明 細 書 経口投与用時限放出型有核固形組成物 技術分野
本発明は経口投与用時限放出型有核固形組成物に関する。 さらに詳しくは本発明 は、薬物を含有する核錠とハイドロゲル形成性高分子物質および親水性基剤とから なる外層部とで構成されるハイ ドロゲル形成性有核固形製剤において、①核錠に薬 物と易浸食性賦形剤を配合し、 ②核錠の浸食率が約 4 0乃至約 9 0 %であり、③外 層部には前記薬物と同一の薬物を実質的に含まないことを特徴とする経口投与用 時限放出型有核固形組成物に関する。 背景技術
近年薬物治療の最適化を目的として、 Drug Delivery System (DDS) を利用した研 究が盛んに行われ、 該 DDSに適した製剤形態を求める動向が認められる。 例えば、 時間薬物治療学 (Chronopharmacotherapy) のコンセプトの導入が提唱され、 また吸 収部位を狙った薬物の効率的な吸収を目指そうとする試みが行われる状況のなか、 そのコンセプトに適した新たな製剤技術、特に時限放出型製剤の有用性が注目され ている。
非有核錠である時限放出型製剤として、 例えば日本特許公報 2 0 5 8 4 9 5号 ( E P 2 1 0 5 4 0号明細書) には、 薬物を被覆または含有した顆粒に、 膨潤剤を 薬物と分離するように被覆し、 次いで水不溶性物質で被覆した製剤であって、 該膨 潤剤が所定時間経過後に該水不溶性物質の膜を破裂させるのに充分な量含有され ている持続性製剤が開示されている。該発明の製剤は in vitro および in vivoにおい て良好な時限放出パターンを示したが、 生物学的利用率の低さが懸念される。 また他の非有核錠である時限放出型製剤として、 日本特許特開平 7— 1 0 7 4 5 号公報には、 放出開始時間制御型腸デリバリー経口製剤、 すなわち酸性物質を含有 する核、 水不溶性高分子からなり、 水溶性物質を含んでいてもよい、 核を覆う第一 層、 主薬を含有し、 第一層を覆う第二層、 低 p H溶解性高分子からなり、 第二層を
覆う第三層、 および腸溶性高分子からなり、 第三層を覆う第四層からなる経口製剤 が開示されている。該発明は多層の膜によって時限放出化を試みたものであるが、 コーティング操作を多数回行うことが必須の技術である。 実際に、 厳格な意味での 多層コーティング、 すなわち精密な多層コーティングの達成を目的とした場合、 そ れぞれのコート層独自の特質を示す製剤に仕上げるには、コーティング基剤の選択、 コーティング溶媒の選択、 コーティング方法の選択、 中間層の設定等、 製剤設計時 の複雑さ、 製造の煩雑さは避けられない。
一方、本発明者らは国際公開 WO 9 4 / 0 6 4 1 4号公報(対応 E P 0 6 6 1 0 4 5 A 1公報、 日本特許公報第 3 1 4 0 4 6 5号公報) において、 薬物、 親水性基 剤およびハイ ドロゲル形成性高分子物質からなり、消化管上部のみならず消化管下 部の結腸においても良好な薬物の放出を可能としたハイ ドロゲル徐放性製剤につ いて報告している。
さらに本発明者らはハイ ドロゲル徐放性製剤の検討を進める過程において、時限 放出型製剤の基礎的検討および時限放出型製剤のインスリンへの適用を目的とし た検討を行レ、、 インスリンでは 2時間の時限放出性が効果的であったこと、 および 基礎的な検討から得られた情報として、核錠に水への溶解性の高いポリエチレング リコールを添加すると効果的であり、外層部のポリエチレングリコールとポリェチ レンォキサイ ドとの配合比を変えることで時限放出性を調節できること、を報告し 7こ (1998年 l i 月 18 日、 American Association of Pharmaceutical Scientists Annual meeting: Exploitation of Novel Timed-release Dosage Forms For Oral Delivery of Peptide Drugs.) 。
今日医療の多様化、 高齢化に伴う患者相の変化に伴い、薬物が単独で使用される ことは稀であり、多くの場合は複数の薬物が同時投与または時間をずらして投与さ れている。 薬物には、 併用して投与される薬物と薬物動態学的な相互作用を生じる ものがある。 薬物動態学的な薬物相互作用は、 ほとんどの場合、 薬物の吸収、 分布、 代謝または排泄に関して同じ経路を利用している薬物が併用された際に、薬物同士 がーつの経路、 例えば酵素、 輸送体などを争うことにより生じる。
「薬剤予測学入門」 (澤田康文著、 薬業時報社、 1 9 9 3年 8月 3 1 日発行) に は、併用する薬物の患者への投与時間をずらす投与設計による薬物相互作用の回避
手段が開示されている。 その例示として、 金属カチオン含有制酸薬 (マグネシウム、 アルミニウム等) とニューキノロン剤 (ノルフロキサシン等) との併用では厳密に 投与時間を指定して 1 日 6乃至 7回も投与する投与設計が挙げられている力 患者 のコンプラィアンスを考慮するとき、他の現実的な薬物相互作用の回避手段が望ま れる。
発明の開示
このような技術水準下において、 本発明者らは、種々の薬物動態学的な薬物相互 作用を回避する手段として、これまで採用されることがなかった時限放出型製剤の 利用に着想し、 製剤設計がシンプルで、 力 製剤製造が煩雑とならない有核錠剤の 適用を検討した結果、 高い核錠浸食率を示す有核錠剤が時限放出後においても、 高 い生物学的利用率を示すことを知った。
本発明者らはその原因解明と、好適な時限放出型製剤の開発を目的としてさらに 鋭意検討した結果、驚くべきことに薬物によって核錠に用いる適切な賦形剤が存在 すること、 すなわち塩基性薬物の時限放出型製剤においては、核錠に添加される賦 形剤として、 リンゴ酸、 酒石酸、 クェン酸等の水溶性に優れた有機酸を配合するこ とにより、 核錠の浸食が良好であり、 時限放出型製剤として生物学的利用率が低下 しない効果を達成できうることを知見した。 本発明者らは、 さらにこの現象につき 解析を進めた結果、 好適な時限放出型製剤とするためには、核錠の浸食率を約 4 0 乃至約 9 0 %とすることが必要であり、 この浸食率となるように、 薬物と、 易浸食 性賦形剤と、 その他の添加剤とを選択し、 配合量を特定することが肝要であること を知見した。
本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものであり、薬物を含有する核錠と ハイ ド口ゲル形成性高分子物質および親水性基剤とからなる外層部とで構成され るハイ ドロゲル形成性有核固形製剤において、①核錠に薬物と易浸食性賦形剤を配 合し、 ②核錠の浸食率が約 4 0乃至約 9 0 %であり、③外層部には前記薬物と同一 の薬物を実質的に含まないことを特徴とする経口投与用時限放出型有核固形組成 物に関するものである。
本発明の組成物は、 特に A.消化管上部に滞留中に水分を吸収し、 外層部がほぼ 完全にゲル化すること、 B.錠剤内部に水分が浸入し、 核錠が浸食後、 溶液状態ある
いは懸濁状態になること、 C.ゲル化した外層部が浸食を受けながら消化管下部へ移 行すること、 D.さらに外層部の一部が崩壊し、 あるいは剥離され、 薬物を放出する こと、 を特徴とし、 こうした機構により、 薬物の性質に依らず、 水分の少ない消化 管下部においても薬物の好適な時限放出を達成できる。
さらに、 本発明は、 前記経口投与用時限放出型有核固形組成物を用いることによ り、 ヒ トの体内における薬物の吸収、 分布、 代謝または排泄に関して同じ経路を利 用する薬物と併用する他の薬物との好ましくない薬物動態学的な薬物相互作用を 低減させる方法に関するものである。
以下、本発明の経口用医薬製剤およびその薬物相互作用低減化方法を詳細に説明 する。
本発明の外層部には、 時限放出を目的としない薬物は含有しても良く、例えば消 化管下部で放出する時限放出目的の薬物以外の薬物であって、消化管上部で放出さ せうる薬物である場合は、 該薬物を有核錠剤の外層部に含んでいてもよい。
「外層部には前記薬物と同一の薬物を実質的に含まない」 との記載は、 本発明の 時限放出型製剤の効果を損なわない範囲内においては、前記薬物と同一の薬物を含 んでも良いことを意味する。 なお、薬物相互作用を回避するための時限放出製剤と するときは、好ましくは外層部に時限放出を目的とする薬物を含まない実施態様が 好適である。
また本発明でいう 「消化管上部」 とは、 胃から十二指腸、 空腸までの部分を意味 し、 「消化管下部」 とは、 回腸から結腸までの部分を意味する。
本発明に適用される薬物としては、消化管下部の疾病部位に高濃度に送達するこ とが有効とされる薬物、 消化管下部での吸収が有効とされる薬物、 時間薬物治療に 有効である薬物をはじめ、薬物動態学的な薬物相互作用を有するために同時投与が 好ましくないとされる薬物、 特に十二指腸、 空腸などの小腸上部及び Zまたは肝臓 でチトクローム P 4 5 0による薬物代謝、特に C Y P 3 A 4による薬物代謝および Zまたはその阻害をおこす薬物どうしのうちの一の薬物等、それぞれの目的を達成 する上で時限放出製剤化することが有効となる薬物が選択される。
消化管下部の疾病部位に高濃度に送達することが有効とされる薬物として、例え ばクローン病、 潰瘍性大腸炎、 過敏性大腸炎、 結腸癌等の治療薬であるサラゾスル
ファピリジン、 5—ァミノサリチル酸、 酢酸コルチゾン、 トリアムシノロン、 デキ サメタゾン、 ブデソニド、 テガフール、 フルォロウラシルおよびこれらの誘導体な どが挙げられる。
消化管下部での吸収が有効とされる薬物として、例えば消化管粘膜および Zまた は粘液層と相互作用するため経口的に吸収されにくいもの等が挙げられ、消化管粘 膜上に存在する粘液層の透過性が悪いため消化管から吸収されにくい薬物、粘液層 に存在する物質との相互作用により吸収されにくレ、薬物、あるいは消化管粘膜にお いて透過性が悪いため消化管から吸収されにくい薬物等が挙げられる。 例えば、 自 然界に存在する動植物由来の抽出物(例えば、 エキス、 チンキなど)、 あるいは抽出 物等から単離された化合物あるいは化学合成された化合物等も含まれる。薬物は、 単一成分でもよく、 また二種以上の混合物でもよい。 また、 薬物が化合物であると きには、 化合物の塩、 該化合物の医薬的に許容し得る各種溶媒和物(例えば、 水な ど)、 該化合物の塩の溶媒和物も含まれる。 また、 これらの結晶多形も含まれる。 さらにまた、 化合物の構造中に不斉炭素が存在し、 それに基づく光学異性体あるい は立体異性体が存在するときには、 これらの光学異性体、 立体異性体およびこれら 異性体の混合物のいずれもが含まれる。 化合物の塩としては、 医薬的に許容し得る ものであれば特に限定されるものではないが、 具体的には、 塩酸塩、 臭化水素酸塩、 ヨウ化水素酸塩、 りん酸塩、 硝酸塩、 硫酸塩等の鉱酸塩類、 メタンスルホン酸塩、 エタンスルホン酸塩、 2—ヒ ドロキシエタンスルホン酸塩、 p—トルエンスルホン 酸塩等の有機スルホン酸塩類、 酢酸塩、 プロピオン酸塩、 シユウ酸塩、 マロン酸塩、 コハク酸塩、 グルタル酸塩、 アジピン酸塩、 酒石酸塩、 マレイン酸塩、 リンゴ酸塩、 マンデル酸塩等の有機カルボン酸塩等を挙げることができる。
具体的には、 例えば骨粗しょう症薬、 骨代謝改善剤、 催眠鎮静剤、 睡眠導入剤、 抗不安剤、 抗てんかん剤、 抗うつ薬、 抗パーキンソン剤、 精神神経用剤、 中枢神経 系用薬、 局所麻酔剤、 骨格筋弛緩剤、 自律神経剤、 解熱鎮痛消炎剤、 鎮けい剤、 鎮 暈剤、 強心剤、 不整脈用剤、 利尿剤、 血圧降下剤、 血管収縮剤、 血管拡張剤、 循環 器官用薬、 高脂血症用剤、 呼吸促進剤、 鎮咳剤、 去たん剤、 鎮咳去たん剤、 気管支 拡張剤、 止しや U、 整腸剤、 消化性潰瘍用剤、 健胃消化剤、 制酸剤、 下剤、 利胆剤、 消化器官用薬、 副腎ホルモン剤、 ホルモン剤、 泌尿器官用剤、 ビタミン剤、 止血剤、
肝臓疾患用剤、 通風治療剤、 糖尿病用剤、 抗ヒスタミン剤、 抗生物質、 抗菌剤、 抗 悪性腫瘍剤、 化学療法剤、 総合感冒剤、 滋養強壮保健薬等であって、 例えばビスホ スホネート化合物 (ィンドカドロネ一ト (incadronate、 [ (Cycloheptylamino) methylene J bis phosphonate) 、 YM 1 7 5 ;特公平 7— 6 2 9号公報に記載された方法により 製造される) 、 ミノ ドロン酸(Minodronic acid、 [ 1 -Hydroxy-2-imidazo-( 1 ,2-a)pyridin- 3-ylethylidene]bis-phosphonate) N YM529;特公平 6-99457号公報に記載された方法 により製造される)、 アレンドロネ一ト、 ィバン ド口ネート、 ェチドロネート、 ォ ノレ/ ドロネ一ト、 クロ ドロネ一ト、 ゾレドロネート、 チノレドロネート、 ネリ ドロネ ー ト 、 ノヽ ° ミ ド ロ ネー ト 、 リ セ ド ロ ネー ト 、 [l-Hydroxy-3-(l-pyrrolidinyl)- propylidene]bis-phosphonateN 等)、 5—ァミノサリチル酸、 ァシクロビル、 アジナゾ ラム、 ァスコルビン酸、 アスピリン、 ァセチルサリチル酸、 ァセトァミノフェン、 ァセ トブト一ル、 ァセトへキサミ ド、 ァテノロール、 アトルバスタチン、 アポモル フィン、 アミノビリン、 アミノフィリン、 ァミノ安息香酸ェチル、 アムリノン、 ァ モバルビタール、 アルブテロール、 アルプラゾラム、 ァロプリノール、 アンピシリ ン、 アンブロキソール、 イソ二アジド、 イデべノン、 イブプロフェン、 インデロキ サジン、 インドメタシン、 ェテンザミ ド、 ェトスクシミ ド、 ェトミ ドリン、 ェナラ プリル、 エフェ ドリン、 エリスロマイシン、 ォキシテトラサイクリン、 ォキシフエ ンブタゾン、 ォサラジン、 オメプラゾール、 カルモフール、 キニジン、 グリ ピジド、 クロラムフエ二コール、 クロルジァゼポキシド、 クロ口サイァザイ ド、 ケトコナゾ —ル、 コディン、 コバマミ ド、 コルヒチン、 ザフィルカスト、 ジァゼパム、 ジキト キシン、 ジクロフエナック、 ジクロフエナックナトリウム、 シクロホスファミ ド、 ジゴキシン、 シコチアミン、 ジピリダモーノレ、 シメチジン、 ジョサマイシン、 シン パスタチン、 スクラルファート、 スピロノラク トン、 スルピリ ド、 スルフアサラジ ン、 スルファメ トキサゾー Λ\ ス フイソキサゾ一ノレ、 セフォテタン、 セフロキシ ム、 セレギリン、 セレコキシブ、 タソサルタン、 チォテパ、 テオフィリン、 デキス トロメ トルファン、 テトラサイクリン、 テプレノン、 テルフエナジン、 テルブタリ ン、 ドキソルビシン、 トラマドール、 エト ドラック、 トリアムシノロン、 トリアム テレン、 トルプタミ ド、 ナドロール、 ナプロキセン、 ニコチン酸アミ ド、 ニトログ リセリン、 ニトロフラントイン、 二フエジピン、 ネモナプリ ド、 ノス力ピン、 ハイ
ドロコノレチゾン、 ノくノレデコキシブ、 バノレプロ酸ナトリウム、 ノヽロペリ ドーノレ、 ヒ ド 口クロ口チアジド、 ヒ ドロコノレチゾン、 ピロ力ノレピン、 ファモチジン、 フエナセチ ン、 フエニトイン、 フエニノレブタゾン、 フエ二ノレプロパノールァミン、 フエノバル ビタール、 フエノプロフェンカルシウム、 プソイ ドエフェ ドリン、 ブデソニド、 フ マル酸フオルモテロール、 プラウノ トール、 プラバスタチン、 プラバスタチンナト リウム、 プランルカス ト、 プリ ミ ドン、 フルォロウラシル、 プレドニゾロン、 プレ ドニゾン、 プロ力インアミ ド、 例えばベラプロストナトリウムなどのプロスタグラ ンジン I誘導体、 フロセミ ド、 プロベネシド、 ブロムヮレリル尿素、 ベタメタゾン、 ペニシリン、 ペルォキセチン、 ペルフエナジン、 ベンジルペニシリン、 ペンタゾシ ン、 ホパテン酸カルシウム、 ポリチアジド、 マレイン酸クロルフエ二ラミン、 ミダ ゾラム、 ミルナシプラン、 メシル酸ドキサゾシン、 メチノレドーパ、 メチルフエニデ —ト、 メ トクロプラミ ド、 メ ト トレキセ一ト、 メ トプロロール、 メピリゾーノレ、 モ ルヒネ、 ラニチジン、 ランソプラゾール、 リシノプリル、 リスペリ ドン、 グリセォ フルビン、 リ ドカイン、 リン酸コディン、 リン酸ジメモルフアン、 リン酸ピリ ドキ サール、 レセルピン、 レボドパ、 ロバスタチン、 ロラゼパム、 ヮーフアリン、 塩酸 アクラルビシン、 塩酸ァザセトロン、 塩酸アミ トリプチリン、 塩酸ァモスラロール、 塩酸アンピシリンフタリジル、 塩酸インデノロール、 塩酸エタンプトール、 塩酸ォ ンダンセトロン、 塩酸ダラニセトロン、 塩酸クロルプロマジン、 塩酸ジフェンヒ ド ラミン、 塩酸ジブ力イン、 塩酸タムスロシン、 塩酸チアプリ ド、 塩酸テラゾシン、 塩酸二カルジピン、 塩酸バルニジピン、 塩酸ヒ ドララジン、 塩酸ビフエメラン、 塩 酸プラゾシン、 塩酸プロパフェノン、 塩酸モペロン、 塩酸ラニチジン、 塩酸ラモセ トロン、 臭化プチルスコポラミン、 硝酸ィソソルビド、 硝酸キニジン、 硝酸グァネ チジン、 硝酸チアミン、 酢酸トコフエノール、 抱水クロラール、 N— [ 4 - [ ( 1 —ァセトイミ ドイル— 4ーピペリジル) ォキシ] フエニル] — N— [ ( 7—アミジ ノ一 2—ナフチル) メチル] スルファモイル酢酸 モノメタンスルホネート(国際 公開 WO96/16940号パンフレツトに記載された方法により製造される、 活性化血 液凝固第 X因子を阻害し、 血液凝固抑制剤または血栓の予防 ·治療剤として有用な 化合物)等が挙げられる。 また他の例としてインスリン、 カルシトニン、 アンギオ テンシン、 バソプレツシン、 デスモプレシン、 L H— R H (黄体形成ホルモン放出
ホルモン) 、 ソマトスタチン、 グルカゴン、 ォキシトシン、 ガス トリン、 シクロス ポリン、 ソマトメジン、 セクレチン、 h— AN P (ヒ ト心房性ナトリウム利尿ぺプ チド) 、 A C T H (副腎皮質刺激ホルモン) 、 M S H (黒色素胞刺激ホルモン) 、 一エンドノレフィン、 ムラミルジペプチド、 エンケフアリン、 ニューロテンシン、 ボンべジン、 V I P (血管作用性腸ペプチド) 、 C C K一 8 (コレシストキニン一 8 ) 、 P T H (副甲状腺ホルモン) 、 C G R P (カルシトニン遺伝子関連ペプチド) 、 T R H (チロ トロピン放出ホルモン) 、 エンドセリン、 h G H (ヒ ト成長ホルモン) 、 またインターロイキン、 インターフェロン、 コロニー刺激因子、 腫瘍壊死因子等の サイ トカイン類、 等の消化管上部で分解され易い、 ペプチド、 蛋白質およびその誘 導体が挙げられる。
また、 時間薬物治療に有効である薬物としては、 鎮咳去痰剤であるテオフィリン 等、 血管拡張剤である塩酸二カルジピンおよび二フヱジピン等、 冠血管拡張剤であ る硝酸イソソルビド等、 解熱鎮痛剤であるァセトァミノフェン、 インドメタシン、 ハイドロコーチゾン、 イブプロフェン、 サラゾビリン等の生体リズムを把握し、 必 要な時間帯に必要な血中濃度を得ることが治療上有効である薬物を挙げることが できる。 特に夜間、 または早朝のある特定の時間帯に血中濃度を出現させたい薬物 は好適である。
さらに、 薬物動態学的な薬物相互作用を示す薬物としては、 その相互作用の種類 によりいくつかに分類される。 概説的には、併用する他の薬物あるいは食物と吸収、 分布、 代謝又は排泄に関して同じ経路を利用するものであって、 薬物動態学的に好 ましくない相互作用を示す薬物であれば特に制限されない。
上記の薬物はいずれも、フリー体または製薬的に許容され得る塩のいずれをも用 いることができる。 また、 必要により 2種以上の薬物を組合せて用いることもでき る。
特に薬物動態学的な薬物相互作用を呈する薬物につき以下にさらに詳細に説明 する。
( a ) 薬物の代謝に関する相互作用
薬物は肝臓等において薬物代謝酵素の作用を受けて、 不活性化され、 また、 腎臓 より排泄されやすい水溶性の代謝産物へと変換される。薬物代謝酵素のなかで最も
重要といえるものがチトクローム P 450 (CYP) である。 薬物動態学的な薬物 相互作用の約 70%が薬物の代謝をめぐるものであり、そのうち 95%以上が CY Pを介した相互作用であると云われている。 C Y Pには多数の分子種が存在する 、 中でも薬物の代謝に重要な役割を果たしているのが、 CYP 1 A2、 CYP 2C 9、 CY P 2 C 1 9、 CYP 2D 6及び CYP 3A4である。 薬物はその化学構造によ つて代謝を受ける CYPの分子種が決まっている。 また、 化学構造の部位ごとに代 謝を受ける CYPの分子種が異なり、複数の分子種の CYPにより代謝される薬物 も存在する。
CYP 1 A 2により代謝される、および/または CYP 1 A 2を阻害する薬物と しては、 テオフィ リン、 カフェイン、 フエナセチン、 クロミプラミン、 イミプラミ ン、 フルボキサミン、 ゾルピデム、 クロザピン、 プロプラノール、 プロパフェノン、 クロルゾキサゾン、 タクリン、 ァセトァミノフェン、 オンダンセトロン、 ベラパミ ル等が挙げられる。
CYP 2 C 9により代謝される、および/または CY P 2 C 9を阻害する薬物と しては、 ジクロフエナク、 ナプロキセン、 イブプロフェン、 ピロキシカム、 フルル ビプロフェン、 インドメタシン、 フエニトイン、 カルバマゼピン、 トルプタミ ド、 グリペンクラミ ド、 グリ ビジド、 グリメピリ ド、 ヮルフアリン、 口サルタン、 トル セミ ド、 ドロナビノール、 テノキシカム、 メフエナム酸、 スルファフェナゾール等 が挙げられる。
CYP 2 C 1 9により代謝される、および Zまたは CYP 2 C 1 9を阻害する薬 物としては、 メフエ二トイン、 ジァゼパム、 フエニトイン、 フエノバルビタール、 へキソバルビタール、 メホバノレピタール、 オメプラゾ一ル、 ランソプラゾール、 プ ログァニル、 アミ トリプチリン、 クロミプラミン、 イミプラミン、 シタロプラム、 プロプラノロ一ノレ、 チオリダジン、 カリ ソプロ ド一ノレ、 ヮノレフアリン、 ニノレバノー ル等が挙げられる。
C YP 2 D 6により代謝される、および 7または CY P 2 D 6を阻害する薬物と しては、 プロパフェノン、 フレカイニド、 メキシレチン、 ェンカイニド、 スバルテ イン、 N—ブロピルアジマリン、 アジマリン、 メ トフ。ロロ一ノレ、 チモローノレ、 ピン ドローノレ、 ブロプラノロ一ノレ、 ブフラローノレ、 ぺノレブトローノレ、 ポピンドローノレ、
アルプレノロール、 カルベジロール、 デブリソキン、 インドラミン、 グアノキサン、 ゥラピジル、 ニセルゴリン、 リスペリ ドン、 チオリダジン、 ペルフエナジン、 クロ ザピン、 トリフルペリオール、 フルフエナジン、 クロルプロマジン、 ノヽロペリ ドー ル、 クロミプラミン、 ノルトリプチリン、 アミ トリプチリン、 イミプラミン、 トリ ミプラミン、 デシプラミン、 ゾルピデム、 ブロファロミン、 ァミフラミン、 ノ ロキ セチン、 フノレォキセチン、 マプロチリン、 バンラフアキシン、 フノレボキサミン、 ト ラゾドン、 トモキセチン、 ジヒ ドロコディン、 ォキシコディン、 コディン、 トラマ ド—ノレ、 デキス トロメ トノレファン、 フェンホノレミン、 ぺノレへキシリン、 クロミオプ ラン、 キニジン、 シメチジン、 オンダンセトロン等が挙げられる。
C Y P 3 A 4により代謝される、および/または C Y P 3 A 4を阻害する薬物と しては、 アンフェンタニル、 フェンタニル、 スノレフェンタニル、 コカイン、 ジヒ ド ロコディン、 ォキシコディン、 トラマドール、 エリスロマイシン、 クラリス口マイ シン、 トロレアンドマイシン、 ァジスロマイシン、 イ トラコナゾーノレ、 ケトコナゾ ール、 ダプソン、 ミダゾラム、 トリァゾラム、 アルプラゾラム、 ジァゼパム、 ゾル ピデム、 フエロジピン、 二フエジピン、 ニトレンジピン、 アムロジピン、 イスラジ ピン、 二カルジピン、 ニモジピン、 二ソルジピン、 ニノレジピン、 ベプリジル、 ジル チアゼム、 ベラパミル、 ァステミゾール、 テルフエナジン、 口ラタジン、 シクロス ポリン、 タクロリムス、 ラパマイシン、 アミオダロン、 ジソピラミ ド、 リ ドカイン、 プロパフェノン、 キニジン、 イミプラミン、 アミ トリプチリン、 クロミプラミン、 ナファゾドン、 セノレトラリン、 トラゾドン、 ノヽロペリ ドール、 ピモジド、 力ルバマ ゼピン、 エトスクシミ ド、 トリメタジオン、 シンパスタチン、 ロバスタチン、 フル パスタチン、 ァトロパスタチン、 エトポシド、 ィホスフアミ ド、 パクリタキセル、 タモキシフェン、 タキノール、 ビンブラスチン、 ビンクリスチン、 インジナビル、 リ トナビル、 サキナビル、 テス トステロン、 プレドニゾロン、 メチルプレドニゾロ ン、 デキサメタゾン、 プログァニル、 ヮルフアリン、 フィナステリ ド、 フルタミ ド、 オンダンセトロン、 ザトセトロン、 シサプリ ド、 コルチゾール、 ゾニサミ ド、 デス メチルジァゼパム、コニバプタン等が挙げられる(総合臨床, 48 (6) , 1427-1431, 1999 Z精神科治療学, 14 (9), 951 - 960, 1999)。
このように同じ分子種の CYPにより代謝される、または CY Pを阻害する複数 の薬物が、 それらの代謝酵素上で競合した場合には、 その程度は薬物の有する CY Pへの親和性により異なるものの、何らかの代謝阻害を受けることが考えられる。 C Y Pへの親和性に劣る方が代謝阻害を受けることになりその結果、血中濃度上昇 や、 血中半減期延長等の薬物相互作用が現れる。
例えば、 CYP 3 A4で代謝阻害を生じる薬物同士の併用として、 エリス口マイ シンによりミダゾラムやテルフエナジン、 シクロスポリン等が、 ケトコナゾールに よりメチルプレドニゾロンが、ィ トラコナゾールによりロバスタチンが代謝阻害を 受けて血中濃度が上昇する。
また、 薬物と、 同じ分子種の CYPにより代謝される、 および Zまたは CYPを 阻害する食物が、 それらの代謝酵素上で競合した場合にも、 薬物が何らかの代謝阻 害を受ける場合がある。 例えば、 グレープフルーツジュースに含まれる成分が CY P 3A4を阻害するため、 CYP 3 A4で代謝されるシクロスポリンゃタク口リム ス、 ミダゾラム、 トリァゾラム、 テルフエナジン等をグレープフルーツジュースと 共に服用した場合に薬物の血中濃度上昇の相互作用が現れる。
一方、 薬物代謝酵素を誘導する薬物があることも知られている。 例えば、 リファ ンピシンは CYP 3A4、 CYP 2 C 9、 CYP 2 C 1 9を誘導し、 二フエジピン、 ヮルフアリン、 ジァゼパム、 シクロスポリン、 ジソピラミ ド、 トルプタミ ド、 ェチ ニルエストラジオール等の代謝が促進し、 血中濃度の低下をもたらす。
(b) 薬物の吸収に関する相互作用
薬物の吸収経路としては、 皮膚' 口腔粘膜などもあるが、 吸収経路の大部分は消 化管からのものである。
併用する他の薬物の影響による胃内 pHの変動によって、薬物の溶解性が変動し て消化管からの吸収が抑制或いは阻害されることがある。 例えば、 シメチジンとケ トコナゾールの併用において、シメチジンの投与により胃内 pHが 3〜5に上昇し た結果、 ケトコナゾールの溶解性が減少して消化管からの吸収が抑制されて、 血中 濃度低下が起こる。
また、 薬物が併用する薬物と小腸上皮細胞上の同じ輸送担体 (キャリアー) を介 して能動的に吸収される場合、薬物により併用薬の吸収が抑制されることがある。
例えば、 ベータラタタム系抗生物質のセファドロキシルは、 セファレキシンと併用 するとセファドロキシルの血漿中濃度が約半分に低下することが報告されている。 この血中濃度の低下は、両薬物による輸送担体の競合阻害によるものと考えられる。
( C ) 薬物の分布に関する相互作用
消化管から吸収された、 或いは投与部位から血中に移行した薬物は、 一定の割合 で血球に分配されるか、 または血漿中の蛋白質と結合する。 各組織に分布して薬理 作用を発揮するのは、 遊離型の薬物であるので、 蛋白質と結合している薬物をその 結合から追い出し遊離薬物濃度が上昇するような相互作用が生じた場合には、その 薬理効果が増強されることがある。 例えば、 ヮルフアリン、 トルプタミ ド等はァス ピリン等との併用により、蛋白結合部位からの追い出しを受けて遊離型薬物濃度が 上昇する。
また、 小腸粘膜細胞、 腎尿細管内皮細胞、 脳毛細血管内皮細胞には P糖蛋白が存 在し、 多くの薬物の細胞外へのくみ出し機能を果たしている。 P糖蛋白を阻害する 薬物と、 P糖蛋白を介してくみ出される薬物とを併用する際には、 薬物のくみ出し が阻害されて、 結果的に薬物の腸内への分泌、 脳内からのくみ出し、 尿中への排泄 が阻害される場合がある。 P糖蛋白を介してくみ出される薬物としては、 ビンブラ スチン、 ビンクリスチン、 ドキソルビシン、 エトボシド、 タキソール、 アドリアマ イシン、 デキサメタゾン、 ヒ ドロコノレチゾン、 ベラパミノレ、 ジノレチアゼム、 二フエ ジピン、 二カルジピン、 シクロスポリン、 タクロリムス、 ァセブトロール、 メ トプ ロロ一ノレ、 ナドローノレ、 チモローノレ、 プロスタグランジン、 ローダミン 1 2 3、 ジ ゴキシン、 コルヒチン、 ジデォキシフオルスコリン等が挙げられる。 P糖蛋白を阻 害する薬物としては、 エトポシド、 ヒ ドロコルチゾン、 プロゲステロン、 テス トス テロン、 ベラパミル、 ジルチアゼム、 二フエジピン、 フエロジピン、 二トレンジピ ン、 二カルジピン、 シクロスポリン、 タクロリムス、 アミオダロン、 リ ドカイン、 キニジン、 ィ トコナゾール、 ケトコナゾーノレ、 エリスロマイシン、 タモキシフェン、 テノレフエナジン、 クロノレプロマジン、 セリプロローノレ、 シフ °ロフロキサシン、 スピ ロノラタ トンが挙げられる( 「臨床薬物動態学 ·改訂第 2版」 第 Π章薬の投与部位 からの吸収 1 9頁, 加藤隆ー著, 南江堂発行)。
( d ) 薬物の排泄に関する相互作用
体内に入った薬物は腎臓より尿中に排泄され、尿細管で分泌及び再吸収が行われ ている。 尿細管からの分泌には、 ァニオン輸送体とカチオン輸送体が関与しており、 同じ輸送体を用いる薬物同士は、 互いに相互作用を引き起こす可能性がある。 ァニ オン輸送体を介する分泌阻害剤としては、 プロベネシド、 ジォドラスト、 ァセタゾ ラミ ドなどが挙げられ、メ トトレキサ一ト等分泌阻害を受けた薬物の血中濃度は上 昇する。 カチオン輸送体を介する分泌阻害剤としては、 キニーネ、 メチルニコチン アミ ド、 トラゾリン、 テトラエチルアンモニゥム等が挙げられる。
一方、 尿細管からの再吸収が阻害されると、 尿中排泄量が増加し、 血中濃度の低 下を招く。 例えば、 炭酸水素ナトリゥムとの併用により、 クロルプロパミ ドの尿細 管からの再吸収が抑制される。
本発明の時限放出制御が有効である薬物の典型例として、 ジルチアゼム、 ケトコ ナゾール、 ァセトァミノフェン、 ミダゾラム、 シンパスタチンおよびコニバプタン を挙げ、 本発明の効果を確認しているが、 後記試験例で明らかにされる技術的思想 に基づけば、本発明組成物はいずれの時限放出制御が有効である薬物にも適用可能 なものであることは明らかである。
C Y P 3 A 4により代謝される薬物はまた時限放出制御が有効な薬物の典型例 であり、 上述の薬物の例の他、 下記一般式 ( I ) で表される含窒素芳香族 5員環縮 合ベンズァゼピン誘導体またはその製薬学的に許容される塩に含まれ C Y P 3 A 4により代謝される化合物も挙げられる。
(式中の記号は以下の意味を有する。
環 B :置換基を有していてもよく、 少なくとも 1つの窒素原子を有し、 さらに酸 素又は硫黄原子を 1つ有していてもょレ、含窒素芳香族 5員環
R1, R2 : 同一または異なって、 水素原子、 ハロゲン原子、 低級アルキル、 低 級アルキル— O—、 又は低級アルキル基で置換されていてもよいァ ミノ基
A:単結合または式一 (CR3R4) n— CONH—で示される基
n : 0又は 1〜3の整数を意味する
R3, R4 :同一または異なって、 水素原子、 低級アルキル基 (但し、 R:i及び R
4が一緒になつて炭素数 2〜 7の低級アルキレン基を形成してもよ い)
環 C :置換基を有していてもよいベンゼン環)
上記一般式 ( I ) で表される含窒素芳香族 5員環縮合ベンズァゼピン誘導体又は その塩は、国際公開第 95/03305号に記載された一般式に包括される化合物 の全てを含み、本発明に使用される時限放出制御が有効な薬物の典型例としては、 国際公開第 94/03305号に記載された 4 ' 一 [ (2—メチルー 1, 4, 5, 6—テトラヒ ドロイミダゾ [4, 5— d] [ 1 ] ベンズァゼピン _ 6—ィル) カル ボニル]— 2—フユニルベンズァニリ ドまたはその製薬学上許容される塩が挙げら れる。
これらの化合物は、前記の国際公開第 95/03305号に記載された製法によ り、 或いはそれに準じて製造することにより容易に入手可能である。
なお、 本発明に用いられる薬物が、 本発明の技術的思想特に実験例に基づいて明 らかなように本発明の効果を達成する限りにおいて、現在公知の時限放出製剤化が 求められる薬物のみに限定されないことは勿論である。
本発明に用いられる薬物の配合割合としては、通常薬理学的に治療または予防に 用いられる該薬物の製剤単位当たりの有効量であればよく、一概に規定することは できないが、 好ましくは製剤全体の約 75重量%以下であり、 さらに好ましくは約 50重量%以下である。
本発明でいう浸食率とは、薬物時限放出後の生物学的利用率を確保するために必 須な規定であり、また本発明の易浸食性賦形剤を定義付けするためにも用いられる, = すなわち浸食率とは、有核錠剤を一定時間湿潤させた後に核錠が浸食された割合を 意味し、 以下に示す浸食率の測定法により測定される。 また浸食率が約 40乃至約
9 0 %を示すとき、好ましくは約 4 5乃至約 8 5 %を示すとき、 さらに好ましくは 約 5 0乃至約 8 0 %を示すとき、その浸食率を示す有核錠剤の核錠に含有されてい る賦形剤が、該核錠に含有されている薬物に対しての易浸食性賦形剤であることを 意味する。 また浸食率が約 4 0乃至約 9 0 %であるとき、 薬物を時限放出した後の 生物学的利用率が確保されることを意味する。具体的には浸食率が約 4 0 %以下だ と充分な薬物の放出が得られず、 生物学的利用率の低下が懸念される。 また浸食率 が約 9 0 %以上だと製剤全体の強度が低下するため期待する時間よりも速く、消化 管上部での薬物放出を引き起こし、 目的を達成できないことが懸念される。 浸食率 は、 以下の方法により測定される。
浸食率の測定
本発明で開示する時限放出型有核固形組成物の製造方法に従い、薬物を含有する 有核錠剤を製し、 3 7 °Cの水に 3時間湿潤後、 錠剤のゲル化部分を剥離し、 浸食さ れていない核錠部分を取り出す。 核錠を 4 0 °Cの乾燥器内で一晩乾燥し、 重量を測 定する。 初期の核錠重量から乾燥重量を減じ、 初期の核錠重量で除した値に 1 0 0 を乗じて浸食率 (%) を算出する。
本発明の核錠内に用いられる 「易浸食性賦形剤」 としては、 通常製薬学的に許容 され、 かつ用いられる薬物、 その他の賦形剤との組み合わせにおいて、 本発明で規 定する浸食率を示すものであれば特に制限されない。 かかる賦形剤としては、 例え ば、核錠を速やかに浸食させ、含まれる薬物を分散あるいは溶解させ得るためにそ れ自身速やかに溶解するもの、 および/またはそれ自身速やかに溶解し、 薬物を溶 解させやすい p H値に調節し得る等の機能を有するものが挙げられる。 しかしなが ら、溶解性が良い賦形剤が必ずしも全て選択されるわけではなく、 すなわちかかる 易浸食性賦形剤は、 薬物の物理化学的特性、 特にその薬物が酸性、 中性、 塩基性薬 物のうちどれに属する力 を考慮して選択されることが好ましい実施態様である。 例えば薬物が塩基性薬物である際のかかる賦形剤としては、 リンゴ酸、 クェン酸、 酒石酸の有機酸が挙げられ、 好ましくは、 リンゴ酸、 クェン酸である。 また薬物が 中性あるいは酸性である際には、 白糖、 ポリエチレングリコ一ル、 ラクチュロース 等が挙げられる。 好ましくは白糖、 ポリエチレングリコールである。
かかる賦形剤は、 1種または 2種以上を混合して用いることもできる。 さらにか かる賦形剤は、 リンゴ酸、 クェン酸、 酒石酸、 白糖、 ポリエチレングリコールおよ びラクチュロースからなる 1種または 2種以上を混合して用いることが好ましレ、。 本発明の薬物として、 国際公開第 9 4 / 0 3 3 0 5号に記載された 4 ' - [ ( 2 —メチルー 1, 4, 5 , 6—テトラヒ ドロイミダゾ [ 4, 5— d ] [ 1 ] ベンズァ ゼピン— 6—ィル) カルボニル] — 2—フエニルベンズァユリ ドまたはその製薬学 上許容される塩を用いた場合、 またケトコナゾールを用いた場合、 かかる易浸食性 賦形剤としては、 リンゴ酸、 クェン酸が好適である。
また本発明の薬物として、 ァセトァミノフェンを用いた場合には、 かかる易浸食 性賦形剤としては、 ポリエチレングリコールが最適である。
また本発明に用いられる易浸食性賦形剤の配合量は、規定された浸食率を示す範 囲内の量であれば特に制限されないが、 核錠の約 1 0乃至約 9 5 %であり、 好まし くは約 1 5乃至約 8 0 %である。すなわち易浸食性賦形剤の配合量が約 1 0 %以下 だと核錠の充分な浸食率が得られず、 約 9 5 %以上だと高い浸食率を示すが、製剤 全体の強度が低下するため期待する時間よりも速く、消化管上部での薬物放出を引 き起こす恐れがあり、 目的を達成できない場合が生じる。 また核錠のサイズが大き くなり、 それに伴い有核錠剤自体のサイズの大型化も懸念される。
さらに核錠内に含まれる薬物を、水分の少ない結腸においても吸収させやすくす るため、核錠内には薬物の利用率をさらに高めるための薬学的に許容されうる添加 剤を 1種または 2種以上添加することも可能である。 かかる添加剤としては、 例え ば、 ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油類、 ポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪 酸エステル類、 ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール類、 ショ糖脂 肪酸エステル類等の界面活性剤等である。また薬物自体の性質を以下に示す方法に より改善する方法も有効である。 具体的には、 ヒ ドロキシプロピルメチルセルロー ス、 ポリビニルピロリ ドン、 ポリエチレンダリコール等の水溶性高分子あるいは力 ノレボキシメチノレエチノレセノレロース、 ヒ ドロキシプロピノレメチノレセノレロースフタレ一 ト、 メタアタリル酸メチル ·メタアタリル酸共重合体等の腸溶性高分子との固体分 散体を形成させる方法、 可溶性の塩にする方法、 あるいはサイクロデキス トリン等 を用いて包接化合物を形成させる方法等が挙げられる。 また、 これらの方法は、 1
種または 2種以上組合せて用いても良く、上記添加剤とこれらの方法を組み合わせ ても良い。
さらにまた、 必要であれば核錠にコーティングを施すことが可能である。 本発明 で用いられるコーティング基剤としては、製薬学的に許容され、 本発明の目的を達 成しうるものであれば特に制限されず、例えばヒ ドロキシプロピルメチルセルロー ス等の高分子基剤が挙げられる。 適切な高分子基剤の 1種、 または 2種以上を適宜 組み合わせて用いることも可能である。
本有核固形組成物に用いられるハイ ドロゲル形成性高分子物質は、本発明有核錠 剤が消化管上部に滞留中に水分を吸収してゲル化し、食物消化に伴う消化管の収縮 運動に伴い浸食されながら一定時間後有核錠剤の崩壊をもたらすハイ ドロゲル形 成性の高分子物質を意味する。 特に、 本発明の好適な実施態様で用いられるハイ ド 口ゲル形成性高分子物質は、本発明有核錠剤が消化管上部に滞留中に水分を吸収し、 ほぼ完全にゲル化した状態で、 食物消化に伴う消化管の収縮運動に耐え、 浸食され ながらもある程度の形状を保ったまま消化管下部まで移行し、そこで崩壊あるいは 剥離されうる程度の、 ゲル化時の粘度等の性状を有するものが挙げられる。 該高分 子物質としては、 例えば 1 %水溶液 (25°C) の粘度が 1 000 c p s以上を有す るものが好ましい。 また高分子物質の性状はその分子量に依存する。 従って本発明 有核錠剤に適用可能なハイ ドロゲルを形成する高分子物質としてはより高分子量 のものが好ましく、粘度平均分子量 200万以上更に好ましくは粘度平均分子量 4 00万以上のものが挙げられる。 かかる高分子物質としては、 例えば POLYOX® WSR-303 (粘度平均分子量: 700万、 粘度: 7500— l O O O O c P (1 %水 溶液 25°C) ) 、 POLYOX® WSR Coagulant (粘度平均分子量: 500万、 粘度: 5500— 7500 c P (1 %水溶液 25 °C) ) 、 POLYOX® WSR-301 (粘度平均 分子量 400万:粘度: 1 650— 5500 c P (l %水溶液 25 °C) )、 POLYOX® WSR N-60K (粘度平均分子量: 200万、 粘度: 2000— 4000 c P (2% 水溶液 25°C) (いずれもユニオンカーバイ ド社製) 、 ALKOX® E-75 (粘度平均 分子量: 200万〜 250万、 粘度: 40— 70 c P (0. 5 %水溶液 25 °C) ) 、 ALKOX® E-100 (粘度平均分子量: 250万〜 300万、 粘度: 90— 1 1 0 c P (0. 5%水溶液 25°C) ) 、 ALKOX® E-130 (粘度平均分子量: 300万〜 35
0万、 粘度: 1 30— 140 c P (0. 5。/。水溶液 25 °C) ) 、 ALKOX® E-160 (粘 度平均分子量: 360万〜 400万、 粘度: 1 50— 1 60 c P (0. 5 %水溶液 25。C) ) 、 ALKOX® E-240 (粘度平均分子量: 400万〜 500万、 粘度: 20 0- 240 c P (0. 5%水溶液 25°C) ) (いずれも明成化学工業社製) 、 PEO-8 (粘度平均分子量: 1 70万〜 220万、 粘度: 20— 70 c P (0. 5 %水溶液 25°C) ) 、 PEO-15 (粘度平均分子量: 330万〜 380万、 粘度: 1 30— 2 50 c P (0. 5%水溶液 25°C) ) 、 PEO-18 (粘度平均分子量: 430万〜 4 80万、 粘度: 250— 480 c P (0. 5。/。水溶液 25 °C) ) (いずれも製鉄化 学工業社製) 等のポリエチレンォキサイ ドが挙げられる力 分子量 200万以上の ポリエチレンォキサイ ドが特に好適である。 本発明の高分子物質は、 ラグタイムを 調節するために、 分子量、 グレード等の異なるものを 1種または 2種以上組合せて 用いることもできる。また他のハイ ドロゲル形成性高分子物質と混合して用いるこ ともできる。
これらハイ ドロゲル形成性高分子物質は、本発明の時限放出型製剤の効果を損な わない範囲において、核錠にも含有させることが可能である。 ハイ ドロゲル形成性 高分子物質を核錠に含有させることにより、ラグタイム後の薬物放出性を徐放化さ せることが可能となる。 ハイ ドロゲル形成性高分子物質としては、 前記記載のもの が挙げられ、 好ましくはポリエチレンォキサイ ドが挙げられる。 具体的な配合量と しては核錠の約 1 0乃至約 50重量%であることが好ましい。
ヒ トにおいて、 消化管下部における薬物の放出能を有するためには、 投与後少な くとも 2時間はゲル化した外層部を有しており、更に消化管下部到達時に外層部が 崩壊あるいは剥離され、 核錠部を放出することが必要である。 このような性状を有 する外層部を形成させるには、 製剤の大きさ、 高分子物質の種類、 薬物および親水 性基剤、 含有量等によっても異なるが、 一錠 60 Omg以下の製剤において、 ハイ ドロゲルを形成する高分子物質を製剤全体に対する割合を、約 5〜約 95重量%と することが好ましい実施態様であり、 約 1 0〜約 90重量。 /。がさらに好ましレ、。 ま た、 製剤 1錠当りのハイ ドロゲル形成性高分子物質の配合量としては、 1錠中に約 2 Omg以上であることが好ましく、約 3 Omg以上であることがさらに好ましい 実施態様である。 これより少ない量では消化管上部での収縮運動および浸食に耐え
られず、 消化管上部で薬物が放出される懸念がある。
なお、ハイ ドロゲル形成性高分子物質としてポリエチレンォキサイ ドを用いる場 合、 製剤を光照射下に保存しても薬物の放出特性に変化を与えないように、本有核 錠剤の外層部に安定化剤として黄色三二酸化鉄およびノまたは赤色三二酸化鉄を 配合するか、 あるいはこれらで有核錠剤を被覆するのが好適である。 本発明に用い られる黄色三二酸化鉄または赤色三二酸化鉄は、単独もしくは混合して用いること ができる。
本発明に用レ、られる黄色三二酸化鉄および/または赤色三二酸化鉄の配合割合 としては、 有核錠剤を安定化させ、 本発明の時限放出を損なわない程度であれば特 に制限されない。 その配合割合は、 種類あるいは添加方法によっても異なるが、 外 層部への添加では、 製剤全量に対し約 1〜約 20重量%が好ましく、 約 3〜約 15重 量%がさらに好ましい。 例えば、 赤色三二酸化鉄では製剤全量に対し約 5〜約 20 重量%が好ましく、 約 10〜約 15重量%がさらに好ましい。 黄色三二酸化鉄では約 1〜約 20重量%が好ましく、 約 3〜約 10重量0 /0がさらに好ましレ、。 フィルムコ一 トにより被覆される場合、 錠剤重量に対し約 0.3〜約 2%が好ましく、 約 0.5〜約 1.5%がさらに好ましい。 またこのとき、 黄色三二酸化鉄あるいは赤色三二酸化鉄 がフィルム中に存する濃度としては約 5〜約 50%が好ましく、 約 10〜約 20%がさ らに好ましい。黄色三二酸化鉄および Zまたは赤色三二酸化鉄を外層部に添加する 場合には、 該酸化鉄が外層部に均一に配合されていることが好ましレ、。 また、 配合 は必ずしも物理混合を意味するものではなく、例えば外層部を構成する賦形剤と共 に造粒する、 あるいは造粒物をコーティングする等の種々の手段を取り うる。 また 有核錠剤に被覆する場合は、前記三二酸化鉄をヒ ドロキシプロピルメチルセルロー ス等の水溶性高分子溶液に溶解あるいは懸濁し、 ハイコーター (フロイント産業) 等のフィルムコーティング装置等を用いて薄膜で被覆することが可能である。 これ らの方法は、 1種または 2種以上組合せて用レ、ることもできる。
本発明有核錠剤に含有される 「親水性基剤」 は、 水分の少ない消化管下部に水分 と共に薬物を到達させ時限放出させる上で重要である。 親水性基剤としては、 前記 ハイ ドロゲル形成性高分子物質がゲル化するより前に溶解し得るものであり、具体 的には該基剤 1 gが溶解するために必要な水の量が 5 m L以下 (2 0 ± 5 °C) のも
のであり、 好ましくは同 4 m L以下 (同温度) のものである。 かかる親水性基剤と して、 例えばポリエチレングリコール (例えば、 マクロゴール 400、 マクロゴール 1500、 マクロゴール 4000、 マクロゴール 6000、 マクロゴール 20000 (いずれも日 本油脂社製) ) 、 ポリビニルピロリ ドン (例えば、 PVP® K30 ( B A S F社製) 等 の水溶性高分子、 D—ソルビトール、 キシリ トール等の糖アルコール、 白糖、 マル トース、 ラクチュロース、 D—フルク トース、 デキストラン (例えばデキス トラン 4 0 )、ブドウ糖等の糖類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(例えば、 Cremophor® RH40 ( B A S F社製) 、 HCO-40、 HCO-60 (日光ケミカルズ社製) 、 ポリオキシ エチレンポリオキシプロピレングリコール (例えばプル口ニック ® F68 (旭電化社 製) 等) またはポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル (例えば Tween 80 (関東化学社製) 等) 等の界面活性剤、 塩化ナトリウム、 塩化マグネシウム等の 塩類、 クェン酸、 酒石酸等の有機酸、 グリシン、 β—了ラニン、 塩酸リジン等のァ ミノ酸類、 メグルミン等のアミノ糖類等が挙げられる。 好ましくは、 ポリエチレン グリコール、 白糖、 ラクチュロースであり、 さらに好ましくは、 ポリエチレンダリ コール (特にマクロゴ一ル 6000) である。 また、 本発明の親水性基剤は、 1種ま たは 2種以上組合せて用いることもできる。
本発明において、 親水性基剤を添加する場合、 その配合割合としては、 好ましく は有核錠剤全体に対して約 5〜約 8 0重量。 /0であり、 さらに好ましくは有核錠剤全 体に対して約 5〜約 7 0重量%である。
本発明でいう親水性基剤と易浸食性賦形剤が重複して選択されることもありえ るが、 既に記載した通り、 「親水性基剤」 は、 基剤 1 gが溶解するために必要な水 の量が 5 m L以下 (2 0 ± 5 °C) のものであり、 「易浸食性賦形剤」 は、 核錠を浸 食率の測定法により測定したとき、 約 4 0乃至約 9 0 %を示すものである。 よって 各々の定義に従い選択されるため、本発明における機能の相違に基づき両者は区別 される。 すなわち、 易浸食性賦形剤は、 水に対して優れた溶解性を有することが条 件の一つとなるが、 用いられる時限放出が有効な薬物、 添加剤との関係において、 有核錠剤に一定の浸食率を与える性質を有するものであることが更なる条件とな るからである。
本発明において、 核錠に対する外層部の配合割合は、 通常核錠 1重量部に対し約
0 . 5〜約 1 0重量部が好ましく、 約 1〜約 5重量部がさらに好ましい。 また、 外 層部の親水性基剤とハイ ドロゲル形成性高分子物質との配合割合は、ハイ ドロゲル 形成性高分子物質 1重量部に対し、 通常約 0 . 1〜約 8重量部が好ましく、 約 0 .
3〜約 5重量部がさらに好ましい。
薬物放出までのラグタイムは、併用薬物と薬物との相互作用を考慮して適宜調整 することができるが、各成分の種類およびその配合量を適宜変更して調整すること ができる。 例えば、外層部の親水性基剤およびハイ ドロゲル形成性高分子物質の配 合量により調整することができる。
本発明において、 核錠および Zまたは外層部には、 必要に応じ、 薬学的に許容さ れ、 本発明の時限放出を損なわない程度の他の添加剤を配合することができる。 例 えば、 乳糖、 マンニトール、 バレイショデンプン、 コムギデンプン、 コメデンプン、 トウモロコシデンプン、 結晶セルロース等の賦形剤、 ハイ ドロキシプロピルメチル セルロース、 ハイ ドロキシプロピルセルロース、 メチノレセノレロース、 アラビアゴム 等の結合剤、 カルボキシメチルセルロース、 カルボキシメチルセルロースカルシゥ ム、 クロスカルメロースナトリ ウム等の膨潤剤、 ステアリン酸、 ステアリン酸カル シゥム、 ステアリン酸マグネシウム、 タルク、 メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、 リン酸水素カルシウム、 無水リン酸水素カルシウム等の滑沢剤、 含水二酸化ケイ素、 軽質無水ケィ酸、 乾燥水酸化アルミニウムゲル等の流動化剤、 黄色三二酸化鉄、 赤 色三二酸化鉄等の着色剤、 ラウリル硫酸ナトリウム、 ショ糖脂肪酸エステル等の界 面活性剤、 ゼイン、 ハイ ドロキシプロピルメチルセルロース、 ハイ ドロキシプロピ ルセルロース等のコーティング剤、 1ーメントーノレ、 ノヽッ力油、 ウイキヨゥ油等の 芳香料、 ソルビン酸ナトリ ウム、 ソルビン酸カリウム、 パラ安息香酸メチル、 パラ 安息香酸ェチル等の保存剤、 クェン酸、 コハク酸、 フマル酸、 酒石酸、 ァスコルビ ン酸またはその塩類、 グルタミン酸、 グルタミン、 グリシン、 ァスパラギン酸、 ァ ラニン、 アルギニンまたはその塩類、 酸化マグネシウム、 酸化亜鉛、 水酸化マグネ シゥム、 リン酸、 ホウ酸またはその塩類等の緩 i剤等が、 1種または 2種以上適宜 の量で選択される。
また、 本発明の経口用医薬製剤は、 自体公知の製造方法により製造することがで きる。 核錠の製造法としては、 薬物と易浸食性賦形剤、 さらに必要に応じて他の賦 形剤、 結合剤、 滑沢剤、 流動化剤、 発泡剤、 着色剤、 甘味剤などの各種添加剤、 を 混合し、 そのままあるいは常法により造粒して造粒粒状物とした後、 必要に応じ整 粒した後、 打錠する方法が挙げられる。 粒状造粒物は、 通常の乾式または湿式造粒 法などにより製することができる。 例えば、 薬物と各種添加剤を混合した後、 網式 製粒機、 円筒製粒機、 トーネードミル、 スクリュー造粒機、 押出造粒機を用いて顆 粒とする力、あるいは各成分を粉末のまま混合造粒機を用いて顆粒としてもよい。 あるいは、各成分を流動させながら結合剤溶液を噴霧する流動層造粒法により製し てもよレ、。 つぎに、 有核錠剤の製造法としては、 プレスコート法またはドライコー ト法と呼ばれる圧縮成形法等が挙げられる。 例えば、 先に製した核錠に、 本発明の ハイドロゲル形成性高分子物質および親水性基剤に、 必要に応じ、 賦形剤、 結合剤、 滑沢剤、 流動化剤、 発泡剤、 着色剤、 着香剤、 甘味剤等を混合し、 そのまま核錠の 上に圧縮被覆するか、 あるいは一旦常法により造粒して造粒粒状物とした後、 必要 に応じ整粒した後、 各種添加剤と混合し、 核錠の上に圧縮被覆する。 圧縮被覆層は、 通常の有核打錠機あるいは圧縮打錠機を用いて、通常の条件で簡易に調製しうる。 また、 他の製造方法としては、 通常のハイ ドロゲル製剤に適用し得る方法が挙げら れる。 例えば、 薬物を含有してなる核錠を製した後、 この核錠に親水性基剤および ハイドロゲル形成性高分子物質、 さらに必要に応じ各種添加剤を混合し、 混合物を 融解後、 これに核錠の上を被覆する押し出し成形法、 射出成形法等が挙げられる。 また、 有核錠を製した後、 通常の糖衣、 フィルムコート等のコーティング処理を施 すこともできる。 あるいは、 有核錠をカプセルに充填してもよい。
本発明の有核錠剤の製造方法の一例を以下に示す。流動層造粒機を用いて薬物と 易浸食性賦形剤の混合物を適切な結合剤により造粒し、造粒品を滑沢剤と混合した 後、 ロータリー打錠機により打錠し、 核錠を製する。 別にゲル形成性高分子物質お よび親水性基剤を混合し、 適切な結合剤により流動層造粒機を用いて造粒後、 滑沢 剤と混合し、 該混合品を有核打錠機を用いて、 上記核錠の外層部として圧縮打錠す ることにより本発明有核錠剤を得る。
つつ
本発明の薬物動態学的な薬物相互作用を低減させる方法としては、一定時間のラ グタイム後に、 製剤から薬物を放出させることにより、併用薬物および薬物の共存 時間を乖離させるか (時間制御) 、 および Zまたは CYP 3 A4が多く存在する十 二指腸、 空腸など小腸上部において、 併用薬物が代謝される間に、 製剤を CYP 3 A4が少ない回腸、 あるいは結腸に移行させ、 かかる部位で製剤から薬物を放出さ せることにより、併用薬物との吸収および代謝部位あるいは代謝阻害部位を乖離さ せる (部位制御) 方法が挙げられる。 具体的には、 本発明の時限放出型有核固形組 成物を使用する方法が挙げられる。
本発明の薬物相互作用を低減させる方法を実施するには、前記した本発明の時限 放出型有核固形組成物を前記の製法により調製し、 該製剤を用いて、 時限放出が求 められる薬物の有効量を投与することが求められる患者に、本発明製剤の 1回投与 量を投与することにより行われる。 図面の簡単な説明
図 1は、 実施例 1ないし 3の製剤において、 化合物 1の溶出プロファイルを示す。 発明を実施するための最良の形態
以下、 比較例、 実施例および試験例を挙げて、 本発明をさらに詳細に説明する力 本発明はこれらにより限定されるものではない。
なお、 以下の実施例等において用いる化合物 1は、 4' 一 [ (2—メチル— 1, 4, 5, 6—テトラヒ ドロイミダゾ [4, 5— d] [ 1 ] ベンズァゼピン一 6—ィ ル) カルボニル] 一 2—フユニルベンズァユリ ド塩酸塩を意味する。
[実施例 1 ]
化合物 1 1重量部、 HPMC 29 1 0 3重量部、 ポリソルベート 80 0. 5重量部をジクロロメタン 'メタノール混液 (8 : 2) 85. 5重量部に溶解した 後、 噴霧乾燥法により固体分散体を調製した。 固体分散体 9重量部にリンゴ酸 6重 量部を添加し、 乳鉢中で混合し、 オイルプレス機を用いて打錠圧 500 k gZ杵で 直径 6. 5 mm, 一錠あたり 1 5 Omgの核錠を得た。 別に、 ポリエチレンォキサ ィ ド (Polyox® WSR303) 50mgとマクロゴール 6000 200 m gを乳鉢中
で混合し、 外層部とし、 中心に核錠を配置し、 オイルプレスを用いて打錠圧 1 00 O k g/杵で直径 9. 5111111、 ー錠ぁたり 4001118 (化合物 1 20 m g ) の本 発明の有核錠剤を製造した。
[実施例 2]
化合物 1 1重量部、 HPMC 291 0 3重量部、 ポリソルベート 80 0. 5重量部をジクロロメタン 'メタノール混液 (8 : 2) 85. 5重量部に溶解した 後、 噴霧乾燥法により固体分散体を調製した。 固体分散体 9重量部にリンゴ酸 6重 量部を添加し、 乳鉢中で混合し、 オイルプレス機を用いて打錠圧 500 k g/杵で 直径 6. 5mm、 一錠あたり 1 5 Omgの核錠を得た。 別に、 ポリエチレンォキサ ィド (Polyox® WSR303) 62. 5mgとマクロゴール 6000 1 87. 5mg を乳鉢中で混合し、 外層部とし、 中心に核錠を配置し、 オイルプレスを用いて打錠 圧 1 000 k 杵で直径 9. 5mm、 一錠あたり 40 Omg (化合物 1 20m g) の本発明の有核錠剤を製造した。
[実施例 3 ]
化合物 1 1重量部、 HPMC 291 0 3重量部、 ポリソルベート 80 0. 5重量部をジクロロメタン 'メタノール混液 (8 : 2) 85. 5重量部に溶解した 後、 噴霧乾燥法により固体分散体を調製した。 固体分散体 9重量部にリンゴ酸 6重 量部を添加し、 乳鉢中で混合し、 オイルプレス機を用いて打錠圧 500 k g/杵で 直径 6. 5mm、 一錠あたり 1 5 Omgの核錠を得た。 別に、 ポリエチレンォキサ ィ ド (Polyox® WSR303) 87. 5mgとマクロゴール 6000 1 62. 5mg を乳鉢中で混合し、 外層部とし、 中心に核錠を配置し、 オイルプレスを用いて打錠 圧 1 000 k gZ杵で直径 9. 5mm、 一錠あたり 40 Omg (化合物 1 20m g) の本発明の有核錠剤を製造した。
[実施例 4]
化合物 1 1重量部、 HPMC 29 1 0 3重量部、 ポリソルベート 80 0. 5重量部をジクロロメタン 'メタノール混液 (8 : 2) 85. 5重量部に溶解した 後、 噴霧乾燥法により固体分散体を調製した。 固体分散体 9重量部にリンゴ酸 6重 量部を添加し、 乳鉢中で混合し、 オイルプレス機を用いて打錠圧 500 k g/杵で 直径 6. 5 mm, —錠あたり 1 5 Omgの核錠を得た。 別に、 ポリエチレンォキサ
ィ ド (Polyox® WSR303) 7 1. 25mg、 マクロゴール 6 000 1 6 6. 2 5 mgと黄色三二酸化鉄 1 2. 5mgを乳鉢中で混合し、 外層部とし、 中心に核錠 を配置し、 オイルプレスを用いて打錠圧 1 000 k gZ杵で直径 9. 5mm、 一錠 あたり 400mg (化合物 1 2 Omg) の本発明の有核錠剤を製造した。
[実施例 5]
ァセトァミノフェン 50mg、 ポリエチレンオキサイ ド (Polyox® WSR303) 2 5mg, 白糖 7 5 mgを乳鉢中で混合し、 オイルプレス機を用いて打錠圧 1 0
00 k g /杵で直径 6. 5 mm、 一錠あたり 1 5 0 m gの核錠を得た。 別に、 ポリ エチレンォキサイ ド (Polyox® WSR303) 1 2 5mg、 マクロゴール 6 000 1 2 5mgを乳鉢中で混合し、 外層部とし、 中心に核錠を配置し、 オイルプレスを用 いて打錠圧 1 000 k gZ杵で直径 9. 5mm、 一錠あたり 40 Omg (ァセトァ ミノフェン 5 Omg) の本発明の有核錠剤を製造した。
[実施例 6 ]
ジルチアゼム(和光純薬工業(株)) 1 00重量部にマク口ゴール 6000 5 0重量部を添加し、 乳鉢中で混合し、 オイルプレス機を用いて打錠圧 500 k g/ 杵で直径 7. 0mm、 一錠あたり 1 50 m gの核錠を得た。 別に、 ポリエチレンォ キサイ ド (Polyox® WSR303) 1 2 5mgとマクロゴール 6 000 1 7 5mgを 乳鉢中で混合し、 外層部とし、 中心に核錠を配置し、 オイルプレスを用いて打錠圧
1 000 k g /杵で直径 1 0. 0 mm、 一錠あたり 400 m gの本発明の有核錠剤 を製造した。
[実施例 7]
ケトコナゾール (Sigma社) 1 00重量部にリンゴ酸 1 00重量部を添加し、 乳 鉢中で混合し、 オイルプレス機を用いて打錠圧 5 00 k gZ杵で直径 8. 0mm, 一錠あたり 2 0 Om gの核錠を得た。 別に、 ポリエチレンオキサイ ド (Polyox® WSR303) 1 5 Omgとマクロゴール 6 000 1 80 m gを乳鉢中で混合し、 外 層部とし、 中心に核錠を配置し、 オイルプレスを用いて打錠圧 1 oook gZ杵で 直径 1 1. 0mm、 一錠あたり 5 3 0 m gの本発明の有核錠剤を製造した。
[実施例 8 ]
化合物 1 1重量部、 HPMC 29 10 3重量部、 ポリソルベート 80 0. 5 重量部をジクロロメタン 'メタノール混液 (8 : 2) 85. 5重量部に溶解した後、 噴霧乾燥法により固体分散体を調製した。固体分散体 9重量部にリンゴ酸 8重量部 を添加し、 乳鉢中で混合し、 オイルプレス機を用いて打錠圧 500 k g/杵で直径 8 mm, 一錠あたり 1 7 Omgの核錠を得た。 別に、 ポリエチレンオキサイ ド
(Polyox® WSR303) 1 50mgとマクロゴール 6000 1 8 Omgを乳鉢中で 混合し、 外層部とし、 中心に核錠を配置し、 オイルプレスを用いて打錠圧 1 000 k g /杵で直径 1 1 mm、 一錠あたり 500 m g (化合物 1 20 m g ) の本発明 の有核錠剤を製造した。
[実施例 9]
化合物〗 1重量部、 HPMC 29 1 0 3重量部、 ポリソルベート 80 0. 5 重量部をジクロロメタン 'メタノール混液 (8 : 2) 85. 5重量部に溶解した後、 噴霧乾燥法により固体分散体を調製した。固体分散体 9重量部にリンゴ酸 6重量部 を添加し、 乳鉢中で混合し、 オイルプレス機を用いて打錠圧 500 k gZ杵で直径 6. 5mm, 一錠あたり 1 5 Omgの核錠を得た。 別に、 ポリエチレンォキサイ ド
(Polyox® WSR303) 75mgとマクロゴール 6000 225mgを乳鉢中で混合 し、 外層部とし、 中心に核錠を配置し、 オイルプレスを用いて打錠圧 1 000 kg Z杵で直径 9. 5mm、 一錠あたり 45 Omg (化合物 1 2 Omg) の本発明の 有核錠剤を製造した。
[試験例 1 ]
(比較例 1 )
化合物 1 1重量部、 HPMC 29 1 0 3重量部、 ポリソルベート 80 0. 5 重量部をジクロロメタン 'メタノール混液 (8 : 2) 85. 5重量部に溶解した後、 噴霧乾燥法により固体分散体を調製した。固体分散体 9重量部に乳糖 6重量部を添 加し、 乳鉢中で混合し、 オイルプレス機を用いて打錠圧 500 k g 杵で直径 6. 5 mm, 一錠あたり 1 50 m gの核錠を得た。 別に、 ポリエチレンオキサイ ド (Polyox® WSR303) 75mgとマクロゴール 6000 225mgを乳鉢中で混合 し、 外層部とし、 中心に核錠を配置し、 オイルプレスを用いて打錠圧 1 000 kg Z杵で直径 9. 5mm、 一錠あたり 45 Omg (化合物 1 20 m g ) の有核錠剤
を製造した。
(核錠の浸食率の測定)
前述の核錠の浸食率の測定法に従い、実施例 9および比較例 1の核錠の浸食率を 測定した。
(ィヌ投与実験)
約 20時間絶食した雄ビーダル犬 ( n = 5 ) に、 上記製剤を水 30 m Lとともに 経口投与 (化合物 1 20mgZ匹) した。 投与後、 経時的に前肢静脈から採血を 行い、 血漿中化合物 1濃度を HP LC/UV法により測定し、 血中濃度時間曲線下 面積 (AUC) を算出した。
(結果および考察)
核錠中にリンゴ酸を含有する実施例 9の核錠の浸食率は 70%であり、核錠中に 乳糖を含有する比較例 1では 24 %であった。 ィヌ投与実験の結果、 両製剤とも約 3時間のラグタイム後に血中薬物濃度を検出できた。核錠の浸食率の低い比較例 1 投与時は、 浸食率の高い実施例 9投与時に比し低い AUCを示した。 従って、 時限放 出後、 特に消化管下部で薬物を放出する場合には、 高い核錠浸食率を示すことが生 物学的利用率を維持するために重要であることが示された。
(表 1 ) 実施例 9または比較例 1を投与した際の平均 AUC
AUC (ng · h/ml)
実施例 9 5299
比較例 1 3969
[試験例 2]
(比較例 2)
ァセトァミノフェン 5 Omg、 ポリエチレンオキサイ ド 25mg, 乳糖 75 mgを乳鉢中で混合し、オイルプレス機を用いて打錠圧 1 000 k g/杵で直怪 6 5 mm, 一錠あたり 1 5 Omgの核錠を得た。 別に、 ポリエチレンォキサイ ド (Polyox® WSR303) 1 25mg、 マクロゴール 6000 1 25 m gを乳鉢中で 混合し、 外層部とし、 中心に核錠を配置し、 オイルプレスを用いて打錠圧 1 000
k gZ杵で直径 9. 5mm、 一錠あたり 40 Omg (ァセトァミノフェン 50m g) の有核錠剤を製造した。
(ィヌ投与実験 1)
約 20時間絶食した雄ビーグル犬 ( n = 6 ) に、 実施例 5の製剤を水 30 m Lと ともに経口投与 (50mgZ匹) した。 投与後、 経時的に前肢静脈から採血を行い 血漿中ァセトァミノフユン濃度を HP LCノ UV法により測定し、血中濃度時間曲 線下面積 (AUC) 、 および血中濃度出現時間 (FAT) を算出した。
(ィヌ投与実験 2)
約 20時間絶食した雄ビーグル犬 ( n = 6 ) に、 比較例 2の製剤を水 30 m Lと ともに経口投与 (50mgZ匹) した。 投与後、 経時的に前肢静脈から採血を行い 血漿中ァセトアミノフユン濃度を HP LCZUV法により測定し、血中濃度時間曲 線下面積 (AUC) 、 および血中濃度出現時間 (FAT) を算出した。
(核錠の浸食率の測定)
前述の核錠の浸食率の測定法に従レ、、 上記両製剤の核錠浸食率を測定した。 (結果および考察)
核錠浸食試験で上記両製剤を評価した結果,実施例 5の製剤は 55· 2%,比較例 2の製 斉 IJは 24.8%であった。
核錠浸食率の異なる両製剤のバイオアベイラビリティを比較した(表 2)。血中濃度出現時 間(ラグタイム)は同様な結果を示したが,実施例 5製剤の AUCに比し,浸食率の低い比 較例 2製剤では低レ、 AUCを示した。従って,時限放出後,特に消化管下部で薬物を放出 する場合には,高い核錠浸食率を示すことが生物学的利用率を維持するために重要で あることが示された。
(表 2 ) 製剤を投与した際の平均 AU Cおよび平均血中濃度出現時間
AUC FAT
(ng · h/ml)
実施例 5 1054 4.0
比較例 2 387 4.0
FAT:血中濃度出現時間
[試験例 3 ]
各種賦形剤の溶解性とその賦形剤を含有する有核錠剤の浸食率との関係を明確 にするために、 以下の試験を行った。 化合物 1 1重量部、 HPMC 29 1 0 3 重量部、 ポリソルベート 80 0. 5重量部をジクロロメタン ' メタノール混液
(8 : 2) 85. 5重量部に溶解した後、 噴霧乾燥法により固体分散体を調製した。 固体分散体 9重量部に各種賦形剤 6重量部を添加し、 乳鉢中で混合し、 オイルプレ ス機を用いて打錠圧 500 k g/杵で直径 6. 5 mm, 一錠あたり 1 50 m gの核 錠を得た。 また別にァセトァミノフェン (吉富製薬製) 5重量部に各種賦形剤 1 0 重量部を添加し、 乳鉢中で混合し、 オイルプレス機を用いて打錠圧 500 k gZ杵 で直径 6. 5mm、 一錠あたり 1 5 Omgの核錠を得た。 さらに、 ポリエチレンォ キサイ ド (Polyox® WSR303) 75mgとマクロゴール 6000 1 75mgを乳 鉢中で混合し、 外層部とし、 中心に前記核錠を配置し (化合物 1に対する各種賦形 剤の影響をみる際には、 化合物 1を含有する核錠を、 ァセトァミノフェンに対する 各種賦形剤の影響をみる際には、 ァセトアミノフ ンを含有する核錠を配置し) 、 オイルプレスを用いて打錠圧 1 000 k gZ杵で直径 9. 5 mm,一錠あたり 40 Omg (化合物 1 2 Omg、 ァセトァミノフェン 50 m g ) の本発明の有核錠 剤を製造した。 その有核錠を 37 °Cの水に 3時間湿潤後、 錠剤のゲル化部分を剥離 し、 浸食されていない核錠を取り出し、 ー晚 40°Cの乾燥器内で乾燥後、 重量を測 定した。 乾燥重量と初期重量から浸食率を算出した。
(結果および考察)
化合物 1を含有する有核錠剤の結果を表 3、ァセトァミノフェンを含有する有核 錠剤の結果を表 4に示した。 化合物 1を用いた場合には、 クェン酸、 酒石酸あるい はリンゴ酸が、 高い浸食率を示し、 ァセトァミノフェンを用いた場合には、 リンゴ 酸およびポリエチレングリコール 6000が良い浸食率を示した。 また、 溶解性の良 レ、賦形剤であっても浸食率が必ずしも良いとは限らず、含有する薬物に応じて適切 な賦形剤を選択する必要性があることが示唆された。
(表 3 ) 各種賦形剤の溶解性および化合物 1を含有する有核錠剤の浸食率 (%)
*溶解性は、 1 gの賦形剤を溶解させるのに必要な水の量で示した。 (表 4 ) 各種賦形剤の溶解性およびァセトァミノフユンを含有する有核錠剤の浸 食率 (%)
*溶解性は、 1 gの賦形剤を溶解させるのに必要な水の量で示した。
[試験例 4 ]
実施例 1乃至 3の製剤にっレ、て溶出試験を行った。試験液として日局崩壊試験法 第一液 5 0 O m Lを用い、 日局溶出試験法第 2法 (パドル法) により行った (パド ル回転: 2 0 0 r p m) 。 各時間毎にサンプリングを行い、 サンプリング溶液中の 化合物 1を U V法により測定した。
(結果)
溶出試験の結果を図 1に示す。 図から明らかなように、 化合物 1は、 本発明の製 剤から一定時間経過後に、 放出を開始することが確認された。 また、 放出開始まで のラグタイムは、外層部のポリエチレンダリコールおよびポリエチレンォキサイ ド の配合割合により調整できることが示唆された。
[試験例 5 ]
化合物 1の併用薬物として C YP 3 A4により代謝されるミダゾラムを用いて、 以下の試験を行った。
(試料溶液の調製)
( 1 ) ミダゾラム含有経口投与用水溶液:市販のミダゾラム注射液 (商品名 : ドル ミカム⑧ 注、 Roche社製造、 山之内製薬販売) を塩酸水溶液 (pH3) で 0. 2m g/mLの濃度になるよう調製後、 H PMC 29 1 0をミダゾラムの三倍量添加し 、 経口投与用液とした。
( 2 ) 化合物 1含有経口投与用水溶液:化合物 1を塩酸水溶液 ( p H 3 ) で 0. 5 mg/mLの濃度になるように溶解し、 経口投与用液とした。
(実験 1 )
約 20時間絶食した雄ビーグル犬 ( n = 6 ) に、 ミダゾラム含有経口投与用水溶 液を経口投与用ゾンデを用いて経口投与 (4mg/匹) した。 投与後、 経時的に前 肢静脈から採血を行い血漿中ミダゾラム濃度を H P L CZU V法により測定した。
(実験 2)
約 20時間絶食した雄ビーグル犬 ( n = 6 ) に、 化合物 1含有経口投与用水溶液 を経口投与用ゾンデを用いて経口投与 (1 Omg/匹) した。 投与 30分後に、 ミ ダゾラム経口投与用水溶液 ( mg/匹) を経口投与用ゾンデを用いて経口投与し た。 ミダゾラム投与後、 経時的に前肢静脈から採血を行い、 血漿中ミダゾラム濃度 を HP LC/UV法により測定した
(実験 3)
約 20時間絶食した雄ビーダル犬 ( n = 6 ) に、 実施例 2の製剤を水 30 m Lと ともに経口投与 (20mg7匹) した。 投与 30分後に、 ミダゾラム含有経口投与 用水溶液 (4mgZ匹) を経口投与用ゾンデを用いて経口投与した。 ミダゾラム投 与後、 経時的に前肢静脈から採血を行い、 血漿中ミダゾラム濃度を HPLC/UV 法により測定した。
(結果および考察)
実験 1および実験 2の結果から明らかなように、 ミダゾラムの経口投与前に、 ィ匕 合物 1含有経口用水溶液を経口投与で併用した場合、 ミダゾラム単独経口投与に比 し、 ミダゾラムの血中濃度は有意に上昇し、 また血中濃度時間曲線下面積 (AUC
) が 2倍以上になる等、 有意な変化を示した (表 5) 。 この原因は、 CYP 3A4 による同一代謝経路をとる化合物 1力 小腸でのミダゾラムの代謝を阻害し、 その 結果、 ミダゾラムの血中濃度および AUCの増大をもたらしたものと考えられる。
(表 5) ミダゾラムの血漿中濃度の平均 AUC
AUC (ng - h/ml) 実験 1 (ミダゾラム単独投与) 9. 0 ± 6. 0 実験 2 (化合物 1含有経口用水溶液を併用) 21. 2 ± 8. 5 * 実験 3 (実施例 2の製剤を併用) 10. 9 ± 7. 3
*: pく 0.05 (対実験 1 )
—方、 実験 1および実験 3の結果から明らかなように、 ミダゾラムの経口投与前 に、 実施例 2の製剤を経口投与で併用した場合、 ミダゾラムの血中濃度推移および AUCは、 ミダゾラム単独投与とほぼ同じ結果を示した (表 5) 。 この結果から、 本発明の製剤は、 ミダゾラムが小腸上部で CY P 3 A4により代謝された後に化合 物 1を放出するため、化合物 1が小腸での CYP 3A4によるミダゾラムの代謝を 阻害せず、 その結果、 ミダゾラムの血中濃度および AUCに影響を及ぼさなかった ものと考えられる。 また、 ミダゾラムが血中から消失した後、 化合物 1の薬理学的 に治療または予防に供される量の血中濃度および A U Cが確認された。
[試験例 6 ]
CYP 3 A4による代謝を阻害するジルチアゼムと CYP 3 A4により代謝さ れるミダゾラムを用いて、 以下の試験を行った。
(試料溶液の調製)
( 1 ) ミダゾラム含有経口投与用水溶液:市販のミダゾラム注射液 (商品名 : ドル ミカム⑧ 注、 Roche社製造、 山之内製薬販売) を塩酸水溶液 (pH3) で 0. 2 m gZmLの濃度になるよう調製後、 HPMC 29 1 0をミダゾラムの三倍量添加し 、 経口投与用液とした。
(2) ジルチアゼム含有経口投与用水溶液:ジルチアゼムを 2 Omg/mLの濃度 になるように溶解し、 経口投与用液とした。
(実験 4)
約 20時間絶食した雄ビーグル犬 ( n = 3 ) に、 ミダゾラム含有経口投与用水溶 液を経口投与用ゾンデを用いて経口投与 (4mg/匹) した。 投与後、 経時的に前
肢静脈から採血を行い血漿中ミダゾラム濃度を H P L C/U V法により測定した。 (実験 5)
約 2 0時間絶食した雄ビーグル犬 (n = 3) に、 ジルチアゼム含有経口投与用水 溶液を経口投与用ゾンデを用いて経口投与 (200mgZ匹) し、 同時にミダゾラ ム経口投与用水溶液を経口投与用ゾンデを用いて経口投与 (4m g/匹) した。 ミ ダゾラム投与後、 経時的に前肢静脈から採血を行い、 血漿中ミダゾラム濃度を HP L C/U V法により測定した。
(実験 6)
約 2 0時間絶食した雄ビーグル犬 ( n = 3 ) に、 実施例 6の製剤を水 3 0 m Lと ともに経口投与 (2 0 0m g/匹) し、 同時にミダゾラム含有経口投与用水溶液を 経口投与用ゾンデを用いて経口投与 (4mgZ匹) した。 ミダゾラム投与後、 経時 的に前肢静脈から採血を行い、血漿中ミダゾラム濃度を H P L C/UV法により測 定した。
(結果および考察)
実験 4および実験 5の結果から明らかなように、 ミダゾラムの経口投与と同時に ジルチアゼム含有経口用水溶液を経口投与で併用した場合、 ミダゾラム単独経口投 与時に比し、 ミダゾラムの血中濃度は顕著に上昇し、 また平均血中濃度時間曲線下 面積 (AUC) が 3倍程度に増加した (表 6) 。 この原因は、 ジルチアゼムが CY P 3 A 4による代謝を阻害した結果、 ミダゾラムの AU Cの増大をもたらしたもの と考えられる。
(表 6) ミダゾラムの血漿中濃度の平均 AUC
AUC (ng · h/ml) 実験 4 (ミダゾラム単独投与) 5 5. 0
実験 5 (ジルチアゼム含有経口用水溶液を併用) 1 6 3. 0
実験 6 (実施例 6の製剤を併用) 4 8. 9 一方、 実験 4および実験 6の結果から明らかなように、 ミダゾラムの経口投与と 同時に実施例 6の製剤を経口投与で併用した場合、 ミダゾラムの AU Cは、 ミダゾ ラム単独投与とほぼ同じ結果を示した (表 6) 。 よって本発明の製剤は、 ミダゾラ ムが小腸上部で CY P 3 A4により代謝された後にジルチアゼムを放出するため、
JJ
ミダゾラムの A U Cに影響を及ぼさなかったものと考えられる。
[試験例 7 ]
CYP 3 A4による代謝を阻害するケトコナゾールと CYP 3 A4により代謝 されるミダゾラムを用いて、 以下の試験を行った。
(試料溶液の調製)
(1) ミダゾラム含有経口投与用水溶液:市販のミダゾラム注射液 (商品名 : ドル ミカム⑧ 注、 Roche社製造、 山之内製薬販売) を塩酸水溶液 (pH3) で 0. 2m gZmLの濃度になるよう調製後、 HPMC291 0をミダゾラムの三倍量添加し 、 経口投与用液とした。
(2) ケトコナゾール含有経口投与用水溶液:ケトコナゾールを 5mg/mLの濃 度になるように溶解し、 経口投与用液とした。
(実験 7 )
約 20時間絶食した雄ビーグル犬 ( n = 2 ) に、 ミダゾラム含有経口投与用水溶 液を経口投与用ゾンデを用いて経口投与 (4mgZ匹) した。 投与後、 経時的に前 肢静脈から採血を行い血漿中ミダゾラム濃度を H P L CZU V法により測定した。
(実験 8 )
約 20時間絶食した雄ビーダル犬 (n = 2) に、 ケトコナゾール含有経口投与用 水溶液を経口投与用ゾンデを用いて経口投与 (1 O Omg/匹) し同時にミダゾラ ム経口投与用水溶液を経口投与用ゾンデを用いて経口投与 (4mgZ匹) した。 ミ ダゾラム投与後、 経時的に前肢静脈から採血を行い、 血漿中ミダゾラム濃度を HP LC/UV法により測定した。
(実験 9)
約 20時間絶食した雄ビーグル犬 ( n = 2 ) に、 実施例 7の製剤を水 30 m Lと ともに経口投与 (S O OmgZ匹) し同時にミダゾラム含有経口投与用水溶液を経 口投与用ゾンデを用いて経口投与 (4mg/匹) した。 ミダゾラム投与後、 経時的 に前肢静脈から採血を行い、血漿中ミダゾラム濃度を H P L C/U V法により測定 した。
(結果および考察)
実験 7および実験 8の結果から明らかなように、 ミダゾラムの経口投与前に、 ケ トコナゾール含有経口用水溶液を経口投与で併用した場合、 ミダゾラム単独経口投 与に比し、 ミダゾラムの血中濃度は顕著に上昇し、 また平均血中濃度時間曲線下面 積 (AUC) が 4倍程度に増加した (表 7) 。 この原因は、 ケトコナゾールが CY P 3 A 4による代謝を阻害した結果、 ミダゾラムの A U Cの増大をもたらしたもの と考えられる。
(表 7) ミダゾラムの血漿中濃度の平均 AUC
AUC (ng - h/ml) 実験 7 (ミダゾラム単独投与) 68. 7
実験 8 (ケトコナゾール含有経口用水溶液を併用) 245. 5
実験 9 (実施例 7の製剤を併用) 69. 5 一方、 実験 7および実験 9の結果から明らかなように、 ミダゾラムの経口投与と 同時に実施例 7の製剤を経口投与で併用した場合、 ミダゾラムの AU Cは、 ミダゾ ラム単独投与とほぼ同じ結果を示した (表 7) 。 よって本発明の製剤は、 ミダゾラ ムが小腸上部で C Y P 3 A 4により代謝された後にケトコナゾールを放出するた め、 ミダゾラムの AUCに影響を及ぼさなかったものと考えられる。
[試験例 8 ]
C Y P 3 A4による代謝を阻害する化合物 1 と C Y P 3 A4により代謝される シンパスタチンを用いて、 以下の試験を行った。
(試料溶液の調製)
(1) 化合物 1含有経口投与用水溶液: PEG 200、 5mMリン酸と化合物 1を 1 : 1 : 8の比率で混合し、 1. 67 mg/mLの濃度になるように調製し経口投 与用液とした。
(2) シンパスタチン経口投与製剤:市販のリポバス錠 (萬有製薬) を用いた。 (実験 1 0)
試験 1 日目に約 1 2時間以上絶食した雄力二クイザル (n = 6) に、 シンバスタチ ン経口投与製剤を経口投与 (25mgZ匹) した。 投与後、 経時的に大腿静脈から 採血を行い血漿中シンバスタチン濃度を L C/M S ZM S法により測定した。試験 2日目より試験 6日目まで、毎朝約 1 2時間以上絶食した雄力二クイザル( n = 6 )
に化合物 1含有経口投与用水溶液を経鼻胃内ゾンデを用いて経口投与( 5 m g / k g) した。 試験 6日目に、 化合物 1含有経口投与用水溶液の経口投与と同時にシン パスタチン経口投与製剤を経口投与 (25mg/匹) した。 投与後、 経時的に大腿 静脈から採血を行い血漿中シンバスタチン濃度を L C/M S ZM S法により測定 した。
(実験 1 1 )
試験 1 日目に約 1 2時間以上絶食した雄力二クイザル (n = 6) に、 シンパスタ チン経口投与製剤を経口投与 (25mgZ匹) した。 投与後、 経時的に大腿静脈か ら採血を行レ、血漿中シンバスタチン濃度を L C /M S /M S法により測定した。試 験 2日目より試験 6日目まで、 毎朝約 1 2時間以上絶食した雄力二クイザル( n = 6) に実施例 8の製剤を経口投与 (20mgZ匹) した。 試験 6日目に、 実施例 8 の製剤の経口投与と同時にシンパスタチン経口投与製剤を経口投与 (25mg/ 匹) した。 投与後、 経時的に大腿静脈から採血を行い血漿中シンパスタチン濃度を LC/MS/MS法により測定した。
(結果および考察)
実験 1 0および実験 1 1の結果から明らかなように、化合物 1含有経口用水溶液 連投後、 シンパスタチンの経口投与製剤を同時に経口投与で併用した場合、 シンパ スタチン単独経口投与時に比し、 シンパスタチンの血中濃度は顕著に上昇し、 また 血中濃度時間曲線下面積 (AUC) が約 24倍以上になる等、 顕著な変化を示した (表 8) 。 この原因は、 化合物 1が CYP 3 A4による代謝を阻害した結果、 シン パスタチンの AUCの増大をもたらしたものと考えられる。
一方、 実験 1 0および実験 1 1の結果から明らかなように、 実施例 8の製剤を連 投後、 シンパスタチン経口投与製剤と同時に経口投与で併用した場合、 シンパスタ チンの AUCは、 シンパスタチン単独投与時に比し 4倍程度高く、 化合物 1経口用 水溶液と併用時に比し著しく低い結果を示した (表 8) 。 よって本発明の製剤は、 シンパスタチンが小腸上部で CYP 3 A4により代謝された後に化合物 1を放出 するため、 シンパスタチンの AUCの上昇を抑制できたものと考えられる。
(表 8 血漿中濃度の平均 AUC
AUCo-24 (ng' h/mL) AUC比(試験 6日目/試験 1日目) 実験 平均 平均 (範囲)
10 シン'、'スタチン単独投与 (試験 1日目 ) 62. 7
化合物 1水溶液併用投与 (試験 6日目) 806. 5 X 24. 1 (54. 1-5. 8)
11 シン Λ"スタチン単独投与 (試験 i日目) 65. 2
実施例 8水溶液併用投与 (試験 6日目) 324. 3 X 4. 1 (7. 4-0. 2)
産業上の利用の可能性
本発明の経口用時限放出型有核固形組成物は、 核錠の浸食が良好であり、 時限放 出型製剤として生物学的利用率が低下しない利点を有する。 従って、 本発明は各種 の時限放出が求められる薬剤が適応となる疾患やその治療計画に切望されている 優れた時限放出型製剤を提供しえたものとして有用である。
すなわち、 本発明の経口用時限放出型有核固形組成物は、 一定時間のラグタイム 後に、 薬物を放出させることにより、 消化管下部における疾病部位に特異的に薬物 を送達させることを可能とする。 また、 本発明組成物によれば、 消化管下部での効 率的な吸収を可能となる。 さらに、 本発明によれば、 時間薬物治療学的に観て意味 のある時間帯のみに有効性を発揮させることが可能となる。 さらにまた、 本発明組 成物は、 併用薬物および薬物の共存時間を乖離させる (時間制御) 、 および また は製剤を C Y P 3 A 4が少ない回腸あるいは結腸に移行させ、かかる部位で薬物を 放出させ、 併用薬物との吸収または代謝部位を乖離させる (時間制御による部位制 御) ことにより、 小腸上皮細胞内での代謝競合あるいは代謝阻害による他の薬物へ の影響を低減でき、 また生体内 (血管内) に吸収された薬物は、 肝臓においても併 用薬物との共存時間を乖離させることができるので、薬物および併用薬物との薬物 動態学的な薬物相互作用の低減を可能とする。 その結果、 C Y P 3 A 4の少ない回 腸あるいは結腸で薬物を放出し、消化管内では C Y P 3 A 4に関する薬物相互作用 を回避し、 生体内に吸収させることが可能となる。 本発明の有核固形組成物を投与 することにより、 併用薬物の薬物動態学的な変化を抑制することができる。
本発明の経口用時限放出型有核固形組成物によれば、 特に A.消化管上部に滞留 中に水分を吸収し、 外層部がほぼ完全にゲル化すること、 B.核錠内部に水分が浸入
し、 核錠が容易に浸食後、 溶液状態あるいは懸濁状態になること、 C.ゲル化した外 層部が浸食を受けながら消化管下部に移行すること、 D.さらに外層部の一部が崩壊 し、 あるいは剥離され、 薬物を放出すること、 により従来放出が困難であった消化 管下部においても、 時限放出が可能となる。