以下に、本開示に係る眼科装置の一実施形態としての眼科装置10の実施例1について図1から図9を参照しつつ説明する。なお、図5、図6、図7は、それぞれが示す構成や内容の理解を容易とするために、偏向部材26を省略して示している。
眼科装置10は、図1に示すように、床面に設置された基台11と、検眼用テーブル12と、支柱13と、支持部としてのアーム14と、駆動機構15と、一対の測定ヘッド16と、を備える。この眼科装置10は、検眼用テーブル12と正対する被検者が、両測定ヘッド16の間に設けられた額当部17に額を当てた状態で、被検者の被検眼E(図3等参照)の情報の取得を行う。以下では、被検者から見て、左右方向をX方向とし、上下方向(鉛直方向)をY方向とし、X方向およびY方向と直交する方向(測定ヘッド16の奥行き方向(被検者側を手前側とする))をZ方向とする。
検眼用テーブル12は、後述する検者用コントローラ31や被検者用コントローラ32(図4参照)を置いたり検眼に用いるものを置いたりするための机であり、基台11により支持されている。検眼用テーブル12は、Y方向での位置(高さ位置)を調節可能に基台11に支持されていてもよい。
支柱13は、検眼用テーブル12の後端部からY方向に起立しており、上部にアーム14が設けられる。アーム14は、検眼用テーブル12上で駆動機構15を介して一対の測定ヘッド16を吊り下げるもので、支柱13から手前側へとZ方向に伸びている。アーム14は、支柱13に対してY方向に移動可能とされ、後述するアーム駆動機構34(図4参照)によりY方向での位置(高さ位置)が調節される。なお、アーム14は、支柱13に対してX方向およびZ方向に移動可能とされていてもよい。このアーム14の先端には、駆動機構15により吊り下げられて両測定ヘッド16が支持されている。
測定ヘッド16は、被検者の左右の被検眼Eに個別に対応すべく対を為して設けられ、以下では個別に述べる際には左眼用測定ヘッド16Lおよび右眼用測定ヘッド16Rとする。左眼用測定ヘッド16Lは、被験者の左側の被検眼Eの情報を取得し、右眼用測定ヘッド16Rは、被験者の右側の被検眼Eの情報を取得する。左眼用測定ヘッド16Lと右眼用測定ヘッド16Rとは、X方向で双方の中間に位置する鉛直面に関して面対称な構成とされている。
各測定ヘッド16には、被検眼Eの眼情報を取得する眼情報取得部21(個別に述べる際には右眼情報取得部21Rおよび左眼情報取得部21Lとする(図2参照))が収容されている。その眼情報は、被検眼Eの屈折力を必ず含むものであって、他には、被検眼Eの画像や、被検眼Eの眼底Ef(図4参照)の画像や、被検眼Eの網膜の断層画像や、被検眼Eの角膜内皮画像や、被検眼Eの角膜形状や、被検眼Eの眼圧等が適宜組み合わされる。各眼情報取得部21は、屈折力を測定する屈折力測定機構(実施例1ではレフラクトメータ)と、それと同じ光軸上で視標を呈示する視標呈示機構とを必ず含むものである。各眼情報取得部21は、他には、呈示する視標を切り替えつつ視力検査を行う視力検査装置、矯正用レンズを切り換えて配置させて被検眼Eの適切な矯正屈折力を取得するフォロプタ、屈折力を測定する波面センサ、眼底の画像を撮影する眼底カメラ、網膜の断層画像を撮影する断層撮影装置(OCT(Optical Coherence Tomography))、角膜内皮画像を撮影するスペキュラマイクロスコープ、角膜形状を測定するケラトメータ、眼圧を測定するトノメータ等が適宜組み合わされて構成される。なお、屈折力測定機構は、視標呈示機構と等しい光軸上で眼屈折力を測定できるものであればよく、実施例1の構成に限定されない。
両測定ヘッド16は、図2に示すように、アーム14の先端に設けられた取付ベース部18を介して駆動機構15により移動可能に吊り下げられている。駆動機構15は、実施例1では、左眼用測定ヘッド16Lに対応する左鉛直駆動部22Lと左水平駆動部23Lと左Y軸回旋駆動部24Lと左X軸回旋駆動部25Lと、右眼用測定ヘッド16Rに対応する右鉛直駆動部22Rと右水平駆動部23Rと右Y軸回旋駆動部24Rと右X軸回旋駆動部25Rと、を有する。この左眼用測定ヘッド16Lに対応する各駆動部の構成と、右眼用測定ヘッド16Rに対応する各駆動部の構成と、は、X方向で双方の中間に位置する鉛直面に関して面対称な構成とされており、個別に述べる時を除くと単に鉛直駆動部22と水平駆動部23とY軸回旋駆動部24とX軸回旋駆動部25と記す。駆動機構15は、アーム14側から鉛直駆動部22、水平駆動部23、Y軸回旋駆動部24、X軸回旋駆動部25の順に設けられている。
取付ベース部18は、アーム14の先端に固定され、X方向に延びるともに、一方の端部に左鉛直駆動部22Lと左水平駆動部23Lと左Y軸回旋駆動部24Lと左X軸回旋駆動部25Lとが吊り下げられ、他方の端部に右鉛直駆動部22Rと右水平駆動部23Rと右Y軸回旋駆動部24Rと右X軸回旋駆動部25Rとが吊り下げられている。また、この取付ベース部18の中央部に、額当部17が設けられている。
鉛直駆動部22は、取付ベース部18と水平駆動部23との間に設けられ、取付ベース部18に対して水平駆動部23をY方向(鉛直方向)に移動させる。水平駆動部23は、鉛直駆動部22とY軸回旋駆動部24との間に設けられ、鉛直駆動部22に対してY軸回旋駆動部24をX方向およびZ方向(水平方向)に移動させる。この鉛直駆動部22および水平駆動部23は、例えばパルスモータのような駆動力を発生するアクチュエータと、例えば歯車の組み合わせやラック・アンド・ピニオン等のような駆動力を伝達する伝達機構と、を設けて構成する。水平駆動部23は、例えば、X方向とZ方向とで個別にアクチュエータおよび伝達機構の組み合わせを設けることで、容易に構成できるとともに水平方向の移動の制御を容易なものにできる。
Y軸回旋駆動部24は、水平駆動部23とX軸回旋駆動部25との間に設けられ、水平駆動部23に対してX軸回旋駆動部25を、対応する被検眼Eの眼球回旋点を通りY方向に延びるY軸眼球回旋軸を中心に回転させる。X軸回旋駆動部25は、Y軸回旋駆動部24と対応する測定ヘッド16との間に設けられ、Y軸回旋駆動部24に対して対応する測定ヘッド16を、対応する被検眼Eの眼球回旋点を通りX方向に延びるX軸眼球回旋軸を中心に回転させる。このY軸回旋駆動部24およびX軸回旋駆動部25は、例えば、鉛直駆動部22や水平駆動部23と同様にアクチュエータと伝達機構とを有するものとし、アクチュエータからの駆動力を受けた伝達機構が円弧状の案内溝に沿って移動する構成とする。Y軸回旋駆動部24は、案内溝の中心位置がY軸眼球回旋軸と一致されることで、被検眼EのY軸眼球回旋軸を中心に測定ヘッド16を回転させることができる。また、X軸回旋駆動部25は、案内溝の中心位置がX軸眼球回旋軸と一致されることで、被検眼EのX軸眼球回旋軸を中心に測定ヘッド16を回転させることができる。すなわち、測定ヘッド16は、Y軸回旋駆動部24およびX軸回旋駆動部25の各々の案内溝の中心位置が被検眼Eの眼球回旋点と一致されることで、被検眼Eの眼球回旋点を中心に左右方向(Y方向を中心とする回転方向)および上下方向(X方向を中心とする回転方向)に回転可能とされている。
なお、Y軸回旋駆動部24は、自らに設けたY軸回転軸線回りに回転可能に測定ヘッド16を支持するとともに水平駆動部23と協働してX軸回旋駆動部25を介して測定ヘッド16を支持する位置を変更しつつ回転させることで、被検眼EのY軸眼球回旋軸を中心に測定ヘッド16を回転させるものでもよい。また、X軸回旋駆動部25は、自らに設けたX軸回転軸線回りに回転可能に測定ヘッド16を支持するとともに鉛直駆動部22と協働して測定ヘッド16を支持する位置を変更しつつ回転させることで、被検眼EのX軸眼球回旋軸を中心に測定ヘッド16を回転させるものでもよい。
これにより、駆動機構15は、各測定ヘッド16を個別にまたは連動させて、X方向、Y方向およびZ方向に移動させることができるとともに、それぞれが対応する被検眼Eの眼球回旋点を中心に上下左右に回転させることができ、各測定ヘッド16を対応する被検眼Eの回旋に対応する位置(姿勢)に移動させることができる。駆動機構15は、各測定ヘッド16の位置を調整することで、対応する被検眼Eを開散(開散運動)させたり輻輳(輻輳運動)させたりすることができる。これにより、眼科装置10では、開散運動および輻輳運動のテストを行うことや、両眼視の状態で遠用検査や近用検査を行って両被検眼Eの各種特性を測定できる。
各測定ヘッド16は、偏向部材26が設けられ、偏向部材26を通じて眼情報取得部21により対応する被検眼Eの情報が取得される。眼科装置10は、図3に示すように、各偏向部材26が被験者の左右の被検眼Eにそれぞれ対応する位置となるように各測定ヘッド16の位置を調整することで、被検者が左右の両眼を開放した状態(両眼視の状態)で、被検眼Eの情報を両眼同時に取得できる。また、眼科装置10は、X軸回旋駆動部25によりX軸眼球回旋軸を中心に各測定ヘッド16の回転姿勢を変化させることで、対応する被検眼Eを下方視や上方視させた状態で被検眼Eの情報を取得できる。そして、眼科装置10は、Y軸回旋駆動部24によりY軸眼球回旋軸を中心に各測定ヘッド16の回転姿勢を変化させることで、対応する被検眼Eを左右視させた状態で被検眼Eの情報を取得できる。
また、各測定ヘッド16は、対応する被検眼EのY軸眼球回旋軸を中心に左右対称に同時に回転姿勢を変化させることで、対応する被検眼Eが両眼視の状態で開散や輻輳により変化する視軸(視線方向)に合わせて眼情報取得部21の光学系の光軸Lの向きを変化させることができる。図3の上側は、両被検眼Eから各偏向部材26に至るまでの光軸Lが平行となるように、両眼情報取得部21の回転姿勢が調節されている状態を示す。この図3の上側の状態では、各眼情報取得部21が対応する被検眼Eに後述するように固視画像Sf等を呈示すると、被検者を両眼視の状態で無限遠を見ている状態と同様の視軸とすることができる。また、図3の下側は、両被検眼Eから各偏向部材26に至るまでの光軸Lが、それぞれ延長させた先が所定位置Pに向かうように、両眼情報取得部21の回転姿勢が調節されている状態を示す。この図3の下側の状態では、各眼情報取得部21が対応する被検眼Eに固視画像Sf等を呈示すると、被検者を両眼視の状態で所定位置Pを見ている状態と同様の視軸とすることができる。このように、眼科装置10は、各測定ヘッド16の回転姿勢を左右対称に同時に変化させることで、輻輳または開散させるように両被検眼Eの視軸を変化させた位置に固視画像Sfを呈示できる。
基台11には、眼科装置10の各部を統括的に制御する制御部27が、制御ボックスに収納されて設けられる(図1参照)。制御部27は、図4に示すように、上記した各眼情報取得部21と、駆動機構15としての各鉛直駆動部22、各水平駆動部23、各Y軸回旋駆動部24および各X軸回旋駆動部25に加えて、検者用コントローラ31と被検者用コントローラ32と記憶部33とアーム駆動機構34と、が接続されている。眼科装置10は、ケーブル28(図1、図2参照)を介して商用電源から制御部27に電力が供給され、制御部27が駆動機構15および両測定ヘッド16(両眼情報取得部21)に電力を供給する。制御部27は、駆動機構15や両測定ヘッド16(両眼情報取得部21)と情報の遣り取りが可能とされ、それらの動作を制御するとともにそれらから適宜情報を取得する。
検者用コントローラ31は、検者が眼科装置10を操作するために用いられる。検者用コントローラ31は、制御部27と近距離無線通信によって、互いに通信可能に接続されている。なお、検者用コントローラ31は、制御部27と有線または無線の通信路を介して接続されていればよく、実施例1の構成に限定されない。実施例1の検者用コントローラ31は、タブレット端末、スマートフォンなどの携帯端末(情報処理装置)が用いられている。このため、検者用コントローラ31は、検者が手に持って操作することや検眼用テーブル12に置いて操作することができ、被検者や眼科装置10の位置に拘わらず、いずれの位置からでも操作することができ、測定時の検者の自由度を高めることができる。なお、検者用コントローラ31は、携帯端末に限定されることはなく、ノート型パーソナルコンピュータ、デスクトップ型パーソナルコンピュータ等でもよく、眼科装置10に固定されて構成されていてもよく、実施例1の構成に限定されない。
検者用コントローラ31は、液晶モニタからなる表示部35を備える。この表示部35は、画像等が表示される表示面35a(図1等参照)と、そこに重畳して配置されたタッチパネル式の入力部35bと、を有する。検者用コントローラ31は、制御部27の制御下で、後述する観察系41に設けられた撮像素子41gからの画像信号に基づく前眼部像I(図5参照)や後述する測定リング像や眼底画像等を、適宜表示面35aに表示させる。また、検者用コントローラ31は、制御部27の制御下で入力部35b表示され、そこに入力されたアライメントの指示や測定の指示等の操作情報を制御部27に出力する。
被検者用コントローラ32は、被検眼Eの各種の眼情報の取得の際に、被検者が応答するために用いられる。被検者用コントローラ32は、例えばキーボード、マウス、ジョイスティック等の入力装置とされる。被検者用コントローラ32は、有線または無線の通信路を介して制御部27と接続されている。
制御部27は、接続された記憶部33または内蔵する内部メモリ27aに記憶したプログラムを例えばRAM(Random Access Memory)上に展開することにより、適宜検者用コントローラ31や被検者用コントローラ32に対する操作に応じて、眼科装置10の動作を統括的に制御する。実施例1では、内部メモリ27aは、RAM等で構成され、記憶部33は、ROM(Read Only Memory)やEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)等で構成される。眼科装置10では、上記した構成の他に、測定完了信号や測定者からの指示に応じて測定結果を印字するプリンタや、測定結果を外部メモリやサーバーに出力する出力部が適宜設けられる。
次に、眼情報取得部21の一例としての光学的な構成を、図5を用いて説明する。上述したように、右眼情報取得部21Rおよび左眼情報取得部21Lの構成は、基本的に同一であるので、単に眼情報取得部21として説明する。
眼情報取得部21の光学系は、図5に示すように、観察系41と視標投影系42と眼屈折力測定系43と自覚式検査系44とZアライメント光学系45とXYアライメント光学系46とケラト系47とを有する。観察系41は、被検眼Eの前眼部を観察し、視標投影系42は、被検眼Eに視標を呈示し、眼屈折力測定系43は、眼屈折力(屈折特性)の測定を行う。自覚式検査系44は、被検眼Eに視標を呈示する機能を有し、光学系を構成する光学素子を視標投影系42と共用する。Zアライメント光学系45およびXYアライメント光学系46は、被検眼Eに対する光学系の位置合わせ(アライメント)を行う。Zアライメント光学系45は、観察系41の光軸Lに沿う前後方向(Z方向)のアライメント情報を生成し、XYアライメント光学系46は、光軸Lに直交する上下左右方向(Y方向、X方向)のアライメント情報を生成する。
観察系41は、対物レンズ41aとダイクロイックフィルタ41bとハーフミラー41cとリレーレンズ41dとダイクロイックフィルタ41eと結像レンズ41fと撮像素子41gとを有する。観察系41は、被検眼E(前眼部)で反射された光束を、対物レンズ41aを経て結像レンズ41fにより撮像素子41g(その受光面)上に結像する。このため、撮像素子41g上には、後述するケラトリング光束やアライメント光源45aの光束やアライメント光源46aの光束(輝点像)が投光(投影)された前眼部像Iが形成される。制御部27は、撮像素子41gから出力される画像信号に基づく前眼部像I等を表示部35の表示面35aに表示させる。この対物レンズ41aの前方にケラト系47を設ける。
ケラト系47は、ケラト板47aとケラトリング光源47bとを有する。ケラト板47aは、観察系41の光軸Lに関して同心状のスリットが設けられた板状を呈し、対物レンズ41aの近傍に設けられる。ケラトリング光源47bは、ケラト板47aのスリットに合わせて設けられる。このケラト系47は、点灯したケラトリング光源47bからの光束がケラト板47aのスリットを経ることで、被検眼E(その角膜Ec)に角膜形状の測定のためのケラトリング光束(角膜曲率測定用リング状視標)を投光(投影)する。このケラトリング光束は、被検眼Eの角膜Ecで反射されることで、観察系41により撮像素子41g上に結像され、撮像素子41gがリング状のケラトリング光束の像(画像)を検出(受像)する。制御部27は、撮像素子41gからの画像信号に基づいて、その測定パターンの像を表示面35aに表示させるとともに、角膜形状(曲率半径)を周知の手法により測定する。このため、ケラト系47は、被検眼Eの前眼部(角膜Ec)に光束を投光しかつその前眼部(角膜Ec)からの反射光から、被検眼Eの角膜形状を測定する角膜形状測定系として機能する。なお、実施例1では、角膜形状測定系として、リングスリットが1重から3重程度で角膜の中心付近の曲率測定を行うケラト板47aを用いる例(ケラト系47)を示しているが、角膜形状を測定するものであれば、多重のリングを有し角膜全面の形状を測定可能なプラチド板を用いるものでもよく、他の構成でもよく、実施例1の構成に限定されない。このケラト系47(ケラト板47a)の後方にZアライメント光学系45を設ける。
Zアライメント光学系45は、一対のアライメント光源45aと投影レンズ45bとを有し、各アライメント光源45aからの光束を各投影レンズ45bで平行光束とし、ケラト板47aに設けたアライメント用孔を通して被検眼Eの角膜Ecに当該平行光束を投光(投影)する。これにより、アライメントのための視標が被検眼Eの角膜に投影される。この視標は、角膜表面反射による虚像(プルキンエ像)として検出される。視標を用いたアライメントは、眼情報取得部21の光学系の光軸Lの方向すなわちZ方向のアライメントとなる。なお、この視標を用いたアライメントは、X方向およびY方向へのアライメントを含んでもよい。
制御部27は、アライメントのための視標によるアライメント情報に基づいて水平駆動部23を駆動して測定ヘッド16を前後方向(Z方向)に移動させることで、眼情報取得部21の光学系の光軸Lに沿う前後方向(Z方向)のアライメントを行うことができる。この前後方向のアライメントは、撮像素子41g上のアライメント光源45aによる2個の輝点像の間隔とケラトリング像の直径の比を所定範囲内とするよう測定ヘッド16の位置を調整して行う。ここで、制御部27は、その比率からアライメントのずれ量を求めて、このアライメントのずれ量を表示面35aに表示させてもよい。なお、前後方向のアライメントは、後述するアライメント光源46aによる輝点像のピントが合うように右眼用測定ヘッド16Rの位置を調整することで行ってもよい。
また、観察系41にXYアライメント光学系46を設けている。XYアライメント光学系46は、アライメント光源46aと投影レンズ46bとを有し、ハーフミラー41c、ダイクロイックフィルタ41bおよび対物レンズ41aを観察系41と共用する。XYアライメント光学系46は、アライメント光源46aからの光束を、対物レンズ41aを経て平行光束として角膜Ecに投光する。制御部27は、前眼部像I上の角膜Ecに投光された輝点(輝点像)に基づき、アライメント情報(例えば、Y方向およびX方向の移動量)を取得する。制御部27は、このアライメント情報に基づいて鉛直駆動部22および水平駆動部23を駆動して、測定ヘッド16を左右方向(X方向)、上下方向(Y方向)に移動させることで、上下左右方向(光軸Lに直交する方向)のアライメントを行う。このとき、制御部27は、輝点像が形成された前眼部像Iに加えて、アライメントマークの目安となるアライメントマークALを表示面35aに表示させる。また、制御部27は、アライメントが完了すると測定を開始するように制御する構成としてもよい。
視標投影系42(自覚式検査系44)は、ディスプレイ42aとハーフミラー42bとリレーレンズ42cと反射ミラー42dと合焦レンズ42eとリレーレンズ42fとフィールドレンズ42gとバリアブルクロスシリンダレンズ(VCC)42hと反射ミラー42iとダイクロイックフィルタ42jとを有し、ダイクロイックフィルタ41bおよび対物レンズ41aを観察系41と共用する。また、自覚式検査系44は、ディスプレイ42a等に至る光路とは別の光路で光軸を取り巻く位置に、被検眼Eにグレア光を照射する少なくとも2つのグレア光源42kを有する。ディスプレイ42aは、被検眼Eの視線を固定する視標としての固視標や点状視標を呈示したり、被検眼Eの特性(視力値や矯正度数(遠用度数、近用度数)等)を自覚的に検査するための自覚検査視標を呈示したり、後述する調節力測定工程のための固視画像Sf(図6等参照)を呈示したりする。ディスプレイ42aは、EL(エレクトロルミネッセンス)や液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display(LCD))を用いることができ、制御部27の制御下で任意の画像を表示する。ディスプレイ42aは、視標投影系42(自覚式検査系44)の光路上において被検眼Eの眼底Efと共役となる位置に光軸に沿って移動可能に設けられる。
また、視標投影系42(自覚式検査系44)では、光路上において被検眼Eの瞳孔と略共役となる位置(実施例1では、フィールドレンズ42gとVCC42hとの間)にピンホール板42pを設ける。このピンホール板42pは、板部材に貫通孔を設けて形成し、制御部27の制御下で視標投影系42(自覚式検査系44)の光路への挿入と当該光路からの離脱とを可能とし、光路に挿入されると貫通孔を光軸上に位置させる。ピンホール板42pは、自覚検査モードにおいて光路に挿入されることで、被検眼Eの眼鏡による矯正が可能であるか否かを判別するピンホールテストを行うことを可能とする。なお、ピンホール板42pは、光路上において被検眼Eの瞳孔と略共役となる位置に設ければよく、実施例1の構成に限定されない。
眼屈折力測定系43は、被検眼Eの眼底Efに測定光束を投影し、眼底Efで反射された測定光束(その反射光束)を後述する測定リング像として取得することで、被検眼Eの眼屈折力の測定を可能とする。実施例1の眼屈折力測定系43は、被検眼Eの眼底Efにリング状の測定パターンを投影するリング状光束投影系43Aと、眼底Efからのリング状の測定パターンの反射光を検出(受像)するリング状光束受光系43Bと、を有する。なお、眼屈折力測定系43は、上記した構成としているが、被検眼Eの眼底Efに測定光束を投影し、眼底Efで反射された測定光束を測定リング像として取得するものであれば、他の構成でもよく、実施例1の構成に限定されない。この他の構成の一例としては、測定光束として点状のスポット光を眼底Efに投影し、眼底Efで反射された測定光束(その反射光束)をリング状のスリットやレンズを通すことでリング状の光束として、測定リング像を取得するものがあげられる。
リング状光束投影系43Aは、レフ光源ユニット部43aとリレーレンズ43bと瞳リング絞り43cとフィールドレンズ43dと穴開きプリズム43eとロータリープリズム43fとを有し、ダイクロイックフィルタ42jを視標投影系42(自覚式検査系44)と共用し、ダイクロイックフィルタ41bおよび対物レンズ41aを観察系41と共用する。レフ光源ユニット部43aは、例えばLEDを用いたレフ測定用のレフ測定光源43gとコリメータレンズ43hと円錐プリズム43iとリングパターン形成板43jとを有し、それらが制御部27の制御下で眼屈折力測定系43の光軸上を一体的に移動可能となっている。
リング状光束受光系43Bは、穴開きプリズム43eの穴部43pとフィールドレンズ43qと反射ミラー43rとリレーレンズ43sと合焦レンズ43tと反射ミラー43uとを有し、対物レンズ41a、ダイクロイックフィルタ41b、ダイクロイックフィルタ41e、結像レンズ41fおよび撮像素子41gを観察系41と共用し、ダイクロイックフィルタ42jを視標投影系42(自覚式検査系44)と共用し、ロータリープリズム43fおよび穴開きプリズム43eをリング状光束投影系43Aと共用する。
眼屈折力測定系43は、眼屈折力測定モードにおいて、制御部27の制御下で、次のように動作されて被検眼Eの眼屈折力を測定する。先ず、リング状光束投影系43Aのレフ測定光源43gが点灯され、かつリング状光束投影系43Aのレフ光源ユニット部43aとリング状光束受光系43Bの合焦レンズ43tとが光軸方向に移動される。リング状光束投影系43Aでは、レフ光源ユニット部43aがリング状の測定パターンを出射し、その測定パターンをリレーレンズ43b、瞳リング絞り43c及びフィールドレンズ43dを経て穴開きプリズム43eに進行させ、その反射面43vで反射し、ロータリープリズム43fを経てダイクロイックフィルタ42jに導く。リング状光束投影系43Aでは、その測定パターンをダイクロイックフィルタ42j及びダイクロイックフィルタ41bを経て対物レンズ41aに導くことで、被検眼Eの眼底Efにリング状の測定パターンを投影する。
リング状光束受光系43Bでは、眼底Efに形成されたリング状の測定パターンを対物レンズ41aで集光し、ダイクロイックフィルタ41b、ダイクロイックフィルタ42j及びロータリープリズム43fを経て穴開きプリズム43eの穴部43pに進行させる。リング状光束受光系43Bでは、その測定パターンをフィールドレンズ43q、反射ミラー43r、リレーレンズ43s、合焦レンズ43t、反射ミラー43u、ダイクロイックフィルタ41e及び結像レンズ41fを経ることで、撮像素子41gに結像させる。これにより、撮像素子41gがリング状の測定パターンの像(以下では測定リング像ともいう)を検出し、その測定リング像が表示部35の表示面35aに適宜表示される。制御部27は、その測定リング像(撮像素子41gからの画像信号)に基づいて、眼屈折力としての球面度数S、円柱度数C(乱視度数)、軸角度Ax(乱視軸角度)を周知の手法により算出する。制御部27は、算出した眼屈折力を適宜表示面35aに表示させる。
また、眼屈折力測定モードでは、制御部27は、視標投影系42においてディスプレイ42aに固定固視標を表示させる。ディスプレイ42aからの光束は、ハーフミラー42b、リレーレンズ42c、反射ミラー42d、合焦レンズ42e、リレーレンズ42f、フィールドレンズ42g、VCC42h、反射ミラー42i、ダイクロイックフィルタ42j、ダイクロイックフィルタ41b、対物レンズ41aを経て、被検眼Eの眼底Efに投光(投影)する。検者または制御部27は、呈示した固定固視標を被検者に固視させた状態でアライメントを行い、眼屈折力(レフ)の仮測定の結果に基づいて被検眼Eの遠点に合焦レンズ42eを移動させた後に、ピントが合わない位置に合焦レンズ42eを移動させて雲霧状態とする。これにより、被検眼Eは、調節休止状態(水晶体の調整除去状態)となり、その調節休止状態で眼屈折力が測定される。
上記のような眼情報取得部21(その光学系)を用いた他の測定(自覚検査等)については、例えば、特開2017-63978号公報などに記載されている動作と同様の動作で行うことができる。
眼科装置10は、制御部27の制御下で、オートアライメント(自動による位置合わせ)を行いつつ眼情報取得部21を用いて被検眼Eの眼情報を取得する。詳細には、制御部27は、Zアライメント光学系45、XYアライメント光学系46からのアライメント情報に基づいて、眼情報取得部21(その光学系)の光軸Lを被検眼Eの軸に合わせつつ被検眼Eに対する眼情報取得部21の距離が所定の作動距離になる移動量(アライメント情報)を算出する。ここで、作動距離とは、ワーキングディスタンスとも呼ばれる既定値であり、眼情報取得部21を用いて特性を適切に測定するための眼情報取得部21と被検眼Eとの間の距離である。制御部27は、移動量に応じて駆動機構15を駆動して被検眼Eに対して眼情報取得部21を移動させることで、対応する被検眼Eに対する眼情報取得部21(測定ヘッド16)のXYZ方向のアライメントを行う。その後、制御部27は、適宜眼情報取得部21を駆動して、被検眼Eの各種の眼情報を取得させる。眼科装置10では、手動すなわち検者が検者用コントローラ31を操作することで、被検眼Eに対して眼情報取得部21をアライメントし、眼屈折力測定系43を駆動して被検眼Eの各種の眼情報を取得することもできる。眼科装置10では、被検眼Eの各種の眼情報を取得する際、被検者が被検者用コントローラ32を操作することで応答することができ、被検眼Eの各種の眼情報の取得を補助する。
眼科装置10は、調節力測定工程(調節力測定モード)を行うことが可能とされている。この調節力測定工程は、基本的に近点での眼屈折力(NPA)から遠点での眼屈折力(FPA)を減算して調節力(調節幅)を算出するものである。その遠点は、設定した任意の距離でもよく、無限遠としてもよい。近点は、被検者(被検眼E)が適切に見ることのできる限界まで接近した距離である。調節力測定工程は、両眼視の状態で固視画像Sfを呈示し、その固視画像Sfを呈示する呈示位置Ppを所定の遠方位置から所定の近方位置まで移動させつつ(図6参照)、その移動の際に常にもしくは所定のタイミングで各被検眼Eの眼屈折力を眼屈折力測定系43により測定する。
その呈示位置Ppは、調節力の測定のために固視画像Sfを呈示する位置を示すもので、図6に示すように、所定の遠方位置から所定の近方位置まで移動させることで、上記した遠点および近点での眼屈折力の測定を可能とする。実施例1の呈示位置Ppは、適宜設定可能とされ、一例として無限遠から0.3mまで移動可能とさせるものとしている。なお、所定の遠方位置および所定の近方位置(移動可能な範囲)は、調節力の測定を可能とするものであれば適宜設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。
固視画像Sfは、制御部27の制御下で、ディスプレイ42aに固視画像Sfを表示させることで、視標投影系42を用いて固定固視標を表示させることと同様に各被検眼Eに呈示される。固視画像Sfは、図6の右側に示すように、呈示位置Ppの変化に合わせて呈示される大きさが変化するものとされており、その大きさの変化により呈示位置Ppが変化したことを認識させるものとしている。固視画像Sfは、無限遠の場合には最も小さなものとされ、近付くに連れて漸次的に大きくされ、0.3mの場合には最も大きなものとされる。この変化は、ディスプレイ42aに表示する固視画像Sfの大きさを変化させることで行う。この変化は、固視画像Sfとして表示されたものが現実世界に存在した状態において、その呈示位置Ppが変化する様子を肉眼で見たときの遠近感に合わせて拡大率(変化の割合)が設定される。このため、固視画像Sfは、呈示位置Ppの変化に対する拡大率が基本的に略一定となる。
ところが、実施例1の固視画像Sfは、呈示位置Ppの変化に対する拡大率を一定とはしておらず、近方になるに連れて呈示位置Ppの変化に対する固視画像Sfの拡大率を増加させており、図6の右側に示すように近方(下方)となると変化の態様を示す一点鎖線が外側に湾曲している。これは、次のことによる。実施例1の固視画像Sfは、視標投影系42を用いて各被検眼Eに呈示されるが、この視標投影系42では後述するように合焦距離Dfも一緒に変化されることで像倍率が変化する。この視標投影系42では、合焦距離Dfが小さくなるほど、ディスプレイ42aで表示した画像よりも視標投影系42を通して呈示する画像を小さくするように、像倍率が変化する。このため、固視画像Sfの拡大率を増加させることにより、視標投影系42の像倍率の変化の影響を打ち消すことができる。すなわち、固視画像Sfは、ディスプレイ42aでは近方となると拡大率が増加されるが、視標投影系42により各被検眼Eに呈示される際には肉眼で見たときの遠近感に合わせた拡大率とされる。なお、この呈示位置Ppの変化に対するディスプレイ42aに表示する固視画像Sfの拡大率は、視標投影系42により各被検眼Eに呈示される際には肉眼で見たときの遠近感に合わせた拡大率となるように、視標投影系42の特性に合わせて適宜設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。
また、実施例1の固視画像Sfは、動画とされており、上記したような大きさの変化が連続的なものとされている。これにより、被検者は、固視画像Sfで示されたものが接近(または遠ざかる)していることを、より自然に感じることができる。加えて、実施例1の固視画像Sfは、呈示位置Ppが変化したことの認識をより自然なものとするために、現実世界で接近したり離れていったりする様子を見たことのあるものとしており、一例として自動車としている。ここで、図6に示す例の固視画像Sfは、単に自動車のみの表示としているが、遠近感の把握を容易とするために簡易な背景(例えば直線の道路等)を併せて表示するものでもよい。なお、固視画像Sfは、呈示位置Ppが変化したことを認識させるように大きさが変化されるものであれば、複数の静止画をコマ送りするものでもよく、拡大率等の変化の態様や描画する内容は適宜設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。
制御部27は、調節力測定工程において、ディスプレイ42aに固視画像Sfを表示させるとともに、呈示位置Ppの変化に合わせてディスプレイ42a上での固視画像Sfの大きさを変化させる。これにより、両被検眼Eでそれぞれ固視画像Sfを見ただけで、固視画像Sfが近付いてきたり遠ざかっていったりするものと被検者に認識させることができる。
加えて、固視画像Sfは、呈示位置Ppの変化に合わせて両眼視差を与えたものとすることができる。この場合、固視画像Sfは、無限遠の呈示位置Ppに合わせて最も小さなものとされた場合には両眼視差が無いものとする。また、固視画像Sfは、呈示位置Ppが無限遠よりも近付くと、右眼用測定ヘッド16R(右眼情報取得部21R)に表示するものは右側斜め前から見たように、かつ左眼用測定ヘッド16L(左眼情報取得部21L)に表示するものは左側斜め前から見たように、両眼視差を与える。具体的には、後述する回旋角αに応じた角度から固視画像Sfを見た様子に合わせて、左右の固視画像Sfにそれぞれ視差を与える。そして、固視画像Sfは、呈示位置Ppの変化すなわち回旋角αの変化に応じて、固視画像Sfに与える視差を変化させていく。このようにすると、各被検眼Eに等しい呈示位置Ppの固視画像Sfを見せることで、この固視画像Sfを呈示位置Ppに応じた様子で立体視させることができ、近付いてきたり遠ざかっていったりするものと被検者により明確に認識させることができる。このとき、各被検眼Eに呈示する両固視画像Sfでは、視差および回旋角αの変化に応じて左右で表示する位置を変化させるものとすることもできる。このように表示位置を変化させることで、より容易にかつ適切に立体視させることができる。
この視差は、呈示位置Ppが無限遠とされている場合には設ける必要はなく、呈示位置Ppがある程度大きい場合にもあまり有効ではないが、呈示位置Ppが小さくなるほど有効となる。このため、視差を設ける範囲は、適宜設定することができる。これにより、呈示位置Ppの変化可能な範囲であっても、固視画像Sfでは視差を設けていないものと視差を設けているものとが切り替わることとなる。このことは、検者が把握可能とすると使い勝手を向上でき、例えば後述する調節力測定画面Sa(図8参照)に表示するものとしてもよい。このような表示は、例えば、後述する操作表示箇所52の目盛52gの横に視差を設けている箇所(範囲)を示すことで、違和感なく容易に認識させることができる。
調節力測定工程では、制御部27が、上記したように呈示位置Ppの変化に合わせて固視画像Sfの大きさを変化させることに加えて、視標投影系42を有する眼情報取得部21(両測定ヘッド16)の回旋角αと、視標投影系42における固視画像Sfの合焦距離Dfと、を一体に変化させる。回旋角αは、視標投影系42(眼情報取得部21)の光軸Lの方向(被検眼Eから各偏向部材26に至るまでの光軸Lの方向)の、無限遠に固視画像Sfを表示する状態(互いに平行な状態)を基準とした角度である。その光軸Lの方向は、上述したように両測定ヘッド16を対応する被検眼Eの眼球回旋点を中心に回転させることで調整できる。このため、回旋角αが0(零)度であると、両光軸Lの方向が平行となり、被検眼Eの視軸が無限遠とされていることとなる。回旋角αは、図7に示すように、両被検眼Eの間隔となる瞳孔間距離PDと、両被検眼Eから呈示位置Ppまでの間隔となる呈示距離Dpと、から求めることができる。すなわち、回旋角αは、tan-1(PD/2Dp)で求めることができる。その瞳孔間距離PDは、前眼部像Iやアライメントの位置から求めてもよく、一般的な値を用いてもよい。
制御部27は、調節力測定工程において、ディスプレイ42aに固視画像Sfを表示させるとともに、それを被検眼Eに呈示する視標投影系42(眼情報取得部21(両測定ヘッド16))の回旋角αを呈示位置Ppの変化に合わせて変化させる。これにより、両被検眼Eでそれぞれ固視画像Sfを見ると、各被検眼Eの視軸が呈示位置Ppに合わせて輻輳または開散されることとなり、固視画像Sfが近付いてきたり遠ざかっていったりするものと被検者に認識させることができる。
合焦距離Dfは、表示された固視画像Sfのピントを呈示位置Ppに合わせた状態とするもので、各被検眼Eから呈示位置Ppまでの距離で示すことができる。この合焦距離Dfは、両被検眼Eの中心位置から呈示位置Ppまでの間隔となる呈示距離Dpと、上記した回旋角αと、から求めることができる。すなわち、合焦距離Dfは、Dp/cosαで求めることができる。
制御部27は、調節力測定工程において、ディスプレイ42aに固視画像Sfを表示させるとともに、それを被検眼Eに呈示する視標投影系42(眼情報取得部21)における合焦距離Dfを呈示位置Ppの変化に合わせて変化させる。この合焦距離Dfは、視標投影系42における合焦レンズ42eを移動させることで調整できる。これにより、両被検眼Eでそれぞれピントを合わせて固視画像Sfを見ると、呈示位置Ppにピントを合わせた状態となるので、固視画像Sfが近付いてきたり遠ざかっていったりするものと被検者に感じさせることができる。
制御部27は、調節力測定工程を開始すると、図6に示すように、最も小さな固視画像Sf0をディスプレイ42aに表示させ、視標投影系42を無限遠の合焦距離Df0とし、眼情報取得部21を0(零)度の回旋角α0として、無限遠(呈示距離Dp0)となる呈示位置Pp0に固視画像Sf0を表示させる。その後、制御部27は、固視画像Sf0よりも大きな固視画像Sf1をディスプレイ42aに表示させ、視標投影系42を合焦距離Df1とし、眼情報取得部21を回旋角α1として、呈示距離Dp1となる呈示位置Pp1に固視画像Sfを表示させる。そして、制御部27は、固視画像Sf1よりも大きな固視画像Sf2をディスプレイ42aに表示させ、視標投影系42を合焦距離Df2とし、眼情報取得部21を回旋角α2として、呈示距離Dp2となる呈示位置Pp2に固視画像Sfを表示させる。その後、制御部27は、固視画像Sf2よりも大きな固視画像Sf3をディスプレイ42aに表示させ、視標投影系42を合焦距離Df3とし、眼情報取得部21を回旋角α3として、呈示距離Dp3となる呈示位置Pp3に固視画像Sfを表示させる。
このように、制御部27は、呈示位置Ppの変化に合わせて、ディスプレイ42aに表示させる固視画像Sfの大きさと、視標投影系42の合焦距離Dfと、眼情報取得部21の回旋角αと、を一体(一斉)に変化させる。このため、被検者に、固視画像Sfで示したものが、呈示位置Ppの変化に応じて遠方から近方に近付いてくるように感じさせることができ、両被検眼Eを自然と極めて近い状態で輻輳させて固視画像Sfを見せることができ、両被検眼Eを適切に調節させることができる。同様に、呈示位置Ppを近方から遠方に変化させることで、被検者に、固視画像Sfで示したものが近方から遠方に遠ざかるように感じさせることができ、両被検眼Eを自然と極めて近い状態で開散させて固視画像Sfを見せることができ、両被検眼Eを適切に調節させることができる。加えて、呈示位置Ppの変化に合わせて固視画像Sfに両眼視差を与えるものとすると、立体感を感じさせて固視画像Sfを見せることができ、より適切に両被検眼Eを輻輳又は開散させるとともに調節させることができる。
ここで、呈示位置Ppの変化は、制御部27が自動で行うものでもよく、検者の指示により行うものでもよい。そして、調節力測定工程では、図8に示すように、そこにおける操作等を行うための調節力測定画面Saを、表示部35の表示面35aに表示させることができる。実施例1の調節力測定画面Saは、2つの固視画像表示箇所51と、その間に設けられた操作表示箇所52と、それらの下に設けられた2つの限界操作釦53と、それらの下に設けられた2つの測定値表示箇所54と、を有する。
両固視画像表示箇所51は、現時点で表示させている双方の固視画像Sfを表示させる箇所であり、図8を正面視して右側に左眼に表示した固視画像Sfを表示させるとともに、左側に右眼に表示した固視画像Sfを表示させる。なお、両固視画像表示箇所51は、それぞれが対応する固視画像Sfと合わせて観察系41で取得した前眼部像I(図5参照)をそれぞれ表示するものとしてもよい。また、前眼部像Iは、各固視画像表示箇所51とは異なる位置に表示するものとしてもよい。
操作表示箇所52は、調節力測定工程において呈示位置Ppを変化させる操作のために設けられたものであり、表示面35aに重畳して配置したタッチパネル式の入力部35bを利用して指やタッチペン等で触れることで操作可能とされている。操作表示箇所52は、左上に遠方への移動の操作のための遠方移動記号52aと、その下に近方への移動の操作のための近方移動記号52bと、を有する。この遠方移動記号52aとおよび近方移動記号52bは、検者が手動で呈示位置Ppを変化させるためのものである。また、操作表示箇所52は、近方移動記号52bの下に、呈示位置Ppを自動で変化させるモードとする自動選択記号52cと、その左下に自動での呈示位置Ppの変化を一時停止させる一時停止記号52dと、その右に自動での呈示位置Ppの変化を実行させる実行記号52eと、を有する。さらに、操作表示箇所52は、上記した各記号の右側に、現在の呈示位置Ppを示す呈示位置標示記号52fを有する。この呈示位置標示記号52fは、被検眼Eからの呈示距離Dpを示す目盛52gと、その目盛52g上で呈示位置Ppを示す目印52hと、を有する。
限界操作釦53は、被検者が近方へと移動する固視画像Sfがボケて見えたり複視を自覚(2つに見える)したりした際に操作するものであり、被検者の自覚により近方の限界となる呈示位置Ppを検出するための操作箇所となる。この限界操作釦53は、被検者が操作してもよく、検者が被検者の反応に基づいて操作してもよい。
測定値表示箇所54は、調節力測定工程で測定した各種の数値を表示させる箇所であり、図8を正面視して右側に左眼の測定結果を表示させるとともに、左側に右眼の測定結果を表示させる。実施例1の測定値表示箇所54は、上から眼屈折力としての球面度数S、円柱度数C、軸角度Ax、近点での眼屈折力NPA、遠点での眼屈折力FPA、調節力(NPA-FPA)を表示するものとしている。なお、測定値表示箇所54は、他の測定値を合わせて表示するものでもよく、表示の順番や配置は適宜設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。
なお、調節力測定画面Saは、調節力測定工程を行うための操作や測定結果の表示等ができるものであれば、他の構成(機能やデザインを含む)でもよく、他の箇所に表示させるものでもよく、実施例1の構成に限定されない。また、上記した各操作は、調節力測定画面Saとは異なる表示のものを用いてもよく、表示部35とは別に操作部を設けるものでもよく、他の構成でもよく、実施例1の構成に限定されない。
次に、眼科装置10を用いて、調節力測定工程により被検眼Eの調節力を測定する一例としての調節力測定処理(調節力測定方法)について、図9を用いて説明する。この測定処理は、記憶部33または内蔵する内部メモリ27aに記憶されたプログラムに基づいて、制御部27が実行する。以下では、この図9のフローチャートの各ステップ(各工程)について説明する。この図9のフローチャートは、眼科装置10が起動されて、検者用コントローラ31のブラウザまたはアプリが立ち上がって表示面35aが表示され、その入力部35bで調節力測定工程が開始されることにより開始される。このとき、被検者は椅子等に座っており、額当部17に額が当てられている。なお、実施例1の図9のフローチャートは、各ステップ(各工程)が一対の測定ヘッド16(両眼情報取得部21)で同時に行われるものであり、両眼視の状態で同時に測定されるものとしている。
ステップS1では、被検眼Eの前眼部像Iの表示部35の表示面35aでの表示を開始して、ステップS2へ進む。ステップS1では、観察系41で取得した前眼部像Iの動画を表示面35aに表示させる。
ステップS2では、オートアライメントを実行して、ステップS3へ進む。ステップS2では、上述したように、Zアライメント光学系45およびXYアライメント光学系46を用いて、眼情報取得部21のオートアライメントを行い、眼情報取得部21の光学系の光軸Lを被検眼Eの視軸(視線方向)に一致させる。
ステップS3では、正面視以外で測定するか否かを判断し、YESの場合はステップS4へ進み、NOの場合はステップS5に進む。ステップS3では、各測定ヘッド16に設けられた眼情報取得部21の光学系の光軸Lが水平な状態で被検眼Eの調節力を測定するのか否かを判断する。ステップS3では、検者用コントローラ31またはその他の操作部に、下方視や上方視や左右視させた状態で測定を行う旨の操作が為されたか否かを判断する。
ステップS4では、光軸Lの方向を調整して、ステップS5に進む。ステップS4では、Y軸回旋駆動部24やX軸回旋駆動部25を適宜駆動して、ステップS3で設定された方向(下方視、上方視、左右視)に応じて眼情報取得部21の光学系の光軸Lの向きを調整する。
ステップS5では、無限遠で固視画像Sfを呈示して、ステップS6に進む。ステップS5では、最も小さな固視画像Sf0をディスプレイ42aに表示させ、視標投影系42を無限遠の合焦距離Df0とし、眼情報取得部21を0(零)度の回旋角α0として、無限遠(呈示距離Dp0)となる呈示位置Pp0に固視画像Sfを表示させる(図6参照)。
ステップS6では、雲霧を行って眼屈折力を測定して、ステップS7へ進む。ステップS6では、視標投影系42を用いてステップS5で設定した状態から合焦レンズ43tを移動させて雲霧状態とし、被検眼Eを調節休止状態とする。そして、ステップS6では、雲霧により調節休止状態とした被検眼Eに対して、眼屈折力測定系43を用いて測定リング像を検出し、その測定リング像に基づいて、眼屈折力としての球面度数、円柱度数、軸角度を周知の手法により算出する。
ステップS7では、矯正下で遠方視させた場合の眼屈折力を測定して、ステップS8へ進む。ステップS7では、ステップS6の測定で求めた眼屈折力に適合するD(ディオプタ)位置に、合焦レンズ42e、レフ光源ユニット部43aおよび合焦レンズ43tを配置して、視標投影系42で無限遠の固視画像Sfを固視させる。すなわち、ステップS7では、眼鏡等で矯正した状態で遠方(無限遠の固視画像Sf)を見た状態を再現している。そして、ステップS7では、その状態で、眼屈折力測定系43を用いて眼屈折力(球面度数、円柱度数、軸角度)を算出する。この調節力測定工程では、このようにステップS7で算出した値を遠点での眼屈折力FPAとする。なお、眼屈折力FPAは、雲霧を行って強制して眼屈折力を求める(S6→S7)のではなく、無限遠で固視画像Sfを呈示した状態(S5の状態)で測定した眼屈折力としてもよく、この調節力測定工程の例に限定されない。
ステップS8では、調整力の測定を開始して、ステップS9へ進む。ステップS8では、呈示する固視画像Sfの呈示位置Ppの近方への変化を開始し、その変化の際に常にもしくは所定のタイミングで各被検眼Eの眼屈折力を眼屈折力測定系43により測定する。そのとき、ステップS8では、呈示位置Ppを無限遠から近方へと変化させ、その変化に合わせて、ディスプレイ42aに表示させる固視画像Sfの大きさを小さくしていき、視標投影系42の合焦距離Dfを短くしていき、眼情報取得部21の回旋角αを大きくしていくことを一体に行う。なお、ステップS8では、後述するステップS11から戻ってきた場合には、戻ってきた時点での呈示位置Ppから上記した動作を継続させる。なお、呈示位置Ppを変化させる速度は任意に設定できる。また、呈示位置Ppの変化の態様は、等速で変化させるものでもよく、非線形に変化させるものでもよく、任意に設定できる。
ステップS9では、自覚応答を併用するか否かを判断し、YESの場合はステップS10へ進み、NOの場合はステップS11へ進む。ステップS9では、被検者の自覚により近方の限界となる呈示位置Ppを検出することを併用するか否かを判断する。ステップS9では、検者用コントローラ31またはその他の操作部に、自覚応答を併用する旨の操作が為されたか否かを判断する。
ステップS10では、限界操作釦53が操作されたか否かを判断し、YESの場合はステップS12へ進み、NOの場合はステップS11へ進む。ステップS10では、限界操作釦53が操作されたか否か、すなわち被検者が固視画像Sfがボケて見えたり複視を自覚したりしたか否かを判断する。
ステップS11では、呈示位置Ppが所定の近方位置に達したか否かを判断し、YESの場合はステップS12へ進み、NOの場合はステップS8へ戻る。ステップS11では、呈示位置Ppが設定された所定の近方位置、すなわち設定された移動範囲における最も近方(実施例1では0.3m)まで変化されたか否かを判断する。
ステップS12では、呈示位置Ppの変化を停止して、ステップS13へ進む。ステップS12では、呈示位置Ppの変化を停止し、それに伴ってディスプレイ42aに表示させる固視画像Sfの大きさの変化、視標投影系42の合焦距離Dfの変化、および眼情報取得部21の回旋角αの変化も停止する。このことから、ステップS8で開始された呈示位置Ppの変化に伴う眼屈折力の測定は、呈示位置Ppが設定された所定の近方位置となる(S11)か、自覚応答が併用されて被検者が近方の限界を自覚する(S12)まで継続することとなる。
ステップS13では、往復測定が設定されたか否かを判断し、YESの場合はステップS14へ進み、NOの場合はステップS17へ進む。ステップS13では、往復測定が設定されたか否か、すなわち最も近方まで変化された呈示位置Ppを、折り返して無限遠まで変化させて眼屈折力を測定するか否かを判断する。
ステップS14では、調整力の測定を開始して、ステップS15へ進む。ステップS14では、呈示する固視画像Sfの呈示位置Ppの遠方への変化を開始し、その変化の際に常にもしくは所定のタイミングで各被検眼Eの眼屈折力を眼屈折力測定系43により測定する。このステップS14は、呈示位置Ppを変化させる方向をステップS8とは反対に近方から無限遠へと変化させることを除くと、そのステップS8と同様である。なお、ステップS14では、後述するステップS15から戻ってきた場合には、戻ってきた時点での呈示位置Ppから上記した動作を継続させる。
ステップS15では、呈示位置Ppが所定の遠方位置に達したか否かを判断し、YESの場合はステップS16へ進み、NOの場合はステップS14へ戻る。ステップS15では、呈示位置Ppが設定された所定の遠方位置、すなわち最も遠方(実施例1では無限遠)まで変化されたか否かを判断する。
ステップS16では、呈示位置Ppの変化を停止して、ステップS17へ進む。ステップS16では、呈示位置Ppの変化を停止し、それに伴ってディスプレイ42aに表示させる固視画像Sfの大きさの変化、視標投影系42の合焦距離Dfの変化、および眼情報取得部21の回旋角αの変化も停止する。このことから、ステップS14で開始された呈示位置Ppの変化に伴う眼屈折力の測定は、設定された所定の遠方位置(無限遠)まで呈示位置Ppが変化するまで継続されることとなる。
ステップS17では、測定値を表示させて、この調節力測定処理を終了する。このステップS17では、呈示位置Ppを遠方から近方に変化させつつ測定した眼屈折力(ステップS7からS12)や呈示位置Ppを近方から遠方に変化させつつ測定した眼屈折力(ステップS14からS15)により取得した近点での眼屈折力NPA、遠点での眼屈折力FPA、調節力(NPA-FPA)を表示面35aにおける調節力測定画面Saの各測定値表示箇所54(図8参照)に適宜表示させる。その近点での眼屈折力NPAは、呈示位置Ppを変化させつつ測定した眼屈折力の推移から求める。なお、近点での眼屈折力NPAは、被検者が近方の限界と自覚した呈示位置Ppの直前の眼屈折力としてもよく、実施例1の構成に限定されない。加えて、実施例1では、上記した各ステップで測定した両被検眼Eの眼屈折力(球面度数、円柱度数、軸角度)を各測定値表示箇所54に適宜表示させる。
なお、この調節力測定工程は、両眼視の状態で行うものとしているが、被検者では疾病等で両眼視が困難な場合がある。このような場合、制御部27は、測定する被検眼Eに対応する測定ヘッド16および眼情報取得部21のみを駆動して、片眼視の状態で上記したものと同様に各工程を行うものとする。この片眼視での測定の設定は、検者用コントローラ31またはその他の操作部で行うことができる。
次に、眼科装置の技術の課題について説明する。上記した従来の眼科装置では、光学系において光源と固視標板とを光軸方向に移動させることで固視標の呈示位置を変化させている。このため、被検者は、固視標がボケていくように感じるのみであって、固視標が移動しているように感じる可能性は低い。加えて、上記した従来の眼科装置は、片眼ずつの測定となるので、自然とは異なる状態で固視標を見せることとなる。これらのことから、上記した従来の眼科装置は、被検眼を自然と極めて近い状態で輻輳または開散させて固視標を見せることは困難であり、被検眼を適切に調節させることが難しい。
ここで、眼科装置は、固視目標を実際に移動させる移動機構を設け、その移動する固視目標を透明な偏向板を通して目視可能とするとともに、偏向板で反射させた先に眼屈折力測定光学系を設けるもの(所謂外部視標方式)が考えられている。この眼科装置は、自然と極めて近い状態で輻輳または開散させつつ適切に調節させた状態で調節力を測定することはできる。しかしながら、この眼科装置は、移動機構が固視目標を十分に移動させることを可能とする大きさが必要なので、全体としてかなり大きな構成となってしまい、実用性に欠けてしまう。
これに対して、本開示の眼科装置10は、上記した調節力測定工程により被検眼Eの調節力を測定できる。このとき、眼科装置10は、固視画像Sfを呈示する呈示位置Ppを変化させ、その呈示位置Ppの変化に合わせて、ディスプレイ42aに表示させる固視画像Sfの大きさと、視標投影系42の合焦距離Dfと、眼情報取得部21の回旋角αと、を一体に変化させる。このため、被検者は、固視画像Sfに表示されたものが、実際に存在するものと同様に呈示位置Ppの変化に応じて移動しているように感じることができ、固視画像Sfを見ることで自然な状態で両被検眼Eを輻輳または開散させて適切に調節させることとなる。そして、眼科装置10は、その状態の両被検眼Eを測定した眼屈折力に基づいて調節力を測定しているので、正確に調節力を測定できる。加えて、眼科装置10は、両測定ヘッド16および眼情報取得部21における上記した3つの一体の動作(所謂内部視標方式)により、自然な状態で輻輳または開散させて適切に調節させるので、極めて小さな構成にでき、実用性を高めることができる。
眼科装置10は、眼情報取得部21を同じ光軸L上で固視画像Sfを呈示しつつ眼屈折力を測定できる構成とし、それを設けた各測定ヘッド16を対応する両被検眼Eの眼球回旋点を中心に回転可能な構成とすることで、上記した3つの一体の動作を可能としている。このため、眼科装置10は、簡易で小さな構成でかつ簡易な制御で、両被検眼Eの調節力を正確に測定できる。また、眼科装置10は、呈示位置Ppを遠方から近方に変化させつつ測定した眼屈折力(ステップS7からS12)に加えて、呈示位置Ppを近方から遠方に変化させつつ測定した眼屈折力(ステップS14からS15)も用いて調節力を測定できるので、両被検眼Eの調節力をより正確に測定できる。さらに、眼科装置10は、下方視や上方視や左右視させた状態で測定を行うことができるので、多くの態様で両被検眼Eの調節力を測定できる。
加えて、眼科装置10は、片眼視であっても、測定する被検眼Eに対応する測定ヘッド16および眼情報取得部21のみを駆動して、固視画像Sfを呈示する呈示位置Ppを変化させつつ上記した3つの動作を一体に行うことで被検眼Eの調節力を測定することができる。このため、被検者は、片眼視であっても、固視画像Sfに表示されたものが、実際に存在するものに近い状態で呈示位置Ppの変化に応じて移動しているように感じることができ、固視画像Sfを見ることで自然に近い状態で被検眼Eを適切に調節させることができる。これにより、眼科装置10は、片眼視であっても、正確に調節力を測定できる。
本開示に係る眼科装置の実施例1の眼科装置10は、以下の各作用効果を得ることができる。
眼科装置10は、調節力測定工程において、呈示位置Ppの変化に合わせて、眼情報取得部21における固視画像Sfの合焦距離Dfと、眼情報取得部21が呈示する固視画像Sfの大きさと、眼情報取得部21の回旋角αと、を一体に変化させる。このため、眼科装置10は、被験者に、固視画像Sfに表示されたものが実際に存在するものに近い状態で呈示位置Ppの変化に応じて移動しているように感じさせることができ、固視画像Sfを見ることで自然に近い状態で被検眼Eを輻輳または開散させて適切に調節させることができる。これにより、眼科装置10は、正確に調節力を測定できる。
眼科装置10は、眼情報取得部21がディスプレイ42aに表示した固視画像Sfを視標投影系を用いて被検眼Eに呈示する構成であり、調節力測定工程において、眼情報取得部21が呈示する固視画像Sfの大きさを変化させるとき、呈示位置Ppが近方になるに連れて呈示位置Ppの変化に対するディスプレイ42aに表示する固視画像Sfの拡大率を増加させる。このため、眼科装置10は、視標投影系42の像倍率の変化の影響を打ち消して、固視画像Sfが視標投影系42により各被検眼Eに呈示される際には肉眼で見たときの遠近感に合わせた拡大率とすることができる。これにより、眼科装置10は、両被検眼Eでそれぞれ固視画像Sfを見せることで、固視画像Sfが近付いてきたり遠ざかっていったりするものと被検者に認識させることができる。
眼科装置10は、調節力測定工程において、眼情報取得部21に固視画像Sfを動画で呈示する。このため、眼科装置10は、固視画像Sfで示したものが接近(または遠ざかる)していることを、より自然に被検者に感じさせることができる。
眼科装置10は、調節力測定工程において、呈示位置Ppの変化に合わせて2つの眼情報取得部21が呈示する固視画像Sfの双方に両眼視差を与えることができる。このようにすると、眼科装置10は、両被検眼Eでそれぞれ固視画像Sfを見せることで、固視画像Sfが近付いてきたり遠ざかっていったりするものと、より自然に被検者に感じさせることができる。
眼科装置10は、調節力測定工程において、呈示位置Ppの変化に合わせて眼情報取得部21が呈示する固視画像Sfを変化させる。このため、眼科装置10は、固視画像Sfで示したものが接近(または遠ざかる)していることを、より自然に被検者に感じさせることができる。
眼科装置10は、単眼視の状態でも、調節力測定工程において、呈示位置Ppの変化に合わせて、眼情報取得部21における固視画像Sfの合焦距離Dfと、眼情報取得部21が呈示する固視画像Sfの大きさと、眼情報取得部21の回旋角αと、を一体に変化させる。このため、眼科装置10は、単眼視の状態でも、被験者に、固視画像Sfに表示されたものが実際に存在するものに近い状態で呈示位置Ppの変化に応じて移動しているように感じさせることができ、固視画像Sfを見ることで自然に近い状態で被検眼Eを適切に調節させることができる。これにより、眼科装置10は、単眼視の状態でも、正確に調節力を測定できる。
したがって、本開示に係る眼科装置の一実施例としての眼科装置10では、被検眼Eの調節力を適切に求めることができる。
以上、本開示の眼科装置を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
例えば、実施例1では、上記した構成の眼情報取得部21を用いている。しかしながら、本開示の眼情報取得部は、同じ光軸L上で被検眼Eに固視画像Sfを呈示しつつ被検眼Eの眼屈折力を測定できるものであって、輻輳または開散する被検眼Eの視軸に一致させるように光軸Lの位置の調整を可能とするものであれば適用することができ、実施例1の構成に限定されない。
また、実施例1では、測定ヘッド16(眼情報取得部21)が対を為して設けられて、両眼視の状態で被検眼Eの特性の測定を行うことができるものとされている。しかしながら、本開示の眼科装置は、片眼視の状態で被検眼Eの眼屈折力を測定する構成でもよく、実施例1の構成に限定されない。
さらに、実施例1では、基本的に呈示位置Ppを遠方から近方に変化させている。しかしながら、本開示の眼科装置は、呈示位置Ppを近方と遠方との間で変化させて被検眼Eの調節力を測定するものであれば、近方から遠方に変化させてもよく、近方から遠方の変化の後に遠方から近方に変化させて往復させてもよく、他の態様で移動させてもよく、実施例1の構成に限定されない。