JP6519025B2 - 油井用低合金高強度継目無鋼管 - Google Patents
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Description
[1]成分組成は、質量%で、C:0.15〜0.50%、Si:0.80%以下、Mn:0.3〜1.0%、P:0.012%以下、S:0.0050%以下、Al:0.01〜0.10%、N:0.01%以下、Cr:0.1〜1.7%、Mo:0.2〜2.0%、V:0.10%以下、Nb:0.01〜0.08%、Ti:0.04%以下、B:0.0005〜0.0030%、Cu:0.03〜0.07%、Co:0.01〜0.06%、Ca:0.0001〜0.0050%を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなることを特徴とする油井用低合金高強度継目無鋼管。
Cは、鋼の強度を増加させる作用を有し、所望の高強度を確保するために重要な元素である。また、Cは、焼入れ性を向上させる元素であり、焼戻マルテンサイト相を主相とする組織の形成に寄与する。降伏強度が650MPa以上の高強度を実現し、これらの効果を得るためには、Cは0.15%以上の含有を必要とする。一方、Cが0.50%を超える含有は、焼戻時に、水素のトラップサイトとして作用する炭化物を多量に析出させ、拡散性水素の鋼中への過剰な侵入を阻止できなくなる。また、焼入れ時の割れを抑制できなくなる。このため、Cは0.15〜0.50%とする。好ましくは0.20〜0.30%以下とする。
Siは、脱酸剤として作用するとともに、鋼中に固溶して鋼の強度を増加させ、焼戻時の急激な軟化を抑制する作用を有する。これらの効果を得るためには、Siは0.05%以上の含有をすることが好ましい。より好ましくは、0.10%以上とする。一方、Siが0.80%を超える含有は、粗大な酸化物系介在物を形成し、強い水素トラップサイトとして作用する。また、固溶強化に有効なSiの固溶量低下を招く。このため、Siは0.80%以下とする。好ましくは0.40%以下である。
Mnは、焼入れ性の向上を介して、鋼の強度を増加させるとともに、Sと結合しMnSとしてSを固定して、Sによる粒界脆化を防止する作用を有する。降伏強度が650MPa以上の高強度を確保するためには、Mnは0.3%以上の含有を必要とする。一方、Mnが1.0%を超える含有は、粒界に析出するセメンタイトが粗大化し、耐硫化物応力腐食割れ性を低下させる。このため、Mnは0.3〜1.0%とする。好ましくは0.5〜0.9%以下とする。
Pは、固溶状態では粒界等に偏析し、粒界脆化割れ等を引き起こす傾向を示し、本発明ではできるだけ低減することが望ましいが、0.012%までは許容できる。このようなことから、Pは0.012%以下とする。なお、好ましくは0.010%以下である。
Sは、鋼中ではほとんどが硫化物系介在物として存在し、延性、靭性や、耐硫化物応力腐食割れ性等の耐食性を低下させる。Sの一部は固溶状態で存在する場合があるが、その場合には粒界等に偏析し、粒界脆化割れ等を引き起こす傾向を示す。このため、Sは、本発明ではできるだけ低減することが望ましいが、その悪影響が許容できる0.0050%以下とする。しかし、過剰なS低減は精錬コストを高騰させる。このようなことから、本発明では、Sは、0.0004%を下限とすることが好ましい。
Alは、脱酸剤として作用するとともに、Nと結合しAlNを形成してオーステナイト結晶粒の微細化に寄与する。これらの効果を得るためには、Alは0.01%以上の含有を必要とする。一方、Alは0.10%を超えて含有すると、酸化物系介在物が増加し、靭性が低下する。このため、Alは0.01〜0.10%とする。好ましくは0.02〜0.07%とする。
Nは、Ti、Nb、Al等の窒化物形成元素と結合しMN型の析出物を形成する。しかし、これらの析出物は粗大な析出物となり、耐硫化物応力腐食割れ性を低下させる。従って、Nはできるだけ低減することが好ましいが、0.01%までであれば許容できる。このため、Nは、0.01%以下とする。なお、少量のMN型析出物は、鋼素材等の加熱時に結晶粒の粗大化を抑制する効果を有する。このため、Nは0.003%程度以上を含有することが好ましい。なお、より好ましくは0.003〜0.005%である。
Crは、焼入れ性を向上させ、その結果として鋼の強度の向上に寄与するとともに、耐食性を向上させる。また、Crは、焼戻時にCと結合し、M3C系、M7C3系、M23C6系等の炭化物を形成し、特にM3C系炭化物は、焼戻軟化抵抗を向上させ、焼戻による強度変化を少なくして、強度調整を容易にする。このような効果を得るためには、Crは0.1%以上の含有を必要とする。一方、Crは1.7%を超えて含有すると、多量のM7C3系炭化物、M23C6系炭化物が形成される。これらの炭化物は、水素のトラップサイトとして作用するため、耐硫化物応力腐食割れ性が低下する。このため、Crは0.1〜1.7%とする。好ましくは0.5〜1.5%とする。さらに好ましくは0.9〜1.5%とする。
Moは、炭化物を形成し、析出強化により強度の増加に寄与するとともに、固溶して、旧オーステナイト粒界に偏析して更なる耐硫化物応力腐食割れ性の向上に寄与する。また、Moは、腐食生成物を緻密化し、さらに割れの起点となるピット等の生成・成長を抑制する。このような効果を得るためには、Moは0.2%以上の含有を必要とする。一方、Moは2.0%を超える含有は、針状のM2C型析出物や、Laves相(Fe2Mo)を形成し、耐硫化物応力腐食割れ性を低下させる。このため、Moは0.2〜2.0%とする。好ましくは0.6〜1.5%とする。
Vは、炭化物あるいは窒化物を形成し、析出強化により鋼の強度向上に寄与する。このような効果を得るためには、0.01%以上のVを含有することが好ましい。一方、Vは、0.10%を超えて含有しても、前述の効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待できない。また、経済的に不利となる。このため、Vは0.10%以下とする。好ましくは0.02〜0.08%とする。
Nbは、オーステナイト(γ)温度域での再結晶を遅延させ、γ粒の微細化に寄与し、マルテンサイトの下部組織(例えば、パケット、ブロック、ラス)の微細化に極めて有効に作用する。また、Nbは、炭化物を形成し、析出強化により鋼の強度向上に寄与する作用も有する。このような効果を得るためには、Nbは0.01%以上の含有を必要とする。一方、Nbは0.08%を超えて含有しても、粗大な析出物(NbC、NbN)の析出を促進し、耐硫化物応力腐食割れ性の低下を招く。このため、Nbは0.01〜0.08%とする。好ましくは0.02〜0.06%とする。
Tiは、炭化物あるいは窒化物を形成し、析出強化により鋼の強度向上に寄与する。このような効果を得るためには、Tiは0.001%以上の含有が望ましい。一方、Tiは0.03%を超えて含有すると、鋳造時に粗大なMC型窒化物(TiN)の形成が促進され、その後の加熱でも固溶しないため、靭性や耐硫化物応力腐食割れ性の低下を招く。このため、Tiは0.04%以下とする。好ましくは0.01〜0.03%とする。
Bは、微量の含有で焼入れ性の向上に寄与する元素である。このような効果を得るためには、Bは0.0005%以上の含有を必要とする。一方、Bは0.0030%を超えて多量に含有しても、前述の効果が飽和するか、あるいはFe硼化物(Fe−B)の形成により、逆に所望の効果が期待できなくなり、経済的に不利となる。また、0.0030%を超える多量のB含有は、Mo2B、Fe2B等の粗大な硼化物の形成を促進し、熱延時に割れを発生しやすくする。このため、Bは0.0005〜0.0030%とする。好ましくは0.0010〜0.0030%とする。
Cuは、鋼の強度を増加させるとともに、靭性、耐食性を向上させる作用を有する元素である。特に、厳しい耐硫化物応力腐食割れ性が要求される場合には、極めて重要な元素となる。Cuは、緻密な腐食生成物を形成し、さらに割れの起点となるピットの生成・成長を抑制して、耐硫化物応力腐食割れ性を顕著に向上する。このような効果を得るためには、Cuは0.03%以上を含有することが必要である。一方、0.07%を超えて含有しても、前述の効果が飽和し、含有量に見合う効果を期待できなくなる。このため、Cuは0.07%以下とする。好ましくは、0.04〜0.05%である。
Coは、焼き戻し抵抗性の向上や、高温時での硬度上昇に寄与する元素である。上記のような効果を得るためには、一般的に0.05%以上を含有することが有効である。しかし、Coは高価な合金であるため、多量に含有することは経済的に不利となる。また、Coは、低温、特に−20℃以下の条件下での衝撃吸収エネルギーの向上に寄与する元素でもある。このような効果を得るためには、Coは0.01%以上の含有を必要とする。一方、Coは0.06%を超えて含有しても、衝撃吸収エネルギーが低下する。また、経済的に不利となる。このため、Coは0.01〜0.06%とする。好ましくは0.01〜0.05%とする。さらに好ましくは0.01〜0.04%とする。
Caは、介在物の形態を制御する作用を有する元素として有用であり、展伸した硫化物系介在物を粒状の介在物とする。この介在物の形態制御を介して、延性、靭性や耐硫化物応力腐食割れ性を向上させる作用を有し、必要に応じて含有できる。このような効果を有効に発揮させるためには、Caは0.0001%以上含有することが好ましい。一方、0.0050%を超えて含有すると、非金属介在物量が増加し、かえって延性、靭性や耐硫化物応力腐食割れ性が低下する場合がある。また、経済的に不利になる場合がある。従って、Caを含有する場合には、0.0050%以下とする。好ましくは0.0001〜0.0030%とする。
(1)引張試験
降伏強度(YS)、引張強さ(TS)は、引張方向が圧延方向(サンプルの長手方向)になるよう採取した丸棒引張試験片(平行部6mmφ×G.L.24mm)を用いて、JIS Z 2241に準拠した引張試験により求めた。なお、降伏強度は0.5%伸びにおける強度とした。本発明では、降伏強度は、650MPa以上を合格と評価した。
(2)シャルピー衝撃試験
得られたサンプルから、長手方向に直交する方向が試験片長手方向となるように、シャルピー衝撃試験片(2mmVノッチ試験片)を採取し、JIS Z 2242の規定に準拠してシャルピー衝撃試験を実施した。試験を3回行い、衝撃吸収エネルギー(J)の平均を求めた。シャルピー試験温度は、0℃、−20℃、−40℃、−60℃で実施した。ここでは、Co含有量が0質量%の鋼である表1の鋼No.Aを比較鋼とし、衝撃吸収エネルギー比率を求めた。
(3)硫化物応力腐食割れ試験
得られた継目無鋼管から試験片を3本採取し、NACE TM0177 Method Aの規定に準拠した方法で耐硫化物応力腐食割れ試験を行った。試験には、H2Sが飽和した0.5%酢酸+5.0%食塩水溶液(液温:24℃)を用い、降伏強さの90%の負荷応力を720時間負荷する定荷重試験を実施した。試験数は各サンプルで3本ずつ実施した。試験終了後、SSC発生有無を調査し、SSC発生率0%、すなわち割れが発生しない場合を合格とした。
Claims (1)
- 成分組成は、質量%で、
C:0.15〜0.50%、
Si:0.80%以下、
Mn:0.3〜1.0%、
P:0.012%以下、
S:0.0050%以下、
Al:0.01〜0.10%、
N:0.01%以下、
Cr:0.1〜1.7%、
Mo:0.2〜2.0%、
V:0.10%以下、
Nb:0.01〜0.08%、
Ti:0.04%以下、
B:0.0005〜0.0030%、
Cu:0.03〜0.07%、
Co:0.01〜0.06%、
Ca:0.0001〜0.0050%
を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなることを特徴とする油井用低合金高強度継目無鋼管。
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| JP2016196824A JP6519025B2 (ja) | 2016-10-05 | 2016-10-05 | 油井用低合金高強度継目無鋼管 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2016196824A JP6519025B2 (ja) | 2016-10-05 | 2016-10-05 | 油井用低合金高強度継目無鋼管 |
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| JP2018059149A JP2018059149A (ja) | 2018-04-12 |
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| JP2016196824A Expired - Fee Related JP6519025B2 (ja) | 2016-10-05 | 2016-10-05 | 油井用低合金高強度継目無鋼管 |
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- 2016-10-05 JP JP2016196824A patent/JP6519025B2/ja not_active Expired - Fee Related
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