JP7703811B2 - 糖鎖提示粒子およびその製造方法 - Google Patents
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Description
関連出願の相互参照
本出願は、2019年9月20日出願の日本特願2019-171135号の優先権を主張し、その全記載は、ここに特に開示として援用される。
一方、個々のがん細胞の浸潤・転移、さらに臓器指向性(転移先)はがん細胞由来のエキソソーム(細胞外ナノ微粒子)が決定しているという最近の多くの報告を根拠としてがん細胞由来エキソソームの研究が盛んに行われており、エキソソーム及び内包される様々なマイクロRNAの機能を利用する新たな医薬品開発を指向する事例も見られる(例えば、非特許文献5)。
非特許文献2:Danhier, J. Control. Release 2016, 244, 108-121
非特許文献3:W. C. W. Chan et al., Nat. Mater. 2016, 1, 1-12
非特許文献4:K. A. Dawson et al., Nat. Biotech. 2012, 7, 779-786
非特許文献5:R. Kalluri, J. Clin. Invest. 2016, 126, 1208-1215
非特許文献6:S.-I. Nishimura et al., J. Am. Chem. Soc. 2011, 133, 12507-12517
非特許文献7:S.-I. Nishimura et al., ACS Chem. Biol. 2015, 10, 2073-2086;
非特許文献8:M. Colombo, et al., Annu. Rev. Cell Dev. Biol. 2014, 30, 255-289
非特許文献9:S.-I. Nishimura et al., Angew. Chem. Int. Engl. Ed. 2005, 44, 91-96
特許文献1及び非特許文献1~9の全記載は、ここに特に開示として援用される。
[1]
糖鎖を表面に有するナノ粒子である糖鎖提示粒子であって、
(1)糖鎖提示粒子の平均粒子径は10~100nmの範囲であり、
(2)ナノ粒子の表面の少なくとも一部はリン脂質で被覆されており、
(3)ナノ粒子表面に有する糖鎖は、がん細胞依頼の糖鎖パターンまたはこの糖鎖のプロファイルに基づいて決定された糖鎖パターン(以下、がん糖鎖パターンと呼ぶ)である、
糖鎖提示粒子。
[2]
がん糖鎖パターンは、
(1)体内動態が主に末端ハイマンノース型糖鎖に依存する糖鎖パターンA、
(2)体内動態が主に末端ガラクトース型糖鎖又は末端N-アセチルグルコサミン型糖鎖に依存する糖鎖パターンB、
(3)体内動態が主に末端α2,6シアル酸型糖鎖に依存する糖鎖パターンC、
(4)体内動態が主に末端α2,3シアル酸型糖鎖に依存する糖鎖パターンDからなる群から選択される糖鎖パターンである、[1]に記載の糖鎖提示粒子。
[3]
がん糖鎖パターンAは、糖鎖の45モル%以上が末端ハイマンノース型糖鎖であり、末端シアル酸型糖鎖は0%以上、2%未満であり、
がん糖鎖パターンBは、糖鎖の末端ハイマンノース型糖鎖が45%未満であり、かつ末端シアル酸型糖鎖が0%以上、2%未満であり、
がん糖鎖パターンCは、糖鎖の2~100%が末端シアル酸型糖鎖であり、かつ末端α2,6シアル酸型糖鎖の含有量が末端α2,3シアル酸型糖鎖の含有量より多く、
がん糖鎖パターンDは、糖鎖の2~100%が末端シアル酸型糖鎖であり、かつα2,3シアル酸型糖鎖の含有量がα2,6シアル酸型糖鎖の含有量より多い、[2]に記載の糖鎖提示粒子。
[4]
ナノ粒子表面の少なくとも一部を被覆するリン脂質は、ホスホリルコリン基を有するアルカンチオールのスルフィド結合体であり、ナノ粒子表面に有する糖鎖は、糖鎖を固定化したアルカンチオールのスルフィド結合体であり、ナノ粒子表面はホスホリルコリン基を有するアルカンチオールのスルフィド結合体および糖鎖を固定化したアルカンチオールのスルフィド結合体の単分子膜で被覆されたナノ粒子である[1]~[3]のいずれかに記載の糖鎖提示粒子。
[5]
前記ホスホリルコリン基を有するアルカンチオールのスルフィド結合体が、下記一般式(A)で示され、
前記糖鎖を固定化したアルカンチオールのスルフィド結合体が、下記一般式(B)で示される、[4]に記載の糖鎖提示粒子。
[6]
薬剤部位をさらに有する、[1]~[5]のいずれか1項に記載の糖鎖提示粒子。
[7]
前記単分子膜は、下記一般式(C)で示される、薬剤部位を有するアルカンチオールのスルフィド結合体をさらに含む、[4]または[5]に記載の糖鎖提示粒子。
[8]
異なるがん糖鎖パターンを有する2種類以上の糖鎖提示粒子を含有し、糖鎖提示粒子は、[1]~[7]のいずれか1項に記載の糖鎖提示粒子である、糖鎖提示粒子キット。
[9]
異なるがん糖鎖パターンが、[2]に記載のパターンA~Dのいずれか2種以上の糖鎖パターンである、[8]に記載の糖鎖提示粒子キット。
[10]
糖鎖提示粒子は、[6]または[7]に記載の薬物部位をさらに有する糖鎖提示粒子である、[8]に記載の糖鎖提示粒子キット。
[11]
[6]または[7]に記載の糖鎖提示粒子を有効成分として含有する、がん転移予防薬。
[12]
[6]または[7]に記載の糖鎖提示粒子を有効成分として含有する、がん治療薬。
[13]
被検者から採取したがん細胞から、がん細胞の糖鎖をプロファイルし、プロファイルした糖鎖に基づいて糖鎖パターンを決定することを含む、がん細胞の糖鎖パターン決定方法。
[14]
糖鎖パターンの決定は、プロファイルした糖鎖が、
(1)体内動態が主に末端ハイマンノース型糖鎖に依存する糖鎖パターンA、
(2)体内動態が主に末端ガラクトース型糖鎖又は末端N-アセチルグルコサミン型糖鎖に依存する糖鎖パターンB、
(3)体内動態が主に末端α2,6シアル酸型糖鎖に依存する糖鎖パターンC、及び
(4)体内動態が主に末端α2,3シアル酸型糖鎖に依存する糖鎖パターンDからなる群から選択される何れの糖鎖パターンであるかを特定することで行う、[13]に記載の決定方法。
[15]
がん糖鎖パターンAは、糖鎖の45モル%以上が末端ハイマンノース型糖鎖であり、末端シアル酸型糖鎖は0%以上、2%未満であり、
がん糖鎖パターンBは、糖鎖の末端ハイマンノース型糖鎖が45%未満であり、かつ末端シアル酸型糖鎖が0%以上、2%未満であり、
がん糖鎖パターンCは、糖鎖の2~100%が末端シアル酸型糖鎖であり、かつ末端α2,6シアル酸型糖鎖の含有量が末端α2,3シアル酸型糖鎖の含有量より多く、
がん糖鎖パターンDは、糖鎖の2~100%が末端シアル酸型糖鎖であり、かつα2,3シアル酸型糖鎖の含有量がα2,6シアル酸型糖鎖の含有量より多い、[14]に記載の決定方法。
[16]
がん細胞の糖鎖プロファイルが糖鎖パターンAの場合、被検者が有するがん細胞はタイプ1の体内動態を示し、がん細胞の転移傾向が低いことを示唆し、
糖鎖プロファイルが糖鎖パターンBの場合、被検者が有するがん細胞はタイプ2の体内動態を示し、がん細胞が肝臓及び脾臓への転移傾向があることを示唆し、
糖鎖プロファイルが糖鎖パターンCの場合、被検者が有するがん細胞はタイプ3の体内動態を示し、がん細胞が腋窩及び鎖骨上リンパ節への転移傾向があることを示唆し、
糖鎖プロファイルが糖鎖パターンDの場合、被検者が有するがん細胞はタイプ4の体内動態を示し、がん細胞が肺、肝臓、脾臓、脳及び腎臓への転移傾向があることを示唆する、[14]又は[15]に記載の決定方法。
[17]
表面の少なくとも一部をリン脂質で被覆されたナノ粒子の表面に、がん糖鎖パターンを提示することを含む、[1]~[7]のいずれか1項に記載の糖鎖提示粒子の製造方法。
[18]
前記提示されるがん糖鎖パターンは、被検者から採取したがん細胞の糖鎖を切り出したがん糖鎖パターン、又は、被検者から採取したがん細胞の糖鎖をプロファイルし、得られたプロファイルに基づいて決定された糖鎖パターンである、[17]に記載の製造方法。
[19]
前記表面の少なくとも一部をリン脂質で被覆されたナノ粒子は、下記一般式(D)で示される架橋前駆体X及び下記一般式(E)で示されるリン脂質前駆体とコロイド状ナノ粒子とを混合して、ナノ粒子の表面に架橋前駆体X及びリン脂質を担持した表面修飾ナノ粒子を得ることで実施できる、[17]又は[18]に記載の製造方法。
[20]
がん糖鎖パターンの提示は、表面修飾ナノ粒子に導入された一般式(D)で示される架橋前駆体Xが有するアミノオキシ基と、被検者から採取したがん細胞の糖鎖を切り出したがん糖鎖パターン、又は、被検者から採取したがん細胞の糖鎖をプロファイルし、得られたプロファイルに基づいて決定された糖鎖パターンに含まれる糖鎖が有する還元末端とをグライコブロッティング法により反応させることで行う、[19]に記載の製造方法。
[21]
プロファイルに基づいて決定される糖鎖パターンは、糖鎖成分の種類と含有量をプロファイルと同一とした糖鎖パターンであるか、あるいは糖鎖成分の種類と含有量の一部をプロファイルと同一とした糖鎖パターンである[18]~[20]のいずれか1項に記載の製造方法。
本発明は、糖鎖を表面に有するナノ粒子である糖鎖提示粒子に関し、この糖鎖提示粒子は、
(1)糖鎖提示粒子の平均粒子径は10~100nmの範囲であり、
(2)ナノ粒子の表面の少なくとも一部はリン脂質で被覆されており、
(3)ナノ粒子表面に有する糖鎖は、がん細胞由来の糖鎖パターン、またはこの糖鎖のプロファイルに基づいて決定された糖鎖パターンを模したパターン(がん糖鎖パターン)である。
(1)体内動態が主に末端ハイマンノース型糖鎖に依存する糖鎖パターンA、
(2)体内動態が主に末端ガラクトース型糖鎖又は末端N-アセチルグルコサミン型糖鎖に依存する糖鎖パターンB、
(3)体内動態が主に末端α2,6シアル酸型糖鎖に依存する糖鎖パターンC、
(4)体内動態が主に末端α2,3シアル酸型糖鎖に依存する糖鎖パターンD。
(1)体内動態が主に末端ハイマンノース型糖鎖に依存する糖鎖パターンA、
(2)体内動態が主に末端ガラクトース型糖鎖又は末端N-アセチルグルコサミン型糖鎖に依存する糖鎖パターンB、
(3)体内動態が主に末端α2,6シアル酸型糖鎖に依存する糖鎖パターンC、
(4)体内動態が主に末端α2,3シアル酸型糖鎖に依存する糖鎖パターンDからなる群から選択される糖鎖パターンであることが判明し、かつがん糖鎖パターンを有する糖鎖提示粒子の体内動態は、がん糖鎖パターンに依存して決まることが明らかになった(実施例1、2及び3参照)。
がん糖鎖パターンAを有する糖鎖提示粒子は、糖鎖を有さない糖鎖提示粒子と比べて、粒子の体外への排泄が促進されるタイプ1の体内動態を示す。
がん糖鎖パターンBを有する糖鎖提示粒子は、糖鎖を有さない糖鎖提示粒子と比べて、肝臓や脾臓へ集積されるタイプ2の体内動態を示す。
がん糖鎖パターンCを有する糖鎖提示粒子は、糖鎖を有さない糖鎖提示粒子と比べて、腋窩や鎖骨上リンパ節へ集積されるタイプ3の体内動態を示す。
がん糖鎖パターンDを有する糖鎖提示粒子は、糖鎖を有さない糖鎖提示粒子と比べて、肺、肝臓、脾臓、脳、腎臓などの臓器へ分布(分散集積)されるタイプ4の体内動態を示す。
がん糖鎖パターンAは、糖鎖に含まれる糖鎖の45モル%以上が末端ハイマンノース型糖鎖である。以下、特にことわらない限り、糖鎖の%はモル%を意味する。実施例で示したがん糖鎖パターンAを有する本発明の糖鎖提示粒子における末端ハイマンノース型糖鎖(HM)の含有率は以下の通りである。末端シアル酸型糖鎖は何れの場合も0%である。
がん糖鎖パターンBは、末端ハイマンノース型糖鎖が45%未満であり、かつ末端シアル酸型糖鎖が0%以上、2%未満であるがん糖鎖パターンである。末端ハイマンノース型糖鎖が45%未満であり、かつ末端シアル酸型糖鎖が0%以上、2%未満である糖鎖パターンを有する糖鎖提示粒子は、タイプ2の体内動態を示す。末端ハイマンノース型糖鎖及び末端シアル酸型糖鎖以外の糖鎖成分として、末端ガラクトース型糖鎖及び末端N-アセチルグルコサミン型糖鎖を含むことができるが、末端ハイマンノース型糖鎖が45%未満であり、かつ末端シアル酸型糖鎖は0%以上、2%未満である限り、末端ガラクトース型糖鎖及び末端N-アセチルグルコサミン型糖鎖を量比が変わっても、糖鎖パターンBと決定することができる。がん糖鎖パターンBの糖鎖提示粒子はタイプ2の体内動態を示す。
がん糖鎖パターンCは、糖鎖の2~100%が末端シアル酸型糖鎖であるがん糖鎖パターンである。さらに、末端シアル酸型糖鎖には、末端α2,6シアル酸型糖鎖と末端α2,3シアル酸型糖鎖があるが、がん糖鎖パターンCは、α2,6シアル酸型糖鎖の含有量がα2,3シアル酸型糖鎖の含有量より多い場合である。末端シアル酸型糖鎖の含有量は、例えば、3~100%、4~80%、または5~60%の範囲であることができる。末端シアル酸型糖鎖以外の糖鎖は、末端ハイマンノース型糖鎖、末端ガラクトース型糖鎖及び/又は末端N-アセチルグルコサミン型糖鎖であってもかまわない。
がん糖鎖パターンDは、糖鎖の2~100%が末端シアル酸型糖鎖であるがん糖鎖パターンである。がん糖鎖パターンDは、α2,3シアル酸型糖鎖の含有量がα2,6シアル酸型糖鎖の含有量より多い場合である。末端シアル酸型糖鎖の含有量は、例えば、3~100%、4~80%、または5~60%の範囲であることができる。末端シアル酸型糖鎖以外の糖鎖は、末端ハイマンノース型糖鎖、末端ガラクトース型糖鎖及び/又は末端N-アセチルグルコサミン型糖鎖であってもかまわない。
同様に、ある糖鎖パターンが、がん細胞由来のがん糖鎖パターンと異なる糖鎖成分の種類と各糖鎖成分の含有量を有するが、体内動態が主に末端ガラクトース型糖鎖又は末端N-アセチルグルコサミン型糖鎖に依存する糖鎖パターンBである場合、タイプ2の体内動態を示す。
ある糖鎖パターンが、がん細胞由来のがん糖鎖パターンと異なる糖鎖成分の種類と各糖鎖成分の含有量を有するが、体内動態が主に末端α2,6シアル酸型糖鎖に依存する糖鎖パターンCである場合、タイプ3の体内動態を示す。
ある糖鎖パターンが、がん細胞由来のがん糖鎖パターンと異なる糖鎖成分の種類と各糖鎖成分の含有量を有するが、体内動態が主に末端α2,3シアル酸型糖鎖に依存する糖鎖パターンDである場合、タイプ4の体内動態を示す。
がん糖鎖パターンCを有する糖鎖提示粒子の場合、腋窩や鎖骨上リンパ節への転移性がんの予防や治療に有用であり、
がん糖鎖パターンDを有する糖鎖提示粒子の場合、肺、肝臓、脾臓、脳、腎臓などの臓器への転移性がんの予防や治療に有用である。
本発明は、異なるがん糖鎖パターンを有する2種類以上の糖鎖提示粒子を含有する、糖鎖提示粒子キットを包含する。キットにおける各糖鎖提示粒子は、別々の容器に保存されているか、1つの容器に混合物として保存されていてもよい。キットに含まれる糖鎖提示粒子は、上記本発明の糖鎖提示粒子のいずれかである。キットにおける異なるがん糖鎖パターンは、上記糖鎖パターンA~Dのいずれか2種以上の糖鎖パターンである。糖鎖パターンA~Dの選択は、例えば、がん患者から採取されたがん細胞の糖鎖をプロファイルすることで、糖鎖パターンを決定し、選択される。
本発明は、上記本発明の糖鎖提示粒子の製造方法を包含する。
本発明の糖鎖提示粒子は、表面の少なくとも一部をリン脂質で被覆されたナノ粒子の表面に、所望のがん糖鎖パターンを提示することで調製できる。表面の少なくとも一部をリン脂質で被覆されたナノ粒子の調製方法は後述する。
本発明は、被検者から採取したがん細胞から、がん細胞の表面にある糖鎖をプロファイルし、プロファイルした糖鎖に基づいて糖鎖パターンを決定することを含む。
がん細胞の表面にある糖鎖のプロファイルは、上述のように、公知の分析法により行うことができる。
(1)体内動態が主に末端ハイマンノース型糖鎖に依存する糖鎖パターンA、
(2)体内動態が主に末端ガラクトース型糖鎖又は末端N-アセチルグルコサミン型糖鎖に依存する糖鎖パターンB、
(3)体内動態が主に末端α2,6シアル酸型糖鎖に依存する糖鎖パターンC、及び
(4)体内動態が主に末端α2,3シアル酸型糖鎖に依存する糖鎖パターンDからなる群から選択される何れの糖鎖パターンであるかを特定することで行うことができる。
がん糖鎖パターンAは、糖鎖の45モル%以上が末端ハイマンノース型糖鎖であり、末端シアル酸型糖鎖は0%以上、2%未満であり、
がん糖鎖パターンBは、糖鎖の末端ハイマンノース型糖鎖が45%未満であり、かつ末端シアル酸型糖鎖が0%以上、2%未満であり、
がん糖鎖パターンCは、糖鎖の2~100%が末端シアル酸型糖鎖であり、かつ末端α2,6シアル酸型糖鎖の含有量が末端α2,3シアル酸型糖鎖の含有量より多く、
がん糖鎖パターンDは、糖鎖の2~100%が末端シアル酸型糖鎖であり、かつ末端α2,3シアル酸型糖鎖の含有量が末端α2,6シアル酸型糖鎖の含有量より多い。
(1)がん細胞内および細胞膜表面に存在する全てのタンパク質の翻訳後糖鎖修飾の状態(糖鎖発現パターン及びそれらの発現量)のプロファイル
4種類のヒト培養がん細胞(MCF7, MDA-MB-231, A549, HepG2)を、それぞれ約5 x 105個(全タンパク質量として約100μg)用いることで、これらのがん細胞の全糖鎖プロファイルを細胞のグライコブロッティング法の一般的なプロトコル(S.-I. Nishimura et al., Mol. Cell. Proteomics 2010, 9, 523-537)に従って詳細に解析した(図2a)。次いで、それらの糖鎖構造について内部標準化合物を指標としてグライコタイピング解析によって主要な構造モチーフとのそれら発現量の関係を明らかにした(図2b)。
ヒト培養がん細胞MCF7(ATCC)、A549(JCBR)、HepG2(RIKEN)それぞれ1 x 106個を10% fetal bovine serum(FBS)を含むD-MEM High-glucose培地(Wako)中、37℃、5% CO2の条件下で48時間培養する。また、MDA-MB-231(RIKEN)については1 x 106個を10% fetal bovine serum(FBS)を含むLeibovitz’s L-15培地(Wako)中、37℃で48時間培養することでそれぞれのがん細胞を2~3 x 106個(全タンパク質量として約500μgに相当)とする。細胞を氷冷した1 mLの0.2 Mリン酸緩衝液(pH7.4)で剥がしとり10 mM EDTAを含むリン酸緩衝液(pH7.4)1 mLに懸濁させて10,000 g、4℃で10分間遠心して上清を除く。残渣に0.1%SDS、1%Triton-X100および100 mM炭酸水素アンモニウムから成る溶液100μLを加えて可溶化し、総タンパク質量をBCA(bicinchoninic acid)法により定量する。タンパク質500μg相当量を1,4-dithithreiol(DTT, 20μL, 120 mM/MilliQ)と60℃で30分、次いでiodoacetamide(IAA, 40μL, 123 mM/MilliQ)と冷暗所、室温にて1時間反応させる。タンパク質混合液に400Uのトリプシン(Sigma Aldrich)を加えて37℃で一晩処理後90℃で10分間加熱することで加水分解を停止させる。この反応液に2UのPNGaseF(Roche Applied Science)を加えて37℃で一晩反応させて減圧下遠心型濃縮器(SpeedVac)で溶媒を留去して乾固させ、分析用試料を作製した。
常法(S.-I. Nishimura eta l., J. Am. Chem. Soc. 2011, 133, 12507-12517; S.-I. Nishimura et al., ACS Chem. Biol. 2015, 10, 2073-2086; S.-I. Nishimura, WO2017/131242A1)に従って、量子ドット(1μM TOPO-coated QD800 in decane, Thermo Fischer)を11-mercaptoundecylphosphorylcholine(以下PC-SHと略す)と11,11'-dithio bis[undec-11-yl 12-(aminooxyacetyl)amino hexa(ethyleneglycol)(以下AOHEG-SHと略す)の2種のアルカンチオール誘導体からなる混合単分子膜により完全被覆したナノ粒子(PC-SH/AOHEG-SH=80/1)を作成した。具体的には量子ドット(200μL, 1μM TOPO-coated QD800 in decane)をMeOH(200μL)とi-PrOH(400μL)の混合溶媒に添加して室温で15,000 g、5分間遠心してTOPO-coated QD800を不溶化・沈殿させて上清を除く。残渣にn-hexane(400μL)を加えてTOPO-coated QD800を可溶化し、この溶液にPC-SH(32μL, 100 mM/MeOH, Medicinal Chemistry Pharmaceuticals)、AOHEG-SH(2μL, 10 mM/MilliQ, Mediicinal Chemistry Pharmaceuticals)、さらにNaBH4(1μL, 12 wt% in 14 N NaOH)とMilli Q(200μL)を加え室温で30分間vortex mixerにより激しく撹拌する。静置して有機層を除去した後、水層のナノ粒子を限外ろ過(YM50、Thermo Fischer)により分取、Milli Q(500μL)で3回洗浄して精製した(100μL, 2μM/MilliQとして速やかにがん細胞の糖鎖ブロッティングに供する)。同時にPC-SHのみで単分子膜被覆した糖鎖を持たないナノ粒子(PC-SH/AOHEG-SH=100/0)をコントロールとして作製した。
(A)の工程で種々のがん細胞から調製した糖鎖を含む混合物(20μL, 全タンパク質量として約500μg相当)と50 mM酢酸緩衝液(200μL, pH4.0)を(B)の工程で作製したナノ粒子溶液(100μL, 2μM/MilliQ: PC-SH/AOHEG-SH=80/1)に加えて37℃で1.5時間反応させる(時々緩やかに撹拌する程度)。がん糖鎖パターン提示ナノ粒子は限外ろ過(YM50、Thermo Fischer)により分取、Milli Q(500μL)で洗浄し、生理食塩水(200μL, 0.9%NaCl水溶液)に溶解させて動物実験に供する。得られたがん糖鎖パターン提示ナノ粒子の平均粒子径は、ファイバー光学動的光散乱光度計FDLS-3000(大塚電子製)で測定した結果、15.1~28.0 nmであった。
がん糖鎖パターン提示ナノ粒子(100μL, 1μM/0.9%NaCl水溶液)を5週齢以上のマウス(male, BALB/c)に静脈内投与した。投与後3時間までのナノ粒子の生体内動態をIVISイメージングシステム(Summit Pharmaceuticals International)を用いて近赤外蛍光スペクトルによりリアルタイムで観察した(露出時間1 sec、励起波長710 nm、検出波長820 nm)。静脈内投与から3時間経過後、マウスを解剖し主要な臓器を摘出してそれぞれの蛍光強度を観察した。以下、実施例においては、がん糖鎖パターン提示ナノ粒子(糖鎖提示粒子)の体内動態は、投与後の体内での粒子の移動及び排出の状態を体内動態と記載し、粒子の各臓器や組織への分布や集積状態を特に臓器指向性と記載する。
これらの実験により、PC-SHのみを用いて単分子膜被覆したコントロールは静脈内投与後3時間を経過しても特定の臓器指向性を示さず(各臓器への相対的指向性は0.8~2.5)、すい臓以外の臓器(全身)にほぼ一様に分布することが再確認された(S.-I. Nishimura et al., J. Am. Chem. Soc. 2011, 133, 12507-12517)。
図2aと2bに示すとおり、糖鎖成分として、全糖鎖の約94%が7種類のハイマンノース型糖鎖で約6%がガラクトース末端を持つ2種類の糖鎖を含む糖鎖パターンである、転移性の見られない乳がん細胞であるMCF7の糖鎖パターンを提示した場合はそのほとんどが静脈内投与後特定の臓器に集積すること無く約15分以内に速やかに体外に排出された(図3a)。3時間後に解剖したマウスにおいても臓器での集積はほとんど観察されず、その一部が胃腸内の糞便に混入していた(図3b)。すなわち、糖鎖パターンAのハイマンノース型糖鎖(末端がマンノースのみのオリゴ糖)を提示する糖鎖提示粒子は、体外への排泄機構を有しており、タイプ1の体内動態を示すことが明らかになった。
糖鎖成分として、2本鎖あるいは3本鎖の5種類の末端シアル酸型糖鎖を全糖鎖の18%、5種類のハイマンノース型糖鎖を82%含む糖鎖パターン(図2aと2b)であり、転移性の乳がん細胞であるMDA-MB-231の糖鎖パターンを提示した場合はGNS-MCF7の体内動態とは全く異なり、静脈内投与後3時間において腋窩および鎖骨上リンパ節への集積が特に顕著であり(矢印で表示)、タイプ3の体内動態を示した。また、投与後1~2時間あたりまでは肺、心臓、肝臓、脾臓、腎臓などにもナノ粒子の分布が確認できたが3時間後までにはそのほとんどが体外に排出された。以上の結果はナノ粒子の表面における糖鎖成分であるNeu5Acα2,6GalあるいはNeu5Acα2,3Galユニットを末端に含む糖鎖が乳がん細胞の転移性と臓器指向性を決定していることを示唆している。
糖鎖成分として、2本鎖あるいは3本鎖の5種類の末端シアル酸型糖鎖を全糖鎖の19%、ガラクトース末端を持つ糖鎖を11%、N-アセチルグルコサミンを末端に持つ糖鎖を8%、さらに7種類のハイマンノース型糖鎖を62%含む糖鎖パターンである(図2aと2b)、A549の糖鎖パターンを提示した場合は静脈内投与後3時間においても全身に広く分布しており、特に肺、肝臓、脾臓での蓄積が非常に顕著で脳と腎臓にも分布が確認でき、タイプ4の体内動態を示した。
糖成分として、2本鎖あるいは3本鎖の2種類の末端シアル酸型糖鎖を全糖鎖の6%、ガラクトース末端を持つ糖鎖を9%、N-アセチルグルコサミンを末端に持つ糖鎖を13%、さらに7種類のハイマンノース型糖鎖を72%含む糖鎖パターン(図2aと2b)である、HepG2の糖鎖パターンを提示したナノ粒子の場合は、GNS-A549と非常に良く似たタイプ4の体内動態を示した。しかし、Neu5Acα2,6GalあるいはNeu5Acα2,3Galユニットの全糖鎖に占める割合が19%のGNS-A549は6%のGNS-HepG2よりも肺、肝臓、および脾臓への集積量がいずれも明らかに多いことも明らかとなった。しかし、これら2種のがん細胞由来糖鎖を提示したナノ粒子の投与後3時間での臓器指向性(蓄積性)は、GNS-HepG2の場合は、GNS-MDA-MB-231の場合と大きく異なることから、これらの違いは末端のシアル酸とガラクトースの結合様式(α2,6結合とα2,3結合の違い)が静脈内投与後のナノ粒子の臓器指向性に影響していることが考えられた。
(1)末端のシアル酸とガラクトースの結合様式(α2,6結合とα2,3結合)が相違する人工的に作製した糖鎖パターンを有する糖鎖提示粒子
MDA-MB-231細胞とA549細胞およびHepG2細胞はいずれも、糖鎖成分として、2本鎖あるいは3本鎖の末端シアル酸型糖鎖を有意に発現するヒトがん細胞である。しかし、実施例1の結果では、体内動態と臓器指向性がMDA-MB-231細胞とA549細胞およびHepG2細胞について異なっていた。このことからシアル酸とガラクトースの結合様式(α2,6結合とα2,3結合の違い)が静脈内投与後のこれら糖鎖パターン提示ナノ粒子の体内動態の違いを決定していることが予想された。そこで本実施例では、予めα2,6結合とα2,3結合で連結された個々の末端シアル酸型糖鎖のどちらかのみを人工的に提示したナノ粒子を作製し、それぞれの体内動態及び臓器指向性を検討し、末端シアル酸型糖鎖の違いによる体内動態の違いを確認した。
Ruddy duck卵白(17 mg/50μL in Milli Q, 約1 mM LacNAc unitに相当)にCMP-Neu5Ac(10μL, 200 mM/milliQ, Yamasa)、α2,3-(N)-sialyltransferase(5μL, 1000 mU/mL, Sigma Aldrich)、HEPES-NaOH緩衝液(10μL, 1 M/milliQ, pH8.0)さらにmilliQ(10μL)を加えて総容量を100μLとし、37℃で20時間反応させる。同様に、Ruddy duck卵白(17 mg/50μL in Milli Q, 約1 mM LacNAc unitに相当)にCMP-Neu5Ac(10μL, 200 mM/milliQ, Yamasa)、α2,6-(N)-sialyltransferase(10μL, 516 mU/mL, Medicinal Chemistry Pharmaceuticals)、リン酸緩衝液(10μL, 1 M/milliQ, pH6.5)さらにmilliQ(10μL)を加えて総容量100μLとし、37℃で20時間反応させる。
上記(A)の工程に従って5種類の卵白・シアル酸修飾卵白総タンパク質換算500μg相当量を1,4-dithithreiol(DTT, 20μL, 120 mM/MilliQ)と60℃で30分、次いでiodoacetamide(IAA, 40μL, 123 mM/MilliQ)と冷暗所、室温にて1時間反応させる。タンパク質混合液に400Uのトリプシン(Sigma Aldrich)を加えて37℃で一晩処理後90℃で10分間加熱することで加水分解を停止させる。この反応液に2UのPNGaseF(Roche Applied Science)を加えて37℃で一晩反応させて減圧下遠心型濃縮器(SpeedVac)で溶媒を留去して乾固させて糖鎖プロファイリング用の試料を作製した(図4bおよび4c)。
実施例2(1)の方法で調製したButton Quail、Chicken、およびRuddy duckの卵白糖鎖、Ruddy duckの卵白糖鎖を改変した2種類の糖鎖パターンの糖鎖試料(いずれも総タンパク質換算500μg相当量から調製)、さらに鶏卵黄の糖ペプチド(500μg、17 nmol; sialylglycopeptide, SGP, Tokyo Chemical Industry、糖鎖部位においてα2,6結合型でシアル酸とガラクトースが結合)を実施例1(2-1)の工程に従ってPNGase処理して粗生成物を調製した。これらの糖鎖を含む混合物を実施例1(2-3)の工程に従ってナノ粒子溶液(100μL, 2μM/MilliQ: PC-SH/AOHEG-SH=80/1)と混合・反応させた後に精製して糖鎖パターン提示ナノ粒子(GNSs)を作製した。得られた糖鎖パターン提示ナノ粒子の平均粒子径は、ファイバー光学動的光散乱光度計FDLS-3000(大塚電子製)で測定した結果 14.4~24.4nmであった。これらの糖鎖を提示したナノ粒子を実施例1(2-4)に記載した方法でマウスに静脈内投与してそれらの体内動態と臓器指向性を近赤外蛍光顕微鏡(露出時間1 sec、励起波長710 nm、検出波長820 nm)で観察した(図5a~5c)。
実施例2において、Ruddy duckの卵白糖鎖の酵素による改変によりガラクトースとの結合位置が制御された末端シアル酸型糖鎖成分とハイマンノース型糖鎖成分の全糖鎖に対する比率が体内動態と臓器指向性に大きな影響を与えることが明らかになった。そこで、ハイマンノース型糖鎖の含有率が約70%とButton Quail卵白(50%)よりもさらに高く糖鎖パターンがよりシンプルなJapanese Quail卵白由来の糖鎖(S.-I. Nishimura et al., J. Agri. Food Chem. 2018, in press)と鶏卵黄糖ペプチド由来2,6S-A2糖鎖を任意の割合で混合して、ナノ粒子に提示し、本発明の糖鎖提示粒子を作製した。得られたがん糖鎖パターン提示ナノ粒子の平均粒子径は、ファイバー光学動的光散乱光度計FDLS-3000(大塚電子製)で測定した結果、27.3nmであった。
Japanese Quail卵白由来の糖鎖試料(約6 nmol; 総タンパク質換算100μg相当量から調製)に2,6S-A2糖鎖試料(17 nmol; SGP 500μgから調製)をそれぞれ0.6 nmol、1.2 nmol、および2.4 nmol添加して3種類の糖鎖を調製した。これらの糖鎖のプロファイルをグライコブロッティング法で解析した結果(図中の%は各ピーク面積から算出した2,6S-A2 糖鎖の全体に占める割合を示す)を図6a、表7に示した。これらの糖鎖パターンを実施例1(2-3)の工程に従ってナノ粒子(100μL, 1μM/MilliQ: PC-SH/AOHEG-SH=40/1)に提示して合計5種類の糖鎖パターン提示ナノ粒子(GNSs)を作製した。2種類の糖鎖(パターン)の混合により人工的に作製した糖鎖パターンを提示するナノ粒子を調製した。
Claims (19)
- 糖鎖を表面に有するナノ粒子である糖鎖提示粒子であって、
(1)糖鎖提示粒子の平均粒子径は10~100nmの範囲であり、
(2)ナノ粒子の表面の少なくとも一部はリン脂質で被覆されており、
(3)ナノ粒子表面に有する糖鎖は、がん細胞由来の糖鎖パターン、またはこの糖鎖のプロファイルに基づいて決定された糖鎖パターン(以下、がん糖鎖パターンと呼ぶ)であり、
がん糖鎖パターンは、
(1)糖鎖の50%~95%が末端ハイマンノース型糖鎖であり、末端シアル酸型糖鎖は0%以上、2%未満である、がん糖鎖パターンA、
(2)糖鎖の末端ハイマンノース型糖鎖が45%未満であり、末端シアル酸型糖鎖が0%以上、2%未満であり、かつ末端ガラクトース型糖鎖及び末端N-アセチルグルコサミン型糖鎖をさらに含む、がん糖鎖パターンB、
(3)糖鎖の5~60%が末端シアル酸型糖鎖であり、かつ末端α2,6シアル酸型糖鎖の含有量が末端α2,3シアル酸型糖鎖の含有量より多い、がん糖鎖パターンC、
(4)糖鎖の5~60%が末端シアル酸型糖鎖であり、かつ末端α2,3シアル酸型糖鎖の含有量が末端α2,6シアル酸型糖鎖の含有量より多い、がん糖鎖パターンDからなる群から選択される糖鎖パターンである、糖鎖提示粒子。 - がん糖鎖パターンAは、体内動態が主に末端ハイマンノース型糖鎖に依存する糖鎖パターンであり、
がん糖鎖パターンBは、体内動態が主に末端ガラクトース型糖鎖又は末端N-アセチルグルコサミン型糖鎖に依存する糖鎖パターンであり、
がん糖鎖パターンCは、体内動態が主に末端α2,6シアル酸型糖鎖に依存する糖鎖パターンであり、
がん糖鎖パターンDは、体内動態が主に末端α2,3シアル酸型糖鎖に依存する糖鎖パターンである請求項1に記載の糖鎖提示粒子。 - ナノ粒子表面の少なくとも一部を被覆するリン脂質は、ホスホリルコリン基を有するアルカンチオールのスルフィド結合体であり、ナノ粒子表面に有する糖鎖は、糖鎖を固定化したアルカンチオールのスルフィド結合体であり、ナノ粒子表面はホスホリルコリン基を有するアルカンチオールのスルフィド結合体および糖鎖を固定化したアルカンチオールのスルフィド結合体の単分子膜で被覆されている請求項1~2のいずれかに記載の糖鎖提示粒子。
- 前記ホスホリルコリン基を有するアルカンチオールのスルフィド結合体が、下記一般式(A)で示され、
(一般式(A)中、n3は2~30の範囲の整数であり、-S-末端がナノ粒子にスルフィド結合する担持部位である。)
前記糖鎖を固定化したアルカンチオールのスルフィド結合体が、下記一般式(B)で示される、請求項3に記載の糖鎖提示粒子。
(一般式(B)中、n1は2~30の整数であり、n2は2~30の整数であり、-S-末端がナノ粒子にスルフィド結合する担持部位であり、R10は糖鎖含有部位である。) - 薬剤部位をさらに有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の糖鎖提示粒子。
- 前記単分子膜は、下記一般式(C)で示される、薬剤部位を有するアルカンチオールのスルフィド結合体をさらに含む、請求項3または4に記載の糖鎖提示粒子。
一般式(C)中、n1は2~30の整数であり、n2は2~30の整数であり、-S-末端がナノ粒子にスルフィド結合する担持部位であり、R20は薬剤含有部位である。 - 異なるがん糖鎖パターンを有する2種類以上の糖鎖提示粒子を含有し、糖鎖提示粒子は、請求項1~6のいずれか1項に記載の糖鎖提示粒子である、糖鎖提示粒子キット。
- 異なるがん糖鎖パターンが、請求項1に記載の糖鎖パターンA~Dのいずれか2種以上の糖鎖パターンである、請求項7に記載の糖鎖提示粒子キット。
- 糖鎖提示粒子は、請求項5または6に記載の薬物部位をさらに有する糖鎖提示粒子である、請求項7に記載の糖鎖提示粒子キット。
- 請求項5または6に記載の糖鎖提示粒子を有効成分として含有する、がん転移予防薬。
- 請求項5または6に記載の糖鎖提示粒子を有効成分として含有する、がん治療薬。
- 被検者から採取したがん細胞から、がん細胞の糖鎖をプロファイルし、プロファイルした糖鎖に基づいて糖鎖パターンを決定することを含み、
糖鎖パターンの決定は、プロファイルした糖鎖が、
(1)糖鎖の50%~95%が末端ハイマンノース型糖鎖であり、末端シアル酸型糖鎖は0%以上、2%未満である、がん糖鎖パターンA、
(2)糖鎖の末端ハイマンノース型糖鎖が45%未満であり、かつ末端シアル酸型糖鎖が0%以上、2%未満であり、かつ末端ガラクトース型糖鎖及び末端N-アセチルグルコサミン型糖鎖をさらに含む、がん糖鎖パターンB、
(3)糖鎖の5~60%が末端シアル酸型糖鎖であり、かつ末端α2,6シアル酸型糖鎖の含有量が末端α2,3シアル酸型糖鎖の含有量より多い、がん糖鎖パターンC、
(4)糖鎖の5~60%が末端シアル酸型糖鎖であり、かつ末端α2,3シアル酸型糖鎖の含有量が末端α2,6シアル酸型糖鎖の含有量より多い、がん糖鎖パターンDからなる群から選択される糖鎖パターンであるかを特定することで行う、
がん細胞の糖鎖パターン決定方法。 - 糖鎖パターンAは、体内動態が主に末端ハイマンノース型糖鎖に依存する糖鎖パターンであり、
糖鎖パターンBは、体内動態が主に末端ガラクトース型糖鎖又は末端N-アセチルグルコサミン型糖鎖に依存する糖鎖パターンであり、
糖鎖パターンCは、体内動態が主に末端α2,6シアル酸型糖鎖に依存する糖鎖パターンであり、
糖鎖パターンDは、体内動態が主に末端α2,3シアル酸型糖鎖に依存する糖鎖パターンである、請求項12に記載の決定方法。 - がん細胞の糖鎖プロファイルが糖鎖パターンAの場合、被検者が有するがん細胞は、糖鎖を有さない糖鎖提示粒子と比べて、粒子の体外への排泄が促進されるタイプ1の体内動態を示し、がん細胞の転移傾向が低いことを示唆し、
糖鎖プロファイルが糖鎖パターンBの場合、被検者が有するがん細胞は、糖鎖を有さない糖鎖提示粒子と比べて、肝臓や脾臓へ集積されるタイプ2の体内動態を示し、がん細胞が肝臓及び脾臓への転移傾向があることを示唆し、
糖鎖プロファイルが糖鎖パターンCの場合、被検者が有するがん細胞は、腋窩や鎖骨上リンパ節へ集積されるタイプ3の体内動態を示し、がん細胞が腋窩及び鎖骨上リンパ節への転移傾向があることを示唆し、
糖鎖プロファイルが糖鎖パターンDの場合、被検者が有するがん細胞は、糖鎖を有さない糖鎖提示粒子と比べて、肺、肝臓、脾臓、脳、腎臓の臓器へ分布されるタイプ4の体内動態を示し、がん細胞が肺、肝臓、脾臓、脳及び腎臓への転移傾向があることを示唆する、請求項12又は13に記載の決定方法。 - 表面の少なくとも一部をリン脂質で被覆されたナノ粒子の表面に、がん糖鎖パターンを提示することを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の糖鎖提示粒子の製造方法。
- 前記提示されるがん糖鎖パターンは、被検者から採取したがん細胞の糖鎖を切り出したがん糖鎖パターン、又は、被検者から採取したがん細胞の糖鎖をプロファイルし、得られたプロファイルに基づいて決定された糖鎖パターンである、請求項15に記載の製造方法。
- 前記表面の少なくとも一部をリン脂質で被覆されたナノ粒子は、下記一般式(D)で示される架橋前駆体X及び下記一般式(E)で示されるリン脂質前駆体とコロイド状ナノ粒子とを混合して、ナノ粒子の表面に架橋前駆体X及びリン脂質を担持した表面修飾ナノ粒子を得ることで実施できる、請求項15又は16に記載の製造方法。
(一般式(D)中、n1は2~30の整数であり、n2は2~30の整数である。)
(一般式(E)中、n3は2~30の範囲の整数である。) - がん糖鎖パターンの提示は、表面修飾ナノ粒子に導入された一般式(D)で示される架橋前駆体Xが有するアミノオキシ基と、被検者から採取したがん細胞の糖鎖を切り出したがん糖鎖パターン、又は、被検者から採取したがん細胞の糖鎖をプロファイルし、得られたプロファイルに基づいて決定された糖鎖パターンに含まれる糖鎖が有する還元末端とをグライコブロッティング法により反応させることで行う、請求項17に記載の製造方法。
- プロファイルに基づいて決定される糖鎖パターンは、糖鎖成分の種類と含有量をプロファイルと同一とした糖鎖パターンであるか、あるいは糖鎖成分の種類と含有量の一部をプロファイルと同一とした糖鎖パターンである請求項16~18のいずれか1項に記載の製造方法。
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| JPWO2021054420A1 (ja) | 2021-03-25 |
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