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JP5490341B2 - Staphylococcus感染のための多糖ワクチン - Google Patents

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JP5490341B2
JP5490341B2 JP2000559879A JP2000559879A JP5490341B2 JP 5490341 B2 JP5490341 B2 JP 5490341B2 JP 2000559879 A JP2000559879 A JP 2000559879A JP 2000559879 A JP2000559879 A JP 2000559879A JP 5490341 B2 JP5490341 B2 JP 5490341B2
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Description

(発明の分野)
本発明は、Staphylococcus感染の予防のために免疫を誘導するに有用な多糖組成物に関する。本発明はまた、多糖物質および多糖物質に対する抗体を用いて、診断キットを作製および使用する方法、ならびに能動免疫および受動免疫を誘導するための方法に関する。詳細には、この多糖は、莢膜多糖/付着因子である。
(発明の背景)
Staphylococcusは、通常、ヒトの皮膚および粘膜(mucus membrane)に住み着き、そしてコロニーを形成する、グラム陽性細菌である。皮膚または粘膜が、手術または他の外傷の間に損傷を受けた場合、Staphylococcusは、内部組織に接近できるようになって、感染を発症させ得る。Staphylococcusが、局所的に増殖するかまたはリンパもしくは血液系に侵入する場合、Staphylococcus菌症に関連した合併症のような、深刻な感染合併症がもたらされ得る。Staphylococcus菌血症に関連した合併症としては、敗血症性ショック、心内膜症、関節炎、骨髄炎、肺炎、および種々の器官における膿瘍が挙げられる。
Staphylococcusとしては、遊離のコアグラーゼを生成するコアグラーゼ陽性生物およびこの遊離のコアグラーゼを生成しないコアグラーゼ陰性生物の両方が挙げられる。Staphylococcus aureusは、最も普通のコアグラーゼ陽性形態のStaphylococcusである。S.aureusは一般に、感染を、脈管外または脈管内のいずれかの局所部位で引き起こし、これは最終的に菌血症をもたらし得る。S.aureusはまた、急性骨髄炎の主な原因であり、そして少数のStaphylococcus肺炎感染を引き起こす。さらに、S.aureusは、約1〜9%の細菌性髄膜炎の症例および10〜15%の脳膿瘍の原因である。少なくとも21種の公知のコアグラーゼ陰性Staphylococcusが存在し、S.epidermidis、S.saprophyticus、S.hominis、S.warneri、S.haemolyticus、S.saprophiticus、S.cohnii、S.xylosus、S.simulans、およびS.capitisが挙げられる。S.epidermidisは、静脈内アクセスデバイスに関連した最も頻繁な感染原因因子であり、そして一次院内菌血症において最も頻繁な単離体である。S.epidermidisはまた、補てつ弁心内膜炎に関連する。
Staphylococcusはまた、動物における一般的な細菌感染源である。例えば、Staphylococcus乳腺炎は、ウシ、ヒツジおよびヤギを含む反芻動物における共通の問題である。この疾患は一般に、感染を減少させるために抗生物質を用いて処置されるが、この処置は費用のかかる手順であり、そしてさらに乳汁生産の損失をもたらす。今日までに同定された最も有効なワクチンは、皮下投与される、生のインタクトなS.aureusワクチンである。しかし、生ワクチンの投与は、感染の危険を伴う。この理由から、多くの研究者は、死菌S.aureusワクチンを生成することおよび/またはS.aureusに対する免疫を誘導する莢膜多糖もしくは細胞壁成分を単離することを試みてきた。しかし、これらの試みはいずれも成功しなかった。
S.aureusは、この生物が不利な浸透条件下で生存するのを可能にする、ペプチドグリカン複合体から構成される細胞壁成分を含み、そしてまた、このペプチドグリカンに連結した独特のテイコ酸を含む。細胞壁に対して外側に、薄い多糖莢膜が、S.aureusの大部分の単離体を覆う。この血清学的に異なる莢膜は、S.aureusの種々の単離体を血清型に分類するために用いられ得る。臨床的に有意な単離体の多くは、2つの莢膜型CP5およびCP8を含むことが示されている。
CP5型は、以下の化学構造を有する:
→4)−β−D−ManpNAcA3Ac−(1→4)−α−L−FucpNAc−(1→3)−β−D−FucpNAc−(1→。
CP8型は、以下の化学構造を有する:
→3)−β−D−ManpNAcA4Ac−(1→3)−α−L−FucpNAc−(1→3)−β−D−FucpNAc−(1→。
1600を超えるS.aureus単離体についての研究は、93%が、5型または8型の莢膜多糖のいずれかのものであることを示した。さらに、乳腺炎を有するヒツジ、ヤギおよびウシ、ならびに骨髄炎を有するニワトリから単離された、80%を超えるS.aureusは、これらの2つの莢膜型のうちの少なくとも1つを含むことが実証された。CP5およびCP8は構造的に類似するが、これらは免疫学的に異なることが実証されている。
(発明の要旨)
本発明は、コアグラーゼ陰性およびコアグラーゼ陽性のStaphylococcusによる感染に対する、ヒトおよび動物の受動免疫および能動免疫のための方法および生成物に関する。本発明によれば、S.aureusの真の「莢膜」は、CP5層もしくはCP8層を超えて外に広がるか、またはCP5層もしくはCP8層の代わりに生成されることが見出された。この物質は、莢膜多糖/付着因子(PS/A)抗原であり、ほぼ均質になるまで精製され、そしてその構造が同定された。S.aureusおよびS.epidermisのようなStaphylococcusから単離され得るネイティブなPS/A抗原は、コハク酸残基で高度に置換されている高分子量ポリグルコサミンであり、そしてポリ−β−1−6−D−N−スクシニルグルコサミン(PNSG)と呼ばれる。単離および精製されたPS/A抗原は、インビボで高度に免疫原性であることが見出された。
1つの局面では、本発明は、以下の構造:
Figure 0005490341
を有する純粋なPS/Aの組成物であり、
ここで、nは、3以上の整数であり、Rは、−NH−CO−(CH2m−COOH、−NH−(CH2m−(COOH)2、−NH−(CH2m−COOH、および−NH2からなる群より選択され、mは2〜5であり、そしてこのR基のうちの少なくとも10%は、−NH−CO−(CH2m−COOH、−NH−(CH2m−(COOH)2、および−NH−(CH2m−COOHからなる群より選択される。他の好ましい実施態様では、このR基のうちの少なくとも50%、75%、または90%が、−NH−CO−(CH2m−COOH、−NH−(CH2m−(COOH)2、および−NH−(CH2m−COOHからなる群より選択される。この組成物は、1つの実施態様では、ワクチンとして処方される。好ましい実施態様では、このPS/Aは、少なくとも95%、97%または99%純粋である。好ましい骨格結合は、β1−6結合である。
好ましい実施態様では、PS/Aのモノマー単位は、スクシネートで置換される。この実施態様では、このR基は、−NH−CO−CH2−CH2−COOHである。他の実施態様では、このR基は、−NH−CO−CH2−CH2−CH2−COOH、−NH−CO−CH2−CH2−CH2−CH2−COOH、−NH−CO−CH2−CH2−CH2−CH2−CH2−COOH、−NH−CH2−CH2−COOH、−NH−CH2−CH2−CH2−COOH、−NH−CH2−CH2−CH2−CH2−COOH、−NH−CH2−CH2−CH2−CH2−CH2−COOH、−NH−CH2−CH2−(COOH)2、−NH−CH2−CH2−CH2−(COOH)2、−NH−CH2−CH2−CH2−CH2−(COOH)2、および−NH−CH2−CH2−CH2−CH2−CH2−(COOH)2からなる群より選択される。このPS/Aは、一種類のR基置換基で置換されてもよいし、または1より多くの種類のR基置換基で置換されてもよい。PS/Aが一種類のR基置換基で置換される場合、このPS/Aは、ホモ置換ポリマーである。PA/Sが1より多くの種類のR基置換基で置換される場合、このPS/Aはヘテロ置換ポリマーである。
本発明のPS/Aは、3以上の反復モノマー単位のポリマーであり、それゆえ、低分子量を有し得る。本発明の好ましい実施態様では、このPS/Aは、25,000より大きな分子量を有する。別の好ましい実施態様では、このPS/Aは、30,000より大きな分子量を有する。なお別の実施態様では、このPS/Aは、100,000より大きな分子量を有する。
この組成物はまた、このPS/Aに結合体化されたキャリア化合物を含み得る。このPS/Aがワクチンとして用いられ、そしてこのPS/Aが低分子量を有する場合、このPS/Aは、キャリア化合物に結合体化されることが好ましい。1つの実施態様では、このキャリア化合物は、リンカーを介してPS/Aに結合体化される。
別の実施態様では、このPS/Aは、実質的にホスフェートを含まない。なお別の実施態様では、このPS/Aは、テイコ酸を実質的に含まない。
別の局面では、本発明は、以下の構造:
Figure 0005490341
を有するPS/Aの組成物であり、
ここで、nは、3以上の整数であり、Rは、−NH−CO−(CH235−COOH、−NH−(CH2m−(COOH)2、−NH−(CH2m−COOH、および−NH2からなる群より選択され、mは2〜5であり、そしてこのR基のうちの少なくとも10%は、−NH−CO−(CH235−COOH、−NH−(CH2m−(COOH)2、および−NH−(CH2m−COOHからなる群より選択される。他の好ましい実施態様では、このR基のうちの少なくとも50%、75%、または90%が、−NH−CO−(CH235−COOH、−NH−(CH2m−(COOH)2、および−NH−(CH2m−COOHからなる群より選択される。この組成物は、1つの実施態様では、ワクチンとして処方される。好ましい骨格結合は、β1−6結合である。
1つの実施態様では、このPS/Aは、一種類のR基置換基で置換されてもよいし、または1より多くの種類のR基置換基で置換されてもよい。PS/Aが一種類のR基置換基で置換される場合、このPS/Aは、ホモ置換ポリマーである。PS/Aが1より多くの種類のR基置換基で置換される場合、このPS/Aはヘテロ置換ポリマーである。
本発明の好ましい実施態様では、このPS/Aは、25,000より大きな分子量を有する。別の好ましい実施態様では、このPS/Aは、30,000より大きな分子量を有する。なお別の実施態様では、このPS/Aは、100,000より大きな分子量を有する。
この組成物はまた、このPS/Aに結合体化されたキャリア化合物を含み得る。このPS/Aがワクチンとして用いられ、そしてこのPS/Aが低分子量を有する場合、このPS/Aは、キャリア化合物に結合体化されることが好ましい。1つの実施態様では、このキャリア化合物は、リンカーを介してPS/Aに結合体化される。
別の局面によれば、本発明は、以下の構造:
Figure 0005490341
を有するPS/Aの組成物であり、
ここで、nは、3以上の整数であり、Rは、−NH−CO−CH2−CH2−COOHおよび−NH2からなる群より選択され、そしてこのR基のうちの10%と90%との間の%は、−NH−CO−CH2−CH2−COOHである。他の好ましい実施態様では、このR基のうちの20%と80%との間の%、30%と70%との間の%、または40%と60%との間の%が、−NH−CO−CH2−CH2−COOHである。この組成物は、1つの実施態様では、ワクチンとして処方される。好ましい骨格結合は、β1−6結合である。
1つの実施態様では、このPS/Aは、一種類のR基置換基で置換されてもよいし、または1より多くの種類のR基置換基で置換されてもよい。PS/Aが一種類のR基置換基で置換される場合、このPS/Aは、ホモ置換ポリマーである。PA/Sが1より多くの種類のR基置換基で置換される場合、このPS/Aはヘテロ置換ポリマーである。
本発明の好ましい実施態様では、このPS/Aは、25,000より大きな分子量を有する。別の好ましい実施態様では、このPS/Aは、30,000より大きな分子量を有する。なお別の実施態様では、このPS/Aは、100,000より大きな分子量を有する。
この組成物はまた、このPS/Aに結合体化されたキャリア化合物を含み得る。このPS/Aがワクチンとして用いられ、そしてこのPS/Aが低分子量を有する場合、このPS/Aが、キャリア化合物に結合体化されることが好ましい。1つの実施態様では、このキャリア化合物は、リンカーを介してPS/Aに結合体化される。
本発明のなお別の局面によれば、反復モノマー単位から構成されるPS/Aの組成物であって、ここでこのモノマー単位は、β−1−6ポリグルコース、α−1−4ポリグルコース、α−1−3ポリグルコース、β−1−4ポリグルコース、β−1−3ポリグルコースおよびα−1−4ポリガラクトサミンからなる群より選択され、このモノマー単位のC2は、−NH−CO−(CH2m−COOH、−NH−(CH2m−(COOH)2、−NH−(CH2m−COOH、および−NH2からなる群より選択されるR基によって置換されており、mは2〜5であり、そしてこのR基のうちの少なくとも10%は、−NH−CO−(CH2m−COOH、−NH−(CH2m−(COOH)2、および−NH−(CH2m−COOHからなる群より選択される、組成物が提供される。この組成物は、1つの実施態様では、ワクチンとして処方される。
好ましくは、このモノマー単位は、β−1−6ポリグルコース、α−1−4ポリグルコース、α−1−3ポリグルコース、β−1−4ポリグルコースおよびβ−1−3ポリグルコースからなる群より選択される。好ましくは、このポリグルコースの骨格は、α−1−6フォーメーションにある。別の実施態様では、このポリグルコースの骨格は、β−1−4フォーメーションにある。別の実施態様によれば、このポリグルコースの骨格は、β−1−3フォーメーションにある。
好ましい実施態様によれば、このR基のうちの少なくとも50%、75%、または90%が、−NH−CO−(CH2m−COOH、−NH−(CH2m−(COOH)2、および−NH−(CH2m−COOHからなる群より選択される。
好ましい実施態様では、PS/Aのモノマー単位は、スクシネートで置換される。この実施態様では、このR基は、−NH−CO−CH2−CH2−COOHである。他の実施態様では、このR基は、−NH−CO−CH2−CH2−CH2−COOH、−NH−CO−CH2−CH2−CH2−CH2−COOH、−NH−CO−CH2−CH2−CH2−CH2−CH2−COOH、−NH−CH2−CH2−COOH、−NH−CH2−CH2−CH2−COOH、−NH−CH2−CH2−CH2−CH2−COOH、−NH−CH2−CH2−CH2−CH2−CH2−COOH、−NH−CH2−CH2−(COOH)2、−NH−CH2−CH2−CH2−(COOH)2、−NH−CH2−CH2−CH2−CH2−(COOH)2、および−NH−CH2−CH2−CH2−CH2−CH2−(COOH)2からなる群より選択される。このPS/Aは、一種類のR基置換基で置換されてもよいし、または1より多くの種類のR基置換基で置換されてもよい。PS/Aが一種類のR基置換基で置換される場合、このPS/Aは、ホモ置換ポリマーである。PA/Sが1より多くの種類のR基置換基で置換される場合、このPS/Aはヘテロ置換ポリマーである。
本発明のPS/Aは、3以上の反復モノマー単位のポリマーであり、それゆえ、低分子量を有し得る。本発明の好ましい実施態様では、このPS/Aは、25,000より大きな分子量を有する。別の好ましい実施態様では、このPS/Aは、30,000より大きな分子量を有する。なお別の実施態様では、このPS/Aは、100,000より大きな分子量を有する。
この組成物はまた、このPS/Aに結合体化されたキャリア化合物を含み得る。このPS/Aがワクチンとして用いられ、そしてこのPS/Aが低分子量を有する場合、このPS/Aは、キャリア化合物に結合体化されることが好ましい。1つの実施態様では、このキャリア化合物は、リンカーを介してPS/Aに結合体化される。
別の実施態様では、このPS/Aは、実質的にホスフェートを含まない。なお別の実施態様では、このPS/Aは、テイコ酸を実質的に含まない。
本発明の別の局面によれば、以下の構造:
Figure 0005490341
を有するPS/Aの組成物であって、
ここで、nは、3以上の整数であり、Rは、−NH−CO−(CH2m−COOH、−NH−(CH2m−(COOH)2、−NH−(CH2m−COOH、および−NH2からなる群より選択され、mは2〜5であり、そしてこのR基のうちの少なくとも10%は、−NH−CO−(CH2m−COOH、−NH−(CH2m−(COOH)2、および−NH−(CH2m−COOHからなる群より選択され、そしてこのPS/Aがテイコ酸を実質的に含まない、組成物が提供される。他の好ましい実施態様では、このR基のうちの少なくとも50%、75%、または90%が、−NH−CO−(CH2m−COOH、−NH−(CH2m−(COOH)2、および−NH−(CH2m−COOHからなる群より選択される。この組成物は、1つの実施態様では、ワクチンとして処方される。好ましい骨格結合は、β1−6結合である。
好ましい実施態様では、PS/Aのモノマー単位は、スクシネートで置換される。この実施態様では、このR基は、−NH−CO−CH2−CH2−COOHである。他の実施態様では、このR基は、−NH−CO−CH2−CH2−CH2−COOH、−NH−CO−CH2−CH2−CH2−CH2−COOH、−NH−CO−CH2−CH2−CH2−CH2−CH2−COOH、−NH−CH2−CH2−COOH、−NH−CH2−CH2−CH2−COOH、−NH−CH2−CH2−CH2−CH2−COOH、−NH−CH2−CH2−CH2−CH2−CH2−COOH、−NH−CH2−CH2−(COOH)2、−NH−CH2−CH2−CH2−(COOH)2、−NH−CH2−CH2−CH2−CH2−(COOH)2、および−NH−CH2−CH2−CH2−CH2−CH2−(COOH)2からなる群より選択される。このPS/Aは、一種類のR基置換基で置換されてもよいし、または1より多くの種類のR基置換基で置換されてもよい。PS/Aが一種類のR基置換基で置換される場合、このPS/Aは、ホモ置換ポリマーである。PA/Sが1より多くの種類のR基置換基で置換される場合、このPS/Aはヘテロ置換ポリマーである。
本発明のPS/Aは、3以上の反復モノマー単位のポリマーであり、それゆえ、低分子量を有し得る。本発明の好ましい実施態様では、このPS/Aは、25,000より大きな分子量を有する。別の好ましい実施態様では、このPS/Aは、30,000より大きな分子量を有する。なお別の実施態様では、このPS/Aは、100,000より大きな分子量を有する。
この組成物はまた、このPS/Aに結合体化されたキャリア化合物を含み得る。このPS/Aがワクチンとして用いられ、そしてこのPS/Aが低分子量を有する場合、このPS/Aは、キャリア化合物に結合体化されることが好ましい。1つの実施態様では、このキャリア化合物は、リンカーを介してPS/Aに結合体化される。
別の実施態様では、このPS/Aは、実質的にホスフェートを含まない。
別の局面では、本発明は、以下の方法に従って調製された純粋なPS/Aの多糖である:粗PS/A調製物を細菌培養物から抽出する工程;高分子量PS/A濃縮材料を、この粗PS/A調製物から単離する工程;不純なPS/Aを、この高分子量PS/A濃縮材料から沈澱させる工程;この不純なPS/Aを塩基とともにインキュベートして、半ば純粋なPS/A調製物を得る工程;この調製物を酸で中和する工程;およびこの中和された調製物を、フッ化水素酸中でインキュベートして純粋なPS/Aを得る工程。
好ましい実施態様では、この細菌培養物は、Staphylococcus aureus培養物である。別の好ましい実施態様では、この細菌培養物は、コアグラーゼ陰性Staphylococcus培養物である。
別の局面では、本発明は、被験体におけるStaphylococcusによる感染に対する能動免疫を誘導する方法である。この方法は、Staphylococcusに対する能動免疫を誘導するために有効な量の、上記のいずれかの組成物を被験体に投与する工程を含む。
1つの実施態様では、この方法は、Staphylococcus aureusによる感染に対する免疫を誘導するための方法である。別の実施態様では、この方法は、Staphylococcus epidermisによる感染に対する免疫を誘導するための方法である。
本発明の別の局面によれば、被験体におけるStaphylococcus aureusによる感染に対する受動免疫を誘導する方法が提供される。この方法は、Staphylococcus aureusのオプソニン作用を誘導するために有効な量の、抗PS/A抗体を被験体に投与する工程を含む。
Staphylococcus aureusは、入院患者における細菌感染の最も普通の原因である。本発明の1つの局面によれば、被験体におけるStaphylococcus aureusによる感染に対する能動免疫を誘導する方法が提供される。この方法は、Staphylococcus aureusに対する能動免疫を誘導するために有効な量の、ポリグルコサミン骨格を有する高分子量多糖を被験体に投与する工程を含み、ここでこのポリグルコサミン骨格の個々のグルコサミン単位のうちの少なくとも10%が、スクシネートに結合体化されている。好ましい実施態様では、このポリグルコサミン骨格は、β−1−6フォーメーションにある。
純粋な多糖を調製する方法もまた、本発明の別の局面である。本方法は、粗PS/A調製物を細菌培養物から抽出する工程、高分子量PS/A濃縮材料を、この粗PS/A調製物から単離する工程、不純なPS/Aを、この高分子量PS/A濃縮材料から沈澱させる工程、この不純なPS/Aを塩基または酸とともにインキュベートして、半ば純粋なPS/A調製物を得る工程、この調製物を中和する工程、およびこの中和された調製物を処理して、純粋なPS/Aを得る工程を含む。
いくつかの実施態様では、この不純なPS/Aは、塩基とともにインキュベートされ、酸で中和され、次いでフッ化水素酸で処理されて純粋なPS/Aを生成する。他の実施態様では、この純粋なPS/Aは、塩基または酸とともにインキュベートされ、そしてそれぞれ、酸または塩基で中和される。次いで、この調製物は、脱イオン水に対する透析によって処理され、凍結乾燥され、そして緩衝液中に再懸濁される。
本発明の別の局面では、純粋な多糖を調製する別の方法が提供される。この方法は、細菌培養物を、強塩基または強酸とともにインキュベートすることによって酸または塩基の溶液を調製する工程を含む。次いで、この酸または塩基の溶液は、pH7へと中和して、粗抗原懸濁液を生成する。粗抗原懸濁液は、脱イオン水のような溶液に対して透析され、そして不溶性粗抗原が収集され得る。いくつかの実施態様では、この不溶性粗抗原が、凍結乾燥され得、次いで緩衝液中に再懸濁され得る。いくつかの実施態様では、この緩衝液は、50mM PBSと150mM NaClを有する100mM Trisとからなる群より選択される。他の実施態様では、強塩基または強酸は、1Mより大きいNaOHまたはHClである。他の実施態様では、強塩基または強酸は、5M NaOHまたはHClである。別の実施態様では、細菌培養抽出物は、強塩基または強酸中で、18〜24時間攪拌される。なお別の実施態様では、この強塩基抽出または強酸抽出が繰り返される。
別の局面では、本発明は、抗PS/A抗体の組成物であり、ここでこの抗体は、Staphylococcus aureusのオプソニン作用を誘導し、そしてこの抗体は、不純なPS/A調製物と交叉反応しない。好ましい実施態様では、抗PS/A抗体は、モノクローナル抗体である。別の好ましい実施態様では、抗PS/A抗体は、ポリクローナル抗体である。
本発明の各々の限定は、本発明の種々の実施態様を包含し得る。それゆえ、いずれか1つの要素または要素の組み合わせを含む本発明の各々の限定が、本発明の各々の局面において含まれ得ることが予想される。
(配列の簡単な説明)
配列番号1は、GenBankに登録番号U43366の下で寄託したica遺伝子座の核酸配列である(先行技術)。
配列番号2は、icaについての正方向プライマー配列である。
配列番号3は、icaについての逆方向プライマー配列である。
(発明の詳細な説明)
本発明は、細菌感染に対する免疫を誘導するため、そしてまた診断および治療の目的のための抗体を生成するために有用であるStaphylococcus菌由来のマイクロカプセルに関する。このマイクロカプセルは、Staphylococcus aureusもしくはコアグラーゼ陰性Staphylococcusから単離され得るか、またはデノボで合成され得る、PS/A調製物である。PS/Aは、Staphylococcus aureus細胞外層の成分であるとは以前には同定されていない。本発明の前には、2つの化学的に関連する血清型の莢膜(莢膜多糖CP5およびCP8と呼ばれる)がStaphylococcus aureus株のうちの90%によって生成されることが実証されていた。これらの莢膜多糖は、S.aureusの免疫認識を誘導することの原因であると考えられていた。S.aureusは、CP5層またはCP8層を超えて外に広がるかまたはそれらを置換するかのいずれかである真の莢膜を含み、そして免疫応答を誘発することの原因であることが本発明に従って見出された。本明細書中に提示される実施例において実証されるように、このPS/A抗原は、インビボで投与される場合、S.aureusおよびコアグラーゼ陰性Staphylococcusに対するオプソニン防御性抗体を生成し得る。
本発明の前には、本願の発明者は、PS/Aであるコアグラーゼ陰性Staphylococcusの莢膜の一部の同定および特徴付けを行った(Gerald B.Pierに対して発行された米国特許第5,055,455号)。コアグラーゼ陰性StaphylococcusのPS/Aが、細胞表面および生体膜(biofilm)層の一成分であり、そして細菌細胞を宿主防御(例えば、オプソノファゴサイトーシス(opsonophagocytosis))から保護することに関与することが見出された(Kojima,Y.,M.Tojo,D.A.Goldmann,T.D.TostesonおよびG.B.Pier.(1990)J Infect Dis.162:435.Tojo,M.,N.Yamashita,D.A.GoldmannおよびG.B.Pier.(1988)J Infect Dis.157:713.Goldman,D.A.およびG.B.Pier.(1993)Clin Microbiol Rev.6:176)。しかし、PS/Aの化学構造は、単離されたPS/Aを精製することに関連する困難性によって、同定されなかった。約90%の純度の調製物を達成することのみが可能であった。本発明の方法に従って、PS/A抗原が単離され、そして精製されて、純粋なPS/A調製物が達成された。
本明細書中で用いられる場合、「純粋な莢膜多糖/付着因子」は、単離または合成され、そして92%より高い純度で夾雑物を含まない、PS/A調製物である。好ましくは、この物質は、95%より高い純度で、さらには97%または99%より高い純度で夾雑物を含まない。このPS/A抗原の純度の程度は、当該分野で公知の任意の手段によって評価され得る。例えば、この純度は、この物質の構造的局面を立証するために化学分析アッセイならびにガスクロマトグラフィーおよび核磁気共鳴によって評価され得る。
先行技術のPS/A抗原の1つの主要な夾雑物は、リン酸含有テイコ酸であった。先行技術の抗原のテイコ酸夾雑物は、この抗原の化学的特徴付けおよび免疫原性の両方を妨害した。PS/Aを単離するために先行技術において用いられる手順は、夾雑しているテイコ酸をPS/A調製物から除去するためには充分ではなく、PS/A抗原の化学的特徴付けを不可能にした。本明細書中に記載される本発明の方法は、テイコ酸を実質的に含まない、単離されたPS/A抗原調製物を生成し得る。テイコ酸を実質的に含まないPS/A調製物は、1.0%未満のホスフェートを有するものである。いくつかの実施態様では、テイコ酸を実質的に含まないPS/A調製物は、0.1%未満のホスフェートを有するものである。このサンプル中に存在するホスフェートの量は、当該分野で公知の任意の手段によって評価され得る。以下の実施例に記載されるように、ホスフェート夾雑物量は、本明細書中に参考として援用されるKeleti,G.およびW.H.Lederer(1974)Handbook of Micromethods for the Biological Sciences Van Nostrand Reinhold Co.,New Yorkに記載される方法を用いて評価され得る。手短には、このアッセイは以下の通りに行われる:100μgのサンプルに対して、43.5mlの水、6.5mlの70%過塩素酸(HCLO4)および50mlの20N硫酸(H2SO4)を一緒に添加することにより作製される100μlの溶液を添加する。これを、大理石をチューブの頂部においた状態でチューブ中で95℃にて2時間加熱する。次いで、この混合物を165℃のオーブン中に配置し、そしてさらに2時間加熱し、次いで室温まで冷ます。次いで、1mlの試薬5(以下の方法により作製される)をこのサンプルに添加する:
試薬1:10mlの水に溶解した1.36gの酢酸ナトリウム.3H2O;
試薬2:20mlの水中に溶解した500mgモリブデン酸アンモニウム;
試薬3:2mlの試薬1、2mlの試薬2および16mlの水;
試薬4:使用の直前に調製した、20mlの水に溶解した2gのアスコルビン酸;
試薬5:氷浴中で9mlの試薬3および1mlの試薬4を添加する。
試薬5を添加した後、このチューブを徹底的に混合し、そして光学密度を分光光度計で820ナノメートルで読み取る。第一リン酸ナトリウム(チューブ1本当り0.1〜5μgの範囲)からなる標準曲線を用いて、試験サンプル中に存在するホスフェートの量を算出する(Lowry,O.H.,N.R.Roberts,K.Y.Leiner,M.L.WuおよびA.L.Farr.,(1954)Biol.Chem.207,1)。
1つの局面では、本発明は、以下の構造:
Figure 0005490341
を有する純粋なPS/Aの組成物であり、
ここで、nは、3以上の整数であり、Rは、−NH−CO−(CH2m−COOH、−NH−(CH2m−(COOH)2、−NH−(CH2m−COOH、および−NH2からなる群より選択され、mは2〜5であり、そしてこのR基のうちの少なくとも10%は、−NH−CO−(CH2m−COOH、−NH−(CH2m−(COOH)2、および−NH−(CH2m−COOHからなる群より選択される。ネイティブな物質は、β1−6結合を有する。これは、本発明のPS/A抗原における好ましい骨格結合である。
本発明のこの局面では、PS/A抗原は、互いに連結された少なくとも部分的に置換されたグルコサミン残基のホモポリマーである。グルコサミン残基のうちの少なくとも10%は、一般式COOH−(CH2m−COOH、CH3−(CH2m-1−(COOH)2、またはCH3−(CH2m-1−COOHの短鎖脂肪酸基で置換され、ここでm=2〜5である。他の実施態様では、このガラクトサミン残基は、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、97%または100%の上記に提供された式の短鎖脂肪酸で置換され得る。好ましくは、このグルコサミン残基は、式NH−CO−(CH2m−COOHのジカルボン酸で置換される。より好ましくは、このグルコサミン残基は、コハク酸で置換される。この置換は、ホモ置換またはヘテロ置換であり得る。ホモ置換は、グルコサミン残基が一種類の置換基で置換されているものである。例えば、グルコサミン残基は、コハク酸残基のみで置換され得る。ヘテロ置換では、このグルコサミン残基は、1より多くの種類の置換基で置換され得る。例えば、一部のグルコサミン残基はコハク酸で置換され得、そして他のグルコサミン残基は酪酸で置換され得る。本発明によるPS/Aの組成物としては、全てのホモ置換PS/A分子もしくは全てのヘテロ置換PS/A分子、またはそれらの組合せが挙げられる。
このPS/Aは、好ましくは、以下の化学構造から選択されるモノマーから構成されるポリマーである:
Figure 0005490341
Figure 0005490341
別の局面による本発明は、ネイティブな抗原とは置換の程度および型が異なる合成PS/Aを含む。ネイティブなPS/A抗原は、コハク酸でほぼ100%置換されている(1グルコサミン:1コハク酸)。本発明による1つの型のPS/A抗原は、グルコサミン残基のうちの10%と95%との間の%が、コハク酸で置換された抗原を含む。本発明はまた、10%と100%との間の、コハク酸以外の短鎖脂肪酸での置換、または短鎖脂肪酸およびコハク酸の混合物での置換を有するPS/A抗原を含む。
ネイティブなPS/A抗原は、100,000ダルトンよりも大きな高分子量ホモポリマーである。しかし、本発明の組成物は、置換されたモノマーの低分子量および高分子量のホモポリマーを含む。本発明に従う有用な多糖のサイズは大いに変動する。500ダルトンと20,000,000ダルトンとの間の多糖が代表的である。治療剤または診断剤として用いられる場合、より小さな分子量の多糖は、キャリアに対して結合体化され得るか、または単独で使用され得る。好ましくは、本発明の多糖組成物は、少なくとも25,000ダルトンの分子量、より好ましくは少なくとも30,000ダルトンの分子量を有する。
ネイティブな物質は、β−1−6結合によって一緒に連結されたグルコサミンモノマーを含む。しかし、本発明の多糖は、α−またはβ−の1−6、1−4または1−3結合のいずれかまたはそれらの組合せによって一緒に連結されたモノマーを含む。好ましい実施態様では、この多糖は、β−1−6結合によって一緒に連結される。
本発明の組成物は、天然の供給源から単離され得るかまたは合成され得る。本発明は、StaphylococcusからPS/A抗原を単離および精製するための方法を含む。本発明の1つの方法は、粗PS/A調製物を細菌培養物から抽出する工程、高分子量PS/A濃縮材料を、この粗PS/A調製物から単離する工程、不純なPS/Aを、この高分子量PS/A濃縮材料から沈澱させる工程、この不純なPS/Aを塩基とともにインキュベートして、半ば純粋なPS/A調製物を生成する工程、この調製物を酸で中和する工程、およびこの中和された調製物を、フッ化水素酸中でインキュベートして純粋なPS/Aを生成する工程を含む。粗PS/A調製物を抽出する工程、ならびに不純なPS/A抗原調製物を単離および沈澱させる工程は、米国特許第5,055,455号を含む方法のような、当該分野で公知の任意の方法によって行われる。次いで、この不純な物質は精製されて、本発明の組成物を生成する。精製工程は、不純なPS/A抗原を塩基(例えば、NaOH)とともにインキュベートし、次いで酸(例えば、HCl)で中和することによって達成される。次いで、中性の物質が、フッ化水素酸中でインキュベートされて、本発明の純粋なPS/A抗原を生成する。本発明の別の方法は、細菌を強塩基または強酸とともにインキュベートすることによって粗抗原懸濁物を細菌培養物から抽出する工程を含む。好ましくは、この細菌は、強塩基または強酸中で少なくとも2時間、そしてより好ましくは少なくとも5、10、15、18または24時間攪拌される。強塩基または強酸は、任意の型の強塩基または強酸であり得るが、好ましくは、1モル濃度のNaOHまたはHClよりも大きい。いくつかの実施態様では、この強塩基または強酸は、5モル濃度のNaOHまたはHClである。次いで、この酸溶液または塩基溶液は、遠心分離に供されて、細胞本体が収集される。いくつかの実施態様では、この抽出手順は何回か繰り返される。得られる酸溶液または塩基溶液は、pH7になるように中和され、次いで透析されて不溶性の粗抗原を生成する。PS/Aは、ica遺伝子座を発現する任意の細菌株から精製され得る。これらの株としては、例えば、S.epidermis、S.aureus、およびica遺伝子座中の遺伝子で形質転換されたS.carnosusのような他の株が挙げられる。詳細には、純粋なPS/Aは、特定の株(S.epidermis RP62A(APCC番号:35984)、S.epidermis RP12(APCC番号:35983)、S.epidermis M187、S.carnosis TM300(pCN27)、S.aureus RN4220(pCN27)およびS.aureus MN8ムコイドを含む)から単離および精製されている。
本発明に従って有用なPS/Aはまた、ネイティブなPS/Aの置換されたモノマー単位を保有しない天然に存在する多糖から合成され得る。例えば、本発明のPS/A抗原は、ポリグルコサミン様モノマー残基のポリマーを、これらの残基がコハク酸および/または短鎖脂肪酸で置換されるように化学的に改変することによって合成され得る。得られる多糖は、ポリグルコースのC2原子にて置換を有する、β1−6,α1−6、α1−4、α1−3、β1−4、およびβ1−3のポリグルコースからなる群より選択されるモノマー反復単位のポリマーである。例えば、特定の天然に存在する多糖は、N−アセチル部分の反復単位をポリグルコースモノマー上に有する。このような多糖は、脱N−アセチル化されて、N−アセチル部分を遊離アミノ部分へと変換され得、この遊離アミノ部分は、上記に提供される式の脂肪酸構造で誘導体化され得、それによって必要な構造モチーフを作製する。他の天然に存在する多糖は、遊離アミノ部分を形成するように還元され得、誘導体化され得、それによって必要な構造モチーフを作製するイミン基を含む。
これらの合成反応のために有用である化合物は、本明細書中に開示されるPS/A構造を考慮すれば当業者に分かる。このような化合物としては以下が挙げられるがこれらに限定されない:キチン、キトサン、ポリグルコース(すなわち、デキストラン)、ポリグルコサミンおよびポリグルコサミノウロン酸(polyglucosaminouronic acid)。例えば、キチンは、以下の構造を有するβ−1−4結合を有するポリ−N−アセチルグルコサミンである:
Figure 0005490341
キチンのN−アセチル基は、塩基を用いる処理(例えば、1.0〜5.0M NaOHで、95℃にて1時間)によって容易に除去されて、以下の構造を有するβ−1−4結合を有するポリグルコサミンであるキトサンを生成し得る:
Figure 0005490341
次いで、この化合物の遊離のアミノ基は、この酸を、キトサン物質とともに、遊離アミノ基の遊離カルボキシル基へのカップリングを促進する水溶性カルボジイミド試薬の存在下でインキュベートすることによってスクシネートまたは任意の他の短鎖脂肪酸で置換され得る。
デキストランは、以下の構造を有するα−1−6結合を有するポリグルコース分子である:
Figure 0005490341
記載されるPS/A抗原によって包含されない種々の置換基を有するポリグルコサミンはまた、改変されて本発明のPS/A抗原を生成し得る。例えば、多糖細胞間付着因子(PI/A)は、アミン基がアセテートで置換されたβ−1−6結合されたグルコサミン残基のポリマーである。このアセテートを除去して、遊離アミン基を生成し得、次いでこのアミン基を置換して本発明のPS/Aを生成し得る。PI/Aは以下の構造を有する:
Figure 0005490341
ポリグルコサミノウロン酸はまた改変されて、本発明のPS/A抗原を生成し得る。ポリグルコサミノウロン酸は、ネイティブの供給源から合成または単離され得る。
他の実施態様では、ポリガラクトサミノウロン酸はまた改変されて、本発明のPS/A抗原を生成し得る。例えば、Salmonella typhiの莢膜多糖(Vi抗原)は、完全に、ガラクトサミノウロン酸のα−1−4結合されたモノマーの反復から形成される。この酸は、改変されて遊離アミノ基を生成し得るN−アセチル部分を含み、この遊離アミノ基は改変されてPS/Aの置換基を付加し得る。このウロン酸のカルボキシル基はまた、CH2OH基へと改変され得、これは、水溶性カルボジイミド(実施例2に記載される)を用いて容易に達成される。Salmonella typhiの莢膜Vi抗原の単離および調製は、Szu,S.C.,X.Li,A.L.StoneおよびJ.B.Robbins,Relation between structure and immunologic properties of the Vi capsular polysaccharide,Infection and Immunity.59:4555−4561(1991)に記載される。このVi抗原は以下の構造を有する:
Figure 0005490341
一般に、脱N−アセチル化は、当業者に周知の従来の化学技術によって達成され得る。1つの適切な方法は、水素化ホウ素ナトリウムを含むかまたは含まないアルカリの使用を含む。20mgの多糖を、2M NaOH(3ml)中に溶解し、そして水素化ホウ素ナトリウムを添加する(50mg)。この溶液を100℃になるように5時間加熱する。酸での中和の後、この溶液を、低温中で、蒸留水に対して透析し、そして凍結乾燥する(DiFabio,J.L.,Michon,F.,Brisson,J.R.,Jennings,H.J.,Wessels,M.R.Benedi,V.J.,Kasper、D.L.Structure of the capsular polysaccharide antigen of type IV groups B Streptococcus.1989.Canadian Journal of Chemistry,67:877−882)。
イミン部分(C−NH)を含む多糖に関しては、遊離アミノ基は、当業者に公知の従来の化学技術によって形成され得る。1つの適切な方法は、水素化ホウ素ナトリウムの使用を含む。このイミン基は、水素化ホウ素ナトリウムで還元されて、遊離のアミノ基を生成し得る。このことは、過剰の5mgの水素化ホウ素を、室温にて2時間、攪拌しながら、蒸留水中に溶解した多糖へと添加することによって行われる。次いでこの混合物は、水に対して透析され、そして凍結乾燥される(DiFabio,J.L.ら,同書)。
1つの局面では、本発明は、この分子が完全にはN−スクシニル化されていないように脂肪酸基(例えば、スクシニル)がアミノ基から部分的に除去された場合、正に荷電した基(アミノ)および負に荷電した基(スクシニルのような脂肪酸)を含むポリマーの組成物である。このポリマーは、上記の通りのポリグルコサミン骨格を有し、そしてまた上記の通りの短鎖脂肪酸基で部分的に置換されている。短鎖脂肪酸基で置換されない他の骨格モノマーは、アミンで置換される。このアミンは正に荷電しており、そして脂肪酸は負に荷電している。その結果は、いくつかの負電荷およびいくつかの正電荷で置換されたポリマーである。この電荷は、ブロックで存在し得る。例えば、100個の連続するモノマーは、アミノ置換を有し得、そして100個の連続するモノマーは、脂肪酸置換を有し得る。あるいは、この電荷は、ランダムに混合され得るか、または繰返しパターンであり得るか、あるいは1つおきのモノマーが、アミノ基を有し得、そしてこのモノマーは、脂肪酸基を有するモノマーの間に存在し得る。
本発明の組成物は、感染のような病的状態のインビトロ、インサイチュおよびインビボでの診断を含む種々の異なる適用において有用である。さらに、これらの組成物を用いて、インビボで被験体を免疫して、感染を予防し得る。この組成物をまた用いて、本発明のPS/A組成物と同じ目的のために有用である、抗体および他の結合ペプチドを開発し得る。従って、本発明は、PS/Aに特異的であって感染性障害の診断および処置において使用され得る抗体を生成するための方法を含む。
本発明によって有用な抗体は、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体のいずれかであり得る。ポリクローナル抗体は、一般に、抗原およびアジュバントの複数回の皮下注射または腹腔内注射によって、動物において惹起される。PS/A抗原に対するポリクローナル抗体は、PS/A抗原を単独で、もしくはアジュバントと組合せて注射することによって、またはキャリア化合物に結合体化したPS/Aを注射することによって生成され得る。例えば、PS/A抗原を、免疫される動物種において免疫原性であるタンパク質(例えば、キーホールリンペットヘモシアニン、血清アルブミン、ウシチログロブリンまたはダイズトリプシンインヒビター)に結合体化することが有用であり得る。
多糖をタンパク質に結合体化するための多くの方法が当該分野で公知である。一般に、この多糖は、活性化されるべきであるかまたは他の点で結合体化が実行可能にされるべきである。すなわち、少なくとも1つの部分が、タンパク質または他の分子に共有結合し得るようにされねばならない。このような多くの方法は当該分野で公知である。例えば、Jenningsに対して発行された米国特許第4,356,170号は、多糖上でアルデヒド基を生成するための過ヨウ素酸の使用を記載し、次いでシアノ水素化ホウ素(cyanoborohydride)を用いる還元的アミノ化を行う。Tsayらに対して発行された米国特許第4,663,160号はまた、過ヨウ素酸を用いて、アルデヒド基を生成したが、次いで多糖を、4〜12炭素部分(縮合剤の存在下で調製される)を用いて誘導体化したタンパク質に、Schiff塩基反応を用いて還元剤(例えば、シアノ水素化ホウ素)の存在下で連結した。Gorgonに対して発行された米国特許第4,619,828号は、臭化シアンを用いて多糖を活性化し、次いでこれを4〜8炭素原子のスペーサー架橋を通してタンパク質へと結合体化させた。AndersonおよびClementsに対して発行された米国特許第4,808,700号では、多糖を改変して、ペリオデートによる制限された酸化的切断、グリコシダーゼによる加水分解、または酸加水分解を用いて少なくとも1つの還元末端を生成し、そしてシアノ水素化ホウ素の存在下で還元的アミノ化を通してタンパク質へと結合体化した。PorroおよびCostantinoに対して発行された米国特許第4,711,779号は、シアノ水素化ホウ素ナトリウムを用いる末端還元基への一級アミノ基の導入による多糖の活性化、続いてアジピン酸誘導体存在下でのエステルへの変換、およびジメチルスルホキシドのような有機溶媒の存在下でのトキソイドへの結合体化を記載した。結合体化の他の多くの方法は当該分野で公知である。
キャリア化合物は、PS/A抗原へと直接連結され得るか、またはリンカーもしくはスペーサーを介してPS/A抗原へと連結され得る。多糖は、当該分野で公知の任意の手段によって、例えば、多糖の遊離還元末端を用いて、リンカーまたはスペーサーへとカップリングされて、スペーサーまたはリンカーとの共有結合を生成し得る。共有結合は、PS/A抗原の遊離還元末端を、遊離1−アミノグリコシドへと変換することによって生成され得、遊離1−アミノグリコシドは続いて、アシル化によってスペーサーへと共有結合され得る(Lundquistら,J.Carbohydrate Chem.,10:377(1991))。あるいは、PS/A抗原は、スペーサー上の活性化基としてN−ヒドロキシスクインイミド活性エステルを用いてスペーサーへと共有結合され得る(Kochetkow,Carbohydrate Research,146:C1(1986))。PS/A抗原の遊離還元末端はまた、ヨウ素および水酸化カリウムを用いてラクトンへと変換され得る(Isebellら,Methods of Carbohydrate Chemistry,Academic Press,New York(1962))。このラクトンは、スペーサーまたはリンカー上の一級アミノ基によってスペーサーへと共有結合され得る。PS/A抗原の遊離の還元末端はまた、還元的アミノ化を用いてリンカーまたはスペーサーへと共有結合され得る。
PS/A抗原へと連結されるキャリア化合物は、免疫学的に活性かまたは不活性なタンパク質であり得る。タンパク質としては、例えば、血漿タンパク質(例えば、血清アルブミン、免疫グロブリン、アポリポタンパク質およびトランスフェリン)、細菌ポリペプチド(例えば、TRPLE、β−ガラクトシダーゼ)、ポリペプチド(例えば、ヘルペスgDタンパク質、アレルゲン、ジフテリアトキソイドおよび破傷風トキソイド、サルモネラフラジェリン、Hemophilusピリン、Hemophilusの15kDa、28〜30kDa、および40kDaの膜タンパク質、Escherichia coli、熱不安定性エンテロトキシンltb、コレラトキシンならびにウイルスタンパク質(ロタウイルスVPならびにRSウイルスfタンパク質およびgタンパク質を含む))が挙げられる。本発明によって有用であるタンパク質としては、哺乳動物への投与が安全であり、そして免疫学的に有効なキャリアタンパク質として作用する、任意のタンパク質が挙げられる。
ポリクローナル抗体を調製するために、PS/A抗原または抗原結合体は、一般に、Freund完全アジュバントまたは他のアジュバント(ウサギまたはマウスについては、3容量のFreund中でそれぞれ、1mgまたはμgの結合体)と合わされ、そして皮内に複数の部位で注射される。約1ヶ月後、この動物は、Freund完全アジュバント中の抗原または抗原結合体の元の量の1/5〜1/10で、複数の部位での皮下注射によって追加免疫される。1〜2週間後、この動物が採血され、そして血清が、抗体の存在についてアッセイされる。この動物は、抗体力価がプラトーに達するまで繰返し追加免疫され得る。この動物は、PS/A抗原単独で、PS/A抗原結合体で、または異なるキャリア化合物に結合体化されたPS/Aで追加免疫され得る。凝集因子(例えば、ミョウバン)もまた、免疫応答を増強するために用いられ得る。
ポリクローナル抗体の供給源を供給することに加えて、免疫された動物は、PS/A抗原特異的モノクローナル抗体を生成するために用いられ得る。本明細書中で用いられる場合、用語「モノクローナル抗体」とは、PS/Aの1つのエピトープ(すなわち、抗原決定基)に特異的に結合する免疫グロブリンの均質集団をいう。モノクローナル抗体は、当該分野で公知の任意の方法によって、例えば、免疫された動物から単離された脾細胞を、例えば、骨髄腫細胞との融合またはエプスタイン−バーウイルスでの形質転換によって不死化し、そして所望の抗体を発現するクローンについてスクリーニングすることによって調製され得る。モノクローナル抗体を調製および使用するための方法は当該分野で周知である。
マウス抗PS/Aモノクローナル抗体は、PS/Aを免疫原として利用するこれらの方法のいずれかによって作製され得る。抗PS/Aモノクローナル抗体を開発するための方法についての以下の記載は例示であり、そして説明の目的のためにのみ提供される。Balb/cマウスは、完全Freundアジュバント中の約75〜100μgの精製されたPS/Aを用いて腹腔内免疫される。不完全Freundアジュバント中での約25〜50μgのPS/Aの追加免疫注射は、初回注射の約15日後および約35日後に投与される。60〜65日目に、このマウスは、アジュバントの非存在下での約25μgのPS/Aの追加免疫注射を受ける。3日後、このマウスを殺し、そして単離された脾細胞を、Oi(Oi VT:Immunoglobulin−producing hybrid cell lines in Hezenberg LA(編):selected methods in cellular biology,San Francisco、CA,Freeman(1980))によって記載された手順のような手順によってポリエチレングリコールを用いてマウス骨髄腫NS−1細胞に融合する。ハイブリドーマ細胞を、ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジンを用いて選択し、そして培養して増殖させる。融合の14〜15日後、抗PS/Aモノクローナル抗体を生成するハイブリドーマ細胞を、固相放射免疫アッセイを用いて、抗PS/A抗体を、固定化ヤギ抗マウスIgGを用いて馴化培地から捕獲し、続いて特異的に結合した125I標識PS/Aを定量することによって同定する。PS/Aに対する抗体について陽性と試験されるハイブリドーマを、限界希釈によってサブクローン化し、そして再度試験する。次いで、このハイブリドーマについての腹水を、プリスタン(pristane)で処理したBALB/cマウスに約1×106細胞/マウスを注射することによって調製する。選択されたモノクローナル抗体が濃縮された濃縮物を、S−200でのゲル濾過によって腹水から生成し、そして(NH4)SO4を用いて濃縮する。このペレットを適切な保存溶液(例えば、50%グリセロール/H2O)中に溶解し、そして4℃にて保存する。
本明細書中で用いられる「抗PS/A抗体」としては、ヒト化抗体および抗体フラグメント、ならびにインタクトなモノクローナル抗体およびインタクトなポリクローナル抗体が挙げられる。
好ましい実施態様では、本発明の方法に従って有用な抗PS/A抗体は、単離された形態または薬学的調製物中のインタクトなヒト化抗PS/Aモノクローナル抗体である。本明細書中に用いられる場合、「ヒト化モノクローナル抗体」は、ヒトモノクローナル抗体、またはヒトの定常領域およびヒト以外の哺乳動物種由来のPS/A結合領域を有する、その機能的に活性なフラグメントである。
ヒトモノクローナル抗体は、Borrebaeckらに対して発行された米国特許第5,567,610号、Ostbergに対して発行された米国特許第5,565,354号、Bakerらに対して発行された米国特許第5,571,893号、Kozber,J.Immunol.133:3001(1984)、Brodeurら,Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,51−63頁(Marcel Dekker,Inc.New York,1987)およびBoernerら,J.Immunol.,147:86−95(1991)に開示される方法のような、当該分野で公知の任意の方法によって作製され得る。ヒトモノクローナル抗体を調製するための従来の方法に加えて、このような抗体はまた、ヒト抗体を生成し得るトランスジェニック動物を免疫することによって調製され得る(例えば、Jakobovitsら,PNAS USA,90:2551(1993)、Jakobovitsら,Nature,362:255−258(1993)、Bruggermannら,Year in Immuno.,7:33(1993)およびLobergに対して発行された米国特許第5,569,825号)。
PS/Aと相互作用するヒト化モノクローナル抗体を調製するための方法についての以下の実施例は、例示であり、そして実証の目的のために提供するだけである。ヒト化モノクローナル抗体は、例えば、元々の抗体のエピトープ特異性を保持しながらも、非ヒト哺乳動物抗体の非CDR領域を、ヒト抗体の類似の領域で置換することによって構築され得る。例えば、非ヒトCDRおよび必要に応じていくつかのフレームワーク領域は、ヒトのFRおよび/またはFc/pFc’領域と共有結合されて、機能的抗体を生成し得る。米国には、特定のマウス抗体領域から商業的にヒト化抗体を合成する実体(例えば、Protein Design Labs(Mountain View California))が存在する。
欧州特許出願0239400(その内容全体は、本明細書中に参考として援用される)は、マウス(または他の非ヒト哺乳動物)抗体の少なくともCDR領域がヒト化抗体中に含まれている、ヒト化モノクローナル抗体の生成および使用の例示的な教示を提供する。手短には、以下の方法は、マウスCDRの少なくとも一部分を含むヒト化CDRモノクローナル抗体を構築するために有用である。Ig重鎖またはIg軽鎖の少なくとも可変ドメイン、およびヒト抗体由来のフレームワーク領域を含む可変ドメイン、ならびにマウス抗体のCDR領域をコードするDNA配列に作動可能に連結された適切なプロモーターを含む第1の複製可能な発現ベクターが調製される。必要に応じて、それぞれ、相補的なヒトIg軽鎖またはヒトIg重鎖の少なくとも可変ドメインをコードするDNA配列に作動可能に連結された適切なプロモーターを含む、第2の複製可能な発現ベクターが調製される。次いで、細胞株が、これらのベクターで形質転換される。好ましくは、この細胞株は、リンパ系起源の不死化された哺乳動物細胞株(例えば、骨髄腫、ハイブリドーマ、トリオーマ(trioma)またはクアドローマ(quadroma)の細胞株)であるか、ウイルスでの形質転換によって不死化された正常リンパ系細胞である。次いで、形質転換された細胞株は、当業者に公知の条件下で培養されて、ヒト化抗体を生成する。
欧州特許出願0239400に示されるように、複製可能なベクター中に挿入されるべき特定の抗体ドメインを作製するためのいくつかの技術が当該分野において周知である(好ましいベクターおよび組換え技術は、以下でより詳細に考察される)。例えば、このドメインをコードするDNA配列は、オリゴヌクレオチド合成によって調製され得る。あるいは、4つのフレームワーク領域が連結部で適切な制限部位と一緒に融合されている、CDR領域を欠く合成遺伝子が、その結果、二本鎖の合成CDR活性カセットまたは粘着末端を有する制限処理されたサブクローン化CDRカセットが、このフレームワーク領域の連結部で連結され得る。別の方法は、オリゴヌクレオチド部位特異的変異誘発による、可変CDR含有ドメインをコードするDNA配列の調製を含む。これらの方法の各々は、当該分野で周知である。それゆえ、当業者は、そのエピトープに対する抗体の特異性を破壊することなく、マウスCDR領域を含むヒト化抗体を構築し得る。
ヒト化抗体は、これらがPS/Aを特異的に認識するが、抗体自体に対してヒトにおいて免疫応答が惹起されないという点で特定の臨床的有用性を有する。最も好ましい実施態様では、マウスCDRは、ヒト抗体のフレームワーク領域に移植されて、「ヒト化抗体」が調製される。例えば、L.Riechmannら,Nature 332、323(1988);M.S.Neubergerら、Nature 314、268(1985)およびEPA 0 239 400(1987年9月30日公開)を参照のこと。
PS/A結合抗体フラグメントもまた、本発明によって包含される。当該分野で公知であるように、抗体分子の小さい一部分(パラトープ)しかそのエピトープへの抗体の結合に関与しない(一般に、Clark,W.R.(1986)The Experimental Foundations of Modern Immunology Wiley & Sons,Inc.,New York;Ritt,I.(1991)Essential Immunology、第7版,Blackwell Scientific Publications,Oxford)。例えば、この抗体のpFc’およびFc領域は、補体カスケードのエフェクターであるが、抗原結合に関与しない。pFc’領域が酵素的に切断された抗体、またはpFc’領域を伴わずに生成された抗体(F(ab’)2フラグメントと称される)は、インタクトな抗体の両方の抗原結合部位を保持する。単離されたF(ab’)2フラグメントは、その2つの抗原結合部位のおかげで二価のモノクローナルフラグメントと呼ばれる。同様に、Fc領域が酵素的に切断される抗体、またはFc領域を伴わずに生成された抗体(Fabフラグメントと称される)は、インタクトな抗体分子の一方の抗原結合部位を保持する。さらに進んで、Fabフラグメントは、共有結合された抗体軽鎖およびFd(重鎖可変領域)と称される抗体重鎖の一部分からなる。Fdフラグメントは、主要な抗原特異性決定基であり(単一のFdフラグメントが、抗体特異性を変更することなく、10までの異なる軽鎖と会合し得)、そしてFdフラグメントは、エピトープ結合能力を分離して保持する。
用語Fab、Fc、pFc’、F(ab’)2およびFvは、いずれかの標準的な免疫学的意味で用いられる[Klein,Immunology(John Wiley,New York,NY,1982);Clark,W.R.(1986)The Exprimental Foundations of Modern Immunology(Wiley & Sons,Inc.,New York);Roitt,I.(1991)Essential Immunology,第7版(Blackwell Scientific Publications,Oxford)]。周知の機能的に活性な抗体フラグメントとしては、抗体のF(ab’)2、Fab、FvおよびFdフラグメントが挙げられるがこれらに限定されない。インタクトな抗体のFcフラグメントを欠くこれらのフラグメントは、インタクトな抗体よりも迅速に循環から浄化され、そしてインタクトな抗体よりも低い非特異的組織結合を有する(Wahlら,J.Nucl.Med.24:316−325(1983))。例えば、単鎖抗体は、Ladnerに対する米国特許第4,946,778号に記載される方法に従って構築され得る。このような単鎖抗体としては、可撓性リンカー部分によって連結された軽鎖および重鎖の可変領域が挙げられる。単離された可変重鎖単一ドメインを含む単一ドメイン抗体(「Fd」)を得るための方法もまた報告されている(例えば、その標的エピトープに対する充分な親和性を有して、単離された形態でそれに結合する、抗体重鎖可変領域(VH単一ドメイン抗体)をスクリーニングして同定するための方法を開示する、Wardら,Nature 341:644−646(1989)を参照のこと)。公知の抗体重鎖および抗体軽鎖の可変領域の配列に基づく、組換えFvフラグメントを作製するための方法は、当該分野で公知であり、そして例えば、Mooreら、米国特許第4,462,334号に記載されている。抗体フラグメントの使用および生成を記載する他の参考文献としては、例えば、Fabフラグメント(Tijssen,Practice and Theory of Enzyme Immunoassays(Elsevieer,Amsterdam,1985))、Fvフラグメント(Hochmanら,Biochemistry 12:1130(1973);Sharonら、Biochemistry 15:1591(1976);Ehrilchら,米国特許第4,355,023号)、および抗体分子の一部分(Audilore−Hargreaves,米国特許第4,470,925号)が挙げられる。従って、当業者は、PS/Aエピトープについての抗体の特異性を破壊することなく、抗体フラグメントを、インタクトな抗体の種々の部分から構築し得る。
本発明の抗体フラグメントはまた、「ヒト化抗体フラグメント」を包含する。当業者が認識するように、このようなフラグメントは、インタクトなヒト化抗体の伝統的な酵素的切断によって調製され得る。しかし、インタクトな抗体が、含まれる構築物の性質によってこのような切断を受けない場合、上記の構築物は、出発物質として用いられる免疫グロブリンフラグメントを用いて調製され得るか;または組換え技術が用いられる場合、このDNA配列はそれ自体が、所望の「フラグメント」をコードするように調製され得、このフラグメントは、発現された場合、化学的手段または生物学的手段によってインビボまたはインビトロで合わされて、最終的な所望のインタクトな免疫グロブリンフラグメントを調製し得る。
以下に示す、本発明の診断方法のためのPS/Aについての結合特異性を有する抗体フラグメントおよび他のPS/A結合ポリペプチドはまた、本発明によって包含される。いくつかの慣用的アッセイを用いて、このようなペプチドを容易に同定し得る。本発明のペプチドを同定するためのスクリーニングアッセイは、例えば、Hartら,J.Biol.Chem.269:12468(1994)に記載される手順のようなファージディスプレー手順を用いて行われる。Hartらは、哺乳動物細胞レセプターについての新規なペプチドリガンドを同定するための糸状ファージディスプレーライブラリーを報告する。一般に、例えば、M13またはfdファージを用いる、ファージディスプレーライブラリーは、上記の参考文献において記載される手順のような従来の手順を用いて調製される。このライブラリーは、4〜80アミノ酸残基を含む挿入物を提示する。この挿入物は必要に応じて、完全に縮重したまたは偏ったペプチドアレイを提示する。PS/Aに選択的に結合するリガンドは、表面にPS/Aに結合するリガンドを発現するファージを選択することによって入手される。次いで、これらのファージは、何回かの再選択に供されて、最も有用な結合特性を有するペプチドリガンド発現ファージが同定される。代表的には、最良の結合特性(例えば、最大の親和性)を示すファージは、核酸分析によってさらに特徴付けられて、ファージ表面上に発現されるペプチドの特定のアミノ酸配列、およびPS/Aに対する最適結合を達成するために最適の発現ペプチド長が同定される。あるいは、このようなペプチドリガンドは、1以上のアミノ酸を含むペプチドのコンビナトリアルライブラリーから選択され得る。天然に存在する対応物と比較して酵素分解にあまり供されない非ペプチド性合成部分を含むこのようなライブラリーはさらに合成され得る。
ペプチドがPS/Aに結合するか否かを決定するために、任意の公知の結合アッセイが用いられ得る。例えば、ペプチドは、表面に固定化され得、次いで標識されたPS/Aと接触させ得る。次いで、このペプチドと相互作用するPS/Aの量またはこのペプチドに結合しなかった量が定量されて、このペプチドがPS/Aに結合するか否かが決定される。抗PS/A抗体が固定された表面は、ポジティブコントロールとして役立ち得る。
本発明の組成物は、インビボおよびインビトロでの多くの目的のために有用である。例えば、本発明の組成物は、抗体応答を生成するために、例えば、S.aureus感染およびPS/A抗原を作製する他の細菌種によって引き起こされる感染を予防するためのヒトおよび動物の能動免疫のためのワクチンとして;他のヒトまたは動物に投与されてStaphylococcus感染を予防または処置し得る抗PS/A抗体を生成するためのヒトまたは動物の免疫のワクチンとして;重要な生物学的因子(例えば、S.aureus感染を予防し得るモノクローナル抗体、抗体の作製に関与する遺伝子のライブラリー、またはペプチド模倣物)についてスクリーニングするための抗原として;S.aureus感染およびPS/A抗原を作製する他の細菌種によって引き起こされる感染についての診断試薬として;ならびにS.aureus感染およびPS/A抗原を作製する他の細菌種によって引き起こされる感染に対する感受性に関して、ヒトまたは動物の免疫学的状態を決定するための診断試薬として、有用である。
本発明のPS/Aは、被験体におけるStaphylococcus感染に対する能動免疫を誘導することによって、PS/A莢膜をその表面に有する細菌での感染に対して被験体を防御するために用いられ得る。この方法は、Staphylococcusに対する能動免疫を誘導するために有効な量の、上記の本発明の任意のPS/A組成物を被験体に投与することにより達成される。
本明細書中で用いられる場合、「能動免疫」は、抗原が、抗体を生成する細胞へのいくつかのリンパ系細胞の分化および記憶細胞への他のリンパ系細胞の分化を引き起こすような、被験体への抗原の導入を含む。この記憶細胞は、抗体を分泌しないが、むしろ、抗原が再度身体に投与された場合にその抗原を感知するために、抗体をその膜に取り込む。
この方法は、Staphylococcusによる感染に対する免疫を誘導するために有用である。本明細書中で用いられる場合、「Staphylococcus」とは、PS/A含有莢膜を発現する全てのStaphylococcus菌種をいう。Staphylococcusとして分類される細菌は、当業者に周知であり、そして微生物学の文献に記載される。PS/A含有莢膜を発現するStaphylococcusとしては、Staphylococcus epidermidis(RP62A(ATCC番号:35984)、RP12(ATCC番号:35983)、およびM187を含む)、Staphylococcus aureus(RN4220(pCN27)およびMN8ムコイドを含む)、ならびにica遺伝子座における遺伝子(TM300(pCN27)を含む)で形質転換されたStaphylococcus carnosusのような株が挙げられるがこれらに限定されない。PS/A含有莢膜を発現する他の細菌株は、当業者によって容易に同定され得る。例えば、ica遺伝子座を発現するStaphylococcus菌は、PS/A含有莢膜を発現する。当業者は、ica遺伝子座に関連したmRNAまたはタンパク質の発現について容易にスクリーニングし得る。なぜなら、ica遺伝子座の核酸配列は公知であるからである(配列番号1、そしてHeilmann,C.,O.Schweitzer,C.Gerke,N.Vanittanakom,D.MackおよびF.Gotz(1996)Molecular basis of intercellular adhesion in the biofilm−forming Staphylococcus epidermidis.Molec.Microbiol.20:1083に元々記載される)。Heilmannの刊行物は、ica遺伝子座の核酸配列を記載するが、この刊行物は、この遺伝子座が、PIA抗原の生成をコードすると誤って述べている。icaが、実際にPS/Aの生成に関与するタンパク質をコードすることが本発明によって見出された。PS/A含有莢膜を発現する細菌株もまた、以下の実施例6に記載される通りに、抗PS/A抗体を用いる免疫電子顕微鏡(または他の免疫アッセイ)によって同定されて、細菌の表面上の莢膜の存在を検出し得る。さらに、細菌株の莢膜は、実施例1に記載の通りに単離され得、そして以下の実施例4に記載の通りに液体クロマトグラフィーおよび質量分析法を用いて分析され得る。
本明細書中で記載される場合、「被験体」は、温血哺乳動物であり、そして例えば、ヒト、霊長類、ウマ、ウシ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、ニワトリ、イヌおよびネコを含む。
本発明のPS/Aは、抗原に対する免疫応答を誘導し得る任意の被験体に投与され得るが、免疫応答を誘導し得、かつSaphylococcus感染を発症する危険性がある被験体において、Staphylococcusによって引き起こされる全身感染に対する能動免疫を誘導するために特に適応される。免疫応答を誘導し得、かつSaphylococcus感染を発症する危険性がある被験体は、環境のStaphylococusに曝露される危険性のある、正常な健常な免疫系を保有する哺乳動物である。例えば、他の点では免疫無防備状態にない入院患者は、病院の環境におけるこの細菌への曝露の結果として、Staphylococcus感染を発症する危険性がある。詳細には、S.aureusによる感染を発症することについての危険性が高い集団としては、例えば、透析される腎臓疾患患者、および危険性の高い手術を受ける個体が挙げられる。S.epidermidisによる感染を発症する危険性が高い集団としては、例えば、留置医療デバイスを有する患者が挙げられる。なぜなら、臨床的単離体は、しばしば、生体膜またはスライムと呼ばれる細胞外物質の結果として、プラスチック表面に対して高度に接着性であるからである。
本発明のPS/Aは、抗体応答を誘導するために有効な量で被験体に投与される。本明細書中で用いられる場合、「抗体応答を誘導するために有効な量」は、以下を行うに充分であるPS/Aの量である:(i)例えば、被験体における抗PS/A抗体の生成を誘導すること、記憶細胞の生成を誘導すること、細胞傷害性リンパ球反応を誘導することなどによって、それ自体の免疫防御を生成することにおいて被験体を補助すること、および/または(ii)Staphylococcusによる感染が、Staphylococcusに曝露された被験体において引き起こされるのを防御すること。
当業者は、当該分野で公知の慣用方法によって、PS/Aの量が、能動免疫を誘導するために充分であるか否かを評価し得る。例えば、特定の抗原が哺乳動物において抗体を生成する能力は、マウスまたは他の被験体においてPS/A抗原をスクリーニングすることによって評価され得る。
本発明の好ましい方法は、被験体において特にStaphylococcus aureusによる感染に対する能動免疫を誘導するための方法である。本発明の前には、Staphylococcus aureusが、その表面にPS/Aを発現することは公知でなかった。CP5およびCP8がStaphylococcus aureusの外部莢膜を構成し、そしてこれらの莢膜が免疫を誘導するための有用な抗原であり得ると考えられていた。しかし、本発明によって、PS/Aが、Staphylococcus aureusによる感染に対する能動免疫を誘導する際に抗原として有用であることが見出された。それゆえ、本発明は、ポリグルコサミン骨格を有する高分子量多糖を被験体に投与することにより免疫を誘導する方法を含み、ここでこのポリグルコサミン骨格の個々のグルコサミン単位の少なくとも10%は、C2原子のアミンを通してスクシネートに結合体化されている。
本発明の抗PS/A抗体は、感染性因子への曝露の危険性がある被験体における全身感染の発症を予防することにより、被験体における受動免疫を誘導するために有用である。Staphylococcus aureusによる感染に対する受動免疫を誘導するための方法は、Staphylococcus aureusのオプソニン作用を誘導するために有効な量の抗PS/A抗体を被験体に投与することによって行われる。
本明細書中で用いられる場合、「受動免疫」は、被験体への抗体の投与を含み、ここでこの抗体は、異なる被験体(同種および異種の被験体を含む)において生成され、その結果、この抗体はこの細菌の表面に付着し、そしてこの細菌を食菌させる。
本発明の抗PS/A抗体は、Staphylococcus感染を発症する危険性のある任意の被験体に対して投与されて、受動免疫を誘導し得る。抗PS/A抗体は、抗原に対する免疫応答を誘導できない被験体に対してさらに投与され得る。PS/A抗原でのワクチン接種は危険性の高い免疫無防備状態の被験体においては有効でないかもしれないが、これらの被験体は、S.aureusに対して惹起された抗体調製物での処置によって利益を受ける。免疫応答を誘導できない被験体は、免疫無防備状態の被験体(例えば、化学療法を受けている患者、AIDS患者など)または免疫系がまだ発達していない被験体(例えば、早産児)である。抗PS/A抗体は、Staphylococcus感染を発症する危険性のある被験体に投与されて、感染性因子が身体中で増殖するのを予防し得るか、または感染性因子を殺傷し得る。抗PS/A抗体はまた、Staphylococcusによって引き起こされる感染を既に有する被験体に投与されて、感染性因子が身体中で増殖するのを予防し得るか、または感染性因子を殺傷し得る。
本発明の抗PS/A抗体は、Staphylococcus aureusに対する免疫応答を誘導するに有効な量で被験体に投与される。本明細書中で用いられる場合、「Staphylococcus aureusに対する免疫応答を誘導するために有効な量」は、以下を行うに充分であるPS/Aの量である:(i)Staphylococcusによる感染が、Staphylococcusに曝露された被験体において引き起こされるのを防御すること;(ii)感染が発症するのを阻害すること、すなわち、その発症を阻止または遅延させること;および/または(iii)感染を軽減すること、すなわち、この感染を引き起こす細菌の根絶。
当業者に公知の慣用手順を用いて、抗PS/A抗体の量が、「Staphylococcus aureusに対する免疫応答を誘導するために有効な量」であるか否かを、抗体のオプソニン作用の程度を示す、インビトロでのオプソニン作用アッセイにおいて決定し得る。Staphylococcus菌にオプソニンを作用させる抗体は、Staphylococcus菌のサンプルに添加された場合にこの細菌のファゴサイトーシスを引き起こす抗体である。オプソニン作用アッセイは、比色アッセイ、化学発光アッセイ、蛍光または放射標識取り込みアッセイ、細胞媒介殺菌アッセイまたは物質のオプソニン能を測定する他のアッセイであり得る。例えば、以下のオプソニン作用アッセイを用いて、抗PS/A抗体の有効量を決定し得る。この抗PS/A抗体は、Staphylococcus菌および真核生物ファゴサイト性細菌、ならびに必要に応じて補体タンパク質とともにインキュベートされる。抗PS/A抗体のオプソニン作用能力は、インキュベーション後に残存するStaphylococcusの量に基づいて決定される。このことは、生存するStaphylococcusの数を2つの類似のアッセイ(一方のみがオプソニンを作用させる免疫グロブリンを含む)の間で比較することにより、またはアッセイの前および後で生存Staphylococcusの数を測定することにより、達成され得る。Staphylococcusの数の減少は、オプソニン作用を示す。
本発明の方法はまた、コアグラーゼ陰性Staphylococcusのオプソニン作用を誘導するために有効な量の抗PS/Apure抗体を被験体に投与することによって、被験体においてコアグラーゼ陰性Staphylococcusに対する受動免疫を誘導するために有用である。コアグラーゼ陰性Staphylococcusから単離されたPS/Aに対する抗体は当該分野で開発されており、かつコアグラーゼ陰性Staphylococcusに対する受動免疫を誘導するために用いられているが、抗PS/Apure抗体は、以前にはこの目的のために用いられていない。本明細書中で用いられる場合、抗PS/Apure抗体は、本発明の純粋なPS/A抗原と特異的に相互作用する抗体であって、コアグラーゼ陰性Staphylococcusのオプソニン作用を誘導するが、先行技術のPS/Aの不純な調製物とは相互作用しない抗体である。上記で考察されるように、先行技術の不純なPS/A調製物は、テイコ酸が混入しており、テイコ酸は、この抗原の免疫原性を妨害した。本発明の抗PS/Apure抗体は、テイコ酸が混入したPS/A調製物と相互作用しない。当業者は、慣用的な結合アッセイを用いることにより、抗PS/A抗体が、不純なPS/A調製物と交叉反応しない抗PS/Apure抗体であるか否かを容易に同定し得る。例えば、抗PS/A抗体を、表面に固定化し得、次いで標識された不純なPS/A調製物または標識された純粋なPS/A調製物と接触させ得る。次いで、この抗体と相互作用するPS/A調製物(純粋な調製物対不純な調製物)の量、または抗体に結合しない量を定量して、この抗体が不純なPS/A調製物に結合するか否かを決定し得る。この抗体が純粋なPS/A調製物と相互作用するが不純なPS/A調製物と相互作用しないならば、この抗体は、本発明の抗PS/Apure抗体である。
S.epidermidisによる感染を発症する高い危険性を有する被験体としては、早産児、化学療法を受けている患者、および留置医療デバイスを有する他の患者が挙げられる。臨床的単離体はしばしば、それらが生体膜またはスライムと呼ばれる細胞外物質を合成する結果として、プラスチック表面に対して高度に接着性である。
PS/A抗原を用いて細菌感染を予防する場合、PS/A抗原はワクチンとして処方される。ワクチンを処方するために適切なキャリア媒体としては、リン酸ナトリウム緩衝化生理食塩水(pH7.4)またはpH6でリン酸ナトリウム緩衝化生理食塩水中に懸濁した0.125Mリン酸アルミニウムゲル、および従来の他の媒体が挙げられる。一般に、ワクチンは、約5μg〜約100μgを含み、好ましくは約10μg〜約50μgの抗原が、温血哺乳動物においてPS/A抗原に対する有効なレベルの抗体を惹起するために適切である。ワクチンとして投与される場合、PS/Aは、必要に応じてアジュバントを含み得る。
用語「アジュバント」は、本発明のPS/A中に取り込まれるか、または本発明のPS/Aと同時に投与される、被験体における免疫応答を増強する任意の物質を含むことが意図される。アジュバントとしては、アルミニウム化合物(例えば、ゲル、水酸化アルミニウムおよびリン酸アルミニウム)、ならびにFreund完全アジュバントまたはFreund不完全アジュバント(ここで、PS/A抗原は、パラフィンオイルエマルジョン中の安定化された水の水相において取り込まれる)が挙げられる。このパラフィンオイルは、異なる型のオイル(例えば、スクアレンまたはラッカセイオイル)で置換され得る。アジュバント特性を有する他の物質としては、BCG(弱毒化Mycobacterium tuberculosis)、リン酸カルシウム、レバミゾール、イソプリノシン(isoprinosine)、ポリアニオン(例えば、ポリA:U)、レンチナン、百日咳毒素、リピドA、サポニン、およびペプチド(例えば、ムラミルジペプチド)が挙げられる。希土類塩(例えば、ランタンおよびセリウム)もまたアジュバントとして用いられ得る。アジュバントの量は、被験体および用いられる特定のPS/A抗原に依存し、そして過度の実験を伴わずに当業者によって容易に決定され得る。
一般に、治療目的で投与される場合、本発明の処方物は、薬学的に受容可能な溶液中で適用される。このような調製物は、慣用的に、薬学的に受容可能な濃度の塩、緩衝剤、保存剤、適合性のキャリア、アジュバントおよび必要に応じて他の治療成分を含み得る。
本発明の組成物は、それ自体(ニート)で、または薬学的に受容可能な塩の形態で投与され得る。医療で用いられる場合、この塩は、薬学的に受容可能であるべきであるが、薬学的に受容可能でない塩も便利に用いられて、その薬学的に受容可能な塩を調製し得、そして薬学的に受容可能でない塩は、本発明の範囲から除外されない。このような薬理学的および薬学的に受容可能な塩としては、以下の酸から調製される塩が挙げられるがこれらに限定されない:塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、蟻酸、マロン酸、コハク酸、ナフタレン−2−スルホン酸、およびベンゼンスルホン酸。また、薬学的に受容可能な塩は、アルカリ金属またはアルカリ土類塩(例えば、カルボン酸基のナトリウム塩、カリウム塩またはカルシウム塩)として調製され得る。
適切な緩衝剤としては、酢酸および塩(1〜2% W/V);クエン酸および塩(1〜3% W/V);ホウ酸および塩(0.5〜2.5% W/V);ならびにリン酸および塩(0.8〜2% W/V)が挙げられる。適切な保存剤としては、塩化ベンザルコニウム(0.003〜0.03% W/V);クロロブタノール(0.3〜0.9% W/V);パラベン(0.01〜0.25% W/V)およびチメロサール(0.004〜0.02% W/V)が挙げられる。
本発明は、本発明のPS/Aを1以上の薬学的に受容可能なキャリアおよび必要に応じて他の治療成分とともに含む医学的使用のための薬学的組成物を提供する。本明細書中で使用され、そして以下でより充分に記載される場合、用語「薬学的に受容可能なキャリア」は、ヒトまたは他の動物への投与のために適切である、1以上の適合性の固形または液体の充填剤、希釈剤またはカプセル化物質を意味する。本発明では、用語「キャリア」は、適用を促進するために活性成分が合わされる、天然または合成の、有機成分または無機成分を示す。薬学的組成物の成分はまた、所望の薬学的効率を実質的に損なう相互作用が存在しない様式て本発明のPS/A抗原と、および互いに、混合され得る。
非経口投与に適切な組成物は便利に、レシピエントの血液と等張であり得る、多糖の無菌の水性調製物を含む。用いられ得る受容可能なビヒクルおよび溶媒の中には、水、Ringer溶液および等張の塩化ナトリウム溶液がある。さらに、無菌の不揮発性油が、溶媒または懸濁培地として従来通りに用いられる。この目的のために、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意のブレンド不揮発性油が用いられ得る。さらに、オレイン酸のような脂肪酸は、注射可能物質の調製において用途を見出す。皮下、筋肉内、腹腔内、静脈内などでの投与に適切なキャリア処方物は、Remington’s Pharmeceutical Scienes,Mack Publishing Company,Easton,PAに見出され得る。
本発明の調製物は、有効量で投与される。上記の通り、有効量は、単独で、またはさらなる用量と一緒に、それぞれ能動免疫または感染性細菌のオプソニン作用を誘導する、PS/A抗原または抗PS/A抗体の量である。1ナノグラム/キログラム〜100ミリグラム/キログラムの範囲の用量が、投与の態様に依存して有効であると考えられる。好ましい範囲は、500ナノグラム/キログラムと500ミリグラム/キログラムとの間であり、最も好ましくは1マイクログラム/キログラムと100マイクログラム/キログラムとの間であると考えられる。絶対量は、投与が、まだ細菌に感染していない、危険性の高い被験体について行われるか、または既に感染を有する被験体について行われるか、同時処置、用量の数、および個々の患者のパラメーター(年齢、身体状態、大きさおよび体重を含む)を含む種々の因子に依存する。これらは、当業者に周知の因子であり、そして単なる慣用実験によって取り組まれ得る。最大用量、すなわち、信頼できる医学的判断による最大の安全な用量が用いられることが一般に好ましい。
本発明の薬学的組成物の複数用量が意図される。全身免疫スキームは、高用量の抗原の投与、続いて、数週間の期間をあけた後の引き続くより低用量の抗原の投与を含む。さらなる用量も投与され得る。受動免疫のための投薬スケジュールは、必要な場合、より頻繁な投与を伴い、全く異なる。細菌感染および/またはその後の感染からの防御に対して増強された免疫応答をもたらす任意のレジメンが用いられ得る。特定のPS/Aの複数用量の送達のための所望の時間間隔は、単なる慣用実験を用いて当業者によって決定され得る。
種々の投与経路が利用可能である。選択される特定の形態は、もちろん、選択される特定のPS/A、処置される特定の状態、および治療の効力に必要とされる投薬量に依存する。本発明の方法は、一般的に言って、医学的に受容可能である任意の投与形態を用いて実施され得、このことは、臨床的に受容できない有害な効果を引き起こすことなく、有効レベルの免疫応答を生じる任意の形態を意味する。好ましい投与形態は、非経口経路である。用語「非経口」は、皮下注射、静脈内、筋肉内、腹腔内、胸骨下での注射または注入技術を含む。
この組成物は、単位投薬形態で便利に存在し得、そして薬学の分野で周知の任意の方法によって調製され得る。全ての方法は、活性なPS/Aを、1以上の補助成分を構成するキャリアと会合させる工程を含む。一般に、この組成物は、このポリマーを、液体キャリア、微細に分割した固形キャリアまたは両方と均質かつ密接に会合させ、次いで、必要な場合は製品に成形することによって調製される。このポリマーは、凍結乾燥されて保存され得る。
他の送達系は、時間放出(time−release)送達系、遅延性(delayed)放出送達系または持続性(sustained)放出送達系を含み得る。このような系は、本発明の多糖の反復投与を回避し得、被験体および医師への利便性を増加する。多くの型の放出送達系が、当業者に利用可能であり、そして公知である。これらとしては、ポリマー(例えば、ポリ乳酸およびポリグリコール酸、ポリ無水物およびポリカプロラクトン)ベースの系;脂質(ステロール(例えば、コレステロール)、コレステロールエステルおよび脂肪酸または中性脂肪(例えば、モノグリセリド、ジグリセリド、およびトリグリセリド)を含む)である非ポリマー系;ヒドロゲル放出系;シラスティック系;ペプチドベースの系;ロウ被覆剤、従来の結合剤および賦形剤を使用する圧縮錠剤、部分的に融合した移植物などが挙げられる。特定の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:(a)米国特許第4,452,775号(Kent);同第4,667,014号(Nestorら);ならびに同第4,748,034号および同第5,239,660号(Leonard)に見出される、多糖がマトリクス中の形態に包含されている侵食性の系、ならびに(b)米国特許第3,832,253号(Higuchiら)および同3,854,480号(Zaffaroni)に見出される、活性成分が制御された速度でポリマーを透過する拡散系。さらに、ポンプベースのハードウェア送達系が使用され得、そのいくつかは移植に適合される。
本発明のPS/A抗原は、それ自体がアジュバント特性を有することもまた、当業者に理解される。本明細書中に記載の多糖がヒト免疫応答を強化する程度に、この多糖は、他の材料と組み合わせてアジュバントとして使用され得る。
本発明のPS/A抗原および抗PS/A抗体は、別の抗菌性抗生物質薬物と組合せてか、または抗菌性抗生物質カクテルの形態で、または他の細菌抗原もしくは細菌抗体とともに送達され得る。抗菌性抗生物質カクテルは、本発明による有用な任意の組成物と、抗菌性抗生物質薬物との混合物である。細菌感染の処置における抗生物質の使用は慣用的である。能動免疫を誘導するための抗原の使用、および受動免疫を誘導するための抗体の使用もまた、慣用的である。本実施態様において、一般的投与ビヒクル(例えば、錠剤、移植物、注入可能な溶液など)は、本発明において有用な組成物と、抗菌性抗生物質薬物および/または抗原/抗体との両方を含み得る。あるいは、抗菌性抗生物質薬物および/または抗原/抗体は、別々に投与され得る。
抗菌性抗生物質薬物は周知であり、以下が挙げられる:ペニシリンG、ペニシリンV、アンピシリン、アモキシシリン、バカンピシリン、シクラシリン(cyclacillin)、エピシリン、ヘタシリン、ピバンピシリン、メチシリン、ナフシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン、カルベニシリン、チカルシリン、アブロシリン(avolocilin)、メズロシリン、ピペラシリン、アムジノシリン、セファレキシン、セフラジン、セファドキシル(cefadoxil)、セファクロル、セファゾリン、セフロキシムアキセチル、セファマンドール、セフォニシド、セフォキシチン、セフォタキシム、セフチゾキシム、セフメノキシム(cefmenoxine)、セフトリアキソン、モキサラクタム、セフォテタン、セフォペラゾン、セフタジジム、イミペネム、クラブラネート、チメンチン(timentin)、スルバクタム、ネオマイシン、エリスロマイシン、メトロニダゾール、クロラムフェニコール、クリンダマイシン、リンコマイシン、バンコマイシン、トリメトプリム−スルファメトキサゾール、アミノグリコシド、キノロン、テトラサイクリンおよびリファンピシン(rifampin)。(GoodmanおよびGilman’s、Pharmacological Basics of Therapeutics、第8版、1993、McGraw Hill 1nc.を参照のこと)。
他の多糖抗原および抗体が、当該分野で周知である。例えば、以下の多糖抗原および/またはそれに対する抗体が、PS/A抗原および/または抗体と組合せて投与され得る:Salmonella typhi莢膜Vi抗原(Szu,S.C.、X.Li,A.L.StoneおよびJ.B.Robbins、Relation between structure and immunologic properties of the Vi capsular polysaccharide、Infection and Immunity、59:4555〜4561(1991));E.coli K5莢膜(Vann,W.、M.A.Schmidt、B.JannおよびK.Jann、The structure of the capsular polysaccharide(K5 antigen)of urinary tract infective Escherichia coli,010:K5:H4.A polymer similar to desulfo−heparin、European Journal of Biochemistry.116:359〜364(1981));Staphylococcus aureus 5型莢膜(Fournier,J.−M.、K.Hannon、M.Moreau、W.W.KarakawaおよびW.F.Vann、Isolation of type 5 capsular polysaccharide from Staphylococcus aureus、Ann.Inst.Pasteur/Microbiol.(Paris).138:561〜567(1987));Rhizobium melilori エキソポリサッカリド(expolysaccharide)II(Glazebrook,J.およびG.C.Walker、a novel expolysaccharide can function in place of the calcofluor−binding exopolysaccharide in nodulation of alfalfa by Rhizobium meliloti,Cell.65:661〜672(1989);Group B streptococcus type III(Wessels,M.R.、V.Pozsgay、D.L.KasperおよびH.J.Jennings、Structure and immunochemistry of an oligosaccharide repeating unit of the capsular polysaccharide of type III group B Streptococcus、Journal of Biological Chemistry.262:8262〜8267(1987));Pseudomonas aeruginosa Fisher 7 O特異的側鎖(Knirel,Y.A.、N.A.Paramonov、E.V.Vinogradov、A.S.Shashkow、B.A.N.K.Kochetkov、E.S.StanislavskyおよびE.V.Kholodkova、Somatic antigens of Pseudomonas aeruginosa The Structure of O−specific polysaccharide chains of lipopolysaccharides of P.aeruginosa O3(Lanyi),025(Wokatsch)and Fisher immunotype 3 and 7、European Journal of Biochemistry.167:549(1987));Shigella sonnei O特異的側鎖(Kenne,L.、B.LindbergおよびK.Petersson、Structural studies of the O−specific side−chains of the Shigella sonnei phase I lipopolysaccharide、Carbohydrate Research.78:119〜126(1980));S.pneumoniae I型莢膜(Lindberg,B.、Lindqvist,B.、Lonngren,J.、Powell,D.A.、Structural studies of the capsular polysaccharide from Streptococcus pneumoniae type 1、Carbohydrate Research.78:111〜117(1980));ならびにStreptococcus pneumoniae グループ抗原(Jennings,H.J.、C.LugowskiおよびN.M.Young、Structure of the complex polysaccharide C−substance from Streptococcus pneumoniae type 1、Biochemistry.19:4712〜4719(1980))。
他の非ポリペプチド抗原およびそれに対する抗体が、当業者に周知であり、そして本発明のPS/A組成物と共に使用され得る。
PS/A抗原および抗体はまた、被験体またはサンプルの免疫学的状態を決定するための診断アッセイに有用であるか、あるいは免疫アッセイにおける試薬として使用され得る。例えば、抗体は、表面上にPS/A抗原を有する細菌の、サンプル中での存在を検出するために使用され得る。その細菌がサンプル中に存在する場合、抗体は、感染した被験体を処置するために使用され得る。抗体はまた、PS/A抗原の存在について細菌をスクリーニングするため、そしてPS/A抗原およびPS/A抗原を含む細菌を複雑な混合物から単離するために使用され得る。
上記のアッセイおよび当該分野で公知の他の任意のアッセイは、PS/Aまたは抗体を標識することによって、そして/あるいはPS/Aまたはその抗体を不溶性マトリクス上に固定することによって、達成され得る。PS/Aまたは抗体を使用する分析方法および診断方法は、以下の試薬のうちの少なくとも1つを使用する:標識された分析物アナログ、固定された分析物アナログ、標識された結合パートナー、固定された結合パートナー、および立体結合体。使用される標識は、分析物とその結合パートナーとの結合に干渉しない、任意の検出可能な官能基であり得る。免疫アッセイにおけるこのような使用のための多数の標識が公知である。例えば、直接検出可され得る化合物(例えば、蛍光色素標識、化学発光標識、および放射性標識)ならびに反応または誘導体化を通じて検出され得る化合物(例えば、酵素)。これらの型の標識の例として、以下が挙げられる:32P、14C、125I、3H、および131I放射性同位体、発蛍光団(例えば、希土類キレートまたはフレオレセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロン、ルシフェラーゼ(例えば、ホタルルシフェラーゼおよび細菌ルシフェラーゼ(米国特許第4,737,456号))、ルシフェリン、2,3−ジヒドロフタラビンジオン、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、糖オキシダーゼ(例えば、グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ)およびグルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ)。過酸化水素を使用して色素前駆体を酸化する酵素(例えば、HRP、ラクトペルオキシダーゼ、またはミクロペルオキシダーゼ)とカップリングされたヘテロサイクリックオキシダーゼ(例えば、ウリカーゼおよびキサンチンオキシダーゼ)、ビオチン、アビジン、スピン標識、バクテリオファージ標識、および安定なフリーラジカル。
標識は、当業者に公知の方法によってPS/Aまたは抗体に結合体化され得る。例えば、米国特許第3,940,475号および同3,645,090号は、発蛍光団および酵素の、抗体への結合体化を示す。抗原および抗体と一般的に使用されると伝えられ、そして本発明に従って、使用され得る他のアッセイは、競合アッセイおよびサンドイッチアッセイを含む。
先行技術は、多糖の生成をもたらすと報告されているタンパク質(多糖細胞内付着因子(PI/A)として公知)をコードするいくつかの遺伝子を記載している。これらの遺伝子は、クローンニングされ、そしてstaphylococcusの他の種で発現されている。しかし、PS/Aの発達を生じ、そしてPI/Aの発達を生じないタンパク質の生成をこれらの遺伝子が実際にコードすることは、本発明により発見された。従って、本発明は、PS/Aを発現する宿主細胞を生成し、そしてPS/A抗原を単離することによって、PS/A抗原を調製する方法を含む。
PS/A宿主細胞は、細胞を、ica遺伝子をコードする核酸(配列番号1)でトランスフェクションまたは形質転換することによって、調製され得る。この細胞は、真核生物細胞であっても原核生物細胞であってもよいが、好ましくは細菌細胞である。より好ましくは、この細胞は、通常はPS/Aを発現しないstaphylococcusである。
1つの実施態様において、ica核酸は、真核生物細胞または原核生物細胞内でのica核酸の発現を指向する遺伝子発現配列に作動可能に連結される。この「遺伝子発現配列」は、これが作動可能に連結されているica核酸の効率的な転写および翻訳を容易にする、任意の調節ヌクレオチド配列(例えば、プロモーター配列またはプロモーター−エンハンサーの組合せ)である。この遺伝子発現配列は、例えば、哺乳動物プロモーターまたはウイルスプロモーター(例えば、構成的プロモーターまたは誘導性プロモーター)であり得る。構成的哺乳動物プロモーターとしては、以下の遺伝子のプロモーターが挙げられるが、これらに限定されない:ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPTR)、アデノシンデアミナーゼ、ピルビン酸キナーゼ、およびβ−アクチン。細胞中で構成的に機能する例示的ウイルスプロモーターとしては、例えば、以下に由来するプロモーターが挙げられる:シミアンウイルス、パピローマウイルス、アデノウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ラウス肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、モロニー白血病ウイルスおよび他のレトロウイルスの長末端反復(LTR)、ならびに単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼプロモーター。他の構成的プロモーターは、当業者に公知である。本発明の遺伝子発現配列として有用なプロモーターはまた、誘導性プロモーターを含む。誘導性プロモーターは、誘導物質の存在下で発現される。例えば、メタロチオネインプロモーターは、特定の金属イオンの存在下で、転写および翻訳を促進するように誘導される。他の誘導性プロモーターが、当業者に公知である。
一般に、これらの遺伝子発現配列は、必要な場合、それぞれ、転写および翻訳の開始に関与する、5’非転写配列および5’非翻訳配列を含む。このような5’非転写配列は、作動可能に連結されたica核酸の転写制御のためのプロモーター配列を含むプロモーター領域を含む。この遺伝子発現配列は、必要に応じて、所望するように、エンハンサー配列または上流アクチベーター配列を含む。
ica核酸配列および遺伝子発現配列は、これらが、icaコード配列の転写および/または翻訳を遺伝子発現配列の影響または制御下に置くような様式で共有結合されている場合、「作動可能に連結」されていると言われる。ica配列が機能性タンパク質への翻訳されることが所望されるならば、以下の場合に、2つのDNA配列は、作動可能に連結されていると言われる:5’遺伝子発現配列中のプロモーターの誘導がica配列の転写を生じ、そしてこの2つのDNA配列間の結合の性質が、(1)フレームシフト変異の誘導を生じず、(2)プロモーター領域がica配列の転写を指向する能力に干渉せず、(3)対応するRNA転写物がタンパク質へと翻訳される能力に干渉もしない場合。従って、遺伝子発現配列は、その遺伝子発現配列がica核酸配列の転写をもたらし得、その結果、生じた転写物が所望のタンパク質またはポリペプチドへと翻訳され得る場合に、そのica核酸配列に作動可能に連結されている。
本発明のica核酸は、宿主細胞単独でか、またはベクターと会合して送達され得る。その最も広い意味において、「ベクター」とは、以下を容易にし得る任意のビヒクルである:(1)PS/A分子を合成するタンパク質の生成をコードする、ica遺伝子座中の遺伝子を含む核酸分子の送達、または(2)PS/A分子を合成するタンパク質の生成をコードするica遺伝子座中の遺伝子を含む核酸分子の、標的細胞による取り込み。好ましくは、ベクターは、ica分子を標的細胞へと輸送し、そのベクターの非存在下で生じる分解の程度と比較して、分解が減少している。一般的に、本発明において有用なベクターは、2つのクラス(生物学的ベクターおよび化学的/物理学的ベクター)に分けられる。生物学的ベクターは、ica核酸の、標的細胞への送達/標的細胞による取り込みに有用である。化学的/物理学的ベクターは、ica核酸またはicaポリペプチドの、標的細胞への送達/標的細胞による取り込みに有用である。
生物学的ベクターとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:プラスミド、ファージミド、ウイルス、本発明の核酸配列の挿入または組み込みにより操作されたウイルス供給源または細菌供給源に由来する他のビヒクル、ならびに本発明の核酸配列に結合され得る遊離核酸フラグメント。ウイルスベクターは、生物学的ベクターの好ましい型であり、そして以下のウイルス由来の核酸配列を含むが、これらに限定されない:モロニーマウス白血病ウイルス;ハーベイマウス肉腫ウイルス:マウス乳ガンウイルス;ラウス肉腫ウイルス;アデノウイルス;アデノ随伴ウイルス;SV40型ウイルス;ポリオーマウイルス;エプスタイン−バーウイルス;パピローマウイルス;ヘルペスウイルス;ワクシニアウイルス;ポリオウイルス;ならびにRNAウイルス(例えば、任意のレトロウイルス)のようなレトロウイルス。当業者は、名を挙げていないが当該分野で公知の他のベクターを容易に使用し得る。
好ましいウイルスベクターは、必須でない遺伝子が目的の遺伝子で置換されている非細胞障害性真核生物ウイルスに基く。非細胞障害性ウイルスは、レトロウイルスを含み、その生活環は、ゲノムウイルスRNAからDNAへの逆転写、続く宿主細胞DNAへのプロウイルス組み込みを含む。一般的に、このレトロウイルスは、複製欠損性である(すなわち、所望のタンパク質の合成を指向し得るが、感染性粒子を生成し得ない)。複製欠損性レトロウイルスを生成する標準的プロトコル(プラスミドへの外因性遺伝物質の組み込み工程、プラスミドでのパッケージング細胞株のトランスフェクション工程、このパッケージング細胞株による組換えレトロウイルスの生成工程、組織培養培地からのウイルス粒子の収集工程、およびウイルス粒子による標的細胞の感染工程を包含する)が、Kriegler,M.、「Gene Transfer and Expression,A Laboratory Manual」、W.H.Freeman Co.、New York(1990)およびMurry,E.J.編、「Methods in Molecular Biology」第7巻、Humana Press,Inc.、Cliffton、New Jersey(1991)に提供されている。
特定の適用に好ましい別のウイルスは、アデノ随伴ウイルス(二本鎖DNAウイルス)である。アデノ随伴ウイルスは、複製欠損性であるように操作され得、そして広い範囲の細胞型および種に感染し得る。アデノ随伴ウイルスは、さらに利点を有し、それは例えば、熱および脂質溶媒安定性;多様な系統の細胞における高い形質導入頻度;ならびに重感染阻害の欠失により複数系列の形質導入が可能であることである。報告されることによると、アデノ随伴ウイルスは、部位特異的様式でヒト細胞DNAに組み込み得、それにより挿入変異誘発の可能性および挿入された遺伝子発現の多様性が最小になる。さらに、野生型アデノ随伴ウイルス感染は、組織培養において、選択圧の非存在下で100継代を超える間追跡され、このことは、アデノ随伴ウイルスゲノムの組み込みが比較的安定な事象であることを意味する。アデノ随伴ウイルスはまた、染色体外の様式で機能し得る。
生物学的ベクターに加えて、化学的/物理学的ベクターが使用されて、ica分子が標的細胞へと送達され得、そしてその結果、取り込みが容易になり得る。本明細書中で使用される場合、「化学的/物理学的ベクター」とは、天然分子または合成分子をいい、これは、細菌学的供給源またはウイルス供給源に由来するもの以外であり、ica分子を細胞に送達し得る。
本発明の好ましい化学的/物理学的ベクターは、コロイド状分散系である。コロイド状分散系は、脂質ベースの系(水中油エマルジョン、ミセル、混合ミセル、およびリポソームを含む)を含む。本発明の好ましいコロイド状の系は、リポソームである。リポソームは、インビボまたはインビトロで送達ベクターとして有用な人工的膜管である。大きな単ラメラの管(LUV)(サイズ0.2〜4.0μmの範囲)は、大きな高分子をカプセル化し得ることが示されている。RNA、DNAおよびインタクトなビリオンは、水性内部中にカプセル化され得、そして生物学的に活性な形態で細胞に送達され得る(Fraleyら、Trends Biochem.Sci.、(1981)6:77)。リポソームが効率的な遺伝子移入ベクターであるために、以下のうちの1つ以上の特徴が存在すべきである:(1)生物学的活性を保持しながらの高効率での目的遺伝子のカプセル化;(2)高効率での標的細胞細胞質への小胞の水性内容物の送達;ならびに(3)遺伝情報の正確かつ有効な発現。
リポソームは、例えば、Gibco BRLから、LIPOFECTINTMおよびLIPOFECTACETMとして市販されており、これらは、カチオン性脂質(例えば、N−[1−(2,3−ジオレイルオキシ)−プロピル]−N,N,N,−トリメチルアンモニウムクロライド(DOTMA)およびジメチルジオクタデシルアンモニウムブロマイド(DDAB))から構成される。リポソームを作製する方法は、当該分野で周知であり、そして多くの刊行物に記載されている。リポソームはまた、Gregoriadis,G.、Trends in Biotechnology(1985)3:235〜241に概説されている。
圧縮(compaction)剤もまた、単独か、または本発明の生物学的ベクターもしくは化学的/物理学的ベクターと組合せて使用され得る。「圧縮剤」とは、本明細書中で使用される場合、核酸上の負電荷を中和し、それによりその核酸を微小の顆粒へと圧縮することを可能にする、ヒストンのような薬剤をいう。核酸の圧縮は、標的細胞によるその核酸の取り込みを容易にする。圧縮剤はまた、単独で(すなわち、細胞によって、より効率良く取り込まれる形態でica分子を送達するために)か、あるいはより好ましくは、1つ以上の上記のベクターと組合せて使用され得る。
ica核酸の標的細胞による取り込みを容易にするために使用され得る他の例示的組成物は、リン酸カルシウムおよび細胞内輸送の他の化学的媒介物質、マイクロインジェクション組成物、エレクトロポレーションおよび相同組換え組成物(例えば、ica核酸を標的細胞染色体内の所定の位置に組み込むため)を含む。
(実施例)
(実施例1:PS/A抗原の精製)
PS/Aがica遺伝子座を発現する任意の細菌株から精製され得ることが、本発明に従って発見されている。詳細には、これらの細菌としては、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus aureus、および他のStaphylococcus株(例えば、ica遺伝子座中の遺伝子で形質転換されたStaphylococcus carnosus)が挙げられる。PS/Aを精製するために、本発明に従って用いられた、以下の特定の株としては、S.epidermidis RP62A(ATCC番号:35984)、S.epidermidis RP12(ATCC番号:35983)、Staphylococcus epidermidis M187、S.carnosus TM300(pCN27)、S aureus RN4220(pCN27)、およびS.aureus MN8ムコイドが挙げられる。
(1.PS/Aを合成するのに必要であるタンパク質の産生をコードするica遺伝子座を含有するコアグラーゼ陰性StaphylococcusからのPS/Aの精製方法)
出発材料を、ica遺伝子を発現するStaphylococcus株の増殖を支持する任意の増殖培地においてこの細菌を増殖させることにより、このStaphylococcusの培養物から調製した。好ましい培地は、オートクレーブ処理による滅菌を可能にするように改変されたRPMI−1640調製物である、RPMI−1640 AUTO−MOD(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO)(開始ベースとして)から構成される、出発ベースとして化学的に規定された培地(chemically defined medium:CDM)(Hussain,M.,J.G.M.HastingsおよびP.J.White.1991.「A chemically defined medium for slime production by coagulase−negative Staphylococci」J.Med.Microbiol.34:143)である。フェノールレッドは、省略した。なぜなら、それは、精製されたPS/Aに容易に結合するからである。このCDMに、さらなるアミノ酸、ビタミンおよびヌクレオチドを補充し、これを他の場所(Hussain,M.,J.G.M.HastingsおよびP.J.White.1991「A chemically defined medium for slime production by coagulase−negative Staphylococci」J.Med.Microbiol.34:143)で記載されたのと類似の最終組成物とする。この培地に、デキストロースおよびショ糖をさらに補充した;それぞれは、別々にオートクレーブし、次いで、最終濃度1%になるように添加した。
培養物に、トリプチカーゼ(trypticase)ダイズ寒天のような寒天プレート(37℃で一晩インキュベートした)からStaphylococcusの単一コロニーを接種した(Muller,E.,J.Huebner,N.Gutierrez,S.Takeda、D.A.GoldmannおよびG.B.Pier.1993.「Isolation and characterization of transposon mutants of Staphylococcus epidermidis deficient in capsular polysaccharide/adhesin and slime」Infect Immun.61:551)。スパージャーからの2LのO2/分のバブリングをし、pH滴定機で自動的に5M NaOHを添加することによりpHを7.0に維持しながら、37℃での激しく撹拌しながら培養物を増殖させた。pHを7.0に維持するためのNaOHの添加が不要になるまで培養物を増殖させた(すなわち、48〜72時間)。
粗抗原を、二価のカチオン、低pH、および熱の使用により、細菌細胞から直接培養上清に抽出した。好ましい方法は、最終濃度100mMになるように培養物にMgCl2を添加することであり、そしてpHを5.0に調節することである。次いで、この培養物を加熱し、そして撹拌した。90分間65℃の温度が十分であった。細胞本体を9000×gにて15分間で沈殿させた。上清を接線流(tangential−flow)濾過(10,000分子量(MW)カットオフフィルター)で約1000mlに濃縮し、そして溶液を濾過デバイスの中においたまま、以下の緩衝液交換および処理を行った:この緩衝液は、pH5.0に調節された脱イオンH2Oで交換した(過剰のMg2+イオンを除くため)。次に、0.1M TRIS−0.15M NaClを用いてpHを7.4に調整し、そしてこの溶液をそれぞれ5mgのRNaseおよびDNaseを用いて室温で4時間処理し、次いで5mgのトリプシンを用いて2時間処理した。この緩衝液を接線流デバイスで、10mM EDTA(pH 8.6)に交換し、そしてデオキシコール酸(DOC)ナトリウムを最終濃度が3%になるように添加した。
本発明の多糖抗原を単離するための別の好ましい方法は、5モル濃度のNaOHまたはHClのような強塩基または強酸との細菌のインキュベートを含む。細菌を強塩基または強酸中で18〜24時間、撹拌する。次いで細胞本体を遠心分離により収集し、そしてさらに2回再抽出する。それぞれの抽出からの上清をプールし、酸または塩基を用いてpH7になるように中和する。得られた粗抗原懸濁物を2〜24時間脱イオン水に対して透析する。残りの不溶性の粗抗原を遠心分離により収集する。上清を公知のアッセイ(例えば、免疫学的手段)により可溶性抗原の存在について試験する。上清が可溶性抗原について陽性である場合、上清を凍結乾燥し、そして再抽出してさらなる粗抗原を入手し得る。不溶性の粗抗原を50mM PBSまたは100mM Tris(150mM NaClを含有)の緩衝溶液に再懸濁する。
この懸濁した粗抗原を37℃で4時間、それぞれ5mgのRNaseおよびDNaseで処理し、次いで5mgのトリプシンで2時間処理した;この細胞を沈殿させ、そしてこの上清を、トリプシンで処理しながら、濃縮した培養上清に添加した。残りの細胞本体を10mMのEDTA/3% DOC(pH8.6)に再懸濁した;2時間撹拌しそして3回目に沈殿させた。得られた上清を、10mM EDTA/3% DOC(pH8.6)で処理しながら、濃縮した培養上清に添加した。別の代替物は、pH>10の緩衝液である。好ましい緩衝液は、pH11の、0.4M 炭酸アンモニウムである。最終的に、プールした上清を、例えば、30,000MWのカットオフ膜フィルターを用いる、撹拌された細胞の濾過により濃縮した。粒子状物質または不溶性物質を2,000×gで30分間の遠心分離により沈殿させ、上清を保持した。
溶解された粗抗原を得るための上記の抽出およびDOC緩衝液を用いる代替物として、粗抗原をまた、抽出物のpHを塩基(例えば、水酸化ナトリウム)を用いて8.0より大きく調節し、エタノールのようなアルコールの4容量を添加し、遠心分離により沈殿物を回収し、そして0.1M HClまたはpHが4.0未満の任意の緩衝液中での沈殿物の再溶解により、細胞の初回抽出物から得た。
次に、高分子量PS/A濃縮材料を分子ふるいクロマトグラフィーにより、粗スライム抽出物から単離した。5.0cm×100cmのカラムにSepharose CL−4B(Pharmacia,Piscataway,NJ)または匹敵する分子ふるいゲルを充填し、そして1%DOC(pH8.6)を含有する10mM EDTAで洗浄した。代替物として、pH4.0未満の緩衝液が時々用いられる。好ましい緩衝液は、pH2.0の0.1M グリシン−HClであった。粗スライムを10〜20mlの容積で適用し、そしてPS/A含有画分を206nmでのUV光の吸収の測定、およびPS/A抗原に特異的なポリクローナルウサギ抗血清を用いたイムノドットブロット分析により同定した。
DOCを基礎とする緩衝液を用いるカラムのボイド容積画分中に溶出する物質(MW>100,000ダルトン)をプールし、そしてプロテイナーゼK(0.1mg/ml)(1%DOC中でタンパク質分解性が活性である)で処理した;この物質を、同時に、撹拌セル濾過ユニット(30,000MWカットオフ膜)を用いて100mlに濃縮した。低pH緩衝液(<4.0)を用いて分子ふるいカラムのボイド容積中に溶出する物質をプールし、少なくとも0.1Mの最終濃度でかつ少なくとも8.0のpHになるように2塩基性リン酸ナトリウムを添加し、次いで、4容積のアルコール(例えば、95%エタノール)を添加し、PS/A抗原を沈殿させた。
DOCカラムから回収された物質のさらなる精製には、調製物中に存在するアルカリ不安定性細胞壁抗原の残留物を破壊する工程を用いた。プロテイナーゼKで消化した物質をNaOHの添加により処理して500mMの最終濃度にし、そしてこの混合物を22℃で2時間撹拌し、次いでHClで中和した。PS/Aをアルコール(例えば、50%v/vに添加されたメタノール)沈殿により回収し、そして30,000×gで30分間の遠心分離により沈殿させた。残留DOCおよび不純物を、純粋メタノールでの沈殿物の多数の洗浄により除去した。
DOC緩衝液系または低pH緩衝液系のいずれかを用いて流れたカラムのボイド容積中に回収された物質からの残留テイコ酸の除去のために、アルコール沈殿物を、4℃で48時間、24%(v/v)フッ化水素酸(HF)に懸濁した。このHF溶液を12%HFの濃度になるように水中に希釈し、次いで、NaOHで中和し、そして流水に対して透析した。PS/Aは、この点で最も不溶性であった。残留する可溶性PS/Aを50%になるようなメタノールの添加により全て沈殿させ、このペレットを純粋メタノールで3〜5回洗浄し、脱イオンH2Oに懸濁し、凍結し、そして凍結乾燥した。
(2.Staphylococcus aureusからのPS/Aの精製)
PS/Aをまた、コアグラーゼ陰性Staphylococcusについての上記手順または上記手順の変法のいずれかを用いてS.aureusから精製した。S.aureusからのPS/Aの回収を、好ましくはMN8ムコイド株のようなPS/Aを構成的に作製する株を用いることにより促進した。このような株を、それらの増殖を支持する任意の培地において増殖させ得るが、好ましい培地はコロンビアブロス(columbia broth)である。あるいは、インタクトなica遺伝子座を有する任意のS.aureus株が0.25%(v/v)以上のグルコースが補充された脳心臓滲出物ブロス(brain heart infusion broth)中で増殖され、PS/Aを生成し得る。
培養物に、37℃で一晩インキュベートされた任意の適切な培地からStaphylococcus aureusの単一コロニーを接種した。スパージャーから2LのO2/分のバブリングをし、pH滴定機で自動的に5M NaOHを添加することによりpHを7.0に維持しながら、37℃で激しく撹拌そながら培養物を増殖させた。pH7.0に維持するためのNaOHの添加が不要になるまで培養物を慣用的に増殖させた(すなわち、48〜72時間)。
次いで、細菌細胞を遠心分離により培養物から回収し、そして緩衝化生理食塩水に再懸濁した。次いで、リゾチームおよびリソスタフィン酵素を0.1mg/mlより高い濃度になるように添加した。この懸濁物を37℃で2〜24時間撹拌し、その後プロテアーゼを添加した。好ましいプロテアーゼは、少なくとも0.1mg/mlの濃度のプロテイナーゼKであったが、他のプロテイナーゼ(例えば、プロナーゼEまたはトリプシン)が使用され得る。この混合物を少なくとも2時間37℃で撹拌した。次いで、この懸濁物のpHをHClのような酸を用いて、4.0未満に(しかし好ましくは2.0になるように)低下させた。不溶性物質を遠心分離により取り出し、そして沈殿物を、低pH(<4.0、好ましくは2.0)溶液における再懸濁、次いで、10分以上撹拌することおよび不溶性物質を取り出すための遠心分離により3回再抽出した。低pH抽出物をプールし、0.1M以上の濃度になるようなリン酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウムのような塩基の両方を添加することによりpHを8.0より高く上昇させ、次いで、95%エタノールのような4容積のアルコールを添加した。別の代替物は、pHが10を越える緩衝液である。好ましい緩衝液はpH11の0.4M 炭酸アンモニウムである。
本発明の多糖抗原を単離するための別の好ましい方法は、5M NaOHまたはHClのような強塩基または強酸との細菌のインキュベートを含む。細菌を強塩基または強酸中で18〜24時間、撹拌する。次いで細胞本体を遠心分離により収集し、そしてさらに2回の再抽出する。それぞれの抽出からの上清をプールし、酸または塩基を用いてpH7に中和する。得られた粗抗原懸濁物を2〜24時間脱イオン水に対して透析する。残りの不溶性の粗抗原を遠心分離により収集する。この上清を公知のアッセイ(例えば、免疫学的手段)により可溶性抗原の存在について試験する。この上清が可溶性抗原について陽性である場合、この上清を凍結乾燥し、そして再抽出してさらなる粗抗原を入手し得る。不溶性の粗抗原を50mM PBSまたは100mM Tris(150mM NaClを含有)の緩衝溶液に再懸濁する。次いで、この物質を、コアグラーゼ陰性StaphylococcusからのPS/Aの精製方法に関して上記されたのと同じ酵素処理に供した。
次いで、この不溶性物質を遠心分離により回収し、低pH(<4.0、好ましくは1.0)溶液に再溶解し、不溶性物質を遠心分離により除去し、そして、可溶性画分中の高分子量の物質をpH4.0未満の緩衝液中で平衡化された分子ふるいカラムへの適用により回収した。好ましい緩衝液は、pH2.0の0.1M グリシン−HClであった。代表的分子ふるいカラムは、2.6×100cmの寸法を有し、そしてこのカラムにSephacryl S−500(Pharmacia)のようなゲルを充填した。PS/A含有画分を206nmでのUV光の吸収の測定、およびPS/Aに対するポリクローナルウサギ抗血清を用いたイムノドットブロット分析により同定した。高分子量(>100,000)の範囲に溶出する免疫学的反応性の画分をプールし、0.1M以上の濃度になるようなリン酸ナトリウムおよび塩基(例えば、水酸化ナトリウム)の両方の添加によりpHを>8に上昇させ、次いで4容積のアルコール(例えば、エタノール)を添加し、得られた沈殿物を遠心分離で回収した。次に、このアルコール沈殿物を、4℃で48時間、24%(v/v)フッ化水素酸(HF)に懸濁した。このHF溶液を12%HFの濃度になるように水中に希釈し、次いで、NaOHで中和し、そして流水に対して透析した。PS/Aは、この点で最も不溶性であった。残留する可溶性PS/Aを最終濃度>50%になるようなアルコールの添加により全て沈殿し、このペレットをアルコール(例えば、95%エタノールまたは純粋メタノール)で3〜5回洗浄し、そしてこのペレットを脱イオンH2Oに懸濁し、凍結し、そして凍結乾燥した。
(実施例2:PS/A抗原の化学合成)
(方法:)
PS/Aは、キチン(β−1−4結合を有するポリ−N−アセチル−グルコサミン)およびキトサン(β−1−4結合を有するポリ−グルコサミン)に化学的に類似している。キチンのN−アセチル基を、温和な塩基で処理(1.0M NaOH、95℃、1時間)することにより容易に除去して、キトサンを生じる。次いで、遊離のアミノ基を、遊離のカルボキシル基への遊離のアミノ基のカップリングを促進する水溶性のカルボジイミド試薬の存在下でこれらの物質へ添加したコハク酸を用いて、スクシネートで置換した。
10mgのキトサンを、1.0の0.1M HClに懸濁し、そしてゲル様懸濁物が得られるまで撹拌した。次いで、100mgのコハク酸を、その後、75mgの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド−HCl(EDC、Sigma)を添加し、そしてこの懸濁物を室温で2日間撹拌した。次いで、この溶液を2Mの水酸化ナトリウムで中和し、水に対して透析して未結合コハク酸および遊離EDCを除去し、そしてスクシニル化したキトサンを凍結乾燥した。
(結果:)
得られた物質は、PS/Aの天然のポリ−N−スクシニルグルコサミンと類似しており、個々のグルコサミン残基の間の結合の性質が異なっていた。しかし、本発明者らは、PS/Aに対して惹起された抗体が、N−スクシニル化キトサンに反応することを本発明に従って、見出した。これは、キチンおよびキトサンの適切な化学的修飾がPS/Aに対する抗体を惹起する能力を有する分子を生じることを示す。
(実施例3:PS/A抗原の分析)
混入物を分解するための塩基(NaOH)およびフッ化水素酸の両方の処理の使用は、以前に得られた先行技術の調製物を上回ってPS/Aの純度を有意に改善する。PS/Aは、Sepharose 4Bカラムの高分子量のボイド容積画分(>100,000kDa)に溶出し、そして、以前に示されたように、免疫拡散において単一の沈降バンドを与えた(Tojo,M.,N.Yamashita,D.A.GoldmannおよびG.B.Pier.1988「Isolation and characterization of a capsular polysaccharide/adhesin from Staphylococcus epidermidis」J Infect Dis.157:713)。さらに、0.02μg/ウェルまでPS/Aの希釈物でのELISAウェルの感作は、免疫前血清の結合よりも、有意に大きい精製されたPS/Aに対する抗体の1:500希釈物の結合を生じた。精製の間にPS/Aを可溶化するための3%DOCまたは低pH(<4.0)緩衝液の使用は、重要であることが見出されたが、一旦PS/Aが、メタノールによりこれらの溶液から沈殿されれば、それはDOC緩衝液中でさえ、4.0を超えるpHでは再溶解され得ない。PS/Aは、50%プロパノール−50%ブタノールにおいて、およびピリジンにおいてわずかに可溶性であった(約500μg/ml)。このPS/A抗原は、検出可能なリン酸を欠いていた(<0.01%)(Keleti、G.およびW.H.Lederer.1974.Handbook of Micromethods for the Biological Sciences.Van Nostrand Reinhold Co.,New York)。
(実施例4:PS/Aの化学的特性の分析)
本発明者らが、高温(95〜100℃)での14時間の4M HCl酸における加水分解後、S.epidermidis M187、S.carnosus(pCN27)およびS.aureus MN8ムコイドから単離されたPS/Aを分析したとき、本発明者らは、気−液クロマトグラフィー−質量分析法(GLC−MS)および核磁気共鳴(NMR)の組み合わせを用いて、グルコサミンが、PS/Aにおける単一の糖成分であることを見出した。例示的NMRスペクトルは図1に示される。さらに、高品質のスクシネート(グルコサミンとほぼ等モル濃度)をまた、調製物中に同定した。スクシネートは、95℃で10分以上の5M NaOHにおける加水分解により抗原から遊離したが、同じ条件下での1M NaOHでは遊離しなかった。より低い量のNaOHは、カルボキシルエステル連結スクシネートを容易に遊離させる。NMRの結果とともに、これは、スクシネートがグルコサミンのアミノ基に連結しており、グルコサミンのヒドロキシル基に連結していないことを確認する。オゾンによるPS/Aの少糖フラグメントへの加水分解およびNMRによる分析は、糖間の連結がβ結合であると確認した。これらの株から単離されたPS/Aは、過ヨウ素酸ナトリウムでの処理(0.2Mで14時間)後、血清学的な反応性、およびGLC−MSにより検出可能な化学的特性を消失する。このことは、グルコサミン残基の間の1−6結合を示す。また、5M NaOHでの5分を越える加水分解は、血清学的活性を破壊する。
従って、天然のPS/A物質は、β1−6結合で互いに連結するN−スクシニルD−グルコサミン残基の高分子量(>100,000ダルトン)ホモポリマーである。このグルコサミンのアミノ基上のスクシネート基の置換のレベルは、ネイティブな分子において100%にほぼ等しい。
(実施例5:精製されたPS/Aでの免疫は、この抗原と反応性の抗体を惹起する)
(方法:)ウサギの免疫によりPS/Aに対する抗体を惹起するための、以前に記載された方法(Kojima,Y.,M.Tojo,D.A.Goldmann,T.D.TostesonおよびG.B.Pier.1990.「Antibody to the capsular polysaccharide/adhesin protects rabbits against catheter related bacteremia due to coagulase−negative staphylococci」J.Infect Dis.162:435;Tojo,M.,N.Yamashita,D.A.GoldmanおよびG.B.Pier.1988.「Isolation and characterization of a capsular polysaccharide/adhesin from Staphylococcus epidermidis」J.Infect Dis.157:713;Takeda,S.,G.B.Pier,Y.Kojima,M.Tojo,E.Muller,T.TostesonおよびD.A.Goldmann.1991.「Protection against endocarditis due to Staphylococcus epidermidis by immunization with capsular polysaccharide/adhesin.」Circulation.84:2539)を、S.epidermidis M187およびS.aureus MN8ムコイドから単離された抗原から抗血清を調製するために用いた。
(結果:)両方の細菌株由来の調製物により惹起された抗体は、両方の抗原に対して同等の力価の抗体を誘導した(表1)。
Figure 0005490341
(実施例6:Staphylococcus株におけるPS/A抗原の物理的位置)
(方法:)S.aureus株MN8ムコイドおよびRN4220(pCN27)をトリプチカーゼダイズ寒天上で増殖させ、そしてS.aureus MN8を0.25%以上のグルコースを補充した脳心臓滲出物ブロス中で増殖させた。次いで、この細胞をPS/Aに対するポリクローナルウサギ抗血清でまずプローブし、次いで、金標識したプロテインA、または金標識した抗ウサギIgGでプローブし、そして顕微鏡写真を得た。
PS/Aは、S.epidermidisの細菌莢膜を表すことが以前に示されている。本発明者らはica遺伝子座を保有する株が莢膜に包まれているか否かを免疫電子顕微鏡を用いて試験した。以下の一連の免疫電子顕微鏡写真を撮った:(a)S.aureus株MN8ムコイド上のPS/A莢膜と抗PS/A抗体との相互作用;(b)S.aureus株MN8ムコイドの正常ウサギ血清(NRS)染色を用いるネガティブコントロール;(c)S.aureus株RN4220(pCN27)上のPS/A莢膜と抗PS/A抗体との相互作用;(d)S.aureus株RN4220のNRS染色を用いるネガティブコントロール;(e)0.25%グルコースを補充した脳心臓滲出物ブロス中で増殖したS.aureus株MN8と抗PS/A抗体との相互作用;および(f)0.25%グルコースを補充した脳心臓滲出物ブロス中で増殖させたS.aureus株MN8のNRS染色を用いたネガティブコントロール。この顕微鏡写真は、PS/Aに対する抗体が、これらの株における細胞外莢膜に結合することを実証する。
(実施例7:S.aureusのヒト臨床単離体によるPS/A抗原の発現)
S.epidermidisの多数のヒト臨床単離体は、PS/A抗原を構成的に(すなわち、種々の増殖条件下で常に)発現する。また、S.aureusのいくつかの株(すなわち、MN8ムコイド)も、同じく発現する。しかし、ほとんどのヒト臨床単離体は、正常な実験条件下で増殖させた場合、それほどPS/Aを発現しない。本発明者らは、これらのS.aureus株を、0.25%以上のグルコースを含有する脳心臓滲出物ブロス培地中で増殖させれば、PS/Aの発現は、ELISA阻害アッセイのような血清学的手段により検出され得ることを見出した(図2に示す)。さらに、本発明者らは、マウスの感染の前に検出可能なPS/Aを発現しないS.aureusの単離体が、腎臓のような感染組織から回収された場合、PS/Aを生成することが示され得ることを見出した。従って、特定のインビトロ条件下、または動物での実験的感染後、他の場合には検出可能なPS/Aを生成しないS.aureusの株が、ここでPS/Aを生成する。別の培地では、本発明者らは、インビトロにおいてPS/A発現を増強するのはStaphylococcus110培地であることを見出した。
PS/A発現を検出するために寒天から新鮮に単離し、そして(a)抗PS/A抗体で染色したヒト臨床単離体(ASEAN)、または(b)NRSコントロールで染色したヒト臨床単離体(ASEAN)の免疫電子顕微鏡写真を撮影した。本発明者らは、S.aureusのヒト臨床単離体は、この株を、液体または組織のサンプルにおける感染を検出するために最初に用いられた寒天プレートからの透過型電子顕微鏡により試験した場合、PS/Aを発現することを見出した。従って、もしヒト臨床単離体が、実験培地での細菌の過度の継代なしに、PS/A発現について試験されれば、それらはPS/A抗原を生成することが示され得る。
(実施例8:S.aureusの動物単離体によるPS/A抗原の発現)
S.aureusは、動物における乳腺炎感染の主な原因であり、かなりの経済的損失を生じる。本発明者らはまた、PS/Aの発現について、動物(ウシおよびヒツジ)からのS.aureus単離体を分析した。本発明者らは、血清学的試験によって決定した場合、分析された単離体の多くが、PS/A抗原を生成することを見出した。試験した40の動物単離体のうち23がPS/Aに対する抗体を用いたイムノドットブロットにおいて強力な反応を有した。これは、単離体が、たとえヒト単離体について行わねばならないようなPS/Aの生成を増強する特別の培地での増殖をさせていない場合であっても検出可能であった(ので)。従って、S.aureusのヒト臨床単離体と異なり、多数の動物単離体は、構成的にPS/Aを生成し得るようである。
(実施例9:PS/Aに対する抗体によるS.aureus感染に対する防御)
(方法:)PS/A抗原1〜100μg(好ましくは100μg/マウス)を用いて、マウスを免疫し、抗体を惹起した。次いで、このマウスに、生きたS.aureus菌(S.aureus株ReynoldsまたはMN8株のいずれか)をチャレンジした。そしてPS/Aに対する抗体を有するマウスは感染に対して防御されたことが示された。
(結果:)マウスをPS/Aで能動免疫し、続いてS.aureusで静脈内チャレンジすることは、動物を殺傷しそして試験した場合、5日後の腎臓中の菌数を減少させた(図3)。
同様に、ウサギ中でPS/A抗原に対して惹起した抗体をマウスに与えること、続いてS.aureus株でこのマウスをチャレンジすることは、S.aureus感染に対してこのマウスを防御する(図4)。このようにPS/Aに対する抗体は、S.aureus感染に対してマウスを防御する。上記のように、非免疫コントロールマウスの感染腎臓から回収された単離体の分析は、動物における感染の間、感染がPS/Aの発現を誘導していたことを示した。
(実施例10:S.aureusの単離体におけるPS/A産生遺伝子の検出)
(方法:細菌からのDNA抽出、PCR分析およびサザンブロット分析:)
DNA調製:細菌を10−2−mlのトリプチカーゼソイブロス(TXB)に接種し、そして37℃で一晩増殖させた。得られる増殖物を遠心分離により回収した。細菌細胞を溶解緩衝液(25mM Tris、pH8.0、25mM EDTA、300mMスクロース)に再懸濁した。次いで、細胞を、リソスタフィン(0.2mg/ml)およびリゾチーム(2mg/ml)とともに、37℃で1〜3時間インキュベートした。この酵素消化の後、45%エタノール中の5%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を0.5ml添加し、ボルテックスし、そして室温で30分間インキュベートした。次いで、1mlの緩衝化フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール(27:12:1の容積比)を添加し、その後ボルテックスおよび遠心分離(15分、5000rpm、4℃)した。上部の水層を取り出し、クロロホルム:イソアミルアルコール(24:1比)に添加した。再度、これを遠心分離(15分、5000rpm、4℃)した。上部の水層中のDNAを回収し、次いで、出発容積の2に等しい量の95%エタノールの添加により沈殿させ、そして沈殿したDNAをガラス棒上に巻き付けた。次いで、このDNAを蒸留水に溶解した。
サザンブロット分析のためのDNAの制限酵素消化を製造業者(Gibco BRL、Grand Island、NY)のプロトコールに従って行った。DNAのプローブを、製造業者の指示書に従って、ECLプロトコール(Amersham International plc,Buckinghamshire,England)を用いて標識した。
PCRをタッチダウン(touch down)プロトコールを用いて実行した。手短には、プライマー(配列番号2〜3)をStaphylococcus株から得たDNAに添加し(最終濃度200nM)、そしてサーマルサイクラーをプログラムして、95℃でのDNA融解を実施し、そして60℃でポリメラーゼ伸長を開始し、45℃に達するまで各サイクルでアニーリング温度を0.5℃ずつ下げた。
(結果:)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて、本発明者らは、S.aureusの単離体がPS/Aを生成する遺伝子を有することを示した。これらの遺伝子は、icaと名付けられた遺伝子座に含まれ、そしてHeilmannらにより初めて単離および配列決定された(Heilmann,C.,O.Schweitzer,C.Gerke,N.Vanittanakom,D.MackおよびF.Gotz.1996.「Molecular basis of intercellular adhesion in the biofilm−forming Staphylococcus epidermidis.」Molec.Microbiol.20:1083)。本明細書において、本発明者らは、ica遺伝子座が、ポリ−N−スクシニルグルコサミン分子PS/Aを合成するタンパク質をコードし、PIAと名付けられたポリ−N−アセチル化ポリグルコサミン分子を合成するタンパク質をコードするのではないことを実証する。
プライマーをica遺伝子の配列に基いて、PCR分析のために設計し、2.7kBのDNAフラグメントを増幅した(配列番号2および3)。これらのプライマーを、ica遺伝子がもともとクローニングされたS.epidermidis株RP62A由来のDNAとともに、S.aureus株MN8、MN8ムコイド、RN450、Becker、Reynoldsおよび1Aから単離したDNAと混合し、そしてPCR反応に用いた場合、本発明者らはS.aureus株のすべてがica遺伝子座を有することを見出した(図5)。増幅された2.7kBのフラグメントを標識し、これらのS.aureus株から抽出されたDNAのサザンブロット反応にプローブとして用いて、本発明者らはまた、ica遺伝子座中の遺伝子の存在を検出した(図6)。このように、本発明者らは、PS/A抗原を合成するタンパク質を生成するために必要な遺伝子がS.aureus中に存在することを示した。
前述の明細書は、当業者が本発明を実施するのを可能にするに十分であると考えられる。本発明は、提供された実施例による範囲内に限定されない。なぜなら、実施例は、本発明の1つの局面の単一の例示として意図され、そして他の機能的に等価な実施態様は本発明の範囲内であるからである。本明細書に示され、そして記載されるものに加えて、本発明の種々の改変が前述の記載から当業者に明白となり、そして特許請求の範囲の範囲内に入る。本発明の利点および目的は、本発明のそれぞれの実施態様により必らずしも包含されない。
本出願に引用される全ての参考文献、特許、および特許出願は、その全体が参考として本明細書に援用される。
図1は、S.aureus株MN8からのPS/AのNMRスペクトルである。 図2は、0.5%グルコースを補充した脳心臓滲出物ブロス中で一晩、2回増殖させた、Staphylococcus aureusの種々の株が、ELISAプレートを感作したPS/A抗原に結合する抗体を除去する能力を示す、ELISA阻害の結果を表すグラフである(斑点の棒)。感度についてのコントロールとして、別個のアリコートの同じ細菌を、0.4Mメタ過ヨウ素酸ナトリウムで処理して、S.aureus株の表面上のPS/A抗原を破壊した(灰色の棒)。結合阻害百分率を、試験株に吸着されたPS/Aに対する抗体、および公知のPS/A陰性株(S.epidermidis sn−3)に吸着したPS/Aに対する抗体を用いて達成された光学密度の比から決定した。 図3は、PS/A抗原が、マウスにおいてS.aureus感染に対する能動免疫を誘導する能力を示すグラフである。 図4は、抗PS/A抗体が、マウスにおいてS.aureus感染に対する受動免疫を誘導する能力を示すグラフである。 図5は、PCRフラグメントゲルの写真を示す。 図6は、S.aureusにおけるica(細胞間付着因子遺伝子座)遺伝子のサザンブロットの写真を示す。PCRを、コントロールおよびS.aureusの8つの単離体からの染色体DNAについて行った(1)分子量マーカー、(2)S.carnosus TM300(ネガティブコントロール)、(3)S.epidermis RP62AからのポジティブコントロールDNA、(4)Staphylococcus aureus株Reynolds、(5)Staphylococcus aureus株MN8、(6)Staphylococcus aureus株5827、(7)Staphylococcus aureus株S836、(8)Staphylococcus aureus株Vas、(9)Staphylococcus aureus株VP、(10)Staphylococcus aureus株265、(11)Staphylococcus aureus株Por。

Claims (11)

  1. 膜多糖/付着因子を調製する方法であって、以下:
    粗莢膜多糖/付着因子調製物を細菌培養物から抽出する工程、
    高分子量莢膜多糖/付着因子濃縮材料を、該粗莢膜多糖/付着因子調製物から単離する工程、
    不純な莢膜多糖/付着因子を、該高分子量莢膜多糖/付着因子濃縮材料から沈澱させる工程、
    該不純な莢膜多糖/付着因子を塩基とともにインキュベートして、半ば純粋な莢膜多糖/付着因子調製物を得る工程、
    該調製物を酸で中和する工程、および
    該中和された調製物をフッ化水素酸中でインキュベートして、莢膜多糖/付着因子を調製する工程、
    を包含する、方法。
  2. 前記莢膜多糖/付着因子が、25,000より大きな分子量を有する、請求項1に記載の方法
  3. 前記莢膜多糖/付着因子が、30,000より大きな分子量を有する、請求項1に記載の方法
  4. 前記莢膜多糖/付着因子が、100,000より大きな分子量を有する、請求項1に記載の方法
  5. 前記莢膜多糖/付着因子が、ワクチンとして処方される、請求項1に記載の方法
  6. 前記莢膜多糖/付着因子が、1.0%未満のホスフェートを有する、請求項1に記載の方法
  7. 前記莢膜多糖/付着因子が、医療で用いるためのものである、請求項1に記載の方法
  8. キャリア化合物が、前記莢膜多糖/付着因子に結合体化され、請求項1に記載の方法
  9. 前記キャリア化合物が、リンカーを介して前記莢膜多糖/付着因子に結合体化される、請求項に記載の方法
  10. 膜多糖/付着因子に対する抗体を産生するための方法であって、以下:
    粗莢膜多糖/付着因子調製物を細菌培養物から抽出する工程、
    高分子量莢膜多糖/付着因子濃縮材料を、該粗莢膜多糖/付着因子調製物から単離する工程、
    不純な莢膜多糖/付着因子を、該高分子量莢膜多糖/付着因子濃縮材料から沈澱させる工程、
    該不純な莢膜多糖/付着因子を塩基とともにインキュベートして、半ば純粋な莢膜多糖/付着因子調製物を得る工程、
    該調製物を酸で中和する工程、
    該中和された調製物をフッ化水素酸中でインキュベートして、莢膜多糖/付着因子を得る工程、および、
    該莢膜多糖/付着因子に対する抗体を産生する工程、
    を包含する、方法
  11. 前記抗体が、前記莢膜多糖/付着因子およびアジュバントに対して惹起される、請求項10に記載の方法
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