以下、本発明(第1の発明)の粘着テープセットについて詳細に説明する。なお、本発明(第2の発明)の半導体素子移送用粘着テープについては、第1の発明を説明した後に詳述する。
まず、本発明の粘着テープセットを説明するのに先立って、本発明の粘着テープセットを用いて製造された半導体装置について説明する。
<半導体装置>
図1は、本発明の粘着テープセット(および本発明の半導体素子移送用粘着テープ)を適用して製造された半導体装置の一例を示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図1中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
図1に示す半導体装置10は、半導体チップ(半導体素子)20と、半導体チップ20を支持するインターポーザー(基板)30と、複数の導電性を有するバンプ(端子)70と、半導体チップ20を封止するモールド部(封止部)17とを有している。
インターポーザー30は、絶縁基板であり、例えばポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂(BTレジン)等の各種樹脂材料で構成されている。このインターポーザー30の平面視形状は、通常、正方形、長方形等の四角形とされる。
インターポーザー30の上面(一方の面)には、例えば、銅等の導電性金属材料で構成される端子41が、所定形状で設けられている。
また、インターポーザー30には、その厚さ方向に貫通して、図示しない複数のビア(スルーホール:貫通孔)が形成されている。
各バンプ70は、それぞれ、各ビアを介して、一端(上端)が端子41の一部に電気的に接続され、他端(下端)は、インターポーザー30の下面(他方の面)から突出している。
バンプ70のインターポーザー30から突出する部分は、ほぼ球形状(Ball状)をなしている。
このバンプ70は、例えば、半田、銀ろう、銅ろう、燐銅ろうのようなろう材を主材料として構成されている。
また、インターポーザー30上には、端子41が形成されている。この端子41に、接続部81を介して、半導体チップ20が有する端子21が電気的に接続されている。
なお、本実施形態では、図1に示すように、端子21は、半導体チップ20の下面(回路が形成されている面)側から突出する構成をなしており、端子41も、インターポーザー30から突出する構成をなしている。
また、半導体チップ20と、インターポーザー30との間の間隙には、各種樹脂材料で構成されるアンダーフィル材が充填されている。このアンダーフィル材を硬化することにより、封止層80が形成されている。すなわち、アンダーフィル材の硬化物が、封止層80である。この封止層80は、半導体チップ20と、インターポーザー30との接合強度を向上させる機能や、前記間隙への異物や水分等の浸入を防止する機能を有している。
さらに、インターポーザー30の上側には、半導体チップ20と、インターポーザー30とを覆うようにモールド部17が形成されている。モールド部17は、半導体封止材料の硬化物で構成されている。これにより、半導体装置10内において半導体チップ20が封止され、半導体チップ20に対する異物や水分等の浸入が防止される。
かかる構成の半導体装置10は、例えば、半導体用ウエハ加工用粘着テープ(ダイシングテープ)と半導体素子移送用粘着テープ(シッピングテープ)とを備える本発明の粘着テープセットを用いた半導体装置の製造方法により、以下のようにして製造される。
<半導体装置の製造方法>
図2〜図4は、図1に示す半導体装置を、本発明の粘着テープセット(および本発明の半導体素子移送用粘着テープ)を用いて製造する方法を説明するための縦断面図である。なお、以下の説明では、図2〜図4中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
[1A]まず、基材4(第1基材)と、基材4の上面に積層された粘着層2(第1粘着層)とを有する積層体(第1積層体)により構成された半導体用ウエハ加工用粘着テープ100(以下、単に「加工用粘着テープ100」ということもある。)を用意する(図2(a)参照。)。なお、図2(a)では、粘着層2が外周部121と中心部122とを備えるように、粘着層2の所定の領域(例えば平面視で円環状の領域)が除去されている。
この加工用粘着テープ100は、本発明の粘着テープセットが備え、半導体チップ20を得るために用いられる。すなわち、半導体用ウエハ7を加工用粘着テープ100に貼付(固定)した状態で、この半導体用ウエハ7を個片化することで、半導体チップ20を得ることができる。その詳細な説明については、後に行うこととする。
[2A]次に、図2(b)に示すように、図示しないダイサーテーブルの上に、加工用粘着テープ100を設置する。また、図2(b)に示すように、半導体用ウエハ7の半導体チップの回路が形成されていない側の面(非形成面)と粘着層2の中心部122とが接触するように半導体用ウエハ7を、粘着層2の上に置き、軽く押圧し、半導体用ウエハ7を粘着テープ100に積層(貼付)する(貼付工程)。
なお、加工用粘着テープ100に半導体用ウエハ7を予め貼着した後に、ダイサーテーブルに設置しても良い。
通常、半導体用ウエハ7の直径は、6インチ以上12インチ以下程度であり、その厚さは、100μm以上600μm以下程度である。
[3A]次に、粘着層2の外周部121(縁部)を、円筒状をなすウエハリング9で固定する。その後、図示しない、ダイシングソー(ブレード)を用いて半導体用ウエハ7を切断(ダイシング)して半導体用ウエハ7を個片化することで、複数の半導体チップ20を得る(個片化工程;図2(c)参照。)。
この際、加工用粘着テープ100は、緩衝作用を有しており、半導体用ウエハ7を切断する際の割れ、欠け等を防止する。
また、ダイシングブレードを用いた半導体用ウエハ7の切断は、図2(c)に示すように、ダイシングブレードが基材4の厚さ方向の途中まで到達するように実施される。これにより、半導体用ウエハの個片化を確実に実施することができる。
なお、この際、半導体用ウエハ7の切断時に生じる粉塵が飛散するのを防止すること、さらには、半導体用ウエハ7が不必要に加熱されるのを抑制することを目的に、通常、半導体用ウエハ7には切削水を供給しつつ、半導体用ウエハ7が切断される。
一般的に、ウエハリング9の厚さは、1.0mm以上1.5mm以下程度である。
[4A]次に、加工用粘着テープ100が備える粘着層2にエネルギーを付与することで、粘着層2の半導体用ウエハ7に対する粘着性を低下させる(エネルギー付与工程)。
これにより、粘着層2と半導体用ウエハ7との間で剥離が生じる状態とする。
粘着層2にエネルギーを付与する方法としては、特に限定されないが、例えば、粘着層2にエネルギー線を照射する方法、粘着層2を加熱する方法等が挙げられる。これらの中でも、粘着層2にエネルギー線を照射する方法が好ましく、粘着層2にエネルギー線を加工用粘着テープ100の基材4側から照射する方法がより好ましい。
かかる方法は、半導体チップ20が不要な熱履歴を経る必要がなく、また、粘着層2に対して比較的簡単に効率よくエネルギーを付与することができるので、エネルギーを付与する方法として好適に用いられる。
また、エネルギー線としては、例えば、紫外線、電子線、イオンビームのような粒子線等が挙げられ、これらのエネルギー線の2種以上を組み合わせて使用することもできる。これらの中でも、特に、紫外線が好ましい。紫外線を用いることにより、粘着層2の半導体用ウエハ7に対する粘着性を効率よく低下させることができる。
[5A]次に、加工用粘着テープ100を図示しないエキスパンド装置で放射状に伸ばして、個片化した半導体用ウエハ7(半導体チップ20)を一定の間隔に開く(エキスパンディング工程;図2(d)参照。)。エキスパンディング工程により、半導体チップ20のそれぞれが、一定の間隔に引き離される。その後、この半導体チップ20を、ニードル等を用いて突き上げた状態とし、この状態で、真空コレットまたはエアピンセットによる吸着等によりピックアップする(ピックアップ工程;図2(e)参照。)。
[6A]次に、基材204(第2基材)と、基材204の上面に積層された粘着層202(第2粘着層)とを有する積層体(第2積層体)により構成された半導体素子移送用粘着テープ200(以下、単に「移送用粘着テープ200」と言うこともある。)を用意する。この移送用粘着テープ200の外周部にウエハリング9を固定した後に、図3(a)に示すように、図示しないテーブルの上に設置する。その後、半導体チップ20の回路が形成されていない側の面(非形成面)と粘着層202とが接触するように、半導体チップ20を、粘着層202の上に置き、軽く押圧することで、移送用粘着テープ200に半導体チップ20を積層(貼付)する(貼付工程)。
この移送用粘着テープ200への半導体チップ20の貼付を、複数回、繰り返して実施することで、半導体用ウエハ7を個片化することにより得られた複数の半導体チップ20を、移送用粘着テープ200に再配置する。
この際、粘着層202による半導体チップ20の保持力(粘着力)は、10cN/25mm以上200cN/25mm以下であることが好ましく、35cN/25mm以上100cN/25mm以下であることがより好ましい。これにより、次工程[7A]における、半導体チップ20の移動・保管の際に、密閉空間255内で、半導体チップ20が粘着層202から離脱するのを的確に抑制または防止することができる。
この移送用粘着テープ200は、本発明の粘着テープセットが備え、半導体チップ20を再配置して、移動・保管するために用いられる。すなわち、加工用粘着テープ100からピックアップされた半導体チップ20を、移送用粘着テープ200に再配置して、移動・保管する。その詳細な説明については、後に行うこととする。
[7A]次に、図3(b)に示すように、移送用粘着テープ200に固定されたウエハリング9の上面(ウエハリング9における移送用粘着テープ200の反対側)に、保護用粘着テープ300を貼付する。これにより、再配置した半導体チップ20を、形成された密閉空間255内に収納する。
そして、この状態を維持したまま、半導体チップ20を、異なる場所に位置する次工程[8A]以降の工程が実施される異なるラインにまで移動させる。また、移動の前後には、この状態を維持したまま、半導体チップ20を保管するようにしてもよい。
[8A]次に、ウエハリング9から保護用粘着テープ300を剥離し、その後、移送用粘着テープ200が備える粘着層202にエネルギーを付与することで、粘着層202の半導体用ウエハ7に対する粘着性を低下させる(エネルギー付与工程)。
これにより、粘着層202と半導体チップ20との間で剥離が生じる状態とする。
なお、粘着層202にエネルギーを付与する方法としては、前記工程[4A]で説明した、粘着層2にエネルギーを付与する方法と同様である。
この際、粘着層202による半導体チップ20の保持力(粘着力)は、2cN/25mm以上25cN/25mm以下であることが好ましく、5cN/25mm以上20cN/25mm以下であることがより好ましい。これにより、次工程[9A]における、半導体チップ20のピックアップを、精度よく円滑に実施することができる。
また、粘着層202と半導体チップ20との間における粘着力が、粘着層202へのエネルギーの付与前においても、粘着層202と半導体チップ20との間で剥離を生じさせ得る程度の大きさである場合においては、粘着層202へのエネルギーの付与を省略することができる。
[9A]次に、図3(c)に示すように、移送用粘着テープ200上の半導体チップ20を、ニードル等を用いて突き上げた状態とし、この状態で、真空コレットまたはエアピンセットによる吸着等によりピックアップする(ピックアップ工程)。
[10A]次に、ピックアップした半導体チップ20を、真空コレットまたはエアピンセットから実装用プローブ等に受け渡して上下反転させる。その後、図4(a)に示すように、この半導体チップ20が備える端子21と、インターポーザー30が備える端子41とを、端子41上に設けられた半田バンプ85を介して対向させて、インターポーザー30の上方に半導体チップ20を設ける。すなわち、半導体チップ20の加工用粘着テープ100と接触していた面を上側にして、半導体チップ(半導体素子)20をインターポーザー(基板)30の上方に設ける。
[11A]次に、図4(b)に示すように、端子21と端子41との間に介在した半田バンプ85を加熱しつつ、インターポーザー30と半導体チップ20とを接近させる。
これにより、溶融した半田バンプ85が端子21および端子41の双方に接触し、この状態で、冷却することで、接続部81が形成され、その結果、接続部81を介して、端子21と端子41とが電気的に接続される(搭載工程;図4(c)参照。)。
[12A]次に、半導体チップ20と、インターポーザー30との間に形成された間隙に、各種樹脂材料で構成されるアンダーフィル材(封止材)を充填し、その後、このアンダーフィル材を硬化させることにより、アンダーフィル材の硬化物で構成された封止層80を形成する(封止層形成工程;図4(d)参照。)。
[13A]次に、インターポーザー30の上側に、半導体チップ20と、インターポーザー30とを覆うように、モールド部17を形成する。これにより、半導体チップ20が、インターポーザー30とモールド部17とで封止される。さらに、インターポーザー30が備えるビアを介して端子41の一部に電気的に接続された、バンプ70をインターポーザー30の下側から突出するように形成する(図4(e)参照。)。
ここで、モールド部17による封止は、以下のようにして行われてもよい。例えば、形成すべきモールド部17の形状に対応した内部空間を備える成形型を用意する。この内部空間内に半導体チップ20とインターポーザー30とを配置し、これらを覆うように、粉末状をなす半導体封止材料を内部空間に充填する。そして、この状態で、半導体封止材料を加熱することにより硬化させて、半導体封止材料の硬化物であるモールド部17を形成する。これにより、モールド部17による封止が行われる。
以上のような工程を有する半導体装置の製造方法により、半導体装置10が得られる。より詳しくは、前記工程[1A]〜[13A]を実施した後に、前記工程[9A]〜[13A]を繰り返して実施することで、1つの半導体用ウエハ7から複数の半導体装置10を一括して製造することができる。
以下、このような半導体装置10の製造方法に用いられる本発明の粘着テープセットが、それぞれ、少なくとも1枚ずつ備える半導体用ウエハ加工用粘着テープ100および移送用粘着テープ200について説明する。
なお、半導体用ウエハ加工用粘着テープ100は、図5に示すように、基材4(第1基材)と、この基材4の上面(一方の面)に積層された粘着層2(第1粘着層)とを備える積層体(第1積層体)により構成される。移送用粘着テープ200は、図6に示すように、基材204(第2基材)と、この基材204(第2基材)の上面に積層された粘着層202(第2粘着層)とを備える積層体(第2積層体)により構成される。粘着層2に対するヘキサデカンの接触角が10°以上となり、さらに、粘着層202に対するヘキサデカンの接触角が10°未満となるように、粘着層2および粘着層202に含まれる構成材料が異なる。この異なる点以外は、加工用粘着テープ100および移送用粘着テープ200は、同一の構成である。このため、以下では、この異なる点を除いて、加工用粘着テープ100を代表に説明する。
<半導体用ウエハ加工用粘着テープ>
図5は、半導体用ウエハ加工用粘着テープの実施形態、および、図1に示す半導体装置を、本発明の半導体素子移送用粘着テープを用いて製造する際に使用される半導体用ウエハ加工用粘着テープの一例を示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図5中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
加工用粘着テープ100は、樹脂材料を含有するシート状をなす基材4と、この基材4の上面(一方の面)に積層された粘着層2とを備える積層体により構成される。以下、これら基材4および粘着層2について説明する。
なお、加工用粘着テープ100は、粘着層2にエネルギーを付与することで、粘着層2の半導体用ウエハ7に対する粘着性が低下する機能を有する。また、移送用粘着テープ200は、粘着層202にエネルギーを付与することで、粘着層202の半導体チップ20に対する粘着性が低下する機能を有する。このような粘着層2にエネルギーを付与する方法としては、粘着層2にエネルギー線を照射する方法および粘着層2を加熱する方法等が挙げられる。これらの中でも、半導体チップ20が不要な熱履歴を経る必要がないことから、粘着層2にエネルギー線を照射する方法が好適に用いられる。そのため、以下では、粘着層2として、エネルギー線の照射により前記粘着性が低下する場合を代表に説明する。
<基材4>
基材4は、主として樹脂材料から成り、シート状をなしており、この基材4上に設けられた粘着層2を支持する機能を有している。また、基材4は、前記工程[5A]おけるエキスパンド装置を用いた加工用粘着テープ100の面方向に対する伸長を実現させることができる。
かかる樹脂材料としては、特に限定されず、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレンのようなポリエチレン、ランダム共重合ポリプロピレン、ブロック共重合ポリプロピレン、ホモポリプロピレンのようなポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、ポリイソブチレン等のポリオレフィン系樹脂(オレフィン系高分子)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、亜鉛イオン架橋体、ナトリウムイオン架橋体のようなアイオノマー、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル(ランダム、交互)共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体等のオレフィン系共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂(エステル類高分子)、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトンのようなポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、セルロース系樹脂、スチレン系熱可塑性エラストマー(スチレン系高分子)、ポリプロピレン系熱可塑性エラストマーのようなオレフィン系熱可塑性エラストマー(オレフィン系高分子)、アクリル樹脂、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリビニルイソプレン、ポリカーボネート(カーボネート系高分子)等の熱可塑性樹脂や、これらの熱可塑性樹脂の混合物が用いられる。これらの中でも、エステル類高分子、スチレン系高分子、オレフィン系高分子、カーボネート系高分子、アイオノマー、またはこれらの高分子の少なくとも1種が含有されている共重合物であることが好ましい。
これらの樹脂材料は、光(可視光線、近赤外線、紫外線)、X線、電子線等のエネルギー線を透過し得る材料であることから、エネルギー線を基材4側から基材4を透過させて粘着層2に照射する場合に好ましく用いることができる。そのため、エネルギー線を基材4側から粘着層2に照射することで、粘着層2の粘着性を低下させて半導体チップ20を容易にピックアップすることができる。
特に、樹脂材料としては、ポリプロピレンとエラストマーとの混合物、またはポリエチレンとエラストマーとの混合物を用いることが好ましい。
また、このエラストマーとしては、下記一般式(1)で示されるポリスチレンセグメントと、下記一般式(2)で示されるビニルポリイソプレンセグメントとから成るブロック共重合体(スチレン−イソプレンブロック共重合体:SIS)が好ましい。
また、基材4は、導電性を有する導電性材料を含有することが好ましい。このような導電性材料が含まれることで、導電性材料に帯電防止剤としての機能を発揮させて、前記個片化工程[3A]、および、前記ピックアップ工程[5A]、[9A]における、半導体チップ20での静電気の発生を的確に抑制または防止することができる。
この導電性材料としては、導電性を有すれば、特に限定されないが、例えば、界面活性剤、永久帯電防止高分子(IDP)、金属材料、金属酸化物材料および炭素系材料等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらのうち界面活性剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤等が挙げられる。
永久帯電防止高分子(IDP)としては、例えば、ポリエーテルとポリオレフィンブロックポリマー系列、ポリエステルアミド系列、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステルアミド、ポリウレタン系列等の全てのIDPを用いることができる。
また、金属材料としては、金、銀、銅または銀コート銅、ニッケル等が挙げられ、これらの金属粉が好ましく用いられる。
金属酸化物材料としては、インジウムティンオキサイド(ITO)、インジウムオキサイド(IO)、アンチモンティンオキサイド(ATO)、インジウムジンクオキサイド(IZO)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)等が挙げられ、これらの金属酸化物粉が好ましく用いられる。
さらに、炭素系材料としては、カーボンブラック、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブのようなカーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、CNナノチューブ、CNナノファイバー、BCNナノチューブ、BCNナノファイバー、グラフェン等が挙げられる。
さらに、基材4は、鉱油のような軟化剤、炭酸カルシウム、シリカ、タルク、マイカ、クレーのような充填材、酸化防止剤、光安定剤、滑剤、分散剤、中和剤、着色剤等を含有していてもよい。
基材4の平均厚さは、特に限定されないが、例えば、10μm以上300μm以下であるのが好ましく、30μm以上200μm以下であるのがより好ましく、80μm以上200μm以下であるのがさらに好ましい。基材4の平均厚さがこの範囲内であると、前記工程[3A]における半導体用ウエハ7のダイシングを、優れた作業性により実施することができる。また、移送用粘着テープ200においては、基材204の平均厚さがこの範囲内であることにより、粘着層202を介して固定される半導体チップ20を確実に支持することができる。
さらに、基材4は、その表面に、粘着層2に含まれる構成材料と反応性を有する、ヒドロキシル基、アミノ基のような官能基が露出していることが好ましい。
また、基材4は、異なる前記樹脂材料で構成される層を複数積層した積層体(多層体)で構成されてもよい。さらに、前記樹脂材料をドライブレンドしたブレンドフィルムで構成されてもよい。
<粘着層>
粘着層2は、前記工程[3A]において、半導体用ウエハ7をダイシングする際に、半導体用ウエハ7を粘着して支持する機能を有している。また、この粘着層2にエネルギーを付与することにより、半導体用ウエハ7に対する粘着層2の粘着性が低下する。これにより、粘着層2と半導体用ウエハ7との間で容易に剥離を生じさせ得る状態となる。なお、移送用粘着テープ200においては、粘着層202は、半導体チップ20を移送・保管する際に、半導体チップ20を粘着して支持する機能を有している。また、この粘着層202にエネルギーを付与することにより、半導体チップ20に対する粘着層202の粘着性が低下する。これにより、粘着層202と半導体チップ20との間で容易に剥離を生じさせ得る状態となる。
かかる機能を備える粘着層2は、(1)粘着性を有するベース樹脂と、(2)粘着層2を硬化させる硬化性樹脂と、を主材料として含有する樹脂組成物で構成される。
以下、樹脂組成物に含まれる各成分について、順次、説明する。
(1)ベース樹脂
ベース樹脂は、粘着性を有し、粘着層2へのエネルギー線の照射前に、半導体用ウエハ7に対する粘着性を粘着層2に付与するために、樹脂組成物中に含まれる。なお、移送用粘着テープ200においては、ベース樹脂は、粘着層202へのエネルギー線の照射前に、半導体チップ20に対する粘着性を粘着層202に付与するために、樹脂組成物中に含まれる。
このようなベース樹脂としては、アクリル系樹脂(粘着剤)、シリコーン系樹脂(粘着剤)、ポリエステル系樹脂(粘着剤)、ポリ酢酸ビニル系樹脂(粘着剤)、ポリビニルエーテル系樹脂(粘着剤)、スチレン系エラストマー樹脂(粘着剤)、ポリイソプレン系樹脂(粘着剤)、ポリイソブチレン系樹脂(粘着剤)またはウレタン系樹脂(粘着剤)のような粘着層成分として用いられる公知のベース樹脂が挙げられる。これらの中でも、アクリル系樹脂を用いることが好ましい。アクリル系樹脂は、耐熱性に優れ、また、比較的容易かつ安価に入手できることから、ベース樹脂として好ましく用いられる。
アクリル系樹脂のベースポリマーは、(メタ)アクリル酸エステルをモノマー主成分とするポリマー(ホモポリマーまたはコポリマー)である。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシルのような(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルのような(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル、(メタ)アクリル酸フェニルのような(メタ)アクリル酸アリールエステル等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチルのような(メタ)アクリル酸アルキルエステルであることが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、特に、耐熱性に優れ、また、比較的容易かつ安価に入手できる。
なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとの双方を含む意味で用いることとする。
また、このアクリル系樹脂は、そのガラス転移点が20℃以下であることが好ましい。これにより、粘着層2へのエネルギー線の照射前において、粘着層2に優れた粘着性を発揮させることができる。
アクリル系樹脂は、凝集力、耐熱性等の改質等を目的として、必要に応じて、ポリマーを構成するモノマー成分として、共重合性モノマーを含むことができる。
このような共重合性モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシルのようなヒドロキシル基含有モノマー、(メタ)アクリル酸グリシジルのようなエポキシ基含有モノマー、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸のようなカルボキシル基含有モノマー、無水マレイン酸、無水イタコン酸のような酸無水物基含有モノマー、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドのようなアミド系モノマー、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルのようなアミノ基含有モノマー、(メタ)アクリロニトリルのようなシアノ基含有モノマー、エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、イソブチレンのようなオレフィン系モノマー、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンのようなスチレン系モノマー、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのようなビニルエステル系モノマー、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルのようなビニルエーテル系モノマー、塩化ビニル、塩化ビニリデンのようなハロゲン原子含有モノマー、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルのようなアルコキシ基含有モノマー、N−ビニル−2−ピロリドン、N−メチルビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール、N−ビニルモルホリン、N−ビニルカプロラクタム、N−(メタ)アクリロイルモルホリン等の窒素原子含有環を有するモノマー等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これら共重合性モノマーの含有量は、アクリル系樹脂を構成する全モノマー成分に対して、40重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましい。
また、共重合性モノマーは、アクリル系樹脂を構成するポリマーにおける主鎖の末端に含まれていてもよいし、その主鎖中に含まれていてもよく、さらには、主鎖の末端と主鎖中との双方に含まれていてもよい。
さらに、共重合性モノマーには、ポリマー同士の架橋等を目的として、多官能性モノマーが含まれていてもよい。
多官能性モノマーとしては、例えば、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ブチルジ(メタ)アクリレート、ヘキシルジ(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、エチレン−酢酸ビニルコポリマーおよび酢酸ビニルポリマー等も、共重合性モノマー成分として用いることができる。
なお、このようなアクリル系樹脂(ポリマー)は、単一のモノマー成分または2種以上のモノマー成分の混合物を重合させることにより生成させることができる。また、これらモノマー成分の重合は、例えば、溶液重合方法、乳化重合方法、塊状重合方法、懸濁重合方法等の重合方法を用いて実施することができる。
以上、説明したモノマー成分を重合することにより得られるアクリル系樹脂としては、炭素−炭素二重結合を、側鎖、主鎖中または主鎖の末端に有しているアクリル系樹脂(「二重結合導入型アクリル系樹脂」と言うこともある。)であることが好ましい。アクリル系樹脂が二重結合導入型アクリル系樹脂である場合には、後述する硬化性樹脂の添加を省略したとしても、得られる粘着層2に、上述した粘着層2としての機能を発揮させることができる。
このような二重結合導入型アクリル系樹脂としては、アクリル系樹脂を構成するポリマー内の側鎖のうち、1/100以上の側鎖のそれぞれに、炭素−炭素二重結合を1個有している二重結合導入型アクリル系樹脂(「二重結合側鎖導入型アクリル系樹脂」と言うこともある。)であることが好ましい。このように、炭素−炭素二重結合を、アクリル系樹脂の側鎖に導入することは、分子設計の点からも有利である。なお、この二重結合側鎖導入型アクリル系樹脂は、主鎖中や、主鎖の末端にも、炭素−炭素二重結合を有していてもよい。
このような二重結合導入型アクリル系樹脂の合成方法(すなわち、アクリル系樹脂に炭素−炭素二重結合を導入する方法)としては、特に限定されず、例えば、次のような方法が挙げられる。まず、共重合性モノマーとして官能基を有するモノマーを用いて共重合して、官能基を含有するアクリル系樹脂(「官能基含有アクリル系樹脂」と言うこともある。)を合成する。その後、官能基含有アクリル系樹脂中の官能基と反応し得る官能基と、炭素−炭素二重結合とを有する化合物(「炭素−炭素二重結合含有反応性化合物」と言うこともある。)を、官能基含有アクリル系樹脂に、炭素−炭素二重結合のエネルギー線硬化性(エネルギー線重合性)を維持した状態で、縮合反応または付加反応させる。これにより、二重結合導入型アクリル系樹脂を合成することができる。
なお、アクリル系樹脂に炭素−炭素二重結合を、全側鎖のうちの1/100以上の側鎖に導入する際の制御手段としては、例えば、官能基含有アクリル系樹脂に縮合反応または付加反応させる化合物である炭素−炭素二重結合含有反応性化合物の含有量を適宜調節することにより行う方法等が挙げられる。
また、官能基含有アクリル系樹脂に炭素−炭素二重結合含有反応性化合物を縮合反応又は付加反応させる際には、触媒を用いることにより、前記反応を効果的に進行させることができる。このような触媒としては、特に制限されないが、ジラウリン酸ジブチルスズのようなスズ系触媒が好ましく用いられる。このスズ系触媒の含有量としては、特に制限されないが、例えば、官能基含有アクリル系樹脂100重量部に対して0.05重量部以上1重量部以下であることが好ましい。
また、官能基含有アクリル系樹脂における官能基Aおよび炭素−炭素二重結合含有反応性化合物における官能基Bとしては、例えば、カルボキシル基、酸無水物基、ヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、アジリジン基等が挙げられ、さらに、官能基含有アクリル系樹脂における官能基Aと、炭素−炭素二重結合含有反応性化合物における官能基Bとの組み合わせとしては、例えば、カルボン酸基(カルボキシル基)とエポキシ基との組み合わせ、カルボン酸基とアジリジン基との組み合わせ、ヒドロキシル基とイソシアネート基との組み合わせ、ヒドロキシル基とカルボキシル基との組み合わせ等の各種の組み合わせが挙げられる。これらの中でも、ヒドロキシル基とイソシアネート基との組み合わせであることが好ましい。これにより、これら官能基A、B同士の反応追跡を容易に行うことができる。
さらに、これらの官能基A、Bの組み合わせにおいて、何れの官能基が、官能基含有アクリル系樹脂の官能基Aまたは炭素−炭素二重結合含有反応性化合物の官能基Bとなっていてもよいが、例えば、ヒドロキシル基とイソシアネート基との組み合わせの場合、ヒドロキシル基が、官能基含有アクリル系樹脂における官能基Aとなっており、イソシアネート基が、炭素−炭素二重結合含有反応性化合物における官能基Bとなっていることが好ましい。
この場合、官能基含有アクリル系樹脂を構成する官能基Aを有するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸のようなカルボキシル基を有するモノマー、無水マレイン酸、無水イタコン酸のような酸無水物基を有するモノマー、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、ビニルアルコール、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、プロピレングリコールモノビニルエーテル、ジプロピレングリコールモノビニルエーテルのようなヒドロキシル基を有するモノマー、(メタ)アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテルのようなエポキシ基を有するモノマー等が挙げられる。
また、官能基Bを有する炭素−炭素二重結合含有反応性化合物としては、イソシアネート基を有する例として、例えば、(メタ)アクリロイルイソシアネート、(メタ)アクリロイルオキシメチルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルイソシアネート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルイソシアネート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルイソシアネート、m−プロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等が挙げられ、エポキシ基を有する例として、(メタ)アクリル酸グリシジル等が挙げられる。
アクリル系樹脂は、半導体チップ20を、粘着層2からピックアップさせる際に、アクリル系樹脂を半導体チップ20に残存させないという観点から、低分子量物の含有量が少ないものであることが好ましい。この場合、アクリル系樹脂の重量平均分子量としては、好ましくは30万〜500万に設定され、より好ましくは50万〜500万に設定され、さらに好ましくは80万〜300万に設定される。なお、アクリル系樹脂の重量平均分子量が、モノマー成分の種類等によっては、前記下限値未満であると、半導体チップ20に対する汚染防止性が低下し、半導体チップ20をピックアップさせた際に糊残りが生じるおそれがある。
なお、アクリル系樹脂は、ヒドロキシル基やカルボキシル基(特に、ヒドロキシル基)のような、架橋剤や光重合開始剤に対して反応性を有する官能基(反応性官能基)を有していることが好ましい。これにより、架橋剤や光重合開始剤がポリマー成分であるアクリル樹脂に連結するため、粘着層2からこれら架橋剤や光重合開始剤が漏出することを的確に抑制または防止することができる。その結果、エネルギー線照射により、粘着層2の半導体チップ20に対する粘着性が確実に低下される。
(2)硬化性樹脂
硬化性樹脂は、例えば、エネルギー線の照射により硬化する硬化性を備える。この硬化によってベース樹脂が硬化性樹脂の架橋構造に取り込まれた結果、粘着層2の粘着力(粘着性)が低下する。
このような硬化性樹脂としては、例えば、紫外線、電子線等のエネルギー線の照射によって三次元架橋可能な重合性炭素−炭素二重結合を、官能基として少なくとも2個以上分子内に有する低分子量化合物が用いられる。具体的には、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレートのような(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル化物、エステルアクリレートオリゴマー、2−プロペニル−ジ−3−ブテニルシアヌレート等の炭素−炭素二重結合含有基を有しているシアヌレート系化合物、トリス(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、2−ヒドロキシエチル ビス(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ビス(2−アクリロキシエチル)2−[(5−アクリロキシヘキシル)−オキシ]エチルイソシアヌレート、トリス(1,3−ジアクリロキシ−2−プロピル−オキシカルボニルアミノ−n−ヘキシル)イソシアヌレート、トリス(1−アクリロキシエチル−3−メタクリロキシ−2−プロピル−オキシカルボニルアミノ−n−ヘキシル)イソシアヌレート、トリス(4−アクリロキシ−n−ブチル)イソシアヌレートのような炭素−炭素二重結合含有基を有しているイソシアヌレート系化合物、市販のオリゴエステルアクリレート、芳香族系、脂肪族系等のウレタンアクリレート等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、官能基数が6官能以上であるオリゴマーが含まれることが好ましく、官能基数が15官能以上であるオリゴマーが含まれることがより好ましい。これにより、エネルギー線の照射により硬化性樹脂をより確実に硬化させることができる。また、このような硬化性樹脂は、ウレタンアクリレートであることが好ましい。これにより、粘着層2に適度な柔軟性を付与することができるため、ピックアップ時の糊割れを抑制できるという効果が得られる。
なお、このウレタンアクリレートは、特に限定されないが、例えば、ポリエステル型またはポリエーテル型等のポリオール化合物と、多価イソシアナート化合物(例えば、2,4−トリレンジイソシアナート、2,6−トリレンジイソシアナート、1,3−キシリレンジイソシアナート、1,4−キシリレンジイソシアナート、ジフェニルメタン4,4−ジイソシアナート等)を反応させて得られる末端イソシアナートウレタンプレポリマーに、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等)を反応させて得られる。
また、硬化性樹脂には、特に限定されないが、重量平均分子量の異なる2つ以上の硬化性樹脂が混合されているのが好ましい。このような硬化性樹脂を利用すれば、エネルギー線照射による樹脂の架橋度を容易に制御することができ、半導体チップ20を粘着層2から容易にピックアップすることができる。また、このような硬化性樹脂として、例えば、第1の硬化性樹脂と、第1の硬化性樹脂よりも重量平均分子量が大きい第2の硬化性樹脂との混合物等が用いられてもよい。
硬化性樹脂は、ベース樹脂100重量部に対して5重量部以上500重量部以下で配合されることが好ましく、10重量部以上300重量部以下で配合されることがより好ましく、20重量部以上200重量部以下で配合されることがさらに好ましい。上記のように硬化性樹脂の配合量を調整することによって、半導体チップ20を粘着層2から容易にピックアップすることができる。
なお、この硬化性樹脂の樹脂組成物中への添加は、前述したアクリル系樹脂として、二重結合導入型アクリル系樹脂を用いた場合、すなわち、炭素−炭素二重結合を、側鎖、主鎖中または主鎖の末端に有しているアクリル系樹脂を用いた場合には、省略するようにしてもよい。これは、アクリル系樹脂が二重結合導入型アクリル系樹脂である場合には、エネルギー線の照射により、二重結合導入型アクリル系樹脂が備える炭素−炭素二重結合の機能によって、粘着層2が硬化し、これにより、粘着層2の粘着力が低下することによる。
(3)光重合開始剤
また、粘着層2は、エネルギー線の照射により半導体用ウエハ7に対する粘着性が低下する。また、粘着層202は、エネルギー線の照射により半導体チップ20に対する粘着性が低下する。このエネルギー線として紫外線等を用いる場合には、硬化性樹脂には、硬化性樹脂の重合開始を容易とするために光重合開始剤を含有することが好ましい。
光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシ−α,α’−ジメチルアセトフェノン、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ミヒラーズケトン、アセトフェノン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルホリノプロパン−1、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジル、ベンゾイン、ジベンジル、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシメチルフェニルプロパン、2−ナフタレンスルホニルクロリド、1−フェノン−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、4,4'−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、o−アクリルオキシベンゾフェノン、p−アクリルオキシベンゾフェノン、o−メタクリルオキシベンゾフェノン、p−メタクリルオキシベンゾフェノン、p−(メタ)アクリルオキシエトキシベンゾフェノン、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリラート、1,2−エタンジオールモノ(メタ)アクリラート、1,8−オクタンジオールモノ(メタ)アクリラートのようなアクリラートのベンゾフェノン−4−カルボン酸エステル、チオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン、アゾビスイソブチロニトリル、β−クロールアンスラキノン、カンファーキノン、ハロゲン化ケトン、アシルホスフィノキシド、アシルホスフォナート、ポリビニルベンゾフェノン、クロロチオキサントン、ドデシルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−エチルアントラキノン、t−ブチルアントラキノン、2,4,5−トリアリ−ルイミダゾール二量体、等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、これらの中でも、ベンゾフェノン誘導体およびアルキルフェノン誘導体であることが好ましい。これらの化合物は、分子中に反応性官能基として水酸基を備え、この反応性官能基を介して、ベース樹脂や硬化性樹脂に連結することができ、光重合開始剤としての機能をより確実に発揮させることができる。
光重合開始剤は、ベース樹脂100重量部に対して0.1重量部以上50重量部以下で配合されることが好ましく、0.5重量部以上10重量部以下で配合されることがより好ましい。上記のように光重合開始剤の配合量を調整することによって、半導体チップ20のピックアップ性は好適となる。
(4)架橋剤
さらに、硬化性樹脂には、架橋剤が含まれていてもよい。架橋剤が含まれることで、硬化性樹脂の硬化性の向上が図られる。
架橋剤としては、特に限定されないが、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、尿素樹脂系架橋剤、メチロール系架橋剤、キレート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤、多価金属キレート系架橋剤、酸無水物系架橋剤、ポリアミン系架橋剤、カルボキシル基含有ポリマー系架橋剤等が挙げられる。これらの中でもイソシアネート系架橋剤が好ましい。
イソシアネート系架橋剤としては、特に限定されないが、例えば、多価イソシアネートのポリイソシアネート化合物およびポリイソシアネート化合物の三量体、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られる末端イソシアネート化合物の三量体または末端イソシアネートウレタンプレポリマーをフェノール、オキシム類等で封鎖したブロック化ポリイソシアネート化合物等が挙げられる。
また、多価イソシアネートとして、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’−〔2,2−ビス(4−フェノキシフェニル)プロパン〕ジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも2,4−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートおよびヘキサメチレンジイソシアネートから成る群より選択される少なくとも1種の多価イソシアネートが好ましい。
架橋剤は、ベース樹脂100重量部に対して0.01重量部以上50重量部以下で配合されることが好ましく、5重量部以上50重量部以下で配合されることがより好ましい。上記のように架橋剤の配合量を調整することによって、半導体チップ20の粘着層2(粘着層202)からのピックアップ性(半導体チップ20のピックアップ性)が好適となる。
(5)導電性材料(帯電防止剤)
さらに、粘着層2を構成する樹脂組成物には、導電性を有する導電性材料を含有することが好ましい。このような導電性材料が含まれることで、導電性材料に帯電防止剤としての機能を発揮させて、前記個片化工程[3A]、および、前記ピックアップ工程[5A]、[9A]における、半導体チップ20での静電気の発生が的確に抑制または防止される。
この導電性材料としては、導電性を有すれば、特に限定されないが、前記基材4に含まれる導電性材料として説明したのと、同様に、例えば、界面活性剤、永久帯電防止高分子(IDP)、金属材料、金属酸化物材料および炭素系材料等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、基材4および粘着層2のうちの一方に導電性材料を含有させる構成とする場合には、基材4に導電性材料を含有させることが好ましい。これにより、半導体チップ20に導電性材料を確実に付着させることなく、半導体チップ20での静電気の発生をより的確に抑制または防止することができる。
(6)その他の成分
さらに、粘着層2を構成する樹脂組成物には、上述した各成分(1)〜(5)の他に他の成分として、粘着付与剤、老化防止剤、粘着調整剤、充填材、着色剤、難燃剤、軟化剤、酸化防止剤、可塑剤、界面活性剤(例えばレベリング剤としての界面活性剤)等のうちの少なくとも1種が含まれていてもよい。
なお、これらのうち粘着付与剤としては、特に限定されないが、例えば、ロジン樹脂、テルペン樹脂、クマロン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂肪族芳香族共重合系石油樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、粘着層2の平均厚さは、特に限定されないが、例えば、1μm以上30μm以下であるのが好ましく、5μm以上30μm以下であるのがより好ましく、10μm以上20μm以下であるのがさらに好ましい。粘着層2の平均厚さをかかる範囲内とすることで、粘着層2は、粘着層2へのエネルギー付与前には、良好な粘着力を発揮するとともに、粘着層2へのエネルギー付与後には、粘着層2と半導体用ウエハ7との間において、良好な剥離性を発揮する。また、粘着層202の平均厚さをかかる範囲内とすることで、粘着層202は、粘着層202へのエネルギー付与前には、良好な粘着力を発揮するとともに、粘着層202へのエネルギー付与後には、粘着層202と半導体チップ20との間において、良好な剥離性を発揮する。
なお、粘着層2は、異なる前記樹脂組成物で構成される層を複数積層した積層体(多層体)で構成されていてもよい。
また、粘着層2と半導体チップ20との間における粘着力が、粘着層2へのエネルギーの付与前においても、粘着層2と半導体チップ20との間で剥離を生じさせ得る程度の大きさである場合においては、粘着層2へのエネルギーの付与後における粘着力を低下させる機能を付与するために含まれる(2)硬化性樹脂、(3)光重合開始剤、(4)架橋剤の粘着層2への添加を省略することもできる。
以上のような構成をなす加工用粘着テープ100と移送用粘着テープ200とは、それぞれにおいて、粘着層2に対するヘキサデカンの接触角が10°以上であり、かつ、粘着層202に対するヘキサデカンの接触角が10°未満であることを満足し得るように、粘着層2および粘着層202に含まれる構成材料が選択されるが、以下、これらの点について詳述する。
ここで、前述の通り、加工用粘着テープ100は、半導体用ウエハ7を貼付した状態で、半導体用ウエハ7を個片化することで、半導体チップ20を得るために用いられ、移送用粘着テープ200は、加工用粘着テープ100からピックアップされた半導体チップ20を、再配置して、移動・保管するために用いられる。
このようにして、半導体装置の製造方法において、加工用粘着テープ100および移送用粘着テープ200が使用されるが、加工用粘着テープ100からピックアップされた半導体チップ20は、粘着層2に接触していた下面(回路が形成されていない非形成面)側に、粘着層2の一部が付着(残存)した状態で、移送用粘着テープ200が備える粘着層202に貼付されると考えられる。
また、前述の半導体装置の製造方法では、前記工程[9A]〜[13A]を繰り返して実施することで、複数の半導体装置10が一括して製造される。そのため、12インチのように大型化された半導体用ウエハ7を用いた場合のように、1つの半導体用ウエハ7から取得される半導体チップ20の個数が多くなるほど、複数の半導体チップ20を、移送用粘着テープ200に再配置する時間(配置時間)が増加する。その結果、移送用粘着テープ200の粘着層202に半導体チップ20が貼付されている時間が、最初の方に搭載工程[10A]に移行される半導体チップ20と、最後の方に搭載工程[10A]に移行される半導体チップ20とでは、大きく異なってくる。
これらのことから、最初の方に搭載工程[10A]に移行される半導体チップ20と、最後の方に搭載工程[10A]に移行される半導体チップ20とにおいて、粘着層202により半導体チップ20が移送用粘着テープ200に保持される粘着力(保持力)に差が生じる。この粘着力の差に起因して、ピックアップ工程[9A]における、移送用粘着テープ200からの半導体チップ20のピックアップを安定的に実施することができないと言う問題があった。
かかる問題点について、鋭意検討を行った結果、この半導体チップ20の下面側に残存すると考えられる粘着層2に対するヘキサデカンの濡れ広がり性と、半導体チップ20の下面側が接触する粘着層202に対するヘキサデカンの濡れ広がり性との関係が、粘着層202による半導体チップ20の保持力、ひいては、この保持力の時間的な安定性に関係することが判ってきた。
そして、本発明者のさらなる検討の結果、粘着層2(第1粘着層)に対するヘキサデカンの接触角を10°以上とし、粘着層202(第2粘着層)に対するヘキサデカンの接触角を10°未満とすることにより、エネルギー付与工程[8A]前には、密閉空間255内において粘着層202により半導体チップ20を保持し、エネルギー付与工程[8A]後には、粘着層202から半導体チップ20を剥離させ得る保持力とすることができるとともに、ピックアップ工程[9A]における、移送用粘着テープ200からの半導体チップ20のピックアップを、最初の方に搭載工程[10A]に移行される半導体チップ20と、最後の方に搭載工程[10A]に移行される半導体チップ20との間で大きな差が生じることなく、安定的に実施し得ることを見出し、本発明(第1の発明)を完成するに至った。
なお、ピックアップ工程[9A]における、移送用粘着テープ200からの半導体チップ20のピックアップを、最初の方に搭載工程[10A]に移行される半導体チップ20と、最後の方に搭載工程[10A]に移行される半導体チップ20との間で大きな差が生じることなく、安定的に実施し得るのは、以下に示すメカニズムによると推察される。
すなわち、粘着層2に対するヘキサデカンの接触角が10°以上であり、かつ、粘着層202に対するヘキサデカンの接触角が10°未満であると、粘着層2が親水性(疎油性)を示し、粘着層202が疎水性(親油性)を示していると言える。粘着層2および粘着層202をかかる構成とすることで、半導体チップ20の下面(接触面)側への粘着層2の移行が円滑に行われ、半導体チップ20の下面に粘着層2の一部を適切な量で付着させた状態とすることができるとともに、半導体チップ20の下面側に残存する粘着層2と、半導体チップ20の下面側が接触する粘着層202との間で相互作用が生じるのを的確に抑制または防止することができる。そのため、これら同士の間での接合強度、ひいては、粘着層202による半導体チップ20の保持力に経時的な変化が生じるのが的確に抑制または防止されていると推察される。
また、粘着層2に対するヘキサデカンの接触角は、10°以上であればよいが、30°以上70°以下であることが好ましく、35°以上55°以下であることがより好ましく、さらに、粘着層202に対するヘキサデカンの接触角は、10°未満であればよいが、3°以上8°未満であることが好ましい。これにより、エネルギー付与工程[8A]前には、密閉空間255内において粘着層202により半導体チップ20をより安定的に保持し、エネルギー付与工程[8A]後には、粘着層202から半導体チップ20を容易に剥離させ得る程度の保持力に設定することができる。
さらに、粘着層2に対するヘキサデカンの接触角をA[°]とし、粘着層202に対するヘキサデカンの接触角をB[°]としたとき、20°≦A−Bなる関係を満足することが好ましく、35°≦A−B≦50°なる関係を満足することがより好ましい。これにより、エネルギー付与工程[8A]後における、粘着層202による半導体チップ20の保持力に経時的な変化が生じるのを、より的確に抑制または防止することができる。
また、粘着層2、202に対するヘキサデカンの接触角の他、さらに、粘着層2に対する純水の接触角が90°以下であり、かつ、粘着層202に対する純水の接触角が90°超であることが好ましく、粘着層2に対する純水の接触角が60°以上80°以下であり、かつ、粘着層202に対する純水の接触角が100°超120°以下であることがより好ましい。さらに、粘着層2に対する純水の接触角をC[°]とし、粘着層202に対する純水の接触角をDとしたとき、接触角Cと接触角Dとの差の絶対値は、−40°≦C−D≦−20°なる関係を満足するのが好ましい。これにより、エネルギー付与工程[8A]後における、粘着層202による半導体チップ20の保持力に経時的な変化が生じるのを、より的確に抑制または防止することができる。
さらに、粘着層2に対するヘキサデカンの接触角を10°以上とし、かつ、粘着層202に対するヘキサデカンの接触角を10°未満とするには、粘着層2に含まれる構成材料と、粘着層202に含まれる構成材料との組み合わせを適宜選択することにより実現し得る。特に、レベリング剤等としての界面活性剤の添加の有無、その含有量を適宜設定することにより、上記接触角を確実に調整することができる。具体的には、界面活性剤を含有する層に対するヘキサデカンの接触角を、界面活性剤を含有しない層に対するヘキサデカンの接触角と比較して、低く設定することが可能である。そのため、粘着層2が界面活性剤を含有せず、粘着層202が界面活性剤を含有する組み合わせとすることで、粘着層202に対するヘキサデカンの接触角Bを、粘着層2に対するヘキサデカンの接触角Aよりも小さく設定することができ、具体的には、接触角Aを10°以上とし、かつ、接触角Bを10°未満とすることができる。
なお、粘着層に対するヘキサデカンの接触角を低く設定することができる、界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性および非イオン性の界面活性剤のいずれであっても良いが、例えば、ペルフルオロアルキルスルホン酸(CF3(CF2)nSO3H;nは、1以上の整数)、ペルフルオロアルキルカルボン酸(CF3(CF2)nCOOH;nは、1以上の整数)、フッ素テロマーアルコール(F(CF2)nCH2CH2OH;nは、1以上の整数)のようなフッ素系界面活性剤(アニオン性界面活性剤)が好ましく用いられる。
また、エネルギー付与工程[8A]における、粘着層202へのエネルギー付与後の粘着層202による半導体チップ20の保持力(粘着力)が経時的に変化しないことが好ましい。具体的には、エネルギー付与直後の粘着層202の保持力をE[cN/25mm]とし、エネルギー付与後60℃の温度で7日間保管した後の粘着層202の保持力をF[cN/25mm]としたとき、F/E≦2.0なる関係を満足することが好ましく、F/E≦1.5なる関係を満足することがより好ましい。かかる関係を満足することにより、エネルギー付与工程[8A]後における、粘着層202による半導体チップ20の保持力が、経時的な変化が生じているのが抑制されていると言うことができる。その結果、最初の方に搭載工程[10A]に移行される半導体チップ20、および、最後の方に搭載工程[10A]に移行される半導体チップ20ともに、ピックアップ工程[9A]における、移送用粘着テープ200からの半導体チップ20のピックアップを安定的に実施することができる。
また、エネルギー付与工程[8A]における、粘着層202へのエネルギー付与後の粘着層202による半導体チップ20の保持力(粘着力)は、前記工程[2A]における、半導体用ウエハ7に対する加工用粘着テープ100の貼付が省略された場合と比較して、低くなっていることが好ましい。具体的には、エネルギー付与直後(0日後)の粘着層202の保持力を、それぞれ、半導体用ウエハ7に対する加工用粘着テープ100の貼付を実施した場合について、E[cN/25mm]とし、半導体用ウエハ7に対する加工用粘着テープ100の貼付が省略された場合について、G[cN/25mm]としたとき、E/G<1.0なる関係を満足することが好ましく、E/G≦0.8なる関係を満足することがより好ましい。かかる関係を満足することにより、エネルギー付与工程[8A]後における、粘着層202による半導体チップ20の保持力が、半導体用ウエハ7に対する加工用粘着テープ100の貼付により効果的に低下されていると言うことができ、ピックアップ工程[9A]における、移送用粘着テープ200からの半導体チップ20のピックアップを確実に実施することができる。
なお、本発明の粘着テープセットは、図1に示すフリップ・チップ・ボール・グリッド・アレイ(FCBGA)タイプの半導体装置10の製造に適用できる。また、例えば、スモール・アウトライン・パッケージ(SOP)、スモール・アウトライン・Jリード・パッケージ(SOJ)、薄型スモール・アウトライン・パッケージ(TSOP)、薄型クワッド・フラット・パッケージ(TQFP)、テープ・キャリア・パッケージ(TCP)、ボール・グリッド・アレイ(BGA)、チップ・サイズ・パッケージ(CSP)、マトリクス・アレイ・パッケージ・ボール・グリッド・アレイ(MAPBGA)、チップ・スタックド・チップ・サイズ・パッケージ等のメモリやロジック系素子の製造、コンタクト・イメージ・センサ(CIS)等のイメージセンサーの製造に本発明の粘着テープセットを適用することができる。
以上、本発明の粘着テープセットについて説明したが、本発明は、これらに限定されない。
例えば、本発明の粘着テープセットが備える半導体用ウエハ加工用粘着テープおよび半導体素子移送用粘着テープが有する各層には、同様の機能を発揮し得る、任意の成分が添加されていてもよく、あるいは、基材は、前記実施形態で説明したように、1層で構成される構成の他、複数の層で構成されてもよく、例えば、前述した基材の粘着層とは反対側の面に、帯電防止層を備えていてもよい。
また、本発明の粘着テープセットが備える半導体用ウエハ加工用粘着テープおよび半導体素子移送用粘着テープが有する各層の構成は、同様の機能を発揮し得る任意の構成と置換することができ、あるいは、任意の構成を付加することもできる。
次に、本発明(第2の発明)の半導体素子移送用粘着テープについて説明する。上述した半導体素子移送用粘着テープ200は、粘着層202に対するヘキサデカンの接触角に関する構成を除いて、本発明の半導体素子移送用粘着テープと同一の構成である。したがって、上述した半導体装置10は、本発明の半導体素子移送用粘着テープを用いることによっても、同様に製造することができる。このため、本発明の半導体素子移送用粘着テープを用いた半導体装置の製造方法の説明は、省略する。なお、本発明の半導体素子移送用粘着テープを用いて半導体装置を製造する際には、上述した半導体装置10の製造方法に用いられる、半導体用ウエハ加工用粘着テープ100を一例として使用することができる。そして本発明によれば、加工用粘着テープ100に由来する樹脂材料が付着した、半導体チップ20の回路が形成されていない非形成面に対するヘキサデカンの接触角をH[°]とし、移送用粘着テープ200が備える粘着層202に対するヘキサデカンの接触角をB[°]としたとき、20°≦H−Bなる関係を満足する。以下では、この点を中心に説明する。
本発明によれば、加工用粘着テープ100に由来する樹脂材料が付着した、半導体チップ20の回路が形成されていない非形成面(下面)に対するヘキサデカンの接触角をH[°]とし、移送用粘着テープ200が備える粘着層202に対するヘキサデカンの接触角をB[°]としたとき、20°≦H−Bなる関係を満足するように、粘着層2に含まれる構成材料に対して、粘着層202に含まれる構成材料が選択される。以下、これら粘着層2および粘着層202の構成材料の組み合わせについて詳述する。
ここで、前述の通り、加工用粘着テープ100は、半導体用ウエハ7を貼付した状態で、半導体用ウエハ7を個片化することで、半導体チップ20を得るために用いられ、移送用粘着テープ200は、加工用粘着テープ100からピックアップされた半導体チップ20を、再配置して、移動・保管するために用いられる。
このようにして、半導体装置の製造方法において、加工用粘着テープ100および移送用粘着テープ200が使用されるが、加工用粘着テープ100からピックアップされた半導体チップ20は、粘着層2に接触していた回路が形成されていない非形成面(下面)側に、粘着層2の一部が付着(残存)した状態で、移送用粘着テープ200が備える粘着層202に貼付される。
また、前述の半導体装置の製造方法では、前記工程[9A]〜[13A]を繰り返して実施することで、複数の半導体装置10が一括して製造される。そのため、12インチのように大型化された半導体用ウエハ7を用いた場合のように、1つの半導体用ウエハ7から取得される半導体チップ20の個数が多くなるほど、複数の半導体チップ20を、移送用粘着テープ200に再配置する時間(配置時間)が増加する。その結果、移送用粘着テープ200の粘着層202に、半導体チップ20が貼付されている時間が、最初の方に搭載工程[10A]に移行される半導体チップ20と、最後の方に搭載工程[10A]に移行される半導体チップ20とでは、大きく異なってくる。
これらのことから、最初の方に搭載工程[10A]に移行される半導体チップ20と、最後の方に搭載工程[10A]に移行される半導体チップ20とにおいて、粘着層202により半導体チップ20が移送用粘着テープ200に保持される粘着力(保持力)に差が生じる。この粘着力の差に起因して、ピックアップ工程[9A]における、移送用粘着テープ200からの半導体チップ20のピックアップを安定的に実施することができないと言う問題があった。
かかる問題点について、鋭意検討を行った結果、加工用粘着テープ100に由来する樹脂材料が付着した半導体チップ20の下面に対するヘキサデカンの濡れ広がり性と、半導体チップ20の下面側が接触する粘着層202に対するヘキサデカンの濡れ広がり性との関係が、粘着層202による半導体チップ20の保持力、ひいては、この保持力の時間的な安定性に関係することが判ってきた。
そして、本発明者のさらなる検討の結果、半導体チップ20の回路が形成されていない非形成面(下面)に対するヘキサデカンの接触角をH[°]とし、粘着層202(第2粘着層)に対するヘキサデカンの接触角をB[°]としたとき、20°≦H−Bなる関係を満足させることにより、エネルギー付与工程[8A]前には、密閉空間255内において粘着層202により半導体チップ20を保持し、エネルギー付与工程[8A]後には、粘着層202から半導体チップ20を剥離させ得る保持力とすることができる。さらには、ピックアップ工程[9A]における、移送用粘着テープ200からの半導体チップ20のピックアップを、最初の方に搭載工程[10A]に移行される半導体チップ20と、最後の方に搭載工程[10A]に移行される半導体チップ20との間で大きな差が生じることなく、安定的に実施し得ることを見出し、本発明(第2の発明)を完成するに至った。
なお、ピックアップ工程[9A]における、移送用粘着テープ200からの半導体チップ20のピックアップを、最初の方に搭載工程[10A]に移行される半導体チップ20と、最後の方に搭載工程[10A]に移行される半導体チップ20との間で大きな差が生じることなく、安定的に実施し得るのは、以下に示すメカニズムによると推察される。
すなわち、半導体チップ20の非形成面に対するヘキサデカンの接触角Hと、粘着層202に対するヘキサデカンの接触角Bとの差の絶対値が、20°≦H−Bなる関係を満足する場合のように、半導体チップ20の非形成面側に残存する粘着層2に対するヘキサデカンの濡れ広がり性と、半導体チップ20の下面側が接触する粘着層202に対するヘキサデカンの濡れ広がり性とが、ともに親水性または疎水性を示すと、半導体チップ20の非形成面側において、粘着層2と粘着層202との間で親和的な相互作用が生じ、これら同士の間での接合強度が向上する。このため、粘着層202による半導体チップ20の保持力が時間の経過に伴って高くなる傾向を示すと推察される。これに対して、20°≦H−Bなる関係を満足させることにより、半導体チップ20の非形成面側に残存する粘着層2に対するヘキサデカンの濡れ広がり性と、半導体チップ20の非形成面側が接触する粘着層202に対するヘキサデカンの濡れ広がり性とを考慮すると、半導体チップ20の非形成面側に残存する粘着層2が親水性(疎油性)を示し、半導体チップ20の非形成面側が接触する粘着層202が疎水性(親油性)を示すこととなり、これにより、粘着層2と粘着層202との間で相互作用が生じるのを的確に抑制または防止することができる。このため、これら同士の間での接合強度、ひいては、粘着層202による半導体チップ20の保持力に経時的な変化が生じるのが的確に抑制または防止されていると推察される。
また、半導体チップ20の非形成面に対するヘキサデカンの接触角Hと、粘着層202に対するヘキサデカンの接触角Bとの差の絶対値は、20°≦H−Bなる関係を満足すればよいが、20°≦H−B≦35°なる関係を満足するのが好ましい。これにより、エネルギー付与工程[8A]前には、密閉空間255内において粘着層202により半導体チップ20をより安定的に保持し、エネルギー付与工程[8A]後には、粘着層202から半導体チップ20を容易に剥離させ得る程度の保持力に設定することができる。
また、20°≦H−Bなる関係を満足するとき、各接触角H、Bの大きさは、特に限定されないが、例えば、接触角Hが10°以上であり、接触角Bが10°未満であることが好ましく、接触角Hが25°以上35°以下であり、接触角Bが3°以上8°以下であることがより好ましい。これにより、エネルギー付与工程[8A]後における、粘着層202による半導体チップ20の保持力に経時的な変化が生じるのを、より的確に抑制または防止することができる。
さらに、半導体チップ20の非形成面および粘着層202に対するヘキサデカンの接触角の他、さらに、半導体チップ20の非形成面に対する純水の接触角をI[°]とし、粘着層202に対する純水の接触角をDとしたとき、接触角Iと接触角Dとの差の絶対値は、55°≦D−Iなる関係を満足するのが好ましく、55°≦D−I≦65なる関係を満足するのが好ましい。また、半導体チップ20の非形成面に対する純水の接触角Iが50°以下であり、かつ、粘着層202に対する純水の接触角Dが90°超であることが好ましく、接触角Iが35°以上50°以下であり、かつ、接触角Dが95°超105°以下であることがより好ましい。これにより、エネルギー付与工程[8A]後における、粘着層202による半導体チップ20の保持力に経時的な変化が生じるのを、より的確に抑制または防止することができる。
前述の通り、半導体チップ20の非形成面に対するヘキサデカンの接触角Hと、粘着層202に対するヘキサデカンの接触角Bとの差の絶対値に、20°≦H−Bなる関係を満足させるには、粘着層2に含まれる構成材料に対して、粘着層202に含まれる構成材料を適宜選択することにより実現し得る。特に、粘着層2および粘着層202の構成材料について、レベリング剤等としての界面活性剤の添加の有無、その含有量を適宜設定することにより、上記関係を確実に調整することができる。具体的には、界面活性剤を含有する層に対するヘキサデカンの接触角を、界面活性剤を含有しない層に対するヘキサデカンの接触角と比較して、低く設定することが可能である。そのため、粘着層2が界面活性剤を含有せず、粘着層202が界面活性剤を含有する組み合わせとすることで、結果的に、粘着層202に対するヘキサデカンの接触角Bを、半導体チップ20の非形成面に対するヘキサデカンの接触角Hよりも小さく設定することができる。このため、20°≦H−Bなる関係を確実に満足することができる。
なお、界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性および非イオン性の界面活性剤のいずれであっても良いが、例えば、ペルフルオロアルキルスルホン酸(CF3(CF2)nSO3H;nは、1以上の整数)、ペルフルオロアルキルカルボン酸(CF3(CF2)nCOOH;nは、1以上の整数)、フッ素テロマーアルコール(F(CF2)nCH2CH2OH;nは、1以上の整数)のようなフッ素系界面活性剤(アニオン性界面活性剤)が好ましく用いられる。
また、エネルギー付与工程[8A]における、粘着層202へのエネルギー付与後の粘着層202による半導体チップ20の保持力(粘着力)が経時的に変化しないことが好ましいが、具体的な説明は、第1の発明での説明と同様のため、省略する。
なお、本発明の半導体素子移送用粘着テープは、図1に示すフリップ・チップ・ボール・グリッド・アレイ(FCBGA)タイプの半導体装置10の製造に適用できる。また、例えば、スモール・アウトライン・パッケージ(SOP)、スモール・アウトライン・Jリード・パッケージ(SOJ)、薄型スモール・アウトライン・パッケージ(TSOP)、薄型クワッド・フラット・パッケージ(TQFP)、テープ・キャリア・パッケージ(TCP)、ボール・グリッド・アレイ(BGA)、チップ・サイズ・パッケージ(CSP)、マトリクス・アレイ・パッケージ・ボール・グリッド・アレイ(MAPBGA)、チップ・スタックド・チップ・サイズ・パッケージ等のメモリやロジック系素子の製造、コンタクト・イメージ・センサ(CIS)等のイメージセンサーの製造に本発明の半導体素子移送用粘着テープを適用することができる。
以上、本発明の半導体素子移送用粘着テープについて説明したが、本発明は、これらに限定されない。
例えば、本発明の半導体素子移送用粘着テープが有する各層には、同様の機能を発揮し得る、任意の成分が添加されていてもよく、あるいは、基材は、前記実施形態で説明したように、1層で構成される他、複数の層で構成されてもよく、例えば、前述した基材の粘着層とは反対側の面に、帯電防止層を備えていてもよい。
また、本発明の半導体素子移送用粘着テープが有する各層の構成は、同様の機能を発揮し得る任意の構成と置換することができ、あるいは、任意の構成を付加することもできる。
次に、本発明(第1および第2の発明)の具体的実施例について説明する。
なお、本発明はこれらの実施例の記載に何ら限定されない。
1.加工用粘着テープ100および移送用粘着テープ200の用意
(粘着テープNo.1)
基材4、204上に、界面活性剤を含有しない粘着層2、202を備える粘着テープNo.1の粘着テープ100、200を用意した。
なお、この粘着テープNo.1の粘着テープ100、200において、その粘着層2、202に対する純水の接触角は80°であり、粘着層2、202に対するヘキサデカンの接触角は42°であった。
(粘着テープNo.2)
基材4、204上に、界面活性剤を含有する粘着層2、202を備える粘着テープNo.2の粘着テープ100、200を用意した。
なお、この粘着テープNo.2の粘着テープ100、200において、その粘着層2、202に対する純水の接触角は107°であり、粘着層2、202に対するヘキサデカンの接触角は6°であった。
(粘着テープNo.3)
基材4、204上に、界面活性剤を含有する粘着層2、202を備える粘着テープNo.3の粘着テープ100、200を用意した。
なお、この粘着テープNo.3の粘着テープ100、200において、その粘着層2、202に対する純水の接触角は102°であり、粘着層2、202に対するヘキサデカンの接触角は5°であった。
(粘着テープNo.4)
基材4、204上に、界面活性剤を含有する粘着層2、202を備える粘着テープNo.4の粘着テープ100、200を用意した。
なお、この粘着テープNo.4の粘着テープ100、200において、その粘着層2、202に対する純水の接触角は106°であり、粘着層2、202に対するヘキサデカンの接触角が16°であった。
(粘着テープNo.5)
基材204上に、界面活性剤を含有する粘着層202を備える粘着テープNo.5の粘着テープ200を用意した。
なお、この粘着テープNo.5の粘着テープ200において、その粘着層202に対する純水の接触角は111°であり、粘着層202に対するヘキサデカンの接触角は17°であった。
2.テープセットにおける粘着テープ100、200の組み合わせ
(実施例1)
実施例1のテープセットを、加工用粘着テープ100として粘着テープNo.1と、移送用粘着テープ200として粘着テープNo.3とを備えるように構成した。
(比較例1)
比較例1のテープセットを、加工用粘着テープ100として粘着テープNo.1と、移送用粘着テープ200として粘着テープNo.4とを備えるように構成した。
(比較例2)
比較例2のテープセットを、加工用粘着テープ100として粘着テープNo.2と、移送用粘着テープ200として粘着テープNo.1とを備えるように構成した。
(比較例3)
比較例3のテープセットを、加工用粘着テープ100として粘着テープNo.3と、移送用粘着テープ200として粘着テープNo.1とを備えるように構成した。
(比較例4)
比較例4のテープセットを、加工用粘着テープ100として粘着テープNo.4と、移送用粘着テープ200として粘着テープNo.1とを備えるように構成した。
(比較例5)
比較例5のテープセットを、加工用粘着テープ100として粘着テープNo.2と、移送用粘着テープ200として粘着テープNo.3とを備えるように構成した。
(比較例6)
比較例6のテープセットを、加工用粘着テープ100として粘着テープNo.2と、移送用粘着テープ200として粘着テープNo.5とを備えるように構成した。
3.評価
<移送用粘着テープ200による保持力>
移送用粘着テープ200による保持力は、次のようにして評価した。
<<1>>まず、実施例および各比較例のテープセットが備える加工用粘着テープ100について、それぞれ、加工用粘着テープ100の粘着層2に対して、8インチの半導体用ウエハ7を貼付した。次に、粘着層2に対して紫外線を照射することで、粘着層2による半導体用ウエハ7に対する粘着力を低下させた後に、半導体用ウエハ7から加工用粘着テープ100を剥離させた。なお、この時に、半導体用ウエハ7の加工用粘着テープ100が貼付されていた面(非形成面)に対する純水の接触角Iおよびヘキサデカンの接触角Hを測定した。
<<2>>次いで、半導体用ウエハ7の加工用粘着テープ100が貼付されていた面(非形成面)と、実施例および各比較例のテープセットが備える移送用粘着テープ200の各粘着層202とが接触するように、半導体用ウエハ7に移送用粘着テープ200を貼付して、積層体を得た。その後、粘着層202に対して紫外線を照射することで、粘着層202による半導体用ウエハ7に対する粘着力を低下させた後に、積層体を60℃の条件下で保管した。
<<3>>次いで、半導体用ウエハ7から移送用粘着テープ200を剥離させる際の保持力(粘着力)を、60℃の条件下における保管時間が0、2、4、7日の場合について、それぞれ、測定した。
また、実施例および各比較例のテープセットが備える移送用粘着テープ200について、前記工程<<1>>が省略された半導体用ウエハ7に対して、前記工程<<2>>を実施した後に、半導体用ウエハ7から移送用粘着テープ200を剥離させる際の保持力(粘着力)を、それぞれ、測定した。
なお、移送用粘着テープ200の保持力は、ピール強度試験(JIS−C6481に規定)に準拠して測定した。具体的に、各半導体用ウエハ7に貼付された移送用粘着テープ200に、10mmの幅で切れ目を入れた後、その一端を把持し、常温で180°の方向に300mm/秒の速度で引き剥がした。この時の荷重として測定されるピール強度を移送用粘着テープ200の保持力として求めた。
その評価結果を表1に示す。
表1に示すように、実施例のテープセットは、粘着層に対するヘキサデカンの接触角Aが10°以上であり、かつ、粘着層に対するヘキサデカンの接触角Bが10°未満である条件を満たしている一方、各比較例のテープセットは、この接触角の条件を満たしていない。さらに、実施例の移送用粘着テープは、20°≦H−Bなる関係を満足している一方、各比較例の移送用粘着テープは、かかる関係を満足していない。そのため、実施例のテープセット(移送用粘着テープ)では、移送用粘着テープ200に対する半導体用ウエハ7の保持力[cN/25mm]の変化率(F/E)、すなわち、粘着力上昇率が抑制されて、2.0未満となっており、移送用粘着テープ200に対する半導体用ウエハ7の保持力の経時的な変化が抑制されている結果を示し、かつ、以下の粘着力降下率に関する効果も良好であった。
具体的に、移送用粘着テープ200に対する半導体用ウエハ7の保持力[cN/25mm]を、加工用粘着テープ100の半導体用ウエハ7に対する貼付の有無により比較すると(E/G)、実施例のテープセット(移送用粘着テープ)では、E/G、すなわち、粘着力降下率が1.0未満となっており、移送用粘着テープ200に対する半導体用ウエハ7の保持力が効果的に低下されている結果を示した。一方、各比較例のテープセット(移送用粘着テープ)では、粘着力上昇率および粘着力降下率の双方を満足する結果は得られなかった。