JP7700515B2 - カード又はパスポート用樹脂組成物、カード又はパスポート用フィルム、カード、及びパスポート - Google Patents
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Description
特許文献1には、さらに、これらポリエステルと、芳香族ポリカーボネートとを併用した樹脂組成物も示されている。
[1]ポリエステル樹脂(A-1)とポリカーボネート樹脂(B)とを含む樹脂成分を含有する樹脂組成物であって、
該ポリエステル樹脂(A-1)が鎖式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含み、
該ポリエステル樹脂(A-1)のガラス転移温度が90℃以上である、カード又はパスポート用樹脂組成物。
[2]100℃における貯蔵弾性率が1×109Pa以上である、上記[1]に記載のカード又はパスポート用樹脂組成物。
[3]前記ポリエステル樹脂(A-1)が脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含む、上記[1]又は[2]に記載のカード又はパスポート用樹脂組成物。
[4]前記ポリエステル樹脂(A-1)が、鎖式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位及び脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含み、鎖式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位及び脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の合計100モル%中、前記脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の割合が65モル%超である、上記[3]に記載のカード又はパスポート用樹脂組成物。
[5]前記ポリエステル樹脂(A-1)が、エチレングリコールに由来する構造単位及びシクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位を含む、上記[1]~[4]のいずれかに記載のカード又はパスポート用樹脂組成物。
[6]前記ポリエステル樹脂(A-1)が、エチレングリコールに由来する構造単位、シクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位、及びテトラメチルシクロブタンジオールに由来する構造単位を含む、上記[1]~[5]のいずれかに記載のカード又はパスポート用樹脂組成物。
[7]前記ポリエステル樹脂(A-1)と前記ポリカーボネート樹脂(B)の含有割合((A-1)/(B))が、質量比で3/97以上97/3以下である、上記[1]~[6]のいずれかに記載のカード又はパスポート用樹脂組成物。
[8]再生原料を含む、上記[1]~[7]のいずれかに記載のカード又はパスポート用樹脂組成物。
[9]上記[1]~[8]のいずれかに記載の樹脂組成物からなるカード又はパスポート用フィルム。
[10]上記[9]に記載のフィルムを備える、カード。
[11]上記[10]に記載のフィルムを備える、パスポート。
[12]上記[1]~[8]のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法であって、前記樹脂組成物に再生原料を配合する、樹脂組成物の製造方法。
本発明の樹脂組成物は、カード又はパスポート用樹脂組成物であって、ポリエステル樹脂(A-1)とポリカーボネート樹脂(B)とを含む樹脂成分を含有する。
ポリエステル樹脂(A-1)は、鎖式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含み、かつガラス転移温度が90℃以上である。ポリエステル樹脂(A-1)は、ガラス転移温度が90℃以上であることで、後述するポリカーボネート樹脂(B)と併用することも相まって耐熱性が優れたものとなり、樹脂組成物から形成されるフィルムなどを加熱した際の寸法変化が小さくなる。そのため、カード又はパスポートを作製する際の作業性が良好となり、さらに製造されるカード又はパスポートに反りなどが生じにくくなる。また、ポリエステル樹脂(A-1)は、鎖式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むことで、樹脂組成物の低温融着性が良好となりやすい。さらに、樹脂組成物は、ポリエステル樹脂(A-1)を含むことで、耐溶剤性も良好である。また、樹脂組成物が後述する着色剤を含有する場合には、レーザー印字性なども良好になりやすくなる。
ポリエステル樹脂(A-1)を得るために使用されるジカルボン酸としては、耐熱性の観点から、芳香族ジカルボン酸を使用することが好ましく、したがって、ポリエステル樹脂(A-1)は、芳香族ジカルボン酸由来の構造単位を含むことが好ましい。
芳香族ジカルボン酸としては、特に制限はなく、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン-1,4-ジカルボン酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、ナフタレン-2,7-ジカルボン酸、ナフタレン-1,5-ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸、5-スルホイソフタル酸、3-スルホイソフタル酸ナトリウム、2-クロロテレフタル酸、2,5-ジクロロテレフタル酸、2-メチルテレフタル酸等が挙げられ、これらの中では、テレフタル酸、イソフタル酸が好ましく、テレフタル酸が透明性の観点からより好ましい。
芳香族ジカルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
鎖式ジヒドロキシ化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
脂環式ジヒドロキシ化合物の具体例としては、テトラメチルシクロブタンジオール、シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、トリシクロデカンジメタノール、アダマンタンジオール、ペンタシクロペンタデカンジメタノールなどが挙げられる。これらの中ではテトラメチルシクロブタンジオール、シクロヘキサンジメタノールが好ましい。なお、シクロヘキサンジメタノールとしては、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノールがあるが、工業的に入手が容易である点から、1,4-シクロヘキサンジメタノールが好ましい。また、テトラメチルシクロブタンジオールとしては、一般的には、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールが使用される。
脂環式ジヒドロキシ化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。脂環式ジヒドロキシ化合物としては、少なくともシクロヘキサンジメタノールを使用することが好ましく、中でもテトラメチルシクロブタンジオールとシクロヘキサンジメタノールを併用することがより好ましい。
脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の上記割合は、70モル%以上がより好ましく、80モル%以上がさらに好ましく、90モル%以上がよりさらに好ましい。
また、鎖式ジヒドロキシ化合物を一定量以上含有させて、低温融着性を向上させる観点から、脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の上記割合は、99モル%以下が好ましく、98モル%以下がより好ましく、95モル%以下がさらに好ましい。
他のジヒドロキシ化合物としては、p-キシレンジオール、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2-ヒドロキシエチルエーテル)、α,α’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-m-ジイソプロピルベンゼン(ビスフェノールM)、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルフィド、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン(ビスフェノールC)、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(ビスフェノールAF)、および1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)デカンなどが挙げられる。
また、シクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位の含有量は、ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位100モル%中、50モル%以上が好ましく、60モル%以上がより好ましく、70モル%以上がさらに好ましく、また、90モル%以下が好ましく、85モル%以下がより好ましく、80モル%以下がさらに好ましい。
さらに、テトラメチルシクロブタンジオールに由来する構造単位の含有量は、シクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位の含有量より少ないことが好ましい。テトラメチルシクロブタンジオールに由来する構造単位の含有量は、ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位100モル%中、4モル%以上が好ましく、8モル%以上がより好ましく、13モル%以上がさらに好ましく、15モル%以上が特に好ましく、また、49モル%以下が好ましく、38モル%以下がより好ましく、30モル%以下がさらに好ましく、25モル%以下が特に好ましい。
ポリエステル樹脂(A-1)のガラス転移温度(Tg)は、上記の通り、90℃以上である。ガラス転移温度が90℃未満となると、ポリカーボネート樹脂(B)を併用しても耐熱性が不十分となり、加熱伸縮率の値が高くなり、寸法安定性が低下して、カード又はパスポートを作製する際の寸法変化が大きくなる。そのため、カードやパスポートを作製する際の作業性が低下したり、カードやパスポートに反りが発生したりする。さらに、樹脂組成物が着色剤を含有してもレーザー印字性を向上させにくくなる。
耐熱性を高めて寸法安定性、レーザー印字性などを良好にする観点から、ポリエステル樹脂(A-1)のガラス転移温度(Tg)は、93℃以上が好ましく、95℃以上がより好ましく、98℃以上がさらに好ましく、100℃以上がよりさらに好ましい。ポリエステル樹脂(A-1)のガラス転移温度(Tg)は、耐熱性の観点からは高いほうがよいが、低温融着性の観点からは低くした方がよく、好ましくは130℃以下、より好ましくは120℃以下、さらに好ましくは115℃以下である。
なお、ガラス転移温度は、各樹脂について、粘弾性スペクトロメーターを用い、JIS K7244-4:1999に準拠して、歪み0.07%、周波数1Hz、昇温速度3℃/分、引張モードにて動的粘弾性の温度分散測定を行い、損失弾性率のピークトップの温度を求めることで得ることができる。
非晶性ポリエステルは、実質的に非結晶性であるポリエステルであればよい。実質的に非結晶性(低結晶性のものも含む。)であるポリエステルとしては、示差走査熱量計(DSC)により、昇温時に明確な結晶融解ピークを示さないポリエステル、および、結晶性を有するものの結晶化速度が遅く、押出し製膜法などによる成形時に結晶性が高い状態とならないポリエステル、結晶性を有するものの示差走査熱量計(DSC)により、昇温時観測される結晶融解熱量(△Hm)が10J/g以下と低い値であるものを使用することができる。すなわち、本発明における非晶性ポリエステルには、“非結晶状態である結晶性のポリエステル”をも包含する。
ポリエステル樹脂(A-1)は、1種単独で使用してもよいが、2種以上を併用してもよい。
本発明の樹脂組成物は、樹脂成分として上記したポリエステル樹脂(A-1)に加えて、ポリカーボネート樹脂(B)を含有する。本発明の樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(B)を含有することで、上記した特定のポリエステル樹脂(A-1)を併用することも相まって耐熱性が優れたものとなる。
ポリカーボネート樹脂(B)は、特に限定されないが、ビスフェノール系ポリカーボネートを使用することが好ましい。ビスフェノール系ポリカーボネートを使用することで、各種機械特性及び耐熱性などを優れたものとしやすくなる。
ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位中、ビスフェノールA由来の構造単位は、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、最も好ましくは100モル%である。したがって、ポリカーボネート樹脂(B)としては、ビスフェノールAホモポリカーボネートが最も好ましい。
例えば、エステル交換法は、ビスフェノールと炭酸ジエステルとを塩基性触媒、さらにはこの塩基性触媒を中和する酸性物質を添加し、溶融エステル交換縮重合を行う製造方法である。
炭酸ジエステルの具体例としては、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m-クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ビフェニル)カーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート等が例示でき、特にジフェニルカーボネートが好ましく用いられる。
また、ポリカーボネート樹脂(B)の粘度平均分子量は、力学特性と成形加工性のバランスから、通常12000以上、好ましくは15000以上、より好ましくは20000以上、さらに好ましくは22000以上であり、また、通常、40000以下、好ましくは35000以下、より好ましくは30000以下、さらに好ましくは28000以下の範囲である。なお、粘度平均分子量の測定は、溶媒としてジクロロメタンを使用し、ウベローデ粘度計を用いて温度20℃での極限粘度([η])(単位dl/g)を求め、Schnellの粘度式:η=1.23×10-4M0.83の式から算出できる。
ガラス転移温度を上記下限値以上とすることで、適切な耐熱性を付与しやすくなり、カード又はパスポートを作製する際の寸法変化を小さくしやすくなる。また、上記上限値以下とすることで成形性なども良好となる。なお、ポリカーボネート樹脂(B)は、通常単一のガラス転移温度を有する。
これら観点から、含有割合((A-1)/(B))は、6/94以上であることがより好ましく、10/90以上であることがさらに好ましく、15/85以上であることがよりさらに好ましく、30/70以上であることがよりさらに好ましく、40/60以上であることがよりさらに好ましい。また、含有割合((A-1)/(B))は、94/6以下であることがより好ましく、90/10以下であることがさらに好ましく、85/15以下であることがよりさらに好ましく、80/20以下であることがよりさらに好ましく、75/25以下であることがよりさらに好ましい。
本発明の樹脂組成物は、樹脂成分として、上記したポリエステル樹脂(A-1)以外のポリエステル樹脂(A-2)を含有してもよい。ポリエステル樹脂(A-2)は、ジカルボン酸とジヒドロキシ化合物とを重縮合して得られるポリエステルである。なお、ジカルボン酸としては、ジカルボン酸のエステル、酸ハロゲン化物などのジカルボン酸誘導体がポリエステル樹脂(A-2)の合成に供されてもよい。樹脂組成物は、ポリエステル樹脂(A-1)以外にポリエステル樹脂(A-2)を含有することで、様々な特性を有しやすくなり、例えば低温融着性、印刷適正などを向上しやすい傾向となる。また、ポリカーボネート樹脂(B)を比較的多量に含有させても、低温融着性を比較的良好に維持しやすくなる。
なお、以下の説明においては、ポリエステル樹脂(A-1)と、ポリエステル樹脂(A-2)を総称して、ポリエステル樹脂(A)ということがある。
ポリエステル樹脂(A-2)において、芳香族ジカルボン酸由来の構造単位は、ポリエステル樹脂(A-1)中のジカルボン酸由来の構造体中に、80モル%以上含まれることが好ましく、90モル%以上含まれることがさらに好ましく、また、100モル%以下含まれることが好ましく、最も好ましくは100モル%である。
また、ポリエステル樹脂(A-2)は、脂肪族ジカルボン酸由来の構造単位を少量(通常、20モル%以下の範囲)含んでもよい。脂肪族ジカルボン酸の具体例は、ポリエステル樹脂(A-2)で述べたとおりである。
ポリエステル樹脂(A-2)で使用する鎖式ジヒドロキシ化合物の具体例は、ポリエステル樹脂(A-1)で述べたとおりであるが、好ましくはエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール及び1,6-ヘキサンジオールから選択される1種又は2種以上である。
また、ポリエステル樹脂(A-2)で使用する脂環式ジヒドロキシ化合物の具体例は、ポリエステル樹脂(A-1)で述べたとおりであるが、好ましくはテトラメチルシクロブタンジオール及びシクロヘキサンジメタノールから選択される1種又は2種以上であり、より好ましくはシクロヘキサンジメタノールである。なお、シクロヘキサンジメタノールは、上記のとおり、1,4-シクロヘキサンジメタノールが好ましい。
また、脂環式ジヒドロキシ化合物を一定量以上含有させて、耐熱性を向上させる観点から、脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の上記割合は、5モル%以上が好ましく、15モル%以上がより好ましく、20モル%以上がさらに好ましい。
また、ポリエステル樹脂(A-2)は、非晶性ポリエステルであることが好ましい。非晶性ポリエステルを使用することで、樹脂フィルムなどの他の部材に対する接着性が良好となりやすい。
樹脂組成物におけるポリエステル樹脂(A-1)の含有量は、ポリエステル樹脂(A-1)とポリエステル樹脂(A-2)の合計量100質量部に対して、20質量部以上であることが好ましい。ポリエステル樹脂(A-1)の含有量を一定量以上にすることで、低温融着性を向上させながらも、耐熱性を良好に維持でき、加熱加工時に寸法変化が生じにくくなる。そのため、カード又はパスポートを製造する際の作業性が良好となり、得られるカード又はパスポートに反りが生じたりすることを防止できる。さらには、耐溶剤性も良好となりやすい。また、耐衝撃性も良好となりやすく、長期使用における信頼性も向上しやすい。
樹脂組成物におけるポリエステル樹脂(A-1)の含有量は、ポリエステル樹脂(A-1)とポリエステル樹脂(A-2)の合計量100質量部に対して、25質量部以上であることがより好ましく、35質量部以上であることがさらに好ましく、50質量部以上であることがよりさらに好ましく、60質量部以上であることがよりさらに好ましく、70質量部以上であることがよりさらに好ましい。
また、本発明の樹脂組成物は、上記の通りポリエステル樹脂(A-2)を含有しなくてもよく、したがって、樹脂組成物におけるポリエステル樹脂(A-1)の含有量は、ポリエステル樹脂(A-1)とポリエステル樹脂(A-2)の合計量100質量部に対して、100質量部以下であればよい。
ただし、ポリエステル樹脂(A-2)を樹脂組成物に含有させる場合にポリエステル樹脂(A-2)を含有させた効果を発揮しやすい点から、ポリエステル樹脂(A-2)の含有量は、一定量以上とするとよい。したがって、ポリエステル樹脂(A-1)とポリエステル樹脂(A-2)の合計量100質量部に対して、ポリエステル樹脂(A-1)の含有量は、好ましくは95質量部以下であればよく、より好ましくは90質量部以下、さらに好ましくは85質量部以下である。
ポリカーボネート樹脂(B)の含有量と、ポリエステル樹脂(A-1)及びポリエステル樹脂(A-2)の含有量の合計量(すなわち、ポリエステル樹脂(A)の含有量)の含有量比(A/B)は、質量比で10/90以上97/3以下であることが好ましい。含有割合((A)/(B))を10/90以上にすると、樹脂組成物に一定量以上のポリエステル樹脂(A)を含有させることができ、低温融着性及び耐溶剤性を向上させやすくなる。また、含有割合((A)/(B))を97/3以下にすると、樹脂組成物に一定量以上のポリカーボネート樹脂(B)を含有させることができ、耐熱性が向上する傾向となる。
これら観点から、含有量比((A)/(B))は、20/80以上であることがより好ましく、30/70以上であるこがよりさらに好ましく、35/65以上であることがよりさらに好ましい。また、含有割合((A)/(B))は、90/10以下であることがより好ましく、85/15以下であることがさらに好ましく、80/20以下であることがよりさらに好ましい。
本発明の樹脂組成物は、さらに着色剤を含有してもよい。本発明の樹脂組成物は、着色剤を含有することで、レーザー照射により印字可能となり、その印字性も良好になる。なお、レーザー印字は、着色剤を含む樹脂組成物がレーザー光を吸収して発熱し、その周辺の形成材料が炭化することで所望の印字がなされるものである。
蛍光増白染料としては、例えば、フルオレセイン系化合物、チオフラビン系化合物、エオシン系化合物、ローダミン系化合物、クマリン系化合物、イミダゾール系化合物、オキサゾール系化合物、トリアゾール系化合物、カルバゾール系化合物、ピリジン系化合物、イミダゾロン系化合物、ナフタル酸誘導体、スチルベンジスルホン酸誘導体、スチルベンテトラスルホン酸誘導体、スチルベンヘキサスルホン酸誘導体、ダゾロン誘導体等を挙げることができる。本発明の効果の点で好ましくは、スチルベンジスルホン酸誘導体等が挙げられる。
着色剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記した着色剤の中では、コントラスト性の際立つ、白色染料及び白色顔料が好ましい。白色染料及び白色顔料は、白色染料を単独で使用してもよいし、白色顔料を単独で使用してもよいし、白色染料と白色顔料を併用してもよい。
また、着色剤は、白色顔料がより好ましく、特に酸化チタンがさらに好ましい。
顔料の平均粒子径は、特に限定されないが、例えば、0.01μm以上10μm以下、好ましくは0.03μm以上5μm以下、より好ましくは0.07μm以上3μm以下、さらに好ましくは0.1μm以上1.0μm以下である。なお、平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定により得られる体積モーメント平均径をいう。
また、酸化チタンを使用する場合、樹脂組成物には、酸化チタンに加えて、有機顔料、染料などの他の着色剤を配合し、また、白色染料としての蛍光増白染料等を配合して色調を調整することもできる。
以上の観点から、樹脂組成物における着色剤の含有量は、樹脂成分100質量部に対して、1質量部以上であることがより好ましく、3質量部以上であることがさらに好ましく、5質量部以上であることがよりさらに好ましい。また、30質量部以下であることがより好ましく、25質量部以下であることがさらに好ましく、20質量部以下であることがよりさらに好ましい。
樹脂組成物は、滑剤を含有してもよい。滑剤を含有することで、樹脂組成物からなるフィルムなどの表面抵抗率が低くなり帯電が抑制され、また、フィルムなどの表面の滑り性が向上することで、別のフィルムやプレス板に対して付着してはがれ難くなるという問題が発生しにくい。また、表面抵抗率が低くなるとロールからフィルムを繰り出した際に静電気が発生しにくく、繰り出し時にスパークが発生しフィルム等の表面に傷を付けたりすることも防止でき、さらに、滑り性の改善や表面抵抗率の低下により、ロールから繰り出してフィルム等を送り出す際に、フィルムが蛇行又は斜行して、ズレ、捻じれ、シワ等が発生したりすることを防止できる。そのため、取扱い性及び加工性が良好になる。さらに、表面抵抗率が低くなると、浮遊している塵埃が静電気により引き寄せられフィルム等の表面に付着し、得られる積層フィルムやカード中に異物が混入するといった問題も発生しにくくなり、防塵性が高められる。また、滑り性が良好となるため、フィルム表面を擦っても傷が付きにくく、耐擦傷性にも優れる。
さらに、滑剤により濡れ性が向上すると、樹脂組成物からなるフィルム上に印刷を行う場合に、印刷適正が向上すると推定される。なお、印刷適正とは、樹脂組成物からなるフィルムの表面に印刷した際のインクとフィルムの馴染みやすさを意味する。印刷適正が向上すると、インクのハジキ等が生じずにフィルム上にきれいに印刷することができる。
具体的な滑剤としては、ポリアルキレングリコール、脂肪酸エステル、脂肪族基を有する金属塩、フッ素系ポリマー、脂肪酸アミド、脂肪族アルコール、脂肪酸、脂肪族炭化水素系化合物等が挙げられる。ポリエステル樹脂(A)に対して、これら滑剤を添加することで、上記した各種性能を発揮しやすくなる。これらの中でも、滑剤は、ポリアルキレングリコール、脂肪酸エステル、脂肪族基を有する金属塩、及びフッ素系ポリマーから選択される少なくとも1種であることが好ましい。
ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどでもよいし、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体などでもよい。また、ポリアルキレングリコールは分子骨格に分岐を有するものであってもよい。これらの中では、ポリエチレングリコールが好ましい。
ポリアルキレングリコールは、常温(23℃)で固体となる固体状ワックスであることが好ましい。固体状ワックスは、ペレットと混合しやすく、また、シートに加工する際に必要とされる熱により揮発しにくいので好ましい。固体状ワックスとなるポリアルキレングリコールは、その数平均分子量が例えば500~5000となるものである。なお、数平均分子量は、JIS K1577:2007に準拠して測定した水酸基価に基づいて算出される数平均分子量をいう。
ポリアルキレングリコールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
脂肪酸エステルとしては、滑剤として使用される公知の脂肪酸エステルを使用できる。脂肪酸エステルは、脂肪酸と各種のアルコールとを原料とするエステルであり、分子内に長鎖脂肪族基とエステル基を持つものが好ましい。
脂肪酸エステル系滑剤の具体例としては、例えば、一価アルコールの高級脂肪酸エステル、多価アルコールの高級脂肪酸エステル又は部分エステル、又はこれらの部分ケン化物などが挙げられる。高級脂肪酸エステルに使用される高級脂肪酸としては、例えば炭素原子数10以上、好ましくは炭素原子数12以上、より好ましくは炭素原子数16以上、さらに好ましくは炭素原子数20以上であり、また、好ましくは炭素原子数36以下、より好ましくは炭素原子数32以下である。
具体的には、モンタン酸エステル、モンタン酸部分ケン化エステル、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、オレイン酸メチル、エルカ酸メチル、ベヘニン酸メチル、ラウリン酸ブチル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、ヤシ脂肪酸オクチルエステル、ステアリン酸オクチル、牛脂肪酸オクチルエステル、ラウリン酸ラウリル、ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸ベヘニル、ミリスチン酸セチル、ネオペンチルグリコールジオレート、ネオペンチルグリコールジカプリン酸エステルなどのネオペンチルポリオール脂肪酸エステル、トリメチロールプロパントリオレートなどのトリメチロールプロパントリ脂肪酸エステル、トリメチロールプロパンジカプリン酸エステルなどのトリメチロールプロパンジ脂肪酸エステルなどの各種のトリメチロールプロパン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールテトラオレートなどのペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトールヘキサイソノナン酸エステルなどのジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ステアリン酸モノグリセライド、ステアリン酸ジグリセライド、ステアリン酸トリグリセライド、オレイン酸モノグリセライド、オレイン酸ジグリセライド、オレイン酸トリグリセライドなどの脂肪酸グリセライド、ペンタエリスリトール脂肪酸縮合エステル、トリメチロールプロパン脂肪酸縮合エステルなどが挙げられる。これらの中では、モンタン酸エステルが好ましい。
脂肪酸エステルは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
滑剤として使用される金属塩は、脂肪族基を有する金属塩であればよい。脂肪族基を有する金属塩を使用することで、表面抵抗率を低下させやすくなり、各種効果を発揮しやすくなる。脂肪族基としては、脂肪族炭化水素基、脂肪族アシル基などが挙げられる。脂肪族基としては、特に限定されないが、好ましくは炭素原子数8以上、より好ましくは炭素原子数10以上であり、また、好ましくは炭素原子数30以下、より好ましくは炭素原子数24以下、さらに好ましくは炭素原子数16以下である。
金属塩としては、具体的には、脂肪酸金属塩、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩が挙げられ、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸金属塩である。
アルキルベンゼンスルホン酸金属塩としては、アルキル基の炭素原子数が好ましくは8~24、より好ましくは10~16のアルキルベンゼンスルホン酸金属塩が挙げられる。また、使用される金属としては、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、カリウムなどが好ましく、特に好ましくはナトリウムである。
アルキルベンゼンスルホン酸金属塩の好適な具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが挙げられる。
金属塩は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
フッ素系ポリマーとしては、分子内に炭素-フッ素結合を有するフッ素樹脂が挙げられる。具体的には、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ三フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン-パ-フルオロアルキルビニルエ-テル共重合体、ポリマー鎖の両末端または片末端にフルオロアルキル基を有するフッ素系重合体、パーフルオロカルボン酸エステル等が挙げられる。
中でも、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体などが好ましい。
フッ素系ポリマーは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
脂肪酸アミドとしては、滑剤として使用できる公知の脂肪酸アミドが挙げられる。脂肪酸アミドは、脂肪酸とアミンからなるアミドであり、分子内に長鎖脂肪族基とアミド基を持つものであり、脂肪酸アマイドとも呼ばれる。具体的には、モノアミド、置換アミド、ビスアミド、メチロールアミド、エタノールアミド、エステルアミド、置換尿素、脂肪酸とアミンの重縮合物などがある。使用される脂肪酸は、飽和であってもよいし、不飽和であってもよい。また、脂肪酸の炭素原子数は、例えば8~30程度、好ましくは10~24である。
好ましい脂肪酸アミドの例としては、例えば、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、ステアリルエルカ酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、N-オレイルパルミトアミド、エチレンジアミン・ステアリン酸・セバシン酸重縮合物などが挙げられる。
脂肪酸アミドは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
脂肪族アルコールとしては、滑剤として使用できる公知の脂肪族アルコールが挙げられる。脂肪族アルコールは、例えば炭素原子数6~30、好ましくは炭素原子数10~24の脂肪族アルコールである。脂肪族アルコールの具体例としては、例えば、カプロイルアルコール、カプリリルアルコール、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコールなどが挙げられ、好ましくは、ステアリルアルコールである。
脂肪酸アルコールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
脂肪酸としては、滑剤として使用できる公知の脂肪酸が挙げられる。脂肪酸としては、例えば炭素原子数6~30、好ましくは炭素原子数10~24の脂肪酸が挙げられる。脂肪酸の具体例としては、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸などの飽和脂肪酸、オレイン酸、エルカ酸などの不飽和脂肪酸などが挙げられ、好ましくはステアリン酸である。
脂肪族炭化水素系化合物としては、滑剤として使用できる公知の脂肪族炭化水素系化合物が挙げられる。脂肪族炭化水素系化合物の具体例としては、例えば、炭素原子数16以上の流動パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、天然パラフィン、合成パラフィンなどのパラフィンワックス、ポリエチレンワックスなどのポリオレフィンワックス、およびこれらの部分酸化物、あるいはフッ化物、塩化物などが挙げられる。
脂肪族炭化水素化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリアルキレングリコールと、脂肪族基を有する金属塩を併用する場合、脂肪族基を有する金属塩に対するポリアルキレングリコールの比(ポリアルキレングリコール/金属塩)は、質量比で、好ましくは1/9以上9/1以下であり、より好ましくは1/5以上5/1以下、さらに好ましくは1/3以上3/1以下である。
以上の観点から、樹脂組成物における滑剤の含有量は、樹脂成分100質量部に対して、0.1質量部以上がより好ましく、0.4質量部以上がさらに好ましく、0.6質量部以上がよりさらに好ましく、0.9質量部以上が特に好ましい。また、3質量部以下であることがより好ましく、2質量部以下であることがさらに好ましく、1.5質量部以下であることが特に好ましい。
本発明の樹脂組成物は、耐衝撃改良剤を含有してもよい。ポリエステル樹脂(A)を使用した樹脂組成物は、長期での信頼性が実使用上不足することがあるが、耐衝撃改良剤を配合することで、実使用での折り曲げ、衝撃等の外的衝撃から生ずる影響を緩和して、長期使用における信頼性が良好となる。
耐衝撃改良剤としては、軟質スチレン系樹脂、エラストマーなどが挙げられる。エラストマーは、コア・シェル型エラストマーであってもよい。耐衝撃改良剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
耐衝撃改良剤としては、上記の中でもコア・シェル型エラストマーが好ましい。コア・シェル型エラストマーを使用することで、耐衝撃性が一層向上して、長期使用における信頼性がより一層良好となる。
軟質スチレン系樹脂中に占めるスチレン含有量は、例えば5質量%以上80質量%以下であるが、好ましくは10質量%以上50質量%以下、より好ましくは15質量%以上30質量%以下である。スチレン含有量が上記範囲にあることにより、耐衝撃性の付与効果がより向上する。
具体的な軟質スチレン系樹脂としては、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)、シリコーン-アクリル複合ゴム・アクリロニトリル・スチレン共重合体(SAS)、メタクリル酸メチル・無水マレイン酸・スチレン共重合体(SMM)、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル-スチレン-アクリルゴム共重合体(ASA)、アクリロニトリル-エチレンプロピレン系ゴム-スチレン共重合体(AES)等が挙げられる。具体的な商品としては、クレイトンポリマー社製「クレイトンD」シリーズ、アロン化成社製「AR-100」シリーズ、UMG ABS社製「ダイヤラック」シリーズ、旭化成ケミカルズ社製「デルペット」シリーズ等が挙げられる。また、軟質スチレン系樹脂は、後述するスチレン系エラストマーとして、JSR社製「ダイナロン」シリーズ、旭化成ケミカルズ社製「タフテック」シリーズ、クラレ社製「ハイブラー」シリーズなども使用できる。
極性を有する官能基を付与した軟質スチレン系樹脂としては、SEBS、SEPSの変性体が好ましく用いられる。具体的には、無水マレイン酸変性SEBS、無水マレイン酸変性SEPS、エポキシ変性SEBS、エポキシ変性SEPSなどが挙げられる。具体的な商品としては、旭化成ケミカルズ社製「タフテックM」シリーズ、JSR社製「ダイナロン」シリーズ、ダイセル化学工業社製「エポフレンド」シリーズ等が挙げられる。
コア・シェル型グラフト共重合体の製造方法としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などのいずれの製造方法であってもよく、共重合の方式は一段グラフトでも多段グラフトであってもよい。但し、通常、市販で入手可能なコア・シェル型エラストマーをそのまま使用することができる。市販で入手可能なコア・シェル型エラストマーは後に例示する。
芳香族ビニル化合物の具体例としては、スチレン、α-メチルスチレン、1-ビニルナフタレン、4-メチルスチレン、4-プロピルスチレン、4-シクロヘキシルスチレン、4-ドデシルスチレン、2-エチル-4-ベンジルスチレン、4-(フェニルブチル)スチレンまたはハロゲン化スチレンなどが挙げられ、なかでも、スチレンまたはα-メチルスチレンがより好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル等が挙げられ、これらの中でも比較的入手しやすい(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルが好ましく、(メタ)アクリル酸メチルがより好ましい。なお、「(メタ)アクリル」とは「アクリル」と「メタクリル」とを総称するものである。
また、コア・シェル型グラフト共重合体のシェルにおける、(メタ)アクリル系化合物(中でも、(メタ)アクリル酸エステル)成分及び芳香族ビニル化合物成分の合計含有量は、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることがさらに好ましく、70質量%以上であることがよりさらに好ましい。シェルでは、(メタ)アクリル系化合物及び芳香族ビニル化合物のいずれかが単独で使用されてもよいし、これらは併用されてもよい。
これらのコア・シェル型グラフト共重合体等の耐衝撃改良剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これら観点から、樹脂組成物における耐衝撃改良剤の含有量は、樹脂成分100質量部に対して、2.5質量部以上がより好ましく、3質量部以上がさらに好ましく、5質量部以上がよりさらに好ましい。また、30質量部以下であることがより好ましく、20質量部以下であることがさらに好ましく、16質量部以下であることがよりさらに好ましく、12質量部以下であることが特に好ましい。
樹脂組成物は、レーザー発色剤を含有してもよい。レーザー発色剤は、レーザー光線の照射によって発熱する機能を有するものであれば特に限定されず、レーザー光の照射によってそれ自身が発色するいわゆる自己発色型発色剤でもよいし、それ自身は発色しないものであってもよい。レーザー発色剤は、発熱することにより、その周辺の形成材料の炭化を促進し、レーザー印字性をより高めることができる。さらに自己発色するレーザー発色剤を用いると、レーザー発色剤の発色と、形成材料が炭化することによって生じる炭化物による発色とが相乗して、色が濃く、視認性に優れた印字を表すことができる。レーザー発色剤が発色する場合、その色彩は特に限定されるものではないが、視認性の観点から、黒、紺、茶を含む濃色に発色し得るレーザー発色剤を用いることが好ましい。
また、金属酸化物以外のレーザー発色剤でもよく、鉄、銅、亜鉛、錫、金、銀、コバルト、ニッケル、ビスマス、アンチモン、アルミニウムなどの金属、それらの塩である塩化鉄、硝酸鉄、リン酸鉄、塩化銅、硝酸銅、リン酸銅、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、リン酸亜鉛、塩化ニッケル、硝酸ニッケル、次炭酸ビスマス、硝酸ビスマスなどの金属塩、水酸化マグネシウム、水酸化ランタン、水酸化ニッケル、水酸化ビスマスなどの金属水酸化物、ホウ化ジルコニウム、ホウ化チタン、ランタンホウ化物などの金属ホウ化物などでもよい。なお、金属ホウ化物は、六ホウ化物が近赤外吸収能を有しており、中でも六ホウ化ランタンはレーザー光の吸収効率に優れているため好ましい。また、例えば、フルオラン系、フェノチアジン系、スピロピラン系、トリフェニルメタフタリド系、ローダミンラクタム系などのロイコ染料などで代表される染料系や、カーボンブラックなども使用できる。
レーザー発色剤としては、酸化ビスマスや、ビスマスとZn、Ti、Al、Zr、Sr、NdおよびNbから選択される少なくとも1種の金属を含んだ金属酸化物等のビスマス系の金属酸化物を用いることが好ましい。
レーザー発色剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
樹脂組成物は、酸化防止剤を含有してもよい。酸化防止剤は、ポリエステル樹脂とポリカーボネート樹脂とのエステル交換反応を抑制する効果があり、樹脂組成物におけるエステル交換反応による発泡を抑制することが可能となる。また、酸化防止剤により、樹脂組成物より成形されるフィルムなどの成形品の黄変を防止することもできる。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などを用いることができる。中でも、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤が好ましい。酸化防止剤は、1種単独で使用してもよいが、2種以上を併用してもよい。2種類以上の酸化防止剤を用いることで、成形時の分子量低下や黄変を効果的に抑えることが可能である。また、2種類以上の酸化防止剤を用いることで、成形時の安定性と、成形後における長期安定性とを両立することもできる。
樹脂組成物は、上記以外の樹脂材料に使用される公知の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、熱安定剤、プロセス安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、艶消し剤、加工助剤、金属不活化剤、残留重合触媒不活化剤、抗菌・防かび剤、抗ウイルス剤、帯電防止剤、難燃剤、充填材等が挙げられる。
樹脂組成物を構成する樹脂は、ポリエステル樹脂(A)、及びポリカーボネート樹脂(B)を主成分として含有するとよく、ポリエステル樹脂(A)、及びポリカーボネート樹脂(B)の合計含有量は、樹脂組成物に含有される樹脂成分全量に対して、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上、最も好ましくは100質量%である。
本発明の樹脂組成物は、100℃における貯蔵弾性率が1×109Pa以上であることが好ましい。100℃における貯蔵弾性率を1×109Pa以上とすると、加熱したときに変形が生じにくくなり、カードやパスポートを作製する際の作業性が良好となる。また、カードやパスポートに反りが発生しにくくなる。加えて、長期間の使用にも耐え得る耐久性も有しやすくなる。樹脂組成物の100℃における貯蔵弾性率は、1.1×109Pa以上がより好ましく、1.3×109Pa以上がさらに好ましい。
また、貯蔵弾性率は、上限に関しては特に限定されないが、例えば1×1011Pa以下、好ましくは5×1010Pa以下であり、より好ましくは3×1010Pa以下であり、さらに好ましくは1×1010Pa以下である。
本発明の樹脂組成物は、再生原料を含有してもよい。再生原料を使用することにより、廃棄物の削減、エネルギー消費量削減など地球環境保護に貢献できる。再生原料は、回収された製品、廃棄物などを、化学反応を伴う化学的再生法により再生された原料であってもよい。また、回収された製品、廃棄物などを、物理的再生法(メカニカルリサイクル)により再生された原料であってもよい。
再生原料としては、上記ポリエステル樹脂(A-1)及びポリエステル樹脂(A-2)の少なくとも一部に再生原料を使用することが好ましく、ポリエステル樹脂(A-1)の少なくとも一部に再生原料を使用することがより好ましい。
また、ポリカーボネート樹脂(B)の少なくとも一部に再生原料を使用することも好ましい。
なお、再生原料により構成されるポリエステル樹脂(A-1)、ポリエステル樹脂(A-2)、ポリカーボネート樹脂(B)はそれぞれ、再生ポリエステル樹脂(A-1)、再生ポリエステル樹脂(A-2)、再生ポリカーボネート樹脂(B)ともいう。
また、再生ポリカーボネート樹脂(B)も、化学的再生法により再生されたものであってもよい。
また、再生ポリエステル樹脂(A-1)、再生ポリエステル樹脂(A-2)においては、物理的再生法により再生原料を得る過程において、固相重合などをして、分子量を高めてもよい。すなわち、再生ポリエステル樹脂(A-1)又は再生ポリエステル樹脂(A-2)は、化学反応を伴わない物理的再生法により再生したものであってもよいし、物理的再生法により再生しつつ化学変化により分子量を高めてもよい。
生産過程で発生する端材は、原料組成が比較的安定し、また、原料組成が既知であることが多いことから、再生原料として再生しやすい。
なお、生産過程で発生する端材とは、合成されたポリエステル樹脂又はポリカーボネート樹脂が、所定の製品形態(フィルム、シート、繊維、ストランド、ブロック、ペレット、粉体、その他の成形品などのあらゆる製品形態)に加工されるまでの間で発生し、製品として利用されないポリエステル樹脂又はポリカーボネート樹脂である。
レーザーマーキング用シートは、カード又はパスポートにレーザーマーキングするために設けられるシートであり、例えば着色剤、レーザー発色剤、又はこれらの両方を含有する樹脂組成物をレーザーマーキング用シートに使用すると、レーザーマーキング用シートへのレーザー印字性を高めやすくなる。
また、コア用シートは、意匠性、隠蔽性の観点などから一般的に着色剤を含有するので、例えば着色剤を含有する樹脂組成物は、コア用シートへの使用が好適である。なお、着色剤を含有する樹脂組成物をコア用シートに使用する場合には、コア用シートにレーザー印字を行うとよいので、カード又はパスポートにおいてレーザーマーキング用シートは設けなくてもよいが、設けてもよい。
さらに、各カード又はパスポードのコア用シート、レーザーマーキング用シート、及び保護用シートは、後述する通り、複数の樹脂層(フィルム)が重ねられて構成されることがあるが、その場合には、複数の樹脂層(フィルム)のうち、少なくとも1つが、上記樹脂組成物により構成されるとよい。
本発明の樹脂組成物は、ポリエステル樹脂(A-1)、ポリカーボネート樹脂(B)、任意で配合されるポリエステル樹脂(A-2)、着色剤、滑剤、耐衝撃改良剤、レーザー発色剤、酸化防止剤、その他の添加剤などの樹脂組成物を構成する原料を混合して得るとよい。
また、樹脂組成物が再生原料を含有する場合、樹脂組成物に再生原料を配合して、その再生原料を他の原料とともに混合して、樹脂組成物を得るとよい。
原料の混合は、押出機、プラストミルなどにおいて加熱しながら溶融混練して行うとよいが、樹脂組成物を構成する原料をタンブラー等でドライブレンドしたものをそのまま用いてもよい。
溶融混練の温度は、樹脂の種類や混合比率、添加剤の有無や種類に応じて適宜調整されるが、生産性等の観点から、220℃以上であることが好ましく、240℃以上であることがより好ましく、250℃以上であることがさら好ましい。また、300℃以下であることが好ましく、280℃以下であることがより好ましく、270℃以下であることがさらに好ましい。溶融混練温度がかかる範囲であれば、樹脂の分解や架橋を抑制しつつ、十分に流動させることが容易となる。
本発明のカード又はパスポート用フィルム(以下、「本フィルム」ということがある)は、上記した樹脂組成物からなるフィルムである。本フィルムの厚みは、特に限定されなく、使用される目的によって適宜調整すればよいが、例えば、5μm以上、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上、さらに好ましくは20μm以上であり、1000μm以下、好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下、さらに好ましくは200μm以下である。
本フィルムは、単層構造を構成してもよいし、多層構造の積層体のうちの1つの層を構成してもよい。多層構造の積層体においては、1つの層のみが、本フィルムから構成されていてもよいが、2以上の層が本発明フィルムから構成されていてもよい。
なお、カード又はパスポートは、後述する通り、一般的に複数の樹脂層が重ねられて構成されるが、本フィルムは、そのうちの少なくとも1つを構成するとよい。
本フィルムは、110℃で10分間加熱処理した際の以下の式で表される加熱伸縮率が、-1.7%以上であることが好ましい。なお、加熱伸縮率は、測定サンプルに標準線を付けて、加熱処理前後の標準線の間隔を測定して算出するとよい。
加熱伸縮率(%)=[加熱処理後の標準線間隔-加熱処理前の標準線間隔]/加熱処理前の標準線間隔×100
これら観点から、110℃で10分間加熱処理した際の加熱伸縮率は-1.4%以上がより好ましく、-1.0%以上がさらに好ましく、-0.8%以上がよりさらに好ましく、-0.5%以上がよりさらに好ましく、-0.3%以上がよりさらに好ましい。一方で、加熱伸縮率は、上記のとおり0%に近いほうがよく、したがって、110℃で10分間加熱処理した際の加熱伸縮率の上限は一般的に0%である。
なお、以上述べた加熱伸縮率は、フィルムの面方向の一方向と、その一方向に垂直な方向の2方向について測定を行い、低い方の値(すなわち、熱収縮が大きいほうの値)を採用するとよいが、MD、TDの方向が判明している場合には、MD、TDの2方向について加熱伸縮率を測定するとよい。
カード又はパスポート用フィルム(本フィルム)は、公知の方法で製造できるが、本フィルムを形成するための樹脂組成物を上記の通りに得て、その樹脂組成物をフィルム状にするとよい。樹脂組成物をフィルム状にする方法は、特に限定されないが、プレス成形などでもよいし、押出成形などでもよいが、生産性、コストの面からは押出成形が好ましい。
また、本フィルムによって多層構造の積層体を形成する場合には、公知のラミネート法により複数の樹脂フィルムを積層して形成してもよいし、樹脂フィルムの上に、別の樹脂層を形成するための樹脂組成物を溶融押し出して積層してもよい。また、共押出により多層構造としてもよい。
本発明のカードは、上記した本フィルムを備えるものである。また、本発明のパスポートは、上記した本フィルムを備えるものである。
カードとしては、ICカード、磁気カード、運転免許証、在留カード、資格証明書、社員証、学生証、マイナンバーカード、印鑑登録証明書、車検証、タグカード、プリペイドカード、キャッシュカード、クレジットカード、ETCカード、SIMカード、B-CASカードなどが挙げられる。
カード又はパスポートは、コア用シートを備えるとよい。また、カード又はパスポートは、コア用シートに加えて、レーザーマーキング用シート及び保護用シートの一方又は両方を備えてもよい。
以下、カードの好ましい層構成についてより詳細に説明する。カードは、好ましくはコア用シートの両方の面にレーザーマーキング用シートを積層する。具体的には、図1(a)に示した、レーザーマーキング用シート1/コア用シート2/レーザーマーキング用シート1からなるカード20A、または、図1(b)に示した、保護用シート4/レーザーマーキング用シート1/コア用シート2/レーザーマーキング用シート1/保護用シート4からなるカード20Bが好ましい。また、レーザーマーキング用シート1は省略してもよく、図1(c)に示した、保護用シート4/コア用シート2/保護用シート4からなるカード20Cであってもよい。
また、各カード20A~20Cにおいて、コア用シート2の両面それぞれに設けられる層構造は、互いに同じであったが、各面上においては互いに異なっていてもよい。例えば、コア用シート2の一方の面にレーザーマーキング用シート1と、保護用シート4がこの順に設けられ、コア用シート2の他方の面に保護用シート4のみが設けられてもよい。
昇華型熱転写受像層に用いる染着し易い樹脂は、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル等のビニル系樹脂、及びこれらの共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ボリアミド系樹脂、エチレンやプロピレン等のオレフィンと他のビニル系モノマーとの共重合体、アイオノマー、セルロース誘導体等の単体、又は混合物を用いることができ、これらの中でもポリエステル系樹脂、及び、ビニル系樹脂が好ましい。
昇華型熱転写受像層は、上述の樹脂を有機溶剤や水などの溶媒に溶解分散して塗布することによりを形成することができる。
保護用シートは、レーザーマーキング用シート1の外側に積層される場合には、レーザー光照射によってレーザー印字部分が発泡する、いわゆる「膨れ」を抑制する。
次に、パスポートの好ましい層構成についてより詳細に説明する。パスポートしては、ICチップを搭載した所謂電子パスポートに本フィルムが好ましく用いられるが、特にデータページをプラスチック化する場合は、ヒンジシートと、ヒンジシートの両面それぞれに設けられたコア用シートとを備え、そのコア用シートの表面にさらにレーザーマーキング用シートが積層されることが好ましい。また、パスポートは、保護用シートを備え、レーザーマーキング用シートの表面にはレーザーマーキング用シートを保護するために、保護用シートがさらに積層されることが好ましい。具体的には、図2(a)に示した、レーザーマーキング用シート1/コア用シート2/ヒンジシート3/コア用シート2/レーザーマーキング用シート1からなるパスポート10A、または、図2(b)に示した、保護用シート4/レーザーマーキング用シート1/コア用シート2/ヒンジシート3/コア用シート2/レーザーマーキング用シート1/保護用シート4からなるパスポート10Bが好ましい。また、レーザーマーキング用シート1は省略してもよく、図2(c)に示した、保護用シート4/コア用シート2/ヒンジシート3/コア用シート2/保護用シート4からなるカード10Cであってもよい。
また、各パスポート10A、10B、10Cにおいて、ヒンジシート3の両面それぞれにおける層構成は、互いに同じであったが、各面上においては互いに異なっていてもよい。例えば、ヒンジシート3の一方の面にコア用シート2、レーザーマーキング用シート1、及び保護用シート4がこの順に設けられる一方で、ヒンジシート3の他方の面にコア用シート2及びマーキング用シート1がこの順に設けられ、保護用シート4が省略されるとよい。
ヒンジシートは、記録層、コア用シート、インレットシートなどを保持し、パスポートの表紙と他のビザシート等と一体に堅固に綴じるための役割を担うシートである。そのため、堅固な加熱融着性、適度な柔軟性、加熱融着工程での耐熱性等を有するものが好ましい。
パスポートにおいても、コア用シート、レーザーマーキング用シート及び保護用シートは、上記した層構造となるように、適宜重ね合わされたうえでプレスして加熱融着させるとよい。また、加熱融着の代わりに接着剤によりシート同士が接着されてもよい。
圧縮成形機「NF-37」(神藤金属工業所社製)を用いて、各実施例、比較例で得られたフィルム(大きさ100mm×300mm)同士を重ねてステンレス板で挟んで、プレス圧力1.5MPa、プレス時間5分、その後の冷却を室温に下がるまで約5分間行い、熱融着させた。その後、ステンレス板から融着したフィルムを取り出し、フィルム同士を引き剥がして、フィルムが剥離不可であるかどうか(材料破壊するかどうか)を確認した。プレス時の加熱温度は10℃刻みで上げていき、剥離不可のもの(材料破壊したもの)を融着していると判断し、融着した最低温度(材料破壊温度)を求めた。この材料破壊温度は、フィルムが適切に融着する温度であり、低いほど低温融着性に優れていることを示す。
室温環境下で、溶剤を入れたシャーレに各実施例、比較例のフィルム片を1分間浸し、外観を目視確認して、以下の評価基準で評価した。本試験は、溶剤として酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトン(MEK)それぞれを使用して実施した。「OK」のものは、実製品としての使用に問題ないレベルであると推測される。
OK:30秒から1分の間に白濁する
NG:30秒以内に、溶解する
使用した各樹脂について、粘弾性スペクトロメーター「DVA-200」(アイティー計測制御株式会社製)を用い、JIS K7244-4:1999に準拠して、歪み0.07%、周波数1Hz、昇温速度3℃/分、引張モードにて動的粘弾性の温度分散測定を行った。そして損失弾性率のピークトップの温度をガラス転移温度とした。
各実施例、比較例で得られたフィルムから4mm×25mmの試験片(厚み100μm)を切り出し、測定試料として得た。その測定試料を用いて、JIS K7244-4:1999に準拠して、粘弾性スペクトロメーター「DVA-200(アイティー計測制御株式会社製)」を用い、周波数1Hz、歪み0.07%、-100~180℃の間を昇温速度3℃/分で昇温させ、100℃における引張貯蔵弾性率をMDについて測定した。
各実施例、比較例で得られたフィルムから大きさ120mm×120mmの試験片を切り出し、得られた試験片の中央に大きさ100mm×100mmの標準線を付け、110℃又は140℃のオーブンで10分間加熱処理を施し、処理前後のMD及びTDのそれぞれの標準線間隔から、下記式を用いて算出した。なお、標準線間隔の測定は、標準線の中央で行った。
加熱伸縮率(%)=[加熱処理後の標準線間隔(mm)-100(mm)]/100(mm)×100
フィルムは、加熱伸縮率が0の値に近いほど、耐熱性が優れているといえる。
(ポリエステル樹脂)
PCTG:テレフタル酸からなるジカルボン酸と、エチレングリコール(EG)、1,4-シクロヘキサンジメタノール(1,4-CHDM)、及び2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール(TMCD)からなるジヒドロキシ化合物との共重合ポリエステル樹脂(非晶性)、ジヒドロキシ化合物(EG=8モル%、1,4-CHDM=74モル%、TMCD=18モル%)、端材より再生された再生ポリエステル樹脂、ガラス転移温度(Tg)=100℃
PETG:テレフタル酸からなるジカルボン酸成分と、EGと1,4-CHDMからなるジヒドロキシ化合物との共重合ポリエステル樹脂(非晶性)、ジヒドロキシ化合物(EG=70モル%、1,4-CHDM=30モル%)、ガラス転移温度(Tg)=78℃
(ポリカーボネート樹脂)
PC1:住化ポリカーボネート社製「カリバー301-4」、メルトフローレート(300℃、1.2kgf)=4g/分(カタログ値)、ガラス転移温度(Tg)=150℃
PC2:ビスフェノールA系ホモポリカーボネート、メルトフローレート(300℃、1.2kgf)=20g/分、端材より再生された再生ポリカーボネート樹脂、ガラス転移温度(Tg)=150℃
(着色剤)
酸化チタン
(滑剤)
ポリエチレングリコール(数平均分子量3000):ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム=2:1(質量比)
(耐衝撃改良剤)
耐衝撃改良剤:コア・シェル型エラストマー、三菱ケミカル社製「メタブレン S-2001」、コア:シリコーン・アクリル複合ゴム
(酸化防止剤)
酸化防止剤:フェノール系酸化防止剤(ジブチルヒドロキシトルエン(BHT):リン系酸化防止剤(トリスステアリルホスファイト)=1:1(質量比)
表1に記載の配合に従い樹脂、又は樹脂及び添加剤を二軸押出機に投入して混練して、二軸押出機を用いて270℃で樹脂組成物を押出し、厚み100μmのフィルムを得た。
配合を表1の通りに変更し、かつ押出温度を270℃から250℃に変更した以外は、実施例1と同様に実施した。
なお、比較例2は、ガラス転移温度が90℃未満のポリエステル樹脂(A-2)を使用することで低温融着性に優れており、比較例2のフィルム同士を低温で融着させると、サイズ変化が抑えられ、作業性は良好になるが、耐熱性が低いカードやパスポートしか得られなくなる。一方で、比較例2のフィルムを、耐熱性が高いフィルム(例えば、ポリカーボネートフィルム)に融着させ、カード又はパスポートの耐熱性を高めようとすると、融着温度を高くする必要があるが、融着温度が高いと、比較例2のフィルムにサイズ変化が生じて、作業性が低下し、また、反りが発生したりすることになる。すなわち、比較例2の樹脂組成物を使用すると、他のフィルムと組み合わせても本発明の効果を発揮することが難しいことが理解できる。
2 コア用シート
3 ヒンジシート
4 保護用シート
20A、20B、20C カード
10A、10B、10C パスポート
Claims (10)
- ポリエステル樹脂(A-1)とポリカーボネート樹脂(B)とを含む樹脂成分を含有する樹脂組成物であって、
該ポリエステル樹脂(A-1)が鎖式ジヒドロキシ化合物及び脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含み、鎖式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位及び脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の合計100モル%中、前記脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の割合が90モル%以上であり、
該ポリエステル樹脂(A-1)のガラス転移温度が90℃以上である、カード又はパスポート用樹脂組成物。 - 100℃における貯蔵弾性率が1×109Pa以上である、請求項1に記載のカード又はパスポート用樹脂組成物。
- 前記ポリエステル樹脂(A-1)が、エチレングリコールに由来する構造単位及びシクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位を含む、請求項1又は2に記載のカード又はパスポート用樹脂組成物。
- 前記ポリエステル樹脂(A-1)が、エチレングリコールに由来する構造単位、シクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位、及びテトラメチルシクロブタンジオールに由来する構造単位を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のカード又はパスポート用樹脂組成物。
- 前記ポリエステル樹脂(A-1)と前記ポリカーボネート樹脂(B)の含有割合((A-1)/(B))が、質量比で3/97以上97/3以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載のカード又はパスポート用樹脂組成物。
- 再生原料を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のカード又はパスポート用樹脂組成物。
- 請求項1~6のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなるカード又はパスポート用フィルム。
- 請求項7に記載のフィルムを備える、カード。
- 請求項7に記載のフィルムを備える、パスポート。
- 請求項1~6のいずれか1項に記載の樹脂組成物の製造方法であって、前記樹脂組成物に再生原料を配合する、樹脂組成物の製造方法。
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