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JP6705164B2 - 水性顔料分散体の製造方法 - Google Patents

水性顔料分散体の製造方法 Download PDF

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JP6705164B2 JP2015248213A JP2015248213A JP6705164B2 JP 6705164 B2 JP6705164 B2 JP 6705164B2 JP 2015248213 A JP2015248213 A JP 2015248213A JP 2015248213 A JP2015248213 A JP 2015248213A JP 6705164 B2 JP6705164 B2 JP 6705164B2
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Description

本発明はイエロー顔料を使用した水性顔料分散体の製造方法に関する。
従来、耐久性、耐候性に優れ、また環境負荷の小さなインク原料として、水を主成分とする水性媒体中に顔料が分散された水性顔料分散体が提案され、これを希釈したインクジェット記録用インクが製造されている。
水性顔料分散体を製造する一般的な方法として、顔料、水、湿潤剤、顔料分散剤として樹脂、樹脂の中和剤である塩基性化合物等を混合し、分散機を用いて顔料の分散処理を行う方法が知られている。該方法により、樹脂で被覆されたか、または樹脂が表面に吸着した粒子状の顔料が水性媒体中に分散した水性顔料分散体が得られる。この方法でイエロー顔料の水性顔料分散体を作製する方法としては、アニオン性基を有する樹脂、イエロー顔料、及び塩基性化合物を含む混合物を混練し、固体もしくは半固体状の水性イエロー顔料分散液用着色混練物を得る工程と、当該水性イエロー顔料分散液用着色混練物を水溶性溶剤中に分散させて、水性イエロー顔料分散液を得る工程とを有する水性イエロー顔料分散液の製造方法が開示されている。(例えば特許文献1参照)
特許文献1では、混練時の温度が着色混練物の粘度や剪断力に影響することが段落0053に記載されており、実施例では60℃で混練を行っているが、温度が顔料に直接与える影響については特に述べられてはいない。
一方イエロー顔料であるC.I.ピグメントイエロー74については、特許文献1の製造方法では顔料粒子の十分な微細化が進行しないとして、混練工程において10〜50質量%の水を添加する方法も開示されている(例えば特許文献2参照)。特許文献2の方法によれば、着色混練物に高い負荷がかかる状態を維持することができるので、C.I.ピグメントイエロー74のより微細化が期待できるとしている。またC.I.ピグメントイエロー74は高温状態では物性変化が生じる恐れがあることから混練中の温度は60〜100℃に維持して混練することが好ましいことが段落0033に記載されている。
C.I.ピグメントイエロー74は、イエロー顔料の中でも特に水性顔料分散体の安定性や色相に課題を有する顔料である。従って特許文献1や特許文献2の方法であっても、時としてインクジェット記録用インクの要求物性を満たす水性顔料分散体が得られない場合があった。
特に色相については、混練中の温度が特許文献2に記載の60〜100℃の範囲では、著しく変化してしまう場合があった。即ちC.I.ピグメントイエロー74を使用し、色相が維持された、インクジェット記録用インクに供するに望ましい水性顔料分散体は、いまだ改善の余地がある。
特開2005−60411号公報 特開2011−32468号公報
本発明の目的は、顔料粒子が十分に微細化され、且つ色相が維持されたC.I.ピグメントイエロー74の水性顔料分散体の製造方法を提供することである。
C.I.ピグメントイエロー74は、混練工程において、過度の加熱が生じた際に色相が変化する。本発明者らはこの色相の変化は、過度の加熱によりC.I.ピグメントイエロー74が結晶成長を引き起こしたことが原因であることを突き止めた。具体的には、80℃以上の加熱により著しく結晶成長が促進され、結晶子の大きさが増大することにより、分散粒子径そのものが大きくなり、顔料自体の色相も赤味を帯びてくる。
本発明者らは、混練工程は80℃以下で行うことが必須であり、混練時の温度が80℃を超えないようにするためには、C.I.ピグメントイエロー74の比表面積から算出された量の湿潤剤を使用することが効果的であることを見いだした。
混練工程において湿潤剤は、顔料分散剤である樹脂を溶解、一部溶解若しくは膨潤させ、混練中に着色混練物を解砕しながら顔料の粒子の表面に樹脂の均一な被膜を形成する役目を有する。本発明においては、C.I.ピグメントイエロー74の比表面積から算出された量の湿潤剤を使用することで、着色混練物を解砕しながら且つ混練温度を80℃以下にコントロールできることを見いだした。
即ち本発明は、顔料、スチレン(メタ)アクリル酸系共重合体、湿潤剤、及び塩基性化合物を含有する混合物を混練して、固形状の着色混練物を作製する混練工程と、前記着色混練物に水性媒体を添加し撹拌する混合工程を有するインクジェット記録用水性顔料分散体の製造方法であって、前記顔料はC.I.ピグメントイエロー74であり、前記混練工程での着色混練物の最高温度が60〜80℃であり、且つ前記湿潤剤の量(kg)が、ピグメントイエロー74の100kgに対する式(1)で算出される量(kg)である水性顔料分散体の製造方法を提供する。
Figure 0006705164
本発明により、顔料粒子が十分に微細化され、且つ色相が維持されたC.I.ピグメントイエロー74の水性顔料分散体を得ることができる。本発明で得た水性顔料分散体は、インクジェット記録用インクの原料として特に有用である。
(C.I.ピグメントイエロー74)
本発明で使用する顔料C.I.ピグメントイエロー74は、強い着色力、鮮明な色相を特徴とするモノアゾイエロー顔料であり、粒子径を小さくして透明性を高めたタイプから粒子径を大きくして隠蔽性を高めたタイプまでの多種多様な製品が揃えられていることから、印刷色材として幅広く使用されている。透明性が高い色相が求められるインクジェット印刷用途として、顔料の粒子径はインクジェット記録用インクの吐出性に影響を与えるため、平均粒子径MV(以下MV)は120nm以下であることが望ましい。また同顔料の色相としては、(L,a,b)で表した場合に特にaが熱や粒径により変動しやすいことから、−17〜−10であることが好ましい。
これは特に限定される値ではないものの、aが−17以下だと緑味が増し−10以上だと白味が増してしまうため、色材として使用するにはこの範囲が好適である。
また、C.I.ピグメントイエロー74は、適宜乾燥粉末状、果粒状、ペースト状、含水スラリー状等の形態を問わず水性顔料分散体に使用することができる。
C.I.ピグメントイエロー74の比表面積の測定方法は、公知の方法でよいが、本発明においては、測定機器として「Macsorb HM Model−1201(MOUNTECH社製)」を使用し、BET1点法(脱気条件は100℃30分)で行った。
(スチレン(メタ)アクリル酸系共重合体)
本発明で使用するスチレン(メタ)アクリル酸系共重合体は、樹脂型顔料分散剤として機能し、(a)スチレン系モノマー単位、ならびに、(b)アクリル酸モノマー単位とメタクリル酸モノマー単位の少なくともどちらか、を必須成分として含有する。
スチレン系モノマー単位としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−ジメチルスチレン、α−ブチルスチレン、α−ヘキシルスチレンの如きアルキルスチレン、4−クロロスチレン、3−ブロモスチレンの如きハロゲン化スチレン、更に3−ニトロスチレン、4−メトキシスチレン、ビニルトルエン等が挙げることができるが、スチレンが好ましい。
本発明における水性顔料分散体に用いられるスチレンアクリル酸系共重合体には、スチレン系モノマーおよびアクリル酸モノマーに加えてスチレン系モノマーおよび)アクリル酸モノマーと共重合するα,β−エチレン性不飽和結合を有する各種誘導体の併用が可能である。
利用可能なα,β−エチレン性不飽和結合を有する各種誘導体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸アウテアリル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸p−トリル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸p−トリル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸シクロヘキシル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジーn−ブチル、マレイン酸ビス(2−エチルヘキシル)、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、安息香酸ビニル、ステアリン酸ビニル、アクリル酸ビニル、メタクリル酸ビニル、酢酸アリル、プロプオン酸アリル、n−酪酸アリル、ヘプタン酸アリル、フェノキシ酢酸アリル、メタクリル酸アリル等の不飽和エステル類、;アクリルアミド、N、N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−(ブトキシメチル)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−[(3−ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド等の不飽和アミド類;アクリルニトリル、メタクリロニトリル、3−ヒドロキシプロピオニトリル等の不飽和ニトリル類;エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、エチレングリコールビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)ジビニルエーテル等の不飽和エーテル類;2−ビニルピロジン、4−ビニルピリジン、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドン等の複素環ビニル化合物;等を挙げることができる。共重合可能なモノマー成分の選択においては、必ずしもここに挙げた例に限定されるものではない。ここで、(メタ)アクリル酸モノマーとはアクリル酸モノマーおよびメタクリル酸モノマーを包含して表すものとする。
上記スチレンアクリル酸系共重合体の組成において、前記(a)成分は全構成モノマーの50〜90質量%を占めることが好ましく、70〜80質量%の範囲を占めることがさらに好適である。(a)成分の全モノマー単位の総量に対する割合が50質量%以上であるとスチレンアクリル酸系共重合体がスチレン部位を中心として、C.I.ピグメントイエロー74の表面により有効に吸着することができ、水性顔料分散体の保存安定性が良好に維持される傾向にある。また水性顔料分散体から調整されたインクジェット記録用インクを用いて普通紙等の紙への印刷を行うとき、高い画像記録濃度を有する印字品質に優れた印刷をおこなうことが可能であり、画像の耐水性も良好に維持することができる。(a)成分が90質量%以下であると、上記(a)成分が多くの成分比を占めることによる利点が大きく発揮されるとともに、極性基を有するモノマーを適正量配合することが可能であり、水性媒体中におけるスチレンアクリル酸系樹脂の分散性安定性の維持が良好に行える傾向にある。さらに、(a)成分と前記(b)成分が全モノマーの総量に対して95質量%以上であることが好ましい。(a)成分と(b)成分の総和を全モノマー単位の総量に対して95質量%以上にすることにより、(a)成分の含有量をさらに増やしつつ、75〜200の酸価を確保できるため、顔料表面へのスチレンアクリル酸系共重合体の良好な吸着性を維持しつつ、十分な親水性を付与することが可能となり水性媒体中におけるスチレンアクリル酸系共重合体の分散性を向上させることができる。
さらには(b)成分以外の親水性モノマー単位の総和を全モノマー単位の総量の2質量%以下とすることが好ましく、実質的に含まれないことが最も好ましい。ここで、親水性モノマーを実質的に含まないとは、親水性モノマーによるスチレンアクリル酸系共重体の特性に影響が生じる量よりはるかに少ない量以下という意味であり、0.5質量%程度以下を示すものとする。 特に本発明のスチレンアクリル酸系共重合体に対して、使用を制限することが好ましい親水性モノマーとしては、モノマーの化学構造中に水酸基やスルホン基、アミノ基、4級アンモニウム基当の親水性の置換基に加え、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドの繰り返し単位を含むものが挙げられる。これらの親水性モノマーを含まないスチレンアクリル酸系共重合体を用いることにより、インクジェット印刷画像の耐水性が印刷直後から一層向上する。
このように、本発明の水性顔料分散体用樹脂は、顔料被覆性に有効な疎水性モノマー成分である(a)成分と、親水性及び疎水性のバランス付与に有効な(b)成分を含有する組成物を共重合して得られるため、分散安定性、長期保存安定性が共に優れている。
前記スチレンアクリル酸系共重合体の質量平均分子量は、5000〜30000であり、5000〜20000がより好ましく、5000〜15000が特に好ましい。5000以上とされる理由は、低分子量であるほど初期的な分散性が優れているが、長期的な保存安定性が低下する傾向があるためである。なお、30000を超えると水性顔料分散体の粘度が高くなる傾向にあり、樹脂の分散性、溶解性等が低下する傾向にあり、インクジェット記録用インクとして、特にサーマルジェット方式のインクジェット記録用インクとして用いたときに吐出安定性が低下する傾向にある。
ここで重量平均分子量とはGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法で測定される値であり、標準物質として使用するポリスチレンの分子量に換算した値である。本発明で使用したスチレン(メタ)アクリル酸系共重合体の重量平均分子量は以下の装置及び条件により測定するものとする。
送液ポンプ:島津製作所社製 商品名「LC−9A」、
システムコントローラー:島津製作所社製 商品名「SIL−6B」、
オートインジェクター:島津製作所社製 商品名「SIL−6B」、
検出器:島津製作所社製 商品名「RID−6A」、
データ処理ソフト:システムインスツルメント社製 商品名「Sic480IIデータステーション」。
カラム:日立化成工業社製 商品名「GL−R400(ガードカラム)」+「GL−R440」+「GL−R450」+「GL−R400M」、
溶出溶媒:テトラヒドロフラン、
溶出容量:2ml/min、
カラム温度:35℃。
本発明で使用するスチレン(メタ)アクリル酸系共重合体の酸価は75〜200mgKOH/gが好ましく、100〜200mgKOH/gがさらに好ましい。これは、酸価を200mgKOH/g以下に設定することにより、顔料であるC.I.ピグメントイエロー74の表面に優先的に吸着すると考えられる疎水性成分量が確保され、スチレン(メタ)アクリル酸系共重合体による被覆がより良好に行われると推定され、水性顔料分散体の分散性がより向上する傾向にあるからである。一方、酸価が75mgKOH/g以上に設定されることにより、酸基が塩基成分によって中和されたときの分散性向上効果が十分に発揮されるため、水性媒体中におけるスチレン(メタ)アクリル酸系共重合体の分散性がより良好となる傾向にある。
顔料とスチレンアクリル酸系共重合体の質量比率に関しては、顔料表面を安定なカプセル状に被覆するのに必要な量が存在していれば十分であり、それを超える該共重合体の含有はむしろ好ましくない。スチレンアクリル酸系共重合体が過剰量存在すると、水性顔料分散体中に顔料に吸着していない遊離の該共重合体が増加するため、特にインクジェット記録用インクとして使用したときに該共重合体がインクジェットノズルに固着してインク吐出不良の原因となりやすく、特にサーマルジェットプリンターにおいてはこの吐出不良の問題が発生する危険性が高い。そのため、本発明の水性顔料分散体の製造方法においては、前記水性顔料分散体中のスチレンアクリル酸系共重合体/顔料の質量比率は0.01〜2.0であることが好ましい。
一方で、顔料の表面を一様に被覆できる量のスチレンアクリル酸系共重合体は必要である。該共重合体の配合比率が少なすぎると顔料が十分に被覆されず、分散安定性、長期保存安定性が低下するおそれがある。しかしながら前述の通り、必要量を越える過剰のスチレンアクリル酸系共重合体の存在は、顔料表面に付着せずに、水もしくは湿潤剤中へ粒子状態や溶解状態で存在する該共重合体が増加することにより、分散不良・粘度上昇・インクにした時の吐出不良などの原因となり好ましくないことから、前記水性顔料分散体中のスチレンアクリル酸系共重合体/顔料の質量比率は0.05〜1.0であることが更に好ましい。更に、後述するがC.I.ピグメントイエロー74を本発明で好ましいとする色相や平均粒径とするには、該質量比率は0.1〜0.4の範囲が最も好ましい。
なお、前記スチレンアクリル系共重合体以外の樹脂を、発明の効果を妨げない範囲で使用することも可能である。例えば、アクリル樹脂、アミノ樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。
(塩基性化合物)
前記水性顔料分散体に用いられるスチレンアクリル酸系共重合体は、アクリル酸及びメタクリル酸から由来するカルボキシル基を含んでいるため、塩基性化合物による中和によって、水中で安定した分散性を示す。本発明で使用する塩基性化合物は混練時に添加され、スチレンアクリル酸系共重合体を中和して、湿潤剤存在下における膨潤状態への移行を促進させる。前記塩基性化合物としては公知慣用のものがいずれも使用でき、アルカリ金属水酸化物、低分子有機アミン化合物等が挙げられる。特に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン等のアルコールアミン類は水性顔料分散体をインクジェット記録用インクへ調整した場合、分散性、保存安定性やインクジェットプリンターのデキャップ特性、印刷物の耐水性等の面から好適である。これらの塩基性化合物の中で、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムに代表されるアルカリ金属水酸化物は水性顔料分散体の低粘度化に寄与し、インクジェット記録用インクの吐出安定性の面から特に好ましい。
塩基性化合物による中和を行う場合は、前記スチレンアクリル酸系共重合体の酸価に対して、50〜130%の中和率の塩基性化合物を用いることが好ましく、さらに50〜110%の中和率の塩基性化合物を用いると、水性顔料分散体およびこれを用いたインクジェット記録用インクのpH管理面が容易であり好ましい。中和率がこの範囲ならば、水性媒体中への分散速度の向上、分散安定性、長期保存安定性が維持できる。
なお本発明において中和率とは次の式において示される数値である。
Figure 0006705164
(湿潤剤)
本発明の水性顔料分散体の製造方法では、ある程度の湿潤剤存在下で混練することが必要である。湿潤剤が存在しないと充分に混練することができず、顔料の表面が濡れないため、前記スチレンアクリル酸系共重合体による被覆が不充分となるおそれがある。湿潤剤を配合することにより前記スチレンアクリル酸系共重合体を溶解、一部溶解若しくは膨潤させることが出来、顔料の粒子の表面にスチレンアクリル酸系共重合体の均一な被膜を形成することが出来る。その結果、水性顔料分散体とインクの分散安定性をさらに向上させることができる。
前記湿潤剤の量は、混練中の着色混練物の好ましい物理的特性や粘り性にも影響を与える。硬過ぎずまた柔らか過ぎず適度な状態で混練するためには、前記湿潤剤の量(kg)が、ピグメントイエロー74の100kgに対する式(1)で算出される量(kg)であることが必要である。
Figure 0006705164
湿潤剤としては、公知のものを特に制限なく使用することができる。例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類またはポリエチレングリコール脂肪酸エステルなどのグリコール類へのエステル系付加物;ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、およびこれらと同族のジオール等のジオール類;ラウリン酸プロピレングリコール等のグリコールエステル;ジエチレングリコールモノエチル、ジエチレングリコールモノブチル、ジエチレングリコールモノヘキシルの各エーテル、プロピレングリコールエーテル、ジプロピレングリコールエーテル、およびトリエチレングリコールエーテルを含むセロソルブ等のグリコールエーテル類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、ペンチルアルコール、およびこれらと同族のアルコール等のアルコール類;あるいは、スルホラン;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;N−(2−ヒドロキシエチル)ピロリドン等のラクタム類;グリセリンや、ポリオキシアルキレンを付加したグリセリン等のグリセリン誘導体等;水溶性有機溶剤として知られる他の各種の溶剤等を挙げることができる。
これらの湿潤剤は1種または2種以上混合して用いることができる。湿潤剤の選択は、使用するスチレンアクリル酸系共重合体によって決定され、ある程度の溶解性を持つものが好ましく、スチレンアクリル酸系共重合体の溶解性によりその添加量が調整される。
中でも、水性顔料分散体やそれを使用したインクジェット記録用インクにおいて、湿潤剤、乾燥防止剤としての役割も果たすため、高沸点、低揮発性で、高表面張力の常温で液体の多価アルコール類が好ましく、特にジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル(E.O.26)等のグリコール類が好ましい。グリコール類は一般的にインクジェット記録用インクの添加剤として使用されており、水性顔料分散体中に存在していても問題とはなりにくい。またグリコール類はスチレンアクリル酸系共重合体に対する溶解力は高くはないが、塩基性化合物としてアルカリ金属水酸化物を使用する場合は前述の通り水性顔料分散体の低粘度化に寄与するのでさほど問題とはならない。
なお、湿潤剤は、顔料、スチレンアクリル酸系共重合体、湿潤剤、及び塩基性化合物を含有する混合物全量に対して10〜50質量%配合されることが好ましく、20〜40質量%配合されることがより好ましい。また、湿潤剤の配合量は、スチレンアクリル酸系共重合体量の1/2〜10倍程度が好ましく、スチレンアクリル酸系共重合体量の1〜5倍程度がより好ましい。湿潤剤の量がスチレンアクリル酸系共重合体量の1/2未満ではスチレンアクリル酸系共重合体を溶解、部分溶解、または膨潤させることができない場合があり、顔料の分散安定性が低下するおそれがある。一方で、10倍を超えると混練時の粘度が低下し効率よく混練が行えずに顔料分散性の低下した水性顔料分散体となるおそれがあり、該水性顔料分散体を使用したインクジェット記録用インクは、吐出不良等の画質低下を生じさせるおそれがある。また前記使用するアルカリ金属水酸化物水溶液等は、混練時においては湿潤剤と同様の役割を果たす場合があるので、その場合は湿潤剤の配合量で適宜調整することが望ましい。
湿潤剤は通常、顔料に対して、質量比で1/5倍以上使用することが知られているが、本願においては、所望する色相や平均粒径(本発明においては、色相a=−17〜−10、且つMV≦120(nm)を目標値としている)を有するC.I.ピグメントイエロー74の着色混練物を得るために、前記式(1)で定義された量を使用する。実際のC.I.ピグメントイエロー74の比表面積はおおよそ30〜40m/gであることから、C.I.ピグメントイエロー74の100Kgに対しての湿潤剤の量は、おおよそ53〜57kgと、1/2程度の範囲が好ましい範囲である。
なお、前述の通り、顔料に対する最も好ましいスチレン(メタ)アクリル酸系共重合体の比率は0.1〜0.4である。即ち顔料100(kg)に対する最も好ましい該共重合体量は10〜40(kg)であり、このとき先の湿潤剤の量おおよそ50(kg)は該共重合体の1.4〜5.5倍となる。
(製造方法)
以下に、本発明の水性顔料分散体の製造方法について詳細に説明を行う。
(a)混練工程
本発明の製造方法においては、顔料、スチレン(メタ)アクリル酸系共重合体、湿潤剤、及び塩基性化合物を含有する混合物を混練して、常温で固形状の着色混練物を作製する混練工程と、前記着色混練物に水性媒体を添加し撹拌する混合工程を有する。
本発明においては、顔料とスチレン(メタ)アクリル酸系共重合体を湿潤剤と塩基性化合物存在下で混練する。各々の原料の仕込み順には特に限定はなく、一度に混練装置に仕込んでもよいし順に、または小分けしながら仕込んでもよい。該共重合体が溶解、膨潤あるいは部分的に溶解した状態で顔料と混練することで、顔料の解砕による微細化と、微細化された顔料表面への該共重合体の被覆および吸着とが同時に進行する。
着色混練物を、常温状態で高粘度な粘土状態にするためには、混練する混合物の固形分比率が50〜80質量%であることが好ましく、55〜75質量%であるとさらに好ましい。固形分比率が50質量%以上であると混合物の粘度が十分に高いため混合物をより高剪断力下で混練することが可能となり好ましい。また固形分比率が80質量%以下であると、混練時に混合物がより纏まりやすく、より良好な混練が進行する傾向にある。
混練工程における着色混練物の温度は、通常60〜120℃程度になり得るが、C.I.ピグメントイエロー74に高温による物性変化をもたらさないためには60〜80℃にコントロールすることが必要である。80℃を超えた場合、100℃以下であっても、前述の通り結晶成長が促進され、色相aがプラス方向に変動し白味が増してしまう。一方60℃未満の場合は、aがマイナス方向に変動し緑味が増してしまう。
本発明の製造方法においては、着色混練物を60〜80℃にコントロールするために、使用する湿潤剤の量を前記式(1)の通りとしているが、その他の冷却手段を講じることは有効である。
例えば、混練装置のジャケット水温を低く保ち着色混練物を冷やすことは簡便な方法であり、本願の製造方法に併用するとより効果的である。一方着色混練物の熱は内部に蓄熱しやすいため、混練装置のジャケット水温を低くする方法のみでは内部が冷却しきれない場合が有るので、本発明における湿潤剤の量は前記(1)の通りとすることは必須要件である。
本発明の混練工程に用いる混練装置としては、混練工程中に水や湿潤剤などが外部に飛散しないように、閉鎖系構造であることが好ましい。そのため、密閉可能な撹拌槽と、一軸あるいは多軸の撹拌羽根を供えた混練機を用いると好ましい。撹拌羽の数は特に限定はしないが、高い混練作用を得るためには二つ以上の撹拌羽のものが好ましい。
このような撹拌槽と撹拌羽根を備え、密閉可能な混練装置としては、ヘンシェルミキサー、加圧ニーダー、バンバリーミキサー、プラネタリーミキサーなどが例示され、特にプラネタリーミキサーなどが好適である。本発明においては、好ましくは顔料濃度と顔料とスチレン(メタ)アクリル酸系共重合体からなる固形状分濃度が高い状態で混練を行うため、着色混練物の混練状態に依存して着色混練物の粘度が広い範囲で変化するが、プラネタリーミキサーは特に低粘度から高粘度まで広範囲に対応することができる。
(b)混合工程
本発明の製造方法における混合工程においては、混練工程で作製した着色混練物に水性媒体を添加して、混合、撹拌することにより着色混練物を希釈、液状化し、低粘度化する。水の添加は必要量を一度に添加してもよいが、撹拌、混合を行いながら連続的、あるいは断続的に必要量を添加すると、粗大粒子の発生を効果的に抑制できるため好ましい。
混練工程後の着色混練物に対して混合工程を開始する時は、着色混練物を必ずしも混合工程用の装置に移送せず、混練工程に用いた装置の撹拌槽中で水性媒体を添加し撹拌して液状化を行っても良い。混合工程においては混練工程と同様に水の添加を行うが、この添加は混合物の温度低下ではなく、固形状分比を低下させ液状化させることが目的であるため、最小限の水添加に留める混練工程と比較して、添加速度、添加量が圧倒的に大きく、混合物の固形状分比は混練のための好ましい値である50〜80質量%の範囲を外れてさらに減少し続け液状化に向かう。このため同一の混練工程と同一の装置を用いて混合工程を開始するときであっても、通常は両工程の差違は明確である。
混合工程において使用する水性媒体は、インクジェット記録用インクに用いられる水、あるいは水を主成分とし、水と相互に溶解する水溶性有機溶剤を含むものである。使用できる有機溶剤としては通常、水性顔料分散体の溶剤成分として用いられる有機溶剤を使用することができるが、混練工程において例示した湿潤剤を使用することが好ましく、混練工程で実際に使用した湿潤剤と同じ湿潤剤を用いることが好ましい。ただし、添加する水性媒体の温度は当然のことながら80℃を超えることは好ましくなく、60℃未満であることが好ましい。
このように着色混練物を水性媒体に希釈することで、顔料表面をカプセル状に被覆したスチレン(メタ)アクリル酸系共重合体中のアニオン性の親水基を、カプセル状態を保ちつつ徐々に周囲の水性媒体の方向に配向させていくことが可能であり、水性媒体に対する分散性が良好で且つ安定な被覆状態を可能にする。
混合工程の開始後に、混練工程で製造した着色混練物に水性媒体を添加し撹拌して、混合工程を行い、しかる後に従来のように分散装置を用いて水性媒体中への分散を行ってもよい。
分散工程においては、分散装置として、公知のものを用いることができ、例えば、メディアを用いたものでは、ペイントシェーカー、ボールミル、アトライター、バスケットミル、サンドミル、サンドグライダー、ダイノーミル、ディスパーマット、SCミル、スパイクミル、アジテーターミル、ナノミル、ピコミルなどが挙げられる。 メディアとしては、ガラス、セラミック、金属、金属酸化物、プラスチックなどの、公知の微粒子を用いることができる。 また、メディアを用いないものとしては、超音波ホモジナイザー、ナノマイザー、デゾルバー、ディスパー、高速インペラー分散機などが挙げられるが、これらの中でもメディアを用いた分散機は分散能力が高いため好ましい。 なお、用いる分散装置などの種類によっては、分散機で分散を行う前に、混合工程で水性顔料分散体に水溶性溶剤を添加し、混合、希釈して、前記分散機で処理するのに適した粘度に調整することが好ましい。
(c)遠心分離工程
上記の各製造工程を経ることによって得られた水性顔料分散体に対して、遠心分離処理を行い、水性顔料分散体中に存在する粗大粒子を除去する操作を行っても良い。
遠心分離条件としては、10,000Gで3分間以上遠心分離を行う方法が好ましく、15,000〜21,000Gで、5〜10分間の遠心分離を行うことが更に好ましい。遠心分離を行うことで、分散の不十分な粗大粒子が相当除去できるため、顔料の沈降性が大幅に改善される。
以下に、上記、製造方法の各工程を経て製造された水性顔料分散体を用いてインクジェット記録用インクを製造する場合の製造方法を詳細に説明する。
本発明の製造方法で製造した水性顔料分散体を水性媒体で希釈し、必要に応じて添加剤を加えて、インクジェット記録用インクを製造するができる。インク中に含有される顔料濃度は、2〜10質量%程度が好ましい。
水性顔料分散体を希釈するために用いられる水性媒体に湿潤剤が配合されると、該湿潤剤がインクジェット記録用インクの製造後に、乾燥防止、粘度調整、濃度調整等の各機能を発揮するため、好ましい。湿潤剤としては混合工程において着色混練物を水性媒体に分散させるときに用いたものと同様の湿潤剤を用いることができる。あるいはまた、混練工程において混合物中に配合され、乾燥防止機能果たした湿潤剤と同様のものを用いることが出来る。乾燥防止を主目的とする湿潤剤のインク中の含有量は、3〜50質量%であることが好ましい。 またインクジェット記録用インクの調整において、記録媒体へのインクの浸透性は、記録媒体上のドット径の調整を通じて画質に大きな影響を及ぼすため、浸透剤の添加による浸透性の調整を行うことが好ましい。
浸透性の調整に使用することのできる水溶性有機溶剤としては、例えばエタノール、イソプロピルアルコールなどの低級アルコール;エチレングリコールヘキシルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテルなどのアルキルアルコールノエチレンオキシド付加物;プロピレングリコールプロピレンエーテルなどのアルキルアルコールのプロピレンオキシド付加物などが挙げられる。インク中の浸透剤の添加量としては、0.01〜10質量%であることが好ましい。
インクジェット記録用インクを調整する場合、表面張力等のインク特性を調整するために、界面活性剤を添加することができる。添加することができる界面活性剤は、特に限定されるものではなく、各種のアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等があげられ、これらの中ではアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤が好ましい。さらに必要に応じて、アルカリ剤、PH調整剤、防腐剤、キレート剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等のインクジェット記録用インクのための添加成分を適宜加えて、水性媒体の量、顔料濃度の調整が行われる。
上記のように調整した本発明のインクジェット記録用インクは、基本的に良好な分散性、分散安定性、吐出性を有しており、ピエゾ方式、サーマルジェット方式等のオンデマンド型インクジェット記録方法のインクとして、また連続噴射型のインクジェット記録方法のインクとして好適に用いることができる。またこれらインクを適用して記録媒体上に形成された塗膜は優れた色調と光沢を発現する。このため他の色のインクジェット記録用インクと併用して用いると、これらインクによって形成された塗膜とともに高画質な画像を形成することができる。
以下、本発明の実施例を示して詳しく説明する。
なお、特に断りがない限り「%」は「質量%」である。
(スチレンアクリル酸共重合体)
スチレンアクリル酸共重合体は、モノマー組成比において、スチレン/アクリル酸/メタクリル酸=72/12/16(質量比)であり、酸価178〜182mgKOH/g、重量平均分子量11000であるスチレンアクリル酸共重合体を合成して使用した。
(実施例1)
混練する混合物の組成を以下に示す。
C.I.ピグメントイエロー74(山陽色素社製、FAST Yellow 7413) 100kg
スチレンアクリル酸共重合体 30kg
トリエチレングリコール(以後TEGと略記する場合がある) 56kg
8Nの水酸化カリウム水溶液(固形状分濃度=34%) 15.9kg
使用したC.I.ピグメントイエロー74の比表面積を測定した。条件は以下である。
測定機器:Macsorb HM Model−1201(MOUNTECH社製)
測定方法:BET1点法
脱気条件:100℃30分
測定による同顔料の比表面積は、36m/gであった。これによりTEGの量は式(1)に則り、
湿潤剤の量(kg)=顔料比表面積(m/g)×0.43+40±1)≒56±1
と計算される。従って56部を使用した。
(混練工程)
上記混合物全量を、ジャケット温度30℃に保温されたプラネタリーミキサー(井上製作所製PLMG−1300)に投入し、自転回転数11.3rpm、公転回転数4rpmで10分間撹拌の後、自転回転数34rpm、公転回転数12rpmで60分間混練を行い、固形状の着色混練物を作製した。
またこの時の混練中の着色混練物の温度測定は、温度計を着色混練物に挿入し3〜4回行い、その中での最高温度を「着色混練物最高温度」として記録した。この時の最高温度は80℃であった。
上記の、着色混練物最高温度、顔料比表面積、TEG計算量、TEG投入量、スチレンアクリル酸共重合体とC.I.ピグメントイエロー74の質量比(Resin/Pigment)、ジャケット温度、溶剤添加回数は表1に示す。
(混合工程)
前記得られた固形状の着色混練物に、水を添加し撹拌し、顔料濃度が26.6%の均一な混合物を得た。(レッドダウン工程)
得られた混合物をステンレスドラムに移送し、イオン交換水、トリエチレングリコール、及びProxel−GXL(S)(アーチケミカルズ社製)を加えた。
イオン交換水は、顔料が全体の13%になるように調整して加えた。またTEGは、混練前・混練中に添加した量を含めた総重量が顔料の80%になるように調整して加えた。またProxel−GXL(S)は、その添加量が全体の0.1%になるように調整して加えた。
次いで、連続式遠心分離機(ASM円筒型超遠心分離機:巴工業社製)に通じ、60℃の温度、17000Gの遠心力、約6分間の滞留時間で連続的に遠心分離を行い、約12.5%の顔料濃度を有する水性顔料分散体(A)を得た。
(実施例2)
ジャケット温度を60℃とし、且つ混練する混合物を全量仕込まずに、TEGのみ、初期の仕込み量を50kgとし、残りの6kgを1kgずつ6回に分けながら添加し混練した以外は、実施例1と同様の配合・条件にて水性顔料分散体(B)を得た。またこの時の混練中の着色混練物最高温度は76℃であった。これらの値は表1に示す。
(実施例3)
ジャケット温度を25℃とし、且つ混練する混合物を全量仕込まずに、TEGのみ、初期の仕込み量を53kgとし、残りの3kgを1kgずつ3回に分けながら添加し混練した以外は、実施例1と同様の配合・条件にて、水性顔料分散体(C)を得た。また混練中の着色混練物最高温度は62℃であった。これらの値は表1に示す。
(実施例4)
比表面積が39.4m/gのC.I.ピグメントイエロー74を使用し、式(1)から算出したTEGの量57kg(湿潤剤の量(kg)=顔料比表面積(m/g)×0.43+40±1)≒57±1(kg))を、初期の仕込み量を54kgとし、残りの3kgを1kgずつ3回に分けながら添加し混練とした以外は実施例1と同様の配合・条件にて水性顔料分散体(D)を得た。またこの時の混練中の着色混練物最高温度は77℃であった。これらの値は表1に示す。
比較例1〜3は、着色混練物最高温度が60〜80℃の範囲外の場合の例である。
(比較例1)
ジャケット温度を20℃、TEG3kgを1kgずつ3回に分けながら添加し混練した以外は実施例1と同様の配合・条件にて水性顔料分散体(H1)を得た。またこの時の混練中の着色混練物最高温度は55℃であった。これらの値は表1に示す。
(比較例2)
ジャケット温度を60℃とした以外は実施例1と同様の配合・条件にて水性顔料分散体(H2)を得た。またこの時の混練中の着色混練物最高温度は83℃であった。これらの値は表1に示す。
(比較例3)
ジャケット温度を80℃とした以外は実施例1と同様の配合・条件にて水性顔料分散体(H3)を得た。またこの時の混練中の着色混練物最高温度は100℃であった。これらの値は表1に示す。
比較例4〜8は、湿潤剤の量を式(1)で得られる値の範囲外とした場合の例である。
(比較例4)
TEGの量が式(1)から計算される56±1(kg)(湿潤剤の量(kg)=顔料比表面積(m/g)×0.43+40±1)≒56±1)より少ない54kgとし、そのうちのTEG3kgを1kgずつ3回に分けながら添加し混練した以外は、実施例1と同様の配合・条件にて水性顔料分散体(H4)を得た。またこの時の混練中の着色混練物最高温度は72℃であった。これらの値は表1に示す。
(比較例5)
TEGの量が式(1)から計算される56±1(kg)(湿潤剤の量(kg)=顔料比表面積(m2/g)×0.43+40±1)≒56±1)より多い58kgとし、そのうちのTEG3kgを1kgずつ3回に分けながら添加し混練した以外は、実施例1と同様の配合・条件にて水性顔料分散体(H5)を得た。またこの時の混練中の着色混練物最高温度は79℃であった。これらの値は表1に示す。
(比較例6)
TEGの量を、式(1)から算出される範囲57±1(kg)より少ない54kgとした以外は、実施例4と同様の配合・条件にて水性顔料分散体(H6)を得た。またこの時の混練中の着色混練物最高温度は72℃であった。これらの値は表1に示す。
(比較例7)
TEGの量を、式(1)から算出される範囲57±1(kg)より多い60kgとした以外は、実施例4と同様の配合・条件にて水性顔料分散体(H7)を得た。またこの時の混練中の着色混練物最高温度は79℃であった。これらの値は表1に示す。
(比較例8)
TEGの量を、式(1)から算出される範囲57±1(kg)より多い65kgとした以外は、実施例4と同様の配合・条件にて水性顔料分散体(H8)を得た。またこの時の混練中の着色混練物最高温度は70℃であった。これらの値は表1に示す。
上記の実施例と比較例で得られた水性顔料分散体の「色相a」「平均粒径MV(nm)」を、下記方法で測定した。結果を表2に示す。
<色相a
分光光度計(日本分光(株)製:Spectrophotometer−V660)にて、各分散体を純水で1万倍に希釈して色相(L,a、b)を測定した。値としては、吸光度のピーク波長の(440または460nm付近)での吸光度を「1」とした場合の色相aの値を採用した。
なお色相aは、「−17〜−10」内の範囲であれば○とし、それ以外の範囲は×とした。前述のようにaが−17以下だと緑味が増し−10以上だと白味が増してしまうため、色材として使用するにはこの範囲が好適である。
<平均粒径MV(nm)>
粒度分布測定装置(日機装(株)製:Microtrac モデル名Nanotrac−UPA150)にて、各分散体を純水で2000倍に希釈して平均粒径(MV)(nm)を測定した。
なお平均粒径MVは、「120(nm)以下」であれば○とし、それ以外であれば×とした。前述のように顔料の粒子径が大きいとインクジェット記録用インクの吐出性に影響を与えるため、MVは120(nm)以下であることが望ましい。
なお、表2においては、混練工程での着色混練物の最高温度が60〜80℃であるものを○、ないものを×で表し、湿潤剤の量(kg)が、ピグメントイエロー74の100kgに対する式(1)で算出される量(kg)であるものを○、ないものを×で表した。
表2の判定からわかるように、着色混練物最大温度を60〜80℃に維持し、かつTEG投入量を式(1)の計算値範囲内に収めた実施例1〜4の水性顔料分散体は、色相a、平均粒径MVとも、好ましい所望の範囲にコントロール出来ている。
一方、比較例1〜3は、着色混練物最大温度は60〜80℃に維持出来ていないが、TEG投入量を式(1)の計算値範囲内に収めた例である。これは色相a、平均粒径MVとも好ましい範囲にコントロール出来ていない。
さらに比較例4〜8は、着色混練物最大温度は60〜80℃に維持出来たが、TEG投入量を式(1)の計算値範囲内に収めていない例である。
比較例4と6はTEG量が計算範囲より少なく、着色混練物が硬く混練機の壁に押し付けられるようになり、平均粒径MVは所望する値の範囲内だが色相aは所望する範囲内にコントロール出来なかった。
また、比較例5、7はTEG量が計算範囲より多くて着色混練物が柔らかく、着色混練物の多くが混練機の羽に絡んだまま壁面に接さず冷却されない部分が多くなった。結果、平均粒径MVは好ましい範囲にコントロール出来たが、色相aはコントロールできなかった。比較例8もTEG量が計算範囲より多い場合であるが、着色混練物が非常に柔らかく、混練機の羽によるシェアが十分にかからない状態になった。結果平均粒径MV、aとも所望する範囲内にコントロール出来なかった。
以上より、本発明の製造方法で、顔料粒子が十分に微細化され、且つ色相が維持されたC.I.ピグメントイエロー74の水性顔料分散体を得ることができる。
Figure 0006705164
Figure 0006705164

表1、2中、略記は以下の通りである。
Pig:C.I.ピグメントイエロー74
TEG:トリエチレングリコール
R/P:スチレン(メタ)アクリル酸系共重合体の質量/C.I.ピグメントイエロー74の質量

Claims (2)

  1. 顔料、(a)スチレン系モノマー単位を50〜90質量%有する質量平均分子量5000〜30000及び酸価75〜200mgKOH/gのスチレン(メタ)アクリル酸系共重合体、湿潤剤、及び塩基性化合物を含有する混合物をプラネタリ―ミキサーで混練して、固形状の着色混練物を作製する混練工程と、前記着色混練物に水性媒体を添加し撹拌する混合工程を有するインクジェット記録用水性顔料分散体の製造方法であって、前記顔料はC.I.ピグメントイエロー74であり、[前記スチレン(メタ)アクリル酸系共重合体/顔料]の質量比率が0.01〜2.0であり、前記混練工程での着色混練物の最高温度が60〜80℃であり、且つ前記湿潤剤の量(kg)が、ピグメントイエロー74の100kgに対する式(1)で算出される量(kg)であり、前記湿潤剤がジエチレングリコール、トリエチレングリコールまたはポリエチレングリコール脂肪酸エステル(E.O.26)であることを特徴とする水性顔料分散体の製造方法。
    Figure 0006705164
  2. 前記スチレン(メタ)アクリル酸系共重合体が、(a)スチレン系モノマー単位を50〜90質量%有し、(b)アクリル酸モノマー単位とメタクリル酸モノマー単位の少なくともどちらかを有し、前記(a)成分と(b)成分の総和が全モノマー単位の量に対して95質量%以上である請求項1に記載の水性顔料分散体の製造方法。
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