請求の範囲
1. ポリソルベート及び/またはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油とメチルセル ロース及び/またはヒドロキシプロビルメチルセルロースにより難溶性薬物を水 に溶解してなる製剤。
2. 下記の成分 A〜Dを含む請求項 1に記載の製剤。
A. 難溶性薬物
B . ポリソルベート及び/またはポリォキシェチレン硬ィ匕ヒマシ油
C . メチルセルロース
D . ポリエチレングリコール
3. 下記の成分 A〜Eを含む請求項 2に記載の製剤。
A. 難溶性薬物
B . ポリソルベート及び/またはポリオキシェチレン硬化ヒマシ油
C . メチルセルロース
D . ポリエチレングリコール
E . クェン酸もしくはその薬学的に許容される塩
4. 難溶性薬物が抗真菌剤、 合成抗菌剤、 抗ヘルぺスウィルス剤、 抗血小板薬、 ひ i遮断薬、 及び炭酸脱水素酵素阻害薬からなる群から選ばれた少なくとも一種 である請求項 1〜 3のいずれか 1項記載の製剤。
5. 難溶性薬物がジピリダモール、 ァシクロビル、 塩酸プラゾシン、 ァセ夕ゾラ ミ ド、 メタゾラミ ド、 ノルフロキサシン、 オフロキサシン、 塩酸ロメフロキサシ ン、 硝酸ェコナゾ一ル、 及び硝酸ミコナゾールからなる群から選ばれた少なくと も一種である請求項 1〜 4のいずれか 1項記載の製剤。
6. 投与剤形が内服液剤、 注射剤、 点耳剤、 点鼻剤、 点眼剤、 噴霧剤、 吸入剤の いずれかである請求項 1 ~ 5のいずれか 1項記載の製剤。
7. ポリソルベート及び/またはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油とメチルセル ロース及び/またはヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有し、 且つ p H 4 以下に調整した水溶液下でジビリダモールを溶解した後、 塩基性成分を添加して p Hを 5〜 8に調整するジビリダモール水性製剤の調製方法。
8. ポリソルべ一ト及び/またはポリオキシエチレン硬ィ匕ヒマシ油とメチルセル ロース及び/またはヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有し、 且つ p H 3 以下もしくは P H 1 0以上に調整した水溶液下でァシク口ビルを溶解後、 酸もし くは塩基性成分を添加して p Hを 5 . 5〜 8に調整するァシクロビル水性製剤の 調製方法。
9. ノルフロキサシン、 オフロキサシン、 塩酸ロメフロキサシン、 硝酸ェコナゾ ール、 及び硝酸ミコナゾールからなる群から選ばれた少なくとも一種の難溶性薬 物を、ポリソルべ一ト及び/またはポリオキシェチレン硬化ヒマシ油とポリェチ レングリコールより成る混合物に溶解した後、 水を添加し水性製剤とする難溶性 薬物含有水性製剤の調製方法。
10. 難溶性薬物を水に溶解するための界面活性剤と水溶性高分子より成る可溶化 剤。
11.難溶性薬物を水に溶解するためのポリソルべ一ト及び/またはポリォキシェ チレン硬化ヒマシ油とメチルセルロース及び/またはヒドロキシプロビルメチル セルロースより成る請求項 1 0に記載の可溶化剤。
12.難溶性薬物を水に溶解するためのポリソルベート及び/またはポリォキシェ チレン硬化ヒマシ油とメチルセル口一ス及び/またはヒドロキシプロピルメチル セルロースとポリエチレングリコールより成る請求項 1 0又は 1 1に記載の可溶 化剤。
明細書 難溶性薬物含有水性製剤 技術分野
本発明は難溶性薬物の水性製剤に関する。 さらに詳しくは、 本発明はポリソル ペート及び/またはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油とメチルセルロース及び/ またはヒドロキシプロピルメチルセルロース、 さらに好ましくはポリエチレング リコール (以下 P E Gと略称する) の配合により、ジビリダモールに代表される 難溶性薬物を生体に投与する場合に好ましい p H領域で水に溶解した水性製剤に 関する。 さらに、 P E Gを含む上記組成にクェン酸もしくはその薬学的に許容し 得る塩を配合することで、 難溶性薬物を可溶化し、 且つ室温またはそれ以下で流 動可能な液体で、 哺乳動物に投与した場合哺乳動物の体温でゲル化し、 それによ つて難溶性薬物の生物学的利用能を増加せしめ長時間にわたり薬効が持続する特 性を有する難溶性薬物含有可逆性熱ゲル化水性製剤に関する。 発明の背景
ジピリダモールは現在狭心症、 心筋梗塞、 虚血性心疾患、 うつ血性心疾患の治 療薬として内服剤及び注射剤として市販されている。 また、 ジピリダモールの水 溶液を点眼した場合、 強い眼圧降下作用が得られることが知られており (特開平 7— 2 5 8 0 8 4 )、 ジビリダモールの点眼剤は新規の緑内障治療薬として期待 されている。
一般に点眼剤の p Hは、 眼に対する刺激の点から、 5〜8が好ましく、 より好 ましくは 6〜8であることが知られている (特開平 7— 2 5 8 0 8 4及び日本薬 局方第 1 3局)。 また、 注射剤としても刺激の面から p Hは中性よりあまり大き
く離れないことが望ましいとされている (日本薬局方第 1 3局)。
しかしながら、 上記のような中性付近でのジピリダモールの水に対する溶解度 は非常に低いため、 ジビリダモールが水に溶解した水性製剤として点眼剤や注射 剤を中性付近で調製することは保存安定性の面で困難である。 特開平 7— 2 5 8 0 8 4においても、 p Hを 3〜 5に調整したジピリダモール点眼剤を開示してい るだけである。 このようなことから、 中性付近で適切な量のジピリダモールが水 に溶解した保存安定性に優れた水性製剤が望まれている。
中性付近でジピリダモ一ルを水に溶解する方法として、 ァセチルトリプトファ ンもしくはトリブトファンを添加する方法が開示されている (特開平 8— 1 4 3 4 7 5 ) が実用化には至っていない。
単純へルぺスウィルス及び水痘 ·帯状疱疹ウィルスに起因する感染症等の治療 薬として有効な薬物であるァシクロビルも水に難溶で、 特に中性付近においては 水に対する溶解度が非常に低いことが知られている。 また、 強いて水性製剤とし ても短時間で薬物の結晶が析出してくることが知られている。 よって、 中性付近 においてァシク口ビルを水に溶解し、 長期保存可能な水溶液製剤を調製すること は非常に困難である。
一方で、 目のへルぺスウィルス感染症の治療において、 市販のァシクロビル眼 科用製剤は眼軟こう剤であるため使用感が悪いことが知られている。 また、 市販 のァシクロビル注射剤は、 高 p Hの水性製剤であるため投与時に血管痛が生じた り、 わずかな p H変化で結晶析出が生じるため他剤との混注ができないことが知 られている。 よって、 このような問題を解決するため、 中性付近でァシクロビル を水に溶解し、 長期保存可能な水性製剤に対する期待が高まっている。
中性付近でァシクロビルを水に溶解する方法として以下のような方法が提案さ れている。
特開平 8— 2 6 8 8 9 2には、 溶解補助剤としてポリビニルピロリ ドンを用い
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る方法が開示され、 10%のポリビニルピロリドンを用いて 0. 2%ァシクロビ ル水性製剤の調製が可能であることが示されている。
米国特許第 5472954号には、 シクロデキストリン誘導体と錯形成させる 方法が開示されている。 しかしながら、 シクロデキストリン誘導体の安全性はま だ確立されていないため、 実用化には至っていない。
一方、 治療を必要とする哺乳動物に薬効成分を効率よく放出する水性医薬組成 物として室温またはそれ以下では液体で、 哺乳動物の体温で半固形体またはゲル 化する水性医薬組成物がいくつも開示されている。 米国特許第 4188373号 にはプル口ニック (商品名 PLURONI C) の水性組成物が熱によってゲル化 し、 プル口ニックの濃度を調整することによつて希望のゾル一ゲル転移温度が得 られる熱ゲル化水性医薬組成物が開示されている。 また、 米国特許第 44747 51号、 第 4474753号及び第 4478822号には熱ゲル化水性医薬組成 物を用いた薬剤放出系が記載されている。 これらの系の特徴は pH及び/または ィオン濃度ならびに重合体濃度を調整することによってゾルーゲル相転移温度及 び Zまたはゲルの硬さを変えることができることである。 さらに最近では、 pH 変化と温度上昇との同時変化により局所でゲル化する水性医薬組成物 (特許 WO 91/19481) が提案されている。
しかしながら、 上記の水性組成物に用いられているゲル化物質はまだ治療を必 要とするすべての部位での安全性が確立されておらず、 且つ水性組成物中の重合 体濃度が高いので液体状態での粘度が高くなり、 治療を必要とする部位 (例えば 目) によっては使用し難いという難点がある。
—方、 メチルセルロース水溶液が加熱によりゲル化し冷却によってゾル状態に 戻る、 すなわちゾルーゲル相転移を可逆的に起こすことはよく知られており、 そ の機構についての研究はかなり行われている。
大場は、 メチルセルロース水溶液を一定の速度で加熱してゲルを生成させ、 メ
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チルセル口ースの重合度や濃度とゲル化温度との相関関係及びィオンの添加によ るゲル化温度の変化を報告している (函館工業専門学校紀要 2 2号、 1 1 3— 1 2 0、 1 9 8 7 )。 しかしながら、 哺乳動物の体温付近でゲル化するメチルセ ルロース配合組成物については何ら記載されていない。
武内らは薬理的治療または診断に用いられる有効量の薬剤を含有する可逆性熱 ゲル化水性医薬組成物であって、 メチルセルロース (メトキシル基の含有率が 2 6〜3 3 %の範囲であるもの) 0 . 2〜2 W/V%、 クェン酸 1 , 2〜2 . 3 W /V%及びポリエチレングリコール 0 . 5〜1 3 W/V%、 及び組成物の p Hを 3〜 1 0の範囲に調整するために十分な量の医薬的に容認し得る p H調整剤を含 有する上記組成物を開示している (特許 WO 9 4/ 2 3 7 5 0 )。 発明の概要
本発明の目的は、 ジビリダモールに代表される難溶性薬物を中性付近で水に溶 解した製剤、 及びその調製方法を提供することである。
本発明者らは、 後述の実施例 1に示すように、 ジピリダモールに代表される難 溶性薬物にポリソルベート及び/またはポリォキシェチレン硬ィ匕ヒマシ油とメチ ルセルロース及び/またはヒドロキシプロビルメチルセル口ースを添加すること により、 それぞれ単独の添加では得られなかつた相乗的な可溶化効果を得られる ことを発見し本発明を完成した。
すなわち、 本発明はポリソルベー卜及び/またはポリオキシエチレン硬化ヒマ シ油とメチルセル口ース及び/またはヒドロキシプロピルメチルセルロースによ り難溶性薬物を水に溶解してなる製剤である。
また、 上記組成に P E Gを配合すると、 後述の実施例 7に示すように難溶性薬 物の水への溶解性がさらに相乗的に向上し、 より好ましい水性製剤が得られる。 さらに、 P E Gを含む上記組成にクェン酸もしくはその薬学的に許容し得る塩
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を適宜配合することで、 特許 WO 9 4 / 2 3 7 5 0に記載されている熱ゲル化特 性に影響を与えることなく、 難溶性薬物を可溶化した、 室温またはそれ以下で液 体であり、 哺乳動物の体温でゲル化する難溶性薬物含有可逆性熱ゲル化水性製剤 が得られる。
本発明の水性製剤は保存安定性に優れ、 且つ生体に投与する場合に好ましい P H域で調製されているため投与時の刺激性が低い。 また、 濁製剤と異なり難溶 性薬物が水に溶解しているため、 懸濁製剤で問題になつている投与時の異物感、 投与量のばらつき、 懸濁物の容器への沈着などがない。 さらに、 室温またはそれ 以下で流動可能な液体であり、 哺乳動物に投与した場合哺乳動物の体温でゲル化 するため、 それによつて難溶性薬物の生物学的利用能を増加せしめ長時間にわた り薬効が持続する。
本発明はさらに、 ポリソルべ一ト及び/またはポリォキシェチレン硬ィ匕ヒマシ 油とメチルセル口一ス及び/またはヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有 し、 且つ p H 4以下に調整した水溶液下でジピリダモールを溶解した後、 塩基性 成分を添加し p Hを 5〜 8に調整するジピリダモール水性製剤の調製方法;ポリ ソルべ一ト及び,またはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油とメチルセルロース及 び/またはヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有し、 且つ p H 3以下もし くは p H 1 0以上に調整した水溶液下でァシク口ビルを溶解後、 酸もしくは塩基 性成分を添加し p Hを 5 . 5〜8に調整するァシク口ビル水性製剤の調製方法; ノルフロキサシン、 オフロキサシン、 塩酸ロメフロキサシン、 硝酸ェコナゾール 及び硝酸ミコナゾ一ルからなる群から選ばれた少なくとも一種の難溶性薬物を、 ポリソルベート及び/またはポリォキシェチレン硬ィ匕ヒマシ油とポリエチレング リコールより成る混合物に溶解した後、 水を添加し水性製剤とする難溶性薬物含 有水性製剤の調製方法を提供するものである。
本発明はさらに、 難溶性薬物を水に溶解するための界面活性剤と水溶性高分子
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より成る可溶化剤を提供するものである。 発明を実施するための最善の態様
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられる難溶性薬物とは、 効力の有用性が期待されているが、 中性 付近で水に難溶なためその使用が制限されているものを指す。 このような薬物と しては、 例えば、 抗真菌剤、 例えば、 フルコナゾ一ル、 クロトリマゾ一ル、 硝酸 イソコナゾ一ル、 硝酸ェコナゾール、 硝酸ミコナゾール、 ビフォナゾールなど、 合成抗菌剤、 例えば、 オフロキサシン、 塩酸シブロフロキサシン、 トシル酸トス フロキサシン、 ノルフロキサシン、 塩酸ロメフロキサシン、 パズフロキサシンな ど、 抗ヘルぺスウィルス剤、 例えば、 ァシクロビル、 ガンシクロビル、 イ ドクス ゥリジン、 ビダラビンなど、 抗血小板薬、 例えば、 ジピリダモール、 シロス夕ゾ —ルなど、 ひ i遮断薬、 例えば、 塩酸ブラゾシン、 塩酸ブナゾシン、 塩酸テラゾ シンなど、 炭酸 B兑水素酵素阻害薬、 例えば、 ァセ夕ゾラミ ド、 メタゾラミドなど 及びこれら薬物の薬学的に許容される塩が挙げられる。
本発明に用いられるポリソルべ一トとしては、 例えば、 ポリソルべ一ト 4 0、 6 0、 6 5及び 8 0 (別名、 T w e e n 4 0、 6 0、 6 5及び 8 0 ) などがあり 容易に入手できる。 その概要、 規格、 用途、 使用量及び商品名などについては医 薬品添加物事典 (日本医薬品添加物協会編集、 薬事日報社発行) に詳細に記載さ れている。
本発明に用いられるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、 例えば、 ポリ ォキシエチレン硬化ヒマシ油 1 0、 4 0、 5 0及び 6 0 (別名、 ポリオキシェチ レングリセリントリオキシステアリン酸 1 0、 4 0、 5 0及び 6 0 ) などがあり 容易に入手できる。 その概要、 規格、 用途、 使用量及び商品名などについては医 薬品添加物事典 (日本医薬品添加物協会編集、 薬事日報社発行) に詳細に記載さ
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れている。
これらポリソルベートもしくはポリオキシェチレン硬ィ匕ヒマシ油は単独もしく はこれらの混合物として使用される。
本発明に用いられるメチルセルロース (以下、 MCと略称する) は、 その 2% 水溶液の 20°Cにおける粘度が 13〜 12000ミリパスカル ·秒の範囲のもの であればいずれの MCでも単独または混合して使用することができる。 メ トキシ ル基の含有率は水に対する溶解性の観点から 26〜33%の範囲が好ましい。 さ らに MCはその水溶液の粘度により区別され、 例えば、 市販品の品種には表示粘 度 15、 25、 100、 400、 1500、 8000 (数字は 2 %水溶液の 20 °C 粘度のミリパスカル ·秒) のものがあり、 容易に入手可能である。 その概要、 規 格、 用途、 使用量及び商品名などについては医薬品添加物事典 (日本医薬品添加 物協会編集、 薬事日報社発行) に詳細に記載されている。
本発明に用いられるヒドロキシプロピルメチルセルロース (以下、 HPMCと 略称する) は、 そのメトキシル基及びヒドロキシプロピル基の含有率により 3種 類 (2208、 2906及び 2910) に分けられ、 さらにそれぞれその水溶液 の粘度により区別され、 例えば、 市販品の品種には、 表示粘度 4 ~ 100000 (数字は 2%水溶液の 20°C粘度のミリパスカル ·秒) のものがあり、 容易に入 手可能である。 本発明で用いられる HPMCは、 取り扱いの点から、 表示粘度 1 0000以下のものが好ましい。 HPMCの概要、 規格、 用途、 使用量及び商品 名などについては医薬品添加物事典 (日本医薬品添加物協会編集、 薬事日報社発 行) に詳細に記載されている。
本発明に用いられる PEGとしては、 PEG— 200、 PEG— 300、 PE G - 600、 PEG - 1000、 PEG - 1540、 PEG - 2000、 PEG 一 4000、 PEG - 6000、 PEG - 20000、 PEG— 50000、 P EG— 500000、 PEG— 2000000及び PEG— 4000000の商
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品名で和光純薬工業 (株) から販売されているものや、 マクロゴ一ルー 200、 マクロゴール一 300、 マクロゴール一 400、 マクロゴール一 600、 マクロ ゴ一ルー 1000、 マクロゴール一 1540、 マクロゴール一 4000、 マクロ ゴール— 6000、 マクロゴ一ルー 20000の商品名で日本油脂 (株) より販 売されているものが挙げられる。
本発明に用いられる PEGの重量平均分子量は、 300〜 50000が好まし く、 1000〜 20000が特に好ましい。 重量平均分子量が 300以上の場合 には体温によるゲル化を起こしゃすく、 重量平均分子量が 50000以下の場合 には液体状態での粘度が高くなりすぎないため好ましい。 また、 2種以上の PE Gを混合して重量平均分子量を上記の至適範囲内に調整することも可能である。 本発明に用いられるクェン酸の薬学的に許容し得る塩としては、 ナトリウム塩 や力リゥム塩などを例示できる。
本発明の難溶性薬物含有水性製剤は、 難溶性薬物、 ポリソルペート及び Zまた はポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、 MC及び/または HPMCを含み、 好まし くはさらに P E Gを含み、 さらに好ましくは P E G及びクェン酸又はその塩を含 む。
ポリソルべ一ト及び/またはポリォキシエチレン硬化ヒマシ油の使用濃度は、 好ましくは 0. 01~2W/V%である。 濃度が 2W/V%以下では、 眼刺激、 角膜障害などの副作用が少ないため好ましく、 また薬効を得るのに必要な量の難 溶性薬物を溶解するためには、 濃度が 0. 01W/V%以上であることが好まし い。
MC及び/または HPMCの使用濃度は、 好ましくは 0. 01〜4W/V%で ある。 濃度が 4W/V%以下の場合、 水性製剤の粘度が取り扱いやすい範囲に調 整できるため好ましく、 また薬効を得るのに必要な量の難溶性薬物を溶解するた めには濃度が 0. 01W/V%以上であることが好ましい。 特に可逆性熱ゲル化
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水性製剤で用 、られる M Cの使用濃度は 0. 2〜 2 W/ V %であることが好まし い。 MCの濃度が 2W/V%以下の場合、 粘度が取り扱いやすい範囲に調整でき るため好ましく、 また、 MCの濃度が 0. 2W/V%以上の場合、 体温によるゲ ル化を起こしやすいので好ましい。
PEGの使用濃度は、 好ましくは 0. 1〜13W/V%である。 可逆性熱ゲル 化水性製剤では、 P EGの濃度が 13 W/V%以下の場合は水性製剤の粘度が取 り扱いやすい範囲にあるので好ましく、 0. 1W/V%以上の場合は体温による ゲル化を起こしやすいので好ましい。
可逆性熱ゲル化水性製剤におけるクェン酸又はその塩の使用濃度は、 好ましく は、 0. 1〜2. 3W/V%であり、 さらに好ましくは 1〜2. 3W/V%であ る。 クェン酸又はその塩の濃度が 2. 3W/V%以下の場合、 特に点眼剤として 眼に投与した場合の眼刺激が小さいので好ましく、 また 0. 1WZV%以上の場 合、 体温によるゲル化を起こしやすいので好ましい。
難溶性薬物の濃度は目的とする薬効が得られ、 且つ水性製剤として調製できる 範囲であれば特に制限はない。
ジビリダモール (以下、 DPYと略称する) の濃度は、 好ましくは 0. 001 〜0. 05W/V%であり、 さらに好ましくは 0. 005〜0. 05W/V%で ある。 DPYの濃度が 0. 05W/V%以下では、 DP Yが水に完全に溶解し、 且つ点眼剤として眼に投与した場合結膜の充血などの副作用が小さいので好まし く、 また DP Yの濃度が 0. 001W/V%以上の場合、 十分な薬効が期待でき るため好ましい。
ノルフロキサシン、 オフロキサシン、 塩酸ロメフロキサシンなどの合成抗菌剤 の濃度は、 好ましくは 0. 01〜: LW/V%である。 濃度が 1W/V%以下の場 合、 薬物が水に完全に溶解するため好ましく、 また濃度が 0. 01W/V%以上 の場合、 十分な薬効が期待できるため好ましい。
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硝酸ェコナゾ一ル、 硝酸ミコナゾールなどの抗真菌剤の濃度は、 好ましくは、
0. 01〜0. 2W/V%である。 濃度が 0. 2W/V%以下では、 薬物が水に 完全に溶解するため好ましく、 また濃度が 0. 01W/V%以上の場合、 十分な 薬効が期待できるため好ましい。
難溶性薬物含有可逆性熱ゲル化水性製剤のゲル化温度は、 室温またはそれ以下 では液体であり哺乳類の体温でゲル化することが所望されることから、 約 20〜 約 40°Cであることが好ましい。
本発明の水性製剤は刺激の点より p H 5〜 8で調整されることが好ましい。 さ らに、 例えば難溶性薬物が D P Yの場合、 水性製剤では D P Y溶液の安定性から pH5~7が好ましく、 より好ましくは pH 5〜6であり、 可逆性熱ゲル化水性 製剤では D P Y溶液の安定性と体温によるゲル化を起こしゃすいという観点から pH5〜8が好ましく、 pH6〜7. 5がより好ましい。 また、 難溶性薬物がァ シクロビルの場合、 pH 5. 5〜 8が好ましい。
本発明の水性製剤の p Hを調整するために、 種々の p H調整剤が使用される。 酸類としては、 例えば、 ァスコルビン酸、 グルコン酸、 酢酸、 乳酸、 クェン酸な どの有機酸、 塩酸、 ホウ酸、 リン酸、 硫酸などの無機酸が挙げられる。 塩基類と しては、 例えば、 水酸ィ匕カリウム、 水酸化カルシウム、 水酸ィ匕ナトリウム、 水酸 化マグネシウム、 モノエタノールァミン、 ジエタノールァミン、 トリエタノール ァミンなどが挙げられる。 その他の pH調整剤として、 グリシン、 ヒスチジン、 ィプシロンアミノカプロン酸などのァミノ酸類なども挙げられる。
本発明の水性製剤を調製するにあたって、 薬学的に許容し得る等張化剤、 保存 剤及び防腐剤などを必要に応じて、 本発明の効果を損なわない範囲で本発明の水 性製剤に添加することができる。
等張化剤としてはキシリ トール、 マンニトール、 ブドゥ糖等の糖類、 プロピレ ングリコール、 グリセリン、 塩化ナトリウム、 塩ィ匕カリウムなどが挙げられる。
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保存剤としては塩化ペンザルコニゥム、 塩化べンゼトニゥム及びグルコン酸ク ロルへキシジンなどの逆性石鹼類、 パラヒドロキシ安息香酸メチル、 パラヒドロ キシ安息香酸プロピル、 パラヒドロキシ安息香酸ブチル等のパラベン類、 クロ口 ブ夕ノール、 フェニルエチルアルコール及びべンジルアルコールなどのアルコ一 ル類、 デヒドロ酢酸ナトリゥム、 ソルビン酸及びソルビン酸力リゥムなどの有機 酸及びその塩類が使用できる。
またその他の添加剤として、 ヒドロキシェチルセルロース、 ポリビニルビロリ ドン、 ポリビニルアルコール、 プロピレングリコール、 ジエチレングリコールも しくはポリアクリル酸ナトリウム等の増粘剤、 E D T A (エチレンジァミン四酢 酸) 及びそれらの薬学的に許容される塩、 トコフエロール及びその誘導体、 亜硫 酸ナ卜リゥムなどの安定ィ匕剤が挙げられる。
本発明の水性製剤はメンブランフィルターによるろ過滅菌、 間欠滅菌法等によ る滅菌処理を施すことができる。
また、 本発明の水性製剤をプラスチック製点眼瓶に充填し、 点眼剤として用い ることができる。 これを長期にわたり保存するために、 脱酸素剤 (例えば、 エー ジレス ®、 三菱瓦斯化学㈱) とともにポリエチレンフィルムとアルミ箔のラミネ ―ト袋にピロ一包装しても良い。
本発明の水性製剤をプラスチック製滴瓶に充填し、 点耳剤として用いることが できる。 これを長期にわたり保存するために脱酸素剤 (例えば、 エージレス ®、 三菱瓦斯化学㈱) とともにポリエチレンフィルムとアルミ箔のラミネート袋にピ 口一包装しても良い。
本発明の水性製剤を鼻用定量噴霧器に充填し、 点鼻剤として用いることができ る。 これを長期にわたり保存するために、 脱酸素剤 (例えば、 エージレス ®、 三 菱瓦斯化学㈱) とともにポリエチレンフィルムとアルミ箔のラミネート袋にピロ 一包装しても良い。
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本発明の水性製剤をアンプルに充填後熔閉し、 注射剤 (静脈内注射、 動脈内注 射、 皮下注射、 皮内注射、 筋肉内注射、 脊髄腔内注射、 腹腔内注射、 眼内注射な ど)、 内服液剤、 吸入剤、 噴霧剤として用いることができる。 これを用法に応じ て内服液剤の場合はブラスチック製薬瓶、 吸入剤の場合は電動式ネブライザ一、 噴霧剤の場合はァトマィザ一等に充填して用いられる。
次に、 本発明の水性製剤の製造法を説明する。 例えば D P Yを水性製剤として 調製するためには、 0 ?丫を 11 3以下の水溶液中で溶解し、 しかる後に塩基成 分を添加し所定の P Hに調整することが好ましい。
ァシクロビルを水性製剤として調製するためには、 ァシクロビルを p H 3以下 もしくは 1 0以上の水溶液中で溶解し、 しかる後に塩基性成分もしくは酸性成分 を添加し所定の p Hに調整することが好ましい。
ノルフロキサシン、 オフロキサシン、 塩酸ロメフロキサシン、 硝酸ェコナゾ一 ルもしくは硝酸ミコナゾ一ルを含有する可逆性熱ゲル化水性製剤を調製するため には、 これら薬物をポリソルぺ一ト及び/またはポリオキシエチレン硬化ヒマシ 油と P E Gの混合物に溶解した後、 水を添加し水性製剤とすることが好ましい。
D P Y含有水性点眼剤の調製を例示すると、 D P Y、 ポリソルべ一ト及び/ま たはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を滅菌精製水に添加し分散させる。 この溶 液に酸を加え p Hを 3以下にし、 すべての添加成分を溶解する。 これに、 予め滅 菌精製水に溶解させておいた M C及び/または H P M C溶液を加え、 よく混合す る。 次に、 塩基類を添加することにより所定の p Hに調整し、 滅菌精製水で所定 の容量に調整する。 必要ならば各種の添加剤、 例えば、 緩衝剤、 等張化剤、 保存 剤、 安定化剤などを添加することができる。
また D P Y含有可逆性熱ゲル化水性点眼剤の調製を例示すると、 ポリソルべ一 ト及び/またはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と P E Gの混合物に D P Yを添 加し混合後、 滅菌精製水を添加し、 よく混合する。 これに、 M Cを滅菌精製水に
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溶解したものを添加し、 氷冷下よく混合する。 この溶液にクェン酸、 所望により その他の酸類を添加し pHを 3以下にし、 すべての添加成分を溶解する。 次に、 塩基類を添加することにより所定の p Hに調整し、 滅菌精製水で所定の容量に調 整する。 必要ならば各種の添加剤、 例えば、 緩衝剤、 等張化剤、 保存剤、 安定ィ匕 剤などを添加することができる。
さらに、 これらの調製した D P Y水性点眼剤をろ過滅菌もしくは低温間欠滅菌 などの熱滅菌後、 プラスチック性点眼ボトルに充填することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、 本発明の範囲を限定 するものではない。 実施例 1
滅菌精製水 3 OmLに 0. 025 §の0?¥、 0. 5gのポリソルペート 80 (レオドール (登録商標) TW-0120、 花王 (株)、 以下、 Tween— 8 0と略す)もしくはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 60 (ニッコール (登録商 標) HCO60、 日光ケミカルズ (株)、 以下、 H CO— 60と略す)、 2 gのグ リセロール、 0. 005 gの EDTA · 2Na、 0. 007 gの塩化ベンザルコ ニゥム (以下、 BZKと略す) を添加し、 撹拌しながら、 さらに 1N塩酸を pH が 3以下になるまで添加した。 これに、 0. 3gの MC (SM15、 メトロ一ズ (登録商標)、信越化学(株))もしくは HPMC (60 SH50、 メトロ一ズ(登 録商標)、 信越化学 (株) )を滅菌精製水 4 OmLに溶解させたものを添加した。 10WZV%のモノエタノールァミンで pHを 5. 5に調整し、 滅菌精製水を添 加して 100 m Lにし、 本発明の水性製剤 (処方 Να 1〜 4 ) とした。
比較として、 本発明の DP Υ水性製剤に対し、 Tween— 80、 HCO- 6 0、 SM- 15および 60 SH 50のいずれも添加しない比較用 DP Y水性製剤
(処方 NOL5, 6) を同様な方法により調製した。 また本発明の DP Y水性製剤に
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対し、 SM— 15もしくは 60 SH 50のいずれかを含み、 Tween— 80及 び HC〇— 60のいずれも添加しない比較用 DP Y水性製剤 (処方 No.7〜l 0) を同様な方法により調製した。 さらに本発明の DP Y水性製剤に対し、 Twe e n— 80もしくは H CO— 60のいずれかを含み、 SM— 15及び 60 S H 50 のいずれも添加しない比較用 DP Y水性製剤 (処方 Ntxl 1〜14) を同様な方法 により調製した。 尚、 比較用 DPY水性製剤は、 DPY濃度 0. 01及び 0. 0 25W/V%の 2種類調製した。
表— 1には、 調製した DP Y水性製剤の外観を、 調製後 24時間 (25°Cで保 存) まで観察した結果を示した。 ポリソルベートまたはポリオキシエチレン硬化 ヒマシ油と M Cまたは H P M Cを配合した本発明の D P Y水性製剤 (処方 Να 1〜 4) は、 ポリソルべ一トまたはポリオキシエチレン硬ィ匕ヒマシ油、 もしくは MC または H P M Cのどちらか一方を添加した比較用の D Ρ Υ水性製剤 (処方 Να 7、 9、 11、 13) に比較して、 DPY濃度が 2倍より高いにも関わらず DPYの 水への溶解性が高レ、ことを示している。 これはポリソルベート及び/またはポリ ォキシエチレン硬化ヒマシ油と M C及び/または H P M Cとの配合が難溶性薬物 の水に対する溶解性を相乗的に向上させていることを示している。
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表一 1
区分 *!!;方 No. οργ Tween-80 HCO-60 MC HPMC 外観 w/v% w/v w/v¾ w/v% W/V% 本発明 1 0.025 0.5 SM15 0.3 τ ί'容液
2 0.025 0.5 60SH50 0.3 雄
3 0.025 0.5 SMI 5 0.3
4 0.025 0.5 60SH50 0.3
5 0.01
6 0.025
7 0.01 SM15 0.3
8 0.025 S 15 0.3
9 0.01 60SH50 0.3
10 0.025 60SH50 0.3 Si蜀液
11 0.01 0.5 irom析出' 12 0.025 0.5 讓 i後析出,
13 0.01 0.5 濃 ¾¾析出' 14 0.025 0.5 蜀液 方麵 HC1 BZK 0.007WV% EDTA-2NA 0.00攀
モノ! ^-ル7ミン ififl glycerol 2W/V% ΡΗ5.5
8¾ϊ直後析出 *: 調製 ¾2Β寺間以内に DPYの結晶析出 実施例 2
滅菌精製水 30mLに 0. 025 gの DPY、 0. 5gの Tween— 80、 2gのグリセロール、 0. 005 gの EDTA · 2Na、 0. 007 gの BZK を添加し、 撹拌しながら、 さらに 1 Nの HC 1を pHが 3以下になるまで添加し た。 これに、 0. 3gの種々の MC (SM15、 SMI 00、 SM400、 SM 1500、 いずれもメトロ一ズ (登録商標)、 信越化学 (株) )もしくは HPMC (60 SH5 Os 65 SH400、 65 SH 1500、 90 SH400、 いずれ もメトロ一ズ (登録商標)、 信越化学 (株) )を滅菌精製水 4 OmLに溶解させた ものを添加した。 10W/V%のモノエタノールァミンで pHを 5. 5に調整し、 滅菌精製水を添加して 100 mLにし、 本発明の水性製剤 (処方 No.15〜 21 ) とした。
比較として本発明の D P Y水性製剤に対し、 M Cもしくは H PM Cの代わりに ポリエチレングリコール 400 (PEG400、 和光純薬 (株) 製)、 ポリビニ
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ルビロリドン— K25 (PVP K25、 BASF製、 Ko l l idon (登録 商標) 25)、 ポリビニルアルコール 1000部分ケン化物 (PVA 100、 和 光純薬 (株) 製) のいずれかを 1 g添加し、 比較用 DP Y水性製剤 (処方 Να23 〜25) を同様な方法により調製した。
表一 2には、 調製した DP Υ水性製剤の外観を調製後 24時間 (25°Cで保存) まで観察した結果を示した。 本発明の DPY7JC性製剤は、 MCもしくは HPMC の種類及びグレードによらず水性製剤として調製が可能である。
一方、 MCもしくは HP M C以外の水溶性高分子を添加した比較例では調製後 24時間以内に DP Yが析出した。 表一 2
区分 処方 No. DPY Tween-80 水溶性高分子 外観
W/V W/V 種類 W/V% 本発明 15 0.025 0.5 MC SM15 0.3 水溶液
16 0.025 0.5 MC SM100 0.3 水溶液
17 0.025 0.5 MC SM400 0.3 水溶液
18 0.025 0.5 MC SM1500 0.3 水溶液
19 0.025 0.5 HPMC 60SH50 0.3 水溶液
20 0.025 0.5 HPMC 65SH400 0.3 水溶液
21 0.025 0.5 HPMC 65SH1500 0.3 水溶液
22 0.025 0.5 HPMC 90SH400 0.3 水溶液 比較例 23 0.025 0.5 PEG 400 1 調製直後析出
24 0.025 0.5 PVP K25 1 調製直後析出'
25 0.025 0.5 PVA 1000 1 調製直後析出' 各処方共通 HC1 適量 モ 夕ん -ルァミン 適量 EDTA-2NA 0.005W/W
BZK 0.007W/V% glycerol 2W/V% PH5.5
調製直後析出': 調製後 24時間以内に DPYの結晶析出 実施例 3
滅菌精製水 30mLに 0. O lgの DPY、 0. 5gの Tween— 80、 2 gのグリセロール、 0. ◦ 05 gの ED TA · 2 Na、 0. 007 gの BZKを 添カロし、 撹拌しながら、 さらに 1 N塩酸を pHが 3以下になるまで添加した。 こ れに、 0. 3gの SM15 (メトローズ (登録商標)、 信越化学 (株) )を滅菌精
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製水 4 OmLに溶解させたものを添加した。 10WZV%のモノエタノールアミ ンで pHを 5. 0〜7. 0に調整し、 滅菌精製水を添カ卩し 10 OmLとし、 本発 明の水性製剤 (処方 Να 26〜 29 ) とした。
比較として、 本発明の DP Υ水性製剤を 10W/V%のモノエタノールァミン で pH7. 5もしくは 8. 0に調整し、 比較用 DPY水性製剤 (処方 No.30, 3 1) を調製した。 さらに、 Twe en— 80及び SM— 15のいずれも添加しな い比較用 DPY水性製剤 (処方 Να32〜34) を同様な方法により調製した。 こ の場合の pHは 1 OW/V%のモノェタノ一ルァミンで 4. 0〜5. 5に調整し た。
表— 3には、 調製した DP Y水性製剤の外観を調製後 24時間 (25°Cで保存) まで観察した結果を示した。 本発明の DP Y水性製剤は pH 5. 0〜7. 0の範 囲で DP Yが溶解し水溶液であった。 しかしながら pHが 7. 5以上になると溶 解しても調製後 24時間以内に DP Yが析出した。 また、 Twe en— 80及び SM- 15のいずれも添加しない場合は pHが 5. 0以上になると DP Yは溶解 しなかった。 表一 3
区分 処方 No. DPY PH Tween-80 MC 外観
W/V% /V¾ 種類 W/V%
本発明 26 0.01 5.0 0.5 SM15 0.3 水溶液
27 0.01 5.5 0.5 SM15 0.3 水溶液
28 0.01 6.0 0.5 SM15 0.3 水溶液
29 0.01 7.0 0.5 SM15 0.3 水溶液 比較例 30 0.01 7.5 0.5 SM15 0.3 調製直後析出 f
31 0.01 8.0 0.5 SM15 0.3 調製直後析出'
32 0.01 4.0 水溶液
33 0.01 5.0 想;' 液
34 0.01 5.5 想;' fe液 各処方共通 HC1 適量 glycerol 2W/V% BZK 0.007W/VX
モノェタノ- ¾ァミン 適量 EDTA.2NA 0.005W/V¾
調製直後析出': 調製後 24時間以内に DPYの結晶析出
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実施例 4
滅菌精製水 3 OmLに所定量の DPY、 Tween— 80、 1. 5 gのグリセ ロール、 0. 005 gの EDTA · 2Na、 0. 007 gの B Z K及び 1 gのク ェン酸を添加し、 撹拌しながら、 DPYを溶解した。 これに、 所定量の SM15 を滅菌精製水 4 OmLに溶解させたものを添加した。 1Nの NaOHで pHを 5. 5に調整し、 滅菌精製水を添カ卩して 10 OmLにし、 DPYzR性製剤とした。 表一 4には、 種々の濃度の DPY、 Twe en_80及び SMI 5を含む DP Y水性製剤を調製後 24時間 (25°Cで保存) までの外観を観察した結果を示し た。 0 丫が0. 06W/V%以上の場合、 もしくは SM 15の濃度が 0. 00 5 WZV%以下になると溶解していた D P Yが調製後 2 時間以内に析出した。 表一 4
処方 No. DPY I ween- 80 SM15 外観
W/V W/V W/V%
35 0. .06 2 2 調製直後析出
36 0. .05 2 2 水溶液
37 0. .03 1 1.5 水溶液
38 0. .01 0.1 4 水溶液
39 0. ,01 0.5 0.01 水溶液
40 0. .01 0.5 0.005 調製直後析出
41 0. ,005 0.1 1 水溶液
42 0. .001 0.01 2 水溶液
各処方共通 クェン酸 1W/V¾ EDTA-2NA 0.005W/V%
NaOH 適量 BZK 0.007W/V%
glycerol 1.5W/V% pH5.5
調製直後析出 ; 調製後 24時間以内に DPYの結晶析出
実施例 5
滅菌精製水 3 OmLに所定量の DP Y、 Twe en— 80もしくは HC 0-6 0、 1. 5 gのグリセロール、 0. 005 gの EDTA · 2Na、 0. 007 g の BZK及び 1 gのクェン酸を添加し、 撹拌しながら、 DP Yを溶解した。 これ
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に所定量の SM 15を滅菌精製水 4 OmLに溶解させたものを添加した。 1 Nの Na〇HでpHを5. 5に調整し、 滅菌精製水を添加することで 100 mLとし た。 さらに調製した DPY水溶液を 0. 45〃mのメンブランフィル夕一でろ過 後、 ポリエチレン製点眼ボトルに充填し本発明の点眼剤とした。
表一 5には、 種々の濃度の DPY、 Twe en— 80もしくは HCO— 60及 び SM15を含む本発明の DP Y点眼剤を 7、 25もしくは 40°Cに 3ヶ月間保 存し、 保存後の外観変化を観測した結果を示した。 本発明の DP Y点眼剤はいず れの処方 (処方 No.43〜48)でも、 保存中に DP Yの結晶析出などの外観変化 は見られず、 安定であることが示された。
¾-5
DPY Tween-80 S 15 60SH5O m
W/V% W/V% W/V% W/V% 7°〇¾Γ月 25°C3!r月 40PC3!r月
43 0.02 0.5 0.1 水 変ィ撫し ^撫し 変ィ撫し
44 0.02 0.5 2 水 変ィ撫し 変ィ撫し 変ィ撫し
45 0.015 0.5 0.01 水 ¾液 変ィ撫し 変ィ撫し ^撫し
46 0.015 2 1 水'翻 変ィ撫し 変ィ撫し 変ィ撫し
47 0.015 0.5 1 7赚 変ィ撫し 変ィ撫し 変ィ撫し
48 0.005 0.2 1 変ィ撫し 変ィ撫し 変ィ撫し
^C 1W/V% BZK 0.0O7W/V% EDTA-2NA 0.005W/V%
BZK 0.007W/V% glycerol 1.5W/V aOH蔬 pH5.5
実施例 6
滅菌精製水 3 OmLに 0. 35もしくは 0. 2 gのァシクロビル、 0. 5 gの Tween— 80、 2gのグリセロール、 0. 005 gの E D T A · 2 N a、 0. 007 gの BZKを添加した。 この溶液を撹拌しながら pHが 10になるまで 1 Nの NaOHを添加し、 ァシクロビルを溶解した。 これに 0. 5 の31^15を 滅菌精製水 4 OmLに溶解させたものを添カ卩した。 lNのHClでpHを8. 0 に調整し、 滅菌精製水を添加して 10 OmLとした。 さらに調製したァシクロビ
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ル水溶液を 0. 45 mのメンブランフィルターでろ過後、 ポリエチレン製点眼 ボトルに充填し本発明の点眼剤 (処方 No.49、 50) とした。
滅菌精製水 30mLに 0. 2 gのァシクロビル、 0. 5 gの Twe e n— 80、 2 gのグリセロール、 0. 005 gの EDT A · 2 Na、 0. 007 gの BZK を添加した。この溶液を撹拌しながら p Hが 3になるまで 1 Nの H C 1を添加し、 ァシクロビルを溶解した。 これに 0. 5 gの SM 1 5を滅菌精製水 4 OmLに溶 解させたものを添加した。 lNのNaOHでpHを5· 5に調整し、 滅菌精製水 を添加して 1 0 OmLとした。 さらに調製したァシクロビル水溶液を 0. 45 / mのメンブランフィル夕一でろ過後、 ポリエチレン製点眼ボトルに充填し本発明 の点眼剤 (処方 No.5 1) とした。
表一 6には、 本発明のァシクロビル点眼剤を 25 °Cに 2週〜 1年間保存し、 保 存後の外観変化を観測した結果を示した。 本発明のァシクロビル点眼剤は 2週間 以上の保存でいずれの処方 (処方 Να49〜5 1) でもァシクロビルの結晶析出は 見られず安定であった。 表一 6
各処方共通: EDTA -2NA 0.005W/V%; 塩酸適量;
BZK 0.007W/V ; NaOH適量; glycerol 2W/V%
実施例 7
60°Cに加温した 4 gの PE G40 0 0 (マクロゴール 40 00、 日本油脂 (株) 製) に 0. 05 gもしくは 0. 04 gの DPY及び 0. 2 gの Twe e n -80を添加し混合後、 滅菌精製水 50 mLを添カ卩した。 室温まで放冷後、 5 g
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の SMI 5を滅菌精製水 10 OmLに溶解させたもの 1 OmL、 10:11 の82 K及び 0. 74 gの NaC 1を添加し、 よく混合した。これに 1Nの HC 1を 0. 2mL添カ卩し、 添加成分がすべて溶解するまで撹拌混合した。 次に、 0. 5 の ε—ァミノカブロン酸を添加し溶解後、 1Nの NaOHで ρΗを 5. 5に調整し た。 さらに滅菌精製水を添加して 10 OmLにし、 本発明の水性製剤 (処方 N(x5 2, 57) とした。
比較として、 本発明の水性製剤 (処方 N(x52、 57) に対し、 PEG4000 を 8 gに代え、 Twe en— 80を添加しない比較用水性製剤 (処方 No.53、 5 8)、 Twe en— 80を 0. 4 gに代え、 P E G 4000を添加しない比較用 水性製剤 (処方 Νο·54、 59) もしくはPEG4000を8 g及びTween_ 80を0. 4gに代え、 SM15を添加しない比較用水性製剤 (処方 Να55、 6 0) を本発明の水性製剤と同様の方法により調製した。
また、 本発明の水性製剤 (処方 Να52、 57) に対し、 SM15を 2 OmL添 加に代えて、 P E G4000及び Twe e n— 80を添加しない比較用水性製剤
(処方 Να56、 61) を本発明の水性製剤と同様な方法により調製を試みたが、 DPYは溶解せず水性製剤として調製することができなかった。
調製した本発明もしくは比較用水性製剤 (処方 Να56、 61を除く) を 0. 4 5〃mのメンブランフィル夕一でろ過後、 ふた付きガラス瓶に充填し、 25°Cで 保存した。 そして DP Yの結晶が析出するまでの時間を観測した。 Tween— 80と S M 15だけを併用した比較例 (処方 Νο· 54、 59 ) の D Ρ Υ析出時間に 対して各処方の DP Υ析出時間がどの程度遅延されたかを DP Υ析出遅延程度と して下記の式で求め、 結果を表一 7に示した。
DPY析出遅延程度 =
(DPY析出時間 -処方 No.54又は 59の DPY析出時間) X 100 /処方 No.54又は 59の DPY析出時間
21
ポリソルべ一卜と P E Gを併用した本発明の水性製剤 (処方 Not 52、 57 ) は ポリソルベートを単独で添加した比較用水性製剤 (処方 Να54、 59) もしくは PEGを単独で添カ卩した比較用水性製剤 (処方 No.53、 58) に比較してそれそ れの添加量が半分にも関わらず、 結晶析出までの時間がより長いことを示してい る。 これは D P Yなどに代表される難溶性薬物に対してポリソルベー卜と P E G が相乗的な可溶化効果を持つていることを示している。
また、 ポリソルペート、 PEGと MCを併用した本発明の水性製剤 (処方 Να5 2、 57 ) は、 ポリソルベート及び P E Gのみを併用した比較用水性製剤 (処方 Να 55、 60) もしくは M Cを単独で添加した比較用水性製剤 (処方 Να 56、 6 1) に比較してそれぞれの添加量が半分にも関わらず、 結晶析出までの時間がよ り長いことを示している。 これは DP Υなどに代表される難溶性薬物に対してポ リソルべ一ト、 P E Gとメチルセルロースが相乗的な可溶化効果を持つているこ とを示している。
22
表一 7
60。Cに加温した 1〜10 gの PEG4000に lmg〜0. 05 gの DP Y 及び 0. 05〜2 gの Twe en— 80を添加し混合後、 滅菌精製水 5 OmLを 添加した。 室温まで放冷後、 5 gの SM15を滅菌精製水 10 OmLに溶解させ たもの 2〜40mL、 10mgの BZK及び 0. 74 gの N a C 1を添カ卩し、 よ く混合した。 1Nの HC1を 0. 2 mL添加し、 添加成分がすべて溶解するまで 撹拌混合した。 次に 0. 5 の £ーァミノ力プロン酸を添加し、 混合溶解後、 1 Nの NaOHで pHを 5. 5に調整した。 さらに滅菌精製水を添加して 100 m
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Lにし、 本発明の水性製剤を調製した。 調製した本発明の水性製剤を 0. 45 mのメンブランフィルターでろ過後、 ポリプロピレン製点眼ボトルに充填し、 本 発明の DP Y含有点眼剤とした。 これを 25 °Cで 3ヶ月保存したところ DP Y結 晶の析出は見られず安定であった。 結果を表一 8に示した。 表一 8
60°Cに加温した 4 gもしくは 10 gの PEG 1000 (和光純薬工業 (株) 製) に 0. 01 gの DPYもしくは 0. 05 gの塩酸プラゾシン、 及び 0. 5g の Twee n— 80もしくは H CO— 60を添加し混合後、 滅菌精製水 3 OmL を添加し、 よく混合した。 これに、 0. 7gもしくは 1. 5gのSM15及び0. 7gもしくは 0. 5gの SM400を滅菌精製水 40 m Lに溶解させたものを添 加し、 氷冷下よく混合した。 ここに 2. 3 gの無水クェン酸を添加し、 添加成分 がすべて溶解するまで撹拌混合した。 次に 5Nの NaOHで pHを 6. 5に調整 し、 滅菌精製水を添カ卩して 10 OmLにし、 本発明の水性製剤 (処方 Να68、 7 0) とした。
これとは別に、 60°Cに加温した 8 gの PEG 1000もしくは 4 gの PEG
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4000に 0. 2 gのァシクロビル、 2 gのァセ夕ゾラミ ドもしくは 1 gのメタ ゾラミ ド、 及び 0. 5 gの Twe en— 80もしくは HCO— 60を添加し混合 後、 滅菌精製水 3 OmLを添カ卩し、 よく混合した。 これに、 1. 5gの SM15 及び 0. 4 gの SM400を滅菌精製水 4 OmLに溶解させたものを添カ卩し、 氷 冷下よく混合した。 ここに 1. 9もしくは 2. 3 gの無水クェン酸を添加し、 撹 拌下、 添加成分がすべて溶解するまで 5 Nの N a OHを添加した。 次に 3Nの H 〇1で 11を6. 5に調整し、 滅菌精製水を添加して 10 OmLにし、 本発明の 水性製剤 (処方 No.69、 71、 72) とした。
表— 9には、 調製した種々の難溶性薬物を含む本発明の水性製剤の外観を調製 後 24時間 ( 25 °Cで保存) まで観察した結果及び本発明の水性製剤 25 mLと 人工涙液 (0. 67W/V%NaCl、 0. 2W/V%NaHC03、 0. 00 8 W/V %CaC 12) 3. 5mLを混合した水溶液のゲル化温度を測定した結 果を示した。 尚、 25 °C保存後の外観は試料を氷冷後観察した。 本発明の水性製 剤は薬物が水に溶解した水性製剤として調製可能であり、 涙液などのような体液 と混合した場合でも体温付近の温度でゲル化することが示された。
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表一 9
各処方共通: PH6.5 実施例 10
60°Cに加温した 4もしくは 8 gの PEG 1000に;!〜 50111 の0卩¥及 び 0. 5gの Tween— 80を添加し混合後、 滅菌精製水 3 OmLを添カロし、 よく混合した。 これに、 0. 7gのSM15及び0. 7 の3!^1400を滅菌精 製水 4 OmLに溶解させたものを添加し、 氷冷下よく混合した。 ここに 2. 3 g の無水クェン酸を添加し、 添加成分がすべて溶解するまで撹拌混合した。 次に 5 Nの NaOHで pHを 6. 5に調整し、 滅菌精製水を添加して 100 mLにし、 本発明の水性製剤とした。
比較として、 上記の DPYを 6 Omgにし、 本発明の水性製剤と同様にして比 較用 D P Y水性製剤を調製した。
表— 10には、 調製した DP Y水性製剤の外観を調製後 24時間 (25°Cで保 存) まで観察した結果及び本発明の水性製剤 25 mLと人工涙液 3. 5mLを混 合した水溶液のゲル化温度を測定した結果を示した。 尚、 25°C保存後の外観は
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試料を氷冷後観察した。 本発明の DP Y水性製剤は、 DPYの濃度 0. 001〜 0. 05 W/V%の範囲で水性製剤として調製可能であり、 涙液などのような体 液と混合した場合でも体温付近の温度でゲル化することが示された。
表一 1 0
区分 発明 比較例 処方 No. 73 68 74 75 76
DPY W/V% 0.001 0.01 0.03 0.05 0.06
MC 種類 SM15 SM15 S 15 S 15 S 15
W/V% 0.7 0.7 0.7 0.7 0.7 種類 S 400 SM400 S 400 SM400 S 400
W/V% 0.7 0.7 0.7 0.7 0.7
PEG 種類 1000 1000 1000 1000 1000
W/V% 4 4 8 8 8 クェン酸 w/v% 2.3 2.3 2.3 2.3 2.3
Tween-80 w/v% 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 外観 水溶液 水溶液 水溶液 水溶液 析出'
* ゲル化温度 (°C) 32 34 28 28
各処方共通 PH6.5
析出 *: 調製後 24時間以内に DPYの結晶析出 : 測定せず
実施例 11
60°Cに加温した 4〜10 gの PEG 1000もしくは PEG4000に 10 もしくは 2 Omgの DPY及び 0. 5 gの T we en— 80を添加し混合後、 滅 菌精製水 3 OmLを添カ卩し、 よく混合した。 これに、 0. 2〜1. 5 gの所定の MC (SM15、 SM25、 SM100、 SM400、 SM4000、 いずれも メトロ一ズ (登録商標)、 信越化学 (株) )を滅菌精製水 4 OmLに溶解させたも のを添加し、 氷冷下よく混合した。 ここに 1. 0もしくは 2. 3gの無水クェン 酸を添カ卩し、 添加成分がすべて溶解するまで撹拌混合した。 次に 5Nの NaOH で pHを 6. 5に調整し、 滅菌精製水を添加して 10 OmLにし、 本発明の水性
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製剤とした。
比較として、 MCを 0. l gの SM100に代え、 本発明の水性製剤と同様に して比較用 D P Y水性製剤を調製した。
表一 11には、 調製した DP Y水性製剤の外観を調製後 24時間 (25°Cで保 存) まで観察した結果及び本発明の水性製剤 25 mLと人工涙液 3. 5mLを混 合した水溶液のゲル化温度を測定した結果を示した。 尚、 25°C保存後の外観は 試料を氷冷後観察した。 本発明の DPY7JC性製剤は MCが 0. 2〜2W/V%の 範囲で水性製剤として調製可能であり、 涙液などのような体液と混合した場合で も体温付近の温度でゲル化することが示された。
表一 1 1
区分 本発明 比較例 処方 No. 77 78 79 80 81 82 83
DPY W/V 0.01 0.01 0.02 0.01 0.01 0.01 0.01
MC 種類 SM15 S 15 SM25 SM1500 SM4000 SM100 SM100
W/V% 1.5 0.7 1.5 0.4 0.4 0.2 0.1 種類 SM400 SM400 S 100
W/V% 0.5 0.7 0.4
PEG 種類 1000 1000 4000 4000 4000 1000 1000 w/v% 10 7 4 4 4 10 10 クェン酸 w/v% 1 2.3 2.3 2.3 2.3 2.3 2.3
Tween-80 w/v 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 外観 水溶液 水溶液 水溶液 水溶液 水溶液 水溶液 水溶液 ゲル化温度 (。c) 32 28 28 40 40 40 >40 各処方共通 PH6.5
実施例 12
60。Cに加温した 10 gの PEG 1000に 1 Omgの DPY及び 0. 5 gの T w e e n— 80を添加し混合後、 滅菌精製水 30 m Lを添加しよく混合した。 これに 1. 5 の3 15及び0. 5 gの SM400を滅菌精製水 4 OmLに溶
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解させたものを添加し、 氷冷下よく混合した。 ここに 0. l〜l gの無水クェン 酸を添加し、 添加成分がすべて溶解するまで撹拌混合した。 次に 5Nの NaOH で pHを 6. 5に調整し、 滅菌精製水を添加して 10 OmLにし、 本発明の水性 製剤とした。
比較として、 上記の無水クェン酸を 0. 05 gに代え、 本発明の水性製剤と同 様にして比較用 D P Y水性製剤を調製した。
表— 12には、 調製した DP Y水性製剤の外観を調製後 24時間 (25°Cで保 存) まで観察した結果及び本発明の水性製剤 25mLと人工涙液 3. 5mLを混 合した水溶液のゲル化温度を測定した結果を示した。 尚、 25°C保存後の外観は 試料を氷冷後観察した。 本発明の DPY水性製剤はクェン酸濃度 0. 1W/V% 以上で水性製剤として調製可能であり、 涙液などのような体液と混合した場合で も体温付近の温度でゲル化することが示された。 表一 1 2
区分 本発明 比較例
処方 No. 77 84 85
DPY W/V% 0.01 0.01 0.01
C 種類 SM15 SM15 S 15
W/V 1.5 1.5 1.5
種類 SM400 SM400 SM400
w/v 0.5 0.5 0.5
PEG 種類 1000 1000 1000
w/v% 10 10 10
クェン酸 w/v¾ 1 0.1 0.05
Tween-80 w/v% 0.5 0.5 0.5
外観 水溶液 水溶液 水溶液
ゲル化温度 (。c) 32 40 >40
各処方共通 pH6.5 実施例 13
60°Cに加温した 0. 1〜13 gの PEG400もしくは P E G 1000に 1 0111 の0?¥及び0. 5 gの T we en— 80を添カ卩し混合後、 滅菌精製水 3
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OmLを添加し、 よく混合した。 これに 1. 5 の31^15及び0. 5gの SM 400を滅菌精製水 4 OmLに溶解させたものを添加し、 氷冷下よく混合した。 さらに 2. 3 gの無水クェン酸を添加し、 添加成分がすべて溶解するまで撹拌混 合した。 次に 5Nの NaOHを添加し pHを 6. 5に調整し、 滅菌精製水を添加 して 10 OmLにし、 本発明の水性製剤とした。
比較として、 上記の PEGを PEG 1000の 0. 05 gに代え、 本発明の水 性製剤と同様にして比較用 D P Y水性製剤を調製した。
表— 13には、 調製した DP Y水性製剤の外観を調製後 24時間 (25°Cで保 存) まで観察した結果及び本発明の水性製剤 25 mLと人工涙液 3. 5mLを混 合した水溶液のゲル化温度を測定した結果を示した。 尚、 25°C保存後の外観は 試料を氷冷後観察した。 本発明の DP Y水性製剤は PEG濃度 0. 1〜: L 3W/ V%で水性製剤として調製可能であり、 涙液などのような体液と混合した場合で も体温付近の温度でゲル化することが示された。
表一 1 3
区分 本発日 比較例 処方 No. 86 87 88 89 90
DPY W/V0/, 0.01 0.01 0.01 0.01 0.01
C 種類 S 15 SM15 SM15 SM15 SM15
W/V% 1.5 1.5 1.5 1.5 1.5
種類 SM400 SM400 SM400 S 400 SM400
W/V% 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5
PEG 種類 1000 400 1000 1000 1000
w/v 13 10 1 0.1 0.05
クェン酸 w/v 2.3 2.3 2.3 2.3 2.3
Tween-80 w/v% 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5
外観 水溶液 水溶液 水溶液 水溶液 水溶液 ゲル化温度 (。c) 24 28 36 40 >40
各処方共通 PH6.5
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実施例 14
60°Cに加温した 1〜10 gの PEG 1000もしくは PEG4000に 1〜 20mgの DPY及び 0. 0 l〜2gの Tween— 80もしくは 0. 5 gの H CO- 60を添加し混合後、 滅菌精製水 30 m Lを添加し、 よく混合した。 これ に 1. 5 の3 15及び0. 5 gの SM400を滅菌精製水 4 OmLに溶解さ せたものを添加し、 氷冷下よく混合した。 ここに 2. 3 gの無水クェン酸を添加 し、 添加成分がすべて溶解するまで撹拌混合した。 次に 5Nの NaOHを添加し p Hを 6. 5に調整し、 滅菌精製水を添加して 100 mLにし、 本発明の水性製 剤とした。
比較として、 上記の Tween— 80もしくは H C 0— 60を添加しない処方 にし、 本発明の水†生製剤と同様にして比較用 D P Y水性製剤を調製した。
表一 14には、 調製した DP Y水性製剤の外観を調製後 24時間 (25°Cで保 存) まで観察した結果及び本発明の水性製剤 25mLと人工涙液 3. 5mLを混 合した水溶液のゲル化温度を測定した結果を示した。 尚、 25°C保存後の外観は 試料を氷冷後観察した。 本発明の D P Y水性製剤はポリソルべ一トもしくはポリ ォキシエチレン硬化ヒマシ油濃度 0. 01〜2W/V%で水性製剤として調製可 能であり、 涙液などのような体液と混合した場合でも体温付近の温度でゲル化す ることが示された。
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表一 14
各処方共通: ΡΗ6.5 析出 * : 調製後 24時間以内に DPYの結晶析出 測定せず 実施例 15
60°Cに加温した 4もしくは 8 gの PEG 4000に 10もしくは 2 Omgの 0?丫及び0. 5 gの Twe en_80を添加し混合後、 滅菌精製水 30 mLを 添カロし、 よく混合した。 これに 0. 7もしくは 1. 5gの SM15及び 0. 5も しくは 0. 7 gの SM400を滅菌精製水 4 OmLに溶解させたものを添加し、 氷冷下よく混合した。 ここに 2もしくは 2. 3 gの無水クェン酸を添加し、 添カロ 成分がすべて溶解するまで撹拌混合した。次に 5 Nの N a 0 Hを添カ卩し p Hを 5. 0〜 8. 0に調整し、 滅菌精製水を添加して 100 mLにし、 本発明の水性製剤 とした。
表一 15には、 調製した DP Y水性製剤の外観を調製後 24時間 (25°Cで保 存) まで観察した結果及び本発明の水性製剤 25mLと人工涙液 3. 5 m Lを混 合した水溶液のゲル化温度を測定した結果を示した。 尚、 25°C保存後の外観は 試料を氷冷後観察した。 本発明の DP Y水性製剤は pH 5. 0〜8. 0で水性製
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剤として調製可能であり、 涙液などのような体液と混合した場合でも体温付近の 温度でゲル化することが示された。
表一 1 5
処方 No. 101 102 103 104 105 106
DPY W/V% 0.01 0.01 0.01 0.02 0.02 0.01
MC 種類 SM15 SM15 S 15 SM15 SM15 SM15
W/V% 1.5 1.5 0.7 0.7 0.7 1.5 種類 SM400 SM400 SM400 SM400 SM400 SM400
W/V% 0.5 0.5 0.7 0.7 0.7 0.5
PEG 種類 4000 4000 4000 4000 4000 4000
W/V% 8 8 4 4 4 8 クェン酸 w/v% 2.3 2.3 2 2.3 2.3 2.3
Tween-80 w/v% 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5
PH 5.0 5.5 6.0 7.0 7.5 8.0 外観 水溶液 水溶液 水溶液 水溶液 水溶液 水溶液 ゲル化温度 (°C) 36 30 34 32 32 28
実施例 16
60°Cに加温した:!〜 10 gの PEG 1000もしくは PEG4000に 5〜 40111 の1 ?¥及び0. 05〜2 gの Twe en— 80を添加し混合後、 滅菌 精製水 30mLを添加し、 よく混合した。 これに 7もしくは 1. 5gの SM 15及び 0. 5もしくは 0. 7 gの SM400を滅菌精製水 4 OmLに溶解させ たものを添加し、 氷冷下よく混合した。 ここに 1〜2. 3 gの無水クェン酸及び 0. 005 gの B Z Kを添加し、 添加成分がすべて溶解するまで撹拌混合した。 次に 5Nの NaOHを添加し pHを 6. 0〜7. 5に調整し、 滅菌精製水を添加 して 10 OmLにした。 調製した DP Y水溶液を 0. 45〃mのメンブランフィ ル夕一でろ過後、 ポリエチレン製点眼ボトルに充填し本発明の点眼剤とした。 表一 16には、 調製した DP Y水性製剤の外観と 7 °Cで 3ヶ月間保存した後の
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外観変化及び本発明の D P Y点眼剤 25mLと人工涙液 3. 5 mLを混合した水 溶液のゲル化温度を測定した結果を示した。 本発明の DP Y点眼剤は、 長期の保 存が可能で、 涙液と混合した場合でも体温付近の温度でゲル化することが示され た。 表— 1 6
1〜: L 0 gの PEG400、 PEG 1000もしくは PEG4000と 0. 1 〜2 gの HC0— 60もしくは Twe en— 80を 60 °Cに加温しながら混合し た。 これに 0. 01〜 1 gのノルフロキサシン、 オフロキサシン又は塩酸ロメフ ロキサシンを添加し、 これら合成抗菌剤の結晶が溶解するまでよく混合した。 さ らに、 1~2. 3gの無水クェン酸と 0. 4〜1. 5gの MC (SM15、 SM 25、 SMI 00、 SM400)を添加し、 60°Cに加温しながら添加成分が均 一になるようによく混合した。 ここに 8 OmLの熱水を添加し、 添加成分が均一 になるまで分散後、 氷冷下よく混合した。 ここに pHが 5. 5になるまで 5 Nの
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N a OHを添加し、 添加成分がすべて溶解するまで氷冷下混合した。 さらに 5N の NaOHを添加し pHを 6. 5〜7. 5に調整した後、 滅菌精製水を添加して lOOmLにした。 調製した合成抗菌剤含有水溶液を 0. 45〃mのメンブラン フィルターでろ過後、 ふた付きガラス瓶に充填し、 本発明の水性製剤とした。 表— 17には、 調製した合成抗菌剤含有水性製剤の外観を調製後 24時間 (2 5°Cで保存) まで観察した結果及び本発明の水性製剤 25mLと人工涙液 3. 5 mLを混合した水溶液のゲル化温度を測定した結果を示した。 尚、 25°C保存後 の外観は試料を氷冷後観察した。 さらに、 表— 18には、 調製した水性製剤 (処 方 Noil 15、 120、 121、 124もしくは 126 ) を 7°C 6ヶ月間保存した 後の外観変化について検討した結果を示した。 本発明の合成抗菌剤含有水性製剤 は合成抗菌剤を水溶液として調製することが可能で、 冷所に保存しても薬物の結 晶析出などがなく長期間安定であることが示された。 また、 涙液などの体液と混 合した場合でも体温付近の温度でゲル化することが示された。 表一 17
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表一 18
実施例 18
3〜: L Ogの PEG 1000と 0. 1〜2 gの HCO— 60又は T we en— 80を 60°Cに加温しながら混合した。 ここに 0. 01〜0. 2gの硝酸ェコナ
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ゾ一ルもしくは硝酸ミコナゾールを添加し、 これら抗真菌剤の結晶が溶解するま でよく混合した。 0. 5〜1. 5 gの MC (SM15、 SM400)を添加し、 60°Cに加温しながら添加成分が均一になるようによく混合した。 これに 70 m Lの熱水を添加し、 添加成分が均一になるまで分散後、 氷冷下よく混合した。 こ れに、 あらかじめクェン酸として 1. 3〜2. 3 gに相当するクェン酸 Naを滅 菌精製水 15mLに溶解した水溶液を徐々に添加し、 氷冷下よく混合した。 さら に 5Nの Na〇Hを添加し、 pHを 6. 2〜7. 5に調整した後、 滅菌精製水を 添加して 10 OmLにした。 調製した抗真菌剤含有水溶液を 0. 45 mのメン ブランフィル夕一でろ過後、 ふた付きガラス瓶に充填し、 本発明の水性製剤とし た。
比較として、 上記本発明の水性製剤 (処方 Να 128) に対し H C 0— 60を添 加しない処方にし、 本発明と同様にして、 比較用抗真菌剤含有水性製剤を調製し た。
表— 19には、 調製した抗真菌剤含有水性製剤を 7°C2ヶ月間保存した後の外 観変化について検討した結果及び本発明の水性製剤 25mLと人工涙液 3. 5 m Lを混合した水溶液のゲル化温度を測定した結果を示した。
本発明の抗真菌剤含有水性製剤は抗真菌剤を水溶液として調製することが可能 で、 冷所に保存しても薬物の結晶析出などがなく長期間安定であることが示され た。 一方、 HCO— 60もしくは Tween—80を添加していない比較用抗真 菌剤含有水性製剤は、 調製時から硝酸ェコナゾールの結晶を溶解することができ ず、 薬物が水に溶解した水性製剤として調製することができなかった。 また、 本 発明の抗真菌剤含有水性製剤は、 涙液などのような体液と混合した場合でも体温 付近の温度でゲル化することが示された。
測定せず 産業上の利用可能性
本発明の難溶性薬物含有水性製剤は、 難溶性薬物が中性付近で水に溶解してお り、 結晶や異物の発生もなく保存安定性に優れている。 さらに、 本発明の難溶性 薬物含有可逆性熱ゲル化水性製剤はゲル化特性及び保存安定性に優れている。
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