JP7680842B2 - 耐火性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
しかしながら、熱膨張材を高充填することによって、シートの残渣が脆くなる傾向にあり、火炎等により吹き飛ばされることが起こる。したがって、区画貫通部を十分に閉塞することができず、延焼を抑制できない場合があった。
そこで、本発明は、熱膨張材を高充填することで、火災が発生した際には、区画貫通部を閉塞し、延焼を抑制するとともに、熱膨張材を高充填しても残渣が硬く、区画貫通部の閉塞を維持することができる耐火性樹脂組成物を提供することを課題とする。
[1](A)クロロプレンゴムを含む樹脂成分、(B)熱膨張性層状無機物、及び(C)難燃剤、吸熱剤、及び無機充填剤から選ばれる少なくとも1種を含む耐火性添加剤、を含有する建築物の防火構造に用いられる耐火性樹脂組成物。
[2]前記(B)熱膨張性層状無機物の含有量が、(A)樹脂成分100質量部に対して、50~1000質量部である上記[1]に記載の耐火性樹脂組成物。
[3]前記(B)熱膨張性層状無機物の含有量が、耐火性樹脂組成物100質量部に対して、15~75質量部である上記[1]又は[2]に記載の耐火性樹脂組成物。
[4]前記(B)熱膨張性層状無機物の熱膨張開始温度が100~300℃である上記[1]~[3]のいずれか一つに記載の耐火性樹脂組成物。
[5]前記(B)熱膨張性層状無機物が熱膨張性黒鉛である上記[1]~[4]のいずれか一つに記載の耐火性樹脂組成物。
[6]樹脂成分としてさらにエラストマーを含む上記[1]~[5]のいずれか一つに記載の耐火性樹脂組成物。
[7]上記[1]~[6]のいずれか一つに記載の耐火性樹脂組成物からなる耐火材。
[8]シート状である上記[7]に記載の耐火材。
[9]厚みが1.0mm以上である上記[8]に記載の耐火材。
[10]上記[7]~[9]のいずれか一つに記載の耐火材と、前記耐火材と一体化された基材とを備える耐火積層体。
[11]上記[7]~[9]のいずれか一つに記載の耐火材又は上記[10]に記載の耐火積層体を含む区画貫通処理材。
[12]上記[11]に記載の区画貫通処理材を含む区画貫通処理構造。
[13]上記[12]に記載の区画貫通処理構造の施工方法。
本発明の耐火性樹脂組成物は、(A)クロロプレンゴムを含む樹脂成分、(B)熱膨張性層状無機物、及び(C)難燃剤、吸熱剤、及び無機充填剤から選ばれる少なくとも1種を含む耐火性添加剤を含有する。
本発明の(A)成分は、クロロプレンゴムを含む樹脂成分である。クロロプレンゴム(CR)としては、チウラム系によるイオウ変性(Gタイプ)、メルカプタン系による非イオウ変性(Wタイプ)等を用いることができる。クロロプレンゴムの100℃におけるムーニー粘度ML(1+4)は、好ましくは20~160、より好ましくは30~150、さらに好ましくは40~140である。クロロプレンゴムの100℃におけるムーニー粘度が、前記下限値以上であると分子量が大きくなる分、凝集力が高くなるため、熱膨張性層状無機物を高充填しても、残渣の硬度が維持される。一方、前記上限値以下であると混練時に混練装置にかかる負荷が低くなるため成形性が向上する。なお、ムーニー粘度ML(1+4)は、JIS K6300に準拠して100℃において測定される。
(A)樹脂成分中のクロロプレンゴムの含有量は、30~100質量%の範囲であることが好ましく、50~100質量%の範囲がより好ましく、80~100質量%がさらに好ましい。
熱可塑性樹脂の例としては、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩素化ポリ塩化ビニル樹脂(CPVC)、フッ素樹脂、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリブタジエン、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリエチレン(PE)およびポリプロピレン(PP)、エチレン酢酸ビニル(EVA)等のポリオレフィン、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体(EPDM)、クロロプレン(CR)、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン(PS)、ポリフェニレンサルファイド、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル-スチレン-アクリロニトリル共重合体(ASA)、アクリロニトリル/エチレン-プロピレン-ジエン/スチレン共重合体(AES)等が挙げられる。
熱硬化性樹脂の例としてはエポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、熱硬化性ポリイミド等が挙げられる。
(A)成分における液状エラストマーの含有量としては、5~50質量%の範囲であることが好ましく、10~40質量%の範囲であることがより好ましく、20~30質量%の範囲であることが特に好ましい。上記下限値以上であると、樹脂成分に十分な粘着性を付与することができ、上記上限値以下であると、クロロプレンゴム等の他のゴム成分の含有量が確保でき、熱膨張材を高充填しても、十分な残渣の硬度が得られる。
また、ブチルゴムの配合量は、クロロプレンゴムと液状エラストマーの相溶性を確保するとの観点から、ブチルゴム/液状エラストマー(質量比)が1:10~10:1の範囲であることが好ましく、4:6~6:4の範囲であることがより好ましい。
なお、これらの熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、エラストマーは、1種であってもよいし2種以上を組み合わせて用いてもよい。
熱膨張性層状無機物は、加熱時に膨張する従来公知の物質であり、例えば、バーミキュライト、熱膨張性黒鉛などが挙げられ、中でも熱膨張性黒鉛が好ましい。熱膨張性層状無機物としては、粒子状や鱗片状のものを用いてもよい。熱膨張性層状無機物は、加熱されることで膨張して大容量の空隙を形成するため、本発明の熱膨張性層状無機物を用いた耐火材は、着火した場合に延焼が抑制され、また消火される。
熱膨張性黒鉛は、天然鱗片状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を、濃硫酸、硝酸、セレン酸等の無機酸と、濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の強酸化剤とにより処理してグラファイト層間化合物を生成させたものである。生成された熱膨張性黒鉛は炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物である。
本発明に使用される熱膨張性黒鉛は、酸処理して得られた熱膨張性黒鉛がアンモニア、脂肪族低級アミン、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物等で中和されたものなども使用することもできる。
脂肪族低級アミンとしては、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等が挙げられる。
アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物としては、例えば、カリウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム等の水酸化物、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、有機酸塩等が挙げられる。
熱膨張性黒鉛の平均アスペクト比は、2以上が好ましく、5以上がより好ましく、10以上が更に好ましい。熱膨張性黒鉛の平均アスペクト比の上限は特に限定されないが、熱膨張性黒鉛の割れ防止の観点から、1,000以下であることが好ましい。熱膨張性黒鉛の平均アスペクト比が2以上であることにより、膨張して大容量の空隙を作りやすくなるため難燃性が向上する。
熱膨張性黒鉛の平均アスペクト比は、10個の熱膨張性黒鉛について、それぞれ最大寸法(長径)及び最小寸法(短径)測定し、最大寸法(長径)を最小寸法(短径)で除した値の平均値を平均アスペクト比とする。熱膨張性黒鉛の長径及び短径は、例えば、電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて測定することができる。
また、熱膨張性層状無機物の膨張開始温度は、以下の方法で測定した。
<膨張開始温度>
黒鉛片を試験管に0.02g入れ、試験管を垂直に立てた状態で電気炉に供給し、各温度で10分間加熱する。加熱後の黒鉛片の厚みを測定し、(加熱後の黒鉛片の厚み)/(加熱前の黒鉛片の厚み)を膨張倍率として算出し、膨張倍率が3倍以上となる温度を膨張開始温度とした。
また、本発明の耐火性樹脂組成物を用いた耐火材の膨張倍率をより一層高くする観点からは、熱膨張性層状無機物の含有量は、150~300質量部であることが好ましい。本発明の耐火性樹脂組成物では、熱膨張性層状無機物の含有量を150質量部以上と比較的多くしても、樹脂成分としてクロロプレンゴムを使用することで残渣硬さを高い値に維持できる。
また、本発明の耐火性樹脂組成物を用いた耐火材の膨張倍率をより一層高くする観点からは、熱膨張性層状無機物の含有量は、30~60質量部であることが好ましい。また、熱膨張性層状無機物の含有量を比較的多くしても、本発明では、樹脂成分としてクロロプレンゴムを使用することで残渣硬さを高い値に維持できる。
本発明に使用する難燃剤としてはリン原子含有化合物が挙げられる。リン原子含有化合物としては、赤リン、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、及びキシレニルジフェニルホスフェート等の各種リン酸エステル、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、及びリン酸マグネシウム等のリン酸金属塩、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カリウム、亜リン酸マグネシウム、亜リン酸アルミニウム等の亜リン酸金属塩、ポリリン酸アンモニウム等が挙げられる。これらリン含有化合物を使用することで、耐火性樹脂組成物に適切な耐火性、消火性能を付与できる。難燃剤は、これら1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これら難燃剤の中では、耐火性樹脂組成物の耐火性、消火性能を向上させる観点から、ポリリン酸アンモニウム、亜リン酸アルミニウム等が特に好ましい。
本発明の耐火性樹脂組成物に用いられる吸熱剤としては、水和金属化合物が好適に挙げられる。水和金属化合物とは、火炎の接触により分解して水蒸気を発生し、吸熱する効果を有する化合物である。水和金属化合物としては、金属水酸化物、金属塩の水和物が挙げられる。具体的には、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、カルシウム-マグネシウム系水酸化物、ハイドロタルサイト、ベーマイト、タルク、ドーソナイト、硫酸カルシウムの水和物、硫酸マグネシウムの水和物、ホウ酸亜鉛[2ZnO・3B2O5・3.5H2O]などが挙げられる。
これらの中では、耐火性、消火性能などの観点から、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸カルシウム2水和物、及び硫酸マグネシウム7水和物から選ばれる少なくとも1種が好ましく、特に水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが好ましい。
なお、熱分解開始温度は、熱重量示差熱分析装置(TG-DTA)により測定することができ、具体的には実施例に記載の方法により測定することができる。
なお、吸熱量は熱重量示差熱分析装置(TG-DTA)を用いて測定することができ、具体的には実施例に記載の方法により測定することができる。
以上の観点から、吸熱剤の平均粒子径は、0.5~60μmがより好ましく、0.8~40μmがさらに好ましく、0.8~10μmがよりさらに好ましい。
本発明の耐火性樹脂組成物に使用できる無機充填剤としては一般に熱膨張性樹脂組成物に使用されている無機充填材であれば、特に限定はない。具体的には、例えば、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドーソナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セビオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカバルン、窒化アルミニウム、亜リン酸アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、チタン酸ジルコニア鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、脱水汚泥等が挙げられる。
これらのうち、炭酸カルシウム、カーボンブラックが好ましい。これらの無機充填剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、上述の難燃剤、吸熱剤、及び無機充填剤の平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置により測定したメディアン径(D50)の値である。
可塑剤の具体的としては、例えば、ジ-2-エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジヘプチルフタレート(DHP)、ジイソデシルフタレート(DIDP)等のフタル酸エステル可塑剤、ジ-2-エチルヘキシルアジペート(DOA)、ジイソブチルアジペート(DIBA)、ジブチルアジペート(DBA)等のアジピン酸エステルや、アジピン酸ジブトキシエチル、アジピン酸ジ(ブトキシエトキシエチル)、アジピン酸ジ(メトキシテトラエチレングリコール)、アジピン酸ジ(メトキシペンタエチレングリコール)、アジピン酸(メトキシテトラエチレングリコール)(メトキシペンタエチレングリコール)などのアジピン酸エーテルエステル系可塑剤、アジピン酸ポリエステルなどの脂肪酸エステル可塑剤、エポキシ化大豆油等のエポキシ化エステル可塑剤、トリー2-エチルヘキシルトリメリテート(TOTM)、トリイソノニルトリメリテート(TINTM)等のトリメリット酸エステル可塑剤、トリメチルホスフェート(TMP)、トリエチルホスフェート(TEP)等の燐酸エステル可塑剤、鉱油等のプロセスオイルなどが挙げられる。
可塑剤は1種を単独で、もしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。
耐火性樹脂組成物が可塑剤を含有する場合、耐火性樹脂組成物における可塑剤の含有量は、樹脂成分100質量部に対して、例えば0.3質量部以上150質量部以下の範囲であり、好ましくは10質量部以上100質量部以下の範囲、さらに好ましくは20質量部以上50質量部以下の範囲である。可塑剤は、これら下限値以上とすると、成形性が良好になりやすく、上限値以下とすることで、成形体に適度な強度が付与される。
なお、樹脂成分と可塑剤の合計含有量とは、樹脂成分と可塑剤の両方が含有される場合には、これらの合計含有量を意味し、可塑剤を含有しない場合には樹脂成分単独の含有量を意味する。
また本発明に使用する耐火性樹脂組成物には、その物性を損なわない範囲で、必要に応じて、熱安定剤、滑剤、加工助剤、酸化防止剤、帯電防止剤、顔料、架橋剤、架橋促進剤等の熱膨張性樹脂組成物に一般的に使用される添加剤が添加されてもよい。これらの中では加工助剤を使用することが好ましい。
本発明の耐火性樹脂組成物は、例えば下記のようにして製造することができる。まず、所定量の(A)樹脂成分、(B)熱膨張性層状無機物、(C)耐火性添加剤、及びその他の必要に応じて配合される添加剤を、混練ロールなどの混合機で混合して、耐火性樹脂組成物を得る。耐火性樹脂組成物は、適宜溶剤が添加されて、希釈されてもよい。
本発明の耐火材は、本発明の耐火性樹脂組成物からなり、特にシート状であることが好ましい。シート状耐火材の厚みとしては、1.0mm以上であることが好ましく、1.2mm~3.0mmであることがより好ましく、1.5mm~2.0mmであることがさらに好ましい。厚みが前記下限値以上であると、十分な耐火性能が確保され、前記上限値以下であると、耐火シートの柔軟性が確保される。
また、本発明の耐火材の残渣硬さとしては、0.20kgf/cm2以上であることが好ましく、0.25~0.90kgf/cm2の範囲であることがより好ましく、0.30~0.85kgf/cm2の範囲がさらに好ましい。
なお、耐火材の膨張倍率及び残渣硬さは、実施例に記載の方法で測定できる。
そして、剥離シートから剥離した後に別の層上に積層することで、多層構造のシート状耐火材(耐火積層体)を得るとよい。また、剥離シート上、又は他の支持体上に積層された状態のまま、他の層に積層されてもよい。
基材と本発明の耐火性樹脂組成物からなるシート状耐火材が一体化された耐火積層体に使用される基材は、耐火材層を支持し、耐火材層に熱を均等に伝達させる。基材としては、例えば、アルミニウム箔、銅箔等の金属箔、ガラスクロス、アルミガラスクロスなどの金属箔とガラスクロスの複合体等の金属箔複合体、紙、布、樹脂フィルムなどが挙げられる。これらのなかでは、耐火性の観点から、不燃材料で構成されることが好ましく、具体的には、金属箔及び金属箔複合体が挙げられる。なお、不燃材料とは、建築基準法及び建築基準法施行令において定められるものである。
各基材の厚みは、特に限定されないが、例えば0.01~1mm、好ましくは0.05~0.5mmである。不燃材料層がこれら上限値以下の厚みを有することで、シート状部材に柔軟性が付与される。また、下限値以上の厚みを有することで、耐火性能を確保しやすくなる。
また、シート状耐火材を複数積層する場合には、互いに膨張倍率が異なる層であることが好ましく、使用形態に合わせて、膨張倍率をコントロールするとよい。シート状耐火材を2層以上備える場合には、少なくともそのうちの1層は、本発明の耐火性樹脂組成物から構成され、膨張率が高い層の耐火材層を構成することが好ましい。
また、基材と耐火材層から構成される耐火積層体にあっては、基材は2層以上あってもよく、また、耐火剤層が、粘着性を有する場合には、他の部材に接着できるように最外面に配置するとよい。
なお、シート状耐火材を複数積層する場合の具体的な構造は、図3、4を参照して後述するとおりである。
本発明の耐火材(シート状部材3)は、図1に示すように、挿通体21が内部に挿通されるためのスリット32を有し、スリット32の少なくとも1つがシート状部材3の外縁まで延在する。スリット32は、切込みにより形成される。シート状部材3は、外縁まで延在するスリット32を介して、挿通体21をシート状部材3の内部に挿入させることが可能である。なお、スリット32は、挿通体21が内部に挿通されるための孔と、孔からシート状部材3の外縁まで延在するスリット32とを有する形態であってもよい。
本発明の耐火性樹脂組成物により得られる耐火材層は膨張倍率が高く、かつ残渣も硬いため、複数ある耐火材層の一部の層を構成してもよいし、すべての層を構成してもよい。
さらに、シート状部材3に複数の耐火材層が積層されている場合、膨張した仕切り部11側の耐火材層が間隙13E内部に埋め込まれ、シート状部材3が膨張する際に仕切り部11から離れるのを防止し、上記したずれがより生じにくくなる。一方で、仕切り部11から離れた位置にある耐火材層は、上記の通りに均等に膨張して、その膨張残渣により延焼を適切に防止できる。
このように、仕切り部11側の耐火材層の膨張倍率が低いと、膨張残渣の強度が高く維持され、間隙13E内部に埋め込まれた耐火材層によりシート状部材3が適切に支持され、ズレがより一層生じにくくなる。また、仕切り部11から離れた位置の耐火材層は、加熱により十分に膨張して、より高い耐火性能を発揮しやすくなる。
また、以上の多層構造においては、互いに隣接する上記各層は、公知の接着剤により接着されてもよく、したがって、上記各積層構造において、上記各層の間には接着剤層が設けられてもよい。
なお、多層構造において、シート状部材3は、その全体において同じ層構成を有していてもよいが、部分的に異なる構造を有してもよい。例えば、基材と耐火材層との層構成が一部で変更されていてもよい。
本発明の耐火材(シート状部材3)は、区画貫通処理材として好適に用いることができる。本明細書においては、図1に示すように、区画貫通部15に施工され、区画貫通処理構造10を形成するための部材(シート状部材3、及びこれらを固定するための固定部材など)を纏めて区画貫通処理材ということがある。
本発明の区画貫通処理構造は、図1に示すように、建築物の仕切り部11に形成され、かつ内部に長尺の挿通体21が挿通される区画貫通部15を耐火構造とする区画貫通処理構造である。
また、図4(b)に示すように、粘着剤層33を備える耐火材層31Aを最外面に配置する構成とする場合には、粘着剤層によって仕切り部11の外面11Aに接して配置されてもよい。この場合には、(A)成分として、クロロプレンゴムの含有量を相対的に増やすことができ、(B)熱膨張性層状無機物の含有量を増やすことができ、より残渣を硬くすることができる。
以上の構成により、シート状部材3とは別部材としての固定部材を使用しなくても、シート状部材3を仕切り部11に固定させることができる。また、耐火材層自体に粘着性を持たせることで、粘着剤層を設けなくてもよいので、シート状部材3の構成をより簡素化できる。なお、シート状部材3は、その最外面に粘着性を有する耐火材層、又は粘着剤層が設けられる場合、その最外面に剥離シートが貼付されてもよい。剥離シートは、使用時に最外面から剥離されるとよい。
また、シート状部材3は、タッカー、ビスなどのシート状部材3とは別部材である固定部材によって仕切り部11の外面11Aに固定されるとよい。もちろん、これらの2以上の組み合わせにより、シート状部材3は、仕切り部11に固定されてもよい。
カバー部材5は、シート状部材3に連結するように設けられ、仕切り部11に設けられたシート状部材3を覆う部材である。カバー部材5は、例えば、図1に示すように、シート状部材3の4辺縁に連結するように4枚使用し、シート状部材3から外側に向かって延在する4つの延在部とし、図2に示すように、仕切り部11に設けられたシート状部材3を覆う。カバー部材5がシート状部材3の少なくとも一部に連結するように設けられる手段としては、例えば、接着剤、粘着剤及び粘着テープ、並びに、タッカー、ビス等の固定部材などの公知の固定手段によって固定される手段が挙げられる。ここで、接着剤、粘着剤及び粘着テープは、不燃材料、準不燃材料又は難燃材料のいずれかであることが好ましく、接着剤、粘着剤などに難燃剤などを配合するとよい。
カバー部材5は、シート状であり、かつ、変形できることで、シート状部材3を容易に覆うことが可能である。
一方で、カバー部材5は、シート状部材3の一部を外部から視認可能なように覆うとよい。具体的には、カバー部材5は、図2に示すように、シート状部材3の端面3Cを外部から視認可能とするとよい。カバー部材5が設置された状態で、シート状部材3の端面3Cを外部から視認可能とすることで、シート状部材3が区画貫通部15に設置されていることの視認検査を簡便に行うことができる。
シート状部材3とカバー部材5との間に空隙40があり、カバー部材5が挿通体21の軸方向の動きに対して裕度を持って固定される構成としては種々の形態を取り得る。例えば、カバー部材5の少なくとも一部が屈曲ないし湾曲できるような柔軟性や伸縮性を有する材料による構成、及び、カバー部材5の少なくとも一部が挿通体21に対してたるみを有するように固定する構成等が挙げられる。
カバー部材5としては、好ましくは、アルミニウム箔などの金属箔、ガラスクロス、アルミガラスクロスなどの金属箔とガラスクロスの複合体である金属箔複合体などが挙げられる。これらは不燃材料層を構成する。これらのなかでは、耐火性の観点からアルミガラスクロスがより好ましい。
不燃材料層の厚みは、特に限定されないが、例えば0.01~1mm、好ましくは0.05~0.5mmである。不燃材料層がこれら上限値以下の厚みを有することで、カバー部材5に柔軟性が付与される。したがって、カバー部材5は、例えば、不燃材料層を有していても、挿通体21の外周に密着させながら巻き付けることができる。また、下限値以上の厚みを有することで、耐火性能を確保しやすくなる。
なお、耐火材層の厚みは、特に限定されないが、例えば0.01~1mm、好ましくは0.05~0.5mmである。耐火材層がこれら上限値以下の厚みを有することで、カバー部材5に柔軟性が付与される。したがって、カバー部材5が耐火材層を有していても、挿通体21の外周に巻き付けることができる。また、下限値以上の厚みを有することで、耐火性能を確保しやすくなる。
以上の構成により、カバー部材5とは別部材としての固定部材を使用しなくても、カバー部材5をシート状部材3又は挿通体21に固定させることができる。また、耐火材層自体に粘着性を持たせることで、粘着剤層を設けなくてもよいので、カバー部材5の構成をより簡素化できる。
なお、カバー部材5は、その最外面に粘着性を有する耐火材層、又は粘着剤層が設けられる場合、その最外面に剥離シートが貼付されてもよい。剥離シートは、使用時に最外面から剥離されるとよい。
また、本実施形態では、耐火パテ、ロックウールなどの充填材を区画貫通部15の内部に配置することなく、シート状部材3及びカバー部材5により耐火構造が形成されるので、作業者によるバラつきが生じることもない。
カバー部材5の一面5Aに粘着剤層を有する構成とすることにより、カバー部材5とは別部材としての固定部材を使用しなくても、カバー部材5を挿通体21に固定させることができる。
なお、カバー部材5は、一面5Aに粘着剤層が設けられる場合、一面5Aに剥離シートが貼付されてもよい。剥離シートは、使用時に一面5Aから剥離されるとよい。
弾性発泡体の厚みは、特に限定されないが、例えば0.1~10mm、好ましくは0.15~5mmである。弾性発泡体がこれら上限値以下の厚みを有することで、カバー部材5に柔軟性が付与される。したがって、カバー部材5は、挿通体21の外周に密着させながら巻き付けることができる。また、下限値以上の厚みを有することで、カバー部材5の配設が容易となる。
また、上記で説明した通り、区画貫通処理構造10は、シート状部材3とカバー部材5とを用意し、まず、シート状部材3により区画貫通部15の開口13Cと挿通体21との間の間隙13Eを塞ぐように設置する。次いで、挿通体21に一周以上カバー部材5を巻き付け、カバー部材5によって、シート状部材3を少なくとも一部を覆うように固定することで施工できる。したがって、その施工が容易である。
また、本実施形態では、耐火パテ、ロックウールなどの充填材を区画貫通部15の内部に配置することなく、シート状部材3及びカバー部材5により耐火構造が形成されるので、作業者によるバラつきが生じることもない。
また、図2で示した区画貫通処理構造10では、シート状部材3の面3Aの一部分のみにカバー部材5が接着される態様を示したが、シート状部材3よりも一回り大きい1枚のシート状のカバー部材5を使用する場合は、シート状部材3の面3A全体にカバー部材5が接着する態様とすることができる。すなわち、カバー部材5の一方の面上に、シート状部材3が積層される構造を有してもよい。このような構造においては、カバー部材5が不燃材料層を有することが好ましい。シート状部材3とカバー部材5が不燃材料層及び耐火材層の組み合わせとすることにより、耐火性を向上させることができる。また、カバー部材5のシート状部材3が接着される面には、粘着剤層が設けられてもよく、この粘着剤層により容易にシート状部材3に接着可能となる。
また、シート状部材3は、シート状部材3の1層である基材を、他の層より外側に延在する構造にしてもよい。そのような構造によれば、基材の延在する部分をそのままカバー部材5として使用することができる。
また、図1及び図2で示した区画貫通処理構造10では、シート状部材3とカバー部材5とをそれぞれ備える態様を示したが、カバー部材5は省略されてもよい。
実施例及び比較例で用いた各成分を下記に示す。
(A-1)クロロプレンゴム(CR)
・スカイプレン(登録商標)B-30(東ソー社製、メルカプタン変性タイプ、ムーニー粘度(100℃)45~53)
・スカイプレン(登録商標)TSR-54(東ソー社製、メルカプタン変性タイプ、ムーニー粘度(100℃)60~80)
・スカイプレン(登録商標)Y-30S(東ソー社製、メルカプタン変性タイプ、ムーニー粘度(100℃)111~135)
(A-2)ポリブテン:JTXTGエネルギー社製、商品名「日石ポリブデンHV-100」
(A-3)ブチルゴム:JSR社製、商品名「JSRブチルゴム065」
(B-1)EXP-50S 150(富士黒鉛工業社製、膨張開始温度:150℃)
(B-2)ADT-351(ADT社製、膨張開始温度:180℃)
(B-3)CA-60N(エア・ウォーター社製、膨張開始温度:220℃)
(C-1)難燃剤
・APP:ポリリン酸アンモニウム(太平化学産業社製)
・APA100:亜リン酸アルミニウム(太平化学産業社製)
(C-2)吸熱剤
・BF013:水酸化アルミニウム(日本軽金属社製、平均粒子径1μm、熱分解開始温度200℃、吸熱量1000J/g)
・キスマ10:水酸化マグネシウム(協和化学工業社製、平均粒子径0.9μm、熱分解開始温度280℃、吸熱量1350J/g)
(C-3)無機充填剤
・炭酸カルシウム:白石カルシウム社製、商品名「BF300」
・カーボンブラック:三菱ケミカル社製、商品名「ダイヤブラックH」
(D-1)可塑剤
・RS-107:アジピン酸エーテルエステル(ADEKA社製)
・DIDP:ジイソデシルフタレート(東京化成社製、試薬特級)
(D-2)粘着付与剤:アイマーブ(石油樹脂、出光興産社製)
(1)膨張倍率
各実施例及び比較例の耐火材から作製した試験片(長さ100mm、幅100mm、厚みは各実施例、比較例の耐火材の厚み)を電気炉に供給し、600℃で30分間加熱した後、試験片の厚みを測定し、(加熱後の試験片の厚み)/(加熱前の試験片の厚み)を膨張倍率として算出した。
(2)残渣硬さ
上記膨張倍率試験において300℃で30分加熱後、膨張倍率を測定した加熱後の試験片を圧縮試験機(カトーテック社製、「フィンガーフイリングテスター」)に供給し、0.25cm2の圧子で0.1cm/秒の速度で圧縮し、破断点応力を測定した。
(3)残渣の形状保持性
上記残渣硬さは膨張後の残渣の硬さの指標になるが、測定が残渣の表面部分に限られるため、残渣全体の硬さの指標にならないことがあるので、残渣全体の硬さの指標として形状保持性を測定した。残渣の形状保持性は、膨張倍率を測定した試験片の両端部を手で持って持ち上げて、その際の残渣の崩れやすさを目視して測定した。試験片が崩れることなく持ち上げられた場合を合格(PASS)と評価し、試験片が崩壊して持ち上げられない場合を不合格(FAIL)と評価した。
(4)耐火試験
石膏ボードの躯体に直径100mmの開口を開け、開口中央に1200mm長の電気ケーブルを占積率(=ケーブル断面積/開口面積)が10%になるように配線し、加熱側に300mm出した。前記成型で得られた耐火材を、開口を塞ぐように設置した。ISO834の加熱曲線に沿って垂直炉内で1時間加熱した。貫通して炎出がない場合を合格(PASS)と評価し、貫通して炎出する場合を不合格(FAIL)と評価した。
下記表1に示す配合にて、樹脂、熱膨張性層状無機物、難燃剤、吸熱剤、無機充填剤、可塑剤、石油樹脂をロールに投入して130℃で5分間混練して、耐火性樹脂組成物を得た。得られた耐火性樹脂組成物をプレス成型により、130℃で3分間プレス成形して、厚み1.5mm(実施例23は厚み1.3mm)の熱膨張性シートを得た。
評価結果を表1に示す。
5 カバー部材
10 区画貫通処理構造
11 仕切り部
12A,12B 壁材
13 中空部
13A,13B 貫通孔
13C,13D 開口
13E 間隙
15 区画貫通部
21 挿通体
22 紐状部材
30A,・・・30Y,30Z 基材
31A,・・・31Y,31Z 耐火材層
32 スリット
33 粘着剤層
40 空隙
Claims (10)
- 耐火性樹脂組成物からなる耐火材と、前記耐火材と一体化された基材とを備え、建築物の防火構造に用いられる耐火積層体であって、
前記耐火性樹脂組成物は、(A)クロロプレンゴムを含む樹脂成分、(B)熱膨張性黒鉛、及び(C)難燃剤と、無機充填剤とを含む耐火性添加剤、を含有し(但し、熱膨張性黒鉛を除く発泡剤を含有するもの、及びエポキシ樹脂を含有するものを除く。)、
前記難燃剤はポリリン酸アンモニウムを含み、
前記基材は金属箔又は金属箔複合体である、耐火積層体。 - 前記(B)熱膨張性黒鉛の含有量が、(A)樹脂成分100質量部に対して、50~1000質量部である、請求項1に記載の耐火積層体。
- 前記(B)熱膨張性黒鉛の含有量が、耐火性樹脂組成物100質量部に対して、15~75質量部である、請求項1又は2に記載の耐火積層体。
- 前記(B)熱膨張性黒鉛の熱膨張開始温度が100~300℃である、請求項1~3のいずれか1項に記載の耐火積層体。
- 前記耐火性樹脂組成物は、更に、可塑剤を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の耐火積層体。
- 樹脂成分としてさらにエラストマーを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の耐火積層体。
- 前記耐火材がシート状である、請求項1~6のいずれか1項に記載の耐火積層体。
- 前記耐火材の厚みが1.0mm以上である、請求項7に記載の耐火積層体。
- 請求項8に記載の耐火積層体を含む区画貫通処理材。
- 請求項9に記載の区画貫通処理材を含む区画貫通処理構造。
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