定義
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、明確に別に示されない限り、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、複数の言及を含む。
「核酸」または「ヌクレオチド」という用語は、デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)および一本鎖または二本鎖いずれかの形態のそのポリマーを指す。具体的に制限されない限り、この用語は、参照核酸と同様の結合特性を有し、天然に存在するヌクレオチドと同様の方法で代謝される天然ヌクレオチドの公知類似体を含有する核酸を包含する。特に断りのない限り、特定の核酸配列はまた、保存的に改変されたそのバリアント(例えば、縮重コドン置換)、対立遺伝子、オルソログ、SNPおよび相補配列、ならびに明確に示される配列を暗黙的に包含する。具体的には、縮重コドン置換は、1つまたは複数の選択された(またはすべての)コドンのうち第3の位置が、混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換されている配列を作製することによって達成され得る(Batzer et al., Nucleic Acid Res. 19:5081 (1991); Ohtsuka et al., J. Biol. Chem. 260:2605-2608 (1985);およびRossolini et al., Mol. Cell. Probes 8:91-98 (1994))。核酸という用語は、遺伝子、cDNA、および遺伝子によってコードされるmRNAと同義的に使用される。
「遺伝子」という用語は、ポリペプチド鎖の産生またはコード化に関与するDNAのセグメントを指す場合がある。それは、コーディング領域の前および後の領域(リーダーおよびトレイラー)、ならびに個々のコーディングセグメント(エキソン)の間の介在配列(イントロン)を含み得る。あるいは、「遺伝子」という用語は、非翻訳RNA、例えば、rRNA、tRNA、ガイドRNAまたはマイクロRNAの産生またはコード化に関与するDNAのセグメントを指す場合がある。
「処置すること」とは、任意の客観的または主観的パラメーター、例えば、症状の緩解、寛解、減少または疾患状態を患者に対して、より許容できるものにすること、変性もしくは減退の速度を減速すること、または変性の最終点をあまり衰弱しないものにすることを含む、疾患、状態または障害の処置または回復または予防の成功の何らかの兆しを指す。症状の処置または回復は、医師による検査の結果を含む、客観的または主観的パラメーターに基づいたものであり得る。したがって、「処置すること」という用語は、本明細書において記載されているような疾患、状態または障害と関連する症状または状態の発症を予防または遅延する、軽減する、または停止または阻害するための本開示の化合物または薬剤の投与を含む。「治療効果」という用語は、対象における疾患の、疾患の症状の、または疾患の副作用の低減、排除または予防を指す。本開示の方法を使用する「処置すること」または「処置」は、本明細書において記載されているような疾患、状態または障害と関連する疾患または障害のリスクの増大時であり得るが、まだ症状を経験していない、もしくは示していない対象において、症状の開始を予防すること、疾患または障害の症状を阻害すること(その発症を減速または停止すること)、疾患の症状または副作用からの開放を提供すること(対症処置を含む)、および疾患の症状を緩和すること(退縮を引き起こすこと)を含む。処置は、疾患または状態の予防的(疾患の開始を予防または遅延するため、またはその臨床的もしくは無症候性症状の顕性化を予防するため)または顕性化後の症状の治療的抑制もしくは軽減であり得る。「処置」という用語は、本明細書で使用される場合、予防的(preventative)(例えば、予防的(prophylactic))、治癒的または対症処置を含む。
「プロモーター」は、核酸の転写を指示する1つまたは複数の核酸制御配列として定義される。本明細書で使用される場合、プロモーターは、転写の開始部位に近い必要な核酸配列、例えば、ポリメラーゼII型プロモーターの場合には、TATAエレメントを含む。プロモーターはまた、必要に応じて、転写の開始部位から数千塩基対ほどにも位置し得る、遠位エンハンサーまたはレプレッサーエレメントを含む。
「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は、アミノ酸残基のポリマーを指すために、本明細書において同義的に使用される。3種の用語すべてが、1つまたは複数のアミノ酸残基が対応する天然に存在するアミノ酸の人工的化学模倣物であるアミノ酸ポリマー、ならびに天然に存在するアミノ酸ポリマーおよび天然に存在しないアミノ酸ポリマーに当てはまる。本明細書で使用される場合、この用語は、全長タンパク質、末端切断型タンパク質およびその断片、ならびにアミノ酸残基が共有ペプチド結合によって連結されているアミノ酸鎖を包含する。
本明細書で使用される場合、用語「相補的」または「相補性」とは、ヌクレオチドまたは核酸間の特異的塩基対形成を指す。相補的ヌクレオチドは、一般に、AとT(またはAとU)およびGとCである。
全体を通して使用される、対象とは、個体を意味する。例えば、対象は、哺乳動物、例えば、霊長類、より詳しくは、ヒトである。非ヒト霊長類は、同様に対象である。対象という用語は、飼い慣らされた動物、例えば、ネコ、イヌなど、家畜(例えば、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギなど)および実験動物(例えば、フェレット、チンチラ、マウス、ウサギ、ラット、スナネズミ、モルモットなど)を含む。したがって、獣医学的使用および医学的使用ならびに製剤が本明細書において企図される。この用語は、特定の年齢または性別を示さない。したがって、成体および新生児の対象は、雄性であろうが、雌性であろうが、対象とされるものとする。本明細書で使用される場合、患者または対象は、同義的に使用されてもよく、疾患または障害に苦しむ対象を指すことができる。
「発現カセット」は、宿主細胞における特定のポリヌクレオチド配列の転写を可能にする一連の指定の核酸エレメントを用いて組換えによってまたは合成によって作製された核酸構築物である。発現カセットは、プラスミド、ウイルスゲノムまたは核酸断片の一部であり得る。典型的には、発現カセットは、プロモーターに作動可能に連結した転写されるべきポリヌクレオチドと、それに続く転写終結シグナル配列とを含む。発現カセットは、指定の調節配列、例えば、ヒトグロビン遺伝子由来の5’または3’非翻訳領域を含む場合も、含まない場合もある。
「レポーター遺伝子」は、その生化学的特徴、例えば、酵素活性または化学蛍光特性によって容易に検出可能であるタンパク質をコードする。これらのレポータータンパク質は、選択マーカーとして使用され得る。このようなレポーターの1つの具体例として、緑色蛍光タンパク質がある。このタンパク質から生じた蛍光は、商業的に入手可能な種々の蛍光検出システムを用いて検出され得る。他のレポーターは、染色することによって検出され得る。レポーターはまた、適切な基質と接触されると検出可能なシグナルを生じる酵素であり得る。レポーターは、検出可能な生成物の形成を触媒する酵素であり得る。適した酵素として、それだけには限らないが、プロテアーゼ、ヌクレアーゼ、リパーゼ、ホスファターゼおよび加水分解酵素が挙げられる。レポーターは、基質が真核細胞原形質膜に対して実質的に不透過性であり、したがって、シグナル形成を堅固に制御することを可能にする酵素をコードし得る。酵素をコードする適したレポーター遺伝子の具体例として、それだけには限らないが、CAT(クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ;Alton and Vapnek (1979) Nature 282: 864-869)、ルシフェラーゼ(lux)、β-ガラクトシダーゼ、LacZ、β-グルクロニダーゼおよびアルカリホスファターゼ(Toh, et al. (1980) Eur. J. Biochem. 182: 231-238およびHall et al. (1983) J. Mol. Appl. Gen. 2: 101)が挙げられ、それらの各々は、その全文が参照により本明細書に組み込まれる。他の適したレポーターとして、エピトープを特異的に認識する標識された抗体を用いて検出され得る特定のエピトープをコードするものが挙げられる。
「CRISPR/Cas」システムとは、外来核酸に対する防御のための広範なクラスの細菌システムを指す。CRISPR/Casシステムは、広範な真正細菌および古細菌生物において見られる。CRISPR/Casシステムは、I、IIおよびIII型サブタイプを含む。
Makarova, et al. (Nat Rev Microbiol. 2015 Nov; 13(11):722-36)によって記載されているようなCRISPR/Casシステム分類は、共有される特徴および進化的類似性に基づいて5種のタイプおよび16種のサブタイプを規定する。これらは、ゲノムDNAを切断するエフェクター複合体の構造に基づいて2つの大きなクラスにグループ分けされる。II型CRISPR/Casシステムは、ゲノム工学のために使用された最初のものであり、2015年にV型が続いた。野生型II型CRISPR/Casシステムは、ガイドRNAとの複合体で、RNA媒介性ヌクレアーゼCasタンパク質または相同体(本明細書において「CRISPR関連エンドヌクレアーゼ」と呼ばれる)を利用して、外来核酸を認識し、切断する。Cas9タンパク質はまた、活性化RNA(トランス活性化またはtracrRNAとも呼ばれる)を使用する。ともに使用されるCRISPR関連エンドヌクレアーゼの種類に応じて、ガイドRNA、またはガイドRNAと活性化RNAの両方のいずれかの活性を有するガイドRNAも、当技術分野で公知である。一部の例では、このような二重活性ガイドRNAは、単一ガイドRNA(sgRNA)と呼ばれる。活性化RNA配列を含有しない合成ガイドRNAもまた、sgRNAとも呼ばれ得る。本開示では、sgRNAおよびgRNAという用語は、CRISPR関連エンドヌクレアーゼと複合体形成し、リボヌクレオタンパク質複合体を標的DNA配列に局在化するRNA分子を指すために同義的に使用される。標的遺伝子、標的遺伝子の集団の転写の阻害および/または活性化を制御する(例えば、トランスクリプトームまたはその一部を制御する)ための方法および組成物は、例えば、Cell. 2014 Oct 23;159(3):647-61に記載されており、その内容は、すべての目的のためにその全文が本明細書に参照により組み込まれる。
本明細書で使用される場合、CRISPR/Cas活性、CRISPR関連エンドヌクレアーゼ活性、sgRNA活性、sgRNA:CRISPR関連エンドヌクレアーゼヌクレアーゼ活性などに関連して「活性」とは、標的遺伝子エレメントに結合する能力を指す。典型的には、活性はまた、sgRNA:CRISPR関連エンドヌクレアーゼヌクレアーゼ複合体の、標的ゲノム領域で二本鎖切断を作製する能力を指す。一部の場合には、活性は、標的ゲノム領域でまたはその付近での転写をモジュレートする能力を指し得る。このような活性は、当技術分野で公知の種々の方法で測定され得る。例えば、標的ゲノム領域を含有するか、またはそれに隣接する遺伝子の発現、活性またはレベルが測定され得る。別の例では、標的ゲノム領域での細胞のゲノムにおける挿入および欠失(インデル)の作製が測定され得る。
本明細書で使用される場合、細胞のゲノムの編集に関連して「編集する」という語句は、標的ゲノム領域でゲノムの配列において構造変化を誘導することを指す。例えば、編集は、細胞のゲノムへのヌクレオチド配列の挿入または細胞のゲノムからのヌクレオチド配列の欠失の形をとることがある。ヌクレオチド配列は、ポリペプチドまたはその断片をコードし得る。このような編集は、標的ゲノム領域内の二本鎖切断または反対の鎖および隣接する標的ゲノム領域で一対の一本鎖ニックを誘導することによって実施され得る。標的ゲノム領域で、またはその中で一本鎖または二本鎖切断を誘導する方法は、標的ゲノム領域に向けられたCRISPR関連エンドヌクレアーゼヌクレアーゼドメインおよびガイドRNAまたはガイドRNAの対の使用を含む。
本明細書で使用される場合、非相同末端結合(NHEJ)とは、DNA鎖の切断された、またはニックが入れられた末端が、相同鋳型核酸を必要とせず直接ライゲーションされ得る細胞性プロセスを指す。NHEJは、修復する部位での1つまたは複数のヌクレオチドの付加、欠失、置換またはそれらの組合せにつながり得る。
本明細書で使用される場合、相同組換え修復(HDR)という用語は、DNA鎖の切断された、またはニックが入れられた末端が、相同鋳型核酸から重合によって修復される細胞性プロセスを指す。したがって、元の配列は、鋳型の配列と置き換えられる。相同鋳型核酸は、ゲノム中の別の場所の相同配列(同一または異なる染色体上の姉妹染色分体、相同染色体または反復領域)によって提供され得る。あるいは、外因性鋳型核酸が、標的部位の配列の具体的なHDR誘導性変化を得るように導入され得る。この方法では、切断部位に、特異的な突然変異が導入され得る。
本明細書で使用される場合、「標的鋳型配列」とは、HDRの鋳型として細胞によって使用され得るDNAオリゴヌクレオチドを指す。標的鋳型配列は、一本鎖DNA鋳型または二本鎖DNA鋳型であり得る。一般に、標的鋳型配列は、細胞のゲノム中の標的部位(ゲノム標的配列または標的ゲノム領域)に対して相同性の少なくとも1つの領域を有する。一部の例では、標的鋳型配列は、細胞のゲノム中の標的切断部位(ゲノム標的配列または標的ゲノム領域)に挿入されるべき異種配列を含有する領域に隣接する2つの相同領域を有する。
本明細書で使用される場合、「リボヌクレオタンパク質複合体」「RNP」という用語などは、CRISPR関連エンドヌクレアーゼ、例えば、Cas9タンパク質およびcrRNA(例えば、ガイドRNAまたは単一ガイドRNA)、Cas9タンパク質およびトランス活性化crRNA(tracrRNA)、Cas9タンパク質およびガイドRNAまたはそれらの組合せ間の複合体(例えば、Cas9タンパク質、tracrRNAおよびcrRNAガイドを含有する複合体を指す。
詳細な説明
以下の説明では、本組成物および方法の様々な態様および実施形態を列挙する。特定の実施形態は、組成物および方法の範囲を規定するものではない。むしろ、実施形態は、単に、開示されている組成物および方法の範囲内に少なくとも含まれる様々な組成物および方法の限定されない例を提供する。説明は、当業者の観点から読み取られるべきであり、したがって、当業者に周知の情報は、必ずしも含まれていない。
ウイルス粒子を使用してCRISPR/Casシステム構成成分を真核細胞に効率的に送達するための組成物、システム、製造方法および方法が、本明細書において提供される。例えば、レンチウイルス様粒子を介してCRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAまたはRNPを細胞へ効率的に送達するための構成成分、システム、製造方法および方法が提供される。本明細書において記載されているシステムによって産生されたCRISPR関連エンドヌクレアーゼは、真核細胞における遺伝子編集にとって機能的である。CRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAは、真核細胞中に送達され、制限された半減期を有し、オフターゲット媒介性突然変異誘発のリスクを低減する。真核細胞へのRNPの送達によって、オフターゲット効果を低減しながら、例えば、トランスフェクトすることが困難である細胞、例えば、一次細胞における効率的な送達が可能となる。
レンチウイルス様粒子は、アプタマー結合タンパク質との融合タンパク質である、改変されたウイルスタンパク質を含有する。改変されたウイルスタンパク質は、構造性である場合も、非構造性である場合もある。特に、改変されたウイルスタンパク質は、タンパク質に融合されたアプタマー結合タンパク質を有する、レンチウイルス調節タンパク質(VPRおよびNEF)、ヌクレオカプシド(NC)タンパク質またはマトリックス(MA)タンパク質であり得る。レンチウイルス様粒子はまた、非ウイルス性核酸配列、具体的には、CRISPR関連エンドヌクレアーゼコード配列(CRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNA)またはガイドRNA(gRNA)のうち一方または両方も含有する。図1Aおよび図1Bに示されるように、これらのCRISPR/Casシステム構成成分は、レンチウイルス様粒子内にパッケージングされ、真核細胞中に送達される。一部の場合には、gRNAは、レンチウイルス様粒子を使用して送達される。例えば、一部の場合には、CRISPR関連エンドヌクレアーゼコード配列およびgRNAは、レンチウイルス様粒子中に一緒にパッケージングされる場合がある。あるいは、CRISPR関連エンドヌクレアーゼコード配列およびgRNAは、別個のレンチウイルス様粒子中にパッケージングされる場合がある。さらに、gRNAを真核細胞中に送達するために他の送達機序が使用されることもある(例えば、レンチウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、プラスミド、gRNAトランスフェクションまたは電気穿孔など)。
非ウイルス性核酸配列は、改変されたウイルスタンパク質に融合されているアプタマー結合タンパク質が特異的に結合するアプタマー配列の付加で改変され得る。一部の実施形態では、アプタマー配列は、CRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAをコードする核酸に付着している。アプタマー配列と、改変されたウイルスタンパク質に融合されたアプタマー結合タンパク質との相互作用が、エンドヌクレアーゼmRNAのレンチウイルス粒子へのパッケージングを促進する。図14Aは、Cas mRNAに付着しているアプタマーと、ウイルスタンパク質に融合されたアプタマー結合タンパク質との相互作用を介した、レンチウイルス粒子におけるCRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAのパッケージングを例示する。一部の実施形態では、アプタマー配列は、gRNA配列に付着されるか、またはgRNA配列中に挿入される。gRNA配列に付着されるか、またはgRNA配列中に挿入されたアプタマー配列が、アプタマー結合タンパク質と相互作用すると、CRISPR関連エンドヌクレアーゼ(RNP)と複合体形成しているgRNA配列が、レンチウイルス粒子中にパッケージングされる。図14Bは、gRNAに付着されたアプタマーと、ウイルスタンパク質に融合されたアプタマー結合タンパク質の会合を介した、レンチウイルス粒子におけるRNP(すなわち、gRNAと複合体形成しているCRISPR関連エンドヌクレアーゼ)のパッケージングを例示する。
ウイルス性融合タンパク質の存在は、レンチウイルス様粒子内の非ウイルス性核酸配列またはRNPのパッケージングを増大し得る。一部の場合には、アプタマー配列の非ウイルス性核酸配列への付加、例えば、アプタマー配列の、CRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAをコードする核酸配列への付加は、パッケージングされるRNAの量をさらに増大し得る。他の場合には、非ウイルス性核酸配列は、gRNA配列、およびCRISPR関連エンドヌクレアーゼをコードする配列を含み、アプタマー配列のgRNA配列への付加は、パッケージングされるRNPの量をさらに増大し得る。本開示は、上記で記載されているようなレンチウイルス様粒子、他のウイルス粒子構成成分、このようなレンチウイルス様粒子を作製するためのプラスミド、このようなプラスミドを使用してレンチウイルス様粒子を作製する方法およびシステム、ならびに細胞においてレンチウイルス様粒子を使用してゲノム標的配列を改変する方法を提供する。
I.緒言
細菌において適応免疫系を形成する2型クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeat)(CRISPR)システムは、ゲノム工学のために改変されている。操作されたCRISPR/Casシステムは、2つの構成成分:ガイドRNA(gRNA、単一ガイドRNA(sgRNA)とも呼ばれる)およびCRISPR関連エンドヌクレアーゼを含有する。gRNAは、CRISPR関連エンドヌクレアーゼとの結合に必要なスキャフォールド配列と、改変されるべきゲノム標的を定義するユーザー定義の約20ヌクレオチドのスペーサーから構成される短い合成RNAである。したがって、gRNA中に存在する標的配列を簡単に変更することによって、CRISPR関連エンドヌクレアーゼのゲノム標的を変更できる。CRISPRは元々、種々の細胞種および生物において標的遺伝子をノックアウトするために利用されたが、種々のCRISPR関連エンドヌクレアーゼへの改変によって、標的遺伝子を選択的に活性化/抑制する、DNAの具体的な領域を精製する、生細胞においてDNAを画像化する、ならびにDNAおよびRNAを正確に編集するために、CRISPRは拡張された。ゲノム標的の相同組換え修復(HDR)が望まれる場合、例えば、目的が突然変異されたゲノム配列を修正することである場合には、システムは、突然変異されたゲノム配列の代わりにゲノム中に導入されるべき所望の配列を提供する標的鋳型配列を含む。非相同末端結合(NHEJ)が、ゲノムDNA中の切断を修復するために使用される修復機序である場合には、標的鋳型配列は使用されず、修復は、一般に、修復の部位での欠失または挿入をもたらす。この機序は、遺伝子編集からの所望の成果が、ゲノム配列の機能を不活性化することおよび/もしくは損なうこと、または欠失もしくは挿入によって破壊された遺伝子のリーディングフレームを回復させることである場合に有用である。
CRISPR/Casシステムを細胞中に送達するために、種々の哺乳動物発現システムが使用されてきた。これらとして、レンチウイルス形質導入、アデノ随伴ウイルス(AAV)形質導入、哺乳動物発現ベクター、CRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAおよびgRNAの直接送達、ならびにCRISPR関連エンドヌクレアーゼ/gRNAリボヌクレオタンパク質複合体の直接送達が挙げられる。
レンチウイルスシステムの場合には、CRISPR関連エンドヌクレアーゼおよびgRNAは、単一レンチウイルスベクター中に存在する場合も、別個のレンチウイルスベクター中に存在する場合もある。ウイルスベクターは、陽性細胞を同定し、濃縮するためにレポーター遺伝子(GFPなど)を含有し得る。レンチウイルスベクターはまた、安定な細胞系を作製するために選択マーカーも含有することが多い。レンチウイルスシステムの安全性特性は、感染性ウイルス粒子(ビリオン)を産生するのに必要な構成成分が、一般に、複数のプラスミドに分配されているということである。パッケージングプラスミドおよびエンベローププラスミドは、ウイルスカプシドおよびエンベロープの構成成分をコードし、ウイルスゲノム、およびCRISPR関連エンドヌクレアーゼまたはgRNAのうち一方または両方をコードするトランスファープラスミドとともに使用される。これらのプラスミドは、細胞(293ヒト胚性腎臓細胞など)中に同時にトランスフェクトされ、細胞がインキュベートされ、次いで、ウイルス粒子を含有する上清が集められる。次いで、これらのウイルス粒子を、目的の細胞に形質導入するために使用できる。次いで、レンチウイルスベクターゲノムの一部が、標的細胞のゲノム中に組み込まれ、標的遺伝子およびその発現をモジュレートできる。しかし、CRISPR関連エンドヌクレアーゼを送達するためのレンチウイルスベクターシステムの使用は、発癌性変化、感染性変化、および感染細胞に他の形質転換的変化を引き起こす可能性を有する。
レンチウイルスベクターシステム安全性および有効性を改善しようとする異なる種類のレンチウイルスベクターシステムが開発されている。第2世代レンチウイルスシステムは、Gag、Pol、RevおよびTat遺伝子をコードする単一パッケージングプラスミドを含有する。導入遺伝子発現は、内部プロモーターなしで、弱いプロモーターであるゲノム5’LTRによって駆動され、発現を活性化するためにTatの存在を必要とする。第3世代システムは、第2世代システムの安全性に関して2つの方法で改善している。第1に、パッケージングシステムは、2つのパッケージングプラスミド:Revをコードするもの、ならびにGagおよびPolをコードするものにわけられている。第2に、Tatは、第3世代システムから排除されており、このプロモーターからの導入遺伝子の発現は、もはやTatトランス活性化に依存していない。第3世代トランスファープラスミドは、第2または第3世代パッケージングシステムのいずれかによってパッケージングされ得る。第2および第3世代システムは、複製能力のあるウイルスの意図しない生成に関連する懸念に対処するが、これらのシステムは依然として、形質導入された細胞において突然変異誘発およびオフターゲット効果を引き起こしやすい。
CRISPR関連エンドヌクレアーゼおよび/またはgRNAがAAVトランスファーベクター中に挿入され、AAV粒子を生成するために使用されるAAVシステムを使用できる。AAV粒子のパッケージング限界は、およそ4.5kbのみであり、これが、使用され得るCRISPR関連エンドヌクレアーゼおよびgRNAの大きさを制限する。
哺乳動物発現ベクターが使用される場合には、異種プロモーターがCRISPR関連エンドヌクレアーゼ発現を駆動するために使用される。プロモーターは、構成性または誘導性であり得る。gRNAのためにはU6プロモーターが使用されることが多い。発現ベクターは、陽性細胞を同定し、濃縮するためのレポーター遺伝子(緑色蛍光タンパク質;GFPなど)または安定な細胞系を作製するための選択マーカーを含有し得る。高効率でトランスフェクトされ得る哺乳動物細胞系におけるCRISPR関連エンドヌクレアーゼおよび/またはgRNAの一過性または安定発現のために、哺乳動物発現ベクターが使用され得る。
CRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAおよびgRNA(vitro転写反応を使用してプラスミドから合成された)を、マイクロインジェクションまたは電気穿孔を使用して標的細胞に送達できる。同様に、精製CRISPR関連エンドヌクレアーゼタンパク質およびin vitro転写されたgRNAを、in vitroで組み合わせて、リボヌクレオタンパク質複合体を形成でき、これが、カチオン性脂質を使用して細胞に送達される。CRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAまたはタンパク質および/もしくはgRNAが細胞内で分解されるにつれて発現が減少するので、両直接送達方法とも、CRISPR構成成分の一過性発現をもたらす。
本開示の態様は、改変されたレンチウイルスベクターシステムおよび構成成分を含み、一部の場合には、レンチウイルス構成成分、AAV構成成分または哺乳動物発現ベクターのうち1つまたは複数も含み得る。一部の場合には、提供される改変されたレンチウイルスベクターシステムおよび構成成分は、レンチウイルスゲノムのすべてまたは相当な部分を排除するように改変されている。さらに、改変されたシステムおよび構成成分から産生されたレンチウイルス様粒子は、形質導入された細胞において感染粒子を生成するリスクならびに突然変異誘発およびオフターゲット効果を引き起こすリスクを低減した。
II.プラスミド構成成分
本開示では、種々のプラスミド組成物が提供される。これらとして、改変されたレンチウイルスパッケージングプラスミド、改変されたレンチウイルストランスファープラスミドおよび哺乳動物発現プラスミドが挙げられる。
A.改変されたウイルスタンパク質プラスミド
本開示の一態様は、アプタマー結合タンパク質に融合されたレンチウイルスタンパク質の融合タンパク質である改変されたレンチウイルスタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含むプラスミドである。本開示に関連して、改変されたウイルスタンパク質は、構造性である場合も、非構造性である場合もある。一部の場合には、改変されたウイルスタンパク質は、構造タンパク質であり、レンチウイルスパッケージングプラスミドによって提供され得る。一部の場合には、改変されたウイルスタンパク質は、非構造タンパク質であり、哺乳動物発現ベクターによって提供され得る。例示的構造タンパク質として、レンチウイルスヌクレオカプシド(NC)タンパク質およびマトリックス(MA)タンパク質がある。例示的非構造タンパク質として、ウイルスタンパク質R(VPR)およびネガティブ調節因子(NEF)がある。
一部の実施形態では、改変されたウイルスタンパク質は、ヌクレオカプシド(NC)タンパク質である。他の実施形態では、改変されたウイルスタンパク質は、マトリックス(MA)タンパク質である。NCタンパク質およびMAタンパク質は両方とも、レンチウイルスGag遺伝子によってコードされる。一部の場合には、ウイルスタンパク質のコード配列は、配列番号1、配列番号3、配列番号5または配列番号7のうち1つであり得る。一部の場合には、ウイルスタンパク質のアミノ酸配列は、配列番号2、配列番号4、配列番号6または配列番号8のうち1つであり得る。一部の場合には、レンチウイルスパッケージングプラスミドは、真核細胞プロモーターに作動可能に連結した配列番号2、配列番号4、配列番号6または配列番号8のうち少なくとも1つをコードする配列を含む。一部の場合には、ウイルスタンパク質がNEFである場合には、ポリペプチドは、ウイルスカプシドにおけるパッケージングを増強する3つの突然変異、例えば、以下の置換突然変異:G3C、V153LおよびE177Gなどを含み得る。
改変されたレンチウイルスタンパク質をコードするポリヌクレオチドは、アプタマー結合タンパク質(ABP)コード配列を含む。一部の場合には、ABPコード配列は、ウイルスタンパク質コード配列の5’末端または3’末端にある。一部の場合には、ABPコード配列は、コードされるABPがウイルスタンパク質に融合されるように、ウイルスタンパク質コード配列中に挿入され得る。ABPコード配列は、ウイルスタンパク質コード配列内の内部位置にインフレームで挿入され得る。ウイルスタンパク質コード配列の5’または3’末端付近の内部位置にインフレームで配置される場合には、ABPコード配列は、その全文が参照により本明細書に組み込まれるJ. Virol. 65(2):922-30 (1991)およびBiochimica et Biophysica Acta - Biomembranes 1614(1):62-72 (2003)に記載されているものなどのプロセシング配列を破壊しないように配置される。例えば、Gagヌクレオチド配列は、とりわけ、NCコード配列およびMAコード配列をコードし、Gag前駆体タンパク質は、タンパク質分解による切断によって別個の成熟ウイルスタンパク質にプロセシングされる。ABPコード配列のインフレーム挿入は、タンパク質分解による切断のためのプロセシング配列をコードするヌクレオチドを破壊しない。一部の場合には、ウイルスタンパク質コード配列中のヌクレオチドは、ABPタンパク質コード配列と置き換えられ得る。一部の場合には、3~6個のアミノ酸をコードするリンカー配列は、発現の際のタンパク質ドメインの適切なフォールディングを促進するのに役立つように、ウイルスタンパク質コード配列とABPコード配列との間に、またはABPコード配列に隣接して配置され得る。
一例では、改変されたウイルスタンパク質はNCであり、ABPコード配列は、NCコード配列の5’末端または3’末端に挿入される。別の例では、改変されたウイルスタンパク質はNCであり、ABPコード配列は、ジンクフィンガー(ZF)ドメインの1つの前または後に挿入される。例えば、ABPコード配列は、第2のZF(ZF2)ドメインの最後のコドンの後に挿入され得る。別の例では、ABPコード配列は、ZF2ドメインの第1のコドンの前に挿入され得る。別の例では、ABPコード配列は、第1のZF(ZF1)ドメインの第1のコドンの前に挿入され得る。別の例では、ABPコード配列は、第1のZF(ZF1)ドメインの最後のコドンの後に挿入され得る。一部の場合には、ABPコード配列は、NCタンパク質中のアミノ酸の高度に陽性のストレッチを破壊しない方法でNCコード配列中に挿入される。
別の例では、改変されたウイルスタンパク質はMAであり、ABPコード配列は、MAコード配列の5’末端または3’末端に挿入される。別の例では、ABPコード配列は、MAコード配列内の内部位置にインフレームで挿入される。一部の場合には、MAコード配列中のヌクレオチドは、ABPタンパク質コード配列と置き換えられ得る。例えば、MAタンパク質のアミノ酸44~132をコードするヌクレオチドは、ABPコード配列と置き換えられ得る。別の例では、ABPコード配列は、MAタンパク質のアミノ酸44をコードするコドンの前に挿入される。別の例では、ABPコード配列は、MAタンパク質のアミノ酸132をコードするコドンの後に挿入される。
別の例では、改変されたウイルスタンパク質はVPRであり、ABPコード配列は、VPRコード配列の5’末端または3’末端に挿入される。一例では、ABPコード配列は、VPRコード配列の5’末端に挿入される。
別の例では、改変されたウイルスタンパク質はNEFであり、ABPコード配列は、NEFコード配列の5’末端または3’末端に挿入される。一例では、ABPコード配列は、NEFコード配列の3’末端に挿入される。
一態様では、Gagヌクレオチド配列に作動可能に連結した真核細胞プロモーターを含むレンチウイルスパッケージングプラスミドであって、Gagヌクレオチド配列は、ヌクレオカプシド(NC)コード配列およびマトリックスタンパク質(MA)コード配列を含み、NCコード配列またはMAコード配列のうち一方または両方は、少なくとも1つの非ウイルス性アプタマー結合タンパク質(ABP)ヌクレオチド配列を含む、レンチウイルスパッケージングプラスミドが提供される。一部の場合には、パッケージングプラスミドは、機能的インテグラーゼタンパク質をコードしない。一部の場合には、レンチウイルスパッケージングプラスミドは、NCコード配列の第2のジンクフィンガードメインのすぐ下流の少なくとも1つの非ウイルス性ABPヌクレオチド配列を含む。このような場合には、NCコード配列は、2つの機能的ジンクフィンガータンパク質ドメインおよび機能的天然プロテアーゼプロセシング配列を含み得る。ジンクフィンガータンパク質ドメインおよび天然プロテアーゼプロセシング配列の保持は、レンチウイルスパッケージングプラスミドから発現された改変されたNC融合タンパク質が、機能的タンパク質に正しくプロセシングされることを確実にする。一部の場合には、レンチウイルスパッケージングプラスミドは、MAコード配列中に少なくとも1つの非ウイルス性ABPヌクレオチド配列を含む。
一部の場合には、プラスミドは、融合された2つまたはそれより多いアプタマー結合タンパク質を含む1つまたは複数のウイルスタンパク質をコードし得る。ある特定の場合には、レンチウイルスパッケージングプラスミドのGagヌクレオチド配列は、NCコード配列およびMAコード配列を含むことがあり、NCコード配列またはMAコード配列の一方または両方は、第1の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列および第2の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列を含む。第1の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列および第2の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列は両方とも、同一のABPをコードし得る。あるいは、第1の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列および第2の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列は、異なるABPをコードする。一部の場合には、レンチウイルスパッケージングプラスミドのGagヌクレオチド配列は、少なくとも1つの第1の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列を含むNCコード配列および少なくとも1つの第2の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列を含むMAコード配列を含み得る。少なくとも1つの第1の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列および少なくとも1つの第2の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列は両方とも、同一のABPをコードし得る。あるいは、少なくとも1つの第1の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列および少なくとも1つの第2の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列は、異なるABPをコードする。
ある特定の場合には、哺乳動物発現ベクターは、VPRコード配列またはNEFコード配列をコードすることがあり、VPRコード配列またはNEFコード配列は、第1の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列および第2の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列を含む。第1の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列および第2の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列は両方とも、同一のABPをコードし得る。あるいは、第1の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列および第2の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列は、異なるABPをコードする。
非ウイルス性アプタマー結合タンパク質(ABP)ヌクレオチド配列は、RNAアプタマー配列に結合するポリペプチド配列をコードする。いくつかの非ウイルス性ABPは、本開示において使用するのに適している。特に、適したABPとして、RNAアプタマー配列と呼ばれるステム-ループ構造を形成するRNA配列に特異的に結合するバクテリオファージRNA結合タンパク質が挙げられる。例示的非ウイルス性アプタマー結合タンパク質として、MS2コートタンパク質、PP7コートタンパク質、ラムダNペプチドおよびCOM(momの制御(Control of mom))タンパク質が挙げられる。ラムダNペプチドは、タンパク質のRNA結合ドメインであるラムダNタンパク質のアミノ酸1~22であり得る。一部の場合には、ABPは、二量体としてそのアプタマーに結合する。これらのABPおよびそれらが結合するアプタマー配列に関する情報は、以下の表1に提供されている。一部の実施形態では、少なくとも1つの非ウイルス性ABPヌクレオチド配列は、配列番号10、配列番号12、配列番号14または配列番号16のいずれかに示される配列を有するポリペプチドをコードする。一部の実施形態では、少なくとも1つの非ウイルス性ABPヌクレオチド配列は、配列番号9、配列番号11、配列番号13または配列番号15のいずれかを含む。
表1.アプタマー結合タンパク質および対応するアプタマー配列
上記で論じられるように、レンチウイルスパッケージングプラスミドは、種々のレンチウイルスタンパク質をコードし得る。一部の場合には、パッケージングプラスミドは、Gagヌクレオチド配列(遺伝子)、Polヌクレオチド配列(遺伝子)、Revヌクレオチド配列(遺伝子)およびTatヌクレオチド配列(遺伝子)のみを含有し、第2世代パッケージングプラスミドと呼ばれることもある。一部の場合には、パッケージングプラスミドは、Gagヌクレオチド配列(遺伝子)およびPolヌクレオチド配列(遺伝子)のみを含有し、第3世代パッケージングプラスミドと呼ばれることもある。一部の場合には、レンチウイルスパッケージングプラスミドは、ウイルス性シェル(カプシド)に必要なタンパク質のみをコードし得る。一部の場合には、1つまたは複数のレンチウイルスタンパク質のコード配列は、パッケージングプラスミドから全部または一部が除外され得る。例えば、一部の場合には、パッケージングプラスミドは、Gagヌクレオチド配列(遺伝子)のみを含有する。別の例では、レンチウイルスパッケージングプラスミドは、Polヌクレオチド配列(遺伝子)のすべてまたは一部の欠失を含み得る。別の例では、レンチウイルスパッケージングプラスミドは、インテグラーゼ(Int)コード配列のすべてまたは一部の欠失を含み得る。別の例では、レンチウイルスパッケージングプラスミドは、逆転写酵素(RT)コード配列のすべてまたは一部の欠失を含み得る。
本明細書において提供されるレンチウイルスパッケージングプラスミドの特性は、機能的インテグラーゼタンパク質をコードしないこともあるということである。パッケージングプラスミドが機能的インテグラーゼタンパク質をコードせず、本明細書において記載されているシステムおよび方法において使用される場合には、これらのパッケージングプラスミドを使用して産生されたレンチウイルス様粒子によって保持される核酸分子が、形質導入された真核細胞のゲノム中に組み込まれるリスクが実質的に低減される。一部の場合には、レンチウイルスパッケージングプラスミドは、その中にインテグラーゼ不活性化突然変異を有するインテグラーゼコード配列を含む。例えば、インテグラーゼ不活性化突然変異は、インテグラーゼコード配列によってコードされるインテグラーゼタンパク質のアミノ酸64位でのアスパラギン酸からバリンへの突然変異(D64V)であり得る。一部の場合には、レンチウイルスパッケージングプラスミドは、インテグラーゼコード配列のすべてまたは一部の欠失を含む。
レンチウイルスパッケージングプラスミドは、Gagヌクレオチド配列に作動可能に連結した真核細胞プロモーターを含む。哺乳動物発現プラスミドは、VPRコード配列またはNEFコード配列に作動可能に連結した真核細胞プロモーターを含む。一部の場合には、真核細胞プロモーターは、RNAポリメラーゼIIプロモーターである。RNAポリメラーゼIIプロモーター配列は、哺乳動物種から選択される。例えば、プロモーター配列は、2、3例を挙げると、ヒト、ウシ、ヒツジ、水牛、ブタまたはマウスから選択され得る。一部の例では、RNAポリメラーゼIIプロモーター配列は、CMV、FE1αまたはSV40配列である。一部の例では、RNAポリメラーゼII配列は、改変されたRNAポリメラーゼII配列である。例えば、任意の哺乳動物種に由来する野生型RNAポリメラーゼIIプロモーター配列に対して少なくとも80%、85%、90%、95%または99%の同一性を有するRNAポリメラーゼII配列は、本明細書において提供される構築物において使用され得る。当業者ならば、2つのポリペプチドまたは核酸の同一性を決定する方法を容易に理解する。例えば、同一性は、2つの配列を、同一性がその最高レベルであるようにアラインした後に算出できる。同一性を算出する別の方法は、公開アルゴリズムによって実施できる。例えば、Needleman and Wunsch, J. Mol. Biol. 48: 443 (1970)のアルゴリズムを使用して、比較のための配列の最適アラインメントを実施できる。一部の場合には、真核細胞プロモーターは、誘導プロモーターである。
RNA pol IIプロモーターから転写されたコード配列は、コード配列の下流にポリ(A)シグナルおよび転写ターミネーター配列を含む。よく使用される哺乳動物ターミネーター(SV40、hGH、BGHおよびrbGlob)は、ポリアデニル化および終結の両方を促進する配列モチーフAAUAAAを含む。ターミネーター、配列ベースのエレメントの役割は、転写単位(遺伝子など)の末端を定義し、転写機構から新規に合成されたRNAを放出するプロセスを開始することである。ターミネーターは、転写されるべき遺伝子の下流に見られ、典型的には、ポリアデニル化またはポリ(A)シグナルなどの任意の3’調節エレメントの直後に生じる。
一部の場合には、レンチウイルスパッケージングプラスミドは、発現カセットを含み得る。一部の場合には、哺乳動物発現プラスミドは、発現カセットを含み得る。
B.CRISPRシステム構成成分プラスミド
CRISPR構成成分コード配列を、本開示のレンチウイルス様粒子を作製するために使用されている哺乳動物細胞中に送達するために使用される哺乳動物発現プラスミドが、本明細書において提供される。節IIAに記載されているレンチウイルスパッケージングプラスミドまたは哺乳動物発現プラスミドと一緒に、哺乳動物細胞中にひとたび導入されると、これらの哺乳動物発現プラスミドは、レンチウイルス様粒子中にパッケージングされる非ウイルス性CRISPR構成成分RNA分子を作製するための鋳型として作用する。一部の場合には、哺乳動物発現プラスミドは、レンチウイルストランスファーベクターである。レンチウイルストランスファーベクターは、一般に、目的の外因性遺伝子に加えてウイルスゲノムをコードする。一部の場合には、任意の哺乳動物発現プラスミドは、レンチウイルス様粒子を産生するために使用される細胞におけるCRISPR構成成分コード配列の発現に適したものであり得る。
本開示の一態様は、1つまたは複数のCRISPR構成成分のコード配列を含む哺乳動物発現プラスミドである。一部の場合には、CRISPR構成成分コード配列は、少なくとも1つのアプタマー配列コード配列を含む。CRISPR構成成分コード配列が哺乳動物発現ベクターから転写される場合には、アプタマー配列は同様に転写される。結果として得られる転写されたRNA分子は、CRISPR構成成分RNA配列および少なくとも1つのアプタマー配列を含む。以下により詳細に論じられるように、CRISPR構成成分コード配列は、CRISPR関連エンドヌクレアーゼコード配列、gRNAコード配列、または両方であり得る。一部の場合には、CRISPR構成成分コード配列は、CRISPR関連エンドヌクレアーゼコード配列であり得る。一部の場合には、CRISPR関連エンドヌクレアーゼコード配列は、CRISPR関連エンドヌクレアーゼコード配列の停止コドンの後ろであるが、任意のポリ(A)シグナルおよび/または転写ターミネーターの前に少なくとも1つのアプタマーコード配列を含み得る。一部の場合には、CRISPR構成成分コード配列は、gRNAコード配列であり得る。一部の場合には、gRNAコード配列は、少なくとも1つのアプタマーコード配列を含む。一部の場合には、少なくとも1つのアプタマーコード配列は、gRNAの5’末端または3’末端に配置され得る。一部の場合には、少なくとも1つのアプタマーコード配列は、gRNA内の内部位置に、例えば、フォールディングされたgRNA中の形成されたループのうち1つまたは複数などに挿入され得る。例えば、gRNAが、SaCas9タンパク質のためのものである場合には、少なくとも1つのアプタマーコード配列は、gRNAのテトラループ、ステムループ2または3’末端に配置され得る。一部の場合には、アプタマー配列は、テトラループとして挿入される。
一部の場合には、gRNA配列に付着されるか、またはgRNA配列中に挿入されるアプタマーコード配列は、MS2コートタンパク質配列に結合するアプタマー、PP7コートタンパク質に結合するアプタマー、ラムダNペプチドに結合するアプタマーおよびCOMタンパク質に結合するアプタマーからなる群から選択される。一部の場合には、アプタマーコード配列は、MS2コートタンパク質アプタマー配列、例えば、配列番号17(RNA)または配列番号18(DNA)である。一部の場合には、アプタマーコード配列は、PP7コートタンパク質アプタマー配列、例えば、配列番号19(RNA)または配列番号20(DNA)である。一部の場合には、アプタマーコード配列は、ラムダNペプチドアプタマー配列、例えば、配列番号21(RNA)または配列番号22(DNA)である。一部の場合には、アプタマーコード配列は、COMタンパク質タンパク質アプタマー配列、例えば、配列番号17(RNA)または配列番号18(DNA)である。
一部の場合には、哺乳動物発現プラスミドは、CRISPR関連エンドヌクレアーゼコード配列およびgRNAコード配列を含む。一部の場合には、CRISPR関連エンドヌクレアーゼコード配列およびgRNAコード配列の各々は、少なくとも1つのアプタマーコード配列を含み得る。一部の場合には、CRISPR関連エンドヌクレアーゼコード配列は、その下流に少なくとも1つのアプタマーコード配列を含む。一部の場合には、gRNAコード配列は、少なくとも1つのアプタマーコード配列を含む。一部の場合には、1~30ヌクレオチドのスペーサーは、CRISPR構成成分コード配列と少なくとも1つのアプタマーコード配列との間に、または少なくとも1つのアプタマーコード配列に隣接して配置され得る。
本開示の一態様は、1つまたは複数のCRISPR構成成分のコード配列を含む哺乳動物発現プラスミドである。一部の場合には、CRISPR構成成分コード配列は、少なくとも1つのアプタマー配列コード配列を含む。
全体を通して使用される、sgRNAは、CRISPR関連エンドヌクレアーゼ(CRISPR部位特異的ヌクレアーゼ)と相互作用し、細胞のゲノム中の標的核酸(ゲノム標的配列)と特異的に結合するか、またはハイブリダイズし、その結果、sgRNAおよびCRISPR関連エンドヌクレアーゼが、細胞のゲノム中の標的核酸に共存する単一ガイドRNA配列である。各sgRNAは、ゲノム中の標的DNA配列に特異的に結合するか、またはハイブリダイズする約10~50ヌクレオチドの長さのDNA標的化配列またはプロトスペーサー配列を含む。例えば、DNA標的化配列は、約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50ヌクレオチドの長さであり得る。例えば、DNA標的化配列は、約15~30ヌクレオチド、約15~25ヌクレオチド、約10~25ヌクレオチドまたは約18~23ヌクレオチドであり得る。一例では、DNA標的化配列は、約20ヌクレオチドである。一部の実施形態では、sgRNAは、crRNA配列およびトランス活性化crRNA(tracrRNA)配列を含む。一部の実施形態では、sgRNAは、tracrRNA配列を含まない。
一般に、DNA標的化配列は、標的DNA配列に対して補完する(例えば、完全に補完する)または実質的に補完する(例えば、1~4つのミスマッチを有する)ように設計される。一部の例では、DNA標的化配列は、複数の遺伝子エレメントに結合するためにゆらぎまたは縮重塩基を組み込むことができる。一部の例では、結合領域の3’または5’末端の19ヌクレオチドは、標的遺伝子エレメント(単数または複数)に対して完全に相補的である。一部の例では、安定性を増大するために、結合領域を変更することができる。例えば、分解に対するRNA耐性を増大するために、非天然ヌクレオチドを組み込むことができる。一部の例では、結合領域における二次構造形成を避けるまたは低減するために、結合領域を変更または設計することができる。一部の例では、G-C含量を最適化するために、結合領域を設計できる。一部の例では、G-C含量は、好ましくは、約40%から約60%の間(例えば、40%、45%、50%、55%、60%)である。一部の例では、sgRNAの効率的な転写を促進する配列で始まるように、結合領域を選択できる。例えば、結合領域は、Gヌクレオチドで5’末端で始まり得る。一部の例では、結合領域は、改変されたヌクレオチド、例えば、制限するものではないが、メチル化またはリン酸化ヌクレオチドを含有し得る。
本明細書で使用される場合、「相補的」または「相補性」という用語は、ヌクレオチドまたは核酸間の塩基対形成、例えば、制限するものではないが、sgRNAと標的配列との間の塩基対形成を指す。相補的ヌクレオチドは、一般に、AとT(またはAとU)およびGとCである。本明細書において記載されているガイドRNAは、ゲノム配列に対して完全に相補的または実質的に相補的である(例えば、1~4のミスマッチを有する)配列、例えば、DNA標的化配列を含み得る。
sgRNAは、CRISPR関連エンドヌクレアーゼと相互作用するか、または結合するsgRNA定常領域を含む。本明細書において提供される構築物では、sgRNAの定常領域は、約75~250ヌクレオチドの長さであり得る。一部の例では、定常領域は、ステム、ステムループ、ヘアピン、ヘアピン間の領域、および/または定常領域のネクサス中に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれより多いヌクレオチド置換を含む改変された定常領域である。一部の場合には、改変された定常領域が由来する天然または野生型sgRNA定常領域の活性と比較して、少なくとも80%、85%、90%または95%の活性を有する改変された定常領域が、本明細書において記載されている構築物において使用され得る。特に、改変は、CRISPR関連エンドヌクレアーゼ、例えば、Cas9ポリペプチドと直接相互作用するヌクレオチドで、または定常領域の二次構造にとって重要であるヌクレオチドで行われるべきではない。
[0001]
本明細書において記載されているような哺乳動物発現プラスミドにコードされるCRISPR関連エンドヌクレアーゼとして、RNA誘導型部位特異的ヌクレアーゼがある。例として、それだけには限らないが、II型またはV型CRISPR/Casシステムをコードする任意の細菌種に存在するヌクレアーゼが挙げられる。例えば、制限的ではないが、CRISPR関連エンドヌクレアーゼは、Cas9ポリペプチド(II型)またはCpf1ポリペプチド(V型)であり得る。例えば、Abudayyeh et al., Science 2016 August 5; 353(6299):aaf5573;Fonfara et al. Nature 532: 517-521 (2016)、およびZetsche et al., Cell 163(3): p.759-771, 22 October 2015を参照のこと。全体を通して使用される、「Cas9ポリペプチド」という用語は、II型CRISPR/Casシステムをコードする任意の細菌種において同定されたCas9タンパク質またはその断片もしくは誘導体を意味する。例えば、補足情報を含めて、その全文が参照により本明細書に組み込まれるMakarova et al. Nature Reviews, Microbiology, 9: 467-477 (2011)を参照のこと。CRISPR関連エンドヌクレアーゼ、例えば、Cas9およびCas9相同体は、それだけには限らないが、以下の分類学的グループの細菌:Actinobacteria、Aquificae、Bacteroidetes-Chlorobi、Chlamydiae-Verrucomicrobia、Chlroflexi、Cyanobacteria、Firmicutes、Proteobacteria、SpirochaetesおよびThermotogaeを含めた様々な真正細菌において見られる。例示的Cas9タンパク質として、Streptococcus pyogenes Cas9タンパク質(SpCas9)がある。別の例示的Cas9タンパク質として、Staphylococcus aureus Cas9タンパク質(SaCas9)がある。追加のCas9タンパク質およびその相同体は、例えば、Chylinksi, et al., RNA Biol. 2013 May 1; 10(5): 726-737;Nat. Rev. Microbiol. 2011 June; 9(6): 467-477;Hou, et al., Proc Natl Acad Sci USA. 2013 Sep 24;110(39):15644-9;Sampson et al., Nature. 2013 May 9;497(7448):254-7;およびJinek, et al., Science. 2012 Aug 17;337(6096):816-21に記載されている。Cas9ヌクレアーゼドメインは、宿主細胞における効率的な活性または安定性の増強のために最適化され得る。他のCRISPR関連エンドヌクレアーゼとして、Cpf1(例えば、Zetsche et al., Cell, Volume 163, Issue 3, p759-771, 22 October 2015を参照のこと)およびその相同体が挙げられる。
全長Cas9は、認識ドメインおよび2つのヌクレアーゼドメイン(それぞれ、HNHおよびRuvC)を含むエンドヌクレアーゼであり、DNA配列中に二本鎖切断を作出する。Cas9のアミノ酸配列では、HNHは、直線的に連続しているが、RuvCは、3つの領域、認識ドメインの左側の1つと、HNHドメインに隣接する認識ドメインの右側の他の2つにわかれている。Cas9は、Cas9によって認識されるNGGモチーフのすぐ前の20ヌクレオチドのDNA配列とハイブリダイズするガイドRNAと相互作用することによって、細胞中のゲノム部位に標的化される。これは、細胞のゲノムDNA中に二本鎖切断をもたらす。一部の例では、ガイドRNAによって標的化される領域のすぐ3’にNGGプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)を必要とするCas9ヌクレアーゼを利用できる。別の例として、直交性PAMモチーフ必要条件を有するCas9タンパク質を利用して、隣接NGG PAM配列を有さない配列を標的化することができる。直交性PAM配列特異性を有する例示的Cas9タンパク質として、それだけには限らないが、Esvelt et al., Nature Methods 10: 1116-1121 (2013)に記載されているものが挙げられる。
一部の実施形態では、Cas9タンパク質は、ガイドRNAとの複合体の一部またはDNA鋳型との複合体の一部として標的核酸に結合している場合には、二本鎖切断が標的核酸中に導入されるように、活性エンドヌクレアーゼ形態であり得る。二本鎖切断は、ランダム突然変異を導入するNHEJ、または特異的突然変異を導入するHDRによって修復され得る。種々のCas9ヌクレアーゼを、本明細書において記載されている方法で利用できる。例えば、ガイドRNAによって標的化される領域のすぐ3’にNGGプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)を必要とするCas9ヌクレアーゼ、例えば、SpCas9を利用できる。このようなCas9ヌクレアーゼは、NGG配列を含有するゲノムの任意の領域に標的化され得る。別の例では、ガイドRNAによって標的化される領域のすぐ3’にNNGRRTまたはNNGRR(N)PAMを必要とするCas9ヌクレアーゼ、例えば、SaCas9を利用できる。別の例として、直交性PAMモチーフ必要条件を有するCas9タンパク質を利用して、隣接NGG PAM配列を有さない配列を標的化することができる。直交性PAM配列特異性を有する例示的Cas9タンパク質として、それだけには限らないが、Nature Methods 10, 1116-1121 (2013)に記載されているもの、およびZetsche et al., Cell, Volume 163, Issue 3, p759-771, 22 October 2015に記載されているものが挙げられる。
一部の例では、Cas9タンパク質は、ニッカーゼであり、その結果、ガイドRNAとの複合体の一部として標的核酸に結合している場合には、一本鎖切断またはニックが標的核酸中に導入される。各々構造的に異なるガイドRNAに結合した一対のCas9ニッカーゼは、標的ゲノム領域の2つの近位部位に標的化され、したがって、標的ゲノム領域中に一対の近位一本鎖切断を導入できる。オフターゲット効果は、一般に塩基除去修復機序による損傷を伴わずに修復される単一ニックをもたらす可能性が高いので、ニッカーゼ対は、特異性の増強を提供できる。例示的Cas9ニッカーゼとして、D10AまたはH840A突然変異を有するCas9ヌクレアーゼが挙げられる。
一部の場合には、CRISPR関連エンドヌクレアーゼは、非活性化部位特異的ヌクレアーゼである。例えば、CRISPR関連エンドヌクレアーゼは、dCas9ポリペプチドであり得る。本開示全体を通して使用される、dCas9ポリペプチドは、Cas9ヌクレアーゼ活性を不活性化するように改変されている、非活性化型またはヌクレアーゼデッド型Cas9(dCas9)である。改変は、それだけには限らないが、1つまたは複数のアミノ酸を変更して、ヌクレアーゼ活性またはヌクレアーゼドメインを不活性化することを含む。例えば、制限的ではないが、Streptococcus pyogenes由来のCas9においてD10AおよびH840A突然変異を作製して、Cas9ヌクレアーゼ活性を不活性化することができる。他の改変は、ヌクレアーゼ活性を示す配列がCas9に存在しないように、Cas9のヌクレアーゼドメインのすべてまたは一部を除去することを含む。したがって、dCas9は、ヌクレアーゼ活性を不活性化するように改変されたポリペプチド配列、またはヌクレアーゼ活性を不活性化するポリペプチド配列(単数または複数)の除去を含み得る。dCas9は、ヌクレアーゼ活性は不活性化されているが、DNAに結合する能力を保持している。したがって、dCas9は、DNA結合に必要なポリペプチド配列(単数または複数)を含むが、改変されたヌクレアーゼ配列を含むか、またはヌクレアーゼ活性に関与するヌクレアーゼ配列を欠く。他の部位特異的ヌクレアーゼにおいて、例えば、Cpf1またはC2c2において、同様の改変を行って、ヌクレアーゼ活性を不活性化できるということが理解される。一部の例では、dCas9タンパク質は、RuvCヌクレアーゼドメインおよび/またはHNHヌクレアーゼドメインのポリペプチド配列を欠き、DNA結合機能を保持するS.pyogenes由来の全長Cas9配列である。他の例では、dCas9タンパク質配列は、RuvCヌクレアーゼドメインおよび/またはHNHヌクレアーゼドメインを欠き、DNA結合機能を保持するCas9ポリペプチド配列に対して、少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%または99%の同一性を有する。
一部の例では、非活性化CRISPR関連エンドヌクレアーゼは、エフェクタータンパク質に連結されている。必要に応じて、部位特異的ヌクレアーゼは、ペプチドリンカーを介してエフェクタータンパク質に連結されている。リンカーは、約2から約25個のアミノ酸長であり得る。エフェクタータンパク質は、転写調節タンパク質またはその活性断片であり得る。転写調節タンパク質は、転写アクチベーターもしくは転写レプレッサータンパク質、またはアクチベータータンパク質もしくは阻害剤タンパク質のタンパク質ドメインであり得る。転写アクチベーターの例として、それだけには限らないが、VP16、VP48、VP64、VP192、MyoD、E2A、CREB、KMT2A、NF-KB(p65AD)、NFAT、TET1、p300Coreおよびp53が挙げられる。転写阻害剤の例として、それだけには限らないが、KRAB、MXI1、SID4X、LSD1およびDNMT3A/Bが挙げられる。エフェクタータンパク質はまた、例えば、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ、ヒストンデメチラーゼ、DNAメチラーゼなどといったエピゲノムエディターでもあり得る。エフェクタータンパク質またはその活性断片は、CRISPR関連エンドヌクレアーゼのアミノ末端またはカルボキシ末端に順次に作動可能に連結され得る。必要に応じて、2つまたはそれより多い活性化エフェクタータンパク質またはその活性ドメインが、CRISPR関連エンドヌクレアーゼのアミノ末端またはカルボキシ末端に作動可能に連結されてもよい。必要に応じて、2つまたはそれより多いレプレッサーエフェクタータンパク質またはその活性ドメインが、CRISPR関連エンドヌクレアーゼのアミノ末端またはカルボキシ末端に順次に作動可能に連結されてもよい。必要に応じて、エフェクタータンパク質は、必ずしもCRISPR関連エンドヌクレアーゼに共有結合によって連結される必要はなく、ヌクレアーゼと会合、接合またはそうでなければ接続されてもよい。
一部の実施形態では、CRISPR関連エンドヌクレアーゼは、Cpf1ポリペプチドである。Cpf1タンパク質は、II型、V型CRISPR/Casシステムタンパク質である。Cpf1は、Cas9(spCas9など)よりも小さく、より簡単なエンドヌクレアーゼである。Cpf1タンパク質は、Cas9のRuvCドメインと同様であるが、HNHエンドヌクレアーゼドメインを有さないRuvC様エンドヌクレアーゼドメインを有する。Cpf1のN末端ドメインはまた、Cas9タンパク質のようなアルファへリックス認識ローブを有さない。DNAを切断する場合は、Cpf1が、4または5ヌクレオチドオーバーハングを有する付着末端様DNA二本鎖切断を導入する。Cpf1タンパク質は、tracrRNAを必要とせず、むしろ、Cpf1タンパク質は、crRNAのみとともに機能する。本開示に関連して、CRISPR関連エンドヌクレアーゼがCpf1タンパク質である場合には、sgRNAはtracr配列を含まない。Cpf1タンパク質とともに使用されるsgRNAは、crRNA配列(定常領域)のみを含み得る。一部の例では、ガイドRNAによって標的化される領域のすぐ5’にTTTNまたはTTN PAM(「N」が核酸塩基である種に応じて)を必要とするCpf1タンパク質を利用できる。公知のCpf1タンパク質およびその誘導体を、本開示に関連して使用してもよい。例えば、一部の場合には、CRISPR関連エンドヌクレアーゼは、FnCpf1pであり、PAMは、5’TTN(ここで、Nは、A/C/GまたはTである)である。一部の場合には、CRISPR関連エンドヌクレアーゼは、PaCpf1pであり、PAMは、5’TTTV(ここで、Vは、A/CまたはGである)である。ある特定の場合には、CRISPR関連エンドヌクレアーゼは、FnCpf1pであり、PAMは、5’TTN(ここで、Nは、A/C/GまたはTである)であり、PAMは、プロトスペーサーの5’末端の上流に位置する。ある特定の場合には、CRISPR関連エンドヌクレアーゼは、FnCpf1pであり、PAMは、5’CTAであり、プロトスペーサーの5’末端の上流または標的遺伝子座に位置する。一例では、CRISPR関連エンドヌクレアーゼは、AsCpf1pであり、PAMは、5’TTTNである。
哺乳動物発現プラスミドは、非ウイルス性核酸配列に作動可能に連結した真核細胞プロモーターを含む。一部の場合には、真核細胞プロモーターは、RNAポリメラーゼIIプロモーターであり、非ウイルス性核酸配列は、CRISPR関連エンドヌクレアーゼコード配列である。他の場合には、真核細胞プロモーターは、RNAポリメラーゼIIIプロモーターであり、非ウイルス性核酸配列は、gRNAコード配列である。一部の場合には、非ウイルス性核酸配列は、CRISPR関連エンドヌクレアーゼコード配列およびgRNAコード配列の両方を含み、RNAポリメラーゼIIプロモーターは、CRISPR関連エンドヌクレアーゼコード配列に作動可能に連結しており、RNAポリメラーゼIIIプロモーターは、gRNAコード配列に作動可能に連結している。
RNAポリメラーゼIIプロモーター配列は、哺乳動物種から選択される。RNAポリメラーゼIIIプロモーター配列は、哺乳動物種から選択される。例えば、これらのプロモーター配列は、2、3例を挙げると、ヒト、ウシ、ヒツジ、水牛、ブタまたはマウスから選択され得る。一部の例では、RNAポリメラーゼIIプロモーター配列は、CMV、FE1αまたはSV40配列である。一部の例では、RNAポリメラーゼIIIプロモーター配列は、U6またはH1配列である。一部の例では、RNAポリメラーゼII配列は、改変されたRNAポリメラーゼII配列である。例えば、任意の哺乳動物種に由来する野生型RNAポリメラーゼIIプロモーター配列に対して少なくとも80%、85%、90%、95%または99%の同一性を有するRNAポリメラーゼII配列は、本明細書において提供される構築物において使用され得る。一部の例では、RNAポリメラーゼIII配列は、改変されたRNAポリメラーゼIII配列である。例えば、任意の哺乳動物種に由来する野生型RNAポリメラーゼIIIプロモーター配列に対して少なくとも80%、85%、90%、95%または99%の同一性を有するRNAポリメラーゼIII配列は、本明細書において提供される構築物において使用され得る。当業者ならば、2つのポリペプチドまたは核酸の同一性を決定する方法を容易に理解する。例えば、同一性は、2つの配列を、同一性がその最高レベルであるようにアラインした後に算出できる。同一性を算出する別の方法は、公開アルゴリズムによって実施できる。例えば、Needleman and Wunsch, J. Mol. Biol. 48: 443 (1970)のアルゴリズムを使用して、比較のための配列の最適アラインメントを実施できる。一部の場合には、真核細胞プロモーターは、誘導プロモーターである。
RNA pol IIプロモーターから転写されたコード配列は、コード配列の下流にポリ(A)シグナルおよび転写ターミネーター配列を含む。よく使用される哺乳動物ターミネーター(SV40、hGH、BGHおよびrbGlob)は、ポリアデニル化および終結の両方を促進する配列モチーフAAUAAAを含む。RNA pol IIIプロモーターから転写されたコード配列は、ターミネーター配列としてコード配列の下流にT残基の単純な実行を含む。ターミネーター、配列ベースのエレメントの役割は、転写単位(遺伝子など)の末端を定義し、転写機構から新規に合成されたRNAを放出するプロセスを開始することである。ターミネーターは、転写されるべき遺伝子の下流に見られ、典型的には、ポリアデニル化またはポリ(A)シグナルなどの任意の3’調節エレメントの直後に生じる。
一部の場合には、哺乳動物発現ベクターは、アプタマー結合タンパク質(ABP)が特異的に結合するアプタマー配列をコードする少なくとも1つのアプタマーコード配列を含む。本開示に関連して、アプタマー配列は、ABPが特異的に結合する三次ループ構造を形成するRNA配列である。ABPは、RNA結合タンパク質またはRNA結合タンパク質ドメインである。適したアプタマーコード配列は、公知のバクテリオファージアプタマー配列をコードするポリヌクレオチド配列を含む。例示的アプタマーコード配列として、表1において上記で提供されるアプタマー配列をコードするものが挙げられる。一部の場合には、アプタマーには、ABPの二量体が結合している。これらのアプタマー配列は、バクテリオファージタンパク質が特異的に結合することが知られているRNA配列である。一部の状況では、少なくとも1つのアプタマーコード配列は、MS2コートタンパク質、PP7コートタンパク質、ラムダN RNA結合ドメインまたはCOMタンパク質からなる群から選択されるABPが特異的に結合するアプタマー配列をコードする。
一部の場合には、哺乳動物発現ベクターは、その下流に1つのアプタマーコード配列を含むCRISPR構成成分コード配列を含む。他の場合には、CRISPR構成成分コード配列は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12のアプタマーコード配列を含み得る。例えば、一部の場合には、CRISPR構成成分コード配列は、タンデムに2つのアプタマーコード配列を含み得る。哺乳動物発現ベクターが、CRISPR関連エンドヌクレアーゼコード配列およびgRNAコード配列の両方を含む場合には、いずれかまたは両方が、1つまたは複数のアプタマーコード配列を含み得る。一例では、ベクターが、CRISPR関連エンドヌクレアーゼコード配列およびgRNAコード配列の両方を含む場合には、CRISPR関連エンドヌクレアーゼコード配列は、1つまたは複数のアプタマーコード配列を含み得る。別の例では、ベクターが、CRISPR関連エンドヌクレアーゼコード配列およびgRNAコード配列の両方を含む場合には、gRNAコード配列は、1つまたは複数のアプタマーコード配列を含み得る。別の例では、ベクターが、CRISPR関連エンドヌクレアーゼコード配列およびgRNAコード配列の両方を含む場合には、CRISPR関連エンドヌクレアーゼコード配列およびgRNAコード配列の両方は、1つまたは複数のアプタマーコード配列を各々含み得る。ベクターが、CRISPR関連エンドヌクレアーゼコード配列およびgRNAコード配列の両方を含む場合には、両者は、1つまたは複数のアプタマーコード配列を含み、CRISPR関連エンドヌクレアーゼコード配列の1つまたは複数のアプタマーコード配列およびgRNAコード配列の1つまたは複数のアプタマーコード配列は、同一のアプタマーコード配列である場合も、異なるアプタマーコード配列である場合もある。一部の場合には、哺乳動物発現プラスミドは、CRISPR構成成分コード配列を含み、CRISPR構成成分コード配列は、アプタマーコード配列を含まない。
一部の場合には、哺乳動物発現プラスミドは、少なくとも1つの第1のアプタマーコード配列を含むCRISPR関連エンドヌクレアーゼコード配列および少なくとも1つの第2のアプタマーコード配列を含むgRNAコード配列を含む。一例では、少なくとも1つの第1のアプタマーコード配列および少なくとも1つの第2のコーディングアプタマー配列は、同一のアプタマーコード配列である。一部の場合には、少なくとも1つの第1のアプタマーコード配列は、第1のABPが特異的に結合するアプタマー配列をコードし、少なくとも1つの第2のアプタマーコード配列は、第2のABPが特異的に結合するアプタマー配列をコードし、少なくとも1つの第1のアプタマーコード配列および少なくとも1つの第2のアプタマーコード配列は、異なる第1および第2のABPが結合するアプタマー配列をコードする。例えば、少なくとも1つの第1のアプタマーコード配列および少なくとも1つの第2のアプタマーコード配列は、MS2コートタンパク質、PP7コートタンパク質、ラムダNタンパク質RNA結合ドメインおよびCOMタンパク質からなる群から選択されるABPが特異的に結合するアプタマー配列をコードし得る。別の例では、少なくとも1つの第1のアプタマーコード配列および少なくとも1つの第2のアプタマーコード配列は、MS2コートタンパク質、PP7コートタンパク質、ラムダNタンパク質RNA結合ドメインおよびCOMタンパク質からなる群から選択される異なるABPが各々特異的に結合するアプタマー配列をコードし得る。
一部の場合には、哺乳動物発現プラスミドはまた、CRISPR構成成分コード配列の下流、またはCRISPR構成成分コード配列の下流に配置される場合にはアプタマーコード配列の下流に配置されるRNA安定化配列をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチド配列も含み得る。RNA安定化配列をコードするポリヌクレオチド配列は、CRISPR/Casシステム構成成分コード配列の下流で転写され、転写されたRNA配列の長寿命を安定化する。一例では、RNA安定化配列をコードするポリヌクレオチド配列は、CRISPR関連エンドヌクレアーゼコード配列の下流に配置される。別の例では、RNA安定化配列をコードするポリヌクレオチド配列は、gRNAコード配列の下流に配置される。例示的RNA安定化配列として、配列番号25(DNA)および配列番号26(RNA)に示されるようなヒトベータグロビン遺伝子の3’UTRの配列がある。他のRNA安定化配列は、Hayashi, T. et al., Developmental Dynamics 239(7):2034-2040 (2010)およびNewbury, S. et al., Cell 48(2):297-310 (1987)に記載されている。一部の場合には、1~30ヌクレオチドのスペーサーが、CRISPR構成成分コード配列と、RNA安定化配列をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチド配列との間に配置される場合もある。
一部の場合には、哺乳動物発現プラスミドは、発現カセットを含み得る。一部の場合には、哺乳動物発現プラスミドはまた、レポーター遺伝子も含み得る。
III.システム
本開示の別の態様は、レンチウイルスパッケージングシステムである。このようなシステムは、本開示に記載されているレンチウイルスパッケージングプラスミドおよび哺乳動物発現プラスミドを含む。これらのシステムは、哺乳動物細胞中に導入して、本開示に記載されているレンチウイルス様粒子を作製するための構成成分の提供において有用である。
一部の場合には、システムは、Gagヌクレオチド配列に作動可能に連結した真核細胞プロモーターを含むレンチウイルスパッケージングプラスミドを含み、Gagヌクレオチド配列は、ヌクレオカプシド(NC)コード配列およびマトリックスタンパク質(MA)コード配列を含み、NCコード配列またはMAコード配列の一方または両方は、少なくとも1つの非ウイルス性アプタマー結合タンパク質(ABP)ヌクレオチド配列を含み、パッケージングプラスミドは、機能的インテグラーゼタンパク質をコードしない。レンチウイルスパッケージングプラスミドは、節II.Aにおいて上記で記載されている立体配置のいずれかを有し得る。システムは、第2世代パッケージングプラスミドもしくは第3世代パッケージングプラスミド、またはそれらの改変されたバージョンを含み得る。一部の場合には、パッケージングプラスミドは、上記のようなGagヌクレオチド配列を含み、Revヌクレオチド配列およびTatヌクレオチド配列をさらに含む。他の場合には、システムは、上記のようなGagヌクレオチド配列を含む第1のパッケージングプラスミドおよびRevヌクレオチド配列を含む第2のパッケージングプラスミドを含む。パッケージングプラスミドの各々では、ウイルスタンパク質コード配列は、真核細胞プロモーターに、例えば、各々個別に、または、複数のタンパク質コード配列に対して1つのプロモーターに作動可能に連結している。
他の場合には、システムは、NEFコード配列またはVPRコード配列に作動可能に連結した真核細胞プロモーターを含む哺乳動物発現プラスミドを含み、NEFコード配列またはVPRコード配列は、少なくとも1つの非ウイルス性ABPヌクレオチド配列を含む。哺乳動物発現プラスミドは、節II.Aにおいて上記で記載されている立体配置のいずれかを有し得る。システムは、第2世代パッケージングプラスミドもしくは第3世代パッケージングプラスミドまたはその改変されたバージョンを含み得る。一部の場合には、パッケージングプラスミドは、Gagヌクレオチド配列、Revヌクレオチド配列およびTatヌクレオチド配列を含む。他の場合には、システムは、Gagヌクレオチド配列を含む第1のパッケージングプラスミドおよびRevヌクレオチド配列を含む第2のパッケージングプラスミドを含む。
システムはまた、非ウイルス性核酸配列に作動可能に連結した真核細胞プロモーターを含む少なくとも1つの哺乳動物発現プラスミドを含むことができ、非ウイルス性核酸配列は、CRISPR関連エンドヌクレアーゼコード配列、ガイドRNA(gRNA)コード配列、またはCRISPR関連エンドヌクレアーゼコード配列およびgRNAコード配列の両方を含む。哺乳動物発現プラスミドは、節II.Bにおいて上記で記載されている立体配置のいずれかを有し得る。一部の場合には、システムは、CRISPR関連エンドヌクレアーゼコード配列に作動可能に連結した真核細胞プロモーターおよびgRNAコード配列に作動可能に連結した真核細胞プロモーターを含む哺乳動物発現プラスミドを含む。他の場合には、システムは、CRISPR関連エンドヌクレアーゼコード配列に作動可能に連結した真核細胞プロモーターを含む第1の哺乳動物発現プラスミドおよびgRNAコード配列に作動可能に連結した真核細胞プロモーターを含む第2の哺乳動物発現プラスミドを含む。一部の場合には、少なくとも1つの哺乳動物発現プラスミド中の非ウイルス性核酸は、アプタマー配列を含まない。他の場合には、少なくとも1つの哺乳動物発現プラスミド中の非ウイルス性核酸は、少なくとも1つのアプタマー配列を含む。
システムはまた、ウイルス性エンベロープ糖タンパク質をコードするエンベロープコード配列を有するエンベローププラスミドも含み得る。例えば、Envヌクレオチド配列は、VSV-Gをコードし得る。エンベロープコード配列は、真核細胞プロモーターに作動可能に連結している。一部の場合には、真核細胞プロモーターは、RNA pol IIプロモーターである。適切な真核細胞プロモーターは、節IIに記載されている。
また、本開示に記載されているシステムの構成成分を含むキットも本明細書において提供される。一部の実施形態では、キットは、本明細書において記載されているプラスミドのうち1つまたは複数を含む。
IV.レンチウイルス様粒子の産生
本開示に記載されているプラスミドおよびシステムを使用してレンチウイルス様粒子を産生する方法が、本明細書において提供される。
一態様では、レンチウイルス粒子を産生する方法であって、節IIおよびIIIにおいて上記で記載されているようなパッケージングプラスミド、少なくとも1つの哺乳動物発現プラスミドおよびエンベローププラスミドを複数の真核細胞にトランスフェクトするステップと、トランスフェクトされた真核細胞を、レンチウイルス粒子が産生されるのに十分な時間培養するステップとを含む方法が提供される。方法は、第2世代パッケージングプラスミドまたは第3世代パッケージングプラスミドを用い得る。一部の場合には、節IIIに記載されているような第1および第2のパッケージングプラスミドが使用される。複数の真核細胞が、哺乳動物細胞であり得る。例えば、哺乳動物細胞は、293ヒト胚性腎臓細胞または別の適した哺乳動物発現細胞系であり得る。
一部の場合には、ウイルスタンパク質コード配列、例えば、NCコード配列、MAコード配列、または両方との融合は、ウイルス性融合タンパク質をコードするプラスミド、非ウイルス性ヌクレオチド配列をコードする少なくとも1つの哺乳動物発現プラスミドおよびエンベローププラスミドが、真核細胞にトランスフェクトされる場合に、1つまたは複数のABPヌクレオチド配列が、ウイルス粒子組み立てに干渉しない。一部の場合には、NC-ABP融合タンパク質、MA-ABP融合タンパク質、またはNC-ABP融合タンパク質およびMA-ABP融合タンパク質の両方をコードするレンチウイルスパッケージングプラスミドは、ウイルス粒子組み立てに干渉しない。一部の場合には、NEF-ABP融合タンパク質またはVPR-ABP融合タンパク質のいずれかをコードする哺乳動物発現プラスミドは、ウイルス粒子組み立てに干渉しない。
真核細胞にトランスフェクトするために使用されるプラスミドに応じて、異なるレンチウイルス様粒子が、提供されている方法によって産生される。一部の場合には、真核細胞に、CRISPR関連エンドヌクレアーゼコード配列を含有する哺乳動物発現プラスミドがトランスフェクトされる。このプラスミドがトランスフェクトされた細胞は、CRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAを含有するレンチウイルス様粒子を産生する。一部の場合には、真核細胞に、gRNAコード配列を含有する哺乳動物発現プラスミドがトランスフェクトされる。このプラスミドがトランスフェクトされた細胞は、gRNAを含有するレンチウイルス様粒子を産生する。一部の場合には、細胞に、CRISPR関連エンドヌクレアーゼコード配列を含有する第1の哺乳動物発現プラスミドおよびgRNAコード配列を含有する第2の哺乳動物発現プラスミドがトランスフェクトされ得る。これらのプラスミドがトランスフェクトされた細胞は、CRISPR mRNAおよびgRNAの両方を含有するレンチウイルス様粒子を産生する。一部の場合には、細胞に、CRISPR関連エンドヌクレアーゼコード配列およびgRNAコード配列を含有する哺乳動物発現プラスミドがトランスフェクトされ得る。このプラスミドがトランスフェクトされた細胞は、CRISPR mRNAおよびgRNAの両方を含有するレンチウイルス様粒子を産生する。
一般に、真核細胞にプラスミドが同時にトランスフェクトされ、細胞は、インキュベートすることが許され、次いで、ウイルス様粒子を含有する上清が回収される。培地は、トランスフェクション後、インキュベーションの前に変更され得る。回収されたウイルス様粒子は、保存され、粒子を濃縮するために遠心分離され得る。レンチウイルス粒子を作製するために日常的な細胞トランスフェクション法が使用される。次いで、粗または濃縮ウイルス様粒子を使用して、目的の細胞に形質導入できる。ウイルス性力価もまた、公知のプロトコールを使用して決定できる。
提供されている方法の特性として、レンチウイルス様粒子内にパッケージングできる非ウイルス性RNA分子の量がある。天然レンチウイルスでは、ウイルスシェル(カプシド)は、一本鎖RNAゲノムの2つのコピーを含有する。例えば、野生型HIV-1ウイルス粒子は、およそ9.7kbの一本鎖RNAゲノムの2つのコピーを含有する。本開示によって提供される方法では、ウイルスシェル内に多数の非ウイルス性RNA分子がパッケージングされ得る。一部の場合には、方法は、最大100の非ウイルス性RNA分子を含有するレンチウイルス様粒子を産生し得る。例えば、レンチウイルス様粒子は、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100の非ウイルス性RNA分子を含有し得る。例えば、方法は、5~25の非ウイルス性RNA分子、25~50の非ウイルス性RNA分子、50~75の非ウイルス性RNA分子または75~100の非ウイルス性RNA分子を含有する粒子を産生し得る。例えば、方法は、およそ50~100の非ウイルス性RNA分子を含有する粒子を産生し得る。一部の場合には、方法は、最大100コピーのCRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNA(例えば、SaCas9 mRNAなど)を含有する粒子を産生し得る。一部の場合には、方法は、CRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNA、gRNAまたはその組合せのいくつかのコピーを含有するレンチウイルス様粒子を産生し得る。一部の場合には、方法において使用される哺乳動物発現プラスミドは、少なくとも1つのアプタマーコード配列を含む非ウイルス性核酸配列を含み得る。他の場合には、方法において使用される哺乳動物発現プラスミドは、少なくとも1つのアプタマー配列を含まない非ウイルス性核酸配列を含有し得る。一部の場合には、哺乳動物発現プラスミドは、非ウイルス性RNA分子のいくつかのコピーを含有するレンチウイルス粒子を生成する非ウイルス性核酸配列の下流にアプタマーコード配列を必要としない。
一部の場合には、哺乳動物発現プラスミドは、CRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAをコードする非ウイルス性核酸配列を含有し、アプタマーコード配列は、CRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAをコードする核酸に付着している。本明細書において記載されているウイルス性融合タンパク質中のアプタマー配列とアプタマー結合タンパク質との間の相互作用は、CRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAのレンチウイルス粒子へのパッケージングを促進する。一部の場合には、哺乳動物発現プラスミドは、CRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAおよびgRNAをコードする非ウイルス性核酸配列を含有し、アプタマーコード配列は、gRNAに付着されるか、またはgRNA中に挿入される。本明細書において記載されているウイルス性融合タンパク質中の、gRNAに付着されるか、またはgRNA中に挿入されたアプタマー配列と、アプタマー結合タンパク質との相互作用は、CRISPR関連エンドヌクレアーゼ(RNP)と複合体形成されたgRNAの、レンチウイルス粒子へのパッケージングを促進する。
V.レンチウイルス様粒子
別の態様では、レンチウイルス様粒子が提供される。レンチウイルス様粒子は、少なくとも1つのアプタマー結合タンパク質が、1つまたは複数のウイルスタンパク質に融合されている融合タンパク質である改変されたレンチウイルスタンパク質を含有する。本開示に関連して、改変されたウイルスタンパク質は、構造性である場合も、非構造性である場合もある。例示的構造タンパク質として、レンチウイルスヌクレオカプシド(NC)タンパク質およびマトリックス(MA)タンパク質がある。例示的非構造タンパク質として、ウイルスタンパク質R(VPR)およびネガティブ調節因子(NEF)がある。一部の場合には、粒子は、NCタンパク質およびMAタンパク質を含み、その一方または両方が、少なくとも1つの非ウイルス性アプタマー結合タンパク質(ABP)と融合している融合タンパク質を含有する。粒子のNCタンパク質は、2つの機能的ジンクフィンガータンパク質ドメインを有し得る。特に、第2のNCジンクフィンガードメインの保持は、ウイルス性組み立ておよび出芽の効率を保ち得る。一部の場合には、粒子は、VPRタンパク質またはNEFタンパク質を含む融合タンパク質を含有し、VPRタンパク質またはNEFタンパク質は、少なくとも1つの非ウイルス性ABPと融合している。粒子はまた、少なくとも1つの非ウイルス性RNA配列を含有し、非ウイルス性RNA配列は、CRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNA、ガイドRNA(gRNA)、またはCRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAおよびgRNAの両方を含む。一部の場合には、レンチウイルス様粒子は、機能的インテグラーゼタンパク質を含有しない。これらのウイルス様粒子は、目的の真核細胞に形質導入するのに有用である。
粒子は、1つまたは複数のABPを含むウイルス性融合タンパク質を含み得る。一部の場合には、粒子は、NCタンパク質、MAタンパク質、または両方を含有し、NCタンパク質またはMAタンパク質の一方または両方は、1つまたは複数の非ウイルス性ABPと融合している。一部の場合には、レンチウイルス様粒子は、少なくとも1つの非ウイルス性ABPと融合しているNCタンパク質を含む。一部の場合には、レンチウイルス様粒子は、少なくとも1つの非ウイルス性ABPと融合しているMAタンパク質を含む。一部の場合には、レンチウイルス様粒子は、NCタンパク質およびMAタンパク質を含むことができ、NCタンパク質またはMAタンパク質のうち一方または両方は、2つの非ウイルス性ABPタンパク質、第1の非ウイルス性ABPと、第1の非ウイルス性ABPのC末端に融合された第2の非ウイルス性ABP(すなわち、タンデムの)と融合され得る。ある特定の場合には、粒子は、第1の非ウイルス性ABPおよび第2の非ウイルス性ABPと融合しているNCタンパク質またはMAタンパク質の一方または両方を含有し得る。一部の場合には、レンチウイルス様粒子は、VPRタンパク質またはNEFタンパク質を含有し、VPRタンパク質またはNEFタンパク質は、1つまたは複数の非ウイルス性ABPと融合している。一部の場合には、レンチウイルス様粒子は、2つの非ウイルス性ABP、第1の非ウイルス性ABPと、第1の非ウイルス性ABPのC末端に融合された第2の非ウイルス性ABP(すなわち、タンデムの)に融合されたVPRタンパク質またはNEFタンパク質を含有する。一部の場合には、レンチウイルス様粒子は、第1の非ウイルス性ABPおよび第2の非ウイルス性ABPに融合されたVPRタンパク質またはNEFタンパク質を含有する。第1の非ウイルス性ABPおよび第2の非ウイルス性ABPは両方とも、同一のABPであり得る。あるいは、第1の非ウイルス性ABPおよび第2の非ウイルス性ABPは、異なるABPであり得る。一部の場合には、レンチウイルス様粒子は、C末端に融合された少なくとも1つの第2の非ウイルス性ABPを有するMAタンパク質に融合された、少なくとも1つの第1の非ウイルス性ABPを有するNCタンパク質を含み得る。少なくとも1つの第1の非ウイルス性ABPおよび少なくとも1つの第2の非ウイルス性ABPは両方とも、同一のABPである。あるいは、少なくとも1つの第1の非ウイルス性ABPタンパク質および少なくとも1つの第2の非ウイルス性ABPは、異なるABPであり得る。第1の非ウイルス性ABPおよび第2の非ウイルス性ABPは両方とも、同一のABPであり得る。あるいは、第1の非ウイルス性ABPおよび第2の非ウイルス性ABPは、異なるABPであり得る。
非ウイルス性ABPは、RNAアプタマー配列に結合するポリペプチド配列である。いくつかの非ウイルス性ABPは、本開示における使用に適している。特に、適したABPとして、ステム-ループ構造を形成するRNA配列である公知のRNAアプタマー配列と特異的に結合する、バクテリオファージRNA結合タンパク質が挙げられる。例示的非ウイルス性アプタマー結合タンパク質として、MS2コートタンパク質、PP7コートタンパク質、ラムダNペプチドおよびCOM(momの制御(Control of mom))タンパク質が挙げられる。ラムダNペプチドは、タンパク質のRNA結合ドメインであるラムダNタンパク質のアミノ酸1~22であり得る。これらのABPおよびそれらが結合するアプタマー配列に関する情報は、表1において上記で提供されている。一部の実施形態では、少なくとも1つの非ウイルス性ABPタンパク質は、配列番号10、配列番号12、配列番号14または配列番号16のいずれかに示される配列を有するポリペプチドである。
レンチウイルス様粒子は、種々のレンチウイルスタンパク質を含み得る。しかし、一部の場合には、レンチウイルス様粒子は、天然レンチウイルスに見られるタンパク質または核酸の種類のうちすべてを含むわけではない。一部の場合には、粒子は、NC、MA、CA、SP1、SP2、P6、POL、ENV、TAT、REV、VIF、VPU、VPRおよび/またはNEFタンパク質、またはいずれかのその誘導体、組合せもしくは部分を含有し得る。一部の場合には、粒子は、NC、MA、CA、SP1、SP2、P6およびPOLを含有し得る。一部の場合には、レンチウイルス様粒子は、ウイルスシェル(カプシド)を形成するこれらのタンパク質のみを含み得る。一部の場合には、1つまたは複数のレンチウイルスタンパク質は、レンチウイルス様粒子から全部または一部が除外され得る。例えば、一部の場合には、レンチウイルス様粒子は、POLタンパク質を含有しない場合もあり、POLタンパク質の非機能的バージョン、例えば、不活性化点突然変異もしくは不活性化末端切断を有するPOLタンパク質などを含む場合もある。別の例では、レンチウイルス様粒子は、インテグラーゼタンパク質を含有しない場合もあり、インテグラーゼタンパク質の非機能的バージョン、例えば、不活性化点突然変異もしくは不活性化末端切断を有するインテグラーゼタンパク質などを含む場合もある。例えば、レンチウイルス様粒子は、アミノ酸64位でのアスパラギン酸からバリンへの突然変異(D64V)を含む非機能的インテグラーゼタンパク質を含有し得る。別の例では、レンチウイルス様粒子は、逆転写酵素タンパク質を含有しない場合もあり、逆転写酵素タンパク質の非機能的バージョン、例えば、不活性化点突然変異もしくは不活性化末端切断を有する逆転写酵素タンパク質などを含む場合もある。
一部の場合には、レンチウイルス様粒子は、少なくとも1つの非ウイルス性RNA分子を含有する。非ウイルス性RNA分子は、CRISPR/Casシステム構成成分のうち少なくとも1つであるか、またはCRISPR/Casシステム構成成分をコードする。一部の場合には、非ウイルス性RNA分子は、CRISPR関連エンドヌクレアーゼをコードするmRNAであり得る。適したCRISPR関連エンドヌクレアーゼは、本開示を通して論じられている。一例では、非ウイルス性RNA分子は、Cas9タンパク質またはその誘導体をコードするmRNAであり得る。別の例では、非ウイルス性RNA分子は、Cpf1タンパク質またはその誘導体をコードするmRNAであり得る。一部の場合には、非ウイルス性RNA分子は、gRNAを含み得る。適したgRNAの特性は、本開示を通して論じられている。gRNAは、一般に、DNA標的化配列およびCRISPR関連エンドヌクレアーゼと相互作用する定常領域を含む。一部の場合には、gRNAは、トランス活性化crRNA(tracrRNA)配列を含み得る。例えば、gRNAは、Cas9タンパク質または誘導体とともに使用されるべきであるtracrRNAを含み得る。他の場合には、gRNAは、tracrRNA配列を含まない。例えば、gRNAは、Cpf1タンパク質または誘導体とともに使用されるべきであるtracrRNA配列を含まない場合がある。一部の場合には、レンチウイルス様粒子は、CRISPR関連エンドヌクレアーゼをコードするmRNAおよびgRNAの両方を含有する。一部の場合には、粒子は、CRISPR関連エンドヌクレアーゼをコードするmRNAまたはgRNAのうち一方を含有し得る。
一部の場合には、少なくとも1つの非ウイルス性RNA分子は、その3’末端に配置される少なくとも1つのアプタマー配列を有し得る。アプタマー配列は、上記のようなウイルスタンパク質と融合しているアプタマー結合タンパク質(ABP)が特異的に結合するとことが公知の配列である。上記で論じられているように、アプタマー配列は、ABPが特異的に結合する三次ループ構造を形成するRNA配列である。適したアプタマー配列は、公知のバクテリオファージアプタマー配列を含む。例示的アプタマー配列は、表1において上記で提供されている。これらのアプタマー配列は、バクテリオファージタンパク質が特異的に結合することが公知のRNA配列である。一部の状況では、少なくとも1つのアプタマー配列は、MS2コートタンパク質、PP7コートタンパク質、ラムダN RNA結合ドメインまたはCOMタンパク質からなる群から選択されるABPが特異的に結合する。
一部の場合には、非ウイルス性RNA分子は、CRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAであり得る。一部の場合には、CRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAは、その3’末端に少なくとも1つのアプタマー配列を含み得る。一部の場合には、非ウイルス性RNA分子は、gRNAコード配列であり得る。一部の場合には、gRNAは、少なくとも1つのアプタマー配列を含む。一部の場合には、少なくとも1つのアプタマー配列は、gRNAの5’末端または3’末端に配置され得る。一部の場合には、少なくとも1つのアプタマー配列は、gRNA内の内部位置に、例えば、フォールディングされたgRNA中に形成されるループのうち1つまたは複数などに挿入され得る。例えば、gRNAが、SaCas9タンパク質のためのものである場合には、少なくとも1つのアプタマー配列は、gRNAのテトラループ、ステムループ2または3’末端に配置され得る。一部の場合には、少なくとも1つの非ウイルス性RNA分子は、CRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAおよびgRNAを含む。一部の場合には、CRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAおよびgRNAの各々は、少なくとも1つのアプタマーコード配列を含み得る。一部の場合には、CRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAは、その3’末端に少なくとも1つのアプタマー配列を含む。一部の場合には、gRNAは、少なくとも1つのアプタマー配列を含む。一部の場合には、1~30リボヌクレオチドのスペーサーが、CRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAまたはgRNAと、少なくとも1つのアプタマー配列との間に、または少なくとも1つのアプタマー配列に隣接して配置され得る。ある特定の場合には、少なくとも1つのアプタマー配列は、真核細胞のレンチウイルス様粒子形質導入に干渉しない。例えば、NCタンパク質、MAタンパク質、VPRタンパク質またはNEFタンパク質のうち1つまたは複数に融合された少なくとも1つの非ウイルス性ABPは、真核細胞のレンチウイルス様粒子形質導入に干渉しない場合もある。
一部の場合には、少なくとも1つの非ウイルス性RNA分子は、1つのアプタマー配列を含む。他の場合には、少なくとも1つの非ウイルス性RNA分子は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12のアプタマー配列を含み得る。例えば、一部の場合には、レンチウイルス様粒子は、2つのアプタマー配列を含む少なくとも1つの非ウイルス性RNA分子を含む。レンチウイルス様粒子がCRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAおよびgRNAを含む場合には、いずれかまたは両方が、1つまたは複数のアプタマー配列を含み得る。一例では、粒子がCRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAおよびgRNAの両方を含む場合には、CRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAは、3’末端に配置される1つまたは複数のアプタマー配列を含み得る。別の例では、粒子がCRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAおよびgRNAの両方を含む場合には、gRNAは、1つまたは複数のアプタマー配列を含み得る。別の例では、粒子がCRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAおよびgRNAの両方を含む場合には、CRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAおよびgRNAの両方が、1つまたは複数のアプタマー配列を含み得る。粒子がCRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAおよびgRNAの両方を含み、両方が1つまたは複数のアプタマー配列を含む場合には、CRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAおよびgRNAは、同一のアプタマー配列を含む場合も、異なるアプタマーを含む場合もある。
一部の場合には、レンチウイルス様粒子は、その3’末端に配置される少なくとも1つの第1のアプタマー配列を有するCRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAおよび少なくとも1つの第2のアプタマー配列を含むgRNAを含有する。一例では、少なくとも1つの第1のアプタマー配列および少なくとも1つの第2のアプタマー配列は、同一のアプタマー配列である。一部の場合には、少なくとも1つの第1のアプタマー配列は、第1のABPが特異的に結合するアプタマー配列であり、少なくとも1つの第2のアプタマー配列は、第2のABPが特異的に結合するアプタマー配列であり、少なくとも1つの第1のアプタマー配列および少なくとも1つの第2のアプタマー配列は、異なる第1および第2のABPが結合する。例えば、少なくとも1つの第1のアプタマー配列および少なくとも1つの第2のアプタマー配列は、MS2コートタンパク質、PP7コートタンパク質、ラムダNタンパク質RNA結合ドメインおよびCOMタンパク質からなる群から選択されるABPが特異的に結合し得る。別の例では、少なくとも1つの第1のアプタマー配列および少なくとも1つの第2のアプタマー配列は各々、MS2コートタンパク質、PP7コートタンパク質、ラムダNタンパク質RNA結合ドメインおよびCOMタンパク質からなる群から選択される異なるABPが特異的に結合し得る。
一部の場合には、非ウイルス性RNA分子はまた、CRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAの3’末端に、CRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAの3’末端に、または少なくとも1つのアプタマー配列が非ウイルス性RNA分子の3’末端に配置される場合には、少なくとも1つのアプタマー配列の後に配置されるRNA安定化配列を含み得る。RNA安定化配列は、非ウイルス性RNA分子の長寿命を安定化する。一例では、非ウイルス性RNA分子は、1つまたは複数のアプタマー配列を有するCRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAおよび1つまたは複数のアプタマー配列の後にRNA安定化配列を含む。別の例では、非ウイルス性RNA分子は、gRNAおよびgRNAの3’末端の下流に(gRNAの3’末端に配置される任意のアプタマー配列の後に)RNA安定化配列を含む。例示的RNA安定化配列は、配列番号25(DNA)および配列番号26(RNA)に示されるようなヒトベータグロビン遺伝子の3’UTRの配列である。他のRNA安定化配列は、Hayashi, T. et al., Developmental Dynamics 239(7):2034-2040 (2010)およびNewbury, S. et al., Cell 48(2):297-310 (1987)に記載されている。
提供されているレンチウイルス様粒子の特性として、粒子内にパッケージングできる非ウイルス性RNA分子の量がある。天然レンチウイルスでは、ウイルスシェル(カプシド)は、一本鎖RNAゲノムの2つのコピーを含有する。例えば、野生型HIV-1ウイルス粒子は、およそ9.7kbの一本鎖RNAゲノムの2つのコピーを含有する。本開示のレンチウイルス様粒子では、ウイルスシェル内に最大100コピーの非ウイルス性RNA分子がパッケージングされ得る。例えば、レンチウイルス様粒子は、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100の非ウイルス性RNA分子を含有し得る。例えば、粒子は、5~25の非ウイルス性RNA分子、25~50の非ウイルス性RNA分子、50~75の非ウイルス性RNA分子または75~100の非ウイルス性RNA分子を含有し得る。例えば、粒子は、およそ50~100の非ウイルス性RNA分子を含有し得る。一部の場合には、レンチウイルス様粒子は、最大100コピーのCRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNA(例えば、SaCas9mRNAなど)を含有する。一部の場合には、レンチウイルス様粒子は、CRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNA、gRNAまたはその組合せのいくつかのコピーを含有し得る。一部の場合には、レンチウイルス様粒子は、少なくとも1つのアプタマー配列を含む非ウイルス性RNA分子のいくつかのコピーを含む。他の場合には、レンチウイルス様粒子は、少なくとも1つのアプタマー配列を含まない非ウイルス性RNA分子のいくつかのコピーを含む。一部の場合には、アプタマー配列は、非ウイルス性RNA分子のいくつかのコピーを含有するレンチウイルス粒子を作製するために必要ではない。
一部の場合には、レンチウイルス様粒子は、RNP(複数可)を含有し、RNPは、CRISPR関連エンドヌクレアーゼおよびgRNAとの複合体である。一部の場合には、レンチウイルス様粒子は、a)ヌクレオカプシド(NC)タンパク質またはマトリックス(MA)タンパク質を含む融合タンパク質であって、NCタンパク質またはMAタンパク質が、少なくとも1つの非ウイルス性アプタマー結合タンパク質(ABP)を含む、融合タンパク質と、b)CRISPR関連エンドヌクレアーゼおよびガイドRNAを含むリボヌクレオチドタンパク質(RNP)複合体とを含む。一部の場合には、レンチウイルス様粒子は、ウイルスタンパク質R(VPR)タンパク質またはネガティブ調節因子(NEF)タンパク質を含む融合タンパク質であって、VPRタンパク質またはNEFタンパク質が、少なくとも1つの非ウイルス性アプタマー結合タンパク質(ABP)を含む、融合タンパク質と、b)CRISPR関連エンドヌクレアーゼおよびガイドRNAを含むリボヌクレオチドタンパク質(RNP)複合体とを含む。RNPを含有するレンチウイルス様粒子では、ガイドRNAは、融合タンパク質の非ウイルス性アプタマー結合タンパク質に結合するアプタマーを含む。
非ウイルス性核酸配列が、CRISPR関連エンドヌクレアーゼおよびgRNA配列をコードし、少なくとも1つのアプタマーが、gRNA配列に付着されるか、またはgRNA配列中に挿入される、非ウイルス性核酸配列を含む本明細書において記載されている哺乳動物発現プラスミドのいずれかを使用して、RNPを含有するレンチウイルス様粒子を作製できる。上記のように、本明細書において記載されているウイルス性融合タンパク質中の、gRNAに付着またはgRNA中に挿入されるアプタマー配列と、アプタマー結合タンパク質との相互作用は、CRISPR関連エンドヌクレアーゼ(RNP)と複合体形成されたgRNAのレンチウイルス粒子へのパッケージングを促進する。
VI.細胞
また、本明細書において記載されている組成物を含む細胞および本明細書において記載されている組成物によって改変された細胞も提供される。本明細書において記載されている1つまたは複数の核酸構築物(プラスミド)を含む細胞または細胞の集団も提供される。例えば、上記のようなレンチウイルスパッケージングプラスミドを含む細胞が、本明細書において提供される。例えば、上記のような哺乳動物発現プラスミドを含む細胞が、本明細書において提供される。別の例では、上記のようなレンチウイルスパッケージングプラスミドおよび哺乳動物発現プラスミドの両方を含む細胞が、本明細書において提供される。この方法では、本明細書において記載されているシステムのCRISPR構成成分を含むレンチウイルス様粒子が作製され得る。別の例では、上記のようなレンチウイルス様粒子を含む細胞が、本明細書において提供される。この方法では、細胞ゲノムにおける標的DNA配列の改変は、本明細書において記載されているシステムのCRISPR構成成分によって達成され得る。本明細書において記載されているレンチウイルスパッケージングシステムを含む細胞または細胞の集団も提供される。本明細書において記載されているレンチウイルス様粒子を含む細胞または細胞の集団も提供される。
細胞は、それだけには限らないが、真核細胞、原核細胞、ヒト細胞、非ヒト動物細胞および真菌細胞を含む。必要に応じて、細胞は、細胞培養物中にある。必要に応じて、細胞は、哺乳動物細胞、例えば、ヒト細胞である。細胞は、in vitro、ex vivoまたはin vivoであり得る。細胞はまた、一次細胞、胚細胞、幹細胞または前駆体細胞であり得る。前駆体細胞は、例えば、多能性幹細胞または造血幹細胞であり得る。組成物の細胞への導入は、細胞周期依存性または細胞周期非依存性であり得る。細胞を同期化して、特定の相にある細胞の割合を増大する方法は、当技術分野で公知である。改変されるべき細胞の種類に応じて、当業者は、細胞周期同期化が必要であるか否かを容易に決定できる。一部の例では、細胞が対象から回収され、本明細書において記載されている方法のいずれかを使用して改変され、対象に投与される。
必要に応じて、細胞は、T細胞である。T細胞は、それだけには限らないが、未処置T細胞、刺激されたT細胞、一次T細胞(例えば、未培養)、培養T細胞、不死化T細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、メモリーT細胞、調節性T細胞、ナチュラルキラーT細胞、それらの組合せまたはそれらの小集団を含む。T細胞は、CD4+、CD8+、またはCD4+およびCD8+であり得る。T細胞は、ヘルパー細胞、例えば、TH1、TH2、TH3、TH9、TH17またはTFH型のヘルパー細胞であり得る。T細胞は、細胞傷害性T細胞であり得る。T細胞は、遺伝子操作されている組換えT細胞、例えば、キメラ抗原受容体または組換えT細胞受容体を発現するT細胞であり得る。
VII.遺伝子編集方法
DNA標的を編集する、または1つもしくは複数のDNA標的の転写をモジュレートするために、CRISPR/Casシステムにおいて本開示で提供されているプラスミドおよびシステムを使用する方法が、本明細書において記載されている。これらの方法は、真核細胞のゲノム中の、標的ゲノム配列、例えば、遺伝子を抑制、突然変異または活性化するために使用され得る。
本明細書において提供される方法では、改変されるべき目的の標的ゲノム配列を含む真核細胞は、少なくとも1つのアプタマー結合タンパク質(ABP)に融合されたウイルスタンパク質を含むウイルス性融合タンパク質およびCRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAを含有するレンチウイルス様粒子を用いて形質導入される。記載されている方法の特性は、真核細胞がCRISPR関連エンドヌクレアーゼを安定に発現しないということである。CRISPR関連エンドヌクレアーゼは、構成的に発現されず、むしろ、有限量のCRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAが、レンチウイルス様粒子を介して形質導入された細胞に提供される。提供される方法の利点は、CRISPR関連エンドヌクレアーゼが細胞中に存在せず、そのようなものとして、長期間活性ではないために、低減されたオフターゲット遺伝子編集事象である。また、方法においてインテグラーゼ活性を欠くレンチウイルス様粒子が使用される場合には、粒子によって保持される核酸のいずれか、特に、CRISPR関連エンドヌクレアーゼコード配列の細胞ゲノムへの組込みのリスクの低減がある。一部の場合には、使用されるレンチウイルス粒子は、ウイルス複製に必須であるレンチウイルスゲノム配列の一部を欠き、そのようなものとして、継続した粒子産生のリスクを低減する。提供される構成成分の別の利点は、ウイルス性融合タンパク質が、非ウイルス性RNA分子、例えば、CRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAの、レンチウイルス様粒子へのパッケージングを増大することができ、これが、ゲノム編集効率を高めるということである。一部の場合には、レンチウイルス様粒子にパッケージングされる非ウイルス性RNA分子は、3’末端に配置される少なくとも1つのアプタマー配列を含む。
一部の場合には、形質導入された真核細胞は、哺乳動物細胞である。一部の場合には、真核細胞は、in vitro培養された細胞であり得る。一部の場合には、真核細胞は、対象から得られるex vivo細胞であり得る。他の場合には、真核細胞は、対象中に存在する。全体を通して使用される、対象とは、個体を意味する。例えば、対象は、哺乳動物、例えば、霊長類、より詳しくは、ヒトである。非ヒト霊長類は、同様に対象である。対象という用語は、飼い慣らされた動物、例えば、ネコ、イヌなど、家畜(例えば、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギなど)および実験動物(例えば、フェレット、チンチラ、マウス、ウサギ、ラット、スナネズミ、モルモットなど)を含む。したがって、獣医学的使用および医学的使用ならびに製剤が本明細書において企図される。この用語は、特定の年齢または性別を示さない。したがって、成体および新生児の対象は、雄性であろうが、雌性であろうが、対象とされるものとする。本明細書で使用される場合、患者または対象は、同義的に使用されてもよく、疾患または障害に苦しむ対象を指すことができる。本開示によって提供されるシステムのウイルス粒子は、公知の、日常的な方法に従って、対象に注射され得る。一部の場合には、システムのウイルス粒子は、静脈内に(IV)、腹腔内に(IP)、筋肉内に、または具体的な臓器中に注射される。
一部の場合には、提供される方法は、目的の標的遺伝子座を改変するためのものであり、方法は、複数の真核細胞に、複数のウイルス粒子を用いて形質導入することを含み、複数のウイルス粒子は、ウイルスタンパク質R(VPR)タンパク質またはネガティブ調節因子(NEF)タンパク質を含む融合タンパク質であって、VPRタンパク質またはNEFタンパク質は、少なくとも1つの非ウイルス性アプタマー結合タンパク質(ABP)を含む、融合タンパク質と、CRISPR関連エンドヌクレアーゼおよびガイドRNAを含むリボヌクレオチドタンパク質(RNP)複合体とを含み、RNPは、細胞のゲノムDNA中のゲノム標的配列に結合し、CRISPR関連エンドヌクレアーゼは、細胞のゲノムDNAを切断し、それによって、細胞DNA修復機序を誘発し、ゲノム標的配列の改変を引き起こす。一部の場合には、複数のウイルス粒子は、a)ヌクレオカプシド(NC)タンパク質またはマトリックス(MA)タンパク質を含む融合タンパク質であって、NCタンパク質またはMAタンパク質が、少なくとも1つの非ウイルス性アプタマー結合タンパク質(ABP)を含む、融合タンパク質と、b)CRISPR関連エンドヌクレアーゼおよびガイドRNAを含むリボヌクレオチドタンパク質(RNP)複合体とを含み、RNPは、細胞のゲノムDNA中のゲノム標的配列に結合し、CRISPR関連エンドヌクレアーゼは、細胞のゲノムDNAを切断し、それによって、細胞DNA修復機序を誘発し、ゲノム標的配列の改変を引き起こす。
上記のように、RNPは、本明細書において記載されている融合タンパク質中の少なくとも1つの非ウイルス性アプタマー結合タンパク質に結合するgRNA配列に付着するか、またはgRNA配列中に挿入されるアプタマー配列の相互作用によって、ウイルス粒子中にパッケージングされる。gRNA配列は、本明細書において記載されている融合タンパク質中の少なくとも1つの非ウイルス性アプタマー結合タンパク質に結合し、CRISPR関連エンドヌクレアーゼと相互作用して、複合体(RNP)を形成する。
一部の場合には、提供される方法は、目的の標的遺伝子座を改変するためのものであり、方法は、前記遺伝子座に、CRISPR関連エンドヌクレアーゼおよび1つまたは複数の核酸構成成分を送達することを含み、CRISPR関連エンドヌクレアーゼは、1つまたは複数の核酸構成成分と複合体を形成し、前記複合体の目的の遺伝子座への結合の際に、CRISPR関連エンドヌクレアーゼは、目的の標的遺伝子座の改変を誘導する。好ましい実施形態では、改変は、鎖切断の導入である。本開示に関連して、CRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAを含有するレンチウイルス様粒子を使用して、改変されるべき目的の標的遺伝子座を含有する細胞に形質導入し、CRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAから細胞においてCRISPR関連エンドヌクレアーゼが発現される。
提供される方法では、CRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAを含有するレンチウイルス様粒子を、編集システムのgRNA構成成分を提供する他のウイルス粒子とともに使用してゲノム編集を達成できる。一部の場合には、複数の真核細胞は、CRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAおよびgRNAの両方を含有するレンチウイルス様粒子を用いて形質導入される。一部の場合には、複数の真核細胞は、CRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAを含有するレンチウイルス様粒子およびgRNAまたはgRNAコード配列を提供する第2のウイルス粒子を用いて形質導入される。第2のウイルス粒子が、RNAゲノムを含むウイルスの種類である場合には、ウイルス粒子は、gRNAまたはgRNAコード配列を含有し得る。例えば、第2のウイルス粒子は、gRNAを含有するレンチウイルス様粒子であり得る。別の例では、第2のウイルス粒子は、gRNAコード配列を含有するレンチウイルス粒子であり得る。第2のウイルス粒子が、DNAゲノムを含むウイルスの種類である場合には、ウイルス粒子は、gRNAコード配列が真核細胞プロモーターに作動可能に連結しているgRNAコード配列を含有する。別の例では、第2のウイルス粒子は、真核細胞プロモーターに作動可能に連結しているgRNAコード配列を含有するアデノウイルスまたはアデノ随伴ウイルスであり得る。
一部の場合には、目的の標的遺伝子座と会合している、または目的の標的遺伝子座にある配列をゲノム編集または改変する提供される方法は、CRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAを含むCRISPR/Casシステム構成成分を真核細胞中に導入し、それによって、CRISPR/Casシステム構成成分が効率的に機能して、DNA挿入部分を真核細胞のゲノム中に組み込むことを含む。ある特定の実施形態では、ゲノムは、哺乳動物ゲノムである。一部の場合には、DNA挿入部分の組込みは、非相同末端結合(NHEJ)または相同性組換え(homology-directed recombination)(HDR)によって促進される。一部の場合には、DNA挿入部分は、外因的に導入された標的鋳型配列、例えば、DNA鋳型または修復鋳型である。標的鋳型配列は、真核細胞中に存在するゲノム標的配列への所望の挿入または改変を有する核酸配列を含む。標的鋳型配列はまた、ゲノム標的配列に隣接するゲノムDNAに対して相同な核酸配列も含む。
標的鋳型配列は、標的鋳型配列を含有するアデノウイルス粒子、アデノ随伴ウイルスまたは組み込み欠陥レンチウイルス粒子を用いて細胞に形質導入することによって、真核細胞中に導入され得る。一部の場合には、アデノウイルス粒子、アデノ随伴ウイルスまたは組み込み欠陥レンチウイルス粒子はまた、真核細胞プロモーターに作動可能に連結したgRNAコード配列を含み得る。
相同組換え修復では、標的鋳型配列は、ドナー鋳型として作用し、細胞の天然DNA修復機序は、ゲノム標的配列への所望の挿入または改変を有する核酸配列の挿入をもたらす。この方法で実施されるゲノム改変は、新規遺伝子を挿入するため、または既存遺伝子をノックアウトするために使用され得る。CRISPR/Casシステム切断のNHEJ媒介性修復は、インデルエラーを生じる傾向があるので、意図するものが、目的のゲノム標的中にヌル対立遺伝子(「ノックアウト」)を作製することである場合に有用であり得る。NHEJによる修復の過程で生じたインデルエラーは、典型的には、小さい(1~10bp)が、極めて不均一である。結果として、フレームシフト突然変異を引き起こすNHEJ媒介性修復の約3分の2の機会がある。NHEJは、インデルを義務的に導入しない。二本鎖切断の末端構造(ヌクレオチド損傷のない平滑または平滑に近い末端)を考慮すると、インデルは稀であり、一部の場合には、修復事象の5%未満を占める。しかし、正確な修復の産物は、容易に再切断されるが、インデル産物はそうではなく(もはやgRNAと対形成しない)、そのため、ゲノムDNAのCRISPRシステム構成成分に対する長期曝露は、後者の産物の蓄積に好都合となる。一部の場合には、数百塩基対またはそれより多くの領域に隣接するgRNAの対は、NHEJが遠位末端を一緒に結合する場合には、染色体切断の対を同時に導入し、介在DNAの欠失(「ポップアウト」欠失)をもたらすことができる。同様に、適合するオーバーハングを含有する標的鋳型配列が使用されるという条件で、CRISPR関連エンドヌクレアーゼ標的化切断(または切断の対)において、NHEJ依存性修復(「ポップイン」挿入)によって外因性DNA断片を直接挿入することが可能であり得る。
記載されている方法は、機能のためにsgRNAの定常領域を必要とする任意のCRISPR関連エンドヌクレアーゼとともに使用され得る。これらは、それだけには限らないが、RNA誘導型部位特異的ヌクレアーゼを含む。例として、II型またはV型CRISPR/Casシステムをコードする任意の細菌種中に存在するヌクレアーゼが挙げられる。適したCRISPR関連エンドヌクレアーゼは、本開示を通して記載されている。例えば、制限するものではないが、部位特異的ヌクレアーゼは、Cas9ポリペプチドもしくはCpf1ポリペプチド、またはそれらの誘導体であり得る。
一部の場合には、CRISPR関連エンドヌクレアーゼは、活性のCas9ポリペプチドである場合があり、その結果、gRNAとの複合体の一部として、またはDNA鋳型との複合体の一部として標的核酸に結合している場合には、二本鎖切断が標的核酸中に誘導される。二本鎖切断は、ランダム突然変異を導入するためにNHEJによって修復されることも、または具体的な突然変異を導入するためにHDRによって修復されることもある。種々のCas9ヌクレアーゼが、本明細書において記載されている方法において利用され得る。例えば、ガイドRNAによって標的化される領域のすぐ3’にNGGプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)を必要とするCas9ヌクレアーゼを利用できる。このようなCas9ヌクレアーゼは、NGG配列を含有するゲノムの任意の領域に標的化される。別の例として、直交性PAMモチーフ必要条件を有するCas9タンパク質を利用して、隣接NGG PAM配列を有さない配列を標的化することができる。直交性PAM配列特異性を有する例示的Cas9タンパクとして、それだけには限らないが、Cpf1タンパク質ならびにその断片および誘導体、Esvelt et al., Nature Methods 10 (11):1116-1121 (2013)に記載されているもの、およびZetsche et al., Cell 163 (3):759-771 (2015)に記載されているものが挙げられる。
一部の例では、CRISPR関連エンドヌクレアーゼは、ニッカーゼである改変されたCas9タンパク質であり、その結果、gRNAとの複合体の一部として標的核酸に結合している場合には、一本鎖切断またはニックが標的核酸中に導入される。各々構造的に異なるガイドRNAに結合した一対のCas9ニッカーゼは、標的ゲノム領域の2つの近位部位に標的化され、したがって、標的ゲノム領域中に一対の近位一本鎖切断を導入できる。オフターゲット効果は、一般に塩基除去修復機序による損傷を伴わずに修復される単一ニックをもたらす可能性が高いので、ニッカーゼ対は、特異性の増強を提供できる。例示的Cas9ニッカーゼとして、D10AまたはH840A突然変異を有するCas9ヌクレアーゼが挙げられる。
一例では、レンチウイルス様粒子が、平滑末端化二本鎖切断を生成するCas9ポリペプチドをコードする場合、修復はNHEJによって容易に進行し得るので、方法を使用して、遺伝子を無能にすることができる。別の例では、レンチウイルス様粒子が、付着末端を生成するCpf1ポリペプチドをコードする場合、方法は、遺伝子を挿入するため、またはノックインを作製するなどのために、DNAの新規配列を組み込むことにおいて役立ち得る。一部の場合には、Cpf1タンパク質を使用して、遺伝子導入をもたらすことができる。しかし、いずれかのCRISPR関連エンドヌクレアーゼを使用して、遺伝子配列を導入する、または遺伝子を除去する(無能にする)ことができる。一部の場合には、改変されたCas9ニッカーゼを使用して、反対の鎖に互いに近い一本鎖切断を導入し、その結果、長いオーバーハングを有するDSBを得ることができる。
一般に、sgRNAは、遺伝子の、またはその付近の具体的な領域に標的化される。一部の場合には、sgRNAは、遺伝子の転写に影響を及ぼす領域に標的化される。例えば、sgRNAは、遺伝子の転写開始部位の5’(上流)の0~750bpの領域の、またはその付近の領域に標的化され得る。一部の例では、領域の0~750bp標的化は、sgRNA:非活性化CRISPR関連エンドヌクレアーゼによって転写活性化の増大を提供し得る、または提供する。例えば、sgRNAは、非活性化CRISPR関連エンドヌクレアーゼ、例えば、転写アクチベーターへのdCas9ポリペプチドと複合体を形成して、複合体による遺伝子の転写活性化の増大を提供できる。別の例として、sgRNAは、遺伝子の転写開始部位の3’(下流)の0~1000bp領域の、またはその付近の領域に標的化され得る。一部の例では、この領域を標的化することは、sgRNA:非活性化CRISPR関連エンドヌクレアーゼ複合体による転写抑制の増大を提供するために行われ得る。例えば、sgRNAは、CRISPR関連エンドヌクレアーゼ、例えば、転写阻害剤に連結されたdCas9ポリペプチドと複合体を形成して、複合体による遺伝子の転写抑制の増大を提供できる。
一部の例では、sgRNAは、ヌクレオソームを相対的に含まないと予測されるゲノム領域に標的化される。ヌクレオソームの局在および占有は、小球菌ヌクレアーゼ(MNアーゼ)を用いる酵素消化の使用によって、例えば、MNアーゼ-seq解析によってアッセイできる。したがって、一部の例では、sgRNAは、低MNアーゼ-Seqシグナルを有するゲノム領域に標的化される。一部の例では、sgRNAは、高度に転写的に活性であると予測される領域に標的化される。例えば、sgRNAは、RNAポリメラーゼII(Pol II)について相対的に高い占有を有すると予測される領域に標的化され得る。このような領域は、Pol IIクロマチン免疫沈降配列決定(ChIP-seq)によって同定され得る。したがって、一部の例では、sgRNAは、ENCODE-published Pol II ChIP-seqデータベース(Landt, et al., Genome Research 22(9):1813-1831 (2012))に開示されているような高Pol II ChIP-seqシグナルを有する領域に標的化される。別の例として、sgRNAは、ランオン配列決定(run-on sequencing)またはグローバルランオン配列決定(global run-on sequencing)(GRO-seq)によって同定されるように、高度に転写的に活性であると予測される領域に標的化され得る。したがって、一部の例では、sgRNAは、公開GRO-seqデータ(例えば、Core et al., Science. 2008 Dec 19;322(5909):1845-8;およびHah et al., Genome Res. 2013 Aug;23(8):1210-23)に開示されている高GRO-seqシグナルを有する領域に標的化される。
一部の場合には、本開示に記載されているようなシステム構成成分への改変は、真核細胞への形質導入後にシステム構成成分が機能する方法を損なわない。むしろ、構成成分は、真核細胞への形質導入の際、未改変構成成分と同様にまたはより良好に機能し得る。例えば、レンチウイルス様粒子中のウイルス性融合タンパク質は、真核細胞のレンチウイルス様粒子形質導入に干渉しない場合がある。同様に、レンチウイルス様粒子にパッケージングされた非ウイルス性RNA分子が、少なくとも1つのアプタマー配列を含む場合には、この少なくとも1つのアプタマー配列は、真核細胞のレンチウイルス様粒子形質導入に干渉しない場合がある。例えば、非ウイルス性RNA分子がCRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAである場合には、少なくとも1つのアプタマー配列の存在は、CRISPR関連エンドヌクレアーゼのmRNA分子からの発現を損なわない場合がある。別の例では、CRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAから、そのすぐ下流の少なくとも1つのアプタマー配列とともに発現されたCRISPR関連エンドヌクレアーゼは、その少なくとも1つのアプタマー配列を欠くmRNA分子から発現されるのと同程度に機能的であり得る。別の例では、少なくとも1つのアプタマー配列を含むgRNAは、任意のアプタマー配列を欠くgRNAと同程度に機能的であり得る。一部の場合には、ウイルス性融合タンパク質を含有するレンチウイルス様タンパク質は、真核細胞への形質導入の際に、ウイルス性融合タンパク質を含まないレンチウイルス様粒子に比べより大きな遺伝子編集をもたらし得る。一例では、ウイルス性融合タンパク質は、NC-ABP融合タンパク質、例えば、NC-MS2融合タンパク質またはNC-PP7融合タンパク質であり得る。一例では、NC融合タンパク質は、1つまたは2つのABP、例えば、1つまたは2つのMS2タンパク質、1つまたは2つのPP7タンパク質、または1つのMS2タンパク質と1つのPP7タンパク質に融合される。
真核細胞は、in vitro、ex vivoまたはin vivoであり得る。一部の実施形態では、細胞は、一次細胞(対象から単離された)である。本明細書で使用される場合、一次細胞は、形質転換または不死化されていない細胞である。このような一次細胞は、限定回数(例えば、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20回培養される)培養、継代培養または継代され得る。一部の例では、一次細胞は、in vitro培養条件に適応される。一部の例では、一次細胞は、生物、システム、臓器または組織から単離され、必要に応じて、選別され、培養または継代培養することなく直接利用される。一部の例では、一次細胞は、刺激され、活性化され、または分化される。一部の実施形態では、細胞は、改変された細胞の集団を拡大するのに有効な条件下で培養される。一部の実施形態では、本明細書において提供される方法のいずれかによって改変された細胞は、精製される。一部の例では、細胞は、対象から回収され、本明細書において記載されている方法のいずれかを使用して改変され、患者に再投与される。
一部の場合には、細胞が上記のウイルス粒子を用いて形質導入されたら、細胞は、遺伝子編集が生じるのに十分な時間量の間培養され、その結果、検出可能な表現型を発現する細胞のプールを、複数の形質導入された細胞から選択できる。表現型は、例えば、細胞増殖(growth)、生存または増殖(proliferation)であり得る。一部の例では、表現型は、薬剤、例えば、細胞傷害剤、癌遺伝子、腫瘍サプレッサー、転写因子、キナーゼ(例えば、受容体チロシンキナーゼ)、プロモーター(例えば、異種プロモーター)の制御下の遺伝子(例えば、外因性遺伝子)、チェックポイント遺伝子または細胞周期レギュレーター、増殖因子、ホルモン、DNA損傷剤、薬物、または化学療法薬の存在下での、細胞増殖(growth)、生存または増殖(proliferation)である。表現型はまた、タンパク質発現、RNA発現、タンパク質活性、または細胞運動性、遊走もしくは浸潤性であり得る。一部の例では、細胞を表現型に基づいて選択することは、細胞の蛍光活性化細胞選別、親和性精製または細胞運動性に基づく選択を含む。
一部の例では、細胞を選択することは、例えば、増幅、配列決定、SNP解析などによる細胞のゲノムDNAの解析を含む。配列決定法として、それだけには限らないが、ショットガン配列決定、ブリッジPCR、Sanger配列決定(マイクロ流体Sanger配列決定を含む)、パイロ配列決定、超並列署名配列決定、ナノポアDNA配列決定、単一分子リアルタイム配列決定(SMRT)(Pacific Biosciences、カリフォルニア州、メンローパーク)、イオン半導体配列決定、ライゲーション配列決定、合成による配列決定(Illumina、カリフォルニア州、サンディエゴ)、Polony配列決定、454配列決定、固相配列決定、DNAナノボール配列決定、ヘリスコープ(heliscope)単一分子配列決定、マススペクトロスコピー配列決定、パイロ配列決定、Supported Oligo Ligation Detection(SOLiD)配列決定、DNAマイクロアレイ配列決定、RNAP配列決定、トンネル電流DNA配列決定および将来同定される任意の他のDNA配列決定法が挙げられる。本明細書において記載されている配列決定法のうち1つまたは複数を、ハイスループット配列決定法において使用できる。本明細書で使用される場合、「ハイスループット配列決定」という用語は、1つより多い核酸配列が所与の時間で配列決定される、核酸を配列決定することに関するすべての方法を指す。
他のものは、レンチウイルス粒子を使用して、CRISPR/Cas構成成分を真核細胞に送達することの有用性を評価した。Choi et al., Gene Therapy 23(7): 627-633 (2016)には、Cas9コード配列が、レンチウイルスゲノム中に挿入され、その結果、Cas9タンパク質を含有するレンチウイルス粒子が得られたシステムが記載された。そのシステムは、低いウイルス力価および低い遺伝子編集活性を有する。Choiらのシステムと比較して、本明細書において記載されているシステムおよび構成成分の利点として、1)従来のレンチウイルスシステムと同様の力価のレンチウイルス様粒子の産生、2)複数のCRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNA分子の、各レンチウイルス様粒子へのパッケージング、各mRNAは複数のCRISPR関連エンドヌクレアーゼタンパク質の翻訳に有用である、および3)レンチウイルス様粒子にパッケージングされたmRNA分子から発現されたCRISPR関連エンドヌクレアーゼが、十分に活性であり、翻訳後プロセシングを必要としないことが挙げられる。例えば、Choiらは、30%のインデル率を得ること(150ngのP24を反映する粒子を使用して)を記載している。対照的に、本開示に記載されているレンチウイルス様粒子を使用する場合に、本開示の発明者らによって80%を超えるインデル率が観察された(45ngのP24;2×104個のHEK293T細胞;鎌状赤血球突然変異補正を反映する粒子)。
他のものは、mRNAを真核細胞に送達するためにレンチウイルス粒子を使用することの有用性を評価した(Mock et al., Scientific Reports 4: 6409 (2014)およびPrel et al., Molecular Therapy Methods & Clinical Development 2: 15039 (2015))。いずれのグループも、レンチウイルス様粒子を使用して、CRISPR/Casシステム構成成分を真核細胞中に導入することの有効性を評価しなかった。Mockらは、レンチウイルスゲノムを使用して、TALEN mRNA分子を送達した。このシステムでは、ウイルス粒子あたりTALEN mRNA分子の2コピーのみがパッケージングされた。TALEN mRNAからの翻訳の程度は比較的低く、不十分な遺伝子編集活性につながった。本開示の発明者らは、SaCas9 mRNA分子を、遺伝子編集事象を検出するために有用なGFPレポーター真核細胞に送達するためにMockらのシステムを試験した。ゲノム中にSaCas9コード配列が挿入されたレンチウイルスを、不活性化された逆転写酵素をコードするパッケージングプラスミドを使用してパッケージングした。得られたレンチウイルス粒子を、HBB sgRNA1を発現するレンチウイルスと共に用いて、実施例に記載されたGFPレポーター細胞に同時形質導入した。GFP+レポーター細胞は検出できず、遺伝子編集が生じなかったことを示した。このように、Mockらによって記載されたシステムは、CRISPR/Casシステム遺伝子編集にとって有用ではなかった。Prelらは、in vivoおよびin vitroでレンチウイルス粒子を使用して、Cre mRNA分子を真核細胞中に送達した。レンチウイルス様粒子は、NCタンパク質の第2のジンクフィンガードメインがMS2タンパク質で置き換えられたNC融合タンパク質を含有していた。Cre mRNAはまた、3’UTRに付加された12コピーのMS2アプタマー配列を有していた。そのシステムは、非効率的なウイルス粒子産生およびCre mRNA分子のウイルス粒子への低コピー数のパッケージングを有していた。Prelらのシステムと比較して、本開示のシステムは、ウイルス粒子を効率的に生成し、ウイルス粒子あたり、高コピー数の非ウイルス性RNA分子を有する。Prelらは、粒子あたり、5~6コピーのCre mRNAのパッケージングを観察することを報告した。対照的に、NC-MS2融合タンパク質を発現するために作製された本開示に記載されているレンチウイルス様粒子(パッケージングプラスミドとしてのプラスミド番号11)を使用して、本開示の発明者らは、SaCas9 mRNAがヒトHBB 3’UTRを用いて改変された場合(プラスミド番号36)に、粒子あたり100コピーのSaCas9 mRNAを観察し、またはヒトHBB 3’UTRが付加されなかった場合(プラスミド番号16)に、粒子あたり30コピーのSaCas9 mRNAを観察した。
VIII.処置の方法
本明細書において記載されている方法および組成物のいずれかを使用して、対象において疾患(例えば、がん、血液障害(例えば、鎌状赤血球貧血またはベータサラセミア)、感染性疾患、自己免疫疾患、移植拒絶、移植片対宿主病または他の炎症性障害)を処置できる。
一部の方法では、処置されるべきがんは、B細胞起源のがん、乳がん、胃がん(gastric cancer)、神経芽細胞腫、骨肉腫、肺がん、結腸がん、慢性骨髄性がん、白血病(例えば、急性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病(CLL)または急性リンパ球性白血病(ALL))、前立腺がん、結腸がん、腎細胞癌、肝臓がん、腎臓がん、卵巣がん、胃がん(stomach cancer)、精巣がん、横紋筋肉腫およびホジキンリンパ腫から選択される。一部の実施形態では、B細胞起源のがんは、B系統急性リンパ性白血病、B細胞慢性リンパ球性白血病およびB細胞非ホジキンリンパ腫からなる群から選択される。
一部の方法では、対象の細胞は、in vivoで改変される。一部の方法では、対象において疾患を処置する方法は、a)対象から細胞を得ること、b)本明細書において提供される方法のいずれかを使用して細胞を改変すること、およびc)改変された細胞を対象に投与することを含む。必要に応じて、疾患は、対象におけるがん、血液障害(例えば、鎌状赤血球貧血またはベータサラセミア)、感染性疾患、自己免疫疾患、移植拒絶、移植片対宿主病または他の炎症性障害からなる群から選択される。がんを処置する一部の方法では、対象から得られた細胞が、腫瘍特異的抗原を発現するように改変される。全体を通して使用される、「腫瘍特異的抗原」という語句は、がん細胞に対して独特である、またはがん細胞において非がん性細胞においてよりも多量に発現される抗原を意味する。必要に応じて、対象から得られた細胞は、T細胞である。必要に応じて、改変された細胞は、対象への投与の前に拡大される。
本開示で論じられるすべての特許、特許刊行物、特許出願、ジャーナル記事、書籍、技術参考文献などは、すべての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本開示の図面および説明は、本開示の明確な理解に関連する要素を説明するために簡略化されていることを理解されたい。当然のことではあるが、図面は、構成図としてではなく、説明の目的で提示されている。省略された詳細および改変または代替実施形態は、当業者の範囲内である。
本開示のある特定の態様では、要素または構造を提供するため、または所与の機能(単数または複数)を実行するために、単一の構成要素を複数の構成要素によって置き換えることができ、複数の構成要素を単一の構成要素によって置き換えることができることを理解されたい。そのような置換が本開示のある特定の実施形態を実施するために機能しない場合を除いて、そのような置換は、本開示の範囲内であると企図される。
本明細書に提示される実施例は、本開示の潜在的かつ具体的なインプリメンテーションを説明することを意図している。実施例は、主に当業者のための本開示の説明を目的として意図されていることが理解され得る。本開示の趣旨から逸脱することなく、本明細書において記載されているこれらの図面または操作の変形形態があり得る。例えば、ある特定の場合には、方法ステップまたは操作は、異なる順序で実施または実行されることがあり、操作は、付加、欠失または改変されることがある。
値の範囲が提供される場合には、文脈が明確に別段の指示をしない限り、その範囲の上限と下限との間の、下限の単位の最小部分までの各介在値も具体的に開示されることが理解される。記載された範囲内の任意の記載された値または記載されていない介在値と、その記載された範囲内の任意の他の記載された値または介在する値との間の任意のより狭い範囲が包含される。これらのより小さな範囲の上限と下限は、独立して範囲に含まれるか除外される場合があり、いずれか、または両方の限界がそのより小さな範囲に含まれる、または含まれない各範囲も、記載された範囲中の任意の具体的に排除された限界の影響を受ける技術内に包含される。記載された範囲が、限界の一方または両方を含む場合、それらの含まれる限界のいずれかまたは両方を除外する範囲も含まれる。
図面に表される、または上記の構成要素ならびに示されていないまたは説明されていない構成要素およびステップの異なる配置があり得る。同様に、一部の特性および部分組合せが有用であり、他の特性および部分組合せを参照することなく用いられ得る。本開示の実施形態は、制限目的ではなく例示目的で説明されているが、代替実施形態は、本特許の読者には明らかとなろう。したがって、本開示は、上記の、または図面に表される実施形態に限定されず、以下の特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の実施形態および改変を行うことができる。
(実施例1)
材料および方法
次世代配列決定およびデータ解析。QIAamp DNA Miniキット(Qiagen、メリーランド州、ジャーマンタウン)を製造業者の使用説明書に従って用いて、細胞からゲノムDNAを単離した。次世代配列決定解析のために2つのDNA領域を増幅した。配列決定の内因性HBB標的配列を増幅するために、ウイルスベクター鋳型に由来する配列を増幅することを避けるためにネステッドPCR戦略を使用した。まず、プライマーHBB-1849FおよびHBB-5277R(配列番号96および97)を使用して、HBB遺伝子座から3.4kbの領域を増幅した。これらの2つのプライマーは、ウイルスベクター中の鋳型から配列を増幅できない。次いで、HBB-MUT-FおよびHBB-MUT-Rプライマーを使用して、配列決定のために標的DNAを増幅した(表3;配列番号34~40)。配列決定のために、組み込まれたEGFPレポーターからHBB標的部位を増幅するために、レポーター-mut-Fおよびレポーター-mut-Rプライマーを使用した(表3;配列番号98~102)。PCRのためにKAPA Biosystems(マサチューセッツ州、ウィルミントン)製のプルーフリーディングHotStart(登録商標)ReadyMixを使用した。Javidi-Parsijani, P. et al., PLoS One 2017; 12(5): e0177444によって以前に記載されているようにIllumina NextSeq 500を使用して次世代配列決定によってPCR産物を解析した。配列決定データの突然変異解析のために、Park, J. et al., Bioinformatics 33(2):286-288 (2017)によって記載されているCas-Analyzerオンラインソフトウェアを使用した。
プラスミド。pRSV-Rev(Addgeneカタログ番号12253)、pMD2.G(Addgeneカタログ番号12259)、pMDLg/pRRE(Addgeneカタログ番号12251)、psPAX2(Addgeneカタログ番号12260)、psPAX2-D64V(Addgeneカタログ番号63586)、pSL-MS2x12(Addgeneカタログ番号27119)およびpX601-AAV-CMV::NLS-SaCas9-NLS-3xHA-bGHpA;U6::BsaI-sgRNA(Addgeneカタログ番号61591)。pCDH-GFPは、Systems Biosciences Inc.から購入した(カタログ番号CD513B-1)。表2に記載されているプラスミドは、本開示の発明者らによって製造され、以下の実施例において使用された。以下で同定されるような合成DNA配列は、特別注文に基づいてGenScriptによって合成された。以下の表3に列挙されたプライマーは、特別注文に基づいてEurofins Genomicsによって合成された。
表2.実施例において使用されるプラスミド
表3.実施例において使用されるプライマー
遺伝子編集活性を評価するためのアッセイ。遺伝子編集を評価するために、鎌状赤血球症を引き起こす突然変異された配列を、編集のためのゲノム標的配列として選択した。鎌状赤血球症を引き起こす遺伝子欠陥は、ヒトベータヘモグロビン遺伝子のAヌクレオチドのTヌクレオチドへの点突然変異(GAGコドンをGUGに変換する)であり、この結果、β-グロビンタンパク質のアミノ酸6位でグルタミン酸(E/Glu)が、バリン(V/Val)によって置換される。標的化される鎖の配列は、
であり、この配列の最初の6ヌクレオチド(下線が引かれている)は、プロトスペーサー隣接するモチーフに対応する。2つのアッセイを使用して、遺伝子編集活性を検出した:(1)GFP-レポーターアッセイおよび(2)Surveyor(登録商標)突然変異検出キット(Integrated DNA Technologies、カタログ番号706020)。
GFP-レポーターアッセイのために、Javidi-Parsijani, P. et al., PLoS One 2017; 12(5): e0177444に記載されている増強された緑色蛍光タンパク質(EGFP)レポーター細胞(実施例を通して「GFPレポーター細胞」または「レポーター細胞」と呼ばれる)を、GFP陽性細胞の顕微鏡観察またはフローサイトメトリー解析によるゲノム編集活性の検出のために使用した。この細胞系は、EGFP cDNAの開始コドンATGと第2のコドンとの間への119塩基対配列の挿入によるEGFPリーディングフレームの破壊によって、EGFPを発現しない(挿入は、40のインフレームコドンを作製するために1bpを失っている)。119bp挿入は、
であり、57bpのIL2RG標的配列(下線が引かれている)および62bpのHBB標的配列(大文字にされている)を含有する。ゲノム編集を行わなければ、EGFPリーディングフレームを破壊する挿入の存在によってEGFPは発現されない。これは、トランスフェクトされていないレポーター細胞における、および任意のsgRNAを有さないSaCas9を発現するプラスミドDNAをトランスフェクトされたレポーター細胞におけるEGFP陽性細胞の不在によって確認された。挿入された配列におけるゲノム編集の際に、非相同末端結合によって二本鎖切断が修復される。挿入または欠失(インデル)を導入する可能性によって、3N+2塩基対の欠失または3N+1塩基対の挿入は、EGFPリーディングフレーム、したがって、EGFPタンパク質発現を回復させる。
レポーター細胞が機能的であったか否かを試験するために、細胞にSaCas9 mRNAおよびHBBのsgRNAを含有するアデノ随伴ウイルス粒子(pSaCas9-HBB-sgRNA1;プラスミド番号22から作製された)を用いて形質導入した。フローサイトメトリー解析は、4.5%~15%の細胞が、トランスフェクションの24時間後にEGFP陽性であることを示した。形質導入の3日後にレポーター細胞から得たゲノムDNAを精製し、レポーター領域を、高忠実度DNAポリメラーゼを用いるPCRによって増幅し、次世代配列決定によって標的領域を配列決定した。インデルを有する配列のパーセンテージを解析した。リードの68%が、インデルを有するとわかった。一部のインデルのみが、EGFP発現を回復させるので、トランスフェクションの72時間後に解析を実施し、インデル率より低いEGFP陽性率が観察されたことは驚くべきことではない。これらのデータは、レポーター細胞が機能的であり、本開示に関連して遺伝子編集事象の解析にとって有用であることを示す。
Surveyor(登録商標)突然変異検出キットを、キットのマニュアルに従って使用して、遺伝子編集活性を検出した。キットの重要な構成成分、Surveyorヌクレアーゼ、ミスマッチ特異的ヌクレアーゼのCELファミリーのメンバーは、単一ヌクレオチド多型(SNP)または小さい挿入もしくは欠失の存在に起因するミスマッチを認識し、切断する。手短には、標的配列を、KAPA Biosystems(マサチューセッツ州、ウィルミントン)製のプルーフリーディングHotStart ReadyMix、高忠実度熱安定性DNAポリメラーゼを使用して増幅して、バックグラウンドミスマッチをもたらすエラーの組み込みを最小にした。増幅されたDNAを95℃で5分間変性し、温度を室温へゆっくりと低下させることによって再生した。次いで、DNAをSurveyorヌクレアーゼを用いて処置して、ミスマッチを切断した。切断されたDNA断片を、アガロースゲル電気泳動によって分離し、臭化エチジウムを用いて染色し、UV光下で観察した。
Cas9 mRNAのレンチウイルス様粒子へのパッケージング。Javidi-Parsijani, P. et al., PLoS One 2017; 12(5): e0177444に記載されているようにAddgene第2または第3世代パッケージングシステムを用いて、ゲノムを有するレンチウイルス様粒子を産生した。SaCas9 mRNAをレンチウイルス様粒子中にパッケージングするために、プラスミドの所望の組合せをHEK293T細胞にトランスフェクトした。トランスフェクションは、1:2のDNA:PEI比(質量:質量)を使用してポリエチレンイミン(PEI、Polysciences Inc.)によって媒介された。表4は、ある特定のCas9 mRNAがパッケージングされたレンチウイルス様粒子を作製するために使用された例示的条件を提供する。細胞培養およびDNAトランスフェクションは、Javidi-Parsijani, P. et al., PLoS One 2017; 12(5): e0177444に記載されているとおりに実施した。ウイルス粒子は、濃縮せずに、または3つの異なる方法:1)ウイルス粒子を含有する上清を、10mlの20%スクロースクッション上に層にし、次いで、20000g、4℃で4時間遠心分離することによる、2)Lenti-X(商標)濃縮器を製造業者のプロトコールを使用して使用することによる(Clontech、カタログ番号631232)、3)KR2i TFFシステム[KrosFlo(登録商標)Research 2i Tangential Flow Filtrationシステム](Spectrum Lab、カタログ番号SYR2-U20)のうち1つによる濃縮後のいずれかで使用した。形質導入実験によって、第3の方法によって産生されたウイルスが最良に働く(GFPレポーターアッセイにおいて生成したGFP陽性細胞のパーセンテージによって判定された)ことがわかり、そのため、ほとんどのデータは、この方法によって濃縮されたウイルス粒子を用いて生成された。
表4. SaCas9 mRNAを負荷したレンチウイルス粒子を作製するために、HEK293T細胞にトランスフェクトするために使用されたプラスミドDNA
a
aトランスフェクションの24時間前に13×10
6個の細胞を15cmのディッシュに播種した。
ウイルス力価検出。ウイルス力価は、QuickTiter(商標)レンチウイルス力価キット(Cell Biolabs、カタログ番号VPK-107)を使用して酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)によってp24を測定することによって決定した。製造業者の使用説明書の通りに、可溶性p24タンパク質が検出されないように、ELISA解析の前にウイルス粒子を沈殿させた。
ウイルスRNA単離および定量化。2つの方法を使用して、ウイルスRNAを単離した。1つの方法では、ウイルス粒子を120,000gで90分間遠心分離し、次いで、miRNeasy Miniキット(QIAGEN(登録商標)、カタログ番号217004)を用いてウイルスRNAを精製した。あるいは、ウイルスRNAを、QIAamp Viral RNA Miniキット(QIAGEN(登録商標)、カタログ番号52904)を用いて140μlのウイルス上清から直接単離した。QuantiTect(登録商標)逆転写キット(QIAGEN)を用いてウイルスRNAの逆転写を行った。定量的PCR(QPCR)のために特別設計されたTaqMan(商標)プローブを使用した。定量化は、QPCRによって、またはデジタルPCRによって実施した。SYBR(商標)Green qPCRマスター混合物(ThermoFisher)を使用して、標準曲線法を使用する絶対QPCRを実施した。50、500、5000、50000および500000コピーのpSacas9-HBB-sgRNA1(SaCas9およびsgRNAについて)またはpCDH-GFP(EGFPについて)プラスミドDNAを用いて標準曲線を準備した。標準を準備するために使用したプラスミドDNAの濃度は、NanoDrop(商標)2000(カタログ番号ND-2000)分光光度計(ThermoFisher)を使用して決定した。PCRを、ABI7500機器(Applied Biosytems、ThermoFisher)で実行した。PCR産物の特異性を決定するために、増幅後に解離解析を実施した(解離曲線中に1つのピークのみが観察された場合は、増幅は特異的であった)。あるいは、QuantStudio(商標)3D Digital PCRシステム(ThermoFisher Scientific)を用いて、定量化のためにデジタルPCRを実施した。
レンチウイルス様粒子およびレンチウイルス粒子形質導入。上記のように種々の量の濃縮されたウイルス粒子(10~200ngのp24タンパク質と等価)を、GFP-レポーター細胞(2×104個)に添加し、DMEM/10%FBS中、8~12μg/mlのポリブレンとともに24ウェルプレートで増殖させた。非濃縮ウイルスを含有する上清を使用して、半分の新鮮培地および半分のウイルス含有上清を用いてGFP-レポーター細胞に形質導入した。細胞を、ウイルス含有培地とともに12時間インキュベートし、その後、培地を、10%FBSを有する新鮮DMEM培地と置き換えた。
ヒト細胞からのゲノムDNA抽出。QIAamp DNA Miniキット(Qiagen、メリーランド州、ジャーマンタウン)を製造業者の使用説明書に従って用いて、細胞からゲノムDNAを単離した。
ウエスタンブロッティング。レンチウイルスまたはレンチウイルス様粒子(200ng)を、50μlの1×SDSローディング緩衝剤に直接溶解し、95℃で5分間加熱した。SDS-PAGEによってタンパク質を分離し、PVDF膜に転写し、抗p17抗体(Fisher Scientific、カタログ番号PA14954、1:1000)を用いてMA(p17)について、抗p24抗体(Cell Biolabs、カタログ番号310810、1:1000)を用いてCA(p24)について、および抗p15抗体(Abcam、カタログ番号ab66951、1:1000)を用いてNCについてイムノブロットした。西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)がコンジュゲートされた二次抗体および化学発光試薬は、ThermoFisher Scientificから購入した。ウエスタンブロッティング画像を獲得するためにLAS-3000システム(Fujifilm)を使用した。タンパク質バンドのデンシトメトリーは、Image Jソフトウェアを用いて解析した。
(実施例2)
SaCas9 mRNAパッケージングのためのMS2コートタンパク質(MCP)のレンチウイルスタンパク質への融合。
目的は、バクテリオファージコートタンパク質と、そのそれぞれのRNAアプタマーとの間の高親和性相互作用を使用して、SaCas9 mRNAをレンチウイルス様粒子にパッケージングすることであった。アプタマー結合タンパク質は、種々のレンチウイルスタンパク質と融合していた。対応するアプタマー配列を、SaCas9の3’非翻訳領域(UTR)に付加した(図2を参照のこと)。4種の異なるレンチウイルスタンパク質を、よく使用されるアプタマー結合タンパク質であるMS2コートタンパク質(MCP)の融合レシピエントとして試験した。これらの融合タンパク質は、HIVアクセサリータンパク質ウイルスタンパク質R(VPR)(Wu, Liu et al., J. Virol. 69(6):3389-3398 (1995))およびネガティブ調節因子ならびにHIV構造タンパク質ヌクレオカプシドタンパク質(NC)およびマトリックスタンパク質(MA)(それぞれ、MCP×2-VPR、NEF-MCP×2、NC-MCP×2およびMA-MCP×2と呼ばれる)であった。NEFタンパク質は、Muratori, C., et al., Methods Mol Biol 2010; 614: 111-124に記載されているように、レンチウイルス様粒子への組込みを増大するために3つの突然変異(G3C、V153LおよびG177E)を含んでいた。公開された研究Wu, X., et al., J Virol 1995; 69(6): 3389-3398およびMuratori, C., et al., Methods Mol Biol 2010; 614: 111-124に従って、MCPの2つのタンデムコピーを、VPRのN末端およびNEFのC末端に融合した。NC融合タンパク質については、MCPの2コピーを、パッケージングプラスミドpMDLg/pRRED64V(第3世代パッケージングプラスミド)およびpsPAX2D64V(第2世代パッケージングプラスミド)中のGag前駆体タンパク質のNCジンクフィンガー2の後に挿入し、NC/P1プロテアーゼ切断部位を保存した。MA融合タンパク質については、これらのパッケージングプラスミド中のMAのアミノ酸44~132を、MCPの2コピーと置き換えた。MA中のこの領域を欠失することは、ウイルス粒子組み立てまたは出芽に干渉しないことが公知である(Jalaguier, P., et al., PLoS One 2011; 6(11): e28314)。MCPとMAまたはNCを融合することは、Gag前駆体タンパク質のリーディングフレームまたはプロテアーゼプロセシング部位を破壊しなかった。
レンチウイルスベクター産生の際にMCP×2-VPRまたはNEF-MCP×2を発現させることも、MCPをNCまたはMAと融合させることも、レンチウイルス粒子産生の効率を損なわなかった。P24 ELISAは、これらの状況では、レンチウイルス産生は、MCP融合を有さないパッケージングプラスミドによるウイルス産生と同等に効率的であることを示した(表5)。使用された対照は、MCP融合を有さない未改変パッケージングプラスミドであった。プラスミド名は、pspAX2-D64Vである。
表5.種々の融合タンパク質を有するパッケージングプラスミドのウイルス性産生効率および遺伝子編集活性
a GFP発現レンチウイルスベクターpCDH-GFPをパッケージングした。融合タンパク質を有さない対照パッケージングプラスミドのウイルス性産生効率を、100%と設定した。平均±標準誤差を示した。括弧中の数字は、各群の反復数を意味する。ANOVA分析によって群間に差は認められなかった。
bレンチウイルス様粒子産生の際にSaCas9
1xMS2が発現された。4×10
4個のGFPレポーター細胞に、250μlの未濃縮レンチウイルス様粒子を、HBB sgRNA1を発現するレンチウイルスベクターとともに用いて同時形質導入した。
***は、NC-MCP融合物から得たウイルス粒子が、MCP融合を有さないパッケージングプラスミドによるウイルス粒子と比較した場合のp<0.0001を示す。
次いで、これらの融合タンパク質の、遺伝子編集に対する影響を評価した。1コピーのMS2アプタマーを、表2に記載されている通りに、SaCas9 mRNA(SaCas91xMS2)の停止コドンの後に付加した。レンチウイルス様粒子を作製し、実施例1に記載されているようにSaCas91xMS2をパッケージングした。SaCas91xMS2mRNAは、4つの異なる融合タンパク質のうち任意の1種の存在下でのレンチウイルス様粒子産生の際にHEK293T細胞において転写された(ウイルス粒子が作製される方法については表4を参照のこと)。実施例1に記載されているように、未濃縮ウイルス様粒子(回収された培地)を、ヒトベータヘモグロビン(HBB)sgRNA1(プラスミド番号35、pFCK-HBB-sgRNA1)を発現するレンチウイルスベクターと共に用いて、GFP-レポーター細胞に同時形質導入した。これらのレポーター細胞における遺伝子編集は、EGFP開始コドンの後に挿入されたHBB標的配列中に挿入または欠失(インデル)をもたらし、これがEGFPリーディングフレームを回復させる。未改変パッケージングプラスミドから産生されたウイルス様粒子は、約2.5%のGFP+レポーター細胞をもたらした。VPR-MCP、NEF-MCPおよびMA-MCP融合タンパク質を発現するウイルス様粒子は、GFP+レポーター細胞を有意に増大しなかったが、NC-MCP融合物は、5%を超えるGFP+レポーター細胞を生成した(表5を参照のこと)。レポーター細胞中のインデルの3分の1だけがEGFPリーディングフレームを回復できるので、遺伝子編集事象の3分の1だけが、これらのレポーター細胞を使用して検出可能である(Javidi-Parsijani, P., et al., PLoS One 2017; 12(5): e0177444を参照のこと)。したがって、NC-MCP融合タンパク質を発現する未濃縮レンチウイルス様粒子は、レポーター細胞の15%超において(3×5%という検出された率)インデルを作製できた。さらに、GFP+細胞は、レンチウイルス様粒子が、HBB sgRNA1を発現するレンチウイルスベクターと共に用いられて同時形質導入された場合にのみ観察できた。したがって、遺伝子編集事象は、融合タンパク質レンチウイルス様粒子およびHBB sgRNA1を保持するウイルス粒子両方によって形質導入された細胞のみに限定された。このように、システムにおいてNC-MCP融合タンパク質粒子が使用される場合に生じる遺伝子編集の率は、15%より大きい可能性が高い。これらの結果を考慮して、RNA結合アプタマータンパク質との融合のレシピエントタンパク質としてNCを使用して、さらなる実験を実施した。
NCに融合されたMCPの1または2コピーを有するパッケージングプラスミドの性能を比較した(プラスミド番号11および13)。NC-MCP×1パッケージングプラスミドによって作製されたウイルス様粒子を含有するSaCas91xMS2は、NC-MCP×2パッケージングプラスミドによって作製された粒子よりも、GFPレポーターアッセイにおいて多くのGFP+細胞を産生した(NC-MCP×1:6.2%±0.1%、N=4;NC-MCP×2:4.8%±0.4%、N=4;p<0.05)。これらの結果を考慮して、特に断りのない限り、その後の実験においてNC-MCP×1パッケージングプラスミドを使用した。
レンチウイルスEnvタンパク質VSV-Gは、細胞外小胞産生を促進するので(Rolls, M.M., et al., Cell 1994; 79(3): 497-506)、増大したレンチウイルス様粒子へのパッケージングよりも細胞外小胞から、SaCas91xMS2mRNAがレポーター細胞中に導入され得る可能性があった。これを試験するために、NC-MCP×1を発現するレンチウイルス様粒子(psPAX2-D64V-NC-MS2、プラスミド番号11を使用して)またはレンチウイルスパッケージングタンパク質を全く発現しなかった、mRubyを発現するプラスミド(pKanCMV-mRuby3-10aa-H2B;Addgeneカタログ番号74258)(mRubyは、赤色蛍光タンパク質である)を使用して作製された対照によって誘導される遺伝子編集率を比較する実験を実施した。mRubyを発現するプラスミドは、レンチウイルスパッケージングタンパク質を全く発現せず、そのため、それから単独でレンチウイルスは産生されない。レンチウイルス様粒子ではなく細胞外小胞が、Cas9 mRNAトランスファーを媒介する構造である場合は、mRuby mRNAまたはプラスミドは、細胞外小胞に同様に組み込まれるはずであり、mRubyタンパク質は、Cas9タンパク質と同様の効率で発現されるはずである。粒子は、実施例1に記載されているように産生され、超遠心分離によって濃縮されており、これは、レンチウイルス様粒子および細胞外小胞の両方とも沈殿させると予測された。遺伝子編集を測定するために、沈殿物を、HBB sgRNA1を含有するレンチウイルス粒子と一緒に使用してGFPレポーター細胞に形質導入した。NC-MCP改変パッケージングプラスミドを用いて作製された粒子は、10%を超えるGFP+レポーター細胞を生成したのに対し、代わりにmRubyプラスミドを用いて作製した粒子は、1%未満のGFP+レポーター細胞および1%未満のmRuby+レポーター細胞しか生成しなかった。NC-MCP×1を含有するレンチウイルス様粒子を含有する沈殿物は、Cas9 mRNAも含有し、これによって、高いGFP+レポーター細胞率が観察された。NC-MS2パッケージングプラスミドなしでは(mRubyプラスミドによって置き換えられた)、沈殿物は、細胞外小胞のみを含有し、これによって、低いGFP+レポーター細胞率が観察された。これは、細胞外小胞が、Cas9 mRNAまたはmRuby mRNAをあまり有さない(mRubyもまた低いパーセンテージ)ことを示した。VSV-Gは両条件で発現されたので、重要な相違は、NC-MCP改変パッケージングプラスミドが使用されたか否かであった。結果は、細胞外小胞は、このシステムにおけるGFP+レポーター細胞の生成において重要な役割を果たさないということを示唆する。
GFP+レポーター細胞がレンチウイルス様粒子産生から残ったプラスミドDNAによって簡単に生成されるか否かを試験するために、NC-MCP改変パッケージングプラスミド(プラスミド番号11)を用いるレンチウイルス様粒子産生の際に、SaCas91xMS2mRNAおよびHBB sgRNA1の両方を発現するプラスミド(プラスミド番号40、pSaCas91xMS2-HBB-sgRNA1)をパッケージング細胞にトランスフェクトした。sgRNA1は、アプタマー配列を含まない。したがって、SaCas91xMS2mRNAおよびHBB sgRNA1の両方がプラスミドから転写されるが、SaCas91xMS2mRNAのみが、検出可能な効率でレンチウイルス様粒子中にパッケージングされることができた。得られたレンチウイルス様粒子を、単独で(条件1)またはHBB sgRNA1を含有するレンチウイルス粒子と組み合わせて(プラスミド番号35を使用して作製された)(条件2)使用してGFPレポーター細胞に形質導入した。条件2では、10%のGFP+レポーター細胞が観察されたが、条件1では3%未満のGFP+細胞しか観察されなかった。GFP-レポーター細胞にpSaCas91xMS2-HBB-sgRNA1 DNAを単純にトランスフェクトすることによって、10%を超えるGFPレポーター細胞が生成した。このデータは、レンチウイルス様粒子産生の際に残ったプラスミドDNAが、SaCas91xMS2mRNAの主要な寄与ではないことを示唆し、SaCas91xMS2mRNAはレンチウイルス様粒子中にパッケージングされるという結論を支持する。
(実施例3)
SaCas9 mRNA安定性に対するMS2アプタマーの効果
2つの可能性ある機序が、SaCas90xMS2mRNAのレンチウイルス様粒子へのパッケージングに寄与する可能性がある。第1に、Rulli, S.J., et al., J Virol 2007; 81(12): 6623-6631によって記載されているように、細胞性mRNA(SaCas9 mRNAを含む)は、レンチウイルス様粒子中に非特異的にパッケージングされ得る。第2に、SaCas9 mRNAは、NC-MCP融合タンパク質または他のレンチウイルスタンパク質が結合し得るいくつかのRNA構造を有する可能性がある。GFP細胞レポーターアッセイによって、SaCas91xMS2またはSaCas90xMS2のいずれかを含有する未濃縮レンチウイルス様粒子のゲノム編集活性が比較された場合、この2つによって生成したGFP+細胞のパーセンテージは、ほとんど相違を示さなかった(9.4%±0.1%、N=4;9.1%±0.2%、N=4;p=0.17)。アプタマーは、SaCa9 mRNAがレンチウイルス様粒子にパッケージングされるのに必須ではないが、NC-MCP融合物は、未改変パッケージングプラスミドによってパッケージングされたSaCas9 mRNAの量と比較して、SaCas9 mRNAのパッケージングを10倍大幅に増強した。
細胞におけるSaCas9 mRNAレベルに対するMS2アプタマーの効果を調べるために、mRNAレベルに対するSaCas9 mRNAの3’末端に付加された0、1、2、3および12コピーのMS2アプタマー(プラスミド番号15~19)の効果を評価する実験を実施した。SaCas9
n×MS2(nは、0、1、2、3または12を示す)をコードする等量のプラスミドDNAを、HEK293T細胞中にトランスフェクトし、SaCas9 mRNAの定常状態レベルをリアルタイムRT-PCRによって比較した。SaCas9コード配列の後への1つのアプタマーの付加は、SaCas9 mRNAの定常状態レベルをわずかに低下させるが、2つまたはそれより多いアプタマーの付加は、SaCas9 mRNAの定常状態レベルを有意に低下させることがわかった(表6)。mRNAレベル低下と一致して、SaCas9
n×MS2をコードするプラスミド(nは、0、1、2、3または12を示す)(250ng)が、GFPレポーター細胞(24ウェルプレート)中にHBB sgRNA1を発現するプラスミド(250ng)と同時トランスフェクトされた場合に、1つのアプタマーは、観察されるGFP
+レポーター細胞のパーセンテージをわずかに低下させるが、より多くのアプタマーは、観察される数をさらに低下させる(表6)。トランスフェクションの72時間後にフローサイトメトリーおよびqRT-PCRを実施した。HBB sgRNA1を、qRT-PCRのトランスフェクション効率対照として使用した。このデータは、MS2アプタマーの付加が、SaCas9安定性を低下させたことを示唆する。SaCas9 mRNAは、ひとたび、レンチウイルス様粒子から放出されると、置き換え(再生)可能でないので、このmRNA安定性低下は、ゲノム編集活性に対して測定可能な効果を有し得る。
表6. SaCas9発現に対するMS2アプタマーの効果
4回の反復の平均±標準誤差を示した。#:アプタマーなしと比較してp<0.0001;##、1つのアプタマーと比較してp<0.0001;*、1つのアプタマーを2つのアプタマーと比較した場合にp<0.05;**、アプタマーなしを、1つ、2つ、3つまたは12のアプタマーと比較した場合にp<0.01。
(実施例4)
ヒトHBB遺伝子3’UTR配列は、SaCas9 mRNA安定性を増大した。
SaCas91xMS2のMS2アプタマーの後へのヒトHBB遺伝子3’UTR配列の1つまたは2つのコピーの付加が、アプタマーの存在下でSaCas9 mRNA安定性および翻訳可能性を増強し得るか否かを評価する実験を実施した。プラスミドpSaCas91×ms2およびpSaCas91×ms2-2×3’UTRを、HEK293T細胞(プラスミド番号16および36)にトランスフェクトした。リアルタイムRT-PCRによって細胞におけるSaCas9 mRNAの定常状態レベルを評価した。2つのヒトHBB遺伝子3’UTR配列の付加は、SaCas9 mRNAレベルの定常状態レベルを、30%増大するとわかった(1.0±0.03対1.3±0.08、n=4、p<0.05)。GFPレポーター細胞に、SaCas91×MS2-2×3’UTR mRNAを含有するレンチウイルス様粒子またはSaCas91×MS2mRNA(安定化配列なし)を含有するレンチウイルス様粒子、およびHBB sgRNA1を含有するレンチウイルス粒子(プラスミド番号35を使用して作製された)を用いて同時形質導入した。SaCas91×MS2-2×3’UTR mRNAを含有するレンチウイルス様粒子を用いる形質導入は、SaCas91×MS2mRNAを含有するレンチウイルス様粒子よりも、GFP+レポーター細胞のパーセンテージの有意な増大をもたらした(図3を参照のこと)。したがって、2コピーのHBB 3’UTR配列のSaCas91×MS2への付加は、システムの性能を改善した。
(実施例5)
PP7コートタンパク質およびそのアプタマーに基づくSaCas9レンチウイルス様粒子は、高いゲノム編集活性を示した。
PP7コートタンパク質(PCP)は、別のRNAアプタマー結合タンパク質である(Lim, F., et al., J Biol Chem 2001; 276(25): 22507-22513およびWu, B., et al., Biophysical Journal 2012; 102(12): 2936-2944を参照のこと)。MCPおよびそのアプタマー配列の代わりの、このシステムにおけるPP7タンパク質およびその強制力を持つアプタマー配列の有用性を比較する実験を実施した。MCPがPCPと置き換えられ、それによって、NC-PCP融合物を作出するパッケージングプラスミドが産生された。また、MS2アプタマーコード配列がPP7アプタマーコード配列によって置き換えられたSaCas9 mRNA発現プラスミド(プラスミド番号20、pSaCas91×PP7)も構築された。これらのプラスミドを使用して、SaCas91×PP7mRNAがパッケージングされたレンチウイルス様粒子を作製した。SaCas91×PP7を含有するレンチウイルス様粒子を使用して、GFPレポーター細胞にHBB標的化sgRNA1を発現するレンチウイルスベクターを用いて同時形質導入すると、SaCas91×MS2を含有するレンチウイルス様粒子よりも多くのGFP+レポーター細胞が得られた(9.4%±0.14%、N=4;8.1%±0.04%、N=4、p<0.01)。
表7に要約されるように、レンチウイルス様粒子中にパッケージングされたSaCas9 mRNAの量を、リアルタイムRT-PCRによって評価した。粒子の種類は、レンチウイルス(列2)、ABP融合物を有さないパッケージングプラスミドによって産生されたレンチウイルス様粒子(列3)、NC-MCP融合物パッケージングプラスミドによって産生されたレンチウイルス様粒子(列4~6)およびNC-PCP融合物パッケージングプラスミドによって産生されたレンチウイルス粒子(列7~9)を含んでいた。SaCas9 mRNAは、アプタマーを含有していなかった(列2、3、4および7)、1つのアプタマーを含有していた(列5および8)または1つのアプタマーおよび2コピーのHBB 3’UTR(列6および9)。200ngのp24を含有する種々のレンチウイルスまたはレンチウイルス様粒子からRNAを精製した。RNA精製、RTおよびPCRを正規化するために各試料に等量のGFP-レンチウイルスを含めた。コピー数推定は、各レンチウイルス粒子が、2コピーのレンチウイルスゲノムを含有するという仮定に基づいている。同量のSaCas9発現レンチウイルス(粒子あたり2コピーのゲノムを有することが公知)またはレンチウイルス様粒子におけるSaCas9 mRNAレベルを比較することによって、本発明者らは、各条件における粒子あたりのSaCas9 mRNAの平均コピー数を算出した。表7には、平均±標準誤差が示されており、括弧中の数字は、反復数である。
表7. 種々のレンチウイルス様粒子中のSaCas9のコピー数のQRT-PCR比較
NCに融合されたABPがなく、SaCas9の停止コドンの後にアプタマーがないと、レンチウイルス様粒子は、粒子あたり2未満のコピー数のSaCas9 mRNAしか有さないとわかった。これは、ウイルス様粒子によって高度に発現された細胞性RNAが無作為にパッケージングされることの結果であり得る。NCに融合されたABP(MCPまたはPCP)を有すると、アプタマー配列がSaCas9に付加されるか否かに関わらず、粒子あたりのSaCas9 mRNAコピー数は、10~20倍増大した。HBB 3’UTRの付加は、両ABPを有する場合にコピー数を3倍増大し、これは、パッケージング前後のRNA安定性の増大の結果である可能性が最も高い。1つのアプタマーをSaCas9 mRNAに付加することは、アプタマーを有さないSaCas9 mRNAと比較して、粒子あたりのSaCas9 mRNAコピー数を増大させなかったが、これは、アプタマーが、SaCas9 mRNAのNC-ABP融合タンパク質への結合を増大させるが、SaCas9 mRNAの安定性を低下させる結果の組合せである可能性が最も高い。SaCas9 mRNAに対するアプタマーのこれらの効果はまた、HBB 3’UTRがABPへの結合を増大することはできないが、mRNA安定性を増大するので、HBB 3’UTR付加が、粒子あたりのSaCas9 mRNAコピー数を増大するという観察結果一致する。
ウイルスタンパク質MA、CAおよびp15の発現(NCは、それからプロセシングされる)もまた、正常GFPレンチウイルスベクターにおいて、ならびにMCPおよびPCPベースのレンチウイルス様粒子において、ウエスタンブロッティングによって評価した。NC-PCP融合タンパク質は、単一バンドとして移動し、約22kDaの予測サイズを有するとわかったが、NC-MCP融合タンパク質について約14kDaのさらなる小さいバンドが観察され、これは、部分分解を示す。MAおよびCAタンパク質は、すべての粒子から予測されるサイズで移動すると観察され、これは、MCPまたはPCPのNCタンパク質への挿入が、他のレンチウイルスタンパク質のプロセシングに影響を及ぼさないことを示唆する。MCP-およびPCP-ベースのレンチウイルス様粒子の電子顕微鏡解析によって、同様の粒子サイズが明らかとなった(図4を参照のこと)。
(実施例6)
レンチウイルス様粒子からのSaCas9 mRNAの一過性発現。
レンチウイルス様粒子から放出されるSaCas9 mRNAの期間を決定するために、SaCas91xPP7mRNAを含有するレンチウイルス様粒子(プラスミド番号20)、SaCas91xMS2mRNAを含有するレンチウイルス粒子(プラスミド番号16)またはSaCas91×MS2-2×3’UTR mRNAを含有するレンチウイルス粒子(プラスミド番号36)を用いて、HEK293T細胞に形質導入し、形質導入後24、48、72および96時間でのSaCas9 mRNAのレベルを、定量的RT-PCRによって測定した。対照として、アデノ随伴ウイルス(AAV、プラスミド番号15を使用して作製された)および組み込み欠陥レンチウイルス(IDLV、プラスミド番号31を使用して作製された)から発現されたSaCas9 mRNAレベルも評価した。逆転写の前にすべてのDNAを排除し、したがって、検出されたすべてのSaCas9核酸は、mRNAであった。図5Aに示されるように、AAVおよびIDLVの両方について、SaCas9 mRNAは、形質導入の48時間後に増大し、DNA鋳型からの転写の開始と一致した。AAVを用いて形質導入された細胞におけるSaCas9 mRNAのレベルは、形質導入の24時間後よりも形質導入の96時間後に依然として高かった。IDLVを用いて形質導入された細胞におけるSaCas9 mRNAレベルは、72時間後に低下し始めたが、形質導入の96時間後の発現は依然として、形質導入の24時間のものの約半分であった。改変されたSaCas9がパッケージングされたレンチウイルス様粒子を用いて形質導入された細胞では、SaCas9 mRNAのレベルは、図5Bに示されるように形質導入の24時間後に低下した。形質導入の96時間後には、SaCas9 mRNAのレベルは、形質導入の24時間後のものの25%未満であった。SaCas9 mRNAへのHBB 3’UTRの付加は、その分解を減速した。
(実施例7)
SaCas9 mRNAの一過性発現からの効率的なゲノム編集活性
SaCas91×MS2-2×3’UTR mRNAを含有するレンチウイルス様粒子(プラスミド番号36を使用して作製された)およびHBB sgRNA1を発現するレンチウイルス粒子(プラスミド番号35を使用して作製された)を作製し、実施例1に記載されているようにTangential Flow Filtrationによって濃縮した。ウイルス濃度は、p24 ELISAによって決定した。実施例1に記載されているように、レンチウイルス様粒子およびレンチウイルス粒子(各30ngのp24タンパク質)を用いて、2.5×104個のGFPレポーター細胞に同時形質導入した。実施例1に記載されているように、HBB sgRNA1は、レポーター細胞において内因性HBB配列と1つのヌクレオチドミスマッチを有する鎌状赤血球症を引き起こすことが公知の突然変異されたHBB配列に対して設計した。形質導入されたGFPレポーター細胞においてGFPコード配列の第1および第2のコドンの間に挿入されたHBB sgRNA1の標的配列を増幅し、次世代配列決定を実施して、インデルを検出した。配列解析によって、対立遺伝子の86.5%がインデルを有していることがわかった。したがって、記載されているシステムは、鎌状赤血球症突然変異の編集において極めて効率的であった。インデルの位置を綿密に調べることによって、インデルのほとんどは、予測される切断部位の付近であるとわかり(PAMから3nt)(上から下に配列番号103~112を列挙する図6を参照のこと)、これは、観察されたインデルが、HBB sgRNA1によってガイドされた遺伝子編集からのものであることを示唆する。
(実施例8)
レンチウイルス様粒子へのsgRNAパッケージング。
sgRNAもコートタンパク質とそれらそれぞれのアプタマーとの間の相互作用を介してレンチウイルス様粒子にパッケージングされ得るかどうかを決定するために実験を実施した。他の研究は、アプタマー配列が、SpCas9 sgRNAのステムループII、テトラループまたは3’末端の後に付加され得ることを見出した(Shechner, D.M., et al., Nat Methods 2015; 12(7): 664-670 and Konermann, S., et al., Nature 2015; 517(7536): 583-588)。しかし、SaCas9 sgRNAにおいてアプタマー付加を許容できる位置について利用可能な情報はなかった。改変プラスミドを、SaCas9 mRNAおよび HBB sgRNA1の両方を発現するプラスミドpSaCas9-HBB-sgRNA1(プラスミド番号22)のSaCas9 sgRNA中のステムループII(ST2)、テトラループ(テトラ)または、3’末端の後に1つまたは2つのMS2アプタマーを付加することによって生成した。改変プラスミドDNAをGFPレポーター細胞にトランスフェクトした。sgRNAの3’末端での1つのアプタマーの付加は、GFP+レポーター細胞のパーセンテージにおいてほとんど減少を示さなかった(表8)。これらの結果を考慮して、アプタマーの3’付加を含むsgRNAを続く実験において使用した。
表8. sgRNAの性能へのアプタマー付加の効果
平均±SEM(N=3)を示す。*は、ANOVAおよびチューキーの多重比較検定によって対照(アプタマー不含有)より有意に低かったことを示す(p<0.05)。
別の実験を3’MS2アプタマー改変HBB sgRNA1(HBB sgRNA13’MS2)が、パッケージングプラスミドを使用して、NC-MCP融合タンパク質を発現するレンチウイルス様粒子にパッケージされ得るかどうかを評価するために実施した。改変および未改変HBB sgRNA1を発現するプラスミドDNA(アプタマーを含まないsgRNAについてプラスミド番号22、3’MS2アプタマーを含むsgRNAについてプラスミド番号24)をMCPベースパッケージンプラスミド(pspAX2-D64V-NC-MCP;プラスミド番号11)を使用してレンチウイルス様粒子産生の際にHEK293T細胞に同時トランスフェクトした。リアルタイムPCRは、レンチウイルス様粒子インプットによって正規化した後に未改変HBB sgRNAよりも30倍多いHBB sgRNA3’MS2を検出した。以前のデータと一致して、NC-MCP×1は、NC-MCP×2がするよりも5倍多いHBB sgRNA13’MS2をパッケージした。
SaCas9 mRNAおよびHBB sgRNAがレンチウイルス粒子に同時にパッケージされ得るかどうかを検査するために、SaCas91xMS2およびHBB sgRNA3’MS2の両方を発現するプラスミドDNA(プラスミド番号28)を、MCPベースパッケージングプラスミド(psPAX2-D64V-NC-MS2、プラスミド番号11)を用いてレンチウイルス様粒子産生の際にHEK293T細胞に同時トランスフェクトした。得られたレンチウイルス様粒子(細胞2.5×104個に対して70ng p24)を用いて実施例1に記載のとおりGFPレポ-ター細胞に形質導入することは、3.6%に至るGFP陽性細胞を産生した。しかし、HBB sgRNA1含有レンチウイルス(プラスミド番号35を使用して作製)を用いたGFPレポーター細胞の同時形質導入は、GFP+細胞のパーセンテージを10%を超えて増加させた。これらの実験は、sgRNAがレンチウイルス様粒子にパッケージされ得るが、パッケージされたsgRNAの量は低い編集効率を生じたことを示している。別の実験を3’末端に2コピーのHBB 3’UTR配列を有するsgRNAを含んでパッケージされたレンチウイルス様粒子(プラスミド番号43を使用して作製)を使用して実施した。この改変は、sgRNAのパッケージング/機能を改善しないことが見出された。したがって、高効率遺伝子編集のために、sgRNAは、レンチウイルスまたはAAVから発現される必要がある可能性がある。
(実施例9)
SaCas9 mRNAのレンチウイルス様粒子送達は、オフターゲット遺伝子編集事象のリスクを低減した。
HBB sgRNA1をSickle突然変異を標的化するように設計し、野生型HBB配列に1つのヌクレオチドミスマッチを有する。したがって、GFPレポーター細胞中の対応する野生型HBB遺伝子配列は、SaCas9/HBB sgRNA1に対して「オフターゲット」とみなされ得る。提供されるレンチウイルス様送達システムが低いオフターゲット遺伝子編集率を示すかどうかを決定するために、実験を実施した。GFPレポーター細胞をウイルス/ウイルス様粒子の4つの異なる組合せを用いて形質導入し、GFPレポーター細胞の野生型HBB遺伝子座のインデル率を決定し、比較した。使用したウイルスまたはレンチウイルス様粒子は、次のとおりであった:条件1:SaCas9
1xMS2mRNAを含有するレンチウイルス様粒子(プラスミド番号16を使用して作製);条件2:SaCas9 mRNAを含有するAAV(プラスミド番号15を使用して作製、pSaCas9);条件3:組み込み欠陥レンチウイルス(プラスミド番号31を使用して作製、pCK002-HBB-sgRNA、不活性インテグラーゼを含有するpspAX2-D64V(Addgeneカタログ番号63586)を使用してパッケージされた)、SaCas9 mRNAおよびHBB sgRNA1の両方を発現するIDLV;ならびに条件4:組み込みコンピテントレンチウイルス(プラスミド番号31、pCK002-HBB-sgRNA1、および活性インテグラーゼを含有するプラスミドpspAX2(Addgeneカタログ番号12260)を用いてパッケージされた。条件1および2について、HBB sgRNA1を発現するためにGFPレポーター細胞に、条件1ではレンチウイルス(pFCK-HBB-sgRNA1、プラスミド番号35)を、または条件2ではAAV(pAAV-HBB(n)-sgRNA1、プラスミド番号34)を用いて同時形質導入した。結果を表9に示す。GFPレポーター細胞のGFPカセットにおけるSickle突然変異中のインデルの生成のために、4つすべての処置においてGFPレポーター細胞の異なるパーセンテージを観察した。形質導入細胞をGFP活性化選別によって選別した。GFP陽性細胞パーセンテージは、89~95%であり、4つの条件それぞれでの大部分の細胞における機能的SaCas9/HBB sgRNA1の存在を示している。内因性HBB遺伝子座由来のDNAを増幅し、次世代配列決定によって配列決定した。条件1に記載のレンチウイルス様粒子システムは、最も低いインデル率を有し、遺伝子編集のためにレンチウイルス様粒子によってSaCas9 mRNAを送達することが他のウイルス送達システムより安全であることを実証している。
表9. GFPレポーター細胞の野生型HBB遺伝子座におけるインデル率
表10-配列表
(実施例10)
LVLPへのSaCas9 mRNAのパッケージングのためのシステム
SaCas9 mRNAをLVLPに効率的にパッケージするためのシステムを本明細書に記載する。LVLPは、一過性SaCas9発現および非常に効率的なゲノム編集を可能にした。それらは、AAVおよびレンチウイルス送達と比較してより低いオフターゲット率をもたらした。本明細書に記載されるSaCas9 LVLPは、RNP-、mRNA-およびナノ粒子-送達戦略の一過性発現特性を有するが、レンチウイルスベクターの形質導入効率を保持している。このシステムは、ゲノム編集のための種々の編集タンパク質をコードするmRNAをパッケージするために使用され得る。
プラスミド。pRSV-Rev(Addgene #12253)、pMD2.G(Addgene #12259)、pMDLg/pRRE(Addgene #12251)、psPAX2-D64V(Addgene #63586)、pSL-MS2x12(Addgene #27119)、pKanCMV-mRuby3-10aa-H2B(addgene #74258)およびpX601-AAV-CMV::NLS-SaCas9-NLS-3xHA-bGHpA;U6::BsaI-sgRNA(Addgene #61591)は、Addgeneから購入した。pCDH-GFPは、SBI(CD513B-1)から購入した。その他のプラスミドは、生成した(表2を参照されたい)。遺伝子合成は、GenScript Inc.によって行われた。生成したすべての構築物は、配列を確認した。プライマー、オリゴおよび合成DNA断片についての配列情報は、表10にある。
遺伝子編集活性についてのGFPレポーターアッセイ Javidi-Parisjani et al.に記載されるEGFPレポーター細胞系をGFPレポーターカセットに挿入された標的配列でのSaCas9/ヒトベータヘモグロビン(HBB)sgRNA1の遺伝子編集活性を検出するために使用した。GFPレポーター細胞(HEK293T細胞由来)は、EGFPコード配列の開始コドンと2番目のコドンとの間へのHBB sickle突然変異およびIL2RG標的配列の挿入によるEGFP読み枠の破壊のためにEGFPを発現しなかった。遺伝子編集後に形成されたインデルは、EGFPの読み枠を回復でき、EGFP発現を生じる。GFP陽性細胞を蛍光顕微鏡またはフローサイトメトリー(BD Biosciences、Accuri C6)によって解析した。単細胞懸濁液を解析のためにPBS/0.5%FBS中に作製した。蛍光タンパク質発現を有さない細胞を陰性対照として使用し、99.9%の細胞がマーカーの左側になる位置にマーカーを置いた。処置試料では、マーカーの右側にある細胞を陽性とみなした。
AAV6ウイルス産生および形質導入 SaCas9およびHBB sgRNA1を発現するアデノ随伴ウイルスをAAVベクターpSaCas9(SaCas9を発現する)およびpSaCas9-HBB-sgRNA1(HBB sgRNA1を発現し、野生型HBB遺伝子をSickle突然変異に変更する相同組換えのためのドナー鋳型を含有する)からそれぞれ作製した。AAV血清型6(AAV6)産生および濃縮はVirovek,Inc.(Hayward、CA)によって実施された。AAV6形質導入のために、細胞を無血清培地またはOPTI-MEMに変更し、AAV6をウイルスゲノム103~104個/細胞の力価で細胞に加えた。24時間後、培地を血清含有増殖培地に変更した。
レンチウイルスおよびLVLPの産生 レンチウイルスをJavidi-Parisjani et alに以前記載されたとおり第2または第3世代パッケージングシステムを用いて産生した。SaCas9およびHBB sgRNA1の両方を発現するレンチウイルスベクターpCK002-HBB-sgRNA1を組み込みコンピテントレンチウイルス(パッケージングプラスミドpspAX2またはpMDLg/pRREによってパッケージされた)、および組み込み欠陥レンチウイルス(IDLV)パッケージングプラスミドpspAX2-D64VまたはpMDLg/pRRE-D64Vによってパッケージされた)を産生するために使用した。SaCas9 mRNAを含んでパッケージされたLVLPを産生するために、HEK293T細胞をパッケージングプラスミド(NC-MCPまたはNC-PCP改変)、エンベローププラスミド(pMD2.G)およびSaCas9発現プラスミドの混合DNAを、表11に示すDNA比で用いてトランスフェクトした。VPRまたはNEF融合タンパク質をパッケージングのために使用した場合、SaCas9 mRNA、プラスミドDNAもそれらの発現のために含めた。トランスフェクションは、DNA:PEI比1:2のポリエチレンイミン(PEI、Polysciences Inc.)によって媒介された。細胞培養およびDNAトランスフェクションは、Javidi-Parisjani et alに記載のとおり実施した。トランスフェクション24時間後、培地をOpti-MEMに変更し、レンチウイルスまたはLVLPを24時間ごとに1回の回収で2回回収した。上清を下に記載のさらなる処理の前に細胞デブリを除くために10分間、500gで回転させた。
表11. SaCas9 mRNAを用いてロードされたレンチウイルス粒子を作製するためにHEK293T細胞をトランスフェクトするために使用したプラスミドDNA
a
aトランスフェクション24時間前に細胞13×10
6個を15cmディッシュに播種した。
レンチウイルスおよびLVLPの濃縮 3つの方法をレンチウイルスおよびLVLPを濃縮するために使用した:1)ウイルスまたはLVLPを含有する上清を10ml 20%ショ糖クッション上に置き、次に20,000g、4℃、4時間遠心分離した;2)ウイルスまたはLVLPを含有する上清をLenti-X(商標)Concentrator(Takara、カタログ番号631232)と3:1(体積/体積)の比で混合し、4℃、30分間インキュベートし、次いで4℃、1,500×g、45分間遠心分離した;3)上清をKR2i TFF System(KrosFlo(登録商標)Research 2i Tangential Flow Filtration System)(Spectrum Lab、カタログ番号SYR2-U20)を濃縮-ダイアフィルトレーション-濃縮モードで使用して濃縮した。典型的には、上清150~300mlを最初に約50mlに濃縮し、500mlから1000ml PBSを用いてダイアフィルトレートし、最後に約8mlに濃縮した。ホローファイバーフィルターモジュールを修飾ポリエーテルスルホンから、分子量カットオフ500kDaで作製した。流速および圧力限界は、フィルターモジュールD02-E500-05-Nについては80ml/分および8psiであり、フィルターモジュールC02-E500-05-Nについては10ml/分および5psiであった。TFF法が最良の活性を有するレンチウイルスおよびLVLPを産生したことから、他に述べる場合を除いてデータは、TFFシステムによって濃縮したウイルスまたはLVLPを用いて得た。
レンチウイルスおよびLVLP定量 ウイルス力価をp24ベースELISA(Cell Biolabs、QuickTiter(商標)Lentivirus Titer Kitカタログ番号VPK-107)によって決定した。未精製試料をアッセイする場合、可溶性p24ペプチドが検出されないようにウイルス粒子を製造者の使用説明書に従って沈殿させた。
透過型電子顕微鏡 透過型電子顕微鏡をCellular Imaging Shared Resource of Wake Forest Baptist Health Center(Winston-Salem、NC)で実施した。ネガティブ染色のために、30mlウイルス含有上清を超遠心分離を使用して約1mlに濃縮した。次いで、プレーンカーボングリッド(plain carbon grid)を20μlのウイルス試料に浸漬し、粒子をリンタングステン酸を用いて染色した。試料を乾燥させ、FEI Tecnai G2 30 electron microscope(FEI、Hillsboro、OR)下で観察した。
ウエスタンブロット解析 レンチウイルスおよびLVLPからのウイルスタンパク質を解析するために、精製レンチウイルスまたはLVLP(200ng p24、ELISAによって)を20μlの1×Laemmli試料緩衝液に溶解した。各試料中のタンパク質をSDS-PAGEゲル上で分離し、ウエスタンブロットによって解析した。使用した抗体は、MAのためのHIV1 p17抗体(ThermoFisher Scientific、カタログ番号PA1-4954、1:1000)、NCのためのHIV1 p15ポリクローナル抗体(Abcam、カタログ番号ab66951、1:1000)およびCAのためのp24モノクローナル抗体(Cell Biolabs、カタログ番号310810、1:1000)を含んだ。
SaCas9タンパク質を検出するために、HEK293T細胞またはGFPレポーター細胞に、SaCas9発現プラスミドDNAを用いてトランスフェクトした、または100ng SaCas9 mRNAパッケージLVLPおよび100ng p24のHBB sgRNA1を発現するIDLVを用いて同時形質導入した。トランスフェクションまたは形質導入48時間後、細胞を100μlの1×Laemmli試料緩衝液を用いて溶解させ、等体積の各試料をSDS-PAGE分離ならびにHA-タグ化SaCas9を検出するための抗HA抗体(ProteinTech、51064-2-AP、1:1000)および抗Cas9抗体(Millipore Sigma、MAB131872、クローン6F7、1:1000)によるウエスタンブロット解析のためにロードした。抗ベータアクチン(Sigma、A5441、1:5000)をインプットの量を比較するために使用した。
HRPコンジュゲート抗マウスIgG(H+L)(ThermoFisher Scientific、カタログ番号31430、1:5000)および抗ウサギIgG(H+L)(カタログ番号31460、1:5000)二次抗体をウエスタンブロットにおいて使用した。化学発光試薬(Pierce)をタンパク質シグナルを可視化するためにLAS-3000 system(Fujifilm)下で使用した。
レンチウイルスまたはLVLPからのRNA単離 miRNeasy Mini Kit(QIAGENカタログ番号/ID:217004)を濃縮したレンチウイルスまたはLVLPからRNAを単離するために使用した。代替的にRNAを、140μlの粒子含有上清からQIAamp Viral RNA Mini Kit(QIAGEN)を用いて直接単離した。
RNAのRT-PCR解析 QuantiTect Reverse Transcription Kit(QIAGEN)をRNAをcDNAに逆転写するために使用した。SaCas9、HBB sgRNA1およびEGFPに対して特異的なカスタム設計した加水分解プローブ(ThermoFisher Scientific)をqPCRにおいて、TaqMan Universal PCR Master Mix(ThermoFisher Scientific)と一緒に使用した。PCRをABI 7500装置で実行した。
レンチウイルスおよびLVLP形質導入 種々の量のレンチウイルスまたはLVLP(ng p24タンパク質)を、8μg/mlポリブレンを含む24ウェルプレート中で増殖させた細胞2.5×104個に加えた。細胞を粒子含有培地で12~24時間インキュベートし、その後、通常の培地に置き換えた。
ヒト細胞での遺伝子編集 AAV6から発現されたCas9を用いた遺伝子編集のために、SaCas9発現AAV6およびHBB sgRNA1発現AAV6を用いてGFPレポーター細胞に形質導入した。SaCas9およびHBB sgRNA1の両方を発現するLVまたはIDLV(インテグラーゼ中にD64V突然変異を含有するパッケージングプラスミドを用いてパッケージされた)を用いた遺伝子編集のために、10~300ng p24と等量のウイルスを用いて24ウェルプレート中で細胞2.5×104個に形質導入するために使用した。LVLPを用いた遺伝子編集のために、種々の量のSaCas9 mRNA含有LVLPを、HBB sgRNA1を発現するIDLVと共に用いてHEK293T細胞またはGFPレポーター細胞に同時形質導入した。形質導入48~72時間後、遺伝子編集活性をGFPレポーターアッセイまたは次世代配列決定によって解析した。
エプスタイン・バーウイルス形質転換によって不死化されたヒトリンパ芽球様細胞における遺伝子編集を検討するために、ヒトリンパ芽球様細胞系GM16265をCorrie Instituteから購入した。リンパ芽球を2mmol/L L-グルタミンおよび15%ウシ胎児血清を含むRPMI 1640中、37℃、5%二酸化炭素下で培養した。LVLPおよびIDLV形質導入のために、細胞2×105個を0.5ml RPMI増殖培地に加えた。次に、100 p24または500 p24のSaCas9 LVLPおよびIL2RG sgRNA IDLVを細胞に加えた。ポリブレンを最終濃度8μg/mlで培地に加えた。新鮮培地を形質導入20時間後に置き換えた。細胞を次世代配列決定によるDNA解析のために形質導入72時間後に回収した。
次世代配列決定およびデータ解析 次のDNA領域を次世代配列決定解析のために増幅した:1)内因性HBB標的配列、2)内因性IL2RG標配列、および3)組み込まれたGFP発現カセット中のHBB標配列。配列決定のための内因性HBB標的配列を増幅するために、ネステッドPCR戦略をウイルスベクター鋳型からの配列を増幅することを回避するために使用した。最初に、プライマーHBB-1849FおよびHBB-5277RをHBB遺伝子遺伝子座由来の3.4kb領域を増幅するために使用した。これら2つのプライマーは、ウイルスベクター中の鋳型由来の配列を増幅できない。次に、2つの内部プライマーHBB-MUT-FおよびHBB-MUT-Rプライマーを配列決定のための標的DNAを増幅するために使用した(表10;配列番号34~40)。内因性IL2RG標的配列を増幅するために、プライマーIL2RG-1029FおよびIL2RG-3301Rを処置細胞由来の標的領域を増幅するために使用した(ウイルスベクター中の鋳型から配列を増幅することはできない)、次に、配列決定のために、2つの内部プライマーIL2RG-mut-F1およびIL2RG-mut-R4を第1のPCR産生物由来の標的DNAを増幅するために使用した。配列決定のために、組み込まれたEGFPレポーター由来のHBB標的配列を増幅するために、レポーター-mut-Fおよびレポーター-mut-Rプライマーを使用した(表10;配列番号98~102)。KAPA Biosystems(Wilmington、MA)からのプルーフリーディングHotStart(登録商標)ReadyMixをPCRのために使用した。次世代配列決定の際の配列多様性を増加させるため、異なる数のスタガーヌクレオチドを異なる試料から同じ標的を増幅するために5’プライマーのバーコードの後に加えた。PCR産生物の5’のからの単一末端読み取りデータは、Javidi-Parisjani et al.に記載の通りIllumina NextSeq 500を使用して次世代配列決定によって得た。低品質の読み取りデータは除いた。すべての配列をバーコードに基づいて選別した。
3’リンカーおよび5’バーコード配列を除いた後に、得られた読み取りデータを突然変異解析のためにオンラインCas-Analyzerソフトウェアに送った。参照配列を送る場合、sgRNA標的から少なくとも12nt離れていた場合はプライマー配列は除外した。そうでなければプライマー配列を参照に含めた。参照配列の5’12ntおよび3’12ntの両方を含有する読み取りデータだけをインデル解析に含めた。合計インデル率は、1と突然変異を含まない読み取りデータのパーセンテージとの間の差異であった。最も頻繁に観察された上位8~10個の読み取りデータを示した。
SaCas9 mRNA劣化解析 IDLVおよびLVLPから発現されるSaCas9 RNAレベルを比較するために、HEK293細胞2.5×104個に、35ng p24のIDLVまたはLVLPを用いて形質導入した。IDLV粒子はSaCas9を発現でき、LVLPはSaCas9 mRNAを含んでパッケージした。形質導入24時間後、細胞を細胞分裂を制限するために0.5%FBSを含有する培地で維持した。新鮮培地を48時間ごとに交換した。細胞を形質導入24、48、72および96時間後に回収し、RNA抽出およびRT-qPCR解析が続いた。3つの加水分解プローブSaCas9、GAPDHおよびRPLP0を発現解析のために使用した。形質導入24時間後の異なる粒子の相対的Cas9 mRNAレベルをRPLP0への正規化によって決定した。新しいmRNAは、形質導入後にLVLPを含んで生成されなかったことから、RNA劣化の解析における潜在的細胞増殖の干渉を回避するために、同じ粒子からのCas9 mRNAのmRNA劣化を評価する場合は、正規化は実施しなかった。しかし、RPLP0およびGAPDH発現は、試料調製が成功して、一貫していることを確認するためにすべての試料について検討した。
統計解析 GraphPad Prism software(バージョン5.0、GraphPad Software Inc)を統計解析のために使用した。t検定を2つの群の平均を比較するために使用した。2群より多くからのデータを解析するために分散分析(ANOVA)に続いてチューキーの事後検定を実施した。2因子の場合は、ボンフェローニ事後検定をANOVAに続いて実施した。p<0.05は統計的に有意とみなした。
ヌクレオカプシド(NC)タンパク質をRNA結合タンパク質と融合することは、レンチウイルス様粒子へのSaCas9 mRNAの効率的なパッケージングを可能にする。特異的MS2/MCP相互作用を介してSaCas9 mRNAをLVLPにパッケージングするために、MS2結合タンパク質MCPをレンチウイルスタンパク質に融合し、MS2アプタマーに相互作用するMCPをSaCas9 mRNAの停止コドン後に加えた。最も効率的なmRNAパッケージングを有するMCP融合パートナーを見出すために、4つの異なるレンチウイルスタンパク質、ウイルスタンパク質R(VPR)、ネガティブ調節因子(NEF)、ヌクレオカプシドタンパク質(NC)およびマトリックスタンパク質(MA)を、次の観察に基づいてMCPのためのレシピエントタンパク質として探索した:1)突然変異体NEF(3つの突然変異を含む:G3C、V153LおよびG177E)は、最大1100分子/カプシドまでレンチウイルス粒子に組み込むことができ、外来タンパク質送達のためのビヒクルとして使用される;2)VPRは、ウイルスコアに最大550コピー/粒子まで組み込まれ、同様にタンパク質送達ビヒクルとして使用される;3)レンチウイルス粒子を形成する2500~5000 Gag前駆体のそれぞれ1つからプロセスされるNCは、ウイルスコアにおける主なRNA結合タンパク質である;および4)Gagタンパク質からもプロセスされるMAはtRNAに結合することが示されている。
MCPは、重複図である図2および図7Aに示す立体配置でNEFおよびVPRと融合した。MCP-VPRおよびNEF-MCPはLVLP産生の際に、未改変パッケージングプラスミドと同時トランスフェクトされたプラスミドDNAから発現された(図7B)。MCPをNCと融合するために、パッケージングプラスミドをNCの第2の亜鉛フィンガーのコード配列の後にMCPコード配列を挿入することによって改変した。NCの第2の亜鉛フィンガーがビリオン産生に必要であり、このドメインを欠失させることがビリオン産生を10分の1に低減したことから、このドメインは、MCPを用いて置き換えるのではなく保存された。MCPをMAに融合するために、MAアミノ酸44~132についてのコード配列を、MAのこの領域がウイルス産生に必要でないことから、パッケージングプラスミド中でMCPのものを用いて置き換えた。Gag前駆体タンパク質読み枠およびプロテアーゼプロセシング部位が保存されるようにパッケージングプラスミドのNCまたはMAにMCPコード配列を挿入した。
MCPの組み込みがビリオン産生に影響を与えるかどうかを検討するために、これらの構築物を使用してGFPレンチウイルス産生効率を比較した。パッケージング細胞においてMCP-VPRまたはNEF-MCPを発現することは、元のパッケージングプラスミドを用いたGFPレンチウイルス産生に影響を与えなかった。NC-MCP改変パッケージングプラスミドは、元のパッケージングプラスミドと同様の効率でGFPレンチウイルスを生成したが、MA-MCP改変パッケージングプラスミドは、ウイルス産生効率の低減を示した(図7C)。
ゲノム編集活性を比較するための簡易アッセイを得るために、GFPレポーター細胞(GFPレポーターレンチウイルスベクターを用いて形質導入したHEK293T細胞由来)を使用した。これらのGFPレポーター細胞にGFP発現カセットを組み込み、ここでHBB sgRNA1によって標的化されるヒトベータヘモグロビン(HBB)のSickle突然変異配列をEGFP開始コドンと2番目のコドンとの間に挿入し、読み枠を破壊した。遺伝子編集から生じる標的配列中への挿入または欠失(インデル)は、EGFP読み枠およびGFP発現を回復できる。MCPをウイルスタンパク質に融合することが、SaCas9 mRNAのLVLPへのパッケージングを増強できるかどうか検査するために、SaCas91xMS2(停止コドン後に1コピーのMS2アプタマーを含むSaCas9 mRNA)を、元のパッケージングプラスミド(MCP-VPRまたはNEF-MCP発現を有するまたは有さない)による、またはMCP改変パッケージングプラスミドによるLVLP生成の際に発現させた(図7B)。次にこれらのLVLPを、ヒトベータヘモグロビン(HBB)のSickle突然変異を標的化するHBB sgRNA1を発現する組み込み欠陥レンチウイルス(IDLV)ベクターと共に用いてGFPレポーター細胞に同時形質導入した(32)。NC-MCP改変パッケージングプラスミドから作製されたLVLPは、MCP組み込みのすべての他の戦略によって生成されたLVLPよりも有意に多いGFPレポーター細胞を生成した(p<0.01)(図7D)。したがってNCをさらなる実験のためのMCPレシピエントタンパク質として使用した。
MCP二量体は、RNAアプタマー結合活性を有したが、モノマーまたはオリゴマーは有さなかった。NCをMCPの1または2コピーに融合したパッケージングプラスミドの性能を比較した場合、1コピーのMCPに融合されたパッケージングプラスミドによって生成されたLVLPは、2コピーのMCPに融合されたものより多いGFP+レポーター細胞を産生した(5.7%±0.1%、N=4、対4.4%±0.3%、N=4;p<0.01。したがって、1コピーのMCPに融合された改変パッケージングプラスミドを続く実験において使用した。
観察された遺伝子編集活性がVSV-Gによって促進される細胞外小胞中の核酸によって生じたかどうかを検査するために、NC-MCP改変パッケージングプラスミドを、mRuby蛍光タンパク質を発現するが、いずれもレンチウイルスパッケージングタンパク質も発現しないプラスミドを用いて置き換えた対照を含めた。等体積の上清をHBB sgRNA1発現IDLVを用いてGFPレポーター細胞に同時形質導入し、パッケージングプラスミドを用いて産生された上清は、最大15%のGFP+レポーター細胞を生成した。一方、パッケージングプラスミドを用いずに産生された上清は、すべての条件下で0.5%未満のGFP+レポーター細胞を生成し(図7E)、mRuby陽性率は、最も高い体積の上清を用いて処置した細胞において0.5%未満であった(図8)。VSV-Gが両方の条件において存在したことから、データは、細胞外ビヒクルがGFP+レポーター細胞の生成において主な役割を有さなかったことを示唆した。データは、残存プラスミドDNAが観察された合計遺伝子編集活性にほとんど寄与しなかったことも示唆した。
LVLP産生からの残存プラスミドDNAのGFP+レポーター細胞の生成における寄与をさらに検査するために、SaCas91xMS2mRNAだけを発現する(pSaCas91xMS2)ならびにSaCas91xMS2mRNAおよびHBB sgRNA1の両方を発現する(pSaCas91xMS2-HBB sgRNA1)構築物を作製した。予測されたとおり、pSaCas91xMS2-HBB sgRNA1プラスミドDNAをGFPレポーター細胞にトランスフェクトすることは、pSaCas91xMS2プラスミドDNAをトランスフェクトするよりも有意に多いGFP+レポーター細胞を生成した(図7F)。MS2アプタマーを含まないHBB sgRNA1がパッケージされ得ないことから、pSaCas91xMS2-HBB sgRNA1プラスミドDNAから作製したLVLPがHBB sgRNA1の不十分なコピーを含有することが予測された。実際に、これらのLVLPは、単独で用いて形質導入された場合に、HBB sgRNA1を発現するIDLVと共に用いて同時形質導入された場合よりも有意に少ないGFP+レポーター細胞を産生した(p<0.0001、図7F)。この実験において注目すべきことに、LVLP中に非特異的にパッケージされたsgRNAもバックグラウンド活性に寄与し、なぜ高いバックグラウンド活性が図7Eにおいてよりも図7Fにおいて観察されたかを説明している。これらの観察は、LVLP産生の際に残存したプラスミドDNAから主な寄与があるのではないことを示し、NC-MCP LVLPを使用する場合のSaCas91xMS2mRNAのさらに効率的なパッケージングを支持している。
ヒトベータヘモグロビン(HBB)3’非翻訳領域は、LVLPにパッケージされたSaCas9 mRNAのゲノム編集活性を大きく改善した。SaCas9 mRNAのパッケージングのためのMS2アプタマーの最良のコピー数を決定するために、0、1、2、3および12コピーのMS2アプタマーのSaCas9 mRNA発現への効果を検討した。SaCas9nxMS2(nは0、1、2、3または12を示す)を発現する等量のプラスミドDNAをHEK293T細胞にトランスフェクトし、SaCas9 mRNAの定常レベルをRT-qPCRによって比較した。SaCas9の停止コドン後への1つのアプタマーの付加は、SaCas9 mRNAの定常レベルをわずかに減少させた一方で、1つより多いアプタマーの付加は、SaCas9 mRNAを有意に減少させた(p<0.001、図9A)。mRNAにおける減少と一致して、SaCas9nxMS2発現DNAをHBB sgRNA1を発現するプラスミドと共にGFPレポーター細胞に同時トランスフェクトした場合、1つのアプタマーはGFP+レポーター細胞のパーセンテージをわずかに減少させた一方で、アプタマーが多いほどさらなる減少を生じた(図9B)。一貫して、SaCas91xMS2、SaCas92xMS2、SaCas93xMS2またはSaCas912xMS2含有するLVLPがHBB sgRNA1発現レンチウイルスとGFPレポーター細胞に同時形質導入された場合、検査したすべての濃度においてSaCas91xMS2LVLPは、最も多いGFP陽性細胞を生成し、SaCas912xMS2LVLPは最も少なく生成した(図9C)。
アプタマーを含んでまたは含まずにSaCas9 mRNA安定性および翻訳可能性を増強するために、ヒトHBB遺伝子からの2コピーの3’非翻訳領域(UTR)配列をSaCas9停止コドンの後でMS2アプタマーの前に加えた。HEK293T細胞中のプラスミドDNAトランスフェクションは、SaCas91xMS2-HBB 3’UTRの定常状態レベルがSaCas90xMS2のものの1.3倍であったことを示した(1.3±0.08対1.0±0.03、n=4、p<0.05)。
1つより多いMS2アプタマーがLVLPの遺伝子編集活性を顕著に減少させたことから、1コピーのMS2アプタマーをさらに研究した。MS2アプタマーおよびHBB 3’UTRを含むまたは含まないSaCas9 mRNA(SaCas90xMS2、SaCas91xMS2、SaCas90xMS2-HBB 3’UTR、SaCas91xMS2-HBB 3’UTR)を含有するLVLPを作製し、それぞれの種類の粒子をHBB sgRNA1発現IDLVと共に用いてGFPレポーター細胞に形質導入した。フローサイトメトリー解析は、MCPを含まないと、LVLPのGFP陽性細胞産生は非効率的になることを明らかにした(図9Dにおける破線)。MCPを含んで生成されたLVLPにおいて、MS2およびHBB 3’UTRの両方の存在は、最も高いゲノム編集活性を生じた。驚くべきことに、MS2アプタマーを含まないSaCas9 mRNAは、認識可能なGFP陽性細胞も産生できる。SaCas91xMS2LVLPは、SaCas90xMS2LVLPより低い活性を示し、MS2がSaCas9 mRNA安定性を減少させる以前の観察と一致する。HBB 3’UTRは、SaCas91xMS2LVLPの性能を顕著に改善したが、SaCas90xMS2LVLPのものは改善せず、別の観察は以前のデータと一致する。これらのデータは、1)MCPがSaCas9 mRNAの効率的なパッケージングのために必要である;および2)MS2アプタマーはSaCas9 mRNA安定性を減少させるが、それらはSaCas9 mRNA/NC-MCP会合を増加させることができる;ならびに3)HBB 3’UTRはSaCa9 mRNA安定性を増加させ、MS2およびHBB 3’UTRの存在はSaCas9 mRNA/NC-MCP会合およびSaCa9 mRNA安定性を改善したことを示唆している。
sgRNAが遺伝子制御を増強するためのアプタマーを用いて改変される必要があり得るCRISPR媒介遺伝子制御のためのdCas9 mRNAのパッケージングの可能性を考慮する場合、1つより多いアプタマーが同じ実験において使用され得る。PP7/PP7コートタンパク質(PCP)ベースパッケージングシステムもアプタマー組合せを可能にするために開発した。PP7/PCPは、RNA研究において使用された別のRNAアプタマー/ABP対である。MCPをパッケージングプラスミドにおいてPCPを用いて置き換え、MS2アプタマーはSaCas9 mRNA発現プラスミド(SaCas91xPP7を発現する)においてPP7アプタマーによって置き換えた。SaCas9 LVLPをパッケージしたPP7/PCPも、HBB sgRNA1発現IDLVと共にそれを用いてGFPレポーター細胞に同時形質導入した場合に、GFP+レポーター細胞を効率的に産生できた(図9D)。驚くべきことに、PCP改変パッケージングシステムは、PP7不含有SaCas9 mRNAもパッケージでき、この場合、パッケージングはPCP依存性である。
GFPレポーターアッセイデータは、LVLPあたりのSaCas9 mRNAコピー数のRT-qPCR解析によって裏付けられた(図9E)。SaCas91xMS2-HBB 3’UTRを含有するLVLPが最も高いパーセンテージのGFP陽性細胞を生じた観察と一致して、それらは、最も高いSaCas9 mRNAコピー数を有した(約50倍のRNA分子が、同様のp24タンパク質を含むレンチウイルスベクターに含有された)。SaCas90xMS2およびSaCas91xMS2LVLPは、粒子あたりで同様のコピーのCas9 mRNAを有するが、Cas91xMS2LVLPの遺伝子編集活性は、Cas90xMS2LVLPのものより一貫して低かった(図9D)。これは、MS2アプタマーがSaCas9 mRNA安定性を減少させる結果である可能性がある。
MCP/MS2およびPCP/PP7ベースシステムによってパッケージされたLVLPを比較して、PCP/PP7パッケージSaCas9 LVLPは、HBB 3’UTRがSaCas9 mRNAに加えられなかった場合に、MCP/MS2パッケージLVLPのものよりもより良好な遺伝子編集活性を有した。HBB 3’UTRがSaCas9 mRNAに加えられた場合は、逆になった(図9D)。SaCas91xMS2-HBB 3’UTR LVLPは、複数回の反復において最良の遺伝子編集活性を一貫して示した。
LVLPによって送達されたmRNAの発現持続期間を検討し、IDLVのものと比較した。形質導入24時間後、SaCas91xMS2-HBB 3’UTR LVLPは、最も高いCas9 mRNAレベルを示し、それらの高いmRNAコピー数/粒子およびmRNA安定性と一致している(図10A)。SaCas91xMS2LVLPは、最も低いmRNA発現を有し、それらの低い遺伝子編集活性と一致している。新規Cas9 mRNAの転写を示唆する、形質導入後48時間でIDLVがCas9 mRNAの発現を増加させたこととは対照的に、LVLPによって送達されたすべてのmRNAは、異なる速度で徐々に減少した。形質導入24時間後のそれぞれのmRNAレベルと比較して、SaCas91xPP7はSaCas91xMS2-HBB 3’UTRと同様の劣化速度を示した(図10B)一方で、SaCas91xMS2は、より早い劣化速度を示した。これは、SaCas91xMS2-HBB 3’UTRおよびSaCas91xPP7がGFPレポーターアッセイにおいてSaCas91xMS2よりも成績が良好であった理由も説明できる。したがって、SaCas91xMS2-HBB 3’UTR LVLPは、IDLVウイルスベクターと比較して一過性の高い発現を達成できた。
LVLPからのタンパク質発現を検討した。Cas9タンパク質発現は、SaCas9またはHA(Cas9のC末端のタグ)抗体のいずれかを用いて過発現HEK293T細胞またはGFPレポーター細胞において容易に検出されたが、300ng LVLPを用いて形質導入した48時間後にGFPレポーター細胞ではCas9発現をほとんど検出できなかった(図10C)。これらの細胞は、HBB sgRNA1 IDLVを用いて同時形質導入され、それらの15%はフローサイトメトリー解析においてGFP陽性であり、ウエスタンブロットによってでは、これらの細胞においてCas9タンパク質は検出困難であったが、約45%の細胞における成功した遺伝子編集を示唆している。データは、本発明者らが使用した方法によってはほとんど検出されなかったが、LVLPは、効率的な遺伝子編集のために十分なCas9タンパク質を発現できたことを示している。オフターゲット率がCas9タンパク質の増加と共に増加していることから、LVLPからの比較的低いCas9タンパク質も低いオフターゲットを確実にする。
Gag前駆体タンパク質は、異なる部位での異なる切断速度を有する連続的プロテアーゼ切断によって成熟タンパク質にプロセスされた(図10D)。MA(p17)、CA(p24)およびp15(それからNCがプロセスされる)に特異的な抗体を通常のGFPレンチウイルスベクター、MCP-ベースSaCas91xMS2LVLPおよびPCPベースSaCas91xPP7LVLPにおいてプロセスされたタンパク質のサイズを解析するために使用した。すべての粒子由来のMAおよびCAタンパク質は、同じ予測サイズを示し、解析時での適切な切断を示した(図10E)。抗MA抗体は、弱い75kDaバンドをMCP-およびPCPベースLVLPにおいて検出した。しかし、同様のバンドは、抗CAまたは抗p15抗体によって検出されず、これは、プロセスされていないGag前駆体タンパク質が存在するのではないことを示している。抗p15抗体は、GFPレンチウイルスにおいて15kDaよりわずかに小さいバンドを検出した。このサイズは、解析の時点で、部位4および5での切断が検出可能なレベルで生じなかったことを示し、それらの低い速度と一致する。p15抗体は、PCP-およびMCP-ベースLVLPにおいて20~25kDaの間のバンドを検出し、LVLPにおけるNC-PCPおよびNC-MCP融合タンパク質の予測されるサイズと合致する(図10D)。MCPベースLVLPでは、追加的に小さなバンドがp15抗体によって検出され、p15-MCP融合タンパク質の部分分解を示した。これらのデータは、NCにおけるMCPまたはPCPの挿入が部位1(MA/CA)、2(CA/SP1)および3(SP1/NC)でのGag前駆体切断にわずかに影響を有したことを示唆している。部位4(NC/SP2)および5(SP2/P6)での切断への影響は、p15抗体によって検出されたペプチドのサイズから判断して、解析の時点でこれらの部位が通常のLVにおいてでさえ切断されていなかったことから不明であった。MCP-およびPCP-ベースレンチウイルス様粒子の電子顕微鏡解析は、GFPレンチウイルスと同様の粒子サイズを明らかにした(図11)。
SaCas9 mRNAをパッケージしたLVLPは、高効率のゲノム編集を可能にする。SaCas9 mRNAをパッケージしたLVLPの遺伝子編集活性をさらに決定するために、本発明者らは、SaCas91xMS2-HBB 3’UTR mRNAをパッケージしたLVLP(30ng p24タンパク質)を60ng p24のHBB sgRNA1発現IDLVと共に用いて、GFPレポーター細胞2.5×104個に同時形質導入した。形質導入48時間後、13%のレポーター細胞はGFP陽性になった。GFP発現カセット中のHBB sgRNA1に対する標的DNAを増幅し、次世代配列決定によって配列決定した。全体で、86.5%の対立遺伝子は、主に、PAMから3nt離れている予測された切断部位の周辺に(図12B)インデルを有した(図12A)。データは、LVLPによってSaCas9 mRNAを送達することは、インデルを生成することに非常に効率的であることを実証した。
内因性標的でのSaCas9 LVLPの活性を検査するために、その突然変異がX連鎖重症複合免疫不全(SCID-X1)を生じるヒトIL2RGを標的化するsgRNAを発現するIDVLを調製した。HEK293T細胞において、30ng p24のSaCas9 LVLPおよび60ngのIL2RG sgRNA IDLVは、標的配列に13%インデルを生成した(図12C)。ヒトリンパ芽球(細胞2×105個)では、両方の種類の粒子の100または500ng p24の同時形質導入は、標的配列に11%または87.6%インデルを生成した(図12D)。インデル率は、異なる条件下で異なるが、最も頻繁に観察された突然変異は同じであった。データは、SaCas9 LVLPが複数の細胞において異なる標的遺伝子を標的化するために使用できたことを示した。
SaCas9 mRNAをパッケージしたLVLPは、ウイルスベクターのものより低いオフターゲット率を示した。 HBB sgRNA1をHBB Sickle細胞突然変異を標的化するように設計し、それは野生型HBB配列に1つのヌクレオチドミスマッチを有する(図12E)。このようにGFPレポーター細胞中の対応する野生型HBB遺伝子配列は、SaCas9/HBB sgRNA1についての「オフターゲット」とみなされ得る。野生型HBB遺伝子座におけるインデル率をSaCas9がLVLP、AAV6、IDLV、またはSaCas9発現LVによって送達された場合に比較した。機能的SaCas9/HBB sgRNA1を有する細胞のパーセンテージを調節するために、GFP陽性細胞をGFP活性選別によって形質導入48時間後に選別した。選別時(形質導入48時間後)に、GFP陽性率のパーセンテージは、LV、LVLP、IDLVおよびAAV6(104vg/細胞)を用いて処置した細胞についてそれぞれ、11.1%、2.1%、8.5%および6.5%であった。細胞はp24量に基づいて同数のLV、LVLPおよびIDLV粒子を用いて処置したが(細胞1.25×106個に対して約750ng p24)、組み込みコンピテントLV処置細胞は、持続的なCRISPR/Cas9発現のためにIDLVよりも高いGFP陽性率を既に示した。選別後、GFP陽性率は、それぞれ95.4%、88.9%、93.3%および90.8%であり、各条件下で大部分の細胞における機能的SaCas9/HBB sgRNA1の存在を示唆している。次に内因性HBB遺伝子座からのDNAを選別した細胞から選別1週間後に増幅し、次世代配列決定に供した。LVLPシステムは、内因性HBB部位において最も低いインデル率を有し、LVは最も高かった(図12E)。これらのデータは、遺伝子編集のためのLVLPによるSaCas9 mRNA送達が他のウイルス送達システムより安全であることを実証している。
上に記載される細胞において、Cas-Offinder)およびCRISPORによって予測される9個の潜在的オフターゲット中のインデルを探索した。LV処置細胞においてでさえ9個の潜在的HBB sgRNA1オフターゲットの内の8個においてインデルは検出されなかった。しかし、オフターゲット8(第20染色体、33982230bp~33982337bp)では、LVLP形質導入細胞においてよりもわずかに多いインデルがLV形質導入細胞において検出された(図12F)。
異なるパーセンテージのGFP陽性細胞を示した異なる粒子を用いて形質導入されたGFPレポーター細胞があることから(図12Aにおいて使用された細胞、および図12Eにおける未選別細胞)、これらの細胞におけるGFP陽性パーセンテージと標的配列(GFP発現カセット中)インデル率との間の関係を解析した。インデル率は、GFP陽性パーセンテージと共に直線的に増加することが見出された(図13、直線回帰によりr2=0.9497)。データから、異なる粒子種類のゲノム編集活性を比較するための本明細書に記載のGFPレポーターアッセイの妥当性が検証された。
(実施例11)
レンチウイルス様粒子へのCas9/sgRNA RNPパッケージング
プラスミド pMD2.G(Addgene #12259)、psPAX2-D64V(Addgene #63586)、pCSII-EF-miRFP709-hCdt(1/100)(Addgene #80007)およびpX601-AAV-CMV::NLS-SaCas9-NLS-3xHA-bGHpA;U6::BsaI-sgRNA(Addgene #61591)は、Addgeneから購入し、既に記載した。プラスミドは、実施例10または表2に記載した。生成したすべての構築物は、配列を確認した。プライマー、オリゴおよび合成DNA断片についての配列情報は、表10にある。
遺伝子編集活性についてのGFPレポーターアッセイ 上に記載のEGFPレポーター細胞をGFPレポーターカセット中に挿入された標的配列上のSaCas9/ヒトベータヘモグロビン(HBB)sgRNA1またはSaCas9/IL2RG-sgRNA1の遺伝子編集活性を検出するために使用した。GFPレポーター細胞は、EGFPコード配列の開始コドンと2番目のコドンとの間へのHBB sickle突然変異およびIL2RG標的配列の挿入によるEGFP読み枠の破壊のために、EGFPを発現しなかった。遺伝子編集後に形成されたインデルは、EGFP読み枠を回復でき、EGFP発現を生じる。GFP陽性細胞を上およびLu et al., Nucleic Acids Res. 2019 doi: 10.1093/nar/gkz093に記載のとおり、蛍光顕微鏡またはフローサイトメトリー(BD Biosciences、Accuri C6)によって解析した。
AAV6ウイルス産生および形質導入 SaCas9およびHBB sgRNA1を発現するアデノ随伴ウイルスをAAVベクターpSaCas9(SaCas9を発現する)およびpSaCas9-HBB-sgRNA1(HBB sgRNA1を発現し、野生型HBB遺伝子をSickle突然変異に変更する相同組換えのためのドナー鋳型を含有する)からそれぞれ作製した。AAV血清型6(AAV6)産生および定量をVirovek,Inc.(Hayward、CA)によって実施された。AAV6形質導入を無血清培地またはOPTI-MEMでウイルスゲノム103~104/細胞の力価で実施した。形質導入24時間後、細胞を血清含有増殖培地に戻した。
レンチウイルスおよびLVLP産生 SaCas9およびHBB sgRNA1の両方を発現するレンチウイルスベクタープラスミドpCK002-HBB-sgRNA1を、上に記載のとおり組み込みコンピテントレンチウイルスベクター(パッケージングプラスミドpspAX2によってパッケージされた)および組み込み欠陥レンチウイルス(IDLV)ベクター(パッケージングプラスミドpspAX2-D64Vによってパッケージされた)を産生するために使用した。SaCas9 mRNA LVLP産生も上に記載のとおりである。Cas9/sgRNA RNP LVLPを産生するために、15cmディッシュで増殖させた1300万個の活発に分裂しているHEK293T細胞を、10ml Opti-MEMに変更した。16μgのABP改変パッケージングプラスミドpspAX2-D64V-NC-ABP(ABPは、MCP、PCP、λ N22またはCOMであってよい)、エンベローププラスミド(pMD2.G)6μgならびに、SaCas9およびアプタマー改変sgRNAを同時発現するプラスミドDNA16μgを1ml Opti-MEM中に混合した。76ulの1mg/mlポリエチレンイミン(PEI、Polysciences Inc.)を1ml Opti-MEM中に混合した。次に、DNA混合物およびPEI混合物を混合し、室温、15分間インキュベートした。次にDNA/PEI混合物をOpti-MEM中の細胞に加えた。トランスフェクション24時間後、培地を15ml Opti-MEMに変更し、Cas9/sgRNA RNP LVLPを24時間ごとに1回の回収で2回回収した。上清を下に記載のさらなる処理の前に細胞デブリを除去するために10分間、500gで回転させた。
レンチウイルスおよびLVLPの濃縮 回収し、清澄化した上清をKR2i TFF System(KrosFlo(登録商標)Research 2i Tangential Flow Filtration System)(Spectrum Lab、カタログ番号SYR2-U20)を濃縮-ダイアフィルトレーション-濃縮モードで使用して濃縮した。典型的には、150~300mlの上清を最初に約50mlに濃縮し、500mlから1000mlのPBSでダイアフィルトレーションし、最後に約8mlに濃縮した。ホローファイバーフィルターモジュールを修飾ポリエーテルスルホンから、分子量カットオフ500kDaで作製した。流速および圧力限界は、フィルターモジュールD02-E500-05-Nについて80ml/分および8psi、ならびにフィルターモジュールC02-E500-05-Nについて10ml/分および5psiであった。
レンチウイルスベクターおよびLVLP定量 ウイルス力価をp24ベースELISA(Cell Biolabs、 QuickTiter(商標)Lentivirus Titer Kit、カタログ番号VPK-107)によって決定した。未精製試料をアッセイする場合、可溶性p24タンパク質が検出されないようにウイルス粒子を製造者の使用説明書に従って沈殿させた。
レンチウイルスおよびLVLPからのウイルスタンパク質のウエスタンブロット解析 精製レンチウイルスまたはLVLP(ELISAによって200ng p24)を20μlの1×Laemmli試料緩衝液中に溶解した。各試料中のタンパク質をSDS-PAGEゲルで分離しウエスタンブロットによって解析した。使用した抗体は、マウスモノクローナル抗SaCas9抗体(Millipore Sigma、MAB131872、クローン6F7、1:1000)、MAに対するウサギポリクローナルHIV1 p17抗体(ThermoFisher Scientific、カタログ番号PA1-4954、1:1000)、NCに対するウサギポリクローナルHIV1 p15抗体(Abcam、カタログ番号ab66951、1:1000)およびCAに対するp24マウスモノクローナル抗体(Cell Biolabs、カタログ番号310810、1:1000)を含む。HRPコンジュゲート抗マウスIgG(H+L)(ThermoFisher Scientific、カタログ番号31430、1:5000)および抗ウサギIgG(H+L)(カタログ番号31460、1:5000)二次抗体をウエスタンブロットにおいて使用した。化学発光試薬(Pierce)をLAS-3000 system(Fujifilm)下でタンパク質シグナルを可視化するために使用した。
レンチウイルスまたはLVLPからのRNA単離およびRT-qPCR解析 miRNeasy Mini Kit(QIAGENカタログ番号217004)を濃縮したレンチウイルスまたはLVLPからRNAを単離するために使用した。QuantiTect Reverse Transcription Kit(QIAGEN)をRNAをcDNAに逆転写するために使用した。sgRNA逆転写のために、キット中で提供されるハーフランダムプライマー(half random primer)およびハーフsgRNA特異的プライマー(sgRNA-R2)を逆転写のために使用した。SaCas9およびEGFPに特異的なカスタム設計加水分解プローブ(ThermoFisher Scientific)を、TaqMan Universal PCR Master Mix(ThermoFisher Scientific)と一緒にqPCRにおいて使用した。HBB sgRNA1およびHBB sgRNA1テトラ-com検出のために、sgRNA-F1(配列番号30)およびs0067RNA-R3をSybrGreenベースのRT-qPCRにおいてプライマーとして使用した。PCRをABI7500装置で実行した。
LVLPコアカプシドからの膜の除去 レンチウイルス様粒子をWiegers et al. J. Virol. 1998, 72: 2846-2854に記載のとおり0.5%Triton(登録商標) X-100を用いて一過的に処置した。簡潔には、LVLPを、Sorvall T-890ローター(2時間、120 000g)を用いて0.5%Triton(登録商標) X-100を含むまたは含まないSTE[100mM NaCl、50mM Tris/HCl(pH7.5)、1mM EDTA]中の10%ショ糖の1ml層、およびSTE溶液中の2ml 20%ショ糖のクッションを含有するステップグラジエントを通して遠心分離した。ペレットにしたウイルスをウエスタンブロットまたはRT-qPCR解析のために直接溶解した。
レンチウイルスおよびLVLP形質導入 種々の量の濃縮レンチウイルスまたはLVLP(10~300ng p24タンパク質に相当)を8μg/mlポリブレンを含む、24ウェルプレートで増殖させた細胞2.5×104個に加えた。未濃縮ウイルス含有上清を、細胞への形質導入のために新鮮培地を用いて1:1比で希釈した。細胞を粒子含有培地を用いて12~24時間インキュベートし、その後通常の培地で置き換えた。
ヒト細胞における遺伝子編集 AAV血清型6から発現されたCas9を用いた遺伝子編集のために、AAV6を発現するSaCas9およびAAV6を発現するHBB sgRNA1をGFPレポーター細胞に同時形質導入した。SaCas9およびHBB sgRNA1の両方を発現するLVまたはIDLV(インテグラーゼにD64V突然変異を含有するパッケージングプラスミドを用いてパッケージされた)を用いた遺伝子編集のために、24ウェルプレートで10~300ng p24に相当するウイルスを細胞2.5×104個に形質導入するために使用した。SaCas9 mRNA LVLPを用いた遺伝子編集のために、種々の量のSaCas9 mRNA LVLP(p24によって定量)を、HBB sgRNA1を発現するIDLVと共に用いてHEK293T細胞またはGFPレポーター細胞に同時形質導入した。Cas9/sgRNA RNP LVLPを用いた形質導入のために、種々の量のCas9/sgRNA RNP LVLPを用いてヒト細胞に形質導入した。形質導入48~72時間後、遺伝子編集活性をGFPレポーターアッセイまたは次世代配列決定によって解析した。
エプスタイン・バーウイルス形質転換によって不死化したヒトリンパ芽球様細胞における遺伝子編集を検討するために、sickle細胞突然変異を有するまたは有さないヒトリンパ芽球様細胞系は、Corrie Instituteから購入した(GM16265、Sickle細胞突然変異を有する;ID00085、IL2RG遺伝子中に突然変異を有する)。リンパ芽球を2mmol/L L-グルタミンおよび15%ウシ胎児血清を含むRPMI 1640中で、37℃、5%二酸化炭素下で培養した。LVLPおよびIDLV形質導入のために、細胞2×105個を0.5ml RPMI増殖培地に加えた。次いでCas9/sgRNA RNP LVLPを細胞に加えた。ポリブレンを培地に最終濃度8μg/mlで加えた。新鮮培地に形質導入20時間後に置き換えた。細胞を次世代配列決定によるDNA解析のために形質導入72時間後に回収した。
次世代配列決定およびデータ解析 組み込まれたGFP発現カセット中の内因性HBB標的配列およびIL2RG標的配列、ならびにHBBおよびIL2RG標的配列を配列決定解析のために増幅した。ネステッドPCR戦略を内因性HBB 標的配列を増幅するために使用して、ウイルスベクター鋳型由来の配列を増幅することを回避した。最初に、プライマーHBB-1849FおよびHBB-5277RをHBB遺伝子遺伝子座由来の3.4kb領域を増幅するために使用した。これら2つのプライマーは、ウイルスベクター中の鋳型由来の配列を増幅できない。次にHBB-F1およびHBB-F2プライマーを配列決定のための標的DNAを増幅するために使用した。内因性IL2RG標的配列を増幅するために、プライマーIL2RG-1029FおよびIL2RG-3301Rを処置した細胞から標的領域を増幅するために使用し(ウイルスベクター中の鋳型由来の配列を増幅することはできない)、次いでプライマーIL2RG-F1(配列番号90)およびIL2RG-3301Rを配列決定のために第1のPCR産生物から標的DNAを増幅するために使用した。配列決定のために、組み込まれたEGFPレポーター由来のHBB標的配列を増幅するために、レポーターFおよびレポーターR1プライマーを使用した。KAPA Biosystems(Wilmington、MA)からのプルーフリーディングHotStart(登録商標)ReadyMixをPCRのために使用した。精製したPCR産生物を次世代配列決定(Amplicon EZ)を実施するためにGenewiz Inc.(Morrisville、NC)に発送した。通常、読み取りデータ50,000個/アンプリコンが得られた。
3’リンカーおよび5’バーコード配列を除いた後、得られた読み取りデータを突然変異解析のためにオンラインCas-Analyzerソフトウェアに送った。参照配列を送る際に、プライマー配列は、それらがsgRNA標的から少なくとも12nt離れている場合には除外した。そうでなければプライマー配列は、参照に含めた。参照配列(プライマー配列は除く)の5’12ntおよび3’12ntの両方を含有する読み取りデータだけをインデル解析に含めた。合計インデル率は、1と突然変異を含まない読み取りデータのパーセンテージとの間の差異であった。最も頻繁に観察される上位8~10個の読み取りデータを示した。
GFP陽性細胞出現の速度のモニタリング 24ウェルプレートに播種したGFPレポーター細胞2.5×104個に、50ng p24のCas9/IL2RG sgRNA1テトラ-comRNP LVLPを用いて形質導入した、または100ng p24のCas9 mRNA LVLPおよびIL2RG sgRNA1を発現する100ng p24のIDLVを用いて同時形質導入した。次いで時限GFP蛍光スキャンニングのためにIncuCyte S3 system(Essen BioScience,Inc.Ann Arbor、Michigan)において細胞をインキュベートした。各処置から2ウェルおよび各ウェルから9スポットをスキャンした。スキャンニングは形質導入の直後に開始し、細胞を2時間ごとに1回、48時間スキャンした。各画像のGFP陽性率を、画像中のGFP陽性面積を相面積(細胞によって占められている面積)で割ることによって算出した。
統計解析 GraphPad Prism softwareを統計解析のために使用した。t検定を2つの群の平均を比較するために使用した。2つより多い群からのデータを解析するために分散分析(ANOVA)を実施し、チューキーの事後検定が続いた。2因子の場合はANOVAに続いてボンフェローニ事後検定を実施した。p<0.05を統計的に有意とみなした。
sgRNAテトラループをアプタマーで置き換えることは、Cas9/sgRNA RNP活性を最良に保存した。Cas9/sgRNA RNPのレンチウイルス様粒子へのパッケージングを検査した。戦略全体は、ABPをレンチウイルス様粒子に、上に記載のとおりABPをレンチウイルスヌクレオカプシドタンパク質(NC)に融合することを介して組み込むことであり、Cas9タンパク質と複合体化する対応するアプタマーをsgRNAに加え、レンチウイルスカプシドアセンブリの際にCas9/sgRNA RNPを形成する。Cas9/sgRNA RNPをレンチウイルスカプシドに特異的アプタマー/ABP相互作用を介してパッケージする(図14A、右図)。エンドソームからの回避後、Cas9/sgRNA RNPはカプシド脱コートに続いて細胞質に放出され、次いでRNP複合体は遺伝子編集を行うように核に進入する。
この戦略を実行するために、アプタマー挿入を最良に許容し、Cas9との複合体化後にヌクレアーゼ活性を保存するsgRNAスキャフォールド中の位置を見出す必要がある。効率的なCas9 mRNAパッケージングを媒介することから、MS2アプタマーを使用した。ステムループ2(ST2)にMS2を挿入し、テトラループをMS2を用いて置き換え、およびsgRNAの3’末端の後にMS2を付加して、3箇所の位置を検査した(図14B)。SaCas9および、HBB sgRNA1を標的化する改変sgRNAを同時発現するプラスミドDNAをGFPレポーター細胞にトランスフェクトした場合、HBB sgRNA1標的配列中のインデルは、GFP発現を回復できる。テトラループまたはST2ループを置き換えることは、GFP陽性レポーター細胞のパーセンテージをわずかに減少させたが、3箇所のいずれかに1つのMS2を付加することは、トランスフェクション実験においてgRNA活性を保存したことが見出された(図14C)。2つのMS2アプタマーの付加も検査した。1つのアプタマーはテトラループを置き換え、他の1つはST2ループまたは3’末端にあった。両方の場合で、GFP陽性パーセンテージは、一貫して減少し、1コピーより多いMS2がRNA安定性を減少させるという観察と一致した。したがって、1コピーのアプタマーをさらなる実験において使用した。
これらのMS2改変sgRNAがパッケージされ、LVLPにより送達され得るかどうかも検査した。SaCas9タンパク質およびMS2改変HBB sgRNA1をLVLP調製の際に同時発現させ、LVLPを用いて本発明者らのGFPレポーター細胞に形質導入した。フローサイトメトリー解析は、テトラループにMS2を有するHBB sgRNA1を含有するLVLP(HBB sgRNA1テトラ MS2)が、最も多いGFP陽性細胞をもたらし、3’末端にMS2を含むHBB sgRNA1を含有するLVLP(HBB sgRNA13’MS2)がそれに続いたことを見出した。ステムループIIでのMS2(HBB sgRNA1ST2 MS2)が活性であったトランスフェクション実験とは対照的に、HBB sgRNA1ST2 MS2LVLPはいかなる遺伝子編集活性もほとんど有さず(図14D)、HBB sgRNA1ST2 MS2はパッケージされ得ないか、又は形質導入後工程を残存できないかのいずれかであることを示唆している。
com/COMは、sgRNAパッケージングのためのアプタマー/ABP対である。アプタマーを用いてテトラループを置き換えることが最良であったことを踏まえて、テトラループを置き換えるために使用できる追加的アプタマーを調査した。4つのアプタマー、MS2(23)、PP7(24)、BoxB(25)およびcom(26)を標的結合目的のためのsgRNAにおいて使用した(22、27~29)。テトラループを置き換える種々のアプタマー(MS2、PP7、BoxBおよびcom)を含むHBB sgRNA1の活性を検査した(図15A)。SaCas9および種々のアプタマー改変HBB sgRNA1を同時発現するプラスミドDNAをGFPレポーター細胞にトランスフェクトした場合、comアプタマーを用いてテトラループを置き換えることは、未改変sgRNAと同じ率のGFP陽性細胞を生成した一方で、他の3つのアプタマーを用いてテトラループを置き換えることは、GFP陽性率を顕著に低減した(図15B)。
異なるアプタマーを含むLVLPへのHBB sgRNA1のパッケージングを検査した。この目的のために、上に記載のとおりABPがヌクレオカプシドタンパク質(NC)の第2の亜鉛フィンガードメイン後に挿入された、MCP(MS2コートタンパク質、MS2に結合する)、PCP(PP7コートタンパク質、PP7に結合する)、λN22ペプチド(BoxBに結合する)およびCOM(comに結合する)改変パッケージングプラスミドを、Cas9が種々の改変HBB sgRNA1と共に複合体化したRNP含有LVLPを作製するために使用した。これらのLVLPを用いてGFPレポーター細胞に形質導入した。フローサイトメトリーは、com/COM対によって生成されたLVLPが最も多いGFP陽性細胞を有し、MS2/MCPによって生成されたものがそれに続いたことを見出した。PP7/PCPおよびBoxB/λN22は、最も低い活性を有するLVLPを生成した(図15C)。GFP陽性細胞は、これらのLVLPが、GFPレポーター細胞に形質導入するために使用された場合にだけ観察されたが、HEK293T細胞では見出されず、GFP発現DNAまたはウイルスの混入の可能性を排除している(図16)。
com-COM組合せが最良の結果をもたらしたことから、パッケージングプラスミドのCOM改変が粒子アセンブリを損なうかどうかを検査した。未改変パッケージングプラスミドと比較して粒子アセンブ効率においてわずか11%の減少が観察された(図17)。このわずかな減少は、十分な粒子の産生を妨げないはずである。これらの実験を通じて、Cas9 RNP(またはCas9 mRNAおよびsgRNA)のレンチウイルスカプシドへの最も効率的なパッケージングのための位置(テトラループ)およびアプタマー/ABP対(com/COM)を同定した。
LVLP中のCas9/sgRNA RNPは観察された遺伝子編集活性の主要因であった。Cas9/sgRNA RNPをパッケージするために設計されたが、アプタマー不含有SaCas9 mRNAが未知の機構でパッケージされ得た以前の観察を考慮すると、観察された遺伝子編集活性は、同時パッケージされたSaCas9 mRNAおよびsgRNA由来である可能性がある。Cas9/sgRNA RNPまたはSaCas9 mRNA/sgRNAが観察された遺伝子編集活性に寄与するかどうかを決定するために、Cas9発現カセットをHHB sgRNA1テトラ-com発現カセットから2つの異なるプラスミドに分離した。2つのプラスミドをGFPレポーター細胞に同時トランスフェクトした場合、それらは、両方の発現カセットを含有する単一のプラスミドをトランスフェクトした場合と同じ効率でGFP陽性細胞を生成した(図18A)。しかし、Cas9発現の非存在下でHHB sgRNA1テトラ-comをLVLPにパッケージした場合、これらのLVLPは、検証済みの機能的Cas9 mRNA LVLPと共に用いてGFPレポーター細胞に同時形質導入しても、ほとんど遺伝子編集活性を有さなかった(図18B)。
Cas9タンパク質は、細胞中でsgRNAの安定性を保護するために必要である。これは、HBB sgRNA1テトラ-comを単独で発現すること、またはsgRNAをCas9と同時発現することによって確認された。Cas9を同時発現することは、HBB sgRNA1テトラ-comの発現を顕著に増加させた(図18C)。DNAトランスフェクション後、sgRNAは恒常的に発現された。一方形質導入後に、sgRNAsは形質導入後細胞内輸送を完了させ、新たなsgRNAは生成されなかった。したがって、sgRNAへのCas9タンパク質の保護効果がさらに重要であることが予測される。これらのデータは、sgRNA不安定性、特に形質導入後細胞内輸送で残存するsgRNAの能力の欠如が、単一でパッケージされたHHB sgRNA1テトラ-comLVLPがCas9 mRNA LVLPとの同時形質導入後に不活性であることの理由を主に説明することを示唆している。
これらの実験は、同時パッケージされたCas9 mRNAおよびsgRNAに加えて、パッケージされたCas9/sgRNA RNPも遺伝子編集のために使用され得ることを示している。Cas9発現を伴ってパッケージされたHHB sgRNA1テトラ-comLVLPにおけるCas9タンパク質の存在を検討するために、濃縮されたLVLPのウエスタンブロット解析を実施した(図18D)。予測されたサイズおよび量でウイルスタンパク質MA(p17)およびCA(p24)が検出され、MAおよびCAのプロセシングが影響されなかったことを示している。それからNCがプロセスされるp15の検出は、GFPレンチウイルスにおいて(レーン1)および未改変パッケージングプラスミドを含んで生成されたLVLPにおいて(レーン3)10kdから15kdの間のバンドを示した。NC-MCP改変パッケージングプラスミドによって生成されたLVLP(レーン2)では、15~20kdの間に強いバンドが検出され、それは予測される21.8kd NC-MCP融合タンパク質よりわずかに小さかった。しかし、NC-COM改変パッケージングプラスミドによって生成されたLVLP(レーン4~6)では、15kdよりわずかに小さなバンドが検出され、予測される18.7kdのNC-COM融合タンパク質よりわずかに小さかった。抗p15は、すべての試料(GFPレンチウイルスを含む)において、SDS-PAGEシステムによってまたはp15もしくはp15融合タンパク質の部分分解によって生じる可能性がある、予測されるよりもわずかに小さなバンドを検出した。
驚くべきことに、Cas9タンパク質は、sgRNAを含まない(レーン3、長期の曝露後に観察された)またはsgRNA中にテトラ-comアプタマーを含まない(レーン6)試料を含む、Cas9発現を有する細胞において産生されたすべての種類のLVLPにおいて検出された。しかし、Cas9は、GFP発現レンチウイルスにおいて検出されなかった(図18D、レーン1)。LVLPにおけるCas9タンパク質の検出は、Cas9タンパク質が観察された遺伝子編集活性に寄与できるが、Cas9タンパク質およびcom改変を有さないsgRNAを含有するLVLPからの活性の欠如を説明できないことを示唆している。
sgRNAのcom改変は、LVLPのコアカプシドにCas9/sgRNA RNPを効率的にパッケージングするために必要であった。Cas9タンパク質は、com改変を有さないHBB sgRNA1を含むLVLPにおいて検出された(図18D、レーン6)。これらは、GFPレポーターアッセイにおいてわずかな遺伝子編集活性を示した(図18B)。したがって、comアプタマーを含むまたは含まないLVLP中のCas9タンパク質の相対的レベル(カプシドタンパク質CAに正規化)を、粒子あたりのCas9タンパク質の量が、活性における差異を説明するかどうかを決定するために比較した。Cas9/HBB sgRNA1テトラ-comLVLP(com+)がCas9/HBB sgRNA1 LVLPの2.9倍のCas9タンパク質を含有することが見出された(図18E、com-)。
Cas9タンパク質含有量に3倍未満の差異があったことから、Cas9タンパク質のコンパートメント化を研究した。LVLPがタンジェンシャルフローろ過によって濃縮されたことから、LVLPは、エキソソームを含む膜構造を有する可能性があった。カプシドコア内のRNPが、形質導入後細胞内輸送の際に最も遺伝子編集活性を保存しやすく、そのため界面活性剤耐性Cas9タンパク質の量が重要であると想定された。カプシドコア内のCas9タンパク質を検出するために、膜小胞およびカプシドエンベロープと会合したCas9タンパク質を除去するために粒子を0.5%Triton(登録商標) X-100を用いて一過的に処置した。Triton(登録商標) X-100処置は、カプシドエンベロープと会合したMAタンパク質(p17抗体によって検出)の量を大きく減少させ、処置が機能したことを示している(図18F)。CAタンパク質は、異なる種類の粒子の異なるコアカプシド安定性を反映している可能性がある異なった程度に低減した。しかし、Cas9タンパク質量は、未改変sgRNAを有するLVLPにおいて大きく低減されたが、テトラ-com改変sgRNAを有するLVLPではわずかに低減されただけであった。Cas9/HBB sgRNA1テトラ-comLVLPは、Cas9/HBB sgRNA1 LVLPと比較して6.8倍の界面活性剤耐性Cas9タンパク質を有した。これらのデータは、sgRNAのテトラ-com改変が界面活性剤耐性カプシドコアにおけるCas9タンパク質のパッケージングを促進し、コア保護Cas9/sgRNA RNPの量が遺伝子編集活性と相関することを示している。
sgRNAパッケージングでのcom-アプタマーの重要性をLVLPにおけるsgRNA含有量のRT-qPCR解析によって検討した。使用したPCRプライマーは、HBB sgRNA1およびHBB sgRNA1テトラ-comから異なるサイズのアンプリコンを産生したが、23nt com-アプタマーの存在および非存在のために、異なる量のプラスミドDNAをqPCRのための鋳型として使用した場合にプライマーは非常によく似た標準曲線を生じ(図19)、com-陽性およびcom-陰性sgRNA配列について同様の増幅効率を実証している。Cas9タンパク質を含まないLVLPでは、HHB sgRNA1テトラ-comレベルは、Cas9タンパク質を含むLVLPより2.5倍大きかった。しかし、Cas9およびcom-陰性HBB sgRNA1を含むLVLPでは、sgRNAレベルは、Cas9およびHHB sgRNA1テトラ-comを含むLVLPにおけるものの1/50未満であった(図18G)。これらのデータは、sgRNAのパッケージングがcom-アプタマー依存性だがCas9タンパク質依存性ではないことを示した。Cas9タンパク質は、パッケージされたcom改変sgRNAの量をわずかに減少させた。これは、com/COM相互作用へのCas9/sgRNA会合の負の効果による可能性が高い。したがってこれらのデータは、カプシドコアへのCas9タンパク質のパッケージングが、com/COM相互作用を介してsgRNAテトラ-comによって媒介されることを示した。Cas9タンパク質は、LVLPへのsgRNAパッケージングのために必要ないが、形質導入の際にsgRNAを保護するために必要である。com改変を有するおよび有さないsgRNAが比較のために使用された図18に記載の実験を除いて、com改変sgRNAを続くすべての実験において使用した。これ以降において、簡潔にするために、Cas9/sgRNA RNPをCas9/sgRNAテトラ-comRNPを示すために使用した。
Cas9/sgRNA RNP LVLPは、効率的なゲノム編集を可能にし、オフターゲットの識別を改善した。記載のCas9 RNP LVLPおよび上に記載のCas9 mRNA LVLPの遺伝子編集活性を比較した。Cas9/HHB sgRNA1 RNP LVLPは、GFPレポーターアッセイにおいてSaCas9 mRNA LVLPと比較して同等の遺伝子編集活性を示した(図20A)。
RNP LVLPの遺伝子編集活性を、その突然変異がX連鎖重症複合免疫不全を生じる、別の標的、IL2RGについて上に記載のIL2RG sgRNA1を使用して次世代配列決定(NGS)によってさらに検討した。Cas9/IL2RG sgRNA1 RNP LVLPを用いてGFPレポーター細胞2.5×104個に形質導入した。形質導入72時間後、内因性IL2RG領域を増幅し、NGSに供した。15、45および100ng p24のこれらの粒子は、4.1%、8.1%および21.1%インデルを内因性IL2RG遺伝子に生じた(図20B)。上に記載の研究において、30ng p24のSaCas9 mRNA LVLPおよび60ngのIL2RG sgRNA LVは、13%インデルをHEK293T細胞のIL2RGにおいて生じ、したがって、これらのRNP LVLPは、同等のまたはさらに良好な遺伝子編集活性を示した。200ng p24のIL2RG sgRNA1 RNP LVLPを用いてBリンパ芽球様2×105個に形質導入し、18.3%インデルが検出された(図21)。この活性は、同数のBリンパ芽球様において11%インデルを生じた100ng p24のSaCas9 mRNA LVLPおよび100ng p24のIL2RG sgRNA1発現IDLVとも同等である。
これらのデータはRNP LVLPが遺伝子編集においてCas9 mRNA LVLPと同程度に活性であったことを示した。RNPによるCas9の送達は、細胞あたりに送達されたCas9タンパク質の量のより良好な調節およびさらに一過性のCas9作用を提供するはずである。その両方が、オフターゲット率を低減することに役立つ。予測される9個の潜在的HBB sgRNA1オフターゲットは、すべて非常に低いインデルを有し、異なる送達方法間のオフターゲット率の比較を妨げる。しかし、鎌状赤血球症突然変異に対応する野生型HBB配列は、HBB sgRNA1に1つだけのヌクレオチドミスマッチを有し(図20C)、検出可能なオフターゲットインデルはCas9/HBB sgRNA1によって生成され得た。したがって、GFPレポーター細胞において、Cas9/HBB sgRNA1がプラスミドトランスフェクションによって、またはLV、IDLVおよびAAVによって送達された場合のオンターゲットインデル率(GFPレポーターカセット中の鎌状赤血球症突然変異において、図20Cの下に示す)およびオフターゲットインデル率(HBB sgRNA1に1ヌクレオチドミスマッチを有する内因性野生型HBB配列、図20Cの上に示す)を研究した。結果は、Cas9/HBB sgRNA1 RNP LVLPがオンターゲットインデル率のオフターゲットインデル率に対する最も高い比を有し、Cas9 mRNA/HBB sgRNA1 LVLPが2番目を有し、両方ともLV、IDLVおよびAAVのものより高かった(図20D)ことを示した。したがって、RNP LVLPがオフターゲット効果からオンターゲット効果を最良に区別した。
Cas9/sgRNA RNP LVLPは、形質導入後にCas9 mRNA LVLPより速い作用を示した。GFPレポーターアッセイをCas9/sgRNA RNP LVLP およびCas9 mRNA LVLP処置後のGFP陽性細胞出現の動態を比較するために使用した。この目的のために、GFPレポーター細胞2.5×104個に50ng p24のCas9/IL2RG sgRNA1 RNP LVLPを用いて形質導入した、またはGFPレポーター細胞に100ng p24のCas9 mRNA LVLP、およびIL2RG sgRNA1を発現する100ng p24のIDLVを用いて同時形質導入した。GFP陽性細胞の出現を2時間ごとにモニターした。GFP陽性細胞は、RNP LVLP処置細胞においてmRNA LVLP処置細胞においてよりも少なくとも6時間まで早く示した(図20E)。形質導入34時間後に2つの処置のGFP陽性面積率は収束した。データは、mRNA LVLPは有効に使用され得るが、RNP LVLPはmRNA LVLPおよびIDLVよりも早い作用を有することを示した。これは、エンドソームからのエスケープ後すぐにRNPが核における機能のために利用できる一方で、mRNA LVLPおよびIDLVはCas9タンパク質およびsgRNAを発現するためにさらに時間が必要であるためであると考えられる。動態における差異も、Cas9/sgRNA RNP LVLPにおける機能的構成成分がCas9 mRNA LVLPにおけるものと異なっていることを示している。
LVLPは、ドナー鋳型の存在下で効率的な相同組換えを媒介する。CRISPR/Cas9の1つの応用は、ドナー鋳型の存在下で相同組換えを促進することである。組み込み欠陥レンチウイルスベクターをドナー鋳型を準備するために使用した。パッケージングプラスミド中のNCのCOM改変は、GFP発現レンチウイルスベクターのパッケージングをわずかに減少させたが(未改変パッケージングプラスミドについて1.0±0.15、N=3;NC-COM改変パッケージングプラスミドについて0.73±0.15、N=6;p>0.05)、これらのCOM改変GFPレンチウイルスベクターの形質導入後にGFP発現をほとんど除去した。加えて、Cas9/sgRNA RNPのパッケージングはΨ媒介レンチウイルスゲノムパッケージングを減少させたが、差異は統計的有意性に達しなかった(RNPを有する、0.53±0.16、N=3;RNPを有さない、0.93±0.21、N=3;p>0.05)。これらの観察から、ドナー鋳型は組み込み欠陥レンチウイルスベクター(IDLV)によって別々に送達された。
レンチウイルスベクターは、細胞のex vivo改変のために広く使用されている。LVLPを内因性IL2RGプロモーターの下流への機能的IL2RG cDNAの挿入を促進するために使用した。このcDNA挿入戦略は、疾患を生じる突然変異の性質に関わらずSCID-X1を処置するために使用できる。ドナー鋳型は、1.5kb 5’相同アーム、1.1kb IL2RG cDNAおよび3’相同アームを含有する。3’相同アームは、相同組換え後にcDNAがIL2RGゲノムDNAの同様の長さを置き換えるように設計した。IL2RG cDNAは、cDNA媒介相同組換えの機会を低減するために元のcDNAとの差異を最大化するようにコドン最適化した。ドナー鋳型に加えて、レンチウイルスベクターもcDNAの挿入を促進するようにIL2RG sgRNA1およびsgRNA2の発現を駆動する2つのU6プロモーターを含有した(図22A)。
ドナー鋳型/sgRNAをCas9/IL2RG sgRNA1 RNP LVLPを含むまたは含まないIDLVによって、リンパ芽球細胞に送達した。形質導入72時間後、ゲノムDNAを抽出し、標的領域を2ラウンドのPCR増幅によって増幅した(図22A)。最初のPCRでは、1つのプライマーはドナー鋳型の外であり、したがって、相同組換えを伴わずには鋳型DNAから増幅できなかった。最初のPCRの産生物をゲルから精製し、配列決定のために5’および3’接合部DNAを増幅する2回目のPCRにおける鋳型として使用した。共通プライマーに加えて3個のプライマーを各PCRにおいて使用した。1つのプライマーは、HRを含むDNAを増幅するために挿入したcDNA配列にマッチしており、別のプライマーは、HRを含まないDNAを増幅するために置き換えられるゲノムDNAにマッチしていた。100ng p24のLVLPおよびIDLVを用いてHEK293T細胞2.5×104個に形質導入した。5’接合部で、46.2%の配列はHRを含まず(29.6%はインデルを含まず、残りの16.6%はインデルを含む)および53.8%の配列はHRを含む(図22B)ことが観察された。HRを含む読み取りデータでは、標的配列がドナー鋳型に存在しないことからインデル率はバックグラウンドと同様であった。データは、Cas9/sgRNA RNPが活性であり、1.1kb DNAの標的化挿入を大きく増強したことを示した。PCR産生物において57%の読み取りデータがHRを含んだ観察は、これらのLVLPがHDRを増強するためにIDLVと一緒に使用され得ることを示唆している。
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
Gagヌクレオチド配列に作動可能に連結した真核細胞プロモーターを含むレンチウイルスパッケージングプラスミドであって、前記Gagヌクレオチド配列は、ヌクレオカプシド(NC)コード配列およびマトリックスタンパク質(MA)コード配列を含み、前記NCコード配列または前記MAコード配列のうち一方または両方は、少なくとも1つの非ウイルス性アプタマー結合タンパク質(ABP)ヌクレオチド配列を含み、前記パッケージングプラスミドは、機能的インテグラーゼタンパク質をコードしない、レンチウイルスパッケージングプラスミド。
(項目2)
前記NCコード配列が、2つの機能的ジンクフィンガータンパク質ドメインおよび機能的天然プロテアーゼプロセシング配列を含む、項目1に記載のレンチウイルスパッケージングプラスミド。
(項目3)
前記少なくとも1つの非ウイルス性ABPヌクレオチド配列が、MS2コートタンパク質、PP7コートタンパク質、ラムダNペプチドまたはCOMタンパク質をコードする、項目1または2に記載のレンチウイルスパッケージングプラスミド。
(項目4)
前記Gagヌクレオチド配列が、第1の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列および第2の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列をタンデムで含む、項目1から3のいずれか一項に記載のレンチウイルスパッケージングプラスミド。
(項目5)
前記第1の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列および前記第2の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列が両方とも、同一のABPをコードし、前記ABPが、MS2コートタンパク質、PP7コートタンパク質、ラムダNペプチドまたはCOMタンパク質を含む、項目4に記載のレンチウイルスパッケージングプラスミド。
(項目6)
前記第1の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列および前記第2の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列が、MS2コートタンパク質、PP7コートタンパク質、ラムダNペプチドおよびCOMタンパク質からなる群から選択される異なるABPをコードする、項目4に記載のレンチウイルスパッケージングプラスミド。
(項目7)
前記NCコード配列が、少なくとも1つの第1の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列を含み、前記MAコード配列が、少なくとも1つの第2の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列を含む、項目1から6のいずれか一項に記載のレンチウイルスパッケージングプラスミド。
(項目8)
前記少なくとも1つの第1の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列および前記少なくとも1つの第2の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列が両方とも、同一のABPをコードし、前記ABPが、MS2コートタンパク質、PP7コートタンパク質、ラムダNペプチドまたはCOMタンパク質を含む、項目7に記載のレンチウイルスパッケージングプラスミド。
(項目9)
前記少なくとも1つの第1の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列および前記少なくとも1つの第2の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列が、MS2コートタンパク質、PP7コートタンパク質、ラムダNペプチドおよびCOMタンパク質からなる群から選択される異なるABPをコードする、項目7または8に記載のレンチウイルスパッケージングプラスミド。
(項目10)
Revヌクレオチド配列およびTatヌクレオチド配列をさらに含む、項目1から9のいずれか一項に記載のレンチウイルスパッケージングプラスミド。
(項目11)
その中にインテグラーゼ不活性化突然変異を有するインテグラーゼコード配列を含む、項目1から10のいずれか一項に記載のレンチウイルスパッケージングプラスミド。
(項目12)
前記インテグラーゼ不活性化突然変異が、前記インテグラーゼコード配列によってコードされるインテグラーゼタンパク質のアミノ酸64位でのアスパラギン酸からバリンへの突然変異(D64V)である、項目11に記載のレンチウイルスパッケージングプラスミド。
(項目13)
インテグラーゼコード配列のすべてまたは一部の欠失を含む、項目1から12のいずれか一項に記載のレンチウイルスパッケージングプラスミド。
(項目14)
逆転写酵素コード配列のすべてまたは一部の欠失を含む、項目1に記載のレンチウイルスパッケージングプラスミド。
(項目15)
前記真核細胞プロモーターが、RNAポリメラーゼIIプロモーターである、項目1から14のいずれか一項に記載のレンチウイルスパッケージングプラスミド。
(項目16)
ウイルスタンパク質R(VPR)コード配列またはネガティブ調節因子(NEF)コード配列に作動可能に連結した真核細胞プロモーターを含む哺乳動物発現プラスミドであって、前記VPRコード配列または前記NEFコード配列は、少なくとも1つの非ウイルス性アプタマー結合タンパク質(ABP)ヌクレオチド配列を含む、哺乳動物発現プラスミド。
(項目17)
前記少なくとも1つの非ウイルス性ABPヌクレオチド配列が、MS2コートタンパク質、PP7コートタンパク質、ラムダNペプチドまたはCOMタンパク質をコードする、項目16に記載の哺乳動物発現プラスミド。
(項目18)
前記VPRコード配列または前記NEFコード配列が、第1の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列および第2の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列を含む、項目16または項目17に記載の哺乳動物発現プラスミド。
(項目19)
前記第1の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列および前記第2の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列が、同一の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列である、項目18に記載の哺乳動物発現プラスミド。
(項目20)
前記第1の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列および前記第2の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列が、異なる非ウイルス性ABPヌクレオチド配列である、項目18に記載の哺乳動物発現プラスミド。
(項目21)
前記第1の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列および前記第2の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列が両方とも、MS2コートタンパク質、PP7コートタンパク質、ラムダNペプチドおよびCOMタンパク質からなる群から選択されるABPをコードする、項目19に記載の哺乳動物発現プラスミド。
(項目22)
前記第1の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列および前記第2の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列が、MS2コートタンパク質、PP7コートタンパク質、ラムダNペプチドおよびCOMタンパク質からなる群から選択される異なるABPを各々コードする、項目20に記載の哺乳動物発現プラスミド。
(項目23)
前記真核細胞プロモーターが、RNAポリメラーゼIIプロモーターである、項目16から22のいずれか一項に記載のレンチウイルスパッケージングプラスミド。
(項目24)
非ウイルス性核酸配列に作動可能に連結した真核細胞プロモーターを含む哺乳動物発現プラスミドであって、前記非ウイルス性核酸配列は、少なくとも1つのアプタマーコード配列を含み、前記非ウイルス性核酸配列は、(i)CRISPR関連エンドヌクレアーゼコード配列またはガイドRNA(gRNA)コード配列のうち一方または両方および(ii)少なくとも1つのアプタマーコード配列を含む、哺乳動物発現プラスミド。
(項目25)
前記CRISPR関連エンドヌクレアーゼコード配列が、Cas9タンパク質、Cpf1タンパク質またはいずれかの誘導体をコードする、項目24に記載の哺乳動物発現プラスミド。
(項目26)
前記gRNAコード配列が、DNA標的化配列と、前記CRISPR関連エンドヌクレアーゼと相互作用する定常領域とを含むRNA分子をコードする、項目24または項目25に記載の哺乳動物発現プラスミド。
(項目27)
前記gRNAコード配列が、トランス活性化crRNA(tracrRNA)配列を含むgRNAをコードする、項目24から26のいずれか一項に記載の哺乳動物発現プラスミド。
(項目28)
前記gRNAコード配列が、tracrRNA配列を含まないgRNAをコードする、項目24から27のいずれか一項に記載の哺乳動物発現プラスミド。
(項目29)
前記非ウイルス性核酸配列が、CRISPR関連エンドヌクレアーゼコード配列であり、それに作動可能に連結した前記真核細胞プロモーターが、RNAポリメラーゼIIプロモーターである、項目24から28のいずれか一項に記載の哺乳動物発現プラスミド。
(項目30)
前記非ウイルス性核酸配列が、gRNAコード配列であり、それに作動可能に連結した前記真核細胞プロモーターが、RNAポリメラーゼIIIプロモーターである、項目24から28のいずれか一項に記載の哺乳動物発現プラスミド。
(項目31)
前記非ウイルス性核酸配列が、CRISPR関連エンドヌクレアーゼコード配列およびgRNAコード配列の両方を含み、RNAポリメラーゼIIプロモーターが、前記CRISPR関連エンドヌクレアーゼコード配列に作動可能に連結しており、RNAポリメラーゼIIIプロモーターが、前記gRNAコード配列に作動可能に連結している、項目24から28のいずれか一項に記載の哺乳動物発現プラスミド。
(項目32)
前記少なくとも1つのアプタマーコード配列が、MS2コートタンパク質、PP7コートタンパク質、ラムダN RNA結合ドメインまたはCOMタンパク質からなる群から選択されるABPが特異的に結合するアプタマー配列をコードする、項目24から31のいずれか一項に記載の哺乳動物発現プラスミド。
(項目33)
前記非ウイルス性核酸配列が、2つのアプタマーコード配列を含む、項目24から32のいずれか一項に記載の哺乳動物発現プラスミド。
(項目34)
少なくとも1つの前記非ウイルス性核酸配列が、少なくとも1つの第1のアプタマーコード配列を含むCRISPR関連エンドヌクレアーゼコード配列および/または少なくとも1つの第2のアプタマーコード配列を含むgRNAコード配列を含む、項目24から33のいずれか一項に記載の哺乳動物発現プラスミド。
(項目35)
少なくとも1つの前記非ウイルス性核酸配列が、少なくとも1つのアプタマーコード配列を含むCRISPR関連エンドヌクレアーゼコード配列を含む、項目34のいずれか一項に記載の哺乳動物発現プラスミド。
(項目36)
前記gRNAコード配列が、少なくとも1つのアプタマーコード配列を含む、項目34に記載の哺乳動物発現プラスミド。
(項目37)
前記少なくとも1つのアプタマーコード配列が、前記gRNAコード配列のテトラループ中に挿入されている、項目36に記載の哺乳動物発現プラスミド。
(項目38)
前記アプタマーコード配列が、COMタンパク質に結合する、項目37に記載の哺乳動物発現プラスミド。
(項目39)
前記少なくとも1つの第1のアプタマーコード配列および前記少なくとも1つの第2のアプタマーコード配列が、同一のアプタマーコード配列である、項目34に記載の哺乳動物発現プラスミド。
(項目40)
前記少なくとも1つの第1のアプタマーコード配列が、第1のABPが特異的に結合するアプタマー配列をコードし、前記少なくとも1つの第2のアプタマーコード配列が、第2のABPが特異的に結合するアプタマー配列をコードし、前記少なくとも1つの第1のアプタマーコード配列および前記少なくとも1つの第2のアプタマーコード配列が、異なる第1および第2のABPが結合するアプタマー配列をコードする、項目34に記載の哺乳動物発現プラスミド。
(項目41)
前記少なくとも1つの第1のアプタマーコード配列および前記少なくとも1つの第2のアプタマーコード配列が、MS2コートタンパク質、PP7コートタンパク質、ラムダNタンパク質RNA結合ドメインおよびCOMタンパク質からなる群から選択されるABPが特異的に結合するアプタマー配列をコードする、項目40に記載の哺乳動物発現プラスミド。
(項目42)
前記少なくとも1つの第1のアプタマーコード配列および前記少なくとも1つの第2のアプタマーコード配列が、MS2コートタンパク質、PP7コートタンパク質、ラムダNタンパク質RNA結合ドメインおよびCOMタンパク質からなる群から選択される異なるABPが各々特異的に結合するアプタマー配列をコードする、項目40に記載の哺乳動物発現プラスミド。
(項目43)
RNA安定化配列をコードするポリヌクレオチド配列が、前記非ウイルス性核酸配列の3’末端に位置する、項目24から42のいずれか一項に記載の哺乳動物発現プラスミド。
(項目44)
RNA安定化配列をコードする前記ポリヌクレオチド配列が、ヒトベータグロビン遺伝子の、少なくとも1つの3’UTRをコードするポリヌクレオチド配列を含む、項目43に記載の哺乳動物発現プラスミド。
(項目45)
前記プラスミドが、レンチウイルストランスファープラスミドである、項目24から44のいずれか一項に記載の哺乳動物発現プラスミド。
(項目46)
a)Gagヌクレオチド配列に作動可能に連結した真核細胞プロモーターを含むパッケージングプラスミドであって、前記Gagヌクレオチド配列は、ヌクレオカプシド(NC)コード配列およびマトリックスタンパク質(MA)コード配列を含み、前記NCコード配列または前記MAコード配列の一方または両方は、少なくとも1つの非ウイルス性アプタマー結合タンパク質(ABP)ヌクレオチド配列を含み、前記パッケージングプラスミドは、機能的インテグラーゼタンパク質をコードしない、パッケージングプラスミドと、
b)非ウイルス性核酸配列に作動可能に連結した真核細胞プロモーターを含む少なくとも1つの哺乳動物発現プラスミドであって、前記非ウイルス性核酸配列は、CRISPR関連エンドヌクレアーゼコード配列、ガイドRNA(gRNA)コード配列、またはCRISPR関連エンドヌクレアーゼコード配列およびgRNAコード配列の両方を含む、哺乳動物発現プラスミドと、
c)エンベロープ糖タンパク質コード配列を含むエンベローププラスミドと
を含むレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目47)
非ウイルス性RNA配列が、少なくとも1つのアプタマー配列を含む、項目46に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目48)
前記パッケージングプラスミドが、Revヌクレオチド配列およびTatヌクレオチド配列をさらに含む、項目46または項目47に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目49)
Revヌクレオチド配列を含む第2のパッケージングプラスミドをさらに含む、項目46に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目50)
前記NCコード配列が、2つの機能的ジンクフィンガータンパク質ドメインおよび機能的天然プロテアーゼプロセシング配列を含む、項目46から49のいずれか一項に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目51)
前記少なくとも1つの非ウイルス性ABPヌクレオチド配列が、MS2コートタンパク質、PP7コートタンパク質、ラムダNペプチドまたはCOMタンパク質をコードする、項目46から50のいずれか一項に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目52)
前記NCコード配列または前記MAコード配列のうち一方または両方が、第1の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列、および第1の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列のすぐ下流の第2の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列を含む、項目46から51のいずれか一項に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目53)
前記第1の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列および前記第2の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列が両方とも、同一のABPをコードし、前記ABPが、MS2コートタンパク質、PP7コートタンパク質、ラムダNペプチドまたはCOMタンパク質を含む、項目52に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目54)
前記第1の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列および前記第2の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列が、MS2コートタンパク質、PP7コートタンパク質、ラムダNペプチドおよびCOMタンパク質からなる群から選択される異なるABPをコードする、項目52に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目55)
前記NCコード配列が、第1の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列を含み、前記MAコード配列が、少なくとも1つの第2の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列を含む、項目46から54のいずれか一項に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目56)
少なくとも1つの前記第1の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列および少なくとも1つの前記第2の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列が両方とも、同一のABPをコードし、前記ABPが、MS2コートタンパク質、PP7コートタンパク質、ラムダNペプチドまたはCOMタンパク質を含む、項目55に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目57)
少なくとも1つの前記第1の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列および少なくとも1つの前記第2の非ウイルス性ABPヌクレオチド配列が、MS2コートタンパク質、PP7コートタンパク質、ラムダNペプチドおよびCOMタンパク質からなる群から選択される異なるABPをコードする、項目55に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目58)
レンチウイルスパッケージングプラスミドが、インテグラーゼ不活性化突然変異を有するインテグラーゼコード配列を含む、項目46から58のいずれか一項に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目59)
前記インテグラーゼ不活性化突然変異が、前記インテグラーゼコード配列によってコードされるインテグラーゼタンパク質のアミノ酸64位でのアスパラギン酸からバリンへの突然変異(D64V)である、項目58に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目60)
レンチウイルスパッケージングプラスミドが、インテグラーゼコード配列のすべてまたは一部の欠失を含む、項目46から59のいずれか一項に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目61)
レンチウイルスパッケージングプラスミドが、逆転写酵素コード配列のすべてまたは一部の欠失を含む、項目46から60のいずれか一項に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目62)
前記Gagヌクレオチド配列に作動可能に連結した前記真核細胞プロモーターが、RNAポリメラーゼIIプロモーターである、項目46から61のいずれか一項に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目63)
前記CRISPR関連エンドヌクレアーゼコード配列が、Cas9タンパク質、Cpf1タンパク質またはいずれかの誘導体をコードする、項目46から62のいずれか一項に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目64)
前記gRNAコード配列が、DNA標的化配列と、前記CRISPR関連エンドヌクレアーゼと相互作用する定常領域とを含むRNA分子をコードする、項目46から63のいずれか一項に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目65)
前記gRNAコード配列によってコードされるgRNAが、トランス活性化crRNA(tracrRNA)配列を含む、項目46から64のいずれか一項に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目66)
前記gRNAコード配列によってコードされるgRNAが、tracrRNA配列を含まない、項目46から65のいずれか一項に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目67)
前記非ウイルス性核酸配列が、CRISPR関連エンドヌクレアーゼコード配列であり、それに作動可能に連結した前記真核細胞プロモーターが、RNAポリメラーゼIIプロモーターである、項目46から66のいずれか一項に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目68)
前記非ウイルス性核酸配列がgRNAコード配列であり、それに作動可能に連結した前記真核細胞プロモーターが、RNAポリメラーゼIIIプロモーターである、項目46から67のいずれか一項に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目69)
前記非ウイルス性核酸配列が、CRISPR関連エンドヌクレアーゼコード配列およびgRNAコード配列の両方を含み、RNAポリメラーゼIIプロモーターが、前記CRISPR関連エンドヌクレアーゼコード配列に作動可能に連結しており、RNAポリメラーゼIIIプロモーターが、前記gRNAコード配列に作動可能に連結している、項目46から68のいずれか一項に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目70)
前記少なくとも1つのアプタマー配列が、MS2コートタンパク質、PP7コートタンパク質、ラムダN RNA結合ドメインまたはCOMタンパク質からなる群から選択されるABPに対するABP標的RNA結合配列をコードする、項目47から69のいずれか一項に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目71)
前記少なくとも1つの哺乳動物発現プラスミド中の前記非ウイルス性核酸配列が、2つのアプタマー配列を含む、項目47から70のいずれか一項に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目72)
少なくとも1つの前記非ウイルス性核酸が、少なくとも1つの第1のアプタマー配列を含むCRISPR関連エンドヌクレアーゼコード配列および/または少なくとも1つの第2のアプタマー配列を含むgRNAコード配列を含む、項目47から71のいずれか一項に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目73)
前記CRISPR関連エンドヌクレアーゼコード配列が、少なくとも1つのアプタマーコード配列を含む、項目47に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目74)
前記gRNAコード配列が、少なくとも1つのアプタマーコード配列を含む、項目47に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目75)
前記少なくとも1つのアプタマーコード配列が、前記gRNAコード配列のテトラループ中に挿入されている、項目74に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目76)
前記アプタマーコード配列が、COMタンパク質に結合する、項目75に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目77)
前記少なくとも1つの第1のアプタマー配列および前記少なくとも1つの第2のアプタマー配列が、同一のアプタマー配列である、項目72に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目78)
前記少なくとも1つの第1のアプタマー配列が、第1のABPに対するABP標的RNA結合配列であり、前記少なくとも1つの第2のアプタマー配列が、第2のABPに対するABP標的RNA結合配列であり、前記第1および第2のアプタマー配列が、異なる第1および第2のABPに対するABP標的RNA結合配列である、項目72に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目79)
前記少なくとも1つの第1のアプタマー配列および前記少なくとも1つの第2のアプタマー配列が、MS2コートタンパク質、PP7コートタンパク質、ラムダNタンパク質RNA結合ドメインまたはCOMタンパク質からなる群から選択されるABPに対するABP標的RNA結合配列である、項目77に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目80)
前記少なくとも1つの第1のアプタマー配列および前記少なくとも1つの第2のアプタマー配列が、MS2コートタンパク質、PP7コートタンパク質、ラムダNタンパク質RNA結合ドメインまたはCOMタンパク質からなる群から選択されるABPに対する、各々異なるABP標的RNA結合配列である、項目78に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目81)
前記非ウイルス性核酸配列が、その3’末端に位置するRNA安定化配列を含む、項目46から80のいずれか一項に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目82)
前記RNA安定化配列が、ヒトベータグロビン遺伝子の、少なくとも1つの3’UTRを含む、項目81に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目83)
前記プラスミドが、レンチウイルストランスファープラスミドである、項目46から82のいずれか一項に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目84)
少なくとも1つの前記エンベローププラスミドが、エンベロープ糖タンパク質をコードするエンベロープ糖タンパク質コード配列を含む、項目46から83のいずれか一項に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目85)
前記エンベロープ糖タンパク質コード配列が、VSV-Gをコードする、項目84に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目86)
前記パッケージングプラスミド、前記少なくとも1つの哺乳動物発現プラスミドおよび前記エンベローププラスミドが、真核細胞にトランスフェクトされる場合に、前記少なくとも1つのABPヌクレオチド配列が、ウイルス粒子組み立てに干渉しない、項目46から85のいずれか一項に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目87)
a)機能的インテグラーゼタンパク質をコードしないパッケージングプラスミドと、
b)ウイルスタンパク質R(VPR)コード配列またはネガティブ調節因子(NEF)コード配列に作動可能に連結した真核細胞プロモーターを含む少なくとも1つの哺乳動物発現プラスミドであって、前記VPRコード配列または前記NEFコード配列のうち一方または両方が、少なくとも1つの非ウイルス性アプタマー結合タンパク質(ABP)ヌクレオチド配列を含む、哺乳動物発現プラスミドと、
c)非ウイルス性核酸配列に作動可能に連結した真核細胞プロモーターを含む少なくとも1つの哺乳動物発現プラスミドであって、前記非ウイルス性核酸配列が、CRISPR関連エンドヌクレアーゼコード配列、ガイドRNA(gRNA)コード配列、またはCRISPR関連エンドヌクレアーゼコード配列およびgRNAコード配列の両方を含む、哺乳動物発現プラスミドと、
d)エンベロープ糖タンパク質コード配列を含むエンベローププラスミドと
を含むレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目88)
非ウイルス性RNA配列が、少なくとも1つのアプタマー配列を含む、項目87に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目89)
前記CRISPR関連エンドヌクレアーゼコード配列が、少なくとも1つのアプタマーコード配列を含む、項目87に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目90)
前記gRNAコード配列が、少なくとも1つのアプタマーコード配列を含む、項目87に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目91)
前記少なくとも1つのアプタマーコード配列が、前記gRNAコード配列のテトラループ中に挿入されている、項目90に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目92)
前記アプタマーコード配列が、COMタンパク質に結合する、項目91に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目93)
前記少なくとも1つの非ウイルス性ABPヌクレオチド配列が、MS2コートタンパク質、PP7コートタンパク質、ラムダNペプチドまたはCOMタンパク質をコードする、項目87から92のいずれか一項に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目94)
前記VPRコード配列または前記NEFコード配列に作動可能に連結した前記真核細胞プロモーターが、RNAポリメラーゼIIプロモーターである、項目87から93のいずれか一項に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目95)
前記CRISPR関連エンドヌクレアーゼコード配列が、Cas9タンパク質、Cpf1タンパク質またはいずれかの誘導体をコードする、項目87から94のいずれか一項に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目96)
前記gRNAコード配列が、DNA標的化配列と、前記CRISPR関連エンドヌクレアーゼと相互作用する定常領域とを含むRNA分子をコードする、項目87から95のいずれか一項に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目97)
前記非ウイルス性核酸配列が、CRISPR関連エンドヌクレアーゼコード配列であり、それに作動可能に連結した前記真核細胞プロモーターが、RNAポリメラーゼIIプロモーターである、項目87から96のいずれか一項に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目98)
前記非ウイルス性核酸配列が、gRNAコード配列であり、それに作動可能に連結した前記真核細胞プロモーターが、RNAポリメラーゼIIIプロモーターである、項目87から97のいずれか一項に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目99)
前記少なくとも1つのアプタマー配列が、MS2コートタンパク質、PP7コートタンパク質、ラムダN RNA結合ドメインまたはCOMタンパク質からなる群から選択されるABPに対するABP標的RNA結合配列をコードする、項目88から98のいずれか一項に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目100)
前記非ウイルス性核酸配列が、その3’末端に位置するRNA安定化配列を含む、項目87から99のいずれか一項に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目101)
少なくとも1つの前記エンベローププラスミドが、エンベロープ糖タンパク質をコードするエンベロープ糖タンパク質コード配列を含む、項目87から100のいずれか一項に記載のレンチウイルスパッケージングシステム。
(項目102)
a)ヌクレオカプシド(NC)タンパク質またはマトリックス(MA)タンパク質を含む融合タンパク質であって、前記NCタンパク質またはMAタンパク質が、少なくとも1つの非ウイルス性アプタマー結合タンパク質(ABP)を含む、融合タンパク質と、
b)少なくとも1つの非ウイルス性RNA分子であって、非ウイルス性RNA配列が、CRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNA、ガイドRNA(gRNA)、またはCRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAおよびgRNAの両方を含む、非ウイルス性RNA分子と
を含み
機能的インテグラーゼタンパク質を含まないレンチウイルス様粒子。
(項目103)
前記少なくとも1つの非ウイルス性RNA分子が、少なくとも1つのアプタマー配列を含む、項目102に記載のレンチウイルス様粒子。
(項目104)
前記少なくとも1つの非ウイルス性RNA分子が、2つのアプタマー配列を含む、項目103に記載のレンチウイルス様粒子。
(項目105)
前記NCタンパク質が、2つの機能的ジンクフィンガータンパク質ドメインを含む、項目102から104のいずれか一項に記載のレンチウイルス様粒子。
(項目106)
前記少なくとも1つの非ウイルス性ABPが、MS2コートタンパク質、PP7コートタンパク質、ラムダNタンパク質RNA結合ドメインまたはCOMタンパク質である、項目102から105のいずれか一項に記載のレンチウイルス様粒子。
(項目107)
前記融合タンパク質が、第1の非ウイルス性ABPおよび前記第1のABPのC末端に融合した第2の非ウイルス性ABPを含む、項目102から106のいずれか一項に記載のレンチウイルス様粒子。
(項目108)
少なくとも1つの第1の非ウイルス性ABPを含むNCタンパク質と、少なくとも1つの第2の非ウイルス性ABPを含むMAタンパク質とを含む、項目102から107のいずれか一項に記載のレンチウイルス様粒子。
(項目109)
前記第1の非ウイルス性ABPおよび前記第2の非ウイルス性ABPが両方とも、MS2コートタンパク質、PP7コートタンパク質、ラムダNタンパク質RNA結合ドメインまたはCOMタンパク質である、項目107または108に記載のレンチウイルス様粒子。
(項目110)
前記第1の非ウイルス性ABPおよび前記第2の非ウイルス性ABPが、MS2コートタンパク質、PP7コートタンパク質、ラムダNタンパク質RNA結合ドメインおよびCOMタンパク質からなる群から各々選択される異なるABPである、項目107または108に記載のレンチウイルス様粒子。
(項目111)
アミノ酸64位でのアスパラギン酸からバリンへの突然変異(D64V)を含む非機能的インテグラーゼタンパク質を含む、項目102から110のいずれか一項に記載のレンチウイルス様粒子。
(項目112)
インテグラーゼタンパク質を含まない、項目102から111のいずれか一項に記載のレンチウイルス様粒子。
(項目113)
逆転写酵素タンパク質を含まない、項目102から112のいずれか一項に記載のレンチウイルス様粒子。
(項目114)
前記非ウイルス性RNA分子が、CRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAを含む、項目102から113のいずれか一項に記載のレンチウイルス様粒子。
(項目115)
前記非ウイルス性RNA分子が、Cas9タンパク質、Cpf1タンパク質またはいずれかの誘導体をコードするCRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAを含む、項目102から114のいずれか一項に記載のレンチウイルス様粒子。
(項目116)
前記非ウイルス性RNA分子が、gRNAを含む、項目102から115のいずれか一項に記載のレンチウイルス様粒子。
(項目117)
前記非ウイルス性RNA分子が、DNA標的化配列と、前記CRISPR関連エンドヌクレアーゼと相互作用する定常領域とを含むgRNAを含む、項目102から116のいずれか一項に記載のレンチウイルス様粒子。
(項目118)
前記非ウイルス性RNA分子が、トランス活性化crRNA(tracrRNA)配列を含むgRNAを含む、項目102から117のいずれか一項に記載のレンチウイルス様粒子。
(項目119)
前記非ウイルス性RNA分子が、tracrRNA配列を含まないgRNAを含む、項目102から118のいずれか一項に記載のレンチウイルス様粒子。
(項目120)
前記少なくとも1つのアプタマー配列が、MS2コートタンパク質、PP7コートタンパク質、ラムダNタンパク質RNA結合ドメインまたはCOMタンパク質からなる群から選択されるABPに対するABP標的結合配列を含む、項目103から119のいずれか一項に記載のレンチウイルス様粒子。
(項目121)
前記少なくとも1つの非ウイルス性RNA分子が、少なくとも1つの第1のアプタマー配列を含むCRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAおよび少なくとも1つの第2のアプタマー配列を含むgRNAを含む、項目103から120のいずれか一項に記載のレンチウイルス様粒子。
(項目122)
前記少なくとも1つの第1のアプタマー配列および前記少なくとも1つの第2のアプタマー配列が、同一のアプタマー配列である、項目121に記載のレンチウイルス様粒子。
(項目123)
前記少なくとも1つの第1のアプタマー配列が、第1のABPに対するABP標的RNA結合配列であり、前記少なくとも1つの第2のアプタマー配列が、第2のABPに対するABP標的RNA結合配列であり、前記少なくとも1つの第1のアプタマー配列および前記少なくとも1つの第2のアプタマー配列が、異なるABPに対するABP標的RNA結合配列である、項目121に記載のレンチウイルス様粒子。
(項目124)
前記少なくとも1つの第1のアプタマー配列および前記少なくとも1つの第2のアプタマー配列が、MS2コートタンパク質、PP7コートタンパク質、ラムダNペプチドおよびCOMタンパク質からなる群から選択される、項目122に記載のレンチウイルス様粒子。
(項目125)
前記少なくとも1つの第1のアプタマー配列および前記少なくとも1つの第2のアプタマー配列が、MS2コートタンパク質、PP7コートタンパク質、ラムダNペプチドおよびCOMタンパク質からなる群から選択される各々異なるABPである、項目123に記載のレンチウイルス様粒子。
(項目126)
前記少なくとも1つの非ウイルス性RNA分子のうち1つまたは複数が、3’末端に位置するRNA安定化配列を含む、項目102から125のいずれか一項に記載のレンチウイルス様粒子。
(項目127)
前記RNA安定化配列が、ヒトベータグロビン遺伝子の、少なくとも1つの3’非翻訳領域(UTR)を含む、項目126に記載のレンチウイルス様粒子。
(項目128)
前記融合タンパク質が、真核細胞のレンチウイルス様粒子形質導入に干渉しない、項目102から127のいずれか一項に記載のレンチウイルス様粒子。
(項目129)
前記少なくとも1つの非ウイルス性RNA分子の前記少なくとも1つのアプタマー配列が、真核細胞のレンチウイルス様粒子形質導入に干渉しない、項目103から128のいずれか一項に記載のレンチウイルス様粒子。
(項目130)
前記レンチウイルス様粒子を用いる形質導入後の、真核細胞における、少なくとも1つのアプタマー配列を含む前記CRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAからのCRISPR関連エンドヌクレアーゼの発現が、レンチウイルス様粒子を用いる形質導入後の、真核細胞における、前記少なくとも1つのアプタマー配列を有さないCRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAからのCRISPR関連エンドヌクレアーゼの発現と等しいか、またはそれより大きい、項目103から129のいずれか一項に記載のレンチウイルス様粒子。
(項目131)
前記レンチウイルス様粒子を用いる形質導入後の、真核細胞における、すぐ下流に前記少なくとも1つのアプタマー配列を含む前記CRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAから発現されたCRISPR関連エンドヌクレアーゼが、レンチウイルス様粒子を用いる形質導入後の、真核細胞における、前記少なくとも1つのアプタマー配列を有さないCRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAから発現されたCRISPR関連エンドヌクレアーゼと同程度に機能的である、項目103から130のいずれか一項に記載のレンチウイルス様粒子。
(項目132)
前記レンチウイルス様粒子を用いる形質導入後の、真核細胞における、前記少なくとも1つのアプタマー配列を含む前記gRNAが、レンチウイルス様粒子を用いる形質導入後の、真核細胞における、前記少なくとも1つのアプタマー配列を有さないgRNAと同程度に機能的である、項目103から131のいずれか一項に記載のレンチウイルス様粒子。
(項目133)
a)ウイルスタンパク質R(VPR)タンパク質またはネガティブ調節因子(NEF)タンパク質を含む融合タンパク質であって、前記VPRタンパク質または前記NEFタンパク質は、少なくとも1つの非ウイルス性アプタマー結合タンパク質(ABP)を含む、融合タンパク質と、
b)少なくとも1つの非ウイルス性RNA分子であって、非ウイルス性RNA配列が、CRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNA、ガイドRNA(gRNA)、またはCRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAおよびgRNAの両方を含む、非ウイルス性RNA分子と
を含み、
機能的インテグラーゼタンパク質を含まないレンチウイルス様粒子。
(項目134)
前記少なくとも1つの非ウイルス性RNA分子が、少なくとも1つのアプタマー配列を含む、項目133に記載のレンチウイルス様粒子。
(項目135)
前記CRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAが、少なくとも1つのアプタマーコード配列を含む、項目133に記載のレンチウイルス様粒子。
(項目136)
前記gRNAが、少なくとも1つのアプタマーコード配列を含む、項目133に記載のレンチウイルス様粒子。
(項目137)
前記少なくとも1つのアプタマーコード配列が、前記gRNAコード配列のテトラループ中に挿入されている、項目136に記載のレンチウイルス様粒子。
(項目138)
前記アプタマーコード配列が、COMタンパク質に結合する、項目137に記載のレンチウイルス粒子。
(項目139)
前記少なくとも1つの非ウイルス性ABPが、MS2コートタンパク質、PP7コートタンパク質、ラムダNタンパク質RNA結合ドメインまたはCOMタンパク質である、項目133から138のいずれか一項に記載のレンチウイルス様粒子。
(項目140)
前記非ウイルス性RNA分子が、Cas9タンパク質、Cpf1タンパク質またはいずれかの誘導体をコードするCRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAを含む、項目133から138のいずれか一項に記載のレンチウイルス様粒子。
(項目141)
前記非ウイルス性RNA分子が、gRNAを含む、項目133から140のいずれか一項に記載のレンチウイルス様粒子。
(項目142)
前記非ウイルス性RNA分子が、DNA標的化配列と、前記CRISPR関連エンドヌクレアーゼと相互作用する定常領域とを含むgRNAを含む、項目141のいずれか一項に記載のレンチウイルス様粒子。
(項目143)
前記少なくとも1つのアプタマー配列が、MS2コートタンパク質、PP7コートタンパク質、ラムダNタンパク質RNA結合ドメインまたはCOMタンパク質からなる群から選択されるABPに対するABP標的結合配列を含む、項目134から142のいずれか一項に記載のレンチウイルス様粒子。
(項目144)
前記少なくとも1つの非ウイルス性RNA分子が、少なくとも1つの第1のアプタマー配列を含むCRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAおよび少なくとも1つの第2のアプタマー配列を含むgRNAを含む、項目134から143のいずれか一項に記載のレンチウイルス様粒子。
(項目145)
前記少なくとも1つの第1のアプタマー配列および前記少なくとも1つの第2のアプタマー配列が、同一のアプタマー配列である、項目144に記載のレンチウイルス様粒子。
(項目146)
前記少なくとも1つの第1のアプタマー配列および前記少なくとも1つの第2のアプタマー配列が、異なるアプタマー配列である、項目144に記載のレンチウイルス様粒子。
(項目147)
前記少なくとも1つの非ウイルス性RNA分子のうち1つまたは複数が、3’末端に位置するRNA安定化配列を含む、項目134から146のいずれか一項に記載のレンチウイルス様粒子。
(項目148)
前記RNA安定化配列が、ヒトベータグロビン遺伝子の、少なくとも1つの3’非翻訳領域(UTR)を含む、項目147に記載のレンチウイルス様粒子。
(項目149)
a)ウイルスタンパク質R(VPR)タンパク質またはネガティブ調節因子(NEF)タンパク質を含む融合タンパク質であって、前記VPRタンパク質または前記NEFタンパク質は、少なくとも1つの非ウイルス性アプタマー結合タンパク質(ABP)を含む、融合タンパク質と、
b)CRISPR関連エンドヌクレアーゼおよびガイドRNAを含むリボヌクレオチドタンパク質(RNP)複合体と
を含み、
機能的インテグラーゼタンパク質を含まないレンチウイルス様粒子。
(項目150)
レンチウイルス粒子を産生する方法であって、
a)項目46から101のいずれか一項に記載のシステムの前記パッケージングプラスミド、前記少なくとも1つの哺乳動物発現プラスミドおよび前記エンベローププラスミドを複数の真核細胞にトランスフェクトすることと、
b)トランスフェクトされた前記真核細胞を、レンチウイルス粒子が産生されるのに十分な時間培養することと
を含む、方法。
(項目151)
前記レンチウイルス粒子が、CRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAを含む、項目150に記載の方法。
(項目152)
前記レンチウイルス粒子が、CRISPR関連エンドヌクレアーゼおよびガイドRNAを含むリボヌクレオチドタンパク質(RNP)複合体を含むRNPを含む、項目150に記載の方法。
(項目153)
前記複数の真核細胞が、哺乳動物細胞である、項目150から152のいずれか一項に記載の方法。
(項目154)
レンチウイルス粒子を産生する方法であって、
a)項目87から101のいずれか一項に記載のシステムの前記プラスミドを複数の真核細胞にトランスフェクトすることと、
b)トランスフェクトされた前記真核細胞を、レンチウイルス粒子が産生されるのに十分な時間培養することと
を含む、方法。
(項目155)
前記複数の真核細胞が、哺乳動物細胞である、項目154に記載の方法。
(項目156)
細胞においてゲノム標的配列を改変する方法であって、複数の真核細胞に、複数のウイルス粒子を用いて形質導入することを含み、前記複数のウイルス粒子は、
i)項目102から148のいずれか一項に記載のレンチウイルス様粒子であって、前記非ウイルス性RNA配列が、CRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAおよびgRNAを含む、レンチウイルス様粒子、または、
ii)項目102から148のいずれか一項に記載のレンチウイルス様粒子であって、前記非ウイルス性RNA配列が、CRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAを含む、レンチウイルス様粒子、およびgRNAまたはgRNAコード配列を含む第2のウイルス粒子、
を含み、
CRISPR関連エンドヌクレアーゼが、前記レンチウイルス様粒子を用いて形質導入された細胞において前記CRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAから発現され、
前記第2のウイルス粒子がgRNAコード配列を含む場合には、gRNAが、前記第2のウイルス粒子を用いて形質導入された細胞において前記gRNAコード配列から発現され、
前記CRISPR関連エンドヌクレアーゼおよび前記gRNAは、前記細胞のゲノムDNA中の前記ゲノム標的配列に結合する複合体を形成し、前記CRISPR関連エンドヌクレアーゼは、前記細胞の前記ゲノムDNAを切断し、それによって、細胞DNA修復機序を誘発し、前記ゲノム標的配列の改変を引き起こす、方法。
(項目157)
前記第2のウイルス粒子が、gRNAを含む第2のレンチウイルス様粒子である、項目156に記載の方法。
(項目158)
前記第2のウイルス粒子が、gRNAコード配列を含むレンチウイルス粒子である、項目156または157に記載の方法。
(項目159)
前記第2のウイルス粒子が、アデノウイルス粒子またはアデノ随伴ウイルス粒子であり、真核細胞プロモーターに作動可能に連結したgRNAコード配列を含む、項目156から158のいずれか一項に記載の方法。
(項目160)
前記第2のウイルス粒子が、標的鋳型配列を含む、項目156から159のいずれか一項に記載の方法。
(項目161)
前記複数のウイルス粒子が、標的鋳型配列を含む第3のウイルス粒子も含み、前記第3のウイルス粒子が、アデノウイルス粒子、アデノ随伴ウイルス粒子またはレンチウイルス粒子である、項目156から160のいずれか一項に記載の方法。
(項目162)
前記第2のウイルス粒子または前記第3のウイルス粒子のうち一方または両方が、組み込み欠陥レンチウイルス粒子である、項目158または161に記載の方法。
(項目163)
前記標的鋳型配列が、前記ゲノム標的配列に隣接するゲノムDNAに対して相同な核酸配列を含む、項目160または161に記載の方法。
(項目164)
前記レンチウイルス様粒子の前記融合タンパク質が、前記複数の真核細胞のウイルス形質導入に干渉しない、項目156から163のいずれか一項に記載の方法。
(項目165)
前記レンチウイルス様粒子を用いる形質導入後の、真核細胞における、前記少なくとも1つのアプタマー配列を含む前記CRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAからの前記CRISPR関連エンドヌクレアーゼの発現が、レンチウイルス様粒子を用いる形質導入後の、真核細胞における、前記少なくとも1つのアプタマー配列を有さないCRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAからのCRISPR関連エンドヌクレアーゼの発現と等しいか、またはそれより大きい、項目156から164のいずれか一項に記載の方法。
(項目166)
前記レンチウイルス様粒子を用いる形質導入後の、真核細胞における、前記少なくとも1つのアプタマー配列を含む前記CRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAから発現された前記CRISPR関連エンドヌクレアーゼが、レンチウイルス様粒子を用いる形質導入後の、真核細胞における、前記少なくとも1つのアプタマー配列を有さないCRISPR関連エンドヌクレアーゼmRNAから発現されたCRISPR関連エンドヌクレアーゼと同程度に機能的である、項目156から165のいずれか一項に記載の方法。
(項目167)
前記レンチウイルス様粒子を用いる形質導入後の、真核細胞における、前記少なくとも1つのアプタマー配列を含む前記gRNAが、レンチウイルス様粒子を用いる形質導入後の、真核細胞における、前記少なくとも1つのアプタマー配列を有さないgRNAと同程度に機能的である、項目156から166のいずれか一項に記載の方法。
(項目168)
細胞においてゲノム標的配列を改変する方法であって、複数の真核細胞に、複数のウイルス粒子を用いて形質導入することを含み、前記複数のウイルス粒子は、i)項目149に記載のレンチウイルス様粒子を含み、前記RNPは、前記細胞のゲノムDNA中の前記ゲノム標的配列に結合し、前記CRISPR関連エンドヌクレアーゼは、前記細胞の前記ゲノムDNAを切断し、それによって、細胞DNA修復機序を誘発し、前記ゲノム標的配列の改変を引き起こす、方法。
(項目169)
前記複数の真核細胞が、哺乳動物細胞である、項目156から168のいずれか一項に記載の方法。
(項目170)
前記複数の真核細胞が、対象中に存在する細胞である、項目156から169のいずれか一項に記載の方法。
(項目171)
前記対象が、ヒト対象である、項目156から170のいずれか一項に記載の方法。
(項目172)
前記対象に、前記複数のウイルス粒子を注射する、項目171に記載の方法。
(項目173)
前記ゲノム標的配列が、ヘモグロビン遺伝子中にある、項目156から173のいずれか一項に記載の方法。
(項目174)
前記ゲノム標的配列が、癌遺伝子中にある、項目156から173のいずれか一項に記載の方法。
(項目175)
項目1から45のいずれか一項に記載のプラスミドを含有する細胞。
(項目176)
項目46から101のいずれか一項に記載のレンチウイルスパッケージングシステムを含有する細胞。
(項目177)
項目102から150のいずれか一項に記載のレンチウイルス様粒子を含有する細胞。
(項目178)
項目157から169のいずれか一項に記載の方法を使用して改変された細胞。
(項目179)
対象において疾患を処置する方法であって、
a)前記対象から細胞を得ることと
b)前記対象の前記細胞を、項目156から168のいずれか一項に記載の方法を使用して改変することと、
c)前記改変された細胞を前記対象に投与することと
を含む、方法。
(項目180)
前記疾患ががんである、項目179に記載の方法。
(項目181)
前記疾患が、鎌状赤血球貧血である、項目180に記載の方法。
(項目182)
前記細胞がT細胞である、項目176から181のいずれか一項に記載の方法。