以下、本発明を、その好ましい実施態様に基づき図面を参照しながら説明する。 本発明の製造方法は、微細突起具の製造方法である。図1には、第1実施態様の微細突起具の製造方法で製造される一実施形態の微細中空突起具1としてのマイクロニードルアレイ1Mの斜視図が示されている。本実施形態のマイクロニードルアレイ1Mは、所定温度で軟化可能な熱可塑性樹脂を含む樹脂材21で形成された樹脂層21sの一面21U上にシート状の保護材22で形成された保護層22sを積層固定した複合材2と、複合材2における樹脂層21sの他面21Dから一面21U側に向かって保護層22sを貫通して隆起する突起部3とを備えている。突起部3は、いわゆる中空タイプのマイクロニードル(微細中空突起)である。突起部3の数、突起部3の配置及び突起部3の形状には、特に制限はないが、本実施形態のマイクロニードルアレイ1Mは、好適には、シート状の複合材2の上面に、9個の円錐台状の突起部3をアレイ(行列)状に有している。アレイ(行列)状に配された9個の突起部3は、後述する樹脂材21を搬送する方向(樹脂材21の縦方向)であるY方向に3行、搬送する方向と直交する方向及び搬送される樹脂材21の横方向であるX方向に3列に配されている。尚、図2は、マイクロニードルアレイ1Mの有するアレイ(行列)状の突起部3の内の1個の突起部3に着目したマイクロニードルアレイ1Mの斜視図であり、図3は、図2に示すIII−III線断面図である。
本実施形態のマイクロニードルアレイ1Mは、図1〜図3に示すように、貫通孔3hを有している。好適には、本実施形態では、図3に示すように、マイクロニードルアレイ1Mは、各突起部3の内部に、複合材2から貫通孔3hに亘る空間が形成されており、各突起部3の先端に貫通孔3hが形成されている。各突起部3の内部の中空(空間)は、マイクロニードルアレイ1Mにおいては、突起部3の外形形状に対応した形状に形成されており、本実施形態では、円錐台状の突起部3の外形形状に対応した円錐台状に形成されている。各突起部3の内部の空間は、貫通孔3hから外部に吐出される液の貯留部として機能する。該液としては、常温で液状のもの、或いは、体温で液状となる常温で半固体状のものが挙げられる。また、このように突起部3の中空部が薬剤の貯留部として機能するのは、典型的には、外部から薬剤の供給が無い場合であり、外部から薬剤の供給がある場合、例えば、マイクロニードルアレイ1Mと共にアプリケーター等の薬剤供給器(図示せず)を併用する場合には、中空部は薬剤の通路として機能する。
尚、突起部3は、本実施形態においては、円錐台状であるが、円錐台状の形状以外に、円柱状、角柱状、角錐台状等であってもよい。
マイクロニードルアレイ1Mの各突起部3は、その突出高さH1が、皮膚内部の任意の深さに刺入するため、例えば、突起部3の先端を最も浅い角層(図7参照)まで刺入するため、好ましくは0.001mm以上、更に好ましくは0.005mm以上であり、そして、好ましくは5.0mm以下であり、更に好ましくは 4.0 mm以下であり、具体的には、好ましくは0.001mm以上5.0mm以下であり、更に好ましくは0.005mm以上4.0mm以下である。
各突起部3は、その平均厚みT1が、好ましくは0.005mm以上、更に好ましくは0.01mm以上であり、そして、好ましくは1.0mm以下であり、更に好ましくは0.5mm以下であり、具体的には、好ましくは0.005mm以上1.0mm以下であり、更に好ましくは0.01mm以上0.5mm以下である。
マイクロニードルアレイ1Mの複合材2は、その厚みT2に対する複合材2を構成する保護層22sの厚みT3の割合((T3/T2)×100)が、突起部3の内部の中空(空間)の容積と突起部3の突出高さH1とのバランスの観点から、好ましくは40%以上、更に好ましくは50%以上であり、そして、好ましくは95%以下であり、更に好ましくは90%以下であり、具体的には、好ましくは40%以上95%以下であり、更に好ましくは50%以上90%以下である。
具体的に、複合材2の厚みT2は、好ましくは0.025mm以上、更に好ましくは0.04mm以上であり、そして、好ましくは6mm以下であり、更に好ましくは4.5mm以下であり、具体的には、好ましくは0.025mm以上6mm以下であり、更に好ましくは0.04mm以上4.5mm以下である。
また、複合材2を構成する保護層22sの厚みT3は、好ましくは0.02mm以上、更に好ましくは0.03mm以上であり、そして、好ましくは5mm以下であり、更に好ましくは4mm以下であり、具体的には、好ましくは0.02mm以上5mm以下であり、更に好ましくは0.03mm以上4mm以下である。
マイクロニードルアレイ1Mの先端径L(図3参照)は、その直径が、好ましくは1μm以上、更に好ましくは5μm以上であり、そして、好ましくは500μm以下であり、更に好ましくは300μm以下であり、具体的には、好ましくは1μm以上500μm以下であり、更に好ましくは5μm以上300μm以下である。微細中空突起具1の先端径Lは、突起部3の先端における最も広い位置での長さである。当該範囲であると、マイクロニードルを皮膚に刺し入れた際の痛みが殆どない。
マイクロニードルアレイ1Mは、図3に示すように、各突起部3の先端部に位置する貫通孔3hと、各突起部3に対応する複合材2の下面に位置する底側貫通孔2hとを有している。本実施形態のマイクロニードルアレイ1Aにおいては、貫通孔3h及び底側貫通孔2hが、同心円形状に形成されている。
貫通孔3hは、その開孔面積S1が、好しくは0.7μm2以上、更に好ましくは20μm2以上であり、そして、好ましくは200000μm2以下であり、更に好ましくは70000μm2以下であり、具体的には、好ましくは0.7μm2以上200000μm2以下であり、更に好ましくは20μm2以上70000μm2以下である。
底側貫通孔2hは、その開孔面積S2が、好しくは0.007mm2以上、更に好ましくは0.03mm2以上であり、そして、好ましくは20mm2以下であり、更に好ましくは7mm2以下であり、具体的には、好ましくは0.007mm2以上20mm2以下であり、更に好ましくは0.03mm2以上7mm2以下である。
シート状の複合材2の上面にアレイ(行列)状に配された9個の突起部3は、縦方向(Y方向)の中心間距離が均一で、横方向(X方向)の中心間距離が均一であることが好ましく、縦方向(Y方向)の中心間距離と横方向(X方向)の中心間距離とが同じ距離であることが好ましい。好適には、突起部3の縦方向(Y方向)の中心間距離が、好ましくは0.01mm以上、更に好ましくは0.05mm以上であり、そして、好ましくは10mm以下であり、更に好ましくは5mm以下であり、具体的には、好ましくは0.01mm以上10mm以下であり、更に好ましくは0.05mm以上5mm以下である。また、突起部3の横方向(X方向)の中心間距離が、好ましくは0.01mm以上、更に好ましくは0.05mm以上であり、そして、好ましくは10mm以下であり、更に好ましくは5mm以下であり、具体的には、好ましくは0.01mm以上10mm以下であり、更に好ましくは0.05mm以上5mm以下である。
次に、本発明の微細突起具の製造方法を、前述した微細中空突起具1としてのマイクロニードルアレイ1Mの製造方法を例にとり図4〜図6を参照して説明する。図4には、第1実施態様の製造方法の実施に用いる第1実施形態の製造装置100の全体構成が示されている。尚、上述したように、マイクロニードルアレイ1Mの各突起部3は非常に小さなものであるが、説明の便宜上、図4においてはマイクロニードルアレイ1Mの各突起部3が非常に大きく描かれている。
本発明の微細突起具の製造方法に用いる製造装置は、後述する突起伸長部10B、冷却部20及びリリース部30を備えていればよいが、図1〜図3に示すマイクロニードルアレイ1Mは、突起部3の先端部に貫通孔3hを有しているので、図4に示す第1実施形態の製造装置100は、上流側から下流側に向かって、樹脂材21に突起部前駆体3bを形成する突起部前駆体形成部10A、複合材2に突起部3を形成する突起伸長部10B、冷却部20、及び後述する凸型部11を抜き出すリリース部30を備え、更に、各マイクロニードルアレイ1Mに裁断する裁断部40及び各マイクロニードルアレイ1Mの間隔を調整するリピッチ部50を備えている。なお、製造装置100は、突起部前駆体形成部10Aと突起伸長部10Bとを含む、突起部3を形成する突起部形成部10を備えており、本実施態様では、突起部前駆体形成部10Aを用いる突起部前駆体形成工程から突起伸長部10Bを用いる突起伸長工程までの工程を、突起部形成工程と呼ぶ。
即ち、マイクロニードルアレイ1Mの備える突起部3が貫通孔3hを有しておらず、単に内部が中空の突起部3を製造する場合には、突起部前駆体形成部10Aを備える必要はなく、微細中空突起具1の製造方法は、突起伸長部10Bからなる突起部形成工程、冷却部工程及びリリース工程を備えていればよい。突起部形成工程では、樹脂材21の他面21Dから、加熱手段を備える凸型部11を当接させて、熱可塑性樹脂が軟化可能な温度条件で、樹脂材21における当接部分TPを熱により軟化させながら凸型部11を樹脂材21に刺してゆき、樹脂材21の一面21Uから突出する突起部3を形成すると共に、突起部3で保護材22を貫き、突起部3を複合材2の表面から突出させる。
以下、第1実施態様の製造方法を具体的に説明する。尚、以下の説明では、帯状の複合材2Aを搬送する方向(複合材2の縦方向)をY方向、搬送する方向と直交する方向及び搬送される複合材2Aの横方向をX方向、搬送される複合材2Aの厚み方向をZ方向として説明する。
突起部形成部10の備える突起部前駆体形成部10A及び突起伸長部10Bは、図4に示すように、加熱手段(不図示)を有した凸型部11を備えている。凸型部11は、製造するマイクロニードルアレイ1Mの突起部3の個数、配置、各突起部3の略内形形状に対応した凸型110を有しており、第1実施形態の製造装置100においては、9個の円錐台状の突起部3に対応して、9個の円錐状の凸型110を有している。
第1実施形態の製造装置100においては、凸型部11の加熱手段(不図示)は、超音波振動装置である。第1実施態様においては、樹脂材21の熱可塑性樹脂が軟化可能な温度条件で軟化困難な保護材22と、樹脂材21とが予め積層固定された複合材2を用いている。第1実施態様に用いる複合材2は、樹脂材21と保護材22とを積層し、公知の接着剤を用いて樹脂材21と保護材22とを固定して形成されている。前記接着剤としては、のり、ホットメルト接着剤等が挙げられる。また、樹脂材21と保護材22とが個別にロール状の原反から搬送され、搬送途中で樹脂材21と保護材22とが前記接着剤で固定され、複合材2となっても良い。
樹脂材21は、シート状のものであり、熱可塑性樹脂を含んで形成されている。熱可塑性樹脂としては、ポリ脂肪酸エステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート類、ポリ塩化ビニル、ナイロン樹脂、アクリル樹脂等又はこれらの組み合わせが挙げられ、生分解性の観点から、ポリ脂肪酸エステルが好ましく用いられる。ポリ脂肪酸エステルとしては、具体的に、ポリ乳酸、ポリグリコール酸又はこれらの組み合わせ等が挙げられる。尚、樹脂材21は、熱可塑性樹脂以外に、ヒアルロン酸、コラーゲン、でんぷん、セルロース等を含んだ混合物で形成されていても良い。
凸型部11の前記加熱手段によって複合材2を加熱する際の加熱温度としては、複合材2を構成する樹脂材21のガラス転移温度(Tg)以上の温度で行うことが好ましく、さらには、複合材2を構成する樹脂材21の軟化温度以上の温度で行うことが好ましい。また、当該加熱温度は複合材2を構成する樹脂材21の融点未満であることが好ましい。
尚、前記「複合材を構成する樹脂材21のガラス転移温度(Tg)」は、複合材2を構成する樹脂材21の構成樹脂のTgを意味し、該構成樹脂が複数種存在する場合においてそれら複数種のTgが互いに異なる場合、前記加熱手段による複合材2を構成する樹脂材21の加熱温度は、少なくともそれら複数のTgのうち最も低いTg以上であることが好ましく、それら複数のTgのうち最も高いTg以上であることがさらに好ましい。
また、前記「複合材2を構成する樹脂材21の軟化温度」についてもTgと同様であり、即ち、複合材2を構成する樹脂材21の構成樹脂が複数種存在する場合において、それら複数種の軟化温度が互いに異なる場合、前記加熱手段による複合材2を構成する樹脂材21の加熱温度は、少なくともそれら複数の軟化温度のうち最も低い軟化温度以上であることが好ましく、それら複数の軟化温度のうち最も高い軟化温度以上であることがさらに好ましい。
また、複合材2を構成する樹脂材21が融点の異なる2種以上の樹脂を含んで構成されている場合、前記加熱手段による複合材2を構成する樹脂材21の加熱温度は、それら複数の融点のうち最も低い融点未満であることが好ましい。
前記「複合材2を構成する樹脂材21のTg」は以下の方法によって測定され、前記「複合材2を構成する樹脂材21の軟化温度」は、JIS K-7196「熱可塑性プラスチックフィルム及びシートの熱機械分析による軟化温度試験方法」に従って測定される。
〔複合材2を構成する樹脂材21のガラス転移温度(Tg)の測定方法〕
測定器はPerkin Elmer社製の示差走査熱量測定装置(Diamond DSC)を使用する。測定対象の複合材2を構成する樹脂材21から試験片10mgを採取し、その試験片を所定条件で加熱する。具体的には試験片について、20℃を5分間等温した後に、20℃から320℃まで、5℃/分の速度で昇温させ、横軸温度、縦軸熱量のDSC曲線を得る。そして、このDSC曲線からガラス転移温度Tgを求める。
第1実施態様の製造方法においては、先ず、樹脂材21の一面21U上に保護材22が積層固定された複合材2の原反ロールから帯状の複合材2Aを繰り出し、Y方向に搬送する。そしてY方向に搬送されている帯状の複合材2Aを構成する樹脂材21の他面21Dから凸型部11を当接させて、樹脂材21における当接部分TPを熱により軟化させながら、凸型部11を樹脂材21に刺してゆき樹脂材21の一面21U側から突出すると共に樹脂材21の一面21U側に貫通する貫通孔3hを有する突起部前駆体3bを形成する(突起部前駆体形成工程)。好適に、第1実施形態の製造装置100においては、凸型部11に、9個の尖鋭な先端の円錐状の凸型110が、その先端を上方に向けて配置されており、凸型部11が、少なくとも厚み方向(Z方向)の上下に移動可能となっている。更に好適には、第1実施形態の製造装置100においては、凸型部11は、電動アクチュエータ(不図示)によって、厚み方向(Z方向)の上下に移動可能となっており、搬送方向(Y方向)に複合材2と並走可能となっている。凸型部11の動作(電動アクチュエータ)の制御は、第1実施形態の製造装置100に備えられた、制御手段(不図示)により制御されている。このように、第1実施形態の製造装置100は、所謂、無限軌道を描くボックスモーション式の凸型部11を有する装置である。尚、凸型部11の加熱手段(不図示)の加熱の制御も、第1実施形態の製造装置100に備えられた、制御手段(不図示)により制御されている。
凸型部11の凸型110は、その外形形状が、マイクロニードルアレイ1Mの有する突起部3の内形形状よりも尖鋭な形状である。凸型部11の凸型110は、その高さH2(図4参照)が、製造されるマイクロニードルアレイ1Mの高さH1に比べて高く形成されており、好ましくは0.01mm以上、更に好ましくは0.02mm以上であり、そして、好ましくは30mm以下であり、更に好ましくは20mm以下であり、具体的には、好ましくは0.01mm以上30mm以下であり、更に好ましくは0.02mm以上20mm以下である。 凸型部11の凸型110は、その先端径D1(図5参照)が、好ましくは0.001mm以上、更に好ましくは0.005mm以上であり、そして、好ましくは1mm以下であり、更に好ましくは0.5mm以下であり、具体的には、好ましくは0.001mm以上1mm以下であり、更に好ましくは0.005mm以上0.5mm以下である。凸型部11の凸型110の先端径D1は、以下のようにして測定する。
凸型部11の凸型110は、その根本径D2(図5参照)が、好ましくは0.1mm以上、更に好ましくは0.2mm以上であり、そして、好ましくは5mm以下であり、更に好ましくは3mm以下であり、具体的には、好ましくは0.1mm以上5mm以下であり、更に好ましくは0.2mm以上3mm以下である。
凸型部11の凸型110は、十分な強度が得られ易くなる観点から、その先端角度α(図5参照)が、好ましくは1度以上、更に好ましくは5度以上である。そして、先端角度αは、適度な角度を有する突起部3を得る観点から、好ましくは60度以下であり、更に好ましくは45度以下であり、具体的には、好ましくは1度以上60度以下であり、更に好ましくは5度以上45度以下である。凸型部11の凸型110の先端角度αは、以下のようにして測定する。
〔凸型部11の凸型110の先端径の測定〕
凸型部11の凸型110の先端部を、走査型電子顕微鏡(SEM)もしくはマイクロスコープを用いて観察する。次に、図5に示すように、両側辺11a,11bの内の一側辺11aにおける直線部分に沿って仮想直線ILaを延ばし、他側辺11bにおける直線部分に沿って仮想直線ILbを延ばす。そして、先端側にて、一側辺11aが仮想直線ILaから離れる箇所を第1先端点11a1として求め、他側辺11bが仮想直線ILbから離れる箇所を第2先端点11b1として求める。このようにして求めた第1先端点11a1と第2先端点11b1とを結ぶ直線の長さD1を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて測定し、測定した該直線の長さを、凸型110の先端径とする。
〔凸型部11の凸型110の先端角度αの測定〕
凸型部11の凸型110の先端部を、走査型電子顕微鏡(SEM)もしくはマイクロスコープを用いて観察する。次に、図5に示すように、両側辺11a,11bの内の一側辺11aにおける直線部分に沿って仮想直線ILaを延ばし、他側辺11bにおける直線部分に沿って仮想直線ILbを延ばす。そして、仮想直線ILaと仮想直線ILbとのなす角を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて測定し、測定した該なす角を、凸型部11の凸型110の先端角度αとする。
凸型部11は、折れ難い高強度の材質で形成されている。凸型部11の材質としては、鋼鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金、銅、銅合金、ベリリウム銅、ベリリウム銅合金等の金属、又はセラミック等が挙げられる。
突起部形成部10は、第1実施形態の製造装置100においては、図4に示すように、複合材2Aを構成する樹脂材21に凸型部11を刺してゆく際に複合材2Aを支持する支持部材12を有している。支持部材12は、複合材2Aの上面側に配されており、凸型部11を樹脂材21の他面21Dから刺し込んだ際に帯状の複合材2Aが撓みにくくする役目を担っている。したがって、支持部材12は、複合材2Aの凸型部11が刺し込まれる領域以外の部分に配置されており、第1実施形態の製造装置100においては、複合材2Aの搬送方向(Y方向)に沿う両側部に、搬送方向(Y方向)に平行に延在する一対の板状部材から形成されている。各支持部材12は、突起部前駆体形成部10Aから、突起部伸長部10B及び冷却部20を通ってリリース部30の終わる位置に至るまで延在している。
支持部材12を形成する材質としては、凸型部11の材質と同じ材質でもよく、合成樹脂等から形成されていてもよい。
第1実施態様の突起部前駆体形成工程においては、図4に示すように、原反ロールから繰り出されてY方向に搬送されている帯状の複合材2Aの上面側に配された一対の支持部材12,12で、複合材2Aの搬送方向(Y方向)に沿う両側部を支持する。そして、ボックスモーション式の凸型部11を用いて、複合材2Aにおける支持部材12で支持されていない部分、即ち、樹脂材21における一対の支持部材12,12の間の中央領域の他面21D(下面)から凸型部11の各凸型110の先端部を当接させる。このように、突起部前駆体形成工程においては、凸型部11の各凸型110を当接させた複合材2Aの当接部分TPに対応する上面側が、突起具を形成する為の、凸型部11に嵌合する凹部等を設けておらず、浮いた状態となっている。
そして、第1実施態様においては、図6(a)に示すように、各当接部分TPにおいて、超音波振動装置により凸型部11を超音波振動させ、当接部分TPに摩擦による熱を発生させて当接部分TPを軟化させる。そして、第1実施態様の突起部前駆体形成工程においては、各当接部分TPを軟化させながら、図6(b)に示すように、複合材2Aを構成する樹脂材21の他面21D(下面)から一面21U側(上面側)に向かって凸型部11を上昇させて樹脂材21に凸型110の先端部を刺してゆき、樹脂材21の一面21U側(上面側)から突出すると共に貫通する貫通孔3hを有する突起部前駆体3bを、複合材2Aを構成する保護材22内に形成する。
第1実施態様の突起部前駆体形成工程においては、後述する突起伸長工程と同様に、凸型部11の超音波振動装置による超音波振動に関し、その振動周波数(以下、周波数という)は、貫通孔3hを有する突起部前駆体3bの形成の観点から、好ましくは10kHz以上、更に好ましくは15kHz以上であり、そして、好ましくは50kHz以下であり、更に好ましくは40kHz以下であり、具体的には、好ましくは10kHz以上50kHz以下であり、更に好ましくは15kHz以上40kHz以下である。
また、第1実施態様の突起部前駆体形成工程においては、後述する突起伸長工程と同様に、凸型部11の超音波振動装置による超音波振動に関し、その振幅は、貫通孔3hを有する突起部前駆体3bの形成の観点から、好ましくは1μm以上、更に好ましくは5μm以上であり、そして、好ましくは60μm以下であり、更に好ましくは50μm以下であり、具体的には、好ましくは1μm以上60μm以下であり、更に好ましくは5μm以上50μm以下である。第1実施形態のように超音波振動装置を用いる場合には、突起部前駆体形成工程及び後述する突起伸長工程においては、凸型部11の超音波振動の周波数及び振幅を上述した範囲で調整すればよい。
第1実施態様の突起部前駆体形成工程においては、複合材2Aを構成する樹脂材21に凸型部11を刺してゆく刺入速度は、遅過ぎると樹脂を過剰に軟化させ貫通孔3hの大きさが大きくなり過ぎ、速過ぎると軟化不足となり貫通孔3hが形成されないので、貫通孔3hを有する突起部前駆体3bを効率的に形成する観点から、好ましくは0.1mm/秒以上、更に好ましくは1mm/秒以上であり、そして、好ましくは1000mm/秒以下であり、更に好ましくは800mm/秒以下であり、具体的には、好ましくは0.1mm/秒以上1000mm/秒以下であり、更に好ましくは1mm/秒以上800mm/秒以下である。
第1実施態様の突起部前駆体形成工程においては、複合材2Aを構成する樹脂材21に刺す凸型部11の刺入高さは、貫通孔3hを有する突起部前駆体3bを効率的に形成する観点から、好ましくは0.025mm以上、更に好ましくは0.04mm以上であり、そして、好ましくは6mm以下であり、更に好ましくは4.5mm以下であり、具体的には、好ましくは0.025mm以上6mm以下であり、更に好ましくは0.04mm以上4.5mm以下である。ここで、「刺入高さ」とは、樹脂材21に凸型部11の凸型110を刺した状態において、凸型部11の凸型110の頂点と、樹脂材21の一面21Uとの間の距離を意味する。したがって、突起部前駆体形成工程における刺入高さとは、突起部前駆体形成工程で凸型110が最も深く刺し込まれて複合材2Aを構成する樹脂材21の一面21Uから凸型110が出てきた状態における、該一面21Uから垂直方向に測定した凸型110頂点までの距離のことである。
次に、第1実施形態の製造装置100の突起部形成部10においては、図4に示すように、突起部前駆体形成部10Aの下流側に突起伸長部10Bが設置されている。第1実施態様においては、突起部前駆体形成工程の後、突起部前駆体3bの内部に凸型部11を刺した状態で、複合材2Aを構成する樹脂材21における当接部分TPを熱により軟化させながら凸型部11を樹脂材21に更に刺してゆき、前記温度条件(凸型部11の超音波振動の周波数及び振幅)で軟化困難な保護材22を破壊しながら、樹脂材21の他面21Uから更に長い距離で突起部3を突出させ、複合材2の表面(上面)から突起部3を突出させる(突起伸長工程)。好適に、第1実施形態の製造装置100においては、ボックスモーション式の凸型部11を、電動アクチュエータ(不図示)によって、厚み方向(Z方向)の上方に更に移動させ、各突起部前駆体3bの内部に凸型部11の凸型110を刺した状態で、樹脂材21における各当接部分TPを、超音波振動装置により凸型部11を超音波振動させ、当接部分TPに摩擦による熱を発生させて更に軟化させながら凸型部11の凸型110を、保護材22を破壊しながら樹脂材21に更に刺してゆき、保護材22を貫通させ、複合材2の表面(上面)に突出する突起部3を形成する。それと共に、ボックスモーション式の凸型部11を用いて、凸型部11の凸型110を内部に刺したアレイ状の突起部3を、複合材2Aの搬送方向(Y方向)に平行に移動する。尚、第1実施態様の突起部形成工程においては、図4に示すように、Y方向に搬送されている帯状の複合材2Aの上面側に配された一対の支持部材12,12により、複合材2Aの搬送方向(Y方向)に沿う両側部が支持されている。
尚、マイクロニードルアレイ1Mの備える突起部3が貫通孔3hを有しておらず、単に内部が中空の突起部3を製造する場合には、突起部形成工程においては、複合材2Aにおける樹脂材21の他面21Dから、凸型部11を当接させて、樹脂材21における当接部分TPを熱により軟化させながら凸型部11を樹脂材21に刺してゆき、凸型部21を樹脂材21の一面21Uから突出させると共に、凸型部11を内部に刺した突起部3を用いて複合材2Aにおける保護材22を破壊して貫通させ、突起部3を複合材2の表面から突出させるようにする。
第1実施態様の突起伸長工程においては、図6(c)に示すように、超音波振動装置による凸型部11の超音波振動の周波数及び振幅が、それぞれ、突起部前駆体形成工程における超音波振動の周波数及び振幅と同じである。尚、突起伸長工程で形成された突起部3の貫通孔3hの開孔面積は、突起部前駆体形成工程で形成された突起部前駆体3bの貫通孔3hの開孔面積S1以上の面積であることが好ましい。
また、第1実施態様の突起伸長工程においては、複合材2Aを構成する樹脂材21に凸型部11を刺してゆき保護材22を破壊して貫通させる刺入速度が、突起部前駆体形成工程において凸型部11を樹脂材21に刺してゆく刺入速度よりも遅くなっている。第1実施形態の製造装置100においては、ボックスモーション式の凸型部11を用いているので、複合材2Aを構成する樹脂材21への凸型部11の刺入速度に関し、突起部前駆体形成工程から突起伸長工程にかけて、刺入速度が連続的に遅くなっている。即ち、該刺入速度が漸減している。そして、第1実施態様の突起部形成工程においては、凸型部11の上昇を停止させ、突起部3の内部に凸型部11の凸型110を刺した状態のまま次工程(冷却工程)に搬送する。
次に、第1実施形態の製造装置100においては、図4に示すように、突起部形成部10の下流に冷却部20が設置されている。冷却部20は、図4に示すように、冷風送風装置201を備えている。第1実施態様においては、突起部形成工程の後、冷風送風装置201を用いて、突起部3の内部に凸型部11を刺した状態で突起部3を冷却する(冷却工程)。具体的には、冷風送風装置201は、搬送されている帯状の複合材2の上面側及び下面(樹脂材21の他面21D)側の全体を覆っており、冷風送風装置201の内部を帯状の複合材2Aが搬送方向(Y方向)に搬送されるようになっている。冷風送風装置201のトンネル内には、冷風送風する送風口202(図6(d)参照)が複合材2Aの上面側に設けられており、送風口202から冷風を吹き付けて冷却するようになっている。尚、冷風送風装置201の冷却温度、冷却時間の制御も、第1実施形態の製造装置100に備えられた、制御手段(不図示)により制御されている。
第1実施態様の冷却工程においては、図4に示すように、ボックスモーション式の凸型部11を用いて、冷風送風装置201のトンネル内に、凸型部11の凸型110を突起部3の内部に刺した状態で、複合材2Aの搬送方向(Y方向)に平行に搬送し、図6(d)に示すように、トンネル内にて複合材2Aの上面側に配された送風口202から冷風を吹き付けて、突起部3の内部に凸型部11の凸型110を刺した状態のまま冷却する。尚、冷却する際には、凸型部11の超音波装置による超音波振動は、継続状態でも止められた状態でも良いが、突起部3の形状を過度な変形をさせず一定に保つ観点から、止められていることが好ましい。
吹き付ける冷風の温度は、貫通孔3hを有する突起部3の形成の観点から、好ましくは−50℃以上、更に好ましくは−40℃以上であり、そして、好ましくは26℃以下であり、更に好ましくは10℃以下であり、具体的には、好ましくは−50℃以上26℃以下であり、更に好ましくは−40℃以上10℃以下である。
冷風を吹き付けて冷却する冷却時間は、成型性と加工時間の両立性の観点から、好ましくは0.01秒以上、更に好ましくは0.5秒以上であり、そして、好ましくは60秒以下であり、更に好ましくは30秒以下であり、具体的には、好ましくは0.01秒以上60秒以下であり、更に好ましくは0.5秒以上30秒以下である。
次に、第1実施形態の製造装置100においては、図4に示すように、冷却部20の下流にリリース部30が設置されている。第1実施態様においては、冷却工程の後に、突起部3の内部から凸型部11を抜いてマイクロニードルアレイ1Mの前駆体1Aを形成する(リリース工程)。具体的に、第1実施態様のリリース工程においては、ボックスモーション式の凸型部11を用いて、図6(e)に示すように、複合材2Aを構成する樹脂材21の他面21D(下面)から凸型部11を下降させて、各突起部3の内部に凸型部11の凸型110を刺した状態から、凸型部11の凸型110を抜いて、貫通孔3hを有し且つ内部が中空の突起部3がアレイ状に配されたマイクロニードルアレイ1Mとなる帯状の微細中空突起具の前駆体1Aを形成する。
次に、第1実施形態の製造装置100においては、図4に示すように、リリース部30の下流に裁断部40が設置されている。裁断部40は、第1実施形態の製造装置100においては、先端にカッター刃を有するカッター部41とアンビル部42とを備えている。カッター部41のカッター刃は、帯状の微細中空突起具の前駆体1Aの全幅(X方向の長さ)よりも幅広に形成されている。第1実施態様においては、リリース工程の後、一対のカッター部41とアンビル部42との間に、帯状の微細中空突起具の前駆体1Aを搬送して、搬送方向(Y方向)に隣り合うアレイ状の突起部どうし3,3の間毎に、カッター部41のカッター刃で裁断して、貫通孔3hを有する突起部3がアレイ状に配された枚葉のマイクロニードルアレイ1Mを連続的に製造する。
帯状の微細中空突起具の前駆体1Aの裁断は、各マイクロニードルアレイ1Mの横方向に延びるように行われればよく、例えば各マイクロニードルアレイ1Mの横方向にわたって直線的に行うことができる。あるいは、裁断線が曲線を描くように裁断を行うことができる。いずれの場合であっても、裁断によってトリムが発生しないような裁断パターンを採用することが好ましい。
次に、第1実施形態の製造装置100においては、図4に示すように、裁断部40の下流にリピッチ部50が設置されている。リピッチ部50は、第1実施形態の製造装置100においては、回転軸が互いに平行になるように配置されている複数のローラ51と、各ローラ51間に架け渡された無端の搬送ベルト52とを有している。また、搬送ベルト52の内部には、サクションボックス53を有している。搬送ベルト52には、サクションボックス53を起動することで、周回軌道の外部から内部へ向けて空気を吸引するための透孔(不図示)が複数設けられている。尚、搬送ベルト52は、その搬送速度が、裁断部40までの複合材2Aの搬送速度よりも速くなっている。
第1実施態様においては、毎葉のマイクロニードルアレイ1Mを連続的に、透孔(不図示)を介してサクションボックス53で吸引しながら、速度の速い搬送ベルト52上に載置し、搬送方向(Y方向)において前後に隣り合うマイクロニードルアレイ1M,1Mどうしの間の距離を広げ、所定の距離を置いて再配置し、微細中空突起具1としてのマイクロニードルアレイ1Mを連続的に製造する。
以上説明したように、本発明の微細突起具の製造方法は、樹脂材21の他面21Dから、加熱手段を備える凸型部11を当接させて、熱可塑性樹脂が軟化可能な温度条件で、樹脂材21における当接部分TPを熱により軟化させながら凸型部11を樹脂材21に刺してゆき、樹脂材21の一面21Uから突出する突起部3を形成すると共に、突起部3で保護材22を貫き、突起部3を複合材2の表面から突出させる突起部形成工程を備えている。その為、突出高さH1の低い微細な突起部3を備えるマイクロニードルアレイ1Mを安定的に連続的に大量生産できる。本発明の微細突起具の製造方法は、シンプルな工程で、突出高さH1の低い微細な突起部3を備えるマイクロニードルアレイ1Mを製造することができ、低コスト化を図ることができる。
本発明の微細突起具の製造方法で製造されたマイクロニードルアレイ1Mの突起部3は、中空であり、樹脂層21sの他面21Dから一面21U側に向かって保護層22sを貫通して隆起しているので、薬剤を貯蔵する、又は薬剤の経路として機能する中空の容積が確保できる。このようなマイクロニードルアレイ1Mを用いて、図7に示すように、薬剤の経皮吸収を実施すれば、皮膚SLの任意の深さに突起部3を刺入することができ、薬液の成分に合わせた皮膚への浸透が効率的に供給できる。また、刺入する深さを浅くする場合、突起部3の突出高さH1が微細なので、皮膚SLの表層部である角質層SL1部分に突起部3を刺入でき、皮膚SLのより深い部位である表皮SL2、真皮SL3には突起部3が刺入し難いので、経皮吸収に伴う痛みをより大幅に低減し得る。
また、第1実施態様の製造方法は、樹脂材21の熱可塑性樹脂が軟化可能な温度条件で軟化困難な保護材22と、樹脂材21とが予め積層固定された複合材2を用い、突起部形成工程においては、複合材2Aにおける樹脂材21の他面21Dから、凸型部11を当接させて、樹脂材21における当接部分TPを熱により軟化させながら凸型部11を樹脂材21に刺してゆき、凸型部21を樹脂材21の一面21Uから突出させると共に、凸型部11を内部に刺した突起部3を用いて複合材2Aにおける保護材22を破壊して貫通させ、突起部3を複合材2の表面から突出させるようにする。そして、樹脂材21と保護材22の間剥離が無いため、突起部3の突出高さH1が精度よく成形する事ができる。また、突出高さH1が微細であるにも拘わらず突起部3を備えるマイクロニードルアレイ1Mを、更に安定的に連続的に大量生産できる。
また、第1実施態様の製造方法によれば、凸型部11の加熱手段(不図示)として超音波振動装置を用いているので、冷風送風装置201を必ず備える必要はなく、超音波振動装置の振動を切るだけで、冷却することもできる。この点で、超音波振動を加熱手段として用いると、装置の簡便化とともに、高速で、貫通孔3hを有するマイクロニードルアレイ1Mを製造することができる。また、樹脂材21の凸型部11と当接していない部分では、より熱が伝わり難く、また、超音波振動付与のオフによって冷却が効率的に行われるので、成形部分以外の変形が生じ難く、精度の良いマイクロニードルアレイ1Mを製造することができる。
また、上述したように、第1実施形態の製造装置100は、制御手段(不図示)により、凸型部11の動作(電動アクチュエータ)、凸型部11の加熱手段(不図示)の加熱条件、冷風送風装置201の冷却温度、冷却時間が制御されている。その為、制御手段(不図示)により、例えば突起部形成工程における凸型部11の刺入高さを制御すれば、凸型部11の樹脂材21への刺入量が容易に変更でき、製造されるマイクロニードルアレイ1Mの突出高さH1をコントロールできる。また、凸型部11の加熱手段(不図示)の条件、樹脂材21の当接部分TPの軟化時間、凸型部11の樹脂材21への刺入速度、及び凸型部11の形状の少なくとも何れか1つを制御すれば、マイクロニードルアレイ1Mを構成する突起部3の厚みT1等を自由にコントロールすることができ、貫通孔3hを有するマイクロニードルアレイ1Mの形状を自由にコントロールすることができる。即ち、突起部形成工程における凸型部11の刺入高さ、加熱条件、樹脂材21の当接部分TPの軟化時間、及び凸型部11の樹脂材21への刺入速度、並びに冷却工程における冷却条件の少なくとも何れか1つを制御して、マイクロニードルアレイ1Mの形状を自由にコントロールすることができる。
また、上述したように、第1実施態様においては、図4に示すように、帯状の複合材2Aの上面側に配された一対の支持部材12,12を用いて、複合材2Aの搬送方向(Y方向)に沿う両側部を支持し、複合材2Aにおける一対の支持部材12,12の間の浮いた状態の中央領域にて、支持部材12が配された側とは反対側の樹脂材21の他面21D(下面)から凸型部11を当接させ、当接部分TPを軟化させて突起部3を形成する。このように、突起部3を形成する為の、凸型部11に嵌合する凹部等が必要ないのでコストアップを抑えることができ、製造されるマイクロニードルアレイ1Mの備える突起部3を効率的に精度良く形成することができる。
次に、本発明を、第2〜第4実施態様に基づき、図8〜図10を参照して説明する。なお、第2〜第4実施態様においては、上述した第1実施態様と異なる点をメインに説明する。
上記第1実施態様に用いる第1実施形態の製造装置100においては、凸型部11の加熱手段(不図示)は、超音波振動装置であるが、第2実施態様に用いる第2実施形態の製造装置100では、これに代えて加熱ヒーター装置を用いている。
第2実施形態の製造装置100のように、凸型部11の加熱手段(不図示)が加熱ヒーター装置である場合、図8(a)に示すように、各当接部分TPにおいて、加熱ヒーター装置により凸型部11を加熱し、当接部分TPに熱を発生させて当接部分TPを軟化させる。そして、第2実施態様の突起部前駆体形成工程においては、各当接部分TPを軟化させながら、図8(b)に示すように、複合材2Aを構成する樹脂材21の他面21D(下面)から一面21U側(上面側)に向かって凸型部11を上昇させて樹脂材21に凸型110の先端部を刺してゆき、樹脂材21の一面21U側(上面側)から突出すると共に貫通する貫通孔3hを有する突起部前駆体3bを、複合材2Aを構成する保護材22内に形成する。
第2実施態様の突起部前駆体形成工程においては、凸型部11による樹脂材21の加熱温度は、突起部前駆体3bの形成の観点から、使用される樹脂材21のガラス転移温度(Tg)以上溶融温度未満であることが好ましい。詳述すると前記加熱温度は、好ましくは30℃以上、更に好ましくは40℃以上であり、そして、好ましくは300℃以下であり、更に好ましくは250℃以下であり、具体的には、好ましくは30℃以上300℃以下であり、更に好ましくは40℃以上250℃以下である。なお、第2実施形態のように加熱ヒーター装置を用いる場合には、突起部前駆体形成工程においては、凸型部11の加熱温度を上述した範囲で調整すればよい。なお、当該加熱温度は、第1実施形態において、樹脂材21を超音波振動装置を用いて加熱する場合においても、凸型110と接触した樹脂材21の部分の温度範囲として適用される。なお、ガラス転移温度(Tg)の測定方法は、上述した測定方法に従って行う。
次いで、第2実施態様の突起伸長工程においては、図8(c)に示すように、各当接部分TPにおいて、加熱ヒーター装置により凸型部11を突起部前駆体形成工程と同じ温度で加熱し、当接部分TPに熱を発生させて当接部分TPを軟化させながら、複合材2Aを構成する樹脂材21の他面21D(下面)から一面21U側(上面側)に向かって凸型部11の凸型110を、保護材22を破壊しながら樹脂材21に更に刺してゆき、保護材22を貫通させ、複合材2の表面(上面)に突出する突起部3を形成する。
次いで、第2実施態様の冷却工程においては、第1実施態様の冷却工程と同様に、図8(d)に示すように、トンネル内にて複合材2Aの上面側に配された送風口202から冷風を吹き付けて、突起部3の内部に凸型部11の凸型110を刺した状態のまま冷却する。尚、冷却する際には、凸型部11の加熱ヒーター装置による加熱は、継続状態でも止められた状態でも良い。
第2実施形態の製造装置100のように、凸型部11の加熱手段(不図示)が加熱ヒーター装置である場合には、突起部形成部10の下流に設置される冷却部20は、自然冷却でもよいが、冷風送風装置201を備えて、積極的な冷却を施すことが好ましい。
次いで、第2実施態様のリリース工程においては、第1実施態様のリリース工程と同様に、図8(e)に示すように、複合材2Aを構成する樹脂材21の他面21D(下面)から凸型部11を下降させて、各突起部3の内部に凸型部11の凸型110を刺した状態から、凸型部11の凸型110を抜いて、貫通孔3hを有し且つ内部が中空の突起部3がアレイ状に配されたマイクロニードルアレイ1Mとなる帯状の微細中空突起具の前駆体1Aを形成する。
次いで、第2実施態様においては、第1実施態様と同様に、カッター部41のカッター刃で裁断して、貫通孔3hを有する突起部3がアレイ状に配された枚葉のマイクロニードルアレイ1Mを連続的に製造し、リピッチ部50にて、再配置して微細中空突起具1としてのマイクロニードルアレイ1Mを製造する。
以上説明したように、第2実施態様の製造方法においては、図8(a)に示すように、凸型部11を当接させた樹脂材21の当接部分TPにおいてのみ、加熱ヒーター装置により凸型部11を加熱させ、当接部分TPを軟化させるので、省エネルギーで、効率的に連続して貫通孔3hを有するマイクロニードルアレイ1Mを製造することができる。ここで、仮に、樹脂全体を凸型部と同様の温度に加熱する場合には、エネルギー効率が悪いだけでなく、他にシート全体が軟化することによって、突起部のピッチずれの発生、シートのひずみ発生、シートの連続搬送が困難になる、といった問題が生じる危険性が高まってしまう。これに対し、第2実施態様においては、凸型部11の加熱による熱が当接部分TPに効率的に伝わり、その周囲部は成り行きの加温のみが加えられ得る環境となるので、突起部3のピッチずれの問題が発生し難く、樹脂材21のひずみが発生し難く、複合材2Aの連続搬送もし易くなる。
次に、第3実施態様においては、樹脂材21の熱可塑性樹脂が軟化可能な温度条件で軟化困難な保護材22を用いているが、第1実施態様と異なり、樹脂材21及び保護材22が予め積層固定されていない。第3実施態様に用いる樹脂材21及び保護材22としては、第1実施態様に用いる樹脂材21及び保護材22と同様である。
第3実施態様の突起部形成工程は、図9に示すように、先ず樹脂材21に突起部3を形成する第1突起部形成ステップと、第1突起部形成ステップの後ステップに、凸型部11を内部に刺した突起部3を用いて、保護材22を破壊して貫通させた後、保護材22と樹脂材21とを積層固定し、突起部3を複合材2Aの表面から突出させる第2突起部形成ステップとを有している。
第3実施態様の第1突起部形成ステップでは、図9に示すように、円錐状の凸型110の先端を上方に向けて配置した凸型部11を用い、別体の樹脂材21の他面21Dから、加熱手段を備える凸型部11を当接させて、熱可塑性樹脂が軟化可能な温度条件で、樹脂材21における当接部分TPを熱により軟化させながら凸型部11を樹脂材21に刺してゆき、樹脂材21の一面21Uから突出する突起部3を形成する。尚、保護材22を破壊して貫通させる前の時点に、保護材22の下面22Dに、のり、ホットメルト接着剤等の接着剤を塗布しておくことが好ましい。
次いで、第3実施態様の第2突起部形成ステップでは、図9に示すように、凸型部11の凸型110を内部に刺した突起部3を用いて、別体の保護材22の下面22Dから破壊しながら保護材22に刺してゆき、保護材22の上面22Uに貫通させた後、保護材22と樹脂材21とを前記接着剤を介して積層固定し、複合材2の表面(上面)に突出する突起部3を形成する。別体の保護材22の下面22Dから凸型110を内部に刺してゆく際には、保護材22の上面22Uから平板状の押さえ部材13で押さえておくことが好ましい。押さえ部材13は、凸型110を内部に刺した突起部3に対応する位置に、円形状の貫通孔130を有している。
次いで、第3実施態様においては、第1実施態様と同様に、冷却工程及びリリース工程等を経て、微細中空突起具1としてのマイクロニードルアレイ1Mを製造する。
第3実施態様においては、保護材22を確実に貫通させる事ができ、各個の突起部3の高さをより均一化する事ができ、皮膚の深さに応じた薬剤を的確に供給することができる効果を奏する。
次に、第4実施態様においては、第1実施態様と異なり、樹脂材21の熱可塑性樹脂が軟化可能な温度条件で軟化可能な保護材22aを用いている。このような保護材22aとしては、樹脂材21と同様なものが挙げられる。このような保護材22aに、例えば図10に示すように、周面に凸部61を複数有する凸ローラ60を用いて、後述する凸型110を内部に刺した突起部3に対応する位置に、円形状の貫通孔220を形成する。尚、貫通孔220を形成する前に、保護材22aの下面22Dに、のり、ホットメルト接着剤等の接着剤を塗布しておくことが好ましい。
次いで、突起部3に対応する位置に予め開孔部220を有する保護材22aと、樹脂材21とを前記接着剤を介して予め積層固定する。第4実施態様においては、樹脂材21で形成された樹脂層21sの一面21U上に、開孔部220を有する保護材22aで形成された保護層22sを積層固定した複合材2を用いる。
第4実施態様の突起部形成工程は、図10に示すように、複合材2における樹脂材21の他面21Dから、凸型部11を当接させて、樹脂材21における当接部分TPを熱により軟化させながら凸型部11を樹脂材21に刺してゆき、凸型部11を樹脂材21の一面21Uから突出させると共に、凸型部11を内部に刺した突起部3を、複合材2における保護材22aの開孔部220を通して複合材2の表面から突出させる。
次いで、第4実施態様においては、第1実施態様と同様に、冷却工程及びリリース工程等を経て、微細中空突起具1としてのマイクロニードルアレイ1Mを製造する。
第4実施態様においては、保護材22aとして、樹脂材21の熱可塑性樹脂が軟化可能な温度条件で軟化困難か否かに拘わらず、様々な素材を用いることができるので、製造コストをさらに抑えることができる。また、第4実施態様においては、突起部成形工程において、保護材22の影響を受けないので、突起物3の先端の大きさ及び高さが均一な突起物を成形でき、皮膚への刺入時により痛みの少ない効果を奏する。
以上、本発明を、その好ましい第1〜第4実施態様に基づき説明したが、本発明は前記実施態様に制限されるものではなく、適宜変更可能である。
例えば、上記第1〜第4実施態様の製造方法で製造される微細中空突起具1としてのマイクロニードルアレイ1Mは、シート状の複合材2の上面に、9個の円錐台状の突起部3をアレイ(行列)状に有しているが、1個の突起部3を有していてもよい。また、第1〜第4実施態様の製造方法で製造される微細中空突起具1は、突起部3に貫通孔3hを有しているが貫通孔3hを有していなくてもよい。また、第1〜第4実施態様の製造方法で製造される微細中空突起具1は、突起部3の先端部に位置する貫通孔3hと下面に位置する底側貫通孔2hとが、同心円形状に形成されているが、同心円形状でなくてもよい。
また、上記第1〜第4実施態様においては、無限軌道を描くボックスモーション式の凸型部11を用いているが、厚み方向(Z方向)の上下にのみ移動可能な凸型部11を用いて、突起部前駆体形成工程にて凸型部11から樹脂材21に与える熱量と、突起部形成工程にて凸型部11から樹脂材21に与える熱量とを、突起部前駆体形成工程から突起部伸長工程にかけて、段階的に変化させて、微細中空突起具1を製造してもよい。
また、上記第1〜第4実施形態の製造装置100は、図4に示すように、凸型部11を樹脂材21に刺してゆく際に樹脂材21を支持する一対の板状の支持部材12,12を有しているが、樹脂材21の他面2U側に配して樹脂材21を支持するものであれば一対の板状の支持部材12,12以外のものであってもよい。例えば、一対の板状の支持部材12,12の替わりに、図11に示すような、当接部分TPに対応する位置に貫通口121の開いた開口プレートの一例であるパンチングプレート12Aを、基材シート2Aの他面2U側に配して、凸型部11を基材シート2Aに刺してゆく際に基材シート2Aを支持してもよい。開口プレートとは、凸型部11の凸型110を挿入可能な開口部を有するプレートである。本実施形態において開口部は貫通口となっているが、非貫通であっても良い。なお、開口プレートを用いる場合には、基材シート2Aの開口部に対向する部分は開口プレートによって支持されていないと言える。図11に示す製造装置100では、複数個の突起部3の個数、配置及び各突起部3の外形形状に対応した複数個の凸型110を有する凸型部11を突起部形成部10が備えるようにしている。また、図11に示す製造装置100では、開口プレート12Aが、基材シート2Aの他面2U側に互いが接するようにして配されている。尚、図11に示す製造装置100においては、図4に示す製造装置100と同じ部位には同じ番号を付してある。
図11に示す製造装置100では、基材シート2Aが凸型部11と開口プレート12Aとで挟まれた状態になる。開口プレート12Aは、図11に示す製造装置100では、基材シート2における凸型部11の1個の凸型110の当接部分TPに対応する位置に1個の貫通口121が配されているが、複数個の凸型110の当接部分TPに対応する位置に1個の貫通口121が配されていてもよい。尚、貫通口121は、開口プレート12Aを上面側から視て、その形状に、特に制限はないが、図11に示す製造装置100では、円形状に形成されている。
開口プレート12Aは、その形状に、特に制限はないが、図11に示す製造装置100においては、板状に形成されている。板状の開口プレート12Aは、そのY方向の長さが、凸型部11のY方向の長さと略同じであり、そのX方向の長さが、凸型部11のX方向の長さと略同じである。このような板状の開口プレート12Aが、図11に示す製造装置100においては、Y方向に搬送されている基材シート2Aを挟んで、ボックスモーション式の凸型部11の動作と対象の動作をするように、ボックスモーション式で無限軌道を描くようになっている。そして、ボックスモーション式の開口プレート12Aは、基材シート2Aの他面2Uから厚み方向(Z方向)上方に隣接して配されており、搬送方向(Y方向)に基材シート2Aと並走可能となっている。受け部材13の搬送方向(Y方向)への移動速度は、凸型部11の搬送方向(Y方向)への移動速度に対応しており、図11に示す製造装置100に備えられた、制御手段(不図示)により制御されている。
また、上記第1〜第4実施形態の製造装置100は、図4に示すように、凸型部11が樹脂材21を下方やら上方に向かって刺入しているが、樹脂材に対する凸型部や支持部材の位置関係、刺入方向はこれに限定されず、上方から下方に向かって微細中空突起具1を成形してもよい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例に制限されない。
製造装置の備える凸型部11の準備
凸型部11としては、その材質がステンレス鋼であるSUS304で形成されたものを用意した。凸型部11は、1個の円錐状の凸型110を有していた。凸型110は、その高さ(テーパー部の高さ)H2が2.5mmであり、その先端径D1が15μmであり、その根本径D2が0.5mmであり、その先端角度が11度であった。
〔実施例1〕
複合材2の準備
樹脂材21としては、ポリ乳酸(PLA)で形成された厚み0.3mmの帯状のシートを用意した。また、保護材22としては、ポリエチレンで形成された厚み1.3mmの帯状のシートを用意した。そして、樹脂材21の一面上に保護材22を積層し、ホットメルト接着剤により固定して複合材2を作製した。このように作製した複合材2を用いて図6に示す手順に従って、微細中空突起具1としてのマイクロニードルアレイ1Mを製造した。具体的には、製造装置100は、凸型部11の加熱手段が超音波振動装置であった。製造条件としては、突起部前駆体形成部10Aにおいても突起伸長部10Bにおいても、超音波振動の周波数が20kHzで共通であり、超音波振動の振幅が40μmで共通であった。また、突起部前駆体形成部10Aにおいて、樹脂材21に刺す凸型部11の刺入高さが0.1mmであり、刺入速度が30mm/秒であった。一方、突起伸長部10Bにおいて、刺入速度が5mm/秒であった。このように、突起伸長部10Bにおける刺入速度の方が突起部前駆体形成部10Aにおける刺入速度よりも遅くした。また、軟化時間は0.5秒であり、冷却時間は1秒であった。以上の製造条件で、実施例1の微細中空突起具を製造した。
〔参考例1〕
複合材2の替わりに、ポリ乳酸(PLA)で形成された厚み0.3mmの帯状のシート(実施例1で用いた樹脂材21)を用いる以外は、実施例1と同様の製造条件で、参考例1の微細中空突起具を製造した。
〔参考例2〕
複合材2の替わりに、ポリ乳酸(PLA)で形成された厚み0.3mmの帯状のシート(実施例1で用いた樹脂材21)を用い、突起伸長部10Bにおける、樹脂材21に刺す凸型部11の刺入高さを0.2mmとする以外は、実施例1と同様の製造条件で、比較例1の微細中空突起具を製造した。
〔性能評価〕
実施例1、参考例1〜参考例2の微細中空突起具について、貫通孔を有しているか否かを、マイクロスコープを用いて観察した。また、実施例1、参考例1及び比較例1の微細中空突起具について、突起部3の突出高さH1、及び微細突起具の貫通の有無を測定した。それらの結果を下記表1に示す。更に、実施例1、参考例1及び比較例1の微細中空突起具の写真も併せて示す。
表1に示す結果から明らかなように、実施例1及び参考例1の微細中空突起具は、先端を貫通した微細突起具を成形する事ができている。また、実施例1及び参考例2の微細中空突起具は、突起部3の突出高さH1が低いものであった。実施例1のマイクロニードルは、複合材2を使用する事で、一連の突起部形成工程、冷却工程及びリリース工程を含む単純な作業により、突出高さH1が低いにも関わらず、突起部3の先端が貫通したものを容易に成形する事ができる。従って、実施例1の微細中空突起具を製造する製造方法によれば、突出高さの低い微細な突起部を有する微細中空突起具を、精度良く効率的に連続して製造できることが期待できる。