以下、所定の図面を参照しながら特定の実施形態について本発明を説明するが、本発明は以下の説明に制限されず、特許請求の範囲のみに制限される。特許請求の範囲に参照符号を記載する場合には範囲を制限するものと解釈すべきではない。当然のことながら、必ずしも全ての側面又は利点が本発明の特定の実施形態に従って達成されるわけではない。従って、例えば当業者であれば、本願に教示又は示唆され得る他の側面又は利点を必ずしも達成しないとしても、本願に教示する一つの利点又は1群の利点を達成又は最適化する方法で本発明を具体化又は実施できると理解されよう。
本発明はその特徴及び利点と共に構成及び実施方法の両面に関して、添付図面に照らして以下の詳細な説明を参照することにより最良に理解することができる。本発明の側面及び利点は以下に記載する実施形態を参照することにより明白に理解されよう。本明細書の随所で「一つの実施形態」又は「1実施形態」に言及する場合には、その実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造又は特性が本発明の少なくとも一つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書の随所で種々の状況で「一つの実施形態において」又は「一実施形態において」なる文言が出現する場合には、必ずしも全てが同一の実施形態を指すものではないが、同一の実施形態を指す場合もある。同様に、当然のことながら、本発明の代表的な実施形態の説明において、開示を簡素化すると共に種々の発明の側面の一つ以上を理解し易くする目的で本発明の種々の特徴を単一の実施形態、図面又は記載でまとめている場合がある。しかし、この開示方法は特許請求の範囲に記載する発明が各請求項で明示しているもの以上の特徴を必要とするという意味に解釈すべきではない。むしろ、後記特許請求の範囲から明らかなように、発明の側面は特許請求の範囲に先立って開示する単一の実施形態の全ての特徴よりも少ない特徴にある。
量、時間の長さ等の測定可能な数値に言及する際に本願で使用する「約」とは、開示する方法を実施するためにこのような変動が適切であるという条件で、指定値の±20%又は±10%、より好ましくは±5%、更に好ましくは±1%、より一層好ましくは±0.1%の変動を含むことを意味する。本願で使用する「同様」とは、類似、相似、同等、対応及び~様と同義であり、同一若しくは共通の特性をもつこと、及び/又は定量的に同等結果を示すこと、即ち、最大変動が20%、10%、より好ましくは5%、又は更に好ましくは1%以下であることを意味する。
本願で使用する「ヌクレオチド配列」、「DNA配列」又は「核酸分子」とは、リボヌクレオチド又はデオキシリボヌクレオチドのいずれかを問わず、任意の長さのヌクレオチドのポリマー形態を意味する。この用語は分子の一次構造のみを意味する。従って、この用語は2本鎖と1本鎖のDNA及びRNAを含む。更に、公知型の修飾も含み、例えばメチル化や、天然ヌクレオチドの1個以上を類似体で「キャップ」置換することも含む。「核酸コンストラクト」とは、自然界では共存しない1個以上の機能的単位を含むように作製された核酸配列を意味する。例としては、環状、直線状、二本鎖、染色体外DNA分子(プラスミド)、コスミド(λファージに由来するCOS配列を含むプラスミド)、非天然核酸配列を含むウイルスゲノム等が挙げられる。
「コーディング配列」とは、適切な調節配列の制御下におかれたときにmRNAに転写及び/又はポリペプチドに翻訳されるヌクレオチド配列である。コーディング配列の境界は5’末端の翻訳開始コドンと3’末端の翻訳終止コドンにより区切られる。コーディング配列としては、mRNA、cDNA、組換えヌクレオチド配列又はゲノムDNAが挙げられるが、これらに限定するものではなく、所定の状況ではイントロンも存在する場合がある。
本願で使用する「遺伝子のプロモーター領域」とは、コーディング配列と機能的に連結され、場合によっては適切な誘導条件下に置かれたときに前記コーディング配列の転写を促進するために十分となる機能的DNA配列単位を意味する。「機能的に連結」とは、このように表現された成分がそれらに予定された通りに機能できるような関係にあることを意味する。コーディング配列と「機能的に連結された」プロモーター配列は、プロモーター配列に適合可能な条件下でコーディング配列の発現が行われるようにライゲーションされている。本願で使用する「遺伝子」とは、遺伝子のプロモーター領域とコーディング配列の両方を含む。この用語は(考えられるイントロンを含む)ゲノム配列を意味すると共に、スプライシングされたメッセンジャーに由来し、プロモーター配列と機能的に連結されたcDNAも意味する。「ターミネーター」又は「転写終結シグナル」なる用語は、転写単位の末端のDNA配列であり、一次転写産物の3’プロセッシング及びポリアデニル化と転写の終結を指示する制御配列を意味する。ターミネーターは天然遺伝子、種々の他の植物遺伝子、又はT-DNAに由来するものとすることができる。付加するターミネーターは例えばノパリンシンターゼ又はオクトピンシンターゼ遺伝子、あるいは別の植物遺伝子に由来するものでよく、あまり好ましくはないが、他のあらゆる真核生物遺伝子に由来するものでもよい。
「キメラ遺伝子」又は「キメラコンストラクト」又は「キメラ遺伝子コンストラクト」とは、mRNAをコードする核酸配列とプロモーター又は調節核酸配列を機能的に連結又は会合させた組換え核酸配列であって、会合させた核酸コーディング配列の転写又は発現を調節核酸配列により調節できるようにしたものを意味する。キメラ遺伝子の調節核酸配列は自然界に存在するような会合核酸配列とは機能的に連結されていない。
「発現カセット」は、発現カセットのプロモーターと機能的に連結された目的遺伝子/コーディング配列の発現を行うことが可能なあらゆる核酸コンストラクトを含む。発現カセットは一般に、好ましくは(5’→3’の転写方向に)プロモーター領域と、転写開始領域と機能的に連結されたポリヌクレオチド配列、ホモログ、変異体又はその断片と、RNAポリメラーゼの停止シグナル及びポリアデニル化シグナルを含む終結配列を含むDNAコンストラクトである。当然のことながら、これらの領域の全てが形質転換させようとする原核細胞や真核細胞等の生体細胞中で機能できなければならない。RNAポリメラーゼ結合部位を含むことが好ましい転写開始領域を含むプロモーター領域と、ポリアデニル化シグナルは、形質転換させる生物細胞に由来するものでもよいし、このような領域が生物細胞中で機能的であるならば、代替源に由来するものでもよい。このようなカセットから「ベクター」を作製することができる。
本願で使用する「ベクター」、「ベクターコンストラクト」、「発現ベクター」又は「遺伝子導入ベクター」なる用語は、これを連結した別の核酸分子を輸送することができる核酸分子を意味するものであり、当業者に公知のあらゆるベクターを含み、あらゆる適切なタイプを含み、限定するものではないが、プラスミドベクター、コスミドベクター、λファージ等のファージベクター、アデノウィルス、AAV若しくはバキュロウイルスベクター等のウイルスベクター、又は細菌人工染色体(BAC)、酵母人工染色体(YAC)若しくはP1人工染色体(PAC)等の人工染色体ベクターが挙げられる。発現ベクターはプラスミドとウイルスベクターを含み、一般に所望のコーディング配列と、機能的に連結させたコーディング配列を特定の宿主生物(例えば、細菌、酵母、植物、昆虫又は哺乳動物)又はインビトロ発現システムで発現させるために必要な適切なDNA配列を含む。発現ベクターはこれを導入した宿主細胞中で自律複製が可能である(例えば、宿主細胞中で機能する複製起点をもつベクター)。他のベクターは宿主細胞に導入後に宿主細胞のゲノムに組み込むことができ、これにより宿主ゲノムと共に複製される。適切なベクターは必要に応じて特定の宿主生物(例えば細菌細胞、酵母細胞)に即してプロモーター、エンハンサー、ターミネーター配列等の調節配列を含む。所定の所望のDNA断片を構築・増幅するためにはクローニングベクターが一般に使用され、所望のDNA断片の発現に必要な機能的配列を含んでいなくてもよい。原核細胞にトランスフェクションするのに使用される発現ベクターの作製も当技術分野で周知であるため、標準技術により実施することができる(当技術分野の定義と用語については、例えばSambrook,et al.Molecular Cloning:A Laboratory Manual,4th ed.,Cold Spring Harbor Press,Plainsview,New York(2012);及びAusubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology(Supplement 114),John Wiley & Sons,New York(2016)参照)。
「宿主細胞」は原核細胞でも真核細胞でもよい。これらの細胞に一過的又は安定的にトランスフェクションすることができる。このように発現ベクターを原核細胞及び真核細胞にトランスフェクションするには、当技術分野で公知のあらゆる技術により実施することができ、限定するものではないが、標準細菌形質転換法、リン酸カルシウム共沈法、エレクトロポレーション、リポソームによるトランスフェクション、DEAEデキストランによるトランスフェクション、ポリカチオンによるトランスフェクション、又はウイルスによるトランスフェクションが挙げられる。全標準技術については、例えばSambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,4th ed.,Cold Spring Harbor Press,Plainsview,New York(2012);及びAusubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology(Supplement 114),John Wiley & Sons,New York(2016)参照。これに関連して組換え宿主細胞とは、本発明の単離DNA分子、核酸分子又は発現コンストラクト若しくはベクターを含むように遺伝子改変された宿主細胞である。DNAは特定の細胞種に適した当技術分野で公知のあらゆる手段により導入することができ、限定されないが、形質転換法、リポフェクション、エレクトロポレーション又はウイルスによるトランスフェクションが挙げられる。本発明のキメラタンパク質の発現を可能にすることができるDNAコンストラクトはクローニング、ハイブリダイゼーションスクリーニング及びポリメラーゼ連鎖反応(PCR)等の当技術分野で公知の技術により容易に作製することができる。クローニング、DNA単離、増幅及び精製の標準技術と、DNAリガーゼ、DNAポリメラーゼ、制限エンドヌクレアーゼ等を利用する酵素反応の標準技術に加え、種々の分離技術が当業者に公知であり、広く利用されている。Sambrook et al.(2012)、Wu(編)(1993)及びAusubel et al.(2016)には多数の標準技術が記載されている。本発明で使用することができる代表的な宿主細胞としては、細菌細胞、酵母細胞、植物細胞及び動物細胞が挙げられるが、これらに限定されない。本発明で使用するのに適した細菌宿主細胞としては、エスケリキア属(Escherichia)種細胞、バシラス属(Bacillus)種細胞、ストレプトマイセス属(Streptomyces)種細胞、エルウィニア属(Erwinia)種細胞、クレブシエラ属(Klebsiella)種細胞、セラチア属(Serratia)種細胞、シュードモナス属(Pseudomonas)種細胞、及びサルモネラ属(Salmonella)種細胞が挙げられる。本発明で使用するのに適した動物宿主細胞としては、昆虫細胞と哺乳動物細胞(最も特定的にはチャイニーズハムスター(例えばCHO)、及びHeLa等のヒト細胞株に由来するもの)が挙げられる。本発明で使用するのに適した酵母宿主細胞としては、サッカロマイセス属(Saccharomyces)、シゾサッカロマイセス属(Schizosaccharomyces)、クルイウェロマイセス属(Kluyveromyces)、ピキア属(Pichia)(例えばピキア・パストリス:Pichia pastoris)、ハンセヌラ属(Hansenula)(例えばハンセヌラ・ポリモルファ:Hansenula polymorpha)、ヤロウィア属(Yarowia)、シュワニオマイセス属(Schwaniomyces)、シゾサッカロマイセス属(Schizosaccharomyces)、ジゴサッカロマイセス属(Zygosaccharomyces)等に含まれる種が挙げられる。サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロマイセス・カールスベルゲンシス(S.carlsbergensis)及びクルイウェロマイセス・ラクティス(K.lactis)が最も広く使用されている酵母宿主であり、便利な真菌宿主である。宿主細胞は懸濁又はフラスコ培養、組織培養、臓器培養等で提供することができる。あるいは、宿主細胞はトランスジェニック動物でもよい。
「タンパク質」、「ポリペプチド」、「ペプチド」なる用語も本願では同義に使用し、アミノ酸残基のポリマーとその変異体及び合成アナログを意味する。従って、これらの用語は、1個以上のアミノ酸残基が対応する天然アミノ酸の化学的アナログ等の合成非天然アミノ酸であるアミノ酸ポリマーと、天然アミノ酸ポリマーに適用される。この用語はグリコシル化、リン酸化及びアセチル化等のポリペプチドの翻訳後修飾も含む。アミノ酸配列と修飾に基づき、ポリペプチドの原子質量又は分子質量又は原子量又は分子量は(キロ)ダルトン(kDa)で表される。「組換えポリペプチド」とは、組換え技術の使用、即ち組換え又は合成ポリヌクレオチドの発現により作製されたポリペプチドを意味する。キメラポリペプチド又はその生物学的に活性な部分が組換え生産されたものであるときには、培養培地を実質的に含んでいないことも好ましく、即ち、培養培地はタンパク質調製物の体積の約20%未満であることが好ましく、約10%未満がより好ましく、約5%未満が最も好ましい。「単離」とは、その天然状態において通常では付随する成分を実質的又は本質的に含んでいない材料を意味する。例えば、「単離ポリペプチド」とは、天然状態でその両側に存在する分子から精製されたポリペプチドを意味し、例えば、前記ポリペプチドに隣接する産生宿主に存在する分子から取り出された抗原結合性キメラタンパク質を意味する。単離キメラはアミノ酸化学合成により作製することもできるし、組換え生産により作製することもできる。「異種タンパク質」なる表現は、このタンパク質がこのタンパク質を提示又は発現させるために使用されるものと同一種又は株に由来しないことを意味する場合がある。
タンパク質の「ホモログ」、「ホモログ類」とは、未修飾のこのタンパク質に対してアミノ酸置換、欠失及び/又は挿入があり、それらの元の未修飾タンパク質と同様の生物学的及び機能的活性を有するペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質及び酵素を含む。本願で使用する「アミノ酸一致度」なる用語は、複数の配列が比較枠においてアミノ酸ベースで同一である程度を意味する。従って、「配列一致度百分率」は、2つの最適に整列された配列を比較枠において比較し、同一のアミノ酸残基(例えば、Ala、Pro、Ser、Thr、Gly、Val、Leu、Ile、Phe、Tyr、Trp、Lys、Arg、His、Asp、Glu、Asn、Gln、Cys及びMetであり、本願では1文字コードで示す場合もある)が両方の配列に存在する位置数を調べてマッチした位置数を求め、このマッチした位置数を比較枠(即ち枠サイズ)内の合計位置数で割り、得られた数値に100を掛けて配列一致度百分率を求めることにより計算される。本願で使用する「置換」又は「突然変異」は、1個以上のアミノ酸又はヌクレオチドが親タンパク質又はその断片のアミノ酸配列又はヌクレオチド配列と比較して夫々別のアミノ酸又はヌクレオチドで置き換えられる結果として生じる。当然のことながら、タンパク質又はその断片はタンパク質の活性に実質的に全く影響を与えない保存的アミノ酸置換を含む場合もある。
「野生型」なる用語は天然源から単離された遺伝子又は遺伝子産物を意味する。野生型遺伝子は集団に最高頻度で認められる遺伝子であり、従って、恣意的にこの遺伝子の「正常」又は「野生型」形態と言う。他方、「改変」、「突然変異体」又は「変異体」なる用語は野生型遺伝子又は遺伝子産物と比較した場合に配列の修飾、翻訳後修飾及び/又は機能的性質(即ち特性改変)を示す遺伝子又は遺伝子産物を意味する。なお、天然突然変異体を単離することもでき、これらは野生型遺伝子又は遺伝子産物と比較した場合に特性が改変されているという事実により同定される。
「タンパク質ドメイン」とはタンパク質中の別個の機能的及び/又は構造的単位である。通常では、タンパク質ドメインは特定の機能又は相互作用に関与し、タンパク質の全体的な役割に寄与する。ドメインは多様な生物学的コンテクストで存在することができ、異なる機能をもつタンパク質に同様のドメインが存在する場合もある。
タンパク質がその三次元三次構造に折り畳まれる前に、タンパク質二次構造要素(SSE)が中間体として一般的には自発的に形成される。タンパク質の2つの最も一般的な二次構造要素はαヘリックスとベータ(β)シートであるが、βターンとオメガループも存在する。βシートは少なくとも2個又は3個の主鎖水素結合により横方向に連結されたベータストランド(βストランドとも言う)から構成され、一般にはねじれた襞状のシートを形成する。βストランドは伸長コンフォメーションで主鎖に沿って一般的には3~10アミノ酸長のポリペプチド鎖が伸びたものである。βターンはポリペプチド鎖の方向を変えるタンパク質の1種の不規則な二次構造である。ベータターン(βターン、β-ターン、βベンド、タイトターン、リバースターン)はタンパク質及びポリペプチドで非常に一般的なモチーフであり、主にβストランドを繋ぐ役割を果たす。可変ドメインに存在するβターンのIMGT(R)定義については、LeFranc(2014)及び図25も参照。βターンは一般的に4アミノ酸残基(i、i+1、i+2及びi+3と言う)から構成され、残基iのCOと残基i+3のNHの間に主鎖内水素結合をもつこと、あるいは、残基i及びi+3のCα原子間の距離が7Å未満であることの2つの方法で定義される。日常使用には水素結合基準が最適であるが、その一因は別個の4分類に分けられるためである。
「タンパク質の循環置換」又は「循環置換タンパク質」なる用語は、そのアミノ酸配列におけるアミノ酸の順序が野生型タンパク質配列に対して変化したタンパク質であり、その結果、連結順は異なるが、全体的な三次元(3D)形状は同様であるタンパク質構造となったものを意味する。タンパク質の循環置換は、例えばBliven and Prlic(2012)に記載されているように、野生型タンパク質の(N末端に隣接する)第1の部分の配列が循環置換後のタンパク質の(そのC末端付近の)第2の部分の配列に関連付けられるという意味で、巡回置換の数学的認識と類似している。タンパク質をその野生型タンパク質に対して循環置換させるには、野生型タンパク質のN末端とC末端を「連結」し、タンパク質配列を別の部位で分断し、前記タンパク質の新しいN末端とC末端を作り出すように、タンパク質配列を遺伝子的又は人工的に操作することにより得られる。本発明の循環置換足場タンパク質は、野生型タンパク質配列のN末端とC末端を連結し、前記足場タンパク質の接近可能な部位又は露出部位(優先的にはβターン又はループ)で配列を切断又は分断することにより、循環置換足場タンパク質のフォールディングを野生型タンパク質のフォールディングに対して維持又は同様にしたものである。前記循環置換足場タンパク質におけるN末端とC末端の前記連結は、ペプチド結合により連結してもよいし、ペプチドリンカーを導入してもよいし、野生型タンパク質の元のN末端とC末端の近くのペプチド領域を欠失させた後に、残りのアミノ酸をペプチド結合させてもよい。
本願で使用する「~に融合」なる用語は、本願では「~に連結」、「~にコンジュゲート」、「~にライゲーション」と同義に使用し、特に、例えば組換DNA技術による「遺伝子融合」と、安定した共有結合的連結を生じる「化学的及び/又は酵素的結合」を意味する。
「キメラポリペプチド」、「キメラタンパク質」、「キメラ」、「融合ポリペプチド」、「融合タンパク質」、又は「非天然タンパク質」なる用語は本願では同義に使用し、同一タンパク質に由来するものでも由来しないものでもよい少なくとも2個の別個のポリペプチド成分を含むタンパク質を意味する。この用語は人造であることを意味する非天然分子も意味する。(本願で定義する)キメラポリペプチドに言及する際に「~と融合された」なる用語と、「共有結合的に連結された」、「連結された」、「結合された」、「ライゲーションされた」、「コンジュゲートされた」等の他の文法的に同等の用語は、2個以上のポリペプチド成分を連結するあらゆる化学的又は組換えメカニズムを意味する。2個以上のポリペプチド成分の融合は配列の直接融合でもよいし、例えばアミノ酸配列又はリンカー配列又は化学的リンカーを介する間接融合でもよい。本願に記載する2個のポリペプチド又は抗原結合性ドメインと足場タンパク質の融合とは、化学的連結により得られる非共有結合的融合を意味する場合もある。例えば、(図28に示すように)(循環置換)足場タンパク質の部分又は全長にその露出部位又は接近可能な部位で連結又は融合された相補的化学的ユニット又は結合ポケットと結合することが可能な化学的ユニットに対して、抗原結合性ドメインのAストランドのC末端とBストランドのN末端の両方を連結することができる。
本願で使用する「タンパク質複合体」又は「複合体」又は「会合タンパク質」なる用語は、2個以上の高分子が会合した群であって、高分子の少なくとも1個がタンパク質であるものを意味する。本願で使用する「タンパク質複合体」とは一般的には、生理的条件下で形成することができる高分子の会合体を意味する。タンパク質複合体の個々のメンバーは非共有結合的相互作用により連結されている。タンパク質複合体はタンパク質のみの非共有結合的相互作用とすることができ、その場合にはタンパク質-タンパク質複合体と言い、例えばタンパク質2分子、タンパク質3分子、タンパク質4分子等の非共有結合的相互作用である。より具体的には、抗原結合性キメラタンパク質と抗原自体の複合体である。本願で使用する「タンパク質複合体」は、少なくともタンパク質1分子と核酸等の少なくとも他の高分子の非共有結合的相互作用とすることもでき、その場合にはタンパク質-核酸複合体と言い、例えば、タンパク質1分子と核酸1分子、タンパク質2分子と核酸1分子、タンパク質2分子と核酸2分子等の非共有結合的相互作用である。当然のことながら、タンパク質複合体は多量体とすることができる。タンパク質複合体の会合の結果、ホモ多量体又はヘテロ多量体複合体を形成することができる。更に、相互作用は安定的でも一過的でもよい。「多量体」、「多量体複合体」又は「多量体タンパク質」なる用語は、複数の同一又は異種のポリペプチド単量体を含む。ポリペプチドは自己集合し、複数のシングルポリペプチド単量体の自己集合体(即ち「ホモ多量体集合体」)から形成される多量体集合体(即ち、二量体、三量体、六量体、五量体、八量体等)を構成することができる。本願で使用する「複数」とは2以上を意味する。多量体集合体は3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、又はそれ以上のポリペプチド単量体を含む。多量体集合体はあらゆる目的に使用することができ、広範なタンパク質「ナノ材料」を開発するための手段となる。有限のケージ様又はシェル様タンパク質集合体以外に、適切な標的対称アーキテクチャーを選択することにより集合体を設計してもよい。より高次の集合体の設計で本発明の単量体及び/又は多量体集合体を使用することもでき、階層的集合の付随利点が得られる。得られる多量体集合体は優れた剛性と単分散性を備える高度に規則的な材料であり、広範な用途の進化型機能的材料とカスタム設計型分子マシンの基盤を形成することができる。
「適切な条件」なる用語は特に温度、運動、他の成分、及び/又は「緩衝液条件」等の環境因子を意味し、ここで「緩衝液条件」とは具体的にはその中でアッセイが実施される溶液の組成を意味する。前記組成は最適なアッセイ性能を得るために適切であることが当業者に認識されているpH緩衝物質、水、塩類溶液、生理的塩類溶液、グリセロール、防腐剤等の緩衝溶液及び/又は溶質を含む。
「結合」とは、直接又は間接を問わずにあらゆる相互作用を意味する。直接相互作用とは、結合パートナー間の接触を意味する。間接相互作用とは、相互作用パートナーが3分子以上の複合体において相互作用するようなあらゆる相互作用を意味する。相互作用は1個以上の架橋分子を介する完全な間接相互作用とすることもできるし、パートナー間の直接接触があるが、1分子以上の別の相互作用により安定化される部分的な間接相互作用とすることもできる。一般に、結合ドメインは免疫グロブリンをベースとするか又は免疫グロブリン様とすることもできるし、限定されないが、微生物タンパク質、プロテアーゼ阻害剤、毒素、フィブロネクチン、リポカリン、1本鎖逆平行コイルドコイルタンパク質又は反復モチーフタンパク質等のタンパク質に存在するドメインをベースとすることもできる。抗原結合性ドメイン、免疫グロブリンドメイン、免疫グロブリン様ドメイン又は抗体ドメインに関して本願で使用する「特異的に結合する」なる用語は、特定の抗原を認識するが、試料中の他の分子を実質的に認識しないか又はこれと結合しない結合ドメインを意味し、「抗原結合性ドメイン」又は「抗原結合性タンパク質」とも言う。例えば、1種の生物種に由来する抗原と特異的に結合する抗体が1種以上の生物種に由来する抗原とも結合する場合がある。しかし、このような種交差反応性があっても、抗体が特異的であるという分類は変わらない。場合により、抗体、タンパク質又はペプチドと第2の化学種の相互作用について「特異的結合」又は「特異的に結合する」なる用語を使用することもでき、その場合には、この相互作用が前記化学種に存在する特定の構造(例えば抗原決定基又はエピトープ)に依存し、例えば、抗原結合性タンパク質がタンパク質一般ではなく、特定のタンパク質構造を認識してこれと結合することを意味する。抗原結合性タンパク質がエピトープ「A」に特異的である場合に、標識した「A」と抗原結合性タンパク質を含む反応にエピトープA(即ち遊離した未標識のA)を含む分子が存在すると、標識したAが抗原結合性タンパク質と結合する量は少なくなる。本願で使用する「特異性」なる用語は、結合ドメイン、特に抗原結合性ドメイン、免疫グロブリンドメイン若しくは免疫グロブリン様ドメイン、又はVHHやナノボディ等の免疫グロブリン断片が、ある抗原に対して別の抗原よりも優先的に結合する能力を意味し、必ずしも高親和性を意味しない。抗原結合性タンパク質の他の例としては、合成結合性タンパク質、抗体ミメティック、又はより具体的にはモノボディも挙げられる(例えば総説については、Sha et al.,2017参照)。このようなモノボディは、全体のフォールドが免疫グロブリンフォールドと似ていることから、ラクダ科動物シングルドメイン抗体(VHH)と同様に標的タンパク質と特異的に結合する結合性タンパク質を含むフィブロネクチンIII型ドメインとして定義される。モノボディは最も広く使用されている非抗体足場であり、そのフィブロネクチンIII型ドメインにより免疫グロブリン様フォールドを示し、抗体の可変ドメインと同様に7本の逆平行βストランドが、ドメインの一方の側では抗体のCDRと同様に抗原結合性領域に相当するFN3ループ又はβターンを介し、他方の側では足場タンパク質を融合するための接近可能な部位として機能し得るβターンを介して相互に連結され、本発明の抗原結合性キメラタンパク質を形成する。本願で使用する「エピトープ」とは、ポリペプチドの抗原決定基を意味する。エピトープはエピトープに固有の空間コンフォメーションで3個のアミノ酸を含むことができる。一般に、エピトープは少なくとも4個、5個、6個、7個のこのようなアミノ酸から構成され、より一般には、少なくとも8個、9個、10個のこのようなアミノ酸から構成される。アミノ酸の空間コンフォメーションの決定方法は当技術分野で公知であり、例えばX線結晶構造解析や多次元核磁気共鳴法が挙げられる。本願で使用する「コンフォメーションエピトープ」とは、ポリペプチドの折り畳まれた三次元コンフォメーションに固有の空間コンフォメーションでアミノ酸を含むエピトープを意味する。一般に、コンフォメーションエピトープは、直線状配列では不連続であるが、タンパク質の折り畳み構造では集合するアミノ酸から構成される。一方、コンフォメーションエピトープは(変性状態では存在しない)ポリペプチドの折り畳まれた三次元コンフォメーションに固有のコンフォメーションをとる直線状配列のアミノ酸から構成される場合もある。タンパク質複合体において、コンフォメーションエピトープは1個以上のポリペプチドの直線状配列では不連続なアミノ酸から構成されるが、個々のポリペプチドが折り畳まれてユニークな四次構造で会合すると、これらのポリペプチドは集合する。同様に、コンフォメーションエピトープは本願においては、集合して四次構造に固有のコンフォメーションをとる1個以上のポリペプチドの直線状配列のアミノ酸から構成される場合もある。タンパク質の「コンフォメーション」又は「コンフォメーション状態」なる用語は一般に、タンパク質が任意の時点でとり得る構造の範囲を意味する。当業者に自明の通り、コンフォメーション又はコンフォメーション状態の決定要因は、(修飾アミノ酸を含む)タンパク質のアミノ酸配列で表されるタンパク質の一次構造とタンパク質の周囲の環境を含む。タンパク質のコンフォメーション又はコンフォメーション状態は、タンパク質二次構造(例えば、特にαヘリックス、βシート)、三次構造(例えば、ポリペプチド鎖の三次元フォールディング)、及び四次構造(例えばポリペプチド鎖と他のタンパク質サブユニットの相互作用)等の構造的特徴も意味する。特にリガンド結合、リン酸化、硫酸化、グリコシル化又は疎水性基の結合等のポリペプチド鎖の翻訳後及び他の修飾がタンパク質のコンフォメーションに影響を与える可能性がある。更に、特に周囲溶液のpH、塩濃度、イオン強度及びオスモル濃度等の環境因子や、他のタンパク質及び補因子との相互作用もタンパク質コンフォメーションに影響を与える可能性がある。タンパク質のコンフォメーション状態は、活性や別の分子との結合を測定する機能的アッセイにより決定してもよいし、特にX線結晶構造解析、NMR又はスピンラベル法等の物理的方法により決定してもよい。タンパク質コンフォメーション及びコンフォメーション状態に関する一般的考察については、Cantor and Schimmel,Biophysical Chemistry,Part I:The Conformation of Biological.Macromolecules,.W.H.Freeman and Company,1980、及びCreighton,Proteins:Structures and Molecular Properties,W.H.Freeman and Company,1993を参照されたい。
本願で使用する「親和性」なる用語は一般に、標的タンパク質とリガンドの平衡状態をシフトさせ、それらの結合により複合体が形成されるように(本願中で詳細に定義する)リガンドが標的タンパク質と結合する程度を意味する。従って、例えば抗原結合性キメラポリペプチドとリガンドを比較的等しい濃度で併用する場合には、高親和性のリガンドが抗原結合性キメラポリペプチドと結合し、得られる複合体が高濃度となるように平衡状態がシフトする。解離定数Kdはリガンドと標的タンパク質の親和性を表すために広く使用されている。一般的に、解離定数は10-5M未満の数値である。解離定数は10-6M未満であることが好ましく、10-7M未満がより好ましい。解離定数は10-8M未満であることが最も好ましい。リガンドとその標的タンパク質の親和性を表す他の方法は、会合定数(Ka)、阻害定数(Ki)、又は半数最大阻害濃度(IC50)若しくは半数最大有効濃度(EC50)を測定することによりリガンドの強度を評価する間接的な方法である。当然のことながら、本発明の範囲内において「親和性」なる用語は、標的タンパク質の(コンフォメーション)エピトープと結合するIgドメイン、より特定的には前記IgドメインのCDR領域を介してその標的と結合するためにその「機能性」を維持する抗原結合性キメラタンパク質Igドメインを含む抗原結合性キメラタンパク質の文脈で使用される。
従って、本発明の文脈において本願で使用する「機能的抗原結合性タンパク質」又は「コンフォメーション選択的抗原結合性ドメイン」なる用語は、その標的タンパク質との結合において任意にコンフォメーション選択的に機能的である前記キメラ抗原結合性タンパク質のIgドメインを意味する。標的タンパク質の特定のコンフォメーションと特異的に結合する結合ドメインとは、標的がとり得る他のコンフォメーションよりも高い親和性でコンフォメーションの所定のサブセットにおける標的と結合する結合ドメインを意味する。当業者に自明の通り、標的の特定のコンフォメーションと選択的に結合する結合ドメインは、この特定のコンフォメーションにおいて標的を安定化又は維持する。例えば、活性状態コンフォメーション選択的結合ドメインは活性コンフォメーション状態における標的と優先的に結合し、不活性コンフォメーション状態における標的とは結合しないか又は結合の程度が低くなるため、前記活性コンフォメーション状態に対する親和性が高くなり、あるいはその逆も言える。「特異的に結合する」、「選択的に結合する」、「優先的に結合する」なる用語及びその文法的に同等の用語は本願では同義に使用する。「コンフォメーション特異的」又は「コンフォメーション選択的」なる用語も本願では同義に使用する。
本願で使用する「抗体」なる用語は免疫グロブリン(Ig)分子、又は抗原と特異的に結合する免疫グロブリン(Ig)ドメインを含む分子を意味する。抗体は天然源又は組換え源に由来する無傷の免疫グロブリンとすることができ、また、無傷の免疫グロブリンの免疫反応性部分とすることができる。抗体は一般的には免疫グロブリン分子の四量体である。本願で使用する「免疫グロブリン(Ig)ドメイン」なる用語は、抗体鎖の球状領域又は本質的にこのような球状領域から構成されるポリペプチドを意味する。免疫グロブリンドメインは、保存されたジスルフィド結合により任意に安定化された2枚のβシート状に配置された約7~9本の逆平行βストランドの2層サンドイッチから構成されるという抗体分子に特徴的な免疫グロブリンフォールド(本願ではIgフォールドと言う)を維持することを特徴とする。「免疫グロブリン(Ig)ドメイン」なる用語は「免疫グロブリン定常ドメイン」と「免疫グロブリン可変ドメイン」(「IVD」と略称する。)を含み、後者は当技術分野及び本願の以下の文中で夫々「フレームワーク領域1」又は「FR1」、「フレームワーク領域2」又は「FR2」、「フレームワーク領域3」又は「FR3」、及び「フレームワーク領域4」又は「FR4」と称する4個の「フレームワーク領域」から本質的に構成される免疫グロブリンドメインを意味し、これらのフレームワーク領域の間には、当技術分野及び本願の以下の文中で夫々「相補性決定領域1」又は「CDR1」、「相補性決定領域2」又は「CDR2」、及び「相補性決定領域3」又は「CDR3」と称する3個の「相補性決定領域」又は「CDR」が配置されている。免疫グロブリン可変ドメインの一般構造又は配列は、FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4として表すことができる。免疫グロブリン可変ドメイン(IVD)は、抗原結合部位をもつことにより抗原に対する特異性を抗体に付与する。IMGT分類によると、免疫グロブリン可変ドメイン又はVドメインは約100AAを含み、9本の逆平行βストランド(A、B、C、C’、C”、D、E、F及びG)がβターン(AB、CC’、C”D、DE及びEF)と3個のループ(又はCDR)(BC、C’C”及びFG)により連結され、2枚のシートのサンドイッチ[ABED][GFCC’C”]を形成している(図25、Lefranc,2014に基づく改訂版)。シートは疎水性相互作用により相互に密に集まって疎水性コアとなり、(第1のシートの)βストランドBにおける第1の高度に保存されたシステイン(第1番目のCys)と(第2のシートの)βストランドFにおける第2の同等に保存されたシステイン(2番目のCys)の間のジスルフィド架橋により相互に連結される。本発明で使用するIMGT(R)定義システムのユニークなナンバリングは、文献に記載されているCDRとは対照的に、正確で明白に区分されたCDR-IMGTを提供する。他のナンバリングについては、例えばKabat(Kabat et al.,1991)又はChothia(Chothia and Lesk,1987)も参照されたい。Vドメインでは、CDR1-IMGTは27~38位を含み、CDR2-IMGTは56~65位を含み、CDR3-IMGTは105~117位を含む(Lefranc,2014)。本発明のIgドメインの「露出領域」又は「露出ループ」とは、タンパク質の表面に露出された領域又はポリペプチド鎖を意味する。Igドメインでは、前記露出領域又はループはβターンが好ましく、Lefranc(2014)により定義されるようなβターンが最も好ましい。IMGT定義によるとCDRも「ループ」とみなされるが、足場を融合すると抗原結合性が失われ、機能的抗原結合性キメラタンパク質を得られなくなる可能性が非常に高いので、足場を融合するための接近可能な部位をもつ本発明の「露出領域」の好ましい候補とはみなさない。
本発明の「免疫グロブリンドメイン」は、「シングル可変ドメイン」なる用語と同義である「免疫グロブリンシングル可変ドメイン」(「ISVD」と略称する。)も含み、抗原結合部位が単一の免疫グロブリンドメインに存在し、このドメインにより形成されている分子を意味する。これは、2個の免疫グロブリンドメイン、特に2個の可変ドメインが相互作用して抗原結合部位を形成する「従来の」免疫グロブリン又はその断片とは異なる免疫グロブリンシングル可変ドメインを意味する。一般的に、従来の免疫グロブリンでは、重鎖可変ドメイン(VH)と軽鎖可変ドメイン(VL)が相互作用して抗原結合部位を形成する。この場合には、VH及びVLの両方の相補性決定領域(CDR)が抗原結合部位に寄与し、即ち、合計6個のCDRが抗原結合部位形成に関与する。上記定義に鑑みると、従来の4本鎖抗体(例えば当技術分野で公知のIgG、IgM、IgA、IgD又はIgE分子)、又はこのような従来の4本鎖抗体に由来するFab断片、F(ab’)2断片、ジスルフィド結合で連結されたFv断片やscFv断片等のFv断片、若しくはダイアボディ(いずれも当技術分野で公知)の抗原結合性ドメインの場合には、抗原の夫々のエピトープとの結合は1個の(単一の)免疫グロブリンドメインにより行われるのではなく、軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメイン等の1対の(会合した)免疫グロブリンドメインにより行われ、即ち、免疫グロブリンドメインのVH-VL対が一緒になって夫々の抗原のエピトープと結合するので、これらの抗原結合性ドメインは通常では免疫グロブリンシングル可変ドメインとみなさない。これに対して、免疫グロブリンシングル可変ドメインは別の免疫グロブリン可変ドメインと対合せずに抗原のエピトープと特異的に結合することができる。免疫グロブリンシングル可変ドメインの結合部位は単一のVH/VHH又はVLドメインにより形成される。そのため、免疫グロブリンシングル可変ドメインの抗原結合部位は3個以下のCDRにより形成される。従って、単一の抗原結合単位(即ち、単一の抗原結合性ドメインが機能的抗原結合単位を形成するために別の可変ドメインと相互作用する必要がないように、本質的にシングル可変ドメインから構成される機能的抗原結合単位)を形成することができる限り、シングル可変ドメインは軽鎖可変ドメイン配列(例えばVL配列)又は適切なその断片でもよいし、重鎖可変ドメイン配列(例えばVH配列又はVHH配列)又は適切なその断片でもよい。本発明の一つの実施形態において、免疫グロブリンシングル可変ドメインは重鎖可変ドメイン配列(例えばVH配列)であり、より具体的には、免疫グロブリンシングル可変ドメインは従来の4本鎖抗体に由来する重鎖可変ドメイン配列又は重鎖抗体に由来する重鎖可変ドメイン配列とすることができる。例えば、免疫グロブリンシングル可変ドメインは(シングル)ドメイン抗体(又は(シングル)ドメイン抗体として使用するのに適したアミノ酸配列)でもよいし、「dAb」若しくはdAb(又はdAbとして使用するのに適したアミノ酸配列)でもよいし、ナノボディ(本願で定義する通りであり、限定されないが、VHHが挙げられる)でもよく、他のシングル可変ドメイン又はそのいずれか1種の任意の適切な断片でもよい。特に、免疫グロブリンシングル可変ドメインは(本願で定義する)ナノボディ又は適切なその断片とすることができる。なお、ナノボディ(Nanobody)(R)、ナノボディズ(Nanobodies)(R)及びナノクローン(Nanoclone)(R)はAblynx N.V.の登録商標である。ナノボディの一般説明については、以下の詳細な説明と、例えばWO2008/020079等の本願に引用する従来技術を参照されたい。
本願に記載する免疫グロブリンドメインは更に「VHHドメイン」も含み、これらのドメインはVHH、VHHドメイン、VHH抗体断片及びVHH抗体とも称され、当初は「重鎖抗体」(即ち、「軽鎖のない抗体」;Hamers-Casterman et al(1993)Nature 363:446-448)の抗原結合性免疫グロブリン(Ig)(可変)ドメインと記載されていた。「VHHドメイン」なる用語は、従来の4本鎖抗体に存在する重鎖可変ドメイン(本願では「VHドメイン」と言う。)及び従来の4本鎖抗体に存在する軽鎖可変ドメイン(本願では「VLドメイン」と言う。)からこれらの可変ドメインを区別するために選択された。VHH及びナノボディの詳細な説明については、Muyldermansによる総説論文(Reviews in Molecular Biotechnology 74:277-302,2001)と、一般的な背景技術として引用する以下の特許出願、即ちVrije Universiteit Brussel名義のWO94/04678、WO95/04079及びWO96/34103;Unilever名義のWO94/25591、WO99/37681、WO00/40968、WO00/43507、WO00/65057、WO01/40310、WO01/44301、EP1134231及びWO02/48193;Vlaams Instituut voor Biotechnologie(VIB)名義のWO97/49805、WO01/21817、WO03/035694、WO03/054016及びWO03/055527;Algonomics N.V.及びAblynx N.V.名義のWO03/050531;National Research Council of Canada名義のWO01/90190;Institute of Antibodies名義のWO03/025020(=EP1433793);並びにAblynx N.V.名義のWO04/041867、WO04/041862、WO04/041865、WO04/041863、WO04/062551、WO05/044858、WO06/40153、WO06/079372、WO06/122786、WO06/122787及びWO06/122825、更にAblynx N.V.名義の他の公開特許出願を参照されたい。これらの文献に記載されているように、ナノボディ(特に、VHH配列及び部分的にヒト化されたナノボディ)は、フレームワーク配列の1個以上における1個以上の「ホールマーク残基」の存在により特徴付けることができる。ナノボディのヒト化及び/又はラクダ化と他の修飾、部分又は断片、誘導体又は「ナノボディ融合体」、多価コンストラクト(リンカー配列のいくつかの非限定的な例を含む)並びにナノボディとその製剤の半減期を延長するための種々の修飾を含めてナノボディの詳細な説明については、例えばWO08/101985とWO08/142164を参照されたい。
「ドメイン抗体」は「Dab」、「ドメイン抗体」及び「dAb」(「ドメイン抗体」及び「dAb」なる用語はGlaxoSmithKlineグループ会社により商標として使用されている。)とも称され、例えば、EP0368684、Ward et al.(Nature 341:544-546,1989)、Holt et al.(Tends in Biotechnology 21:484-490,2003)及びWO03/002609に記載されており、更にDomantis Ltd名義の例えばWO04/068820、WO06/030220、WO06/003388及び他の公開特許出願にも記載されている。ドメイン抗体は本質的にラクダ科以外の哺乳動物、特に、ヒトの4本鎖抗体のVH又はVLドメインに対応する。単一の抗原結合性ドメインとして即ち夫々VL又はVHドメインと対合せずにエピトープと結合するためには、例えばヒトシングルVH又はVLドメイン配列のライブラリーを使用することによりこのような抗原結合性について特に選択する必要がある。ドメイン抗体はVHHと同様に分子量が約13~約16kDaであり、完全ヒト配列に由来する場合には、例えばヒトで治療に使用するのにヒト化する必要がない。なお、シングル可変ドメインは所定種のサメに由来するものも利用できる(例えば所謂「IgNARドメイン」、例えば WO05/18629参照)。
(VHHドメインとヒト化VHHドメインを含む)ドメイン抗体やナノボディ等の免疫グロブリンシングル可変ドメインは産生時にインビボ成熟高分子であるが、得られる免疫グロブリンシングル可変ドメインの夫々の抗原に対する親和性が夫々の親分子と比較して改善されるように、1個以上のCDRのアミノ酸配列に1箇所以上の変異を導入することにより、更に親和性成熟させることができる。本発明の親和性成熟免疫グロブリンシングル可変ドメイン分子は、例えばMarksら(Biotechnology 10:779-783,1992)、Barbasら(Proc.Nat.Acad.Sci,USA 91:3809-3813,1994)、Shierら(Gene 169:147-155,1995)、Yeltonら(Immunol.155:1994-2004,1995)、Jacksonら(J.Immunol.154:3310-9,1995)、Hawkinsら(J.MoI.Biol.226:889 896,1992)、JohnsonとHawkins(Affinity maturation of antiodies using phage display,Oxford University Press,1996)により記載されているような当技術分野で公知の方法により作製することができる。ドメイン抗体やナノボディ等の免疫グロブリンシングル可変ドメインから出発してポリペプチドを設計/選択及び/又は作製するプロセスを、本願では前記免疫グロブリンシングル可変ドメインの「フォーマッティング」とも言い、また、ポリペプチドを構成する免疫グロブリンシングル可変ドメインを、「フォーマッティングされている」又は前記ポリペプチド「のフォーマットに含まれる」と言う。免疫グロブリンシングル可変ドメインをフォーマッティングすることができる方法の例と、例えばグリコシル化を避けるためのこのようなフォーマットの例は本願の開示から当業者に明白に理解されよう。
(VHHドメインを含む)ドメイン抗体やナノボディ等の免疫グロブリンシングル可変ドメインはヒト化することができ、即ち、最もよく似たヒト生殖細胞系列配列との配列一致度を増すことができる。特に、(VHHドメインを含む)ナノボディ等のヒト化免疫グロブリンシングル可変ドメインは、上記段落で一般的に定義した免疫グロブリンシングル可変ドメインであるが、(本願に定義するような)ヒト化置換であるか及び/又はヒト化置換に対応する少なくとも1個のアミノ酸残基(特に、少なくとも1個のフレームワーク残基)が存在するものとすることができる。天然VHH配列のフレームワーク領域の配列を1種以上の密接に関連するヒトVH配列の対応するフレームワーク配列と比較することにより、潜在的に有用なヒト化置換を確認することができ、その後、こうして決定された潜在的に有用なヒト化置換の1種以上(又はその組み合わせ)を(本願に詳細に記載するそれ自体公知のいずれかの方法で)前記VHH配列に導入し、得られたヒト化VHH配列を試験し、標的に対する親和性、安定性、発現し易さと発現レベル、及び/又は他の望ましい性質について調べることができる。こうして、過度ではない試行錯誤により、当業者は他の適切なヒト化置換(又はその適切な組み合わせ)を決定することができる。更に、上記に基づき、(VHHドメインを含む)ナノボディ等の免疫グロブリンシングル可変ドメイン(のフレームワーク領域)を部分的にヒト化又は完全にヒト化することができる。なお、免疫グロブリンシングル可変ドメインと広義での本発明の抗原結合性キメラタンパク質は特定の生物資源又は特定の作製方法に制限されない。例えば、免疫グロブリンシングル可変ドメイン、特に、本発明の抗原結合性キメラタンパク質は一般に、(1)天然重鎖抗体のVHHドメインを単離し、抗原結合性キメラタンパク質を得るように配列を更に操作する方法;(2)抗原結合性キメラタンパク質の前記足場タンパク質に融合したフォーマットにおいて天然VHHドメインをコードするヌクレオチド配列を発現させる方法;(3)天然VHHドメイン及び/又は足場タンパク質を「ヒト化」する方法、又はこのようなヒト化VHHドメイン及び/又は足場タンパク質及び/又は抗原結合性キメラタンパク質をコードする核酸を発現させる方法;(4)既存抗体との結合を弱めるように天然VHHドメインを「突然変異」させる方法、又は天然VHHと比較して既存抗体との結合を弱めた本発明の抗原結合性キメラタンパク質を得るように足場タンパク質融合部位を細心に操作する方法;(5)前記足場タンパク質とのその後の融合に備え、いずれかの動物種、特にヒト等の哺乳動物種に由来する天然VHドメインを「ラクダ化」する方法;あるいは(6)それ自体公知のタンパク質、ポリペプチド又は他のアミノ酸配列を作製するための合成又は半合成技術を使用する方法により得ることができる。既存抗体との結合を弱めたポリペプチド(例えば、WO2012/175741及びWO2015/173325参照)を作製するためには、ヒト化工程中に適切な突然変異、特に置換を例えば11位、13位、14位、15位、40位、41位、42位、82位、82a位、82b位、83位、84位、85位、87位、88位、89位、103位又は108位のうちの少なくとも1箇所に導入することができる。あるいは、抗原結合性キメラタンパク質との結合を妨害するように足場タンパク質との融合を設計することにより、既存抗体との結合に感受性の位置を立体的に遮蔽してもよい。
免疫グロブリンドメインに代わるものとして、Igスーパーファミリー又は「Ig様ドメイン」も多くのタンパク質に存在しており、実際に配列と構造が夫々免疫グロブリンドメイン及びIgフォールドと非常によく似たドメインを構成するが、免疫グロブリン抗体自体のドメインから区別するためにIg様ドメインと称する。Igフォールドは抗原認識が特別であるというよりも、相互作用を生じるのに特に優れていることが分かっており、広く使用されている。免疫グロブリン様ドメインは配列パターンに従ってV、C1、C2及びIに分類することができる。モノボディは例えば免疫グロブリン様ドメインを含む。
本願で使用する「検出可能なラベル」、「標識」又は「タグ」なる用語は本願に記載する単離又は精製(ポリ)ペプチドの検出、可視化、及び/又は単離、精製及び/又は固定化を可能にする検出可能なラベル又はタグを意味し、当技術分野でこれらの目的に公知のあらゆるラベル/タグを含む意味である。特に好ましいのは、キチン結合タンパク質(CBP)、マルトース結合タンパク質(MBP)、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)、ポリ(His)(例えば、6×His又はHis6)、Strepタグ(R)、StrepタグII(R)及びTwin-Strepタグ(R)等の親和性タグ;チオレドキシン(TRX)、ポリ(NANP)及びSUMO等の可溶化タグ;FLAGタグ等のクロマトグラフィータグ;V5タグ、mycタグ及びHAタグ等のエピトープタグ;蛍光タンパク質(例えばGFP、YFP、RFP等)や蛍光色素(例えばFITC、TRITC、クマリン及びシアニン)等の蛍光ラベル又はタグ(即ちフルオロクロム/フルオロフォア);ルシフェラーゼ等の発光ラベル又はタグ;並びに(他の)酵素ラベル(例えばペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、ウレアーゼ又はグルコースオキシダーゼ)である。上記ラベル又はタグのいずれかの組み合わせも含む。抗原結合性キメラタンパク質は例えば半減期延長モジュールに融合又は連結してもよいし、半減期延長モジュール自体として機能するものでもよい。このようなモジュールは当業者に公知であり、例えばアルブミン、アルブミン結合性ドメイン、免疫グロブリンのFc領域/ドメイン、免疫グロブリン結合性ドメイン、FcRn結合性モチーフ及びポリマーが挙げられる。特に好ましいポリマーとしては、ポリエチレングリコール(PEG)、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、ヒアルロン酸、ポリシアル酸及びPEGミメティックペプチド配列が挙げられる。単離(ポリ)ペプチドの凝集を防ぐ修飾も当業者に公知であり、例えば、1個以上の疎水性アミノ酸を置換する方法が挙げられ、表面に露出した疎水性アミノ酸を1個以上の親水性アミノ酸で置換する方法が好ましい。一つの実施形態において、単離(ポリ)ペプチド又はその免疫原性変異体又はこれらのいずれかの免疫原性断片は10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個又は2個、好ましくは5個、4個、3個又は2個までの疎水性アミノ酸、好ましくは表面に露出した疎水性アミノ酸が親水性アミノ酸で置換されている。このような置換により単離(ポリ)ペプチドの他の特性、例えば、その免疫原性、抗原結合機能性を損なわないことが好ましい。
本発明の目的で「患者」又は「対象」とは、脊椎動物等のあらゆる生物、特にヒト及び別の哺乳動物を含めたあらゆる哺乳動物を意味し、例えば、げっ歯類、ウサギ、ウシ、ヒツジ、ウマ、イヌ、ネコ、ラマ、ブタ、又は非ヒト霊長類(例えばサル)等の動物が挙げられる。げっ歯類としては、マウス、ラット、ハムスター、モルモット又はチンチラが挙げられる。一つの実施形態において、対象はヒト、ラット又は非ヒト霊長類である。対象はヒトが好ましい。一つの実施形態において、対象は疾患若しくは障害をもつか又はその疑いのある対象であり、本願では「患者」とも言う。
本願で使用する「予防する」なる用語は(例えば予防的処置により)疾患又は障害の発症を停止/抑制することを意味する場合がある。この用語は(例えば予防的処置により)疾患又は障害の発症を遅らせること、その症状の頻度を減らすこと、又は随伴症状の重症度を低くすることを意味する場合もある。「治療」又は「治療用」又は「治療する」なる用語は同義に使用することができ、徴候、症状、障害、病態又は疾患の進行又は重症度を遅延、中断、阻止、抑制、停止、軽減又は回復させる治療介入として定義されるが、必ずしも疾患に関連する全ての徴候、症状、病態又は障害の完全な排除を意味するものではない。
Nbは経路選択的アゴニストのスクリーニングを可能にするためにドラッガブルなシグナル伝達コンフォメーションを特異的に安定化すると記載されているが、本発明の抗原結合性キメラタンパク質はこのようなNbをベースとする抗原結合性ドメインでも利用できる。
バイオテクノロジーにおけるこのような技術の迅速な進歩に鑑み、本発明は新規なタンパク質治療薬の創製を促し、現在のタンパク質医薬品の性能改善につながると予想できる。
第1の態様において、本発明は抗原結合性ドメインを足場タンパク質と融合した抗原結合性キメラタンパク質に関し、前記足場タンパク質は、前記抗原結合性ドメインフォールドにおける接近可能な少なくとも1個以上のアミノ酸部位で融合することにより、前記抗原結合性ドメインのトポロジーを分断するように前記抗原結合性ドメインと連結されている。前記抗原結合性キメラタンパク質は更に、その天然又は野生型形態において前記足場タンパク質と融合していない抗原結合性ドメインと比較した場合に、その抗原結合機能性を同様に維持することを特徴とする。従って、一つの実施形態において、前記抗原結合性キメラタンパク質はコンフォメーション選択的結合ドメインである。1実施形態は、足場タンパク質が抗原結合性ドメインをそのトポロジーにおいて「分断/遮断」するように、抗原結合性ドメインを足場タンパク質と融合した抗原結合性キメラタンパク質を提供する。一般に、タンパク質の「トポロジー」とは、三次元空間における規則的な二次構造の相互に対する向きを意味する。タンパク質フォールドは主にポリペプチド鎖トポロジーにより決まる(Orengo et al.,1994)。従って、最も基本的なレベルにおいて、「一次トポロジー」はタンパク質フォールド認識モチーフに関与し、従って、二次及び三次タンパク質/ドメインフォールディングに関与する二次構造要素(SSE)の繋がりとして定義される。つまり、タンパク質構造の観点では、真のトポロジー又は一次トポロジーはSSEの繋がりであり、即ち、タンパク質鎖のN末端とC末端を手に持ってまっすぐにひっぱることができると想像するならば、どのようなタンパク質フォールドであってもトポロジーは変化しない。この場合、タンパク質の一次構造及び三次構造との類推からタンパク質フォールドを三次トポロジーと言う(Martin,2000も参照)。このため、足場タンパク質融合体を導入することにより、本発明の抗原結合性キメラタンパク質の抗原結合性ドメインはその一次トポロジーを分断されるが、意外にも前記抗原結合性ドメインはその三次構造を維持し、その機能的抗原結合能を維持することができた。
「足場タンパク質」とは、本願に記載する別のタンパク質、特に抗原結合性ドメインとの融合を可能にする構造をもつあらゆる型のタンパク質を意味する。このような「足場」、「ジャンクション」又は「融合パートナー」タンパク質は、抗原結合性ドメインの融合点として切断するための少なくとも1個の接近可能な部位を提供するようにその三次構造に少なくとも1個の露出領域をもつことが好ましい。足場ポリペプチドを使用して抗原結合性ドメインと結合させることにより、抗原結合性キメラタンパク質はドッキングしたコンフィギュレーションとなり、質量を増し、対称性を提供し、及び/又はラベルを提供し、及び/又は付加的な抗原結合部位を追加し、及び/又は半減期を延長し、及び/又は免疫原性を低下させ、及び/又は機能性を改善するか若しくは抗原結合性ドメインに追加する。つまり、使用する足場タンパク質の種類に応じて、得られる抗原結合性キメラタンパク質の異なる目的が予想される。どのようなタンパク質でもよいという点で足場タンパク質の種類と性質は重要ではなく、本発明の抗原結合性キメラタンパク質のように前記抗原結合性ドメインと融合した足場タンパク質は、その構造、サイズ、機能又は存在に応じて種々の利用分野で有用であろう。足場タンパク質の構造は最終的なキメラ構造に影響を与えるため、当業者は足場を選択する際に足場タンパク質に関する公知構造情報を利用し、妥当な予測を考慮すべきである。足場タンパク質の例を本願の実施例に示すが、本発明の抗原結合性キメラタンパク質を作製するために足場タンパク質として利用可能なタンパク質は限定されず、このようなタンパク質は特に酵素、膜タンパク質、受容体、アダプタータンパク質、シャペロン、転写因子、核タンパク質、抗原結合性タンパク質自体(例えば、特にナノボディ)である。好ましい1実施形態において、前記足場タンパク質の三次元構造は公知であるか、又は当業者により予測可能であるため、抗原結合性ドメインを融合するために接近可能な部位は前記当業者が決定できる。
新規キメラタンパク質は、ジャンクションがキメラタンパク質構造の内側でフレキシブルなルーズで弱いリンク/領域とならないようにユニークな方法で融合されている。2個のポリペプチドを連結又は融合する簡便な手段は、第1のポリペプチドをコードする第1のポリヌクレオチドを、第2のポリペプチドをコードする第2のポリヌクレオチドと機能的に連結した組換え核酸分子から融合タンパク質として古典的な公知方法で発現させる方法である。一方、本発明の組換え核酸分子では、前記抗原結合性キメラタンパク質を発現させる遺伝子融合体の設計に前記足場による抗原結合性ドメインのトポロジーの分断も考慮する。従って、一つの実施形態において、抗原結合性キメラタンパク質は抗原結合性ドメインをコードする遺伝子の部分と、足場タンパク質をコードする遺伝子の部分を組換えることにより形成されるキメラ遺伝子にコードされ、前記コードされた足場タンパク質は、少なくとも2箇所以上の直接融合又はコードされたペプチドリンカーによる融合を介して前記ドメインの1個以上の接近可能な部位で、コードされた抗原結合性ドメインの一次トポロジーを分断する。従って、融合させるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、前記タンパク質間に剛性で非柔軟性のリンク、連結又は融合を提供する抗原結合性キメラタンパク質を提供するように断片化又は組換えされる。新規キメラは、抗原結合性ドメインの一次トポロジーが分断されるように足場タンパク質を抗原結合性ドメインと融合することにより作製され、即ち抗原結合性ドメインのアミノ酸配列は接近可能な部位で分断され、足場タンパク質の接近可能なアミノ酸と連結されるため、場合によってはこのアミノ酸配列も分断される。ジャンクションは分子内に形成され、換言するならばアミノ酸配列内の内部に形成される(実施例及び図面参照)。従って、本発明の組換え融合体は、単にN末端又はC末端で融合しているだけでなく、少なくとも1個の内部融合部位を含むキメラとなり、これらの部位は直接又はリンカーペプチドを介して融合されている。抗原結合性キメラタンパク質を作製するために循環置換足場を適用する場合には、N末端とC末端を連結した後に、足場タンパク質の配列内のその三次構造における接近可能な部位に対応する別の部位でアミノ酸配列を切断又は分離し、抗原結合性ドメイン部分のアミノ酸配列と融合することにより、前記足場タンパク質のアミノ酸配列を変化させる。循環置換を得るための前記N末端とC末端の連結は直接融合でもよいし、リンカーペプチドを介してもよいし、N末端とC末端の近傍の領域の短い欠失後に両端をペプチド結合してもよい。
「接近可能な部位」、「融合部位」又は「融合点」又は「連結部位」又は「露出部位」なる用語は本願では同義に使用し、いずれもタンパク質配列の構造的に接近可能なアミノ酸部位を意味し、タンパク質の表面の位置又は表面に露出した位置が好ましい。当業者はこれらの部位を決定することができよう。抗原結合性ドメインの抗原結合部位は例えばIgドメインのCDR等の露出領域を意味することが多い。しかし、抗原結合性ドメインを足場タンパク質に融合するためにこれらの部位を分断すると、抗原結合能が低下する可能性があり、本発明の抗原結合性キメラタンパク質には不適切であるため、本願では接近可能な融合部位として適用するものではない。従って、本願に記載する「ループ」又は「βターン」としての「接近可能な部位」及び「露出領域」とは、抗原結合部位又は領域以外、従ってCDR以外の部位及び領域を意味する。タンパク質のN末端又はC末端も大半の場合にはタンパク質三次元構造の「ルーズ」な末端であるため、表面から接近可能である。抗原結合性ドメインにおける少なくとも1個の他の接近可能な部位を融合に使用する場合には、この接近可能な部位に分断/挿入が起こり、トポロジーが分断され、この接近可能な融合部位により新規キメラに剛性が提供されるため、このような場合に限り、タンパク質のN末端又はC末端も本発明のキメラにおける接近可能な部位とみなすことができる。つまり、接近可能な部位はタンパク質のアミノ末端及び/又はカルボキシ末端部位を含むことができるが、N末端又はC末端から構成される接近可能な部位からの融合のみによりキメラを形成することはできない。抗原結合性ドメインの少なくとも1個以上の部位を足場タンパク質との融合に使用し、従来の公知ドメインフォールドのトポロジーを分断させる。従って、一つの実施形態において、前記少なくとも1個の接近可能な部位は、この少なくとも1個が1個である場合には前記ドメインのN末端及び/又はC末端部位以外のものであり、及び/又は前記ドメインのN末端若しくはC末端部位を含まない。特定の1実施形態において、少なくとも1個の部位は前記ドメインのN末端又はC末端アミノ酸以外のものである。別の実施形態において、足場タンパク質と融合させるために少なくとも2個以上の部位を使用する場合には、接近可能な部位は抗原結合性ドメインのN末端又はC末端部位とすることができる。足場タンパク質はその三次構造から見える接近可能な部位も介して融合されており、その場合、一つの実施形態において、前記少なくとも1個の部位は足場タンパク質のN末端又はC末端以外のものであり、代替実施形態において、前記少なくとも1個の部位は前記足場のN末端又はC末端である。
ある種の実施形態において、抗原結合性キメラは前記抗原結合性ドメインの露出領域における分断部に融合された前記足場タンパク質のN末端断片と、前記抗原結合性ドメインのC末端に融合された前記足場タンパク質のC末端断片を含む。
本発明のある種の実施形態において、融合は直接融合又はリンカーペプチドによる融合とすることができ、前記融合部位は剛性で非柔軟性の融合タンパク質となるように完璧に設計される。選択される接近可能な部位の位置に加え、リンカーペプチドの長さと種類も、得られるキメラタンパク質の剛性に寄与する。本発明の文脈内で、抗原結合性キメラタンパク質を構成するポリペプチドは相互に直接融合されるか、ペプチド結合による連結により融合されるか、又は間接的に融合され、間接連結ではショートペプチドリンカーを介する連結により2個のポリペプチドを会合させる。好ましい「リンカー分子」、「リンカー」又は「ショートポリペプチドリンカー」は最大10アミノ酸長、より一般には4アミノ酸長のペプチドであり、3アミノ酸長が一般的であるが、接近可能な部位で融合ジャンクションに望ましい剛性を提供するためには、2アミノ酸長とすることが好ましく、1アミノ酸が更に好ましい。適切なリンカー配列の非限定的な例については実施例のセクションに記載するが、これらはランダムに選択することができ、構造ドメイン間に一定の距離を保つと共に、融合パートナーにそれらの個々の機能(例えば抗原結合性)を維持するようにリンカーを選択することに成功した。リジッドリンカーの使用に関する実施形態において、これらはαヘリックス構造をとることにより又は複数のプロリン残基を含むことによりユニークなコンフォメーションを示すことが一般に知られている。フレキシブルリンカーも適切であると思われ、1~4アミノ酸長に抑えると好ましいが、多くの状況において、リジッドリンカーはフレキシブルリンカーよりも更に効率的に機能的ドメインを分離する。
一つの実施形態において、抗原結合性ドメインの接近可能な部位はドメインフォールドの露出領域に位置する。前記露出領域は固定度の低いアミノ酸の連なりとみなされ、主にタンパク質の表面と構造の稜線に位置する。露出領域はタンパク質構造のループ又はβターンとして存在することが好ましい。
特定の1実施形態において、前記抗原結合性キメラタンパク質は、主にβシートとして存在する少なくとも7本の逆平行βストランドと、露出領域ともみなされる少なくとも3個のβターンからなる抗原結合性ドメインを含む。一つの実施形態において、少なくとも7本の逆平行βストランドと少なくとも3個のβターンからなる前記抗原結合性ドメインは、特にモノボディの抗原結合性ドメイン等の免疫グロブリン様ドメインを含む。モノボディはフィブロネクチンIII型ドメイン(FN3)を分子足場として使用して作製される合成結合性タンパク質である。天然FN3足場は94アミノ酸から構成され、分子量は約10kDaであり、抗体のシングル可変ドメインのサイズと同等である。これらはヒトフィブロネクチンの構造をベースとし、より具体的には、その10番目の細胞外III型ドメインをベースとする。このドメインは抗体可変ドメインと同様の構造であり、各側に7本のβストランドと3個の露出ループをもつ。別の特定の実施形態において、前記抗原結合性キメラタンパク質は免疫グロブリン(Ig)ドメインである抗原結合性ドメインを含む。免疫グロブリン(Ig)ドメインは、約125アミノ酸から成るグリークキートポロジーをもつ2枚のβシート状に配置された7~9本の逆平行βストランドの2層サンドイッチから構成される型のタンパク質ドメインである。免疫グロブリンの可変(V)サブユニットと定常(C)サブユニットは2層を形成するβストランドの数と規則性が異なり、Cドメインは4本のストランドが一方のβシートを形成し、3本のストランドが第2のシートを形成するように配置された7本のβストランドから構成され、Vドメインは7本ではなく9本のβストランドを含む。Vドメインの残りの2本のストランドは一方のβシートの辺に挿入され、抗原認識部位の形成に直接関与する第2の超可変部を構成するので、機能的に重要である。本発明の抗原結合性キメラタンパク質を得るために抗原結合性ドメインのトポロジーを分断することにより、意外にも、得られたキメラタンパク質では免疫グロブリン又は免疫グロブリン様フォールドが維持され、標的タンパク質又は抗原と結合するその機能性も維持された。
足場タンパク質を融合させる抗原結合性ドメイン又はIgドメインを含むタンパク質に関して、抗原結合性又はIgドメインの抗原又は標的の種類はどのようなものでもよい。従って、標的の種類は本発明には重要ではなく、夫々抗原結合性ドメイン又はIg若しくはIg様ドメインの抗原結合部位又はCDRと特異的に結合するあらゆるエピトープを有効な標的タンパク質とみなすことができる。標的は非限定的な1例を挙げると、単量体タンパク質、別の高分子構造、多量体、タンパク質複合体、又は一過的なタンパク質間相互作用とすることができる。標的はどのような機能性をもつものでもよく、限定されないが、例えば、酵素、GPCR等の膜タンパク質、イオンチャネルのみならず、特に、核内受容体及び他の受容体タンパク質も前記抗原結合性ドメインの標的とすることができる。あるいは、標的の資源はどのような起源でもよく、限定されないが、例えば特にヒト、哺乳動物又は動物に加え、細菌、ウイルス、昆虫に由来するものが挙げられる。
一つの実施形態において、抗原結合性ドメイン又はIg/Ig様ドメインの抗原は、前記抗原結合性ドメイン又はIg/Ig様ドメインと融合して抗原結合性キメラタンパク質を形成する足場タンパク質以外のものである。本発明に記載するように抗原結合性ドメイン又はIgドメインと融合又は連結するために足場タンパク質を使用する場合には、新規抗原結合性キメラタンパク質はその単量体の天然又は融合形態に存在する足場タンパク質と特異的に結合しないことがより好ましい。あるいは、本願には抗原結合性キメラタンパク質の組成物を開示し、前記組成物は本願に記載する第1の抗原結合性キメラタンパク質と第2の抗原結合性キメラタンパク質を含み、前記第2の抗原結合性キメラタンパク質の抗原結合性ドメインは前記第1の抗原結合性キメラタンパク質の足場タンパク質と特異的に結合する。抗原結合性キメラタンパク質がそれ自体の足場と結合して凝集又は連鎖反応するのを避けるために、前記第2の抗原結合性キメラタンパク質の足場は前記第1の抗原結合性キメラタンパク質の足場タンパク質と異なる。「異なる」とは、本願において本発明の目的では、第2の抗原結合性キメラタンパク質の足場タンパク質のアミノ酸突然変異、欠失、挿入若しくは置換又は修飾の結果として、第2の抗原結合性キメラタンパク質の抗原結合性ドメインが第2の抗原結合性キメラタンパク質の前記足場タンパク質部分と結合しなくなることを意味する。別の実施形態は、その抗原又は標的タンパク質と結合させた複合体における抗原結合性キメラタンパク質の前記組成物に関する。
代替実施形態において、抗原結合性キメラタンパク質は、i)免疫グロブリン又はIg様ドメインの保存されたN末端アミノ酸配列と、ii)足場タンパク質と、iii)i)の前記保存されたN末端アミノ酸配列をもたない免疫グロブリンドメイン配列を含むリジッドな融合タンパク質として表され、i)とiii)はii)の前記足場タンパク質とコンカテマー化されている。好ましい1実施形態において、前記リジッドな融合タンパク質はFR1領域の保存されたN末端ドメインである保存されたN末端アミノ酸配列を含み、この配列は配列番号1に示すような残基からなる保存されたコンセンサス配列、又は11~15残基長(例えば、配列番号1の残基11~15のN末端部分の末端、即ち第1のβターンの近傍)のその相同配列を含む。
別の実施形態において、抗原結合性キメラタンパク質の抗原結合性ドメインはヘリカル二次構造を含む。特に、前記抗原結合性ドメインは抗体ミメティックとしての抗原結合性ドメインの部分であるアルファボディでもよいし、免疫グロブリンとは非常に異なる構造をもつが、リジッドヘリカルリンカーの設計により同様にリジッドにできるように設計されているため、抗原結合性キメラタンパク質を作製するために本願に記載するような融合に利用可能なαヘリックスを含む抗体ミメティックであるDARPinでもよい。しかし、抗体ミメティックの抗原結合性は合成により創製されるか又は予想される結合部位であり、天然には存在しないものであるため、例えばシングルドメイン抗体のインビボ成熟抗原結合部位と比較して利用性が劣る可能性がある。更に、トポロジーを妨害するためにβターンを含む融合体と比較して、前記ヘリカル構造又はコイルドコイルを使用してリジッドな融合体を作製する方法は複雑になる可能性がある。
他の実施形態において、前記抗原結合性ドメインの露出領域はIMGT(Lefranc,2014)により定義されるようなβターンを含み、前記足場タンパク質は、a.前記抗原結合性ドメインのβストランドA及びBを繋ぐ第1のβターン、又はb.前記抗原結合性ドメインのβストランドC及びC’を繋ぐβターン、又はc.前記抗原結合性ドメインのβストランドC”及びDを繋ぐβターン、又はd.前記抗原結合性ドメインのβストランドD及びEを繋ぐβターン、又はe.前記抗原結合性ドメインのβストランドE及びFを繋ぐβターンである免疫グロブリン(可変)ドメインの前記露出領域に挿入又は融合されている。好ましい1実施形態において、接近可能な部位はIgドメインのA及びBβストランドを繋ぐABβターンの露出領域に位置する。あるいは、接近可能な部位はIgドメインのC及びC’βストランドを繋ぐCC’βターンにより規定される露出領域に位置する。別の実施形態はC”Dβターン又はEFβターンに接近可能な部位をもつ露出領域を含む。
実際に、これらは夫々βストランドA及びB、C及びC’、C”及びD、又はE及びFを繋いで典型的なサンドイッチのβシートを構成し、免疫グロブリンフォールドを提供する表面ループである。IgドメインのCDRが標的タンパク質のエピトープと結合するその能力を維持するように、接近可能な部位は露出領域、ループ又はβターンに位置することが最も好ましい。CDR自体を露出領域とみなすこともできるので、理論的には接近可能な部位となる。しかし、抗原結合性キメラタンパク質が機能的になり、従って、抗原結合性となるのは、標的タンパク質を結合できているときだけであり、CDRのアミノ酸を接近可能な部位として融合に使用する場合にはその可能性はない。
別の実施形態において、前記抗原結合性ドメインは免疫グロブリン様ドメインを含み、例えば、より特定的にはモノボディの免疫グロブリン様ドメインを含み、足場タンパク質はIgドメインについて上述した選択肢と同様に、Koide et al.(2012)で注釈付けられた構造に従って定義すると、より特定的にはモノボディの前記Ig様ドメインのβストランドA及びBを繋ぐ第1のβターン、又は前記Ig様ドメインのβストランドC及びDを繋ぐβターン、又は前記Ig様ドメインのβストランドE及びFを繋ぐβターンに挿入される。前記命名法はVHH Ig-フォールドアノテーションに基づいて採用した。
別の実施形態において、足場タンパク質は循環置換を含む。好ましい1実施形態において、足場タンパク質の前記循環置換は足場タンパク質のN末端及び/又はC末端に導入され、足場タンパク質のN末端とC末端の間が最も好ましい。別の実施形態は少なくとも2本の逆平行βストランドを含む足場タンパク質を提供する。
一つの実施形態では、その構造の露出領域に対応するその配列中のその切断された接近可能な部位で循環置換足場タンパク質と融合させ、ABβターンに対応するその配列中の切断された接近可能な部位でIgドメイン又は抗原結合性ドメイン一次トポロジーを分断することにより、(2本のペプチド結合又は2本のショートリンカーを介して)免疫グロブリン又は抗原結合性ドメインを足場に連結する融合タンパク質が得られる(但し、前記露出部位又は接近可能な部位はN末端又はC末端以外のものである)。従って、(図2に示すように)足場タンパク質の循環置換をN末端とC末端に導入する特定の実施形態では、(図8に示すように)一体としての抗原結合性タンパク質断片と足場タンパク質配列を組換え融合することができる。特定の1実施形態では、抗原結合性ドメイン又はIgドメインの内側、好ましくはβストランドAの末端とβストランドGの末端でABβターンの接近可能な部位の近傍に配置されたシステイン残基により形成される強化用のジスルフィド架橋を更に作製することにより、前記キメラはその剛性が強化されている。一つの実施形態では、抗原結合性キメラタンパク質の剛性を改善するために抗原結合性ドメインと足場を更にジスルフィド結合により連結する。これらの部位は、(例えば配列番号1の残基11~15付近の)Aβストランドの最後のアミノ酸であることが最も好ましく、前記残基をシステインに置き換え、Igドメインの最後のアミノ酸の1個もシステインに突然変異させる(図10参照)。
別の実施形態において、(2本のペプチド結合又は2本のショートリンカーを介して)免疫グロブリンを足場に連結する前記融合タンパク質は、その配列中に位置するその構造の(N末端又はC末端以外の)露出領域におけるその切断された接近可能な部位で循環置換足場タンパク質と融合させ、そのCC’βターンにおける切断された接近可能な部位でIgドメイントポロジーを分断することにより得られる。従って、(図22に示すように)N末端とC末端を連結することにより足場タンパク質の循環置換を導入する特定の1実施形態では、(図8に示すように)一体としてのIgタンパク質断片と足場タンパク質配列を組換え融合することができる。
別の実施形態において、本願に記載する足場タンパク質はオブリゲート二量体若しくは多量体(例えば12量体であり、ホモオリゴマーでもヘテロオリゴマーでもよい)、及び/又はコートタンパク質、ウイルス様粒子タンパク質、又はその断片である。コートタンパク質又はウイルス様粒子タンパク質は多量体を形成しており、自己集合して対称構造となり、融合したIgドメインが前記対称構造の表面に提示される。
別の実施形態では、そのN末端アミノ酸で足場タンパク質と融合させ、そのABβターンにおける切断された接近可能な部位で抗原結合性ドメイン又はIg/Ig様ドメイントポロジーを分断することにより、(3本のペプチド結合又は3本のショートリンカーを介して)免疫グロブリンを足場に連結する融合又はキメラタンパク質が得られる。前記足場タンパク質も、IgドメインのβストランドBとの融合を可能にするABβターン部位と再連結するために切断される構造的に接近可能な部位をその配列中に必要とする。Igドメインの第2の接近可能な部位は限定するものではないが、例えばそのC末端アミノ酸により提供され、足場タンパク質の残りの部分と更に融合される(図11参照)。従って、足場タンパク質を抗原結合性ドメイン又はIg/Ig様ドメインの2箇所の異なる接近可能な部位に融合する特定の実施形態では、2断片としての抗原結合性トメイン又はIgドメインタンパク質断片と足場タンパク質配列を組換え融合する必要がある。特定の1実施形態において、3本のペプチド結合又はショートリンカーを介して免疫グロブリンを足場に連結する前記キメラ融合タンパク質は、Igドメインの内側に配置されたシステイン残基により形成される強化用のジスルフィド架橋を更に作製することにより、その剛性が強化されている。特定の1実施形態において、前記足場タンパク質は対称性をもたせるために、オブリゲート二量体又は多量体であり、あるいはコートタンパク質又はウイルス様粒子又はその断片とすることもできる。
具体的な1実施形態において、(3本のペプチド結合又はショートリンカーを介して)免疫グロブリンを足場に連結する融合タンパク質はヘテロ二量体を形成する2個の足場タンパク質を含む。前記融合タンパク質は、その配列中に位置するその構造の(N末端又はC末端以外の)露出領域におけるその切断された接近可能な部位で第1の循環置換足場タンパク質と融合させ、そのABβターンにおける切断された接近可能な部位でIgドメイントポロジーを分断した後、そのC末端で同一の接近可能な部位と融合させ、βストランドBと再連結してIgドメインに戻すことにより得られる。Igドメインの第2の接近可能な部位はそのC末端アミノ酸により提供され、最終的に第2の足場タンパク質のN末端と融合され、第2の足場タンパク質は第1の足場タンパク質と二量化し、剛性が強化される。特定の1実施形態では、足場タンパク質の循環置換をN末端とC末端に導入する。従って、第1の足場タンパク質の循環置換をN末端とC末端に導入する具体的な実施形態では、(ABβターンの内側で切断された)Ig配列のN末端部分とC末端部分の間に挿入されたIgタンパク質断片と、第1の足場タンパク質の循環置換配列を一体として組換え融合することができ、第2の足場タンパク質のN末端をIgドメイン配列のC末端と融合する。こうして、多量体足場タンパク質は前記多量体足場の単量体の各々を介してその接近可能な部位でIgドメインと連結又は融合される。
特定の1実施形態において、(3本のペプチド結合又はショートリンカーを介して)抗原結合性ドメインを足場に連結する融合タンパク質の足場タンパク質は第2の抗原結合性ドメインを含む。前記融合タンパク質は、(第2の)抗原結合性ドメインを含む足場タンパク質とそのN末端アミノ酸で融合させ、そのABβターンにおける切断された接近可能な部位で(第1の)抗原結合性ドメイントポロジーを分断することにより得られる。前記(第2の)抗原結合性ドメインを含む足場タンパク質は、特定の1実施形態ではIgドメインを含み、具体的に(第1の)抗原結合性ドメインのβストランドBとの融合を可能にするABβターン部位に再連結するために切断されるβストランドGのC末端の近傍でその配列内に構造的に接近可能な部位を提供する。その場合、(第1の)抗原結合性ドメインの第2の接近可能な部位はそのC末端アミノ酸により提供され、最終的に(第2の)抗原結合性Igドメインを含む足場タンパク質の残りの部分と融合される(図17参照)。従って、この特定の実施形態では、(第2の)抗原結合性ドメインを含む足場タンパク質配列を2断片としての(第1の)抗原結合性タンパク質断片と組換え融合する必要がある。この実施形態に記載するような相互に融合される2個の抗原結合性ドメインは、一つの特定の実施形態では、2個の同一の抗原結合性ドメインとして開示され、又は同一の標的タンパク質の異なるエピトープと結合する異なる抗原結合性ドメインとして開示され、又は異なるタンパク質を標的とする2個の抗原結合性ドメインとして開示される。しかし、Igドメインである抗原結合性タンパク質のCDRと結合したエピトープは、得られる抗原結合性キメラの部分である他のIgドメインに存在すべきではなく、あるいは、新規に形成された抗原結合性キメラ自体に存在すべきではない。特定の1実施形態において、前記Igドメインは2個のナノボディであり、より具体的な実施形態では、2個の同一のNbであり、又は同一の標的タンパク質の異なるエピトープと結合する異なるNbであり、又は異なるタンパク質を標的とする2個のNbである。しかし、Nbと結合したエピトープは、得られる抗原結合性キメラの部分である他のNbに存在すべきではなく、あるいは、新規に形成された抗原結合性キメラ自体に存在すべきではない。
所定の実施形態において、本発明の足場タンパク質は単量体タンパク質である。他の実施形態において、足場タンパク質は対称性を提供するタンパク質であり、例えば多量体足場タンパク質や、コートタンパク質又はウイルス様粒子に自己集合するタンパク質である足場タンパク質である。多量体足場タンパク質はオリゴマー化により対称性を提供し、オリゴマー化はヘテロオリゴマー化でもホモオリゴマー化でもよく、オブリゲートでもよいし、持続的でも一過的でもよい。得られる対称性はどのような型の対称性でもよく、限定されないが、例えば環状、立方体、二面体、六面体、八面体、二十面体等が挙げられる。特に、「二十面体」なる用語は20個の面をもつ多面体幾何形状を意味する二十面体から得られる型の対称性を意味する。「ウイルス様粒子(VLP)」、「二十面体VLPタンパク質」、「コートタンパク質」、又は「二十面体VLPを形成するタンパク質」なる用語は、ウイルスに由来するが、非感染性であり、(二十面体)対称性を提供する多量体構造であるVLPに自己集合することが可能なタンパク質を意味する。例えばバクテリオファージは二十面体構造の頭部をもつ。更に、ウイルス粒子の作出用の逆遺伝学システムが確立されているいずれかの二十面体ウイルスを使用して異種タンパク質の全部又は一部を含むキメラ表面タンパク質を提示させることは容易に可能である。キメラ表面タンパク質は、本発明により提供されるような異種抗原結合性ドメインと融合されたウイルス表面又はコートタンパク質を含む。足場として利用するには、リンカー配列又はペプチド結合を介してウイルスコートタンパク質を融合すればよい。場合により、リンカー及び/又はリンカーと融合した抗原結合性ドメインを収容し易くするためにウイルスコートタンパク質を部分的に欠失させる。ウイルスタンパク質が粒子を再被覆する能力を欠失により損なうか否かは、組換え発現させたウイルスタンパク質をウイルス粒子の存在下でインキュベートし、再被覆されたウイルス粒子の形成を観察することにより評価することができる。
本発明の別の態様は、抗原結合性ドメインを足場タンパク質と融合した新規抗原結合性キメラタンパク質に関し、前記足場タンパク質は前記ドメインのトポロジーを分断し、足場タンパク質の総質量又は分子量は少なくとも30kDaであるため、キメラを抗原結合性ドメインの標的に結合することによる質量付加は有意となり、前記キメラに非共有結合的に結合させたときの標的の三次元構造解析を可能にするために十分となるであろう。別の実施形態において、足場タンパク質の総質量又は分子量は少なくとも10kDa、少なくとも20kDa、少なくとも35kDa、少なくとも40kDa、少なくとも45kDa、少なくとも50kDa、又は少なくとも60kDaである。この特定のサイズ又は質量増加の結果、画像の信号雑音比の低下が抑制されるであろう。第2に、キメラはクライオEM及びX線結晶構造解析を使用して十分に高い解像度に達するように、小型のタンパク質又は結晶化しにくいタンパク質の正確な画像アラインメントに十分な特徴を提供することにより、構造ガイドとなるであろう。
本発明の別の態様は、抗原結合性ドメインを足場タンパク質と融合した新規抗原結合性キメラタンパク質に関し、前記足場タンパク質は前記ドメインのトポロジーを分断し、足場タンパク質は更に抗原結合性ドメインを含み、特定の1実施形態において、前記足場タンパク質はVHH、ナノボディ、又は抗体自体であるIgドメインを含む。従って、新規抗原結合性キメラタンパク質を得るための前記融合の結果、少なくとも2個の抗原結合部位をもつ抗原結合性キメラタンパク質が得られ、抗原結合性部分が相互に融合される結果としてリジッドなキメラが得られ、夫々の標的と結合するそれらの機能が維持される。前記少なくとも2個の抗原結合部位は1個の標的の同一のエピトープ又は異なるエピトープを標的とすることができるため、親和性及び/又は有効性が増す。あるいは、本発明に従って融合された前記2個の抗原結合性ドメインを含む前記キメラの2個の抗原結合部位は異なる標的タンパク質と結合することができるため、ただ1個のリジッドなキメラを使用して2個のタンパク質を標的とすることが可能になる。キメラのこのユニークな特徴は、例えば密接しているために他の方法では到達しにくい標的に対してリジッドな構造が必要になる場合に、二重特異性抗体を治療に使用する際の解決手段となる。
抗原結合性ドメイン及び/又は抗原結合性ドメインを含む足場タンパク質も本発明の範囲に含まれ、前記抗原結合性ドメインは「多価」形態であり、2個以上のIgドメイン等の(一価)抗原結合性ドメインを化学的結合又は組換えDNA技術により相互に結合することにより形成される。多価コンストラクトの非限定的な例としては、「二価」コンストラクト、「三価」コンストラクト、「四価」コンストラクト等が挙げられる。多価コンストラクト内に含まれる免疫グロブリンドメインは同一でも異なっていてもよい。特に、本発明の免疫グロブリンドメイン又は本発明の足場タンパク質を構成するIgドメインは「多重特異性」形態であり、少なくとも1個が異なる特異性をもつ2個以上の免疫グロブリンドメインを連結することにより形成される。多重特異性コンストラクトの非限定的な例としては、「二重特異性」コンストラクト、「三重特異性」コンストラクト、「四重特異性」コンストラクト等が挙げられる。更に詳しく説明すると、本発明のあらゆる(本願に定義する)多価又は多重特異性免疫グロブリンドメインは同一の抗原上の2個以上の異なるエピトープ、例えば、標的の2個以上の異なるエピトープに対して適切に特異的であることができ、あるいは、2個以上の異なる抗原に対して特異的であってもよく、例えば標的のエピトープと標的の天然結合パートナーのエピトープに対して特異的であってもよい。特に、本発明の一価免疫グロブリンドメインは、本発明の多価又は多重特異性免疫グロブリンシングル可変ドメインにより付与される親和性よりも低い親和性で標的と結合するように選択される。特定の1実施形態において、本発明のこのような多価又は多重特異性Igドメインは、Igドメインの少なくとも1個のそのトポロジーを分断することにより、Igドメインと足場タンパク質として相互に融合することができる。あるいは、そのN末端及び/又はC末端を介して本発明の多価又は多重特異性Igドメインを従来通りに融合し、更に一体として適用し、これを融合するIgドメインの分断又は多価若しくは多重特異性Igドメイン自体のIgドメインの分断により、別のIgドメイン及び/又は別の足場に融合してもよい。
別の実施形態は、非免疫グロブリンであるが、別の型のタンパク質と結合することが分かっているタンパク質であるため、同様に治療用ターゲティングに利用できると考えられる足場タンパク質を提供する。
代替態様において、本発明の抗原結合性キメラタンパク質は修飾アミノ酸を含む。別の実施形態は修飾形態で存在するか、及び/又は他の部分を含む(又は他の部分と融合した)足場タンパク質に関する。代替実施形態は修飾形態で存在するか、及び/又は他の部分を含む前記抗原結合性キメラタンパク質の抗原結合性ドメインに関する。修飾の例と、修飾することができる本発明のタンパク質ドメイン内の(即ち、タンパク質主鎖上でもよいが、側鎖上が好ましい)アミノ酸残基の例、このような修飾を導入するために使用することができる方法及び技術、更にこのような修飾の潜在的用途と利点は当業者に自明である。例えば、このような修飾は(例えば共有結合的連結により又は別の適切な方法で)1個以上の官能基、残基又は部分を結合剤の中又は上に導入する方法を含むことができる。このような官能基とその導入技術の例は当業者に自明であり、一般に、当技術分野で言及されている全官能基及び技術と、医薬用タンパク質の修飾、特に抗体又は抗体断片(ScFvとシングルドメイン抗体を含む)の修飾についてそれ自体公知の官能基及び技術を含むことができ、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,16th ed.,Mack Publishing Co.,Easton,PA(1980)を参照されたい。同じく当業者に自明の通り、このような官能基は例えば足場タンパク質に直接(例えば共有結合的に)連結してもよいし、任意に適切なリンカー又はスペーサーを介して連結してもよい。
抗原結合性キメラタンパク質に潜在的治療価値がある場合に、医薬用タンパク質の半減期を延長するため及び/又は免疫原性を低下させるために最も広く使用されている技術の一つは、ポリ(エチレングリコール)(PEG)又はその誘導体(例えばメトキシポリ(エチレングリコール)即ちmPEG)等の適切な薬理学的に許容されるポリマーの結合を含む。一般に、抗体及び抗体断片(限定されないが、(シングル)ドメイン抗体とScFvを含む)に当技術分野で使用されているペグ化等のあらゆる適切な型のペグ化を使用することができ、例えばChapman,Nat.Biotechnol.,54,531-545(2002);Veronese and Harris著,Adv.Drug Deliv.Rev.54,453-456(2003);Harris and Chess著,Nat.Rev.Drug.Discov.,2,(2003)及びWO04060965を参照されたい。タンパク質の種々のペグ化試薬も例えばNektar Therapeutics,米国から市販されている。特にシステイン残基を介して部位特異的ペグ化を使用することが好ましい(例えば、Yang et al.,Protein Engineering,16,10,761-770(2003)参照)。例えば、この目的には、足場タンパク質に天然に存在するシステイン残基にPEGを結合してもよいし、PEGの結合用の1個以上のシステイン残基を適切に導入するように足場タンパク質を修飾してもよいし、PEGの結合用の1個以上のシステイン残基を含むアミノ酸配列を足場のN末端及び/又はC末端に融合してもよく、いずれも当業者にそれ自体公知のタンパク質工学技術を使用する。本発明の新規抗原結合性キメラタンパク質の足場タンパク質には、分子量が5000超、例えば10,000超で200,000未満、例えば100,000未満、例えば20,000~80,000の範囲のPEGを使用することが好ましい。別の修飾としては、通常ではあまり好ましくないが、N結合型又はO結合型グリコシル化が挙げられ、通常では本発明の抗原結合性キメラタンパク質を発現させるために使用する宿主細胞に応じて翻訳時及び/又は翻訳後修飾の一部として行われる。前記抗原結合性キメラタンパク質の半減期を延長するための別の技術としては、二機能性コンストラクト(例えば、標的1に対する1個の抗原結合性ドメインと、足場タンパク質の内側に存在し、アルブミン等の血清タンパク質に対する1個の抗原結合性ドメイン)を構築する方法や、足場タンパク質を介するか又は足場タンパク質として抗原結合性キメラタンパク質とペプチド(例えばアルブミン等の血清タンパク質に対するペプチド)の融合体を更に構築する方法が挙げられる。
本発明の別の態様は抗原結合性ドメインを足場タンパク質と融合した新規抗原結合性キメラタンパク質に関し、前記足場タンパク質は前記ドメインのトポロジーを分断し、前記足場タンパク質は修飾タンパク質、即ち標識されたタンパク質である。あるいは、前記抗原結合性ドメインは標識されたタンパク質である。更に別の修飾としては、標識した抗原結合性キメラタンパク質の所期用途に応じて1個以上の検出可能なラベル又は他のシグナル発生基若しくは部分を導入する方法が挙げられる。適切なラベルと、その結合、使用及び検出技術は当業者に自明であり、限定するものではないが、例えば、蛍光ラベル(例えばIRDye800、VivoTag800、フルオレセイン、イソチオシアネート、ローダミン、フィコエリスリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o-フタルアルデヒド及びフルオレスカミン、更にEu又はランタノイド系に属する他の金属等の蛍光金属)、リン光ラベル、化学発光ラベル又は生物発光ラベル(例えばルミノール、イソルミノール、セロマティック(theromatic)アクリジニウムエステル、イミダゾール、アクリジニウム塩、蓚酸エステル、ジオキセタン又はGFP及びそのアナログ)、放射性同位体、金属、金属キレート若しくは金属カチオン、又はインビボ、インビトロ若しくはインサイチュ診断及びイメージングで使用するのに特に適した他の金属若しくは金属カチオン、並びに発色団及び酵素(例えばマレイン酸脱水素酵素、ブドウ球菌ヌクレアーゼ、Δ-5-ステロイドイソメラーゼ、酵母アルコール脱水素酵素、α-グリセロリン酸脱水素酵素、トリオースリン酸イソメラーゼ、ビオチンアビジンペルオキシダーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、アスパラギナーゼ、グルコースオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、リボヌクレアーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコース-6-リン酸脱水素酵素、グルコアミラーゼ及びアセチルコリンエステラーゼ)が挙げられる。他の適切なラベルも当業者に自明であり、例えばNMR又はESR分光法を使用して検出可能な部分が挙げられる。本発明のこのような標識された抗原結合性キメラタンパク質は、特定のラベルの選択に応じて例えば(ELISA、RIA、EIA及び他の「サンドイッチアッセイ」等のそれ自体公知のイムノアッセイを含む)インビトロ、インビボ又はインサイチュアッセイや、インビボ診断及びイメージング目的に使用することができる。当業者に自明の通り、別の修飾としては、例えば上記に挙げた金属又は金属カチオンの1種をキレート化するためにキレート基を導入する方法が挙げられる。適切なキレート基としては、限定されないが、例えば2,2’,2”-(10-(2-((2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ)-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)三酢酸(DOTA)、2,2’-(7-(2-((2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ)-2-オキソエチル)-1,4,7-トリアゾナン-1,4-ジイル)二酢酸(NOTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)又はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)が挙げられる。更に別の修飾としては、ビオチン-(ストレプト)アビジン結合対等の特異的結合対の一方の片割れである官能基の導入が挙げられる。このような官能基は結合対の他方の片割れと結合させた別のタンパク質、ポリペプチド又は化合物と抗原結合性キメラタンパク質を連結するために使用することができ、即ち結合対の形成により使用することができる。例えば、本発明の抗原結合性キメラタンパク質をビオチンと結合し、アビジン又はストレプトアビジンと結合させた別のタンパク質、ポリペプチド、化合物又は担体と連結することができる。例えば、このようなコンジュゲート抗原結合性キメラタンパク質は、例えば検出可能なシグナル発生剤をアビジン又はストレプトアビジンに結合させた診断システムでレポーターとして使用することができる。このような結合対は、例えば薬学的目的に適した担体を含む担体に本発明の抗原結合性キメラタンパク質を結合するために使用してもよい。非限定的な1例はCao and Suresh,Journal of Drug Targetting,8,4,257(2000)に記載されているリポソーム製剤である。本発明の抗原結合性キメラタンパク質に治療活性剤を連結するためにこのような結合対を使用してもよい。更に、毒性ラベルや放射性核種をペイロードとして使用することも前記抗原結合性キメラタンパク質の範囲に含まれる。最後に、足場タンパク質に連結又は融合した「ラベル」又は「タグ」を使用すると、Igドメインの標的タンパク質を非共有結合的に標識できるという利点がある。
本発明の別の態様は、本発明の前記抗原結合性キメラタンパク質をコードする核酸分子に関する。前記核酸分子は前記抗原結合性ドメインのコーディング配列と前記足場タンパク質、及び/又はその断片を含み、前記ドメインのトポロジーの分断は、前記ドメイン配列が足場タンパク質配列(又は循環置換配列又はその断片)の挿入を含み、N末端抗原結合性ドメイン断片とC末端抗原結合性ドメイン断片が前記核酸分子内で足場タンパク質配列又はその断片により分離されるという事実に反映される。
別の実施形態では、少なくともプロモーターと、抗原結合性キメラタンパク質をコードする前記核酸分子と、転写終結シグナルを含む3’末端領域を含むキメラ遺伝子について記載する。別の実施形態は、本発明の前記抗原結合性キメラタンパク質をコードする発現カセット、又は前記抗原結合性キメラタンパク質をコードする核酸分子若しくはキメラ遺伝子を含む発現カセットに関する。前記発現カセットは、所定の実施形態では、標的の最適なバインダーについて選択するためのIgドメインの大きなセットを含む免疫ライブラリーとしての汎用フォーマットで適用される。
他の実施形態は、本発明の抗原結合性キメラタンパク質をコードする前記発現カセット又は核酸分子を含むベクターに関する。特定の実施形態では、大腸菌発現用ベクターにより抗原結合性キメラタンパク質を産生させ、それらの標的の存在下又は不在下で精製することができる。
代替実施形態は、本発明の抗原結合性キメラタンパク質、又は本発明の抗原結合性キメラタンパク質をコードする核酸分子若しくは発現カセット若しくはベクターを含む宿主細胞に関する。特定の実施形態において、前記宿主細胞は更に前記抗原結合性キメラタンパク質の抗原結合性ドメインと特異的に結合する抗原又は標的タンパク質を共発現する。
別の実施形態はリガンドスクリーニング、医薬品スクリーニング、タンパク質捕捉及び精製、又は生物物理学的研究用としての前記宿主細胞、又は前記細胞から単離された膜調製物、又は前記細胞から単離されたタンパク質の使用を開示する。
前記ベクターを提供する本発明は、更に汎用融合ベクターでの高スループットクローニングの選択肢を含む。前記汎用ベクターについては、前記ベクターが酵母、ファージ、細菌又はウイルスにおける表面提示に特に適している他の実施形態で記載する。更に、前記ベクターは異なるIgドメインの大きなセットと共にこのような汎用ベクター又は発現カセットを含む免疫ライブラリーを選択及びスクリーニングするのに利用され、保存されたIgドメイン及び足場タンパク質の同一のN末端をライブラリーにより提供される残りのIgドメイン配列と融合する。従って、新規抗原結合性キメラタンパク質を特定の標的についてスクリーニングするために作製された前記ライブラリーにおける配列の相違は、Igドメイン配列の相違により提供され、より特定的には前記IgドメインライブラリーのCDR領域の相違により提供される。
本発明の別の実施形態は本発明の抗原結合性キメラタンパク質の生産方法として、(a)抗原結合性キメラタンパク質の発現を誘導する条件下で本発明のベクター、発現カセット、キメラ遺伝子又は核酸配列を含む宿主を培養する工程と、(b)任意工程として、発現されたポリペプチドを回収する工程を含む方法に関する。
一つの実施形態において、本発明のベクターは抗原結合性キメラタンパク質の集合、好ましくは免疫ライブラリーを細胞集団の細胞外表面に提示させることを含む方法で使用するのに適している。表面ディスプレイ法はHoogenboom,(2005;Nature Biotechnol 23,1105-16)に総説されており、細菌ディスプレイ法、酵母ディスプレイ法、(バクテリオ)ファージディスプレイ法が挙げられる。細胞集団は酵母細胞が好ましい。各種酵母表面ディスプレイ法はいずれも、ライブラリーにコードされた各抗原結合性キメラタンパク質をコードするプラスミドを導入した酵母細胞の細胞外表面にこのタンパク質をしっかりと連結する手段を提供する。従来記載されている大半の酵母ディスプレイ法は酵母サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)を使用しているが、例えばピキア・パストリスPichia pastoris)等の他の酵母種を使用してもよい。より具体的には、ある種の実施形態において、酵母株はサッカロマイセス属(Saccharomyces)、ピキア属(Pichia)、ハンセヌラ属(Hansenula)、シゾサッカロマイセス属(Schizosaccharomyces)、クルイウェロマイセス属(Kluyveromyces)、ヤロウィア属(Yarowia)及びカンジダ属(Candida)から成る群から選択される属に由来する。ある種の実施形態において、酵母種はサッカロマイセス・セレビシエ(S.cerevisiae)、ピキア・パストリス(P.pastoris)、ハンセヌラ・ポリモルファ(H.polymorpha)、サッカロマイセス・ポンベ(S.pombe)、クルイウェロマイセス・ラクティス(K.lactis)、ヤロウィア・リポリティカ(Y.lipolytica)、及びカンジダ・アルビカンス(C.albicans)から成る群から選択される。大半の酵母発現用融合タンパク質は、細胞表面タンパク質の表面発現に重要な役割を果たして酵母の生存に不可欠であるGPI(グリコシルホスファチジルイノシトール)アンカー型タンパク質をベースとする。このようなタンパク質の1例であるα-アグルチニンはAGA1にコードされるコアサブユニットから構成され、ジスルフィド架橋を介してAGA2にコードされる小型の結合サブユニットに連結されている。核酸ライブラリーにコードされたタンパク質をAGA1のN末端領域又はAGA2のC末端若しくはN末端領域に導入することができる。どちらの融合パターンでも、酵母細胞表面にポリペプチドが提示されるであろう。
本願に開示するベクターは原核宿主細胞にタンパク質を表面提示させるのにも適していると思われる。この目的に適した原核生物としては、グラム陰性又はグラム陽性生物等の真正細菌が挙げられ、例えばエシェリキア属(Escherichia、例えば大腸菌(E.coli))、エンテロバクター属(Enterobacter)、エルウィニア属(Erwinia)、クレブシエラ属(Klebsiella)、プロテウス属(Proteus)、サルモネラ属(Salmonella、例えばチフス菌(Salmonella typhimurium))、セラチア属(Serratia、例えばセラチア・マルセッセンス(Serratia marcescans))及びシゲラ属(Shigella)等の腸内細菌科(Enterobacteriaceae)に加え、枯草菌(B.subtilis)やバシラス・リケニフォルミス(B.licheniformis)(例えば1989年4月12日付け公開DD266,710に開示されているB.licheniformnis 41P)等のバシラス属(Bacilli)、緑膿菌(P.aeruginosa)等のシュードモナス属(Pseudomonas)及びストレプトマイセス属(Streptomyces)が挙げられる。好ましい大腸菌クローニング宿主の1例は大腸菌294(ATCC31,446)であるが、大腸菌B、大腸菌X1776(ATCC31,537)及び大腸菌W3110(ATCC27,325)等の他の株も適切である。これらの例は例示であり、制限するものではない。宿主細胞が原核細胞であるとき、適切な細胞表面タンパク質の例としては、適切な細菌外膜タンパク質が挙げられる。このような外膜タンパク質としては、線毛と鞭毛、リポタンパク質、氷核タンパク質及びオートトランスポーターが挙げられる。異種タンパク質提示に使用される細菌タンパク質の例としては、LamB(Charbit et al.,EMBO J,5(11):3029-37(1986))、OmpA(Freudl,Gene,82(2):229-36(1989))及びインチミン(Wentzel et al.,J Biol Chem,274(30):21037-43,(1999))が挙げられる。その他の外膜タンパク質の例としては、限定されないが、FliC、プルラナーゼ、OprF、OprI、PhoE、MisL及びシトリシンが挙げられる。表面提示に使用されている細菌膜タンパク質の広範なリストはLee et al.,Trends Biotechnol,21(1):45-52(2003)、Jose,Appl Microbiol Biotechnol,69(6):607-14(2006)、及びDaugherty,Curr Opin Struct Biol,17(4):474-80(2007)に詳細に記載されている。
更に、徹底的なスクリーニング選択を可能にするために、ベクターを酵母及び/又はファージディスプレイ法に適用した後に、夫々FACSとパニングを実施することができる。酵母細胞への抗原結合性キメラの提示を例えば蛍光活性化セルソーティング(FACS)の分解能と組み合わせることにより、好ましい選択方法が得られる。酵母ディスプレイ法では、シングルセルの表面に各抗原結合性タンパク質を例えば~50,000コピーのAga2pタンパク質との融合体として提示させる。FACSによる選択には、異なる蛍光色素で標識し、選択手順を決定する。次に、使用した蛍光タンパク質の混合物で抗原結合性キメラを提示する酵母ライブラリーを染色することができる。その後、二色FACSを使用し、特定の酵母細胞上に提示される各抗原結合性キメラの特性を分析し、別々の細胞集団を解析することができる。目的タンパク質を標的とするのに非常に適した抗原結合性キメラを提示する酵母細胞が結合するので、二色FACSで対角線に沿って選別することができる。例えば一過的なタンパク質間相互作用を特異的に標的とする抗原結合性キメラタンパク質をスクリーニングする場合又はコンフォメーション選択的結合が望ましい場合には、このような選択法にベクターを使用するのが最も好ましい。同様に、ファージディスプレイ法用ベクターを適用し、抗原結合性キメラをバクテリオファージ上に提示させるのに使用した後、パニングを実施する。提示は例えば抗原結合性キメラを前記遺伝子ベクター内でファージコートタンパク質IIIと融合することによりM13粒子上で実施することができる(Hoogenboom,2000;Immunology today.5699:371-378)。所定のコンフォメーションと特異的に結合する抗原結合性タンパク質及び/又は一過的なタンパク質間相互作用の選択には、例えば、相互作用するプロトマーの1個のみを固相に固定化する。その後、ファージ提示された抗原結合性キメラのパニングによるバイオ選択を過剰量の残りの可溶性プロモーターの存在下で実施する。任意に、固相に固定化した架橋複合体又はタンパク質でパニングラウンドを開始することができる。
本発明の別の態様は、前記抗原結合性キメラタンパク質又は抗原結合性キメラタンパク質の組成物と抗原又は標的タンパク質を含む複合体に関し、前記標的タンパク質は前記抗原結合性キメラタンパク質又は前記抗原結合性キメラタンパク質の組成物に特異的に結合している。より特定的には、前記標的タンパク質は前記抗原結合性キメラタンパク質の抗原結合性ドメインに結合しており、更に特定的には、前記抗原結合性ドメインがIgドメインである実施形態では、前記抗原結合性キメラタンパク質のIgドメインのCDRに結合している。一つの実施形態は本願に記載する複合体であって、前記抗原結合性ドメインがコンフォメーション選択的結合ドメインであるものを開示する。より特定的には、前記抗原結合性ドメインが前記標的タンパク質を機能的なコンフォメーションで安定化する複合体を開示する。より具体的には、前記機能的なコンフォメーションは特にアゴニストコンフォメーションを含むものでよいし、部分アゴニストコンフォメーションを含むものでもよいし、バイアス型アゴニストコンフォメーションを含むものでもよい。あるいは、本発明の複合体であって、抗原結合性ドメインが標的タンパク質を機能的なコンフォメーションで安定化させるもの、前記機能的なコンフォメーションが不活性なコンフォメーションであるもの、又は前記機能的なコンフォメーションがインバースアゴニストコンフォメーションを含むものを開示する。
本発明の他の態様は前記抗原結合性キメラタンパク質を含む組成物に関する。本発明の「組成物」は、凍結乾燥した抗原結合性キメラタンパク質を収容する第1の容器と、凍結乾燥したタンパク質の再懸濁用溶液を収容する第2の容器を含むキットの形態で提供することができる。タンパク質粉末には、凍結乾燥中にタンパク質を安定化させるためにスクロース、デキストラン、ソルビトール及びアミノ酸等の1種以上の凍結乾燥保護剤を添加することができる。あるいは、組成物は抗原結合性キメラタンパク質の懸濁液又は溶液を収容した単一容器として提供される。どちらの溶液も1種以上の賦形剤を含有することができる。溶液は一般的には水性である。従って、精製水が主要な賦形剤を形成することができる。例えば、通常では所望の最終濃度とするように注射用水(WFI)でタンパク質を希釈する。溶液は一般的には緩衝液を含む。従って、他の賦形剤としては、クエン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム一水和物及び水酸化ナトリウム等の緩衝剤及びpH調節剤が挙げられる。場合によっては、別の賦形剤としてキサンタンガム等の増粘剤を加えてもよい。界面活性剤、特に、ポリソルベート80等の非イオン性界面活性剤も加えてもよい。他の賦形剤としては、スクロース、ソルビトール、無機塩類、アミノ酸及びビタミン類が挙げられる。
本発明は更に本発明の1種以上の化合物、特に抗原結合性キメラタンパク質と、薬学的に許容される基剤又は希釈剤を含有する「医薬組成物」にも関する。これらの医薬組成物は所望の薬理学的効果を必要とする患者に投与することによりこのような効果を達成するために利用することができる。本発明は薬学的に許容される基剤と、薬学的有効量の本発明の化合物又はその塩から成る医薬組成物を含む。化合物の薬学的有効量は、治療する特定の病態に効果を生じるか又は影響を与える量であることが好ましい。一般に、「治療有効量」、「治療有効用量」及び「有効量」とは、1種以上の所望の結果を達成するために必要な量を意味する。当技術分野における通常の知識を有する者であれば、力価、従って、「有効量」が本発明の化合物の種類と構造により変動し得ることを理解されよう。当業者は前記化合物の力価を容易に評価することができる。「薬学的に許容される」とは、生物学的又は他の点で有害ではない材料を意味し、即ち、このような材料は望ましくない生物学的作用を生じたり、この材料を含有する医薬組成物の他の成分のいずれとも有害に相互作用することなく、前記化合物と共に個体に投与することができる。薬学的に許容される基剤は、この基剤に起因する如何なる副作用も有効成分の有益な作用を損なわないように、有効成分の有効な活性に一致する濃度において患者に比較的非毒性で無害である基剤とすることが好ましい。適切な基剤又は添加剤は一般的には以下の非網羅的リストに含まれる化合物、即ち、分子量が大きく、代謝の遅い高分子の1種以上を含み、例えばタンパク質、多糖類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマーアミノ酸、アミノ酸コポリマー及び不活性ウイルス粒子である。このような成分及び手順としては、各々本願に援用する以下の文献に記載されているものが挙げられる:Powell,M.F.et al.(“Compendium of Excipients for Parenteral Formulations”PDA Journal of Pharmaceutical Science & Technology 1998,52(5),238-311)、Strickley,R.G(“Parenteral Formulations of Small Molecule Therapeutics Marketed in the United States(1999)-Part-1”PDA Journal of Pharmaceutical Science & Technology 1999,53(6),324-349)、及びNema,S.et al.(“Excipients and Their Use in Injectable Products”PDA Journal of Pharmaceutical Science & Technology 1997,51(4),166-171)。
本願で使用する「賦形剤」なる用語は医薬組成物中に存在することができ、有効成分以外のものである全ての物質を含むものであり、塩類、結合剤(例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、トレハロース、ソルビトール、マンニトール)、滑沢剤、増粘剤、界面活性剤、防腐剤、乳化剤、緩衝物質、安定化剤、着香剤又は着色剤等が挙げられる。「希釈剤」、特に「薬学的に許容される溶媒」としては、水、塩類溶液、生理的塩類溶液、グリセロール、エタノール等の溶媒が挙げられる。湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝物質、防腐剤等の補助物質をこのような溶媒に添加してもよい。
本発明の抗原結合性キメラタンパク質と薬学的に許容される基剤は速放型、遅放型及び時限放出型製剤を含むいずれかの有効な従来の剤形を使用して当技術分野で周知の薬学的に許容される基剤と共に投与することができ、当技術分野における通常の知識を有する者に広く知られている経路のいずれか等の適切な経路により投与することができる。治療用として、本発明の医薬組成物は標準技術に従ってあらゆる患者に投与することができる。
経口投与用には、化合物をカプセル剤、丸剤、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、メルト剤、散剤、溶液剤、懸濁剤又は乳剤等の固体又は液体製剤に製剤化することができ、医薬組成物の製造分野で公知の方法に従って製造することができる。固体単位用量製剤はカプセル剤とすることができ、例えば界面活性剤、滑沢剤、並びにラクトース、スクロース、リン酸カルシウム及びコーンスターチ等の不活性充填剤を加えた通常のハードシェル又はソフトシェルゼラチン型とすることができる。別の実施形態では、結合剤(例えばアラビアガム、コーンスターチ又はゼラチン)、投与後に錠剤の分解と溶解を補助するための崩壊剤(例えばジャガイモデンプン、アルギン酸、コーンスターチ、グアーガム、トラガカントガム、アラビアガム)、錠剤顆粒化の流動性を改善し、錠剤材料が錠剤ダイ・ポンチの表面に接着するのを防ぐための滑沢剤(例えばタルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム又はステアリン酸亜鉛)、錠剤の美的品質を高め、患者に許容し易くするための色素、着色剤及び着香剤(例えばペパーミント、ウィンターグリーン油又はチェリーフレーバー)と共に、ラクトース、スクロース及びコーンスターチ等の従来の錠剤基剤を使用して本発明の化合物を錠剤化することができる。経口液体剤形で使用するのに適した賦形剤としては、リン酸二カルシウムと、水及びアルコール(例えばエタノール、ベンジルアルコール及びポリエチレンアルコール類)等の希釈剤が挙げられ、薬学的に許容される界面活性剤、懸濁化剤又は乳化剤を添加してもよいし、添加しなくてもよい。種々の他の材料をコーティングとして使用してもよいし、他の方法で製剤単位の物理的形態を変えるために使用してもよい。例えば、錠剤、丸剤又はカプセル剤はシェラック、糖又はその両方をコーティングしてもよい。水性懸濁剤の製造には分散性粉末及び顆粒が適している。その場合には、分散剤又は湿潤剤、懸濁化剤及び1種以上の防腐剤との混合物として有効成分が提供される。適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤の例は上記の通りである。その他の賦形剤として、例えば上記甘味剤、着香剤及び着色剤も加えてもよい。
医薬組成物は滅菌注射用水性懸濁剤の形態でもよい。このような懸濁剤は適切な分散剤又は湿潤剤と懸濁化剤(例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガム及びアラビアガム)を使用して公知方法に従って製剤化することができ、分散剤又は湿潤剤はレシチン等の天然ホスファチドでもよいし、アルキレンオキシドと脂肪酸の縮合物(例えばポリオキシエチレンステアレート)、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールの縮合物(例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール)、脂肪酸とヘキシトールから誘導される部分エステルとエチレンオキシドとの縮合物(例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート)、又は脂肪酸とヘキシトール無水物から誘導される部分エステルとエチレンオキシドとの縮合物(例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)でもよい。滅菌注射用製剤は非毒性で非経口投与に許容される希釈剤又は溶剤で調剤した滅菌注射溶液剤又は懸濁剤でもよい。利用することができる希釈剤及び溶剤は例えば水、リンゲル液、等張塩化ナトリウム溶液及び等張ブドウ糖液である。更に、滅菌不揮発性油は溶媒又は懸濁媒として従来から利用されている。この目的には、合成モノグリセリド又はジグリセリドを含むあらゆる無刺激性の不揮発性油を利用できる。更に、オレイン酸等の脂肪酸も注射用製剤で使用することができる。
別の態様は、標的タンパク質の構造解析における本発明の抗原結合性キメラタンパク質の使用又は核酸分子、キメラ遺伝子、発現カセット、ベクター、複合体若しくは組成物の使用に関する。特に、標的タンパク質の構造解析における抗原結合性キメラタンパク質の使用であって、前記標的タンパク質が前記抗原結合性キメラタンパク質に特異的に結合しているタンパク質である場合に関する。本願で使用する「構造を解析する」又は「構造解析」なる用語はタンパク質の原子配置又は原子座標を決定することを意味し、多くの場合にはX線結晶構造解析又は低温電子顕微鏡法(クライオEM)等の生物物理学的方法により実施される。具体的に、1実施形態は単粒子クライオEM又は結晶構造解析を含む構造解析における使用に関する。本発明の抗原結合性キメラタンパク質を構造生物学で使用すると、結晶化助剤として利用するため、即ち結晶接触としての役割を果たし、対称性を増すために非常に有利であり、更には大型の構造を解析するのに非常に有用となるクライオEMでリジッドツールとして利用するためにも有利でもあるが、主として、今日検討されているサイズの障壁を軽減するために非常に有利であり、また、対称性を増すためにも非常に有利である。
構造決定にクライオEMを使用すると、X線結晶構造解析等の伝統的なアプローチに勝るいくつかの利点がある。特に、クライオEMは解析対象の試料に要求される純度、均一性及び品質の要件が厳しくない。重要な点として、クライオEMは構造決定に適した結晶を形成しない標的に適用することができる。精製又は未精製タンパク質を単独で用いるか又は抗原結合性キメラタンパク質等の他のタンパク質性分子若しくは核酸等の非タンパク質性分子との複合体として用いた懸濁液をクライオEMによるイメージングのためにカーボングリッドに滴下することができる。支持膜付きグリッドを通常は液体エタン中で急速凍結させ、懸濁液中の粒子を凍結水和状態で保存する。より大きな粒子を低温固定によりガラス状にすることができる。ガラス状にした試料をクライオウルトラミクロトームで(一般的には厚さ40~200nmの)薄い切片に切断することができ、切片をイメージングのために電子顕微鏡グリッドにマウントすることができる。~3.3Åの高い解像度が得られるように平行照射とより良い顕微鏡アライメントを使用することにより、画像から得られたデータの品質を改善することができる。このような高解像度では、全原子構造のアビニシオ(ab initio)モデル構築が可能である。一方、選択された標的タンパク質又は密接に関連する標的タンパク質と、選択された異種タンパク質又は近いホモログに関する原子レベルの解像度の構造データを制約比較モデリング用に入手可能な場合には、もっと低い解像度のイメージングで十分であると思われる。データ品質を更に改善するためには、イメージングに使用したと同一条件下で記録したカーボン膜画像のフーリエ変換において1/3Å-1を上回るような目に見えるコントラスト伝達関数(CTF)のリングが現れるように、顕微鏡を注意深く軸合わせすることができる。その後、CTFFIND等のソフトウェアを使用して各顕微鏡写真の焦点外れ値を求めることができる。
具体的な1実施形態において、前記構造解析はX線結晶構造解析により実施される。別の実施形態において、前記三次元解析はクライオEMを含む。より具体的には、クライオEM解析の手法の1例は以下の通りである。選択した最高性能のグロー放電処理済みグリッド(カーボン膜を貼った銅グリッドであるC-Flat,1.2/1.3 200メッシュ:Electron Microscopy Sciences;金R1.2/1.3 300メッシュUltraAuFoilグリッド:Quantifoil等)に試料(例えば目的標的との複合体における選択したメガボディタンパク質)を滴下後にブロッティングした後、液体エタンにプランジ凍結する(Vitrobot Mark IV(FEI)又は他の選択したプランジャー)。選択した検出器(1例としてFalcon 3EC直接検出器)を取付けた300kV電子顕微鏡(1例として選択した位相板をKrios 300kVに挿入したもの)でグリッド1枚のデータを取得する。予想されるメガボディ-抗原複合体サイズに適した適正な倍率で電子カウントモードにて顕微鏡写真を取得する。取得した顕微鏡写真を更に画像処理する前に手動チェックする。選択したソフトウェア(例えばRELION、SPHIREパッケージ)によりドリフト補正、電子線誘起モーション、ドース重み付け、CTFフィッティング及び位相シフト推定を適用する。選択したソフトウェアにより粒子を抽出し、二次元分類に使用する。二次元クラスを手動検査し、偽陽性を除去する。データ取得設定に応じて粒子をビニングする。適正なローパスフィルターを適用することにより初期三次元参照モデルを作成し、多数(1例として6個)の三次元クラスを作成する。元の粒子を三次元精密化に使用する(必要に応じてソフトマスクを使用する)。フーリエシェル相関(FSC)=0.143を基準に使用することにより再構成解像度を推定する。ScipionでMonoResを実行することにより局所解像度を計算することができる。再構成したクライオEMマップをUCSF Chimera及びCootソフトウェアにより解析することができる。UCSF Chimeraを使用して設計モデルを初期フィッティングさせ、選択したソフトウェア(UCSF Chimera、PyMOL又はCoot)により解析することができる。
本発明の方法の別の利点として、構造解析は従来方法では高純度タンパク質でしか可能でないが、抗原結合性キメラタンパク質の使用により純度要件が緩和される。このような抗原結合性タンパク質は特にナノボディの場合、複合体混合物内でそのエピトープとの結合により目的タンパク質を特異的に抽出するであろう。こうして標的タンパク質をトラップし、凍結し、クライオEMにより解析することができる。
前記方法は代替実施形態では、標的タンパク質が一過的なタンパク質-タンパク質複合体である三次元解析にも適している。更に、その構造解析を可能にするように一過的なタンパク質間相互作用を標的として安定化させるために標的の三次元構造を決定する方法で前記キメラ抗原結合性分子を適用することもできる。
別の実施形態は、同一の標的タンパク質の異なるエピトープと結合する抗原結合性キメラタンパク質のパネルを選択又はスクリーニングするための方法として、(i)前記標的タンパク質と結合する抗原結合性キメラタンパク質の免疫ライブラリーを設計する工程と、(ii)表面酵母ディスプレイ法、ファージディスプレイ法又はバクテリオファージ法により抗原結合性キメラタンパク質を選択し、前記標的の数個のエピトープと結合するタンパク質を含む抗原結合性キメラタンパク質パネルを得る工程を含み、それにより、例えばクライオEMで別々の画像として前記標的タンパク質の数個のコンフォメーションを解析できるようにする方法に関する。
別の実施形態において、本発明の前記方法及び前記抗原結合性キメラタンパク質は構造に基づく医薬品設計及び構造に基づく医薬品スクリーニングに使用される。構造に基づく医薬品設計の反復プロセスは最適化リードがフェーズI臨床試験に入る前に複数のサイクルで進められることが多い。第1サイクルは標的タンパク質又は核酸のクローニング、精製及び構造決定を含み、構造決定はX線結晶構造解析、NMR又はホモロジーモデリングの3種の主要な方法のうちの1種により行われる。コンピューターアルゴリズムを使用し、データベースからの化合物又は化合物断片を構造の選択した領域に配置する。標的の所定の構造コンフォメーションを固定又は安定化させるために本発明の抗原結合性キメラタンパク質を使用することができる。選択された化合物を標的部位とのその立体的及び静電的相互作用に基づいて採点・等級付けし、最良の化合物を生化学的アッセイで試験する。第2サイクルでは、第1サイクルからの有望なリードのうちでインビトロ阻害が少なくともマイクロモルレベルであるリードとの複合体における標的の構造決定により、力価を増すために最適化することができる化合物上の部位が判明する。この時点でも、本発明の抗原結合性キメラタンパク質を利用すると、所定のコンフォメーション状態における前記標的の構造解析が容易になる。その他のサイクルとしては、最適化リードの合成、新しい標的とリードの複合体の構造決定、及びリード化合物の更なる最適化が挙げられる。医薬品設計プロセスの数サイクル後に、最適化化合物は通常では結合の著しい改善を示し、多くの場合には標的に対する特異性についても著しい改善を示す。ライブラリースクリーニングはヒット化合物に繋がり、更に構造情報と構造活性相関解析の創薬化学が不可欠であるリード化合物の開発に繋がる。
別の実施形態において、本発明の方法で使用される前記抗原結合性キメラタンパク質の抗原結合性ドメインはナノボディIgドメインを含むため、提示された抗原結合性キメラについてナノボディを使用して選択すると、主にコンフォメーションエピトープとのバインダーが判明するので、前記方法には、正しく折り畳まれた標的タンパク質の平均画像のみが得られるという利点もある。
特に好ましい1実施形態によると、コンフォメーション選択的化合物の上記同定方法はリガンド結合アッセイ又は競合アッセイにより実施され、更に好ましくは放射性リガンド結合アッセイ又は競合アッセイにより実施される。コンフォメーション選択的化合物の上記同定方法は比較アッセイで実施するのが最も好ましく、より具体的には比較リガンド競合アッセイ、更に具体的には実施例のセクションに詳細に説明する比較放射性リガンド競合アッセイで実施する。
試験対象の化合物はあらゆる低分子化合物、又はタンパク質、糖、核酸若しくは脂質等の高分子とすることができる。一般的に、試験化合物は低分子化合物、ペプチド、抗体 又はその断片となるであろう。当然のことながら、場合によっては、試験化合物は試験化合物のライブラリーでもよい。特に、アゴニスト、アンタゴニスト若しくはインバースアゴニスト及び/又はモジュレーター等の治療用化合物の高スループットスクリーニングアッセイも本発明を構成する。高スループットの目的には、アロステリック化合物ライブラリー、ペプチドライブラリー、抗体ライブラリー、断片ベースのライブラリー、合成化合物ライブラリー、天然化合物ライブラリー、ファージディスプレイライブラリー等の化合物ライブラリー又はコンビナトリアルライブラリーを使用することができる。このようなライブラリーの作製・スクリーニング方法は当業者に公知である。試験化合物を任意に検出可能なラベルに共有結合的又は非共有結合的に連結してもよい。適切な検出可能なラベルとその結合、使用及び検出技術は当業者に自明であり、限定されないが、分光学的手段、光化学的手段、生化学的手段、免疫化学的手段、電気的手段、光学的手段又は化学的手段により検出可能なあらゆる組成物が挙げられる。有用なラベルとしては、磁気ビーズ(例えばダイナビーズ)、蛍光色素(例えば全てのAlexa Fluor色素、フルオレセインイソチオシアネート、テキサスレッド、ローダミン、緑色蛍光タンパク質等)、放射性ラベル(例えば3H、125I、35S、14C又は32P)、酵素(例えば西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ)、及び比色ラベル(例えば金コロイドや、着色ガラス又はプラスチック(例えばポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックス等)のビーズ)が挙げられる。このようなラベルの検出手段も当業者に周知である。即ち、例えば、放射性ラベルは写真フィルムやシンチレーションカウンターを使用して検出することができ、蛍光マーカーは光検出器を使用して発光照度を検出することにより検出することができる。酵素ラベルは一般的に、酵素に基質を添加し、酵素が基質に作用することにより生成される反応生成物を検出することにより検出され、比色ラベルは単に着色ラベルを可視化することにより検出される。他の適切な検出可能なラベルについては、本発明のキメラポリペプチドに関する本発明の第1の態様に関連して上述した通りである。従って、具体的な実施形態によると、上記スクリーニング方法のいずれかで使用される試験化合物は上記に定義したようなポリペプチド、ペプチド、低分子、天然物、ペプチドミメティック、核酸、脂質、リポペプチド、炭水化物、抗体又はこれに由来するいずれかの断片(例えばFab、Fab’及びF(ab’)2、Fd、一本鎖Fv(scFv)、一本鎖抗体、ジスルフィド結合Fv(dsFv)、VL又はVHドメインを含む断片、重鎖抗体(hcAb)、シングルドメイン抗体(sdAb)、ミニボディ、ラクダ科動物重鎖抗体に由来する可変ドメイン(VHH又はナノボディ)、サメ抗体に由来する新規抗原受容体の可変ドメイン(VNAR))、タンパク質足場として、アルファボディ、プロテインA、プロテインG、アンキリンリピートドメインから設計された分子(DARPins)、フィブロネクチンIII型リピート、アンチカリン、ノッティン、人工的に作製したCH2ドメイン(ナノ抗体)を含む群から選択される。好ましい一つの実施形態において、高スループットスクリーニング法は多数の潜在的治療用リガンドを含むコンビナトリアル化合物又はペプチドライブラリーを準備する工程を含む。その後、このような「コンビナトリアルライブラリー」又は「化合物ライブラリー」を本願に記載するような1種以上のアッセイでスクリーニングし、所望の特徴的活性を示すライブラリーメンバー(特定の化学種又はサブクラス)を同定する。「化合物ライブラリー」とは、高スループットスクリーニングで通常では最後に使用される保存された化合物の集合である。「コンビナトリアルライブラリー」とは、多数の化学的「構成要素」を組み合わせることにより、化学的合成又は生物学的合成により生成された種々の化合物の集合である。コンビナトリアルライブラリーの作製とスクリーニングは当業者に周知である。こうして同定された化合物は従来の「リード化合物」として利用することもできるし、それ自体を潜在的又は実際の治療薬として使用することもできる。
別の態様は、前記足場タンパク質が標識されたタンパク質である前記抗原結合性キメラタンパク質の診断ツールとしての使用、又はより具体的にはインビボイメージング用の使用を提供する。
最後の態様は、医薬用としての前記抗原結合性キメラタンパク質又は核酸、ベクター、複合体若しくは組成物を提供する。本願で使用する「医薬」なる用語は治療、即ち、疾患又は障害の予防又は治療に使用される物質/組成物を意味する。本発明によると、「疾患」又は「障害」なる用語はあらゆる病的状態、特に、本願に定義する疾患又は障害を意味する。
以上、本発明による人工細胞と方法に関して特定の実施形態、具体的な構造並びに材料及び/又は分子について記載したが、当然のことながら、本発明の範囲と趣旨から逸脱しない限り、形態及び内容に種々の変更又は改変を加えてもよい。以下の実施例は特定の実施形態をより詳しく説明するためのものであり、本願を制限するものとみなすべきではない。本願は特許請求の範囲のみに制限される。
概要
抗原結合性ドメインと足場タンパク質から構成され、2本若しくは3本のショートリンカー又は2箇所若しくは3箇所の直接結合を介して抗原結合性ドメインを足場タンパク質に連結したリジッドな抗原結合性キメラタンパク質を設計した。足場の性質に応じて、これらのリジッドな抗原結合性キメラタンパク質は種々の用途に利用される。
一例として、本願に記載する「抗原結合性キメラタンパク質」は「メガボディ」(Mb又はMgb)とも言い、ナノボディ、VHH又はモノボディを含む免疫グロブリンドメイン又は免疫グロブリン様ドメインを足場タンパク質、特に大型の単量体足場にグラフトしたものである。これらの抗原結合性キメラ又は本願で具体的に使用するようなメガボディは(より小型の)タンパク質のタンパク質構造を決定するための手段となり、X線結晶構造解析及びクライオEM用途を含む数種の用途に役立つ。Mbは標的のコンフォメーション柔軟性を低減させ、結晶接触を形成し易い表面を広げると共に、付加的な位相決定情報を提供することにより、次世代結晶化シャペロンとして機能する。更に、革新的な補助ツールとしてのこれらのキメラにより、クライオEMを使用して高解像度構造を得る際のサイズの障壁が軽減された。特定のメガボディ抗原結合性キメラタンパク質をその標的と混合することにより、それらの特異的相互作用の結果として「質量」付加が得られ、グリッド上でガラス状の氷に包埋した粒子に規定の特徴が追加されるため、正確な画像アラインメントが容易になり、三次元再構成の解像度が改善される。Mb等のこのような抗原結合性キメラタンパク質を使用すると、コンフォメーションエピトープと1対1の比で選択的に結合するので、粒子分類が容易になり、分類された粒子の構造/コンフォメーション均一性が改善され、三次元再構成の解像度が改善されるという利点もある。重要な点として、相互に似ているが、同一タンパク質上の異なるエピトープと結合する異なるMbのセットを使用/併用すると、同一の高分子複合体から異なる粒子を作製することができる。
このアプローチの概念実証として、図2に従ってGFP特異的ナノボディの(βストランドA及びBを繋ぐ)第1の露出βターンにHopQの接着ドメイン(ピロリ菌に由来するペリプラズムタンパク質PDB5LP2)をコードする遺伝子の循環置換変異体(cHopQ)を挿入した(実施例1)。このキメラを分泌タンパク質として大腸菌のペリプラズムで発現させ、mg量で均一になるまで精製した(実施例2)。次に、このキメラ抗体がGFPと結合することを確認し、X線結晶構造解析によりその構造を解析した(実施例3)。同一の足場を使用し、タンパク質複合体を安定化させる抗原結合性キメラタンパク質(実施例4)、GPCRと結合する抗原結合性キメラタンパク質(実施例5)、及びイオンチャネルと結合する抗原結合性キメラタンパク質(実施例6及び実施例22)も作製した。更に、実施例5では、コンフォメーション選択的な安定化が得られ、メガボディを構成するNb又は抗原結合性ドメインの全ての機能的性質が維持されることが判明した。リンカー長とリンカー組成の異なる2本の短いポリペプチド結合を介して他の機能的HopQをベースとするメガボディを設計するためにインビトロ進化技術も使用した(実施例7)。他の大型の足場タンパク質もメガボディを作製するために使用できることを示すために、次に長さと組成の異なる2本の短いポリペプチド結合を介してGFP特異的ナノボディのβストランドA及びBを繋ぐ第1のβターンに大腸菌の86kDAペリプラズムタンパク質であるYgjK(PDB3W7S)をコードする遺伝子の循環置換変異体を挿入した(実施例8)。メガボディを剛性化するためにリンカーペプチドの1個とナノボディのC末端の間にジスルフィド結合を構築できることも示した(実施例9)。より複雑な連結スキームによりNbを足場に連結した他のリジッドな抗体キメラも作製した。インビトロ進化を使用し、長さと組成の異なる3本の短いポリペプチド結合を介してGFP特異的ナノボディをアズリン(PDB2TSA)に融合した。アズリンはX線結晶構造解析で異常散乱による位相決定に使用される銅含有シングルドメインタンパク質である(実施例10)。得られた抗原結合性キメラタンパク質(本願ではメガボディと称する)は、X線結晶構造解析と単粒子クライオEMによるタンパク質又は複合体の構造試験を可能にすることが分かった。同様に、構造対称性を保ちながら抗原結合性ドメインを多量体足場にリジッドに連結できるため、構造対称性をもつ多量体抗原結合性キメラタンパク質又は多量体メガボディが得られる。この原理を証明するために、ナノボディを足場に連結する3本のショートポリペプチドリンカーを介してバクテロイデス・シータイオタオミクロン(B.thetaiotaomicron)の反転型糖質加水分解酵素ホモ二量体であるSusB(PDB3WFA)にリゾチーム結合性Nbをグラフトした(実施例11)。このような2回回転対称性をもつホモ二量体MbはクライオEM又はX線結晶構造解析で対称性制約を利用できるため、高解像度でのタンパク質構造の決定が容易になる。別の例では、PP7のコートタンパク質又は天然循環置換PP7であるAP205にリジッドに融合したNbから構成される抗原結合性キメラタンパク質からナノボディを提示するウイルス様粒子(VLP)を作製した。PP7は緑膿菌の二十面体バクテリオファージである。PP7に由来するVLPはその合成を行うmRNAを封入しているため、抗原特異的Nbの親和性選択された配列に必要な遺伝子型/表現型関係が成立する。従って、90個のNbをその表面に高度に対称な配置で提示する堅牢なVLPを設計するためにインビトロ進化技術を適用した(実施例12~15)。これらのナノボディを提示するVLPはクライオEMにより小型のタンパク質の構造を解析するための優れたツールである。
免疫グロブリン等の抗原結合性ドメインは診断、イメージング又は他の生物物理学的用途で使用するためにフルオロフォア、色素、イオン又は金属で標識することができる足場にリジッドにグラフトすることもできる。実施例10では、X線結晶構造解析で異常散乱による位相決定に使用される銅含有シングルドメインタンパク質であるアズリン(PDB2TSA)にGFP特異的ナノボディを融合した。更に、GFP結合性ナノボディをアシルキャリアタンパク質(ACP)にもリジッドにグラフトした(実施例16)。ACPは1工程の酵素反応で共有結合的フルオロフォアにより直交的に標識することができるタンパク質である。
3本のショートペプチドリンカーを介して免疫グロブリンドメインを同一のIgドメイン又は異なるIgドメイン(又は異なる治療用足場)とリジッドに融合し、夫々二価又は二重特異性の抗原結合性キメラタンパク質を作製することもできる(ナノ2ボディ、N2b、実施例17及び18)。二価又は二重特異性の抗原結合性キメラタンパク質はX線結晶構造解析又はクライオEMでシャペロンとして使用できるだけでなく、生物物理学的用途、イメージング、診断及び治療に多くの用途がある。
βストランドAは全てのNbに共通する高度に保存されたN末端配列に含まれる(Harmsen et al.,2000)ので、網羅的なインビボ成熟ナノボディレパートリーを(本願でメガボディ、ナノツール又はナノ2ボディと称するもの等の抗原結合性キメラタンパク質を含む)リジッドな抗原結合性キメラタンパク質ライブラリーとして簡便にクローニングし、バインダーについて標準方法によりスクリーニングすることができる。その後、ファージディスプレイ法,酵母ディスプレイ法又はウイルスディスプレイ法により機能的抗原結合性キメラタンパク質を選択する(実施例19)。
HopQの接着ドメインをコードする遺伝子の循環置換変異体(ピロリ菌に由来するペリプラズムタンパク質;本願で「cHopQ」と称する循環置換変異体)をGFP特異的ナノボディの(βストランドC及びC’を繋ぐ)第2の露出βターンに挿入したリジッドな抗原結合性キメラタンパク質も作製し(実施例20)、更に、モノボディ等の合成免疫グロブリン様抗原結合性タンパク質から構成される抗原結合性キメラタンパク質も作製した(実施例21)。
更に、設計・作製した抗原結合性キメラタンパク質のいくつかをGPCR、イオンチャネル及び受容体型チロシンキナーゼ等の扱いにくい膜結合型複合体の構造解析に適用した(実施例22)。
別の実施例では、cHopQ足場タンパク質と結合するメガボディから誘導される抗原結合性キメラタンパク質又はメガボディを作製することにより、足場サイズを更に大きくするように抗原結合性キメラタンパク質の所定の組成物又は「ポリボディ」が形成されることを実証した(実施例23)。
実施例24はNbの第1のβストランドABに挿入したドデシンタンパク質から多量体抗原結合性キメラタンパク質を作製できることを示す。最後に、分子量と対称性を高めた別のフォーマットの抗原結合性キメラタンパク質を作製するための足場タンパク質としてジスルフィド架橋ホモ二量体も試験した(実施例25)。
[実施例1]GFP特異的ナノボディのβストランドABを繋ぐ第1のβターンにcHopQ足場を挿入した58kD抗原結合性キメラタンパク質の設計と作製。
メガボディ等のリジッドな抗原結合性キメラタンパク質を得る第1の概念実証として、図2に従ってナノボディを足場に連結する2本のペプチド結合を介してナノボディを大型の足場タンパク質にグラフトし、リジッドメガボディを作製した。
本実施例に記載する58kDaメガボディは、図2及び3に従って連結されたシングルドメイン免疫グロブリンの部分と足場タンパク質の部分からコンカテマー化されたキメラポリペプチドである。本実施例で使用した免疫グロブリンドメインは配列番号1に示すようなGFP結合性ナノボディである。足場タンパク質はピロリ菌(Helicobacter pylori)G27株のHopQと称されるアドヘシンドメイン(PDB:5LP2、配列番号19)である(Javaheri et al,2016)。HopQのN末端とC末端を連結し、cHopQと称するHopQの循環置換変異体を作製し、その配列中の任意の別の位置で配列の切断を行った。MbNb207
cHopQコンストラクトを設計するために、全部分をペプチド結合によりアミノ(N)末端からカルボキシ(C)末端に向かって以下の順序、即ち、抗GFPナノボディのβストランドA(配列番号1の1~13)、HopQのC末端部分(配列番号19の残基192~414)、足場タンパク質の循環置換体cHopQを作製するためにHopQのC末端とN末端を連結するショートペプチドリンカー(配列番号21)、HopQのN末端部分(配列番号19の残基14~186)、GFP結合性ナノボディのβストランドG(配列番号1の残基16~126)、6×Hisタグ及びEPEAタグ(US9518084B2;配列番号209)の順で相互に連結した(配列番号20)。
正しく折り畳まれた機能的タンパク質としてMbNb207
cHopQ(配列番号20)を発現させることができることを実証するために、このタンパク質を酵母表面に提示させ(Boder,1997)、このメガボディを提示する酵母細胞とコグネイト抗原(GFP)との特異的結合をフローサイトメトリーにより試験した。MbNb207
cHopQを酵母上に提示させるために、標準方法を使用して多数のアクセサリーペプチド及びタンパク質と融合させたメガボディ(配列番号22)、即ち、酵母での細胞外分泌を指示するappS4リーダー配列(Rakestraw,2009)、MbNb207
cHopQ、フレキシブルペプチドリンカー、Aga1pタンパク質とのジスルフィド結合を介して酵母細胞壁に結合する酵母アグルチニンタンパク質Aga2pのAga2p接着サブユニット、提示された融合タンパク質の直交的蛍光染色用のアシルキャリアタンパク質(Johnsson,2005)及びcMycタグをコードするオープンリーディングフレームを構築した。このオープンリーディングフレームをガラクトース誘導性GAL1/10プロモーターの転写制御下でpCTCON2ベクター(Chao,2006)に挿入し、酵母株EBY100に導入した。
このプラスミドを導入したEBY100酵母細胞を増殖させ、ガラクトースリッチ培地で一晩誘導し、MbNb207
cHopQ-Aga2p-ACP融合体の発現と分泌を誘起した。ACPの直交的染色のために、蛍光標識CoAアナログ(coA-647、2μM)と触媒量のSFPシンターゼ(1μM)の存在下で細胞を1時間インキュベートした。増殖条件をグルコースリッチ培地からガラクトースリッチ培地に変えることにより酵母の表面へのMbNb207
cHopQの発現が誘導されることが確認された(図4)。表面提示レベルはフローサイトメトリーにより容易に定量的に分析することができる。これらの実験では、誘導させた酵母細胞を洗浄し、フローサイトメトリーに供し、メガボディを提示しないが、同様に直交的に染色した酵母細胞とCoA647蛍光レベルを比較することにより各細胞のMb提示レベルを測定した。CoA647蛍光シグナルレベルの高い識別可能な酵母細胞は、MbNb207
cHopQを発現する培養液でしか検出されなかったことから、メガボディを酵母の表面に効率的に提示させ、直交的に染色することができると判断された(図4)。
提示されたメガボディの機能性を分析するために、コグネイト抗原(GFP)とのその結合をフローサイトメトリーにより試験した。上記のように、EBY100酵母細胞を誘導し、CoA647で直交的に蛍光染色し、MbNb207
cHopQ-Aga2p-ACP融合体の提示をモニターした。これらの直交的に染色した酵母細胞を次に100nM GFPの存在下で1時間インキュベートした(Scholz et al.,2000)。これらの細胞を洗浄後、GFPの結合量は酵母の表面へのMbNb207
cHopQの発現レベルに直線的に相関するはずであるが、提示されたMbNb207
cHopQに検出可能な量のGFPが結合していることが確認された。実際に、二次元フローサイトメトリー解析の結果、GFP(GFP蛍光レベルが高い)はメガボディ提示レベルが有意である(CoA647蛍光レベルが高い)酵母細胞としか結合しないことが確認された(図5)。一方、同様に染色されているが、MbNb207
cHopQを発現しない野生型酵母細胞とGFPは結合しない。これらの実験から結論すると、良好に折り畳まれた機能的な抗原結合性(GFP結合性)キメラタンパク質としてMbNb207
cHopQを酵母表面に発現させることができる。
[実施例2]GFP特異的ナノボディのβストランドABを繋ぐ第1のβターンにcHopQ足場を挿入した58kD抗原結合性キメラタンパク質の発現、精製及び特性決定。
次に、この58kDa MbNb207
cHopQを大腸菌のペリプラズムで発現させ、これを均一になるまで精製し、その性質を調べることにした。MbNb207
cHopQ(配列番号20)等のメガボディを大腸菌のペリプラズムで発現させるために、標準方法を使用し、任意のナノボディの高度に保存されたβストランドAとβストランドBを繋ぐ第1のβターンにHopQ(の循環置換変異体)を挿入した任意の所望のメガボディの発現を可能にするクローニングベクター(pMESD2と称する)を作製した。このベクターはpMES4(Pardon,2014)の誘導体であり、以下のポリペプチド、即ち大腸菌のペリプラズムへのメガボディの分泌を指示するDsbAリーダー配列、ナノボディの非常に高度に保存されたFR1部分に相当するNbGFP207のβストランドA、cHopQと称するHopQの循環置換変異体、6×Hisタグ及びEPEAタグ、最後にアンバー終止コドンをコードするオープンリーディングフレームを含む。任意のナノボディのC末端部分(βストランドBからβストランドGまで)をSapI断片としてこのベクターにクローニングすることができる。
MbNb207
cHopQを大腸菌のペリプラズムで発現させ、この組換えタンパク質を均一になるまで精製するために、βストランドB~Gに由来するNbGFP207をコードするDNA断片(配列番号121のヌクレオチド52~378)を(配列番号122及び配列番号123のプライマーを使用して)PCRにより増幅し、大腸菌のペリプラズムでPlacプロモーターの転写制御下にHisタグとEPEAタグを付けたMbNb207
cHopQの発現を行うpMESD2ベクターにSapI断片としてクローニングした。
WK6細菌細胞(WK6はsu-非抑制株である)をTB培地6L中で37℃にて増殖させ、細胞が対数増殖期に達したらIPTGにより誘導した。HisタグとEPEAタグを付けたMbNb207
cHopQのペリプラズム発現を28℃で一晩続けた。細胞を遠心により回収し、浸透圧ショック法を使用して組換えMbNb207
cHopQをペリプラズムから遊離させた(Pardon et al.,2014)。次に遠心により組換えメガボディを細胞質から分離し、HisTrap FF 5mLプレパックカラムで清澄化上清から回収した。次に500mMイミダゾールをアプライすることによりNiNTA樹脂からタンパク質を溶出させ、カットオフ値3kDaのNMWLフィルター(Nominal Molecular Weight Limit)を使用して遠心により濃縮した。濃縮した試料を次にSuperdex 200PG16/90サイズ排除カラムにアプライし、見かけの分子量が約60kDaの可溶性タンパク質として組換えメガボディ24mgを回収した。
次に精製組換えMbNb207
cHopQの機能的性質をサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により分析した。メガボディを4倍モル量のGFPと共に30分間4℃でインキュベートし、Superdex 75PG16/90カラムにアプライした。精製GFP単独を同一のサイズ排除カラムに別個にアプライした(図6)。280nm(任意のタンパク質による吸収)と488nm(GFPによる吸収)の紫外吸収を測定することにより種々のタンパク質の溶出をモニターした。図6に示す溶出スペクトルによると、メガボディと過剰のGFPを含む混合物は2個の対称なピーク(青と赤の吸光度プロファイル)で溶出する。最初に溶出するピーク(最大分子量)は488nmで吸収し、GFPを含んでいることを示す。2番目のピークは同一溶出体積のGFP単独(緑色の吸光度プロファイル)で溶出し、同じく488nmで吸収する。対応する溶出画分のSDS-ポリアクリルアミド電気泳動によると、メガボディと過剰のGFPを含む混合物の最初の溶出ピークはメガボディとGFPを含んでおり、2番目のピークはGFPのみを含んでいることが確認される。これらの全データを総合すると、精製組換えMbNb207
cHopQはGFPと複合体を形成し、サイズ排除クロマトグラフィーにより分離しにくくなることが分かる。更に、MbNb207
cHopQとGFPの特異的結合のリアルタイムキネティック解析をバイオレイヤー干渉法により実施した。ストレプトアビジンをコートしたOctet(R)バイオセンサーを使用してビオチン化GFPを捕捉し、種々の濃度のMbNb207
cHopQとの関連性を調べた。図24に示すデータから実証されるように、MbNb207
cHopQを使用した場合のGFPに対する親和性はNbGFP207単独を使用した場合の親和性と同様であった(図24B)。
[実施例3]GFP特異的ナノボディのβストランドABを繋ぐ第1のβターンにcHopQ足場を挿入した58kD抗原結合性キメラタンパク質のX線結晶構造解析による構造決定。
実施例1及び2に記載したように、58kDaキメラMbNb207
cHopQを発現させ、精製することができたので、このメガボディを結晶化させ、その構造をX線結晶構造解析により解析することにした。
MbNb207
cHopQを実施例2に記載したように複合体としてSEC(図6)により精製し、48mg/mLまで濃縮し、静滴0.1μLに母液0.1μLを添加し、多数の市販のスパースマトリックス結晶化スクリーン(JSCG/Proplex/PEGion/Wizard12/Morpheus)に供した。JSCGスクリーンA2条件(0.1Mクエン酸ナトリウム,pH5.5、20%w/v PEG3000)で得られた小さな結晶をシーディング最適化アプローチで使用した。JSCG A2結晶からシーディングした0.2Mクエン酸アンモニウム、17%PEG3350、10%グリセロール、48mg/mL Mb207中で良好に回折する結晶が得られた。Diamond(英国)のI3線源でデータを取得し、構造を2.6Åの解像度まで精密化した(表1)。
メガボディはP1で結晶化し、非対称単位当たりの分子数は10であった。非対称単位中の異なる分子間のRMSDは0.3~2.7Åであることから、ナノボディはナノボディを足場に連結する2本のペプチド結合を介して足場にリジッドに連結されていると判断される(図7)。
[実施例4]タンパク質複合体を安定化させるナノボディのβストランドABを繋ぐ第1のβターンにcHopQ足場を挿入した58kD抗原結合性キメラタンパク質の発現と精製。
第2の抗原結合性キメラタンパク質の例として、β2アドレナリン受容体-Gsタンパク質複合体のGβサブユニットとGαサブユニットの界面に結合するNb35のβストランドA及びBを繋ぐ第1のβターンにcHopQ足場を挿入した58kD抗原結合性キメラタンパク質を発現させ、精製することにした(Rasmussen et al,2011a)。
MbNb35
cHopQと称する58kDaメガボディは図2及び3に従って連結されたシングルドメイン免疫グロブリンの部分と足場タンパク質の部分からコンカテマー化されたキメラポリペプチドである。本実施例で使用した免疫グロブリンドメインはβ2アドレナリン受容体-Gsタンパク質複合体のGβサブユニットとGαサブユニットの界面に結合するナノボディであり(Rasmussen et al,2011a)、CDR1が主にGβと相互作用し、長いCDR3ループが配列番号24に示すようなGβサブユニット及びGαサブユニットの両方と相互作用する。全部分をペプチド結合によりアミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順序、即ち、抗GFPナノボディのβストランドA(配列番号1の1~13)、HopQのC末端部分(配列番号19の残基192~414)、足場タンパク質の循環置換体を作製するためにHopQのC末端とN末端を連結するショートペプチドリンカー(配列番号21)、HopQのN末端部分(配列番号19の残基14~186)、ナノボディのストランドB~G(配列番号24の残基16~128)、6×His/EPEAタグの順で相互に連結した(配列番号25)。
MbNb35
cHopQを大腸菌のペリプラズムで発現させ、この組換えタンパク質を均一になるまで精製するために、βストランドB~Gに由来するNb35をコードするDNA断片を(配列番号122及び配列番号123のプライマーを使用して)PCRにより増幅し、大腸菌のペリプラズムでPLacプロモーターの転写制御下にHisタグとEPEAタグを付けたcHopQNb35メガボディ(配列番号25)の発現を行うpMESD2ベクターにSapI断片としてクローニングした。
MbNb35
cHopQも実施例2に記載したように大腸菌のペリプラズムで発現させ、均一になるまで精製した。更に、精製したcHopQNb35はβ2アドレナリン受容体-Gsタンパク質複合体のGβサブユニットとGαサブユニットの界面に選択的に結合する。
[実施例5]GPCR特異的ナノボディのβストランドABを繋ぐ第1のβターンにcHopQ足場を挿入した58kD抗原結合性キメラタンパク質の発現と精製。
別の例として、ヒトβ2アドレナリン受容体と結合し、Gタンパク質様挙動を示すNb80のβストランドA及びBを繋ぐ第1のβターンにcHopQを挿入した別の58kD抗原結合性キメラタンパク質を発現させ、精製することにした(Rasmussen et al,2011b)。このようなナノボディの代替例は例えばWO2012/007593(表1、2参照)、WO2012/175643(表2、3参照)、WO2014/122183(表1及び2参照)及びWO2015/110449(表2及び3参照)に記載されている。従って、本発明はこれらの引用特許出願に記載されている(前記表に記載されている)前記Nbの配列に基づいて本願に記載するように設計・作製された全ての抗原結合性キメラタンパク質も含む。あるいは、記載するような目的とするGPCR複合体タンパク質の特異的安定化を得るには前記NbのCDRで十分であるため、本発明は本願に記載するように設計・作製された抗原結合性キメラタンパク質であって、前記GPCR複合体と結合する抗原結合性キメラタンパク質の抗原結合性ドメインのCDRが、前記GPCR複合体に特異的なNbに由来するCDRをベースとするものも含む。
MbNb80
cHopQと称する58kDaメガボディは、図2及び3に従って連結されたシングルドメイン免疫グロブリンの部分と足場タンパク質の部分からコンカテマー化されたキメラポリペプチドである。本実施例で使用した免疫グロブリンドメインはβ2アドレナリン受容体の細胞質側に結合するナノボディであるNb80(配列番号26)である。そのCDR3の8アミノ酸配列は前記受容体のTMセグメント3、5、6及び7に由来するアミノ酸により形成される疎水性ポケットに侵入する。そのCDR1の4アミノ酸配列はTMセグメント5及び6の細胞質末端との付加的な安定化相互作用を提供する(Rasmussen et al,2011b)。そのCDR3はβ2AR-Gsタンパク質複合体におけるGsのカルボキシル末端ペプチドと同様の位置を占める(Rasmussen et al,2011a)。全部分をペプチド結合によりアミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順序、即ち、抗GFPナノボディのβストランドA(配列番号1の1~13)、HopQのC末端部分(配列番号19の残基192~414)、足場タンパク質の循環置換体を作製するためにHopQのC末端とN末端を連結するショートペプチドリンカー(配列番号21)、HopQのN末端部分(配列番号19の残基14~186)、Nb80のβストランドB~G(配列番号27の残基16~120)、6×His/EPEAタグの順で相互に連結した(配列番号27)。
MbNb80
cHopQを大腸菌のペリプラズムで発現させ、この組換えタンパク質を均一になるまで精製するために、βストランドB~Gに由来するNb80をコードするDNA断片を(配列番号122及び配列番号123のプライマーを使用して)PCRにより増幅し、実施例4に記載したようにpMESD2ベクターにSapI断片としてクローニングした。このプラスミドは大腸菌のペリプラズムでPlacプロモーターの転写制御下にHisタグとEPEAタグを付けたMbNb80
cHopQ(配列番号27)の発現を行う。
上記実施例のメガボディと同様に、MbNb80
cHopQも実施例2に記載したように大腸菌のペリプラズムで発現させ、均一になるまで精製することができる。更に、精製したMbNb80
cHopQはβ2ARの活性状態コンフォメーションと選択的に結合してこれを安定化させる。WO2012/007593に記載の実施例と同様に、Nb80又はMbNb80
cHopQの存在下におけるβ2AR野生型(wt)受容体の薬理学的性質をβ2AR-wt単独の性質及び無関係のメガボディMbNb207
cHopQの存在下におけるβ2AR-wtの性質と比較した(図53)。Nb80はアゴニストを結合させたβ2ARと選択的に結合し、Gタンパク質様挙動を示し、従って、アゴニスト・β2AR・Nb80複合体において受容体の活性状態コンフォメーションを安定化させるナノボディである(Rasmussen et al.,2011)。ヒトβ2アドレナリン受容体と結合し、Gタンパク質様挙動を示すNb80の性質(Rasmussen et al,2011b)がMbNb80
cHopQで維持されるか否かを放射性リガンドアッセイにより検討した。GFPと特異的に結合し、β2ARに対する親和性をもたないナノボディであるNbGFP207もMbNb207
cHopQと共にネガティブコントロールとして使用したが、β2ARに対する親和性を示さなかった(図53)。
β2ARに対するNb80又はMbNb80
cHopQの薬理作用を比較できるように、以下のように放射性リガンドアッセイを実施した。β2AR野生型(wt)受容体を発現させるために、Bac-to-Bac(R)バキュロウイルス発現システム(Invitrogen、カタログ番号10359-016)を製造業者の指示に従って使用してpFastBac1-β2ARwtコンストラクト1μgをDH10Bac(TM)細胞に形質転換し、カナマイシン50μg/ml、ゲンタマイシン7μg/ml、テトラサイクリン10μg/ml、X-gal 100μg/ml及びIPTG 40μg/mlを添加した新鮮なLB寒天プレートに播種した。白色コロニーを釣菌し、バクミドを精製し、オープンリーディングフレームの配列をシーケンシングにより確認した。6ウェルプレートフォーマットでトランスフェクション試薬としてセルフェクチン8μlと共にバクミドDNA2μgをSf9細胞にトランスフェクションすることにより組換えバキュロウイルスを作製した。細胞を27℃でインキュベートし、3日後にP1ウイルスを採取した。次にウイルスを連続継代により増幅し、P3ウイルスを採取した。2~3×106個/mlの濃度のSf9細胞にバキュロウイルスを0.5のM.O.I.で感染させ、細胞に受容体を27℃で72時間発現させた。受容体のN末端細胞外部分のFLAGペプチド配列を認識するマウス抗FLAG M2抗体を一次抗体(1:100)として使用し、抗マウスDyLight405を二次抗体(1:100)として使用し、フローサイトメトリーにより受容体の発現と細胞表面局在を評価した。細胞を1000×gで30分間遠心し、プロテアーゼ阻害剤(cOmpleteTM EDTAフリープロテアーゼ阻害剤カクテル錠、Roche)を添加したTME結合バッファー(75mM Tris/HCl pH7.4,12.5mM MgCl2,1mM EDTA)に得られたペレットを再懸濁することによりこれらの細胞から膜を調製した。Ultra turraxホモジナイザーを最高速度で使用して10秒のバースト6回で細胞を溶解させた。膜を含む溶解液を次に4℃にて40,000×gで40分間遠心し、上清を捨て、10%サッカロースを添加したTME結合バッファーに膜ペレットを再懸濁した。膜をその後の使用時まで-80℃で保存した。Pierce BCAタンパク質アッセイキット(Thermo Scientific)を製造業者の指示に従って使用して総膜タンパク質含量を推算した。その後の分析に備えて総膜タンパク質濃度に従ってデータを正規化するために、全試料を最終濃度0.2mg/mlまで希釈した。放射性リガンド競合結合アッセイのために、2nM[3H]-ジヒドロアルプレノロールの存在下で5μM Nb80、MbNb80
cHopQ、MbNb207
cHopQの存在下又はナノボディの不在下にエピネフリン(天然アゴニスト、Sigmaカタログ番号E4250)又は(-)-イソプロテレノール塩酸塩(完全アゴニスト、Sigmaカタログ番号I6504)のいずれかの濃度を10-11M~10-4Mの範囲で増加させながらβ2AR-wtを発現する膜10μgをインキュベートした。10μMアルプレノロールの存在下で非特異的結合を測定した。試料を振盪プラットフォームで室温にて2時間インキュベートし、96ウェルFilterMateハーベスター(Perkin Elmer)を使用してWhatman GF/Cユニフィルター(Perkin Elmer、カタログ番号6005174)で濾過することにより、受容体と結合した放射性リガンドを遊離の放射性リガンドから分離した。濾過後、フィルタープレートに保持された膜を氷冷洗浄バッファー(20mM Tris-HCl pH7.4)で洗浄し、フィルターを1時間50℃で乾燥した。シンチレーション液(MicroScint(TM)-O,Perkin Elmer)35μlを添加後、フィルターに保持された放射能(cpm)をWallac MicroBeta TriLuxシンチレーションカウンターで測定した。データは2回ずつ実施した各実験の平均±s.e.を表す。Prism(GraphPad Software,San Diego,CA)を使用して非線形回帰分析によりIC50値を求めた。
図53に示すように、MbNb80
cHopQの存在下におけるβ2AR-wtの薬理学的性質はNb80の存在下におけるβ2AR-wtの薬理学的性質と非常によく似ており、β2AR-wt単独又はMbNb207
cHopQの存在下におけるβ2AR-wtとは著しく異なることが分かった。β2AR-wt単独と比較すると、Gタンパク質様挙動(Nb80参照)を示すMbNb80
cHopQの存在下におけるβ2AR-wt受容体はアゴニスト(エピネフリン、イソプロテレノール)に対する親和性の増加を示し、MbNb80
cHopQの存在下の受容体は活性状態コンフォメーションをとることが分かる(Rasmussen et al,2011b)。対照β2AR-wtと比較したMbNb80
cHopQの存在下におけるβ2AR-wtの天然アゴニストエピネフリンに対する親和性の増加は、β2AR-wt単独に対するエピネフリンのIC50をMbNb80
cHopQの存在下におけるβ2AR-wtに対するエピネフリンのIC50highで割り、見かけの力価シフトが
となるようにすることにより、図53(A)に示す競合結合実験からのIC50値の比から計算することができる。合成アゴニストであるイソプロテレノールに対するMbNb80
cHopQの存在下におけるβ2AR-wtの親和性の増加は、β2AR-wtに対するイソプロテレノールのIC50をMbNb80
cHopQの存在下におけるβ2AR-wtに対するイソプロテレノールのIC50highで割り、見かけの力価シフトが
となるようにすることにより、図53(B)に示す競合結合実験からのIC50値の比から計算することができる。この結果、Nb80の機能性はMbNb80
cHopQフォーマットで維持されることが実証され、更に、β2AR標的に対するその抗原結合親和性が維持されるため、実際に、このフォーマットはβ2AR活性状態コンフォメーションを安定化させ、Nb80と同様に、コンフォメーション選択的な抗原結合を提供することが実証された。
[実施例6]イオンチャネル結合性ナノボディのβストランドABを繋ぐ第1のβターンにcHopQ足場を挿入した58kD抗原結合性キメラタンパク質の発現と精製。
別の例として、五量体リガンド依存性イオンチャネルGABAA(Miller et al,2017)と結合するNb25のβストランドA及びBを繋ぐ第1のβターンにcHopQを挿入した別の58kD抗原結合性キメラタンパク質を発現させ、精製することにした。
MbNb25
cHopQと称する58kDaメガボディは図2及び3に従って連結されたシングルドメイン免疫グロブリンの部分と足場タンパク質の部分からコンカテマー化されたキメラポリペプチドである。本実施例で使用した免疫グロブリンドメインはGABAAβ3サブユニット(Miller et al,2017)の細胞外ドメインと結合するナノボディであるNb25(配列番号28)である。全部分をペプチド結合によりアミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順序、即ち、抗GFPナノボディのβストランドA(配列番号1の1~13)、HopQのC末端部分(配列番号19の残基192~414)、足場タンパク質の循環置換体を作製するためにHopQのC末端とN末端を連結するショートペプチドリンカー(配列番号21)、HopQのN末端部分(配列番号19の残基14~186)、Nb25のβストランドB~G(配列番号28の残基16~125)、6×His/EPEAタグの順で相互に連結した(配列番号29)。
MbNb25
cHopQを大腸菌のペリプラズムで発現させ、この組換えタンパク質を均一になるまで精製するために、βストランドB~Gに由来するNb25をコードするDNA断片を(配列番号122及び配列番号123のプライマーを使用して)PCRにより増幅し、実施例4に記載したようにpMESD2ベクターにSapI断片としてクローニングした。このプラスミドは大腸菌のペリプラズムでPlacプロモーターの転写制御下にHisタグとEPEAタグを付けたMbNb25
cHopQ(配列番号29)の発現を行う。
上記実施例のメガボディと同様に、MbNb25
cHopQも実施例2に記載したように大腸菌のペリプラズムで発現させ、均一になるまで精製することができる。更に、精製したMbNb25
cHopQはGABAAβ3サブユニットの細胞外ドメインと結合する。
[実施例7]GFP特異的ナノボディのβストランドABを繋ぐ第1のβターンにc7HopQを挿入した他の58kD抗原結合性キメラタンパク質のインビトロ選択による設計と作製。
折り畳み能だけでなく、メガボディの安定性と剛性も免疫グロブリンを足場に連結するポリペプチド結合の組成と長さに依存する可能性があるため、特定のメガボディフォーマットを必要に応じて微調整するためにインビトロ進化技術を導入した。実施例1に記載したメガボディから出発し、図2に従って可変長で混合アミノ酸組成の2本のショートペプチドがナノボディを足場に連結する同様の設計のメガボディをコードし、インビトロ選択に利用可能なライブラリーを構築した。
本実施例に記載する58kDaメガボディは、図2に従って短いポリペプチド結合により連結されたシングルドメイン免疫グロブリンの部分と足場タンパク質の部分からコンカテマー化されたキメラポリペプチドである。本実施例で使用した免疫グロブリンは配列番号1に示すGFP結合性ナノボディである。全部分をペプチド結合によりアミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順序、即ち、抗GFPナノボディのβストランドA(配列番号1の1~12)、ランダムな組成の1又は2アミノ酸のペプチドリンカー、HopQのC末端部分(配列番号19の残基193~414)、足場タンパク質の循環置換体を作製するためにHopQのC末端とN末端を連結するペプチドリンカー(配列番号21)、HopQのN末端部分(配列番号19の残基15~186)、ランダムな組成の1又は2アミノ酸のペプチドリンカー、抗GFPナノボディのβストランドB~G(配列番号1の残基11~126)、6×Hisタグ及びEPEAタグの順で相互に連結した(配列番号30~33)。
実施例1、2及び3に記載したメガボディの機能的変異体であって、ナノボディを足場に連結するリンカーの組成と長さが異なるものを酵母上に提示させ、選択するために、標準方法を使用し、図8に従って多数のアクセサリーペプチド及びタンパク質と融合させた種々のメガボディ(配列番号34~37)、即ち、酵母での細胞外分泌を指示するappS4リーダー配列(Rakestraw,2009)、抗GFPナノボディのβストランドA(配列番号1の1~12)、ランダムな組成の1又は2アミノ酸のペプチドリンカー、HopQのC末端部分(配列番号19の残基193~414)、足場タンパク質の循環置換体を作製するためにHopQのC末端とN末端を連結するショートペプチドリンカー(配列番号21)、HopQのN末端部分(配列番号19の残基15~186)、ランダムな組成の1又は2アミノ酸のペプチドリンカー、抗GFPナノボディのβストランドB~G(配列番号1の残基11~126)、フレキシブル(GGSG)nペプチドリンカー、Aga1pタンパク質とのジスルフィド結合を介して酵母細胞壁に結合する酵母アグルチニンタンパク質Aga2pのAga2p接着サブユニット、提示された融合タンパク質の直交的蛍光染色用のアシルキャリアタンパク質(Johnsson,2005)及びmycタグをコードするオープンリーディングフレームのライブラリーを構築した。これらのオープンリーディングフレームをガラクトース誘導性GAL1/10プロモーターの転写制御下でpCTCON2ベクター(Chao,2006)に挿入し、実施例1、2及び3に記載したメガボディの184,000種の異なる変異体をコードする酵母ディスプレイライブラリーを構築した(図8参照)。
インビトロ選択のために、このライブラリーを酵母株EBY100に導入した。形質転換細胞をガラクトースリッチ培地で一晩増殖・誘導させた。SFPシンターゼ(1μM)を使用し、誘導させた細胞をcoA-647(2μM)で直交的に染色し、100nMのGFPと共にインキュベートした。次に、これらの細胞を洗浄し、2パラメーターFACS解析に供し、高レベルの特定のメガボディを提示し(CoA-647蛍光レベルが高い)、抗原GFPと結合する(GFP蛍光レベルが高い)酵母細胞を同定した。高レベルのGFP結合性ナノボディを提示する細胞を選別し、酵母ディスプレイ法と2パラメーターFACS解析によるその後の選択ラウンドに供するためにグルコースリッチ培地で増幅した。
1ラウンドの選択後、CoA-647チャネルとGFPチャネルで蛍光レベルの高い代表数の細胞をシングルコロニーとして増殖させ、DNAシーケンシングを行い、ナノボディを足場タンパク質に連結する代表数のペプチドリンカーの配列を決定した。各リンカータイプ1-1、1-2、2-1及び2-2アミノ酸ショートリンカー変異体の4個の代表的なクローン(表2)はFACS実験で100nM GFPと結合することが確認された(図30)。この結果から実証されるように、抗原結合性ドメインと足場タンパク質の種々の短いペプチド連結を、メガボディライブラリーからインビトロ選択により選択することができ、機能的抗原結合性キメラタンパク質として提示させることができる。メガボディの機能的変異体を酵母の表面に提示させることができた(上記)ので、1-1アミノ酸ショートリンカーの4個の代表的なメガボディクローン(表2のMP1331_A5、MP1331_A12、MP1331_B7及びMP1331_G10)を大腸菌のペリプラズムで発現させ、これらのキメラを均一になるまで精製し、その性質を調べることにした。メガボディMbNb207
c7HopQの4種の変異体(MbNb207
c7HopQA5、MbNb207
c7HopQA12、MbNb207
c7HopQB7、MbNb207
c7HopQG10)と野生型に短い循環置換(c7;実施例23参照)を加えたもの(MbNb207
c7HopQ)を本質的に実施例2に記載したように作製した。MbNb207
c7HopQ(配列番号136)は抗GFP-ナノボディの保存されたN末端のβストランドA(配列番号1の1~13)、HopQのC末端部分(配列番号19の残基192~411)、HopQのN末端部分(配列番号19の残基18~186)、抗GFPナノボディのβストランドB~G(配列番号1の残基16~126)、6×Hisタグ及びEPEAタグから作製した。
4種のMbNb207
c7HopQ変異体(配列番号137~140)は抗GFP-ナノボディの保存されたN末端のβストランドA(配列番号1の1~12)、1アミノ酸リンカー(表2)、HopQのC末端部分(配列番号19の残基193~411)、HopQのN末端部分(配列番号19の残基18~185)、1アミノ酸リンカー(表2)、抗GFPナノボディのβストランドB~G(配列番号1の残基17~126)、6×His/EPEAタグから作製した。
これらのメガボディ(配列番号136~140)を実施例2に記載したように大腸菌で発現させ、精製した。濃縮した試料を次にSuperdex 200PG10/300サイズ排除カラムにアプライし、見かけの分子量が約60kDaの均一な可溶性タンパク質試料として溶出させた(図31)。精製した組換えメガボディ(配列番号136~140)の機能的性質を酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)により分析した。精製したGFPをマキシソープマイクロタイタープレート(Nunc)のウェルに二炭酸ナトリウム緩衝液(pH8.2)中0.1μg/ウェルの濃度で固定化した。ウェル内の残りのタンパク質結合部位を室温にて2時間ミルクPBS溶液でブロックした。精製したメガボディ試料を、GFPをコートしたウェルとコートなしのウェルでインキュベートした。洗浄工程後、メガボディのみに存在するEPEAタグを特異的に認識するCaptureSelectビオチン化抗体(Life Technologies)を使用することによりメガボディとGFPの結合を試験した。次いでストレプトアビジン-アルカリホスファターゼ(Promega)によりCapture Selectビオチン化抗体の検出を行った。酵素基質リン酸p-ニトロフェニルを加えた後に405nmの吸収を測定した。GFPを固定化した場合をGFPなしの条件と比較すると、検出されたシグナルは少なくとも10倍の各メガボディのシグナルを示す。ELISA及びSECデータによると、精製組換えメガボディ(配列番号136~140)は均一になるまで精製することができ、GFPと複合体を形成できると判断される(図31及び32)。
[実施例8]GFP特異的ナノボディの(βストランドA及びBを繋ぐ)第1の露出βターンにcYgjKを挿入した100kDa抗原結合性キメラタンパク質のインビトロ選択による設計と作製。
代替例として、より大型の足場に連結したナノボディからメガボディを設計した。図2及び9に従って2本のショートペプチドがナノボディを別の足場に連結するメガボディ変異体をコードするライブラリーをインビトロ選択用に構築した。
設計した100kDaメガボディは、図2に従ってショートポリペプチドリンカーにより連結されたシングルドメイン免疫グロブリンの部分と足場タンパク質の部分からコンカテマー化されたキメラポリペプチドである。使用した免疫グロブリンは配列番号1に示すGFP結合性ナノボディである。使用した代替足場タンパク質は大腸菌の86kDAペリプラズムタンパク質であるYgjK(PDB3W7S、配列番号38)とした。全部分をペプチド結合によりアミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順序、即ち、抗GFPナノボディのβストランドA(配列番号1の残基1~12)、ランダムな組成の1又は2アミノ酸のペプチドリンカー、YgjKのC末端部分(配列番号38の残基464~760)、足場タンパク質の循環置換体を作製するためにYgjKのC末端とN末端を連結するショートペプチドリンカー(配列番号43)、YgjKのN末端部分(配列番号38の残基1~461)、ランダムな組成の1又は2アミノ酸のペプチドリンカー、抗GFPナノボディのβストランドB~G(配列番号1の残基17~126)の順で相互に連結した(配列番号39~42)。
ナノボディを足場に連結するリンカーの組成と長さが異なるMbNb207
cYgjkQランダムリンカーの機能的変異体(配列番号39~42)を酵母上に提示させ、選択するために、標準方法を使用し、多数のアクセサリーペプチド及びタンパク質と融合させた種々のメガボディ(配列番号44~47)、即ち、酵母での細胞外分泌を指示するappS4リーダー配列(Rakestraw,2009)、抗GFPナノボディのβストランドA(配列番号1の1~12)、ランダムな組成の1又は2アミノ酸のペプチドリンカー、YgjKのC末端部分(配列番号38の残基464~760)、足場タンパク質の循環置換体を作製するためにYgjKのC末端とN末端を連結するショートペプチドリンカー(配列番号43)、YgjKのN末端部分(配列番号38の残基1~461)、ランダムな組成の1又は2アミノ酸のペプチドリンカー、抗GFPナノボディのβストランドB~G(配列番号1の残基17~126)、フレキシブル(GGSG)nペプチドリンカー、Aga1pタンパク質とのジスルフィド結合を介して酵母細胞壁に結合する酵母アグルチニンタンパク質Aga2pのAga2p接着サブユニット、提示された融合タンパク質の直交的蛍光染色用のアシルキャリアタンパク質(Johnsson,2005)及びmycタグをコードするオープンリーディングフレームのライブラリーを構築した。これらのオープンリーディングフレームをガラクトース誘導性GAL1/10プロモーターの転写制御下でpCTCON2ベクター(Chao,2006)に挿入し、MbNb207
cYgjkQランダムリンカー(配列番号39~42)の184,000種の異なる変異体をコードする酵母ディスプレイライブラリーを構築した。
インビトロ選択のために、このライブラリーを酵母株EBY100に導入した。形質転換細胞をガラクトースリッチ培地で一晩増殖・誘導させた。SFPシンターゼ(1μM)を使用し、誘導させた細胞をcoA-647(2μM)で直交的に染色し、100nMのGFPと共にインキュベートした。次に、これらの細胞を洗浄し、2パラメーターFACS解析に供し、高レベルの特定のメガボディを提示し(CoA-647蛍光レベルが高い)、抗原GFPと結合する(GFP蛍光レベルが高い)酵母細胞を同定した。高レベルのGFP結合性ナノボディを提示する細胞を選別し、酵母ディスプレイ法と2パラメーターFACS解析によるその後の選択ラウンドに供するためにグルコースリッチ培地で増幅した。
2ラウンドの選択後、CoA-647チャネルとGFPチャネルで蛍光レベルの高い代表数の細胞をシングルコロニーとして増殖させ、DNAシーケンシングを行い、ナノボディを足場タンパク質に連結する代表数のペプチドリンカーの配列を決定した。各リンカータイプ(長さ)1-1、1-2、2-1及び2-2アミノ酸ショートリンカー変異体の1又は2個の代表的なクローン(表3)はFACS実験で100nM GFPと結合することが確認された(図33)。この結果から実証されるように、抗原結合性ドメインと足場タンパク質の種々の短いペプチド連結を、メガボディライブラリーからインビトロ選択により選択することができ、機能的抗原結合性キメラタンパク質として提示させることができる。MbNb207
cYgjkQの機能的変異体を酵母の表面に提示させることができた(上記)ので、各アミノ酸ショートリンカーの代表的なメガボディクローン(表3のMP1333_E2、MP1333_A2、MP1333_C4及びMP1333_F5)を1個ずつ大腸菌のペリプラズムで発現させることにした。酵母ディスプレイ法により選択したMbNb207
cYgjkQの4種の変異体を以下のアミノ酸をもつキメラポリペプチドとして作製した。MbNb207
cYgjkE2(配列番号141)は、抗GFPナノボディのβストランドA(配列番号1の1~12)、Tyr1アミノ酸リンカー、YgjKのC末端部分(配列番号38の残基464~760)、足場タンパク質の循環置換体を作製するためにYgjKのC末端とN末端を連結するショートペプチドリンカー(配列番号43)、YgjKのN末端部分(配列番号38の残基1~461)、Asp1アミノ酸リンカー、抗GFPナノボディのβストランドB~G(配列番号1の残基17~126)、6×His/EPEAタグから作製した。
リンカーを変え、MbNb207
cYgjkA2(配列番号142)ではGlu1アミノ酸リンカー、Gly-Asp2アミノ酸リンカーとし、MbNb207
cYgjkC4(配列番号143)ではMet-Tyr2アミノ酸リンカー、Asn1アミノ酸リンカーとし、MbNb207
cYgjkF5(配列番号144)ではTrp-Thr2アミノ酸リンカー、Gly-Ala2アミノ酸リンカーとした以外は、他のメガボディについても同様のコンストラクトを得た。
改変型pMESD2ベクターを利用してMbNb207
cYgjk変異体(配列番号141~144)を実施例2に記載したように大腸菌で発現させた。この新規ベクター(pMESP3と称する)は以下のポリペプチド、即ち、大腸菌のペリプラズムへのメガボディの分泌を指示するpelBリーダー配列、NbGFP207のβストランドA、YgjKの循環置換変異体、任意のナノボディのC末端部分(βストランドBからβストランドGまで)、6×Hisタグ及びEPEAタグ、最後にアンバー終止コドンをコードするオープンリーディングフレームを含む。
4種のMbNb207
cYgjk変異体の各々のペリプラズム抽出液を使用し、発現されたメガボディの機能的性質を実施例7に記載したようにELISAにより分析した。GFPを固定化した試料としない試料で検出されたシグナルを比較すると(図34)、機能的MbNb207
cYgjk変異体(配列番号141~144)のペリプラズム発現が明白に確認された。
実施例2に記載したようにIMAC後にSECを使用し、1-1アミノ酸ショートリンカー変異体に相当するMbNb207
cYgjkE2(配列番号141)を均一になるまで更に精製した(図35)。精製したMbNb207
cYgjkE2(配列番号141)のGFPとの結合キネティクスをOctet(R)により測定し、NbGFP207ナノボディ(配列番号1)及びMbNb207
cHopQ(配列番号20)と比較した(図24)。結合親和性を計算した処、循環置換HopQ又はYgjK足場タンパク質から作製した抗原結合性キメラタンパク質は元のシングルドメイン免疫グロブリンの結合特性を損なわないことが確認された。
[実施例9]GFP特異的ナノボディのβストランドABを繋ぐ第1のβターンにc/c7HopQを挿入し、足場をナノボディに連結する付加的なジスルフィドにより更に剛性化した58kDa抗原結合性キメラタンパク質の設計と作製。
図10に従って抗原結合性ドメイン(ここでは免疫グロブリンドメイン)を足場に連結する付加的なジスルフィド結合を構築することにより、よりリジッドな抗原結合性キメラタンパク質を更に開発した。具体的には、部位特異的突然変異誘発法を使用し、図2及び10に従って2本のショートペプチドとジスルフィド結合がナノボディを足場に連結するMbNb207
cHopQの突然変異体を作製した。
本実施例に記載する58kDaメガボディは、図2及び10に従って短いポリペプチド結合とジスルフィド結合により連結されたシングルドメイン免疫グロブリンの部分と足場タンパク質の部分からコンカテマー化されたキメラポリペプチドである。本実施例で使用した免疫グロブリンは配列番号1に示すGFP結合性ナノボディである。足場タンパク質はピロリ菌G27株のHopQと称されるアドヘシンドメイン(PDB:5LP2、配列番号19)である。全部分をペプチド結合によりアミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順序、即ち、抗GFPナノボディのβストランドA(配列番号1の1~13)、HopQのC末端部分(配列番号19の残基192~414)、足場タンパク質の循環置換体(cHopQ)を作製するためにHopQのC末端とN末端を連結するショートペプチドリンカー(配列番号21)、残基1個をシステインで置き換えたHopQのN末端部分(配列番号19の残基14~186)、残基1個をシステインで置き換えたナノボディのβストランドB~G(配列番号1の残基16~126)、6×His/EPEAタグの順で相互に連結した(配列番号48~50)。抗GFPナノボディのβストランドA(配列番号1の1~13)、残基1個をシステインで置き換えたHopQのC末端部分(配列番号1の残基192~414)、足場タンパク質の循環置換体(cHopQ)を作製するためにHopQのC末端とN末端を連結するショートペプチドリンカー(配列番号21)、HopQのN末端部分(配列番号19の残基14~186)、残基1個をシステインで置き換えたナノボディのβストランドB~G(配列番号1の残基16~126)、6×His/EPEAタグから配列番号51を作製した。
より短いc7HopQ循環置換体(c7HopQについては、実施例23参照)を足場タンパク質として利用して他のコンストラクトを設計した。抗GFPナノボディのβストランドA(配列番号1の1~13)、HopQのC末端部分(配列番号19の残基192~411)、残基1個をシステインで置き換えたHopQのN末端部分(配列番号19の残基18~186)、残基1個をシステインで置き換えたナノボディのβストランドB~G(配列番号1の残基16~126)、6×Hisタグ及びEPEAタグから配列番号146~150を作製した。抗GFPナノボディのβストランドA(配列番号1の1~13)、残基1個をシステインで置き換えたHopQのC末端部分(配列番号1の残基192~411)、HopQのN末端部分(配列番号19の残基18~186)、残基1個をシステインで置き換えたナノボディのβストランドB~G(配列番号1の残基16~126)、6×Hisタグ及びEPEAから配列番号145を作製した。
合計10種のメガボディ変異体(MbNb207
cHopQCys1~4(配列番号48~51)及びMbNb207
c7HopQCys5~10(配列番号145~150))を実施例2に記載したように大腸菌から発現させ、精製した。これらの精製した組換えメガボディの機能性を実施例7に記載したようにELISAにより分析した。GFPを固定化した試料としない試料で検出されたシグナルを比較すると(図36)、大腸菌のペリプラズムから精製したMbNb207
cHopQCys1~4(配列番号48~51)及びMbNb207
c7HopQCys5~10(配列番号145~150)の機能性が明白に確認された。
導入した付加的なジスルフィドがこれらの人工メガボディ変異体の熱安定性に及ぼす効果を測定するために、サーマルシフトアッセイ(TSA)を実施し、従来記載されているように各メガボディ変異体の融点(Tm)を計算した(Hunynh et al.,2015)。具体的には、ゲル濾過精製した各メガボディ変異体0.2mg/mLを140mM NaCl及び10mM Tris pH7.3緩衝液中でSYPRO Orange色素(Sigma)と混合した。次に、20μL試料の蛍光を25~100℃の温度範囲にてBio-Rad CFX96マシンでリアルタイムPCRにより3回測定した。ボルツマン方程式を使用してGraphPad Prismソフトウェアにより個々のTm値を計算した(表4)。融点は野生型メガボディと比較して夫々MbNb207
cHopQC15-C534(配列番号51)、MbNb207
c7HopQC14-C512(配列番号145)、MbNb207
c7HopQC316-C472(配列番号147)及びMbNb207
c7HopQC314-C472(配列番号148)で10.9℃、3.43℃、4.29℃及び6.14℃上昇しており、これらのジスルフィド結合が形成されてメガボディを剛性化していると判断される。
[実施例10]アズリンにGFP特異的ナノボディをグラフトした抗原結合性キメラタンパク質のインビトロ選択による設計と作製。
リジッドな抗原結合性キメラタンパク質の別の作製方法は代替連結スキームにより免疫グロブリンをその足場に連結する方法である。具体的には、図11に示すようにナノボディを足場に連結する3本のポリペプチド結合を介してナノボディを足場タンパク質にグラフトしたメガボディをコードし、インビトロ選択に利用可能なライブラリーを構築した。
本実施例に記載するリジッドな抗原結合性キメラタンパク質は、図11に従って3本の短いポリペプチド結合により連結されたシングルドメイン免疫グロブリンの部分と足場タンパク質の部分からコンカテマー化されたキメラポリペプチドである。使用した免疫グロブリンは配列番号1に示すGFP結合性ナノボディである。使用した足場タンパク質は緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)の小型の銅含有シングルドメインタンパク質であるアズリンとした(PDB2TSA、配列番号52、緑膿菌タンパク質と比較してM121A突然変異を含む)。全部分をペプチド結合によりアミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順序、即ち、抗GFPナノボディのβストランドA(配列番号1の1~12)、ランダムな組成の1又は2アミノ酸のペプチドリンカー、アズリンのN末端部分(配列番号52の残基3~22)、ランダムな組成の1又は2アミノ酸のペプチドリンカー、抗GFPナノボディのβストランドB~G(配列番号1の残基17~126)、ランダムな組成の1又は2アミノ酸のペプチドリンカー、アズリンのC末端部分(配列番号52の残基31~128)、6×His及びEPEAタグの順で相互に連結した(配列番号53~60)。
3本のショートペプチドがナノボディを足場に連結するこれらの金属結合性メガボディの機能的代表例(配列番号53~60)を酵母上に提示させ、選択するために、標準方法を使用し、多数のアクセサリーペプチド及びタンパク質と融合させた種々のメガボディ(配列番号61~68)、即ち、酵母での細胞外分泌を指示するappS4リーダー配列(Rakestraw,2009)、抗GFPナノボディのβストランドA(配列番号1の1~12)、ランダムな組成の1又は2アミノ酸のペプチドリンカー、アズリンのN末端部分(配列番号52の残基3~22)、ランダムな組成の1又は2アミノ酸のペプチドリンカー、抗GFPナノボディのストランドB~G(配列番号1の残基17~126)、ランダムな組成の1又は2アミノ酸のペプチドリンカー、アズリンのC末端部分(配列番号52の残基31~128)、フレキシブル(GGSG)nペプチドリンカー、Aga1pタンパク質とのジスルフィド結合を介して酵母細胞壁に結合する酵母アグルチニンタンパク質Aga2pのAga2p接着サブユニット、提示された融合タンパク質の直交的蛍光染色用のアシルキャリアタンパク質(Johnsson,2005)及びmycタグをコードするオープンリーディングフレームのライブラリーを構築した。これらのオープンリーディングフレームをガラクトース誘導性GAL1/10プロモーターの制御下でpCTCON2ベクター(Chao,2006)に挿入し、図12に従って3本のショートペプチドがナノボディをアズリンに連結するメガボディの77,280,000種の異なる変異体をコードする酵母ディスプレイライブラリーを構築した。
酵母ディスプレイ法とFACSによるインビトロ選択のために、このライブラリーを酵母株EBY100に導入した。形質転換細胞をCu++の存在下にガラクトースリッチ培地で一晩増殖・誘導させた。SFPシンターゼ(1μM)を使用し、誘導させた細胞をcoA-647(2μM)で直交的に染色し、100nMのGFPと共にインキュベートした。次に、これらの細胞を洗浄し、2パラメーターFACS解析に供し、高レベルの特定のメガボディを提示し(CoA-647蛍光レベルが高い)、抗原GFPと結合する(GFP蛍光レベルが高い)酵母細胞を同定した。高レベルのGFP結合性ナノボディを提示する細胞を選別し、酵母ディスプレイ法と2パラメーターFACS解析によるその後の選択ラウンドに供するためにグルコースリッチ培地で増幅した。
2ラウンドの選択後、CoA-647チャネルとGFPチャネルで蛍光レベルの高い代表数の細胞をシングルコロニーとして増殖させ、DNAシーケンシングを行い、ナノボディを足場タンパク質に連結する代表数のペプチドリンカーの配列を決定した。リンカータイプ1-2-1、2-2-1、1-2-2及び2-2-2アミノ酸ショートリンカー変異体の2個の代表的なクローン(表5)はFACS実験で100nM GFPと結合することが確認された(図37)。この結果から実証されるように、3本の短いポリペプチド結合により連結されたシングルドメイン免疫グロブリンの部分と足場タンパク質の部分からコンカテマー化されたメガボディを、メガボディライブラリーからインビトロ選択により選択することができ、機能的抗原結合性キメラタンパク質として提示させることができる。
MbNb207
Azurinの機能的変異体を酵母表面に提示させることができた(上記)ので、これらの抗原結合性キメラタンパク質を大腸菌のペリプラズムで発現させることにした。酵母ディスプレイ法により選択した8種のMbNb207
Azurin変異体(表5)を以下のアミノ酸配列、即ち、MbNb207
Azurin変異体(配列番号151~158)、抗GFPナノボディのβストランドA(配列番号1の1~12)、アミノ酸リンカー(表5)、アズリンのN末端部分(配列番号52の残基3~22)、アミノ酸リンカー(表5)、抗GFPナノボディのストランドB~G(配列番号1の残基17~126)、アミノ酸リンカー(表5)、アズリンのC末端部分(配列番号52の残基31~128)、6×His/EPEAタグを含むキメラポリペプチドとして作製した。
MbNb207
Azurin変異体(配列番号151~158)等のメガボディを大腸菌のペリプラズムで発現させるために、実施例2に記載したpMESD2ベクターを改変した。この新規ベクター(pMESP5と称する)は以下のポリペプチド、即ち、大腸菌のペリプラズムへのメガボディの分泌を指示するpelBリーダー配列、NbGFP207のβストランドA、アズリンのN末端部分、任意のナノボディのC末端部分(βストランドBからβストランドGまで)、アズリンのC末端部分、6×Hisタグ及びEPEAタグ、最後にアンバー終止コドンをコードするオープンリーディングフレームを含む。8種のMbNb207
Azurin変異体(配列番号151~158)を実施例2に記載したように大腸菌のペリプラズムで発現させた。8種のMbNb207
Azurin変異体の各々のペリプラズム抽出液を使用し、発現させたメガボディの機能的性質を実施例7に記載したようにELISAにより分析した。GFPを固定化した試料としない試料に検出されたシグナルを比較すると(図38)、機能的MbNb207
Azurin変異体(配列番号151~158)のペリプラズム発現が明白に確認された。この結果から実証されるように、3本の短いポリペプチド結合により連結されたシングルドメイン免疫グロブリンの部分と足場タンパク質の部分からコンカテマー化されたメガボディを、大腸菌のペリプラズムで機能的に発現させることができる。
[実施例11]GFP特異的ナノボディの第1の露出βターンに反転型糖質加水分解酵素の循環置換変異体を挿入した抗原結合性キメラタンパク質をインビトロ選択により設計・作製し、インビトロ選択により構造対称性をもつホモ二量体メガボディとしたものの設計と作製。
構造対称性をもつ多量体足場タンパク質のサブユニットにNbをグラフトすることにより、更に多量体メガボディを設計した。図11に従ってナノボディを足場に連結する3本の短いポリペプチド結合を介して大型のホモ二量体足場タンパク質の各サブユニットにナノボディをグラフトしたメガボディをコードするライブラリーを構築し、2回回転対称性をもつリジッドなホモ二量体メガボディを酵母ディスプレイ法とFACSにより同定した。
本実施例に記載するホモ二量体メガボディ(二量体当たり191kDa)は、図11に従って3本のショートポリペプチドリンカーにより連結されたシングルドメイン免疫グロブリンの部分と足場タンパク質の部分からコンカテマー化されたキメラポリペプチドである。使用した免疫グロブリンは配列番号1に示す抗GFPナノボディである。使用した足場タンパク質はバクテロイデス・シータイオタオミクロン(B.thetaiotaomicron)のホモ二量体グルカン1,4-α-グルコシターゼであるSusB(PDB3WFA、配列番号69)とした。全部分を図13に従ってアミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順序、即ち、抗GFPナノボディのβストランドA(配列番号1の残基1~14)、セリン、ランダムな組成の1又は2アミノ酸のペプチドリンカー、SusBのN末端部分(配列番号69の残基1~68)、ランダムな組成の1又は2アミノ酸のペプチドリンカー、抗GFPナノボディのβストランドB~G(配列番号1の残基15~125)、ランダムな組成の1又は2アミノ酸のペプチドリンカー、SusBのC末端部分(配列番号69の残基76~718)、6×His/EPEAタグの順で相互に連結した(配列番号70~77)。
3本のショートペプチドがナノボディをホモ二量体足場の各サブユニットに連結するこれらのホモ二量体メガボディの機能的代表例(配列番号70~77)を酵母上に提示させ、選択するために、標準方法を使用し、多数のアクセサリーペプチド及びタンパク質と融合させた種々のメガボディ(配列番号78~85)、即ち、酵母での細胞外分泌を指示するappS4リーダー配列(Rakestraw,2009)、抗GFPナノボディのβストランドA(配列番号1の残基1~14)、セリン、ランダムな組成の1又は2アミノ酸のペプチドリンカー、SusBのN末端部分(配列番号69の残基1~68)、ランダムな組成の1又は2アミノ酸のペプチドリンカー、抗GFPナノボディのβストランドB~G(配列番号1の残基15~125)、ランダムな組成の1又は2アミノ酸のペプチドリンカー、SusBのC末端部分(配列番号69の残基76~738)、フレキシブル(GGSG)nペプチドリンカー、Aga1pタンパク質とのジスルフィド結合を介して酵母細胞壁に結合する酵母アグルチニンタンパク質Aga2pのAga2p接着サブユニット、提示された融合タンパク質の直交的蛍光染色用のアシルキャリアタンパク質(Johnsson,2005)及びmycタグをコードするオープンリーディングフレームのライブラリーを構築した。これらのオープンリーディングフレームをガラクトース誘導性GAL1/10プロモーターの転写制御下でpCTCON2ベクター(Chao,2006)に挿入し、図11に従って3本のショートペプチドがナノボディをホモ二量体足場の各サブユニットに連結するメガボディの77,280,000種の異なる変異体をコードする酵母ディスプレイライブラリーを構築した。
酵母ディスプレイ法とFACSによるインビトロ選択のために、このライブラリーを酵母株EBY100に導入した。形質転換細胞をCa++の存在下にガラクトースリッチ培地で一晩増殖・誘導させた。SFPシンターゼ(1μM)を使用し、誘導させた細胞をcoA-647(2μM)で直交的に染色し、100nMのGFPと共にインキュベートした。次に、これらの細胞を洗浄し、2パラメーターFACS解析に供し、高レベルの特定のメガボディを提示し(CoA-647蛍光レベルが高い)、GFPと結合する(GFP蛍光レベルが高い)酵母細胞を同定した。高レベルのGFP結合を提示する細胞を選別し、酵母ディスプレイ法と2パラメーターFACS解析によるその後の選択ラウンドに供するためにグルコースリッチ培地で増幅した。
複数ラウンドの選択後、CoA-647チャネルとGFPチャネルで蛍光レベルの高い代表数の細胞をシングルコロニーとして増殖させ、DNAシーケンシングを行い、高レベルで提示されると共に抗原と結合する複数のメガボディ変異体においてナノボディをSusBに連結するリンカーの長さと組成を分析した処、これらは良好に発現し、細胞から分泌させることができ、機能的なGFP結合性キメラタンパク質として折り畳むことができると判断された。
これらのホモ二量体メガボディの1個を大腸菌のペリプラズムで発現させ、均一になるまで精製した。精製したタンパク質を結晶化させ、その構造をGFPとの複合体で解析した。
[実施例12]GFP特異的ナノボディの第1の露出βターンにPP7のウイルスコートタンパク質の循環置換変異体を挿入したナノボディ提示型二十面体ウイルス様粒子のインビトロ選択による設計と作製。
クライオEMによる三次元構造決定は、入射電子ビームに対して種々に配向した個々の粒子の複数コピーの二次元投影画像に存在する情報の平均化により行われる。二十面体ウイルスの場合、各ビリオンを粒子とみなすことができるが、これらの構造の対称性は非対称単位の多数の同一コピーが各粒子に含まれるような配置であるため、構造を決定するために平均化される単位の有効数は多数倍に増加する。従って、コートタンパク質により付与される対称性に従ってナノボディをリジッドに配列させる二十面体ウイルスは、小型のタンパク質とその複合体の構造をクライオEMにより解析するための究極のツールとなるであろう。
本実施例では、ウイルス様粒子(VLP)に自己集合する二十面体バクテリオファージのコートタンパク質にNbをグラフトすることにより、ナノボディを提示する二十面体ウイルス様粒子を設計した。大腸菌で過剰発現させると、緑膿菌の二十面体バクテリオファージのPP7のコートタンパク質のコンカテマー化二量体90コピー又は180個のコートタンパク質が自己集合して二十面体ウイルス様粒子(VLP)を形成できることが分かっている(O’Rourke et al.,2015)。これらのVLPにおいて、コートタンパク質は一方の単量体のN末端が他方の単量体のC末端に非常に近接するように対になって絡み合っている。この二量体の露出ループにペプチドを挿入して対応するVLPの表面にこのペプチドを提示できることも実証されている。そこで、PP7コートタンパク質のコンカテマー化二量体にグラフトしたナノボディから構成され、図2に従って2本のショートペプチドがナノボディを足場に連結するリジッドな抗体キメラをコードするランダムライブラリーを構築した。本実施例に記載する3.9MDa二十面体ウイルス様粒子は、図14に従って直接連結されたシングルドメイン免疫グロブリンの部分と足場タンパク質の部分から構成されるキメラポリペプチドから自己集合する。使用した免疫グロブリンは配列番号1に示すGFP結合性ナノボディである。使用した足場タンパク質はPP7のコートタンパク質(PDB:1DWN、配列番号2)の共有結合二量体の循環置換体である。PP7は緑膿菌の二十面体RNAバクテリオファージである。全部分をアミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順序、即ち、開始コドンにコードされるメチオニン、抗GFPナノボディのβストランドA(配列番号1の残基1~13)、PP7コートタンパク質(配列番号2の残基12~128)、ランダムな組成の1又は2アミノ酸のペプチドリンカー、グリシン、PP7コートタンパク質(配列番号2の残基2~128)、ランダムな組成の1又は2アミノ酸のペプチドリンカー、グリシン、PP7コートタンパク質(配列番号2の残基2~8)、GFP結合性ナノボディのβストランドB~G(配列番号1の残基16~126)、6×His/EPEAタグの順で相互に連結した(配列番号3~6)。このリジッドな抗原結合性キメラタンパク質は自己集合し、前記ナノボディ90コピーをその表面に提示する二十面体VLP(ナノVLP)となる(図14)。
ナノVLPに自己集合するこれらの人工GFP結合性コートタンパク質の機能的代表例を選択するために、標準方法を使用し、メチオニン、抗GFPナノボディのβストランドA、循環置換二量体PP7コートタンパク質、GFP結合性ナノボディのβストランドB~G、6×His/EPEAタグをコードするオープンリーディングフレーム(配列番号3~6)のライブラリーを構築した。これらのDNA断片をNdeI-EcoRI断片としてpMESPベクター(GenBank GQ907248であるpMES4からLguI部位を除去した誘導体であるref CA12729)にクローニングし、pelBシグナルペプチド、いずれかのNb配列、及び遺伝子3を含む全ての検出タグを置き換えた。この新規に創製したライブラリーをpcPP72NbGFP207Lと称した。
組換え発現させることができ、インビトロで集合させて二十面体ウイルス様粒子を形成することができる組換えGFP結合性PP7コートタンパク質を選択するために、キメラ二量体のライブラリーをプラスミドレベルで構築する。これらのライブラリーを使用して大腸菌細胞を形質転換する。ナノVLPに集合することができるキメラ二量体を大腸菌で発現させ、クロマトグラフィー選択に供した。IMAC精製をライブラリーで実施し、キメラ二量体を発現してVLPに集合することができるこれらのクローンを選択した。各集合適格性VLPはナノボディ-コートタンパク質をコードする核酸をそのシェル内に封入していたので、これらのナノVLPに由来するRNAのRT-PCRによりクローンを増幅した。抗原結合性キメラタンパク質を発現する数個のクローンをシングルコロニーとして増殖させ、DNAシーケンシングを行い、最初のPP7コートタンパク質を次のPP7に連結するペプチドリンカーの配列を決定すると共に、循環置換ペプチドリンカーの配列を決定した。全長コンストラクトを含む個々のクローンを実施例7に記載したようにELISAに供し、GFPと結合するクローンを同定した(図39)。この結果から実証されるように、ポリペプチド結合により連結されたシングルドメイン免疫グロブリンの部分と(循環置換)PP7コートタンパク質の部分からコンカテマー化された抗原結合性キメラタンパク質を、ライブラリーから機能的抗原結合性キメラタンパク質として選択することができる。種々のリンカー変異体の代表的なクローンを表6に示す。
[実施例13]リゾチーム特異的ナノボディの第1の露出βターンにMS2のウイルスコートタンパク質の循環置換変異体を挿入したナノボディ提示型二十面体ウイルス様粒子のインビトロ選択による設計と作製。
本実施例に記載する3.9MDa二十面体ウイルス様粒子は、図15に従ってショートポリペプチドリンカーにより連結されたシングルドメイン免疫グロブリンの部分と足場タンパク質の部分から構成されるキメラポリペプチドから自己集合する。使用した免疫グロブリンはリゾチーム結合性ナノボディ(PDB:1MEL、配列番号7)である。使用した足場タンパク質はMS2のコートタンパク質(PDB:2MS2、配列番号2)の共有結合二量体の循環置換体とした。MS2は大腸菌の二十面体RNAバクテリオファージである。全部分をアミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順序、即ち、開始コドンにコードされるメチオニン、ナノボディβストランドA(抗GFPナノボディのβストランドA、残基1~12)、ランダムな組成の2アミノ酸の循環置換リンカー、MS2コートタンパク質(配列番号8の残基17~130に続き、配列番号8の残基2~130及び配列番号8の残基2~14)、リゾチーム結合性ナノボディのβストランドB~G(配列番号7の残基17~133)、6×His/EPEAタグの順で相互に連結した(配列番号9~13)。このリジッドな抗原結合性キメラタンパク質は自己集合し、前記ナノボディ90コピーをその表面に提示する二十面体VLPとなる(図15)。
ナノVLPに自己集合するこれらの人工リゾチーム結合性コートタンパク質の機能的代表例を選択するために、標準方法を使用し、メチオニン、抗GFPナノボディのβストランドA、循環置換二量体MS2コートタンパク質、リゾチーム結合性ナノボディのβストランドB~G、6×His/EPEAタグをコードするオープンリーディングフレーム(配列番号9~13)のライブラリーを構築した。これらのDNA断片をNdeI-EcoRI断片としてpMESPベクター(ref CA12729)にクローニングした。この新規に創製したプラスミドライブラリーをpcMS22cAbLys3Lと称した。
組換え発現させることができ、インビトロで集合させて二十面体ウイルス様粒子を形成することができる組換えリゾチーム結合性MS2コートタンパク質を選択するために、ナノVLPのライブラリーをプラスミドレベルで構築する。これらのライブラリーを使用して大腸菌細胞を形質転換する。ナノVLPを大腸菌で発現させ、VLP集合についてクロマトグラフィー選択に供した。各集合適格性VLPはナノボディ-コートタンパク質をコードする核酸をそのシェル内に封入していたので、これらのナノVLPは沈降後にサイズ排除クロマトグラフィーにより精製することができ、これらのナノVLPに由来するRNAのRT-PCRによるシーケンシングの結果、集合について選択することにより遺伝子発現量が増加していることが分かる。リゾチームを使用した親和性選択後、リゾチームと特異的に結合するこれらのナノVLPからRNAを単離し、増幅する。
これらのリゾチーム結合性MS2コートタンパク質から構成される集合適格性リゾチーム特異的ナノVLPの一部を均一になるまで精製し、リゾチームの存在下と不在下で単粒子クライオEMにより解析した。
[実施例14]GFP特異的ナノボディの第1の露出βターンにAP205の天然置換ウイルスコートタンパク質を挿入したナノボディ提示型二十面体ウイルス様粒子のインビトロ選択による設計と作製。
本実施例に記載する二量体は、図40に従ってショートポリペプチドリンカーにより連結されたシングルドメイン免疫グロブリンの部分と足場タンパク質の部分から構成されるキメラポリペプチドから自己集合する。使用した免疫グロブリンはGFP結合性ナノボディ(配列番号1)である。使用した足場タンパク質はAP205のコートタンパク質(PDB:5FS4、配列番号166)の共有結合二量体とした。AP205はアシネトバクター属細菌の二十面体RNAバクテリオファージである。AP205コートタンパク質二量体は他の公知1本鎖RNAファージでβヘパリンを形成するN末端領域を除き、保存されたレビウイルス科(Leviviridae)コートタンパク質フォールドをとる。AP205はN及びC末端βストランドにより形成される同一位置に同様の構造をもつため、他のコートタンパク質と比較して循環置換体となる。置換の結果、コートタンパク質末端は集合した粒子の大半の表面露出部分に移動し、長いN及びC末端融合に対するその耐性の増加が説明される(Shishovs et al.,2016)。
全部分をアミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順序、即ち、開始コドンにコードされるメチオニン、ナノボディβストランドA(抗GFPナノボディのβストランドA、残基1~11)、1アミノ酸のランダムリンカー、AP205コートタンパク質二量体(配列番号166の残基4~128と配列番号166の残基4~126)、GFP結合性ナノボディのβストランドB~G(配列番号1の残基16~126)、6×His/EPEAタグの順で相互に連結した(配列番号167)。このような抗原結合性キメラタンパク質の機能的代表例を選択するために、標準方法を使用し、メチオニン、抗GFPナノボディのβストランドA、二量体AP205コートタンパク質、GFP結合性ナノボディのβストランドB~G、6×His/EPEAタグをコードするオープンリーディングフレームのライブラリーを構築した。これらのDNA断片をNdeI-EcoRI断片としてpMESPベクター(ref CA12729)にクローニングする。この新規に創製したプラスミドをpMESAP2052XXPNbGFP207と称した。組換え発現させることができ、インビトロで正しく集合させることができる抗原結合性キメラ(AP205)タンパク質を選択するために、抗原結合性キメラタンパク質のライブラリーをプラスミドレベルで構築する。これらのライブラリーを使用して大腸菌細胞を形質転換する。キメラ二量体として正しく集合するキメラタンパク質を同定するために、個々のクローンを大腸菌で発現させ、実施例7に記載したようにELISAに供し、GFPと結合するクローンについてスクリーニングした(図41)。GFPと結合するMbNb207
AP205x2XXを発現する数個のクローンをシングルコロニーとして増殖させ、DNAシーケンシングを行い、ナノボディを足場タンパク質に連結するペプチドリンカーの配列を決定した。この結果から実証されるように、2本の短いポリペプチド結合により連結されたシングルドメイン免疫グロブリンの部分とウイルスAP205コートタンパク質の部分からコンカテマー化された抗原結合性キメラタンパク質を、ライブラリーから機能的抗原結合性キメラタンパク質として選択することができる。1-1アミノ酸ショートリンカー変異体の代表的なクローンを表7に示す。これらの抗原結合性キメラタンパク質の一部は自己集合し、前記ナノボディ90コピーを表面に提示する二十面体VLPとなることが分かった。
[実施例15]GFP特異的ナノボディのβストランドA及びBを繋ぐ第1のβターンにAP205のコートタンパク質を挿入したポリペプチド鎖2本から成る二量体抗原結合性キメラタンパク質のインビトロ選択による設計と作製。
本実施例に記載する二量体は、図42に従ってショートポリペプチドリンカーにより連結されたシングルドメイン免疫グロブリンの部分と足場タンパク質の部分から構成されるキメラポリペプチドから自己集合する。使用した免疫グロブリンはGFP結合性ナノボディ(配列番号1)である。使用した足場タンパク質はAP205(PDB:5FS4、配列番号166)とした。AP205単量体が集合して二量体又はVLPとなるとき、一方の単量体のN末端は第2の単量体のC末端に接近し、一方の単量体のC末端は第2の単量体のN末端に接近する。機能的な抗原結合性キメラを獲得するためには、第1の単量体のβストランドAが第2の単量体のGFP結合性ナノボディのβストランドB~Gと結合し、第2の単量体のGFP結合性ナノボディのβストランドB~Gが第1の単量体のβストランドAと結合し、集合して二量体抗原結合性キメラタンパク質となる必要がある。
全部分をアミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順序、即ち、開始コドンにコードされるメチオニン、ナノボディβストランドA(抗GFPナノボディのβストランドA、残基1~11)、1アミノ酸のランダムリンカー、AP205コートタンパク質(配列番号166の残基4~126)、GFP結合性ナノボディのβストランドB~G(配列番号1の残基16~126)、6×His/EPEAの順で相互に連結した(配列番号173)。
このような二量体抗原結合性キメラタンパク質の機能的な代表例を選択するために、標準方法を使用し、メチオニン、抗GFPナノボディのβストランドA、単量体AP205コートタンパク質、GFP結合性ナノボディのβストランドB~G、6×His/EPEAタグをコードするオープンリーディングフレームのライブラリーを構築した。これらのDNA断片をNdeI-EcoRI断片としてpMESPベクターにクローニングする。この新規に創製したプラスミドをpMESAP2051XXPNbGFP207と称した。
組換え発現させることができ、インビトロで正しく集合させることができる二量体抗原結合性キメラタンパク質を選択するために、二量体抗原結合性キメラタンパク質のこれらのライブラリーをプラスミドレベルで構築する。これらのライブラリーを使用して大腸菌細胞を形質転換する。二量体として正しく集合するキメラタンパク質を同定するために、個々のクローンを大腸菌で発現させ、実施例7に記載したようにELISAに供し、GFPと結合するクローンについてスクリーニングした(図43)。GFPと結合するMbNb207
AP205XXの二量体を発現する数個のクローンをシングルコロニーとして増殖させ、DNAシーケンシングを行い、ナノボディを足場タンパク質に連結するペプチドリンカーの配列を決定した。この結果から実証されるように、2本の短いポリペプチド結合により連結されたシングルドメイン免疫グロブリンの部分とウイルスAP205コートタンパク質の部分からコンカテマー化された二量体抗原結合性キメラタンパク質を、ライブラリーから機能的二量体抗原結合性キメラタンパク質として選択することができる。1-1アミノ酸ショートリンカー変異体の代表的なクローンを表8に示す。
異なる抗原結合性ドメインをもつ2個の抗原結合性キメラタンパク質、例えばGFP結合性ナノボディとFedF結合性ナノボディを細胞で共発現させるならば、これらはヘテロ二量体キメラタンパク質として集合することができる。
[実施例16]GFP特異的ナノボディのβストランドABを繋ぐ第1のβターンにACPを挿入した抗原結合性キメラタンパク質のインビトロ選択による設計と作製。
本発明者らの最初のメガボディの設計の成功に基づき、診断、イメージング又は他の生物物理学的用途で使用するためにフルオロフォア、色素、イオン又は金属で標識可能な足場にも免疫グロブリンドメインをリジッドにグラフトできるか否かについても試験した。具体的には、ACPにグラフトしたナノボディから構成され、図2に従って2本のショートペプチドがナノボディを足場に連結するリジッドな抗体キメラ(但し、足場に循環置換を必要としないもの)をコードするランダムライブラリーを構築し、CoA及びSFPシンテターゼの蛍光誘導体の使用により特定のセリン(図16)に直交的に標識することができるリジッドな抗原結合性キメラタンパク質を作製した(Yin et al,2006)。
本実施例に記載するナノツールは、図2に従って短いポリペプチド結合により連結されたシングルドメイン免疫グロブリンの部分と足場タンパク質の部分からコンカテマー化されたキメラポリペプチドである。この特定のメガボディでは、野生型ACPのN末端とC末端が相互に近接しており、ナノボディをACPに連結する2本の短いポリペプチド結合を構築するために十分に配置されている(図16)ので、足場タンパク質の循環置換は不要であった。使用した免疫グロブリンは配列番号1に示すGFP結合性ナノボディである。足場タンパク質は大腸菌のアシルキャリアタンパク質(PDB:1T8K、配列番号86)であり、ACPと略称する。全部分を図2に従ってペプチド結合によりアミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順序、即ち、抗GFPナノボディのβストランドA(配列番号1の残基1~11)、ランダムな組成の1又は2アミノ酸のペプチドリンカー、ACP(配列番号86の残基2~76)、ランダムな組成の1又は2アミノ酸のペプチドリンカー、前記ナノボディのβストランドB~G(配列番号1の残基17~126)、6×His/EPEAタグの順で相互に連結した(配列番号87~90)。
2本のショートペプチドがナノボディをACPに連結するこれらのナノツールの機能的代表例(配列番号87~90)を酵母上に提示させ、選択するために、標準方法を使用し、多数のアクセサリーペプチド及びタンパク質と融合させた種々のMbNb207
ACPツールボディ(配列番号91~94)、即ち、酵母での細胞外分泌を指示するappS4リーダー配列(Rakestraw,2009)、抗GFPナノボディのβストランドA(配列番号1の残基1~11)、ランダムな組成の1又は2アミノ酸のペプチドリンカー、ACP(配列番号86の残基2~76)、ランダムな組成の1又は2アミノ酸のペプチドリンカー、前記ナノボディのβストランドB~G(配列番号1の残基17~126)、フレキシブル(GGSG)nペプチドリンカー、Aga1pタンパク質とのジスルフィド結合を介して酵母細胞壁に結合する酵母アグルチニンタンパク質Aga2pのAga2p接着サブユニット及びmycタグをコードするオープンリーディングフレームのライブラリーを構築した。これらのオープンリーディングフレームをガラクトース誘導性GAL1/10プロモーターの転写制御下でpCTCON2ベクター(Chao,2006)に挿入し、図16に従って2本のショートペプチドがナノボディをACP足場に連結するナノツールの77,280,000種の異なる変異体をコードする酵母ディスプレイライブラリーを構築した。
酵母ディスプレイ法とFACSによるインビトロ選択のために、このライブラリーを酵母株EBY100に導入した。形質転換細胞をガラクトースリッチ培地で一晩増殖・誘導させた。SFPシンターゼ(1μM)を使用し、誘導させた細胞をcoA-647(2μM)で直交的に染色し、100nMのGFPと共にインキュベートした。次に、これらの細胞を洗浄し、2パラメーターFACS解析に供し、高レベルの特定のナノツールを提示し(CoA-647蛍光レベルが高い)、GFPと結合する(GFP蛍光レベルが高い)酵母細胞を同定した。高レベルのGFP結合を提示する細胞を選別し、酵母ディスプレイ法と2パラメーターFACS解析によるその後の選択ラウンドに供するために、グルコースリッチ培地で増幅した。
1ラウンドの選択後、CoA-647チャネルとGFPチャネルで蛍光レベルの高い代表数の細胞をシングルコロニーとして増殖させ、DNAシーケンシングを行い、ナノボディを足場タンパク質に連結する代表数のペプチドリンカーの配列を決定した。1-1、2-1及び2-2アミノ酸ショートリンカー変異体の2個の代表的なクローン(表9)はFACS実験で100nM GFPと結合することが確認された(図44)。この結果から実証されるように、2本の短いポリペプチド結合により連結されたシングルドメイン免疫グロブリンの部分とアシルキャリアタンパク質の部分からコンカテマー化されたナノツールを、メガボディライブラリーから選択することができ、機能的な抗原結合性キメラタンパク質として提示させることができる。MbNb207
ACPナノツールの機能的変異体を酵母の表面に提示させることができた(上記)ので、これらの抗原結合性キメラタンパク質を大腸菌のペリプラズムで発現させることにした。酵母ディスプレイ法により選択した6種のMbNb207
ACPナノツール変異体(表9)、即ちMbNb207
ACP変異体(配列番号178~183)を以下のアミノ酸配列、即ち、抗GFPナノボディのβストランドA(配列番号1の残基1~11)、アミノ酸リンカー(表9、連結番号1)、ACP(配列番号86の残基2~76)、アミノ酸リンカー(表9、連結番号2)、前記ナノボディのβストランドB~G(配列番号1の残基17~126)、6×His/EPEAタグを含むキメラポリペプチドとして作製した。
これらの変異体を大腸菌で発現させるために、実施例2に記載したpMESD2ベクターを改変した。この新規ベクター(pMESP6と称する)は以下のポリペプチド、即ち、大腸菌のペリプラズムへのナノツールの分泌を指示するpelBリーダー配列、NbGFP207のβストランドA、ACP、任意のナノボディのC末端部分(βストランドBからβストランドGまで)、6×His/EPEAタグ、最後にアンバー終止コドンをコードするオープンリーディングフレームを含む。6種のMbNb207
ACPナノツール変異体(配列番号178~182)を実施例2に記載したように発現させた。次に、6種のMbNb207
ACPナノツール変異体の各々のペリプラズム抽出液を使用し、発現させたナノツールの機能的性質を実施例7に記載したようにELISAにより分析した。GFPを固定化した試料としない試料に検出されたシグナルを比較すると(図45)、機能的MbNb207
ACPナノツール変異体のペリプラズム発現が明白に確認された。この結果から実証されるように、2本の短いポリペプチド結合により連結されたシングルドメイン免疫グロブリンの部分とアシルキャリアタンパク質の部分からコンカテマー化されたナノツールを、大腸菌のペリプラズムで機能的に発現させることができる。
[実施例17]リゾチーム特異的ナノボディのβストランドABを繋ぐ第1のβターンにGFP特異的ナノボディを挿入した抗原結合性キメラタンパク質のファージディスプレイ法を使用したインビトロ選択による設計と作製。
ナノボディ自体を足場タンパク質として適用できるか否か、従って、二価又は二重特異性抗原結合性キメラタンパク質を作製するためにナノボディを同一又は異なるナノボディにもリジッドに融合できるか否かを更に検討した。具体的には、図17に従ってナノボディを足場に連結する3本のポリペプチド結合を介してナノボディを別のナノボディにグラフトし、リジッドなNb-Nbキメラ(ナノ2ボディ:Nano2body)を作製した。両方のNbのパラトープが夫々の抗原と自由に結合できるように連結を行った。従って、この融合体は、ナノ2ボディの両方のナノボディが同一抗原と結合する場合にはより高いアビディティで結合することができ、ナノ2ボディの各ナノボディが異なる抗原と結合する場合には2個の異なる抗原と結合又は架橋することができる。
本実施例に記載するナノ2ボディ(図18)は、図17に従って短いポリペプチド結合により連結された第1のナノボディの部分と別の(異なる)ナノボディの部分からコンカテマー化されたキメラポリペプチドである。使用した第1のナノボディは配列番号1に示すGFP結合性ナノボディ(NbGFP207)である。第2のナノボディはニワトリ卵白リゾチーム(cAbLys3、PDB1MEL、配列番号7)と結合する(Desmyter A et al.,1996)。全部分を図18に示すようにペプチド結合によりアミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順序、即ち、抗GFPナノボディNbGFP207のβストランドA(配列番号EP1の残基1~15)、ランダムな組成の3アミノ酸のペプチドリンカー、グリシン、NbGFP207(配列番号1の残基2~118)、ランダムな組成の2アミノ酸のペプチドリンカー、リゾチーム結合性ナノボディのβストランドB~G(配列番号7の残基16~133)、ランダムな組成の3アミノ酸のペプチドリンカー、NbGFP207のGストランドの最後の部分(配列番号1の残基117~126)、6×His/EPEAタグの順で相互に連結した(配列番号14)。
これらのナノ2ボディ(配列番号14)の機能的代表例を繊維状ファージ上に提示させ、選択するために、標準方法を使用し、多数のアクセサリーペプチド及びタンパク質と融合させた種々のナノ2ボディをコードするオープンリーディングフレームのライブラリーを構築した。このために、pelBシグナルペプチドを付けたpMESP1ベクターと、DsbAシグナルペプチドを付けたpMESD1ベクターの両者にβストランドAを組み込み、2個のナノボディを挿入できるようにし、大腸菌のペリプラズムへの融合タンパク質の分泌を指示するPelBリーダー配列、抗GFPナノボディNbGFP207のβストランドA(配列番号1の残基1~15)、ランダムな組成の3アミノ酸のペプチドリンカー、グリシン、NbGFP207(配列番号1の残基2~118)、ランダムな組成の2アミノ酸のペプチドリンカー、リゾチーム結合性ナノボディのβストランドB~G(配列番号7の残基16~133)、ランダムな組成の3アミノ酸のペプチドリンカー、NbGFP207のGストランドの最後の部分(配列番号1の残基117~126)、6×His/EPEAタグ、アンバー終止コドン、HAタグ及びM13ファージのタンパク質3を含むナノ2ボディ(配列番号15)を作製し、又は大腸菌のペリプラズムへの融合タンパク質の分泌を指示するDsbAリーダー配列、抗GFPナノボディNbGFP207のβストランドA(配列番号1の残基1~15)、ランダムな組成の3アミノ酸のペプチドリンカー、グリシン、NbGFP207(配列番号1の残基2~118)、ランダムな組成の2アミノ酸のペプチドリンカー、リゾチーム結合性ナノボディのβストランドB~G(配列番号7の残基16~133)、ランダムな組成の3アミノ酸のペプチドリンカー、NbGFP207のGストランドの最後の部分(配列番号1の残基117~126)、6×Hisタグ/EPEAタグ、アンバー終止コドン、HAタグ及びM13ファージのタンパク質3を含むナノ2ボディ(配列番号16)を作製した。
[実施例18]FedF特異的ナノボディのβストランドABを繋ぐ第1のβターンにGFP特異的ナノボディを挿入した抗原結合性キメラタンパク質のファージディスプレイ法を使用したインビトロ選択による設計と作製。
二価又は二重特異性抗原結合性キメラタンパク質を作製するためにナノボディを同一又は異なるナノボディにリジッドに融合できるか否かについても試験した。具体的には、図17に従ってナノボディを足場に連結する3本のポリペプチド結合を介してナノボディを別のナノボディにグラフトし、リジッドなNb-Nbキメラ(ナノ2ボディ;N2b)を作製した。両方のNbのパラトープが夫々の抗原と自由に結合できるように連結を行った。従って、この融合体は、両方の単量体が同一抗原と結合する場合にはより高いアビディティで結合できるであろうし、各単量体が異なる抗原と結合する場合には2個の異なる抗原と結合できるであろう。
本実施例に記載するナノ2ボディ(図19)は、図19に従って短いポリペプチド結合により連結された第1のナノボディの部分と別の(異なる)ナノボディの部分からコンカテマー化されたキメラポリペプチドである。使用した第1のナノボディは配列番号1に示すGFP結合性ナノボディ(NbGFP207)である。第2のナノボディはF18線毛アドヘシンFedFのレクチンドメイン(NbFedF9、配列番号17)を認識する(Moonens et al.,2014)。全部分を図19に示すようにペプチド結合によりアミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順序、即ち、抗GFPナノボディNbGFP207のβストランドA(配列番号1の残基1~15)、ランダムな組成の3アミノ酸のペプチドリンカー、グリシン、NbGFP207(配列番号1の残基2~118)、ランダムな組成の2アミノ酸のペプチドリンカー、FedF結合性ナノボディのβストランドB~G(配列番号17の残基16~129)、ランダムな組成の3アミノ酸のペプチドリンカー、NbGFP207のGストランドの最後の部分(配列番号1の残基117~126)、6×His/EPEAタグの順で相互に連結した(配列番号18)。
高度に保存されたN末端配列と高度に保存されたC末端配列が全てのNbに共通しているため、インビボ成熟させたナノボディレパートリーを全く同様に簡便にクローニングすることができる。
NbGFP207を第1の結合ドメインとし、NbFedF9を第2の結合ドメインとしたものと、第1及び第2の結合ドメインを逆にしたものとの2種類のナノ2ボディを作製することができる。
スクリーニングを簡略化するためにコンピュータモデリングを使用し、図46に示すようなエネルギー的に安定なコンストラクト(配列番号184~185)から出発した。これらのナノ2ボディの機能的代表例を繊維状ファージ上に提示させ、選択するために、標準方法を使用し、多数のアクセサリーペプチド及びタンパク質と融合させた種々のナノ2ボディをコードするオープンリーディングフレームのライブラリーを構築した。このために、pelBシグナルペプチドを付けたpMESP1ベクターと、DsbAシグナルペプチドを付けたpMESD1ベクターの両者にβストランドAを組み込み、2個のナノボディを挿入できるようにし、ナノ2ボディ(配列番号184~185)を作製した。pMESPコンストラクトでは、PelBリーダー配列が大腸菌のペリプラズムへの抗原結合性キメラタンパク質の分泌を指示し、pMESDコンストラクトでは、DsbAリーダー配列が大腸菌のペリプラズムへの抗原結合性キメラタンパク質分泌を指示する。全部分をペプチド結合によりアミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順序、即ち、シグナルペプチド、抗GFPナノボディNbGFP207のβストランドA(配列番号1の残基1~13)、4アミノ酸のペプチドリンカーTENH(配列番号184~185の残基14~17)、NbGFP207(残基5をVからQに突然変異させた配列番号1の残基3~116)、ランダムな組成の4アミノ酸のペプチドリンカー、FedF結合性ナノボディのβストランドB~G(配列番号17の残基16~128)、3アミノ酸のペプチドリンカーGQE(配列番号184の残基249~251)又はGQQ(配列番号185の残基249~251)、NbGFP207のGストランドの最後の部分(配列番号1の残基117~126)、6×His/EPEAタグ、アンバー終止コドン、HAタグ及びM13ファージのタンパク質3の順で相互に連結した。
インビトロで組換え発現させることができる抗原結合性キメラタンパク質を選択するために、抗原結合性キメラタンパク質のライブラリーをプラスミドレベルで構築する。DNA断片をpMESPベクターにクローニングしたライブラリーをpMESPNIIbGFP207XFedF9と称し、DNA断片をpMESPベクターにクローニングしたライブラリーをpMESDNIIbGFP207XFedF9と称した。これらのライブラリーを使用して大腸菌細胞を形質転換した。正しく集合するキメラタンパク質を同定するために、FedF上へのファージディスプレイ(Pardon et al.,2014)により1又は2ラウンドのインビトロ選択を行った後、GFPで1ラウンドの選択を行った。選択後、個々のクローンを釣菌し、目的DNA断片をPCRに供し、1%アガロースゲルで各クローンのサイズを確認した。正しいサイズのDNA断片を保持する数個のクローンを配列解析し、種々のナノボディ断片を連結するペプチドリンカーの配列を決定した。正しいクローンを大腸菌で発現させ、IMACを使用して半精製し、ELISAに供し、GFPとFedFを発現してこれらと結合するクローンを以下のようにスクリーニングした(図47)。精製したGFPとFedFをマキシソープマイクロタイタープレート(Nunc)のウェルに二炭酸ナトリウム緩衝液(pH8.2)中0.5μg/ウェルの濃度で別々に固定化した。ウェル内の残りのタンパク質結合部位を室温にて2時間ミルクPBS溶液でブロックした。IMACで精製したナノ2ボディ試料を、GFPをコートしたウェルと、FedFをコートしたウェルと、コートなしのウェルでインキュベートした。洗浄工程後、ナノ2ボディのみに存在するEPEAタグを特異的に認識するCaptureSelect Cタグビオチン化抗体(Life Technologies)を使用することによりナノ2ボディとGFPの結合を試験した。次いでストレプトアビジン-アルカリホスファターゼ(Promega)によりCapture Selectビオチン化抗体の検出を行った。酵素基質リン酸p-ニトロフェニルを加えた後に405nmの吸収を測定した。検出されたシグナルによると、これらの抗原結合性キメラタンパク質にはGFPとFedFを認識できるものがある。この結果から実証されるように、3本の短いポリペプチド結合により連結されたシングルドメイン免疫グロブリンの部分と別のシングルドメイン免疫グロブリンの部分からコンカテマー化されたナノ2ボディを、ライブラリーから機能的抗原結合性キメラタンパク質として選択することができる。4-4-3アミノ酸ショートリンカー変異体の代表的なクローンを表10に示す。
[実施例19]酵母ディスプレイ法又はファージディスプレイ法により免疫ライブラリーからGFP特異的抗原結合性キメラタンパク質を選択するためのディスプレイベクター。
免疫グロブリンフォールドのフレームワークの一部として、(βストランドA、及びβストランドAをBに繋ぐβターンを形成する残基を含む)N末端アミノ酸配列は種々のラクダ科動物抗体間で高度に保存されている(Harmsen,2000)。従って、1個の代表的なナノボディを足場に連結するリンカーペプチドの長さと配列が最適化されると、同一リンカーを使用して任意のナノボディのβストランドAをBに繋ぐ第1のβターンに特定の足場を挿入し、正しく折り畳まれた安定なメガボディを作製することができる(上記実施例参照)。同様に、種々のラクダ科動物抗体のC末端配列も高度に保存されている。従って、1個の代表的なナノボディを足場に連結するリンカーペプチドの長さと配列が最適化されると、同一リンカーを使用してナノボディのC末端を足場に連結することができる。
その結果、特に図2又は11に示す連結スキームに従ってリジッドな抗原結合性キメラタンパク質の大きなライブラリーをクローニングするために、ナノボディのインビボ成熟ライブラリーを簡便に使用することができる。予想される用途に応じて、これらのライブラリーを特定の設計の機能的メガボディ、対称性をもつ多量体メガボディ、VLP、ナノツール又はナノ2ボディについてファージディスプレイ法、酵母ディスプレイ法又はウイルスディスプレイ法によりスクリーニングすることができる。この概念を証明するために、図2に従ってナノボディを足場に連結する2本のペプチド結合を介してナノボディ免疫ライブラリーを足場タンパク質HopQにグラフトし、同一の足場にグラフトされた異なるナノボディから集合されるリジッドな抗原結合性キメラタンパク質の大きなレパートリーの提示用のライブラリーを構築した(図20)。本実施例に記載するメガボディは、図2に従って短いポリペプチド結合により連結されたシングルドメイン免疫グロブリンの部分と足場タンパク質の部分からコンカテマー化されたキメラポリペプチドである。前記免疫グロブリンはPardon et al.(2014)に記載されているようにGFPを免疫したラマの血液試料からクローニングされたナノボディである。全部分をペプチド結合によりアミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順序、即ち、抗GFPナノボディのβストランドA(配列番号1の残基1~13)、HopQのC末端部分(配列番号19の残基192~414)、足場タンパク質の循環置換体を作製するためにHopQのC末端とN末端を連結するショートペプチドリンカー(配列番号21)、HopQのN末端部分(配列番号19の残基14~186)、GFPを免疫したラマに由来するナノボディのβストランドB~Gの順で相互に連結した。ナノボディをコードする遺伝子をPardon et al.(2014)に記載されているようにこの免疫した動物からクローニングした。2本のショートペプチドが他のGFP特異的ナノボディを足場に連結する新規な機能的GFP結合性メガボディを酵母上に提示させ、選択するために、ナノボディをコードする遺伝子をプライマーTU64(配列番号124)及びTU65(配列番号125)で増幅し、酵母でGAP修復相同組換えに使用し、図8に従って多数のアクセサリーペプチド及びタンパク質と融合させたこれらのメガボディ、即ち、酵母での細胞外分泌を指示するappS4リーダー配列(Rakestraw,2009)、免疫ライブラリーであるメガボディライブラリーに由来するcHopQNb、フレキシブルペプチドリンカー、Aga1pタンパク質とのジスルフィド結合を介して酵母細胞壁に結合する酵母アグルチニンタンパク質のAga2p接着サブユニット、提示された融合タンパク質Aga2pの直交的蛍光染色用のアシルキャリアタンパク質(Johnsson,2005)、及びcMycタグをコードするオープンリーディングフレームのライブラリーを構築した。これらのオープンリーディングフレームをガラクトース誘導性GAL1/10プロモーターの転写制御下でpCTCON2ベクター(Chao,2006)に挿入し、2本のショートペプチドが免疫ライブラリーに由来するナノボディをHopQに連結する107種の異なるメガボディをコードする酵母ディスプレイライブラリーを構築した。
酵母ディスプレイ法とFACSによるインビトロ選択のために、このライブラリーを酵母株EBY100に導入した。形質転換細胞をガラクトースリッチ培地で一晩増殖・誘導させた。SFPシンターゼ(1μM)を使用し、誘導させた細胞をcoA-647(2μM)で直交的に染色し、200nMのGFPと共にインキュベートした。次に、これらの細胞を洗浄し、2パラメーターFACS解析に供し、高レベルの特定のメガボディを提示し(CoA-647蛍光レベルが高い)、GFPと結合する(GFP蛍光レベルが高い)酵母細胞を同定した。高レベルのGFP結合を提示する細胞を選別し、酵母ディスプレイ法と2パラメーターFACS解析によるその後の(GFP濃度を100nM、10nM及び1nMに低下させる)選択ラウンドに供するためにグルコースリッチ培地で増幅した。
複数ラウンドの選択後、CoA-647チャネルとGFPチャネルで蛍光レベルの高い代表数の細胞をシングルコロニーとして増殖させ、DNAシーケンシングを行い、高レベルで提示されると共にGFPと結合する代表数のメガボディの配列を決定した。FACS実験で100nM GFPと結合する9種の異なるGFP特異的メガボディ(配列番号95~103、図21も参照)が同定され、免疫ライブラリーに由来するメガボディライブラリーから抗原結合性キメラタンパク質を選択できることが実証された。
[実施例20]GFP特異的ナノボディのβストランドCC’を繋ぐ第2のβターンにHopQの循環置換変異体を挿入した58kD抗原結合性キメラタンパク質のインビトロ選択による設計と作製。
実施例1~17に例証したように、βストランドAをBと繋ぐナノボディの第1のβターンに挿入した足場タンパク質から抗原結合性キメラタンパク質を作製することができる。他のターンでも足場を免疫グロブリンドメインに連結できることを実証するために、GFP特異的ナノボディの(βストランドC及びC’を繋ぐ)第2の露出βターンにcHopQ足場タンパク質を挿入した抗原結合性キメラタンパク質もインビトロ選択により作製した。
本実施例に記載する58kDaメガボディは、図22に従って短いポリペプチド結合により連結されたシングルドメイン免疫グロブリンの部分と足場タンパク質の部分からコンカテマー化されたキメラポリペプチドである。本実施例で使用した免疫グロブリンは配列番号1に示すGFP結合性ナノボディである。全部分をペプチド結合によりアミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順序、即ち、抗GFPナノボディのβストランドA~C(配列番号1の1~39)、ランダムな組成の1又は2アミノ酸のペプチドリンカー、HopQのC末端部分(配列番号19の残基193~414)、足場タンパク質の循環置換体を作製するためにHopQのC末端とN末端を連結するペプチドリンカー(配列番号21)、HopQのN末端部分(配列番号19の残基15~186)、ランダムな組成の1又は2アミノ酸のペプチドリンカー、抗GFPナノボディのβストランドC’~G(配列番号1の残基46~126)、EPEAタグの順で相互に連結した(配列番号104~107)。
HopQの循環置換体をGFP特異的ナノボディの第2のβターンに挿入したメガボディの機能的変異体を酵母上に提示させ、選択するために、標準方法を使用し、多数のアクセサリーペプチド及びタンパク質と融合させた種々のメガボディ(配列番号108~111)、即ち、酵母での細胞外分泌を指示するappS4リーダー配列(Rakestraw,2009)、抗GFPナノボディのβストランドA~C(配列番号1の残基1~39)、ランダムな組成の1又は2アミノ酸のペプチドリンカー、HopQのC末端部分(配列番号19の残基193~414)、足場タンパク質の循環置換体を作製するためにHopQのC末端とN末端を連結するペプチドリンカー(配列番号21)、HopQのN末端部分(配列番号19の残基15~186)、ランダムな組成の1又は2アミノ酸のペプチドリンカー、抗GFPナノボディのβストランドC’~G(配列番号1の残基46~126)、フレキシブル(GGSG)nペプチドリンカー、Aga1pタンパク質とのジスルフィド結合を介して酵母細胞壁に結合する酵母アグルチニンタンパク質Aga2pのAga2p接着サブユニット、提示された融合タンパク質の直交的蛍光染色用のアシルキャリアタンパク質(Johnsson,2005)及びmycタグをコードするオープンリーディングフレームのライブラリーを構築した。これらのオープンリーディングフレームをガラクトース誘導性GAL1/10プロモーターの転写制御下でpCTCON2ベクター(Chao,2006)に挿入し、図22に示すメガボディの184,000種の異なる変異体をコードする酵母ディスプレイライブラリーを構築した。
インビトロ選択のために、このライブラリーを酵母株EBY100に導入した。形質転換細胞をガラクトースリッチ培地で一晩増殖・誘導させた。SFPシンターゼ(1μM)を使用し、誘導させた細胞をcoA-647(2μM)で直交的に染色し、100nMのGFPと共にインキュベートした。次に、これらの細胞を洗浄し、2パラメーターFACS解析に供し、高レベルの特定のメガボディを提示し(CoA-647蛍光レベルが高い)、抗原GFPと結合する(GFP蛍光レベルが高い)酵母細胞を同定した。高レベルのGFP結合性ナノボディを提示する細胞を選別し、酵母ディスプレイ法と2パラメーターFACS解析によるその後の選択ラウンドに供するためにグルコースリッチ培地で増幅した。
1ラウンドの選択後、CoA-647チャネルとGFPチャネルで蛍光レベルの高い代表数の細胞をシングルコロニーとして増殖させ、DNAシーケンシングを行い、ナノボディを足場タンパク質に連結する代表数のペプチドリンカーの配列を決定した。1-1、2-1、1-2及び2-2アミノ酸ショートリンカー変異体の1又は2個の代表的なクローン(表11)はFACS実験で100nM GFPと結合することが確認された(図48)。この結果から実証されるように、シングルドメイン免疫グロブリンの(βストランドC及びC’を繋ぐ)第2の露出βターンに足場タンパク質を挿入し、2本の短いポリペプチド結合により連結したメガボディを、メガボディライブラリーからインビトロ選択により選択することができ、機能的抗原結合性キメラタンパク質として提示させることができる。
[実施例21]K-Ras特異的モノボディのβストランドABを繋ぐ第1のβターンにcHopQを挿入した他の58kD抗原結合性キメラタンパク質のインビトロ選択による設計と作製。
本実施例では、モノボディ等の合成抗原結合性ドメインをベースとする抗原結合性キメラタンパク質について記載した。H-RAS及びK-RAS特異的モノボディNS1のβストランドA及びBを繋ぐ第1のβターンにcHopQ足場タンパク質を挿入したメガボディを作製した(Spencer-Smith et al,2017)。
本実施例に記載する58kDaメガボディMbNS1
cHopQは、図2に従って短いポリペプチド結合により連結された合成結合性タンパク質(モノボディ)であるNS1の部分と足場タンパク質の部分からコンカテマー化されたキメラポリペプチドである。本実施例において、合成結合性タンパク質は配列番号112に示すH-Ras及びK-Ras結合性モノボディNS1(Spencer-Smith et al,2017)である。モノボディはフィブロネクチンIII型ドメインをベースに作製された合成タンパク質である。受容体、キナーゼ、ステロイドホルモン受容体及びモジュラータンパク質ドメインの細胞外ドメインを含む多様な標的と高い親和性で結合するモノボディが単離されている(Koide,2012)。全部分を図23に示すようにペプチド結合によりアミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順序、即ち、NS1のβストランドA(配列番号112の1~13)、ランダムな組成の1又は2アミノ酸のペプチドリンカー、HopQのC末端部分(配列番号19の残基193~414)、足場タンパク質の循環置換体を作製するためにHopQのC末端とN末端を連結するペプチドリンカー(配列番号21)、HopQのN末端部分(配列番号19の残基15~186)、ランダムな組成の1又は2アミノ酸のペプチドリンカー、NS1モノボディのβストランドB~G(配列番号112の残基16~94)、6×His/EPEAタグの順で相互に連結した(配列番号113~116)。
モノボディを足場に連結するリンカーの組成と長さが異なる機能的メガボディMbNS1
cHopQを酵母上に提示させ、選択するために、標準方法を使用し、多数のアクセサリーペプチド及びタンパク質と融合させた種々のMbNS1
cHopQ(配列番号117~120)、即ち、NS1のβストランドA(配列番号112の1~13)、ランダムな組成の1又は2アミノ酸のペプチドリンカー、HopQのC末端部分(配列番号19の残基193~414)、足場タンパク質の循環置換体を作製するためにHopQのC末端とN末端を連結するペプチドリンカー(配列番号21)、HopQのN末端部分(配列番号19の残基15~186)、ランダムな組成の1又は2アミノ酸のペプチドリンカー、NS1モノボディのβストランドB~G(配列番号112の残基16~94)、フレキシブル(GGSG)nペプチドリンカー、Aga1pタンパク質とのジスルフィド結合を介して酵母細胞壁に結合する酵母アグルチニンタンパク質Aga2pのAga2p接着サブユニット、提示された融合タンパク質の直交的蛍光染色用のアシルキャリアタンパク質(Johnsson,2005)及びmycタグをコードするオープンリーディングフレームのライブラリーを構築した。これらのオープンリーディングフレームをガラクトース誘導性GAL1/10プロモーターの転写制御下でpCTCON2ベクター(Chao,2006)に挿入し、モノボディNS1と足場HopQから構成されるメガボディの184,000種の異なる変異体をコードする酵母ディスプレイライブラリーを構築した。
インビトロ選択のために、このライブラリーを酵母株EBY100に導入した。形質転換細胞をガラクトースリッチ培地で一晩増殖・誘導させた。SFPシンターゼ(1μM)を使用し、誘導させた細胞をCoA-488(2μM)で直交的に染色し、100nMのDylight-647標識K-RASと共にインキュベートした。次に、これらの細胞を洗浄し、2パラメーターFACS解析に供し、高レベルの特定のメガボディを提示し(CoA-488蛍光レベルが高い)、抗原K-RASと結合する(Dylight-647蛍光レベルが高い)酵母細胞を同定した。高レベルのK-RAS結合性モノボディを提示する細胞を選別し、酵母ディスプレイ法と2パラメーターFACS解析によるその後の選択ラウンドに供するためにグルコースリッチ培地で増幅した。
1ラウンドの選択後、CoA-488チャネルとDylight-647チャネルで蛍光レベルの高い代表数の細胞をシングルコロニーとして増殖させ、DNAシーケンシングを行い、モノボディNS1を足場タンパク質に連結する代表数のペプチドリンカーの配列を決定した。1-1及び2-2アミノ酸ショートリンカー変異体の3個の代表的なクローン(表12)はFACS実験で100nM K-Rasと結合することが確認された(図49)。提示レベルが高く、抗原と結合することから、これらのメガボディは細胞から分泌させることができ、機能的K-RAS結合性キメラタンパク質として提示させることができると判断される。
[実施例22]GPCR、イオンチャネル及び受容体型チロシンキナーゼ等の扱いにくい膜結合型複合体の構造解析用の抗原結合性キメラタンパク質の設計と作製。
本願に記載するような抗原結合性キメラタンパク質を利用すると、所謂「扱いにくい」標的と特異的に結合するので、それらの精密な構造解析が容易になる。既に実施例4~6で例示したように、58kDaメガボディを設計・作製し、GPCR、Gタンパク質又はイオンチャネルの構造決定で使用した。実施例4では、β2アドレナリン受容体-Gsタンパク質複合体のGβサブユニットとGαサブユニットの界面に特異的に結合するNb35をベースとするMb35コンストラクトを作製し、実施例5では、ヒトβ2アドレナリン受容体と特異的に結合するNb80をベースとするMb80コンストラクトを作製し、実施例6では、五量体リガンド依存性イオンチャネルGABAA(Miller et al,2017)と特異的に結合するNb25をベースとするMb25コンストラクトを作製した。更に、GABAAイオンチャネルβ1サブユニット(Miller et al.2018)の細胞外ドメインと特異的に結合するナノボディNb38(配列番号130)をベースとするMbNb38
cHopQも作製し、この膜結合型タンパク質の高解像度構造を決定するのに使用した。MbNb38
cHopQを実施例6に記載したように作製した。本実施例では、Nb38(配列番号130)の免疫グロブリンドメインを足場タンパク質cHopQと連結した。全部分をペプチド結合によりアミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順序、即ち、抗GFPナノボディの保存されたN末端のβストランドA(配列番号1の1~13)、HopQのC末端部分(配列番号19の残基192~414)、足場タンパク質の循環置換体を作製するためにHopQのC末端とN末端を連結するショートペプチドリンカー(配列番号21)、HopQのN末端部分(配列番号19の残基14~186)、Nb38のβストランドB~G(配列番号130の残基16~123)、6×His/EPEAタグの順で相互に連結した(配列番号131)。
MbNb38
cHopQコンストラクトを大腸菌で発現させ、ニッケルアフィニティクロマトグラフィーとサイズ排除クロマトグラフィーを使用して均一になるまで精製し、最終的に15mg/mLの試料を-80℃で保存した。精製したMbNb38
cHopQ(配列番号131)を使用し、夫々競合的アンタゴニストであるビククリン、チャネルブロッカーであるピクロトキシン、アゴニストであるGABA及び古典的なベンゾジアゼピンであるアルプラゾラム(Xanax)とジアゼパム(Valium)と結合させた脂質ナノディスクにおける全長ヒトα1β3γ2 GABAA受容体の高解像度クライオEM構造を解析した。A型γ-アミノ酪酸受容体(GABAAR)を介するイオノトロピックシグナル伝達は哺乳動物神経系で迅速な抑制性神経伝達を担う。従って、GABAARは脳機能のほぼ全ての側面に不可欠であり、重要な医薬品ターゲットである。
あるいは、このような扱いにくい膜結合型複合体の構造解析を容易にするために、前記ナノボディをベースとし、cYgjK足場を適用することにより、100kDa抗原結合性キメラタンパク質を設計・作製する。本実施例では、Nb35、Nb80、Nb25及びNb38をYgjKの循環置換体にグラフトすることによりこれを実証した。これらのメガボディクローンを本質的に実施例8に記載したように作製した。MbNb35
cYgjkE2(配列番号194)は、抗GFPナノボディのβストランドA(配列番号1の1~12)、Tyr1アミノ酸リンカー、YgjKのC末端部分(配列番号38の残基464~760)、足場タンパク質の循環置換体を作製するためにYgjKのC末端とN末端を連結するショートペプチドリンカー(配列番号43)、YgjKのN末端部分(配列番号38の残基1~461)、Asp1アミノ酸リンカー、Nb35ナノボディのβストランドB~G(配列番号24の残基17~128)、6×His/EPEAタグから作製した。Nb80ナノボディのβストランドB~G(配列番号26の残基17~120)を使用した以外は同様にしてMbNb80
cYgjkE2(配列番号195)を設計・作製し、Nb25ナノボディのβストランドB~G(配列番号28の残基17~125)を使用した以外は同様にしてMbNb25
cYgjkE2(配列番号196)を設計・作製し、Nb38ナノボディのβストランドB~G(配列番号130の残基17~123)を使用した以外は同様にしてMbNb38
cYgjkE2(配列番号197)を設計・作製した。
更に、膜結合型受容体の高解像度構造の決定を可能にするように、トロポミオシン関連キナーゼ受容体B(TrkB)と特異的に結合するNb22ナノボディ(配列番号198)をベースとするMbNb22
cYgjkE2も作製した。MbNb22
cYgjkE2も実施例8に記載したように作製した。MbNb22
cYgjkE2(配列番号199)は、抗GFPナノボディのβストランドA(配列番号1の1~12)、Tyr1アミノ酸リンカー、YgjKのC末端部分(配列番号38の残基464~760)、足場タンパク質の循環置換体を作製するためにYgjKのC末端とN末端を連結するショートペプチドリンカー(配列番号43)、YgjKのN末端部分(配列番号38の残基1~461)、Asp1アミノ酸リンカー、Nb22ナノボディのβストランドB~G(配列番号198の残基17~124)、6×His/EPEAタグから構成した。本質的に実施例8に記載したように、これらのメガボディ(配列番号194~195~196~197~199)をペリプラズムで発現させ、均一になるまで精製した。
一例として、トロポミオシン関連キナーゼ受容体B(TrkB)と結合させたヒト脳由来神経栄養因子(BDNF)を結晶化させるための結晶化シャペロンとしてMbNb22
cYgjkE2(配列番号199)を使用し、X線結晶構造解析によりTrkB-BDNF-cYgjkE2Nb22三元複合体の高解像度構造を解析した。BDNFはニューロン生存、シナプス形成、シナプス伝達及びシナプス可塑性を促進することにより回路の発生と機能的調節に関与する神経栄養因子である。BDNFはTrkBと結合することにより作用する(Yoshii and Constantine-Paton,2010)。
[実施例23]cHopQを含む抗原結合性キメラタンパク質のcHopQ足場と特異的に結合し、抗原結合性キメラタンパク質足場と結合して更に伸長させることが可能な抗原結合性キメラタンパク質の設計と作製。
図26に模式的に示すように、図2の融合に従ってcHopQ特異的ナノボディ(Nb60)を足場タンパク質にグラフトした別の抗原結合性キメラタンパク質を作製した。得られた抗原結合性キメラタンパク質の組成物、又は「会合型抗原結合性キメラタンパク質」、又は「ポリボディ」又は「拡大型抗原結合性キメラタンパク質足場」は、この特異的「抗Mb足場メガボディ」を使用して本発明の抗原結合性キメラタンパク質のサイズを更に大きくすることができる。このような「ポリボディ」は例えば、凝集に繋がる自己相互作用を避けるためにNb60とcHopQの結合部位とは結合しない突然変異型cHopQタンパク質を足場タンパク質として含むことができる。ポリボディで使用される足場は、前記自己結合を避けるために本願に記載するcYgjK足場タンパク質等の等の別の足場を構成してもよい。先ず、cHopQと結合するNb60(配列番号132)を作製し、MbNb207
cHopQ(配列番号20)の存在下で結晶化に使用した。結晶構造解析によると、MbNb207
cHopQにおけるcHopQの3個の残基(T289、N296及びE197)はNb60-cHopQ相互作用の主要因子であることが確認された(図27)。更に、MbNb207
cHopQ結晶構造の電子密度で完全には見えないループとして常に出現した循環置換領域(c7HopQと称する)を短縮したcHopQをベースとするメガボディ設計の短縮型も提案できる。
MbNb60
c7HopQはペプチド結合によりアミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順序で相互に連結した以下の部分、即ち、抗GFPナノボディのβストランドA(配列番号1の1~13)、HopQのC末端部分(配列番号19の残基192~411)、HopQのN末端部分(配列番号19の残基18~186)、c7HopQ結合性ナノボディのβストランドB~G(配列番号132の残基16~133)、6×His/EPEAタグから構成される。一方、c/c7HopQを含むメガボディと結合するが、自己結合(自己重合)しないMbNb60
c7HopQメガボディを作製するために、MbNb60
c7HopQの2種類の突然変異体:
・N277K、T270R(MbNb60
c7HopQ mut2、配列番号133)
・N277K、T270R、E197R(MbNb60
c7HopQmut3、配列番号134)
を使用した。
MbNb60
c7HopQのこれらの突然変異体を実施例2に記載したように大腸菌のペリプラズムで発現させ、均一になるまで精製した。次に、Octet測定(図29)を行った結果、図24と同様の測定を使用した場合にこれらの2種のMbNb60
c7HopQ突然変異体メガボディは野生型cHopQ足場タンパク質を含むメガボディと結合できることが証明された。ビオチン化MbNb207
cHopQ(配列番号20)をストレプトアビジンバイオセンサーに固定化した。種々の濃度のNb60(配列番号132)、MbNb60
c7HopQmut2(配列番号133)及びMbNb60
c7HopQmut3(配列番号134)を固定化MbNb207
cHopQとの結合について試験した。Nb60と2種類のMbNb60
c7HopQ突然変異体では、MbNb207
cHopQとの結合が確認された。
cHopQ突然変異体に基づくアプローチと同様に、他の足場タンパク質を使用してポリボディ又は抗原結合性キメラタンパク質の組成物を作製することができる。具体的には、大腸菌の86kDAペリプラズムタンパク質(PDB3W7S、配列番号38)である代替足場タンパク質YgjKを使用した(図26B)。実施例8に記載したように、MbNb60
cYgjkE2、即ち、抗GFPナノボディのβストランドA(配列番号1の1~12)、Tyr1アミノ酸リンカー、YgjKのC末端部分(配列番号38の残基464~760)、足場タンパク質の循環置換体を作製するためにYgjKのC末端とN末端を連結するショートペプチドリンカー(配列番号43)、YgjKのN末端部分(配列番号38の残基1~461)、Asp1アミノ酸リンカー、Nb60ナノボディのβストランドB~G(配列番号132の残基17~133)、6×His/EPEAタグから構成されるMbNb60
cYgjkE2(配列番号135)を作製した。
このメガボディを実施例8に記載したように発現させ、精製した。次に、MbNb60
cYgjkE2とMbNb207
cHopQの結合を上記のようにOctet測定により検証した(図29)。
[実施例24]GFP特異的ナノボディのβストランドABを繋ぐ第1のβターンにドデシンを挿入した多量体抗原結合性キメラタンパク質のインビトロ選択による設計と作製。
本実施例では、どのようにしてドデシンRv1498Aにも免疫グロブリンドメインをリジッドにグラフトできるかを実証する。古細菌である結核菌(Mycobacterium tuberculosis)に由来するこの小型のフラボタンパク質は12個の単量体の集合体である。大腸菌で過剰発現させると、単量体12コピーが自己集合し、熱安定性の高いドデシンを形成できることが分かっている(Liu et al.,2011)。ドデシンでは、各単量体のN末端が同一単量体のC末端と非常に近接している。そこで、ドデシン単量体にグラフトしたナノボディから構成され、図2に従って2本のショートペプチドがナノボディを足場に連結するリジッドな抗原結合性キメラタンパク質をコードするランダムライブラリーを構築した。
本実施例に記載する258kDa MbNb207
Dodecin分子は、図50に従って直接連結されたシングルドメイン免疫グロブリンの部分と足場タンパク質の部分から構成されるキメラポリペプチドから自己集合する。使用した免疫グロブリンは配列番号1に示すGFP結合性ナノボディである。使用した足場タンパク質は結核菌のドデシンRv1498A(GenBankアクセッション番号:3205040、配列番号192)の単量体とした。全部分をアミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順序、即ち、開始コドンにコードされるメチオニン、抗GFPナノボディのβストランドA(配列番号1の残基1~11)、ランダムな組成の1アミノ酸のペプチドリンカー、ドデシンRv1498Aタンパク質(配列番号192の残基5~66)、ランダムな組成の1又は2アミノ酸のペプチドリンカー、GFP結合性ナノボディのβストランドB~G(配列番号1の残基17~126)、6×His/EPEAタグの順で相互に連結した(配列番号193)。この抗原結合性キメラタンパク質は自己集合し、前記メガボディ12コピーを含むドデシン多量体となる(図50)。
2本のショートペプチドがナノボディをドデシンに連結するこれらの抗原結合性キメラタンパク質(配列番号193)の機能的代表例を選択するために、標準方法を使用し、上記抗原結合性キメラタンパク質(配列番号193)をコードするオープンリーディングフレームのライブラリーを構築した。これらのDNA断片をHindIII-SpI断片としてpMESPベクターにクローニングする。この新規に創製したプラスミドをpMESPドデシンXNbGFP207と称した。組換え発現させることができ、インビトロで正しく集合させることができる抗原結合性キメラMbNb207
Dodecinタンパク質を選択するために、抗原結合性キメラタンパク質のライブラリーをプラスミドレベルで構築した。これらのライブラリーを使用して大腸菌細胞を形質転換した。ドデシンとして正しく集合するキメラタンパク質を同定するために、個々のクローンを大腸菌で発現させ、実施例7に記載したようにELISAに供し、GFPと結合するクローンについてスクリーニングした(図51)。抗原結合性キメラタンパク質を発現し、GFPと結合する数個のクローンをシングルコロニーとして増殖させ、DNAシーケンシングを行い、ナノボディを足場タンパク質に連結するペプチドリンカーの配列を決定した。この結果から実証されるように、2本の短いポリペプチド結合により連結されたシングルドメイン免疫グロブリンの部分とドデシンからコンカテマー化された抗原結合性キメラタンパク質を、ライブラリーから機能的抗原結合性キメラタンパク質として選択することができる。1-1アミノ酸ショートリンカー変異体の代表的なクローンを表13に示す。この結果、ナノボディをドデシンRv1498Aの単量体にグラフトしたこれらの抗原結合性キメラタンパク質を大腸菌で機能的に発現させることができると判断される。
[実施例25]GFP特異的ナノボディの第1の露出βターンにジスルフィド架橋ホモ二量体を挿入したメガボディのインビトロ選択による設計と作製。
本実施例では、どのようにして4QYBと称するホモ二量体にも免疫グロブリンドメインをリジッドにグラフトできるかについて記載する。バークホルデリア・セノセパシア(Burkholderia cenocepacia)J2315に由来する機能不明のこの小型のタンパク質は、このタンパク質の報告されている結晶構造(Halavaty et.al.未公開データ、PDBコード4QYB)により確認されるように、2個の単量体が単一の分子間ジスルフィド架橋により連結されたホモ二量体である。また、一方の単量体のN末端は同一単量体のC末端と非常に近接している。そこで、4QYB単量体にグラフトしたナノボディから構成され、図2に従って2本のショートペプチドがナノボディを足場に連結するリジッドな抗体キメラをコードするランダムライブラリーを構築した。
本実施例に記載する51kDaホモ二量体MbNb207
4QYBは、図52に従って直接連結されたシングルドメイン免疫グロブリンの部分と足場タンパク質の部分から構成されるキメラポリペプチドから自己集合する。使用した免疫グロブリンは配列番号1に示すGFP結合性ナノボディである。使用した足場タンパク質はバークホルデリア・セノセパシアJ2315に由来する4QYB(PDB4QYB、配列番号200)の単量体とした。全部分をアミノ末端からカルボキシ末端に向かって以下の順序、即ち、抗GFPナノボディのβストランドA(配列番号1の残基1~12)、ランダムな組成の1又は2アミノ酸のペプチドリンカー、4QYBタンパク質(配列番号200の残基8~121)、ランダムな組成の1又は2アミノ酸のペプチドリンカー、GFP結合性ナノボディのβストランドB~G(配列番号1の残基16~126)、6×His/EPEAタグの順で相互に連結した(配列番号201~204)。このリジッドな抗原結合性キメラタンパク質は自己集合し、前記ナノボディ2コピーを含むジスルフィド架橋ホモ二量体となる(図52)。
2本のショートペプチドがナノボディを足場に連結するこれらの抗原結合性キメラタンパク質の機能的代表例(配列番号201~204)を選択し、大腸菌のペリプラズムで発現させるために、標準方法を使用し、上記抗原結合性キメラタンパク質(配列番号205~208)、即ち、大腸菌のペリプラズムへの融合タンパク質の分泌を指示するPelBリーダー配列、抗GFPナノボディのβストランドA(配列番号1の残基1~12)、ランダムな組成の1又は2アミノ酸のペプチドリンカー、4QYBタンパク質(配列番号200の残基8~121)、ランダムな組成の1又は2アミノ酸のペプチドリンカー、GFP結合性ナノボディのβストランドB~G(配列番号1の残基16~126)、6×His/EPEAタグをコードするオープンリーディングフレームのライブラリーを構築した。これらのDNA断片をHindIII-SpI断片としてpMESPベクターにクローニングする。この新規に創製したプラスミドをpMESP4QYBXXNbGFP207と称した。
組換え発現させることができ、インビトロで正しく集合させることができるMbNb207
4QYBタンパク質を選択するために、抗原結合性キメラタンパク質のライブラリーをプラスミドレベルで構築する。正しく集合したホモ二量体を同定するために、これらのライブラリーを使用して大腸菌細胞を形質転換する。個々のクローンを大腸菌で発現させ、実施例7に記載したようにELISAに供し、GFPと結合するクローンについてスクリーニングした。抗原結合性キメラタンパク質を発現し、GFPと結合する数個のクローンをシングルコロニーとして増殖させ、DNAシーケンシングを行い、ナノボディを足場タンパク質に連結するペプチドリンカーの配列を決定した。
配列表
配列番号1:GFP特異的ナノボディであるNbGFP207=Nb207。
配列番号2:緑膿菌(P.aeruginosa)PP7コートタンパク質単量体のバクテリオファージ。
配列番号3~6:MbNb207
cPP7x2L二量体。
(NbGFP207配列を太字で示し、循環置換リンカーをイタリック体で示し、PP7配列を下線で示し、波線の下線で示した(X)1─2は可変長(1又は2アミノ酸)のショートペプチドリンカーであり、タグを小文字で示す。)
配列番号7:ニワトリ卵白リゾチーム特異的ナノボディであるcAbLys3(PDB1MEL)。
配列番号8:大腸菌バクテリオファージコートタンパク質単量体(PDB2MS2)。
配列番号9:MbcAbLys3
cMS2x2L二量体。
(NbGFP207ストランドAとcAbLys3の配列を太字で示し、循環置換リンカーをイタリック体で示し、MS2配列を下線で示し、タグを小文字で示す。)
配列番号10~13:MbcAbLys3
cMS2x2L二量体。
配列番号14:N2bNb207
cAbLys3Lナノ2ボディ。
(NbGFP207βストランドAを二重下線で示し、NbGFP207を太字で示し、cAbLys3配列を下線で示す。)
配列番号15:PelB_N2bNb207
cAbLys3L_タグ、アンバー終止コドン(*)_タンパク質3ナノ2ボディ。
(PelBリーダー配列を先頭に、NbGFP207βストランドAを二重下線で示し、NbGFP207を太字で示し、cAbLys3配列を下線で示し、タグを小文字で示し、アンバー終止コドンを*で示し、タンパク質3をイタリック体で示す。)
配列番号16:DsbA_N2bNb207
cAbLys3L_タグ、アンバー終止コドン(*)_タンパク質3ナノ2ボディ。
(DsbAリーダー配列を先頭に、NbGFP207βストランドAを二重下線で示し、NbGFP207を太字で示し、cAbLys3配列を下線で示し、タグを小文字で示し、アンバー終止コドンを*で示し、タンパク質3をイタリック体で示す。)
配列番号17:F18線毛アドヘシンFedF特異的ナノボディのレクチンドメインであるNbFEDF9(PDB4W6Y)。
配列番号18:N2bNb207
NbFEDF9Lナノ2ボディ。
(NbGFP207βストランドAを二重下線で示し、NbGFP207を太字で示し、NbFedF9配列を下線で示す。)
配列番号19:ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ:Helicobacter pylori)G27株HopQアドヘシンドメインタンパク質(PDB5LP2)。
配列番号20:MbNb207
cHopQ。
(NbGFP207配列を太字で示し、循環置換リンカーをイタリック体で示し、HopQ配列を下線で示す。)
配列番号21:cHopQ循環置換リンカーペプチド。
配列番号22:MbNb207
cHopQ_Aga2p_ACPタンパク質配列。
(appS4リーダー配列を先頭に、メガボディcHopQNbGFP207を太字で示し、フレキシブル(GGGS)nポリペプチドリンカーをイタリック体で示し、Aga2pタンパク質配列を下線で示し、ACP配列を二重下線で示し、cMycタグを小文字で示す。)
配列番号23:DsbA-MbNb207
cHopQ。
配列番号24:β2アドレナリン受容体-Gsタンパク質複合体に特異的なナノボディであるNb35のGβ/Gαサブユニット。
配列番号25:MbNb35
cHopQ。
(NbGFP207βストランドAを二重下線で示し、循環置換リンカーをイタリック体で示し、HopQ配列を下線で示し、Nb35βストランドB~Gを太字で示し、6×Hisタグ、EPEAタグを小文字で示す。)
配列番号26:β2アドレナリン受容体特異的ナノボディであるNb80。
配列番号27:MbNb80
cHopQ。
(NbGFP207βストランドAを二重下線で示し、循環置換リンカーをイタリック体で示し、HopQ配列を下線で示し、Nb80βストランドB~Gを太字で示し、6×Hisタグ、EPEAタグを小文字で示す。)
配列番号28:GABAA特異的ナノボディであるNb25。
配列番号29:MbNb25
cHopQ。
(NbGFP207βストランドAを二重下線で示し、循環置換リンカーをイタリック体で示し、HopQ配列を下線で示し、Nb25βストランドB~Gを太字で示し、6×Hisタグ、EPEAタグを小文字で示す。)
配列番号30~33:MbNb207
cHopQランダムリンカー。
(NbGFP207配列を太字で示し、波線の下線で示した(X)1─2は可変長(1又は2アミノ酸)で混合組成のショートペプチドリンカーであり、循環置換リンカーをイタリック体で示し、HopQ配列を下線で示す。)
配列番号34~37:MbNb207
cHopQランダムリンカー_Aga2p_ACPタンパク質配列。
(appS4リーダー配列を先頭に、メガボディcHopQNbGFP207ランダムリンカーを太字で示し、波線の下線で示した(X)1─2は可変長(1又は2アミノ酸)で混合組成のショートペプチドリンカーであり、フレキシブル(GGGS)nポリペプチドリンカーをイタリック体で示し、Aga2pタンパク質配列を下線で示し、ACP配列を二重下線で示し、cMycタグを小文字で示す。)
配列番号38:大腸菌Ygjkタンパク質(PDB3WFS)。
配列番号39~42:MbNb207
cYgjkQランダムリンカー。
(NbGFP207配列を太字で示し、循環置換リンカーをイタリック体で示し、Ygjk配列を下線で示し、波線の下線で示した(X)1─2は可変長(1又は2アミノ酸)で混合組成のショートペプチドリンカーであり、6×His及びEPEAタグを小文字で示す。)
配列番号43:cYgjk循環置換リンカーペプチド。
配列番号44~47:MbNb207
cYgjkランダムリンカー_Aga2p_ACPタンパク質配列。
(appS4リーダー配列を先頭に、メガボディcYgjkQNbGFP207ランダムリンカーライブラリーを太字で示し、フレキシブル(GGGS)nポリペプチドリンカーをイタリック体で示し、Aga2pタンパク質配列を下線で示し、ACP配列を二重下線で示し、cMycタグを小文字で示す。)
配列番号48:MbNb207
cHopQC357-C425。
(NbGFP207配列を太字で示し、循環置換リンカーをイタリック体で示し、HopQ配列を下線で示し、ナノボディを足場に連結するシステインを白抜きで示す。)
配列番号49:MbNb207
cHopQC358-C488。
(NbGFP207配列を太字で示し、循環置換リンカーをイタリック体で示し、HopQ配列を下線で示し、ナノボディを足場に連結するシステインを白抜きで示す。)
配列番号50:MbNb207
cHopQC359-C490。
(NbGFP207配列を太字で示し、循環置換リンカーをイタリック体で示し、HopQ配列を下線で示し、ナノボディを足場に連結するシステインを白抜きで示す。)
配列番号51:MbNb207
cHopQC15-C534。
(NbGFP207配列を太字で示し、循環置換リンカーをイタリック体で示し、HopQ配列を下線で示す。)
配列番号52:緑膿菌アズリン(PDB2TSA)M121A突然変異体タンパク質。
配列番号53~60:MbNb207
AzurinQランダムリンカー。
(NbGFP207配列を太字で示し、アズリン配列を下線で示し、波線の下線で示した(X)1─2は可変長(1又は2アミノ酸)で混合組成のショートペプチドリンカーである。)
配列番号61~68:MbNb207
AzurinQ連結ライブラリー_Aga2p_ACPタンパク質配列。
(appS4リーダー配列を先頭に、メガボディアズリンNbGFP207ランダムリンカーライブラリーを太字で示し、フレキシブル(GGGS)nポリペプチドリンカーをイタリック体で示し、Aga2pタンパク質配列を下線で示し、ACP配列を二重下線で示し、cMycタグを小文字で示す。)
配列番号69:バクテロイデス・シータイオタオミクロン(Bacteroides thetaiotaomicron)SusBタンパク質(PDB3wfa)。
配列番号70~77:MbNb207
SusBランダムリンカーメガボディライブラリータンパク質配列。
(NbGFP207配列を太字で示し、波線の下線で示した(X)1─2は可変長(1又は2アミノ酸)で混合組成のショートペプチドリンカーであり、susB配列を下線で示す。)
配列番号78~85:ホモ二量体メガボディMbNb207
SusBランダムリンカー_Aga2p_ACPタンパク質配列。
(appS4リーダー配列を先頭に、susBNbGFP207ランダムリンカーメガボディライブラリーを太字で示し、フレキシブル(GGGS)nポリペプチドリンカーをイタリック体で示し、Aga2pタンパク質配列を下線で示し、ACP配列を二重下線で示し、cMycタグを小文字で示す。)
配列番号86:大腸菌アシルキャリアタンパク質(PDB1T8K)。
配列番号87~90:ナノツールMbNb207
ACPランダムリンカー。
(NbGFP207配列を太字で示し、波線の下線で示した(X)1─2は可変長(1又は2アミノ酸)で混合組成のショートペプチドリンカーであり、ACP配列を下線で示す。)
配列番号91~94:ナノツールMbNb207
ACPランダムリンカー_Aga2pタンパク質配列。
(appS4リーダー配列を先頭に、ナノツールACPNbGFP207ランダムリンカーを太字で示し、波線の下線で示した(X)1─2は可変長(1又は2アミノ酸)で混合組成のショートペプチドリンカーであり、フレキシブル(GGGS)nポリペプチドリンカーをイタリック体で示し、Aga2pタンパク質配列を下線で示し、cMycタグを二重下線で示す。)
配列番号95:MbNb207
cHopQMP1251_A7。
(NbGFP207βストランドAを二重下線で示し、循環置換リンカーをイタリック体で示し、HopQ配列を下線で示し、ナノボディMP1251_A7のβストランドA~Gを太字で示す。)
配列番号96:MbNb207
cHopQMP1252_D10。
(NbGFP207βストランドAを二重下線で示し、循環置換リンカーをイタリック体で示し、HopQ配列を下線で示し、ナノボディMP1252_D10のβストランドA~Gを太字で示す。)
配列番号97:MbNb207
cHopQMP1251_D10。
(NbGFP207βストランドAを二重下線で示し、循環置換リンカーをイタリック体で示し、HopQ配列を下線で示し、ナノボディMP1251_D10のβストランドA~Gを太字で示す。)
配列番号98:MbNb207
cHopQMP1251_A10。
(NbGFP207βストランドAを二重下線で示し、循環置換リンカーをイタリック体で示し、HopQ配列を下線で示し、ナノボディMP1251_A10のβストランドA~Gを太字で示す。)
配列番号99:MbNb207
cHopQMP1251_D4。
(NbGFP207βストランドAを二重下線で示し、循環置換リンカーをイタリック体で示し、HopQ配列を下線で示し、ナノボディMP1251_D4のβストランドA~Gを太字で示す。)
配列番号100:MbNb207
cHopQMP1252_C10。
(NbGFP207βストランドAを二重下線で示し、循環置換リンカーをイタリック体で示し、HopQ配列を下線で示し、ナノボディMP1252_C10のβストランドA~Gを太字で示す。)
配列番号101:MbNb207
cHopQMP1251_H6。
(NbGFP207βストランドAを二重下線で示し、循環置換リンカーをイタリック体で示し、HopQ配列を下線で示し、ナノボディMP1251_H6のβストランドA~Gを太字で示す。)
配列番号102:MbNb207
cHopQMP1251_A5。
(NbGFP207βストランドAを二重下線で示し、循環置換リンカーをイタリック体で示し、HopQ配列を下線で示し、ナノボディMP1251_A5のβストランドA~Gを太字で示す。)
配列番号103:MbNb207
cHopQMP1263_C9。
(NbGFP207βストランドAを二重下線で示し、循環置換リンカーをイタリック体で示し、HopQ配列を下線で示し、ナノボディMP1263_C9のβストランドA~Gを太字で示す。)
配列番号104~107:MbNb207
cHopQ_βターンCC’_ランダムリンカータンパク質配列。
(NbGFP207βストランドA~Cを二重下線で示し、波線の下線で示した(X)1─2は可変長(1又は2アミノ酸)で混合組成のショートペプチドリンカーであり、循環置換リンカーをイタリック体で示し、HopQ配列を下線で示し、Nb207βストランドC’~Gを太字で示し、6×Hisタグ、EPEAタグを小文字で示す。)
配列番号108~111:MbNb207
cHopQ_βターンCC’_ランダムリンカー_Aga2p_ACPタンパク質配列。
(appS4リーダー配列を先頭に、メガボディcHopQNbGFP207_βターンCC’_ランダムリンカーライブラリーを太字で示し、フレキシブル(GGGS)nポリペプチドリンカーをイタリック体で示し、Aga2pタンパク質配列を下線で示し、ACP配列を二重下線で示し、cMycタグを小文字で示す。)
配列番号112:デイノコッカス・ラディオデュランス(Deinococcus radiodurans)モノボディNS1(PDB5E59由来)。
配列番号113~116:MbNS1
cHopQ_ランダムリンカー。
(NS1βストランドAを二重下線で示し、波線の下線で示した(X)1─2は可変長(1又は2アミノ酸)で混合組成のショートペプチドリンカーであり、HopQ配列を下線で示し、循環置換リンカーをイタリック体で示し、NS1βストランドB~Gを太字で示し、6×Hisタグ、EPEAタグを小文字で示す。)
配列番号117~120:MbNS1
cHopQ_ランダムリンカー_Aga2p_ACPタンパク質配列。
(appS4リーダー配列を先頭に、cHopQNS1_ランダムリンカーメガボディライブラリーを太字で示し、フレキシブル(GGGS)nポリペプチドリンカーをイタリック体で示し、Aga2pタンパク質配列を下線で示し、ACP配列を二重下線で示し、cMycタグを小文字で示す。)
配列番号121:NbGFP207(DNA)=Nb207。
配列番号122:TU89フォワードプライマー(SapI切断部位を下線で示す)(DNA)。
配列番号123:EP230リバースプライマー(SapI切断部位を下線で示す)(DNA)。
配列番号124:TU64プライマー(DNA)。
配列番号125:TU65プライマー(DNA)。
配列番号126:TU131プライマー(DNA)。
配列番号127:TU132プライマー(DNA)。
配列番号128:TU133プライマー(DNA)。
配列番号129:TU134プライマー(DNA)。
配列番号130:GABAA特異的ナノボディであるNb38。
配列番号131:MbNb38
cHopQ。
(NbGFP207βストランドAを二重下線で示し、循環置換リンカーをイタリック体で示し、HopQ配列を下線で示し、Nb38βストランドB~Gを太字で示し、6×Hisタグ、EPEAタグを小文字で示す。)
配列番号132:HopQ特異的ナノボディであるNb60。
配列番号133:MbNb60
c7HopQ N277K T270R。
(NbGFP207βストランドAを二重下線で示し、HopQ配列を下線で示し、N277K、T270R突然変異を網掛けで示し、Nb60βストランドB~Gを太字で示し、6×Hisタグ、EPEAタグを小文字で示す。)
配列番号134:MbNb60
c7HopQ N277K T270R E197R。
(NbGFP207βストランドAを二重下線で示し、HopQ配列を下線で示し、N277K、T270R、E197R突然変異を網掛けで示し、Nb60βストランドB~Gを太字で示し、6×Hisタグ、EPEAタグを小文字で示す。)
配列番号135:MbNb60
cYgjkQE2。
(NbGFP207配列を太字で示し、循環置換リンカーをイタリック体で示し、Ygjk配列を下線で示し、1アミノ酸リンカーを波線の下線で示し、6×His及びEPEAタグを小文字で示す。)
配列番号136:MbNb207
c7HopQ。
(NbGFP207βストランドAを二重下線で示し、HopQ配列を下線で示し、NbGFP207βストランドB~Gを太字で示し、6×Hisタグ、EPEAタグを小文字で示す。)
配列番号137~140:夫々MbNb207
c7HopQ A5、A12、B7及びG10。
配列番号141:MbNb207
cYgjkE2。
(NbGFP207配列を太字で示し、網掛けで示したYはショートペプチドリンカーであり、YgjK配列を下線で示し、循環置換リンカーをイタリック体で示し、YgjK配列を下線で示し、網掛けで示したDはショートペプチドリンカーであり、6×His及びEPEAタグを小文字で示す。)
配列番号142~144:夫々MbNb207
cYgjkA2、C4及びF5。
配列番号145:MbNb207
c7HopQC14-C512。
(NbGFP207βストランドAを二重下線で示し、HopQ配列を下線で示し、NbGFP207βストランドB~Gを太字で示し、ナノボディを足場に連結するシステインを白抜きで示し、6×Hisタグ、EPEAタグを小文字で示す。)
配列番号146:MbNb207
c7HopQC402-C474。
(NbGFP207βストランドAを二重下線で示し、HopQ配列を下線で示し、NbGFP207βストランドB~Gを太字で示し、ナノボディを足場に連結するシステインを白抜きで示し、6×Hisタグ、EPEAタグを小文字で示す。)
配列番号147:MbNb207
c7HopQC316-C472。
(NbGFP207βストランドAを二重下線で示し、HopQ配列を下線で示し、NbGFP207βストランドB~Gを太字で示し、ナノボディを足場に連結するシステインを白抜きで示し、6×Hisタグ、EPEAタグを小文字で示す。)
配列番号148:MbNb207
c7HopQC314-C472。
(NbGFP207βストランドAを二重下線で示し、HopQ配列を下線で示し、NbGFP207βストランドB~Gを太字で示し、ナノボディを足場に連結するシステインを白抜きで示し、6×Hisタグ、EPEAタグを小文字で示す。)
配列番号149:MbNb207
c7HopQC312-C453。
(NbGFP207βストランドAを二重下線で示し、HopQ配列を下線で示し、NbGFP207βストランドB~Gを太字で示し、ナノボディを足場に連結するシステインを白抜きで示し、6×Hisタグ、EPEAタグを小文字で示す。)
配列番号150:MbNb207
c7HopQC349-C452。
(NbGFP207βストランドAを二重下線で示し、HopQ配列を下線で示し、NbGFP207βストランドB~Gを太字で示し、ナノボディを足場に連結するシステインを白抜きで示し、6×Hisタグ、EPEAタグを小文字で示す。)
配列番号151~158:夫々MbNb207
AzurinA8、D9、D10、D11、G6、B8、B2及びC8。
配列番号159:MbNb207
cPP7x2A3(MP1403_A3)。
(NbGFP207配列を太字で示し、リンカーをイタリック体で示し、PP7配列を下線で示し、タグを小文字で示す。)
配列番号160~165:夫々MbNb207
cPP7x2D3、G5、E6、D7、A9、B9(MP1403)。
配列番号166:アシネトバクター属ファージコートタンパク質NP_085472.1であるAP205。
配列番号167:MbNb207
AP205x2XX。
(NbGFP207配列を太字で示し、ランダムリンカーをイタリック体で示し、網掛けで示したXは(1アミノ酸の)ショートペプチドリンカーであり、AP205配列を下線で示し、タグを小文字で示す。)
配列番号168~172:夫々MbNb207
AP205x2C5、B7、B8、D3、A4。
配列番号173:MbNb207
AP205XX。
(NbGFP207配列を太字で示し、ランダムリンカーをイタリック体で示し、網掛けで示したXは(1アミノ酸の)ショートペプチドリンカーであり、AP205配列を下線で示し、タグを小文字で示す。)
配列番号174~183:夫々MbNb207
AP205C12、A4、E8、D10、A3、A10、D10、D2、C10、F1。
配列番号184:N2bNb207
NbFedF9E。
(NbGFP207βストランドAを二重下線で示し、NbGFP207を太字で示し、NbFedF9配列を下線で示し、リンカー配列をイタリック体で示す。)
配列番号185:N2bNb207
NbFedF9Q。
(NbGFP207βストランドAを二重下線で示し、NbGFP207を太字で示し、NbFedF9配列を下線で示し、リンカー配列をイタリック体で示す。)
配列番号186:N2bNb207
NbFedF9CA14543(MP1411_B3)。
配列番号187:N2bNb207
NbFedF9CA14544(MP1411_C6)。
配列番号188:N2bNb207
NbFedF9CA14546(MP1438_A5)。
配列番号189:N2bNb207
NbFedF9CA14548(MP1438_B11)。
配列番号190:N2bNb207
NbFedF9CA14550(MP1438_D2)。
配列番号191:N2bNb207
NbFedF9CA14552(MP1440_C5)。
配列番号192:結核菌(Mycobacterium tuberculosis)ドデシンRv1498Aタンパク質(GenBankアクセッション番号:3205040)。
配列番号193:MbNb207
Dodecinランダムリンカーメガボディ。
(NbGFP207配列を太字で示し、網掛けで示したXは混合組成の(1アミノ酸の)ショートペプチドリンカーであり、ドデシンRv1498Aタンパク質配列を下線で示し、6×Hisタグ、EPEAタグを小文字で示す。)
配列番号194:MbNb35
cYgjkE2。
配列番号195:MbNb80
cYgjkE2。
配列番号196:MbNb25
cYgjkE2。
配列番号197:MbNb38
cYgjkE2。
配列番号198:トロポミオシン関連キナーゼ受容体B(TrkB)特異的ナノボディであるNb22。
配列番号199:MbNb22
cYgjkE2。
配列番号200:バークホルデリア・セノセパシア(Burkholderia cenocepacia)4QYBタンパク質(PDB4QYB)。
配列番号201~204:MbNb207
4QYBランダムリンカー。
(NbGFP207配列を太字で示し、(X)1-2は混合組成の(1又は2アミノ酸の)ショートペプチドリンカーであり、4QYBタンパク質配列を下線で示し、6×Hisタグ、EPEAタグを小文字で示す。)
配列番号205~208:PelB_MbNb207
4QYBランダムリンカー。
(PelBリーダー配列を二重下線で示し、NbGFP207配列を太字で示し、(X)1-2は混合組成の(1又は2アミノ酸の)ショートペプチドリンカーであり、4QYBタンパク質配列を下線で示し、6×Hisタグ、EPEAタグを小文字で示す。)
配列番号209:親和性タグ(US9518084B2)。
EPEA
配列番号210~213:図8Cからの配列。
参考文献