明 細 書 硬化性組成物とその硬化物、 並びにそれに用いるポリイミ ド樹脂 技術分野
本発明は、 半導体素子の表面コート膜 (いわゆるパッシベーシヨン膜) や プリント配線基板、 及び多層プリント配線板の層間絶縁材料などに好適に用 いることができる硬化性組成物 (熱硬化性組成物、 光硬化性組成物及び光硬 化性 ·熱硬化性組成物) 及びその硬化物、 並びにそれに用いるポリイミ ド樹 脂 (多分岐ポリイミ ド樹脂及び感光性ポリイミ ド樹脂、 特にアル力リ可溶性 の感光性ポリイミ ド樹脂) に関する。 背景技術
一般に、 ポリイミ ド樹脂や感光性ポリイミ ド樹脂は有機溶剤に対する溶解 性が低いためワニス状にして塗布することが難しい。 そのため、 ポリイミ ド の前駆体であるポリアミック酸を含有する組成物を塗布し、 加熱によりィ ミ ド化を行なう手法が広く用いられている。 また、 感光性ポリイミ ド樹脂の場 合、 ポリイミ ドの前駆体であるポリアミック酸に感光性基を導入した樹脂を 含有する組成物を塗布し、 乾燥皮膜に対して適当なフォトマスクを介した活 性エネルギー線を照射して露光部を光硬化し、 未露光部を現像液にて除去す る手法が一般的である (例えば、 特開平 2 - 5 0 1 6 1 , 特開平 4— 2 5 2 2 2 7など) 。
しかしながら、 ポリアミック酸やポリアミヅク酸に感光性基を導入した樹 脂のイミ ド化には 2 0 0 °C以上の高温を必要とし、 基板部品等に対して熱に よるダメージを与えるため、 かかる手法により製造されるポリイミ ド樹脂や 感光性ポリイミ ド樹脂の適用範囲は制限されていた。 これに対し、 溶剤可溶 型のポリィミ ド樹脂が種々報告されているが (例えば、 特閧平 9 - 1 0 0 3 5 0など)、 このようなポリイミ ド樹脂は耐溶剤性の点で問題があると共に、
パターン形成時の現像液が有機溶剤であるため、 作業環境や安全衛生面で好 ましいものではない。
一方、 多分岐構造の高分子であるデンドリティ ヅク高分子は、 構成単位の 化学構造や分岐の状態などから、 分子量のわりに粘度が小さく、 多くの末端 を有するため機能化し易いといった特徴をもっている。 また、 従来の線状を 基本とする高分子とは根本的に異なる構造の高分子であるため、 線状高分子 にはない優れた特性を引き出せる期待があり、 近年、 高分子産業において注 目を集めている。
このデンドリティック高分子は、 その構造から、 下記式 ( 1 ).で表わされ るデンドリマーと、 下記式 ( 2 ) で表わされるハイパーブランチポリマ一の 2種類がある。
デンドリマ一は、 前記式 ( 1 ) で示されるように、 明確な構造と単一の分 子量を有しており、 化学構造は同じでも、 種々の分子量をもつ化合物の混合 物である高分子とは異なるものである。 また、 最外核部が分子量の増加と共 に密になってくるのがデンドリマーの特徴である。
デン ド リマ一の合成法には、 Divergent法と Convergent法がある。 Divergent法は、 中心にある核分子から外側に向かってビルディングブ口ヅ クの保護一脱保護を行ない反応させる方法である。 一方、 Convergent法は、 デンドリマーのサブュニッ トであるデンドロンを外側から合成し、 最後に核 分子とカップリング反応を行なう方法である。
一方、 ハイパーブランチポリマーは、 基本的に A B 2型モノマーの自己縮 合により合成され、 デンドリマ一と比較すれば、 はるかに容易に合成するこ とができ、 構造の規制、 分子量分布についてはデンドリマ一ほど精密ではな いため、 分子量や分岐度の異なる化合物の混合物であり、 いわゆる高分子と して取り扱うことができる。
前記のように、 デンドリマーの合成は煩雑であるため、 大量合成を考える と実用的でない。 それに対して、 ハイパープランチポリマーは、 モノマ一の 分子設計により、 比較的簡単に合成できるという利点があり、 工業的生産に おいては有利である。
このような点に着目して、 特開 2 0 0 2— 8 0 5 9 7には、 1分子中に 2 個のアミノ基と 2個のカルボキシル基もしくエステル基を有するモノマ一を 自己縮合させ、 必要に応じてィミ ド化させて多分岐ポリイミ ド樹脂を製造す る方法が開示されているが、 製造に多段階の工程が必要であり、 簡単に製造 することができないという問題がある。 また、 モノマー自体が自己縮合性を 有するため、 保存安定性が悪く、 モノマーの保管中にゲル化してしまうとい う問題もある。
前記したように、 ハイパーブランチポリマーは、 モノマーの分子設計によ り、 比較的簡単に合成できるという利点があり、 工業的生産においては有利 であるが、 簡便に製造できる方法は未だ開発されておらず、 ま 、 熱硬化性 や光硬化性、 アル力リ現像性などの機能性基を導入した例は未だ報告されて いないのが現状である。
従って、 本発明の目的は、 熱硬化性及び/又は光硬化性、 あるいはアル力 リ現像性などの機能性基を導入した多分岐ポリイミ ド樹脂を用いた硬化性組
成物 (熱硬化性組成物、 光硬化性組成物又は光硬化性 ·熱硬化性組成物) 及 びその硬化物を提供することにある。
本発明の他の目的は、 上記硬化性組成物に好適に用いることができ、 熱硬 化性の官能基を有し、 しかも比較的簡単に製造できる多分岐ポリイミ ド樹脂 を提供することにある。 '
本発明のさらに他の目的は、上記硬化性組成物に好適に用いることができ、 感光性と現像性を有するように機能化され、 しかも比較的簡単に製造できる 感光性ポリイミ ド樹脂を提供することにある。 発明の開示
前記目的を達成するために、 本発明によれば、 多分岐ポリイミ ド樹脂を用 いた硬化性組成物及びその硬化物が提供される。
その第一の態様によれば、 後述するような末端にカルボキシル基を有する 多分岐ポリイミ ド樹脂 (A ) 、 熱硬化性成分 (B ) 、 及び硬化触媒 (C ) を 含有することを特徴とする硬化性組成物が提供され、 さらに、 該硬化性組成 物を加熱により硬化させて得られる硬化物が提供される。 好適な態様におい ては、 上記末端にカルボキシル基を有する多分岐ポリイミ ド樹脂 (A ) は、 1分子中に少なくとも 3個の 1級アミノ基を有するァミン化合物 ( i ) と四 塩基酸無水物 (i i ) との反応により得られ、 末端にカルボキシル基を有する 多分岐ポリイミ ド樹脂 (A— 1 ) である。
第二の態様によれば、 後述するような感光性ポリイミ ド樹脂 (A— 2 ) 及 び Z又はアルカリ可溶性の感光性ポリイミ ド樹脂 (A— 2, ) 、 光重合開始 剤 (D ) 、 及び多官能モノマー (E ) を含有することを特徴とする光硬化性 組成物が提供される。
第三の態様によれば、 後述するような感光性ポリイミ ド樹脂 (A— 2 ) 及 び 又はアルカリ可溶性の感光性ポリイミ ド樹脂 (A— 2 ' ) 、 熱硬化性成 分 (B ) 、 光重合開始剤 (D ) 、 及び多官能モノマ一 (E ) を含有すること を特徴とする光硬化性 ·熱硬化性組成物が提供される。 '
W
さらにまた、 前記のような光硬化性組成物や光硬化性 ·熱硬化性組成物を 活性エネルギー線照射及びノ又は加熱により硬化させて得られ ¾硬化物も提 供される。
本発明の硬化性組成物は、 ポリイミ ドが本来有している優れた特性をその まま発揮でき、 熱硬化及び/又は光硬化させることにより、 密着性、 機械的 強度、 はんだ耐熱性、 耐薬品性、 電気絶縁性、 耐電蝕性などの諸特性に優れ た硬化物が得られる。
さらに本発明によれば、 前記硬化性組成物 (熱硬化性組成物、 光硬化性組 成物又は光硬化性 ·熱硬化性組成物) に好適に用いることができる多分岐ポ リイミ ド樹脂及び感光性ポリイミ ド樹脂も提供される。
その第一の態様によれば、 1分子中に少なくとも 3個の 1級アミノ基を有 するアミン化合物 ( i ) と四塩基酸無水物 (i i) との反応により得られ、 末 端にカルボキシル基を有することを特徴とする多分岐ポリイミ f樹脂 (A— 1 ) が提供される。
上記多分岐ポリイミ ド樹脂は、 少なくとも 3官能アミン化合物と四塩基酸 無水物の反応により比較的簡単に製造することができ、 またこれらをモノマ —成分として用いていることにより、 モノマー自体の保存安定性に優れ、 従 来の自己縮合性モノマーを用いた場合の保管中のゲル化などの問題を生じる こともない。
第二の態様によれば、 末端にカルボキシル基を有する多分岐ポリイミ ド樹 脂 (A ) に対して、 1分子中に少なくとも 1つの不飽和二重結合と上記カル ボキシル基と反応する基を併せ持つ化合物 (b ) を反応させて得られたもの であることを特徴とする感光性ポリイミ ド樹脂 (A— 2 ) が提供される。 こ の感光性ポリィ ミ ド樹脂の製造に用いる前記多分岐ポリィミ ド樹脂(A )は、 末端にカルボキシル基を有するものであればよく、 特定の多分岐ポリイミ ド 樹脂に限定されるものではないが、 前記した 1分子中に少なくとも 3つの 1 級アミノ基を有するァミン化合物 ( i ) と四塩基酸無水物 (ii) との反応に より得られた多分岐ポリイミ ド樹脂 (A— 1 ) が好ましい。
好適な態様においては、 前記感光性ポリイミ ド樹脂 (A— 2 ) のアルコ一 ル性水酸基に対して二塩基酸無水物 ( c ) を反応させ、 カルボキシル基を導 入してなるアルカリ可溶性の感光性ポリイミ ド樹脂 (A— 2 ' ) が提供され る。
本発明の感光性ポリイミ ド樹脂は、 末端にカルボキシル基を有する多分岐 ポリイミ ド樹脂 (A ) に対して、 1分子中に少なくとも 1つの不飽和二重結 合と上記カルボキシル基と反応する基を併せ持つ化合物 (b ) を反応させて 得られたものである点に第一の特徴があり (感光性ポリイ ミ ド樹脂 (A— 2 ) ) 、 また、 得られた感光性ポリイミ ド樹脂のアルコール性水酸基に対し て二塩基酸無水物 ( c ) を反応させ、 カルボキシル基を導入してアルカリ可 溶性にした点に第二の特徴があり (感光性ポリイミ ド樹脂 (A— 2 ' ) ) 、 いずれも比較的簡単に製造でき、 また、用いるモノマーも保存安定性に優れ、 従来の自己縮合性モノマ一のように保管中にゲル化してしまうという問題を 生ずることもない。 図面の簡単な説明
図 1は、 実施例 1で得られた多分岐ポリイ ミ ド樹脂の1 H — N M Rスぺク トルである。
図 2は、 実施例 3で得られた多分岐ポリイミ ド樹脂の I Rスぺク トルであ る。
図 3は、 実施例 5で得られた感光性ポリイ ミ ド樹脂の1 H— N M Rスぺク トルである。
図 4は、 実施例 7で得られた感光性ポリイミ ド樹脂の I Rスペク トルであ る。
図 5は、 実施例 9で得られたアルカリ可溶性の感光性ポリイミ ド樹脂の1 H— N M Rスぺク トルである。
図 6は、 実施例 1 0で得られたアルカリ可溶性の感光性ポリイミ ド樹脂の I Rスぺクトルである。
発明を実施するための最良の形態
本発明の硬化性組成物に好適に用いることができる多分岐ポリイミ ド樹脂
( A - 1 ) は、 従来のポリイミ ド樹脂の製造の際に使用される 2官能アミン に代えて、 1分子中に少なくとも 3個の 1級アミノ基を有するァミン化合物 ( i ) を用い、 これを四塩基酸無水物 (i i) と反応させることによって、 多 段階の工程を経ることなく多分岐ポリイミ ド樹脂を得ることを特徴としてい る。また、モノマ一成分として上記アミン化合物( i )と四塩基酸無水物(ii) を用いることにより、 それぞれ別個に保存することができ、 モノマ一自体の 保存安定性に優れ、 前記したような従来の自己縮合性モノマ一を用いた場合 の保管中のゲル化などの問題を生じることもない。
本発明の多分岐ポリイ ミ ド樹脂の製造に用いられる上記アミン化合物( i ) としては、 1分子中に 3個以上の 1級アミノ基を有する化合物であれば、 い かなるものも使用可能である。 具体的には、 トリス ( 2—アミノエチル) ァ ミン、 トリス ( 2—ァミノプロピル) ァミン、 トリス ( 3 —ァミノプロピル) ァミン、 1, 3, 5 — ト リアミノベンゼン、 1, 3 , 5—シクロへキサント リアミン、 ト リス (4—ァミノフエニル) メタン、 ト リス ( 4ーァミノフエ ニル) ェタン、 1, 1, 1—トリス (4— ( 4 一アミノフエノキシ) フエ二 ル) ェタン、 3 , 5, 3 f 一 ト リアミノジフエニルメタン、 3, 5, 4 e - トリアミノジフェニルメ夕ン、 3 , 5, 4 ' — トリアミノビフエニルなどの 1分子中に 3個の 1級アミノ基を有する 3官能アミンを好適に用いることが できる。
また、 より分岐の度合いを高めることを目的として、 1分子中に 4個のァ ミノ基を有する 4官能ァミンなどを併用することも可能である。
また、 より一層の溶解性を向上させる必要があれば、 2官能アミンを併用 し、 ポリイミ ド共重合体とすることも可能である。 2官能ァミンとしては、 1分子中に 2つの 1級ァミノ基を有する化合物であればいかなるものも使用 可能であるが、 芳香族ジァミン、 脂環式ジァミン等が耐熱性を向上できるこ
とからより好ましい。 具体的には、 4, 4' — (又は 3, 4' —、 3, 3 ' ―、 2, 4' —もしくは 2, 2' —) ジアミノジフェニルェ一テル、 4, 4' 一 (又は 3, 4' —、 3, 3 ' ―、 2, 4' —もしくは 2, 2' -) ジアミ ノジフエニルメタン、 4, 4 ' ― (又は 3, 4' —、 3, 3' —、 2 , 4' —もしくは 2, 2' —) ジアミノジフエニルスルホン、 4, 4 ' 一 (又は 3, 4' 一、 3, 3' ―、 2, 4 ' —もしくは 2 , 2' —) ジアミノジフエ二ル スルフィ ド、 パラフエ二レンジァミン、 メタフエ二レンジァミン、 p —キシ リレンジァミン、 m—キシリレンジァミン、 0— トリジン、 0 — トリジンス ルホン、 4, 4' ーメチレン一ビス一 (2, 6—ジェチルァニリン) 、 4, 4 ' —メチレン一ビス一 ( 2, 6—ジイソプロビルァニリン) 、 2 , 4―ジ アミノメシチレン、 1, 5—ジァミノナフ夕レン、 4, 4 ' —ベンゾフエノ ンジァミン、 ビス一 [4― ( 4 ' 一アミノフエノキシ) フエニル] スルホン、 1, 1, 1, 3, 3, 3—へキサフルオロー 2, 2—ビス (4—ァミノフエ ニル) プロパン、 2 , 2—ビス一 [4一 ( 4 ' 一アミノフエノキシ) フエ二 ル] プロパン、 3, 3' —ジメチル一 4, 4 ' ージァミノジフエニルメ夕ン、 3, 3' , 5, 5 f ーテ トラメチルー 4, 4 ' ージアミノジフエニルメタン、 ビス [4— ( 3 ' 一アミノフエノキシ) フエニル] スルホン、 2, 2—ビス ( 4ーァミノフエニル) プロパン、 1, 3—シクロへキサンジァミン、 1, 4―シクロへキサンジアミン等が挙げられ、 これらは単独で又は 2種類以上 を組み合わせて用いることができる。
本発明の多分岐ポリイ ミ ド樹脂の製造に用いられる四塩基酸無水物 (ii) としては、 例えば、 ピロメ リヅ ト酸二無水物、 3, 3 ' , 4, 4 ' —ベンゾ フエノンテトラカルボン酸二無水物、 ベンゼン一 1 , 2, 3, 4—テトラ力 ルボン酸二無水物、 2, 2' , 3, 3' —ベンゾフエノンテトラカルボン酸 二無水物、 2, 3, 3 ' , 4' —ベンゾフヱノンテトラカルボン酸二無水物、 ナフタレン一 2 , 3, 6 , 7—テトラカルボン酸二無水物、 ナフ夕レン一 1, 2, 5, 6―テトラカルボン酸二無水物、 ナフ夕レン一 1 , 2, 4, 5—テ トラカルボン酸二無水物、 ナフタレン一 1 , 2 , 5, 8—テトラカルボン酸
二無水物、 ナフ夕レン— 1 , 2, 6 , 7—テトラカルボン酸二無水物、 4
8—ジメチルー 1 , 2, 3 , 5 6 7—へキサヒ ドロナフ夕レン一 1 , 2 , 5, 6—テトラカルボン酸二無水物、 4 , 8—ジメチルー 1, 2, 3 , 5 , 6 , 7—へキサヒ ドロナフ夕レン一 2 , 33 6 , 7—テトラカルボン酸二無 水物、 2 , 6—ジクロ口ナフ夕レン一 1 , 4 , 5 , 8—テトラカルボン酸二 無水物、 2 , 7—ジクロロナフタレン一 1 , 4 , 5 , 8—テトラカルボン酸 二無水物、 2 , 3 , 6 , 7—テトラクロ口ナフ夕レン一 1 , 4 , 5 , 8—テ トラカルボン酸二無水物、 1 , 4, 5 , 8—テトラクロ口ナフ夕レン一 2 , 3, 6, 7—テトラカルボン酸二無水物、 3 , 3 ' , 4 , 4 ' ージフエニル テトラカルボン酸二無水物、 2 , 2 ' , 3, 3 ' ージフエニルテトラカルボ ン酸ニ無水物、 2 , 3 , 3 ' , 4' —ジフヱニルテ トラカルボン酸二無水物、 2 , 3" , 4, 4" — p—テルフエニルテ トラカルボン酸二無水物、 2, 2 " , 3 , 3" — p—テルフエニルテ トラカルボン酸二無水物、 2 , 3, 3" , 4" 一 p—テルフエニルテトラカルボン酸二無水物、 2 , 2—ビス ( 2 , 3—ジ カルボキシフエニル) 一プロパン二無水物、 2 , 2—ビス ( 3 , 4—ジカル ボキシフエニル) 一プロパン二無水物、 ビス ( 2, 3—ジカルボキシフエ二 ル) エーテル二無水物、 ビス ( 3 , 4—ジ 'カルボキシフエニル) エーテル二 無水物、 ビス ( 2 , 3—ジカルボキシフエニル) メタン二無水物、 ビス ( 3 , 4ージカルポキシフエニル) メ夕ンニ無水物、 ビス ( 2, 3ージカルポキシ フエニル) スルホン二無水物、 ビス ( 3 , 4—ジカルボキシフエニル) スル ホン二無水物、 1, 1—ビス ( 2 , 3—ジカルボキシフエニル) ェ夕ン二無 水物、 1 , 1一ビス (3 , 4—ジカルボキシフエニル) エタンニ無水物、 ぺ リレン一 2, 3 , 8 , 9—テトラカルボン酸二無水物、 ペリレン一 3 , 4, 9, 1 0—テトラカルボン酸二無水物、 ペリ レン一 4 , 5 , 1 0, 1 1—テ トラカルボン酸二無水物、 ペリレン一 5 , 6, 1 1, 1 2—テトラカルボン 酸二無水物、 フヱナンスレン— 1 , 2 , 7 , 8—テトラカルボン酸二無水物、 フエナンスレン一 1 , 2 , 6 , 7—テトラカルボン酸二無水物、 フエナンス レン一 1, 2, 9, 1 0—テトラカルボン酸二無水物などの芳香族テトラ力
ルボン酸二無水物及びその水素添加物; シクロペンタン一 1, 2, 3, 4一 テトラカルボン酸二無水物、 シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、 ビシ クロ [2. 2. 2 ] ォク夕一 7—ェン一 2—ェキソ, 3—ェキソ, 5—ェキ 、ハ 6—ェキソテトラカルボン酸 2, 3 : 5 , 6—二無水物、 ビシクロ [2. 2. 1 ] ヘプタン一 2—ェキソ, 3—ェキソ, 5—ェキソ, 6—ェキソテト ラカルボン酸 2 , 3 : 5 , 6—二無水物などの脂環式酸無水物; ビラジン一 2, 3, 5, 6—テトラカルボン酸二無水物、 ピロリジン一 2, 3, 4, 5 ーテトラカルボン酸二無水物、 チォフェン一 2 , 3, 4, 5—テトラカルボ ン酸ニ無水物などの複素環誘導体などが挙げられる。 これらは、 それぞれ単 独で、 あるいは 2種類以上を組み合わせて使用することができる。 これらの 中でも、 ピロメリヅ ト酸二無水物、 3, 3 ' , 4, 4 ' 一べンゾフエノンテ トラカルボン酸二無水物、 及びこれらの組み合わせは、 良好な低熱膨張性、 耐クラック性、 解像性などを実現する上で、 特に好ましい。
本発明の多分岐ポリイ ミ ド樹脂は公知の手法により合成可能であるが、 重 合時の塩形成を抑制するために塩化リチウム、 臭化リチウムなどの無機塩を 添加してもよい。 重合時に使用する有機溶媒は、 原料及び生成する多分岐ポ リイミ ド樹脂を溶解するものであればいかなるものも使用可能であるが、 ジ メチルホルムアミ ド、 ジメチルァセ トアミ ド、 N—メチルピロリ ドン、 ジメ チルイミダゾリジノンなどのアミ ド系溶媒を用いることが好ましい。 また、 共沸脱水によりイミ ド化を促進させる目的で、 トルエン、 キシレンなどの溶 媒を添加することも可能である。
前記アミン化合物 (i) と四塩基酸無水物 (ii) との反応比は、 アミン化 合物の 1級ァミノ基のモル数を x、酸無水物の官能基のモル数を yとすると、 官能基比で 0. 3≤x/yく 1の範囲内にあることが望ましく、 好ましくは 0. 5≤x/yく 1の範囲であり、 より好ましくは 0. 7≤x/yく 1の範 囲である。 上記官能基比が 0. 3未満であると、 生成する多分岐ポリイミ ド 樹脂の分子量が著しく低下するため好ましくない。一方、 1. 0を超えると、 未反応の四塩基酸無水物が反応系内に残存するため好ましくない。
反応温度は、 室温から 2 0 0 °Cの範囲内で行なうことが可能であるが、 反 応の進行に伴い生成するアミン塩を溶解し、 かつ脱水閉環によるイミ ド化を 促進するために 1 0 o °c以上の温度で行なうことが望ましい。 より好ましい 反応温度は、 1 2 0 ~ 1 6 0 °Cの範囲内である。 2 0 0 °Cを越えた高温で反 応を行なうと、 ゲル化などの現象が起こり易くなるので好ましくない。
前記反応についてより具体的に説明すると、 例えばトリス ( 2—アミノエ チル) ァミンと 3
3 3 ' , 4 , 4 ' —ベンゾフエノンテトラカルボン酸二無 水物を反応させれば、 以下のような反応式 ( 3 ) に従って多分岐ポリイミ ド 樹脂を比較的簡単に合成することができる。
このような方法により得られる多分岐ポリイミ ド樹脂は、 末端に多数の力 ルポキシル基を有するため、 該カルボキシル基を利用した熱硬化反応が可能 である。 さらに、 得られた多分岐ポリイミ ド樹脂は末端に多数のカルボキシ ル基を有するため、 その後の変性反応を容易に行なうことができ、 不飽和二 重結合を有する重合性基を導入することができる。
重合性基の導入方法としては、前記したような多分岐ポリイミ ド樹脂(A ) の末端カルボキシル基に、 1分子中に少なくとも 1つの不飽和二重結合と力 ルポキシル基と反応する基 (例えば、 エポキシ基、 ォキセ夕ニル基、 イソシ ァネート基、 アミノ基等) を併せ持つ化合物 (b ) を付加反応させる方法が 好適である。
1分子中に少なくとも 1つの不飽和二重結合とカルボキシル基と反応する
基を併せ持つ化合物 (b) としては、 例えば、 1分子中に少なくとも不飽和 二重結合とエポキシ基を併せ持つ化合物を好適に用いることができ、 具体的 にはグリシジル (メタ) ァクリレート類、 下記式 (4) 〜 ( 1 0) で表わさ れる脂環式エポキシ基を有する (メタ) ァクリレート類等が挙げられる。
R 0
H — w一し一
H2C=C - C- 0 - R -。ィ 。 ■(7)
R 0
H2C=C - C一 0— R
O … )
R 0
H2C=C-C-0-R-0- ひ O' ■(9)
R 0
H2C=C-C-0-R- •(10)
ひ 例えば、 前記反応式 ( 3 ) に従って合成された多分岐ポリイミ ド樹脂にグ リシジルメ夕クリレートを反応させれば、 下記反応式 ( 1 1 ) に従って不飽 和二重結合が導入される。 :
(11)
また、 別の重合性基導入方法としては、 ォキセタン (メタ) ァクリレート とカルボン酸との付加反応を利用する方法、 及び、 下記反応式 ( 12) で示 されるようなイソシァネート基含有 (メタ) ァクリレートとカルボン酸との 反応を利用してもよい。
O R O H O R
X-COOH + OCN-CH2-CH2-0-C-C=CH2 X—C - N - CH2-CH2-0 - C一 C=CH2 ..,(12) 次に、 前記アルカリ可溶性の感光性ポリイミ ド樹脂 (A— 2' ) は、 前記 方法で得られた感光性ポリイミ ド樹脂 (A— 2) のアルコール性水酸基に対 して二塩基酸無水物 (c) を反応させ、 カルボキシル基を導入してアルカリ 可溶性にしたものである。
二塩基酸無水物 (c) の具体的な例としては、 無水フ夕ル酸、 無水コハク 酸、 ォクテニル無水フタル酸、 ペン夕ドデセニル無水コハク酸、: 無水マレイ ン酸、 無水テトラヒドロフタル酸、 へキサヒドロ無水フ夕ル酸、 メチルテト ラヒドロ無水フタル酸、 3, 6—エンドメチレンテトラヒドロ無水フ夕ル酸、 メチルェンドメチレンテトラヒドロ無水フ夕ル酸、 テトラブロモ無水フ夕ル 酸、 トリメリッ ト酸などが挙げられる。
二塩基酸無水物 (c) の使用量は、 感光性ポリイミ ド樹脂 (A— 2) 中の 水酸基 1モルに対して、 0. 1〜1. 0モル当量の範囲が好ましい。 二塩基 酸無水物の使用量が 0. 1モル未満の場合は、 カルボキシル基の導入が不充 分となり、 アルカリ現像性が発現しない。 一方、 1. 0モル以上では、 未反 応のニ塩基酸無水物が系内に残存し、 耐熱性などの物性を低下させる恐れが あるので好ましくない。 反応を促進する触媒としては、 四級アンモニゥム塩 類、三級ホスフィン類などの公知慣用のものが使用可能である。反応温度は、 60〜120°Cの範囲が好ましく、 反応時間は添加した二塩基酸無水物が完 全に消費されるまでが望ましく、 おおむね 5〜24時間の範囲である。
前記の方法により得られた多分岐ポリイミ ド樹脂 (A_ 1) に対して、 熱 硬化性成分 (B) 及び硬化触媒もしくは硬化促進剤 (C) を添加することに
より得られる本発明の硬化性組成物は、 熱硬化可能であり、 得られる硬化物 は、 ポリイミ ドが本来有している耐熱性などの特性に優れると共に、 耐溶剤 性等の耐薬品性にも優れている。
また、 前記のようにして得られた感光性ポリイミ ド樹脂 (A— 2 ) 及びノ 又はアルカリ可溶性の感光性ポリイミ ド樹脂 (A— 2 ' ) は、 光重合開始剤 (D) 及び多官能モノマ一 (E) と混合することで光硬化性組成物となり、 さらに、 熱硬化性成分 (B) を添加することで熱硬化性を付与することが可 能となり、 耐熱性の向上が達成できる。
多分岐ポリイ ミ ド樹脂 (A— 1 ) 、 感光性ポリイ ミ ド樹脂 (A— 2) 及び 又はアルカリ可溶性の感光性ポリイミ ド樹脂 (A— 2 ' ) の使用量には制 限が無い。
熱硬化性成分 (B) としては、 カルボキシル基と反応可能な官能基を 1分 子中に 2つ以上有するものであれば、 いかなる化合物も使用可能であるが、 具体的には 1分子中に 2つ以上のエポキシ基及び/又はォキセ夕二ル基を有 する多官能エポキシ化合物(B— 1 )及び/又は多官能ォキセタン化合物(B — 2 ) 等の環状エーテル類が挙げられる。
多官能エポキシ化合物 (B— 1 ) としては、 例えば、 ノボラック型ェポキ シ樹脂 (例えばフエノール、 クレゾ一ル、 ハロゲン化フェノール、 アルキル フエノールなどのフエノール類とホルムアルデヒドとを酸触媒下で反応させ て得られるノボラヅク類に、 ェビクロルヒドリン及び/又はメチルェピクロ ルヒドリンを反応させて得られるものであり、市販品としては日本化薬(株) 製の E O CN— 1 0 3、 E O CN- 1 04 S, E O CN— 1 0 2 0、 E O C N— 1 0 27、 E P PN — 2 0 1、 BREN— S ;ダウ 'ケミカル社製の D EN— 43 1、 D E N— 43 9 ;大日本ィンキ化学工業 (株) 製の N— 7 3 0、 N— 77 0、 N— 8 6 5、 N - 6 6 5、 N— 6 73、 N - 6 9 5、 VH 一 4 1 5 0等) 、 ビスフエノール A型エポキシ樹脂 (例えば、 ビスフエノー ル八、 ビスフエノール F、 ビスフエノール S、 テトラブロムビスフエノール Aなどのビスフエノール類にェピクロルヒ ドリン及び/又はメチルェピクロ
ルヒ ドリンを反応させて得られるものや、 ビスフエノール Aのグリシジルェ 一テルと前記ビスフエノール類の縮合物にェピクロルヒ ドリン及び Z又はメ チルェピクロルヒ ドリンを反応させて得られるもの等であり、 市販品として は、 ジャパンエポキシレジン (株) 製のェピコート 1004、 ェピコート 1 002 ; ダウ ' ケミカル社製の DER— 330、 DER— 337等) 、 ト リ スフエノ一ルメタン型エポキシ樹脂 (例えば、 ト リスフエノ一ルメタン、 ト リスクレゾールメタン等とェピクロルヒ ドリン及び/又はメチルェピクロル ヒ ドリンを反応させて得られるものであり、 市販品としては日本化薬 (株) 製の E PPN— 50 1、 EPPN— 502等) 、 ト リス (2 , 3—エポキシ プロピル) イソシァヌレート、 ビフエニルグリシジルエーテル、 その他脂環 式エポキシ樹脂、 アミノ基含有エポキシ樹脂、 共重合型エポキシ樹脂、 カル ド型エポキシ樹脂、 力リヅクスァレ一ン型エポキシ樹脂など公知慣用のェポ キシ樹脂を単独で又は 2種類以上を組み合わせて用いることができる。
多官能ォキセタン化合物 (B— 2) としては、 多官能フヱノール化合物と ォキセタンク口ライ ドの反応生成物が挙げられる。 例えば、 ビスフヱノール A型、 ビスフエノール F型、 ビスフエノール S型、 ビフエ二ル型、 力ルド型 等の 2官能ォキセタン化合物、 トリスフエノ一ルメタン型、 トリスクレゾ一 ルメ夕ン型などの 3官能ォキセ夕ン化合物、 フエノールノボラック型、 クレ ゾ一ルノボラヅク型、 力リ ヅクスァレーン型などの多官能ォキセタン化合物 などが挙げられる。
さらには、 1分子中に 2つ以上の水酸基と置換反応可能な官能基 (例えば アルキルハラィ ドなど) を有する化合物とォキセタンアルコールとの反応生 成物が挙げられる。 例えば、 キシリレンジォキセタン (キシリレンジブロミ ドとォキセ夕ンアルコールとの反応生成物)、 ビフエ二ルジォキセ夕ン ( 4 , 4 ' 一ビス (クロロメチル) ビフエ二ルとォキセ夕ンアルコールとの反応生 成物) 等が挙げられる。
熱硬化性成分 (B) の使用量は、 多分岐ポリイ ミ ド樹脂 (A— 1) 又は感 光性ポリイ ミ ド樹脂 (A— 2、 A- 25 ) 中のカルボキシル基 1化学当量に
対して、 エポキシ基及び Z又はォキセ夕ニル基の官能基が 0. 1〜4. 0モ ル当量の範囲が好ましく、 0. 5〜2. 5モル当量の範囲がさらに好ましい。 本発明の硬化性組成物に使用する硬化触媒もしくは硬化促進剤 (C) とし ては、 三級ァミン、 三級アミン塩、 四級ォニゥム塩、 三級ホスフィン、 クラ ゥンエーテル錯体、 ホスホニゥムイ リ ドなどが挙げられ、 これらを単独で又 は 2種類以上を組み合わせて用いることができる。
三級ァミンとしては、 トリェチルァミン、 トリブチルァミン、 : D B U ( 1, 8—ジァザビシクロ [5. 4. 0] ゥンデ力一 7—ェン) 、 DBN ( 1 , 5 —ジァザビシクロ [4. 3. 0] ノナ _ 5—ェン) 、 DAB CO ( 1, 4 - ジァザビシクロ [ 2. 2. 2] オクタン) 、 ピリジン、 N, N—ジメチルー 4一アミノビリジンなどが挙げられる。 また、 イミダゾ一ル類もこの範疇に 含まれる。
三級アミン塩としては、 例えば、 サンァプロ (株) 製の U— CATシリ一 ズなどが挙げられる。
四級ォニゥム塩としては、 アンモニゥム塩、 ホスホニゥム塩、 アルソニゥ ム塩、 スチボニゥム塩、 オギソニゥム塩、 スルホニゥム塩、 セレノニゥム塩、 スタンノニゥム塩、 ョードニゥム塩等が挙げられる。 特に好ましいものは、 アンモニゥム塩及びホスホニゥム塩である。 アンモニゥム塩の具体例として は、 テトラ n—プチルアンモニゥムクロライ ド (TBAC).、 テトラ n—ブ チルアンモニゥムブロミ ド (TBAB) 、 テトラ n—プチルアンモニゥムァ ィォダイ ド (TBA I) 等のテトラ n—プチルアンモニゥムハライ ドゃ、 テ トラ n—プチルアンモニゥムァセテ一ト (TBAAc) などが挙げられる。 ホスホニゥム塩の具体例としては、 テトラ n—ブチルホスホニゥムクロライ ド (TBPC) 、 テトラ n—ブチルホスホニゥムブロミ ド (TBPB) 、 テ トラ n—プチルホスホニゥムアイオダィ ド ( T B B I ) 等のテトラ n—プチ ルホスホニゥムハライ ド、 テトラフェニルホスホニゥムク口ライ ド ( T P P C) 、 テトラフェニルホスホニゥムブロミ ド (TPPB) 、 テトラフェニル ホスホニゥムアイオダィ ド ( T P P I ) 等のテトラフェニルホスホニゥムハ
ライ ドゃ、 ェチルトリフエニルホスホニゥムブロミ ド (E T P P B ) 、 ェチ ルト リフエニルホスホニゥムアセテート (E T P P A c )などが挙げられる。 三級ホスフィ ンとしては、 炭素数 1〜 1 2のアルキル基、 又はァリール基 を有する、 三価の有機リン化合物であればよい。 具体例としては、 トリェチ ルホスフィ ン、 トリブチルホスフィ ン、 ト リフエニルホスフィンなどが挙げ られる。
さらに、 三級アミン又は三級ホスフィンと、 カルボン酸あるいは酸性の強 いフエノールとの付加反応により形成される四級ォニゥム塩も反応促進剤と して使用可能である。 これらは、反応系に添加する前に四級塩を形成するか、 もしくはそれそれを別に添加して反応系中で四級塩形成を行なわせるいずれ の方法でもよい。 具体的には、 トリプチルアミンと酢酸より得られる ト リブ チルアミン酢酸塩、 トリフエニルホスフィ ンと酢酸より形成される トリフエ ニルホスフィ ン酢酸塩などが挙げられる。
また、 クラウンエーテル錯体の具体例としては、 1 2—クラウン一 4、 1 5 —クラウン一 5、 1 8 —クラウン一 6、 ジベンゾ 1 8 —クラウン一 6、 2 1—クラウン一 7、 2 4 —クラウン _ 8等のクラウンエーテル類と、 塩化リ チウム、 臭化リチウム、 ヨウ化リチウム、 塩化ナト リウム、 臭化ナトリウム、 ヨウ化ナト リウム、 塩化カリウム、 臭化カリウム、 ヨウ化カリ ムなどのァ ルカリ金属塩との錯体が挙げられる。
ホスホニゥムイ リ ドとしては、 ホスホニゥム塩と塩基との反応により得ら れる化合物であれば公知のものが使用可能であるが、 取扱いの容易さから安 定性の高いものの方が好ましい。具体的な例としては、 (ホルミルメチレン) トリフエニルホスフィン、 (ァセチルメチレン) ト リフエニルホスフィ ン、 (ビバロイルメチレン) トリフエニルホスフィ ン、 (ベンゾィルメチレン) トリフエニルホスフィン、 (p—メ トキシベンゾィルメチレン) ト リフエ二 ルホスフィン、 ( p—メチルベンゾィルメチレン) トリフエニルホスフィン、
( p—二トロべンゾィルメチレン) トリフエニルホスフィン、 (ナフ トイル) トリフエニルホスフィン、 (メ トキシカルボニル) トリフエニルホスフィン、
(ジァセチルメチレン) トリフエニルホスフィン、 (ァセチルシアノ) ト リ フエニルホスフィン、 (ジシァノメチレン) トリフエニルホスフィ ンなどが 挙げられる。
これら硬化触媒もしくは硬化促進剤 (C ) の使用量は、 熱硬化性成分 (B ) の環状エーテル基 1モルに対して約 0 . 1〜 2 5モル%の割合であることが 望ましく、 さらに好ましくは 0 . 5〜2 0モル%の割合であり、 より好まし くは 1〜 1 5モル%の割合である。 硬化触媒の使用量が環状ェ一テル基に対 して 0 . 1モル%よりも少ない割合の場合、 実用的な速度で熱硬化反応が進 行し難く、 一方、 2 5モル%を超えて多量に存在しても顕著な反応促進効果 は見られないため、 経済性の点で好ましくない。
本発明の光硬化性組成物及び光硬化性 ·熱硬化性組成物に用いる光重合開 始剤 (D ) としては、 活性エネルギー線の照射によりラジカルを発生する化 合物であれば、 いかなる物も使用可能である。 具体的な例としては、 ベンゾ ィンやべンゾィンメチルェ一テル、 ベンゾィンェチルェ一テル等のベンゾィ ンとそのアルキルエーテル類 ; ァセ トフエノン、 2, 2—ジメ トキシ一 2— フエニルァセ トフエノン、 4一 ( 1一 tーブチルジォキシ _ 1—メチルェチ ル) ァセ トフエノン等のァセ トフエノン類; 2—メチルアントラキノン、 2 —アミルアン トラキノン、 2— t—プチルアントラキノン、 1一クロ口アン トラキノン等のアントラキノン類; 2, 4—ジメチルチオキサントン、 2, 4—ジェチルチオキサントン、 2—クロ口チォキサン トン、 2 ,' 4ージイソ プロピルチオキサントン等のチォキサントン類; ァセ トフエノンジメチルケ 夕一ルヽ ベンジルジメチルケ夕一ル等のケタール類 ;ベンゾフエノン、 4 - ( 1 - t—プチルジォキシ一 1ーメチルェチル) ベンゾフエノン、 3 , 3 ' , 4 , 4 ' ―テトラキス ( t—プチルジォキシカルボニル) ベンゾフエノン等 のべンゾフエノン類; 2—メチルチオ一 1— [ 4— (メチルチオ) フェニル] 一 2—モルホリノ一プロパン一 1一オンや 2—ベンジル一 2—ジメチルアミ ノー 1— ( 4—モルホリノフエニル) 一ブタン一 1—オン等のアミノアセ ト フエノン類; 2 , 4 , 6—ト リメチルベンゾィルホスフィ ンォキシド等のァ
ルキルホスフィン類; 9 _フエニルァクリジン等のァクリジン類などが挙げ られる。
これらの活性エネルギー線の照射によりラジカルを発生する光重合開始剤 ( D ) は、 1種又は 2種以上の混合物として使用することが可能であり、 そ の配合量は、 前記感光性ポリイミ ド樹脂 ( A— 2及び Z又は A— 2 ' ) 1 0 0質量部に対して 0 . 1 〜 3 0質量部の範囲とすることが好ましい。 0 . 1 質量部より少ない場合は活性エネルギー線の照射を行なっても硬化しない か、 もしくは照射時間を増やす必要があり、 適切な塗膜物性が得られなくな る。 一方、 3 0質量部を超えて多量に添加しても、 光硬化性に変化はなく、 経済的に好ましくない。
本発明の光硬化性組成物及び光硬化性 ·熱硬化性組成物においては、 活性 エネルギー線による硬化を促進させるために、 促進剤又は増感剤を前記光重 合開始剤 (D ) と併用してもよい。 併用しうる促進剤又は増感剤としては、 トリェチルアミン、 トリェ夕ノ一ルアミン、 2—ジメチルアミノエタノール、 N, N—ジメチルァミノ安息香酸ェチルエステル、 N , N—ジメチルァミノ 安息香酸ィソァミルエステル、 ペンチルー 4一ジメチルアミノベンゾェ一ト 等の 3級ァミン類; ?—チォジグリコール等のチォェ一テル類; (ケト) ク マリン、 チォキサンテン等の増感色素類、 及びシァニン、 ローダミン、 サフ ラニン、 マラカイ トグリーン、 メチレンブル一等の色素のアルキルホウ酸塩 などが挙げられる。 これらの増感剤は、 それそれ単独でもしくは 2種類以上 を組み合わせて使用してもよい。 その使用量は、 前記感光性ポリイミ ド樹脂 ( A— 2及び/又は A— 2 , ) 1 0 0質量部に対し、 0 . 1 〜 3 0質量部の 割合が好ましい。
多官能モノマ一 (E ) としては、 1分子中に少なくとも 2つ以上の重合性 不飽和基を有する化合物であればいかなるものも使用可能である。 具体的に は、 多価アルコールと、 ひ, 不飽和カルボン酸とを縮合して得られる化 合物 (例えばエチレングリコ一ルジ (メタ) ァクリレート (ジァクリレート 又はジメ夕クリレートの意味、 以下同様) 、 トリエチレングリコールジ (メ
夕) ァクリレート、 テトラエチレングリコ一ルジ (メタ) ァクリレート、 ト リメチロ一ルプロパンジ (メタ) ァクリレート、 トリメチロールプロパント リ (メタ) ァクリレート、 1 , 2 _プロピレングリコ一ルジ (メタ) ァクリ レート、 ジ ( 1 , 2—プロピレングリコール) ジ (メタ) ァクリレート、 ト リ ( 1 , 2—プロピレングリコール) ジ (メタ) ァクリレート、 テトラ ( 1, 2—プロピレングリコール) ジ (メタ) ァクリレート、 ジメチルアミノエチ ル (メタ) ァクリレ一ト、 ジェチルアミノエチル (メタ) ァクリレート、 ジ メチルァミノプロピル (メタ) ァクリレート、 ジェチルァミノプロピル (メ 夕) ァクリレ一ト、 1 , 4一ブタンジオールジ (メタ) ァクリレート、 1 , 6一へキサンジォ一ルジ (メタ) ァクリレート、 ペン夕エリスリ トールト リ (メ夕) ァクリレート等) 、 スチレン、 ジビニルベンゼン、 4一ビニルトル ェン、 4—ビニルピリジン、 N—ビニルピロリ ドン、 2—ヒ ドロキシェチル (メタ) ァク リレート、 1 , 3 - (メタ) ァクリロイルォキシ一 2—ヒ ドロ キシプロパン、 メチレンビスァクリルァミ ド、 N, N—ジメチルァクリルァ ミ ド、 N—メチロールアクリルアミ ド、 ネオペンチルグリコ一ルジ (メタ) ァクリレ一ト、 ペン夕エリスリ トールジ (メタ) ァクリ レート、 ジペンタエ リスリ トールへキサ (メ夕) ァクリレート、 テトラメチロールプロパンテト ラ (メタ) ァクリレート等が挙げられ、 これらは単独で又は 2種類以上を組 み合わせて使用することができる。 これらを用いる場合は、 前記感光性ポリ イミ ド樹脂 (A— 2及び/又は A— 2 ' ) 1 0 0重量部に対し、 1〜: L 0 0 重量部の割合で配合することが好ましく、 3〜5 0重量部の範囲がさらに好 ましい。 1〜1 0 0重量部の範囲を逸脱すると、 目的とする効果が低下する 傾向があり、 また、 現像性に好ましくない影響をおよぼす傾向がある。
本発明の光硬化性組成物は、 更なる耐熱性、耐溶剤性の付与を目的として、 熱硬化性成分 (B ) を添加することも可能であり、 それによつて光硬化性 ' 熱硬化性組成物となる。 熱硬化性成分としては、 カルボキシル基と反応可能 な官能基を 1分子中に 2つ以上有するものであれば、 いかなる化合物も使用 可能であるが、 好適には前記した 1分子中に 2つ以上のエポキシ基及び/又
はォキセ夕二ル基を有する多官能エポキシ化合物 (B— 1 ) 及び Z又は多官 能ォキセタン化合物 (B— 2 ) 等の環状エーテル類が用いられる。
本発明の硬化性組成物には、 さらに必要に応じて硫酸バリウム、 シリカ、 タルク、 クレー、 炭酸カルシウムなどの公知慣用の充填剤、 フタロシアニン ブル一、 フタロシアニングリーン、 力一ボンブラックなどの公知慣用の着色 顔料、 消泡剤、 密着付与剤、 レべリング剤などの各種添加剤を加えてもよい。
このようにして得られた硬化性組成物は、 希釈剤の添加により粘度を調整 した後、 スクリーン印刷法、 力一テンコ一ティング法、 口一ルコ一ティング 法、 ディ ップコ一ティング法、 スピンコーティング法などの適宜の塗布方法 により基材に塗布し、 例えば約 6 0〜 1 2 0 °Cの温度で仮乾燥することで組 成物中に含まれる有機溶剤を除去し、 塗膜を形成する。 ドライフィルムの形 態にある場合には、 そのままラミネートすればよい。
その後、 熱硬化性組成物の場合には、 さらに熱硬化性成分との反応を行な うために約 1 2 0〜 2 0 0 °Cの温度で加熱して熱硬化させることにより、 密 着性、 機械的強度、 はんだ耐熱性、 耐薬品性、 電気絶縁性、 耐電蝕性などの 諸特性に優れた硬化皮膜が形成できる。
一方、 光硬化性組成物及び光硬化性 ·熱硬化性組成物の場合には、 活性ェ ネルギ一線を照射することにより、 速やかに硬化する。
また、 光硬化性成分としてカルボキシル基を有するアル力リ可溶性の感光 性ポリイミ ド樹脂 (A— 2 ' ) を含有する組成物の場合、 所定の露光パター ンを形成したフォトマスクを通して選択的に活性エネルギー線により露光 し、 未露光部をアルカリ水溶液により現像してレジストパターンを形成でき さらに、 熱硬化性成分を含有する光硬化性 ·熱硬化性組成物の場合、 上記 露光 ·現像後に約 1 4 0〜2 0 0 °Cの温度で加熱して熱硬化させることによ り、 密着性、 機械的強度、 はんだ耐熱性、 耐薬品性、 電気絶縁性、 耐電蝕性 などの諸特性に優れた硬化皮膜が形成できる。 またさらには、 熱硬化前又は 後にボスト U V硬化を行なうことにより、 諸特性をさらに向上させることが
できる。
上記現像に用いるアルカリ水溶液としては、 水酸化ナトリウム、 水酸化力 リウム、 炭酸ナトリウム、 炭酸カリウム、 珪酸ナトリウム、 アンモニア、 有 機アミン、 テトラメチルアンモニゥムハイ ドロォキシドなどの水溶液が使用 できる。 現像液中のアルカリの濃度は概ね 0 . l〜 5 w t %であればよい。 現像方式はディ ップ現像、 パドル現像、 スプレー現像などの公知の方法を用 いることができる。
前記光硬化性組成物及び光硬化性 ·熱硬化性組成物を硬化させるための照 射光源としては、 低圧水銀灯、 中圧水銀灯、 高圧水銀灯、 超高圧水銀灯、 キ セノンランプ、 メタルハライ ドランプなどが適当である。 また、 レーザー光 線なども露光用活性光源として利用できる。 その他、 電子線、 ひ線、 ?線、 ァ線、 X線、 中性子線なども利用可能である。
以下に実施例を示して本発明をより詳細に説明するが、 本発明はこれら実 施例のみに限定されるものではない。
まず、 多分岐ポリイミ ド樹脂及びそれを含有する熱硬化性組成物に関する 実施例を示す。
実施例 1
攪拌器、 還流冷却管、 及び温度計を備え付けた 3 0 O mLフラスコにベン ゾフエノンテトラカルボン酸無水物 9 . 6 6 g、 N—メチルピロリ ドン 1 5 O m Lを仕込み、 攪拌しながら室温にて溶解した。 この溶液に、 トリス ( 2 ーァミノェチル) ァミン 2 . 1 9 gを N—メチルピロリ ドン 1 0 0 m Lに溶 解した溶液を 1時間かけて滴下した。 滴下終了後、 反応液を 1 4 0 °Cに昇温 し、 9時間攪拌した。 次いで、 室温まで冷却し、 反応混合物をメタノールに 注入して激しく攪拌することで対応する多分岐ポリイ ミ ド樹脂を析出させ た。 ろ別、 洗浄、 乾燥後のポリマーは 9 . 7 2 gであった。 G P C (ゲル ' パ—ミエ—シヨン . クロマトグラフィ—) にて分子量を測定したところ、 重 量平均分子量は 5 8 0 0、 分子量分布 2 . 3であった。 赤外スぺク トルより ィミ ド基に起因する吸収が 1 7 2 0 c m—1に観察されたことから、 目的とす
る多分岐ポリイミ ド樹脂が得られたと判断した。 図 1に得られた多分岐ポリ ィミ ド樹脂の1 H— NMRスぺクトルを示す。
応用実施例 1
前記実施例 1で得られた多分岐ポリイミ ド樹脂 9. 73 g、 ェピコ一ト 8 28 (ジャパンエポキシレジン社製エポキシ樹脂) 2. 93 g、 2 PHZ (四 国化成工業社製イミダゾール誘導体) 0. 46 gをジメチルァセトアミ ド 3 8. 9 gに溶解した。 この溶液を銅張り積層板に塗布し、 80°Cのオーブン 中で 20分間乾燥した。 得られた乾燥塗膜を 1 50°Cにて 60分間熱硬化さ せた。 得られた硬化塗膜は、 ジメチルァセ トアミ ドに不溶の強固なものであ つた。
実施例 2
前記実施例 1において、 ベンゾフヱノンテトラカルボン酸無水物に代えて ビス (2 , 3—ジカルボキシフエニル) ェ一テルニ無水物 9. 31 gを用い た以外は、 実施例 1と同様の方法にて行ない、 多分岐ポリイ ミ ド樹脂を 9. 36 g得た。
応用実施例 2
前記実施例 2で得られた多分岐ポリイミ ド樹 S旨 9. 30 g、 ェピコ一ト 8 28 (ジャパンエポキシレジン社製エポキシ樹脂) 2. 93 g、 2 PHZ (四 国化成工業社製イミダゾ一ル誘導体) 0. 46 gをジメチルァセトアミ ド 3 5 gに溶解した。 この溶液を銅張り積層板に塗布し、 80。Cのオーブン中で 20分間乾燥した。得られた乾燥塗膜を 150°Cにて 60分間熱硬化させた。 得られた硬化塗膜は、 ジメチルァセトアミ ドに不溶の強固なものであった。 実施例 3
5 OmLのフラスコにビス (3, 4—ジカルボキシフエニル丫 ースルホン 二無水物 0. 357 g、 N_メチルピロリ ドン 10 mLを仕込み、 攪拌しな がら室温にて溶解させた。 この溶液に、 トリス (4— (4—ァミノフエノキ シ) フエニル) ェ夕ン 0. 289 gを N—メチルピロリ ドン 10 mLに溶解 させた溶液を 2時間かけて滴下した。 滴下終了後、 さらに室温で 2時間撹拌
した。 この反応液に、 無水酢酸 3. 0 gとピリジン 1. 0 gを加え、 再び室 温で 3時間撹拌した。 この反応液を 6 0°Cに昇温し、 5時間攪拌した。 次い で室温まで冷却し、 反応混合物をメタノールに注いで固体を析出させ、 これ を回収、 乾燥することで対応する多分岐ポリイミ ド樹脂を得た。 収量は 0. 6 5 であった。 GP Cにより分子量を測定したところ、 数平均分子量は 4 5 0 0 0であった。 赤外スぺク トルによりィミ ド基に起因する吸収が 1 Ί 8 1 cm—1、カルボキシル基に起因する吸収が 34 8 4 c m— 1に観測されたこ とから、 目的とする多分岐ポリイミ ド樹脂が得られたと判断した。 図 2に得 られた多分岐ポリイミ ド樹脂の I Rスぺク トルを示す。
応用実施例 3
前記実施例 3で得られた多分岐ポリイミ ド樹脂 9. 0 5 g、 ェピコ一ト 8 2 8 (ジャパンエポキシレジン社製エポキシ樹脂) 2. 9 3 g、 2 P H Z (四 国化成工業社製ィミダゾール誘導体) 0. 4 6をジメチルァセトアミ ド 3 8. 9 gに溶解させた。 この溶液を銅張り積層板に塗布し、 8 0°Cのオーブン中 で 2 0分間乾燥させた。 得られた乾燥塗膜を 1 5 0°Cで 6 0分崗熱硬化させ た。 得られた硬化塗膜は、 ジメチルァセトアミ ドに'不溶の強固なものであつ た。
実施例 4
前記実施例 3において、 ビス ( 3 , 4—ジカルボキシフエニル) 一スルホ ンニ無水物に代えて、 4 , 4 ' - ( 4 , 4 イソプロピリデンジフエノキ シ) 二無水フタル酸 0. 5 2 gを用いた以外は、 実施例 3と同様の方法で行 い、 多分岐ポリイミ ド樹脂 0. 8 2 gを得た。
応用実施例 4
前記実施例 4で得られた多分岐ポリイミ ド樹脂 8. 7 5 g、 ェピコート 8 2 8 (ジャパンエポキシレジン社製エポキシ樹脂) 2. 9 3 g、 2 P H Z (四 国化成工業社製イミダゾール誘導体) 0. 4 6をジメチルァセトアミ ド 3 5 gに溶解させた。 この溶液を銅張り積層板に塗布し、 8 0°Cのオーブン中で 2 0分間乾燥させた。得られた乾燥塗膜を 1 5 0°Cで 6 0分間熱硬化させた。
得られた硬化塗膜は、 ジメチルァセ トアミ ドに不溶の強固なものであった。 次に、 感光性ポリイミ ド樹脂及びそれを含有する光硬化性組成物に関する 実施例を示す。
実施例 5
攪拌器、 還流冷却管、 及び温度計を備え付けた 30 0 mLフ スコにベン ゾフエノンテトラ力ルボン酸無水物 9. 6 6 g、 N—メチルピロリ ドン 2 5 OmLを仕込み、 攪拌しながら室温にて溶解した。 この溶液に、 トリス ( 2 —アミノエチル) ァミン 2. 1 9 gを 1時間かけて滴下した。 滴下終了後、 反応液を 14 0°Cに昇温し、 9時間攪拌した。 次いで、 室温まで冷却し、 グ リシジルメ夕クリレート 2. 1 3 g、 メ トキノン 0. l g、 及びトリフエ二 ルホスフィン 0. l gを加え、 1 0 0°Cに昇温した後、 6時間攪拌した。 反 応混合物をメタノールに注入し、 激しく攪拌することで対応するポリイミ ド 樹脂を析出させた。 ろ別、 洗浄、 乾燥後のポリマーは 9. 7 であった。 G P C (ゲル'パ一ミエ一シヨン 'クロマトグラフィー) にて分子量を測定した ところ、 重量平均分子量は 6 0 00であった。 赤外スぺクトルよりイミ ド基 に起因する吸収とメ夕クリロイル基に起因する吸収が、 それそれ 1 72 0 c m~ 8 1 0 cm— 1に観察されたことから、 目的とする感光性ポリイミ ド樹 脂が得られたと判断した。 図 3に得られた感光性ポリイミ ド樹脂の1 H— N MRスぺク トルを示す。
応用実施例 5
前記実施例 5で得られた感光性ポリイミ ド樹脂 1 0 g、 ジペン夕エリスリ トールへキサァクリレート 2 g、 ィルガキュア 9 0 7 (チバスペシャルティ —ケミカルズ社製) 1 gをジメチルァセトアミ ド 8 0 gに溶解した。 この溶 液を銅張り積層板に塗布し、 8 0°Cのオーブン中で 2 0分間乾燥した。 得ら れた乾燥塗膜に UVコンベアにて 2 J/cm2の紫外線を照射し、 光硬化さ せた。 得られた硬化塗膜は、 ジメチルァセトアミ ドに不溶の強固なものであ つた。
実施例 6
前記実施例 5において、 グリシジルメ夕クリレートに代えてサイクロマ一 M l 0 0 (ダイセル化学工業社製) 2. 9 4 gを用いた以外は実施例 5と同 様の方法にて行ない、 感光性ポリイミ ド樹脂を 1 0 g得た。
応用実施例 6
前記実施例 6で得られた感光性ポリイミ ド樹脂 1 0 g、 ジペン夕エリスリ トールへキサァクリレート 2 g、 ィルガキュア 9 0 7 1 gをジメチルァセ トアミ ド 8 0 gに溶解した。 この溶液を銅張り積層板に塗布し、 8 0°Cのォ —ブン中で 2 0分間乾燥した。 得られた乾燥塗膜に UVコンベアにて 2 J/ cm2の紫外線を照射し、 光硬化させた。 得られた硬化塗膜は、 ジメチルァ セトアミ ドに不溶の強固なものであった。
実施例 7
撹拌機、 還流冷却管、 及び温度計を装備した 5 O mLフラスコにビス ( 3, 4—ジカルボキシフエニル) 一スルホン二無水物 0. 3 5 7 g、 N—メチル ピロリ ドン 1 O mLを仕込み、 攪拌しながら室温にて溶解させた。 この溶液 に、 トリス ( 4— ( 4—アミノフヱノキシ) フェニル) ェ夕ン 0. 2 8 9 g を N—メチルピロリ ドン 1 O mLに溶解させた溶液を 2時間かけて滴下し た。 滴下終了後、 さらに室温で 2時間撹拌した。 この反応液に、 無水酢酸 3. 0 とピリジン 1. O gを加え、 再び室温で 3時間撹拌した。 この反応液を 6 0 °Cに昇温し、 5時間攪拌した。 次いで室温まで冷却し、 グリシジルメ夕 クリレート 0. 4 2 g、 メ トキノン 0. 0 1 g、 及びテトラプチルアンモニ ゥムブロミ ド 0. 0 2 gを加え、 8 0°Cで 2 4時間撹拌した。 反応混合物を メタノールに注いで固体を析出させ、 これを回収して洗浄、 乾燥させること で目的とする感光性ポリイミ ド樹脂を得た。 収量は 0. 5 5ぎであった。 G P Cにより分子量を測定したところ、 数平均分子量は 3 8 0 0 0であった。 赤外スぺクトルによりイミ ド基に起因する吸収が 1 Ί 8 1 cm— メタクリ ロイル基に起因する吸収が 1 6 5 0 cm— 1に観測されたことから、 目的とす る多分岐ポリイ ミ ド樹脂が得られたと判断した。 図 4に得られた感光性ポリ ィミ ド樹脂の IRスぺク トルを示す。
応用実施例 7
前記実施例 7で得られた感光性ポリイミ ド樹脂 10 g、 ジペン夕エリスリ トールへキサァクリレート 2 g、 ィルガキュア 907 (チバスぺシャリティ —ケミカルズ社製) 1 gをジメチルァセトアミ ド 80 gに溶解させた。 この 溶液を銅張り積層板に塗布し、 80°Cのオーブン中で 20分間乾燥させた。 得られた乾燥塗膜に UVコンベアにて 2 J/c m2の紫外線を照射し、 光硬 化させた。 得られた硬化塗膜は、 ジメチルァセトアミ ドに不溶の強固なもの であった。
実施例 8
前記実施例 7において、 グリシジルメ夕クリレート代えて、 サイクロマー M 100 (ダイセル化学社製) 0. 60 gを用いた以外は、 実施例 7と同様 の方法で行い、 感光性ポリイミ ド樹脂 0. 57 gを得た。
応用実施例 8
前記実施例 8で得られた感光性ポリイミ ド樹脂 1 0 g、 ジペン夕エリスリ トールへキサァクリレ一ト 2 g、 ィルガキュア 907 (チパスぺシャリティ 一ケミカルズ社製) 1 gをジメチルァセトアミ ド 80 gに溶解させた。 この 溶液を銅張り積層板に塗布し、 80°Cのオーブン中で 20分間乾燥させた。 得られた乾燥塗膜に UVコンベアにて 2 J/c m2の紫外線を照射し、 光硬 化させた。 得られた硬化塗膜は、 ジメチルァセトアミ ドに不溶の強固なもの であった。
次に、 アルカリ可溶性の感光性ポリイミ ド樹脂及びそれを含有する光硬化 性 ·熱硬化性組成物に関する実施例を示す。
実施例 9
攪拌器、 還流冷却管、 及び温度計を備え付けた 300 mLフラスコにベン ゾフエノンテトラカルボン酸無水物 9. 66 g、 N—メチルピロリ ドン 25 OmLを仕込み、 攪拌しながら室温にて溶解した。 この溶液に、 ト リス (2 —アミノエチル) ァミン 2. 1 9 gを 1時間かけて滴下した。 滴下終了後、 反応液を 140°Cに昇温し、 9時間攪拌した。 次いで、 室温まで冷却し、 グ
リシジルメ夕クリレート 2. 13 g、 メ トキノン 0. l g、 及びトリフエ二 ルホスフィン 0. l gを加え、 100°Cに昇温した後、 6時間攪拌した。 さ らに、 テトラヒドロ無水フ夕ル酸 2. 28 gを加え、 80°Cにて 8時間攪拌 した。 反応混合物をメタノールに注入し、 激しく攪拌することで対応するァ ルカリ可溶性の感光性ポリイミ ド樹脂を析出させた。 ろ別、 洗浄、 乾燥後の ポリマーは 13 gであった。 GP Cにて分子量を測定したとこ ¾、 重量平均 分子量は 13000であった。 赤外スぺク トルよりイミ ド基に起因する吸収 とメタクリロイル基に起因する吸収が、 それそれ 1720 c 111- 1、 8 10 c m— 1に観察され、 さらに力ルポキシル基に起因する幅広の吸収が 3500〜 3000 cm— 1に観察されたことから、 目的とするアル力リ可溶性の感光性 ポリイミ ド樹脂が得られたと判断した。 図 5に得られたアル力リ可溶性の感 光性ポリイミ ド樹脂の1 H— NMRスぺク トルを示す。
応用実施例 9
前記実施例 9で得られた感光性ポリイミ ド樹脂 10 g ジペン夕エリスリ ト一ルへキサァクリレート 2 g、 ィルガキュア 907 1 g、 ェピコ一ト 8 28 (ジャパンエポキシレジン社製エポキシ樹脂) 3 g、 及び 2 PHZ (四 国化成工業社製ィミダゾール誘導体) .0. 5 gをジメチルァセトアミ ド 80 gに溶解した。 この溶液を銅張り積層板に塗布し、 80°Cのオーブン中で 2 0分間乾燥した。 得られた乾燥塗膜にフォトマスクを介して紫外線を 100 OmJ/cm2照射し、 その後、 2. 38 %TMAH (テトラメチルアンモ ニゥムハイ ドロォキシド) 水溶液に浸漬して 2分間超音波照射し、 未露光部 を溶解除去することで、 ネガ型の画像を形成した。 さらに 1 50°Cにて 60 分間熱硬化反応を行なうことにより、 種々の有機溶媒に不溶な強固な皮膜が 形成できた。
実施例 10
撹拌機、 還流冷却管、 及び温度計を装備した 5 OmLフラスコに前記実施 例 9で得られた感光性ポリイミ ド樹脂 0. 36 g、 テトラヒドロ無水フ夕ル 酸 0. 45 g、 ト リフエニルホスフィン 0. 02 g、 メ トキノン 0. 0 1 g、
及び N—メチルビ口リ ドン 1 5mLを仕込み、 攪拌しながら 50°Cで 24時 間撹拌した。 反応混合物をメタノールに注いで固体を析出させ、 これを回収 して洗浄、 乾燥させることで目的とするアル力リ可溶の感光性ポリイミ ド樹 脂を得た。 収量は 0. 40 gであった。 GP Cにより分子量を測定したとこ ろ、 数平均分子量は 42000であった。 赤外スぺク トルによりカルボキシ ル基に起因する吸収が 3439 cm— 1、イミ ド基に起因する吸収が 1781 cm— 1、メタクリロイル基に起因する吸収が 16 8 1 cm— 1に観測されたこ とから、 目的とするアルカリ可溶の感光性ポリイミ ド樹脂が得られたと判断 した。 図 6に得られた感光性ポリイミ ド樹脂の IRスぺクトルを示す。
応用実施例 10
前記実施例 10で得られたアル力リ可溶の感光性ポリィミ ド樹脂 10 g、 ジペン夕エリスリ トールへキサァクリレート 2 g、 ィルガキュア 907 1 gs ェピコ一ト 828 (ジャパンエポキシレジン社製エポキシ樹脂) 3 g、 及び 2 PHZ (四国化成工業社製イ ミダゾ一ル誘導体) 0. 5 gをジメチル ァセトアミ ド 80 gに溶解させた。この溶液を銅張り積層板に塗布し、 80°C のオープン中で 20分間乾燥させた。 得られた乾燥塗膜にフォ 卜マスクを介 して紫外線を 1000 m J/c m2照射し、 その後、 2. 38%TMAH (テ トラメチルアンモニゥムヒドロキシド) 水溶液に浸潰して 2分間超音波照射 し、 未露光部を溶解除去することで、 ネガ型の画像を形成させた。 さらに 1 50 °Cで 60分間熱硬化反応を行うことにより、 種々の有機溶媒に不溶の強 固な皮膜が形成できた。 産業上の利用可能性
以上説明したように、 本発明の多分岐ポリイミ ド樹脂 (A— 1) や感光性 ポリイミ ド樹脂 (A— 2) 、 アルカリ可溶性の感光性ポリイミ ド樹脂 (A— 2, ) は、 いずれも比較的簡単に製造でき、 また、 用いるモノマ一も保存安 定性に優れ、 従来の自己縮合性モノマーのように保管中にゲル化してしまう という問題を生ずることもなく、 工業的生産において極めて有利である。
従って、 このような多分岐ポリイミ ド樹脂 (A— 1 ) や感光性ポリイミ ド 樹脂 (A— 2 ) 、 アルカリ可溶性の感光性ポリイミ ド樹脂 (A— 2 ' ) を含 有する本発明の熱硬化性組成物、 光硬化性組成物及び光硬化性 ·熱硬化性組 成物は、 ポリイ ミ ドが本来有している優れた特性をそのまま発揮でき、 熱硬 化及び/又は光硬化させることにより、 密着性、 機械的強度、 はんだ耐熱性、 耐薬品性、 電気絶縁性、 耐電蝕性などの諸特性に優れた硬化物が得られる。 従って、 半導体素子の表面コート膜 (いわゆるパヅシベ一シヨン膜) やプリ ント配線基板材料、 及び多層プリント配線板の層間絶縁材料などに好適に用 いることができる。