WO1996020435A1 - Procede et appareil de traitement de rouleaux et autres par faisceau laser - Google Patents

Description

明 細 害

レーザ光による口 ラ等の加工処理方法及びその装置 技 術 分 野

本発明は、 ローラ上の有機性皮膜を除去する方法とそのための装 置に関する ものである。 具体的には、 複写機、 プリ ンタ一若し く は フ ァ ッ ク ス機等に使用される感光体 ドラム、 定着ローラ、 ゴム ロ ー ラ或いはマグローラ等の各種ローラ上の有機性皮膜をレーザ光を使 用 して効果的に除去する方法及びそのための装置、 ロー ラの製造過 程で発生する不良品及び使用済みの各種ローラをレーザ光で処理し て、 該各種口一ラの再使用を可能にする方法及びそのための装置に 関する ものである。 背 景 技

ローラは色々 な機械 ' 機器に使用されている。 例えば複写機、 プ リ ンター若し く はフ ァ ッ クス機等には、 感光体 ドラム、 定着ローラ、 ゴムローラ或いはマグローラ等の各種ローラが使用されている。 こ れらのローラは一般的には、 アルミ ニゥム等の金属から製作された 平坦度、 同芯度の高い円筒であるか、 若し く は該金属製円筒に各種 表面処理を施し皮膜を形成させたものである。 定着ローラは、 アル ミ 二ゥム製円筒にフ ッ素系樹脂をコ 一ティ ングしたものが多く、 ゴ ムローラ は、 同様にアル ミ ニウ ム製円筒に ゴムをコ ーティ ン グ した ものが多い。 感光体 ドラ ムは、 アルミ ニウム等の金属製円筒に、 下 塗り した後、 酸化チタ ン等を含む層をコーティ ングし更にその上に ポ リ カーボネー トの樹脂層をコーティ ング し、 皮膜を形成したもの が一般的である。 マグローラは、 トナー供袷用のローラで、 金属製 円筒がそのまま使用される場合が多い。

これらローラの製造上及び使用上の問題と して、 次の事項が指摘 されている。

( 1 ) 金属製円筒に皮膜を形成せしめる際に、 金属製円筒を皮膜形成 成分を含む容器中に浸浚せしめた後、 該金属製円筒を引き上げて 皮膜を形成せしめる場合、 必然的に浸漬した円筒の下部末端は、 完 全に被覆されるが、 上部末端は皮膜は形成されないままで残る。 そ のため、 ローラ と しては、 バラ ンスが取れないものとなる。 従つ て、 下部末端の皮膜の一部を除去して、 ローラ全体と してバラ ン スの取れたものに仕上げる必要がある。

( 2 ) トナーを供給するマグローラに於いては、 長時間の使用によつ てマグローラ表面上に トナー成分であるスチ レン系樹脂等が付着 堆積して余分の皮膜が形成されて く る。 こ う して生じたマグロー ラ上の余分の皮膜は、 ト ナーの電磁気的性質に悪影響を与え、 得 られる画質の低下をもたらす。

( 3 ) ローラは、 長時間の使用により表面に施した皮膜が不均一に損 傷を受けたり、 不要の物質が付着したりする結果、 記録用の紙が 重複送り されたり、 複写品質が低下したり等の不具合が発生する よう になる。 この様な使用上の問題が生じたローラは、 取り替え る しかな く 、 取り替えたローラは一般的には再生がきかず、 廃棄 処分にされている。 廃棄されるローラの数は膨大なものになって おり、 回収ロー ラの適切な再生手段が求められている。

( 4 ) 複写機、 プリ ンター若し く はフ ァ ッ クス機等に使用される感光 体 ドラム、 定着ローラ、 ゴムローラ等の各種ローラの製造過程に 於いて、 皮膜形成に絡んで不良品が発生する。 こ の不良品が発生 する割合は少なく とも 1 0 %はあると言われており、 しかも不良品 ローラの回収再使用の道が無く、廃棄処分されている。 これは、 （3 ) の廃棄されるローラと合わせて、 資源利用の観点から無駄が多く 、 適切な再利用の手段が求められている。

( 5 ) ローラの製造過程でローラ上に皮膜を形成する際に、 皮膜の厚 みが不均一になつたり、 皮膜表面に凹凸が発生したり、 或いは皮 膜にピンホールが発生したりする。

上記問題に対し、 現在採られている対応策及び対応状況は次の通 りである。

( 1 ) の問題に対しては、 円筒下部末端の余分な皮膜を、 毛ブラシ 等で皮膜をこすり取るか、 化学エッチング後溶剤で拭き取り除去す る方法が採られている。 これらの方法は、 手間が掛かり又化学薬品 を使用するので、 後処理が複雑になつている。 こ う した背景から、 化 学的な手段に頼らない ドライプロセスが強く要望されている。 更に、 現行の処理方法はコス ト も高く なる。 この観点から、 円筒下部末端 の余分な皮膜を効果的に除去する方法が要望されている。

( 2 ) の問題に対しては、 適当な処理方法が無く廃棄処分に してい る。 即ち、 トナー成分等が付着堆積して生成した皮膜は、 現時点で は除去する適当な方法が無く、 マグローラは新品と取り替えられ、 廃 棄されているのである。 これは資源活用の観点から無駄が多く 、 ロー ラを再生し リ サイ クル使用が望まれている。

( 3 ) 及び （4 ) の問題に対しては、 （2 ) 同様適当な対応策がな く 、 ローラは廃棄処分にされている。 これも、 同様に資源活用の観点か ら、 ローラの再生使用が望まれている。

( 5 ) の問題に対しては、 一部テープ研磨が行われている。 即ち、 凸 部を研磨し平滑に しょう とする ものである。 しかし、 このテープ研 磨では、 ローラ皮膜に 「研磨痕」 が生じるため、 研磨後熱処理をす る必要があり、 余分の工程が入り コス ト高となっている。 このため、 テープ研磨は、 一部で実施されているのみで、 大半の不良品は廃棄 されているのが実状である。 こ う した背景から、 効果的に皮膜を均 一にする方法が強く求められている。 発 明 の 開 示

ローラ上の有機性皮膜に関する問題、 具体的には複写機、 プリ ン ター若し く はフ ァ ッ ク ス機等に使用される感光体 ドラ ム、 定着ロ ー ラ、 ゴムローラ、 或いはマグロ ーラ等の各種ローラに関する上記問 題を解決し、 該ローラを効果的に再生する方法とそのための装置並 びに、 ローラの製造過程で発生する不良品及び長時間の使用で使用 に耐えられな く なったローラを効果的に処理して、 該ローラの再使 用を可能にする方法及びそのための装置を提供するのが、 本発明の 目的である。

前記の問題の内、 （1 ) から （4 ) の問題は、 ローラ上の皮膜を如何 に除去するかという問題である。 即ち、 ローラ上の皮膜を効果的に 除去する こ とが出来ればよい。 マグローラの場合は皮膜を除去した 後そのまま再使用すればよ く 、 又皮膜を形成せしめて使用する他の ローラの場合は、 皮膜除去後に改めて皮膜を形成してやればよい。 そ して、 （5 ) の問題に対しては、 テープ研磨に代わる効果的な皮膜の 均一化 · 平滑化の方法が求められているのである。

本発明の課題は技術的な観点からは、 ロ ーラ上の皮膜を効果的に 除去する方法及びそのための装置の問題に還元される。 尚、 本発明 が除去しょう と しているのは、 ローラ上のフ ッ素系樹脂、 トナー成 分のポ リ スチレ ンを主体とする樹脂、 ポ リ カーボネー ト或いはゴム などの有機性皮膜である。 本発明者等は、 口ーラ上の皮膜の効果的な除去方法及びそのため の装置について鋭意研究し、 特定のレーザ光を使用する と、 該皮膜 が効果的に除去できるこ とを見いだし、 本発明を完成させたのである。

即ち、 各種ローラ上の皮膜、 具体的には複写機、 プリ ンタ一若し く はフア ツ クス機等用の感光体 ドラム、 定着ローラ、 ゴムローラ、 マ グローラ等の各種ローラ上の皮膜の一部または全部を除去するに際 して、 9.0 / m ~ 1 1 .0 i m波長の高輝度パルス レーザ光、 特に 9.3 β m波長の高輝度パルス レーザ光を照射することを特徴とする ロー ラ上の皮膜除去方法、 及びローラ上の皮膜除去のための装置である。 皮膜除去のための装置は、 複写機用、 プリ ンター用若し く はフ ァ ッ ク ス機用の感光体 ドラム、 定着ローラ、 ゴムローラ及びマグロー ラ等の各種ローラの処理を行う に際し、 該各種ローラを把持し回転 させる機構、 レーザ光発振器及びレーザ光照射機構、 レーザ光照射 時生成する煤煙、 皮膜残渣等を除く ための気体吹き付け及び集塵吸 引機構とからなるローラの処理装置であり、 そ して、 レーザ光を凹 レ ンズでその光路を広げた後、 シ リ ン ド リ カル レ ンズで細長い長方 形に してローラ上に照射する ローラの加工処理装置、 レーザ光を照 射するに際し、 全反射ミ ラーと半透過ミ ラーとを階段的に組み合わ せて、 複数のレーザ光に分岐させるローラの処理装置及び、 レーザー 光照射時発生する音を検出する検音器及び又はローラの表面状態を 観察する光学システムを備えて処理の終点を確認する こ とのでき る ローラの処理装置である。

ローラ上の皮膜を、 下地の金属層に損傷を与える こ とな く 効果的 に除去する方法は、 従来ほとんど知られていないのが実状である。 一 般的に、 皮膜等の付着物を除去しよう とする場合、 機械的に除去す る方法が考えられる。 例えば、 マシニング法、 ブラス ト法、 研磨法 及びウォータージヱ ッ ト法等である。 マ シニ ング法は、 皮膜を切削 する ものであるが、 皮膜を完全除去するために、 金厲雇まで必然的 に切削することになり、 1〜数回のマシニングで金属層が極端に薄く なるため再生使用の範囲が極度に限定されるこ とになる。 細かい砥 粒を被処理体に吹き付けるブラス ト法或いは研磨法は、 下地の金厲 層を傷つけるので再生使用には向かない。 更に、 ウォータージエ ツ ト法は、 使用する水の圧力が小さいと皮膜の除去が不充分で、 水の 圧力が大きいと金属円筒が切断されて しまい、 組成の異なる皮膜を 有効に除去するには向かない。 いずれにしても、 機械的な方法では、 下地の金属層を損傷する ことな く皮膜だけを有効に除去するこ とは 事実上困難な状況にある。

一方、 皮膜を溶解する溶剤を使用し、 皮膜を溶解除去する方法も 考えられる。 しかし、 組成内容の異なる皮膜を溶解するための溶剤 の選択が極めて困難で、 その上仮に溶解できたと しても、 溶剤の回 収が必要で再生工程が複雑とな り実用的ではない。

この点、 9.0 // π！〜 1 1 .0 ;u m波長の高輝度パルスレーザ光を照射 すると、 ローラ上の皮膜は容易に除去でき、 しかも ドライ状態で作 業を行う こ とが出来るのでそのメ リ ッ トは非常に大きいのである。

レーザ光は、 元来そのエネルギー密度、 レーザ光の照射方向、 レー ザ光の照射時間等を電気的に制御するこ とが可能で、 更にマス ク モ ジュール、 エキスパンダー等の光学系を組み合わせる こ とによ り一 定の面積内に於いて、 レーザ光の照射エリ ァの形状を任意に設定す るこ とが出来る。 またレーザ光は非接触で且つ加工プロセスは ドラ ィプロセスであるから、 化学的方法、 機械的方法に比較し取り扱い やすいという特徴を有している。 この点レーザ光による加工は、 ェ 業的に実施するのに適している。 レーザ光を利用して、 皮膜を除去するこ と自身は既に知られてい る。 例えば、 金属或いは金厲酸化物等の無機性物質をレーザ光で除 去するこ とは、 特開昭 58— 179586、 特開昭 59— 73189、 特開昭 59 - 153591、 特開平 1 — 95814、 特開平 5 - 337660等で知られ ている。 また、 複写機、 プリ ンター若し く はフ ァ ッ ク ス機等に使用 される感光体 ドラム、 定着ローラ或いはマグローラ等の各種ローラ の有機性皮膜をレーザ光で除去する技術に関しては、 特開平 3一 144458、 特開平 5— 34934及び特開平 6 — 344160が知られている。 これら は、 レーザ光と して YAG レーザ及び炭酸ガスレーザ特に炭酸ガス連 繞レーザを使用 している。

実用上高出力が可能な レーザ光と しては、 炭酸ガス レーザ、 ェキ シマ レーザ、 YAG レーザ等が従来知られている。 このう ち、 YAG レーザは、 ローラの下地である金属層を若干溶融して しま う欠点が ある。 又、 エキシマレーザーでは、 フ ッ素系樹脂皮膜は除去できな い。 また、 炭酸ガス連続レーザ光は、 加工効率が悪いという問題が ある。 9.0 m〜11.0 m波長の高輝度パルス レーザ光は、 効率よ く ローラの皮膜を除去することができるので、 本発明では、 9.0 m 〜11.0 m波長の高輝度パルス レーザ光を用いる ものである. レーザ発振器は、 そもそも原理的にはパルス発振的な性格を有す るものであるが、 連続したレーザ光を使用したいという希望から、 連 続波タイプのものが広く使用されるよう になっている。 一方、 励起 の機構から連続波が実現していないものもある。 この場合は、 発振 される レーザ光の強度が大き く 高輝度のパルス レーザ光となる。 本発明に於いては、 9.0〜11.0 // m波長の高輝度パルス レーザ光 を使用する。 具体的に使用する レーザ光と して、 9.3 i m波長の高 輝度パルスレ一ザ光、 10.6 μ m波の高輝度パルスレ一ザ光が挙げら れる。 これらの高輝度パルス レーザ光は、 例えば住友重機械工業株 式会社製のレーザ発振装置 （商品名 「イ ンパク ト レーザ」） から得ら れるレーザ光である。 この 「イ ンパク ト レーザ」 から発振される レー ザ光は、 パルスレーザ光であつて且つ発振強度の高い高輝度レーザ 光である。

通常 「イ ンパク ト レーザ」 からは、 9.3 m波長の高輝度パルス レ一ザ光が得られる。 レーザ光発振器のフ ロ ン ト ミ ラーやリア ミ ラー のコ一ティ ング材料を変えるこ とによ り、 共振させる レーザ光の波 長を 9.0〜 11.0 mの範囲で選択するこ とが出来る。

9.0〜11.0 mの波長を持つ高輝度パルス レーザ光を使用するこ とによ り、 各種ローラ上の有機性皮膜を効果的に除去するこ とが出 来る。 該レーザ光を使用するこ とによって、 各種ローラ上の皮膜を 効果的に初めて除去するこ とが可能となったのである。 本発明によ り、 口一ラ上の皮膜を、 短時間の内に しかも正確に行う こ とが出来 るよう にな り、 本発明がもたらす経済的な価値は、 極めて大きいの である。

通常高出力が得られる炭酸ガス連続レーザ光の場合は、 皮膜に 「焦 げ」 が発生しやすい欠点がある。 例えば、 感光体 ドラ ムに炭酸ガス 連続レーザ光を照射した場合、 皮膜がめく れたり、 煤及び焦げが発 生し、 ドラムの再生再使用には不適当であった。 また、 エネルギー 効率の面でも、 高輝度パルスレーザ光に於ける 400wに相当する作 業効率を得るためには、 炭酸ガス連続レ一ザ光の場合 6k wのェネル ギ—が必要である。

口ーラ上の有機性皮膜を除去するに当たって、 9.0〜11.0 ;z mの 波長を持つ高輝度パルス レーザ光に効果がある。 これは、 高輝度パ ルスレーザ光であるため瞬間的に大きいエネルギーが与えられる こ とと、 9 . 3 / m〜1 1 . 0 m波長のレーザ光の有機性皮膜への吸収効 率が高いためと推測している。

レーザ光で処理するに際しては、 レーザ光を被処理体に効率的に 照射する必要がある。 このためには、 レーザ光の光源を複数個使用 するのは勿論のこ とであるが、 それ以外に、 レーザ光源から発振さ れた レ一ザ光を、 凹レ ンズで拡散し更に、 シ リ ン ド リ カノレレ ンズに よ り長方形ビームに整形して照射する方法或いは、 ロー ラの長手方 向に沿ってローラ表面全面に一様にレーザ光を照射できるよう にす るため、 半透過ミ ラーと全反射ミ ラーとを階段的に組み合わせた光 学システムを利用 して、 レーザ光を複数の光に分岐させる方法、 及 び上記方法を組み合わせる方法が有効である。

又、 処理をするべきローラを回転させながら、 レーザ光を照射す るこ とによって、 レーザ光を効率よ く ローラ上の皮膜に照射する こ とが出来る。 図面の簡単な説明

第 1図は、 皮膜除去装置の基本構成を示すブロ ッ ク図であり、 第 2 図は、 皮膜除去装置 1 の実施様態を示すプロッ ク図であり、 第 3図は、 皮膜除去装置のう ち、 レーザ光照射システムを例示的に示すプロ ッ ク図であ り 、 第 4図は、 レーザ光照射システムの レ ンズ部分を示すブ 口 ッ ク図である。

〈符号の説明〉

1 l a、 l b レーザ光発振器

2 レーザ光照射器

3 ロ ーラ

4 ローラ把持 · 回転機構 5 駆動装置

6 気体吹付機構

7 気体発生器

8 集塵吸引機構

9 システム コ ン ト ローラ

10a、 10b レーザコ ン ト ロ ーラ

11 音セ ンサ

12 検音器

13 CCDカ メ ラ

14 モニタ ー

15 画像処理器

16a~16d 全反射ミ ラ一

17a. 17d、 18a、 18c、 18f、 18h 半透過ミ ラ

17b、 17c、 18b、 18d、 18e、 18g 全反射ミ ラ

19a~ 19h 凹 レ ンズ

20a~20h シ リ ン ド リ カノレレ ンズ 発明を実施するための最良の形態 本発明の実施形態について説明する。 皮膜除去装置の基本的な構 成は、 第 1図に示すように複写機用の各種ローラを把持し回転させる 把持回転機構、 レーザ光の発生及び照射機構並びに レーザ光照射時 に発生する煤煙、 皮膜の残渣等を除く ための気体吹き付け及び集塵 吸引機構とからなる。

第 1図に於いて、 1 は、 レーザ発振器である。 レーザ発振器から発 振されたレーザー光は、 レーザ照射器 2からローラ 3に照射される。 ローラ 3は、 ローラ把持回転機構 4に装着され、 駆動装置 5によ って ローラに回転が与えられる。 そ して、 ローラ上皮膜に レーザ光が照 射されたときに発生する、 煤煙又は皮膜残渣を除く ために気体吹き 付け機構 6から気体が吹き付けられる。 この気体は、 気体発生器 7か ら供耠される。 気体の供給は、 圧縮空気或いはガスボンベ等によつ て行うのが簡便である。 この際使用する気体は、 空気を使用する こ とができるが、 アルゴン、 ヘリ ウム、 窒素等の不活性気体が好ま しい。 またレーザ光を照射する場合は、 集塵吸引装置 8を備えるのが一般 的であり、 本発明の場合も、 この集塵吸引装置で煤煙、 皮膜残渣等 を除く ことができるが、 更に気体の吹き付けを行うのが有効である。

レーザ光をローラに照射するに当たり、 出射されたレーザ光は、 凹 レ ンズで拡散され、 シ リ ン ド リ カルレ ンズによ り長方形ビームに整 形された後、 ローラ表面上に当てられる。 即ち、 第 4図に於いてレー ザ光は、 凹レンズ 1 9によって広げられる。 広げられたレーザ光は、 次にシ リ ン ドリ カルレンズ 2 0に導かれ、 ここで細長の長方形のレー ザ光に変えられる。 そ して、 こ の長方形の レーザ光がレーザ被照射 体即ちローラ 3に照射される。 この際ローラに照射される レーザ光の 幅と長さは、 レ一ザ照射器とローラの距離を変化させることによ り、 調節する こ とができる。

特に長いローラに於いては、 長手方向に亘つてローラ表面全面に 一様に レーザ光を照射できるよう にするため、 レーザ光を複数の光 に分岐させることもできる。 この場合のシステム例を第 3図に従って 説明する。 尚、 この説明では 8本のレーザ光に分岐しているが、 これ に限られる ものではない。 1 a の レーザ発振器から出射された レーザ 光は、 1 6 a，1 6 bの全反射ミ ラーに導かれる。 レーザ光は更に、 50 % を透過し、 50 %を反射する 1 7a半透過ミ ラ一を経て透過光は 1 8 aに、 反射光は全反射ミ ラー 1 7 bに導かれる . 1 8 aに導かれたレーザ光は、 5 0 %は透過しレンズ 1 9 a、 20 aを通してローラ 3に照射される。 他 の 50 %は、 反射され全反射ミ ラ一 1 8 bに導かれレ ンズ 1 9 b、 20 bを 通してローラ 3に照射される。

この様にして、 半透過ミ ラーと全反射ミ ラーとを階段的に組み合わ せた光学システムによって、 レーザー光は四分の一の出力に分岐さ れ 1 9 a、 20a〜1 9 d、 20 dのレンズ群に導かれる。 l bのレーザ光発振 器から出射されたレーザ光も同様の工程によって四等分され 1 9e、 20e〜 1 9 h、 20 hのレンズ群に導かれ、 合計 8本のレーザ光に分岐される。

ローラの把持方法は、 例示した横置きのタイプのみならず縦置き のケースもあり う る。 この場合は、 当然のこ とながら レーザ光は横 方向から照射されるこ とになる。 レーザ光の照射にあたり、 レーザ光を複数の光に分岐させる方法 を前述したが、 これに限定されるものではない。 1本のレーザ光をロー ラ上に照射する こ と もできる。 この場合は、 レーザ光はローラ上に 当たる場所が部分的になるので、 ローラを回転させながら、 左右に 移動させるか、 レーザ光をロー ラの長さ方向に移動させるのが好ま しい。 尚、 レーザ光のローラ長さ方向への移動は、 前述したレーザー 光を複数に分岐させた場合に も適用できる こ とは言う までもない。

皮膜の除去作業を自動的に実施することも可能である。 この際、 除 去作業の終点をどう して見いだすかがポイ ン トの一つである。 レー ザ光をローラ上に照射する場合、 レーザ光を照射するこ とによ って 発生する音は、 皮膜が少な く なり、 下地の金属層が多く なるに従つ て小さ く なる こ とが認められる。 この現象を利用して、 レーザ光照 射時に発生する音を捉え、 除去作業終了のサイ ンとする事ができる。 又ローラ表面状況をカメ ラを通して映像と して捉え、 コ ン ビユー 夕 による画像処理を行い、 皮膜の有無を判定するこ とができ る。 画 像処理によ り、 金属層は白 く 、 皮膜部分は黒く現れるよ う にする こ とによ り、 皮膜の除去終点を容易且つ確実に判定することができる。 これ らは単独使用もでき る し、 二者を併用使用する こ と も勿論可能 である。

第 2図に於いて、 レーザ光照射時発生する音は、 セ ンサ 1 1及び検 音器 1 2で捉え測定する。 又、 表面状態は C C Dカメ ラ 1 3で映像と し て取り込み、 モニター 14で監視可能とする。 取り込んだ映像データー は、 コンピュータによる画像処理 1 5を経る。 音は、 適宜電気信号に 変換して、 又画像処理されたデータ も適宜輝度と して電気信号に変 換してシステムコン トローラ 9に伝送され、 レーザ及びローラ回転停 止などの必要な処置をとる こ とができる。

ゴムローラは、 コーティ ング層が他のローラに比較し厚いため、 前 処理と してマシニングなどによ り予めゴム層を切削しておく と、 レー ザ光を照射する ときにその作業時間を短縮するこ とができ る。

次に本発明の一実施様態を具体的に第 2図で説明する。 ローラ 3は、 把持 · 回転機構 4 に装着され、 駆動装置 5によ ってローラを回転させ る。 レーザ光は、 レーザ発振器 l a、 l bから発射される。 レーザ光の 照射は、 コン トローラ 1 0 a、 1 0 bで制御される.発射されたレーザ光 は、 全反射ミ ラ 一、 反透過ミ ラ—、 凹 レ ンズ、 シ リ ン ド リ カル レ ン ズ群を組み合わせた光学システムを経てローラ 3に照射される。 この 光学システムは、 第 3図及び第 4図で説明したものと基本的に同様の ものである。

レーザ光が、 ローラに当たるとローラ上の皮膜は次第に除去され ていく。 このとき発生する音をセンサ 1 1で捉え検音器 1 2を経て、 電 気信号と してシステム全体を制御するシステムコ ン ト ローラ 9に送ら れる。 一方、 C C Dカメ ラ 1 3からローラ 3の表面状態モニター 1 4を 経由してコ ン ピュータ 15で画像処理する。 画像処理したデータ ーは 輝度を示す電気信号と して、 システムコ ン ト ローラ 9に送信される。 音 12に基づく信号が一定レベル以下になると、 カメ ラ 13を通して 得た輝度の信号と対応させ、 ローラ 3の皮膜が完全に除去されたこと を確認して、 コン トローラ 9より レーザ及びローラ回転停止の信号が 送られ、 一連の作業が終了する。

皮膜除去の過程で発生する、 煤煙、 皮膜の残渣等は集塵吸引装置 8及び気体吹き付け装置 6より気体を吹き付けることにより除かれる。 気体は、 圧縮機或いはボンべ 7等から供耠される。

〈実施例 1〉

長さ 300mm、 直径 30mmのアルミ 二ゥム製円筒に厚さ 12 m にテフ ロ ンをコーティ ングした定着ローラを、 第 2図の装置に於いて ローラ把持'回転機構 4に装着した。 駆動装置 5によりローラを 2000mm Z分の線速度で回転せしめた。 住友重機械工業株式会社社製レーザ 発振器 「イ ンパク ト レーザ」 を用い、 200Wの 波長の レー ザ一光を発振器 2台 la、 lbから発振し、 これを 8本のレーザ光に分 岐せしめた後、 感光体 ドラ ムに照射した。 一本のレーザ光が照射さ れる際のエリ アの大きさは、 幅が 0.1mm、 長さ 40mmの長方形で あ っ た。

レーザ光がローラ上に照射されると、 パチパチという大きい音が 発生すると と もに、 次第にローラ上の皮膜が除去されていく のが観 察された。 皮膜が除去されるに従い、 発生する音も小さ く なつ てい つた。 同時に、 カメ ラを通して得た映像の画像処理に基づく データ一 も、 黒い部分が消失し白い部分が拡大され、 皮膜の除去される状況 を克明に示した。 この際、 煤煙及び皮膜残渣がローラ付近に発生し たので、 ボンべ 7より供耠された窒素を吹き付け機構 6からローラに 吹き付けるこ とによって除いた。

レーザー光を、 7秒照射すると、 発生する音も小さ く なり、 画像処 理の結果も皮膜が除去されたことを示した。 レーザ光の発振及びロー ラの回転を停止し、 ローラを装置から取り外し、 肉眼及び拡大鏡に 基づく ローラ表面を精密に検査したところ、 テフ ロ ン皮膜は完全に 除去されていた。

この様に して皮膜を除去したローラを再コーティ ングして複写機 に再使用したが、 何等問題を認めなかった。

〈実施例 2〉

長さ 3 00 m m、 直径 8 0 m mのアル ミ ニウム製の感光体 ドラムを実 施例 1 と同様に、 第 2図の装置に於いてローラ把持， 回転機構 4に装 着した。 駆動装置 5 によ り当該ドラムを 400 m m 分の線速度で回転 せしめた。 住友重機械工業株式会社社製レーザ発振器 「イ ンパク ト レーザ」 を用い、 2 0 0 Wの 9 . 3 jt m波長のレーザー光を発振器 2台 l a、 l bから発信し、 これを 8本のレーザ光に分岐せしめた後、 感光 体 ドラムに照射した。 一本の レーザ光が照射されるエ リ ァの大きさ は、 幅が 0 · 1 m m、 長さ 4 0 m mであった。

レーザ光が ドラ ム上に照射される と、 同様にパチパチと大きい音 が発生すると と もに、 次第に ドラム上の皮膜が除去されていく のが 観察された。 感光体 ドラ ムの皮膜組成が定着ロー ラのそれと異なる ため、 定着ロー ラの場合と比較し、 レーザ照射時に発生する音は若 干大き く なった。 皮膜が除去されるに従い、 煤煙及び皮膜残渣が発 生した。 窒素を吹き付ける と と もに吸引を行う こ とによ り これらを 除いた。

レーザー光を、 1 8秒照射すると、 発生する音も小さ く なり、 画像 処理の結果も皮膜が除去されたこ とを示した。 レーザ光の発振及び ドラ ムの回転を停止し、 ドラ ムを装置から取り外し、 肉眼及び拡大 鏡に基づいて ドラ ム表面を精密に検査したと ころ、 皮膜は完全に除 去されていた。

この様にして皮膜を除去した ドラムを再コーティ ングして複写機 に再使用したが、 何等問題を認めなかった。

〈実施例 3〉

長さ 300mm、 直径 45mmのアル ミ ニウム製円筒にゴムを lmm の厚さにコ ーティ ングしたゴムローラを実施例 1 と同様に、 第 2図の 装置に於いてローラ把持 · 回転機構 4に装着した。 駆動装置 5によ り ローラを lOOOmmZ分の線速度で回転せしめた。 「ィ ンノぐ ク ト レー ザ」 を用い、 200Wのレーザ発振器 2台から、 10.6 /i m波長の高輝 度パルスレ一ザ光を発振し 8本のレーザ光に分岐せしめた後、 ローラ に照射した。 一本のレーザ光が照射されるエリ アの大きさは、 幅が 0.1mm、 長さ 40mmであった。

レーザー光がローラ上に照射される と、 大きい音が発生する と と もに、 次第にローラ上の皮膜が除去されていく のが観察された。 皮 膜が除去されるに従い、 発生する音も小さ く なつていつた。 レーザ 光を照射して 25秒後、 音が小さ く なつた時点で、 カメ ラを通して得 た映像の画像処理像は、 黒い部分が無く皮膜が除去されたこ とを示 していた。 この際、 煤煙及び皮膜残渣がローラ付近に発生したので 窒素を吹き付けるこ と によ っ て除いた。

レーザ一光の発振及びロー ラの回転を停止し、 ローラを装置から 取り外し、 肉眼及び拡大鏡に基づく ローラー表面を精密に検査した と ころ、 ゴム皮膜は完全に除去されていた。

この様に して皮膜を除去した、 ローラにゴムを再コーティ ングし て複写機に再使用したが、 何等問題を認めなかった。 〈実施例 4〉

ポ リ スチレンを主体とする樹脂が付着し皮膜が形成された、 長さ 300mm、 直径 25mmのアルミ ニゥム製のマグローラを実施例 1 と 同様に、 第 2図の装置に於けるローラ把持 · 回転機構 4に装着した。 駆動装置 5により当該ドラムを 400mmノ分の線速度で回転せしめた。 9.3 μ m波長の高輝度パルス レ一ザ一光を発振器 2台 la、 lbから発 信し、 これを 8本のレーザ光に分岐せしめた後、 感光体 ドラムに照射 した。 このとき照射エネルギーは 3 J 2で、 3 シ ョ ッ トのレーザ光 を照射した。 レーザ光がローラ上の樹脂皮膜に照射される と、 次第 にロ ーラの皮膜が除去されていく のが観察された。 皮膜が除去され るに従い、 煤煙及び皮膜残渣が発生した。 窒素を吹き付ける と と も に吸引を行う こ とにより これらを除いた。

処理後のローラを肉眼及び拡大鏡に基づいてその表面を精密に検 査したと ころ、 樹脂皮膜は完全に除去されていた。 この様に して皮 膜を除去した、 ローラを複写機に再使用 したが、 何等問題を認めな かった ₀

〈比較例 1〉

実施例 3に於いて、 レーザ光と して出力 4kwの炭酸ガス連続レー ザ光を使用する以外は同じ条件で、 ゴムローラのゴム皮膜上に照射 した。 照射時約 45秒でゴムは部分的には除去できたが、 照射後のローラ一 表面を精密に検査したと ころ、 ゴム皮膜に焦げた痕が認められた。 産業上の利用可能性

ローラ上の有機性皮膜、 具体的には複写機、 プリ ンター若し く は フ ァ ッ クス機等に使用される感光体 ドラ ム、 定着ローラ、 ゴムロー ラ或いはマグローラ等の各種ローラ上の皮膜に、 9.0~11.0 mの波 長を有する高輝度パルス レーザ光を照射するこ とによ り 、 当該皮膜 を下地の金厲雇をなんら損傷することな く除去することができる。 こ の様に して皮膜を除去した金属円筒は、 そのまま或いは再コーティ ングするこ とにより、 複写機、 プリ ンター若しく はファ ッ クス機等 用のローラ と して再生使用するこ とができ る。

Claims

請 求 の 範 囲

1. ローラ上の有機性皮膜の一部または全部を除去するに際して、 除 去すべき皮膜部分に 9.0 t m〜11.0 ^ m波長の高輝度パルス レ一 ザ光を照射するこ とを特徴とする、 ローラ上の皮膜除去方法。

2. 複写機、 プリ ンター若し く はフ ァ ッ クス機等に使用される感光 体 ドラム、 定着ローラ、 ゴムローラ若し く はマグローラ等の各種 口ーラ上の皮膜の一部または全部を除去するに際して、 除去すベ き皮膜部分に 9.0 /z m〜11.0 /z m波長の高輝度パルス レーザ光を 照射する こ とを特徴とする、 ローラ上の皮膜除去方法。

3. 照射する高輝度パルス レーザ光の波長が 9.3 mである こ とを 特徴とする、 請求の範囲第 1項又は請求の範囲第 2項記載のローラ 上の皮膜除去方法。

4. 皮膜を有するローラを回転させながら、 除去すべき皮膜部分に レーザ光を照射することを特徴とする、 請求の範囲第 1項、 請求の 範囲第 2項又は請求の範囲第 3項の何れか一項に記載のローラ上の 皮膜除去方法。

5. レーザ光を照射するに際し、 レーザ光を凹 レ ンズでその光路を 広げた後、 シ リ ン ド リ カルレ ンズで細長い長方形に してロー ラ上 に照射するこ とを特徴とする、 請求の範囲第 4項記載のローラ上の 皮膜除去方法。

6. レーザ光を照射する に際し、 全反射ミ ラーと半透過 ミ ラーとを 階段的に組み合わせて、 複数のレーザ光に分岐させ、 ロ ー ラ上の 広範囲の皮膜に レーザ光を照射する こ とを特徴とする請求の範囲 第 4項又は請求の範囲第 5項記載のローラ上の皮膜除去方法。

7. レーザ光を照射するに際し、 複数のレーザ光発信源を使用する こ とを特徴とする請求の範囲第 4項、 請求の範囲第 5項又は請求の 範囲第 6項の何れか一項に記載の口一ラ上の皮膜除去方法。

8. 複写機、 プリ ンター若し く はフ ァ ッ クス機等に使用される感光 体 ドラム、 定着ローラ、 マグローラ等の各種ローラの加工処理を 行う に際し、 該各種ローラを把持し回転させる機構、 レーザ発振 及び照射機構、 レーザ光照射時生成する煤煙、 皮膜残渣等を除く ための気体吹き付け及び Z又は集塵吸引機構とからなるロー ラの 加工処理装置。

9. レーザ光を凹 レ ンズでその光路を広げた後、 シ リ ン ド リ カルレ ンズで細長い長方形にして口—ラ上に照射する請求の範囲第 8項記 載の口一ラの加工処理装置。

1 0. レーザ光を照射するに際し、 全反射ミ ラーと半透過 ミ ラーとを 階段的に組み合わせて、 複数のレーザ光に分岐してなる請求の範 囲第 8項又は請求の範囲第 9項記載の口一ラの加工処理装置。

1 1 . レーザー光照射時発生する音を検出する検音器及び又はローラ の表面状態を観察する光学システムを備えて加工処理の終点を確 認するこ とのできる請求の範囲第 8項、 請求の範囲第 9項又は請求 の範囲第 1 0項の何れか一項に記載のロ ーラの加工処理装置。