I.定義
本明細書で使用される「約」という用語は、本技術分野の当業者に容易に知られているそれぞれの値の通常の誤差範囲を指す。本明細書における「約」値またはパラメータへの言及は、その値またはパラメータ自体を対象とする実施形態を含む(かつ説明する)。
本明細書の目的での「アクセプターヒトフレームワーク」は、以下に定義されるように、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークに由来する、軽鎖可変ドメイン(VL)フレームワークまたは重鎖可変ドメイン(VH)フレームワークのアミノ酸配列を含むフレームワークである。ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワーク「に由来する」アクセプターヒトフレームワークは、その同じアミノ酸配列を含んでもよく、あるいはアミノ酸配列変化を含有してもよい。いくつかの実施形態では、アミノ酸変化の数は、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、または2以下である。いくつかの実施形態では、VLアクセプターヒトフレームワークは、VLヒト免疫グロブリンフレームワーク配列またはヒトコンセンサスフレームワーク配列と配列において同一である。
「親和性」とは、分子(例えば、抗体)とその結合パートナー(例えば、抗原)との単一結合部位の間の非共有結合相互作用の合計の強度を指す。別途指示されない限り、本明細書で使用される場合、「結合親和性」とは、結合対のメンバー(例えば、抗体及び抗原)間の1:1の相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。分子Xの、そのパートナーYに対する親和性は一般に、解離定数(KD)によって表すことができる。親和性は、本明細書に記載の方法を含む当技術分野で既知の一般的な方法によって測定され得る。結合親和性を測定するための具体的な例証的かつ例示的な実施形態が、以下に記載される。
「KDは、表面プラズモン共鳴アッセイによって測定される」という用語は、特許請求の範囲の文脈において使用されるとき、KDが、実施例1(A)(vii)に記載の方法に従って測定されることを意味し、それは抗トリプターゼ抗体のヒトトリプターゼベータ1単量体、例えば、配列番号128に示されるHis6-タグ付きトリプターゼ単量体との結合の動態パラメータを測定し、トリプターゼ四量体を自然に形成しない。アッセイは、BIAcore(登録商標)T200または同等の機器を用いることができる。簡潔には、BIAcore(登録商標)シリーズS CM5センサーチップ(または同等のセンサーチップ)は、モノクローナルマウス抗ヒトIgG(Fc)抗体で固定されており、抗トリプターゼ抗体は、フローセル上で逐次的に捕捉される。ヒトトリプターゼベータ1単量体の連続3倍希釈液を、30μl/分の流量で注射する。各試料を、3分会合及び10分解離で分析する。アッセイは、25℃で行われる。各注射後、チップを3MのMgCl2を使用して再生成する。結合応答は、応答ユニット(RU)を、同様の密度の無関連のIgGを捕捉するフローセルから控除することによって訂正する。kon及びkoffの同時フィッティングの1:1Languirモデルを、動態分析に使用する。
「親和性成熟」抗体は、1つ以上のHVR及び/またはフレームワーク領域に1つ以上の改変を有するものであり、それは、それらの改変(複数可)を有さない親抗体と比較して、抗原に対する抗体の親和性の向上をもたらす。好ましい親和性成熟抗体は、標的抗原に対してナノモルまたはさらにはピコモルの親和性を有するであろう。親和性成熟抗体は、当該技術分野で既知の手順によって産生される。例えば、Marks et al.Bio/Technology 10:779-783,1992は、VH及びVLドメインシャフリングによる親和性成熟を記載している。HVR及び/またはフレームワーク残基のランダム変異誘発は、Barbas et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:3809-3813,1994、Schier et al.Gene 169:147-155,1995、Yelton et al.J.Immunol.155:1994-2004,1995、Jackson et al.J.Immunol.154(7):3310-3319,1995、及びHawkins et al.J.Mol.Biol.226:889-896,1992によって説明される。
本明細書における「抗体」という用語は、最も広義に使用され、それらが所望の抗原結合活性を呈する限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び抗体断片を含むが、これらに限定されない様々な抗体構造を包含する。
本明細書で使用される場合、「トリプターゼ」という用語は、別途指定されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及び齧歯動物(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物源からの任意の天然トリプターゼを指す。トリプターゼはまた、当該技術分野においてマスト細胞トリプターゼ、マスト細胞プロテアーゼII、皮膚トリプターゼ、肺トリプターゼ、下垂体トリプターゼ、マスト細胞中性プロテイナーゼ、及びマスト細胞セリンプロテイナーゼIIとしても既知である。「トリプターゼ」という用語は、トリプターゼアルファ(TPSAB1によってヒトにおいてコードされる)、トリプターゼベータ(TPSAB1及びTPSB2によってヒトにおいてコードされる;以下を参照されたい)、トリプターゼデルタ(TPSD1によってヒトにおいてコードされる)、トリプターゼガンマ(TPSG1によってヒトにおいてコードされる)、及びトリプターゼイプシロン(PRSS22によってヒトにおいてコードされる)を包含する。トリプターゼアルファ、ベータ、及びガンマタンパク質は、可溶性であるが、トリプターゼイプシロンタンパク質は、膜結合されている。トリプターゼベータ及びガンマは、活性セリンプロテアーゼであるが、それらは異なる特異性を有する。トリプターゼアルファ及びデルタタンパク質は、それらが典型的な活性セリンプロテアーゼとは異なる重要位置に残基を有するため、大部分が不活性プロテアーゼである。例示的なトリプターゼアルファ完全長タンパク質配列は、NCBI GenBank受託番号ACZ98910.1(配列番号118)のもとで見出され得る。例示的なトリプターゼガンマ完全長タンパク質配列は、Uniprot受託番号Q9NRR2またはGenBank受託番号Q9NRR2.3、AAF03695.1、NP_036599.3、もしくはAAF76457.1のもとで見出され得る。例示的なトリプターゼデルタ完全長タンパク質配列は、Uniprot受託番号Q9BZJ3またはGenBank受託番号NP_036349.1のもとで見出され得る。いくつかのトリプターゼ遺伝子は、ヒト染色体16p13.3上にクラスター化される。本用語は、「完全長」の、未処理トリプターゼ、ならびに細胞内の処理から生じるトリプターゼの任意の形態を包含する。トリプターゼベータは、マスト細胞内に発現される主なトリプターゼであるが、トリプターゼアルファは、好塩基球中に発現される主なトリプターゼである。トリプターゼアルファ及びトリプターゼベータは、典型的には、約30個のアミノ酸のリーダー配列及び約245個のアミノ酸の触媒配列を含む(例えば、Schwartz,Immunol.Allergy Clin.N.Am.26:451-463,2006を参照されたい)。
本明細書で使用される場合、「トリプターゼベータ」という用語は、別途指定されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及び齧歯動物(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物源からの任意の天然トリプターゼベータを指す。トリプターゼベータは、マスト細胞分泌顆粒の主要構成要素であるセリンプロテアーゼである。本明細書で使用される場合、本用語は、トリプターゼベータ1(TPSAB1遺伝子によってコードされ、この遺伝子はトリプターゼアルファ1もコードする)、トリプターゼベータ2(TPSB2遺伝子によってコードされる)、及びトリプターゼベータ3(TPSB2遺伝子によってまたコードされる)を包含する。例示的なヒトトリプターゼベータ1配列は、配列番号71に示される(GenBank受託番号NP_003285.2もまた参照されたい)。例示的なヒトトリプターゼベータ2配列は、配列番号72に示される(GenBank受託番号AAD13876.1もまた参照されたい)。例示的なヒトトリプターゼベータ3配列は、配列番号73に示される(GenBank受託番号NP_077078.5もまた参照されたい)。トリプターゼベータという用語は、「完全長」の、未処理トリプターゼベータ、ならびにタンパク質分解処理を含む、翻訳後修飾から生じるトリプターゼベータを包含する。完全長、プロトリプターゼベータは、2つのタンパク質分解ステップで処理されると考えられる。初めに、R
-3での自己触媒分子間切断は、特に酸性pH及びポリアニオン(例えば、ヘパリンまたは硫酸デキストラン)の存在下で生じる。次に、残りのプロジペプチドは、除去される(ジぺプチジルペチダーゼIによる可能性が高い)。完全長ヒトトリプターゼベータ1については、以下の配列番号71に関して、下線が引かれたアミノ酸残基は天然リーダー配列に対応し、太字及び灰色で色付けされたアミノ酸残基はプロドメインに対応し、それは切断されて成熟タンパク質を形成する(例えば、Sakai et al.J.Clin.Invest.97:988-995,1996を参照されたい)
成熟、酵素活性トリプターゼベータは典型的には、ホモ四量体またはヘテロ四量体であるが、活性単量体が報告されている(例えば、Fukuoka et al.J.Immunol.176:3165,2006を参照されたい)。トリプターゼベータ四量体のサブユニットは、サブユニットの間の疎水性及び極性相互作用によって一緒になり、ポリアニオン(特にヘパリン及び硫酸デキストラン)によって安定化される。トリプターゼという用語は、トリプターゼ四量体またはトリプターゼ単量体を指すことができる。成熟ヒトトリプターゼベータ1、ベータ2、及びベータ3の例示的な配列は、それぞれ配列番号97、配列番号116、及び配列番号117に示される。各サブユニット活性部位は、四量体の中心細孔に面し、それは約50×30のオングストロームを測定する(例えば、Pereira et al.Nature 392:306-311,1998を参照されたい)。中心細孔のサイズは、典型的には、阻害剤によって活性部位のアクセスを制限する。トリプターゼベータの例示的な基質としては、これらに限定されないが、PAR2、C3、線維素原、フィブロネクチン、及びキニノーゲン挙げられる。
「抗トリプターゼ抗体」、「トリプターゼと結合する抗体」、及び「トリプターゼに特異的に結合する抗体」という用語は、抗体がトリプターゼを標的とする際に診断及び/または治療剤として有用であるように、十分な親和性でトリプターゼと結合することができる抗体を指す。一実施形態では、無関係の非トリプターゼタンパク質への抗トリプターゼ抗体の結合の程度は、例えば、放射免疫測定法(RIA)によって測定される場合、トリプターゼへの抗体の結合の約10%未満である。ある特定の実施形態では、トリプターゼと結合する抗体は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM、または≦0.001nM(例えば、10-8M以下、例えば、10-8M~10-13M、例えば、10-9M~10-13M)の解離定数(KD)を有する。ある特定の実施形態では、抗トリプターゼ抗体は、異なる種由来のトリプターゼ間で保存されるトリプターゼのエピトープに結合する。
参照抗体と「同じエピトープに結合する抗体」とは、参照抗体と比較して抗原の重複する組のアミノ酸残基と接触するか、または競合アッセイにおいて参照抗体のその抗原への結合を50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、または90%以上ブロックする抗体を指す。いくつかの実施形態では、抗体によって接触されるアミノ酸残基のセットは、参照抗体によって接触されるアミノ酸残基のセットと完全に重複しているか、または部分的に重複している場合がある。いくつかの実施形態では、参照抗体と同じエピトープに結合する抗体は、競合アッセイにおいて、参照抗体のその抗原への結合を50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、または90%以上ブロックし、逆に、参照抗体は、競合アッセイにおいて、抗体のその抗原への結合を50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、または90%以上ブロックする。例示的な競合アッセイが、本明細書に提供される。
請求項の文脈において「エピトープビニングアッセイによって判定される」という用語は、抗体が、実施例3の節Cに記載されるようなOCTET(登録商標)エピトープビニングアッセイを用いて同じエピトープに結合すること及び/または参照抗トリプターゼ抗体(例えば、hu31A.v11またはhuE104.v2)と結合について競合することが判定されることを意味する。簡潔には、ヒトトリプターゼベータ1単量体タンパク質は、Lys残基でNHS-PEG4ビオチンと反応させることによってビオチン化される。ビオチン化単量体を、動態緩衝剤(ForteBio,Inc.)で5μg/mlに希釈し、ストレプトアビジンセンサーチップ(ForteBio,Inc.)上に固定化する。固定化ステップの後、ヒトトリプターゼベータ1固定化センサーを、第1の抗体で飽和し、10~20μg/mlで希釈し、続いて2.5μg/mlで希釈した第2の抗体と共に結合する。そのようなエピトープ結合アッセイのための試験温度は、30℃である。第2の抗体による結合シグナルは、2つの抗体が、同時に、異なる、非重複エピトープで抗原と結合し得ることを意味するが、結合シグナルが、それらが一般的なエピトープを共有することを意味しない。いくつかの例では、第2の抗体による部分シグナルが観察され(すなわち、シグナルは、第1の抗体が添加されなかった場合に観察されるシグナルよりも少ないが、バックグラウンドよりは大きい)、それはエピトープが部分的に重複することを意味する。
「抗体断片」には、インタクトな抗体の一部分、好ましくは、インタクトな抗体の抗原結合領域または可変領域が含まれる。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFv断片;ダイアボディ;線形抗体(米国特許第5,641,870号、実施例2、Zapata et al.Protein Eng.8(10):1057-1062,1995を参照されたい);一本鎖抗体分子;ならびに抗体断片から形成された多重特異性抗体が挙げられる。
抗体のパパイン消化により、「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合断片と、容易に結晶化する能力を反映して表記される1つの残留「Fc」断片とが産生される。Fab断片は、H鎖の可変領域ドメイン(VH)と共にL鎖全体、ならびに1つの重鎖の第1の定常領域ドメイン(CH1)からなる。抗体のペプシン処理により、単一の大きいF(ab’)2断片が産出され、これは、概して、二価の抗原結合活性を有する2つのジスルフィド結合Fab断片に対応し、依然として抗原に架橋することができる。Fab’断片は、抗体のヒンジ領域由来の1つ以上のシステインを含めCH1ドメインのカルボキシ末端にさらなる数個の残基を有することが、Fab断片とは異なっている。Fab’-SHは、定常ドメインのシステイン残基(複数可)が遊離チオール基を持つFab’の本明細書における表記である。F(ab’)2抗体断片は、元々は、間にヒンジシステインを有するFab’断片の対として産生された。抗体断片の他の化学的結合もまた知られている。
本明細書の「Fc領域」という用語は、定常領域の少なくとも一部を含有する免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。本用語は、天然配列Fc領域及びバリアントFc領域を含む。一実施形態では、ヒトIgG重鎖Fc領域は、Cys226から、またはPro230から、重鎖のカルボキシル末端までに及ぶ。しかしながら、Fc領域のC末端リジン(Lys447)は、存在することもあれば、しないこともある。本明細書において別段明記されない限り、Fc領域または定常領域内のアミノ酸残基の番号付けは、Kabat et al.Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD,1991に記載される、EUインデックスとも呼ばれるEU番号付けシステムに従う。
「Fv」は、密接な非共有結合にある1つの重鎖可変領域ドメイン及び1つの軽鎖可変領域ドメインの二量体からなる。これらの2つのドメインの折り畳みにより、抗原結合のためのアミノ酸残基を提供し、抗原結合特異性を抗体に与える、6つの超可変ループ(H鎖及びL鎖からそれぞれ3つのループ)が生じる。しかしながら、単一の可変ドメイン(または抗原に特異的な3つのHのみを含むFvの半分)ですら、親和性は全結合部位より低い場合があるとはいえ、抗原を認識し、それに結合する能力を有する。
「sFv」または「scFv」とも短縮される「一本鎖Fv」は、単一のポリペプチド鎖に結合されるVH及びVL抗体ドメインを含む抗体断片である。好ましくは、sFvポリペプチドは、sFvが抗原結合に所望の構造を形成することを可能にするポリペプチドリンカーをVHドメインとVLドメインとの間にさらに含む。sFvに関する考察については、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,Springer-Verlag,New York,pp.269-315,1994を参照されたい。
「ダイアボディ」という用語は、鎖内ではなく鎖間のVドメイン対合が達成され、二価断片、すなわち、2つの抗原結合部位を有する断片が得られるように、VHドメインとVLドメインとの間に短いリンカー(約5~10個の残基)を用いてsFv断片(前の段落を参照されたい)を構築することによって調製された小さな抗体断片を指す。二重特異性ダイアボディは、2つの抗体のVH及びVLドメインが異なるポリペプチド鎖上に存在する2つの「交差」sFv断片のヘテロ二量体である。ダイアボディは、例えば、EP404,097、WO93/11161、及びHollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-6448,1993により完全に記載されている。
「結合ドメイン」とは、標的エピトープ、抗原、リガンド、または受容体に特異的に結合する化合物または分子の一部を意味する。結合ドメインは、抗体(例えば、モノクローナル、ポリクローナル、組み換え、ヒト化、及びキメラ抗体)、抗体断片またはその部分(例えば、Fab断片、Fab’2、scFv抗体、SMIP、ドメイン抗体、ダイアボディ、ミニボディ、scFv-Fc、アフィボディ、ナノボディ、ならびに抗体のVH及び/またはVLドメイン)、受容体、リガンド、アプタマー、及び特定された結合パートナーを有する他の分子を含むが、これらに限定されない。
「遮断」抗体または「アンタゴニスト」抗体とは、それが結合する抗原の生物学的活性を阻害または低減する抗体である。ある特定の遮断抗体またはアンタゴニスト抗体は、抗原の生物学的活性を実質的にまたは完全に阻害する。いくつかの実施形態では、活性は、トリプターゼ酵素活性、例えば、プロテアーゼ活性であり得る。他の例では、活性は、気管支平滑筋細胞増殖及び/またはコラーゲン系収縮のトリプターゼ媒介刺激であり得る。他の例では、活性は、マスト細胞ヒスタミン放出(例えば、IgE誘発ヒスタミン放出及び/またはトリプターゼ誘発ヒスタミン放出)であり得る。本発明の抗体は、トリプターゼの生物学的活性を、少なくとも約1%、約5%、約10%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約100%阻害することができる。
「基質として合成ペプチドS-2288を使用するヒトトリプターゼベータ酵素アッセイによって判定された場合に」という用語は、請求項の文脈において、阻害活性が、実施例1(A)(viii)(a)に記載されるアッセイに従って測定されることを意味する。簡潔には、組み換えヒトトリプターゼベータ1四量体活性酵素を、TNH緩衝剤(200mMのトリス、150mMのNaCl、0.1mg/mLのヘパリン、0.01%のTRITON(商標)X-100、pH8.0)中で0.75nMに希釈し、384ウェルプレート中抗トリプターゼ抗体(PBS中で希釈された)と1:1で組み合わせる。プレートは、穏やかに撹拌しながら、周囲温度で1時間インキュベートする。比色基質S-2288(Chromogenix、品番82-0852-39)、または同等基質を、TNH緩衝剤中で1200μMに希釈し、プレートに添加する。最終ウェル中濃度は、400μMのS-2288、0.25nMの組み換えヒトトリプターゼベータ1四量体、66μg/mLのヘパリン、及び0.10~222nMの抗トリプターゼ抗体である。プレートを、穏やかに撹拌しながら、周囲温度で40分間インキュベートし、次いで、A405で読み取る。抗トリプターゼ抗体のIC50を、それらのそれぞれの曲線の4パラメータフィットから判定する。
抗体の「クラス」は、その重鎖が所有する定常ドメインまたは定常領域の種類を指す。5つの主なクラスの抗体:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMが存在し、これらのうちのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2にさらに分類される。異なるクラスの免役グロブリンに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれ、α、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。
抗体の「エフェクター機能」は、抗体のFc領域(天然配列のFc領域またはアミノ酸配列バリアントFc領域)に帰属する生物学的活性を指し、抗体のアイソタイプに応じて多様である。抗体のエフェクター機能の例としては、C1q結合及び補体依存性細胞毒性、Fc受容体結合、抗体依存性細胞媒介性細胞毒性(ADCC)、ファゴサイトーシス、細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)の下方制御、ならびにB細胞活性化が挙げられる。
「抗体依存性細胞媒介性細胞毒性」または「ADCC」は、ある特定の細胞毒性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、及びマクロファージ)に存在するFc受容体(FcR)に分泌型Igが結合することにより、これらの細胞毒性エフェクター細胞が抗原保有標的細胞に特異的に結合し、次いで細胞毒により標的細胞を殺滅させることを可能にする、細胞毒性の形態を指す。抗体は細胞毒性細胞を「備え」ており、このような殺滅には絶対に必要である。ADCCを媒介する初代細胞であるNK細胞がFcγRIIIのみを発現する一方で、単球は、FcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIを発現する。造血細胞におけるFcR発現は、Ravetch et al.Annu.Rev.Immunol.9:457-492,1991のページ464の表3に要約されている。対象となる分子のADCC活性を評価するために、米国特許第5,500,362号または第5,821,337号に記載されるようなインビトロADCCアッセイが行われ得る。そのようなアッセイに有用なエフェクター細胞には、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が含まれる。あるいは、または加えて、対象となる分子のADCC活性は、インビボで、例えば、Clynes et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:652-656,1998に開示されるものなどの動物モデルにおいて評価され得る。
「Fc受容体」または「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体を表す。好ましいFcRは、天然配列のヒトFcRである。さらに、好ましいFcRは、IgG抗体(ガンマ受容体)に結合するものであり、これらの受容体のアレルバリアント及び代替としてはスプライシング形態を含め、FcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIサブクラスの受容体を含む。FcγRII受容体は、FcγRIIA(「活性化受容体」)及びFcγRIIB(「阻害受容体」)を含み、これらは、主にその細胞質ドメインが異なる同様のアミノ酸配列を有する。活性化受容体FcγRIIAは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシン系活性化モチーフ(ITAM)を含有する。阻害受容体FcγRIIBは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシン系阻害モチーフ(ITIM)を含有する(Daeron,Annu.Rev.Immunol.15:203-234,1997の概説M.を参照されたい)。FcRは、例えば、Ravetch et al.Annu.Rev.Immunol.9:457-492,1991、Capel et al.Immunomethods 4:25-34,1994、及びde Haas et al.J.Lab.Clin.Med.126:330-41,1995に概説される。将来的に特定されるものも含む他のFcRは、本明細書における「FcR」という用語に包含される。本用語はまた、母体IgGsの胎児への移行に関与している新生児受容体FcRnも含む(例えば、Guyer et al.J.Immunol.117:587,1976、及びKim et al.J.Immunol.24:249,1994を参照されたい)。
「ヒトエフェクター細胞」は、1つ以上のFcRを発現し、かつエフェクター機能を実行する白血球である。好ましくは、この細胞は、少なくともFcγRIIIを発現し、ADCCエフェクター機能を行う。ADCCを媒介するヒト白血球の例としては、末梢血単核細胞(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、細胞毒性T細胞、及び好中球が挙げられ、PBMC及びNK細胞が好ましい。エフェクター細胞は、天然の源、例えば血液から単離することができる。
「補体依存性細胞傷害性」または「CDC」とは、補体の存在下での標的細胞の溶解を指す。古典的補体経路の活性化は、補体系の第1成分(C1q)が(適当なサブクラスの)抗体と結合することにより開始され、その抗体にはそれらの同族抗原が結合する。補体活性化を評価するために、例えば、Gazzano-Santoro et al.J.Immunol.Methods 202:163,1996に記載されるCDCアッセイが行われ得る。
「エピトープ」は、抗体が選択的に結合する抗原の部分である。ポリペプチド抗原については、線形エピトープは、約4~15個(例えば、4、5、6、7、8、9、10、11、12個のアミノ酸残基のペプチド部分である。非線形の立体配座エピトープは、タンパク質の三次元(3D)構造中で近接するポリペプチド配列の残基を含み得る。いくつかの実施形態では、エピトープは、抗体のいずれかの原子の4オングストローム(Å)以内であるアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、エピトープは、パートナーFabのいずれかの原子の4Å以内であるトリプターゼプロトマーのアミノ酸を含む。ある特定の実施形態では、エピトープは、抗体のいずれかの原子の3.5Å、3Å、2.5Å、または2Å以内であるアミノ酸を含む。抗原(すなわち、パラトープ)と接触する抗体アミノ酸残基は、例えば、抗原と複合した抗体の結晶構造を決定することによって、または水素/重水素交換を行うことによって決定され得る。
「エピトープは、X線結晶学モデルによって判定される」という用語は、請求項の文脈において使用されるとき、トリプターゼアミノ酸残基(例えば、ヒトトリプターゼベータ1残基)の原子が、例えば、実施例3に記載されるようなX線結晶学モデルにおいて、抗トリプターゼ抗体(例えば、本明細書に記載の任意の抗トリプターゼ抗体、例えば、hu31A.v11またはhuE104.v2)のいずれかの原子の4Å以内であると判定されることを意味する。いくつかの実施形態では、X線結晶学モデルは、約3.5Å以下、約3Å以下、約2.5Å以下、約2.15Å以下、または約2Å以下の分解能を有する。
「全長抗体」、「インタクトな抗体」、及び「全抗体」という用語は、天然抗体構造と実質的に同様の構造を有するか、または本明細書に定義されるFc領域を含む重鎖を有する抗体を指すために本明細書で同義に使用される。
「ヒト抗体」は、ヒトによって産生される抗体のものに対応するアミノ酸配列を有するもの、及び/またはヒト抗体を作成するための技術のうちの任意のものを用いて作製されているものである。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を具体的に排除する。
「ヒトコンセンサスフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンVLまたはVHフレームワーク配列の選択において最も一般的に生じるアミノ酸残基を表すフレームワークである。一般に、ヒト免疫グロブリンVLまたはVH配列の選択は、可変ドメイン配列のサブグループに由来する。一般に、この配列のサブグループは、Kabat et al.Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,NIH Publication 91-3242,Bethesda MD,vols.1-3,1991にあるようなサブグループである。一実施形態では、VLに関して、サブグループは、Kabat et al.(上記参照)にあるようなサブグループカッパIIIまたはカッパIVである。一実施形態では、VHに関して、サブグループは、Kabat et al.(上記参照)におけるサブグループIIIである。
非ヒト(例えば、齧歯動物)抗体の「ヒト化」抗体は、非ヒト抗体に由来する配列を最小限含有するキメラ抗体である。大部分は、ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域からの残基が、所望の抗体特異性、親和性、及び能力を有するマウス、ラット、ウサギ、または非ヒト霊長類などの非ヒト種(ドナー抗体)の超可変領域からの残基によって代置される、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。場合によっては、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基によって置き換えられる。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体またはドナー抗体には見られない残基を含み得る。これらの修飾は、抗体の能力をさらに改良するために行われる。一般に、ヒト化抗体は、超可変ループの全てまたは実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンの超可変ループに対応し、FRの全てまたは実質的に全てがヒト免疫グロブリン配列のFRである、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含むことになる。ヒト化抗体は、任意選択で、免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部も含むことになる。さらなる詳細については、Jones et al.Nature 321:522-525,1986、Riechmann et al.Nature 332:323-329,1988、及びPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593-596,1992を参照されたい。
「免疫複合体」は、細胞傷害性剤を含むが、これに限定されない1つ以上の異種分子(複数可)に複合体化される抗体である。
本明細書に開示される様々な抗体について記載するために用いられる場合、「単離」という用語は、抗体が発現された細胞または細胞培養物から特定され、分離及び/または回収されている、抗体を意味する。その天然環境の混入成分は、典型的にはポリペプチドの診断的または治療的使用を妨害する材料であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質性または非タンパク質性溶質を含み得る。一部の実施形態では、抗体は、例えば、電気泳動法(例えば、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)、等電点電気泳動法(IEF)、キャピラリー電気泳動法)またはクロマトグラフィー法(例えば、イオン交換もしくは逆相HPLC)の方法によって判定した場合に、95%または99%を超える純度まで精製される。抗体の純度の評定方法の概説については、例えば、Flatman et al.J.Chromatogr.B 848:79-87,2007を参照をされたい。好ましい実施形態では、抗体は、(1)スピニングカップシークエネーター(spinning cup sequenator)を使用してN末端もしくは内部アミノ酸配列の少なくとも15個の残基を得るのに十分な程度まで、または(2)クマシーブルーもしくは好ましくは銀染色を使用して非還元条件または還元条件下でSDS-PAGEによって均質になるまで精製される。単離された抗体としては、組み換え細胞内のインサイツの抗体が挙げられるが、これは、ポリペプチド天然環境の少なくとも1つの成分が存在しないためである。しかしながら、通常、単離されたポリペプチドは、少なくとも1つの精製ステップにより調製される。
本明細書で使用される場合、「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に同種の抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち、その集団を構成する個々の抗体は、同一である、及び/または抗原上の同じエピトープに結合するが、例えば、天然に存在する変異を含有するか、またはモノクローナル抗体調製物の産生中に生じる可能なバリアント抗体を除いて、そのようなバリアントは一般に、少量で存在する。異なる決定基(エピトープ)に対して指向された異なる抗体を典型的に含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対して指向される。したがって、「モノクローナル」という修飾語は、実質的に同種の抗体集団から得られるという抗体の特徴を示し、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とするものと解釈されるべきではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法、組み換えDNA法、ファージディスプレイ法、及びヒト免疫グロブリン遺伝子座の全てまたは一部を含有するトランスジェニック動物を利用する方法を含むがこれらに限定されない、様々な技術により作製され得、モノクローナル抗体を作製するためのそのような方法及び他の例示的な方法が、本明細書に記載される。ある特定の実施形態では、「モノクローナル抗体」という用語は、二重特異性抗体を包含する。
「二価抗体」という用語は、抗原に対して2つの結合部位を有する抗体を指す。二価抗体は、限定することなく、IgGフォーマットまたはF(ab’)2フォーマット中にあり得る。
「多重特異性抗体」という用語は、最も広義に使用され、1つの抗原上の2つ以上の決定基もしくはエピトープ、または2つ以上の抗原上の2つ以上の決定基もしくはエピトープに結合する抗体を包含する。そのような多重特異性抗体には、全長抗体、2つ以上のVL及びVHドメインを有する抗体、抗体断片、例えば、Fab、Fv、dsFv、scFv、ダイアボディ、二重特異性ダイアボディ、及びトリアボディ、共有結合または非共有結合した抗体断片が挙げられるが、これらに限定されない。「ポリエピトープ特異性」とは、同じまたは異なる標的(複数可)上の2つ以上の異なるエピトープに特異的に結合し得る能力を指す。ある特定の実施形態では、多重特異性抗体は、二重特異性抗体である。「二特異性(dual specificity)」または「二重特異性(bispecificity)」は、同じまたは異なる標的(複数可)上の2つの異なるエピトープに特異的に結合することができる能力を指す。しかしながら、二重特異性抗体とは対照的に、二特異性抗体は、アミノ酸配列が同一である2つの抗原結合アームを有し、各Fabアームにより2つの抗原を認識することができる。二特異性により、抗体は、高い親和性で単一のFabまたはIgG分子として2つの異なる抗原と相互作用することができるようになる。一実施形態に従うと、多重特異性抗体は、5μM~0.001pM、3μM~0.001pM、1μM~0.001pM、0.5μM~0.001pM、または0.1μM~0.001pMの親和性で各エピトープに結合する。「単一特異性」とは、1つのエピトープのみに結合し得る能力を指す。
「ネイキッド抗体」は、異種部分(例えば、細胞傷害性部分)または放射標識に複合体化されていない抗体を指す。ネイキッド抗体が薬学的組成物中に存在してもよい。
抗体と標的分子との結合に関して、特定のポリペプチドまたは特定のポリペプチド標的上のエピトープに「結合する」または「結合」または「特異的結合」または「特異的に結合する」または「特異的である」という用語は、非特異的相互作用とはある程度異なる結合を意味する。特異的結合は、例えば、分子の結合を対照分子の結合と比較して決定することによって測定することができる。例えば、特異的結合は、標的に類似した対照分子、例えば、過剰な標識されていない標的との競合によって決定し得る。この場合、標識された標的のプローブへの結合が過剰な標識されていない標的によって競合的に阻害されると、特異的結合が示される。特定のポリペプチドまたは特定のポリペプチド標的上のエピトープへの「特異的結合」またはそれ「に特異的に結合する」またはそれ「に特異的」であるという用語は、本明細書で使用される場合、例えば、標的へのKDが、10-4M以下、または10-5M以下、または10-6M以下、または10-7M以下、または10-8M以下、または10-9M以下、または10-10M以下、または10-11M以下、または10-12M以下、または10-4M~10-6M、または10-6M~10-10Mまたは10-7M~10-9Mの範囲である分子によって呈され得る。当業者によって理解されるであろう通り、親和性とKDとは反比例する。抗原の高い親和性は、低いKD値によって測定される。一実施形態では、「特異的結合」という用語は、分子が、いずれの他のポリペプチドまたはポリペプチドエピトープにも実質的に結合することなく、特定のポリペプチドまたは特定のポリペプチド上のエピトープに結合する、結合を指す。
「パラトープ」とは、抗原のエピトープに結合する抗体の一部を意味する。パラトープは、典型的には、抗体のFv領域の約15~22個のアミノ酸残基の領域であり、抗体のVH及びVL鎖からのアミノ酸を含み得る。
「可変」という用語は、可変ドメインのある特定のセグメントが配列において抗体間で広範囲にわたって異なるという事実を指す。可変または「V」ドメインは、抗原結合を媒介し、特定の抗体のその特定の抗原に対する特異性を定義する。しかしながら、可変性は、110個のアミノ酸の長さの可変ドメイン全体に均等に分布しているわけではない。代わりに、V領域は、各々9~12アミノ酸長である「超可変領域」と呼ばれる極度の可変性のより短い領域によって分離される15~30アミノ酸のフレームワーク領域(FR)と呼ばれる比較的不変である範囲からなる。「超可変領域」または「HVR」という用語は、本明細書で使用されるとき、抗原結合に関与する抗体のアミノ酸残基を指す。超可変領域は、一般に、例えば、VLでは残基約24~34(L1)、50~56(L2)、及び89~97(L3)、ならびにVHでは残基約26~35(H1)、49~65(H2)、及び95~102(H3)(一実施形態では、H1は、残基約31~35)、Kabat et al(上記参照))からのアミノ酸残基、及び/または「超可変ループ」(例えば、VLでは残基26~32(L1)、50~52(L2)、及び91~96(L3)、ならびにVHでは26~32(H1)、53~55(H2)、及び96~101(H3)からのアミノ酸残基を含む;Chothia et al.J.Mol.Biol.196:901-917,1987。天然重鎖及び軽鎖の可変ドメインは各々、ベータシート構造を接続し、かつある場合には、その一部を形成するループを形成する、3つの超可変領域によって接続されたベータシート立体配置を主に採用する4つのFRを含む。各鎖における超可変領域は、FRによって、他方の鎖の超可変領域と近接して保持されており、抗体の抗原結合部位の形成に寄与している(Kabat et al(上記参照)を参照されたい)。したがって、HVR及びFR配列は、一般に、VH(またはVL)において次の配列中に出現する:FR1-H1(L1)-FR2-H2(L2)-FR3-H3(L3)-FR4。定常ドメインは、抗体の抗原への結合に直接関与しないが、抗体の抗体依存性細胞毒性(ADCC)への関与などの様々なエフェクター機能を呈する。
「Kabatにあるような可変ドメイン残基番号付け」または「Kabatにあるようなアミノ酸位置番号付け」という用語、及びそれらの変形は、Kabat et al.(上記参照)における抗体の編集物の重鎖可変ドメインまたは軽鎖可変ドメインに使用される番号付けシステムを指す。この番号付けシステムを使用すると、実際の線形アミノ酸配列は、可変ドメインのFRもしくはHVRの短縮、またはそれへの挿入に対応するより少ないアミノ酸またはさらなるアミノ酸を含み得る。例えば、重鎖可変ドメインは、H2の残基52の後に単一のアミノ酸挿入断片(Kabatによる残基52a)、及び重鎖FR残基82の後に挿入された残基(例えば、Kabatによる残基82a、82b、及び82cなど)を含み得る。残基のKabat番号付けは、「標準の」Kabatにより番号付けられた配列との抗体の配列の相同性領域でのアライメントによって所与の抗体について決定され得る。
Kabat番号付けシステムは、一般に、可変ドメイン内の残基(およそ軽鎖の残基1~107及び重鎖の残基1~113)を指すときに用いられる(例えば、Kabat et al(上記参照))。「EU番号付けシステム」または「EU指標」は、一般に、免疫グロブリン重鎖定常領域内の残基に言及する際に使用される(例えば、Kabat et al.(上記参照)で報告されているEU指標)。「KabatにあるようなEUインデックス」とは、ヒトIgG1 EU抗体の残基番号付けを指す。本明細書で別途指示されない限り、抗体の可変ドメイン中の残基番号への言及は、Kabat番号付けシステムによる残基番号付けを意味する。本明細書で別途指示されない限り、抗体の定常ドメイン中の残基番号への言及は、EU番号付けシステム(例えば、米国仮特許出願第60/640,323号、EU番号付けに関する図面を参照されたい)による残基番号付けを意味する。
「障害」または「疾患」は、抗体(例えば、本明細書に記載の任意のトリプターゼ抗体)での処置により利益を得るであろう任意の状態である。これには、哺乳動物を問題の障害にかかりやすくする病理学的状態を含む慢性及び急性障害または疾患が挙げられる。いくつかの実施形態では、障害は、肺障害、自己免疫不全、炎症性障害、線維性障害、顆粒球性(好中球性または好酸球性)障害、単球性障害、リンパ球性障害、または正常もしくは異常組織常在性細胞(マスト細胞、マクロファージ、またはリンパ球など)または間質細胞(線維芽細胞、筋線維芽細胞、平滑筋細胞、上皮、または内皮など)の増加された数もしくは分布に関連する障害である。いくつかの実施形態では、障害は、肺障害である。いくつかの例では、障害は、トリプターゼ関連障害またはトリプターゼ媒介障害であり得る。
本明細書で使用される「トリプターゼ関連障害」及び「トリプターゼ媒介障害」という用語は、トリプターゼによって媒介されるか、またはそれと関連する、任意の障害もしくは状態を指す。いくつかの実施形態では、トリプターゼ関連障害は、身体における局所的及び/または全身的なトリプターゼレベルまたは活性に起因して非定型症状が現れ得る過剰なトリプターゼレベルまたは活性と関連する。
いくつかの実施形態では、肺障害は、喘息である。いくつかの実施形態では、喘息は、致命的であり得る悪化する症状(憎悪または突発)の急性事象を伴う持続性慢性重症喘息である。いくつかの実施形態では、喘息は、アトピー性(アレルギーとしても既知である)喘息、非アレルギー性喘息(例えば、呼吸器ウイルス(例えば、インフルエンザ、パラインフルエンザ、ライノウイルス、ヒトメタニューモウイルス、及び呼吸器発疹ウイルス)、または吸入刺激物(大気汚染物質、煙霧、ディーゼル粒子、屋内もしくは屋外での揮発性化学薬品及びガス、またはさらには冷乾燥空気によって)による感染症によってしばしば誘発される)である。
いくつかの実施形態では、喘息は、断続的もしくは運動誘発性であるか、「煙」(典型的には紙巻きたばこ、葉巻、パイプ)、吸入もしくは「蒸気吸入」(たばこ、大麻、または他のそのような物質)への急性もしくは慢性の直接または間接曝露に起因する喘息、またはアスピリンもしくは関連するNSAIDSの最近の摂取によって誘発される喘息である。いくつかの実施形態では、喘息は、軽度またはコルチコステロイド未感作喘息であるか、新たに診断された未治療の喘息であるか、または症状(咳、喘鳴、息切れ/呼吸困難、または胸痛)を抑制するために以前は局所的または全身的な吸入ステロイドの慢性的使用を必要としなかった喘息である。いくつかの実施形態では、喘息は、慢性の、コルチコステロイド抵抗性喘息、コルチコステロイド難治性喘息、コルチコステロイドまたは他の慢性喘息コントローラー薬剤で制御されない喘息である。
いくつかの実施形態では、喘息は、中等度~重度の喘息である。ある特定の実施形態では、喘息は、Th2高喘息である。いくつかの実施形態では、喘息は、重度の喘息である。いくつかの実施形態では、喘息は、アトピー性喘息、アレルギー性喘息、非アレルギー性喘息(例えば、感染症及び/または呼吸器発疹ウイルス(RSV)に起因する)、運動誘発性喘息、アスピリン感受性/憎悪性喘息、軽度喘息、中等度~重度の喘息、コルチコステロイド未感作喘息、慢性喘息、コルチコステロイド抵抗性喘息、コルチコステロイド難治性喘息、新たに診断された未治療の喘息、喫煙に起因する喘息、コルチコステロイドで制御されない喘息である。いくつかの実施形態では、喘息は、2型Tヘルパーリンパ球(Th2)もしくは2型(Th2)高Tヘルパーリンパ球、または2型(T2)駆動喘息である。いくつかの実施形態では、喘息は、好酸球喘息である。いくつかの実施形態では、喘息は、アレルギー性喘息である。いくつかの実施形態では、個体は、好酸球性炎症陽性(EIP)であると判定されている。WO2015/061441を参照されたい。いくつかの実施形態では、喘息は、ペリオスチン高喘息である(例えば、少なくとも約20ng/mL、25ng/mL、または50ng/mL血清のうちのいずれかのペリオスチンレベルを有する)。いくつかの実施形態では、喘息は、好酸球高喘息である(例えば、少なくとも約150、200、250、300、350、400好酸球数/ml血液のうちのいずれか)。ある特定の実施形態では、喘息は、Th2低喘息または非Th2駆動喘息である。いくつかの実施形態では、個体は、好酸球性炎症陰性(EIN)であると判定されている。WO2015/061441を参照されたい。いくつかの実施形態では、喘息は、ペリオスチン低喘息である(例えば、約20ng/mL血清未満のペリオスチンレベルを有する)。いくつかの実施形態では、喘息は、好酸球低喘息である(例えば、約150好酸球数/μl血液未満または約100好酸球数/μl血液未満)。
本明細書で使用される「Th2高喘息」という用語は、例えば、IL13、IL4、IL9、IL5の、1つ以上のTh2細胞関連サイトカインの高レベルを呈するか、またはTh2サイトカイン関連炎症を呈する喘息を指す。ある特定の実施形態では、Th2高喘息という用語は、好酸球高喘息と交換可能に使用され得る。ある特定の実施形態では、Th2高喘息は、Th2駆動喘息である。いくつかの実施形態では、喘息患者は、好酸球性炎症陽性(EIP)であると判定されている。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、国際特許出願公開第WO2015/061441号を参照されたい。ある特定の実施形態では、個体は、対照または参照レベルと比較して、好酸球性特徴遺伝子のうちの少なくとも1つの高められたレベルを有すると判定されている。WO2015/061441を参照されたい。ある特定の実施形態では、Th2高喘息は、ペリオスチン高喘息である。いくつかの実施形態では、個体は、高血清ペリオスチンを有する。ある特定の実施形態では、個体は、18歳以上である。ある特定の実施形態では、個体は、対照または参照レベルと比較して、血清ペリオスチンの高められたレベルを有すると判定されている。ある特定の実施形態では、対照または参照レベルは、集団におけるペリオスチンの中間レベルである。ある特定の実施形態では、個体は、20ng/ml以上の血清ペリオスチンを有すると判定されている。ある特定の実施形態では、個体は、25ng/ml以上の血清ペリオスチンを有すると判定されている。ある特定の実施形態では、個体は、50ng/ml以上の血清ペリオスチンを有すると判定されている。ある特定の実施形態では、血清ペリオスチンの対照または参照レベルは、20ng/ml、25ng/ml、または50ng/mlである。ある特定の実施形態では、喘息は、好酸球高喘息である。ある特定の実施形態では、個体は、対照または参照レベルと比較して、高められた好酸球数を有すると判定されている。ある特定の実施形態では、対照または参照レベルは、集団の中間レベルである。ある特定の実施形態では、個体は、150以上の好酸球数/μl血液を有すると判定されている。ある特定の実施形態では、個体は、200以上の好酸球数/μl血液を有すると判定されている。ある特定の実施形態では、個体は、250以上の好酸球数/μl血液を有すると判定されている。ある特定の実施形態では、個体は、300以上の好酸球数/μl血液を有すると判定されている。ある特定の実施形態では、個体は、350以上の好酸球数/μl血液を有すると判定されている。ある特定の実施形態では、個体は、400以上の好酸球数/μl血液を有すると判定されている。ある特定の実施形態では、個体は、450以上の好酸球数/μl血液を有すると判定されている。ある特定の実施形態では、個体は、500以上の好酸球数/μl血液を有すると判定されている。ある特定の好ましい実施形態では、個体は、300以上の好酸球数/μl血液を有すると判定されている。ある特定の実施形態では、好酸球は、末梢血好酸球である。ある特定の実施形態では、好酸球は、痰中好酸球である。ある特定の実施形態では、個体は、FeNO(呼気一酸化窒素)の高められたレベル及び/またはIgEの高められたレベルを呈する。例えば、いくつかの例では、個体は、約250十億分率(ppb)超、約275ppb超、約300ppb超、約325ppb超、約325ppb超、または約350ppb超のFeNOレベルを呈する。いくつかの例では、個体は、50IU/mlを超えるIgEレベルを有する。
本明細書で使用される「Th2低喘息」または「非Th2高喘息」という用語は、例えば、IL13、IL4、IL9、IL5の、1つ以上のTh2細胞関連サイトカインの低レベルを呈するか、または非Th2サイトカイン関連炎症を呈する喘息を指す。ある特定の実施形態では、Th2低喘息という用語は、好酸球低喘息と交換可能に使用され得る。いくつかの実施形態では、喘息患者は、好酸球性炎症陰性(EIN)であると判定されている。例えば、WO2015/061441を参照されたい。ある特定の実施形態では、Th2低喘息は、Th17駆動喘息である。ある特定の実施形態では、Th2低喘息は、ペリオスチン低喘息である。ある特定の実施形態では、個体は、18歳以上である。ある特定の実施形態では、個体は、対照または参照レベルと比較して、血清ペリオスチンの低減されたレベルを有すると判定されている。ある特定の実施形態では、対照または参照レベルは、集団におけるペリオスチンの中間レベルである。ある特定の実施形態では、個体は、20ng/ml未満の血清ペリオスチンを有すると判定されている。ある特定の実施形態では、喘息は、好酸球低喘息である。ある特定の実施形態では、個体は、対照または参照レベルと比較して低減された好酸球数を有すると判定されている。ある特定の実施形態では、対照または参照レベルは、集団の中間レベルである。ある特定の実施形態では、個体は、150未満の好酸球数/μl血液を有すると判定されている。ある特定の実施形態では、個体は、100未満の好酸球数/μl血液を有すると判定されている。ある特定の好ましい実施形態では、個体は、300未満の好酸球数/μl血液を有すると判定されている。
いくつかの実施形態では、自己免疫不全、炎症性障害、線維性障害、顆粒球性(好中球性または好酸球性)障害、単球性障害、またはリンパ球性障害は、食道炎(例えば、好酸球性食道炎)、アレルギー性鼻炎、非アレルギー性鼻炎、ポリープを伴う鼻副鼻腔炎、鼻ポリープ、気管支炎、慢性肺炎、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、気道炎症、アレルギー性鼻炎、気管支拡張症、及び/または慢性気管支炎である。
いくつかの実施形態では、自己免疫不全、炎症性障害、線維性障害、顆粒球性(好中球性または好酸球性)障害、単球性障害、またはリンパ球性障害は、関節炎である。いくつかの実施形態では、関節炎は、リウマチ性関節炎である。いくつかの実施形態では、関節炎は、骨関節炎、リウマチ性関節炎、若年性関節炎、若年性リウマチ性関節炎、早期関節炎、多関節リウマチ性関節炎、全身型リウマチ性関節炎、腸疾患性関節炎、反応性関節炎、乾癬性関節炎、及び/または傷害の結果としての関節炎である。
いくつかの実施形態では、自己免疫不全、炎症性障害、線維性障害、顆粒球性(好中球性または好酸球性)障害、単球性障害、またはリンパ球性障害は、胃腸炎症状態である。いくつかの実施形態では、胃腸炎症状態は、IBD(炎症性腸疾患)、潰瘍性大腸炎(UC)、クローン病(CD)、大腸炎(例えば、外界からの刺激によって引き起こされる(例えば、治療レジメン、例えば、化学療法、放射線療法などによって引き起こされるかまたはそれと関連する)大腸炎)、感染性大腸炎、虚血性大腸炎、膠原線維性もしくはリンパ球性大腸炎、壊死性腸炎、慢性肉芽腫性疾患またはセリアック病などの状態における大腸炎、食物アレルギー、胃炎、胃腸炎、感染性胃炎もしくは腸炎(例えば、ヘリコバクターピロリ菌感染慢性活動性胃炎)、食道炎、及び感染体によって引き起こされる胃腸炎症の他の形態、または潰瘍性大腸炎である。
いくつかの実施形態では、自己免疫不全、炎症性障害、線維性障害、顆粒球性(好中球性または好酸球性)障害、単球性障害、またはリンパ球性障害は、胃腸炎症状態である。いくつかの実施形態では、胃腸炎症状態は、IBD(炎症性腸疾患)である。いくつかの実施形態では、炎症性腸疾患は、潰瘍性大腸炎(UC)またはクローン病(CD)である。いくつかの実施形態では、胃腸炎症状態は、大腸炎(例えば、外界からの刺激によって引き起こされる(例えば、治療レジメン、例えば、化学療法、放射線療法などによって引き起こされるかまたはそれと関連する)大腸炎)、感染性大腸炎、虚血性大腸炎、膠原線維性もしくはリンパ球性大腸炎、壊死性腸炎、慢性肉芽腫性疾患またはセリアック病などの状態における大腸炎、食物アレルギー、胃炎、胃腸炎、感染性胃炎もしくは腸炎(例えば、ヘリコバクターピロリ菌感染慢性活動性胃炎)、及び感染体によって引き起こされる胃腸炎症の他の形態、または潰瘍性大腸炎である。いくつかの実施形態では、胃腸炎症状態は、潰瘍性大腸炎(UC)またはクローン病(CD)である。いくつかの実施形態では、胃腸炎症状態は、潰瘍性大腸炎(UC)である。いくつかの実施形態では、潰瘍性大腸炎は、軽度~中等度の遠位大腸炎である。いくつかの実施形態では、潰瘍性大腸炎は、軽度~中等度の広範性大腸炎である。いくつかの実施形態では、潰瘍性大腸炎は、重度の大腸炎である。いくつかの実施形態では、胃腸炎症状態は、クローン病(CD)である。いくつかの実施形態では、クローン病は、急性病期にある。いくつかの実施形態では、クローン病は、誘導臨床的寛解期にある。いくつかの実施形態では、クローン病は、持続応答/寛解期にある。いくつかの実施形態では、クローン病は、軽度~中等度の疾患である。いくつかの実施形態では、クローン病は、中等度~重度の疾患である。いくつかの実施形態では、クローン病は、重度/劇症の疾患である。いくつかの実施形態では、クローン病は、回腸、回腸結腸、または結腸疾患である。
いくつかの実施形態では、自己免疫不全、炎症性障害、線維性障害、顆粒球性(好中球性または好酸球性)障害、単球性障害、もしくはリンパ球性障害、または正常もしくは異常組織常在性細胞(マスト細胞、マクロファージ、またはリンパ球など)もしくは間質細胞(線維芽細胞、筋線維芽細胞、平滑筋細胞、上皮、または内皮)の増加された数もしくは分布に関連する障害は、ループスもしくは全身性エリテマトーデス(SLE)、またはループス(例えば、腎臓に影響を与えるループス腎炎(LN)、または血液及び/またはリンパ系臓器(リンパ節、脾臓、胸腺、及び関連するリンパ管)に影響を与える腎外性ループス(ERL)、及び/または関節及び/または他の臓器であるが、必ずしも腎臓である必要はない)の1つ以上の臓器特異性症状である。
いくつかの実施形態では、自己免疫不全、炎症性障害、または線維性障害は、敗血症及び/または外傷、HIV感染、またはANCA関連血管炎(AAV)などの特発性(未知の病因学の)、多発血管炎性肉芽腫症(ウェゲナー肉芽腫症として以前に既知である)、ベーチェット病、心血管疾患、好酸球性気管支炎、ライター症候群、SEA症候群(血清反応陰性、腱付着部症、関節症症候群)、強直性脊椎炎、皮膚筋炎、強皮症、例えば、全身性硬化症とも称される全身性強皮症、脈管炎(例えば、側頭動脈炎、頭蓋動脈炎、またはホートン疾患とも称される巨細胞性動脈炎(GCA))、筋炎、多発性筋炎、皮膚筋炎、動脈炎、リウマチ性多発筋痛症、サルコイドーシス、原発性胆汁性肝硬変、硬化性胆管炎、シェーグレン症候群、乾癬、尋常性乾癬、滴状乾癬、逆乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、皮膚炎、アトピー性皮膚炎、天疱瘡、例えば、尋常性天疱瘡、アテローム性動脈硬化症、ループス、スティル病、重症筋無力症、セリアック病、再発寛解型(RRMS)もしくは一次性進行型(PPMS)もしくは二次性進行型(SPMS)サブタイプの多発性硬化症(MS)、ギラン・バレー疾患、I型糖尿病(T1DM)もしくはインスリン依存性(IDDM)もしくは若年発症性DM型、甲状腺炎(例えば、グレーブス病)、セリアック病、チャーグ・ストラウス症候群、筋痛症候群、好酸球増多症候群、好酸球性血管性浮腫を含む浮腫反応、蠕虫感染症、オンコセルカ皮膚炎、好酸球性食道炎、好酸球性腸炎、好酸球性大腸炎、閉塞性睡眠時無呼吸、心内膜心筋線維症、アジソン病、レイノー病もしくは現象、自己免疫性肝炎、移植片対宿主病(GVHD)、または臓器移植拒絶に関連する。
いくつかの実施形態では、障害は、皮膚の炎症性障害である。いくつかの実施形態では、障害は、アトピー性皮膚炎またはオンコセルカ皮膚炎である。いくつかの実施形態では、障害は、慢性特発性蕁麻疹(CIUまたはCSU)である。
いくつかの実施形態では、自己免疫不全、炎症性障害、線維性障害、好中球障害、または好酸球性障害は、線維性障害である。いくつかの実施形態では、線維障害は、肺線維症、肝線維症(例えば、肝硬変(例えば、アルコール誘導性肝硬変、ウイルス誘導性肝硬変、C型肝炎後肝硬変、及び原発性胆汁性肝硬変)と関連する線維症、住血吸虫症、胆管炎(例えば、硬化性胆管炎)、及び自己免疫誘導性肝炎)、腎臓線維症(例えば、尿細管間質線維症、強皮症、糖尿病性腎炎、及び糸球体腎炎)、皮膚線維症(例えば、強皮症、肥厚性及びケロイド瘢痕、腎性線維化性皮膚症、ならびに熱傷)、骨髄線維症、神経線維腫症、線維腫、腸管線維症、及び外科処置に起因する線維性癒着)、心臓線維症(例えば、心筋梗塞と関連する線維症)、血管線維症(例えば、血管形成術後動脈再狭窄及びアテローム性動脈硬化症と関連する線維症)、眼線維症(例えば、白内障手術後の増殖性硝子体網膜症と関連する線維症、及び後眼窩線維症)、ならびに骨髄線維症(例えば、特発性骨髄線維症及び薬物誘発性骨髄線維症)を含む。線維症は、臓器特異性または全身性(例えば、全身性硬化症、及びGVHDと関連する線維症)であり得る。いくつかの実施形態では、線維性障害は、肺線維症である。いくつかの実施形態では、肺線維症は、線維性間質性肺炎である。いくつかの実施形態では、肺線維症は、特発性線維化性肺胞炎としても既知である特発性肺線維症(IPF)である。いくつかの実施形態では、IPFは、性別、年齢、及び生理機能(GAP)ステージIである。いくつかの実施形態では、IPFは、GAPステージIIである。いくつかの実施形態では、IPFは、GAPステージIIIである。いくつかの実施形態では、肺線維症は、散発性IPFである。いくつかの実施形態では、肺線維症は、家族性肺線維症である。いくつかの実施形態では、肺線維症は、組み合わされた肺線維症及び肺気腫である。いくつかの実施形態では、肺線維症は、以下のうちの1つ以上と関連する:通常型間質性肺炎、特発性間質性肺炎、剥離性間質性肺炎、呼吸器細気管支炎間質性肺疾患、急性間質性肺炎、非特異性間質性肺炎、サルコイドーシス、特発性器質化肺炎、好酸球性肺炎、感染症、職業性または環境性物質への曝露、紙巻きたばこ喫煙、薬物または放射線によって誘発される間質性肺疾患、リウマチ性疾患関連間質性肺疾患、リンパ系間質性肺炎、上葉優位型肺線維症、肺ランゲルハンス細胞組織球症、全身性強皮症間質性肺疾患、ヘルマンスキー・パドラック症候群、及びテロメアの短縮による疾患。
いくつかの実施形態では、肺障害、自己免疫不全、炎症性障害、線維性障害、好中球障害、また好酸球性障害は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)である。いくつかの実施形態では、COPDは、慢性閉塞性肺疾患(GOLD)カテゴリーAに関する国際指針である。いくつかの実施形態では、COPDは、GOLDカテゴリーBである。いくつかの実施形態では、COPDは、GOLDカテゴリーCである。いくつかの実施形態では、COPDは、GOLDカテゴリーDである。いくつかの実施形態では、COPDは、慢性気管支炎である。いくつかの実施形態では、COPDは、肺気腫である。いくつかの実施形態では、肺気腫は、近位腺房、汎細葉性、または遠位腺房肺気腫である。いくつかの実施形態では、肺気腫は、たばこ誘発性肺気腫である。いくつかの実施形態では、COPDは、粒子粉塵、化学煙霧、及び/または大気汚染への曝露と関連する。いくつかの実施形態では、COPDは、肺発達の障害と関連する。いくつかの実施形態では、COPDは、慢性閉塞性喘息である。いくつかの実施形態では、COPDは、アルファ1抗トリプシン欠乏と関連する。いくつかの実施形態では、COPDは、セリンプロテアーゼ阻害剤クレードE、メンバー2(SERPINE2)の分裂と関連する。いくつかの実施形態では、COPDは、持続性全身性炎症を伴うCOPDである。いくつかの実施形態では、COPDは、好酸球性または2型Tヘルパー(TH2)高COPDである。いくつかの実施形態では、COPDは持続性細菌コロニー形成を伴うCOPDである。いくつかの実施形態では、COPDは、頻繁な増悪を伴うCOPDである。いくつかの実施形態では、自己免疫不全、炎症性障害、線維性障害、好中球障害、または好酸球性障害は、喘息COPD重複症候群(ACOS)である。いくつかの実施形態では、ACOSは、好酸球優勢、好中球優勢、混合パターン、または非炎症(非顆粒球性)ACOSである。いくつかの実施形態では、自己免疫不全、炎症性障害、線維性障害、好中球障害、または好酸球性障害は、COPD閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)重複症候群である。
上記のリストは包括的なものではなく、当業者であれば、疾患または障害が様々なカテゴリー内に入り得ることを理解することになる。
「添付文書」という用語は、そのような治療製品の適応症、使用法、投薬量、投与、併用療法、禁忌症、及び/またはその使用に関する警告についての情報を含有する、治療製品の商業用パッケージに通例含まれる指示書を指すために使用される。
「薬学的製剤」及び「薬学的組成物」という用語は、本明細書で交換可能に使用され、内部に含まれる活性成分の生物学的活性が有効になるような形態であり、かつ製剤が投与される対象が受け入れられない程度に毒性の追加の成分も含まない調製物を指す。そのような製剤は、滅菌である。好ましい実施形態では、薬学的組成物または薬学的製剤は、ヒト対象に投与される。
「滅菌」薬学的製剤は、無菌であるか、または全ての生存微生物及びそれらの胞子を含まないか、またはそれらを本質的に含まない。
「安定した」薬学的製剤とは、内部のタンパク質(例えば、抗トリプターゼ抗体などの抗体)が保管時にその物理的安定性及び/または化学的安定性及び/または生物学的活性を本質的に保持する製剤である。好ましくは、製剤は、保管時に、その物理的及び化学的安定性、ならびにその生物学的活性を本質的に保持する。保管期間は、一般に、製剤の意図される貯蔵寿命に基づいて選択される。タンパク質安定性を測定するための種々の分析技術が当該技術分野で利用可能であり、例えば、Peptide and Protein Drug Delivery,247-301,Vincent Lee Ed.,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,Pubs.(1991)、Jones,A.Adv.Drug Delivery Rev.10:29-90(1993)に概説される。安定性は、選択された露光量及び/または温度で選択された期間にわたって測定され得る。安定性は、凝集体形成の評価(例えば、サイズ排除クロマトグラフィーを使用して、濁度を測定することにより、及び/または目視検査により);ROS形成の評価(例えば、光ストレスアッセイまたはAAPHストレスアッセイを使用することにより);タンパク質の特定のアミノ酸残基の酸化(例えば、モノクローナル抗体のTrp残基及び/またはMet残基);カチオン交換クロマトグラフィー、画像キャピラリー等電点電気泳動(icIEF)、またはキャピラリーゾーン電気泳動を使用した電荷不均一性の評定;アミノ末端またはカルボキシ末端配列分析;質量分光分析;還元されたインタクトな抗体を比較するためのSDS-PAGE分析;ペプチドマップ(例えば、トリプシンまたはLYS-C)分析;タンパク質の生物学的活性または標的結合機能(例えば、抗体の抗原結合機能)の評価等を含む様々な異なる方法で質的及び/または量的に評価され得る。不安定性は、凝集、脱アミド(例えば、Asn脱アミド)、酸化(例えば、Met酸化及び/またはTrp酸化)、異性化(例えば、Asp異性化)、クリッピング/加水分解/断片化(例えば、ヒンジ領域断片化)、スクシンイミド形成、不対システイン(複数可)、N末端伸長、C末端プロセシング、グリコシル化差異等のうちのいずれか1つ以上を伴い得る。
抗体(例えば、抗トリプターゼ抗体)は、それが、色及び/または透明度の目視検査時に、またはUV光散乱もしくはサイズ排除クロマトグラフィーによって測定されたときに、凝集、沈殿、断片化、及び/または変性の兆候をほとんどまたは全く示さない場合、薬学的製剤中で「その物理的安定性を保持する」。
抗体(例えば、抗トリプターゼ抗体)は、所与の時点での化学的安定性が、抗体が以下に定義されるその生物学的活性を依然として保持しているとみなされるようなものである場合、薬学的製剤中で「その化学的安定性を保持する」。化学的安定性は、抗体の化学的に改変された形態を検出及び定量化することによって評定され得る。化学的改変は、例えば、トリプシンペプチドマッピング、逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、及び液体クロマトグラフィー-質量分析(LC/MS)を使用して評価され得るタンパク質酸化を含み得る。他の種類の化学的改変としては、例えば、イオン交換クロマトグラフィーまたはicIEFによって評価され得る抗体の電荷改変が挙げられる。
抗体(例えば、抗トリプターゼ抗体)は、所与の時点での抗体の生物学的活性が、例えば、モノクローナル抗体(例えば、抗トリプターゼモノクローナル抗体)の抗原結合アッセイまたはインビトロ阻害アッセイで決定される、薬学的製剤が調製された時点で呈される生物学的活性の約20%以内(約10%以内等)である場合(アッセイのエラー内)、薬学的製剤中で「その生物学的活性を保持する」。いくつかの実施形態では、所与の時点での抗体の生物学的活性は、薬学的製剤が調製された時点で呈される生物学的活性の約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%である。
本明細書で使用される場合、抗体(例えば、抗トリプターゼ抗体)の「生物学的活性」とは、標的に結合する抗体の能力、例えば、抗原に結合するモノクローナル抗体の能力を指す。これは、インビトロまたはインビボで測定され得る生物学的応答をさらに含み得る。そのような活性は、アンタゴニスト活性またはアゴニスト活性であり得る。
「酸化感受性の」タンパク質(例えば、抗トリプターゼ抗体などの抗体)は、メチオニン(Met)、システイン(Cys)、ヒスチジン(His)、トリプトファン(Trp)、及びチロシン(Tyr)等であるが、これらに限定されない、酸化しやすいことが見出されている1つ以上の残基(複数可)を含むタンパク質である。例えば、モノクローナル抗体のFab部分内のトリプトファンアミノ酸またはモノクローナル抗体のFc部分内のメチオニンアミノ酸が酸化感受性であり得る。
「酸化パーセント」という用語は、特定のアミノ酸残基、例えば、Trp残基(例えば、hu31A.v11のHVR-H3中のTrp100)またはMet残基で酸化される製剤(例えば、薬学的組成物)中の抗体のパーセンテージを指す。酸化パーセントは、例えば、1つ以上の特定の酸化プローンアミノ酸残基が存在する1つ以上のトリプシンペプチドの質量分析(MS)によって判定され得る。ある特定の実施形態では、hu31A.v11のHVR-H3中のTrp100の酸化パーセンテージは、MS分析によって判定された場合にTrp100が全体(酸化及び非酸化)のトリプシンペプチドの質量を超えて存在する、酸化されたトリプシンペプチドの質量によって判定される。酸化パーセントは、例えば、抗体またはその薬学的組成物の初期生成から9ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、または2年以内に判定され得る。
本明細書で使用される「AAPHストレス試験に従って判定される」という用語は、特定のアミノ酸残基(例えば、hu31A.v11のHVR-H3中のTrp100)での酸化パーセントが、例えば、実施例5に記載されるように、40℃で25時間、5mMのAAPH中で150mg/mlで抗体を配合した後にトリプシンペプチドの質量分析によって判定されることを意味する。ストレス抗体は、トリプシンで消化され、消化されたペプチドは、酸化のパーセンテージを決定するために超高速液体クロマトグラフィー-高分解能質量分析(UHPLC-HRMS)にかけた。
本明細書で使用される場合、「緩衝液」とは、その酸-塩基複合体成分の作用によりpHの変化に抵抗する緩衝溶液を指す。この発明の緩衝剤は、好ましくは、約4.5~約8.0(例えば、約4.5、約5、約5.5、約6、約6.5、約7、約7.5、または約8)の範囲のpH、例えば、約pH5.5を有する。例えば、酢酸ヒスチジンは、pHをこの範囲内で制御する緩衝液の例である。別の好適な緩衝剤は、アルギニンコハク酸及び/またはヒスチジンコハク酸である。
「保存料」とは、例えば、内部の細菌作用を本質的に低減させ、それ故に多目的製剤の生産を容易にするために製剤に任意に含まれ得る化合物である。可能な防腐剤の例としては、例えば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ヘキサメトニウムクロライド、ベンザルコニウムクロライド(アルキル基が長鎖化合物であるアルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライドの混合物)及びベンゼトニウムクロライドが挙げられる。他の種類の防腐剤としては、芳香族アルコール、例えば、フェノール、ブチル、及びベンジルアルコール、アルキルパラベン、例えば、メチルまたはプロピルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3-ペンタノール、及びm-クレゾールが挙げられる。一実施形態では、本明細書における保存料は、ベンジルアルコールである。
本明細書で使用される場合、「界面活性剤」とは、表面活性剤、好ましくは、非イオン性界面活性剤を指す。本明細書における界面活性剤の例としては、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート20及びポリソルベート80)、ポロキサマー(例えば、ポロキサマー188)、トリトン(TRITON)(登録商標)、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ラウリル硫酸ナトリウム、オクチルグルコシドナトリウム、ラウリルスルホベタイン、ミリスチルスルホベタイン、リノレイルスルホベタイン、またはステアリルスルホベタイン、ラウリルサルコシン、ミリスチルサルコシン、リノレイルサルコシン、またはステアリルサルコシン、リノレイルベタイン、ミリスチルベタイン、またはセチルベタイン、ラウロアミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、リノールアミドプロピルベタイン、ミリスタミドプロピルベタイン、パルミドプロピルベタイン、またはイソステアラミドプロピルベタイン(例えば、ラウロアミドプロピル)、ミリスタミドプロピルジメチルアミン、パルミドプロピルジメチルアミン、またはイソステアラミドプロピルジメチルアミン、メチルココイルタウリン酸ナトリウムまたはメチルオレイルタウリン酸二ナトリウム、ならびにMONAQUAT(商標)シリーズ(Mona Industries,Inc.,Paterson,N.J.)、ポリエチルグリコール、ポリプロピルグリコール、及びエチレングリコール及びプロピレングリコールのコポリマー(例えば、PLURONIC(登録商標)ブロックコポリマー型、例えば、PLURONIC(登録商標)F-68)等が挙げられる。一実施形態では、本明細書における界面活性剤は、ポリソルベート20である。なお別の実施形態では、本明細書における界面活性剤は、ポロキサマー188である。
「薬学的に許容される担体」は、対象にとって無毒である、活性成分以外の薬学的製剤中の成分を指す。薬学的に許容される担体には、緩衝液、賦形剤、安定剤、または保存剤が含まれるが、これらに限定されない。
本出願に使用される「プロドラッグ」という用語は、親薬物と比較すると腫瘍細胞に対して細胞毒性が低く、酵素によって活性化されるかまたはより活性な親形態へと変換され得る、薬学的に活性な物質の前駆体または誘導体形態を指す。例えば、Wilman,“Prodrugs in Cancer Chemotherapy”Biochemical Society Transactions,14,pp.375-382,615th Meeting Belfast(1986)及びStella et al.“Prodrugs:A Chemical Approach to Targeted Drug Delivery,”Directed Drug Delivery,Borchardt et al.(ed.),pp.247-267,Humana Press(1985)を参照されたい。本発明のプロドラッグには、ホスフェート含有プロドラッグ、チオホスフェート含有プロドラッグ、スルフェート含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、Dアミノ酸修飾プロドラッグ、グリコシル化プロドラッグ、β-ラクタム含有プロドラッグ、任意に置換されたフェノキシアセトアミド含有プロドラッグまたは任意に置換されたフェニルアセトアミド含有プロドラッグ、5-フルオロシトシン及び他の5-フルオロウリジンプロドラッグが挙げられるがこれらに限定されず、これらは、より活性な細胞毒性遊離薬物へと変換され得る。本発明において使用するためのプロドラッグ形態に誘導体化することができる細胞毒性薬の例には、上記の化学療法剤が挙げられるがこれらに限定されない。
「対象」は、脊椎動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトである。哺乳動物には、家畜動物(ウシ及びヒツジなど)、競技用動物、愛玩動物(ネコ、イヌ、及びウマなど)、霊長類(例えば、ヒト、及びサル(例えば、カニクイザル)などの非ヒト霊長類)、ならびに齧歯類(例えば、マウス及びラット)が含まれるがこれらに限定されない。
本明細書で使用されるとき、「投与する」とは、ある投薬量の化合物(例えば、本発明の抗トリプターゼ抗体またはさらなる治療剤)または組成物(例えば、薬学的組成物、例えば、本発明の抗トリプターゼ抗体、また任意にさらなる治療剤を含む薬学的組成物であり、それは抗酸化剤(例えば、N-アセチルトリプトファン及び/またはメチオニン)などの賦形剤を含み得る)を対象に与える方法を意味する。本明細書に記載される方法に用いられる組成物は、例えば、硝子体内、筋肉内、静脈内、皮内、経皮(percutaneously)、動脈内、腹腔内、病巣内、頭蓋内、関節内、前立腺内(intraprostatically)、胸膜内、気管内、くも膜内(intrathecally)、鼻腔内、膣内、直腸内、局所、腫瘍内、腹膜内、皮下、結膜下、小胞内、経粘膜、心膜内、臍帯内、眼球内、眼窩内、経口、局所、経皮(transdermally)、眼窩周囲、結膜、テノン嚢下、前房内、網膜下、眼球後、毛細胆管内(intracanalicularly)、吸入、注射、埋め込み、注入、持続注入、標的細胞に直接的に流す局所灌流、カテーテル、洗浄、クリーム、または脂質組成物で投与することができる。本明細書に記載の方法で利用される組成物はまた、全身または局所投与され得る。投与方法は、様々な因子(例えば、投与される化合物または組成物、及び治療される状態、疾患、または障害の重症度)に応じて多様であり得る。
薬剤、例えば、抗トリプターゼ抗体または薬学的製剤(例えば、抗酸化剤(N-アセチルトリプトファン及び/またはメチオニン)などの賦形剤を含み得る、抗トリプターゼ抗体を含む薬学的製剤)の「有効量」または「治療有効量」とは、必要な投与量で必要な期間にわたって所望の治療または予防結果を達成するのに有効な量を指す。治療有効量の抗体もしくは抗体断片(例えば、抗トリプターゼ抗体)、またはその組成物は、障害もしくは疾患の緩和もしくは治療、または障害もしくは疾患と関連する症状の予防、低減、緩和、もしくは治療を行うことができる。
本明細書で使用される場合、「治療」(及び「治療する」または「治療すること」などのその文法上の変形)とは、治療されている個体の自然経過を変更することを目的とした臨床介入を指し、予防のために、または臨床病理過程中に行われ得る。治療の望ましい効果には、疾患の発生または再発の予防、症状の緩和、疾患の任意の直接的または間接的病理学的帰結の縮小、転移の予防、疾患進行速度の減少、病状の回復または寛解、及び緩解または予後の改善が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、本発明の抗体を使用して、疾患の発達を遅延させるか、または疾患の進行を減速させる。患者は、例えば、喘息治療法を受けた後に、その患者が以下:繰り返す喘鳴、咳嗽、呼吸困難、胸部絞扼感、夜間に発生または悪化する症状、冷気、運動、またはアレルゲンへの曝露によって誘発される症状のうちの1つ以上において、観測できる及び/または測定できるほどの低減または不在を示した場合に、喘息の「治療」が成功したことになり得る。
「インターロイキン-5(IL-5)」という用語は、本明細書で使用される場合、別途指定されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及び齧歯動物(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物源からの任意の天然IL-5を指す。本用語は、「完全長」の、未処理IL-5、成熟IL-5、ならびに翻訳後修飾から生じるIL-5の任意の形態を包含する。本用語は、IL-5の天然に存在するバリアント、例えば、スプライスバリアントまたはアレルバリアントも包含する。例示的なIL-5のアミノ酸配列は、例えば、UniProtKB受入番号P05113として見出すことができる。
「IL-5軸結合アンタゴニスト」という用語は、IL-5と、IL-5受容体アルファ(IL5RA)などのその結合パートナーのうちの1つ以上との相互作用から生じるシグナル変換を、減少させるか、遮断するか、阻害するか、抑止するか、またはそれに干渉する、分子を指す。本発明の方法において使用することができる例示的なIL-5軸結合アンタゴニストとしては、例えば、IL-5結合アンタゴニスト(例えば、抗IL-5抗体(例えば、メポリズマブ、ベンラリズマブ、及びレスリズマブ)及び抗IL-5受容体結合アンタゴニスト(例えば、抗IL-5R抗体))が挙げられる。
本明細書で使用される場合、「インターロイキン-13(IL-13)」という用語は、別途指定されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及び齧歯動物(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物源からの任意の天然IL-13を指す。IL-13は、2型Tヘルパー(Th2)細胞を含む多くの細胞型によって分泌されるサイトカインである。本用語は、「完全長」の、未処理IL-13、成熟IL-13、ならびに翻訳後修飾から生じるIL-13の任意の形態を包含する。例示的なヒトIL-13のアミノ酸配列は、例えば、UniProtKB受託番号P35225として見出すことができる。
「IL-13軸結合アンタゴニスト」という用語は、IL-13と、IL-4受容体アルファ(IL4Rα)、IL-13受容体アルファ1(IL13RA1)、及びIL-13受容体アルファ2(IL13RA2)などのその結合パートナーのうちの1つ以上との相互作用から生じるシグナル変換を、減少させるか、遮断するか、阻害するか、抑止するか、またはそれに干渉する、分子を指す。IL-13軸結合アンタゴニストとしては、IL-13結合アンタゴニスト(例えば、抗IL-13抗体、例えば、レブリキズマブ、228B/C-1、228A-4、227-26、及び227-43(例えば、米国特許第7,674,459号、同第8,067,199号、同第8,088,618号、同第8,318,160号、及び同第8,734,797号を参照されたい)及びIL-13受容体結合アンタゴニスト(例えば、抗IL4Rα抗体、抗IL13RA1抗体、または抗IL13RA2抗体)が挙げられる。
本明細書で使用される場合、「インターロイキン-17(IL-17)」という用語は、別途指定されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及び齧歯動物(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物源からの任意の天然IL-17を指し、ファミリーメンバーである、IL-17A、IL-17B、IL-17C、IL-17D、IL-17E、及びIL-17Fを含む。本用語は、「完全長」の、未処理IL-17、成熟IL-17、ならびに翻訳後修飾から生じるIL-17の任意の形態を包含する。例示的なヒトIL-17Aのアミノ酸配列は、例えば、UniProtKB受入番号Q16552として見出すことができる。例示的なヒトIL-17Bのアミノ酸配列は、例えば、UniProtKB受入番号Q9UHF5として見出すことができる。例示的なヒトIL-17Cのアミノ酸配列は、例えば、UniProtKB受入番号Q9P0M4として見出すことができる。例示的なヒトIL-17Dのアミノ酸配列は、例えば、UniProtKB受入番号Q8TAD2として見出すことができる。例示的なヒトIL-17Eのアミノ酸配列は、例えば、UniProtKB受入番号Q9H293として見出すことができる。例示的なヒトIL-17Fのアミノ酸配列は、例えば、UniProtKB受入番号Q96PD4として見出すことができる。
「IL-17軸結合アンタゴニスト」という用語は、IL-17と、インターロイキン-17受容体(IL-17R)ファミリーメンバータンパク質である、インターロイキン17受容体A(IL17RA)、インターロイキン17受容体B(IL17RB)、インターロイキン17受容体C(IL17RC)、インターロイキン17受容体D(IL17RD)、インターロイキン17受容体E(IL17RE)、及びインターロイキン17受容体E様(IL17REL)などのその結合パートナーのうちの1つ以上との相互作用から生じるシグナル変換を、減少させるか、遮断するか、阻害するか、抑止するか、またはそれに干渉する、分子を指す。例示的なIL-17軸結合アンタゴニストとしては、例えば、IL-17結合アンタゴニスト(例えば、抗IL-17抗体(例えば、セクキヌマブ(AIN417)、イキセキズマブ(LY2439821)、ビメキズマブ、及びNI-1401)、及びIL-17受容体結合アンタゴニスト(例えば、抗IL-17R抗体(例えば、ブロダルマブ(AMG-827)))が挙げられる。例えば、WO2006/013107、WO2007/070750、WO2012/156219、及び米国特許第8,715,669号を参照されたい。
本明細書に使用される「インターロイキン-33(IL-33)」という用語は、別途示されない限り、霊長類(例えば、ヒト及びカニクイザル)ならびに齧歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源に由来する任意の天然のIL-33を指す。IL-33はまた、当該技術分野において、高内皮細静脈の核内因子(NF-HEV、例えば、Baekkevold et al.Am.J.Pathol.163(1):69-79,2003を参照されたい)、DVS27、C9orf26、及びインターロイキン-1ファミリーメンバー11(IL-1F11)とも称される。本用語は、「完全長」の、未処理IL-33、成熟IL-33、ならびに翻訳後修飾から生じるIL-33の任意の形態を包含する。ヒト完全長の、未処理IL-33は、270個のアミノ酸(a.a.)を含みIL-331-270と称されることもある。ヒトIL-33の処理形態には、例えば、IL-3395-270、IL-3399-270、IL-33109-270、IL-33112-270、IL-331-178、及びIL-33179-270が挙げられる(Lefrancais et al.Proc.Natl.Acad.Sci.109(5):1673-1678,2012及びMartin,Semin.Immunol.25:449-457,2013)。いくつかの実施形態では、ヒトIL-33の処理形態、例えば、IL-3395-270、IL-3399-270、IL-33109-270、またはカルパイン、プロテイナーゼ3、好中球エラスターゼ、及びカテプシンGなどのプロテアーゼによって処理された他の形態は、完全長IL-33と比較して増加した生物学的活性を有し得る。本用語はまた、IL-33の天然に存在するバリアント、例えば、スプライスバリアント(例えば、エクソン3を欠く構成的に活性なスプライスバリアントspIL-33、Hong et al.J.Biol.Chem.286(22):20078-20086,2011)またはアレルバリアントを包含する。IL-33は、細胞内(例えば、核内)に、または分泌サイトカイン形態として存在しても良い。全長IL-33タンパク質は、核局在化配列(ヒトIL-33のアミノ酸1~75)を含むヘリックスターンヘリックスのDNA結合モチーフを含んでおり、これには、クロマチン結合モチーフ(ヒトIL-33のアミノ酸40~58)を含む。処理され分泌されるIL-33の形態は、これらのN-末端モチーフを欠く。例示的なヒトIL-33のアミノ酸配列は、例えば、UniProtKB受入番号O95760として見出すことができる。
本明細書で互換的に使用される「インターロイキン1受容体様1(IL1RL1)」及び「ST2」という用語は、別途指定されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及び齧歯動物(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物源からの任意の天然ST2を指す。ST2は、当該技術分野でDER4、T1、及びFIT-1とも称される。本用語は、「完全長」の、未処理ST2、成熟ST2、ならびに翻訳後修飾から生じるST2の任意の形態を包含する。ST2の少なくとも4つのアイソフォームが当該技術分野で既知であり、これらには、以下に記載するように、デュアルプロモーター系からの差次的mRNA発現から生じる可溶性(IL1RL1-aとしても知られる、sST2)及び膜貫通(IL1RL1-bとしても知られるST2L)、ならびに代替的なスプライシングから生じるST2V及びST2LVが含まれる。ST2Lのドメイン構造は、3つの細胞外免疫グロブリン様C2ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞質トル/インターロイキン-1受容体(TIR)ドメインを含む。sST2は、ST2L内に含まれる膜貫通ドメイン及び細胞質ドメインを欠き、固有の9個のアミノ酸(a.a.)C末端配列を含む(例えば、Kakkar et al.Nat.Rev.Drug Disc.7:827-840,2008を参照されたい)。sST2は、可溶性IL-33を阻害するデコイ受容体として機能し得る。この用語はまた、ST2の天然のバリアント、例えば、スプライスバリアント(例えば、3つ目の免疫グロブリンモチーフを欠き、固有の疎水性尾部を有するST2V、及びST2Lの膜貫通ドメインを欠くST2LV)またはアレルバリアント(例えば、本明細書に記載されるように、喘息の危険性に対して保護するバリアントまたは喘息の危険性を与えるバリアント)を包含する。例示的なヒトST2のアミノ酸配列は、例えば、UniProtKB受託番号Q01638として見出すことができる。ST2は、コレセプタータンパク質IL-1RAcPと共にIL-33受容体の一部である。IL-33がST2と共受容体インターロイキン-1受容体補助タンパク質(IL-1RAcP)に結合することにより、下流シグナル伝達を促進する1:1:1の三重シグナル伝達錯体が形成される(例えば、Lingel et al.Structure 17(10):1398-1410,2009、及びLiu et al.Proc.Natl.Acad.Sci.110(37):14918-14924,2013を参照されたい)。
「IL-33軸」とは、核酸(例えば、遺伝子、または遺伝子から転写されたmRNA)、またはIL-33シグナル変換に関与するポリペプチドを意味する。例えば、IL-33軸としては、リガンドIL-33、受容体(例えば、ST2及び/またはIL-1RAcP)、アダプター分子(例えば、MyD88)、または受容体分子及び/またはアダプター分子と関連するタンパク質(例えば、インターロイキン-1受容体関連キナーゼ1(IRAK1)及びインターロイキン-1受容体関連キナーゼ4(IRAK4)などのキナーゼ、またはTNF受容体関連因子6(TRAF6)などのE3ユビキチンリガーゼ)を挙げられ得る。
「IL-33軸結合アンタゴニスト」は、IL-33軸結合パートナーとその結合パートナーのうちの1つ以上との相互作用を阻害する分子を指す。本明細書で使用される場合、IL-33軸結合アンタゴニストは、IL-33結合アンタゴニスト、ST2結合アンタゴニスト、及びIL1RAcP結合アンタゴニストを含む。例示的なIL-33軸結合アンタゴニストとしては、抗IL-33抗体及びその抗原結合断片(例えば、ANB-020(AnaptysBio,Inc.)などの抗IL-33抗体、またはEP1725261、US8187596、WO2011/031600、WO2014/164959、WO2015/099175、もしくはWO2015/106080(それぞれ、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)に記載される抗体のいずれか);IL-33及び/またはその受容体(ST2及び/またはIL-1RAcP)に結合し、リガンド-受容体の相互作用を遮断するポリペプチド(例えば、ST2-Fcタンパク質、例えばWO2014/152195(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されるもの;イムノアドヘシン、ペプチボディ、及び可溶性ST2、またはそれらの誘導体);抗IL-33受容体抗体(例えば、抗ST2抗体、例えば、AMG-282(Amgen)もしくはSTLM15(Janssen)、またはWO2013/173761及びWO2013/165894(それぞれ、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)に記載される抗ST2抗体のいずれか;あるいはST2-Fcタンパク質、例えばWO2013/173761、WO2013/165894、またはWO2014/152195(それぞれ、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)に記載されるもの);ならびに小分子阻害剤などのIL-33受容体アンタゴニスト、IL-33に結合するアプタマー、及びストリンジェントな条件下でIL-33軸の核酸配列とハイブリダイズする核酸(例えば、短い干渉RNA(siRNA)またはクラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピートRNA(CRISPR-RNAもしくはcrRNA)(Mali et al.(Science.339:823-26,2013)(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されるcrRNA及びtracrRNA配列を有する一本鎖ガイドRNA(sgRNA)を含む)が挙げられる。
「抗IL-33抗体」、「IL-33に結合する抗体」、及び「IL-33に特異的に結合する抗体」という用語は、抗体が診断剤及び/または治療剤としてIL-33を標的とすることに有用となるような十分な親和性でIL-33に結合することができる抗体を指す。一実施形態では、抗IL-33抗体の無関係の非IL-33タンパク質への結合の程度は、例えば、放射免疫測定法(RIA)によって測定した場合に、この抗体のIL-33への結合の約10%未満である。ある特定の実施形態では、IL-33に結合する抗体は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM、または≦0.001nM(例えば、10-8M以下、例えば、10-8M~10-13M、例えば、10-9M~10-13M)の解離定数(KD)を有する。ある特定の実施形態では、抗IL-33抗体は、異なる種に由来するIL-33の間で保存されているIL-33のエピトープに結合する。
「ST2結合アンタゴニスト」という用語は、ST2のIL-33、IL1RAcP、及び/または第2のST2分子の相互作用を阻害する分子を指す。ST2結合アンタゴニストは、リンカー(例えば、セリン-グリシン(SG)リンカー、グリシン-グリシン(GG)リンカー、またはこれらのバリアント(例えば、SGG、GGS、SGS、またはGSGリンカー))を通して直接的にまたは間接的に互いに付着する、IL-33結合ドメイン(例えば、ST2またはIL1RAcPタンパク質の全てまたは一部)及び多量化ドメイン(例えば、免疫グロブリンのFc部分、例えば、アイソタイプlgG1、lgG2、lgG3、及びlgG4、ならびに各アイソタイプ群内の任意のアロタイプから選択されるIgGのFcドメイン)を含む「ST2-Fcタンパク質」などのタンパク質であっても良く、これには、それらの全体が参照により各々本明細書に組み込まれるWO2013/173761、WO2013/165894、及びWO2014/152195に記載されているST2-Fcタンパク質及びこれらのバリアントが含まれるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、ST2結合アンタゴニストは、抗ST2抗体、例えば、AMG-282(Amgen)もしくはSTLM15(Janssen)またはWO2013/173761及びWO2013/165894に記載される抗ST2抗体のいずれかであり得る。
「単離された核酸」は、その天然環境の成分から分離された核酸分子を指す。単離された核酸は、通常核酸分子を含有する細胞内に含有される核酸分子を含むが、その核酸分子が染色体外に、またはその天然染色体位置とは異なる染色体位置に存在する。
「制御配列」という用語は、特定の宿主生物における、操作可能に連結されたコード配列の発現に必要なDNA配列を指す。例えば、原核生物に適している制御配列は、プロモーター、任意選択でオペレーター配列、及びリボソーム結合部位を含む。真核細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、及びエンハンサーを利用することが知られている。
「宿主細胞」、「宿主細胞株」、及び「宿主細胞培養物」という用語は、同義に使用され、外因性核酸が中に導入されている細胞を指し、そのような細胞の子孫を含む。宿主細胞には、「形質転換体」及び「形質転換細胞」が含まれ、これらには、初代形質転換細胞及び継代の数に関わらずそれに由来する子孫が含まれる。子孫は、核酸含有量が親細胞と完全に同一ではない場合があるが、変異を含み得る。最初に形質転換された細胞についてスクリーニングまたは選択されたものと同じ機能または生物活性を有する変異子孫が、本明細書に含まれる。
核酸は、別の核酸配列と機能的関係に置かれるときに「作動可能に連結」される。例えば、プレ配列または分泌リーダーのためのDNAは、ポリペプチドの分泌に関与する前タンパク質として発現される場合に、ポリペプチドのためのDNAに作動可能に連結され、プロモーターまたはエンハンサーは、配列の転写に影響する場合に、コード配列に作動可能に連結され、あるいはリボソーム結合部位は、翻訳を促進するように位置付けられる場合に、コード配列に作動可能に連結される。一般に、「作動可能に連結される」は、連結されるDNA配列が連続的であり、分泌リーダーの場合には、連続的であり、かつ読み相(reading phase)にあることを意味する。しかしながら、エンハンサーは、連続的である必要はない。連結は、簡便な制限部位でのライゲーションによって達成される。そのような部位が存在しない場合には、合成オリゴヌクレオチドアダプターまたはリンカーが従来の慣例に従って使用される。
本明細書で特定されるポリペプチド配列に関する「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」は、最大の配列同一性パーセントが得られるように、配列をアライメントし、必要に応じてギャップを導入した後に、いずれの保存的置換も配列同一性の一部とはみなさずに、候補配列内のアミノ酸残基が、比較されるポリペプチド内のアミノ酸残基と同一である割合として定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを判定する目的のためのアライメントは、当該技術分野における技術の範囲内である様々な手段で、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、またはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなどの公的に利用可能なコンピュータソフトウェアを使用して、達成することができる。当業者であれば、比較されている配列の全長にわたって最大のアライメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含め、アライメントを測定するための適切なパラメータを判定することができる。しかしながら、本明細書における目的のために、アミノ酸配列同一性%値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN-2を使用して生成される。ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムは、Genentech,Inc.によって記述され、ソースコードは、ユーザ文書と共に米国著作権庁(Washington D.C.,20559)に提出されており、米国著作権番号TXU510087の下に登録されている。ALIGN-2プログラムは、Genentech,Inc.,South San Francisco,Californiaから公的に利用可能である。ALIGN-2プログラムは、UNIXオペレーティングシステム、好ましくはデジタルUNIX V4.0Dで使用する場合はコンパイルすべきである。全ての配列比較パラメータは、ALIGN-2プログラムにより設定されており、変動しない。
ALIGN-2がアミノ酸配列比較に用いられる状況において、所与のアミノ酸配列Bへの、それとの、またはそれに対する、所与のアミノ酸配列Aのアミノ酸配列同一性%(あるいは、所与のアミノ酸配列Bへの、それとの、またはそれに対するある特定のアミノ酸配列同一性%を有するか、または含む所与のアミノ酸配列Aと表現され得る)は、以下の通りに計算する:
100×分数X/Y
式中、Xは、配列整列プログラムALIGN-2によってそのプログラムのAとBとの整列において完全な一致としてスコア化されたアミノ酸残基の数であり、Yは、Bにおけるアミノ酸残基の総数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと等しくない場合、AのBに対するアミノ酸配列同一性%は、BのAに対するアミノ酸配列同一性%とは等しくないことが理解される。別途具体的に示されない限り、本明細書で使用される全てのアミノ酸配列同一性%値は、直前の段落に記載されるようにALIGN-2コンピュータプログラムを使用して得られる。
本明細書に記載されるアミノ酸配列は、別途示されない限り、連続的なアミノ酸配列である。
「ベクター」という用語は、本明細書に使用されるとき、核酸分子が結合している別の核酸分子を輸送することができる核酸分子を指すことを意図する。ベクターの一種には「プラスミド」があり、これは、さらなるDNAセグメントがライゲーションされ得る円形の二本鎖DNAループを指す。ベクターの別の種類はファージベクターである。ベクターの別の種類はウイルスベクターであり、これにおいて、さらなるDNAセグメントがウイルスゲノムへとライゲーションされる。ある特定のベクターは、それらが導入される宿主細胞における自己複製が可能である(例えば、細菌起源の複製を有する細菌ベクター及びエピソーム性哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム性哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入時に宿主細胞のゲノムに統合することができるため、宿主ゲノムと共に複製される。さらに、ある特定のベクターは、それらが動作可能に連結されている遺伝子の発現を導くことが可能である。そのようなベクターは、本明細書において「組み換え発現ベクター」(または単純に「組み換えベクター」もしくは「発現ベクター」)と称される。一般に、組み換えDNA技術における利用される発現ベクターは、プラスミドの形態である場合が多い。本明細書では、「プラスミド」及び「ベクター」は、互換的に使用され得る。
II.組成物及び方法
一態様では、本発明は、トリプターゼに結合する新規な抗体に部分的に基づく。別の態様では、本発明は、部分的には、抗トリプターゼ抗体の特定の残基(例えば、抗トリプターゼ抗体hu31A.v11のVHドメインのW100を指すHVR-H3 W100などのHVR残基)は、酸化感受性であり得るという発見に基づく。本発明は、本明細書に記載の抗体(例えば、抗トリプターゼ抗体)の酸化を低減するまたは妨げるための抗酸化剤(例えば、N-アセチルトリプトファン及び/またはメチオニン)を含む薬学的組成物を提供する。他の好適な抗酸化賦形剤は、限定することなく、フリートリプトファン、シクロデキストリン、トロロックス(6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチルクロマン-2-カルボン酸)、ピリドキシン、ポリオール(例えば、マンニトール)、及び金属キレート剤(例えば、EDTA)を含む。例えば、Ji et al.,Biotechnology 98:4485-4500,2009を参照されたい。本発明の抗体及び薬学的組成物は、障害(例えば、肺障害、自己免疫不全、炎症性障害、線維性障害、顆粒球性(好中球性または好酸球性)障害、単球性障害、リンパ球性障害、または正常もしくは異常組織常在性細胞(マスト細胞、マクロファージ、またはリンパ球など)または間質細胞(線維芽細胞、筋線維芽細胞、平滑筋細胞、上皮、または内皮など)の増加された数もしくは分布に関連する障害、またはトリプターゼ関連障害もしくはトリプターゼ媒介障害の診断及び/または治療に有用である。別の態様では、本発明は、本明細書に記載の抗体(例えば、抗トリプターゼ抗体)の酸化を低減または排除するための凍結乾燥されている薬学的組成物を提供する。
A.例示的な抗トリプターゼ抗体
本発明は、トリプターゼと結合する単離された抗体を提供する。ある特定の実施形態では、本発明の抗トリプターゼ抗体は、約100nM以下(例えば、100nM以下、10nM以下、1nM以下、100pM以下、10pM以下、1pM以下、または0.1pM以下)のKDでトリプターゼと結合する。いくつかの実施形態では、抗体は、10nM以下(例えば、10nM以下、1nM以下、100pM以下、10pM以下、1pM以下、または0.1pM以下)のKDでトリプターゼと結合する。いくつかの実施形態では、抗体は、1nM以下(例えば、1nM以下、100pM以下、10pM以下、1pM以下、または0.1pM以下)のKDでトリプターゼと結合する。いくつかの実施形態では、抗体は、0.5nM以下(例えば、0.5nM以下、400pM以下、300pM以下、200pM以下、100pM以下、50pM以下、25pM以下、10pM以下、1pM以下、または0.1pM以下)のKDでトリプターゼと結合する。いくつかの実施形態では、抗体は、約0.1nM~約0.5nM(例えば、約0.1nM、約0.2nM、約0.3nM、約0.4nM、または約0.5nM)のKDでトリプターゼと結合する。いくつかの実施形態では、抗体は、約1pM~約500pM、約1pM~約400pM、約1pM~約300pM、約1pM~約200pM、約1pM~約100pM、約1pM~約50pM、約25pM~約500pM、約25pM~約400pM、約25pM~約300pM、約25pM~約100pM、約50pM~約500pM、約50pM~約450pM、約50pM~約425pM、約50pM~約400pM、約50pM~約375pM、約50pM~約350pM、約50pM~約325pM、約50pM~約300pM、約50pM~約275pM、約50pM~約250pM、約50pM~約200pM、約50pM~約180pM、約50pM~約175pM、約50pM~約150pM、約50pM~約125pM、約50pM~約100pM、約50pM~約75pM、約100pM~約500pM、約100pM~約475pM、約100pM~約450pM、約100pM~約425pM、約100pM~約400pM、約100pM~約375pM、約100pM~約350pM、約100pM~約325pM、約100pM~約300pM、約100pM~約275pM、約100pM~約250pM、約100pM~約225pM、約100pM~約200pM、約100pM~約180pM、約100pM~約175pM、約100pM~約150pM、約100pM~約125pM、約150pM~約500pM、約150pM~約475pM、約150pM~約450pM、約150pM~約425pM、約150pM~約400pM、約150pM~約375pM、約150pM~約350pM、約150pM~約325pM、約150pM~約300pM、約150pM~約375pM、約150pM~約350pM、約150pM~約325pM、約150pM~約300pM、約150pM~約275pM、約150pM~約225pM、約150pM~約200pM、約175pM~約500pM、約175pM~約475pM、約175pM~約450pM、約175pM~約425pM、約175pM~約400pM、約175pM~約375pM、約175pM~約350pM、約175pM~約325pM、約175pM~約300pM、または約180pM~約400pMのKDでトリプターゼと結合する。いくつかの実施形態では、抗体は、約0.4nMのKDでトリプターゼと結合する。いくつかの実施形態では、抗体は、約0.2nMのKDでトリプターゼと結合する。いくつかの実施形態では、抗体は、約0.18nMのKDでトリプターゼと結合する。いくつかの実施形態では、トリプターゼは、ヒトトリプターゼ、例えば、ヒトトリプターゼベータ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1、ヒトトリプターゼベータ2、及び/またはヒトトリプターゼベータ3)である。いくつかの実施形態では、KDは、BIACORE(登録商標)SPRアッセイによって判定される。ある特定の実施形態では、トリプターゼは、ヒトトリプターゼアルファである。ある特定の実施形態では、抗体は、ヒトまたはヒト化抗体である。
別の実施例において、いくつかの実施形態では、本発明の抗トリプターゼ抗体(前述の抗トリプターゼ抗体のうちのいずれかを含む)は、トリプターゼの活性を阻害することができる。いくつかの実施形態では、本発明の抗トリプターゼ抗体は、例えば、インビトロトリプターゼ酵素アッセイにおいて判定されるように、トリプターゼのタンパク質分解活性を阻害することができる。いくつかの実施形態では、人工的基質、例えば、合成ペプチドS-2288は、インビトロトリプターゼ酵素アッセイにおいて基質として使用され得る。いくつかの実施形態では、本発明の抗トリプターゼ抗体は、例えば、基質としてS-2288を使用するインビトロトリプターゼ酵素アッセイによって判定される場合、約100nM以下(例えば、100nM以下、10nM以下、5nM以下、2.5nM以下、1nM以下、100pM以下、10pM以下、1pM以下、または0.1pM以下)の半数阻害濃度(IC50)でヒトトリプターゼの活性を阻害することができる。いくつかの実施形態では、抗体は、例えば、基質としてS-2288を使用するインビトロトリプターゼ酵素アッセイによって判定される場合、約10nM以下(例えば、10nM以下、5nM以下、2.5nM以下、1nM以下、100pM以下、10pM以下、1pM以下、または0.1pM以下)のIC50でヒトトリプターゼの活性を阻害することができる。いくつかの実施形態では、抗体は、例えば、基質としてS-2288を使用するインビトロトリプターゼ酵素アッセイによって判定される場合、約2.5nM以下(例えば、2.5nM以下、1nM以下、100pM以下、10pM以下、1pM以下、または0.1pM以下)のIC50でヒトトリプターゼの活性を阻害することができる。いくつかの実施形態では、抗体は、約0.1nM~約2nM(例えば、約0.1nM、約0.2nM、約0.3nM、約0.4nM、約0.5nM、約0.6nM、約0.7nM、約0.8nM、約0.9nM、約1.0nM、約1.1nM、約1.2nM、約1.3nM、約1.4nM、約1.5nM、約1.6nM、約1.7nM、約1.8nM、約1.9nM、または約2.0nM)のIC50でヒトトリプターゼの活性を阻害することができる。いくつかの実施形態では、抗体は、約0.5nM~約2.5nM(例えば、約0.5nM、約0.6nM、約0.7nM、約0.8nM、約0.9nM、約1.0nM、約1.1nM、約1.2nM、約1.3nM、約1.4nM、約1.5nM、約1.6nM、約1.7nM、約1.8nM、約1.9nM、約2.0nM、約2.1nM、約2.2nM、約2.3nM、約2.4nM、または約2.5nM)のIC50でヒトトリプターゼの活性を阻害することができる。いくつかの実施形態では、抗体は、約1pM~約2.5nM、約25pM~約2.5nM、約50pM~約2.5nM、約75pM~約2.5nM、約100pM~約2.5nM、約125pM~約2.5nM、約150pM~約2.5nM、約175pM~約2.5nM、約200pM~約2.5nM、約225pM~約2.5nM、約250pM~約2.5nM、約300pM~約2.5nM、約325pM~約2.5nM、約325pM~約2.5nM、約350pM~約2.5nM、約375pM~約2.5nM、約400pM~約2.5nM、約425pM~約2.5nM、約450pM~約2.5nM、約500pM~約2.5nM、約450pM~約2.5nM、約500pM~約2.5nM、約550pM~約2.5nM、約600pM~約2.5nM、約650pM~約2.5nM、約700pM~約2.5nM、約750pM~約2.5nM、約800pM~約2.5nM、約850pM~約2.5nM、約900pM~約2.5nM、約950pM~約2.5nM、約1nM~約2.5nM、約1.1nM~約2.5nM、約1.2nM~約2.5nM、約1.3nM~約2.5nM、約1.4nM~約2.5nM、約1.5nM~約2.5nM、約1.6nM~約2.5nM、約1.7nM~約2.5nM、約1.8nM~約2.5nM、約1.9nM~約2.5nM、約2.0nM~約2.5nM、約2.1nM~約2.5nM、約2.2nM~約2.5nM、約2.3nM~約2.5nM、約500pM~約1.9pM、約750pM~約1.9pM、約1nM~約1.9pM、約1.25nM~約1.9pM、約1.5nM~約1.9pM、約1nM~約1.85nM、約1.25nM~約1.85nM、約1.25nM~約1.85nM、約1.5nM~約1.85nM、約1nM~約1.8nM、約1.25nM~約1.8nM、約1.5nM~約1.8nM、または約1.6nM~約1.8nMのIC50でヒトトリプターゼの活性を阻害することができる。いくつかの実施形態では、抗体は、約1.8nMのIC50でヒトトリプターゼの活性を阻害することができる。他の実施形態では、抗体は、約0.5nM~約1nM(例えば、約0.5nM、約0.6nM、約0.7nM、約0.8nM、約0.9nM、または約1.0nM)のIC50でヒトトリプターゼの活性を阻害することができる。いくつかの実施形態では、抗体は、約1pM~約1nM、約25pM~約1nM、約50pM~約1nM、約75pM~約1nM、約100pM~約1nM、約125pM~約1nM、約150pM~約1nM、約175pM~約1nM、約200pM~約1nM、約225pM~約1nM、約250pM~約1nM、約300pM~約1nM、約325pM~約1nM、約350pM~約1nM、約375pM~約1nM、約400pM~約1nM、約425pM~約1nM、約450pM~約1nM、約500pM~約1nM、約450pM~約1nM、約500pM~約1nM、約550pM~約1nM、約600pM~約1nM、約650pM~約1nM、約700pM~約1nM、約750pM、約250pM~約800pM、約300pM~約800pM、約325pM~約800pM、約325pM~約800pM、約350pM~約800pM、約375pM~約800pM、約400pM~約800pM、約425pM~約800pM、約450pM~約800pM、約500pM~約800pM、約450pM~約800pM、約500pM~約800pM、約550pM~約800pM、約600pM~約800pM、約650pM~約800pM、約700pM~約800pM、約750pM~約800pM、約1pM~約600pM、約25pM~約600pM、約50pM~約600pM、約75pM~約600pM、約100pM~約600pM、約125pM~約600pM、約150pM~約600pM、約175pM~約600pM、約200pM~約600pM、約225pM~約600pM、約250pM~約600pM、約300pM~約600pM、約325pM~約600pM、約325pM~約600pM、約350pM~約600pM、約375pM~約600pM、約400pM~約600pM、約425pM~約600pM、約450pM~約600pM、約500pM~約600pM、約450pM~約600pM、約500pM~約600pM、または約550pM~約600pMのIC50でヒトトリプターゼの活性を阻害することができる。いくつかの実施形態では、抗体は、約0.6nMのIC50でヒトトリプターゼの活性を阻害することができる。いくつかの実施形態では、トリプターゼは、ヒトトリプターゼ、例えば、ヒトトリプターゼベータ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1、ヒトトリプターゼベータ2、及び/またはヒトトリプターゼベータ3)である。いくつかの例では、抗体の阻害活性は、本明細書に記載されるように、例えば、実施例(例えば、実施例1、具体的には節(A)(viii)(a))、または当該技術分野で既知の他のアプローチによって判定される。ある特定の実施形態では、抗体は、ヒトまたはヒト化抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、一価抗体またはその抗原結合抗体断片(例えば、Fab)としてヒトトリプターゼの活性を阻害することができる。他の実施形態では、抗体は、二価抗体(例えば、IgG抗体(例えば、IgG1またはIgG4抗体)またはF(ab’)2)としてヒトトリプターゼの活性を阻害することができる。
いくつかの例では、本明細書に記載の抗トリプターゼ抗体のうちのいずれかは、ヒト初期気道平滑筋細胞のトリプターゼ刺激収縮を阻害し得る。他の例では、本明細書に記載の抗トリプターゼ抗体のうちのいずれかは、ヒト初期気道平滑筋細胞のトリプターゼ刺激収縮を阻害し得る。さらに他の例では、本明細書に記載の抗トリプターゼ抗体のうちのいずれかは、トリプターゼもしくはIgE-刺激マスト細胞脱顆粒及び/またはヒスタミン放出を阻害し得る。さらなる例では、本明細書に記載の抗トリプターゼ抗体のうちのいずれかは、例えば、対象への投与の際に、活性トリプターゼ(例えば、気管支肺胞洗浄液または鼻吸収試料などの試料中)の量を低減し得る。例えば、本明細書に記載の抗トリプターゼ抗体のうちのいずれかは、活性トリプターゼの量を約1%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約75%、約80%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、またはそれ以上低減し得る。低減は、活性トリプターゼの参照量、例えば、抗トリプターゼ抗体の投与前の試料中の活性トリプターゼの量に関連し得る。
いくつかの例では、抗体(例えば、抗トリプターゼ抗体)は、(a)X1がAspまたはSerであり、X2がTyrまたはPheであり、X3がValまたはHisである、X1X2GMX3(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)FISSGSSTVYYADTMKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)X1がAsnまたはAspであり、X2がTyrまたはAsnであり、X3がAspまたはTyrである、RX1X2X3DWYFDV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)SASSSVTYMY(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)RTSDLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)QHYHSYPLT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、もしくは6つの超可変領域(HVR)、または上記のHVRのうちの1つ以上組み合わせ、ならびに配列番号1~6のうちのいずれかと少なくとも約80%の配列同一性(例えば、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上のバリアントを含み得る。
例えば、いくつかの実施形態では、抗体(例えば、抗トリプターゼ抗体)は、(a)DYGMV(配列番号7)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)FISSGSSTVYYADTMKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)RNYDDWYFDV(配列番号8)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)SASSSVTYMY(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)RTSDLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)QHYHSYPLT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、もしくは6つの超可変領域(HVR)、または上記のHVRのうちの1つ以上の組み合わせ、ならびに配列番号2または4~8のうちのいずれか1つと少なくとも約80%の配列同一性(例えば、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上のバリアントを含み得る。
1つの特定の実施例において、いくつかの実施形態では、抗体(例えば、抗トリプターゼ抗体)は、(a)DYGMV(配列番号7)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)FISSGSSTVYYADTMKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)RNYDDWYFDV(配列番号8)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)SASSSVTYMY(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)RTSDLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)QHYHSYPLT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含み得る。いくつかの実施形態では、抗体(例えば、抗トリプターゼ抗体)は、(a)配列番号9のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)、もしくはその配列を有するアミノ配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン、(b)配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)、もしくはその配列を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン、または(c)(a)にあるようなVHドメイン及び(b)にあるようなVLドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗体(例えば、抗トリプターゼ抗体)は、以下の重鎖フレームワーク領域(FR):(a)EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFS(配列番号11)のアミノ酸配列を含むFR-H1、(b)WVRQAPGKGLEWVA(配列番号12)のアミノ酸配列を含むFR-H2、(c)RFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCTR(配列番号13)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び(d)WGQGTLVTVSS(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H4のうちの1つ、2つ、3つ、または4つを含む。いくつかの実施形態では、抗体(例えば、抗トリプターゼ抗体)は、以下の軽鎖FR:(a)DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号15)のアミノ酸配列を含むFR-L1、(b)WYQQKPGKSPKPWIY(配列番号16)のアミノ酸配列を含むFR-L2、(c)GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYC(配列番号17)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び(d)FGQGTKVEIK(配列番号18)のアミノ酸配列を含むFR-L4のうちの1つ、2つ、3つ、または4つを含む。いくつかの実施形態では、抗体(例えば、抗トリプターゼ抗体)は、抗体hu31A.v11などの配列番号9のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号10のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
別の特定の実施例において、いくつかの実施形態では、抗体(例えば、抗トリプターゼ抗体)は、(a)DYGMV(配列番号7)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)FISSGSSTVYYADTMKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)RDNYDWYFDV(配列番号29)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)SASSSVTYMY(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)RTSDLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)QHYHSYPLT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含み得る。いくつかの実施形態では、抗体(例えば、抗トリプターゼ抗体)は、(a)配列番号19のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)、もしくはその配列を有するアミノ配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン、(b)配列番号20のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)、もしくはその配列を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン、または(c)(a)にあるようなVHドメイン及び(b)にあるようなVLドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗体(例えば、抗トリプターゼ抗体)は、以下の重鎖フレームワーク領域(FR):(a)EVKLVESGGGSVQPGGSRKLSCAASGFTFS(配列番号21)のアミノ酸配列を含むFR-H1、(b)WVRQAPGKGLEWVA(配列番号22)のアミノ酸配列を含むFR-H2、(c)RFTISRDNPKNTLFLQMSSLRSEDTAMYYCAR(配列番号23)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び(d)WGTGTTVTVSS(配列番号24)のアミノ酸配列を含むFR-H4のうちの1つ、2つ、3つ、または4つを含む。いくつかの実施形態では、抗体(例えば、抗トリプターゼ抗体)は、以下の軽鎖FR:(a)QIVLTQSPAIMSASPGEKVTISC(配列番号25)のアミノ酸配列を含むFR-L1、(b)WYQQKPGSSPKPWIY(配列番号26)のアミノ酸配列を含むFR-L2、(c)GVPARFSGSGSGTSYSLTISSMEAEDAATYYC(配列番号27)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び(d)FGAGTKLELK(配列番号28)のアミノ酸配列を含むFR-L4のうちの1つ、2つ、3つ、または4つを含む。いくつかの実施形態では、抗体(例えば、抗トリプターゼ抗体)は、抗体31aなどの配列番号19のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号20のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
いくつかの例では、抗体(例えば、抗トリプターゼ抗体)は、(a)配列番号9、101、102、103、及び104のうちのいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)、もしくはその配列を有するアミノ配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン、(b)配列番号10、105、及び106のうちのいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)、もしくはその配列を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン、または(c)(a)にあるようなVHドメイン及び(b)にあるようなVLドメインを含む。例えば、いくつかの例では、抗体は、配列番号98のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号102のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。他の例では、抗体は、配列番号98のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号10のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。他の例では、抗体は、配列番号98のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号103のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。他の例では、抗体は、配列番号99のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号102のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。他の例では、抗体は、配列番号99のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号10のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。他の例では、抗体は、配列番号99のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号103のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。他の例では、抗体は、配列番号100のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号102のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。他の例では、抗体は、配列番号100のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号10のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。他の例では、抗体は、配列番号100のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号103のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。他の例では、抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号102のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。他の例では、抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号10のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。他の例では、抗体は、配列番号9のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号103のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。他の例では、抗体は、配列番号101のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号102のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。他の例では、抗体は、配列番号101のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号10のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。他の例では、抗体は、配列番号101のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号103のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
いくつかの例では、前述の抗体のうちのいずれかは、配列番号71のHis51、Val80、Lys81、及びAsp82からなる群から選択される少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、または少なくとも4個全ての残基を含むヒトトリプターゼベータ1上のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号71のHis51、Val80、Lys81、及びAsp82からなる群から選択される少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、または4個全ての残基を含むヒトトリプターゼベータ1上のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号71のHis51と、Val80、Lys81、及びAsp82からなる群から選択される少なくとも1個、少なくとも2個、または3個全ての残基とを含むヒトトリプターゼベータ1上のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、ヒトトリプターゼベータ1上のエピトープは、配列番号71のGln67、Leu83、Ala84、Ala85、Arg87、Pro103、Val104、Ser105、Arg106、Glu128、Glu129、及びPro130からなる群から選択される1個以上のアミノ酸残基をさらに含む。いくつかの実施形態では、ヒトトリプターゼベータ1上のエピトープは、配列番号71のGln67、Leu83、Ala84、Ala85、Arg87、Pro103、Val104、Ser105、Arg106、Glu128、Glu129、及びPro130からなる群から選択される少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、または12個全てのアミノ酸残基を含む。いくつかの実施形態では、ヒトトリプターゼベータ1上のエピトープは、配列番号71のHis51、Gln67、Val80、Lys81、Asp82、Leu83、Ala84、Ala85、Arg87、Pro103、Val104、Ser105、Arg106、Glu128、Glu129、及びPro130を含む。いくつかの実施形態では、エピトープは、ヒトトリプターゼベータ1単量体または四量体に関連する。いくつかの実施形態では、エピトープは、X線結晶解析モデルによって判定される。いくつかの実施形態では、抗体は、四量体のヒトトリプターゼベータ1の小界面及び四量体のヒトトリプターゼベータ1の大界面の両方を解離することができる。
いくつかの例では、前述の抗トリプターゼ抗体のうちのいずれかは、軽鎖可変領域アミノ酸残基Val30、Thr31、Tyr32、Tyr34、Arg50、Tyr90、His92、Ser93、及びTyr94、ならびに重鎖可変領域アミノ酸残基Phe50、Ser52、Gly53、Ser54、Ser55、Thr56、Tyr58、Arg95、Tyr97、及びAsp98からなる群から選択される1個以上のアミノ酸残基(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、または19個のアミノ酸残基)を含むトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)と結合するパラトープを含む。
例えば、いくつかの例では、抗トリプターゼ抗体は、軽鎖可変領域アミノ酸残基Val30、Thr31、Tyr32、Tyr34、Arg50、Tyr90、His92、Ser93、及びTyr94または重鎖可変領域アミノ酸残基Phe50、Ser52、Gly53、Ser54、Ser55、Thr56、Tyr58、Arg95、Tyr97、及びAsp98を含むトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)と結合するパラトープを含む。いくつかの例では、抗トリプターゼ抗体は、軽鎖可変領域アミノ酸残基Val30、Thr31、Tyr32、Tyr34、Arg50、Tyr90、His92、Ser93、及びTyr94、ならびに重鎖可変領域アミノ酸残基Phe50、Ser52、Gly53、Ser54、Ser55、Thr56、Tyr58、Arg95、Tyr97、及びAsp98を含むトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)と結合するパラトープを含む。
いくつかの例では、抗体(例えば、抗トリプターゼ抗体)は、(a)GYAIT(配列番号30)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)GISSAATTFYSSWAKS(配列番号31)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)DPRGYGAALDRLDL(配列番号32)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)QSIKSVYNNRLG(配列番号33)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)ETSILTS(配列番号34)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)AGGFDRSGDTT(配列番号35)のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、もしくは6つの超可変領域(HVR)、または上記のHVRのうちの1つ以上の組み合わせ、ならびに配列番号30~35のうちのいずれか1つと少なくとも約80%の配列同一性(例えば、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上のバリアントを含み得る。
いくつかの例では、抗体(例えば、抗トリプターゼ抗体)は、(a)配列番号36、47、48、49、50、51、及び52のうちのいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)、もしくはその配列を有するアミノ配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン、(b)配列番号37、53、58、または59のうちのいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)、もしくはその配列を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン、または(c)(a)にあるようなVHドメイン及び(b)にあるようなVLドメインを含む。
いくつかの例では、前述の抗体(例えば、抗トリプターゼ抗体)のうちのいずれかは、以下の重鎖フレームワーク領域(FR):(a)EVQLVESGPGLVKPSETLSLTCTVSRFSLI(配列番号38)のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)、もしくはその配列を有するアミノ配列を含むFR-H1、(b)X1がIleまたはValである、WX1RQPPGKGLEWIG(配列番号39)のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)、もしくはその配列を有するアミノ配列を含むFR-H2、(c)X1がValまたはSerであり、X2がArgまたはValであり、X3がValまたはPheであり、X4がTyrまたはPheである、RX1TISX2DTSKNQX3SLKLSSVTAADTAVYX4CAR(配列番号40)のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)、もしくはその配列を有するアミノ配列を含むFR-H3、及び(d)WGQGTLVTVSS(配列番号41)のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)、もしくはその配列を有するアミノ配列を含むFR-H4のうちの1つ、2つ、3つ、または4つを含み得る。
例えば、いくつかの例では、前述の抗体(例えば、抗トリプターゼ抗体)のうちのいずれかは、以下の重鎖FR:(a)EVQLVESGPGLVKPSETLSLTCTVSRFSLI(配列番号38)のアミノ酸配列を含むFR-H1、(b)WIRQPPGKGLEWIG(配列番号42)のアミノ酸配列を含むFR-H2、(c)RVTISRDTSKNQVSLKLSSVTAADTAVYYCAR(配列番号43)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び(d)WGQGTLVTVSS(配列番号41)のアミノ酸配列を含むFR-H4のうちの1つ、2つ、3つ、または4つを含み得る。
別の実施例では、いくつかの例では、前述の抗体(例えば、抗トリプターゼ抗体)のうちのいずれかは、以下の重鎖FR:(a)EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSRFSLI(配列番号44)のアミノ酸配列を含むFR-H1、(b)WVRQAPGKGLEWIG(配列番号45)のアミノ酸配列を含むFR-H2、(c)RSTISRDTSKNTVYLQMNSLRAEDTAVYFCAR(配列番号46)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び(d)WGQGTLVTVSS(配列番号41)のアミノ酸配列を含むFR-H4のうちの1つ、2つ、3つ、または4つを含み得る。
別の実施例では、いくつかの例では、前述の抗体(例えば、抗トリプターゼ抗体)のうちのいずれかは、以下の重鎖FR:(a)EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAVSRFSLI(配列番号44)のアミノ酸配列を含むFR-H1、(b)WVRQAPGKGLEWIG(配列番号45)のアミノ酸配列を含むFR-H2、(c)RSTISRDTSKNTVYLQMNSLRAEDTAVYFCAR(配列番号46)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び(d)WGQGTLVTVSS(配列番号41)のアミノ酸配列を含むFR-H4のうちの1つ、2つ、3つ、または4つを含み得る。
いくつかの例では、前述の抗体(例えば、抗トリプターゼ抗体)のうちのいずれかは、以下の軽鎖FR:(a)X1がIleまたはAlaであり、X2がMetまたはLeuである、DX1QX2TQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号60)のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)、もしくはその配列を有するアミノ配列を含むFR-L1、(b)X1がAlaまたはProである、WYQQKPGKX1PKLLIY(配列番号61)のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)、もしくはその配列を有するアミノ配列を含むFR-L2、(c)X1がGlyまたはGluであり、X2がTyrまたはPheである、VPSRFSGSGSX1TDFTLTISSLQPEDFATYX2C(配列番号62)のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)、もしくはその配列を有するアミノ配列を含むFR-L3、及び(d)FGQGTKVEIK(配列番号63)のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)、もしくはその配列を有するアミノ配列を含むFR-L4のうちの1つ、2つ、3つ、または4つを含み得る。
例えば、特定の例では、前述の抗体(例えば、抗トリプターゼ抗体)のうちのいずれかは、以下の軽鎖FR:(a)DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号64)のアミノ酸配列を含むFR-L1、(b)WYQQKPGKAPKLLIY(配列番号65)のアミノ酸配列を含むFR-L2、(c)GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYC(配列番号66)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び(d)FGQGTKVEIK(配列番号63)のアミノ酸配列を含むFR-L4のうちの1つ、2つ、3つ、または4つを含み得る。
いくつかの実施形態では、前述の抗体(例えば、抗トリプターゼ抗体)のうちのいずれかは、以下の軽鎖FR:(a)AAVLTQTPASVSAAVGGTVSISC(配列番号67)のアミノ酸配列を含むFR-L1、(b)WYQQKPGQPPKLLIY(配列番号68)のアミノ酸配列を含むFR-L2、(c)X1がCysまたはAlaである、GVPSRFKGSGSETQFTLTISDVQX1DDAATYFC(配列番号69)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び(d)FGQGTKVEIK FGGGTEVVVK(配列番号70)のアミノ酸配列を含むFR-L4のうちの1つ、2つ、3つ、または4つを含み得る。
いくつかの例では、抗体(例えば、抗トリプターゼ抗体)は、(a)配列番号36、47、48、49、50、51、及び52のうちのいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)、もしくはその配列を有するアミノ配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン、(b)配列番号37、53、58、または59のうちのいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)、もしくはその配列を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン、または(c)(a)にあるようなVHドメイン及び(b)にあるようなVLドメインを含む。例えば、いくつかの例では、抗体は、配列番号36のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号37のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。いくつかの例では、抗体は、配列番号47のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号37のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。いくつかの例では、抗体は、配列番号48のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号37のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。いくつかの例では、抗体は、配列番号49のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号37のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。いくつかの例では、抗体は、配列番号50のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号37のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。いくつかの例では、抗体は、配列番号50のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号37のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。いくつかの例では、抗体は、配列番号51のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号37のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。いくつかの例では、抗体は、配列番号52のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号37のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。いくつかの例では、抗体は、配列番号36のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号53のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。いくつかの例で、抗体は、配列番号47のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号53のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。いくつかの例で、抗体は、配列番号48のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号53のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。いくつかの例で、抗体は、配列番号49のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号53のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。いくつかの例で、抗体は、配列番号50のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号53のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。いくつかの例で、抗体は、配列番号51のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号53のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。いくつかの例で、抗体は、配列番号52のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号53のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。いくつかの例で、抗体は、配列番号36のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号58のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。いくつかの例で、抗体は、配列番号47のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号58のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。いくつかの例で、抗体は、配列番号48のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号58のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。いくつかの例で、抗体は、配列番号49のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号58のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。いくつかの例で、抗体は、配列番号50のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号58のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。いくつかの例で、抗体は、配列番号51のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号58のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。いくつかの例で、抗体は、配列番号36のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号59のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。いくつかの例で、抗体は、配列番号47のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号59のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。いくつかの例で、抗体は、配列番号48のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号59のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。いくつかの例で、抗体は、配列番号49のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号59のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。いくつかの例で、抗体は、配列番号50のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号59のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。いくつかの例で、抗体は、配列番号51のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号59のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
別の特定の実施例において、いくつかの実施形態では、抗トリプターゼ抗体は、(a)GYAIT(配列番号30)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)GISSAATTFYSSWAKS(配列番号31)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)DPRGYGAALDRLDL(配列番号32)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)QSIKSVYNNRLG(配列番号33)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)ETSILTS(配列番号34)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)AGGFDRSGDTT(配列番号35)のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含み得る。いくつかの実施形態では、抗トリプターゼ抗体は、(a)配列番号36のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)、もしくはその配列を有するアミノ配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン、(b)配列番号37のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)、もしくはその配列を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン、または(c)(a)にあるようなVHドメイン及び(b)にあるようなVLドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗トリプターゼ抗体は、以下の重鎖フレームワーク領域(FR):(a)EVQLVESGPGLVKPSETLSLTCTVSRFSLI(配列番号38)のアミノ酸配列を含むFR-H1、(b)WIRQPPGKGLEWIG(配列番号42)のアミノ酸配列を含むFR-H2、(c)RVTISRDTSKNQVSLKLSSVTAADTAVYYCAR(配列番号43)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び(d)WGQGTLVTVSS(配列番号41)のアミノ酸配列を含むFR-H4のうちの1つ、2つ、3つ、または4つを含む。いくつかの実施形態では、抗トリプターゼ抗体は、以下の軽鎖FR:(a)DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号64)のアミノ酸配列を含むFR-L1、(b)WYQQKPGKAPKLLIY(配列番号65)のアミノ酸配列を含むFR-L2、(c)GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYC(配列番号66)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び(d)FGQGTKVEIK(配列番号63)のアミノ酸配列を含むFR-L4のうちの1つ、2つ、3つ、または4つを含む。いくつかの実施形態では、抗トリプターゼ抗体は、抗トリプターゼ抗体huE104.v2などの配列番号36のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号37のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
別の特定の実施例において、いくつかの実施形態では、抗体(例えば、抗トリプターゼ抗体)は、(a)GYAIT(配列番号30)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)GISSAATTFYSSWAKS(配列番号31)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)DPRGYGAALDRLDL(配列番号32)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)QSIKSVYNNRLG(配列番号33)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)ETSILTS(配列番号34)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)AGGFDRSGDTT(配列番号35)のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含み得る。いくつかの実施形態では、抗体(例えば、抗トリプターゼ抗体)は、(a)配列番号52のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)、もしくはその配列を有するアミノ配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン、(b)配列番号53のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)、もしくはその配列を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン、または(c)(a)にあるようなVHドメイン及び(b)にあるようなVLドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗体(例えば、抗トリプターゼ抗体)は、以下の重鎖フレームワーク領域(FR):(a)QXSLEESGGGLFKPTDTLTLTCTVSRFSLI(配列番号54)のアミノ酸配列を含むFR-H1、(b)WVRQSPENGLEWIG(配列番号55)のアミノ酸配列を含むFR-H2、(c)RSTITRNTNENTVTLKMTSLTAADTATYFCAR(配列番号56)のアミノ酸配列を含むFR-H3、及び(d)WGQGTLVTVSS(配列番号57)のアミノ酸配列を含むFR-H4のうちの1つ、2つ、3つ、または4つを含む。いくつかの実施形態では、抗体(例えば、抗トリプターゼ抗体)は、以下の軽鎖FR:(a)AAVLTQTPASVSAAVGGTVSISC(配列番号67)のアミノ酸配列を含むFR-L1、(b)WYQQKPGQPPKLLIY(配列番号68)のアミノ酸配列を含むFR-L2、(c)X1がCysまたはAlaであるGVPSRFKGSGSETQFTLTISDVQX1DDAATYFC(配列番号69)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及び(d)FGQGTKVEIKFGGGTEVVVK(配列番号70)のアミノ酸配列を含むFR-L4のうちの1つ、2つ、3つ、または4つを含む。いくつかの実施形態では、抗体(例えば、抗トリプターゼ抗体)は、抗体E104などの、配列番号52のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号53のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗体(例えば、抗トリプターゼ抗体)は、配列番号52のアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び配列番号59のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
いくつかの例では、本発明は、(a)配列番号76のアミノ酸配列のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)、もしくはその配列を有するアミノ配列を含む重鎖、及び/または(b)配列番号77のアミノ酸配列のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)、もしくはその配列を有するアミノ配列を含む軽鎖を含む抗体を提供する。いくつかの例では、抗体は、配列番号76のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、重鎖は、C末端でリジン(K)残基をさらに含む。
いくつかの例では、本発明は、(a)配列番号78のアミノ酸配列のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)、もしくはその配列を有するアミノ配列を含む重鎖、及び/または(b)配列番号79のアミノ酸配列のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)、もしくはその配列を有するアミノ配列を含む軽鎖を含む抗体を提供する。いくつかの例では、抗体は、配列番号78のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号79のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、重鎖は、C末端でリジン(K)残基をさらに含む。
いくつかの例では、本発明は、(a)配列番号80のアミノ酸配列のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)、もしくはその配列を有するアミノ配列を含む重鎖、及び/または(b)配列番号81のアミノ酸配列のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)、もしくはその配列を有するアミノ配列を含む軽鎖を含む抗体を提供する。いくつかの例では、抗体は、配列番号80のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号81のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、重鎖は、C末端でリジン(K)残基をさらに含む。
いくつかの例では、本発明は、(a)配列番号82のアミノ酸配列のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)、もしくはその配列を有するアミノ配列を含む重鎖、及び/または(b)配列番号83のアミノ酸配列のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)、もしくはその配列を有するアミノ配列を含む軽鎖を含む抗体を提供する。いくつかの例では、抗体は、配列番号82のアミノ酸配列を含む重鎖、及び配列番号83のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、重鎖は、C末端でリジン(K)残基をさらに含む。
いくつかの例では、前述の抗体のうちのいずれかは、配列番号71のGln100、Leu101、及びLeu102からなる群から選択される少なくとも1個、少なくとも2個、または3個全ての残基を含むヒトトリプターゼベータ1上のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、ヒトトリプターゼベータ1上のエピトープは、配列番号71のTrp55、Gln67、Asp82、Leu83、Ala84、Arg87、Pro103、Val104、Ser105、Arg106、Glu126、Leu127、Glu128、及びGlu129からなる群から選択される1個以上のアミノ酸残基をさらに含む。いくつかの実施形態では、ヒトトリプターゼベータ1上のエピトープは、配列番号71のTrp55、Gln67、Asp82、Leu83、Ala84、Arg87、Pro103、Val104、Ser105、Arg106、Glu126、Leu127、Glu128、及びGlu129からなる群から選択される少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、または14個全てのアミノ酸残基を含む。いくつかの実施形態では、エピトープは、配列番号71のGln35、Trp55、Gln67、Asp82、Leu83、Ala84、Arg87、Gln100、Leu101、Leu102、Pro103、Val104、Ser105、Arg106、Glu126、Leu127、Glu128、Glu129、及びArg216を含む。いくつかの実施形態では、エピトープは、ヒトトリプターゼベータ1単量体または四量体に関連する。いくつかの実施形態では、エピトープは、ヒトトリプターゼベータ1四量体に関連し、ヒトトリプターゼベータ1上のエピトープは、配列番号71のGln35及びArg216のうちの1つまたは両方をさらに含む。いくつかの実施形態では、エピトープは、X線結晶解析モデルによって判定される。いくつかの実施形態では、抗体は、ヒトトリプターゼベータ1の小界面及び/または大界面を解離することができる。
いくつかの例では、前述の抗トリプターゼ抗体のうちのいずれかは、軽鎖可変領域アミノ酸残基Tyr29、Asn30、Arg32、及びArg94、ならびに重鎖可変領域アミノ酸残基Gly31、Tyr32、Ser52、Ser53、Ala54、Thr56、Phe58、Pro96、Arg97、Gly98、Tyr99、及びArg100eからなる群から選択される1個以上のアミノ酸残基(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、または16個、19個のアミノ酸残基)を含むトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)と結合するパラトープを含む。
例えば、いくつかの例では、抗トリプターゼ抗体は、軽鎖可変領域アミノ酸残基Tyr29、Asn30、Arg32、及びArg94または重鎖可変領域アミノ酸残基Gly31、Tyr32、Ser52、Ser53、Ala54、Thr56、Phe58、Pro96、Arg97、Gly98、Tyr99、及びArg100eを含むトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)と結合するパラトープを含む。いくつかの例では、抗トリプターゼ抗体は、軽鎖可変領域アミノ酸残基Tyr29、Asn30、Arg32、及びArg94、ならびに重鎖可変領域アミノ酸残基Gly31、Tyr32、Ser52、Ser53、Ala54、Thr56、Phe58、Pro96、Arg97、Gly98、Tyr99、及びArg100eを含むトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)と結合するパラトープを含む。
いくつかの例では、前述の抗トリプターゼ抗体のうちのいずれかは、ヒトトリプターゼと結合する。いくつかの例では、前述の抗体のうちのいずれかは、カニクイザル(cyno)トリプターゼと結合する。いくつかの例では、抗体は、ヒトトリプターゼアルファまたはヒトトリプターゼベータと結合する。いくつかの例では、抗体は、ヒトトリプターゼベータ1、ヒトトリプターゼベータ2、またはヒトトリプターゼベータ3と結合する。
別の態様では、本発明は、配列番号71のアミノ酸配列を参照し得る、His51、Val80、Lys81、Asp82、Leu83、Ala84、及びAla85からなる群から選択される1個以上のアミノ酸残基(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、または7個のアミノ酸残基)、または任意のトリプターゼタンパク質の対応するアミノ酸を含むトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)上のエピトープに結合する抗トリプターゼ抗体を提供する。例えば、いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号71のHis51、Val80、Lys81、及びAsp82からなる群から選択される少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、または少なくとも4個全ての残基、または任意のトリプターゼタンパク質の対応するアミノ酸を含むトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)上のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号71のHis51と、Val80、Lys81、及びAsp82からなる群から選択される少なくとも1個、少なくとも2個、もしくは3個全ての残基と、または任意のトリプターゼタンパク質の対応するアミノ酸を含むトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)上のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、トリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)上のエピトープは、配列番号71のGln67、Leu83、Ala84、Ala85、Arg87、Pro103、Val104、Ser105、Arg106、Glu128、Glu129、及びPro130からなる群から選択される1個以上のアミノ酸残基、または任意のトリプターゼタンパク質の対応するアミノ酸をさらに含む。いくつかの実施形態では、トリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)上のエピトープは、配列番号71のGln67、Leu83、Ala84、Ala85、Arg87、Pro103、Val104、Ser105、Arg106、Glu128、Glu129、及びPro130からなる群から選択される少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、もしくは12個全てのアミノ酸残基、または任意のトリプターゼタンパク質の対応するアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、トリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)上のエピトープは、配列番号71のHis51、Gln67、Val80、Lys81、Asp82、Leu83、Ala84、Ala85、Arg87、Pro103、Val104、Ser105、Arg106、Glu128、Glu129、及びPro130、または任意のトリプターゼタンパク質の対応するアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、エピトープは、トリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)単量体または四量体に関連する。いくつかの実施形態では、エピトープは、X線結晶解析モデルによって判定される。いくつかの実施形態では、抗体は、四量体のトリプターゼの小界面及び四量体のトリプターゼトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)の大界面の両方を解離することができる。
さらに別の態様では、本発明は、配列番号71のアミノ酸配列を参照し得る、Gln100、Leu101、Leu102、Pro103、Val104、Ser105、及びArg106からなる群から選択される1個以上のアミノ酸残基(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、または7個のアミノ酸残基)、または任意のトリプターゼタンパク質の対応するアミノ酸を含むトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)のエピトープに結合する抗トリプターゼ抗体を提供する。いくつかの実施形態では、トリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)上のエピトープは、配列番号71のTrp55、Gln67、Asp82、Leu83、Ala84、Arg87、Pro103、Val104、Ser105、Arg106、Glu126、Leu127、Glu128、及びGlu129からなる群から選択される1個以上のアミノ酸残基、または任意のトリプターゼタンパク質の対応するアミノ酸をさらに含む。いくつかの実施形態では、トリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)上のエピトープは、配列番号71のTrp55、Gln67、Asp82、Leu83、Ala84、Arg87、Pro103、Val104、Ser105、Arg106、Glu126、Leu127、Glu128、及びGlu129からなる群から選択される少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、または14個全てのアミノ酸残基、または任意のトリプターゼタンパク質の対応するアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、エピトープは、配列番号71のGln35、Trp55、Gln67、Asp82、Leu83、Ala84、Arg87、Gln100、Leu101、Leu102、Pro103、Val104、Ser105、Arg106、Glu126、Leu127、Glu128、Glu129、及びArg216、または任意のトリプターゼタンパク質の対応するアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、エピトープは、トリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)単量体または四量体に関連する。いくつかの実施形態では、エピトープは、四量体に関連し、トリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)上のエピトープは、配列番号71のGln35及びArg216のうちの1つもしくは両方、または任意のトリプターゼタンパク質の対応するアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、エピトープは、X線結晶解析モデルによって判定される。いくつかの実施形態では、抗体は、トリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)の小界面及び/または大界面を解離することができる。
いくつかの実施形態では、前述の抗体のうちのいずれかは、配列番号71のアミノ酸配列を参照し得る、Gln67、Asp82、Leu83、Ala84、Arg87、Pro103、Val104、Ser105、Arg106、Glu128、及びGlu129からなる群から選択される1個以上のアミノ酸残基(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、または11個のアミノ酸残基)、または任意のトリプターゼタンパク質の対応するアミノ酸を含むトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)上のエピトープに結合する。
例えば、いくつかの例では、前述の抗体のうちのいずれかは、配列番号71のGln67または任意のトリプターゼタンパク質の対応するアミノ酸を含むトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)上のエピトープに結合する。いくつかの例では、抗体は、配列番号71のAsp82または任意のトリプターゼタンパク質の対応するアミノ酸を含むトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)上のエピトープに結合する。いくつかの例では、抗体は、配列番号71のLeu83または任意のトリプターゼタンパク質の対応するアミノ酸を含むトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)上のエピトープに結合する。いくつかの例では、抗体は、配列番号71のAla84または任意のトリプターゼタンパク質の対応するアミノ酸を含むトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)上のエピトープに結合する。いくつかの例では、抗体は、配列番号71のArg87または任意のトリプターゼタンパク質の対応するアミノ酸を含むトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)上のエピトープに結合する。いくつかの例では、抗体は、配列番号71のPro103または任意のトリプターゼタンパク質の対応するアミノ酸を含むトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)上のエピトープに結合する。いくつかの例では、抗体は、配列番号71のVal104または任意のトリプターゼタンパク質の対応するアミノ酸を含むトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)上のエピトープに結合する。いくつかの例では、抗体は、配列番号71のSer105または任意のトリプターゼタンパク質の対応するアミノ酸を含むトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)上のエピトープに結合する。いくつかの例では、抗体は、配列番号71のArg106または任意のトリプターゼタンパク質の対応するアミノ酸を含むトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)上のエピトープに結合する。いくつかの例では、抗体は、配列番号71のGlu128または任意のトリプターゼタンパク質の対応するアミノ酸を含むトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)上のエピトープに結合する。いくつかの例では、抗体は、配列番号71のGlu129または任意のトリプターゼタンパク質の対応するアミノ酸を含むトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)上のエピトープに結合する。
いくつかの実施形態では、前述の抗体のうちのいずれかは、配列番号71のアミノ酸配列を参照し得る、Gln67、Asp82、Leu83、Ala84、Arg87、Pro103、Val104、Ser105、Arg106、Glu128、及びGlu129からなる群から選択される2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、または11個全てのアミノ酸残基、または任意のトリプターゼタンパク質の対応するアミノ酸を含むトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)上のエピトープに結合する。
いくつかの例では、前述の抗体のうちのいずれかは、配列番号71のアミノ酸配列を参照し得る、His51、Val80、Lys81、Ala85、及びPro130からなる群から選択される1つ以上のさらなるアミノ酸残基(例えば、1個、2個、3個、4個、または5個のさらなるアミノ酸残基)、または任意のトリプターゼタンパク質の対応するアミノ酸をさらに含むトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)上のエピトープに結合する。例えば、いくつかの例では、抗体は、配列番号71のHis51または任意のトリプターゼタンパク質の対応するアミノ酸をさらに含むトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)上のエピトープに結合する。いくつかの例では、抗体は、配列番号71のVal80または任意のトリプターゼタンパク質の対応するアミノ酸をさらに含むトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)上のエピトープに結合する。いくつかの実施形態では、抗トリプターゼ抗体は、配列番号71のLys81または任意のトリプターゼタンパク質の対応するアミノ酸をさらに含むトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)上のエピトープに結合する。いくつかの例では、抗体は、配列番号71のAla85または任意のトリプターゼタンパク質の対応するアミノ酸をさらに含むトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)上のエピトープに結合する。いくつかの例では、抗体は、配列番号71のPro130または任意のトリプターゼタンパク質の対応するアミノ酸をさらに含むトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)上のエピトープに結合する。
いくつかの例では、抗体は、配列番号71のアミノ酸配列を参照し得る、His51、Val80、Lys81、Ala85、及びPro130からなる群から選択される2個以上、3個以上、4個以上、または5個以上のさらなるアミノ酸残基、または任意のトリプターゼタンパク質の対応するアミノ酸をさらに含むトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)上のエピトープに結合する。
いくつかの例では、抗トリプターゼ抗体は、配列番号71のアミノ酸配列を参照し得る、配列番号71のHis51、Gln67、Val80、Lys81、Asp82、Leu83、Ala84、Ala85、Arg87、Pro103、Val104、Ser105、Arg106、Glu128、Glu129、及びPro130、または任意のトリプターゼタンパク質の対応するアミノ酸を含むトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)上のエピトープに結合する。いくつかの例では、抗トリプターゼ抗体は、配列番号71のHis51、Gln67、Val80、Lys81、Asp82、Leu83、Ala84、Ala85、Arg87、Pro103、Val104、Ser105、Arg106、Glu128、Glu129、及びPro130からなるトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)上のエピトープに結合する。
他の例では、前述の抗トリプターゼ抗体のうちのいずれかは、配列番号71のアミノ酸配列を参照し得る、Gln35、Trp55、Gln100、Leu101、Leu102、Glu126、Leu127、及びArg216からなる群から選択される1個以上(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、または8個)のさらなるアミノ酸残基、または任意のトリプターゼタンパク質の対応するアミノ酸をさらに含むトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)上のエピトープに結合する。例えば、いくつかの例では、抗体は、配列番号71のGln35または任意のトリプターゼタンパク質の対応するアミノ酸をさらに含むトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)上のエピトープに結合する。いくつかの例では、抗体は、配列番号71のTrp55または任意のトリプターゼタンパク質の対応するアミノ酸をさらに含むトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)上のエピトープに結合する。いくつかの例では、抗体は、配列番号71のGln100または任意のトリプターゼタンパク質の対応するアミノ酸をさらに含むトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)上のエピトープに結合する。いくつかの例では、抗体は、配列番号71のLeu101または任意のトリプターゼタンパク質の対応するアミノ酸をさらに含むトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)上のエピトープに結合する。いくつかの例では、抗体は、配列番号71のLeu102または任意のトリプターゼタンパク質の対応するアミノ酸をさらに含むトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)上のエピトープに結合する。いくつかの例では、抗体は、配列番号71のGlu126または任意のトリプターゼタンパク質の対応するアミノ酸をさらに含むトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)上のエピトープに結合する。いくつかの例では、抗体は、配列番号71のLeu127または任意のトリプターゼタンパク質の対応するアミノ酸をさらに含むトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)上のエピトープに結合する。いくつかの例では、抗体は、配列番号71のArg216または任意のトリプターゼタンパク質の対応するアミノ酸をさらに含むトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)上のエピトープに結合する。いくつかの例では、抗体は、配列番号71のアミノ酸配列を参照し得る、Gln35、Trp55、Gln100、Leu101、Leu102、Glu126、Leu127、及びArg216からなる群から選択される2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、または8個以上のさらなるアミノ酸残基、または任意のトリプターゼタンパク質の対応するアミノ酸をさらに含むトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)上のエピトープに結合する。
いくつかの例では、抗トリプターゼ抗体は、配列番号71のアミノ酸配列を参照し得る、Gln35、Trp55、Gln67、Asp82、Leu83、Ala84、Arg87、Gln100、Leu101、Leu102、Pro103、Val104、Ser105、Arg106、Glu126、Leu127、Glu128、Glu129、及びArg216、または任意のトリプターゼタンパク質の対応するアミノ酸を含むトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)上のエピトープに結合する。いくつかの例では、抗トリプターゼ抗体は、配列番号71のGln35、Trp55、Gln67、Asp82、Leu83、Ala84、Arg87、Gln100、Leu101、Leu102、Pro103、Val104、Ser105、Arg106、Glu126、Leu127、Glu128、Glu129、及びArg216からなるトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)上のエピトープに結合する。
別の態様では、本発明、前述の抗体のうちのいずれかとトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼベータ1)との結合について競合する抗体を提供する。
別の態様では、本発明は、前述の抗体のうちのいずれかと同じエピトープまたは重複エピトープに結合する抗体を提供する。
いくつかの実施形態では、前述の抗体のうちのいずれかは、四量体の構造(マスト細胞分泌顆粒中に存在するか、またはそこから放出される成熟トリプターゼなど)を有するトリプターゼを分裂し、小分子量種、例えば、単量体、二量体、及び/または三量体を形成する能力を有し得る。
さらなる態様では、上記の実施形態のいずれかによる抗体は、以下の節1~7に記載される特徴のうちのいずれかを、単独または組み合わせで組み込み得る。
1.抗体親和性
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される抗体は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM、≦1pM、または≦0.1pM(例えば、10-6M以下、例えば、10-6M~10-9M以下、例えば、10-9M~10-13M以下)の解離定数(KD)を有する。いくつかの実施形態では、本発明の抗トリプターゼ抗体は、約100nM以下(例えば、100nM以下、10nM以下、1nM以下、100pM以下、10pM以下、1pM以下、または0.1pM以下)のKDでトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼ、例えば、ヒトトリプターゼベータ)に結合する。いくつかの実施形態では、抗体は、10nM以下(例えば、10nM以下、1nM以下、100pM以下、10pM以下、1pM以下、または0.1pM以下)のKDでトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼ、例えば、ヒトトリプターゼベータ)と結合する。いくつかの実施形態では、抗体は、1nM以下(例えば、1nM以下、100pM以下、10pM以下、1pM以下、または0.1pM以下)のKDでトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼ、例えば、ヒトトリプターゼベータ)と結合する。いくつかの実施形態では、上記または本明細書に記載の抗トリプターゼ抗体のうちのいずれかは、約0.5nM以下(例えば、0.5nM以下、400pM以下、300pM以下、200pM以下、100pM以下、50pM以下、25pM以下、10pM以下、1pM以下、または0.1pM以下)のKDでトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼ、例えば、ヒトトリプターゼベータ)と結合する。いくつかの実施形態では、抗体は、約0.1nM~約0.5nM(例えば、約0.1nM、約0.2nM、約0.3nM、約0.4nM、または約0.5nM)のKDでトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼ、例えば、ヒトトリプターゼベータ)と結合する。いくつかの実施形態では、抗体は、約0.4nMのKDでトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼ、例えば、ヒトトリプターゼベータ)と結合する。いくつかの実施形態では、抗体は、約0.18nMのKDでトリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼ、例えば、ヒトトリプターゼベータ)と結合する。
一実施形態では、KDは、放射標識抗原結合アッセイ(RIA)によって測定される。一実施形態では、RIAは、対象となる抗体及びその抗原のFabバージョンを用いて行われる。例えば、抗体に対するFabの溶液結合親和性は、非標識抗原の一連の滴定の存在下で、Fabを最低濃度の(125I)標識抗原と平衡させ、次いで、抗Fab抗体をコーティングしたプレートで結合した抗体を捕捉することによって測定される(例えば、Chen et al.J.Mol.Biol.293:865-881,1999を参照されたい)。アッセイのための条件を確立するために、MICROTITER(登録商標)マルチウェルプレート(Thermo Scientific)を、50mMの炭酸塩(pH9.6)中5μg/mlの捕捉用抗Fab抗体(Cappel Labs)で一晩コーティングし、続いて、室温(約23℃)で2~5時間、PBS中2%(w/v)のウシ血清アルブミンによってブロックする。非吸着性のプレート(Nunc番号269620)中で、100pMまたは26pM[125I]-抗原を、対象となるFabの段階希釈液と混合する(例えば、Presta et al.Cancer Res.57:4593-4599,1997の抗VEGF抗体、Fab-12の評定と一致する)。次いで、対象となるFabを一晩インキュベートするが、このインキュベーションは、平衡が達成されることを確実にするために、より長い期間(例えば、約65時間)継続し得る。その後、混合物を、室温でのインキュベーション(例えば、1時間)のため、捕捉プレートに移す。次いでこの溶液を除去し、プレートを、PBS中0.1%のポリソルベート20(TWEEN-20(登録商標))で8回洗浄する。プレートが乾燥したら、150μL/ウェルのシンチラント(scintillant)(MICROSCINT-20(商標)、Packard)を添加し、TOPCOUNT(商標)ガンマ計数器(Packard)でプレートを10分間計数する。20%以下の最大結合を付与する各Fabの濃度を競合結合アッセイにおける使用のために選択する。
別の実施形態によると、KDは、BIACORE(登録商標)表面プラズモン共鳴アッセイを用いて測定される。例えば、BIACORE(登録商標)-2000またはBIACORE(登録商標)-3000(BIAcore,Inc.,Piscataway,NJ)を使用するアッセイは、固定化抗原CM5チップを約10応答単位(RU)で用いて25℃で行われる。一実施形態では、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサチップ(CM5、BIACORE,Inc.)は、供給者の指示に従って、N-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド塩酸塩(EDC)及びN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を用いて活性化される。抗原をpH4.8の10mMの酢酸ナトリウムによって5μg/ml(約0.2μM)に希釈した後、5μl/分の流量で注射し、カップリングされたタンパク質の約10応答単位(RU)を達成する。抗原の注射に続いて、1Mのエタノールアミンを注射して、未反応基を遮断する。動態測定については、Fabの2倍段階希釈液(0.78nM~500nM)を、リン酸緩衝食塩水(PBS)中に0.05%ポリソルベート20(TWEEN(登録商標)20)界面活性剤を含むもの(PBST)に、25℃で、約25μL/分の流速で注射する。会合速度(kon)及び解離速度(koff)を、単純な1対1ラングミュア結合モデル(BIACORE(登録商標)評価用ソフトウェアバージョン3.2版)を使用して、会合センサーグラム及び解離センサーグラムを同時に適合することによって、計算する。平衡解離定数(KD)は、比率koff/konとして計算する。例えば、Chen et al.(J Mol.Biol.293:865-881,1999)を参照されたい。オン速度が、上記の表面プラズモン共鳴アッセイによって、106M-1s-1を超える場合、オン速度は、撹拌されたキュベットを備えるストップフロー装着分光光度計(Aviv Instruments)または8000シリーズSLM-AMINCO(商標)分光光度計(ThermoSpectronic)等の分光計において測定される、漸増濃度の抗原の存在下で、25℃でのPBS(pH7.2)中の20nM抗-抗原抗体(Fab型)の蛍光発光強度(励起=295nm、発光=340nm、16nm帯域通過)の増加または減少を測定する、蛍光消光技法を使用することによって、判定することができる。
いくつかの実施形態では、KDは、例えば、実施例1の節(A)(vii)に記載されるように、BIACORE(登録商標)SPRアッセイを用いて測定される。いくつかの実施形態では、SPRアッセイは、BIAcore(登録商標)T200または同等の機器を用いることができる。いくつかの実施形態では、BIAcore(登録商標)シリーズS CM5センサーチップ(または同等のセンサーチップ)は、モノクローナルマウス抗ヒトIgG(Fc)抗体で固定されており、抗トリプターゼ抗体は、フローセル上で逐次的に捕捉される。Hisタグ付きヒトトリプターゼベータ1単量体(配列番号128)の連続3倍希釈液を、30μl/分の流量で注射する。各試料を、3分会合及び10分解離で分析する。アッセイは、25℃で行われる。各注射後、チップを3MのMgCl2を使用して再生成する。結合応答は、応答ユニット(RU)を、同様の密度の無関連のIgGを捕捉するフローセルから控除することによって訂正する。kon及びkoffの同時フィッティングの1:1Languirモデルを、動態分析に使用する。
2.抗体断片
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される抗体は、抗体断片である。抗体断片には、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、Fv、及びscFv断片、ならびに以下に記載される他の断片が含まれるが、これらに限定されない。ある特定の抗体断片の概説については、Hudson et al.Nat.Med.9:129-134(2003)を参照されたい。scFv断片に関する概説については、例えば、Pluckthun,in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,(Springer-Verlag,New York),pp.269-315(1994)を参照されたく、またWO93/16185、ならびに米国特許第5,571,894号及び同第5,587,458号も参照されたい。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含み、増加したインビボ半減期を有する、Fab及びF(ab’)2断片の考察については、米国特許第5,869,046号を参照されたい。
ダイアボディは、二価または二重特異性であり得る2つの抗原結合部位を有する抗体断片である。例えば、EP404,097、WO1993/01161、Hudson et al.Nat.Med.9:129-134,2003、及びHollinger et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA90:6444-6448,1993を参照されたい。トリアボディ及びテトラボディも、Hudson et al.,Nat.Med.9:129-134,2003に記載される。
単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全てもしくは一部、または軽鎖可変ドメインの全てもしくは一部を含む、抗体断片である。ある特定の実施形態では、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である(例えば、米国特許第6,248,516B1号を参照されたい)。
抗体断片は、本明細書に記載される、インタクトな抗体のタンパク分解、ならびに組み換え宿主細胞(例えば、E.coliまたはファージ)の産生を含むが、これらに限定されない、様々な技術によって作製され得る。
3.キメラ抗体及びヒト化抗体
特定の実施形態では、本明細書に提供される抗体は、キメラ抗体である。ある特定のキメラ抗体は、例えば、米国特許第4,816,567号、及びMorrison et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851-6855,1984に記載されている)。一例では、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、または非ヒト霊長類、例えばサルに由来する可変領域)及びヒト定常領域を含む。さらなる例では、キメラ抗体は、クラスまたはサブクラスが親抗体のクラスまたはサブクラスから変化した「クラススイッチ」抗体である。キメラ抗体には、その抗原結合断片が含まれる。
ある特定の実施形態では、キメラ抗体はヒト化抗体である。典型的には、非ヒト抗体は、非ヒト親抗体の特異性及び親和性を保持しながら、ヒトに対する免疫原性を低減させるために、ヒト化される。一般に、ヒト化抗体は、HVR(またはそれらの部分)が非ヒト抗体に由来し、FR(またはそれらの部分)がヒト抗体配列に由来する、1つ以上の可変ドメインを含む。ヒト化抗体は、任意選択で、ヒト定常領域の少なくとも一部も含むことになる。いくつかの実施形態では、ヒト化抗体におけるいくつかのFR残基は、例えば、抗体特異性または親和性を復元または向上させるために、非ヒト抗体(例えば、HVR残基の由来となった抗体)に由来する対応する残基で置換される。
ヒト化抗体及びそれらを作製する方法は、例えば、Almagro et al.Front.Biosci.13:1619-1633,2008に概説され、例えば、Riechmann et al.Nature 332:323-329,1988、Queen et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:10029-10033,1989、米国特許第5,821,337号、同第7,527,791号、同第6,982,321号、及び同第7,087,409号、Kashmiri et al.Methods 36:25-34,2005(特異性決定領域(SDR)移植を説明)、Padlan,Mol.Immunol.28:489-498,1991(「リサーフェシング」を説明)、Dall’Acqua et al.Methods 36:43-60,2005(「FRシャッフリング」を説明)、ならびにOsbourn et al.Methods 36:61-68,2005及びKlimka et al.Br.J.Cancer,83:252-260,2000(FRシャッフリングに対する「誘導選択」アプローチを説明)にさらに記載されている。
ヒト化に使用され得るヒトフレームワーク領域には、「最良適合」法を使用して選択されるフレームワーク領域(例えば、Sims et al.J.Immunol.151:2296,1993を参照されたい)、軽鎖または重鎖可変領域の特定のサブグループのヒト抗体のコンセンサス配列に由来するフレームワーク領域(例えば、Carter et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:4285,1992、及びPresta et al.J.Immunol.,151:2623,1993を参照されたい);ヒト成熟(体細胞変異した)フレームワーク領域またはヒト生殖細胞系列フレームワーク領域(例えば、Almagro et al.Front.Biosci.13:1619-1633,2008を参照されたい)、ならびにFRライブラリのスクリーニングに由来するフレームワーク領域(例えば、Baca et al.J.Biol.Chem.272:10678-10684,1997及びRosok et al.J.Biol.Chem.271:22611-22618,1996参照されたい)が挙げられるが、これらに限定されない。
4.ヒト抗体
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される抗体は、ヒト抗体である。ヒト抗体は、当該技術分野で既知の種々の技術を使用して産生することができる。ヒト抗体は、概して、van Dijk et al.Curr.Opin.Pharmacol.5:368-74,2001及びLonberg,Curr.Opin.Immunol.20:450-459,2008に記載される。
ヒト抗体は、抗原投与に応答して、インタクトなヒト抗体またはヒト可変領域を有するインタクトな抗体を産生するように修飾されたトランスジェニック動物に免疫原を投与することによって調製され得る。そのような動物は、典型的には、内因性免疫グロブリン遺伝子座を置き換えるか、または染色体外に存在するかもしくは動物の染色体内にランダムに組み込まれているヒト免疫グロブリン遺伝子座の全てまたは一部を含有する。そのようなトランスジェニックマウスにおいて、内因性免疫グロブリン遺伝子座は一般に、不活性化されている。トランスジェニック動物からヒト抗体を得るための方法の概説については、Lonberg,Nat.Biotech.23:1117-1125,2005を参照されたい。例えば、米国特許第6,075,181号及び同第6,150,584号(XENOMOUSE(商標)技術について記載)、米国特許第5,770,429号(HUMAB(登録商標)技術について記載)、米国特許第7,041,870号(K-M MOUSE(登録商標)技術について記載)、ならびに米国特許出願公開第2007/0061900号(VELOCIMOUSE(登録商標)技術について記載)も参照されたい。そのような動物により生成されたインタクトな抗体由来のヒト可変領域は、例えば、異なるヒト定常領域と組み合わせることによりさらに修飾され得る。
ヒト抗体は、ハイブリドーマに基づく方法によっても作製され得る。ヒトモノクローナル抗体の産生のためのヒト骨髄腫及びマウス-ヒトヘテロ骨髄腫細胞株が説明されている。(例えば、KozborJ.Immunol.133:3001,1984、Brodeur et al.Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,pp.51-63(Marcel Dekker,Inc.,New York,1987)、及びBoerner et al.J.Immunol.147:86,1991を参照されたい)。ヒトB細胞ハイブリドーマ技術を介して生成されるヒト抗体もまた、Li et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,103:3557-3562,2006に記載されている。さらなる方法としては、例えば、米国特許第7,189,826号(ハイブリドーマ細胞株からのモノクローナルヒトIgM抗体の産生について記載)及びNi,Xiandai Mianyixue,26(4):265-268(2006)(ヒト-ヒトハイブリドーマを説明)に記載されるものが挙げられる。ヒトハイブリドーマ技術(トリオーマ技術)については、Vollmers et al.Histology and Histopathology 20(3):927-937,2005及びVollmers et al.Methods and Findings in Experimental and Clinical Pharmacology 27(3):185-91,2005にも記載されている。
ヒト抗体は、ヒト由来ファージディスプレイライブラリから選択されるFvクローン可変ドメイン配列を単離することによっても生成され得る。次いで、そのような可変ドメイン配列は、所望のヒト定常ドメインと組み合わせられ得る。抗体ライブラリからヒト抗体を選択するための技術は、以下に記載される。
5.ライブラリ由来抗体
本発明の抗体は、所望される活性(複数可)を有する抗体についてコンビナトリアルライブラリをスクリーニングすることによって単離され得る。例えば、ファージディスプレイライブラリを生成し、所望の結合特性を保有する抗体に関してそのようなライブラリをスクリーニングするための様々な方法が当該技術分野で既知である。そのような方法は、例えば、Hoogenboom et al.in Methods in Molecular Biology 178:1-37(O’Brien et al.,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2001)に概説され、例えば、McCafferty et al.Nature 348:552-554,1990、Clackson et al.Nature 352:624-628,1991、Marks et al.J.Mol.Biol.222:581-597,1992、Marks et al.in Methods in Molecular Biology 248:161-175(Lo,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2003)、Sidhu et al.J.Mol.Biol.338(2):299-310,2004、Lee et al.J.Mol.Biol.340(5):1073-1093,2004、Fellouse,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101(34):12467-12472,2004、及びLee et al.J.Immunol.Methods 284(1-2):119-132,2004にさらに説明されている。
ある特定のファージ提示法において、VH及びVL遺伝子のレパートリーが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により別個にクローニングされ、ファージライブラリ内で無作為に組み換えられ、これがその後、Winter et al.Ann.Rev.Immunol.,12:433-455,1994に記載されているように抗原結合ファージについてスクリーニングされ得る。ファージは典型的には、一本鎖Fv(scFv)断片またはFab断片のいずれかとして抗体断片をディスプレイする。免疫化源由来のライブラリは、ハイブリドーマの構築を必要とすることなく、高親和性抗体を免疫原に提供する。あるいは、Griffiths et al.EMBOJ.12:725-734,1993.に記載されるように、ナイーブレパートリーを(例えば、ヒトから)クローン化して、免疫化を伴わずに幅広い非自己抗原及び自己抗原に抗体の単一源を提供することができる。最後に、Hoogenboom et al.J.Mol.Biol.,227:381-388,1992に記載されるように、幹細胞からの再編成されていないV遺伝子セグメントをクローニングし、ランダム配列を含有するPCRプライマーを使用して高度に可変的なHVR3領域をコードし、インビトロでの再編成を達成することによってナイーブライブラリを合成的に作製することもできる。ヒト抗体ファージライブラリを説明している特許公開には、例えば、米国特許第5,750,373号、ならびに米国特許出願公開第2005/0079574号、同第2005/0119455号、同第2005/0266000号、同第2007/0117126号、同第2007/0160598号、同第2007/0237764号、同第2007/0292936号、及び同第2009/0002360号が挙げられる。
ヒト抗体ライブラリから単離された抗体または抗体断片は、本明細書でヒト抗体またはヒト抗体断片とみなされる。
6.多重特異性抗体
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される抗体は、多重特異性抗体、例えば、二重特異性抗体である。多重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる部位に対する結合特異性を有するモノクローナル抗体である。ある特定の実施形態では、二重特異性抗体は、トリプターゼの2つの異なるエピトープに結合し得る。ある特定の実施形態では、結合特異性のうちの一方は、トリプターゼに対するものであり、他方は、任意の他の抗原(例えば、第2の生物学的分子)に対するものである。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、トリプターゼの2つの異なるエピトープに結合することができる。他の実施形態では、結合特異性のうちの一方は、トリプターゼ(例えば、ヒトトリプターゼ、例えば、ヒトトリプターゼベータ)に対するものであり、他方は、任意の他の抗原(例えば、第2の生物学的分子、例えば、IL-13、IL-4、IL-5、IL-17、IL-33、IgE、M1プライム、CRTH2、またはTRPA)に対するものである。したがって、二重特異性抗体は、トリプターゼ及びIL-13、トリプターゼ及びIL-4、トリプターゼ及びIL-5、トリプターゼ及びIL-17、またはトリプターゼ及びIL-33に対する結合特異性を有し得る。特に、二重特異性抗体は、トリプターゼ及びIL-13またはトリプターゼ及びIL-33に対する結合特異性を有し得る。二重特異性抗体は、完全長抗体または抗体断片として調製され得る。
例えば、いくつかの例では、二重特異性抗体は、トリプターゼと結合する第1の結合ドメインと、IL-13と結合する第2の結合ドメインとを含む。いくつかの実施形態では、トリプターゼと結合する第1の結合ドメインは、例えば、(a)X1がAspまたはSerであり、X2がTyrまたはPheであり、X3がValまたはHisである、X1X2GMX3(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)FISSGSSTVYYADTMKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)X1がAsnまたはAspであり、X2がTyrまたはAsnであり、X3がAspまたはTyrである、RX1X2X3DWYFDV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)SASSSVTYMY(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)RTSDLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)QHYHSYPLT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、もしくは6つの超可変領域(HVR)、または上記のHVRのうちの1つ以上の組み合わせ、ならびに配列番号1~6のうちのいずれか1つと少なくとも約80%の配列同一性(例えば、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上のバリアントを含み得る。いくつかの例では、IL-13と結合する第2の結合ドメインは、例えば、(a)AYSVN(配列番号84)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)MIWGDGKIVYNSALKS(配列番号85)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)DGYYPYAMDN(配列番号86)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)RASKSVDSYGNSFMH(配列番号87)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)LASNLES(配列番号88)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)QQNNEDPRT(配列番号89)のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、もしくは6つのHVR、または上記のHVRのうちの1つ以上の組み合わせ、ならびに配列番号84~89のうちのいずれか1つと少なくとも約80%の配列同一性(例えば、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上のバリアントを含み得る。いくつかの実施形態では、第2の結合ドメインは、抗IL-13レブリキズマブの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む。
例えば、いくつかの例では、トリプターゼと結合する第1の結合ドメインは、hu31a.v11などの、(a)DYGMV(配列番号7)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)FISSGSSTVYYADTMKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)RNYDDWYFDV(配列番号8)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)SASSSVTYMY(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)RTSDLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)QHYHSYPLT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つの超可変領域(HVR)を含む。いくつかの例では、IL-13と結合する第2の結合ドメインは、例えば、(a)AYSVN(配列番号84)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)MIWGDGKIVYNSALKS(配列番号85)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)DGYYPYAMDN(配列番号86)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)RASKSVDSYGNSFMH(配列番号87)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)LASNLES(配列番号88)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)QQNNEDPRT(配列番号89)のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含み得る。いくつかの実施形態では、第2の結合ドメインは、抗IL-13レブリキズマブの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む。いくつかの実施形態では、第1の結合ドメインは、hu31a.v11のVH及び/またはVLのアミノ酸配列を含み、第2の結合ドメインは、抗IL-13抗体レブリキズマブのVH及び/またはVLのアミノ酸配列を含む。
前述の二重特異性抗トリプターゼ/抗IL-13抗体のうちのいずれかは、(a)配列番号9と少なくとも80%の配列同一性(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)、もしくはその配列を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン、(b)配列番号10と少なくとも80%の配列同一性(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)、もしくはその配列を有するアミノ酸配列を含むVLドメイン、または(c)(a)にあるようなVHドメイン及び(b)にあるようなVLドメインを含むトリプターゼと結合する第1の結合ドメインを含み得る。前述の二重特異性抗トリプターゼ/抗IL-13抗体のうちのいずれかは、(a)配列番号90または配列番号114と少なくとも80%の配列同一性(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)、もしくはその配列を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン、(b)配列番号91または配列番号115と少なくとも80%の配列同一性(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)、もしくはその配列を有するアミノ酸配列を含むVLドメイン、または(c)(a)にあるようなVHドメイン及び(b)にあるようなVLドメインを含むIL-13と結合する第2の結合ドメインを含み得る。いくつかの例では、第2の結合ドメインは、レブリキズマブのVH及び/またはVLドメインを含む。
別の実施例では、いくつかの例では、二重特異性抗体は、トリプターゼと結合する第1の結合ドメイン、及びIL-33と結合する第2の結合ドメインを含む。IL-33と結合する第2の結合ドメインは、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許公開第2016/0168242号に記載される抗IL-33抗体のうちのいずれかを含み得る。いくつかの実施形態では、トリプターゼと結合する第1の結合ドメインは、例えば、(a)X1がAspまたはSerであり、X2がTyrまたはPheであり、X3がValまたはHisである、X1X2GMX3(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)FISSGSSTVYYADTMKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)X1がAsnまたはAspであり、X2がTyrまたはAsnであり、X3がAspまたはTyrである、RX1X2X3DWYFDV(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)SASSSVTYMY(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)RTSDLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)QHYHSYPLT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、もしくは6つの超可変領域(HVR)、または上記のHVRのうちの1つ以上の組み合わせ、ならびに配列番号1~6のうちのいずれか1つと少なくとも約80%の配列同一性(例えば、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上のバリアントを含み得る。いくつかの例では、IL-33と結合する第2の結合ドメインは、例えば、(a)SFSMS(配列番号120)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)TISGGKTFTDYVDSVKG(配列番号121)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)ANYGNWFFEV(配列番号122)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)RASESVAKYGLSLLN(配列番号123)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)AASNRGS(配列番号124)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)QQSKEVPFT(配列番号125)のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、もしくは6つのHVR、または上記のHVRのうちの1つ以上の組み合わせ、ならびに配列番号120~125のうちのいずれか1つと少なくとも約80%の配列同一性(例えば、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性)を有するそれらの1つ以上のバリアントを含み得る。いくつかの実施形態では、第2の結合ドメインは、抗IL-33抗体10C12.38.H6.87Y.58Iのうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む。
例えば、いくつかの例では、トリプターゼと結合する第1の結合ドメインは、hu31a.v11などの、(a)DYGMV(配列番号7)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)FISSGSSTVYYADTMKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)RNYDDWYFDV(配列番号8)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)SASSSVTYMY(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)RTSDLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)QHYHSYPLT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つの超可変領域(HVR)を含む。いくつかの例では、IL-33と結合する第2の結合ドメインは、例えば、(a)SFSMS(配列番号120)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)TISGGKTFTDYVDSVKG(配列番号121)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)ANYGNWFFEV(配列番号122)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)RASESVAKYGLSLLN(配列番号123)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)AASNRGS(配列番号124)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)QQSKEVPFT(配列番号125)のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含み得る。いくつかの実施形態では、第2の結合ドメインは、抗IL-33抗体10C12.38.H6.87Y.58Iのうちの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む。いくつかの実施形態では、第1の結合ドメインは、hu31a.v11のVH及び/またはVLのアミノ酸配列を含み、第2の結合ドメインは、抗IL-33抗体10C12.38.H6.87Y.58IのVH及び/またはVLのアミノ酸配列を含む。
前述の二重特異性抗トリプターゼ/抗IL-33抗体のうちのいずれかは、(a)配列番号9と少なくとも80%の配列同一性(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)、もしくはその配列を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン、(b)配列番号10と少なくとも80%の配列同一性(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)、もしくはその配列を有するアミノ酸配列を含むVLドメイン、または(c)(a)にあるようなVHドメイン及び(b)にあるようなVLドメインを含むトリプターゼと結合する第1の結合ドメインを含み得る。前述の二重特異性抗トリプターゼ/抗IL-33抗体のうちのいずれかは、(a)配列番号126と少なくとも80%の配列同一性(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)、もしくはその配列を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン、(b)配列番号127と少なくとも80%の配列同一性(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性)、もしくはその配列を有するアミノ酸配列を含むVLドメイン、または(c)(a)にあるようなVHドメイン及び(b)にあるようなVLドメインを含むIL-33と結合する第2の結合ドメインを含み得る。いくつかの例では、第2の結合ドメインは、10C12.38.H6.87Y.58IのVH及び/またはVLドメインを含む。
多重特異性抗体を作製するための技術には、異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の組み換え共発現(Milstein et al.Nature 305:537,1983、WO93/08829、及びTraunecker et al.EMBOJ.10:3655,1991を参照されたい)、及び「ノブインホール(knob-in-hole)」操作(例えば、米国特許第5,731,168号を参照されたい)が挙げられるが、これらに限定されない。多重特異性抗体はまた、静電ステアリング効果を操作して抗体Fc-ヘテロ二量体分子を作製すること(WO2009/089004A1)、2つ以上の抗体または断片を架橋すること(例えば、米国特許第4,676,980号、及びBrennan et al.Science,229:81,1985を参照されたい)、ロイシンジッパーを使用して二重特異性抗体を産生すること(例えば、Kostelny et al.J.Immunol.,148(5):1547-1553,1992を参照されたい)、「ダイアボディ」技術を使用して二重特異性抗体断片を作製すること(例えば、Hollinger et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-6448,1993を参照されたい)、及び一本鎖Fv(scFv)二量体を使用すること(例えば、Gruber et al.J.Immunol.152:5368,1994を参照されたい)、ならびに三重特異性抗体を調製すること(例えば、Tutt et al.J.Immunol.147:60,1991に記載されているような)によって作製され得る。
「オクトパス抗体」を含む3つ以上の機能的抗原結合部位を有する操作された抗体も、本明細書に含まれる(例えば、US2006/0025576A1を参照されたい)。
本明細書の抗体または断片には、トリプターゼならびに別の異なる抗原に結合する抗原結合部位を含む「二重作用(Dual Acting)FAb」または「DAF」も含まれる(例えば、US2008/0069820を参照されたい)。
ノブイントゥホール(Knobs-into-Holes)
多重特異性抗体を産生する方法としてのノブイントゥホールの使用は、例えば、米国特許第5,731,168号、WO2009/089004、US2009/0182127、US2011/0287009、Marvin and Zhu,Acta Pharmacol.Sin.(2005)26(6):649-658、及びKontermann(2005)Acta Pharmacol.Sin.26:1-9に記載される。簡潔な非限定的考察が、以下に提供される。
「隆起」は、ヘテロ多量体を安定化させ、それにより、例えば、ホモ多量体形成よりもヘテロ多量体形成を優先するように、第1のポリペプチドの界面から突出し、したがって隣接する界面(すなわち、第2のポリペプチドの界面)にある相補的空洞内に位置付けることが可能な、少なくとも1つのアミノ酸側鎖を指す。隆起は、元の界面内に存在してもよく、または、合成により(例えば、界面をコードする核酸を変化させることによって)導入してもよい。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチドの界面をコードする核酸を、隆起をコードするように変化させる。これを達成するために、第1のポリペプチドの界面の少なくとも1つの「元の」アミノ酸残基をコードする核酸が、元のアミノ酸残基よりも大きい側鎖体積を有する少なくとも1つの「移入」アミノ酸残基をコードする核酸で置き換えられる。2つ以上の元の残基及び対応する移入残基が存在し得ることが理解されるだろう。様々なアミノ残基の側鎖体積は、例えば、US2011/0287009の表1または米国特許第7,642,228号の表1に示されている。
いくつかの実施形態では、隆起の形成のための移入残基は、アルギニン(R)、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、及びトリプトファン(W)から選択される天然に存在するアミノ酸残基である。いくつかの実施形態では、移入残基は、トリプトファンまたはチロシンである。いくつかの実施形態では、隆起の形成のための原型残基は、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グリシン、セリン、スレオニン、またはバリンのように、小さな側鎖体積を有する。例えば、米国特許第7,642,228号を参照されたい。
「空洞」は、第2のポリペプチドの界面から凹んでおり、したがって、隣接する第1のポリペプチドの界面上の対応する隆起を収容する少なくとも1つのアミノ酸側鎖を指す。空洞は、元の界面内に存在してもよく、または、合成により(例えば、界面をコードする核酸を変化させることによって)導入してもよい。いくつかの実施形態では、第2のポリペプチドの界面をコードする核酸は、空洞をコードするように改変される。これを達成するために、第2のポリペプチドの界面の少なくとも1つの「元の」アミノ酸残基をコードする核酸が、元のアミノ酸残基よりも小さい側鎖体積を有する少なくとも1つの「移入」アミノ酸残基をコードするDNAで置き換えられる。2つ以上の元の残基及び対応する移入残基が存在し得ることが理解されるだろう。いくつかの実施形態では、空洞の形成のための移入残基は、アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T)、及びバリン(V)から選択される天然のアミノ酸残基である。いくつかの実施形態では、移入残基は、セリン、アラニン、またはスレオニンである。いくつかの実施形態では、空洞の形成のための原型残基は、チロシン、アルギニン、フェニルアラニン、またはトリプトファンのように、大きな側鎖体積を有する。
隆起は、空洞内で「位置付け可能」であり、これは、それぞれ、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドの界面の隆起及び空洞の空間的位置、ならびに隆起及び空洞の大きさが、界面での第1のポリペプチドと第2のポリペプチドとの正常な会合を著しく乱すことなく隆起が空洞内に位置し得るようなものであることを意味する。Tyr、Phe、及びTrpなどの隆起は、典型的には界面の軸から直角に伸びず、好ましい立体構造を有しないため、対応する空洞との隆起のアライメントは、一部の事例では、X線結晶学または核磁気共鳴(NMR)によって得られるものといった三次元構造に基づく隆起/空洞対のモデリングに依存し得る。これは、当該技術分野で広く許容されている技術を使用して達成することができる。
いくつかの実施形態では、IgG1定常領域内のノブ変異は、T366Wである。いくつかの実施形態では、IgG1定常領域内のホール変異は、T366S、L368A、及びY407Vから選択される1つ以上の変異を含む。いくつかの実施形態では、IgG1定常領域内のホール変異は、T366S、L368A、及びY407Vを含む。
いくつかの実施形態では、IgG4定常領域内のノブ変異は、T366Wである。いくつかの実施形態では、IgG4定常領域内のホール変異は、T366S、L368A、及びY407Vから選択される1つ以上の変異を含む。いくつかの実施形態では、IgG4定常領域内のホール変異は、T366S、L368A、及びY407Vを含む。
7.抗体バリアント
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される抗体のアミノ酸配列バリアントが企図される。例えば、阻害活性などの、抗体の結合親和性及び/または他の生物学的特性を改善することが望ましい場合がある。抗体のアミノ酸配列バリアントは、抗体をコードするヌクレオチド配列中に適切な修飾を導入することによるか、またはペプチド合成により調製され得る。そのような修飾には、例えば、抗体のアミノ酸配列内における、残基からの欠失、及び/または残基への挿入、及び/または残基の置換が含まれる。最終構築物に到達するように、欠失、挿入、及び置換を任意に組み合わせることができるが、但し、その最終構築物が、所望の特徴、例えば、抗原結合性を有することを条件とする。
a)置換、挿入、及び欠失バリアント
ある特定の実施形態では、1つ以上のアミノ酸置換を有する抗体バリアントを提供する。置換変異誘発のために対象となる部位は、HVR及びFRを含む。保存的置換は、表1において、「好ましい置換」の見出しの下に示される。より実質的な変化は、表1において、「例示的な置換」の見出しの下に提供され、またアミノ酸側鎖クラスを参照して以下にさらに記載される通りである。アミノ酸置換が対象となる抗体に導入され、生成物が所望の活性、例えば、抗原結合の保持/改善、免疫原性の低減、またはADCCまたはCDCの改善についてスクリーニングされ得る。
表1
アミノ酸は、一般的な側鎖特性に従って群分けされ得る:
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)鎖配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro;
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを別のクラスと交換することを伴う。
ある種類の置換型バリアントは、親抗体(例えば、ヒト化抗体またはヒト抗体)の1つ以上の超可変領域残基を置換することを伴う。一般に、さらなる試験のために選択される結果として生じるバリアント(複数可)は、親抗体と比較してある特定の生物学的特性(例えば、親和性の増加、免疫原性の低減)の修正(例えば、改善)を有し、及び/または実質的に保持された親抗体のある特定の生物学的特性を有する。例示的な置換型バリアントは、例えば、本明細書に記載の技術などのファージディスプレイに基づく親和性成熟技法を使用して簡便に生成され得る親和性成熟抗体である。簡潔には、1つ以上のHVR残基が変異し、バリアント抗体がファージにディスプレイされ、特定の生物活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングされる。
改変(例えば、置換)は、HVRにおいて、例えば、抗体親和性を改善するために行われ得る。そのような改変は、HVR「ホットスポット」、即ち、体細胞成熟プロセス中に高頻度で変異を経るコドンによってコードされる残基(例えば、Chowdhury,Methods Mol.Biol.207:179-196,2008を参照されたい)、及び/または抗原と接触する残基で行われ得、結果として得られたバリアントVHまたはVLが結合親和性について試験される。二次ライブラリを構築し、それから再選択することによる親和性成熟が、例えば、Hoogenboom et al.in Methods in Molecular Biology 178:1-37(O’Brien et al.ed.,Human Press,Totowa,NJ,2001)に記載されている。親和性成熟のいくつかの実施形態では、多様な方法(例えば、エラープローンPCR、鎖シャフリング、またはオリゴヌクレオチド指向性変異誘発)のいずれかによって、成熟のために選択される可変遺伝子に多様性が導入される。次いで、二次ライブラリが創出される。次いで、ライブラリがスクリーニングされ、所望の親和性を有する任意の抗体バリアントを特定する。多様性を導入する別の方法は、いくつかのHVR残基(例えば、一度に4~6つの残基)が無作為化されるHVR指向手法を伴う。抗原結合に関与するHVR残基は、例えば、アラニンスキャニング変異誘発またはモデリングを使用して、特異的に特定され得る。HVR-H3及びHVR-L3が特に標的とされることが多い。
ある特定の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、そのような改変が抗体の抗原に結合する能力を実質的に低減させない限り、1つ以上のHVR内で生じ得る。例えば、結合親和性を実質的に低減しない保存的改変(例えば、本明細書に提供されるような保存的置換)がHVR内で行われ得る。そのような改変は、例えば、HVR内の抗原接触残基の外側であり得る。上に提供されるバリアントVH及びVL配列のある特定の実施形態では、各HVRは、改変されていないか、または1つ、2つ、もしくは3つ以下のアミノ酸置換を有するかのいずれかである。
変異誘発のために標的とされ得る抗体の残基または領域の特定に有用な方法は、Cunningham et al.Science 244:1081-1085,1989によって説明されている「アラニンスキャニング変異誘発」と呼ばれる。この方法では、標的残基(例えば、Arg、Asp、His、Lys、及びGluなどの荷電残基)のうちのある残基または残基群を特定し、それを中性または負荷電アミノ酸(例えば、Alaまたはポリアラニン)によって置き換えて、抗体と抗原との相互作用が影響を受けるかどうかを判定する。さらなる置換は、最初の置換に対する機能感受性を示すアミノ酸位置に導入され得る。あるいは、または加えて、抗原-抗体錯体の結晶構造は、抗体と抗原との間の接触点を特定する。そのような接触残基及び隣接する残基が置換の候補として標的とされてもよく、または排除されてもよい。バリアントは、スクリーニングされて、それらが所望の特性を有するかどうかが決定され得る。
アミノ酸配列挿入には、長さが1残基から100以上の残基を含有するポリペプチドの範囲であるアミノ末端及び/またはカルボキシル末端の融合、及び単一または複数のアミノ酸残基の配列内挿入が含まれる。末端挿入の例は、N末端メチオニル残基を有する抗体を含む。抗体分子の他の挿入バリアントには、酵素(例えば、ADEPTのための)またはポリペプチドへの抗体のN末端もしくはC末端の融合が挙げられ、これは抗体の血清半減期を増加させる。
b)グリコシル化バリアント
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される抗体は、抗体がグリコシル化される程度を増加または減少させるように改変される。抗体へのグリコシル化部位の付加または欠失は、1つ以上のグリコシル化部位が作製または除去されるようにアミノ酸配列を改変することによって好都合に達成され得る。
抗体がFc領域を含む場合、それに結合した炭水化物が改変され得る。哺乳動物細胞によって産生された天然抗体は、典型的には、N結合によってFc領域のCH2ドメインのAsn297に一般に結合される分岐状の二分岐オリゴ糖を含む。例えば、Wright et al.TIBTECH 15:26-32,1997を参照されたい。オリゴ糖類には、様々な炭水化物、例えば、マンノース、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトース、及びシアル酸、ならびに二分岐オリゴ糖類構造の「ステム」においてGlcNAcに結合したフコースが含まれ得る。いくつかの実施形態では、ある特定の改善された特性によって抗体バリアントを作製するために、本発明の抗体中にオリゴ糖の修飾が行われ得る。
一実施形態では、Fc領域に結合した(直接的にまたは間接的に)フコースを欠く炭水化物構造を有する抗体バリアントが提供される。例えば、そのような抗体中のフコースの量は、1%~80%、1%~65%、5%~65%、または20%~40%であり得る。フコースの量は、例えば、WO2008/077546で説明されているMALDI-TOF質量分析によって測定される、Asn297に結合した全ての糖構造(例えば、錯体、ハイブリッド、及び高マンノース構造)の合計に対する、Asn297での糖鎖内のフコースの平均量を計算することによって決定される。Asn297は、Fc領域の約297位(Fc領域残基のEu付番)に位置するアスパラギン残基を指すが、Asn297はまた、抗体内のわずかな配列変異に起因して、297位から約±3アミノ酸上流または下流、すなわち294~300位の間に位置してもよい。そのようなフコシル化変異体は、改善されたADCC機能を有し得る。例えば、米国特許公開第2003/0157108号及び同第2004/0093621号を参照されたい。「脱フコシル化」または「フコース欠損」抗体バリアントに関連する刊行物の例としては、US2003/0157108、WO2000/61739、
WO2001/29246、US2003/0115614、US2002/0164328、US2004/0093621、US2004/0132140、US2004/0110704、US2004/0110282、US2004/0109865、WO2003/085119、WO2003/084570、WO2005/035586、WO2005/035778、WO2005/053742、WO2002/031140、Okazaki et al.J.Mol.Biol.336:1239-1249,2004、Yamane-Ohnuki et al.Biotech.Bioeng.87:614,2004が挙げられる。脱フコシル化抗体を産生することが可能な細胞株の例には、タンパク質フコシル化が欠損したLec13 CHO細胞(Ripka et al.Arch.Biochem.Biophys.249:533-545,1986、US2003/0157108、及びWO2004/056312A1(特に実施例11))、ならびにアルファ-1,6-フコシルトランスフェラーゼ遺伝子、FUT8、ノックアウトCHO細胞などのノックアウト細胞株(例えば、Yamane-Ohnuki et al.Biotech.Bioeng.87:614,2004、Kanda et al.Biotechnol.Bioeng.94(4):680-688,2006、及びWO2003/085107を参照されたい)が挙げられる。
例えば、抗体のFc領域に結合した二分岐オリゴ糖がGlcNAcにより二分される、二分されたオリゴ糖を有する抗体バリアントがさらに提供される。そのような抗体変異体は、低減されたフコシル化及び/または改善されたADCC機能を有し得る。そのような抗体バリアントの例は、例えば、WO2003/011878、米国特許第6,602,684号、及びUS2005/0123546に記載されている。Fc領域に付着しているオリゴ糖内に少なくとも1つのガラクトース残基を含む抗体バリアントも提供される。そのような抗体バリアントは、改善されたCDC機能を有し得る。そのような抗体バリアントは、例えば、WO1997/30087、WO1998/58964、及びWO1999/22764に記載されている。
c)Fc領域バリアント
ある特定の実施形態では、1つ以上のアミノ酸修飾が、本明細書に提供される抗体のFc領域に導入され、それによりFc領域バリアントが生成され得る。Fc領域バリアントは、1つ以上のアミノ酸位置にアミノ酸修飾(例えば、置換)を含むヒトFc領域配列(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4 Fc領域)を含み得る。
ある特定の実施形態では、本発明は、全てではないがいくつかのエフェクター機能を所有し、それにより、インビボでの抗体の半減期が重要であるが、さらに特定のエフェクター機能(補体及びADCCなど)が不要であるか、または有害である用途に対して望ましい候補となる、抗体バリアントを企図する。インビトロ及び/またはインビボ細胞傷害性アッセイを行って、CDC及び/またはADCC活性の低減/枯渇を確認することができる。例えば、Fc受容体(FcR)結合アッセイを実行して、抗体がFcγR結合を欠く(故にADCC活性を欠く可能性が高い)が、FcRn結合能力を保持していることを確実にすることができる。ADCCを媒介するための初代細胞であるNK細胞がFcγRIIIのみを発現する一方で、単球は、FcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIを発現する。造血細胞におけるFcR発現は、Ravetch et al.Annu.Rev.Immunol.9:457-492,1991のページ464の表3に要約されている。対象となる分子のADCC活性を評定するためのインビトロアッセイの非限定的な例は、米国特許第5,500,362号(例えば、Hellstrom et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:7059-7063,1986及びHellstrom et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:1499-1502,1985、米国特許第5,821,337号(Bruggemann et al.J.Exp.Med.166:1351-1361,1987を参照されたい)に記載されている。あるいは、非放射性アッセイ法を用いてもよい(例えば、フローサイトメトリーのためのACTI(商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(CellTechnology,Inc.Mountain View,CA、及びCytoTox 96(登録商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(Promega,Madison,WI)を参照されたい)。そのようなアッセイに有用なエフェクター細胞には、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が含まれる。あるいは、または加えて、対象となる分子のADCC活性は、インビボで、例えば、Clynes et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:652-656,1998に開示されるものなどの動物モデルにおいて評価され得る。C1q結合アッセイを実行して、抗体がC1qに結合することができないためにCDC活性を欠くことを確認することもできる。例えば、WO2006/029879及びWO2005/100402におけるC1q及びC3c結合ELISAを参照されたい。補体活性化を評定するために、CDCアッセイが行われ得る(例えば、Gazzano-Santoro et al.J.Immunol.Methods 202:163,1996、Cragg et al.Blood 101:1045-1052,2003、及びCragg et al.Blood 103:2738-2743,2004を参照されたい)。FcRn結合及びインビボクリアランス/半減期決定も、当該技術分野で既知の方法を使用して行われ得る(例えば、Petkova et al.Intl.Immunol.18(12):1759-1769,2006を参照されたい)。
低下したエフェクター機能を有する抗体としては、Fc領域残基238、265、269、270、297、327、及び329のうちの1つ以上の置換を有するものが挙げられる(米国特許第6,737,056号)。そのようなFc変異体としては、アミノ酸265、269、270、297、及び327位のうちの2つ以上での置換を有するFc変異体、例えば、残基265及び297のアラニンへの置換を有するいわゆる「DANA」Fc変異体が挙げられる(米国特許第7,332,581号)。
FcRへの結合が改善または低減されたある特定の抗体バリアントが記載されている(例えば、米国特許第6,737,056号、WO2004/056312、及びShields et al.,J.Biol.Chem.9(2):6591-6604,2001を参照されたい)。
ある特定の実施形態において、抗体バリアントは、ADCCを改善する1つ以上のアミノ酸置換、例えば、Fc領域の298、333、及び/または334位(残基のEU番号付け)での置換を有するFc領域を含む。
いくつかの実施形態では、例えば、米国特許第6,194,551号、WO99/51642、及びIdusogie et al.J.Immunol.164:4178-4184,2000に記載されるように、改変された(すなわち、改善されたか、または低減されたかのいずれか)C1q結合及び/または補体依存性細胞毒性(CDC)をもたらすFc領域で改変が行われる。
母体IgGの胎児への移入に関与する、半減期が増加し、かつ新生児型Fc受容体(FcRn)への結合が改善された抗体(Guyer et al.J.Immunol.117:587,1976及びKim et al.J.Immunol.24:249,1994)は、US2005/0014934に記載される。それらの抗体は、FcRnへのFc領域の結合を改善する、1つ以上の置換を内部に有するFc領域を含む。そのようなFcバリアントは、Fc領域残基:238、256、265、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424、または434のうちの1つ以上での置換、例えば、Fc領域残基434の置換を有するものを含む(米国特許第7,371,826号)。
Fc領域バリアントの他の例に関しては、Duncan et al.Nature 322:738-40,1988、米国特許第5,648,260号及び同第5,624,821号、ならびにWO94/29351もまた参照されたい。
d)システイン操作された抗体バリアント
ある特定の実施形態では、抗体の1つ以上の残基がシステイン残基で置換されている、システイン操作抗体、例えば、「チオMAb」を作成することが望ましい場合がある。特定の実施形態では、置換された残基は、抗体のアクセス可能な部位で生じる。それらの残基をシステインで置換することにより、反応性チオール基が抗体のアクセス可能な部位に位置付けられ、それを使用して、抗体を他の部分(薬物部分またはリンカー-薬物部分など)に複合体化して、本明細書にさらに記載される免疫複合体を作製することができる。ある特定の実施形態では、以下の残基のうちの任意の1つ以上を、システインで置換することができる:軽鎖のV205(Kabat番号付け)、重鎖のA118(EU番号付け)、及び重鎖Fc領域のS400(EU番号付け)。システイン操作された抗体は、例えば、米国特許第7,521,541号で説明されているように生成し得る。
e)抗体誘導体
ある特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、当該技術分野で既知であり、容易に入手可能なさらなる非タンパク質性部分を含有するようにさらに修飾され得る。抗体の誘導体化に好適な部分には、水溶性ポリマーが含まれるが、これらに限定されない。水溶性ポリマーの非限定的な例としては、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ-1,3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマーまたはランダムコポリマーのいずれか)、及びデキストランまたはポリ(n-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロプロピレングリコールホモポリマー、プロリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)、ポリビニルアルコール、ならびにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中でのその安定性のため、製造時に有利であり得る。ポリマーは、いずれの分子量のものであってもよく、分岐状であっても非分岐状であってもよい。抗体に結合するポリマーの数は異なり得、2つ以上のポリマーが結合する場合、それらは同じ分子であっても異なる分子であってもよい。一般に、誘導体化に使用されるポリマーの数及び/またはタイプは、改善されるべき抗体の特定の特性または機能、抗体誘導体が定義された条件下にてある療法で使用されるか等を含むが、これらに限定されない考慮すべき事項に基づいて決定され得る。
別の実施形態では、放射線への曝露によって選択的に加熱され得る、抗体及び非タンパク質性部分の複合体が提供される。一実施形態では、非タンパク質性部分はカーボンナノチューブである(Kam et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 102:11600-11605,2005)。放射線は、いずれの波長のものであってもよく、通常の細胞を傷つけないが、抗体-非タンパク質性部分に近接する細胞が殺滅される温度まで非タンパク質性部分を加熱する波長を含むが、これらに限定されない。
B.組み換え方法及び組成物
抗体は、例えば、米国特許第4,816,567号に記載される、組み換え方法及び組成物を使用して産生されてもよい。一実施形態では、本明細書に記載される抗トリプターゼ抗体をコードする単離された核酸が提供される。そのような核酸は、抗体のVLを含むアミノ酸配列及び/または抗体のVHを含むアミノ酸配列(例えば、抗体の軽鎖及び/または重鎖)をコードし得る。さらなる一実施形態において、そのような核酸を含む1つ以上のベクター(例えば、発現ベクター)が提供される。さらなる一実施形態において、そのような核酸を含む宿主細胞が提供される。そのような一実施形態において、宿主細胞は、(1)抗体のVLを含むアミノ酸配列及び抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含むベクター、または(2)抗体のVLを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第1のベクター、及び抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第2のベクターを含む(例えば、それらで形質転換されている)。一実施形態では、宿主細胞は、真核細胞、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、293細胞、またはリンパ系細胞(例えば、Y0、NS0、Sp20細胞)である。一実施形態では、抗トリプターゼ抗体を作製する方法であって、上述のような、抗体をコードする核酸を含む宿主細胞を、抗体の発現に好適な条件下で培養することと、任意に、抗体を宿主細胞(または宿主細胞培養培地)から回収することとを含む、方法が提供される。
抗トリプターゼ抗体の組み換え産生について、例えば、上記の抗体をコードする核酸が単離され、宿主細胞でのさらなるクローニング及び/または発現のために1つ以上のベクターに挿入される。そのような核酸は、従来の手順を使用して(例えば、抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)、容易に単離され、配列決定され得る。
抗体をコードするベクターのクローン化または発現に好適な宿主細胞は、本明細書に記載される原核生物細胞または真核生物細胞を含む。例えば、抗体は、特にグリコシル化及びFcエフェクター機能が必要とされない場合に、細菌中で産生され得る。細菌中での抗体断片及びポリペプチドの発現については、例えば、米国特許第5,648,237号、同第5,789,199号、及び同第5,840,523号を参照されたい。Charlton,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ,2003),pp.245-254(E.coli中の抗体断片の発現を説明)を参照されたい。発現後、抗体は、可溶性画分中で細菌細胞ペーストから単離され得、さらに精製され得る。
原核生物に加えて、糸状菌または酵母などの真核微生物は、抗体をコードするベクターにとって好適なクローニングまたは発現宿主であり、そのグリコシル化経路が「ヒト化」されており、部分的または完全なヒトグリコシル化パターンを有する抗体の産生をもたらす、真菌及び酵母株を含む。Gerngross,Nat.Biotech.22:1409-1414,2004及びLi et al.Nat.Biotech.24:210-215,2006を参照されたい。
グリコシル化抗体の発現に好適な宿主細胞はまた、多細胞生物(無脊椎動物及び脊椎動物)にも由来する。無脊椎動物細胞の例としては、植物細胞及び昆虫細胞が挙げられる。特にSpodoptera frugiperda細胞のトランスフェクションのために昆虫細胞と組み合わせて使用され得る、多数のバキュロウイルス株が特定されている。
植物細胞培養物もまた、宿主として利用することができる。例えば、米国特許第5,959,177号、同第6,040,498号、同第6,420,548号、同第7,125,978号、及び同第6,417,429号(トランスジェニック植物において抗体を産生するためのPLANTIBODIES(商標)技術について記載)を参照されたい。
脊椎動物細胞もまた、宿主として使用することができる。例えば、懸濁液中で成長するように適合される哺乳動物細胞株が、有用であり得る。有用な哺乳類宿主細胞株の他の例としては、SV40(COS-7)で形質転換されたサル腎臓CV1株、ヒト胚腎臓株(例えば、Graham et al.J.Gen Virol.36:59,1977に記載される293または293細胞);ベビーハムスター腎臓細胞(BHK);マウスセルトリ細胞(例えば、Mather Biol.Reprod.23:243-251,1980に記載されるTM4細胞);サル腎臓細胞(CV1);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76);ヒト子宮頸癌細胞(HELA);イヌ腎臓細胞(MDCK;バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A);ヒト肺細胞(W138);ヒト肝臓細胞(Hep G2);マウス乳房腫瘍(MMT 060562);例えば、Mather et al.,Annals N.Y.Acad.Sci.383:44-68,1982に記載されるTRI細胞;MRC 5細胞;及びFS4細胞である。他の有用な哺乳類宿主細胞株には、DHFR-CHO細胞(Urlaub et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216,1980)を含む、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞;ならびにY0、NS0、及びSp2/0等の骨髄腫細胞株が挙げられる。抗体産生に好適なある特定の哺乳類宿主細胞株の概説については、例えば、Yazaki et al.Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ),pp.255-268,2003を参照されたい。
C.アッセイ
本明細書に提供される抗トリプターゼ抗体は、それらの物理的/化学的特性及び/または生物学的活性について、当該技術分野で既知の様々なアッセイによって、特定され得るか、スクリーニングされ得るか、または特徴付けられ得る。
1.結合アッセイ及び他のアッセイ
一態様では、本発明の抗トリプターゼ抗体は、例えば、ELISA、ウェスタンブロット、表面プラズモン共鳴(SPR)などの既知の方法によって、その抗原結合活性に関して試験される。
別の態様では、競合アッセイを用いて、トリプターゼへの結合について本発明の抗トリプターゼ抗体と競合する抗体が特定され得る。ある特定の実施形態では、そのような競合抗体は、本発明の抗トリプターゼ抗体によって結合されるものと同じエピトープ(例えば、線形または立体配座エピトープ)に結合する。ある特定の実施形態では、そのような競合抗体は、本発明の抗トリプターゼ抗体によって結合される重複エピトープ(例えば、線形または立体配座エピトープ)に結合する。抗体が結合するエピトープをマッピングするための詳細な例示的方法は、Morris“Epitope Mapping Protocols,”in Methods in Molecular Biology Vol.66(Humana Press,Totowa,NJ),1996に提供されている。
例示的な競合アッセイでは、固定化されたトリプターゼが、トリプターゼと結合する第1の標識抗体と、トリプターゼへの結合について第1の抗体と競合するその能力について試験されている第2の未標識抗体とを含む溶液中で、インキュベートされる。第2の抗体は、ハイブリドーマ上清中に存在し得る。対照として、固定化されたトリプターゼを、第1の標識抗体を含むが第2の非標識抗体を含まない溶液中でインキュベートする。第1の抗体のトリプターゼへの結合を許容する条件下でのインキュベーションの後、過剰な非結合抗体を除去し、固定化されたトリプターゼに関連する標識の量を測定する。固定化されたトリプターゼに関連する標識の量が、対照試料と比較して試験試料中で実質的に低減される場合、それは、第2の抗体がトリプターゼへの結合について第1の抗体と競合していることを示す。Harlow et al.Antibodies:A Laboratory Manual Ch.14(Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY),1988を参照されたい。
別の実施形態では、同じエピトープへの結合についての2つの抗体の競合は、エピトープビニングによって判定される。例えば、標識抗原は、固形表面で固定され、第1の抗体の飽和量と反応する。次いで、第2の競合抗体が添加される。例えば、OCTET(登録商標)(ForteBio)また他のバイオレイヤー干渉法(BLI)技術によって検出される、第2の抗体による任意のさらなる結合は、2つの抗体が、異なる、非重複エピトープに結合することを示す。さらなる結合は、2つの抗体が、同じまたは重複エピトープに結合することを示さない。ELISA、サイズ排除クロマトグラフィー、結晶解析、HDX-MS、変異誘発、及び他のSPR方法を含む、いくつかの他の方法はまた、2つの抗体が、同じまたは重複エピトープに結合することを示すために用いられ得る。抗体が、本発明の抗体をクロスブロックするか、またはそれによってクロスブロックされるかどうかを判定するために、同様の技術が使用され得る。
2.活性アッセイ
一態様において、生物学的活性を有するその抗トリプターゼ抗体を特定するためのアッセイが提供される。生物学的活性は、例えば、トリプターゼ(例えば、血流中または気道中トリプターゼ)またはそのペプチド断片と、インビボ、インビトロ、またはエキソビボのいずれかで結合することを含み得る。他の実施形態では、生物学的活性は、トリプターゼをブロックまたは中和することを含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、生物学的活性は、トリプターゼタンパク質分解活性をブロックまたは中和することを含み得る。そのような生物学的活性をインビボ及び/またはインビトロで有する抗体も提供される。ある特定の実施形態では、本発明の抗体は、そのような生物学的活性について試験される。
例えば、いくつかの実施形態では、本発明の抗体は、例えば、実施例(例えば、実施例1、特に節(A)(viii)(a))に記載されるように、例えば、ペプチド基質(例えば、合成ペプチドS-2288)を使用するトリプターゼ酵素アッセイで、または当該技術分野で既知の方法(例えば、Fukuoka et al.J.Immunol.176:3165-3172,2006を参照されたい)を用いて、トリプターゼ活性の阻害に関して試験される。いくつかの実施形態では、トリプターゼ酵素アッセイにおけるトリプターゼ活性の阻害は、pH(例えば、約pH7、例えば、約pH7、約pH7.4、または約pH8)またはそのほぼ中性pHで行われる。他の実施形態では、トリプターゼ酵素アッセイにおけるトリプターゼ活性の阻害は、酸性pH(例えば、約pH6.0、例えば、約pH4.0、約pH5.0、約pH6.0、または約pH6.5)で行われる。
他の実施形態では、本発明の抗体は、四量体の構造(マスト細胞分泌顆粒中に存在するか、またはそこから放出される成熟トリプターゼなど)を有するトリプターゼを分裂し、単量体を形成する能力に関して試験され、それはゲル濾過クロマトグラフィー(例えば、SUPEROSE(登録商標)12ゲル濾過クロマトグラフィー)を含む、当該技術分野で既知の任意の好適な方法を使用して判定され得る。例えば、Fukuoka et al.J.Immunol.176:3165-3172,2006を参照されたい。
さらに他の実施形態では、本発明の抗体は、例えば、実施例1に記載されるように、ヒト初期気道平滑筋細胞のトリプターゼ刺激増殖及び/または収縮を阻害する能力に関して試験される。
さらに他の実施形態では、本発明の抗体は、例えば、トリプターゼ及び/またはIgEによって刺激されるマスト細胞脱顆粒及び/またはヒスタミン放出を阻害する能力に関して試験される。そのようなアッセイは、例えば、実施例1に記載される。
いくつかの実施形態では、本発明の抗体は、例えば、対象への抗体の投与(例えば、静脈内または皮下注射によって)後に対象から得られた試料(例えば、気管支肺胞洗浄液)中で、例えば、活性トリプターゼアッセイ(例えば、図15及び実施例6を参照されたい)において、活性トリプターゼを阻害する能力に関して試験される。
またさらなる実施形態では、本発明の抗体は、例えば、対象への抗体の投与(例えば、静脈内または皮下注射によって)後に対象から得られた試料(例えば、気管支肺胞洗浄液)中で、例えば、全トリプターゼアッセイ(例えば、図15及び実施例6を参照されたい)において、全トリプターゼレベルを調節(例えば、増加または減少)する能力に関して試験される。
D.免疫複合体
本発明はまた、化学療法剤もしくは化学療法薬、成長阻害剤、毒素(例えば、タンパク質毒素、細菌真菌、植物、もしくは動物起源の酵素活性毒素、またはそれらの断片)、または放射性同位体等の1つ以上の細胞傷害性薬剤と複合された本明細書における抗トリプターゼ抗体を含む、免疫複合体を提供する。
一実施形態では、免疫複合体は、マイタンシノイド(米国特許第5,208,020号、同第5,416,064号、及び欧州特許第EP0425235B1号を参照されたい);モノメチルオーリスタチン薬物部分DE及びDF(MMAE及びMMAF)などのオーリスタチン(米国特許第5,635,483号、同第5,780,588号、及び同第7,498,298号を参照されたい);ドラスタチン;カリケアマイシンまたはその誘導体(米国特許第5,712,374号、同第5,714,586号、同第5,739,116号、同第5,767,285号、同第5,770,701号、同第5,770,710号、同第5,773,001号、及び同第5,877,296号;Hinman et al.Cancer Res.53:3336-3342,1993、及びLode et al.Cancer Res.58:2925-2928,1998を参照されたい);ダウノマイシンまたはドキソルビシンなどのアントラサイクリン(Kratz et al.Current Med.Chem.13:477-523,2006;Jeffrey et al.Bioorganic&Med.Chem.Letters 16:358-362,2006;Torgov et al.Bioconj.Chem.16:717-721,2005;Nagy et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:829-834,2000;Dubowchik et al.Bioorg.&Med.Chem.Letters 12:1529-1532,2002;King et al.J.Med.Chem.45:4336-4343,2002;及び米国特許第6,630,579号を参照されたい);メトトレキサート;ビンデシン;ドセタキセル、パクリタキセル、ラロタキセル(larotaxel)、テセタキセル(tesetaxel)、及びオルタタキセル(ortataxel)などのタキサン;トリコテセン;ならびにCC1065を含むがこれらに限定されない1つ以上の薬物に抗体が複合体化されている抗体-薬物複合体(ADC)である。
別の実施形態では、免疫複合体は、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、外毒素A鎖(Pseudomonas aeruginosa由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、アルファ-サルシン、Aleurites fordiiタンパク質、ジアンシンタンパク質、Phytolaca americanaタンパク質(PAPI、PAPII、及びPAP-S)、momordica charantia阻害剤、クルシン、クロチン、sapaonaria officinalis阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、及びトリコテセンを含むがこれらに限定されない酵素活性毒素またはその断片に複合体化された、本明細書に記載される抗体を含む。
別の実施形態では、免疫複合体は、放射性原子に複合体化されて放射性複合体を形成する、本明細書に記載される抗体を含む。放射性複合体の産生には、様々な放射性同位体が利用可能である。例は、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212、及びLuの放射性同位体を含む。放射性複合体を検出に使用する場合、それは、シンチグラフ研究のための放射性原子、例えば、テクネチウム-99m(tc99m)もしくはI123、または核磁気共鳴(NMR)撮像(磁気共鳴撮像mriとしても知られる)のためのスピン標識、例えば、ここでもヨウ素-123、ヨウ素-131、インジウム-111、フッ素-19、炭素-13、窒素-15、酸素-17、ガドリニウム、マンガン、もしくは鉄を含み得る。
抗体及び細胞傷害性剤の複合体は、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(例えば、アジプイミド酸ジメチルHCl)、活性エステル(例えば、スベリン酸ジスクシンイミジル)、アルデヒド(例えば、グルタルアルデヒド)、ビス-アジド化合物(例えば、ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス-ジアゾニウム誘導体(例えば、ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えば、トルエン2,6-ジイソシアネート)、及びビス-活性フッ素化合物(例えば、1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)などの多様な二官能性タンパク質結合剤を使用して作製され得る。例えば、リシン免疫毒素は、Vitetta et al.Science 238:1098,1987に記載されるように調製され得る。炭素-14で標識された1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエチレントリアミンペンタ酢酸(MX-DTPA)は、放射性ヌクレオチドの抗体へのコンジュゲート化のための例示的なキレート剤である。WO94/11026を参照されたい。リンカーは、細胞内において細胞毒性薬物の放出を容易にする「切断可能リンカー」であってもよい。例えば、酸不安定性リンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー、感光性リンカー、ジメチルリンカー、またはジスルフィド含有リンカー(例えば、Chari et al.Cancer Res.52:127-131,1992、米国特許第5,208,020号を参照されたい)が使用され得る。
本明細書の免疫複合体またはADCは、市販されている(例えば、Pierce Biotechnology,Inc.,Rockford,IL.,U.S.Aから)、BMPS、EMCS、GMBS、HBVS、LC-SMCC、MBS、MPBH、SBAP、SIA、SIAB、SMCC、SMPB、SMPH、スルホ-EMCS、スルホ-GMBS、スルホ-KMUS、スルホ-MBS、スルホ-SIAB、スルホ-SMCC、及びスルホ-SMPB、ならびにSVSB(サクシニミジル-(4-ビニルスルホン)安息香酸塩)を含むが、これらに限定されない架橋剤試薬で調製されるそのような複合体を明示的に企図するが、これらに限定されない。
E.診断及び検出のための方法及び組成物
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される抗トリプターゼ抗体のうちのいずれかは、生体試料中のトリプターゼの存在の検出に有用である。「検出すること」という用語は、本明細書で使用されるとき、定量または定性検出を包含する。ある特定の実施形態では、生体試料は、これらに限定されないが、マスト細胞、好塩基球、上皮細胞、または肺組織(例えば、気管支平滑筋)を含む細胞または組織を含む。ある特定の実施形態では、生体試料は、血液(例えば、全血、血清、または血漿)、痰、気管支肺胞洗浄、または鼻吸収試料を含む。
一実施形態では、診断または検出方法において使用するための抗トリプターゼ抗体が提供される。さらなる態様では、生体試料中のトリプターゼの存在を検出する方法が提供される。ある特定の実施形態では、本方法は、抗トリプターゼ抗体のトリプターゼへの結合を許容する条件下で生体試料を本明細書に記載の抗トリプターゼ抗体と接触させることと、錯体が抗トリプターゼ抗体とトリプターゼとの間に形成されるかを検出することと、を含む。そのような方法は、インビトロまたはインビボ方法であり得る。一実施形態では、例えば、トリプターゼが患者の選択のためのバイオマーカーである場合、抗トリプターゼ抗体が、抗トリプターゼ抗体での治療に適格な対象を選択するために使用される。
本発明の抗体を使用して診断され得る例示的な障害としては、肺障害(例えば、喘息(例えば、Th2高喘息またはTh2低喘息)、気道過反応性、またはCOPD)、自己免疫不全(例えば、リウマチ性関節炎、乾癬、好酸球性食道炎、IBD、及びクローン病)、炎症性障害(例えば、慢性特発性蕁麻疹(CIUまたはCSU)、アトピー性皮膚炎、またはアレルギー性鼻炎)、線維性障害(例えば、IPF)、顆粒球性(好中球性または好酸球性)障害、単球性障害、リンパ球性障害、正常もしくは異常組織常在性細胞(マスト細胞、マクロファージ、またはリンパ球など)または間質細胞(線維芽細胞、筋線維芽細胞、平滑筋細胞、上皮、または内皮などの増加された数もしくは分布に関連する障害、ならびにトリプターゼ関連障害もしくはトリプターゼ媒介障害が挙げられる。
例えば、いくつかの例では、本発明の抗体は、例えば、Schwartz et al.Immunol.Allergy Clin.N.Am.26:451-463,2006)に記載されるように、アナフィラキシー(例えば、急性全身性アナフィラキシー)または肥満細胞症(例えば、非急性全身性肥満細胞症)を診断または検出するために使用され得る。本発明の抗体は、例えば、ELISAにおいて、全トリプターゼ、プロトリプターゼ、及び/または成熟トリプターゼのレベルを検出するために使用され得る。いくつかの実施形態では、本発明の抗体は、ELISAにおいて捕捉抗体として使用され得る。他の実施形態では、本発明の抗体は、ELISAにおいて検出抗体として使用され得る。特定の実施形態では、血清または血漿中の全トリプターゼの正常参照レベルは、約1~15ng/mL(例えば、約1ng/mL、約2ng/mL、約3ng/mL、約4ng/mL、約5ng/mL、約6ng/mL、約7ng/mL、約8ng/mL、約9ng/mL、約10ng/mL、約11ng/mL、約12ng/mL、約13ng/mL、約14ng/mL、または約15ng/mL)であり得る。いくつかの例では、全トリプターゼの正常参照レベルに対する増加は、トリプターゼ関連障害の診断指標として使用される。いくつかの実施形態では、血清または血漿中の成熟トリプターゼの正常参照レベルは、<1ng/mLである。いくつかの実施形態では、成熟トリプターゼの正常参照レベルに対する増加は、トリプターゼ関連障害の診断指標として使用される。
ある特定の実施形態では、標識された抗トリプターゼ抗体が提供される。標識としては、直接検出される標識または部分(蛍光標識、発色団標識、電子密度の高い標識、化学発光標識、及び放射性標識等)、ならびに間接的に、例えば、酵素反応または分子相互作用により検出される酵素またはリガンド等の部分が挙げられるが、これらに限定されない。例となる標識には、放射性同位体32P、14C、125I、3H、及び131I、希土類キレートまたはフルオレセイン及びその誘導体等のフルオロフォア、ローダミン及びその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロン、ルシフェラーゼ、例えば、ホタルルシフェラーゼ及び細菌ルシフェラーゼ(米国特許第4,737,456号)、ルシフェリン、2,3-ジヒドロフタラジンジオン、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、糖質オキシダーゼ、例えば、グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、及びグルコース-6-リン酸塩デヒドロゲナーゼ、過酸化水素を用いて色素前駆体を酸化させる酵素、例えばHRP、ラクトペルオキシダーゼ、またはマイクロペルオキシダーゼとカップリングされた、ウリカーゼ及びキサンチンオキシダーゼ等の複素環式オキシダーゼ、ビオチン/アビジン、スピン標識、バクテリオファージ標識、安定した遊離ラジカル等が含まれるが、これらに限定されない。
F.薬学的製剤
本発明の抗トリプターゼ抗体の薬学的製剤は、凍結乾燥製剤または水溶液の形態で、所望される度合いの純度を有するかかる抗体を、1つ以上の任意選択の薬学的に許容される担体(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.,1980を参照されたい)と混合することによって調製することができる。薬学的に許容される担体は、一般に、用いられる投薬量及び濃度ではレシピエントに非毒性であり、それらとしては、リン酸、クエン酸、及び他の有機酸等の緩衝剤;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化物質;防腐剤(例えば、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル、もしくはベンジルアルコール;メチルもしくはプロピルパラベン等のアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジン等のアミノ酸;単糖類、二糖類、及びグルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む他の炭水化物;EDTA等のキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース、もしくはソルビトール等の糖類;ナトリウム等の塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);及び/またはポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書における例示的な薬学的に許容される担体は、可溶性の中性活性ヒアルロニダーゼ糖タンパク質(sHASEGP)、例えば、rHuPH20(HYLENEX(登録商標)、Baxter International,Inc.)などのヒト可溶性PH-20ヒアルロニダーゼ糖タンパク質などの介在性薬物分散剤をさらに含む。rHuPH20を含む、ある特定の例示的なsHASEGP及び使用方法は、米国特許公開第2005/0260186号及び同第2006/0104968号に記載されている。一態様では、sHASEGPは、コンドロイチナーゼなどの1つ以上の追加のグリコサミノグリカナーゼと組み合わせられる。
例示的な凍結乾燥抗体製剤は、米国特許第6,267,958号に記載されている。水性抗体製剤は、米国特許第6,171,586号及びWO2006/044908に記載されるものを含み、後者の製剤はヒスチジン-酢酸緩衝液を含む。
本明細書における製剤はまた、治療されている特定の適応症に必要とされる2つ以上の活性成分、好ましくは相互に悪影響を及ぼさない相補的活性を有するものを含んでもよい。例えば、インターロイキン-13(IL-13)結合アンタゴニスト、インターロイキン-17(IL-17)軸結合アンタゴニスト、インターロイキン-5(IL-5)軸結合アンタゴニスト、IL-33軸結合アンタゴニスト、M1プライムアンタゴニスト、IgEアンタゴニスト、TRPA1アンタゴニスト、CRTH2アンタゴニスト、気管支拡張剤もしくは喘息症状コントローラー薬剤、免疫調節剤、コルチコステロイド、Th2経路阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、またはホスホジエステラーゼ阻害剤をさらに提供することが望ましい場合がある。いくつかの実施形態では、IL-13軸結合アンタゴニストは、抗IL-13抗体、例えば、レブリキズマブである。いくつかの実施形態では、IL-5軸結合アンタゴニストは、IL-5結合アンタゴニストまたはIL-5受容体結合アンタゴニストである。いくつかの実施形態では、IL-33軸結合アンタゴニストは、IL-33結合アンタゴニストまたはST2結合アンタゴニストである。いくつかの実施形態では、IL-33結合アンタゴニストは、抗IL-33抗体である。いくつかの例では、M1プライムアンタゴニストは、キリズマブである。いくつかの例では、IgEアンタゴニストは、オマリズマブ(XOLAIR(登録商標))である。そのような活性成分は、意図される目的に有効な量で組み合わせて好適に存在する。
活性成分は、例えば、コアセルベーション技術によって、もしくは界面重合によって調製されたマイクロカプセル、例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロースもしくはゼラチンマイクロカプセル及びポリ-(メチルメタクリレート)マイクロカプセル内、コロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロ乳濁液、ナノ粒子、及びナノカプセル)内、またはマクロ乳濁液中にも取り込まれ得る。そのような技術は、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.,1980に開示されている。
徐放性調製物が調製され得る。徐放性調製物の好適な例としては、抗体を含む固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが挙げられ、これらのマトリックスは、成形物品、例えば、フィルム、またはマイクロカプセルの形態である。
インビボ投与に使用される製剤は一般に、滅菌される。滅菌状態は、例えば、滅菌濾過膜を通じた濾過によって、容易に達成することができる。
本発明は、抗酸化剤を含む薬学的組成物を提供する。そのような組成物は、本明細書に記載の抗体(例えば、hu31A.v11などの抗トリプターゼ抗体)の酸化を低減するために使用され得る。いくつかの例では、抗酸化剤は、トリプトファン残基、例えば、可変領域のHVR領域またはFR領域のトリプトファン残基の酸化を低減するために含まれる。特定の例では、抗酸化剤は、抗トリプターゼ抗体、例えば、hu31A.v11中のW100のHVR-H3残基の酸化を低減するために含まれる。いくつかの例では、抗酸化剤は、メチオニン残基、例えば、Fc残基M251、M357、及び/またはM427(例えば、hu31A.v11の)などの抗体(例えば、抗トリプターゼ抗体)のFc領域のメチオニン残基の酸化を低減するために組成物中に含まれる。
いくつかの例では、薬学的組成物は、本明細書に記載の抗体のうちのいずれか及び抗酸化剤を含む。いくつかの例では、抗体は、酸化感受性(例えば、1つ以上の(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個)のトリプトファンまたはメチオニン残基で)である。任意の好適な抗酸化剤が使用され得る。例えば、いくつかの例では、組成物は、N-アセチルトリプトファン(例えば、N-アセチルDL-トリプトファンまたはN-アセチルD-トリプトファン)、トリプトファン、メチオニン(例えば、L-メチオニン)、システイン、グルタチオン、チオソルビトール、アスコルビン酸、モノチオグリセロール、シクロデキストリン、トロロックス、ピリドキシン、ポリオール(例えば、マンニトール)、スクロース、金属キレート剤(例えば、EDTA)、及びそれらの組み合わせ(例えば、N-アセチルトリプトファン及びメチオニンの組み合わせ)からなる群から選択される1つ以上の抗酸化剤(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、または9つの抗酸化剤)を含む。いくつかの例では、抗酸化剤は、N-アセチルトリプトファン(例えば、N-アセチルDL-トリプトファンまたはN-アセチルD-トリプトファン)である。他の例では、抗酸化剤は、メチオニン(例えば、L-メチオニンまたはD-メチオニン)である。特定の例では、組成物は、N-アセチルトリプトファン(例えば、N-アセチルDL-トリプトファンまたはN-アセチルD-トリプトファン)及びメチオニン(例えば、L-メチオニンまたはD-メチオニン)を含む。いくつかの例では、N-アセチルトリプトファンは、抗体中のトリプトファンの酸化を低減するまたは妨げる。いくつかの例では、メチオニンは、抗体中のメチオニンの酸化を低減するまたは妨げる。
薬学的組成物は、酸化を低減または排除するために任意の好適な濃度の抗酸化剤を含み得る。例えば、ポリオール(例えば、マンニトール)またはスクロースの濃度は、約1%(w/v)~約25%(w/v)、例えば、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、または約25%(w/v)であり得る。特定の例では、ポリオール(例えば、マンニトール)またはスクロースの濃度は、約15%(w/v)であり得る。別の実施例では、金属キレート剤(例えば、EDTA)の濃度は、約0.01%(w/v)~約1%(w/v)、例えば、約0.01%、約0.02%、約0.03%、約0.04%、約0.05%、約0.06%、約0.07%、約0.08%、約0.09%、約0.1%、約0.15%、約0.2%、約0.25%、約0.3%、約0.4%、約0.45%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、または約1%(w/v)であり得る。特定の例では、金属キレート剤(例えば、EDTA)の濃度は、約0.4%(w/v)であり得る。さらに別の実施例では、メチオニン及び/またはトリプトファンの濃度は、約0.1mg/ml~約10mg/ml、例えば、約0.1mg/ml、約0.5mg/ml、約1mg/ml、約2mg/ml、約3mg/ml、約4mg/ml、約5mg/ml、約6mg/ml、約7mg/ml、約8mg/ml、約9mg/ml、または約10mg/mlであり得る。いくつかの例では、メチオニン及び/またはトリプトファンの濃度は、約2mg/mlである。
例えば、いくつかの例では、本発明は、
(i)ヒトトリプターゼと結合する単離された抗体、またはその抗原結合断片であって、抗体が、以下の6つの超可変領域(HVR):(a)DYGMV(配列番号7)のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)FISSGSSTVYYADTMKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR-H2、(c)RNYDDWYFDV(配列番号8)のアミノ酸配列を含むHVR-H3、(d)SASSSVTYMY(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)RTSDLAS(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び(f)QHYHSYPLT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、単離された抗体、またはその抗原結合断片と、(ii)N-アセチルトリプトファン(例えば、N-アセチルDL-トリプトファンまたはN-アセチルD-トリプトファン)と、(iii)メチオニン(例えば、L-メチオニンまたはD-メチオニン)と、を含む薬学的組成物を提供する。
任意の好適な濃度のN-アセチルトリプトファン(例えば、N-アセチルDL-トリプトファンまたはN-アセチルD-トリプトファン)は、本明細書に記載の組成物のうちのいずれかにおいて使用され得る。いくつかの例では、N-アセチルトリプトファン(例えば、N-アセチルDL-トリプトファンまたはN-アセチルD-トリプトファン)の濃度は、約0.05mM~約20mM(例えば、約0.05mM~約20mM、約0.05mM~約19mM、約0.05mM~約18mM、約0.05mM~約17mM、約0.05mM~約16mM、約0.05mM~約15mM、約0.05mM~約14mM、約0.05mM~約13mM、約0.05mM~約13mM、約0.05mM~約12mM、約0.05mM~約11mM、約0.05mM~約10mM、約0.05mM~約9mM、約0.05mM~約8mM、約0.05mM~約7mM、約0.05mM~約6mM、約0.05mM~約5mM、約0.05mM~約4mM、約0.05mM~約3mM、約0.05mM~約2mM、約0.05mM~約1mM、約0.1mM~約20mM、約0.1mM~約19mM、約0.1mM~約18mM、約0.1mM~約17mM、約0.1mM~約16mM、約0.1mM~約15mM、約0.1mM~約14mM、約0.1mM~約13mM、約0.1mM~約13mM、約0.1mM~約12mM、約0.1mM~約11mM、約0.1mM~約10mM、約0.1mM~約9mM、約0.1mM~約8mM、約0.1mM~約7mM、約0.1mM~約6mM、約0.1mM~約5mM、約0.1mM~約4mM、約0.1mM~約3mM、約0.1mM~約2mM、約0.1mM~約1mM、約0.1mM~約0.9mM、約0.1~約0.8mM、約0.1mM~約0.7mM、約0.1mM~約0.6mM、約0.1mM~約0.5mM、約0.1mM~約0.4mM、約0.1mM~約0.3mM、約0.2mM~約20mM、約0.2mM~約19mM、約0.2mM~約18mM、約0.2mM~約17mM、約0.2mM~約16mM、約0.2mM~約15mM、約0.2mM~約14mM、約0.2mM~約13mM、約0.2mM~約13mM、約0.2mM~約12mM、約0.2mM~約11mM、約0.2mM~約10mM、約0.2mM~約9mM、約0.2mM~約8mM、約0.2mM~約7mM、約0.2mM~約6mM、約0.2mM~約5mM、約0.2mM~約4mM、約0.2mM~約3mM、約0.2mM~約2mM、約0.2mM~約1mM、約0.2mM~約0.9mM、約0.2~約0.8mM、約0.2mM~約0.7mM、約0.2mM~約0.6mM、約0.2mM~約0.5mM、約0.2mM~約0.4mM、約0.2mM~約0.3mM、約0.3mM~約20mM、約0.3mM~約19mM、約0.3mM~約18mM、約0.3mM~約17mM、約0.3mM~約16mM、約0.3mM~約15mM、約0.3mM~約14mM、約0.3mM~約13mM、約0.3mM~約13mM、約0.3mM~約12mM、約0.3mM~約11mM、約0.3mM~約10mM、約0.3mM~約9mM、約0.3mM~約8mM、約0.3mM~約7mM、約0.3mM~約6mM、約0.3mM~約5mM、約0.3mM~約4mM、約0.3mM~約3mM、約0.3mM~約2mM、約0.3mM~約1mM、約0.3mM~約0.9mM、約0.3~約0.8mM、約0.3mM~約0.7mM、約0.3mM~約0.6mM、約0.3mM~約0.5mM、または約0.3mM~約0.4mM)である。いくつかの例では、N-アセチルトリプトファンは、約0.1mM~約1mM(例えば、約0.1mM、約0.2mM、約0.3mM、約0.4mM、約0.5mM、約0.6mM、約0.7mM、約0.8mM、約0.9mM、または約1mM)の濃度である。特定の例では、N-アセチルトリプトファン(例えば、N-アセチルDL-トリプトファンまたはN-アセチルD-トリプトファン)の濃度は、約0.3mMである。特定の例では、N-アセチルトリプトファンは、N-アセチルDL-トリプトファンである。
任意の好適な濃度のメチオニン(例えば、L-メチオニンまたはD-メチオニン)は、本明細書に記載の組成物のうちのいずれかにおいて使用され得る。例えば、いくつかの例では、メチオニン(例えば、L-メチオニンまたはD-メチオニン)の濃度は、約0.1mM~約30mM(例えば、約0.1mM~約30mM、約0.1mM~約25mM、約0.1mM~約20mM、約0.1mM~約19mM、約0.1mM~約18mM、約0.1mM~約17mM、約0.1mM~約16mM、約0.1mM~約15mM、約0.1mM~約14mM、約0.1mM~約13mM、約0.1mM~約13mM、約0.1mM~約12mM、約0.1mM~約11mM、約0.1mM~約10mM、約0.1mM~約9mM、約0.1mM~約8mM、約0.1mM~約7mM、約0.1mM~約6mM、約0.1mM~約5mM、約0.1mM~約4mM、約0.1mM~約3mM、約0.1mM~約2mM、約0.1mM~約1mM、約1mM~約20mM、約1mM~約19mM、約1mM~約18mM、約1mM~約17mM、約1mM~約16mM、約1mM~約15mM、約1mM~約14mM、約1mM~約13mM、約1mM~約13mM、約1mM~約12mM、約1mM~約11mM、約1mM~約10mM、約1mM~約9mM、約1mM~約8mM、約1mM~約7mM、約1mM~約6mM、約1mM~約5mM、約1mM~約4mM、約1mM~約3mM、約1mM~約2mM、約2mM~約20mM、約2mM~約19mM、約2mM~約18mM、約2mM~約17mM、約2mM~約16mM、約2mM~約15mM、約2mM~約14mM、約2mM~約13mM、約2mM~約13mM、約2mM~約12mM、約2mM~約11mM、約2mM~約10mM、約2mM~約9mM、約2mM~約8mM、約2mM~約7mM、約2mM~約6mM、約2mM~約5mM、約2mM~約4mM、約2mM~約3mM、約5mM~約20mM、約5mM~約19mM、約5mM~約18mM、約5mM~約17mM、約5mM~約16mM、約5mM~約15mM、約5mM~約14mM、約5mM~約13mM、約5mM~約13mM、約5mM~約12mM、約5mM~約11mM、約5mM~約10mM、約5mM~約9mM、約5mM~約8mM、約5mM~約7mM、または約5mM~約6mM)である。いくつかの例では、メチオニン(例えば、L-メチオニンまたはD-メチオニン)は、約1mM~約10mM(例えば、約1mM、約2mM、約3mM、約4mM、約5mM、約6mM、約7mM、約8mM、約9mM、または約10mM)の濃度である。特定の例では、メチオニン(例えば、L-メチオニンまたはD-メチオニン)の濃度は、約5mMである。他の例では、メチオニンの濃度は、約10mMである。特定の例では、メチオニンは、L-メチオニンである。
いくつかの例では、抗酸化剤(例えば、N-アセチルトリプトファン(例えば、N-アセチルDL-トリプトファン)及び/またはメチオニン(例えば、L-メチオニンまたはD-メチオニン))の存在は、抗トリプターゼ抗体の酸化パーセントを、特定の残基(例えば、トリプトファン残基またはメチオニン残基、例えば、HVR-H3残基(例えば、hu31A.v11のVHドメインのW100)中またはFc残基(例えば、Fc残基M251、M357、及び/またはM427(例えば、hu31A.v11の))で、例えば、抗酸化剤の不在下での残基で酸化パーセントに対して、約1%、約2%、約5%、約6%、約10%、約15%、約20%、約25%、約28%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、またはそれ以上低減する。
抗体が、酸化感受性であるHVR-H3(例えば、hu31A.v11)中のVHドメインW100残基を含む例において、いくつかの例では、HVR-H3中のVHドメインW100残基は、約35%未満(例えば、35%未満、34%未満、33%未満、32%未満、31%未満、30%未満、29%未満、28%未満、27%未満、26%未満、25%未満、24%未満、23%未満、22%未満、21%未満、20%未満、19%未満、18%未満、17%未満、16%未満、15%未満、14%未満、13%未満、12%未満、11%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、またはそれより少ない)の酸化パーセントを有する。例えば、いくつかの例では、HVR-H3中のW100残基は、約35%未満の酸化パーセントを有する。他の例では、HVR-H3中のW100残基は、約25%未満の酸化パーセントを有する。さらに他の例では、HVR-H3中のW100残基は、約15%未満の酸化パーセントを有する。さらに他の例では、HVR-H3中のW100残基は、約10%未満の酸化パーセントを有する。他の例では、HVR-H3中のW100残基は、約5%未満の酸化パーセントを有する。他の例では、HVR-H3中のW100残基は、約4%、約3%、約2%、または約1%未満の酸化パーセントを有する。
例としては、抗体が酸化感受性であるHVR-H3中のVHドメインW100残基を含む場合のいくつかの例において、いくつかの例では、HVR-H3中のVHドメインW100残基は、約1%~約50%、約1%~約45%、約1%~約40%、約1%~約35%、約1%~約30%、約1%~約25%、約1%~約20%、約1%~約15%、約1%~約10%、約1%~約5%、約1%~約4%、約1%~約3%、約1%~約2%、約5%~約50%、約5%~約45%、約5%~約50%、約5%~約35%、約5%~約30%、約5%~約25%、約5%~約20%、約5%~約15%、約5%~約10%、約10%~約50%、約10%~約45%、約10%~約40%、約10%~約35%、約10%~約30%、約10%~約25%、約10%~約20%、約10%~約15%、約15%~約50%、約15%~約45%、約15%~約40%、約15%~約35%、約15%~約30%、約15%~約25%、約15%~約20%、約25%~約50%、または約30%~約50%の酸化パーセントを有する。
酸化パーセントは、例えば、抗体またはその薬学的組成物の初期生成から約1ヵ月、2ヵ月、3ヵ月、4ヵ月、5ヵ月、6ヵ月、7ヵ月、8ヵ月、9ヵ月、10ヵ月、11ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、2年、またはそれ以上以内に判定され得る。いくつかの例では、酸化パーセントは、抗体またはその薬学的組成物の初期生成から約9ヵ月、約12ヵ月、約18ヵ月、または2年以内に判定される。
本発明の組成物中の抗体の濃度は、例えば、約1mg/mL~約350mg/mL(例えば、約1mg/mL~約350mg/mL、約1mg/mL~約325mg/mL、約1mg/mL~約300mg/mL、約1mg/mL~約275mg/mL、約1mg/mL~約250mg/mL、約1mg/mL~約225mg/mL、約1mg/mL~約200mg/mL、約1mg/mL~約175mg/mL、約1mg/mL~約150mg/mL、約1mg/mL~約125mg/mL、約1mg/mL~約100mg/mL、約1mg/mL~約75mg/mL、約1mg/mL~約50mg/mL、約1mg/mL~約25mg/mL、約25mg/mL~約350mg/mL、約25mg/mL~約325mg/mL、約25mg/mL~約300mg/mL、約25mg/mL~約275mg/mL、約25mg/mL~約250mg/mL、約25mg/mL~約225mg/mL、約25mg/mL~約200mg/mL、約25mg/mL~約175mg/mL、約25mg/mL~約150mg/mL、約25mg/mL~約125mg/mL、約25mg/mL~約100mg/mL、約25mg/mL~約75mg/mL、約25mg/mL~約50mg/mL、約50mg/mL~約350mg/mL、約50mg/mL~約325mg/mL、約50mg/mL~約300mg/mL、約50mg/mL~約275mg/mL、約50mg/mL~約250mg/mL、約50mg/mL~約225mg/mL、約50mg/mL~約200mg/mL、約50mg/mL~約175mg/mL、約50mg/mL~約150mg/mL、約50mg/mL~約125mg/mL、約50mg/mL~約100mg/mL、約50mg/mL~約75mg/mL、約75mg/mL~約350mg/mL、約75mg/mL~約325mg/mL、約75mg/mL~約300mg/mL、約75mg/mL~約275mg/mL、約75mg/mL~約250mg/mL、約75mg/mL~約225mg/mL、約75mg/mL~約200mg/mL、約75mg/mL~約175mg/mL、約75mg/mL~約150mg/mL、約75mg/mL~約125mg/mL、約75mg/mL~約100mg/mL、約100mg/mL~約350mg/mL、約100mg/mL~約325mg/mL、約100mg/mL~約300mg/mL、約100mg/mL~約275mg/mL、約100mg/mL~約250mg/mL、約100mg/mL~約225mg/mL、約100mg/mL~約200mg/mL、約100mg/mL~約175mg/mL、約100mg/mL~約150mg/mL、約100mg/mL~約125mg/mL、または約150mg/mL~約175mg/mLの範囲であり得る。いくつかの例では、抗体は、約50mg/mL~約200mg/mL(例えば、約50mg/mL、約60mg/mL、約70mg/mL、約80mg/mL、約90mg/mL、約100mg/mL、約110mg/mL、約120mg/mL、約130mg/mL、約140mg/mL、約150mg/mL、約160mg/mL、約170mg/mL、約180mg/mL、約190mg/mL、または約200mg/mLの濃度である。特定の例では、抗体の濃度は、約150mg/mLである。
本明細書に記載の組成物のうちのいずれかは、安定剤、緩衝剤、界面活性剤、及び張性剤からなる群から選択される1つ以上のさらなる賦形剤を含み得る。いくつかの例では、緩衝剤は、アルギニンコハク酸及び/またはヒスチジンコハク酸を含む。いくつかの例では、緩衝剤は、アルギニンコハク酸及びヒスチジンコハク酸を含む。
任意の好適な濃度のアルギニンコハク酸が使用され得る。例えば、いくつかの例では、アルギニンコハク酸の濃度は、約10mM~約500mM(例えば、約10mM、約20mM、約30mM、約40mM、約50mM、約75mM、約100mM、約125mM、約150mM、約175mM、約200mM、約225mM、約250mM、約275mM、約300mM、約325mM、約350mM、約375mM、約400mM、約425mM、約450mM、約475mM、または約500mM)である。例えば、いくつかの例では、アルギニンコハク酸の濃度は、約100mM~約300mM、約125mM~約300mM、約150mM~約300mM、約175mM~約300mM、約200mM~約300mM、約225mM~約300mM、約250mM~約300mM、約275mM~約300mM、約100mM~約250mM、約125mM~約250mM、約150mM~約250mM、約175mM~約250mM、約200mM~約250mM、約100mM~約225mM、約125mM~約225mM、約150mM~約225mM、約175mM~約225mM、約200mM~約225mM、約100mM~約200mM、約125mM~約200mM、約150mM~約200mM、または約175mM~約200mMである。特定の例では、アルギニンコハク酸の濃度は、約200mMである。
任意の好適な濃度のヒスチジンコハク酸が使用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、ヒスチジンコハク酸の濃度は、約1mM~約100mM(例えば、約1mM、約5mM、約10mM、約15mM、約20mM、約25mM、約30mM、約35mM、約40mM、約45mM、約50mM、約55mM、約60mM、約65mM、約70mM、約75mM、約80mM、約85mM、約90mM、約95mM、または約100mM)である。特定の例では、ヒスチジンコハク酸の濃度は、約20mMである。
本明細書に記載の組成物のうちのいずれかは、約4.0~約7.0(例えば、約4.0、約4.5、約5.0、約5.5、約6.0、約6.5、または約7.0)のpHを有し得る。いくつかの例では、pHは、約4.5~約7.0(例えば、約4.5、約5.0、約5.5、約6.0、約6.5、または約7.0)である。いくつかの例では、pHは、約4.5~約6.5(例えば、約4.5、約4.6、約4.7、約4.8、約4.9、約5、約5.1、約5.2、約5.3、約5.4、約5.5、約5.6、約5.7、約5.8、約5.9、約6、約6.1、約6.2、約6.3、約6.4、または約6.5)である。いくつかの例では、pHは、約5.0~約6.0(例えば、約5.0、約5.1、約5.2、約5.3、約5.4、約5.5、約5.6、約5.7、約5.8、約5.9、または約6.0)である。いくつかの例では、pHは、約5.5である。
任意の好適な界面活性剤は、本明細書に記載の組成物において使用され得る。いくつかの例では、界面活性剤は、ポロキサマー188またはポリソルベート20である。任意の好適な濃度のポロキサマー188が使用され得る。例えば、ポロキサマー188の濃度は、約0.005%~約0.5%、約0.005%~約0.05%、または約0.02%であり得る。いくつかの例では、ポロキサマー188の濃度は、約0.01%、約0.02%、約0.03%、約0.04%、約0.05%、約0.06%、約0.07%、約0.08%、約0.09%、または約0.1%である。特定の実施形態では、ポロキサマー188の濃度は、約0.02%である。任意の好適な濃度のポリソルベート20が使用され得る。例えば、ポリソルベート20の濃度は、約0.005%~約0.5%、約0.005%~約0.05%、または約0.02%であり得る。いくつかの例では、ポリソルベート20の濃度は、約0.01%、約0.02%、約0.03%、約0.04%、約0.05%、約0.06%、約0.07%、約0.08%、約0.09%、または約0.1%である。
特定の例では、組成物は、約150mg/mLの本明細書に記載の抗トリプターゼ抗体(例えば、hu31A.v11)、約200mMのアルギニンコハク酸、約20mMのヒスチジンコハク酸、約0.3mMのN-アセチルDL-トリプトファン)、約5mMのL-メチオニン、約0.02%のポロキサマー188を含み、約5.8のpHを有する。
本明細書に記載の組成物のいずれかは、任意の好適な経路による投与のために製剤化され得る。特定の例では、組成物は、皮下投与または静脈内投与のために製剤化される。いくつかの例では、組成物は、皮下投与のために製剤化される。
G.治療方法及び組成物
本発明の抗トリプターゼ抗体または薬学的組成物のうちのいずれかが、治療方法に使用され得る。
一態様では、医薬品として使用するための、抗トリプターゼ抗体、またはその薬学的組成物が提供される。さらなる態様では、障害の治療に使用するための、抗トリプターゼ抗体、またはその薬学的組成物が提供される。ある特定の実施形態では、治療方法に使用するための、抗トリプターゼ抗体、またはその薬学的組成物が提供され得る。ある特定の実施形態では、本発明は、有効量の抗トリプターゼ抗体を対象に投与することを含む、障害を有する対象を治療する方法に使用するための、抗トリプターゼ抗体、またはその薬学的組成物を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、例えば、以下に記載されるような、有効量の少なくとも1つのさらなる治療剤を対象に投与することをさらに含む。上記の実施形態のうちのいずれかによる「対象」は、好ましくはヒトである。
さらなる態様では、本発明は、医薬品の製造または調製における抗トリプターゼ抗体、またはその薬学的組成物の使用を提供する。一実施形態では、医薬品は、障害の治療用である。さらなる実施形態では、薬剤は、障害を有する対象に有効量の薬剤を投与することを含む、障害を治療する方法において使用するためのものである。1つのそのような実施形態では、本方法は、例えば、以下に記載のような、有効量の少なくとも1つの追加の治療薬を対象に投与することをさらに含む。上記の実施形態のうちのいずれかによる「対象」は、ヒトであり得る。
さらなる態様では、本発明は、例えば、肺障害(例えば、喘息(例えば、Th2高喘息またはTh2低喘息)、気道過反応性、またはCOPD)、自己免疫不全(例えば、リウマチ性関節炎、乾癬、好酸球性食道炎、IBD、またはクローン病)、炎症性障害(例えば、慢性特発性蕁麻疹(CIUまたはCSU)、アナフィラキシー、アトピー性皮膚炎、またはアレルギー性鼻炎)、線維性障害(例えば、IPF)、顆粒球性(好中球性または好酸球性)障害、単球性障害、リンパ球性障害、正常もしくは異常組織常在性細胞(マスト細胞、マクロファージ、またはリンパ球など)または間質細胞(線維芽細胞、筋線維芽細胞、平滑筋細胞、上皮、または内皮などの増加された数もしくは分布に関連する障害、ならびにトリプターゼ関連障害もしくはトリプターゼ媒介障害を含む、障害を治療するための方法を提供する。一実施形態では、方法は、有効量の抗トリプターゼ抗体、またはその薬学的組成物を障害を有する対象に投与することを含む。1つのそのような実施形態では、本方法は、以下に記載のような、有効量の少なくとも1つの追加の治療薬を対象に投与することをさらに含む。上記の実施形態のうちのいずれかによる「対象」は、ヒトであり得る。
さらなる態様では、本発明は、例えば、上記の治療法のいずれかにおける使用のための、本明細書に提供される抗トリプターゼ抗体のいずれかを含む薬学的製剤を提供する。一実施形態では、薬学的製剤は、本明細書に提供される抗トリプターゼ抗体のうちのいずれかと薬学的に許容される担体とを含む。別の実施形態では、薬学的製剤は、本明細書に提供される抗トリプターゼ抗体のうちのいずれかと、例えば、以下に記載の少なくとも1つの追加の治療薬とを含む。上記の節Fに記載の薬学的製剤のうちのいずれか(例えば、N-アセチルトリプトファン及び/またはメチオニンなどの抗酸化剤を含むもの)は、本明細書に記載の使用または方法のうちのいずれかにおいて使用され得る。
いくつかの実施形態では、障害は、自己免疫不全、炎症性障害、線維性障害、顆粒球性(好中球性または好酸球性)障害、単球性障害、リンパ球性障害、または正常もしくは異常組織常在性細胞(マスト細胞、マクロファージ、またはリンパ球など)または間質細胞(線維芽細胞、筋線維芽細胞、平滑筋細胞、上皮、または内皮など)の増加された数もしくは分布に関連する障害である。いくつかの実施形態では、障害は、肺障害である。
いくつかの実施形態では、肺障害は、顆粒球性(好酸球性及び/または好中球)肺炎症、感染誘導性肺状態(例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、好酸球性肺炎症、感染誘導性肺状態(ウイルス(例えば、インフルエンザ、パラインフルエンザ、ライノウイルス、ヒトメタニューモウイルス、及び呼吸器合胞体ウイルス)、細菌、または真菌(例えば、アスペルギルス)と関連するものを含む)トリガーと関連する。いくつかの実施形態では、障害は、アレルゲン誘導性肺状態、毒性環境汚染物質肺状態(例えば、石綿肺症、珪肺症、またはベリリウム症)、胃吸引誘導性肺状態であるか、または、免疫調節異常もしくは嚢胞性線維症などの遺伝的素因による炎症状態と関連する。いくつかの実施形態では、障害は、身体的外傷誘導性肺状態(例えば、人工呼吸器傷害)、肺気腫、たばこ誘発性肺気腫、気管支炎、サルコイドーシス、組織球増加症、リンパ管筋腫症、急性肺傷害、急性呼吸促迫症候群、慢性肺疾患、気管支肺異形成症、肺炎(例えば、市中肺炎、院内肺炎、人工呼吸器関連性肺炎、ウイルス性肺炎、細菌性肺炎、及び重度の肺炎)、気道憎悪、及び急性呼吸促迫症候群(ARDS)を含む)である。いくつかの実施形態では、肺障害は、COPDである。
方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、肺障害は、喘息である。いくつかの実施形態では、喘息は、致命的であり得る悪化する症状(憎悪または突発)の急性事象を伴う持続性慢性重症喘息である。いくつかの実施形態では、喘息は、アトピー性(アレルギーとしても既知である)喘息、非アレルギー性喘息(例えば、呼吸器ウイルス(例えば、インフルエンザ、パラインフルエンザ、ライノウイルス、ヒトメタニューモウイルス、及び呼吸器発疹ウイルス)、または吸入刺激物(大気汚染物質、煙霧、ディーゼル粒子、屋内もしくは屋外での揮発性化学薬品及びガス、またはさらには冷乾燥空気によって)による感染症によってしばしば誘発される)である。
方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、喘息は、「煙」(典型的には紙巻きたばこ、葉巻、パイプ)、吸入もしくは「蒸気吸入」(たばこ、大麻、または他のそのような物質)への急性もしくは慢性の直接または間接曝露に起因する断続的もしくは運動誘発性の喘息、またはアスピリンもしくは関連するNSAIDSの最近の摂取によって誘発される喘息である。いくつかの実施形態では、喘息は、軽度またはコルチコステロイド未感作喘息であるか、新たに診断された未治療の喘息であるか、または症状(咳、喘鳴、息切れ/呼吸困難、または胸痛)を抑制するために以前は局所的または全身的な吸入ステロイドの慢性的使用を必要としなかった喘息である。いくつかの実施形態では、喘息は、慢性の、コルチコステロイド抵抗性喘息、コルチコステロイド難治性喘息、コルチコステロイドまたは他の慢性喘息コントローラー薬剤で制御されない喘息である。
方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、喘息は、中等度~重度の喘息である。ある特定の実施形態では、喘息は、Th2高喘息である。いくつかの実施形態では、喘息は、重度の喘息である。いくつかの実施形態では、喘息は、アトピー性喘息、アレルギー性喘息、非アレルギー性喘息(例えば、感染症及び/または呼吸器発疹ウイルス(RSV)に起因する)、運動誘発性喘息、アスピリン感受性/憎悪性喘息、軽度喘息、中等度~重度の喘息、コルチコステロイド未感作喘息、慢性喘息、コルチコステロイド抵抗性喘息、コルチコステロイド難治性喘息、新たに診断された未治療の喘息、喫煙に起因する喘息、コルチコステロイドで制御されない喘息である。いくつかの実施形態では、喘息は、2型Tヘルパーリンパ球(Th2)もしくは2型(Th2)高Tヘルパーリンパ球、または2型(T2)駆動喘息である。いくつかの実施形態では、喘息は、好酸球喘息である。いくつかの実施形態では、喘息は、アレルギー性喘息である。いくつかの実施形態では、個体は、好酸球性炎症陽性(EIP)であると判定されている。WO2015/061441を参照されたい。いくつかの実施形態では、喘息は、ペリオスチン高喘息である(例えば、少なくとも約20ng/mL、25ng/mL、または50ng/mL血清のうちのいずれかのペリオスチンレベルを有する)。血清ペリオスチンレベルを判定する方法は、例えば、US2012/0156194に提供される。いくつかの実施形態では、喘息は、好酸球高喘息である(例えば、少なくとも約150、200、250、300、350、400好酸球数/ml血液のうちのいずれか)。ある特定の実施形態では、喘息は、Th2低喘息または非Th2駆動喘息である。いくつかの実施形態では、個体は、好酸球性炎症陰性(EIN)であると判定されている。WO2015/061441を参照されたい。いくつかの実施形態では、喘息は、ペリオスチン低喘息である(例えば、約20ng/mL血清未満のペリオスチンレベルを有する)。いくつかの実施形態では、喘息は、好酸球低喘息である(例えば、約150好酸球数/μl血液未満または約100好酸球数/μl血液未満)。ある特定の実施形態では、個体は、FeNO(呼気一酸化窒素)の高められたレベル及び/またはIgEの高められたレベルを呈する。例えば、いくつかの例では、個体は、約250十億分率(ppb)超、約275ppb超、約300ppb超、約325ppb超、約325ppb超、または約350ppb超のFeNOレベルを呈する。いくつかの例では、個体は、50IU/mlを超えるIgEレベルを有する。いくつかの実施形態では、個体は、予期される40%~80%の1秒間努力呼気容量(FEV1)を有する。
方法のうちのいずれかの他の実施形態では、自己免疫不全、炎症性障害、線維性障害、好中球障害、または好酸球性障害は、肺線維症である。いくつかの実施形態では、肺線維症は、特発性肺線維症(IPF)である。
方法のうちのいずれかのまたさらなる実施形態では、自己免疫不全、炎症性障害、線維性障害、顆粒球性(好中球性または好酸球性)障害、単球性障害、またはリンパ球性障害は、食道炎(例えば、好酸球性食道炎)、アレルギー性鼻炎、非アレルギー性鼻炎、ポリープを伴う鼻副鼻腔炎、鼻ポリープ、気管支炎、慢性肺炎、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、気道炎症、アレルギー性鼻炎、気管支拡張症、及び/または慢性気管支炎である。
方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、自己免疫不全、炎症性障害、線維性障害、顆粒球性(好中球性または好酸球性)障害、単球性障害、またはリンパ球性障害は、関節炎である。いくつかの実施形態では、関節炎は、リウマチ性関節炎である。いくつかの実施形態では、関節炎は、骨関節炎、リウマチ性関節炎、若年性関節炎、若年性リウマチ性関節炎、早期関節炎、多関節リウマチ性関節炎、全身型リウマチ性関節炎、腸疾患性関節炎、反応性関節炎、乾癬性関節炎、及び/または傷害の結果としての関節炎である。
方法のうちのいずれかのさらなる他の実施形態では、自己免疫不全、炎症性障害、線維性障害、顆粒球性(好中球性または好酸球性)障害、単球性障害、またはリンパ球性障害は、胃腸炎症状態である。いくつかの実施形態では、胃腸炎症状態は、IBD(炎症性腸疾患)、潰瘍性大腸炎(UC)、クローン病(CD)、大腸炎(例えば、外界からの刺激によって引き起こされる(例えば、治療レジメン、例えば、化学療法、放射線療法などによって引き起こされるかまたはそれと関連する)大腸炎)、感染性大腸炎、虚血性大腸炎、膠原線維性もしくはリンパ球性大腸炎、壊死性腸炎、慢性肉芽腫性疾患またはセリアック病などの状態における大腸炎、食物アレルギー、胃炎、胃腸炎、感染性胃炎もしくは腸炎(例えば、ヘリコバクターピロリ菌感染慢性活動性胃炎)、食道炎、及び感染体によって引き起こされる胃腸炎症の他の形態、または潰瘍性大腸炎である。
方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、自己免疫不全、炎症性障害、線維性障害、顆粒球性(好中球性または好酸球性)障害、単球性障害、またはリンパ球性障害は、胃腸炎症状態である。いくつかの実施形態では、胃腸炎症状態は、IBD(炎症性腸疾患)である。いくつかの実施形態では、炎症性腸疾患は、潰瘍性大腸炎(UC)またはクローン病(CD)である。いくつかの実施形態では、胃腸炎症状態は、大腸炎(例えば、外界からの刺激によって引き起こされる(例えば、治療レジメン、例えば、化学療法、放射線療法などによって引き起こされるかまたはそれと関連する)大腸炎)、感染性大腸炎、虚血性大腸炎、膠原線維性もしくはリンパ球性大腸炎、壊死性腸炎、慢性肉芽腫性疾患またはセリアック病などの状態における大腸炎、食物アレルギー、胃炎、胃腸炎、感染性胃炎もしくは腸炎(例えば、ヘリコバクターピロリ菌感染慢性活動性胃炎)、及び感染体によって引き起こされる胃腸炎症の他の形態、または潰瘍性大腸炎である。
方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、胃腸炎症状態は、潰瘍性大腸炎(UC)またはクローン病(CD)である。いくつかの実施形態では、胃腸炎症状態は、潰瘍性大腸炎(UC)である。いくつかの実施形態では、潰瘍性大腸炎は、軽度~中等度の遠位大腸炎である。いくつかの実施形態では、潰瘍性大腸炎は、軽度~中等度の広範性大腸炎である。いくつかの実施形態では、潰瘍性大腸炎は、重度の大腸炎である。いくつかの実施形態では、胃腸炎症状態は、クローン病(CD)である。いくつかの実施形態では、クローン病は、急性病期にある。いくつかの実施形態では、クローン病は、誘導臨床的寛解期にある。いくつかの実施形態では、クローン病は、持続応答/寛解期にある。いくつかの実施形態では、クローン病は、軽度~中等度の疾患である。いくつかの実施形態では、クローン病は、中等度~重度の疾患である。いくつかの実施形態では、クローン病は、重度/劇症の疾患である。いくつかの実施形態では、クローン病は、回腸、回腸結腸、または結腸疾患である。
方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、自己免疫不全、炎症性障害、線維性障害、顆粒球性(好中球性または好酸球性)障害、単球性障害、もしくはリンパ球性障害、または正常もしくは異常組織常在性細胞(マスト細胞、マクロファージ、またはリンパ球など)もしくは間質細胞(線維芽細胞、筋線維芽細胞、平滑筋細胞、上皮、または内皮)の増加された数もしくは分布に関連する障害は、ループスもしくは全身性エリテマトーデス(SLE)、またはループス(例えば、腎臓に影響を与えるループス腎炎(LN)、または血液及び/またはリンパ系臓器(リンパ節、脾臓、胸腺、及び関連するリンパ管)に影響を与える腎外性ループス(ERL)、及び/または関節及び/または他の臓器であるが、必ずしも腎臓である必要はない)の1つ以上の臓器特異性症状である。
方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、自己免疫不全、炎症性障害、または線維性障害は、敗血症及び/または外傷、HIV感染、またはANCA関連血管炎(AAV)などの特発性(未知の病因学の)、多発血管炎性肉芽腫症(ウェゲナー肉芽腫症として以前に既知である)、ベーチェット病、心血管疾患、好酸球性気管支炎、ライター症候群、SEA症候群(血清反応陰性、腱付着部症、関節症症候群)、強直性脊椎炎、皮膚筋炎、強皮症、例えば、全身性硬化症とも称される全身性強皮症、脈管炎(例えば、側頭動脈炎、頭蓋動脈炎、またはホートン疾患とも称される巨細胞性動脈炎(GCA))、筋炎、多発性筋炎、皮膚筋炎、動脈炎、リウマチ性多発筋痛症、サルコイドーシス、原発性胆汁性肝硬変、硬化性胆管炎、シェーグレン症候群、乾癬、尋常性乾癬、滴状乾癬、逆乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、皮膚炎、アトピー性皮膚炎、天疱瘡、例えば、尋常性天疱瘡、アテローム性動脈硬化症、ループス、スティル病、重症筋無力症、セリアック病、再発寛解型(RRMS)もしくは一次性進行型(PPMS)もしくは二次性進行型(SPMS)サブタイプの多発性硬化症(MS)、ギラン・バレー疾患、I型糖尿病(T1DM)もしくはインスリン依存性(IDDM)もしくは若年発症性DM型、甲状腺炎(例えば、グレーブス病)、セリアック病、チャーグ・ストラウス症候群、筋痛症候群、好酸球増多症候群、好酸球性血管性浮腫を含む浮腫反応、蠕虫感染症、オンコセルカ皮膚炎、好酸球性食道炎、好酸球性腸炎、好酸球性大腸炎、閉塞性睡眠時無呼吸、心内膜心筋線維症、アジソン病、レイノー病もしくは現象、自己免疫性肝炎、移植片対宿主病(GVHD)、または臓器移植拒絶に関連する。
方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、障害は、皮膚の炎症性障害である。いくつかの実施形態では、障害は、アトピー性皮膚炎またはオンコセルカ皮膚炎である。いくつかの実施形態では、障害は、慢性特発性蕁麻疹(CIUまたはCSU)である。方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、IL-13アンタゴニスト、IL-33アンタゴニスト、IgEアンタゴニスト、カルシウム阻害剤、ロイコトリエン阻害剤、または抗ヒスタミンを投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、IL-13アンタゴニストは、レブリキズマブである。いくつかの実施形態では、IgEアンタゴニストは、オマリズマブまたはリゲリズマブである。
方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、自己免疫不全、炎症性障害、線維性障害、好中球障害、または好酸球性障害は、線維性障害である。いくつかの実施形態では、線維障害は、肺線維症、肝線維症(例えば、肝硬変(例えば、アルコール誘導性肝硬変、ウイルス誘導性肝硬変、C型肝炎後肝硬変、及び原発性胆汁性肝硬変)と関連する線維症、住血吸虫症、胆管炎(例えば、硬化性胆管炎)、及び自己免疫誘導性肝炎)、腎臓線維症(例えば、尿細管間質線維症、強皮症、糖尿病性腎炎、及び糸球体腎炎)、皮膚線維症(例えば、強皮症、肥厚性及びケロイド瘢痕、腎性線維化性皮膚症、ならびに熱傷)、骨髄線維症、神経線維腫症、線維腫、腸管線維症、及び外科処置に起因する線維性癒着)、心臓線維症(例えば、心筋梗塞と関連する線維症)、血管線維症(例えば、血管形成術後動脈再狭窄及びアテローム性動脈硬化症と関連する線維症)、眼線維症(例えば、白内障手術後の増殖性硝子体網膜症と関連する線維症、及び後眼窩線維症)、ならびに骨髄線維症(例えば、特発性骨髄線維症及び薬物誘発性骨髄線維症)を含む。線維症は、臓器特異性または全身性(例えば、全身性硬化症、及びGVHDと関連する線維症)であり得る。いくつかの実施形態では、線維性障害は、肺線維症である。いくつかの実施形態では、肺線維症は、線維性間質性肺炎である。いくつかの実施形態では、肺線維症は、特発性線維化性肺胞炎としても既知である特発性肺線維症(IPF)である。いくつかの実施形態では、IPFは、性別、年齢、及び生理機能(GAP)ステージIである。いくつかの実施形態では、IPFは、GAPステージIIである。いくつかの実施形態では、IPFは、GAPステージIIIである。いくつかの実施形態では、肺線維症は、散発性IPFである。いくつかの実施形態では、肺線維症は、家族性肺線維症である。いくつかの実施形態では、肺線維症は、組み合わされた肺線維症及び肺気腫である。いくつかの実施形態では、肺線維症は、以下のうちの1つ以上と関連する:通常型間質性肺炎、特発性間質性肺炎、剥離性間質性肺炎、呼吸器細気管支炎間質性肺疾患、急性間質性肺炎、非特異性間質性肺炎、サルコイドーシス、特発性器質化肺炎、好酸球性肺炎、感染症、職業性または環境性物質への曝露、紙巻きたばこ喫煙、薬物または放射線によって誘発される間質性肺疾患、リウマチ性疾患関連間質性肺疾患、リンパ系間質性肺炎、上葉優位型肺線維症、肺ランゲルハンス細胞組織球症、全身性強皮症間質性肺疾患、ヘルマンスキー・パドラック症候群、及びテロメアの短縮による疾患。
方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、自己免疫不全、炎症性障害、線維性障害、好中球障害、または好酸球性障害は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)である。いくつかの実施形態では、COPDは、慢性閉塞性肺疾患(GOLD)カテゴリーAに関する国際指針である。いくつかの実施形態では、COPDは、GOLDカテゴリーBである。いくつかの実施形態では、COPDは、GOLDカテゴリーCである。いくつかの実施形態では、COPDは、GOLDカテゴリーDである。いくつかの実施形態では、COPDは、慢性気管支炎である。いくつかの実施形態では、COPDは、肺気腫である。いくつかの実施形態では、肺気腫は、近位腺房、汎細葉性、または遠位腺房肺気腫である。いくつかの実施形態では、肺気腫は、たばこ誘発性肺気腫である。いくつかの実施形態では、COPDは、粒子粉塵、化学煙霧、及び/または大気汚染への曝露と関連する。いくつかの実施形態では、COPDは、肺発達の障害と関連する。いくつかの実施形態では、COPDは、慢性閉塞性喘息である。いくつかの実施形態では、COPDは、アルファ1抗トリプシン欠乏と関連する。いくつかの実施形態では、COPDは、セリンプロテアーゼ阻害剤クレードE、メンバー2(SERPINE2)の分裂と関連する。いくつかの実施形態では、COPDは、持続性全身性炎症を伴うCOPDである。いくつかの実施形態では、COPDは、好酸球性または2型Tヘルパー(TH2)高COPDである。いくつかの実施形態では、COPDは持続性細菌コロニー形成を伴うCOPDである。いくつかの実施形態では、COPDは、頻繁な増悪を伴うCOPDである。いくつかの実施形態では、自己免疫不全、炎症性障害、線維性障害、好中球障害、または好酸球性障害は、喘息COPD重複症候群(ACOS)である。いくつかの実施形態では、ACOSは、好酸球優勢、好中球優勢、混合パターン、または非炎症(非顆粒球性)ACOSである。いくつかの実施形態では、自己免疫不全、炎症性障害、線維性障害、好中球障害、または好酸球性障害は、COPD閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)重複症候群である。
本発明の抗体、またはその薬学的組成物は、治療において単独で、または他の薬剤と組み合わせて使用することができる。例えば、本発明の抗体、またはその薬学的組成物は、少なくとも1つのさらなる治療剤と同時投与され得る。ある特定の実施形態では、さらなる治療剤は、インターロイキン-13(IL-13)結合アンタゴニスト、インターロイキン-17(IL-17)軸結合アンタゴニスト、インターロイキン-5(IL-5)軸結合アンタゴニスト、またはIL-33軸結合アンタゴニストである。いくつかの実施形態では、IL-13軸結合アンタゴニストは、抗IL-13抗体、例えば、レブリキズマブである。いくつかの実施形態では、IL-5軸結合アンタゴニストは、IL-5結合アンタゴニストまたはIL-5受容体結合アンタゴニストである。いくつかの実施形態では、IL-33軸結合アンタゴニストは、IL-33結合アンタゴニストまたはST2結合アンタゴニストである。いくつかの実施形態では、IL-33結合アンタゴニストは、抗IL-33抗体である。
いくつかの実施形態では、さらなる治療剤は、以下に記載されるように、喘息治療薬である。中等度の喘息は、現在、日常的に吸入される抗炎症性コルチコステロイドまたは肥満細胞阻害剤、例えば、必要に応じて(一日当たり3~4回)吸入ベータ2アゴニストを加えたクロモグリク酸ナトリウムまたはネドクロミルによって処置され、進展症状またはアレルゲンもしくは運動誘発性喘息が緩和される。例示的な吸入コルチコステロイドとしては、QVAR(登録商標)、PULMICORT(登録商標)、SYMBICORT(登録商標)、AEROBID(登録商標)、FLOVENT(登録商標)、FLONASE(登録商標)、ADVAIR(登録商標)、及びAZMACORT(登録商標)が挙げられる。さらなる喘息治療薬は、長時間作用型の呼吸器作用薬(LABD)を含む。ある特定の実施形態では、LABDは、長時間作用型ベータ-2アゴニスト(LABA)、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト(LTRA)、長時間作用型ムスカリン性アンタゴニスト(LAMA)、テオフィリン、または経口コルチコステロイド(OCS)である。例示的なLABDとしては、SYMBICORT(登録商標)、ADVAIR(登録商標)、BROVANA(登録商標)、FORADIL(登録商標)、PERFOROMIST(商標)、及びSEREVENT(登録商標)が挙げられる。
方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、気管支拡張剤または喘息症状コントローラー薬剤を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、気管支拡張剤または喘息コントローラー薬剤は、短時間作用型β2アゴニスト(SABA)(アルブテロールなど)などのβ2アドレナリンアゴニスト、または長時間作用型β2アドレナリンアゴニスト(LABA)である。いくつかの実施形態では、LABAは、サルメテロール、アベジテロール、インダカテロール、ビランテロール、及び/またはホルモテロール(ホルモテロールフマル酸塩水和物)である。いくつかの実施形態では、喘息コントローラー薬剤は、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト(LTRA)である。いくつかの実施形態では、LTRAは、モンテルカスト、ザフィルルカスト、及び/またはジロイトンである。いくつかの実施形態では、気管支拡張剤または喘息コントローラー薬剤は、長時間作用型ムスカリン性アセチルコリン受容体(コリン作動性)アンタゴニスト(LAMA)などのムスカリン性アンタゴニストである。いくつかの実施形態では、LAMAは、グリコピロニウムである。いくつかの実施形態では、気管支拡張剤または喘息コントローラー薬剤は、苦味受容体(TAS2Rなどの)などのイオンチャネルのアゴニストである。
方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、気管支拡張剤を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、気管支拡張剤は、吸入気管支拡張剤である。いくつかの実施形態では、吸入気管支拡張剤は、β2アドレナリンアゴニストである。いくつかの実施形態では、β2アドレナリンアゴニストは、短時間作用型β2アドレナリンアゴニスト(SABA)である。いくつかの実施形態では、SABAは、ビトルテロール、フェノテロール、イソプロテレノール、レバルブテロール、メタプロテレノール、ピルブテロール、プロカテロール、リトドリン、アルブテロール、及び/またはテルブタリンである。いくつかの実施形態では、β2アドレナリンアゴニストは、長時間作用型β2アドレナリンアゴニスト(LABA)である。いくつかの実施形態では、LABAは、アルホルモテロール、バンブテロール、クレンブテロール、ホルモテロール、サルメテロール、アベジテロール、カルモテロール、インダカテロール、オロダテロール、及び/またはビランテロールである。いくつかの実施形態では、吸入気管支拡張剤は、ムスカリン性受容体アンタゴニストである。いくつかの実施形態では、ムスカリン性受容体アンタゴニストは、短時間作用型ムスカリン性受容体アンタゴニスト(SAMA)である。いくつかの実施形態では、SAMAは、臭化イプラトロピウムである。いくつかの実施形態では、ムスカリン性受容体アンタゴニストは、長時間作用型ムスカリン性受容体アンタゴニスト(LAMA)である。いくつかの実施形態では、LAMAは、チオトロピウム臭化物、臭化グリコピロニウム、臭化ウメクリジニウム、臭化アクリジニウム、及び/またはレベフェナシンである。いくつかの実施形態では、吸入気管支拡張剤は、SABA/SAMAの組み合わせである。いくつかの実施形態では、SABA/SAMAの組み合わせは、アルブテロール/イプラトロピウムである。いくつかの実施形態では、吸入気管支拡張剤は、LABA/LAMAの組み合わせである。いくつかの実施形態では、LABA/LAMAの組み合わせは、ホルモテロール/アクリジニウム、ホルモテロール/グリコピロニウム、ホルモテロール/チオトロピウム、インダカテロール/グリコピロニウム、インダカテロール/チオトロピウム、オロダテロール/チオトロピウム、サルメテロール/チオトロピウム、及び/またはビランテロール/ウメクリジニウムである。いくつかの実施形態では、吸入気管支拡張剤は、二官能性気管支拡張剤である。いくつかの実施形態では、二官能性気管支拡張剤は、ムスカリン性アンタゴニスト/β2アゴニスト(MABA)である。いくつかの実施形態では、MABAは、バテフェンテロール、THRX200495、AZD2115、LAS190792、TEI3252、PF-3429281、及び/またはPF-4348235である。いくつかの実施形態では、吸入気管支拡張剤は、TAS2Rのアゴニストである。いくつかの実施形態では、気管支拡張剤は、霧化SABAである。いくつかの実施形態では、霧化SABAは、アルブテロール及び/またはレバルブテロールである。いくつかの実施形態では、気管支拡張剤は、霧化LABAである。いくつかの実施形態では、霧化LABAは、アルホルモテロール及び/またはホルモテロールである。いくつかの実施形態では、気管支拡張剤は、霧化SAMAである。いくつかの実施形態では、霧化SAMAは、イプラトロピウムである。いくつかの実施形態では、気管支拡張剤は、霧化LAMAである。いくつかの実施形態では、霧化LAMAは、グリコピロニウム及び/またはレベフェナシンである。いくつかの実施形態では、気管支拡張剤は、霧化SABA/SAMAの組み合わせである。いくつかの実施形態では、霧化SABA/SAMAの組み合わせは、アルブテロール/イプラトロピウムである。いくつかの実施形態では、気管支拡張剤は、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト(LTRA)である。いくつかの実施形態では、LTRAは、モンテルカスト、ザフィルルカスト、及び/またはジロイトンである。いくつかの実施形態では、気管支拡張剤は、メチルキサンチンである。いくつかの実施形態では、メチルキサンチンは、テオフィリンである。
方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、免疫調節剤を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、免疫調節剤は、E型免疫グロブリン(IgE)に対する抗体または抗IgE(IgE阻害剤)である。いくつかの実施形態では、抗IgEは、オマリズマブ及び/またはリゲリズマブである。方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、クロモリンをさらに含む。方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、メチルキサンチンをさらに含む。いくつかの実施形態では、メチルキサンチンは、テオフィリンまたはカフェインである。
方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、吸入コルチコステロイド(ICS)または経口コルチコステロイドなどの1つ以上のコルチコステロイドを投与することをさらに含む。非限定的な、例示的なコルチコステロイドとしては、ベタメタゾンジプロピオン酸エステル、ブデソニド、シクレソニド、フルニソリド、フルチカゾンプロピオン酸エステル、フルチカゾンフロ酸エステル、モメタゾン、及び/またはトリアムシノロンアセトニドなどの吸入コルチコステロイド、ならびにメチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、及びプレドニゾンなどの経口コルチコステロイドが挙げられる。いくつかの実施形態では、コルチコステロイドは、ICSである。いくつかの実施形態では、ICSは、ベクロメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、フルチカゾンフロ酸エステル、フルチカゾンプロピオン酸エステル、モメタゾン、シクレソニド、及び/またはトリアムシノロンである。方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、ICS/LABA及び/またはLAMAの組み合わせを投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、ICS/LABA及び/またはLAMAの組み合わせは、フルチカゾンプロピオン酸エステル/サルメテロール、ブデソニド/ホルモテロール、モメタゾン/ホルモテロール、フルチカゾンフロ酸エステル/ビランテロール、フルチカゾンプロピオン酸エステル/ホルモテロール、ベクロメタゾン/ホルモテロール、フルチカゾンフロ酸エステル/ウメクリジニウム、フルチカゾンフロ酸エステル/ビランテロール/ウメクリジニウム、フルチカゾン/サルメテロール/チオトロピウム、ベクロメタゾン/ホルモテロール/グリコピロニウム、ブデソニド/ホルモテロール/グリコピロニウム、及び/またはブデソニド/ホルモテロール/チオトロピウムである。方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、霧化コルチコステロイドを投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、霧化コルチコステロイドは、ブデソニドである。方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、経口または静脈内コルチコステロイドを投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、経口または静脈内コルチコステロイドは、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、及び/またはヒドロコルチゾンである。
方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、ITK、BTK、JAK(JAK1、JAK2、及び/またはJAK3)、IL-9、IL-6、IL-5、IL-13、IL-4、IL-17(例えば、IL-17A及びIL-17F)、OX40L、TSLP、IL-25、IL-33、IgE、IL-9受容体、IL-5受容体、IL-4受容体α、IL-13受容体(例えば、IL-13受容体α1及び/またはα2)、OX40、TSLP-R、IL-7受容体(例えば、IL7Rα)、IL-17受容体(例えば、IL-17Rβ)、ST2(IL-33受容体)、CCR3、CCR4、CRTH2、FcεRI、FcεRII/CD23、Flap、Sykキナーゼ;CCR4、TLR9、CCR3、ケモカイン受容体アンタゴニスト、ならびにGM-CSFから選択される1つ以上の標的を阻害するTH2またはT2経路阻害剤を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、IL-5アンタゴニストを投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、IL-5アンタゴニストは、ベンラリズマブ、メポリズマブ、及び/またはレスリズマブである。いくつかの実施形態では、方法は、IL-13アンタゴニストを投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、IL-13アンタゴニストは、レブリキズマブ、デクトレクマブ、またはトラロキヌマブである。いくつかの実施形態では、方法は、IL-4アンタゴニスト(IL-4/IL-13アンタゴニストを含む)を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、IL-4アンタゴニストは、デュピルマブまたはQBX-258(Novartis)である。いくつかの実施形態では、方法は、TSLPアンタゴニストを投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、TSLPアンタゴニストは、AMG-157(MEDI-9929)である。いくつかの実施形態では、方法は、ST2アンタゴニストを投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、IL-17アンタゴニストを投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、IL-17アンタゴニストは、セクキヌマブ、イキセキズマブ、またはビメキズマブである。方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、フェビピプラントを投与することをさらに含む。方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、マシチニブを投与することをさらに含む。方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤、またはPDE3及び/またはPDE4アンタゴニストなどのアンタゴニストを投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、PDEアンタゴニストは、Theo-24、ダリレスプ、またはロフルミラストである。
方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、アミノサリチル酸塩;ステロイド;生物学的製剤;チオプリン;メトトレキサート;カルシニューリン阻害剤、例えば、シクロスポリンまたはタクロリムス;及び抗生物質から選択される1つ以上の活性成分を投与することをさらに含む。方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、経口または局所製剤でさらなる活性成分を投与することを含む。アミノサリチル酸塩の例としては、オイドラギットSコーティング、pH依存性メサラミン、エチルセルロースコーティングメサラミン、及びマルチマトリックス放出メサラミンの様な形態での、4-アミノサリチル酸、スルファサラジン、バルサラジド、オルサラジン、及びメサラジンが挙げられる。ステロイドの例としては、コルチコステロイドまたはグルココルチコステロイドが挙げられる。コルチコステロイドの例としては、例えば、ヒドロコルチゾン浣腸またはヒドロコルチゾン形態の様な形態での、プレドニゾン及びヒドロコルチゾンもしくはメチルプレドニゾロン、または第2の生成コルチコステロイド、例えば、ブデソニドまたはアザチオプリンが挙げられる。生物学的製剤の例としては、エタネルセプト;腫瘍壊死因子アルファに対する抗体、例えば、インフリキシマブ、アダリムマブ、またはセルトリズマブ;IL-12及びIL-23に対する抗体、例えば、ウステキヌマブ;ベドリズマブ;エトロリズマブ、ならびにナタリズマブが挙げられる。チオプリンの例としては、アザチオプリン、6-メルカプトプリン、及びチオグアニンが挙げられる。抗生物質の例としては、バンコマイシン、リファキシミン、メトロニダゾール、トリメトプリム、スルファメトキサゾール、ジアミノジフェニルスルホン及びシプロフロキサシン、ならびにガンシクロビルの様な抗ウイルス剤が挙げられる。
方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、抗線維化剤を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、抗線維化剤は、形質転換成長因子ベータ(TGF-β)刺激コラーゲン合成を阻害し、細胞外マトリックスを減少させ、及び/または線維芽細胞増殖をブロックする。いくつかの実施形態では、抗線維化剤は、ピルフェニドンである。いくつかの実施形態では、抗線維化剤は、PBI-4050である。いくつかの実施形態では、抗線維化剤は、タイペルカストである。
方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、チロシンキナーゼ阻害剤を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、チロシンキナーゼ阻害剤は、1つ以上の線維形成成長因子の生成を媒介するチロシンキナーゼを阻害する。いくつかの実施形態では、線維形成成長因子は、血小板由来成長因子、血管内皮成長因子、及び/または線維芽細胞成長因子である。いくつかの実施形態では、チロシンキナーゼ阻害剤は、イマチニブ及び/またはニンテダニブである。いくつかの実施形態では、チロシンキナーゼ阻害剤は、ニンテダニブである。方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、下痢止剤を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、下痢止剤は、ロペラミドである。
方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、抗体を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、抗体は、抗インターロイキン(IL)-13抗体である。いくつかの実施形態では、抗IL-13抗体は、トラロキヌマブである。いくつかの実施形態では、抗体は、抗IL-4/抗IL-13抗体である。いくつかの実施形態では、抗IL-4/抗IL-13抗体は、SAR156597である。いくつかの実施形態では、抗体は、抗結合組織成長因子(CTGF)抗体である。いくつかの実施形態では、抗CTGF抗体は、FG-3019である。いくつかの実施形態では、抗体は、抗リシルオキシダーゼ様2(LOXL2)抗体である。いくつかの実施形態では、抗LOXL2抗体は、シムツズマブである。いくつかの実施形態では、抗体は、抗αvβ6インテグリン受容体抗体である。いくつかの実施形態では、抗αvβ6インテグリン受容体抗体は、STX-100である。いくつかの実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体である。
方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、リゾホスファチジン酸-1(LPA1)受容体アンタゴニストを投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、LPA1受容体アンタゴニストは、BMS-986020である。方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、ガレクチン3阻害剤を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、ガレクチン3阻害剤は、TD-139である。
方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、緩和療法を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、緩和療法は、抗生物質、抗不安薬、コルチコステロイド、及びオピオイドのうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、抗生物質は、広範囲スペクトル抗生物質である。いくつかの実施形態では、抗生物質は、ペニシリン、β-ラクタマー阻害剤、及び/またはセファロスポリンである。いくつかの実施形態では、抗生物質は、ピペラシリン/タゾバクタム、セフィキシム、セフトリアキソン、及び/またはセフジニルである。いくつかの実施形態では、抗不安薬は、アルプラゾラム、ブスピロン、クロルプロマジン、ジアゼパム、ミダゾラム、ロラゼパム、及び/またはプロメタジンである。いくつかの実施形態では、コルチコステロイドは、グルココルチコステロイドである。いくつかの実施形態では、グルココルチコステロイドは、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、及び/またはヒドロコルチゾンである。いくつかの実施形態では、オピオイドは、モルヒネ、コデイン、ジヒドロコデイン、及び/またはジアモルフィンである。
方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、抗生物質を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、抗生物質は、マクロライドである。いくつかの実施形態では、マクロライドは、アジスロマイシン、及び/またはクラリスロマイシンである。いくつかの実施形態では、抗生物質は、ドキシサイクリンである。いくつかの実施形態では、抗生物質は、トリメトプリム/スルファメトキサゾールである。いくつかの実施形態では、抗生物質は、セファロスポリンである。いくつかの実施形態では、セファロスポリンは、セフェピム、セフィキシム、セフポドキシム、セフプロジル、セフタジジム、及び/またはセフロキシムである。いくつかの実施形態では、抗生物質は、ペニシリンである。いくつかの実施形態では、抗生物質は、アモキシシリン、アンピシリン、及び/またはピバンピシリンである。いくつかの実施形態では、抗生物質は、ペニシリン/β-ラクタマーゼ阻害剤の組み合わせである。いくつかの実施形態では、ペニシリン/β-ラクタマーゼ阻害剤の組み合わせは、アモキシシリン/クラブラン酸及び/またはピペラシリン/タゾバクタムである。いくつかの実施形態では、抗生物質は、フルオロキノロンである。いくつかの実施形態では、フルオロキノロンは、シプロフロキサシン、ゲミフロキサシン、レボフロキサシン、モキシフロキサシン、及び/またはオフロキサシンである。
方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、ホスホジエステラーゼ阻害剤を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、ホスホジエステラーゼ阻害剤は、ホスホジエステラーゼ5型阻害剤である。いくつかの実施形態では、ホスホジエステラーゼ阻害剤は、アバナフィル、ベンズアミドナフィル、ダサンタフィル、イカリイン、ロデナフィル、ミロデナフィル、シルデナフィル、タダラフィル、ウデナフィル、及び/またはバルデナフィルである。いくつかの実施形態では、PDE阻害剤は、PDE-4阻害剤である。いくつかの実施形態では、PDE-4阻害剤は、ロフルミラスト、シロミラスト、テトミラスト、及び/またはCHF6001である。いくつかの実施形態では、PDE阻害剤は、PDE-3/PDE-4阻害剤である。いくつかの実施形態では、PDE-3/PDE-4阻害剤は、RPL-554である。
方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、細胞障害性剤及び/または免疫抑制剤を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、細胞障害性剤及び/または免疫抑制剤は、アザチオプリン、コルヒチン、シクロホスファミド、シクロスポリン、メトトレキサート、ペニシラミン、及び/またはサリドマイドである。方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、肺における枯渇したグルタチオンレベルを復元する薬剤を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、肺における枯渇したグルタチオンレベルを復元する薬剤は、N-アセチルシステインである。方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、抗凝固薬を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、抗凝固薬は、ワルファリン、ヘパリン、活性化プロテインC、及び/または組織因子経路阻害剤である。
方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、エンドセリン受容体アンタゴニストを投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法エンドセリン受容体アンタゴニストは、ボセンタン、マシテンタン、及び/またはアンブリセンタンである。方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、TNF-αアンタゴニストを投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、TNF-αアンタゴニストは、エタネルセプト、アダリムマブ、インフリキシマブ、セルトリズマブ、及びゴリムマブのうちの1つ以上を含む。方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、インターフェロンガンマ1bを投与することをさらに含む。
方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、インターロイキン(IL)阻害剤を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、IL阻害剤は、IL-5阻害剤である。いくつかの実施形態では、IL-5阻害剤は、メポリズマブ及び/またはベンラリズマブである。いくつかの実施形態では、IL阻害剤は、IL-17A阻害剤である。いくつかの実施形態では、IL-17A阻害剤は、CNTO-6785である。
方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、p38マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)阻害剤を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、p38 MAPK阻害剤は、ロスマピモド及び/またはAZD-7624である。方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、CXCR2アンタゴニストを投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、CXCR2アンタゴニストは、ダニリキシンである。
方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、ワクチン接種をさらに含む。いくつかの実施形態では、ワクチン接種は、肺炎球菌(pneumococci)及び/またはインフルエンザに対するワクチン接種である。いくつかの実施形態では、ワクチン接種は、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)及び/またはインフルエンザに対するワクチン接種である。方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、抗ウイルス療法を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、抗ウイルス療法は、オセルタミビル、ペラミビル、及び/またはザナミビルである。
方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、胃食道逆流及び/または少量誤嚥の予防をさらに含む。
方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、換気補助をさらに含む。いくつかの実施形態では、換気補助は、機械的換気である。いくつかの実施形態では、換気補助は、非侵襲的換気である。いくつかの実施形態では、換気補助は、酸素補給である。方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、肺リハビリテーションをさらに含む。
方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、肺移植をさらに含む。いくつかの実施形態では、肺移植は、片肺移植である。いくつかの実施形態では、肺移植は、両肺移植である。
方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、非薬理学的介入をさらに含む。いくつかの実施形態では、非薬理学的介入は、禁煙、健康な食事、及び/または定期的な運動である。方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、方法は、禁煙のための薬理学的補助をさらに含む。いくつかの実施形態では、禁煙のための薬理学的補助は、ニコチン置換療法、ブプロピオン、及び/またはバレニクリンである。いくつかの実施形態では、非薬理学的介入は、肺療法である。いくつかの実施形態では、肺療法は、肺リハビリテーション及び/または酸素補給である。いくつかの実施形態では、非薬理学的介入は、肺手術である。いくつかの実施形態では、肺手術は、肺容量減少手術、片肺移植、両肺移植、または肺嚢胞切除である。いくつかの実施形態では、非薬理学的介入は、機器の使用である。いくつかの実施形態では、機器は、肺容量減少コイル、呼気気道ステント、及び/または鼻換気補助システムである。
上述のそのような併用療法は、併用投与(2つ以上の治療剤が同じまたは別個の製剤中に含まれる)、及び個別投与を包含するが、この場合、抗トリプターゼ抗体、またはその薬学的組成物の投与は、さらなる治療剤(複数可)の投与の前に、それと同時に、及び/またはその後に行われ得る。一実施形態では、抗トリプターゼ抗体、またはその薬学的組成物の投与及びさらなる治療剤の投与は、互いの約一カ月以内、または約1、2、もしくは3週間以内、または約1、2、3、4、5、もしくは6日以内、または約1、2、3、4、5、6、7、8、もしくは9時間以内、または約1、5、10、20、30、40、もしくは50分以内に行われる。連続投与を含む実施形態に関して、抗トリプターゼ抗体は、さらなる治療剤(複数可)の投与の前に、またはその後に投与され得る。
本発明の抗トリプターゼ抗体、またはその薬学的組成物(及び任意のさらなる治療剤)は、非経口、肺内、及び鼻腔内投与を含む、任意の好適な手段によって投与され得る。非経口注入は、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、または皮下投与を含む。いくつかの例では、本発明の抗トリプターゼ抗体は、硝子体内、筋肉内、静脈内、皮内、経皮(percutaneously)、動脈内、腹腔内、病巣内、頭蓋内、関節内、前立腺内、胸膜内、気管内、くも膜内、鼻腔内、膣内、直腸内、局所、腫瘍内、腹膜内、皮下、結膜下、小胞内、経粘膜、心膜内、臍帯内、眼球内、眼窩内、経口、局所、経皮(transdermally)、眼窩周囲、結膜、テノン嚢下、前房内、網膜下、眼球後、毛細胆管内、吸入、注射、埋め込み、注入、持続注入、標的細胞に直接的に流す局所灌流、カテーテル、洗浄、クリーム、または脂質組成物で投与され得る。特定の例では、抗体、またはその薬学的組成物は、皮下投与によって投与され得る。本明細書に記載の方法で利用される組成物はまた、全身または局所投与され得る。投薬は、投与が短期であるか長期であるかに部分的に応じて、任意の好適な経路、例えば、静脈内または皮下注射等の注射によるものであってもよい。単回または様々な時点にわたる複数回投与、ボーラス投与、及びパルス注入を含むがこれらに限定されない、様々な投薬スケジュールが本明細書で企図される。
本発明の抗体、またはその薬学的組成物は、良好な医療行為と一致する様式で、製剤化され、投薬され、及び投与されるだろう。これに関連して考慮すべき要素には、治療される特定の疾患、治療される特定の哺乳動物、個々の患者の臨床状態、疾患の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与スケジュール、及び医療従事者に既知である他の因子が含まれる。抗体、またはその薬学的組成物は、必ずしもそうである必要はないが、任意に、問題の障害を予防または治療するために現在使用されている1つ以上の薬剤と共に製剤化される。そのような他の薬剤の有効量は、製剤中に存在する抗体の量、障害または治療の種類、及び上で考察される他の要因に左右される。これらは、一般に、本明細書に記載のものと同じ投薬量で、本明細書記載の投与経路によって、または本明細書に記載の投薬量の約1~99%、または適切であると経験的/臨床的に決定される任意の投薬量及び任意の経路で使用される。
疾患の予防または治療に関して、本発明の抗体の適切な投薬量は(単独で、または1つ以上の他の追加の治療剤と組み合わせて使用される場合)、治療される疾患の種類、抗体の種類、疾患の重症度及び経過、抗体が予防目的または治療目的で投与されるかどうか、以前の療法、患者の病歴、及び抗体への応答、ならびに主治医の裁量に左右される。抗体は、一度に、または一連の治療にわたって患者に適切に投与される。疾患の種類及び重症度に応じて、1回以上の別個の投与によるものであれ連続注入によるものであれ、約1μg/kg~15mg/kg(例えば、0.1mg/kg~10mg/kg)の抗体が、患者に投与するための初回候補投薬量となり得る。1つの典型的な日用量は、上で言及した因子に応じて、約1μg/kg~200mg/kg以上であり得る。数日以上にわたって繰り返される投与に関して、状態に応じて、処置は、疾患の症状の所望される抑制が発生するまで、一般に持続される。抗体の1つの例示の投薬量は、約0.05mg/kg~約10mg/kgの範囲である。したがって、約0.5mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kg、または10mg/kg(またはこれらの任意の組み合わせ)のうちの1つ以上の用量が、患者に投与され得る。そのような用量は、断続的に、例えば、毎週、2週間毎、3週間毎、または4週間毎(例えば、患者が約2~約20回、または例えば約6回の用量の抗体を受容するように)投与されてもよい。例えば、用量は、1ヶ月に1回(例えば、皮下注射によって)投与してもよい。最初のより高い負荷用量が投与され得て、1つ以上のより低い用量が続く。しかしながら、他の投与量レジメンは有用であり得る。この療法の進行は、従来の技術及び解析によって容易に監視される。いくつかの例では、約50mg/mL~約200mg/mL(例えば、約50mg/mL、約60mg/mL、約70mg/mL、約80mg/mL、約90mg/mL、約100mg/mL、約110mg/mL、約120mg/mL、約130mg/mL、約140mg/mL、約150mg/mL、約160mg/mL、約170mg/mL、約180mg/mL、約190mg/mL、または約200mg/mLの用量の抗体が、例えば、皮下注射によって投与され得る。いくつかの例では、約150mg/mLの抗体が、皮下注射によって投与され得る。
上記の製剤または治療方法のうちのいずれも、抗トリプターゼ抗体の代わりに、またはそれに加えて、本発明の免疫複合体を使用して行われ得ることが理解される。
H.製品
本発明の別の態様では、上記の疾患(例えば、トリプターゼ関連障害)の治療、予防、及び/または診断に有用な材料を含有する製品が提供される。製品は、容器と、容器上のもしくは容器に関連するラベルまたは添付文書とを含む。好適な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、静脈注射用溶液バッグなどが挙げられる。これらの容器は、ガラスまたはプラスチックなどのさまざまな材料から形成され得る。容器は、それ自体で、または別の組成物との組み合わせで、病態の治療、予防、及び/または診断に有効である組成物を保持し、滅菌アクセスポートを有し得る(例えば、容器は、静脈注射用溶液バッグまたは皮下注射針によって穿孔可能な栓を有するバイアルであり得る)。組成物中の少なくとも1つの活性剤は、本発明の抗体、またはその薬学的組成物である。ラベルまたは添付文書は、組成物が、選択される病態を治療するために使用されることを示す。さらに、製品は、(a)本発明の抗体を含む組成物を内部に収容した第1の容器と、(b)追加の治療薬を含む組成物を内部に収容した第2の容器とを含み得る。本発明のこの実施形態における製品は、組成物が特定の病態を治療するために使用され得ることを示す添付文書をさらに含み得る。あるいは、または加えて、製品は、注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝食塩水、リンガー溶液、及びデキストロース溶液等の薬学的に許容される緩衝剤を含む第2の(または第3の)容器をさらに含み得る。製品は、他の緩衝剤、希釈剤、フィルター、針、及びシリンジを含む、商業的観点及びユーザの観点から望ましい他の材料をさらに含み得る。
上記の製品はいずれも、抗トリプターゼ抗体の代わりに、またはそれに加えて、本発明の免疫複合体を含み得ることが理解される。
III.実施例
以下は、本発明の方法及び組成物の例である。上述の概要を考慮すると、様々な他の実施形態が実施され得ることを理解する。特に明記しない限り、ヒトトリプターゼベータ1は、研究で使用された。
実施例1:抗トリプターゼ抗体の生成及びヒト化
A.材料及び方法
残基番号は、Kabat et al.Sequences of proteins of immunological interest,5th Ed.,Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD,1991に従う。
(i)昆虫細胞及び哺乳動物細胞におけるトリプターゼの組み換え発現及び精製
成熟野生型ヒトトリプターゼベータ1(Ile16-Pro246キモトリプシノーゲン番号付け、配列番号97)をコードする配列を、ポリヘドリンプロモーター及びgp67分泌シグナル配列の後に、修飾pAcGP67Aベクターにクローニングした。別途指示されない限り、この節では、トリプターゼは、ヒトトリプターゼベータ1(ヒトトリプターゼb1とも称される)を指す。構築物は、N末端His6タグ、エンテロキナーゼ切断部位、及びいくつかの構築物に関してはC末端FLAGタグを含む。部位指向性変異誘発は、標準QuikChange(商標)プロトコル(Stratagene)を使用して行われ、トリプターゼ変異体を生成した。全ての構築物は、DNA配列決定によって確認される。組み換えバキュロウイルスを、標準プロトコルの後にSf9細胞中でBaculoGold(商標)システム(BD Biosciences)を使用して生成した。Trichoplusia ni細胞を、大規模のタンパク質生成のために感染させ、感染後48時間で採取した。採取された培地を、1mMのNiCl2、5mMのCaCl2、及び20mMのトリスpH8で補充し、30分間振盪し、次いで、8500xgで20分間遠心分離し、培地から細胞及び沈殿物を除去した。上清培地を、ニッケル-ニトリロ三酢酸(Ni-NTA)親和性カラムに充填する前に0.22μMのポリエーテルスルホン(PES)フィルターを通して濾過した。ヒトトリプターゼベータ1もまた、CHO DP12哺乳動物細胞株中の一過性形質転換によって発現された。細胞培養培地を、以下に記載されるNi-NTA親和性精製で開始する同じ精製に施した。
分泌His6-タグ付き組み換えトリプターゼ(野生型または変異体)を含む昆虫細胞培地またはCHO細胞培地を、170cm/時間の体積流量で10mLのNi-NTAスーパーフローカラム(Qiagen)に充填した。カラムを10CV(カラム体積)の洗浄緩衝剤(20mMのトリスpH8、10mMのイミダゾール、300mMのNaCl)で洗浄し、8CVの溶出緩衝剤(20mMのトリスpH8、300mMのイミダゾール、300mMのNaCl)で溶出した。トリプターゼを含むドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)によってアッセイされた画分を、プールし、濃縮し、製造者によって推奨される流量でランニング緩衝剤(10mMの3-(N-モルフォリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)pH6.8、2MのNaCl)を使用するさらなる精製のためにS200サイズ排除カラム(GE Healthcare)に充填した。Hisタグ付き組み換えトリプターゼ(単量体)を含む画分を、プールし、濃縮した。次いで、組み換えトリプターゼを、0.5mg/mlのヘパリン(Sigma Aldrich)及び0.1mg/mlのエンテロキナーゼ(New England Biolabs,Inc)を含む緩衝剤(pH6.8の10mMのMOPS、0.2MのNaCl)中2mg/mlの濃度で、室温で一晩切断した。このステップは、N末端His6タグを除去し、四量体化及びタンパク分解性活性トリプターゼをもたらし、それは残基16(キモトリプシノーゲン番号付け)で開始する新たに形成されたN末端配列としてIVGGを有する。次いで、四量体トリプターゼを、緩衝剤(pH6.8の10mMのMOPS、及び2MのNaCl)中で、S200カラム(GE Healthcare)を使用するサイズ排除クロマトグラフィーにかけて、エンテロキナーゼ及び任意の切断されていない組み換えトリプターゼを除去することによって四量体トリプターゼを精製した。
トリプターゼ変異体Y75C及びI99C、ならびに触媒不活性変異体S195A(完全長トリプターゼ配列配列番号71のAla置換に対するSer224に対応する、キモトリプシノーゲン番号付け)を、上に記載されるようにNi親和性クロマトグラフィーによって精製した。次いで、ジスルフィド結合トリプターゼ二量体変異体を、S200サイズ排除クロマトグラフィーによって非ジスルフィド結合トリプターゼ単量体変異体から分離した。ジスルフィド結合二量体変異体を、野生型トリプターゼについて上に記載されるように四量体にさらに処理した。
(ii)抗ヒトトリプターゼウサギ及びマウスモノクローナル抗体生成 2匹のウサギを、フロイント完全アジュバント(CFA)を用いてCHO由来ヒトトリプターゼベータ1(四量体)で免疫化した。ウサギを、フロイント不完全アジュバンド(IFA)を用いて同じタンパク質で2週間毎に1回ブーストした。4つの注射後、精製された血清試料を、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)によって結合について評価し、酵素活性アッセイを用いてヒトトリプターゼ活性の阻害ついて評価した。次いで、ヒトトリプターゼ活性の阻害を示したウサギのうちの1匹から採取された脾臓のB細胞を、ウサギ融合パートナーで融合した。10~14日後、上清を採取し、ELISAによってタンパク質結合についてスクリーニングした。
ELISAプロトコルは、以下の通りであった。96ウェルNUNC MAXISORB(登録商標)ELISAプレートを、5μg/ml、100μl/ウェルで、NeutrAvidin(登録商標)ビオチン結合タンパク質(Thermo Scientificカタログ番号31000、ストック10mg/ml)で一晩コーティングした。ウェルを、洗浄緩衝剤(0.05%のTWEEN(登録商標)-20を含むPBS)で3回洗浄し、乾燥でブロットした。次いで、ウェルを、200μl/ウェルのブロッキング緩衝剤(0.5%のウシ血清アルブミン(BSA)及び0.05%のTWEEN(登録商標)-20を含むPBS)でブロックし、室温で30分間以上インキュベートした。ビオチン化ヒトトリプターゼベータ1タンパク質(アッセイ緩衝剤に希釈;0.5%のBSA、0.05%のTWEEN(登録商標)-20、及び0.1mg/mlのヘパリンを含むPBS)を、1μg/mlでウェルに添加し、室温で1時間±10分インキュベートした。トリプターゼが四量体として残ることを確実にするために、ヘパリンを含んだ。ウェルを、洗浄緩衝剤(200μl/ウェル)で3回洗浄し、乾燥でブロットした。ハイブリドーマ上清(試料)または対照(例えば、陽性対照ウサギ精製ポリクローナル抗体YZ4209(ストック0.25mg/ml)をウェル(アッセイ緩衝剤(100μl/ウェル)に希釈)に添加し、室温で1時間インキュベートした。次に、ウェルを洗浄緩衝剤(200μl/ウェル)で3回洗浄し、乾燥でブロットした。西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)複合体(ヤギ抗ウサギIgG(H+L)HRP;Thermo Scientificカタログ番号31460)を添加し(アッセイ緩衝剤(100μl/ウェル)中で1:10,000に希釈)、室温で30分間インキュベートした。ウェルを、洗浄緩衝剤(200μl/ウェル)で3回さらに洗浄し、乾燥でブロットした。基質(BioFX TMB基質、品番TMBW-1000-01)を添加し(100μl/ウェル)、室温で5分間インキュベートした。反応を、100μl/ウェルのBioFX停止溶液(品番BSTP-0100-01)の添加によって停止させ、プレートをA650で読み取った。
全てのELISA陽性クローンを、標準方法(MabSelect SuRe(商標);GE Healthcare)を使用する親和性クロマトグラフィーによって精製し、次いで、組み換えトリプターゼ活性アッセイにおいてヒトトリプターゼ活性の阻害についてスクリーニングした。簡潔には、抗体を、PBS(pH7.4)中で0.007~100,000ng/mL(0.046pM~667nM)に希釈した。組み換えヒトトリプターゼベータ1を、TNH緩衝剤(200mMのTris、150mMのNaCl、0.1mg/mLのヘパリン、0.01%のTRITON(商標)X-100、pH8.0)中で3nMに希釈し、黒384ウェルプレート(ViewPlate-384F、黒、クリアボトム、Perkin Elmer、カタログ番号6007470)中で抗トリプターゼ抗体と1:1に組み合わせた。プレートを、穏やかに撹拌しながら、周囲温度で1時間インキュベートした。比色基質S-2288(Chromogenix、品番82-0852-39)を、TNH緩衝剤中で900μMに希釈し、プレートに添加した。最終ウェル中濃度は、300μMのS-2288、1nMの組み換えヒトトリプターゼベータ1、及び0.015pM~222nMの抗トリプターゼ抗体であった。プレートを、穏やかに撹拌しながら、周囲温度で40分間インキュベートし、次いで、A405で読み取った。抗トリプターゼ抗体の半数阻害濃度(IC50)を、それらのそれぞれの曲線の4パラメータフィットから判定した。次いで、所望の阻害を示すクローンを、希釈を制限(単一の細胞/ウェル)することによってサブクローニングし、上に記載されるように再試験し、さらに特徴付けた。
マウスハイブリドーマを生成し、スクリーニングし、陽性クローンを同様の様式で分析した。3匹のA/Jマウス(Harlan,Indianapolis,Ind.)を、抗原(EPC,Inc.番号TR913)として精製されたトリプターゼタンパク質で免疫化した。フロイント完全アジュバント(第1の免疫化)または不完全フロイントアジュバンド(第2、第3、及び第4の免疫化)を用いて1:1に混合及び乳化した後、免疫化毎に20μg/マウスで皮下及び腹腔内に投与される酵素活性トリプターゼ。ブースト(第5の免疫化)は、アジュバンドを有さなかった。第4の免疫化の後、免疫化マウスの血清を、ELISAによって試験し、1:1.28x104の希釈でOD450>2.16より高い血清力価を有するマウスをハイブリドーマ融合のために選択した。107x106で単離された脾臓細胞を、ポリエチレングリコール(Sigma-Aldrich、カタログ番号P7777-5G)の存在下で融合のために100x106Sp2/0骨髄腫細胞(ATCC)と混合した。No.P7777-5G)。24のクローンを、トリプターゼへの結合についてスクリーニングし、トリプターゼ酵素活性の阻害についてアッセイした。クローンT31a(本明細書で「31A」及び「mu.31A」とも称される)をヒト化のために選択した。
(iii)ウサギ抗トリプターゼハイブリドーマクローンの分子クローニング及び再フォーマット
ウサギ抗トリプターゼモノクローナル抗体(RNeasy(登録商標)ミニキット、Qiagen)を産生するハイブリドーマ細胞から全RNAを抽出した。SMARTer(登録商標)RACE cDNA増幅キット(Clontech)を用いて、RNAをまず逆転写し、次いで、以下のプライマーと共に可変軽(VL)及び可変重(VH)ドメインの第1の標準cDNA合成及び5’RACE PCR増幅を行った:
軽鎖(LC)フォワードプライマー:
ユニバーサルプライマーミックス(SMARTer(登録商標)RACE cDNA増幅キット、Clontech、カタログ番号634858)
重鎖(HC)フォワードプライマー:
ユニバーサルプライマーミックス(SMARTer(登録商標)RACE cDNA増幅キット、Clontech、カタログ番号634858)
LCリバースプライムマー:
5’-GATGGTGACTGTTCCAGTTGC-3’(配列番号74)
HCリバースプライマー:
5’-CATTGGTGAGGGTGCCCGAGTTC-3’(配列番号75)
LC及びHCリバースプライマーは、定常軽(CL)及び定常重ドメイン1(CH1)中の領域にアニーリングするように設計された。
増幅されたPCR産生物を直接配列決定した。次いで、特定されたVL DNA配列を、ヒトカッパ定常ドメインを含むpRK哺乳動物細胞発現ベクターにサブクローニングした。VH DNA配列を、完全長ヒトγ1定常ドメインをコードするpRKベクターに挿入した。
(iv)ウサギ抗トリプターゼモノクローナル抗体E104のヒト化
ウサギ抗トリプターゼモノクローナル抗体E104からのVL(配列番号53)及びVH(配列番号52)ドメインを、ヒトVLカッパI(VLKI)及びヒトVHサブグループIV(VHIV)コンセンサス配列(それぞれ配列番号92及び93)とアライメントさせた。例えば、Dennis,Ch.2 CDR Repair:A Novel Approach to Antibody Humanization in Current Trends in Monoclonal Antibody Development and Manufacturing,Eds.Shire et al.Springer,New York,NYを参照されたい。超可変領域(HVR)を、コンセンサスヒトVLKI及びVHIVアクセプターフレームワークへと操作し、CDR移植バリアントを生成した。E104 VLドメインから、24~34位(L1)、50~56位(L2)、及び89~97位(L3)を、VLKIに移植した。VHドメインから、26~35b位(H1)、50~65位(H2)、及び93~102位(H3)を、VHIVに移植した。重要であり得るフレームワークバーニア位置を評価するために、選択されたバーニア位置を変異させてウサギ配列に戻した。変異させてウサギ配列に戻したバーニア位置は、VLにおける2位、4位、43位、68位、及び87位、ならびにVHにおける37位、67位、71位、78位、及び91位を含んだ。
ウサギ抗トリプターゼモノクローナル抗体E104からのVL及びVHドメインもまた、ヒトVLカッパI(VLKI)及びヒトVHサブグループIII(VHIII)コンセンサス配列(それぞれ配列番号92及び94)とアライメントさせた。Dennis(上記参照)を参照されたい。超可変領域(HVR)を、コンセンサスヒトVLKI及びVHIIIアクセプターフレームワークへと操作し、CDR移植バリアントを生成した。rab.E104 VLドメインから、24~34位(L1)、50~56位(L2)、及び89~97位(L3)を、VLKIに移植した。VHドメインから、26~35位(H1)、50~65位(H2)、及び93~102位(H3)を、VHIIIを移植した。
合計、2つの異なるバージョンのヒト化VL配列及び6つの異なるバージョンのヒト化VH配列を合成し、pRK哺乳動物発現ベクターへと逐次的にサブクローニングした。異なるバージョンのLC及びHCを組み合わせることによって、合計12個の異なるヒト化E104バリアント(v1~v12)を生成した(表3)。全てのヒト化抗トリプターゼバリアントは、哺乳動物細胞中にIgG1またはIgG4抗体として発現された。抗体を、標準方法(MabSelect SuRe(商標);GE Healthcare)を使用する親和性クロマトグラフィーによって精製した。実施例部分で使用された全てのIgG4抗体は、重鎖定常領域でS228P変異(EU番号付け)を含んだが、しかしながら、本明細書に記載の本発明は、S228P変異を含むIgG4バリアントに限定されない。
huE104.v2のVHドメインをコードするDNA配列は、配列番号109に示される。huE104.v2のVLドメインをコードするDNA配列は、配列番号110に示される。重鎖(IgG1)をコードするDNA配列は、配列番号111に示される。重鎖(IgG4.S228P)をコードするDNA配列は、配列番号113に示される。軽鎖(IgG1及びIgG4)をコードするDNA配列は、配列番号112に示される。huE104.v2 IgG1の重鎖(HC)のアミノ酸配列は、配列番号80に示される。huE104.v2(IgG1またはIgG4)の軽鎖(LC)のアミノ酸配列は、配列番号81に示される。huE104.v2 IgG4 S228PのHCのアミノ酸配列は、配列番号82に示される。
(v)マウス抗トリプターゼモノクローナル抗体31Aのヒト化
マウス抗トリプターゼモノクローナル抗体31A(「mu.31A」)からのVL(配列番号20)及びVH(配列番号19)ドメインを、ヒトVLカッパI(VLKI)及びヒトVHサブグループIII(VHIII)コンセンサス配列(それぞれ配列番号92及び93)とアライメントさせた。超可変領域(HVR)を、コンセンサスヒトVLKI及びVHIIIアクセプターフレームワークへと操作し、CDR移植バリアントを生成した。mu.31A VLドメインから、24~34位(L1)、50~56位(L2)、及び89~97位(L3)を、VLKIに移植した。mu.31A VHドメインから、26~35位(H1)、50~65位(H2)、及び93~102位(H3)を、VHIIIに移植した。フレームワークバーニア位置の重要性を評価するために、選択されたバーニア位置を変異させてマウス配列に戻した。変異させてマウス配列に戻したバーニア位置は、VLにおける4位、43位、46位、47位、及び71位、ならびにVHにおける49位を含んだ。
要約すると、3つのヒト化LC及び5つのヒト化HCを合成して、pRK哺乳動物発現ベクターへと逐次的にサブクローニングした。異なるバージョンのLC及びHCを組み合わせることによって、31A(「hu31A」)の合計15個の異なるヒト化バリアント(v1~v15)を生成した(表4)。
全てのヒト化抗トリプターゼバリアントは、哺乳動物細胞中にIgG1またはIgG4抗体として発現された。抗体を、標準方法(MabSelect SuRe(商標);GE Healthcare,Piscataway,NJ,USA)を使用する親和性クロマトグラフィーによって精製した。
hu31A.v11のVHドメインをコードするDNA配列は、配列番号104に示される。hu31A.v11のVLドメインをコードするDNA配列は、配列番号105に示される。重鎖(IgG1)をコードするDNA配列は、配列番号106に示される。重鎖(IgG4.S228P)をコードするDNA配列は、配列番号108に示される。軽鎖(IgG1及びIgG4)をコードするDNA配列は、配列番号107に示される。hu31A.v11 IgG1のHCのアミノ酸配列は、配列番号76に示される。hu31A.v11 IgG1のLCのアミノ酸配列は、配列番号77に示される。hu31A.v11 IgG4 S228PのHCのアミノ酸配列は、配列番号78に示される。hu31A.v11 IgG4 S228PのLCのアミノ酸配列は、配列番号79に示される。
(vi)Fab断片のクローニング、発現、及び精製
Fabは、以前に記載のように、クローニングされ、E.coli中で発現された(Simmons et al.J.Immunol.Methods 263:133-147,2002;Lombana et al.Sci.Rep.5:17488,2015を参照されたい)。発現されたFabを含むE.coli細胞ペーストを、Fabを発現する発酵から採取し、25mMのEDTA及び1mMのフッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)を含むPBS緩衝剤に溶解した。混合物を均質化し、次いで、マイクロフルイダイザーを2回通過させた。次いで、懸濁液を21,500xgで60分間遠心分離した。次いで、上清を、5ml/分でPBSを用いて平衡させたプロテインGカラムに充填した。カラムを、PBS緩衝剤でベースラインまで洗浄し、次いで、タンパク質を、0.6%の酢酸で溶出した。SDS-PAGEによってアッセイされたFabを含む画分をプールし、次いで、20mMのMES(pH5.5)で平衡させた50mLのSP SEPHAROSE(登録商標)カラムに充填した。カラムを、2つのカラム体積に対して20mMのMES緩衝剤(pH5.5)で洗浄し、次いで、20mMのMES緩衝剤(pH5.5)中で0.5MのNaClに線形勾配で溶出した。最終精製として、イオン交換クロマトグラフィーからのFab含有画分を、濃縮し、PBS緩衝剤中でS75サイズ排除クロマトグラフィーにかけた。実験で使用された全てのFabに同じプロトコルを使用した。
(vii)ヒト化抗トリプターゼバリアントのBIAcore(登録商標)表面プラズモン共鳴(SPR)分析
この実験では、全てのヒト化バリアントは、293細胞の一過性形質転換によってIgGとして発現された。IgGを、プロテインG親和性クロマトグラフィーで精製した。組み換えHisタグ付きヒトトリプターゼベータ1単量体(配列番号128)に対する各バリアントの親和性は、BIAcore(登録商標)T200を使用するSPR分析によって判定された。BIAcore(登録商標)シリーズS CM5センサーチップを、モノクローナルマウス抗ヒトIgG(Fc)抗体(GE Healthcareからのヒト抗体捕捉キット)で固定し、抗トリプターゼバリアントを各フローセル上で逐次的に捕捉した。ヒトトリプターゼベータ1単量体の連続3倍希釈液を、30μl/分の流量で注射した。各試料を、3分会合及び10分解離で分析した。各注射後、チップを3MのMgCl2を使用して再生成した。結合応答は、応答ユニット(RU)を、同様の密度の無関連のIgGを捕捉するフローセルから控除することによって訂正した。kon及びkoffの同時フィッティングの1:1Languirモデルを、動態分析に使用した。
(viii)ヒト化抗トリプターゼバリアントの阻害活性の分析
a.トリプターゼ酵素アッセイ
ヒト化抗トリプターゼ抗体によるヒトトリプターゼ活性の阻害を、組み換えトリプターゼ活性アッセイを使用して測定した。hu31a.v11 IgG4及びhu31a.v11 IgG1を、PBS(pH7.4)中で0.05~100μg/ml(0.30~667nM)に希釈し、huE104.v2 IgG4及びhuE104.v2 IgG1を、PBS(pH7.4)中で0.02~50μg/ml(0.15~333nM)に希釈した。組み換えヒトトリプターゼベータ1四量体活性酵素を、TNH緩衝剤(200mMのTris、150mMのNaCl、0.1mg/mLのヘパリン、0.01%のTRITON(商標)X-100、pH8.0)中で0.75nMに希釈し、黒384ウェルプレート(ViewPlate-384F、黒、クリアボトム、Perkin Elmer、カタログ番号6007470)中で抗トリプターゼ抗体と1:1に組み合わせた。プレートを、穏やかに撹拌しながら、周囲温度で1時間インキュベートした。比色基質S-2288(Chromogenix、品番82-0852-39)を、TNH緩衝剤中で1200μMに希釈し、プレートに添加した。最終ウェル中濃度は、400μMのS-2288、0.25nMの組み換えヒトトリプターゼベータ1四量体、66μg/mLのヘパリン、ならびにhu31A.v11については0.10~222nMの抗トリプターゼ抗体、及びhuE104.v2について0.05~111nMであった。プレートを、穏やかに撹拌しながら、周囲温度で40分間インキュベートし、次いで、A405で読み取った。抗トリプターゼ抗体のIC50を、それらのそれぞれの曲線の4パラメータフィットから判定した。
b.気管支平滑筋細胞増殖アッセイ及びコラーゲン系収縮アッセイ
ヒト気管支平滑筋細胞(BSMC;カタログ番号CC-2576、Lonza Minneapolis,MN)を、完全培養培地SmGM-2(カタログ番号CC-3182、Lonza)中、37℃で、5%のCO2で、加湿インキュベーター中で培養した。アッセイ培地は、ヒト血清または補充物が添加されていないSmGm-2培養培地であった(カタログ番号CC-3181、Lonza)。ヒト野生型四量体トリプターゼまたはヒトS195A触媒不活性トリプターゼ酵素(キモトリプシノーゲン番号付け)を、特定の濃度で使用した。抗ヒトトリプターゼ抗体hu31A.v11 IgG4及びE104.v2 IgG4を、特定の濃度で使用した。
増殖アッセイのために、アッセイを行う1日前に、BSMCを、完全培養培地中、96ウェル組織培養プレート(カタログ番号353072、Falcon BD)に2x105細胞/mlで播種した。24時間後、培養培地を、アッセイ培地で置き換え、細胞を、さらに24時間インキュベートした。抗ヒトトリプターゼ抗体を、96ウェル組織培養プレート(カタログ番号353072、Falcon BD)中のアッセイ培地中で3.3倍に連続して希釈した。100μLの希釈したhu31A.v11 IgG4を、100μLの200nMのヒトトリプターゼを含む96ウェルプレートに移した。活性トリプターゼ及び抗ヒトトリプターゼ抗体を、室温で30分間インキュベートした。この時点で、アッセイ培地を藩種した細胞から除去し、100μLの希釈した抗体及びトリプターゼと置き換えた。抗体の最終濃度は、2.0μM~4pMの範囲であった。トリプターゼの最終濃度は、100nM(ヘパリンを含まない)であった。最終塩濃度は、約130mMであった。トリプターゼのみを含むウェルを、刺激対照として含んだ。アッセイ培地のみを含むウェルを、非刺激対照として含んだ。ウェル当たり1μCiのH3-チミジンを添加する前に、プレートを、37℃で24時間インキュベートした。さらに6時間インキュベートした後、増殖をH3-チミジン取り込みによって測定した。細胞関連放射活性を、シンチレーション測定によって定量化した。結果を3つ組の試料の平均として表した。グラフを生成し、統計的分析をKaleidaGraph(Synergy Software)を使用して行った。
コラーゲン系収縮アッセイのために、アッセイを行う1日前に、BSMCを、製造者の手引き(カタログ番号CBA-201、Cell BioLabs Inc.)に従って24ウェルプレート(カタログ番号353047、Falcon BD)中に9x106細胞/mLでコラーゲン中に播種した。37℃で1時間インキュベートした後、細胞を1mLのアッセイ培地で重層させた。37℃で24時間インキュベートした後、培地を250μLの新鮮なアッセイ培地で置き換えた。トリプターゼを、細胞:コラーゲンマトリックスを含む特定のウェルに添加する前に、4μMの抗ヒトトリプターゼ抗体の存在下または不在下で、250μLのアッセイ培地中で660nMに希釈し、37℃で30分間インキュベートした。最終濃度は、330nMのトリプターゼ及び2μMの抗体(ヘパリンを含まない)であった。最終塩濃度は、約130mMであった。細胞収縮は、滅菌ピペットチップを使用するプレートウォールからの細胞:コラーゲンマトリックスの放出によって開始された。アッセイ培地のみを、非刺激対照として使用した。細胞収縮の開始時(t=0)に、ProteinSimple AlphaImager(登録商標)を使用して、細胞:コラーゲンマトリックスを可視化し、画像化し、録画した。細胞を、37°でさらに3時間インキュベートし、細胞:コラーゲンマトリックスを、再画像化し、録画した(t=3)。データを、NIH Image Jソフトウェアを使用して分析した。データを、収縮の開始(t=0)から3時間の時点(t=3)までの細胞:コラーゲンマトリックスの直径の変化パーセントとして表した。結果を3つ組の試料の平均として表した。
c.マスト細胞ヒスタミン放出アッセイ
ヒトマスト細胞株LAD2を使用した。LAD2細胞を、血清を含まない成長培地である、StemPro(登録商標)-34栄養補給剤(カタログ番号10640-019、Gibco/Life Technologies)、1倍のペニシリン-ストレプトマイシン-グルタミン(カタログ番号10378-016、Gibco/Life Technologies)、及び100ng/mLの組み換えヒト幹細胞因子(SCF)(カタログ番号573908、BioLegend)を含むStemPro(登録商標)-34中、37℃で、5%のCO2で、加湿インキュベーター中で培養した。Kirshenbaum et al.Leukemia Research 27:677-682,2003を参照されたい。ヒトトリプターゼ野生型またはヒトトリプターゼS195A変異体を、特定の濃度で使用した。Serotec Inc.NP-BSA(カタログ番号N5050H-10、Biosearch Technologies,Petaluma,CA)から得られた抗NPヒトIgE(JW8.5.13;Jackman et al.J.BiolChem.285(27):20850-20859,2010を参照されたい)を、ヒスタミン放出を誘発するために特定の濃度で使用した。抗ヒトトリプターゼ抗体hu31A.v11 IgG4及びE104.v2 IgG4を、特定の濃度で使用した。小分子阻害剤G02849855を、特定の濃度で使用した。細胞刺激を、タイロード塩(カタログ番号T-2397、Sigma)を使用して行った。ヒスタミンを、ヒスタミンELISAキット(GenWay.カタログ番号40-371-25010)を使用して測定した。
ヒトIgE誘発ヒスタミン放出アッセイのために、LAD2細胞を、6つのウェルディッシュの2つのウェルに4x106細胞/4mlで播種した。抗NP IgE(100ng/ml)を、1つのウェルに添加し、細胞を、37℃で一晩インキュベートし、細胞をプライムした。他のウェルにおいて、抗NP IgEを添加することなく細胞を培地のみで培養し、陰性対照として役目を果たした。一晩インキュベートした後、細胞を、細胞培養培地で3回洗浄し、結合されていないIgEを除去した。細胞を、4mLのタイロード塩(細胞密度1x106細胞/ml)に再懸濁し、Eppendorf(登録商標)チューブにアリコートした(300,000細胞/チューブ)。試料を、100μg/mLのhu31A.v11 IgG4または10μMのG02849855と共にインキュベートし、完全に混合し、室温で1時間インキュベートした。インキュベートした後、NP-BSAを、0.1μg/mLの最終濃度で試料に添加し、細胞脱顆粒を誘発した。試料を、完全に混合し、CO2インキュベーターで、37℃で1時間インキュベートした。次いで、細胞を、室温で5分間、3000rpmで遠心分離し、上清をヒスタミン測定のために収集した。脱顆粒上清中のヒスタミンを、ヒスタミンELISAキットを使用して定量化した。データを2つ組の試料の平均として表した。
ヒトトリプターゼ誘発ヒスタミン放出アッセイのために、LAD2細胞を、106細胞/mLの濃度でタイロード塩に再懸濁し、Eppendorf(登録商標)チューブ(300,000細胞/チューブ)にアリコートした。細胞脱顆粒を促進するために、細胞を、3μg/mLのトリプターゼ(野生型またはS195A変異体)、または室温で45分間100μg/mLのhu31A.v11と共に事前にインキュベートされていた3μg/mLのトリプターゼで処理した。PBSを、非刺激対照として使用した。試料を、完全に混合し、CO2インキュベーターで、37℃で1時間インキュベートした。最終塩濃度は、約140mMであった。次いで、細胞を、室温で5分間、3000rpmで遠心分離し、上清をヒスタミン測定のために収集した。脱顆粒上清中のヒスタミンを、ヒスタミンELISAキットを使用して定量化した。データを2つ組の試料の平均として表した。
(ix)組み換えトリプターゼ単量体及び四量体の精製
内因性シグナルペプチド(配列番号71のアミノ酸残基1~15)及びプロペプチド(配列番号71のアミノ酸残基16~30)を含まないヒトトリプターゼは、操作されたエンテロキナーゼ切断部位を有するHisタグ付き組み換えタンパク質として哺乳動物CHO細胞中に発現され、5回の限外濾過、続いてPBSに5回の希釈を行った。次いで、培地を、Ni-NTAカラムに充填し、250mMのイミダゾールで溶出した。溶出物を、10mMのMOPS、0.2MのNaCl、pH6.8の緩衝剤に透析し、単量体トリプターゼを産出した。切断されていないHis6タグ付きトリプターゼ単量体は、単量体を残し、四量体を形成しない。
四量体トリプターゼを生成するために、Hisタグを含む単量体トリプターゼを、0.1mg/mlのエンテロキナーゼ酵素を用いて消化し、室温で16~20時間、0.5mg/mlで、硫酸デキストラン-10ナトリウム塩で安定化した。タンパク質を、SUPERDEX(商標)200カラム上で10mMのMOPS、2MのNaCl、pH6.8の最終緩衝剤に通過させ、四量体を単量体から及びいかなる残基汚染プロテアーゼからも分離した。例示的な精製された四量体は、図3A、ピーク1に示される。プールされた四量体トリプターゼを、免疫化及び活性アッセイのために使用した。
B.結果
(i)ハイブリドーマクローニング
ELISA陽性ハイブリドーマクローンからの5匹のウサギ抗トリプターゼ抗体の分子クローニングは、4つの固有の抗トリプターゼクローンを明らかにした。これらのうち、クローンE104は、酵素アッセイにおいて最も頑強な阻害活性を示し、さらなる操作のために選択された。同時に、酵素アッセイにおいて阻害活性を示したマウス抗トリプターゼモノクローナル抗体クローン31Aはまた、さらなる操作のために選択された。
(ii)キメラE104(chE104)バリアントの生成
ウサギ抗トリプターゼモノクローナル抗体E104の軽鎖は、ウサギカッパ軽鎖であり、それは可変ドメイン(VL)のFR3中のCys80と定常ドメイン(CL)中のCys170との間にジスルフィド架橋を含む。VLにおけるCys80の重要性を評価するために、アラニン(Cys80Ala)に変異した80位でシステインを含むキメラE104バリアントを生成した。表2に示されるように、サイズ排除クロマトグラフィーによって判定されるCys80及びCys80Alaキメラバリアントの両方における高い単量体%によって明示されるように、産出または凝集に関して2つのバリアントの間に差はなかった。したがって、Cys80残基はヒト化バージョンにおいて重要でなく、Cys80はVH4移植にあるようにプロリン残基に変化されたことが判定された。加えて、ヒトIgG1またはIgG4定常ドメインのいずれかに融合された可変ドメインFR3においてCys80Ala変異を含むキメラE104抗体は、80位でシステインを含むウサギモノクローナル抗体と同様の阻害活性を示した(データは示されていない)。
表2:産出及び凝集における抗トリプターゼ抗体E104のCys80残基の効果
(iii)ウサギ抗トリプターゼモノクローナル抗体クローンE104及びマウス抗トリプターゼモノクローナル抗体クローン31Aのヒト化
全てのヒト化バリアントは、IgGとして発現され、それらの結合親和性は、BIAcore(登録商標)SPRアッセイにおいて評価された。一般に、全てのヒト化E104バリアント(huE104)は、ヒトトリプターゼベータ1単量体に対して同様の結合親和性を示した(表3)。表3は、BIAcore(登録商標)SPR分析によって判定された場合のhuE104バリアント、ならびに結合親和性(K
Dを単位とする)を列挙する。表3はまた、各バリアントのVH及びVLドメインの配列番号を提供する。表3中の各クローンを、IgG1フォーマットにおいて試験した。一貫して、非常に同様のIC50値が、huE104.v1及びhuE104.v5クローン、ならびに程度はそれより少ないが、huE104.v11及びhuE104.v12が、酵素アッセイにおいていくつかの「フック効果」(酵素活性の増加、すなわち、抗体阻害活性の減少が高抗体濃度で観察された)を示したことを除いて、上に記載の酵素活性アッセイにおいてこれらの抗体について観察された。ウサギモノクローナル抗体(V71R)の元のArg残基に対するヒト化抗体のV71、及びウサギモノクローナル抗体(F78V)の元のVal残基に対するヒト化抗体のF78からの重鎖FR3領域での修飾は、E104.v1、v5、v11、及びv12で見られたフック効果を排除した。E104.v9キメラクローンは、親ウサギモノクローナルAb E104にあるようにR71及びV78を含んだ。表3を参照されたい。図12Bに示されるように、71位でのアルギニン(R)残基及び78位でのバリン(V)残基(両方共にKabat番号付け)は、HVR-H2の立体構造において重要な役割を果たし得、それ故に抗体をトリプターゼと結合する。結果として、huE104.v2におけるV71R及びF78Vの修飾は、小界面を形成する2つのプロトマーの会合において重要であるトリプターゼ80ループの立体構造に影響を及ぼした可能性がある。例えば、米以下の実施例3を参照されたい。したがって、V71R及びF78Vの復帰を有するhu104.v2は、71位におけるV及び78位におけるFを有するv1と比較して結合活性及び阻害活性を改善した。v1、v5、v11、及びv12を除く全てのバリアントは、上に記載の酵素アッセイによって測定された場合に、トリプターゼ活性の完全な阻害を示した。ヒト化クローンhuE104.v2を、さらなる評価のために選択した。huE104.v2の重鎖及び軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列は、図1に示される。
表3:ヒト化E104(huE104)バリアントの結合親和性(括弧内のヒトトリプターゼb1単量体に対する結合親和性)
表4は、BIAcore(登録商標)SPR分析によって測定された場合のhu31Aバリアント、ならびに結合親和性(K
Dナノモルを単位とする)を列挙する。表4はまた、各抗体のVH及びVLの配列番号を示す。全てのバリアントは、酵素アッセイによって測定された場合に、トリプターゼ活性の完全な阻害を示した(データは示されていない)。表4中の各クローンを、IgG1フォーマットにおいて試験した。クローンhu31A.v11は、酵素アッセイにおいて最良の親和性及び最良の阻害活性を示し、それ故にさらなる評価のために選択された。hu31A.v11の重鎖及び軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列は、図1に示される。
表4:ヒト化31A(hu31A)バリアントの結合親和性(括弧内のヒトトリプターゼb1単量体に対する結合親和性)
ヒト化抗トリプターゼ抗体の阻害活性もまた、上に記載の組み換えトリプターゼ酵素活性アッセイを使用して判定した。h31A.v11及びhuE104.v2、IgG1及びIgG4の両方は、酵素アッセイにおいてトリプターゼ活性を完全に阻害した(図2Aを参照されたい)。IC50値は、以下に示される(表5)。
表5:ヒト化抗トリプターゼ抗体の阻害活性(IC50)
hu31A.v11及びhuE104.v2の両方は、トリプターゼベータ1に加えて、ヒトトリプターゼベータ2、及びベータ3と結合及び阻害する。代表的なデータは、親和性分析及び標的としてヒトトリプターゼベータ1を使用する酵素アッセイについて上に記載のプロトコルに基づいて、以下の表6に示される。hu31A.v11及びhuE104.v2もまた、カニクイザルトリプターゼD1と結合及び阻害する。
表6:ヒト化抗トリプターゼ抗体の親和性及びIC50
hu31A.v11 IgG4またはhuE104.v2 IgG4の阻害活性を、ヒト初期気道平滑筋細胞(SMC)機能のいくつかのエクスビボモデルにおいてさらに評価した。培養培地へのトリプターゼベータ1の添加は、ヒト初期気道SMC(図2B)の増殖の増加、ならびに細胞の収縮(図2C)をもたらす。hu31A.v11またはhuE104.v2の添加は、増殖の用量依存的低減をもたらし、300μg/mlでベースラインレベルまで増殖を阻害した(図2B)。同様に、hu31A.v11またはhuE104.v2の添加は、ベースラインレベルまで収縮を低減した(図2C)。これらのデータは、抗トリプターゼ抗体hu31A.v11及びhuE104.v2がトリプターゼ機能を阻害したことを示す。
マスト細胞へのトリプターゼまたはIgEの添加は、脱顆粒及びヒスタミンの放出をもたらす(図2D~2E)。ヒスタミン放出を阻害するhu31A.v11の能力を評価した。S195A置換を有するトリプターゼベータ1は、触媒不活性である。hu31A.v11の添加は、ヒスタミン放出を促進するトリプターゼの能力をブロックした(図2D~2E)。阻害の程度(30~50%)は、トリプターゼベータ1活性、G02849855の小分子阻害剤と同様であった(図2E)。これらのデータは、抗トリプターゼ抗体hu31A.v11がトリプターゼ機能を阻害することをさらに示す。
実施例2:hu31A.v11及びhuE104.v2 IgGは、ヒトトリプターゼベータ四量体を解離する
活性四量体トリプターゼの結晶構造は、各プロトマーの触媒部位(各プロトマーのS195、H57、及びD102によって表される、キモトリプシノーゲン番号付け)が、四量体の孔の内側に位置すること、及び活性部位へのアクセスが、ペプチド基質及びより小さい分子のみがアクセスを得ることができるように限定されていることを示す(Pereira et al.Nature 392:306-11,1999)。現在まで、哺乳動物セリンプロテアーゼ阻害剤は、トリプターゼのタンパク質分解活性を阻害するとは知られていない。クニッツドメイン型構造のヒトセリンプロテアーゼ阻害剤は、活性部位にアクセスするには大きすぎる。ヒトにおけるトリプターゼの天然阻害剤は知られていない。現在までに、トリプターゼの唯一の既知の天然高分子阻害剤は、ヒル由来トリプターゼ阻害剤(LDTI)(Sommerhoff et al.Biol.Chem.373:685-94,1997)及びダニ由来プロテアーゼ阻害剤(TdPI)(Paesen et al.J.Mol.Biol.368:1172-86,2007)である。LDTI(4.7kDa)及びTdPI(11.1kDa)は、それぞれ、4つのトリプターゼ四量体の活性部位のうちの2つまたは3つをブロックする能力を有する。LDTI及びTdPIは、トリプターゼ四量体を解離しない。hu31A.v11のIgG及びFabの両方は、LDTIまたはTdPIよりはるかに大きく、さらにそれらはトリプターゼを完全に阻害する。
溶液中で四量体トリプターゼと結合するFab hu31A.v11の化学量論を判定した。活性四量体トリプターゼベータ1を、各プロトマーに対して2倍のモル過剰のFab hu31A.v11と混合し、錯体形成の平衡を達成させた。四量体が非共有結合的にアセンブリされるため、四量体構造における各抗体の解離効果は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって分析され、個々のタンパク質のピークの保持時間/容量及び分子量を判定した。タンパク質を含む画分を、SDS-PAGEによって特徴付け、タンパク質構成成分を判定した(図3A)。四量体トリプターゼの保持時間のみが、Fab hu31A.v11と複合したとき(tr=28.1分、試験3、ピーク3)よりも著しくより短かった(tr=26分、試験1、ピーク1)。多角度光散乱法(MALS)と組み合わせたさらなるSEC分析を行い、溶出されたタンパク質錯体の分子量を判定した。四量体トリプターゼは、MALSに従うと、120kDa±0.2%の分子量を有し、それはアミノ酸配列(グリコシル化を除く)に基づく109.537kDaの理論分子量と一致する。Fab hu31A.v11と複合したトリプターゼを含むタンパク質ピークは、MALS(ピーク3)によって67.7kDa±3%であると測定され、それは1Fabと結合される1トリプターゼ単量体を含む錯体を反映する。これは、トリプターゼ四量体が、Fab hu31A.v11への結合によって単量体に解離することを示し、それは結晶構造(実施例3を参照されたい)及びhu31A.v11 Fabの阻害活性によってさらに確証される。
同じ四量体トリプターゼ/Fab hu31A.v11錯体を、高濃度ヘパリン、例えば、100μg/mlのヘパリン(試験2)を含んだ酵素アッセイ緩衝剤中でSECによって分析したとき、トリプターゼ-Fab錯体の保持時間は、28.1分(試験3、ピーク3)~27.6分(試験2、ピーク2)にわずかに減少し、それはトリプターゼ単量体及びFabのタンパク質錯体と結合するヘパリンに起因する可能性が高い。ブタ腸粘膜からのヘパリンは、6~30kDaの範囲の分子量を有するポリアニオン鎖の混合物であり、ほとんどの鎖は17~19kDaの範囲である。この結果は、四量体トリプターゼへのヘパリンの安定化効果もまた、Fab hu31A.v11によって中和または破壊され、さらに100μg/mlのヘパリンの高濃度でもFab hu31A.v11が四量体を完全に解離することを妨げることができないことを示す。図3Aを参照されたい。
溶液中の四量体トリプターゼへのhuE104.v1及びhuE104.v2 Fabの結合の化学量論もまた判定した。活性四量体トリプターゼを、各プロトマーに対して2倍のモル過剰のFabと混合し、錯体形成の平衡を達成させた。結果として得られた錯体混合物を、ヘパリンを含まないトリプターゼSEC緩衝剤を用いてSECによって分離し、個々のタンパク質ピークの保持時間/容量及び分子量を判定した)。タンパク質を含む画分を、SDS-PAGEによって特徴付け、タンパク質構成成分を判定した(データは示されていない)。WT四量体トリプターゼは、MALSに従うと、tr=26分の保持時間(例えば、図3Aのピーク1を参照されたい)、及び120kDa±0.2%の分子量を有し、それはアミノ酸配列(グリコシル化を除く)に基づく109.537kDaの理論分子量と一致する。
huE104.v1 Fabは、SEC-MALSによって判定された場合に、tr=21.6mLの保持時間、及び276.1kDaの分子量で、WT四量体トリプターゼとの同種の錯体を形成した(データは示されていない)。これは、それと結合された4つのFabを含むトリプターゼ四量体の錯体を表す。このピークからの画分のSDS-PAGE分析は、Fab及びトリプターゼプロトマーの存在を確認した。したがって、huE104.v1 Fabは、四量体トリプターゼを含む安定した錯体を形成し、四量体の安定性には影響しなかった(データは示されていない)。
単量体His6タグ付きトリプターゼ(図3B、試験1)またはWT四量体トリプターゼ(図3B、試験2)を、2倍のモル過剰のhuE104.v2 Fabと混合し、各錯体混合物はSECによって個別に分析された。各クロマトグラムの第1のタンパク質ピークは、それぞれ、tr=25.8分(図2B、試験1、ピーク2)及びtr=26分(図2B、試験2、ピーク3)の保持時間を有した。これらの2つの第1のピークからの画分のSDS-PAGE分析は、トリプターゼ及びE104.v2 Fabの両方が、このピークに存在することを示した。両方のタンパク質ピークもまた、MALSによって分析し、68kDa±3%の分子量を判定し、それは1Fabと結合される1トリプターゼ単量体を含む錯体を反映する。各試験の第2のピークは、SDS-PAGEによって判定された場合に、それぞれ、tr=31.6分(試験1、ピーク6)及びtr=31.8(試験2、ピーク7)の保持時間を有し、Fab huE104.v2のみを含んだ。両方のSEC試験のクロマトグラムは、実際に重ね合わせて、四量体トリプターゼまたはHisタグ付き単量体トリプターゼを錯体形成のために使用したかどうかとは無関係に、保持時間が実際に同一であったため、huE104.v2 Fab結合が、WT四量体トリプターゼを単量体に解離することを示した。
四量体トリプターゼを、100μg/mLのヘパリンの存在下で、過剰なhuE104.v2 Fabと再度混合し、ランニング緩衝剤(試験3)としてTNH緩衝剤中でSECによって分析し、3つのタンパク質ピークが観察された:第1のピークは、WT四量体トリプターゼのみ(tr=26分、例えば、図3A、ピーク1)よりもはるかに短い保持時間(tr=21分、図3B、試験3、ピーク1)を有する。第2のピークは、tr=27.2分(図3B、試験3、ピーク4)の保持時間を有し、最後のピークは、tr=31.2分(図3B、試験3、ピーク5)の保持時間を有し、それはFabのみを示す。SDS-PAGE分析は、トリプターゼ及びFabの両方がピーク1及び4に存在し、ピーク1は、huE104.v2 Fabによって結合された活性四量体を含み、ピーク4は、huE104.v2 Fabによって結合されたトリプターゼ単量体を含む(データは示されていない)ことを示した。これは、100μg/mLの高濃度のヘパリンの存在下で、四量体トリプターゼの画分のみが、ピーク4にあるようにhuE104.v2 Fabによって解離されたが、トリプターゼの大部分は、ピーク1でhu104.v2 Fabと結合された四量体トリプターゼを残したことを結論付けることをもたらした。要約すると、huE104.v1 Fabは、検出可能な阻害活性を示さなかったが、huE104.v2 Fabは、トリプターゼ四量体を完全に解離した。しかしながら、hu31A.v11 FabまたはhuE104.v2 IgGとは異なり、四量体を解離するhuE104.v2 Fabの能力は、高濃度のヘパリンによって部分的に中和された。したがって、これらのデータに基づいて、hu31A.v11 Fabは、高濃度のヘパリンありまたはなしでトリプターゼ四量体を解離することができ、huE104.v2 Fabは、高濃度のヘパリンの不在下でトリプターゼ四量体を解離することができることを結論付ける。
各トリプターゼ単量体は、触媒三残基の同一のセットを有し、4つの単量体は、基質が侵入する中間孔に面する4つの触媒部位を含む四量体を形成するためにアセンブリする。Pereira et al(上記参照)を参照されたい。Pereiraらは、活性部位をブロックすることによる小分子トリプターゼ阻害剤の設計について論じる。開発中のいくつかの小分子トリプターゼ阻害剤は、乏しい選択性または乏しい生物学的利用能のために中断されていた。例えば、Cairns,J.A.,2005,Pulmonary Pharmacology&Therapeutics 18:55-66を参照されたい。
野生型四量体トリプターゼは、一緒に共有結合的に保持されておらず、生理学的条件下で単量体に解離することができる(Schwartz et al.J.Biol.Chem.261:7372-7370,1986、Alter et al.Biochem.J.248:821-827,1987、Schwartz et al.J.Immunol.144:2304-2311,1990)。成熟トリプターゼが、四量体として高酵素活性を示し、生理学的関連条件下で単量体として不活性であることが報告されている(Schwartz et al.,J.Biol.Chem.261:7372-7379,1986)。本明細書に示されるデータは、hu31.v11及びhuE104.v2の両方が、トリプターゼ単量体と結合し、四量体を単量体に少なくとも低濃度のヘパリンで解離し、解離後、単量体と結合されたままであることを示す。単量体トリプターゼは、ある特定の条件化で酵素活性であり得ることもまた報告されている(Fukuoka et al.J.Immunol.176:3165,2006、Fajardo et al.,2003,Biochem.J.369:603-610)。観察は、不活性単量体中の血清が、単量体と結合する解離抗体に対して主なシンクとして作用し得るため、解離抗トリプターゼ抗体が、四量体安定化活性部位ブロッキング抗体などの活性部位ブロッキング阻害剤より劣ることになるかどうかという問題を提起する。加えて、四量体安定化活性部位ブロッキング抗体は、単量体がある特定の条件下で酵素活性であり得る場合に、治療としてより有利であり得る。
薬物動態-薬力学(PKPD)モデルを用いるシリコ実験において、四量体安定化中和抗体と比較して、四量体解離抗体の有効性を初めに調査した。モデルを、Simbiology(登録商標)ソフトウェア(Mathworks Inc,Cambridge MA)で開発し、循環中及び肺組織中の四量体トリプターゼ生成、解離、及びクリアランス、ならびに抗トリプターゼ抗体のPK及び結合効果をシミュレーションした。2つの種類の抗体は、以下の通りに考えられる:(1)結合時に四量体を素早く解離するが、単量体とも結合する、解離抗体、及び(2)その基質へのアクセスをブロックすることによって活性四量体のみと結合し、その活性を中和するが、四量体の半減期も延長する、安定化四量体特異性抗体。0.2nMのKDを有する四量体解離抗体を、300mgを4週間毎に皮下投与する仮定用量のレジメンでシミュレーションした。抗体の10%の肺分配係数を推測した。ベースラインシナリオに関して、血清中4ng/mlの全トリプターゼ及び組織区画中10ng/mlの全トリプターゼを推測し、高トリプターゼシナリオに関して、10ng/mlの血清トリプターゼ及び40ng/ml組織トリプターゼレベルを推測した。単量体への生理学的四量体解離の相対速度定数、及び各種のクリアランスは、全トリプターゼプール内に8:1比の単量体対四量体をもたらす。
解離抗体または安定化抗体のいずれかの300mgを4週間毎に皮下投与するシミュレーションした用量レジメンに関して、図4Aの左のパネルは、ベースラインシナリオでの肺における全抗体及び遊離/結合されていない抗体の両方の抗体の濃度を示し、右のパネルは、単量体及び四量体の両方の事前処理レベルに対する対応する肺(遊離)トリプターゼレベルを示す。結果は、KD=0.2nMを有する解離抗体について(上のパネル)、肺抗体のほとんどは、遊離のままであり(左上のパネル)、単量体及び四量体と結合するにも関わらず十分な薬物有用性を示し、結果はさらに、解離抗体が、四量体(活性)トリプターゼにおいて90%超の持続された低減を達成することを示す(右上のパネル)。安定化抗体(下のパネル)について、ほぼ全ての抗体が遊離であるが(左下のパネル)、しかしながら、四量体における低減は、80%以上を維持されるのみである。
安定化抗体の四量体特異性が高い全トリプターゼ条件下で有利であると考えることができたため、これらのシミュレーションをより高トリプターゼシナリオで繰り返した(図4B)。これらの条件下で、より多くの解離抗体が、不活性単量体トリプターゼによって結合され、解離抗体によってより低い遊離抗体(図4Bの左上のパネルを図4Aのものと比較)をもたらし、より少ないが依然として良好な四量体の中和(最低で約80%)をもたらす(図4B、右上のパネル)。比較すると、四量体安定化抗体については、単量体への結合の不在に起因するより大きな遊離抗体にも関わらず(図4B、左下のパネル)、抗体は、シミュレーションで安定化抗体(KD=0.02nM)について10倍高い親和性が推測されたにも関わらず(図4B、右下のパネル)、同じ条件下で解離抗体と比較してより少ない中和(最低で約70%)を達成する。より少ない中和は、四量体に対する「リザーバー」として機能を果たす結合された標的のより大きな安定性(半減期)に起因する。したがって、これらのシミュレーションは、解離抗体が有望であり、試験される異なるシナリオで四量体特異性安定化抗体よりも良好に作用することを予期する。
次に、解離抗体が、異なる抗体用量で四量体特異性安定化抗体とどのように比較するかを試験した。図4Cは、抗体用量レベル(30、100、300mg、皮下、4週間毎)の機能としてベースライン及び高トリプターゼシナリオの両方での、両方の種類の抗体の四量体の中和を示す。ベースラインシナリオ(図4C、左のパネル)では、解離抗体は、一貫して、考えられる全ての用量にわたって、安定化抗体よりも四量体活性を低減する。高トリプターゼシナリオ(図4C、右のパネル)では、解離抗体は、四量体の中和に関して全てにおいて安定化抗体より性能が優れているが、最も低い用量(30mg)ではそうではなく、この点では、2つの抗体は比較可能なほどに機能する。概して、解離抗体(KD=0.2nM)よりも10倍大きな親和性(KD=0.02nM)にも関わらず、安定化抗体を使用して達成されるより少ない中和は、解離抗体と比較して、安定化抗体を使用する比較可能な四量体の中和について、はるかにより高い親和性の要求(>10倍)を示す。両方のシナリオに関して、(90%)四量体の中和のための最適な用量は、安定化抗体について推測された10倍大きな親和性にも関わらず、安定化抗体に対してよりも解離抗体に対してより低い(結果は示されていない)。したがって、モデルの下で、解離抗体は、用量範囲にわたって、10倍高い親和性を有する安定化抗体より性能が優れているか、またはそれと少なくとも一致し、血清及び肺トリプターゼ濃度が試験される。加えて、hu31A.v11及びhuE104.v2 IgGが、全てのトリプターゼ活性を完全に阻害したことを本明細書で示した。図2A及び表5を参照されたい。
知る限りでは、治療用途のために開発されたトリプターゼ四量体解離抗体のいかなる例も存在していない。急性喘息肺を含む疾患組織の炎症性遺伝子座は、対照対象と比較して酸性である;例えば、Hunt et al.Am.J.Respir.Crit.Care Med.161:694-699,2000、Steen et al.J.Neuroscience 15:3982,1995;Bellocq et al.J.Biol.Chem.273:5086,1998、及びLardnerJ.Leukocyte Biol.69:522,2001を参照されたい)。公開されたデータは、マウスモノクローナル抗トリプターゼ抗体B12が、中性pHでヒトトリプターゼベータを中和するが、酸性pH6で、酵素アッセイにおいてヒトトリプターゼベータ活性を中和することが不可能であることを示した(Fukuoka et al.J.Immunol.176:3165,2006を参照されたい)。それ故に、抗体hu31a.v11及びhuE104.v2を、中性pH及び酸性pHの両方で線維素原を切断することにおいてヒトトリプターゼの活性ベータを阻害するそれらの能力について試験した。
簡潔には、ヒトトリプターゼベータ四量体(1.0μg/mL)を、室温で、pH6.0または7.5(50mMのトリス、150mMのNaCl、0.1mg/mlのヘパリン)のTNH緩衝剤中で30分間試験された抗体と共に事前にインキュベートした。次いで、混合物を、5μgのヒト線維素原基質(Haematologic Technologies,Inc.、カタログ番号HIC-0150R)と共に37℃で2.5時間インキュベートした。hu31A.v11 Fab、huE104.v2 Fab、及びB12 mIgG1を200μg/mLで各々試験した。切断生成物を、SDS-PAGE及びクマシーブルー染色によって分析した。
図5A及び5Bに示されるように、ヒトトリプターゼベータ1は、pH6及び7.5の両方で、線維素原アルファ及びベータ鎖を切断した(レーン1、線維素原のみを、レーン2、線維素原及びトリプターゼベータ1と比較)。抗体hu31A.v11 Fabは、pH6及びpH7.5の両方でヒトトリプターゼベータを阻害した(レーン3)が、0.1mg/mlの高濃度ヘパリンのアッセイ条件下でhuE104.v2 Fabは阻害しなかった(レーン5)。レーン6はB12 mIgG1のみであった。線維素原アルファ鎖の減少は、トリプターゼタンパク質分解活性を示す。線維素原ベータ鎖もまた切断されるが、ベータ鎖切断は、ゲル上で不明瞭である傾向がある。したがって、アルファ鎖の強度は、定量化され、図5A及び5Bの下のパネルに示される。したがって、hu31A.v11 Fabは、pH6及び7.5でトリプターゼ活性を阻害したが、huE104.v2 Fabは、高ヘパリン濃度のアッセイ条件下で阻害ではなかった。
IgGフォーマット抗体(hu31A.v11 IgG4及びhuE104.v2 IgG4)の阻害活性もまた、pH6、7、または8のTNH緩衝剤中で、1nMのトリプターゼ及び400μMの発色性S-2288の存在下で、阻害アッセイにおいて基質としてS-2288ペプチドを使用して評価した。この実験でのヘパリンの最終濃度は、約95μg/mlであった。IgGフォーマットにおけるhu31A.v11及びhuE104.v2は両方とも、pH6、7、及び8でトリプターゼ活性を完全に阻害した(データは示されていない)。
それ故に、hu31A.v11 IgG及びhuE104.v2 IgGの両方は、高親和性でトリプターゼと結合し、また喘息などのトリプターゼ関連障害の生理学的関連条件下で、トリプターゼ活性を効率的に阻害する。興味深いことには、これらの実験条件において、マウスモノクローナル抗ヒトトリプターゼ抗体B12 IgG1はまた、公開された結果とは逆に、pH6でヒトトリプターゼベータの阻害を示した(図5A、レーン4)。誤差は、酸性pHによって活性化され、B12阻害に抵抗性である公開されたデータ中アッセイのために使用された材料中に存在する任意の残留非トリプターゼプロテアーゼ活性に起因し得る。
実施例3:抗トリプターゼ抗体の構造分析
A.31Aファミリー抗体
(i).X線結晶学モデル
野生型四量体トリプターゼを、1.5倍のモル過剰のFab hu31A.v11及び2倍のモル過剰の大豆トリプシン阻害剤(STI)(Roche)と混合し、室温で10分間インキュベートした。STIを添加して結晶化を促進した。次いで、混合物を、10mMのMOPS(pH6.8)、0.5MのNaCl中で、S200カラム(GE Healthcare)を使用するSECにかけた。トリプターゼの三重錯体を含む画分、STI、及びFab hu31A.v11をプールし、40mg/mLに濃縮した。
トリプターゼ/Fab hu31A.v11/STIの結晶を、懸滴で蒸気拡散法を用いて19℃で成長させた。0.1Mのトリス(pH7.5)、0.2Mの硫酸リチウム、及び5%のポリエチレングリコール(PEG)4000を含む結晶化緩衝剤を、タンパク質溶液と同じ容量で混合した。結晶を、25%のエチレングリコールを含む人工的な母液中に浸漬し、液体窒素中でガラス化した。
表7は、Fab hu31A.v11/トリプターゼ/STIの構造に関するX線データの収集及び精密化情報を示す。2.15Åに及ぶ回折データを、ALSビームライン5.0.2で、六方格子で収集した。データ低減及びスケーリングは、6/mmmへのラウエ群の割り当てを可能にした(Otwinowski,Methods in Enzymol.276,307-326,1997、Winn et al.Acta Crystallogr.Sect.D-Biol.Crystallogr.67,235-242,2011)。単位細胞体積及び提案されたタンパク質含有量に基づいて、単一のFab hu31A.v11/トリプターゼ/STI錯体を、結晶学非対照単位で予期した。構造を、分子置換(McCoy et al.J.Appl.Crystallogr.40:658-674,2007)を使用して空間群P6
222で解析した。以下の探査プローブを、それぞれ分離体として使用した:PDB受託4A6Lに由来する以前に判定されたトリプターゼプロトマー(Liang et al.Bioorg.Med.Chem.Lett.22:1049-1054,2012)、PDB 1AVUからのSTI(Song et al.J.Mol.Biol.275:347-363,1998)、PDB 1FVCからのCDRループの剥奪されたFv断片(Eigenbrot et al.J.Mol.Biol.229:969-995,1993)、及びPDB 1FVDからの定常領域。いくつかが精密化を抑制した後(Murshudov et al.Acta Crystallogr.Sect.D-Biol.Crystallogr.67:355-367,2011)、電子密度マップは、Fabタンパク質配列の訂正、ならびに欠損している残基及び側鎖を明確な密度に適合させることを可能にした(Emsley et al.Acta Crystallogr.Sect.D-Biol.Crystallogr.66:486-501,2010)。水を自動的に添加した(Adams et al.Acta Crystallogr.Sect.D-Biol.Crystallogr.66:213-221,2010)。より多くのラウンドのモデル調整及び精密化(BUSTERソフトウェア;Global Phasing Ltd.,2011)は、最終モデルをもたらした。モデルは、トリプターゼ残基Ile16-Lys244(キモトリプシノーゲン番号付け)、STI残基Asp1-Asp177、Fab軽鎖残基Asp1-Cys214(Kabat番号付け)(Kabat,Sequences of Proteins of Immunological Interest.Bethesda,MD,U.S.Dept.of Health and Human Services,Public Health Service,National Institutes of Health,1991)について連続的である。Fab重鎖は、定常ドメインにおける5個のアミノ酸残基ギャップを除いて連続的である。形状相補性統計(Sc)(Lawrence et al.J.Mol.Biol.234:946-950,1993)の値は、0.73であり、他の強結合Fab/抗原錯体と一致する。最も大きなタンパク質間接触面積は、それらは各々それらの界面で1260Å
2溶媒アクセス可能表面(Broger C,xsae,F.Hoffman-La Roche,Basel,Switzerland,2000)を失うため、トリプターゼとSTIとの間である。対照的に、Fab/トリプターゼ接触は、各側で760Å
2のみであり、Fabの軽鎖及び重鎖の間に均等に分布される。4Å以下の結晶充填接触は、STI、トリプターゼ、及び4個全てのFabドメインの周りに良好に分布され、多数の水素結合ならびに疎水性接触を含む。
表7:X線データの収集及び精密化Fab hu31A.v11/トリプターゼ/STI
(ii)水素重水素交換(HDX)によって分析され、MSによって測定される抗トリプターゼ抗体のエピトープマッピング
抗体の存在下及び不在下での単量体トリプターゼの重水素取り込みの割合を測定して、抗体結合の際に修飾される構造領域を判定した。結合された試料は、トリプターゼ及びそれぞれの抗体の1:1の混合物を含み、調製し、室温で1時間インキュベートした。重水素標識前のトリプターゼ濃度は、抗体結合試料及び抗体結合されていない試料において30μMであった。HDX実験は、試料を、pD7.0で20mMの酢酸ヒスチジンを含む重水素標識緩衝剤に15倍に希釈することを含んだ。30秒~1000分で対数的に試された6つの標識時間を、3つ組に取り、pHをpH2.5に低下させ、2Mの塩化グアニジウム(GdmCl)及び0.25Mのトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)を添加することによってクエンチし、以前に記載されるように冷オンラインシステムに注射した(Mayne et al.,J.Am.Soc.Mass.Spectrom.22:1898-1905,2011)。
簡潔には、試料をまず固定化ペプシンカラム(2.1x30mM、Applied Biosystems)に通過させ、淡水化するためにトラップカラム(Acquity Vanguard C8)に充填した。次いで、ペプチド断片を、Acquity UPLC(商標)BEH C18カラム(1.7μMの粒子サイズ、1.0×50mm)を使用する逆相クロマトグラフィーによって分離し、質量分析のために、質量分析計(Thermo Orbitrap Elite(商標)、m/z400で120kHzの分解能)に導入した。クロマトグラフィー移動相を以前に記載されるように調製し、重水素逆交換を最小化した(Walters et al.,J.Am.Soc.Mass Spectrom.23:2132-2139,2012)。ExMSプログラム(Kan et al.J.Am.Soc.Mass.Spectrom.22:1906-1915,2011)を使用して、重水素化ペプチドを特定し、抽出されたイオンクロマトグラムを調製し、次いでそれをインハウスパイソンスクリプトによって分析した(Walters et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 110:18898-18903,2013)。これらのスクリプトを、各ペプチドによる平均で、縮退荷電状態を組み合わせ、二項式を用いる同位体分布に適合させ、実施された重水素の数を抽出した。
(iii)液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)による完全質量
精製されたタンパク質(トリプターゼ及びその変異体を含む)を、0.1%のトリフルオロ酢酸(TFA)(Thermo,Rockford,IL)で酸性化し、10μMの最終濃度に希釈した。試料を、Agilent 1260無限高速液体クロマトグラフィー(HPLC)-チップキューブインターフェース(Agilent,Santa Clara,CA)と結合されたAgilent 6520精密質量四重極飛行時間型(Q-TOF)で分析した。タンパク質を、40nL/分の流量で、PLRP-S 150mm×75μMのカラム上で逆相HPLCによって分離し、10分で、5~80%の勾配水溶性溶媒A(97%のH2O、3%のアセトニトリル、0.1%のギ酸)と有機溶媒B(98%のアセトニトリル、0.1%のギ酸)とに分離した。データを、MassHunter(登録商標)Workstation(Agilent,Santa Clara,CA)で収集し、生の質量スペクトルをデコンボリューションして完全質量データを生成した。主なピークは、61764.4Da及び63152.9Daで観察された。複数のGlcNAc(203Da)質量の添加もまた観察された。
(iv)結果
ヒトトリプターゼの結晶構造は、四量体の各単量体が、6つのループセグメントを介して2つの異なる界面でその隣接物に接触することを示す:その全体において参照により本明細書に組み込まれるPereira et al.Nature 392:306-11,1998によって記載されるプロトマーの命名法に従う大界面(プロトマーA/D及びB/Cの間)または小界面(プロトマーA/B及びC/Dの間)。各プロトマーの6つの表面ループは、活性部位を囲み、単量体間接触を係合する(Pereira(上記参照))。その間でも、147ループ、70~80ループ、及び37ループは、小界面の相互作用において係合し、173フラップ、97ループ、及び60ループは、大界面相互作用において重要である。小界面は、疎水性相互作用のみを含むが、大界面は、いくつかの極性、疎水性相互作用に加えて荷電相互作用を含む。ヘパリンは、2つの隣接するプロトマーA/B及びC/Dにわたる正に荷電された残基と非共有結合することによって、四量体のせん断点であると考えられる小界面をさらに安定化させる。Pereira(上記参照)を参照されたい。自然に、小界面は、四量体のせん断点であり、その後に大界面によって保持される二量体の解離が続く。トリプターゼの半減期は、全身性アナフィラキシーの発症後のヒト血液中の循環において約2~3時間である(例えば、Schwartz et al.J.Clin.Invest.83:1551-1555,1989を参照されたい)。四量体の正常半減期は約30分である。
トリプターゼ四量体を保持する小タンパク質界面または大タンパク質界面が、トリプターゼと結合するhu31A.v11またはhuE104.v2によって一緒に不安定化されるかどうかを判定した。2つのトリプターゼ変異体を生成し、それは、Pereira et al(上記参照)によって記載されるプロトマーの命名法に従う大界面(プロトマーA/D及びB/Cの間)または小界面(プロトマーA/B及びC/Dの間)のいずれかで分子間ジスルフィド結合を介する四量体において2つの隣接するプロトマーの共有結合をもたらす。したがって、小界面の解離が共有ジスルフィド結合二量体形成に起因して妨げられるとき、大界面の解離は依然として可能である。反対に、大界面の解離が、共有ジスルフィド結合二量体形成に起因して妨げられるとき、小界面の解離は依然として可能である。
小界面におけるTyr75及び大界面におけるIle99(キモトリプシノーゲン番号付け、図7)を、システインに個別に変異させた。これらの部位は、四量体の準2回対称に起因してこれらの界面においてそれら自身に面するため、これらの部位を選択した(Sommerhoff et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96:10984-91,1999)。PyMOLソフトウェアを使用するシリコにおけるTyr75またはIle99のシステインへの置換は、各対向するシステインのチオール間の2.4Å及び3.2Åのそれぞれの距離を示し、それは2.05Åの典型的なジスルフィド結合の長さよりもいくらか大きい。それにもかかわらず、2つの結果として得られた四量体変異体は、発現され、精製されて、トリプシンペプチドMS分析によって判定されるように、それぞれの界面の間で形成されたジスルフィド結合を含んだ。さらに、両方の変異体もまた酵素活性であったが、野生型四量体トリプターゼと比較した場合、約半分の触媒効率(k
cat/K
M)であった(表8)。
表8:野生型の酵素活性及び変異体トリプターゼ
hu31A.v11 FabまたはhuE104.v1 Fabで錯体化されたこれらの変異体のサイズを分析した。トリプターゼ変異体Y75C及びI99Cをそれぞれ、野生型トリプターゼにおいて上に記載のように、錯体形成のために2倍のモル過剰のFab hu31A.v11で混合し、サイズ排除クロマトグラフィーによって分析した。比較のための参照として、野生型四量体トリプターゼを、抗体huE104.v1からのFabで錯体化し、それはトリプターゼと特異的に結合するが、四量体を解離せず、高い抗体対四量体の比率で阻害活性を失う。huE104.v1 Fabを有する野生型四量体トリプターゼ錯体は、21.6分の保持時間を有した(図6A、参照ピーク)。この錯体のSEC-MALS分析は、4つの結合Fabを有する1つのトリプターゼ四量体を含む錯体を示す、276.1kDaの分子量を判定した。
Fab hu31A.v11は、それぞれ、25.6分(図6A、試験2、ピーク1)及び23.9分(図6A、試験3、ピーク2)の保持時間を有する四量体トリプターゼ変異体Y75C及びI99Cを含む錯体を形成した(図6A)。両方の保持時間は、参照錯体の保持時間よりも長く、Fab hu31A.v11を有する錯体形成の際に両方の四量体変異体がそれらのぞれぞれの共有結合二量体に解離することを示す。各ピークからの試料を取集し、SDS-PAGEによって分析し、各ピークにおける種を確認した(図6B)。これらの溶出されたタンパク質ピークのSDS-PAGE分析は、Fab hu31A.v11及びそれぞれのトリプターゼ二量体の両方が、同じ画分中に存在したことを示す(図6B)。試験4のピーク3(28.1分のTr)及びピーク4(31.6分のTr)は、それぞれ、Fab hu31A.v11、及び過剰Fabと錯体化されたWT単量体を表した。少量のピーク3の試料を、SDS PAGEにおいてピーク4の試料に持ち越した。Fab hu31A.v11と複合したトリプターゼ変異体の両方は、参照ピークよりも長い保持時間で試験し、大界面及び小界面の両方がFab hu31A.v11結合の際に不安定化されることを示す。この不安定化は、野生型トリプターゼ四量体について観察されるように四量体解離をもたらし、それは最終的にはトリプターゼのタンパク質分解活性を不活性化する。B12 Fabもまた両方の変異体四量体を不安定化した(データは示されていない)。
成熟ヒトトリプターゼベータ1とのヒト化抗トリプターゼ抗体hu31A.v11の結合を、X線結晶学モデルを用いて研究し、2.15Å分解能でのhu31A.v11のトリプターゼ及びFab断片の間の分子錯体の構造を判定した。結果は、1つのhu31A.v11 Fabと相互作用する1つのトリプターゼ/STI(大豆トリプシン阻害剤)複合体を含む結晶学非対照単位であった。STIを結晶化の目的のために含んだ。
エピトープの1つの定義は、hu31A.v11 Fabの任意の原子の4Å以内であるトリプターゼアミノ酸のセットである。プログラムPyMOLを、エピトープを見出すために使用した。トリプターゼポリペプチド鎖中のアミノ酸残基は、配列番号付けから外れる慣習(キモトリプシノーゲン番号付け)に従って番号付けされ、同種のタンパク質にわたる比較を可能し得る。このトリプターゼ残基番号付けスキームを翻訳する表、及び単純な配列スキームが提供される(図7)。以下のトリプターゼ残基を、括弧内の遺伝子配列番号付けスキームを含む慣習に従って命名する。
トリプターゼ上のhu31A.v11のエピトープは、以下の残基を含む:H36、Q50、V60c、K60d、D60e、L61、A62、A63、R65、P84、V85、S86、R87、E109、E110、P111(それぞれ配列番号71のH51、Q67、V80、K81、D82、L83、A84、A85、R87、P103、V104、S105、R106、E128、E129、及びP130に対応する、キモトリプシノーゲン番号付け)。図8を参照されたい。トリプターゼの60s、80s、及び100sループの残基は、Fab hu31A.v11と親密な接触にあるが、His36及びGln50残基は、Fabとの相互作用の周辺でより親密な接触にある。Pereira et al(上記参照)もまた参照されたい。Fab-トリプターゼ接触は、Fab軽鎖(Val30、Thr31、Tyr32、Tyr34、Arg50、Tyr90、His92、Ser93、Tyr94)及び重鎖(Phe50、Ser52、Gly53、Ser54、Ser55、Thr56、Tyr58、Arg95、Tyr97、Asp98)からの同様の寄与で、溶媒(各側)から760Å2を排除する。上に記載のエピトープ残基はまた、他の31A由来抗体に適用することが考えられる。
三重錯体からのFab/トリプターゼ二量体を、野生型四量体(Pereira et al(上記参照)からのトリプターゼプロトマーA及びDに重ねたとき、2つのFabが四量体プレーンに対してほぼ直角である四量体の同じ側に位置することを見出した(図9)。プロトマーB及びCに対してこのプロセスを繰り返すことによって、四量体の反対側に2つFabを配置する。とりわけ、これらの結果は、Fab軽鎖間の立体衝突を強調し、四量体トリプターゼとの錯体としてではなく、SEC上に単量体トリプターゼとの1:1の錯体としてFabが溶出する事実と一致する(図9)
四量体トリプターゼは、経時的な酵素活性における崩壊及び溶液中の円二色性(CD)スペクトルの変化によって監視された場合に、一緒に共有結合的に保持されておらず、生理学的条件下で単量体に解離することができる(Schwartz et al.J.Biol.Chem.261:7372-7379,1986;Schwartz et al.J.Immunol.144:2304-11,1990)。四量体の各プロトマーへのhu31A.v11(FabまたはIgG)の結合は、トリプターゼと結合したときにFabの立体衝突に起因して、四量体の解離を促進及び加速し、任意の四量体の再会合を妨げる。したがって、トリプターゼは、hu31A.v11結合によって引き起こされる各プロトマーにおけるアロステリック変化に起因して、より急速な様式で、解離し、酵素不活性単量体になる。四量体における疑似2回対称のために、小界面及び大界面を構成するほぼ全ての相互作用が2回存在する。これはまた、hu31A.v11結合によって引き起こされるトリプターゼ構造における各々のわずかな変化が、各界面において2回生じ、それによって不安定化を増強することを意味する。
トリプターゼとのFab hu31A.v11の錯体構造は、大界面中にある、60sループの著しい変化を示す。具体的には、hu31A.v11 Fabによって結合したとき、残基Val60c(配列番号71のVal80に対応する)は、結合されていないトリプターゼ構造中に見出されるその位置と比較したとき、側鎖において著しい移動を有する。結合されていないトリプターゼ四量体において、隣接するプロトマーからのTyr173dは、残基Val60c及びVal90(図10、両方共にキモトリプシノーゲン番号付けに従う、図7もまた参照されたい)によって創造された疎水性ポケット中に位置する。抗体錯体において、Val60cの立体配座変化は、そのポケットとのTyr173d結合を妨げる立体障害を創造する。トリプターゼとのhu31A.v11の結合が、60sループの一部と近くの残基との相互作用を含むため、それは、Val60cにおけるこの立体配座変化に関与し得る。これは、大界面の不安定化をもたらし得、したがって不活性単量体へのトリプターゼ四量体の解離を高める。
トリプターゼ中のHis36(キモトリプシノーゲン番号付け;配列番号71のHis51に対応する)のイミダゾール環は、Fab hu31A.v11との疎水性相互作用を作り、結合されていない四量体構造中のトリプターゼプロトマーと比較したとき、トリプターゼ残基His36、Pro37a、及びTyr37bの30sループにおけるCαの痕跡の変化をもたらす。これは、小界面においてPro152及びPro152aを含む隣接するプロトマーとの重要な疎水性相互作用が衰弱され得るように、Tyr37b側鎖の立体構造に影響する(図11、全てキモトリプシノーゲン番号付けに従う、図7もまた参照されたい)。
hu31A.v11 Fabを有する2つの異なるジスルフィドロックトリプターゼバリアントY75C及びI99Cの錯体形成の研究は、四量体トリプターゼの大界面及び小界面の両方が、抗体によって不安定化されることを示す。四量体と結合されるFabの立体衝突、ならびに大界面及び小界面の重要な相互作用残基への立体配座変化の両方は、四量体解離に寄与することにおいて需要である可能性が高い。これらの2つの因子は、相互排他的ではない。インシリコに示された四量体の各プロトマーと結合したときのhu31A.v11 Fabに由来する立体障害は、単一IgGからの2つのFabが典型的には1つの四量体と同時に結合することができなかったことを示す(図9)。この観察は、hu31A.v11のFab及びIgGの両方が四量体を解離することができ、それによって酵素活性を阻害することの発見と一貫する。この観察はまた、抗体によって結合された解離された単量体が四量体を形成するために再アセンブリする可能性が低いことを示す。
次に、hu31A.v11 Fabと結合された単量体トリプターゼのHDX実験を行い、溶液中の結合相互作用を研究した。経時的なHDXの程度を質量分析によって監視した。この方法は、hu31A.v11結合エピトープを示す情報を提供するが、それはまた、エピトープに結合する抗体から離れて生じ得る立体配座安定性のアロステリック変化を検出する。hu31A.v11が結合されたときにトリプターゼ中でより遅い交換を示したアミド結合は、残基25~29、40~41、57~59、60~61、66~67、83~88、108~110、及び231~233(キモトリプシノーゲン番号付け)の領域に位置した。これらの領域を4Å以内の結晶構造中に見られるFab hu31A.v11でトリプターゼ残基と比較したとき、60s、80s、及び100sループ中の結合エピトープ残基を特定する両方の方法の間で高度の重複を観察した(図8)。主なトリプターゼ配列の20s、40s、50s、及び230s領域中の位置などのHDXによって特定される他の領域は、結晶構造によって抗体と直接接触していないが、hu31A.v11の存在下で立体配座動力学の低減を示す。興味深いことには、残基57~59は、hu31A.v11結によってアロステリックに影響されるように思われる。この短いαヘリックスは、セリンプロテアーゼ中の触媒三残基の一部であり、かつ触媒活性に対して必須である残基His57(キモトリプシノーゲン番号付け)を含む。HDXによって特定された残基40及び41は、hu31A.v11と直接接触していないが、それらは、それらのヘアピンループ中でTyr37b(キモトリプシノーゲン番号付け)をディスプレイする逆平行ベータシートの一部として興味深い構造位置にあり、それは上に議論されるように小界面に対して重要な接触残基である(図11)。この領域に対する構造的改変は、小界面の安定性に影響を与え得、四量体解離をもたらす可能性がある。
HDXによるそれらの構造動力学の変化も経る、20sループ(非構造ループ中の全ての残基)及び230s領域(230sヘリックスとも称される)中のペプチド結合は、hu31A.v11の結合部位から離れている。HDX実験は、構造動力学の変化を監視し、バルク立体配座の変化と特定の立体配座のエネルギー安定性の変化を区別しない。全体として、HDX及びX線結晶学モデルによって得られた構造情報と、hu31A.v11結合によってアロステリックに影響される特定されたさらなる残基との間に高度の一貫性を見出した。
B.E104由来抗トリプターゼ抗体の構造分析
(i)材料及び方法
huE104.v1の結合は四量体を解離しないため、huE104.v1 Fabを使用してトリプターゼ四量体を有する結晶構造を生成した。トリプターゼ/huE104.v1の結晶を、0.1Mのトリス(pH8.5)、0.2Mの塩化カルシウム、20%のポリエチレングリコール(PEG)4000、及び8%のペンタエリスリトールエトキシレートを含むリザーバー溶液とタンパク質を1:1(v/v)で混合することによって蒸気拡散法を用いて19℃で成長させた。結晶を、0.1Mのトリス(pH8.5)、0.2Mの塩化カルシウム、35%のPEG3350を含む人工的な母液中で凍結保護し、液体窒素中で急速冷凍した。Pilatus 6Mピクセルアレイ検出器及び0.9795Åの波長X線を用いて、回折データを、3Åの分解能に及ぶ単斜格子で、SSRLビームライン12~2で収集した。データを低減し(Kabsch,Acta Crystallogr.D Biol.Crystallogr.66:125-132,2010;Vonrhein et al.Acta.Crystallogr.D67:293-302,2011)、スケーリングし(Winn et al.Acta Crystallogr.D Biol.Crystallogr.67:235-242,2011)、構造は、4つのFabによって結合されるトリプターゼ四量体を明らかにする空間群P21における分子置換(McCoy et al.J.Appl.Crystallogr.40:658-674,2007)によって解析した。分子置換探査プローブは、回転関数のみを用いて肘角度の範囲で修飾されたバージョンをスキャニングすることによる、PDB受託4A6Lからのトリプターゼプロトマー、及びPDB受託1FVDに由来する抗体Fab断片であった。限られた精密化の後、1つのFab定常領域を、1FVDからの定常領域のみを使用して分子置換探査で置き換えた。トリプターゼ残基の番号付けをキモトリプシノーゲンスキームに変更し、Fab-E104v1残基の番号付けをKabatスキームに変更した。モデル及び電子密度マップの検査及び調節を、Coot(Emsley et al.Acta Crystallogr.D Biol.Crystallogr.66:486-501,2010)を用いて行い、構造をREFMAC5(Murshudov et al.Acta Crystallogr.D Biol.Crystallogr.67:355-367,2011)及びPhenix.refine(Adams et al.Acta Crystallogr.D Biol.Crystallogr.66,213-221,2010)を用いて精密化した。データ収集及び精密化測定基準は表9に現れる。HDX実験を、上に記載されるように行った。
表9:トリプターゼベータhuE104.V1 Fabに関するX線測定基準の表
(ii)結果
トリプターゼ四量体を保持する小タンパク質界面または大タンパク質界面が、huE104.v2 Fab結合時に一緒に不安定化されるかどうかを判定するために、四量体トリプターゼ変異体Y75CまたはI99C(上記を参照されたい)を、錯体形成のために2倍のモル過剰のFab huE104.v2と混合し、SECによって分析した(図6C)。huE104.v2 Fabは、四量体トリプターゼ変異体Y75Cを含む錯体を形成し、クロマトグラムは、過剰Fabを含む、tr=21.6分(図6C、試験1、ピーク1)及びtr=31分(ピーク4)の保持時間を有する2つのピークを示す。huE104.v2 Fabは、四量体トリプターゼ変異体I99Cを含む錯体を形成し、クロマトグラムは、過剰Fabを含む、tr=23.8分(図6C、試験2、ピーク2)及びtr=31分(試験2、ピーク5)の保持時間を有する2つのピークを示す。SDS-PAGE分析は、huE104.v2 Fab及びトリプターゼ二量体変異体の両方がピーク1及び2に存在し、過剰Fabがピーク4及び5に存在したことを示した(データは示されていない)。比較のために、WTトリプターゼ四量体と複合したhuE104.v2 Fabは、huE104.v2(tr=23.8分、試験2、ピーク2)と複合したトリプターゼ四量体変異体I99Cよりも小さいFab huE104.vによって結合された単量体を含む、tr=26分(図6C、試験3、ピーク3)の保持時間を有した。huE104.v2 Fabと複合したトリプターゼ変異体Y75C(小界面ロック変異体四量体)は、huE104.v1の4つのFabと結合されたWTトリプターゼ四量体の安定したインタクトな錯体と同様の保持時間を有した(図6A、試験1、参照ピークを参照されたい)。一方で、huE104.v2と複合したトリプターゼ変異体I99C(大界面ロック変異体四量体)は、試験1での第1のピークより小さい錯体を示すより長い保持時間を有した。結果は、huE104.v2 Fabが四量体の小界面のみを解離することができたが、大界面は解離できなかった。したがって、野生型トリプターゼ四量体に結合するとき、huE104.v2 Fab結合は、小界面のみを解離する。実験的条件下で、解離された小界面は、高局所濃度(例えば、0.1mg/ml)で存在するヘパリンによって素早く復元され得、それは四量体の再アセンブリをもたらす。このヘパリン濃度は、生理学的ヘパリン濃度よりも実質的に高く、それは約1.5μg/mlの血清であることが報告されている(例えば、Engelberg et al.,Circulation 23:578-581,1961及びDavids et al.S.Afr.Med.J.100:307-307,2010を参照されたい)。低濃度のヘパリンで、huE104.v2 Fabは、WTトリプターゼ四量体を完全に解離することができ、トリプターゼ活性を中和するが、IgGフォーマットにおけるhuE104.v2よりも可能性は少ない。
トリプターゼ上のhuE104.v2の正確な結合エピトープについてのさらなる洞察を得るために、Fab huE104.v2/トリプターゼ錯体を結晶化することを試みた。いずれの好適な結晶も得ることができなかったため、サイズ排除クロマトグラフィーによって単離された4つのFab E104.v1と結合されたWT四量体トリプターゼの錯体を、結晶化のために使用した。huE104.v1及びhuE104.v2は、2つのバーニアフレームワーク位置のみが異なるが、HVRは同一である。したがって、huE104.v1は、huE104.v2の結合エピトープを明らかにするために良好な代替物であった。成熟ヒトトリプターゼベータ1とのヒト化抗トリプターゼ抗体huE104.v1(実施例1を参照されたい)の結合を、X線結晶学モデルを用いて研究し、3.0オングストローム(Å)分解能でのhuE104.v1のトリプターゼ及びFab断片の間の分子錯体の構造を判定した。結果は、各Fabがトリプターゼプロトマーのうちの1つのみとほぼ排他的に相互作用するような方法で4つのhuE104.v1 Fabと相互作用するEGRクロロメチルケトンと複合することによって安定化された、1つのトリプターゼ四量体を含む結晶学非対照単位であった(図12A)。分子間結晶充填接触環境は、大きな空隙を含まず、4Åより少ない中程度の数の結晶充填接触を有する。例えば、2つのhuE104.v1 Fab VLドメインは、それらのABDE β一本鎖の面で非結晶学2倍接触を経験し、Thr及びSer鎖鎖及び他のものからのH結合を含む。いくつの分子間接触を含む別のより小さい領域は、重鎖定常ドメイン(同じ鎖の可変ドメインとのペプチド結合の近く)及び隣接する軽鎖定常ドメインの「底」の間に存在する。より多くの残基(243対お約215)を有するトリプターゼプロトマーにも関わらず、トリプターゼプロトマー(平均3.5)よりもFab(平均12)の充填接触においてより多くの残基が存在する。この意味では、結晶は、Fab-Fab分子間接触を介して少なくとも部分的に形成される。
huE104.v1 Fabの3つの複製物は、140°、138°、及び141°の密接に同様の肘角度(可変ドメイン(VH及びVL)及び定常ドメイン(CH及びCL)の間の角度を示した。huE104.v1 Fabの第4の複製物を、その定常領域に対する相対的に乏しい電子密度によって特徴付け、152°の肘角度を示した。抗体抗原結合の表面積(パラトープ)は、トリプターゼプロトマーとの接触に対して損失した溶媒アクセス可能表面積(Adams et al.Acta Crystallogr.D Biol.Crystallogr.66:213-221,2010)として計算し(平均682Å2)、軽鎖29%に対して重鎖71%によって支配される。形状相補性統計(Lawrence et al.J.Mol.Biol.234:946-950,1993)、Scは、平均0.76であり、タンパク質抗原を有する抗体に関してハイエンドである。この結果の分解能は、水構造を識別するには低すぎたが、Sc値は、極めて少ない界面水が存在する可能性が高いことを示唆する。非結晶学対称(NCS)抑制の使用は、Rを含まない値に従って優れた精密化をもたらした。Fabドメイン(VL、CL、VH、またはCH1)のCα原子の重ね合わせに関する平均平方根偏差(RMSD)は、オングストロームの十分のいくつかの程度であった。
それらのパートナートリプターゼの4Å以内の抗体残基は、4つの複製物に対して密接に同様であり、以下を含む:軽鎖残基Y29、N30、R32(HVR-L1)、R94(HVR-L3)、ならびに重鎖残基G31、Y32(HVR-H1)、S52、S53、A54、T56、F58(HVR-H2)、及びP96、R97、G98、Y99、R100e(HVR-H3)。
各huE104.v1 Fabは、パートナートリプターゼプロトマーの密接に類似した領域と接触する。このエピトープは、切断された活性部位基質結合から約90°離れており、ほぼ正方形の平面トリプターゼ四量体の平面から垂直に突き出る各Fabを配置する。トリプターゼプロトマーは、トリプターゼ環の周囲で、上/下/上/下の様式で会合するため、四量体及びから「上」に突き出る2つのFab及び「下」に突き出る2つのFabが存在する(図12A)。
結晶学非対照単位(asu)は、ほぼ対称の四量体に組織化された4つのトリプターゼプロトマーを含む。4つのトリプターゼプロトマーはそれぞれ、活性部位(Glu-Gly-Arg-クロロメチルケトンを使用する処理からの)で共有的に修飾され、約0.1ÅのCα原子に基づく対でのrmsdで重なる。各プロトマーがasuにおける4つのFabのうちの1つのみの4Å以内であった場合、次いで4つのhuE104.v1エピトープ、各トリプターゼプロトマーに対して1つを定義することが可能となり、厳密な対称を欠き、これらの4つのエピトープはわずかに異なり得る。本明細書において「非パートナーFab」と称される、それとの相互作用のバルクを提供しないFabの4Å以内であるいくつかのトリプターゼ残基が存在する。これが事実であるため、トリプターゼ四量体に関するhuE104.v1エピトープを定義することもまた可能である。
プログラムPyMOLを使用して、この実施例ではhuE104.v1 Fabの任意の原子の4Å以内であるトリプターゼアミノ酸のセットである、エピトープを定義した。トリプターゼポリペプチド鎖中のアミノ酸残基は、上に記載されるようにキモトリプシノーゲン番号付けスキームに従って番号付けされ得る(図7)。以下のトリプターゼ残基を、括弧内の遺伝子配列番号付けスキームを含むキモトリプシノーゲン番号付けスキームに従って命名する。
トリプターゼプロトマー及びそのパートナーFabの間で定義される4つエピトープが存在する。4つ全ては、トリプターゼアミノ酸残基のほぼ同一のセットを含む。それらの残基は以下の通りである:W38、Q50、D60e、L61、A62、R65、Q81、L82、L83、P84、V85、S86、R87、E107、L108、E109、及びE110(配列番号71の位置に対応する残基と共に遺伝子配列番号付けスキームを使用する、それぞれ、残基W55、Q67、D82、L83、A84、R87、Q100、L101、L102、P103、V104、S105、R106、E126、L127、E128、及びE129に対応するキモトリプシノーゲン番号付け)。残基L61(配列番号71のL83)は、4つのうち2つについては不在であるが、4Å基準をわずかのみ超過する。残基Q81(配列番号71のQ100)は、4つのうち1つについては不在である。そうではない場合、次いで4つ全ては定義基準によって同一となる。
また、非パートナーFabは、四量体における少数の4Å接触を作る。それが、四量体エピトープをプロトマーエピトープと区別するこれらのトリプターゼ残基である。接触されたトリプターゼ残基は以下の通りである:Q20及びR187(それぞれ、配列番号71のQ35及びR216)。
したがって、トリプターゼ四量体上のhuE104.v1のエピトープは、以下の各々の4つの例の合計である:W38、Q50、D60e、L61、A62、R65、L82、L83、P84、V85、S86、R87、E107、L108、E109、及びE110(それぞれ、配列番号71の残基W55、Q67、D82、L83、A84、R87、L101、L102、P103、V104、S105、R106、E126、L127、E128、及びE129に対応する、キモトリプシノーゲン番号付け、)、加えてQ81(配列番号71のQ100)の3つの例、加えてQ20(配列番号71のQ35)の1つの例、加えてR187(配列番号71のR216)の3つの例。上に記載のエピトープ残基はまた、huE104.v2を含む他のE104由来抗体に適用することが考えられる。
huE104.v1及びv2は同じCDR配列を有し、同じエピトープンに結合し、2つのバリアントは、FabならびにIgGにおいて異なった作用をする:huE104.v2 Fabは四量体を、より具体的には小界面で解離するが、huE104.v1 Fabは解離しない;IgGにおいて、huE104.v2は、四量体を解離及び不活性化するが、高い抗体対トリプターゼ比でhuE104.v1は阻害活性を失う。huE104.v1及びhuE104.v2はトリプターゼ上の同じ接触残基と結合するが、それらがトリプターゼとどのように相互作用するかにわずかな違いが存在することを仮定した。溶液中でトリプターゼを有するhuE104.v1及びhuE104.v2 Fab間の相互作用の違いを特定するために、単量体トリプターゼのみを用いてHDX実験を行うか、またはhuE104.v1もしくはhuE104.v2のいずれかと結合し、経時的な水素重水素交換の程度を質量分析によって監視した。この方法はhuE104.v1及びhuE104.v2の結合エピトープを示す情報を提供するが、それは全体的に抗体結合エピトープから離れて生じ得た構造動力学の変化を監視する。これらの測定は、バルク立体配座の変化と特定の立体配座のエネルギー安定性の変化を区別しない。
huE104.v1またはhuE104.v2のいずれかが結合されたときにトリプターゼ中でより遅い交換を示したアミド結合は、残基25~27、60~61、66~68、88、及び108~110(キモトリプシノーゲン番号付け;表10)の領域に位置したが、huE104.v1またはhuE104.v2のみに特異的であったより遅い交換を示したアミド結合もまた見出された。例えば、トリプターゼ残基47~50、54~55、85~87、119~122、179、230~231、及び244~245(キモトリプシノーゲン番号付け)のアミド結合は、huE104.v1が結合されたときのみより遅い交換を示した。一方で、トリプターゼ残基25、41~43、81~81、及び160~162のアミド結合は、huE104.v2が結合されたときのみより遅い交換を示した(表10)。より遅い水素交換における最も興味深い違いは、トリプターゼ中の残基81~83(配列番号71のQ100、L101、及びL102に対応する、キモトリプシノーゲン番号付けにおけるQ81、L82、及びL83)のアミド結合であり、それはhuE104.v2が結合されたときにより遅い交換のみを示した。この領域は、それが小界面の2つの重要な接触残基(Y74及びY75)が存在するループの一部であるため、特に興味深い。トリプターゼ残基81~83はまた、四量体トリプターゼとの結晶構造錯体においてみられるように、huE104.v1のHVR-H2と直接接触しているが、HDXの結果によると、この領域は、トリプターゼとのhuE104.v1の相互作用についてよりも強くかつおそらく異なるhuE104.v2との相互作用を作らなければならないと考えられる。80sループCα骨格及び側鎖への立体配座変化は、Y74及びY75の立体配座に影響を与える可能性があり、それは四量体錯体における2つのトリプターゼプロトマー間の疎水性小界面に対して重要である。界面が対称であるため、両方の相互作用プロトマーからの残基Y74及びY75は、huE104.v2が各プロトマーと結合されたときに影響され、それはこの界面の任意の変化及び不安定性を増幅する。
上に述べられるように、huE104.v1及びhuE104.v2の間の違いは、バーニアフレームワーク残基V71R及びF78Vである。抗体の重鎖における71位でのフレームワーク残基の変化がHVR-H2の構造に影響を与えるということが以前に報告されている。huE104.v1及びhuE104.v2におけるHVR-H2のモデリング実験は、これが事実であることを確認する(データは示されていない)。理論によって拘束されることなく、両方のバーニア残基の変化は、トリプターゼ残基81~83との相互作用が異なり、四量体の小界面の変化に翻訳するように、HVR-H2の構造に影響を与えることができた。さらに、構造的に近接する、残基R69及びE70(キモトリプシノーゲン番号付け)のトリプターゼアミド結合はまた、huE104.v2が結合されたときのみより遅いHDXを示す。この発見は、70sループへの変化を作り、小界面の重要な部分を構成し、さらにはその可能性が高い。
結晶構造中に見られるFab E104.v1の4Å以内のトリプターゼ残基とのFab結合に起因するより遅いHDXの領域を比較したとき、20s、40s、60s、80s、及び100ループ中の結合エピトープ残基を特定する両方の方法の間で高度の重複を観察した(表10)。主なトリプターゼ配列の110s、160s、179、230s、及び245領域中の位置などのHDXによって特定される他の領域は、結晶構造によって抗体と直接接触していないが、huE104.v1及びhuE104.v2の存在下で立体配座動力学の低減を示す。
表10:huE104.v1またはhuE104.v2と結合されたときにより遅いHDXを示したトリプターゼ残基のアミド結合
これらのデータを要約すると、huE104.v1及びhuE104.v2は、ヒトトリプターゼベータ1上で同じHVR配列及び同じ接触残基を有する。しかしながら、HDX研究に基づくと、2つの抗体が標的と結合する方法におけるわずかな違いを検出した。huE104.v1の重鎖FR3領域におけるV71及びF78は、図12Bに示される。図に示されるように、huE104.v2における重鎖のFR3領域におけるV71R及びF78Vは、HVR-H2の位置及びトリプターゼとのHVR-H2の結合に影響した可能性があり、huE104.v2が結合されたときのQ81、L82、及びL83領域(キモトリプシノーゲン番号付け)においてより遅いHDXによって明示される。Q81、L82、及びL83残基は、結合されていないトリプターゼと比較した場合に、huE104.v2がトリプターゼと結合されたときにより遅いHDXを示した。結果として、隣接するプロトマーを含むY75の疎水性相互作用は衰弱される。huE104.v1は、71位でV、及び78位でFを有する(VHIV移植にあるように)。この文脈では、HVR-H2はわずかに異なって表され、トリプターゼとのE104.v1の結合の影響は、同じ接触残基であるが、E104.v2と比較した場合に、小界面の解離がわずかに異なる。
要約すると、hu31A.v11 Fab及びIgGの両方は、トリプターゼ四量体を解離する。huE104.v2 Fab及びIgGの両方はまた、トリプターゼ四量体を解離する。Fabではないが、huE104.v1 IgGは、トリプターゼ四量体を解離することができる。しかしながら、高い抗体対四量体の比率でhuE104.v1 IgGは阻害活性を損失する。同じ四量体との1超のhu31A.v11 Fab結合は立体衝突を引き起こすが、同じ四量体とのhuE104.v2 Fab結合は引き起こさない。したがって、IgG1またはIgG4のヒンジ領域は、huE104.v1 IgGの2つのFabを方向付けることにおいて役割を果たし、四量体の解離をもたらす十分な張力を創造する(データは示されていない)。しかしながら、高い抗体対四量体の比率で、huE104.v1 IgGは、一価結合剤、すなわち、Fabとして四量体と結合し、阻害活性を損失する可能性がより高い。
C.hu31A.v11及びhuE104.v2はヒトトリプターゼベータ1との結合について競合する
X線結晶学モデルによって判定されたhu31A.v11のエピトープは、huE104.v1及びhuE104.v2のエピトープと実質的に重複する。次に、hu31A.v11及びhuE104.v2が、エピトープビニングによってヒトトリプターゼベータ1との結合について競合するかどうかを判定した。エピトープビニングを、OCTET(登録商標)RED384システム(ForteBio,Inc.,Menlo Park,CA,USA)を使用して行った。簡潔には、ヒトトリプターゼβベータ1単量体タンパク質を、Lys残基でNHS-PEG4ビオチンと反応させることによってビオチン化した。ビオチン化単量体を、動態緩衝剤(ForteBio,Inc.,Menlo Park,CA,USA)で5μg/mlで希釈し、ストレプトアビジンセンサーチップ(ForteBio,Inc.,Menlo Park,CA,USA)上に固定化した。固定化ステップの後、ヒトトリプターゼベータ1固定化センサーを、第1の抗体で飽和し、10~20μg/mlで希釈し、続いて2.5μg/mlで希釈した第2の抗体と共に結合した。第2の抗体による結合シグナルは、2つの抗体が、異なる、非重複エピトープで抗原と同時に結合し得ることを意味するが、結合シグナルが、それらが一般的なエピトープを共有することを意味しない。Forte Bioデータ分析ソフトウェア8.1を使用してエピトープビニングマトリックスを生成した。
以下の表11に示される結果は、さらなる結合シグナルは、第1の抗体としてのhuE104.v2及び第2の抗体としてのhu31A.v11またはその逆のいずれか使用しても検出されなかったことを示す。緩衝剤の後に添加された一方の抗体はさらなる結合をもたらした。したがって、2つの抗体はヒトトリプターゼベータ1との結合について競合する。
表11:hu31A.v11及びhuE104.v2はヒトベータトリプターゼ1との結合について競合する
実施例4:ヒト化抗トリプターゼ抗体の薬物動態(PK)分析
ヒト化抗トリプターゼ抗体の薬力学的(PK)特徴を評価するために、huE104.v2またはhu31A.v11 IgG4抗体を、C57BL/6マウス(n=3)に1または10mg/kgで静脈内(IV)注射によって投与した。C57-BL6マウス血清中の抗gD IgG4、抗トリプターゼhu31A.v11 IgG4、または抗トリプターゼhuE104.v2 IgG4の濃度を、捕捉についてはヒツジ抗ヒトIgG(The Binding Site;San Diego,CA)、及び検出についてはHRP複合体化ヒツジ抗ヒトIgG(Bethyl Laboratories,Montgomery,TX)を使用して、ジェネリック免疫グロブリン薬物動態ELISAで判定した。アッセイ感受性は血清中15.6ng/mLであった。huE104.v2及びhu31A.v11 IgG4抗体は同様のPKを呈し、試験された用量範囲にわたる用量比例及び線形PKによって特徴づけられる(図13及び表12)。加えて、両方の抗体は、比較的に低いクリアランス(約5ml/日/kg)を有し、両方の抗体が、単回用量投与の後に良好に作用し、許容された範囲内で良好であることが示唆される。他の実験では、huE104.v2 IgG1は、huE104.v2 IgG4及びhu31A.v11 IgG4抗体と同様に行った(データは示されていない)。
表12:マウスにおけるヒト化抗トリプターゼ抗体のPK分析
ヒト化抗トリプターゼ抗体のPK特徴もまた、雄のカニクイザル(cyno)(n=3)において評価した。参照抗体(抗gD)、huE104.v2 IgG4、またはhu31A.v11 IgG4を、30mg/kgで静脈内(IV)注射によって投与した(図14及び表13)。カニクイザル血清中の抗gD IgG4、抗トリプターゼhu31A.v11 IgG4、または抗トリプターゼhuE104.v2 IgG4の濃度を、ビオチン複合体化ヤギ抗ヒトIgG(Bethyl Laboratories,Montgomery,TX)捕捉及びAlexa(登録商標)Fluor 647複合体化マウス抗ヒトFc(R10Z8E9)検出からなるGyrolab XP免疫測定法で判定した。アッセイ感受性は血清中41ng/mLであった。表13は、曲線下面積(AUC)、クリアランス(CL)、C
max、及び半減期(T
1/2)を示す。hu31A.v11は、参照抗gD抗体と同様の薬物動態を呈した。約3mL/日/kgの低いクリアランス(CL)及び約15日のT
1/2は、許容される範囲内で良好であった。
表13:カニクイザル(n=3)におけるヒト化抗トリプターゼ抗体のPK分析
実施例5:HVR-H3 Trp100(W100)酸化を緩和するための抗トリプターゼ抗体hu31A.v11の製剤
hu31A.v11及びhuE104.v2抗体の両方を評価している間に、hu31A.v11のHVR-H3領域に存在するVH Trp100残基(図1)は、例えば、2,2-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩(AAPH)(「AAPHストレス」とも称される)または周囲光(「周囲光ストレス」)への曝露の後、酸化感受性であることを予想外にも発見した。この酸化は、治療抗体の文脈では望ましくないと考えられ得る。しかしながら、Trp100残基は、トリプターゼとのhu31A.v11の結合、ならびに阻害活性に関して重要であることが見出された。例えば、以下に記載されるように、酸化を緩和するためのTrp100の変異は、低減された結合親和性及び阻害活性を有するバリアントをもたらす。それ故に、hu31A.v11の酸化、特にHVR-H3 W100では、抗酸化剤賦形剤、例えば、N-アセチルトリプトファン及び/またはメチオニンを含む製剤を使用して緩和される。
トリプターゼ結合及び阻害活性に対する、AAPHストレス及びhu31A.v11 HVR-H3 W100(すなわち、VHドメインの100位でのトリプトファン残基、図1を参照されたい)酸化の影響を、評価した。試料を1mMのAAPH中で40℃で16時間製剤化した。これらの条件下で、W100酸化の75%の増加があった(酸化パーセント)。ストレス抗体は、トリプシンで消化され、消化されたペプチドは、トリプトファン酸化のパーセンテージを決定するためにUHPLC-HRMS(超高速液体クロマトグラフィー-高分解能質量分析)にかけた。簡潔には、hu31A.v11の250μgの試料は、pH8.6で1時間、6Mの塩酸グアニジン、360mMのトリス、及び2mMのEDTA中の20mMのDTTで低減された。低減された試料を室温に冷却し、1Mのヨード酢酸(最終濃度、50mM)を使用して暗所で15分間アルキル化した。次いで、試料を、消化緩衝剤(25mMのTris、2mMのCaCl2、pH8.2)に緩衝剤交換した。緩衝剤交換された試料を、1:40(w/w)の酵素対抗体の比率を用いて、37℃で4時間、トリプシンで消化した。消化を、3.0%の最終濃度まで100%のギ酸の添加によって停止した。
10μgのトリプシンペプチドは、1.7μM、130Åの粒子を有するWaters2.1×150mm、Acquity UPLC(登録商標)CSH C18カラムへの注射であり、以下の勾配を有するQ Exactive質量分析計システムに結合された77℃で0.2mL/分の流量で試験する:0~2分で1% B(アセトニトリル中0.1%のギ酸);7分で13%のB;42分で35%のB;44~46分で85%のB;46.1分で1%のB。Q Exactiveを、データ依存モードで操作し、35,000の分解能で200~2000m/zからの完全MSスキャン、及び1x106の自動利得制御(AGC)標的を収集した。スキャン当たり8個の最も豊富なイオンを、17,500の分解能及び1x105のAGC標的でタンデムMSのために選択した。W100酸化の相対定量を、以下の通りに生成した:(1)ピーク面積を、天然トリプシンペプチド及びその酸化された対応物について、10%以上の相対的な豊富さを有する荷電状態からの上位3つの最も豊富なアイソトープの抽出されたイオンクロマトグラムを積分することによって計算した(2)合計酸化ピーク面積を、酸化された面積及び天然ピーク面積の合計によって分割し、酸化パーセントを得るために100を掛けた。
表14中の結果は、AAPHストレスが、BIAcore(登録商標)SPR分析によって測定された場合に、トリプターゼ単量体とのhu31A.v11の結合を低減したことを示す(表14)。低減された結合をまたトリプターゼ四量体との結合に関して観察した。対照的に、トリプターゼ単量体及び四量体とのhuE104.v2の結合は、AAPHストレスによって影響されなかった(表14)。さらに、AAPHストレスは、インビトロトリプターゼ酵素活性アッセイにおいて約5倍hu31A.v11の活性を低減したが、huE104.v2の阻害活性は影響されなかった(データは示されていない)。要約すると、AAPHストレス後、HVR-H3 W100で75%の酸化を有したhu31A.v11 IgG4は、約6倍高いK
D(すなわ、低減された親和性)(35%のRmaxで)、及びIC50において5倍増加(すなわち、効力の減少)を示した。Rmaxは、BIAcore(登録商標)SPR実験において最大応答を示し、Rmaxの減少は、トリプターゼと結合されるより少ないAAPHストレス抗体の事実を反映する。対照的に、AAPHストレスは、存在する場合、huE104.v2 IgG4の結合及び効力に対して最小の影響を有した。
表14:AAPHストレスはトリプターゼとのhu31A.v11の結合を低減する
HVR-H3酸化を低減するための1つのアプローチにおいて、HVR-H3 W100での置換を有するバリアント抗体を産生し、トリプターゼベータ1単量体とのこれらのバリアントの結合を評価する(表15)。hu31A.v11の残基W100を、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、バリン(V)、ロイシン(L)、またはアルギニン(R)に変異させた。驚くべきことに、全てのバリアントは、トリプターゼベータ1単量体との低減された結合を示した。hu31A.v11 W100Fバリアントは、他のバリアントと比較して、トリプターゼベータ1単量体に関して最も高い親和性を有したが、同様のオンレート(K
on)を有する野生型hu31A.v11と比較して約100倍より早いオフレート(K
off)を呈した(表15)。さらに、これらのバリアントは、阻害活性に関してhu31A.v11 WTより劣っていた(表15)。バリアントのうちのいくつかに関して、阻害活性は本質的に損失した(例えば、W100R、W100L、及びW100Vに対して)。hu31A.v11 W100F及びW100Yバリアントは、ヒトトリプターゼベータ1を阻害したが、hu31A.v11 WTと比較して約2~3倍増加した(すなわち、低減された活性)IC50値を有した。表15において、「nd」は、検出可能でないか、または1μMを超えないことを示す。
表15:トリプターゼベータ1単量体に対する結合親和性へのhu31A.v11 W100バリアントの影響及びhu31A.v11野生型と比較した場合のIC50(倍増として)
上に記載されるように、構造研究は、HVR-H3 W100が、トリプターゼ(キモトリプシノーゲン番号付け)のR65との相互作用を含むトリプターゼとの複数の相互作用を作製したことを明らかにし、それはhu31A.v11の接触残基の一部であると判定した(図8を参照されたい)。100位でのTrpは、W100F変異体におけるPheよりも大きな程度にトリプターゼと相互作用し、より高い結合親和性及びより効力のある阻害活性をもたらすと考えられる。
上に記載されるように、HVR-H3 W100で酸化を有するhu31A.v11の低減された親和性及び阻害活性、ならびにトリプターゼ阻害におけるW100の重要性を考慮して、W100での酸化を緩和する代替的な戦略を探究した。W100酸化を低減する抗酸化賦形剤の能力を判定した。一実施例では、試料を、例示的な抗酸化賦形剤、すなわち、0.02%のポリソルベート20、200mMのアルギニンコハク酸(pH5.5)、及び150mg/mLのhu31A.v11抗体を含む製剤中0.3mMのN-アセチルトリプトファン(NAT)及び5mMのメチオニン(Met)ありまたはなしで、40℃で24時間5mMのAAPHにかけた。CDR H3 W100の酸化レベル及び抗体の効力を、発色性S-2288酵素アッセイに基づいて測定した。以下の表16中のデータは、この実験において、AAPHストレスはhu31A.v11 IgG4のW100で38%の酸化をもたらし、それは参照非ストレス抗体試料と比較した場合に、32%の効力損失をもたらしたことを示す(n=2)。0.3mMのNAT及び5mMのMetを含む製剤中の抗体組成物は、38%から26%に低減された酸化レベル、及び32%から21%に低減された効力損失を示した(n=2)。したがって、NAT及びMetなどの抗酸化賦形剤を含む製剤は、W100でのAAPH誘発酸化を低減し、抗体効力を復元した。別の実施例では、試料を、酸化賦形剤ありまたはなしで同じ製剤中周囲光ストレス条件(5000Lux/時間で60時間、AAPHよりも軽度のストレス条件である)に施した。軽度の周囲光ストレス条件は、W100で6%の酸化をもたらし、賦形剤の存在は、酸化のレベルをさらに低減した(表16)。周囲光誘発ストレスプロセスによって誘発された酸化レベルは、抗体効力に影響しなかった。
表16:hu31A.v11酸化への抗酸化製剤の影響
要約すると、これらの結果は、hu31A.v11 HVR-H3 W100が予想外にも酸化感受性であることを示す。変異誘発のデータは、W100が、hu31A.v11抗体の結合親和性及び阻害活性に関して重要であり、この残基で試験されたバリアントのいずれも野生型hu31A.v11に対して比較可能な親和性または阻害活性を有しなかったことを示した。NAT及びMetなどの抗酸化剤を、hu31A.v11 HVR-H3 W100で観察される予期されない酸化を緩和するために、例えば、障害(例えば、喘息)の治療のための薬学的抗体製剤において、使用することができる。
実施例6:抗トリプターゼ抗体hu31A.v11はインビボでトリプターゼ活性を阻害する
A.材料及び方法
(i)カニクイザル活性トリプターゼELISAアッセイ
生体試料、例えば、気管支肺胞洗浄液(BAL)中のカニクイザル(cyno)活性トリプターゼ(四量体)の濃度を、ELISAアッセイによって判定した。カニクイザルトリプターゼD1を認識するモノクローナル抗体を、捕捉抗体として利用した。組み換えカニクイザル活性トリプターゼD1をアッセイ標準の調製のための原材料として使用した。アッセイ標準、対照、及び希釈された試料を、500μg/mlの大豆トリプシン阻害剤(SBTI、Sigmaカタログ番号10109886001)と共に10分間インキュベートし、次いで、活性基準プローブ(ABP;G0353816)で1時間標識した。Pan et al.Bioorg.Med.Chem.Lett.16:2882-85,2006を参照されたい。SBTIを使用して単量体における活性部位と結合し、それは活性単量体、特異的インビトロ条件で形成し得る種によって引き起こされる任意のバックグラウンドを低減する。SBTIは、トリプターゼが四量体構造にあるとき、活性部位と結合することはできない。小分子トリプターゼ阻害剤(G02849855)を、20分間添加して、ABP標識を停止した。四量体解離抗体(例えば、hu31A.v11 IgG4)を10分間添加して、ABP標識及び非標識四量体の両方を解離した。この混合物を、捕捉抗体と共に1時間ELISAプレートに添加し、1倍のPBSTで洗浄し、SA-HRP試薬(ストレプトアビジン複合体化西洋ワサビペルオキシダーゼ、General Electric(GE)カタログ番号RPN4401V)と共に2時間インキュベートした。比色シグナルをHRP基質、テトラメチルベンジジン(TMB)を適用することによって生成し、反応をリン酸を添加することによって停止した。プレートを、検出吸光度については450nM、参照吸光度については650nMを使用して、SpectraMax(登録商標)M5(Molecular Devices、Sunnyvale,CA)プレートリーダーで読み取った。アッセイは、20~0.04ng/mL(ウェル中)の報告可能な範囲を有し、アッセイ最小定量可能濃度(MQC)は、カニクイザルBALの1:2の希釈液中0.08ng/mLであると判定した。各々の個別のカニクイザル試料を、2つ組において単一の希釈液でスクリーニングした。MQCを下回った最小の希釈液でアッセイした試料を、報告可能未満(LTR)として報告した。
(ii)カニクイザル全トリプターゼELISAアッセイ
生体試料、例えば、BAL中のカニクイザル(cyno)全トリプターゼの濃度を、ELISAアッセイによって判定した。カニクイザルトリプターゼD1を認識する抗体を、捕捉抗体として利用した。カニクイザルトリプターゼD1との結合について四量体解離抗体と競合することなく、カニクイザルトリプターゼD1を認識する抗体を、検出抗体として利用した。組み換えカニクイザル活性トリプターゼD1をアッセイ標準の調製のための原材料として使用した。四量体解離抗体(例えば、hu31A.v11、IgG4)を、存在する任意の四量体を解離するために、アッセイ標準、対照、希釈された試料に10分間添加した。この混合物を、2時間捕捉抗体と共にELISAプレートに添加し、次いで、1倍のPBSTで洗浄した。ビオチン化検出抗体を1時間添加した。次に、SA-HRP試薬を1時間添加した。比色シグナルをTMBによって生成し、反応をリン酸を添加することによって停止した。プレートを、検出吸光度については450nM、参照吸光度については650nMを使用して、SpectraMax(登録商標)M5プレートリーダーで読み取った。アッセイは、20~0.02ng/mL(ウェル中)の報告可能な範囲を有し、アッセイMQCは、カニクイザルBALの1:2の希釈液中0.08ng/mLであると判定した。各々の個別のカニクイザル試料を、2つ組において単一の希釈液でスクリーニングした。MQCを下回った最小の希釈液でアッセイした試料を、報告可能未満(LTR)として報告した。
(iii)ヒト活性トリプターゼELISAアッセイ
ヒト活性トリプターゼ(四量体)の濃度をELISAアッセイによって判定した。ヒトトリプターゼを認識し、かつトリプターゼ四量体を解離することができるマウスモノクローナル抗体クローンB12を、捕捉抗体として利用した(Fukuoka et al(上記参照))。ヒトトリプターゼと結合する他の抗体もまた使用することができる。組み換えヒト活性トリプターゼベータ1を精製し、アッセイ標準の調製のための原材料として使用した。アッセイ標準、対照、及び希釈された試料を、500μg/mlのSBTIと共に10分間インキュベートし、次いで、ABP(G0353816)で1時間標識した。小分子トリプターゼ阻害剤(G02849855)を、20分間添加して、ABP標識を停止した。この混合物を、捕捉抗体と共に1時間ELISAプレートに添加し、1倍のPBSTで洗浄し、SA-HRP試薬と共に2時間インキュベートした。比色シグナルをTMBを適用することによって生成し、反応をリン酸を添加することによって停止した。プレートを、検出吸光度については450nM、参照吸光度については650nMを使用して、SpectraMax(登録商標)M5プレートリーダーで読み取った。
(iv)ヒト全トリプターゼELISAアッセイ
ヒト全トリプターゼの濃度をELISAアッセイによって判定した。ヒトトリプターゼを認識し、かつトリプターゼ四量体を解離することができる抗体(クローンB12)を、捕捉抗体として利用した。ヒトトリプターゼを認識するモノクローナル抗体を、検出抗体として利用した。組み換えヒト活性トリプターゼベータ1を精製し、アッセイ標準の調製のための原材料として使用した。試料を、2時間捕捉抗体と共にELISAプレートに添加し、次いで、1倍のPBSTで洗浄した。ビオチン化検出抗体を1時間添加した。次に、SA-HRP試薬を1時間添加した。比色シグナルをTMBを適用することによって生成し、反応をリン酸を添加することによって停止した。プレートを、検出吸光度については450nM、参照吸光度については650nMを使用して、SpectraMax(登録商標)M5プレートリーダーで読み取った。
B.結果
インビボでhu31A.v11などの抗トリプターゼ抗体がトリプターゼを標的にし、活性トリプターゼ活性を阻害するかどうかを評価するために、アッセイは、気管支肺胞洗浄液(BAL)(例えば、カニクイザルからの)などの試料中に存在する活性トリプターゼの量を測定するために開発されるか、または鼻吸収などのより少ない侵襲的方法によって行われた。標識(例えば、ビオチン)、リンカー、及び活性トリプターゼと反応する反応基を含む活性基準プローブを開発した。このプローブは、選択的かつ共有的に活性トリプターゼと結合する。Pan et al(上記参照)を参照されたい。このツールは、試料中の活性トリプターゼの量を測定するために使用され得る(図15)。BAL収集手順は、気道への緩衝剤の点滴及びその流体の逐次的な回収(可変であり得る)を含み、それ故に正常化因子は、時点及び動物にわたる試料を比較するために必要とされる。尿素は、血管及び気道区画の間で受動拡散を伴う小分子であるため、血清中のBAL/尿素の割合が、時点にわたって及び動物にわたって正常化するために使用され得る。Pinheiro de Oliveira et al.2010,Critical Care 14:R39を参照されたい。
hu31A.v11の投与がインビボでトリプターゼを標的としたかどうかを判定するために、30mg/kgの用量を健康な非チャレンジカニクイザルへ静脈内注射することによって投与し、BAL中の活性トリプターゼの量を判定した。ベースラインで、活性トリプターゼレベルは、動物にわたって比較的に低くかつ可変であった。活性トリプターゼの減少されたレベルの傾向は、ベースラインで検出可能な活性トリプターゼを有する動物におけるhu31A.v11の投与後に、BAL中で観察された(図16)。
hu31A.v11投与の効果もまた、カニクイザルサルは様々な経路によって繰り返される投与によって寄生線虫回虫に対して感作されるアレルゲンチャレンジモデルにおいて評価した(図17)。感作段階は、0、7、15、71、78、及び85日目で腹腔内及び筋肉内によって;29、50、120、184、及び198~205日目で吸入によって;及び34日目で筋肉内によって回虫の投与を含んだ(図17)。膨疹発赤を、これらの日の皮内投与の後に、-7、57、及び140日目で評価した。各動物は、ORD(最適反応用量)によって判定されるように、回虫の最適な用量を受け、それは、各動物において所望の応答を誘発するための回虫の適切な用量レベルを特徴付けるために行い(感作段階の間に行われた)。用量は、4,400及び4000μg/mlを含んだ。実験段階は、ビヒクルを1日目に投与し、続いて2日目に吸入による回虫の投与、30分後にBAL及び鼻吸収のサンプリングが続く、ビヒクル段階を含み、全トリプターゼの量及び活性トリプターゼを評価した(図17)。4週間後、薬物段階は、1日目にhu31A.v11の投与、続いて2日目に回虫の投与、及び30分後にBAL及び鼻吸収のサンプリングを含み、全トリプターゼ及び活性トリプターゼの量を評価した(図17)。
回虫感作モデルにおいて、抗トリプターゼ抗体hu31A.v11の投与は、ベースラインで検出可能な活性トリプターゼレベルを有した5匹の動物のBALにおいて活性トリプターゼの著しい減少をもたらし(図18A)、この抗体がインビボでトリプターゼ活性を阻害することを示す。さらに、抗トリプターゼ抗体の投与はまた、全ての動物のBALにおいて全トリプターゼの量の増加をもたらした(図18B)。他の実験は、鼻粘膜ライニング流体(MLF)中の全トリプターゼのレベルが、鼻吸収試料中の全トリプターゼのレベルによって評価されるように、抗トリプターゼ抗体hu31A.v11の投与後に増加したことを示した(図18C)。この実験では、合成吸収性マトリックス(SAM;Hunt Developments(UK),Ltd,West Sussex,England)を用いてMLFを収集した。投与後の全トリプターゼの増加は、標的結合を示す。活性トリプターゼは、投与の前及び後で鼻吸収試料において検出不可能であった。図18A及び18C中の*は、検出より低いレベルを示す。
次に、インビボでの活性の検証もまた、ヒト移植IL2Rgnull-3/GM/SF NOD-SCIDマウスにおいて試験した。ヒトマスト細胞移植及びヒトIgE依存性アレルギー性応答のためのヒト化マウスモデルを、以前に開発した。簡潔には、NSG-SGM3マウス(Jackson Laboratory、ストック番号013062)を、NOD.Cg-PrkdcscidIl2rgtm1Wjl/SzJ(NSG)バックグラウンドから開発し、それらのNSG親と同様に、NSG-SGM3マウスは成熟T細胞、B細胞、及び機能的NK細胞を欠き、マウスサイトカインシグナル伝達が不足している。これらのマウスは、3つの同時注射導入遺伝子を含み、それぞれはヒトサイトメガロウイルスプロモーター/エンハンサー配列によって駆動される。トリプルトランスジェニックNSG-SGM3マウスは、ヒトSCF、GM-CSF、及びIL-3の2~4ng/mlの血清レベルを構成的に生成し、細胞増殖及び生存シグナルを提供する(例えば、Bryce et al.J.Allergy Clin Immunol.138(3):769-779,2016を参照されたい)。NSG-SGM3 BLTマウスは、末梢リンパ系組織、粘膜組織、及び腹膜腔を集合するヒトマスト細胞を発達させる。NSG-SGM3 BLTマウスにおけるヒトマスト細胞は、CD117、トリプターゼ、及びIgE受容体を発現し、カルシウム流を経て、IgE依存性抗原特異性様式で脱顆粒する。チャレンジで、NSG-SGM3-BLTマウスは、体温の変化を測定することによって分析され得るヒトマスト細胞依存性抗原特異性IgE媒介受動全身アナフィラキシー応答を発達させる。
実験を、移植マウスにおいてIgE媒介受動全身アナフィラキシーを阻害することにおける抗トリプターゼ抗体の能力を試験するために設計した。10~12週齢のNSG-SGM3マウス(Jackson Laboratoryストック番号013062)を、3つの群に分けた:群1:NSG-SGM3マウスを腹腔内で(i.p.)アイソタイプ抗体(500μg/マウス)で処置した;群2:NSG-SGM3マウスを腹腔内でヒト抗トリプターゼ抗体(hu31A.v11 IgG4、13.3mg/mL)(500μg/マウス)で処置した;群3:NSG-SGM3マウスを腹腔内でトリプターゼ小分子阻害剤G02849855(30mg/kg)で処置した。1日目に、体温測定を促進するために全てのマウスの腹部の毛をきれいに剃った。0日目に、参照アイソタイプ抗体または抗トリプターゼ抗体のいずれかを動物に注射した。用量体積を100μLで製剤化した。抗トリプターゼ抗体を、注射のために200μLの食塩水に溶解した。処置から15分後、群1~3のマウスを、抗NP(4-ヒドロキシ-3-ニトロフェニルアセチルハプテン)IgE JW8.5.13(Sigmaカタログ番号87080706-1VL;US2007/0253948及びJackman et al.J.Biol.Chem.285(27):20850-20859,2010もまた参照されたい)(200μLの食塩水中1.6μg)で静脈内感作させた。1日目(治療から24時間後)に、マウスを手動で抑制し、かつ胸骨のすぐ下の剃られた腹部の皮膚に対してBraun ThermoScan(登録商標)Pro4000をしっかり置くことによって体温を測定した。ベースライン体温測定の直後に、マウスを200μLの食塩水中の担体タンパク質BSA(NP-BSA)に複合体化された500μgの抗原NPで静脈内によりチャレンジを行った。チャレンジ後15分毎に、体温を少なくとも60分間測定する。
図19に示されるように、IgEチャレンジで、抗トリプターゼ抗体hu31A.v11で処置されたマウスは、対照抗gD抗体で処置されたマウスと比較した場合に、改善された体温維持を示した。
これらのデータは、抗トリプターゼ抗体hu31A.v11が活性であり、結合してインビボでトリプターゼ活性を阻害し得ることを示す。これらのデータは、hu31A.v11などの抗トリプターゼ抗体が、喘息などのトリプターゼ関連障害の治療のための治療剤として使用され得るというさらなる証拠を提供する。
他の実施形態
前述の発明は、明確な理解のために例証及び例によっていくらか詳細に記載されているが、説明及び例は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。本明細書で引用される全ての特許及び科学文献の開示は、参照によりそれらの全体が明示的に組み込まれる。
IV.配列表
表17は、本出願にわたって使用される配列を示す。
表17:配列表