JP5426846B2 - 基板の拡散層形成方法 - Google Patents
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Description
このような必要最小限工程数といくつかの有用な効果により、民生用太陽電池は低コスト化が達成されている。
この特許文献1では、例えば図6(a)のように、拡散層を形成するための熱処理炉63として横型炉を使用し、大きさや形が同じ複数の半導体基板61を2枚1組として、背中合わせに(拡散層を形成する面とは反対側の面同士を向かい合わせに)重ねた状態で、横型ボート62へ間隔を開けて垂直に立て、該横型ボート62を横型炉63の石英の炉心管内に水平に配置し、横型の熱処理炉の炉尾側65から炉口側64に向かってその半導体基板61の周辺にガスが行き渡るようにして行っている。この例は不純物としてリンを、半導体基板としてp型のシリコンを用い、750℃から900℃に加熱しn型の導電型を示す不純物拡散層を形成している。
前記熱処理炉内に横型ボートを配置する際、前記複数の基板と前記横型ボートの保持下端面との接触位置の高さが、順次前記熱処理炉の長手方向に傾斜変化するように前記横型ボートを配置することを特徴とする基板の拡散層形成方法を提供する。
まず、本発明の基板の拡散層形成方法の実施形態について図1、図2を参照しながら、説明する。
図1は、本発明に係る基板の拡散層形成方法の一例を説明する図であり、図2は、図1の中央部を拡大した図である。
この用意する複数の半導体基板1は、例えば、チョクラルスキー(CZ)法およびフロートゾーン(FZ)法で作製されたインゴットからスライスされたガリウムドープp型単結晶シリコン基板を使用することができる。もしくは、キャスト法により作製した多結晶シリコンインゴットからスライスされた多結晶シリコン基板であっても構わない。
同時に処理する半導体基板1の大きさ、形は、全て同形になるように作製されたものとし、例えば、複数の基板が全て15cm×15cmの正方形に作製されたものであってもよく、本発明においてはこれに限定されず、全て円形の基板やそれ以外の形状の基板であっても、同様の効果が得られる。
そして、半導体基板1を横型ボート2に立てる際は、横型ボートの長手方向に対して図2のように垂直に立てたり、もしくは、斜め(不図示)に立ててもよい。これは、溝の形状によって適宜変化させることができる。
本発明では、基板間の間隔を3mm以下と狭くした場合であっても、複数の基板と横型ボートの保持下端面との接触位置の高さが順次熱処理炉の長手方向に傾斜変化するように横型ボートを配置するので、複数の基板でシート抵抗のバラツキが低減された拡散層を有する半導体基板を得ることができ、且つ、一度に拡散層を形成する基板の枚数をさらに増やすことができる。従って、太陽電池の生産性向上につながる。
このとき、図2のように複数の半導体基板1と横型ボート2の保持下端面との接触位置の高さHが、順次熱処理炉の長手方向(矢印)に対して傾斜変化するように横型ボート2を配置する。この傾斜は、図1に示すように熱処理炉の炉尾側5が高くなるようにしてもよし、図5に示すように熱処理炉の炉口側4が高くなるようにしてもよい。
熱処理炉内で横型ボート2を傾斜させる手段としては、図1に示したように、横型ボートの下に足6を設ける。
例えば、図1のように、横型ボート2を傾斜させる場合も、図4のように横型ボートの底部に、複数の基板と横型ボートの保持下端面との接触位置の高さが、順次熱処理炉の長手方向に傾斜変化するように、溝7が形成されたものを使用する場合であっても、水平に設置された熱処理炉の長手方向に対する横型ボートの保持下端面の傾斜角度を1度以上30度以下とすることにより、半導体基板の間のガスの流れがさらにスムーズとなり、基板のシート抵抗のバラツキをより低減することができる。
尚、本実施形態では、n型の不純物(リン酸)含む拡散ペーストを予め基板に塗布することにより、拡散層の形成を行うことを説明したが、これに限られず、熱処理炉内にガスを供給する際、n型の不純物(例えばリン)を含むガスを供給することによって基板に拡散層を形成してもよい。
(実施例1)
<拡散層を形成するための太陽電池用基板の作製>
まず、結晶面方位(100)、15cm角250μm厚、アズスライス比抵抗2Ω・cm(ドーパント濃度7.2×1015cm−3)ガリウムドープp型単結晶シリコン基板1を用意し、40重量パーセント水酸化ナトリウム水溶液に浸し、ダメージ層をエッチングで取り除く。基板比抵抗は例えば0.1〜20Ω・cmが好ましく、特に0.5〜2.0Ω・cmであることが高い性能の太陽電池を作る上で好適である。本実施例では基板のダメージ除去に対し、水酸化ナトリウム水溶液を用いたが、水酸化カリウム等強アルカリ水溶液を用いても構わない。また、フッ硝酸等の酸水溶液でも同様の目的を達成することが可能である。
このような方法で、拡散層を形成するための太陽電池用基板を300枚作製した。
この300枚の太陽電池用基板を図3に示すような短い横型ボート2a、2b、2cに熱処理炉3の炉口側4に向かって傾斜させるようにして立てた。このとき、横型ボート2a、2b、2cの底部には、間隔が2.5mmで、且つ横型ボートの長手方向に対して3°の傾斜を持つような溝が100個形成されているものを使用した。そして、斜めに立てた100枚の基板を保持する3個の短い横型ボートを、炉尾側5が高く炉口側4が低くなるように熱処理炉の長手方向に対して5°傾けて配置する形で長いボート20に乗せて熱処理炉に配置した。
次に880℃で40分間、300枚の基板1に熱処理を施して、熱処理炉3から取り出した。これにより、300枚の基板に拡散層が形成された。
上記のように得られた拡散層が形成された300枚の基板のシート抵抗を測定したところ、炉尾側60枚のシート抵抗の平均値が62Ω/□で、炉口側60枚のシート抵抗の平均値が68Ω/□であった。この結果を以下の表1にまとめた。さらに、図7に各基板のシート抵抗の値の分布を示した。この図7において、真ん中の直線は、シート抵抗値の回帰直線である。この図7のシート抵抗の分布は、熱処理炉の位置によってそれほどバラツキの多いものでないことがわかる。
尚、シート抵抗の値の測定は後述のガラスエッチング後に四探針法によって実施した。
また、スプレディングレジスタンス法で拡散プロファイルを確認したところストライプに拡散ペーストを印刷した部分では表面濃度として、2×1020cm−2を得た。
次に、プラズマエッチャーを用い、接合分離を行った。このプロセスではプラズマやラジカルが基板の受光面や裏面に侵入しないよう、スタックし、その状態で、端面を数ミクロン削った。
引き続き、表面に形成されたリンガラスをフッ酸でエッチングした後、13.56MHzの周波数を持つダイレクトプラズマCVD装置を用い、表面保護膜である窒化膜を堆積した。この膜厚は、反射防止膜も兼ねさせるため70nmから100nmが適している。他の反射防止膜として酸化膜、二酸化チタン膜、酸化亜鉛膜、酸化スズ膜等があり、代替が可能である。また、形成法も上記以外にリモートプラズマCVD法、コーティング法、真空蒸着法等があるが、経済的な観点から、上記、窒化膜をプラズマCVD法によって形成するのが好適である。さらに、上記反射防止膜上にトータルの反射率が最も小さくなるような条件、例えば二フッ化マグネシウム膜といった屈折率が1から2の間の膜を形成すれば、反射率がさらに低減し、生成電流密度は高くなる。
このようにして得られた15.6cm擬似角太陽電池を、25℃の雰囲気の中、ソーラーシミュレータ(光強度:1kW/m2、スペクトル:AM1.5グローバル)の下で電流電圧特性を測定した結果、開放電圧が0.620Vで短絡電流密度が34.8mA/cm2であった。さらに、変換効率は16.7%、フィルファクタは77.5であった。この結果を以下の表2にまとめた。
尚、この表2における太陽電池の諸特性値は、300枚/拡散バッチの平均値を示す。
<拡散層の形成>
実施例1と同様の方法により、得られた拡散層を形成する前の300枚の太陽電池用基板を用意した。次に、図5に示すような短い横型ボート2a、2b、2cに熱処理炉3の炉尾側5に向かって傾斜させるように立てた。このとき、横型ボート2a、2b、2cの底部には、間隔が2.5mmで、且つ横型ボートの長手方向に対して3°の傾斜を持つような溝が100個形成されているものを使用した。そして、斜めに立てた100枚の基板を保持する3個の短い横型ボートを、炉口側4が高く炉尾側5が低くなるように熱処理炉の長手方向に対して5°傾けて配置する形で長いボート20に乗せて熱処理炉に配置した。
次に880℃で40分間、300枚の基板1に熱処理を施して、熱処理炉3から取り出した。これにより、300枚の基板に拡散層が形成された。
上記のように得られた拡散層が形成された300枚の基板のシート抵抗を測定したところ、炉尾側60枚のシート抵抗の平均値が64Ω/□で、炉口側60枚のシート抵抗の平均値が70Ω/□であった。この結果を以下の表1にまとめた。さらに、図8に各基板のシート抵抗の値の分布を示した。この図8において、真ん中の直線は、シート抵抗値の回帰直線である。この図8のシート抵抗の分布は、熱処理炉の位置によってそれほどバラツキの多いものでないことがわかる。
また、実施例1と同様の方法で、電極が形成された15.6cm擬似角太陽電池を、25℃の雰囲気の中、ソーラーシミュレータ(光強度:1kW/m2、スペクトル:AM1.5グローバル)の下で電流電圧特性を測定した結果、開放電圧が0.619Vで短絡電流密度が35.0mA/cm2であった。さらに、変換効率は16.7%、フィルファクタは77.0であった。この結果を以下の表2にまとめた。
<拡散層の形成>
実施例1と同様の方法により、得られた拡散層を形成する前の300枚の太陽電池用基板を用意した。次に、短い横型ボートに熱処理炉の炉尾側に向かって傾斜させるように立てた。このとき、横型ボートの底部には、間隔が2.5mmで、且つ横型ボートの長手方向に対して3°の傾斜を持つような溝が100個形成されているものを使用した。そして、斜めに立てた100枚の基板を保持する3個の短い横型ボートを、傾斜させずに水平に長いボートに乗せて熱処理炉に配置した。
次に880℃で40分間、300枚の基板に熱処理を施して、熱処理炉から取り出した。これにより、300枚の基板に拡散層が形成された。
上記のように得られた拡散層が形成された300枚の基板のシート抵抗を測定したところ、炉尾側60枚のシート抵抗の平均値が66Ω/□で、炉口側60枚のシート抵抗の平均値が93Ω/□であった。この結果を以下の表1にまとめた。さらに、図9に各基板のシート抵抗の値の分布を示した。この図9において、真ん中の直線は、シート抵抗値の回帰直線である。図9のシート抵抗値の回帰直線を見ると、炉尾側から炉口側に向かって大きく約40Ω/□ほどの差で傾いており、基板の熱処理炉内での位置によって、シート抵抗に大きなバラツキが発生したことがわかる。
また、実施例1と同様の方法で、電極が形成された15.6cm擬似角太陽電池を、25℃の雰囲気の中、ソーラーシミュレータ(光強度:1kW/m2、スペクトル:AM1.5グローバル)の下で電流電圧特性を測定した結果、開放電圧が0.617Vで短絡電流密度が35.6mA/cm2であった。さらに、変換効率は16.2%、フィルファクタは73.8であった。この結果を以下の表2にまとめた。
2a、2b、2c…(短い)横型ボート、 3、63…熱処理炉、
4、64…炉口側、 5、65…炉尾側、 6…足、 7…溝、
20…長いボート、 H…基板と横型ボートの保持下端面との接触位置の高さ。
Claims (4)
- 少なくとも、複数の半導体基板を横型ボートに立て、少なくとも1個の前記横型ボートを横型の熱処理炉内に配置し、該熱処理炉内で前記基板の導電型と異なる導電型の不純物を熱拡散させて前記基板に拡散層を形成し、前記基板にpn接合を形成する基板の拡散層形成方法において、
前記複数枚の基板を横型ボートに立てる際、前記基板を2枚で1組とし、該1組を前記基板の拡散層を形成する面とは反対側の面同士を向い合わせて、隣り合う前記基板の組同士の間隔を3mm以下とし、且つ、前記横型ボートの底部に対して垂直に前記横型ボートに立て、
前記熱処理炉内に横型ボートを配置する際、前記複数の基板と前記横型ボートの保持下端面との接触位置の高さが、順次前記熱処理炉の長手方向に傾斜変化するように前記横型ボートを配置し、前記複数枚の基板を前記熱処理炉の長手方向に対して斜めに傾け、前記熱処理炉の長手方向に対する前記複数の基板と前記横型ボートの保持下端面との接触位置の高さの傾斜角度を、1度以上30度以下とすることを特徴とする基板の拡散層形成方法。 - 前記熱処理炉内に横型ボートを配置する際、前記横型ボートを傾斜させることにより、前記複数の基板と前記横型ボートの保持下端面との接触位置の高さが、順次前記熱処理炉の長手方向に傾斜変化するように前記横型ボートを配置することを特徴とする請求項1に記載の基板の拡散層形成方法。
- 前記横型ボートとして、前記複数の基板と前記横型ボートの保持下端面との接触位置の高さが、順次前記熱処理炉の長手方向に傾斜変化するように、前記横型ボートの底部に溝が形成されたものを使用することを特徴とする請求項1に記載の基板の拡散層形成方法。
- 前記熱処理炉内に横型ボートを配置する際、前記横型ボートを複数個配置することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の基板の拡散層形成方法。
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