホルダを拡大して示す拡大縦断面図である。

図 4は、カプセルホルダを図 3中の矢示 IV— IV方向から示す横断面図で ある。

図 5は、長尺マウスピースから空気を吸入している状態の吸入式投薬器 を示す縦断面図である。

図 6は、マウス ピースをくわえる口の構造を示す要部拡大の断面図であ る。

図 7は、 甘味感覚部の位置を示す舌の外観図である。

図 8は、 塩味感覚部の位置を示す舌の外観図である。

図 9は、 酸味感覚部の位置を示す舌の外観図である。

図 1 0は、 苦味感覚部の位置を示す舌の外観図である。 発明を実施するための最良の形態

次に、本発明の実施の形態に係る吸入式投薬器について図面を用いて説 明する。

なお、 本実施の形態では、 マウスピースの吸入口が、 人の舌における、 甘味、 酸味、 苦味を知覚する味覚器の存在領域を外した範囲に配置される ように設定することができ、 甘味、 酸味、 苦味を感じる舌の領域を外れた 位置で薬粉を流出させることができるようにしたことを要旨とするもの である。

以下、 本実施の形態に係る吸入式投薬器の詳細を、 例えば気管支喘息の 患者に薬粉を投与する場合を例に挙げ、図 1ないし図 1 0を用いて説明す る。

図 1に示すように、 本実施の形態に係る吸入式投薬器 3 0は、 この吸入 式投薬器 3 0の基部をなす投薬器本体 1 と、この投薬器本体 1に装着され たマウスピース 1 6 とを備えて大略構成されている。 投薬器本体 1は、 円 筒状のボディ 2 と、 カプセルホルダ 5 と、 力プセル収容室 9等を備えてい る。

ボディ 2は、 略円筒状に形成された筒状体 2 Aと、 この筒状体 2 Aの外 周から突設された穴あけ具ガイ ド 2 Bとから構成されている。この穴あけ 具ガイ ド 2 Bは、 後述する、 円筒状の穴あけ具 1 5の支持部 1 5 Aを、 筒 状体 2 Aの軸方向に直角をなす方向にスライ ド可能 （出没可能） に支持し ている。 筒状体 2 Aの軸方向の一方の端部外周面には、 マウスピース 1 6 が螺着されるねじ部 2 Cが刻設されている。 この筒状体 2 Aの内側は、 ホ ルダ収容部 3 となっている。

このホルダ収容部 3は、力プセルホルダ 5のカプセル保持部 6を出入れ 可能に収容するものである。また、ホルダ収容部 3は、図 2に示すように、 筒状体 2 Aの下側寄りに位置する。 このホルダ収容部 3は、 筒状体 2 Aの 軸方向に伸長した貫通穴と して形成されている。 そして、 このホルダ収容 部 3は、筒状体 2 Aの軸方向に対して直交する断面が、図 2に示すように、 略 T字状の形状となっている。

このホルダ収容部 3内の上面側には、 図 1およぴ図 2に示すように、 力 プセル嵌合溝 4が形成されている。 このカプセル嵌合溝 4は、 後述する力 プセル保持部 6のカプセル嵌合凹部 6 B と共に、薬粉収容室としてのカブ セル収容室 8を形成している。 また、 カプセル嵌合溝 4は、 図 5に示すよ うに、溝内側面でカプセル Kを上側から保持するものであり、 カプセル の外径寸法に応じた断面半円弧状の溝と して形成されている。

カプセルホルダ 5は、 ボディ 2に対して着脱可能に設けられている。 そ して、 このカプセルホルダ 5は、 ボディ 2等と共に投薬器本体 1を構成し ている。また、力プセルホルダ 5は、力プセル保持部 6 と、キャップ 7 と、 チェック弁 9 とから大略構成されている。

力プセル保持部 6は、 力プセルホルダ 5の一部であり、 ホルダ収容部 3 に出入れ可能に設けられている。具体的には、カプセル保持部 6は、図 1、 図 3およぴ図 4に示すように、ホルダ収容部 3内の上側位置で軸方向に延 びて形成された引出し部 6 Aと、引出し部 6 Aの上面側に軸方向に長尺な 断面半円弧状の 溝として形成されたカプセル嵌合凹部 6 Bと、引出し部 6 Aから下側に突出したガイ ド部 6 Cと、引出し部 6 Aの一端部を取囲む 円環状に形成された環状部 6 Dと、この環状部 6 Dの外周面側に刻設され たねじ部 6 Eと、環状部 6 Dを引出し部 6 Aに連結するために放射状に形 成された複数本 （本実施の形態では 4本） の脚部 6 Fと、 脚部 6 F同士の 間にそれぞれ形成された通気路の一部をなす開口 6 Gと、各脚部 6 Fの中 央部分を一側に向け切欠いて形成された凹陥部 6 Hとによ り大略構成さ れている。

キャップ 7は、力プセル保持部 6の環状部 6 D等を覆うようにカプセル 保持部 6に取付けられている。 このキャップ 7は、 図 1およぴ図 3に示す ように、 筒部 7 Aと、 蓋部 7 B とから有蓋筒状に形成され、 筒部 7 Aの内 周側には、力プセル保持部 6のねじ部 6 Eに螺合するねじ部 7 Cが形成さ れている。 また、 蓋部 7 Bの中央には、 例えば円形状の空気取入れ口 7 D が設けられている。 この空気取入れ口 7 Dは、 外部の空気を取入れ、 この 空気をカプセル保持部 6の各開口 6 Gおよび流入側通路 1 2に向け供給 するものである。

図 1およぴ図 5に示すように、 力プセル収容室 8は、 力プセル保持部 6 をホルダ収容部 3内に押込んだときに、カプセル嵌合溝 4 とカプセル嵌合 凹部 6 B と間に形成される薬粉収容室である。 このカプセル収容室 8は、 図 5に示すように、 カプセル Kを収容して保持するものである。

チェック弁 9は、力プセル保持部 6 とキャップ 7 との間に設けられてい る。 このチェック弁 9は、 凹陥部 6 H内に配置された円板体である。 そし て、 チェック弁 9は、 例えば薬粉の吸入時に咳込んだときに、 空気取入れ 口 7 Dを閉塞し、 咳込みにより薬粉の逆流を防止するものである。

このよ うに形成されたカプセルホルダ 5は、キャップ 7の外周側を把持 してカプセル保持部 6を引出すことにより、力プセル保持部 6を引出し位 置に配置することができる。 そして、 この引出し位置では、 引出し部 6 A に形成されたカプセル嵌合凹部 6 Bに薬粉が充填されたカプセル Kを嵌 合させたり、力プセル嵌合 &Π部 6 Bから使用済みのカプセル Kを取出した りすることができる。

また、 カプセル嵌合凹部 6 Bにカプセル Kを嵌合させた状態で、 引出し 部 6 Aをホルダ収容部 3内に押込むことにより、 図 5に示すように、 カブ セル保持部 6を押込み位置に配置し、カプセル Kをカプセル収容室 8で保 持することができる。

図 1に示すように、 カプセル収容室 8には、 一側寄りの位置に形成され た流入側のピン揷入穴 1 0 と、他側寄りに位置してもうけられた流出側の ピン揷入穴 1 1が設けられている。 ピン挿入穴 1 0は、 カプセル収容室 8 を径方向に貫通するようにボディ 2に形成されたボディ側揷入穴 1 0 A と、カプセルホルダ 5に形成されたホルダ側揷入穴 1 0 B とにより構成さ れている。 また、 ピン揷入穴 1 1は、 流入側のピン揷入穴 1 0 と平行に力 プセル収容室 8を貫通したボディ側揷入穴 1 1 Aと。ホルダ側揷入穴 1 1 Bとにより構成されている。

力プセル保持部 6に.は、 力プセル収容室 8に、 力プセルホルダ 5側から 空気を流入する流入側通路 1 2が連通するよ うに形成されている。この流 入側通路 1 2は、流入側のピン揷入穴 1 0に連通したボディ側通路 1 2 A と、ボディ側通路 1 2 Aとは別にホルダ収容部 3 と力プセル保持部 6 との 間に設けられたホルダ側通路 1 2 Bとにより構成されている。 そして、 流 入側通路 1 2は、 カプセル保持部 6の各開口 6 G、 キャップ 7の空気取入 れロ 7 Dを介して大気側に連通可能となっている。

また、 カプセル収容室 8には、 薬粉を含んだ空気を、 後述する吸入口 1 7側に流出する流出側通路 1 3が連通するようになつている。この流出側 通路 1 3は、 流出側のピン揷入穴 1 1に違通したボディ側通路 1 3 Aと、 ボディ側通路 1 3 Aとは別にホルダ収容部 3 と力プセル保持部 6 との間 に設けられたホルダ側通路 1 3 Bとにより構成されている。

図 2に示すよ うに、各通路 1 2 , 1 3に対して 9 0度ずらした位置には、 ボディ 2の筒状体 2 Aを軸方向に貫通するように形成された 2本の補助 通気路 1 4が形成されている。 各補助通気路 1 4は、 息を吸込むときに流 通する空気の流量を増やすことで、 このときの息苦しさを解消している。

穴あけ具 1 5は、上述したようにボディ 2に形成された穴あけ具ガイ ド 2 Bに設けられている。 この穴あけ具. 1 5は、 カプセル収容室 8に収容さ れたカプセル Kに穴あけを施すものである。 また、 穴あけ具 1 5は、 図 1 に示すように、ボディ 2の穴あけ具ガイ ド 2 B内に可動に支持された支持 部 1 5 Aと、 支持部 1 5 Aからピン揷入穴 1 0， 1 1に向けて延びたピン 1 5 B , 1 5 B と、 支持部 1 5 Aと筒状体 2 Aとの間に設けられた戻しば ね 1 5 Cとにより大略構成されている。 なお、 穴あけ具 1 5の基部は、 穴 あけ具ガイ ド 2 Bから抜け出でないような構造に形成されている。

そして、 戻しばね 1 5 Cは、 各ピン 1 5 Bがカプセル Kから離間する方 向に支持部 1 5 Aを付勢している。 この付勢力により、 カプセル Kの穴あ け後に支持部 1 5 A、各ピン 1 5 Bを初期位置まで戻すようになつている。 また、各ピン 1 5 Bの先端部は傾斜面によって鋭利な針先形状をなしてい る。

図 5に示すように、 このよ うに穴あけ具 1 5は、 支持部 1 5 Aを戻しば ね 1 5 Cに抗して穴あけ具ガイ ド 2 B内に押込み、 ピン 1 5 B， 1 5 Bを ピン揷入穴 1 0， 1 1に揷入することにより、 図 5に示すように、 各ピン 1 5 Bの先端をカプセル収容室 8内のカプセル Kに突き刺し、カプセル K に径方向に貫通する 4個の穴 Hをあけるものである。

マウスピース 1 6は、軸方向に延びる長尺の円筒体として形成され、 そ の内部が薬粉を吸入する吸入口 1 7 となっている。 また、 マウスピース 1 6の他端側には鍔部 1 6 Aが設けられている。この鍔部 1 6 Aの他側内周 には、 ボディ 2のねじ部 2 Cに螺合するねじ部 1 6 Bが刻設されている。 さらに、 マウスピース 1 6は、 鍔部 1 6 Aから一側に延びた部分が口にく わえるくわえ部位 1 6 Cとなっている。 このくわえ部位 1 6 Cは、 その周 面が患者がく わえ易いように他側に向けて漸次縮径している。 また、 マウ スピース 1 6の奥部には、薬粉を拡散したり、 力プセル Kの破片等を捕ら えるためのメ ッシュ部材 1 8が設けられている。

[舌における味覚領域の説明]

ここで、マウスピース 1 6を構成するくわえ部位 1 6 Cの長さ寸法 Lを 説明するにあたり、このくわえ部位 1 6 Cを揷入する人の口 1 9の構造に ついて図 6ないし図 1 0に従って説明する。

図 6に示すように、 口 1 9は、 外側に上， 下の唇 2 0を有し、 各唇 2 0 から 2 0 m m程度入った位置には上， 下の前歯 2 1が配置されている。 ま た、 前歯 2 1の内側は口腔 2 2 となって広がり、 該口腔 2 2の最奥部 （唇 2 0から約 8 O mmの位置）は食道、気管へと続く咽頭 2 3 となっている。 さらに、 口腔 2 2内の底部には舌 2 4が存在し、 この舌 2 4は、 口腔 2 2 內に入れた物の味を感じる各種の味覚器領域を備えている。

(甘味感覚領域）

舌 2 4の先端側には、図 7に示すように甘みを感じる甘味感覚部 2 4 A がある。 甘味感覚部 24Aは、 唇 2 0から 4 0 mm程度入った位置まで配 置されている。

(塩味感覚領域）

舌 2 4の先端側から左、 右に離間した位置には、 図 8に示すように塩味 を感じる塩味感覚部 2 4 Bがある。この塩味感覚部 24 Bは唇 2 0から 5 0 mm程度入った位置まで配置されている。

(酸味感覚領域）

舌 2 4の左、右の側縁部には、 図 9に示すように酸味を感じる酸味感覚 部 2 4 Cがある。 この酸味感覚部 2 4 Cは、 唇 2 0から 5 O mm程度入つ た位置まで配置されている。

(苦味感覚領域）

舌 2 4の奥部側には、図 1 0に示すように苦味を感じる苦味感覚部 2 4 Dが舌 2 4を横切るように存在する。この苦味感覚部 24 Dは唇 2 0から 6 0 mm程度入った位置まで配置されている。

以上の味覚器を構成する各感覚部 2 4 〜 240は、ロ腔 2 2内に入れ た食べ物や飲み物が付着することにより、これらの味を感じる重要な働き を有している。 しかし、 各感覚部 2 4 A〜 2 4 Dは、 味を感じる必要のな い薬粉が付着したときにも味を感じてしまうから、患者は薬粉の吸入時に 不快感を感じることがある。

そこで、 本実施の形態では、 マウスピース 1 6は、 そのくわえ部位 1 6 Cの軸方向の長さ寸法 Lを約 8 O m mに設定している。 このように、 くわ え部位 1 6 Cの長さ寸法 Lを 8 0 m mに設定することにより、鍔部 1 6 A が唇 2 0に当接するまでくわえ部位 1 6 Cを口腔 2 2内に深く挿入した ときには、 該くわえ部位 1 6 Cの先端部を、 最も奥部にある苦味感覚部 2 4 Dを越えた位置に開口させることができる。 この結果、 患者は、 吸入口 1 7から流出する薬粉が甘味成分、 塩味成分、 酸味成分、 苦味成分を含む ものであっても、味を感じることなく咽頭 2 3を経由して肺等の患部に薬 粉を投与することができる。

しかも、くわえ部位 1 6 Cの長さ寸法 Lを長尺な 8 O m mに設定するこ とにより、このくわえ部位 1 6 Cで口腔 2 2內で障害物となる舌 2 4を押 さえることができ、薬粉を咽頭 2 3に向けて直接的に流出させることがで さる。

一方、 長尺のマウスピース 1 6を交換し、 くわえ部位の軸方向の長さ寸 法が約 5 O m mとなる中尺のマウスピース （図示せず） を取付けた場合に は、 くわえ部位を甘味感覚部 2 4 A、 塩味感覚部 2 4 B、 酸味感覚部 2 4 Cを越えた位置に開口させることができる。このように中尺のマウスピー スは、 甘味成分、 塩味成分、 酸味成分を含み、 苦味成分を含まないような 薬粉を吸入するときに適している。

さらに、中尺のマウスピースより も短い短尺のマウスピースを取付けた 場合には、そのくわえ部位の軸方向の長さ寸法を約 4 0 m mに設定するこ とにより、甘味成分による甘味を感じることなく薬粉を吸入することがで きる。

次に、本実施の形態による吸入式投薬器 3 0に長尺のマウスピース 1 6 を用いた場合の患者が薬粉を吸入するときの動作について説明する。 まず、 力プセルホルダ 5をホルダ収容部 3から引出し、 力プセル保持部 6のカプセル嵌合凹部 6 Bにカプセル Kを嵌合させる。 この状態で、 力プ セル保持部 6をホルダ収容部 3内に押込み、カプセル収容室 8にカプセル Kをセッ トする。 次に、 穴あけ具 1 5の支持部 1 5 Aを穴あけ具ガイ ド 2 Bに沿って押込むことにより、各ピン 1 5 Bにより力プセル に 4個の穴 Hを形成する。

このようにカプセル収容室 8内のカプセル Kに各穴 Hをあけたら、患者 は長尺のマウスピース 1 6のくわえ部位 1 6 Cを口にくわえて息を吸込 むことにより、咽頭 2 3を経由して肺の気管支等に薬粉を投与することが できる。 このときに、 くわえ部位 1 6 Cは、 軸方向の長さ寸法 Lを 8 0 m mに設定しているから、 患者は吸入口 1 7から流出する薬粉の甘味成分、 塩味成分、 酸味成分、 苦味成分による味を感じることなく薬粉を吸入する ことができる。

かく して、本実施の形態によれば、 薬粉を吸入するときに口 1 9にくわ える長尺のマウスピース 1 6は、口にくわえる部分のくわえ部位 1 & Cの 長さ寸法を約 8 0 m mに設定する構成としているから、くわえ部位 1 6 C をくわえたときには、その先端を口腔 2 2の奥まで揷入することができる。 従って、 舌 2 4に設けられた甘味感覚部 2 4 A、 塩味感覚部 2 4 B、 酸味 感覚部 2 4 C、苦味感覚部 2 4 Dを越えた位置で薬粉を流出させることが できる。 この結果、 患者は、 薬粉を吸入したときに苦味、 酸味、 甘味等の 味覚を感じることなく、 快適に薬粉を吸入することができる。

また、長尺マウスピース 1 6のくわえ部位 1 6 Cを長尺に形成すること により、障害物となる舌 2 4を押さえて薬粉を咽頭 2 3に向けて直接的に 流出させることができるから、 舌 2 4、 口腔 2 2内面等に薬粉が付着する のを防止でき、規定量の薬粉を肺の気管支等に効率よく投与することがで きる。

(その他の実施の形態）

上述した実施の形態の開示の一部をなす論述おょぴ図面はこの発明を 限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々 な代替実施の形態、 実施例および運用技術が明らかとなろう。

例えば、 上述の実施の形態では、 吸入式投薬器を用いて気管支喘息の患 者に薬粉を投与する場合を適用して説明したが、他の場合の薬粉の投与に も適用できることは云うまでもない。

また、 上述した実施の形態では、 長尺のマウスピース 1 6のくわえ部位 1 6 Cの長さ寸法 Lを約 8 O m mに設定し、中尺のマウスピースのくわえ 部位の長さ寸法を約 5 O m mに設定し、さらに短尺のマウスピースのくわ え部位の長さ寸法を約 4 0 m mに設定した場合を例に挙げて説明した力 これに限らず、 例えば、 くわえ部位の長さ寸法は、 薬粉に含まれる甘味、 塩味、 酸味、 苦味等の成分に応じて 3 0〜 8 0 m mの範囲を含む広い範囲 で目的毎に適宜に設定することができるものである。

さらに、 上述した実施の形態では、 力プセル収容室 8内に薬粉が充填さ れたカプセル Kを収容する構成とした。 しかし、 本発明はこれに限らず、 例えば、 投薬器本体に薬粉収容室を設け、 該薬粉収容室に薬粉を直接的に 充填し、 この薬粉を吸入する成分としてもよい。 産業上の利用可能性

本発明は、 マウスピースを口にくわえたときには、 その先端を口腔の奥 まで揷入することができるから、例えば舌の味覚器を越えた位置で薬粉を 流出させることができる。これにより、薬粉を吸入したときに苦味、酸味、 甘味等の味覚を感じることなく、 快適に薬粉を吸入することができる。

また、 マウスピースは、 障害物となる舌を押さえて薬粉を気道に向けて 直接的に流出させることができるから、 舌、 口腔内面等に薬粉が付着する のを防止でき、規定量の薬粉を気管支等の患部まで効率よく投与すること ができる。 マウスピースは、 吸入する薬粉が甘味のある薬粉の場合には、 口にくわ える部分の長さ寸法を、 4 0〜 8 0 m mの範囲に設定することにより、 マ ウスピースは、甘味を感じる舌の先端側を越えた位置で薬粉を流出させる ことができるから、 甘味を感じることなく、 快適に薬粉を吸入することが できる。

また、 マウスピースは、 吸入する薬粉が酸味のある薬粉の場合には、 口 にくわえる部分の長さ寸法を、 5 0〜 8 0 m mの範囲に設定することによ り、 マウスピースは、 酸味を感じる舌の側縁部を越えた位置で薬粉を流出 させることができるから、 酸味を感じることなく、 快適に薬粉を吸入する ことができる。

さらに、 マウスピースは、 吸入する薬粉が苦味のある薬粉の場合には、 口にくわえる部分の長さ寸法を、 6 0〜 8 0 m mの範囲に設定することに より、 マウスピースは、 苦味を感じる舌の奥部を越えた位置で薬粉を流出 させることができるから、 苦味を感じることなく、 快適に薬粉を吸入する ことができる。マウスピースの吸入口が甘味の味覚器近傍から口腔の奥部 までの範囲に配置されるように設定したことにより、甘味を感じる舌の先 端側を越えた位置で薬粉を流出させることができるから、甘味を感じるこ となく、 快適に薬粉を吸入することができる。

また、マウスピースの吸入口が酸味の味覚器近傍から口腔の奥部までの 範囲に配置されるように設定することにより、酸味を感じる舌の側縁部を 越えた位置で薬粉を流出させることができるから、酸味を感じることなく、 快適に薬粉を吸入することができる。

さらに、マウスピ スの吸入口が苦味の味覚器近傍から口腔の奥部まで の範囲に配置されるように設定することにより、苦味を感じる舌の奥部を 越えた位置で薬粉を流出させることができるから、苦味を感じることなく、 快適に薬粉を吸入することができる。

Claims

請求の範囲

1 . 内部に薬粉を収容する薬粉収容室と、 該薬粉収容室内の薬粉を吸入 するときに口にくわえるマウスピースとを備えてなる吸入式投薬器にお いて、

前記マウスピースは口にくわえる部分の長さ寸法を、 3 0〜 8 O m mの 範囲に設定する構成としたことを特徴とする吸入式投薬器。

2 . 前記マウスピースは、 吸入する薬粉が甘味のある薬粉の場合には、 口にくわえる部分の長さ寸法を、 4 0〜 8 O m mの範囲に設定してなる請 求項 1に記載の吸入式投薬器。

3 . 前記マウスピースは、 吸入する薬粉が酸味のある薬粉の場合には、 口にくわえる部分の長さ寸法を、 5 0 ~ 8 O m mの範囲に設定してなる請 求項 1に記載の吸入式投薬器。

4 . 前記マウスピースは、 吸入する薬粉が苦味のある薬粉の場合には、 口にくわえる部分の長さ寸法を、 6 0〜 8 O m mの範囲に設定してなる請 求項 1に記載の吸入式投薬器。

5 . 内部に薬粉を収容する薬粉収容室と、 該薬粉収容室内の薬粉を吸入 するときに口にくわえるマウス ピース とを備えてなる吸入式投薬器にお いて、

前記マゥスピースを口にくわえたときに、該マゥス ピースの吸入口が甘 味の味覚器近傍から口腔の奥部までの範囲に配置されるよ うに設定した ことを特徴とする吸入式投薬器。

6 . 内部に薬粉を収容する薬粉収容室と、 該薬粉収容室内の薬粉を吸入 するときに口にくわえるマウスピース とを備えてなる吸入式投薬器にお いて、

前記マウスピースを口にくわえたときに、該マウスピースの吸入口が酸 味の味覚器近傍から口腔の奥部までの範囲に配置されるよ うに設定した ことを特徴とする吸入式投薬器。

7 . 内部に薬粉を収容する薬粉収容室と、該薬粉収容室内の薬粉を吸入 するときに口にくわえるマウスピース とを備えてなる吸入式投薬器にお いて、

前記マウスピースを口にくわえたときに、該マウスピースの吸入口が苦 味の味覚器近傍から口腔の奥部までの範囲に配置されるように設定した ことを特徴とする吸入式投薬器。

8 . ボディ と、 該ボディ内部に薬粉を収容する薬粉収容室と、 該薬粉収 容室内の薬粉を吸入するときに口にくわえるマウスピースとを備えてな る吸入式投薬器において、

前記ボディに長さの異なる前記マゥスピースを着脱できるように設定したことを特 徴とする吸入式投薬器。