WO2003105749A1 - おしゃぶり - Google Patents

Description

明 細 書 おしゃぶり 技術分野

本発明は乳幼児の育児器具として使用するおしゃぶりに関する。 背景技術

おしゃぶりは乳幼児の口にくわえさせて使用する保育器具である。 おしゃぶりを 使用することにより鼻呼吸が促進されるため、 呼吸器系統の発育に好都合である等 の効果が期待されるとして、 一般に使用されている。

図 1 2に従来から使用されている、 一般的なおしゃぶり 1 0 0の構造を示す。 おしゃぶり 1 0 0は、 本体を構成する座板 1 0 1と、 ゴム製乳首 1 0 2と、 ゴム 製乳首 1 0 2を座板 1 0 1に固定するストッパ 1 0 3とから構成されている。 この 座板 1 0 1は乳幼児の肌の曲面に合わせた曲面形状に形成されており、 おしゃぶり 1 0 0の使用時には乳幼児がゴム製乳首 1 0 2を垤えて吸引すると、 座板 1 0 1が 乳幼児の肌に接触し、 ゴム製乳首 1◦ 2を飲みこむことが防止される。

座板 1 0 1とス トッノ 1 0 3 との係合部 1 0 4は、 ねじ結合等の締結方法により 締結される。

ところで、 乳幼児の使用する製品は、 安全性の確保のため、 常に清潔に保つこと が重要である。 特におしゃぶりのように口に含んで使用する製品の場合、 煮沸消毒 等の殺菌方法により殺菌することが好ましい。

しかしながら、 従来のおしゃぶりは、 乳幼児が吸引した際にゴム製乳首 1 0 2内 部が負圧となることを防止し、 またゴム製乳首 1 0 2を嚙むなどした場合に内圧の 上昇により使用感が低下することを防止するために、 ゴム製乳首 1 0 2内部の空気 が外部に放出されるように、 ゴム製乳首 1 0 2の內部と外部とを連通させる構造と してある。 例えば、 図 1 2のおしやぶり 1 0 0の場合、 座板 1 0 1とストッノ 1 0 3との締結部 1 0 4を気密性の高い締結とせず、 隙間を有する構造とし、 この隙間 を通してゴム製乳首 1 0 2内部と外部とが連通する構成となっている。

そのため従来のゴム製乳首は、 構造上気密性に乏しく、 煮沸消毒するとゴム製乳 首内部に水が浸入し、 使用の際に影響を及ぼす。 従って、 従来のおしゃぶりは、 基 本的に煮沸消毒が困難な保育器具であり、 口に含んで使用する保育器具として衛生 上好ましくなかった。

—方、 従来のおしゃぶりは、 乳幼児が強く吸引することにより、 肌との接触面が 真空状態となることがあり、 肌とおしゃぶりとの接触面がうつ血状態となって、 肌 のデリケートな乳幼児の場合、 口周辺が赤くはれたり、 ただれたりする等の不都合 があった。

また、 おしゃぶりと肌との接触面には乳幼児の唾液が滞留することがある。 この 場合、 特におしゃぶりを長時間使用すると、 肌が唾液と接触し続けるため、 唾液に よる肌のかぶれやただれの問題も起こっていた。

また、 おしゃぶりに使用されるゴム製乳首は、 座板に固定されており、 容易に外 れるものではないが、 歯の生えた幼児が使用した場合、 稀ではあるがゴム製乳首を 嚙み切ってしまい、 誤飲することも考えられる。

この場合、 ゴム製乳首は材質および形状の点から流動性に乏しく、 特に乳幼児の 場合気道が狭いため、 窒息する危険が指摘されていた。

—方、 乳幼児は時として情緒不安定となり、 かんしゃくを起こすなどの行動を取 るものであり、 こうした場合に乳幼児をなだめる目的で、 おしゃぶりをくわえさせ ること力 ^sある。

しかしながら、 このような目的でおしゃぶりを使用する際に、 従来のおしゃぶり は必ずしも期待されるほどの効果をもたらして、 かんしゃくを静めるものではなか つた。 そのため、 乳幼児の精神を効果的に安定させる保育器具が求められていた。 さらに、 おしゃぶりは、 育児器具として要求される機能が対象となる幼児の年齢 や成長度によって違うため、 対象年齢およぴ使用目的ごとに様々な形状のゴム製乳 首を備えたおしゃぶりが製造され'ており、 使用者は、 幼児の年齢や目的に応じた形 状のゴム製乳首を備えたおしゃぶりを選択して使用する。 例えば、 乳児の使用する おしゃぶりのゴム製乳首は、 一般に略乳首形状のものが選択され、 一方、 成長した 幼児用としては、 扁平な形状のゴム製乳首を備えたおしゃぶりが選択される。

しカゝしながら、 幼児の成長に応じて複数のおしゃぶりを用意することは、 費用の 観点から好ましくないため、 一つのおしゃぶりを継続して使用することが可能な構 造を有するおしゃぶりが要求されていた。

本発明は、 上述したような事情を考慮してなされたものであり、 煮沸消毒が可能 で、 衛生的で安全性に優れたおしゃぶりを提供することを目的とする。

一方、 本発明のさらに別の目的は、 乳幼児が強く吸引したり、 長時間使用しても うつ血によるはれや赤み、 あるいは唾液によるかぶれを防止する機構を備えたおし やぶりを提供するにある。

さらに、 本発明の別の目的は、 乳幼児が誤ってゴム製乳首を誤飲した場合でも、 窒息の危険を回避し、 安全性を確保したおしゃぶりを提供するにある。

また、 本発明の他の目的は、 乳幼児の情緒を安定にし、 かんしゃくを防止するお しゃぶりを提供するにある。

さらに、 本発明の目的は、 幼児の成長に伴う、 おしゃぶりに要求される機能の変 化に対応して、 長期間使用することが可能なおしゃぶりを提供するにある。 発明の開示

本発明に係るおしゃぶりは、 上述したような課題を解決するために、 請求項 1に 記載したように、 本体を形成する座板の孔部にゴム製乳首を挿入し、 ス トツバを係 合して一体に形成したおしゃぶりにおいて、 前記ストツパは前記ゴム製乳首を座板 に固定するためのフランジ部と、 ゴム製乳首の内部に揷入される挿入部とを備え、 前記揷入部は側壁部と蓋状の平板部とから構成され、 前記フランジ部に可とう性を 有する軟質膜を設置し、 前記平板部には貫通孔を設けて、 前記軟質膜と前記揷入部 とから形成された第 1空間部が前記平板部に設けられた貫通孔を介して前記ゴム製 乳首内部と連通する構成とし、 前記軟質膜の外縁部を固定するようにキヤップを取 り付け、 前記軟質膜と前記キヤップとから構成される第 2空間部が前記キヤップの 底板に設けられた通気孔を介して外部と連通するように設けるとともに、 前記軟質 膜により前記揷入部内の第 1空間部と外部とが遮断される構成としたことを特徴と するものである。

また、 本発明に係るおしゃぶりは、 '上述したような課題を解決するために、 請求 項 2に記載したように、 本体を形成する座板に設けられた孔部にゴム製乳首を揷入 し、 ス トッパを係合して一体に形成したおしゃぶりにおいて、 前記ス トツバにス ト ツバを貫通してゴム製乳首内部と外部とを連通する遮断弁取付孔を設け、 この遮断 弁取付孔に遮断弁を設け、 前記遮断弁の端面に前記遮断弁を回旋して前記遮断弁と 前記ストツバとの間隙を調整して前記ゴム製乳首の内部と外部とを自在に連通ある いは遮断する操作部を備えたことを特徴とするものである。

さらに、 本発明に係るおしゃぶりは、 上述したような課題を解決するために、 請 求項 3に記載したように、 前記座板の肌との接触面に前記座板の孔部の外周に環状 に設けられた凹部を備え、 前記凹部から座板の外縁に延伸されて凹部と外部とを連 通する凹部ガイ ド部を設けたことを特徴とするものである。 一方、 本発明に係るおしゃぶりは、 上述したような課題を解決するために請求項 4に記載したように、 前記ゴム製乳首の外側面に縦方向に縦断する縦溝を形成した ことを特徴とするものである。

さらに、 本発明に係るおしゃぶりは、 上述したような課題を解決するために、 請 求項 5に記載したように、 前記座板をトルマリンを添加した樹脂で形成したことを 特徴とするものである。

また、 本発明に係るおしゃぶりは、 上述したような課題を解決するために、 請求 項 6に記載したように、 前記ゴム製乳首内の空気を排出した状態で前記遮断弁を閉 としたときに、 このゴム製乳首を S平な形状を保持し得るように構成したことを特 徴とするものである。 図面の簡単な説明

第 1図は、 本発明に係るおしゃぶりの第 1の実施形態を示す構造図。

第 2図は、 ゴム製乳首の詳細な構造を示す外形図。

第 3図は、 ストツバの詳細な構造を示す外形図。

第 4図は、 軟質膜の詳細な構造を示す外形図。

第 5図は、 キャップの詳細な構造を示す外形図。

第 6図 （A) および （B ) は、 おしゃぶりの動作機構を示す説明図。

第 7図 （A) 、 ( B ) 、 ( C ) および （D ) は、 座板の構造を示す正面図。

第 8図 （A：) 、 ( B ) および （C ) は、 縦溝を設けたゴム製乳首を示す外形図。 第 9図は、 本発明に係るおしゃぶりの変形例を示す構造図。

第 1 0図は、 本発明に係るおしゃぶりの他の変形例を示す構造図。

第 1 1図 （A) および （B ) は、 本発明に係るおしゃぶりの第 2の実施形態を示 す構造図。 第 1 1図 （C ) は、 本発明に係るおしゃぶりの第 2の実施形態を変形さ せた使用状態を示す側面図。

第 1 2図は、 従来のおしゃぶりの構造を説明する構造図。

符号の説明

1…座板、 2…ゴム製乳首、 3…ストツバ、 3 a…揷入部、 4…軟質膜、 5…キヤ ップ、 6…ハンドル、 7…ノズル部、 8…乳首部、 9…フランジ部、 1 0…おしや ぶり、 1 2…側壁部、 1 3…平板部、 1 3 a…貫通孔、 1 4…フランジ部、 1 5…嵌 合部、 1 6…膨出部、 1 7…外縁部、 1 8〜第1空間部、 2 1…側壁部、 2 2…底 板、 2 2 a…通気孔、 2 3…第 2空間部、 3 2 a…凹部ガイド部、 3 2 b…エッジ部、 3 3…外周縁部、 3 5…座板、 3 6…座板、 3 7…座板孔部、 4 1…ゴム製乳首、

4 2…縦溝、 4 3…膨出部、 5 0…おしゃぶり、 5 1…ビーズ、 6 0…おしゃぶり、 6 1…空気笛、 7 0…おしゃぶり、 7 1…ストッパ、 7 2…座板、 7 3…遮断弁、

7 3 a…おねじ部、 7 4…側壁部、 7 4 a…めねじ部、 7 5…操作部、 7 6…ヘッド 部、 7 7 a…摺動部、 7 7 b…円柱部、 7 8…つまみ部、 8 1 ···パッキン、 1 0 0 ·-· おしゃぶり、 1 0 1…座板、 1 0 2…ゴム製乳首、 1 0 3…ス トッパ、 1 0 4…係 合部。 発明を実施するための最良の形態

本発明に係るおしゃぶりの好ましい実施形態について、 図を参照して以下に説す る。

図 1に示すおしゃぶり 1 0は、 本体を構成する座板 1と、 ゴム製乳首 2と、 ゴム 製乳首 2を座板 1に固定するス トツバ 3と、 軟質膜 4と、 キャップ 5から構成され る。 さらに、 このおしゃぶり 1 0にハンドル 6が必要に応じて組み付けられて一体 に構成される。

図 1およぴ図 2〜図 5を参照して各構成部材について説明する。

座板 1は曲面形状に形成された部材で、 乳幼児が口に含んだときに肌の曲面にフ イットする構成としてある。

座板 1の材質としてはポリプロピレン樹脂 （P P樹脂） が好適に使用される。 ポ リプロピレン樹脂は、 溶融温度が約 1 8 0 °Cであるので耐熱性に優れており、 煮沸 消毒や電子レンジを使用した消毒が可能である。 また、 ポリプロピレン榭脂は、 同 じく耐熱性を有するポリカーボネイ ト樹脂と比較して、 内分泌撹乱物質 （環境ホル モン） と して排出を規制されるビスフエノール A等の物質の流出が認められず、 高 い安全性が確認されており、 特に乳幼児が口に含んで使用する材質として最適であ る。

座板 1の中央にはノズル部 7があり、 ノズル部 7中央に設けられた孔部は、 座板 1を表裏に貫通するゴム製乳首取付用の開口部で、 この孔部にゴム製乳首 2が挿入 され、 ストッパ 3を係合して座板 1とゴム製乳首 2とが一体的に固定される。

ゴム製乳首 2は、 図 2に示すように乳幼児が口に含む乳首部 8と、 座板 1に係合 されるフランジ部 9とから構成される。

図 3に示すス トツバ 3は、 ゴム製乳首 2内に挿入される揷入部 3 aを有し、 揷入部 3 aは、 ゴム製乳首 2の内側面に密着して内部側から保持する側壁部 1 2と、 この側 壁部 1 2のゴム製乳首 2内部側の端部を覆うように蓋状に形成された平板部 1 3に より略有蓋円筒状に形成される。 このストッパ 3には、 ゴム製乳首 2のフランジ部 9を座板 1に押付けてサポートするフランジ部 1 4が備えられており、 さらに、 こ のフランジ部 1 4から延設されてキャップ 5の取付座として機能する嵌合部 1 5が 設けられる。 また平板部 1 3の中心部には、 貫通孔 1 3 aが設けられる。 貫通孔 1 3 aの孔径は、 通常 4 m m〜 5 mm直径の孔に設けられる。

一方、 ス トッパ 3のフランジ部 1 4のキャップ 5取付側の軟質膜取付座には、 可 とう性を有する軟質膜 4が設置される。 この軟質膜 4は、 図 4に示すようにドーム 状に形成された膨出部 1 6と、 この膨出部 1 6の外周に設けられた外縁部 1 7から 構成され、 膨出部 1 6をゴム製乳首 2の内部方向に向け、 外縁部 1 7がス トッパ 3 のフランジ部 1 4に当接するように設置される。 このように軟質膜 4を設置するこ とにより、 軟質膜 4とストツバ 3の側壁部 1 2と平板部 1 3とから第 1空間部 1 8 が構成される。 この第 1空間部 1 8は、 貫通孔 1 3 aによりゴム製乳首 2の内部と連 通する。

そして、 この軟質膜 4を固定するキャップ 5を嵌合部 1 5に嵌合して、 軟質膜 4 の外縁部 1 7をストツノ、° 3とキャップ 5との間に挟みこんで、 おしゃぶり 1 0がー 体に形成される。

キャップ 5は、 図 5に示すように、 軟質膜 4を設置したス トッパ 3の形状に合わ せて成形された部材で、 厚肉円筒状に形成された側壁部 2 1の端面が軟質膜 4の外 縁部 1 7に当接するように固定される。 おしゃぶり 1 0の外部側に配向されるキヤ ップ 5の底板 2 2には、 通気孔 2 2 aが設けられる。 すなわち、 軟質膜 4とキャップ 5の底板 2 2とで形成される第 2空間部 2 3と外部とが通気孔 2 2 aを介して連通す る構成としてある。

軟質膜 4は適度な弾力を備えた材料で構成され、 キヤップ 5の固定による締結力 でキャップ 5とス トッパ 3との間の気密性を保持する。 すなわち、 このおしゃぶり 1 0において、 第 2空間部 2 3と外部とが連通するが、 第 1空間部 1 8およびゴム 製乳首 2内部と外部とは軟質膜 4により高い気密性を持って遮断される構成として ある。

また、 この軟質膜 4は、 繰り返し使用に供される部材であるため、 強度に優れた 素材で構成されることが好ましく、 ゴム製乳首 2と同様に高品質のシリ コンゴムが 好適に使用される。

そして、 このおしゃぶり 1 0においては、 従来のおしゃぶりにおいて困難であつ た煮沸消毒が可能となる。 すなわち、 軟質膜 4の設置によりゴム製乳首 2の內部は 常に外部と高い気密性を持って隔絶されており、 煮沸消毒の際にゴム製乳首 2の内 部に水が侵入することが確実に防止される。 なお煮沸消毒の際に第 2空間部 2 3に は水が侵入するが、 この第 2空間部 2 3は、 比較的小さい体積に設けられており、 煮沸消毒後速やかに乾燥し、 通常の使用に供することが可能である。

このおしゃぶり 1 0の使用状態について図 6 ( A) および （B ) を参照して説明 する。

おしゃぶり 1 0はゴム製乳首 2を乳幼児が口に含んで使用する。 このとき、 嚙む 動作によりゴム製乳首 2の内圧が上昇し、 內部の空気が貫通孔 1 3 aを通して第 1空 間部 1 8に流入する。 このとき、 空気圧により軟質膜 4の膨出部 1 6が加圧されて、 キャップ 5側にへこむ形に押付けられる。 この軟質膜 4の作用により、 第 2空間部 2 3の空気は、 通気孔 2 2 aから外部に流出する （図 6 (A) ) 。

また、 嚙む動作を止めれば、 通気孔 2 2 aから外気が流入し、 軟質膜 4が元の形状 に復元し、 ゴム製乳首 2も元の形状に復元する （図 6 (A) ) 。

この一連のプロセスの間、 ゴム製乳首 2内部の内圧は、 ほぼ一定に保たれ、 ゴム 製乳首 2を強く嚙んだり吸引したりしてもおしゃぶり 1 0の使用感が損なわれるこ とがない。

以上説明のように、 このおしゃぶり 1 0においては、 おしゃぶり 1 0の使用時に、 ゴム製乳首 2の内圧が一定に保持されるため、 使用感が常に良好に保持されると同 時に、 ゴム製乳首 2の内部は軟質膜 4の気密性により外部と確実に遮断される。 従 つて、 おしゃぶり 1 0の煮沸消毒が可能であり、 従来のおしゃぶりに比較して極め て衛生的で安全性が高く、 さもに使用感の良いおしゃぶりを提供することが可能で める。

さらに、 このおしゃぶり 1 0においては、 図 7 (A) に示すように、 座板 1の肌 との接触面に樋状の凹部 3 2を設けてうつ血を防止する構成とする。

凹部 3 2は、 座板 1の肌との接触面に、 ゴム製乳首 2の外周を取り囲むように環 状に設けられた樋状のへこみ部である。 この四部 3 2から座板 1の外縁に向かって 延伸される直線状の凹部ガイ ド部 3 2 aが形成される。

凹部ガイ ド部 3 2 aは、 ゴム製乳首 2の外周を取り囲むように設けられた凹部 3 2 から、 座板 1の縦方向上下および横方向左右の外縁に向かって設けられる樋状のへ こみ部で、 凹部 3 2と外部とを連通して、 凹部 3 2内部が真空となることを防止す る。 なお、 座板 1の外周縁部 3 3は、 肌との接触面より一段低くした構成としてあり、 座板 1の外周縁部 3 3の肌当りを防止する。

凹部 3 2は、 図 7 ( B ) のように座板 1の肌との接触面に設けられた樋状のへこ み部で、 凹部 3 2の断面形状は円弧状に形成される。 凹部 3 2の幅は 2 m n！〜 6 m m程度が好ましく、 より好ましくは 4 m mから 5 m mの範囲に設定される。 凹部 3 2の深さは、 空気抜きとして十分機能する範囲でなるべく浅くすることが好ましく、 例えば、 回部 3 2の深さを 0 . 5 m mに設けたものは、 肌とのフィット感を損なう ことなく、 真空を防止する効果に優れるため好適である。 この凹部 3 2の深さがあ まり深いとおしゃぶり 1 0の装用感が低下する。

凹部 3 2の円弧の曲率は、 凹部 3 2の幅により変化するが、 例えば凹部 3 2の幅 を 4 m mとした場合、 曲率は R 2としたものが好適である。 また凹部 3 2のエッジ 部 3 2 bは肌当たりのよいように曲面状に平滑に仕上げてあり、 エッジ部 3 2 bのあ たりによる肌の損傷ゃフィット感の低下を防止する。

このように構成されたおしやぶり 1 0の機能によれば、 乳幼児がゴム製乳首 2を 口に含むと、 座板 1が乳幼児の口周辺の肌に接触する。 このとき、 座板 1に設けた 凹部 3 2の作用により、 ゴム製乳首 2を強く吸引した場合でも、 凹部 3 2が凹部ガ ィド部 3 2 aを通して外部と常に連通することにより、 座板 1と肌との間が真空状態 となることがない。 そのため、 肌が吸引されることによるうつ血や、 唾液の滞留に よるかぶれが効果的に防止される。

また、 唾液は凹部 3 2から座板 1下方外縁に延長されて外部と連通する凹部ガイ ド部 3 2 aにより排出されるので、 座板 1と肌との接触面に唾液の滞留がなく、 唾液 によるかぶれがさらに効果的に防止される'。

また、 本発明に係るおしゃぶり 1 0は、 座板を図 7 ( C ) に示すような構成とし てもよい。

この座板 3 5は、 回部 3 2を複数条、 ゴム製乳首 2を挿入する孔部の外周に同心 円状に設けたものである。 このように複数条の凹部 3 2を設ける構成とした座板 3 5は、 座板 1と肌との間の真空防止効果が一層向上し、 さらに効果的に吸引による うつ血やただれを防止する。

また図 7 ( D ) に示す座板 3 6のように、 座板 3 6の表裏を連通する座板孔部 3 7を設けたものは、 凹部 3 2が座板孔部 3 7と連通するため、 さらに座板 3 6と肌 との接触面が真空となるのが防止され、 うつ血やただれを効果的に防止する。

なお、 本発明のおしゃぶりにおいては、 座板を形成する樹脂にトルマリンを添加 してもよレ、。

トルマリンは、 マイナスイオンを発生し、 気分を鎮静する効果を持つ鉱物として 認識されており、 研磨してアクセサリ一として使用したり、 あるいは樹脂製品に混 練して成形する等の使用方法があり、 一般に利用されている。

本発明のおしゃぶりは、 このトルマリン添加樹脂を座板 1の材質として使用する。 座板 1は乳幼児の口元に直接接触する部材であり、 この座板 1に気分鎮静効果の高 いトルマリン添加樹脂を使用することにより、 トルマリンの持つ効果をより効果的 に利用することが可能である。 従って、 乳幼児のかんしゃく防止や、 かんしゃくを 起こしたときに使用することにより、 乳幼児の気分を鎮静することが可能なおしや ぶりを提供することができる。

本発明者らによれば、 ポリプロピレン樹脂材料へのトルマリ ンの添加率は 0. 5 〜 1. 0質量％が好ましい。 この範囲でトルマリ ンを添加した樹脂材料は、 座板 1 の機械的強度を保持しつつ、 トルマリンの持つ優れた気分鎮静効果を発揮すること が可能であり、 おしゃぶりの座板 1として使用するのに好適である。

また、 このおしゃぶり 1 0において、 空気流通性を備えたゴム製乳首 4 1を設け る構成としてもよい。

このゴム製乳首 4 1は、 図 8 (A) および （B) に示すように、 ゴム製乳首 4 1 の縦方向に縦断する縦溝 4 2を設ける構成としてある。 図 8 (A) は、 ゴム製乳首 4 1の横方向の外観を示す立面図を示し、 また、 図 8 (B) は、 ゴム製乳首 4 1の 上方からの外観を示す平面図を示す。

縦溝 4 2は、 ゴム製乳首 4 1の縦方向に縦断する形状に構成される。

縦溝 4'2の深さは、 図 8 (C) に示すように、 好ましくは 0. 5mm〜 l . 5 m mに設けられ、 より好ましくは l mmに施工される。 縦溝 4 2の深さを 1 mmに設 けたゴム製乳首 2は、 縦溝 4 2を通しての空気の流通性が良好であり、 特に好適で ある。 また、 縦溝の角部の 4 2aの形状は、 乳幼児が吸引するさいのフィット感を良 好にするため曲面形状に仕上げられ、 R 0. 2〜R 0. 3の曲面仕上げに形成され る。

'縦溝 4 2の幅は 1 mn！〜 2 mm程度が好適であり、 特に縦溝 4 2の幅を 1. 5 m mに設けたものは、 縦溝 4 2を通しての空気の流動性を確保しつつ、 乳幼児がゴム 製乳首 4 1を使用する際の使用感を損なうこともなく、 最適である。

縦溝 4 2の内側は、 ゴム製乳首 4 1の機械的強度を保持するため、 縦溝 4 2の深 さに応じて膨出部 4 3を設けた構造となっている。 この縦溝 4 2を設けたことにより、 ゴム製乳首 4 1を誤飲した場合でも、 縦溝 4 2を通して空気が流通するため、 窒息の危険を回避することが可能である。

次に、 本発明に係るおしやぶりの変形例について図 9を参照して説明する。

図 9に示す変形例のおしゃぶり 5 0は、 第 2空間部に貫通穴の径より大きなビー ズ 5 1を封入したものである。 このおしゃぶり 5 0によれば、 おしゃぶり 5 0の使 用時に軟質膜 4の挙動によりビーズが接触することにより接触音が発生し、 軟質膜 4の作動音と合わせて、 従来のおしゃぶりにはない効果音を付与することが可能で める。

さらに、 図 1 0に示す他の変形例のおしゃぶり 6 0は、 貫通孔に空気笛 6 1を設 けたものである。 このおしゃぶり 6 0によれば、 おしゃぶり 6 0の使用時に第 2空 間部から空気が流出する際に、 空気笛 6 1を鳴らすことが可能であり、 従来のおし やぶりに比較して、 より付加機能が追加された高機能のおしゃぶりを提供すること が可能である。

次に、 本発明に係るおしゃぶりの第 2の実施形態について図 1 1を参照して説明 する。

図 1 1に示すおしゃぶり 7 0は、 ストツノ、 ° 7 1の中央部分に遮断弁取付孔を設け、 この遮断弁取付孔に遮断弁 7 3を揷入して、 ストッパ 7 1の遮断弁取付孔の側壁部 7 4と遮断弁 7 3のストッパ 7 1との接触面に、 それぞれめねじ部 7 4 aおよびおね じ部 7 3 aを設けて係合し、 遮断弁 7 3に設けられた操作部 7 5を操作することによ り、 ストッパ 7 1と遮断弁 7 3との間隙を制御可能に設けたものである。

遮断弁 7 3は、 ゴム製乳首 2の内部に設置されてストツバ 7 1の遮断弁取付孔の 外周縁に係合して抜け落ちを防止するへッド部 7 6と、 このへッ ド部 7 6から延伸 されてストッパ 7 1の遮断弁取付孔と摺動する、 へッド部 7 6よりやや小径の略円 柱状の形状を有する摺動部 7 7 aと、 摺動部 7 7 aから延設された円柱部 7 7 bと、 円 柱部 7 7 bの端部に設けられておしゃぶり 7 0の外部側に配向される皿状の操作部 7 5とが一体に形成された部材である。 円柱部 7 7 bの側壁には、 おねじ部 7 3 aが設 けられてめねじ部 7 4 aと螺合し、 また、 操作部 7 5には遮断弁 7 1を回旋させて操 作するつまみ部 7 8が設けられており、 このつまみ部 7 8を把持して操作すること により、 ストッパ 7 1と遮断弁 7 3との間隙を制御する。

また、 ストッパ 7 1の遮断弁取付座 7 l aと円柱部 7 7 bの端部との間隙には、 ハ。 ッキン 8 1が設置されており、 遮断弁 7 1をねじ込みすると、 ストツノ、° 7 1と遮断 弁 7 3とがパッキン 8 1の弾力により密着して気密性を保持するように構成される。 すなわち、 つまみ部 7 8を把持して操作部 7 5を回旋させると、 図 1 1 (A) の ように遮断弁 7 3とス トッパ 7 1との締結部分であるねじ部が緩められ、 ゴム製乳 首 2の内部と外部とがス トッパ 7 1と遮断弁 7 3 との間隙を介して連通する。 この ときヘッド部 7 6がス トッパ 7 1の遮断弁取付孔の外縁部に係合し、 ゴム製乳首 2 内部と外部とが連通した状態で遮断弁 7 3が固定される。 この状態において、 おし やぶり 7 0の通常使用が可能である。

つまみ部 7 8を把持して操作部 7 5を逆回旋させると 1 1 ( B ) のように遮断弁 7 3はス トッパ 7 1にねじ込まれて、 パッキン 8 1の作用によりス トッパ 7 1と遮 断弁 7 3との間の気密性が保持される。 この状態において、 おしゃぶり 7 0の煮沸 消毒が可能となる。

図 1 1 ( C ) におしやぶり 7 0を変形させた使用形態の側面図を示す。

このおしゃぶり 7 0は、 図 1 1 ( C ) に示すように、 ゴム製乳首 2を変形させた 状態で使用することが可能である。 すなわち、 遮断弁 7 3を開とした状態で図 1 1 ( C ) に矢印 Xで示す方向にゴム製乳首 2を押圧して変形させ、 ゴム製乳首 2内部 の空気を予め排気させたのち遮断弁 7 3を閉とする。 遮断弁 7 3が閉とされている ので、 外気がゴム製乳首 2に流入することが防止され、 ゴム製乳首 2が図 1 1 ( C ) に示すような扁平な形状に保持される。 従って、 おしゃぶり 7 0を、 扁平なゴム 製乳首 2を有するおしゃぶりとして使用することが可能である。

すなわち、 ゴム製乳首 2の内部を外部と遮断して密閉することが可能な遮断弁 73を設けたおしゃぶり 7 0は、 目的に応じてゴム製乳首 2を略乳首形状と扁平形状 のいずれかに切替えて使用することが可能であるため、 従来のように、 幼児の成長 に合わせて、 ゴム製乳首'の形状の異なるおしゃぶりを用意する必要がなく、 おしや ぶりの利便性が大幅に向上する。 産業上の利用可能性

以上説明のとおり、 本発明に係るおしゃぶりによれば、 軟質膜によりゴム製乳首 の内部と外部とが遮断されるので、 ゴム製乳首内部の気密性が高く、 また軟質膜の 可とう性により、 ゴム製乳首内部の内圧がほぼ一定に保持されるので、 使用感が良 く、 煮沸消毒が可能なおしやぶりを提供することが可能である。

また、 本発明に係るおしゃぶりによれば、 操作部と、 操作部を開閉するつまみ部 を設ける構成としたので、 ゴム製乳首内部と外部とを自在に遮断あるいは連通する ため、 ゴム製乳首内部の密閉性を保持するので、 煮沸消毒が可能であり衛生的なお しゃぶりを提供することができる。

一方、 本発明に係るおしゃぶりによれば、 ゴム製乳首に設けた縦溝により、 誤つ てゴム製乳首を飲みこんだ場合にも気道が確保され、 縦溝を介して空気が流通する ので、 窒息の危険がない。

本発明に係るおしゃぶりによれば、 座板の肌との接触面に凹部を設けて、 座板と 肌との接触面を常に外部と連通する構成としたので、 乳幼児が強く吸引した場合で も座板と肌との間が真空状態となることを防止し、 また、 唾液の滞留を防ぐので、 うつ血やかぶれを効果的に防止し、 安全に長時間使用可能なおしゃぶりを提供する ことが可能である。

また、 本発明に係るおしゃぶりによれば、 座板に使用したトルマリ ン添加樹脂の マイナスイオン効果による気分沈静効果が期待され、 優れた気分鎮静効果を発揮す る。

さらに、 本発明に係るおしゃぶりによれば、 幼児の年齢や使用目的に応じてゴム 製乳首の形状を略乳首形状と扁平形状のいずれかに切替えて使用することが可能で あるため、 従来のようにゴム製乳首の形状ごとにおしゃぶりを用意する必要がなく、 従来に比較してより機能的で利便性の向上したおしゃぶりを提供することが可能で おる。

Claims

請 求 の 範 囲

1 . 本体を形成する座板の孔部にゴム製乳首を揷入し、 ストッパを係合して一体に 形成したおしゃぶりにおいて、 前記ストッパは前記ゴム製乳首を座板に固定する ためのフランジ部と、 ゴム製乳首の内部に挿入される挿入部とを備え、 前記揷入 部は側壁部と蓋状の平板部とから構成され、 前記フランジ部に可とう性を有する 軟質膜を設置し、 前記平板部には貫通孔を設けて、 前記軟質膜と前記挿入部とか ら形成された第 1空間部が前記平板部に設けられた貫通孔を介して前記ゴム製乳 首内部と連通する構成とし、 前記軟質膜の外縁部を固定するようにキヤップを取 り付け、 前記軟質膜と前記キャップとから構成される第 2空間部が前記キャップ の底板に設けられた通気孔を介して外部と連通するように設けるとともに、 前記 軟質膜により前記挿入部内の第 1空間部と外部とが遮断される構成としたことを 特徴とするおしゃぶり。

2 . 本体を形成する座板に設けられた孔部にゴム製乳首を揷入し、 ストッパを係合 して一体に形成したおしゃぶりにおいて、 前記ストツバにストッパを貫通してゴ ム製乳首内部と外部とを連通する遮断弁取付孔を設け、 この遮断弁取付孔に遮断 弁を設け、 前記遮断弁の端面に前記遮断弁を回旋して前記遮断弁と前記ストツパ との間隙を調整して前記ゴム製乳首の内部と外部とを自在に連通あるいは遮断す る操作部を備えたことを特徴とするおしゃぶり。

3 . 前記座板の肌との接触面に前記座板の孔部の外周に環状に設けられた凹部を備 え、 前記凹部から座板の外縁に延伸されて凹部と外部とを連通する凹部ガイ ド部 を設けたことを特徴とする請求項の範囲第 1項または第 2項記載のおしゃぶり。

4 . 前記ゴム製乳首の外側面に縦方向に縦断する縦溝を形成したことを特徴とする 請求項の範囲第 1項または第 2項記載のおしゃぶり。

5 . 前記座板をトルマリンを添加した樹脂で形成したことを特徴とする請求項の範 囲第 1項または第 2項記載のおしゃぶり。

6 . 前記ゴム製乳首内の空気を排出した状態で前記遮断弁を閉としたときに、 この ゴム製乳首を扁平な形状を保持し得るように構成したことを特徴とする請求項 2記 載のおしゃぶり。