WO1997000075A1 - Medicament contre le prurit cutane accompagnant l'insuffisance renale - Google Patents

Description

明 細 書 腎不全に伴う皮庸搔痒症改善剤 技術分野

本発明は肾不全ならびに腎透析患者に特徴的な諸症状、 特に皮虜搔痒症を軽減 することを目的とした新規医薬品組成物に関する。 背景技術

日本は世界で最も透析療法の普及した国であるが、 透析療法が長期化するに伴 い、 深刻な問題が生じて来た。 例えば、 長期にわたる透析療法によって、 心血管 系障害、 貧血、 骨病変、 代謝異常、 免疫不全などの合併症が引き起こされる。 更 に、 皮膚搔痒症が腎透析患者の 6 0— 8 0 %に合併すると言われている。 皮膚搔 痒症は直接的には患者の生命を脅かすものではないが、 持続的かつ慢性的であり、 昼夜を問わず患者を苦しめるので、 身体的にも精神的にも耐えがたいものである といわれいる。 生活の質の維持 ·向上という観点から、 この皮膚搔痒症は医療の 現場において大きな問題となっている。

皮虜搔痒症の原因としては、 1 . 腎不全により血中の神経終末を刺激するなん らかの物質が蓄積するため、 2. p Hなどの変化により搔痒閾値が低下するため、 3. 汗腺、 脂腺などの皮慮付属器をへて正常とは異なった分泌作用が営まれるた め、 等が推定されているが、 未だ、 明らかではない。

治療法としては一般に抗ヒス夕ミン剤が使用されるが、 その効果には限度があ り、 数剤を併用せざるを得ないといわれている。 また、 副作用である眠気、 めま い、 全身倦怠感などから投薬を中止せざるをえない場合が多いといわれている。 このほか、 抗アレルギー剤、 副腎皮質ホルモン剤、 精神安定剤の投与などのが行 われているが、 1例でこれを解消できるものはなく、 有効な治療法の確立が期待 されている。 発明の開示

本発明者らは多年にわたり透析療法をうけている腎不全患者患者に起こる症状 のなかでも、 皮膚搔痒症の軽減を目的として研究を進めて来た。

その結果、 腎不全ならびに腎透析患者の合併症、 殊に皮虜搔痒症の治療にオリ ゴ糖が有用であることを発見し、 本発明を完成させるに至った。 すなわち、 本発 明は、 ォリゴ糖の 1種または 2種以上を有効成分として含有する腎不全に伴う皮 虜搔痒症改善剤を提供する。

また、 本発明は、 オリゴ糖の 1種または 2種以上を有効成分として含有する腎 不全および腎不全の合併症の治療剤を提供する。 発明を実'施するための最良の形態

以下、 本発明の詳細を述べる。

ビフィズス菌の増殖因子としては、 古くから知られているラクッロースの他に、 近年、 いろいろなオリゴ糖がこの作用を示すことが知られるようになった。 例え ば、 蔗糖にグリコシダーゼを作用させて生成するフラク トオリゴ糖、 同じく乳糖 にグリコシダーゼを作用させて生成するガラク トオリゴ糖、 イソマルトオリゴ糖、 マルトオリゴ糖、 ラク トスクロースおよびキシロオリゴ糖などのォリゴ糖は糞便 中のビフィズス蘭を著しく増殖させ、 糞便に含まれるアンモニア、 アミンフヱノ ール、 クレゾ一ル等の有害物質を有意に減少させる。 しかしながら、 これらのォ リゴ糖類が腎不全症状を改善するという効果、 殊に搔痒感を軽減するという効果 があることについては、 これまで何ら報告されていない。

アンモニアは腸内において一部の蛋白質やアミノ酸が腸内細菌によって脱アミ ノ化されて生成するが、 ラクッロースが大腸においてビフィズス菌をはじめとす る腸内の細菌に分解されて乳酸、 酢酸等の有機酸の産生を促進するため p Hが低 下し、 アンモニアの吸収を阻害することは、 よく知られている。 このような作用 を利用してラクッロースは高アンモニア血症の治療剤として永年、 用いられてき た。 また、 ラクッロースのようなオリゴ糖類の投与によってフエノール、 インド ール、 スカトール等のアミン類の腸内における産生が抑制されること、 および、 小腸におけるカルシウムの吸収が促進されることも知られている。 しかしながら、 ラクッロースの腎不全及び腎不全に伴う合併症、 殊に皮虜搔痒症に対する効果に ついては知られていない。

腎機能の低下にともなって不眠、 頭痛、 嘔吐、 腎性貧血、 高血圧、 浮腫などの 尿毒症状が現れ、 保存療法で改善が得られない場合は透析療法が導入される。 尿 毒症患者の体内に増加し、 生体に有害作用を及ぼす物質は尿毒症毒素と呼ばれ、 3 2—ミクログロブリン、 グァニジノ化合物、 糖化タンパク、 インドール化合物、 フ ノール化合物などが報告されているが、 これらの物質の血中濃度と皮虜搔痒 症との関連は明らかではなく、 これらの尿毒症毒素は糖化タンパクを除いて透析 によって除去されるが、 透析療法によっても必ずしも皮膚搔痒症の軽減にはつな がらな (、。

長期腎透析患者における合併症は、 心血管系合併症の発生頻度が 5 0— 6 0 % と最も高く、 死亡原因別では心不全が最も多くなつている。 日常生活に著しい障 害をもたらす合併症としては、 腎性骨異栄養症、 透析アミロイ ド症、 貧血、 皮膚 搔痒症などが問題になっている。 本発明の医薬組成物はこれらの腎不全に伴う皮 膚搔痒症の軽減に最も効果的である。

透析患者の食事には各種の制限、 すなわち、 食塩、 水分、 蛋白質、 カリウムな どの制限がある。 そのため、 透析患者の多くに便秘や硬便などが認められる。 本 発明で用いる糖類は有機酸の産生を促進することによって腸の蠕動運動を活発に し、 その結果、 便通を改善する。 また、 本発明で用いる糖類は、 腸管内浸透圧を 高めることによって、 腸管内の水分含量を上昇させ、 排便をスムーズにすること も期待される。

本発明の腎不全に伴う皮膚搔痒症改善剤、 腎不全および腎不全の合併症の治療 剤に使用されるオリゴ糖とは、 2個以上 1 0個くらいまでの単糖がグリコシド結 合で結ばれた構造を持つものの総称で、 単糖の数によって二糖、 三糖、 四糖、 五 糖、 六糖などに分類される。 本発明においてはこれらのオリゴ糖、 例えば、 フラ ク トオリゴ糖、 ガラク トオリゴ糖、 イソマルトオリゴ糖、 マルトオリゴ糖、 ラク トスクロース及びキシロオリゴ糖等、 から 1種または 2種以上が選択されるが、 本発明の目的を達成するものであればこれらのオリゴ糖に限定されない。 好まし いオリゴ糖は二糖類であり、 例えば、 ラクッロース、 トレハロース、 ラムノース、 ラクチトールなどが挙げられる。 このうち特に好ましいのはラクッロースである _c 本発明の医薬組成物を腎不全および腎透析患者の搔痒感軽減ならびに便通改善 を目的に投与する場合、 投与経路に特に制限はないが経口投与が好ましい。 また、 これらの糖類は結晶、 無定型粉末及びシロップなどとして供給されるが、 患者に 投与する場合に、 顆粒剤、 錠剤、 粉剤、 シロップ剤などのような剤形にも製剤化 が可能である。 この場合、 必要に応じて通常使用される充填剤、 増量剤、 結合剤、 付湿剤、 崩壊剤、 滑沢剤などを適宜用いることができる。

本発明の製剤の投与量は、 患者の性別、 年齢、 体重、 症状等に応じて、 一日当 たり糖類の無水物換算で 1グラムから 6 0グラムの間で適宜選択されるが、 通常 は 1グラムから 3 0グラムの範囲が好ましい。

以下、 本発明の薬剤の製剤例を示す。 製剤例

ラクッロース 5 O m g デンプン 1 6 m g グリセリン脂肪酸エステル 3 O m g 結晶セルロース 2 m g 酸化ゲイ素 2 m g 口 D†" 2 0 O m g 以下に本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、 これは本発明をなんら限 定するものではない。

実施例 1

1 8— 2 3歳の健常成人 （男性 5人、 女性 3人） に一日当たり 3 gのラクッ口 ースを 2週間経口投与、 経時的に糞便を採取しアンモニア、 フユノール、 クレゾ -ル、 インドール、 スカトールを測定した。 結果を表 1に示した _c クッロースの糞便中有害物質濃度に及ぼす効果

(マイクログラム zグラム便）

ラクッロース投与によって、 ァンモニァを始め有害な低分子窒素化合物濃度は いずれも著しく減少した。 しかし、 投与終了 7曰目ではいずれの物質の濃度も投 与前値にまで回復した。 実施例 2

体重 1 8 0 gの雄性 S Dラッ 卜に結晶ラクッロース、 トレハロース、 ラクチト ールをそれぞれ 5 0 O m g / k gを 3日間経口投与した後、 両側尿管を結紮し、 2 4時間後、 心臓から採血して屠殺した。 血清を分離し、 B U N (血液尿素窒素） とクレアチニンを測定した。 結果を表 2に示した。

表 2 急性腎不全ラッ トにおけるラクッロースの効果

平均土標準誤差 ** p<0. 01 急性腎不全対照群のクレアチニン、 BUN値は正常対照群に比較して、 それぞ れ 7. 6倍、 4. 7倍に上昇したが、 急性腎不全ラクッロース投与群では急性腎 不全対照群に比較しクレアチニン、 BUN値ともに 14%低下した。 実施例 3

便秘を訴える腎透析患者 16名を 2等分し、 1群にはラク トスクロースを他の 1群にはラクッロースを夕食後にともに 16 gを 4週間、 経口投与し便通ならび に便の性状に及ぼす効果を検討した。 結果を表 3に示した。 表 3 便通に及ぼすラクッロース、 ラク トスクロースの効果

(平均便通回数 回 Z週）

投与前 投与後

ラクッロース 2. 1 5. 7

ラク トスクロース 2. 4 4. 2 便通の改善はラクッロース、 ラク トスクロースともに統計学的に有意であった 便の性状は両者ともに投与によって、 形は力チカチ状からバナナ状に、 色は褐色 から黄色に変化し、 排便がスムーズになった。 実施例 4

皮膚搔痒感を訴える腎透析患者 3 3名にラクッロース 1 6— 2 4 gを朝、 夕食 後に分けて 8週間、 経口投与した。 評価は搔痒の重症度 5段階基準 （激烈なかゆ み、 中等度のかゆみ、 軽度なかゆみ、 軽微なかゆみ、 症状なし） に従い、 投与開 始時の搔痒スコアと比較して著効、 有効、 やや有効、 不変、 悪化の 5段階で搔痒 改善度を評価、 判定した。 ラクッロース投与による皮膚搔痒症改善効果および皮 廣搔痒^改善の経時変化についての結果を表 4および表 5にそれぞれ示した。 表 4 ラクッ口一スの皮虜搔痒症改善に及ぼす効果

クチトール投与によって皮虜搔痒症患者の 7 9 %に搔痒感の軽減が認められ た 表 5 ラクッ口ース投与による皮虜搔痒症改善の経時変化

重度皮虜搔痒症患者は 5 4. 6 %であったが、 ラクッロース投与によって投与 4週後には 1 2 %に減少し、 軽度皮膚搔痒症患者は 9. 0 %からラクッロース投 与 4週後には 5 0 %に増加した。 産業上の利用の可能性

フラクトオリゴ糖、 ガラク トオリゴ糖、 ィソマルトオリゴ糖、 マルトオリゴ糖、 ラク トスクロースおよびキシロオリゴ糖等のオリゴ糖、 特に、 ラクッロース、 ト レハロース、 ラムノース、 ラクチトールなどの二糖類は、 腎不全ならびに腎透析 患者に特徴的な諸症状、 特に、 皮虜皮膚搔痒症の改善に有用である。

Claims

請 求 の 範 囲

1. オリゴ糖の 1種または 2種以上を有効成分として含有する腎不全に伴う皮 虜搔痒症改善剤。

2. オリゴ糖がフラク トオリゴ糖、 ガラク トオリゴ糖、 イソマルトオリゴ糖、 マルトオリゴ糖、 ラク トスクロース及びキシロオリゴ糖等から選ばれたものであ る請求項 1記載の腎不全に伴う皮虜搔痒症改善剤。

3. オリゴ糖が二糖類である請求項 1記載の腎不全に伴う皮膚搔痒症改善剤。

4. 二糖類がラクッロース、 トレハロース、 ラムノース、 ラクチトールから選 ばれたものである請求項 3記載の腎不全に伴う皮膚搔痒症改善剤。

5. 二糖類がラクッロースである請求項 3記載の腎不全に伴う皮虜搔痒症改善 剤。

6. オリゴ糖の 1種または 2種以上を有効成分として含有する腎不全および肾 不全の合併症の治療剤。

7. オリゴ糖がフラク トオリゴ糖、 ガラク トオリゴ糖、 イソマルトオリゴ糖、 マルトオリゴ糖、 乳果ォリゴ糖及びキシロオリゴ糖等から選ばれたものである請 求項 6記載の腎不全並びに腎不全の合併症の治療剤。

8. オリゴ糖が二糖類である請求項 6記載の腎不全並びに腎不全の合併症の治 療剤。

9. 二糖類がラクッロース、 トレハロース、 ラムノース、 ラクチトールから選 ばれたものである請求項 8記載の腎不全並びに腎不全の合併症の治療剤。

1 0. 二糖類がラクッロースである請求項 8記載の腎不全並びに腎不全の合併症 の治療剤。