以下に図面を参照し、本発明の第1の実施形態について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は本実施形態に係るインクジェット記録装置(以下、プリンタとも称する)の外観を示している。これはいわゆるシリアル走査型のプリンタであり、記録媒体Pの搬送方向(Y方向)に対して直交する交差方向(X方向)に記録ヘッドを相対的に走査して画像を記録するものである。
図1を用いてこのインクジェット記録装置の構成および記録時の動作の概略を説明する。まず不図示の搬送モータによりギヤを介して駆動される搬送ローラによって記録媒体Pを保持しているスプール6より記録媒体PがY方向に搬送される。一方、所定の搬送位置において不図示のキャリッジモータによりキャリッジユニット2をX方向に延在するガイドシャフト8に沿って走査させる。そして、この走査の過程で、エンコーダ7によって得られる位置信号に基づいたタイミングでキャリッジユニット2に装着可能な記録ヘッド(後述)の吐出口から吐出動作を行わせ、吐出口の配列範囲に対応した一定のバンド幅を記録する。本実施形態においては、走査速度40インチ毎秒で走査し、600dpi(1/600inch)の解像度で吐出動作を行う構成とした。その後、記録媒体Pの搬送を行い、さらに次のバンド幅について記録を行う構成となっている。
なお、キャリッジモータからキャリッジユニット2への駆動力の伝達には、キャリッジベルトを用いることができる。しかしキャリッジベルトの代わりに、例えばキャリッジモータにより回転駆動され、X方向に延在するリードスクリュと、キャリッジユニット2に設けられ、リードスクリュの溝に係合する係合部とを具えたものなど、他の駆動方式を用いることも可能である。
送給された記録媒体Pは、給紙ローラとピンチローラとに挟持搬送されて、プラテン4上の記録位置(記録ヘッドの主走査領域)に導かれる。通常休止状態では記録ヘッドのフェイス面にはキャッピングが施されているため、記録に先立ってキャップを開放して記録ヘッドないしキャリッジユニット2を走査可能状態にする。その後、1走査分のデータがバッファに蓄積されたらキャッリッジモータによりキャリッジユニット2を走査させ、上述のように記録を行う。
ここで、記録ヘッドに対しては、吐出駆動のための駆動パルスやヘッド温調用信号などを供給するためのフレキシブル配線基板190が取り付けられている。フレキシブル基板の他端は、本プリンタの制御を実行するCPU等の制御回路を備えた制御部(不図示)に接続されている。また、制御部の近傍にはインクジェット記録装置内の雰囲気温度を検出するための温度センサであるサーミスタ(不図示)が設けられている。
図2は本実施形態に係る記録ヘッド9を模式的に示す斜視図である。
本実施形態で使用する記録ヘッド9は、それぞれ色材として顔料を含有するシアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインク、グレーインク、レッドインク、ブルーインクの7種類のカラーインクと、色材を含有しないクリアインクと、の合計8種類のインクを吐出することができる。ここで、クリアインクは記録媒体上に形成されたカラーインクの層上に付与されることによりカラーインクの画像特性を向上させるためのインクである。
記録ヘッド9にはジョイント部25が形成されており、ジョイント部25には上述のインク供給チューブが接続される。
また、記録ヘッド9の記録媒体Pに対向する面である吐出口形成面には、半導体等から形成された2つの記録素子基板10a、10bが取り付けられている。記録素子基板10a、10bには、それぞれX方向に直交するY方向に沿って吐出口列が形成されている。詳細には、記録素子基板10aにはブラック(Bk)インクを吐出する吐出する吐出口列11、グレー(Gy)インクを吐出する吐出口列12、ブルー(B)インクを吐出する吐出口列13、レッド(R)インクを吐出する吐出口列14がX方向に並んで配置されている。また、記録素子基板10bにはシアン(C)インクを吐出する吐出口列15、マゼンタ(M)インクを吐出する吐出口列16、イエロー(Y)インクを吐出する吐出口列17、クリア(Cl)インクを吐出する吐出口列18がX方向に並んで配置されている。
また、それぞれの吐出口列11〜18と対向する記録素子基板10a、10b内の位置には、後述するように記録素子列が形成されている。なお、以下の説明では簡単のため、吐出口列11〜18それぞれに対向する位置にある記録素子列を記録素子列11x〜18xと称する。
これらの記録素子基板10a、10bは、アルミナ、樹脂等から構成される支持部材300に接着材にて固定されている。更に、記録素子基板10a、10bは配線が設けられた電気配線部材600と電気的に接続され、電気配線部材600を介して記録ヘッド9との信号を用いた通信を行う。
図3(a)は記録素子基板10bをXY平面に対して垂直な方向から見た場合における透視図である。また、図3(b)は記録素子基板10bを図3(a)に示す線分ABを通り、記録素子基板10bに垂直に切断した場合の切断面の吐出口列15の近傍の様子をY方向下流側から見た場合における断面図である。なお、簡単のため、図3には各部の寸法比を実際と異ならせて図示しているが、実際の記録素子基板10bのサイズはX方向に9.55mm、Y方向に39.0mmの大きさである。
本実施形態における吐出口列11〜18は、それぞれ2つの列から形成されている。これらの2列の列が、それぞれ向かい合う列に対して1200dpi(ドット/インチ)にて1ドット分ずらされた状態で、Y方向(配列方向)に768個ずつ、計1536個の吐出口30および吐出口30に対向した電気熱変換素子である記録素子(以下、メインヒータとも称する)34がY方向(所定方向)に配列されている。なお、本実施形態において1200dpiは約0.02mmに相当する。この記録素子にパルスを加えることにより、吐出口からインクを吐出するための熱エネルギーを生成することができる。なお、ここでは記録素子として電気熱変換素子を用いる場合について記載したが、圧電素子などを用いることも可能である。
ここで、記録素子基板10bには記録素子の近傍のインクの温度を検出するための温度センサとして合計9つのダイオードセンサS1〜S9が形成されている。
そのうち、2つのダイオードセンサS1、S6は吐出口列15〜18のY方向の一方の端部近傍に配置されている。詳細には、ダイオードセンサS1、S6はそれぞれY方向の一方の端部の吐出口から0.2mm離れた位置に配置される。ここで、ダイオードセンサS1はX方向において吐出口列15と吐出口列16の中間に、ダイオードセンサS6はX方向において吐出口列17と吐出口列18の中間に配置されている。
また、2つのダイオードセンサS2、S7は吐出口列15〜18のY方向の他方の端部近傍に配置されている。ここで、ダイオードセンサS2はX方向において吐出口列15と吐出口列16の中間に、ダイオードセンサS7はX方向において吐出口列17と吐出口列18の中間に配置されている。詳細には、ダイオードセンサS2、S7はそれぞれY方向の他方の端部の吐出口から0.2mm離れた位置に配置される。
更に、5つのダイオードセンサS3、S4、S5、S8、S9はそれぞれ吐出口列15〜18のY方向における中央部に配置されている。ここで、ダイオードセンサS4はX方向において吐出口列15と吐出口列16の中間に、ダイオードセンサS5はX方向において吐出口列16と吐出口列17の中間に、ダイオードセンサS8はX方向において吐出口列17と吐出口列18の中間に配置されている。また、ダイオードセンサS3は吐出口列15よりもX方向における外側に、ダイオードセンサS9は吐出口列18よりもX方向における外側に配置されている。
なお、本実施形態では、ダイオードセンサの近くの吐出口内にあるインクの温度は、そのダイオードセンサが設けられた位置における記録素子基板10bの温度とほぼ同じであるため、記録素子基板10bの温度をインクの温度として扱う。
また、記録素子基板10bには吐出口内にあるインクの温度を加熱するための加熱素子(以下、サブヒータとも称する)19a、19bが設けられている。ここで、加熱素子19aは吐出口列15のX方向におけるダイオードセンサS3が設けられている側を囲むようにして一続きの部材にて形成されている。同様に、加熱素子19bは吐出口列18のX方向におけるダイオードセンサS9が設けられている側を覆うようにして一続きの部材にて形成されている。なお、加熱素子19a、19bはそれぞれX方向について吐出口列13から1.2mm外側、Y方向についてダイオードセンサS1、S2、S6、S7から0.2mm外側に位置する。
記録素子基板10bは、ダイオードセンサS1〜S9やサブヒータ19a、19bの他、種々の回路が形成された基板31と、樹脂で形成された吐出口部材35と、から構成される。基板31と吐出口部材35との間には、共通インク室33が形成されており、共通インク室33にはインク供給口32が連通している。共通インク室33からはインク流路36が延びており、インク流路36は、吐出口部材35に形成された吐出口30に連通する。インク流路36における吐出口30側の端部には、発泡室38が形成されており、発泡室38には、吐出口30と対向する位置に記録素子(メインヒータ)34が配置されている。また、インク流路36と共通インク室の間にはノズルフィルタ37が形成されている。
なお、ここでは記録素子基板10bについて詳細に説明したが、記録素子基板10aについても同様の構成を有している。
図4は、本実施形態におけるインクジェット記録装置に搭載される制御システムの構成を示すブロック図である。主制御部100は演算、制御、判別、設定などの処理動作を実行するCPU101を備えている。そして、CPU101によって実行すべき制御プログラム等を格納するROM102、インクの吐出/非吐出を表す2値の記録データを格納するバッファ、CPU101による処理のワークエリア等として用いられるRAM103、入出力ポート104などを備える。さらにRAM103は記録動作前後のメインタンクのインク量やサブタンクの空き容量等を記憶する記憶手段としても用いることができる。入出力ポート104には、搬送ローラを駆動させる搬送モータ(LFモータ)113、キャリッジモータ(CRモータ)114、記録ヘッド9、回復処理装置120などの各駆動回路105、106、107、108が接続されている。これらの各駆動回路105、106、107、108は、主制御部100により制御される。入出力ポート104には、記録ヘッド9の温度を検出するダイオードセンサS1〜S9、キャリッジ2に固定されたエンコーダセンサ111、記録装置内の雰囲気温度(環境温度)を検出するサーミスタ121などの各種センサ類が接続されている。また、主制御部100はインターフェイス回路110を介してホストコンピュータ115に接続されている。
記録ヘッドへの信号送信部として機能する駆動回路107からは印加される駆動パルスの他、記録用の記録データが送信される。これらは前述したフレキシブル配線基板190を介して転送される。
116は回復処理装置120によって記録ヘッド9から強制的にインクを排出させた場合に、そのインク量をカウントする回復処理カウンタである。117は記録開始前や記録終了時、記録中に行われる画像の記録に寄与しない予備吐出をカウントする予備吐出カウンタである。118はフチ無し記録を行う場合に記録媒体領域外に記録されるインクをカウントするフチ無しインクカウンタ、119は記録中に吐出するインクをカウントする吐出ドットカウンタである。
これらのカウンタ116〜119におけるカウントによって算出される記録ヘッド9がインクジェット記録装置に装着されてからの記録ヘッド9が吐出したインクの吐出量の累計に関する情報はEEPROM122に記憶される。また、EEPROM122にはインクの吐出量の累計以外にも種々の情報を記憶することが可能である。
図5は本実施形態における画像データの処理過程を説明するフローチャートである。
ホストコンピュータ115のアプリケーションJ101を介して、インクジェット記録装置1000で記録する画像データが作成される。記録を行う際には、アプリケーションJ101で作成された画像データはプリンタドライバ103に伝送される。プリンタドライバ103は、作成された画像データに対して前段処理J0002、後段処理J0003、γ補正J0004、および2値化処理J0005をそれぞれ実行する。
前段処理J0002では、ホストコンピュータ115の表示器の色域をプリンタ104の色域に変換する色域変換を行う。3次元ルックアップテーブルを用いることにより、R、G、Bそれぞれが8ビットで表現された画像のデータR、G、Bをプリンタの色域内の8ビットデータR、G、Bに変換する。後段処理J0003では、変換された色域を再現する色をインクの色域に分解する。前段処理J0002にて得られたプリント色域内の8ビットデータR、G、Bが表す色を再現するためのインクの組合せに対応した8ビットデータを求める処理を行う。γ補正J0004では、色分解で得られた8ビットデータのそれぞれについてγ補正を行う。後段処理J0003にて得られた8ビットデータのそれぞれがインクジェット記録装置の階調特性に線形的に対応づけられるような変換を行う。2値化処理J0005では、γ補正J0004にて得られた8ビットデータのそれぞれを1ビットデータに変換し2値データを生成する量子化処理を行う。この量子化手段としては、濃度パターン法やディザ法、誤差拡散法等が好適に用いられる。
以上のようにして生成されたデータは、インクジェット記録装置1000へ供給される。マスクデータ変換処理J0008では、2値化処理J0005で作成された2値データと、ROM102に格納された、後述するマスクパターンのデータを用いてインクの吐出、非吐出を表す記録データに変換する。このマスクパターンは、インクの吐出を許容する記録許容画素とインクの吐出を許容しない非記録許容画素とが特定のパターンにて配置されることで構成される。なお、マスクデータ変換処理J0008に用いられるマスクパターンは予めインクジェット記録装置内の所定のメモリに格納されている。例えば、上述したROM102にマスクパターンを格納しておいて、このマスクパターンを利用してCPU301にて記録データへの変換を行うことができる。また、この後述する記録モードに応じて適宜異なるマスクパターンを用いることができる。
マスクデータ変換処理にて得られた記録データは、ヘッド駆動回路107および記録ヘッド9に供給される。この記録データに基づき、記録ヘッド9に配列された各吐出口から記録媒体Pに対してインクが吐出される。
以上の様な処理によって作成された記録データに基づいて、各モータや記録ヘッドなどの駆動を制御し、記録動作を行う。
本実施形態におけるインクジェット記録装置は、記録媒体上の単位領域に対して記録ヘッドを4回走査させて記録を行う4パス記録モードと、単位領域に対して記録ヘッドを6回走査させて記録を行う6パス記録モードと、単位領域に対して記録ヘッドを1回だけ走査させて記録を行う1パス記録モードと、の3種類の記録モードを実行可能である。
ここで、単位領域に対する走査の回数が多くなるほど一般に記録される画像の画質は向上する。一方で、単位領域に対する走査回数が多くなるほど記録が終了するまでに要する時間は長くなってしまう。そこで、本実施形態におけるインクジェット記録装置では、ユーザーが「標準記録モード」、「高画質記録モード」、「高速記録モード」のいずれかを選択し、所望の記録条件にて記録が実行できるよう設定されている。ここで、「標準記録モード」が本実施形態における4パス記録モードに、「高画質記録モード」が6パス記録モードに、「高速記録モード」が1パス記録モードにそれぞれ対応している。
以下に本実施形態における4パス記録モード、6パス記録モード、1パス記録モードのそれぞれについて詳細に説明する。
(4パス記録モード)
本実施形態における4パス記録モードでは、カラーインクを4回の走査にて吐出した後、クリアインクを2回の走査にて吐出することにより記録を行う。
図6は本実施形態における4パス記録モードを説明するための図である。なお、ここでは簡単のため、シアンインクを吐出する吐出口列15とクリアインクを吐出する吐出口列18のみについて示している。なお、シアンインク以外のカラーインクを吐出する吐出口列に関してはシアンインクを吐出する吐出口列15と同様の制御を行う。更に、簡単のため、ここでは各吐出口列が32個の吐出口から構成されている場合について示している。
図6(a)は吐出口列15内の4パス記録モードにおいて使用する吐出口群と、それらの吐出口群に適用するマスクパターンと、を模式的に示す図である。また、図6(b)は吐出口列18内の4パス記録モードにおいて使用する吐出口群と、それらの吐出口群に適用するマスクパターンと、を模式的に示す図である。
図6(a)からわかるように、4パス記録モードではシアンインクを吐出する吐出口列15はそれぞれ4個の吐出口からなる8個の吐出口群に分割され、そのうち4つの吐出口群201〜204が単位領域への記録に用いられる。一方で、吐出口列15に配列された吐出口群201〜204以外の吐出口は4パス記録モードにおいては記録に使用されない。
詳細には、シアンインクを吐出するための単位領域に対する4回の走査のうちの1回目の走査では、マスクパターン401を用いて生成された記録データにしたがって吐出口群201から記録媒体上の単位領域に対してインクが吐出される。その後、記録媒体を1つの吐出口群のY方向における長さに対応する距離d1だけ搬送する。これにより、1回目の走査にて吐出口群201から記録が行われた単位領域が吐出口群202と対向する位置に位置することになる。この状態にて単位領域に対する2回目の走査が行われ、マスクパターン402を用いて生成された記録データにしたがって吐出口群202から単位領域に対してインクが吐出される。
以下、同様にして距離d1の搬送を介在させながら単位領域に対する3、4回目の走査それぞれにおいて、マスクパターン403、404のそれぞれを用いて生成された記録データにしたがって吐出口群203、204からインクが吐出される。
ここで、図6(a)に模式的に示すマスクパターン401〜404では、色が濃いほどマスクパターン内の各領域における画素の数に対する記録許容画素の数の比率である記録許容率が高く、薄いほど記録許容率が低いことを示している。図6(a)に示すマスクパターンでは、いずれの領域においても色の濃さは変わらないため、領域によらず記録許容率がほぼ一定であることがわかる。
図7(a)〜(d)はそれぞれマスクパターン401〜404それぞれの詳細を示す図である。なお、図7(a)〜(d)それぞれにおける黒く塗りつぶされた箇所が記録許容画素を、白抜けで示された箇所が非記録許容画素をそれぞれ示している。また、ここではX方向に16画素、Y方向に4画素の合計64個の画素に相当する大きさを有するマスクパターンを示したが、この大きさは適宜異なるものに設定できる。
図7からわかるように、マスクパターン401〜404は記録許容画素が互いに排他的且つ補完的な関係となるように配置されている。すなわち、マスクパターン401〜404の記録許容画素の論理和を取るとすべての画素において記録許容画素が配置されるようなパターンが得られる。
また、マスクパターン401〜404は、互いに記録許容率がほぼ等しくなるように定められている。例えば、図7(a)に示す1回目の走査に対応するマスクパターン401には、64個の画素のうち16個の画素が記録許容画素に対応している。したがって、マスクパターン401の記録許容率は25(=16/64×100)%である。同様に、マスクパターン402〜404それぞれの記録許容率もまた25%となる。
また、マスクパターン401〜404は、それぞれのマスクパターン内のY方向における位置によらず記録許容率がほぼ等しくなるように定められている。例えば、図7(a)に示す1回目の走査に対応するマスクパターンのうち、最もY方向上流側に位置する画素行L1における記録許容率は25(=4/16×100)%である。また、Y方向上流側端部から2番目に位置する画素行L2における記録許容率は25(=4/16×100)%である。また、Y方向下流側端部から2番目に位置する画素行L3における記録許容率は25(=4/16×100)%である。また、最もY方向下流側に位置する画素行L4における記録許容率は25(=4/16×100)%である。このように、マスクパターン401においてはY方向における位置によらず記録許容率が等しく定められている。他のマスクパターン402〜404についても同様である。
一方、図6(b)からわかるように、4パス記録モードではクリアインクを吐出する吐出口列18もシアンインクを吐出する吐出口列15と同様に、それぞれ4個の吐出口からなる8個(所定数)の吐出口群に分割され、そのうち2つの吐出口群205、206が単位領域への記録に用いられる。一方で、吐出口列18に配列された吐出口群205、206以外の吐出口は4パス記録モードにおいては記録に使用されない。
これらの吐出口群205、206は、吐出口群201〜204よりもY方向の下流側に位置している。したがって、記録媒体上の単位領域に対してシアンインクが付与された後にクリアインクを付与することが可能となる。詳細には、シアンインクを吐出するための単位領域に対する4回の走査のうちの4回目の走査における吐出口群204からの吐出が行われた後、記録媒体を1つの吐出口群のY方向における長さに対応する距離d1だけ搬送する。これにより、4回目の走査にて吐出口群204から記録が行われた単位領域が吐出口群205と対向する位置に位置することになる。この状態にてクリアインクを吐出するための2回の走査のうちの1回目の走査が行われ、マスクパターン405を用いて生成された記録データにしたがって吐出口群205から単位領域に対してインクが吐出される。その後、同様にして記録媒体の距離d1の搬送を行ってから単位領域に対するクリアインクを吐出するための2回目の走査が行われ、マスクパターン406を用いて生成された記録データにしたがって吐出口群206からインクが吐出される。
ここで、図6(b)に模式的に示すマスクパターン405、406では、色が濃いほどマスクパターン内の各領域における画素の数に対する記録許容画素の数の比率である記録許容率が高く、薄いほど記録許容率が低いことを示している。図6(b)に示すマスクパターンでは、いずれの領域においても色の濃さは変わらないため、領域によらず記録許容率がほぼ一定であることがわかる。詳細には、マスクパターン405、406は記録許容画素が互いに排他的且つ補完的な関係となるように配置されている。更に、マスクパターン405、406はそれぞれ互いに記録許容率がほぼ等しく50%となるように定められている。マスクパターン405、406における記録許容画素の詳細な配置については説明を省略する。
以上記載したように、本実施形態における4パス記録モードでは、4回の走査にてカラーインクを吐出した後、2回の走査でクリアインクを吐出することによって画像を記録する。
(6パス記録モード)
本実施形態における6パス記録モードでは、カラーインクを6回の走査にて吐出した後、クリアインクを2回の走査にて吐出することにより記録を行う。
図8は本実施形態における6パス記録モードを説明するための図である。簡単のため、図6に示す4パス記録モードと同様の部分については説明を省略する。
図8(a)は吐出口列15内の6パス記録モードにおいて使用する吐出口群と、それらの吐出口群に適用するマスクパターンと、を模式的に示す図である。また、図8(b)は吐出口列18内の4パス記録モードにおいて使用する吐出口群と、それらの吐出口群に適用するマスクパターンと、を模式的に示す図である。
図8(a)からわかるように、6パス記録モードではシアンインクを吐出する吐出口列15はそれぞれ2個の吐出口からなる16個の吐出口群に分割され、そのうち6つの吐出口群211〜216が単位領域への記録に用いられる。一方で、吐出口列15に配列された吐出口群211〜216以外の吐出口は6パス記録モードにおいては記録に使用されない。
詳細には、シアンインクを吐出するための単位領域に対する6回の走査のうちの1回目の走査では、マスクパターン411を用いて生成された記録データにしたがって吐出口群211から記録媒体上の単位領域に対してインクが吐出される。その後、記録媒体を1つの吐出口群のY方向における長さに対応する距離d2だけ搬送する。1つの吐出口群を構成する吐出口の数は4パス記録モードよりも少ないので、距離d2は距離d1よりも短くなる。この搬送により、1回目の走査にて吐出口群211から記録が行われた単位領域が吐出口群212と対向する位置に位置することになる。この状態にて単位領域に対する2回目の走査が行われ、マスクパターン412を用いて生成された記録データにしたがって吐出口群212から単位領域に対してインクが吐出される。
以下、同様にして距離d2の搬送を介在させながら、単位領域に対する3〜6回目の走査それぞれにおいてマスクパターン413〜416のそれぞれを用いて生成された記録データにしたがって吐出口群213〜216からインクが吐出される。
ここで、図8(a)に模式的に示すマスクパターン411〜416では、色が濃いほどマスクパターン内の各領域における画素の数に対する記録許容画素の数の比率である記録許容率が高く、薄いほど記録許容率が低いことを示している。図8(a)に示すマスクパターンでは、いずれの領域においても色の濃さは変わらないため、領域によらず記録許容率がほぼ一定であることがわかる。図8(a)に示すマスクパターン411〜416では、いずれの領域においても色の濃さは変わらないため、領域によらず記録許容率がほぼ一定であることがわかる。詳細には、マスクパターン411〜416は記録許容画素が互いに排他的且つ補完的な関係となるように配置されている。更に、マスクパターン411〜416はそれぞれ互いに記録許容率がほぼ等しく約16.7%となるように定められている。マスクパターン411〜416における記録許容画素の詳細な配置については説明を省略する。
一方、図8(b)からわかるように、6パス記録モードではクリアインクを吐出する吐出口列18はそれぞれ2個の吐出口からなる16個の吐出口群に分割され、そのうち2つの吐出口群217、218が単位領域への記録に用いられる。一方で、吐出口列18に配列された吐出口群217、218以外の吐出口は6パス記録モードにおいては記録に使用されない。
これらの吐出口群217、218は、吐出口群211〜216よりもY方向の下流側に位置している。したがって、記録媒体上の単位領域に対してシアンインクが付与された後にクリアインクを付与することが可能となる。詳細には、シアンインクを吐出するための単位領域に対する6回の走査のうちの6回目の走査における吐出口群216からの吐出が行われた後、記録媒体を1つの吐出口群のY方向における長さに対応する距離d2だけ搬送する。これにより、6回目の走査にて吐出口群216から記録が行われた単位領域が吐出口群217と対向する位置に位置することになる。この状態にてクリアインクを吐出するための2回の走査のうちの1回目の走査が行われ、マスクパターン417を用いて生成された記録データにしたがって吐出口群217から単位領域に対してインクが吐出される。その後、同様にして記録媒体の距離d2の搬送を行ってから単位領域に対するクリアインクを吐出するための2回目の走査が行われ、マスクパターン418を用いて生成された記録データにしたがって吐出口群218からインクが吐出される。
ここで、図8(b)に模式的に示すマスクパターン417、418では、色が濃いほどマスクパターン内の各領域における画素の数に対する記録許容画素の数の比率である記録許容率が高く、薄いほど記録許容率が低いことを示している。図8(b)に示すマスクパターンでは、いずれの領域においても色の濃さは変わらないため、領域によらず記録許容率がほぼ一定であることがわかる。詳細には、マスクパターン417、418は記録許容画素が互いに排他的且つ補完的な関係となるように配置されている。更に、マスクパターン417、418はそれぞれ互いに記録許容率がほぼ等しく50%となるように定められている。マスクパターン417、418における記録許容画素の詳細な配置については説明を省略する。
以上記載したように、本実施形態における6パス記録モードでは、6回の走査にてカラーインクを吐出した後、2回の走査でクリアインクを吐出することによって画像を記録する。
(1パス記録モード)
本実施形態における1パス記録モードでは、クリアインクは吐出せず、カラーインクを1回の走査のみで吐出することにより記録を行う。
図9は本実施形態における1パス記録モードを説明するための図である。簡単のため、図6に示す4パス記録モード、図8に示す6パス記録モードと同様の部分については説明を省略する。
図9からわかるように、1パス記録モードでは4パス記録モードおよび6パス記録モードと異なり、シアンインクを吐出する吐出口列15を複数の吐出口群に分割することなく、すべての吐出口列を使用して記録を実行する。
詳細には、1回の走査にてマスクパターン419を用いて生成された記録データにしたがって、吐出口列15内のすべての吐出口から単位領域に対して記録を行う。この1回の走査によって単位領域に対する記録が終了する。
その後、記録媒体を1つの吐出口列15のY方向における長さに対応する距離d3(>d1)だけ搬送する。これにより、次に記録が行われる単位領域が吐出口列15と対向する位置に位置することになる。この状態にて次に記録が行われる単位領域に対する1回目の走査が行われる。
ここで、図9に模式的に示すマスクパターン419では、色が濃いほどマスクパターン内の各領域における画素の数に対する記録許容画素の数の比率である記録許容率が高く、薄いほど記録許容率が低いことを示している。図9に示すマスクパターンでは、いずれの領域においても色の濃さは変わらないため、領域によらず記録許容率がほぼ一定であることがわかる。図9に示すマスクパターン419では、いずれの領域においても色の濃さは変わらないため、領域によらず記録許容率がほぼ一定であることがわかる。詳細には、マスクパターン419はすべての位置に記録許容画素が配置されており、記録許容率は100%となる。
以上記載したように、本実施形態における1パス記録モードではクリアインクを吐出することなく1回の走査でカラーインクを吐出することにより画像を記録する。
(インクのコゲによる吐出特性の変化)
ここで、本実施形態において記録素子を駆動した際に生じる虞のあるインクのコゲについて以下に詳細に説明する。
上述のように、本実施形態で使用するカラーインクはそれぞれ色材として顔料を含有している。このような顔料を含有するインクでは、顔料はインク溶媒中に分散された状態で存在しているため、色材として染料を含有するインクに比べて熱エネルギーによりインクを吐出した際にコゲが生じ易くなってしまう。特に、顔料を含有するインクの中でも極性が高いインクにおいて特にコゲが生じ易いことが実験的にわかっている。これは、高い極性を有するインクでは融点や沸点が高くなることに由来すると推測できる。
本実施形態で使用する7種類のカラーインクでは、シアンインクが他の6種類のインクに比べて高い極性を有する。したがって、シアンインクにおいて記録素子を駆動した際のインクのコゲが特に顕著に発生する虞がある。
このコゲが記録素子の表面に堆積した場合、吐出速度や吐出量等の吐出特性が変動してしまう虞がある。例えば、記録ヘッドをインクジェット記録装置に装着してから記録素子の駆動回数が増えるにつれて記録素子の表面へのインクのコゲの堆積量が多くなるため、吐出速度は低下していく。これに伴って、インクの着弾精度が低下し、画像の輪郭が不明瞭となるなど、様々な画像劣化を引き起こす虞がある。
図10は記録素子の駆動回数に対応するインクの吐出回数とインクの吐出速度との相関関係を示す図である。なお、図10における実線が本実施形態で使用するシアンインクの吐出回数と吐出速度の相関を、また、破線が本実施形態で使用するブラックインクの吐出回数と吐出速度の相関関係をそれぞれ示している。横軸に関しては吐出回数が多くなるほど左側から右側へとシフトし、縦軸に関しては吐出速度が速くなるほど下側から上側へとシフトする。
図10からわかるように、極性がそれ程高くないブラックインクに関しては、インクの吐出回数(記録素子の駆動回数)が増えた場合であってもコゲがそれ程生じないため、吐出速度の変化も小さい。一方、極性が高いシアンインクに関してはインクの吐出回数(記録素子の駆動回数)が増えるにつれて記録素子の表面にコゲが蓄積されていくため、吐出速度の低下が顕著に発生してしまう。
ここで、上述の4パス記録モードや6パス記録モードにて記録を行う場合、図6、図8を用いて説明したように、シアンインクを吐出する吐出口列15内の一部の吐出口のみを用いて記録を行う。したがって、記録に用いられた一部の記録素子にのみコゲが堆積することになる。
例えば、ある記録媒体に対して4パス記録モードで記録を行うと、図6に示す吐出口列15内の吐出口群201〜204と対向する(記録素子列内の記録素子群を構成する)記録素子の表面にはコゲが堆積し、他の記録素子の表面にはコゲが生じていないという状態になる虞がある。この結果、吐出口群201〜204からのインクの吐出速度が他の吐出口からの吐出速度に比べて低下してしまう。
この記録媒体に対する記録の後、次の記録媒体に記録を行う際に上述の1パス記録モードが選択された場合、すべての吐出口を用いてインクを吐出することになる。ここで、吐出口列15内の吐出口群201〜204にのみインクのコゲに由来する吐出速度の低下が生じているため、吐出口群201〜204からインクが吐出された領域と、他の吐出口からインクが吐出された領域と、の間に濃度むらが生じてしまう。
また、ある記録媒体に対して6パス記録モードで記録を行った場合には、図8に示す吐出口列15内の吐出口群211〜216と対向する記録素子の表面にのみコゲが堆積し、吐出口群211〜216からのインクの吐出速度が他の吐出口からの吐出速度に比べて低下する。
これにより、次の記録媒体に対して1パス記録モードで記録を行うと、吐出口列15内の吐出口群211〜216からインクが吐出される領域と、他の吐出口からインクが吐出される領域と、の間に濃度むらが生じる虞がある。ここで、図6、図8からわかるように、吐出口群211〜216は吐出口群201〜204と一致するものではないため、6パス記録モード実行後に1パス記録モードを実行した際に生じ得る濃度むらは4パス記録モード実行後に1パス記録モードを実行した際に生じ得る濃度むらと異なるものとなる。
(コゲ不均一抑制制御)
以上の点を鑑み、本実施形態では、1枚の記録媒体に対してある記録モードにしたがって記録が行われた後、記録素子間のコゲに由来する吐出特性の不均一を抑制する制御を記録モードに応じて異ならせて実行する。詳細には、先の記録媒体に対する記録で実行された記録モードにて使用されなかった記録素子を駆動して画像の記録に寄与しないインクの予備吐出を行うことにより、記録に用いられなかった記録素子に対してもコゲを生じさせるような制御を行う。
図11は本実施形態における制御プログラムにしたがってCPUが実行するコゲの不均一を抑制するための制御を実行可否の決定制御のフローチャートである。
インクジェット記録装置は、記録データを受け取ると、ステップS11にて記録媒体を給紙する。次に、ステップ12にて選択された記録モードにしたがって1枚の記録媒体に対する記録を行う。その後、ステップ13にて記録が行われた記録媒体を排紙する。
次にステップS14にて、ステップS12にて記録を実行した際の記録モードが4パス記録モード、6パス記録モード、1パス記録モードのうちのコゲ不均一抑制制御を実行する記録モードであるか否かを判定する。上述したように、本実施形態では4パス記録モードと6パス記録モードにおいてコゲが不均一に発生する虞がある。そこで、本実施形態では4パス記録モードまたは6パス記録モードにて記録が行われた場合、ステップS15に進み、コゲ不均一抑制制御を実行する。一方、1パス記録モードで記録が行われた場合、コゲの不均一はそれ程生じていないため、コゲ不均一抑制制御は実行されない。
図12は本実施形態における制御プログラムにしたがってCPUが実行するコゲ不均一抑制制御のフローチャートである。
ステップS15にてコゲ不均一抑制制御の実行が決定されると、まずステップS21にてカウント値NとしてN=0を設定する。
次に、ステップS22において記録に用いられなかった吐出口からの実行する予備吐出の回数を決定する。ここで、予備吐出回数は(式1)によって算出される。
ここで、ドットカウント値はステップS12で記録を実行した際に取得されたインクの吐出回数であり、ステップS12における記録時にインクジェット記録装置に記憶された値である。
また、使用吐出口数はステップS12における記録の際に使用する吐出口の数であり、記録モードに応じて異なる値が予め記憶されている。例えば、図6に示す4パス記録モードでは吐出口群201〜204が記録に用いられるため、使用吐出口数は16(=4×4)となる。また、図8に示す6パス記録モードでは吐出口群211〜216が記録に用いられるため、使用吐出口数は12(=2×6)となる。
ドットカウント値を使用吐出回数で割ることにより、使用した吐出口のうちの1つの吐出口当たりのインクの吐出回数の平均値を算出することができる。記録に使用されなかった吐出口からこの平均値だけインクを予備吐出することにより、記録に使用されなかった吐出口からのインクの予備吐出回数と、記録に使用された吐出口からの記録時の吐出回数の平均値と、を同じ回数とすることができる。これにより、記録に使用された吐出口に対向する記録素子の表面に堆積するコゲと使用されなかった吐出口に対向する記録素子の表面に堆積するコゲの量をほぼ同等とすることができる。
しかしながら、実際にはコゲの量がほぼ同等となるまで使用されなかった吐出口に対向する記録素子にコゲを付ける必要はなく、吐出口間での濃度むらが目立ちにくくなるような程度のコゲを付ければ十分である。そこで、本実施形態では上述の平均値に重み付け係数を掛けることにより、実際の予備吐出回数を決定している。本実施形態では使用された吐出口と対向する記録素子に付いたコゲの量の約半分程度のコゲが付けば吐出口間での濃度むらが視認されにくくなることが実験的にわかっている。したがって、本実施形態では重み付け係数として0.5の値を設定している。これにより、予備吐出を不要に実行することを抑制することができるため、予備吐出におけるインクの消費量を低減することができる。更に、予備吐出動作に掛かる時間を短縮することもまた合わせて可能となる。
なお、ここでは重み付け係数として0.5の値を設定したが、この値は適宜異なる値に設定することができる。また、コゲの量を吐出口間で等しくしたい場合には、重み付け係数を乗じずに平均値をそのまま予備吐出回数として設定しても良い。
次に、ステップS23においてステップS22で決定された予備吐出回数が1回以上であるか否かが判定される。1回未満である場合、コゲ不均一抑制制御を終了する。1回以上であると判定された場合、ステップS24へと進む。
ステップS24では、ステップS12における記録時の記録モードに応じて異なる予備吐出パターンを用い、インクジェット記録装置内に設けられた所定の予備吐出部に対して画像の記録に寄与しないインクの予備吐出を1回行う。
図13(a)は4パス記録モードによって記録が実行された際にステップS24で用いる予備吐出パターン209を示す図である。また、図13(b)は6パス記録モードによって記録が実行された際にステップS24で用いる予備吐出パターン219を示す図である。なお、図13(a)、(b)それぞれに示す予備吐出パターン209、219のうち、黒く塗りつぶされた箇所が予備吐出を行う吐出口を、白抜けで示された箇所が予備吐出を行わない吐出口をそれぞれ示している。
本実施形態における予備吐出パターンは、記録時に使用されなかった吐出口のすべての吐出口からインクを吐出するように定められている。例えば、4パス記録モードではシアンインクを吐出する吐出口列15のうち吐出口群201〜204が記録に用いられるため、吐出口列15内の吐出口群201〜204以外のすべての吐出口からインクを吐出するように予備吐出パターン209が定められている。また、6パス記録モードではシアンインクを吐出する吐出口列15のうち吐出口群211〜216が記録に用いられるため、吐出口列15内の吐出口群211〜216以外のすべての吐出口からインクを吐出するように予備吐出パターン219が定められている。
なお、ここではステップS24における予備吐出動作にて1つの吐出口当たり1回だけインクを予備吐出する場合について記載したが、1回の予備吐出動作にて1つの吐出口当たり複数回インクを予備吐出しても良い。
次に、ステップS25ではカウンタ値Nを1回だけ増加させる。ここではステップS21にてカウンタ値Nは0に定められているため、ステップS25においてカウンタ値Nが1に増加することとなる。
次に、ステップS26にてカウンタ値NがステップS22で決定された予備吐出回数以上であるか否かが判定される。カウンタ値Nが予備吐出回数以上であると判定された場合、ステップS22で決定された予備吐出回数だけステップS24における予備吐出動作が実行されているため、コゲ不均一抑制制御を終了する。一方、カウンタ値Nが予備吐出回数未満であると判定された場合、ステップS24に戻り、再度の予備吐出動作が実行される。
以下、ステップS24〜S26における処理を繰り返し、ステップS26にてカウンタ値NがステップS22で決定された予備吐出回数以上となるまで同様の制御を実行する。
以上の構成によれば、いずれの記録モードにしたがって記録を行った後であっても、次の記録媒体に対する記録を行う際に記録素子間での堆積するコゲの量をある程度均一にすることができる。これにより、例えば4パス記録モードや6パス記録モードによって記録を実行した後に1パス記録モードによって記録を行う場合であっても、吐出口列内の吐出特性の違いに由来する画質の低下を抑制することが可能となる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、4パス記録モード、6パス記録モードのそれぞれにおいてY方向における位置によらず記録許容率がほぼ等しくなるように定められたマスクパターンを用いる形態について記載した。
これに対し、本実施形態では、4パス記録モード、6パス記録モードのそれぞれにおいてY方向における位置に応じて記録許容率が異なるように定められたマスクパターンを用いる形態について記載する。
なお、上述した第1の実施形態と同様の部分については説明を省略する。
本実施形態では、4パス記録モードおよび6パス記録モードにおいて第1の実施形態で適用したマスクパターンと異なるマスクパターンを適用する。
(4パス記録モード)
図14は本実施形態における4パス記録モードを説明するための図である。なお、ここでは簡単のため、シアンインクを吐出する吐出口列15とクリアインクを吐出する吐出口列18のみについて示している。なお、シアンインク以外のカラーインクを吐出する吐出口列に関してはシアンインクを吐出する吐出口列15と同様の制御を行う。更に、簡単のため、ここでは各吐出口列が32個の吐出口から構成されている場合について示している。
図14(a)は吐出口列15内の4パス記録モードにおいて使用する吐出口群と、それらの吐出口群に適用するマスクパターンと、を模式的に示す図である。また、図14(b)は吐出口列18内の4パス記録モードにおいて使用する吐出口群と、それらの吐出口群に適用するマスクパターンと、を模式的に示す図である。
図14(a)からわかるように、本実施形態における4パス記録モードでは、第1の実施形態における4パス記録モードと同様に吐出口列15内の4つの吐出口群201〜204のみが単位領域への記録に用いられる。
そして、距離d1の搬送を介在させながら単位領域に対する1〜4回目の走査それぞれにおいて、マスクパターン401´〜404´のそれぞれを用いて生成された記録データにしたがって、吐出口群201〜204からシアンインクが吐出される。
ここで、図14(a)に模式的に示すマスクパターン401´〜404´では、色が濃いほどマスクパターン内の各領域における画素の数に対する記録許容画素の数の比率である記録許容率が高く、薄いほど記録許容率が低いことを示している。図14(a)に示すマスクパターンでは、吐出口列15の端部に近い領域ほど記録許容率が低く定められていることがわかる。
図15(a)〜(d)はそれぞれマスクパターン401´〜404´それぞれの詳細を示す図である。なお、図15(a)〜(d)それぞれにおける黒く塗りつぶされた箇所がインクの吐出の許容を定める記録許容画素を、白抜けで示された箇所がインクの吐出の非許容を定める非記録許容画素をそれぞれ示している。また、ここではX方向に16画素、Y方向に4画素の合計64個の画素に相当する大きさを有するマスクパターンを示したが、この大きさは適宜異なるものに設定できる。
図15からわかるように、マスクパターン401´〜404´は記録許容画素が互いに排他的且つ補完的な関係となるように配置されている。すなわち、マスクパターン401´〜404´の記録許容画素の論理和を取るとすべての画素において記録許容画素が配置されるようなパターンが得られる。
また、吐出口群201〜204のうち、吐出口列の端部に近い吐出口群201、204に対応するマスクパターン401´、404´は、端部から遠い吐出口群202、203に対応するマスクパターン402´、403´よりも記録許容率が低くなるように定められている。例えば、図15(a)に示す1回目の走査に対応するマスクパターン401´には、64個の画素のうち10個の画素が記録許容画素に対応している。したがって、マスクパターン401´の記録許容率は約16(=10/64×100)%である。同様に、マスクパターン404´の記録許容率もまた約16%となる。一方、図15(b)に示す2回目の走査に対応するマスクパターン402´には、64個の画素のうち22個の画素が記録許容画素に対応している。したがって、マスクパターン402´の記録許容率は約34(=22/64×100)%である。同様に、マスクパターン403´の記録許容率もまた約34%となる。
また、マスクパターン401´、404´は、それぞれのマスクパターン内のY方向における位置が記録に使用する吐出口群のうちの端部に近くなるほど記録許容率が低くなるように定められている。例えば、図7(a)に示す1回目の走査に対応するマスクパターンでは、最もY方向上流側に位置する画素行L1が吐出口群201〜204のうちの端部に相当する。ここで、最もY方向上流側に位置する画素行L1における記録許容率は約6(=1/16×100)%である。また、Y方向上流側端部から2番目に位置する画素行L2における記録許容率は約13(=2/16×100)%である。また、Y方向下流側端部から2番目に位置する画素行L3における記録許容率は約19(=3/16×100)%である。また、最もY方向下流側に位置する画素行L4における記録許容率は25(=4/16×100)%である。このように、マスクパターン401´においてはY方向における位置が吐出口群201〜204の端部に近くなるほど記録許容率が低くなるように定められている。マスクパターン404´についても同様である。
一般に、所定方向に連続して配置された複数の吐出口からインクを吐出する場合、端部に位置する吐出口から吐出されたインクに気流等の影響により着弾位置ずれが生じてしまうことが知られている。これに対し、本実施形態に記載したような端部の記録許容率が低くなるようなマスクパターンを用いることにより、上述の端部の吐出口からのインクの着弾位置ずれによる画質の低下を低減することが可能となる。
一方、図14(b)からわかるように、本実施形態における4パス記録モードでは、第1の実施形態における4パス記録モードと同様にクリアインクを吐出する吐出口列18内の2つの吐出口群205、206のみが単位領域への記録に用いられる。そして、距離d1の搬送を介在させながら単位領域に対する1、2回目の走査それぞれにおいて、マスクパターン405´、406´のそれぞれを用いて生成された記録データにしたがって、吐出口群205、206からクリアインクが吐出される。
ここで、図14(b)に模式的に示すマスクパターン405´、406´では、色が濃いほどマスクパターン内の各領域における画素の数に対する記録許容画素の数の比率である記録許容率が高く、薄いほど記録許容率が低いことを示している。図14(b)に示すマスクパターンでは、吐出口列15の端部に近い領域ほど記録許容率が低く定められていることがわかる。マスクパターン405´、406´における記録許容画素の詳細な配置については説明を省略する。
以上記載したように、本実施形態における4パス記録モードにおいても、4回の走査にてカラーインクを吐出した後、2回の走査でクリアインクを吐出することによって画像を記録する。
(6パス記録モード)
図16は本実施形態における6パス記録モードを説明するための図である。なお、ここでは簡単のため、シアンインクを吐出する吐出口列15とクリアインクを吐出する吐出口列18のみについて示している。なお、シアンインク以外のカラーインクを吐出する吐出口列に関してはシアンインクを吐出する吐出口列15と同様の制御を行う。更に、簡単のため、ここでは各吐出口列が32個の吐出口から構成されている場合について示している。
図16(a)は吐出口列15内の6パス記録モードにおいて使用する吐出口群と、それらの吐出口群に適用するマスクパターンと、を模式的に示す図である。また、図16(b)は吐出口列18内の6パス記録モードにおいて使用する吐出口群と、それらの吐出口群に適用するマスクパターンと、を模式的に示す図である。
図16(a)からわかるように、本実施形態における6パス記録モードでは、第1の実施形態における6パス記録モードと同様に吐出口列15内の6つの吐出口群211〜216のみが単位領域への記録に用いられる。
そして、距離d2の搬送を介在させながら単位領域に対する1〜6回目の走査それぞれにおいて、マスクパターン411´〜416´のそれぞれを用いて生成された記録データにしたがって、吐出口群211〜216からシアンインクが吐出される。
ここで、図16(a)に模式的に示すマスクパターン411´〜416´では、色が濃いほどマスクパターン内の各領域における画素の数に対する記録許容画素の数の比率である記録許容率が高く、薄いほど記録許容率が低いことを示している。図16(a)に示すマスクパターンでは、吐出口列15の端部に近い領域ほど記録許容率が低く定められていることがわかる。マスクパターン411´〜416´における記録許容画素の詳細な配置については説明を省略する。
このような端部の記録許容率が低くなるようなマスクパターンを用いることにより、上述の端部の吐出口からのインクの着弾位置ずれによる画質の低下を低減することが可能となる。
一方、図16(b)からわかるように、本実施形態における6パス記録モードでは、第1の実施形態における6パス記録モードと同様にクリアインクを吐出する吐出口列18内の2つの吐出口群217、218のみが単位領域への記録に用いられる。そして、距離d2の搬送を介在させながら単位領域に対する1、2回目の走査それぞれにおいて、マスクパターン417´、418´のそれぞれを用いて生成された記録データにしたがって、吐出口群217、218からクリアインクが吐出される。
ここで、図16(b)に模式的に示すマスクパターン417´、418´では、色が濃いほどマスクパターン内の各領域における画素の数に対する記録許容画素の数の比率である記録許容率が高く、薄いほど記録許容率が低いことを示している。図16(b)に示すマスクパターンでは、吐出口列18の端部に近い領域ほど記録許容率が低く定められていることがわかる。マスクパターン417´、418´における記録許容画素の詳細な配置については説明を省略する。
以上記載したように、本実施形態における6パス記録モードにおいても、6回の走査にてカラーインクを吐出した後、2回の走査でクリアインクを吐出することによって画像を記録する。
(インクのコゲによる吐出特性の変化)
ここで、上述の4パス記録モードや6パス記録モードにて記録を行う場合、図14、図16を用いて説明したように、シアンインクを吐出する吐出口列15内の一部の吐出口のみを用いて記録を行う。したがって、記録に用いられた一部の記録素子にのみコゲが堆積することになる。更に、マスクパターンの記録許容率がY方向における位置に応じて異なるため、記録に使用する吐出口群の中でもインクの吐出回数が大きく異なる虞がある。そのため、記録に用いられた記録素子の中でもコゲの堆積の程度が異なってくる。
例えば、ある記録媒体に対して4パス記録モードで記録を行うと、図14に示す吐出口列15内の吐出口群202、203と対向する記録素子の表面にはコゲが多く堆積する。一方、吐出口群201〜204以外の吐出口に対向する記録素子の表面にはコゲが生じない。更に、吐出口群201と対向する記録素子に関しては、記録素子列のY方向下流側に向かうにしたがってコゲの堆積の程度が小さくなる。同様に、吐出口群204と対向する記録素子に関しては、記録素子列のY方向上流側に向かうにしたがってコゲの程度が小さくなる。この結果、吐出口間におけるインクの吐出速度の変動がより大きく発生してしまう。
この記録媒体に対する記録の後、次の記録媒体に記録を行う際に1パス記録モードが選択された場合、すべての吐出口を用いてインクを吐出することになる。したがって、吐出速度の変動に由来する濃度むらが顕著に発生する虞がある。
(コゲ不均一抑制制御)
以上の点を鑑み、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に1枚の記録媒体に対してある記録モードにしたがって記録が行われた後、記録素子間のコゲに由来する吐出特性の不均一を抑制する制御を記録モードに応じて異ならせて実行する。ここで、図12で示したフローチャートのうち、ステップS22における予備吐出回数の決定処理とステップS24における予備吐出の実行処理を第1の実施形態に比べて異ならせることにより、コゲの不均一の抑制制御を行う。
ステップS22では、(式2)にしたがって予備吐出回数を算出する。
ここで、第1の実施形態と同様に、ドットカウント値を使用吐出回数で割ることにより、使用した吐出口のうちの1つの吐出口当たりのインクの吐出回数の平均値を算出することができる。しかしながら、本実施形態で使用するマスクパターンはY方向に応じて記録許容率が異なるため、記録に使用されなかった吐出口から上述の平均値だけインクを予備吐出したとしても、記録に使用された記録素子に付いたコゲの量のうちの平均程度しか付かない。実際には、記録に使用された記録素子のうちの吐出回数の多い吐出口に対向する記録素子には更に多くのコゲが付いているため、上述の平均値だけ予備吐出を行ったとしてもコゲの不均一は残存している。
したがって、本実施形態では、記録に使用されなかった吐出口の予備吐出回数を一旦記録に使用された吐出口の吐出回数の最大値に合わせる。詳細には、各記録モードで使用する複数のマスクパターンそれぞれにおける記録許容率の平均値と最大値を算出し、上述のインクの吐出回数の平均値に対して記録許容率の平均値で割り、且つ、記録許容率の最大値を掛けることにより、インクの吐出回数の最大値を算出することができる。
記録に使用されなかった吐出口からこの最大値だけインクを予備吐出することにより、記録に使用されなかった吐出口からのインクの予備吐出回数と、記録に使用された吐出口のうちの吐出回数の多い吐出口からの記録時の吐出回数と、を同じ回数とすることができる。これにより、記録に使用されなかった吐出口に対向する記録素子の表面に堆積するコゲの量を、記録に使用された吐出口と対向する記録素子のうちの最も多い量のコゲが堆積する記録素子とほぼ同等とすることができる。
例えば、本実施形態における4パス記録モードで用いるマスクパターン401´、402´、403´、404´それぞれにおける記録許容率は、上述のようにそれぞれ約16%、約34%、約34%、約16%となる。したがって、記録許容率の平均値は約25%、最大値は約34%となる。したがって、本実施形態の4パス記録モードにおけるインクの吐出回数の最大値は、インクの吐出回数の平均値に対して1.36(=34/25)を掛けることにより算出される。
その上で、第1の実施形態と同様に、重み付け係数を上述の最大値に掛けることにより実際の予備吐出回数を決定する。本実施形態でも、使用された吐出口と対向する記録素子に付いたコゲの量の約半分程度のコゲが付けば濃度むらが視認されにくいことがわかっているため、重み付け係数として0.5の値を設定している。
ステップS24では、ステップS12における記録時の記録モードに応じて異なる予備吐出パターンを用い、インクの予備吐出を1回行う。ここで、本実施形態では図13で示した第1の実施形態で使用した予備吐出パターンとは異なる予備吐出パターンを用いる。
図17(a)は4パス記録モードによって記録が実行された際にステップS24で用いる予備吐出パターン200を示す図である。また、図17(b)は6パス記録モードによって記録が実行された際にステップS24で用いる予備吐出パターン210を示す図である。なお、図17(a)、(b)それぞれに示す予備吐出パターン200、210のうち、黒く塗りつぶされた箇所が予備吐出を行う吐出口を、白抜けで示された箇所が予備吐出を行わない吐出口をそれぞれ示している。
本実施形態では、1つの記録モード当たり5つのパターンからなる予備吐出パターンが設定されている。例えば、4パス記録モードにおける予備吐出パターン210は、パターン200a、200b、200c、200d、200eから構成される。本実施形態におけるステップS24では、4パス記録モードによって記録が実行された場合、これらのパターン200a〜200eを1回ずつ順次用いて予備吐出を行う。詳細には、カウンタ値Nを5で割った際の余りが0の時にはパターン200aを、余りが1の時にはパターン200bを、余りが2の時にはパターン200cを、余りが3の時にはパターン200dを、余りが4の時にはパターン200eをそれぞれ用いて1回ずつ予備吐出を行う。
例えば、コゲ不均一抑制制御が開始されてから最初にステップS24にて予備吐出を実行する場合、ステップS21にてカウンタ値N=0が定められている。この際、カウンタ値N=0を5で割った余りは0であるので、パターン200aを用いて予備吐出を行う。
その次にステップS24にて予備吐出を実行する場合、ステップS25にてカウンタ値Nが1だけ増加されているため、カウンタ値N=1が定められている。この際、カウンタ値N=1を5で割った余りは1であるので、パターン200bを用いて予備吐出を行う。
ここで、本実施形態における予備吐出パターンを構成する5つのパターンは、いずれも記録時に使用されなかった吐出口のすべての吐出口からインクを予備吐出するように定められている。
更に、本実施形態における予備吐出パターンを構成する5つのパターンは、記録に使用された吐出口のうちの記録許容率が低いマスクパターンに対応する吐出口からは、記録許容率が低いほど予備吐出回数が多くなるようにインクを予備吐出するように定められている。これにより、記録に使用された吐出口のうちの吐出回数の少ない吐出口に対向する記録素子の表面に堆積するコゲの量を吐出回数の多い吐出口に対向する記録素子の表面に堆積するコゲの量に近付けることが可能となる。
例えば、4パス記録モードではシアンインクを吐出する吐出口列15のうち記録に使用されない吐出口列15内の吐出口群201〜204以外のすべての吐出口からインクを吐出するようにパターン200a〜200eが定められている。
また、記録に使用される吐出口のうちの記録許容率が低いマスクパターンに対応する吐出口群201のうち、最も低い記録許容率(約6%)である画素行L1に対応する最もY方向上流側に位置する吐出口は、パターン200a、200b、200c、200dにおいてはインクを吐出するように定められ、且つ、パターン200eにおいてはインクを吐出しないように定められている。すなわち、予備吐出パターン200では、ステップS24において予備吐出を5回行った場合、その中で4回予備吐出を行うように定められている。
また、記録に使用される吐出口のうちの記録許容率が低いマスクパターンに対応する吐出口群201のうち、最も高い記録許容率(約25%)である画素行L4に対応する最もY方向下流側に位置する吐出口は、パターン200aにおいてはインクを吐出するように定められ、且つ、200b、200c、200d、パターン200eにおいてはインクを吐出しないように定められている。すなわち、予備吐出パターン200では、ステップS24において予備吐出を5回行った場合、その中で1回予備吐出を行うように定められている。
6パス記録モードにおける予備吐出パターン210においても、4パス記録モードにおける予備吐出パターン200と同様に定められている。
このように、本実施形態においてはステップS22における予備吐出回数の算出方法とステップS24において用いる予備吐出パターンとを第1の実施形態と異ならせる。これにより、Y方向における位置に応じて記録許容率が異なるように定められたマスクパターンを用いる場合であっても、各記録モードにおいて記録素子間での堆積するコゲの量をある程度均一にすることができ、吐出口列内の吐出特性の違いに由来する画質の低下を抑制することが可能となる。
なお、本実施形態においてはステップS22にて上述の(式2)にしたがって予備吐出回数を決定し、ステップS24における1回の予備吐出動作において1つのパターンにしたがって1回だけ吐出を行う形態について記載したが、他の形態による実施も可能である。
例えば、4パス記録モードにて記録が実行された際、ステップS24における1回の予備吐出動作においてパターン200a〜200eのそれぞれにしたがって5回インクを吐出するような形態であっても良い。この場合、上述の(式2)にしたがって算出されたインクの予備吐出回数を1回の予備吐出動作当たりの吐出回数である5で割った回数だけステップS24にて予備吐出動作を行えば良い。
(第3の実施形態)
上述した第1、第2の実施形態では、1枚の記録媒体に対して複数の記録モードのいずれか1つの記録モードにしたがって記録を行う形態について記載した。
これに対し、本実施形態では、1枚の記録媒体に対して記録する領域に応じて異なる記録モードにて記録を行う形態について記載する。
なお、上述した第1、第2の実施形態と同様の部分については説明を省略する。
図18は本実施形態におけるインクジェット記録装置内の記録ヘッド近傍の内部構成を模式的に示す図である。なお、図18(a)は記録媒体PのY方向下流側の端部(以下、先端部とも称する)に記録を行う際における記録媒体Pのインクジェット記録装置内での相対位置を示す模式図である。また、図18(b)は記録媒体PのY方向下流側端部、Y方向上流側端部以外の領域(以下、中央部とも称する)に記録を行う際における記録媒体Pのインクジェット記録装置内での相対位置を示す模式図である。また、図18(c)は記録媒体PのY方向上流側の端部(以下、後端部とも称する)に記録を行う際における記録媒体Pのインクジェット記録装置内での相対位置を示す模式図である。
記録ヘッド9からインクを吐出する際、記録媒体Pに撓みが生じ、その撓みの影響によりインクに着弾誤差が生じる虞がある。その点を鑑み、本実施形態では記録媒体を吸引する吸引孔(不図示)を設けたプラテン4´を設け、記録媒体Pがプラテン4´を覆った状態で吸引を実行し、プラテン4´上に記録媒体Pを吸着して記録ヘッドからインクを吐出することにより上述の撓みによるインクの着弾誤差の発生を抑制する。
上述のように、本実施形態ではインクを吐出する際には記録媒体Pがプラテン4´上を覆う必要があるため、記録媒体Pに対する記録を開始し、まず記録媒体の先端部を記録する際には少なくとも図18(a)に示す位置となるまで記録媒体Pを搬送してからインクを吐出する。同じく、記録媒体Pの後端部を記録し、記録媒体Pに対する記録が終了する際にも記録媒体Pがプラテン4´上を覆っていなければならないため、少なくとも図18(c)に示すような位置となってなければならない。
ここで、本実施形態におけるインクジェット記録装置には、記録媒体Pを挟持して回転することにより記録媒体Pを搬送する第1の搬送ローラ対51と第2の搬送ローラ対52が設けられている。第1の搬送ローラ対51は記録ヘッド9に対してY方向上流側に、第2の搬送ローラ対52は記録ヘッド9に対してY方向下流側に設けられている。
ここで、図18(b)に示すように記録媒体Pの中央部を記録する際には記録媒体Pは第1の搬送ローラ対51と第2の搬送ローラ対52の両方によって挟持されながら搬送される。しかしながら、例えば、図18(a)に示すような記録媒体Pの先端部を記録する際、記録媒体Pは第2の搬送ローラ対52には挟持されず、第1の搬送ローラ対51のみによって挟持され、搬送されることとなる。逆に、図18(c)に示すような記録媒体Pの後端部を記録する際には記録媒体Pは第1の搬送ローラ対51には挟持されず、第2の搬送ローラ対52のみによって挟持されながら搬送される。
図18(a)、(c)に示すような1つの搬送ローラ対のみによって記録媒体Pを挟持する場合、図18(b)に示すような2つの搬送ローラ対の両方によって記録媒体Pを挟持する場合よりも記録媒体Pの搬送にずれが生じ易くなってしまう。このような記録媒体Pの搬送にずれが生じた場合、インクが所望の位置に付与されず、画質の低下を引き起こす虞がある。
そこで、本実施形態では、記録媒体Pの先端部および後端部を記録する場合、中央部を記録する場合に比べてマルチパス記録方式における記録走査間の記録媒体Pの搬送量を少なくする。このように1回当たりの搬送量を小さくすることにより、記録媒体Pの搬送にずれが生じた場合であってもその影響を小さくすることが可能となる。
しかしながら、記録走査間の搬送量を少なくした場合、記録媒体P上の単位領域のY方向における幅も小さくなる。それに伴って、記録媒体Pの先端部および後端部を記録する場合、インクを吐出する吐出口の数が中央部を記録する場合よりも少なくなる。
また、記録時には記録媒体Pがプラテン4´上を覆わなければならないため、記録媒体Pの先端部を記録する場合と後端部を記録する場合では互いに異なる吐出口からインクを吐出する必要がある。例えば、図18(a)からわかるように、先端部を記録する際には記録ヘッド9内のY方向下流側に位置する吐出口からインクを吐出する。一方、図18(c)からわかるように、後端部を記録する際には記録ヘッド9内のY方向上流側に位置する吐出口からインクを吐出する。
したがって、記録媒体Pの先端部、後端部、中央部それぞれを記録する場合、記録に使用する吐出口は互いに異なるものとなる。そのため、記録終了時には先端部、後端部、中央部それぞれを記録した際の記録条件に応じてコゲの堆積の程度が異なってくる。
以上の点を鑑み、本実施形態では、記録媒体上の各領域を記録する際の記録条件に応じて記録終了時におけるコゲ不均一抑制制御を異ならせて実行する。
まず、以下に本実施形態における先端部記録モード、後端部記録モードについて詳細に説明する。なお、本実施形態における中央部記録モードでは、第2の実施形態における図14に示す4パス記録モードにしたがって記録を行うため、説明を省略する。
(先端部記録モード)
図19は本実施形態における先端部記録モードを説明するための図である。なお、ここでは簡単のため、シアンインクを吐出する吐出口列15とクリアインクを吐出する吐出口列18のみについて示している。なお、シアンインク以外のカラーインクを吐出する吐出口列に関してはシアンインクを吐出する吐出口列15と同様の制御を行う。更に、簡単のため、ここでは各吐出口列が32個の吐出口から構成されている場合について示している。
図19(a)は吐出口列15内の先端部記録モードにおいて使用する吐出口群と、それらの吐出口群に適用するマスクパターンと、を模式的に示す図である。また、図19(b)は吐出口列18内の先端部記録モードにおいて使用する吐出口群と、それらの吐出口群に適用するマスクパターンと、を模式的に示す図である。
図19(a)からわかるように、本実施形態における先端部記録モードでは、吐出口列15内の4つの吐出口群311〜314のみが単位領域への記録に用いられる。ここで、図18(a)に示すように、先端部への記録開始時には記録媒体Pの先端部は記録ヘッド内のY方向下流側に位置する吐出口と対向する必要がある。したがって、先端部記録モードではY方向下流側に位置する吐出口群311〜314によって記録される。
そして、距離d3の搬送を介在させながら単位領域に対する1〜4回目の走査それぞれにおいて、マスクパターン321〜324のそれぞれを用いて生成された記録データにしたがって、吐出口群311〜314からシアンインクが吐出される。上述のように、先端部記録モードでは中央部記録モードよりも搬送量を少なくするため、d3<d1となる。
ここで、図19(a)に模式的に示すマスクパターン321〜324では、色が濃いほどマスクパターン内の各領域における画素の数に対する記録許容画素の数の比率である記録許容率が高く、薄いほど記録許容率が低いことを示している。図19(a)に示すマスクパターンでは、吐出口列15の端部に近い領域ほど記録許容率が低く定められていることがわかる。マスクパターン321〜324における記録許容画素の詳細な配置については説明を省略する。
一方、図19(b)からわかるように、本実施形態における先端部記録モードでは、クリアインクを吐出する吐出口列18内の2つの吐出口群315、316のみが単位領域への記録に用いられる。そして、距離d3の搬送を介在させながら単位領域に対する1、2回目の走査それぞれにおいて、マスクパターン325、326のそれぞれを用いて生成された記録データにしたがって、吐出口群315、316からクリアインクが吐出される。
ここで、図19(b)に模式的に示すマスクパターン325、326では、色が濃いほどマスクパターン内の各領域における画素の数に対する記録許容画素の数の比率である記録許容率が高く、薄いほど記録許容率が低いことを示している。図19(b)に示すマスクパターンでは、吐出口列18の端部に近い領域ほど記録許容率が低く定められていることがわかる。マスクパターン325、326における記録許容画素の詳細な配置については説明を省略する。
以上記載したように、本実施形態における先端部記録モードでは、中央部記録モードと同じく4回の走査にてカラーインクを吐出した後、2回の走査でクリアインクを吐出することによって画像を記録する。但し、先端部記録モードでは、中央部記録モードで使用する記録素子よりも少ない数の記録素子を使用して記録を行う。更に、先端部記録モードでは、中央部記録モードよりもY方向下流側の記録素子を使用して記録を行う。
(後端部記録モード)
図20は本実施形態における後端部記録モードを説明するための図である。なお、ここでは簡単のため、シアンインクを吐出する吐出口列15とクリアインクを吐出する吐出口列18のみについて示している。なお、シアンインク以外のカラーインクを吐出する吐出口列に関してはシアンインクを吐出する吐出口列15と同様の制御を行う。更に、簡単のため、ここでは各吐出口列が32個の吐出口から構成されている場合について示している。
図20(a)は吐出口列15内の後端部記録モードにおいて使用する吐出口群と、それらの吐出口群に適用するマスクパターンと、を模式的に示す図である。また、図20(b)は吐出口列18内の後端部記録モードにおいて使用する吐出口群と、それらの吐出口群に適用するマスクパターンと、を模式的に示す図である。
図20(a)からわかるように、本実施形態における後端部記録モードでは、吐出口列15内の4つの吐出口群331〜334のみが単位領域への記録に用いられる。ここで、図18(c)に示すように、後端部への記録開始時には記録媒体Pの後端部は記録ヘッド内のY方向上流側に位置する吐出口と対向する必要がある。したがって、後端部記録モードではY方向上流側に位置する吐出口群331〜334によって記録される。
そして、距離d3の搬送を介在させながら単位領域に対する1〜4回目の走査それぞれにおいて、マスクパターン341〜344のそれぞれを用いて生成された記録データにしたがって、吐出口群331〜334からシアンインクが吐出される。先端部記録モードと同様に、後端部記録モードでは中央部記録モードよりも搬送量を少なくするため、d3<d1となる。
ここで、図20(a)に模式的に示すマスクパターン341〜344では、色が濃いほどマスクパターン内の各領域における画素の数に対する記録許容画素の数の比率である記録許容率が高く、薄いほど記録許容率が低いことを示している。図20(a)に示すマスクパターンでは、吐出口列15の端部に近い領域ほど記録許容率が低く定められていることがわかる。マスクパターン341〜344における記録許容画素の詳細な配置については説明を省略する。
一方、図20(b)からわかるように、本実施形態における後端部記録モードでは、クリアインクを吐出する吐出口列18内の2つの吐出口群335、336のみが単位領域への記録に用いられる。そして、距離d3の搬送を介在させながら単位領域に対する1、2回目の走査それぞれにおいて、マスクパターン345、346のそれぞれを用いて生成された記録データにしたがって、吐出口群335、336からクリアインクが吐出される。
ここで、図20(b)に模式的に示すマスクパターン345、346では、色が濃いほどマスクパターン内の各領域における画素の数に対する記録許容画素の数の比率である記録許容率が高く、薄いほど記録許容率が低いことを示している。図20(b)に示すマスクパターンでは、吐出口列18の端部に近い領域ほど記録許容率が低く定められていることがわかる。マスクパターン345、346における記録許容画素の詳細な配置については説明を省略する。
以上記載したように、本実施形態における後端部記録モードでは、中央部記録モードと同じく4回の走査にてカラーインクを吐出した後、2回の走査でクリアインクを吐出することによって画像を記録する。但し、後端部記録モードでは、中央部記録モードで使用する記録素子よりも少ない数の記録素子を使用して記録を行う。更に、後端部記録モードでは、中央部記録モード、先端部記録モードよりもY方向上流側の記録素子を使用して記録を行う。
(コゲ不均一抑制制御)
本実施形態では、1枚の記録媒体に対して記録媒体上の位置に応じて上述の先端部記録モード、中央部記録モード、後端部記録モードの3つの記録モードにしたがって記録が行われた後、各記録モードごとに記録素子間のコゲに由来する吐出特性の不均一を抑制する制御を異ならせて実行する。
図21は本実施形態における制御プログラムにしたがってCPUが実行するコゲの不均一を抑制するための制御を実行可否の決定制御のフローチャートである。
ステップS31〜S33は図11に示すステップS11〜S13と同様であるため、説明を省略する。
ステップS35、S36、S37では、それぞれ後述する先端部用コゲ不均一抑制制御、中央部用コゲ不均一抑制制御、後端部用コゲ不均一抑制制御をそれぞれ実行する。
図22は本実施形態における制御プログラムにしたがってCPUが実行するコゲ不均一抑制制御のフローチャートである。なお、図22(a)は先端部用コゲ不均一制御を、図22(b)は中央部用コゲ不均一抑制制御を、図22(c)は後端部用コゲ不均一抑制制御をそれぞれ示している。
図22(a)におけるステップS42、ステップS44以外のステップ、図22(b)におけるステップS52、ステップS54以外のステップ、図22(c)におけるステップS62、ステップS64以外のステップはそれぞれ図12におけるステップと同じであるため、説明を省略する。
図22(a)に示す先端部用コゲ不均一抑制制御におけるステップS42では、上述の(式2)にしたがって予備吐出回数を算出する。但し、ここでは先端部記録モード実行時における予備吐出回数を求めるため、(式2)におけるドットカウント値、使用吐出口数、マスクパターンの記録許容率の最大、マスクパターンの記録許容率の平均はそれぞれ先端記録モード実行時の値を用いる。
次に、図22(a)に示す先端部用コゲ不均一抑制制御におけるステップS44では、所定の予備吐出パターンを用いてインクの予備吐出を1回行う。図23(a)は先端部用コゲ不均一抑制制御におけるステップS44で使用する予備吐出パターン319を示している。なお、図23(a)に示す予備吐出パターン319のうち、黒く塗りつぶされた箇所が予備吐出を行う吐出口を、白抜けで示された箇所が予備吐出を行わない吐出口をそれぞれ示している。
本実施形態における先端部用コゲ不均一抑制制御では、5つのパターンからなる予備吐出パターン319が設定されている。本実施形態では、図17で示した予備吐出パターンと同様に、カウンタ値Nを5で割った余りに応じて異なるパターンを使用して予備吐出を行う。この動作については第2の実施形態で記載した部分と同様であるため説明を省略する。
ここで、本実施形態における予備吐出パターンを構成する5つのパターンは、いずれも記録時に使用されなかった吐出口のすべての吐出口からインクを予備吐出するように定められている。
更に、本実施形態における予備吐出パターンを構成する5つのパターンは、先端部記録モードにおいて記録に使用された吐出口のうちの記録許容率が低いマスクパターンに対応する吐出口からは、記録許容率が低いほど予備吐出回数が多くなるようにインクを予備吐出するように定められている。これにより、先端部記録モードにおいて記録に使用された吐出口のうちの吐出回数の少ない吐出口に対向する記録素子の表面に堆積するコゲの量を先端部記録モードにおいて吐出回数の多い吐出口に対向する記録素子の表面に堆積するコゲの量に近付けることが可能となる。
図22(b)に示す中央部用コゲ不均一抑制制御におけるステップS52では、上述の(式2)にしたがって予備吐出回数を算出する。但し、ここでは中央部記録モード実行時における予備吐出回数を求めるため、(式2)におけるドットカウント値、使用吐出口数、マスクパターンの記録許容率の最大、マスクパターンの記録許容率の平均はそれぞれ中央部記録モード実行時の値を用いる。
次に、図22(b)に示す中央部用コゲ不均一抑制制御におけるステップS54では、所定の予備吐出パターンを用いてインクの予備吐出を1回行う。ここで、予備吐出パターンとして図17(a)に示した予備吐出パターン200を用いて予備吐出を実行する。
そして、図22(c)に示す後端部用コゲ不均一抑制制御におけるステップS62では、上述の(式2)にしたがって予備吐出回数を算出する。但し、ここでは後端部記録モード実行時における予備吐出回数を求めるため、(式2)におけるドットカウント値、使用吐出口数、マスクパターンの記録許容率の最大、マスクパターンの記録許容率の平均はそれぞれ後端記録モード実行時の値を用いる。
次に、図22(c)に示す後端部用コゲ不均一抑制制御におけるステップS64では、所定の予備吐出パターンを用いてインクの予備吐出を1回行う。図23(b)は後端部用コゲ不均一抑制制御におけるステップS64で使用する予備吐出パターン339を示している。なお、図23(b)に示す予備吐出パターン339のうち、黒く塗りつぶされた箇所が予備吐出を行う吐出口を、白抜けで示された箇所が予備吐出を行わない吐出口をそれぞれ示している。
本実施形態における後端部用コゲ不均一抑制制御では、5つのパターンからなる予備吐出パターン339が設定されている。本実施形態では、図17で示した予備吐出パターンと同様に、カウンタ値Nを5で割った余りに応じて異なるパターンを使用して予備吐出を行う。この動作については第2の実施形態で記載した部分と同様であるため説明を省略する。
ここで、本実施形態における予備吐出パターンを構成する5つのパターンは、いずれも記録時に使用されなかった吐出口のすべての吐出口からインクを予備吐出するように定められている。
更に、本実施形態における予備吐出パターンを構成する5つのパターンは、後端部記録モードにおいて記録に使用された吐出口のうちの記録許容率が低いマスクパターンに対応する吐出口からは、記録許容率が低いほど予備吐出回数が多くなるようにインクを予備吐出するように定められている。これにより、後端部記録モードにおいて記録に使用された吐出口のうちの吐出回数の少ない吐出口に対向する記録素子の表面に堆積するコゲの量を後端部記録モードにおいて吐出回数の多い吐出口に対向する記録素子の表面に堆積するコゲの量に近付けることが可能となる。
以上に記載した構成によれば、記録する領域に応じて異なる記録モードにて記録を行う場合であっても、記録素子間のコゲの不均一な発生に由来する画質の低下を抑制した記録を行うことが可能となる。
なお、上述した第3の実施形態では記録媒体を吸引するプラテンを用い、先端部を記録する場合にはY方向下流側の記録素子を、後端部を記録する場合にはY方向上流側の記録素子を用いる形態について記載したが、他の形態による実施も可能である。例えば、吸引プラテンが設けられていない場合、先端部の記録時には図18(a)に示す第1の搬送ローラ対のみによって記録媒体Pが狭持されているため、図18(a)に示す位置まで記録媒体Pを搬送すると記録媒体の先端部が鉛直下方に若干曲がってしまう虞がある。その場合、図18(a)に示す先端部の位置よりもY方向上流側にて先端部を記録すると良い。その際にはY方向の上流側の記録素子から先端部を記録することとなる。後端部の記録時にも同様に、Y方向の下流側の記録素子から記録を行えば良い。この際、本実施形態におけるコゲ不均一抑制制御において先端部記録モードでは図20に示す予備吐出パターンを、後端部記録モードでは図19に示す予備吐出パターンをそれぞれ用いて予備吐出を実行すれば本実施形態による効果を得ることができる。
(第4の実施形態)
上述の第1から第3の実施形態では、記録が進んだ場合であってもコゲ不均一抑制制御を実行する形態について記載した。
これに対し、本実施形態ではある時点からはコゲ不均一抑制制御を実行しない形態について記載する。
なお、上述した第1から第3の実施形態と同様の部分については説明を省略する。
図10からわかるように、極性が高いインクであってもインクの吐出回数が多くなると記録素子の表面に付いたコゲの量が多くなるため、吐出速度はほぼ変化しなくなる。そこで、本実施形態では、所定の閾値Th_Aを設定し、インクの吐出回数が閾値Th_A未満である場合は1枚の記録媒体に対して記録が終了するごとにコゲ不均一抑制制御を行うが、閾値Th_A以上となったらコゲ不均一抑制制御を実行しない。これにより、不要な予備吐出回数を削減することが可能となる。
ここで、本実施形態では、1枚の記録媒体に対するインクの吐出回数を使用吐出口数で割った値を吐出回数の平均値として算出し、記録媒体に対する記録のたびにその平均値をEEPROM112に格納する。そして、記録ヘッドの装着時からのインクの平均値の合計を算出することにより、インクの吐出回数の平均値の累計を算出する。この平均値の累計が閾値Th_A以上となった時点から各実施形態におけるコゲ不均一抑制制御を実行しないように制御を行う。
本実施形態によれば、記録ヘッドを装着してからのインクの吐出回数が閾値よりも大きくなり、濃度むらが生じなくなった場合においてコゲ不均一抑制制御を実行しなくなるようにすることができるため、不要な予備吐出回数を削減することが可能となる。
(第5の実施形態)
第5の実施形態は、インクジェット記録装置に吐出状態の検出ユニットとして光学式センサ501が備えられている構成とする。本実施形態では、図24のようにインクの吐出状態を検出するために発光素子502と受光素子503を含む光学式センサを用いる。光学センサは、キャリッジ走査上の下部に備え付けられており、センサの上部にキャリッジ移動後、インクを吐出しセンサの発光−受光部間を通過する時間に基づき、吐出速度を測定する。インク滴が記録ヘッドから吐出されてから光学式センサによって吐出を検出するまでの遅延時間T、遅延時間と吐出口から光学式センサの光軸までの距離Lから、インク滴の吐出速度vを以下の(式3)から算出する。
(式3)
v=L(mm)/T(msec)
図10の吐出速度変動のグラフは、インクの種類以外にもインクのロット、記録ヘッドの製造バラツキによっても吐出速度変動が異なる。その場合、第4の実施形態で定義した平均値の累計に基づき一定発数毎で前記吐出検出ユニットを用いることで吐出速度変動率を把握することができる。
本実施形態では、第1の実施形態における(式1)の重み付け係数を図25のテーブルを用いて吐出速度の変動率と吐出回数の平均値の累計に基づいて異ならせる。すなわち、第1の実施形態では重み付け係数は0.5であったが、本実施形態では、吐出速度の変動率、吐出回数の平均値の累計、図25のテーブルを用いて重み付け係数を決定する。
図25は吐出速度変動率と吐出回数の平均値の累計に基づき重み付け係数を決定するテーブルである。吐出速度変動率=(初期速度−測定時速度)/初期速度と定義し、吐出速度変動率と吐出回数の平均値の累計に基づき重み付け係数を決定する。本実施形態では、吐出速度変動率と吐出回数の平均値の累計に基づき、重み付けの数値を下げることが可能となったので、不要な予備吐出回数を削減することが可能となる。
なお、本実施形態で吐出状態の検出ユニットが備えられている構成としたが、これは一例であり、速度を算出するための構成、方法はこれに限らない。
(第6の実施形態)
第1から第5の実施形態では、記録に使用されなかった記録素子を駆動することにより当該記録素子にコゲを付け、それによってコゲの不均一を低減する形態について記載した。
これに対し、本実施形態では、記録に使用された記録素子に対してインクが吐出されない程度の熱エネルギーを加えることにより当該記録素子のコゲを剥し、それによってコゲの不均一を低減する形態について記載する。
なお、上述した第1から第5の実施形態と同様の部分については説明を省略する。
通常の吐出時の記録素子への通電時間に比べ、短い通電時間にすることで記録素子への熱エネルギーを下げられる。詳細には、通常記録時には記録素子にはプレパルスとプレパルスの次に印加されるメインパルスからなる駆動パルスを印加するが、本実施形態では単一のパルスにより構成される駆動パルスを印加して記録素子の表面に堆積したコゲを剥がす処理を行う。ここで、本実施形態においてコゲを剥がすために用いる駆動パルスはインクが吐出されない程度のパルスであれば良く、パルス幅や駆動電圧は適宜異なる値をとることができる。なお、以下の説明では簡単のため、実際にはインクが吐出されなくともコゲ剥がしのために駆動パルスを印加する制御を予備吐出と称する。
本実施形態では、4パス記録モード、6パス記録モード、1パス記録モードとして第2の実施形態と同様に図14、図16、図9に示す記録モードが実行されるものとして記載する。また、本実施形態では図12に示す各ステップのうちのステップS22における予備吐出回数の決定方法とステップS24における予備吐出実行の際に用いる予備吐出パターンを異ならせることによりコゲ不均一抑制制御を実行する。
ステップS22では、(式4)にしたがって予備吐出回数を算出する。
ここで、第2の実施形態と同様に、ドットカウント値を使用吐出回数で割ることにより、使用した吐出口のうちの1つの吐出口当たりのインクの吐出回数の平均値を算出する。そして、吐出回数の平均値を記録許容率の平均値で割り、且つ、記録許容率の最大値を掛けることにより、インクの吐出回数の最大値を算出する。
更に、本実施形態ではインクの吐出回数の最大値に対して実験的に算出された値であるコゲ剥がしの発数/コゲ付けの発数の値を乗じる。これは、第1の回数だけインクを吐出した際に記録素子の表面に付いたコゲに対し、第2の回数だけインクを予備吐出することによりそのコゲを剥がすことができた場合における第2の回数を第1の回数にて割った値である。例えば、10000回インクを吐出して発生したコゲに対し、インクが吐出されない程度の駆動パルスを1000回印加することによりそのコゲを剥がせた場合、コゲ剥がしの発数/コゲ付けの発数の値は0.1となる。
その上で、第2の実施形態と同様に、重み付け係数を掛けることにより実際の予備吐出回数を決定する。本実施形態では、使用された吐出口と対向する記録素子に付いたコゲの量の約半分程度のコゲが剥がれれば濃度むらが視認されにくいことがわかっているため、重み付け係数として0.5の値を設定している。
ステップS24では、ステップS12における記録時の記録モードに応じて異なる予備吐出パターンを用い、インクの予備吐出を1回行う。ここで、本実施形態では図17で示した第2の実施形態で使用した予備吐出パターンとは異なる予備吐出パターンを用いる。
図26(a)は4パス記録モードによって記録が実行された際にステップS24で用いる予備吐出パターン200´を示す図である。また、図26(b)は6パス記録モードによって記録が実行された際にステップS24で用いる予備吐出パターン210´を示す図である。なお、図26(a)、(b)それぞれに示す予備吐出パターン200´、210´のうち、黒く塗りつぶされた箇所が予備吐出を行う吐出口を、白抜けで示された箇所が予備吐出を行わない吐出口をそれぞれ示している。
本実施形態では、1つの記録モード当たり5つのパターンからなる予備吐出パターンが設定されている。例えば、4パス記録モードにおける予備吐出パターン210´は、パターン200a´、200b´、200c´、200d´、200e´から構成される。本実施形態におけるステップS24では、4パス記録モードによって記録が実行された場合、これらのパターン200a´〜200e´を1回ずつ順次用いて予備吐出を行う。詳細には、カウンタ値Nを5で割った際の余りが0の時にはパターン200a´を、余りが1の時にはパターン200b´を、余りが2の時にはパターン200c´を、余りが3の時にはパターン200d´を、余りが4の時にはパターン200e´をそれぞれ用いて1回ずつ予備吐出を行う。
ここで、本実施形態における予備吐出パターンを構成する5つのパターンは、いずれも記録時に使用されなかった吐出口のすべての吐出口からはインクを予備吐出しないように定められている。一方、本実施形態における予備吐出パターンを構成する5つのパターンは、記録に使用された吐出口はいずれも少なくとも1回はインクを予備吐出するよう定められている。これは、本実施形態における予備吐出は、第1から第5の実施形態にて記載した予備吐出と異なり、コゲを剥がすために行うインクが吐出されない程度の駆動パルスの印加であるため、コゲが付いた記録素子に対して実行する必要があるからである。
ここで、本実施形態における予備吐出パターンを構成する5つのパターンは、記録に使用された吐出口のうちの記録許容率が高いマスクパターンに対応する吐出口からは常にインクを予備吐出するように定められている。これは、記録時に吐出回数が多く、多量のコゲが付いている記録素子に対しては駆動パルスを数多く印加しなければコゲを剥がしきれず、使用されなかった吐出口に対向する記録素子の表面に対向する記録素子の表面に堆積するコゲの量に近付けることができないからである。
また、本実施形態における予備吐出パターンを構成する5つのパターンは、記録に使用された吐出口のうちの記録許容率が低いマスクパターンに対応する吐出口からは、記録許容率が高いほど予備吐出回数が多くなるようにインクを予備吐出するように定められている。これにより、記録に使用された吐出口のうちの吐出回数の少ない吐出口に対向する記録素子の表面に堆積するコゲの量を記録に使用されなかった吐出口に対向する記録素子の表面に対向する記録素子の表面に堆積するコゲの量に近付けることが可能となる。
例えば、4パス記録モードではシアンインクを吐出する吐出口列15のうち記録に使用されない吐出口列15内の吐出口群201〜204以外のすべての吐出口からはインクが吐出されないようにパターン200a´〜200e´が定められている。
また、記録に使用される吐出口群201〜204のうち、記録許容率が高いマスクパターン402´、403´に対応する吐出口群202、203からは、常にインクを吐出するようにパターン200a´〜200e´が定められている。
また、記録に使用される吐出口のうちの記録許容率が低いマスクパターン401´に対応する吐出口群201のうち、最も低い記録許容率(約6%)である画素行L1に対応する最もY方向上流側に位置する吐出口は、パターン200e´においてはインクを吐出するように定められ、且つ、パターン200a´、200b´、200c´、200d´においてはインクを吐出しないように定められている。すなわち、予備吐出パターン200´では、ステップS24において予備吐出を5回行った場合、その中で1回予備吐出を行うように定められている。
また、記録に使用される吐出口のうちの記録許容率が低いマスクパターン401´に対応する吐出口群201のうち、最も高い記録許容率(約25%)である画素行L4に対応する最もY方向下流側に位置する吐出口は、200b´、200c´、200d´、パターン200e´においてはインクを吐出するように定められ、且つ、パターン200a´においてはインクを吐出しないように定められている。すなわち、予備吐出パターン200´では、ステップS24において予備吐出を5回行った場合、その中で4回予備吐出を行うように定められている。
6パス記録モードにおける予備吐出パターン210´においても、4パス記録モードにおける予備吐出パターン200´と同様に定められている。
以上記載したようなインクの予備吐出回数の決定方法および予備吐出パターンによれば、記録素子の表面に堆積したコゲを好適に剥がし、記録素子間でのコゲの不均一を低減することが可能となる。
なお、本実施形態においてはステップS22にて上述の(式4)にしたがって予備吐出回数を決定し、ステップS24における1回の予備吐出動作において1つのパターンにしたがって1回だけ吐出を行う形態について記載したが、他の形態による実施も可能である。
例えば、4パス記録モードにて記録が実行された際、ステップS24における1回の予備吐出動作においてパターン200a´〜200e´のそれぞれにしたがって5回インクを吐出するような形態であっても良い。この場合、上述の(式4)にしたがって算出されたインクの予備吐出回数を1回の予備吐出動作当たりの吐出回数である5で割った回数だけステップS24にて予備吐出動作を行えば良い。
(第7の実施形態)
本実施形態では、第1から第5の実施形態で記載した記録素子の表面にコゲを付ける制御(以下、第2の予備吐出制御とも称する)と、第6の実施形態で記載した記録素子の表面に堆積したコゲを剥がす制御(以下、第1の予備吐出制御とも称する)と、の両方を実行する形態について記載する。
なお、上述した第1から第6の実施形態と同様の部分については説明を省略する。
本実施形態では、4パス記録モード、6パス記録モード、1パス記録モードとして第2の実施形態と同様に図14、図16、図9に示す記録モードが実行されるものとして記載する。
図27は本実施形態における制御プログラムにしたがってCPUが実行するコゲ不均一抑制制御のフローチャートである。
本実施形態では、図12に示すコゲ不均一制御を2段階に分けて実行する。
まず、ステップS71にてカウント値NとしてN=0を設定する。
次に、ステップS72において第1の予備吐出の回数を決定する。ここで、第1の予備吐出制御は記録に用いられた記録素子の表面に堆積したコゲを剥がすためのものであり、記録に用いられた記録素子に対してインクが吐出されない程度の駆動パルスを印加することにより行われる。第1の予備吐出回数は(式5)によって算出される。
ここで、予備吐出係数を更に乗じること以外は第6の実施形態における(式5)における予備吐出回数の算出方法と同じである。予備吐出係数は、本実施形態におけるコゲ不均一抑制制御のうち、第1の予備吐出制御(コゲ剥がし制御)が寄与する比率に関する値である。例えば、コゲの不均一を抑制するために第1の予備吐出制御を50%、後述する第2の予備吐出制御(コゲ付け制御)を50%の比率で実行する場合、予備吐出係数は0.5となる。また、コゲの不均一を抑制するために第1の予備吐出制御を30%、第2の予備吐出制御を70%の比率で実行する場合、予備吐出係数は0.3となる。また、コゲの不均一を抑制するために第1の予備吐出制御を95%、第2の予備吐出制御を5%の比率で実行する場合、予備吐出係数は0.95となる。
次に、ステップS73においてステップS72で決定された第1の予備吐出回数が1回以上であるか否かが判定される。1回未満である場合、第1の予備吐出制御を終了する。1回以上であると判定された場合、ステップS74へと進む。
ステップS74では、ステップS72における記録時の記録モードに応じて異なる予備吐出パターンを用い、第1の予備吐出を1回行う。ここで、本実施形態における第1の予備吐出では図26に示した予備吐出パターン200´、210´を用い、第6の実施形態と同様にしてインクが吐出されない程度の駆動パルスを印加する。
次に、ステップS75ではカウンタ値Nを1回だけ増加させる。ここではステップS71にてカウンタ値Nは0に定められているため、ステップS75においてカウンタ値Nが1に増加することとなる。
次に、ステップS76にてカウンタ値NがステップS72で決定された第1の予備吐出回数以上であるか否かが判定される。カウンタ値Nが第1の予備吐出回数以上であると判定された場合、ステップS72で決定された第1予備吐出回数だけステップS74における第1の予備吐出動作が実行されているため、第1の予備吐出制御を終了し、ステップS81へと進む。一方、カウンタ値Nが第1の予備吐出回数未満であると判定された場合、ステップS74に戻り、再度の第1の予備吐出動作が実行される。
以下、ステップS74〜S76における処理を繰り返し、ステップS26にてカウンタ値NがステップS72で決定された第1の予備吐出回数以上となってステップS81へと進むまで同様の制御を実行する。
次に、ステップS81にてカウンタ値Nをリセットし、N=0を設定する。
次に、ステップS82において第2の予備吐出の回数を決定する。ここで、第2の予備吐出制御は記録に用いられなかった記録素子の表面にコゲを付けるためのものであり、記録に用いられなかった記録素子からインクを吐出することにより行われる。第2の予備吐出回数は(式6)によって算出される。
ここで、1と予備吐出係数の差分を更に乗じること以外は第2の実施形態における(式2)における予備吐出回数の算出方法と同じである。上述のように、予備吐出係数はコゲ不均一抑制制御のうちの第1の予備吐出制御(コゲ剥がし制御)が寄与する比率に関する値である。したがって、コゲ不均一抑制制御のうちの第2の予備吐出制御(コゲ付け制御)が寄与する比率は(1−予備吐出係数)となるため、この値を更に乗じるのである。
次に、ステップS83においてステップS82で決定された第2の予備吐出回数が1回以上であるか否かが判定される。1回未満である場合、コゲ不均一抑制制御を終了する。1回以上であると判定された場合、ステップS84へと進む。
ステップS84では、ステップS82における記録時の記録モードに応じて異なる予備吐出パターンを用い、第2の予備吐出を1回行う。ここで、本実施形態における第2の予備吐出では図17に示した予備吐出パターン200、210を用い、第2の実施形態と同様にして画像の記録に寄与しないインクの吐出を実行する。
次に、ステップS85ではカウンタ値Nを1回だけ増加させる。ここではステップS81にてカウンタ値Nは0にリセットされているため、ステップS85においてカウンタ値Nが1に増加することとなる。
次に、ステップS86にてカウンタ値NがステップS82で決定された第2の予備吐出回数以上であるか否かが判定される。カウンタ値Nが第2の予備吐出回数以上であると判定された場合、ステップS82で決定された第2の予備吐出回数だけステップS84における第2の予備吐出動作が実行されているため、第2の予備吐出制御を終了し、コゲ不均一抑制制御を終了する。一方、カウンタ値Nが第2の予備吐出回数未満であると判定された場合、ステップS84に戻り、再度の第2の予備吐出動作が実行される。
以下、ステップS84〜S86における処理を繰り返し、ステップS86にてカウンタ値NがステップS82で決定された第2の予備吐出回数以上となるまで同様の制御を実行する。
以上の構成によれば、コゲを付ける制御とコゲを剥がす制御の両方を実行し、記録素子間のコゲの不均一を好適に抑制することが可能となる。
なお、本実施形態では第1の予備吐出制御(コゲ剥がし制御)を実行してから第2の予備吐出制御(コゲ付け制御)を実行する形態について記載したが、第2の予備吐出制御を実行してから第2の予備吐出制御を実行する形態であっても良い。
なお、以上で記載した各実施形態では、1枚の記録媒体に対する記録が終了した後にコゲ不均一抑制制御を実行する形態について記載したが、他の形態による実施も可能である。例えば、3枚の記録媒体に対する記録が終了するたびにコゲ不均一抑制制御を実行しても良い。更に、記録媒体ではなく、インクジェット記録装置が受信したジョブ単位でコゲ不均一抑制制御をしても良い。例えば、1回のジョブによる記録が終了するたびにコゲ不均一抑制制御を実行する形態であっても本発明の効果を得ることが可能である。
また、以上で記載した各実施形態では、記録媒体上の単位領域に対して複数回の走査によって記録を行う形態について記載したが、記録媒体に対して1回の走査のみで記録を行う形態において適用しても良い。