本発明のエマルション型粘着付与樹脂組成物は、粘着付与樹脂のエマルションであって、粘着付与樹脂を乳化剤によって分散媒中に分散させることにより得られる。
すなわち、エマルション型粘着付与樹脂組成物は、粘着付与樹脂と、分散媒と、乳化剤とを含んでいる。
粘着付与樹脂は、ロジン類とアルコールとのエステル反応により得られる反応生成物(ロジンエステル)である。
ロジン類は、針葉樹などの樹木(例えば、松など)から分泌される固体炭化水素などとして得られ、反応性二重結合を有する樹脂酸を含んでいる。
樹脂酸とは、樹木由来のカルボキシル基を有する化合物であり、反応性二重結合を有する樹脂酸として、具体的には、例えば、アビエチン酸、パラストリン酸、ネオアビエチン酸、レボピマール酸などが挙げられる。
このようなロジン類は、変性の有無によって分類され、具体的には、ロジン類としては、無変性ロジン(未変性ロジン)、ロジン変性体(誘導体)が挙げられる。
無変性ロジンとしては、例えば、トール油ロジン、ガムロジン、ウッドロジンなどが挙げられる。これら無変性ロジンは、単独使用または2種類以上併用することができる。無変性ロジンとして、好ましくは、ガムロジンが挙げられる。
ロジン変性体は、上記した無変性ロジンの変性体であって、例えば、酸変性ロジン、不均化ロジン、水素添加ロジン、重合ロジンなどが挙げられる。
これらロジン変性体は、単独使用または2種類以上併用することができる。
なお、ロジン変性体は、反応性二重結合を有する樹脂酸を含んでいればよいが、不均化ロジンは不均化率によっては、反応性二重結合を有する樹脂酸の含有量が少なく、また、水素添加ロジンは水添率によっては、反応性二重結合を有する樹脂酸の含有量が少ない場合がある。また、重合ロジンは重合度によっては、反応性二重結合を有する樹脂酸の含有量が少なく、さらに、立体障害があるために反応性が低下する場合がある。
ロジン変性体として、好ましくは、酸変性ロジン、不均化ロジン、水素添加ロジンが挙げられ、より好ましくは、酸変性ロジンが挙げられる。
酸変性ロジンは、上記した無変性ロジンの、α,β-不飽和カルボン酸類による変性体である。具体的には、酸変性ロジンは、例えば、上記した無変性ロジンにα,β-不飽和カルボン酸類を公知の方法により反応させることによって、得ることができる。
α,β-不飽和カルボン酸類としては、例えば、α,β-不飽和カルボン酸、および、その酸無水物などが挙げられ、具体的には、例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。
これらα,β-不飽和カルボン酸類は、単独使用または2種類以上併用することができる。
α,β-不飽和カルボン酸類として、好ましくは、マレイン酸、無水マレイン酸が挙げられる。
無変性ロジンとα,β-不飽和カルボン酸類との配合割合は、無変性ロジン1モルに対して、α,β-不飽和カルボン酸類が、例えば、1モル以下である。また、無変性ロジンとα,β-不飽和カルボン酸類との反応では、反応温度が、例えば、150~300℃であり、反応時間が、例えば、1~24時間である。また、この反応では、必要に応じて公知の触媒を適宜の割合で配合することもできる。
酸変性ロジンの酸価は、例えば、100mgKOH/g以上、好ましくは、150mgKOH/g以上であり、例えば、500mgKOH/g以下、好ましくは、400mgKOH/g以下である。
また、ロジン類としては、上記の無変性ロジンおよび/またはロジン変性体に、環構造を導入したロジン変性体(以下、環構造付加ロジンと称する。)が挙げられる。
環構造付加ロジンは、環構造を導入する前の上記した無変性ロジンおよび/またはロジン変性体(以下、ロジン成分と称する。)と、環構造含有化合物との反応生成物として得られる。
ロジン成分としては、上記した無変性ロジンおよび/またはロジン変性体を、単独使用または併用することができる。
環構造含有化合物は、分子内に1つ以上の環構造を有する化合物である。
環構造としては、脂環、芳香環などが挙げられる。換言すれば、環構造含有化合物としては、脂環族基および/または芳香環基を有する化合物が挙げられる。
脂環族基としては、例えば、1つの脂環を含む脂環族基、2つ以上の脂環を含む脂環族基などが挙げられる。
1つの脂環を含む脂環族基は、ヘテロ原子を含んでいてもよく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、メチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基、n-ブチルシクロヘキシル基、t-ブチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、テトラヒドロフルフリル基、環状トリメチロールプロパンホルマール基などが挙げられる。
2つ以上の脂環を含む脂環族基は、2個以上の環によって架橋環、縮合環、スピロ環などの環構造が形成されている基であり、ヘテロ原子を含んでいてもよく、例えば、ボルニル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、アダマンチル基、アダマンチルメチル基、2-メチルアダマンチル基、ジメチルアダマンチル基、ビシクロ[4.4.0]デカニル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基、トリシクロペンタニル基、トリシクロペンテニル基、トリシクロデカニル基、ジシクロペンタニルオキシエチル基、2-[(2,4-シクロペンタジエニル)オキシ]エチル基、(2-メチル-2-エチルー1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル基、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル基などが挙げられ、好ましくは、ボルニル基、ノルボルニル基、イソボルニル基が挙げられる。
芳香環基は、2個以上の環によって縮合環などの環構造が形成されていてもよく、また、ヘテロ原子を含んでいてもよい。芳香環基としては、例えば、フェニル基、トリル基、t-ブチルフェニル基、ベンジル基、スチリル基、ナフチル基、アントラシル基、フェノキシエチル基、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル基などが挙げられ、好ましくは、ベンジル基が挙げられる。
環構造含有化合物として、粘着力の向上を図る観点から、好ましくは、2つ以上の脂環を含む脂環族基を有する化合物が挙げられ、より好ましくは、ボルニル基、ノルボルニル基、イソボルニル基を有する化合物が挙げられ、さらに好ましくは、イソボルニル基を有する化合物が挙げられる。
そして、環構造含有化合物としては、無変性ロジンおよび/またはロジン変性体と反応可能な化合物が、無変性ロジンおよび/またはロジン変性体の種類に応じて、適宜選択される。
より具体的には、例えば、ロジン成分として、無変性ロジンが選択される場合、環構造含有化合物は、無変性ロジンと反応可能な化合物から選択される。そのような化合物としては、例えば、環構造を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
なお、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルと定義される。また、以下に記述される「(メタ)アクリル」も、上記と同じく、「アクリル」および/または「メタクリル」と定義される。
環構造を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、脂環族基を有する(メタ)アクリル酸エステル、芳香族基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。
脂環族基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、1つの脂環を含む脂環族基を有する(メタ)アクリル酸エステル、2つ以上の脂環を含む脂環族基を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
1つの脂環を含む脂環族基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、シクロプロピル(メタ)アクリレート、シクロブチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、エチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、n-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキセニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これら1つの脂環を含む脂環族基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、単独使用または2種類以上併用することができる。1つの脂環を含む脂環族基を有する(メタ)アクリル酸エステルとして、好ましくは、シクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。
2つ以上の脂環を含む脂環族基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、ボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、アダマンチルメチル(メタ)アクリレート、2-メチルアダマンチル(メタ)アクリレート、ジメチルアダマンチル(メタ)アクリレート、ビシクロ[4.4.0]デカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、トリシクロペンタニル(メタ)アクリレート、トリシクロペンテニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、2-[(2,4-シクロペンタジエニル)オキシ]エチル(メタ)アクリレート、(2-メチル-2-エチルー1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これら2つ以上の脂環を含む脂環族基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、単独使用または2種類以上併用することができる。2つ以上の脂環を含む脂環族基を有する(メタ)アクリル酸エステルとして、好ましくは、ボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートが挙げられ、より好ましくは、イソボルニル(メタ)アクリレートが挙げられる。
これら脂環族基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、単独使用または2種類以上併用することができる。
脂環族基を有する(メタ)アクリル酸エステルとして、好ましくは、2つ以上の脂環を含む脂環族基を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
芳香族基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ビフェニル(メタ)アクリレート、エトキシ化オルト-フェニルフェノール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
これら芳香族基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、単独使用または2種類以上併用することができる。
芳香族基を有する(メタ)アクリル酸エステルとして、好ましくは、ベンジル(メタ)アクリレートが挙げられる。
無変性ロジンと反応する環構造含有化合物として、粘着性の向上を図る観点から、好ましくは、2つ以上の脂環を含む脂環族基を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられ、とりわけ好ましくは、イソボルニル(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。また、粘着力の向上を図る観点から、好ましくは、芳香族基を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられ、とりわけ好ましくは、ベンジル(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
また、例えば、ロジン成分として、酸変性ロジンが選択される場合、環構造含有化合物は、酸変性ロジンと反応可能な化合物から選択される。そのような化合物としては、例えば、環構造を有するアルコールなどが挙げられる。
環構造を有するアルコールとしては、脂環族基を有するアルコール、芳香族基を有するアルコールなどが挙げられる。
脂環族基を有するアルコールとしては、1つの脂環を含む脂環族基を有するアルコール、2つ以上の脂環を含む脂環族基を有するアルコールが挙げられる。
1つの脂環を含む脂環族基を有するアルコールとしては、例えば、シクロプロピルアルコール、シクロブチルアルコール、シクロペンチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、シクロヘプチルアルコール、シクロオクチルアルコール、メチルシクロヘキシルアルコール、エチルシクロヘキシルアルコール、n-ブチルシクロヘキシルアルコール、t-ブチルシクロヘキシルアルコール、ジメチルシクロヘキシルアルコール、シクロヘキセニルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、環状トリメチロールプロパンホルマールアルコールなどが挙げられる。これら1つの脂環を含む脂環族基を有するアルコールは、単独使用または2種類以上併用することができる。1つの脂環を含む脂環族基を有するアルコールとして、好ましくは、シクロヘキシルアルコールが挙げられる。
2つ以上の脂環を含む脂環族基を有するアルコールとしては、例えば、ボルニルアルコール(別名ボルネオール)、ノルボルニルアルコール(別名ノルボルネオール)、イソボルニルアルコール(別名イソボルネオール)、アダマンチルアルコール、アダマンチルメチルアルコール、2-メチルアダマンチルアルコール、ジメチルアダマンチルアルコール、ビシクロ[4.4.0]デカニルアルコール、ジシクロペンタニルアルコール、ジシクロペンテニルアルコール、トリシクロペンタニルアルコール、トリシクロペンテニルアルコール、トリシクロデカニルアルコール、ジシクロペンタニルオキシエチルアルコール、2-[(2,4-シクロペンタジエニル)オキシ]エチルアルコール、(2-メチル-2-エチルー1,3-ジオキソラン-4-イル)メチルアルコール、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチルアルコールなどが挙げられる。これら2つ以上の脂環を含む脂環族基を有するアルコールは、単独使用または2種類以上併用することができる。2つ以上の脂環を含む脂環族基を有するアルコールとして、好ましくは、ボルニルアルコール(別名ボルネオール)、ノルボルニルアルコール(別名ノルボルネオール)、イソボルニルアルコール(別名イソボルネオール)が挙げられる。
これら脂環族基を有するアルコールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
脂環族基を有するアルコールとして、好ましくは、2つ以上の脂環を含む脂環族基を有するアルコールが挙げられる。
芳香族基を有するアルコールとしては、例えば、フェニルアルコール、ベンジルアルコール、フェノキシエチルアルコール、フェノキシポリエチレングリコールアルコール、ノニルフェノキシポリエチレングリコールアルコール、フェノキシポリプロピレングリコールアルコール、ビフェニルアルコール、エトキシ化オルト-フェニルフェノールアルコールなどが挙げられる。
これら芳香族基を有するアルコールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
芳香族基を有するアルコールとして、好ましくは、ベンジルアルコールが挙げられる。
酸変性ロジンと反応する環構造含有化合物として、粘着性の向上を図る観点から、好ましくは、2つ以上の脂環を含む脂環族基を有するアルコールが挙げられ、とりわけ好ましくは、イソボルニルアルコールが挙げられる。また、粘着力の向上を図る観点から、好ましくは、芳香族基を有するアルコールが挙げられ、とりわけ好ましくは、ベンジルアルコールが挙げられる。
これら環構造含有化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
ロジン成分(無変性ロジンおよび/またはロジン変性体)と、環構造含有化合物との反応において、それらの質量割合は、環構造含有化合物が、ロジン成分よりも少なく、具体的には、ロジン成分100質量部に対し、環構造含有化合物が、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、0.5質量部以上、より好ましくは、1質量部以上であり、例えば、50質量部以下、好ましくは、20質量部以下、より好ましくは、10質量部以下である。
また、この工程では、ロジン成分(無変性ロジンおよび/またはロジン変性体)の種類、および、環構造含有化合物の種類により異なる反応が惹起される。
具体的には、例えば、ロジン成分が無変性ロジンであり、環構造含有化合物が環構造を有する(メタ)アクリル酸エステルである場合には、無変性ロジンと環構造含有化合物とがディールス・アルダー反応する。
このような場合の反応条件としては、不活性ガス雰囲気、大気圧下、反応温度が、例えば、150℃以上、好ましくは、200℃以上であり、例えば、250℃以下、好ましくは、220℃以下である。また、反応時間が、例えば、0.5時間以上、好ましくは、2時間以上であり、例えば、8時間以下、好ましくは、6時間以下である。
なお、このような場合、無変性ロジンおよび環構造含有化合物とともに、過酸化物、アゾ化合物などの重合開始剤が配合されると、ディールス・アルダー反応の促進が阻害される場合がある。そのため、好ましくは、反応原料は、重合開始剤を含まないことが挙げられる。
また、ロジン成分が酸変性ロジンであり、環構造含有化合物が環構造を有するアルコールである場合には、酸変性ロジンと環構造含有化合物とがエステル化反応する。
このような場合の反応条件としては、不活性ガス雰囲気、大気圧下、反応温度が、例えば、150℃以上、好ましくは、190℃以上であり、例えば、250℃以下、好ましくは、210℃以下である。また、反応時間が、例えば、0.5時間以上、好ましくは、2時間以上であり、例えば、10時間以下、好ましくは、8時間以下である。
これにより、ロジン類として、ロジン成分(無変性ロジンおよび/またはロジン変性体)と、環構造含有化合物との反応生成物が得られる。
具体的には、ロジン類として、環構造含有化合物がロジン成分(無変性ロジンおよび/またはロジン変性体)に付加した環構造付加ロジンが得られる。
これらロジン類は、単独使用または2種類以上併用することができる。
ロジン類として、粘着性の観点から、好ましくは、環構造付加ロジンが挙げられる。
すなわち、ロジン類として、好ましくは、無変性ロジンおよび/またはロジン変性体と、環構造含有化合物との反応生成物が挙げられる。また、反応性の観点から、より好ましくは、無変性ロジン、酸変性ロジンと、環構造含有化合物との反応生成物が挙げられる。
換言すれば、ロジン類として、より好ましくは、無変性ロジンおよび/または酸変性ロジンと、環構造含有化合物との反応生成物(環構造付加ロジン)が挙げられる。とりわけ好ましくは、無変性ロジンと、環構造を有する(メタ)アクリル酸エステルとの反応生成物が挙げられる。すなわち、ロジン成分が無変性ロジンであり、環構造含有化合物が環構造を有する(メタ)アクリル酸エステルであることが好ましい。
アルコールは、1つ以上の水酸基を有する化合物であれば、特に制限されないが、好ましくは、環構造を有しないアルコールが挙げられ、より好ましくは、脂肪族アルコールが挙げられる。より具体的には、例えば、メタノール、エタノール、プロパノールなどの1価脂肪族アルコール、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの2価脂肪族アルコール、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどの3価脂肪族アルコール、例えば、ペンタエリスリトール、ジグリセリンなどの4価脂肪族アルコール、例えば、ジペンタエリスリトールなどの6価脂肪族アルコールなどが挙げられる。
これらアルコールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
アルコールとして、好ましくは、2価以上の脂肪族アルコール、より好ましくは、4価脂肪族アルコール、さらに好ましくは、ペンタエリスリトールが挙げられる。
ロジン類(好ましくは、環構造付加ロジン)と、アルコールとの反応(エステル化反応)において、アルコールの配合量は、特に制限されないが、ロジン類(好ましくは、環構造付加ロジン)のカルボキシル基に対し、アルコールの水酸基が、当量基準で、例えば、1倍以上、好ましくは、1.1倍以上であり、例えば、2倍以下、好ましくは、1.8倍以下である。
より具体的には、ロジン類(好ましくは、環構造付加ロジン)100質量部に対し、アルコールが、例えば、7質量部以上、好ましくは、9質量部以上、より好ましくは、11質量部以上であり、例えば、50質量部以下、好ましくは、30質量部以下、より好ましくは、20質量部以下である。
これにより、ロジン類(好ましくは、環構造付加ロジン)とアルコールとの反応生成物として、粘着付与樹脂が得られる。
得られる粘着付与樹脂の重量平均分子量(GPC測定による標準ポリスチレン換算分子量)は、例えば、500以上、好ましくは、800以上であり、例えば、2500以下、好ましくは、2000以下である。
また、粘着付与樹脂の酸価は、例えば、5mgKOH/g以上、好ましくは、10mgKOH/g以上であり、例えば、20mgKOH/g以下である。
そして、このようにして得られる粘着付与樹脂は、ロジン類とアルコールとの反応生成物であるため、優れた接着力を、後述のベース樹脂に付与することができる。
分散媒としては、特に制限されず、公知の分散媒が挙げられる。具体的には、例えば、水、アルコール類、エーテル類などが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用することができる。分散媒として、好ましくは、水が挙げられる。
すなわち、エマルション型粘着付与樹脂組成物は、好ましくは、水分散型の粘着付与樹脂エマルションとして調製される。
乳化剤は、反応性乳化剤(すなわち、未反応の反応性乳化剤)と、ポリマー乳化剤と、乳化安定剤とを含んでいる。好ましくは、乳化剤は、反応性乳化剤と、ポリマー乳化剤と、乳化安定剤とからなる。
反応性乳化剤は、乳化作用があり、分子中に炭素-炭素二重結合(C=C)を有する化合物である。
炭素-炭素二重結合(C=C)は、例えば、アルケニル基、(メタ)アリルオキシアルキル基、(メタ)アクリロイル基などの官能基に含まれている。また、アルケニル基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アリル基、1-プロペニル基、2-メチル-1-プロペニル基、イソプロペニル基などが挙げられる。これら官能基は、単独使用または2種類以上併用することができる。
炭素-炭素二重結合を有する化合物としては、上記の官能基を有する化合物が挙げられ、具体的には、分子中に上記の官能基を少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアルキルエーテルのスルホコハク酸エステル塩、分子中に上記の官能基を少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアルキルエーテルの硫酸エステル塩(エステルナトリウム塩、エステルアンモニウム塩など)、分子中に上記の官能基を少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルのスルホコハク酸エステル塩、分子中に上記の官能基を少なくとも1つ有するポリオキシアルキレンエーテルの硫酸エステル塩、分子中に上記の官能基を少なくとも1つ有するポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルの硫酸エステル塩、分子中に上記の官能基を少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの硫酸エステル塩、分子中に上記の官能基を少なくとも1つ有する酸性リン酸(メタ)アクリル酸エステル系分散剤などが挙げられる。さらに、例えば、ロジングリシジルエステルアクリレートの酸無水物変性物(特開平4-256429号公報)、加えて、特開昭63-23725号公報に記載の分散剤、特開昭63-240931号公報に記載の分散剤、特開昭62-104802号公報に記載の分散剤などが挙げられる。
また、反応性乳化剤は、市販品として入手することもできる。そのような市販品としては、例えば、KAYAMER PM-1(日本化薬製)、KAYAMER PM-2(日本化薬製)、KAYAMER PM-21(日本化薬製)、SE-10N(旭電化工業製)、NE-10(旭電化工業製)、NE-20(旭電化工業製)、NE-30(旭電化工業製)、ニューフロンティアA229E(第一工業製薬製)、ニューフロンティアN-117E(第一工業製薬製)、ニューフロンティアN250Z(第一工業製薬製)、アクアロンRN-20(第一工業製薬製)、アクアロンRN-2025(第一工業製薬製)、アクアロンBC-1025(第一工業製薬製)、アクアロンAR-1025(第一工業製薬製)、アクアロンHS-10(第一工業製薬製)、アクアロンKH-1025(第一工業製薬製)、エミノールJS-2(三洋化成製)、ラテルムK-180(花王製)、ラテムルPD-104(花王製)などが挙げられる。
これら反応性乳化剤は単独使用または2種類以上併用することができる。
反応性乳化剤として、好ましくは、分子中に上記の官能基を少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアルキルエーテルの硫酸エステル塩が挙げられ、より好ましくは、分子中に上記の官能基を少なくとも1つ有するポリオキシエチレンアルキルエーテルの硫酸エステルアンモニウム塩が挙げられ、さらに好ましくは、ポリオキシエチレン-1-(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸アンモニウムが挙げられる。
反応性乳化剤を配合することにより、凝集破壊を抑制することができ、また、保持力の向上を図ることができる。
反応性乳化剤の配合割合は、凝集破壊の抑制および保持力の向上の観点から、粘着付与樹脂100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、0.5質量部以上であり、例えば、10質量部以下、好ましくは、5質量部以下である。
ポリマー乳化剤は、エチレン性不飽和結合含有モノマーの重合体であって、具体的には、例えば、エチレン性不飽和結合含有モノマーを公知の方法で重合させることにより得られる。なお、ポリマー乳化剤は、ポリビニルピロリドンを含有しない。
エチレン性不飽和結合含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ヒドロキシル基含有ビニルモノマー、カルボキシル基含有ビニルモノマー、スルホニル基含有ビニルモノマー、芳香族ビニルモノマーなどが挙げられる。なお、エチレン性不飽和結合含有モノマーは、ビニルピロリドンを含有しない。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸へプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルへキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソステアリルなどの炭素数1~18のアルキル基(シクロアルキル基を含む)を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用することができる。
ヒドロキシル基含有ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチルなどのヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル、例えば、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールなどの(メタ)アクリル酸グリコールエステル、例えば、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールアルキルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールアルキルエーテル、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールなどの(メタ)アクリル酸グリコールアルキルエーテルが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用することができる。
カルボキシル基含有ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、ケイ皮酸などの不飽和カルボン酸、例えば、無水フマル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸無水物、例えば、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノブチル、2-アクリロイルオキシエチルフタル酸などの不飽和ジカルボン酸モノエステル、例えば、2-メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸、2-メタクリロイルオキシエチルピロメリット酸などの不飽和トリカルボン酸モノエステル、例えば、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレートなどのカルボキシアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用することができる。
スルホニル基含有ビニルモノマーとしては、例えば、スチレンスルホン酸、イソプレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸およびこれらの塩などが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用することができる。
芳香族ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエンなどが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用することができる。
エチレン性不飽和結合含有モノマーは、単独使用または2種類以上併用することができる。
エチレン性不飽和結合含有モノマーは、乳化性の向上の観点から、好ましくは、カルボキシル基含有ビニルモノマー、スルホニル基含有ビニルモノマーを含有する。
なお、エチレン性不飽和結合含有モノマーが、2種類以上併用される場合、その併用割合は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
そして、ポリマー乳化剤は、上記のエチレン性不飽和結合含有モノマーを、公知の方法で重合させることにより得られる。なお、重合条件は、特に制限されず、用いられるエチレン性不飽和結合含有モノマーの種類および割合に応じて、適宜設定される。
また、ポリマー乳化剤は、好ましくは、水分散重合体として得られる。具体的には、上記のカルボキシル基含有ビニルモノマーおよび/またはスルホニル基含有ビニルモノマーを含むエチレン性不飽和結合含有モノマーを重合させ、得られた重合体にアルカリ(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアなど)を添加して塩形成させ、その後、得られた塩を水に分散させることにより、水分散性重合体としてポリマー乳化剤が得られる。
また、ポリマー乳化剤は、市販品として入手することもできる。そのような市販品としては、例えば、シャロールAN-103P(第一工業製薬製)、シャロールAN-144P(第一工業製薬製)、シャロールAH-103P(第一工業製薬製)、DKSディスコートN-10(第一工業製薬製)DKSディスコートN-14(第一工業製薬製)などが挙げられる。
これらポリマー乳化剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
ポリマー乳化剤を配合することにより、保存安定性の向上を図ることができる。
ポリマー乳化剤の配合割合は、保存安定性の向上の観点から、粘着付与樹脂100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、0.5質量部以上であり、例えば、10質量部以下、好ましくは、5質量部以下である。
また、反応性乳化剤に対するポリマー乳化剤の固形分比率(ポリマー乳化剤/反応性乳化剤)は、保存安定性の向上の観点から、例えば、0.1以上、好ましくは、0.25以上、より好ましくは、0.5以上、さらに好ましくは、0.8以上であり、例えば、10.0以下、好ましくは、4.0以下、より好ましくは、3.0以下、さらに好ましくは、2.0以下である。
また、反応性乳化剤およびポリマー乳化剤の総量は、粘着付与樹脂100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、2質量部以上であり、例えば、20質量部以下、好ましくは、10質量部以下である。
乳化安定剤としては、ポリビニルピロリドン、ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物、オキサゾリン基含有ポリマー、ポリカルボジイミド化合物が挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用することができる。
換言すれば、乳化安定剤として、ポリビニルピロリドン、ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物、オキサゾリン基含有ポリマーおよびポリカルボジイミド化合物からなる群から選択される少なくとも一種の化合物(分散剤)が用いられる。
ポリビニルピロリドンは、ビニルピロリドンを公知の方法で重合させることにより、得ることができる。
また、ポリビニルピロリドンは、市販品として入手することもできる。そのような市販品としては、例えば、ピッツコール K-30(第一工業製薬製)、ピッツコール K-30L(第一工業製薬製)、ピッツコール K-90(第一工業製薬製)、ピッツコール
K-90L(第一工業製薬製)などが挙げられる。
これらポリビニルピロリドンは、単独使用または2種類以上併用することができる。
ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物は、ナフタレンスルホン酸ナトリウムおよびホルマリンを公知の方法で縮合させることにより、得ることができる。
また、ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物は、市販品として入手することもできる。そのような市販品としては、例えば、ラベリン FD-40(第一工業製薬製)、ラベリン FP(第一工業製薬製)、ラベリン FM-45(第一工業製薬製)、ラベリン FM-P(第一工業製薬製)、セルフロー120(第一工業製薬製)、セルフロー120P(第一工業製薬製)などが挙げられる。
これらナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
オキサゾリン基含有ポリマーは、オキサゾリンと、そのオキサゾリンと共重合可能な共重合性モノマーとを、公知の方法で重合させることにより、得ることができる。
また、オキサゾリン基含有ポリマーは、市販品として入手することもできる。そのような市販品としては、例えば、エポクロスK-2010E(日本触媒製)、エポクロスK-2020E(日本触媒製)、エポクロスK-2030E(日本触媒製)、エポクロスWS-300(日本触媒製)、エポクロスWS-500(日本触媒製)、エポクロスWS-700(日本触媒製)などが挙げられる。
これらオキサゾリン基含有ポリマーは、単独使用または2種類以上併用することができる。
ポリカルボジイミド化合物は、例えば、モノイソシアネート、ジイソシアネートなどのイソシアネート化合物を、カルボジイミド化触媒(ホスホレン類など)の存在下でカルボジイミド化反応させることにより、得ることができる。
また、ポリカルボジイミド化合物は、市販品として入手することもできる。そのような市販品としては、例えば、カルボジライトE-02(日清紡ケミカル製)、カルボジライトV-02-L2(日清紡ケミカル製)、カルボジライトV-04(日清紡ケミカル製)などが挙げられる。
これらポリカルボジイミド化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
これら乳化安定剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
乳化安定剤として、好ましくは、ポリビニルピロリドン、ポリカルボジイミド化合物が挙げられ、より好ましくは、ポリビニルピロリドンが挙げられる。
乳化安定剤を配合することにより、凝集破壊を抑制することができ、また、保持力の向上を図ることができる。
乳化安定剤の配合割合は、凝集破壊の抑制および保持力の向上の観点から、粘着付与樹脂100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、0.5質量部以上であり、例えば、5.0質量部以下、好ましくは、2.5質量部以下である。
また、乳化剤において、反応性乳化剤に対する、乳化安定剤の固形分比率(乳化安定剤/反応性乳化剤)が、凝集破壊の抑制の観点から、例えば、0.1以上、好ましくは、0.25以上、より好ましくは、0.4以上であり、例えば、3.0以下、好ましくは、1.0以下、より好ましくは、0.75以下、さらに好ましくは、0.6以下である。
また、反応性乳化剤、ポリマー乳化剤および乳化安定剤の総量は、粘着付与樹脂100質量部に対して、例えば、2質量部以上、好ましくは、4質量部以上であり、例えば、20質量部以下、好ましくは、10質量部以下である。
また、乳化剤は、必要により、上記の他の公知の乳化剤(アニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤)を含有することができる。これらの含有割合は、本発明の優れた効果を阻害しない範囲において、目的および用途に応じて、適宜設定される。
そして、乳化剤を用いてエマルション型粘着付与樹脂組成物を製造する方法としては、例えば、以下の方法が採用される。
すなわち、この方法では、まず、ロジン類およびアルコールを、上記の割合で反応させる(反応工程)。
ロジン類とアルコールとの反応条件としては、反応温度が、例えば、150℃以上、好ましくは、200℃以上、より好ましくは、250℃以上であり、例えば、450℃以下、好ましくは、400℃以下、より好ましくは、350℃以下である。また、反応時間が、例えば、1時間以上、好ましくは、5時間以上であり、例えば、20時間以下、好ましくは、15時間以下である。
これにより、ロジン類およびアルコールの反応生成物として、粘着付与樹脂が得られる。
次いで、この方法では、反応工程で得られた反応生成物(粘着付与樹脂)と、反応性乳化剤およびポリマー乳化剤と、分散媒とを混合し、反応性乳化剤を重合させることなく、反応生成物(すなわち、粘着付与樹脂)を乳化させる(乳化工程)。
以下において、分散媒として水を用いる場合について詳述する。
この方法では、乳化させる方法としては、例えば、溶剤型乳化法、無溶剤型乳化法などの公知の乳化法が採用される。
溶剤乳化法では、まず、上記の粘着付与樹脂を有機溶剤に溶解させ、粘着付与樹脂溶液を得る。有機溶剤としては、粘着付与樹脂を溶解可能な溶剤であれば、特に制限されないが、例えば、メチレンクロライドなどの塩素系炭化水素溶剤、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族系炭化水素溶剤、例えば、メチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤などが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用することができる。なお、有機溶剤と粘着付与樹脂との配合割合は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
また、この方法では、反応性乳化剤およびポリマー乳化剤を、水に溶解させ、乳化水を得る。そして、この方法では、得られた粘着付与樹脂溶液と、得られた乳化水とを混合し、粗粒子の水性エマルションを調製する。このとき、粘着付与樹脂に対する反応性乳化剤およびポリマー乳化剤の配合割合が、上記の範囲となるように調整する。
その後、公知の乳化分散機(例えば、各種ミキサー、コロイドミル、高圧乳化機、高圧吐出型乳化機、高剪断型乳化分散機など)を用いて微細乳化させ、その後、常圧または減圧下で加熱し、有機溶剤を除去する。これにより、粘着付与樹脂一次エマルションが得られる。
また、無溶剤乳化法では、まず、常圧または加圧下で加熱して溶融させた粘着付与樹脂と、上記の乳化水とを混合し、粗粒子の水性エマルションを調製した後、上記の乳化分散機を用いて微細乳化させる。これにより、乳化物として、粘着付与樹脂一次エマルションが得られる。
また、溶剤型乳化法および無溶剤型乳化法では、まず、油中水型エマルションを調製した後、水中油型エマルションに相反転させる転相乳化法を採用することもできる。
粘着付与樹脂一次エマルションの平均粒子径は、粘度を適度に保つ観点から、例えば、0.10μm以上、好ましくは、0.20μm以上であり、また、貯蔵安定性および機械安定性の向上を図る観点から、例えば、0.50μm以下、好ましくは、0.40μm以下である。
また、乳化工程では、反応性乳化剤が重合反応しない条件で、粘着付与樹脂一次エマルションが調製される。
反応性乳化剤を重合反応させない方法としては、特に制限されないが、乳化工程では、反応性乳化剤を反応させる反応開始剤(過酸化物、アゾ化合物など)を、添加しないことが好ましい。また、得られる粘着付与樹脂一次エマルションは、反応開始剤(過酸化物、アゾ化合物など)を含まないことが好ましい。
次いで、この方法では、上記の乳化工程で得られた乳化物(すなわち、粘着付与樹脂一次エマルション)に、乳化安定剤を添加する(添加工程)。
添加工程において、粘着付与樹脂に対する乳化安定剤の配合割合は、上記の範囲である。また、添加方法は、特に制限されず、公知の方法が採用される。
これにより、粘着付与樹脂二次エマルションとして、エマルション型粘着付与樹脂組成物を得る。
また、添加工程では、反応性乳化剤が重合反応しない条件で、粘着付与樹脂二次エマルションが調製される。
反応性乳化剤を重合反応させない方法としては、特に制限されないが、添加工程では、反応性乳化剤を反応させる反応開始剤(過酸化物、アゾ化合物など)を、添加しないことが好ましい。また、得られる粘着付与樹脂二次エマルションは、反応開始剤(過酸化物、アゾ化合物など)を含まないことが好ましい。
つまり、このエマルション型粘着付与樹脂組成物の製造方法では、乳化工程および添加工程において、反応性乳化剤の炭素-炭素二重結合が反応することなく、エマルション型粘着付与樹脂組成物に含有される。
エマルション型粘着付与樹脂組成物において、粘着付与樹脂の固形分濃度は、例えば、10質量%以上、好ましくは、30質量%以上であり、例えば、80質量%以下、好ましくは、60質量%以下である。
そして、このようにして得られるエマルション型粘着付与樹脂組成物は、ロジン類およびアルコールの反応生成物と、乳化剤とを含有し、乳化剤として、未反応の反応性乳化剤、ポリマー乳化剤および乳化安定剤が併用されている。
そのため、上記のエマルション型粘着付与樹脂組成物によれば、粘着力および保持力を兼ね備え、また、凝集破壊を抑制できる粘着剤組成物を得ることができる。さらに、上記のエマルション型粘着付与樹脂組成物は、保存安定性にも優れる。
また、上記のエマルション型粘着付与樹脂組成物の製造方法では、上記のエマルション型粘着付与樹脂組成物を、良好に製造することができる。
そのため、エマルション型粘着付与樹脂組成物は、粘着剤組成物の製造に好適に用いられる。
粘着剤組成物は、例えば、上記のエマルション型粘着付与樹脂組成物と、ベース樹脂とを含有している。
ベース樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂が挙げられる。
(メタ)アクリル樹脂としては、公知の(メタ)アクリル樹脂を用いることができる。具体的には、(メタ)アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする原料モノマーの重合体として得られる。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルなどが挙げられる。これら(メタ)アクリル酸エステルは、単独使用または2種類以上併用することができる。
また、貯蔵安定性などの向上を図るため、原料モノマーに、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な(メタ)アクリル酸を含有させることができる。また、必要に応じて、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能なその他のモノマー、例えば、酢酸ビニル、スチレンなどを含有させることができる。なお、原料モノマーの重合方法は、特に制限されず、公知の方法を採用することができる。
また、(メタ)アクリル樹脂として、好ましくは、(メタ)アクリル樹脂エマルションが用いられる。
(メタ)アクリル樹脂エマルションは、例えば、界面活性剤および水の存在下において(メタ)アクリル樹脂を合成することにより、得ることができる。界面活性剤としては、公知の乳化剤が挙げられ、単独または2種類以上併用することができる。好ましくは、アニオン系乳化剤、ノニオン系乳化剤が挙げられる。
そして、粘着剤組成物を得るには、粘着付与樹脂とベース樹脂とを混合する(混合工程)。
粘着剤組成物において、粘着付与樹脂とベース樹脂との質量割合は、固形分換算で、ベース樹脂100質量部に対して、粘着付与樹脂が、例えば、1質量部以上、好ましくは、5質量部以上、より好ましくは、10質量部以上であり、例えば、35質量部以下、好ましくは、30質量部以下、より好ましくは、25質量部以下である。
粘着付与樹脂とベース樹脂との質量割合が上記範囲であれば、粘着力に優れる粘着剤組成物を得ることができる。
また、粘着剤組成物は、必要により、架橋剤を含有することができる。
架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、シリコーン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、シラン系架橋剤、アルキルエーテル化メラミン系架橋剤、金属キレート系架橋剤、過酸化物などの公知の架橋剤が挙げられる。
これら架橋剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
架橋剤として、好ましくは、イソシアネート系架橋剤が挙げられる。
架橋剤の配合割合は、ベース樹脂100質量部に対して、例えば、0.05質量部以上、好ましくは、0.1質量部以上であり、例えば、15質量部以下、好ましくは、10質量部以下である。
さらに、粘着剤組成物は、必要により、公知の添加剤を含有することができる。
添加剤としては、例えば、充填剤、増粘剤、発泡剤、着色剤(染料、顔料など)、酸化防止剤、耐光安定剤、耐熱安定剤、難燃剤、保護コロイド、造膜助剤などが挙げられる。
これら添加剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
添加剤の添加量および添加のタイミングは、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
また、粘着剤組成物の製造では、反応性乳化剤が重合反応しない条件で、粘着剤組成物が製造される。
反応性乳化剤を重合反応させない方法としては、特に制限されないが、粘着剤組成物の製造では、反応性乳化剤を反応させる反応開始剤(過酸化物、アゾ化合物など)を、添加しないことが好ましい。また、得られる粘着剤組成物は、反応開始剤(過酸化物、アゾ化合物など)を含まないことが好ましい。
そして、このような粘着剤組成物は、上記のエマルション型粘着付与樹脂組成物が含まれており、そのエマルション型粘着付与樹脂組成物は、ロジン類およびアルコールの反応生成物と、乳化剤とを含有し、乳化剤として、未反応の反応性乳化剤、ポリマー乳化剤および乳化安定剤が併用されている。
そのため、得られる粘着剤組成物は、粘着力および保持力を兼ね備え、また、凝集破壊を抑制できる。
そのため、粘着剤組成物は、例えば、粘着シート、粘着フィルム、粘着紙などとして、各種産業分野において、好適に用いることができる。
より具体的には、粘着剤組成物は、各種用途に応じて、所望の位置に塗布され、加熱乾燥される。
塗布方法としては、特に制限されず、えば、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法など、公知の方法が採用される。
乾燥温度としては、例えば、80℃以上、好ましくは、100℃以上であり、例えば、160℃以下、好ましくは、140℃以下である。
また、乾燥時間は、例えば、0.5分以上、好ましくは、1分以上であり、例えば、60分以下、好ましくは、30分以下である。
このような乾燥により、粘着剤組成物の塗膜を得ることができる。
そして、このような塗膜は、上記のエマルション型粘着付与樹脂組成物およびベース樹脂を含む粘着剤組成物から得られる。そのため、得られる塗膜は、粘着力および保持力を兼ね備え、また、凝集破壊を抑制できる。
次に、本発明を、実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は、下記の実施例によって限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
なお、以下において、実施例および比較例で用いられる測定方法を詳述する。
<ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる重量均分子量(Mw)測定>
サンプルをテトラヒドロフランに溶解させ、試料濃度を5.0g/Lとして、示差屈折率検出器(RID)を装備したゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)によって測定し、サンプルの分子量分布を得た。
その後、得られたクロマトグラム(チャート)から、標準ポリスチレンを検量線として、サンプルの重量平均分子量(Mw)を算出した。測定装置および測定条件を以下に示す。
データ処理装置:品番GPC-101(昭和電工社製)
示差屈折率検出器:品番GPC-101に内蔵されたRI検出器
カラム:品番KF-803、KF-802、KF-801×2本(昭和電工社製)
移動相:テトラヒドロフラン
カラム流量:1.0mL/min
試料濃度:5.0g/L
注入量:100μL
測定温度:40℃
分子量マーカー:標準ポリスチレン(SHODEX STANDARD.昭和電工社製標準物質)
<酸価(mgKOH/g)測定>
JIS K 5902(2006年)に準拠し、サンプルを化学天秤で0.5~0.7g、100mlマイヤーに量り取り、中性溶剤(トルエン/メタノール=2:1)に完全に溶解させるまでよく振った後、1%フェノールフタレインを約5滴加え、N/5KOHにて滴定することにより、酸価を求めた。
なお、滴定の終点は、測定液が、微紅色となり30秒以内に消えなかった点とした。
<粘着付与樹脂>
製造例1(環構造付加ロジンと、アルコールとの反応生成物)
1Lフラスコに、中国ガムロジン(無変性ロジン)760gを仕込み、窒素5ml/minを流しながら、加熱溶解させた。
その後、205℃に到達したときに、溶融した中国ガムロジンを撹拌しながら、環構造含有化合物としてのイソボルニルアクリレート40gを滴下漏斗に仕込み、2時間かけて滴下し、反応させた。その後、150℃以下まで冷却し、環構造付加ロジン(イソボルニルアクリレート付加ロジン)を得た。
次いで、得られた環構造付加ロジン800gを200℃で溶融させた後、得られた溶融物にアルコールとしてのペンタエリスリトール92gを200℃で添加し、8~10時間かけて270℃まで昇温させ、エステル化反応させた。
これにより、環構造付加ロジンとアルコールとの反応生成物として、粘着付与樹脂を得た。
粘着付与樹脂の酸価は16.7mgKOH/g、重量平均分子量は1369であった。
製造例2(重合ロジンと、アルコールとの反応生成物)
2L四つ口フラスコに、中国ガムロジン1000gを仕込み、ミネラルスピリット760gを加えて、窒素5ml/minを流しながら、加熱溶解させた。その後、中国ガムロジンが完全に溶解し、撹拌可能となったときから、130℃まで冷却し、中国ガムロジン溶液に塩化亜鉛触媒を10g加えて、同温にて4時間重合反応させた。
その後、得られた反応生成物を0.5%重曹水にて3回以上中和水洗し、粗重合ロジンを得た。さらに、得られた粗重合ロジンを蒸留し、分解物および含有溶剤を除去することにより、重合ロジンを得た。
次いで、得られた重合ロジンのうち500gを200℃で溶融させた後、その溶融物に、アルコールとしてのペンタエリスリトール63gを200℃で添加し、8~10時間かけて270℃まで昇温させ、エステル化反応させた。
これにより、重合ロジンとアルコールとの反応生成物として、粘着付与樹脂を得た。
粘着付与樹脂の酸価は15.1mgKOH/g、重量平均分子量は1450であった。
<エマルション型粘着付与樹脂組成物>
実施例1~20
表1~表6に記載の配合処方に従って、以下の方法で、エマルション型粘着付与樹脂組成物を得た。
すなわち、まず、製造例1または製造例2で得られた粘着付与樹脂100部を、トルエン56部に溶解させて、粘着付与樹脂のトルエン溶液を調製した。
別途、反応性乳化剤としてのアクアロンKH-1025(ポリオキシエチレン-1-(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸アンモニウム、第一工業製薬社製)固形分2部、アクアロンRN-2025(ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル、第一工業製薬社製)固形分2部、アクアロンBC-1025(ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、第一工業製薬社製)固形分2部、アクアロンAR-1025(ポリオキシエチレンスチレン化プロペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、第一工業製薬社製)固形分2部、または、ラテムルPD-104(ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム、花王社製)固形分2部と、ポリマー乳化剤としてのシャロールAN-144P(ポリアクリル酸ナトリウム、第一工業製薬製)固形分2部、または、DKSディスコートN-14(スチレンマレイン酸ハーフエステルコポリマー、第一工業製薬製)固形分2部とを、水118部に溶解させ、乳化水を準備した。
次いで、粘着付与樹脂のトルエン溶液に、乳化水を添加して撹拌し、予備乳化させ、その後、予備乳化物を高圧乳化機(マントンガウリン社製)により300kg/cm2の圧力で高圧乳化して、乳化物(粘着付与樹脂一次エマルション)を得た。
次いで、乳化物(粘着付与樹脂一次エマルション)を110mmHgの条件下で減圧蒸留し、トルエンを除去した。
その後、乳化安定剤としてのピッツコール K-90L(ポリビニルピロリドン、第一工業製薬製)固形分1部、ピッツコールK-30L(ポリビニルピロリドン、第一工業製薬製)固形分1部、セルフロー120(ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物、第一工業製薬製)固形分1部、エポクロスK-2030E(オキサゾリン基含有ポリマー、日本触媒製)固形分1部、カルボジライトE-02(ポリカルボジイミド化合物、日清紡ケミカル社製)、カルボジライトV-02-L2(ポリカルボジイミド化合物、日清紡ケミカル社製)、または、カルボジライトV-04(ポリカルボジイミド化合物、日清紡ケミカル社製)を添加し、粘着付与樹脂二次エマルションとして、固形分52%のエマルション型粘着付与樹脂組成物を得た。
なお、エマルション型粘着付与樹脂組成物の製造において、反応性乳化剤を重合反応させるための反応開始剤を添加しなかった。
比較例1~8
表1~表4に記載の配合処方に変更した以外は、実施例1~20と同じ方法で、エマルション型粘着付与樹脂組成物を得た。
なお、比較例1、比較例4、比較例5および比較例8では、乳化安定剤を添加しなかった。
また、比較例2および比較例6では、反応性乳化剤を添加しなかった。
また、比較例3および比較例7では、ポリマー乳化剤を添加しなかった。
<ベース樹脂>
合成例1
攪拌装置、冷却器、温度計および窒素導入管を備えた反応装置に、窒素ガス気流下で、イオン交換水47.7部および還元剤(重亜硫酸ナトリウム)0.1部を溶解し、水溶液(A)とした。
また、イオン交換水34.5部に、ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル1.5部とポリエチレングリコールオレイルエーテルスルホン酸アンモニウム1.5部を溶解させ、そこへ、アクリル酸2-エチルヘキシル97.0部とメタクリル酸3.0部と触媒(過硫酸アンモニウム)0.5部とを加え、ホモミキサーで予備乳化し、分散液(B)とした。
そして、上記の水溶液(A)を82℃に保ち、その水溶液(A)に分散液(B)を4時間かけて滴下し重合反応させた。
分散液(B)全量を滴下し終わった後、82℃で1時間反応させた。その後、イオン交換水1.5部に還元剤(重亜硫酸ナトリウム)0.1部と触媒(過硫酸アンモニウム)0.1部とを溶解させた溶液を、反応混合液に加え、さらに1時間反応させ、反応を完結させた。
その後、反応混合液を冷却し、200メッシュの金網でろ過して、固形分54.8%のベース樹脂エマルション(エマルション型アクリルポリマー)を得た。
<粘着剤組成物>
調製例1
合成例1で得られたベース樹脂エマルション(エマルション型アクリルポリマー)100部(固形分換算)に対して、各実施例および各比較例で得られたエマルション型粘着付与樹脂組成物10部(固形分換算)を添加し、さらに、そこに、粘度調整剤(プライマルASE-60、ローム・アンド・ハース・ジャパン製)とアンモニア水とを微量添加した。その後、得られた混合物に調整水を添加し、固形分を調整して、エマルション型の粘着剤組成物を製造した。
<評価>
(1)粘着力、保持力、ボールタック
ガラス板に剥離紙(110EPSブルーB:王子エフテックス社製)をマスキングテープで固定し、自動塗工装置(PI-1210:テスター産業株式会社製)に設置した。
次いで、乾燥後の膜厚が30mmになるように目盛りを調整したアプリケーターによって、各調製例で得られた粘着剤組成物を、剥離紙に塗布した後、大気中において120℃で3分間乾燥させ、粘着剤組成物の塗膜(粘着層)を得た。
その後、得られた塗膜に25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム、ルミラーT60、東レ製)を積層し、加圧ローラー(10Kg)で塗膜とPETフィルムとを貼り合わせた後、剥離紙から剥離させた。これにより、PETフィルム(基材)と粘着層とからなる評価用シートを得た。
得られた評価用シートを用いて、JIS Z 0237(2009年)に準拠して、粘着力、保持力、ボールタックを評価した。
なお、粘着力およびボールタックは23℃で測定し、保持力は40℃で測定した。
また、粘着力は、ステンレスに対する粘着力(vsSUS)と、ポリエチレン樹脂に対する粘着力(vsPE)とを測定した。
(2)凝集破壊
ステンレスに対する粘着力(vsSUS)の測定時に、各被着体の界面に対する粘着層の残留の有無を確認した。そして、界面に対する粘着層の残留が確認された場合、凝集破壊ありと判定し、界面に対する粘着層の残留が確認された場合、凝集破壊なしと判定した。なお、凝集破壊がないものが良評価である。
(3)保存安定性
各実施例および各比較例において、エマルション型粘着付与樹脂組成物を製造した後、得られたエマルション型粘着付与樹脂組成物をマヨネーズ瓶に100g秤り取り、25℃で1週間保存した。
そして、1週間後に外観を目視で確認し、固形分が沈降しているものを「沈降あり」と判断した。
なお、「沈降あり」の場合、粘着剤組成物の製造に適さないと判断し、粘着剤組成物の製造に使用しなかった。
なお、表中の略号の詳細を下記する。
アクアロンKH-1025:反応性乳化剤、ポリオキシエチレン-1-(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸アンモニウム、第一工業製薬社製
アクアロンRN-2025:反応性乳化剤、ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル、第一工業製薬社製
アクアロンBC-1025:反応性乳化剤、ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、第一工業製薬社製
アクアロンAR-1025:反応性乳化剤、ポリオキシエチレンスチレン化プロペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、第一工業製薬社製
ラテムルPD-104:反応性乳化剤、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム、花王社製
シャロールAN-144P:ポリマー乳化剤、ポリアクリル酸ナトリウム、第一工業製薬製
DKSディスコートN-14:ポリマー乳化剤、スチレンマレイン酸ハーフエステルコポリマー、第一工業製薬製
ピッツコール K-90L:乳化安定剤、ポリビニルピロリドン、第一工業製薬製
ピッツコールK-30L:乳化安定剤、ポリビニルピロリドン、第一工業製薬製
セルフロー120:乳化安定剤、ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物、第一工業製薬製
エポクロスK-2030E:乳化安定剤、オキサゾリン基含有ポリマー、日本触媒製
カルボジライトE-02:乳化安定剤、ポリカルボジイミド化合物、日清紡ケミカル社製
カルボジライトV-02-L2:乳化安定剤、ポリカルボジイミド化合物、日清紡ケミカル社製
カルボジライトV-04:乳化安定剤、ポリカルボジイミド化合物、日清紡ケミカル社製
なお、上記発明は、本発明の例示の実施形態として提供したが、これは単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。当該技術分野の当業者によって明らかな本発明の変形例は、後記請求の範囲に含まれる。