本発明の打込機のいくつかの実施形態を、図面に基づいて説明する。
(実施形態1) 打込機の実施形態1は、図1、図2及び図3に示されている。打込機10は、具体的には釘打機であり、打込機10は、ハウジング11、打撃部12、マガジン13、電動モータ14、変換部15、制御部40、電池パック17及びウェイト18を有する。ハウジング11は、筒形状の本体部19と、本体部19に接続されたハンドル20と、本体部19に接続されたモータケース21と、を有する。装着部22がハンドル20及びモータケース21に接続されている。
射出部23が本体部19の外に設けられ、射出部23が本体部19に固定されている。図2のように、射出部23は射出路24を有する。プッシュレバー53が射出部23に取り付けられており、プッシュレバー53は、射出部23に対して移動可能である。
マガジン13は、モータケース21及び射出部23により支持されている。マガジン13は、止具25を複数収容する。止具25は、例えば軸形状の釘である。マガジン13はフィーダ54を有する。フィーダ54は、スプリング55の付勢力を受けており、フィーダ54は、マガジン13に収容された止具25を射出路24へ供給する。
打撃部12は、本体部19の内外に亘って設けられている。打撃部12は、本体部19内に配置されたプランジャ26と、プランジャ26に固定されたドライバブレード27と、を有する。ドライバブレード27は金属製である。ガイドシャフト28が本体部19内に設けられている。軸線A1はガイドシャフト28の中心線である。
プランジャ26は、ガイドシャフト28の外周面に取り付けられており、打撃部12は、ガイドシャフト28に沿って軸線A1方向に作動可能である。打撃部12が作動すると、ドライバブレード27は射出路24内で移動する。
ウェイト18は、ハウジング11が受ける反動を抑制する。ウェイト18は、ガイドシャフト28に対して作動可能に取り付けられている。スプリング36が本体部19内に配置され、スプリング36は、軸線A1方向でプランジャ26とウェイト18との間に配置されている。スプリング36は、一例として金属製の圧縮コイルスプリングを用いることが可能である。スプリング36は、軸線A1方向に沿って伸縮可能である。
ウェイトバンパ37及びプランジャバンパ38が、本体部19内に設けられている。プランジャ26は、プランジャバンパ38に近づく第1方向D1の付勢力を、スプリング36から受ける。ウェイト18は、ウェイトバンパ37に近づく第2方向D2の付勢力を、スプリング36から受ける。第1方向D1と第2方向D2とは互いに逆向きである。
図2において、打撃部12またはプランジャ26またはウェイト18が、第1方向D1にそれぞれ作動することを下降と呼ぶ。図2において、打撃部12またはプランジャ26またはウェイト18が、第2方向D2にそれぞれ作動することを上昇と呼ぶ。
図1に示す電池パック17は、装着部22に対して取り付け及び取り外し可能である。電池パック17は、収容ケースと、収容ケース内に収容した複数の電池セルとを有する。電池セルは、充電及び放電が可能な二次電池であり、電池セルは、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、リチウムイオンポリマー電池、ニッケルカドミウム電池の何れかを用いることができる。電池パック17は直流電源であり、電池パック17の電力は電動モータ14に供給可能である。
図1のように、制御部40は、装着部22内に設けられている。制御部40は、入力ポート、出力ポート、演算処理部、タイマー及び記憶部を有するマイクロコンピュータである。図3のように、モータ基板56がモータケース内に設けられ、モータ基板56は、図4に示すインバータ回路41を有する。インバータ回路41は、電池パック17と電動モータ14との間の電気回路57の一部を構成する要素である。インバータ回路41は、複数のスイッチング素子を有し、複数のスイッチング素子は、それぞれ単独でオン及びオフが可能である。
制御部40は、電池パック17から電動モータ14に電流を供給する場合に、インバータ回路41は、所要時間内において、スイッチング素子のオンとオフとを交互に繰り替える制御を行う。所要時間内にスイッチング素子がオンされる割合が、デューティ比である。制御部40は、電池パック17から電動モータ14に電流を供給しない場合、インバータ回路41のスイッチング素子をオフに維持する。
図1のように、トリガ42及びトリガスイッチ43がハンドル20に設けられており、ユーザがトリガ42に操作力を加えるとトリガスイッチ43がオンする。ユーザがトリガ42に加えた操作力を解除すると、トリガスイッチ43がオフする。トリガスイッチ43は信号を出力する。図4に示す回転角度検出センサ44がハウジング11内に設けられている。回転角度検出センサ44は、電動モータ14の回転角度及び回転速度に応じた信号を出力する。図1及び図2に示すように、ウェイト検出スイッチ62がハウジング11内に設けられている。ウェイト検出スイッチ62は、軸線A1に沿った方向におけるウェイト18の位置を検出して信号を出力する。
さらに、図1及び図2のように、モード切替部59がハウジング11、例えば装着部22に設けられている。モード切替部59は、例えば、モード切り替えスイッチ59Aを有する。ユーザは、モード切り替えスイッチ59Aを操作することにより、複数種類のモード、例えば高速モードと低速モードとを切り替えて選択する。モード切替部59は、選択されたモードに応じて信号を出力する。さらに、図1のように、プッシュレバースイッチ60が、マガジン13に設けられている。プッシュレバースイッチ60は、プッシュレバー53が相手材W1に押し付けられているか、相手材W1から離間されているかに応じた信号を出力する。
さらに、図4のように、電池パック17から電動モータ14に供給される電流値を検出して信号を出力する電流値検出センサ61が設けられている。制御部40は、トリガスイッチ43の信号、回転角度検出センサ44の信号、モード切替部59の信号、プッシュレバースイッチ60の信号、電流値検出センサ61の信号、ウェイト検出スイッチ62の信号を処理し、かつ、インバータ回路41を制御する。
図3のように、電動モータ14は、モータ軸46を有するブラシレスモータである。電動モータ14は、電池パック17から電動モータ14に電流が供給されると、モータ軸46が回転する。減速機47がモータケース21内に配置されている。減速機47は、複数組の遊星歯車機構、入力要素48、出力要素49及び回転規制機構63を有する。モータ軸46、入力要素48及び出力要素49は、軸線A2を中心として同心状に配置されている。
入力要素48はモータ軸46に接続されている。回転規制機構63は、電動モータ14の回転力で出力要素49が回転することを許容し、かつ、打撃部12から出力要素49に回転力が加えられた場合に、出力要素49が回転することを防止する。
図2に示す変換部15は、出力要素49の回転力を打撃部12の作動力及びウェイト18の作動力に変換する。変換部15は、第1ギヤ50、第2ギヤ51及び第3ギヤ52を有する。第1ギヤ50は、出力要素49に固定されている。第2ギヤ51は、第1ギヤ50及び第3ギヤ52に噛み合っている。カムローラ70が第1ギヤ50に設けられ、カムローラ58が第2ギヤ51に設けられ、カムローラ71が第3ギヤ52に設けられている。
電動モータ14のモータ軸46が回転すると、モータ軸46の回転力が減速機47を介して第1ギヤ50に伝達される。第1ギヤ50が回転すると、カムローラ70はプランジャ26に係合及び解放可能である。第2ギヤ51が回転すると、カムローラ58はプランジャ26に係合及び解放可能である。第3ギヤ52が回転すると、カムローラ71は、ウェイト18に係合及び解放可能である。
次に、打込機10の使用例を説明する。ユーザがトリガ42に対する操作力を解除し、かつ、プッシュレバー53が相手材W1から離間されていると、制御部40は、インバータ回路41を制御し、電動モータ14に対する電力の供給を停止させている。電動モータ14が停止していると、打撃部12は、図5のように待機位置で停止している。ここで、打撃部12が待機位置は、プランジャ26がプランジャバンパ38から離間している状態を一例として説明する。また、打撃部12が待機位置で停止していると、ドライバブレード27の一部が射出路24に位置している。フィーダ54により付勢さる止具25は、ドライバブレード27に接触し、かつ、射出路24の手前で停止している。
打撃部12が待機位置にあると、カムローラ70,58の少なくとも一方がプランジャ26に係合されている。また、スプリング36の付勢力が打撃部12に加わり、打撃部12から出力要素29に回転力が加わっている。回転規制機構63は、出力要素49の回転を防止している。したがって、打撃部12は待機位置で停止している。また、カムローラ71は、ウェイト18から離間され、ウェイト18は、ウェイトバンパ37に接触した上死点で停止している。
ユーザがトリガ42に操作力を付加し、かつ、プッシュレバー53を相手材W1に押し付けると、制御部40は、インバータ回路41を制御することにより、電池パック17から電動モータ14に電力を供給させる。モータ軸46の回転力は、減速機47で増幅されて第1ギヤ50に伝達され、第1ギヤ50が回転する。
第1ギヤ50が回転すると、プランジャ26は、スプリング36の付勢力に抗して第2方向D2で作動する。つまり、打撃部12は上昇する。さらに、第3ギヤ52が回転し、カムローラ71がウェイト18に係合すると、ウェイト18が第1方向D1で作動する。つまり、ウェイト18はウェイトバンパから離間し、かつ、下降する。
第1ギヤ50及び第2ギヤ51の回転中、カムローラ70がプランジャ26から解放される。そして、打撃部12が上死点に到達する前に、ドライバブレード27の全部が射出路24から退出する。このため、フィーダ54に付勢される1個の止具25が射出路24へ供給され、かつ、停止する。
電動モータ14の回転に伴い、打撃部12が図6のように上死点に到達し、かつ、ウェイト18が下死点に到達する。さらに、カムローラ58がプランジャ26から解放され、打撃部12は第1方向D1で作動、つまり、下降する。また、カムローラ71がウェイト18から解放され、ウェイト18は第2方向D2で作動する。
打撃部12が下降すると、ドライバブレード27は射出路24に位置する止具25を打撃可能である。止具25は相手材W1に打ち込まれる。ドライバブレード27が止具25を打撃した後、図2のようにプランジャ26がプランジャバンパ38に衝突する。プランジャバンパ38は打撃部12の運動エネルギの一部を吸収する。プランジャ26がプランジャバンパ38に接触した状態が、打撃部12の下死点である。なお、ドライバブレード27が止具25を相手材W1に打ち込んだ反動で、プッシュレバー53は相手材W1から離間する。
また、第2方向D2に作動したウェイト18は、ウェイトバンパ37に衝突して停止する。ウェイトバンパ37はウェイト18の運動エネルギの一部を吸収する。ウェイトバンパ37に接触したウェイト18の位置は、ウェイト18の上死点である。このように、打撃部12が第1方向D1で作動して止具25を打撃する際、ウェイト18は第1方向D1とは逆の第2方向D2で作動する。このため、打撃部12が止具25を打撃する際の反動を低減可能である。
制御部40は、軸線A1に沿った方向における打撃部12の位置を検出しており、打撃部12が下死点に到達した後も、電動モータ14を回転させている。このため、カムローラ70がプランジャ26に係合し、打撃部12は第2方向D2で作動する。なお、カムローラ71はウェイト18から解放されており、ウェイト18はウェイトバンパ37に接触して停止している。制御部40は、打撃部12が図5のように待機位置に到達すると、電動モータ14を停止させる。制御部40は、ウェイト検出スイッチ62の信号から、打撃部12の位置を推定可能である。
ユーザは、モード切替部59を操作して、高速モードと低速モードとを切り替えて選択可能である。2種類のモードは、打撃部12が待機位置から作動した時点から、打撃部12が所定位置に到達するまでの所要時間を変更するために選択される。所定位置は、打撃部12の上死点でもよいし、打撃部12が上死点及び下死点を経由して到達する待機位置であってもよい。高速モードに対応する所要時間は、低速モードに対応する所要時間よりも短い。ユーザは、自分の嗜好に応じて打撃部12の作動レスポンスを変更可能である。
制御部40は、モード切替部59で選択されるモードに応じて、次のような制御を行うことが可能である。
[デューティ比制御] 制御部が行うデューティ比制御は、高速モードに対応するデューティ比を、低速モードに対応するデューティ比よりも高く設定するものである。図7には、高速モードに対応するデューティ比を略一定の80%に設定する例、及び低速モードに対応するデューティ比を略一定の60%に設定する例が示されている。図7には、打撃部が待機位置から作動し、上死点及び下死点を経由して待機位置に至り、かつ、打撃部が待機位置で停止するまでの所要時間、具体的には総合時間ET11,ET12が示されている。
制御部は、時刻T1において、電動モータの回転力で打撃部を待機位置から上死点へ作動させる。電動モータに電池パックから電力を供給する場合、デューティ比が高い場合における電動モータの回転速度は、デューティ比が低い場合における電動モータの回転速度よりも高い。つまり、高速モードにおいて打撃部が待機位置から上死点へ作動する速度は、低速モードにおいて打撃部が待機位置から上死点へ作動する速度よりも高い。
打撃部は、高速モードまたは低速モードの何れが選択された場合も、時刻T1で待機位置から作動されている。打撃部は、高速モードが選択されていると、時刻T2で待機位置に停止される。これに対して、打撃部は、低速モードが選択されていると、時刻T3で待機位置に停止される。時刻T1から時刻T2までの総合時間ET11は、時刻T1から時刻T3までの総合時間ET12よりも短い。
[定電流制御] 制御部が行う定電流制御は、高速モードで電動モータに供給される電流値を、低速モードで電動モータに供給される電流値よりも高く設定するものである。制御部は、前述したデューティ比または定電流制御のうち、何れか一方を行う。モード切替部に、デューティ比制御と定電流制御とを切り替えるスイッチが設けられている。ユーザは、デューティ比制御または定電流制御の何れかを選択可能である。
図8の上段及び中段には、高速モードが選択されて電動モータに略一定の電流値60Aを供給する例と、低速モードが選択されて電動モータに略一定の電流値40Aを供給する例と、が示されている。ここで、電流値60A,40Aは、何れも目標値である。制御部は、電流値検出センサから検出される実際の電流値を、目標値に近づけるように、デューティ比を制御する。制御部は、実際の電流値が目標値未満であると、デューティ比を例えば1%増加させる。制御部は、実際の電流値が目標値を超えていると、デューティ比を例えば1%減少させる。
供給される電流値が高い場合における電動モータの回転速度は、供給される電流値が低い場合における電動モータの回転速度よりも高い。つまり、高速モードにおいて打撃部が待機位置から上死点へ作動する速度は、低速モードにおいて打撃部が待機位置から上死点へ作動する速度よりも高い。
打撃部は、高速モードまたは低速モードの何れが選択された場合も、時刻T1で待機位置から作動される。打撃部は、高速モードにおいて時刻T2で上死点に至り、時刻T5で待機位置に停止される。打撃部は、低速モードにおいて時刻T4で上死点に至り、時刻T7で待機位置に停止される。時刻T1から時刻T2までの経過時間ET1は、時刻T1から時刻T4までの経過時間ET3よりも短い。このため、時刻T1から時刻T5までの総合時間ET4は、時刻T1から時刻T7までの総合時間ET6よりも短い。
[起動時制御] 制御部は、低速モードが選択された場合に、定電流制御を行うことなく、起動時制御を行うことが可能である。モード切替部が、起動時制御の有無を選択するスイッチを有しており、ユーザは、起動時制御の有無を任意に選択可能である。起動時制御は、電動モータ14に供給される電流値を、図8の下段に示すように制御するものである。制御部は、時刻T1から時刻TAまでの間、電流値を略一定の40Aに制御する。制御部は、電動モータの回転速度が予め定められた所定値まで上昇したことを時刻TAで検出すると、電動モータに供給する電流値の目標値を、略一定の40Aから、略一定の60Aに変更する。
制御部は、時刻T3で打撃部12が上死点に到達したことを検出すると、電流値を低下させる。制御部は、時刻T6で打撃部12が待機位置に到達したことを検出すると、電動モータを停止させる。時刻T1から時刻T3までの経過時間ET2は、経過時間ET1よりも長く、かつ、経過時間ET3よりも短い。時刻T1から時刻T6までの総合時間ET5は、総合時間ET4よりも長く、かつ、総合時間ET6よりも短い。
起動時制御の一例が、図9Aのフローチャートに示されている。制御部は、ステップS1で電動モータ14を回転させる。制御部は、ステップS2において、電動モータが回転されてから、所要時間以上経過したか否かを判断する。所要時間は、時刻T1から時刻TAまでの時間であり、かつ、所要時間は、制御部に記憶されている。
制御部は、ステップS2でNoと判断すると、ステップS3で略一定の電流値40Aを設定し、図9Aの制御を終了する。制御部は、ステップS2でYesと判断すると、ステップS4で略一定の電流値40Aから、略一定の電流値60Aに変更し、図9Aの制御を終了する。
[定電流値の補正制御] 制御部は、打撃部が作動してから所定位置に至るまでの所要時間を、打撃部が作動する時期毎に、略一定に調整可能である。この制御は、高速モード及び低速モードのそれぞれにおいて行われる。
ここで、所要時間は、図10のように複数種類の定義が可能である。図10は、電流値60Aが示されているが、電流値40Aであってもよい。まず、打撃部が待機位置から作動される時刻T1から、打撃部が上死点及び下死点を経由し、かつ、打撃部が待機位置に到達して停止する時刻T5までの総合時間ET20を、所要時間として定義可能である。これに対して、打撃部が待機位置から作動する時刻T1から、打撃部が上死点に至る時刻T2までの経過時間ET21を、所要時間として定義することも可能である。なお、制御部は、経過時間ET21をタイマーで計測するにあたり、ウェイト検出スイッチの信号、または、回転角度検出センサの信号の何れを用いてもよい。
制御部が行う制御の一例は、図9Bのフローチャートに示されている。制御部は、ステップS11において、電動モータを回転させる。制御部は、ステップS12において、打撃部を前回以前に作動させた場合における実際の所要時間が、所要時間の目標値以上であるか否かを判断する。制御部は、高速モード及び低速モードのそれぞれについて、所要時間の目標値を記憶している。高速モードにおける所要時間の目標値は、低速モードにおける所要時間の目標値よりも短い。
制御部は、ステップS12においてNoと判断すると、ステップS13において、今回、打撃部を作動させるにあたり、電動モータの電流値を定電流値に維持するか、または、定電流値よりも低下させる制御を行い、この制御例を終了する。
制御部は、ステップS12でYesと判断すると、ステップS14において、今回、打撃部を今回作動させる場合に電動モータに供給する電流値を、定電流値よりも上昇させる制御を行い、この制御例を終了する。
このように、制御部は、前回以前に打撃部が作動してから所定位置に至るまでの所要時間に応じて、今回、打撃部を作動させる場合に、電動モータに供給する電流値を、定電流値から補正可能である。このため、電池パックの電圧及び内部抵抗、変換部における作動抵抗等の条件に関わり無く、打撃部が作動を開始した時点から、所定位置に至るまでの所要時間を、各モード毎に略一定にすることができる。また、打撃部が待機位置から上死点に至るまでの作動速度を、各モード毎に略一定にすることができる。したがって、ユーザが打込機を使用する場合のフィーリングが安定する。さらに、ユーザがモードを切り替えることで、電池パックの1回あたりの充電量において、打撃部が第1方向に作動可能な回数、つまり、止具の打ち込み本数を、なるべく増加させることも可能である。
なお、打込機10は、トリガ42に対する操作力が解除され、かつ、プッシュレバー53が相手材W1から離間されている場合に、打撃部12が下死点で停止されているものであってもよい。この場合、所要時間は、打撃部12が下死点から上死点に至るまでの時間、または、打撃部12が下死点から上死点に到達し、かつ、打撃部12が第1方向D1で作動して下死点に至るまでの時間として定義可能である。
(実施形態2) 打込機の実施形態2は、図11、図12及び図13に示されている。打込機110は、具体的には釘打機であり、打込機110は、ハウジング111、打撃部112、射出部113、電池パック114、電動モータ115、減速機116、変換部117及び蓄圧容器118を有する。ハウジング111は、シリンダケース119と、シリンダケース119に接続されたハンドル120と、シリンダケース119に接続されたモータケース121と、ハンドル120及びモータケース121に接続された装着部122と、を有する。
電池パック114は装着部122に対して取り付け及び取り外しが可能である。電動モータ115はモータケース121内に配置されている。蓄圧容器118は、キャップ123と、キャップ123が取り付けられるホルダ124と、を有する。ヘッドカバー125がシリンダケース119に取り付けられており、蓄圧容器118は、シリンダケース119内及びヘッドカバー125内に亘って配置されている。
シリンダ127がシリンダケース119内に収容されている。圧力室126は、蓄圧容器118内及びシリンダ127内に亘って形成される。圧力室126に圧縮流体が充填されている。圧縮流体は、空気の他、不活性ガスを用いることができる。不活性ガスは、一例として、窒素ガス、希ガスを含む。本開示では、圧力室126に空気が充填されている例を説明する。
打撃部112は、ハウジング111の内部から外部に亘って配置されている。打撃部112は、ピストン128及びドライバブレード129を有する。ピストン128は、シリンダ127内で中心線A3に沿った方向に作動可能である。中心線A3は、シリンダ127の中心線である。図13のように、ピストン128の外周面にシール部材101が取り付けられている。シール部材101の外周面は、シリンダ127の内周面に接触してシール面を形成する。
ピストン128とドライバブレード129とが別部材で設けられ、ピストン128とドライバブレード129とが接続されている。打撃部112は、中心線A3に沿った方向に作動可能である。
射出部113は、シリンダケース119の内外に亘って配置されている。射出部113は、シリンダケース119に対して固定されている。射出部113は、バンパ支持部131及び筒部133を有する。バンパ135が、バンパ支持部131内に設けられている。バンパ135は合成ゴム製、シリコンゴム製の何れでもよい。バンパ135は環状であり、バンパ135はガイド孔136を有する。ドライバブレード129は、ガイド孔136内で中心線A3に沿った方向に作動可能である。
電動モータ115は、モータケース121内に設けられている。電動モータ115は、回転可能なモータ軸141を有するブラシレスモータである。減速機116は、入力要素144及び出力要素148を備えている。入力要素144は、モータ軸141に連結されている。モータ軸141、入力要素144及び出力要素148は、中心線A4を中心として同心状に配置されている。
変換部117は筒部133内に配置されている。変換部117は、回転軸146、ピンホイール150、凸部152を有する。凸部152は、ラックと定義可能である。回転軸146は、出力要素148に連結されている。ピンホイール150は、回転軸146に固定されている。ピンホイール150は、回転方向に間隔をおいて配置された複数のピニオンピン151を有する。凸部152は、ドライバブレード129の作動方向に間隔をおいて複数配置されている。
ピンホイール150が回転されると、ピニオンピン151は、凸部152に対して係合可能及び解放可能である。ピニオンピン151及び凸部152は、ラック・アンド・ピニオン機構を構成している。
打撃部112は、圧力室126の圧力で第1方向D3に常に付勢されている。打撃部112が図11で第2方向D4で作動することを上昇と定義する。第1方向D3及び第2方向D4は中心線A3と平行であり、かつ、第2方向D4は第1方向D3とは逆向きである。打撃部112は、圧力室126の圧力に抗して第2方向D4で作動可能である。打撃部112が圧力室126の圧力で第1方向D3で移動することを下降と定義する。
回転規制機構149が、筒部133内に設けられている。回転規制機構149は、電動モータ115の回転力で、回転軸146が回転することを許容する。回転規制機構149は、ドライバブレード129の第1方向D3の力がピンホイール150に伝達されて、回転軸146が回転することを防止する。
図11に示すように、トリガ154及びトリガスイッチ157が、ハンドル120に設けられている。トリガスイッチ157は、トリガ154に加わる操作力の有無を検出し、かつ、検出結果に応じた信号を出力する。
電池パック114は、収容ケースと、収容ケース内に収容した複数の電池セルとを有する。電池セルは、充電及び放電が可能な二次電池であり、電池セルは、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、リチウムイオンポリマー電池、ニッケルカドミウム電池等、公知の電池セルを任意に用いることができる。電池パック114は直流電源であり、放電のみが可能な一次電池でもよい。
また、図11のように、止具159を収容するマガジン160が設けられ、マガジン160は射出部113及び装着部122により支持されている。止具159は、例えば軸形状の釘である。射出部113は、射出路166を有する。マガジン160はフィーダを有し、フィーダは、マガジン160内の止具159を射出路166へ送る。
射出部113にプッシュレバー164が取り付けられている。プッシュレバー164は、射出部113に対して中心線A3に沿った方向の所定範囲内で作動可能である。ユーザは、プッシュレバー164の先端を相手材W2に接触及び離間させる。
図12に示すように、制御部167が装着部122内からモータケース121内に亘って設けられている。制御部167は、入力ポート、出力ポート、演算処理部、タイマー及び記憶部を有するマイクロコンピュータである。
基板138がモータケース121内に設けられ、インバータ回路168が基板138に設けられている。インバータ回路168は、電動モータ115と電池パック114とを接続及び遮断する。インバータ回路168は、複数のスイッチング素子を備え、複数のスイッチング素子は単独でオン・オフが可能である。インバータ回路168は、電動モータ115と電池パック114との間の電気回路の一部を構成する要素である。制御部167は、インバータ回路168を制御することにより、電動モータ115の回転及び停止、電動モータ115の回転速度を制御する。
また、打込機110は、図4に示された制御系統を備えている。プッシュレバースイッチ169及び回転角度検出センサ170が、ハウジング111内に設けられている。プッシュレバースイッチ169は、プッシュレバー164が相手材W2に押し付けられているか否かを検出して信号を出力する。回転角度検出センサ170は、電動モータ115のモータ軸141の回転角度を検出して信号を出力する。
電池パック114から電動モータ115に供給される電流値を検出して信号を出力する電流値検出センサ171が設けられている。さらに、モード切替部107が、ハウジング111、一例として、装着部122に設けられている。モード切替部107は、例えば、モード切り替えスイッチ107Aを有する。ユーザは、モード切り替えスイッチ107Aを操作して高速モードと低速モードとを切り替え可能である。なお、打込機110は、ウェイト検出スイッチ62を備えていない。
トリガスイッチ157、プッシュレバースイッチ169、回転角度検出センサ170及びモード切替部107から出力される信号は、制御部167に入力される。制御部67は、入力される信号を処理して、インバータ回路168を制御する。このように、制御部167は、電動モータ115の停止、回転および回転速度を制御する。
次に、打込機110の使用例を説明する。制御部167は、トリガ154に操作力が加えられていないこと、またはプッシュレバー164が相手材W2に押し付けられていないこと、のうち、少なくとも一方を検出すると、インバータ回路168を制御して、電動モータ115に対する電力の供給を停止する。このため、電動モータ115は停止し、打撃部112は、待機位置で停止されている。ここで、打撃部112の待機位置は、ピストン128が、バンパ135から離間している状態を一例として説明する。図11に実線で示された打撃部112の位置は、下死点である。図11に二点鎖線で示された打撃部112の位置は、上死点である。打撃部112の下死点は、ピストン128がバンパ135に接触した状態である。打撃部112の上死点は、ピストン128がバンパ135から最も離間した状態である。打撃部112の待機位置は、打撃部112の上死点と下死点との間である。
圧力室126の圧力は、常に打撃部112に加わっており、打撃部112は第1方向D3で付勢されている。打撃部112は、次の作用で待機位置に停止されている。ピニオンピン151と凸部152とが係合し、打撃部112が圧力室126から受ける付勢力は、ピンホイール150に伝達され、ピンホイール150は、図14で時計回りの回転力を受ける。回転規制機構153は、回転軸146の回転を防止し、打撃部112は待機位置で停止されている。
制御部167は、トリガ154に操作力が加えられていること、及びプッシュレバー164が相手材W2に押し付けられていること、を検出すると、インバータ回路168を制御して電池パック114の電力を電動モータ115に供給し、電動モータ115が回転する。電動モータ115の回転力は、減速機116を経由して回転軸146に伝達される。すると、回転軸146及びピンホイール150は、図14で反時計回りに回転する。減速機116は、ピンホイール150の回転速度を、電動モータ115の回転速度よりも低速にする。
ピンホイール150の回転力は、打撃部112に伝達され、打撃部112が図11において上昇する。打撃部112が上昇すると圧力室126の圧力が上昇する。ピストン128が上死点に到達すると、全てのピニオンピン151が凸部152から解放される。打撃部112は、圧力室126の圧力で図11において下降する。打撃部112が下降すると、ドライバブレード129は、射出路166に有る止具159を打撃し、止具159は相手材W2に打ち込まれる。また、ピストン128は、止具159が相手材W2に打ち込まれた後、バンパ135に衝突する。バンパ135は、打撃部112の運動エネルギの一部を吸収する。ドライバブレード129が止具159を相手材W2に打ち込んだ反動で、プッシュレバー164は、相手材W2から離間する。
制御部167は、回転角度検出センサ170の信号を処理して、中心線A3に沿った方向における打撃部112の位置を検出し、かつ、打撃部112が待機位置に到達したか否かを検出する。制御部167は、打撃部112が待機位置に到達すると、インバータ回路168を制御して電動モータ115を停止させる。
ユーザは、モード切替部107を操作することにより高速モードと低速モードとを切り替え可能である。制御部167は、前述したデューティ比制御、定電流制御、起動時制御、定電流値の補正制御のうち、少なくとも1つの制御を行うことが可能である。打込機110の制御部167は、打込機10の制御部40と同様の制御を行うことができ、実施形態2の打込機110は、実施形態1の打込機10と同様の効果を得ることが可能である。
なお、打込機110は、トリガ154に対する操作力が解除され、かつ、プッシュレバー164が相手材W2から離間されている場合に、打撃部112が下死点で停止されているものであってもよい。この場合、打撃部112が下死点から上死点に至るまでの時間、または、打撃部112が下死点から上死点に到達し、かつ、打撃部112が第1方向D3で作動して下死点に至るまでの時間を、所要時間と定義可能である。
ここで、打込機の実施形態1及び実施形態2で説明した事項の技術的意味の一例は、次の通りである。打込機10,110は、打込機の一例である。打撃部12,112は、打撃部の一例である。ハウジング11,111は、ハウジングの一例である。トリガ42,154、及びプッシュレバー53,164は、操作部材の一例である。電動モータ14,115、変換部15,117は、それぞれ第1駆動部の一例である。スプリング36及び圧縮気体が充填された蓄圧容器118は、それぞれ第2駆動部の一例である。電池パック17,114は、電源の一例である。
モード切替部59,107は、モード切替部の一例である。高速モード及び低速モードは、複数種類のモードの一例である。高速モードは、第1モードの一例であり、低速モードは、第2モードの一例である。制御部40,167は、制御部の一例である。制御部40,167は、制御回路と定義することも可能である。打撃部12,112の上死点は、それぞれ第1位置の一例である。打撃部12,112の下死点は、打撃部の第2位置の一例である。また、打撃部12,112の待機位置及び下死点は、それぞれ停止位置の一例である。さらに、打撃部12,112の待機位置及び上死点は、それぞれ所定位置の一例である。第1方向D1,D3は、それぞれ第1方向の一例である。第2方向D2,D4は、それぞれ第2方向の一例である。
電動モータ14,115は、電動モータの一例である。インバータ回路41,168は、それぞれスイッチ部の一例である。図8に示す略一定の電流値60Aは、第1電流値の一例であり、略一定の電流値40Aは、第2電流値の一例である。電動モータに供給する電流値を、略一定の電流値60Aにする制御が、第1制御の一例である。電動モータに供給する電流値を、略一定の電流値40Aにする制御が、第2制御の一例である。制御部40,167が、図9AのステップS2の判断を行うために所要時間を検出する制御は、第3制御の一例である。制御部40,147が、図9AのステップS2の判断結果に応じて行うステップS3,S4の処理は、第4制御の一例である。図10に示されている総合時間ET20及び経過時間ET21は、それぞれ所要時間の一例である。
打込機は、上記した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、制御部は、電気部品または電子部品の単体でもよいし、複数の電気部品または複数の電子部品を有するユニットでもよい。電気部品または電子部品は、プロセッサ、制御回路及びモジュールを含む。また、打撃部が、前回作動に要した所要時間に限らず、過去の打撃部の作動履歴であればよい。
ハウジングは、内部が中空であればよい、ハウジングは、ケーシングまたはボディでもよい。操作部材は、ユーザが操作するレバー、スイッチ、プランジャ、アームなどを含む。操作部材の作動方向は、直線状または円弧状の何れでもよい。操作部材は、ユーザの手が接触するものに限らず、相手材に接触されるものを含む。第2駆動部は、金属製のスプリング、ガススプリングに代えて、磁石を用いることも可能である。この場合は、打撃部の一部は、磁性材料製である。磁石は、吸引力または反発力により、打撃部を第1方向に作動させる。
電動モータに電力を供給する電源は、直流電源に代えて交流電源でもよい。複数種類のモードは、3種類以上あってもよい。複数種類のモードは、打撃部の作動速度、具体的には、モータの回転速度がそれぞれ異なる。第1モード及び高速モードに対応する電流値は60Aに限定されず、第2モード及び低速モードに対応する電流値は40Aに限定されない。第1モード及び高速モードに対応する電流値が、第2モード及び低速モードに対応する電流値を超えていればよい。止具は、釘、鋲、アーチ形状のステープル何れでもよい。