以下に、本発明にかかる光起電力素子およびその製造方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施の形態では単結晶シリコン太陽電池を例に挙げて説明するが、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、例えば光吸収層として多結晶シリコンを用いるなど適宜変更可能である。また、以下の説明で用いられる断面図は模式的なものであり、層の厚みと幅との関係や各層の厚みの比率などは現実のものとは異なる。各図面間においても同様である。また、平面図であっても、図面を見易くするためにハッチングを付す場合がある。
実施の形態1.
図1−1〜図1−3は、この発明の実施の形態1にかかる光起電力素子であるヘテロ接合裏面電極型太陽電池の全体構成の一例を模式的に示す図である。図1−1は受光面(光入射面)と反対側の面(以下、裏面と呼ぶ)側から見た平面図、図1−2は図1−1において集電電極部分を除いた平面図である。図1−3は、図1−1の線分A−Bにおける要部拡大断面図である。また、比較のために従来の構成のヘテロ接合裏面電極型太陽電池の要部拡大断面図を図2に示す。なお、本実施の形態では、半導体基板と同じ伝導型の半導体膜を凹部に形成する場合について述べる。このような構造は、半導体基板と同じ導電型の凹部の半導体膜との界面の実効再結合速度が、半導体基板凹部のバルクの実効再結合速度に比べて小さい場合に特に有効であり、凹部での光吸収量が低減するものの、全体としての再結合が低減されることによる光電変換効率の向上が期待できる。特に表面パッシベーション能力が高い、最適化されたアモルファスシリコンによる単結晶シリコン基板のパッシベーションでは、このような状況となるため、ヘテロ接合を用いた裏面接合太陽電池構造の場合は、特に有効である。また、半導体基板に凹部を形成することにより、光吸収層としての半導体基板の厚みが減ることになり、光吸収量が減少する。しかし、凹部の内部表面を受光面に対して斜面を含むように形成することより、光吸収量の減少量を低減することができ、光電変換効率に優れた太陽電池を得ることができる。凹部が底面と側面とで構成される場合は側面のみが受光面に対して傾斜していてもよく、底面及び側面がともに傾斜しているとさらに好ましい。なお、受光面に微細な凹凸が形成されている場合、それらの高さを平均して得られる面を受光面の主面として、凹部の内面がその主面に対して斜面を含んでいればよい。
この太陽電池100においては、半導体基板としての結晶系のn型シリコン基板101(以下、シリコン基板101という場合がある)の受光面側(以下、表面側と呼ぶ場合がある)には、凹凸を有するテクスチャ構造が表面での光反射を低減する目的で形成されている。n型シリコン基板101の受光面側には、n型シリコン基板101よりもn型不純物濃度が高い領域であるn型拡散層107により、表面側で生じた少数キャリア(この場合には正孔)を表面側へと向かわせるFSF(Front Surface Field)と呼ばれる表面電界層が形成される。
また、受光面側のn型拡散層107の上面には、受光面側のシリコン表面でのキャリアの再結合を防ぐ目的で真性半導体層あるいは誘電体層106が形成されており、これがパッシベーション膜として機能している。また、この膜に積層してシリコン基板101の受光面への入射光の反射を防止する反射防止膜103が形成されている。ここで、例えばアモルファスシリコン膜においては、意図的に不純物を導入しない場合はp型の伝導を示すが、一般的にはこれも真性半導体に含まれる。そこで、本明細書中では、このような不純物を意図的に導入しない(不純物材料を添加しない)半導体を真性半導体とする。
一方、n型シリコン基板101の裏面には、櫛歯状に凹部115が設けられ、この凹部115の底面と側面には真性半導体層105Lが形成される。そして、n型シリコン基板101の裏面において凹部115に対して相対的に凸部となった凸部116の領域上には真性半導体層105Hが形成される。なお、以下では、真性半導体層105Lと真性半導体層105Hとを総称して真性半導体層105と呼ぶ場合がある。凹部115の幅は、一例として、たとえば10〜100μm程度であり、凸部116の幅は、たとえば40〜400μm程度である。ここで、電極形状としては、裏面接合型太陽電池に一般的な櫛歯型の電極パターンを用いるために凹凸部も櫛歯がかみ合った形としたが、そのほかの形状としても良い。
凹部115の真性半導体層105L上には、n型不純物を含むアモルファスシリコン膜からなるn型半導体層102が局所的に形成され、基板裏面側に流れてきた少数キャリア(この場合には正孔)が界面で再結合を防ぐ電界層を形成する。凸部116の真性半導体層105H上には、p型不純物を含むアモルファスシリコン膜からなるp型半導体層104が形成され、内部光電効果により生成したキャリアを分離するための電界層(半導体pn接合)が形成される。
このように構成された太陽電池100では、太陽光が太陽電池100の受光面側(n型シリコン基板101におけるn型拡散層107側)から照射されると、n型シリコン基板101内に正孔と電子とが生成する。光吸収によって生成したキャリアは拡散あるいはドリフトしていき、電子は凹部115のn型半導体層102に蓄積し、正孔はp型半導体層104に蓄積する。これにより、n型半導体層102に電子が過剰となり、p型半導体層104に正孔が過剰となり、光起電力が発生する。この結果、n型半導体層102に接して形成される電流取り出し電極110および集電電極111がマイナス極となり、裏面のpn接合を形成するp型半導体層104に接続した裏面の電流取り出し電極120および集電電極121がプラス極となり、図示しない外部回路に電流が流れる。
つぎに、このような構造を有する太陽電池100の製造方法について説明する。図3−1〜図3−15は、実施の形態1にかかる太陽電池100の製造方法の処理手順の一例を模式的に示す要部断面図である。なお、ここでは、図1−1の線分A−B間に対応する部分、すなわち集電電極の延在方向に垂直な断面の一部を図示している。
まず、主面がおおよそ(100)面からなるn型シリコン基板101を用意する(図3−1)。ここでは、厚みが180マイクロメートル程度のn型単結晶シリコン基板を用意する。ついで、レーザスクライブ法によって、シリコン基板101の一面(裏面となる面)の主面上にレーザ光線を走査させて、凹部(溝)115を形成する(図3−2)。所望の完成電極の形状となるように、凹部115は、その深さ、幅およびパターンをあらかじめ調整して形成する。
また、レーザ照射では加工幅が細すぎる場合は、レーザ照射位置を少しずつずらしていくことにより加工幅を広げることができる。この工程で、レーザ光線が照射されなかった領域は相対的に凸部となり、凸部116となる。
なお、ここでは凹部115の形成方法としてレーザスクライブ法を用いたが、メカニカルスクライブ法や放電加工法、ブラスト法、フッ化水素酸中おける金属触媒とシリコンとの接触部の局所的エッチングなどの方法や、ホログラフィー光学素子を用いたレーザ加工によるエッチングマスクのパターニングと薬液エッチングと組み合わせる方法などを用いて凹部115(溝)を形成してもよい。
ついで、フッ化水素酸と硝酸との混合溶液からなる温度制御されたエッチング液にシリコン基板101を浸漬させて、シリコン基板101の表面近傍の欠陥および凹部形成時に生じた欠陥の除去を行う。このようにして形成された凹部115の形状の一例として、深さ20〜50μm、幅10〜100μm程度とすることができる。図1−3では凹部115はシリコン基板101に対して垂直な側壁をもって形成されているが、ここで説明するようにエッチングにフッ化水素酸と硝酸との混合水溶液を用いた場合は、レーザ加工を行った部分が他の部分より優先的にエッチングされ、傾斜と平滑な表面を持った凹部115が形成される。すなわち、凹部115は、側面がシリコン基板101の受光面に対して斜面を有して構成され、底面がシリコン基板101の基板面方向から凸部116方向に傾斜する傾斜面を有して構成される。一方、凸部116は、その表面が、主に略平坦面から構成される。これにより、特許文献4に示されるように高いパッシベーション能力が得られるという効果が得られる。ここで言う平坦な面とは、特許文献4に示されるような曲率の大きな面であり、より平坦であるほどパッシベーション能力としては高くなりパッシベーション能力の観点からは好ましく、光閉じ込め効率との兼ね合いでその平坦性は最適点を持つ。
その後、シリコン基板101の裏面に、大気圧CVD法により十分な厚みをもったシリコン酸化膜からなるマスク膜108を形成する(図3−3)。ついで、イソプロピルアルコールが添加され、かつ70〜90℃に加熱された1重量%程度の濃度のアルカリ溶液中にシリコン基板101を浸漬し、アルカリ溶液による異方性エッチングを用いて、シリコン基板101の光入射面の表面に略{111}面から形成されるテクスチャ構造を形成し、粗面化するとともに表面近傍の欠陥および凹部115の形成時に生じた欠陥の除去を行う(図3−4)。
その後、シリコン基板101をオキシ塩化リン(POCl3)雰囲気中で加熱して、リンをシリコン基板101の表面に拡散させてn型拡散層107を形成する(図3−5)。これによって、シリコン基板101の受光面側の表面には、電界層が形成される。このn型拡散層107のシート抵抗が80Ω/□程度以下となり低すぎる場合は、半導体中の正孔と電子の密度が高くなった際に、上記n型拡散層107の伝導キャリアが、光励起キャリアの励起エネルギーを奪い光励起キャリアを再結合させてしてしまうため太陽電池の光電変換効率が低下してしまう。その一方で、表面のn型電界層がない場合は太陽電池の光劣化が生じる場合があるとともに光によって励起された少数キャリアである正孔が半導体とパッシベーション膜の界面で再結合したり、基板の横方向への伝導抵抗が大きくなったりすることにより光電変換効率が低下する。このため、このn型拡散層107のシート抵抗は80Ω/□以上500Ω/□以下とすることが好ましい。
その後、表面が疎水性となるまでフッ化水素酸水溶液中にシリコン基板101を浸漬し、シリコン基板101表面に形成されたリンガラス膜を除去するとともに裏面に形成されたマスク膜108を除去する。
つぎに、例えば、“W. Kern and D. Puotinen, RCA Review, 31, pp187,1970”に示される、一般的にRCA洗浄と呼ばれる洗浄をシリコン基板101に施した後、シリコン基板101を酸素(O2)ガス雰囲気中で加熱して、酸素をシリコン基板101の表面に拡散させて30nm程度の厚みのシリコン酸化膜を形成し、誘電体層106とする(図3−6)。
その後、シリコン基板101の光入射面(表面)側に、プラズマCVD法により60nm程度の厚みのアモルファスシリコン窒素化膜からなる反射防止膜103を形成する(図3−7)。
ついで、フッ化水素酸水溶液中にシリコン基板101を浸漬することにより、シリコン基板101の裏面の誘電体層106を除去する(図3−8)。そして、シリコン基板101を真空チャンバー内に導入し、温度制御下で水素ガス(H2)を導入し、プラズマ放電することによりシリコン基板101の表面をクリーニングする。
次に、温度制御下で、真空チャンバー内にシラン(SiH4)ガス及び水素ガス(H2)を導入し、プラズマ放電することによりシランを分解し、シリコン基板101の裏面全面に真性アモルファスシリコン膜からなる真性半導体層105を2nm〜10nm程度の厚みで蒸着する(図3−9)。
次に、真空チャンバー内にシランガス、ホスフィン(PH3)及び水素ガスを導入し、プラズマ放電することによりシランやホスフィンを分解し、シリコン基板101の裏面全面にn型アモルファスシリコン膜からなるn型半導体層102を5nm〜50nm程度の厚みで堆積する。次に、シリコン基板101の裏面全面にアクアミカ(クラリアント社製、登録商標)を塗布したのち、100℃程度の温度で乾燥させ、比較的低密度なシリコン酸化膜109とする(図3−10)。このシリコン酸化膜109は、後のエッチングにおいてリフトオフ層として機能する。
ついで、国際公開第2010/140224号明細書を参考にフッ化水素酸水溶液からなる温度制御されたエッチング液を、裏面における凹部115以外のシリコン基板101表面である凸部116部分に接触させて、その最表面を除去する(図3−11)。図3−11に示した例では、凸部116の最表面のシリコン酸化膜109、n型半導体層102及び真性半導体層105の除去に、エッチング液210を貯留するエッチング貯留層201の上面に、薬液保持体としてのスポンジローラ202を複数配置したエッチング装置200を用いる。このスポンジローラ202の直径は、凹部115の幅よりも大きくなるように形成されることが望ましい。
このようなエッチング装置200において、スポンジローラ202の少なくとも一部がエッチング液210に浸漬した状態でスポンジローラ202を回転させて、シリコン基板101とスポンジローラ202との接触を保ったままシリコン基板101を移動させる。これにより、スポンジローラ202と接しているシリコン基板101表面にエッチング液210が接触する。その結果、シリコン基板101の凸部116の最表面のシリコン層が除去され、シリコン基板101の裏面の凹部115のみにシリコン酸化膜109とn型半導体層102と真性半導体層105との膜が残った状態となる(図3−12)。ここで、凹部115の底面と側面に残された真性半導体層105が真性半導体層105Lとなる。
スポンジローラ202のスポンジ堅さや、スポンジローラ202あるいは薬液へシリコン基板101を押さえつける圧力を制御し、薬液のシリコン基板101への濡れ性を調整することにより凹部115への薬液の入り込みを制御するとともに、スポンジに保持された薬液が表面張力によりシリコン基板101への接触を保つようにすることができる。これにより、凸部116のみをエッチングするのみならず、凹部115内の側壁部分でエッチングされる領域の深さを変えることができる。さらに、微少な凹凸のついたスポンジや、スポンジ以外の液保持構造体を用いることによっても、シリコン基板101と薬液保持構造体との接触面積や、薬液保持構造体の柔らかさを変更することができ、エッチングの均一性の向上および凹部115の側壁部分の除去される領域の深さを変更することができる。
次に、シリコン基板101を真空チャンバー内に導入し、温度制御下で、水素ガス(H2)を導入し、プラズマ放電することによりシリコン基板101の裏面をクリーニングする。
次に、温度制御下で、真空チャンバー内にシラン(SiH4)ガス及び水素ガス(H2)を導入し、プラズマ放電することによりシランを分解し、シリコン基板101の裏面全面に真性アモルファスシリコン膜からなる真性半導体層105を2nm〜10nm程度の厚みで堆積する。ここで、凸部116上に形成された真性半導体層105が真性半導体層105Hとなる。
次に、温度制御下で、真空チャンバー内にシランガス、ジボラン(B2H6)ガス及び水素ガスを導入し、プラズマ放電することによりシランとジボランを分解し、シリコン基板101の裏面全面にp型アモルファスシリコン膜からなるp型半導体層104を5nm〜50nm程度の厚みで堆積する(図3−13)。
このとき、凹部115内にはp型半導体層104が形成されないように条件を調整することもできる。たとえば、凹部115の幅に対する深さの比を大きくする、あるいは、基板温度を低くし、原料ガスの流量、圧力、投入電力を調整し、成膜材料中の活性種の平均自由行程を短くするなどして、段差被覆性の低い条件で成膜を行うことによって、凸部116のみにp型半導体層104を形成することができる。
次に、シリコン基板101をフッ化水素酸水溶液からなる温度制御されたエッチング液に浸漬し、シリコン基板101の裏面の凹部115に残存するアクアミカから形成されたシリコン酸化膜109をエッチングして除去することにより、その上面に形成された真性半導体層105およびp型半導体層104を除去する(図3−14)。
つぎに、アルゴンガス等の不活性ガス、あるいはアルゴンガス等の不活性ガスで希釈された水素ガスを含む雰囲気中で、シリコン基板101を100〜300℃程度の温度で加熱することによりアモルファスシリコンとシリコン基板101との界面の欠陥を低減させる。このため不活性化ガスとしては、アルゴンガスでなく窒素ガスでもよい。
続いて、酸化インジウムをターゲットとしたスパッタリング法により、酸化インジウム膜をシリコン基板101の裏面に蒸着する(図3−15)。この際に、蒸着された酸化インジウム膜からなる透明導電性電極のパターンが電流取り出し電極110及び電流取り出し電極120の形状となるようにメタルマスクをシリコン基板101上に配置して蒸着することによって図1−1に示される櫛歯形状の電流取り出し電極を形成することができる。
また、透明導電性電極である酸化インジウム層はなくてもよく、真空加熱蒸着法によりアルミニウム膜をシリコン基板101の裏面に蒸着して形成してもよい。この際も、蒸着されたアルミニウムのパターンが電流取り出し電極110および電流取り出し電極120の形状となるようにメタルマスクをシリコン基板101上に配置して蒸着することによって図1−1に示される櫛歯形状の電流取り出し電極(アルミニウム電極)を形成することができるが、この場合はp型半導体層104もしくはn型半導体層102の伝導度が低いため、アルミニウム電極が接触していない部分のp型半導体層104もしくはn型半導体層102に到達したキャリアはアルミニウム電極まで有効に集電されず、発電出力が低下する。
この上からスクリーン印刷法により、スクリーン版を用いて集電電極111および集電電極121のパターンに集電電極を印刷した後に200℃程度で乾燥することにより、図1−3に示される構造を有するヘテロ接合裏面電極型太陽電池を得ることができる。このような集電電極材料として例えば藤倉化成株式会社製のドータイト(登録商標)や銀粒子を含有したペーストなどの導電性ペーストを使用してもよい。このようなペーストを用いることにより、金属電極表面での光散乱性を向上させることができ、光閉じ込め効率を向上させることができる。特に100ナノメートルから400ナノメートル程度の粒径のナノの粒子を用いることが好ましい。
この後、基板を更に加熱することにより電極とシリコンの密着性を向上させてもよい。
上述した説明では、シリコン基板101を用いた太陽電池を例に挙げて説明したが、シリコン以外の太陽電池や光発電デバイスにも上記構造を適用することができる。また、上述した説明では、単結晶のn型シリコン基板を用いる場合を説明したが、多結晶基板などにも適用することができる。
さらに、上述した説明では、エッチング装置200でスポンジローラ202を介してシリコン基板101とエッチング液210とを接触させ、エッチング液210が凹部115に浸入できないようにして、エッチング液210とシリコン基板101の凹部115内との接触を防いで、凸部のみを加工した。しかし、これ以外にも、水などの粘度が高い溶媒を使用する方法や、シリコン基板101に対する濡れ性の低い溶媒を使用する方法や、液面に浮かべた半導体基板に気泡を導入してシリコン基板101の凹部115に保持させる方法、フォトリソグラフィー法によってレジストでマスクしてエッチングする等の方法を用いてもよい。これらの方法によっても、エッチング液210とシリコン基板101の凹部115内との接触を防ぐことができ、凸部のみをエッチングすることが可能である。さらに、上記のエッチングの方法としては薬液によるエッチングのみらならずシリコン基板101にダメージが入らない気相法を用いてもよい。
初期のシリコン基板101への溝などの凹部115形成には、薬液エッチングによるダメージ除去を施す深さおよび時間を低減するために、加工ダメージが浅い方法によって行われることが望ましい。具体的には、レーザ加工法を用いる場合は、シリコン基板101の光吸収係数が大きい領域の波長をもつレーザ光を用いて加工することによりダメージ深さを抑制することができ、ダメージ除去工程によるエッチング量と時間を低減することができる。このような加工に用いるレーザ光線の波長としては、加工対象がシリコンの場合は、355nmなどの比較的波長が短いものを用いることが好ましい。
つぎに、上述した実施の形態1にかかる太陽電池の製造方法により製造した太陽電池の特性について評価した結果について説明する。上述した方法によって製造した太陽電池を実施例1とした。
また、実施例1において、図3−2に示される凹部115の形成を行わず、図3−11に示される凸部116のみを選択的にエッチングを行う代わりに、シリコン基板101の裏面にアクアミカによる酸化膜を形成したのち、フォトリソグラフィーにより櫛歯状にレジストを形成してから、半導体基板全体をフッ酸溶液に浸漬し、凸部116に相当する領域の真性半導体層とn型半導体層を除去した以外は、実施例1と同様にして作製した太陽電池を比較例1(図2参照)とした。この際、比較例1では、集電電極との接触面積を実施例1と同等にするために、n型半導体層102の幅を実施例1の凹部115の側壁高さと底面の幅を合わせた場合と同じとなるようにした。
表1に、比較例1と比較した実施例1の太陽電池の出力特性を示す。ここでは、各太陽電池について、実際に電池を作動させ、太陽電池出力特性として、光電変換効率(%)、曲線因子(%)、短絡電流密度(mA/cm2)および開放電圧(V)を測定し、比較例1に対する実施例1の各値の比率を算出した。
裏面接合型太陽電池においては、n型半導体基板と同じ導電型を持つn型半導体層が形成された領域に光が入射した場合、n型半導体層が形成された領域で光生成した少数キャリアはp型半導体層がある領域まで拡散していく必要があるため、一部の少数キャリアはその間に失活してしまい短絡電流が減少する。このことから、電極形成面の表面積を増大させずに(凹凸を形成せずに)抵抗損失を低減するためにn型半導体層の領域を増やすとp型半導体層の領域が低減し、短絡電流が減少する。
これに対し、実施例1では、ヘテロ接合裏面接合型太陽電池において、半導体基板と同じ導電型を持つn型半導体層102の受光面に対する投影面積が比較例1よりも小さいため、n型半導体層102付近で光生成するキャリア量は、実施例1の場合の方が比較例1の場合よりも少なくなる。この結果、n型半導体層102からp型半導体層104まで拡散していくキャリアの量を減らすことができるため拡散の間に再結合するキャリアの量を減らすことができ、短絡電流密度を向上させることができたと考えられる。
比較例1では集電電極との接触面積を同等とするためにn型半導体層102の幅を広くしたが、これとは異なり前記再結合による電流低下を防ぐために、凹凸を形成せずにn型半導体層の領域の面積を減らすとn型半導体層の領域と電極との間の接触面積が小さくなり、接触抵抗の増大により太陽電池出力が減少してしまう。よって、半導体基板に凹凸部を形成する場合は、入射光に対するn型半導体層の領域の投影面積を増大させることなく、凹部の深さ方向の分だけn型半導体層と電極との接触面積を増やすことができるため接触抵抗による損失を低減することができ、光電変換効率に優れた太陽電池を得ることができる。
その一方で、実施例1では、n型半導体層102はn型シリコン基板101に対して凹部115の側面および底面部分を通じて接触するため、その接触面積は凹部を持たない比較例1に比べて大きくすることができる。
比較例1では、p型半導体層104はその面積が広いため接触抵抗がn型半導体層102の接触抵抗に比べて小さいのに対し、n型半導体層102はn型シリコン基板101に対して接触面積が小さく、その接触抵抗が大きいため抵抗による電力損失が大きい。したがって、比較例1に比べて実施例1の方が、n型半導体層102のn型シリコン基板101に対する接触面積が大きく、電力損失が低減できたため、高い曲線因子が得られたと考えられる。
特に、表面パッシベーション能力が高いアモルファスシリコンと単結晶シリコン基板との組み合わせでは、半導体基板と凹部の半導体膜との界面の実効再結合速度が、半導体基板凹部のバルクの実効再結合速度に比べて小さくなるため、n型半導体層が形成された凹部ではバルクと界面を合わせた全体としての再結合が低減され、光電変換効率が向上する。
また、半導体基板に凹部を形成することにより光吸収層としてのシリコン基板の厚みが減ることになり、凹部に対応する基板内において吸収される光の量が低減する。しかし、凹部の底面または側面を受光面に対して斜面をなすように形成することより凹部に入射した光は凸部領域のほうへ導かれ、光吸収量の低減を光学的に防ぐことができ、光電変換効率に優れた太陽電池を得ることができる。この際、上記の反射率を上げるために、斜面にも反射率の高い銀電極が形成されることが好ましい。半導体にシリコンを用いる場合、金属電極はシリコンとシリサイドを形成し、反射率が低下し、金属−シリコン界面の再結合速度が大きくなるが、電極が半導体に直に接触しないヘテロ接合太陽電池では、この反射効果が顕著であり、金属とシリコンとの界面での再結合の影響がないという利点がある。
また、凹部115は、凹部115の底面または側面が受光面に対して斜面をなすように形成されることより、凹部115まで到達した光がp型半導体層104が形成されている領域に反射され、光吸収量の低減を光学的に防ぐとともに、よりキャリア収集効率の高いp型半導体層に隣接する基板内領域でキャリアを発生させることができるため、光吸収後のキャリアの再結合を防ぐことができ、光電変換効率に優れた太陽電池を得ることができる。
また、n型半導体層102が形成される凹部領域115の基板の厚みは薄くなっているため、受光面から凹部領域115に対応する場所に入射する光が、基板内部において吸収される量は減少する。しかし、n型層形成領域のほうがp型層形成領域よりも受光面に対する投影面積が小さいため元々その影響は小さく、更に本願などの光閉じ込め構造を用いることにより、光吸収量の低下は小さくすることができる。その一方でp型半導体層104が形成される凸部領域116の基板の厚みは比較例と同等であるため、p型半導体層形成領域に対応する凸部領域116に受光面から入射する光が基板内で吸収される量は比較例と同等となる。このため、光吸収量低下の影響は小さく、それ以外の寄与により、全体としては光電変換効率が向上する。
これに対し、接触抵抗を低減させるために特開平3−165578号公報、特開2004−47824号公報のように、n型半導体層形成領域とp型半導体層形成領域との両方を凹部とする構造では、p型半導体層形成領域が凸部となる構造に比べて発電を担うp型半導体層形成領域の半導体基板の厚みが減少してしまうため光吸収量が低下し、短絡電流が低下する。同時に、p型半導体層形成領域が凸部となる場合に比べて、その接合面積が増大するため、飽和暗電流密度が増大し、開放電圧が低下するという問題が生じる。このほかにも、特にヘテロ接合裏面電極型太陽電池では、p型半導体層が凹部に形成される場合、n基板に対してpn接合を形成するp型半導体層に膜厚分布が生じてしまい、曲線因子と開放電圧が低下するという問題が生じる。
また、裏面の表面付近における表面積あたりの光生成キャリア量は、受光面に対する投影面積が小さい凹部115の側壁で小さくなる。このため、本実施の形態によれば、図1−3や後述する図1−4のように、p型半導体膜とn型半導体膜が積層されない真性半導体層や誘電体層のみで半導体基板がパッシベーションされる領域を、凹部側壁に形成することで、p型半導体膜とn型半導体膜がなく電界層がない領域でのキャリア生成量を低減し、再結合を抑制して有効に電流を取り出すことができるようになるため、発電出力に優れた太陽電池をつくることができる。なお、特許第3301663号公報では、電極部分の反射、再結合のことを考慮していない。
これに対して、実施例1では、電極形成面に凹凸を形成して表面積を増大させることにより、p型半導体層104のn型シリコン基板101に対する接触面積を減らすことなくn型半導体層102のシリコン基板101に対する接触面積を増大させることができる。このため、短絡電流を低下させることなく、抵抗損失を低減させ、発電出力と電極の密着性に優れたヘテロ接合裏面電極型太陽電池を製造することができる。
また、実施例1においては、凹部115は、なだらかで平滑な表面となっているためパッシベーション膜の機能を果たす真性半導体層105の膜厚分布が生じにくいとともに、pn接合が形成される面積が低減し、飽和暗電流密度の低減した、効果の高いパッシベーション効果を得ることができる。
また、実施例1では、半導体基板中に凹部と凸部を形成し、その凹部内に半導体層と電極とを形成することによって、光生成したキャリアが半導体層および電極に到達するまでの距離を短くすることができ、半導体基板中をキャリアが移動することによる抵抗損失を凹部のへこみ分だけ低減することができ、発電出力に優れた太陽電池を製造することができるという効果を奏する。
また、実施例1では、簡便なプロセスによって自己整合的にp型半導体層104を形成することで、位置合わせ精度を向上させることができる。これにより、発電能力の低い真性半導体層のみが半導体基板上に形成されている領域(もしくはn型半導体層102とp型半導体層104とが重なっている領域)の面積および電流取り出し電極が形成されていないp型半導体層104とn型半導体層102の面積を小さくすることができる。この結果、発電に寄与する裏面の面積を増大させることができ、発電出力の向上が得られる。したがって、実施例1では、表面に凹部115を設けずにヘテロ接合裏面電極型太陽電池を形成した場合に比して、曲線因子と短絡電流が増大した太陽電池出力特性を有する太陽電池セルを製造することができる。
また、実施例1において、図3−4の受光面のテクスチャ形成後に裏面のマスク膜108をフッ化水素酸によって除去し、n型拡散層107を受光面と共に裏面側にも形成した後に図3−11と同様にして裏面の凸部のみをエッチングすることにより、凹部115部分にn型拡散層107を形成することができる。この後、再び裏面のマスク膜108を形成し、図3−6以降の工程は実施例1と同様に処理することにより、凹部115部分にn型拡散層107が有るため、シリコン基板101の厚み方向以外(横方向)の伝導性を向上させることができる。このような構造の太陽電池を図1−4に示す。図1−4は、実施の形態1にかかる太陽電池の変形例を示す要部拡大断面図である。ここでは、凹部115部分のn型拡散層107を受光面側のn型拡散層107と同じ不純物濃度としたが、凹部115部分のn型拡散層107の不純物濃度は受光面側のn型拡散層107と異なっていてもよい。
以上のように、実施の形態1においては、キャリアの再結合を抑制しながら、パッシベーションのための半導体層と半導体基板との、また、集電電極と電流取り出し電極との接触面積を増大させる効果を有する。
また、実施の形態1においては、電界層形成のための半導体層(p型半導体層104)を自己整合的に形成することで、異なる導電型の半導体層の位置合わせ精度を向上させることができ、発電能力の低い真性半導体層のみが半導体基板上に形成されている領域(もしくはn型半導体層とp型半導体層が重なっている領域)の面積および電流取り出し電極が形成されていないp型半導体層とn型半導体層の面積を小さくすることができる。この結果、発電に寄与する裏面の面積を増大させることができ、発電出力の向上が得られる。
また、実施の形態1においては、凹部115の側面部が、シリコン基板101の基板面に対して所定の傾斜を有する斜面とされ、凹部115はなだらかで平滑な曲面となっているためパッシベーション膜の機能を果たす真性半導体層105の膜厚分布が生じにくく、効果の高いパッシベーション効果を得ることができる。
したがって、実施の形態1によれば、半導体基板中でのキャリアの伝導距離が短く、キャリア移動による抵抗が低減され、かつ、透明電極および集電電極とパッシベーション膜との接触面積の増大によって接触抵抗が低減され、かつ、半導体基板中でのキャリアの再結合が低減された光電変換効率に優れたヘテロ接合裏面電極型の構造を有する太陽電池が得られる。
実施の形態2.
図4は、実施の形態2にかかる太陽電池の構成の一例を模式的に示す要部断面図である。図4においても、図1−3と同様に基板の面内において櫛歯状の集電電極の延在方向に垂直な方向の断面の一部を示している。また、実施の形態2では、半導体基板と逆の伝導型の半導体膜を凹部に形成する場合について述べる。特に、半導体基板と凸部の半導体膜との界面の実効再結合速度が半導体基板凸部のバルクの実効再結合速度に比べて大きい場合、あるいは半導体基板と凹部の半導体膜との界面の実効再結合速度が半導体基板凹部のバルクの実効再結合速度に比べて小さい場合、の少なくともどちらか一方を満たす際は、この構造によってバルクと界面を合わせた全体としての再結合が低減され、光電変換効率が向上する。また、図4においては、実施の形態1の場合と同様の部材については同じ符号を付している。
この太陽電池300においては、半導体基板としてのn型シリコン基板101の受光面側には、凹凸を有するテクスチャ構造が表面での光反射を低減する目的で形成されている。シリコン基板101の受光面側には、シリコン基板101よりもn型不純物濃度が高い領域であるn型拡散層107により、表面側で生じた少数キャリア(この場合には正孔)を表面側へと向かわせるFSF(Front Surface Field)と呼ばれる表面電界層が形成される。
また、受光面側のn型拡散層107の上面には、受光面側のシリコン表面でのキャリアの再結合を防ぐ目的で真性半導体層あるいは誘電体層106が形成されており、これがパッシベーション膜として機能している。また、この膜に積層してシリコン基板101の受光面への入射光の反射を防止する反射防止膜103が形成されている。
一方、シリコン基板101の裏面には、櫛歯状に凹部115が設けられ、この凹部115の底面と側面には真性半導体層105Lが形成される。そして、シリコン基板101の裏面において凹部115と相対的に凸部となった凸部116の領域上には真性半導体層105Hが形成される。凹部115の幅は、一例として、たとえば400μm程度であり、凸部116の幅は、たとえば100μm程度である。
凹部115の真性半導体層105L上には、p型不純物を含むアモルファスシリコン膜からなるp型半導体層104が局所的に形成され、内部光電効果により生成したキャリアを分離するための電界層(pn接合)を形成する。凸部116の真性半導体層105H上には、n型不純物を含むアモルファスシリコン膜からなるn型半導体層102が局所的に形成され、正孔が半導体基板表面に到達することを抑制するための電界層が形成される。
このように構成された太陽電池300では、太陽光が太陽電池300の受光面側(シリコン基板101におけるn型拡散層107側)から照射されると、シリコン基板101内に正孔と電子とが生成する。光吸収によって生じたキャリアは拡散あるいはドリフトしていき、電子と正孔とは、半導体pn接合面付近の電界によって分離され、生成した電子は凸部116のn型半導体層102に向かって移動し、正孔は凹部115のp型半導体層104に向かって移動する。これにより、n型半導体層102に電子が過剰となり、p型半導体層104に正孔が過剰となり、光起電力が発生する。この結果、n型半導体層102に接して形成される電流取り出し電極110および集電電極111がマイナス極となり、裏面のpn接合を形成するp型半導体層104に接続した裏面の電流取り出し電極120および集電電極121がプラス極となり、図示しない外部回路に電流が流れる。
つぎに、このような構造を有する太陽電池300の製造方法について説明する。図5−1〜図5−13は、実施の形態2にかかる太陽電池300の製造方法の処理手順の一例を模式的に示す要部断面図である。なお、ここでは、図1−2の線分A−B間に対応する部分、すなわち集電電極の延在方向に垂直な断面の一部を図示している。
まず、n型シリコン基板101を用意する(図5−1)。ここでは、n型単結晶シリコン基板を用意する。ついで、レーザスクライブ法によって、このシリコン基板101の裏面の主面上にレーザ光線を走査させて、凹部115(溝)を形成する(図5−2)。所望の完成電極の形状となるように、凹部115は、その深さ、幅およびパターンをあらかじめ調整して形成する。
また、レーザ照射では加工幅が細すぎる場合は、レーザ照射位置を少しずつずらしていくことにより加工幅を広げることができる。この工程で、レーザ光線が照射されなかった領域は相対的に凸部となり、凸部116となる。
なお、ここでは凹部115の形成方法としてレーザスクライブ法を用いたが、メカニカルスクライブ法や放電加工法、ブラスト法、フッ化水素酸中おける金属触媒とシリコンとの接触部の局所的エッチングなどの方法や、レーザ加工によるエッチングマスクのパターニングと薬液エッチングと組み合わせる方法などを用いて凹部115(溝)を形成してもよい。
ついで、水酸化カリウム水溶液からなる加熱されたエッチング液にシリコン基板101を浸漬させて、シリコン基板101の表面近傍の欠陥および凹部形成時に生じた欠陥の除去を行う(図5−3)。図4では凹部115はシリコン基板101に対して垂直な側壁をもって形成されているが、側壁は基板に対して垂直である必要はなく、シリコン基板101に対して傾斜をなし、その表面が平滑となることが好ましい。
ついで、イソプロピルアルコールが添加され、かつ70〜90℃に加熱されたアルカリ溶液中にシリコン基板101を浸漬し、アルカリ溶液による異方性エッチングを用いて、シリコン基板101の光入射面の表面に略{111}面から形成されるテクスチャ構造を形成し、粗面化するとともに表面近傍の欠陥および凹部115の形成時に生じた欠陥の除去を行う。このようにして形成される凹部115の形状の一例として、深さ20〜100μm、幅400μm程度とすることができる。
その後、シリコン基板101をオキシ塩化リン(POCl3)雰囲気中で加熱して、リンをシリコン基板101の表面に拡散させて、n型拡散層107を形成する(図5−4)。これによって、シリコン基板101の受光面側の表面には電界層が形成される。このn型拡散層107のシート抵抗が80Ω/□程度以下となり低すぎる場合は、半導体中の正孔と電子の密度が高くなった際に、上記n型拡散層107の伝導キャリアが、光励起キャリアの励起エネルギーを奪い光励起キャリアを再結合させてしてしまうため太陽電池の光電変換効率が低下してしまう。その一方で、表面のn型電界層がない場合は太陽電池の光劣化が生じるとともに光によって励起された少数キャリアである正孔が半導体とパッシベーション膜の界面で再結合することにより光電変換効率が低下する。このため、このn型拡散層107のシート抵抗は80Ω/□以上500Ω/□以下とすることが好ましい。
その後、シリコン基板101を、表面が疎水性となるまでフッ化水素酸水溶液中に浸漬し、シリコン基板101表面に形成されたリンガラス膜を除去する。
つぎに、一般的にRCA洗浄と呼ばれる洗浄をシリコン基板101に施した後、シリコン基板101を酸素(O2)ガス雰囲気中で加熱し、酸素をシリコン基板101の表面に拡散させて30nm程度の厚みのシリコン酸化膜を形成し、誘電体層106とする(図5−5)。
その後、シリコン基板101の光入射面(表面)側に、プラズマCVD法により約50nm程度の厚みのアモルファスシリコン窒素化膜からなる反射防止膜103を形成する(図5−6)。
ついで、裏面が疎水性となるまでフッ化水素酸水溶液中にシリコン基板101を浸漬し、シリコン基板101裏面に形成された誘電体層106を除去する。このあと、70〜90℃に加熱されたアルカリ溶液中にシリコン基板101を浸漬し、イソプロピルアルコールを含有するアルカリ溶液による異方性エッチングを用いて、裏面に形成されたn型拡散層107の除去を行うと共にシリコン基板101の裏面全体にも略{111}面から構成されるテクスチャを形成する(図5−7)。この結果、裏面凹部底面と側面もシリコン{111}面によって構成される傾斜を持った多数の平滑な表面が形成され、およそ{100}面となるようにスライスされた受光面に対してこのような斜面はおよそ50°の角度をなす。ただし、図4および図5−7〜図5−10中では図が複雑になるため裏面に形成されたテクスチャによる凹凸の記述は省いている。
ここで、受光面のテクスチャ表面が一般的なシリコン{111}面から構成され、裏面側の傾斜面が受光面に対して約40°以上の角度をなす場合、基板に対して垂直に入射し裏面で鏡面反射されてから受光面の(111)面で反射される際に、基板側へ戻る方向へと反射される成分が多くなるため、裏面側の傾斜面は受光面に対して約40°以上の角度をなすことが好ましい。これに対し、裏面側の傾斜面が受光面に対して約40°未満の角度をなす場合、基板に対して垂直に入射した光が裏面で反射されてから受光面に入射した際におもて面側から光が出射してしまい、有効に光を閉じ込めることができない。
さらに、裏面側の傾斜面が受光面に対して約50°以上の角度をなす場合は、裏面で反射されてから受光面に入射する際の光の入射角が臨界角以上となり、光は全反射されるのでより好ましい。
その一方で、裏面側の傾斜面が受光面に対して約60°以上の角度をなす場合、裏面の斜面で反射された光は再び裏面へ入射した後、おもて面から出射することになるため、好ましくない。
このような傾斜面を、基板と同じ伝導型のn型半導体層が形成される領域に形成しても、表面積増大による案電流密度増大の影響は小さいため、開放電圧の低下はほとんどない。その一方で、光閉じ込め効率の向上により太陽電池特性を向上させることができる。
次に、シリコン基板101を真空チャンバー内に導入し、温度制御下で水素ガス(H2)を導入し、プラズマ放電することによりシリコン基板101の表面をクリーニングする。次に、シリコン基板101を真空チャンバー内において、温度制御下でシラン(SiH4)ガス及び水素ガス(H2)を導入し、プラズマ放電することによりシランを分解し、シリコン基板101の裏面全面に真性アモルファスシリコン膜からなる真性半導体層105を2nm〜10nm程度の厚みで蒸着する。
次に、真空チャンバー内にシランガス、ジボラン(B2H6)及び水素ガスを導入し、プラズマ放電することによりシランとジボランを分解し、シリコン基板101の裏面全面にp型アモルファスシリコン膜からなるp型半導体層104を5nm〜50nm程度の厚みで成膜する。次に、スパッタリング法によりシリコン基板101の裏面全体にシリコン酸化膜109を形成する(図5−8)。
次に、耐酸性レジスト117をシリコン基板101の裏面のおおよそ凹部115の領域に重なるように、スクリーン印刷法により用いて印刷する(図5−9)。そして、フッ化水素酸中にシリコン基板101を浸漬することにより、おおよそ凸部116の領域のシリコン酸化膜109、p型半導体層104および真性半導体層105を除去してシリコン基板101の表面を露出させる(図5−10)。ここで、凹部115の底面と側面に残された真性半導体層105が真性半導体層105Lとなる。
次に、温度制御されたアルカリ溶液にシリコン基板101を浸漬することにより耐酸性レジスト117を除去した後、シリコン基板101に前述のRCA洗浄からフッ化水素酸処理を除いた洗浄処理を施す。そして、ウェハにフッ化水素酸処理と水洗処理を施したのちシリコン基板101を真空チャンバー内に導入し、温度制御下で水素ガス(H2)を導入し、プラズマ放電することによりシリコン基板101の裏面をクリーニングする。
次に、温度制御下で、真空チャンバー内にシラン(SiH4)ガス及び水素ガス(H2)を導入し、プラズマ放電することによりシランを分解し、シリコン基板101の裏面全面に真性半導体層105を2nm〜10nm程度の厚みで蒸着する。
次に、真空チャンバー内にシランガス、ホスフィン(PH3)及び水素ガスを導入し、プラズマ放電することによりシランやホスフィンを分解し、シリコン基板101の裏面全面にn型アモルファスシリコン膜からなるn型半導体層102を5nm〜50nm程度の厚みで成膜する(図5−11)。
次に、耐酸性レジストをシリコン基板101の裏面のおおよそ凸部116領域に重なるようにスクリーン印刷法により印刷する。シリコン酸化膜109が除去されてp型半導体層104が表面に露出するとフッ化水素酸水溶液に対して凹部115がはっ水性を示すようになるため、凹部115がはっ水性を示すようになるまでフッ化水素酸水溶液中にシリコン基板101を浸漬する。これにより、おおよそ凹部115の領域に形成されたn型半導体層102、真性半導体層105およびシリコン酸化膜109を除去してp型半導体層104を表面に露出させる。その後、シリコン基板101をアルカリ溶液中に浸漬し、耐酸性レジストを除去する(図5−12)。ここで、凸部116上に残存する真性半導体層105が真性半導体層105Hとなる。
ついで、スパッタリング法によりインジウム錫酸化物(ITO)膜をシリコン基板101の裏面に蒸着する(図5−13)。この際に、蒸着されたインジウム錫酸化物(ITO)膜のパターンが電流取り出し電極110および電流取り出し電極120の形状となるようにメタルマスクをシリコン基板101上に配置して蒸着することによって図1−1に示されるような櫛歯形状の電流取り出し電極を形成することができる。この際、p型半導体層102とn型半導体層104の間をまたぐようにメタルマスクを配置する。また、このような透明導電性電極としてはインジウム酸化物や酸化スズ、酸化亜鉛等でも良い。
この上からスパッタリング法等の蒸着法により、上述のメタルマスクと同様の形状のメタルマスクを用いて集電電極111および集電電極121のパターンにアルミニウム膜を蒸着することにより、図4に示される構成を有する実施の形態2によるヘテロ接合裏面電極型太陽電池を得ることができる。この後、基板を加熱することにより電極とシリコンの密着性を向上させてもよい。
また、蒸着法を用いずにスクリーン印刷法により、スクリーン版を用いて集電電極を印刷することによっても、図4に示されるヘテロ接合裏面電極型太陽電池を得ることができるが、この際は基板を透過した光を反射させるために銀等の900nm〜1200nmの波長領域で反射率の高い金属を用いることが好ましい。さらに銀粒子含有ペーストを用いることにより、基板を透過した光を金属電極表面で散乱性させることができ、基板内の光閉じ込め効率を向上させることができる。
上述した説明では、シリコン基板101を用いた太陽電池を例に挙げて説明したが、シリコン以外の太陽電池や光発電デバイスにも上記構造を適用することができる。また、上述した説明では、単結晶のn型シリコン基板を用いる場合を説明したが、多結晶基板などにも適用することができる。
つぎに、上述した実施の形態2にかかる太陽電池の製造方法により製造した太陽電池の特性について評価した結果について説明する。上述した方法によって製造した太陽電池を実施例2とした。
また、凹部115の形成を行わなかった以外は、実施例2と同様にして作製した太陽電池を比較例2(図2参照)とした。この際、比較例2ではn型半導体層の幅を実施例2の凹部115を受光面へ垂直に投影した場合の幅と同じとなるようにした。
表2に、比較例2と比較した実施例2の太陽電池の出力特性を示す。ここでは、各太陽電池について、実際に電池を作動させ、太陽電池出力特性として、光電変換効率(%)、曲線因子(%)、短絡電流密度(mA/cm2)および開放電圧(V)を測定し、比較例2に対する実施例2の各値の比率を算出した。
少数キャリアの再結合の大きさが、n型半導体層102下部>シリコン基板101内部>p型半導体層104下部、の順の場合、n型半導体層102がある領域では、バルクシリコンの方がn型半導体層102よりも再結合が小さいため、その部分ではシリコン基板101の厚みが厚い方が開放電圧が大きくなる。これに対して、p型半導体層104がある領域では、p型半導体層104の方がバルクシリコンよりも界面再結合が小さいため、その部分ではシリコン基板101の厚みが薄い方が開放電圧が大きくなる。この結果、表2に示すように実施例2では比較例2に比べて高い開放電圧を得ることができる。
これに対し、裏面電極型太陽電池において半導体基板の基板厚を単純に薄くしただけの場合は、半導体基板と同じ導電型を持つ半導体層が形成された領域での再結合が大きくなってしまい、短絡電流および開放電圧の低下が生じる。
実施例2では、n型半導体層を形成した領域近傍における再結合による損失を比較例2と同程度に保ちつつ、少数キャリアの再結合が小さいp型半導体層が形成された領域のシリコン基板の厚みを低減することにより、シリコン基板内でのキャリア再結合を低減することができ、発電出力に優れた太陽電池を得ることができる。
また、実施例2では、シリコン基板101の裏面の表面にもテクスチャを形成し、裏面電極に反射率の高い銀をもちいて裏面で光反射しているため、入射した光の光閉じ込め効果が高い。このため、p型半導体層104が形成されている領域のシリコン基板101の厚みが多少減少してもシリコン基板101内での光吸収量は減少しないため、短絡電流の低下も抑制できる。
接触抵抗を低減させるために特開平3−165578号公報、特開2004−47824号公報のように、n型領域とp型領域両方を凹部とする構造では、n型半導体層形成領域が凸部となる構造に比べて、n型半導体が形成された領域に隣接する半導体基板の厚みが減少してしまうため光吸収量が低下し、短絡電流が低下する。このほかにも、特にヘテロ接合裏面電極型太陽電池では、n型半導体層が凹部に形成される場合、n型半導体層に膜厚分布が生じてしまい、曲線因子と開放電圧が低下するという問題が生じる。
また、実施例2のように半導体基板に凹凸部を形成する場合は、入射光に対するn型半導体層の領域の投影面積を増大させることなく、凹部の深さ方向の分だけn型半導体層と半導体基板、およびn型半導体層と透明電極との接触面積を増やすことができるため、各界面での抵抗による損失を低減することができ、光電変換効率に優れた太陽電池を得ることができる。これに対し、凹凸を形成せずにn型半導体層の領域の面積を減らすとn型半導体層の領域と半導体基板、およびn型半導体層と透明電極との間の接触面積が小さくなり、接触抵抗の増大により太陽電池出力が減少する。また、接触抵抗低減のためにn型半導体層の領域の面積を増大させると、n型半導体層の領域へ入射した光によって生成した少数キャリアがp型半導体層の領域に拡散する間に失活してしまい電流損失が生じる。
よって、実施例2では、半導体基板中に凹部と凸部を形成し、その凹部内に半導体層と電極とを形成することによって、光生成したキャリアが半導体層および電極に到達するまでの距離を短くすることができ、半導体基板中をキャリアが移動することによる抵抗損失を凹部のへこみ分だけ低減することができ、発電出力に優れた太陽電池を製造することができるという効果を奏する。
以上のように、実施例2においては、シリコン基板101内でのキャリアの再結合を抑制することにより開放電圧を向上させる効果を有する。その結果、シリコン基板101の裏面に凹部115を設けずにヘテロ接合裏面電極型太陽電池を形成した場合に比して、開放電圧が増大した太陽電池出力特性を有する太陽電池を製造することができる。
したがって、実施の形態2によれば、半導体基板中でのキャリアの伝導距離が短く、キャリア移動による抵抗が低減され、かつ、半導体基板中でのキャリアの再結合が低減された光電変換効率に優れたヘテロ接合裏面電極型の構造を有する太陽電池が得られる。
実施の形態3.
図6は、実施の形態3にかかる太陽電池の構成の一例を模式的に示す要部断面図である。図6においても図1−3と同様に基板の面内において櫛歯状の集電電極の延在方向に垂直な方向の断面の一部を示している。なお、本実施の形態では、半導体基板と同じ伝導型の半導体膜を凹部に形成する場合について述べる。このような構造は、半導体基板と凹部の半導体膜との界面の実効再結合速度が、半導体凹部のバルクの実効再結合速度に比べて小さい場合に有効であり、凹部における光吸収量が低減するものの、全体としての再結合が低減されることによる光電変換効率の向上が期待できる。特に表面パッシベーション能力が高い、最適化されたアモルファスシリコンによる単結晶シリコン基板のパッシベーションでは、このような状況となるため、ヘテロ接合を用いた裏面接合太陽電池構造の場合は、特に有効である。また、半導体基板に凹部を形成することにより、光吸収層としての半導体基板の厚みが減ることになり、光吸収量が減少する。しかし、凹部の底面及び側面を受光面に対して斜面をなすように形成することより、光吸収量の減少量を低減することができ、光電変換効率に優れた太陽電池を得ることができる。また、図6においては、実施の形態1と同様の部材については同じ符号を付している。
この太陽電池400においては、半導体基板としての結晶系のn型シリコン基板101の受光面側には、凹凸を有するテクスチャ構造表面での光反射を低減する目的で形成されている。n型シリコン基板101の受光面側には、n型シリコン基板101よりもn型不純物濃度が高い領域であるn型拡散層107により、表面側で生じた少数キャリア(この場合には正孔)を表面側へと向かわせるFSF(Front Surface Field)と呼ばれる表面電界層が形成される。
また、受光面側のn型拡散層107の上面には、受光面側のシリコン表面でのキャリアの再結合を防ぐ目的で真性半導体層あるいは誘電体層106が形成されており、これがパッシベーション膜として機能している。また、この膜に積層してシリコン基板101の受光面への入射光の反射を防止する反射防止膜103が形成されている。
一方、n型シリコン基板101の裏面には、櫛歯状に凹部115が設けられ、この凹部115の底面と側面には真性半導体層105Lが形成される。この凹部115のシリコン基板101の形状は、図示されないが、上記受光面と同じようなテクスチャが形成された構造となっている。そして、n型シリコン基板101の裏面において凹部115に対して相対的に凸部となった凸部116の領域上には真性半導体層105Hが形成される。凹部115の幅は、一例として、たとえば100μm程度であり、凸部116の幅は、たとえば400μm程度である。これらのピッチは狭い方が横方向のキャリア伝導距離が短くなり、抵抗損失が小さくなり発電出力が向上するが、ピッチを狭くしすぎると位置合わせ精度に応じてp型半導体層とn型半導体層の重なり領域が増大し、発電出力が低下すると共に生産性が低下する。
凹部115の真性半導体層105L上には、局所的にn型不純物を含むアモルファスシリコン膜からなるn型半導体層102が形成され、裏面側に流れてきた少数キャリア(この場合には正孔)が界面で再結合を防ぐ電界層を形成する。凸部116の真性半導体層105H上には、局所的にp型不純物を含むアモルファスシリコン膜からなるp型半導体層104が形成され、内部光電効果により生成したキャリアを分離するための半導体pn接合が形成される。
このように構成された太陽電池400では、太陽光が太陽電池400の受光面側(n型シリコン基板101におけるn型拡散層107側)から照射されると、n型シリコン基板101内に正孔と電子とが生成する。光吸収によって生成した電子は凹部115のn型半導体層102に向かって移動し、正孔はp型半導体層104に向かって移動する。これにより、n型半導体層102に電子が過剰となり、p型半導体層104に正孔が過剰となり、光起電力が発生する。この結果、n型半導体層102に接して形成される電流取り出し電極110および集電電極111がマイナス極となり、裏面のpn接合を形成するp型半導体層104に接続した裏面の電流取り出し電極120および集電電極121がプラス極となり、図示しない外部回路に電流が流れる。
次に、このような構造を有する太陽電池400の製造方法について説明する。図7−1〜図7−14は、実施の形態3にかかる太陽電池400の製造方法の処理手順の一例を模式的に示す要部断面図である。なお、ここでは、図1−2の線分A−B間に対応する部分、すなわち集電電極の延在方向に垂直な断面の一部を図示している。
まず、主面がおもに(100)面からなるn型シリコン基板101を用意する(図7−1)。ついで、70〜90℃に制御され、イソプロピルアルコールを添加された、2重量%程度の濃度のアルカリ溶液中にシリコン基板101を浸漬し、アルカリ溶液による異方性エッチングを用いて、シリコン基板101の光入射面の表面に略{111}面から形成されるテクスチャ構造を形成し、粗面化するとともに基板表面10μm程度の深さに存在する欠陥を含んだシリコン層の除去を行う(図7−2)。表面の粗面化条件は、例えば「P.K.Singh, et al. “Effectiveness of anisotropic etching of silicon in aqueous alkaline solutions” Solar Energy Materials & Solar Cells vol.70 2001年 pp103−pp113」を参考にしてもよい。
その後、シリコン基板101をオキシ塩化リン(POCl3)雰囲気中で加熱して、リンをシリコン基板101の表面に拡散させてn型拡散層107を形成する(図7−3)。これによって、シリコン基板101の受光面側の表面には、電界層が形成される。このn型拡散層107のシート抵抗が80Ω/□程度以下となり低すぎる場合は、半導体中の正孔と電子の密度が高くなった際に、上記n型拡散層107の伝導キャリアが、光励起キャリアの励起エネルギーを奪い光励起キャリアを再結合させてしてしまうため太陽電池の光電変換効率が低下してしまう。その一方で、表面のn型電界層がない場合は太陽電池の光劣化が生じる場合があるとともに光によって励起された少数キャリアである正孔が半導体とパッシベーション膜の界面で再結合が生じたり、基板の横方向への伝導抵抗が大きくなったりすることにより光電変換効率が低下する。このため、このn型拡散層107のシート抵抗は80Ω/□以上500Ω/□以下とすることが好ましい。
その後、表面が完全に疎水性となるまでフッ化水素酸水溶液中にシリコン基板101を浸漬し、シリコン基板101表面に形成されたリンガラス膜を除去する。
次に、例えば先述の一般的にRCA洗浄と呼ばれる洗浄をシリコン基板101に施した後、シリコン基板101を酸素(O2)ガス雰囲気中で加熱して、酸素をシリコン基板101の表面に拡散させて30nm程度の厚みのシリコン酸化膜を形成し、誘電体層106とする(図7−4)。
その後、シリコン基板101の光入射面(表面)側に、プラズマCVD法により60nm程度の厚みのアモルファスシリコン窒素化膜からなる反射防止膜103を形成する(図7−5)。
ついで、フッ化水素酸水溶液中にシリコン基板101を浸漬することにより、シリコン基板101の裏面の誘電体層106を除去する(図7−6)。
ついで、70〜90℃に制御された10重量%程度の濃度の水酸化カリウム水溶液中にシリコン基板101を浸漬し、エッチングすることにより、裏面の拡散層107を除去すると共に、シリコン基板101の裏面の表面を平坦化する(図7−7)。より平坦な表面とするためには、フッ化水素酸と硝酸との混合溶液からなる温度制御されたエッチング液にシリコン基板101を浸漬させてもよいが、この場合、おもて面のシリコン窒化膜もエッチングされるので、あらかじめおもて面のシリコン窒化を厚く成膜しておく必要がある。
次に、例えば先述の一般的にRCA洗浄と呼ばれる洗浄をシリコン基板101に施した後、シリコン基板101を真空チャンバー内に導入し、温度制御下で水素ガス(H2)を導入し、プラズマ放電することによりシリコン基板101の裏側表面をクリーニングする。
つぎに、温度制御下で、真空チャンバー内にシラン(SiH4)ガス及び水素ガス(H2)を導入し、プラズマ放電することによりシランを分解し、シリコン基板101の裏面全面に真性アモルファスシリコン膜からなる真性半導体層105を2nm〜10nm程度の厚みで堆積する(図7−8)。
次に、真空チャンバー内にシランガス、ジボラン(B2H6)及び水素ガスを導入し、プラズマ放電することによりシランとジボランを分解し、シリコン基板101の裏面全面にp型アモルファスシリコン膜からなるp型半導体層104を5nm〜50nm程度の厚みで堆積する。次に、シリコン基板101の裏面全面にアクアミカ(クラリアント社製、登録商標)をスピンコーターなどで塗布したのち、100℃程度の温度で乾燥させ、比較的低密度なシリコン酸化膜109とする(図7−9)。このシリコン酸化膜109は、後のエッチングにおいてリフトオフ層として機能する。ここで、リフトオフ層としてはシリコン酸化膜である必要はなく、例えばポリイミドやフェノール樹脂(例えばクラリアント社AZ5214等)といった有機膜などを用いてもよいが、この場合は、これ以降の成膜温度や、アモルファス半導体層を成膜する前の洗浄の条件を弱める必要がある。
ついで、レーザスクライブ法によって、凹部(溝)115を形成する(図7−10)。所望の完成電極の形状となるように、凹部115は、その深さ、幅およびパターンをあらかじめ調整して形成する。凹部の幅は100μm程度となるようにすることが好ましいが、レーザ照射では加工幅が細すぎる場合は、レーザ照射位置を少しずつずらしていくことにより加工幅を広げたり、凹部となる部分を抜き取る形状に外周を周回するように加工したりしてもよい。凹部115の形状の一例として、深さ30μm、幅100μm程度とすることができる。この工程で、レーザ光線が照射されなかった領域は相対的に凸部となり、凸部116となる。
なお、ここでは凹部115の形成方法としてレーザスクライブ法を用いたが、メカニカルスクライブ法や放電加工法、ブラスト法と薬液エッチングとを順に行う二段階法、フッ化水素酸中おける金属触媒とシリコンとの接触部の局所的エッチングなどの方法や、ホログラフィー光学素子を用いたレーザ加工によるエッチングマスクのパターニングと薬液エッチングと組み合わせる方法などを用いて凹部115(溝)を形成してもよい。
ついで、イソプロピルアルコールが添加され、かつ70〜90℃に加熱された2重量%程度の濃度の水酸化カリウム水溶液中にシリコン基板101を浸漬し、アルカリ溶液による異方性エッチングを用いて、シリコン基板101の凹部115部分の表面に略{111}面から形成されるテクスチャ構造を形成し、粗面化するとともに凹部115の形成時に生じた欠陥の除去を行う(図7−11)。この際、凸部116の表面は平坦となる一方で、凹部115はアルカリによる異方性エッチングを受けることにより、凹部115,凸部116に比べて微細な凹凸構造のテクスチャを有することとなる。テクスチャは受光面に対しておよそ50°の角度をなすシリコン{111}面の多数の微細な面で構成され、その結果、裏面凹部の底面と側面の大部分は受光面に対しておよそ50°の角度をなす斜面となる。なお、図7−11においては、凹部115の底部のみにテクスチャを示している。また、エッチングの際には、基板の深さ方向のみならず、基板の横方法にもエッチングが進むため、凹部の幅がレーザ加工時よりも広がることに注意する必要がある。
ここで、受光面のテクスチャ表面が一般的なシリコン{111}面から構成され、裏面側の傾斜面が受光面に対して約40°以上の角度をなす場合、図8の左側の矢印Lに示されるように、基板に対して垂直に入射する光は裏面で鏡面反射されてから受光面の(111)面で反射される際に、基板側へ戻る方向へと反射され、光路長が伸びシリコン基板に吸収されやすくなるため、裏面側の傾斜面は受光面に対して約40°以上の角度をなすことが好ましい。これに対し、裏面側の傾斜面が受光面に対して約40°未満の角度をなす場合、図8の右側の矢印Rに示されるように、基板に対して垂直に入射した光が裏面で反射されてから受光面に入射した際に、おもて面側から光が出射してしまい、有効に光を閉じ込めることができない。
さらに、裏面側の傾斜面が受光面に対して約50°以上の角度をなす場合は、裏面で反射されてから受光面に入射する際の光の入射角が臨界角以上となり、光は全反射されるのでより好ましい。
その一方で、裏面側の傾斜面が受光面に対して約60°以上の角度をなす場合、裏面の斜面で反射された光は再び裏面へ入射した後、おもて面から出射することになるため、好ましくない。
このような傾斜面を、基板と同じ伝導型のn型半導体層が形成される領域に形成しておいても、表面積増大による案電流密度増大の影響は小さいため、開放電圧の低下はほとんどない。その一方で、光閉じ込め効率の向上により太陽電池特性を向上させることができる。
次に、先述の一般的にRCA洗浄と呼ばれる洗浄からフッ化水素酸溶液による処理を除いた処理をシリコン基板101に施した後、シリコン基板101を真空チャンバー内に導入し、温度制御下で水素ガス(H2)を導入し、プラズマ放電することによりシリコン基板101の裏側表面をクリーニングする。
次に、温度制御下で、真空チャンバー内にシラン(SiH4)ガス及び水素ガス(H2)を導入し、プラズマ放電することによりシランを分解し、シリコン基板101の裏面全面に真性アモルファスシリコン膜からなる真性半導体層105を2nm〜10nm程度の厚みで堆積する。
次に、真空チャンバー内にシランガス、ジボラン(PH3)及び水素ガスを導入し、プラズマ放電することによりシランやホスフィンを分解し、シリコン基板101の裏面全面にn型アモルファスシリコン膜からなるn型半導体層102を5nm〜50nm程度の厚みで堆積する(図7−12)。
次に、フッ化水素酸中にシリコン基板101を浸漬することにより、リフトオフ層であるシリコン酸化膜109を除去することにより、その上面に形成された真性半導体層105およびn型半導体層102を除去する。ここで、リフトオフ層にポリイミドや、フェノール樹脂等の有機層を用いた場合は、温度制御されたアルカリ溶液やアセトン等の有機溶媒によってリフトオフ層を除去する。
次に、酸化インジウムをターゲットとしたスパッタリング法により、酸化インジウム膜をシリコン基板101の裏面に蒸着する(図7−13)。この際に、蒸着された酸化インジウム膜からなる透明導電性電極のパターンが電流取り出し電極110および電流取り出し電極120の形状となるようにメタルマスクをシリコン基板101上に配置して蒸着することによって図1−1に示される櫛歯形状の電流取り出し電極を形成することができる。
また、透明導電性電極は、真空加熱蒸着法により銀膜をシリコン基板101の裏面に蒸着して形成してもよい。この際も、蒸着された銀のパターンが電流取り出し電極110および電流取り出し電極120の形状となるようにメタルマスクをシリコン基板101上に配置して蒸着することによって図1−1に示される櫛歯形状の電流取り出し電極(銀電極)を形成することができるが、この場合は、p型半導体層104もしくはn半導体層102の伝導度が低いため、銀電極が接触していない部分のp型半導体層104もしくはn型半導体層102に到達したキャリアは銀電極まで有効に集電されない。このため、電流取り出し電極と半導体層の位置合わせ精度が十分に高くないと発電出力が低下する。
この上からスクリーン印刷法により、スクリーン版を用いて集電電極111および集電電極121のパターンに集電電極を印刷することにより、図7−14、図6に示される構造を有するヘテロ接合裏面電極型太陽電池を得ることができる。このような集電電極材料として例えば藤倉化成株式会社製のドータイト(登録商標)やナノ銀粒子を含有したペーストなどの導電性ペーストを使用してもよい。このようなペーストを用いることにより、金属電極表面での光散乱性を向上させることができ、光閉じ込め効率を向上させることができる。特に100ナノメートルから400ナノメートル程度の粒径のナノの粒子を用いることが好ましい。
この後、基板を加熱することにより電極とシリコンの密着性を向上させてもよい。
上述した説明では、シリコン基板101を用いた太陽電池を例に挙げて説明したが、シリコン以外の太陽電池や光発電デバイスにも上記構造を適用することができる。また、上述した説明では、単結晶のn型シリコン基板を用いる場合を説明したが、多結晶基板などにも適用することができる。
初期のシリコン基板101への凹部115形成には、薬液エッチングによるダメージ除去を施す深さおよび時間を低減するために、加工ダメージが浅い方法によって行われることが望ましい。具体的には、レーザ加工法を用いる場合は、シリコン基板101の光吸収係数が大きい領域の波長をもつレーザ光を用いて加工することによりダメージ深さを抑制することができ、ダメージ除去工程によるエッチング量と時間を低減することができる。この場合、レーザーダメージを除去するためのエッチングの際の凹部115エッヂ部分のアンダーカットを小さくすることができる。
つぎに、上述した実施の形態3にかかる太陽電池の製造方法により製造した太陽電池の特性について評価した結果について説明する。上述した方法によって製造した太陽電池を実施例3とした。
また、凹部115の形成を行わずに比較例3の太陽電池(図2参照)を作製した。比較例3の作製においては、実施例3の図7−10の工程においてアクアミカを用いてシリコン基板101の裏面全面にシリコン酸化膜109を形成してから凹部115を形成する工程の代わりに、シリコン基板101の裏面にアクアミカによる酸化膜を形成し、フォトリソグラフィーにより櫛歯状にレジストを形成してから半導体基板全体をフッ酸溶液に浸漬し、凹部115に相当する領域のシリコン酸化膜を除去した。これ以外は、実施例3と同じ工程により比較例3の太陽電池を作製した。この際、比較例3では、n型半導体層102の幅を実施例3の凹部115を受光面へ垂直に投影した場合の幅と同じとなるようにした。
表3に、比較例3と比較した実施例3の太陽電池の出力特性を示す。ここでは、各太陽電池について、実際に電池を作動させ、太陽電池出力特性として、光電変換効率(%)、曲線因子(%)、短絡電流密度(mA/cm2)および開放電圧(V)を測定し、比較例3に対する実施例3の各値の比率を算出した。
100〜200マイクロメートルの範囲内の基板厚みをもつ実施例3では、ヘテロ接合裏面接合型太陽電池において、半導体基板と同じ導電型を持つn型半導体層102が形成された領域の受光面に対する投影面積が比較例3と同等であるため、n型半導体層102付近への光入射量および光生成するキャリア量は、投影面積が異なる構造に比較して、比較例と実施例の間で同等となる。p型半導体層104付近への光入射量とキャリア生成量も同等である。このため、この実施例3と比較例3との間では、n型半導体層の形成領域付近で生じたキャリアがp型半導体層の形成領域付近まで拡散する間に失活するキャリア量は、投影面積が異なる実施例1と比較例1のような差が生じないため、この点からは短絡電流密度に大きな差は生じないと考えられる。
その一方で、半導体基板に凹部を形成することにより光吸収層としてのシリコン基板の厚みが減ることになり、光吸収量が低減する。しかし、凹部の底面に微細な凹凸構造を持ち、また、凹部の側面を受光面に対して斜面をなすように形成することで、裏面に到達した光を反射する際に基板の横方向に反射することにより光が基板表面から出射しにくくするとともにp型半導体層104付近で光が吸収されるようにすることができ、キャリアの生成場所をp型半導体層104に近づけることにより、光生成キャリアの拡散距離を短くでき、再結合損失を低減することができる。これにより、短絡電流密度が増大した、光電変換効率に優れた太陽電池を得ることができたと考えられる。このため、上記斜面での反射率を上げるために、斜面にも反射率の高い金属電極が形成されることが好ましい。半導体にシリコンを用いる場合、金属電極はシリコンとシリサイドを形成し、反射率が低下し、金属−シリコン界面の再結合速度が大きくなるが、電極が半導体に直に接触しないヘテロ接合太陽電池では、この反射効果が顕著であり、金属とシリコンとの界面での再結合の影響がないという利点がある。
さらに、電極部分の凹部の側面を傾斜させるだけでなく、太陽電池の受光面と裏面の両面を直交したV溝によって構成する構造によって裏面電極形成部分も含めた太陽電池セル全体の光閉じ込め効率を高めることができる。例えば特許第3301663号公報のような基板両面に電極がある拡散接合太陽電池では、裏面電極部分はシリコンと金属電極が化学反応しているため、裏面電極とシリコンの界面の反射率は低く、電極部分での光反射は十分ではなかった。また金属電極とシリコン基板界面での再結合速度が大きいため、電極付近で生成したキャリアの取り出し効率が低いため、前記の裏面電極とシリコンの界面の反射率が高くなっても、裏面電極部分で光生成したキャリアを電流として有効に取り出し切れていなかったという問題があった。これに対し、ヘテロ接合の場合では、電極による再結合の影響が小さく、また、金属もシリコンと直接には接触しないため反射率を高く保つことができ、裏面電極形成部分も含めた太陽電池セル全体の光閉じ込め効率が高まった、発電出力に優れた太陽電池を作製することができる。このような構造を、前述の傾斜面による裏面到達光を基板平行方向へ反射する構造に組み入れると、接触抵抗が低減され、より光閉じ込め効率とキャリア取り出し効率に優れた太陽電池を作製することができる。
図9は、このような構造例である実施の形態3にかかる他の太陽電池の一部を模式的に示した要部斜視図である。図9に示すようにn型シリコン基板101の裏面側において、凹部となるV型の大きな溝(電極溝)内にn型半導体領域が設けられ、凸部であるp型半導体領域にもn型半導体領域の溝(電極溝)と平行方向に延伸する小さいV溝が多数形成されている。n型半導体領域とp型半導体領域との間にi型半導体領域として、n型半導体領域の溝と平行方向に延在する小さなV溝で間隔があけられている。n型半導体領域およびp型半導体領域には、それぞれ集電電極111、121が形成されている。
シリコン基板101の光入射側にもp型半導体領域と同様のV溝が平行に多数形成されたテクスチャが形成されているが、その方向はシリコン基板101の面方向において裏面側のn型半導体領域やp型半導体領域のV溝と直交する方向である。このように光入射側の基板表面の光反射防止構造であるテクスチャと本実施の形態における裏面電極の溝(凹部)とが多数のV溝によって形成され、これらのV溝の延伸方向がシリコン基板101の面方向において互いに直交する構造であることが好ましい。なお、図9では集電電極111とn型半導体層102との間の電流取り出し電極110、集電電極121とp型半導体層104との間の電流取り出し電極120、光入射側の誘電体層106やn型拡散層107などを省略している。
このような構成の太陽電池では、シリコン基板101の光入射側に到達した光Lは、V溝による屈折により基板内への入射角が大きくなり、光路長を延ばされてシリコン基板101内を進行する。そして、裏面側に到達した光Lは、裏面側の基板界面で反射されてシリコン基板101内に戻される。
このような太陽電池の表面テクスチャの作製方法の一例を図10および図11を参照して説明する。図10および図11は、実施の形態3にかかる他の太陽電池における表面テクスチャの作製方法の一例を模式的に示す要部斜視図である。まず、受光面として(100)面を持つシリコン基板101を用意し、このシリコン基板101の両面にエッチングマスクとしてシリコン酸化膜131を形成する。つぎに、レーザ光を用いたアブレーションにより、シリコン酸化膜131とシリコン基板101の表面にパターンを形成する。このパターンはライン状の多数の溝132とし、その溝132の延伸方向はシリコン基板101であれば<110>軸方向になるように形成する(図10)。
ここで、シリコン基板101の両面における溝132の延伸方向は、互いに直交する方向とする。たとえばシリコン基板101の裏面の溝の延伸方向を[110]軸方向とすると、受光面の溝132の延伸方向は[1−10]軸方向とする。このようにシリコンの結晶方位によって電極溝の方向が決まってしまうので、あらかじめシリコン基板101を切り出す方位を、電極が所望の方向となるようにしておく必要がある。また、形成条件を調節して、p型半導体領域用、i型半導体領域用、n型半導体領域用にそれぞれ所望の形状で溝を形成する。
レーザによるパターニング以外にも、エッチングマスクとしてシリコン基板101上に形成されたシリコン酸化膜131上に感光性樹脂溶液をスピン塗布法により塗布し、写真製版による感光性樹脂のパターニングを実施してもよい。この場合も、パターンはライン状の多数の溝132とし、その溝132の延伸方向はシリコン基板であれば裏面の溝132の延伸方向を[110]軸方向になるように形成し、受光面については、裏面のV字溝に対して直行する方向にライン状に感光性樹脂のパターニングを行う。そして、シリコン基板101をフッ酸中に浸漬し、シリコン基板101の両面の感光性樹脂が除去された部分のシリコン酸化膜131をエッチングし、感光性樹脂をアルカリ溶液などで除去することによりパターンを形成することができる。
このようにしてシリコン酸化膜131をパターニングしたシリコン基板101を水酸化カリウム等のアルカリ水溶液に浸漬させ、シリコン基板101の表面に対して異方性エッチングを実施する。これにより、シリコンの{111}面が露出して、シリコン基板101の受光面と裏面とで互いに直交したV溝133によって構成されるテクスチャ構造を形成することができる(図11)。
これ以降は、実施の形態1の図3−3と同様にして、シリコン基板101の裏側に酸化膜マスクを形成した後、実施の形態1の図3−4以降の工程を施す。これにより、図9に示すような太陽電池の向かい合う両面において直交した溝形状を持つ太陽電池を作製することができる。また、逆に上記の方法を用いて実施の形態1,2の構造を形成することもできる。
なお、上記においてはエッチングマスクと異方性エッチングとを用いてV溝を形成する場合を示したが、例えばレーザスクライブ、先端の断面がV字型のダイヤモンドホイールなどを使用した機械的加工などでも同様な溝を形成することができる。これらの場合は、溝の延在方向がシリコンの結晶軸方向に限定されない。また、上記においては溝の形状をV溝としたが、斜面や底部が曲面からなるU字形状としてもよい。
また、実施例3では、n型半導体層102はn型シリコン基板101に対して凹部115の側面および底面部分を通じて接触するため、その接触面積は凹部を持たない比較例3に比べて大きくすることができる。また、同時に、実施例3では凹部115の底部はテクスチャによる微細な凹凸構造を持っているため、比較例3に比べてn型半導体層と半導体基板との間の接触面積、n型半導体層102と電流取り出し電極110との間の接触面積、および、電流取り出し電極110と集電電極120との間の接触面積、を大きくすることができるという利点がある。
比較例3では、p型半導体層104は真性半導体層を介してシリコン基板101に接触する面積が実施例3に対して同程度であるため接触抵抗が小さいのに対し、n型半導体層102は実施例3に対して接触面積が小さく、その接触抵抗が大きいため抵抗による電力損失が大きい。したがって、比較例3に比べて実施例3の方が、n型半導体層102のn型シリコン基板101に対する接触面積が大きく、電力損失が低減できたため、高い曲線因子が得られたと考えられる。
また、実施例3では、半導体基板中に凹部と凸部を形成し、その凹部内に半導体層と電極とを形成することによって、光生成したキャリアが半導体層および電極に到達するまでの距離を短くすることができ、半導体基板中をキャリアが移動することによる抵抗損失を凹部のへこみ分だけ低減することができ、発電出力に優れた太陽電池を製造することができるという効果を奏する。
また、表面パッシベーション能力が高いアモルファスシリコンと単結晶シリコン基板との組み合わせでは、半導体基板と凹部の半導体膜との界面の実効再結合速度が、半導体基板凹部のバルクの実効再結合速度に比べて小さくなるため、バルクと界面を合わせた全体としての再結合が低減され、光電変換効率が向上する。
また、特に、実施例3においては、凸部116は、比較的平滑な表面となっているためパッシベーション膜の機能を果たす真性半導体層105Hやp型半導体層104の膜厚分布が生じにくく、効果の高いパッシベーション効果を得ることができるとともに、接合面積を低減し飽和暗電流密度を低減することができるため、発電効率に優れた太陽電池を得ることができる。
また、実施例3では、簡便なプロセスによって自己整合的にp型半導体層104を形成することで、位置合わせ精度を向上させることができる。これにより、発電能力の低い真性半導体層のみが半導体基板上に形成されている領域(もしくはn型半導体層102とp型半導体層104とが重なっている領域)の面積および電流取り出し電極が形成されていないp型半導体層104とn型半導体層102の面積を小さくすることができる。この結果、発電に寄与する裏面の面積を増大させることができ、発電出力の向上が得られる。したがって、実施例3では、表面に凹部115を設けずにヘテロ接合裏面電極型太陽電池を形成した場合に比して、曲線因子と短絡電流が増大した太陽電池出力特性を有する太陽電池セルを製造することができる。
したがって、実施の形態3によれば、半導体基板中でのキャリアの伝導距離が短く、キャリア移動による抵抗が低減され、かつ、表面パッシベーション能力に優れ、半導体基板中でのキャリアの再結合が低減されるとともに光吸収量の増大した、光電変換効率に優れたヘテロ接合裏面電極型の構造を有する太陽電池が得られる。
実施の形態4.
図12〜図14は、実施の形態4にかかる太陽電池の構成の一例を模式的に示す要部断面図である。図12〜図14も、図1−3と同様に基板の面内において櫛歯状の集電電極の延在方向に垂直な方向の断面の一部を示している。また、実施の形態4では、半導体基板と同じ伝導型の半導体膜を凹部に形成する場合について述べる。実施の形態4にかかる太陽電池は実施の形態1の変形例であり、凹部115の内部及びその周囲の部材位置が異なるが、基本的な構造は実施の形態1の場合と同様である。また、図12〜図14においては、実施の形態1の場合と同様の部材については同じ符号を付している。
これらの太陽電池においては、半導体基板としてのn型シリコン基板101の受光面側には、凹凸を有するテクスチャ構造が表面での光反射を低減する目的で形成されている。n型シリコン基板101の受光面側には、n型シリコン基板101よりもn型不純物濃度が高い領域であるn型拡散層107により、表面側で生じた少数キャリア(この場合には正孔)を表面側へと向かわせるFSF(Front Surface Field)と呼ばれる表面電界層が形成される。
また、受光面側のn型拡散層107の上面には、受光面側のシリコン表面でのキャリアの再結合を防ぐ目的で真性半導体層あるいは誘電体層106が形成されており、これがパッシベーション膜として機能している。また、この膜に積層してシリコン基板101の受光面への入射光の反射を防止する反射防止膜103が形成されている。
一方、n型シリコン基板101の裏面には、櫛歯状に凹部115が設けられ、この凹部115の底面と側面には真性半導体層105Lが形成される。そして、n型シリコン基板101の裏面において凹部115と相対的に凸部となった凸部116の領域上には真性半導体層105Hが形成される。なお、以下では、真性半導体層105Lと真性半導体層105Hとを総称して真性半導体層105と呼ぶ場合がある。凹部115の幅は、一例として、たとえば100μm程度であり、凸部116の幅は、たとえば400μm程度である。
凹部115の真性半導体層105L上には、局所的にn型不純物を含むアモルファスシリコン膜からなるn型半導体層102が形成され、正孔がシリコン基板101の表面に到達することを抑制するための電界層が形成される。凸部116の真性半導体層105H上には、局所的にp型不純物を含むアモルファスシリコン膜からなるp型半導体層104が形成され、内部光電効果により生成したキャリアを分離するための電界層(半導体pn接合)が形成される。なお、図のようにp型半導体層104は凸部116の大部分に形成されていることが望ましい。
このように構成された太陽電池では、太陽光が太陽電池の受光面側(シリコン基板101におけるn型拡散層107側)から照射されると、シリコン基板101内に正孔と電子とが生成する。光吸収によって生成した電子は凹部115のn型半導体層102に向かって移動し、正孔はp型半導体層104に向かって移動する。これにより、n型半導体層102に電子が過剰となり、p型半導体層104に正孔が過剰となり、光起電力が発生する。この結果、n型半導体層102に接して形成される電流取り出し電極110および集電電極111がマイナス極となり、裏面のpn接合を形成するp型半導体層104に接続した裏面の電流取り出し電極120および集電電極121がプラス極となり、図示しない外部回路に電流が流れる。
これのような構造の太陽電池100の製造方法としては、実施の形態2で説明した方法ほぼ同様の手順で、耐酸性レジストの印刷スクリーンのパターンを変更するだけで形成することができる。
以上のような実施の形態4によれば、実施の形態1と同様に、半導体基板中でのキャリアの伝導距離が短く、キャリア移動による抵抗が低減され、かつ、半導体基板中でのキャリアの再結合が低減された光電変換効率に優れたヘテロ接合裏面電極型の構造を有する太陽電池が得られる。
上記の実施の形態において説明したように、本発明によれば、ヘテロ接合裏面電極型の構造を有する太陽電池において、半導体基板と同じ導電型を持つ半導体層が半導体基板に形成された凹部(もしくは凸部)の底面(もしくは上面)および側面に形成される。これにより、半導体基板と同じ導電型を持つ半導体層が形成された領域の、光入射面に対する投影面積が小さくなり、半導体基板と同じ導電型を持つ半導体層が形成された領域近傍で光生成するキャリアの量が低減するとともに、半導体基板と逆の導電型を持つ半導体層が形成された領域の、光入射面に対する投影面積が大きくなり、半導体基板と異なる導電型を持つ半導体層が形成された領域近傍で光電効果により光生成するキャリアの量が増大し、pn接合界面まで拡散する必要のある少数キャリアの量が減少する。この結果、少数キャリアの再結合を抑制すると共に、キャリアが電極に到達するまでの経路を短くすることができ、発電出力に優れた太陽電池を製造することができる、という効果を有する。
また、本発明によれば、半導体基板中に凹部と凸部を形成し、その凹部内に半導体層と電極を形成することによって、光生成したキャリアが半導体層および電極に到達するまでの距離を短くすることができ、半導体基板中をキャリアが移動することによる抵抗損失を凹部のへこみ分だけ低減することができ、発電出力に優れた太陽電池を製造することができる、という効果を奏する。
また、本発明によれば、電流取り出し電極と半導体層、および、電流取り出し電極と集電電極の接触面積を増大させることができるため、接触抵抗を低減できるという効果を奏する。また、n型半導体層102が形成される凹部領域115に隣接する基板の厚みは薄くなっているため、受光面から凹部領域115に対応する場所に入射する光が、基板内部において吸収される量は減少する。しかし、n型層形成領域のほうがp型層形成領域よりも受光面に対する投影面積が小さいため元々その影響は小さく、更に本願などの光閉じ込め構造を用いることにより、光吸収量の低下は小さくすることができる。その一方でp型半導体層104が形成される凸部領域116の基板の厚みは比較例と同等であるため、p型半導体層形成領域に対応する凸部領域116に受光面から入射する光が基板内で吸収される量は比較例と同等となる。このため、光吸収量低下の影響は小さく、それ以外の寄与により、全体としては光電変換効率が向上する。
これに対し、接触抵抗を低減させるために特開平3−165578号公報、特開2004−47824号公報のように、n型半導体層形成領域とp型半導体層形成領域両方を凹部とする構造では、p型半導体層形成領域が凸部となる構造に比べて発電を担うp型半導体層形成領域の半導体基板の厚みが減少してしまうため光吸収量が低下し、短絡電流が低下する。同時に、p型半導体層形成領域が凸部となる場合に比べて、その接合面積が増大するため、飽和暗電流密度が増大し、開放電圧が低下するという問題が生じる。このほかにも、特にヘテロ接合裏面電極型太陽電池では、p型半導体層が凹部に形成される場合、n基板に対してpn接合を形成するp型半導体層に膜厚分布が生じてしまい、曲線因子と開放電圧が低下するという問題が生じる。
また、裏面の表面付近における表面積あたりの光生成キャリア量は、受光面に対する投影面積が小さい凹部115の側壁で小さくなる。このため、本発明によれば、図1−3,1−4のように、p型半導体膜とn型半導体膜が積層されない真性半導体層や誘電体層のみで半導体基板がパッシベーションされる領域を、凹部側壁に形成することで、p型半導体膜とn型半導体膜がなく電界層がない領域でのキャリア生成量を低減し、再結合を抑制して有効に電流を取り出すことができるようになるため発電出力に優れた太陽電池をつくることができる。
また、裏面の表面付近における表面積あたりの光生成キャリア量は、受光面に対する投影面積が小さい凹部115の側壁で小さくなる。このため、凹部115の側壁にp型半導体層とn型半導体層がなく電界層がない、あるいはp型半導体層とn型半導体層が重なってキャリアの再結合が生じる領域を形成することにより、光生成キャリアの再結合量を低減して有効に取り出すことができるようになり、発電出力に優れた太陽電池をつくることができる。従って、本発明によれば、図13のように面積あたりの光生成キャリアが少ない凹部115側壁にp型半導体膜とn型半導体膜が重なる部分を形成することにより、裏面に凹凸が形成されないヘテロ接合太陽電池に比べて電流を有効に取り出すことができる、という効果を奏する。また、本発明によれば、図14や図1−3,1−4のように、p型半導体膜とn型半導体膜が積層されない真性半導体層や誘電体層のみで半導体基板がパッシベーションされる領域を、凹部側壁に形成することで、p型半導体膜とn型半導体膜がなく電界層がない領域でのキャリア生成量を低減し、再結合キャリア量を低減し有効に電流を取り出すことができるようになるため発電出力に優れた太陽電池をつくることができる。
また、上記の実施の形態で説明した構成を有する太陽電池セルを複数形成し、隣接する太陽電池セル同士を電気的に直列または並列に接続することにより、光電変換効率に優れた太陽電池モジュールが実現できる。この場合は、例えば隣接する太陽電池セルの一方の集電電極111と他方の集電電極121とを電気的に接続すればよい。