自律神経調整剤
技術分野
本発明は、 鎮静作用、 睡眠改善作用あるいはストレス緩和作用等を示す自 律神経調整剤に関する。 明 田
京技術
肉体的 ·精神的なストレスにより副交感神経の働きと交感神経の働きとの バランスが崩れて自律神経系に失調が生じると、 精神の亢進状態が引き起こ され、 また速やかな入眠 (誘眠) が妨げられ、 睡眠も浅くなるという問題が 生ずる。 生理学的には、 副交感神経の働きを交感神経の働きよりも相対的に 優位にすることにより、 ストレスを軽減し、 亢進した精神状態を鎮静化し、 そして良好な誘眠を実現できるとされている。
このため、 副交感神経の働きを交感神経の働きよりも相対的に優位にする ことを目的として、 有効成分を人に対し経口的又は経皮的に投与する方法や、 香料組成物を気化させてその蒸気を吸気させるァロマテラピー等が古くから 行われている。 最近では、 ビターオレンジ精油 (特開平 4— 1 2 8 2 3 4号 公報) やジャスミンラクトン (特開平 6— 4 0 9 1 1号公報) を鼻粘膜、 口 腔粘膜あるいは肺組織から吸収させることにより誘眠を促進させることが提 案されている。
また、 セダーウッド油の低沸点成分 (α —ピネン、 α—セドレン、 セ ドレン、 カリオフィレン等) を鎮静用精油として使用することも提案されて いる (特開平 5— 2 5 5 6 8 8号公報) 。
上述のような香料又は精油成分の人への効果が、 自律神経系への作用だけ で決定されるか否かは明らかではなく、 下位中枢神経系を含む他の生理学的
経路による作用が関与することも想定される。
ビターオレンジ精油やジャスミンラクトン等の香りに対する感受性や嗜好 性は個人差が大きく、 ある人に対しては鎮静作用や誘眠作用を示すが、 別の 人に対しては逆に嫌悪感や精神の亢進状態を引き起こすという問題があり、 失調状態の自律神経を改善する (換言すれば、 生理学的に最適な状態に戻 す) 方向に普遍的に調整できる成分や方法が求められている。
また、 セダ一ウッド油の低沸点成分も独特の強い香りがあり、 ビターォレ ンジ精油等の場合と同様に、 その鎮静効果も人の感受性や嗜好性に関する個 人差に大きく影響を受けている。 発明の開示
本発明は、 香りに対する感受性や嗜好性に関する個人差に関わりなく、 過 度に交感神経優位な状態の人に対し鎮静などの作用を示し、 逆に過度に副交 感神経優位な状態の人に対しては生理学的に最適な状態に戻す作用を示すこ とができる、 自律神経調整剤、 睡眠改善剤及びストレス緩和剤 (以下、 「自 律神経調整剤等」 とも呼ぶ) を提供することを目的とする。
本発明者らは、 セスキテルペンアルコール類の中には、 実質的に無臭、 即 ち、 閾値レベル未満の匂いを持つ化合物 (換言すれば、 その匂いの好き嫌い の判断を人にさせることのない化合物) でありながら、 過度に交感神経優位 な状態の人に対しては鎮静作用や睡眠改善作用を示し (即ち、 副交感神経を 交感神経に対し相対的に優位化し) 、 逆に過度に副交感神経優位な状態の人 に対しては、 交感神経を副交感神経に対し相対的に優位化し、 生理学的に正 常な範囲に戻す作用を示すものがあり、 しかも実質的に閾値レベル未満の句 いを持つこれらの化合物が、 感情 (気持ち) の発現やその内容にも影響を与 えていることを見出した。
即ち、 本発明は、 沸点 2 5 0で以上のセスキテルペンアルコール類を含有
する自律神経調整剤、 睡眠改善剤及びストレス緩和剤を提供する。
また、 本発明は、 沸点 2 5 0 :以上のセスキテルペンアルコール類を揮散 可能な状態で含有する組成物と、 揮散促進器とを備えた揮散システムを提供 する。
本発明に従って、 沸点 2 5 0 以上のセスキテルペンアルコール類を人 に投与することを含む、 自律神経調整方法、 睡眠改善方法及びストレス緩和 方法を実施できる。 図面の簡単な説明
第 1図 (a) 〜 ( f ) は、 実施例 1の自律神経調整剤の各評価項目に対す る測定結果図である。
第 2図 (a) 〜 ( f ) は、 実施例 2の自律神経調整剤の各評価項目に対す る測定結果図である。
第 3図 (a) 〜 (d) は、 実施例 3の自律神経調整剤 (睡眠改善剤) の各 評価項目に対する測定結果図である。
第 4図は、 顔面のマッサ一ジ方法の説明図である。
第 5図 ( a) 〜 ( f ) は、 実施例 4の自律神経調整剤 (マッサージ剤) の 各評価項目に対する測定結果図である。
第 6図は、 実施例 5の揮散システム (マスク) を使用した場合の心電図 R -R間隔の測定結果図である。
第 7図は、 実施例 5の揮散システム (マスク) を使用した場合の H s um の測定結果図である。
第 8図は、 実施例 5の揮散システム (マスク) を使用した場合の L s um /H s umの測定結果図である。
第 9図 ( a) 〜 (d) は、 実施例 5の揮散システム (マスク) を使用した 場合の感性スぺク トル解析図である。
第 1 0図は、 実施例 6の揮散システム (マスク) を使用した場合の睡眠効 率の測定結果図である。
第 1 1図は、 実施例 6の揮散システム (マスク) を使用した場合の中途覚 醒の測定結果図である。
第 1 2図は、 実施例 7のセドロール処理寝具等を使用した場合の睡眠効率 の測定結果図である、
第 1 3図は、 実施例 7のセドロール処理寝具等を使用した場合の中途覚醒 の測定結果図である。
第 1 4図は、 実施例 8のセドロール配合あめを食した場合の心電図 R - R 間隔の測定結果図である。
第 1 5図は、 実施例 8のセドロール配合あめを食した場合の測定結果図で める。
第 1 6図は、 実施例 8のセドロール配合あめを食した場合の L s u m / H s u mの測定結果図である。
第 1 7図 ( a ) 〜 (d ) は、 実施例 8のセドロール配合あめを食した場合 の感性スぺクトル解析図である。
第 1 8図は、 セドロールの蒸気圧測定結果を示した図表である。
第 1 9図は、 セドロールの蒸気圧曲線図である。 発明を実施するための最良の形態
本発明の自律神経調整剤等は、 過度に交感神経優位な状態の人に対しては 鎮静作用や睡眠改善作用を示し、 逆に過度に副交感神経優位な状態の人に対 しては、 交感神経を副交感神経に対し相対的に優位化し、 更に怒りゃストレ ス、 喜び、 悲しみ、 リラックスといった感性を改善する (即ち、 怒りやスト レスを緩和し、 喜びを強化し、 悲しみを和らげ、 リラックス感を増す) こと のできる化合物として、 大気圧における沸点が 2 5 0 °C以上のセスキテルべ
ンアルコール類を含有する。 このようなセスキテルペンアルコール類が、 上 述したような作用を示す機序の少なくとも一部は、 主嗅覚神経に受容され、 下位中枢神経系を経て自律神経系を刺激するためであると考えられ、 更に下 位中枢神経系を経由して上位中枢神経系を刺激する可能性が示唆される。 本発明において 「自律神経調整」 とは、 非病的範囲での自律神経系の失調 を改善することを指し、 交感神経が通常より高まっている被験者において、 後述の実施例の記載に従って測定したとき、 次の ( 1 ) 〜 ( 6 ) の現象のう ち少なくとも 1つ、 好ましくは 2つ以上、 より好ましくは 3つ以上の現象が 観察されることによって定義される :
( 1 ) 収縮期血圧 (S B P ) の有意な低下;
( 2 ) 拡張期血圧 (D B P ) の有意な低下;
( 3 ) 心電図 R— R間隔の有意な延長;
( 4 ) R— R間隔変動における H s umの有意な増加
( 5 ) R一 R間隔変動における L s um/H s umの有意な減少;及び ( 6 ) 呼吸数の有意な減少。 ' 上述の現象を惹起し得る作用を有する沸点 2 5 0 以上のセスキテルペン アルコール類としては、 セドロール (沸点 2 9 5 ^) 、 セドレノール (沸点 2 7 0 °C ) 、 フアルネソール (沸点 2 6 3 °C) 、 パチヨリアルコール (沸点 1 4 0 °C/ 8 mmH g) 、 オイゲノール (沸点 2 5 4〜 2 5 5 °C) 、 a—サ ン夕ロール (沸点 3 0 2 °C) 、 ひ—ビサボロール (沸点 2 6 5 :) 、 β —力 リオフィレンアルコール (沸点 2 8 7〜 2 9 7 °C) 、 ペチべロール (沸点 2 6 4 °C) 、 スクラレオール (沸点 3 4 0 °C以上) 、 ゲラニルリナロール (沸 点 3 4 0 ) 、 イソフィ トール (沸点 3 1 0 °C以上) 、 ネロリ ドール (沸点 2 7 6 °C ) や、 グロブロール、 グアイオール等を挙げることができる。 中で も、 実質的に閾値レベル未満の匂いを持つセスキテルペンアルコール類が好 ましく、 特に、 本発明の効果に優れ、 入手も容易なセドロールが好ましい。
ここで、 セドロールとしては、 純度が低いと共存する他の香り成分の影響が 大きく、 しかも取り扱い性に優れた結晶形態となりにくいので、 純度が 7 0 %以上のものが好ましく、 8 0 %以上のものがより好ましく、 9 0 %以上 のものが更に好ましく、 9 5 %以上のものがより更に好ましく、 9 7. 0 % 以上の純度のものが特に好ましい。
なお、 実質的に閾値レベル未満とは、 正常な嗅覚を有する日本人の成人 1 0人のうち少なくとも 5人、 好ましくは 8人以上が匂いを認知できない場合 を意味する。
本発明において、 沸点 2 5 0 °C (大気圧) 以上のセスキテルペンアルコー ル類の使用量は、 自律神経調整剤等の用途 (例えば、 基礎化粧料、 メイクァ ップ化粧料、 毛髪化粧料、 浴用剤、 パップ剤、 マッサージ剤、 室内芳香剤、 マスク等を含む雑貨、 機能性食品等を含む食品及び飲料、 歯磨き、 マウスゥ ォッシュ、 座席カバー、 寝具、 壁紙、 内装材料、 衣類を含む各種繊維製品 等) や使用剤型 (例えば、 溶液、 固形、 粉体、 スプレー、 ジエル、 ペースト 等) に応じて、 適宜決定することができる。 例えば、 ローションとして使用 する場合には、 セスキテルペンアルコール類の溶解安定性を考慮すると 0. 0 1〜0. 0 5重量%とすることが好ましい。 また、 乳液あるいはクリーム として使用する塲合は、 乳化安定性を考慮すると 0. 0 1〜7. 5 0重量% とすることが好ましい。 浴用剤として使用する場合は、 浴湯中の濃度が 0. O l p pm以上、 特に 0. 1〜; L O O O p pm、 更に 5〜: L O O O p pmと なるように剤型と配合量を選べばよい。
また、 本発明の自律神経調整剤等には、 その用途や使用剤型に応じて、 各 用途毎に通常用いられる種々の添加成分 (例えば、 油剤、 充填材、 着色剤、 ポリマー類、 保湿剤、 紫外線吸収剤、 pH調整剤、 酸化防止剤、 界面活性剤、 香料成分等) を適宜配合することができる。
本発明の自律神経調整剤等は、 吸気、 口腔粘膜、 鼻粘膜、 経口、 経皮的浸
透、 気道等から人体に投与することができる。 本発明の自律神経調整剤等に は、 錠剤を経口投与する場合のように、 セスキテルペンアルコール類を必ず しも揮散可能な状態で含有させなくてよい。 しかし、 不特定多数の人に対し て投与するためには、 人の自然呼吸に伴って鼻粘膜や気道からの投与が可能 となるように、 投与近傍空間内に極微量濃度のセスキテルペンアルコール類 を拡散させることが好ましく、 従って、 本発明の自律神経調整剤等はセドロ ール等のセスキテルペンアルコール類を揮散可能な状態で含有することが好 ましい。 ここで、 揮散可能な状態とは、 自然な揮発により、 又は揮散促進器 による加熱、 超音波照射、 スチーム加熱、 マイナスイオン化等の処理により, 蒸気、 又は極微少な固体粒子もしくは液滴として空気中に拡散し得る状態を いう。
本発明の自律神経調整剤等の使用方法も、 その用途や使用剤型に応じて適 宜決定することができる。 例えば、 沸点 2 5 0 以上のセスキテルペンアル コール類をパッドに染み込ませた場合には、 パッドを電気ヒー夕等の揮散促 進器から発生する熱で加熱してセスキテルペンアルコール類を揮散させるこ とや、 水蒸気発生体を備えた特開平 2 0 0 0— 4 2 1 2 5号公報に記載のマ スク等の揮散促進器から発生する温熱スチームで加熱してセスキテルペンァ ルコール類を揮散させることができる。 また、 沸点 2 5 0 °C以上のセスキテ ルペンアルコール類を水性媒体に可溶化した場合には、 超音波加湿器等の揮 散促進器で超音波を印加してセスキテルペンアルコール類を含有する微小液 滴を揮散させることや、 レナ一ド現象を応用した水破砕式装置によりマイナ スイオン化してセスキテルペンアルコール類を揮散させることができる。 こ れらの場合、 空気中に揮散させる濃度としては、 低すぎると所期の効果が得 られず、 高すぎると空気中で凝縮した微粒子が析出することがあるので、 好 ましくは 0 . 0 1 ~ 1 0 0 p p bとなるように揮散させる。
他方、 上述したような処理をすることなく常温下でセスキテルペンアルコ
一ル類を自然に揮散させてもよい。 即ち、 セスキテルペンアルコール類を揮 散可能な状態で含有させる形態の例は、 揮発促進器 を利用する場合に限定 されず、 寝具、 壁紙等に単にスプレーした場合や、 皮膚等に適用して洗い流 さずに使用するいわゆるリーブ · オン型の化粧料に含有させた場合や、 口腔 内に一定時間滞留させて使用する組成物 (例えば、 歯磨ゃァメなど) に含有 させた場合等が挙げられる。 .
以上説明したように、 本発明におけるセスキテルペンアルコール類は、 自 律神経系への作用などによって、 肉体的又は精神的ストレスを軽減し、 亢進 した精神状態を鎮静化でき、 しかも、 入眠潜時 (入床してから入眠するまで の時間) を短縮し、 中途覚醒回数を減少させると共に覚醒時間を短縮し、 睡 眠効率 (=総睡眠時間 Z総就床時間) を上昇させ、 起床時の爽快感を強化し、 しかも深い睡眠 (ノンレム睡眠) の期間を長くする等の睡眠の質を改善でき る。 このため、 本発明は、 睡眠改善の目的で好ましく使用することができる c 本発明において 「睡眠改善」 とは、 非病的範囲で睡眠を質的又は量的に改 善することを指し、 睡眠の不良を認識する被験者において後述の実施例の記 載に従って測定したとき、 次の ( 1 ) ~ ( 4 ) の現象のうち少なくとも 1つ、 好ましくは 2つ以上、 より好ましくは 3つ以上の現象が観察されることによ つて定義される :
( 1 ) 入眠潜時の有意な短縮;
( 2 ) 中途覚醒回数の有意な減少;
( 3 ) 睡眠効率の有意な上昇; 及び
( 4 ) P O M Sによる緊張度及び疲労度の有意な改善。
更に、 本発明におけるセスキテルペンアルコール類は、 嗜好性の判断を行 う上位中枢神経系が関与する感情 (気持ち) の発現やその内容にも影響を与 えており、 具体的には気持ちを落ち着かせ、 怒り/ストレスや悲しみの感情 を抑制し、 喜びやリラックスの感情を増大させることができる。 このため、
本発明はストレス緩和の目的でも好ましく使用することができる。
なお、 これらの感情の変化は、 脳波による感性スペクトル解析 (Musha, T. et al . , " Emotion spectrum analysis method ( ESA ) for monitoring the effects of art therapy applied on demented Patients " . Cyber Psychology & Behavior, 3, 441 - 446
(2000 )) により測定することができる。
本発明において 「ストレス緩和」 とは、 非病的範囲で精神的又は肉体的ス トレスを軽減することを指し、 ストレスを認識する被験者において後述の実 施例の記載に従って測定したとき、 感性スペクトル解析によって 「怒り/ス トレス」、 「喜び」、 「悲しみ」、 「リラックス」 の項目のうち少なくとも 1つ、 好ましくは 2つ以上、 より好ましくは 3つ以上の頃目が改善されることによ つて定義される。
本発明によれば、 睡眠改善、 ストレス緩和などの効果を得ることによって. 更に更年期症状、 P M S (premenstrual syndrome: 月経前症候群)、 体 力、 食欲等を改善することが可能となる。
本発明において使用するセスキテルペンアルコール類の中でも、 特にセド ロールのように実質的に閾値レベル未満の匂いを持つものを用いた場合には- 本発明の自律神経調整剤等は、 個人に対しても、 不特定多数の人に対しても- 香りの嗜好性に関わりなく前述の効果を奏することができる。 従って、 寝室 や浴室などの個人的なスペースだけでなく、 会議室、 室内、 機内、 車内、 ホ テル、 介護施設、 病院、 老人ホーム、 福利厚生施設、 デパート、 空港、 図書 館、 駅構内、 企業のオフィス等の公共のスペースにおいても、 本発明の自律 神経調整剤等を、 使用形態、 使用時期 (朝、 昼、 夜、 就床前、 就床後、 仕事 中、 移動中等) や人の体調 (疲労時、 健康時、 ストレス時など) 等に制限を 受けることなく使用することができる。
また 2 5 0 °C以上のセスキテルペンアルコール類を揮散可能な状態で必要
に応じて任意の担体又は媒体と組み合わせて含有する自律神経調整剤、 スト レス緩和剤、 睡眠改善剤等の組成物と、 前述の揮散促進器とから構成した揮 散システムは、 2 5 0 °C以上のセスキテルペンアルコール類を必要なときに 直ちに揮散させることが可能となる。
従って、 例えば睡眠改善の効果を得るために、 就寝時間の全体に亘つて揮 発促進器を作動させることは必要なく、 就寝前及び直後の短時間、 例えば 3 0分から 2時間程度の作動により十分な効果を得ることができる。 実施例
以下、 本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
参考例 1
以下の実施例で使用したセドロール (分子量 2 2 2 g · m o 1 " x ) につ いて、 その精製品の蒸気圧を、 以下に説明する静止法と気体流通法にて測定 した (測定温度条件: 固体域においては 2 2 :、 5 0 、 7 5 ;液体域 においては 1 0 0 °C、 1 2 5 °C ) 。
静止法は、 密閉容器中からサンプリングし、 温度を一定にしておき、 その 温度における平行蒸気圧を、 圧力計を用いて直接測定する方法 (O E C Dテ ストガイドライン 1 0 4蒸気圧測定の静的方法に対応する測定方法) である。 気体流通法は、 一定温度の固体や液体試料と接触するようにキヤリァーガ ス (窒素ガス) を流して試料の蒸気を飽和させて蒸気密度 (蒸発量/体積) を測定し、 蒸気が理想気体の法則に従うと仮定して蒸気圧を求める方法であ る。 ここで、 試料の蒸気密度は、 電気天秤を用いて測定した試料の蒸発速度 (減量速度) と、 また、 流量計を用いて測定したキャリアーガス流量とから 算出する。 但し、 通常、 試料蒸気の飽和は不完全であるため蒸気密度の値は 流量依存性を示すので、 種々の流量毎の蒸気密度を測定し、 これを流量ゼロ へ補外して飽和蒸気密度を求める。 蒸気密度から蒸気圧を求めるには、 以下
の関係式 ·
P = (k/v) V π/Μ
(式中、 Ρは蒸気圧 (mmHg) 、 kは蒸発速度 (mg/m i n) 、 vはキ ャリア一ガス流量 (m l /m i n) 、 k 7 vは蒸発密度 (m g/m 1 ) 、 V はキャリア一ガスのモル体積 ( l Zmo l ) 、 πは系の圧力 (mmHg) 、 そして Mは試料の分子量を表す。 なお、 lmmH g= l . 3 3 X 1 02 P a である。 )
を用いる。
得られた結果を第 1 8図に示し、 更にグラフにプロットした (第 1 9図) ( これらの結果から、 セドロールが常温 (加熱等なし) でも揮散することが 可能であることが分かる。
実施例 1
疲労感 (交感神経が過度に高まっている状態) を感じていると自己申告の あった 2 0才代の女性 1 0名を対象に、 安静状態での心電図 (胸部 V 5誘 導) 、 血圧 (トノメトリー法) 及び呼吸 (呼吸速度センサーにより瞬時肺容 積を測定) を測定しながら、 ジプロピレングリコールに溶解させたセドロー ル ( 1 0重量%濃度) を、 3 0秒間吸引させ、 その前後の各測定項目の変化 を比較検討した。 また、 R-R間隔変動の周波数解析は、 高速フーリエ変換 により、 0. 0 2〜0. 1 2 H zの振幅を積分した低周波数成分(Sum of low frequency: 1^ 3 11111)及び0. 1 2〜2. 0 0 H zの振幅を積分した高 周波数成分(Sum of high frequency: H s um) について行った。 ここで、 H s umは副交感神経活動指標を意味し、 L s um/H s umは交感神経活 動指標を意味する。
なお、 測定結果の統計解析は、 F検定により S t u d e n tの t検定又は We 1 c hの t検定を行った。
(結果)
( 1) 収縮期血圧(S B P)については、 吸引前と比較して吸引後には 5 %有意な低下が認められた (第 1図 (a) ) 。
(2) 拡張期血圧.(D B P)については、 吸引前と比較して吸引後には 5 %有意な低下が認められた (第 1図 (b) ) 。
(3) 心電図 R-R間隔については、 吸引前と比較して吸引後には 5 % 有意な延長が認められた (第 1図 (c) ) 。
(4) H s umについては、 吸引前と比較して吸引後には 5 %有意な増 加が認められた (第 1図 (d) ) 。
( 5) L s umZH s umについては、 吸引前と比較して吸引後には 5 %有意な減少が認められた (第 1図 (e) ) 。
(6) 呼吸数 (Respiratory Rate: R R) については、 吸引前と比較し て吸引後には 5 %有意な減少が認められた (第 1図 ( f ) ) 。 以上の結果から、 被験者にセドロールを嗅がせると、 身体各部で鎮静効果 が観察され、 過度に高められていた交感神経の活性が抑制され、 副交感神経 優位な状態となったことがわかる。
実施例 2
一晩徹夜明け (睡眠圧が高まり、 過度に副交感神経が優位な状態) の 2 0 才代の女性 1 0名を対象に、 安静状態での心電図 (胸部 V 5誘導) 、 血圧 (トノメ トリー法) 、 呼吸 (呼吸速度センサーにより瞬時肺容積を測定) 及 び額の皮膚血流 (レーザードップラー法) を測定しながら、 ジプロピレング リコールに溶解させたセドロール ( 1 0重量%濃度) を 3 0秒間吸引させ、 その前後の各測定項目の変化を比較検討した。 また、 R- R間隔変動の周波 数解析並びに測定結果の統計解析は、 実施例 1の場合と同様に行った。
(結果)
( 1) 収縮期血圧 (S B P) については、 吸引前と比較して吸引後には
5 %有意な上昇 (生理学的に正常な範囲内) が認められた (第 2図 (a) ) ,
(2) 拡張期血圧 (DB P) については、 吸引前と比較して吸引後には 5 %有意な上昇 (生理学的に正常な範囲内) が認められた (第 2図 (b) ) ,
(3) 心電図 R-R間隔については、 吸引前と比較して吸引後には有意 な変化が認められなかった (第 2図 (c) ) 。
(4) H s umについては、 吸引前と比較して吸引後には減少傾向が認 められた (第 2図 (d) ) 。
(5) L s um/H s umについては、 吸引前と比較して吸引後には増 加傾向が認められた (第 2図 (e) ) 。
(6) 呼吸数 (RR) については、 吸引前と比較して吸引後には有意な 変化が認められなかった (第 2図 ( f ) ) 。
(結論)
以上の結果から、 被験者にセドロールを嗅がせると、 身体各部位で平静状 態へ復帰する変化が観察され、 抑制されていた交感神経の活性が高められる と同時に、 過度に高められていた副交感神経の活性を抑制することで、 自律 神経のバランスが適度に保たれる状態となったことがわかる。
実施例 3
寝つきが悪いと自己申告のあった 2 0才代の女性 1 0名を対象に、 入床か ら起床までの間、 4 Om2の部屋において心電図 (胸部 V 5誘導) 、 脳波 (国際 1 0— 2 0法の C 3, O 1 ) 、 呼吸 (ィンピ一ダンス法:腹部及び胸 部) 、 表面筋電図 (左右オトガイ筋の双極誘導) 及び眼球運動 (左右の眼窩 を水平につないだ双極誘導) を測定した。 セドロールの投与は、 9 5°Cのホ ットプレート上にセドロールを入れたシャーレを載置し、 1時間あたり約 1 0 Omg揮散させる条件 (約 1 p p bZh r ) で、 入床から起床までの間行 つた。 計測日程は 7日間とし、 最初の 2日間は計測機器や環境に慣れてもら うための非投与日 (コントロール) とし、 3 日目にホットプレート上に何も
載せない状態 (プラセボ) の投与を行い、 3日間あけて、 7日目にセドロー ルの投与を行った。
気分に対する評価には、 P OMS (Profile of Mood States)による質問紙 法を用い、 起床時の状態について調査した。 そしてセドロール投与とプラセ ポ処理時に計測した各測定項目の変化を比較検討した。 覚醒 ·睡眠段階は、 脳波、 表面筋電図及び眼球運動の測定結果に基づいて睡眠段階判定国際基準 ( 「睡眠脳波アトラス」 、 3〜9頁、 医歯薬出版株式会社、 昭和 4 6年 9月 初版) により判定した。 また、 R— R間隔変動の周波数解析並びに測定結果 の統計解析は実施例 1の場合と同様に行った。
(結果)
( 1) H s umについては、 ノンレム睡眠時にはプラセボ処理時と比較 してセドロール投与の場合には 5 %有意に増加した (第 3図 (a) ) 。
(2) 睡眠段階 3及び 4 (Stage 3, 4) の累積出現率は、 プラセボ処理 時と比較して、 セドロール投与の場合には 5 %有意に増加した (第 3図 (b) ) 。
( 3) 呼吸数 (RR) については、 ノンレム睡眠時にはプラセボ処理時 と比較してセドロ一ル投与の場合には 5 %減少した (第 3図 (c) ) 。
(4) P OMSについては、 投与前及び 3日目 (プラセボ処理時) と比 較して、 7 日目のセドロール投与では、 5 %有意に緊張度及び疲労度の改善 が認められた (第 3図 ( d) ) 。
\ m)
以上の結果より、 被験者に 1 0 OmgZh rのセドロールを嗅いで寝ても らうと、 有意に睡眠深度が深くなり、 ノンレム睡眠期間が長くなり、 睡眠の 質の改善が認められ、 副交感神経優位な状態となったことがわかる。
実施例 4
疲労感 (交感神経が過度に高まっている状態) を感じていると自己申告の
あった 20才代の女性 1 0名を対象に、 第 1表の処方のマッサージクリーム を用い、 特開平 1 0— 1 1 3 3 6 9号公報の図 1に示すように顔面のマッサ —ジを 1日 1回、 就寝前に 4週間連続して行った。 具的的には、 第 4図に示 すように、 (手順 1) 約 2mLのマッサージクリームを手のひらにとり、 顔 全体に延ばし、 (手順 2) 両手の四指 (人差し指〜小指) の全体で、 口元か ら小鼻を通る線を描くように 2〜 3回マッサージし (第 4図の ( a) 方向)
(手順 3) 頰の中心から外側へ円を描くように 2〜3回マッサージし (第 4 図の (b) 方向) 、 (手順 4) 額の中心から外側へ弧を描くように 2〜 3回 マッサージし (第 4図の (c) 方向) 、 (手順 5) 前述の手順 2〜手順 4を 3回繰り返し、 (手順 6) 目の下を外側へ 3回ゆるやかに弧を描くようにマ ッサージした (第 4図の (d) 方向) 。
マッサージ開始前と開始 4週間後の午前中における安静状態での心電図
(胸部 V 5誘導) 、 血圧 (トノメ トリ一法) 、 及び呼吸 (呼吸速度センサー により瞬時肺容積を測定) を測定し、 各測定項目の変化を比較検討した。 ま た、 R-R間隔変動の周波数解析並びに測定結果の統計解析は、 実施例 1の 場合と同様に行った。
第 1表
成分 重量%
油性成分 ミツロウ 6. 0
セタノール 5. 0
還元ラノリ ン 8. 0
スクヮラン 3 7 5
脂肪酸グリセリン 4 0
乳化剤 親油型モノステアリ ン酸ダリセリン 2 0
ホ。リオキシエチレン (20EO)リルビタンラウリン酸エステル 2 0
水相 プロピレンダリコール 5 0
精製水 3 0 0
セドロール 0 5
防腐剤 · 酸化防止剤
(結果)
( 1) 収縮期血圧 (S B P) については、 マッサージ開始前と比較して マッサージ開始 4週間後では 5 %有意な低下が認められた (第 5図 (a) ) , (2) 拡張期血圧 (DB P) については、 マッサージ開始前と比較して マッサージ開始 4週間後では 5 %有意な低下が認められた (第 5図 (b) ) ,
( 3) 心電図 R-R間隔については、 マッサージ開始前と比較してマツ サージ開始 4週間後では 5 %有意な延長が認められた (第 5図 (c ) ) 。
(4) H s umについては、 マッサージ開始前と比較してマッサージ開 始 4週間後では有意な増加が認められた (第 5図 (d) ) 。
( 5) L s um/H s umについては、 マッサージ開始前と比較してマ
ッサージ開始後 4週間では有意な減少が認められた (第 5図 (e) ) 。
(6) 呼吸数 (RR) については、 マッサージ開始前と比較してマッサ ージ開始後 4週間では 5 %有意な減少が観察された (第 5図 ( f ) ) 。
(結論)
以上の結果から、 被験者にセドロール配合のマッサージクリームを用いて 1 日 1回 4週間連続してマッサージを行うと、 身体各部位で鎮静効果が観察 され、 過度に高められた交感神経の活性が抑制され、 副交感神経優位な状態 となったことがわかる。
実施例 5
肉体的及び精神的ストレスを感じていると自己申告のあった 2 0代の女性 2 0名に、 2 5 で 5 0 %の温湿度環境下で、 以下のマスク a〜マスク d (揮散システム) :
(マスク a) 発熱素材 (マスク表面温度約 7 0 t:) を仕込んだマスク (特開平 2 0 0 0— 42 1 2 5号公報の実施例 3に記載のマスク) ;
(マスク b) 発熱素材 (マスク表面温度約 7 0 °C) を仕込んだもの (特 開平 20 0 0— 42 1 2 5号公報の実施例 3に記載のマスク) に対し、 更に 所定量のセドロール ( 2. 5 1 0— 3 g) を支持体 (ろ紙) 表面に含浸さ せたものを発熱素材表面に付着させたマスク ;
(マスク c ) 温熱スチーム発生素材 (マスク表面温度約 7 0 °C、 スチー ム量 0. 5 g/m i n) を仕込んだマスク (特開平 2 0 0 0— 42 1 2 5号 公報の実施例 1に記載のマスク) ;及び
(マスク d) 显熱スチーム発生素材 (マスク表面温度約 7 0 °Cのスチー ムを 0. 5 g/m i n) を仕込んだマスク (特開平 2 0 0 0— 42 1 2 5号 公報の実施例 1に記載のマスク) に、 更に所定量のセドロール (2. 5 x 1 0 3 g) を支持体 (ろ紙) 表面に含浸させたものを発熱素材表面に付着さ せたマスク
のそれぞれのマスクで、 口と鼻とを覆うように装着してもらい、 装着後 1 7 分〜 2 0分の間の 3分間の心電図 (胸部 V 5誘導) 及び脳波による感性スぺ クトル解析(Musha, T et al. 前出)を行った。 また、 R— R間隔変動の周波 数解析は、 高速フーリエ変換により、 0. 0 2~ 0. 1 2 H zの振幅を積分 した低周波数成分 (Sum of low f retiuency: L s um) 、 0. 1 2〜 2. 0 0 H zの振幅を積分した高周波成分 (Sum of high freauency: H s u m) 、 及び L s u m/H s u mについて行った。
なお、 測定結果の統計解析は、 分散分析の多重比較検定を行った。
(結果)
(1 ) 心電図 R— R間隔については、 マスク d (温熱スチーム +セドロ ール処理) は、 他のマスクと比較して、 有意な R— R間隔の延長 (マスク d のみ p< 0. 0 5、 他のマスクは ρく 0. 0 1 ) が認められた (第 6図) 。
( 2 ) H s umについては、 マスク d (温熱スチーム +セドロール処 理) は、 他のマスクと比較して、 有意な H s umの増加 (マスク dのみ p< 0. 0 5、 他のマスクは p< 0. 0 1 ) が認められた (第 7図) 。
( 3) L s um/H s umについては、 マスク d (温熱スチーム +セド ロール処理) は、 他のマスクと比較して、 有意な L s umZH s umの減少
(マスク dのみ pく 0. 0 5、 他のマスクは p< 0. 0 1 ) が認められた (第 8図) 。
(4) 感性スペクトルについては、 怒り/ストレス (第 9図 (a) ) 、 喜び (第 9図 (B) ) 、 悲しみ (図 9 ( c ) ) 及びリラックス (第 9図 (d) ) の項目で、 マスク d (温熱スチーム +セドロール処理) は、 他のマ スクと比較して、 有意な感性の改善 (マスク dのみ p< 0. 0 5、 他のマス クは P< 0. 0 1 ) が認められた。
(結論)
以上の結果より、 セドロールを含有させたマスクでの吸入効果については、
温熱との併用よりも温熱スチームとの併用の方が、 より顕著な静穏、 鎮静効 果 (リラックス効果) が認められた。 この効果は、 身体各部位における末梢 への効果及び意識レベルへの効果によるものと示唆される。
実施例 6
肉体的及び精神的ストレスを感じていると自己申告のあった 2 0代の女性 2 0名に、 2 3 °Cで 5 0 %の温湿度環境下で、 以下のマスク a〜マスク d (揮散システム) :
(マスク a) 発熱素材 (マスク表面温度約 7 0 °C) を仕込んだマスク (特開平 2 0 0 0— 42 1 2 5号公報の実施例 3に記載のマスク) ;
(マスク b) 発熱素材 (マスク表面温度約 7 0°C) を仕込んだもの (特 開平 20 0 0— 42 1 2 5号公報の実施例 3に記載のマスク) に対し、 更に 所定量のセドロール (2. 5x 1 0 ~ 3 g) を支持体 (ろ紙) 表面に含浸さ せたものを発熱素材表面に付着させたマスク ;
(マスク c) 温熱スチーム発生素材 (マスク表面温度約 7 0 °C、 スチー ム量 0. 5 gZm i n) を仕込んだマスク (特開平 2 0 0 0— 42 1 2 5号 公報の実施例 1に記載のマスク) ;及び
(マスク d) 温熱スチーム発生素材 (マスク表面温度約 7 0でのスチー ムを 0. 5 g/m i n) を仕込んだマスク (特開平 2 0 0 0— 42 1 2 5号 公報の実施例 1に記載のマスク) に、 更に所定量のセドロール (2. 5 1 0— 3 g) を支持体 (ろ紙) 表面に含浸させたものを発熱素材表面に付着さ せたマスク
のそれぞれのマスクで、 口と鼻とを覆うように装着してもらい、 3 0分間座 位にて安静にしてもらった。 その後、 マスクを取り、 就床してもらい、 翌日、 起床するまでの睡眠効率、 及び中途覚醒をァクチグラムを用いて評価した。 なお、 測定結果の統計解析は、 実施例 5の場合と同様に行った。
(結果)
( 1 ) 睡眠効率については、 マスク d (温熱スチーム +セドロ一ル処 理) は、 他のマスクと比較して、 有意な増加 (マスク dは p < 0. 0 5、 他 のマスクは ρ < 0. 0 1 ) が認められた (第 1 0図) 。
( 2 ) 中途覚醒については、 マスク d (温熱スチーム +セドロール処 理) は、 他のマスクと比較して、 有意な減少 (マスク dは p < 0. 0 5、 他 のマスクは p < 0. 0 1 ) が認められた (第 1 1図)
(結論)
以上の結果より、 セドロールを含有させたマスクでの吸入効果については, 温熱との併用よりも温熱スチームとの併用の方が、 より顕著な睡眠改善効果 が認められた。
実施例 7
不眠を感じていると自己申告のあった 5 0代の女性 2 0名を対象に、 2 3 °C、 5 0 %の温湿度環境下の部屋 (寝室) で、 4週間、 就床 3時間前から 起床までの間だけ寝てもらい、 睡眠評価試験を行った。 初めの 1週間を、 コ ントロールとし、 後の 3週間は、 カーテン、 壁紙、 床板、 枕、 シーツ、 及び 掛け布団にセドロール ( 1 . 5 i gZcm2) を塗布したものと交換し、 試 験を行った。
被検者の非利き腕には、 ァクチグラムを 4週間、 継続して装着させ、 睡眠 効率、 及び中途覚醒を評価した。 セドロール塗布のデータは、 塗布後 1 5日 から 2 1 日までのデータを解析対象とした。
なお、 測定結果の統計解析は、 実施例 5の場合と同様に行った。
(結果)
( 1 ) 睡眠効率については、 コントロールと比較して、 セドロール処理 した場合の方が有意な増加 (p < 0. 0 1 ) が認められた (第 1 2図) 。
( 2 ) 中途覚醒においては、 コントロールと比較して、 セドロール処理 した場合の方が有意な減少 ( pぐ 0 . 0 1 ) が認められた (第 1 3図) 。
(結論)
以上の結果より、 セドロールを塗布した繊維製品、 建材及び寝具を使用し た寝室で就寝すると、 セドロール処理されていない繊維製品、 建材及び寝具 を使用した寝室で就寝した場合と比較すると、 より顕著な睡眠改善効果が認 められた。
実施例 8
肉体的及び精神的ストレスを感じていると自己申告のあった 2 0代の女性 2 0名を対象に、 2 5°C、 5 0 %の温湿度環境下で、 2 0分間馴化させた時 をコントロールとして、 セドロール未配合あめ (グラニュー糖 5 8. 0重 量%、 水 1 7. 0重量%、 水飴 2 5重量%、 着色料適量) 、 及び 0. 0 1 % セドロール配合あめ (グラニュー糖 5 8. 0重量%、 水 1 7. 0重量%、 水 飴 24. 9 9重量%、 セドロール 0. 0 1重量%、 着色料適量) を一粒 ( 5 gZ粒) なめてから 2 0分後の心電図 (胸部 V 5誘導) 及び脳波による感性 スぺクトル解析を行つた。
なお、 R _ R間隔変動の周波数解析及び測定結果の統計解析は、 実施例 5 の場合と同様に行った。
(結果)
( 1) 心電図 R— R間隔については、 コントロールと比較して、 セドロ —ル配合あめを食した場合は、 有意な延長 (p< 0. 0 1 ) が認められた。 また、 セドロール未配合あめを食した場合と比較して、 セドロール配合あめ を食した場合は、 有意な延長 (p<0. 0 1 ) が認められた (第 1 4図) 。
(2) H s umについては、 コントロールと比較して、 セドロール配合 あめを食した場合は、 有意な増加 (p< 0. 0 1 ) が認められた。 また、 セ ドロール未配合あめを食した場合と比較して、 セドロール配合あめを食した 塲合は、 有意な増加 (p<0. 0 1) が認められた (第 1 5図) 。
( 3) L s umZH s umについては、 コントロールと比較して、 セド
ロール配合あめを食した場合は、 有意な減少 (p<0. 0 1 ) が認められた, また、 セドロール未配合あめを食した場合と比較して、 セドロール配合あめ を食した場合は、 有意な減少 (p< 0. 0 1 ) が認められた (第 1 6図) 。
(4) 感性スペクトルについては、 怒り ストレス (第 1 7図 (a) ) . 喜び (第 1 7図 ( b ) ) 、 悲しみ (第 1 7図 ( c ) ) 及びリラックス (第 1 7図 (d) ) の項目で、 コントロールと比較して、 セドロール配合あめを食 した場合は、 有意な感性の改善 (p< 0. 0 1 ) が認められた。 また、 セド ロール未配合あめを食した場合と比較して、 セドロール配合あめを食した場 合は、 有意な感性の改善 (Pく 0. 0 1 ) が認められた。
(結論)
以上の結果より、 セドロールを配合したあめの効果は、 セドロール未配合 のあめの効果と比較して、 顕著な静穏、 鎮静効果 (リラックス効果) が認め られた。 この効果は、 身体各部位に於ける末梢への効果及び意識レベルへの 効果によるものと示唆される。 産業上の利用可能性
本発明の自律神経調整剤等は、 沸点 2 5 0 ^ (大気圧下) 以上のセスキテ ルペンアルコール類を含有し、 匂いの認知によらず人体に作用し得る。 代表 的な作用として、 過度に交感神経優位な状態の人に対しては、 副交感神経を 交感神経に対し相対的に優位化 (即ち、 交感神経抑制及び Z又は副交感神経 剌激) し、 過度に副交感神経優位な状態な人に対しては、 交感神経を副交感 神経に対し相対的に優位化する。 従って、 香りに対する感受性や嗜好性に関 する個人差に依存せずに、 副交感神経の働きと交感神経の働きとのバランス を制御し、 失調した自律神経を改善方向に調整するなどの作用を発現するこ とができ、 人に対し良好な鎮静、 睡眠改善、 ストレス緩和などの効果を奏す る。